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1988-03-02 第112回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       麻生 太郎君    石渡 照久君       小川  元君    海部 俊樹君       佐藤 信二君    島村 宜伸君       玉生 孝久君    中川 秀直君       中山 太郎君    額賀福志郎君       福島 譲二君    穂積 良行君       粟山  明君    森   清君       山崎  拓君    綿貫 民輔君       井上  泉君    小澤 克介君       緒方 克陽君    上坂  昇君       城地 豊司君    関山 信之君       水田  稔君    権藤 恒夫君       森本 晃司君    薮仲 義彦君       工藤  晃君    藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 柴田 章平君         通商産業政務次         官       浦野 烋興君         中小企業庁長官 岩崎 八男君         中小企業庁次長 広海 正光君         中小企業庁計画         部長      田辺 俊彦君         中小企業庁指導         部長      村田 憲寿君  委員外出席者         大蔵省銀行局中         小金融課長   鏡味 徳房君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   城地 豊司君     上坂  昇君 同日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     城地 豊司君     ───────────── 三月二日  産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案内閣提出第三一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案内閣提出第一四号)      ────◇─────
  2. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案並びに異分野中小企業者知識融合による新分野開拓促進に関する臨時措置法案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方克陽君。
  3. 緒方克陽

    緒方委員 今日の情勢の中で中小企業活性化を図るということで二つ法案が出されておるわけでありますが、私は融合化法案というふうに言われているものについて七、八点質問をしたいというふうに思うわけでございます。  この融合化法案というものそれ自体は悪い法律ではないというふうに思うわけであります。しかし、この法案提出に至った今日までの経過、特に中小企業の新たな情勢に対する発展のためのいろいろな援助措置がされてきているわけでありますが、その経過を見る場合に、必ずしもこの法案が出されればそれで何とかうまくいくというような簡単なものではないのではないか。そういう意味で、今日までの特に異分野中小企業交流といいますか、そういうものを実施をしてきた中での問題点について確認をして、今度の法律の中でそういうことが起きないようにするということが大事じゃないかという意味お尋ねしたいわけです。  まず最初確認をしたいわけですけれども通産省の方にいろいろお尋ねしたり資料を調べてみますと、こういった交流の問題では、昭和五十六年から技術交流プラザであるとか、あるいは昭和五十九年から異業種連携活路開拓事業というものとか、さらに中小企業事業団による情報提供などが実施をされてきたというふうに聞いているわけでございます。  その中での中身でありますけれども一つは、活路開拓事業というのがあるわけでありますが、これも調査事業実現化事業という二つに分かれているわけですね。その中で、ビジョン調査事業の方は五十九年から始まって、予算としては十五組合を予定されているわけですが、これが五十九年には十三、六十年には十、そして六十一年には四、そして本年度、六十二年度は同じように十五組合に対して調査事業がやられているのが六ということになっているわけですね。また、このビジョン実現化事業については六百万の補助ですか、それで千二百万の事業でありますが、三組合予定されて五十九年はゼロ、六十年は三、そして六十一年は五ということですが、残念ながらことしは六組合実現化事業を計画しているのに対して、一件も認定の申請がないというようなことになっているわけであります。  さらに、技術交流プラザについても、五十六年から始まってそれぞれ年度ごと一定成果政府としては出されているわけであります。例えば昭和五十六年から五十九年の間は、四年間で四百四十三件の成果というふうに見られているわけですが、六十年度はこれが二百五十一件、そして六十一年度は百五十三件ということで、下降ぎみにその成果がなっているわけでございます。そういう事実については間違いがないかどうか、そこだけちょっと確認をしたいと思います。
  4. 田辺俊彦

    田辺政府委員 これまでの異業種施策、これは緒方委員指摘のとおり、技術交流プラザ、それから事業団を通ずる情報提供施策、さらにはただいま御指摘いただきました活路開拓補助金と三つがございます。  緒方委員指摘のように、技術交流プラザに関しましては、五十八年から六十二年度まで予算額が三千四百万程度、また県の数も四十三県、これはかなり活発に予算実施されたわけでございます。  それから、事業団情報提供事業に関しても、これは的確に異業種交流の芽となる技術のシーズの情報提供という意味で大きな意味があったと思います。大変に活用されてきたと考えております。  委員指摘活路開拓事業でございますが、これは今お話しされましたとおりの実績でございまして、満たなかったという状況がございます。予算措置で期待したほどの利用度がなかったということがあったと思います。その理由につきましては、別途お答えさせていただきます。
  5. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、五十六年ないし五十九年からそれぞれ取り組みをされて、かなり話題としてはそれぞれの中小企業団体でも県段階でもなったけれども、実際にはそのビジョンを実現化する事業がなかなか実施をされない、あるいは成果自体も必ずしも、雰囲気としてフィーリングとしてあるのはあるんだけれども、実際の効果はなかなか出ていないというような面があるのではないか。雰囲気は確かに出ておりますがね。そういう意味で、やはりフィーリングは出ているが、実際に効果が上がってないとするならば、一体そこには何の問題があるのかということで、やはりきちんと総括をする必要があるのじゃないかというふうに思うわけであります。  そのビジョン実現化調査事業についても、それから実現化事業、特にさっきも言いましたけれども、六十二年度組合、しかも一つ予算としては千二百万ですか、そういうものでありますから、通産省中小企業庁としてはこれはかなり希望があるというふうに、実際金がつくわけです、予算があるわけですから、希望があると見られたと思うのですが、実際にはゼロというのは、何といっても行政としてもこれは耳が痛い話かもしれませんけれども、これはやはり一定責任があるんじゃないか。何でそうなったのか、そこの原因というものをきっちり究明しなきゃならぬと思うのですけれども指導とか見通しとかいろいろな意味で甘さがあったのではないか。今度の法律でも、金は確かに一千九百万それぞれ三年間つけますよとなりますけれども、またもや同じような轍を踏むということになってはならないという意味で、一体指導とか見通しとか、何で六十二年度事業化予算がゼロ消化というようなことになったのか。その責任追及という意味じゃありませんけれども、なぜそうなったのかということの経過問題点等、そのことについてどうお考えになっておるのかということを明らかにしてもらいたいと思います。
  6. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 確かにこの技術交流プラザというのは、私ども技術交流プラザ独自に値打ちがあると思っております。つまり、いつも毎日中小企業者自分の工場内、会社内のいろいろなことに関心がもうかかり切りでございます。それを技術交流プラザというところで外向きに目を向ける、そしてお互い自分たちの知らないことに啓発され合う、そのこと自体が私は値打ちがある。今後ともそれは値打ちがあると思っております。ただそれが、これまでの技術交流プラザというのは、自分たちで、このグループで新しい事業化まで持っていくんだという発想が少なかったと思います。それはそれ自体、そうやって交流することに値打ちがあることで、それから新しく何か技術開発したり、新しく自分たち営利事業を行ったり、そういう発想が少なかったと思います。それはそういうものとしてよかったと思います。  ただ、それをさらに新しい事業分野を見出させ、それについて協力し合わせる、それについては別途の考え方なり視野なりを付与する必要がある。そういうことで、今回私ども技術交流プラザというベースベースとして、それとは全然無関係でも、ある四社以上の中小企業者の異業種が結び合って、さあ私ども何か技術開発を努力してみましょうとか、その結果で何か新しい事業機会をやってみましょうというのは、そういう技術交流プラザ以外からでも出てき得る。そういう新しい事業というものに着目した異業種交流を、もっとより広げた視野考えたい。そういう意味では、技術交流プラザの経験の反省の上に立って、今回の融合化のすべての段階を通ずる施策あるいはそういう視野の啓蒙、そういうことを今度やっていきたい。おっしゃる意味では、技術交流プラザそのものに新しい技術、具体的な技術開発や新しい事業を期待するということがやや無理があった。しかし、そのことは現在の技術交流プラザ値打ちを減殺するものではない、そのように考えております。
  7. 緒方克陽

    緒方委員 今長官お答えになりました。確かに私も、プラザそのもの技術交流で、お互い中小企業者がそういう交流をし合う中で、何か雰囲気としても新しいものを見出そうという意味では確かに効果はあるだろう、それは否定はしないのだけれども、具体的に言いますと、ビジョン実現化事業ということで予算が六組合が指定をされて、最初の年は無理だろうけれども、ゼロだけれども、三から五ということでことしゼロになったのは、やはり何か問題点原因があったのじゃないか。そこのところがはっきりしないと、次の法案が通ったとしても融合化が進まないのではないかということで、そこの原因は一体何なのかということをお尋ねしているわけです。
  8. 村田憲寿

    村田政府委員 ただいま御指摘活路開拓補助金の異業種連携枠関係でございますけれども、この異業種連携枠につきましては、先生承知のとおり異業種連携組合研究開発等を行うためのビジョンをつくったり、あるいはそのビジョンを実現したりするための事業に対しまして組織化推進するという観点から助成しておるものでございますけれども成果を見ますと必ずしも十分な活用がなされているとは言えない点は、まさに御指摘のとおりでございます。  その事情をちょっと考えてみますと、一つには、中小企業技術力向上という別の観点から講じられてきた交流段階施策とは、必ずしも連携をとったビジョンが行われていなかった。先ほど技術交流プラザお話が出ておりましたけれども、それとの連携が必ずしも十分でなかったということもあるのじゃないだろうか。それから、研究開発成果事業化する場合に特段の助成策が存在しなかったことも関係しているのじゃないかというように考えておるわけでございます。そういう反省に立ちまして、今回の融合化施策に関しましては、融合化促進という統一的な観点を明確に位置づけまして、交流開発事業化というそれぞれの融合化段階に即しながら各施策有機的連携を図り、総合的な施策を講じていこうというように考えておるわけでございます。  したがいまして、今回新設されます融合化開発補助金につきましては、まずその交流段階で芽生えた異業種交流グループ開発意欲を、世話役でございますカタライザーの助言指導によりまして具体的に開発に結びつけていく、そういうこと等を通じて、そういうものが対象になるわけでございます。また、開発が成功した場合の事業化におきましても、高度化融資でございますとか信用保険の特例といったような助成措置が講じられることになっておるわけでございますので、そういうインセンティブも今度はあわせて持っておるということでございますので、十分な活用がなされるのではないかというように考えておるわけでございます。十分異業種連携枠等問題点認識しながら、今後の融合化施策の十分な推進に反映させていきたいというように考えておる次第でございます。
  9. 緒方克陽

    緒方委員 私が質問していることについて的確にお答えになっていないのですね。  ほじくるつもりではないけれども、いろいろな援助施策が今後されるということだけれどもビジョン実現化事業が六十二年度で六組合しかできなかった。突っ込んで言いますけれども中小企業庁の方にこのことについてお尋ねしましたら、国は六百万の予算を組んだけれども、県の方では調査事業でいっていくので、ビジョン実現化事業ということになれば、政府のゼロシーリングマイナスシーリングあるいは財政がきついということで、そういう新たな中小企業の県の予算として認めないというようなこともあって、結局ゼロになったという話なども聞いているわけですね。ですからそこのところは、何でかというよりも、とにかくいろいろ問題があったが今度は大丈夫だということではなしに、ゼロになったのは何と何があるのだ、そして今度の融合化法案ではそういうことがないということで、確かにインセンティブ、誘導、いろいろあるようですけれども、そこのところを明確にしてもらいたい、そのことだけはっきりしてください。六十二年度組合しかできなかったのはどういう原因なのか、そこだけです。
  10. 村田憲寿

    村田政府委員 先ほどは財政面のことについて申し上げませんでしたけれども先生指摘のとおり、このところのマイナスシーリングでございますとかというような状況のもとで、県なども、私ども補助に対する裏負担といいますか、そういうものがしにくかったという事情もあろうかと思うわけでございます。その点私ども反省しておるわけでございまして、そういう意味で今回は法律によりましてきちんと体系づけを行いまして、予算面での措置も講ずることにしておるわけでございますので、融合化推進に際しましては、前回の異業種連携枠のような事態はまず起こり得ないというように、予算面でも言えるのではないかと思っておるわけでございます。  それからもう一つども反省しておりますのは、この異業種連携枠についてのPRというものも必ずしも十分でなかった面があるのではないかというように考えておるわけでございまして、そういう反省も踏まえまして、御案内のとおり今回の融合化に関しましてはかなりPRにも力を注いでおるつもりでございますし、また今後とも中小企業の方に利用しやすいように、いろいろな情報提供なりなんなりといった面で御理解をいただくように進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  11. 緒方克陽

    緒方委員 そういうことで、決意を新たにせっかく法律として出すわけですから、きちんと総括をして遺漏のないようにしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そういうことを確認した上で大臣お尋ねしたいわけでありますが、今度の当委員会における所信表明でも、田村通産大臣は、我が国の経済社会の基盤をなしている中小企業が、その機動性を発揮して内外の環境変化に的確に対応するように、いろいろ健全な発展を遂げられるようにしたいという表明もあっております。また、きのうの委員会でも、中小企業はある意味でいえば日本の産業政策そのものであるというような認識で発言がされたわけでありまして、そのことは私も賛成でありますが、それでは実際に中小企業予算がどうかということになりますと、きのうも同僚の水田議員の方からも全体的なお話があっておりますが、中小企業予算ということで六十三年度を見ましても、全体としては二千二百八十五億から二千二百八十九億ということで四億ふえているような形にはなっておりますけれども、これはいろいろな仕掛けがあって、一般会計では一千九百七十三億から一千九百五十二億円と二十一億円も減っておるわけでありまして、産投会計などで補っておるということであります。大臣は頑張っておられると思うけれども、しかし我々の目には、中小企業に対する万全なる対策がされているというふうにはなかなか見えないというのが現状ではないか。     〔委員長退席尾身委員長代理着席〕  そして、今前段で質問しましたように、中小企業活性化しなければならぬということで幾つかの事業プラザとかいろいろなことをやられてきたわけですが、しかし政府予算考え方も含めて、特に都道府県段階商工予算などでは新しいものは認めないということでゼロとかマイナスということで、せっかく政府の方で活性化事業ということで一千二百万の事業などを組んだとしてもそれをやらない。結局、県でも縛られているということでありますから、中小企業全体あるいは商工予算に対する政府指導なり対策なり政策というものが徹底していない。もっとそこらを、具体的に積極的にやるという姿勢を示していかないと、今度せっかく出た法案についても同じような轍を踏むのではないか、そうさせないためにも大臣としての積極的な姿勢が望まれると思うわけでございますが、その辺について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  12. 田村元

    田村国務大臣 中小企業対策予算のうち都道府県を通じました補助事業につきましては、都道府県財政事情などからその消化状況が必ずしもよくないものがある、これは御指摘のとおりだと思います。通産省としましては、地域に根差しましたきめ細かな中小企業対策を展開する上で、都道府県の果たす役割は極めて重要であると考えております。今後とも都道府県と十分密接な連携を図りながら、中小企業対策予算が十分活用されるよう懸命の努力をいたしてまいりたいと考えております。
  13. 緒方克陽

    緒方委員 繰り返し言いますけれども、今大臣表明されましたような姿勢でこれからもしっかり取り組んでいただきたいということを申し上げて、次に移りたいと思います。  私がこれから質問をいたしますのは、この知的融合というものが実施をされていく中で問題があるのではないか。起きるか起きないかというより、ある意味では問題が起きるほどこの融合化法案の中でいろいろな研究開発がなされていかなければならぬと思うのですが、その問題についてお尋ねをしたいと思います。  それで、説明を役所の方からも聞いたわけでありますが、この知的融合というものを図ることによって、政府一定補助金などを出しながら、しかも国公という、国の工業試験所あるいは県の試験所などとも連携をとって、知的融合による中小企業の新分野開拓するということであります。お金もつぎ込み、公的な研究機関とも連携をとるということでございますから、研究成果は当然この特許あるいは実用新案工業所有権ノーハウというものにわたるようなものを期待されていると思うのですが、その辺はどういうふうにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  14. 村田憲寿

    村田政府委員 ただいま先生指摘工業所有権関係でございますけれども、この法案対象となります開発におきまして工業所有権が生ずることは、十分あり得ることと私ども考えておるわけでございます。
  15. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、そういう知的所有権にわたるような、特許あるいは実用新案あるいはノーハウというものが当然期待されているということでありますが、そうなりますと、そのことをめぐって中小企業者同士の問題あるいは組合の内部での問題、組合と公的な研究機関との間でその工業所有権をめぐって、その帰属あるいはその他いろいろな意味で問題が起きるのではないかということを考えて、中小企業庁通産省の方ではどういうふうになっているのかということで調べてみましたら、「中小企業技術法の解説」というのがあるのです。これは、中小企業技術開発促進臨時措置法というのが二年前ぐらいですか通ったときに出ているわけですが、そういうことについては想定されていないということですね。公正取引委員会の方の本その他を調べてみましたら、大企業などの中では、その成果といいますかそういうものを組合が持つというところと、取り決めの中にどこも決めてないというところと、公的機関とその会社との間で話をするとか、とにかくあいまいもこだというところがあって、いろいろな意味公正取引委員会としては問題があるという本を読みましたので、その中身を調べてみました。  そこで、公正取引委員会お尋ねをいたします。昭和五十九年九月二十八日に「民間企業における研究開発活動実態競争政策上の課題」というのを公正取引委員会が出されているわけでございますが、その三十二ページに「共同研究開発における問題事例」ということで、一つは「成果帰属等に関する問題」ということで、成果帰属実施の取り扱いをどうするか、その配分と利益をどうするかということとか、製品の製造、販売に関する問題、研究開発費の分担についてはある程度出ているようですけれども、いろいろな問題があるということを公正取引委員会としては公の文書として、対応しなければならぬということで、これは五十九年でありますけれども出されているわけでありますが、そういうことについて、事実と要点についてお尋ねをしたいと思います。
  16. 柴田章平

    柴田政府委員 今、先生から御指摘をいただきました資料でございますが、五十九年九月二十八日に私ども調査をいたしました結果を公表したものでございます。この調査は「民間企業における研究開発活動実態競争政策上の課題」ということで行った調査でございまして、その中の一つのテーマとして、共同研究開発について取り上げたわけでございます。  今、先生が御指摘になりました事項につきましては、私どもアンケートをいたしまして、共同研究開発を行うに当たっての問題点について伺ったことに対する各企業からのお答えでございまして、共同研究開発といっても、そういった問題を企業としては意識していらっしゃるということをお答えいただいたものでございます。したがって、その具体的な内容についてはまだ私ども承知はいたしておりませんけれども、基本的にそういう認識を持っていらっしゃる企業がいらっしゃるので、そのことを明らかにしたものでございます。
  17. 緒方克陽

    緒方委員 今の結果はアンケートということでありますが、そのほかのいろいろな文献などでも、この帰属に関する問題その他については明確にする必要がある、そうしなければ混乱が起きるのではないかというようなこともございます。  そこで、通産省の方にお尋ねをするわけであります。今のような問題があるということでございますが、今回の法案が仮に通ったといたしまして、協同組合が新たな分野知的所有権を生じた場合、その帰属が、今度は法人を取得されるということになっておるようですが、法人にあるということになった場合でも、傘下の個々の企業その他いろいろな意味で問題があると思うわけでありますが、この点についてどういうふうにお考えになっているのか、お答えを願いたいと思います。
  18. 村田憲寿

    村田政府委員 特許法上の規定から申しますと、組合の共同開発成果について特許を受ける権利は、当事者間の定めによりまして、発明者だけではなくて組合員、組合のいずれもが取得できるとなっておるわけでございますけれども、実際の組合の運用におきましては、組合事業として行われる開発の過程で生じた発明等についての特許権等の工業所有権でございますが、そういうものは組合帰属させ、組合員は特許、発明等を実施できる権利を有するとするのが通例でございまして、私どもといたしましても、今度の融合化開発に関連いたしまして考えてみますと、組合の共同開発の円滑な促進といった観点からこういった運用が望ましいのではないかと考えておるわけでございます。  なお、いろいろこういう問題をめぐりまして当事者間でトラブルが出ることも場合によりましては考えられるわけでございますけれども、私どもとしましてはそういう事態は避けるべきであると考えておるわけでございまして、そういう工業所有権をめぐる問題につきまして、組合組合員間で十分なコンセンサスができていることが必要であろうと考えておるわけでございます。
  19. 緒方克陽

    緒方委員 今そういうことで、基本的には組合帰属するという話でございますが、公的な研究機関どもいろいろ入ってくるということもあって、そこらは今答弁いただいたような考え方を整理をしておくということが必要ではないかと思いますが、この際、私の提言を申し上げますので、そこらも参考にしながら、できれば今後混乱が起きないようにということでその指導あるいは何らかの要綱といいますか、そういうものがされる場合には次のようなことを配慮してもらったらどうかという点を、五点ほど申し上げたいと思います。  一つは、共同開発成果を保護するために、例えば公的な機関などもあるわけでありますが、そういう意味で必要事項を契約により確認をするということが必要ではないだろうかということです。  それから二つ目に、成果特許なり実用新案権にするためには、権利を共有することとして、そのために共同の出願とするというようなことが、される場合にはそういうことをしなければならぬということ。  それから三つ目には、違反をした場合には、共同開発成果であることを立証する資料として、研究開発の内容について一定の記録をしたものを残すということをしなければならぬのじゃないかということです。  そして四番目に、共同開発成果企業間の同意なく発表したりあるいは他の企業に漏らすことがないような、日常的な情報管理を行うことはどうか。  そして一番最後のところでありますが、この情報管理については、特許なり実用新案の出願後の内容についてだけではなくて、特にノーハウということが言われておりますが、そのことについて注意を向ける必要があるのではないかと思いますが、こういう点についても通産省としてはぜひ配慮すべきではないかと思いますが、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  20. 村田憲寿

    村田政府委員 先ほど申し上げましたように、工業所有権をめぐる問題につきまして組合あるいはその組合員の間で十分なコンセンサスが必要だと考えておるわけでございますが、そういう問題につきましていろいろ組合の啓発といいますか、そういう点も非常に大事だろうと思うわけでございまして、中小企業組織化とか組合運営の指導を行っております中小企業団体中央会というのがあるわけでございますけれども、そういうところが適時適切に指導をしていくことが重要だろうと考えておるわけでございます。六十三年度から融合化組合集中指導事業というのを中央会で創設していろいろ組合指導を行うわけでございますが、そういう中で、先生指摘工業所有権をめぐる問題についても十分指導させるようにしていきたいと考えておるわけでございます。  なお、御指摘いただきました五点でございますけれども、大変重要な点でございますので、ただいま申しました中央会での指導の中にも十分取り入れるように考えていきたいと思っておるわけでございます。
  21. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、次に移りたいと思いますが、今度の予算では五十カ所を認定するというふうになっておりますけれども、さきのビジョン実現化事業の場合には六組合であったということで、これはブロックを想定されたのかどうかわかりませんが、そういうことじゃなしに、今度の場合は一応五十カ所ということですから、各県一カ所以上にはなるということを想定されているのではないかと思うのですが、説明を聞きますと一千九百万で、長い場合には三年間、いうならば五千七百万、一番多い場合には約六千万程度の研究開発に対する補助がされるということでありますから、これをよく勉強した人にとっては一定の魅力があるものになるだろうと思うわけですが、いろいろな地域的な差もあるだろうし、それからそれぞれの企業グループといいますか、そういう物の考え方の差もあろうと思うのです。  ある地域などはたくさん希望が出るということで、いや、うちの方がいいんだ、あっちの方がいいんだということになりはしないかという意味で、一体その認定の基準はどうなるのか。恐らく政令でということになると思うのですが、政令は後ほど出るわけでありまして、委員会の場でもどういうものを基準の考え方として持っておられるのかということを私は明らかにする必要があると思うわけでございまして、今日段階考えておられます認定の基準の考え方をできるだけ明らかにできるものはしてもらいたいということで、どういうものがあるのかということについてお尋ねいたします。
  22. 村田憲寿

    村田政府委員 ただいま先生指摘のように、具体的には政令でということになるわけでございますけれども、現在のところ考えられるものといたしましては、計画の内容が異分野中小企業者知識融合による新分野開拓、すなわち融合化を行うために有効かつ適切であることとか、資金計画が知識融合開発事業を確実に遂行するに適切なものであること、さらには試験研究費あるいはその準備金に係る賦課の基準が適切なものであることといったようなものを考えておるわけでございまして、こういう認定基準の判断に当たりましては、新たな事業分野開拓に取り組もうとする中小企業者の意欲を支援しようというのがそもそもの趣旨でございますので、そういう趣旨を十分踏まえたものにして適切に運用してまいりたいと考えておるわけでございます。
  23. 緒方克陽

    緒方委員 今御答弁された内容は、もう既に我々の説明資料の中にも明らかになっておるし、法律の中でもそういう認定を受けることができるというようなことが明らかになっておるわけでありますから、それはもう承知しております。それ以外にいろいろな、例えばそのことについて申請したいと考えている人たちにわかりやすくする、もっといま一つ突っ込んだ具体的な内容が明らかにならないと、今の分は法律を見ればわかるわけでありますから、その突っ込んだところをお聞きしたいということであります。
  24. 村田憲寿

    村田政府委員 いろいろな中小企業の方になるべく多く参加していただきたいという考えでございますので、認定基準のところで余り厳しいハードルを設けるということは私ども避けたいと考えておるわけでございます。そういう意味で、余り事細かなところまで政令でということは私ども今のところは考えていないわけでございまして、したがいましてただいま申し上げたような御答弁になるわけでございますけれども、なるべく多くの方が参加していただきたいということをとにかくねらいとしておるわけでございます。
  25. 緒方克陽

    緒方委員 そういたしますと、確かに考えとしては、例えば政府資料などではいろいろなそういうプラザとか交流などは西高東低みたいな実績があるわけですが、ある県では三カ所も四カ所も出てきた、あるところではないという場合、いや県は一つだということになるのか、それとも西の方だけ偏るということになるのか、その辺は大まかな基準としては大体どのようにお考えでしょうか。     〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕
  26. 村田憲寿

    村田政府委員 御指摘のような地域別の実態は確かにあろうかと思うわけでございますけれども、そういうものには必ずしも私どもこだわりませんで、むしろ活発でないところも御希望の方があれば大いに促進していきたいという趣旨で考えておるわけでございますので、地域別にどうというようなあれを特に設ける考えは今のところございません。
  27. 緒方克陽

    緒方委員 ということは、今のところはないということですけれども、よくわかりませんけれども、例えば各県一カ所ずつぐらいは最低やっていくということなのか、空白の地域が出るということもあるのか、そういうこともあり得るのかどうか。各県一つはぜひやっていただきたいというふうに考えてやるのかどうか、その辺はどうでしょうか。
  28. 村田憲寿

    村田政府委員 現在の中小企業者の方の異業種交流なりなんなりに対する取り組みの熟度と申しますか、そういうものがそれぞれ違っておるわけでございますので、そういう違いに応じまして、やはり熟度の高いといいますか計画として認定し得るものということになってまいりますので、結果としましては先生おっしゃっておられましたような空白の県といいますか、そういうものも出てくることもあり得るというように私ども考えております。
  29. 緒方克陽

    緒方委員 わかりました。  それで、結局は空白の県も出てくるということになれば、県というよりも通産省の方で認定をされるということになるようなことだと思いますが、空白のところも出てくるということになりますと、県に申請を出されて認定をするというのは、最終的には通産省の方で認定をするということになるわけですかね。
  30. 村田憲寿

    村田政府委員 計画の認定は、先生御案内のとおり都道府県というのがまず出てくるわけでございますけれども補助金関係で申しますと、最終的には、県を通じて私ども中小企業庁が判断するということになろうかと思います。
  31. 緒方克陽

    緒方委員 そういたしますと、計画の段階では、認定をするということ、その連携関係ですけれども、結局どういうふうになるのですか。県が認定するときには通産省と相談の上ということになるわけでしょうけれども予算の問題とそれは一体の問題だというふうに思うのですけれども、そこは一体どうなるのですか。
  32. 村田憲寿

    村田政府委員 都道府県との関係でございますけれども都道府県の方から事前に話が私どもの方に上がってまいりますので、その辺は、一体でというように考えていただいてよろしいと思います。
  33. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、県と通産省一体で相談をしていくということでございます。わかりました。  そこで、時間がなくなりましたので最後に一点だけ申し上げたいのですが、融合化施策というものをこれから認定をされていくわけですけれども、それは都市部だけではなくて、例えば企業城下町とかあるいは旧産炭地などいろいろな問題を、地域的に疲弊をしながら何とかしなければならぬというようなそういった地域についても、これは十分配慮をされるべきではないかというふうに思うわけでありますが、その辺についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  34. 田辺俊彦

    田辺政府委員 本融合化施策につきましては、これは幅広く全国的に展開していく中小企業対策でございますけれども、特定地域、不況、円高等に悩む不況地域の中小企業が本施策活用していくということを私ども期待しているわけでございます。現に交流プラザ、今まで七百ぐらいございましたが、その一六%ぐらいが特定地域に当たります。特定地域法に基づく特定地域の出荷額におけるシェアが一一%でございますので、既にそういう異業種交流が大いに進んでいるということだと思います。  例えば水中ロボットという非常に先端的な技術も、これは佐世保の不況地域で生まれたものでございますし、それから電磁波シールド材というこれは繊維ですが、これは新潟県の織物産地で生まれた技術でございます。私どももそういう方向を期待しているところでございます。
  35. 緒方克陽

    緒方委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
  36. 渡辺秀央

    渡辺委員長 関山信之君。
  37. 関山信之

    ○関山委員 引き続いて、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案に対する質問をさせていただきます。  最初に、昨日の所信に対する質問の中でも出ておりましたけれども、私も商工委員会まだわずか二年ほどの勉強中の身ではありますが、中小企業対策というものについて、巷間言われておりますように、いわば国の予算全体の中でも絶えず中小企業対策が置き去りにされているという現実について、私どもも声を大にしているところでございますけれども、この法案を審議するに当たりまして、改めてこの予算の変遷、推移を見ましても、昭和五十六年度をピークにいたしまして年々プロパーの中小企業対策予算というのは減り続けている。冒頭、大臣お尋ねしようと思ったのですが退席をされておりますので、政務次官というよりはむしろ中小企業庁長官に一緒にお尋ねをしたいと思うのですけれども、国全体の施策の中における中小企業対策、同時に通産行政の中における中小企業対策、やはり私は大変なおざりにされているという感じを深くいたします。  本日質問対象になります信用保険業務あるいは信用保証業務にいたしましても、これもまた五十六年の六百二十五億という公庫に対する支出が昭和六十年度では四百三十億、約三一・二%切り下げられている。六十一年あるいは六十二年は補正がございましたから、結果的には決算ベースで多少伸びておりますけれども、当初でいえば、この四百三十億が三百九十、三百八十というぐあいに落とされている。  あわせお尋ねをいたしたいのは、この中小企業の信用補完制度としての信用保証協会の役割というものですね。国全体の中における中小企業対策、そして通産行政の中における中小企業対策、そして中小企業対策の中におけるこの信保協会、信用補完制度の役割について、まず最初に御所見を承りたいと思います。
  38. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 確かに、御指摘のとおり厳しい財政事情の中で、過去五年間、五十五年がピークでございましたか、中小企業対策一般会計予算、これは減少を続けてまいっております。私どもとしても、非常に残念なことであるというふうに思っております。ただ、そうは言っても必要なものはどうしても確保せざるを得ませんので、三年前からこれについて一般会計のほかに産投会計というようなものを活用することで、御承知のとおり昨年度それから六十三年度予算、ここにおいて中小企業対策予算のいわば下げどまり、〇・一%でも上がる方向へということを何とか実現してきたところでございます。  それからまた、この二年間円高というようなことで中小企業非常に大きな困難に逢着しておりますが、そのための特別の対策については、一昨年の秋の補正予算それから昨年の二回にわたる補正予算、この三回を通じまして、中小企業対策施策についても予算を計上してまいったところでございます。それにしましても、私どもとしては中小企業対策のより一層の充実というものを常に心から願っておるところでございます。  ただ、もう一つ忘れてならないことは、私どもとしては、中小企業対策というものは、直接企業へ何か補助をするということよりは、中小企業が自助努力をするに当たってその資金源、技術開発力あるいは人材、そういう面でいろいろなハンディがある、それについてできるだけの支援をすることで中小企業者自身が自立できるようにする、そういう施策を重視するということがもう一つ重要かと思っておりまして、そういう意味では、財投、政策融資とかあるいは今回のこういう政策保証とか、こういうものがもう一つ極めて重要な施策分野であるというふうに考えておる次第でございます。  今回御審議いただくこの信用保証体制、これは今や信用保証残高十兆円に上っております。これは多分、世界でも珍しい一つの信用補完政策ではないかと思っております。その利用者は今百三十四万中小企業でございまして、中小企業の数は御承知のとおりほぼ六百四十五万と言われております。したがいまして、中小企業者すべての五人に一人はこの信用保証政策を今活用していただいておる、こういう状況にあろうかと思っております。
  39. 関山信之

    ○関山委員 そこで、今回の法改正によりまして、いわゆる保証枠の拡大というものが中心になりまして、新種保険の追加など積極的な信用補完制度の新しい展開が進められるわけで、大変結構なことだと思っておりますが、一つ裏側の経緯を見ますと、むしろこの保証枠の拡大などは大変長い間放置をされてきたといいましょうか、手がつけられなかったと申しましょうか、そういう経過もあるようでございますけれども、今回の制度拡充に至った経過と理由について、ひとつ簡単に御説明をいただきたいと思います。
  40. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 経緯的に見ますと、この信用保証体系は昭和四十年代まで、高度成長時代には非常に順調に発展してまいりました。ただ、五十年代に入りまして安定成長になってまいりましてから、これが非常な赤字体質になってまいりました。そこで、五十年代後半から、私ども、やはりこの信用保証体系の健全化ということに意を用いてまいっておりまして、ちょうどそのときにこういう円高による不況が参りましたものですから、個別には、あるいは現場では中小企業者の御希望に沿えないようなケースも多々あったかと思っております。ただ、この数年間の努力の結果、それからまた最近倒産等が少なくなったということもございまして、ようやくこの保証体系全般の健全化のめどがついたというふうに考えております。  そこで、この保険限度額についても、この間次第に上限に近づいてきたような企業も多くなってまいりましたので、今回保険限度額の引き上げというようなことを実現できる運びになったというのが一つ。また同時に、今の中小企業をめぐる客観情勢において、この国際化の中での中小企業者の海外投資への努力あるいはいろいろな新事業開発への努力、それから今回同時にお諮りしておりますこういう融合化への努力、こういったものへのこの信用補完、保証体系の新たなる寄与、こういう要請が出てまいったと判断いたしまして、海外投資保険とかその他新種保険の追加というものをあわせ今回改正をしたいというふうに思った次第でございます。
  41. 関山信之

    ○関山委員 そこで、今お話にもちょっとございましたが、五十六年に九・一六通達というのでしょうか、いわゆる保険公庫の財政の悪化に伴う健全化通達というのが出されるわけなんですけれども、今の御説明の中にもありましたように、出された背景、経緯について、当時どういう議論があったのかはもう一つわからぬ部分があるのです。  確かに五十一年から五十五年にかけて急速に保険収支が悪化をして、この五年間で千九百六十五億という赤字が累積をする。しかし、考えてみますとこの五十一年以降というのは、まさに日本経済が高度成長から低成長への曲がり角にあって、文字どおり中小企業対策が真剣に講じられなければならない、いわばそういう経済的な背景のもとでこういう事態が生じた。これは私、全体通して最後に意見を申し上げようと思っておるのですけれども、この保険財政の健全化という問題と経済環境というものは絶えず二律背反的に動くという側面があるのですが、この時期、健全化通達というものが出てきた背景、経緯についてもう一つ突っ込んだ御説明がいただけるとありがたいと思うのです。
  42. 田辺俊彦

    田辺政府委員 関山委員指摘のとおりでございまして、四十八年の第一次石油ショックにおきまして中小企業も大変な不況状況に追い込まれたわけであります。そういう状況を反映いたしまして、保険公庫の収支は大変悪化いたしました。御指摘でございますが五十一年には四百七十億の赤字、これは総合収支でございました。そして御指摘の通達が出ました五十六年の赤字額は三百七十六億ということでございまして、これをもって中小企業のニーズにこたえていくという非常に苦しい立場に追い込まれたわけでございます。その際政府といたしましては「信用補完制度の健全な運営について」という通達をもって、保証協会、公庫等関係者が一丸となって業務改善を実施する、そしてその業務改善のプロセスで中小企業者のニーズに精いっぱいこたえていくということの方向を打ち出したわけでございます。  五十六年の通達の内容につきましては御案内かとは思いますが、公庫につきましては融資基金の弾力的運用による事故率や回収率の改善を図るなど、協会に対しても審査体制の整備を図るということ、地方公共団体、これは保証協会に対する指導を強化するばかりじゃなくて相当の出指を要請しております。金融機関に対しては、保証つき融資に係る事前調査の充実などといったような通達が発せられておるわけでございます。そういう努力の効果も相まちまして、次第に改善の傾向にあったわけでございます。六十一年には赤字が百十一億くらいに減っております。  ということでございますが、さらに一層の収支改善を図って、本当に中小企業者の役に立つ、ニーズに対応した保証を行う体制を整備するために六十年度収支改善計画、三カ年計画を立てたわけでございます。三カ年計画につきましては、また後であるいは御質問あるかと思いますけれども、保険公庫の組織体制を整備したりあるいは良質保証を推進したり、融資基金の活用によって収支改善を図るといったようなことでございまして、私ども、公庫、協会の必死の努力も相まちまして、収支は段階的に改善していくべきであるというようなことの目標がまた三カ年計画のエッセンスであったかと思います。
  43. 関山信之

    ○関山委員 私の伺いたかったことは、そのスタート時点に当たって置かれているそういう経済環境の中での公庫収支の悪化というものと、しかしなおそういうニーズにこたえていかなければならないこの制度そのものの役割との間に、この通達を出すに当たってどれほどの議論があったのかという中身を実は伺いたかったわけなんです。もちろんそれは何の矛盾もなしにこの問題に、いわば公庫の収支改善だけを目標にして手をつけたなどとは思いませんけれども、しかし今お話がありましたように、確かに公庫の収支は結果的に改善を見たことは大変結構なことなんですけれども、この通達、今若干の御説明がありましたが、これはやはり私どもが仮に利用者の立場に立てば大変厳しい中身であったのじゃないだろうか。  公庫に対する通達の中身は、この項目だけを見ますと大変抽象的で我々素人にはなかなかわかりにくいことなんですが、いろいろありますけれども、言ってみれば、つまり対公庫に対しては、対協会に対する保険料の支払い枠を事実上設定していわば保険金の支払いを制限する、そして対協会に対しては、適正保証といえばまことに結構なことだということになるのですが、しかし適正保証ということは、つまりは審査を厳しくして無担保など事故率の高いものに対しては貸し出しを制限するという形になるわけですし、分母としての各県協会の財政基盤を確立するための良質保証ということになれば、これまたそこでいわば選別融資が進むということになる。  私、大変問題だと思うのですけれども、自治体などに対して要するに安易な財政援助をするな、安易に新しい特例保険を設けるなというようなことをいわば通達でお出しになっていらっしゃる。これは中小企業庁長官名だけじゃありませんで、大蔵省の銀行局長名でもこれは出されているわけでして、きょう大蔵省お見えいただいているのだけれども、課長、事務当局の御出席しかいただけないので残念なんですけれども、特に対自治体に対する安易な財政援助をしてはいけないという趣旨の通達などは、いささか自治権の侵害とまでは言いませんけれども、かなり我々にとっては問題だというふうに言わざるを得ないような中身がくっついているわけでして、この辺についてはどういうことだったのでしょうか。大蔵省側の話も聞いておきましょう、この際ですから。
  44. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先ほど来通産省の方からも御答弁がございましたが、やはり信用補完制度を中小企業者のニーズにこたえて充実させていくためには、保険制度を基本としております信用補完制度の場合には、他方、保険制度が健全でなければいけないという観点もあるわけでございます。したがいまして、当時の保険公庫の赤字の状況等を総合的に勘案して、通産省と十分協議した上で、両省から先ほど来御説明がございました通達を発したわけでございまして、健全化が図られなければ保険料の引き上げとかそういった形でまた中小企業者の御負担にもなっていくわけでございますので、中小企業者に対する充実した信用補完を図ると同時に、それはやはり健全な保険制度がなければいけない。両方を勘案しながら十分議論をした上で発した通達でございまして、信用保証協会、一義的には監督は都道府県が行っておりますので、そういう形で通達を発したということでございます。
  45. 田辺俊彦

    田辺政府委員 先ほどの関山委員の御質問に対して一言だけ補足をさせていただきますと、通達及び収支改善計画ができました背景として、やはり非常に重要なポイントは、私ども信用保険制度及び保証制度の後退をいたすまいということでございまして、保証料率を引き上げたりてん補率を引き下げたりといったようなことを防ぐために、むしろ健全な保証ニーズにこたえていくということのために先ほどのような通達なり収支計画があったわけでございます。その点つけ加えさせていただきます。  それと、地方自治体の件でございますが、確かに収支改善計画の趣旨にのっとりまして安易な保証に流れることを防ぐために、損失保証を余り安易にやらないようにというようなことはあったかと思いますが、むしろ出捐によって保証協会を強化するというようなことでございまして、その後、地方自治体も出捐を強化して、保証協会の出捐金あるいは基本財産は充実してきているわけでございます。
  46. 関山信之

    ○関山委員 そう答弁されるともう一つ突っ込んで聞いておかなければならないのですけれども、出捐金をふやすことによって各県協会の財政基盤を強化しろというようなことは私らも大いに賛成な話で、それぞれの自治体レベルでもそういう主張をしているのですね。しかし末端で、一番地域の中小企業者のニーズに絶えず向かい合ってこの問題に取り組んでいる地方自治体並びに各県協会の立場からすれば、これはやはり地方レベルでもそれなりにさまざまな財政援助を求めたりさまざまな制度の手だてを求めたりするわけですから、今中小企業庁長官が御答弁になりましたからあれですけれども、大蔵省も含めてですが、それを余り余計なことをするなみたいな通達というのは一体どういうことですか。
  47. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先ほど来御答弁がございましたけれども、当時の通達は、先ほど御答弁いたしましたように健全化と中小企業者に対する信用補完の充実と、両方二律背反する話ではございませんで、両者相まって信用補完制度を円滑に運営していかなければいけないという要請のもとに発した通達でございまして、都道府県に対しても、そういった観点も考慮に入れて行政運営を行っていただきたいという趣旨で申し上げた次第でございますので、その辺の事情を十分御勘案いただければありがたいと思っております。
  48. 関山信之

    ○関山委員 その程度の趣旨で書かれていればこういうことを言わないのですけれども、通達の文章はそういう域を出ているじゃないか。仮に自治体がやるなら、自治体が責任を持ってやったならまた別な形で自治体に一定の分担をさせるという方法だってあるわけですから、この通達が全体としていかに厳しいものであったかなということを感ずるものですから申し上げておるわけであります。  そこで、そんなところで議論してもしようがありませんから、もう少し前向きの方へ移らせていただきたいと思うのですけれども、この通達を受けて、五十六年からいわゆる第二次改善措置、そして六十年からの三カ年計画、こうやってきて、確かに公庫の収支は均衡を保つようになった。これとてやはりちょっと問題も残らぬわけじゃない。回収率が非常に上がったということが公庫財政をいわば健全化させている大きなウエートこなっているようですが、これなども土地騰貴などがかなり大きなインパクトになっているということを見てみますと、それだけで大丈夫なのかなという心配も残りますが、いずれにせよ公庫の収支は均衡した。  しかし、今問題なのは、この各県協会レベルで言えば格差が非常に拡大をしつつあるということではないだろうか。それからもう一つ、利用者としては選別の強化が強まった。委員長も新潟でいらっしゃいまして、私と選挙区を相隣りしておるわけでございますが、燕、三条などというよきにつけあしきにつけ中小企業の有名な地域をお互いに抱えているのですが、やはり現実に下の窓口へ行きますと、新潟は特殊なあっせん融資という形をとっておりますから、余計そういうものが増幅されたのかもしれませんが、無担保が思うように貸し付けが行われないといったような事態が出てくるわけですね。  そこで、一般的なそういう問題は問題として、かなり指摘されているのは、やはり潜在代弁というものがかなりあるんじゃないかということなんですけれども、これは繰り延べだとか、場合によっては各県協会が自分のところで全体の運営を考えて自己代弁といいましょうか自己弁済をして済ませているといったようなケースもあるやに聞くのですが、その辺の潜在代弁の実態はどの程度のものがあるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 田辺俊彦

    田辺政府委員 関山委員指摘のとおりでございまして、潜在要代弁債務が増加しているということでございます。これも御指摘がございますが、地域によって非常に格差がございますけれども、大変円高その他、不況に苦しむ地域の協会についてはそういう状況であることは確かでございます。やっとそういうことで保険公庫の総合収支も改善してきたということで、これを解消していく方向に向かって今進みつつあるわけでございます。非常に苦しんでいる協会を足しますと、保証ベースで要潜在代弁額、大体六百八十億ぐらいになるかと思っております。
  50. 関山信之

    ○関山委員 それから、この改善計画の進行の過程で、利用度とか今申し上げたような選別保証みたいなものがかなり進んだのではないかという心配があるんですけれども、その辺についての御認識はいかがでございますか。
  51. 田辺俊彦

    田辺政府委員 二点、利用度と選別強化の問題でございますが、現在の利用度、これは金額ベースで四・五%でございます。過去の金融緩和の時期に、ちょうど四十七年度でございますが、四・一%ということでございまして、四%台に落ちていることは確かでございます。最近の金融緩和の基調による貸し出し競争の激化とか、あるいは金利水準の低下による保証料率の割高感等によって低下しているかと思います。  選別でございますけれども、先ほど来御議論をいただきましたように、五十六年の通達あるいは六十年の収支改善計画のプロセスにおいて、これは収支改善、経営改善と、中小企業のニーズにこたえるという苦しい選択の中で精いっぱいの努力を保証協会はしてきたと思います。それなりに精いっぱいの努力をしてきたということで、一部御指摘のような点があったやにも私ども聞いておりますけれども、努力の方向を御了解いただきたいと思っております。御案内のように、倒産の減少や、ミクロ的には苦しいわけですが、全体としての景況の改善と相まって、また収支改善も相まちまして、真に中小企業のニーズにこたえる保証ということで、これから強力な指導をしてまいりたいと思っております。
  52. 関山信之

    ○関山委員 それから三番目に、冒頭申し上げましたもう一つの問題、地域間格差の関係ですね。これもひとつこの際ですから、実態をお聞かせいただけるとありがたいのですが、利用度あるいは保険金の回収率など見ましても、特に代弁率の方はそれほど目立つ開きはないような感じで私ども承知をしておるのですけれども、やはりかなりな開き、格差が見られる数字もあります。あるいは各県協会の経営状況など、私ども手元に資料もございませんものですから、この際実態を少しお聞かせいただいておくとありがたいと思うのです。  それからなお、この改善計画の中で特定協会あるいは準特定協会といったような、いわば各県協会のランクづけといいましょうか、そういうものがされておるようですけれども、これに対する措置の実情についてもあわせお聞かせをいただければありがたいと思います。
  53. 田辺俊彦

    田辺政府委員 御指摘のように地域間格差、協会による収支の格差というのは存在しているわけでございます。しかしながら、全体といたしまして保証について非常に順調な伸びをしておりまして、保証債務残高で五十六年が七兆でありましたのが現在十兆になっております。これは先ほど来の苦しい状況の中で、いかに保証協会が努力をしてきたかということの一つのマクロ的な数字であると思います。ただ、事故率といいますか代弁率あるいは利用度等におきまして、全国五十二の協会の中で大変いいところと悪いところがございます。この点は委員指摘のとおりでございます。  それから特定協会について御指摘がありましたが、私どもはそれぞれ五十二の協会の中で、円高やさまざまな構造の変化によって苦しい地域の協会という意識は持っておりまして、そういう協会に対しては、地元自治体とも相談しながら精いっぱいの支援をやっていくという方向にあるわけでございます。
  54. 関山信之

    ○関山委員 これは、地域間格差というものが生まれてきている背景というのは何なんでしょうかね、幾つかあるんだろうとは思いますけれども
  55. 田辺俊彦

    田辺政府委員 これは大変大きな問題といいますか、一保証の問題だけではないと思います。つまり日本列島の地域間格差の問題に起因しているのではないかと思います。大変苦しい協会は、これは私ども特定地域法によって指定しております五十一地域、これは円高を中心として構造不況に見舞われている地域でございますので、そういう意味でそれが協会にも反映しているということでございます。一方、都市部の協会は割に好調、順調でございます。これは地価高騰あるいはサービス産業の展開、情報化などがそういう都市部に偏ってある程度進展しているということの反映でもあろうかと思います。そういう状況の中で、確かに苦しい協会が存在している。それに向けて私どもはさまざまな対応をしていきたいと思っております。
  56. 関山信之

    ○関山委員 なお、この点については認識を明らかにしておきたいと思うのですけれども、私の承知をしております限りでは、いわゆる特定協会という指定というんでしょうかランクづけがされているのは、青森、千葉、長野、京都、熊本、宮崎、鹿児島、準特定協会というのは北海道、岩手、宮城、秋田、山形、石川、兵庫、鳥取、高知、沖縄、こうざっと申し上げてこの各県見ますと、これはまさに日本経済のひずみを見る思いがするのですが、これは各県協会のさまざまな運営のやり方や財政の基盤の問題だとか、いろんな事情はくっついていくんだろうとは思いますけれども、しかしこの背景にあるのは、何といっても今日の経済変化、構造調整の局面をある意味で示しているのではないか、こう思うのですが、御認識はいかがでしょう。
  57. 田辺俊彦

    田辺政府委員 先ほどお答えいたしましたように、日本経済を取り巻く構造変化そのものが都市部とそれから不況地域の業況に反映しておるわけでございまして、それをまた反映した保証協会の苦しい状況と、あるいは比較的好調な協会の業況ということがあるかと思います。私どもは、特にそういう苦しい地域の協会に対しましては特定地域の関係保証、これは特定地域法に基づくものでございます。あるいは国経保証、倒産関連保証といったような特別の保証によっててん補率の引き上げを図ったり、信用保証協会の基金補助金の配分等、あるいは保険料率の引き下げ等を図っているわけでございます。今後とも、そういう点につきまして一層進めてまいりたいと思います。
  58. 関山信之

    ○関山委員 ぜひひとつ十分な目配りをお願いしたいと思っています。  そこで、このポスト三カ年計画という言葉で関係者の皆さんが語っていらっしゃることなんですが、今伺っておりますのも、この信用補完制度を取り巻く一連の流れを見てきて、まさに絶えず制度の根幹に触れてこの補完制度の運営がこれからも展開されていく可能性は十分にある。今たまたま景気の回復局面ということもあり、かつ改善措置というものがかなり厳しくやられて今日の事態をつくっていることは、それはそれなりの評価もしたいと思いますけれども、しかし、今後の事態の展開は、経済全般、一寸先はやみという状況も一方ではあるわけでございまして、そういう状況を踏まえながら、これからしばらく残された時間、ポスト三カ年計画の動向についてお尋ねをしたいと思うのですが、その前に、今年度この新しい法律をつくるに当たってそれなりの財政措置も講じられておるわけでございますけれども、この新しい制度改正に当たって財政当局との間でどのような話し合いの経過があったのか、予算折衝の経過で、いわば改善措置そのものについてどのような総括といいましょうか今後への一つの区切りをなされたのか、そこをお尋ねをしておきたいと存じます。
  59. 田辺俊彦

    田辺政府委員 来年度予算につきまして、財政当局と大変議論をしたところでございます。ポスト三カ年計画につきまして、基本的には保険公庫の収支が改善をしてきたという状況を踏まえまして、今後中小企業者の保証ニーズに精いっぱいこたえていく。先ほど関山委員指摘のように、協会の政策に関しましては二つの相矛盾する問題があるわけでございますけれども、その二つの中の一方につきまして改善の兆しが出てきたわけでございますから、中小企業ニーズにこたえるためのそういう方向を進めていこうという議論を中心に展開いたしまして、所要の予算措置が図られようとしているところでございます。
  60. 関山信之

    ○関山委員 そこで具体的に、今まで出されております通達及び三カ年計画のような形でのいわば公庫の収支改善策というのは一応ピリオドが打たれた。今後は、何カ年計画みたいな形で各県協会に枠をはめたりさまざまな保証の条件について注文をつけたりというようなことについて、一応今までの計画についてはピリオドが打たれた、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  61. 田辺俊彦

    田辺政府委員 前回の収支三カ年計画は六十二年度を終点としておりますので、収支改善計画について今後の展開について一切そういうものはございませんということでございます。
  62. 関山信之

    ○関山委員 そこで、最初からの議論のいわば根幹みたいなことにかかわるのですけれども、一体この制度、これは保険設計があるわけですから、ある部分だけとらえてどうだという議論はなかなかしにくいのだろうと思います、公庫を主体に考えますと。しかし、利用者の立場からしますと、絶えず経済の状況によっては事故の発生を予想せざるを得ない。それは、過去、昭和四十八年度までは保険収支の状況も黒字で来ているのですから、そういう状態に戻せといえば戻せない理屈はないじゃないかということにもなるのかもしれないのです。  しかし、経済が非常に変化が激しい時代に入ってまいっておりますだけに、公庫の持つ企業性と制度の持つ社会性とをどう調和させるか、その接点をどうやって制度的に保障するかということについて、これは非常に難しい問題だと思いますけれども、この際お考えを伺っておきたいと思うのです。適正な代弁率はどうだというふうに端的に伺って、この辺のことについてはどんなふうにお考えになるのか、あるいはまた許容できる収支率は一体どういうものなのかということについてお尋ねをしておきたいと存じます。
  63. 田辺俊彦

    田辺政府委員 関山委員指摘の、企業性と社会性という保証協会の持つ二面性につきましては御指摘のとおりでございまして、そういう状況の中で大変難しい選択を迫られるわけでございますが、保険保証制度は、私どもは、そういう状況の中で中小企業のニーズに幅広くこたえていく、精いっぱいこたえていくということを基本に進めてきておりますし、今度の予算あるいは今後の方向もそういう方向としてとらえているわけでございます。例えば今度も、普通保険に加えまして新事業開拓保険とか海外投資関係保険という新種保険も加えております。ただ、そもそも初めから返済困難な者に対しまして金融ルールを超えてまで保証を行うということはまた制度の趣旨ではない、これも関山委員指摘のとおりの状況でございます。そういう収支状況も踏まえながら、法改正後の保証の実施を精いっぱい展開していきたいと思っています。  適正な代弁率といいますと、これは非常に難しい御質問でございますが、現在、代弁率は二・二八、これが六十一年度の数字でございます。五十七年が二・七一でございますから、漸減をしていることは事実でございます。私ども、これはさまざまな経済状況等によって判断すべきものであると考えておりまして、絶対的な基準は非常に難しいのではないかと思います。しかしながら、長期的に過度に財政負担が大きくなることは、長期的に制度が自立したものということと反するものでございますから、各年度においてしかるべき財政負担のもとで適切な制度運用がされるよう持っていきたいと思っております。
  64. 関山信之

    ○関山委員 時間も迫りましたので、最後にまとめてお尋ねをしておきたいと思います。  一つは、大蔵省に、民間による中小企業の信用保証業務への進出がときどき話題になるのですが、具体的な動きがあるのかどうか、どう対処するのかお尋ねをしたい。  それからもう一つ大臣がお見えになりましたので、最後に一言だけ申し上げて御所見をいただきたいと思うのですが、今も議論いたしておりますように、公庫を一つの保険企業というふうに見れば収支相償わせることは当然ですし、また、この制度を守っていくためにも公庫や協会の体質強化というものを進めることは当然だと思うのです。しかし、そのために政策目標としての中小企業の救済と言うべきか振興と言うべきか、むしろ私は救済に問題があるのだろうと思いますので、そこが損なわれてはいかぬということだと思います。考えてみますと、五年間で千九百六十五億がたまったから公庫の収支改善計画と、千九百六十五億といえば小さい数字だとは思いませんよ。しかし、単年度にすれば四百億。もう一つ、十七年度間で三千百八十二億、これなどは一年度間にすれば百八十七億だ。日本経済の一番底辺を支えている中小企業に対して、これは二千億であったって政治レベルでいえばそんなにでっかい数字じゃない、私はこう思うのですね。今後ともこの改善措置にとらわれない弾力的運用、あるいは質問に触れられませんでしたが、倒産関連保証は一年ですが、これなどの成り行きもしっかり見詰めていってほしいということをお願いしながら、この二つ質問にそれぞれお答えいただいて、終わらせていただきます。
  65. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先生の方から御質問がございました民間金融機関につきましては、関連会社がさまざまな形でつくられておりますが、この関連会社につきましては行政改革の一環として規制緩和が進められておりまして、金融の自由化の一環としても規制緩和の方向にございます。その中で、民間金融機関の中からこういった中小企業者に対する信用保証会社をつくりたいという要望があるということは聞いております。  他方、これについてどう考えるかという御質問であろうかと思いますけれども中小企業事業資金については、従来から信用保証協会が中小企業対策の一環として種々の政策に協力を行いながら保証業務を行っている、それによりまして中小企業の金融の円滑化にも寄与しているという事実がございます。したがいまして、私どもとしましては、民間金融機関の事業資金貸し付けに対する保証会社については、信用補完制度全般の秩序維持とか中小企業金融の円滑化等の観点から、現段階では慎重に検討されるべきものではないかと考えております。
  66. 田村元

    田村国務大臣 政策的に中小企業者のニーズに幅広くこたえていく必要がある一方、信用補完制度の健全な発展を図るとの観点から保険収支にも留意していく必要があることは当然でございます。両者はバランスを持って判断すべきと思います。これらを踏まえまして、今回の法改正を実効あるものとするために、今後より一層制度の弾力的運営に努めてまいりたい、このように考えております。
  67. 関山信之

    ○関山委員 どうもありがとうございました。
  68. 渡辺秀央

    渡辺委員長 森本晃司君。
  69. 森本晃司

    ○森本委員 きょうは、大臣がこの後また予算委員会等々で大変御多忙と伺っておりますので、最初大臣に三問だけ質問させていただきたいと思うところでございます。  まず最初に、竹下内閣が誕生して、引き続いて通産大臣をお引き受けいただいた。今我が国経済は大変重要なときを迎えている。貿易摩擦等々もある、同時に円高の急激なる進展、昨今は定着していますが、そういう状況にあって、何とか今の通商行政、商工行政をきちっとしていかなければならない。そういうところで、非常に手腕家でありまたこういった問題に精通しておられる田村通産大臣が留任になったということは、非常にすばらしい力量をお持ちであるし、私も多大の期待を寄せているところであります。  今その数六百四十八万と言われる中小企業が今日まで戦後四十年間の日本を支えてきたことは、大臣も非常によく御承知のことかと思います。また、中小企業がそのバイタリティー、創造性を生かして今日までの日本の経済を支えてきた。欧米等が行き悩んでいるのは、中小企業の数が少ないというところに問題があるというふうにも言われておりますが、そういった観点から大事な役割りを果たしてきた。  しかし、その中小企業が今、先ほど申し上げましたように円高の定着、それから国際化に向かっているということ、国際分業化、それから内需拡大型にしなければならない、あるいはNICS諸国の追い上げがある、こういった点、大臣中小企業者の声によく耳を傾けていただいておりますし、きのうもNICSの追い上げ等々で苦しんでいる大島つむぎの皆さん方の陳情に貴重な時間を割いて大変耳を傾けていただいたし、早速的確なる手を打ってくださっております。またほかに、中小企業者は今技術革新の波に追われて大変厳しい状況にある。あるいは情報化、それから国民のニーズが極めて多様になってきた。そんなところで、中小企業が非常に厳しい環境にますます追い込まれてきたと思いますが、大臣はこの現況をどのように今とらえておられるか、まずお尋ね申し上げたいと思います。
  70. 田村元

    田村国務大臣 今おっしゃったとおりでありまして、今の日本は余りにも急激かつ大幅な円高によって経済というものが大きく分かれております。一般論で言えば、日本経済は非常に底がたい動きを示しております。しかしながら、経済の二面性というものが浮き彫りにされてまいりました。そうして輸出型の製造業、その中でもとりわけ中小企業、下請企業の苦しみはひとしおのものがあります。  我が国は、今おっしゃいましたように諸外国に比べて非常に大きな経済の特徴、産業面での特徴があります。それは事業所別にいいますと、総事業所の実に九九・四%が中小企業であります。従業員でいいますと八一・四%が中小企業であります。これが日本の特色。日本の特色は中小企業中小企業立国であると同時に、流通経路がなかなか複雑だと言われております。でございますから、私は、通商産業省というものは中小企業対策省であると言っても過言ではない、このように考えて、ここに今控えております浦野政務次官に特命で中小企業担当の政務次官をお願いしたわけでございます。  これからは内需拡大の政策継続をやって、これは政策の継続性がなければ何にもなりませんから、高目の経済成長を図りながら、今度は逆に輸出面で苦しんでおる中小企業者を中心として、内需型の産業へと構造転換を誘導していくという必要もありましょう。と同時に、いろいろな手当てをし、特に御承知のように今の中小企業を救うのは下手な手より金融の問題が絶対だと私は思います。政府関係機関で中小企業関係の融資の枠が大体二十兆円くらいになっておるようでございますけれども、そういう面も考えて所要の手続、手を鋭意打っていきたい、このように考えております。
  71. 森本晃司

    ○森本委員 今、大臣おっしゃっていただいたように、日本はまさに中小企業大国であると言われておりますが、その中小企業大臣の御認識のように厳しい環境下にある、産業構造の転換を今ほど必要とされているときはないのではないかということは私も実感いたします。かつてこの委員会で私も議論させていただきましたが、不況状況に入ったときに党の中小企業局長として全国を回らせていただきました。そのときに、いろいろな中小企業の皆さんに構造転換を図らなければならないという話をしながら、またいろいろな意見に耳を傾けたわけでございますけれども、しかし、構造転換するといってもどこからどういけばいいのかという声が非常に大きかったわけでございます。今までの中小企業政策といえば、ともすれば後追い政策、表現は悪いかもわかりませんが、どちらかというと不況になった、あるいは特に困っているところに施策を講じていった。これはその必要性があって講じられたものであるから、私はそれは大事なことだと思う。しかし、その政策は、今までのものはともすれば緊急避難的な政策であったのではないかと思うわけです。  そこで、今回この融合化法案が出されることになりました。我が党の昨年の政策フォーラムでも私は、今大事なことは異業種がどう交流融合化していくかだとして、その意見を述べました。また同時に、我が党の中小企業政策の中にも、この異業種交流していく融合化政策を図っていかなければならないというふうにして取り上げてきましたので、今回のこの法案については、率直に歓迎すべき法案である、すばらしい法案を今、中小企業庁考え出した。中小企業庁みずからおっしゃっていますが、これは新政策で、一丁目一番地だというふうに新しい方針を打ち出されてきた。私は、これは歓迎するところでございます。  先般、私も横浜の異業種グループを視察させていただきましたが、全国で今、異業種交流グループが八百あるいは二万社というふうに言われておりまして、ここに手を打たなければならない。そういう意味で、今回の構造転換の大きな柱となるこの融合化法案について大臣はどのように考えておられるか、その見識をお尋ね申し上げたいと思います。
  72. 田村元

    田村国務大臣 率直に言いまして、弱い中小企業が体を寄せ合って強く生きていくように、こういうことが基本的な考え方でございます。大企業でございますと、いろいろな間口を広げておりますから、例えば、重厚長大型の会社といえども、時宜に適した分野開拓してそれに対応することは自力で可能であります。けれども中小企業はそうはいきません。  そこで、中小企業が構造転換を遂げていくためには、こうした新たな経済的環境に即応した新分野開拓する、そうして新分野開拓して、そこで体を寄せ合って生きていく、これが重要であろうと思います。このためには、広い視野事業分野をまたがった技術や経営に関する知識が必要となりますけれども中小企業は一般的に事業分野が狭く経営資源の蓄積が乏しい。そのために、自力でこれを行うことはなかなか容易ではありません。  現在、全国各地で事業分野を異にする中小企業者が、共同してそれぞれの技術や経営に関する知識融合させて新たな製品やサービスを開発し新分野開拓しようとする動き、いわゆる融合化が積極的に展開されているのは、融合化が今後の中小企業の新たな活動理念、言うなれば新たな生きる道と言ってもいいものと思います。融合化対策は、このような融合化促進するための措置を講ずることによりまして、円高の長期化等の新たな経済的環境に即応した中小企業の創造的発展を図って、その構造転換の円滑化に資するものである、このように考えております。  今お褒めの言葉をいただいて恐縮でございますけれども、しかし、いかにすばらしい先取りの法律でも、その運用に抜かりがあってはなりません。これに対して十分の対応をするように指導してまいりたいと思っております。
  73. 森本晃司

    ○森本委員 大臣予算委員会に行っていただかなければなりませんので、御答弁は今いただいた答弁で結構かと思いますが、私、いま言だけ大臣にちょっと聞いておいていただければと思います。  大臣が今、運用面が大事だというふうにおっしゃっていただきました。これは十年間の時限立法となっている、しかも新しい制度でありますので、これからよくその状況を把握しながら、逐次よく検討して進めていかなければならないかと思います。私も、今国会が終わりましたら、全国をいろいろ回りながら、この点については自分の目でも確かめてまいりたいというふうに思っているところでございます。  それからもう一つ、先ほど大臣が、中小企業政策にとって何よりも大事なことは金融だというふうにおっしゃっていただきましたが、やはり中小企業への資金力をどうするかということが一番大きな問題点になっております。したがって、きょうは大蔵省はお見えいただいておりませんけれども中小企業庁が管轄するいろいろな国の公的機関は、ともすれば中小企業の業者が、機械をいろうていたそのままの手で銀行へ行かなきゃならない、そうすると、そこに非常にしち面倒くさい書類をいっぱい書いたりしなきゃならない。もっともっとこういう機関をお使いになったらどうですかと言っても、いや、銀行さんだったら毎日頭を下げて、今金が余っているから使うてくれませんかと言うて来ていると。ところが、どうもお役所の方へ行くのはかた苦しいという雰囲気があります。この辺を、だからといっていろいろな基準を緩めるというわけではありませんけれども中小企業の業者がもう少し親しみやすい機関にしていかなければならないのではないだろうかというふうに思います。  大臣、それでは結構でございます。どうぞ時間をとっていただきますので、引き続いてお話をさせていただきたいと思います。  相互銀行、これは「中小企業施策のあらまし」を読みますと、相互銀行というのは、昭和四十三年に中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律が施行されて、それで中小企業者の金融機関としての性格を明確にすることにしたというふうにあります。  相互銀行は民間ですから、直接中小企業庁云々ということではありませんけれども、ちょうど四カ月ほど前に、私、たまたま土曜日から地元に帰っておりまして、日曜日の朝、早い時間ですけれども、まだ私は家で休んでおりました。それで、娘が表に出ようとして出たときに、そこに男の人と女の人が子供を抱いて立っているという。娘が慌てて私に、お父さん、表にお客さんやと言う。もう非常に早い時間です。そこで私、何事かと思って表へ出たら、子供を抱いた親子がいる。どうしたんですかと言ったら、実はもう家も全部とられるので、これから言うならば夜逃げしようかと思います、その前にちょっと御相談に上がりましたということでした。それで私は、まあ上がってくださいということで上がっていただいてよく事情を伺ったら、自分の不注意、中小企業の経営者というのは、いろいろな金融の制度等々は知りませんから、自分の不注意で人に手形を乱発されてしまったというのです。これは私、いろいろ調べましたら、そのある相互銀行もわかっていたはずなんです。ところが、中小企業のおやじさんというのは、自分の手でトンカチトンカチやっていますから、そのことになかなか気がつかない。それで、もう多大の借金ができて、その返済もとてもじゃないけれどもできないというのです。  私は、それじゃ余りにも気の毒だということで、その相互銀行の本店の方に一緒に行こうということで、その日は日曜日だったものですから、翌日朝から、奈良県の相互銀行ではありませんけれども、行きましたら極めて紋切り型。思わず私は、その行った親子連れの人に、銀行の人を前にして言ったのです。もうこれじゃ話にならぬ、あんた、死ぬか逃げるかどっちかしなさい、死ぬんだったら、この前で死んだらニュースになるでとか言いながら、死ねとは言いませんけれども激励をした。そこで、考えますと言っておりましたけれども、実際、まだなかなか解決をしていない。  どこの相互銀行がどうこうということはありませんけれども中小企業の経営者というのは、資金繰りに本当に悩み、ちょっとしたことで、もう家も売り仕事もほって逃げ出さなければならないという状況下にある。私、相互銀行というのは中小企業のためのある意味での銀行だと認識していたけれども、どうもそうでない。この辺を、そういった国の公的機関の場合もこれからよく事情を賢察して、救うべきところは救ってあげなければならない。確かに我々のところへ来る相談というのは、もうごてごてにこてついた相談で、あなたもっときちっと自分の日常の経営をやりなさいよというふうに私も言いますけれども、それがなかなかできなくて困っている中小企業ですから、今後の制度運用について、あるいはそういった公的金融機関については、どうか温かい心のある、思いやりのある融資というものを心がけていただければというふうに思うのですが、これは次官、いかがでしょうか。
  74. 浦野烋興

    ○浦野政府委員 事例を挙げてお話をしていただきました。まさに国の金融機関におきましても、先生おっしゃるとおり、心のこもった対応をしてまいらなければならないわけでございまして、立派な制度をつくったとしても、まさにそこに魂がこもっていなければ何にもならぬわけで、先生のおっしゃることを肝に銘じまして、通産省といたしまして立派に対応してまいりたいと思っております。  なお、先生のお言葉につきましては、大臣に報告をいたす所存でございます。
  75. 森本晃司

    ○森本委員 この間、横浜市で実際に異業種交流を行っている人々とお会いさせていただきました。やはり異業種交流に入ってこようとする経営者というのは創造性がある、馬力がある、バイタリティーがあるなということを私は実感いたしまして、夜遅くまで一献交わしながらもいろいろと懇談するところに至ったわけでございますが、実に生き生きとされておられます。私は、そういった人々と懇談をして、あるいはまた、そういった会社を何件か見せていただきまして、ますます融合化施策の重要性、必要性を認識いたしました。  こういう異業種交流グループ、まず知り合うというところから始まりまして、それから使い合う、つくり合うというふうに、知り合うところから始まっていくわけでございますけれども、この異業種交流に取り組もうとしている人々に、今中小企業庁としていかなる支援を考えておられるか、具体的にお願いいたします。
  76. 田辺俊彦

    田辺政府委員 御指摘のように、融合化の第一歩、きっかけと申しますのがこの異業種交流でございます。自来進めてきたところではございますけれども、何と申しましても中小企業交流の機会に恵まれないということと、それから情報が入手しにくいというような大きな特徴があるかと思います。そういう意味におきまして、この融合化法案を機に、私ども交流に関する施策につきましても抜本的に充実をするということで考えているわけでございます。  内容を申し上げますと、一つは、従来から新事業開拓や情報の出会いの場として重要視されております技術・市場交流プラザ、これにつきまして、拡充をしていくということが第一でございます。  それから第二は、これは異分野中小企業交流のリーダーといいますか、世話役が何といっても重要であるという意味におきましてカタライザー、これはまとめ役でございますが、触媒役をするカタライザーの設立ということを考えているわけでございます。  それから第三は、先ほど申しました情報の重要性にかんがみまして、これは関連のデータベースを整備するということで、それに伴ってまた情報を提供するという仕組みを、これは事業団を中心につくりたいと思っておるわけでございます。  それから第四は、何といってもこういう交流をする意欲のある方々に技術の種といいますか、そういう事業の種、開発のシーズを植え込むということのために、どうしても公設の試験研究機関によって融合化促進のための技術面の支援をする仕組み、試験研究実施促進する仕組みをつくりたいと思っておりまして、公設試験所の中に開放試験室、共通の施設をつくりまして、これから融合化に携わる意欲のある人たちに使っていただくということの施設を整備したいと思っております。  それから第五に、地域における異分野中小企業、これがやはり何といいましても現在はさまざまな場で行われているわけでございますが、その中核が必要だ、交流の拠点が必要だということで地域融合化センター、これは各県において設けるべく、各県といろいろ話し合っているわけでございます。  以上が、一般会計等で措置されようとしております六十三年度予算六・五億円の交流事業予算の内容でございます。
  77. 森本晃司

    ○森本委員 いろいろな諸施策が今講じられようとしているわけでございますけれども、やはり何といっても人々が集まる基地が必要ではないだろうか。そういった座敷づくりをまず始めることから交流はあるわけでございますけれども、今般の施策を見ますと地域融合化センター、これは二十カ所つくるというふうに言われております。これは一カ所三百万円というふうに聞いているわけですけれども、これは全国各地に二十カ所、一カ所三百万円の補助金で一体何をするのかな。名前は地域融合化センターというふうに大きくなっていますが、センターといっても、今どっかの役所の窓口にもう一つ机を置いて、センターという看板を上げて人が座ったら、一年間で三百万円ぐらい要ってしまうのじゃないか。これぐらいのセンターで果たして機能を、役割を果たすことができるのだろうかというふうにも私、思うわけでございます。  また、技術交流プラザ等々がありますが、この間横浜でいろいろ話をしていましたら、横浜市というのはいろいろ工夫をしていまして、横浜市の後に言うカタライザーに当たる人々が非常に夜遅くまでいろいろな中小企業の皆さんと話をしておられる。それから、事業団のTICCへ行って桐原さんとも会いましたけれども、いろいろと工夫をされている。この基地については、私はできるだけ時間的な問題を配慮していかなければならないし、人が集まりやすい状況下になければならないと思うのです。  事業団のパンフレットを見ますと、非常におもしろいことをこのTICCのところで書いています。その運営時間、月、水、金は午前九時半から午後八時、火曜と木曜は午前九時半から午後五時まで、土曜日は原則として休館、火曜、木曜の午後五時までのところにコメ印がついておって、下に注釈が書いてある。「但し、団体等で事前の申し込みをいただければ、午後八時まで開館します。」これは非常に温かい配慮の仕方であるなというふうに思いますね。土曜日の休館日も、原則として休館だけれどもやはりコメ印がついて「同様に、団体等で事前の申し込みをいただければ、開館します。」というふうに書いてある。  今度これからいろいろとこの融合化センターあるいは技術交流プラザをつくられるわけでございますけれども、その場合に、お役所的な雰囲気になって、午後五時まででないとできないんだとかそういう形では、私は絶対この異業種交流というのは成功しない。横浜の中小企業の経営者と横浜市の職員の方がいらっしゃっていろいろ話をしていたら、お役所らしくない役所なんですと中小企業の経営者がおっしゃっている。今後も融合化センターあるいはプラザの基地づくりにはそういった配慮を十分にしていかないと、私はなるものがならなくなってしまうと思うのですが、この辺はどうですか。
  78. 田辺俊彦

    田辺政府委員 二点御指摘だと思いますけれども、第一点は地域融合化センターの予算が大変少ないということで、御指摘のとおりでございます。ただ、二十カ所と申しますのは、まずは意欲のある県にぜひやっていただこうということでございます。それからその内容につきましては、これは集まる場でございますから、情報端末とかその他基本的な施設についてささやかな御支援をという感じでございまして、県なりさまざまなところから集まったセンターの全体の予算の中の一角を占めるということで御理解をいただきたいと思います。そういう予算の額、物的な施設よりも内容、質の充実ということで、私どものスタッフが十分県の担当の方々とこれからお話し合いをしていくことになると思います。  それから第二点は融合化センター、プラザを含めまして、中小企業者に親しみやすい、温かい、心のこもった、そういう交流の場をつくるようにという御指摘だと思いますが、これは森本委員現場でいろいろとお話をされてきた実感のとおりでございまして、私どももそう考えている次第でございます。  今県の方々とも、地域融合化センターのそういう場所や時間等々についても話し合いを進めようとしておりますけれども、御指摘の点を含めまして、時間、場所、行きやすい場所、それから忙しい中小企業者の方々が終業後といいますか職場が終わってから集まれるような、そういうチャンスをつくるようにぜひ心がけていきたいと思います、指導してまいりたいと思います。
  79. 森本晃司

    ○森本委員 もう一度、ちょっとまた話を繰り返して申しわけないのですけれども、三百万円で端末のいろいろな情報を入れるといっても、これはもうワープロ一つ買えたらいいところでしょうな。この辺をこれから我々もぐっと応援もしてまいりたいと思いますので、中小企業庁も遠慮なく大蔵省にどんどん当たっていかないと本当に生きたものにはならない。確かにその場所を、例えば地場産業振興センターにそのセンターを置く、そしてそこの会議室等々を使っていけばサロン風な形もできるかと思いますが、かた苦しい役所の中にそういうセンターとかプラザの場をできるだけ置かないように、いろいろと創意工夫をしていただきたいと思います。  それからもう一つ、これは前回も申し上げましたけれども、私の夢というか絶対していただきたいと思うことで、今回一挙にはいかないわけですが、TICCのような場所をでき得れば各ブロックごとに、近畿ブロック、中部ブロック、九州ブロック等々そういう形でのものを、これは今度中小企業事業団になるかもわかりませんけれども、置けるようにしていただきたいと思うのです。  この中小企業融合化が急速に進んでいるというところで、全国の二万社の地理的分析を見ると以下のとおりです。これは中小企業庁からいただいた資料です。これを見ますと、この日本地図の中で一番それが盛んに行われているのは近畿ブロックなんですね。その次が中部で、その次が関東、それから九州です。したがって私、この一番経済の活発な、あるいは創造的なものをやろうとしている近畿ブロックにこのTICCのようなものを、各ブロックとはいかなかったらせめて西日本にも一つそういうのを置いて、そして東京のTICCと連携をとりながら、また全国の今度のセンターと連携をとりながらやっていくことが大事だと思うのですが、いかがでございましょう。
  80. 田辺俊彦

    田辺政府委員 事業団のTICCを大変御評価いただいているわけでございますが、私どもも先ほど申し上げました地域融合化センターをブロックよりも県ごとにぜひもっときめ細かく、TICCのような技術情報の宝庫として、あるいはガイダンスの拠点として育てていきたいと思っているわけでございます。予算が少のうございますが、精いっぱい努力をしたいと思っております。
  81. 森本晃司

    ○森本委員 あしたからまた全異協の全国大会が行われるようでございますけれども、これは私述べるだけにさせていただきたいと思うのですけれども、ここが中心となって財団法人全国中小企業融合化促進センターなるものにしていこうかなというふうな考え方があるというふうにも伺っています。新聞にもこのことは載ったことがございますが、中小企業庁としてそういったところにも大いに応援をしていっていただきたいと思います。  それから、先ほどお話に出ましたカタライザー。大事なことは、このプラザができたらそれをぐっと動かしていくカタライザーが、今回この施策の中で大事な立場になってくるかなと私は思うのです。私が今まで考えていたのはアドバイザーというふうな考え方でおりましたら、中小企業庁はカタライザーと出てきたわけです。一体カタライザーってこれは何だろう、聞いたこともないような言葉だなということでよくよく調べてみますと、それは触媒役をやる人。今部長お答えいただきましたけれども、はあそういうのをカタライザーと言うんだなというふうに思ったわけでございます。  この間横浜へ行ったときも、そのカタライザーになる人が大事であるというふうに話がありました。私冗談で言っておったのですけれども、私も今の立場になる前も中小企業のいろいろな問題にかかわっておったものですから、私のような者はカタライザーになれるかどうかというふうにお伺いしたら、だれも相手にはしてくれませんでしたけれども、このカタライザーというのは非常に大事だな。それで、集まった中小企業の経営者の人に、どういう人がカタライザーなんですかと聞きましたら、真っ先に返ってきた答えが、中小企業に情熱を持っている人、中小企業を愛してくれる人、こういう人がカタライザーになってもらいたい。特別の固有の技術を持っている人等々になってしまうと、どうしてもそこにへんぱに偏りがちになってしまう。それから、ともすればそういうところへ来た人がこの交流プラザの中の人をうまくアドバイスしながら、そしてアドバイスをしているように見えて自分のエリア、後の自分の商売にやっていこうとする人が出てくると困るんだという声もありました。私、そのとき一緒に行ったTICCの桐原さんとか横浜の柳沢さん、こういうお二人がカタライザーでどうでしょうかと言ったら、もう経営者の皆さん、そうだ、こういう人が今度カタライザーになってくれればいいんだ。ところがお二人ともお役所勤めでございますから、これはなかなかそうはいかない。そういった人を促進するお仕事役にはなれると思うのですけれども。  いろいろと先に申し述べましたけれども、この大きな役割を占めるカタライザーのイメージについてはどういうふうに描いておられるのか、どういう人が大事なのかということをお答えいただきたいと思うのです。
  82. 村田憲寿

    村田政府委員 先生指摘のとおり、カタライザーというのは大変重要な役割を担うわけでございまして、異業種交流グループの結成あるいはその活動の調整、取りまとめあるいはその活動の方向づけといったことで助言を行おうということでございますので、私どももこのカタライザーは大変重要だというふうに認識しておるわけでございます。  具体的な、カタライザーというのはどういう人かという御質問でございますけれども、一般的に考えますと、異業種交流グループの活動目的でございますとか、それからそれぞれのグループの抱えております課題、これが多岐にわたるだろうというように考えられるわけでございますので、これを支援するカタライザーに期待される役割とか人物像につきましては、かなり多様なものがあるのじゃないかというように考えられるわけでございます。私ども、これまで調査したところなどから考えてみますと、各地域にありまして、当該地域の中小企業事情に詳しく、異分野中小企業者グループの結成とか交流活動の推進のために世話役あるいは接合役となるようなタイプの人でございますとか、特定分野技術とか市場動向、それから提携すべき企業等についての豊富な情報、知識、そういったものを持っておりまして、いろいろと異業種交流グループの活動の方向づけに指導助言をできるようなコンサルタント的な、あるいは生き字引的な、そういうタイプといったものなどに対するニーズが割合多いのじゃないかというように考えておるわけでございます。  ただ、こういったことは一般論でございまして、もう少し具体的な要件はどうかということで現在まだ検討中なわけでございますけれども、例えば、もう少し具体的なことを申し上げますと、先ほど先生が言われましたような、中小企業に対して非常に情熱を持っている人というようなことがまず一番基本になるわけでございます。そういう中小企業に情熱を持ち、しかも異業種交流活動にも御熱心で、なおかつ公正かつ円滑な活動調整ができるようなそういう信用ある人物、そういう人望を有するような人、そういうことがまず要件になってくるだろうと思うわけでございます。そのほか、従来の異業種交流活動での診断、指導、そういったことにいろいろ十分な経験を持っていることでございますとか、いろいろな技術とか市場の動向について情報を持っておるとか、さらにはそういうことに時間を割ける人というようなことなども要件になってこようかと思っておるわけでございますけれども、これから具体的なものについては詰めてまいるわけでございますので、先生指摘のような非常に情熱を持った、それからさらには、自分自身の何といいますかそういう商品化というかそういう活動、商売にそういう成果をつなげないといったこともいろいろ要件としては考えていかなければいかぬと思っておりますので、先生の御指摘ども十分踏まえて対処してまいりたいと考えております。
  83. 森本晃司

    ○森本委員 これからそのカタライザーを選び、そしてまた同時に、こういうものであるというふうに皆さんでいろいろ御検討いただき、あるいはまた、それが事業団におられてやっていく場合も教育訓練ということもこれからしていただくわけでございます。非常に大事な役割でございまして、さっき触媒人と計画部長がおっしゃいましたけれども、私はその上に必殺をつけたいと思います。カタライザーというのは必殺触媒人として、本当にそういった異業種交流の人々のお役に立ち、自分の持っている情報、県境を越えてでもやってもらうような人、そういうカタライザーをぜひこれから皆さんでつくっていただければと思います。  予算の上で、今回、養成・派遣は九十六人となっていますけれども、単純計算しますと大体各県に二人という状況ですね。あとは事業団かあるいは中央に置かれるというふうになりますが、先ほど申し上げましたように技術交流というのは極めて、同業種組合の場合にはともすれば同県の中でさえあればいいわけでございますけれども、異業種交流になりますと県を大きく越えていくことが多々あるわけでございます。  先般見学した工場の中で、これは製品名をここで言っていいかどうかちょっと迷っておるわけですが、マンション等々のところに下にポストを置いておいて、ソフトとうまく組み合わせてやっているロッカーを今開発されている会社を見せていただきました。その会社のそれはどことどこを組み合わされたかと申し上げますと、ハードの部分は横浜にありました。それから、コンピューターを使っているソフト部分は東京です。それから、それをやるマーケティングの会社は大阪である。これは非常に大きく県境を越えていくわけでございまして、そういったことの必要性もあるのではないだろうか。全員が各県に二名ずつ配置になった場合どうかなというふうにも私は思いますので、各県に数少ないわけでございますので置いてもいただきたいのですが、同時に、できたらブロックごとに何人かをプールされる、中央にもプールされる、そしてその人たちがどんどん県境を越えて派遣されて行く、こういう形の役割をしていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 村田憲寿

    村田政府委員 カタライザーの配置につきましては、先生指摘のように、予算段階では九十六名分ということでございまして、積算の根拠といたしましては、各都道府県に二人ずつ、これで九十四名でございますが、それにあと二人が中小企業事業団にというような積算になっておるわけでございますけれども、実際には先生が御指摘のようないろいろなニーズ、地域を越えたニーズ、県域を越えたニーズというものが非常にあると思うわけでございます。  そういうことで、こういうような観点も踏まえて中小企業事業団で一元的に派遣についての事業を行うということにしておるわけでございまして、県域を越える異業種交流グループは当然予想されるわけでございますけれども、それぞれの地域のカタライザーの指導助言が得られるわけでございますし、さらに他の地域での技術あるいは市場の動向、あるいはその企業の動向といったことに詳しいカタライザーの方、そういう人を対象にいたしまして全国レベルで中小企業事業団から派遣していくということも考えられるわけでございますので、できるだけカタライザーがその役割を十分に果たせるように柔軟な運用を行っていきたいというように考えておるわけでございます。
  85. 森本晃司

    ○森本委員 次に、今それぞれ各県で、各地域で自発的に異業種交流グループができていますが、このグループ同士の交換というのをさらにやっていくとすばらしい成果が生まれてくるのではないかというふうに思っております。先ほど申し上げましたが、別の会社でもやはりまた長崎と横浜が交流して、その結果、美容の流体何とかというやつが、私も実演して見せていただきましたが、そういうものが生まれてきた。異業種交流グループ間の交流も必要ではないだろうか。奈良県にも今四つのグループがありますので、横浜は先進的だから一回来て交流をやってくれませんかというふうに言ったら、横浜の皆さんも一回出かけていきたいというふうにもおっしゃっていただいたわけでございますけれども、これがますます必要になってくるのではないだろうか。また、よき刺激になってくると思います。そういう交流推進する、どういう役割をされるのか。
  86. 田辺俊彦

    田辺政府委員 御指摘のとおりでございまして、中小企業政策は地域に密着して県を中心に行われているわけでございますけれども、情報や技術の伝播というのが全国的に非常に広がりを持っております。異業種交流グループが地域を越えて交流し合う、情報を交換し合うということは大変いい刺激になり、きっかけになると思っております。  現在までもそうでございますが、今後とも私どもは、例えば先ほど申し上げました技術交流プラザにおきましても、ブロックごとの技術交流プラザを開催する。全国を七つに分けておりますが、そこで大いに交流をしていただく。それから、委員指摘のように、また全国の技術交流プラザもございます。ここでさまざまな形での意見交換も行われるかと思います。さらにはまた、先ほど御指摘の、民間から盛り上がってつくられるであろうそういう異業種交流関係の団体などにおきましても、さまざまな地域のグループ交流促進されることを私ども期待しているわけでございます。
  87. 森本晃司

    ○森本委員 次に、そういう交流が始まりますと、今度はさらに情報、技術交流提携体制を整備しなければならないと思うのです。  産と官が今こういうぐあいにこれを推進していくわけでございますけれども、特に公設の工業試験所、あるいは省庁を超えた、例えば労働省が持っているいろんな技能開発、能力開発の機関、あるいはまた中小企業庁が持っている中小企業大学校やあるいは情報センター、こういうものが巧みに連動していく必要があると思います。同時にもう一つは、学との連動もやっぱり要る。産官学、この連動性がより技術、情報の交換をスムーズにさせるのではないだろうか。大学でいろんな研究機関開発しますが、その成果中小企業の業者が企業化できるシステムをやっぱりつくっていかなければならない。産官学の連動についてどのように考えておられるのか。
  88. 田辺俊彦

    田辺政府委員 大変建設的な御指摘をいただいたわけでございまして、私どもも産官学の連携が大変重要だと考えております。  例えば官に関しまして、これは国の試験所、それから公設の試験所、これはもちろん既に共同研究が行われつつあります。そのための予算も用意してございます。それから国の試験所におきましても、例えば食品関連試験所というようなところと既に共同研究が始まっております。そういう意味におきましては、省を超えた中小企業融合化促進のための研究を幅広く推進していきたいと思っております。  学に関しましてもおっしゃるとおりでございまして、例えばカタライザーなんかで、学の分野での非常に広範な知識を持って中小企業に情熱のある先生方もおられればその有力な候補になり得ると思いますし、各地域においては県の大学との密接した連携のもとでの共同研究、そういうものもぜひ推進していただきたいと思いますし、私どものこの技術開発のプロジェクトの予算におきましても、そういうものに関しましても門戸を開いているわけでございます。
  89. 森本晃司

    ○森本委員 以上が交流の場の、知り合うというところでの問題点だと思いますが、あと、いよいよ交流の場ができて今度はお互いが持っている技術や情報を交換してつくり合う、使い合うという段階開発段階に入ってくるわけでございますけれども中小企業の異業種交流開発をするとなってきますと、この額はさまざまなものになってくると思うのです。今あるのをちょっとこうひっつけるだけで開発ができるのもあれば、大変な資金を必要とするものも出てくるんじゃないだろうか。宇宙開発のような、そんな額はかからないと思うのですけれども。一体その開発、今度補助金が出るわけですけれども、この補助金の期間がどれくらいのものなのか。開発というのは一年で必ずできるものとは限っていないので、どれぐらいに考えておられるのか。それから金額が千九百万円というふうに大体計算をされているようでございますけれども、それで十分いけるのかどうか。  それからもう一点は、この開発補助金をそれだけ出して、失敗した場合にはこれはどうなるのか。失敗したら、それでもう失敗料として、これは補助金ですから結構ですというぐあいにしていくのか。それから、成功した場合には何らかの形で、補助金は出したけれどもこれを還元してもらう形で、次のまたいろいろな中小企業の皆さんへの開発に使おうとするのか。この辺の共同開発に関する補助金制度のあり方というのを御答弁願いたいと思うのです。
  90. 村田憲寿

    村田政府委員 先生指摘のように、異分野中小企業の共同開発はいろいろ分野が異なる中小企業者の間で行われるものでございまして、そういう意味で非常に困難なプロセスが存在するだろう、そういう場合がかなり多いのじゃないかというように思うわけでございます。また、通常の同業種の共同開発に比べまして、期間的にもかなり長期にわたるものが出てくるでありましょうし、資金負担もかなり多額になるであろうということが予想されるわけでございます。ちなみに私ども、昨年の五月でございますけれども実施した調査によりますと、資金計画、開発目標等が明確な百五十の異業種グループの平均的な姿を見ますと、開発に三年間程度を要しておるわけでございます。また、その三年間の開発に必要となる平均的な資金負担は、一グループ当たり大体五千万円ぐらいということになっておるわけでございます。  そこで、補助金の方でございますけれども、今回設けることとしております開発段階における組合に対する補助金、一年間で御指摘のように一組合当たり千九百万円ぐらいということを考えておるわけでございますけれども、これは、必要な場合には三年間程度継続的に補助することも考えておるわけでございまして、三年間千九百万といいますと五千七百万になりますので、先ほど申し上げました五千万を大体カバーできる程度のものにはなり得るのではないだろうかというように思っておるわけでございます。  それから、最後に御質問なさいました開発に成功した場合あるいは失敗した場合どうなるかということでございますけれども、御案内のとおり補助金というのは融資とは異なっておるわけでございますので、特段の法令違反がない限りは返還を要しないというのが基本でございます。ただ、開発成果の利用に係る事業を行うことによりまして相当の収益が生じると認められる場合におきましては、現在の法律のもとではその交付された補助金の全部または一部に相当する金額を国に還付するといいますか、いわゆる収益納付させる、そういうことができる旨の条件をつけることができるということになっておりますけれども、この点につきましては、具体的にどうするかはまだ私ども検討中でございます。それから、開発が失敗した場合ということでございますけれども、これは補助金でございますので、開発が失敗に終わったといたしましても、組合自体が認定されました計画に定める事業を法令に違反しないできちんとやっておる場合には、特に返還の必要はないということでございます。  以上でございます。
  91. 森本晃司

    ○森本委員 開発段階事業協同組合をつくる。何人が一番やりやすいのですかと聞くと三者が一番やりやすいというんですね、いろいろな開発をするときには。事業協同組合法でいくとやはり四者という必要性があるわけですけれども、何でもピラミッドが一番安定しているわけでありまして、四人になると、またいろいろとにらみ合いがあったりなかなかうまくいかない。しかし、今日までの事業協同組合は四者以上ででき上がっておりますので、それで特に問題はないかもわからないけれども開発という段階での事業協同組合になるとその辺は非常に大きな課題になってくるかと思う。しかし、それが四者以上で進めるとしても、これはいろいろな形での指導をしてあげる必要があると思うのですけれども、どうですか。
  92. 村田憲寿

    村田政府委員 開発実施する組合についての御質問でございますけれども、私ども現在把握しております資料によりますと、今後知識融合開発事業実施したいというグループのうちで、新たに組合を設立して実施したいというグループが大体七割ぐらいを占めておるわけでございますので、今後この法律において施策対象としております特定組合となる組合は、新しい組合が多数を占めるのではないかということがまず予想されるわけでございます。したがいまして、こういう新しい組合を円滑に組織化できるようにいろいろ指導していくことが重要になってくるというふうに考えておるわけでございます。  このため、私どもといたしましては、開発に取り組もうとする中小企業グループに対しまして組織化の手続の進め方でございますとか事業の進め方、さらには組合員間の機能分担とか責任体制のあり方、そういったことを重点的に指導することを内容とします融合化組合集中指導事業というのを中小企業団体中央会の指導事業として行うことにしておるわけでございまして、それによりまして有志グループ組織化の円滑化に遺漏のないようにしてまいりたいというように考えておるわけでございます。ただ、その際先生も申しておられましたように、現在の組合法で参りますと四者以上でないと組合ができないという原則は当然貫かれなければならないだろうと思っているわけでございます。
  93. 森本晃司

    ○森本委員 開発のための組合、それから事業化するときにやっぱりまた組合をつくっていくという場合いろいろと指導していくとおっしゃいましたけれども組合設立というのは定款づくりから非常に複雑なんですね。これは去年の私の体験ですけれども、これは奈良県ではなかったのですが、ほかのところでございますけれども組合をつくりたい、ちょっと県境にもまたがっていたというところもありまして、それでその組合をつくろうとする発起人が県や府へ行った。なかなからちが明かない。それで中央会に御相談に行った。中央会もいろいろ御相談に一生懸命乗ってくださったんだけれども、なかなか組合設立がうまくいかない。いよいよ何とかということで指導を受けて、それで定款をつくって組合設立のことで私に御相談があった。  それで役所へ行きますと今度は、最初は県境で問題になりましたけれども、役所間の中のどこの省庁に所属するかというので問題になってきたわけです。私と私の秘書はこっちの役所へお願いし、いやこれはもう一つの役所ですよ、もう一つの役所へお願いし、もうそのためにわざわざ何人かが団体で上京して書類をまたつくり直さなければならないので泊まり込まれた。中小企業の経営者にとって大変な負担なんです。こういったこと、省庁間を越えていく場合も、異業種交流の場合であると特にこれからそういった問題が出てくる。それだけに、組合設立については十分な御支援、指導していくようにお願いを申し上げるところでございます。  それからこの法案であります知識融合開発事業の具体的内容、これは政令で定めるということになっておりますけれども、この基準の中身について、私が先ほど申し上げましたように、中小企業の経営者の負担にならないような中身にしていかなければならない。これはどういうふうに考えておられるのか。
  94. 村田憲寿

    村田政府委員 まず最初、計画の認定基準についてお答え申し上げますけれども、現在のところ御案内のとおり政令においてその具体的内容が定められることになっておるわけでございますが、今考えておりますことといたしましては、一つは計画の内容が異分野中小企業者知識融合による新分野開拓を行うために有効かつ適切であるというようなことでございますとか、資金計画が知識融合開発事業を確実に遂行するために適切なものであるというようなことでございますとか、さらには試験研究費または準備金にかかわります負担の基準が適切なものであるというようなことなどを考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この法律がねらいといたしますところは、意欲のある中小企業者が新しい分野に進出していくということを支援しようというものでございますので、そういう中小企業者の方の意欲、熱意を阻喪しないようなそういう内容のものにしたい。むしろこれを促進していく、さらに高めていくようなものにしたいというように考えているわけでございますし、またさらにいろいろ中小企業の方、経営資源の蓄積が乏しい特に小規模企業の方などもおられるわけでございますけれども、そういう方もこの制度をうまく十分に利用できるように、そういうような運用を行っていきたいというように考えておるわけでございます。そういう意味で、余り厳しい、ぎくしゃく縛ったようなものにはしたくないというのが現在の真意でございます。  それから、先ほどおっしゃいました所管行政庁の関係でちょっと申し上げますと、現在異分野中小企業者が集まりまして融合化促進しよう、そういうことを行います組合員の方は比較的規模が小さいといいますか、私ども調査ではたしか七組合ぐらいが単位になっているというのが多いように理解しているわけでございますけれども、さらにそういう意味で申しますと、恐らく組合の所在地といたしましては、一つ都道府県の内部というのが大多数を占めるんではないかというふうに考えております。この場合は、御案内のとおり協同組合法によりまして都道府県知事がその所管行政庁ということになるわけでございますので、都道府県の内部で恐らく商工部と農林部というような若干の対立みたいなものは出てくるケースもあるかもしれませんけれども、まず都道府県の中で処理できるケースが大部分ではないかというように思うわけでございます。  問題は、都道府県の域を越える組合についての所管行政庁でございまして、先生の御指摘のように、都道府県の区域を越えますと組合員の事業を所管する大臣ということに所管行政庁がなるわけでございますので、このような場合にいろいろ行政庁間の判断の違いといったものが出てくるおそれがあるわけでございますが、最初から先生がおっしゃっておられますように中小企業者のためということで、私どもといたしましては、そういう行政庁間の判断のそごによりまして認定の手続がおくれるというようなこと、あるいは中小企業者に過大な負担がかかるというようなこと、そういうことは絶対に避けたいというように思っているわけでございまして、関係の省庁と緊密に連絡体制を整備するなど、十分運用の面で配慮してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  95. 森本晃司

    ○森本委員 ぜひ各省庁間、異業種交流というのは言うならば全国区という感じになってまいりますので、省庁間、県境のために中小企業の皆さんが何度も足を運ばなければならないということのないようにお願いを申し上げたいと思うところでございます。  さらに今回のこの法案で、私、非常に特徴的でいいなと思った点がございます。それは、従来は協同組合法で同業種組合でなければいろいろな制度を利用することができなかった。そして今度の異業種交流で、確かに同業者でなしに異業種を集めるということから、事業化段階に入っていきますと必ずしも組合だけではない、共同出資会社あるいは合弁会社、場合によっては個別企業についても商工中金からの出資を受けられる、この制度は私、非常にいい制度でこれはより促進されていくと思いますが、共同出資会社で行う計画もすべて今度は認定されるわけですね。
  96. 村田憲寿

    村田政府委員 ただいま先生指摘事業化を共同出資会社等で行う計画ということでございますが、この法律におきましては、研究開発だけではなくて事業化も含めた知識融合開発事業に関する計画につきまして当初に認定が受けられることとしておるわけでございまして、このうち研究開発の場合は、異業種中小企業者が共同して行うものでございますから、事業協同組合をその実施主体としておるわけでございますけれども成果事業化につきましては、御指摘のとおりいろいろ開発成果の内容によりましては組合でやった方がいい場合も出てまいりましょうし、あるいは個々の組合員がやった方がよろしい場合もありましょうし、さらには組合員が共同出資会社を設立したりあるいは合弁会社をつくるというようなことも、そういう方が適当な場合もあると思うわけでございます。そういう意味で、中小企業の方が事業化を行いやすいように、この法律におきましてはその事業化の主体を幅広く定めておるわけでございます。したがいまして、御指摘のような研究開発事業協同組合で行って、事業化は共同出資会社などで行うという、そういう計画についても認定されるというように私ども現在しておるわけでございます。
  97. 森本晃司

    ○森本委員 次に、今度の異業種協同組合が同業種協同組合と同じ位置をこれから与えられていくわけでございますけれども、これは非常に画期的なことですばらしいことだと思う。ある意味で、従来の協同組合法の一つの殻を打ち破ったというのが今度の異業種交流による協同組合法ではないか。これは、ただ単に異業種推進するためだけの改正ではなくして、これを一つの突破口、刺激剤にして同業種組合にも大いなる刺激を与え、インセンティブを与え、同業種組合のあり方についてもこれからよく考えていかなければならないのではないだろうか。  中央会の方も傍聴に来ていただいておるようでありますけれども、従来の組合で非常に活性化しておられる組合もございますし、先般の中央会の大会にも私、出させていただいたとき、そういうことで非常に優秀な組合が表彰されておられまして、我が県の私のよく知っている組合理事長さんもお見えになっておりまして、私も非常に喜んだところでございますけれども、ともすれば形骸化している組合があるのではないだろうか。中央会の皆さんにお話を伺いますと、この数年相当整理をしたというふうに伺っております。ただ単におつき合いあるいは自分たちの仲間の権益を守るということだけの組合から、これを機会にもっと大きく脱皮していっていただきたいと思いますが、その辺の指導性についていかがですか。
  98. 村田憲寿

    村田政府委員 現在中小企業が置かれております経済環境を考えてみますと、同業種であれ異業種であれ中小企業組合というのは、その組合員の事業転換あるいは構造転換のためにいろいろ積極的な役割を果たすことが必要になっておるわけでございますけれども、そういう中で、先生指摘のように、全国で約四万ある同業種組合の中には活動が停滞しておるようなものも見受けられるのは事実でございます。そういうことで、今後異業種の新しい組合の活動が活発化してまいりますと、こういう既存の同業の組合にもよい刺激を与えるんじゃないかというように私ども考えておるわけでございます。
  99. 森本晃司

    ○森本委員 それから、従来の技術交流プラザ技術だけでありましたけれども、今回マーケティング関係も入っていくということになった、このことはすばらしいことだ。今度の法案で、先ほど申し上げました点それからマーケティングの関係も入れたというふうになってくるわけでございますが、何といっても、いろいろなものを開発したところで販路を持っていないというのが、やはり中小企業者の一番の悩みであると思うのです。この販路開拓とかあるいはマーケティングとのつながりを確保するためのどういった施策考えておられるか、伺いたいと思います。
  100. 田辺俊彦

    田辺政府委員 従来確かに、技術開発なりそういう面での開発が重視されてきた面があるかと思います。今回は御指摘のとおり、中小企業のそういう開発面においてマーケティングが非常に重要だという認識のもとに、法案予算も用意しているということが言えると思います。  例えば税制でございますけれども中小企業知識融合開発準備金制度、これが実施されるわけでございますが、需要の開拓ということのための準備金も含めている。また、信用補完の特例措置にもそういう需要開拓事業が含まれているわけでございます。それから開発補助金でございますが、開発補助金に関しましても、需要開拓のマーケティングの費用も含めて、開発された製品等の事業化が円滑に行われるように措置している、十分配慮しているということでございまして、そういう意味での施策を大いに重視して私どもも展開していきたいと思っております。
  101. 森本晃司

    ○森本委員 今度の融合化施策というのは、交流開発事業化という順番になっていき、しかも県境を越え、業種を超え、極めて多岐にわたっているところでございます。これは私も大変評価するものではございますが、これから実施していく段階において、先ほど来申し上げておりますように、各省庁間の連携が大事ではないか。都道府県中小企業事業団、各県にございます中小企業団体中央会、それからそれを資金的な面でいろいろと応援をする金融機関、こういったものがこれから連携を密にしていくことが必要ではないだろうか。  同時にまた、今度の制度が施行されるようになれば、十分わかりやすい形で中小企業の皆さんにその周知徹底をしていただきたい。この間家でテレビを見ていましたら、会社の決起大会でハナ肇がばっとやっているコマーシャルがありました。経営者は闘うぞ、何かそんな感じのコマーシャルでございまして、これは一体何のコマーシャルかなと思っていたら、中小企業事業団の連鎖倒産防止のための保険のコマーシャルですかね。そのコマーシャルを見まして、中小企業庁中小企業事業団もなかなかいきな計らいをし始めたなというふうに私も思ったところでございますが、この制度の周知徹底方も、ぜひわかりやすい形で、そしてたらい回しにならないようなやり方でやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  102. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 まさに御指摘のとおりだと思います。技術交流プラザというのは、県あるいは事業団、そういうところがやっているというようなこれまでの感じがあったと思います。しかし、御指摘のとおり、これはむしろそういうものを超えて、非常に広範な、中小企業の今後の一種の、どの地点でどういう組み合わせで起こってくるかわからない、そういう草の根の大きな流れを期待しておりますので、そういう意味では、例えば政府系金融機関、商工中金なんかは特に組合金融機関でございますので、こういうところ、それから中央会はもちろんのこと、新しい中小企業組織化運動として、関連する全機関がこれを大いに促進してもらうということを期待しておりまして、そのような形になるよう私どもとしても努力していきたいと思っております。  またPRというのは、私ども随分いろいろな機関を通じて中小企業施策PRしておりますけれども、それから融合化というのは、おかげさまでかなりその状況というものを中小企業者の皆さんに認識してもらえるようになったと思っておりますけれども、それでも何百万という中小企業者がこういう可能性を知るようになるということは非常に大事なことだと思っておりますので、今後努力していきたいと思います。
  103. 森本晃司

    ○森本委員 私もよく全国あちらこちら回りますので、あさって、四日もまた鳥取県へ行き、中小企業の経営者の皆さんとセミナーを持って会合をやるわけでございますが、私もこれから後も一生懸命、この異業種交流PRかたがた全国を行脚したいなというふうに思っておりますので、どうかぜひ実りある、そして本当にこの法案ができてよかったというふうに努めていただきたいと思います。  次に、信用保険法の関係に移らせていただきますが、今度の新事業開拓保険というのは、従来の新技術企業化保険とどのように違うかという点にお答え願いたいと思います。
  104. 田辺俊彦

    田辺政府委員 従来の新技術企業化保険につきましては、これは新技術企業化する段階における必要な資金に対する保険でございます。今度の新事業開拓保険は、さらに広く、これは技術に関して申し上げれば単なる企業化だけではなくて、もっとベーシックな、基本的な試験研究段階から含めますし、さらにはそれが事業化された段階における、委員指摘のマーケティングの分野における所要資金を含めておりますし、さらには、今展開しつつある産業構造の中の重要な一角でありますサービス業等々のソフトな面における所要資金も含めるという意味で、大変広がりを持った新しい保険であるということでございます。
  105. 森本晃司

    ○森本委員 次に、これが中小企業の皆さんのニーズにどうこたえていくかということが大事であります。したがって、運用については公庫レベルではなく、保証協会レベルで、地域の実情に応じた弾力的な運用をしていく必要があるのではないかと思いますが、お答えください。
  106. 田辺俊彦

    田辺政府委員 御指摘のとおり、新技術企業化保険につきましては、公庫レベルで委員会をつくって認定をするという、そういうシステムでございました。今度まさに森本委員指摘のとおり、私ども地域に密着して幅広く使われるということを趣旨に置いておりますから、地域の協会レベルでこの事業開拓保険の適用をしていくということでおろしていきたいと考えております。  さらには、新事業という意味におきましても、これはノーハウとかそれから——新しい特許を取ったから新事業だあるいは新製品だということではなくて、ノーハウとかあるいはデザインとか、そういう面で変わったもの、あるいは地域的に遠い市場では出ていたけれどもこっちの市場ではないものも、この地域では新しいものだということで認めていけるような工夫をしていきたいと思っております。
  107. 森本晃司

    ○森本委員 次に、担保力のない中小企業の皆さんが非常に多いわけでございますので、中小企業に対して無担保保険の積極的利用を促進していただきたいと思いますが、御答弁ください。
  108. 田辺俊彦

    田辺政府委員 御指摘のとおりでございまして、物的担保、信用力の大変乏しい中小企業にとって、無担保保険、保証、これは大変重要な意味を持っているわけでございます。特に、先ほど来御指摘の新事業開拓の面におきましては、これは技術ノーハウ段階で、自己資金がないのでお金を借りるということがありますので、物的担保が非常に体化しにくい状況でございます。こういう面におきましても今度新事業開拓保険の中に、これは三千万円までの無担保保険を保証料を下げまして導入したということでございます。さらには、一般的に無担保保険も一千万でございますが、一千五百万ということで拡充をしておりまして、私どもも無担保保険及び協会における無担保の保証の推進に向けての指導を行ってまいりたいと思っております。
  109. 森本晃司

    ○森本委員 海外投資関係保険についてお尋ねを申し上げます。  中小企業の海外投資の現状及び投資は全体的にどうなっているのか。それから、海外投資の場合には人材育成が極めて重要でございますが、それに対する費用を幅広く対象として考えていくべきであると思いますが、海外保険についてお答え願いたいと思います。
  110. 田辺俊彦

    田辺政府委員 このたび初めて海外投資関係保険ということでございますが私どもが導入しようとしておりまして、御指摘のように中小企業の海外投資、今全体の一五%くらい、二十九億ドルでございますがふえつつありますし、ふえるスピードもやむを得ず出ていかざるを得ないということもございますし、大企業に比べて大変多うございますので、充実していきたいと思いますし、かつ幅広く見ていきたいと思います。  その幅広さの中身でございますが、基本的には海外の現地法人に対して出資率が一〇%以上、あるいは経営者を派遣してとかいろいろな要件がございますが、何といっても中小企業者の海外投資における適応の過程で重要なのは、人的資源であるような気がいたします。そういう意味におきましても、そういう人材のトレーニング等も含めた新しいそういう施設に対しても適用できるような幅広い保険にしたいと考えて、検討していきたいと思っております。
  111. 森本晃司

    ○森本委員 資金面で、また繰り返し一番最初に申し上げたことと同じことになるかもわかりませんが、いずれにしても中小企業の経営者は担保能力がない、資金力がない、だからこそ国のいろいろな機関から借りようとするわけでございます。中小企業が倒産していないというふうに言われておりますけれども、それはある意味で大都市における地価高騰で担保能力ができた、あるいは、中小企業のその本業ではなくして別のいろいろな財テク等々でこの円高を乗り越えているように見えるわけですけれども、実情は、本業だけでの状況を見ますと、もう倒産するところがたくさんあるのではないだろうかというふうに思います。大都会の場合にはまだ地価高騰で担保能力が出ているわけでございますが、ローカルへ行きますとそうではない。そういった場合に保証協会で、そういうものはないから銀行でなかなか借りることができないから、銀行が保証協会をあれして、経営者が保証協会に頼みに行く。しかし、その頼みに行った保証協会が今度は、あなたは担保能力がありませんから保証しません、こういう形になってくると、私は本当に困っている経営者がなかなか利用しにくいものになっていないだろうか。保証協会のことと、それから、当初申し上げましたいろいろな国の金融機関の利用の場合にも、もっともっとニーズにこたえていく必要があると思います。いかがでしょう。
  112. 岩崎八男

    岩崎(八)政府委員 この二年半の非常な困難の中で、保証協会あるいは信用保証システム全体がこの基盤強化という方に努力していかざるを得なかったというのは、非常に不幸であったと思っております。ただ、ようやく保証システム全体の健全性の回復ということにめどがつきましたので、特にいわゆる特定地域といいますか、そういうところの重点的な財政基盤の強化ということについても、六十二年度から私ども集中的に手を打っておりますので、そういう基盤の上に、今先生指摘のとおり、むしろそういった大きな構造変化の中で苦しんでおられる中小企業の最後の支えとしてこの保証協会が機能するように努力をしていきたいと思っております。
  113. 森本晃司

    ○森本委員 私の持ち時間あと三十分あるわけでございますけれども、もう昼も過ぎておりますし、先ほど来いろいろと御回答いただきましたので、質問は終わらせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、先ほど大臣もお見えいただきましたが、どうか弾力のある、実効性のあるものにしていただきたい。特に、資金面については、今の複雑なる、中小企業の経営者にとってはちょっとわからないこの金融の利用制度はこのままでいいのかということを、私も一回一緒に中小企業の経営者の皆さんと回りながら実際に体験して、いつの日かまたこの委員会でその問題については指摘をさせていただきたいと思うところでございます。  以上で質問を終わります。
  114. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御苦労さまでした。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕