○
永井委員 今
お答えを聞いておりますと、迅速化のための
制度上及び
運用上の施策を十分に検討してまいる、こういう御
答弁であります。その
答弁はその
答弁として私は受けとめておきたいと思うのでありますが、しかし現実の問題として、この
不当労働行為の救済問題が遅々として進まないという、今そこに苦しんでいる
労働者がいるということを、この国政の場でもっと真剣に考えてみるべきではないかと思うのですね。考えてみますと、私も当
委員会で、これは七、八年間
不当労働行為の問題に触れなかった年はないわけであります。とりわけことしの三月二十二日でしたか、当
委員会で私が
質問に立ちましたときに、具体的にJRの
不当労働行為問題を
一つの問題として提起をしながら、
不当労働行為の救済をすることがおくれている、これも問題、十分に
労働委員会が
機能を発揮できていないことも問題、しかしむしろ一番大きな問題は、
不当労働行為が起きないように行政指導を強めることにあるということを私はこの三月二十二日の
質問でも提起をしているわけであります。
たまたまここに第八十四回
国会におきます
労働組合法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議を持ってまいりました。この附帯決議は
昭和五十三年四月二十五日にこの
委員会で決議をされているわけでありますが、その
内容を参考までにもう一度触れてみたいと思うわけであります。
政府は、最近の
労働委員会における
不当労働行為事件の増加、
事案の
内容の複雑化等にかんがみ、次の事項を実現するよう、なお一層努力すべきである。
一
労働委員会の
機能の十分な発揮を期するため、
審査手続のあり方の検討、円滑な
労使慣行の醸成等
事件処理の促進について十分配慮すること。
一
労働委員会委員の処遇の
改善及び各
労働委員会の管轄区域の実情に応じた
事務局の整備、拡充に努めること。
一
不当労働行為等事件数の減少を図るため、行政指導及び啓蒙に努めること。
この三つが実は
昭和五十三年四月二十五日の当
委員会で附帯決議で決議をされているわけであります。
振り返ってみますと、毎年毎年私は当
委員会で
不当労働行為の絶滅を期するために政府側、
労働省側にその努力を要望してまいりました。訴えてまいりました。全くこの附帯決議に言われていることと同じなんですね。ところが現実は
不当労働行為が続発をし、今も聞いてみると大変な数字が存在しています。年平均二百九十一件も最近は
不当労働行為事件の
紛争解決のために救済
要求が出ている。数が多いから
労働委員会が対応し切れないという量的な問題もあります。しかし根本は
不当労働行為をさせないような行政指導に尽きるのではないかと私は思うのであります。
一つだけ例を申し上げますと、ここで議論をしようというつもりはありませんけれ
ども、例えば広島の第一学習社の問題のように、十五年近くもかかって、
中央労働委員会が最終的に救済命令を出した。
労働者側からすれば全面的に勝利をしたという
内容なんです。全面的に組合の
不当労働行為の申し立ては認められました。それで一件落着かと思ったら、今度は経営者側が改めて法廷に持ち出す。これはいつ解決するかわからぬ。ようやく年数を経て最高裁が判決を出した。それでもなお解決していないのですね。一体それでは
労働者はどこで救われるんだろう。その具体的な
処理も早くしなくてはいけないことは当然でありますが、今現実にどんどん
不当労働行為が行われている。いわば
労働者の権利はどっかへ飛んでしまったと言ってもいいような状況に置かれている。だから今回のこの
国労委、
中労委の
統合問題について、そのことも大切だが、むしろ根本は
労働省の行政指導の姿勢にかかっている、私はこう思うのですが、これについてひとつ
お答えをいただきたいと思います。