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矢島委員 「ファイナンス」といえば、
大蔵省の広報誌であるわけです。それに現在れっきとした主税局の担当の
審議官が書いたものだということになりますと、これは無責任なものではないということははっきりしていると思うのです。そういう点では、この尾崎
審議官の言っている
内容、いろいろ述べているわけですけれども、その
一つ一つについて全部お聞きするだけの時間がありません。要するにこの「ファイナンス」の
内容を見ますと、尾崎
審議官は、
我が国の
所得分布が平準化して貧富の差が少なくなってきている、だから垂直的公平の機能というものは
税制で果たす必要はない、社会保障の分野は飛躍的に充実している、だから
税制は水平的公平というものを図ればよい、つまり
新型間接税の導入も結構ではないかということを言いたいのだと思うのですけれども、極めてこれは問題のある
内容だと思うわけです。
この点では
大蔵大臣も、ことしの「ファイナンス」の二月号で読みましたけれども、一月六日、
大蔵省での年頭あいさつの中で、「
日本のように
所得水準が高くなって、しかも格差が少ない社会では、」以下云々と言っておられる。この年頭あいさつだけではなくて、この国会の
答弁の中でも
所得格差が少なくなっているという
答弁をされていると思うのです。
つまり、
大蔵大臣を初め
大蔵省は、
新型間接税導入の根拠の
一つとして、
日本国民の
所得の平準化を挙げておられると思うのです。私は、これが非常に重大な問題だと思うわけです。生活保護世帯の人々やあるいは年金生活者等が聞かれたら、本当に怒ると思うのです。
国民全体も平準化されているということを思っていないのではないか。それにはいろいろ世論
調査もされているわけですが、生活が苦しくなったという声が非常に強くなってきている。
例えば、ことしの一月四日の毎日
新聞の世論
調査によりますと、「貧富の差が「拡大している」と答えたのは一年前の
調査より三ポイントアップの六〇%、「縮小している」は四ポイント減の三三%。」さらに毎日ではこう書いてあります。「財テクブームや株式投資などの”金余り”は一部高額
所得者の話であり、日々の生活に追われる勤労者にとっては、「格差拡大」の実感を強めるだけのものでしかない。このことは労務職、
販売従事者、熟練・技能職など
サラリーマン層に拡大感がより強く、それぞれ七割近いことをみてもいえる。」こう書いてあるわけです。ですから
大蔵大臣、こういうのは
国民の感じだけで、実際には
所得は平準化している、こういうふうに今も思われているのかどうか、その点をお聞きしたい。