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1988-03-23 第112回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十三日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       石渡 照久君    小川  元君       尾形 智矩君    海部 俊樹君       佐藤 信二君    島村 宜伸君       玉生 孝久君    月原 茂皓君       中山 太郎君    額賀福志郎君       福島 譲二君    穂積 良行君       牧野 隆守君    三原 朝彦君       宮下 創平君    粟山  明君       森   清君    山崎  拓君       綿貫 民輔君    小澤 克介君       小野 信一君    城地 豊司君       関山 信之君    田口 健二君       水田  稔君    権藤 恒夫君       森本 晃司君    薮仲 義彦君       工藤  晃君    藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  出席政府委員         通商産業政務次         官       浦野 烋興君         通商産業大臣官         房長      棚橋 祐治君         通商産業大臣官         房総務審議官  山本 幸助君         通商産業大臣官         房審議官    安藤 勝良君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         通商産業省立地         公害局長    安楽 隆二君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         工業技術院長  飯塚 幸三君         工業技術院総務         部長      山本 貞一君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         特許庁長官   小川 邦夫君  委員外出席者         防衛庁装備局開         発計画官    別府 信宏君         科学技術庁科学         技術政策局調整         課長      今村  努君         科学技術庁研究         開発局宇宙企画         課長      青江  茂君         外務大臣官房外         務参事官    法眼 健作君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         大蔵省主計局主         計官      永田 俊一君         参  考  人         (新エネルギー         総合開発機構理         事長)     松岡  實君         参  考  人         (基盤技術研究         促進センター理         事長)     齋藤 太一君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     尾形 智矩君   中山 太郎君     月原 茂皓君   福島 譲二君     三原 朝彦君   井上  泉君     小野 信一君   緒方 克陽君     田口 健二君 同日  辞任         補欠選任   尾形 智矩君     中川 秀直君   月原 茂皓君     中山 太郎君   三原 朝彦君     福島 譲二君   小野 信一君     井上  泉君   田口 健二君     緒方 克陽君     ───────────── 三月二十三日  地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案内閣提出第三〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案内閣提出第三一号)  地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案内閣提出第三〇号)      ────◇─────
  2. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  内閣提出産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として新エネルギー総合開発機構理事長松岡實君及び基盤技術研究促進センター理事長齋藤太一君の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  4. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関山信之君。
  5. 関山信之

    関山委員 近年、我が国科学技術における研究開発体制というものについて大変関心が高まっている。さきに超電導ブームやら利根川博士ノーベル賞受賞など、まさににわかに百家争鳴という感じさえいたすわけでございますが、こういう動きを背景にしながら、ただいま提案がございました産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案というものを拝見をいたしました。実は全体を拝見いたしまして、どうしてもこの法律位置づけみたいなものがよくわからないのです。そこで最初に、我が国研究開発体制全体の枠組みに対する御認識をお伺いをしていきたいと思うわけでございます。  まず研究費でございます。科学技術に関する研究費レベルでございますけれども、確かに我が国研究費自然科学分野では約八兆円ほどに及んでおりまして、いわゆるGNP対比で見ますと、全体的には欧米並みという水準にあることは、数字の上で承知をいたしておるわけでございます。しかし、我が国研究費特徴は、いろいろな参考文献拝見をいたしておりますと、一つは極めて公費負担が低いということが指摘をされておるわけでございます。しかも公費負担の実質の伸び率がこれまた低いというのは、調査室の資料などにも指摘をされておるわけでございますし、加えて三番目に、基礎研究比率が非常に低いということが特徴である。なお、大学研究費伸び率がこれまた大変低くなっている、低下をしておるということについて指摘をされる方もいらっしゃるわけでございます。このような研究費実態について、まずもって御認識伺いたいと思うのです。いずれにしても、公的資金が非常に少ないと思いますけれども、この辺の御認識はいかがでございましょうか。
  6. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 先生指摘我が国における研究開発費でございますが、民間を含めた研究開発費総額について申しますと、一九八五年度におきまして世界第二位でございます。またGNP比率につきましても、御指摘のように西ドイツに次いで世界第二位ということで、欧米並み水準になっているわけでございます。  このように、マクロなベースでは世界有数水準に達しているわけでございますが、御指摘政府負担割合につきましては、我が国の場合は防衛研究費ウエートが少ないということ、あるいは租税負担率民間活力の差というふうなものがございますので、単純な国際比較は困難と思いますが、大体二〇%強程度主要先進国に比べますと低い水準が続いておるわけでございます。また、基礎研究比率は一三%程度ということでございましてアメリカと同様、西ドイツあるいはフランスに比べましても低い水準にございまして、開発研究割合が高いということは御指摘のとおりでございます。  今後、民間取り組みが困難な基礎的あるいは先導的な研究開発重要性がますます高まるであろうというふうに考えられますので、私どもとしては、国における研究開発取り組みを一層充実強化させることは必要であるというふうに考えております。
  7. 関山信之

    関山委員 そこで、公的資金が少ないということ並びに基礎研究比率が低いということをお認めになつていらっしゃるわけでございますけれども、この基礎研究という言葉の概念が非常に難しいのですが、基礎研究が不足している。とかく欧米基礎研究を借りてきては、開発段階で小器用にこういう研究を利用して日本産業世界を席巻してきたといったような評価があるわけでございますけれども、しかし一方で、必ずしも基礎研究は不足していない、いろいろなものを拝見しておりますとそういう御意見も散見をするのですが、基礎研究について不足しているのかいないのか、この辺の認識についてはいかがでございましょうか。
  8. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 基礎研究定義についてはいろいろあるわけでございますが、現在一般的には、特別な応用用途を直接考慮することなく、理論の形成とかあるいは新しい知識取得のために行うものというふうに定義されているところでございます。そのような定義に基づく基礎研究について申しますと、我が国比率が先ほど申しました一九八六年度で一三%ということで、欧米に比べて低い水準にとどまっているということでございます。  今日、マイクロエレクトロニクスあるいはバイオテクノロジー、新素材などを初めといたしまして、科学的な原理あるいは現象に立ち返って研究開発を行うことが大切でございまして、そういう意味科学技術距離が非常に接近したと申しますか、またお互いに非常に裨益し合って共鳴をするという傾向が顕著になっておるわけでございます。したがって、私どもとしては、そういう意味基礎研究については今後一層重要となるであろう、また、我が国技術開発を進める上で、基礎研究推進をさらに図っていく必要があるというふうに認識しております。
  9. 関山信之

    関山委員 今御説明の中にもあったのですが、総務庁の科学技術研究調査報告というものがあるそうでございまして、そこでの定義というのは、今お話がありましたように「特別な応用用途を直接に考慮することなく、仮説理論を形成するため若しくは現象や観察可能な事実に関して新しい知識を得るために行われる理論的又は実験的研究」、これが基礎研究と呼ばれているものだと言いながら、一方ではしかし、応用開発ステージでの必要性から基礎へと遡行することは普通のことであって、そういうものとしての基礎研究という二通りの理解が絶えずつきまとう。  ここで基礎とは何かということをお伺いをしておりますのは、いわば独創的な、オリジナルな発明発見というものについて、やはりそこのところをひとつ整理をして基礎研究というものの位置づけをしないと、今日の時代的ないわば基礎研究に対する要求といいましょうか、課題にはこたえていけないのではないのか。しかし、現実には絶えずその間の問題が錯綜しながら全体として進んでいるということになるものですから、ここは工業技術院院長として、どちらも大事だというお答えじゃなくて、どちらがという意味ではまさにどちらなんでしょうかということを、重ねてお尋ねをしておきたいわけです。
  10. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 先ほどもお答え申しましたとおり、現在、科学技術というのは非常に接近をしてきておる。それで、基礎研究と申しましても、全くその応用とか用途考えないでやるというふうなもの、例えば純粋基礎研究と、それからある程度そういうものを念頭に置くのを目的基礎研究というふうな分類をしておる向きもあるわけでございますが、現在、科学技術が非常に接近したために、非常に純粋な基礎から直ちに応用の方に近づくというふうな、非常に両者の間の距離が縮まったということで、先ほど申しましたようにお互いに刺激し合って、その境界というものはますますはっきりしていなくなっているという実態があろうかと存じます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、そういう科学技術接近あるいは共鳴と申しますような事態を十分に考慮した上で、応用研究基礎研究との境界領域というものが今後ますます重要になるであろうというふうな認識を持っているわけでございます。
  11. 関山信之

    関山委員 私は、なぜここのところにこだわって聞いているかといいますと、まさに基礎研究技術の間が非常に狭まってきている、その認識はわかるのですけれども、しかしこれは、全体としての日本研究開発体制の中で役割分担というものがそれぞれあるわけでございますから、そういう中で国としてはどういう位置づけが必要かということもあるものですからお尋ねをしておるわけでございまして、これは少し先のところでも触れてまいりますので、一応の見解として承っておきましょう。  私は、もう少しやはり本来の純粋基礎研究というところにウエートを置いていただかなければならぬのじゃないか、こういう認識があるものですから申し上げておるわけでございますけれども、一方で企業は今、基礎研究ブームという状況がございます。御承知のとおりでございます。  そこで、この企業基礎研究ブームというものについて、つまり目的や効果というものを期待をしない企業基礎研究ブームというのは、まず一般的に常識的にないわけですね。もと通産省研究所にいらっしゃいました植村さんという方の書かれたものを拝見をいたしておりまして、一昨年ですか、ここでは日本機械学会関西支部セミナーが開かれた。そのセミナー中身の紹介があるんですけれども、まさにこのセミナーに参加をされた企業の皆さんがすべてそうだとは言ってないのですけれども、やはり「いつモノになるかわからないような基礎研究をべんべんとやられたのではたまったものでない、」という意識は、絶えずやはり企業の側とすればあるのでしょうね。  しかし一方で、この方の御指摘があるわけですけれども、まさは研究者独創性自主性尊重というものがない限り今日の技術開発一つの壁を越えることができない。そういう研究者自主性尊重というものより企業の存亡をかけた企業利潤への従属というものを強要するような環境というものと、創造性豊かな成果とは本来的に両立するものではない、本来両立しがたいものであるという御指摘があります。私もそうだと思うのですね。だから最近の企業基礎研究ブームがけしからぬとかだめだとか言っているんではなくて、本来、企業基礎研究というものについては一定の限界があるだろう、まさに純粋基礎研究分野へはなかなか立ち入り切らない限界があるのではないか、こんなふうに思うのですが、その辺の御理解はいかがでございましょう。
  12. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 近年、企業はおきましても第二次研究所ブームと言われるような傾向が続いておりまして、基礎研究への取り組みを実際に始めておる、あるいは基礎研究を重視しているという傾向が見られておると思います。民間における基礎研究費比率も上昇の傾向が見られるわけでございます。これは、例えば最近の高温超電導材料発見のように、非常に基礎的なものと応用とが結びついているという状態というふうなことが一層そういうものに拍車をかける一つの原因になっているかと思うわけでございますが、しかしながら先生指摘のように、確かに企業基礎研究活動というものは、なかなか直接の商品開発には結びつくわけでございませんので、開発に非常に長期を要するものとかあるいはリスクの大きいもの、巨額の費用を要するものというふうな投資効率の悪いものに対する取り組みはやはり限界があろうかと存じます。ただ、最初に申しましたように、最近企業におきましても基礎研究重視傾向は確かに見られるわけでございまして、そのような盛り上がりの傾向に現在ある企業基礎研究意欲というものを、私どもとしては一層促進してまいりたいというふうに考えております。
  13. 関山信之

    関山委員 そこで、研究開発体制枠組みというのは、もちろん通産省だけではなしに科学技術庁文部省、その他農水省、いろんな分野にまたがって国の予算が執行されておるわけでございますけれども、一般的に国の役割というのはどういうものだというふうにお考えになっているのか。抽象的には、短期的に収益のつながりがたいものであるとかリスクの大きい研究開発だとか社会的ニーズの高い公共的なものだとか、こう言うのですが、しかしもう一つ、私は今の段階で、前段の議論を申し上げていることの意味もそういうことなんですが、公的支出がまだ低いレベルにある、その少ない公的支出というものを全体的な研究開発体制の中でどこへ集中をしてお金を使うかということになれば、おのずとやはり役割分担なり重点の置き方というものを絞っていかなきゃならないのじゃないかということを痛感をさせられるのですね、いろんなものを拝見をしながら。  そこで、NIRAがお出しになった「一九九〇年代日本課題」という中で「科学技術における研究開発展開」という小さな論文を載せておりまして、これを拝見をしておりまして、そこではいわば研究者の創造的な活動というものについてのアンケート調査をやっております。幾つもあるんですけれども一つは、革命的なといいましょうか新しい発明発見は非常に若い世代で、二十代、三十代のところで行われている。それから、いわばその自信作の成功というのは決して平たんではなく、その関連が不連続である、あるいは異分野からの影響が非常に大きいという指摘が二番目にあります。そして三番目に、大胆な仮説提示能力、独自の着想の提案というのがこうした自信作を生むに至った背景一つの契機として介在をしているということがございまして、新しい芽となる人を探し出して予算を配分する仕組みが必要であるということを述べながら、思い切って年間五百万円程度研究費を五年間与え、何にでも自由に使えるようなシステムというものを考えたらどうかという提案をなさっているのですね。  こういうことは、やはり民間企業サイド基礎研究分野でなかなかやれないことでありまして、まさに国の責任でそういった道を開くことが今日非常に大事ではないか。きょうはもちろん工業技術院サイドだけ伺っているのですが、これは文部省のやる仕事であるとか科学技術庁仕事であるとか、いろいろその辺の仕分けはあるのでしょうけれども、いずれにしろ、そういう思い切った非採算的な研究への支出というものに国はもっと責任を持たなければいかぬ、もっと力を入れなければならぬということなんじゃないかなと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  14. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 御指摘のように、創造的な研究開発を今後一層進めてまいることが、我が国生存基盤としても大事なことであるというふうに考えております。  それで、私どもの例えば国立研究所におきましては、先生がただいま御指摘になられましたような非常に芽となるような研究というものに対して積極的に取り組んでおるわけでございますし、私ども予算もございますし、また科学技術庁経由予算もあるわけでございます。また、私どもが行っておりますプロジェクトにおきましても、非常に基礎的な研究開発の必要なもの、あるいは先ほど申しました長期にわたる研究が必要なもの、将来初めて応用の芽が開けるようなものについても、例えば次世代産業基盤技術等で取り組んでおるわけでございます。そういう意味で、御指摘の創造的な芽をできるだけ花開くように心がけておるつもりでございます。
  15. 関山信之

    関山委員 科学技術庁からおいでいただいていますが、今申し上げているようなことについて、科学技術庁としてはどうお考えになりますか。  それから、科学技術開発体制全体についての各省庁の役割分担予算的には文部省が一番多くて四七%、科技庁が二六%、通産省が一三%、農水省四%、こういう数字ですが、これ以外にもあるいは郵政省あるいは厚生省、それぞれの分野でやらなければならぬと言い出せば、みんなそれぞれ大きなウエートを持ってこれから展開をしていかなければならないことになるのだが、あらかじめ科技庁はこうした各省のいわば調整機能を持つものでありまして、各省はそれぞれ所管の中でといったような御答弁を聞こうと思っているわけじゃないのでございまして、全体的な役割分担というものについてどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  16. 今村努

    今村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘科学技術政策全体の総合的な調整推進というのは極めて重要な課題でございまして、科学技術行政における総合調整機能の強化というふうなことが大きな課題になってございます。科学技術振興は、政府として総合的に推進するためにはやはり基本的な指針、共通的、横断的な考え方というものを取りまとめる必要があるわけでございまして、先般、昭和六十一年でございますが、閣議決定におきまして科学技術政策大綱というものが決められております。  この科学技術政策大綱におきまして、我が国科学技術推進するために三つの柱、すなわち創造性豊かな科学技術推進人間社会のための科学技術及び国際性を重視した科学技術の発展、こういう基本的政策を打ち出し、さらにそのもとで、単に各省縦割り行政だけの研究推進だけではなくて、相互の連携、交流を強化しながら総合的に推進していくための進め方というものの考え方をまとめられております。  こうした考え方に従いまして諸施策が講じられておりますが、その中には、例えば科学技術庁が所管しております科学技術振興調整費という予算がございまして、昭和六十三年度、現在御審議いただいております中では、政府案の中で九十二億円の予算が組まれておるわけでございますが、これは、ともすれば縦割りで進められがちな研究事業相互調整し、関係国立試験研究機関等が横断的に連絡し、協力し、推進するといったようなことを目的として計上されている予算でございます。そのような形で科学技術の総合的な調整を図りながら推進するというようなことにつきまして、科学技術庁も日夜努力をしておるという状況でございます。
  17. 関山信之

    関山委員 そういう御答弁にしかならないのだろうと思うのですが、しかし私は、言葉としては調整だとか協力だとかと言うのですけれども実態は必ずしもそうなってないという側面もあるわけでございまして、聞けば、今回の法律改正に伴って出てまいります無重力実験施設などは、これは科学技術庁の方でもまだ予算化はされてないけれども計画にあるとか、あるいは超電導の問題にしましても、通産省通産省国際超電導産業技術研究センターというものを持つ。一方で、科技庁も新超電導材料研究会というものを持つ。物によってはいろいろな角度でいろいろ多元的にこういう研究開発が進むことを必ずしも悪いと言っているわけじゃないのですけれども、どうも拝見をいたしておりますと、それだけの仕分けでいいのだろうかという感じがいたします。予算が幾らでもあって、欲しいだけ各省が何でもやれるという状態ならいいのですけれども、冒頭申し上げたような予算的な枠組みの中にある。  一つは、やはり基礎応用開発というこの分野、それぞれのステージ分担というものは、そういう全体の国の役割分担の中でどう位置づけられるのかということをもう一つはっきりしてもらえないものだろうかな。それから仕事中身、今申し上げましたような無重力実験装置ですけれども基盤整備とかあるいは企業に対する研究民間委託、あるいは国際交流、こういうものについてはそれぞれがそれぞれでやらなければならないにしても、もう少し横割り整理ができぬものだろうかなという感じがするのですけれども、やはりこれは無理な注文なんでしょうか。  実は、申し上げましたように、特に基礎研究分野では異分野の刺激が非常に大きいというさっきのNIRA指摘もございました。現実に昨日、まあ法律も異業種交流法律が上がっておるわけですけれども、これからはますます各省庁の省際化というのですか、業際化というのが進むでしょう。これはそれぞれ今の縦割り行政でやっていれば、かつてもいろいろ繰り返している事柄でありますから、日本のお役所の縦割りのシステムがそんなに簡単に変わるものじゃないと思いますけれども、しかし、この分野はそういうことをやっていたのでは全くだめだという感じがするものですから、そこら辺の仕分けについてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、これは科技庁の方から伺いましょう。
  18. 今村努

    今村説明員 今御指摘各省庁横断的な協力体制必要性ということについては、まさに御指摘のとおりでございます。  これは基本的には、科学技術に関する諸施策は各省庁におきますそれぞれの行政目的に応じた研究開発が行われる、それを相互の連携、整合性を保ちつつ総合的に推進する、こういう基本的な考え方に立っておるところでございますが、そういう中におきましても幾つかの、最近の科学技術庁といたしましての努力の一つのあらわれを御紹介申し上げたいと思うわけでございますが、例えば先ほど申し上げました振興調整費の中で、昭和六十三年度の新しい施策といたしまして省際の流動基礎研究というのを新しく始めようというふうにいたしております。これは、ある省庁のある国立試験研究機関のしかるべき研究者が発案いたしまして基礎的な研究を進めたいといいますときに、他省庁の研究機関に呼びかけまして、そこで一つ研究チームを組んでいく。その際、縦割りのそれぞれの研究者はそれぞれの機関に所属しておるわけでございますが、場合によりましては併任あるいは異動といいますか、そういった形で研究チームを組みまして、研究の場所も一カ所に集めて進める、こういうふうな形で研究を進める、これを省際基礎研究と言っておるわけでございますが、そういったことも始めようといたしております。こういった課題は今後、新しい試みでございますので、その成果について適切に評価しながら、さらにその発展を期していきたい。これは一つの事例でございますけれども、そういう努力を進めておるところでございます。それに限らず、先生指摘のような点に留意しながら、政策の調整に努めてまいりたいと思います。
  19. 関山信之

    関山委員 ここはひとつ大臣からも御見解を賜りたいと思うのですが、きょうは中山先生お見えでございますが、自民党の議員の皆さんがお集まりになってアルファクラブというのをつくっていらっしゃるそうで「日本技術立国」という御本をお出しになって、私も大変参考にさせていただいておるのですけれども、この中でも幾つか指摘があるのですが、例えば通産省は非常に技術テクノクラートがたくさんいて、今日まで技術開発について大きな役割を果たしてきた。しかし一方で、文部省というのは科学技術開発予算というものを一番余計四七%も持っているのだけれども、決定的に不足をしているのは、文部省に技官のテクノクラートがいないということなんですね。そのことの指摘があるのです。私も全くそういうものかなと思って、その事実の指摘に共感を抱かされたわけなんです。  一方で、申し上げましたように、これだけ業際化みたいなものが進んでいけば「「産業技術」とは、鉱業及び工業の技術のうち通商産業省の所掌に係るものをいう。」ということだけでは済まなくなっていく。しかも全体的に言えば、再三申し上げておりますような基礎研究というものにかなり力を入れていかなければならない。通産省はそういう中で、科技庁あり文部省あり通産省ありという中で、一体どういうステージ研究をこれから中心に展開していかれようとしておるのか、全体的な役割分担の中でどういう位置づけをさせていこうと考えていらっしゃるのか、大臣のお考えをお聞かせいただけるとありがたいと思います。
  20. 田村元

    ○田村国務大臣 おっしゃいましたように、私はこういう問題、余り省庁、官庁といいますか、縄張り感情は出さぬ方がいいだろうと思いますが、みんなでそれぞれお互いに、むしろある意味においては、これはあなたのところの仕事じゃないかとかいうようなことで、我々の協力を必要とするならいつでもおっしゃってくださいというようなことで、こういう問題は進めるべきだと思います。     〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕  通産省はどういうことをということになりますと、鉱工業技術に関する研究開発、これなんかの業務を総合的に遂行するというのが通産省の大きな役割でございます。これまでも鉱工業技術に関する研究開発の実施とか、民間における鉱工業技術に関する研究開発の助成、こういうような業務を総合的に推進してまいりました。我が国におきまして、研究開発のうちに鉱工業技術に関する研究開発はその大宗を占めるものだと思います。でございますから、通産省としては今後ともこういう点で強力で総合的な推進、そうして他省庁に対しても、国益というものをにらんで、あるいは科学者がやりやすいという科学者のニーズを踏まえて、弾力的に対応すべきものというふうに考えております。
  21. 関山信之

    関山委員 大物大臣だからもう少し突っ込んで物をおっしゃってくださるのかと思ったのですけれども、さっき文部省のことを言いましたけれども、一方では科学技術庁というのはこれまた逆にいわゆる政治的判断のできる行政官がいなくて、「むつ」の問題を起こしたり、あるいは今回の無重力のものだって、聞けばあの砂川の炭鉱に核廃棄物を持っていって捨てようというようなことを科学技術庁最初考えたというわけですね。それですっかり地元の評判を落としてしまって、本来科学技術庁がやろうと目をつけておったのが、今回通産省の方で横取りされたみたいな話がついて回る、これは世間の話ですから。そういう一種の全体的な研究開発体制における国の対応のアンバランスというものが目につくものですから、今申し上げておるわけでございます。  余り他省庁のことは言わないでなどと言わずに、せっかくこういう法律をお出しになって、後ほど伺いますが、この法律自体がどういう目的で出されてきたのかよくわからない部分もありますけれども通産省科学技術開発の先駆的な役割を果たしてきた官庁でもありますから、この際大いに物を言っていただいたらいかがかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  22. 田村元

    ○田村国務大臣 実は砂川の問題は、まさに科学技術の問題ではありますが、多分に政治的な配慮という面もあったわけです。率直に言って、炭鉱地帯を救済するという私どもの配慮というものがあれを強引に進めたという点は、御理解をいただきたいと思います。地域の活性化を図るために何かをしてやらなければいけない、そういうことで野党の心ある方々とも相談をしてああいうことにいたしました。  それはそれとして、おっしゃったとおり、各省庁間で十分横の連絡をとり合うことは必要でございます。率直に物を言えということでございますが、ここまで出かかっておってもなかなか言えないこともありますが、私はいつもこういうことを言っております。通産省だけではありません、どこの役人にもこういうことを言っております。国民は、税金を安くしてもらって、そして一層たくさんの仕事を、すばらしい仕事を早くしてもらう、そうして幸せになることが一番の願いなんだから、法務省が堤防を直そうと、文部省が海岸工事をしようと、通産省が学校のことをしようと、それは国民から見れば知ったことじゃない。ということは、日本政府の名においてやってくれということなんですね。でございますから、私は常はそれを言っておるということで、言外の意味をひとつお酌み取りをいただきとうございます。
  23. 関山信之

    関山委員 ひとつ大いに、これからの課題でございますので、積極的な御発言をいただきたいと思うわけでございますけれども、それでは新しい法律の改正に即して少しお尋ねをいたしたいと思います。  まずもってわからないのは、冒頭申し上げましたように、今回の法律改正で新しい三つの事業が行われるわけでございますけれども、なぜ工業技術院自体でやらなかったのか、なぜ基盤技術研究促進センターでやらなかったのか、なぜNEDOなのかわからないんですね。それで、予算折衝の過程では何か新しい組織をということもあったようでありますけれども、しかしそれにしてはNEDOにくっつけたというのはいかにも便宜的な感じがしないでもありませんし、基盤施設の整備などはいろいろ会計法上工技院自体がやれないというような問題があるのだそうですけれども、しかしそれならそれで工技院の方の体制枠組みを変えればいいわけでございます。  一つの歴史的な背景や性格を持ったものが今まさにおじやになろうとしているという感じがしてしようがないのですけれども、あわせて、なぜNEDOにしたのかと同時に、NEDOの性格というのはこれからどうなっていくのかということを、後ほど水田君から詳しくまたお話もあろうかと思いますけれども、お聞かせをいただきたい。
  24. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 先生御質問の、まずなぜ工業技術院自体でやらないのかという点につきましては、今度私ども考えております事業のうち、特に研究基盤整備事業につきましては、民間の資金も導入しあるいは地方自治体の出資も仰ぎながら、そういう民間の活力を活用してやっていこうということを考えておりますので、国自体では行いにくいものでございます。また、研究開発事業を従来工業技術院民間に委託しておるわけでございますが、その部分につきましても今後さらに各種の研究プロジェクトを総合的にやっていく必要がありますし、かつまた資金の効率的な活用と運用という点からは、特殊法人に一度出資をしてまとめて行うというふうな方法の方が合理的であるというふうに考えましたので、特殊法人にお願いをすることにしたわけでございます。  また、なぜNEDOかという点でございますが、NEDOは現在サンシャイン計画あるいはムーンライト計画等、代替エネルギー開発につきましての技術開発研究開発をやっておるわけでございます。そういうノーハウなり実績なり仕掛けというものを活用できますので、NEDOにお願いするのが一番適切だと考えたわけでございます。  なお、先生指摘の基盤センターの点でございますが、基盤センターにつきましては業務の内容が、民間研究開発事業を行うために出資をするあるいは融資をするといったような、いわば金融的な仕事をやっていただいておるわけでございますので、私どもとしてはやはりNEDOが適当だと考えたわけでございます。
  25. 関山信之

    関山委員 今の御答弁ではまるっきり私には、なぜNEDOにしたのかという理解が届きませんね。ほかの省庁のさまざまなやり方を見ていたって、工技院に規則的な制約があればそれを変えればいいのでね。幾らでも第三セクターをつくって国が財政的な援助をしながら民活をやるという図式は、今や猫もしゃくしもそういう方式になって、まさに民間政府のけじめもつかないような状態になっているんです。  今回もやはりそういう性格が非常に強いと見ているのですけれども、工技院とNEDOとの関係というのは、将来的にはNEDOの方はこれを契機にしてどんどんそういういろいろな事業の分野をふやしていくという、そういう方向になるわけですか。つまり、従来の資源エネルギー庁関連の仕事だけじゃなくて、工業技術院は一方で総括的な政策形成あるいは技術のある分野だけをやって、あとはどんどん——どういう感じになるのですかね。将来的に何か展望があってお出しになっていらっしゃるのでしょうか。
  26. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 まず、NEDOが現在エネルギー関係を中心に仕事をしておるわけでございますが、今回研究開発関係あるいは私ども工業技術院の行っておりますような政策を実行していただくというような意味で、事業の追加をお願いしておるわけでございます。  工業技術院とNEDOとの仕事分担なり展望という点でございますが、工業技術院では産業技術審議会等に諮問しながら基本的な施策あるいは方向づけを行う、あるいは予算の確保を行うというようなことをいたしまして、NEDOでそれを実体的に実行していただくというような関係にございます。そういう意味で現在の新エネルギー部門、すなわちサンシャイン計画、ムーンライト計画等で行っております分担関係、そういう関係が今後とも続くというふうに考えております。
  27. 関山信之

    関山委員 先に進みましょう。  基盤整備事業についてですけれども、六十三年度の三事業の概要は手元に資料をいただいておりますので一通りわかるのですが、この資料以外にそれぞれに対応する民間の主体、二十五億円の配分、NTTの枠といったようなものについてどうなっていますか。
  28. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 今回、産業投資特別会計から二十五億円の出資をNEDOに行うことをお願いしておりますが、今度行います研究基盤整備事業におきましては、全体の所要資金の半額を限度といたしまして資本金で賄いたい、残りの半分を借入金で賄うというふうに考えておりまして、その資本金の三分の二程度を今度のNEDOが出資をする、残りは民間と自治体の出資を仰ぐというふうに考えているわけでございます。かつ借入金につきましては、そのうちの七、八割程度をNTTの無利子融資、これは日本開発銀行あるいは北東公庫等から借り入れることを考えておりまして、残りの借入金は民間から借りるというふうに考えております。
  29. 関山信之

    関山委員 肝心なことは答えてくれないのですけれども、この無重力環境実験センターとか鉱工業海洋生物利用技術センターとか、もう場所も相手も決まっているわけでしょう。まことにけしからぬと思うのは、こういうあらかじめテーマやプランがあって、そうしてこうやって法律で後で追っかけて枠組みをつくるというやり方は、本当に最近そういう性格のものが非常に多いのですけれども、まさに国会軽視とまで大げさなことは言いませんけれども、大体制度があって、そこからどういうものが必要かという議論がありで、そうして出てくる筋合いのものだと思うのですよ。  まあまあこれはいいでしょう。それはそれとして、この利用の方法ですね。これはまさに門戸開放、個人研究者その他にも大いに研究基盤施設というようなものは使ってもらわなければならないのですけれども、その辺は十分な配慮がなければならないと思うのですが、いかがですか。
  30. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 利用の方法という点はつきましては、借りれれの希望者と考えております第三セクターが借入契約というか使用契約を結ぶことはなると思いますが、かつ私どもとしては、多くの方が共同で使っていただくという趣旨でつくるわけでございますから、時間なり日を分けてできるだけ多くの人に使っていただくように運用をしてまいりたいと思っておりますし、かつその場合、国際的な配慮もいたしまして、外国の企業から希望があれば、それも特別の差別をしないで開放するということを考えております。利用していただく場合には、もちろん適当な使用料金を払っていただくということになろうかと思います。
  31. 関山信之

    関山委員 これは要望しておきますけれども、できたもののイメージが私どもまだよくわからないわけですけれども、やはり広く門戸を開放し、しかもこれだけお金のかかる施設だから国が援助をしてやるということになるのでしょうけれども、逆にNTTの株の資金を利用するということなら、これは取り返しをしなければならないわけですから、だれでも使えるということにならないのですよね。そういうあたりは、これから整備をしていく問題でもあろうと思いますけれども、やはりまさに優秀な若い研究者が一定のルールに従ってそういう負担をしないでも使えるようなシステムだとか、利用運営についてもやはり将来に向けて受け入れの対応の方途をきちっとお出しをいただきたいと思います。十分な門戸開放ができるような体制をつくっていただきたいと思います。  それから、次は研究開発事業の関係なんですけれども、先ほどNEDOと工技院との関係についていろいろ御説明がありました。私がやはりわからないというのは、今度の研究開発事業についても、現在の三つの研究開発の制度をNEDOの方へ移すというわけでしょう。これは全部移すわけじゃないのでしょう。予算的に見ても、前年度工技院としては二百二十三億ぐらいあるのですね、そのうち三十九億ぐらいがNEDOへ行くという勘定ですからね。そうすると、そこら辺の仕分けは一体どうなっているのか、また役割分担という問題に返るのですけれども。  それから、時間がなくなってきましたのであわせてお尋ねをしたいと思うのですが、今回の業務追加で組織人員はどう変わるのか。十七人ばかりの人をふやすというふうに説明を伺っているのですけれども、一体そんな程度のことで事業に責任が持てるのか、やれるのかどうか、その辺のところはいかがでございましょうか。
  32. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 先ほどNEDOと通産省との関係を御説明いたしましたが、通産省では今後とも、まず工業技術院傘下の研究所研究をやっていただいておりますそういう研究開発の事業は従来どおりさらに力を入れてやってまいりますし、かつ一部の事業につきましては通産省自身がやっていく方がいいもの、そういう研究開発事業については一部通産省に残るということもあろうかと思います。ただ、基本的には大部分の研究開発事業をNEDOにお願いをするというふうに考えておりまして、先ほど先生指摘ございました二百億強のうち四十億程度という点につきましては、来年度は十月以降移管することを考えておりますので、まず半年分であるということと、それから初年度でございますので、準備期間もございまして、さらに六十四年度移管するものも考えておりまして、六十三年度では御指摘のように全部を移管しておるというわけではないわけでございます。  次に、十七人でできるのかという点につきましては、私どもとしては、今度の三部門の仕事を効率的にやっていくために通産省とNEDOと協力しながらやっていこうと考えておりまして、十七人は大変厳しい人数でございますが、最大限努力をしてこの事業を遂行していただくように努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
  33. 関山信之

    関山委員 六十三年度は三制度三十三テーマだけれども、六十二年度は少し数が少ないようですね。これを、今は何人のスタッフで工技院はやっているのですか。
  34. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 今正確な数字はちょっと頭にございませんが、ほぼ八十名程度というふうに思います。
  35. 関山信之

    関山委員 とりあえず次世代と大プロと医療福祉が行くわけですね。今後サンシャイン、ムーンライトその他民間、いろいろ仕事がありますね、これはみんなNEDOは行くのですか。少なくとも次世代と大プロと医療福祉はいずれは全部NEDOは行くのですか、どうなんですか。
  36. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 今、先生御質問のとおり、次世代と大プロと医療福祉につきましてはNEDOに全部移管するつもりでございます。サンシャイン、ムーンライトにつきましては、従来どおりNEDOにやっていただいておるわけでございます。
  37. 関山信之

    関山委員 これだけ伺っても、そうなるという話だけで、なぜそうなのかということがやはりわかりません。時間もございませんので、そこら辺は水田先生の質問に譲っていくほかないのですが、国際共同研究分野は触れている余裕もございませんので省略をいたします。  今のその体制の問題と絡んで、役員の体制です。ここでは運営委員を二人ほど増員するということなんですけれども、肝心の理事会の方は増員がないのですね。これは一体どうなさっていくのか。これは大臣に聞かなければいかぬ話なんでしょう、任命権者は大臣なわけでしょう。今の理事会の顔ぶれを拝見いたしますと、民間の方が三人いらっしゃいまして、あとはプロパーで上がった理事の方もいらっしゃいますが、もとをただせば通産省と、皆さん立派な方ばかりではありますが、それぞれお役所の御出身の立派な方であって、これからNEDOが性格変更していく上で、こういう方たちがこの責任を負うわけでございますけれども、こういう顔ぶれで一体大丈夫なのかどうなのか。新しい機構の改革に伴って、理事会の構成などはどうしていこうとお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  38. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 運営委員会につきましては、新たに二名の方の追加をいたしたいというふうに考えております。従来の委員の方の中にも産業技術に関する造詣の深い方々もいらっしゃることでございますし、客観的な立場からいろいろ御意見を賜ってまいりたいと思っております。  また、実際の運営面でございますが、御指摘理事につきましては増員をしておりませんけれども、これまでの体制の中で担当の方を決めていただいて、実際の事業の実行に支障のないような体制が組めるものというふうに考えております。
  39. 関山信之

    関山委員 大臣、これは最後にお答えいただけませんか。私、運営委員の方は、竹下流に言えば、これはまさに立派な立派な方たちばかりでございまして、そしてこれはNEDOのお仕事というより、大所高所から見ていらっしゃるという顔ぶれじゃないかと思うのですね。円城寺さんを中心にいたしまして、関西電力の会長、日本興業銀行の会長、東京工大の名誉教授、石油連盟の会長といったような方たちですから。  これは二名、どういう方を追加されるのかわかりませんが、私どもが心配をいたしますのはやはり理事会なんですね。ここは従来、石炭エネルギー関係を中心にしてやはり人選をされておるわけでございますから、当然科学技術ということになれば、それなりのプロパーの方たちを選んでいらっしゃるのかなと思います。個人個人の資格についてとやかく申し上げているわけじゃありません。しかし少なくとも事業の中身が変わっていけば、こういうものを例えば民間研究を委託をする、しかしその成果についてはやはりきちっと専門家の立場でこの成果の判断をする、追跡をする能力を持った方たちにお座りいただきませんと責任体制が保てないのじゃないか、こう思いますので、この新しい理事会の構成をどうなさろうとお考えになっているのか、最後に大臣にお尋ねをして質問を終わりたいと思います。
  40. 田村元

    ○田村国務大臣 実は私も、理事の数をふやすことは必要ないのかということを工技院長にも聞きましたところ、これで十分でございます、立派にやっていけます、専門的な方も十分に送り込んであるからということでございました。私は実務のことにつきましては素人でございますから、工技院長が大丈夫と言えば大丈夫と受けとめざるを得ないのでありますが、それはそれとしても、今後必要に応じて遠慮なく言いなさいよ、もし仮に、そういうことはないと思いますが、行政改革等を意識して実務に支障を来すようなことがあってはいかぬので、遠慮なく言いなさいよということは申してございます。
  41. 関山信之

    関山委員 終わります。ありがとうございました。
  42. 尾身幸次

    ○尾身委員長代理 水田稔君。
  43. 水田稔

    ○水田委員 今回の新しい法律案というのは、これまでの新エネルギー総合開発機構、NEDOにこういう新しい事業を追加しよう、こういうことでありますが、一つは、NEDOというのは一体どういう仕事をやっておるのか、簡単で結構ですが、それを御説明いただきたいと思うのです。
  44. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 当初、石油代替エネルギー技術開発を主として担当しておりましたが、その後石炭鉱業合理化事業それからアルコール製造事業と、以上の三つを実行している特殊法人でございます。
  45. 水田稔

    ○水田委員 この事業というのは、代替エネルギー開発というのは今日でも重要な我が国技術開発課題でしょうか、どういうぐあいにお考えでしょうか。
  46. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 御承知のように、我が国エネルギー基盤は極めて脆弱でございますので、代替エネルギー技術開発は今日でも非常に重要であるというように認識しております。
  47. 水田稔

    ○水田委員 そこで、このNEDOに追加する新しい事業というのは、具体的にはどういう性格のどういう事業でございましょうか。
  48. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 三つの事業を追加することを考えているわけでございまして、第一が研究基盤整備事業でございます。先端的な、かつ創造的な研究開発を行うために不可欠な大型の研究施設あるいは設備、そういうものを用意いたしまして内外の研究者に広く開放し共用に供するというふうなことでございまして、そのために研究基盤整備会社を設立し、それに対して本機構から出資をいたします。同時にまた、特に先端的高度な研究設備については、機構がみずからこれを整備いたしまして共用に供するというものでございます。  それから第二番目は、研究開発事業でございまして、国からの委託によって行われる大型プロジェクトあるいは次世代産業基盤技術、医療福祉機器技術開発、これらのうち今まで民間に委託しておった部分を主体に、研究開発を総合的、機動的に実施しようというものでございます。  第三番目が国際共同研究推進事業でございまして、生体機能及び物性機能の解明、それからそれらの工学的な応用等について国際研究協力を促進するために、国際共同研究チームに対する研究の助成を行うというふうなものでございます。  以上三つの事業を、今後ますます必要となってまいります基礎的、先導的分野における研究開発を充実するとともに、国際協力の観点から進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  49. 水田稔

    ○水田委員 それでは、これまでのNEDOの研究の対象とは質的には違うものだ、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  50. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 事業の中身は従来のものと確かに違う点はございます。ただし、研究開発事業につきましては、これまでエネルギー分野においてNEDOにおいては民間委託を含めまして十分な実績がございまして、そのような観点からすれば仕組みとしては非常に類似のものでございます。
  51. 水田稔

    ○水田委員 先ほどの関山委員の質問に対する答えも、どうしてもやはり納得できないのですね。本当のことは言われないのでしょうが、これは予算編成なりあるいは外郭団体をつくるときに、一つふやすのなら一つ削れ、やむを得ぬ、とにかくどこかへくっつけろ、こういうことになったのじゃないか。本来を言えば、通産省の基本的な研究開発というのは、筑波を中心にしたあのたくさんな研究所を持っておる、ここが基本でしょうね。それをこういうところへ持っていくというのは、どうしても私どもは、これからの技術立国ということでの研究開発ということでは、こういうことでいいのだろうかという疑問が残るということだけまず申し上げておきまして、あとそれぞれNEDOなりその他のいろいろな機関の研究開発等お伺いしながら、基本的な研究開発に対する取り組みの問題について伺いたいと思うわけです。  そこで一つは、六十三年度の予算を見ますと、石炭の液化とガス化、石炭エネルギー予算が昨年度に比べて三十億円少ない、こういうことになっておりますね。先ほど、代替エネルギー開発我が国にとって極めて重要な研究課題、こう言われたわけでありますが、これはもう既に研究の見通しが立ったからもう必要ないということなんでしょうか、どういうことなんでしょうか。
  52. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 確かに石炭の液化、ガス化の予算は六十二年度に比較いたしますと減少いたしておりますが、ガス化の方は余り問題がございませんで、御指摘の減少は、石炭液化の予算が六十二年度の百四十二億円に対しまして九十九億円になっておるということが影響いたしているものでございます。私ども、石炭の液化技術は、今後需要の増大が予想されます特に輸送用の液体燃料の安定供給に寄与するものというぐあいに位置づけておりまして、いずれ二十一世紀には大きな役目を果たすものではないかと考えております。  現在、サンシャイン計画におきまして、一つは日豪協力プロジェクトという位置づけになっておりますけれども、褐炭の液化技術に取り組んでおります。もう一つは、歴青炭の液化技術に取り組んでいるわけでございます。このうちの歴青炭の液化技術につきまして、六十三年度予算でかなり予算の圧縮を行っているわけでございまして、前年度の五十七億円が二十六億円になっております。最近の円高あるいは原油安によってもたらされました石特会計の非常に苦しい財政事情といったようなものを踏んまえまして、一つは開スケジュールを見直しております。終了年度を六十九年度から七十二年度にずらしているわけでございます。もう一つはプラントの規模の見直しを行いまして、従来の二百五十トン・パー・デーを百五十トン・パー・デーに縮小したというような調整を行っておりまして、それが影響しているものでございます。  しかし、先ほど申し上げましたような位置づけは基本的には変わらないと思っておりますので、今後とも着実に取り組んでいくという姿勢は変えていないつもりでございます。
  53. 水田稔

    ○水田委員 姿勢は変わらぬけれども金は減らす、だんだん繰り延べにしていくということは、姿勢としては後退した、だれが見てもそうとれると思うのですね。これはまた後でまとめて申し上げます。  そこで二番目には、風力発電というのもローカルエネルギーあるいはまた太陽エネルギーのリサイクルするエネルギーとして研究されておるのですが、これは日本では実用化できないのですか。
  54. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 御指摘のとおり、風力発電につきましては欧米では実用の域に達している例もあるわけでございます。特に、米国のカリフォルニア州におきましては一万四千台の風力発電機が動いておりまして、合計出力が約百二十万キロワットに達していると承知をいたしております。  そういう観点から日本でも注目をいたしているわけでございますけれども、地域地域におきまして風の状況といいますか、風速とか風向きの変わり方とか、こういった状況の違いがあるわけでございます。特に、日本におきましては風向きの制御技術というものが非常に大きな課題になっていると承知をいたしております。このため、これも現在サンシャイン計画におきまして積極的に技術開発を進めているわけでございます。サンシャイン計画の方では、メガワット級の大型の風力発電システムに取り組んでおります。それから、ローカルエネルギーということになろうかと思いますけれども、百キロワット級の小型のものにつきましては、民間企業研究を助成するような仕組みも用意をいたしているわけでございます。大規模なものはまだ実用段階は至っておりませんけれども、小規模なものにらきましてはローカルエネルギー対策の一環ということで、その導入に対しましても適時助成を行うというような取り組みをいたしているところでございます。
  55. 水田稔

    ○水田委員 日本技術で実用化できるところまでいっている研究は、これはNEDOで研究しているわけですね。技術的に風向きのコントロールにまだ問題があるのですが、研究開発は終わっておるのか、あるいはそれができてないから日本で実用化できないのか、あるいは研究開発はできておるけれども政策的にそれを進める手だてをしてないから日本ではやらないのか、どういうことなんですか。
  56. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 日本で実用の域に達しつつありますものは小型のものでございまして、これは民間企業等の開発努力を補助金等で助成をしたものでございます。メガワット級の大型のものにつきましては、御指摘のとおり現在NEDOで積極的に取り組んでいるわけでございまして、今後とも鋭意努力が続けられていくものと承知をいたしております。
  57. 水田稔

    ○水田委員 長官も御承知と思うのですが、アメリカの風力発電のペラは日本からどんどん輸出しておるわけです。そういうことをしながら、日本ではエネルギーの大半は輸入ということでやっておりながら、現実にそこまでのことを、日本で輸出しながら日本ではなかなか実用化しないのは、NEDOの研究開発よりむしろエネ庁の施策の問題という感じがして仕方がないということを申し上げておきます。  それから次に、NEDOの理事長おいでいただいておりますね。アルコール事業本部が研究をしております燃料アルコールの問題をちょっとお伺いしたいと思うのです。  今研究がどこまで進んでおるのか。これはでん粉を使うやり方もあれば、新しい研究開発ではセルロースから直にアルコールという菌を見つけることは、NEDOもそうですし、また農水省の方も菌を見つけておるということですが、こういう研究がどこまで進んで、今やるとしたらエタノールはコストはどのくらいでできるのか、お伺いしたいと思います。
  58. 松岡實

    松岡参考人 NEDOの理事長の松岡でございます。  お答えいたします。  燃料アルコールは、糖分とかでん粉、セルロースなどの再生可能な資源を活用して、石油に直接代替できる液体燃料として期待されております。NEDOにおきましては、従来アルコール発酵に使われていた酵母にかえまして、昭和五十八年度からバクテリアを用いてセルロースから効率よくエタノールを製造する技術開発に取り組んでおります。現在すぐれたバクテリアの検索、育種、フラッシュ連続発酵などの技術に取り組んでおり、六十五年度までに小規模なテストプラントを開発する予定でございます。正直申しまして、まだ技術的な可能性を研究開発するやや基礎的な段階でございまして、まだこれが十分経済的な情勢で燃料用アルコールになるという段階に至っておりません。
  59. 水田稔

    ○水田委員 燃料アルコールじゃなくてアルコールを専門につくられておるわけですが、現在のいわゆるセルロースではなくて、でん粉のある糖みつ等を使ってのエタノールアルコールの原価が一リッター当たり幾らになるか。  それからついでに、ついでというと語弊がありますが一緒に、先ほどの風力発電についてNEDOとしては実用化のめどをどこら辺に置いて今研究をされておるのか、その二つの点をお答えいただきたいと思います。
  60. 松岡實

    松岡参考人 現在製造いたしております発酵用アルコールの原価につきまして、今ちょっと手元にございませんので、後ほど御報告さしていただきます。  後の御質問の風力の技術開発の現状でございますが、NEDOはこれまでに百キロワット級のパイロットプラントを開発いたしまして、五十八年度から三宅島において運転研究を行いまして、一応運転は六十一年度は終わり、その後解体研究を行って終了しております。また、次の大型化を目指しましてメガワット級のステップに現在研究が入っておりまして、羽の軽量化とか制御の簡素化など要素開発を実施しております。今のところ、経済性が得られる見通しで研究開発を進めておりますが、現在は要素研究段階でございます。
  61. 水田稔

    ○水田委員 見通しはいつぐらいということに考えたらいいですか。
  62. 松岡實

    松岡参考人 ただいまの目標といたしまして、六十五年ごろに研究を終了する予定でやっております。
  63. 水田稔

    ○水田委員 ありがとうございました。  そこで、これは通産省の方で、アルコール燃料を使用する自動車の開発及びそれの使用というようなことはついて、今どういうぐあいに進んでおるか伺いたいと思います。
  64. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 ただいまの御質問は、メタノールに関する御質問かと存じます。現在メタノールにつきましては、輸送用燃料としての技術開発と発電用燃料としての技術開発を行っているわけでございます。このうちの輸送用燃料としての技術開発がただいまの御質問にお答えすべきものでございますけれども、現在、財団法人石油産業活性化センターにおきましてこの研究開発に取り組んでいるところでございます。  今後メタノールを自動車用燃料として使ってまいります際に、基本的に大きな問題といたしましては、ガソリンとある程度まぜて使うか、あるいは全くガソリンあるいは軽油等とまぜないで使うかというような大きな課題があるわけでございます。そういった観点から、一つは燃料規格にかかわる試験というものを実施をいたしております。それから次には、燃料の供給、流通対策についても検討いたしております。さらに、十分燃え切れなかったメタノールの環境面への対応というようなものも検討いたしておりまして、六十三年度から総合的なフリートテストの開始をするというようなスケジュールを組んでおります。基本的には、液体燃料の重要な供給源のつりと考えておりますので、積極的に取り組んでいくという考え方でございます。
  65. 水田稔

    ○水田委員 、言葉で積極的ですが、六十三年からというのは、本当を言えば今までにやっておかなければならぬので、私どもが聞いておるのは、自動車産業でも既に数年前からアルコールエンジンの開発、いわゆる素材の問題、材質の問題等の研究は進めておるし、あるいは部品メーカーでもそういう点のアルコールによる変質という問題を研究されておるわけです。しかし、六十三年からというのは大体遅過ぎるし、いつをめどに、開発の終期をどこに置いておるのか、お答えいただきたいと思います。
  66. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 現在やっております研究開発は、昭和六十年度から六十五年度までの六年間にまたがりまして実施をいたしているわけでございます。  なお、今フリートテストを行うと申し上げましたが、これは路上での実際の走行でございまして、研究所内のテストコースでの走行テストというものは既に行っているわけでございます。現在の目標といたしましては、繰り返しになりますが、六十五年度を目標年度に置いているわけでございます。
  67. 水田稔

    ○水田委員 これは通産省に聞くのはちょっとどうかと思いますが、しかし通産省の見解も聞いておきたいのですが、大都市部における環境基準の問題では、NOxが幾らやっても環境基準をオーバーするということで環境庁はそれなりの検討をしておるようでありますが、これはもちろんアルコール燃料の場合にアルデヒドの発生という問題もあります。それをクリアしなければならぬという問題はありますが、NOxの点では、これはディーゼルエンジンの代替にすれば、そういう意味での効果というのも大変期待できるわけです。そこらあたりというものをどういうぐあいに念頭に置いておるのか、置いてないのか。単にエネルギー事情だけからくるアルコール燃料の自動車ということを考えておるのか、そこらあたり通産省自身として、これは発生源の方を押さえている省庁ですから、その点は環境問題についてどういう御見解を持っておるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  68. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 ただいま御指摘の点も当然念頭は置いているわけでございます。このメタノール自動車ももちろんでございますが、それ以前から取り組んでおります電気自動車につきましても、いわゆる自動車公害と申しますか、自動車走行に伴います環境への負荷の軽減という観点が極めて重要であるという意識を持っておりまして、液体燃料の多元化とそれから自動車走行に伴います環境への負荷の軽減、この二つの観点を並行して打ち立てながら取り組んでいるつもりでございます。
  69. 水田稔

    ○水田委員 先ほどちょっと、ガソリンと混合して使うか単独で使うかというようなお話もありましたが、むしろエマルジョンにして使うというのは難しいと思うんですね。今、答弁はメタノールが中心ですが、NEDOの研究をしているのはエタノールなんですね。私は、一つはアルコールを使う場合に、メタノールは非常に値が下がってしまっている。エタノールをつくれば、今大変高いものになる。しかし、全部をするのではなくて、例えばこういう計算をしてみたらどうですか。走っておる自動車の一割をアルコール燃料に変える、そしてその中の一割を日本でつくる、九割は輸入する。そうすると、例えば非産油国であるところから粗製アルコールで輸入するのか、あるいはまたタピオカのようなもので向こうから輸入するとか、それは東南アジアの国との貿易収支が改善され、向こうの開発にもつながるわけですね。ですから、一つはセルロースからというのは、まだ効率の点からいって菌がそこまでの能力がないものですから、大分時間がかかるだろうと思うんですね。ですから、いわゆる合成のメタノール、さらに輸入のメタノール、そしてこれはエタノールと混合しても構わぬわけですから、国産のエタノールが高いものについても。そして、ガソリンの値段の大体半分じゃないと、カロリーが半分ですからね。そういう計算をしながら、一日も早い例えばアルコール燃料の自動車というのを実用化していくということも、我が国の石油の需要を減らすという点からいけば、これは大きな課題であります。  ですから、NEDOの仕事としても大変大きな仕事だろうと思うんです。私、今NEDOと申し上げましたのは、いずれにしても、例えば我が国エネルギーをほとんど輸入で大変だ大変だ、そして何か口を開けば、エネ庁は備蓄はそのために最優先、こう言うのですね。ここへなぜもっと金をかけ人をかけてやらぬのか。例えば国産のアルコール燃料は、太陽エネルギーのリサイクルする燃料ですから、これは永続的に国内で生産することができる。風力発電でもそうでございます。石炭はもちろん輸入が多いわけでありますが、これは賦存率が一番大きくて安定的な、ホルムズ海峡を越えないで分散した地域から国内に輸入できるエネルギー、それを一つの柱にするというのは大事なことであります。  ですから、NEDOの仕事というのは、予算を減らされて、気持ちだけは積極性を持っておると言いながら実際にはおくらされるわけですから、NEDOの大事さというものを考えるならそれに専念さして、予算もつける、人もつけてもっとやれ、こうやるのが本当で、違うものを持っていって、先ほど関山君の質問にもありましたように、理事も置かぬで、それでまた今の理事がその問題を面倒見るということになれば、NEDOの力を分散することになるわけですね。だれか理事が担当しなければ、担当しない事業はないですから、そういうことをさすということは本来すべきでないじゃないか。もっとNEDOには、代替エネルギー開発の問題で一日も早い実用化ができる、そういう体制をとるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  70. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 代替エネルギーあるいは新エネルギー研究開発につきましてのただいまのお励ましは、私どもも大変ありがたいお言葉として受けとめております。  確かに、最近におきましては石特会計の事情が苦しいものですから、予算面で必ずしも完全に十分な額を計上しているとは言えないかもしれないと思っておりますけれども、しかし先ほどから申い上げておりますように、着実に取り組んでいるつもりでございまして、例えば石炭液化につきましても、五十四年度から六十三年度までの十年間千五百四十四億円の予算を計上いたしているわけでございます。またメタノールにつきましても、これは今ちょうど先生から御指摘がございましたけれども、今後アセトアルデヒド等の排出に対する対応、それからメタルリセッション等に対する対応等々の問題がございます。それからニートかブレンドかという問題につきましても、なお詰めるべきところがございましていろいろと取り組んでおりますけれども研究の性格がそういうことでございますので、年間大体五、六億円くらいの予算を計上しながら推進をいたしております。私どもは、これは是が非でも積極的に推進をしていかなければならないと思っております。  なお、今回のNEDOの新業務の追加につきましては、産業技術研究開発一般の中に、例えばバイオテクノロジーでございますとかあるいは新素材でございますとか、あるいはさまざまの新しい触媒でございますとか、こういった分野エネルギーと密接不可分といいますか、エネルギー分野でも積極的に活用できるものがたくさんあるわけでございますので、いわば相互に補い合いながら一層効果を上げていくというような成果を期待いたしているわけでございます。
  71. 水田稔

    ○水田委員 これだけ申し上げておきます。今から四十数年前に日本はアルコールで飛行機を飛ばしたのです。これはメタノールとエタノール混合でですね、飛行機が飛ぶんですよ。地上を走る車なんというのは大したことないと言うと怒られますけれども、それが四十何年かかってなお実用化できない。そして、NEDOができて何年になりますか。そこはセルロースからのアルコールを研究しておるのですが、通産省としては、これだけ環境問題がやかましくなって、しかも大都市部が大きな工場がないのにもかかわらず環境基準をオーバーする。それはNOxなんだ。何をしたらいいかわかっているんですね。それができないというところに今の政策的なおくれがある、私はそういうぐあいに思うわけですから、これは意見として申し上げておきます。これは私が自分で飛んだのですから、アルコールで戦争末期ずっと飛んでおったわけですから、そんな自動車を走らすことは問題ない。ただ、その中で何が問題かということを知っています。それが日本科学技術で四十年かかって解決できないというばかな話はないということを、ちょっと余談ですが申し上げておきます。  そこで、先ほど関山君の質問にもお答えがありましたが、今度提案されておる三つの事業というものは、基礎応用開発という三つの分類があるんですが、その中では、これは基礎分野考えてよろしいですか。
  72. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 基礎応用開発の仕切りは必ずしも明確でない点がございますけれども、全般的には基礎的あるいは先導的な研究の充実を目指したものであるというふうに私ども考えております。
  73. 水田稔

    ○水田委員 そこで、研究開発が大事だということで、工業技術院の傘下に十幾つの研究所がありますが、筑波だけで九つありますね。これは近々新しい体制に見合うように組織改編をやる、こういう報道もあったわけですが、これはどういう趣旨なんでしょうか。  それからもう一つは、例えば無重力の実験等というのはまさにこれからの基本的なもの、だから本来言えば筑波の研究所の改編の中でそういう分野の新しいものをどこかの研究所へつけて、その傘下でやるという方がむしろすんなりとした普通の考え方じゃないかという気がするわけですね。筑波の改編というのは一体どういう考え方でやられるのか。  それから、ここで提案されておる問題が、融資とか金の問題は別として、なぜできないのかということをお答えいただきたいと思います。
  74. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 最初の御質問の工業技術院傘下の研究所の改編でございますけれども昭和六十三年度は、一部報道されておりますが、筑波所在の九つの研究所のうち七つの研究所のそれぞれにつきまして所内の再編成を行いまして、合計で四十二の研究部が刷新されることになっておるわけでございます。例えば電子技術総合研究所におきましては、バイオコンピューター等の研究を主体に進める超分子部というものを創設することになっております。今回の機構改革は、従来に比べてより一層基礎的な研究分野へ重点を移行いたしまして、時代の要請に一層適合した体制の確立ということを目指したものでございます。今後これらの機関が、国立研究所としての基本的な使命と私ども考えております先導的、基礎研究開発を積極的に推進いたしまして、独創的な研究開発の中で中心的な役割を果たしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  先生の御質問の第二点は、研究基盤整備事業についてかと思います。これらを国立研究機関自身が行うことについては問題がございます。と申しますのは、もしこれらを国で用意をいたしまして国有の財産ということになりますと、それらを一般の共用に供するというふうなことは困難がございます。また、非常に高度なそれらの施設を実際に管理運営し、かつサービスを行うということは、国立研究機関の使命からいたしますと運営が非常に難しゅうございますので、むしろ第三セクターのような民間の活力を利用して進めてまいる方が適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  75. 水田稔

    ○水田委員 例えば、無重力の実験というのは通産省はもうやらないわけですか。やるのでしょう。これから一番大事なところじゃないですか。
  76. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 新素材の開発あるいはバイオテクノロジーの応用等におきまして、無重力環境を使うということは非常に有望な一つの方向であろうかと思いますので、私どもも使ってまいりたいというふうに考えております。  なお、例えば第三セクターで用意をいたしました研究基盤施設あるいは設備につきましては、私ども国立研究所も使うということになろうかと思います。
  77. 水田稔

    ○水田委員 これは関山委員の質問とも重複するわけですが、人数が十七人で大変な新しい分野をやるというのです。しかも役員がおらぬということは、決定的にNEDOの中でも問題になるだろうと思うのですね。先ほども、十分でないけれどもこれでやらざるを得ない、こういう御答弁があったようでありますが、やはりこの点では、これだけの事業をやる責任体制と十分に成果の上がる体制をとってもらわなければならぬと私は思うのです。  この点は大臣からお答えいただきたい。私は本来、こういう形を認めたくないのですけれども、これでやらざるを得ぬというのならその点だけははっきりしておいていただきたい、こういうように思います。
  78. 田村元

    ○田村国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたが、ちょっと具体的なお話でございますので、新たな業務を行うために新エネルギー産業技術総合開発機構の本部に定員十七名の産業技術研究開発部を新設する予定でございます。  私は、たった十七名でこのような事業を効率的に行うことができるのかと実はさっき院長に聞いたわけでございますが、厳しい行政改革の制約の中で最も効率のよい体制で業務を行っていく所存でございます、機構においては事業実施のための事務を行うこととしておりまして、個々の事業の構想、立案は工業技術院において行うために、とりあえず昭和六十三年度においては十七名の体制で事業の遂行が可能であると考えております、今後とも事業の進展に応じた要員の確保を図ってまいる所存でございますので大臣にもよろしくお願いいたします、こういうことでございました。こういう人間の問題はなかなか簡単じゃないから遠慮なく言えよ、場合によっては私が直接その筋へ交渉してあげるからということを言い渡してございます。
  79. 水田稔

    ○水田委員 工業技術院院長、大臣がああ言われるのですから、私どもはどう見ても、本気でこれからの創造的、独創的な科学技術の発展を期するためにはこれでは不十分だ、こう思っておりますので、そういう点ではぜひ体制を整えるようにしてもらいたい、こういうぐあいに思います。  科学技術庁おいでになっておりますか。それでは、二つ一緒にお伺いしたいと思います。  一つは、先ほども関山委員の方からちょっと出ましたが、科学技術庁も地下無重力実験施設を持つ、まだ予算とかは通ってないようですが、その計画はお持ちですか。  それからもう一つは、きょう初めて設計上の四百六十メーターの滑走で各務原で離陸をするそうでありますが、STOL飛鳥の開発はこれまで幾らの研究開発費を使って、実験はどこまで進んで、大体いつ終わるのか、その後どのようにこの開発された技術科学技術庁としては利用される、生かしていくお考えか、伺いたいと思います。
  80. 青江茂

    ○青江説明員 お答え申し上げます。  まず、無重力の落下施設についてでございますけれども科学技術庁におきましても、本施設の特質といいましょうか、そういうことに着目をいたしましてプロジェクトを推進中というところでございます。現在のところ、この施設を利用して行います実験のテーマでございますとかシステムの概念、それから施設の運営のあり方といったことを詰めつつあるところでございますけれども、その辺の前提といたしましては、私どもは例えば非常に安価に繰り返し行い得るというあたりを中心にねらいまして、それからいたしますと、自由落下の距離からいたしましても例えば百メートルであり五秒程度、こういったものを前提にいたしまして今概念を詰めつつあるといった段階でございます。  それから、第二点目のSTOLの状況でございますけれども、本件につきましては、五十二年度からファンジェットSTOL機に関しましての必要な各新技術といったものの確立を図るための実験機の開発、それから飛行実験を中核といたします研究開発というものを進めてきておるところでございますが、それによります飛鳥によりましての飛行実験が今実験最中ということで、今御指摘の短距離での離陸は昨年の十月に成功してございますが、まさに本日、実着陸という実験を行おうというところでございまして、今、場合によりましては成功しているかもしれないという状況でございます。  これにつきましての今後でございますけれども、これまでに得られました各種データ、これは膨大なデータになるわけでございますが、そのデータベース化を図りつつあるということをもちまして、そのデータをこれからの航空機の開発等に御利用いただけるように、多くの皆様方にデータアクセスが可能なようにということで整備中でございまして、その活用を期待しておるところでございます。六十二年度までに本研究開発に要しました費用は、合計三百五十五億でございます。  以上でございます。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 水田稔

    ○水田委員 通産省にお伺いしますが、科学技術庁も無重力の実験をやられるのです。通産省もやる。通産省は北海道、科学技術庁は岐阜、こういうことのようですが、通産省は八百メーター、科学技術庁は二百メーター、実験の内容なんかは違うのでしょうか。その点はどうですか。
  82. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 私ども計画しておりますものは八百メートルでございまして、自由落下時間がほぼ十秒でございます。科学技術庁の構想を伺うところによりますと五秒程度でございますので、五秒と十秒との違い、少ないようでございますが、私どもとしては五秒ではできない純粋結晶の成長あるいは新素材の開発のための例えば合金を試作するというような仕事が、より広い範囲でできるというふうに考えております。
  83. 水田稔

    ○水田委員 STOLの研究開発について、通産省としてはこれまで科学技術庁とどういう——これはいわゆる短距離での離着陸の航空機の開発、いよいよ航空機を開発するとなれば、それは通産省仕事であります。その点で、これまでも相当の行き来があって検討されて、ここで開発した技術を、六十三年で一応試験飛行も終わることになっていますね。今からそういう話が、科学技術庁通産省の間でデータをどういうぐあいにもらってどういうぐあいに使うとか、あるいはそれはだめだとかいうことが検討されておると思うのですが、通産省はどういうぐあいにこれまでアプローチをされてきたのか、伺いたいと思います。
  84. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 STOL飛鳥につきましての実験の状況は、先ほど科学技術庁の方から御報告があったとおりでございまして、ちょうどきょうはその着陸実験ということで、けさから大分報道等もなされていることは私どももよく承知しているところでございます。この飛鳥の実験の特色というのは、新しい高揚力技術開発あるいはコンピューターによります飛行制御技術開発、さらには高精度の操縦方式といったようなさまざまな新しい技術開発をいたしてそれを実証するというところにあるわけでございまして、これまでも実験が進行するにつれまして入ってまいりますさまざまなデータにつきましては、私どももいろいろそれに今接しているところでございます。  この実験機によって得られました新しい技術情報をどうするかということでございますけれども、現在は実は民間の専門家の方々に集まってもらいまして、そのデータの分析をいたしているわけでございます。具体的に申し上げますと、日本航空宇宙工業会の中にSTOL委員会というものがつくってございまして、これには科学技術庁の航空宇宙技術研究所の方あるいは航空機メーカー、さらにはユーザーでありますエアラインの人たちが加わってその情報の検討をいたしていただいておりますけれども、さらにオブザーバーといたしましては、私どものほかにも科学技術庁あるいは運輸省からも参加をしていただいておりまして、情報の分析をいたしているわけでございます。現時点におきましては、この委員会は六十二年からスタートしたところでございまして、現在もどんどん入ってまいっております情報の分析を幅広くいたしているところでございます。
  85. 水田稔

    ○水田委員 基盤技術センターの理事長、おいでになっていますか。基盤技術研究促進センターが設置されたのは昭和六十年の四月、この委員会民間の基盤技術の向上を図るために法案が可決、成立したわけでございます。ところが六十二年度、新年度に当たって、今は全部解消しておるようでありますが、融資先が決められないで八月の末に公募が延びたために、これに参加して継続研究をしているところに大変支障を来した、その間資金のつなぎができぬものですから、銀行から借り入れを行ってやったということが報道されておるわけでありますが、一体こういうことがなぜ起こったのか、理事長の方からお答えいただきたいと思います。
  86. 齋藤太一

    齋藤参考人 六十二年度の新規の募集でございますけれども、これは年度当初の事業のスケジュールの予定におきまして、上半期におきましては、既に採択をいたしております昭和六十年度あるいは六十一年度の案件の継続事業につきまして、その唯捗状況等の審査等を行いまして継続事業を進めていくための資金の交付をするという仕事考えておりまして、新規の事業につきましては、年度半ばに募集をいたしまして、それから慎重に検討をして年末あるいは年明けほ最終的に採択を決定する、こういうふうな年度当初からのスケジュールでございました。  ただいま先生からお話のございましたお話は、既に六十年度、六十一年度に採択をいたしましたものにつきましての継続事業資金の交付が八月ごろまでずれた点ではないかと思うわけでございますけれども、この辺につきましては、六十二年度はまず五月二十日まで暫定予算でございましたので、本格的な六十二年度の資金交付の検討はその後になったわけでございますが、各社の今年度におきます所要資金が当センターの予算を上回っておりましたために、各社の予定しておりました研究計画予算の中におさめますために一部計画の繰り延べをお願いしましたり、その他支払いを若干リース的に何回かに分けて支払うとかといったような資金計画の手直しを各計画ごとに研究会社の方にお願いをいたしまして、そういったことの調整のために手間取りまして第一回の資金の交付が八月になったわけでございまして、おくれました点は大変反省をいたしておるところでございます。それで、第二回の出資を九月に行いまして、さらに第三回の出資は現在行っておる最中でございまして、第二回以後はスケジュールどおりに進んでおるというふうに考えております。
  87. 水田稔

    ○水田委員 昨年のものは、実際の決定はことしの三月三日ですね。大変なおくれようなんですが、その原因は今お答えになったこと以外に、このセンターが通産省と郵政省の共管、さらに申請の内容についての大蔵省のチェックが横から出てきておくれてくる、こういう図式ではないのですか。
  88. 齋藤太一

    齋藤参考人 六十二年度の新規の採択の審査でございますけれども、御承知のように、採択をいたしますと、出資の場合には今年度から最長七年間継続して毎年その研究に投資をしてまいることになります。それから、融資の場合でございますと、最長五年間年々継続して出さなければならない、こういうふうなことになっておりますので、今年度の資金所要額だけでなくて、ことし採択します分につきましては今後七年あるいは五年間の資金がどういうふうになるかということの検討が必要なわけでございます。同時に、六十年度あるいは六十一年度に採択いたしました分の後年度負担も、ことし、来年、再来年と研究がピークになってまいりまして重なってまいりますために、非常に所要資金が大きくなってまいりまして、そのための後年度負担の見通し等につきまして、関係省庁といろいろと検討協議を重ねておりましたために若干時間がおくれた、こういう事情でございます。
  89. 水田稔

    ○水田委員 この法律がこの委員会で採決された際、「いやしくも、縦割り行政の弊害が生じないよう対象案件の重要性に即した効率的な資金配分に配慮すること。」こういう附帯決議をつけておるわけですね。理事長の立場からは、共管のためにやるというようなことは答弁できないだろうと思うのです。現実には利用する側から言えば、大変な弊害が生じておったことは事実ですね。それから、その上内容について大蔵省のチェックも、さらに共管の上に金を出すということで大蔵省が口を出すという問題がある。  これは通産省にお伺いしたいのですが、やる以上はこの附帯決議にあるように、そういうことのないような運営ができるような何らかの手だてを講じなければ、これは今後もやはり続いていくと思うのですね。両方から取り合いですから、出すものが違うわけですから、通産省側のものと郵政省側、全然違うものを出してきて枠の分捕り合いになるわけですから、そういう当初心配されたことがここでは明らかに出てくると我々は思わざるを得ないわけです。通産省の方でこういう点について、そういう弊害をなくするためにどういうことをされるのか、伺いたいと思うのです。
  90. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 ただいま齋藤理事長が御説明しましたような経緯によりまして、これまでの決定につきまして若干おくれがあったことは事実でございますが、今後は関係省庁と早目に十分協議をいたしまして、そのようなおくれの出ないようにしてまいりたいというふうに思います。
  91. 水田稔

    ○水田委員 それでは、外務省おいでになっていますか。今、日米科学技術協定の改定交渉が行われておるわけでございますが、なかなか難航しておる、こう聞いておるのです。これはアメリカ側が、従来のままであれば暫定で延びておるのと一緒でそのままいくわけですが、どういう変更を求めておるのか、お伺いしたいと思うのです。
  92. 法眼健作

    ○法眼説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、日米科学技術協力協定の重要性というものは、先般の日米首脳会談でも認識が一致したところでございまして、私どもとしてはかかる認識を踏まえまして今一生懸命やっておるところなんでございますが、何分交渉中でございますので、交渉内容の詳細について申し上げることは差し控えさせていただきたいわけなんでございますが、協力の拡充強化ということをこれから図るというための適切な枠組みをつくるために、協力強化のための一般原則をどういうふうに織り込むか、それからその協力活動にかかわる知的所有権の保護等の問題について、今詰めた話し合いが行われておるところでございます。  今週も日本から外務、通産、科技庁等の関係省庁の代表団がワシントンに出かけておりまして、現在まさに交渉が行われておるわけでございますが、ただいま申し上げました以上詳細に申し上げられないのはまことに申しわけないのでございますけれども、今申し上げた今後の適切な枠組みをつくること、強化のための一般原則をどうやって盛り込むか、それから知的所有権の保護等の問題、こういった問題について今詰めを行っているところでございます。
  93. 水田稔

    ○水田委員 もう一つ、日米相互防衛援助協定に基づく日米特許技術協定の附属文書の実施細目についても交渉を行っておると聞いておるわけですが、この点はどういうことが行われておるわけですか。
  94. 岡本行夫

    ○岡本説明員 昭和三十一年に、防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識交流を容易にするための日本政府とアメリカ合衆国政府との間の協定というやや長い名前の条約がございます。これは国会で御承認をいただいているものでございますが、この協定の第三条におきまして、米国で秘密に保持されております特許の出願につきましては、一定の手続のもとに我が国におきましても米国における取り扱いと類似の取り扱いをするということになってございます。具体的には、米国で秘密保持の対象となっております特許の出願につきましては、米国の秘密保持が終わるまで我が国におきましてもこれを公開しないということでございます。この条項はこれまで実施されずにまいったわけでございますけれども、現在、その実施のための手続の細目について事務的な話し合いを行っているところでございます。  その内容につきましては、前の答弁者と同じになって恐縮なんでございますけれども、今話し合いを種々行っておるところでもございますし、御容赦いただきたいと思います。
  95. 水田稔

    ○水田委員 特許庁、おいでになっていますか。そういうことをやれば戦前の秘密特許制度の復活につながるのではないかというぐあいに思うのですが、いかがですか。
  96. 小川邦夫

    小川政府委員 戦前の特許制度と申しますと、これは日本の国内の企業、個人も含めて出願されたものについて、軍事上の目的から秘密に保持する必要があるものは秘密指定をするという仕組みでございましたが、先ほど外務省から御答弁がございましたいわゆる五六年協定と私どもが申しております協定というものは、そういう戦前の秘密特許制度のような一般的な秘密特許制度ではございませんで、先ほど同協定三条の説明としてありましたように、アメリカで秘密保持された発明が一定の手続で日本の特許出願においても公にしないという限定された範囲内での秘密をかける仕組みである、そういう意味では戦前の秘密特許制度のような一般的な秘密特許制度の復活ではないと理解しております。
  97. 水田稔

    ○水田委員 通産省へお伺いします。  交渉中ですから外務省は言わないと言うのですが、これは一般に報道されており、恐らくこういうことではないかと考えられます。この中には極めて重要な問題が含まれております。一つは知的所有権の保護の強化という問題、属地主義の変更という問題、これは共同研究の場合に影響するのです。それからもう一つは安保条項の新設、いわゆる秘密特許につながるものでございます。  これは交渉とは無関係に通産省として、我が国の戦後の技術開発が民事を中心にして公開の原則を堅持してきた、そういう中で今日の科学技術の発展があるわけですね。そういう点からして、交渉は論外として、私が今申し上げた例えば二の属地主義の問題、これの変更は相互研究のあり方が大きく変わるわけでございますし、また安保条項が入るということはまさに我が国の公開の原則、今日の科学技術の発展の基盤を揺るがすことになる。この点については外務省が交渉しておるのですが、通産省は、例えばこういう条項がもし入るとしたならば、これは許してはならぬことでありますが、今のことに対する通産省の見解は、それは交渉だから仕方がないというのか。我が国産業あるいはこれからの技術発展を図っていくという点からは、この点は守らなければならぬという御見解があれば聞かしていただきたい、こういうぐあいに思います。
  98. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 先ほどから外務省からも御答弁ございましたように、内容については申し上げられません。  今先生の御質問の一つは、安保条項について、仮にそういうものが入った場合、あるいはそれについてどう考えるかということにつきましては、通産省研究開発は従来平和目的でやっておりますし、それを原則公開するということでやっております。その意味で、私どもとしては今後とも極力成果を公表していくという方向で考えたいと思っておるわけでございます。  それから属地主義の問題につきましては、現在、共同研究を行った場合あるいは研究者が外国へ行って研究した場合、一部その研究者がその国へ帰った場合、その国についての例えば発明、特許についての権利を有するというのが一般的な慣行でございます。それについては、実際問題では実際の研究所との契約でその権利を放棄する場合も一部ございますが、実際問題としては、原則としては現時点では純粋な属地主義というふうにはなっておりません。今御指摘の純粋な属地主義、仮にそういう議論についてはどうかということでございますが、私どもとしてはその点については、国家公務員の場合は、国有財産あるいは国家公務員法上の規定との関係等大変難しい問題がございまして、今後検討しなければいけない問題だと思っておる次第でございます。
  99. 水田稔

    ○水田委員 私は、公開の原則、そして日本が平和目的研究開発で今日の科学技術の発展を来した、このことは大事にしなければならぬ。今の答弁で、極力という言葉を使われるのですね。外交交渉の中でやられたら仕方がないというニュアンスがそこには読み取れる。あるいはまた、国家公務員だから云々ということではなくて、国家公務員であろうと民間であろうと、アメリカとの関係、条約で決まれば、それは属地主義なら全部向こうへ差し上げますということになるのですよ。ですからその点では、今の交渉がどうこうと外務省は言わないのですからいいですが、例えばの話そういうことが起こるのであれば、通産省としては断じてそれはやらしてはならぬ、それが基本的な立場だろうと思うのです。  これは大臣、日本のこれからの創造的科学技術の発展のための極めて基本的な条件が崩される、アメリカの技術の中に日本の先端の技術が全部取り込まれて自由に使えないということになりかねないですね。そういう政治的に大変重要な意味を含んでおりますから、外務省の交渉は別問題として、私が申し上げた、三つありますけれども二と三ですね。一は交流の問題ですから、これは六十三年度からふやしていこうということですからそれほど問題はないのですが、二の属地主義の問題、それから安保条項の問題というのは、いわゆる日本科学技術の点では極めて重要、譲ることのできない問題と私は思うのですが、通産省はいかがですか、再度お答えいただきたいと思います。
  100. 田村元

    ○田村国務大臣 今の総務部長の答弁は、私聞いておりまして、率直に言って勇気ある答弁だったと思います。非常に明確に通産省考え方を述べたわけであります。その通産省考え方をも踏まえて今外交交渉が行われておるということでございますから、通産省答弁として、これがだめならもうぶっ壊しだという答弁は僕はできないと思うのです。でございますから、今公開の原則にしても属地主義の問題にしても、総務部長が役人としては非常ほ明確に物を言ったということでございますので、この我々の考え方を踏まえて外務省は一層の強腰の外交交渉をやってもらいたい、これが私の気持ちでございます。
  101. 水田稔

    ○水田委員 日本の外交交渉、外務省がやるのですが、こういう問題については通産省科学技術庁というのはまさに国内の科学技術についての責任を持たなきゃならぬ省庁でございますから、その点では単は外務省に向こうとの交渉を任すのじゃなくて、一体になって通産省の意向が反映するということでぜひ努力してもらいたい。答弁は結構ですから、そういうぐあいに申し上げておきます。  そこで、いろいろ申し上げたのは大臣お聞きいただいたと思うのですが、一つは、今度のNEDOにこれをくっつけるという問題も、新しく本当に必要ならそれをつくったらいいのですよ。これは重要なんです。それをくっつけなければならぬというのは、行政改革で一つふやすのならどこか減らせ、減らすところがないからくっつける、こういうことで、一体日本が今まで——競輪なら先頭で行ったら風圧が強いわけです。だから皆二番か三番で行くわけです。最後はトップに行くわけです。トップ賞というのは絶対に優勝できぬ、こういうことですね。ただ、今まで日本は二番、三番で走りてきた。ですから、よそで開発されたものを技術導入してやってきた。これからはトップに立って競争しなければならぬ。そういう点でいえば、今までの研究開発の例えば大学の研究のあり方もそうです。国の研究機関でもそうです。ですから、さっき関山さんから省際間を超えてということを言われたわけですね。そういう形で考えなければならぬし、あるいはまた予算編成の中でも、行革というけれども、その中でこれから必要なものはつくっていく、そういうことでなければならぬということを思うから申し上げてきたわけですね。それが一つ。  それからもう一つは、科学技術庁通産省の間で例えば無重力の実験、どうもおかしいのです。八百メートルが科学技術庁で二百メートルが通産省かなと思うと、逆になっておるわけですね。基本的な科学技術庁が二百、こうなる。STOLについて言えば、私は一遍この委員会でやったのですが、あれは通産省仕事だ。毎年科学技術庁予算のヒアリングへ行って、これは通産省予算じゃないですかと言ったら、あわてて科学技術庁説明する。逆になっておるわけです。ですからそういう点で、これからの科学技術開発というのは、一つは行革という枠の中で物を考えるのじゃなくて、本当に必要なところには思い切った、財団が必要ならつくればよろしい、金もつける。そして省庁間でもそんな縄張り的なことは、あるいは先ほどの基盤技術センターの問題でも、実は理事長は言いにくいけれども、あれは取り合いでなかなか決まらぬということが実態なんです。今の日本の置かれている科学技術産業構造の問題を考えれば、従来の省庁間の研究開発のいわゆる縦割り行政のあれを取っ払うぐらいの思いでやらなければ、これからの時代を日本は生きていけないのではないかという思いがあるから、大臣にも聞いていただきたいと思って余分なことを一つずつ申し上げてきたわけですね。ですから、このことが大変大事だと思います。  そこで、最後にそのことについて御質問いたしますが、もう一つは、研究開発で大事なことは、利根川博士がノーベル物理学賞を受賞されまして、日本でインタビューに答えています。大変我々、考えさせられることを言われておるわけでございます。その点について大臣の御見解をちょっとお聞きしたいのですが、三十歳代で自分で研究テーマを選び十分な研究費をもらってやらなければ、独創的な創造的な研究開発というのはできないということを言われたわけです。恐らく日本の大学の研究室もあるいは通産省研究室も、やはり日本の社会というのは年功序列型、相当御年配の方が上におられて、三十歳代というのは下手間的なことをやらされる。一番大事な頭脳を発揮するときに、それがそういう面に生かされてないという面がなきにしもあらずではないかと思うわけですね。利根川博士のあの発言について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  102. 田村元

    ○田村国務大臣 実は利根川先生のその御発言、私も伺っておりますが、すばらしい御指摘だと思います。三十歳代の若手の科学者たちに好きなテーマを選ばして、そして不覊奔放の研究をさせる、私はそういう環境づくりをこれからしていく——三十歳代を青年、大人でないと言うわけではありませんけれども、そういうことをしていくのが我々大人といいますか年配者の一つ責任であると思いますし、それから政治家としてはなおさらやっていかなければならぬことだと思います。率直に言って、一つのセクトの中で忠実に生きようとする人たちは、そういうことをなかなか認めたがりません。でございますから、これは政治がそのような環境づくりをしていく必要があろうというふうに思います。  それから、先ほど関山さんに対して私、若干歯切れの悪い答弁をしたかもしれません。関山さん今いらっしゃいますので、あえて私から申し上げますと、端的に言いまして、私いろいろな大臣というのをやりましたが、官僚の縦割り感覚といいますかセクト主義といいますか、これはすさまじいものでございます、率直に言って。それは悪い面ばかりでもないのです。だからこそ、日本の官僚はすぐれておると言りてもいいのかもしれません。ある官僚が私のところへ猛烈にあることを頼みに来る、それが配置がえになって転勤でほかの部署についた、もう前のことはけろっとしています。そして、今まで争っておった相手のことを、自分が今度はその立場になると、自分が今までやっておったことよりも今までけんかしておった相手のことの方が正しいような——だからこそ優秀な面もあるのかもしれません。それだけ仕事に忠実なんでしょう。けれども、時に行政にはそれが必要な面もありますし、時にそれが困ることもございます。  特に、科学技術という点からいいますとなおさらそうだと私は思う。学問、いわゆる学理、技術あるいはノーハウ等いろいろなものを持ち寄らなければ、それこそ中小企業ではありませんが、融合化をしていかなければならないと私は思うのです。でございますから、そういう点で、これはなかなか言うべくして行いがたい、困った答弁をしてくれると後ろで思っておるでしょうけれども、率直なことを言ってこれはやらなければいけないので、それこそその省を担当する、あるいは全体に対する国務大臣としての仕事だとすら私は思っております。  例えばSTOLのお話がございました。私は、我が意を得たりという気持ちで聞いておりました。私が、今から十二年ほど前でございましたでしょうか運輸大臣をいたしましたときに、北山愛郎さんがSTOL問題を持ち出しました。当時はまだSTOLという言葉が余り人口に膾炙されていない時代、花巻空港の問題でございました。千二百メートルの滑走路、あるいは山形空港、松本空港、STOLの必要性を北山さんが切々と訴えられた。自来、私もSTOL病になりました。そして、当時はDC9がSTOLのはしりのようなことでございましたが、今C1が一つのたたき台になっておるようでございますけれども、五百二十メートルの滑走路まで進んできた、いかに実験機といえども。といいますのは、これからコミューター航空などがどんどん発達するでしょうが、どうしてもSTOLは必要なのです。でございますから、こういう点においては運輸省の政策面と通産省開発面とがドッキングしなければならぬでしょうし、おしかりを受けるかもしれませんけれども、防衛庁のノーハウだって技術だって吸収していっていいと私は思うのですよ。  そういうふうに考えておりますが、今おっしゃった御意見、まことに我が意を得たりという気持ちでございましたので、あえて蛇足としてつけ加えましたけれども、まさにおっしゃるとおりでございます。
  103. 水田稔

    ○水田委員 もう一つ、国と民間との関係の委託研究というのがありますね。この場合のいわゆる成果というのは、特許権の取得というのは国に帰属するわけですね。それから、今度新しい機構でこういう委託研究をやられた場合の特許権の取得というのは、どういうぐあいになるのでしょうか。  時間がありませんからまとめて言いますと、これまでの国の委託研究、今度はそれがNEDOになるのもあるし、もちろん国のもあるわけですが、その場合に、民間が最優秀の研究者を投入しない。なぜなら、研究成果は国に帰属するということで、企業は自分のところがもうけるために、自分の会社で成果を上げるための研究者ですから、どうしても全部とられてしまう、自分のところへ幾らかでもその成果が還元されるということがなければ、なかなか最優秀は出さないということになってくるのです。五十九年八月の産構審も、国の委託研究開発による成果を国と受託者との間で共有し得る制度の導入ということを提案しておるわけですね。NEDOの場合は、今度もNEDOというネーミングを使うのでしょうが、国にかわってNEDOということになるのですが、それらを含めて民間との共同研究開発ということについての成果の共有のあり方というのは検討すべき問題ではないだろうか、そういうぐあいに思うのですが、いかがでしょうか。
  104. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 御指摘のとおりでございまして、現在、私どもの大型工業技術開発プロジェクトあるいは次世代産業技術開発プロジェクトあるいは医療福祉機器技術の委託開発につきましては民間に委託をしておるのですが、権利は通産省に所属するということになっております。今後、この法律で制度を認められればNEDOにその事業をやっていただくわけですが、NEDOに帰属するという仕掛けに、素直にいけばそういうことになると思います。ただ、私どもとしては、今先生指摘の受託者、民間サイド研究陣あるいはそのノーハウあるいはその設備といったようなものを提供して、いわば共同でやっている形でございますので、そういう民間の知的活動の成果への寄与を考える、あるいは民間にも権利を持たせることによって民間の意欲というかインセンティブに資するという発想から、御指摘のような従来の考え方について再検討するということも検討をしております。  アメリカでは、数年前に大部分の技術につきまして、国から委託した場合につきましても民間あるいは受託者に特許権等を付与するという制度に変えております。日本とアメリカと特許の仕掛けはいろいろ違いますので、そのアメリカのとおりやるのがいいかどうか問題はございますが、先ほど申し上げましたような政策的な配慮等も考えますと、私どもとしてはそういう検討を進めたいと思っておりまして、大蔵省等と今相談をしておるところでございます。
  105. 水田稔

    ○水田委員 大臣、先ほどいわゆる各省庁間の対立といいますかセクトというふうにいいますか、そういう点のいい面もあると言われたのですが、私もずっと申し上げましたように、基本的にはこういうことを考えています。  今までの戦後のいろいろなシステム、省庁のあり方あるいは産業界のあり方、これは世界に追いつくために非常に有効に機能した行政のあり方であり、あるいはまたいろいろな問題もありますけれども、だからこそトータル的にはこれだけの経済力を持つ国になった。しかし、今考えなきゃならぬのは、先ほどいろいろ申し上げましたように、省庁間の問題というのは結局二十一世紀へ向かって対応できないシステムじゃないだろうか、その改革と今取り組まなきゃならない。行政改革、金の問題だけの行政改革じゃなくて、あり方というのを根本的に考えなければならぬ時代じゃないか。  それからもう一つは、産業界のあり方は、私はこの前も一遍申し上げたと思うのですが、我が社だけもうかればいいということでは、これだけの経済力を持った我が国産業、突出した産業は、やはり国民に対しても、また世界の経済に対しても責任があるという思いが、もうけだけじゃないという形が産業界のあり方にもそれは求められる、そういうこと。  それから、研究開発もまさにそういうことではないだろうか。私は、通産省予算が六千億ぐらいというのは本当に情けないと思うのですね。本当にこれから日本世界のトップに、まだ行っていませんが、トップのレベルを維持しようと思えば、通産省予算が一兆円を超して、もう一千億、二千億という研究開発費がずっとかけられるようなら、それが今の行政改革でやれるものなら、私は自民党の行政改革はいい、こういうぐあいに申し上げることができる。金もうけばかりやっている行政改革は、行政改革ではないのです。これは、倹約するのはだれでもできるのです。そういう思いがするわけです。  それからもう一つは、立場上大変難しい言い方ですが、私は納得しかねる、断じてこれは守らなければ。日本がここまで来た最大のものは、やはりよそからの技術導入であるけれども、国内での研究が平和目的を中心にして自由に研究でき、そしてそれが公開されるという原則が守られてきたところにある。これは、本当にこれから日本が資源がない中で競争していく、トップのところで競争するということになれば、何としても守ってもらわなきゃならぬ問題であるという気持ちがするわけでございます。そういう点についての最後に大臣の決意のほどをお伺いして、時間も参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  106. 田村元

    ○田村国務大臣 役人のセクト主義の問題でございますが、私がいい面もあれば悪い面もあると言いましたのは、やはり一つの機構で、その組織の中で、若い人たちまでが大局的といって周囲のことを乱したら、無責任になることもあり得るでしょう。今度は逆に、だからといって、次官、長官、局長クラスが大局に眼を転ずることができなければ、これはもう問題にならぬと思うのですね。自分の局のことばかり考えてあとのことは知ったことじゃない、極端なことを言えば、これさえ守っておれば日本の国はどうなったって知ったことじゃない。私は、それじゃ官僚として落第だと思う。でございますから、やはり次官や長官、局長、官房長等に持ち上げていくのは、まじめなばかりが能ではない、大局を十分見て判断できるような人物を選考の最大の基準にすべきだと私は思います。おっしゃるとおりでございます。  民間企業もそうなんです。もうそのとおりなんです。今、国益がどうなろうともうもうかりさえすればいい、手段は選ばない。だからこそ、ココムの問題もそうでございましょうが、特に途上国あたりでトラブルを起こしておるのは皆それなんですね。それと、中にはシェア主義でもってなりふり構わず殴り込みをかける。しかも、自分の企業が大きいからということによって優越感を持つ、これは私はいかぬと思うのですね。やはりもう世界一の黒字国家になって経済大国になってきたのですから、企業もやはり国際的な感覚を持つべきだし、自分の祖国の国益ということを十分判断してもらわなければ困るというふうに思います。そういうことでございます。  それから、公開の原則等を十分に守っていけという話でございます。それはもう当然でございます。日本は確かに四十年、平和の中に繁栄してまいりました。このことを忘れてはならぬと思います。ただ、私は職掌柄外国と、アメリカあるいはEC等と随分折衝してきましたが、どうしてもかみ合わないのは、日本の平和主義というものを相手が評価しないということです。そして、これは欧米各国全部、日本に対して、やれスパイ天国だ、あるいは防衛の観念がない、おまえのところは戸締まりしないでも、要するによそから盗んでくることばかり考えていればいいのだろう、そういうような感覚でなかなかかみ合わない面が多うございます。しかし、だからといって、日本はやはり粘り強く説得していかなきゃならぬし、日本人の平和主義というものを軽々に捨てるべきでないと私は思うし、なかなか難しい交渉ではあろうし、一〇〇%自分の思うようになるものではありません、交渉事ですから。でもその根底に、平和の中で四十年、おかげさまで我々はこのような繁栄をもたらしてつくることができたのだということだけは、忘れてはならぬというふうに思っております。
  107. 水田稔

    ○水田委員 終わります。
  108. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御苦労さまでした。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ────◇─────     午後一時三十一分開議
  109. 尾身幸次

    ○尾身委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。二見伸明君
  110. 二見伸明

    ○二見委員 NEDOの松岡さん、お見えになられておられますか。お忙しいところ、本当にありがとうございます。国会での答弁というのは余りおなれでないと思いますけれども、どうかかたくならずに、気楽な気持ちで御答弁をいただきたいと思います。決して言葉じりをつかんでどうのこうのということはやりませんので、安心してお答えをいただきたいと思います。  最初に、今度新しくできるNEDO、今はNEDOですけれども、今度の機構は新NEDOというか、一応とりあえずここでは新NEDOとか新機構という表現をさせていただきますけれども、この開発業務は大型工業技術研究開発制度と次世代産業基盤技術研究開発制度、医療福祉機器技術研究開発制度から構成されているわけであります。これについて具体的に、簡単で結構ですけれども説明いただきたいんですが、松岡さんとしてはこれからなるわけで、この内容については正直言ってまだ的確につかんでいらっしゃらないと思いますので、これは工業技術院が現在やっていることですから、工業技術院の方に説明をいただき、松岡さんとしてはそれを裏打ちをしていただければ結構だと思いますが、御説明をいただきたいと思います。
  111. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 御質問の新機構によって新たに研究開発業務をお願いしようと思っております大型工業技術研究開発制度でございますが、昭和四十一年度創設されまして、国民経済上重要かつ先導的な大型の工業技術でございまして、産業構造の高度化あるいは資源の合理的な開発利用、産業公害の防止等に寄与する重要な鉱工業技術を取り上げまして、試作装置あるいはシステム、パイロットプラント、新製造技術等の研究開発を行う制度でございます。昭和六十三年度におきましては、海洋生物を活用しました高機能化学製品等製造法など九テーマの研究開発を行う予定でございます。この中には、例えばマンガン団塊採鉱システムであるとか、あるいは科学技術用高速計算システム、いわゆるスーパーコンピューターの開発等々が含まれておるわけでございます。  それから、二番目の次世代産業基盤技術研究開発制度でございますが、昭和五十六年度に創設されまして、航空宇宙、情報処理、バイオインダストリーなど次世代産業の確立に必要な、また広範な既存産業高度化に必要不可欠な技術でございまして、民間の自主的な研究開発だけでは開発が困難な革新的な基盤技術開発しようという制度でございます。昭和六十三年度におきましては、新材料、バイオテクノロジー、新機能素子、それと超電導の四つの分野で十四テーマの研究開発をする予定でございまして、その中には、例えばバイオ素子の開発というようなものも含まれておるわけでございます。  それから、三番目の医療福祉機器技術研究開発制度は、昭和五十三年度から進めておりますが、最先端の技術を使いまして、がん、成人病等の診断、治療装置あるいは身体障害者、高齢者の機能補完装置等、社会的に緊急に開発が要請されております医療福祉機器の開発を行う制度でございます。昭和六十三年度におきましては動脈内、これは冠状動脈でございますが、動脈内のレーザー手術装置など十テーマの研究開発を行う予定でございます。  以上でございます。
  112. 松岡實

    松岡参考人 NEDOの理事長の松岡でございます。  先生のただいまの御質問のお答えは、ただいま工業技術院院長がお答えいたしましたとおりでございますので、同じことを繰り返すのもなにかと思って省略さしていただきますが、私ども引き続き詳細につきまして目下勉強中でございまして、これを担務するまでの間には、十分内容を把握して適切な行動をしたいと考えております。
  113. 二見伸明

    ○二見委員 六十三年度の工技院の予算を見ますと、大型工業技術研究開発予算は百三十五億五千万円、次世代産業基盤技術研究開発予算は六十三億六千八百万円、医療福祉機器技術研究開発予算は六億六千二百万円で、工技院の重点施策になっているわけであります。そうすると、松岡さんのこの新NEDOは、工業技術院のいろいろな仕事の中でもかなり重要な部分を引き受けることになるんだと思うのですけれども、やはり御認識は同じでございましょうか。
  114. 松岡實

    松岡参考人 お答えいたします。  研究開発業務につきましては、ただいま御指摘のとおり大型工業技術研究開発制度、次世代産業基盤技術研究開発制度、医療福祉機器技術研究開発制度等をお引き受けすることになりますが、これは我が国技術開発能力をより一層発展させるため、また来る二十一世紀における我が国の国際社会への貢献を果たすためにも、非常に重要な業務であると認識しております。  このような重要な業務をNEDOで行わせていただけることは、非常に光栄でございますとともに、その責任の重大さを痛感している次第でございます。このような業務をNEDOが行うに当たりましては、所管官庁の御指導を受けつつ、役職員一同一丸となって、従来業務はもとより、新業務を円滑かつ効率的に実施できるよう全力を尽くす所存でございます。
  115. 二見伸明

    ○二見委員 そうすると、工技院は今回の改正によってどういう仕事といいますか、どういうことになりますか。研究にこれからも重点を置いていくのか、あるいは企画とかそちらの方に重点を置いていくことになるのか、工技院としての性格はどういうふうになりましょうか。
  116. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 従来どおり、最近の内外における技術動向の十分な調査、それらをもとにした技術政策の立案、また研究開発につきましては、研究テーマ、プロジェクトの計画の立案等を進めてまいるつもりでございます。
  117. 二見伸明

    ○二見委員 そうすると、むしろ企画立案の方にこれからウエートがかかるというふうに理解してよろしいですか。
  118. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 NEDOにお願いをする研究開発事業は、先ほど申しました三つの種類のプロジェクトでございますが、これらは私ども国立研究機関と協力をいたしまして進めてきたものでございます。今後も、私ども傘下の研究機関と、それから民間に委託する部分は十分な調整をし、また実効ある実施をするための検討をする必要があろうかと思いますし、またそのための管理も必要でございます。したがって、基本的には従来と同じ体制で臨みたいというふうに思っております。
  119. 二見伸明

    ○二見委員 松岡さん、お尋ねしますけれども、きょう大蔵省の永田主計官を呼んでありますので、これからこの国会が終わりますと六十四年度予算の概算要求が始まって予算取りが始まりますから、遠慮なく言っていただきたいのですけれども、このNEDOは、もともとは石油代替エネルギー開発するためにできたものですね、その後、石炭だとかアルコールが加わったわけですけれども。ですから、今度工技院から移されてきた仕事というのは、全く無関係とは言わないけれども、今までの仕事と比べれば関係は希薄ですね。専門ではありませんね、今度の三つの分野というのは、今までNEDOがやってきた仕事から比べれば新しいものが来たわけですから。しかも、この陣容は一部三課十七名でしょう。午前中、水田委員もこれじゃ少ないんじゃないかという質問があったんだけれども、出発はこれでもやむを得ないとしても、一部三課十七名でこれだけ大きな仕事がこれからも遂行していけるんだろうか。私、その点についての、勉強中ではありましょうけれども、率直な御意見伺いたいと思っております。  と同時に、通産大臣は参議院の予算委員会がありますので向こうへ行かれるそうですから、改めてお尋ねいたしますけれども、私は産業技術開発というのは、日本にとって最も大事な、重要な施策の一つだと思います。それを引き受けていく新NEDOが一部三課十七名という体制で、これは決して十分ではありません。出発はこれでやむを得ないとしても、有能な人材の確保あるいはこの機構の拡充強化、これはこれから取り組んでいかなければならない大きな課題だと私は思います。通産省は、もともとはこれは一つの独立した特殊法人として出発をさせたかったのだけれども行政改革との関係でもってNEDOに吸収されたといういきさつがあるわけであります。ですから、そのいきさつを考えながらも、考えれば考えるほど有能な人材の確保、この機構の拡充強化ということは本腰を入れていかなければいけない。それは、具体的には予算に、お金の面に、金目にかかってくるものでございますので、その点はついての御見解をまず松岡さんの方から伺い、通産大臣にお伺いをしたいと思います。
  120. 松岡實

    松岡参考人 お答えいたします。  NEDOは、従来から国のサンシャイン計画、ムーンライト計画に基づき、新エネルギー技術開発を行ってまいりました。この業務を通じまして、私ども民間への開発委託、研究管理の実施など、新エネルギー関連の先端的研究開発に関する各種の経験を蓄積してきたところでございます。今回新たに追加される業務のうち、大型工業技術研究開発、いわゆる大プロ、次世代産業基盤技術研究開発等の研究開発は、従来の新エネルギー技術開発と業務の進み方が類似しておりまして、今まで積み重ねられてきた経験が有効に活用できるものと考えております。  新業務の追加に伴い、機構の本部に産業技術研究開発部が新設され、定員については十七名が予定されていると伺っております。この十七名をもって先ほど申し上げました大プロとか次世代などの研究開発を行い、あわせて国際共同研究推進業務及び研究基盤整備業務を行うこととなりました。特に、今年度は初年度でございます。今まで御担当の通産当局でいろいろ事業の構想、企画、立案等について行ってきたところでございますので、本年度は特に所管官庁に対応していただきまして十分な御支援、指示を得まして、そのほかいろいろな面で御支援をいただきまして、私ども十七名プラス、例えば新業務のうちでも総務とか経理等のいわゆる管理業務につきましては既存の管理部門の職員にこれを担当させるなど、最大限の努力をいたしまして円滑なる業務遂行は当たりたい、このように考えております。
  121. 田村元

    ○田村国務大臣 率直に言いまして、当初、新規事業の実施主体として新規法人の設立を検討いたしました。しかし、行政改革をやっておるときだしということでいろいろと議論もあったようですが、既存法人への業務追加を行うととにした次第であります。  新事業部門につきましては、厳しい行政改革の制約の中で最も効率のよい体制で業務を行っていく所存であります。今、NEDOの方からも御説明があったとおりであります。この機構におきましては、事業実施のための事務を行うこととしておりまして、個々の事業の構想、立案は工業技術院において行いますから、とりあえず昭和六十三年度におきましては、産業技術研究開発部十七名の体制で事業の遂行は可能であると考えております。しかし、さはさりながら、今後とも事業の進展に応じて有能な人材の確保を図っていかなければならぬことは当然のことだと思います。
  122. 二見伸明

    ○二見委員 実は、ちょっと質問が飛んでしまうのですけれども、一九八三年十月にレーガン大統領の科学技術行政に関する第五次年次報告というのがあるのです。その中でレーガン大統領はこう言っているのです。「今日のアメリカは、経済の活性化と国家安全保障という二つの重大な挑戦に直面している。科学技術こそが産業の国際競争力を高め、国防力の技術的優位性を維持することを可能にする。そのためには科学技術、特に基礎研究への政府の支援を大幅に増強する必要があり、それによって長期的な経済発展と安全保障への基礎が確保できる。また、よく訓練された科学者と技術者を育てることによって長期にわたる技術進歩が約束される。このような施策は、企業の積極的な研究開発投資と相まって、より大きな安全保障と強力な経済成長に結びつくであろう。」  日本は平和憲法がありますので、日本とアメリカでは国防に対する考え方は違いますけれども科学技術が国の発展の基礎をなすということについては、私は同じだろうと思います。そうすると、レーガン大統領は、特に基礎研究への政府の支援を大幅に増強する必要がある、こう言っているのです。ところが、日本のいわゆる研究開発に関する支出というのを見ると、全体で見てもあるいは基礎研究分野で見ても、政府支出というのはこれは欧米から比べれば非常に低いです。細かい数字の議論は後ほど、大臣御退席された後で担当の方とやりますけれども、その現実を踏まえて大臣の基本的なお考えお尋ねをして、お答えをいただいて参議院の方にお移りいただきたいと思います。
  123. 田村元

    ○田村国務大臣 今、二見委員おっしゃったとおり、日本とアメリカじゃ事情が違うことは事実です。事実でありますけれども、それはそれとして、一般論からいって、科学技術というものが国運を左右する時代にもう差しかかってきたということ。それからもう一つは、従来の日本考え方というのは、欧米基礎技術を求め、それをたたき台にしてよりすぐれたものをつくっていくというようなところがあって、例えば私の非常に親しい会社でありますけれども、私のおやじが実はつくった会社なんですが、そこなんかでもアメリカに行って技術を買ってくるわけですね。そして、なぜそういうことをするんだと聞きましたら、その方が安上がりでしかもリスクは少ない、こういうことを言っておりましたが、もうそういう時代は過ぎたと思うのです。  でありますから、今おっしゃったとおりでありまして、ただ、日本は残念ながらアメリカよりそういう点での出発が後発しておることは事実です。ですから、今すぐにアメリカ並みのようなことが予算面でもできるわけでもありませんけれども、しかしやらなければならない。そのためには、政府も与党、野党を問わず、皆で理解し合い、協力し合って進めていきたいもの、このように考えております。
  124. 二見伸明

    ○二見委員 工技院にお尋ねいたしますけれども、今回の法律によりまして工技院の重要な部分をNEDOに移したわけですね。私が恐れておりますのは、一部参加でこれだけ大きな仕事をやろうとする場合に、結局は陣容の不足のために予算を配分するだけに終わってしまうのじゃないかというおそれというものを実は持っているわけです。出発はそうではなくても、結果として単に予算を配分するだけの機関になってしまう、私はこれではいけないと思っている。先ほど松岡さんの方からも、工技院の御指導を得てというお話がありましたけれども、私は新NEDOは新NEDOとしての自主性というものは尊重しなければなりませんし、いつまでも工技院におぶさっているようではいけないと思います。  しかし、それはそれとして、当面は工業技術院としても今まで蓄積してきたたくさんの産業技術情報、これを新NEDOに提供する、あるいは整備すべき研究基盤施設等の選定だとか研究開発テーマの評価だとか選択だとか、そういうことについては工技院はノーハウがたくさんあるわけですから、新NEDOの自主性を決して損なってはいけない、尊重しながらも、適時的確なアドバイスというのはしていく必要が当面はあるのじゃないかなと思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  125. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 機構が新規業務を総合的、計画的かつ効率的に実施できるよう、当省といたしましては、通商産業大臣が基本方針をまず策定いたしましてこれを機構に指示するなど、適切な監督、指導、助言を行うことにしておるわけでございます。これに加えて、御指摘のように機構の自主性を十分に尊重しつつ十分な予算の確保に努力するとともに、御指摘産業技術情報の提供あるいは研究基盤施設の選定、研究開発テーマの選択あるいは評価など、的確に支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
  126. 二見伸明

    ○二見委員 やはりこの法律案に沿って二、三お尋ねしますけれども研究基盤整備事業、今度新NEDOに行くわけでありますけれども、六十三年度は四カ所で着工が予定されていると伺っております。ことしは四カ所ですけれども、今後、六十四年度以降どういうようなプロジェクトを考えておられるのか。恐らく工技院としても、事業は単年度で決めていくとしても、既に三年も五年も前からこの次はこれでいこうという見通しをつけて進めていくわけですね。ですから、どういうプロジェクトを今後考えられているのか。また、具体的に候補地、我が地でこういうことをやってくれとか、我が県でこういうことをやってもらいたいというような名のりを上げているところがあるのか。名のりを上げていなくても、工技院の方としてここがいいなというねらい澄ました候補地というのがあるのかどうか、御説明をいただきたいと思います。
  127. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 研究基盤整備事業につきましては、六十三年度に三プロジェクト四カ所の予定をしておりますことは、先ほども説明したかと存じます。  その後のことを御質問かと存じますが、研究基盤整備事業につきましては、そのプロジェクトというか、そういう施設の必要性あるいはニーズの状況、あるいは関係者の熱意あるいは地元の動向、そういうようなものも全体踏まえなければいけないと思うわけでございます。私どもとしては、相当煮詰まったものとして、先ほど申し上げました三プロジェクトを六十三年度に考えるわけでございますが、六十四年度以降につきましては、幾つかそういう話は私どもの方に来ておりますけれども、現時点ではどれということは、大変申しわけございませんが、まだ申し上げる段階にまで至っておりません。
  128. 二見伸明

    ○二見委員 今度の研究基盤整備業務というのは、新NEDOが直接実施する業務がありますね。それから、第三セクターが実施するプロジェクトに対して新NEDOが出資する業務、二つに分かれますね。この新NEDOが直轄でやる仕事と第三セクターに出資をするものと、この区別はどういうような基準でされるのか。これは直轄、これは出資、この基準というのはどういうことになりますか。
  129. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 研究基盤施設のうち、整備することそのこと自体が研究開発要素の高いもの、それから先端的なもの、そういうようなものは機構みずからが整備するということを考えております。その他の大部分のものは、研究基盤整備会社に担当させるというふうに考えております。
  130. 二見伸明

    ○二見委員 言葉の上でいけば、非常にリスキーなものあるいは高度なものは直轄という、そういう言葉の上での区別しかしようがないのかな、これは。どうですか。
  131. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 言葉の上ではそれ以上申し上げられないと思いますが、具体的な例を、これはまだ確定的なものじゃございませんが、私どものイメージしているものを申し上げますと、例えば無重力環境実験装置の中にカプセルを落としますが、そのカプセルの中の超電導の部分、制御する部分というようなところをNEDOが直接やることになるのかなというふうに思っております。
  132. 二見伸明

    ○二見委員 これが完成した場合に、内外の企業等に開放されるということですが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  133. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 そのとおりでございます。
  134. 二見伸明

    ○二見委員 そういたしますと、これは内外無差別だということになると思うのですけれどもお尋ねしますけれども、内外無差別だと言いながら、今国内の企業が使っているからちょっと外国企業は勘弁してくれとか、結果として外国企業を差別するような結果が出てくるのかどうか。  それからもう一つ、恐らく利用料金や何かがあるのだと思うのですけれども、そうした利用に関しての基準だとか、そういうのはどういうことになりますか。
  135. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 まず、結果として差別することになるのかという御質問でございますが、私どもとしては、運用上内外無差別になるようにNEDOをも指導していきたいと思っております。現に、今度の研究基盤施設の整備構想につきましては海外にも非公式にPRもされておりまして、もちろん制度が認められた後の話でございますが、そういう条件つきで、そういう構想があるので使っていただきたいということを海外の関係者にも今PRをしておるところでございます。  それから、利用の方法でございますが、物によって違うと思いますが、一定の期間を限って使用契約を結ぶということになると思います。その場合は、一月単位あるいは一週間単位、一日単位、一時間単位といろいろなものがあると思いますが、できるだけ多くの企業が使えるような配慮はしてまいりたいと思っております。
  136. 二見伸明

    ○二見委員 それから、今度は国際共同研究推進事業というのがやられるわけですけれども、外国人研究者を含めた研究チームに対して研究費を支給する、そうした助成をするということですね。  それで、実はこれは文部省の例なんですけれども、例えばある大学で国際的な共同研究を行うという場合に、国内の研究費については科学研究補助金というのがある。国際間の共同研究ですから、ロンドンへ行ったりニューヨークへ行ったり、あちこち行かなければなりませんね、向こうでセミナーをやるとかワークショップをやるとか。そういう場合には、旅費を国際研究集会ということで別途申請してもらわなければ、外国へ出ていってのいろいろな打ち合わせや何かができない。外国の研究者を今度は日本に呼んでくる。そうするとその場合には、海外研究者招請のための予算というのはまた別途申請して取らなければだめだ。国際会議を開くということになれば、今度は国際学術課の予算でやる。これは文部省の例ですけれども、国際研究というのは、日本の仕組みでいきますと、いろいろなところにいろいろなボタンがありまして、全部のボタンがオンにならなければ実際は何もできないのです。幾ら国際共同研究をやろうといってもできるものじゃないのです。  今度新しく新NEDOでそうしたことをやる場合には、やはりこんなに複雑な、あちらこちらからそのたびそのたびに全部別のスイッチを押して予算を取ってこなければならないような仕組みになっていくのか、もうそうした事務的な仕事は簡素化されるのか、その点はどういうことになりますか。これは松岡さんよりも工技院の方がよろしいですかね。
  137. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 海外の研究者に資金が出るというような場合、私ども今度六十三年度考えておりますのは、日本研究者も入っている場合というふうに考えておりますので、一定の手続はスムーズにできるのではないかと思っておりますが、それにしても私どもとしては初めての試みでございます。いろいろな例をお聞きしましても、先生指摘のように、実際は運用上は大変だという覚悟はございます。ただ私どもとしては、そのあたりできるだけスムーズないいシステムにできるように関係のところと今御相談をしておるところでございまして、手続等もどういうふうにやるのかNEDOとも御相談しながら、あるいはNEDOを指導しながら、関係方面と相談して、御趣旨に沿うような努力をいたしたいと思います。
  138. 二見伸明

    ○二見委員 松岡さん、現在のNEDOで、同じような外国人との共同研究みたいなことで、お金の出どころが面倒くさかったようなことがございますか。もしありましたらば教えてください。
  139. 松岡實

    松岡参考人 今までのところ、海外と共同研究した実績がございません。
  140. 二見伸明

    ○二見委員 わかりました。  山本さんおっしゃるように、この手続はぜひとも簡素化して、スムーズに仕事ができるように、研究ができるように御研究をいただきたいと思います。  それと、外国人研究者日本に呼んで、中心は恐らく日本に呼んでの研究が主体となると思うのです。伺いますと、日本に来ての不便というのは言葉ではないらしいですね。日本人の研究者も大体英語をしゃべりますし、また日本人の研究者は、むしろこの際英語をしゃべって、自分の英語を磨き上げようなんて気持ちがあって英語をしゃべるものですから、それほど言葉の障害はない。むしろ障害があるとすれば何かというと、住宅だ。安い家賃で、しかも良質な住宅がどれだけ確保できるかということが、すばらしい外国人研究者を呼ぶことのできる大きな決め手だと言われております。  国立研究機関の中では、外国人へ提供する住宅はかなり質がいいという評判があるようですけれども、ところが絶対数が不足しているので、その住宅に入るまでの間に、三月とか半年とかホテル住まいとか、そういう住まいをしなければならぬ。そういうことがあるようですけれども、やはり外国人と共同研究をするということになりますと、住宅の確保というのは何よりも大事ですね。しかも円高ですからね、東京にある在外大使館が東京から出ていこうという時代ですからね。これはよほど本腰を入れてかからないと大変なことになると思いますけれども、その点についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  141. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 御指摘のとおり、外国人研究者を受け入れる場合の大きな問題の一つは住居の問題であろうかと思います。これまで短期滞在につきましては、私ども工業技術院の場合、筑波でございますが、研究協力センターというホテル並みの宿泊施設がございまして、しかも大変安い料金で泊まっていただけるということで、これを優先的に提供してまいったわけでございます。  今後増加が予想されております比較的長期の滞在につきましては、外国人研究者用に公務員宿舎から転用した供用施設を提供することにしたい。低家賃であり、また、例えば筑波でございますと非常に良質の住宅でございますので、そういうものの確保に努力してまいったわけでございます。特に六十三年度以降におきましては、長期滞在の外国人研究者が非常に大幅に増加することが見込まれておりますので、私ども公務員宿舎の先ほど申しました転用など、安価でかつ良質な宿舎の確保に一層努力してまいりたいと考えております。
  142. 二見伸明

    ○二見委員 筑波には管理者用の公務員住宅がありますね。あれなんかを外国人研究者に充てるということになりますか。私のうちの裏だから、あそこはすごくよくわかるのです。
  143. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 私も一時そこに住んだことがございますけれども、大変良質の宿舎でございまして、まさにそういうものを使うことにしております。ただし、御承知かと存じますが、現在、政府研究機関、さらに筑波へ移転する予定も他省庁であるようでございまして、管理者用の住宅、必ずしも十分でございませんので、ある程度限度はあろうかと思いますが、一層数多く確保するよう努力してまいりたいと思います。
  144. 二見伸明

    ○二見委員 午前中、最後に水田委員からも質疑がありましたいわゆる委託研究の結果の成果の問題であります。果実の問題ですね。今現在は、国の機関が民間研究をする場合に三つのケースがありますね。国が民間研究開発を委託した場合、これは国有財産法上その成果は国に帰属することになりまして、受託した企業は実施権のみが与えられるというのが現在の制度ですね。国が民間からお金を集めて、国が受託をするという形で研究開発した場合には、第一義的にはその成果は国に帰属しますけれども、結果としては民間との共有ということになりますね。国と民間が共同研究した場合には、これは当然の帰結として共有ということになります。  今回は、新NEDOが民間に委託した場合のその成果というのは、国が民間に委託したのとは違うわけですからね。工技院が委託したのと特殊法人である新NEDOが委託したのとでは違うわけですから、これは今までの国が委託したのとは違うから制約がかなり緩和されてもいいんではないか。産業構造審議会は昭和五十九年八月に、国の委託開発による成果を国と受託者の間で共有できるような制度を導入すべきであるという提言をしておりますから、そうしたことも踏まえて、新NEDOが民間に委託をして開発された成果については共有なりなんなりの仕組みが考えられてもいいんではないかと思いますけれども、その点についての工技院の御見解を改めて伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  145. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 今、先生指摘産業構造審議会の五十九年の意見具申におきまして、御指摘のような提言がなされました。これを踏まえまして、昭和六十年十月に予算決算及び会計令第九十九条を改正いたしまして、委託研究開発の成果であります国有特許権等につきまして、受託者に限って随意契約で売り払い可能とするという措置を講じたところでございます。ただ、先生指摘の点につきましては、現時点でも国が実施するあるいは委託するものについては、権利としては国に帰属するということになっております。NEDOが行う場合でございますが、NEDOが行う場合は、やはり国の補助を受けて民間に委託するという特殊法人でございますので、従来の考えでは、やはりNEDOに帰属するということにしております。  御指摘の、国とNEDOとは少しそこは違うはずではないかという点につきましては、国の場合に比べまして財政法上の制約はNEDOについては少なくなると存じます。先ほど午前中にも申し上げましたが、アメリカの最近の制度では、民間に権利を与えるというような制度をつくっておりますので、そういうものも参考にしながら、受託者の寄与度とか、あるいは研究者あるいは研究受託者へのインセンティブという点から何かいい方法がないのかということで、関係方面と私どもとしては御相談をしたいと思っておるところでございます。一部、御相談を進めておるところでございます。
  146. 二見伸明

    ○二見委員 質問を変えます。  先ほど私は通産大臣に、政府の負担率が低いのではないかという話をいたしましたけれども、例えば主要国の研究費を比較いたしますと、一九八五年でアメリカは研究開発費は二十五兆九千億円で対GNP比率は二・七、西ドイツは対GNP比率は二・八、フランスは二・三、日本は二・五ということで、対GNP比率というのは欧米日本とはそれほど差はないと私は思います。ただ、この研究開発費の中に、日本自然科学のみであり、アメリカや西ドイツやフランスでは自然科学と人文・社会科学が入っておりますので、データの基礎になる点は多少違いますけれども、対GNP比率というのは日本欧米はそれほど差はないと私は思います。  ところが、政府の負担割合ということになりますと、アメリカの政府負担割合は一九七一年は五六・一だったんですね。一九八五年は四六・八、西ドイツは三九・六、フランスは五三・五、日本は一九・四です。これも、基礎となる点で日本自然科学のみですけれども、アメリカ、西ドイツ、フランスは人文・社会科学が入っておりますので、これを抜きますともっと政府の負担割合の数値は低くなるのだと思いますけれども、いずれにいたしましても政府の負担割合というのは、これは低いですね。  私は、この政府の負担割合というのは一気に伸びるものじゃないけれども、やはり負担割合、負担率というのは高める必要があるのではないかと思います。そうしなければならないというふうに思っておりますけれども、それについての通産省の御見解を承りたいのと、あわせて永田さん、お忙しいところを申しわけございませんけれども、これから予算をいじる当事者として、具体的にこれからこうふやしますという、数値の問題はもちろんできないのは私はわかりますけれども、そうしたことについて基本的なお考えはどうなのか、通産と大蔵と両方から伺いたいと思います。
  147. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 先生指摘のように、最近の実績で研究開発費のGNP比につきましては欧米先進国並みでございますけれども政府負担割合が米国あるいは西ドイツ、フランス等と比較した場合に低い点があることも事実でございます。  ただ、これは政府民間との負担割合の問題になろうかと思いますが、我が国の場合、国防研究費ウエートが低いということ、それから租税負担率とか民間の活力も欧米諸国とまたそれぞれ違うわけでございますので、国情の違いによって一概に画一的に比較はできないと思いますが、今回の法律改正の趣旨でもございます基礎研究の充実、創造的な研究の充実ということを考えますと、今後民間での取り組みが困難な基礎的あるいは先導的な技術分野に対する取り組みはますます重要になろうかと思いますので、御指摘のように国における研究開発を一層充実させるよう、私どもとしても努力してまいりたいというふうに思っております。
  148. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  ただいま通産省さんの方からお答えいただきましたように、また先ほど大臣からもお答えございましたように、日本と各国との実情の違いというのはあるかと思います。また、ただいまお答えにありましたように、国防研究費を除きます我が国政府負担研究費、これはGNP比でとりましても国民所得比でとりましても大体同じようなものかと思いますが、国民所得比で見ますと〇・六〇%ということで、米国、英国を上回っております。そういう意味で、国防研究費が少ないという我が国の事情を考えますと、政府の負担研究費というものは欧米諸国に比べまして特に劣っているわけではないというふうに私ども考えております。これは、国防費を除くというコンテクストにおいてではございますが。  また、研究費におきまして民間ウエートが大きいということでございますけれども、逆に言いますと、これは民間の積極的な対応を示すものだと考えられます。そういう意味で、そのこと自体は民間の活力を活かし、効率的であることを意味しておりまして、むしろ望ましいとも考えられるわけであります。  先ほど基礎研究の点が出ましたけれども、御案内のとおり、六十三年度の科学技術振興のための予算措置という全体で考えますと、大変資源に乏しい我が国は、今後とも一層科学技術振興発展を期さなければいけないという観点で、長期的な展望に立ちまして重点的に配慮をしておるわけでありまして、六十三年度の科学技術振興費は総額で四千百七十三億円、対前年度比百六十六億円の増加、伸び率にしますと四・二%の増加を見ており、これを計上して現在御審議いただいておるわけですが、内容的に言いますと、基礎的あるいは創造的研究推進を初めといたしまして重点的、効率的な科学技術振興に努めている所存でございます。
  149. 二見伸明

    ○二見委員 日本政府負担率は欧米に比べて余り見劣りしないという永田さんの御答弁は、ちょっと理解に苦しむところでありますけれども、それはまた別途議論をするといたしまして、例えば分野研究比率も、やはり基礎研究比率日本欧米に比べて小さいのではないか。  永田さんは、民間ウエートが占めるのはそれだけ民間に活力があるからだということですけれども、それは一面ではそういうことになる。他面でいきますと、民間というのは研究開発に投資した資本を回収しなければなりません。ですから、一番面倒くさいリスキーな基礎的な部分よりも、すぐ製品化できる開発の方に、最も製品化に近い分野に投入する。基礎研究応用開発とこう分ければ、開発の部分に民間は行かざるを得ない、それは商売上やむを得ないのです。ですから、私は、これからはむしろ基礎的な研究民間に期待しても無理なのであって、それはやはり政府がやらなきゃいけないんじゃないか、国がやらなきゃいけないんじゃないか。だから、基礎的な分野での研究政府の負担というか、これはもっともっとふやしていくべきだというふうに思っております。  それで、本案が成立をいたしますと、リスキーな基礎的な研究ウエートというのは今よりも高まることになるのでしょうか。高まらないんだったらば余り意味がないなという感じもいたしますけれども、その点についてはどうでしょうか。大蔵省としては、基礎的な研究に対する関心というものをどうお考えはなっているか、こう分けてお尋ねをしたいと思います。
  150. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 御審議いただいております法案によりまして新たにNEDOに追加する事業でございますが、これらの業務はいずれも基礎的な研究開発推進を図るためのものでございます。当然、研究開発業務はリスクが大きいということから、民間ではできない基礎的な研究、例えば新しい超電導材料の研究というふうなものを行うものでございますし、また、先ほど申しました研究基盤整備業務につきましても、基礎的な研究開発には不可欠でございまして民間単独では整備し得ない大型の施設あるいは設備、そういうものを用意して、特に民間が行う基礎研究開発の用に供しようということでございます。そういう意味民間における研究基礎研究分野に誘導する、そういう役割を持っているかと思います。また、第三の事業でございます国際共同研究推進業務、これは生体機能あるいは物性機能のまさにその基礎研究に対して国際的なチームに助成をするということでございますので、基礎研究を助成するものであるというふうに私ども考えているわけでございます。  以上によりまして、官民ともに基礎研究を一層充実して、我が国研究開発における基礎研究開発比率を高める方向に参るものというふうに確信しております。
  151. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたように、私ども基礎的な分野についてそれを否定しているわけではございませんで、御案内のとおり、六十三年度の科学技術振興費の予算におきましても基礎的、創造的研究推進については重点的、効率的な配分を考えているところでございます。  本件につきましても、ただいま工技院長から御説明のありましたように、この業務の実施によりまして我が国研究開発における基礎研究ウエートが高まってくるという効果を、我々としても期待しているところでございます。
  152. 二見伸明

    ○二見委員 基礎研究にこだわって申しわけないのですけれども基礎研究というのは何かというと、私は科学者ではありませんからよくわからないのだけれども、素人考えでいって、人のやっていないことを研究するのが基礎研究だな、既に人がやったことを研究するのは、これは研究じゃなくてこういうのは勉強というのだ、こう思います。  人のやってないことをやるわけですから、リスクが大きいのは当たり前であります。そうすると、お金を出す方からいたしますと、確かに基礎研究リスクが大きいんだ、ここまではわかっている。そうすると、こういうことをやりたいということになると、お金を出す方としては待てよと。例えば会計検査院だなんというやかましいのがおりますからね。これだけお金を使ったけれども成功しなかったじゃないかなんて言われるとたまったものじゃないというので、どうしても、人のやってないことではあるけれども全くやってないというのじゃなくて、二番せんじ的なところにお金を向けていこう、無難な選択をしよう、無難な道に行こうというのが、これは人間の本性みたいなものですね。  しかし、それではやはりまずいんじゃないかな。むしろ、これは俗な言葉で言いますと一か八かもしれぬというようなことであっても非常に独創的な研究、先ほど水田委員から三十代の独創的な研究というお話がありましたけれども、そうした独創的な研究、もしかするとこれはだめになるかもしれぬな、しかし思い切ってやってみようかという、こうした勇気というのが基礎研究には必要なんだと思うのです。この勇気がなければ独創的な研究というのは育っていかないし、若手の有能な学者も科学者も育っていかないと私は思うのです。そうした独創的な研究、一か八かもしれぬなというようなところにまで踏み込んで金を出そうというような勇気がこれからは必要だと私は思いますけれども通産省はその点いかがでしょうか。  また大蔵省も、大蔵省は立場上、なかなかそれはそうだとは言いにくいのはわかるのだけれども、そのぐらい少し踏み込んでもこれからはいいのではないか。それくらい踏み込まなければ二十一世紀、二十二世紀を見通しての日本の姿というのはできてこないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  153. 田村元

    ○田村国務大臣 これは役人じゃちょっと答えられないと思いますし、特に大蔵省がおりますからなおさらのこと答えられないと思いますので、私からお答えします。  それは当たり前のことなんです。応援してやるから必ず成功せい、しかもそれはすばらしいことだ、そんなものは政府に応援してもらわなくたって企業が乗りますよ。リスクが大きいからこそ、つまり一種の発明家のようなものですよね。ですから、リスクが大きいからこそ国が援助をする、当たり前のことなんですね。わかり切ったことで、大蔵省だってどこだって、会計検査院だって腹の中じゃわかっていると思うのです。わかっていると思うけれども、この間いみじくも大蔵大臣が予算委員会答弁されたとおり、我々は削ることが商売でという、それは確かに大蔵省が大盤振る舞いをやり出したら日本の国はもちませんから。けれども、そこいらはやはり削るならうんと削るものがあってもいいだろうし、伸ばすならうんと伸ばすべきものがあってもいい。今、総花というか、総枯れ尾花のようなことで削るから世の中おかしくなるのですね。  だから、あえて私からこういう御答弁を申し上げて、さあこれで大蔵省がどう答えますか、私もじっくりと今から拝聴いたします。
  154. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  大臣に御答弁いただきましたので、私どもの方からはもういいのかと思っておりましたのであれでございますが、私ども予算の、何といいますか各省さんとの議論の過程で、もちろんその実効性、あるいはそのプロジェクトの有効性あるいは有用性といったものをやはり一つ一つ議論して、その中で結論を出していくものだと考えております。
  155. 二見伸明

    ○二見委員 大臣の御答弁をいただきましたので、私も大蔵省さんの方は御答弁をいただかなくてもよろしいんじゃないかなと思っておりましたけれども、大臣の御要請もございましたので、永田さん大変苦しかっただろうと思いますけれども、やはり私は大蔵省も本音のうちは言えないのだと思いますけれども、そうした勇気ある査定といいますか、それが私はこれから日本の活力のためには必要なんだと思います。切るべきものは切る、つけるものは思い切りつける、めり張りのきいたことをこれからやっていきませんと、どうも日本の国もこれからは、今はいいけれども将来どうなるのかなという思いがしないわけでもありません。その点を申し上げておきたいと思います。  大蔵省は、私の質問は以上で終わりますので、後の委員の方が要求されていなければお引き取りいただいて結構であります。  それで大臣、ヨーロッパでは日本に対してこういう意見があるようですね。日本応用研究開発研究産業革新にのみお金を集中するのじゃなくて、基礎研究開発への財政負担を我々は期待をしているのだ、こういう声がヨーロッパにあるようであります。また、日本技術開発の重要な部分では外国、他の国と相互に依存することにちゅうちょしているのではないか、お互いに国際共同研究をやりましょうとか手を握り合ってやっていきましょうと言うけれども、重要な部分ではちゅうちょをしているのではないか、こういう指摘もあるようであります。これは、既に各国が国境の壁を取り払ってお互いに共同研究するのが当たり前になっているヨーロッパの動向とは非常に対照的であるという批判も、日本に対してあるようであります。そうして、日本は多くの分野日本独自のプログラムを実施しようという政策を再検討して、国際的なプログラムに積極的に参加してもらいたいという要請もありますけれども、こういう外国の批判というか考え方については、通産省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  156. 田村元

    ○田村国務大臣 私が最近感じておりますことは、批判というより非常に期待が大きいということでしょう。従来の日本に対する考え方というのは、何だ、人の基礎技術を持っていって、そしてそれよりいい物をつくって逆に我々の方に売り込みに来る、けしからぬという感情が強うございました、今でもそれはないとは言いませんが。ところが最近では、日本基礎技術開発というものが非常に高く評価されておりますし、また事実すばらしいものが出ております。それに対する期待というものは非常に大きい。とにかく国際的にどんどん参加してくれ、日本知識を我々にも教えてくれというところが非常に多うございます。  ウィリアムズバーグのサミット、あれは一九八三年でございましたが、このときに合意された十八の研究協力プロジェクト、そのうち我が国が十六のプロジェクト、そのうち通産省関係が五プロジェクトありますが、これに参加して、太陽光発電とか先端ロボット、光合成の三プロジェクトについては我が国がリード国として推進し、活躍をしておるところです。また、IEAの場を通じて、エネルギー関係の研究開発プロジェクトにも積極的に日本は参加しております。ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに対しても非常に大きな期待が寄せられております。おっしゃったとおりでありまして、だからこそこういう法律が要るということにもなりますが、やはり積極的に国際的に貢献をするために、自分の頭も開いて、そして先方様にも開いていただいて大いに協力をし合って、それこそ国際的融合化を図っていくということじゃないでしょうか。
  157. 二見伸明

    ○二見委員 確かに日本に対する期待が大きいから、より積極的に協力をしてくれ、力をかしてくれということが、私が今申し上げたような一つ指摘となってきているのだろうと私も理解しておりますし、それだけに日本のこの分野での果たす役割というのは、今までになく大きいというふうに私も思っております。  もう時間も参りましたので、そろそろ質問を締めくくりたいと思いますけれども、私は現在、この現時点ですね、これは科学技術の新たなる接近による第三次革命が始まったなという印象を持っておりますし、経済学者たちもそうした時代のとらえ方をしているように私は思います。それは従来のように、エネルギーを投入して同一規格で大量生産をして、それをケインズ的な有効需要を喚起して売りまくるという、そういう経済ではなくなったのだな。そうではなくて、むしろこれからの経営者、企業者というのは、原子とか分子とか細胞レベル科学技術を駆使しなければ自分の会社自体が成り立っていかない、そういう時代に入ったのだと私は思います。  実は私の知り合い、私の友達がある大手建設会社の専務ですけれども、この間会いまして、おまえ今何やっていると言ったら、おれはバイオテクノロジーとそれから新素材と、何か面倒くさい研究者を集めたその担当の専務だと言う。それは全く関係ないのですよね。我が建設会社もこれがわからなければ建設業界として仕事ができないというので、全く最先端の分野研究者を自分の下に入れて研究をしているという話を聞いて、建設会社も随分変わったなという思いをしたわけであります。いわばそうした第三次産業革命の時代に入ったなという思いがいたしまして、それだけに今度できるこの法律というか、この新しい機構というのは役割は大きいなというふうに私は理解いたしております。  しかし、そうするとどういうことがこれからさらに起こっていくかというと、一つは、日本を初めとする先進国に蓄積された産業技術科学技術開発途上国に今まで以上に幅広く、スムーズに移転されていかなければ、世界全体の経済は伸びていかないと思います。開発途上国に移転されるためには、それがスムーズに移転されるための知的所有権、工業所有権、それを守るための国際的なフレームワークといいますか新しい秩序、そうしたものが構築されなければ、先進国に蓄積された産業技術科学技術はスムーズには開発途上国に移転していかないだろう、こういう課題がこれからさらに大きくなってくるなというふうに私は理解しております。  それから産業技術研究、これは国際間の協力体制相互依存関係というのはこれからますます深まるだろう。先ほど大臣もおっしゃられておりましたように、日本に対する期待が強くなればなるほど日本としても、あるいは日本企業と外国の民間企業との共同研究だとかそうした形で国際間の協力体制相互依存関係はますます深まっていく。  しかし一方で、それとは全く相反するのだけれども、今度は自分の国が向こうの国よりも技術優位になろう。今までは経済力という物の優位だったけれども、これからは向こうよりも技術的に優位になろうという技術優位が国の利益としてまた出てくるのだろうと思います。今行われている経済摩擦というのは物と物との摩擦だけれども、それ以上に今度は技術摩擦というものが先進国間で深刻になってくるだろう。これは非常に相反する動きなんです。一方では国際協力が進まなければならぬ、と同時に技術摩擦があり、技術をめぐっての自国対他国の優位関係の争いが起こってくるという、新たなる展開がこれから行われるのだろうと思いますけれども、そういうことに対する通産省としての見通しなり取り組みについて、御答弁をいただきたいと思います。
  158. 小川邦夫

    小川政府委員 御質問の前段の部分について、私からお答え申し上げます。  まさに先生指摘のとおり、先進国の技術が発展途上国にスムーズに移転するためには、こういった発展途上国での工業所有権制度が整備されることがどうしても前提にならざるを得ないわけでございまして、そういった問題意識から、現在ガットにおきましてTRIPミーティングという場を設けて、工業所有権制度を特に発展途上国においても充実してもらうよういろいろ協議をしておるところでございまして、先週の貿易大臣会合におきまして大臣が強調されたところでございますが、日本にとっても先進国の一員としてこの問題は極めて重要であるということで、工業所有権制度の整備に向けて積極的に日本なりの貢献をしていこうと努力をしておるところでございます。  制度の充実ということとあわせて大事なことと私ども考えておりますのは、発展途上国におきまして制度を整備するにも、発展途上国であるがゆえにいろいろ思うに任せない問題を抱えておるわけでございますので、そういった問題を打開して何とか制度を充実するのに応援もまた必要であろうと考えております。したがいまして、通産省といたしましては、こういった発展途上国に対しまして、従来から制度の専門家の派遣とか研修生の受け入れとかいうことなどを通じていろいろ協力をしておりますが、今後ともこういった協力もあわせて行うことによって、発展途上国での制度の充実を促進していくことにしたいと考えておるところでございます。
  159. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 御質問の第二点についてお答え申し上げます。  通産省といたしましては、国際的な協力関係あるいは技術摩擦に関連いたしまして、産業技術研究開発が人類の将来を左右するかぎである、先進諸国は協調してその進展を図ることが重要と考えておるわけでございまして、国際的な研究協力にも、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、サミットの場あるいはIEAの場を通じまして多国間の協力を行っておりますし、また日米、日独、日仏などの二国間の研究協力も行っておるわけでございます。  工業技術院といたしましては、六十三年度新たに国際研究交流事業ということで、外国人研究者二十名を一年間以上長期招聘をするような制度を発足させたいと考えておりますし、また超電導技術などの先端技術につきましても、これはバイラテラルでございますが、国際特定共同研究事業ということで二国間の共同研究を拡充することにしております。今回の法案におきましても、国際研究チームに対してグラントを助成をするというような事業を用意しているわけでございまして、通産省といたしまして今後とも一層、先進国あるいは途上国を問わず技術開発協力に努力をしてまいって、国際的な貢献を果たしてまいりたいと考えております。
  160. 二見伸明

    ○二見委員 以上で終わります。  松岡さん、きょうは本当にありがとうございました。どうか新しい機構の中で思う存分力量を振るってください。よろしくお願いいたします。
  161. 尾身幸次

    ○尾身委員長代理 青山丘君。
  162. 青山丘

    ○青山委員 私からも質問をさせていただきます。あるいは朝からの質問者と若干やえる点もあるかもしれませんが、立場上ぜひひとつ御答弁をいただきたいと思います。  先ほどの議論を聞いておりましても、今、日本が国際経済の中で果たしていかなければならない役割を率直に理解をしていただいておりますし、ぜひ産業技術研究開発分野においての貢献をこれからさらにしていっていただきたい。国際社会はなかなか困難な問題を多く抱えております。対外経済の不均衡あるいは累積債務の問題、こういう問題を抱えて苦しんでいる国際経済を活性化させていかなければいけない。また、人類は克服していかなければならない多くの課題を抱えております。これら問題の解決を図っていくためにも、私は、産業技術の進んだ研究開発日本はもっと進めていかなければいけないという点では同感であります。その基本的なスタンスは同じであろうと思いますし、ぜひこれからの取り組みで誠意を持って進めていっていただきたい。ただ、若干疑問がありますのでお尋ねいたします。  まず冒頭、今回の立法の背景と立法の目的、立法の効果、どのように考えておられますか、お尋ねいたしたいと思います。
  163. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 二十一世紀に向かいまして、我が国が経済社会の発展の原動力である技術開発の能力をさらに発展させていくことが必要だと考えます。いわゆる技術ただ乗り論というふうな国際的な批判がございますけれども世界経済発展のために相応の貢献を行うということが必要でございまして、我が国みずからがそのために基礎的、先導的な技術開発を積極的に推進をするよう図ることが喫緊の課題であるというふうに考えております。  このような内外の諸情勢にかんがみまして、私ども研究開発の充実、効率化、また民間における先導的、基礎的な研究を支援する研究基盤施設の整備、国際的な共同研究に対する助成などの施策を講ずることとしたわけでございまして、これらの業務を新エネルギー総合開発機構に総合的、計画的かつ効率的に行わせる措置を講ずることによりまして、産業技術の向上と産業技術分野における国際交流の進展を図りまして、国民経済の国際的な経済環境と調和のある中長期的な進展に寄与するということを目的といたしまして、本法案を立案いたしまして今国会に提出したものでございます。
  164. 青山丘

    ○青山委員 本来はNEDOの根拠法になっておりました例の石油代替エネルギー法の改正、多くの皆さんはそういうふうな形で出てくるのであろうと見ておりましたが、新しい法律を立てられる、新法で取り組まれる、この背景は一体どういうことなんでしょうか。
  165. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 お答えいたします。  石油代替エネルギー法におきましては、石油代替エネルギー開発、導入という大目的がございまして、法律の名前もそれをあらわすものになっておることは御承知のとおりでございます。今度私ども考えております産業技術開発体制整備という目的につきましては、代エネ法とは技術開発という点では共通性はございますが、今申し上げましたような代エネの開発、導入という点と産業技術開発を進めるという点とはかなり違う部分がございます。そういう意味で、石油代替エネルギー法の改正という方向を実は私どもも事務的には考えたわけでございますが、法制局とも相談いたしまして、今申し上げましたような理由から代エネ法の改正ということになれば、目的の改正から名称の改正から代エネ法を換骨奪胎することになるというようなこともございまして、代エネ法はそのままにしまして必要最小限の修正を加える、別の新法を用意するということで提案さしていただいた次第でございます。
  166. 青山丘

    ○青山委員 NEDOの根拠法になっております代替エネルギー法、この問題とNEDOの実態、幾らか違ってきているということについては、このちょっと後に触れさせていただきたいと思います。  ただ、今回の例の研究開発業務、それから研究基盤整備の業務、国際共同研究推進業務、この三つの重要な業務を進めていかれるということになってくると、この三つの業務をひとつ三位一体の事業としてこれから進めていこうというそれなりの気持ちはわかりますが、それが重要であればあるほど、先ほども出ておりましたが、基礎研究はなぜ国みずからがやらないのかという疑問を持ちます。その辺はいかがでしょうか。
  167. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 研究開発事業の中に基礎研究部分が非常に多いわけでございますが、それをなぜ国直接がやらないか。今まで事実、大型プロジェクト等は工業技術院が直接やっておったわけでございますけれども、今回、新エネルギー産業技術総合開発機構の方にこの事業を行わせるということにいたしましたのは、従来民間工業技術院から委託していた部分が中心でございまして、それを先ほど先生も御指摘の三位一体ということで、研究基盤整備事業等と効率的に組み合わせてやることによりまして、従来の工業技術院が直接やっておりましたものよりもより効果的な研究開発が行われる、そういう判断に基づいてこういう仕組みを考えたわけでございます。
  168. 青山丘

    ○青山委員 工業技術院通産省も、聞くところによりますと、今回の法改正に臨むに当たって新しい機構をつくってそういう構想で進んでいきたいというような考え方があったようでありますが、なかなかそれが認められなかった、仕方なく既存の特殊法人NEDOにこの事業を進めてもらう、こういう形になったというふうに私は説明を受けておりますが、なぜNEDOなのか、ほかの特殊法人では不適格なのか、そのあたりはいかがでしょうか。
  169. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 三つの事業の中の研究開発事業につきまして、先生承知のように、NEDOは既にサンシャイン計画あるいはムーンライト計画の実施はおいて十分な実績がございます。また、研究開発に関するノーハウの蓄積も十分にあるわけでございます。そのことが、新エネルギー総合開発機構への業務追加とすることに決めた理由でございます。  なお、研究基盤整備事業あるいは国際共同研究助成事業その他の二つの事業も、研究開発事業と非常に密接に関連をさせながら進めることが効果的でございますので、それらを一体としてNEDOに行わせるというふうにしたわけでございます。
  170. 青山丘

    ○青山委員 なるほど、NEDOは新エネルギー研究開発については相当な実績を持ってきております。しかし、先ほどちょっと触れられましたが、石炭合理化事業も進められたりアルコール製造事業も進められたりという形で、NEDOも当初の設立の業務分野から相当発展的に拡大してきたと言うべきなんでしょうか、あるいは相当違った分野研究開発も取り組んできたということなんでしょうか、何となく悪く言うと寄せ集めみたいなところもありまして、その上に今度は基礎的な研究、二十一世紀を展望した産業技術研究開発もお願いをする。しかもそれは、最先端の産業技術研究開発をお願いしている。これはNEDOが最も適切妥当だと理解しておられるのでしょうか、いかがでしょう。
  171. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 今先生、発展的解消という言葉を……(青山委員「解消じゃない拡大、発展的拡大と言いました」と呼ぶ)発展的拡大と言われましたが、形はそういうことだと思いますが、現在のNEDOのやっておりますサンシャイン、ムーンライト等の研究開発事案は、私どもが今直接委託をしております大プロとか次世代のやり方と極めて似ておりますし、そういう意味でNEDOの今までのノーハウなり仕掛けを活用させていただいてNEDOにやっていただく、これが一番適切ではないかと思った次第でございます。  もちろん先ほど御指摘ありましたように、私どもとしては当初の段階では別の法人ということも考えておりましたが、諸般の事情からそういうようなことにしたわけでございます。新たな事業は一部追加はなりますが、その新たな技術開発が従来の新エネルギー部門ともフィードバックというか相互に影響し合いながら、エネルギー部門とそれから産業技術部門の発展というか、両方の合理的な推進が可能になると思っておるわけでございます。
  172. 青山丘

    ○青山委員 お話聞いておりますと、それなりに私なりに理解して納得をしてはいるんです。ただ、相当重要な産業技術研究開発ということになってきますと、よほどの体制整備して、NEDOにもそれらしい受け入れ方をしてもらうんだというふうに、実は私は理解しておりました。しかし、なかなかそうでもなさそうで、何となく本当に乏しい人材でNEDOにこれら研究開発業務の遂行をお願いするというのでしょうか、やってもらうというのでしょうか。本来、NEDOにお願いするならそれなりの体制を整えて、それらしい人材をきちっと確保して配置をして、そして非常に高い専門的な知識を持った人たちが相当な陣容でもって臨んでいかれるべき筋合いのものではないかと思うのですね。どうも実態はそうではないのですが、その辺はいかがでしょうか。
  173. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 厳しい行政改革の折でございますので、必要最小限の陣容を効率的に配置することによりまして事業の円滑な進展を図るよう、私どもも全力を挙げて支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  174. 青山丘

    ○青山委員 資料によりますと、運営委員が二名、一部を新規に設立していかれる、その一部には三課で十七名の人員が配置をされていくということであります。相当大だんびらで、登場してくるときに新しい立法も備えて、NEDOそのものが根拠法である石油代替エネルギー法との関係が少し体質を変えてきておりますから、私は新しい法律そのものはよく理解します。ただしかし、その意気込みと実態とは相当な開きがあるような気がいたします。十七名のわずかなスタッフで、これら重要な業務が本当に遂行できるのかなという疑問を持ちます。これが第一点。  そしてNEDOは、いやいや違うんだ、予算の分配機関にすぎないんだよ、こう言われるのならまた話は別ですよ。しかし、今回の法律改正になってきたその経過から考えますと、我が国がこれまで取り組んできた産業技術研究開発のそうした取り組み、そうした政策を顧みて、現時点において技術革新をひとつ思い切って進めていかなければいけない、そういうことでこうした新しい法律を用意して取り組むんだというようなことになってきますと、何となく随分能書きは立派のようですが、そう言っては失礼だけれども実態は何となく貧弱だ、そういう感じはどうしてもぬぐい去れません。  特に、新規の事業になってきますが研究開発業務では、これだけ見てみても、例えば大型プロジェクトで九テーマ、あるいは次世代で十四テーマ、あるいは医療で十テーマ、研究開発だけでも三十三テーマを抱えてやっていかれる。また、研究基盤整備の方でも、施設を国みずからがやる部分と、あるいは第三セクターに出資をしていくというような業務があります。これはもうなかなかの仕事でありましょう。さらにまた国際共同研究開発、こういう共同研究のチームに対する援助もやっていただかなければならない。そういうような相当な取り組みをしていただけるんだと思いますよ。であるからこそ、これまで工業技術院は相当なスタッフを抱え、優秀な人材を多く抱えてやってこられたように思います。それに比べますと、今度のスタートというのは、何となくそうした疑問を私は率直にぬぐい去れない。NEDOの理事長さん、そうした新しい業務を遂行していかれるのに、こうした新しい陣容での取り組みについての御見解はいかがでしょうか。
  175. 松岡實

    松岡参考人 お答えいたします。  新業務の追加に伴い、機構の本部に産業技術研究開発部が新設され、定員については十七名が予定されていると聞いております。  新事業の業務のうち研究開発業務については、業務の進め方が従来機構が行ってきた新エネルギー技術開発事業と類似した業務でございますので、従来の経験を十分に生かして実施していくつもりでございます。他の国際共同研究推進業務及び研究基盤整備業務につきましても、所管官庁の御指導を受けつつ、役職員一同一丸となって努力し、円滑に遂行してまいる所存でございます。特に、本年度は初年度でもございますし、個々の事業の構想とか企画立案については、主として所管官庁が今まで対応してまいりましたところでございますので、いろいろな面で所管官庁から支援、御助力を得まして今後進めていきたいと考えております。また、新業務のうち総務、経理等のいわゆる管理業務につきましては、既存の管理部門の職員にも業務を担当させるなど、全機構を挙げて業務の遂行に当たりたいと考えております。
  176. 青山丘

    ○青山委員 通産省工業技術院、この十七名の陣容でどうなんでしょう、どういうふうに受けとめておられますか。
  177. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 新エネルギー産業技術総合開発機構におきましては事業実施のための事務を主として行うことになっておりまして、個々の事業の構想あるいは立案は工業技術院で行いますので、とりあえず昭和六十三年度においては十七名の体制で事業の遂行が可能と考えておるわけでございます。今後とも、事業の進展に伴って要員の確保を図ってまいりたいと考えております。
  178. 青山丘

    ○青山委員 NEDOの役員のことでありますが、八名の理事がおられます。新しい業務を追加しても役員がなかなかふやせない、行政改革の立場からすれば私はよく理解します。ただしかし、新しいこうした産業技術研究開発を新しい業務として加えていく、そうなってきますと、八人の理事の業務担当を変更していけば、技術研究開発の担当部門の方は確保することができると思うのですね。また、そうすべきであろうと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
  179. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 現在、御指摘のように八人の理事がおいでになるわけでございます。そのうち総務、経理等の管理業務を御担当の方が一名、代替エネルギー関係を御担当の方が三名、それから石炭関係、この中には石炭資源開発とか石炭技術開発も含まれておりますが、これを御担当の方が三名、それからアルコール製造を御担当の方が一名、合計八名という状況になっております。現在それぞれ業務を担当いたしていただいているわけでございまして、先生指摘のようにリシャッフルをいたしますか、あるいは現在の分担の上に大変御努力をいただきまして新しい業務を幾つかに分けまして分担をしていただくか、今後検討をしていくことになると思います。  ただ、八名の理事のうち六名の方が技術系でございまして、工学部御出身の方が四名、理学部御出身の方が一名、農学部御出身の方が一名というような状況でございます。技術問題につきましては、必ずしもエネルギーに限りませんで、一般技術につきましてもかなり御経験を積んだ方が多いわけでございます。そういう意味で、大変厳しい状況ではございますけれども、新しい仕事が生まれますとそこで一段と知力、体力を振り絞っていただくということを御期待申し上げたいと思っております。
  180. 青山丘

    ○青山委員 NEDOも含めてそうですが、他の特殊法人でも今までよく言われてきたことでして、例えばNEDOの役員の人事でも、関係省庁からの順送り人事がずっと繰り返されてきている状況の中で、現場における士気、仕事に取り組む意欲、こういうものがそがれてきているのじゃないかと心配しているのですね。いつまでもそういう取り組みが続いていくというのはどうか。そういうことがずっと続いていけば、やはり本来の業務にも支障を来されるのではないかと私は心配しています。その辺はいかがでしょうか。
  181. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 ただいまの御質問は一般論かと存じますけれども、基本的には、先生指摘のようにいわゆる適材適所と申しますか、広く一般からも適材を求めると同時に、それぞれの機構組織の職員の中から適材を抜てきしていくというような考え方が必要不可欠かと思いますし、またそれが組織を活性化させてまいります根源かと考えております。  なお、現在の新エネルギー総合開発機構につきましては、機構設立のときに、産業界の意向というものを十分生かすべきだというような観点で、かなり多角的に役員の構成等につきましても論議が行われておりまして、ただいま申し上げましたような一般的な考え方というのがかなりよく適用されているのではないかと理解をいたしております。
  182. 青山丘

    ○青山委員 次に、研究基盤施設の整備業務、研究基盤施設をさらに整備していくという仕事がありますが、これは機構みずからが行う施設と、第三セクターに出資をしていく、融資をしていく形で行われる施設とありますが、このプール部分をどのように考えておられますか。また、所要資金の負担の割合をどういうふうに考えておられますか。
  183. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 お答えいたします。  研究基盤施設のうち、整備をすること自体が研究開発要素の高いあるいは先端的なもの、そういうものについては機構みずからが整備をしていく考えでございます。そのほかのもの、これは大部分でございますが、大部分はNEDOが出資をいたしまして、民間活力も活用しました研究基盤整備会社が整備するというふうに仕分けをしております。  それから第二の、所要資金の内訳というか負担割合でございますが、総事業費のおおむね半額を資本金にいたしまして、残り半額を借入金という形でいきたいと思っております。資本金につきましては、その三分の二を限度としまして機構が出資する、残りは民間と地方公共団体に出資していただくということを考えております。地方公共団体が出資した場合には、日本開発銀行などを通じますNTTの無利子融資を受けることが可能になりまして、一部民間資金借り入れということも考えておるわけでございます。
  184. 青山丘

    ○青山委員 先ほども議論の中で出ておりましたが、日本産業技術研究開発に対する予算がヨーロッパに比べて云々という話が出ておりました。あるいはアメリカに比べてどうかという議論が出ておりました。アメリカやヨーロッパが持っている研究開発のための産業基盤施設にはどんなものがあるのでしょうか。また、そうした施設を我が国はこれまでどんな形で使ってきたのでしょうか。
  185. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 研究基盤施設にはいろいろなものがあると存じますが、私どもが来年度整備考えております同種のものについて、御質問にお答えを申し上げたいと思います。  第一は、無重力環境実験センターでございますが、これはアメリカの航空宇宙局、NASAが百メートルあるいは百四十五メートルのものを幾つか持っております。ただ、これはNASAと共同研究を行う場合にのみ一般の人が活用できるという制約がございます。ヨーロッパについて見ますと、西ドイツで今建設中でございますが、百五十八メートルの高さの落下塔を計画中でございまして、一九八九年に運用開始予定というふうに聞いております。  第二に、イオン工学センターでございますが、これはアメリカのカリフォルニア州等で企業がごく一部分のイオンビーム装置を持って有料で貸しているという例はあるようでございますが、私ども考えておりますようないろいろなイオンビーム装置を集合的に総合的に整備する、あるいは持っている、そういう機関はございません。それからヨーロッパでは、西ドイツに重イオン研究所という公的研究施設がございますけれども、これも共同研究の場合にのみ一般の人が使えるという状況でございます。  第三に、鉱工業海洋生物利用技術研究センターに類似したものでございますが、水産関係の研究所欧米にもちろんございますが、私どもが今考えておりますような総合的な機関の例は、私どもの知る限りないという状況でございます。  以上申し上げましたが、やはり一般の企業あるいは一般の研究機関がそれを使うという例は欧米ではまだ非常に少ない、かつ、日本企業が借りに行こうといたしましても、共同研究等といったような非常に狭いというか、厳しい制約がある状況でございます。
  186. 青山丘

    ○青山委員 先ほども日本の投資額が相当なものだという話が出ておりましたが、私が聞くところによれば、アメリカの七分の一程度しか投資額がないということも言われておりました。それから、先ほどのアメリカでも西ドイツでも百五十メートルぐらいということになりますと、今度日本の砂川は八百メートル以上ですから相当大規模なもので、あるいは世界の国から利用させてほしいという意向が出てくるのではないかと私は思って期待しています。  さてそこで、今後なお整備していく施設、どんなところを考えていこうと思っておられるか、また、立地地点についても検討しておられれば聞かしていただきたい。  それから、頭脳立地法を今検討しておりますが、今回の事業とこの頭脳立地法との関係をどんなふうに考えておられますか。この施設を頭脳立地法の施設として考えておられるのかどうか、全く別個に考えておられるのかどうか、そのあたりはいかがでしょうか。
  187. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 まず第一点の御質問でございますが、先ほども申し上げました三施設、六十三年度に着工したいと思っておるわけですが、その後につきましては私どもまだ明確な予定はございません。ただ、研究基盤施設の必要性、あるいは地元の熱意、あるいはユーザーの想定、あるいは民間企業の意欲の高まり、関係者の意欲の高まりというような条件が整えば、私どもとしては将来の問題として検討いたしたいと思っておるわけでございます。ただ、現時点では、具体的にどういうものが新たな研究基盤施設として整備するのが適当かという点については、残念ながら申し上げることはできませんので御了承いただきたいと思います。  第二点の頭脳立地法との関係でございますが、頭脳立地法は、御承知かと存じますがやはり地域開発、頭脳分散を主目的としました地域立法というふうに私ども理解しておりまして、一方私どもの今度の研究基盤施設は、大規模な研究基盤施設を高度な研究なり開発のために使っていただく、あるいは内外の研究者に使っていただく、そういう意味で先端的大規模な施設をいわばナショナルベースで整備するものと考えております。そういうわかりやすい言葉で申し上げますと、ローカルとナショナルな違いがあるかと存じます。  それから、頭脳立地法では、私ども伺っている限りでは、研究施設とか研究所という単体のものというより、研修施設を備えたりあるいは集会所を備えた複合的な頭脳基地のようなものを考えておられるというふうに理解しております。そういう意味で、私ども研究基盤施設が頭脳立地法の対象と同じようなものというふうには考えておりませんし、運用上も別のものというふうに理解しております。
  188. 青山丘

    ○青山委員 通産大臣に一つお尋ねしておきたいと思います。  通産大臣も三日間だけヨーロッパへ行ってこられて、それで時差が少しおさまるかと思ったら、むしろ向こうになれたころ日本にまた戻ってこられて、大変厳しい思いをしておられるのでしょうけれども一つだけ私通産大臣に姿勢といいますか考え方お尋ねしておきたいと思いますのは、国際共同研究開発の業務というのは大変意義深いものでありますし、世界の一割経済を担う我が国としては、やはりそれなりの役割を担っていかなければいけない。また、こうした意義深い共同研究開発のような分野にこそ日本はもっと思い切って取り組んでいかなければいけないのではないか、またそういう点で貢献をすることができると私は思います。その点では、私はひとつぜひ今後ももっと大胆に予算をふやして取り組んでいただくというお気持ちを持っていただきたい。その意味で、大臣の決意を一言お尋ねしておきたいと思います。
  189. 田村元

    ○田村国務大臣 国際共同研究推進事業は、我が国産業技術研究開発の国際化を一層促進するものでありますし、基礎的、先導的分野での我が国の国際貢献の拡大を目指そうとするものでございます。この制度の重要性にかんがみまして、この制度の円滑な運用に努めなければならぬことは当然でございますが、それにも増して、所要の予算の確保には、私も懸命の努力を払ってこれを確保していきたいと考えております。
  190. 青山丘

    ○青山委員 今回のこの国際共同研究になりますと、参加をされる外国人研究者の人たちにとって、恐らく外国に比べて日本は提出書類であるとかいろいろな意味でなかなか煩雑で、いやもうこんな国なら余り一緒に研究をやりたくないというような思いをさせてはならないと思います。そういう意味で、できるだけ提出書類等も少なくして簡素にしていくというような取り組みが必要ではないかと私は思いますが、その辺はいかがでしょうか。  また、国際共同研究という場合に、日本人の研究者がいなければこれは補助の対象にならないのかどうか、このあたりはいかがでしょうか。
  191. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 国際共同研究への補助は、私どもが六十三年度に考えております仕掛けでは、日本研究者と外国の研究者と双方含まれている場合をとりあえず想定しておりまして、実際のいろいろな書類等につきましては、日本研究者に依存することが多いというふうに今考えております。ただ、国際共同研究の場合、そういう資料については従来の例から見ましてもなかなか大変だと思います。先生の御指摘のとおりだと思います。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、この趣旨を生かすために、あるいは国際的な研究者の意欲をなくさないように、関係官庁とも御相談いたしまして、できるだけいい仕掛けにしてNEDOにお願いしたいと思っておるわけでございます。  第二の御質問の、日本研究者がいる必要があるのかという点につきましては、最初にちょっと申し上げましたが、六十三年度は初の制度の発足でございますが、日本研究者も中に入っていただいたものを私どもとしてはとりあえず考えております。
  192. 青山丘

    ○青山委員 当初はそういう形で進んでいくのでしょう。しかし、できるだけ弾力的な考え方で国際社会に貢献するというスタンスで物を考えていっていただきたいと私は思います。  それから国際共同研究開発、こうした事業で開発された成果というものは、ひとつぜひ広く諸外国にも活用していただく。日本がお金を出したのだ、だから日本がくちばしを入れるのだよというような姿勢は、これからはできるだけ慎んでいくのが日本の立場ではないかと私は思います。そういう点では、こうした研究開発の事業は人類全体の研究の成果だというような考え方で取り組んでいただきたいと思います。御見解はいかがでしょうか。
  193. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 お答えいたします。  私どもが今考えておるのは、いわば国際的な補助金というふうに考えておりますので、その成果につきましては、国籍のいかんを問わず研究実施者に成果がいくようにしていきたいと思っております。それから、内外無差別に活用されるというような配慮も十分してまいりたいと思います。
  194. 青山丘

    ○青山委員 私は通産省、大蔵省からその考え方を示していただきたいと思いますが、国の委託によるところの研究開発の成果は委託を受けた受託企業や譲渡していく、しかもそれは無償もしくは廉価で譲渡していくのだ、こういうような姿勢が必要ではないかと思います。そのことが、受託企業にとっても意欲が出てくる、研究者にとっても意欲が出てくる、そういう意欲の中から結果として研究の成果がいい形で出てくるのではないか。むしろねらったものよりも、よりすぐれた成果として出てくるのではないかと考えているのです。そういう意味では、国から委託をされた研究開発の成果というものを、ぜひ委託を受けた受託企業に譲渡していくべきではないかと考えております。そのあたりは、通産省、大蔵省はいつごろからそんな方向で取り組むのだという考えをお持ちかどうか、いかがでしょうか。
  195. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 先生指摘のとおり、現在、国が直接委託するものにつきましては研究成果は国に帰属する、それからNEDOが行う場合もNEDOというのが現在の制度でございます。これを譲渡する場合には、適正な対価が必要であるということになっております。もちろん、その研究実施者に優先的に使用権を与えるというような制度はできておりますが、開発成果の一時的な権利の所属は国あるいは機構ということになります。  ただ、国の場合と機構の場合ではおのずから制度上違いがございまして、国の場合は財政法あるいは予決令の制約がございまして、国に帰属することは法律上明確にされておるわけですが、特殊法人の場合につきましては、おおむね国と同じ運用を現在しておりますが、今後私どもとしては、アメリカの例等も参考にしながら、研究実施者へのインセンティブの付与、あるいは研究実施者の提供したノーハウなり頭脳なり設備なりを適正に評価して、その成果を配分するというような仕掛けなり検討が何かできないものかということを今勉強中でございまして、関係方面に御相談を申し上げているところでございます。
  196. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の国が直接委託をした場合の譲渡、無償もしくは廉価で行うべきではないかという点に関しましては、ただいま工技院の方から御説明したとおりでございまして、私どもも同様に考えております。すなわち、研究開発の成果として国に帰属した特許権等につきましては、国有財産としていわば国民共有の財産となるものでございまして、これを特定の者に対して、または適正な対価なくして譲渡することは、原則として許されないのではないかというふうに考えております。  ただ、今御説明がありましたように、NEDOについて今後どうするかという問題につきましては、また御検討の結果も踏まえて、私ども御相談に乗ってまいりたいと思っております。
  197. 青山丘

    ○青山委員 ありがとうございます。せっかく国として産業技術研究開発に力を入れていこう、国際社会に貢献していこう、こういう姿勢をとっていくことが大変意義深いことだと、私も率直に評価をしております。  しかし、この研究開発の成果が上がるためにも、なおその成果をどのような形で譲渡して活用してもらうのかということがより重要であるように私は思います。そういう研究開発一つの成果を、当事者として研究開発に努力したから我々の企業が有効に、あるいは研究者にとって有効に活用することができるのだという仕組みであるからこそ、なお全体の研究開発がうまくいくのだ、こういうようなこともぜひ考えていただいて、今後そうした方向で取り組んでいただきたいと要望させていただきます。  質問を終わります。
  198. 渡辺秀央

    渡辺委員長 続いて、工藤晃君。
  199. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 本法案の提案理由によりますと「国際的批判にこたえる」ためということですが、どの国のどういう批判にどうこたえようとしているのでありましょうか。  それから、現在、日米科学技術協定の改定交渉が行われている。その改定交渉の中で、アメリカ側から大プロ、次世代などの研究開発の国際的開放を要求してきたと伝えられておりますが、事実でしょうか。  そしてまた、本法案が実施されますときに、例えばアメリカが要求している超電導研究開発などにアメリカが参加するようになるのかどうか、あるいはまた五世代コンピューターそのほか、次世代基盤技術研究開発等々のプロジェクトにアメリカの企業が参加できるようになるのかどうか、具体的に答弁してください。
  200. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 お答えいたします。  第一点の、いかなる国際批判にこたえようとするものかという点でございますが、先ほどからもございましたが、日本基礎研究比率が非常に低い、日本欧米基礎研究を依存して、応用研究開発研究に力を入れていい製品を輸出している、そういう批判が一つございます。それから第二には、日本により多くの研究者を受け入れるべきである、あるいはプロジェクトを開放すべきであるという批判がございます。そのような批判に対して私どもとしては、今後日本は、日本のためにも研究立国のために必要でございますが、国際的なそういう批判にこたえる、あるいは国際的な貢献を行っていくために、私どもは今提案申し上げておりますような法律をお願いしておるわけでございます。  それから、日米科学技術協力協定の改定交渉の中で大型プロジェクト等の開放を要求しておるのかという点につきましても、今、日米両政府の間で鋭意非常に精力的に交渉中でございまして、アメリカからはいろいろな要請が出されております。ただ、具体的な内容につきましては、交渉中のことでありますので、アメリカは具体的にどういう要請をしているということについては差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、アメリカがその交渉の過程中だけじゃなくて、一般的に私ども通産省の大型プロジェクトあるいは次世代の委託費の制度に参加をしたい、あるいは研究者を送り込みたいという話は、一部ではございますがそういう要請がございます。要請がございまして、私どもとしてはそういう海外からの要請につきましては、従来からも受け入れる姿勢でございますが、今後ともできるだけ国際協力という点から研究の開放を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、超電導等に具体的に参加することになるのかという御質問につきましては、現時点で私どもは海外の企業にも共同研究というようなものを申し入れている案件がございますが、まだ具体的にはアメリカ等からそういう参加要請というものはございません。  以上でございます。
  201. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 日米科学技術協力協定の改定交渉とある連動があるということがうかがえたわけでありますが、最後の超電導も、昨年七月、レーガン大統領が発表したところのアメリカの超電導開発加速構想、この中ではっきりと「改定交渉進行中の日米科学技術協定の中に、日本政府が進める超電導研究開発に米国が参加できるという内容を盛り込む。」という正式の文書、私は本文も持っておりますが、そういうことでありますから、そこまで具体的に進行しているということについてははっきりさした方がいいんじゃないか、こういうふうに思います。しかし、私も余り時間がありませんので、ポイントを絞ってこの法案について申し上げたいのです。  この法案そのものにかなり不透明な部分が多い。というのは、今進行中でさっぱり内容が知らされていない日米科学技術協力協定の改定が一体どうなるのかということが、この法案と連動しているにもかかわらず、余りというかほとんど明らかにされていない。実は私も、部屋に外務省とかあるいは関係者を呼びましたけれども、この問題についてはさっぱりお答えにならない。新聞でも広く報道されている問題点についても、報道事項についても何ら答えようとしないということでありますから、きょう本委員会においても外務省も呼ぼうと思ったのですが、呼んだら時間つぶしになると思ったので呼んでない。しかし、これは連動していることは明らかでありますから、そこで私は、幾つかの意見も述べながら質問を続けざるを得ないわけであります。  それは、この法案と同時に、今言ったような日米科学技術協力協定の改定交渉があって、そこで安保条項が入るのではなかろうかということが焦点として伝えられている。そのほか、いわゆる防衛目的特許権協定、その中の第三条がいきなり最近よみがえってきて実施することになるということ、これはまたSDI研究参加協定とも連動している、こういう状況もあります。それから、昨年ここで審議しましたように、外為法の中に安保条項というのが入ってきた。そういうことで、私もかつて自然科学の中で仕事をしてきた者の一人としてつくづく考えるのですが、日本の戦後の科学技術研究開発のあり方、平和だとか自主、公開、民主、これが非常に大きく揺るがされている、そういうさなかにこの法案が出されているということを考えないわけにはいかない。  そういうことで、これは大臣にもちょっと聞いていただきたいのですが、アメリカの最近の科学技術の情勢といいますか、その政策の方向性といいますか、一体どうなっているのかというので、これは「国際問題」という、外務省そのものが出している雑誌ではありませんが、外務省と非常に近いところで出している雑誌のことしの一月号の中に「アメリカの科学技術戦略」というのがありますが、この中で次のような指摘がやられております。一九八〇年代に入ってから、技術移転規制政策の新しい特徴が出てきたということなんです。その特徴は何かというと、規制の対象と範囲の拡大である。それで、実はこの規制という問題になりますと、それこそ武器技術とかあるいは防衛関連技術だとか、やれSDI研究開発に参加したときの技術とか、こういうのはかなり限定された範囲で生まれるような問題だと考えられるわけでありますが、実は問題なのは、ここで今問題とされている基礎的な研究分野でこの規制が非常に厳しくなってきているという、そのアメリカの科学技術政策がいろいろな影響を与えるということを私は危惧しているわけです。  例えばどういうことかといいますと、従来基礎研究といわれたものが、その中が分けられてきた。従来のベーシックリサーチといって一括されてきたものが、その中から特にファンダメンタルリサーチという分野を引き出しまして、そのファンダメンタルリサーチというのはいわゆる汎用技術と言われるようなものにもなるわけなのですが、これは技術化までの距離が近いもの、あるいは重要技術基礎をなすもの、その成果の扱いを規制しなければならないということが、特に国家安全保障にかかわる情報の扱い、これは大統領行政命令通告以来、一九八二年ですが、ずっと出されてきて、このファンダメンタルリサーチという定義までが出されるようになってきている、こういうことがあります。  それからまた、従来よくクラスファイド、アンクラスファイドといって、いわゆる機密と非機密というふうに分けてきたのですが、最近の状況としては、非機密であってもさらに取り扱いを厳重にするものというのが出されてきた。これも実は国防総省の一九八四年の指令として、そういうものが出されてきている。従来、非機密として扱われてきたものはもちろん公開が自由な原則でありますけれども、この公開が自由でなくされるようになってきたということから、現実にどういうことがアメリカで起きてきたか、驚くべきことがこの「国際問題」の中にいろいろ書かれてあります。  例えば学会への参加者をどういう範囲にすべきであるか、学会での発表する内容について事前に検閲をする。例えばとして一つの例が挙げられておりますが、八二年八月、米国写真・光学技術者協会、SPIE総会へ国防総省が介入をした。発表予定の六百二十六の論文のうち百五十以上が発表の差しとめを食らったということが、ここで伝えられているわけであります。またそのほか、契約行為としては、日本企業がアメリカの企業を買収しようとして国防総省が入ってとめられた例は、京セラ、新日鉄、ミネベア、富士通、いろいろあったから、これはもう言うまでもなく皆さん御存じのことだと思いますが、こういうことからアメリカで基礎研究分野まで、そしてまた一番基礎的な汎用的な技術分野まで、その発表とかあるいは移転とか国際交流を厳しく国防総省までが乗り出してきて規制するという、こういう動きがある。  こういう事実について、これは工業技術院もアメリカの研究情勢について調査されておりますが、知っているでしょうか。知っているかどうか、そのことだけ答えてください。
  202. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 レーガン大統領の行政命令等の経緯は存じております。また、学会における論文発表の一部規制が行われていることも存じております。
  203. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 調査したからその点はよく御存じだと思うのですが、しかし問題は、これからこういう新しい機械をつくったり、いろいろ制度をつくって共同研究をしていこうというときに、かなり基礎的な分野研究であっても、そういうアメリカ側の制度とかそれから政策が日本に影響を及ぼしてくるのではないかということは、当然危惧しなければならない。しかしそれには、既に述べたところのSDIの研究とかいろいろありますが、もっと広範な分野で言うと、日米科学技術協力協定で行うであろうところの共同研究というのは、科学者の方から見ても相当基礎的な分野が多く含まれている。そこで安保条項などが入り出したら一体どうなるのか、これは非常に心配されるわけなんです。  それで、昨日大臣は赤旗は読んでいないよという答弁だったのですが、毎日とか朝日ならばその論説に気がつかれたと思いますが、例えば日米科学技術協力協定改定の問題で、さっきも安保条項、安保条項と言いましたが、例えば毎日も「日本側として受け入れられない点をきちんと伝えることだ。具体的には、国家安全保障に関する情報保護の問題である。今日の基礎技術応用範囲が広く民生品にも軍事利用にもつながるものが多い。」「したがって、軍事技術であるとの認定によって公表を禁じられるなら、非常に広範な研究が秘密のベールに包まれることになる。これは科学技術の健全な発展の妨げになるし、本来、研究の自由、発表の自由は確保されるべきものだ。」これは毎日のことしの二月一日の社説であります。朝日も同様の主張がありますが、これは読み上げると時間がかかるのでもう省きますけれども、実はこういう日米科学技術協力協定の改定のいかんによっては、この法案が予定しているいろいろな国際的な研究日本に非常に大きなマイナスをもたらす可能性を私は危惧しておりますが、さっき言ったような新聞社の主張に対しても、大臣としてはそういうことは今後絶対は起こり得ない、起こしてはならない、そういうことが答弁できるでしょうか、お答え願いたいと思います。
  204. 田村元

    ○田村国務大臣 失礼しました。お話の発音のつぼがちょっとわからぬところが一カ所あったものですから、失礼しました。  新聞は読んでおるわけでございますが、私はもっと勉強すればいいのですけれども、政党が出しておる新聞というのはほとんど読んだことがありませんので。と言いますと、自分の党の新聞も読んでいないのかということになるわけですが、まあ余り読まない方かもしれません。  この日米科学技術協力協定につきましては、現在外交交渉の最中でございますから、これは私から具体的なことを申し上げることもどうか。これはやはりはばからなきゃなりません、外務省が苦労して交渉しておるわけでございますから。ただ一般論として申し上げるならば、科学技術研究成果につきましては、大げさな話になりますけれども、人類の福祉とか生活の向上のために積極的にその活用が図られるように公開される、これが原則であります。私はやはり原則公開ということは大切にしなきゃいかぬと思います。この公開に対して過度の規制を行うということは厳に慎まなきゃならない、私はこのように考えております。
  205. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 この改定交渉の内容そのものについては、きょうこれ以上触れるつもりもありませんし、また無理だと思いますけれども、私の言った危惧しているところは、ぜひ大臣としても考えていただきたいと思うわけです。  それで、もう少し具体的な問題について伺っていきたいわけでありますが、対米武器技術供与について交換公文が出されてからこれまで何件あったのか。この前三件という答えでしたが、これ以上ふえたのかどうか、これが一点ですね。  それからもう一つ、対米武器技術供与の交換公文の中にこういうくだりがあります。「日本政府は、武器技術以外の防衛分野における技術日本国からアメリカ合衆国に対する供与が、従来から、また、現在においても、原則として制限を課されていないことを確認し、関係当事者の発意に基づきかつ相互間の同意により実施される防衛分野における技術のアメリカ合衆国に対する供与を歓迎します。そのような供与は促進されることとなりましょう。」つまり、さっき言った既に行われた三件とは別枠の、防衛分野民間が実質的にやっている、それで政府が歓迎しているという技術の供与というのは、具体的にどういう形でどのくらいやられてきたのか、これが二点目の質問です。  三点目の質問がマッカラム報告、後で触れますけれども、この中にこういうくだりがあります。米国政府の軍事利用技術研究開発の国際協力政策目標のために、一九八〇年に国防総省と防衛庁との間でジョイント・システムス・アンド・テクノロジー・フォーラム、S&TFと言っております日米装備・技術定期協議というのが設けられたというけれども、一九八〇年に武器技術研究開発交流としてこういうものが設けられて具体的にどう機能してきたのか、どういう結果を生んだのか。  以上三点について、きょうは防衛庁来ていたたいておりますから、お答え願いたいと思います。
  206. 畠山襄

    ○畠山政府委員 まず第一点目と二点目でございますけれども、対米武器技術供与で何件供与されたかというのは、御質問の中にもありましたが依然として三件でございます。  それから第二点目の、対米武器技術供与に関します交換公文の前文で今お読み上げになりました箇所に基づきます武器技術以外の、私ども汎用技術と言っておりますが、それがどういう形でどれぐらい出たのかということでございますが、それは先ほどお読み上げいただきましたところにもございますように自由ということになっておりますものですから、私どもそういうものについて何件、どういう形で出たかということについては特にフォローをいたしておりません。
  207. 別府信宏

    ○別府説明員 お答え申し上げます。  三つ目はS&TF、日米装備・技術定期協議についての御質問かと思いますが、先生も触れられましたように第一回目が五十五年の九月にワシントンで開かれまして以来、第十回目といたしまして六十二年の十一月二十三日、二十四日、ワシントンにおいて開かれております。  この日米装備・技術定期協議と申しますのは、日米防衛当局間におきます装備・技術面における協力の一つといたしまして設けられたものでございまして、基本的に毎回、私どもがFMSあるいはライセンスによって装備品を調達しておりますその関係、あるいは資料交換に関する取り決めに基づきます資料交換の状況に関する意見交換、あるいは装備・技術分野におきます当面の懸案事項、今後の装備・技術協力のあり方といったようなことに関しまして、日米の防衛当局間で協力関係の一層の緊密化を図ることを目的として開かれております。
  208. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 それが技術交流にどういう役割を果たしたかということは、答弁を避けられたと思います。それから先ほどの答弁の中で、防衛関連技術を私どもは汎用技術と呼んでいると言いましたが、これは正確ではないので、前に私、商工委員会で質問したときはもっと正確な答弁をいただきました。武器技術と、もう一つは武器技術ではないけれども防衛分野技術という範疇があるのです、ディフェンス・リレーテッド・テクノロジーという範疇。それからもう一つ外にあるのがデュアルユースで汎用になるわけで、この三つが使い分けられているのが今の状況ですから、単純に何でも汎用と言ったら正しくない。これだけ訂正を求めておきます。  そこで具体的に、武器技術供与の取り決めか、あるいはさっき言った日米の装備・技術定期協議の一つの結果としてか、マッカラム調査団というのが三回にわたって日本にやってきておりまして、特にそこでは十一企業あるいは防衛庁の技術研究本部を訪れて、アメリカの国防総省やアメリカの軍需産業から見て、この場合は特に電子光学とミリ波は絞ってどういう技術が進んでいるのか調査を行ったわけであります。その結果として非常にはっきりしてきたのは、例えばマイクロ波・ミリ波技術、ガリウム砒素の機器、衛星放送受信装置、それから電子光学では半導体レーザー、可視光画像素子、赤外線の画像素子、光ファイバーではその通信機器、ディスプレーでは高解像のCRT、液晶プラズマ、マイクロエレクトロニクスではガリウム砒素のディジタルIC、これらを含めて非常に注目されるということが出てきているわけです。  特はこの中で問題になるのは、この報告の一つの結論としてそこで何と言っているかというと、日本政府当局者は米国の関心を十分に理解し、電子光学、ミリ波技術の交換協力体制樹立において積極的に協力する姿勢を見せているということであります。このように、電子光学とミリ波技術という分野での日米の技術交換協力体制に積極的な姿勢を見せたということですが、これは具体的には防衛庁なのか通産省なのか、そしてその後どういう協力が行われているのか、具体的に答弁願いたいと思います。
  209. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 防衛庁関係でもし何かありましたら後で答弁をしていただきますが、まず私の方の関係で御返事を申し上げますと、マッカラムさんを団長とする調査団は日本に三回参っております。五十九年七月、六十年四月、それから六十一年八月でございまして、六十二年の五月には最終報告を出しておりますので、今、工藤先生お読みになりましたのはその最終報告の一部であろうかと思うわけでございます。この調査団は、御指摘のように日本の電子光学、オプトエレクトロニクス、それからミリ波技術等の状況がどうであるかということを調査することを目的として参ったものでございます。  防衛分野技術の対米供与につきましては、先ほど先生もお読み上げになりましたような態度が日本の基本的なものです。つまり、関係当事者の発意及び相互間の同意による供与を歓迎するというのが基本的な姿勢になっておりますので、私どもといたしましても調査団がやってまいりまして調査することについては協力をするということにいたしましたが、実際に私どものところにこの調査団が参りましたのは、一般的な表敬訪問ということでございます。また、輸出関連の法制についての説明を聞く、こういったようなものでございまして、具体的な協力関係について協議したことは一切ございません。
  210. 別府信宏

    ○別府説明員 お答え申し上げます。  マッカラム報告につきましては、先生先ほどその報告について述べられたとおりで、今通産省の方から基本的にお答えありましたのと私どもとしては同じスタンスでございまして、ただ私どもといたしましても、この調査結果を踏まえました調査報告書というのは既に公表されたことはもちろん今御指摘のとおり承知しておりますけれども、本調査報告はあくまでも米国防省の資料でございまして、その内容そのものについて防衛庁がコメントする立場にはございませんが、先ほど日米装備・技術定期協議との関連で御質問かと思いましたけれども先生も先ほど日米装備・技術定期協議というのは日米間の技術相互交流促進の一環としてあるんだなとおっしゃいましたとおりでございまして、そのような観点からこの装備・技術定期協議の中におきましても適宜意見交換等はやっておりますけれども、この調査団報告そのものとのかかわりについては先ほど述べたとおりでございます。
  211. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 これは八五年二月二十二日、私が商工委員会で同じ趣旨の質問をしたことがあるのですが、実はさっきマッカラム調査団が挙げた、日本が非常に進んでいてぜひ国防総省として取り入れたいという技術の具体的な、もう繰り返しません、ガリウム砒素素子であるとかいろいろありますけれども、そういうものというのは、これは工業技術院伺いますけれども、これまで通産省あるいは工業技術院として非常に力を入れて開発を尽くしてきた分野ではないだろうか。  そしてまた、問題とされている十一の企業というのは、その中の日本航空電子工業は除いてあとの十社というのは、例えば光応用計測制御システム開発とか新機能素子開発であるとか、あるいは光反応材料研究開発であるとか科学技術用高速計算システムであるとか、そのほか第五世代コンピューター開発プロジェクト、こういう大プロとか次世代に必ず顔を出すようなメンバーであるということは事実なのではないでしょうか。その点に限って答弁をいただきたいと思います。
  212. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 御指摘のいわゆるオプトエレクトロニクス技術あるいはミリ波、マイクロ彼等の技術、これにかかわる技術開発、確かに私どもの大型プロジェクトの幾つかのテーマでそれらの一部を対象としたものがございます。
  213. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 さっき挙げた十一の会社というのは、名前わからないですか。かかわってきたということのわかる人、答弁してください。
  214. 飯塚幸三

    飯塚政府委員 ちょっと手元にございません。
  215. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 では時間ばかりとりますから、それは富士通、日電、日立、東芝、三菱電機、沖、松下、シャープ、ソニー、住友電工ということでありますから、それはそれぞれのプロジェクトの参加企業の名前を見ればそのまま合いますから、これ以上繰り返す必要はないと思います。  こういうことで、先ほど来出した一つの問題というのは、実はこの法案そのものに非常に不透明な部分がある。それは、日米科学技術協力協定の交渉の方向がどうなるかによって非常に大きな問題がある。それでもう一方では、このような武器技術交流ということで汎用的な技術は自由に移せるんだといって、防衛目的、軍事目的に使うということがわかっていながら取り込もうとする、そういう状況が具体的に起こっている。そして、そもそもその日本の持っている技術は何かというと、通産省が一番力を入れて開発し、日本世界的にも進んでいるという分野技術である。そういうことになると、これからの新しい機構や制度が進めるであろう、さらに日本技術の前進とか国際協力の前進というのは一体どういう内容になっていくであろうかということで、私は一連の批判、問題点の指摘を行ってきたわけであります。それで、余り時間がありませんから、法案に基づいてもう一、二点聞いていきたいと思います。  先ほど来の質問でもありましたけれども、もう一度念を押しておきたいのは、新機構の行う研究開発について、いわゆる大プロとか次世代とか医療福祉機器の三つの研究分野で、その委託研究部分だけが移るのかあるいはその三つのものが全部新機構に移るのか、そのほかのものは将来また移ることはないのか、その点について先ほど来の答弁でまだはっきりしませんので答えていただきたいと思います。
  216. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 御質問の点でございますが、その三つの委託制度、それを支援するための研究を私ども国立研究所でもやっております。その分は従来どおり国立研究所で続けることになります。  私どもが現在民間に委託をしております大プロ制度、次世代制度、医療福祉機器制度、この三つについては、私どもとしては原則すべてNEDOに移しかえしたいと思っております。ただ、六十三年度におきましては、そのうち一部、過渡期でございますので下期から考えておりますので、全部ということにはならないかと思いますが、六十四年度においてさらにその措置を進めて、制度としては私どものこの三つの仕掛け、三つの制度をNEDOにお願いをしたいと思っておるわけでございます。
  217. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 引き続き、法案の内容に即して伺います。  研究基盤整備事業について伺いますが、これは全部聞いても大変ですから釜石、清水の海洋バイオの研究センターについて聞くわけですが、もう基金とか出資とか融資とかそういう関係はいいわけですが、第三セクターになると考えられますが、その管理者の構成というのは一体どうなるのか、それでだれが主導権をとるのか、こういう問題ですね。民間企業が入ってきて民間がとるのかどうなのか。それから、将来財政的に赤字が続くというような場合には一体どういうことが予想されるのか、その二点について伺いたいと思います。
  218. 山本貞一

    山本(貞一)政府委員 第三セクターの資本金をまず申し上げます。資本金につきましては、出資のうちの三分の二を限度といたしましてNEDOが出資いたしまして、残り三分の一を地方自治体と民間企業が出資するというふうに考えております。  御指摘の管理者がどういう構成で、どこが主導するかという点につきましては、まだ具体的なイメージができておりませんが、今の出資の構成というのが一つの参考になるかと思います。  それから、事業を運営あるいは施設を運営していった場合の赤字の問題を御指摘されたかと思いますが、私どもとしては、長期計画でございますが、いろいろな助成措置、出資なり無利子融資というのを投入することによりまして、あるいは民間の出資を仰ぐということで長期的にペイをする方向で考えております。
  219. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 長期的にペイをするというような話なんですが、その長期がまた大変問題で、当面からしてそれは問題になると思うわけですが、具体的に海洋バイオセンターというのが東燃のある清水と新日鉄のある釜石と、最初から企業の名前まで出てこの法案と非常に結びついているということに、いろいろ先ほど来の質疑の中でも同じような指摘があったように思いますけれども、実際言うといろいろ報道を見ていますと、東燃も新日鉄も海洋バイオ研究会なんかつくって、そうして自分たちがやろう。それでしかも、ちょうど新日鉄は今計画として釜石の高炉をとめようなんという考え方ですから、ひとつ工場の空き地を提供すれば、もちろんこれは有償で会社にとっても大変結構な話である。東燃も恐らくそういうことなので、かなりこういう企業側の先行していたプランを裏打ちするような形で、この海洋バイオが飛び出してきたのではないかということはだれしも考えるわけですが、それはどういう経過だったのですか。東燃とか新日鉄とか、この海洋バイオ研究会あたりがかなり強く働きかけたというようなことはなかったのですか。
  220. 鈴木直道

    ○鈴木(直)政府委員 バイオテクノロジーを振興している立場で申し上げたいと思います。  バイオの対象になる生物でございますが、従来は陸上植物、陸上生物が非常に対象が多かったのでございますが、非常に多様性に富んでおります生物がございます海上に関しましては、従来余り手がつけられておりませんでした。我が国は御存じのとおりに海に囲まれておりますし、特に御指摘の二地域について考えてみますと、釜石の方は御存じのとおり暖流と寒流がぶつかるところでございまして、非常に多様な生物が期待されます。その地域には国立大学の研究所等々もございまして、現実に海流その他に対する研究も進んでいるわけでございますし、清水について申し上げますと、駿河湾というのは大変深い湾でございまして、一説によりますと南極の海の水が流れ込んでいると言われるくらいでございまして、深海魚その他が非常に豊富であると言われておりますので、今申し上げましたような点から、かねてから海洋バイオに関心がある方々はその釜石あるいはまた清水に研究所を設置するのが望ましいのではないか、こういう議論の積み重ねでこういう経緯になってきているわけでございます。
  221. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 時間がありませんから、この問題で最後にちょっと申し上げたいのは、東燃にしても新日鉄はしても非常に資金力が豊かで、しかも自分の敷地が使えるというのならもう少し自分が中心になってやればいいのに、公的な資金を流し込んで、しかも第三セクターに貸せばそこから賃料も上がるという、ちょっと虫のいい仕掛けができるんではないかということも考えます。  それから、先ほども答弁の中にありましたけれども、外国の例を見ましても、こういう研究施設というのはあるじがなければだめですね。ある研究所の主体がいて、新しいタイプの研究施設というのは、使ってみたらだめだからということで次次と改造したり積み上げていかなければいけない。そこでノーハウが出てくるのに、寄り合い世帯みたいに、きょうはここが使ってあすはあそこが使ってというような、雑多なホテルみたいなことで研究施設のいいのができるわけはない。こういうことで研究を本当に一つ研究目的で進めようとするときに、共同使用にするにしろ中心になるどこかの大学だとか、場合によればどこかの企業研究機関でしょうが、それが中心になってその施設を持って、そして積み上げていく。そういうことなしに、本当に赤字になったら一体どうなるかわけのわからないようなものが幾つも一遍にできていく。しかも、これまでこういうスタイルでやってみてどこかで成功したという経験があれば私もまだ理解できるけれども、今まで全然そういうことはない。世界にあるかというと、世界のどこにもない。そういうところは大変大胆過ぎると思うのです。  そういう問題点も感じますが、時間となりましたので、私の質問を終わります。
  222. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  223. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。奥田幹生君。
  224. 奥田幹生

    ○奥田(幹)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案について、賛成の討論を行います。  御承知のとおり、近年、対外不均衡の拡大などを背景に種々の貿易経済摩擦が発生するなど、我が国を取り巻く国際経済環境は極めて厳しいものがあります。  また、同時に、我が国経済社会は、国際化、技術革新、情報化が飛躍的に進展する中で、国民の価値観の多様化、社会の成熟化など、その基本的構造に大きな変化をもたらす変革期にあります。  このような状況の中で、我が国は、内外の環境変化に適切に対応しつつ、経済社会の安定的発展基盤の形成を図るとともに、世界経済の発展のために、その国際的地位にふさわしい役割を担っていくことが必要となっております。  そのためには、新たな時代を開き、経済社会の発展を促す産業技術に関する研究開発を積極的に推進していくことが不可欠であります。産業技術に関しては、我が国に対して、これまで欧米諸国の基礎研究に多くを依存し、その成果を活用して今日の繁栄を築いたという国際的批判があることも事実であります。こうした批判にこたえるためにも、我が国みずから先導的・基礎分野における技術開発に果敢に取り組み技術開発を通じた国際社会への積極的貢献を果たしていくことが、我が国に課せられた避けて通れない使命となっております。  本案は、このような課題に対処するため、新エネルギー産業技術総合開発機構に産業技術に関する研究開発研究基盤施設の整備、国際的な共同研究に対する助成などの業務を、国際的に協調しつつ、総合的、計画的かつ効率的に行わせるための措置を講ずるものであります。そして、まさにこれによって、我が国の置かれている国際的地位を踏まえた、産業技術研究開発体制整備されるわけでありまして、本案は、まことに時宜にかなった適切なものであると考える次第であります。  以上の点から、本案に賛成の意を表明し、討論を終わります。(拍手)
  225. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、藤原ひろ子君。
  226. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、産業技術法案について反対の討論を行います。  反対理由の第一は、アメリカのレーガン政権が対ソ軍事戦略の一環として、アメリカの技術優位の保持に全力を挙げ、そのために日本の先端技術を取り込もうとしている中で、この法案が国際的協調をうたい文句に、これに積極的に協力していくものになっていることであります。  現在行われている日米科学技術協定の改定交渉の中では、安全保障条項が焦点となっており、アメリカ側は日本科学技術の対米開放を求める一方で、対社会主義国への流出規制についてはココム並みの厳しい規制措置をとるよう強く迫っていると伝えられています。また、SDI研究参加協定に続き、機密特許の実施が行われようとしており、対米武器技術供与の一環として、日本企業の汎用技術が米軍事技術として移転される動きもあります。こうしたアメリカの技術戦略のもとで、この法案に基づく国際共同研究などに研究成果の公開の制限などの規制が及ぶことは必至であります。日本科学技術の平和的、民主的発展をゆがめるものであることは言うまでもありません。  第二に、従来から特定の大企業へ集中的に巨額な技術開発補助金が出されてきましたが、今後はアメリカなどの大企業もその対象となります。改組された新機構が新しいトンネル機関となり、国民の目の届かないところでますます巨額な大企業への事実上の補助金、委託費が出されていくことであります。さらに、特許権など研究成果の帰属についても、従来の国の専有から研究委託先の大企業との共有などへと、制度を改悪していく条件をつくるものでもあります。  第三は、法案に基づき予定されている研究基盤整備事業が、特定の大企業の利益に奉仕する性格を持っていることであります。計画されている施設は、新日鉄や三井グループなどの遊休施設の活用であり、施設整備資金の主要部分にはNTT株式売却益を含む公的資金が充てられ、研究の成果は特定の民間企業が入手する新たな仕組みとなることが予想されることであります。  以上で反対討論を終わります。(拍手)
  227. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  228. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより採決に入ります。  産業技術に関する研究開発体制整備に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  229. 渡辺秀央

    渡辺委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  231. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、先刻付託になりました内閣提出地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。     ─────────────  地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  232. 田村元

    ○田村国務大臣 地域産業高度化に寄与する特定事業集積促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近時の円高等による産業構造調整の進行や海外直接投資の増加によって、従来、工場の立地による雇用や所得の創出に大きく依存してきた地域経済は、現在、大きな影響を受けているところであります。  他方、経済の高度化、ソフト化の急速な進展により、我が国産業活動においては、従来からの直接生産部門、すなわち工場に比し、研究所やソフトウエア業等のいわゆる産業の頭脳部分のウエートが著しく増大しつつあります。しかしながら、今後の成長が大きく期待できるこうした産業の頭脳部分は、大都市圏、特に東京へ一極集中する傾向にあります。  このような状況のもとで、地域経済の発展を図り、地域住民の生活の向上と国民経済及び国土の均衡ある発展を実現していくためには、このような産業の頭脳部分を地域において集積させることにより、地域産業高度化を図っていくことが喫緊の課題となっております。また、このような方向は、先に閣議決定いたしました第四次全国総合開発計画においても明らかにされているところであり、同計画が目標とする多極分散型国土の形成に大きく寄与するものと考えられます。  このような課題は対応するため、今般、本法律案提案した次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、産業の製品もしくは役務の開発力、生産、販売もしくは役務の提供に関する技術または経営の能率が向上することを産業高度化ということとし、産業高度化に特に寄与すると認められる事業を特定事業ということといたします。  第二に、本法による措置が講じられる地域は、産業集積程度が著しく高い地域以外の地域であること、特定事業集積により、地域産業高度化が期待できること、必要な人材の確保が可能であること等の要件に該当する地域といたします。  第三に、主務大臣は、特定事業集積促進する措置を講じようとする地域の設定、特定事業集積の目標の設定等に関する指針を集積促進指針として定めることといたします。  第四に、都道府県は、集積促進指針に基づき、集積促進地域の区域、特定事業集積の目標、業務用地等の施設の整備等に関し集積促進計画を作成し、主務大臣の承認を受けることができることといたします。  第五に、地域振興整備公団の業務に、集積促進地域における特定事業の用に供する業務用地の造成、産業高度化に資する研究開発、研修等を行う施設の整備に対する出資等の業務を追加することといたします。  第六に、産業基盤整備基金の業務に、集積促進地域において特定事業を行う者に対する債務保証の業務を追加することといたします。  第七に、特定事業を営む者に対し、その取得資産についての特別償却、特別土地保有税の非課税、事業所税の減免措置の税制上の優遇措置を講ずるほか、地方公共団体の行う不均一課税に対する減収補てん措置等を講ずることといたします。  その他、集積促進計画を達成するために必要な資金の確保、施設の整備、国の援助、農地法等による処分についての配慮等必要な規定を設けることといたします。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  233. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会