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1988-04-27 第112回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十七日(水曜日)     午後零時三十分開議  出席委員    委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       麻生 太郎君    井出 正一君       石渡 照久君    魚住 汎英君       小川  元君    海部 俊樹君       古賀 正浩君    佐藤 信二君       島村 宜伸君    武部  勤君       玉生 孝久君    中川 秀直君       中山 太郎君    額賀福志郎君       穂積 良行君    牧野 隆守君       宮下 創平君    粟山  明君       森   清君    小澤 克介君       緒方 克陽君    城地 豊司君       関山 信之君    田口 健二君       早川  勝君    水田  稔君       石田幸四郎君    斉藤  節君       森本 晃司君    薮仲 義彦君       岡田 正勝君    岩佐 恵美君       工藤  晃君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      長谷川慧重君         通商産業大臣官         房長      棚橋 祐治君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業大臣官         房審議官    安藤 勝良君         通商産業大臣官         房審議官    野口 昌吾君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         通商産業省立地         公害局長    安楽 隆二君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         郵政省通信政策         局長      塩谷  稔君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課長 平石 尹彦君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         外務省国際連合         局社会協力課長 金子 義和君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     武藤 嘉文君   佐藤 信二君     河本 敏夫君   中山 太郎君     近藤 鉄雄君   額賀福志郎君     小沢 辰男君   緒方 克陽君     広瀬 秀吉君   森本 晃司君     大橋 敏雄君   藤原ひろ子君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     額賀福志郎君   河本 敏夫君     佐藤 信二君   近藤 鉄雄君     中山 太郎君   武藤 嘉文君     石渡 照久君   広瀬 秀吉君     緒方 克陽君   大橋 敏雄君     森本 晃司君   田中美智子君     藤原ひろ子君 同月二十二日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     坂本三十次君   海部 俊樹君     笹川  堯君   佐藤 信二君     森  美秀君 同日  辞任         補欠選任   坂本三十次君     石渡 照久君   笹川  堯君     海部 俊樹君   森  美秀君     佐藤 信二君 同月二十六日  辞任         補欠選任   緒方 克陽君     中沢 健次君 同日  辞任         補欠選任   中沢 健次君     緒方 克陽君 同月二十七日  辞任         補欠選任   小川  元君     井出 正一君   福島 譲二君     魚住 汎英君   山崎  拓君     武部  勤君   井上  泉君     早川  勝君   関山 信之君     田口 健二君   薮仲 義彦君     斉藤  節君   米沢  隆君     岡田 正勝君   藤原ひろ子君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   井出 正一君     小川  元君   魚住 汎英君     福島 譲二君   武部  勤君     山崎  拓君   田口 健二君     関山 信之君   早川  勝君     井上  泉君   斉藤  節君     薮仲 義彦君   岡田 正勝君     米沢  隆君   岩佐 恵美君     藤原ひろ子君     ───────────── 四月二十五日  異常円高による産業空洞化防止等に関する請願(工藤晃紹介)(第一八一五号)  同外一件(中路雅弘紹介)(第一八一六号)  同(中島武敏紹介)(第一八一七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律案内閣提出第五八号)  特定産業構造改善臨時措置法を廃止する法律案内閣提出第五九号)  民間事業者能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第六〇号)(参議院送付)      ────◇─────
  2. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤克介君。
  3. 小澤克介

    小澤(克)委員 午前中の連合審査でいろいろな論点が出たようでございますので若干重複の気味があるかもしれませんが、商工委員会としてもう一度確認しておくこともそれなりの意味があろうかと思いますので、順次質問させていただきます。  まず最初に、規制対象フロンに限定して結構でございますが、このフロンの最近の需給の動向、それからこの法案が成立いたしますと規制が始まるわけですが、その初年度におけるフロン削減率はどの程度になるわけでしょうか。     〔委員長退席奥田(幹)委員長代理着席
  4. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 私どもの統計によりますと、今回の法案が御審議いただいて通過した暁に対処をしなくちゃならない特定フロンに関します需給でございますが、六十一年、これは来年規制をスタートする段階基準の年次になりますが、その総合計我が国の場合十三万三千トンというふうに報告を受けております。六十二年、昨年におきます生産数量は十四万八千トンということのようでございますので約一〇%強需要拡大をしている、かように考えられます。今後同様なテンポで拡大をし、来年の七月を迎えるということを想定いたしますと、その水準から六十一年の水準削減をする削減比率は全体の平均で三〇%弱というふうに私ども試算しております。
  5. 小澤克介

    小澤(克)委員 モントリオール議定書では当面凍結というふうに読めるのですけれども、今のお話だと実質的には三〇%カットバックということになるわけでございます。そういたしますと、規制する一方で、ただそれだけではどうにもならぬわけでして、究極的にはこの代替品開発導入ということが重要にならうかと思うわけですね。  そこで、いろいろ報道されているところによりますと、代替品開発現状でもある程度は進んでいるようでございますし、また用途によってはなかなかまだめども立っていないというようなのがいろいろあるようでございます。例えばビル空調では、規制対象外になりますフロン22を使う方法がある大手建設会社開発された。しかも、これは何かビル空調システムを運転する電力も相当削減できるというようなことも報じられておりますし、それからまた食品用包装材発泡剤ですね、これに関しても代替品を使うことが検討されている。あるいはまた、化粧品スプレー等についてもLPGその他に代替するというようなことが報道されておるわけですが、これらの用途別品目別に具体的な代替品開発状況について御報告を願いたいと思います。
  6. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のとおり、今後議定書に従いましてこの法律を運用し生産数量削減をしていく、大変厳しい削減でございますが、それを実効あらしめるために代替品開発は非常に大きなかぎだと思っております。  現在、その代替品の中に既存代替品新規代替品と両方ございます。特に代替品可能性の高い分野は、まず冷媒用でございまして、今お話がございましたようにフロン22というのが有力な代替品でございます。これは既存代替品でございます。フロン11にかわるものでございまして、ビル空調等にこれが活用されるということを私ども期待しております。なお、冷媒用でございますとカーエアコン、クーラーでございますが、フロン12が使われております。この代替品として22が使えないかどうかということでございますが、これはなかなか難しいようでございまして、むしろフロン134aというのが有望視されております。したがいまして、カーエアコン用につきましては134aというものを将来期待をしているわけでございますが、御存じのとおり、これの新製品につきましては今後毒性試験が必要でございまして、後で申し上げますフロン123と同様に、世界主要国主要企業が共同して毒性試験をするという対象になっております。期間は五年ないし七年かかると言われております。  次に、発泡剤でございますけれども、今お話がございましたように、食品包装材に使われておりますポリスチレンペーパーにつきましては、発泡剤としてフロンは三割、残りの七割はブタンでございますので、既存代替物質といたしましてのブタン使用を高めていくというのが今後の当面の非常に重要な方向だと存じます。長期的にはフロン123というのが一番有望視されているようでございますが、これにつきましては、先ほどの134aと同様に長期毒性試験が必要であるというふうに言われております。  それからエアゾール用噴射剤でございますけれども欧米各国におきましてはお話の中にありましたようにLPGが使われておりますが、可燃性の問題があるために日本では一部にしか使われません。一般的に最近登場してまいりましたのが炭酸ガスでございますが、炭酸ガスは非常に霧が粗いという点が問題点のようでございまして、従来から、フロンと同様の使用効率といいますか、その辺には問題があるやに聞いておりますけれども、しかし一つ方向だと存じます。  一番問題点がございますのは洗剤用でございまして、洗剤用に使われております113の代替品というものにつきましては、現在のところ有望なものはございません。ただ、我が省におきましては、アルコールというものを洗浄剤に使えないかということで、その持っておりますいろいろな特性を生かし、欠点を補充するという点について技術開発をことしから始めようとしております。なお、一部の報道で天然溶剤というものを洗浄剤に使うというのがアメリカにあるようでございますが、天然溶剤でございますから当然ながら量的に限界があるようでございますし、付随していろいろな経済的、技術的問題点もあるやに聞いておりますが、私どもも研究していく必要がある、かように考えております。
  7. 小澤克介

    小澤(克)委員 今アルコールとありましたが、これはメタノールでしょうかエタノールでしょうか。
  8. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 エタノールでございます。
  9. 小澤克介

    小澤(克)委員 また、報道されているところによりますと、アメリカ大手製造会社であるデュポンフロンガスの生産中止するということを声明したというふうに言われております。これは果たしてどの程度事実なのか、その事実関係と、それから、いずれにしても廃止するという方向を出したからには、相当程度代替品開発めどを持ってのことではないかなという気もするわけでございますが、この辺について何か情報をお持ちでしょうか。
  10. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 お話しのデュポン社発表につきましては私どもも新聞で拝見いたしまして、発表文を取り寄せて内容を見たわけでございますが、これは三月二十四日に発表されているようでございます。内容は、規制対象フロン製造段階的に秩序ある移行をして削減し、代替品開発を条件に、究極的には規制対象品生産中止を目標として掲げるというものであるようでございます。  それとの関連でお話がございました代替品開発でございますが、もともとこのフロンそのものデュポン開発でございますし、そういう意味でいきますと、それに関連する技術は相当蓄積されているやに聞いております。先ほどその代替品として申し上げましたフロン123及びフロン134aにつきましては、既にデュポン社におきましてはその製造法について開発が進んでいるやに聞いております。もちろん我が国メーカーも今必死にその辺については努力しているわけでございますが、残された問題点でございます毒性試験、すなわち安全性の問題につきましては、先ほど御紹介いたしましたように、各国主要化学メーカー共同作業という形で長期毒性試験をする、かように聞いておるわけでございます。
  11. 小澤克介

    小澤(克)委員 今のお話を伺いますと、生産中止といっても結局段階的に中止ということで、これからこの法律が成立いたしましたら、それに従って我が国で行おうとすることと結局同じようなことかなというふうに理解できるわけでございます。そういたしますと、既にお話に出ましたが、この毒性試験を行うということも報道されているわけでございますけれども、これはどんなことをどういう手法で、またどんなところが参加していつごろまでをめどにやっていくのか、その辺の事実関係について教えてください。
  12. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のございました新規代替品毒性試験についてでございますが、私どもが得ている情報によりますと、その対象物質フロン123及びフロン134aでございまして、それの長期毒性試験をやるということでございまして、五年ないし七年の必要な期間を想定しております。すなわち、主に動物実験等を中心にしました慢性毒性試験だと存じます。五年ないし七年かけて、総経費は一応六百ないし八百万ドル、こう言われておりますので、円に換算しますと約十億円ということになるかと存じます。我が国からは主要フロンメーカーでございます三社が参加しておりますが、それ以外に、従来フロン生産しております世界のほとんどの主力メーカーが参加し、特色としては韓国からも一社参加しているというのがございます。
  13. 小澤克介

    小澤(克)委員 それからいま一つ人体用スプレーについて、一たん禁じたLPG使用を復活させるというようなことも検討されていると報道されているわけでございますが、これについてはいかがなんでしょうか。
  14. 安楽隆二

    安楽政府委員 エアゾール製品につきましては人体用とそれ以外の用途がございますけれども、両方含めまして高圧ガス取締法で幾つかの規制があるわけでございますが、そのうちの特に人体用エアゾール噴射剤には可燃性ガスを用いてはならないということになっております。その結果、現在の噴射剤につきましては、LPGがマキシマム十数%までということになって、残りフロン使用されているということになるわけでございます。  実はこれらを含めまして、エアゾール製品基準一般ができましたのが昭和四十一年でございまして、もう二十年もたっております。したがいまして、一般的な観点から、この間の技術革新による品質の向上の問題もありますし、先進各国規制がある程度違っているということで、その整合性をどう確保するかという問題、それから最近のフロン規制によってフロンの量が将来減ってくるという環境変化の問題、こういういろいろな観点から、基準について合理的かどうかについて見直す必要があるということで、実は高圧ガス保安協会という高圧ガス保安専門機関に対してその検討を依頼したところでございます。その検討の目的は、安全性の確保を大前提としつつ、現時点における合理的な基準のあり方はどうかということでございまして、この問題について検討が始められましたので、その検討結果を待ちまして、どうするかということを私どもは考えていきたいと思っております。
  15. 小澤克介

    小澤(克)委員 一たん決めたことだからと言ってそれを墨守することが必ずしもいいとは限らない、常に見直しが必要だろうと思いますが、一たん禁じたものをまたもし許可するということになると、何か後ろ向きという印象も免れないわけでございますので、検討中ということでございますが、これについてはひとつ慎重な検討をお願いしたいと思うわけでございます。  それから、今回の規制対象は、フロンのみならずハロンにも及んでいるわけでございますけれども、このハロンというのは聞くところによると、今のところ消火剤が大部分用途だというふうに聞いております。これについての現在の代替品開発状況あるいは今後の見通しはいかがでしょうか。
  16. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 確かに、今回の規制対象物質の中にはフロン以外にハロンが含まれております。ハロン日本におきます生産量は三千トン強でございまして、フロンに比べますと量は大変少のうございますけれどもハロンそのものの性質といたしまして安全性さらには消火能力が大変高いということで、現在消火剤として使われているというのが現状でございます。  では、このハロンにかわるべき何か代替品があるかということでございますが、現在のところそれに代替し得る物質というのは見つかっていないというのが現状でございます。したがいまして、当面の対策は、消火器自身の操作という点に気をつけていただきまして、例えば誤放射を少なくするというようなことが重要だと考えております。  なお、ハロンそのものの今後の需要という点について申し上げますと、消火剤ということでございますので、それほど消費が拡大するという性格はもちろんございません。しかも、この規制内容につきましても、御存じのとおりフロン段階的削減という形になっておりますが、ハロンにつきましては六十一年度の水準凍結をする、しかもその規制の実施時期は一九九二年、少し先にしてある、このように中身につきましては差が設けてあるように考えます。
  17. 小澤克介

    小澤(克)委員 ハロンにつきましては、フロンに比べますと数量としては非常に少ないようでございますが、オゾンを破壊する作用については相当強いようですね。資料によりますとオゾン破壊係数、これはモントリオール議定書附属書等を拝見いたしますと、フロンの代表的なものを一といたしますと比率で三とか物によっては一〇、ですから三倍ないし十倍のオゾン破壊作用があるというふうに現在の知見では見られているようでございますので、これも決して無視はできないのではないかと思うわけでございます。今のお話ですと、代替品開発めどが立っていないということでございますし、かといって消火、これまた防災上大変重要なことでなかなか難しかろうとは思うのですけれども、基本的にはやはり代替品を早期に開発するしかなかろうかと思うわけでございます。この点についても、ぜひ格段の御努力をお願いしたいと思うわけでございます。  それで、代替品開発状況については今概略お尋ねしたわけですけれども、既に代替品開発できているものもあれば、毒性試験を精力的に行っているものもある。また用途によっては、品目によってはめどが立っていないものもある。一番大きいのは洗浄剤フロン113だろうと思いますけれども、そうしますと代替品のまだ必ずしもないものについては、当面としてはやはりフロンを空中に、環境に放出しない、密閉して回収するクローズドシステムといいますか、それから、洗浄剤等洗浄に使って不純物の溶け込んだフロンをさらに精製して使う、これも一種の回収・再利用システムだろうと思いますけれども、そういうことが当面の対策としては非常に重要になるのではないかと思うわけでございます。これにつきまして、これまたいろいろ報道されているところによりますと、かなり高性能なものが開発されているというようなことも聞いているわけでございます。これらのクローズドシステムあるいは回収・再利用システムについても、技術開発現状それから経済性も含めた今後の見通しなどについて、認識をお尋ねしたいと思います。
  18. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のとおり、規制段階的に強化する過程で、当面の課題の一つはやはり回収・再利用設備導入だと存じます。現在、回収・再利用設備の種類を見てまいりますと、大きく分けて、言い方で密閉型と吸着型と二つあるようでございます。密閉型の方は、設備密閉いたしまして、蒸発したフロンを冷却して回収・再利用するということでございまして、これは半導体等洗浄用設備で通常使われる性格のものでございます。さらに二番目の吸着型は、蒸発しましたフロン活性炭等吸着いたしまして回収・再利用する、こういうことでございます。これも洗浄その他で使いまして、気化したものを吸着して再生利用するというようなことだと存じますし、さらに将来は、発泡用等にこれは使われるということを期待しているわけでございます。  後者の吸着型でございますけれども、三、四年前に活性炭を使いました回収・再利用設備が出てまいりまして、これが相当普及しておりますが、ことしになりまして発表されましたのが、吸着剤といたしまして活性炭のかわりに油を使用するものでございます。この最近発表されたものの特色は、大変純度の高いフロン回収できるというのがメリットでございまして、いわば回収・再利用設備としては従来のものに比べますと画期的であるというふうに聞いておるわけでございます。  現在、活性炭によります回収・再利用設備は約一千台程度が普及しているようでございますけれども、価格の問題もいろいろございます。特に、洗浄用に使っております企業中小企業が非常に多うございますので、中小企業にこれを普及するというためにはやはり助成措置が必要である、かように考えておりまして、固定資産税あるいはまた特別償却等につきましての特別措置を今回お願いをしているわけでございます。当面、その規制の強化の過程におきましては、まずは経済的、技術的に可能な分野につきまして積極的に回収・再利用設備導入をお願いし、さらに中小企業に広げていくというのが手順だと考えております。
  19. 小澤克介

    小澤(克)委員 今の部分法案上は二十三条に関連するのでしょうか、排出抑制それから使用合理化指針について環境庁長官通産大臣指針を公表するという、これが二十三条の骨子でございますが、これによって政策を遂行していくことになろうかと思うわけです。  それで、ここのところが非常に重要だろうと思うわけですが、本法案は結局のところ、ハロンも含めてですが、フロン等生産規制することによって最終的な排出環境への放出を規制するという環境立法の側面が本質だろうと思いますけれども、同時に今挙げた二十三条等で、その他条文があるわけですけれども代替品開発も含めて排出抑制について政策を、誘導政策等含めて進めていこうという政策立法の面もあるわけです。その面が、その裏づけが結局一番重要じゃないかなと思うわけです。規制の方は、これは純技術的には要するに数量を決めて規制すればいいわけですから、比較的簡単といえば簡単なんですが、その裏づけ政策の面が非常に重要だろうと思うわけです。  ちょっと私、この点興味を持ちましてあるメーカーをお訪ねして、この開発に当たった技術屋さんからじかに教えていただいたりしたのですけれども、これは我が国フロン生産しているメーカー五社の中の一社、まあS社とでも申し上げておきましょうか、でございますけれども、大変効率のいいもののようでございますね。これはフロン113だけが今のところ対象のようでして、回収・再生システムは洗浄用、特に電子部品などの精密機械の洗浄フロン113を使う場合に、聞いてみますと、フロンを満たした槽の中に細かい部品をかごに入れてそのままどぶ漬けにしてざぶざぶ洗う、もちろん自動的に機械で行うわけですけれども。そして持ち上げる。持ち上げたときに相当量のフロンが蒸発をするのだそうでして、そこでそのフロン槽のある部分の上に、フードというのでしょうかそれをつけまして、そこから空気を引きましてファンで吸い寄せて、そしてある装置の中をくぐらせる。その装置の中では、一種の合成油だそうですけれども、合成油と接触する仕掛けになっておりまして、そこで非常に高率に合成油の中にフロンが吸収される。そしてこの合成油を百二十度に加熱をすると同時に、水銀柱で五ミリHgぐらいの低圧、まあバキュームをかけますと、この溶け込んだフロンがまた蒸発して回収されるという装置だそうです。これは値段がワンセットで千五百万ぐらいというのだそうですね。千五百万という数字をどう評価するかですが、大規模な電子部品工場等を考えますと、これは金融あるいは税制等の誘導政策よろしきを得れば、十分導入可能なものではないかなというふうに思えたわけでございます。  それからいま一つは、今紹介したのとワンセットで使うと非常に効率がいいということでございましたが、ざぶざぶ洗ったその槽に残った方のフロンですね、フロン113、この中には洗浄過程でいろいろな不純物がたくさん溶け込むわけでございますが、それを今度はある無機系の吸着剤、これは細かい粒子になっているそうですが、吸着剤の中を通す、そのことによってフロンの中に溶け込んだ不純物を吸着剤吸着してしまう。各種の物質が非常に高い率で吸着されまして、その結果、その吸着剤のところを通過した後のフロンは九九・九九%以上という大変高度に精製されるわけでございまして、しかもこの装置というのは非常にコンパクトな、高さ四、五十センチぐらいの小さな装置で、これがワンセットがわずか二百万円なんだそうです。それで、吸着剤はカートリッジ式になっておりまして、これを取りかえて使うわけですけれども、カートリッジの交換が一回十五万円、この程度の値段であれば、これは金融、税制等誘導政策よろしきを得れば、中小零細の企業でも十分採用できるレベルかなというふうに思ったわけでございます。  この装置に限らずいろいろなものができているようでございますので、この点についての十分な誘導政策ということになるのでしょうけれども、それが期待されるわけでございますが、この法二十三条についての運用方針、今御紹介した新製品などと関連して、具体的にどんなことをお考えなのかを教えていただきたいと思います。
  20. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のとおり、今後生産規制を厳しく実施していくのをより円滑に進めるためには、フロンを使っておられる方々におきます対策というのは非常に重要でございます。そのような観点から、おっしゃる法二十三条におきまして使用の合理化及び排出の抑制に関する指針というものを作成することにしたわけでございまして、これをフロン等使用事業者が遵守することが望ましいという観点で、私どもこれを進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  指針内容に関しましては、例えば使用の合理化という観点からまいりますと、現存する代替品導入、さらには今お話しございましたように回収・再利用設備導入等が主な内容になると存じますけれども、さらに、例えば回収・再利用設備技術の展開に応じまして、当然ながらその最先端のものを各分野導入していただくということも非常に望ましいわけでございます。今後、私どもが定めます指針内容におきましても、代替品の問題あるいはまた回収・再利用設備の問題等につきましても、フロンそのものの使われ方、どのような業種でどのような場面で使われているかということを十分見つつ、かつまたフロンの持っております特性、今お話がございましたように気化をしていく、簡単に蒸発をするという性格がございますから、当然、そこでは吸着という技術も必要になってまいりましょう。そのようなフロン性格等も考慮しながら指針内容を議論してまいりたいと思っておりますが、やはりこれはやや専門的な問題になりますので、私どもといたしましては、化学品審議会の中で関係学識経験者にお集まりいただきまして、お話のような技術の進歩の度合いあるいはフロン使用の形態等も踏まえた使用の合理化・排出の抑制のガイドラインを決めてまいりたい、かように考えているわけでございます。  その具体的な実施時期は年内を考えておりますが、よりその具体化の段階におきましては、関係主務省庁、すなわち事業所管大臣の協力も得なければなりません。この辺につきましても、私ども十分環境庁ともども関係主務大臣とも連絡をとりながら、このような望ましい技術の普及という点につきまして十分推進を図ってまいりたいと考えているわけでございます。
  21. 小澤克介

    小澤(克)委員 今かなり積極的な姿勢が見えたわけでございますけれども、実は先ほど紹介したS社の装置について私大変興味を持ちまして、できれば当委員会に参考人として来ていただいて、我々素人でよくわかりませんので専門家にこの性能等についてお話し願おうかなとも思ったのですが、何かそんなことがちょっとどこから漏れたのか知りませんけれども、そんなことをしてもらっては困るというようなことをお役所の担当の方から言ってまいりまして、その際に、いやあの装置は大したことありませんよみたいな口ぶりであったものですから、そういうのはちょっとまずいと思うのです。これはS社の方で、国会にまで行って御説明するのはいいのですけれども、あたかも自分の会社の宣伝しているように受けとめられるのもというようなお話があって御遠慮されたので、実はそこまではしなかったのでございますが、ぜひ大したことないなどという決めつけをしないで、きちんとした評価をしていただきたいと思うわけでございます。  それで、二十三条は結局のところ、基準あるいは指針を定めるということになるのですが、より実質的な誘導政策ということになりますと二十四条の方になろうかと思うのです。「国は、」「必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。」こういう規定があるわけでございます。これは率直に言って精神規定なんですけれども、ここにまず一つ主体が「国は、」というふうに書いてありまして、これでは具体的にどの省庁のどの部署がこういうことを担当し、企画立案していくのかちょっと不明確ですので、場合によってはどこも知らないということになりかねないおそれもあろうかと思いますので、この二十四条の今後の運用等について詳細な計画があれば教えていただきたいと思います。
  22. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 最初に、民間企業の方々の技術開発に関する評価でございますが、私どもは基本的に、こういう非常に難しい問題に積極的に民間企業が対応され、新しい技術開発していくという方向につきましては評価する立場にございますので、その辺はぜひ御理解をいただきたいと思っているわけでございます。  それから、第二十四条に係る施策「国は、」という形で書いてある点でございますが、これは通常国全体の責務といたしましてこのような財政金融上の措置あるいは技術開発の措置につきまして書きますので、これは通常の例文でございますが、税制につきましても、私ども環境庁とともども新しい税制の設定に努力いたしまして、今回成立いたしました税法によりまして、一つ洗浄用フロン使用合理化及び排出抑制に資する設備に対する法人税及び所得税についての特別償却制度の導入が決まっております。初年度二一%の特別償却でございますので、先ほど御紹介しましたような設備につきましては、当然ながらこのような趣旨に入るのではないかと理解されます。それから地方税の関係でございますが、洗浄用フロン回収・再利用及び排出抑制に資する設備に対します固定資産税の課税標準の軽減、価格の五分の三ということでございますが、これも本年度から実施されるということでございまして、このような税制上の措置を背景といたしまして、先ほど御紹介ございましたような技術中小企業に普及をしていくということが今後の課題だと存じます。  それから、金融面につきましては、政府機関でございます開発銀行の特別融資制度の設定が本年度から決まっておりまして、利率五・二%、これは公害融資制度の一環という形になるかと存じますけれども、そのような形で、同様に洗浄用フロン使用合理化及び排出抑制に資する設備対象とするという制度が、これも本年度からスタートいたしますので、金融面ではこれが活用できるかと存じます。  なお、それ以外に技術開発に関しましてでございますけれども、たびたび御紹介しておりますように、洗浄用フロンの代替物質といたしましてエタノールを利用しました洗浄技術開発、これは今年度から三千万円活用いたしまして私どもスタートいたしますが、同時にフロン113とか134aという新しい代替品に関しましてもその物性、例えば温度とか圧力特性あるいは粘性等につきましての安全性の研究というのも、実は私ども本年度からスタートすることにしております。その他工業用廃ガスに含まれますフロン吸着捕収いたしまして、それから回収する技術という点につきましても、技術開発を私どもの方でもやろうとしております。  以上のように、国の責務規定を活用しながら税制、金融あるいはまた国の政策の一環という形で技術開発の促進等に今後とも努力していくということでございます。
  23. 小澤克介

    小澤(克)委員 今、代替品フロン113とおっしゃったのは123の間違いでしょう。そうだろうと思います。  それから、融資の関係で開銀の特別融資枠があるというお話でしたが、金額がもしわかれば教えていただきたいのですが。
  24. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 公害防止枠といたしまして開銀に七百億のお金がございますので、それの中で使えるという形になっております。
  25. 小澤克介

    小澤(克)委員 公害防止枠七百億が全部このフロン関係にということにはならぬと思うのですが、その辺はどうなんでしょう。
  26. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 七百億の中にはその枠は設定しておりませんので、もし需要があればもちろんその分だけは融資できるのではないかと思っております。
  27. 小澤克介

    小澤(克)委員 かなり具体的に税制あるいは金融上の施策を既にお持ちのようでございます。心強い思いをいたしますので、これは来年度以降もぜひ強力にお願いをしたいと思います。  それで、先ほど二十三条についてお尋ねしたときにちょっと失礼しまして、これは環境庁にも関連のあるといいますか、環境庁長官も公表等の主体となっているわけでございますので、二十三条の運用方針につきまして、環境庁からもぜひ御答弁を願いたいと思います。
  28. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  先ほど通産省の方の鈴木局長さんの方でお答えになられましたこととダブるような話でございますので遠慮させていただきましたけれども、せっかくの指名でございますのでお答えさせていただきます。  フロン排出抑制使用合理化を行うことは、フロン使用量を削減いたしまして大気中の放出量を抑えるということになるわけでございまして、本法律上におきましても生産規制と並ぶ重要な対策ということで位置づけをしているというぐあいに認識いたしておるところでございます。この排出抑制使用合理化指針内容といたしましては、例えば洗浄剤としてフロン使用しておる事業者等においてはその講ずべき措置ということで密閉なりあるいは吸着、凝縮、回収・再利用などの措置を示す内容指針をつくって事業者に対して示してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  29. 小澤克介

    小澤(克)委員 それからいま一つ、これまた、報道されているところによりますと、最近、通産省が米国のEPAとの間で途上国に対する代替品技術の援助について協力をするということで合意をした、これは通産省と米国の環境保護局とで合意をしたというようなことがちょっと報道されているのでございますが、これについてのまず事実関係、それから事実であるとすればその概要ないし目標等について御説明願いたいと思います。
  30. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 米国のEPA、環境保護庁でございますが、今回の条約、議定書の関連で参りますと、これは世界的な規模での対策でございますので、先進国のみならず発展途上国の協力も得なくてはならないというような基本的使命も持っておられまして、ちょうどその発展途上国への啓蒙という形で各国を訪問されている一環といたしまして、途中我が国に寄られたようでございます。  去る四月に我が省においでいただいた際に、意見の交換をやっております。その際に、当然でございますがこの条約、議定書の実施状況、特に現在私どもが議会にお願いしております法案、あるいはまた今後の進捗状況等につきまして御説明をすると同時に、さらに代替品あるいはまた回収技術めど等につきましても当然ながら意見交換があったわけでございますが、その際に、米国側の一つの今後の問題といたしましては、やはりフロン問題、オゾン層保護の問題は世界的規模の問題でございますので、どうしても今後発展途上国の協力を得るということが非常に重要になってくるわけでございます。そのような観点から、米国は発展途上国に対します協力の要請についての我が国の協力、さらには、今お話がございましたような具体的な措置といたしましては、代替品開発が進めばその技術を積極的に発展途上国に移転をしていく等々によりまして、世界的な問題でありますこのオゾン層保護の問題につきましての発展途上国の協力という面についての日米間の協力をやろうではないか、こういうお話が進んだということでございます。
  31. 小澤克介

    小澤(克)委員 次に、フロン生産規制するわけでございますけれども、最終的にこれを環境に放出しないで確実に破壊をしてしまえば、これはこれで一つ環境保全の対策になり得るわけでございます。それで、フロンの破壊に関して、法案にも破壊に関する条項があるわけです。これについても後にお尋ねするつもりですけれども、実際に現在は一体どうなっているのでしょうか。破壊ということがある程度行われているのか、あるいは技術的にめどが立っているのか。さらにその大前提として、現在使った後のフロンはどういうふうになっているのか、現状についての実態をまず教えていただきたいと思います。
  32. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 お話のように、現在のフロン用途は非常に多様でございます。空調装置あるいはカークーラー、冷蔵庫、さらには化粧品スプレーあるいは住宅の断熱材、さらには洗浄剤等がございますけれども、それぞれによりましてフロンの形状そのものも違っているわけでございます。  具体的にどのような状況に現在なっているかという点でございますけれども、まずビル用の空調機器の冷媒用フロンでございます。これは主にフロン11でございますけれども、これにつきましては、ビル用ということで大変規模が大きゅうございますので、一部につきましては回収されまして精製され、再びまたビル用の空調機器に使われるというような点が散見されますけれども、しかし、その部分以外の点につきましては、空調機器が廃棄されるに伴いまして大気中に放出されるという形をとっているようでございます。  カークーラーあるいはまた冷蔵庫の冷媒用フロンでございます。フロン12が中心でございますけれども、これもカーエアコンからは一部漏出するようでございまして、それをガソリンスタンド等で補充しているようでございますが、漏出されなかったカーエアコンの中に入っておりますフロンにつきましては、最終的には自動車が廃棄される際、同時にカーエアコンも廃棄されて、その際に大気中に放出される、こういう形をとるかと存じます。  エアゾール用噴射剤としてのフロンでございますが、これは当然でございますが、使用とともに大気中に出てまいります。  それから、ウレタンフォーム製造用のフロンでございます。これは主にフロン11でございますが、ウレタンフォームを製造する際に発泡として使うわけでございますが、その発泡過程でその目的を達成して大気中に放出されてしまいます。  それから、断熱材に使われておりますフロンがございます。これは断熱材の中にフロン密閉されてしまいますので、その形でそれぞれの家の断熱材等に使われるわけでございますが、これは断熱材そのものが廃棄された際に大気中に放出されるという形をとるわけでございます。  最後に洗浄用フロン、これは主にフロン113でございまして、先ほど回収・再利用技術につきましてのお話もございましたが、これはおっしゃったような形で回収・再利用されるもの以外のものにつきましては、洗浄過程中に一部大気中に放出されますし、さらに最後に、いわゆる廃フロンという形で相当いろいろなものがまざった形のものが油の一種という形で産業廃棄物処理業者に渡されまして焼却処理される。  おおむね、全般的に言いますとそのような形になっておるのが現状でございます。
  33. 小澤克介

    小澤(克)委員 そういたしますと、小口で利用するのはなかなか難しいかと思うのですけれども、最後におっしゃった、洗浄用に使っていろいろな不純物がたくさん入ってもうこれ以上使えないものについては、結局産廃ということになるわけでございますので、これについては確実な破壊方法があればかなり有効だろうと思うわけです。  最近、京都工芸繊維大学の教授が酸化、要するに燃やすのではなくて還元して塩に変えてしまうという無公害化処理の研究を進めておられて、随分成果を上げておられるようですけれども経済性等についてはなかなかすぐにはどうかなという感じもするわけでございますが、これについてどのような御認識なのか。  時間がだんだんなくなりましたのでまとめてお尋ねしますが、この法の十一条、十九条は、フロンが破壊されたことを証明すればその分フロン製造業者が製造の上乗せができるという構造になっているわけですけれどもフロンが法の条文では「破壊された」というふうに書いてありまして、だれが破壊したという主体について明確に書いてないわけでございます。そういたしますと、製造者みずからが破壊するのではなくて、それに限らずいわゆる産廃業者などが破壊することを考えているのかというふうに思うわけでございますけれども、果たしてそうなのかどうか、この二点について、時間がだんだんなくなりましたので、簡単にちょっとお答え願いたいと思います。
  34. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 最初のお話の京都工芸繊維大学の先生の技術開発でございますけれども、いわゆる破壊の方法につきましてはお話のように焼却、焼くという方法があるわけでございますが、一方、還元方法を用いましてフロン113を他の物質に転換するという方法もあるわけでございます。この方法によりますと、例えば焼却の場合でございますと、塩酸その他ある程度問題のあるガスが同時に発生いたしますけれども、そのような副次的な問題が生じません。そういう面からいきますと、還元方法を用いた技術というのは非常に私どもも関心のある技術でございます。  ただ、還元反応に用います化学薬品が一つ問題点でございまして、現在の発表されました技術はやや高価な化学薬品ということでございますので、どうも経済的な問題点があるかと存じますけれども、仮にその問題がクリアされますと、一つの破壊技術であるということになるかと想定いたします。ただ、その破壊の方法につきましては、御存じのとおり今後締約国会議で決めることになっておりまして、現在どの破壊技術が認められた技術であるかということは確定されておりませんが、今後その国際会議の中で、このような新しい技術も含めて議論していただくことが非常に重要かと存じます。  それから、破壊の確認の問題でございますが、御心配のような点は私どもも十分承知しております。その破壊の方法がどうなるかによりまして実は最終的には決まるわけでございますけれども、恐らく破壊設備につきまして、例えば届け出をしていただくというようなことで破壊の場所そのものを確定し、かつまた破壊現場そのものにつきましても立入検査を行うというような形で、確認をした上で問題を処理していくということがどうしても必要にならざるを得ないかと存じます。そういう確認を得て初めてお話のような製造数量の上乗せができるという手順になるかと存じますので、仮に書面審査に応じないとか立入検査を認めないということになりますと、当然ながら破壊の確認ができませんので、実際問題としてその製造数量の上乗せという措置には進まないわけでございますので、そのような手続を確立することによって問題の処理はできるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
  35. 小澤克介

    小澤(克)委員 おっしゃったとおり、現在開発中の還元法ですか、金属ナトリウムを使うというようなことで、経済性等からなかなか難しいかなというのが私ども素人でもある程度判断がつくのですけれども、例えばナトリウムのようなアルカリ金属でなくて、アルカリ土類金属といいましたかカルシウム等をもし使うようなものができれば、これはまたかなり可能性があるのではないかということをちょっと素人なりに考えるわけでございます。これについてぜひ、きょう文部省の方は来ていただいていないわけですけれども、破壊技術開発についても十分な政策的な配慮が必要ではないかと思いますので、要望しておきたいと思います。  それで、今破壊については、結局産廃業者等によってなされることが前提に破壊数量の的確な把握についてのお答えがあったというふうに理解するわけですけれども、これはかなり難しいと思うのですよね。今後とも代替品開発等がそううまくいかなくて、フロン需要が大きい場合には破壊証明書、破壊したことを証明する書類が経済原則に従って高価で取引されるというようなことにもなりかねない。そういたしますと、本当に破壊しないで蒸発させておいて破壊したというふうに言ってしまうとか水増しするとかいうようなことも考えられます。  それから逆に、代替品開発等が非常にうまくいって、破壊を証明したことについての関心をメーカーが余り持たないようなことになりますと、だれも破壊するものがいなくて、これまた放置されてしまうということにもなりかねない、なかなか難しいかなという感じがするわけでございます。この点についての十一条、十九条は通商産業省令にゆだねられているわけでございますので、これは非常に重要な意味を将来持とうかと思うわけです。これについて、今既にお答えがありましたけれども、もう少し詳しくどのような通産省令を予定されておられるのか、お答え願いたいと思います。
  36. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 破壊の方法につきましては、これから議論するということでございますので、その中で最終的には決まるわけでございますが、仮に破壊の方法の一つといたしまして、おっしゃいましたような焼却ということを考えた場合に、やはりポイントはその焼却設備でございます。すなわち、焼却する前に例えば蒸発をしてしまうということになりますと、おっしゃったように焼却したと称しているわけですが実態は蒸発している、これは非常に問題でございます。そういう意味からまいりますと、やはり破壊設備そのものがそういう外へ放出されないという機構を持ったものでなければならないわけでございまして、当然ながら破壊設備そのものを届け出いただいて確認をするということが一つの方法として重要だろうと私どもは考えております。  そのような方法で、おっしゃいましたような実際上は焼却されていないにもかかわらず焼却されたというような形にならないように設備面でのチェックをしていく。さらにまた具体的な焼却そのものも、書面審査をもちろんいたしますが、同時に立入検査というものもやりまして、それを確認した上で処理をするというようなことで、万全を期したいと考えているわけでございます。
  37. 小澤克介

    小澤(克)委員 だんだん時間がなくなりましたので、この法案の二十六条でオゾン層に関する研究をさらに積極的に行うということが明記されているわけでございますが、これもまた「国は、」というふうになっているのですけれども、これほどの機関が主体となって進めるのか。  それからいま一つ、これは環境庁さんにお尋ねしたいのですが、今後のオゾン層の監視体制、それから科学的な研究の促進についてどのような姿勢でお取り組みの予定なのか。その二点、簡単にお答え願いたいと思います。
  38. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 まず、第二十六条の関係でございますが、オゾン層保護問題に関する調査研究につきましては、オゾン層や大気中のフロンガスの観測、あるいはフロンガス等によりますオゾン層破壊のメカニズムの解明、代替品あるいは代替技術等の対策技術開発等非常に広範多岐にわたっておるわけでございまして、環境庁のほかに気象庁あるいは通商産業省等各省庁がそれぞれ研究を進めているところでございまして、六十三年度で私どもの把握している範囲内におきましては、文部省の科学研究費の予算を除きまして大体一億二千万円程度ということで、それぞれのところが必要な予算を計上し研究を進めてまいりたいというぐあいに思っているわけでございます。  この中におきまして、環境庁におきましては、大気科学等の専門家から成ります検討会を設けまして、広範な科学的知見に関する整理、評価を実施してまいりますとともに、六十三年度からは国公研におきましてレーザーレーダーによりますオゾン層の観測、あるいは対策の動向を踏まえたオゾンの将来予測を行うことといたしているわけでございます。  さらに、環境庁におきましては、環境保全の総合調整官庁ということで、各省庁の公害関係研究費の一括計上等も行っているわけでございますので、この予算も活用して、関係省庁との連携を図りつつ、研究が全体として総合的に進められるように努めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。  それから、第二番目の監視体制のお話でございますが、オゾン層や大気中のフロンの状況を的確に把握することは、このオゾン層保護対策を進めていく上で非常に重要な課題というぐあいに認識いたしているところでございます。このオゾン層の観測につきましては、これまでも気象庁がドブソン分光光度計を用いまして日本の四カ所におきまして実施してまいっておるわけでございますが、環境庁といたしましても、これに加えまして国立公害研究所にオゾンレーザーレーダーを設置いたしまして、これから高度の分析を図ってまいりたいというぐあいに思っているところでございます。それから大気中のフロン濃度につきましては、我が国におきましてはこれまで東京大学によります測定が北海道あるいは東京においても行われてまいっているわけでございますが、環境庁といたしましても今年度から予算措置を講じまして、大気中のフロンの濃度の測定の監視を実施してまいりたいというぐあいに思っているわけでございます。  こういう形で、いろいろの観測のデータその他のデータを活用いたしまして、環境庁におきましてはオゾン層やあるいは大気中のフロンの状況を適切に監視いたしまして、今後の対策に資してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  39. 小澤克介

    小澤(克)委員 時間が残り少なくなりましたので、最後にお尋ねをします。  一つは、この第七条が当面この法案で一番重要なことになろうかと思うのですけれども、各メーカーに対する生産許可の割り当て等が非常に重要な問題になろうかと思うので、この許可の基準といいますか運用の基準、具体的な運用の方針、これを通産当局からお尋ねしたいのと、それから最後に大臣から、国際的な約束でありますこのオゾン層保護問題に大変積極的に取り組んでいく姿勢等については、先ほどから連合審査等でたびたび決意を既にお聞かせいただいておりますけれども、念のためやはり大臣の御見解を賜りたいのと、それから、規制と同時にやはり代替品技術開発それから回収・再生利用技術などを強力に誘導していくことが重要ではないかなと私は思いますので、その点についての大臣のお考えをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
  40. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 フロン等製造の許可の際の基準の問題につきまして最初に御質問がございましたのでお答えしたいと思いますが、その基本的な考え方につきましては、私どもも化学品審議会から答申を得ております。それによりますと、製造数量の許可あるいはまた輸入数量の承認に当たりましては、負担の公平性の確保、事業の継続性の確保、安定供給の確保などを図る観点を踏まえ、製造者及び輸入者のフロン等製造実績、製造能力、輸入実績、我が国フロン等製造動向、輸出入動向その他の事情を勘案して行うことが妥当である、こういうふうに言われておりますので、これを尊重してまいりたいと考えております。
  41. 田村元

    ○田村国務大臣 国際社会の重要な一員でございます我が日本の国は、このかけがえのない地球を守るためにも、率先して国際的貢献を果たす必要がございます。日本に課せられた崇高な義務ということが言えましょう。今般、条約それから議定書を受けたこの法案世界に先駆けて成立させたいということで、今国会において御審議いただくことにいたしましたのも、そういう我々の認識からでございます。  それから、さらに今後の問題でございますけれども我が国としては、回収・再利用型設備導入やそれから代替品開発を積極的に推進する必要がございます。オゾン層に関する科学的知見といいますか、この科学的知見の集積に努めなければなりません。これからこういうような成果を踏まえながら、国際的な規制水準の見直しに関する締約国会議に積極的な姿勢で参加するなど、オゾン層保護問題に対しては、冒頭申し上げたように率先して取り組んで責任を果たしていきたいというふうに考えております。
  42. 小澤克介

    小澤(克)委員 終わります。
  43. 奥田幹生

    奥田(幹)委員長代理 斉藤節君。
  44. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私は、公明党の斉藤節でございます。  まず私からお尋ね申し上げますけれども我が国フロンガス問題に対する対応は、先ほどの合同審査において私の同僚議員の春田委員の方からも指摘があったわけでありますけれども、確かに対応に問題があったのじゃないかな、そんなふうに思うわけであります。今日ようやくフロンガス規制についての法案が審議されるに至ったのでありますが、このフロンガスによるオゾン層の減少と、その結果として人間及び生態系への影響が生じる可能性とを指摘いたしました米国カリフォルニア大学のF・S・ローランド教授らの論文が発表されましたのが一九七三年であります。それから数えましてちょうど十五年目に当たるわけでありますけれども我が国と対照的にアメリカにおきましてはCFC、すなわちクロロフルオロカーボンのガスに対します対応は極めて迅速であった、こんなふうに考えるわけであります。すなわち、論文が発表されまして五年目の一九七八年十月には、有害物質規制法に基づく最終規則を公布いたしまして施行し、このCFCを用いた噴射剤製造禁止、さらには同年の十二月にはCFCを噴射剤とするエアゾール製品製造禁止を実施したのであります。  このような米国と我が国の対応の違いは何によるのかということでありますけれども、それはいろいろな問題があり一概には言えないと思うのでありますが、その違いの一つとして私は次のように考えるわけであります。すなわち、リスクアセスメント及びリスクマネジメントの実施スキームが体系化されている国とそうでない国との違いであろうと思うわけであります。聞くところによりますと、アメリカではリスクアセスメント及びリスクマネジメントの実施スキームは、有害化学物質による健康影響の分野ばかりではなくて、より広範な環境問題にまで拡大して論議され始めているということであるわけであります。  申すまでもなく、我々人類はこれまでに恐らく何十万種にも及ぶ医薬品、それから農薬、工業化学薬品などの化学物質を人工的につくり出しまして、それによって多大な恩恵を受けてきているわけであります。それゆえ工業化学は各国の基幹産業として発達し、世界経済に巨大な影響を与えてきているわけであります。しかし、その化学物質の中には、今まで自然界になかったものを人間が人工的につくり出しているわけでありますから、したがって、人間の健康や動植物及びその生態系に被害を及ぼす危険性があるものがあるわけであります。このような危険性、すなわちリスクでありますけれども、このリスクを科学的に予測、評価するための方法論がいろいろあるわけでありますが、それがいわゆるリスクアセスメントであろうと私は考えるわけであります。  これはあくまで科学的なその当時の研究データであります。したがってそれには不確実性が多分に伴っているというわけであります。なぜなら、これはそのときの科学技術の進歩とかいろいろの問題がありますから、そういう点でいろいろの不確実性要素というものがあると思うわけです。そういうことになりますと、結局この不確実性の残されたデータに基づいて、社会としていかにこれを選択していくか、その意思決定が求められるわけでありますけれども、これはもはや科学の領域ではなくて、むしろ行政あるいは政治の領域に入ってくると私は思うわけであります。そういうことで、つまりリスクとべネフィットといいますか便益性、この関係をてんびんにかけましてどちらを選択するかということになるわけでありますけれども、今回の国際的な合意となったフロン削減対策については、このようなリスクアセスメントが行われた結果、このような国際的な条約も結ばれ、また議定書も発効されるようになった、こういうわけであります。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、私はこのようなリスク、ベネフィットに関する予測を我が国においても十分なし得る、そのような体制を構築していくべきではないか、そんなふうに考えるわけでありますけれども、いかがでございますか。
  45. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 技術の進歩に応じまして新しい化学物質が登場してきた場合、そのリスクアセスメントをどうするかという体制だと存じます。私ども、従来、一つ世界的な情報交換が非常に重要だと考えております。これは我が国ももちろんその化学品に関しますいろいろな科学的知見を持っておりますが、同時に世界各国も同様でございます。これは従来、OECDの場におきまして、各国が持っておりますいろいろな基本的な化学品に関します技術情報を交換をするという場がございまして、これは新規化学物質につきましては当然各国、自分で開発したところが提供するかと存じますけれども、同時に既存化学物質につきましても、同様にその持っておりますいろいろな問題につきましての情報交換をする、これが非常に重要だと考えております。  特に現在、化学物質そのものが例えば毒性がある、蓄積性がある、あるいは難分解性がある、物そのものが直接的にいろいろな問題を生ずる場合につきましては、その物質に関します規制体系が実はできております。御説明の中にございました医薬品とか農薬は、それぞれの分野でそういうチェック機構がございますが、化学品一般につきましては、私どもが持っております化学物質の審査及び製造等に関する法律、いわゆる化審法の中で、おっしゃいましたような難しい毒性の問題、難分解性の問題あるいはまた蓄積性の問題については、厚生省とともにチェックをして新化学物質の登場に際しては十分チェックする体制ができているわけでございます。  ただ、このフロンに関しましてはややそういう従来の化学品と違った次元の問題でございますので、これにつきましては確かにいろんな科学的に難しい知見が必要だと存じます。もちろん私どもも、先ほど環境庁からもお話ございましたように、気象庁その他の知見というものを活用するわけでございますが、やはり国際会議におきますいろんな情報交換、このフロンに関しましては例のUNEP、国際連合環境計画、この場におきますいろんな意味情報交換ということの結果といたしまして、私どももその問題に対します認識を深め、そして今回、条約及び議定書が成立し、そしてこの法律になる、こういう形になってきておるわけでございます。  各国やや早目にやっているのではないかと冒頭おっしゃいましたけれども我が国も実は、フロン11及び12の生産能力凍結という措置は既に一九八〇年、昭和五十五年にはスタートしておりまして、一年ばかりおくれてはおりますが、それほどおくれないで同様な手だては打ってきたつもりではございますけれども、おっしゃいますような御議論につきましては、冷静に聞いてまいりたいと考えております。
  46. 斉藤節

    斉藤(節)委員 では、次の質問に移らせていただきますが、今回の立法措置の目的でございますけれども、いわゆる地球環境の保全という観点からの構成というよりはむしろ国際協調を目的として構成されているように思うのでありまずけれども、この点どうでありましょうか。
  47. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 今回お願いしております法律は、ウィーン条約及びモントリオール議定書、それの的確かつ円滑なる実施という形で国際協力によるオゾン層保護を図っていこうということでございますので、おっしゃいました世界的な規模、地球的な規模でのオゾン保護対策、これはまさに条約及び議定書が目的としているわけでございますので、それを円滑かつ的確に実施するという意味におきましては、今回の法律はおっしゃったような目的を既に持っていると私どもは考えているわけでございます。
  48. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今回のこの立法に当たりましては、やはり地球環境保全という観点から行うべきであったのではないか、私はそんなふうに考えるわけであります。  そのようなことから考えまして、法案の方に入りますけれども、第一条の目的の条文の中にありますように「もつて人の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とする。」このようにあるわけでありますけれども、私はいろいろモントリオール議定書あるいはウィーン条約のあれを見ますと、いわゆるウィーン条約では、前文では「オゾン層の変化により生ずる悪影響から人の健康及び環境保護する」というふうに言っているわけです。また第一条の定義のところでは、やはり「自然環境又は生物相の変化」云々、そして「人の健康、自然の生態系及び」云々、こんなふうに言っているわけです。  用語の問題で私は余り云々したくないのでありますけれども、現代用語の基礎知識などをちょっと見ますと、普通、生活環境といえばライフエンバイロンメントですね。そういうふうなことから、いわゆる労働、住宅、居住関係施設だとか、こういった人間の住むところについて言っているわけでありまして、そういうようなことから考えますと、やはりこれは生活環境なんて言わないで、限定しないで、むしろ環境というふうにした方がこれからのためによかったんじゃないかな、そんなふうに考えるわけでありますけれども、それはいかがでございますか。
  49. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 私ども法律で生活環境という言葉を使う場合に、結論はむしろ先生のおっしゃっているような意味で生活環境という言葉を使っているというのが一般的のようでございます。  公害対策基本法等で「生活環境」という言葉が出てまいりますが、その場合の意味は「人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む」、こういうふうに言葉としては理解しているようでございますので、非常に幅広い言葉だと存じます。
  50. 斉藤節

    斉藤(節)委員 環境庁さんは、この生活環境ということについてどんなふうに考えておられますか。
  51. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 ただいま通産省の方から御説明がございましたように、本法上の「生活環境」といいますのは、我が国の公害対策の基本方針を示しております公害対策基本法第二条の定義によりまして「人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む」広い概念ということで、この法律上の「生活環境」を受けとめておるところでございます。
  52. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今お二人の局長さんから御答弁いただいたわけでありますけれども、では、この法案は公害対策基本法に準じた考え方でやっているということでいいのですか。つまり第二条の第二項に、今答弁されましたように「「生活環境」には、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むものとする。」というわけでありますけれども、いわゆる密接な関係がないものも、今度のフロンガスによってオゾン層を破壊することによって危害が加えられるということもあるわけですね。つまり南極だとか北極、そういうふうに我々の生活に密接な関係のないような、ペンギンなんというのは密接な関係なんかはないと私は思うのですけれども、そういうものもやはりオゾン層の破壊によって問題になるわけでありますけれども、そういうことも含んだ意味での生活環境というふうに言われているというふうに解釈してよろしいのですか。
  53. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 今回のフロンガス規制の基本はやはりオゾン層破壊の可能性があるという判断でございまして、これは成層圏の問題でございます。したがいまして、全世界的な規模における問題意識ということで、単に南極とか、確かに南極の上空にそういう現象が起きているということは事実ではございますけれども、それはやはり一応世界的な規模の問題の可能性があるという判断で本件に対応しているというふうに考えるわけでございます。
  54. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ではわかりました。  そこで、次に移らしていただきますけれども、この法案の各論に入らしていただきたいと思います。  まず、CFCの破壊方法について、この破壊の概念、これは先ほども同僚議員の方からも質問があったようでありますけれども、私はこの法案で一番問題になるのはやはり破壊の問題ではないかな、そんなふうに考えるわけであります。この破壊の方法、まだ確定し得ないと思うわけでありますけれども、また後で議論いたしますけれども、何か化学的あるいは物理的な処理を施して、いわゆる規制物質以外の無害な物質に分解あるいは変換させるというようなことじゃないかなと思うのであります。条文上どのようなことなのか不明であると思うのですが、これは定義を設けるべきではなかったかなと思うのですけれども、いかがでございますか。
  55. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 議定書上、御指摘のございましたように、破壊の方法については今後締約国会議で決めることに相なっております。したがいまして、破壊の方法そのものはこの法律では省令で策定することになっておりますが、その際に、当然でございますが、締約国会議で決められました国際的な約束に従って対応したいと考えております。そのようなことからまいりますと、現段階におきまして破壊そのものの技術的な内容につきましてここで定義することは難しゅうございますので、省令で定めます破壊の方法の中でそれは具体化される、その基本は締約国会議で決められる、かように考えているわけでございます。
  56. 斉藤節

    斉藤(節)委員 この破壊という言葉なんですけれども、私は言葉に余りあれしてちょっと申しわけないと思っておりますが、オゾン層は破壊ということでいいかと思うのです。確かにこの議定書にも破壊ということで出ているわけであります。オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書、私はこれは残念ながら原文を見せてもらっていませんので、オゾン層破壊、これはデストラクテイブと書いているのかデコンポジションと書いているのかわかりませんけれども、デストラクティブだと思うのですが。こちらの議定書の中の第一条「定義」の中の第五項のところに「「生産量」とは、規制物質生産された量から締約国により承認された技術によって破壊された量を減じた量」と言うのですけれども、この破壊はオゾン層の破壊と同じように向こうでは言っているのですか、原文はどうなっているのですか。この場合は、破壊じゃなくてデコンポジションじゃないのですか。違いますか、原文を見てないからわからないのですけれども
  57. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 その破壊の英語の面でございますけれどもフロンの破壊の方がデストラクションでございます。オゾン層の方はデストラクションという言葉を使ってないようでございまして、デプリートという言葉だと言っております。
  58. 斉藤節

    斉藤(節)委員 いずれにしましても、破壊というふうにこの条文にあるわけでありますから、その言葉を使ってやらしていただきますけれども、一番問題になるのは、破壊されたことを証明しさえすればその破壊分だけ製造が自動的に可能になっているということです。これは、完全に破壊されたということをどのようにしてチェックするかということなんです。いわゆるハロンの破壊と、それからフロンの破壊があるわけでありますけれどもフロンの方が第十一条、それからハロンの破壊は十九条、これはいずれも破壊されたということで、その分だけつくってもいいというわけであります。  ちょっとここでお聞きしたいのですけれどもフロン113とフロン11、12これはお互いに使い合うことはできるのですか。例えば片方は冷媒ですね、片方は洗浄用として使っているわけです。113の方は洗浄用ですね、ですからICや何かに使っている。冷媒用として使っているのはフロンの11、12ですか。これは互換性はあるのですかないのですか、その辺をちょっと。
  59. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 例えばフロン113、これは洗浄用に使っておりますが、それにほかの例えば11、12が使えるかといえば、それは使えないそうでございます。
  60. 斉藤節

    斉藤(節)委員 使えないということで私は安心するわけでありますけれども、実はICで使ったフロン113、これがもし冷媒として使えるならば、破壊したことにしてしまって横流しできるということになりますね。と申しますのは、ICの洗浄にはそんなに実際は汚れぬわけですね。それに対して冷媒として使うフロンの11、12というのは、それほど精製されていなくても十分冷蔵庫だとかクーラーとか何かに使えるわけですから、そういう点では安心できるわけでありますけれども、いずれにしましても破壊の確認はどのように通産省さんとしてはおやりになろうとしておられるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  61. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 破壊の方法につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、今後締約国会議で決まることになるわけでございますが、想像される破壊の技術といたしまして、大きく分けますと、一つは化学的に焼却をしていくという方法、もう一つはおっしゃいました物理的に他の物質に転換してしまうという点があると存じます。  後者の物理的に他の物質に転換する、これは非常に確認はしやすいと存じますが、問題は前者の化学的に焼却をするという点の確認の問題でございまして、特に焼却と称して焼却設備に入っているわけですが、その焼却前に例えば蒸発をしてしまうというようなところが一つの大きな問題点でございますので、仮に焼却というのが破壊の技術として国際会議で認定をされる場合には、恐らく今申しましたような問題点を同時に解決した破壊方法になるのではないか。例えば破壊の設備そのものが特定をされていく。例えば密封化されるとか、すなわち蒸発ということは起こらないような設備であるというような、いわば設備そのものが特定されるのではないかというふうに私ども想像しておりますけれども、いずれにいたしましても、仮に破壊の確認の申請がありました場合には、そういう破壊の設備そのものを届け出させまして、それが望ましい破壊設備であったかどうかを確認をする。これは書面審査等によって当面は確認すると思いますが、最終的にはやはり立入検査をするというふうに私ども考えております。
  62. 斉藤節

    斉藤(節)委員 局長のただいまの御答弁で焼却というお話がありましたけれども、有機ハロゲン化合物は、一般に焼却しますと酸素と化合しまして、微量ではありますけれどもダイオキシンが生産されるおそれがあるわけですよ。ですから、PCBなんかは焼くと非常に危険であるわけです、ダイオキシンができて。枯れ草剤として問題になりましたダイオキシンでありますけれども、いわゆる奇形児だとか何かいろいろ生まれてくるわけであります。そういうことで、私は焼却法というのは非常に危険だろうと思うのです。  先ほど私はちょっとお聞きしていまして、回収法としては活性炭法をやっているということをお聞きしましたけれども活性炭もこれは最初のうちは離脱が簡単で、酸洗いその他でやりますと離脱しますからいいですけれども活性炭も老化してきますとくっついて離れなくなるのですね。離れなくなると、もうこの活性炭はだめだということで処理することになるわけです。それはどういう処理をしているかというと、廃棄物処理会社はそれを焼いているわけですね。活性炭は炭素ですからもちろん燃えますけれども、今局長御答弁ありましたように、燃える前に温まった段階で飛ぶものもありますし、それからまた燃えて酸化されて分解するものもありますから、そういう点で私は活性炭法というのは非常に危険だろう、そんなふうに思うわけです。  それで、新聞などで発表になっておりますが、昭和電工でやっているオイルを噴霧してそこに吸着させて回収するという方法が出ていますけれども、あれあたりは、コストの面でちょっと問題になるかもしれませんが、なかなかいい方法ではないかなと私は思っているのです。しかも、九五%以上キャッチできるということですから、そういう意味で、クローズドシステムでしっかりやってもらえば、フロン113の場合には洗浄剤として使う場合には十分やれるだろうと思うのです。  いずれにしましても、破壊されたということを確認するということは非常に難しい問題でありますので、立入検査、これは十分やってもらいたいと思うのでありますけれども、立入検査についてのこの条文を見ますと、やはりこれは余りはっきり述べられていない。第二十九条「立入検査」です。これはやはり破壊に関する条文も入れておくべきではなかったかな、私はそんなふうに考えるわけですけれども、その辺いかがでございますか。
  63. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 フロンの確認につきましては、書面審査に加えて立入検査をするということは非常に重要な要素になるだろうと私ども想像しておりますし、特に手続上立入検査を拒んだという場合には、当然ながら確認書を出さないという形になりますのでフロン製造の追加という方向にはまいりませんので、最終的にそれで十分担保できるのではないか、かように考えております。
  64. 斉藤節

    斉藤(節)委員 では、時間がなくなりましたので次に進みます。  いわゆるフロンの代替物質、こういったものがいろいろ新聞に出ております。例えば化粧品スプレー剤としてLPGを解禁するようなことを通産省は検討していらっしゃるというようなことで出ておるわけですけれども、これは本当かうそかわかりません。LPGというのは大変危険でございまして、女性が化粧する際に、特にフレームのあるようなところは危ないと思うのですけれども、そういうところで噴霧しますと焼けたり何かするおそれもありますし、これも安全性という面から大変難しい問題だろう、そんなふうに思うわけであります。そのほか「フロンガス使う省エネ空調」というようなことで、これも新聞記事でありますけれども、代替物質としてフロンのR22というものですね。こういうものが何かあれするというようなことが出てますけれども、一体通産省さんとして今どんなふうに代替物質をお考えになっておられるのか。また、もし研究しておられたらその進捗状況なども教えていただければと思います。
  65. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 フロン代替品には、既存代替品新規代替品があると存じます。既存代替品は、例えばフロン22というようなものでございまして、これは現実に相当使われているものでございますので、これは問題がないと思います。  今後の大きな課題は、新規代替品だと存じます。現在、私どもが考えておりますのは、冷媒用につきましてはフロン123と言われる分野でございます。それからもう一つ、有望なフロン134aというのもございます。この二品目は、現在世界的に有望なフロン代替品だというふうに評価されておりまして、これは日本の化学メーカーはもちろんのこと、アメリカの化学メーカー、ヨーロッパの化学メーカーいずれも有力な代替品だということで研究開発に努力しているわけです。この大きな特色は、この一月に世界フロン化学メーカー十四社がフロン123及び134aにつきましての長期毒性の試験をやろうということで、共同事業をやるということを決定しております。五年ないし七年かかる、こういうふうに言われておりますが、これによりましてクリアされれば、有力な代替品として登場するのではないかと考えておるわけでございます。
  66. 斉藤節

    斉藤(節)委員 時間があと五分しかなくなりましたのでフロンについてあれにしまして、最後に通産大臣にお尋ねするわけでありますけれどもフロンというのは、産業界におきましてもまた我々の生活におきましても大変重要な必需品にまでなっている状況にあると思うのであります。これがオゾン層破壊という思いがけない問題が起こってきたわけでありますけれども、これについて先ほども御答弁あったようでありますが、我が国は非常に産業が発展した国であります。それであるがゆえに、経済大国であるがゆえになお一層こういった面は各国に先駆けて、日本はこういうことを開発して、こういうふうにやってオゾン層保護しようとしているのだという姿勢が大事じゃないかなと思うわけでありますけれども通産大臣として、その辺のお考えなどをお伺いしたいと思います。
  67. 田村元

    ○田村国務大臣 私がかねてから申し上げておりますように、我が国は国際社会の重要な立場にある一員であります。特に、経済産業面では日本が参加しない国際会議はあり得ないとまで言われておる。そういうような立場でありますだけに、このかけがえのない地球をだれよりも懸命に守っていかなきゃならぬ、その責務があると思います。  このたび、条約及び議定書を受けましたこの法案世界に先駆けて成立させたいという熱意のもとに、また、人類に対する誠意のもとに今国会に御提案申し上げ、御審議を願っておるところでございます。今後我が国としてやらなきゃならぬことはたくさんありますが、回収・再利用型設備導入とか、あるいは今お話しの代替品開発を積極的に推進するとか、オゾン層に関する科学的知見の集積に努めなければなりません。これらの成果を踏まえながら、国際的な規制水準の見直しに関する締約国会議に積極的に参加して協力をしていく、そのようにして、このオゾン層保護問題につきましても率先してその責任を果たしていく所存でございます。
  68. 斉藤節

    斉藤(節)委員 どうもありがとうございました。  残りの時間、大変申しわけないのですが、一昨日ですか、大変センセーショナルな問題が起きたわけでありますけれども、いわゆるシアンが流出するという事故があったわけであります。これについて、ちょっと環境庁さん並びに通産省さんにお尋ねして、私の質問を終わらしていただきたいと思うわけであります。  それは、川にこういうシアンが流れ出すなんという問題は、私はこれは大変遺憾だと思うのでありますけれども、これにつきまして環境庁さんの方にお尋ねしたいのでありますけれども、この汚染状況について今後とも十分監視していくべきじゃないかな、そんなふうに思います。と同時に、やはり自治体も絶えず水質監視をしっかりしてもらいたい、そんなふうに思うのでありますけれども、その辺いかがお考えか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  69. 平石尹彦

    ○平石説明員 御説明申し上げます。  本件事故に際しまして、自治体、埼玉県におきまして、事故の連絡を受けまして直ちに公共水域の監視などを開始したわけでございます。環境庁といたしましては、特に先生御指摘のとおり、水質の監視というのは非常に重要な点でございますので、この点につきまして埼玉県とそれから関係団体、特に水道でございますが、そういうところの連絡にそごのないように指導をいたしたところでございます。  先生御指摘のとおり、健康項目、特に有害物質の水質監視は非常に重要な問題でございますので、環境庁といたしましても従来から種々監視に努めてきておるところでございますので、今後とも自治体の指導、助成など進めてまいりたいと思います。さらに長期的には、自動監視測定装置でございますとかテレメーターシステムの整備、こんなところも進めてまいりたいと考えております。
  70. 斉藤節

    斉藤(節)委員 時間になってしまったのですけれども、もう一問だけ通産省さんにお尋ねしたいのですけれども、きょうの十二時のニュースによりますと、取水を開始したというようなことでございますので安心はしておるのでありますけれども、やはり工場の操作マニュアルをきちんとしていただきたい、そんなふうに思うのでありますけれども、その辺御答弁いただきまして、終わりたいと思います。
  71. 奥田幹生

    奥田(幹)委員長代理 時間が来ておりますので、簡単に御答弁願います。
  72. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 今回のヂーゼル機器の起こしました事故につきましては、私ども大変遺憾であると思っております。通産省といたしましても、このような事故が二度と起こりませんように、大臣の指示に基づきまして、早速担当職員を現地に派遣いたしまして調査に当たらせております。先生御指摘のマニュアルの問題等につきましても、その過程で十分調査いたしまして、二度とこのような事故が起きないように適切な対応をいたしてまいりたいと思っております。
  73. 斉藤節

    斉藤(節)委員 じゃ、これで終わります。どうもありがとうございました。
  74. 奥田幹生

    奥田(幹)委員長代理 進行いたします。  工藤晃君。
  75. 工藤晃

    工藤(晃)委員 最初の問題は、オゾン層保護に臨む政府の姿勢の問題で幾つか伺いたいと思います。  国連局の社会協力課長金子さん、来ていますね。最初の問題というのは、オゾン層保護のウィーン条約が一九八五年三月に採択された以後、日本政府はしばらく条約に署名しなかったというのは一体なぜなのか。  それから続きまして、八六年十二月ですが、UNEPの専門作業部会が開かれて議定書づくりの協議が始まったとき、当初フロン113を規制対象に含めることに同意しなかったとか、十年後に五〇%カットする規制計画にも同意しなかったということを通産省から説明を受けましたけれども、それは一体どういう理由があったのでしょうか。以上です。
  76. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 今回お願いしております法律の基本になります条約及び議定書につきましては、その条約そのものはオゾン層保護に関する基本的な考え方の体系、いわば責務規定といいますかそういうものが並んでいるわけでございまして、それに伴います具体的な措置はすべて議定書にゆだねられたわけでございます。私ども国際的に協力をしていく過程におきまして、具体的に何が義務として各国に発生をするかということを詰めた上で、その上で対応をしようというようなことで、その議定書を待って態度を最終的に決めるということで、条約の段階におきましては私どもは署名をしていなかったということでございます。  ただ、その議論の過程におきまして、私どもは、今おっしゃったようなやや後ろ向きの姿勢であったとは決して考えておりません。具体的な措置といたしましては、例えば昭和五十五年でございますけれども、他の国が例えばエアゾールの使用禁止等の措置を行っている直後の年におきましても、フロン11及びフロン12の生産能力凍結措置を行うとか、あるいはエアゾール用フロン削減努力を行うとかいうようなことは当然やってまいってきているわけでございまして、それ以後の科学的知見あるいはまた処理技術等々を含めながら、総合的に各国と積極的な意見交換をやった結果、今回の段階に至った、かように考えているわけでございます。
  77. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今の問題、昨日、外務省の方が答弁しやすいのじゃないかという通産省の御意見だったですから外務省を呼んだわけですが、もう答えられましたからいいのですが、そうはいっても具体的に幾つか疑問に残ることがあります。  私が先ほど言いましたのは、事実の経過として伺ってきたことでありますが、ちょうどウィーン条約を挟んでフロン113の生産設備というのが急速にふえましたね。一九八四年、生産能力で五万九千トンから一九八六年に十二万六千トン、生産量でいいますと八四年に四万二千トンから八七年に八万一千トンとほぼ二倍になっているわけなんです。しかし、これはどう見ても政府と業界が一体になって駆け込み増産をやったというふうにしか見られないのですが、一体どういう経過でこのころこんなに急激にふえたのでしょうか、はっきり答弁していただきたいと思います。
  78. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 昭和六十一年ごろからフロン113の生産能力がややふえておりますが、これにつきましては、主な理由はこういうことでございます。  その当時までアメリカからの輸入がございました。これはアメリカの有力なるフロンメーカーから輸入がございましたけれども、その企業日本生産工場を建設したわけでございます。したがって、従来輸入されていたものが日本の国内生産に振りかわったという面で、特に六十一年から大きな増加という形になっているわけでございます。基本的には、御指摘のように需要そのものは確かにあったわけでございますが、階段状にややふえておるのは、主な原因はそういう点でございます。
  79. 工藤晃

    工藤(晃)委員 今、有力なる外国企業というところで少し話を外へ向けようとしたように思いますが、ともかくこの異常な増産それから設備の増強がウィーン条約と前後してあったという事実からして、今後のオゾン層保護に対する政府の姿勢が非常に大事になってくる、こう考えるわけです。  モントリオールの議定書規制措置をめぐって、連合審査岩佐議員の方から質問がありましたが、確かに規制そのものについて少し緩いのではないかという批判を専門家の方から聞いております。先ほど数字が少し示されましたが、私自身いただいた資料から計算してみますと、大体こういうことになると思います。余り昔にさかのぼらなくて一九七一年から八五年の十五年間、一千百四十万トン世界生産されたということが、五年ごとの数字あるいは直線引いて計算するとそういうふうに出てきます。それから、今度凍結から削減に至る過程で見てみますと、仮に一九八六年の百万トンが、その後ふえているのですが八六、八七、八八、八九といき、八九年七月一日からこの線でまた凍結されて、それから九〇、九一、九二、九三の半年、六月末まで、そうするとこれは百万トン掛ける七・五ですから七百五十万トンになって、それから一九九三年の七月一日から一九九八年六月三十日までは八十万トンで五倍して四百万トン。この十二年間半だけでも一千百五十万トンになりますから、二十一世紀となるともっとこれがふえた数字になってまいります。そうすると、過去十五年間の千百四十万トンと比べて、一九八六年以後十二年間半でそれにほぼ匹敵する量が出されて、それが成層圏の方に移っていくとするならば、決してこの規制値は適切であるとか厳しいのだということは言えないのじゃないか、そう思います。  それから、通産省の方では化学品審議会が開かれておりますが、この第二回オゾン層保護対策会議事録を読みますと、部会長の石川さんがこのように書いております。「私見だが、」というふうに書いてありますが「モントリオール議定書は思ったよりきつくない規制だ、」EPA、アメリカ環境庁の態度も緩くなってきたというので、思ったよりきつくない規制だというふうに関係者も言われておるといういきさつがあるわけなんです。  そういうことで、私がここで伺っておきたいのは、確かに議定書の中で、一九九〇年にこの規制がこれでいいのかどうかともう一度検査する、その後少なくとも四年置きですか、にやるというようなことが書いてあって、これは大変結構だと思うのですが、これからこの法律が成立していくと、日本としても観測、監視を行うわけですね。それから非常にショッキングだったのが、一番最近の南極におけるオゾンホールがちょっと信じられないほど大規模であり、長く続いたというニュースもあります。そういうことから、日本でも東京大学理学部の化学教室が、我が国から得られたサンプルに基づいてフロンガスの大気中の濃度などをいろいろ調査を始めておりますが、こういうことに基づいて国際的ないろいろな再検討を待つのでなしに、日本として積極的に、監視の結果、調査の結果として進行が急速であるならば、この議定書の中の規制の目標とか計画を見直すことを提案していくべきだと思いますが、その辺いかがでしょうか。
  80. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 今回のモントリオール議定書によります実際上のオゾン層保護に対する効果の点につきまして、ちょっと申し上げたいと存じます。  これはアメリカのEPA、環境保護庁が最近発表いたしました、今回の議定書の実施に伴うオゾン層に対する影響でございます。これはそのシナリオを一応五つばかり描いてやっておるわけでございまして、全く規制を行わない場合、フロンハロンの今後の需要の伸びを年平均二ないし四%として算定いたしますと、二〇〇〇年で〇・九%オゾン層が減り、二〇五〇年では一二・四%減り、二〇七五年では三九・九%減る、こういう数字がございます。ところが、今回の法律規制を実施いたしますと、二〇〇〇年のフロン減少率は〇・八%、二〇五〇年の場合は一・六%、二〇七五年も一・三%、すなわちフロン減少率は二%以下に下がる、こういう調査結果を出しておりまして、今回の規制そのものはオゾン層保護に相当有力に働く、こういう見解を出しているわけでございます。  なお、今後の見直しの点でございますが、先ほど大臣から申し上げておりますとおり、科学的知見の深まり、さらには代替品技術開発、さらには回収技術開発等々を踏まえまして、私どもといたしましては、今回このような法律を提案している趣旨にかんがみますれば当然前向きに対応していく、こういうように考えておるわけでございます。
  81. 工藤晃

    工藤(晃)委員 前向きに対応するというのはいいのですが、ただ前段でEPAの五つの場合を想定した予想、それはそれでそういう研究だと思うのですが、何かそれだけを頻りにしてすべてがよろしいというところはいかがかと思うわけで、さっき言いましたように、最近の南極の観測の結果などは大変注目すべきで、これでまたことしの観測結果がもっとひどいとか進んでいるということになったら、これは考えなければいかぬということになりますよ。だから、EPAはこう言ったからということだけに頼らずにやっていただきたいという注文をつけるわけであります。そういう点で、答弁は後で結構でございますが、大臣にもよろしく。  次に、排出抑制使用合理化の問題について伺いたいと思うわけです。特に半導体の生産では、日本が売り上げでいくと世界の半分といったシェアを占めております。それからまた、全体として今問題になっているフロンガスの生産量という点でも、アメリカに次ぐ二位ということになっていると思います。いま一つ問題なのは、ICの生産洗浄剤に使っていたトリクロロエチレンが問題があるということでフロン113への切りかえがあり、しかも目下急速に切りかえが進められてきた。熊本市にある日本電気の半導体工場は東洋一の規模というものですが、ちょうど昨年八月以後トリクロロエチレンからフロン113への切りかえをやった。今は切りかえがどんどん進んでいるという、そういうさなかにあるわけなんです。それで日本生産世界の半分であるというときに、通産省としては当然トリクロロエチレンからフロン113への切りかえについていろいろ指導されたのではないかと私は考えるわけなんですが、その指導は指導として、ではフロンの113が各工程に入れられてそれが外へ出ていくということに対して、一体これまでどういう対策をとってきたのか。それこそクローズドシステムの体制をとるように指導してきたのかどうなのか、そういう指導をしたけれどもそれができなかったのかどうなのか、この点について伺いたいと思います。
  82. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 従来、洗浄剤といたしまして有機材料が使われていたことも事実でございます。トリクロロエチレン等がまた別途長期毒性の疑いがあるというような問題がございまして、そういう意味からいきますと、洗浄剤としてのトリクロロエチレンを他に切りかえるということは一つの流れだったかと存じますけれども、ただ、その場合にフロン113を使えという指導は、直接は私どもはしておりません。  問題は今後の課題でございますけれども、我々は現在フロン113の代替品というのにつきまして有望なものは見つかっていないというような状況でございますので、まずは回収・再利用設備を普及させるということが最大の課題だろうと思っております。すなわち使用合理化排出抑制指針の中心の課題といたしまして、このような洗浄剤につきましては回収・再利用設備の普及徹底を図るということに重点を置きたいと考えております。現状でございますが、これは企業によってやや差がございます。ある企業の場合におきましては三分の一ぐらい閉鎖性の洗浄機を使っている。すなわち回収・再利用性を持っているものを使っているところがありますが、必ずしもそこまでやっていない企業もございますので、我々といたしましては、おっしゃいましたような洗浄剤につきまして回収・再利用設備の普及を図るということに大きな重点を置かなければならないものと考えております。
  83. 工藤晃

    工藤(晃)委員 環境庁と、それから通産省も立地公害局が入っておりますが「IC産業環境保全実態調査報告書」というのが六十二年六月出されております。その中で、特にフロン113について一体どれだけ工程に入って、それからどのように排出されているのか、どう処理されているのか。これはどちらが答弁されますか。きのうは、環境庁か通産省か相談すると言っていました。時間がないから早くしてください。
  84. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 大変恐縮でございますが、六十二年の調査報告書を今手元に持っておりませんが、最近私ども、今回のこういう機会でございますので、改めて主要な半導体メーカー等々につきまして実態調査を実施中でございます。私ども既に一部の点について結果を見ておりますけれども、先ほどちょっと御紹介いたしましたとおり、フロンを用いて洗浄を行っている企業のうち三分の一程度はある程度の手は打っておりますが、それ以後につきましては今後の課題であるというふうに考えております。
  85. 工藤晃

    工藤(晃)委員 きのう鈴木局長が私の部屋に来て、そこの場でやったヒアリングでは、これはかなり総合的な調査として報告書が出されているというふうに理解しますが、このフロン113の場合、工程に入ってくる量というのが八万九千五百四十キログラムですが、その約四割が排ガスになり、それから六割が液状ということですが、その四割の排ガスのうちの一九%が直接外へ出ていっているというのです。それから、六割のうちの計算すると三七%ですが、これは売られないで業者に委託して処分するというのです。特に、これほどフロン113、113というふうに移っているときに、ともかく排出するものの二割はそのまま外へ出ていってしまう状態とか、それから液状物でも約四割近くが業者によって処分されるというのですが、一体それはどういう形で処分されているのですか。揮発してしまっているのですか。その点、ちょっとはっきりさせていただきたいと思います。
  86. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 フロン113が外へ出された場合どうなるかということでございますが、一部は再生業者によりまして蒸留されまして、再生品として再利用されるという形になっている部分がございます。その他の部分につきまして、すなわち大変汚れのひどいものにつきましては、廃棄物処理業者にいわゆる廃油の一環として渡されましてそこで焼却処理される、こういう形になっているように聞いております。
  87. 工藤晃

    工藤(晃)委員 先ほども焼却処理の問題点もいろいろ出されていますけれども、これはまことに心配な話なわけで、特に私が申したいのは、今度の法案に対しての一つの見る目、批判の角度になるかと思いますが、中央公害対策審議会の「オゾン層保護のための制度の基本的な在り方について」の答申が強調しているところは「諸外国に先駆けて排出抑制に取り組む」などということで、やはり排出抑制というのがかなり強調されているように受けとめております。ところが、確かにこの法案の中では事業者の努力義務として排出抑制使用合理化がやられていくということや「排出抑制使用合理化指針」を定めて指導助言するというふうになっているわけなんですが、ただ努力義務ということで、これほど大量に使われているものが実際に排出抑制使用合理化がいくのだろうかということを非常に心配するわけです。もっとはっきり言えば、この排出抑制使用合理化の義務づけの仕方は、もっと厳しくしなければいけないという意見も持っております。  それから、あわせて指導助言をして、それで業者が言うことを聞かない場合一体どうなるんだろうかということも含めてこの規制、いわゆる排出抑制、それの義務づけあるいは指導をしたその効果の上げ方がいささか弱いのではないか。これは、さっき言った中央公害対策審議会の答申から言っても少しトーンが落ちてしまったのではないか、こう考えますが、いかがでしょうか。
  88. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 フロン使用面での大きな特色は、使用形態が非常に多様性があるということでございます。例えばヘアスプレーで使いますと、それは大気中に出るわけでございますし、発泡剤で使いましたり、あるいはまた冷蔵庫等の冷媒で使いましたり、さらには御指摘洗浄剤として使われたり、すなわち非常に使われ方が多様であり、その使われた場所におきますフロンの形態も違っております。こういうものにつきまして、排出段階で仮に規制をする議論をいたしましても、これは技術的にもあるいはまた公平を確保することも非常に難しいという性格を持っているわけでございます。モントリオール議定書を議論する際におきましては、このようなフロンの特性というものを配慮いたしまして、むしろ排出の源にさかのぼって製造段階規制をする、かような結論に達したものと私ども考えているわけでございまして、規制の公平性を確保するという点からいきまして、生産量規制が一番これにふさわしいという点がベースになっていると思います。  しかしお話のように、現実にこれをうまく段階的な規制を的確に実施するためには、実際上需要段階に対しましても適切な手は打っていかなければならない、こういうふうな観点で先ほどの使用合理化排出抑制指針というものを定めまして、これによりましてユーザーの使い方あるいは技術程度等に応じましたきめの細かい指導をしていくということで、このフロン生産規制段階的削減という非常に難しい課題をクリアしていこう、かように考えておるわけでございます。
  89. 工藤晃

    工藤(晃)委員 局長の答弁の前半を聞いていると、排出抑制というのはかなり絶望的に聞こえてきて、しかし法律としてはともかくそれをやらなければいかぬということになっているわけですから、私は効果を上げるにはどうしたらいいかという立場から質問をしているわけです。  もともとオゾン層の破壊が、翻って人類全体の健康も、それこそ生存条件も、それから地球の環境も破壊するという重大な問題でありますから、基本的な考え方としてはやはり公害対策に全く同じか、あるいはそれに近い立場をとるべきだというふうに考えます。それこそ大気汚染の場合も、一つの工場じゃなしに多くの工場から出て、それは大工場もあるし中小工場もあるでしょう。それから全体として大気を汚すという問題についても、やはり環境が破壊されたことに対しては、破壊を抑制するために事業者のそれを排出しないという、努力義務じゃなしに完全な義務、排出してはならないという義務が要るし、それからさまざまなそれから起きるところの損害賠償とかそういうものについても、無過失責任とかそういう体系になっているわけですね。  私は、単純に直ちにそういう体系になれということを言わないけれども、少なくともそれに近づけていく必要があるのではないかということからいいますと、さっき言った世界の半分を占めると言われる日本の半導体業界というのはやはり大手ですよ、何といっても中心になっているのは。そういうところは技術力も資本力も持っているわけでありますから、何といいますか、排出抑制をするためにいろいろ義務を課せられたって決して難しいことはないわけなんですから、当然やるべきだと思うわけです。したがいまして、この問題について大気汚染防止法などは、はっきりとした排出規制を義務づけた上でそれをやるときに国がいろいろな助成をするということ。今度のは単なる努力義務で、しかしいろいろ設備の改善をしたりするには国が助成をするというのでは、今度の法が余りにも甘い立場になっているのではないかということを申し上げるわけです。  それから、これは大臣今おられますから私は続いて伺うわけでありますけれども、今度生産規制の問題について一番問題になっているのは、生産規制の目標達成に対してどういう姿勢で、どういう方式で臨むかということなんです。一九八九年七月一日から一九九三年の六月三十日までが一九八六年レベルで凍結ですか、その次五年間が八〇%、それから五〇%というのですが、その上乗せが八六年の一〇%上乗せ、続いてまた一〇%上乗せ、五〇%になったら一五%上乗せができるということなんですが、世界で二番目の生産国として、日本で最初からこの一〇%上乗せを利用してやろうという姿勢なのか、日本の場合は絶対そういうことをしないでやろうというのか、そこのところの姿勢は非常に大事だと思うので、これは大臣にも御答弁願いたいと思います。     〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 この上乗せ規定の趣旨を申し上げますと、このようなことになっております。  例えば海外で生産をしておりまして、ある国が輸入をしているとします。しかし、その生産をやめてこちらの生産に移すということが可能になるわけです。すなわち、こちらに生産を集中化した方が生産の合理化につながる、こういうケースがあるわけです。そうなりますと、従来輸入していたものが生産の上乗せになる、こういうケースが一つと、逆に今度はこちらで生産をして輸出をしております。ところが、むしろ向こうで生産した方がいいという場合に、こちらの生産をやめまして相手国の生産へ移す、これもやはり生産の合理化というような考え方になります。もう一つは発展途上国、これは何ら能力を持っていない国で、かつこの条約に入ってきた国、そういう国に関してはある程度の輸出というものは考えてあげなければいけません。そのように、全体の量はふえないですが、国間によります生産の場が移ることによって、ある国にとっては生産の上乗せになる、ある国はその分だけ減るというような形と、あとは発展途上国に対する配慮、この二点がこの趣旨でございます。
  91. 渡辺秀央

    渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後二時四十五分休憩      ────◇─────     午後三時十三分開議
  92. 渡辺秀央

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。工藤晃君。
  93. 工藤晃

    工藤(晃)委員 先ほどの鈴木局長の答弁を伺っておりますと、要するに生産規制の目標の上乗せ分を日本が仮に利用するとしても、当然根拠があるというような答弁だったと思います。私は、発展途上国や日本ほど大量に生産してないという国について言えば、いろいろな事情を考えなければいけないと思いますが、世界で二番目の大量生産国が、最初から上乗せ分の利用は当然だという立場で臨むのはいかがかと思います。これでは日本が、それこそ中央公害対策審議会の答申のような、国際的に先駆けた対策をやるというふうにはならないというふうに考えるわけです。何となれば、上乗せすれば、それこそフロン113の場合でもおおよそ十五万トンとか、そのぐらいのベースでずっと長期にわたって続けるということにならざるを得ないからであります。したがって、そういう姿勢は正すべきであるというので、これは後で大臣からまとめて答弁をいただきたいと思います。  もう一つ生産規制一つ問題になっているのは、フロンにかわる代替物質開発されてくるという問題がありますね。そういうとき、当然その代替物質を使えばオゾンを守る上で適切である、またそうやるのが当然であるのに、それは使われないで、またそういう需要も見込んで生産が続けられるということになってはいけないのではないかと思うわけです。つまり、生産というのは、需要があればそれに向かって生産するということでなしに、代替物質ができてそれが使えるようになれば、当然それに切りかえていくという形で生産を減らしていくとか、あるいはそういう方向に向けては供給しないとか、たとえ代替物質の方が少し価格的にまだ高いとかいうことはあっても、環境を守るという立場からいえばそのように動かしていかなければいけないんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  94. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 最初に一〇%上乗せの問題でございますが、この議定書では産業合理化という表現を使っておりますけれども、今後フロン段階的削減が進みますと、例えばある国ではもう経済的に成り立つ生産単位にならなくなるという場合がございます。そうなりますと、その国は全面的に生産をやめる、しかしどこかの国から輸入しなくてはならない、こういう事態があります。その場合に、ある程度生産能力の多い国に上乗せをして、その国は輸入するというようなことで、むしろここの考え方は、段階的削減世界的にうまく動くようにという配慮からこの生産の産業合理化という考え方があるわけでございますので、その仕組みを御説明したわけで、その場合に我が国は具体的にどうするかという点は、今後の実態の推移にかかわるわけでございます。  それからLDCの方も、仮に国内の方を優先して、従来輸出しておりましたものを全面的に国内に振りかえれば、むしろ国内の消費量がふえてしまいます。これは必ずしも本来の趣旨に合いません。むしろ国内の消費を抑えて輸出をある程度確保してあげるというようなことをやった方が国内の削減が円滑にいくという発想からこの上乗せ規定があるわけでございますので、この議定書の中の上乗せの趣旨は、おっしゃるようにやや多くしてやるというよりも、むしろ削減を円滑に進めるという意味でこの規定があるもの、私どもはかように理解しているわけでございます。  それから、代替品につきましてはお説のとおりでございまして、今後需要業界について、先ほどから御説明しております使用の合理化指針をつくる際も、代替品があるものはむしろそれを使うという方向で私どもは進めていくというふうに考えておりますし、特に今後の技術開発の大きな課題であろう、かように考えております。
  95. 工藤晃

    工藤(晃)委員 生産規制ではいろいろ問題がありますが、今の議定書の解釈も、要するに大きな国に生産を集中していった方がいいんじゃないかという、いささかそういう傾向を持った解釈のように思い、私はそれではよくないし、事実上大きな国の都合で生産が続けられるということになっていくんじゃないかと思いますが、時間も次第に迫っておりますので、次の問題に移りたいと思います。  これは特に大臣に聞いておいていただきたいのですが、オゾン層保護するというのは、フロンハロンの特定の化学物質のガス、それを規制するのは当然でありますが、それだけにとどまらない、私たちが、政治が解決しなきゃいけない多くの問題があるのではないか、そのことについて最後に質問したいわけです。  既に外務委員会におきまして松本善明議員の方から、大気圏内の核爆発がオゾン層を破壊する問題について、これは外務省の方から答弁をいただいておりますから、私はこれをもう一度ここで伺うつもりはありませんけれどもアメリカ科学アカデミーの試算や西ドイツのマックス・プランク科学研究所のクルッツェン博士とアメリカコロラド大学のバークス博士の緻密な計算から恐るべき結果があらわれるということで、核戦争ということになれば、それこそもろに太陽エネルギーを人間がこうむって、核の冬ではなしにバーベキューになってしまうということでありますが、ひとつ具体的な問題でもう少し確かめておきたいのは、アメリカのSDI研究の中でエックス線レーザー案が検討されているということについて、きょう外務省からおいでになっておりますが、どのように理解しているのか、このことについてごく簡単に答弁してください。
  96. 岡本行夫

    ○岡本説明員 お尋ねのエックス線レーザー兵器はまだ存在しないものでございまして、私どもとして具体的にこの段階でどのようなものかは予断できないところでございます。ただ、私どもが認識しておりますのは、エックス線レーザーの研究と申しますのは、ソ連が同種の兵器を研究中でございますので、これが米国が行っておりますSDI研究計画での技術にいかなる影響を及ぼし得るものか、このようなことを判断する観点から行っているものであると承知しております。
  97. 工藤晃

    工藤(晃)委員 ソ連の方は大変よく知っていてアメリカのことは知らないというようなことで、ソ連に対しても当然、人類の平和とか環境にかかわる問題については我が党としては注文をつけるという立場でありますが、問題は、SDI研究については日本政府も参加するという方針だからこれを聞いておりますが、今の答弁とは違って、特にアメリカの上院軍事委員会の、私が今ここに持っているのは八四年三月八日のデクレアル研究工学担当国防次官補のヒアリングですが、そこでの答弁だとか、数多くのそういう関係者の答弁があります。ここで言っているのは、このエックス線レーザー案というのは、核爆発を源に使う、それで地上や海上の発射台からぽんとミサイルか何かで打ち上げて、この核爆発のエネルギーをもとにしてエックス線のレーザーで強力なエネルギーをつくり出すという案で、もちろんまだ実現しているなんてだれも、私も聞いておりませんが、しかしSDIプログラムの中で非常に有力な一つの案であって、これを全面的に採用するかどうかは、一九九〇年代の初めごろにこれを決めようということを言っているわけです。  これは非常に熱心に研究され、研究されているということは具体的に予算もついて、財政上はエネルギー省の計画のうちSDI計画に包括されている部分の中にこのエックス線レーザーが入っているので、このエックス線レーザーの場合は、前提として核爆発を大気中でやってということになるわけであります。どのくらいの高さか私は知りません。したがいまして、こういう大気圏あるいは成層圏、もっと高いところでやるのか知りませんけれども、こういう計画がSDIの中に現にあるということは確かでありますので、こういうことを含めて日本がSDI研究に参加するということは、オゾンを守るというときには大変矛盾した問題として出てくるわけですね。まさにオゾン層を守るという意味からいえば矛盾したことをやっておる。  時間がだんだんになくなってしまいましたが、このほか、私が問題として取り上げなければいけないと思っているメチルクロロホルム、1・1・1トリクロロエタンというものも非常に大量に使われるようになっていますが、これはほとんど外へ、大気中に放出されるような状態なんです。  そこで大臣に最後に、この法案を今度成立させていくわけですが、オゾン層を守るという点でこれは全人類的な課題と大臣は言われておりますから、このフロンとかハロンの問題にかかわらず、広く他の化学物質とか、あるいは核戦争を起こさないとかSDIの問題とか含めまして、当然広い視野でこの問題として政府が取り組み、また当然政府関係各省庁、特に環境庁なんかとも一緒に通産省は協力をして、この人類的な環境問題と取り組むという上での御決意を伺いまして、私の質問を終わろうと思います。
  98. 田村元

    ○田村国務大臣 この法律はこの問題のことでございますから、どうぞフロンハロン等で御議論を願いとうございます。  私は、人類のためにこの宇宙は守らなければならないと思っております。他のことをいろいろおっしゃいました。まことに見識高い御意見として承りましたが、それはまた政治問題として一つずつ議論しなければならない問題である。ただ、基本的に言えることは、我々はこの宇宙を我々のために守らねばならぬ、我々とはつまり人類のために、こういうことでございます。
  99. 工藤晃

    工藤(晃)委員 終わります。
  100. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  101. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  102. 渡辺秀央

    渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  103. 渡辺秀央

    渡辺委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、田原隆君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。田原隆君。
  104. 田原隆

    ○田原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、国際的に協力してオゾン層保護を図ることが地球環境の保全に極めて重要となっている状況にかんがみ、特定フロン及び特定ハロン製造量・消費量についての段階的削減措置が的確かつ円滑に実施されるよう、代替物質開発回収・再利用の促進、排出抑制使用合理化の徹底等の対策を一層強化するとともに、当該物質需給・価格動向についての監視体制を整備し、不測の事態が生じないよう必要に応じて適時・的確な対応策を講ずべきである。   また、破壊の確認に当たっては、破壊事業者に確実な破壊を行わしめるよう厳格に対応すべきである。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によって御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  105. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  田原隆君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 渡辺秀央

    渡辺委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、田村通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通商産業大臣
  107. 田村元

    ○田村国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。     ─────────────
  108. 渡辺秀央

    渡辺委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  110. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、内閣提出特定産業構造改善臨時措置法を廃止する法律案並びに民間事業者能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。     ─────────────  特定産業構造改善臨時措置法を廃止する法律案  民間事業者能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  111. 田村元

    ○田村国務大臣 特定産業構造改善臨時措置法を廃止する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  特定産業構造改善臨時措置法は、二度にわたる石油危機を契機とする基礎素材産業の構造不況に対処するため、昭和五十八年五月に特定不況産業安定臨時措置法の一部改正により、昭和六十三年六月三十日を期限とする時限法として成立した法律であります。  同法の制定以来、二十六業種が特定産業に指定され、構造改善基本計画のもとで、過剰設備の処理、事業提携の推進、原材料・エネルギーコストの低減等の構造改善に努めてまいりました。これらの努力により、過剰設備の処理については、当初の目標がほぼ達成され、また、事業提携、原材料・エネルギーコストの低減等による事業の集約化、合理化についても大きな成果が得られております。  このように、二度にわたる石油危機を契機とする構造不況への対処という特定産業構造改善臨時措置法の目的はおおむね達成されたということができます。したがって、同法については、規定どおり昭和六十三年六月三十日をもって廃止することとし、あわせて所要の経過措置を講じ、関係法律の改正を行う特定産業構造改善臨時措置法を廃止する法律案を提案した次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、民間事業者能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  民間事業者能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法、いわゆる民活法は、近時の技術革新情報化及び国際化の進展等の我が国経済社会を取り巻く内外の環境の急速な変化に対応して、経済社会の基盤の充実に資するような新しい施設の整備を民間事業者能力を活用して促進するための各般の措置を講ずることを目的として一昨年制定され、また、整備の対象となる施設を、昨年、法改正により追加したところであります。  さらに、昨年の法改正の後、総合経済対策の一環として、現下の重要な政策課題である内需拡大、地域活性化の推進の観点から、民活法の対象施設の整備を促進するための助成措置として、新たに、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入の活用による無利子融資制度が創設されたこともあり、経済社会の基盤の充実に資する新しい施設整備に対する要請が高まってきているところであります。  このため、新たに、十一の施設を民活法の対象施設に追加することといたしました。  追加されることとなります施設は、相当数の企業等が各種の無線通信の業務を行うために利用する施設、我が国及び外国の相当数の企業の従業員等が相互の交流を図りつつ経済社会の国際化に即応した研修を行うことができる施設等の十一の施設であります。  以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  112. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る五月十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会