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1988-03-01 第112回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日(昭和六十二年十二月二十八日)( 月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 稲垣 実男君    理事 高橋 辰夫君 理事 戸井田三郎君    理事 丹羽 雄哉君 理事 野呂 昭彦君    理事 畑 英次郎君 理事 池端 清一君    理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    伊吹 文明君       今井  勇君    小沢 辰男君       大野  明君    大野 功統君       片岡 武司君    木村 義雄君       近藤 鉄雄君    佐藤 静雄君       自見庄三郎君    高橋 一郎君       戸沢 政方君    中山 成彬君       堀内 光雄君    三原 朝彦君       箕輪  登君    持永 和見君       伊藤 忠治君    大原  亨君       川俣健二郎君    河野  正君       田邊  誠君    永井 孝信君       新井 彬之君    大橋 敏雄君      平石磨作太郎君    吉井 光照君       塚田 延充君    児玉 健次君       田中美智子君 ────────────────────── 昭和六十三年三月一日(火曜日)     午前九時五十一分開議  出席委員    委員長 稲垣 実男君    理事 戸井田三郎君 理事 野呂 昭彦君    理事 畑 英次郎君 理事 池端 清一君    理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    伊吹 文明君       大野 功統君    片岡 武司君       金子 一義君    木村 義雄君       佐藤 静雄君    自見庄三郎君       鈴木 恒夫君    高橋 一郎君       中山 成彬君    堀内 光雄君       三原 朝彦君    箕輪  登君       伊藤 忠治君    大原  亨君       川俣健二郎君    永井 孝信君      新井 彬之君    平石磨作太郎君       吉井 光照君    塚田 延充君       児玉 健次君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 藤本 孝雄君         労 働 大 臣 中村 太郎君  出席政府委員         厚生政務次官  長野 祐也君         厚生大臣官房長 北郷 勲夫君         厚生大臣官房総         務審議官    黒木 武弘君         厚生大臣官房審         議官      佐藤 良正君         厚生大臣官房審         議官      川崎 幸雄君         厚生大臣官房審         議官      末次  彬君         厚生大臣官房会         計課長     多田  宏君         厚生省健康政策         局長      仲村 英一君         厚生省保健医療         局長      北川 定謙君         厚生省保健医療         局老人保健部長 岸本 正裕君         厚生省生活衛生         局長      古川 武温君         厚生省薬務局長 坂本 龍彦君         厚生省社会局長 小林 功典君         厚生省児童家庭         局長      長尾 立子君         厚生省保険局長 下村  健君         厚生省年金局長 水田  努君         厚生省援護局長 木戸  脩君         社会保険庁長官         官房審議官   渡辺  修君         社会保険庁医療         保険部長    土井  豊君         社会保険庁年金         保険部長    佐々木喜之君         労働政務次官  浦田  勝君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         労働大臣官房会         計課長     椎谷  正君         労働大臣官房審         議官      齋藤 邦彦君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省労政局長 白井晋太郎君         労働省労働基準         局長      野見山眞之君         労働省労働基準         局安全衛生部長 松本 邦宏君         労働省婦人局長 佐藤ギン子君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       竹村  毅君         労働省職業能力         開発局長    野崎 和昭君  委員外出席者         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君     ───────────── 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   戸沢 政方君     相沢 英之君 同月二十二日  辞任         補欠選任   片岡 武司君     倉成  正君   自見庄三郎君     左藤  恵君   高橋 一郎君     後藤田正晴君   中山 成彬君     浜田 幸一君   三原 朝彦君     細田 吉藏君 同日  辞任         補欠選任   倉成  正君     片岡 武司君   後藤田正晴君     高橋 一郎君   左藤  恵君     自見庄三郎君   浜田 幸一君     中山 成彬君   細田 吉藏君     三原 朝彦君 同月二十七日  辞任         補欠選任   片岡 武司君     愛野興一郎君   自見庄三郎君     小坂徳三郎君   高橋 一郎君     浜田 幸一君   中山 成彬君     左藤  恵君   三原 朝彦君     志賀  節君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     片岡 武司君   小坂徳三郎君     自見庄三郎君   左藤  恵君     中山 成彬君   志賀  節君     三原 朝彦君   浜田 幸一君     高橋 一郎君 三月一日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     金子 一義君   持永 和見君     鈴木 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   金子 一義君     相沢 英之君   鈴木 恒夫君     持永 和見君     ───────────── 昭和六十二年十二月二十八日  北海道旧土人保護法及び旭川市旧土人保護地処分法の一部を改正する法律案戸井田三郎君外二名提出、第百七回国会衆法第七号)  雇用対策法の一部を改正する法律案村山富市君外六名提出、第百八回国会衆法第七号)  雇用保険法の一部を改正する法律案池端清一君外六名提出、第百八回国会衆法第八号)  雇用保険法に基づく失業給付等についての臨時特例に関する法律案中沢健次君外六名提出、第百八回国会衆法第九号)  短期労働者及び短時間労働者の保護に関する法律案永井孝信君外六名提出、第百八回国会衆法第一〇号)  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百八回国会閣法第六五号)  職業安定法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百八回国会閣法第六六号)  後天性免疫不全症候群の予防に関する法律案内閣提出、第百八回国会閣法第九〇号) 昭和六十三年二月九日  駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二一号) 同月十日  特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号) 同月十二日  国立大蔵病院整備拡充に関する請願(山花貞夫紹介)(第二号)  保育制度の維持、充実に関する請願(山花貞夫紹介)(第三号)  同(天野公義紹介)(第五七号)  同(左近正男紹介)(第五八号)  同(渋沢利久紹介)(第五九号)  同(武村正義紹介)(第六〇号)  同(渡海紀三朗紹介)(第六一号)  同(柿澤弘治紹介)(第七九号)  同(砂田重民紹介)(第八〇号)  同(岸田文武紹介)(第一四八号)  保育所制度の充実に関する請願(佐藤敬夫紹介)(第四九号)  同(戸井田三郎紹介)(第五〇号)  同(友納武人紹介)(第五一号)  同(浜田卓二郎紹介)(第五二号)  同(古屋亨紹介)(第五三号)  同(増岡博之紹介)(第五四号)  同(松田岩夫紹介)(第五五号)  同(武藤嘉文紹介)(第五六号)  同(丹羽雄哉紹介)(第八一号)  同(野呂田芳成君紹介)(第八二号)  同(渡辺栄一紹介)(第八三号)  育児休業法の制定に関する請願(川端達夫紹介)(第一三五号)  同(田中慶秋紹介)(第一三六号)  同(塚田延充紹介)(第一三七号)  同(米沢隆紹介)(第一三八号)  障害者雇用等に関する請願(岩佐恵美紹介)(第一三九号)  同(浦井洋紹介)(第一四〇号)  同(児玉健次紹介)(第一四一号)  同(田中美智子紹介)(第一四二号)  同(辻第一君紹介)(第一四三号)  同(野間友一紹介)(第一四四号)  同(東中光雄紹介)(第一四五号)  同(不破哲三紹介)(第一四六号)  同(村上弘紹介)(第一四七号) 同月十七日  歯科保険医療制度の改善に関する請願(田中慶秋紹介)(第一八六号)  同外一件(早川勝紹介)(第二三六号)  同(石田幸四郎紹介)(第二七〇号)  同(村上弘紹介)(第三六九号)  福祉の国庫負担金削減反対等に関する請願(岡崎万寿秀紹介)(第一八七号)  同(金子満広紹介)(第一八八号)  同(工藤晃紹介)(第一八九号)  同(児玉健次紹介)(第一九〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一九一号)  同(柴木田睦夫紹介)(第一九二号)  同(中島武敏紹介)(第一九三号)  同(不破哲三紹介)(第一九四号)  同(松本善明紹介)(第一九五号)  同(矢島恒夫紹介)(第一九六号)  保育制度の維持、充実に関する請願(鯨岡兵輔紹介)(第一九七号)  同(河本敏夫紹介)(第一九八号)  同(石川要三紹介)(第二三二号)  同(左近正男紹介)(第二三三号)  同(浅井美幸紹介)(第二六三号)  同(新井将敬紹介)(第二六四号)  同(大野潔紹介)(第二六五号)  同(木内良明紹介)(第二六六号)  同(三原朝彦紹介)(第二六七号)  保育所制度の充実に関する請願(大野明紹介)(第一九九号)  同(野中広務紹介)(第二〇〇号)  同(石川要三紹介)(第二三四号)  同(中山太郎紹介)(第二三五号)  同(三原朝彦紹介)(第二六八号)  同(水野清紹介)(第二六九号)  同(今井勇紹介)(第三六七号)  同(森喜朗紹介)(第三六八号)  高齢者就労対策の充実に関する請願(岡崎万寿秀紹介)(第二五七号)  同(田中美智子紹介)(第二五八号)  同(柴太田睦夫紹介)(第二五九号)  同(中路雅弘紹介)(第二六〇号)  同(野間友一紹介)(第二六一号)  同(山原健二郎紹介)(第二六二号) 同月二十二日  医療費抑制反対及び医療と福祉の拡充に関する請願(安藤巖紹介)(第四二二号)  保育所制度の充実に関する請願(橋本龍太郎紹介)(第四二三号)  同(川俣健二郎紹介)(第四三五号)  同(佐藤敬治紹介)(第四三六号)  歯科保険医療制度の改善に関する請願(柴田睦夫紹介)(第四二四号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四二五号)  同(児玉健次紹介)(第四二六号)  同(矢島恒夫紹介)(第四二七号)  同(山原健二郎紹介)(第四二八号)  同外一件(佐藤観樹紹介)(第四三七号)  同(吉原米治紹介)(第四三八号)  保育制度の維持、充実に関する請願(左近正男紹介)(第四八〇号)  覚せい剤麻薬等薬物乱用防止対策の強化に関する請願(井出正一紹介)(第四八一号)  同(小川元紹介)(第四八二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四八三号)  同(小坂善太郎紹介)(第四八四号)  同(小沢貞孝紹介)(第五一七号)  同(串原義直紹介)(第五一八号)  同(清水勇紹介)(第五一九号)  同(中島衛紹介)(第五二〇号)  同(宮下創平紹介)(第五二一号)  高齢者就労対策の充実に関する請願(安藤巖紹介)(第五〇九号)  同(田中美智子紹介)(第五一〇号)  同(中路雅弘紹介)(第五一一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  労働関係基本施策に関する件  厚生関係基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 稲垣実男

    稲垣委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  厚生関係基本施策に関する事項  労働関係基本施策に関する事項  社会保障制度医療公衆衛生社会福祉及び人口問題に関する事項  労使関係労働基準及び雇用失業対策に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲垣実男

    稲垣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  4. 稲垣実男

    稲垣委員長 厚生関係基本施策に関する件並びに労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、労働大臣及び厚生大臣から、それぞれ所信を表明したいとの申し出がありますので、順次これを許します。中村労働大臣
  5. 中村太郎

    中村国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政について所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。  今日の我が国は、目覚ましい発展を遂げる一方、経済構造調整推進内需拡大などの重要課題を抱え、また、産業構造の転換や高齢化進展など種々の構造変化に直面しております。こうした中で、名実ともに豊かな勤労者生活を実現することが求められており、私は、そのための労働行政を積極的に推進してまいる所存であります。  第一は、産業構造等変化に対応した労働対策であります。  今後構造変化進展する中で、労働力需給ミスマッチにより各種雇用問題が発生することが懸念されております。このため、新たに産業地域高齢者雇用プロジェクトを実施し、雇用失業情勢の均衡ある改善を図ってまいります。特に、産業雇用対策拡充強化を図るための法律案を今国会提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。  また、雇用を取り巻く環境の大きな変化に適切に対処するため、新経済計画策定の動向を踏まえつつ、新雇用対策基本計画を策定することといたしております。  さらに、外国人労働者問題については、労働関係法規違反に厳正に対処するとともに、いわゆる単純労働者は受け入れないというこれまでの基本方針のもとに鋭意検討を進めてまいります。  第二は、労働条件の向上と勤労者福祉増進のための対策であります。  週休二日制の普及等労働時間短縮は、勤労者生活充実内需拡大等観点から極めて重要な課題であり、週四十時間労働制に向けて労働基準法改正も行われたところであります。このため、改正労働基準法の円滑な施行に努めるとともに、社会的、国民的合意形成促進労使自主的努力に対する指導援助に努めてまいります。  また、労働災害防止対策の一層の充実と健康の保持増進対策推進を図るため、新たな労働災害防止計画を策定するとともに、この計画の効果的な推進が図られるよう、労働安全衛生法改正法案を今国会提出することとしております。  さらに、持ち家や貯蓄といった資産の保有を促進するため、勤労者財産形成促進制度改善を図ることとしており、そのための法律案を今国会提出することとしておりますので、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  中小企業労働対策については、中小企業事業主勤労者が共同して総合的な福祉事業を行うことを援助する等、その一層の推進を図ってまいります。  第三は、障害者等特別の配慮を必要とする人々に対する職業生活援助等に関する対策であります。  障害者雇用対策については、重度障害者精神薄弱者重点を置きつつ、障害の種類、程度に応じたきめ細かな対策を総合的に推進してまいります。  一方、輸送革新進展等港湾労働をめぐる状況の変化に対応するため、港湾労働者雇用の安定及び改善等を図るとともに、労働者派遣を行う体制を整備すること等を内容とする法律案を、また、駐留軍関係離職者及び漁業離職者の再就職の促進等を図るため、関係法律有効期限を延長することを内容とする法律案を、それぞれ今国会提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。  このような労働行政の展開に加え、職業能力開発対策、高年齢者雇用就業対策パートタイム労働対策、男女の雇用機会均等確保等女子労働者対策等を積極的に推進するとともに、良好な労使関係維持発展を図るための環境づくりに努めてまいります。  また、今後の経済社会変化に伴う行政需要に的確に対応するため、労働省組織再編を行うこととしており、中央労働委員会国営企業労働委員会については、これを統合するための法律案を今国会提出いたしましたので、よろしく御審議をお願い申し上げます。  なお、職業安定関係地方事務官制度廃止等内容とする法律案については、前国会から今国会継続審査となっており、よろしく御審議をお願い申し上げます。  以上、当面する労働行政重点事項について私の所信一端を申し述べました。委員長初め、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  6. 稲垣実男

  7. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ちまして、所信一端を申し述べたいと存じます。  我が国は、今や世界で一、二を争う長寿国となっておりますが、今後も、人口高齢化は諸外国に例のないスピードで進み、二十一世紀の前半には世界で最も高齢化の進んだ国になるものと見込まれております。こうした中で、これからの厚生行政一大目標は、人類が達成した偉大な財産である長寿を、いかに活用して、だれもが喜べる長寿社会を建設していくかにあります。  特に、長寿社会財政負担の増大の面のみ強調した暗いイメージでとらえることなく、お年寄りの豊富な人生経験社会財産であるとの認識を持って、国民の一人一人が明るく健康で生きがいを持って暮らせるような活力ある社会づくりに努めていかなければならないと考えます。  二十一世紀に至るまでのここ十数年間は、本格的な長寿社会を迎えるための貴重な準備期間であります。国民の英知を結集して、国民の方々すべてが安心して信頼することのできる社会保障制度を構築していく所存であります。  以下、昭和六十三年度における主要な施策について申し述べます。  まず、医療保険制度についてでありますが、国民健康保険の運営の安定化を図るため、今国会国民健康保険法改正法案を御提案申し上げているところであります。この改正案では、国保制度が抱える医療費地域差問題や低所得者問題等の当面着手すべき問題に、国と地方が共同して取り組む仕組みをつくることとしております。何とぞよろしく御審議をお願い申し上げます。さらに、医療保険制度全体につきましては、制度を通じた給付負担公平化が図られるよう引き続き検討を進めてまいる所存であります。また、制度改革とあわせて、高齢社会にふさわしい良質な医療を効率的に提供すべく、医療システム合理化効率化に向けて、昨年の国民医療総合対策本部中間報告の着実な具体化を図るとともに、薬価基準診療報酬の見直しを行うこととしております。  次に、年金制度につきましては、年金額実質的価値維持するため、昭和六十三年度においても特例スライド等を実施することとしております。また、老後生活をより豊かなものとするという観点から、厚生年金基金育成普及を図ることが急務となっておりますので、成案が得られ次第、このための法律案の御審議をお願いいたす所存であります。  寝たきり老人等介護老人対策の一層の充実も重要であります。老後も住みなれた地域社会家族や隣人と暮らしていけるよう、家庭奉仕員派遣事業デイサービス事業ショートステイ事業等を大幅に拡充するとともに、訪問看護を初めとする総合的な在宅ケア総合推進モデル事業寝たきり老人等家族介護技術を習得させるホームケア推進事業を創設することとしております。また、老人保健事業においても、機能訓練訪問指導充実する等在宅サービス拡充してまいります。一方、引き続き特別養護老人ホーム等社会福祉施設を着実に整備するとともに、医療ケア生活サービスをあわせて提供する老人保健施設を本格的に整備してまいります。  また、高齢者の多様化するニーズに対応するため、民間創意工夫を生かした良質なシルバーサービス育成に努めることとし、その一環として来年度からシルバーサービスに対する社会福祉医療事業団の融資制度を創設いたしたいと考えております。  今後の人口高齢化により一層深刻化するものと見込まれる痴呆性老人の問題については、調査研究推進介護家族への支援方策拡充施設対策推進など保健医療福祉にわたる総合的な施策推進を図ってまいります。  このような施策が有効に機能するためには、各種施策が一体となって推進されることが不可欠であります。このため、保健医療福祉の各分野高齢者対策を総合的に企画、推進するための組織再編整備を図ることとしております。  本格的な長寿社会の到来を間近に控え、高齢者一人一人の健康づくり社会参加への積極的な取り組みがますます重要となっております。このため、本年より、地方自治体、民間団体等協力を得て全国健康福祉祭を開催するほか、特に、運動習慣普及を図り、栄養、運動、休養の調和のとれた生活様式を目指した健康づくり対策推進してまいります。  また、人口高齢化進展する中で、次代の我が国をその双肩に担う児童心身ともに健やかに生まれ育つことはますます重要となっております。このため、児童健全育成対策に積極的に取り組むとともに、家庭基盤充実に努めてまいります。また、障害者対策につきましても、その推進強化に努めてまいります。  次に、保健医療分野についてであります。まず、エイズ対策につきましては、昨年二月のエイズ対策関係閣僚会議で決定しましたエイズ問題総合対策大綱に基づき、対策推進しているところであり、今後とも、国民に対する正しい知識の普及治療薬等開発等研究充実を図っていくこととしております。また、感染者プライバシー等人権を守りながらその蔓延の防止を図るための後天性免疫不全症候群予防に関する法律案継続審査となっておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。次に、精神保健医療対策につきましては、精神障害者人権に配慮した適正な医療確保を図るとともに、社会復帰施設に対する助成の強化を図るなど精神障害者社会復帰促進のための施策に一層の力を入れて取り組んでまいります。国立病院療養所につきましては、国立医療機関にふさわしい医療を担っていけるよう、その機能充実強化を図るために、再編成を着実に進めていくこととしております。  生活衛生行政につきましては、引き続き食品等の安全確保、化学物質の安全確保に万全を期してまいるほか、水道・廃棄物処理施設の整備の一層の推進を図り、生活排水対策を含む廃棄物の適正処理に積極的に取り組んでまいります。  薬務行政につきましても、引き続き医薬品等の安全性、有効性の確保に万全を期すとともに、昨年創設した出融資制度拡充研究開発の振興を軸とした医薬品産業等に対する総合的な産業政策の推進を図るほか、医薬分業の推進、献血による血液確保対策覚せい剤等の乱用防止対策等にも、積極的に取り組んでまいります。  また、中国残留孤児対策につきましては、多くの孤児が帰国する時代を迎えて、中国帰国者自立研修センターの整備等定着先における受け入れ態勢の整備に全力で取り組んでまいります。  さらに、保健医療分野を中心に発展途上国の我が国に対する国際協力の要請がますます大きくなっていることにかんがみ、WHOを通じるなどによりこれに積極的にこたえていく所存であります。  なお、地方事務官制度の廃止を内容とした厚生年金保険法等の一部を改正する法律案は、今国会への継続審査となっておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。  以上、所信一端を申し述べましたが、厚生行政課題は、このほか、いずれもひとときもゆるがせにできないものばかりであります。私は、皆様の御理解、御協力を得ながら諸問題の解決に取り組んでまいる所存であります。何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
  8. 稲垣実男

    稲垣委員長 次に、昭和六十三年度労働省関係予算の概要について説明を聴取いたします。椎谷労働大臣官房会課長
  9. 椎谷正

    ○椎谷政府委員 お手元の資料に従いまして、労働省関係昭和六十三年度予算案の概要につきまして御説明申し上げます。  まず、一ページでございますけれども、昭和六十三年度の労働省の予算規模について御説明申し上げます。  労働省所管の一般会計は四千八百九十億円で、前年度に対し六億円、〇・一%の増となっております。  次に、労働保険特別会計についてでございますが、労災勘定につきましては一兆八千三百五十八億円で、前年度に対し四百三十九億円、二・四%の増となっており、雇用勘定におきましては、積極的な雇用対策を講ずる必要から二兆四千二十二億円を計上してございます。これは前年度に対しまして千六百五十二億円、七・四%の増となっております。  次に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計、石炭勘定でございますが、これは炭鉱離職者の再就職の促進のための経費でございますが、二百十八億円、前年度に対し二十三億円、一一・八%の増を計上してございます。  以上、合計いたしまして、労働省全体の予算規模は四兆七千四百八十九億円、前年度に対し二千百十九億円、四・七%の増でございます。  これを主要事項別で見ましたものが二ページでございますが、大きく分けまして十一本の柱から成っております。その内訳を新規事項を中心にいたしまして三ページ以降で御説明申し上げます。  三ページでございますが、大きな柱といたしまして、産業構造、就業構造の変化に対応した労働対策がございます。円高、産業構造の転換、労働力の高齢化等が進展する中で、産業、職業、地域、年齢間における労働力需給ミスマッチにより種々の雇用問題が生じるおそれがあり、これに適切に対応した構造転換雇用対策の実施が最重要課題となっております。このため、千百四十三億円の予算によりまして、産業地域高齢者雇用プロジェクトを実施することといたしております。これに関連いたしまして、特定不況業種に関します法律案を今国会提出したところでございます。  なお、このプロジェクトにつきましては、一表にまとめたものを二十五ページに掲載してございますので、御参照いただければと思います。  次に、六ページでございますが、労働力対策としまして、このほか総合的な雇用情報システムを活用した職業紹介産業情報提供業務等の充実による労働力需給システムの整備及びパートタイム労働者の総合的な福祉対策検討を初めとしたパートタイム労働対策等を推進することとしております。  次に、八ページに参ります。総合的な勤労者福祉対策でございます。  大企業に比べ大きな格差がございます中小企業の福利厚生面の充実を図るため、中小企業事業主勤労者が共同して総合的な福祉事業を行うことを援助する中小企業勤労者総合福祉推進事業を創設することといたしております。  また、勤労者財産形成促進制度につきましては、その整備充実を図るため、最高貸付限度額の引き上げ等の改善を行うこととしております。  次に、十ページに参ります。労働時間の短縮等労働条件の向上対策でございます。  週休二日制の普及等労働時間の短縮は極めて重要な課題でございますので、特に中小零細企業におきます労働時間制度改善に対する援助等改正労働基準法の円滑な施行に努めることはもとより、労働時間短縮に向けての社会的、国民的合意の形成及び産業別による週休二日制の推進等、労使自主的努力に対する指導援助を積極的に行うこととしております。  次に、十一ページに移ります。労働者の安全衛生の確保対策でございます。  労働者の職場における安全と健康の確保がますます重要な課題となってきておりますので、総合的な健康の保持増進対策推進、小規模事業場の安全衛生水準の向上などを促進するとともに、労働者健康確保事業助成制度を創設し、労働者の心身両面にわたる健康確保に必要な人材の養成等に対する援助等を行うこととしております。  次に、十二ページに移ります。職業能力開発対策でございます。  急速な技術革新や高齢化進展する中で、労働者の職業生涯を通じた適切な能力開発の実施が極めて重要な課題となっております。このため、情報処理関連の職業訓練実施体制の充実等により、高度の職業能力開発の推進体制の整備を図るほか、地域社会の特性に応じた公共職業訓練施設の充実等を行うこととしております。  次に、十四ページに移ります。長寿社会への対応でございます。  本格的な高齢化社会の到来の中で、高年齢者雇用就業の場の確保を図るため、六十歳定年を基盤としまして、六十歳代前半層までを含めた継続雇用推進、高年齢者の再就職の促進、定年退職後等におきます就業の場の確保に対する援助等総合的な高年齢者雇用就業対策推進することとしております。  次に、十五ページに参ります。  今後急速に増大すると見込まれます老人介護ニーズに的確に対処するため、老人介護労働力の供給体制の充実を図ることとしております。  十六ページに、男女雇用機会均等確保等女子労働者対策がございます。  雇用分野におきます男女の均等な機会及び待遇の確保対策推進するとともに、育児休業制度や女子再雇用制度普及促進等、女子労働者の就業に関する対策推進することとしております。  次に、十七ページに参ります。障害者等特別の配慮を必要とする人々に対する職業生活援助等対策でございます。  本年四月から施行されます障害者雇用促進等に関する法律に基づきまして、職業リハビリテーション体制を強化するとともに、重度障害者精神薄弱者重点を置きまして、障害の種類、程度に応じたきめ細かな対策を総合的に推進することとしております。  また、十八ページにございますとおり、輸送革新進展等、港湾労働をめぐる状況の変化に対応した港湾労働対策推進するほか、駐留軍関係離職者及び漁業離職者の早期再就職の促進を図るための援護措置を引き続き推進するため、それぞれ関係法案を今国会提出してあるところでございます。  二十一ページまで飛ばせていただきます。我が国の国際的地位にふさわしい労働外交の推進でございます。  労働の分野におきましても、積極的な対外政策を展開していく必要がございますので、民間企業の行います職業訓練分野の国際協力に対します援助事業やILO等国際機関を通じて行う技術協力拡充し、開発途上国を中心とした国際協力の積極的な推進等を図ることとしてございます。  このほか、二十三ページに書いてございますが、総合的な労働政策の推進労働行政体制の整備及び一般行政事務等に必要な経費を計上いたしてございます。  以上、簡単でございますが、労働省関係予算案の概要の説明とさせていただきます。
  10. 稲垣実男

    稲垣委員長 次に、昭和六十三年度厚生省関係予算の概要について説明を聴取いたします。多田厚生大臣官房会課長
  11. 多田宏

    ○多田政府委員 六十三年度の厚生省所管一般会計予算の概要について御説明を申し上げます。  まず、全体の規模でございますが、表紙に書いてございますように、十兆三千二百十一億二千三百万円、対前年度の伸び率二・九%ということになっております。  ページをめくっていただきまして、次の紙はこれを主要経費別に整理したものでございます。  以下、主要事項につきまして御説明を申し上げたいと思います。  二枚目次をめくっていただきまして、一ページでございますが、健康対策という大きなくくりでございます。  この中の(1)、健康づくり対策。従来の健康づくり対策に加えまして、運動を重視した健康対策を進めるというための経費を計上しているところでございます。  二ページ目へ参りまして、老人保健対策でございます。従来進めてまいりました保健事業をさらに充実させていくという経費、それから三ページ目へ参りましての老人保健施設整備のための経費、こういったものを計上しております。  それから三番目に、母子保健対策、四番目に救急医療対策、五番目に僻地保健医療対策、四ページ目まで参りましたが、引き続き必要な施策充実を図っていくことといたしております。  六番目の地域医療推進対策でございますが、在宅老人等とその家族を支援するため、訪問看護在宅ケア総合推進モデル事業を実施することといたしております。  五ページへ参りまして、看護婦等の養成等確保対策につきましても必要な予算を計上しているところでございます。六ページを過ぎまして七ページへ参ります。七ページ、疾病対策でございます。  最初に精神保健対策でございますが、法改正を踏まえまして、精神障害回復者社会復帰対策を初め各種の施設、事業の充実を図る経費を計上をいたしております。  八ページへ参りまして、エイズ等対策でございますが、発症予防等の研究開発のほか啓発、相談事業等の予防対策推進するとともに、エイズセンターということでエイズ医療情報センター、エイズ研究センターの整備を図るための経費を計上いたしております。  同じく八ページでございますが、痴呆性老人対策でございます。  痴呆疾患に関する調査研究推進、それから在宅サービス推進というようなことを通じまして、保健医療福祉を通じた総合的な推進を図ることといたしております。  次に、九ページでございますが、がん対策でございます。  御承知の対がん十カ年総合戦略研究事業を中心にいたしまして、各般の施策につき、引き続き総合的かつ重点的な対策推進いたしております。  十ページでございますが、難病対策、循環器疾患対策等、腎不全対策、それぞれ施策拡充強化いたしているところでございます。  十一ページに参りまして、福祉対策でございます。  まず、在宅老人福祉対策でございますが、在宅福祉サービスの拡充に努めますとともに、新たに良質なシルバーサービス育成するための社会福祉医療事業団の貸付制度として優良な福祉サービスを提供するための民間事業者に対する融資制度を創設することといたしております。  十二ページの下の方でございますが、在宅身体障害者対策、それから十五ページにあります障害対策をあわせまして、障害者対策に関する長期計画の後期重点施策を踏まえまして、障害者ができる限り家庭や地域で生活していける条件を整備していくというための予算を計上しているところでございます。  ずっと飛ばしていただきまして、十五ページでございますが、一番下の保育対策、それから次のページ、母子・寡婦等福祉対策児童健全育成対策、これらにつきましても、必要な経費について予算計上を行っているところでございます。  十七ページを飛ばしまして、十八ページでございますが、社会福祉施設整備運営でございますが、今年度は特に防災対策に配慮しまして、スプリンクラーの整備等の経費を計上をいたしております。  二十ページへ参りまして、備考の欄の3の生活保護でございますが、標準三人世帯の生活扶助基準一・四%の引き上げを行っております。  次に、二十一ページでございますが、民間福祉活動対策、所要の経費を計上しております。  二十二ページ、医療保険制度でございますが、政府管掌健康保険、備考の3に書いてございますように、特例措置として国庫補助を六百五十億円の減額を行っております。また、保険料率につきましては、1のところに書いてございますように、六十二年度と同様単年度に限り千分の一引き下げて千分の八十三といたしているところでございます。  それから、健康保険組合助成費は額の増額を図っております。国民健康保険助成費につきましては、制度の改革を前提として所要予算を計上しております。  次に、年金制度でございます。  厚生年金、拠出制国民年金につきまして、〇・一%の特例物価スライドを実施することといたしております。なお、これに準じまして、児童扶養手当等各種手当につきましても所要の引き上げを行っております。また、備考の4のところにございますように、旧法国民年金の障害年金等の年六回支払いということを行っております。それから、5に書いてございますように、厚生年金国庫負担の繰り延べ、前年度と同額三千六百億円を繰り延べております。(2)の年金積立金の自主運用でございますが、枠を拡大いたしまして二兆二百億円といたしております。  二十四ページへ参りまして、医薬品、食品等の安全対策でございますが、これは(2)のところの医薬品、医療機器等の研究開発に対する出融資制度、これを十億円から二十六億円に増額をいたしております。  あと説明を省略させていただきまして二十六ページへ参ります。生活環境整備でございますが、環境衛生施設の整備につきまして、産業投資特別会計の貸付金の計上を含めまして一九・三%の増額を図っているところでございます。  次に、説明を省略いたしまして二十八ページへ参ります。その他の重要施策でございますが、この中では(2)中国残留孤児等の援護対策、ここで備考にマル新と書いてございますように、中国帰国者自立研修センターの設置、十カ所を計上いたしております。  なお、項目の(3)の戦傷病者戦没者遺族等の援護対策につきましては、ページをめくっていただきまして、二十九ページの備考の4というところでございますが、戦没者父母特別給付金の継続・増額ということを行っております。その他の重要施策につきましても、所要の予算を計上いたしているところでございます。  あとずっと説明を省略させていただきまして、三十二ページでございますが、国際保健医療協力につきましても、ある程度増額を図っているところでございます。  以上、一般会計予算の御説明でございますが、次に、各特別会計及び公庫、事業団の予算等につきまして、その歳入歳出等資料に掲げておりますので、ごらんいただきたいと思います。説明は省略させていただきます。  以上、厚生省所管の予算につきまして御説明申し上げました。よろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  12. 稲垣実男

    稲垣委員長 以上で、両大臣の所信表明並びに両省の昭和六十三年度予算の概要についての説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十時二十八分散会