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関山委員 伊藤忠治委員に引き続きまして、私からも本
港湾労働法につきまして
質問をさせていただきたいと存じます。
ただいまもお話がございましたが、この
港湾労働法が
制定をされましたのは一九六五年であります。またこの
港湾労働法制定以前に、
法制定に向けての運動というのは、一番最初に
法制定の
請願が出されましたのが一九五一年でありますから、実に十五年という長い年月をかけてこの法律が
制定をされ、今回二十三年目に大きな改正が行われようとしているわけであります。
ところで、
昭和四十年、一九六五年という
港湾労働法制定の年の日本のGNPは三十三兆円であります。今日GNPは昨年三百四十四兆八千八百億という実に大変な
経済大国を実現しているわけでございます。すさまじい
経済成長による
経済大国日本の成功は、
伊藤委員も触れられましたように、
貿易立国を国是とする
我が国の
経済政策によるものでございまして、そのことは同時に、この成功の陰には、日本海運及び
港湾運送事業の並々ならぬ貢献があった、こう思うわけです。言いかえれば、
港湾労働者あるいは海運
労働者の存在を抜きにしてはこの数字は実現をし得ないものであったというふうに申し上げて差し支えないと思います。
しかし、今日、その成功を支えた日本海運、どうでしょうか。みずからが招いた便宜置籍船の投機的な乱造による深刻な不況に陥っておりまして、そこで働く日本船員の人
たちは職場を追われ、日本海運そのものの存在さえ危ぶまれる状態に陥っておることは御承知のとおりであります。また、
港湾運送事業につきましても、
港湾の
近代化といえば大変美しい言葉でございますけれども、その陰ですさまじい
港湾荷役の合理化が進行いたしておりまして、六
大港だけを見ましても、
昭和四十一年、
法施行時におきまして七万二千名を教えた
港湾労働者は、
昭和六十二年におきましては既に三万六千人と半減をしてしまっているのが現実であります。しかも、激しい運賃料金のダンピング競争によりまして、零細な港運業者とそこで働く
労働者が専ら苦汁をなめさせられているという現実がございまして、一方で
経済成長が華やかなものであればあるほど、先ほどもお話がございましたような暴力団絡みの
手配師の横行など、そのダーティーな前近代的な
雇用実態というものが依然として未解決のまま存在をしていることが対照的に浮き上がってくるのが現状なわけでございます。
今次改正される
港湾労働法でございますが、こうした現状にございまして、従来の
港湾労働法につきましても、私どもからすれば不十分、不完全な法律だというふうに申し上げなければならないのですけれども、しかしそれは、
港湾労働者の歴史的な怨念とも言うべきものを背負いながら、彼らにとっては
雇用秩序を守る唯一のよりどころとして機能してきた、私はこう思うわけでございます。以上の経過、背景を
考えますと、今次改正は、より完全に近代的な
労使関係を確立をすること、つまり港から一切の
手配師のような存在をなくして、港頭地区における
港湾作業は、企業常用とプール
労働者以外は
就労を認めないという原則をしっかり確立をしていただきたいと思いますし、そのことを基本にしながら、今日の
港湾の
近代化に対応し得る
労働力の安定的な需給調整の機能を法律的に
保障するものでなければならない、かように
考えるわけでございます。
かような立場に立ちまして、以下、
雇用秩序の問題について
お尋ねをいたしたいわけでございますが、まず最初に改正法第九条第一項についてお
伺いをしたいと思います。
これは
事業主がその
雇用する
労働者について、
港湾運送の
業務に従事させようとする場合は、
公共職業安定所に
届け出なければならないということを定めておるわけでございます。これは
現行法でも第十三条に規定をされておることでございますが、この企業常用の
届け出、私どもはこれは
登録にしなければいかぬ、こう言っておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この港頭地区における
雇用秩序の基本であるわけでございまして、この点につきまして、
現行法の場合は、この
届け出義務の規定に違反をいたしますと、第七十三条第一号におきまして罰金が科せられるということになっているのに、
新法案では、この
届け出義務規定の違反に対しまして罰則が設けられておらないわけでございまして、この点についてはどういうことなのか、お答えをいただきたいと存じます。