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1988-04-22 第112回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十二日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 福島 譲二君    理事 愛野興一郎君 理事 麻生 太郎君    理事 金子原二郎君 理事 野田  毅君    理事 中西 績介君 理事 藤原 房雄君    理事 小渕 正義君       北村 直人君    古賀 正浩君       自見庄三郎君    竹内 黎一君       鳩山由紀夫君    松田 九郎君       三原 朝彦君    谷津 義男君       岡田 利春君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    吉井 光照君       児玉 健次君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         労 働 大 臣 中村 太郎君  出席政府委員         通商産業大臣官         房総務審議官  山本 幸助君         通商産業省立地         公害局長    安楽 隆二君         工業技術院総務         部長      山本 貞一君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         資源エネルギー         庁石炭部長   鈴木 英夫君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       竹村  毅君  委員外出席者         国土庁大都市圏         整備局計画課長 中野 和義君         自治省財政局地         方債課長    松本 英昭君         自治省財政局指         導課長     二橋 正弘君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   尾形 智矩君     谷津 義男君 同日  辞任         補欠選任   谷津 義男君     尾形 智矩君     ───────────── 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ────◇─────
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。
  3. 三原朝彦

    三原委員 私の生まれ育ったところ、隣にお座りの麻生先生もそうですけれども筑豊炭田という一時期は日本エネルギーの大半を担ったようなところから私どもは出させていただいておるのです。地元は一生懸命努力をしておりますけれども、残念ながら、今は昔日のような栄光を求めてもなかなか簡単にいかない事情であります。きょうは、その旧産炭地振興のことで少しお尋ねしたいと思うわけであります。  産炭地振興のためにその一翼を担っていただいております地域振興整備公団がございますが、産炭地だけではありませんけれども、全国で百を超える事業用団地造成してこられた。そして企業地方進出、また文字どおり地域振興に寄与してこられているわけでありますけれども、その中でも、旧産炭地の再活性化のための働きも少なからずしていただいているということを私ども感謝しておるところであります。北海道、常磐、山口、そして九州に事業用団地を形成していただいております。言うまでもなく、団地造成は手段であり、目的はそこに企業誘致し、それで起こる雇用創出が伴わないことには何の意味もないことですけれども地域公団団地造成分譲等状況は、始められてから今日までどのような状況ですか、お伺いしたいと思うわけであります。
  4. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のように、産炭地域振興の柱といいますのは、産業基盤整備あるいはそれと並行して行われます企業誘致による雇用創出ということであろうと考えております。地域振興整備公団におきましては、企業誘致による雇用創出して地域振興を図るために、昭和三十七年に、当時は地域振興整備公団の前身の産炭地域振興事業団でございましたけれども、この公団が設立されまして以来、産炭地域におきまして積極的に団地造成事業を進めてまいっておるわけでございます。  現在までの団地造成状況でございますけれども昭和六十三年の三月までに百三十団地造成が行われております。そのうち、完成いたしましたものは百二十四団地でございまして、現在造成中のものが十四団地ございます。この完成団地分譲対象面積が二千三百六十三ヘクタールございまして、六十三年三月までの数字を見てみますと、約八五%に当たります二千十八ヘクタールが分譲されておるという状況になっております。
  5. 三原朝彦

    三原委員 ところで、ちょっと話が具体的になりますけれども、実は私ども地元地域公団宮田工業団地というのがありまして、この三月に分譲開始されたのです。それについてちょっとお伺いしたいと思うのです。  工業団地を買う人にとって魅力的なものにするためには、もちろん交通のアクセスとか工業用水とかというインフラストラクチャーを充実しなければいけませんけれども、また価格も大いに問題があるかと思います。いろいろお話を聞きますと、造成して販売するまでに借りたお金の利子を上積みしていったり何かしていまして、政府お金を使うにしては思ったより高いというようなことも聞くわけであります。調子のいい言い方かもしれませんけれども、売れやすい分譲価格にするために弾力化方策を何か講じられるようなお考えはないのでしょうか。また、しゃくし定規では買う方に魅力を与えるには難しいのではないかと私は思うわけであります。  また、使用の目的にしても、工業団地ということに限定しますと、産業構造転換ということで製造業、第二次産業あたりがどんどん拡大することはこのところ難しい状況にあります。そこで、地域経済に寄与するものであれば工業ということは問わないで、こだわらないでもっと柔軟性を持って、いろいろサービス業だ、レジャー産業だ何とかだということも進めていっていただきたいと思うのですが、そういう点の二点、ちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 御指摘団地分譲価格でございますけれども、この価格については、造成に要しました費用あるいは不動産の鑑定の評価あるいは周辺の類似の土地価格といったようなものを勘案いたしまして定めることにしております。ただ、先生の今のお話のようにこの辺工夫の余地はないかということでございますけれども、例えば、あらかじめ来られる企業がある程度わかっておりまして、そういう企業ニーズに合わせた造成を行い、それを一括分譲するというような場合には、こういうことによる原価の低減を分譲価格に反映するということも可能であると考えておりまして、今後、そういう形での立地企業の要望というようなものがございました場合には、積極的に対応していく必要があるのではないかと考えておるわけでございます。  それから、レジャー等第三次産業対象にするべきではないかという先生の御指摘はまさにそのとおりだと思います。特に、先ほどの産炭地審議会建議におきましてもそういう趣旨のことが提案としてなされておりまして、御指摘の第三次産業も含めた幅広い分譲というようなことを促進してまいりたいと考えております。
  7. 三原朝彦

    三原委員 前向きなお答えをいただいて私どもも大いに感謝し、さらにまた地元にも、大いに自助精神でもって頑張ってもらうように我々も働きかけたいと思います。  また、もう一つ地元のことで恐縮ですけれども、今言いました宮田工業団地の隣に今度は小竹という町があります。昭和四十八年の通産大臣事業認定から十数年も経過したのですけれども地域公団指導によって、ボタ山跡地あたりを何とかしなさいということになっております。現在の進捗状況、今後の見通しみたいなことをちょっとお尋ねしたいと思うのです。  当局も御承知のように、数カ月前にその町から大デレゲーションで町長さん以下関係者が上京してこられて、窮状を通産当局に訴えました。鉱害で陥没しておる現地の田面、またボタ山跡地等々、我々もふるさとに戻るたびに、この解決には地域公団とか通産省の力なしではいかんともしがたいと確信するところでありますし、また、それゆえに地元としては、そういう大きな力でないとということで無力感にさいなまれておるということも現実であります。そこのところをちょっと教えていただきたいと思います。
  8. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 小竹団地の問題につきましては、この団地は、ボタ山を切り崩しまして、重鉱害地にそのボタを入れることによって団地造成するというような構想で発足したわけでございます。企業誘致による地域振興と、二つ目は重鉱害地鉱害復旧、それから三番目にボタ山処理が一度にできる、いわゆる三位一体成果を得ることができるということで、昭和四十八年十二月に通産大臣事業承認を受けました団地でございます。  この団地進捗につきましては、先生ただいま御指摘のような状況にあるわけでございますけれども、当団地造成いたしますためにまず用地買収をしなければいけないということで、従来、非常に地元市町村等にも御協力をいただきまして用地買収を進めてまいったわけでございますが、一部の地権者の同意が得られなかったというようなこともございましておくれてまいったわけでございます。ただ、最近、土地改良法に基づきます換地処分によってこの買収用地集約化を図れないかということで進めまして、昭和六十二年十二月に、土地改良法に基づきます土地改良区の設立認可を得ることができました。これに基づきまして、現在は換地計画を作成しているところでございます。今後は、この換地計画の作成に並行いたしまして、農地復旧計画との整合性にも留意をしながら、必要な土質あるいは土量調査といったようなものを実施いたしまして、さらに基本設計を行いまして、この団地が一日も早く着手、完成できますように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  9. 三原朝彦

    三原委員 農家の人の土地に対する愛着といいますか、それは私どもが想像する以上のものがありまして、いろいろな意味でなかなか簡単に手放さない状況もあるでしょう。そこのところを換地とかいろいろな方法でやっていただいているということ、御苦労を本当に感謝する次第であります。もちろん地元協力もこれから我々がお願いしなければいけないと思いますけれども、陥没してアシが生えて、ちょっと情けないような状況になっておるところも多々ありますから、これからも大いに御指導いただきたいと思う次第であります。今、私の地元の旧産炭地域の二町の具体的な質問をさせていただいたわけでありますが、地元の人々といっても、当面する問題がそう簡単に自分たちの力だけでは解けないものであるということは承知をしておりますけれども、だからといって、手をこまねいて国がやってくれるのを待っているわけでもないということははっきり申し上げたいわけであります。一村一品運動じゃありませんけれどもふるさとにこれがあるぞというような気持ちで、何かそれを求めようということで努力をしておることは御承知おきいただきたいと思う次第であります。  過日、通産省地元関係者との集まりで筑豊地域活性化方策検討調査委員会というのがございまして、去年の秋ですか、第一回目の会合をなさって、鈴木部長さんも出られたようですけれども、その記録を、小冊子ですけれども、私ちょっと見せていただきましたら、その中で、筑豊に点在する地域公団事業団地有機的結合というような話とか、今さっきお答えいただいた第三次産業誘致あたりもいろいろ考えてみてはどうかという話もありました。そういう中で、もうビジョンづくりだけじゃだめだ、民間民間で何が今できるのか、そして行政が何をするのかということを具体的に考え、そしてまた、それをつなぐにはどうすればいいのかということをもっと具体的にすべしというようなことが書いてありました。このような機運は、先ほども申し上げましたけれども民間の人の中にも、特にまた若い人の中にもあるわけでありまして、力強いことではあります。  例えば、このごろある職種の関係の会社の進出が先ほど申し上げた宮田団地に今考えられておるということであります。このような地元民間及び行政努力は真剣でありますけれども、余りにも話が大きいものですから、では具体的、客観的に何をなすべきかとなりますと、解決策対応策みたいなことがなかなか見つけ切れないという状況で悩んでおるわけであります。このような客観的、具体的な事情が起こっているときこそ、産炭地振興のためには国が、通産省さんは特にそうですけれども、積極的に何か知恵をいただいたり力をいただいたりさせていただければと私は思うわけでありますけれども、そういうことをお願いすることは甘えでしょうか、どうでしょうか。
  10. 浜岡平一

    浜岡政府委員 筑豊地域におきまして、青年会議所等中心になられまして、若い方々地域活性化のため自発的に活動をしておられるということでございまして、先生指摘のとおり、今後の産炭地域振興の原動力となるものといたしまして私どもも非常に注目をいたしておりますし、その成果を大いに期待いたしているところでございます。  通産省といたしましても、産炭地域のまさに内から盛り上がる振興への取り組みというものを積極的に御支援申し上げたいと考えておりまして、昭和六十一年度に産炭地域活性化支援事業を創設いたしまして、地場産業おこしなどの活性化事業に対しまして支援を行うというような体制を整えているところでございます。何といいましても情熱と知恵基本でございまして、こういう地域の若い方々の盛り上がりと、できれば日本全体からの知恵をドッキングいたしましていい成果が生まれていくように、ただいま申し上げましたような事業を積極的に活用してまいりたいと考えております。
  11. 三原朝彦

    三原委員 もう既にあのあたりでも、新しい山ですと十年ちょっとですけれども、古い山ですともう二十年以上も前に閉山しておって、産炭地産炭地といっても長い期間がたっておるわけでありまして、我々も甘えだけではいけないということは自覚して、特に世代がかわってきて、炭鉱自体をみずから坑内に入っていったような人たち主導権を握る時代はもう過ぎていっておるわけでありますけれども、そういう新しい時代の人が今長官もおっしゃったように努力したいということでやっておりますので、何とかこれからも力強い御支援をいただきたいと思う次第であります。  田村大臣いらっしゃっておられますので、ちょっと質問させていただきたいと思うのですけれども、昨年十一月に久しぶりに産炭地域振興審議会により建議がなされました。その中で今後の産炭地域振興基本方針が示されております。通産省としては、これを踏まえて、産炭地域振興対策状況と今後の重点といいますか、いろいろ問題がある中で一つずつ解決していただくためにどのように考えておられるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思う次第であります。
  12. 田村元

    田村国務大臣 まず先ほどの、地元青年会議所等が非常に一生懸命になって立ち上がって努力をしていらっしゃることは、私は、やはり地場産業おこしなどを考えるときに、地元でそういう強い熱意が盛り上がってくるというのは、通産省甘えるのではなくて通産省お世話をしやすくなるということが言えると思うのです。何だか知らないけれども何とも言ってこぬぞ、ただ漠然と頼む頼むというのじゃなしに、具体的にこういうこと、ああいうことと自分たちプロジェクトプラン等を練って我々に働きかけられる、そして通産省地方公共団体三位一体になって地元ニーズにこたえる努力をする、それは甘えというよりもむしろやるべきだというふうに私は思います。これは非常に高く評価してよいことと考えております。  それから、今御質問のありました件でありますが、産炭地域振興対策につきましては、昭和三十六年の産炭地域振興臨時措置法の施行以来、この法律中心として、企業誘致産業基盤生活環境整備地方財政の援助などいろいろと対策が講じられてきました。既に多くの地域においては相応の成果も上げてきたと考えております。しかしながら、また一方において、今日、八次策のもとで、新規閉山地域などを中心として地域経済雇用への深刻な影響が懸念されるに至っております。私は二年近い通産大臣生活でありますが、ちょっと大げさに物を言えば、貿易摩擦石炭対策だけで二年過ごしたと言ってもいいぐらいのことでありました。そういうことでありますが、通産省としましては、御指摘産炭地域振興審議会建議趣旨を踏まえまして、閉山それから大幅減産による影響が懸念される地域の再生を図るために産炭地域総合支援事業を創設して、地元自治体中心となって行う国際リゾート建設などの大規模民活プロジェクトを積極的に推進するなど、建議事項実施に鋭意努めておるところであります。また、過去の閉山によります累積した疲弊、あるいは病弊と言ってもいいかもしれないが、累積した疲弊がなお解消されていない筑豊地域などの旧産炭地域につきましても、建議附帯決議趣旨を踏まえまして、引き続き重点的また効率的な産炭地域振興策実施に努めてまいる所存であります。どうか三原君におかれても、地元においてこういう点で大いにリーダーシップを発揮されるように祈ってやみません。
  13. 三原朝彦

    三原委員 大臣に、自分エネルギー貿易摩擦産炭地振興だった、二年間それ一筋でやってきたのだというありがたいお言葉をいただきました。確かに通産省は、例えば北海道砂川あたりでも、立て坑跡地をうまく利用して何か新しい科学技術の研究の一つプロジェクトもしておられたりとかいうようなことで、いろいろ新しい施策はしていただいておって、私たちもなかなか頑張っていただいておるなという気持ちはあるわけでございますけれども、今後ともよろしくお願いいたしたいと思う次第であります。  話が次に移りますが、これも残念な話ですけれども、大体産炭地域というのは生活保護世帯が多くて、特に私どもふるさと福岡県は日本一というありがたくない生活保護者の比率を持っておるわけです。努力はしておるのですけれどもなかなかその数字が下がらないということで、この筑豊地域北九州後背地でもありますから、北九州重工業地帯が元気のいいときにはまだまだそれでもよかったわけですが、北九州自身産業構造転換の波に襲われまして、ここのところちょっと人のことを構うまでの力がなくなって、自分たちみずからがどうするかということを考えなければいけないような状況になりました。失業率も上がってくるということで、労働省あたりに御指導いただいて地域雇用開発等促進法お世話になっているところであります。おかげでこのところ有効求人倍率も好転してきたようでありまして、我が国の経済も上向きですけれども現実の法のもとでの地域雇用対策状況はいかがでしょうか、まだ施行されて一年あたりではありますけれども、ちょっとお聞きしたいと思います。
  14. 竹村毅

    竹村政府委員 ただいま先生が御指摘になりました地域雇用開発等促進法に基づく地域雇用開発状況について、簡単に御説明申し上げます。  旧産炭地を含む福岡県につきましては、福岡周辺を除く全域が雇用開発促進地域に指定されておりまして、お尋ねのありました北九州市そして旧産炭地雇用開発状況は、本年二月末現在でございますけれども、新たな事業所の設置または整備に伴う雇い入れ計画というものが約四百九十件出ております。失礼いたしました、二百八十五件でございます。四百九十一件は福岡県全体の数でございます。この計画によりますと、雇い入れ人数は約三千六百人となります。そして計画に基づきまして既に雇用開発関係助成金制度の受給を決定したというのが、製造業中心に約五百七十名に上っております。今後とも、産業政策等関連施策連携を図りつつ、地元雇用開発に努めてまいりたいと思っております。
  15. 三原朝彦

    三原委員 雇用開発促進地域とかなんとかということになりますと、ありがたいことなのか残念なのか、私たちふるさとは常にその地域になりまして、そのおかげを少しずついただきながら努力もしておるところではありますけれども福岡県もここのところその例に漏れないような感じであります。地域によっては国の助成ももちろんいただく、しかし何といっても、個々の企業はもちろん、そこに住んでおる人たち精神といいますか、ちょっと精神論めきますけれども、みずからやる気を見せる、自助努力というような気持ちがないと運命の扉は開かれないという気概が本人たち自身の中で見られる場面があります。きょうは、大臣お忙しい中来ていただいておりますので、このことに関して、精神論というとおかしいかもしれませんが、自助努力、みずからが行うという意思の強い企業あるいはそういう人にはさらに強力な国の助成を惜しまぬぞという激励をしていただきたい。そしてまた、今ある法律に加えてさらに新たな施策もいろいろ考えていただきたい。そういう可能性あたりも含めてお聞きしたいと思う次第であります。
  16. 中村太郎

    中村国務大臣 地域におきます雇用機会開発を進めていくということに当たりましては、地域関係者連携協力による自主的な取り組みを促していくことが重要でありますことはお説のとおりでございます。したがいまして、労働省としましては、地域雇用開発助成金によりまして事業主雇用拡大努力を援助していくとともに、雇用開発促進地域ごとに、地域労使団体市町村等をメンバーとする地域雇用開発会議を設置しておるところでございます。この会議におきましては、地域の特性や民間の活力を生かした地域雇用開発を促進していくための具体的な方策等検討や情報の提供等の諸事業実施しているところでありまして、さらに、六十三年度におきましては、各会議において雇用開発セミナーを開催し、雇用開発に対する地域全体の取り組み機運の醸成を図ることといたしておるわけでございます。  今後とも、こうした場を活用いたしまして、地域雇用開発に向けての地域関係者連携協力による自主的な取り組みを促進してまいりたいと思いますが、仰せのような本当に本気でやってくださる方々への特別な配慮等を含めまして、今後十分検討してまいりたいと考えております。
  17. 三原朝彦

    三原委員 やはり地域地域によっていろいろな企業雇用状況あたりも変わるでしょうから、今後ともそこのところはよりきめ細かく御指導、御鞭撻いただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  18. 福島譲二

    福島委員長 次に、中沢健次君。
  19. 中沢健次

    中沢委員 約一時間の時間をいただいておりますので、幾つか問題を絞りまして、両大臣並びに政府委員の御答弁をお願いしたいと思います。  まず一番最初に、六十三年度の国内炭の需給の見通しにつきまして幾つお尋ねをしたいと思います。  まず、六十一年と六十二年の国内炭生産実績につきまして、私なりに資料は持っておりますが、担当の部長からで結構でございますから、六十一年度、大手、中小、雑炭を含めて何千万トンであったか、そして六十二年度、三月の実績を含めてどういう出炭実績になるか、トータルをしてこの一年間で何百万トンの減産になるか、お答えいただきたいと思います。
  20. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 お尋ね生産等実績でございますが、六十一年度の実績につきましては、国内生産大手、中小合わせまして千五百二十万トンでございました。最近、六十二年度の見通しにつきまして速報値が出ておりますけれども、この速報値によりますと、六十二年度の大手、中小合わせました国内炭生産見通しは千二百五十八万トン、約千二百六十万トン程度ということになろうかと想定をしております。  供給の方でございますけれども、過欠斤雑炭等を含めました供給につきましては、六十一年度の実績で千七百十一万トン、六十二年度の見通しでは千四百四十万トン程度になるのではないかというふうに考えております。この間、生産面におきましては、約二百六十万トン、一七%の減となっております。
  21. 中沢健次

    中沢委員 そこで、かねてから委員会で私も指摘をしておりますけれども、六十二年度の通産の国内炭の縮小目標というのは、ペーパーの段階では二百万トン。ところが、一年間の具体的な数字を今示していただきましたけれども、私の資料と若干数字の違いがありますが、およそ二百六十万トン、結果的には計画を六十万トン上回る。つまり、相当雪崩現象の閉山縮小になっているのではないかという事実がはっきりしたと思います。  そこで、関連をいたしまして二つ目には、六十三年度の生産体制が各山別に一体どうなるか。恐らく今の時期は、各社と通産当局とのいわゆるヒアリングの時期でございます。しかし、現実問題として、昨日来の九州の新聞あるいは北海道の新聞によると、三井問題について具体的に、六十三年度について相当規模の大きい縮小が予定をされる、月末には正式に労使協議が始まる、こういう内容でございます。内容的には、これは新聞報道でございますが、三井三池が三百五十一万トンから三百十五万トン、つまり三十六万トン縮小する、合理化の人員はおよそ七百人ないし七百五十人になるのではないか。私の出身の北海道芦別にございます三井芦別、これも北海道新聞の報道でございますが、露頭を入れまして七十七万トンが五十一万トンになる、二十六万トン縮小になる、そして合理化の人員が三百人を超える、こういう報道がございます。参考までに申し上げますと、かつて、昭和六十一年、三井芦別は従業員が千五百五十名程度おりました。しかし、昨年もかなり大きな合理化をやりまして人数が大幅に減っている。六十二年で減りました人数は七百四十一、現在働いている全体の従業員の数はおよそ八百程度。仮に新聞報道どおりの縮小合理化をやりますと五百名前後に急速に人員が減る、つまり、二年間で三分の二の大幅な縮小合理化になるのではないか。新聞報道を見る限りでありますが、こういう内容になっております。  この部分はひとつ大臣の方からもお答えをいただきたいのでありますが、大臣はかねてから、八次政策、六十六年度の一千万トン体制に向けてできるだけなだらかに、余りいろいろな問題摩擦が起きないようにやる、こういうふうにしばしば発言をされております。部分的にはそういう努力の跡が私どもとしてもうかがえるのでありますけれども、しかし、六十二年度の実績は今申し上げましたとおり、六十三年も新聞報道を見る限り、三井に限定をされておりますけれども、大幅な縮小合理化。私は北海道の四区の出身で、多くの山を残している関係者といろいろおつき合いがございまして、非公式にいろいろな話を聞いております。各山とも山を存続させたい、そういう一念でそれなりの縮小計画をお持ちのようでございますが、そうしますと結果的に六十三年度も引き続き大きな縮小になっていくのではないか。そうさせてはならぬと私は思うのです。したがって、今ヒアリングの最中だと思いますけれども、各山別の縮小体制が一体どういうふうになるのか、できればその数字を明らかにしてもらいたいし、そして通産当局としては、文字どおりなだらかにやるということが大原則でありますから、各山に対する監督官庁としての指導をそういう立場でもっと強力にやっていただきたい、このように考えております。いかがでしょうか。
  22. 田村元

    田村国務大臣 具体的には政府委員から答弁をいたさせますが、私からも一言申し上げておきたいと思います。  六十三年度の需要につきましては、八次策の策定時の基本合意に基づいて、毎年度、需給両業界が協議して決めることとされておりまして、現在交渉が行われておるところでございます。また、六十三年度の生産につきましては、このようにして需要見通しが固まった段階で、石炭企業各社が生産計画を策定するものと承知をいたしております。通産省としましては、当然のこととして集中閉山を回避し、なだらかな生産体制の集約化を推進していくために、今後とも国内炭の引き取りについて需要業界の最大限の協力確保に努めていきますとともに、石炭企業各社の生産体制の円滑な集約化に向けての努力に対してできる限りの支援を行う所存でございます。  なお、私は少し大まかに物を申しましたが、御質問の内容が少し具体論もあったようでございますので、それは政府委員から答弁をさせます。
  23. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生が御指摘のまず第一点、六十二年度の生産の落ちつき、見通しでございますけれども、先ほど千二百六十万トン程度と申し上げました。これは、私ども実施計画をつくりますときには千二百七十万トン程度と予想をしておりましたけれども、その後、三菱の災害でありますとかあるいは三池炭鉱におきまして自然条件の悪化等の状況に遭遇をいたしまして、生産計画が合理化計画数字よりも十万トン程度縮まるのかなというのが現在の見通しでございます。  各炭鉱の六十三年度の計画でございますが、これは先生承知のように、ただいま各社におきまして、六十三年度の生産体制をどうするかということにつきまして鋭意検討していると私ども認識をしております。特に、答申にもございますように、各山が持っております保安の状況あるいは炭量の状況、坑内の骨格構造の状況、その他、生産技術等の生産条件あるいは炭種別の需要動向とか、そういうものを踏まえました経営の見通しというものに基づきまして現在、六十三年度の生産計画につきまして検討していると認識をしておりますけれども、ただいま大臣の御答弁にもございましたように、需要の方もまだ固まっておりませんし、さらに各社の計画につきましては労使協議を経まして具体的になると考えておりますので、労使協議を経、あるいは需要見通しが固まった段階で、各石炭企業が最終的な生産計画を策定すると認識をしている次第でございます。
  24. 中沢健次

    中沢委員 確かに今の時点ではそういう答弁しかできないと思いますけれども、しかし、いずれにしても、今私が指摘をいたしましたように六十二年度は目標を既に大幅に超えている、六十三年度も、このまま労使の交渉に任せっきりであればまたかなり規模の大きい縮小になりかねない、そのことを特に指摘をしておきまして、今後通産行政としては、今大臣からもございましたように、とにかく縮小に当たってはできるだけなだらかにやりたい、こういう立場を行政指導の中でも貫いていただきますように特に指摘をしておきたいと思います。  さて、今お答えのありました需要面の問題なのでありますが、特に原料炭の関係につきまして具体的にお尋ねをしたいと思います。  従来の経緯は一々繰り返しません。六十二年度は、大臣が直接需要業界にいろいろ働きかけをしていただいて、原料炭については百二十万トンをキープすることができたわけでありまして、そういう大臣の大変な努力については評価をするのでありますが、問題は六十三年度で、今現在は鉄鋼連盟と石炭協会の両業界でいろいろ六十三年度の話をしている最中だ、このように聞いております。時期については大臣なりエネ庁の長官の判断がいろいろあろうと思うのでありますが、時期を見まして、大臣が六十二年度やられたような役割を六十三年度についてもぜひ果たしていただいて、原料炭が急速に縮小にならないようにお願いしたいと思うのです。大臣の決意あるいは長官の方に見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  25. 浜岡平一

    浜岡政府委員 我が国の鉄鋼業の状況でございますけれども、御高承のとおり、八六年度は大変諸状況が悪うございまして、前年度比七・一%減の九千六百万トンというような生産レベルにとどまったわけでございます。八七年度につきましては、公共事業の増加等の要因もございまして好転をいたしておりまして、一億トンを若干超える一億百万トン前後ではないかというぐあいに見られているわけでございます。八八年度につきましては、内需の面での動向は八七年度の状況が続くことを強く期待いたしているわけでございますけれども、他方で輸出の減少とか輸入の増加というような要因も動いておりまして、なかなか先行きは不透明のようでございます。しかし、先生指摘のような基本的な考え方というものは私どもとしても極めて重要なことだと考えておりますので、十分に関係業界の話し合いを進めると同時に、その成り行きを注意深く見守りまして、私たちのなすべきことを十分考えてまいりたいと思っております。
  26. 田村元

    田村国務大臣 今浜岡長官が申しましたことで尽きるわけでありますけれども、私からも自分の考えを申し上げておきたいと思います。  結論から言えば、六十二年度に私がとりましたあの対応というものは引き続きやっていきたいと思っております。ただ、なかなか難しい問題がございまして、与党、野党どの政党というわけではありませんけれども、鉄鋼に石炭を大いに売り込んでくれというので私も一種の押し売りのようなことでお願しておると、今度はまた逆に、こんなにがたがきておる鉄鋼会社に高い石炭を買わせるとは何だというおしかりを受けたりいたしまして、その都度しかるべく答えてはおりますけれども、なかなか難しい面がございます。ただ、一つ救いは、鉄鋼が持ち直ってきたということだと思うのです。一億トンを大きく割り込んでおりましたのがどうやら突き抜けてくるようです。しかし、それは鉄鋼自体の景気がよくなったというのではなくて、御承知のように、北海道でいえば室蘭が一つのあれでしょうし、釜石だってそうです。血の出るような合理化やみずから生きていく努力を鉄鋼会社がやったということも大きな理由でございましょうから、一概に鉄鋼が内容がよくなったからというわけにはまいりますまい。けれども、少なくとも石炭よりは鉄鋼の方が確かにいいのですから、私は、六十二年度と同じように何遍でもお願いをしようと思っております。
  27. 中沢健次

    中沢委員 特に大臣の方から、改めて本年度の決意について御発言がございました。ぜひひとつ今後とも全力を挙げて頑張っていただきたいと思います。  さて、もう一つ関連をいたしまして、雑炭について簡単にお尋ねをしたいと思います。  私の持っております資料に、五十年から六十二年までの国内の石炭の出炭の総量そのうちに占めるいわゆる雑炭の数量についての数字があります。時間がありませんからその数字はお答えいただかなくて結構です。私から簡単に紹介をいたしますと、例えば昭和五十五年、全体の国内炭が一千九百六十七万トン、その当時の雑炭が百五十七万トン、占める割合が八%、六十二年度は、千四百二十九万の全体の生産雑炭の見込みが百八十万、一二・六、つまり、年々雑炭がふえてきているわけです。私なりに申し上げたいのは、第八次政策の中で、いわゆる大手、坑内掘りを含めていや応なしに縮小が余儀なくされる、しかし一面、全国的に雑炭が、表現が悪いかもしれませんが野放しの状態になっておりまして、年々年々ふえていることがはっきりした数字になっているわけでありまして、このまま黙って放置するということは政策的にもまずいのではないか、このように考えるわけです。したがって、雑炭問題についてこれから通産としてどういうスタンスをもって取り組む決意をお持ちなのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  28. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 雑炭につきましては、ただいま先生指摘がございましたように、六十一年度の実績で見ましても約百九十万トンぐらいになっておりまして、先ほど六十二年度の速報値ということで申し上げましたけれども、この百九十万トンが若干減って百八十万トンぐらいになるのかなという感じがしております。いずれにいたしましても、相当のウエートを占めておることは先生指摘のとおりでございます。  特に、この雑炭の問題につきましては、ユーザーさんの方の石炭に対しますスペックの要求が環境問題等もございましてだんだんに厳しくなるというようなことも背景にいたしまして、ある意味では、品位調整上やむを得ずこういう雑炭を使わざるを得ないというような側面もございますし、あるいは流通の過程におきましていろいろな要因から出てまいるというようなものもございます。この雑炭の流通過程は極めて複雑でございまして、私どもも、かねてから地方の通産局を通じまして、雑炭の流通の解明あるいはその内容等について調査を促進しているところでございますけれども、なおいろいろな問題を抱えているようでございます。  ただ、私ども基本的には、この雑炭の問題につきましては、特に坑内炭の生産といいますか、坑内掘りの石炭の生産に悪影響を与えることのないように、これからも通産局等を通じましていろいろな面での監視をし、指導を強めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  29. 中沢健次

    中沢委員 今の答弁そのものは、私の方としては受けとめておきたいと思います。いずれにしても、余りのんびり構えておりますと結局は何ら対策ができなかったということになりかねないと思いますので、できるだけ早目にそういう具体的な措置をとっていただいて、今部長からありましたように、国内炭の坑内掘りに悪影響が出ないようにという観点で、ひとつ早急に検討をしていただくようにお願いしたいと思います。  さて、二つ目の問題に移ってまいりたいと思います。国内炭あるいは海外炭を含めまして、やや中長期にわたる需要の問題に絞りまして幾つお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、石炭火力発電所の現状がどうなっているか、あわせまして今後の石炭火力発電所の建設計画、電調審の決定済みの内容で結構だと思いますが、これにつきましてお答えをいただきたいと思います。
  30. 浜岡平一

    浜岡政府委員 全電気事業者の昭和六十二年度末現在の石炭火力発電設備は、千百三十九万キロワットでございます。石炭火力発電は供給の安定性にすぐれておりますし、また、他の化石燃料による電源に比べますと経済性もすぐれているわけでございますので、原子力に次ぐベース供給力として、また長期的にはミドル供給力としての役割も期待するということでございまして、今後とも、環境保全に配慮しながら積極的な開発を進めるというのが基本的な考え方でございます。  昨年の需給部会中間報告におきましても、昭和七十年度末には千八百万キロワット、昭和七十五年度末には二千三百万キロワットの開発目標が示されているところでございます。これを電力全体の中で眺めてみますと、電源構成ベースで六十一年度末は七・四%でございますが、七十年度末には九%、七十五年度末には一一%まで上がっていくと見込まれております。また発電量ベースで見ますと、六十一年度末は九・四%でございますけれども、七十年度末には一二%、七十五年度末には一四%というような見込みが示されているわけでございまして、やはり今後の電力供給の中におきまして、石炭火力発電所は極めて重要な位置づけを期待いたしているわけでございます。
  31. 中沢健次

    中沢委員 もう一つ関連をいたしまして、既にNEDOでコール・ルネッサンス委員会というのが設置をされまして、今長官からお答えいただいたことにも関連をするわけでありますけれども、長期エネルギー需給見通しにつきまして、相当内部的な専門家が集まりましていろいろ検討される、あるいはもっと効率的な石炭の利用についても技術的な検討がされているという話を聞いているわけです。技術問題は別にいたしまして、コール・ルネッサンス委員会として、七十年、七十五年、八十年を見通しました石炭総体の需要のトン数あるいはどのような推移になるというような測定をされているか、数字をもう一つ明らかにしていただきたいと思います。
  32. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 今後、我が国が石油依存度の低減を進めていきますために、石油代替エネルギーの大きな柱でございます石炭の一層の利用拡大を図ってまいりますことが非常に重要な課題となっているわけでございますが、このような状況のもとでこのコール・ルネッサンス委員会は、今のところ中長期的観点から一般炭の利用拡大策につきまして調査検討をしようということで、本年の二月に新エネルギー総合開発機構に委員会が設けられたわけでございます。したがいまして、具体的な需要をどの程度想定するかということではなくて、むしろ中身といたしましては、先生承知のように石炭は、需要拡大のために障害となります特有の問題点をいろいろ持っておるわけでございまして、そういう問題点を排除するために、石炭利用技術の実用化を図る、あるいは石炭流通システムの整備を図る観点から、今後、石炭の需要拡大のための具体的方策について調査検討をしようというふうなことで始まっておるものと承知しております。  特に、最近の技術の開発によりまして、石炭利用技術の面では、燃焼技術でありますとかあるいはハンドリングを容易にするための流体化、CWM、COMでありますとかいったような新しい技術、あるいは、特に小口流通のために私どもCCS技術というのを推進しているわけでございます。コールカートリッジシステムと言っておりまして、いわゆる石炭の小口の宅急便みたいな感じでございますけれども、そういうこともやりながら需要の拡大をやっていきたいということで、そういう技術開発も現在進めておるわけでございますが、そういう全体的な技術開発あるいは流通のメカニズムにつきまして今後検討していこう、こういうふうに考えておられると承知しているところでございます。
  33. 中沢健次

    中沢委員 今、部長の方から技術開発の問題を中心お話があったのでありますけれども、先ほど来、エネ庁の長官の方からは、火力発電所の将来計画についても数字を含めてお答えをいただきました。そこで、私の方から指摘をしておきたいのは、いずれにしても、昨年の十月に「長期エネルギー需給見通し」が数字を含めて発表されておるわけです。例えば、七十年は一億二千百万トンという数字が需給見通しとして公表されている。そうなりますと、八次政策の六十六年の数字で言うと、答申にございますようにおよそ一千万、電力用炭八百五十万ということになっているのでありますが、今部長から、技術開発を含めて需要拡大の研究中だという話もございました。  したがって、私が指摘をしたいことは、確かに八次政策としては一つの数量の規制が明確にはなっておりますけれども、この際、電力用炭を中心にして政策的な需用の拡大ということを、これは直ちにそういう答弁はなかなかできないと思いますけれども、今後の大きな課題として一つしっかり受けとめていただいて、この問題との関連の中で政策的な需要拡大が具体的に可能なのかどうなのか、可能であればそのことをぎりぎり追求をしていただいて、一般炭のいわゆる政策需要の拡大についてぜひひとつ積極的な態度で臨んでいただきたい、このように考えますが、基本的にはいかがでしょうか。
  34. 浜岡平一

    浜岡政府委員 ただいま先生から御指摘のございました長期エネルギー需給見通しの基準年度でございます昭和六十一年度の石炭消費量は、御指摘のとおり一億三百九十万トンでございます。その内訳を見ますと、原料炭が六千七百七万トン、一般炭が三千六百二十六万トンでございます。七十五年度の見通しにつきましては、これを原料炭と一般炭に振り分けましてきっちりとした見通しを立てることはなかなか困難でございますので、今回の見通しでは避けているわけでございますけれども、七十五年度に合計で一億三千六百万トンと見込んでいるわけでございます。私ども、この中の一般炭につきましては、昭和六十一年度の先ほど申し上げました三千六百二十六万トンという数字が、この時点ではおおむね倍増しているという程度の期待をこの見通しをつくりましたときには持っていたわけでございまして、ただいま御指摘ございましたようなコール・ルネッサンス構想等々を大いに推進をいたしましてこうした方向に進んでいきたいものだと思っているわけでございます。
  35. 中沢健次

    中沢委員 いずれにしても、いわゆるコール・ルネッサンスという横文字を使っている限り石炭の復興という願望もこもった委員会ではないかと思いますので、今の長官の答弁は極めて抽象的でありますけれども、今後の努力に大きく期待をしておきたいと思います。  さて、次の問題に移りますが、北電の国内炭のシフト問題について簡単に質問をしたいと思います。  残念ながら北海道電力も、内陸の火力発電所につきましては近々幾つかの発電所の廃止が既に打ち出されておる。そういうことを前提にいたしまして、既に六十二年度中には九十万トン、そして六十三年度はそれにさらに二十二万トン上乗せしまして、北電の国内炭の消費をほかの電力会社に引き受けていただく、こういう相対的な電事連の配慮なんかがあったわけであります。それは大変結構なことだと思うのでありますが、この際、六十四年度以降、通産当局としてはどのような見通しをお持ちなのか、あるいは電事連とのこれからの話になると思うのでありますが、どういう態度で臨まれるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  36. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御高承のとおり、何といいましても地元でございますから、国内炭の引き取りにつきまして、一方では北海道電力の協力というものを大きく期待いたしているわけでございます。他方では、先生御高承のように地域間の電気料金格差というような問題もあるわけでございまして、この二つの要請、問題をうまくバランスをしていくということで、負担の平準化という方向に沿いまして御指摘のような調整を六十二年度、六十三年度に行ってきたわけでございます。  六十四年度以降の国内炭引き取りにつきましては、電力業界においては、毎年度そのときの諸状況を勘案しながら適切な調整を行いまして引き取りを達成していくということが基本的な考え方として決まっているわけでございます。六十四年度につきましてはこれからまさに検討に入るということでございますので、現在の時点ではまだ決まっていないわけでございますけれども、第八次政策策定の過程で合意されております当面一千万トン、最終年度八百五十万トンという数量につきましては、第八次答申の精神に即しまして、今申し上げましたようにその都度適正な調整を行いながら確実に履行するということが合意されているわけでございますので、今後ともそういう方向で事態が進んでいくと信じておりますし、また、必要な場合には適正な指導等を行ってまいりたいと思っております。
  37. 中沢健次

    中沢委員 今の長官の答弁で私どもとしても一つ今後の課題が残っている。したがって、さらに一段と答弁どおりの立場で努力をいただきたい、重ねてお願いをしておきたいと思います。  さて、次の問題に入りますが、北炭幌内炭鉱の未払い退職金問題について幾つか簡単にお尋ねをいたします。  これは通産大臣や労働大臣も御承知のように、同じ北炭の山でございました真谷地の閉山の際に、未払いの労務債の処理に当たりまして大変な御努力をいただいた。改めて敬意を表するのであります。実は、この幌内は同じ北炭の山でありますけれども、真谷地以上に大変金額の大きい未払い退職金を抱えている、このように言われております。したがって、現状が一体どうなっているかということが一つ。  もう一つは、かねがね私どもも、山が存続をしている時点でこの莫大な未払いについて部分的な処理を積極的にやるべきではないか、このように言ってまいりました。たまたま今月、現地で労使の協議会がございまして、六十三年度中一定額の支払いを行う、金額は十五億だというふうに聞いております。もちろん、この案件に関しましては、とりわけ通産省がいろいろな御苦労をされて会社を指導した、労働省労働省なりに努力をされた一つのあらわれだと思いますけれども、問題はこの十五億ということについて、私はこれは十分な金額だとは思っておりません。したがって、現状がどうなっているか、そして六十三年度の見通しがどうなのか、今後の上積みの努力について求めたいと思いますので、それも含めてお答えをいただきたいと思います。
  38. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 北炭幌内炭鉱の未払い労務債の問題でございますけれども、現状、六十三年三月末で約六十六億円の退職金が未払いになっているというふうに承知をしております。いわゆる退職金は労働に対します報酬でございますので、こういう多額の金額が未払いとなっておるという現状につきましては、私ども、極めて遺憾な事態であるというふうに認識をいたしております。  そこで、今後の問題でございますけれども先生からただいま御指摘がございましたように、去る十五日に、北炭幌内炭鉱が関係労働組合に対しまして六十三年度の経営計画を提示しておりますけれども、それによりますれば、金融債務の取り扱いについての関係者に対する要請事項の今後の実現を条件といたしまして、ただいま先生がおっしゃいましたような未払い退職金について、年間約十五億円の支払いを行い得る見通しであるというような内容になっておると承知をいたしております。当省といたしましては、労働省とも連携をとりながら、この未払い労務債問題につきまして会社側を強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  39. 中沢健次

    中沢委員 今ちょうど通産大臣が退席をされておりますが、いずれにしても、真谷地の私どもの経験からいいましても、大変な苦労の末の結論であったわけであります。しかも、退職者会の役員の方が自殺をされたという不幸な事態がございまして、やはりこういうことは二度と繰り返してはならぬ、私はそのように考えまして、今後、通産大臣やあるいは労働大臣も、この案件の処理につきましてひとつ決意を新たにして取り組んでいただきますように、特にお願いをしてまいりたいと思います。  さて、時間がだんだん迫ってまいりましたので、次の問題に移ります。  地下無重力実験センターの関係につきまして、工業技術院から関係者がお見えでございますのでお尋ねをしたいと思います。  これまでの経緯については改めて申し上げません。いずれにしても、三井砂川の立て坑の再利用ということで地下無重力実験センター構想が出されまして、既に関係法案が本会議で成立をしているという状況でございます。したがって、担当の工業技術院としては、当然ながら、非公式な動きを含めて、本年の十月の発足に向けて具体的な作業をされていると思うのでありますが、その内容につきまして、概略で結構でございますので、かいつまんでお聞かせいただきたいと思います。
  40. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、十月一日からNEDOを新しい形で再発足させていただく予定で、現在、国会で法案を御審議いただいておるところでございます。予定どおり法案を成立させていただけますれば、十月一日からNEDOの新事業を始めまして、NEDOが出資し、あるいは地元民間企業も出資いただきまして、関係の会社、第三セクターを設立する予定にしております。もちろん、今年度中にそういうことを進めたいと思っております。  一方、十月一日まで待っておると時間がむだになりますので、私どもといたしましてはこの四月から、先生非公式な動きとおっしゃいましたが、予算的な準備もいたしまして、財団法人の北海道地域技術振興センターと、財団法人であります日本産業技術振興協会というところに今調査を依頼しておりまして、その技術的な詰めとニーズの最終的な調査を行っておりまして、十月一日以前にそういう目途を立てて、十月以降速やかに設立に向けて、あるいは建設に向けて準備ができるように今用意しておるところでございます。
  41. 中沢健次

    中沢委員 いずれにしてもこれからいろいろなハードルがあろうと思いまして、資金的な問題も含めてこれを越えていかなければいけないと思うのです。したがって、所管が工業技術院であるということは十二分に承知しておりますけれども、この案件の経緯からいいまして、通産省の各セクションが挙げて全面的な協力体制をとる必要があると思うのです。石炭部にしてもあるいは公益事業部にしてもいろいろあると思いますので、そういう通産省挙げての協力体制をしっかりとっていただきますように、改めて指摘をしておきたいと思います。  さて、次に産炭地振興問題について、具体的に二つほどお尋ねをしておきたいと思います。  一つは、六十三年度予算との絡みの中でしばしば私も指摘をしてまいりましたが、六十三年度新しい制度をつくった、産炭地総合支援事業である、二つの事業目的を持って、予算は余り大きくないのでありますけれどもトータル一億円、こういう内容になっているのであります。具体的には国際コンペの三千万、それから補助対象プロジェクト事業二カ所の七千万。そろそろある意味で全国的な箇所づけが必要ではないかと思いますが、作業の状況、あるいは既に大詰めに来ているのかどうか、具体的にお尋ねをしたい。  それから、もう一つ関連をいたしまして、いずれにしてもこの産炭地総合支援事業というのは、これから長期にわたって第三セクターに対する援助の問題、あるいは第三セクターが新しく事業を興す場合の融資の問題について、一応制度的には明らかになっているのでありますが、私の出身の四区の芦別では「星の降る里(まち)」という第三セクターが既に発足いたしました。そして、おかげさまで産業基盤整備基金からこのセクターに対する二億円の出資を決めていただいたわけでございます。この第三セクター「星の降る里(まち)」がこれから相当規模の大きい事業展開をするのでありますけれども、その際に、言われておりますようにNTTの株式売却益を財源にして、具体的には北東公庫が中心になると思うのでありますが、無利子融資をする、こういうふうにつながっていくと思うのであります。問題は、その際に無利子融資の貸し付けの枠が一体どうなってくるのか、この際明らかにしていただきたい。二つお答えをいただきたいと思います
  42. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘の点でございますが、今回、産炭地総合支援事業という新しい制度を起こすことにいたしておりまして、これはプロジェクトのアイデアといいますか、プロジェクトシーズの育成から事業化を促進いたしまして、さらに、実現いたしますように事業資金の確保を行っていくというようないろいろな手段を糾合いたしまして、この産炭地総合支援をやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。その中で、産炭地域振興臨時交付金の大規模プロジェクト事業化促進調整額というものも創設させていただくことになっておりまして、先生指摘のように、これは七千万円の予算で六十三年度二件程度計画しておるわけでございます。ただ、現段階におきましては、各地方公共団体のこの制度に対します要望といいますか、基本的なアイデアをこれから伺いまして選定をしていきたいと考えておりまして、現在のところは、まだ選定作業の極めて初期の段階にあるということでございます。  それから、二番目のNTTの無利子融資でございますけれども、これにつきましては、このNTTの無利子融資枠自体が全国的な規模で決まっておりまして、約一千億円程度の無利子融資規模であると承知をいたしておりますが、具体的な枠ということになりますと、やはりそのプロジェクトの性格でありますとか内容でありますとか、そういうものを勘案いたしまして選定の対象になるというふうに考えておりますので、今のところ、まず、いわゆるよいプロジェクトをつくり出すといいますか、実現可能性のある、かつ地元の熱意がこもりましたプロジェクトができ上がっていくことが大切ではないかと認識をしている次第でございます。
  43. 中沢健次

    中沢委員 それで、この件について一つ指摘をしておきたいと思います。  今の部長のお答えの特に融資の関係なのでありますが、確かに、一千億の大枠の中でこれから対象になり得るかどうかということについて検討がされる、私もそのように承知をしております。しかし、いずれにしても、今芦別の問題を取り上げましたが、私の出身の夕張を含めて、少なくとも北海道産炭地はそれぞれこの種の構想を持ってこれから具体的な展開になるわけでありまして、ぜひひとつそういうことを十二分に承知していただいて、無利子融資の対象になり得るように指導を強めていただく、あるいは通産全体の全面的なバックアップもしていただく必要があると思いますので、今後の問題でもございますけれども、よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  時間も余りありませんので、次に、労働省の方に幾つお尋ねをしたいと思います。大臣もおみえでございますので、大臣からもまたお答えをお願いしたいと思います。  既に事前に労働省の方から資料をいただいてまいりましたが、まず第一に改めてお尋ねをしたいのは、依然として産炭地における雇用情勢は厳しい。言葉だけではなしに、例えば有効求人倍率一つとりましてもそういう状況である。さらに関連をして炭鉱離職者が、六十一年に閉山をいたしました三菱高島を入れまして全国で七千六百九十七人であった。しかし就職者の数は千九百三十五人と、まだ雇用の決まっていない方がたくさんいらっしゃるわけでございます。したがって、こういう具体的な事実を前提にして、大臣として、全国的な雇用問題もそうでありますけれども、とりわけ厳しい産炭地の置かれている実態を十分認識をされて、産炭地雇用問題についてどのような基本的な見解あるいは大臣としての決意をお持ちであるか、ごく簡単で結構でございますので、お聞かせをいただきたいと思います。
  44. 竹村毅

    竹村政府委員 先生指摘のように、産炭地におきましては雇用失業情勢が非常に厳しいところがございます。私どもといたしましては、合理化を実施する石炭企業に対し、離職者の雇用対策について万全を期するようまず指導しておりますけれども、そのほか、手帳制度に基づく生活の安定と再就職促進措置の活用をしていくということがございます。そしてまた、全国的な規模での求人を確保していく、そして場合によりましては必要な住宅を確保する、このようなことによりますいわゆる広域職業紹介を推進していくということもいたしております。そしてまた、何よりも効果的なのは、効果的な職業訓練を実施するということでございます。また、昨年から地域雇用開発等促進法が施行されておりますので、そういう法律に基づきます制度を活用して雇用機会開発を進める。こういうふうないろいろな施策を使いながら炭鉱離職者の再就職の促進に全力を挙げて取り組んでまいりましたし、今後も取り組みたいと思っております。
  45. 中沢健次

    中沢委員 そこで指摘をしておきたいのでありますが、先ほど、六十三年度も各山の縮小が想定をされるというお話を申し上げました。残念ながら、それに関連をしてかなり規模の大きい離職者が出てくるのではないか。ですから、産炭地にとりましては今以上に非常に厳しい雇用情勢になるということが一つあると思うのです。もう一つは、実は昨年閉山をいたしました三井砂川あるいは北炭真谷地は、当然ながら、関係の自治体の協力を含めて雇用問題について閉山時に労使の協定をしているわけです。しかし、残念ながら協定どおり思うように進んでいないということも事実なわけです。この事実について改めて指摘はいたしませんが、こういう事実があって、これからさらに規模縮小に伴う同じような状態が想定をされるだけに、今まで以上に労働省としては、大臣中心にして関係の部局が決意を新たにして十二分の体制をとっていただきますように指摘をしておきたいと思います。  さて、そこで大臣お尋ねをしたいと思うのでありますが、離職者の職業訓練の問題でございます。  労働省が大変な努力をされまして、再就職のためにもできるだけ技術の習得が必要だということで職業訓練に相当な力を入れられていることは私どももよく理解をするのであります。特に私は夕張の出身でありまして、先ほど来話が出ておりますように、真谷地の閉山に伴って大変な離職者が出たということで、この再雇用の問題とあわせまして、職業訓練について当局にいろいろ具体的なお願いもしてまいりました。たまたま夕張はメロンが有名でございまして、この際、メロン農家を目指して離職者が農家として自立できないか、あるいは場合によっては第三セクターで持っております歴史村のメロン工場に農業技術者として従事できないか、こういういろいろな作業をやりまして、前提はともかくとして、労働省としては初めてのケースだけれども、それではメロンの農業技術養成について職業訓練の対象にしようという大変な決断をいただいたわけであります。地元としても大変ありがたくて、評価をするのであります。  これは一つの夕張の例でありますけれども、これからもその種の、つまり労働省としては先例がないかもしらぬけれども産炭地雇用問題あるいは職業訓練問題について大胆な決断と柔軟な発想がこれからも必要になってくるのではないかと思います。特に最高責任者の労働大臣としてのこの問題についての決意と申しましょうか、見解をお聞かせいただきたいと思います。
  46. 中村太郎

    中村国務大臣 御案内のように、炭鉱離職者の職業能力開発につきましては、従来から最重点課題の一つとして労働省も取り組んできたところでございます。特に、昨年度の三十万人雇用開発プログラムあるいは今年度、産業地域・高齢者雇用プロジェクトの一環として、公共職業訓練施設内の訓練のほか、雇用可能性のある事業主団体への委託訓練を活用しまして、機動的な訓練を実施しておるところでございます。御指摘の夕張地区におけるメロン栽培の訓練は、事業主団体への委託訓練の一つとして実施されているものでございまして、私どももこのことに大きな期待を寄せておりますし、重大な関心を寄せておるわけでございます。ぜひともこれが成功することを祈ってやまない次第でございますけれども、炭鉱離職者の再就職のため、今後とも地域事情に即した、仰せのような新しい発想の中で弾力的な機動的な運営をしていかなければならないと考えております。  私も就任いたしましてから、産炭地状況はつぶさにいろいろな面で聞き及んでまいりました。その厳しさというものは痛いほどわかるわけでございまして、産業政策、通産省の御意見などを踏まえながら、本当に地道な積極的な立場で、今後とも真摯に取り組んでいく決意でございます。
  47. 中沢健次

    中沢委員 時間が来たようでありますから終わりたいと思いますが、いずれにしても、これから通産大臣や労働大臣を先頭にいたしまして、第八次政策の二年目に具体的に入るわけでございまして、先ほど来指摘をいたしましたように、国内炭の需要と供給の問題あるいは産炭地振興の問題あるいは労働者の雇用の問題、生活安定の問題、それぞれ重要な局面に来ると思いますので、引き続きひとつ全力を挙げて取り組んでいただきますように改めてお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  48. 福島譲二

    福島委員長 次に、中西績介君。
  49. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほど同僚の中沢委員の方から質問のあっておりました問題について、引き続いてお聞きをしたいと思います。  まず、離職者対策の問題ですけれども、第八次政策で高島を含みまして離職者の総数が七千六百九十七名、求職者数が六千七百九十四名、ところが、ことしの三月現在で千九百三十五名就職をしておるという状況のようです。私が一番心配をいたしますのは、こうなってまいりますと、黒手帳を発給いたしましてそこで一定の期間食いつないでいくということはあり得ても、この一年あるいは二年の間の状況を見てみますと、企業側の約束なり努力が完全に果たされておるだろうかということを懸念するわけです。努力が不足をしておるのではないか。このままの状況で推移いたしますと、各地域の求人倍率状況を見てもわかりますようにほとんど動かないという状況があるために、かつての筑豊などと同じように滞留が起こるのではないかということを私たちは一番心配をするわけです。現状の中でこれをどのように分析しておけばいいのか、そして将来どういう点について努力をしていけばいいのか、こうした点がおわかりであればお答えいただきたいと思います。
  50. 竹村毅

    竹村政府委員 まず、先生指摘の三点につきまして簡単にお答え申し上げます。  まず、炭鉱の合理化、閉山に際しましての労使協定書というものには、石炭企業の自己努力による離職者の雇用対策等が盛り込まれております。私どもはこういうことは十分認識しておりまして、この協定の内容が十分尊重されるように今後も見守っていきたいというふうに思っております。これが第一点でございます。  そして、現在どのような認識かということでございますけれども、この件につきましては先生承知のように、筑豊もそうでございますけれども、現在離職者が発生しております炭鉱地域におきましても、雇用失業情勢は非常に厳しいという情勢にございます。基本的には、離職される方々の希望に沿いましてそれぞれが的確な、また安定した再就職ができるということが理想的でございますけれども、残念ながら全員の希望どおりというわけにはまいらないのが現状でございます。  したがいまして、一つは、いろいろな関係市町村、団体その他の御協力のもとに地元雇用を図ると同時に、広域的な職業紹介ということで、いろいろな需要地の求人倍率のいい地域に就職していただくということが必要ではなかろうかと思います。基本的には、先生も御指摘になりましたように長く失業者の状態でいるということは決して好ましいことではございませんし、私どもとしては、あらゆる手段を講じまして一日も早く離職者の方々が安定した職業につくように、今後とも努力してまいりたいというふうに思っております。
  51. 中西績介

    ○中西(績)委員 特に企業側では、例えば東京なら東京に就職口を求めるならばあるのだがというような言葉が返ってまいりますけれども、もう既に皆さん御存じのとおり、東京に居住するためには大変な金額が必要になってくるわけでありますから、今の平均収入金額程度では、東京に新たに出てきて生活などということは到底不可能に近いわけですね。そしてまた、それを踏ん切ってやれるというのは今までの生活経験の中におけるものからいたしますと非常に困難で、したがって、やはり依然としてその地域から動きにくいという状況が出てきているわけですから、こうした問題とあわせて、先ほどもちょっと触れておりましたけれども、職業訓練の問題等も含めて、本格的にこれはもう少し立ち入った検討を加えておく必要があるのではないか。と申しますのは、先ほどもちょっと出ておりましたように、これから後、八次政策によるなだらかなということを先ほど約束していただきましたけれども、これはやはり相当警戒をしなければならない問題であるわけでありますし、そうなるとまた急速に失業者が出てくるという可能性だってあるわけですから、こういう点についてもう一度そうした考えなり、あるいはそうした点について今後の課題としてどのような取り組みをする、こうした点についてお答えください。
  52. 竹村毅

    竹村政府委員 当初計画しましたいわゆるなだらかなというものから非常に警戒を要する事態が予想されるので、それについては雇用対策面でどう考えているかというお尋ねでございますけれども、私どもは、今、言ってみれば四本の大きな柱でもちまして総合的に炭鉱離職者の再就職の促進を図るという施策を講じております。そのためには、先生指摘のような情勢もございますので、私どもも現地に参りましていろいろ情報を把握すると同時に、各現地に展開しております我々の行政機関を含めまして実情を把握し、かつ分析し、そして先生の御指摘に沿うように今後とも努力してまいりたいというふうに思っております。  現在、私どもが持っております各種の就職援護措置、または雇用するに際しての助成金措置というものをフルに活用してまいりましたならば、残念ながら地元雇用にすべてそれが吸収できるという事態はまだ当分先のようではございますけれども、当面、安定した職業についていただくことができるのではなかろうか、またそういうふうに努力しなければいけないと思っております。
  53. 中西績介

    ○中西(績)委員 きょうはこれで終わりますけれども、この次はもうちょっと具体的な問題で、さらにこの問題について幾つか類型分けいたしまして、この場合にはこのようにしたいと、こういう問題等についてもお答えいただけるように検討を加えておいてください、必ずやりますから。  それともう一つ、先ほど三池問題がちょっと出ておりましたけれども、三池問題については、もう既に三百五十万トン、六十二年度生産の体制をさらに一〇%減、あるいはその他の地方で報道されておりますものを見ますと、条件で相当の合理化を進めていこうという動きが顕著になってきています。しかし、昨年のあれを見ましても、まだ依然として三百六十名を超える多くの人々がそのまま滞留して残っておるわけですね。これにことしまたプラスしてこのような状況が出てくるといたしますと、これは大変なことだと私は考えます。したがって、石炭部長にちょっとお伺いしますけれども、こうした問題について具体的なものが出ておるのかどうかお聞かせください。
  54. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 三池の合理化の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、三井三池も含めまして現在石炭各社が、六十三年度のいろいろな計画について鋭意検討を行っているというふうに認識しておりまして、その中でもし仮に合理化あるいは離職者の発生というようなことになりますと、私ども、従来から離職者の雇用対策の問題あるいは地域開発によります雇用創出の問題につきまして、石炭会社としても、親会社も含めまして最大限の努力をするように指導しているところでございます。ただいま、三池等につきましては具体的な計画を私どもまだ正確に把握しているわけではございませんで、したがいまして今後の問題であると思いますけれども、ただいま申し上げましたように、この地域振興対策を通ずる雇用の確保という点につきましては、私ども通産省といたしましても労働省協力をいたしまして、最大限の努力をさせていただきたいというふうに考えております。
  55. 中西績介

    ○中西(績)委員 地方の新聞によりますと、三井鉱山の今後の経営多角化路線というものが示されておりまして、六十六年度には約百億円に近い事業収入を上げていこう、こういう内容のものであるわけです。したがって、これを見てみましても、これから後の多角的な経営とあわせて、私は、石炭経営というものを、三池だけは大丈夫だろうという世間一般の通念が覆されるようなことには決してならないように、ここが揺らいでしまいますと、恐らく全体的な石炭行政というものは根底から崩れてしまうのじゃないかという気がしてならないわけです。ですから、先ほどから論議され、答弁のありましたなだらかな体制移行というものはどんなことがあってもこれを保持していくというこの決意と皆さん方の努力は、これはもう絶対確保していただかなくちゃならぬと思うのですが、大臣どうですか、よろしいですか。
  56. 田村元

    田村国務大臣 これは石炭産業という面でとらえても、また鉱山で働いておる労働者という面からとらえても、絶対にどしゃ降りの閉山というのは困るわけであります。なだらかな閉山でなければ困るわけであります。でございますから、私は二年間一生懸命にてこ入れをしてきましたけれども、私の考えは変わっておりませんし、いつまで在任いたしますか、私の在任中、私の姿勢はいささかも変わるものではございません。  と同時に、ここで特に私から申し上げておきたいことは、御本人を前に置いて言うのも恐縮ですが、今度の鉱山対策というものは通産省労働省が完全に二人三脚を組んだということであります。私、就任と同時に、福川事務次官を連れて労働省へ参りました。いつも言いますように私は労働政務次官も大臣もしておりますが、労働省というお役所は、いつも通産省を初めとしたおしりぬぐいばかりさせられる、そしてそれほど礼も言ってもらえない、そういう中で人道主義にのっとって労働省は働いておるわけです。でありますから、私はあえて事務次官を連れて労働省へ行って、そしてハイレベルの協議機関を常置することに合意をいたしました。今後も労働省と十分の連携をとって、特に中村労働大臣は私とは長い間の親友でもありますし、十分の連絡をとり合って万遺憾なきを期したい。ただ、率直に言って状況は厳しゅうございます。それだけに我々はよくよく決意を新たにして頑張らなければならぬ、このように考えております。
  57. 中西績介

    ○中西(績)委員 今大臣の答弁をいただきましたけれども、ただ一つ、それがうまくいくことが今度は後始末をする方がうまくいくという格好になってしまうので、出てくれば後始末をうまくやろうということだけでなしに、まず事前のそうならないための措置を十分お考えいただければと思いますので、ぜひひとつその点よろしくお願い申し上げたいと思います。
  58. 田村元

    田村国務大臣 それは当然のことでございます。ただ、率直に言って通産省はトラックやブルドーザーという格好でございましょう。しかし、それだけではいけない。やはり労働省という救急車にいつでも密接な関係において待機してもらう、そういう意味で今申し上げたわけでありまして、それは一番いい方法は、労働大臣を前に置いて言うのも恐縮ですけれども、全然労働省お世話にならないで我が世の春を謳歌する、これが一番いいことでございますけれども、御承知のような状況でございますから、万が一のときのことに対して、つまり、リスクに対応するという意味においても労働省に非常な御協力を願っておる、こういう趣旨で申し上げたわけであります。
  59. 中西績介

    ○中西(績)委員 ぜひ最後までの検討対策をお願いしておきたいと思います。  そこで、去る一月二十二日に土地対策関係閣僚会議、その後閣議におきまして国の機関等の移転について明らかにされました。さらにまた、そこで基本方針が決定をされましたし、その中で、一次案として石炭鉱害事業団を移転させる国の機関として取り上げたわけでありますけれども、今聞きますと、八月の概算要求に向けて調整しているとも言われております。これらの問題について二、三お聞きをしたいと思います。  一つは、何と申しましても、石炭鉱害事業団がなぜ一次指定されたのか、この点どうなんですか。
  60. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 今先生指摘の国の機関等の移転の問題でございますが、これにつきましては、昨年の十二月に内閣官房及び国土庁から各省に示された基準がございます。いわゆる四つの類型の基準と申すわけでございますが、この基準に従いまして、通産省としましては慎重に検討いたしたわけでございます。その結果としまして、石炭鉱害事業団についてはその業務対象の大部分が九州地域に集中しておるということで、この基準に該当すると判断いたしまして移転候補機関に選定したわけでございます。
  61. 中西績介

    ○中西(績)委員 もともとこうした話が持ち上がるに当たりましては、結局東京に一極集中ということをどう排除していくかということから起こったと言われておるわけでありますが、こうなってまいりますと、東京に一極集中を少しでも少なくする、あるいはこれを弱めるという立場から考えた場合に、今石炭鉱害事業団を考えますと、三百八十人中七十人程度がこの東京本団におるわけですね。たとえ移ったといたしましてもその効果なり何なりはほとんどなくて、逆に今度は事業面においてむしろ混乱が起こるのではないか、こう考えざるを得ないわけであります。特に私がこのことを指摘したいと思いますのは、今後五年後に時限立法切れになる通産関係の中の一つの法人であるということから考えますと、通産関係幾つかそうしたものを割り当てて地方に移転をさせる、そのときにその数をカウントするのにこれを一つ取り上げる、それは、五年後これはもう立ち消えになろうとしておるからということではないかなという懸念すらもあります。  なぜ私はこのことを申し上げるかといいますと、他の特殊法人の統廃合の問題あるいは財務局の統廃合の問題等、全部私はかかわってまいりましたけれども、これを見ますと今までみんな数合わせなんですね。例えば文教関係のものを全部やりましたが、確かに数は二つ、三つと減りました。減ったけれども中身は決して我々の期待をするものではないし、内容的には変わっていない。あるいは財務局の場合、北部と南部の財務局を統合いたしましたけれども、北には支局として局長がいなくなっただけで全然変わりはないわけですよ。そういう傾向があるだけに、今度のこのやり方というのは一極集中を排除していくという大きなねらいから、あるいは政策的なものから出発をしておると私たちは考えたいのだけれども、これ一つを取り上げてみるとなかなかそうはなりにくい、この点どうお考えですか。
  62. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘のような石炭鉱害事業団をめぐります考え方、試案というものは、実は先生指摘のとおり私どもの中でも当然あったわけでございまして、率直に申し上げまして苦吟したと申し上げるべきだと思います。しかし、やはり一極集中の動きというものを是正してまいりますためには、一つずつ根気よく石を積み上げていくということしかないのではないかと私ども考えておりますし、またこの事業団の体制につきまして、業務の大宗が九州地域に集中をしているという事実があるわけでございますので、今回の移転を機会にさらに事業実施体制を効率化し、有効化するというチャンスを求めることができるのではないかというぐあいに考えた次第でございます。  今後、移転を行うに当たりましては、そうしたより有効な業務体制をつくり上げるという観点に立ちますと同時に、業務の円滑な実施体制が阻害されないような配慮も十分に加えていかなければならないと思いますし、また、これは一般的に当然のことでございますが、関係の職員の皆さんの生活状況等に大きな混乱が起きないように十分行き届いた配慮をしなければならないというぐあいに考えておりますけれども、やはり大きな流れの中でこういった方向に沿って努力をしてまいりたいと考えております。
  63. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は今の答弁を聞いておりまして、大きな流れの中で小さいものだけが流されていく、こういう感じで聞いておりました。その前に基本的にやるべきことがたくさんあるわけですね。土地政策の問題にいたしましても依然として多くの問題を残しておりますし、そうしたことを考え合わせていきますと、大臣にぜひ聞いてほしいと思いますのは、鉱害被害者の心境というのは、これを向こうに移すことによってもう将来的にはなくしていくということが前提になってのことだろうという認識をしているわけです。ですから、鉱害行政というのはこれからますます困難になってくるだろうということで、先ほどからの議論の中でも、大臣は石炭に対する、あるいは産炭地に対するいろいろなそうしたお考えをお持ちである、十分知っておられる大臣がこれを認めるということになれば、今までの信頼が、これは大変だなというような声が起こってきておるわけです。ですから、私はむしろやるべきはほかにまだまだ多くの問題があったのではないかということを感じるわけですが、そうした点が閣議あたりでは問題にならなかったのですか。
  64. 田村元

    田村国務大臣 この問題は大変難しい問題でありますとともに、非常に答弁のしにくい御質問なんですよ。今浜岡君がお答えしましたが、私も聞いておって、あれは答弁ではない、苦しみを吐露しておったようなものだなと思って実は聞いておりましたが、ただ、この問題は一通産省、一労働省をとらまえてどうのこうのという問題ではないと思うのです。どのように東京一極集中から地方へ出していくのか、我々は頭脳立地なんということを言っておるわけでありますけれども、やはりこれは奥野国土庁長官の補佐を受けながら内閣総理大臣が大きな構想のもとで断行すべき問題だ、私はそう思うのです。  でございますから、本来なら奥野さんに御質問願うべきでございましょうけれども、僕に対する御質問そのものにお答えしますれば、事務次官や官房長等々が私のところへやってまいりまして、三つか四つか忘れましたが、カテゴリーがどうで、それに適合するのはこれが適合するわけでございますが、曲げて御了承願いたいということでありましたから、これによって地方は困らないのだな、こう言って確認しましたところ、仕事の大宗は北九州でございますから、北九州地区の鉱害、それも炭鉱鉱害は向こうに多いわけだから迷惑をかけることはない、むしろある意味においては便利になるかもしれない、そういう意味でひとついい面を御理解いただいて曲げて御了承をということで大変言いにくそうに言っておりまして、事務方同士で随分議論をしたのでしょう、エネ庁長官も、決まったからああいうことを言っておりますけれども、決まるまでは恐らく徹底抗戦したと思うのです。でございますから、事務方でせっかくまとめてきたものでありますからしようがありません、私は決済をいたしましたが、これは一極集中を避ける遷都、分都、展都まで含めたもっと大きな問題としてとらまえるべきものであるというふうに基本的には思っております。
  65. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、こういう弱いものが大きな流れの中に巻き込まれてどこに行ったかわからぬというような格好になるのじゃなくて、あるべき姿というものをぴしっと整理をしてかかっておかないと、幸い五年後にはこの法律もなくなることだしなんというようなことになってくると大変なことですから、絶対にそうならないようにするためにも相当深めた論議をしておかないといけないだろうと思ってきょうは出してみたのです。  きょうは時間がありませんからこの程度で終えますが、ぜひそうした点を十分含んでいただいて、鉱害行政がさらに発展をするという前提なくしてこのことは我々は考えられませんから、行政の側の皆さんもそのことを覚悟してやられたと思うのですけれども、その点だけの確認を求めておきます。
  66. 浜岡平一

    浜岡政府委員 私の先ほどの表現がもし先生おっしゃるような受けとめられ方をされたとしますと大変申しわけないことでございまして、私として申し上げたいことは、こうして一つ一つ石を積み上げることによりまして一極集中の流れが変わっていくということをぜひ念じておりますし、また信じているということを申し上げたかったわけでございます。  先生指摘の、今後実際に実施をするに当たりましての配慮事項、これは先ほど私申し上げたつもりでございますが、ただいまの御指摘をさらに踏んまえまして、先ほど申し上げましたような姿勢で真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
  67. 中西績介

    ○中西(績)委員 このことが鉱害行政に大きなマイナス面を来さないように、むしろそれがさらに深まることによって今後続くであろう多くの問題を解決する大きな手だてになった、こうならなければならぬと思うのです。この点、ひとつ御確認をいただきたいと思うのです。よろしいですね。  そこで、鉱害の問題でお聞きをしますけれども、六十二年度の鉱害進捗率、これはどういう状況になっておるのか。近ごろずっと見ますと、あの事件以来、年度の繰り越し事業が相当出てきておるのではないか、そのためにこの計画がおくれておるという印象を多くの被害者の皆さんに与えておるということが出てきておるのではないか、これが実際に多くの人に当たってみての私の感じであります。ここ数年、繰り越しがどの程度出ておるのか明らかにしてください。
  68. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 五十七年度に策定されました鉱害の復旧計画では、その後復旧すべき鉱害量が、先生承知のように当時の価格ベースで五千九百億円ということになっておりますが、現在までの復旧状況をちなみに五十七年度価格に引き直してみますと、例えば、農地の復旧の進捗状況につきましては六五%程度ということになっております。  さらに繰り越しの問題でございますが、五十九年度以降の繰り越し額を申し上げますと、それぞれ五十九年度が百三十九億円、六十年度が百三十七億円、六十一年度が百三十四億円、六十二年度が百三十億円というベースになっております。
  69. 中西績介

    ○中西(績)委員 そういたしますと、事業量からいたしますと、約六百億の中で毎年百三十億から百四十億近くのものが繰り越しをしておる。したがって、多くの人の受ける印象というのはどうしてもおくれておる。ところが、現地の人のいろいろな声を聞いてみますと、認定をされても基本計画なりあるいは実施計画を本省の方でチェックしますから、そのために非常におくれておる。したがって、そのことが今度は被害者にとっては大変な不安になって出てきておる。それにあわせまして、先ほど出てきました事業団の移転の問題あるいは年限が迫っておる、今のペースでは到底無理だというようなことがそれぞれ不安の材料にだんだんなり始めている。私はこれが一番危険だと思うのです。あの事件が出てきた理由というのは、結果的にはこうしたことが重なり合って、それを巧みに利用していった鉱害ボスどものそうした問題があったわけですが、今もう一度、鉱害被害者と通産あるいは事業団、資源エネ、こういうところの信頼関係をどう回復するかというのが一番大事であります。したがって、少なくとも実施計画なり何なりをいち早く認定すれば、これを確定をしていく。事業の多い福岡と東京の間を何回も往復をするというような状況ではなかなか進み得ないと思うのです。ですから、これをどう早めるか、そして安心を与えるか、これが今一番大きな問題になっていると思うのですが、この点どうでしょうか。
  70. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のように、この鉱害復旧事業の促進という問題につきましては、これを図っていきますために被害者の方々の声を適切に受けとめまして、的確な対応措置をとることが重要であるということにつきましては私ども十分認識をしている次第でございます。いろいろ手続の問題等もございますけれども鉱害の処理につきましては、非常に複雑な要件が重なっておる、あるいは公平性を確保しなければいけないということがございまして、私ども、一定の手続はとらせていただかなければならないと考えております。したがいまして、そういう面につきまして被害者の方々の御協力あるいは御理解もいただいていかなければいけないと考えられるわけでございます。  特に、今後とも被害者と賠償義務者あるいは鉱害事業団あるいは行政機関との相互の信頼関係を維持していくことが基本であるという点につきましては、かねがね先生から当委員会でも御指摘をいただいておりますし、私どもも全くそういう考え方に立っておるわけでございます。特に、残った鉱害が見捨てられるのではないかという五十九年当時見られましたような被害者の不安を払拭するということも極めて重要でございまして、このため、私どもといたしましては、必要な予算の確保に万全な努力をいたしますとともに、法期限内にこの鉱害が復旧されますように最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
  71. 中西績介

    ○中西(績)委員 鉱害問題は、そうした意味で相互の信頼関係をどう確保するかということが大変重要ですから、この点をいつまでも堅持していただいて、回復を早めていただくようにぜひ今後の対策を固めていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、私は、産炭地振興対策一つだけお聞きをしておきたいと思うのです。  それは、第八次政策による閉山縮小に対する振興策をここで論議をする際に、例えば北海道の場合も、地域的には大変陸の孤島みたいな格好になるわけですし、高島は海上の孤島でありますけれども、こうしたことで一致しますので、振興策は高島の対策がどうなされたかによって大体方向性が出てくるのではないか、こう私たちは議論をしてまいりました。しかし、町長も大変苦労してお亡くなりになりましたけれども、まだまだこうした点で私たち十分だとは言い得ないし、多くの問題を残してきています。したがって、その後の高島は大体どうなっておると私たちは理解をしたらいいのか、そして行政ペースとしてはどの程度いったと言えるのですか、この点をお答えください。
  72. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 六十一年十一月に高島が閉山をいたしましたが、まず、その後の高島町の状況でございますけれども閉山後現在までに人口が約三分の一になっております。具体的に申し上げますと、六十一年十一月末に五千四百九十一人と登録をされておりましたけれども、六十三年三月末で千七百五十四人という状態になっております。  私どもといたしましては、この高島炭鉱の閉山に伴う産炭地域振興対策が極めて重要であるということで、幾つかの施策を講じてまいっておるわけでございます。幾つか申し上げますと、例えば一つは、産炭地域振興臨時交付金制度によります基準額の交付ということで、六十一年度から六十四年度までに合計二億七千万円の交付金を交付いたしまして、町の財政に刺激となるようにということで考えておるわけでございます。さらに、六十二年度にこの町が実施をいたしましたスポーツ・レジャー施設等観光開発に関する調査というのがございますが、そういうものに対しまして、産炭地域活性化支援事業によります支援等も行ってまいったわけでございます。さらに、現在、高島炭鉱の閉山に伴いまして発生いたしました炭鉱離職者のための雇用機会の拡大に貢献をできるというような観点から、佐世保の工業団地造成につきまして検討を進めておるところでございます。また、三菱グループにおきましても幾つかの会社を設立するということでございまして、町長がお亡くなりになりまして心からお悔やみを申し上げたいと思いますけれども、新しい町長も御就任になったようでございますので、新町長のもとにぜひ自発的なアイデア等も出していただきながら、この高島町の振興について、私ども万全の支援体制をしいてまいりたいというふうに考えております。
  73. 中西績介

    ○中西(績)委員 大臣に一言だけお答えいただきたいと思うのです。  先ほど同僚の中沢委員の方からも質疑がありましたけれども、今度は、プロジェクトシーズの育成あるいはプロジェクト事業化の促進など、いろいろ新規のものを予算化することによって地域の国際リゾート的な大規模プロジェクトを目指すということでやっておりますけれども、これは、自然の条件だとか地域的な条件などよほどのものがないとなかなかできにくいということがあると私は思うのです。今まで二十年間にわたる旧産炭地域の内陸部における振興対策、これは地方で言うならば北九州という地域、重厚長大型産業、ここが一つの牽引的な役割を果たして、ブロックごとに再生を果たそう、振興策を図ろうということでやってきたわけですけれども、もとになる牽引的な役割のところが今落ち込んで、求人倍率だって筑豊と大体同じぐらいになってしまっていますね。これではどうすることもできないので、我々が主張いたしましたように、主体的に自立するための措置としては今何をなすべきかということを多くの市町村なり皆さんが検討し始めておることは事実なんです。  このことはまた大変重要です。やはりリゾートを中心にして、当面、北海道なら北海道という地域についてはやり得ても、高島ではできないし筑豊ではできないわけですよ。ですから、短期的にこうした問題についてどうする、そして今まで続けておったものをさらに長期的にこれからどうするかという場合に、人材の育成だとか地域の文化の育成だとか、いろいろな多くの問題の基幹になるもの、根底にあるものをどう起こしていくかということとあわせてやらなければならぬと思っております。したがって、そうした問題を、いろいろな答申なり何なり出ておりますけれども施策としてもそうした面をもう少し積極的に押し出していただかなくてはならぬのではないか、こう考えておりますが、大臣、私の今言った問題等についての御見解があれば一言。
  74. 田村元

    田村国務大臣 この対策というのはもうこれという問題だけに限定しないで、考えられる、あるいは実行できると思われるすべての問題に取り組んで、そして総合的に地域の特性を生かしながら取り組んでいくということであろうと思うのです。でございますから、今おっしゃったように目先の問題、中長期的な問題、それはございましょう。また、内陸型の産業疲弊というものに対しててこを入れることもまた必要でございましょう。ありとあらゆる角度から検討をいたしておりますし、またそれをしなければなりませんが、野党の方におかれましても、いろいろとまた建設的な御意見をお述べいただければ私も参考にいたしたいし、大変幸いと思っております。
  75. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わります。
  76. 福島譲二

    福島委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ────◇─────     午後一時十八分開議
  77. 福島譲二

    福島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉井光照君。
  78. 吉井光照

    ○吉井委員 まず私は、本論に入ります前に、高島町の現況について若干お尋ねをしておきたいと思います。  一昨年の第八次石炭鉱業審議会の答申は、昭和六十二年度から五年間の国内炭生産枠を第七次の二千万トンから一千万トンの供給規模とするという方針を打ち出して、これに伴って、八次答申直前の六十一年十一月に長崎県の高島鉱山が、また、答申後の昨年七月に北海道の上砂川町の砂川鉱山が、そして同年十月に夕張市の真谷地炭鉱が閉山をしたわけですが、この閉山によりまして各地域社会は大きな影響を受けまして、特に高島町は一町一島一鉱でほぼ一〇〇%石炭に依存していたため、大きな問題を醸し出したわけでございます。それは大規模な人口流出によりまして航路便数の減少、また病院の医師や診療科目の減少あるいは水道料金の引き上げ、さらには役場職員の減少等が生じて、いわゆる町としての機能の維持さえ懸念されたわけでありますが、現在の高島町の人口、役場職員数、航路便数、病院の診療科目等は閉山前と比べてどのようになっておるのか、また町としての機能の維持に問題は出ていないのか、これはひとつ自治省からも御答弁を願いたいと思います。
  79. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 まず、私から高島町の現状について御説明を申し上げたいと思います。  高島が閉山いたしました昭和六十一年十一月のころの人口でございますけれども、五千四百九十一人でございました。現在の人口、すなわち三月三十一日現在でございますが、千七百五十四人が登録をされておるということでございまして、閉山当時に比べまして三千七百三十七人、六八・一%の減少となっておると承知いたしております。  先生の御質問の第二点の役場の職員数でございますけれども閉山当時百三十五名であったそうでございますが、現在八十三名というふうに伺っておりまして、五十二名、約三九%の減員となっております。  航路便数につきましては、閉山時も現在も変化がございませんで、往復九便運航しておるというふうに伺っております。  病院でございますが、高島町の町立病院は、閉山当時、内科、外科、小児科、皮膚科、眼科、歯科の六科目あったと承知しておりますが、六十三年の四月一日現在で、内科、外科、小児科の三科目というふうに減少しておるようでございます。また、病院のベッド数は四十三ベッドでございまして、これは閉山時と同一であるというふうに理解をしております。
  80. 二橋正弘

    ○二橋説明員 高島町の人口その他につきましては、ただいま通産省の方から御説明のあったところでございますが、こういう急激な人口減に伴いまして、地方税収入も急激に減少するような状況にございます。したがって、町の行財政運営にもいろいろ大きな影響が生じておるわけでございますが、その中で、町としても県の支援を受けながら、開発振興策でございますとか、あるいは行財政体制の合理化等につきまして、地方公共団体としての役割を果たすべく懸命の努力をしておられるというふうに承知いたしております。  自治省といたしましては、従来から、産炭地の特有の財政負担あるいは高島町のような閉山に伴います特別の財政事情につきまして、地方交付税の配分等について特別の配慮をしてきたところでございますが、今後とも情勢の変化を見きわめながら、地方財政の運営に重大な支障が生じないように、県とも密接な連絡をとりながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  81. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、閉山地域対策進捗状況についてお尋ねをしたいと思います。  産炭地域疲弊閉山によるもので、それはいわゆる国のエネルギー政策の転換に起因したものですから、産炭地域振興対策は国が責任を持って行うということは当然なことであると思います。現在、国では閉山炭鉱ごとに関係省庁の連絡会議を設けて、地域ごとに対策を講じているようでございますが、各閉山ごとの地域対策の概要と現在までの進捗状況をひとつ明らかにしていただきたいと思います。また、これらは閉山に伴う離職者対策地域振興対策として効果が上がっておるのかどうか、この点もあわせてお尋ねをしておきたいと思います。
  82. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 まず、閉山後の地域振興対策進捗状況でございますが、私ども閉山が行われますと、先生指摘の各省庁連絡会というのを開きまして、閉山に伴う地域対策雇用対策あるいは地方財政対策等につきまして各省庁に協力を求め、方針等の決定をしていただいておるわけでございます。  高島町につきましても、閉山後いろいろな対策が講ぜられていると承知をしておりますが、私ども通産省といたしましては、まず第一に、高島炭鉱の閉山に伴いまして、産炭地域振興臨時交付金制度の中に基準額というのがございますが、市町村の財政支援のためにこの基準額を交付することになっておりまして、六十一年から六十四年度までに合計二億七千万円の交付をする予定にしております。  二番目に、産炭地域活性化支援事業というのがございます。これは、その地域地域開発プロジェクトをつくり出すためのいろいろな調査に交付金を交付いたしまして支援をする制度でございます。これによって高島町が実施いたしましたスポーツ・レジャー施設等観光開発に関する調査というのがございますが、こういう新しい地域開発のためのアイデアづくりというようなものに支援を行っておるわけでございます。  三番目に、高島炭鉱の閉山に伴いまして炭鉱離職者の方々が発生されるわけですが、御承知のように高島は非常に狭い島でございますので、現実問題としてそこだけで雇用を確保するには非常に困難な問題がございまして、何とかそういう雇用の場の提供ができないかということで、佐世保工業団地造成につきまして現在検討を進めておるところでございます。  そのほか、各省庁連絡会の場におきまして、高島町に対します公共事業の重点配分等につきましてもいろいろ御議論をいただきまして、それぞれ対策を講じていただいているところでございます。もちろん企業におきましても、三菱グループが中心になりまして幾つかの企業を設立するというような努力も続けられておるというふうに承知しております。  私どもといたしましては、今後とも、閉山影響を極力緩和して地域活性化支援するという観点から、関係省庁と密接に連携をとりまして、地域対策及び雇用対策実施に万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  83. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、自治省にちょっとお尋ねをしておきたいのですが、地方交付税の新人口急減補正についてお尋ねをいたします。  自治省は、昨年、普通交付税の配分に当たって新たに新人口急減補正を設けて、昭和六十年三月以降二年間の人口減少率が五%以上の団体に対して一人当たり四万円を措置して、閉山等による人口急減市町村に対する財政援助措置を講じてきたわけですが、これを今後、少なくとも二年間を三年間にするとか、また一人当たり四万円を十万円程度に拡大するとかいうような改正をして、こういった人口の急減した市町村に対して援助を行っていくという考えはありませんか。
  84. 松本英昭

    ○松本説明員 御指摘のように、近年におきます炭鉱の閉山や有力企業生産規模縮小等経済社会環境の変動等によりまして人口が急激に減少した市町村におきましては、人口急減に伴いまして財政需要があるであろうということで、昨年から新たに、交付税の算定におきましてこれらの財政需要の算入を図るために、交付税の基準財政需要額に所要の経費を算入したところでございます。当該算定措置は関係団体からも大変評価をしていただいておりまして、今後その措置を継続するとともに、関係方面の意見等も踏まえながら、内容の充実を図るべく検討をいたしてまいる所存でございます。
  85. 吉井光照

    ○吉井委員 では、次に産炭交付金の改善についてお尋ねをいたしますが、通産省産炭地域振興臨時交付金については、地方自治体から改善を望む声が非常に大きいわけです。中でも、十一事業対象としている特定事業促進調整額については、いわゆる廃棄物処理施設であるとか公立社会体育施設の整備事業といったものが対象に加えられて、また二〇%以上とされている市町村の義務負担額を軽減する等の要望が極めて強いわけでございます。六十三年度ではこれらの要望を入れて改善が図られたのかどうか、また、改善できないのであるならばひとつその理由をお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、金子(原)委員長代理着席〕
  86. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 産炭地域の臨時交付金制度でございますけれども、これは先生御高承のように、非常に古くからいろいろな制度が決められておりまして、先ほど申し上げました閉山時の市町村に対します交付金、これを基準額と称しておりますけれども、そういう制度もございますし、あるいは調整額といたしまして集落ぐるみ移転したときの調整額あるいは炭住の改良事業あるいは不用公共施設の起債の償還あるいは特定公共事業に対します調整額、その他かなり幅広い分野にわたってこの制度が運用され、かつ活用されておるわけでございます。私どもといたしましては、創設以来、必要に応じ制度の拡充強化に努めてまいったところでございまして、とりわけ本年度からは産炭地域総合支援事業を創設いたしまして、新たに大規模プロジェクト事業化促進調整額というものを設けましたほか、御指摘の特定事業促進調整額につきましてもその効率的な配分に努めることとしているところでございます。
  87. 吉井光照

    ○吉井委員 では、民間企業の採算に対する公的助成についてお尋ねをしておきたいと思いますが、産炭地振興の柱となるものは、何といいましても第三セクターも含めて民間企業事業活動であります。ところが産炭地では、その立地条件等からいって民間企業が採算ベースに乗って活動することが非常に困難である、いわゆる民活法によるところの民活事業産炭地では非常に少ない。NTT株の売却収益を活用したCタイプですか、これもその民活事業の種類が限定されて、しかも、第三セクターでなければならないというように融資事業に制約が設けられていることもあって、産炭地ではほとんど活用されていないのではないか、このように聞くわけですが、この際、この融資条件を地域ごとに変えて、産炭地域では民間企業でも採算がとれるようになるまで思い切った融資を行うような体制づくりはできないのかどうか、この点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  88. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 産炭地域の中でも、特に稼行炭鉱が所在しております地域と申しますのは内陸部等条件に恵まれない地域が多い、こういう炭鉱を持っております、あるいは持っておりました地域事業につきまして支援策を講ずるべきではないかということで、昨年十一月の産炭地域振興審議会の場で産炭地域振興のあり方について建議をいただいておるわけでございますけれども、その中でも、先ほど申し上げました産炭地域総合支援事業といいますか、地元の発意を活用いたしまして、それを実現するためにいろいろな制度、施策を糾合して適用していく、こういう構想のもとでの新しい制度が生まれたわけでございます。そういう体系の中で、産業基盤整備基金あるいは地域振興整備公団によります出資事業、それから今先生から御指摘がございましたNTTの株式の売却益を活用いたします無利子の融資制度あるいは産業基盤整備基金の利子補給によります低利融資制度等新しいいろいろな制度ができておりますので、こういうような各種の公的支援措置を活用いたしまして地元プロジェクトに対して支援をしていくことが必要であろうというふうに認識しております。  特に、各省庁連絡会も、最近は産炭地域の実情につきましての御理解も深まっておりますし、今申し上げましたような制度のみならず、各省庁が持っておられますいろいろな制度を糾合して何とか産炭地域の再生に努力をしてまいることが必要であると考えておりますけれども、既存制度の活用は、何といってもいわゆるよいプロジェクトを発掘するということが大事でございまして、これはやはり地元方々の発意、それに対しますいろいろな支援ということが一体となりましてよいプロジェクトが生み出されていく、そして、そのよいプロジェクトが生み出されますと既存の制度の活用の機会も多くなっていくということでございまして、産炭地域支援事業の中でも、従来のハード面の支援に加えましてソフト面での支援も行っていくというような考え方も取り入れておりますので、今後これらの制度が活用されることを私ども期待をしておるわけでございます。
  89. 吉井光照

    ○吉井委員 では次に、自治省は、竹下総理のふるさと創生論に立って、この春、地方自治体の資金によって仮称ふるさとづくり財団をつくって、この財団が地域活性化に役立つ事業を行う民間企業に対して無利子融資を行うという構想を発表されたわけでございますが、これは産炭地振興にとっても極めて有意義なものと考えるわけです。ところが、通産省の方はこれに反対だというふうなことを聞いておるわけですが、これはどういう理由ですか。
  90. 安楽隆二

    ○安楽政府委員 地域経済をめぐる厳しい環境にかんがみまして、地域活性化を図ることが極めて重要な課題であるということは私どもも強く認識しておりまして、当省としてもいろいろな対策の充実に努めているわけでございます。今先生指摘になりましたふるさと財団の構想につきまして自治省が検討中であるということは承知しておりますけれども、本件につきましてはその詳細等についてまだ十分承っておりませんので、今後、自治省から御相談があった段階で検討してまいりたい、こういうふうに考えている段階でございます。
  91. 吉井光照

    ○吉井委員 自治省、これは大体いつごろまとまるのですか。
  92. 松本英昭

    ○松本説明員 いわゆるふるさと財団につきましては、私ども、この一月にごく素案をお示しいただきまして、現在関係方面等といろいろ調整をいたしておるところでございます。私どもといたしましては、地方がみずから判断をして民間事業支援できる仕組みとして、関係方面の御理解を得てできるだけ速やかに実施に移させていただければありがたい、かように考えておる次第でございます。
  93. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、公的機関のいわゆる産炭地への立地についてお尋ねをしたいと思うのです。  国の機関等の移転問題については、去る一月二十二日、移転のための四つの基準が閣議決定をされて、都内二十三区外に立地することが適当な試験研究機関も移転対象にすることになったようですが、二十三区内の国の試験研究機関の数は幾つあるのか、また、今移転候補に上がっている数は幾つあるのか。さらに、国土庁長官の言われるところの本年七月下旬を目途に、今後移転に向けてどのようなスケジュールになるのか。国土庁にちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  94. 中野和義

    ○中野説明員 お答えいたします。  まず第一点は、一月二十二日に閣議決定になりました国の機関の移転に関係いたしまして、東京二十三区内に所在する試験研究機関等の数でございます。いわゆる試験研究機関といいますのは、組織上は、施設等機関あるいは特別の機関という形で各省庁にいろいろな形で設置しておりまして、それぞれの研究内容等々もいろいろ多岐にわたっておりますので、試験研究機関として数を特に把握したものはございませんが、東京二十三区内に所在いたしますいわゆる試験研究機関を含む附属機関は約九十というふうに承知しております。  それから、全体的にどのような機関が対象となっているかという御質問でございますが、これは、二十三区内にある試験研究機関を含めて、今先生から御質問ございました閣議決定の中で移転を検討すべきものとされておる地方支分部局あるいは特殊法人、国立大学といった四つの性格の機関が約二百機関あるわけでございます。この中には性格上東京都区部内にどうしても置かなければいけないものも含まれているわけでございまして、現在はこれら二百機関につきまして、関係省庁とその移転のための検討をお願いしておるわけでございます。  今後のスケジュールでございますが、一月二十二日の閣議決定を受けて国の機関等移転の連絡会議を発足いたしまして、今後のスケジュール等について打ち合わせをしておるところでございますけれども、おおむね夏ごろを目途に移転機関等についての方針を固めていきたいというふうに考えております。
  95. 吉井光照

    ○吉井委員 今、この夏ごろまでには大体決定されるとの答弁をいただいたわけですが、試験研究機関は他の行政機関とも、また住民とも直接関係が、まあ、ないと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、余り関係のない機関でございます。したがって、この際、産炭地等にこうした試験研究機関を移転させたらどうかというように思うわけです。民間企業を直接誘致するといってもなかなか難しい問題もありますし、それよりも今言った国の試験研究機関を立地させれば、土地対策はもとより、これを核として自然に民間企業が立地するのではないか、また道路等の交通、通信基盤も整備をされて、国による産炭地振興対策としては最も効果のあるものではないか、このように思うわけであります。関係省庁は共同してこうした問題にも真剣に取り組むべきではないかと思いますが、国土庁と、そして最後に通産大臣の御意見をお尋ねをしておきたいと思います。
  96. 中野和義

    ○中野説明員 現在、各省庁に検討をお願いしております移転候補機関の移転先等につきましては、これから具体的な検討がなされるわけでございますが、やはり移転の趣旨あるいは業務内容等を考慮いたしまして、それぞれの機関にふさわしい移転先を選定していくのが適当というふうに考えておるところでございます。この場合、機関の性格上どうしても東京周辺とならざるを得ないものもあるわけでございますが、可能な限り地域振興につながるという観点からの検討も必要というふうに考えておるところでございます。
  97. 浜岡平一

    浜岡政府委員 昨年十一月の産炭地域振興審議会建議におきましても、産炭地域振興という観点から、公的施設の誘致等について配慮すべきであるという御指摘をいただいているわけでございます。これを実行に移すことができますと、御指摘のように非常に大きな波及効果等も期待できるわけでございまして、これまでも常々、関係各省庁等の御意向を打診し続けてきているところでございます。今回、今御説明がございましたような新しい動きもあるわけでございますので、そうした決定を待ちました上で、一つずつの組織について、産炭地域への移転の可能性等につきまして丁寧に検討をしてまいりたいというぐあいに考えております。産炭地域振興関係各省庁等連絡会というような場もあるわけでございますので、こういった場を通じまして、今申し上げましたような対応を根気よく続けてまいりたいと考えております。
  98. 吉井光照

    ○吉井委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。
  99. 金子原二郎

    ○金子(原)委員長代理 次に、藤原房雄君。
  100. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 最初に、通産大臣にお伺いをいたしますが、昨年、第八次石炭政策が講ぜられましてちょうど一年ということでございますが、この一年を総括いたしましてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、また今後のお取り組みに対する御決意といいますか、お考え等もお伺いしておきたいと思うのであります。  この第八次石炭政策におきましては、生産規模の段階的縮小はやむを得ないが、地域経済雇用への影響を緩和して集中閉山を回避するということを基本といたしまして、種々の施策がとられたわけであります。緩やかなということでございますが、当委員会におきましても、相次ぐ閉山が緩やかであるかどうかということについてもいろいろ議論がございました。そして地域経済に及ぼす影響雇用ということに対しては、きょうの委員会でもいろいろ議論がございますように、これまた現在の産炭地の特殊性からいいまして雇用の場はなかなかそう安易なものではない、非常に厳しい状況の中にある。こういうこと等も踏まえまして、この一年を総括しての大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  101. 田村元

    田村国務大臣 第八次石炭政策のもとで、石炭企業各社は一生懸命に生産体制の合理化に努めておるところであります。六十二年度の国内炭供給規模は、千四百四十万トン程度となる見込みでございます。  我が国石炭鉱業は、現在、みずからの努力、需要業界の協力、そして政策的な支援というようなことで生産体制の円滑な集約化を進めつつあるというふうに私は認識しております。通産省としましても、今後ともこの八次策の着実な実施を図りますように、引き続き適切な支援を行ってまいる所存でございます。また、生産体制の集約化に伴います地域経済雇用等への影響を緩和するために、昨年十一月の産炭地域振興審議会建議を踏まえまして、産炭地域総合支援事業の創設などを通じて、地域の再生を目指す努力を積極的に支援してまいる所存でございます。  いずれにいたしましても、過去約二年を振り返りまして大変でございました。特に高島鉱山の閉山を初めとして――高島の場合も、本当にあの法律が今適用されるという直前にああいうことになったりして、本当に悲惨なことでございましたが、我々、野党の御協力も得て懸命に努力をしてまいりました。真谷地の場合も、もちろん十分なことはできませんでしたけれども、まあまあという対応はできたかと思いますが、今後とも、いろいろとまた御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げる次第でございます。
  102. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 時間も非常に制約されておりますので、多岐にわたります諸問題についていろいろお話を聞きたいのでありますが、なかなかそうもいかない状況にあります。  いま一点、これは長官でも結構でありますからお伺いしておきたいのは、エネルギー情勢というのは、揺れ動く国際経済社会の中でそのとき、そのときの諸情勢を十分に勘案しなければならぬわけでありますが、確かに昨年は、八次答申にございましたように、エネルギー全体が国際的に緩和基調にあったという事実は事実だと思います。ところが、最近はホルムズ海峡、ペルシャ湾における緊張ということで、これが石油価格そのほかにいろいろな影響を及ぼしておるということ等もございます。長期需給見通しということで長期展望に立つ計画とともに、そのとき、そのときの国際情勢によりまして一喜一憂することなく、エネルギーの確保ということに対しての責任ある計画、そしてまた対処というものが必要だろうと思うのであります。しかし、今現実に起きておりますペルシャ湾の緊張というものについて、通産省としてはどのように受けとめていらっしゃるのか。  それから、諮問いたしまして一昨年に答申の出る諸情勢の状況のときには、確かに国際的にもエネルギーの緩和基調の中にありましたし、国内的にも、産業転換の迫られる中で各産業が大変な苦悩をしておった時期でありました。去年の暮れから、公共事業の大幅な拡大とともに産業がまた活発な活動を展開するような景気の上昇という状況の中にあります。策定した時点が非常に厳しかっただけに、今になってみますと、もちろんああいうときに作成されたものでありますから厳しく受けとめなければなりませんし、これからもそう急転回するわけじゃないだろうと思いますが、現時点になりますと、余りにも厳し過ぎたのじゃないかというふうな感じもしないわけではありません。  いずれにしましても、石炭産業は何といいましても企業の自主的な努力が大前提であるということはこの八次答申の中にも盛られておりますが、確かに現在残っております炭鉱は、非常に厳しい状況の中で生産活動を遂行しておる。こういうことからいたしまして、この国際エネルギー情勢という中で、円高と緩和基調の中で価格差がどんどん開くという厳しい状況の中でつくられた答申、今日もそう大きな変化はないのではありますけれども、最近は原子力発電所に対するヨーロッパ等における反対運動とか、日本におきましてもまた同様なことがございまして、さらにまた、今後のエネルギーの現状からしまして石炭火力が見直されるということもございまして、新聞等によりますと、東京、関西、中部それぞれで大きな火力発電所の計画もあるようでございます。国際的、国内的なエネルギー情勢ということを踏まえましてお尋ねをしておきたいと思うのであります。
  103. 浜岡平一

    浜岡政府委員 全く御指摘のとおり、エネルギー問題を考えます際には、一方では絶えざる緊張感、他方では長い目での未来観といったものが同時に必要であるという思いを常々強くいたしております。当面、ごく最近起きておりますペルシャ湾でのトラブルの影響でございますが、御高承のとおり、米軍が攻撃をいたしました油田が二つあるわけでございます。ナスル油田の方は四万バレル・パー・デーぐらいの生産をやっておりまして、そのうち日本が二万六千バレル・パー・デーぐらいを引き取っているわけでございます。もう一つのサルマン油田でございますが、これは一九八三年に十一万バレル・パー・デーの生産があったというようなデータもございますが、最近はほとんど生産を行っていなかったようでございます。それから、イラン側が攻撃をいたしましたアラブ首長国連邦のムバラク油田でございますけれども生産量は一万バレル・パー・デー以下のようでございまして、日本の引き取りはございません。したがいまして、全部を通じまして日本影響を受けますのは二万六千バレル・パー・デーぐらいでございますけれども、現在の日本の原油の引き取り量が三百二十万バレル・パー・デーぐらいでございますから、全体の一%にも満たない、〇・八%ぐらいといったレベルでございます。かつ、引き取りをやっております企業も直ちに代替手当てが可能だというぐあいに言っておりまして、量的な影響は、現在のままで鎮静化していくとしますとほとんどないと考えていいのではないかと思っております。  他方、価格の方でございますが、これは先生指摘のとおり、六十一年のどん底からはある程度持ち直しているわけでございますけれども、持ち直しますとまたOPEC諸国の増産意欲が出てまいりまして、最近までかなり原油価格が下がっておりまして、十五ドルを割っているという見方が一般的でございます。その後四月末に、OPECがまず非OPECとの協議を行う、さらにそれを受けまして、OPECのこれは総会ではございませんけれども、コンサルタティブと言っていますから打ち合わせということになるのかもしれませんが、そういった性格の会合を開こうとしているという情報が流れまして、石油市況はかなり持ち直しておりました。むしろやや急ピッチに上がり過ぎているという感じもあったわけでございまして、今回のトラブルが比較的短時日に終息をいたしましたことで、かえってこの上がり幅が若干の反落を見せるという状況もあったわけでございます。結果としましては、価格面でもほとんど影響を受けていないということでございます。  今後、今申し上げましたOPECと非OPECの協議がどうなるかというところが市場の最大の関心でございまして、四月末へ向けての動向が注目されるわけでございますが、非OPECの協力がどこまで得られるか、なかなか不透明なところもあるわけでございます。いずれにしましても、いわゆる十八ドルラインといったものを大きく離れることはないのではないかというのが一般的な観測ではないかというぐあいに考えております。  しかしながら、九〇年代に向かいましては非OPECの生産力が落ちてまいりますし、発展途上国を中心に需要がふえてまいりますので、石油需給は再び次第に逼迫化していくというのが一般的な見方でございまして、やはり未来観を持った着実な対応が必要不可欠であると考えております。そういった意味では、今後、原子力につきましては安全性を第一に、また石炭火力等につきましては環境面への配慮を第一に、着実に取り組んでいく必要があろうと考えております。
  104. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 八次答申では五年の中期展望といいますか、その上に立ちまして、生産量も一千万トン程度というところへ持っていこうということのようでありますが、今お話ございましたように需給関係というのは、そのとき、そのときの諸情勢もございまして、計画どおりなかなか進まないいろいろな要素もまたあろうかと思います。私どもの立場としては、国内石炭の位置づけ、意義というのは、答申の中にも明記されておりますようにそれなりにあろうかと思います。安定的供給ということからしますとこれにすぐるものはないわけであります。これが雪崩的なことでどんどん縮小してしまうようなことでは、この揺れ動く社会情勢、国際情勢の中でどうかという危惧を抱くわけであります。  次にお伺いしておきたいのは石炭の生産計画ということになるわけでありますが、何と言っても石炭が利用されなければならぬ。八次答申の中で一千万トン程度ということになっておるわけでありますけれども、石炭の利用というものが新しい局面を迎えることがまた新しい道を開くことになるだろうと思います。そういうことからいいまして需給関係というのは一番大事なことになるのだろうと思いますが、需給計画の策定について、これは午前中の質問にもございましたが、今いろいろ御検討なさっている、聞き取り調査等進められておるようでありますけれども、やや景気が回復したという状況の中で、六十三年度の需給計画の策定についてどういう見通しをお持ちになっていらっしゃるのか、この点についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
  105. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 御指摘の六十三年度の需給でございますが、まず需要でございます。これは午前中にも申し上げましたけれども、第八次石炭政策策定時の基本的な合意に基づきまして、毎年度需給両業界が協議をして定めることになっておりまして、現在、需給両業界との間で鋭意交渉が行われているというふうに承知をいたしております。また、これに見合う生産の方でございますけれども、これも答申の線に基づきまして、各社各炭鉱の保安の状況でありますとか炭量の状況でありますとか、坑内骨格構造、生産技術といった生産条件あるいは炭種別の需要動向あるいは経営の見通し、こういうものを総合的に勘案して、各社において鋭意生産計画検討が続けられておるというふうに理解しております。  しかし、いずれにいたしましても、この需要の数字あるいは生産数字につきましては、最終的には、まず需要については両業界の合意が必要でございますし、生産につきましては、もちろん企業内で労使で十分話し合っていただいて生産計画を立てていただくということが必要でございますので、現在のところ、私どもから数字等についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、私どもといたしましては、八次策の方向に従いまして集中閉山を回避し、なだらかな生産体制の集約化を推進していくことが基本であると認識しておりまして、このため、今後とも国内炭の引き取りにつきまして、石炭企業の自己努力あるいは政府の適切な支援のもとで需要業界のぎりぎりの協力を期待する、片や、石炭企業各社の生産体制の円滑な集約化に向けての努力に対しましては、できる限りの支援を行っていくという方向で対処してまいりたいと考えております。
  106. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 需給計画につきましては、これから需給部会が中心になりましていろいろ御検討なさるのだろうと思いますが、現在の貯炭の状況ですね。数字や何かはいただいておりますけれども通産省はどのようにそれを受けとめていらっしゃるのか、また、今後の見通しとか傾向というものについてどうお考えでいらっしゃるかということについてお伺いしておきたいと思うのです。  それから、電力との需給関係についてですが、引き取りについては大体話が決まったようでありますけれども、やはり前年対比で電力としましても何%か伸びるといいますか、使用量がふえるようであります。海外炭がふえるということでありますけれども、電力との関係、これらのことを含めてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  107. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 まず、貯炭等の状況について御説明を申し上げたいと思います。  六十二年度の速報値におきます年度末の貯炭の見通しにつきましては、三月末で約四百五十万トンの貯炭量になるのではないかというふうに考えられております。実は、昨年の十二月末の貯炭量が約四百九十万トン強ということで一時この貯炭の累増が心配されたわけでございますが、需要期を迎えまして需要業界の引き取りも進みまして、三月末には四百五十万トンというレベルで推移をしております。この間、私どもといたしましては、この一時的な需給ギャップに基づきます貯炭、特に過剰貯炭につきまして買い上げを行うということで、新共同石炭におきまして、昨年度の第四・四半期分まで累計をいたしますと三百六十万トンの貯炭の買い上げを行ってこれに対処してまいったわけでございます。今後につきましては、さらに貯炭の状況、過剰貯炭の状況あるいは各企業の経営の状況等を勘案いたしまして、六十三年度の買い上げにつきましても、必要であればなるべく早い機会に買い上げを行いたいというふうに考えております。  さらに、電力業界の引き取り問題につきましても、先ほどと同様でございますけれども、一応八次策の枠の中で当面おおむね一千万トンの引き取りということでお約束をいただいておりますので、その方向で推移をするのではないかというふうに考えております。
  108. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 貯炭の方も去年の暮れから見ますと少し減ったようでありますが、これは経済の動きと非常に連動する一面もありまして、円高の中で価格差がだんだん開くような現況の中にあります。一方では海外炭が最近は値上がり傾向にあるといいますか、報じられるところによりますと、交渉の中で海外炭につきましても値上げの要求が強い。それは値上げ幅ということになりますとわずかかもしれませんが、交渉の中でもそういう傾向にあることは事実のようであります。石油にしましても石炭にしましても非常に揺れ動く、そしてまた、長い目で見ますといろいろな問題のあります中でのことであります。こういうことからいいまして、一千万トンの八次策のなだらかな遂行ということを国内の石炭産業として確保するといいますか、何とかこれの計画を進めるということが非常に大事なことになるのじゃないかと思います。  時間もございませんので、今後の動きと中長期的な見方、いろいろなことについてお尋ねしたいと思いましたが、この程度にしておきます。今の部長お話からしますと、今後いろいろ予測される貯炭のことにつきましても十分な手当てができるというふうに受けとめさせていただいたわけでありますが、生産に当たっております各山の需給関係が円滑に進むように、ぜひひとつ御配慮いただきたいものだと思います。  次に、地域振興の問題でございますが、これも午前中いろいろ触れられておりました。確かに各地域でそれぞれの計画を立てられ、各町村ごとの計画、それから総合的な計画、さらにまた、建議によりまして総合支援事業という形でそれをバックアップするという形はできました。また、もう一々申し上げる時間もございませんが、それぞれの地方自治体で熱心な企業誘致をいたしましてそれぞれ配置をする、またいろいろなお話がある。計画も、絵にかいた計画それから現実的なもの、こういうものが今散在をしておるのでありますが、これを一つ一つきちっと計画どおり進めていくには、ここ二年、三年の担当官庁の御努力が非常に大事なときになっているんじゃないかと思います。いろいろな話はありますけれども、具体的にそれが進むということになりますとそれなりに計画もしっかりしていなければなりませんし、また支援対策も強力でなければなりません。そういうことから、総合支援事業というのはいろいろな意味で重要なことだろうと思います。そういうことで、今後の支援事業に対しましてひとつ強力な体制で臨んでいただきたい、このことを実は要望いたしておきたいと思います。  過日、ある方のお話を聞きました。西ドイツのエッセンというところの市長さんですが、ここはアメリカのピッツバーグと並んで重工業都市から文化学術都市に変貌したということで模範的なところと言われているわけであります。この市長さんがいらっしゃっていろいろなお話をしたのをちょっと読ませていただいたのです。企業がいらっしゃるときに企業のトップの方々が考えることは、やはりそこに文化的な魅力というものを感ずるからなんだ。そこに従業員が張りついて企業活動するには、その地域に文化的な魅力というものが必要だ。今いろいろ計画を立てておりまして、これから観光とかリゾートとかいろいろなことが言われておるわけでありますけれども、確かに産炭地という特殊事情の中で今そこに企業誘致するということからいたしますと、それは手っ取り早い一つの方法であるかもしれません。総体的に観光とかリゾートとかいうことが中心になっておるわけでありますが、やはり文化的な要素、それから学術研究とかいうものがそういうところになければ魅力というものを感じない、ただリゾートとか観光というだけでは満足し得ないそういうものがあるのじゃないか。筑波学園ができたとき、私も科学技術の方を担当して何度か向こうへ参りましたが、地元の研究者の子弟の教育とかいうことで地元でいろいろな要望をお聞きしたことを今思い出しておるのであります。  産炭地振興というのはいろいろな要素が絡み合っていますからあれですけれども、これから大きな計画を立てるに当たりましては、確かに今立てておる計画を力強く進めていただくことも大事なことでありますが、そこに文化的な魅力をというこの市長さんのお話は、確かに私ども考えなければならない一面があるなというふうに読ませていただいたのです。そういう点からいいますと、全体的な計画の中にもそういう要素がないわけじゃありませんが、失敗の許されない産炭地としてまた新しい出発をするわけでありますから、いろいろな情勢を勘案してお進めいただきたい、こう思うのですが、いかがでしょう。     〔金子(原)委員長代理退席、委員長着席〕
  109. 浜岡平一

    浜岡政府委員 極めて重要な御指摘と存じます。文化の香りということでございますが、恐らくかみ砕いてみますと、人を引きつける生きざまというものが地域に定着をしているということではなかろうかと考えております。そういう意味では、御高承のとおり、現在随分と価値観も変わってきておりますし、また生活のパターンも変わってきているわけでございまして、計画づくりに当たりましては、もちろんさまざまの支援措置も必要でございますけれども基本的なそういう魂を吹き込むということが必要不可欠だと考えております。国際コンペというような考え方を持ち込んでおりますのも、やはり広く世界の価値観といいますか、生きざまといったものを取り込んでいきたいというような意識に立っているわけでございます。  また、産炭地域振興審議会建議にもあるわけでございますけれども、内外の英知を投入するということも必要不可欠なことでございまして、私ども、文化、社会、政治、国際、さらには心理、歴史等々非常に多面な分野にまたがります人的集団、これを仮に産炭地域振興フォーラムというような名前をつけてもいいというぐあいに考えておりますが、こうした豊富なマンパワーとアイデアのプールをもちまして、地域地域の特性に応じながら、こういう方々地域との緊密な御相談を積み重ねていくというような仕組みもつくってまいりたいというぐあいに思っております。  御指摘の点は非常に重要な点でございますので、今後、産炭地域対策を考えます際の一つの新しい流れとして、ぜひ実現をしてまいりたいと考えております。
  110. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 昨年閉山いたしました上砂川町三井砂川鉱、それから夕張真谷地、当地の方々もいよいよ社宅を出なければならない。しかしながら、まだ職が定まらないという方々がおりまして、閉山の後の問題についても決してスムーズに物事が進んでいるわけじゃございません。それらのことにつきましても、地元の様子は御存じのことだと思うのでありますが、十分にひとつ対策を講じていただきたいと思います。  また、最近非常に海外ブームといいますか、そういうことで日本方々も海外のいろいろなものをよく見ておる。観光開発ということにつきましても、リゾート云々ということも、そういう国際的なものにたえられるようなものでなければならぬということ、それから文化的なことも今申し上げたわけでありますが、そういうことからいいますと、上砂川で今度は無重力の研究所ができるということは、学術的に非常に大きな意味があるだろうと思うのでありますが、これもユーザーがあって成り立つことでありますから、これからしなければならない作業といいますかお仕事というのは、非常に大事な問題がたくさんあるだろうと思います。大臣のお力によってこういうものが誘致をされたということは非常に敬意を表するのでありますが、これが緒についたということであって、これからが大事なことであろうというように思うわけであります。そういう点についてはぜひひとつまた御配慮と、さらにまたお力添えをいただきたい。  それから、午前中もお話ございましたように、幌内、また三井芦別ですか、報道されるところによりますと経営状況が非常に厳しい中にあるということでありますが、閉山になったところも、十分な対応ができずにいろいろな面で今試行錯誤をやっているところでございますから、なだらかなということからいいましても、是が非でも、今後行政指導とかいろいろな面でひとつバックアップをしていただきまして、これらの炭鉱につきましても何とか踏みとどまっていくような方向性を、要望ということでひとつお考えいただきたいものだと思います。  最後に、労働大臣に。午前中も同僚議員からお話がございましたが、職業訓練の中には農業の訓練なんというのはないのですけれども、これは例外的といいますか、地元のそういうことを考えておやりになったということで、これは私も新聞を見て、こういうことが非常に大事なんだなと思います、余りしゃくし定規といいますかそういうことじゃなくて、地元に合ったような。私は、過日も農林水産委員会でもちょっと申し上げたのですが、メロンのような特性のあるものをやっているわけでありますから、そういう方々が今度は営農をしよう、ある訓練を受けて自分で何かしようというときに農地を取得するとかなんとかというのは非常にいろいろな規制がありますし、また融資をいただくにもいろいろな条件があるわけでございますので、そういうことは十分に現地の実情というものに合わせてこれを促進するような方向で考えていただきたい。農水省の方にも言っておいたのですけれども、労働大臣、いろいろ先々のことも考えて今回このように踏み切った御決意には心から敬意を表しますが、それがさらに一歩も二歩も進むような形でお進めいただきたいと思います。  赤平におきましても、花卉とバイオとかいろいろなことでやっていこうということをお考えのようでありますし、今回も夕張でも重機の資格を取得するために訓練をするとかいろいろなことがありますけれども、それはそれとして、そういう枠をはみ出るようないろいろな問題はあろうかと思いますが、そういう問題はひとつ柔軟に対応していただく、そしてまたその後農業に専念しようということになりましたら、また関係省庁ともお話をしていただいて、それらの方々がそこで自活できるような方向でお進めいただきたい。労働省からいただきました資料を見ますと、どういうところに御就職なさったか、全体を見ますと三次産業が非常に多い。こういうことから見ますと、今までの職業訓練の範疇だけでは非常に数少ない人しか救えないといいますか、希望者が出てこないのじゃないか。夕張のこの職業訓練については二倍か三倍の競争率であったということであります。そういうことからしますと、地域振興ということからいいましてもっともっと現実に即した考えで進めなければならないことがあるのではないか、こういう点をひとつ十分御配慮いただきたいというふうに思うわけでありますが、一言お伺いして終わりたいと思います。
  111. 中村太郎

    中村国務大臣 産炭地雇用開発につきましては、新しい観点から新しい発想で物事を考えていかなければいかぬと思っておるわけでございます。職業訓練等につきましても、私どもは必ずしも製造業向けということだけを考えておるわけではございませんで、先ほどの夕張のメロンにつきましても、あるいはこれに類似する農業の面におきましても、必要性があればこれからもどしどし門戸を広げて開発していかなければならぬと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたように、私この委員会初めてでございますけれども、皆さんの御質問、御意見を伺いながら本当に産炭地の厳しさというものを身にしみて感じておるわけでございます。ある意味においては、質問者の皆さん方の、切実な実態の中から現実を踏まえての質問であるわけでございますが、どうも私どもの方が画一的なと申しますか、ありきたりの答弁に終始するような感を実はぬぐい得ないわけでございまして、実情に即した、弾力性のある機動的な行政をこれから進めていかなければいけないなということをひしひし感じ取っておるわけでございまして、お説のような点につきましてこれから真剣に十分検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  112. 福島譲二

    福島委員長 次に、小渕正義君。
  113. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 質問通告外でありますが、緊急なニュースがありますので、この点でまずお尋ねいたします。  きのうの読売ですが、「三井三池が一割減炭七百―七百五十人を整理 今年度から三百十五万トン体制に」こういう記事が出まして、地元中心に各地域に大きな関心と反響を呼んでいるわけであります。この記事の中身を見ますならば、いろいろ書いてありますが、「第八次石炭政策スタート以来、三池の合理化としては最も厳しい内容。」ということで、六十三年度生産計画中心にいたしましていかに減量経営をしていくかということで、通産省サイドの指導を受けながらこういうふうなことが近く正式提案されるであろう、こういう形になっておるわけでありますが、この件についてはどのような状況なのか、まずその点からお尋ねいたします。
  114. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 現在、三井三池を含めまして石炭各社が、六十三年度の生産計画について鋭意検討を行っておられるという状態にあると思います。この間におきまして、具体的な生産数量等につきましては、先ほども申し上げましたように、最終的にやはり経営の判断ということで決めていただく、そのために労使間の協議も十分にしていただくということが重要であると考えておりまして、私ども、六十三年度の生産計画についてそれなりにいろいろなディスカッションをしておりますけれども、会社側で最終的にこの計画をお定めになり、私どもに御報告があるものというふうに現在のところ承知をいたしております。
  115. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今、六十三年度の生産計画を各社それぞれ検討中であろうということでしょうが、いずれにいたしましても、特に、地域雇用に重大な影響を与えるようなこういった問題は通産省指導助言なしには考えられないことだと思うのですが、そういう点でいくと、ただ会社がいろいろ検討されて、まとめて出てきたのを聞くということだけではないのではないかと思います。そういう意味では、もう余り建前論ばかりではなしに、具体的に今日まで石炭政策については政府としての助言もあり、それだけの補助もあり、いろいろやられておるわけでありますから、当然またいろいろな相談も受けられ、そういう中でのアドバイス等もやられながらこういったものがつくられていくのではないか、これは当然のことと我々は思うのですが、その点についてはどういう状況ですか。
  116. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 私ども基本的に八次策の答申の線に沿いまして、円滑な生産体制の集約化という意味で日ごろ企業からいろいろなヒアリングを行い、あるいはそれなりに生産の方式であるとか保安の問題でありますとか、そういうことも含めましてディスカッションをするということでございますけれども、くどいようでございますが、最終的な生産数字等につきましては、やはり企業の経営責任で判断をしていただくということが基本であろうと考えております。ただ、この円滑な生産体制の集約化という問題につきましては、当然裏腹な問題といたしまして地域に対します影響でありますとか、あるいは離職者対策の問題でありますとか、いろいろな問題が出てまいりますので、この点につきましては労働省とも連携をとりながら、会社側を適切に指導していきたいというふうに考えております。
  117. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 最終的には会社自体の問題でしょうけれども、今日までのそれぞれの流れから考えますならば、やはり通産省の強力な行政指導の中でこういった問題が最終的にまとまっていくというふうに我々受けとめておるわけであります。そういう意味では、最終的にはこれは自主的な問題だと言われるかもしれないが、結論的には、それぞれ各社が生産計画、合理化計画をつくった場合に、これでは生ぬるい、この点はだめだとかいうような形でかなりチェックしながらそういう厳しい行政指導をしていくというふうに受けとめておるのですが、その点はいかがですか。
  118. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 生産計画につきましては、当然のことながら第八次策におきまして基本的な枠組みが決まっておるわけでございます。もちろん、各年の需要につきましては、具体的には各年度ごとに需給両業界で定めるということにはなっておりますけれども、最終的に昭和六十六年度において約一千万トンという供給規模にしていくという基本的な枠組みが決まっておるわけでございます。生産業界におきましては、そういう基本的な枠組みの中で、先ほど来申し上げておりますような自分の炭鉱の保安問題であるとか炭量の問題であるとか、あるいは機械化の可能性、合理化の可能性、そういったようなものを幅広く勘案して生産計画を決めていかれるということでありまして、その枠組みについて、私どもは、八次策の枠組みを堅持しつつ円滑な生産体制の集約化をしていかなければいけないという観点からいろいろ御議論は申し上げますけれども、提出されたものに対しまして、先生指摘のように非常に強い姿勢で変更を求めるというようなことはしてないつもりでありまして、あくまでも企業の自主判断の範囲内で生産計画を決めていただく、その際に八次策の大枠というものをよく念頭に入れていただくというような方向で対処しているわけでございます。
  119. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私は、何も通産省のエネ庁として、行政側として関与するとかするなとか、そういうことを申し上げようという気持ちではないのです。今日まで第八次石炭政策という国の一つの政策の中で進められてきているエネルギー・石炭政策ですから、関与の状況が強いか弱いか、どの程度か、それはいろいろ議論があったにしても、通産省としてもこれに関与していくことは当然のことだと我々受けとめております。だから、そのことについてとやかく言うことはありません。この問題は正式な問題が提起されてからまた議論することにいたしますが、ただ、何か逃げ腰で我々は余り関与しておらぬみたいな、そう逃げなくて結構だから、そこらあたりはひとつ誤解のないようにしておいてほしいと思います。  それで、今三井の例が一つ出たわけであります。もしこれがこのような形で生産体制を縮小していくということになりますと、現在、松島池島が前年の秋に減量体制をとりましたし、六十三年度の生産計画は、各社の現在の操業状態からそれぞれが個別に減量経営のためのこういういろいろな形をしていくと、大体積み上げてみてどの程度が見込まれるか。結果的には、こういうものを積み上げただけでも一千万トンを割って、八百五十万トンぐらいにしかならぬのじゃないかという想定もできるのですが、この計画を前提として積み上げた場合の六十三年度の生産計画というのはどのぐらいの数量が見込まれると思われておるのか、その点をお尋ねいたします。
  120. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 積み上げを行いますためには各社の生産計画を一応確定をいたさなければならないわけでございますが、先ほど来申し上げましたように、各社の生産計画がどうなるかということにつきましては、まだ私どもで最終的な把握ができない状況にございます。それは二つの要因がございまして、一つは、先ほど申し上げましたように、六十三年度の需要につきましてまだ決定がなされていないということでございますし、各社におきましてはそういうことも念頭に入れながら六十三年度の生産計画をつくっていく、あるいは労使の交渉を重ねていく、こういう段階でございますので、現在のところ、積み上げの数字について御報告できるような資料を今持ち合わせておりません。
  121. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今のお話からいきますと、六十三年度の需要計画が確定していない、そういうことから各生産計画がまだまとまらぬのじゃないかというような話でありますが、その論法でいくならば、需要計画が一千万トンを割って八百五十万トンなら八百五十万トン程度に落ちついたとしたら、今第八次政策の第二年度に入るわけでありますが、そういう形でもよろしいという判断で現在おられるわけですか。その点、いかがですか。
  122. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ちょっと言葉が足りなくて大変失礼をいたしましたが、私ども基本的に、八次策の基本的なラインに従いまして生産体制を集約化していく必要があるというふうに考えております。ただ、その場合に、それじゃ需要だけで生産が決まるのかということになりますと、場合によって地域社会に非常に大きな影響を与えることもあるということを想定いたしまして、生産と需要が必ずしも一致しないような局面も大いにあり得るのではないか、そのために一時的な需給ギャップを調整するための貯炭制度等もつくらせていただいたわけでございまして、需要の動向は確かに一つの重大な判断要素でございますけれども、そのほかいろいろな要因が積み重なって生産計画が策定されていくというふうに理解をいたしております。
  123. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 これは午前中の議論の中にもあったと思うわけですが、ちょうど私留守しておりまして申しわけないのですが、ちょっと重複するかもしれませんがお尋ねします。  現在の我が国の石炭政策の中で最大の基本となるのは、電力業界が一般炭をどこまで引き取ってくれるかということであります。鉄鋼業界は原料炭を逐次ゼロにしていく方向が出ておりますから、少なくとも第八次政策の終年度において電力としては八百五十万トン程度は引き取っていこう、そういう基本的な流れの中で今回の石炭政策ができておるわけであります。それからいきますならば、最終そういう方向の基本があるわけですから、毎年、特に電力業界を中心にした国内炭に対する需要について、きちっとしたものを政府行政指導の中で早くまとめ上げる、そうしてそれが各社それぞれ商談その他の関係で話し合いがされていくということにならなければいかぬのじゃないかと思うのです。そういう点で、こういう需要の確保という点から考えた場合に、今日までどのような具体的な取り組み政府としてやってきたのか、その状況について御説明いただきたいと思います。
  124. 浜岡平一

    浜岡政府委員 六十三年度の国内炭の引き取りにつきましては、先ほど石炭部長も申し上げましたとおり、従来の枠組みに従いまして一千万程度という方向は既に出ているわけでございます。問題は、これに伴います負担をいかに配分していくかといいますか、シェアしていくかというところでございまして、御高承のとおり、北海道電力の負担というものは傾斜的にかなり大きいわけでございます。六十二年度におきまして、東京、中部、関西の三電力へ九十万トンのシフトを行うという合意ができたわけでございますけれども、六十三年度につきましても、この九十万トンにさらに二十二万トンを上乗せいたしました百十二万トンをシフトするということで電力業界全体としての調整ができているわけでございます。そういう意味で、今後とも、個々の企業の引き取り量あるいは引き取り割合といったものはそのときどきの状況に応じまして調整が行われていく可能性は高いと考えておりますけれども、電力業界全体といたしまして、各年度の引き取り量につきましていわば全社として責任を持っていくという体制は、従来も維持されておりましたし、また今後とも維持されていくように、必要に応じまして指導等を行っていくつもりでございます。
  125. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今のお話の延長になりますが、これは数字的なものを要求しておりませんでしたが、もしお手元で説明できれば出していただきたいし、今なかったら後で資料等で結構です。今、北電の負担を軽くするために六十二年度に東電、中部、関電にシフトした数字を言われておりましたが、そういうものをした後の六十二年度の各電力会社別の国内炭の引き取り数量が今すぐそこで数字として出されてあればお示しいただきたい。また、海外炭は各社それぞれどの程度輸入されているのか。追加質問になって申しわけございませんが、もしお手元に数字があればお示しいただきたいし、なければ資料としてお示しいただきたいと思います。
  126. 浜岡平一

    浜岡政府委員 詳細な状況は後日データとしてお届けをいたしますけれども、今私の手元にある資料でございますと、六十二年度、国内炭の引き取りにつきまして一番大きいのは北海道電力の三百六十一万トン、第二番目は電源開発株式会社の三百五十二万トンでございます。  なお、北海道電力の六十二年度の海外炭引き取り量は百八十七万トン、電源開発株式会社の海外炭引き取り量は四百六十二万トンでございます。
  127. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 なお、各社のものは後でよろしくお願いします。  そこで、皆さん御承知のように、今円高で百二十円、百二十五円ベースになってしまったわけですね。それによって電力業界としては、経営のそういったいろいろのことは抜きにして、円レートの関係の中で自動的に円高差益といいますか、そういうものがどんどん発生しておるわけであります。そういう意味では、前回、去年の暮れに電力料金の改定が行われておりますが、そのときの円レートからいってもまだ非常に問題のある議論もありますので、こういう状況ですから、せめてこういう状況のときぐらい電力業界にいま一段の御協力をお願いする、少し海外炭を手控えていただく、国内炭が現在でも過剰貯炭であるわけですから、そこらあたりを少し努力してもらえないかという関係者の切なる期待があるわけです。電力業界から見ればまたいろいろと迷惑な話かもしれませんが、今の円レートの関係からいって思わざるところからこういった差益が出るわけですから、せめてその分少しぐらい御協力いただけないか。従来の国策に沿って電力業界も国内炭にかなり依存しておった時期もあるわけですから、少しそこらあたりのことを考えていただいていま少し御協力いただけぬかという意味で、通産省としてそういう点での行政指導と言えばおかしいですが、通産省としてもそういう立場から努力するということについてはいかがなものでしょうか。その点、大臣はいかがにお思いでしょうか。
  128. 浜岡平一

    浜岡政府委員 第八次対策の枠組みをつくりましたときに田村大臣にも御出馬いただきまして、ぎりぎりの協力のラインというものを見つけ出しましたものが御高承のラインでございます。実は現在、IEA等国際的な場におきまして、特にヨーロッパと日本石炭対策に対しましてオーストラリアあるいはアメリカ等から、いわゆる石炭審査というような場でございますけれども、非常に強いいわば批判の目が向けられているわけでございます。基本的には、自由な貿易の流れに石炭も任せるべきだというのが米国なりオーストラリアの考え方でございます。これに対しましてヨーロッパ、日本は、そういう考え方と同時に、地域振興の問題であるとかセキュリティーというような観点からそう簡単に割り切れるものではないというようなことで、大変厳しい論議が続けられているわけでございます。  また他方、御高承のとおりの貿易アンバランスの状況のもとで、米国を初めといたしまして非常に多くの国々から輸入拡大というような要請が寄せられておりまして、歯にきぬ着せず申し上げますと、むしろ国内炭をもっと圧縮すべきだというような声もないわけではございません。こういった状況の中でぎりぎり見つけ出しておりますこの一千万トンの線でございますので、私どもはこれをまず何としても国際的にも守っていく、むしろこれをレビューすべきだというような声さえあるわけでございますので、このラインでの協力を引き続き維持していくということがまず基本的な課題ではないかというぐあいに考えている次第でございます。
  129. 田村元

    田村国務大臣 大体今長官が申したとおりでございますが、電力業界につきましては、既に御承知のように随分酷なことをしてあるわけです。これは大手ガスも入っておりますが、二兆六千億円の差益還元で吐き出させをして、しかも、電力業界の設備投資が約三兆円だと思いますが、これが内需拡大に非常に大きな刺激になっておるわけでございます。だからといってそれでいいというわけでもございませんけれども、為替レートが今小康を保っておるとは言い条、どういうことになりますか、それから原油がどういうことになりますか、そこいらのことも見きわめなければなりませんので、余りこれ以上の過酷な押しつけをしてはいかがなものであろうか、しばらく見た方がいいのじゃなかろうかということで、一千万トンを引き受けてもらっているというのは、そういうところでしばらく様子を見た方がいいのじゃないかという感じがいたします。
  130. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは次へ移りますが、大臣の所信表明の中で、コールセンター等の国内受け入れ施設の整備等に触れられておったわけでありますが、このコールセンター等の国内受け入れ施設の整備というのは現状でどの程度進んでおるのか。その点、現状をちょっと御説明いただきたいと思います。
  131. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 現在、我が国のコールセンターは、北海道から九州に至るまで全国八カ所で稼働しておるというふうに理解しておりまして、その年間の取り扱い能力が千五百四十万トン、能力としてその程度の能力があるということであります。ただ、実際に昭和六十一年度に取り扱いました実績を見ますと、千六十三万トンという実績になっておるというふうに承知をしております。一部のコールセンターにおきましては、さらにこの施設の充実を図るといいますか、そういう計画も持っておられるというふうに承っております。
  132. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうしますと、今のは現状の実績と能力ですが、これをもう少し施設を新しくして増強していこうという動きはどの程度状況か、その点をお尋ねいたします。
  133. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 コールセンターの機能との関係もございますが、現在、石炭利用拡大の技術開発の一環といたしまして、例えばコール・ウォーター・ミクスチャーといいます石炭と水をまぜまして流体化をする技術、あるいは石炭と油をまぜまして流体化をする技術、COMと言っておりますけれども、コール・オイル・ミクスチャーでございますとか、あるいはコールカートリッジシステムということでCCSと呼んでおりますけれども、そういう技術開発が片方で進んでいるというようなこともございますので、例えば一部のコールセンターにおきましては、こういうCWMという加工設備の増設をしようかというような計画を持っておられる、あるいは貯炭設備をもう少しふやすような計画を持っておられるところもあるというようなことで、若干の設備拡張の計画があるというふうに理解をしております。
  134. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。  次に、同じく大臣の所信表明の中で、太平洋コールフロー構想を推進するというようなことに触れられておったわけでありますが、実際、この中身は一体どういうことをしようとしているのか、その点についてお示しいただきたいと思います。
  135. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 太平洋コールフロー構想につきましては、今後、着実な経済成長あるいはエネルギー需要の伸びが見込まれておりますASEAN諸国を中心にいたしまして、アジア・太平洋地域対象にいたしまして、石油代替エネルギーの重要な柱であります石炭に着目をして、第一に、適切な国際協力を通じて石炭火力発電所の建設等を促進いたしまして石炭利用を促進する、第二に、これに関連します石炭資源の開発でありますとかいろいろなインフラストラクチャーの整備あるいは石炭利用技術の普及というものを総合的に協力ベースで進めていこうというのが基本的な構想でございます。私ども、こういうコールフロー構想の推進によりましてアジア・太平洋地域エネルギー需給の安定化が図られますし、これを通じまして民生の安定というようなことにもつながっていくだろう、あるいは産業の発展にもつながっていく、最終的にアジア・太平洋地域の石炭貿易の拡大にも資するのではないかというようなことを期待しておるわけでございます。  特に、この太平洋コールフロー構想の具体的推進に当たりましては、まず需要をつくり出すことが大切でございますので、石炭火力発電所の建設に関します協力あるいはそれに付随いたします石炭の資源開発、インフラ整備等々につきまして、我が国の経済協力、技術協力の諸制度を糾合いたしまして、総合的にこういうプロジェクトを推進していくというようなことを具体的なやり方として考えておるわけでございます。この構想に対しましては、民間各社あるいは民間団体もこういう構想を進めていくべきではないかということで、昨年九月に民間の七十社余りだったと記憶いたしますが、これが参加いたしまして太平洋コールフロー推進委員会が設立をされておりまして、こういうもの等とも連携をとりながら、官民が協力し合って目的を達成するように努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  136. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。すばらしい構想ですが、ただ、これが打ち上げ花火みたいに後からどこに消えたかということにならぬようにひとつ責任を持って、きちっとしたところでこの構想が推進されることを期待しておきます。  時間が参りましたが、この第八次政策スタート以来でも、現在、閉山その他によって、ざっと考えても七千名を超える炭鉱離職者が発生しておるわけであります。私の近くには高島がありましたけれども、現状もなかなか再就職状況は芳しくないわけでありますが、八次策以降の炭鉱離職者の再就職の状況は現状どうなのか。それからまた、全国的規模で求人確保に努力したいということを言われておりますが、全国的規模で求人確保というのは、具体的にどういったものに現在取り組まれて努力されているのか、その二点についてお尋ねいたします。
  137. 竹村毅

    竹村政府委員 ただいま先生指摘のとおり、第八次政策がスタートいたしまして七千名を超える炭鉱離職者が出ております。そのうち、私どもの公共職業安定所に求職を申し込んだ方々が合計で六千七百七十九人ということになっております。そしてそのうち、これまでに就職した方々が千九百三十五人、パーセンテージで申し上げますと二八・五%に相当する方々がこの三月末現在で就職しているということでございます。また、職業訓練を受講した、ないしは受講中であるという方々は千二十五人ということになっております。  しかしながら、離職者が離職した地元というのは雇用の場が非常に少ないところでございまして、現実には地元での雇用機会が非常に少ないものですから、私どもは全国的な規模で求人の開拓を進めております。そのうち、特に需要地と申しまして、これは比較的求人の会社も多いし場もある南関東とか名古屋、大阪、近畿周辺ということになろうかと思いますけれども、全国の職安を通じまして現在までに炭鉱離職者向けの求人として確保いたしましたのが合計で一万四千二百件となっております。その内訳は、特に九州地方の三菱高島及び三井三池の炭鉱離職者を対象とした求人が四千五百九十件、そして北海道内の炭鉱離職者の対象求人が九千六百二十件ということになっております。  今後ともあらゆる手段を講じながら、求人の確保とあわせ、離職者の方々の一日も早い再就職に努めてまいりたいというふうに思っております。
  138. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今御報告いただきましたが、求人としてはかなりのものがあるわけですが、結果的にそれが就職までに至らないという大きな隘路といいますか要因は、やはり皆さんそれぞれほとんど家を持っておられるということから、要するに単身赴任にならざるを得ないというのが最大の悩みじゃないかと一応思われるのです。特に、そういう炭鉱で働いておられた方は地元人たちが多かった関係もあって、家から離れられない、おじいさん、おばあさんたちがおられる、墓を守らなければいかぬとか、こういう社会的な条件がいろいろあって、単身赴任で行く以外にないような状況一つの隘路になっておると思います。この前もいろいろお尋ねして、労働省としては住宅確保の面からもかなり努力されておられるというお話を聞いておるわけでありますが、そういった意味ではより一層そういうものの必要性が増しているわけでありますので、大臣もおられますが、ぜひひとつそういった角度からもっと中身の充実した施策を推進していただきたいと思うのです。大臣に一言御決意をお伺いしたいと思います。
  139. 中村太郎

    中村国務大臣 ただいま御説明申し上げましたように、とにかく求人の数が全体では一万四千二百件あるわけでございます。しかも就職が千九百三十五人ということで、どこでもいいから就職したいというならそれがそのまま全員再就職できるという状態でございますけれども、これができない理由は仰せになったようなことであろうと思うわけであります。したがって、この離職者に最高といいましょうか、直接ニーズに応ずるためには、その地域雇用開発機会をつくるということ、そのためには地域の総合的な振興対策が前提とならなければなりません。このことは今までもやってまいりましたけれども関係省庁とも連絡をとりながら十分な構想を練ってまいりたいと思いますし、それをやりながら、なおかつ広範な就職口の開発に向けまして精いっぱいの努力をしなければいけない、粘り強く頑張ってまいりたいというふうに考えます。
  140. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  141. 福島譲二

    福島委員長 次に、児玉健次君。
  142. 児玉健次

    ○児玉委員 臨時石炭鉱害復旧法が昭和五十七年に十年間延長されましたが、期限切れまであと四年を残すだけになっている。政府は石炭鉱害復旧長期計画の中で、最終的解消を図るためこれを計画的に処理すると述べられております。午前中の論議もありましたが、現在の進行状況はどうか、その点をまず伺います。
  143. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 昭和五十七年度に策定されました鉱害復旧長期計画におきまして、今後復旧すべき鉱害量、五十七年度を初年度といたします十年間で処理すべき鉱害量でございますが、これは五十七年価格で約五千九百億円ということになっております。このうち農地、家屋等、公共事業はいろいろな種類があるわけでございますけれども、五十七年度以降六十二年度までの六年間の復旧の進捗率は、平均して約六六%程度になっております。
  144. 児玉健次

    ○児玉委員 この一月、三日ばかり筑豊に行って鉱害の現状を見てまいりました。さまざまな問題にぶつかったのですが、ここでは二つのことについてお尋ねをしたいと思います。  一つは、いわゆる有資力鉱害の問題です。最近一部に、鉱害認定の請求に対して、裁判に持ち込むことによって認定手続、復旧手続を先に延ばそうという動きがあります。昭和五十六年十二月の石鉱審答申の中で「鉱害紛争当事者間で話し合いのつき難い事案が、今後増加する可能性がある。このため、紛争処理を担う裁定、和解の仲介等の役割は一層増大すると思われる。これらの制度の運営に当たって、その中立・公正な機能が十分発揮されるよう、具体策を検討すべきである。」こういう指摘がありましたが、通産省として、この有資力による鉱害のことで今対応に非常に苦慮している住民に対して、ケース・バイ・ケースで実態を見きわめて迅速な対応、指導を行うべきだ、そう思うのですが、この点についてお答えをいただきます。
  145. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 有資力鉱害の中で、賠償義務者と被害者との間でいろいろな紛争が起こり得るということは私ども承知をいたしておりまして、特に、賠償義務者が零細企業等である場合にはいろいろな問題が発生してまいるわけでございます。ただ、私ども基本的には、有資力であります場合には、臨鉱法の復旧の対象になりますのは鉱業法上の賠償の請求権及び賠償義務者が特定されるということが前提となるわけでございまして、この場合の紛争につきましても、こういったものが特定されない限り、法の建前あるいは鉱害賠償の公平性の確保という観点からなかなか取り上げにくいという状態になっております。とはいいましても、鉱害によりまして被害を受けておられる被害者の方々の実情も十分承知しておりますし、理解できる面もあるわけでございますので、私どもといたしましても、事案の内容に応じて適切な指導を行って、できる限りの努力を払ってまいりたいと考えております。
  146. 児玉健次

    ○児玉委員 もう一つの問題は、払い下げの炭住における鉱害復旧、例えば福岡県の宮田町や川崎町などで現に起きている問題です。自社分と他社分の入り組んだ鉱害被害割合の案分の仕方をめぐって、通産省では方針を策定するために今いろいろと努力をなさっているそうですが、炭住の老朽化が非常に進んでいて早急な復旧が求められています。このことについての科学的な方針を速やかに出す必要があると思うのですが、その目途はどうでしょうか。
  147. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生指摘のいわゆる自社鉱害による損害あるいは他社鉱害による損害、その両方の損害を受けております家屋、私どもはこれを自社他社競合家屋と呼んでおりますけれども、これにかかわります鉱害認定及び臨時石炭鉱害復旧法に基づきます復旧工事等につきまして、これまで必ずしも取り扱いが明確になっていなかったわけでございます。非常に難しく、かつ複雑な要因が絡まっておりまして取り扱いが非常に難しいということでございますが、昨年八月、その実施に当たっての一般的な原則は定めさせていただきました。ただ、その後、具体的な取り扱いのための運用については引き続き検討を行っているところでございます。これも基本的に、先ほどの案件のように鉱害復旧の公平さの確保ということを担保することも必要でございますし、自社分、他社分というような分け方が技術的に非常に難しい。いろいろなケースがございまして、そういうものを統一して判断できるような基準がかなり難しい問題であるということがございまして、現在までのところ、特に受益者負担金の算定に必要な自社鉱害の寄与率といったものについての技術的な検討が一部残っておる状況にあるわけでございます。  私どもといたしましては、非常に難しい問題ではございますけれども、何とかこれを世間一般から見て公平性を担保できると客観的に判断できるような基準をつくりたいということで努力をしておるところでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、非常に複雑な問題でございますのでなお時間がかかっておりますが、できるだけ早期に結論が得られるように努めてまいりたいと考えております。
  148. 児玉健次

    ○児玉委員 その点は現地で非常に待たれておりますから、作業を急いでほしいということを述べて、次の問題に入ります。  三井砂川鉱の閉山は昨年の七月十四日のことでした。早いものです。この四月一日に三井石炭鉱業から炭鉱離職者に対して、「閉山による退職者で、当面再就職の見込みのない方については、」「社宅を明け渡していただくことになります。」「私的及び公的住宅への転居を図っていただきます。」そういった住宅集約の文書が配られまして、そして「真に止むを得ない特殊事情」のある方だけこの後七月十三日までいてもらってもいい、こういう中身です。夕張のときもそうでしたが、砂川では改良住宅がありまして、これは本来町のものですが、三井がことしの三月末、町に返還しましたから家賃は上がっておりますが、そこに居住している離職者はそのまま入居できます。しかし、問題は三井の社宅でして、昨年七月、関連下請を含めて千百人が離職を余儀なくされた。一方、三井四社は新規事業として現地で二百七十名の雇用計画を立てましたが、現に雇用されている方はいまだに二百十五人です。そういう中で、求職中であって社宅居住を余儀なくされている方々が私たち調査で二百数十人、閉山直前に定年退職でいまだその場所に居住されている方を含めて約三百世帯がこの明け渡しの対象になります。  一方、私的、公的住宅に移れと言うのですが、公的住宅はどうか調べてみましたら、上砂川には約千戸の公営住宅がありますが、その中であきは十二戸です。八次策のもとでああいう形で離職を余儀なくされた、求職活動にはどうしても安定した住居という拠点が必要です。まだ仕事が見つかっていないのだからなおさらそうだと思うのですが、こういう形で容赦のない明け渡しを求められる。  そこで、私は通産省に対して、これは八次策における閉山に伴う社会的混乱の一つだ、周辺的な事情でもあるだろう、そういう意味で、現地に対して配慮のある温かい対応を求める指導をしていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
  149. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 本件につきましては、たしか私の記憶ですと、閉山時、労使協定によりまして、退職者の社宅入居につきましては閉山後八カ月、さらにやむを得ない事情がある者は十二カ月という特例を含んでそういう協定が結ばれておったと記憶しておりますけれども、その後、ただいま先生指摘のような問題が起こってまいりまして、実は四月の初めに、炭労の方々からもこの問題につきまして陳情を受けました。私、すぐ三井に対しまして、本当にやむを得ない方々の入居等については、血も涙もないということではなくて配慮すべきではないかということでお話し申し上げました。これによりまして、現在会社は炭労サイドといろいろ協議をしておるというふうに理解をしております。  ただ、会社の事情も聞いてみますと、この入居を継続することはともかくといたしまして、言葉は悪いのですけれども、広い炭住の中で歯抜け状態になりますと、土地の集約の問題とか土地の再活用の問題にもまた支障が出てくるということで、若干住んでおられる所を変えて集約化するというような方法もあわせて検討しなければなかなか難しい問題もあるというような御説明もございました。確かにそういう点もある意味ではもっともであろうと思いますので、入居者の御協力というのもまた必要になってくるかと思いますが、いずれにいたしましても、今労使でいろいろ協議をしておるということでございますので、またその状況を見てまいりまして必要な指導はしてまいりたいというふうに考えております。
  150. 児玉健次

    ○児玉委員 この点は重ねて申したいのですが、御承知のように、この山は既に昨年七月、閉山をしています。そして入居している方々、定年退職でおやめになった方が現在労働組合員でないということはよく御存じのとおりです。そういった中で七月十三日が近づけば近づくほど不安は増しますし、そして、先ほど言った血の通った温かい配慮を行う余地が少なくなっていくだろうと思うのです。もうそろそろ五月です。そういった意味でいえば、労使の話し合いだけでなく、通産省としても会社に対して必要な要請なり示唆を行うべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  151. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 基本的には、先ほど申し上げましたように労使協定というものが存在をしていることも事実でございますが、先生が御指摘になりますようなことも私どもとして非常に理解できるところでございますので、今後とも会社側に注意を喚起し、必要な指導をしてまいりたいと考えております。
  152. 児玉健次

    ○児玉委員 それでは次の問題です。昨年十二月十八日のこの委員会で、炭鉱閉山、規模縮小によって解雇される下請労働者に対する救済の問題が取り上げられました。そのとき私は、多少旧聞に属しましたが、昭和四十八年四月十二日の石炭対策特別委員会で採択された附帯決議を引用いたしまして、その五項目の「離職金、賃金等の労務債の支払いについては、下請労働者に対しても本従業員に準じた取扱いをすること。」というのを受けながら下請労働者に対する閉山交付金の適用を含めた対応を要請しましたら、田村大臣は「特に附帯決議の重さというものも考えなければなりませんし、」と答弁されまして、この点についての検討が既に開始されていると私は承っております。取り組みの現状、今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
  153. 田村元

    田村国務大臣 下請離職者の問題につきましては、私もかねがね心を痛めておる次第であります。下請離職者の代表の方々と何回もお目にかかったり、また小笠原貞子さんのごあっせんもあっていろいろとお話し合いもしました、これはどの党がどう、だれがどうということ以前の問題でありますから。すぐに私は、実態把握それから対応策をやってみいと言って検討を指示いたしました。去る二月三日、学識経験者によります炭鉱下請離職者問題検討委員会、田中洋之助さんが委員長でございますが、これを発足させまして、これまでに四回の審議を行ってきております。  この委員会では、下請労働者についての就業実態、退職金の支払い状況等に関しまして十分な実情把握、分析を行った上で、今後の炭鉱下請離職者問題への対応のあり方について、できれば五月末までには取りまとめをしていただきたいというふうに考えております。いずれにしても、この委員会における検討結果を踏まえて適切な対応をしたいというふうに考えております。
  154. 児玉健次

    ○児玉委員 今お話もありましたが、たしか十二月二十三日でしたか、通産大臣に私、小笠原貞子参議院議員がお会いいたしまして、そのときに、一つのプログラムとして今大臣お話しになったそういうものが提示されましたが、昭和六十四年度の予算の概算要求もそろそろ近づいてまいりますし、今大臣お話のあった五月末までに取りまとめていただきたい。その後の運びの問題そしてもう一つはその検討委員会の論議の中で当然出る閉山交付金制度の適用の問題、黒手帳の発給対象を直轄並みに拡大する問題、こういった問題などにつきましても下請労働者の意見を皆さん方お聞きになっていると思うのです。下請労働者の苦しみや切実な願いを今の検討委員会が聞く。これは長い山の歴史の中で、政府として、通産省として本格的に聴取するという点では私は重要な前進があったと思うのです。そういった中で、もう一遍申しますが、先ほど触れた附帯決議、そこで言っている下請労働者に対して本従業員に準じた取り扱いをする、その方向での検討、そして来年度予算に向けての必要な措置をとる、こういう点について通産省の特段の御努力をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  155. 田村元

    田村国務大臣 この検討委員会は突然私が指示してつくらしたものでございますから、事務方にあらかじめの準備はなかったと思います。ですから、事務方も大慌てでやって今日に至っておる。その割には私はよく進んできたと思っております。今それをどういうふうに扱うか、こういうふうに扱うか、せっかく検討委員会を発足していただいたのですから、そこで結論が出る前に私が結論じみたものを出して押しつけるというのはファッショですから、そんなことはできるものじゃございませんが、ここから出ました結論を踏まえて善処いたしたい、このように思っております。
  156. 児玉健次

    ○児玉委員 最後に、現在北海道でここ何日か進んでいる炭鉱の合理化の問題です。きょうの午前中にもこの点は既に質疑がございました。それで、私はまず労働省にお伺いしたいのです。  私の国会の事務所にも幾つか連絡が来ておるのですが、その一つは三井芦別鉱の合理化計画、三百三十人の削減。その中で人員の削減について、五十五歳の定年を五十二歳に繰り上げるというのが現在の計画の中にどうも含まれているようですね。それから三菱南大夕張の場合は、今表面化しつつある合理化計画の中では解雇の対象は下請労働者に限定する。じゃ本鉱の職員が解雇されたらいいのか、私は全然そうは思いません。そのことをはっきりさせた上で、下請労働者のみに限定して百五十人またはそれを上回る合理化を行うというこの点を重視したいと思っているのです。労働大臣を先頭にして労働省では、今日の深刻な雇用情勢のもとで、一つは何といっても雇用確保の問題そして定年の延長、中小零細企業の従業員の暮らしを守る、権利を守るそういう努力をなさってきているのですが、三井は今申しましたように五十五歳の定年を五十二歳まで引き下げてしまう。この三年というのはその年代の働いている方々にとっては大変な三年間です。それを一気に下げてしまう、そして三菱の方では下請だけ首を切る。こういったやり方は現在の労働省の御努力に逆行するものではないかと思うのですが、労働省のお考えを承りたいと思います。
  157. 竹村毅

    竹村政府委員 ただいま先生指摘がありましたように、私どもとしては、基本的には、本格的な高齢化社会の到来に対処するために定年延長というものを強力に推進しております。と同時に、現今、産業構造転換等に伴う非常に厳しい環境にございますので、下請を含めた関係労働者の雇用の安定に努めているところでございます。  御指摘の三井芦別とか三菱南大夕張を含め、石炭各社は現在、石炭の需要動向等を総合的に勘案しつつ、今年度の生産計画について検討を進めているところであると承知しております。石炭各社におかれましては、生産計画実施に当たっては今後労使交渉が行われると思われますけれども関係労使におかれましては現下の雇用失業情勢等を踏まえ、かつ、先ほど御説明した労働省としての基本的政策、方針も十分御承知のことと思いますので、労使が十分協議を尽くされることを期待しているところでございます。また、必要に応じまして石炭企業に対しましては、下請労働者を含めた雇用対策に万全を期するよう指導してまいりたいと思っております。
  158. 児玉健次

    ○児玉委員 この点は私は中村大臣にお伺いしたいのですが、五十五歳の定年制というのは、ある山で生きて苦しんできた労働者にとって一つの目標です。その労働者にとって五十五で定年になるというのは、言ってみればライフサイクルのキーポイントですね。労使交渉がこの後どうなるのか、私はその推移を見守りたいと思うのです。そういった方向がまとまらないことを私は希望します。  それは一応横に置きまして、一般的な問題として申したいのですが、六十五まで元気に働きたいという方々に対して、その方の意思が働かない形で例えば定年が三つ下まで切り下げられる、こういうことは日本の労働行政にとって好ましいことではないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  159. 中村太郎

    中村国務大臣 少なくとも今労働省は、六十歳定年の定着、あるいはその後における六十五歳ぐらいまでの勤務の延長というのを提案いたしておるわけです。そのために今努力をいたしておるわけでございまして、私どもとしましては、でき得べくんばこの際このときに五十五を五十二にということは決して好ましいことではないと考えております。しかし、これは一つ事業でございますからそれなりの事情もあろうと思いますので、労使が納得のいくような話し合いを十分いたしてもらいたいと思いますし、場合に応じましては側面的な御指導も申し上げたいと考えております。
  160. 児玉健次

    ○児玉委員 今大臣がおっしゃった方向での御努力を強めていただくことを私は要請いたします。  そこで、最後に通産省にお伺いしたいのですが、一つは三井芦別鉱の減産計画です。三〇%減産、五十一万トンにまで、そしてその中で従業員を八百十八名から五百人弱まで削減していく。私は、八次策の議論のときに当時の石炭部長とこの委員会でかなり議論したことを思い出すのですが、一つは炭鉱のスケールメリットの問題です。今日の資本主義の社会ですから、出炭のコストが問題になってきます。そういったときスケールメリットというのは当然大きな問題です。三井三池もある。そして三井芦別でこうやって八次策になってから二度目の削減が提起される。三井芦別炭鉱のスケールメリットという点でいえば、これはそろそろ生きるか死ぬかの分岐点を越えるところまで行きつつあるのじゃないだろうか。こういった形であちらこちらの山が次第に縮小合理化されていって、そしてスケールメリットの点で生き延びられないという形であるとき雪崩を打って閉山する。その可能性がこの三井芦別から今生まれつつあるのじゃないか、そう思うのですが、この点についてのお考えを承りたいと思います。
  161. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 従来、炭鉱と申しますのは、固定費比率が高いといいますか、生産規模を自然条件に合わせましたある適正な生産規模以上に急速な縮小をいたしますと非常にコスト高になるというようなことが言われてまいったことは御指摘のとおりでございます。ただ、反面におきまして、ただいま申し上げました自然条件あるいは坑内の骨格構造あるいは運搬の系統、その他もろもろ含めまして、坑内の採掘条件をいろいろ工夫することによってコンパクトに能率よく石炭を掘っていける可能性もあるということも考え得ると思います。要はその両方の兼ね合いだと思います。ただ、この八次策の過程でこのような減産をある程度やらなければいけない炭鉱も生じるということを私ども想定いたしまして、八次策の答申の中ではそういう考えも入れて、減産交付金あるいは減産加算というような財政的な支援も行いつつ、円滑な生産集約化を果たしていこうというような制度もできているところでございます。  いずれにいたしましても、そういう自然条件あるいは骨格構造あるいはそういう減産に伴います助成の内容等総合的に勘案いたしまして、石炭企業がなるべく長く生産を続けられるようにという観点から、合理化計画を今各社必死になって考えておられる段階だろう、こういうふうに私は理解をいたしております。
  162. 児玉健次

    ○児玉委員 今の部長お話ですが、確かにさまざまな条件はありますし、一律に述べることは困難が多いと思いますけれども、私はこの機会に一つ指摘をしておきますが、三井芦別がこの後さらに縮小合理化されていって、今部長が言われたコンパクトに成り立っていくというふうになるかどうか、そこは通産省としてぜひ真剣に見守っていっていただきたい。やはり芦別は重要な炭鉱ですから、その点での通産省指導、援助をお願いしたいと思うのです。  時間ですから最後に、先ほどちょっと触れました三菱南大夕張の問題です。下請だけが合理化の対象になっていく。例の規模縮小交付金の制度では、下請労働者はカウントはされるけれども交付金の対象にはなりません。なぜこういうことになるのかということがわからないのでなるべく早く現地に行きたいと思っておるのですが、今通産省の方でせっかく炭鉱下請離職者問題検討委員会で真剣な検討がなされている過程ですから、三菱南大夕張において下請だけ外していくという点については通産省の特に強い指導を求めたいと思うのです。いかがですか。
  163. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、今、六十三年度の生産計画等につきまして各社鋭意検討を行っておる段階でございまして、最終的には労使等の合意を得て私どもにも御報告があるというふうに考えておりますけれども、そういう意味で、必ずしも各社が考えておられる合理化内容について熟知をしているわけではございません。したがいまして、今後、会社からのヒアリングを通じまして内容について把握をしてまいりたいと思いますけれども、一般的に合理化が行われますときのいろいろな人員の問題につきましては、その炭鉱の作業形態がどう変わるのか、どういう作業が合理化され、どういう作業が増強されるのかというようなことも含めまして人員の配置計画が決まってくるというふうに理解をしております。  いずれにいたしましても、労使関係者が十分な話し合いを行った上で円満にこの合理化計画が各社とも合意に達することを期待し、かつ、当省といたしましては、先生ただいま御指摘のように、特に下請関係方々の合理化につきましては委員会において検討を行っておるというようなこともございますので、今後の動向には十分注意をしつつ、適切に対処をしてまいりたいと考えております。
  164. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  165. 福島譲二

    福島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十四分散会