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伊藤(忠)
委員 この年金貯蓄の場合、勤労者にとってメリットのある制度は幾つかありますけれども、住宅の問題もございますが、比較をしますと、魅力のある制度の一つなんです。ですから、今おっしゃいましたような
現状でございますし、さらに加入者がふえていきますように、政府の方としても、今後の
拡充策とも
関連をしますが、拡大に向けての積極的な
指導をいただきたい。時間の
関係がございますので、これ以上は触れませんけれども、お願いを申し上げたい、かように思います。
次は、財形住宅融資の問題について資料などを拝見いたしましても、実績と融資枠が余りにも開きが大きい、こういう
現実であります。六十
年度の場合でも、持ち家の個人融資が六百十七億ですか、分譲融資がわずか十七億です。六十一
年度がふえまして一千百五十三億、これは個人融資です。分譲融資はむしろ減っていまして十一億しか借りられてないわけです。にもかかわらず、用意をしております政府の方の融資枠というのは、個人の持ち家の場合で二千六百億、分譲融資の場合も三百十億なんです。もちろんこれはミニ開発というような格好で分譲の場合には事業主がやっていくわけですが、以上の
数字が示すとおり、融資枠と決定額の融資をしました実績とのギャップ、これは極めて大きい、こう思うわけです。
それで、その
原因を後でお伺いしたいのですが、どう分析をされているのか。このギャップを埋めていくために、今後どう対応されようとしているのかということをお伺いしたいと思いますが、私なりに思いますのは、今日の地価高騰、土地
政策の問題、もう都内では勤労者は土地を買って持ち家ということは全く不可能ではないか、このように私は思います。例えば私たち宿舎にいましても、毎日のように、新聞の中にこういう宣伝、これは不動産の
関係です。もちろんこれはマンションでも初めの方は非常にハイレベルのものなんです。ところが後の方を見ましても、一番安い例を見ましても、これは都心というふうに言えると思いますね。笹塚のマンションです。非常に狭いです。これが二DKで四千七百万円。五反田、これはマンションなんですが、こういうのは物件としてはめったにないと思いますけれども、坪数が何と十八・五坪、これで五千二百万円。都心から見ますと少し郊外に出ていますが、三鷹の場合、これはなるほど土地が広い、八十坪あります。三億二千四百万円です。もっと小さな土地で久我山、四十坪です。一億五千万円です。これが
経済大国日本の東京の言うならば住宅事情を端的に物語っているわけです。こんな高いマンションや持ち家をとても購入できるはずがありません。マンションをどうにか無理をして買うということになっても、親子二代で借金を返済できない状態じゃないか、こう思っているわけです。まさに勤労者は、東京で一千二百万の方々がお住みですし、勤労者が圧倒的多数を占めているわけですが、もう家は持つなということです。生涯全然そのことの展望が見出せないという非常に厳しい
状況の中で生活をされているわけです。
経済大国といいますけれども、住居あるいは土地の問題については、まさにこれは後進国だと言っても過言ではないと思う。このような異常な状態にメスを入れなければいかぬ。すなわち、抜本策を講ずることなしに融資制度の
改善策を論じてみたって、どうにもこれはかみ合わないと思うのです。焼け石に水というのじゃなくて、焼け石に水というのは、お金を借りてやっていくというかい性のあるケースを言うのであって、焼け石に水どころか全然手を染めることもできない、どうにもならぬところへ追い込まれているのじゃないか、私はこう思っております。
国民にしてみれば、抜本策の
早期確立を切望しているわけです。これは非常に難しい。もちろん国土庁が中心に土地
政策、住居の問題もやっていかれる。所管庁ではそういう仕組みなんでしょうけれども、これは
労働行政を預ってみえます
労働省として、このままじゃどうにもいかぬだろう。日本だけがどうもその点の
努力を怠っていると言われてもやむを得ないのじゃないですか。隣の韓国もどうにかやっています。台湾も行ってみましたがやっています。シンガポールもやっています。言うならば、アジアNICSとか、ASEANまでは言いませんが、そういう開発途上国の国家でも、一定の土地
政策なり住居の問題を解決しながら、財産権、私有権に対して公共性を、あるケースについては優先をさせながら、共有財産である土地そのものをどう平等に分かち合うかという
政策に切り込んできているわけです。ただ全く野放図というか手をつけていないのが日本の場合ではないか、私はこのように断言してはばからぬわけですが、こういう
実態の解決をどうしてもやっていかなければいかぬ。したがって
労働省、もちろんこれは
関係省庁等が一体となってこの問題にメスを入れていくという決断を私は強く迫りたいと思うのですが、答弁をひとつ聞かしていただきたい、かように思います。