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1988-04-12 第112回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十二日(火曜日)     午後三時五十三分開議  出席委員    委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       麻生 太郎君    石渡 照久君       小川  元君    海部 俊樹君       佐藤 信二君    島村 宜伸君       玉生 孝久君    中川 秀直君       額賀福志郎君    福島 譲二君       穂積 良行君    森   清君       綿貫 民輔君    小澤 克介君       緒方 克陽君    城地 豊司君       水田  稔君    森本 晃司君       薮仲 義彦君    工藤  晃君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  出席政府委員         通商産業大臣官         房総務審議官  山本 幸助君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業大臣官         房審議官    安藤 勝良君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         通商産業省立地         公害局長    安楽 隆二君         工業技術院長  飯塚 幸三君  委員外出席者         議     員 上坂  昇君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     橋本龍太郎君   海部 俊樹君     大村 襄治君   佐藤 信二君     森  喜朗君   中山 太郎君     渡辺 紘三君   額賀福志郎君     久野 忠治君   森本 晃司君     坂井 弘一君  薮仲 義彦君     平石磨作太郎君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     海部 俊樹君   久野 忠治君     額賀福志郎君   橋本龍太郎君     石渡 照久君   森  喜朗君     佐藤 信二君   波辺 紘三君     中山 太郎君   坂井 弘一君     森本 晃司君  平石磨作太郎君     薮仲 義彦君 同月三十一日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     有馬 元治君   小澤 克介君     村山 喜一君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     石渡 照久君   村山 喜一君     小澤 克介君 四月一日  辞任         補欠選任   藤原ひろ子君     村上  弘君 同日  辞任         補欠選任   村上  弘君     藤原ひろ子君     ───────────── 三月二十八日  特定物質規制等によるオゾン層の保護に関する法律案内閣提出第五八号) 四月十二日  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案上坂昇君外三名提出衆法第六号)  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第五七号) 三月二十四日  フロンガスの早期規制に関する請願(園田博之君紹介)(第一五一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求は関する件  地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案内閣提出第三〇号)  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第五七号)  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案上坂昇君外三名提出衆法第六号)      ────◇─────
  2. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。額賀福志郎君。
  3. 額賀福志郎

    額賀委員 自民党の額賀福志郎であります。  地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案、いわゆる頭脳立地法について、若干の御質問をさせていただきたいと思います。  これまでの戦後の工業立地政策というのを振り返ってみますと、昭和三十年代のいわゆる工業集積目的とした新産業都市政策、それから四十年代の過疎過密問題の同時解決を図ろうという、言ってみれば集中排除工業配置政策、そして五十年代に入っていわゆる産業高度化に対応してテクノポリス政策というものが展開されてきたわけであります。私は、それはそれなり世界に冠たる工業国家をつくり、なおかつその主務官庁世界のMITIと言われるくらいの評価を得たわけでありますから、それなり評価を与えてもいいだろうというふうに思っているわけであります。しかし、大臣所信説明にも書いてありますように、今までのような生産、物をつくるだけを横につなげるだけでいろいろやってきたやり方がどうも軌道修正を迫られている。一方、産業サービス化あるいはソフト化と言われているわけであります。そういう意味では、この御指摘のとおりであると思います。  しかし、では今までの工業立地計画が今全く無意味なものになったとも思えない。しかし今度頭脳立地法が出ていくわけでありますが、このかかわり合い、これを有機的にっなげてどうやって効果的に運用していくか、そうした位置づけについて、まず所信をお伺いしたいと思うわけであります。
  4. 田村元

    田村国務大臣 今おっしゃったような経過をたどって、工業立地というものが変遷してきたわけであります。そこで私は、工業配置にしてもテクノポリスの問題にしても、それなり相当効果を上げたと思っております。現に、新規立地というものがおおむね八〇%程度のものが地方圏にうまく立地されていったということは、自分の着任以前の話ではありますけれども評価していいんじゃなかろうかと私は思います。  ところが、その後だんだんと新しい産業頭脳部分というのがやはり東京圏に一極集中してまいった。こういうことで、俗に言うソフト部分といいますか頭脳部分というものをこれから地方に拡散していこう、そしてそれは東京においてはそれによっていろんな波及効果、いい意味波及効果をもたらすでありましょう。場合によったら土地対策にもなるかもしれません、あるいは事務所対策になるかもしれません、あるいは住宅対策になるかもしれません。それだけの余裕をつくっていくということですから、よき意味における空洞化ができるわけですから。そして、それが今度は地方へ行って活性化。ですから、従来の工業配置あるいはテクノポリスという問題の補完的な効果を強めていくだろうというふうに考えております。
  5. 額賀福志郎

    額賀委員 今、大臣もおっしゃられましたように、竹下内閣挙げて分散都市、均衡ある国土の発展を目指しているわけでありますから、まさしく産業立地政策といたしましてもそれに寄与する、時流に乗った法案として、私も評価をしてもいいというふうに考えております。  で、この法案の中身を見てまいりますと、非常に言葉が難しい。「産業高度化に特に寄与すると認められる」事業を「特定事業」という。その「産業高度化」というのはどういうことを言っているかというと「産業製品若しくは役務開発力生産販売若しくは役務提供に関する技術又は経営の能率が向上することをいう。」というふうになっているわけであります。  それではこの「特定事業」を、いろいろな業種がありますが、どういうところを基準にして選定をなさるのか、そしてまた具体的には通産省としてはどういうことを頭に描いておられるのか、その辺を国民の皆さん方あるいは各自治体の皆さん方にわかりやすく御説明をいただければありがたいと思います。
  6. 安楽隆二

    安楽政府委員 この産業頭脳部分というのは、ある意味では抽象的な概念ではございますけれども、要するに製造業あるいは工業という、どちらかというと直接的な生産部門中心に今まで考えてきたわけでございますけれども、それらが発展するためにも、またそれ以外の産業が発展するためにも、産業頭脳部分と申しますかソフト部分と申しますか、そういうところが非常に重要になってきている。そこで、これを一応法律上の用語としては「特定事業」ということにいたしまして、具体的には政令で指定するということになっております。  今、先生も御指摘ございましたように、どういうようなものがこれになるのかということになるわけでございますが、一応私どもといたしましては、日本標準産業分類あるいはその他のものに基づきまして、地域産業に対してソフト面というか、そういう面で地域産業高度化する効果があるか。ただ、高度化する効果といいますと、直接的、間接的入れますといろいろなものが関係するわけでございますが、これは直接的に産業高度化をもたらすという直接的な効果でございますが、そういうものがどの程度あるか。それから、例えばこのソフト部分といいますと、産業支援サービス業とか製造業の内部にもソフト部分があるわけでございますが、その中で製造業工業中心にいろいろサービス提供するものと、対個人と申しますか消費者に対してサービス提供する、いろいろなものがあるわけでございますけれども、ここでは主として産業高度化するということで、その販売生産のうち対事業所向けサービスの比率が高いものが産業高度化に非常に関係するというふうに考えております。それから、地域産業高度化目的でございますので、地域における立地展開可能性があるものが非常に重要になるわけでございます。  そういったことをいろいろ定量的あるいは定性的な判断も加えて検討いたしまして、そしてこの法律で書いてございます地域産業高度化、すなわち工業その他の産業製品開発力とか生産技術あるいは経営能力向上するということで、高度化するために特に寄与する業種というものを精査して決定するということにしているわけでございます。  具体的にどういうものがこれになるかということについては、これから最終的には政令を決める段階で決めることになるわけでございますが、私どもといたしまして一応現時点におきまして想定しておりますのは、例えば研究開発力向上するということのためには自然科学系研究所とか企業内の研究開発部門がこれに当たりますし、それからまた情報能力向上するということになりますと、ソフトウエア業情報処理サービス業等、あるいは企業内の情報処理部門というようなものが入ってまいります。また、最近非常に重要になっておりますどのような製品商品を開発していくかという商品開発力向上につきましては、デザイン業とか機械設計業エンジニアリング業というようなことが重要になってまいりますし、企業内でも商品開発部門というようなものをつくるところが多くなっております。あるいは、生産管理向上では機械修理業等々、また、経営能力やマーケティングの能力向上するためには経営コンサルタント業とかリース業とかいろいろあるわけでございますが、こうしたものを一応現在想定しておりまして、最終的には政令で決めさせていただいたらどうかというふうに考えております。
  7. 額賀福志郎

    額賀委員 大変抽象的な感じで受け取っております。  具体的に、私は茨城県でありますけれども筑波学園都市というのは言ってみれば頭脳都市的な立地でありますが、あれは当初、今回の法案のようにある程度工業集積があるとか商業の集積があるとかそういうのじゃなくて、野原の真っただ中に学校を持っていって建てたということで、大変な年月と時間をかけてきてようやく世間からも認められてきたというふうに感じております。そういう意味では、一つ頭脳立地都市が、通産省なり我々がねらったとおりに花が開いていくようにするためには、相当地域選定も厳しくしていかないといけないのじゃないのか、ただやたらに手を挙げたところはどこでも結構だというわけにはまいらないのじゃないか。それで、やったはいいけれどもその効果が上がらないとなれば、我我もその責任の一端を責められることになるわけでありますし、そういった意味で、どういった選定基準を持って地域選定していくのか、その辺のお考えをお聞かせ願えればありがたいと思っております。
  8. 安楽隆二

    安楽政府委員 先生指摘のとおり、この地域をどういう形で選ぶかというのは極めて重要な問題でございます。それで、この考え方自体ソフト部分産業頭脳部分というものを地域集積していくということでございますので、やはりばらばらではなかなか集積が行われない。どこかの適切な地域集積することが必要になるわけでございますが、この法律自体目的地域産業を全体的に高度化していくということが目的でございますから、いろいろな地域経済圏がその集積を利用できるというような地域経済圏中心的なところとか、あるいは非常に適切な地域というところがそこに該当するのではないかと思いますけれども、具体的にどういう選定基準かということにつきましては、一応法律では第三条に要件が書いてございまして、五つ書いてございます。  地域集積でございますので、既に非常に集積している大都市圏的なところは一応別として、一体的に特定事業集積を図ることが非常に便利なところ、適切なところ。それから、野原というわけにはいきませんで、やはり既にある程度産業集積とかあるいは特定事業自体集積もあって、相互にそういうものを、ユーザーを見つけ出すとか、あるいは相互に触発し合いながら集積の利益を求めていくということで、そういった産業集積がある程度既にあるところが必要ではないかと思っております。それからまた、このソフト部分頭脳部分については人材が重要でございますので、そういう人材確保が可能な地域であることが必要である。それからまた、これが地域経済圏に広く使われるためにも、またその他のところと情報の交流ということがやりやすいためにも、高速輸送施設とか情報提供施設等の利用が容易なところというような、五つの基準が一応そこに書いてございます。  ただ、これだけでは抽象的でございますので、法律ができましたらその細目を集積促進指針という形で、第四条になっておりますが、明確にすることが必要ではないかというふうに考えております。それに基づいて具体的に検討していくわけでございますけれども地域産業特定事業集積目的でございますので、その数というものについては余り多過ぎてもあれですし、また余り少な過ぎても地域産業高度化目的を達成するためにはということがございますけれども、しかしいずれにいたしましても、その地域産業特定事業集積が成功しますためには、今申しましたような産業等集積ユーザー相当程度あって、地方経済圏中心的な都市を含むあるいは適切な地域を含むというようなところで、そして交通情報等インフラ整備もかなり進んだ地域ということが、一応対象としては想定されるわけでございます。  具体的な選定につきましては、都道府県がその集積促進指針に基づきまして集積促進計画をつくって、主務大臣承認を申請するということになるかと思いますが、そうした段階におきまして、その地域集積促進地域として成長発展する可能性、ポテンシャルというものを十分考え、また計画熟度が十分になっている、そういったことを含めて総合的な判断をして地域承認していくことになるのではないかと思っております。
  9. 額賀福志郎

    額賀委員 基本的な考え方についてお伺いしたのですが、当面、六十三年度ではどの程度のことをお考えになっておられるのか。  それからまた、各地方からいろいろな情報相当浸透しているように聞いております。既に各地方から通産省に対して法案の内容についていろいろなお問い合わせがあるとか、我が方にぜひとかいうお声があるとかそういう情報、あるいはまた六十四年度以降はそれではどういうペースでお考えになっておられるのか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
  10. 安楽隆二

    安楽政府委員 それではどういう地域承認ペースということになるかということでございますが、先ほど申しましたようなことで、具体的にその集積促進地域をどこにするか、あるいはその全体の承認の見通しというものについては、率直に申しまして、私どもとしてあらかじめ具体的な想定をしているわけではございません。しかし、六十三年度の予算をとる必要がございまして、その予算面におきましては、集積促進地域のための施策一つであります地域振興整備公団整備する業務用地整備というのがございますが、これを三地域分と、それから中核的な研究開発施設的なものを、やはり公団がそういう事業に対して投資をする、出資をするというのがございますが、この施設施設分を一応予算としては確保しております。  したがいまして、私どもも早急に法律ができ、その政令をつくり、指針をつくるということの段階におきまして、地域の実情を今までも勉強はしておりますが、さらに検討いたしまして、そして地域の御希望、御要望に応じて検討してまいりたいというふうに考えておりますが、これまでこの構想を詰めていくに当たりましていろいろな地域から、地域産業高度化をこれから図っていくためには、やはり何といっても頭脳部分ソフト部分、そういう努力は、今までももちろんそういう萌芽というか努力はあるわけでございますけれども東京一極集中のような新しい状況の中では、相当国支援と申しますかそういうこともあって、地域のイニシアチブに基づいてこの頭脳集積をやっていくということは非常に大切なことではないかという反応が、大変強く参っております。
  11. 額賀福志郎

    額賀委員 六十三年度は、この法案がお通りになればとりあえず三団地、五施設の御計画をお持ちということであります。物事やはり最初が肝心でありますから、その選定に当たっては、この頭脳立地構想のモデル的な形になってくるわけでございますので、ひとつ将来の展望を考えながら立派な団地形成施設形成をしていっていただきたいと考えるのであります。  また筑波の例を出すわけではありませんが、筑波が今日まで来るにはもう三十年近い歴史があります。ようやく今日に至って、民間企業皆さん方もいろいろ立地競争をするくらいに筑波周辺に移転してきてくれているわけでありますが、やはり本構想が活気を呼んで成功していくためには、民間企業が積極的にその団地なり施設に飛び込んでいくような形をつくらなければならない。その施設は、使ったはいいが民間企業は全然もうおかんむりだ、全然その方向へ行く意欲がないというような形では、これはやはりおかしくなってしまうわけでございます。もちろん通産省の方では、それなり企業のいろんな出方、考え方、そういったこともお調べになっておられるのではないかと思いますが、そういう情報をもしお持ちでございましたら教えていただきたいと思います。
  12. 安楽隆二

    安楽政府委員 集積促進地域集積させる特定事業でございますけれども、これはソフトウエア業とかそういういろいろな特定事業としての産業支援サービス業、それから既にある企業の中で研究所だとかあるいは商品開発部門とかありますけれども、そういう企業内の部門、どちらでもよろしいわけでございますけれども、そういうものを地域展開する。しかるに現在どうなっているかと申しますと、三大都市圏、特に東京圏に対していろいろ集中してきている中でこうしたソフト部分特定事業集中も非常に進んでいるわけでございまして、これは業種によってあるいは統計によっていろいろ幅はございますけれども、非常に概括的に申しますと、この三大都市圏特定事業全国の七割ないし八割が集中してきている。それから、東京圏だけで言いますと、これも物によっていろいろ差はございますが、大変概括的に言えば全国の半分あるいはそれ以上、半分前後といったものが東京圏だけに集まっておる、こういう状況になるわけでございます。  では、これを地域展開すると言うけれども可能性はということでございますけれども、例えばこの中でも一番重要なものの一つでございます情報サービス実について考えてみますと、これにつきましては、非常に優秀なソフトウェアのプログラマーとか人材が必要でございますのでその人材確保、あるいは情報化の進展に対応して地域に実際特定事業が出ていってマーケットがあるかどうか、マーケットの問題、それからまた、いろいろ特色ある地域産業集積しておりますと、そういうところにもそれに応じた情報サービス業が出やすいといぅような要因がありまして、これらの要因は最近出てきてまいっておりまして、それらに基づいて近年、ソフトウェア業その他の情報サービス業地方展開がだんだん進んできているという実態が一つございます。  したがって、今後の可能性といたしましても、これから私ども考えておる政策その他法律等によりまして立地条件整備がさらに進めば、地域展開する意欲のある企業というものも相当数存在するのではないかと思うわけでございますが、これにつきまして、実はこの情報サービス業について私ども立地計画動向調査というものを最近やったものがございます。これによりますと、情報サービス業でどこかに立地計画している件数というのが百五十二企業、こういう調査をしたわけでございますが、その百五十二企業立地計画を持っている中で三大都市圏以外、すなわち地方圏立地したいという計画を持っている企業が三〇%ございます。したがいまして、これは一つの例でございますが、今後私どももいろいろな形でこの立地促進していくための施策、あるいはこの法律ができましてそういう態勢が整った後においては、具体的な形で立地促進のための支援というものを行っていけば、特定事業地方への展開ということは十分可能ではないかというふうに考えております。
  13. 額賀福志郎

    額賀委員 私は、これは相当思い切った努力をして周辺整備を図っていかなければ、企業皆さん方もほいきたというわけにはいかないのではないかと思うのです。そういう意味では、国としても、これはもちろん施設とか団地周辺インフラ整備、人の住む生活環境、それから教育施設、いろいろなものが総合的に整備されていかなければならないと思う。そういう意味で、これはどれくらいのつもりできちっとしていくのか。  それからまた、今度の構想は、これは主務官庁は通産でありますが、建設とか農水とか国土とか、みんな広がっているわけでございます。国としての最大限の努力をどの程度考えておられるのか。それから、関係省庁関係について、本当ならば時間があれば関係者をお呼びしてお聞きするのが建前でありますが、時間もないものですから、主務官庁通産省にこの二つについてお聞きしたいと思います。
  14. 田村元

    田村国務大臣 まず各省の所管の問題について、私からお答えをいたします。  まさに御指摘のとおりでありまして、各省庁がそれぞれ、みずからの英知と横の連絡を密にして進めていかなければならぬことは当然であります。  そこで、やや具体的に申しますと、通商産業大臣は、産業適正配置の実現など産業立地は関する事務等を所掌する立場から、それから建設大臣は、特定事業集積を図るために必要と考えられる道路、住宅等公共施設整備を所管する立場から、農林水産大臣は、特定事業集積を図るために必要な業務用地等施設整備等に必要な土地確保に関連して実施される農用地の整備を所管する立場から、国土庁長官は、地方都市整備に関する総合的そして基本的な政策を企画立案し及び推進するということ等を所管する立場から、それぞれ主務大臣となっておるものでございます。そして、各地方公共団体から申請されます集積促進計画に応じまして、通産省が窓口となるといいますか取りまとめ役といいますか中心となりまして、そして各省が相互に連絡調整を密にして積極的に協力しながら必要な施策をどんどんと実行していく、こういうことで、それぞれの守備範囲を明確にしながらも横の連絡を緊密にしていく、こういうことでございます。
  15. 安楽隆二

    安楽政府委員 今、大臣の申し上げましたことでその細かい点を補足させていただきますと、そういう体制で具体的にやりますことは、まず特定事業地域に行きやすいように税制、金融上のインセンティブを与えるということを国としてはやりたいということで、事業用資産、償却資産に対する特別控除等の税制あるいは債務保証等を考えておるわけでございます。  それから、この受け皿的なインフラの整備ということで、地域振興整備公団業務用地、リサーチパークとか研究所団地とかと言われているような受け皿の整備事業をやる。それからまた、この特定事業あるいはソフトのものが行きますためには、いろいろな中核的な研究開発施設あるいは研修、情報提供施設、ころいうものがありますと非常に魅力になりますし、地域産業高度化にも活用できますので、そういう施設整備に対する出資事業、これも地域振興整備公団にお願いする。また、先生指摘のように産業関連インフラだけではなくて、いろいろな生活関連、都市関連のインフラ整備が重要でございますが、そういう点につきましては、建設大臣や農林大臣主務大臣で入っていただいておりますけれども、いろいろな面からそういう立地環境の整備に積極的に取り組んでいきたいと考えております。  そしてまた、国だけではなくて、実際の企業誘致に当たりましては、地方公共団体それからまた地域公団も、施設をつくっているだけではなくてそれ以後のいろいろな誘致への御協力、あるいは経済団体等にもお願いいたしまして、積極的に誘致に協力、支援をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  16. 額賀福志郎

    額賀委員 いろいろと御回答をいただきましてありがとうございました。  最後に、私、この大臣説明をお読みいたしまして、これは地域産業活性化高度化を図るということでありますが、地域の特色を生かす、その地域の実情に合ったというか、そういった地方の自主性を尊重するようなお言葉というのは見当たらなかった。今までの産業立地政策というのは、やはり中央である程度の基本的な概念とかそういうものをつくって、地方が名乗り出て、これを御指名を受けるというか一つの枠に入れてもらって仕事をしてきたというのが今までのやり方、これが効率的と言えば効率的だったかもしれない。しかし、産業高度化ソフト化ということは、やはり地域の歴史的なあるいは文化的な、気候風土的な、そういったものをも加味した総合的なソフト化、そういうもので、こういう頭脳立地的なものであるからこそむしろそうした地域のものが生かされていいのではないかという感じを持つのであります。  そういう意味で、二十一世紀に向かう地域活性化、現在の東京一極集中を少しでも解消していこうという現実的な政策マターでもある。そういった意味で、私は、地方の独自的な活性化を思いながらこの頭脳立地化が進んでいくことを期待するものでありますが、所管大臣として、質問に対する答えというよりは所感をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  17. 田村元

    田村国務大臣 今の御質問そのものが、あるいは私の答弁と言ってもいいのかもしれません。まさに核心に触れた御質問でありましたし、私が御答弁申し上げるとすれば、今の御質問の趣旨を御答弁申し上げるということになるのだろうと思います。  ただ、問題は、工業配置テクノポリス等の場合より一歩進めまして、地方から計画を出してくる、それも相当幅広の計画を出してくる。その地方の自主性というものを尊重して、そしてそれぞれの主務官庁がそれに対応していく、そしてみんなで横の連絡を密にしながら協議をしていくということでございますから、特に私の提案理由の中の文言に意識して入れなかったというわけでもないし、落としたというわけでもないということでございます。  いずれにいたしましても、従来の工場対策あるいは立地対策というものから大きく踏み出して、恐らく日本の産業立地政策として初めてと言っていいような新しい試みでございます。しかしこれはやらなければならないことでありますから、今後、通商産業省の大きな目玉商品として立派に育てていきたいというふうに考えております。
  18. 額賀福志郎

    額賀委員 どうもありがとうございました。
  19. 渡辺秀央

    渡辺委員長 続いて、小澤克介君。
  20. 小澤克介

    小澤(克)委員 地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案、通称頭脳立地法案について、若干お尋ねいたします。ただいまの額賀委員の御質問並びにお答えを拝聴させていただきましたので、若干重複するところがなきにしもあらずでございますが、その点御容赦願いまして、質問させていただきたいと思います。  まず最初に、既に我が国ではこれまで数次にわたって立地政策立案がなされ、その裏づけとなる法案等があったわけでございますが、それと今回のこの通称頭脳立地法との関係といいますか、本法案のこれまでの立地政策との位置づけについて、これはせっかく大臣に出席していただいておりますので、大臣からぜひ御説明を願いたいと思います。
  21. 田村元

    田村国務大臣 ちょうど私が代議士になりましてから今日まで、昭和三十年代は拠点開発による工業集積、これは重厚長大型産業の発展ということに重点を置いて、それから四十年代になりますと工業配置政策、五十年代にテクノポリス、六十年代になって頭脳立地構想、おっしゃるとおりいろいろと変遷を経てきたわけであります。  この産業立地政策とは、大都市圏集中した産業の分散、適正配置を通じまして、我が国の国土における地域間アンバランス、それは所得格差もありましょう、あるいは雇用機会の格差、生活水準の格差等いろいろな格差がございますが、これを是正して国土及び国民経済の均衡ある発展を図ることを目的とした政策でございます。これがいわゆる産業立地政策でございます。従来の産業立地政策は、雇用それから所得の創出の観点から、最も効果の期待された工業を主たる対象としてきておりました。工業配置促進法に基づく工業配置促進、高度技術工業集積地域開発促進法に基づきますテクノポリス構想の推進など、地域への工業分散を中心として展開されてきたわけであります。  しかし、地域経済を取り巻く現下の情勢を見てみますと、まず、最近の円高等による産業構造調整の進行や工場の海外立地の増加などによりまして、従来工場立地に依存してきた地域経済の空洞化が一般的に懸念されてきております。また他方、経済の高度化ソフト化等によりまして、従来の直接生産部門すなわち工場は対して、今度は研究所ソフトウェア業などのいわゆる産業頭脳部分のウエートが著しく増大しつつあります。今後成長の期待されるこれらの産業頭脳部分は、御承知のごとく東京圏に一極集中しておるわけであります。  このような状況に対しまして、地域経済の発展と産業配置の適正化を図りまして、地域住民の生活の向上、国民経済それから国土の均衡ある発展というものを実現していくために、これまでの工場の地方分散策に加えまして、産業頭脳部分地域において集積させることによりまして地域産業高度化を図ろうとする構想頭脳立地構想でございまして、その意味で、私が先ほど申し上げましたように、従来の工業配置政策テクノポリス政策等を補強、補完するということが大きく期待されております。それだけに、これを何とか立派に育てていかなければならない、このように考えておるわけであります。     〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
  22. 小澤克介

    小澤(克)委員 大変詳細な御説明ありがとうございました。  これまで数次にわたって産業立地政策が実行されてきたわけでございますが、それにもかかわらず、ただいま大臣のお話にもありましたとおり、経済あるいは人口等も含めて東京圏への一極集中がここ数年特に生じている。これは、ある意味でこれまでの産業立地政策評価にもつながることだろうと思いますが、どの辺に原因があり、またどう対処すべきなのか、これまでの産業立地政策評価も含めて、その辺について御説明を願いたいと思うわけです。
  23. 安楽隆二

    安楽政府委員 産業立地政策評価ということでございますけれども、私どもはその一番中心的なものといたしまして、工業配置法に基づいていろいろなことをやっておるわけでございますが、これを中心にして申し上げますと、この工業配置法に基づきましてやっておる工業配置政策は、移転促進地域法律でなっておりますが、いわゆる三大都市圏の工場等の集積の高い移転促進地域から地方の工場集積の低い誘導地域と呼ばれているところに移転させる、あるいはそういうところで工場を新増設させていくということが目的で、税制、金融上の措置とか地域公団による中核工業団地づくりのための助成等々を積極的に進めてきたわけでございます。  その結果でございますけれども、これはこれまで約十年間、工業配置法ができて以来やってきているわけでございますが、その初めに工業配置計画というものをつくったわけでございます。したがいまして、この計画と実績がどう違うかということを申し上げると一つ評価になるかと思いますが、計画の当初におきましては、五十年代の当初でございますけれども、十年後の六十年の時点における目標といたしましては、今後全国の工場の新増設の敷地面積ベースで七割は誘導地域にしたいという計画を立てたわけでございますが、六十年の実績といたしまして、先ほど大臣からも触れられましたように、大体その七割が誘導地域で行われたわけでございます。件数ベースで見ると八割ということでございまして、したがって、いずれにしてもこういう工場が誘導地域に行ったという点では、地方分散は目標にほぼ近い形で達成したということに実は今なっているわけでございます。  ところが、それでは実際に工業の出荷額と申しますか生産量と申しますかそういう点で見てまいりますと、実は五十年代当初、ある程度まだ高度成長への期待というものがあった時点につくりまして、六%前後のGNPの年率の成長率を見込んだわけでございますけれども、安定成長時代になりまして結果的には五十年代は四・三%のGNPの成長率であったということで、その結果といたしまして、当初見込んだ予想よりも新規工場立地の全体の量というものは小さくなったわけでございます。そういうことで、その工場による出荷額の増分というものは予想よりは小さくなっているということでございます。  その結果といたしまして、誘導地域工業の量と申しますか工業の出荷額ベースでは、実は五十年代の初めは全国の二四%が誘導地域にあったわけでございますが、これを六十年には三〇%まで上げようとしたわけでございますけれども、今申しましたような成長率が下がったとか、誘導地域におきましては工業構造と申しますか産業構造が比較的成長の伸びの低い工業が多かったということになりまして、二四%のシェアが三〇%にはならないで実は二七%になったということでございまして、誘導地域のウエートは高まったわけでございますけれども、目標に対しては半分くらいまでいったということでございます。したがって、私ども、全体といたしましては、工場としてはかなり地方に持っていくことにはなったけれども工業生産量ではまだ極めて不十分ということで、今後ともこの工業配置政策を一層強化し、進めていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  そうした中で、近年になりまして東京圏への産業の一極集中あるいは経済の高度な機能の集中というようなことが出てきているわけでございますが、この原因でございますけれども、やはりいろいろな原因があろうかと思いますが、一つにはやはり国際化、情報化というものが進む中で、東京圏に対して特に高度な機能、これは必ずしも経済だけではございませんけれども、経済の面でも高度な機能が集中してくる。そうした中で、一度おさまった人口の大都市圏への集中というのが、五十年代の半ばから再び東京圏に対しては人口の比率が高まってくるという再集中化の動きも出てきているわけでございます。  こうしたことのほかに、例えば産業構造の面からは、サービス産業とか都市産業と言われるものが成長してきているということになりますと、これも東京圏東京のようなところが有利であるとか、それからまた、これまでいろいろハイテク産業とかというものを政策地方分散に努力してきておりますけれども、やはり業種によってはかなり東京周辺に知識集約型の工業産業というものも相当今まで集まってきているということもございます。それからまた、本社機能だとかあるいは金融機能だとかあるいは外国のビジネス、オフィス、こういったものも東京圏集中しているということが言われるわけでございます。そして他方、東京圏と相対的な関係になります地方の方は、円高とか産業構造の調整、海外投資等々によりまして、最近非常に停滞というか力を弱めた、不活性化したということがございまして、その両方の力が働いてこの東京集中ということが強まってきたのではないかと思っております。  こうした中で、特に産業面に注目してみますと、先ほど申しましたように直接生産部門、すなわち工場についてはかなりの地方分散が進んだ。まだまだ不十分ではあるけれども、ほかの分野に比べればかなりの地方分散も進んできたというふうに見ておりますが、そういう産業の中での研究所とか情報関係あるいは産業支援サービス業等の産業頭脳部分というものの東京圏一極集中はさらに非常に強まっている。そういうものも実は東京圏への人口の集中とか事務所の集中というようなことともいろいろ関係がございまして、いわばいろいろなものが、集積集積を呼ぶということで現在の状況になっているという面があろうかと思います。  私ども、こうした中で今までの工業配置をさらに強力に進めるためにも、あるいはこうした高度部門東京集中に対してもっと地方を強化するためにも、この産業頭脳部分というものに光を当てまして、従来の工業配置とあわせていわば二本立てで、あるいは強化する形でこの地方への頭脳集積を進めていくということで、この頭脳立地法というものを提案させていただいている次第でございます。しかし、もちろんこの集中現象ということは、多極分散型国土の形成と四全総でもうたっております、これを目がけていろいろな施策を政府としても総動員してやっていくということが必要な大きな問題でございますから、そういう観点で、政府全体として各般の施策を今後強力に推進することになろうかと思いますが、特にこの頭脳立地法産業面の高度化という面にポイントを当てて、それに貢献したいということで考えている次第でございます。
  24. 小澤克介

    小澤(克)委員 これまでの数次にわたる産業立地政策それなりの成果をおさめてきてはいるものの、基本的に工場といいますか製造業を対象としたものであったがために、近時におけるいわゆる頭脳産業といいますかサービス産業ども含めて、それらの集中に基づく首都圏、東京圏への一点集中を必ずしも防ぎ得なかった、そこにまさにこの法案の今回提出された理由があるということ、端的に言えばそういうことだろうというふうにお聞きしましたが、そこで若干疑問に思いますのは、これまでの産業配置政策が基本的には工場、製造業を対象としていたとはいっても、その対象については変遷があるわけでございますね。最初の新産都市は、どちらかといえば素材産業型を対象としていたのに比べて、最近、昭和五十八年でしたか成立いたしました通称テクノポリス法案、これは現在実施過程にあるわけですけれども、これは文字どおり高度技術産業を分散しよう、育成しようというわけでございますから、そこにはおのずからそのときの社会経済状況に応じての変遷があるわけでございます。  そこで、このテクノポリス法と今回の法案との関連につきましてもう少しお尋ねしたいと思います。既に基本的には御説明あったわけですけれども、このテクノポリス法は基本的に製造業を対象としているとはいいながら、技術集約型の産業を対象としている。技術集約型ということは、要するに技術は結局のところ人間の頭脳に依拠するわけでございますから、これはこれで頭脳産業型、頭脳集約型の産業を対象としていたものというふうに言えようかと思うわけですね。今回のこの通称頭脳立地法は、これとは全く別のものなのか、あるいはその発展形というふうに見たらいいものなのか。特に、実際にこの法案が成立いたしまして指定を受けようという場合には、既にテクノポリス法の指定を受けている地域といいますか、都道府県にとってはこれとの関連が気になるところだろうと思いますので、その辺についての提案者としてのお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  25. 安楽隆二

    安楽政府委員 先ほど大臣の方から産業立地政策の大きな流れというものを御説明いたしましたけれども工業配置政策というのを昭和四十年代に広くやったわけでございますが、さらにそれを強化するためにも、また新しい産業構造の変化に対応するためにも、その両方の観点で五十年代の後半になりまして、ハイテク産業あるいはハイテク産業を契機とした高度技術一般をいろいろな工業が開発するあるいは利用する、こういうことでテクノポリス政策というものが出てきたわけでございます。したがって、テクノポリス政策というものは、工業配置政策を強化する面と、それからまた、新しい特にハイテク時代というものに対応してこれを地域開発に役立てる、こういうことがあったわけでございます。  そうしたことで、テクノポリス政策自体につきましては、実は五十八年に法律が施行されまして、今やり出してまだ四、五年ということでございますから、長期的に言えばスタートしてこれからいよいよ本格化していくという状況でございますけれども、一応この現状を簡単に先に触れさせていただきますと、現在まで全国で二十四地域というものがテクノポリス開発計画というものを県の申請がございまして承認されているわけでございまして、この二十四地域についてテクノポリス地域開発というものを進め始めているということでございます。  そういうことで、これ自体については制度発足後まだ日が浅く、その評価ということについてはまだ時間を要するわけでございます。先ほど筑波のお話が出たときに、三十年というような非常に長い御努力のこともメンションされましたけれども、しかしこの数年間を考えてみましても、例えば企業立地につきまして、これも時間的な変化、地域による変化がございますけれども、そのテクノポリスが発足する前の例えば五十六年から五十八年の三年間に、年平均どのくらいテクノポリス地域において工場立地があったかということと、それから、テクノポリス承認し出してから以降の五十九年から六十一年の三年間というものを比較してみますと、件数で言えば、実は前から後に向かって一・四倍に工場立地がふえているとか、あるいは面積ベースでは一・八倍というようなことになっております。  それからまた、このテクノポリスというのは実は高度技術に立脚した工業開発ということであるわけでございますけれども、その高度技術に立脚した工業開発をやるためには、ただ工場が行けばいいというものではないし、またそういう先端産業の工場を誘致し、あるいは地場産業技術高度化するためには、やはり広い意味での産学住を一体としたような町づくりも必要だというような観点で、この高度技術に立脚した工業開発のためには、従来よりも広い観点も持っているわけでございます。そんなことで、実はこの研究活動とかあるいはいろいろなそういうソフト的なものも重要であるということで、テクノポリス法におきましても、テクノポリス開発機構というものを各テクノポリス地域がつくって、それがいろいろなべンチャービジネス、研究開発型の地場の企業を育成するための債務保証事業だとか、あるいは中小企業の研究開発に対する助成事業だとか、あるいはその関連の施設整備だとか、そういうことをやるようになっておりますが、それについての支援なんかも行っているわけでございます。  そして、特に産学協力というようなことも技術の開発のためには極めて重要だということでテクノポリスでは強調してきておりますので、産学官の協力というケースもふえるべくいろいろな努力支援もやっておるわけでございますけれども、例えばこの産学官の交流事業というものも、六十二年度で見ますれば一年間でこのテクノポリス地域で百九十件出ているということで、地域企業による新製品や新技術の開発事例というものも数多く見られるようになってきているわけでございます。こういうことで、全体といたしましてまだスタート時点、これからではございますけれども、これまでのところはおおむね順調にテクノポリス事業というものが進んでいるというふうに、私どもは見ているわけでございます。  ところが、こうした中で、先ほどのソフト部分産業頭脳部分、これはもちろん研究開発的なものも重要な要素の一つでございますけれども、それだけではなくて、情報とか商品開発とかあるいはいろいろなそういう直接生産部門支援するようなもの、あるいは経営を合理化するようなもの、そういういろいろなソフト部門というものが広い意味で重要になってきて、しかも地域がそれを必要とするのに方向としては東京集中的な方向があるということで、頭脳立地法というものを出させていただいておるわけでございます。  したがいまして、直接的な法律的な言い方をいたしますと、テクノポリス法というのは、高度技術に立脚した工業開発というものを一応直接の目的としております。このためにいろいろ、産学住の一体的な町づくりだとか、先ほどのようなソフト的な面の重視ということはあるわけでございますけれども、やはりこの高度技術工業開発ということが最終的な目的になっているということがあるわけでございます。それに対して、今度の頭脳立地法地域産業高度化、つまり高度技術工業であれ工業一般であれ、あるいはさらにそれを広く地域産業全般の高度化産業頭脳部分というものがいろいろな意味で貢献するということで、それを地域集積するということで、地域産業全体の高度化がこの目的であるということになっているわけでございます。  もちろん、このテクノポリス法の高度技術に立脚した工業開発というものも、地域産業高度化には貢献するわけでございますが、産業頭脳部分を広く地域集積していくということがこの政策法律のポイントになっているわけでございます。したがいまして、高度技術工業テクノポリスというのは、別にそれだけが地域高度化を目指した経済圏ではございませんで、いろいろな高度化を目指した地域経済圏というのはあるわけでございますから、そうした地域経済圏産業の頭脳の集積によって高度化を達成しようとするためにこの産業頭脳立地法というものが役立つということを期待しておりますけれども、しかし同時に、このテクノポリス地域というものは、そういう高度技術中心といたしまして高度化を達成しようという大きな目的を持っているわけでございますから、テクノポリス地域あるいは政策に対しても、この産業頭脳立地政策というものが非常にその強化発展に貢献するであろうということを期待しているわけでございます。     〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
  26. 小澤克介

    小澤(克)委員 それでは、法案の中身に若干入ることにいたします。  この第二条「定義」のところで「産業高度化」、これはいいといたしまして「特定事業」ですね。この「特定事業」というのが、結局「その集積促進することが」一定地域の「産業高度化に特に寄与すると認められる業種として政令で定めるものに属する事業をいう。」こういう内容になっているわけですが、ちょっとこれを読んだだけでは何のことか、率直なところわからないわけですね。  余談になりますが、私、これまでずっと法務委員会の方におりましたもので、法務委員会で扱う法律というのは、国民と国家との権利義務だとか、あるいは国民相互間の権利義務などをかなりぎりぎり詰めるような内容の法案をずっと扱ってきたものですから、こういう条文を見ますと、何か大変趣が違いましてちょっと戸惑いがあるわけですけれども、何を意味しているのか、そしてどんなものを政令で定める予定であるのか、何をメルクマールにしようとしているのか、その辺について御説明願いたいと思います。
  27. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  「特定事業」につきましては政令で定めることになっておるわけでございますが、法律第二条二項でも書いてありますように、地域産業高度化に寄与するということで、これは「産業製品若しくは役務開発力生産販売若しくは役務提供に関する技術又は経営の能率が向上すること」ということで、いわゆる産業活動を広く高度化する事業ということでその趣旨が書かれているわけでございまして、我々もこの趣旨にのっとりまして、基本的には日本標準産業分類、こういったものに基づきまして、一つは、やはり地域産業に直接的に効果を与える。また、対事業所向けサービスの比率、これは専ら事業所のサービスのウエートが高いというようなものが該当するかと思います。三番目には、地域における立地可能性、いわゆる事業展開可能性が高い、こういったものを十分に勘案しながら精査して政令で定めていきたい、こう思っておるわけでございます。  現在、こういった観点から検討中でございますが、一つは、やはり研究開発能力向上といった面から自然科学研究所とか、あるいは情報能力向上、こういった面からソフトウエア業あるいは情報サービス業、こういったものがあると思います。そのほか、製品開発力向上あるいは生産管理向上または経営能力向上、マーケティング能力向上、こういった面を広くとらえながら業種選定していきたい、こう考えておるわけでございます。
  28. 小澤克介

    小澤(克)委員 今の質問に続くわけでございますが、聞くところによりますと、大体十六業種ぐらい予定を既にされているというようなことも伺っているわけでございますが、これはあくまで予定ということでしょうが、それで結構でございますので、ずらずらと紹介していただけませんでしょうか。
  29. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 分類の仕方によりまして数もおのずと変わるかと思いますが、今我々考えておりますのは、いわゆる研究開発能力向上という面では自然科学研究所を対象に考えております。それから、情報能力向上ではソフトウェア業情報処理サービス業、情報提供サービス業、こういったものを考えております。それから、製品開発力向上という面ではデザイン業機械設計業エンジニアリング業、それから生産管理能力向上という面では非破壊検査業、機械修理業産業用設備洗浄業、こういったものが該当すると思います。それから経営能力とかマーケティング関係でございますが、これに関しては経営コンサルタント業、広告業とかディスプレー業、こういったものがあろうかと思います。またリース業、これも分類の仕方によって数が変わりますけれども産業分類に基づきますと各種物品賃貸業、産業用機械器具賃貸業、事務用機械器具賃貸業、こういったものが考えられるわけでございます。  数につきましては、今これだけ申しますと十六になるわけでございますが、分類の仕方によって数も変わりますし、また、先ほど申しましたようにいろいろな角度から精査して、数が最終的には十六から変更があり得るかと思います。
  30. 小澤克介

    小澤(克)委員 数え方にもよるのでしょうが、今およそ十六業種ぐらいを予定しているというお話がございました。これは分類がなかなか難しいかと思うのですが、ざっと見たところ、いわゆる頭脳産業といいますかソフト関係業種、それからやや生産につながる生産支援部門を独立させたような業種産業用設備洗浄業だとか非破壊検査業などというのは恐らくそういったものになるのだろうと思いますが、幾つかのニュアンスを持ったものが予定をされているようでございます。  その中でちょっと理解しにくかったのが、最後にお挙げになった各種物品賃貸業とか産業用機械器具賃貸業、それから事務用機械器具賃貸業、これは率直に言いまして、どちらかというと金融業にやや近いような業種かなというふうに思っているわけですが、こういうものがこの頭脳立地法の対象とされたのは、何か理由があるのでしょうか。
  31. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  このリース業については、大変目覚ましく発展している業種でございまして、いわゆる金融にかわる新しい設備の調達手段、また資金負担の軽減といった面、あるいは最新の機械設備の導入に極めて有利だ。最近の技術革新、大変目覚ましいものがあるわけでございます。特にハイテク部門におきましては、技術が陳腐化することによって設備の更新を余儀なくされるというケースが非常に多いわけでございます。そういった観点から、最近リース業が大変見直されておりまして、最近におきましてはメンテナンスリースというように、最終的には単に物を貸すということだけじゃなくて、いわば生産設備等のメンテナンス、いわばその管理等も含めて指導するというような部門も含まれておりまして、高度化のいわば代行業務的な色彩も大変帯びてまいってきているというようなことから我々考えまして、こういったリース業につきましてもいろいろな角度から見て産業高度化に寄与するもの、こういうふうに考えているわけでございます。  これは、産業用機械設備賃貸業につきましては主として生産機械のリース業、こういうことが当たるわけでございます。また、事務用機械器具賃貸業につきましては、主としてコンピューターなどのいわば事務用機械のリース業、ころいうことになるわけでございます。また、各種物品賃貸業というのは、これはいわば生産機械なりあるいはコンピューターなどを広く総合的にリースする業をいうわけでございます。今そういった三つの分類が考えられるわけでございますが、それぞれにつきまして見ますと、先ほど申しましたように、やはりいろいろな面で産業高度化に大きく寄与していくという側面を持っている、最近特にその色彩が強いということから検討の対象にしておるわけでございます。
  32. 小澤克介

    小澤(克)委員 今の点はよくわかりました。  そこで、予定業種として挙げられているものを眺めてみますと、いわゆるソフトウエアであるというような頭脳産業といいますか、デザイン業ども含めてそういった業種エンジニアリング業あるいは広告業などもそういったものに含まれましょうか。それから、先ほどもちょっと触れましたが、生産支援のソフト部門を独立の事業とするようなたぐいのものと、それから今おっしゃられたようなリース業、これが単なる機械を貸すという金融的な機能ではなくて、情報提供するような性格を持つというお話でございましたが、そういったものがほぼ予定されているようでございまして、頭脳といいましても、頭脳中の頭脳といいますか中枢中の中枢といいますか、頭脳という言葉を使わしていただければ、頭脳の中でも前頭葉の部分のような、意思決定であるとか経営管理であるとかというようなものはどうも含まれていないようでございます。比喩的に言えば、体の各機関の働きを助けるような小脳であるとか間脳であるとかその辺のブレーン、ブレーンとは言ってもそのあたりをどうも対象としているようにお見受けするわけでございますが、果たしてそうなのか。  といいますのは、最初にもありました首都圏への一点集中東京圏への一極集中の原因に、やはり経営管理であるとか意思決定であるとかいう中枢中の中枢が東京圏集中しがちであるということが、この一極集中の原因の一つといいますか大きな要素ではなかろうかと思うわけでございますので、その点でこの法案が予定しているのはどこまでなのか。射程距離といいますか、企業のトップが机を置くようなところまでを射程距離に置いているのかどうか、その辺についてのイメージといいますか、お答え願いたいと思います。
  33. 田村元

    田村国務大臣 御指摘のとおりでありまして、国土の均衡ある発展を実現していくということを考えますと、やはり本社の中枢機能も含めた広い意味での産業頭脳部分地方分散のあり方についても当然考えなければならない、本来これも含めることによって完成をしていくということだろうと思います。  ただ、一気にそこまで持っていくということになりますと、確かに姿としてはやや手前かなという感じはあるかもしれません。あるかもしれませんけれども、余りにも事が大きくなり過ぎて、それで言うべくして行いがたいということが起こってくると思うのです。しかし本社の移転等、経営頭脳といいますかそういうものまで含めなければ何にもならないということも当然でございまして、それはちょうど幸い今、政治行政の機能分散ということが言われておるわけでございますから、今後、政治行政機能等のいわゆる首都機能の分散問題とあわせて、これから避けて通れない問題として位置づけていくべきであろうと思っております。
  34. 小澤克介

    小澤(克)委員 大変ありがとうございました。  そこで、今のことに関連しまして、少し細かいことになるかもしれませんが、業種として予定しているもののトップに研究機関、特に自然科学系の研究機関というのが挙げてあるわけでございます。そういたしますと、政府関係研究所というのが数多くあるわけでございまして、特に通産省などには通産省所管の研究所が非常に多数あるわけでございます。そうすると、まず率先垂範といいますか、こういったものを分散配置するのも非常にいいのではないだろうか、重要ではなかろうか、かように思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。本来ならば他の省庁も含めてお尋ねしたいのですが、とりあえず通産省としてはどう考えておられるか。
  35. 飯塚幸三

    ○飯塚政府委員 私ども通商産業省の工業技術院には十六の試験研究所があるわけでございまして、特に鉱工業に関する科学技術の研究をしているわけでございます。そのうち九つの研究所東京及びそのごく周辺にございましたが、御承知のとおり昭和五十四年から五十五年にかけまして筑波研究学園都市、現在のつくば市に移転をしております。また、その他の七つの研究所は北海道から九州にかけて各地域に存在しておりまして、私どもといたしましては、通商産業省の工業技術院の研究所に関する限り、既に適切な地方分散を行ったというふうに考えております。
  36. 小澤克介

    小澤(克)委員 若干違った点からお尋ねしたいと思うのですが、頭脳立地ということになりますと、頭脳集約型の産業を分散立地するということになりますと、普通の工場等の立地と違いまして、ただ単に工業用水や電気を引いて地べたを用意すればいいというわけにはいかないのじゃないかと思うわけでございます。つまり、頭脳に依拠するような産業でございますので、頭脳労働者の生活環境といいますか、その辺の整備一つのポイントになろうかと思うわけでございます。自然環境がいいことも重要でしょうが、やはり文化的といいますか知的な刺激を受け得るような環境、文化水準といいますか、そういったものがないとなかなか定着しにくいのではないかというふうに思うわけでございます。  それで、スポーツなども含めてそういった文化環境についても整備をすることが——整備以前に、まず地域指定の際にそういうふうな文化的なバックグラウンドがある程度ある地域を予定しておられるのかどうか。それからまた、そうであるかそうでないかにかかわらず、そういった文化的、知的刺激を与えるような環境をつくっていくこともこの法の志向として考えておられるのかどうか、その辺についてお答え願いたいと思うわけなんです。  法案を見ますと、第三条の「地域」のところには「自然的経済的社会的条件からみて」「相当と認められる地域であること。」というのがあるわけです。この「社会的」というのには、あるいは今言ったような側面も含めて考えておられるのかなと思うわけでございますが、他方、法案の五条、六条関係の「集積促進計画」の中で、これは都道府県が計画を立てるわけですが、その計画の中身の事項といたしまして「集積促進地域の区域」あるいは「集積の目標」、三番目に「施設整備」とありまして「業務用地」「道路」「住宅」というような内容になっておりまして、これを見たところでは相変わらずといいますか、ハード面をその大綱として決めるようにというふうになっているわけでございまして、その辺ちょっと疑問に思うものですから、先ほどからお尋ねしているような面についてどうお考えなのか、お願いいたします。
  37. 安楽隆二

    安楽政府委員 全く先生の御指摘のとおり、産業の頭脳部門集積するためにはやはり人というのが極めて重要な問題でございまして、したがって特定事業集積というものを円滑に推進するためには、特定事業に従事する知識または技術を有する人材確保とその定着ということが非常に大切だと考えております。この人材確保ということについては、特に第三条の四号にも書いてございますが、その人材の定着のための生活環境とか都市環境とか文化的な環境とか、いろいろなことが必要でございますけれども、そういうものの全体の整備ということにつきましては、そのこと自体を直接的な地域要件というふうには考えていないわけでございますけれども、この集積促進地域をつくりますときに、この要件の中にも書いてございます産業というものがかなり集積しているところ、それからまた交通とか情報とかという、そういう関連の施設がある程度整備されているところとか、あるいは今申しましたような人材確保が容易なところ、そういうようなことで地方経済圏中心的な都市あるいはさらに適切な地域を含むような、そういうところを想定しているわけでございますから、恐らく第三条に書いてあるような要件に合致するところというのは生活環境都市環境というようなことについても相当程度備僻されているということになるのではないか、またそういうものを想定しているわけでございます。  ただ、そういうところではございますけれども、人の確保、定着と頭脳の集積ということのためには、さらにそういう環境を整備していくということが必要でございまして、このためにはいろいろな法律とか、あるいは四全総を目指すいろいろな地域づくりということがもちろん重要になってくるわけでございますが、本法におきましても集積促進計画のところで道路、住宅それからその他の事項というのもございますが、そうしたいろいろな生活環境関連の施設ということについても記載をしていただくということにしておりまして、国、地方公共団体が協力してそういうものの整備にも努めていくということを考えております。  それからまた、地域振興整備公団がこの法律に基づきまして業務用地をつくるというような場合にも、用地には当然必要な教育、文化、福祉施設とか、あるいは医療、厚生施設とか、そういう業務用地のための利便施設というものもあわせて整備するというようなことも考えておりますし、また通産省といたしましても別途、商店街の高度化施策とか、あるいはいろいろな補助金を交付するような場合でも、そうした生活、都市環境の施設整備がこうした地域で行われるように施策をやっているということもありますので、そういうものも活用していく。  それから、何よりも四省庁で、この法律は一応主務大臣ということになっておりますが、その他の省庁も含めまして関係省庁と十分連携協力いたしまして、特に人材問題、集積問題に重要な生活環境都市環境の整備ということに積極的にさらに努力してまいりたい、このように考えております。
  38. 小澤克介

    小澤(克)委員 そういたしますと、条文解釈としては、今の文化的な条件といいますかバックグラウンド等については、この都道府県の立てる計画の大綱としては五の「その他特定事業集積に関し必要な事項」、ここのところでソフト面は賄うということになりましょうか、これは条文解釈の問題でございますが。
  39. 安楽隆二

    安楽政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  40. 小澤克介

    小澤(克)委員 それでは、先ほどから大臣、大変親切に、また率直な御答弁いただいておりまして、これまで私が属していた委員会とは大分趣が違うなと思っているわけでございますけれども、せっかく御出席いただいておりますので、最後に大臣から、この法案が成立した際の運用についてのお考えといいますか決意のほどを表明していただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  41. 田村元

    田村国務大臣 この法案は、御承知のごとく通産大臣建設大臣農林水産大臣国土庁長官等がそれぞれ主務大臣になっておりまして、通産大臣がその取りまとめということであります。こういう法律を実効あらしめるためには、各省庁が協力し合わなければ何にもならないので、いわゆる俗に言う官庁セクト主義というものが出ては、これは逆に足の引っ張り合いになってしまう。でございますから、私は、通商産業大臣がイニシアチブをとってその取りまとめを行うということより、日本国政府の施策としてこれを実行するために通産大臣が幹事役を果たしていくということが正しいと思うのです。  そのようにして、この問題は率直に言って——法律の中には、その法律があることに意義があるというのもあるでしょう。だけれども、この法律は実行しなければならない法律なんです。でございますから、そういう点で官庁の結束と同時に、また広く大衆、関係者の意見にも耳を傾けて、その中で傾聴すべきは傾聴し、これを実行に移していくというような精神も必要かと思います。そういうことでやりますので、ぜひ御賛同賜りますようにお願いを申し上げる次第であります。
  42. 小澤克介

    小澤(克)委員 ありがとうございました。終わります。
  43. 渡辺秀央

    渡辺委員長 残余の質疑は明日に譲ることといたします。      ────◇─────
  44. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、先刻付託になりました内閣提出訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案及び上坂昇君外三名提出訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより両案について、順次趣旨の説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。     ─────────────  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  45. 田村元

    田村国務大臣 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、小売販売の方法が多様化する中で、訪問販売等が急速に成長しているところでありますが、一方で、訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引をめぐり消費者トラブルが多発し、また、その手口も多様化、複雑化しております。  このような状況にかんがみ、訪問販売等の取引の公正及び購入者等の利益の保護をさらに図るため、本法律案を提案した次第であります。  次に、法律案の内容を御説明申し上げます。  第一に、訪問販売及び通信販売に係る取引並びに連鎖販売取引について規制の範囲を拡大することとしております。  すなわち、訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引に係る規制対象に、これまでの商品は加えて、新たに役務提供等を追加することとしております。また、営業所等において行われる取引であっても、営業所等以外の場所において呼びとめて営業所等に同行させて行うもの等政令で定めるものについては、訪問販売として規制の対象とすることとしております。  さらに、連鎖販売取引については、物品の販売事業で再販売をする者と取引をするものという従来の連鎖販売業の定義のほか、新たに、物品の販売事業で受託販売または販売のあっせんをする者と取引をするもの、役務提供事業役務提供のあっせんをする者と取引をするもの等を追加しております。  第二に、訪問販売において、一定の期間内は無条件で契約の解除等を行い得る、いわゆるクーリングオフ制度を拡充することとしております。  すなわち、クーリングオフに関する事項を書面により告知しなければならないこととしております。また、これまでクーリングオフができないこととされていたいわゆる現金一括取引についてもクーリングオフができることとしております。  第三に、訪問販売業者が契約の締結について勧誘をするに際しまたは契約の解除等を妨げるため、重要な事項につき不実のことを告げてはならないこと、訪問販売業者及び連鎖販売取引に係る統括者等が契約を締結させまたは契約の解除等を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならないこと、さらに、通信販売業者が広告をするに際し、著しく事実に相違する表示をしてはならないこと等、訪問販売業者、通信販売業者及び連鎖販売取引に係る統括者等が行ってはならない行為を定めることとしております。  第四に、主務大臣は、訪問販売業者、通信販売業者または連鎖販売取引に係る統括者等が本法の規定に違反した場合には、これらの者に対し必要な措置をとるべきことの指示、業務停止命令等をすることができることとしております。  第五に、訪問販売業者及び通信販売業者の取引の適正化に関する自主的努力を一層促すため、これらの業者により組織する協会についての規定を設け、その苦情処理に関する責務について規定することとしております。  第六に、販売業者が売買契約に基づかないで一方的に商品を送付する商法、いわゆるネガティブオプションにより送付された商品について、販売業者がその返還を請求することができないこととなる期間を、原則として三月から十四日に、また送付を受けた者がその商品の引き取りを請求した場合には一月から七日に、それぞれ短縮することとしております。  その他、権限委任、罰則等所要の規定を整備することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  46. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、上坂昇君。     ─────────────  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  47. 上坂昇

    上坂議員 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  訪問取引などのいわゆる特殊取引形態による売り上げは毎年二けたの急上昇を示し、狭義の訪問販売だけで見ても売上高は二兆円を超えて、今やアメリカを抜き世界第一位までに発展していると言われております。  しかしながら、訪問取引による消費者被害も年年急増いたしており、各地の消費者センター等で受け付けた販売方法、契約等に関する苦情は、昭和五十五年で約五万一千件であったものが、昭和六十年には十五万件にまで上り、全体の苦情受け付け件数に占める割合も二六%から四〇%にはね上がっております。金額にいたしますと、例えば警察庁の「生活経済事犯」によれば、昭和六十二年一月から十月にかけて摘発された訪問販売が大半の利殖商法の被害は、四百五十一億円、その他の訪問取引による被害は百三十五億円に上るのであります。しかも、こうした被害の顕在化率は実際の被害の一%と言われておりまして、訪問取引による被害ほかなり膨大な数に及んでいると言うことができるのであります。  こうした背景により、政府は今国会に訪問販売法の改正案を提出してきております。内容は、役務サービス)も商品と同様に法の対象とする、脱法行為であるキャッチセールス、アポイントメントセールスを法の定義に加える、不当行為を禁止する、現金取引にもクーリングオフを適用する、連鎖販売の定義に委託・紹介を加える等であります。  これらの内容は、もともと過去三回にわたりまして提案してまいりました我が党の訪問販売法改正案にあったものであり、特に一昨年の昭和六十一年において政府が豊田商事商法などの取締法として提出した特定商品等の預託等取引契約に関する法律の対案として我が党は、今回政府が提出している内容のものを盛り込んで提出した経緯がございます。したがいまして、今回の法改正は、まさに遅過ぎたと言わなければなりません。  しかも、最近に至っては、霊感商法、原野商法などで新たな被害が続発し、一昨年の昭和六十一年当時より、より強力な消費者保護が求められている昨今であります。したがいまして、今回、政府が提出している内容では、消費者保護の徹底を図ることは甚だ不十分と言わざるを得ません。  したがいまして、政府案に不足している項目を盛り込んで、本法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の政府案に追加した項目の要旨を御説明申し上げます。  第一に、業として訪問取引を行う者は、その業務を開始したときは、遅滞なく、氏名及び住所等必要な事項を記載した書面を添えて、その旨を主務大臣に届け出なければならないことといたしております。  第二に、訪問取引をしようとするときは、取引業者の氏名または名称及び住所、勧誘員の氏名、当該商品または役務等の種類等を記載した書面を交付しなければならないことといたしております。  第三に、クーリングオフ期間を、現行七日間から十日間に延長し、クーリングオフをすることができる最終日が取引業者の休業日であるときは、これに次ぐ第一の営業日まで期間を延長することといたしております。また、クーリングオフ期間の起算日を商品の引き渡し、権利の移転または提供があった日から起算することとしています。  第四に、訪問取引に係る売買契約または役務提供契約が締結された場合において、取引業者が当該売買契約等の締結の過程において、書面の交付義務の規定に違反しまたは禁止されている行為をしたときは、購入者は契約の締結の日から一年を経過する日までの間、当該契約の解除を行うことができることといたしております。  第五に、通信取引にもクーリングオフを適用し、同時に契約の解除に伴う損害賠償等の額についても制限することといたしました。  その他、指定商品、指定役務等以外の商品または役務等の訪問取引における悪質な営業方法の規制、不当行為を行っている業者に対する主務大臣の措置請求等、必要な規定を設けております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げて、提案を終わります。(拍手)
  48. 渡辺秀央

    渡辺委員長 以上で両案についての趣旨の説明は終わりました。  両案に対する質疑は明日に譲ることといたします。     ─────────────
  49. 渡辺秀央

    渡辺委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま趣旨説明を聴取いたしました両案につきまして、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  なお、参考人からの意見の開陳は、来る十五日金曜日午前十時からを予定しております。  次回は、明十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十六分散会