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斉藤(節)
委員 私は、公明党の
斉藤節でございます。
まず私からお尋ね申し上げますけれ
ども、
我が国の
フロンガス問題に対する対応は、先ほどの合同審査において私の同僚議員の春田
委員の方からも
指摘があったわけでありますけれ
ども、確かに対応に問題があったのじゃないかな、そんなふうに思うわけであります。今日ようやく
フロンガス
規制についての
法案が審議されるに至ったのでありますが、この
フロンガスによる
オゾン層の減少と、その結果として人間及び生態系への影響が生じる
可能性とを
指摘いたしました米国カリフォルニア大学のF・S・ローランド教授らの論文が
発表されましたのが一九七三年であります。それから数えましてちょうど十五年目に当たるわけでありますけれ
ども、
我が国と対照的に
アメリカにおきましてはCFC、すなわちクロロフルオロカーボンのガスに対します対応は極めて迅速であった、こんなふうに考えるわけであります。すなわち、論文が
発表されまして五年目の一九七八年十月には、有害
物質規制法に基づく最終規則を公布いたしまして施行し、このCFCを用いた
噴射剤の
製造禁止、さらには同年の十二月にはCFCを
噴射剤とする
エアゾール製品の
製造禁止を実施したのであります。
このような米国と
我が国の対応の違いは何によるのかということでありますけれ
ども、それはいろいろな問題があり一概には言えないと思うのでありますが、その違いの
一つとして私は次のように考えるわけであります。すなわち、リスクアセスメント及びリスクマネジメントの実施スキームが体系化されている国とそうでない国との違いであろうと思うわけであります。聞くところによりますと、
アメリカではリスクアセスメント及びリスクマネジメントの実施スキームは、有害化学
物質による健康影響の
分野ばかりではなくて、より広範な
環境問題にまで
拡大して論議され始めているということであるわけであります。
申すまでもなく、我々人類はこれまでに恐らく何十万種にも及ぶ医薬品、それから農薬、工業化学薬品などの化学
物質を人工的につくり出しまして、それによって多大な恩恵を受けてきているわけであります。それゆえ工業化学は
各国の基幹産業として発達し、
世界経済に巨大な影響を与えてきているわけであります。しかし、その化学
物質の中には、今まで自然界になかったものを人間が人工的につくり出しているわけでありますから、したがって、人間の健康や動植物及びその生態系に被害を及ぼす危険性があるものがあるわけであります。このような危険性、すなわちリスクでありますけれ
ども、このリスクを科学的に予測、評価するための方法論がいろいろあるわけでありますが、それがいわゆるリスクアセスメントであろうと私は考えるわけであります。
これはあくまで科学的なその当時の研究データであります。したがってそれには不確実性が多分に伴っているというわけであります。なぜなら、これはそのときの科学
技術の進歩とかいろいろの問題がありますから、そういう点でいろいろの不確実性要素というものがあると思うわけです。そういうことになりますと、結局この不確実性の残されたデータに基づいて、社会としていかにこれを選択していくか、その意思決定が求められるわけでありますけれ
ども、これはもはや科学の領域ではなくて、むしろ行政あるいは政治の領域に入ってくると私は思うわけであります。そういうことで、つまりリスクとべネフィットといいますか便益性、この
関係をてんびんにかけましてどちらを選択するかということになるわけでありますけれ
ども、今回の国際的な合意となった
フロン削減対策については、このようなリスクアセスメントが行われた結果、このような国際的な条約も結ばれ、また
議定書も発効されるようになった、こういうわけであります。
そこでお尋ねしたいのでありますけれ
ども、私はこのようなリスク、ベネフィットに関する予測を
我が国においても十分なし得る、そのような体制を構築していくべきではないか、そんなふうに考えるわけでありますけれ
ども、いかがでございますか。