○田村国務
大臣 まず、
法案の方から先に申し上げます。
先般、日本化学エネルギー労働組合協議会の本田議長さん方にお目にかかって、いろいろとお話し合いをしました。結論から申しますと、お互いに認識は共通のものが多かったということであります。産業構造の転換というものは、
基本的には市場メカニズムによるものであることは言うまでもありませんけれ
ども、この市場メカニズムに従いまして、各
事業者の創意工夫と努力というものを通じて進んでいくものであると思います。また、実際に最近の円高の急速な進展、定着というものを背景にして、産業構造転換の動きが加速しつつあることもおっしゃるとおりでございます。それに対して
政府の役割は、やはり補完的な対応をしてそれをスムーズに展開せしめることだと思います。言うなればこうした産業構造転換が円滑に進展するように、産業活力の低下あるいは地域雇用の問題等に対して適切な政策対応をしていくということであろうと考えております。このために、今後とも産構法のもとでの構造改善の成果の維持を図りながら、それはそれでその成果の維持を図りながら、構造
調整を円滑に進めていくために、必要に応じて、昨年の四月に施行されました円滑化法の弾力的運用を図る、そしてまた助成の充実等について
検討していきたいと考えております。
産横法のもとで行いました共同販売会社の設立等の
事業提携につきましては、産構法が廃止された後におきましてもその内容等を一層充実していくことが必要でございます。
通産省としても、そうした方向で業界を指導していきたいと考えております。また、設備
投資につきましても適正な
投資活動が行われていくことが重要でございまして、このために、業種の実態に応じまして必要な場合には各
事業者の設備
投資の動向に関する情報の公表を確保するための措置、あるいは産構審等による需要
見通しの
作成等の施策を講じていくこととしております。先般、日本化学エネルギー労働組合協議会とお話ししました。
国際化への対応、新素材、新規
事業分野への進出等々いろいろなことをお話し合いをいたしましたが、時間が長くなりますので、一応骨子のみ申し述べました。
それから、私の訪中の御報告でございますが、実は今度の訪中は
通産省が所管しております映画産業というもので、特に日中合作で四十五億円もかけた「敦煌」という映画でございますが、四十五億円といいますと、実際は現地のお金の値打ちというものに換算いたしますと二百数十億に匹敵するのじゃないかと言われております。それほどの巨額の
投資がなされた共同制作、大変いい映画でございました。それの特別試写会のオープニングセレモニーに私も参加をいたしました。御承知のようなことでちょっとぎくしゃくした面もないでもありませんから、そういうことを少しでもほぐすことができたら、日中友好のお役に立てたらと思って私も行ったわけでございます。
そのときに、王震副主席初めたくさんの方に会いました。ちょうどたまたま同じときに外務
大臣が訪中しておりましたから、なるべく私は政治向きのことは避けておりましたけれ
ども、しかしだからといって通産
大臣でございますから、自分の本職のこともしなければならない。それで、特に桃依林さん、鄭拓彬さんとは仕事のことでお目にかかった。桃依林さんは、御承知のように筆頭副総理でございます。私からまず何か話をしなさいということで、あなたからまずどうぞ話をしてください、いろいろとお互いに応答しようじゃありませんかということでございましたので、私はいろいろなお話をしましたが、今のココムに関する
部分を申し上げますと、東芝機械の既契約問題等が我が国の対応方針を理解されて、これをベースに解決が図られつつあることは大変うれしいことでございます、それから電子測定器の不正輸出事件につきましては、これは二商社の問題でありますが、国内法令に違反したわけでありますから、これがはっきりした以上、我が国も法治国家でございますから、法治国家の建前からいっても国内法令で処罰せざるを得ませんでした、これは同じ建前を大切にする両国として御理解を賜りたいということを私から申し上げました。それから同時に、日本の日中友好希求の姿勢は不変であって、昨年の
改正外為法のもとでの罰則強化に当たっても中国向けはソ連などと異なる扱いといたしました、また対中ココム規制緩和については、今後とも他のココム参加国とともに積極的に対応していきたいと考えておりますというようなことを申し上げました。特に、対中行政例外品目ですか、これにつきましても、その
拡大のために可能な限り努力をしていかなければならぬと思いますということを申しました。
おおむねそういうことを言ったわけでございますが、それに対して中国側からは、できるだけこういうことは避けるようにしてくれ。特に鄭拓彬さんからは、我々はココムそのものに反対なんだけれ
ども、それはそれとしてというところから、
あとはお二人ともできるだけこういうことが起こらないようにしてもらいたい、それから、不幸にして問題が起きた場合には双方でよく話し合うようにしてもらいたいというような御意見もございました。それから、対中ココム規制の緩和を強く要求します、あなたが説明してくださったことに対してよくあなたのお気持ちはわかりましたというようなことでございまして、お互いの言葉のやりとりも大変和やかでございましたし、それから内容も非常に現実的で、もちろん私
どもも誠意を尽くしてお話を申し上げたわけでございますけれ
ども、ココムに関しては私は覚悟をして中国へ行っただけに、大変ありがたかった。桃依林さんに私は思わず、いや実は私もちょっと緊張して来たけれ
どもお話を承ってほっとしました、こう言いましたら、にこにこ笑っておられました。
まあそういうことで、非常に友好裏に話し合いをしてまいりました。けれ
ども、それはもちろん友好裏に話し合いをしたといっても、私
どもが言葉に出した以上、やはり両国ともに東洋の建前を重んじる国でございますから、これは誠実に対応していかなければならぬことは当然のことでございます。