○工藤(晃)
委員 日米
科学技術協力協定の改定交渉とある連動があるということがうかがえたわけでありますが、最後の
超電導も、昨年七月、レーガン大統領が発表したところのアメリカの
超電導開発加速構想、この中ではっきりと「改定交渉進行中の日米
科学技術協定の中に、
日本政府が進める
超電導研究開発に米国が参加できるという内容を盛り込む。」という正式の文書、私は本文も持っておりますが、そういうことでありますから、そこまで具体的に進行しているということについてははっきりさした方がいいんじゃないか、こういうふうに思います。しかし、私も余り時間がありませんので、ポイントを絞ってこの法案について申し上げたいのです。
この法案そのものにかなり不透明な部分が多い。というのは、今進行中でさっぱり内容が知らされていない日米
科学技術協力協定の改定が一体どうなるのかということが、この法案と連動しているにもかかわらず、余りというかほとんど明らかにされていない。実は私も、部屋に外務省とかあるいは関係者を呼びましたけれ
ども、この問題についてはさっぱりお答えにならない。新聞でも広く報道されている問題点についても、報道事項についても何ら答えようとしないということでありますから、きょう本
委員会においても外務省も呼ぼうと思ったのですが、呼んだら時間つぶしになると思ったので呼んでない。しかし、これは連動していることは明らかでありますから、そこで私は、幾つかの
意見も述べながら質問を続けざるを得ないわけであります。
それは、この法案と同時に、今言ったような日米
科学技術協力協定の改定交渉があって、そこで安保条項が入るのではなかろうかということが焦点として伝えられている。そのほか、いわゆる防衛
目的特許権協定、その中の第三条がいきなり最近よみがえってきて実施することになるということ、これはまたSDI
研究参加協定とも連動している、こういう
状況もあります。それから、昨年ここで審議しましたように、外為法の中に安保条項というのが入ってきた。そういうことで、私もかつて
自然科学の中で
仕事をしてきた者の一人としてつくづく
考えるのですが、
日本の戦後の
科学技術の
研究開発のあり方、平和だとか自主、公開、民主、これが非常に大きく揺るがされている、そういうさなかにこの法案が出されているということを
考えないわけにはいかない。
そういうことで、これは大臣にもちょっと聞いていただきたいのですが、アメリカの最近の
科学技術の情勢といいますか、その政策の方向性といいますか、一体どうなっているのかというので、これは「国際問題」という、外務省そのものが出している雑誌ではありませんが、外務省と非常に近いところで出している雑誌のことしの一月号の中に「アメリカの
科学技術戦略」というのがありますが、この中で次のような
指摘がやられております。一九八〇年代に入ってから、
技術移転規制政策の新しい
特徴が出てきたということなんです。その
特徴は何かというと、規制の対象と範囲の拡大である。それで、実はこの規制という問題になりますと、それこそ武器
技術とかあるいは防衛関連
技術だとか、やれSDI
研究開発に参加したときの
技術とか、こういうのはかなり限定された範囲で生まれるような問題だと
考えられるわけでありますが、実は問題なのは、ここで今問題とされている
基礎的な
研究の
分野でこの規制が非常に厳しくなってきているという、そのアメリカの
科学技術政策がいろいろな影響を与えるということを私は危惧しているわけです。
例えばどういうことかといいますと、従来
基礎研究といわれたものが、その中が分けられてきた。従来のベーシックリサーチといって一括されてきたものが、その中から特にファンダメンタルリサーチという
分野を引き出しまして、そのファンダメンタルリサーチというのはいわゆる汎用
技術と言われるようなものにもなるわけなのですが、これは
技術化までの
距離が近いもの、あるいは重要
技術の
基礎をなすもの、その成果の扱いを規制しなければならないということが、特に国家安全保障にかかわる情報の扱い、これは大統領
行政命令通告以来、一九八二年ですが、ずっと出されてきて、このファンダメンタルリサーチという
定義までが出されるようになってきている、こういうことがあります。
それからまた、従来よくクラスファイド、アンクラスファイドといって、いわゆる機密と非機密というふうに分けてきたのですが、最近の
状況としては、非機密であってもさらに取り扱いを厳重にするものというのが出されてきた。これも実は国防総省の一九八四年の指令として、そういうものが出されてきている。従来、非機密として扱われてきたものはもちろん公開が自由な原則でありますけれ
ども、この公開が自由でなくされるようになってきたということから、
現実にどういうことがアメリカで起きてきたか、驚くべきことがこの「国際問題」の中にいろいろ書かれてあります。
例えば学会への参加者をどういう範囲にすべきであるか、学会での発表する内容について事前に検閲をする。例えばとして
一つの例が挙げられておりますが、八二年八月、米国写真・光学
技術者協会、SPIE総会へ国防総省が介入をした。発表予定の六百二十六の論文のうち百五十以上が発表の差しとめを食らったということが、ここで伝えられているわけであります。またそのほか、契約行為としては、
日本の
企業がアメリカの
企業を買収しようとして国防総省が入ってとめられた例は、京セラ、新日鉄、ミネベア、富士通、いろいろあったから、これはもう言うまでもなく皆さん御存じのことだと思いますが、こういうことからアメリカで
基礎研究の
分野まで、そしてまた一番
基礎的な汎用的な
技術の
分野まで、その発表とかあるいは移転とか
国際交流を厳しく国防総省までが乗り出してきて規制するという、こういう動きがある。
こういう事実について、これは
工業技術院もアメリカの
研究情勢について調査されておりますが、知っているでしょうか。知っているかどうか、そのことだけ答えてください。