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1988-03-09 第112回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月九日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 越智 通雄君    理事 大島 理森君 理事 太田 誠一君    理事 中川 昭一君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 中村 正男君    理事 宮地 正介君 理事 玉置 一弥君       新井 将敬君    井上 喜一君       今枝 敬雄君    江口 一雄君       遠藤 武彦君    金子 一義君       小泉純一郎君    笹川  堯君       杉山 憲夫君    戸塚 進也君       葉梨 信行君    鳩山由紀夫君       村井  仁君    村上誠一郎君       山本 幸雄君    上田 卓三君       沢田  広君    野口 幸一君       堀  昌雄君    武藤 山治君       日笠 勝之君    森田 景一君       矢追 秀彦君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         大蔵政務次官  平沼 赳夫君         大蔵大臣官房総         務審議官    角谷 正彦君         大蔵大臣官房審         議官      土居 信良君         大蔵省主計局次         長       斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 足立 和基君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       宮島 壯太君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         国税庁次長   日向  隆君         資源エネルギー         庁次長     高橋 達直君         資源エネルギー         庁石油部長   内藤 正久君  委員外出席者         国土庁土地局土         地利用調整課長 鈴木 克之君         法務省民事局第         三課長     永井 紀昭君         法務省刑事局参         事官      馬場 義宣君         厚生省保健医療         局健康増進栄養         課長      松田  朗君         厚生省社会局保         護課長     小沢 壮六君         通商産業省貿易         局為替金融課長 前田 正博君         通商産業省産業         政策局企業行動         課長      広瀬 勝貞君         通商産業省産業         政策局国際企業         課長      安本 皓信君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部業務課長   羽生 次郎君         建設省河川局水         政課長     横田 猛雄君         建設省道路局路         政課長     小鷲  茂君         建設省道路局有         料道路課長   松延 正義君         参  考  人         (日本たばこ産         業株式会社代表         取締役社長) 水野  繁君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  渡辺  尚君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 三月三日  大型間接税導入反対に関する請願矢島恒夫紹介)(第五五七号)  同(野口幸一紹介)(第六一一号)  大型間接税導入反対に関する請願岩佐恵美紹介)(第五五八号)  同(松本善明紹介)(第五五九号)  新大型間接税導入反対等に関する請願寺前巖紹介)(第五六〇号)  新大型間接税導入反対に関する請願河村勝紹介)(第五七一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第五号)      ────◇─────
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本たばこ産業株式会社代表取締役社長水野繁君及び住宅都市整備公団理事渡辺尚君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 越智通雄

    越智委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ─────────────
  4. 越智通雄

    越智委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森田景一君。
  5. 森田景一

    森田(景)委員 先般質問の要請をしておりましたが中断しまして、日本たばこ産業株式会社代表の方には二度にわたりましておいでいただきまして、大変恐縮に思っております。いろいろと問題がございますけれども、そういうことで、最初たばこに関する質問をさしていただきたいと思います。  御存じのとおり、酒税たばこ消費税、お酒とたばこというのは、まさに税痛を伴わない消費税典型的見本である、このように思われます。しかも、酒税は、国税三税の一つとして、国家の財政にもまた地方財政にも大きく寄与しているわけでございます。また、たばこ消費税は、国、地方それぞれ約一兆円に上る税金を徴収しておりまして、これまた大きな財源となっているわけでございます。この酒税たばこ消費税重要性について、まず最初大蔵大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御指摘になられたとおりであると存じます。酒税につきましては、昭和六十三年度歳入見込みは二兆円をちょっと超えたところでございまして、国税全体に占める構成比は四・五%でございます。たばこ消費税は一兆円をやや上回っておりまして、同じく構成比は二・二%でございますので、両方とも税目といたしましては歳入の中で非常に大きな比率を占める税目でございます。
  7. 森田景一

    森田(景)委員 今回の租税特別措置法には、たばこ消費税についての提案はございますけれども、酒税については全然触れられていないわけでございます。これは、もう何回も問題になっておりますけれども、ガット規約に違反しているということで、日本は早急にこの酒税改正をしなければならない、こういう状況になっているわけでございますが、今回もこの基本方針を発表しただけで酒税改正については触れられない、こういう状況でございますけれども、この酒税改正の日程といいますか、こういうことについてどのように考えていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  8. 水野繁

    水野政府委員 酒税につきましては、ただいま御指摘のございましたように、ガット勧告との関連があるわけでございます。先般、昨年におきましては、改革案税制全体の改正案一環としてお出しいたしましたが、これは廃案となっておるところでございます。その後、ガット勧告案が出まして、先般の改正内容におきましてはなお不十分であるというような趣旨勧告でございます。そうしたものも盛り込みましてさらに基本的に改正をする必要があるわけでございますが、一方、酒税は、先ほど御指摘のように、我が国税制の中の基幹的な税目一つでございます。現在税制全般の抜本的な改革が行われているところでございますので、その一環として改正を行うことが適当であると考えておるわけでございます。  ただ、ガット勧告に対しまして誠実に対応するということからも、その改正の基本的な方向につきましては、税制調査会審議をいただき、それはまた閣議決定をいたしておるところでございます。この税制調査会基本方針閣議決定におきますところの基本方針、こうしたものを踏まえまして、現在税制調査会におきまして内容につき検討をいたしておるところでございます。税制抜本改革一環として取りまとめ、国会の御審議を得たい、このような段取りで考えておるところでございます。
  9. 森田景一

    森田(景)委員 今御説明ありましたように、去年この酒税改正をやろうとしたわけでございますが、売上税との関連がございまして廃案になった、こういう経過があるわけですね。今度もそういうことでどういう形になるか、後でまたお伺いしますけれども、大型間接税といいますか新型間接税といいますか、そういうものと一緒にして酒税法改正をやろう、こういうお考えですか。
  10. 水野繁

    水野政府委員 先ほど申し述べましたように、酒税我が国税制の中の非常に重要な地位を占める税目でございます。また、これは間接税の中の柱の一つでございます。今回の税制抜本改革におきましては、間接税をどのように考えるか、所得消費、資産の間で均衡のとれた税体系を求めるという際の間接税の部分に関連をしてまいる、したがいまして、この問題は抜本改革一環として検討をすることが適当であるというふうに考え税制調査会に御審議を願っておるところでございます。
  11. 森田景一

    森田(景)委員 お酒の話ばかりしていられませんけれども、とにかく去年の売上税廃案を厳粛に受けとめているというのが政府考え方である、私はこのように承知しております。そういうことで、税制調査会ですか、こちらの答申を受けて、こういう答弁に当然なるんだろうと思うのですけれども、対外的な問題から考えても、酒税法改正は単独にやっていかなければまた去年の二の舞になりかねないだろう、このように予想されます。  先般、イギリスの外務大臣が、ハウさんという方ですか、日本においでになりまして、宮澤副総理・蔵相と会談した。このときにもその酒税法改正を強く要望された、こういうふうに報道されております。どうかひとつ去年の売上税のときの二の舞にならないような方法で早急に酒税法改正をやってもらいたい、このように要望をしておきたいと思います。  お酒とたばこ、これは嗜好品の最たるものである、双璧である、こういうふうに言われているわけでございます。ところが、未成年者はお酒もたばこも吸ったり飲んだりしてはいけない、こういうことになっているわけでございます。今、たばこも酒も有害であるということで、お酒の好きな方、たばこの好きな方々は大変肩身が狭くなるような思いをしているわけでございます。やはり発育途上青少年にとっては確かに有害であるだろう、私もそのように思います。この青少年に対するお酒あるいはたばこ、これの喫煙飲酒を禁止する、これが、実は最近自動販売機の普及によって、青少年が簡単にお酒もたばこも人目に触れないで入手できる。したがって、青少年喫煙飲酒がふえていると言われているわけでございます。こういうことについて大蔵大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはやはり難しい問題でございますけれども、青少年飲酒喫煙が禁止されているわけでございますから、本人たちが十分そういう自覚を持っていない年齢であるとすれば、やはりそれは学校教育の問題でもあり、もっと大切なことは家庭教育の問題ではないだろうかというふうに考えております。
  13. 森田景一

    森田(景)委員 学校教育の問題であり家庭教育の問題である、それはそうだと思います。しかし、そういう状況でもなおかつ青少年飲酒喫煙がふえている。これは外からも簡単にお酒やたばこ青少年に入手できるような仕組みは排除するのが当然ではないかと思うのです。したがって、少なくとも自動販売機によるお酒の販売あるいはたばこ販売はやめる方向検討することが必要ではないか、私はこう思うのです。大人は喫煙飲酒も自由ですから、夜なくなったら買いに行けば簡単に入手できる、それはそれで一面の利便性があるわけでございますけれども、それが青少年のためにはマイナスになるということであるならば、たばこ、酒の自動販売機による販売はやめさせる方向大蔵省としても考えなければいけないのではないか、私はこう思うのですが、大臣、どうでしょう。
  14. 水野繁

    水野政府委員 飲酒につきましては、国税庁指導によりまして、自動販売機等による販売につきましては、未成年者飲酒法律上禁止されているという旨の表示をするように努めておるところでございます。また、夜十一時以降は自動販売機による販売は停止するように指導をいたしておるところでございます。
  15. 宮島壯太

    宮島政府委員 たばこに関してお答え申し上げます。  未成年者喫煙を防止することは非常に重要な課題でございまして、従来から大蔵省といたしまして、各小売販売店に対しまして、まず、購買者未成年であると推定される場合には、喫煙者を確認し、未成年者喫煙に供されると認められればたばこ販売しない、それから、先ほど森田委員指摘自動販売機でございますけれども、自動販売機を設置する場合には、その利用状況を把握できる場所、例えば店舗に併設するなどして、そうした形で自動販売機を設置すること、さらに自動販売機の前面の見やすい位置に必ず未成年者喫煙禁止趣旨とした表示を行うこと、こういった指導をしているところでございます。
  16. 森田景一

    森田(景)委員 これも余り長い時間やっていられませんけれども、そういう指導をして、では守られていると思っていらっしゃるのですか。
  17. 宮島壯太

    宮島政府委員 私どもといたしましては、この趣旨が守られることを期待し、繰り返し財務局長を通じて指導しているところでございます。
  18. 森田景一

    森田(景)委員 そういうのがお役所答弁というのだろうと思うのです。現実には守られておりません。ですから先ほどのような話になるわけです。十分ひとつ守られるように、と思いますじゃなくて、守られるように徹底していただきたいと思いますし、原則的にはこの自動販売機というのは廃止した方がいいだろう、こう私は思っておりますので、その点については十分な御検討をお願いしたいと思います。  最近ある新聞のコラムにこういう記事がありましたので、ちょっと御紹介しておきたいと思います。   確定申告のシーズン。いつもながら所得税の重さにため息が出る。が、改めて身の回りを見渡せば、目に見えない税金の中にも、不公平なものが多いことに気づく。   たとえば、最近袋だたきにあっているタバコ。いまやタバコのみは健康優良大衆に対する反逆者、自分の命を縮めて喜んでいる愚か者とのレッテルが張られるようになったが、マイルドセブン一個(二百二十円)につき、百三十二円の税金を払っていることに注目する人は案外少ない。本来なら生涯を通じての多額納税者として国から表彰されてもいいぐらいなのに、周囲から白眼視されるのみとは、哀れと言えば哀れである。   東京国税局首都圏自営業者をちょっと洗ったら、出るわ出るわ、昨年分だけで千百四十二億円もの隠し金が見つかった。こちとらサラリーマン所得は素っ裸で隠しようがない、とムカっ腹を立ててビールを飲めば、一本(三百十円)につき百五十一円三十五銭の税金がきちきち取られる仕組み自営業方たち海外旅行も経費で落として、無税のブランデーなどをちびちびやっている。安酒場で悲憤こうがい、杯を重ねるサラリーマンほど税金もかさむとは。 後もありますけれども、こういう記事がありました。私も大変共感を覚えたわけでございます。  実は、先般日本航空株式会社から私に一通の手紙が参りました。何事ならんと拝見いたしますと、「短距離国内線での全面禁煙の実施について」というのですね。内容はやめます。それから、新聞、雑誌、こういうところにもたばこのみの肩身の狭くなるような記事がたくさんあるわけでございます。ましてJR線、旧国鉄は禁煙車両を大幅にふやすというのですね。地下鉄は終日禁煙新聞論調禁煙に味方をしているような風潮があるわけでございます。この根底にあるのはたばこ有害論だと思うのです。たばこは有害である。そして、厚生省は、先般、喫煙と健康問題に関する報告書というのを出しました。立派な報告書でございます。厚生省は今たばこ有害論指揮官である、こんな感さえするわけでございますが、このたばこ有害について厚生省はどのように考えていらっしゃるのか、まず御意見をお聞きしたいと思います。
  19. 松田朗

    松田説明員 お答えいたします。  先生先ほど御指摘のように、厚生省は、たばこというものは嗜好品である、こういうふうにまず考えておるわけでございます。したがいまして、一律に強制的に禁煙を強制するという立場ではございませんが、しかし、たばこはさまざま健康に悪い影響を及ぼす、こういう説もございます。したがいまして、厚生省といたしましては、国民のより多くの皆様にたばこと健康とのかかわりにつきましてより正確な情報を提供すべき役目がございます。そういう意味から、内外の文献等に基づきましてたばこと健康に関しますあらゆる知見を整理評価いたしましてまとめたのがこの報告書でございます。厚生省といたしましては、そういう意味で、健康教育の観点からたばこについての健康との関連国民に知っていただきまして、そして吸うか吸わないかは判断していただく、こういう立場でございます。
  20. 森田景一

    森田(景)委員 厚生省は毒物の取り締まりなんというのもやっているわけですね。たばこが本当に有害なら、健康に影響があります、害があります、吸う吸わないは本人任せですなんて、そんな無責任なやり方でいいんですか。
  21. 松田朗

    松田説明員 私は、今申しましたように、たばこが健康にどういうかかわりを持っているかということをまず最初国民に知っていただくべきだと思います。と同時に、たばこにつきましては、受動喫煙とか強制喫煙とかいうふうに最近申されておりますけれども、たばこを吸わない人にとりましても悪影響を及ぼすのではないかということが言われておりますので、たばこの吸い方につきましては、やはりマナーだけでなく、分煙とか、そういう形で進めていくべきだというふうに考えております。
  22. 森田景一

    森田(景)委員 確かにたばこを吸わない方に煙が行くのは御迷惑だと思うのですね。そういう点では、御意見、もっともだと思います。だから、たばこを吸う人は周りに迷惑をかけないようにしなければいけない、こういう考えは私もうなずくことができます。ただ、有害だ、健康に影響がある。影響があるのはたばこだけじゃないんですよ。薬だって飲み過ぎれば悪いのがいっぱいあるでしょう。副作用でその方がひどくて死んでしまうなどという人もいるわけです。そういうことを考えたら、たばこだけを有害だ有害だ、こういう決めつけ方は私は大変遺憾じゃないか、こう思うのです。そういうことで、厚生省は、たばこは有害だからやめろ、こういう立場なんだろうと思うのです。  先ほど大臣の方からも御答弁いただきましたけれども、たばこというのは国の財政地方財政に大変大きな影響を持っているわけです。我々の体だけじゃないのですね。たばこをやめたときはは、これは後で日本たばこ産業さんにお尋ねしますけれども、たばこがなくなったら、約二兆円の税収というのは別の方から考えなければならない。二兆円という税収は大変な税金です。この点は、厚生省、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
  23. 松田朗

    松田説明員 まず最初に、報告書について補足説明させていただきます。  この報告書を作成するに当たりましては、客観的に評価するという立場でございますので、いろいろな学者意見がございます。したがいまして、この報告書には、学問的にはっきり決着のついているもの、あるいは議論の分かれているもの、そういうものをあわせて記載してあるわけでございます。  なお、後段の御質問たばこ税収に関してのことでございますが、税収については大変重要な問題だとは承知しております。ただし、厚生省といたしましては、国民の健康を守る立場から、やはりたばこと健康に関しての正しい情報をより正確に国民に伝えるという立場から進めていきたいと思っております。
  24. 森田景一

    森田(景)委員 厚生省の広大な御意見は拝見しました。そうしますと、先ほども申し上げましたけれども、人体影響のあるのはたばこだけではなくてお酒もそうなんですね。お酒は質問の予定に入っていなかったのですけれども、お酒については、有害だとかあるいは人体影響があるとか、こういう研究はなさらないのですか。
  25. 松田朗

    松田説明員 アルコールについては私の所管でございませんが、しかし健康づくりには関係がございますので、お答えさせていただきます。  アルコールに対しましては、厚生省の内部の意見といたしましては、適正飲酒という進め方をしているわけでございます。アルコールにつきましては、たばこほど健康とのかかわりについての研究はないのではないかと承知しております。しかし、厚生省の中の議論は、今申しましたように、アルコールにつきましては適正飲酒という形で今進めているところでございます。
  26. 森田景一

    森田(景)委員 これ以上またここでやりましてもここは学会ではありませんので深くは申し上げませんけれども、お酒、たばこに限らず、やはり日本にはいいことわざがありまして、過ぎたるは及ばざるがごとし、こういうことわざがございます。薬だと思っても、多くとり過ぎれば害になる、お米もたくさんとり過ぎれば健康に害がある、食物もそうである、こういうことですから、適正におやりくださいというのが一番いい指導だろうと思うのです。そういう点でひとつ、害がある害がある、健康に影響がある、こういう研究も必要かと思いますけれども、そういう配慮も十分勘案していただきたいと思うわけでございます。  しかし、こうして厚生省、これは国の機関でございます、政府の方がたばこは有害であると宣伝してまいりますと、今度は日本たばこ産業株式会社が、今までは国の機関一環でございましたが、今行政改革一環によりまして株式会社となってしまったわけでございます。今までは恐らく対等にやり合いができたんだろうと思いますが、日本官高民低とかという話がございまして、民間になった日本たばこ産業株式会社としては大変苦しいのじゃなかろうか、このように推測するわけでございますが、このたばこ有害論について日本たばこ産業株式会社ではどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  27. 水野繁

    水野参考人 お答え申し上げます。  喫煙と健康の問題につきましては、我が社、専売公社時代から実は非常に研究をいたしております。昭和三十二年から全国の大学とか研究所に研究を委託いたしまして、三十年間続けてきておるわけでございます。その三十年間の研究成果、それからいろいろな文献その他の研究によりますると、喫煙の健康に及ぼします影響というのは、現段階で病理学的、臨床医学的にはまだ解明できておらないということでございます。今後の研究にまつところがまだまだ残されておるということでございます。たばこ有害論のほとんどは主として疫学的調査によるものでございます。統計的な調査によるものでございます。喫煙と健康の問題で主として問題になりますがんとか、それから心臓病、いわゆる成人病でございます。これになりますと非常に多くの要因があるというふうに言われております。加齢、遺伝、体質、それから食生活、職業、環境、こういったものがいろいろとまつわり合ってそういうものが発生する。実はそのどれがということまで特定できないところが今各学者が世界じゅうで一生懸命研究しているところと承っております。したがいまして、これにつきましては、我々会社といたしましても、今後とも一生懸命研究はしていきたい。  片や、たばこ有害論だけでございますけれども、たばこにも一つ、ストレスを解消するようなこと、それから集中力が逆に出てくる、ないしはゆったりさせるという精神作用の面もございますので、こういうところもあわせて研究をし、あわせて訴えていきたいということでございます。いずれにしましても、病理学的な研究、臨床医学的な研究は今後とも進めていきたいと思いますので、その進めた成果を随時発表しながらPRをしてまいりたい、かように考えております。
  28. 森田景一

    森田(景)委員 お酒もたばこも人類に非常に親しまれながら迫害の歴史があるわけでございます。お酒も禁酒令によって飲めなくなった時期あるいはそういう国もあったようでございますし、たばこについても、禁煙令といいますか、そういうものをやった国もあるようでございます。  私も、厚生省のこの報告書あるいはそのほかの、心理学者の宮城音弥先生のたばこの書物などを拝見しておりまして、余り有害だと決めつけるのは早急じゃないだろうかと考えている一人でございますが、それはそれとしまして、株式会社である以上、たばこ産業としても販売量を伸ばさなければならない、伸ばすためには広告もしなければならないということになるのだろうと思います。最近雑誌にはこういうすてきな広告が載っていました。あるいはテレビにも盛んにコマーシャルで放映されているわけでございますが、広告が悪いというわけじゃないのですけれども、特にテレビの影響は非常に大きくて、先ほど申し上げました青少年喫煙禁止未成年喫煙しちゃいけない、あるいはお酒を飲んではいけない、こういうのと逆行するような効果が出ているというように学校の先生方の報告があるわけでございまして、この点は日本たばこ産業としては自粛をするのがいいのじゃないだろうかなと思っているのです。  販売量をふやすには広告をやった方がいい。私もコマーシャルを見て、何のコマーシャルかと思ったら、リベラといいましたか、そのコマーシャルが出ていまして、何か女性の足がいっぱい出てきてぎょっとするようなコマーシャルでございます。そういう点で、会社としての努力は大変でございましょうけれども、青少年の教育のためにもテレビのコマーシャルは控えた方がいいのじゃないだろうかなと私は思うのですが、この点についてはどう思われますか。
  29. 水野繁

    水野参考人 昨年の四月に関税が無税になりまして、外国たばこが相当入ってきております。現在、国産のたばこと外国のたばこで熾烈な競争をいたしております。その一環といたしまして、ただいまお目にとまりましたようなテレビ広告もやったわけでございますけれども、時間帯その他につきましては青少年の目にできるだけ入らない時間を選ぶ等、これはたばこの協会がございまして、そういうところで自主的な協定をするよう、現に若干のそういう協定がございますけれども、なおかつそこのところも相談をしながら詰めていこうという作業が現在進んでいるところでございます。
  30. 森田景一

    森田(景)委員 最近は、世界的に反たばこ運動というのも起こっているようでございます。いろいろと問題が起こってからやめるのじゃなくして、自主的に判断していかれるという方がたばこに対する援護射撃も多くなるのじゃないだろうか、こんなふうに思っております。その点は十分ひとつ検討していただくようにお願いしておきたいと思います。  いずれにしても、そういう世界的な禁煙運動といいますか、日本では、最近の新聞を見ますと、日本航空が国内線の短距離便は全席禁煙席にするというのに対して、今度はたばこの好きな方がそれは不公平だという申し入れをしたなんという記事もありました。  そういう状況もありますけれども、しかし、今までの売り上げ、今後の見通し、こういうことについて、同じ専売局時代に同じ立場で働いておられたNTT、同じ職場ではありませんけれども、民営化されたNTTの方は、今日本の何か注目を集めるような、花形産業みたいな形で、働いていらっしゃる方々もNTTになってよかったなと思っていらっしゃると思うのですが、その反面、日本たばこ産業株式会社に働いていらっしゃる方々は、大変憂うつな日を送られているのじゃないだろうかと私は思うのです。したがって、日本たばこ産業株式会社の未来はあるか、こういうことでひとつこの際代表取締役としての決意のほどをお聞かせいただきたいと思うのです。  この新聞に、この間拝見しましたら、日本たばこ産業株式会社の広告が大きく載っております。これがたばこの宣伝じゃないのですね。「基本第一研究部」という広告でございまして、たばこじゃなくて、たばこ以外の研究で広告が載っているわけです。こういう広告を見ますと、それはそれで努力していらっしゃるのはわかりますけれども、たばこはやはりだめなのかな、こういう印象も受けかねないのですね。そういうこともありますので、日本たばこさんの株主といいますか、これは大蔵大臣ですか、株主としての御意見をひとつ聞かせてください。
  31. 宮島壯太

    宮島政府委員 日本たばこ産業株式会社をめぐります環境は、特に関税をゼロにしたこともありまして、外国のたばこの攻勢が一段と激しくなっている中で、大変厳しい状況にあることはただいま森田委員指摘のとおりでございます。会社といたしましては、みずからの合理化を図るべく、工場の再配置あるいは人員の削減、さらには製品の品質向上ということを通しまして、全体のシェアが落ちている中で何とか販売を拡大しようと努力しているところでございます。また、民営化になりまして新しい分野に進出できるという制度ができましたので、そちらの方面につきましても、今まで蓄積してあります技術等を最大限に生かすべく新しい試みをしているところでございまして、私どもとしてはぜひ日本たばこ産業株式会社が、NTTの例が出ましたけれども、そこに働く職員のみならず、私ども関係者にとりましても、ますますすばらしい会社に発展していただくように心から願っているところでございます。
  32. 森田景一

    森田(景)委員 水野社長さん、いかがでございましょう。
  33. 水野繁

    水野参考人 先生御指摘のとおり、現在喫煙率が下がっておりますし、したがいまして、たばこ全体の需要というのはこれから伸びていくというふうな状況ではないと思っております。横ばいないしは徴減ということかなという感じが全体としてはいたしております。  その中で、今度は外国たばこと熾烈な競争をいたしております。昨年の四月に外国たばこ関税が無税になりましたときに相当値下げをいたしてきておりまして、約一〇%近いシェアを現在とっております。一昨年が三・九%でございますから相当なシェアの伸びということでございますけれども、我々一生懸命頑張ってそこら辺でとどめておる。ことしに入りまして二百円のたばこが出てくるというので、またこの先行きにつきましては相当厳しいことがあることは事実でございます。  したがいまして、財務状況につきましては我々としても慎重に考えておりまして、六十二年度、この決算につきましても、前年に比べて減収減益になることはある程度見通さざるを得ないし、六十三年度もそういう厳しい状況が続くのではないかというふうには考えております。  しかし、この厳しい中で、我々としては新しいたばこ商品の開発自体を心がけて、我が国で外国と勝負をするわけでございますから、一番我々が消費者のことを知っているわけでございまして、頑張ってまいりたい、これが一つでございます。  それともう一つは、コスト競争力でもって外国に対して勝たなければなりませんので、経営全般、葉たばこ農家を含めまして、いろいろな点でもって経営全般について合理化を図ってまいりたいということで、たばこの分野でも頑張ってまいりたい、こういうふうには考えております。  それともう一つ、あわせまして、先ほどお目にとまりました広告でございますけれども、たばこ産業は葉たばこの農家の原料段階から包装の段階までのすべてをずっとやっておりますので、長年ここで培われた技術がございます。これを、基礎的な研究をしておりますのをほかの方面にもこれから転用して、それで立派な会社にしていきたい。民間会社になりましてまだ三年でございます。したがいまして、今が苦しいときかもしれませんけれども、技術もあるし、それから職員も立派だと私は思っております。それらの人たちと一緒たぜに頑張ってまいりたい。どうか御支援願いたいと思います。
  34. 森田景一

    森田(景)委員 大変御努力をなさって何とか発展をさせていきたい、こういう御決意だと思います。ひとつ大勢の働く職員の皆さん方にも希望の持てるような、そういうことで努力をお願いしたいと思います。  それで大蔵大臣、いろいろ今たばこの話をしてまいりましたが、今回の租税特別措置法では、一本一円の税金の上乗せ、これをさらに一年継続したいということで提案されているわけでございます。今のような状況、そういうことを考えますと、もう一本一円のたばこ消費税上乗せの使命は終わった、特例はやる必要ない、このように私は思うのですね。しかも、ある品種によっては今回税率も落とす、落とした分は消費者の方に値下げとならないでたばこ産業の経営の原資に回っていく、こういう形をとっているわけでございますが、この際、厚生省の御協力をいただいて、そして一本一円のこの特例は取り下げるべきである、このように私は申し上げておきたいと思います。大臣、いかがですか。
  35. 水野繁

    水野政府委員 御承知のように、この措置は昭和六十一年度改正の際にお願いをしたところでございます。当時の補助金等の整理合理化に伴う地方財政対策を踏まえましてお願いをいたしました。この点につきましては、税制調査会にも御審議をいただき、ことし六十三年度の税制改正に関する答申におきましては、これは現在審議が行われております税制抜本改革一環として検討していくことが適当であり、一年間ここで延長をお願いすること、これはやむを得ないのではないかという考え方が示されておるところでございます。こうした状況を踏まえまして、もう一年間延長をお願いを申し上げ、御提案したところでございます。
  36. 森田景一

    森田(景)委員 大分たばこの話が長くなってしまいましたけれども、とにかくそういうことなら、喫煙者からみんな税金をもらっているわけですから、喫煙者をいじめるようなそういう方向はとらないように、いろいろと先ほど申し上げましたようなことがありますから、特に厚生省とは連携を密にして、大蔵大臣、副総理でございますので、対応を考えていただきたいと思います。それができないならばこれは反対だ、こう申し上げざるを得ないと思います。  次に入りますけれども、空転しておりました国会もきのうやっと解決しましてきょうからこのように審議が再開されたわけでございまして、大臣としても大変安堵の胸をなでおろしていらっしゃるのじゃないかと思います。きょうは大変お顔の色もすがすがしくていらっしゃるように拝見いたします。  それで、今回の租税特別措置法の一部を改正する法律案では、土地税制があるわけでございます。それで最初に、おととしから去年にかけましての首都圏を中心にする土地の高騰、この責任の一端は大蔵省にもあったのじゃないか、このように私は思うのですが、大臣はどう思っていらっしゃいますか。
  37. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 という御指摘があってにわかに思い当たることは余りございませんけれども、申し上げますれば、実は、その間、国有財産の都内における処理、売り払いがございました。これは決して件数は多くございませんで、年間東京都で申しますと三件とか五件でございますが、たまたまそういう案件がございまして、これが勢い話題になりました。かなりの高い価格で、これは公共団体あるいは公共用ではございませんでしたので、会計法の示すところに従いまして公入札をいたしました結果、かなり高い価格になった。そのことが、当時進行しておりました土地価格の上昇を、あたかも国もいわばそれを少なくとも容認したのである、あるいは国も一人の経済行為の主体として大きな売却代金を得たではないか、こういう印象を国民が持たれたということは、事が事でありましただけに事実であったと思います。そのような意味で、おっしゃいましたような土地上昇の一種のムードにやはり何がしかの影響を与えたということは率直に申し上げるべきであろうと思っております。
  38. 森田景一

    森田(景)委員 大蔵省も責任の一端があった、率直にそういうふうにお認めになるわけでございますのでそれ以上は申し上げませんけれども、先般の委員会で拝聴しておりましても、国は指導した、守られていると思います、こう言いながら実際は守られないということがたくさんあったようでございまして、先ほどの厚生省のお話も、指導したんだから守られていると思います、これと同じケースだと思うのですね。一応今地価は鎮静化しているというふうに言われておりますけれども、まだまだ予断は許されないわけでございます。したがって、これは、大蔵省としては、金融という立場で、土地の高騰を再び引き起こさないように十分な対応をされるべきだと思いますので、ひとつ申し上げておきたいと思います。  それで今回の土地住宅税制でございますけれども、土地高騰の大きな要因になっていた一つに買いかえ制度というのがあったと言われておるわけであります。今回の租税特別措置法では、買いかえは原則廃止する、こういうことになっているわけでございます。原則廃止すると言いながら、なお一部特例を残すことにしているわけですね。居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の改正ということで、所有期間十年を超える居住用家屋及びその敷地で父母または祖父母から相続または遺贈により取得したもののうち、三十年以上の期間にわたってその者の居住の用に供していたものを譲渡した場合の長期譲渡所得については、居住用財産の買いかえの特例を存置する、第三十六条の二関係ということになっているわけです。この特例を残した理由といいますか目的、これはどういうところにあるんでしょうか。
  39. 水野繁

    水野政府委員 ただいま御指摘のように、父母または祖父母から相続または遺贈により取得したものを対象に存置いたしておるところでございまして、そのように、二世代以上にわたりまして居住の用に供してまいった居住用の資産で、譲渡者がみずからも三十年以上長期にわたって現在まで生活の本拠としておられたもの、そういうものを手放されるということでございますので、そういう場合には大変ないろいろな御事情があってそうなさられる場合が多かろうということでございますので、そうした場合の特別な事情に配慮いたしまして買いかえの特例を存置いたしたところでございます。
  40. 森田景一

    森田(景)委員 この特例を残した理由、目的というのは何ですか。どういうところでこの特例を残すことになったのですか。そこを説明していただきたい。
  41. 水野繁

    水野政府委員 御承知のように、買いかえの特例は、居住用に供しておりました土地家屋をいろいろな事情から住みかえられる、そこを手放されて新たな土地で居住をなさるということでございますので、ある一面からいえば、それによりまして、居住用資産は、場所等につきましてはかわりましてもそれは住みかえでございまして、同じような生活環境を維持するとすれば、その間におきまして特別の税の御負担をお願いをするということはない方がよいという考え方も一面あるわけでございます。そうした考え方から、昭和四十四年まではかなり広く認められておったわけですが、この点につきましてはまたいろいろな問題点が指摘されておったところでございますので四十四年に廃止されたというところでございまして、その買いかえ制度の一面の意味というものを限定された場合につきましてはこれを考えまして、一部と申しますか例外的に存置をいたしたところでございます。
  42. 森田景一

    森田(景)委員 いや、三十年も住んでいた居住用財産を売却する、そういう人にはこの特例で認めましょう、それなら今の説明のようにわからないことはないのです。だけれども、これは「相続又は遺贈により」、こう入っているのです。何で相続、遺贈というのを入れたのですか。
  43. 水野繁

    水野政府委員 基本的には、居住用財産の買いかえの特例はやはり問題点の方が多いということから、原則としてはこれは廃止申し上げるのが適正な措置ではないかということでございまして、極めて例外的な場合におきましてはこれは存置いたすのがいかがか。そういう場合におきましては、それは自分の代一代だけではなくて前の世代から引き続いてそこに居住し前の世代から引き継いだもの、そうしたものを自分の代になって買いかえる、そういうような特別なケースに限らしていただく。基本的には廃止させていただく、しかし極めて例外的な場合は存置いたすのがいかがか、こういう考え方でございます。
  44. 森田景一

    森田(景)委員 原則的には、親あるいはおじいさん、そういう方が持っていた財産を引き継いで遺産相続した、そういう方が三十年以上住んでいれば特例として認めましょう、こういうことなんだと思うのです。要するに親代々といいますか先祖代々、墳墓の地とよく言われますけれども、そういうところの買いかえは認めましょうということだと思うのです。だけれども、この前の委員会でも指摘されておりましたけれども、そういう考え方はいろいろと矛盾になるような問題があるわけですね。  一面からいいますと、本人は買ったのじゃないけれども親が三十数年前に土地家屋を買いました、買って間もなくその父親は亡くなりました、その子供さんは幼くして遺産相続した、そしてそこに三十年住んでいた、こういう人はこの対象になるわけですね。どうですか。
  45. 水野繁

    水野政府委員 その相続された土地家屋、この居住用資産に御自分として三十年以上は住んでおられた、しかもそれを前の世代から相続、遺贈によって受け継がれた、それからその土地家屋につきましては少なくともその方が十年以上所有しておられた、そういういろいろな条件に合致した場合にこれが適用になるということでございます。
  46. 森田景一

    森田(景)委員 ですから、そういう考えでいきますとこれは随分親不孝税みたいな感じなんですね。問題になるのは首都圏あるいは名古屋圏、大阪圏といいますか、そういう大都市周辺だと思うのです。それ以外のところでは買いかえなんということは余り考えられないと思うのです。親が早く死んでそれで遺産相続で住んでいた土地家屋は条件が合えば買いかえの特例が認められる。ところが、親は元気でした。親が元気だけれども、その子供さんも親と同じ年をとっていくわけです。なかなか元気なものですから、自分がかなりの年数になっても遺産相続も受けられない。そういう人がこの適用を受けられない可能性というのはあるわけですね。そうすると、うちの親は何で早く死んでくれなかったか、こういうことだって起こり得るんですね。親不孝税になるんじゃないか、私はそう思っているんですが、そういうことについてどう思いますか。
  47. 水野繁

    水野政府委員 御長寿の父母の方々で、ずっと同居して住んでおられたその期間が三十年以上でございますと、それからただいま所有期間は十年と申し上げましたが、この所有期間の計算のときには、それは同じものを相続されたときはその所有期間は通算をするのが従来からの考え方でございますので、長寿されてお亡くなりになってから何年かでということ、特に長寿の方について、それが障害になって適用にならないということはないかと思いますので、御指摘の親不孝になるというケースというのはちょっと考えられませんが、具体的にどういうケースにつきましてということでございましたら、また申し上げたいと思いますけれども。
  48. 森田景一

    森田(景)委員 今人生八十年時代ですね。三十歳で親が土地家屋を取得した。そのときには子供さんもいらっしゃる。三十歳から五十年、八十歳まで生きていらっしゃった。そうすると、子供さんは、三十歳で誕生になるか、その前に誕生になるか、いずれにしてもその年にはもう五十年たっているわけですね。五十歳以上になっているわけです。それで、八十歳で長寿を全うしてお亡くなりになった。子供さんが遺産相続を受けました。そこまでは構わないんですね。ところが、相続を受けた時点で今度はその家屋敷を処分して外へ行かなくちゃならない。そういうことになると、自分が所有して十年たたないわけですね。要するに、遺産相続を受けてから十年なきゃだめなんでしょう。どうなんですか。
  49. 水野繁

    水野政府委員 その点は、ただいま申し上げましたように、この所有期間につきましては、従来この制度がございましたときからそうでございますけれども、相続によって所有権を取得されたというときは、同じものであればその被相続人、親御さんが持っておられたというか、親御さんが取得されたときに取得したことに扱うというふうに、取得時期はその点につきましては引き継ぐというのが前からありました制度でございますので、今回もそれを踏襲いたしますので、その点はパスするようになっておるところでございます。
  50. 森田景一

    森田(景)委員 これは政令で細かいことは定めるというふうになっているそうでございますけれども、政令、これは法律が通らなければ政令は出せないというのが普通答弁でございますけれども、政令については今検討されているんですか。
  51. 水野繁

    水野政府委員 御審議をいただき、成立さしていただいた段階で政令は準備さしていただくわけでございます。それで現在この当委員会での御議論を拝聴しながらその内容検討いたしておるところでございますが、ただいま申し上げました十年の計算につきましては、法律的に申し上げますと、今度御指摘の三十六条の二でも、その所有期間が十年という規定につきましては、そのところに前の条文を引用をしておりまして、それを引用するようにそのまま読みますれば、それは前の制度が続くということでございますので、御心配の点は大丈夫ではないかと考えるところでございます。
  52. 森田景一

    森田(景)委員 それで、この前問題になりましたのは、十年というのがありますので、その途中で災害があってよそに一時的に避難していた、あるいは余り古くなったので建てかえた、こういうものが対象にならなくなるじゃないか、こういう議論がありましたね。その点については詰めていらっしゃるのですか。
  53. 水野繁

    水野政府委員 災害の点につきましては、この点も、従来ございました居住用買いかえ制度では、もしその災害に遭わなかった、そして買いかえの時期まで続いておった、その期間が十年超えていればそれは適用はいたすというのが前からの考え方でございました。しかし、今御指摘の、大分古くなったから同じ場所に同じような資産を、家屋をおつくりになったというのは、これはやはりその居住用資産がそこでかわったということでございますので、その場合には十年間の通算はされないというのが従来の考え方、取り扱い、法律考え方でございました。
  54. 森田景一

    森田(景)委員 その辺が今東京などで非常に問題になっている点でございますので、この辺ももう少し検討して、途中で建てかえがあったからだめになるとか、そういうことのないようによく検討していただきたいと思います。  私の方にもいろいろな御意見を寄せていただいているんですけれども、特に名前をこういうところで言っていいかどうか。仮に竹下さんと宮澤さん、こうしたいと思うのですね。竹下さんと宮澤さんの御両人は二十四年前に建て売り住宅を購入して居住している。南側に高層マンションが建築されまして日照が大変悪化したためにいずれも売却を決意したというのです。竹下さんの方はすんなりと売れたわけです。たまたま宮澤さんは五年前に両親と同居するため建てかえていたので、買いかえが認められなかった。また、この改正案では、五年前に建てかえたために軽減措置も適用されない。これからの移転は大変困難である。こんな相談もあるわけでございます。  あるいは、今度は中曽根さんにしましょうか。中曽根さんは戦後四十年来居住している自宅南側に高速道路が建設されました。道路用地にかからなかったために収用、立ち退きの対象にもなりません。したがって、引き続いて居住しておりますけれども、高速道路のために日照、騒音等に悩まされて、やはり移転を希望しております。たまたま近くに適当な土地の売り物があるんですけれども、自宅を数年前に建てかえたために買いかえの特例が認められない。また改正案によると軽減措置も適用されない。こういうことで税引き後の移転は困難になってしまった。こんな例もあるわけでございます。  それから、こういう例もあるんですね。名前は何としたらいいでしょうか。山中さんにしましょうか。相続税を支払うため居住用の家屋の売却を決意しましたけれども、数年前に大改築をしておりました。増築登記の際、大改築であったので実質的に新築であるとみなされて新築の登記をしたというんですね。したがって、売却に当たりまして改正案によりますと軽減税率が適用されないことになるために、売却納税後の資金ではかなり郊外でないと移転できない。こういう状況で悩んでいる。一方、渡辺さんは、このような状態に備えまして、実質的には新築であったけれども建築確認申請を改築で行っていたというのです。したがって売却に当たっても買いかえが認められて、山中さんと渡辺さんは同じような条件でありながら両者の間には大変な不公平が生まれてきた。こういう例もあるわけでございます。  この財産の処分ということにつきまして、買いかえとか移転とかいろいろ問題があるわけでございます。同一敷地内であるならば、そしてまた建てかえの前後を通じまして同一人物の居住用に供せられる場合には軽減税率が適用されるように措置してもらえないだろうかという要望が非常に強いのです。話がややこしくなってわかりにくいかもしれませんが。そういう方策を省令の中でとってもらえるかどうか、この辺の検討はなさるのかなさらないのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  55. 水野繁

    水野政府委員 この所有期間につきましては、先ほども申し上げました土地税制の中におきます長期、短期というときの五年、十年の計算を、そのまま現在ある法律を使うことが整合的であると思われますので、その期間を使っておるところでございます。そういたしますと、それはその個人が取得されてから十年ということになりますので、同じ敷地でも同じ家屋に住みなれた方についての居住用買いかえでございますので、家屋がかわればそこで一たん切れるということでございます。  そのときに、登記を新築にされるか改築にされるかによって、その登記にかかわりなく執行の面で税務当局が個別に実体を判断するということはかえって問題かと思いますので、その点は建築確認の形式的なと申しますかその判定によりまして適用させていただくのが適切なことではないかと考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、今回は買いかえは原則としては廃止いたしますけれども、居住用家屋をお売りになるということでございましたら、三千万控除というものがまず適用されて、三千万円までは譲渡益につきまして無税でございますし、その超える部分につきましては一〇%の低い税率の分離課税でございますので、短期間でございましたら譲渡益もそう出るところではございませんので、新しい制度によりまして無税あるいは低率な課税でもう課税は完結させていただく。そこで終わり。長年その取得価額を引き継いでいくことは個人にとりましては難しい面もございますので、より新しい制度によりまして負担もそれほど高まらず、また簡明な制度ではないか。基本的にはやはり居住用資産の買いかえ制度というのは問題点の方が多いのではないか。したがいまして、限られた範囲においてだけ存続させていただく、よくよく特別の事情がある場合にだけ存続させていただくのが適当ではないかと考えた次第でございます。
  56. 森田景一

    森田(景)委員 どうもよくわかりませんけれども、そういう大変に大勢の方々が悩んでいらっしゃる問題があるわけです。線引きというのは非常に難しい点があることは私も承知しておりますけれども、同じところに住んで、それこそ三十年も五十年もたった家、これが建てかえしなければ住むのに非常に厳しい状況になっている、建てかえた、その後事情があって売却しなければならない、そういう人もこの法律では長く住んでいても最近改築したからそれが適用にならない、こういうのは非常に不公平といいますか、そういうことになるのだと私は思いますので、いろいろ今答弁ありましたが、ぜひ検討していただきたいと思うのです。この問題ばかりやっていられませんから要望だけしておきます。  それで、もう一つ私がちょっとおもしろくないと思っておりますのは、住宅取得促進税制の適用対象者の所得要件を現行一千万円以下なのに三千万円以下にするということなんです。これはどうも私は賛成できないのです。どうして三千万にしたのですか。
  57. 水野繁

    水野政府委員 現在の制度は一千万になってございますが、この制度は、四十七年に始まり五十七年に改正されるまでは、所得制限はございませんでした。当時基本的にこれを拡充するときに、当時の事情から一千万円という所得制限を置いたところでございます。  しかし、現在の我が国の給与水準等から見ますと、入社されたときは低い給与水準、それが年功序列的な給与体系でございますと次第に給与水準は上がってまいる。おおむね二、三十年、定年間際になって家を手当てされようとするときには、この制度がこの所得制限からいたしまして適用が受けられないというケースが間々見受けられたところでございます。  これまでの住宅取得促進税制でございますと、やはりこれは一部には所得再分配的な所得税の基本的な性格も考えてまいったところでございますが、これだけ所得水準も上昇し、また平準化してまいりましたもとにおきましては、住宅取得促進税制住宅取得そのものをとにかく促進するということ、それがまた当面の課題である内需拡大にも適合するのではないかということから、現在ございます一千万円、これは幅広く御適用願うということから、今回、前にございましたような所得制限のない制度にまではまいりませんが、これを一千万円を三千万円にするということで拡大をさせていただいたらいかがかということで御提案しているところでございます。
  58. 森田景一

    森田(景)委員 年収三千万といいますと相当な高給取りなんですね。三千万まで拡大するのなら、今話があったように、もう撤廃してしまった方がいいのじゃないかと私は思うのです。何で三千万円なんていう制限をつけたのか。  なぜかといいますと、総理大臣はどのぐらいの給料をもらっていると思いますか。これは時間がありませんから私の方から申し上げる。特別職の職員の給与に関する法律というのを見ますと、内閣総理大臣が俸給月額百七十六万六千円なんですね。これで期末手当がどのぐらいつくのか知りませんけれども、五カ月ぐらいついたとしますと、十七カ月で計算しますとこれで三千二万円になるのです。内閣総理大臣がこれに該当することになるのですね。そのほかにいろいろと手当がつくのかもしれませんけれども、一応この俸給表によりますとそうなっているのです。そういう人も対象にしましょうという発想は大変よくないと私は思います。  それで、労働省の外郭団体でありますところの労務行政研究所というところで六十二年度の年間賃金に関する調査というのを行いました。この結果が発表になりました。民間企業では、部長さんで年収九百五十万、課長さんで七百三十四万、係長で五百五十四万だというのです。では国家公務員はどうなのかと思って、これも一般職の職員の給与等に関する法律というのを調べてみましたら、一般職ですね、一番高い方が十一級の十五号俸、この方が俸給月額が四十九万六千五百円なんですね。とてもとても一千方にはならないです。  局長、そういうことを申し上げたら失礼ですけれども、何級の何号に該当になっているのですか。
  59. 水野繁

    水野政府委員 私どもの職務でございますと、通常は指定職の八号か九号あたりかと思います。  それから、ただいま申し上げました所得制限は、昭和五十五年度からでございます。この制度は御承知のようにローンの残高の一%を税額控除するわけでございます。通常の税制上の制度でございますと、上の所得水準の高い方の場合は累進税率も高いものですから適用されるメリットも大きくなりますが、これは税額控除でございますので、必ずそのローン額の一%でございますので、高い水準の所得の方がメリットが非常に大きくなるということはございませんので、むしろ、こうした高い所得の方につきましては累進構造によりまして高い御負担をいただいておる、そういう中におきまして税額控除の方は一律一%、ローンの一%ですから、それほど高い方に恩典が過大に及ぶということはないのではないか、こうした制度のもとでは比較的高い所得制限でも適切ではないかとも思われるところでございます。  いずれにいたしましても、これは現在のような、いろいろ御指摘ございましたけれども、全体としては所得水準が高度化して平準化している時期におきましては、低い所得制限でせっかくの制度を御適用いただけなくなる、まさにお家を取得される時期になって高くなって適用されなくなるというケースはこの際はむしろできるだけ少なくして、広く活用いただき、住宅取得を促進され、内需拡大に資するという観点が現時点では総合的な観点からしては適切ではないかということで御理解を賜りたいところでございます。
  60. 森田景一

    森田(景)委員 どうも御説明よく納得できません。こういうことならいっそのこと制限を撤廃した方がもっとすっきりしているだろうと思うのです。  時間がなくなってきましたので、せっかく住宅都市整備公団からおいでいただいておりますのでお尋ねしておきたいと思います。  今、非常に土地の高騰その他によりまして住宅事情が悪化しているわけでございます。首都圏においてはマイホームの夢は遠のいた、このようにも言われているわけでございます。したがいまして、一般の方々については、住宅を取得できない方々については、昔の住宅公団、いわゆる公団住宅に適正な家賃で住めるようにしてもらいたい、こういう願いが非常に強いわけでございます。今公団住宅の家賃はどんなふうな状況になっているんでしょうか。
  61. 渡辺尚

    渡辺参考人 お尋ねの件でございますが、二つあると思います。一つは、新規に供給したもの、それからもう一つは、ずっと住み続けておられる方々の家賃ということになると思います。  簡潔に申し上げますが、新規のものにつきましては、いわゆる建設に要する費用というものを基準として計算するわけでございますが、それに国の一般会計からの助成あるいは傾斜家賃制度というような制度があるわけでございますが、そういうものを採用いたしまして、大体そのときどきの中堅勤労世帯の所得、これは大体三分位、中位ということだと思いますが、平均的でございますけれども、その一六、七%のレベルで供給しておるということでございます。  それから、先ほど申しました二つ目のいわゆる既存の賃貸住宅の家賃でございますが、過去に二回改定を実施してきております。例えば三十一年度に供給した住宅に当初からずっと入っておられるとした場合の平均家賃で見てみますと、平均家賃というのは大体二DKぐらいとお考えいただいていいと思いますが、当初は四千六百円でございましたが、現在は一方八千四百円が平均でございます。それから、これは三十一年でございますけれども、四十九年度までに供給されたもの、かつ、最初からずっと住んでおられる、供給のときから住んでおられるというものを全部平均いたしますと、これも二DKぐらいで二万四千二百円というふうになっておるわけでございます。
  62. 森田景一

    森田(景)委員 私どもは、持ち家については年間所得の五倍以内で買えるような住宅政策をとるべきである、家賃については月収の大体二〇%以内で済むような政策にすべきである、こういうことをかねがね申し上げておるわけでございまして、最近の公団の新しい住宅についてはそういうものを飛び越えて大変高い家賃の住宅ができているようでございます。この辺は十分な検討をお願いしなければいけないと思っております。  最近公団家賃の値上げが検討されているようでございますが、かつて家賃裁判というのがありまして、その和解のときに衆参両院の建設委員会が超党派で決議した要望事項があるわけでございます。これは五十八年の四月十二日でございます。その第一項が、「政府は、住宅に困窮する勤労者に対し、良質な公共賃貸住宅の供給と高家賃の引下げに努めるとともに、住宅基本法の制定と家賃体系の確立を図ること。」云々、また第三項にいきましては、「公団は、今後の家賃の改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」また第七項におきましては、「公団は、家賃の改定の周知徹底と相互理解を深めるため、入居者に対し積極的な努力を行うこと。」このようになっているわけでございますが、今改定の検討をしている公団基本懇家賃部会というのですか、ここで公団賃貸住宅の今後の家賃改定についての案を報告したというのですが、入居者にとりましては、両建設委員会の決議した要望事項から大変逸脱している、こういう不満が寄せられているわけでございます。時間がもうありませんのでちょっと御答弁をいただけなくなってしまいましたが、そういう趣旨を十分踏まえまして、先ほど申し上げましたように、良好な賃貸住宅あるいは分譲住宅を供給するという公団の姿勢にのっとって今後とも十分な対応をされるよう私は強く要望いたしまして、質問を終わります。
  63. 越智通雄

    越智委員長 次に、沢田広君。
  64. 沢田広

    ○沢田委員 最初大蔵大臣にお伺いいたしますが、今度の与野党の決着についてどういう見解をお持ちになっておられるか、まず大臣からそれに対する所見を伺いたいと思います。
  65. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの与野党の国対委員長会談の合意につきましては、各党におかれて大変に御苦労をされまして、その結果見られました合意でございますので、政府といたしましても、その合意の趣旨を尊重いたしまして、その御趣旨に沿って施策をしてまいらなければならないと考えております。
  66. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、これの期間は四月八日ごろの予算が成立する時期までということになっております。そうしますと、税制調査会との関係は、政府としてはどのような立場で物を見、また考え、あるいは要請をしているのか、その点お伺いをいたしたいと思います。
  67. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの合意によりまして、各党政策担当者での御協議があり、それは「予算成立までに結論を得るものとする。」となっております。それがどのような内容でどのような態様で御協議をなさいますか、これからのことでございますので、もちろんその推移は私どもとしても注意深く見守らせていただかなければならないところでございますが、他方で、政府税調に対しましては、かねて諮問をして答申をお願いしておるところでございまして、税制調査会は過般公聴会等もやられ、また、ここへきまして公聴会が一応終わりましたところでこれからの答申の方向について協議を重ねておられるところでございますので、その協議会は協議会として、御協議の推移を私ども見守っていくべきであるというふうに考えております。
  68. 沢田広

    ○沢田委員 これは与野党の政策担当者会議で行うわけでありますが、「不公平税制等」という言葉、「等」とありますが、これの解釈について、政府は助言なりあるいは質問等があればそれに対して答え、あるいは材料等の提供というものは行うものだ、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  69. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御答弁申し上げた最後のところで、協議会は協議会としてということは間違いでございます。調査会は調査会としてということでございますので。税制調査会のことでございます。  次のお尋ねは、この与野党の協議の中で各党政策担当者が協議をされる、そのときに政府は協議会が必要と認められる資料等を提供するか、こういう御趣旨であったと思いますが、これは各党合意の上で御協議が始められるのでございますから、政府としても極力その御協議については協力をいたしてまいります。
  70. 沢田広

    ○沢田委員 もう一つお伺いしますが、今度の合意によって、極めて危険な面を見ればそれなりに深刻なものがある、また、非常に安易感を持って見れば安易感を持って見ることができる表現も使われております。これは今十六兆円の所得税の中で、法人税もあり相続税もあるという中でこの三兆円の不公平税制を見出していった場合に、今まで大蔵大臣考えてきた筋道と非常に相違してくるのじゃないかという気もしないではありませんけれども、大蔵大臣は今のこの合意によって考えている方向あるいは政府考えている方向とは相違しないと解釈しているのですか、やはりずれていると考えているのですか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  71. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの合意事項は、先ほども申し上げましたように、与野党の国対委員長が何日かをかけられまして非常に御苦労の末にでき上がったものでございます。もともとこういうことは政府があれこれ解釈を入れるべきことではないのでございますが、そういういきさつがございましただけに、これはもう読んで字のごとく承っておくべきものである、政府があれこれ申すべきことではないというふうに考えております。  ただ、ただいまのお尋ねにつきましては、昨年税制調査会に、消費所得、資産のバランスのとれた今後の税制抜本改革について諮問をいたしておりますので、その御答申を待ちたいということにつきましては、政府の態度は特に変更はございません。
  72. 沢田広

    ○沢田委員 もう一つだけですが、重複するところは当然出てくるとお考えですか、それとも別個のものとして、答申があればそれは今までのこの合意とは別の問題として受けとめて対応する、こういう考えですか。
  73. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府としての願望を申し上げますならば、今後、各党政策担当者で御協議が始まるわけでございますので、その御協議の結果が政府が従来願っておりますことと同じ範疇と申しますか、同じ線上において御協議が進むことを政府としてはこいねがっております。
  74. 沢田広

    ○沢田委員 いいです、これは今後の問題がありますから。ひとつ妨害だけはしないように要請しておきたいと思います。  続いて、土地の値段なんでありますが、土地が上がったとか下がったとか言うのですが、何が基準で上がったとか下がったとかということになるのか。何が基準かなというと私もはたと困るくらいなんですけれども、その上がったとか下がったとかいう土地の価格を形成している要素は果たして何なんだろうかということが一つ考えられるのです。そして、土地が上がった功績者、功績者というのか罪悪者というのか、土地が値上がりをしたその要因の中には金融機関もある、地上げ屋もあると今まで言われてきましたが、本人の努力というのはどの程度含まれていると思っていますか。
  75. 鈴木克之

    ○鈴木説明員 土地の価格につきましてはいろいろな角度からの評価があろうかと思いますが、私どもが公示価格というような形で公に示しておりますものの価格形成の要素といたしましては、これは実取引の土俵におきまして売り手と買い手との間で値決めされるものが基準になっているわけでございます。
  76. 沢田広

    ○沢田委員 本人の努力というものはその中に含まれるのかどうか、その点だけ。その土地の価格の構成について、価格を決めるに当たって、その所有者の努力とか汗あるいは知恵、そういうものは加わっていると考えるのか考えないのか、自然に上がったのだということなのか、どちらなんですか。
  77. 鈴木克之

    ○鈴木説明員 売り手は売り手の立場から少しでも高く売ろう、それから買い手は買い手の立場から少しでも安く買おう、こういう売り手と買い手の相反する立場からおのずから価格の値決めがされるわけでございまして、その意味では、やはり売買の当事者の、それぞれ違う立場ではございますが、努力の結果であろうかと思います。
  78. 沢田広

    ○沢田委員 土地は投機の対象にしてはならないという見解については同意しますか、どうですか。
  79. 鈴木克之

    ○鈴木説明員 私が申すまでもございませんが、土地というのは限られた貴重な国民の財産と言ってもいいような性格のものでございます。ですから、そういう視点からいたしますと、投機的な売買の対象にするとか、いたずらに必要もなく転がすとかいったようなことは厳に戒めるべきことというふうに考えます。
  80. 沢田広

    ○沢田委員 それはそれでいいです。  それで、私がこれから述べようとしていることは、土地の価格の形成された中には、駅ができた、あるいは都庁が来る、あるいはそこにほかの条件で結果的に上がってきたということで、本人はそう考えていなかった。だから、もしそれを予定してやったとすれば、ここは多分上がるだろうということで買ったとすれば、これは投機であります。しかし、通常の場合は、周りの条件、駅ができ、あるいはその他の商店街ができることによって他力的にその土地が向上した、こういうふうに私たちは見たいと思うのですが、いかがですか。
  81. 鈴木克之

    ○鈴木説明員 先生御指摘考え方も一つの御所見かと存じます。
  82. 沢田広

    ○沢田委員 だとすれば、これは大蔵省の方に聞きたいのですが、これも不労所得の範疇に属する問題になるのではないのか。いわゆる本人の努力、投機でないと仮定をすれば、そういうものは加わらない。偶然性である。周りの環境の変化によって土地が上がった、これは本人の知恵も汗も何もない、要すれば、これは自然に上がったものである、そうすれば不労所得である、こういうふうに解釈できますが、その点はいかがでしょう。
  83. 水野繁

    水野政府委員 所得税におきましては、御案内のとおり、一定の経済的利益がその人に発生し、それは自由に処分できる経済的利益である、そういうことからそこに担税力を見出して課税をお願いをするところでございますので、基本的には、その経済的利益が本人の御努力か社会的な現象として生じたかということにつきましては、それが貨幣価値で算定される経済的利益であるということからすれば、所得税上は、そこを区別して扱うということは、所得税の性格からすれば本来は出てまいる点ではないというふうに感ずるわけでございます。  ただ、所得税はそうした純粋な形式的なところだけから割り切っていろいろ制度を組み立てているわけでもございませんので、そこにはもろもろの所得の性格の違い等も含まれる面もあるわけでございます。そうした場合におきましては、土地の譲渡所得と申しますのは、勤労性の給与所得等とはそこは一定の範囲では違いがあるということは否めないところであろうと思います。
  84. 沢田広

    ○沢田委員 いろいろな言い回し方をされて、聞いていた人は何を言っているのかわからないなというような気もしただろうと思うのでありますが、それは大体そういう答えしか出てこないようなものだろうとも思いますから、一歩譲って了解しますが、要するに、論理的にいくとそういうふうになる、しかしそう決めつけられないところが世の中だ、こういうことだろうと思うのです。  しかし、今私がこれから言おうとしているのは、そういう土地の所得が社会的な変動によって変わっていく。それは本人の意思ではない。だから例えば九州なり北海道なりの価格と東京近辺の価格に大変な変動、差がある。この間は六・五倍というような数字も出ておりましたが、とにかく格差がある。そういう格差があるならば、それはそれなりの環境の差であると見れば、片方はその程度の弾性値を与えていいのではないのか。四千万なら四千万という弾性値が全国一律というのは、かえってこれは違ったというか、過酷な条件、そういう意味を含めたのかどうか。あるいは不労所得だという見方をしてこれを一律にしたということの意味なのか。それにしても中間的な人もいる。これによって苦しむ人もいる。少なくともその六・五倍の範囲内にある程度段階を踏むというのは必要な要件ではないのだろうか。  これが全部一律で四千万という切り方をすることが公平かというと、私はそうは思えない。ですから、少なくとも六・五倍のところにあるとすれば、じゃ高いところは三倍まではそれはいいでしょう、もとが高いのだから。本人は努力しないのだけれども、今度は被害者になるわけです。投機的なもので物を見る場合は別ですが、逆にそれによって税金を取られれば被害者になる。そういう立場から見れば、やはりその半分ぐらいは、逆に一億二千万ぐらいまでこの免税分を見てやってもいいのじゃないのか、こういうふうな気がするわけですね。  全然それが六・五分の一のところと同じような――じゃ、同じ広さが買えるかということなんですよね。同じ面積を確保できるか。本人はその土地によって何ら利益を得ようと思わない。あるいは自分の住むだけのものを買うかもしれない。目的は別ですから。そうすると、片方は六・五倍の面積を同じ金額で確保できて、片っ方は一坪しかできない。こういう論拠は少なくとも公平とは言えないのじゃないか。おまえはそこに住んでいるのが悪いのだという論理になれば、これはまさにそのとおりだと思うのですね。その点はどうなんです、この法案をつくるに当たって。
  85. 水野繁

    水野政府委員 大変難しい御指摘でございまして、それを徹底してまいりますと、控除は金額ではなくて物で区別していくということにもなるわけでございますが、しかし、地価の安い地域におられる方からすれば、地価の非常に高い都心の地域、たとえ五十坪でも百坪でも持っておればそれは何千万、何億という価値があるものであることは、これはまた変わりはない。それだけのものを持っておられるのに、地方の百坪なら何百万しかない人に比べてそれは負担を負わないというのも、これまた公平の観点からいかがかと思われるところでございますので、やはり税法としては全国一律に金額をもって、その同じ金額があれば、とにかく地方へ行けば物すごく広いものが買える価値があることは確かであるとすれば、原則的に金額はそれが基準になるべきものではないかという気がするわけで、そこはなかなか割り切れない点でございます。  しかし、そういう点もございますので、現在ある特例としては二百平米という物的なものを持ち込んだりしてはいるのですが、これは法律本則に持ってくるまでの決断がまだつかない、租税特別措置法でそういったものを配慮しているというのがその考えあぐねているところの一応の出口ではないか、それを地域別に金額であらわすというのは、税法としてはどうも難しいというふうに感ずるところでございます。
  86. 沢田広

    ○沢田委員 じゃ、一歩譲りまして、七十坪、二百平米までは金額の多寡にかかわらず国民固有の権利である、最小限度の生活をしていくに必要な財産の一部である、こういう見方をすれば、全国至るところその範囲内についてまでは免税点と認める、この方が価格に評価しないからかえって公平ということになるのじゃないのか、こういうふうに思いますが、その点はいかがですか。
  87. 水野繁

    水野政府委員 それは、やはり七十坪でございましても、都心であればそれは場合によっては何億という金額になる。そうしますと、同じ都心で土地を七十坪持って何億と持っておられる方と、土地は持たないけれども金融資産で何億を持っておられる方とのバランスはいかがか。それからまた、地方の方で七十坪持っておられる方というのは数百方かもしれない。そういう人から見ると、非常に狭いとはいっても七十坪で都心でもって何億という資産をお持ちになっている方とを比べると、それは果たして同じような担税力と申しますか税の負担でいいのかという、その両面のバランスの問題があろうかと思うわけでございます。  でございますから、最初に申したケースで申しますと、例えば相続税の場合には金融資産でなくて土地でもって持っていた方が有利になるということになると、土地が有利なものだということでかえって土地への需要を高める、そこで資産の間でのバランスが失われるのではないかということになる。また、七十坪までであれば免税になるということだと土地の細分化を招くという御議論も時にはあるわけでございます。もろもろ問題がございますので、完全に七十坪までは免除というところまでは踏み切れない。しかし、三割ないしは二割を控除して評価するというところまでは来ておりますが、そういう点からすると、そこまで来たんならもうゼロでもいいじゃないかという御議論もあろうかと思うわけでございますが、今申し上げたような幾つかの面にわたります不公平と申しますかアンバランスの面を考えると、徹底はどうも、税制上そこまで行くのはいかがかというのが率直な感じでございます。
  88. 沢田広

    ○沢田委員 だから、前提としては、目的を変えない限り七十坪まではシビルミニマムとして固有の権利で、それを他に転売するとかなんとかという場合はもとのもくあみに返っていわゆる課税をすることはやぶさかでないのです、私の言うのは。いわゆる居住用に使うという前提でいる限りは、それは国民生活の最低限度の面積である、持っているものとしては最低限度である、だからその範囲内については少なくとも免税して、それ以上の分についてはこういう格差があってもいい。これは私も一歩譲った論理なのですが、そういうぐらいのところまでは踏み込むべきではなかろうか。  今は三割とかいってもべらぼうなんですね。二千五百万もするような金額になる。そういう平米当たりの金額の三割なんていったってどうにもならない。とても納められる能力は出てこないのですよ。ですから、居住用で使う限りそのまま七十坪は最低限度保持する、これが国民の最低生活の限度である、そう決めるならそれまでは認めていく、それが一つの筋道ではないのか。それすら奪っていくということはやはり政治の悪だ、私はそう思うのですよ。だから、住宅用に使う限りは七十坪までは認める。  もう一つは、さっき申し上げたように駅の前になって百坪あって残りの三十坪はべらぼうに高い、これは不労所得ですから、税金で持っていっていいと僕は思うのですよ。本人の力で上がったわけじゃない。金になったわけでもないし銀になったわけでもない。金もこのごろは安いですけどね。とにかくそういうふうになったわけでもないのだから、それはそれで不労所得として取っていくことはやぶさかではないと思います。しかし、国民の最低生活まで脅かすという論理はどうしても納得できない。せめて七十坪までは固有の権利として、本人が従来持っていたものは持っていたものとして保障してやる、それが政治じゃないのか、こういうふうに思います。
  89. 水野繁

    水野政府委員 相続税にも、現在、物的な免除としては、例えば墓地でございますとか立派な仏壇でございますとか、そういったものは、たとえいかに高価なものでございましても非課税にしておる。そこらまでの部分につきましては理解はできるわけでございますが、七十坪というものを物として非課税にするということは、ただいま申し上げましたように、やはり都心になりますと億の単位のものになる。そういうものを持たれなくてほかの財産で残された方とのバランスというものは、やはりそこに何がしかのものは御負担を願うべき点はバランスからしてあるのではないか。やはり七十坪というのは最低のものであるとされても、そこの持たれない方あるいは七十坪でも非常に低い評価の土地に住んでおられる方とのバランス等を考えますと、物的にすべて免税というところまでは決断はなかなか難しいのではないか。そこは妥協で、三割減というところまでが現時点ではぎりぎりのところではないかと考えるわけでございます。
  90. 沢田広

    ○沢田委員 もう一歩進めて、だからその人は何も好きこのんで高いところを買ったわけじゃないのですね。そこは居住用ですから、好きで買ったわけじゃない。周りが条件が変わったためにそう高く評価されるに至ったわけですよ。ですから、先ほど述べたようにそれは被害者である。その意味においては、七割を削って三割をかける、せめてそのくらいな穏当な、まあ妥協という言葉を使われたからあえて私も申し上げるが、居住用に買った七十坪程度はせめてそのくらいで継承できるように。しかし、そこだって住みにくいのですよ。周りが変わったというのは、ビルが皆建って日陰になるし、寒いし、ビル風も強いし、それは住みにくい場所にだんだんなっていくわけです。それでもやはりそこで継承していかなくちゃならぬ一般庶民の生活を考えた場合は、逆に七割控除して三割程度に下げてみるのが筋道じゃないか。あなたは取る方にばかり目が行っちゃっているからどうしてもそうなるので、やはり住むだけだったら七割はいい、三割でというくらいの温情が、自分の力で上げたわけでもなければ、しょうがなく上がっちゃった被害者なんですから、その程度見てやるというのは人情じゃないですか。  大臣、これはどうしても答えてもらわなくちゃならぬところであって、東京にお住みになる七十坪の範囲であったならばせめてそのまま継承して住むことだけは可能ですよ、それでも被害があるでしょうというくらいは最低限度あってしかるべきだ、僕はこういうふうに思いますが。
  91. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変示唆に富んだお話をしておられるわけですが、今相続税なりあるいは譲渡所得税のお話がありまして、やはりこれらの税は、大変端的な表現を申しましたら従価税なんだと私は思うのです。従量税でないのだろうと思う。つまり、これはちょっと表現が端的過ぎるのでございますけれども、東京の人が持っております百万円と、それから北海道、と申しますのは差別的な意味じゃございません、北海道の人の持っていらっしゃる百万円は、同じ百万円で、その百万円に課税があるので、北海道の人の一ヘクタールと東京の一ヘクタールが同じになるのではないのだと思うのです。そういうことであるものですから、やはり従価でないとこういう課税が成り立たないのではないか。先ほど局長が申し上げておりますように、そうはいっても、二百平方メートルについては三割なり四割なり実は引きますというのは、こういう都会の土地が高いものでございますから、今沢田委員の言われているような観点から多少の妥協があると思うのですが、やはり私は基本的には従価税でないと困る。  それで、先ほどからおっしゃっていらっしゃいます、仮に二百平米でございますか七十坪でございますか、これが国民の一人一人の住居のいわば最低の条件であるというふうにおっしゃいますと、今まではそうでありましたからそれで割引をしておるのだと思うのでございますが、これから大都会に住む新しく家庭を持つ人の最低の住居条件が七十坪、二百平方メートルだというわけには今後はとてもまいらないだろう。今まではそうであったかもしれません、しかしこれからそういうことができるかというと、それは北海道ではできるのだろうと思うのですが、東京ではできないのではないかということを考えますと、なおさらそれを最低の非課税の財産であると考えることが難しいのではないかと思っております。
  92. 沢田広

    ○沢田委員 これはこの前も言ったように、私はできると思っております。何もこういう集中制度を考えなければ不可能ではないと思いますが、ここは時間の関係で議論はやめます。竿頭一歩を進めて、じゃ半分というのもあるのですから、三と七で絶対動かない数字じゃないのですから、三がもうこれで動かないんだというのじゃなくて、四もあれば五もあるんだと、そういう方向国民の生活の最低の基盤は何とか維持していきたい、そういう期待だけは私ら持っているのですが、大臣もそうお答えはできませんか。三がいいか四がいいか五がいいか、それはわかりませんけれども、ともかくそういうことで過酷な条件にならないように努めるということくらいは言えるだろうと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  93. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 例えば相続税を考えますときに、本当に親からもらった小さな土地、猫の額のような東京の土地に住んでおってそれを維持できないといったようなことは、やはり将来は別として、ここまでのところはちょっとそれはどうかなという感じは持っておりますので、いろいろ工夫はさせていただきます。
  94. 沢田広

    ○沢田委員 念のためですが、私が労働省の最低賃金審議会の委員、昔やっておりましたときには、一番安いのが江戸川、江東のたんすをつくったり、それからあるいは細かい細工物をやっている、これが日本で最低賃金制度を取り入れる一番最低の場所でした。ですから、これは日本の江戸という場所を通じましてすべての産業が出発した経緯からいきますと、今でもそういう徒弟制度みたいな、いわゆる家内工業的なものはたくさん存在しているわけです。ですから、必ずしも東京の土地によってそれが救われるという条件は少ない。そういうことを近代工業の面だけを見ないで、そういう手工業というものがやはり今日存在しているわけですから、南千住には南千住の一つの条件がありますし、そういうこともよほど考えて、あの江戸の情緒を持っている長屋住まい、棟割り長屋の中にやはりそういう価格が形成されているわけですから、それは非常に七十坪といえども過酷な条件になるということを、一回あの辺を歩いて見てもらいながら検討していただきたい。いろいろな手工業はやはりそこが発祥なんです。そしていろいろな所得で甘んじてそれをやっているわけです。その点はひとつ、あえてこういうビルばかり見てないで、そういうところも見てもらうようにお願いを申し上げておきます。  続いて、飛ぶようになりますけれども、大臣、これも大臣に聞きたいんですが、大臣も長いこういう役人生活をやっていると思いますから。  昭和二十二年、戦後になりますと、河川だとか道路だとかいろいろ土地を買うんですね、公共団体が。土地を買って、買収はして道路にもなるんです。ところが、謄本を見ますと、分筆もできてない場所もたくさんある。登記もできてない場所もたくさんある。それは何かというと、そこに相続がかかって、相続が終わってないからだめだ。それから同時に、銀行から借り入れていて、抵当権が設定されているからだめだというようなままで二十年たち三十年たって、さて実際は登記をしようと思ったときには第三者の手に渡っちゃっているということで、結果的に改めてまた税金を使って買い戻さなければそれが自分の所有にならない。こういうことについては大臣は御存じですか。
  95. 水野繁

    水野政府委員 相続の場合にも、相続の登記をいたしますと登録免許税がかかったりする。ですから、何らかの特別の事情がないと、抵当権を設定するとか、それを売却するとかいう場合でないと、なかなか相続の登記というのは行われないで放置されているというような例はよく聞くところでございますが、逆に、それが人の手に渡ってしまっていて登記しようとしたらできないというようなことは、税の面からすると余り聞かないところでございます。どのような状況をお考えか、ちょっと判断のできないところがございます。
  96. 沢田広

    ○沢田委員 公務員をやっておられる割合には割合知らないんだなと思うんですが、委員長の方が首を縦に振ってたから、東京で悩んでいるから知っているのかもわかりませんが、河川にしても道路にしても、そういうところが、これは建設省来ているはずですから建設省から答えてもらいますけれども、要すれば、河川台帳一つでも、この前も質問したが、まだできていないんですね。全国の河川台帳がまとまっていない。できていない。これは、川は動いていっていますから、右に左に揺れていくわけですから、人の土地をとっていくかわりにまた片っ方では自分の土地か人の土地かをふやしていくわけですから、河川も改修されていない限りは自由に動いていくわけですね。だから、そういうような状況で土地というものは移動していっています。  いわゆる登記をしようと思うときには、相続の場合も、四十八人の判こをもらわなければ登記できないなんという場所もあるんです。おじいさんの名前になっていて、三代上の人が死んだ。後、そこを公共地で登記をしようと思うと、縁者、親族どこにいても全部判こをもらわなければ、その土地の処分ができないでいるんですね。これが今現実ですよ。だから、そういうものをなくしていくための知恵を持たなければならないんですよ。あなた、そういうことを全然知らない。相続の面もそのまま置いておくんです、みんな。おじいさんの名前のままで置いておくわけです。どうせ高いときに取られたんじゃかなわないから黙ってそのままじっとしている、安くなったら考えよう、こういうことなんだろうと思うが、とにかく相続の場合もそうだし、それから金を住宅金融公庫から借りていると、そこは登記になっているけれども、十八年は絶対金融公庫をそこだけ外してくれと言っても外してくれない。その部分を分筆したいと言ってもなかなか分筆してくれない。  そういう状況は、建設省がいるんだから建設省から答えてもらうが、建設省が管理している道路、国道、そういうものでいまだに分筆も登記もできないで供用しているところがどのくらいあるか、ちょっと言ってみてください。
  97. 横田猛雄

    ○横田説明員 まず、河川関係からお答え申し上げます。  現在、河川台帳の整備状況ですが、直轄管理区間につきましては九七%くらい進んでおりまして、直轄区間につきましてはほぼ終わっているという状況でございますけれども、それ以外の一級河川のうちの知事の管理区間、これが六五%くらい、それから二級河川が大体四八%くらいということでございまして、今後整備を要する区間というものがまだかなり残っておるという状況でございます。建設省といたしましても、今後その整備状況の向上を図るべく、さらに指導してまいりたいと思っております。  なお、先生御指摘のとおり、川はその形状をかなり変えますので、長年の間ははその水の流れる場所等もかなり変化がありまして、土地の所有関係につきましては、隣接民地あるいは堤防に囲まれた部分での民地その他の所有関係につきましてかなりトラブルを生ずることも多く、訴訟などもかなりあるわけでございますが、鋭意努力をいたしまして、境界画定などの作業に今後とも努めてまいりたいと思います。
  98. 沢田広

    ○沢田委員 いや、そういうことじゃないんで、聞いているのは、いわゆる登記したくとも登記できないというものを何件くらい持って、どの程度の面積を持っているか、恐らく調べもついていないんじゃないですか。
  99. 横田猛雄

    ○横田説明員 現在、いろいろと訴訟等も起こっておりまして、百件近い訴訟などもあるわけですが、その辺の画定そのものがなかなか難しいという事情もございまして、全国的にその集計のデータは持っておりません。
  100. 沢田広

    ○沢田委員 我々の身の回りを見ましても非常に多いんですよ。それで大変苦労をするわけでありますが、免税措置だけはしているはずなんですよ。公共地で購入をした土地が第三者の手に渡って自分の手に行かない場合には、固定資産税の免税措置だけは行っているはずなんですが、あなた、そういうこと知っていますか。
  101. 横田猛雄

    ○横田説明員 近年の工事に伴います所有関係というのは比較的整理がされているわけですが、相当昔に工事を行って買収をしたというようなものについて、そのようなトラブルが生じたり所有関係が不明になったりということもあるわけでございます。税の関係は、それぞれ固定資産税を課税する市町村が土地台帳その他によりまして課税をしているわけでして、そこと真実の権利関係がどうなっているかということ自体がなかなか難しいところであると思います。
  102. 沢田広

    ○沢田委員 あなたは知らないということだ、結論は。免税措置は通知を出さなければ免税にならないのですよ。これこれの土地は何月何日買収してありますということを相手側の市町村に通知しなければ、相手の固定資産台帳の中でこれは公共地として免税措置はしてくれないのですよ。だから、それが平然として十年続き、二十年続いていったときにいわゆる所有権の問題に及ぶのです。免税措置にしてあれば、それが市町村に必ず行っていれば、件数もわかれば面積もわかるはずなんです。今全然つかんでいないということは、やっていないということです。あるいはもっと部下の人がやっているのかもわからぬけれども、あなたは知らない、こういうことなんです。  そういうことで、私が後で大蔵大臣に言いたいのは、一たん買うのですよ。昔の値段ですから、我々の経験でいくと坪三千円ぐらいの値段で買うのです。今買うと百三十何万なんです。三千円で買ってそれができたところが、第三者の手に渡ってしまってということになって、もう一回買い戻しをやるときの値段が今言ったような値段になる。だけれども、どうしても必要だからということでやると払わなければならない。そうすると税金の二度遣いなんです。一たんそこで完全にやっておけば問題ないのですが、これは県営事業だってたくさんあります。市町村事業だってたくさんあるのです。国の事業ばかりではないのです。ですから、そういうものに対しての処方を考える必要がある。また、これから日本だって六・五とか五・五のGNPの伸びでいくのですから、それだけ若干ずつインフレになっていくことは間違いないのです。そうなりますと、二十年たったときに、あのときにきちんとやっておけばよかったなということになるわけなんです。だから今あなたのことを責めているのではないのです。知らないのが大体当たり前だと思っていますから、それは普通の知識だと思ってもらって結構です。  しかし、それが二重に払われていくという仕組み大臣、よくないでしょう。会計検査院を呼んでやってもいいのですが、それはやらないでいるのですけれども、そういうものが非常に多いのです。そのまましらばくれている。代がわりを待っている。役人もどんどんかわってしまうから、ああ言って全然知らなくなる。やりにくいものだけが残っていってしまう。  余り長くしゃべってはいられませんけれども、そういうことで、法務省もここで呼んでいるのは、法務省がそれを担保をとっていくということが必要ではないか。公共の福祉は反せざる限り個人の私権が保護されるのであって、一たん買ったという証明書だけは添付することは可能ではないか。登記謄本の中に証明書を添付するという方法は可能性はあるかないか、こういうことをお伺いしたいわけです。
  103. 永井紀昭

    ○永井説明員 御承知のとおり、国または公共団体が買収いたしました場合におきましても、本質的には一般私人間の売買と全く同じでございます。したがいまして、買収後権利移転の登記をいたしませずそのまま放置している間は第三者に所有権が、名義が移ってしまったという場合には、民法上の実体法上は対抗力がなくなりますので、その第三者に負けるということになってくるわけです。この点は、先ほど来話が出ております相続の場合は、買収が優先するわけでございます。したがいまして、登記手続上は、どうもそういう実体法上の問題があるものですから、登記法上、現在の登記名義人の承諾書か、判決をもらって登記をするという手続になっております。この原則を崩しますと、一般的な登記手続あるいは私権の調整について非常に大きな弊害になるものでございますので、相続の場合その他を含めまして、問題がありますれば裁判所の手続を通じることが必要ではないかと思っております。
  104. 沢田広

    ○沢田委員 ぜひこれは証明書にしてもらいたいと願うのは、市町村が訴訟をやる場合には議会の議決がなければできないのです。相手側への応訴なら可能なんです。県もそうです。ところが、市町村がやる場合には、こんなに未登記になっていますから、もしそれを整理しようなんて思ったら、裁判をやりますと議会に出したって不信任になってしまうこともあり得るわけです。だから、市町村が訴訟を起こすのは、議会の議決が必要ですから、めったにない。当然それは相手側からの応訴によるという守勢になる。  私が今言っていることは、買ったという売買契約書のコピー、本物でもいいが、コピーをつけて証明書として添付することが可能な道を開いてほしい。これはその売買契約書があってもだめなんです。無断で十年、二十年といるのですから、いわゆる占有権が発生してしまう。そういうことで、あえてその中間の案である証明書を添付するという道を開いてほしい、こういうことを言っているわけで、あなたのような気前のいい演説をぶっても、市町村でわざわざそんなもので訴訟を議会へ提案できないですよ、市長だって。だから、そういう状況考え合わせながら対応しなければならぬ、こういうことを言っているわけであって、一歩検討してください、今わからないから。
  105. 永井紀昭

    ○永井説明員 制度的には、そういう証明書を仮に添付いたしまして公開いたしましても、それ自体は現在公開の対象になっておりません。登記簿しか公開の対象になっておりません。私ども登記所の立場考えますと、やはり買収した直後に早期な手続が本来されるべきであったと思うのですが、確かに先生御指摘のように、古い時代にはそこらあたりが非常にずさんに行われてきたということで、現在道路の使用は供されているようなものについては、実体的な何らかの解決策がないと、法務局としての登記所の立場でそれを処理するというのはなかなか難しいというのが現実でございます。
  106. 沢田広

    ○沢田委員 まだ私の言っている意味がわからないんで、そういうことで登記所でそれを証明書を出せと言っているのじゃない。ただ、役人というのは代がかわっていくと書類も紛失してしまう。二十年も前の、三十年も前のなんていったら、書類倉庫へ行ったって見つからなくなってしまう。だから、登記所において証明書をつくるということまではできるだろう、それで今後、訴訟なんかをやった場合に判決が出て判例が生まれていくであろう、そういう初歩的なものをまずこの点きっかけをつくっておきたいということで私は言っているんで、今完全に一〇〇%解決するなんていうのは、皆あなた方どんなにがん首をそろえたってできっこない。だから、それはできないことを承知で、ただそれを証明書を添付する、つけていくということ、あるいは何にもならないかもしれぬが、つけていくことによって将来のいろいろな裁判の上にプラスになる事実をつくっていく。そういうことを登記所でやってくれないかということを言っているわけだ。だから、法律改正が必要なのかどうか、そのことを含めてひとつ検討してください。  何か二重に税金をむだ遣いしたって、あなた方、かわっていってしまうからしらばくれている。同じ人間がやっていたら絶対そうはいかない。一たん買った土地に二度出しやしない。どんどん役職がかわるから、自分が払ったのじゃないから痛くも何ともないからまた二度払うということが続けられるので、言い方は悪いけれども、本当に平然とそういうことが行われている。やはりこれは損失であることには変わりはないのです。登記所の方ではぜひひとつ御検討をいただきたい。ひとつこれはお願いします。大蔵省の方も、税金のむだ遣いを省くことも大切なことですから、そういうことでひとつ御考慮をいただきたいと思うのです。 時間の関係で大蔵大臣の方だけに聞くことにいたしますが、たばこは先ほどいろいろと議論をされました。それで、大体葉たばこたばこ財政再建の中では一番ガンになっているわけですね。この葉たばこを専売の研究所においては、トマトをつくったり葉たばこの軸を使っていろいろなものをつくるというところまで来ているわけですね。いわゆるたばこ専売も多角経営に乗り出してきている、こういう状況だと思うのです。それは御存じですか、そういうことが行われているということ。これは大蔵大臣
  107. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 概しては存じております。
  108. 沢田広

    ○沢田委員 だから、バイオの時代だということで、たばこの軸を使い、あるいは葉っぱを使い、いろいろとそれにバイオの対応を図りながら、トマトになったりいろいろしているわけですが、現在の葉たばこの蓄積を解決するためには、どうしても葉たばこに対する合理化をしなければならぬことは火を見るより明らかなんだ。このままでいけば、いつになったって株なんか放出できっこない。ですから、思い切って減反をするか転作をするか、あるいは葉たばこの在庫を減らすか、そういうことを一回やらないと、たばこ専売の再建というものはあり得ないんじゃないか。しかし、これはなかなか族議員がいっぱいいまして、これ以上いじめるのはやめてくれということになるだろうと思うのです。そこを乗り切らなければ、これはやはり今度は第二の国鉄ということになってしまう。ですから、その点を保障しつつ、自立で再建できる仕組みというものを今大蔵省考えてやるべきだと思うのですが、その点はいかがでありましょう。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、やはり日本たばこ産業株式会社が発足いたしましたときに、耕作者の問題を当然背負ってもらって発足をしたわけでございます。この耕作者の問題は、長い長い歴史を持っておりますし、また急に転換ができることでもございません。そういう中で、しかし日本たばこ産業株式会社は外国とも競争しなければならない。それはなかなかの苦労をしてもらっているわけでございますから、できるだけそういう意味でほかの方面でも競争力をつけていってこの困難な仕事を背負っていってもらう。そういう意味では、私どもこの会社に対してできるだけの支援をしていかなければならないというふうに考えております。
  110. 沢田広

    ○沢田委員 この再建策を考えるのは大蔵省ですか、それともたばこ産業株式会社なんですか。
  111. 宮島壯太

    宮島政府委員 お答えを申し上げます。  日本たばこ産業株式会社が当面しております立場は、今沢田委員指摘のように非常に厳しいものがございまして、先ほど来御議論がありましたように、会社といたしましては、会社自身の合理化を図りますとともに、消費者に好まれる製品の提供であるとか営業活動を活発にして販路を拡大しているところでございますが、どうしても制度上の問題といたしまして国産葉たばこの全量買い上げ制度のもとで国際競争をやっていかなければいけないという大問題がございます。従来から、この制度につきまして、会社といたしましては葉たばこ生産者の方々の御理解を得つつ、国産葉たばこの生産性の向上等にも努力をしていただくようにいろいろ検討しているところでございます。私どもといたしましては、せっかく民営化されたわけでございますから、この民営化の実が関係者の御努力によりまして上がっていくことを心から期待しているところでございます。
  112. 沢田広

    ○沢田委員 答弁にはなっていないですな。  あと大臣、何分もありませんから、大臣は解放しますが、もう一つだけ、あるべき租税、それからあるべき社会保障、あるべき直接税、これの比率は何%ぐらいと今は考えておられますか。日本の国土の中で、いわゆる可処分所得割合というものを、どの程度が日本でこれから考えた場合にあるべき姿であるか。大体おおよそで結構です。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま、租税と社会保障の負担、合計いたしまして三六ぐらいのところでございますが、今後の高齢化社会の行き先を考えてまいりますと、これは合計が上昇するということはどうも避けられそうもない。それで、経済審議会が新経済計画を立てられるとき、あるいは行政調査会がこの問題について検討されましたときに、将来どのぐらいまでの負担が適当であるかということについては今日まで結論を出したことがございません。ただ、一般に言われますことは、現在のヨーロッパの諸国のところまで行くことは行き過ぎではないか、その手前でとめたい。ということは、五〇より手前のところ、仮に四五でございましょうか、どうやらそのあたりのところを多くの人が頭の中に置いておられるようでございますけれども、政府として、大変難しい問題なものでございますから、正確に答えを出したことはございません。私個人で言えば、やはりできるだけヨーロッパの今のところまで行かないで済ませたいものであるというふうに個人としては考えておりますけれども、政府としてしっかりした答えを出したことはございません。  それから直間比率でございますが、今のように七二・二と二七・八でございましたでしょうか、今の我が国の状態から見まして、これはもう少し間接税の比重を上げた方がいいし、また上げることもそんなに難しいことではないといいますか、社会的に不公正なことではないというところまでは考えておりますのですが、これは現実にどのような税法が可能であるかということから逆に出てまいるものでございますので、先験的にこういう割合にしたいというお答えを申し上げることが正直を申しましてできないというのが本当のところでございます。
  114. 沢田広

    ○沢田委員 それは積極性が少しない答弁なんじゃないでしょうか。やはり今日の日本の風土の中で、現在の所得水準で、GNPで、そして個人の所得も大体決まっているわけですね。勤労所得三十万なら三十万。GNPも決まっておる。そうすると、その中の構成としてあるべき可処分所得日本のこの風土の中で、結婚だとか社会の交際だとかいろいろ決まってきているものがある。とすれば、あるべき数字というのは、西ドイツの方向でいくか、あるいはアメリカはこれでいくと地方税も入れますと二五・六になるし、西ドイツになれば三〇・九になるし、日本は今二四・五である、こういうような数字も出ているわけですね。だから、その程度が、これは今ほかの社会保険とか何か入らない数字で言っているわけですが、社会保険料でどう考えるか、あるいは年金関係でどう考えるか、あるいは直接税の分でどう考えるか。いずれにしてもある一定の目標を置いて、その中に設定していくという方法をとらざるを得ないのじゃないですか。その点はどうなんでしょう。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 社会保障制度について考えますと、原則はやはり給付と負担との割合が比較的明瞭になるという意味で保険負担というものが好ましいのだろうと思います。それが原則だと思いますが、しかし保険で全くできない種類のものもないわけではございませんから、結局そこは保険と租税とのミックスということにある程度なっていくのであろうと思いますが、それにいたしましても、そのトータルがどの辺になることが望ましいかということは、やはり給付をどのぐらい国民が望まれるか。給付が高いということは勢いいずれかの意味での負担が高いということでありますが、そのトレードオフにたっていくのであろう。したがって、今から申し上げにくいのは、そういう時代になりましたときに、国民がどのぐらいな給付水準を適当と考えられるか、したがってその程度の負担は何かの形でやむを得ないとお考えになるかという、その問題になるのだろうと私は思います。  先般衆議院の予算委員会におきまして、それにしても何かそういう政府の方の資料でも出せないのかというお尋ねがございまして、今厚生省と私どもの方で少し作業をやってみているのでございますけれども、これは答えが出せるような性格のものでございませんで、あれこれ資料を出しまして御審議の御参考にしたいという程度でございます。
  116. 沢田広

    ○沢田委員 大蔵大臣、いいです。どうぞ。  では、あとほかの問題に入りますが、第一相銀の問題は、この間野口委員から質問された後そのままとぎれているわけでありますので、若干追加をして質問いたしますが、八王子霊園の造成は検察当局ではどういうふうに見ているわけでありますか。
  117. 馬場義宣

    ○馬場説明員 お尋ねの件でございますが、検察庁東京地検におきましては、最上恒産に係る事件につきまして、昨年十二月十七日、警視庁から国土利用計画法違反、それから宅地建物取引業法違反という事件の送致を受けまして、現在捜査中ということでございます。
  118. 沢田広

    ○沢田委員 八王子霊園については、関係のエステートもそうでありますし、第一相銀から八十億出ているということもイエスもノーも言えないのかもわかりませんが、そういう内容を言っているんじゃない。八王子霊園というものは、この第一相銀のかかわり合いを持った事件にたっているのかどうか。それも秘密だというならこれは話は別ですが、その程度を聞いているわけで、幾ら貸しているとか、それから農林中央金庫も出ていると思うのですが、その点ぐらいは……。  では、これは銀行局の方でわかるのかしら。警察当局が言わないということであれば、八王子霊園は関係あるのかないのかだけくらいは言ってもらってもいいのじゃないかという気がするのですが、いかがですか。
  119. 馬場義宣

    ○馬場説明員 委員指摘のものにつきまして、国会あるいは新聞等でいろいろ報道がされ、御論議がされているということにつきましては、検察当局においても承知しておるところと私ども思っております。ただ、それ以上のことについては、現在捜査中でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  120. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今御答弁がございましたように、新聞等でこの件について載っておりますことは承知いたしおりますが、具体的な金融機関とのかかわり合いその他につきましては、今検察当局からもお話がございましたように、銀行局といたしましても答弁は御容赦いただきたいと思います。
  121. 沢田広

    ○沢田委員 今ちょうどそういう問題点のある中でありますから言いにくい点はあるだろうと思いますが、ここで何もそれを取り上げてどうこうということよりも、社会的な不信感というものをここでどう除いていくかというのが我々政治家の――第一相銀をかたき役にしてどうこうということだけを我々ねらっているわけではなくて、そういうことによって地上げ屋がはびこり、あるいはそのことによって庶民が大きく苦しんできた。そしてそういう悪いことをのさばらせているという事態をどう防ぐかというところに一つの視点があるわけですからね。  ですから、答えにくいことは答えにくくても構いませんが、要すれば、社長の交代とかいろいろ指導されているようでありますから、とにかく社会的な信用を回復する、そして貸してある金も不正なものはどんどんきちんと整理して対応する、そういう毅然とした態度というものが今求められているんだというふうに思うわけですが、銀行局長答弁は、中身をどうこうと私も言いませんから、そういう事実に対してそれがどう後始末されるかということに注目しているということを十分ひとつ頭に入れて対応してもらいたい、こういうふうに思います。これはイエスかノーかだけで結構です。お答えください。
  122. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 我々行政当局といたしましても、マスコミその他で取り上げられました各般の問題につきましては非常な関心を持って見守っているわけでございますし、必要がある場合には行政当局として適切な対応をとってまいりましたし、これからもとっていくつもりでございます。
  123. 沢田広

    ○沢田委員 土地の特別委員会のときにもやや具体的な名前などを挙げないで終わらせた点もありましたが、要すれば、去年の十月段階以前からこういうことは行われていたわけでありますから、その点についてはひとつ十分な対応を図っていただきたいと思います。  次に、この前も若干他の委員から出ておりましたが、今度の石油の税金改正に伴いまして、これはなぜ期限を切ったのか。その後はどう考えているのか。これは重複したらひとつお許しをいただきたいと思います。
  124. 水野繁

    水野政府委員 石油税につきましては、御承知のとおり原油価格の変動、また為替相場の変動によりまして税収が極めて大きく変化しているところでございます。また、この石油税の税収は、石油及び石油代替エネルギー対策の財源として使われているところでございます。その歳出の面から考えまして、現在の石油税収につきましては相当大幅な減収となっているところ、これを財源に合わせて所要の増収措置を講じさせていただくことがぜひ必要ではないかと思うわけでございます。その税収につきましては、先ほど申し上げました税収の非常に大きな変化がございますので、税収の安定性と申しますか、負担の安定性をお願いするために、ここは増収措置をお願いをするとした場合に、その仕組みとしては従量税でとりあえずお願いできないかということで御提案申し上げているところでございます。これが今回御提案をした趣旨でございます。  一方、税制調査会におきましては、税制の抜本的な改革の作業が行われているところでございます。その点とは当然またこの間接税であります石油税は関連をしてまいるところでございます。そうしたところからいたしまして、当面のとりあえずの増収措置は今年限りの措置としてお願いをいたすこととし、その後の石油税のあり方につきましては、税制の抜本的改革との関連、石油に対しますところの御負担のお願いをする水準のあり方との関連、また、先ほど申し上げましたこの石油税が財源となっております石油及び石油代替エネルギー対策からまいります財政需要、こういったものを勘案いたしまして、税制調査会にお諮りし、国会に御提案をして御審議をお願いをいたしたいと思うわけでございます。
  125. 沢田広

    ○沢田委員 また続いて延期をするという期待はないんですか、とりあえずこう決めますけれども。それをあと二年なら二年、さらに同じ回数ぐらいは延ばすという配慮はないんですか。
  126. 水野繁

    水野政府委員 ただいま申し上げました税制の抜本的改革の中で、石油及び石油製品に対します課税のあり方、それからほかの間接税との関連、それから財源の確保といった観点をもろもろ総合勘案いたしまして、各方面の御意見を伺いまして、来年と申しますか、六十四年度以降のあり方の問題を検討してまいりたいと考えているところでございます。
  127. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、今度の税金はとりあえずの間に合わせで、あとは次の間接税の中でどう入れられるか、はみ出るか、それは別としても、その中で対応しよう、こういう考え方で暫定的にこう決めた、こういうふうに考えていいですか。
  128. 水野繁

    水野政府委員 おおむねお示しのとおりでございますが、もう一つ、先ほど申し上げましたこれが財源となっております石油及び石油代替エネルギー対策の財源の確保の点も考えながら検討させていただきたいと思うわけでございます。
  129. 沢田広

    ○沢田委員 その問題はまた議論する場があると思います。  次に、円高差益は、この間ちょっと出ましたが、三十兆ある。三十兆の中で今七兆円とか八兆円とかそのぐらいの数字でしか差益の還元はない。通産としては、この円高差益の点検をどの程度、何割ぐらいやられたのか、そして、どのぐらいな程度においてこれは実現をしているのか、どこに吸収されちゃっているのか、それをちょっとはっきりしてもらいたいと思うのですね。とりあえず概括的に言ってもらって、あとお伺いをしたいと思います。
  130. 内藤正久

    ○内藤(正)政府委員 円高差益の還元でございますが、石油についてはおおむね還元が行われておるというのが我々の認識でございます。  先生御承知のとおり、石油製品の価格につきましては、全く市場原理で決定をされておるということで、基本的には政府の介入等はございません。したがいまして、原油安や円高差益が市場を通じて消費者に還元されるという御承知のメカニズムでございますが、具体的に申し上げますと、円高が特に進行し始めました六十年九月とことしの一月とを比較いたしますと、原油がリッター当たり約二十六円八十銭、具体的にはリッター当たり四十一円二十銭から十四円四十銭まで下がっておりますけれども、その間二十六円八十銭の原油の値下がりがございます。それに対しまして、主な油種でございますガソリン、灯油、軽油、A重油、C重油、ナフサという六油種をとりましてその平均をとりますと、二十七円七十銭というものが値下がりをいたしております。  したがいまして、石油製品の各油種につきまして十分な円高差益の還元が行われておるのが現状であると認識いたしております。もちろん、市場状況によりまして、今後ともその差益が適切に還元されていくよう、我々としても注視はしてまいりたいと思っております。
  131. 沢田広

    ○沢田委員 あと若干詰めたいところはあるのでありますが、一つさらに点検、チェックをして、それが国民に還元できるように、これからいろいろ税制議論する場合には、やはり還元できるものを還元して、またいただくものはいただくという論法をとらなければ、取るものは取っておいて、あと出すものは出さない、こういうことではとても世の中通らないだろうと思うので、特に要請しておきます。  刑事局さんは結構です。これは後でやります。  次に、運輸省においでいただいておりますが、私は時刻表、今度十三日からダイヤ改正がありますが、これは前橋、高崎、こっちは大月、宇都宮、それから熱海、大体これを点としてずっとあと、七時七分、七時二分、それから七時四分、このぐらいの一列車、しかも定期で乗れる新幹線を運行することは考えられないかということを提案するわけであります。  これは土地のいわゆる均等化を図るということで、とりあえず当面一列車ずつ、乗れるのは千五、六百ですか、そのぐらいの人はもう定期で、立ち席でやむを得ぬから、二千名ぐらい入るだろうと思うのですが、そこから直通で東京に入る。このことを、いわゆる東京の地域の高騰をある程度抑制をしていくためへの措置として、今言ったようなところで新幹線で来れば、一時間二分ぐらいで上野へ着くわけですから、八時十分ぐらいには到着をするわけです。すぐその後博多から来る列車がありますけれども、それぞれその間はどこにも支障なく来られるわけでありますから、運輸省としてはそれをサービスとして考えてみたらどうか。それで、それが二列車、三列車になれば、何もこんな高い東京にいなくても、一時間の範囲内で通勤できればそういう地域がさらに均等化していくだろう、こういうことで、運輸省さんに来てもらっているわけでありますが、細部にわたりませんけれども、そういう考え方は、これは国策ですから持てないかどうか、こういうことでお答えいただきたい。
  132. 羽生次郎

    ○羽生説明員 お答えいたします。  先生の百キロメートル通勤圏の御議論、実は前年から拝聴いたしておりまして、私も折に触れて東日本旅客鉄道会社等へ伝えているところでございますが、ことしの三月十三日に行われますダイヤ改正におきまして、従来東北、上越新幹線四本、七時から九時の時間帯でございましたのを、これを五本に、一本ずつ増便することにいたしております。それから大月方面は、これは新幹線ではございませんが、五時及び七時台に一本ずつ東京及び新宿直行を出すことにしております。この辺は第一義的には、乗客の需要を考えて旅客サービスに当たる鉄道会社が判断すべき問題だと思うわけでございますが、御指摘の点も踏まえまして、私どもも必要に応じ援助してまいりたい、かように考えております。
  133. 沢田広

    ○沢田委員 私の言うのは、新幹線でそこからは定期で乗れるというのがみそなんでありまして、それが通勤圏にならないと意味をなさないので、いわゆる新幹線の料金を払ったのじゃ、それはよほど上の階級の人だけに限定されちゃう。だから、その列車だけは車両は悪くてもいいんだし、いすもなくてもいいんだが、ある程度落ちてもやむを得ぬが、とにかく多数の人を――まあ落とさないでという意見もありましたから、もちろん希望はそうですが、全部座ってというわけにいかないだろうと思うから私は言っているのです。そういうことで、とりあえずは一般の定期でそのまま東京乗り入れができるようにまずつくってもらいたい。こういうことで、もう皆さんの意見から見るとうんとダウンした意見なんでありますから、その点かとつお答えいただきたいと思います。
  134. 羽生次郎

    ○羽生説明員 お答えいたします。  新幹線の定期につきましては、通常の定期のまま御利用になるというわけには、やはり新幹線、それなりにコストもかかっているわけで、まいりませんが、実は新幹線用定期、FREXという名前でございますが、これは既にJR各社から発売されております。そして、確かに先生御指摘のとおりこれは高いわけでございまして、その点大変問題なんでございますが、東日本旅客鉄道その他の会社におきましても、その点を配慮いたしまして、通勤定期ですと普通五〇%ぐらいの割引でございますが、この新幹線用定期につきましては約六割、一〇%割引率をふやしております。確かに新幹線に普通の定期で乗るというのはこれは大変結構なことでございますが、やはりコストとの関係がございまして、民間会社として運営するときは、割引率を若干上げる、それでもまだ高いわけでございますけれども、それをやるというあたりが今のJR各社の経営事情から見ると限界かなと考えております。
  135. 沢田広

    ○沢田委員 あとは答弁要りませんが、私の言うのは、東京の都内でそれぞれ通っている者を、向こうの人口をふやして、今度は新たにそれを輸送してくるのですから、採算的には長い間に必ずそれは採算がとれる、こういう考えなんです。ここで通われていたのじゃ余りもうからないけれども、向こうから通ってくる人が多ければ定期で通わせても損はない、それだけ乗客がふえるのですから。そういう意味でぜひ、あなたの方だけで直接やれるわけじゃありませんけれども、そういうサービス列車があってもいいじゃないかという気がするのですね。じゃ、どの線にも乗れるとなったら、やはりほかのお客さんも迷惑する面も出る。立ったりなんかされますから。そういうこともあるわけで、その点はぜひひとつ御配慮いただきたい。そのことがやはり土地政策の一つの大きな展望だ、こういうふうに思いますので、お願いをします。  続いて、時間がなくなりましたので、生活保護との関係で厚生省はおいでをいただきました。  生活保護は、第四条に、民法に定める相互扶助の義務を負う者がそれぞれ努力した、なお生活ができない場合に生活保護を受けるということになっていると思うのです。まず、そういう条件は間違いないですか。
  136. 小沢壮六

    ○小沢説明員 御指摘のとおりでございます。
  137. 沢田広

    ○沢田委員 それで、大変な資産家などの方とか、大変兄弟では立派な方々がおられるのだけれども、それでも生活保護を受けておられるという方もあって、いわゆる世の中のバランスというか、一生懸命になって汗みどろに働いている家庭も受けないでいるのに、一方ではそういうふうな安易な生活になっている人もなくはない。公平の原則を考えた場合に、そういう相続をする人が全然ゼロならゼロでしようがないと思うのでありますが、もしあるとすればそういう段階で国に返済をしてもらう、こういう仕組みはとれないかどうかということなんです。  立法的にはいろいろ問題があると思うのですけれども、土地はたくさん持って資産家であるが、金がない、だから生活保護を受けている。しかし、相続権は失うわけじゃないから、相続のときにはその分は国の方へもらうということも、配分はどうするかは別として、論理としてある。それでまた膨大な相続をもらったということになると世の中の公平感というものが失する、こういう意見もなくはないのですね。ですから、正確に行われている行政でしょうけれども、そういう中におけるより一層の公平感という立場をどうやったら確保できるか、こういうことで相続の問題と関連をして一応申し上げたわけでありますが、これは何も相続税だけじゃないのですね。立法上の問題はそうじゃなくて、やはり民法で言う相互扶助義務がどこまで確認できているかというところに視点はあるわけなのですから、その点御承知の上でひとつお答えをいただきたい。
  138. 小沢壮六

    ○小沢説明員 幾つかの点について御指摘をいただいたわけでございますけれども、基本的には、先生おっしゃいますように、生活保護法におきましては、民法に定めます扶養義務者の扶養が生活保護の保護に優先して行われるということでございますので、まず生活保護の立場といたしましては、第一点といたしましては、まさにその扶養義務者に対しまして、その収入なりなんなりを的確に把握いたしまして扶養していただけるよう働きかけを十分に行う、これが一つの生活保護の態様でございます。  それからもう一つ、相続の対象になるということは、それなりの資産があるということでございますので、生活保護法の方で、特に居住用の不動産なりなんなりの問題でございますが、そういった生活保護を受けておられる方が居住用の不動産、しかもかなりの居住用の不動産を持っていたまま生活保護を受けるのはどうかというような別な議論があるわけでございまして、この点につきましても、私どもとしましては、従来必ずしも基準が明確ではなかったという点がございますので、やはり一定の規模以上の不動産を所有している方につきましては、基準を明らかにいたしまして、保護を遠慮していただくというようなことも一つの方策ではないか。  こういうような二つの側面から制度的には対応していく必要があるのではないか、このように考えている次第でございます。
  139. 沢田広

    ○沢田委員 私は、生活保護者がみんなそうだという意味じゃございませんので、その点は誤解ないようにしてもらいたいと思うのですが、中にはそういうのがある。だから、そういう者と一般にまじめにやっている者との均衡というものを失しないようにしてほしいというのが趣旨であります。その点は、ひとつひんしゅくを買うような適用、中には暴力団とかそういう関係もなくはありませんので、そういうことを篤と厚生省の人は今の答弁のとおり――こういうのは恐らく社会労働委員会では出てこないのですね。どうしても出てこない。やはり公平を期する、こういう意味で申し上げている、こういうことをぜひ御理解いただきたいと思います。  あとは、最後になりますが、ガス、資源エネルギーの関係でお願いをするのですが、石油がこういう状態になってきて、都市ガスの普及というもの、やはり安全あるいはそういう立場から、今町の真ん中までプロパンガスが突っ立っているという状況でありまして、もっと都市ガスが普及していくべきではないかと思うのでありますが、都市ガスの方をいえば遠慮して、極めて領域争いが厳しい。おれの方へ侵略するのかしないのか、こういう論争になっていってしまっておる。問題が全然違うのでありますが、都市ガスは都市計画区域は当然やっていかなくちゃならぬものだろうと思いますし、プロパンは散在している地域に普及させるというのが趣旨だろうと思うのです。その趣旨にはまず間違いはないだろうというのが私が申し上げたいこと。それから同時に、どうして片一方が遠慮しちゃっているのか。  それから、将来の燃料政策としても、やはり都市ガスの普及が天然ガスも含めて必要になってきているのではないか、こういうことに対してお答えをいただきたいと思います。――帰っちゃった、けしからぬな。みんな帰っていいと言ったから帰っちゃったから、じゃ、まあいいだろう。しようがない。それは後で分科会にでも行ってやろう。あと金融の問題も、もう時間が二分くらい前ですから、じゃ終わります。帰っちゃってるんじゃしようがない。
  140. 越智通雄

    越智委員長 午後三時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ────◇─────     午後三時三十一分開議
  141. 越智通雄

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉置一弥君。
  142. 玉置一弥

    ○玉置委員 間に大分休憩が入りましたので、予定をした内容がうろ覚えでございまして、大分本筋と違うところへ行くかもわかりませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  例年出てまいります租税特別措置法一つは政策的な税制の柱というような感じがあるわけでございまして、そのときそのときの時代の流れといいますか、こういうようなものがこの租税特別措置法の中は感じられるわけでございます。しかし、今まではどちらかというと、整理をしていこうというような方向がかなり強く出ておりまして、例年廃止をしていく法案というのが非常にたくさんあったわけでございます。今回はといいますか、ここ数年の流れと、それから基本的な六十二年度の今回提出されております内容についての考え方の柱というものが多分あると思いますが、まずそれについて御説明をいただきたいと思います。
  143. 水野繁

    水野政府委員 企業関係の租税特別措置につきましては、昭和五十一年度の改正、五十三年度の改正の時期あたりから、かなり基本的な見直しをお願いをするようになったところでございます。昭和五十年におきまして、特例公債発行ということが始まりました。そうした点を背景といたしまして、税制全体につきましても基本的な見直しが行われる。その中で、特に企業関係の租税特別措置につきましては、それぞれすべての措置につきまして根っこからと申しますか、原点に立ち返って見直しを行わさせていただくということでまいったわけでございます。昭和五十一年には、九十八件の企業関係の特別措置がございました。それにつきまして毎年、何件かが廃止され、また相当な部分の縮減をお願いをしたところでございまして、そうした結果といたしまして、現在におきましては全体の件数としては八十一件程度になっております。  六十三年度改正におきましても、そうした観点に立ちまして、三件を廃止し、十三件はつきまして縮減合理化を行い、そうしたものを盛り込んで租税特別措置の改正を脚提案申し上げているところでございます。  昭和四十年代までにおきましては、どちらかと申しますと、租税特別措置は企業関係、中でも企業の体質強化、内部留保の充実といった点が主とした観点で行われてきたわけでございますが、昭和四十年代以降は、企業関係におきましても内部留保の充実といった観点から、技術の振興あるいは中小企業対策、そうしたものに主として重点が置かれてきているという流れになってございます。今年度の改正におきましても、大きな流れとしてはそういう観点からの見直しを行わせていただき、先ほど申し上げましたような結果として御提案を申し上げているところでございます。
  144. 玉置一弥

    ○玉置委員 内部留保の関係でございますけれども、内部留保というのは、一つは今あるもので免除していただくというのと、特別償却、こういうのがあります。従来から償却制度のあり方そのものについての問題というのが指摘をされておりまして、実情にそぐわない、いわゆる経済効果として非常に少ない、こういうようなことも言われております。内部留保も、体力のあるところはいいのですけれども、ないところはまさにできないというような形になっておりまして、その辺でかなりできるところ、できないところの格差といいますか、それが増大してきていると思いますし、現在技術振興等を中心にやられているという話でございますけれども、これも本当に利用されているところが少ないのではないかなというような感じがするわけでございまして、特に業種は限られてくるのではないか、こういうふうな感じを私は持っております。  この中で、特に基盤技術開発研究用資産の減価償却とか、あるいはエネルギー基盤高度化設備とか、あるいは特定設備の償却とかいうふうに設備を中心にした制度でございまして、償却率からいくと本当に微々たるものだというふうな感じがするわけでございます。ですから、準備金的な、かなり大きなめり張りのあるような項目を設定をしていかなければ、政策的な効果というのはむしろ非常に少ないのではないか、こういうふうな感じを持ちます。  それから、よく我々含み資産というような話をしますけれども、特別償却がある程度進んでいる中途においては、確かに含み資産として体力に多少つながるかもわかりませんが、ある程度進んでいきますと、結局は何にも含み資産的な要素にはならない、こういうことになるわけですね。ですから、今回設備償却と特別償却がございますけれども、その辺についての考え方を改めていかないと、本当の体力強化につながっていかないと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  145. 水野繁

    水野政府委員 企業関係の租税特別措置につきましては、結果的には、やはりその適用を受けることによりまして法人税額が減るという効果がないことにはメリットが及ばないわけでございますから、そもそも利益の上がるところでないと効果が発揮されないということは、租税特別措置としての性格からしてはやむを得ない限界かと思うわけでございます。  それから特別償却は、割り増し償却であれ期初償却であれ、とにかく初期のころはその効果は発現されるわけでございますけれども、償却年限が経過するに従ってそのメリットが減るということは御指摘のとおりでございます。ただ、非常に高度成長期でございますと、次から次へと設備投資が連続して行われる。そうすれば、ある程度償却年限のたったものは資産がふえることもございますけれども、また新しい設備投資によりまして取得が行われる、それによりましてメリットが継続する。そういう効果、現象は高度成長期には十分発現されたわけでございますが、現在のような安定成長期でございますと、御指摘のように、特別償却的なものというのはそうした時期に比べると、そのメリットの出方は減ってきているという面は否定できないことと思います。  しかし、租税特別措置としては、そういう償却的なものと税額控除、所得控除的なものとがございますが、税額控除、所得控除的なものでございますと、やはりそうした措置の適用によって最終的にと申しますか、絶対的に税額が減る、それで恩典が大きく発現される。一方、償却準備金でございますと、適用時期には税額は減りますけれども、それが取り崩しあるいは償却のある程度の期間の経過によって、償却の減少によって取り戻しが行われる。それはやはり税制上のメリットとしては、そうした取り崩しなりが行われるといった性格のある準備金償却の方が、ほどほどのメリットとしては適当ではないかという考え方もある。やはりすべて所得控除、税額控除でございますと、メリットはやや過大な面は否定できないわけでございますので、企業関係の特別措置としては、償却準備金等は従来からもその中枢をなしてきておりますし、今後もそうした方向はやはり続けていくのが適当ではないかということは感ずるところでございます。
  146. 玉置一弥

    ○玉置委員 何も効果がないという話ではなくて、時期が過ぎるに従って効果が少なくなるんではないか、こういう話を申し上げておるわけです。  租税特別措置法等いわゆる時期的な問題を抱えた法律、いわゆる時限立法ですけれども、その時限立法の扱いの中で、当分の間という言葉をよく使われておりまして、当分の間でも長いものは三十年ぐらい続いているわけですね。当分の間とは、どういうのが定義なのかという問題が一つ。それはやはり今申し上げたように、効果がなくなってしまうその時期だと思うのですけれども、ところが、ずるずる続いているのが結構あるわけですね。その辺からいきますと、そんなのはあってもなくてもいいのではないかという感じがするわけですが、だから、当分の間という一つの規定を大体どの程度のめどに置いておられるのかということが一つと、それからもう一つは、今回の租税特別措置法、今回のといいますか租税特別措置法そのものですね、これがなかったときに政策的にどういうふぐあいがあるのか、あるいは財源的にどういうふぐあいがあるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  147. 水野繁

    水野政府委員 租税特別措置は、租税の原則から見れば適当でないとされるようなものを、特別の政策的な見地から特例措置として講ずるものでございますから、やはり原則としては期限を限って適用をお願いするのが筋であろうかと思うわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げた企業関係の八十一項目の中でも六十七項目は、これは期限がついてございます。しかし一方、十四項目は期限はございません。また、租税特別措置法と申しますのは、そもそも全体が当分の間の措置として政策措置を講ずるというふうにまず第一条でそうなってございますので、当分の間と書いてあっても書いてございませんでも、租税特別措置で期限のないものは当分の間の適用ということになっておるわけでございます。  その当分の間というものの期間のめどということでございますけれども、そこはまさに当分の間でございまして、その制度が政策としてねらっていることが期待できる間ということでございまして、これが三年とか五年というふうに定量的に申し上げるのはちょっと難しいところでございまして、むしろ、まさに定量的に申し上げるのがやや難しい面があるものについて、当分の間というふうにお願いをしておるのであろうかと思うわけでございます。また、期限の付されておりますものでも、期限が来れば見直しはさせていただいておりますけれども、大半のものはまだ政策的な目的が今後達成されるべき部分があるということで何回か延長をお願いをし、やはり五年あるいは十年というふうに適用されるものも少なくないわけでございます。  また、これらの特別措置が講じられなかった場合の効果という点でございますが、まさにそれぞれの特別措置は、企業体質の強化でございますとか、内部留保の充実でございますとか、技術の振興でございますとか、そういう目的のために措置が講じられている、そうした効果が期待されている。こうしたものがなければ、そうした政策的な前進と申しますか、そういったものが期待できなくなるというのが、定性的なお答えになろうかと思うわけでございます。  また、金額といたしましては、企業関係の租税特別措置によりますところのものといたしましては、現在四千億円程度の金額が計算されるところでございますので、こうした措置が講じられない場合には四千億円程度の税収の増になる、それは一方、企業の御負担がふえる、そういうことに相なろうかと思うわけでございます。
  148. 玉置一弥

    ○玉置委員 そのときそのときの政治の流れといいますか、政策的なニードから、いろいろな項目が出たり入ったりしていると思いますけれども、確かに廃止されていくのも多かったし、また追加されたのも多かったのです。ところがここ数年は、今お話にあったような技術的な分野での例えば試験研究費の税額控除とか、あるいはほかの技術等海外の所得の特別控除とか、そういう面でずっと何か形として置かれたままで、最近の国際化時代の反映というものがないような気がするわけですね。それで、今特に通産省あるいは経済企画庁を中心に、経済構造の変革あるいは産業構造の変革というような一つの流れの中で、内需拡大を行いながらなおかつ海外への投資を促進をしていこう、こういうふうな動きがあるわけですね。この辺の一つの経済の流れといいますか産業界の流れ、これに対する取り組みが今回の租税特別措置法ではなされてないような気がするわけでございます。  特にそういう面から、現在ある引当金の中だけで見てまいりますと、中小企業等海外市場開拓準備金、この辺が該当するかと思いますし、また海外投資等損失準備金、こういうものもございます。また、今申し上げましたように技術等海外所得の特別控除、こういうようなのも影響する面ではないか、むしろそういう面での拡大が行われていかなければいけないのではないか、こういうように思うわけでございますが、この辺について基本的に大蔵省としてどういうふうにお考えになっているか、お聞きをしたいと思います。
  149. 水野繁

    水野政府委員 御指摘の国際化に対応いたします措置としては、今お挙げになった三つのものが柱としてあることは御指摘のとおりでございます。そのほか、ことし御提案しておりますものとしては、海外の油田を購入したときの税額控除制度、ことしここで御提案をしております。それからまた特別償却、税額控除の中で、輸入品につきましてはその割り増しを行っているといった措置もございます。  ただ、この御指摘の三つの措置について申し上げれば、海外投資損失準備金は、まさに海外進出につきましての援護措置と申しますか、そうした意味はあろうかと思いますが、中小企業等海外市場開拓準備金と申しますのは、かつて輸出振興が大いに叫ばれたときの制度の名残でございまして、これが中小企業につきましてなお残っておるという面がございます。また技術等海外所得所得特別控除制度、これはさらに申し上げれば、かつては輸出所得控除として、まさに輸出によります所得はすべて特例措置がございまして、所得控除が行われていたということがあったわけでございますが、こうしたものはその後、準備金制度になりあるいは廃止されてまいったわけでございますが、技術の振興という点に着眼して、技術の海外への売却につきましての所得は、技術振興という観点から残されておるという面があるわけでございます。  したがいまして、この市場開拓準備金あるいは技術輸出所得控除といったものは、ややこれが創設された当時からいたしますとその環境の変化はあるわけでございまして、こうしたものをさらに振興してまいりますとか拡充してまいりますというのが、現在の国際情勢に果たして合うかどうかという点は若干の疑問の点もあるわけでございますが、ただいま申し上げた技術振興あるいは中小企業の振製という意味合いから存続されているということで説明されているわけでございますので、こうしたものをさらに拡充していくというのはいささか問題があろうかと思うところでございます。
  150. 玉置一弥

    ○玉置委員 今水野さんおっしゃいましたのは、今の全体の流れとちょっと方向が違うような感じがするわけです。  ほかの省庁の話でございますが、例えば六十二年十一月に、通産省でございますが、六十三年度税制に関する通産省方針というのがございまして、こういう中では、海外投資等損失準備金制度についての拡大を考えている、こういうような方向が打ち出されております。ところが、今回出てきたのは、ほとんど変わらないような状況でございます。  これによりますと、一番として一般海外投資損失の延長というのがございます。これは積立率一〇%。それから二番目に、特に経済協力効果の高い海外直接投資につきましては、積立率の引き上げをやろう、こういうことで、投融資額が十億以下の場合には一〇%、それから投融資額が十億を超えて二十五億以下の場合はは二〇%、投融資額が二十五億円を超えた場合には四〇%の積立率ということで、何か通産省としては準備をしたような感じがあります。まさに関係する省庁は、それぞれの対応により具体的な動きを示しているわけでございますけれども、どうも大蔵省としては税収絡みといいますか、そのことが頭にありまして、全然時代の流れを見失っている、こういう感じがするわけでございますが、いかがでございますか。今の話はなかったですか、海外投資の損失準備金制度についてという話で。
  151. 水野繁

    水野政府委員 ただいま申し上げましたように、三つお挙げになりました海外市場開拓準備金、技術輸出所得控除、それから海外投資損失準備金のうち、その前の方の二つ、市場開拓準備金と技術輸出所得控除、この点は、やや現在の経済情勢、国際情勢からするといかがかと申し上げたわけでございまして、海外投資損失準備金につきましては、現下の経済情勢なり国際関係からいたしまして、それなりの政策目的をお持ちになり、それなりの効果が発揮されているということから、今回期限の参りましたものを二年延長するということで御提案を申し上げているところでございます。  また、この海外投資損失準備金は、昭和三十九年度改正におきましてできたものでございますが、以降四半世紀くらいたっておりますが、まさにその時点その時点での政策的要請に従いまして、もろもろの改正なり拡充あるいは整理、縮減を繰り返しているところでございまして、そのときそのときの要請には十分対応してまいっている。また、今後におきましてもこうした制度につきましては、そのときの要請に従いまして随時見直しをしてまいることが適当ではないかと思っておるところでございます。
  152. 玉置一弥

    ○玉置委員 五十七年から三回延長、今回で四回目ですよね。ところが、二年ごとでございまして、例えばこれを対象にしているいろいろな企業がございますけれども、そういう企業からすると、二年ごとというのは計画を立てて実施する間にもう変わってしまう、こういうことになるわけで、延長の幅が非常に小刻み過ぎるのではないか、そんな感じがいたします。  それからもう一つは、今まではどちらかというと、発展途上国等に対する開発援助あるいは市場開拓ということで、ある程度対象の地域が限定をされておりました。それも徐々には拡大されてまいりましたけれども、今回の趣旨からいきますと、もっとより大きく拡大されて適用範囲が広がってもいいのではないか、こんな気持ちを持っておりますけれども、その問題。  それから、今申し上げました期限延長が二年というのは短過ぎるのではないか。計画的に物事を進めていく、海外は特にそうですけれども、そういう企業の性質からいきまして非常に短過ぎる。それから適用範囲地域、これを拡大すべきではないか。それからもう一つは積立率ですけれども、これは一〇%、いろいろありますけれども、そういう段階性にもっと考えるべきではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでございますか。
  153. 水野繁

    水野政府委員 先ほども申し上げましたように企業関係の特別措置につきましては、できるだけその時点での政策的目標に合致したものにいたしますために期限を付させていただいているわけでございまして、企業関係におきましては、これは大半のものが二年間という期限とさしていただいているところでございます。やはり最近の経済情勢の流動性と申しますか、変化は著しいものがございますので、二年を一応期限といたしまして、二年置きにその見直しをさしていただいているところでございます。二年の間にその適用関係につきまして大きな変化がない場合には、これは引き続き延長するということでございますので、二年たったら必ず全部見直しが行われて廃止されるということは、今まではどちらかといえば少なかった。したがいまして適用される方につきましては、それなりの安定性を持って適用をいただいてきているのではないかと思うわけでございます。やはり特別措置につきましては、いろいろ御批判もあるところでございますので、二年間という見直し時期というのは適当ではないかと考えておるところでございます。  それから、新開発地域の適用範囲の点につきましては、従来はどちらかと申し上げますと、だんだん海外の諸国も発展し開発が進みました段階では、この適用地域である新開発地域からは縮減をさしていただいてきているというのが大きな方向でございます。しかし、時には二、三カ国、これを新たに追加するといったことも行ってきております。したがいまして、随時国際経済情勢に応じて見直しをさしてきていただいていると申し上げてよかろうかと思うわけでございます。  また、積立率につきましても、この制度が創設されてまいりました以後、あるときはこれを引き上げ、あるときはこれを縮減させていただくということで、随時、そのときの要請に応じまして見直しをさせていただいてきておりまして、それが現時点といたしまして現在の積立率になっておるわけでございます。  今回の改正に当たりましては、これらの諸般の情勢を勘案いたしまして、制度としてそのまま延長し、積立率もそのまま引き継がしていただいて御提案を申し上げているところでございます。
  154. 玉置一弥

    ○玉置委員 きょう通産省にもお見えいただいておりますけれども、通産省の方にお聞きをいたします。  先ほど申し上げました海外投資等損失準備金の問題とか、全体の今の流れからいきまして、我が国の産業変革、この辺の一つの流れでいずれは、海外との協業とかあるいは水平分業とかいろいろな言葉で言われておりますけれども、そういう方向にある程度日本の各産業が走らざるを得ない、こういうふうな状況であると思います。そういう状況を踏まえて、これからのいろいろな税の制度を我々も考えていかなければいけないと思いますけれども、通産省として、まず全体の流れから見て、現在どういう方向で各業界なりあるいはいろいろな産業分布といいますか、それを見ておられるのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  155. 広瀬勝貞

    ○広瀬説明員 ただいまの先生御指摘の点でございますけれども、日本の産業経済は最近急速に国際化をしておるわけでございまして、日本の経済的な地位にふさわしい形で世界とともに日本の経済運営をやっていくということになりますと、政府としてもそういうものはバックアップしていかなければいかぬということで考えております。したがいまして、内需の振興とともに経済の国際化ということも考えていかなければいかぬということで、輸入の促進あるいは海外投資の円滑化といったようなことは非常に重要なテーマではないかと考えております。先ほど主税局長からもお話のありましたように、今回の税制におきましてもそういう意味で、輸入促進税制あるいは海外投資の円滑化税制といったようなことについてもお考えをいただいているところでございます。
  156. 玉置一弥

    ○玉置委員 ちょっと古い話になりますけれども、昨年の九月ごろでございましたか、六十一年度と六十二年度の上期との比較でございましたけれども、各企業が行う海外への直接投資の伸び率が七〇%ぐらい伸びている、一・七倍くらいになっている、こういうお話がございました。これはまだ各企業が独自の判断でそれぞれやっているわけでございまして、これに対する問題点はまだまだこれから出てくると思いますけれども、いずれにしても、海外投資を積極的にやりながら、現地生産なりあるいは市場確保というものを自分たちでやろうじゃないか、こういう一つの流れだと思います。  まず、海外投資に対して、通産省としてはどういうふうなお考えをお持ちになっているのか、また、現状把握をどうされているか、その辺ついてお聞きしたいと思います。
  157. 安本皓信

    ○安本説明員 先生御指摘のとおり、六十一年度以降海外投資は急速に増大しておりますが、今後もこういった傾向が続くだろうと考えております。  これは片一方では、海外投資というのは、進出先国の雇用を増大させたりあるいは経済を活性化するというふうな、我が国に課せられた国際的な課題は対しまして貢献するという意味合いもございますし、また半面、現地で生産したものを我が国が輸入するといったこともございますし、あるいは諭出転換効果というふうなことで、我が国が現在抱えております膨大な経済の対外不均衡の是正にも寄与するというふうに考えているわけでございます。  しかしながら他方、空洞化ということでよく言われておりますように、国内の雇用機会の確保というのもあわせて大変大きな問題になってきているわけでございまして、通産省といたしましては、基本的には、内需主導型の高目の経済成長を図るとともに、技術革新あるいは情報化の成果を生かすこと等により産業の新たな発展分野の開拓を図り、多様な雇用機会の創出を図っていくことが必要であると考えておりまして、このため当省といたしましては、産業構造転換円滑化臨時措置法に基づく措置を講ずるとともに、地域の活性化、技術開発の推進、内需型新規産業の育成等の施策の推進は努めまして、内需主導型の経済成長を確保し、雇用の安定に努めていくということを考えている次第でございます。
  158. 玉置一弥

    ○玉置委員 国際協力というのは非常に盛んになってきておりますし、また逆に言えば、政府の対海外戦略といいますか、その中の一つだと思います。国際協力なりあるいは産業協力というふうに考えていった場合に、これを民間のいろいろな企業の手助けを得てやっていかなければいけないわけでございまして、この部分が余りにも各企業任せになっているのではないか、そんな気がするわげでございます。  そういう面から見て、今までの国際協力と違った形での恩恵、今までは各企業が国の要請に応じて追従していく、こういう形で余りメリットはなかったのですけれども、逆に言えば、例えば民活法みたいな部分で多少の恩恵を与えるような、企業にとってのメリットのある方向を打ち出していかなければいけないのではないか、こういうふうに思いますけれども、国際協力あるいは産業協力、この辺についてどういうふうな方向をお持ちになっているか、まず通産省の方からお答えをいただきたいと思います。
  159. 前田正博

    ○前田説明員 私は、二つの角度からお答え申し上げたいと思います。  まず、先ほど主税局長の方から御答弁ございました税の関係でございますけれども、技術の海外への移転につきまして所得控除制度の延長を現在お願いしておるわけでございます。これは国内の目から見ますと、ただいま主税局長から御答弁いただいたような技術振興という側面があろうかと思いますが、これを海外の月から見てみますと、我が国の技術水準が最近大変高くなってきておりますから、我が国に対しまして技術移転の促進を望む声が大変高まってきております。また、技術移転というのは、相手国に技術が移転しますと、技術水準を向上させたり産業競争力を強化するとともに、雇用をつくり出すという意味もあるものですから、そういう意味でも海外から大変強い希望が寄せられておるところでございます。そういう意味で、今回延長をお願いしております技術移転の所得控除制度につきましては、私どももこれを有効に活用してまいりたいと思うわけであります。  第二の点でございますが、これは脱以外にも、発展途上国からは、我が国の民間の力をもう少し自分たちのために使ってもらえないかという声がございます。これに対しましては、我が国の方で、海外から研修生を受け入れるあるいは我が国の技術の専門家を海外に派遣するといったことを予算措置を通じて促進することにしておりまして、いずれにせよ、我が国の高い技術水準を海外に移転して世界経済の発展のために貢献をしたいというのが私どもの考え方でございます。
  160. 玉置一弥

    ○玉置委員 大蔵大臣にお聞きをしたいと思います。  今までずっと話をしておりましたけれども、一つの流れとして現在、国際化時代を迎えた各産業の対応と、あるいは今の海外協力という部分で国際協調をやりながら、なおかつ市場開拓をやりながら、これから日本の経済をさらに伸ばしていく基盤をつくろうということで、租税特別措置法そのものの政策的な流れがそういう方向に向いてこないとおかしいのではないか、こういう話できているわけです。  今もお話にございましたように通産省は、我々の目から見ると、まだ各企業をバックアップするほどの細かい戦略まで練られてないような感じがするのですけれども、しかし、具体的な面では既に大蔵省より進んでおられるわけです。そういう面で政府として考えた場合に、今一番必要なのは海外との協力関係であると思います。そういう面から見て、役所だけの動きでは非常に心もとない部分がございますから、民間活力を導入してより大きな効果を出していくという面からと、むしろ企業が自分のところを守るために既に海外投資に出始めておりまして、この辺からいきますと、より具体的な政策でのめり張りを出していかなければいけないのではないかと思うわけでございますが、今回は特に例として、租税特別措置法での準備金制度とかいう話で申し上げておりますけれども、一つの時代の流れとしてこれからの政策にどのように生かされていくのか、この辺、もし大臣の方でお考えがございましたら、お示しをいただきたいと思います。
  161. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かに、これから我が国の経済の赴く方向というのは、今玉置委員の言われましたような方向であることは間違いないと思います。しかし、それが租税特別措置法のような特別措置を必要とするものであるか、あるいはもう我が国全体がそっちの方へ向かいつつございますから、あえてそのような特別措置を必要としないでも事態はそっちの方へ動くのか、その辺の判断は難しいところでございますし、歳入のかげんによってやるか歳出によってやるかという問題もございます。ちょっと何とも一言で申し上げられないような気がいたしますけれども、ただ、何か新しいことがあって大変に特別措置が有効であるというようなことでありますれば、それは決してやぶさかではございません。
  162. 玉置一弥

    ○玉置委員 各企業が必要に迫られてやっていく場合はやむを得ない、そうでなければ、勝手に動かなければ何とかしなければいけない、私はそういうふうに聞こえたのですけれども、考え方としてはそんなことですか。そういうことで、逆に言えば、動かなければ歳出面から考えていかなければいかぬ、こういうことになると思います。通産の関係の方、この辺で大体全部終わりますので、結構でございます。  今、全体の話で出てまいりましたけれども、法人税の引き下げ、これこそまさに全体の論議ということになるわけでございますが、法人税の引き下げが昨年に提示をされました。四三・三でしたか、一・三%の上乗せ分は当然でございますが、それを三七・五まで下げていこう、こういう話でございます。それとともに、租税特別措置法等の見直しも同時に行われるのではないか、私どももそういうことでいろいろ準備をしておりましたけれども、今回は租税特別措置法の一部手直しだけだということでございます。では、法人税関係につきましては、どういうスケジュールでこれから検討されていくのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  163. 水野繁

    水野政府委員 御指摘の昨年の通常国会には、全体の改正案の中で法人税率の引き下げにつきましても御提案を申し上げたところでございます。考え方といたしましては、法人住民税も合わせまして実効税率が五〇%以下となるような方向考えることとし、具体的には、法人税の税率は三七・五という水準にするという方向で御提案をいたしました。これは昨年廃案になっておるところでございます。  その後、昨年の十一月に新たに税制調査会が発足をしてございます。その税制調査会におきますところの検討事項は、所得消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築するということでございまして、先月二月上旬の段階での改革の基本課題としてまとめられておるところにおきますと、「国際的視点に立った法人税制の確立。」その細目といたしまして、「法人税率の先進諸国の動向に合わせた引下げ。」という方向が打ち出されておるところでございます。こうした基本的な課題と申しますか、検討目標を踏まえまして、現在税制調査会におきまして、法人税の税率水準につきましても検討が行われておるところでございます。その検討結果をいただきまして取りまとめ、国会に御提案をして御審議をお願いを申し上げたいと思っておるところでございます。
  164. 玉置一弥

    ○玉置委員 昨年一回出されたものが税調に戻ってまたその見直しをする、こういうことになるのですか。一回出された方針を具体化したのが大蔵省ですから、その実施をどうするかというふうに考えていくのが本筋だと思いますけれども、何でもう一回戻すのですか。
  165. 水野繁

    水野政府委員 一回御提案を申し上げたというのは、これは事実としてあるわけでございますが、それは一回廃案になっておるところでございます。それからまた、税制調査会も昨年の十一月十二日に発足いたして、新たな観点から、法人税にとどまらず税制全体につきまして御審議を願っているところでございますので、その審議をお待ちしておるというところでございます。
  166. 玉置一弥

    ○玉置委員 一度廃案になったものはゼロから出発するわけですね。どうなんですか、ゼロですか。全くあれはもう念頭にないということですか。
  167. 水野繁

    水野政府委員 新しく発足いたしました税制調査会でも、その点は従来、今申し上げたような考え方で提案が行われ、廃案になっておるという経緯は踏まえておるところでございます。そうしたものを踏まえまして、先ほど申し上げました二月五日に取りまとめられました税制調査会の基本課題の中では、「法人税率の先進諸国の動向に合わせた引下げ。」という点が盛り込まれてございますので、おおむね検討の観点と申しますか視点は、引き継がれておるのではないかと思うわけでございます。
  168. 玉置一弥

    ○玉置委員 あのとき廃案になったのは、たまたま売上税と一緒に出たから廃案になったわけで、別々に出せば法人税は通ったと思うのです。ですから大蔵省は、去年出たものは全部廃案になったというふうにお考えでございますけれども、あのときの経過からいきまして、売上税関係は確かに廃案になりましたけれども、マル優廃止だけが出てきました。廃案になったものが何であんなぽこっと出てくるのですか。その考え方からいきますと、法人税というのはまだ考え方としては生きていると思うのです。だからその辺の問題、あるいはまた酒税の問題、今回ガットに提訴されてありますけれども、これも一応の考え方はこの前提示されました。その後の働きも先ほどちょっとお聞きになっていましたけれども、その辺がどうもあいまいなんです。  今会期中に出すのか出さないのかというのもわかりませんし、あるいは一回表に出たものが引っ込められて、今度どういうふうに変わって出てくるのかどうかというのがわからない。ですから、先ほどもちょっと言いましたように各企業というのは、結果だけを見て動いているのではなくて、やはり先行きの予算もいろいろ組んでいるわけですし、あるいはそれによって投資も決まる、こういうことで大変大きな要素になっているわけなんです。ですから、ことし決めてことし取るのだということではなくて、何年か先までわかるように税制においてもやっていただかないと、非常に困ることがたくさん出てくると思います。そういう面で、一度廃案になったものは全く同じ形では出てこないのかどうか、また、この前廃案になった法人税の示された中身は、本当にあのままに近い形でくるのかどうか、その辺についてお答えいただきたいのです。
  169. 水野繁

    水野政府委員 現在の税制調査会考え方としては、先ほど申し上げましたように、その点の問題意識は十分お持ちで審議をしておられると思います。この新しい税制調査会への内閣総理大臣の諮問におきましては、税制の抜本的見直しについての答申、これが一昨年十月の答申でございますが、そこに示された考え方及びその後現在に至るまでの諸情勢の進展を踏まえて、所得、法人、資産、消費課税について望ましい税制のあり方を審議をしていただきたいとお願いをしているところでございます。  したがいまして、前回の六十一年十月末に出された税制の抜本的見直しについての答申、これが昨年御提案申し上げた改正考え方をなしておるわけでございますが、そこで示された考え方と、それからその後、その考え方に基づきまして法制化し、御提案し、廃案になったという、その後の諸情勢を踏まえて審議をいただきたいと内閣総理大臣から求められておるところでございます。したがいまして、前の基本答申に含まれた考え方を踏まえて審議をしていただきたいとお願いしているところでございますので、前の考え方と全く連続性なく審議が進められ、取りまとめがなされるということは、考えられないところでございます。
  170. 玉置一弥

    ○玉置委員 何かいろいろ理屈をつけていますが、要は、一回出たものは余り変わらないと思うのですよ。だから、少なくともいつごろ、どうなるかという時期を早く明確に出していただきたいと言いたいのですが、恒久財源の論議がもうちょっと進まないとだめですかね。その辺はやはり恒久財源論議との絡みがあるのですか、お答えいただきたいと思います。
  171. 水野繁

    水野政府委員 ただいま申し上げた総理のこの諮問は、たびたび申し上げておりますように、所得消費、資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系の構築ということになっているところでございますので、それは法人所得、個人所得、それから消費課税、資産課税全体としての整合性のある改正の姿の中で取りまとめられることになろうかと思いますので、法人税の税率だけを取り出して、これはこのくらいの水準でこうしたスケジュール、タイミングで改正が求められるというところまで、まだ予見しがたいところでございます。
  172. 玉置一弥

    ○玉置委員 では、個別に伺いますけれども、酒税はどうですか。酒税は、ガットでいちゃもんをつけられると言ったら怒られますけれども、今までは日本のウイスキーはウイスキーじゃないみたいなことを言って、スコッチだけがウイスキーみたいなことを言っていましたけれども、今度はしょうちゅうまで競合相手だと言ったら急に態度が変わりましたね。今国会、もし恒久財源論議にまで話がいかなかった場合には、これを出されないのかどうか、どういう処置をされるのか、それについてお伺いしたいと思います。
  173. 水野繁

    水野政府委員 酒税につきましても前回、昨年二月に御提案申し上げたところでございますが、これは廃案になっているところでございます。その点につきましては、今御指摘ガット勧告がございます。これは昨年の十一月に出されました。これは、廃案になりました改正案をなお踏まえつつ出された中身でございますから、前回御提案した中身そのままでは、果たしてガットの満足のいくものであるかどうかにつきましては論議があるところでございますから、今後内容そのものにつきましても、新たな観点から詰めてまいる必要がまだあろうかと思うわけでございます。  しかし、ガットから昨年の十一月に勧告を求められておるところですので、その改革案の具体的な中身をお示しすることはまだできないわけでございますが、その考え方の基本的方向につきましては、極力早くまとめて公表し、ガットにも説明をしておくのが適切ではないかということで、ことし一月に、税制改正としての閣議決定の中で、酒税につきましては、その改正方向閣議決定をお願いして世に問うておるところでございます。しかし、やはり酒税は、日本間接税の中の一つの大きな柱でございますので、その具体的な取りまとめは税制全体の改革の中で、全体の姿と整合性を保ちつつ取りまとめて御提案をするのが適切ではなかろうかと思いますので、酒税につきましても、全体の改革の中で御提案を申し上げることになろうかと思うわけでございます。
  174. 玉置一弥

    ○玉置委員 ガットからかなり急がれているような話を聞いておりますけれども、それは改正をする方向でありますと言うだけで、ガットの方々は皆さん納得できるのですかね。その辺どういうふうにつかんでおりますか。
  175. 水野繁

    水野政府委員 ただいま内閣として、税制改革は喫緊の課題であり、最重要課題であるということもまた国際的に御説明を申し上げ、その中で酒税につきましても適切な解決を図るということで、求められればそのように御説明を申し上げ、了解を得るようにしているところでございます。
  176. 玉置一弥

    ○玉置委員 昨年のガットの結論が出るときに同じような話をされまして、それで今の結論になったのですね。あのときの大使が、日本で今こういう改定の準備をしている、ですからこの件についてはというような話をされておりまして、それが終わってなおかつ同じ結果が出た。だから、より急がなければいけないというように我々も感じたわけですが、その辺で大丈夫なんですかね。というのは、逆に言えば大蔵省としては、恒久財源絡みの話がより間近に迫ってきておる、だからそう急がなくてもそこで出せばいい、こういうふうにお考えなんですか。
  177. 水野繁

    水野政府委員 税制の抜本的改革につきましても、内閣総理大臣から求められておりますのは、先ほど申し上げた所得及び資産につきましての均衡のとれた税体系を構築する、早急にその成案を得るようにされたいというふうになっておりますので、全体としての改革案も早い機会に成案が得られると考えておりますので、酒税改正につきましても、その一環として取りまとめることを考えているところでございます。
  178. 玉置一弥

    ○玉置委員 余りこればかりやっていると前へ進みませんので、次に入ります。  揮発油税関係の話というか、どちらかというと道路財源の話になりますけれども、この揮発油税が、これも租税特別措置法で、六十三年三月まで四十五円六十銭ということで上積みをされております。これは一つには道路財源確保ということで、従来からずっと長い間に積み上げられてきた結果でございまして、これから我々の方としては、では、道路財源としてどういうふうになっていくのか。というのは一つには、大型間接税がもし実施をされるということであれば、個別の物品税等間接税につきましては見直しをされる、こういう話があるわけですね。そういう面から考えまして、では、これからの道路財源というのはどのくらい必要なんだろう、それから、もしこの制度が今までどおりに存続をしていくならば、これだけでいけるのかどうかという心配もあるわけですし、その辺についてまずお聞きをしたいと思います。  建設省、きょう来ていただいていると思いますが、建設省の方からまず、最近五年間の税収と道路予算の関係はどうなっているのか、この辺についてお伺いをして、なおかつ今後の道路計画、これは第十次の計画が今できてきていると思いますけれども、この辺の話をお伺いしたいと思います。
  179. 小鷲茂

    ○小鷲説明員 道路事業費と財源との関係についてのお尋ねでございますが、概算要求基準の設定によりまして、自動車重量税を含みます道路特定財源の全部が道路整備に充てられないという事態が実は昭和五十七年度、五十八年度、五十九年度の三年度続いたわけでございます。いわゆる未充当問題と称するものでございますが、昭和六十年度以降はこの事態が解消されております。具体的には、揮発油税の一部を直入する措置、あるいは緊急措置として資金運用部から借入金をするといったような措置によりまして、特定財源見合いの道路整備費が確保されております。  なお、過年度のいわゆる未充当分につきましても、六十年度以降、当初予算あるいは補正予算の時期に適宜返してもらうという措置を講じられておるわけでございます。  今後の問題でございますけれども、今後の五カ年計画の初年度でございます昭和六十三年度におきましては、ただいま申し上げましたガソリン税の直入措置を拡充するという措置を講じておりますので、この結果、総事業費二兆六千億円でございますが、このうち特定財源が二兆二千億ということで、特定財源すべてが充当されておる、こういう措置になっております。今後におきましても、このような措置を継続していきますれば、十分特定財源は充当していただけるものというふうに考えております。
  180. 玉置一弥

    ○玉置委員 第十次、今後の道路計画。
  181. 小鷲茂

    ○小鷲説明員 ただいま六十三年度の例について申し上げたわけでございますが、申し忘れましたが、六十三年度以降五カ年間につきまして、道路特定財源諸税につきまして暫定税率を継続していただくようにお願いをしておるわけでございますので、この措置によりまして特定財源は安定的に確保できるのではないか。それから、道路の整備財源といたしまして、このほかに財投資金あるいは一般財源、こういったものをうまく活用しながら全体の事業を進めていくわけでございますので、そういった意味で、この五カ年計画は財源的に見ましてもうまくやっていけるのではないかというふうに考えております。
  182. 玉置一弥

    ○玉置委員 今のお話では、五十七年、五十八年、五十九年が揮発油税全部を使えなくてその一部を削られてきた、こういうことですね。それから、六十年、六十一年、六十二年というのは逆に借り入れの部分がございました、こういうことでございました。六十三年度はNTTの株売却益から一部充当されて予算ができている、そういうことでございますけれども、我々の方で、特に自動車のユーザーから考えてみた場合に、ガソリンが異常に高いのですね。日本のガソリンは、アメリカなんかと比較するとばからしいほどでございまして、少なくとも三倍にはなっている。もっとなっていますね。どこの国よりも高いガソリンを使っている、こういうことでございます。  これはなぜかといいますと、余りにも日本の道路がひどかったということでユーザーも納得してそれについてきているわけでございますけれども、しかしこれから、特に道路部分からいきますと、大分舗装率も上がって整備もされてまいりましたけれども、今度都市の再開発あるいは駅前開発とか、こういうのがございまして、そういう部分で特に中小都市を中心にしてかなりの費用がかかっていくのではないか、こういうふうに思われます。  そこでお聞きをいたしますけれども、こういう市街地の部分あるいは駅前の部分、この辺の道路財源がどうなっているのか、その辺が一つ。それから、今後そういう特に市街地部分がどういうふうな変化をしていくのか、この辺についてお聞きをしたいと思います。
  183. 小鷲茂

    ○小鷲説明員 都市部のいわゆる整備につきましては、道路財源を使ってやります部分とそうでない部分とがございます。多少紛らわしいのは道路財源を使ってやりますものでございまして、街路事業でありまするとか法定の再開発事業、これにつきましては、道路が整備される分につきまして道路財源を充当いたしております。その充当の仕方につきましては、整備されるものが道路であるという点については変わりはございませんので、一般の道路と同じような財源構成をもって整備を進めているわけでございます。
  184. 玉置一弥

    ○玉置委員 今の一つの流れとしては、下水道整備、都市の街路計画といいますか、こういうものがどこの町に行っても中心になって、また逆にそれが予算の一番大きな部分になっている、こういうふうに考えるわけでございますが、それに今の話で総合的に考えていきますと、第十次道路五カ年計画あるいは今のこれからの街路計画等見ていきますと、ますます道路の費用というのはかさんでくるような気がするわけです。このままで道路計画と税収がほぼマッチングしている場合はいいわけでございますが、今は自動車税、特に揮発油税というのはそんなに伸びてきていないと思いますけれども、こういう状態が続いてまいりますと不足する部分も出てくるのではないか、こういうふうに思います。  斎藤さん、主計局としてというか大蔵省として道路財源について、公共事業全般の中からの割り振りだと思いますけれども、将来の伸び率からいきまして、道路の方が確かに費用としては伸びていくだろう、揮発油税としては多分少なくなってしまう。今現在でもそういう形になってきておりますけれども、その差額というよりも道路予算としての組み立てはこれからどういうふうになっていくのか、もしその辺に大筋の話があれば、お教えをいただきたいと思います。
  185. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 毎年公共事業のシェア配分ということで、例えば今御指摘になりました道路とか下水道とか、どういうものに重点を置くかということでいろいろな議論がなされるわけでございます。  実は、道路の予算につきましては、過去特定財源の方が道路予算よりも多いという時代が五十九年度まで続いたということで、今の事態はむしろ道路財源で道路事業費が充当されているほぼ満足のいく事態になったということでございます。私どもがむしろ非常に懸念しておりますのは、道路予算と申しますよりは下水道等の生活関連予算、これにつきましては全額今建設公債で充当しておりまして、これについても、建設公債を発行いたしますと当然のことながら、利払い費は経常経費になりまして特例公債の発行対象経費になります。そういう意味で、道路事業費以外の公共事業の財源について今後どうするのかなという心配をむしろ持っておりまして、道路の事業費ないしはその一定部分を占める国費につきましては、当面今度の十次五カ年計画でも実はそれほどの心配はしていないというのが実際でございます。
  186. 玉置一弥

    ○玉置委員 道路公団が建設される道路と建設省が建設される道路、この二通りがございます。その二通りがある中で、建設省の方は有料というのは少ないのですけれども、道路公団がつくられた道路は、有料の部分と有料でない部分と両方あるわけですね。地元というかそれを利用する人たちにとりましては、有料であろうとなかろうと同じような形の道路であるわけでございまして、そういう面からいきますと、建設省と道路公団は、そのときの都合によって有料にしたり無料にしたりというような感じを受けるわけです。  実は、私どもの地元でごく最近にでき上がります京奈バイパス、京滋バイパス、それから九号線バイパス、この三つがあるのですが、すべて有料なんです。私たちの目から見て、何だ、こんな程度だったらどこでも無料じゃないかと思うのですが、地元にとってみたら今申し上げたように、ガソリン税、揮発油税の負担あるいはほかにも自動車関係の負担をしております。これがほとんど道路財源ということで供出をしているわけでございますが、お金を出してなおかつ料金を取られるというふうに二重の払いをさせられる、こういうことになるわけでございますが、どういうふうな区分けをされて、二重払いの部分はいつ返してもらえるのか、この辺についてお聞きしたいと思います。
  187. 松延正義

    ○松延説明員 道路整備は一般的には公共事業費をもって行われるものでございますけれども、急激に増大します我が国の道路交通需要に対しまして限られた国の予算だけでは十分対処することができないということで、早急に整備を図る区間あるいは多額の費用を要する道路につきましては、特別の措置としまして借入金を導入することとしまして、これを返済するために有料道路制度を採用しているわけでございます。  それで、どういったところに有料道路を採用しているかと申し上げますと、まず車の出入り制限を行う等、一般道路と比べて高度の機能を持ち、利用者に質の高いサービスを提供しまして利便性の高いもの、例えば高速自動車国道等、あるいは一般道路等につきましても、緊急に整備を要する、あるいはそれを整備することによって便益が非常に高い、こういったところを有料道路でやっておりまして、ただしその場合でも、必ず無料の道路が存在しまして、利用者にとってはどちらかを選択できる、このようなことになっているわけでございます。それで、有料道路の事業の採択に当たりましても、高利便性の道路交通への需要とか道路整備の緊急性、それから建設費と財源との問題を検討しながら、有料道路事業としての採算を勘案して決定しているところでございます。  それから、二重取りじゃないかということがございましたが、先生の御趣旨は、有料道路を走行することによるガソリン消費に伴いまして、揮発油税を払っているのにそれが有料道路整備に充てられないのじゃなかろうか、こういうことの御質問じゃないかと思いますが、有料道路の費用の償還につきましても、利用者の負担のみによることではありませんで、実はさまざまな国の助成策もとっているところでございます。  例えば、道路公団の行っております高速自動車国道につきましては、資金コストを一定に、六・五%でございますが、これを保つための利子補給金とか出資金、あるいは最近では特に横断道等につきましては、資金コスト三%を確保するために国からの助成、こういったものを行っております。あるいは日本道路公団の行っております一般有料道路、京奈バイパスはこれに該当しますが、こういったものは、資金コスト六%を確保するために利子補給金を国から出している。あるいは首都高、阪高等も国からの助成がございます。こういったことで、揮発油税収等を財源とします道路整備特別会計からも、必要に応じてこういった有料道路に所要の国費を投じているところでございます。
  188. 玉置一弥

    ○玉置委員 そういう二重取りじゃなくて、道路をつくってもらうためにガソリン税が高くても我慢しているのに、何で有料道路代を払わなければいけないのだ、こういうことなんですね。  そういう面で、ほかの地域へ行きますと無料の道路がたくさんあります。例えば湘南の海岸のところで、二宮あたりに料金所がありますけれども、二宮の料金所を外せば、あそこだけ抜ければどこから入ってもただなんですね。かなりの延長、二十キロくらいありますが、その間が無料になります。それから横浜バイパスも、横浜バイパスの料金所でクリアできれば、あとはみんなただなんですね。それから、十六号線の横浜インターの方からソニーの辺、あの辺は非常にいい道路ですが、あれが全部無料なんですね。  我々の方にできるのは、あれより小さい道路なんです。それが有料だなんて、そんなばかな話はない。我々も地元を説得できないのです。だから、有料、無料の基準をはっきりわかるようにしてもらいたいのと、それから、みんながお金を出し合ってつくっているのですから、できるだけ無料の部分――時間がないからというので有料道路になったと思うのですけれども、それだったら、本来できるべき時間が来たときには無料で開放すべきだと思うのですが、いかがですか。
  189. 松延正義

    ○松延説明員 有料と無料の区分が若干あいまいじゃなかろうかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、利便性が非常に高いような高機能の道路、あるいは非常に緊急に整備を要すけれども整備がなかなか進まないから、地元の方からも有料でもいいからやってもらいたい、こういう要望があるところについて有料道路をやっているわけでございます。  それで、先生の第二番目の御質問でございますが、こういったものを途中でもいいから、三十年償還の前に国費等で買い取ることを考えたらどうであろうかということでございますが、先生も先ほどおっしゃいましたけれども、我が国の道路につきましては、例えば高規格幹線道路でございますと、四全総で一万四千キロ決まっておりますが、まだ四千四百キロくらいしかできていないとか、また一般国道等につきましても非常に混雑している区間がまだ多いということで、これからも一般道路事業と有料道路事業を車の両輪で進めていかなきゃならないというふうに考えておりまして、ただいまのところ、途中で国が建設費を負担しまして有料道路を無料化することは、財政的にちょっと余裕がないのじゃなかろうかというふうに考えております。
  190. 玉置一弥

    ○玉置委員 私はいつも思うのですけれども、例えば道路のいろいろな計画をしまして、人の少ない、車の少ないところほど、道路がよくなって早くできるのですね。人がたくさんいて、車がたくさん走るところというのは、非常に時間がかかる。そういうことは、つくる側からすると確かに安くて交渉も楽なんですけれども、本当に必要な部分にもっと費用を回していただくようなことを考えていかないといけないと思うのです。だから、道路のあり方そのものもぜひ考えていただきたいと思います。  余り道路ばかりやっていると、今度は苦情ばかり買ってしまいますのでやめますけれども、それでは今度は、税制全般の話は入っていきたいと思います。  そう言うほど時間はないですが、残り時間は十五分ですか、税制全般の中で、今回仮定計算というのが出されましたけれども、仮定計算で見ていきますと一九九〇年あるいは二〇〇〇年、これをもうちょっと延ばしていただければ、もし現行制度のままの税制でまいりますと税負担がどの程度になるか、これを大蔵省にお伺いしたいと思います。
  191. 水野繁

    水野政府委員 仮定計算等の推計でございますと、これは三年なり四年先の数字でございますから、直近のもろもろの経済情勢、指数を用いましてある程度の試算はできようかと思いますけれども、一九九〇年、二〇〇〇年、こうした数字のものになってまいりますと、かなり長期の推計でございますから、そこまで現時点直近のもろもろの基礎データを用いて適切、適正な負担率が推計できるかどうか、それはやや大胆過ぎる推計になろうかと思いますので、そこらはなかなか簡単には算出しにくいところでございます。
  192. 玉置一弥

    ○玉置委員 竹下総理が本会議の席で、将来の高齢化を踏まえた中での税制改正をやりたい、こういう話をされておりました。将来のと言うので、うちの永末副委員長が予算委員会の中で、将来とはいつごろかという話をされましたら、いつでしたか、二〇〇五年か二〇二〇年だったか、どっちか忘れましたけれども、二〇〇〇年をはるかに超えた時期でございました。その時期のことを念頭に置きながら既に今税制改正をやろう、こういう手順なんですね。ところが、事務当局であります主税局では何らそういうデータをお持ちでない、こういうことでありますから、これから出てまいります恒久財源論議というのはすべてデータのないあいまいなものである、こういうふうにとらえていいわけですか。
  193. 水野繁

    水野政府委員 中期的と申しますか、長期的な観点から見た社会保障の給付なり負担に近いような数字が試算できるかどうか、これは従来厚生省等においては、厚生省の計算としてまとめられておるものはあるわけでございますが、正式なものとして国会にお出ししたようなものはない。しかし、ただいま御指摘のように、予算委員会において永末委員からそうしたお求めがあり、厚生省大蔵省が協議して、とにかくお出しできるものがあればお出ししたいということで、御答弁申し上げているところでございます。
  194. 玉置一弥

    ○玉置委員 少なくとも、今国会の再開された一月二十五日に竹下総理大臣が本会議場で、高齢化社会を踏まえて税制改正をという話をされているのですね。そういう話が、これはでたらめなんですか。今ごろになって準備しているのですか。確かにあした厚生省からそういうデータが出るという話は聞いていますけれども、大蔵省としてかなりいいかげんなことで総理大臣にそういう所信表明をさせているわけですか。
  195. 水野繁

    水野政府委員 そのあたりの数値につきましては、厚生省におきまして、あるいは人口問題研究所等におきまして、高齢化の試算、それからまた高齢化した場合の社会保障給付の推移、また高齢者の医療費の実態等々についてもろもろの推計は出されておるところでございますので、論議をする際には、決して具体的な数値を全く念頭に置かないでそうしたことを申し上げているということはないわけでございます。しかし、今お話しのように、先般の予算委員会でそうした論議に及びまして、政府として何かお出しできるものができるかどうかを協議して、できるものがあればお出しする、そういうことに相なっておるところでございまして、決して今までの論議がそうした基礎的なデータなしに行われてきたということではないと思います。
  196. 玉置一弥

    ○玉置委員 一九九〇年というのは何年先ですか。二〇〇〇年というのは何年先ですか。
  197. 水野繁

    水野政府委員 一九九〇年と申しますのは昭和六十五年でございます。二〇〇〇年は昭和七十五年でございます。そうしたものにつきましては、ただいま申し上げましたように、厚生省の高齢者対策企画推進本部の報告でございますとか、人口問題研究所の将来人口構成の推計とか、そうしたもろもろの数字はあるわけでございまして、そうした推計によりますれば、昭和八十五年度までのそうした人口推計あるいは社会保障給付費の推計、それに見合いますところの社会保障負担の推計等もございます。こうしたものを私ども念頭に置きまして、議論はしてまいったわけでございますが、これはただいま申し上げましたような厚生省の高齢者対策企画推進本部といったところの試算でございますので、政府としての推計をいたし、それを御提出申し上げるということで準備をさせていただいておるところでございます。
  198. 玉置一弥

    ○玉置委員 将来の税負担もわからぬのに、何で直間比率の見直しをやるのですか。私が数字を出してくれと言ったのは大分前なんですね。たまたまとまりまして期間があきました。きのうのきょうじゃないのです。出せないというならば、ちょっと大蔵委員会をとめて、どういう形でこの問題に対処していただくかというのを論議したいと思うのです。大分前なんですよね。根拠がなかったら、そういう積み上げはできないはずなんですよ。そうでしょう。直間比率見直しの必要はないじゃないですか、負担もわからないのだったら。
  199. 水野繁

    水野政府委員 確かに税制調査会への諮問等におきましては、高齢化社会、国際化社会を展望してという表現はございます。しかし、現在税制調査会でも審議が行われているその審議の過程におきましては、この十年来本格的な所得税減税が行われていない。一方また、我が国間接税が酒、たばこといった偏った間接税に重点を置いているというところから、この十年間をとりましても急速に所得税のウエートが上がり、間接税のウエートが下がっておる。また、マクロ的に見ましても負担率は上がっておる。そういうところからいたしまして、中期的展望に立つ場合にももちろん必要でございますが、現時点におきまして、こうした現状を放置しますとますますゆがみ、偏りが著しくなるということから、直間比率の問題が出されているところでございます。
  200. 玉置一弥

    ○玉置委員 数字が出ないなら、仮定でいいから現行体制でどうなるかという話をしているのですから、それさえ出せないなら、ちょっと委員長、とめてください。ちょっと理事会やりましょう。
  201. 越智通雄

    越智委員長 御質問を続けていただいて、この法案の審議が……
  202. 玉置一弥

    ○玉置委員 いやいや、だめです、私の時間がなくなりますから。
  203. 越智通雄

    越智委員長 あなたの時間はあと五分ですけれども。
  204. 玉置一弥

    ○玉置委員 まず時間をとめてください。
  205. 越智通雄

    越智委員長 わかりました。理事の方、ちょっとお集まりください。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  206. 越智通雄

    越智委員長 では、速記を始めてください。  ただいま理事間の協議により、委員長より政府委員に対し厳重に御注意申し上げます。  委員各位からの質問に対しましては、正確、的確に御答弁を願いたいと思います。また、委員各位からの御要求のありました根拠、資料等につきましては、できる限り速やかにこれを作成して、委員に御説明するよう要望いたします。  玉置委員質問につきましては、税制一般についての質問中残り時間を留保し、次回に繰り延べることとさしていただきます。なお、政府委員から、ただいまの件につきましての御答弁をお願いいたします。
  207. 水野繁

    水野政府委員 負担率の推計につきましては、関係省庁との関連もございますので、そうしたところと調整の上、できる範囲のものをできる限り早くお答えできるようにいたしたいと存じます。
  208. 越智通雄

    越智委員長 では次に、矢島恒夫君。
  209. 矢島恒夫

    矢島委員 昭和六十三年度税制改正の要綱を見ますと、「税制の抜本的改革との関連に留意しつつ、」以下云々と書いてあります。つまり、今回の租税特別措置法改正案というのが政府の言う抜本的税制改革と深くかかわっている。そこで、まず大型間接税の問題について質問をしたいと思います。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕  この大型間接税政府新型間接税と言われているわけですが、この問題については委員会や本会議ではなかなかはっきりしたことをおっしゃらない。しかし、別の場所や文書ではいろいろと言っておられるわけです。そこでお尋ねするわけですが、まず主税局の尾崎審議官が昨年九月、十月、十一月の「ファイナンス」に書かれた事柄、最初に確認しておきたいのですけれども、この尾崎審議官が「ファイナンス」に書かれたことは、「売上税独り語り」というパンフレットにもなっていると思います。これは、大方政府考え方あるいは主税局の考え方と理解してよろしいですか。
  210. 水野繁

    水野政府委員 「ファイナンス」で書かれております記事は、「ファイナンス」にお断りがされておりますように、あくまで個人の見解をまとめたものであり、意見等にわたる部分につきましては個人のものであるというふうに整理されているところでございます。
  211. 矢島恒夫

    矢島委員 「ファイナンス」といえば、大蔵省の広報誌であるわけです。それに現在れっきとした主税局の担当の審議官が書いたものだということになりますと、これは無責任なものではないということははっきりしていると思うのです。そういう点では、この尾崎審議官の言っている内容、いろいろ述べているわけですけれども、その一つ一つについて全部お聞きするだけの時間がありません。要するにこの「ファイナンス」の内容を見ますと、尾崎審議官は、我が国所得分布が平準化して貧富の差が少なくなってきている、だから垂直的公平の機能というものは税制で果たす必要はない、社会保障の分野は飛躍的に充実している、だから税制は水平的公平というものを図ればよい、つまり新型間接税の導入も結構ではないかということを言いたいのだと思うのですけれども、極めてこれは問題のある内容だと思うわけです。  この点では大蔵大臣も、ことしの「ファイナンス」の二月号で読みましたけれども、一月六日、大蔵省での年頭あいさつの中で、「日本のように所得水準が高くなって、しかも格差が少ない社会では、」以下云々と言っておられる。この年頭あいさつだけではなくて、この国会の答弁の中でも所得格差が少なくなっているという答弁をされていると思うのです。  つまり、大蔵大臣を初め大蔵省は、新型間接税導入の根拠の一つとして、日本国民所得の平準化を挙げておられると思うのです。私は、これが非常に重大な問題だと思うわけです。生活保護世帯の人々やあるいは年金生活者等が聞かれたら、本当に怒ると思うのです。国民全体も平準化されているということを思っていないのではないか。それにはいろいろ世論調査もされているわけですが、生活が苦しくなったという声が非常に強くなってきている。  例えば、ことしの一月四日の毎日新聞の世論調査によりますと、「貧富の差が「拡大している」と答えたのは一年前の調査より三ポイントアップの六〇%、「縮小している」は四ポイント減の三三%。」さらに毎日ではこう書いてあります。「財テクブームや株式投資などの”金余り”は一部高額所得者の話であり、日々の生活に追われる勤労者にとっては、「格差拡大」の実感を強めるだけのものでしかない。このことは労務職、販売従事者、熟練・技能職などサラリーマン層に拡大感がより強く、それぞれ七割近いことをみてもいえる。」こう書いてあるわけです。ですから大蔵大臣、こういうのは国民の感じだけで、実際には所得は平準化している、こういうふうに今も思われているのかどうか、その点をお聞きしたい。
  212. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今も思っております。
  213. 矢島恒夫

    矢島委員 何をもって平準化されているというようにお考えなのか、何を基準にして平準化と言われているのか、この辺をひとつ。
  214. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、例えば五分位階層の第一分位と第五分位の格差であるとかジニ係数であるとか、そういうもので言うべきだと思います。いずれも、これはこの一、二年のことを私は申しているのではないので、よくシャウプ税制の話が出ますから、この三十年余りの間に非常に平準化が進んだということ、もう一つは、世界の中でも一番平準化している、こういうことを申し上げております。  そこで、その途中で石油危機がございました。その後に、ある段階ではかなり雇用の問題が深刻になりましたので、労働組合側も賃金よりは雇用の確保、当然のことでありますが、そういうふうに考えられた期間がかなり最近まで長いわけでございますから、そういうときに平準化ということがその歩みをややとめたことはあるだろうと私は思っております。それでも我が国は、恐らく世界で一番平準化している国であるし、過去三十何年のトレンドをとりますと、非常に平準化が進んでいるということは、五分位階層を見ましても、ジニ係数は最近のがあるかどうかわかりませんけれども、両方恐らくその点は明らかだと思います。
  215. 矢島恒夫

    矢島委員 第一分位とか第五分位との比較ということでおっしゃられたわけです。このことは、自民党の政務調査会が「なぜ、今、税制改革か?」という本を出しておりますけれども、その中にも、第一分位と第五分位とを比べるとその差が二・九しかない、だから平準化している、このように書いてあります。しかし、この数値というのもいろいろ問題があるわけじゃないですか。つまり、例えば土地成金だとか有価証券でうんともうけた人はこういう統計に入ってきてない。勤労者の世帯の統計ですから、そういう上の方のいわゆる大金持ちは入ってこない。一方、生活保護世帯だとか低い所得の世帯が下の方では入ってこない。そういう統計ではないのですか。それを使って平準化ということを言われる、そういうふうに理解してよろしいですか。
  216. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この五分位の統計は総務庁の「家計調査年報」によっておりますから、勤労者世帯に係る計数であることは間違いございません。しかし、それはどうもこれ以上に統計のとり方がございませんから、そうして五分位ということは全体を五つに割るわけでございますから、その中の一番上と一番下ということになってくるわけで、どうもそれ以外にちょっと統計はございませんし、その統計によってみて、仮に三十年余りのトレンドならトレンドをとりましたら、それでも意味のある傾向はわかるはずですし、あるいは同種の統計で外国と日本を比べれば、それでも意味のある比較ができるであろうと思います。
  217. 矢島恒夫

    矢島委員 非常に問題のある統計を根拠にして所得平準化論を唱えていられるというところに、私は非常に問題があると思うのです。  国税庁の六十一年の「税務統計から見た民間給与の実態」というのがあります。これを調べてみますと、給与階級百万円以下、平均給与で七十五万円。それから二千万円以上、平均給与でいいますと二千八百六十四万円。この人の格差が三十八倍になっているのです。それから昨年、六十年度のを調べてみますと、同じところで調査しますと三十七倍。今度はわずか一倍ですが、三十七から三十八倍というふうに広がってきている現状もここにあらわれていると思うのです。  それから、これは私が昨年やはり大蔵委員会で取り上げて大臣質問したのですけれども、総務庁の貯蓄動向調査を挙げながら勤労世帯、これもやはり大金持ちは入っていないわけですけれども、年間収入で第五分位は第一分位の三・六四倍になっている。資産の方はもっと差が拡大していて、貯蓄現在高では四・六倍、有価証券の保有では三二・二倍。要するに、それはいろいろな統計はあるかと思うのです。しかし、最もよい統計というものを実際に見つけていくことは、非常に大切だと思うのです。今使っているいろいろな統計を見ますと、最も所得格差が少ない都合のよい統計を使って、世論を誘導していくというふうに思えてならないわけです。国民の現在の実感からしても所得格差は大きく広がっている、こういうふうに実感しているのが圧倒的に多いわけです。いかがでしょうか。
  218. 水野繁

    水野政府委員 、所得水準が戦後高度成長期を通じましてかなり平準化してきているということは、国民生活白書等におきましても明らかにされているところでございます。ただ、この生活白書にもございますように、最近女性の社会進出が進んだこと、あるいは高齢化が進んだこと等から、最近に至りますとその平準化の動向に若干ぶれはございますが、そうしたことは従来の世帯主の職業や学歴の相違からくる所得格差とは同じものではないというふうな分析も行われているわけでございまして、最近の動向を戦後の時期と比べ、あるいはアメリカ等の諸外国から比べれば、これは明らかに平準化が行われているということは言えることではないかと思うわけでございまして、こうした情勢を背景といたしまして論議をすることは適切なことではないかと考えるところでございます。
  219. 矢島恒夫

    矢島委員 尾崎審議官の「売上税独り語り」もそうですし、今の答弁でもそうですが、戦後間もなくの状況と今とを比べる。尾崎審議官のですと昭和三十年度を例にとりながら、いろいろとこれは社会保障関係費とのかかわりで言っているわけですけれども、三十三年も前のことを比べていらっしゃる。あの時代と今を比べてみて、だから平準化だとかあるいは社会保障も充実してきたという論拠の一つにしているわけです。  これは、朝日新聞の発表したところの労働省のデータですけれども、最近の財テクブームの中での所得格差の拡大とあわせて、消費の階層別分布の進展を明瞭に示している。勤労者世帯を五等分し、一月から九月までの収入と消費の動きを前年と比較した場合、所得の最も大きい第五分位層だけが高い伸び、収入で三・六%増、消費の方で四・六%増、それ以外の所得層は収入がごくわずか増加を見せているものの、消費はマイナスか横ばいの状態。所得の低い第二分位層では一・八%減、続く第三分位層では〇・九%減、第五分位とは際立った傾向の違いを見せている。株や資産の運用で収入をふやし、豊かな消費生活を送る高所得層と、資産拡大の手だてもなく消費も引き締めぎみの中低所得層との間で、階層分化が進展する傾向を示している。これは見通しも含めて労働省の調査結果が書いてあるわけですけれども、この格差というのは先行きもっと縮まっていくのだ、平準化されていくのだとお考えでしょうか、それともまだ先のことはわからないとお考えでしょうか、ちょっとお答えください。
  220. 水野繁

    水野政府委員 ただいまの数字は、恐らく一月、九月の分の数字ではないかと思うわけでございます。勤労者世帯におきましては、冬のボーナスというものが非常に収入の大きなウエートを占め、それに従いまして大きな消費をされるということもあるわけでございます。また、十月、十一月には株式市場の暴落等もございます。六十二年通しての数字としてどのように相なるかにつきましては、私どもどのような予測をすることができるか、なかなか難しいところでございます。
  221. 矢島恒夫

    矢島委員 なかなかお認めにならない状況でございますけれども、国民生活の実態を本当に御存じないのじゃないかと思わざるを得ません。  所得平準化論と、先ほど私が申し上げた尾崎審議官の社会保障充実論というのがあるわけですが、これも非常に問題だと思うのです。この「売上税独り語り」の中で、昭和三十年度、今から三十三年も前の社会保障関係費と比べて大変悦に入った書き方をされている、何をか言わんやという状況だと思うのです。この六年間だけちょっと見ましても、軍事費は四三・一%もふえました。これに対して社会保障関係費は一四・三%増です。御存じのように、五十八年の老人医療費の有料化、五十九年には健康保険の本人一割負担の導入、六十一年基礎年金導入によって給付水準の三〇%切り下げ、保険料の値上げ、児童扶養手当法や児童手当法の改悪、六十二年には老人医療費の患者負担の増大など、社会保障関係費はどんどんよくなっているのだというような書き方をしているのですが、とんでもない、どんどん改悪されている状況にある。  しかも、今提案されている六十三年度予算を見ましても、当然増経費として七千億円ぐらい必要だ、しかしこれを四千億円以上も切り捨てている。例えば、生活保護費の削減だとか国民健康保険制度の改悪だとか障害年金の支払い月の変更、いわゆる福祉切り捨て予算だ。尾崎審議官は、乏しい国民の生活実態を御存じないのではないか。この尾崎審議官の発言というのは、新大型間接税導入を誘導する論議であると同時に、抜本的改革の中に含める所得税の累進税率をフラット化していく、そのための誘導論でもある、こう見ざるを得ないのです。こういう論で新大型間接税を導入しようということでは、国民は到底納得するものではないということを強調しておきまして、次の質問に移りたいと思います。  実は、自民党の安倍幹事長が帝国ホテルでの会合で言われたことの一つとして、広く薄く負担を求める間接税が必要だ、直間比率を五対五ぐらいにシフトさせたいと思っている、こういう記事がありました。これですと新型間接税、つまり五対五にすると税率は同%ぐらいというふうに踏んでいるか、その辺をお聞きしたい。
  222. 水野繁

    水野政府委員 直間比率が五対五になるという大ざっぱな仮定のもとにおきましても、それが専ら所得税、法人税等の直接税の減税によってそういうことになるのか、間接税がある程度収入をふやしてそういうことになるのか、その場合におきましてもどのような租税、間接税はは酒、たばこ、揮発油、物品税等々あるわけでございますから、そういうものをどのようにしてそうした比率に持っていくことになるのか、そこらは全く今後の検討課題であり、また五対五が目標値として定められているということでもございませんので、それをもとにいたしまして個々具体的な税目につきましての仕組み等を議論するまでには到底至らないところでございます。
  223. 矢島恒夫

    矢島委員 何%になるかということについては今の段階では答えられないわけですが、売上税のときに、最初から五%は多過ぎたから今度は二ないし三%が適当だという発言もあります。大蔵大臣は二月六日の予算委員会で、我が党の正森議員の直間比率六対四の見直しで間接税はどれくらいふえるかという質問に対して、全体の税収が四十六兆円、その一%は四千六百億円、その十二倍で――十二倍でというのはいわゆる二八対七二というのだと思いますが、十二倍で五兆円前後と、このようにお答えになっていらっしゃる。それでいきますと、今は直間比率を五対五という発言もあるわけですが、四千六百億円の今度は二十二倍ということになります。十兆一千二百億円ですか、これくらいになると思うのですが、この部分だけの考え方としては、これはよろしいですね。
  224. 水野繁

    水野政府委員 全く機械的に計算を申し上げれば、現在の国税総額は四十六兆でございますから、一%が動くということでございますと四千六百億円の所得税が減税になり、間接税がその分だけふえるということは機械的に出てくる数字でございますが、それは全く政策的に結果として出てくる話でございまして、そういう数字でもって税制方向なりなんなりを議論できる数字であるとは、私ども思わないところでございます。
  225. 矢島恒夫

    矢島委員 主税局長、二月十九日にはあなたもお答えになっているのですね。そのときには十兆三千億円ぐらいと言われたかと思いますけれども、いずれにしろ、直間比率を変えることによってどの程度の税収を上げなければならないかということに対しては、五兆円前後、これが六対四の場合、五対五になりますと十兆三千億円ぐらい、こうお答えになっている。  たしか昨年の売上税のときですけれども、物品税の廃止が伴うわけですから、この物品税廃止等をたしか二兆四千八十億円と見込んだと思うのです。新型の間接税でも物品税その他、この計算の基礎がわかりませんのでこれをそのまま使って同額の廃止を見込んでみるということになりますと、五対五にするには十二兆五千二百八十億円。さらに、地方財政に約七分の一譲与税をやる、これを譲与するとすれば、これを計算していきますと十四兆三千百八十億円となる。そこで、売上税のときと同じ課税ベースと考えて、いろいろ仮定を設けなければなりませんので仮定を設けております。これを百十六兆円としてみます。これは売上税のときの課税ベースと同じです。そして、この五〇対五〇にするには、計算しますと税率は一二・六%となる。到底この二ないし三%などというものではないわけです。たとえ、今非課税をほとんどなくす、あるいは非課税業者の限度を引き下げて課税ベースを仮に二倍に拡大してみたとしてもその税率は六・三%、これが大型でなくて何と言うのか。これを三%などという低い税率で導入する。これはまさに導入しやすくするための発言であって、仮に例えば初めそうであったとしても、すぐにどんどん税率を引き上げることは目に見えている。違いますか。
  226. 水野繁

    水野政府委員 ただいま税制調査会におきましては、所得税、法人税、間接税を通じ、全体としての整合性のある税体系の構築ということで御審議を願っているところでございますが、まだ議論は集約されるには至っておりませんので、もろもろのそれぞれの税目につきまして御答弁を申し上げられる段階にはないわけでございます。
  227. 矢島恒夫

    矢島委員 そういう状況にあるにもかかわらず、あちこちで政府のそれぞれの人たちがいろいろな発言をしているわけなんですね。そこに大きな問題があるわけです。きちんと委員会内容を詰めるというような事態よりも先に、いろいろな発言が出る。例えば今の五対五だとかあるいは二ないし三%で導入するのがよいとか、何ら根拠のないことがどんどん出てきている。そこに重大な問題があると私は思うわけです。  いろいろ言われましたけれども、直間比率を高めると、政府が広く薄くと言っても新型間接税三%ではどうもおさまらない。直間比率を五対五にする、これも昨年廃案になった売上税の税率五%どころか、もっと高い税率になる。だれが何と言おうと、まさに大型間接税そのものだと私は思っているわけです。広く薄くで三%前後あるいは直間比率五対五という論は、国民をいろいろ惑わせる、ごまかす、こういうものでしかないという点を私は指摘しておきたいわけです。  次の質問に移ります。  政府税調の公聴会の問題なんですが、このことについては小倉会長にも聞きたいわけですけれども、きょうは事務当局の大蔵省にお聞きしたいと思うのです。  二月八日から三月三日まで二十回にわたって、全国各地で公聴会が行われました。この公聴会の公述人というのはどのようにお選びになったのか、ちょっと具体的にお聞きしたいのです。
  228. 水野繁

    水野政府委員 公述人の方につきましては、できるだけ広範な分野の方々からお考えを聞くことができるように、それぞれ地元の御意見等も踏まえ、開催地域の経済社会的特性や全国的に見た分野別バランス等を考えて人選を行い、小倉税制調査会長の御決定でお願いしているところでございます。
  229. 矢島恒夫

    矢島委員 地方の財務局に具体的な人選についてはお願いしたというふうに聞いておりますが、それはそれでよろしいのですか。
  230. 水野繁

    水野政府委員 公聴会の場所等の選定につきましても、大蔵省としての地元の出先機関である財務局にいろいろ状況をお聞きして進めてまいったところでございます。  公述人につきましても、財務局等を通じましてその地域の経済界、労働界、地方公共団体等の関係者の御意見を幅広くお聞きして進めてまいったところでございまして、そうした段階では地方の財務局の協力を得ておるところでございます。
  231. 矢島恒夫

    矢島委員 幅広くいろいろな階層から選んだということは、もちろん、この公聴会の最大の目的は何といいましても新型間接税導入問題についての意見を聴取するということにあると思うのですが、意見が偏らないよう公述人の選出に配慮した、こういうことでございますか。
  232. 水野繁

    水野政府委員 公聴会の趣旨に即するように、もろもろの作業をお手伝いしてまいったところでございます。
  233. 矢島恒夫

    矢島委員 公聴会の経費がいろいろかかると思うのですけれども、旅費だとか会場費だとかあるいは広報の関係の費用ですね。こういう予算は総理府の方の予算になると思うのですけれども、大蔵省、どのくらいかお聞きになっていますか。
  234. 水野繁

    水野政府委員 御指摘のように、税制調査会は総理府に所属しているところでございます。大蔵省主税局と自治省税務局とがその庶務と申しますか、いろいろお手伝いをするところではございますが、予算関係は総理府の予算として計上されているところでございます。
  235. 矢島恒夫

    矢島委員 総理府の方にお尋ねしましたところ、三千万円以上という予算を使われている。正確に言いますと三千四十三万三千円ですか、こういう予算を使っている。結構必要なものだなと驚いたわけです。こういう貴重な予算を組んで行われている公聴会、また今御答弁にもありましたように、広く国民各層の意見を聞くのであれば、公述人がそれに即して選ばれていなければならないと思うのです。  そこでお聞きしたいのですが、公述人の構成がどのようになっているかという点なんです。男女別人員だとかあるいは年代別人員それから職業別、地位別人員、これについてちょっとお尋ねしますので、お答えいただきたいと思います。
  236. 水野繁

    水野政府委員 二十カ所で公聴会をお願いをいたし、百二十一人の方々に意見をお述べいただいたところでございます。百二十一人のうち、男性は九十七人、女性は二十四人となってございます。また、年齢構成といたしましては、三十歳代以下十一名、四十歳代二十七名、五十歳代三十五名、六十歳代三十三名、七十歳代以上十五名となってございます。  また、職業と申しますか、そうした所属される分野別といたしまして、これは正確にはなかなか区分しがたいところでございますが、これを大胆に分けて申し上げれば、農林漁業関係者十一名、製造業関係者十九名、非製造業関係者三十一名。以上三つのグループは、産業界関係と申し上げて区分すれば、この方々はおおむね製造業、非製造業者で五十名、農林漁業関係者を十一名入れれば、六十一名の方々が産業と申しますか事業者であるというふうに申せようかと思います。学者、マスコミ関係等十名、文化芸術関係等十一名、医師、弁護士等自由職業者関係七名、労働関係十一名、サラリーマンの方八名、主婦の方十三名。あえて分類して申し上げれば、そのような数字になろうかと思うわけでございます。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
  237. 矢島恒夫

    矢島委員 まず、百二十一人のうち男性九十七名、女性が二十四名というわけですね。女性の比率でいきますと一九・八%ぐらいになりますか、二〇%を欠けますね。女性が極端に少なくなっている、こういう点がまず一つあるわけです。  それから、今のいわゆる階層別の分け方、職業別の分け方というのはいろいろあろうかと思います。製造業、非製造業合わせますと五十、農業十一、学者、文化人が十とかあるわけですが、私、別の方法でいろいろ職業別、階層別の人員を調べてみたわけなんです。社長とか会長とか頭取とか専務、いわゆる会社役員が四十九名いるわけですね。全体の約四〇・五%、全体の比率からいうと非常に多い割合になっている。それから、国民の階層構成でいえば七割以上を占めている労働者、先ほど言いましたように十一名というお話がありました。サラリーマンを含めまして十八人。そうしますと、これは一五%を切りますね、一四・八か九になろうかと思います。つまり、サラリーマン層の不公平感というのは随分強調されているのに、この比率が非常に少なくなっているというのは極めて奇妙に感じるわけです。そうして、二月二十二日に砺波で行われた公聴会でも、意見発表者に勤労者代表がいないじゃないかというやじが飛んで、一時騒然となったという記事がございます。さらに、三月一日の福山市の公聴会でも、サラリーマン代表が含まれていなかったために、傍聴席から国民の真の代表かどうか疑問だ、大変厳しい発言が飛び出したと報道されております。まことにもっともだと思うわけです。青年だとかあるいは年金生活者、こういうのも人選から漏れているのではないか、これで果たして意見が偏らないように公平に中立に選んだと言えるのかどうか非常に疑問なんですが、いかがですか。
  238. 水野繁

    水野政府委員 税制全般にわたる御意見を承るということでございますが、具体的には所得消費、資産、税目的に申し上げれば所得税、法人税、相続税、消費税、こういったものにつきまして御意見を承るということでございます。したがいますと、納税者として現実に納税行為をしていただける方というのは、事業をしておられる方というのが圧倒的に多いわけでございますので、事業者の割合が比較的多くなるということはあろうかと思います。現実に納税行為をしていただく方方の手続的な面をいろいろ御理解いただき御意見を承るということで、そういうことに相なろうかと思うわけでございます。そうした場合、中小企業が比較的多くなるわけでございますが、中小企業でございますと、小さいところでございますからすぐ社長さんとかに肩書としてはなりますけれども、結局は、要するに個人の商店ともそれほど変わらないオーナーということでございますので、社長さんということでも別に大企業の代表者ということに必ずしも直結はしないのではないかと思うわけでございます。  それから、確かに女性が二〇%程度でございますが、やはりこれも今申し上げました現実に所得税であれ法人税であれ、納税行為をしていただける方は圧倒的に男性の方が現時点では多いわけですので、このような数字になっておろうかと思うわけでございます。  それから、サラリーマンの方につきましては、先ほど申し上げましたように労働界またはサラリーマンの方ということで二十人程度をお願いし、また、そのほかの学者、マスコミ関係者等々、この方々は一種の給与所得者でもございますので、結局は、そういった意味では給与所得者としての数字というのは労働界、サラリーマンというものに限られるわけではない。また、主婦の方というのも多くはサラリーマンの方の奥さんでございますから、そういう意味でとらえていただければ、サラリーマンの声というものも十分お聞きする機会は得られたのではないかと思うわけでございます。
  239. 矢島恒夫

    矢島委員 大分いろいろとあっちをくっつけ、こっちをくっつけ、お答えいただいたわけですけれども、税制全般についてやったのだ、もちろんそのとおりだと思います。ただ、新型間接税問題というのは、どこの会場でも公述人の中心的な発言になってきている、これも事実です。  それで、税制全般について税を納めていただく方、こうおっしゃいましたが、この辺、非常に問題がある発言だと思うのです。先ほど中小企業者の方々、社長といっても中小企業者――サラリーマンは全部納めておりますし、若い人たち、つまり青年層だって新型間接税が導入されれば納税者です。女性が少ない。しかし、いろいろと理屈をおっしゃられましたけれども、女性は、もちろん勤めていらっしゃる女性も非常に多くなってきていると同時に、たとえ勤めていなくたって家庭の台所を預かっているのですから、税金問題というのは一番身にしみて感じている人たちです。そういう人たちを、今いろいろと理屈をおっしゃったようですけれども、どうもきちんとした公述人の構成を考えなかったのじゃないか、そういう点が非常に問題である。  同時に、ひとつお聞きしたいのですが、今度の公聴会で新型間接税導入賛成者、それから条件つきで賛成した方、それから導入には反対の方、もちろん税制全般ですから、新型間接税については意見を発表しなかった方もいらっしゃると思うのですけれども、それぞれ何人くらいになっているか、教えていただきたいと思います。
  240. 水野繁

    水野政府委員 私がただいま申し上げたのは、納税行為を現実にしていただいて納税行為に協力をいただく方々として、実業に携わっている方ということを申し上げたわけでございまして、サラリーマンの方や主婦の方が税を負担していないということではございませんで、現実に納税手続に参加していただく方の点を申し上げたわけでございます。  それから、御意見は幅広くいろいろ公述をいただいたわけでございます。それは、全体としての税制につきましての御意見でございまして、その部分をとりまして、ある一部の税目につきましてどうであるかということは、結局その人の全体の考え方の中で影響されるわけでございますので、そこは、一部の税目、一部の項目についての賛否をただ単純にとるということは難しい面がございますので、そうした集計は特には行っておらないところでございますし、それはまたかなり難しいことではないかと思うわけでございます。
  241. 矢島恒夫

    矢島委員 そうしますと、将来においてもそういう形での集計はやらないのだ、こういうことでございますか。
  242. 水野繁

    水野政府委員 それぞれ税制の全体の姿についてお述べいただいていて、まだこの税はこうする、あの税はこうするという具体的な姿をお示ししての御意見ではございませんので、そうした特定の税目、項目と結びつけて賛否を整理するということは、なかなか難しい面があるのではないかと思うわけでございます。
  243. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれにいたしましても、この地方公聴会は、主催者の政府税調の小倉会長も、これは三月三日の東京の荒川での公聴会終了後の記者会見ですけれども、公述人は各層にわたって広く選ばれているかというと、そうは言えない。選び方が不公平だという批判に対して、何を言っているんだとけんかができない、こういう発言がございます。  大蔵省は、今いろいろお述べになりましたけれども、結論は、この問題ではもうはっきりしておると思うのです。つまり、大蔵省は根回しをやったということだと思うのです。一例だけちょっと述べておきますと、二月八日の大阪での公聴会、これは公述人が九人です。この九人全員が、新型間接税導入賛成だったと報道されているわけです。しかし、大阪といえば、参議院の補欠選挙が先日行われまして、我が党の吉井候補が大型間接税導入反対を公約に掲げて当選したところです。つまり言いたいのは、そういう結果が出ている大阪でやった公聴会に九人全員が導入賛成、反対者が一人も選ばれていない、どう考えてもおかしいわけですよ。大蔵省大型間接税導入の世論づくりは失敗した、こう言ってもいいと思うのですが、そこで次に、傍聴人がいろいろと発言されているようであります。この傍聴人の発言について、賛成とか反対だとかという動向はどのように把握されていますか。
  244. 水野繁

    水野政府委員 個別的にそれぞれの会場での傍聴人の方々の御発言というのも、御報告はお聞きしているところでございますが、特段その分野につきましての意見の集約というものは、現時点では行っておらないところでございます。
  245. 矢島恒夫

    矢島委員 いろいろ新聞を調べまして、不十分ながら私なりにその発言者数を分類してみたのです。百八十八人の傍聴人の発言について調べてみました。賛成とはっきり言っているのは三十六人、反対が九十四人、どちらとも判断できないあるいはその問題について発言していない、こういう方が五十八人、反対者がちょうど五〇%になるわけですね。新型間接税について意見を述べなかった人もいらっしゃいますので、そういう人たちを除きますと、賛成、反対者だけでいきますと七二・三%が反対者だった、こういうように出てきたわけなんです。傍聴人も公募、抽せんによって選ばれたわけですが、これまた大蔵省の思惑とは大分違いまして反対の方が七二・三%にもなった、こういう事態が起きたわけですね。  政府税調は、公聴会の意見を踏まえて、こういうことを言っています。それからいたしますと、七二・三%は反対だった。ただ、公述人についてはそういう集計はしていない、こういうお話ですけれども、それはともかくも、やっていただければその結果もわかってくると思うのですが、まさに公聴会の意見を踏まえるというならば、大型間接税導入というのは断念するのが筋ではないかと思うのですが、大蔵大臣いかがですか。
  246. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今回、前回のことにかんがみまして、なるべく皆さんから思い切っていろいろなことを言っていただこうというふうに考えまして、あちこちで公聴会をさせていただきましたので、それはまた自由な討論をする機会でもございました。私は、今度の公聴会の全体の雰囲気を聞いておりまして、どういう案で考えているということも申し上げなかったこともございますけれども、いろいろな御意見があった、それを今ちょっと御自分なりに分析すると、とおっしゃいましたけれども、やはりいろいろな御意見があったというような感じ、必ずしもそういうことは全く反対だよというような雰囲気のものではなかったというふうに聞いております。
  247. 矢島恒夫

    矢島委員 こういう公聴会でのいろいろな意見というものを十分尊重するという態度はぜひ貫いていただきたい。今の答弁で私、納得するわけではありませんけれども、小倉会長は、二月十三日岩手県の公聴会終了後の記者会見でこういうことを言っていらっしゃる。税調の結論はみんなわかっている、あとは時間稼ぎをしているだけ、これは毎日の二月十六日付に書いてある。まさに、結論先にありきということになるわけですね。こういう状態で公述人や傍聴人、まさに国民全体を愚弄するものだと言わざるを得ないのです。血税三千万円余りも使って、そうしてこういうことをやるということはまことにけしからぬ。大蔵大臣に、国民の声に対して素直に耳を傾けてもらう、こういうことを期待して次の質問に入りたいと思います。  今度提案されております租税特別措置法の一部改正案というのは、「当面早急に実施すべき措置を講ずることとし、」こうしてあるわけですけれども、大蔵大臣、早急に実施すべき措置として所得税の減税案を提案しなかったのはなぜですか。
  248. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 所得税は、昨年改正をしていただきまして一兆五千億余りでございますか、住民税をことしの分と合わせますと二兆でございますから、ともかく一応のことをやらせていただいた、そういう感じを持っておりまして、これでもちろん十分だというふうに思っていないのでございますが、そういうことがございましたので、いわば今回の早急という中から今度は提案をしなかったということでございます。
  249. 矢島恒夫

    矢島委員 それではお聞きしますが、大蔵大臣所得税の減税をどう考えておられるかということでございます。国民の生計費を見てみますと、最近、地価暴騰と住宅難、こういうものが家計を非常に圧迫してきている。特に、サラリーマン世帯の住宅ローンの返済が増加して、ローン地獄の状態になっている。ここに家計簿の調査の集計があるのですが、その中にローン返済についての調査が入っています。住宅ローン返済世帯の割合を見ますと、昭和五十三年が二二%であったわけですが、六十年になりますとこれが三一%に上昇しているわけです。現在は、恐らくもっと上昇していると思うわけです。  それから総務庁の家計調査報告の速報、これを見てみますと、六十二年の家賃、地代、全世帯月の平均額が八千八百三十四円で、対前年増加率は名目で一〇・一%、実質で六・八%の伸びとなっています。勤労者世帯で見ますと、六十二年の月平均が一万百七十八円、対前年増加率は名目で九・七%、実質で六・四%の伸びとなっています。それに対して労働者の賃上げ率はどうか。昭和五十一年以降ずっと一けた台で推移してきている、収入が伸び悩みになっているということは御存じのとおりです。人事院勧告昭和五十七年は完全凍結をした、その後は値切りが続いた、昨年は史上最低の勧告率となった。総務庁の家計報告で実収入を見てみますと、勤労者の世帯で実質で伸びが一・九%、つまり家賃や地代の増加率と比べても相当低くなっている。  こういう国民の実態からしますと、国民の減税要求というのは非常に切実なものがあると思うのですよ。ですから、このことは早急にやるべきものだと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  250. 水野繁

    水野政府委員 まさに、そうした住宅費支出の高い勤労者世帯あるいは教育費の負担が高い勤労者の中堅世代、こうした方々を中心とする所得税の減税を昨年一兆五千四百億お願いをし、また六十三年度からは住民税の六千億円の減税が行われるところでございまして、合わせると二兆円以上の減税になるところでございます。  また、ローン世帯につきましては、住宅取得促進税制の中で、今回、公的融資分につきましてもその全額を対象にするということで、思い切った拡充をいたしておるところでございます。
  251. 矢島恒夫

    矢島委員 大変減税されたような状況をお話しになりますが、それ以上にサラリーマン世帯、特に中、低所得者層の家計というのが苦しくなっている、こういう現状にあると思うのです。  教育費をちょっと見てみました。家計調査報告の速報を見てみますと、全世帯の六十二年の平均が、いわゆる教育費ですが、月一万二千百二十円、対前年増加率は名目で六・〇、実質で二・五%、勤労者世帯で見ますと一万三千五百七十円、対前年増加率は名目で三・四%となっています。  また、この六十二年度の国民生活白書によりますと、教育費のいわゆる消費の支出に占める割合、昭和四十年が三・九%、四十八年が二・五%ですから、そこまではずっと低下してきた。四十年から四十八年までは、教育費が消費の支出に占める割合が低下してきた。ところが、昭和四十九年以降は一貫して、どんどん、どんどんふえている。六十一年には四・五%ということになっている。  先ほどの家計簿調査の中でもこういうのが書いてあります。これは教育費だけじゃなくて教育育児費という分類になっておりますけれども、平均四万二千五百四十三円で収入の九・七%を占めている、こういう統計が出ております。  そういう点から大臣、ひとつこの教育費に対するいわゆる教育費控除、これを考えていくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  252. 水野繁

    水野政府委員 教育費につきましては、歳出面におきましてもろもろの国庫からの施策が行われているところでございます。そうした面におきまして、さらに税制の面でいろいろ助成の道を開くということは、全体としての教育に対する財政、助成のあり方につきまして大きな変更を加えるものでございますので、税の面だけからそうした面を議論するのはいかがかと思うわけでございます。  例えば、小学校、中学校にお二人を送っておられる家庭、こうした家庭に対しますところの公費負担は百六万円になるというような数字もあるわけでございます。また、税制固有の面を見ましても、教育費を控除するということになりますと、所得税を納めていない家庭の父兄の方にはそういった効果が及ぶのかどうか、また、高校だけで終えられて、義務教育だけで終えられて、働いておられて所得税を納めておられる方々とのバランスをどう考えるかといった問題もあるわけでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、住宅とともに教育費負担が比較的重くなる中堅サラリーマン、五十歳前後のサラリーマンの方々の御負担の軽減緩和という観点から、昨年は一兆五千億円の所得税減税を行って、そうした点につきましても大きく配慮を申し上げたところでございます。
  253. 矢島恒夫

    矢島委員 昨年度一兆五千億円の減税を行った。しかし、大臣も先ほどおっしゃられましたように、これでまだ十分だとは思っていないからまだいろいろ研究しなければならない。しかし、今回の税制改正では減税の提案はやられなかった。いつ、減税の税制改正の提案をされる予定か、ありましたらお答えください。
  254. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、本来私どものつもりは、先ほども申し上げましたように、所得消費、資産のバランスのとれた税制の根本改正をやりたいということで、税制調査会に御検討をお願いしているわけでございますから、その中で所得税の減税というものも考えていただけるもの、具体的な答申をいただけるものと思っておりまして、それがたまたま昨年廃案になりました際にも、やや長期的に私どもが所得税をどうしたいかということはあの中にも御提案をいたしておったわけでございますけれども、あれはああいうことになりましたので、改めてそういう答申を求めておりますので、それがいつになりますか、答申が行われ、それを検討いたしまして、いわば抜本改正一環として御審議を仰ぎたい、こう思っておるわけでございます。
  255. 矢島恒夫

    矢島委員 一刻も早く減税案を出すべきであるということを主張いたしまして、次の質問に入りたいと思います。  この問題につきましてはもう既に何人かの委員質問しております石油税の問題であります。従価税から従量税に変えた問題だとか、あるいは八カ月間という臨時的な処置になっているという御答弁は既にお聞きしておりますので、そこでその先をちょっとお聞きしたいのですが、この石油税を従量税にし、八カ月という異例のやり方を行う、このことは石油連盟だとかあるいは石油業界や経団連の要求を受け入れたのではないか。といいますのは、石油業界や経団連は今回のこの二・五倍もの増税に反対しているはずです。八カ月間といるのは、六十四年度から大型間接税を導入する、そのとき石油税も再検討する、そういうことで折り合いがついたからこういう提案になったのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  256. 水野繁

    水野政府委員 今回の御提案は、大変に変動いたします原油価格それから為替相場、こうしたものによりましてこの石油税が大きく変動するわけでございますが、一方、その税収は石油及び石油代替エネルギー対策として使われておるところでございます。したがいまして、ある程度安定的にそれが確保される必要があるわけでございます。それからまた、この二つの要因によりまして、最盛期と比べますと相当な減収になっておるところでございます。  そこで、当面の石油及び石油代替エネルギー対策のための財源を確保する、しかも、税負担としても税収としても安定的に確保するという観点から、当面従価税を従量税の形にしつつ、所要の増収措置を講じさせていただいたところでございます。
  257. 矢島恒夫

    矢島委員 先ほどの答弁にもありましたとおり、抜本的改革とあわせてこの八カ月間というものを考えたのだ。つまり、今回の石油税の増税措置というものは新大型間接税の導入をにらんだものだ。たばこ消費税の方の増税措置というものを一年延長、これも間接税強化の方向大型間接税導入の地ならしと考えざるを得ないのです。  そこで、もう一度お聞きするわけですが、今回のこの改正要綱を見ますと、「当面早急に実施すべき措置」とあるわけですが、この「当面早急に実施すべき一となる基準というものをちょっと教えていただきたい。はっきりしていただきたい。
  258. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、先ほどから申し上げておりますように、抜本改正をやりたいということを考えておりますので、そういう見通しを一つ持ちながら、税目によりましては、例えば相続税のように、何としてもこれは大きな税でございますから、今急ぐことがないわけではございませんけれども、やはりこれは抜本改正一環に入れたい。酒税もそうでございます。そういうことの中で、今その全体のピクチャーを余り、何といいますか、どうしてもそこの中へ取り込まなきゃならぬということでない、全体の中で今前倒しをしても、前倒しという言葉はいけませんが、少し先んじてやっても、全体の構図の中へ入っていくだろうといったようなもので急ぐものを今回やらせていただいた、こういうことです。
  259. 矢島恒夫

    矢島委員 どうもはっきりしないわけですけれども、大臣も先ほど言われたように、所得税の減税というのは先送りという形になっている。ところが、急ぐ必要がないだろうと思われる改正、例えば専売納付金制度のもとで三級品と言われていた「エコー」とか「わかば」とか「しんせい」、こういう税率を下げております。これを税率を下げて小売価格も下げるのなら話がわかるわけですが、その考えはないと聞いております。そういうものを早急に実施すべき措置として、これがどうして早急に実施すべきものなのか、非常に理解できないわけなんですね。こういう点はどうなんですか。
  260. 水野繁

    水野政府委員 三級品の問題につきましては、この種類のたばこを好まれる方というのが非常に高齢者に多い、そういう意味からして特に価格を低く抑えているという面もあるわけでございますが、そうした高齢者の方々の愛用される場合が多いということからだんだん消費は減ってまいりました。そうした消費の動向からいたしまして、その採算というものはほとんどすれすれにまでなってきておる。もう少しほっておきますと、これがむしろその部分にとっては赤字となるわけでございます。そういった事態の寸前になっておりますので、そうした事情を背景にこの部分を税の負担の面から若干調整をし、そこにおきましてお年寄りの方々の愛好される場合が多いわけですので、値上げとかそういった面は極力避けるという意味から、この一年延長の機会にそうしたものを織り込ましていただいているところでございます。
  261. 矢島恒夫

    矢島委員 どうも納得いかないのですわ。税金を下げたけれども、そういう理由で、採算の関係から売り値、小売価格は引き下げられない、こういうことを早急にやったということだろうと思うのですが、今までずっといろいろと答弁を聞いていまして、要するに今回のこの租税特別措置法改正というのは、新大型間接税導入を第一とした意図的なもの、こう考えざるを得ないのです。その点が答弁の中からはっきりしたということを申し上げて、残り時間がありませんので、次の土地税制についてちょっとお伺いしたいと思います。  土地税制の問題ですけれども、もちろん、いわゆる税制だけで土地高騰を抑えられるものでないことは当然であります。しかし、その改正が地価対策に役立つものでなければならない、これも当然だと思います。今度の改正がどう役に立つのか、その点で、自民党の昭和六十三年度税制改正大綱案、これを読みますと土地税制について、「異常な地価高騰など、現下の土地問題に対応し、土地の供給および有効利用の促進と需要の適正化を図るため土地税制改正する。」こうあるわけですけれども、大蔵省が今回土地税制についての改正案を提出している理由も大体これと同じと考えていいんですか。
  262. 水野繁

    水野政府委員 おおむねそうした考え方でございます。
  263. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで、優良住宅地の造成のための土地等の譲渡の長期譲渡課税の改正、これによって土地供給がどの程度促進されるのか、その見通しを示していただきたいと思います。
  264. 水野繁

    水野政府委員 土地はその供給されるときには、できるだけ切り売りとかそうしたものが排除されることが必要ではなかろうかと思うわけでございます。今回、優良住宅地の課税につきましては、従来二〇%、二五%の二段階のものでございましたものを一律二〇%として、いわば切り売り的な動機を小さくしようとするものでございます。これによりまして、公共用地や優良な住宅地の供給の促進等につきまして、これが相応の効果があるということを期待して、御提案を申し上げているところでございます。
  265. 矢島恒夫

    矢島委員 相応の効果があるということで提案しているというのですが、促進される見通しだ。ですから、私が聞いているのは、具体的にどの程度促進されるというように大蔵省考えておられるか、その点なんです。
  266. 水野繁

    水野政府委員 ただいま申し上げましたように、税率が累進する、あるいは段階的な税率でございますとその部分で税負担が大きく変化いたしますので、供給がその分阻害される。そうした部分、そうした要素が除去されるということから、相応の効果が期待されると申し上げたところでございます。ただ、じゃこれによって何へクタールのものがふえるというような定量的な見積もり、見通し等は行ってございません。
  267. 矢島恒夫

    矢島委員 数量的にこのことを示すことはできないというのがその結論だと思うのです。土地税制が地価対策の補完的な役割を果たすものだということは承知しています。しかし、今回改正案大蔵省が提案しているわけなんです。理由は、先ほども私が申し上げましたように土地の供給等有効利用ということだ、そして土地供給策の一つであるというわけですから、主税局として土地税制をこのように変えるとどうなるのか、そういう見通しがあると思うのですよ。やみくもにやっているとは言いませんけれども、見通しがなくて改正できるのかどうか。この優良住宅地の造成のための土地等の譲渡による税収がどういうふうになるのか、これをちょっと教えていただきたい。
  268. 水野繁

    水野政府委員 土地につきましては、御承知のように譲渡益四千万円までの部分は二〇%、それを超える部分につきましては二分の一総合課税ということになっているわけでございまして、これは通常の譲渡所得として累進課税をいたした場合とほぼ同程度か、あるいは場合によってはそれを上回るような御負担もお願いをしておる、全体としての土地譲渡所得課税というのは土地の譲渡に対して相応の御負担をお願いをしておると言えるのではないかと思うわけでございます。  そうした中にございまして、こうした優良住宅地供給促進のための税制等を部分的に講じさせていただこうということでございますが、そうしたもろもろの供給促進措置、部分的な措置につきましては、それぞれの措置によりまして税収動向がどのように変化するかということは、個別的には積算はいたしておりません。ただ、税収見積もりの面からまいりますれば、そうした全体としての土地の譲渡益の動向を踏まえて、マクロ的は算出いたしておるところでございます。
  269. 矢島恒夫

    矢島委員 部分的なものでなくてマクロ的という、そういう答弁ですけれども、そういう答弁では本当に土地供給策になるのかどうか、皆目私たちにわからない。つまり、この改正によって税収はどうなるのか、マクロ的には出してあっても部分的な計算はしてない、こういう答弁ですから、本当に計算してないのですか、マクロ的なものだけで部分的なもの。それともこれは計算できないのですか、そういう部分的なやり方は。どうもそんなことはないと思うのです。計算しているならばひとつその計算した結果、これだけの税収になり、これだけの土地供給に役に立つのだというあたりをはっきりしていただきませんと、どうもこれ以上質問ができなくなるわけなんですよ。審議できないですよ。いかがですか、そういうことはできないのですか。
  270. 水野繁

    水野政府委員 現在の土地税制の基本的な見直しを行ったのは昭和四十四年でございます。昭和四十四年におきましては、それまでの二分の一総合累進課税というのを、一定の期間を置きつつ分離課税にいたしたところでございます。土地につきまして、もろもろの軽減課税をいたしたりしております場合には、そういう軽減課税が行われなければ譲渡が行われなかった、そういうふうなものが出てまいる。譲渡が行われればそれは譲渡益として実現するわけでございますから、税収は確保される。したがいまして、軽減措置を講ずるとした場合のそれによる増収の変化は、マクロ的に見ればそれほど大きくはない。むしろ、改正をしない場合とマクロとしての税収は変わらないという方向を、昭和四十四年以来一貫して維持してきておるところでございますので、その改正の部分をとりましてそれによる増減収を強いて申し上げれば、それは税制改正なかりせばそういう譲渡は出てこなかったという面があるということから、そこはマクロとしては同額と申しますか、変化はないというふうな見積もりを一貫してとってまいっておるところでございます。  しかし、土地関係の譲渡所得課税、マクロとしてのものは、全体の土地の譲渡がどのように行われ、それによって譲渡益がどの程度発生しということにつきましては、データをもってマクロ的に適正に見積もりをいたしておるところでございます。
  271. 矢島恒夫

    矢島委員 今度の税制改正は、土地税制一つの目玉にもなっているわけです。今のこの狂乱物価の中で、政府は土地供給を促進すれば地価は下がると言っている。そこで、この補完的な役割として今度の土地税制改正が提案されている、こう理解しているわけですが、それならばこの根拠を、きちんとこういうことで計算してみたところこういう結果になって、土地の価格引き下げに役に立つのだというのがあってしかるべきなんです。何にもなくて、やみくもに当てずっぽうでやって、多分土地の供給はふえるだろう、土地は下がるだろうでは、これは困るわけなんです。そうでないと、今回の改正が地価を抑制するのに役立つのかどうか、皆目判断ができないのです。  そういう点からいえば、ちょっと先ほども資料の問題が出ました。その資料の問題についてはあのような形でやったわけですけれども、どうもこういう点を明確にしないと次の論議へ進めないわけです。今出せないと言うなら、それは後ほどできる範囲でいいです。マクロというのでマクロだけになるか、部分というのも幾らか含まれるか、それはお任せします。そうしたらお話し合いしたいと思いますので、それに関する資料を提出していただきたいと思うのです。委員長、このことについてひとついかがでしょうか、取り計らっていただきたい。
  272. 越智通雄

    越智委員長 政府委員にお伺いします。  矢島委員の御要求する資料についての的確なる御答弁をお願いいたします。
  273. 水野繁

    水野政府委員 ただいま申し上げましたように、土地の税制につきましての個別的な改正によりますところの増減収につきましては、計算をいたしておりませんし、これは一定の仮定を置けばこういう結果になるというような性格のものでございますので、この改正によりまして、定量的にどのような供給増減があるかということを的確にお示しすることは困難であると考えます。  しかし、昭和四十四年の改正の際に、二年置きに税率を変化させた実績がございます。そのときには、その二年日の段階になったときに横ばいになり、その次の年には猛烈にふえるといったような顕著な動向が見られるところでございますので、そのような過去の改正の際におきますところの実績の動向、そうしたものを勘案して、その定性的な効果を策定と申しますか想定いたしておるところでございます。そういったもの、過去の税率の変化、こうしたものに応じての土地取引の変化等につきましては、過去のデータとしてお示しすることはできます。
  274. 矢島恒夫

    矢島委員 ぜひ、そのことを資料としていただきたいと思いますので、要求しておきます。  土地税制につきましては、この優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得課税、これは先ほど御答弁にありましたが、特別控除後の譲渡益四千万超の部分の課税二五%から二〇%に引き下げることにする。それから、居住用の財産の買いかえについても税率の緩和が行われる。特別控除後の譲渡益四千万円超の部分を、これは何十億であっても一五%にしていく、こういうわけですね。このことは、土地供給に役立てようというねらいから行ったわけなんですか。
  275. 水野繁

    水野政府委員 こちらの方の改正は、むしろ土地の仮需要と申しますか、不要不急の需要の増大を抑制するという方の観点の方が大きいかと思います。
  276. 矢島恒夫

    矢島委員 土地税制の長期分離課税の全体として低税率をさらに緩和するというのは、不公平の拡大ではないかと私は思うわけですが、奥野長官が二月十八日、これは私の本会議での質問ですけれども、そのことを半ば容認するような答弁をされたわけですけれども、大蔵省も、土地供給と需要の適正化のために、少々不公平が起きてもやむを得ないとお考えですか。その点はどうですか。
  277. 水野繁

    水野政府委員 先ほど申し上げましたように、四千万円までは二〇%、それ以上は二分の一累進課税というこの土地税制の基本的な仕組みからいたしますと、土地譲渡益全体につきましての負担は相応のものである。普通の累進総合課税をした場合と変わらないように見積もられるところでございますので、全体としての土地譲渡につきましては適正な負担をお願いをしておると思います。しかし、部分的なもろもろの政策、これはその政策を目指してのものでございますので、その限りにおきましては厳密な意味での税負担の公平というものは害される。しかし、それは供給促進、需要抑制という面から、それをあえて御提案をしているということでございます。
  278. 矢島恒夫

    矢島委員 不公平の拡大というようなことにならないことを強く要望いたしまして、残り時間わずかで、新しい問題に入りたいと思うわけですけれども、半端になりますので、ちょっと時間は残っておりますが、質問を終わります。
  279. 越智通雄

    越智委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十九分散会