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1988-04-15 第112回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十五日(金曜日)     午前九時五十分開議  出席委員    委員長 森   清君    理事 鹿野 道彦君 理事 片岡 清一君    理事 塩崎  潤君 理事 戸塚 進也君    理事 山崎  拓君 理事 佐藤 観樹君    理事 伏木 和雄君 理事 岡田 正勝君       甘利  明君    石井  一君       上村千一郎君    左藤  恵君       額賀福志郎君    村上誠一郎君       角屋堅次郎君    山花 貞夫君       中村  巖君    松本 善明君  出席国務大臣         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局職員課長 武政 和夫君         自治省行政局選         挙部選挙課長  田中 宗孝君         自治省行政局選         挙部管理課長  岩崎 忠夫君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       太田 勝利君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ───────────── 四月十五日  理事渡部恒三君同日理事辞任につき、その補欠  として戸塚進也君が理事に当選した。     ───────────── 二月十七日  障害者のための公職選挙法等改正に関する請願安藤巖紹介)(第二四三号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二四四号)  同(経塚幸夫紹介)(第二四五号)  同(工藤晃紹介)(第二四六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二四七号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二四八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二四九号)  同(正森成二君紹介)(第二五〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五一号) 三月三日  選挙政治活動自由化に関する請願矢島恒夫紹介)(第五六八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  公職選挙法改正に関する件      ────◇─────
  2. 森清

    森委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事渡部恒三君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森清

    森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森清

    森委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事戸塚進也君を指名いたします。      ────◇─────
  5. 森清

    森委員長 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
  6. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 きょうは、竹下内閣になってから初めて梶山自治大臣のもとで当委員会での質問ということになるわけでありますが、私は、最初に政治資金問題についてお伺いをしたいと思うのであります。  つい先ごろ、俗に言う地方分地方選挙管理委員会が担当しております政治資金の状況が発表になったわけでありますけれども地方分が千四百二十一億円、三三・七%増ということになりまして、昨年九月の中央分千六百七十五億九千万円というのとを加えますと、三千九十七億円と政治資金が三千億円時代に入ったということになるわけであります。特に中央分の方の伸び率が一五・一%に対して地方分が三三・七%と、伸び率からいいますと倍以上になっているということでありまして、大変政治資金、特に政治資金の集め方が地方へ拡散をしたとも言われているわけであります。  これを年次別に見てみますと、最近では五十八年の二千六百七十五億円というのが中央地方を足した分で一番多かったわけでありますけれども、今申しましたように三千億円を突破をした。十年前の五十一年が両方足して千九十七億円ですから、十年でざっと三倍になっているということになるわけでありまして、これはいかにもすさまじい伸び方ではないか。  ただ、私はたびたび言っておりますように、政治資金と言っていると、国民皆さん方は、全部政治家なり政党なりその他後援団体のポケットに入ってそれが全部使えるお金というふうになっているのでありますけれども、各政党いろいろ色合いが違って、御承知のように新聞を発行したり雑誌を発行したりその他の事業をやって経費がかかっているものもあるわけでありまして、その分も全部この政治資金という中に入っている。これは私はかねがね、おかしいのではないか、はっきり紙代とか人件費とかそういったものは分離をした方がいいのではないかと言っているのでありますが、それの話をしておりますとまたややこしくなりますからそれはちょっと抜きにし、また、中央政治団体から地方政治団体に行ったものについても地方分というふうにダブルカウントされるという問題がありますから、この三千九十七億という数字そのものはそういった意味を含んでいるということを私は承知の上で、十年間で三倍になってきているあるいは三千億円時代が来ているということは後でパーティー規制の問題等々でお伺いしますが、大臣、どうなんでしょう、政治なり選挙お金がかかり過ぎる今の風潮というものについて、いわば担当の自治大臣として、また竹下内閣武闘派、六奉行とも言われております政治家梶山先生としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、まずそのお考えと申しましょうか感想と申しましょうか、お伺いしたいと思います。
  7. 梶山静六

    梶山国務大臣 まず、武闘派という表現がございましたけれども、私自身は極めて穏健派のつもりをしておりますので、御了解を願いたいと思います。  政治にある程度の金のかかることはやむを得ないというか当然のことでございますので、国民批判を受けるようなことのないようにまずしなければならない。ですから、政治活動を行う政党なりあるいは政治家個人がそれぞれ正当な方法活動活動を行う際に伴うお金は当然調達されてしかるべきでありますが、この集め方とそれから使う使途によっていろいろな誤解批判を招くことがあろうかと思います。政治国民の間に定着をすることに政治啓蒙運動もなければなりませんし、あるいは宣伝広報活動も当然行われるべきものでございますので、その意味で正当な支出のかかることは、むしろ政治国民の間に定着させるために必要な手段だというふうな理解をいたしております。  今委員指摘のように、相当な上昇率政治資金の枠が増大をしていること、これはやはり社会慣行上、社会経済情勢その他に見合った上昇が望ましいというふうにも考えられますので、発射台が低かったか高かったかという問題は別といたしまして、これからも各党、各個人自重自戒をしながら国民の信をつないで、十分に政治が信頼を得るように政治資金の面でも留意をしていかなければならないと考えております。
  8. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、今大臣が冒頭に言われましたように、国民批判を受けないようにということなんですけれども、余りここで党派性の問題を論じたくないとは思いますが、今政治資金の問題で言いますと、批判を受けているのは失礼ながらやはり自由民主党さんの特にパーティーお金の集め方、これは大臣批判を受けているんじゃないのでしょうか。その御認識はいかがでございますか。社会党が金を集め過ぎてひどい政党だとか言われていることは寡聞にして聞いた覚えがないので、やはり自民党さんの集め方が今問題になっている、私は問題の中心をそう考えておるのですが、大臣、いかがでございますか。
  9. 梶山静六

    梶山国務大臣 世上、パーティー金集めと言われることに新聞やその他で批判のあることは承知をいたしておりますが、中身を見てそれが果たして今の政治資金規正法に抵触するのかどうなのか、それから集会の自由やそういうものをどう保障するか、こういう問題があろうかと思います。ただ現実に、今委員指摘のとおり、自民党議員の数も多いというせいもございます。それからある意味で、どちらかというとほかの政党よりは組織率が弱いというところもあろうかと思います。ですから個人個人に頼るべき分野がほかの政党に比べて多いのかなという率直な所感も持つわけでございますが、数多ければ、必ずそこに数だけの比例をすればこういうことも多かろうと思いますので、今自民党の中でも選挙制度調査会政治資金に関する小委員会等で幾つかの検討が行われておると聞いておりますので、その成案の一日も早からんことを、そして国民批判を招かないような対策が講じられることを望んでいるわけでございます。
  10. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 今の御答弁でも、政治資金規正法自体が三大ざる法一つだと言われているわけでありまして、政治資金規正法あり方について後で自治省等にもお伺いしたいと思います。  それから、個人個人に頼るというのはある程度大変いいことだと私は思うので、五十年の三木内閣のときの政治資金規正法改正の方向というのもそちらだった。大体パーティー考えた人というのはやはりアメリカの大統領選挙資金集め考えたと思うので、その発想自体は本来なら決して悪いことではない。ただ問題は、個人個人ではなくて、かなり業界ぐるみとか行政権限を使ってお金を集めることが非常に問題なんじゃないか、これはこの後逐次お伺いいたしますけれども、そういう考えを持ちながら自治省にお伺いしたいわけであります。  今自民党さんの方でもパーティー規制についていろいろと御検討がなされているやに私は新聞等で拝見をしているわけであります。私も昨年の九月十六日の当委員会でこのパーティー規制の問題について質問したわけでありますが、要するにどこが難しいかといいますと、政治資金規正法の方で出し手についても総枠規制がされた、したがってそこの抜け穴として、寄附にならない政治資金の集め方ということで発生をしたのがこのパーティーというものの集金方法と申しましょうか金の集め方で、寄附にならない政治資金というのがこのパーティーというものが現行法では規制をされないものだというふうに思いますけれども問題点はそこがポイントだというふうに思いますが、その理解はよろしいですね。
  11. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ポイントと申しますか法律解釈といたしまして、いわゆるパーティーというのは通常そこから生じます収入事業収入である、したがって寄附収入ではない、こういうふうに解釈をされております。
  12. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、国民の良識、常識からいって実態的に政治に使われておるお金という限りは、これは大臣も言われておりますように、政治というのは国民に一番わかりやすくなければいけないし、そういう誤解が生じないようにしなければいかぬ。そういう意味で、このパーティーによる事業収入というものも実態上は政治に使われているわけで、ただ単純な政治関係のない方の出版記念会とかあるいは謝恩会とか、これは今問題にしているわけではないわけでありまして、いやしくもその事業収入というものが政治家に最終的に帰属をするようなパーティーというものについては、私は政治資金規正法の枠の中に当然入れるべきではないかということを前回も申し上げたわけであります。  昨年九月十六日に当委員会でその趣旨質問をし、当時の葉梨国務大臣が、「パーティーあり方につきましては、いろいろな御批判があることも承知しておりまして、それらの御批判あるいはその他各政党、各界の御意見を拝聴いたしまして、これから対応策考えていきたいと思っている次第でございます。」と私の質問お答えになっているわけでありますけれども自民党さんの方は一生懸命いろいろと検討していらっしゃるようでありますけれども自治省としてはこの半年間、パーティー規制と申しましょうか、このことにつきましてはどういう検討がなされたのでございますか。
  13. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 パーティーについての規制検討するということで、一つは、一体いわゆるパーティーというものを法律的に的確にとらえるということができるかどうかということがあろうかと思いまして、この点について研究もしてみたわけでございますけれども、何か仮に規制をやるとした場合に、その規制対象とすべきパーティーの範囲を一体どう定めるかということが、なかなか法律技術的にも難しいということでございます。実にいろいろな形のものがどうもあるようでございます。なかなか難しいなということでございます。  それから、昨年問題として御提起をいただきましたことは、要はパーティー収入というものを寄附の総枠規制の中に入れてしまったらどうかという御趣旨ではないかと理解いたしますが、そういうことでございますとすれば、その前提としてパーティー性格論というものも問題になるのかなという気がいたしまして、先ほど申し上げましたような解釈をずっとしてきておるところでもございまして、これを寄附規制に含めるという結論はそう簡単には出てこないのかなというのが、今日の私どもの率直な気持ちでございます。
  14. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 お役人的物発想と申しましょうか、それではなかなか今の事態というのは国民皆さん方理解していただけないのではないか。今政党なりその他団体、いわゆる派閥なりあるいは個人後援会等々が、実際にお金の集め方は寄附かあるいはその他事業ということになるわけです。事業収入ということになるわけですけれども寄附の問題はこの際問題ではないので置いておきますが、その他事業の中でも、本当に本を販売したり、いわばその中に政治的な主張や政策を流布するためにそちらを主としてやっていく、新聞もそうでございましょう、そういうふうにむしろ政治信条政治的な政策を広めるために、しかしその中には一定の若干の利益というものが入っているというものと、むしろそれよりも、確かに意見発表パーティー会場であるけれども、それは従であってお金をいただくという方が主のものと、はっきりこれは性格が違うと私は思うのです。  しかし、今部長からお話がございましたように、法律上なかなか難しいと言うんだったら、出版とか本を出したり新聞を発行したりするもの以外のいわゆるパーティーというものは、ひとつみなし規定のようなことは考えられないか。例えば二万円のパーティー券なら、そのうちの二割がいいか三割がいいかそれは別といたしましても、これを除いた部分というのは寄附とみなすというみなし規定というのをつけて、そしてそれを政治資金規正法上の寄附扱いにする、その際にその主催団体というものは何らかの形で政治資金規正法上の届けがしてあるものについて、つまり最終的には政治家にあるいは政治家後援団体にその事業収入というものが帰属をする。今一般の方がやられる茶話会にしろ謝恩会にしろ、一般の方の大先生出版記念会を問題にしているわけではないので、あくまでそういったものについては政治資金規正法上の届け出をした政治団体主催をし、そしてその収入というものについてはみなし規定で出す方のところも総枠規制の中に、パーティー券というものは事業収入ということじゃなくて寄附のみなし規定ということで、その際に経費を二割がいいか三割がいいか四割がいいかは別としまして、みなし規定という条項を設けて総枠規制の中に入れるということなら、これは規制をすることは可能なのではないだろうか。ただ、それでは政治資金規正法お金が入ってこないから困るという部分のことは除けば、法律上そういうみなし規定という概念を入れてこれを総枠規制の中で処理をすることは可能なのではないかというふうに私は思いますが、いかがでございますか。
  15. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ただいまの御提言は、いわば概算経費率みたいな感じでパーティー事業収入経費部分とそうでない部分と区分して、いわば経費以外の分は法律寄附とみなしてしまったらどうかというふうに受けとめましたが、ただ、この問題を考えますと、結局は量的規制というものをやっていくことがいいのか悪いのかということにも通ずるのかなという気がいたしますし、それからあくまでもこれは事業収入だというふうに考えておりますから、先ほど例示をされました機関紙雑誌等とは別に、これまたパーティーでもないが、ある事業収入としてやっておられるものもございますものですから、一体その事業収入というものをどう考えるかというような点も関連があるのかなという気がするわけでございます。  それと、結局そういう措置を講じますにしましても、みなし規定を設けるにしましても、一体パーティーとは何ぞやということが問題になってくるわけでございまして、先ほども申し上げましたような、パーティーというものを的確にとらえることが難しいということがつきまとうということがあるわけでございます。
  16. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 難しい難しいと言ったら事は実際前に進まないわけで、そこでこれは一つ割り切りの問題であり、国民皆さんあるいはおのおのの政治関係する者がそう割り切ってやればいいわけでありまして、それを国会の中でお互いに認め合うかどうかということが、最終的に法律になるかどうかということだと思うのであります。そういう意味では確かに何事もその中間帯という概念というのは出てくるわけで、今部長が心配されるように、ではパーティー等事業収入というところの事業との間のものがまた出てくるのではないかということもいろいろ想定はできないことはないと思いますけれども、やはりこれだけ国民のひんしゅくを買い、大きな政治不信を起こしておりますパーティーというものについては、考え方としてはまさに概算控除ですよね。したがって、この際それをみなし寄附という扱い処理をするということは可能なのではないかというふうに思いますので、どうしてもそれが不可能だというのだったら、また不可能な十二分な理由をひとつ挙げていただきたいと思うのであります。  ちょっと、ついでにお伺いしておきますけれども、今新聞で報ずるところ、自民党さんの方でもパーティーというものをどう規制するかということで大変御苦労なさっておるようでございますけれども、例えば会費が二万円以上、そして千人以上のところに配るものについては特別パーティーという概念を設けて、これは届け出をするようにしたらどうかというようなことが新聞で報じられているのでありますが、例えばそんなことにした場合、二万円以上というのはある程度印刷してあるからわかるでしょうけれども、千人以上に配ったか配らないかというのは、自治省選挙部政治資金課か何かが一々ホテルへ行って何人集まるかチェックをして、あるいはその政治団体へ行ってこれはどのくらい配られたのでしょうかと、その次の年末までに、正確に言うと三月三十一日までにそのことが届けられているか届けられていないかということをチェックをなさるのでしょうか。
  17. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 先般、自由民主党政治資金等委員会でおまとめになりました中間報告の中に、ただいまお示しがございました特定パーティーという考え方が出ております。二万円とか千人とかということでそれをとらえようとしておられるようでございますが、例えば千人というのを具体的にどうやるかという詳細につきましては、実は私どもも、もし仮にそれを制度化した場合に一体どういう方法で把握するかというところまで勉強ができておりませんものですから、ただいまの御質問に的確になかなかお答えしにくい面があるのですが、御了解いただきたいと思います。  それから、先ほど全く不可能かどうかというお話がございましたのですが、私どもとしては、やはりパーティー定義というものが非常に難しいものですから、そういう点で非常に難しいなということを感じておるということでございます。
  18. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 要するに、前半の私の質問に対するお答えは、今の皆さんのところの政治資金課がそんなに人数がおってパーティー会場の入り口で一々カウンターか何か持ってやるなどということが、自由でなければならない集会であること自体に私はあってはならぬことだと逆に思うのです、別の意味では。そういった意味では、いわば二万円以上、千人以上のものは特別パーティーにするというようなやり方、法律考え方自体私は無理があるということを申し上げたかったわけでありまして、そういった意味ではこの際、これだけ大きな問題になっておりますパーティー規制については寄附の総枠の中に入れ、そして概念事業収入と見分けがしにくいのだったら、あくまでパーティーというものは政治団体主催をし、そして、一定の三割なり四割なりというものは事業費経費ということで引いて、みなし寄附というそういう概念をつくって総枠の中にぴしっとやるということにしていかないと、政治というものはますます不信を招いてくるということを申し上げて、自治省におきましても、きょう御列席の自由民主党皆さん方におきましても、ひとつそのみなし寄附という概念を取り入れることによって政治清浄化をしていくということを、この場をもって提案をしておきたいと思うのであります。  もう一つ重要なことが、自由民主党さんの議論の中に新聞で報ずるところ出ておるわけであります。それは何かと申しますと、パーティー券販売に当たりいやしくも官公庁や公務員が介在したとの疑念を与えないようにしようということが、自由民主党議論の中に出ているということが報道されているわけであります。  今まで、これは政界におきましてはある程度常識化されておったわけであります。つまり、各役所が議員パーティー券を、許認可権を持っているような、あるいはそれ以上かもしれませんけれども、持っているような民間企業に売る、あるいはそのあっせんをする、あるいは電話をかける、受けた方は大変な圧力を感ずるということはいわば常識化していたわけでありますけれども、ここでひとつ人事院にお伺いしたいのでありますけれども、私たちの側は、公務員は中立でなければいかぬ、政治的な行動をしてはいかぬということで、ビラをちょっと張ったりあるいは署名をとる、主宰をするだけで公務員法違反とかあるいは人事院規則違反というようなことで、随分いろいろな裁判もやってきたし闘いもあったわけであります。ところが、今申しましたようにパーティー券を売りに行ったとかパーティー券を買ってくれるように民間企業に行ったというんで、それが公務員法違反で何らかの処罰を受けたという話は寡聞にして全く聞かないわけであります。これは私は大変問題だと思うのであります。  もう時間がありませんからこちらから申し上げてお伺いしますけれども国家公務員法百二条「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、」云々、こういうふうにあるわけであります。あるいは、これは人事院規則一四—七の六でしょうか、「政治的行為定義」というところの三番目には、「政治的目的をもって、賦課金寄附金会費又はその他の金品を求め若しくは受領し又はなんらの方法をもつてするを問わずこれらの行為に関与すること。」ということで、はっきりとこういったことは政治的行為であってやってはならないというのが出ているわけでありますし、それから「人事院規則一四—七(政治的行為)の運用方針」というのがございまして、そこでも、(2)の(三)第三号関係「本号は、法第百二条第一項前段の規定と同趣旨規定であって、「関与」とは、援助、勧誘、仲介、あっ旋等をいう。たとえば課員が課内の党員の党費をとりまとめることは違反となる。」ここまでこう書いてあるわけですね。  これは梶山自治大臣関係をいたします地方公務員法にも同じことがはっきり出ているわけでありまして、第三十六条の二項三号「寄附金その他の金品の募集に関与すること。」こういった政治的行為はしてはならないということも書いてございますし、あるいは地方公務員法第三十六条の運用というところの先ほどと同じように第三号関係、「「募集に関与する」とは、募集計画を企画し、これが実施を主宰し、指導し、具体的に寄附金等の供与、交付を勧誘し、これを受領し又は募集計画の立案に助言を与え、その募集を援助する等の行為をいうものであること。」ということで、今言われておりますように役所がさる議員パーティー券というものを売り歩くことはもちろんのこと、相手の企業に対してだれだれさんのあれがあるからひとつ何枚買ってやってくれというようなことを電話をかけることすら、これは明らかに国家公務員法なりあるいは地方公務員法に違反をするものであるというふうに思いますが、人事院はいかがでございますか。
  19. 武政和夫

    ○武政説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がお挙げになりました規定を、政治的に公務員は中立的な立場を維持しなくてはならぬという観点から国家公務員法及び人事院規則規定しておるわけですが、それらの行為が、ある行為が今お挙げになりましたような法令に具体的に該当するかどうかにつきましては、最終的には個々具体的に事実関係をつまびらかにしまして判断する必要があるのではないかというふうに考えております。ただ一般的に申せば、先生お挙げになりましたようなことに該当することになりますと、政治的行為の制限の規定に触れることになろうかと考えております。
  20. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 人事院にお伺いしますが、人事院規則あるいはその他のそれに関連します国家公務員法地方公務員法等々そういった規則に違反しないかどうかというのを監督する権限はどこにあるのですか。
  21. 武政和夫

    ○武政説明員 政治的行為に関しますと、規則の一四—七の八項で、各省各庁の長に対しまして、法令違反の事実があるかどうか、そういった場合については人事院に通知するようにという義務づけをしております。そういった形で人事院も把握するということでございますが、もともと服務統督というのは各庁の長にございますので、一義的にはまず各庁の長が判断すべきものというふうに考えております。
  22. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで、私も改めて予算委員会その他でまたお伺いをしたいと思いますが、きょうはちょうど当委員会自治大臣がいらっしゃるわけであります。自治大臣、今国家公務員法地方公務員法等々を私読み上げましたけれども、あくまでこれは事実行為関係することですから、実際にどういう行為をしたかを規定しないことには最終的な判断はできないことは事実であります。ただ基本的な趣旨として、例えば自治省におきましてこういったパーティー券を売り歩くようないわば政治的行為に関与するようなことはやってはならぬということは、自治省の最高監督者であるべき大臣としては当然そうなければならないというふうに考えていらっしゃると理解してよろしいですね。
  23. 梶山静六

    梶山国務大臣 そのとおりであります。
  24. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そこで人事院にお伺いしたいのでありますけれども、各選挙の前になりますと、人事院の方では通知と呼んでいる、例えば衆議院選挙の場合には「衆議院議員の総選挙に際しての国家公務員政治的行為の禁止又は制限に関する違反の防止について」ということで、重要な文書ですから読み上げます。   近く、衆議院議員の総選挙が行われる予定ですが、一般職の国家公務員政治的行為については、国家公務員法第百二条及び人事院規則一四—七(政治的行為)の定めるところにより禁止又は制限されているので、この際、貴省庁におかれても、同法令の遵守及び違反行為の防止について、遺漏のないよう貴管下職員に御徹底願います。   なお、同法令に違反する行為又は事実があったことを了知された場合には、人事院規則一四—七第八項の規定に従い、速やかに人事院事務総長あて御通知ください。   以上 という文書が、これは六十一年六月三日のものであります。昨年の二月二十日には、「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に際しての国家公務員政治的行為の禁止又は制限に関する違反の防止について」という通知が選挙の前に出ているわけです。  この際、自由民主党の中ですら、パーティー券販売に当たり、いやしくも官公庁や公務員が介在したとの疑念を与えないようにすべきであるというような議論が起こっているという事態の中で、選挙の問題だけではなくて、片方の受け取る側がここまで議論しているわけでありますから、いやしくも国家公務員法なり地方公務員法に基づいた、こういう疑念を抱かせるパーティー券販売について国家公務員法違反なりあるいは政治的中立を危うくするような行為がなされないような通知を人事院としては出すべきだと思いますが、いかがでございますか。
  25. 武政和夫

    ○武政説明員 私どもも、職員の服務規律が厳正に保持されることが公務の公正執行に対する国民の信頼を高め、ひいては行政の円滑な運営の確保につながるということでありまして、違法行為があってはならないというふうに考えておるわけですが、そういう観点から今先生指摘のような通知も出しております。そのほかに、私どもとしましては各省庁に対し、種々の機会をつかまえまして、こういった服務規定の制度の趣旨の徹底、あるいは常日ごろの各省との中におきましてその指導助言に当たっているということでございます。今後も服務規定の遵守ということにつきまして、必要に応じまして適切な措置といいますか遵守方につきまして努めてまいりたい、このように考えております。
  26. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 一般論としてはそういうことだと思いますけれども、これだけパーティー券販売というものが問題になり、もう既に世間では各役所が、全部じゃありませんが、売り歩いているということは、あるいは声をかけたりしているということは、我々の周辺ではいわば常識化しているわけでありまして、自由民主党ですらそういう反省を込めて言っているのに、こういったものを監督する人事院がそんな後ろ向きなことではいかぬと思うのであります。このことはよく検討していただきたいと思います。  それで、冒頭、政治お金がかかるという話がいろいろあったわけでありますけれども、経団連の副会長を今度退任されます花村仁八郎さんが毎日新聞で言っていらっしゃって、どうして国民政治協会というのができたかという話で、例の造船疑獄のときからの話がいろいろ出ているのであります。少しその話をしたいのでありますが、時間がありませんのでそのことは省きまして、こう言っていらっしゃるのです。「国民の目からみれば「政治に金がかかり過ぎる」との批判があります。」という質問に対して花村さんが、「衆議院の場合、中選挙区制だから、まず選挙区内に三カ所ぐらいは事務所を構え、事務員を雇う。東京も議員会館のほかに、手狭だからと外にも事務所を持つ。それと「国会見学」という名で、地元から何人もバスで東京へ連れてきて、昼は弁当にビールかジュースをつける。これじゃあ、いくら金があったって足りゃしない。」ということを述べていらっしゃるわけであります。  これはお互いに議員会館の中で散見をすることであります。恐らく若干なりとも会費は取っているのだと思うのでありますが、特に私たちの議員の中で、こんなことが堂々と許されていいのかということで、我々の会合を開きますと厳しく出てくる問題が、時間を省くために短く言いますと、選挙期間中に選挙事務所の裏に、恐らく形上は後援会事務所という格好になっていると思うのでありますが、何十台というパスを連ねて、自分の選挙区内の町村隅々から、昼と問わず夜と問わず、飯を食べに来させるというのか集めるというのかということが堂々となされている、こんなことがそのまま許されていいのだろうかということが特に私たちの会合の中に出てくるわけであります。私は、そんなことはおかしい、警察は何をしているのだというふうに言っているのでありますけれども、前回の選挙においてもそんなことが出ているわけであります。  これは明らかに「飲食物の提供の禁止」、百三十九条、つまり選挙事務所においては選挙従事者あるいは労務者に対しては十五人分、四十五食分しか食べさせてはいけない、しかも一人当たりは一食七百円以下ですということまで決められておって、かなり厳しく制限をされているわけであります。そこで、恐らくこれは後援会事務所というパターンを使うのでありましょうけれども、それでも選挙法百九十九条の五で「後援団体に関する寄附等の禁止」ということで、「何人も、」例えば我々の任期満了前三カ月間は「一定期間、」ということで、後援会の総会とか集会とか見学とか旅行とかその他のその他の行事で「饗(きょう)応接待をし、又は金銭若しくは記念品その他の物品を供与してはならない。」ということになっているわけであります。したがいまして、選挙期間中に、後援団体といえども、バスを連ねて選挙区じゅうから人を集めて飯を食わせるなどということが本来あってはならないと思うのであります。  ただ問題は、この百九十九条の五に、「饗(きょう)応接待」のところに括弧書きがあって、「通常用いられる程度の食事の提供を除く。」こういうことになっているわけですね。したがって、もし警察なり自治省の判断というもの——供応接待というのを私も辞書で調べてみたら、酒食のもてなしをするというのが供応接待で、通常の食事というのはどうも供応ということに当たらないようでありますけれども、もしそういうことが白昼堂々と行われて、それが全く禁止なりあるいは実態上警察がそのことについて何ら注意をしないということになりますと、この法は全くざる法ということになってくるんじゃないか。さらに、百三十三条というのがあって、「休憩所等の禁止」「休憩所その他これに類似する設備は、選挙運動のため設けることができない。」ということで、休憩所の禁止という項目をちゃんと設けられているわけですね。  白昼堂々と選挙事務所裏の後援会事務所にバスを連ねて、昼を問わず夜を問わず数十台というバスが選挙区内の各町村からどんどんと来て、それが何らそのことで捕まったという記事はほとんど散見をしたことがないというか許されるのは、一体法律上悪いのかあるいは具体的には警察がそのことを見逃しているのか、どういうことでございましょう。
  27. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 ただいま先生指摘のような事案につきましては、一応公職選挙法第百三十九条の飲食物提供の禁止違反とか同法第二百二十一条第一項第一号の買収罪等いろいろ考えられるわけでございますが、これらに該当するのかどうかということは、具体的な事実関係に即して判断すべきものだと思います。警察といたしましては、当然のことでございますが、これらに該当するものにつきましては警告等所要の措置をとってきたところでございます。
  28. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうしますと、警察の判断は恐らく百三十九条の方で、弁当料というのは一食につき七百円ということになっていますから、これ以下なら俗に通常用いられる程度の食事ということになるんではないかと思いますけれども、それぐらいのものが供応接待に当たらないのだから、したがってバスを連ねて昼と言わず夜と言わずたくさんの人が選挙事務所の裏の後援団体の事務所に来るというようなことが起こってもそれは供応接待に当たらないのだ、単価にして七百円以下でいかに多くの十万人がここに十五日の間に来ようとそれは当たらないという解釈にはならない、もしそういう事実があれば、法律上も取り締まれる百九十九条の五がある、あるいは百三十三条の休憩所等の禁止に十二分に当たるというふうに理解をしてよろしいですか。
  29. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 そのとおりでございます。ただ、事犯の軽重によりまして警告、注意といった措置もとっているところでございます。
  30. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 そうやって組織的にバスを連ねて各町村から数十台ずつ毎日毎日来るなどということは、括弧書きの中があろうと百九十九条の五に当たるという御答弁があったと理解をいたします。もちろん、具体的には具体的な事案にならないと——ただ私が申し上げているのは、架空な話をしているわけではないのでありまして、私の選挙区にはありませんけれども、そういったことが私の同僚の中には随分出てくるわけであります。  そこで、話がもとに戻りますけれども、こういったことをどんどん選挙でやっておいて、片方では政治資金の枠が小さい小さいと言うのでは、これはまさにざるに水を打つに等しいと私は思うのであります。そういった意味で、きょうは時間がありませんからこれでやめますけれども、ひとつ選挙法について、選挙期間中警察が入る、警告等ということは余り好ましいことではないと私は率直に思っておりますが、法の正しい運用ということになりますとやはり警察が監視をしなければいかぬということになるわけでありまして、そのことはやむを得ないといたしましても、いずれにしてもこういった形態で選挙にどんどんとお金を使って政治資金規正法の枠が小さい小さいと言うのでは、これは政治の正しいあり方ではないと私は思いますので、今後引き続き機会を見てその他のことについても追及をしていきたいと思います。  終わります。
  31. 森清

    森委員長 山花貞夫君。
  32. 山花貞夫

    ○山花委員 私は、定数是正の問題と政治資金の問題について伺いたいと思います。いずれも当委員会における最大の議論のテーマであるだけでなく、国会全体として国民に対する大きな責任を負うたテーマである、こういうふうに考えています。  実は、そうした観点から新しい内閣誕生直後の総理及び自治大臣のインタビューその他関心を持ってお聞きしておったわけでありますけれども、総理の場合には、例えば定数是正の問題につきまして、「衆院定数是正の問題は、坂田前衆院議長の時の(国会)決議があり、今後、自民党の方で突っ込んだ議論をしてもらうと同時に、国会でも公選法改正特別委で、自民党から審議を働きかける」、こういうように意欲を表明しておったところであります。自治大臣も、この問題につきましては積極的に取り組んでいきたい、こうした意欲をお示しになっておったところであります。  しかし、その後今日までの経過を振り返ってみますと、例えば新総理の初めての所信表明、これに対する質疑等の中身を拝見いたしますと、またぞろ初めの意気込みがどこかへ行ってしまったのではなかろうか、こうした答弁が続いたところであります。例えば竹下総理の答弁について見ますと、大事だということは認めながら、「これこそ選挙制度の基本にかかわる問題でありますから、まずは各党間で十分論議していただく、」ここに尽きているわけでありまして、こうしたその後の経過を振り返ってみると、またまたこの問題についての議論が先送りになり、定数是正問題については到底国民の期待にこたえるような方向を国会で打ち出すことができないのではなかろうかと心配をしないわけにはまいりません。  もちろん、これは我々野党の責任をも前提とした主張でありますけれども、とにかく新しい内閣が誕生しての例えばマスコミのそのことについての論調を見てみますと、定数是正と政治倫理の問題はすべてのマスコミが竹下内閣に対して誠実な実行を期待する、こうした問題点としていわば突きつけておったところでありまして、代表的な社説について見ますと、「中曽根政治ではほとんど進展がみられなかった「政治倫理の確立」や「衆院定数の抜本是正」の扱いは、新政権の政治姿勢を示すものとして厳しく注視したい。そしてなによりも、カネのかからない清潔な政治を目指してもらいたい。」こうした論調であったところであります。  まず、自治大臣に定数是正問題に取り組む自治大臣としての姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
  33. 梶山静六

    梶山国務大臣 衆議院議員の定数是正については、第百四回国会の衆議院本会議の決議において、「速やかにその抜本改正検討を行うもの」とされております。この問題は、今総理からも言われたという御指摘もございましたけれども選挙制度の基本にかかわる問題でありますので、その基本的な部門については各党間の合意がなければ現実的に前進しないだろうという理解をしておりますので、各党間で十分な協議が調えられることを期待しているわけでございます。そのために、私も今春早々議運委員長を訪ねまして、各党間でひとつ速やかにこの問題に対する協議に入ってくださるようにお願いを申し上げたところでもございます。
  34. 山花貞夫

    ○山花委員 実は各党間の協議、既に議長の方からお話しありまして、議会制度協議会でも議論が始まった。内容につきましては、議運の皆さんからいろいろお話を伺っているところであります。  ただ、やはりそこで心配なのは、各党といっても、与党、政権党、自民党の動向です。自民党におきましては、選挙制度調査会長に後藤田前官房長官についていただいて、全体としての議論が始まっているというように伺っているところでありますけれども、実は「ざっくばらんに」という、これは昨年十二月六日の朝日の後藤田自民党選挙制度調査会長の談話ということで、問題について意見をかなり展開されておられるわけです。これを見ると、決議を前提としながら、「定数是正は(公職選挙法では)五年ごとの国勢調査のたびにやるということになってるんだ。今度の国勢調査は六十五年なんで、僕は、理論的には六十五年までは「八増・七減」による(現行の)定数で差しつかえない、という見方なんです。」こうお話しになっているわけであります。もっとも後藤田先生ですから、「各党は抜本改革に向けて真剣に検討、勉強しなきゃならん」ともつけ加えておられるわけですが、どうもこのあたりが自民党の姿勢を代表しているのではなかろうか、そうした心配があります。  また、定数問題につきましても、では一体国会決議にあった抜本是正の方向はどうかということに詰めてまいりますと、根本的な問題として格差の是正、どのくらいの倍数にするかということについての問題があります。後藤田選挙制度調査会長の御発言では、「定数問題では、完全人口比例で格差を二倍以内に収めるべきだ、との議論がありますが。」「そんな議論は空理空論だ。」こういうようにおっしゃいまして、「完全な人口比例というのはむしろ間違いだ」、人口比例は間違いであるという指摘までされておられる。  これまでのいろいろな選挙制度改革、とりわけ定数是正問題についての困難な経験を踏まえてのざっくばらんな御発言だと思いますけれども、与党のいわば責任ある組織のトップにおられる後藤田先生のこうした御発言を見ておりますと、議長からの諮問もあり、議運でも話が進む、今自治大臣も積極的な努力のスタートについて直接きっかけを求めるためにお話しになった、こういうことでございましたけれども、どうもこうしたペースでいきますと、一体いつになるのかということが大変心配であります。  我々も、既に党内では定数問題につきまして選挙対策会議を開きまして、一体どんな形の議論がよろしいのか、選挙制度調査会にお願いする議論から始まりまして、当公選特で議論をすべきである、党としては、当公選特におきまして議論の仕組みについてはどのようにするかということについて各党御議論があろうと思いますが、従来もその他の野党すべてが参加しての小委員会をつくる、オブザーバー制度も利用する等々いろいろあると思いますけれども、そうした形で議論を進めるべきではないかということを相談しているところでありますけれども、こうしたこれまでの経過を振り返りますと、困難な問題でありましただけに、やはり自治大臣としてもこの問題についてもっと積極的に乗り出していただきたい。  従来、自治大臣、逃げ腰であったというのが我々の長い間の印象でありましたけれども、今も積極的に乗り出すといった意味での御発言がありましたけれども、ひとつその点について、今後の議論の進め方について、自治大臣としてはどのような方向をお考えかということを含めて、御意見を承りたいと思います。
  35. 梶山静六

    梶山国務大臣 この定数是正の問題につきましては、何よりも大切にしなければならないことは、先ほど申し上げました衆議院本会議の決議でございます。六十一年五月二十一日の決議の中身を見ますと、六十年の国調後速やかに抜本改正検討を行う、二人区、六人区の解消を行う、議員、総定数の見直しを行う、これは中身についてはむしろ定数をふやさないという意味での見直しということに理解をいたしております。それから、選挙区画の見直しを行う、過疎過密等地域の実情に配慮するという、おおよそこの五項目に集約されるというふうに私は認識をいたしております。  ですから、具体的な、例えば自治省側として取り組むにいたしましても、まさに選挙制度の基盤でもございますし、国会の決議があるわけでありますから、せめてこの五項目の方向づけは各党間で話し合いを詰めていただかないと議論の中に入れないという感じがいたします。具体的にどうこうという場ということよりも、各党協議ということは、例えば前回における定数是正協議会がございました。何らかの形で議長の諮問機関ないしは各党間の話し合いによる機関をつくりまして、この大きな意味での国会決議の粗筋をこなしていただいて、今度は何らかの事務的なものに移していただけるならば作業に入ることができますけれども、まさに選挙制度の根幹でもございます、各党のよって立つ基盤でもございますから、この本会議決議の五項目をおおよそ筋道を立てて各党間の御理解をちょうだいすることがまず第一義というふうに理解をいたしております。
  36. 山花貞夫

    ○山花委員 今大臣問題点を的確に御指摘になっておりましたけれども、国会決議の中身自体についてもなお正確な理解をそれぞれがする必要がある部分がたくさんあろと思います。暫定措置とは一体その意味をどう理解したらよろしいのか、抜本改正ということはどう理解したらよろしいのか、二人区、六人区の解消の方策について分合区、境界変更まで含めるということを当然と理解してよろしいのか、定数について五百十一に戻すということなのか、あるいは選挙区画の見直しについての問題点や、とりわけ全体的な理解で非常に解釈に困りますのは、過疎過密等地域の実情に配慮しといった問題等あるわけであります。  実はそういう問題があるだけに、我が党としても先ほど申し上げました選挙制度対策会議などの中におきまして、全体として国会決議を尊重するという立場からまず手をつけなければならないのは、六人区の解消と二人区の解消の問題である。具体的に検討してまいりますと、分合区、境界変更ということを前提としながらも、この当面の問題である二人区解消問題ですら大変難しい問題点にぶつかってまいります。  ということから、例えばそうした議論を進めていくに当たりまして、一体抜本的な改革の方向についてどういう方法があるのだろうか。前回の六十一年度方式を拡大するということでどこまでできるのだろうか。議論がありました三分の一偏差方式というものはどうなんだろうか、あるいは都道府県の格差というものを現状固定しますと二・四一倍ということになりますけれども、そのことを前提として、各選挙区の格差を二倍なり二・五倍にした場合にはどのくらいになるだろうか。都道府県格差をまず二倍に直すということを考えてみたらどうなるだろうか。さらには、過疎過密問題ということがありますから、各県にまずある程度人員を割り振るということをいたしまして、残る定数について比例配分した場合にはどうなるか等々から始まりまして、全体人口比例でばっさりとやるということまで含めて検討してまいりますと、一つ一つ検討をしていく中で、恐らく各党間で議論していくならばかなり検討の時間を要するのではなかろうか、こういう気がしているわけであります。  実は、総理の当初の記者会見でも、党を通じて公選特にお願いをして積極的に議論をしてもらいたい、こういうお話もあったところであります。なお、この問題につきましては議会制度の方で議論している問題でありますから、その状況を見守ってということになると思いますけれども、仮にそこでの方向が公選特にというような流れになった場合を前提といたしましたならば、ここは自治大臣としても、積極的に当委員会での議論がスタートできるように、あるいはそこでの構成その他につきましても自治大臣の立場でひとつ取り組むということについて要請をしたいと思いますけれども、この点について御見解を承りたいと思います。
  37. 梶山静六

    梶山国務大臣 そういう事態になれば、全力を持って取り組んでまいりたいと思います。
  38. 山花貞夫

    ○山花委員 定数問題、これは議論がまだこれから始まる問題でありますので、一応以上にいたしまして、政治資金の問題について伺いたいと思います。  これまた、新しい内閣誕生直後の総理の発言及び自治大臣の発言を注目しておったわけでありますけれども、それぞれ問題の重要性ということを認識されながら、これまた定数是正と同じように各党で詰める問題である、そこが先になっているわけでありまして、自治大臣の当時の御発言、これは新聞で拝見したものでありますけれども、「政党間の問題だから自治省が先馬になるというより、国民の負託にこたえられるような制度の研究をして各党間で話し合うなら、我々もその結論に従って賢明な前進をしたい。」全体としては前進をしたいというお話でありますけれども、中身はどうも各党間でまとまらない限りは自治省としてはなすすべもないといった受けとめ方もできないわけではないわけであります。そういたしますと、これまで佐藤委員質問をしたように、新しい自民党の提案等につきましても、まずパーティー概念からして難しい、すべて難しいという御返事ばかりが出てくる。こういった自治省お話を伺っておりますと、これまた政治資金規正法改正問題なども定数是正に劣らぬ難問であるということを痛感しておるところであります。  実は、既に本来議論すべき期間はとうに過ぎているテーマだと思うところでありまして、最近の大きな改正は例の五十年改正と五十五年改正で、五十年改正のときには、四十九年七月の金権選挙と呼ばれた第十回の参議院選挙を契機として、各党間金がかかり過ぎるということから選挙二法の改正が行われたところであります。また五十五年改正につきましては、同じように金権政治に対する国民批判、ロッキード事件やダグラス・グラマン事件を契機として、問題が従来よりは中身としては一歩前進したというように思っております。団体規制から政治家個人規制というところまで進んできたという形での大きな改正が行われた以降は、この問題について手がつけられなかった。  過去二回の大きな改正を見ると、いずれも金権政治批判ということにこたえての改正だったわけですが、どうも今回のきっかけは、これまでありましたとおり、二十億円集めるというようなパーティーに対する批判から問題が始まったわけであります。従来は金権政治批判にこたえるという改正の中身だったわけですが、今回の自民党の提案について拝見いたしますと、パーティーに対する批判ということを受けてと申しましょうか、逆に利用してと申しましょうか、もっと金を集めるような手法というのが今度の自民党案の中身ではなかろうかというように理解しているところであります。  案の内容について拝見いたしますと、五項目ありまして、第一は寄附の総枠の規制、第二が寄附の個別の規制、第三が寄附者の氏名等寄附明細の公開、第四がパーティー、第五が税制について、こうなっております。新聞などで報道されているところを見ますと、昨年のいわゆる西岡提案については二倍だったんだけれども、今度は全体として四五%アップである、抑えたんだ、こういうことになっておりますけれども、中身を見てみるとやはり二倍なんだというのが私の印象でありまして、小さいところは低いパーセンテージですけれども、一番取りやすい大きなところは全部二倍になっているわけであります。これは単純平均して四五%と、どうもごまかしではなかろうか。言葉が過ぎるかもしれませんけれども、やはりそう理解しないわけにはまいりません。  では、一体問題のパーティー規制についてどうなのかといえば、先ほど自治省お答えにもありましたとおり、パーティー自体技術的に法的にとらえにくいというところから、一言で言いますと、先ほど佐藤委員質問いたしましたような二万円、千人といったようなことを基準としながら、いろいろ書かれてありますけれども、実は罰則がないということでありまして、訓示規定に尽きるということであるとするならば、これは格好だけパーティー規制したような形式はできるんだけれども、罰則がありませんから守らなかった場合にはどうしようもないということからするならば、パーティー規制に名をかりてこれまで以上に金を集めようとするのがこの法案の内容ではなかろうか、我々はそう理解したわけであります。  税制につきましても、法人税法上、交際費の損金算入を企業経営の実情に即して拡充するということにつきましては、使途不明金扱いされているようなお金まで含めて全部政党寄附してもらえるようにする仕組みではなかろうか。  問題点としては大変大きいわけでありまして、政治資金の問題は、先ほど申し上げました五十年改正、五十五年改正ともども、金がかかり過ぎる選挙、金がかかり過ぎる政治に対する世論の批判にこたえる、こういう視点があったわけでありますけれども、今度はまだ自民党案、小委員会中間報告でありますから、これがどう成案となるかについては今後の議論がおありになると思いますけれども、そうした金がかかり過ぎる政治選挙批判にこたえてというよりは、一言で言うならばそうした批判を利用してもっと金を集めるようにする、こういう仕組みになっているんじゃなかろうかと思うわけであります。  この自民党案に対して、自治大臣、御見解はいかがですかと聞くのはどうも適切ではないかもしれませんけれども、やはり金がかかる選挙、金がかかる政治に対する批判にこたえるという方向での政治資金規制問題に取り組むべきではなかろうか、こう思うわけでありまして、そうした問題について自治大臣の基本的な姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
  39. 梶山静六

    梶山国務大臣 お尋ねの自民党選挙制度調査会の中の政治資金等委員会における議論の内容について、私からとかく申し上げるべき立場にないという感じがいたしますけれども、まず、話の前提になる政治に金がかかり過ぎる、果たしてどこを基準にして金がかかり過ぎるという判断をするのかという問題でございますが、私は正当な政治活動を行うに十分な政治資金が調達をされることが望ましいという基本的な考え方を持っております。ですから、政治活動を行う、いわば啓蒙、宣伝その他の活動等について必要な経費、これをどうやって調達をするか、政党法も何もない今日の日本の中でこの資金調達は浄財に頼らざるを得ないわけでございますから、これがおおらかに明るく正しく調達がされ、その使途が明確であれば、私は国民の御理解をちょうだいできるというふうに感じております。  ですから、総枠でどうこうという問題になりますと、ある党は議員の数にしてはるかに政治資金の総量が多い、その政治資金の多いことが金権体質なのかというと、私はそうではないという感じがいたします。それぞれよって立つべき政党の基盤があり、それに基づく政治活動のための必要な政治資金の調達を行っているわけでありますから、正当な形で正当に収集され正当に使われることに関しては問題がない。  ですから、前二遍の改革のときも、これは時代背景があったわけであります。その時代背景にこたえて前回の改正がなされたわけでありますから、先ほど私はコメントすべきではないと言ったけれども、今、ともするとパーティーその他にいろいろな疑惑というか批判があるとするならば、それに事前に手をつけることは望ましいことだということで、自民党はその問題に着目をし、その問題の検討に入ったというふうに私は理解をしております。
  40. 山花貞夫

    ○山花委員 議論いたしますと若干私も意見を申し上げたいところがございまして、自治大臣先ほど自民党は数が大きいじゃないか、あるいは組織性の問題があるとお話しになりましたけれども、組織政党としては、昨年の資料ですけれども自民党の党員二百五十二万という組織が発表されているところでありまして、我々からすると、何百万単位の政党である、うらやましいというような組織をお持ちなわけであります。数が多いといっても、そのことはしかし総量の問題でありますから、これはまた別の議論になるのじゃなかろうかというふうに思っているわけです。  結論的に伺っておきたいと思うのですが、この国会に政治資金規正法が提出されるかされないのかという問題について、この点についてはどう受けとめておられるのでしょうか。
  41. 梶山静六

    梶山国務大臣 各党間の協議を見守りながら、ぜひ早い機会にそういうことがなされることを期待をしたいと思っております。
  42. 山花貞夫

    ○山花委員 報道によりますと、四役一任ということになって、今国会提出難しいのではなかろうかというところまで実は書かれておるわけでありますけれども、実際出てきますと終盤国会のまた大きな議論のテーマになるということもありましたので伺った次第でありますけれども、今国会出されないのではなかろうかというふうに理解いたしまして、自治省一つ伺っておきたいと思うのですが、金がかかるという問題では、佐藤委員先ほど指摘したとおり、現状はやはり目に余る事態というものが我々の耳にも入ってくるところでありまして、ただ一つだけ伺っておきたいと思うのは、公職選挙法の寄附禁止規定の遵守というテーマであります。  実はこれは、実際には院内に壁に張ってありますような虚礼廃止の申し合わせ等から始まりまして、政治資金規正法、できた当時は寄附禁止問題についてそれぞれの末端の選管などを通じてかなり周知徹底の努力がなされたわけでありますけれども、最近全くそんなことがなくなりました。どこへ行ったって、例えばお葬式には代議士の花輪がずらりと飾ってある、こういう状況であります。そこから始まって、寄附禁止規定については改めてこの趣旨を徹底する努力を自治省としてすべきではなかろうかと思いますが、この点について伺っておきたいと思います。
  43. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ただいまの寄附禁止規定、昭和五十年の改正によっておよそ選挙区内にあるものに対して寄附をしてはならない、こういう改正が行われまして、それ以降私どもとしてその啓発には努めてまいっておるつもりでございます。最近におきましても、例えば新聞紙上にそういう寄附禁止の趣旨を広告として出す、あるいは明るい選挙の推進協会というものが各市町村にもございますが、そういうところで日常の啓発活動をやります場合に、いわゆる三ない運動ということで一つの重要なテーマとして推進をしていただいております。あるいはテレビスポットというようなことも考慮しながら、今後ともその趣旨の周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
  44. 山花貞夫

    ○山花委員 今の啓発問題と絡んで、最後にもう一つだけ伺っておきたいと思うのですけれども、つい二、三日前に、公選法の委員である私に全国の選管の連合会の会長から要請書が参りました。中身は、昨年の統一自治体選挙全体を踏まえまして問題点が残った、投票率が大変低かったという問題と、相変わらず選挙違反が多かった、したがって、この問題に対する取り組みと中央地方を通じての選挙管理体制の強化を望む、こういう内容であったわけであります。  これに対する対応は、三月の末の決議ついせんだって来たものでありますから、これから自治省でも検討していただくところと思いますけれども、投票率の問題について、やはり最近の問題の一つでありますから伺っておきたいと思うのですけれども、全体として全国の選管の会議でも投票率が低ということが指摘されましたけれども、この点について自治省としてはどのように現状を認識しておられますか、伺いたいと思います。
  45. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 国政選挙につきましての投票率は、これまでの傾向を見ますと、そのときどきによっていろいろ変動もあるようですが、統一地方選挙に見られます投票率というのは、傾向的に非常に顕著なものがあるわけでございまして、まことに残念なことでございますけれども、最近ずっと低下を続けてきておるということでございます。いろいろ理由もあるのではないか、そういうところの分析などもしなければならないわけでございますが、今後とも投票率の向上ということについて努力をしてまいらなければいかぬだろうというふうに認識をいたしております。
  46. 山花貞夫

    ○山花委員 とりわけ最近印象に残りましたのは、六十二年十一月一日の神奈川の補欠選挙一九・四〇%、六十二年十二月二十七日の大阪の選挙二〇・七〇%、六十三年二月二十八日の大阪の選挙は二〇・九二%。神奈川の場合には国政選挙でのワースト記録をつくったところであります。五人に一人しかこの選挙に行かないという問題は、ゆゆしき問題ではなかろうかというように思っております。  もう一つ、こうした五人に一人という問題から出てまいりますのは、補欠選挙の制度についてでありますけれども、衆議院の場合には、公選法百十三条、同一選挙区において二人以上欠けたときには補欠選挙が行われる。参議院につきましては、同じ条文の第一項の第三号になると思いますけれども、「当該選挙区の議員の定数の四分の一を超えるに至ったとき。」ということになるものですから、実は参議院の定数は、四人区というのは二つしかない、三人区が四つ、二人区が十五、一人区が二十六ということになりますと、ほとんどの選挙区で一名欠ということで補欠選挙が行われるということになるわけであります。実は過去三回の参議院、第十二回、十三回、十四回ということで調べてみますと、この間に十二回選挙の後は九回の補欠選挙が行われました。十三回の選挙の後には四回の補欠選挙、そして六十一年七月六日第十四回の選挙が行われました後今日までに七回の補欠選挙が行われているわけであります。  実はこの問題につきまして、各マスコミの論調等、制度の問題についても議論されておりますけれども、私は制度の問題については、国民の参政権といった立場からいたしますと、金がかかるからといってその権利に影響を与えるような形の改正については疑問があるということを前提として考えるわけであります。それにしても、とりわけ補欠選挙における投票率が低い、五人に一人ということでは、民主政治の根幹にかかわる国民の参政権の行使のあり方ということになると思います。それぞれの立場の問題点はあるとしても、自治省の立場で選挙啓発等その他努力もしていただいておりますけれども、それはこの補欠選挙になりますと、お金の使い方だってぐんと少なくなってしまいますからなかなか難しいのじゃなかろうかという問題を含めて、全体としての低投票率及びとりわけ補欠選挙における二〇%前後という事態に対して、選挙啓発と投票率向上のための自治省のこれまでの努力と今後の方針について、最後にお伺いしておきたいと思います。
  47. 梶山静六

    梶山国務大臣 参議院選挙補欠選挙制度については、最近実施された補欠選挙の投票率が低かったことなどもあっていろいろ御意見があるやに聞いておりますが、国民の代表が欠けた場合にはこれを補充するための重要な制度であり、そのあり方については慎重に検討をする必要がございます。そして、委員指摘のとおり、投票率は極めて低かった問題でございますけれども、投票率の向上を図るべくいろいろ努力はいたしてまいりましたけれども、残念ながらそういう低い率に終わっているわけであります。今後とも選挙管理委員会と十分な連携を図りながら、各種の手段方法を講じながら投票率のアップを図ってまいりたいというふうに考えております。
  48. 山花貞夫

    ○山花委員 先ほどの大阪の補選につきまして大阪の選管は、伝えられるところにおきましては、十二億円の補選執行費のうち四千万円、通常以上にお金を使ったのだけれどもやはりだめだったという話も聞いているわけでありまして、工夫も必要ではなかろうかと思いますので、自治省の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  49. 森清

    森委員長 塩崎潤君。
  50. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私は、公職選挙法の主管大臣でございます自治大臣並びに自治省の方々を中心として、選挙制度の問題について御質問させていただきたいと思います。特に、梶山自治大臣はいわゆる国会答弁というのは余りお好きにならなくて、ずばりと単刀直入に発言をされる方でございます。何としてもこれは梶山大臣の御決断あるいは御措置を必要とするような大きな問題ばかりでございますので、ひとつそういった観点から、いつもの梶山大臣らしくはっきりと御答弁をお願いしたいと思います。  まず第一は、定数配分の問題でございます。  六十一年五月に八増・七減で、その際に定数是正に関する国会の決議までありましたが、定数是正が行われました。しかし、六十一年五月の決議を読みますと、あれは暫定であって、「今回の衆議院議員の定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置であり、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまつて、速やかにその抜本改正検討を行うものとする。」これは昭和六十一年五月二十一日の国会決議でなされたものでございます。  時々新聞紙上で、国会の中でも特に衆議院議長がこの問題を心配されて、いろいろ議会制度協議会の中で取り上げられているようでございますが、まず、この六十年の国勢調査の確定人口の公表はもう既にあったわけでございます。聞くところによれば、自治省はいろいろと研究されていると聞く。そして、議会制度協議会ですか、その中では、何かやはり自治省にありましたところの選挙制度審議会のような第三者中立機関によって決めるのが、定数是正の問題、選挙区割りの問題は最も適当である、それ以外の方法では客観的なものは決まるまいというようなことが言われました。そこで、自治省はこの問題について、抜本改正についてどのような研究をされておりますか。殊に、選挙制度審議会についての御活用はどのように考えておられるか、まずひとつ伺いたいと思うのです。
  51. 梶山静六

    梶山国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたように、衆議院の定数是正、これはまさに焦眉の急、一番重要な課題でもございます。そして、衆議院の本会議の決議、六十一年五月二十一日に決議をされたその中身に忠実でありたい、これがまず第一の原則であろうかと思います。  そして、ただいま第三者機関、特に選挙制度審議会の活用という問題にお触れになられましたけれども、これも実は私も何らかの第三者機関がなすことがより望ましいのではないかと思って、過去の経緯を調べてみたわけであります。三十六年から四十七年まで七次にわたる議論をしていただいたわけでありますが、四十七年第七次までで、その後、任命をいたしておりません。  というのは、答申ではなく報告、結論を得なかった。それは、それぞれが現実にどういうメンバーを選定すればいいかという問題もこれあろうかと思いますが、フリーな議論の中からやっておりますと、やはりそれぞれ今この議会の実情に、少なくとも選挙を体験した方でない方が討論をするわけですから、第三者機関の利点もそこにあるかもしれませんが、現実的なことになかなか着目しがたい問題が多いわけであります。  ですから、私は最小限度その衆議院の本会議で決議をされた先ほど申し上げました五つ、六十年国調後速やかに抜本改正、抜本改正とは何かという問題もありましょうが、それから二人区、六人区の解消を間違いなくどうやってできるのか、それから総定数の見直しあるいは選挙区画の見直し、さらにこれに入っている過疎過密等地域の実情の配慮、これは議会の意思はどんなところにあるのかというものを明確に出してあげませんと、幾ら選挙制度審議会にやってくれと言っても、その基本が定まらないで国会決議と反するようなことになってしまっては、それはとても採用することはできなくなるわけでございますから、まずもってこの五つの大きな国会決議の大ざらいを、粗ざらいを全部して、それから何らかの機関でやることは方法があろうかと思いますが、てんつけ第三者機関にと言っても、現実にこれは選挙制度の根幹にかかわる問題でもございますので、私はまず一義的に自主的に我々立法府がこの中にみずからの意思を表明し、そして国民政治に対する期待を十分に発揮できる立場を確立することの方が大切だというふうに考えております。
  52. 塩崎潤

    ○塩崎委員 今はっきりとお話がございました。御検討されていることはわかりました。そこで大臣、抜本改正は大体いつごろ行われる御予定か。こういうことについては一番はっきり物を言われる梶山自治大臣でございますから、大体いつごろなんでしょうかね。  私のところは、前回の暫定措置で大変な大混乱です。レジスタンスからサボタージュからあり、その後の選挙結果を見ると大変な混乱です。私は民主主義あるいは選挙制度が崩れると思っているぐらいの弊害をもたらしておるものですから、どうしても抜本改正を早くやっていただきたいと思う気持ちから、いつごろになるとお考えか、その方向を伺って、私はまたいろいろと御質問をし、お願いをしなければならぬと思う。
  53. 梶山静六

    梶山国務大臣 この抜本改正は何よりも何よりも大切な問題でございますので、一日も早くと念願をいたしておりますし、それには各党間のそういう大きな意味での合意をいただいて早急に成案を得たいという気持ちでいっぱいでございますので、いわば神様に祈るような思いで毎日毎日を過ごしておるのが現実でございます。
  54. 塩崎潤

    ○塩崎委員 大変いい御答弁をいただきましたが、とにかくもう六十年の国勢調査で人口は確定しておるわけですね。ですから、何が問題かといえば、そのときの暫定措置の選挙結果ももう出ておるわけでございますから、あとはこの抜本改正を決断によって進めていくことができるはずだと思うのですが、私はどうしても早くやっていただきたいという見地から申し上げておるのです。ひとつもう一遍梶山大臣の御答弁を、できる限り早く、次の選挙までには大体抜本改正ができると期待していいでしょうかね。
  55. 梶山静六

    梶山国務大臣 各党間の合意が速やかに成立をするというか、そういう機関が設定をされ、速やかに成立をしてその手続ができるように祈るような思いでおります。
  56. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、私がなぜこんなことをしつこく、そして早くやっていただきたいと言うかというと、前回の暫定措置で八増・七減、そして境界変更選挙区が三つありましたね。この中で境界変更が行われた選挙区に私の関係する選挙区がある。自分のことに関係して恐縮なんですけれども、私は、むしろ選挙制度という非常に大事な制度をスポイルしているのじゃないか、このままでいったら選挙制度が崩れるのじゃないか、こんなふうに思っているから取り上げたのです。本当に自分のことを言っておるのじゃないのです。  この境界の変更区には和歌山二区と大分二区と愛媛三区がありましたが、愛媛三区だけがずば抜けて大きく変更された。和歌山二区は人口で三万一千、大分で一万三千、愛媛三区は九万なんですね。こんなようなことを単に数字のごろ合わせみたいに、定数を三人にするために猫の首をつまんで移すようにぱっと私どもの一区から三区へ持っていくようなことは、私はこれは適当ではなかったと思うのですが、そのことのあらわれはこの選挙結果に出ておると思うのです。  とにかく伊予市、伊予郡という九万の人口のところの投票の反応はどうであったか。全県が七五・九二の投票率であったのに、伊予市、伊予郡の投票率というものは五〇%からせいぜいよくて六一%。それだけじゃないのです。無効票がべらぼうに多いのです。県内平均が無効票が二・〇五%ですけれども、伊予市なんかは一二・四%が無効票、伊予郡が一〇・三二%の無効票。どんなことが書いてあるかといえば、投票する気がしない、あるいは一区へ戻りたい、人をばかにしておるではないか、こんなような無効投票ばかりなんです。私はこれは大変な民主主義に対する挑戦だと思うのですね。代表を選んでいくのに、このような大事な選挙制度の中に半分しか行かない。行った人たちの一〇%から一二%の人が、自分の嘆きを書くようなことで無効票を出すというレジスタンスをやっておるわけですね。このような投票結果をどのように考えられるか、ひとつ自治大臣のお気持ちを伺いたいと思うのです。  そして、この九万という人口、有権者で六万六千。今の委員長、前は選挙区の分割も適当じゃないと言われた論者でした。大変な弊害を生じていまだに困っておる。つまり、愛媛三区というところへ入れられた伊予市、伊予郡というのは、私どもの一区の松山市と一体のところだと思っているのです。皆さん方県境を越えての境界変更は今度はやられなかったのですが、県境と以たような、東予、中予、南予と長らく築かれたところの一種の県境みたいなものを、選挙の定数合わせのためにぽんと持っていったんですね。ですからこのような選挙結果が出る。ところが伊予市、伊予郡のほかの制度、例えば教育界とかいうのは、みんな松山と一体で常に会議をして、松山でしょっちゅうお互いの意見交換をし、生活までお互いにつながっておるようなこんな住民感情を無視する、それも大規模な定数是正は果たしてこれで長持ちしましょうか。一刻も早く変えていただきたいと思うのですが、梶山自治大臣、とにかく人情に富み決断力に富む自治大臣ですから、ひとつずばりとこの点についての御意見を承りたいと思います。
  57. 梶山静六

    梶山国務大臣 私も、確かに棄権というか投票率の低さ、あるいは無効投票によって自分のいわば反対意思を表示をしている、そういう状況の多いことをお聞きをいたしております。何よりも大切にさるべきものは、有権者、住民の感情ではないかと思います。ですから生活圏と選挙区、こういうものを全く切り離して、いわば選挙の定数問題だけを算数的に割り切っていいのかどうなのか、こういう問題もあろうかと思いますが、先ほども申し上げましたように衆議院本会議の決議、何よりも重い立法府の決議でございますから、この五つの問題を組み合わせながら、恐らくそこには過疎過密の地域に対する配慮などというものは、あるいは生活圏、経済圏、こういうものと選挙区のそういうものに対する整合性、こういうものの思いも込めておるというふうに私は理解をするわけであります。  ですから、そういう問題を検討するに、もちろん第三者機関でできないとは申しませんが、やはり不断に選挙を通じて選挙区、選挙民、有権者、この意向の十分にわかっている議員の方々によっておおよその合意を得ないでやることは、むしろ大変難しい問題を生ずる。ですから、いかに困難があろうとも各党間が大きな意味で合意をされて、しかも細かい分野で選挙民の、国民の意思が十分に反映できるような選挙制度の一日も早く成立をすることを期待をいたしております。
  58. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私は、今梶山大臣の言われました住民感情が選挙区割りの基礎になければならぬというお考え方は、本当に敬服するお考えだと思うのです。政治家の定数の都合で九万、有権者が六万六千向こうに持っていかれた。これでもう一回選挙したら本当にまた同じような結果になる、あるいはもうちょっとひどくなるかもしれない。ですから、国会の各党の合意は別として、私ども選挙区割りは特別に考えていかなければならないぐらいの影響をもたらした、私はこういうふうに考えておるのですけれども、これを真っ先に取り上げて、これで果たして選挙制度を維持できるかどうか、こういった観点からの御調査自治省が、選挙部長あたりでもいいと思いますが、広範な調査をして、そして住民の感情等を捕捉して改正案を考えることができませんか。
  59. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 御指摘の愛媛一区の選挙区の問題でございます。先ほど来いろいろ具体的にお話もあったわけですが、前回の総選挙に当たりまして投票率、無効投票率あるいはその無効投票の中でも白紙が多かったというような事実は私どもも正確に把握して、その事実は重く受けとめておるつもりでございます。  ただ、先ほど大臣からも申し上げたところでございますけれども、まず速やかに抜本改正検討をする、抜本改正検討の中で、例えば二人区、六人区、選挙区画、過密過疎、そういうものをやっていくんだという国会決議に則してこれから定数是正の問題を検討していかなければならないのではないかと思うわけでございます。やはりそういう全体の中での検討ということにならざるを得ないのではないだろうかと思っておるところでございます。御理解いただきたいと思います。
  60. 塩崎潤

    ○塩崎委員 それでは選挙部長にお尋ねいたしますが、ほかの選挙区の区域の変更があった地域に比べて我が愛媛の状況はどうであったか、どんな認識を持っておられるか。ほかの地域にもこのような悩みがあると考えられますか、私はその点をまず伺いたいと思うのです。
  61. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 他の地域、あと二カ所境界変更のあった選挙区がございますが、やはり全国的な傾向と比べますと投票率等の点においてやや低い。ですから何らかの影響があるいはあったのかもしれないというふうには見られますが、愛媛の場合には非常に大きいようには思います。
  62. 塩崎潤

    ○塩崎委員 いや、私はもう少しそのあたりも調査をし、そして住民感情の機微までつかんでいただきたいと思うのです。選挙制度がこれで崩壊してはいかぬと思うのです。五〇%の投票率で無効票が一二%もあるようなことが続くことがどうでしょうか。ほかの地域と違った影響だと私は考えるのですから、ぜひともひとつその調査をしていただき、そしてまた抜本改正の際にぜひともその調査の結果を生かしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  63. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 先ほども申し上げましたように、全体的な抜本改正の中で検討をしていかなければならない課題だと思いますが、いずれにいたしましても、お示しの選挙区の実情については私どもさらによく聞いてみたいと思っております。
  64. 塩崎潤

    ○塩崎委員 往々にして、政界並びに官庁において抜本改正というと、大抵時間がかかるということの代名詞あるいは全く何にもやらないことの代名詞になったりするのです。その点はどうでしょうか。私は、そんなに時間がかかってまた次の選挙が来るなら、この愛媛の伊予市、伊予郡の取り扱いについては、例えば北海道の一区が六人区で、これも六人区をやめるというようになっておっても暫定措置で続くべしという主張もあるように聞く、それなら私のところも暫定措置として、住民に選択をゆだねる意味で一区と三区を合わせて六人で選挙をするような暫定措置というものを採用することが考えられませんか。
  65. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 技術的にどういう方式があり得るかということはいろいろ考えられるかもしれませんが、ともかく今衆議院の本会議の決議をもちまして速やかに抜本改正検討を行う、それに際して二人区、六人区の問題等々もやっていくのだということがございますから、私どもの口から暫定的にこれをどうするこうするということも非常に申し上げにくいような状況でございまして、そこはひとつ御理解を賜りたいと思います。
  66. 塩崎潤

    ○塩崎委員 選挙部長さん、どうですか。あなたは選挙制度のマスコット、守護神みたいな方だが、もう一回伊予市、伊予郡の有権者六万六千人がとにかく書く気がしないとかいうようなことをやらすことは忍びないのじゃないですか。ですからどうしても次の選挙の際には、こんなような住民感情を持たさないで、だれでも選択できるぐらいなことが望ましい、こういうふうに常に選挙制度の発展を願っておる、むしろ選挙制度がスポイルされることはあなたは一番嫌がるところだと思うのですが、そういうふうに考えられませんか。
  67. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 仰せのとおり、有権者がそっぽを向くような選挙制度あるいは選挙区の設定であってはいけないということは当然でございますが、先ほど来申し上げておりますように、何といいましても速やかに定数問題全体について検討を行うということを国会の決議をもってお決めいただいておりまして、そういう状況の中でございますから、特定の選挙区につきまして、我々事務方がこれはどうするああするということをなかなか申し上げることもできないという点を御理解いただきたいと思います。
  68. 塩崎潤

    ○塩崎委員 このような重要な地域的な制度の大変更、こういったときに、普通なら憲法の九十五条だとその地域の住民投票を得るような仕組みがあります。それぐらいの問題のように思えるのですが、前回の暫定改正の際は、ここで提案されても質問は全然認められませんでした。許されませんでした。そして、住民の意見などというのは全く聞かれない。これはもう暫定だから、憲法違反を免れるための緊急避難だという意味でしょう。しかし、抜本改正の際にはこのような住民の意見は当然聞くべきであると思いますが、どうですか。
  69. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 先ほど来御論議がございました中で、大臣としても、まず抜本改正に当たってはその基本の部分についてひとつ各党で十分お話し合いをして合意をいただきたいと申し上げている段階でございます。したがって、さらにその後具体的にどういう手続でどういうふうに進めていくかというところまでなかなか申し上げる立場にもないわけでございますが、選挙区をどうするかということにつきましては、当該地域の実情、その実情の中には当然住民の方々のいろいろな経済的社会的実態、意識というものもあると思いますが、そういうものも十分しんしゃくして考えていくべきものだというふうに思っております。
  70. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私は、自治省に住民感情というものをぜひとも御調査を願い、必要に応じては委員長、ここで意見を聞くような機会を持っていただいてもいいと思いますが、このあたりはひとつ理事会で十分御検討をしていただきたい。  いずれにしてもこの選挙制度の問題は公選特が議会の中の最も責任のある機関だ、こういうふうに思いますので、この抜本改正、定数是正の問題委員長一番権威を持っておられる。委員長の言っておることを聞けばこんなことにならなかったと思うのですけれども委員長はどうしたものか、時に妥協されたのか、こんなことになってしまって大変残念ですが、委員長の提案を思い出してまたいろいろとこの委員会で勉強する機会をつくっていただきたいと思いますが、いかがですか委員長。  それでは、また御質問選挙部長並びに警察の方にも来ていただいておりますので、お願いしたいと思います。  今は投票率が五〇%になるような大変残念なことで、やはり投票率は七〇%を超えるような投票率が望ましいと思うのです。ところがこれから申し上げるのは、むしろこんな形での投票率を上げることはどうかなということでございます。  これも私の選挙区に関係あるのですけれども、私の選挙区のことになると、二年前のことですからやるつもりはないのです。しかし、その翌年にあった地方統一選挙でも依然としてこの問題が出てきて、選挙制度が大変スポイルされる、腐敗選挙になるおそれがある、私はこれを心配するから、制度全般として自治省選挙部長、本当は大臣がおられたらいいと思いますが、それから取り締まりですごい苦労される警察庁の刑事局長の御意見を承りたいと思うのです。  まず、私は選挙法の素人ですけれども、わかりやすいように公職選挙法など読んで勉強したら、投票当日投票所投票主義、なるほどうまくプリンシプルを簡単な用語で言われておりますが、これが一番大事な選挙を公正にするための制度だというふうに私は見受けるのです。投票当日投票所投票主義を選挙法で採用している理由はどこにあるのですか、まずここから伺いたいと思う。
  71. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 選挙の公正な執行を期するためだと考えております。
  72. 塩崎潤

    ○塩崎委員 つまり、衆議院なら選挙期間が十五日もありますが、選挙期間の十五日毎日ずっと投票日にしていったらいけませんか。なぜ最後の日だけ投票日にしておるのか、その理由をちょっと教えていただきたい。
  73. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 やはり投票というものは正しく行われなければならないと考えられます。そのためには、一定のきちっとした場所できちっとした管理者のもとで適切に行われるようにしていく必要があるだろう、そういうものをつくるのは、やはり特定の選挙期日というものを定めて、そこに投票所等も設置してやるのが適当だということであろうかと思っております。
  74. 塩崎潤

    ○塩崎委員 それでは、五日ごとに投票日を置くようなこともできますか。私は、不在者投票制度については次に質問しますけれども、やはり投票所投票主義ということがチェックの仕組みから見て公正な選挙ができる方法だと思うのですが、今のような、私の言葉で言えばルーズな不在投票制度ならば、もう毎日やれるのですから、毎日不在投票が私のところで二千くらい行われてきたわけですね。不在投票はずっとルーズですよ、投票所投票主義に比べれば。それならもう五日ごとに、十五日のうち三回くらい投票所投票主義という制度はとれませんか。
  75. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ただいまの点につきましていろいろと検討したことが実はございませんので、ただいま御質問を伺って私が考えお答えをすることをお許しいただきたいと思いますが、やはり投票所の数というのは非常にたくさんございますし、現実には学校の体育館などを使っているものもたくさんあるわけでございます。したがいまして、余り数多く投票日をつくりますとそういういろんな施設に対する影響ということもあるんではないかと思いますし、それからまた、投票所を設定するということになりますと、非常にたくさんの人間がそのために働くことになるわけでございます。これも通常は、例えば市町村の職員なんかですとほかの仕事をしている人がそれを手伝うということもあるわけでございますし、そういう点を考えますと、投票日を幾つかつくるということは難しいのではないかなというふうに感じております。
  76. 塩崎潤

    ○塩崎委員 これは私の選挙区のことで大変恥ずかしいことなんですけれども、五十五年には一番多くて六千百一しか不在投票がなかった。ところが、六十一年の選挙のときには二万三千五百七十八と大激増しましたし、初日から千人近くの人が毎日毎日、これは不在投票所が私の選挙事務所の少し先にあったものですから、どんどんどんどんいわゆる駆り出されて自動車で運ばれて投票したのですね。最後はもう三千近くの人が前の日に行っておるような状況でございます。それから、これは衆議院選挙だけで済んだかと思ったら、そうではないのですね。翌年の地方統一選挙で見ますと、県議選では五十八年には千八百七十七しかなかった。六十一年になって四千八百六十、これも三倍くらいにふえているのですね。  こういうふうに不在投票がふえるのなら、投票当日投票所投票主義が崩れるんじゃないでしょうか。先ほど申し上げましたように、毎日何百人、何千人、二千人近くの人が投票に行くのですからね。全体で有権者の一〇%の人たちが不在投票をしたということになる。どうですか。
  77. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 御指摘のように非常に多くの方が不在者投票をした。多くの方がという意味は、例えば全国的な不在者投票の率でありますとか過去の状況に比べまして多いということはおっしゃるとおりの事実でございます。ただ、どういう事情でそれぞれおやりになったか、これは個別に聞いてみるというわけにもいかないものでございますから、それがなぜかということをここで申し上げることはできないわけでございますが、確かに非常に多いわけでございます。  私どもといたしましては、不在者投票というのは当日投票主義の例外でございますから、やはりそこは適切な運用をしていかなければいけないだろうというふうに考えておりまして、これまでもそういうふうに選挙管理委員会の方にも御指導は申し上げております。これからもそういう指導に十分努めてまいりたいと考えております。
  78. 塩崎潤

    ○塩崎委員 その途中でございましたが、自治省選挙課が我が松山の状況を見ながら、これは異例だ、不在者投票を選挙戦術に利用するのは残念であるというようなことを言われた記事が、何か愛媛新聞か私ども地方新聞の中にあったことがありました。その趣旨はどういうことでしょうか。そして、ある県の選管事務局長は、不在者投票制度を駆り出しに悪用することは大変残念なことだ、こういうふうにこれは県会で答弁をされておりますが、自治省は途中でこれは大変残念だ、こう言われたのはどういう趣旨ですか。
  79. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ただいまお示しになられました事例は、何分総選挙中あるいは総選挙終了直後のふくそうした状況の中でのことだと思われまして、具体的にどういう発言をだれがやったかというようなことについて現時点で確認することが困難なのでございますけれども、全国的な状況や過去の実績等に照らして特に不在者投票が多いということについて、ちょっと普通とは違うのかなというような感じをあるいは持って言ったのかな、今私が申し上げることはこれも推測でしか申し上げられないわけでございますが、そういうような気もいたします。いずれにしましても、先ほども申し上げましたように、不在者投票というのは例外として認められておるわけでございますから、適正に運用されなければならないと考えております。  それから、悪用云々につきましては、これは選管の方の発言としてただいま御指摘があったわけでございますが、あるいはそれはそういう機会を利用して買収等の事件が起こった、そういうようなことも頭に置いておっしゃっているのかどうかとも思いましたが……。
  80. 塩崎潤

    ○塩崎委員 不在者投票制度というものは、投票当日投票所投票主義の例外なんですね、あなた方の解説によれば。ところが、その例外が原則と変わらぬように運用されたような形跡が私のところでは県議選まで含めて見られたと思うのですけれども、不在投票の理由が客観的になければ投票当日投票主義に従わなければいかぬのでしょうね。不在投票の理由というものはどんなふうなものですか。今買収だからと言われたんですけれども、買収よりも、不在投票の理由のない人に不在投票をやらせるということは、やはり一つの罪じゃないでしょうか。選挙部長の今のお話では、買収だからというお話があったんですが、そうじゃなくて、投票当日投票所投票主義、これが大事な原則で、不在投票の理由がないのに不在投票をするということは、公選法違反じゃないんですか。
  81. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 不在者投票の事由がないのに不在者投票するということは、公選法違反でございます。
  82. 塩崎潤

    ○塩崎委員 罰則はありませんか。
  83. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 具体のケースによっていろいろあろうかと思いますが、罰則としては詐偽投票罪というのに該当する場合があるだろうと考えております。
  84. 塩崎潤

    ○塩崎委員 あなたが買収というふうに関連して言われたことをあらわすように、当時の同日選を顧みて「金権体質まざまざ」「学生にまで買収の手 金の大半、ブローカーに」という朝日新聞の記事がありまして、「不在者投票に行った愛大生は「どうせ棄権する票だし、一度不在者投票も経験しておきたかったから」とあっけらかんと話す。この愛大生は四月の松山市議選である陣営の事務所でアルバイトをしていた時「不在者投票は違反ではない。投票に行かない人に行ってもらうだけ。食事やタクシー代くらいは出すから学生を集めてくれ」と頼まれ、友達に声をかけた」。そして学生が何百人行ったのです。これはどうですか。不在者投票は罪ではない、国民はこんな思想なんですか、どうなんですか。
  85. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 投票当日どうしてもやむを得ない事情があって投票に行けないという方もあるわけでございますから、そういう方々の選挙権の行使を図っていただくことも大事でございますから、不在者投票という制度がつくられているわけでございます。しかし、先ほど来申し上げていますように、これはあくまでも例外的な措置でございますから適切に運用されなければいけない。不在者投票事由がないのに不在者投票をしていただくことがあってはいけないということで、選挙管理委員会の方といたしましては、不在者投票の申し出がありましたときには、なぜ当日投票に行けないかという事情などもちゃんと確かめまして、御本人の宣誓書なども書いていただいて不在者投票をしていただくということで、いろいろ適切な運用をするための努力もしておるところでございます。
  86. 塩崎潤

    ○塩崎委員 四十五年の通達で、不在投票の要件を大変緩和しましたね。そして宣誓だけで足りる。宣誓という仕組みが日本に向いているのかどうか疑問だけれども、投票日にはゴルフに行くから前の日に不在投票してもいいぐらいのことに今なっておるし、だれでも簡単に不在投票を認めるような仕組みになっていることは、駆り出しに使われるおそれがあって、制度としてどんなものでしょうか。  私のところは、恥ずかしいことに、翌年の地方統一選挙までも入れて非常に高い不在者投票率を持っておるのですが、不在者投票制度をもう一遍厳格にすることは時代逆行でだめだということなら、皆さんこのままでほっておいていいと思われますか。選挙部長、どうです。
  87. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 不在者投票制度がどうあるべきかということは、なかなか難しい課題だなと思っておるわけでございます。と申しますのは、一方で残念なことでございますが投票率が下がってきておるという状況もあるわけでございます。そういう点でできるだけ投票に参加をしていただくという意味では、これはもちろん正しく使っていただくことが前提でございますけれども、こういう不在者投票という制度もあるのですから、どうしても投票所に当日行けない方は不在者投票でぜひ選挙に参加してくださいということも一方で大いにやらなければいけない、現にやっておるという状況もございます。一方で、先ほど来御指摘のように、あるいは制度が正しく使われなかったのではないかという問題提起もあるわけでございます。それでは四十五年の改正前の姿に戻すことはどうかということでございますが、証明書などを発行する、そういうこと自体についていろいろな問題も考えられるわけでございまして、これを昔の制度に戻すことは現時点でいかがなものだろうかなという感じもするわけでございます。両方の面がありますだけに、なかなか難しい問題だなと私ども考えております。
  88. 塩崎潤

    ○塩崎委員 これは刑事局長来ておられるから伺ってもいいと思うのですが、不在者投票制度の乱用というものを取り締まるのは大変難しいのですね。挙げた事例は、後で買収で検挙するということのほかに、替え玉を見つけようとして努力されて、苦労されて、替え玉のときだけ不在投票でも選挙違反だとして挙げる。不在者投票の理由がないのに不在者投票をしたという、これは要件が難しいかもわかりませんが、これを取り締まるということは今のやり方なら不可能に近いのじゃないでしょうか。刑事局長、どうでしょうか。非常に御苦労されてやっておるのは、やはり買収犯に突っ込んだり替え玉に突っ込んだりするような格好でやっておられて、不在者投票の理由がないのに不在者投票したということは今の法律要件では難しいと思うが、どうでしょうか。
  89. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 御指摘のとおりだと思います。不在者投票をめぐりまして買収罪だとか詐偽投票罪だとかに該当する場合には検挙いたしておるわけでございますけれども、不在者投票の理由がないということで投票したということは、その立証もなかなか難しいわけでございますし、そういった検挙事例というものは、私は承知しておりません。
  90. 塩崎潤

    ○塩崎委員 ですから、選挙部長、今刑事局長が言われたように、もう実質犯みたいな、刑事犯みたいなことになって初めて警察が突っ込まれて苦労されてやるぐらいのことしかできないのですね。だけれども、不在投票がそんな程度の考え方で運用されておるのなら、どんどんと過熱化していって、駆り出しに使われるのはだんだん進んでくるのじゃないでしょうか。私は、やはり選挙制度というものは公正で腐敗があってはいかぬ、そして投票当日投票所投票主義を守られなくなってきたと思う。私のところに毎日の不在者投票の資料がずっとありまずけれども、本当に地方統一選というものがある初日からずっと投票していくのですから、投票当日投票主義が崩れているということを考えれば、もう少し簡単に不在者投票を取り締まる、やかましく言うことができないか。あるいは、それならもう毎日投票でもいいということに直していただいた方がまだいい。それは全国でやらなくてもいいというのなら、地方の選管の状況によって、もう不在者投票は認めぬ、そのかわり五日ごとに投票所投票主義でいく、こういうことにできませんか。私は、取り締まり方で警察が本当に苦労されている、難しいと思う。
  91. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 私ども選挙管理委員会もよく指導いたしまして、あるいは指導をまつまでもなく選挙管理委員会としてもそういう点は十分自覚しておられると思いますけれども、今後とも不在者投票の適正な運用については十分留意をしていかなければならないと考えておりますが、さればといって、この不在者投票制度について、例えば何か新たな別のやり方を考えるということも現実には極めて難しい面もあるのかな、いろいろと慎重に検討していかなければいけないのではないかなというふうに考えております。
  92. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そうすると、不在者投票制度は現行のままでいい、これで適正と考えられておるわけですか。私は、それならそれとして、こちらも選挙戦略を考えないと大変だと思うのですね。  私はいろいろ罰則を研究してみましたが、選挙の自由妨害罪、それから選挙犯罪の扇動罪とか、罰則は割合細かいですね。そして、単に買収という刑事犯に突っ込まないでも簡単に取り締まりができるような規定が見受けられる。例えば法二百二十五条「選挙の自由妨害罪」「四年以下の懲役若しくは禁錮(こ)又は三十万円以下の罰金」のところを読んでみると、暴行、威力または拐引による自由妨害罪、選挙人、候補者、候補者となろうとする者、選挙運動者または当選人に対して暴行を加えもしくは心理的に威迫しまたは欺きもしくは誘惑して他所へ連れていっていった場合はこれに該当するという解釈がありますね。このような解釈をもう一歩進めるかどうか、あるいはもう少しこれは歴史的な意味において駆り出し的なことならば簡単な警察ができるような取り締まり、罰則、こういったことが考えられませんか。ともかくも不在投票の理由がないのに不在投票をせしめた者、これは簡単な取り締まりができるような罰則規定というものはできませんか。
  93. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 先ほど現実に不在者投票の公選法の規定違反で検挙したものは事例としてまずないだろうというお話があったのですけれども、そのことは逆に言うと、そういう不在者投票の事由がないのに不在者投票をしたということをどう把握したらいいかというところにやはりいろいろなかなか難しいところもあるのかなということを物語っているようにも思います。罰則のようなものを考えました場合には、物の考え方そのものもございましょうし、実際それを立件するときにうまくできるかどうかというようなこともあるいは検討しなければいけないのじゃないかというふうに思います。いずれにいたしましても、慎重に検討をしなければいけないことではないかなというふうに思っております。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕
  94. 塩崎潤

    ○塩崎委員 選挙部長はなかなか学者タイプだから、そのような非常に抽象的なお答えで私に対処されるのはわかるのですけれども、私はそのときの不在者投票の生々しいビデオを持っているのです。それを見たら、選挙部長からあのような発言はなかなか出てこぬ、これは大変だなと思われると思う。一遍見てくださいよ。これは一遍私のをお貸しをしますから見ていただきたい。  選挙が過熱化すると、何があるかわかりませんよ。そして、今言ったように、不在投票というようなことは形式犯のみならず罪にならぬのだということが言われておるようなことだと大変なことになると私は思うのですが、いかがですか。
  95. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 先ほど来申し上げておりますが、あくまでもこれは適正な運用を図らなければいけないものでございます。私どもとしましては、ともかくその適切な運用のために今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  96. 塩崎潤

    ○塩崎委員 適正に運用するという意味は具体的にどういう意味なんですか。何ら通達も出さない、このままでいく、法律を読めばわかるであろう、こういうことですか。
  97. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 不在者投票の適切な活用につきましては、これまでも通知等をもって指導もいたしておりまして、私は趣旨もおおむね徹底していると思いますけれども、もしそういうのが足らざるところがありましたら、さらに徹底するようにいたしたいと考えます。
  98. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私が大変に残念に思うのは、同日選の衆議院選挙の六十一年のみならず、六十二年にも同じようなことが起こっておるからこれは大変だなと思うのですよ。御存じですか。
  99. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 不在者投票の件数が、そのときどきによっていろいろふえたり減ったりいたしますが、統一地方選のときにもかなりふえているというところもあるということは、私も数字は見ております。
  100. 塩崎潤

    ○塩崎委員 その程度の認識では、これは大変困ると私は思うのですね。これは選挙制度の根幹を大変揺るがすような問題だと思うのです。私は、これが続いていくなら投票当日投票所投票主義というものをやめた方がいいというふうに思うのです。  そこで、警察の仁平刑事局長が来られておりますが、大変御苦労をされて、今までの観念から買収あるいは替え玉投票みたいな悪質なものしか捕まえぬと申しますか、そういうことでやっておられたのですが、大体刑事局長が見られて、果たしてこの不在者投票制度の駆り出しというようなことを今後取り締まることができますかどうか。大変苦労をされておることを私は知っておるものですから、今後本当にこの程度の法律のもとで取り締まることができるかどうか。できないと言ったらまた大変なことになるかもしれないが、ひとつ自治省とも後で御相談していただかなければならぬと思いますけれども、御意見をひとつ承わらせていただきたいと思います。
  101. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 駆り出し行為といいましてもいろいろな態様があるわけでございまして、一概には申し上げられないと思いますが、利益供与罪で問擬すべきものも中にはあるわけでございまして、こういったものにつきましては、検挙措置を含めて厳正に対処してまいりたいと思います。
  102. 塩崎潤

    ○塩崎委員 まだ少し時間がありますので、次に政治資金規正法の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  先ほども山花委員からお尋ねがあったようですけれども政治資金規正法の附則の八条でしたか、とにかく五年たてば見直すということになっておりますけれども梶山大臣、どうして見直されないのですか。これは国会が悪いと言えばそうなんですけれども政治資金規正法の主管大臣梶山自治大臣というふうに思いますので、御意見を聞かせていただきたい。
  103. 梶山静六

    梶山国務大臣 見直し規定のあることはよく承知をいたしておりますが、前回の二遍の改正は、やはり時代背景があって、焦眉の急というかそういう社会的必然性、政治的な必然性と申しましょうか、そういう状況のもとで行われたわけであります。ただ、五年たてば自動的に見直すことはもちろん大切なことでございますが、いずれにいたしましても、今政治資金の問題で一番世上とかく言われているものはパーティーのたぐいの問題ではないかなという感じがいたします。ただ、私が考えますと、政治団体あるいは政治団体以外のものが行うこういういわゆるパーティー、このこと自体定義づけ、意義づけはなかなか難しいかと思います。しかし、これを政治資金に使うか政治資金以外のものに使うか、それぞれの方法が分かれるところかもしれませんが、受ける側の感じからいえば、私は、浄財だという感じで処理ができる問題でございますから、自民党検討されているような何らかの上限の規制というのはあってしかるべきものではないかなという私見を持っております。  そういうことでございますから、時期を見てこういうものが成案化をされ、毎度申し上げますように、政党のよって立つ基盤でもございます、それぞれ異なりますから、各党間で話し合いを詰めていただいて、その中で成案を得てほしいなという感じがいたします。
  104. 塩崎潤

    ○塩崎委員 政治資金規正法は見直し規定が入っておりますから特に重要だと思うのですが、私は見直さなければならないのはパーティーの問題だと思うのですね。最近税制改革を抜本的にやろうということで、不公平税制というものがあるかと民間の方々に質問をしていくと、その中に、パーティーお金には全然税金もかからぬじゃないか、これが一番不公平じゃないか、こんなことを言われておることを考えますと、やはりパーティー規制というものが何らかの形で政治資金規正法の中で必要じゃないでしょうか。  時間がなくなりましたから簡単に申しますと、つまり、私ども政治資金で報告したものは非課税なんですね。それは、入ったものを必ず自治省届け出て、そして財産化されていない、政治資金に支出されているという前提で非課税になる。ところが、パーティーで集めた金は何ら報告義務もなければ、その内容について税務署に申告したという話は余り聞いたことがない。法律関係も大変そこは難しいところがありますが、この点について梶山大臣はどう考えられるか、伺いたいと思います。
  105. 梶山静六

    梶山国務大臣 私が公的な場所で答えるべき性質のものであるかどうかは甚だ疑問でございますけれども、よしんば政治団体届け出でなくて、いわば任意団体パーティーということで、その問題は政治資金規正法にのっとる届け出がなされない場合であっても、私の推測によれば、恐らくそのお金個人的な所得に帰するものではなくて政活活動に使われているものというふうに理解いたしております。  ただ、現実にそういうものがなぜ行われているかといいますと、これは因果律でございますが、なかなか政治資金の調達が難しい、ですから継続的な会費を納めてくださる政治資金規正法にのっとったあれがないとするならば、一過性のものというか、スポット物というか、こういうものに頼って何とか足らざるところを補っているのが現実ではないかという推測をいたしております。ですから、こういうものを明らかにすることによってむしろ不信を取り除くことの方がはるかに利点が多いという感じが私はいたします。
  106. 塩崎潤

    ○塩崎委員 これで終わります。  ありがとうございました。
  107. 鹿野道彦

    ○鹿野委員長代理 中村巖君。
  108. 中村巖

    ○中村(巖)委員 まず、参議院の選挙区の補欠選挙についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  公職選挙法の百十三条一項三号というところには、参議院選挙区の補欠選挙について規定がされているわけでございまして、第一項は、「その議員の欠員の数が次の各号に該当するに至ったときは、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会は、選挙の期日を定めてこれを告示し、補欠選挙を行わせなければならない。」ということで、その三号は、「参議院(選挙区選出)議員(在任期間を同じくするものをいう。)の場合には、通常選挙における当該選挙区の議員の定数の四分の一を超えるに至ったとき。」こういうふうになっているわけでございます。四分の一というような規定の仕方をしておりまして、衆議院の場合には、その一項一号で、「衆議院議員の場合には同一選挙区において二人以上に達したとき。」こういうふうになっておりまして、規定の体裁が違うわけでございます。  まず第一に、この百十三条一項三号がどうして参議院の選挙区について衆議院の場合と異にするような決め方をしているのか、私、寡聞にして不勉強で、立法の経緯を十分に承知いたしませんので、これをお尋ね申し上げたいと思います。
  109. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 現行の公職選挙法は、昭和二十五年に制定されたものでございますが、その際、まず衆参両院で独自に法案が検討されたようでございます。その後、この両院の案の調整が行われたわけでございますが、その際、参議院地方区、現在は選挙区と申しておりますが、当時は地方区選出議員補欠選挙につきましては、衆議院案では任期のいかんを問わず同一選挙区を通じて二人以上の欠員を生じたときに行う。つまり、現行の衆議院議員補欠選挙事由と同じというふうに見てよろしいかと思いますが、そういうものでございました。  一方、参議院側の案は、実は公職選挙法は二十五年でございますから、その前に参議院議員選挙法というのがあったわけでございます。その参議院議員選挙法では、同一任期の議員ごとに四分の一を超えるとき、こういう規定になっておりましたものですから、その従来あった参議院議員選挙法どおりの案とするというものであったと承知しております。ですから、そこで食い違っておりましたので両院で御調整になられました結果、結果的には参議院案が採用されることになったということでございます。  なぜそういうことになったかという経緯は私ども詳細に承知しているわけではありませんが、衆議院案のように二人欠けたときというふうにいたしますと、二人区においては全員が欠けたときに初めて補欠選挙が行われるということになるではないかということが一つ、それからもう一つは、参議院の地方区選出議員の数が少ない、少ないというのは百五十名という定数を頭に置いてのことだと思いますが、それが少ないために、補欠選挙の機会が少なくなって欠員がふえますと院の運営にも支障が出るのではないか、そういうようなお話もあったというふうに聞いております。
  110. 中村巖

    ○中村(巖)委員 参議院の選挙区におきましては、いわゆる一名区、二名区というものが大変に多いわけでございまして、任期を同じくするものが四人以上いる選挙区というのは一つか二つしかない。三名区であっても、それは一人欠ければ四分の一を超えるわけですから、やはり補欠選挙を行わなければならないということになってくるわけでございます。そういうことで今日まで補欠選挙がたびたび行われて、例えば大阪のごときは二回続けて補欠選挙が行われるというような状況になっております。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、現実問題としては、補欠選挙というと選挙民の選挙に対する関心が非常に低いということになりがちでございます。最近、新聞紙上でも補欠選挙の場合に投票率が非常に低いということが報ぜられているところでございますが、最近における参議院選挙補欠選挙の実態というか投票率の実態はどういうふうになっておりますか。
  111. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 最近五年間の数字を見ますと、参議院議員補欠選挙は十一件執行されております。その中で投票率が最も高かったのが昭和五十八年十二月十八日、静岡県で行われたものでございまして、これが七三・四四%でございます。一方、最も低かったのは昨年十一月一日に神奈川県で行われたものでございまして、一九・四%でございます。  それから、選挙費用の関係でございますが、これは大阪で行われたものが十二億四千万円、それから昭和六十一年八月に佐賀県で行われた選挙の費用が一億八千百万円ということで最も低い、こういうことでございます。
  112. 中村巖

    ○中村(巖)委員 補欠選挙になると非常に投票率が低い、こういうことが実態だと思います。確かに、補欠選挙の制度を設けて、しかも四分の一を超えるに至ったときは補欠選挙をやるのだという制度にいたしますと、国民の参政権というか投票する機会をふやすわけでありますから、その面ではいいというふうには思いますけれども、今お話があったように補欠選挙を一回行いますと大変膨大な金がかかるということでございまして、そういった意味におきましても、参議院選挙区の場合に補欠選挙がこう頻繁に行われるような制度にしておくことが果たしていいのかどうかということについては、国民の間にも疑問があるというふうに思うわけでございます。  そこで、これは大臣に伺いますけれども、今日、この公職選挙法の百十三条一項三号について、これを改めるなりなんなりするという考え方があるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  113. 梶山静六

    梶山国務大臣 参議院議員補欠選挙制度については、最近実施された補欠選挙の投票率が低かったことなどもありまして、いろいろな御意見もあるやに聞いておりますが、国民の代表が欠けた場合にはこれを補充するための重要な制度でありますので、そのあり方については慎重な検討をする必要があろうかと思うわけであります。  なお、自治省としては、これまでも選挙権の持つ重要性にかんがみ、投票率の向上を図るべくいろいろと努力をしてきたところでありますが、今後とも選挙管理委員会との十分な連携を図り、投票参加に向けて啓発に努力をしてまいりたいと思っております。
  114. 中村巖

    ○中村(巖)委員 啓発に努力するのはいいんですよ。今日までも啓発に努力してきたんだろうと思うのですけれども、その結果としてこういう現象が生じてしまっている、そのことを踏まえてお考えになることはないのかということをお尋ねしているわけです。  一つは、国としても先ほどお話があったようにかなり費用がかかるということでありますし、地方自治体においてもかなりの負担を強いられるということになってくるわけですね。そこで、補欠選挙に限りませんけれども選挙の費用の国と地方自治体の分担関係、これは超過負担ということが非常にあるわけでございますので、その分担関係というものが現状としてはどうなっているのかということをまずお伺いしたいと思います。
  115. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 極めて簡単に申し上げますと、国政選挙の費用はすべて国が持つ、それから地方選挙の費用はそれぞれの地方公共団体で持っていただく、こういうことになっておるわけでございます。一般的な地方財源の措置といたしましては地方交付税制度などもあるわけでございますが、そういう地方選挙の費用などは当然地方交付税の需要額には見込んでおりますけれども、とにかく出しどころは、国の選挙については国、地方選挙には地方というのが基本でございます。ただ、実際に選挙の管理、執行は、国政選挙でございましてもそれぞれの都道府県の選挙管理委員会にお願いをしておるわけでございます。そういう選挙管理委員会が動くための経費はそれぞれの地方公共団体の予算に計上する必要がございますので、国の方は委託費として出しますが、受けた委託費をそれぞれの地方公共団体では歳出予算でまた組む、こういう形になっております。
  116. 中村巖

    ○中村(巖)委員 それは公職選挙法の二百六十三条ですか、国庫負担ということが決められているわけでありますけれども、現実問題としては、国から交付されるそういう金以外に、地方自治体というものは相当選挙になると金を出さなくてはならないということが実態だと思うのですね。それで超過負担だ、こういうふうに言っているわけでありますけれども、その辺、例えば特定の選挙をとらえた場合に、自治省としては国から行くお金で全部地方が賄い得ているという認識なのかどうかということをお伺いします。
  117. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 お尋ねの点につきましては、実は昭和五十八年に執行されました衆議院総選挙の直後に、私どもとしてもその実情がどうかという調査をしてみました。これは悉皆ということではございませんで抽出調査でやらせていただきましたが、ほとんどの団体におきまして私ども国の方から交付した額で円滑な執行が行われておりまして、超過負担というのはまずないと見てもいいのではないかなというふうに私どもとしては認識しております。ただ、今後ともそういう超過負担というようなことが生じないように私ども気をつけてまいらなければならないと考えております。
  118. 中村巖

    ○中村(巖)委員 今の財政問題ですけれども先ほども申し上げたわけでありますが、一つ補欠選挙をやると、先ほどの大阪の例でありますけれども、十二億も金がかかる。こういったような実情のもとで、もう一度大臣に伺いますけれども、そういう負担は国としても、あるいは地方の負担部分があるとすれば地方自治体としても、やむを得ないものである、こういうふうにお考えでしょうか。
  119. 梶山静六

    梶山国務大臣 代表を選ぶことが必要である以上、やむを得ないという感じがいたします。  それから、先ほどの参議院の補欠選挙の問題でございますが、それ以外に知恵がないかということでございますが、やはり国民の代表が欠けたという場合でございますから、これはお金がかかるあるいは投票率が低いということのゆえのみをもってこの制度の改廃を考えることはいかがなものか。低いこと自身にも私はある意味で意義があるという気もいたしますし、低ければ低いなりに投票率を高める努力はいたすものの、そのことによって制度自体をどうこうしなければならないかということになりますと、また別な問題になるということを先ほど言い落としておりましたので、つけ加えておきます。
  120. 中村巖

    ○中村(巖)委員 大臣に重ねて伺いますが、先ほど来申し上げているように、衆議院の方と参議院の方と制度的に違っている、こういうことについてはいかがでしょうか。
  121. 梶山静六

    梶山国務大臣 当時の状況を調べてみますと、それぞれ衆議院と参議院違った方法で、参議院の方が地方選出の議員の数が少ないため、欠員がふえると院の運営に支障が出る等の問題点が参議院から指摘されて、このような結果になったというふうに承知をいたしております。
  122. 中村巖

    ○中村(巖)委員 では、今度問題を変えまして、いわゆる在外投票制度、こういう問題があるわけでございまして、かつて自治省は、在外投票制度あるいはまた在外選挙人名簿の登録制度ということも含みますけれども、そういうものについて法案をつくられておったわけでございますけれども、これはいつの間にか、言ってみれば雲散霧消してしまったような今の状況になっているわけであります。その当時、提案の理由としては、我が国の国際関係の緊密化に伴い、国外に居住する国民が増加しつつあることにかんがみ、これらの者についての選挙権行使の機会を保障しなくちゃならない、こういうことでやられたわけでございます。しかし、その後におきましても、我が国の国際関係の緊密化というか国外に居住する国民が増加しつつある趨勢というものは増大をしているわけでございます。今時点でこの制度について自治省としてはいかにお考えになっておられるのでしょうか。
  123. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 在外邦人に選挙権行使の道を開くためのいわゆる在外選挙法案でございますが、百一国会に提案をいたしたのでございますけれども、継続審議が続きまして、第百五回国会において衆議院解散のため廃案となったわけでございます。その間委員会等における実質的な御審議はなかったわけでございますが、各方面からさまざまな御意見問題点の御指摘もいただいておりました。それで、そういうような点につきまして今引き続き検討を行っておるというところでございます。
  124. 中村巖

    ○中村(巖)委員 自治省はみずからこういう制度がいいのだということで提案をなすった、ところが各方面からいろいろ問題点指摘された、こういうことでは、もともと自治省が提案したそのものが不十分であった、こういうことに帰着をすることになるわけでございまして、今問題点がいろいろ指摘をされておるということですけれども、どういうことが問題点として指摘をされているのでございましょうか。
  125. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 例えば、これはまずどういう方に在外選挙を認めるかということでございまして、一応私どもが提案した法律案では永住者というのは除いておりまして、またいずれ日本に帰ってくる方ということにしておったわけですが、それに対して、やはり永住者にも認めた方がいいのではないかというような御意見もあったと思います。  これは物の考え方に関する事柄でございますが、そのほかかなり技術的な面もございまして、例えば実際選挙が行われます場合に、立候補者の氏名あるいはその政見というのをどうやって在外の選挙人に周知すればいいのかというようなことがあったわけでございます。これは、私どもが提案いたしました法律案は、御承知かと存じますけれども、海外の選挙区というようなものをつくるのではございませんで、それぞれの邦人が最後に日本で住んでおったところの住所地の選挙区の候補者に対して投票する、こういう仕組みをとっておったわけでございますから、日本全国の立候補者の氏名、政見等を、知らせるとしたら知らせる必要があるわけでございます。それを一体どうやったらいいんだというようなことがあったわけでございます。  それからあと、私どもの提案いたしました案では、投票は在外公館でやっていただこうという案になっておったわけでございます。もちろん在外公館のないところもあるということは承知の上で、しかしそれ以外には方法がないだろうということで提案しておったわけでございますが、それに対して、在外公館から非常に遠距離に居住する選挙人もいるではないか、それから、国によっては在外選挙を認めない国もあるということだから、そういうところの人は郵便による投票を認めるべきではないか、こういうような御意見もあったわけでございます。  例えば今申し上げましたような御意見どもありまして、今いろいろ私どもも研究をしておるということでございます。
  126. 中村巖

    ○中村(巖)委員 今問題点の説明がありましたけれども、その種のことは法案を御提案になる以前から当然あったことであって、その後に生じた問題ではないわけでございます。にもかかわらず、そういう問題点があるから今また検討中だというのは、私は役所としては大変おかしなことだろうというふうに思いますけれども、何で再提出をいまだにしないで廃案になってしまったままにしておくのかということを改めてお聞きをしたいというふうに思います。
  127. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 前回の提案した内容が不十分なままでなかったのかということにつきましては、何とも申しようがないわけでございますが、例えば今の氏名の周知の問題などを考えましても、これは事務的にはある程度その辺は割り切ってもいいのじゃないかという気持ちが恐らく法案提出するときにはあったと思いますが、実際に一票差、二票差ということが問題になることもあるわけでございますし、これは委員会等の審議の場でお聞きした意見ではございませんけれども、本当にきちっと公平に間違いなく候補者の氏名、政見等が伝えられるかというようなことを言われますと、確かにそこには具体的にどういう手段があるのかということもあるわけでございまして、そういうようなこともございましてなおいろいろ研究をしておるというふうな状況でございます。
  128. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そうなりますと、大臣も今の国際化の状況というものをお認めいただけるというふうに思いますが、そういうような状況下にあって、この在外投票制度というようなものは必要であるというふうに考えておられるかどうか。さらに、必要であるとお考えになっておられるとするならば、早急にこれを再提出をする御意思がおありなのかどうか、お伺いをいたします。
  129. 梶山静六

    梶山国務大臣 外国に移住する日本人について選挙権行使の機会を保障する事は極めて大切だという認識に立っておりますけれども、今選挙部長から経過についていろいろな問題点指摘がございましたけれども、国内外同一条件で選挙を行うことはできないという現実論、それから、外国に居住する場合でも利便な場所、在外公館のある場所あるいは遠隔地、こういう方々にどうやって同一のいわば条件を付与することができるかどうか、こういう問題点指摘をされておるわけでありますので、そのために継続になり、さらに廃案になったというふうに理解をいたしますと、再提出についてはさらにそういう点の問題を詰め合って、関係省庁とも協議をいたしまして、検討を重ねて結論を得たいというふうに考えております。
  130. 中村巖

    ○中村(巖)委員 委員会で審議をしたわけではないのですから、そういう問題点があったから廃案になったのだ、こういうことではないというふうに思うのです。それはいろいろな意見があったから自治省は固執をしなくなったのだということで、言ってみればどこかから政治的圧力があって自治省はそういうことをおやめになったのじゃないか、私どもはこういうことさえ勘ぐるわけでありますけれども、そういうことではないのでしょうか。
  131. 梶山静六

    梶山国務大臣 詳しく経過を調査はいたしておりませんが、先ほど部長から答弁をいたしましたように、その後、同一条件のもとで選挙権の行使ができない、その現実論をどうすべきかという問題点につき当たったわけであります。冒頭申し上げましたように原則として選挙権は保障されるべきであるという前提に立ちながらも、そういう現実論がございますので、これから検討を進めてまいるというのが現実でございます。
  132. 中村巖

    ○中村(巖)委員 ではまた次、別の問題に変えますけれども、いわゆる励ます会というか、そういうパーティーというものが花盛りであるということで、マスコミにも盛んに言われているわけであります。この種パーティーが余りにも頻繁に行われますために、経済界あたりでも、何とかすべきじゃないか、こういう声さえ上がっているような実情でございます。  そこでまず最初に、極めて素朴な質問をいたしますけれどもパーティー券、これをいろいろな人が購入をいたすわけでありますけれども、二万円、三万円、ときには五万円というようなパーティー券が購入される。政治家の励ます会、こういうふうになりますと、それはパーティー券購入それ自体寄附、献金というのに当たるのじゃないか。パーティー券を購入いたしましても、実際にはパーティーに行って飲食をするということはない、こういうものも多数あるわけでありますし、あるいはまた、パーティーに行きましてもそこで出される飲食物なんというものは到底その券の金額に見合ったものじゃない、こういうことになると、その全部が全部とは言わないまでも、相当部分政治献金あるいは寄附政治資金規正法上の寄附に該当するのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  133. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 いわゆる励ます会などのパーティー券の購入について政治資金規正法上どういうふうに解釈しておるかということでございますが、これは、購入いたしますパーティー券の価格が社会常識の範囲内のものであり、その購入枚数も出席を前提とした妥当なものである限りは、パーティーと対価関係にありまして、政治資金規正法上の寄附にはならないという解釈、これは昭和五十年の改正以来こういう解釈をとってきております。
  134. 中村巖

    ○中村(巖)委員 このパーティーがいかなる政治団体あるいは政治団体に類する団体がやろうとも、それはこの政治資金規正法の関知するところにあらず、こういうことになるわけですか。
  135. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 政治資金規正法は、政治団体というものをとらえまして、その政治団体について、設立のときから始まるわけでございますが、ごく簡単に言えば政治団体における資金の収支というものについて報告をしてもらおう、こういうことになっておるわけでございまして、政治団体以外の個人であるとか団体については対象にしておらないわけでございます。  ただ、改めて申し上げるまでもないかもしれませんが、特定公職の候補者につきましては昭和五十五年の改正政治資金規正法規定上にのってきたわけでございますが、原則として政治団体を対象としておる、こういうことでございまして、その収支の報告を求めておるわけでございます。  したがいまして、いわゆるパーティーというものをどういう方が主催するか、いろいろやり方があるようでございまして、政治団体主催で行われるものもありますが、それ以外に、発起人の方々が名を連ねて個人が集まって主催するという形のものもあるようでございますが、そういうものは、ただいま申し上げました政治資金規正法性格上、法律の中にはのってこない、つまり報告は出てこない、こういう形になっております。
  136. 中村巖

    ○中村(巖)委員 今の答弁、ちょっとよくわからないのですけれども政治資金規正法上の政治団体がやれば、それは収支報告が要るのだから、その中にはパーティーの収支報告も必要になってくる、こういうことですか。
  137. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 そのとおりでございます。
  138. 中村巖

    ○中村(巖)委員 政治資金規正法によって、政治団体以外の者がやる、今言われました任意で何人かが集まってやる、あるいはまた任意団体を設立してやるというようなものについて規制をするということは考えられないのかどうかということでございます。規制をするといっても、政治団体として届けていないものについてそれはなかなか難しいというふうに思います。本来政治資金規正法というものは、政治に使われる金をはっきりさせよ、こういう趣旨に基づいてできたものだというふうに考えられるわけでございまして、実際にパーティーというような形で金集めがなされて、それが政治の金に使われるということであるならば、政治資金規正法本来の考え方に立って、政治資金規正法そのものを何らかの形でこれを規制できるようなものに改める必要もあるのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、その点について自治省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  139. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 ただいまの点につきましては、一つには政治資金規正法法律性格をどう考えるかというところがあるかと思います。先ほど申し上げましたように、特定公職の候補者が出てきておるということは、五十五年の改正でそうなっておるわけでございますが、原則的には政治団体というものをとらえておるわけでございます。ですから、そこのとらえ方が、政治団体政治資金規制というとらえ方からさらに広がる。もし政治団体以外のものをそこに入れるということになりますと、そういうことになると思います。そういう考え方をとることがいいかどうかという検討が必要になってくるだろう、そういう問題が一つあると思います。  そういう本質的な問題もございますが、もう一つは、かなり技術的なことになるかもしれませんが、私どもがるる申し上げておりますのは、一体パーティーというのはどうとらえたらいいのか、法律的にうまくパーティーというものがとらえられるかどうかという問題があるわけでございまして、そこのところがどうも、私どもいろいろ考えたのですが、非常にきちっととらえることが難しい点がございまして、そういう点で、政治資金規正法の中にパーティーというものをはっきりした形で入れてはっきりした規制をしていくということは、技術的にも非常に難しい面があるのじゃないかなという感じを持っております。
  140. 中村巖

    ○中村(巖)委員 今の点について、大臣はどういうふうにお考えですか。これを規制することは全然必要ないのだ、パーティーは野放しにしておいてもいいのだ、それはやむを得ないのだというふうなお考えでしょうか。
  141. 梶山静六

    梶山国務大臣 今部長お答えをいたしましたように、政治団体パーティーについては当然収支の報告義務があるわけでございます。ですから、それ以外の団体が行うものを、果たして自治省選挙管理委員会が何らか拘束する立法措置が講ぜられるかどうか、実体論は別として、形式論からいたしますと、自治省所管とも選挙管理委員会ともなかなか判断に難しいところでございまして、そういうパーティー全般の規制が行われるということになると、集会の自由やその他との関連がどうなるか、いろいろな問題もあろうかと思います。ですから、今委員指摘の今やっておるパーティーがどうかという問題とパーティー全般の問題というものをどう識別するかという問題にも立ち至りますので、さらに検討はしてみたいと思っております。
  142. 中村巖

    ○中村(巖)委員 先般自民党さんの方では、選挙制度調査会の中の政治資金等委員会というものが、中間報告といいますか、そういうものをお出しになったようでございまして、それを拝見いたしますと、パーティー関係については、「特定パーティーについては、政治団体によって開催されるよう政治資金規正法改正を行う。」こういうふうに書かれておりまして、特定パーティーというものの定義というかそういうものをした上で、それは政治団体が行わなくちゃならないのだ、こういうようにしてそれを規制しよう、こういうことのようでございますけれども、ただいま大臣なり選挙部長がお答えになった考え方からすると、こういうような自民党改正案というものは実現ができない、こういうことになりますか。
  143. 梶山静六

    梶山国務大臣 今回自民党選挙制度調査会総会において了承された政治資金等委員会中間報告は、寄附限度額の引き上げを行うとともに、最近問題になっている励ます会等のいわゆるパーティーについて一定規模以上のものは政治団体によって開催されるようにする等を内容とするものというふうに承知をいたしております。この中間報告による改正案は、物価調整的見地からの見直し及びパーティー収入の明確化を図ろうとするというふうに受けとめております。いずれにしても、政治資金あり方は、選挙制度と密接な関係を持ち、また政党の財政基盤にかかわるところから、各党の政治活動に直接関連してくる問題でありますので、各党において十分に議論を尽くしていただく必要があろうと考えております。  なお、先ほど申し上げましたように、政治団体が行うパーティーは当然収支報告は行うべきだ。ですから、自民党のいわば今回の改正案も、先ほど申し上げたように、政治資金に使われるという認識があるならばこれは政治資金の枠として政治団体が行うべきであるという一歩踏み込んだ実体論に入っての対策ではないかというふうに承知をいたしております。
  144. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そうすると、そのことは自民党の案ですから大臣に聞いても変なことかもしれませんけれども特定パーティーについては政治団体がやらなければならないんだということにするといたしますと、じゃ政治団体がやらない、政治団体以外のものが特定パーティーと称するような規模のパーティーを行うということについては、これを何らか罰則等を設けて規制をする、こういうことになりますか。
  145. 梶山静六

    梶山国務大臣 これは私、政党間で今立案をされている段階で論評をすべきではないと思いますけれども、やはり政治家はみずからがみずからを律していく能力がなければ困ります。ですから、それができなかったらばどうかということよりも、むしろ積極的にそれに取り組んでいくという姿勢の方が大切だというふうに私は受けとめておりますから、恐らく今までのというかパーティー主催する団体があるいは他の団体であっても、その果実が政治資金に利用されるということであれば、私はそういうことを政党の良識として行うことにやぶさかではないという気がいたします。さりとて全く違う任意の団体が、例えばこの梶山静六を励ましてやろうといって励ましてくださる、その場合にそのお金をよこせと言うこともできませんし、それを明確にしろと言うこともできないわけでございますから、それはおのずとパーティー性格その他によって区分をされるべきものだというふうに理解をいたします。
  146. 中村巖

    ○中村(巖)委員 政治家がみずからを律しろというお話は、それはそれなりにわかりますけれども、今立法技術というかそういうことについて伺っているわけで、政治団体または特定の候補者の政治活動に関して金を支出するようなパーティーである場合は、これは政治団体によって行うべきである、べきであるという倫理的な考え方はともかくとして、そういうもの、つまり政治団体または特定公職の候補者の政治活動に関して支出することが予定されているパーティー政治団体以外のものがやったら、それは規制できるんだという考え方になるのかどうかということはいかがでしょうか。
  147. 梶山静六

    梶山国務大臣 そのパーティー主催者が政治団体でない限り、そのこと自体ではできないというふうに私は理解をいたしますが、その果実が政治団体政治活動資金に使われるということになりますと、その時点で政治資金規正法の対象になると私は理解をいたしますので、その果実の、果実という言葉がいいかどうかわかりませんが、パーティー券の売り上げ代金の一部が政治活動に利用される段階で当然報告がなされるべきものだというふうに私は理解をいたします。
  148. 中村巖

    ○中村(巖)委員 具体的にどういうふうな法文になるのか、自民党の小委員会の報告だけ見ていたらよくわからないのですけれども、何か前段私が伺ったことに対する自治省の回答とこの自民党案で考えられるであろう規制というものはどこか矛盾をするのじゃないかな、こんな感じがするわけでございます。  時間がなくなりますのでこの問題はこの程度にいたしまして、最後に伺っておきたいのは、ほかの委員も皆伺ったわけでしょうけれども、いわゆる定数是正の問題でございます。これにつきましては、今さら言うまでもなく国会決議というものが六十一年の五月になされているわけでありますけれども、それから丸二年を経過しようとする今日、少しも実現がされていないというのが実態でございます。あのときの国会決議は、六十年国調に基づいて抜本是正をやるんだ、こういうことであるわけでありまして、だんだん遷延していると六十年国調の次の六十五年の国調ということになってしまうわけですから、早急にやらなければならない、こういうことだと思います。  ところで、まず第一に、自治省はこのために何か御努力をなすっているのかどうかということを伺います。
  149. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 先ほど大臣のお考えあるいは大臣のおとりになっておられます行動につきましては、当委員会でも披露があったわけでございますが、私ども事務的にも、やはりいろいろ諸外国の制度を研究いたしますとか、あるいは国調の確定人口があるわけでございますからそういうものに基づいていろいろ資料をつくってみるとか、そういうような事務的な研究、検討もやっておるところでございます。
  150. 中村巖

    ○中村(巖)委員 この国会決議の解釈の問題でございますけれども、国会決議でありますから国会決議について解釈するのは国会である、こういうことになるのかもしれませんが、自治省理解を伺っておきます。  まず第一に、これは六十年国調に基づいて必ず抜本是正をやらなければならないというふうに解せられておるのかどうかということが一点でございまして、もう一点は抜本是正ということの意味でございますけれども、抜本是正というのは、私ども理解する限りにおいてはやはり人口に基づいて各都道府県に一定定数を配分するという、そこからスタートしなければならない、そしてその各都道府県に配分された定数については各都道府県内において各選挙区にどういうふうに配分されるか、そういうふうな順序で物を考えなければならない、それが抜本是正であるということだろうと思っておりまして、森清委員長も大体そういったお考えであろうと私ども承知をしておりますけれども自治省としてはその二点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  151. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 この国会決議によりまして、要はできるだけ早く抜本改正のいろいろな検討をするということであろうと思いますが、それじゃその抜本改正というのは一体何だ、この点につきましては、非常に抽象的に言いますと、この決議の一番前に書いてございますように、要は憲法の精神にのっとって議員定数の適正な配分を期するんだということになると思います。一般論として申し上げまして、最高裁判決などにおきましても、人口というのが定数配分の重要な基準であるということは言っておるわけでございます。同時に、定数是正の決議におきましては、二人区、六人区の解消、選挙区画の見直し、過疎過密等地域の実情の配慮というようなことも挙げておられます。やはりもろもろのことを全体としてどう抜本改正として考えていくかというふうにとらえておられるのかなというふうに理解をしております。
  152. 中村巖

    ○中村(巖)委員 時間もないようでありますから、最後に自治大臣のこの抜本改正についての御決意のほどを伺って、質問を終わりにいたしたいと思います。
  153. 梶山静六

    梶山国務大臣 六十一年五月二十一日の衆議院本会議の決議、これを大前提にいたしまして、少なくともその中に盛り込まれた五つの要件、これを各党間で話し合いを詰めてもらって、まさに議会みずからが決議をもって律していることでございますから各党間の話し合いを詰めていただいて、この大きい五つの項目はどういう理解度だという各党間の理解度をお示しをいただくならば、自治省としてもその後の具体的な作業に早急に入りたいという気持ちでおります。
  154. 中村巖

    ○中村(巖)委員 終わります。
  155. 森清

    森委員長 岡田正勝君。
  156. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 冒頭に、きのうの五時十分ごろに地方行政委員会におきまして、一昨日の朝九時過ぎ、開店早々に起こりました千葉興業銀行行徳支店におけるピストル強盗事件の問題につきまして、大変心配であるということを私が申し上げました。何を心配したかといいますと、テレビや何かににせ札を五百万円、正確には四百九十八万円のにせ札をつかまして実損は二万円で済んだ、やったやったというので大手柄という押田次長の顔が大写しになり、応接に出た女の子の態度が非常に落ちついておったというのでこれも大写しになり、他の銀行に問い合わせたら、強盗が入ってくるかもわからぬからというので強盗対策ににせ札をあらかじめ用意しておるというような銀行は、千葉興業銀行以外にはないというようなことまで付加され、さぞや犯人は歯ぎしりして悔しがっておることでありましょうなどということを報道しておりました。  これは報道の自由ですから、私はとがめる気持ちはありませんけれども、いささか銀行側にいたしましても、言わぬでもよいことを言い過ぎているな、これは後大変なことになりはせぬだろうか、ひょっとして、あの押田次長さんや女の子あるいは銀行自体に仕返しというようなことがあるのではないかと心配したのは私だけではないと思います、ぜひひとつ御配慮をお願いしたいと大臣に要望申し上げましたところ、大臣はその場において、早速十三委員会室の大臣の後ろに控えておられた警察庁の政府委員の人をして直ちに警察庁へ指示をいたしますと実に素早い対応を見せていただいて、私は本当にきのう気持ちのいい眠りについたのでございます。  承りますと、早速その措置は警察庁に届いたということを伺っておりますが、さて警察庁といたされましては、国家公安委員長大臣の御指示に対して、どのような対処を講じられたか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
  157. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 お尋ねの件につきましては、早速千葉県警察の方に確認をいたしたわけでございますが、千葉県警察におきましては、同行の支店長及び次長に対しまして、何らかの事案があった場合には速やかに警察に連絡をとってもらうようにということで御指導申し上げましたほか、所轄署のパトカーによる重点警戒を実施するなど所要の措置をとっておるということでございます。
  158. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 局長さんにいま一つお尋ねをしておきたいと思いますが、私はにせ札を銀行が使ったということについて、これは見方によりましてはなかなか器用なことをやるな、機転がきくなとも思いますけれども、片や二度とこの手はきかないのでございまして、大変な問題が起きる心配の方が多いのじゃないかな。このごろ、あってはならない悪質な犯罪、人質事件などがよくございます。これはもう例外なしに身の代金よこせというような問題が起きてくるのでございまして、私はそうではないと信ずるのでありますが、ひょっとして各銀行に対してこの千葉興業銀行と同じように万が一のことを考えてにせ札を用意しておけというような指導とか、人質事件などのときに身の代金をよこせといった場合本物を出す必要はない、にせ札で結構だというような指導をしておられるのかなというふうに思うのでありますが、まさかと思いますが、いかがでありますか。
  159. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 御心配のとおりでございまして、身の代金目的誘拐事件等におきましては真券を使うようにしておるところでございまして、また銀行等に対しましていわゆるあんこと称するにせ札、それを用意しておくようにというような指導はいたしておらないところでございます。
  160. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。  今局長の御答弁を伺いまして、本当に素早い対応で感謝を申し上げております。この機会に改めて、国家公安委員長である梶山大臣に対して心から厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
  161. 梶山静六

    梶山国務大臣 岡田委員に一言申し上げておきますが、先ほど早速指令をしてということでございますが、国家公安委員長は指令権は持っておりません。広範な意味の管理権でございますから、管理権に基づく注意を申し上げたということでその指図がとられたというふうに御理解を願いたいと思います。
  162. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。素早い対応をとっていただいたことを重ねてお礼を申し上げます。  さて、実は先ほど塩崎先輩が質問をなさっておられましたが、選挙違反の問題でございます。塩崎先生のおっしゃいました中で私特に心にとめました問題は、例の不在者投票への駆り出しの問題であります。塩崎先生は暴力団等の背景のもとに行われた不在者投票への駆り出しの問題を中心に御発言に相なりましたが、これは一つの例でございまして、不在者投票で投票所に行く、その投票用紙の下にティッシュペーパーを敷いておく、そして鉛筆で力強く書けばその型がティッシュペーパーに残る、そのティッシュペーパーをポケットに突っ込んで外に出て適当なところに行けば、それを示せば見返りに一万円が返ってくるというような仕掛けが半ば公然と行われておるということに対しまして、実は私自身も慄然たる思いがしたのでございます。  これは当日投票所に行かれない国民のために設けられた制度でございますけれども、そういうものが悪用されるということ、これはなかなか取り締まりが難しい問題でありますが、先ほど御答弁がありましたのでこのことについては重ねて申し上げませんけれども、間々それに似たような問題がありますので、この際、二点だけ局長さんにお尋ねをさせていただきたいと思う次第であります。  まず第一点の質問は、陣中見舞いであります。陣中見舞いそのものは違反ではありません。だが、世の中だんだん悪賢くなってまいりまして、どういうようなことが行われておるかといいますと、陣中見舞いの封筒がありますよね。その陣中見舞いの封筒に陣中見舞いと書いて、何のたれべえ、何のたれべえ、何のたれべえ、何のたれべえと五、六人連記をいたしまして、どうも御苦労さんです、頑張ってくださいといって陣中見舞い持っていくんだそうですね。ところが、実際は中身が空なんだそうですよ。それを事務所の受付の方はありがたくちょうだいをしまして、それで取り次いでまいりますといって奥へ引っ込む。それで、私の方の選挙事務所は一般の方々から陣中見舞いはちょうだいせぬことになっておりますので、まことにお志はちょうだいいたしました、お名前も記入させていただきましたが、これはそっくりお返しをさせていただきますといって返すんだそうですね、その事務所の待っておるところで。お返しするときには中にちゃんと入っているんだそうです。空の封筒が今度は中身のある封筒になって返るのですね。堂々と、ああそうですが、それはやむを得ません、頑張ってくださいといってそれを懐に入れて帰るというのですね。  その効果は実に甚大なものがあると思いますね。さっきのティッシュペーパーを見せる、一万円が返るというのも生々しい問題ですが、陣中見舞いというのも考えたなと実際思うのですよ。それで、こういう問題が随分市中のうわさになっておりますのに、そういう問題でただの一件でも実際には事件として挙がったことがあるんでしょうか、どうでしょうか。
  163. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 初めてそのようなケースはお聞きするわけでございまして、そのような事案について検挙したという報告は聞いておりません。ただ、これは大変微妙なところがあると思いますので、擬律判断は具体的な事実関係に基づいてなされるべきだと思いますけれども、あえて一般論で申し上げますならば、投票依頼という行為があれば公職選挙法第二百二十一条の買収罪に、またそれ以外の場合におきましては公職選挙法百九十九条の二とか五にあります寄附の禁止に該当する場合があるのではないかと考えます。
  164. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうでしょうね。なかなか難しい取り締まりの対象だと思いますが、こういうことが蔓延をしていきますと、これはもう全く金の勝負ですね。もうどうしようもありませんね。だから、一つの例ですが、これは私が実際にタッチした問題ではありませんから、ある先生から聞いた問題ですけれども、不在者投票なんかにいたしましても、一万円をティッシュペーパーと取りかえるので二万三千人ということを聞いております。二万三千人といったら、一万円ですから二億三千万くらいの金が動くわけでございまして、これなら絶対当選確実ですよね、それだけの札が動けば。それと同じように、この陣中見舞いの空封筒というのも相当な威力があると思いますね。しかも、それは事務所の受付の職員と持っていった人しかわからぬのですからね。そばにいる人だって、いかに厚かましい人でもちょっとその封筒よこせなんと言う者はおらぬだろうと思いますから、なかなか摘発が難しいと思いますけれども、事ほどさように悪質な問題がはびこってきつつありますので、よく目を光らせていただきたいと思うのです。  次の問題続いて委員長お願いします。  次の問題は、余り目を光らせぬでくださいという質問です。これはどういう問題かといいますと、イエス・キリスト様がおっしゃいましたよね。心姦淫すれば、あああの人はいい人だな、きれいな人だなと思って何とかしてやりたいな、こう思う。いわゆるあの行為に及ぶ。それを姦淫といいますね。心であの人としたらいいと思うなと思っただけでもあんたは姦淫したのである。心姦淫すればなんじ姦淫したり、これがイエス・キリストの教えだそうです。これはキリストさんのまねはできませんが、右のほっぺたをたたかれたら左のほっぺたを出しなさいなんというようなことも教えていらっしゃるくらいでございまして、とても常人にはまねのできないことでございますが、警察の取り調べ、現場の取り調べの中には、これに似通ったことがふんだんに使われておるのであります。  これは局長さんのようなトップの偉い人はそういう現場を御存じないかもしれませんが、例えば選挙運動で金を使わないで動ける運動といったら何かといったら、もう局長さんだっておわかりになっていると思いますが、選挙は足ですよ。歩く以外に札をとるというようなことはなかなかできるものじゃありません。そうすると、歩くのには戸別訪問をして、どうぞひとつ私に投票してちょうだいということを言うと投票行為の依頼でありますから、これは直接ばっちりひっかかってしまうということで、みんな遠慮をして物が歯に挟まったような感じでどういうことをやるかというと、選挙の前は事前行為でありますが、事前行為におきましてはどういうことをするかというと、まず、後援会に入ってくださいというお願いに行きますね。それで、後援会に入っていただいたらそれが戻ってきますね。戻ってきたら、それに対してお礼の手紙を出したりお礼に歩いたりしますね。後援会に加入していただいてありがとうございます、こう言って歩きます。  これは、ありがとうございますと言っていることは、心をがっと開いてみたら中身は何かといったら、選挙のときにはお願いしますという気持ちがあることは事実ですよね。それをいわゆる後援会に加入していただいてありがとうございましたと言ってお礼に行っただけ、それ以上は絶対言葉に出してない。これは厳重注意を与えてやっているわけですね。そうやって歩いておる部分を、心の中では選挙になったら頼みますという気持があったでしょう、それはないんですか、あったんですかといって問い詰められるのですね。  それからいま一つ、今度は選挙中に相なりますと、選挙用のはがきというのが公然と書いていただくことができるわけですから、選挙のはがきを依頼する行為というのは違反になっておりません。ですから、後援会の役員になっていただいておるのですからぜひひとつはがきを何枚か書いてくださいということをお願いに参ります。それ以上のことは絶対に言わないのです。投票をお願いしますなんということを言う必要はないのです、後援会の役員ですから。  そういう人でも捕まった場合、どういう取り調べを受けたかというと、はがきに書いてくれと頼みに行ったには違いないだろうが、口には出してはおらぬだろうが、腹の中では投票をよろしくお願いしますという気持ちがあっただろう、ないと言えるのか、それでもおまえは運動員か、こういうふうにだんだんだんだん急テンポに追及が険しくなってくるわけですね。  それで相手が御婦人なんかですと、それで問い詰められて、もう奥さん観念しなさい。はい、そう言われれば、はがきのことしか言わなかったけれども、私の受けた印象は投票してくださいと来られたな。この頼まれたと言われる人が十人集まる。その十人の人の取り調べの際にも、はがきのことしか頼まれておりませんと幾ら言っても、それでもあなたは相手から投票を頼まれたと思いませんでしたか、思ったでしょう、あなた、ばかか、こういうふうなことになる。そうすると、そういえば投票を頼むということも思っておられたと思いますね、私はそう感じました。それで感じましたと調書をとられるわけです。それで判を押せば素直に帰してくれるわけです。  それで、奥さん、こういうふうに十人もそろっているのですよ、ちゃんと証人がおるんですよ、投票を頼みに来たに違いないと言っているんですよ、判まで押しているんですよ、十人もそろっておるのに奥さんここで頑張るの、頑張るんだったら帰れないよ、帰らなかったら子供が困るんじゃない、御主人が困りやしませんか、一晩泊まってもらいますか、御近所がどう言うでしょうか、パトカーでそのことをお知らせに行きましょうか、御近所がどう思いますかね、こういう問い詰め方をするのです。  これはまさにキリストと同じですよ。心姦淫すればなんじ姦淫したり、そういうまことに手厳しい取り締まりを行うのです。みんな泊められてはかなわぬから、世間体があるものですから、何とかして早く帰りたいと思うから、それなら判こを押して帰ります、こうなってしまう。それがどんどん戸別訪問の罪で立件されていくわけです。  先ほど前段で申し上げたような悪質な選挙犯罪が野放しに近い状態であるのに、何とかしてまともな選挙運動をやろうと思って一生懸命考えて、違反にならないように言葉の一言一言まで十分に研究をして歩いておる人たち、いわゆる選挙用のはがきを頼む、これが選挙中の行為、事前の行為としては後援会に加入のお願いに行く、あるいはそのお礼に行く、そういうことをとっつかまえてごんごん、法律に詳しくない一般の素直な人たち、純粋な人たちを、言葉は悪いかもわかりませんが、いじめるような取り調べをして無理やりとにかく立件をするというやり方については、大衆の中から物すごく怨嗟の声が起きております。これでは選挙運動も何もできやせぬじゃないか、一体どうずればいいんだ。電話で頼む方法があるじゃないかということをおっしゃいますけれども、電話ばかりで実際の選挙運動になるでありましょうか。  そういう点、これはもう保守、革新を問わず全部の議員がひとしく持っておる感情であると思いますので、先ほど厳しく取り締まってくださいと言ったものと、こっちの方は厳しくしないでくださいという矛盾した質問でありますが、いかがでございますか。
  165. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 選挙違反として立件いたしますためには、目的といいますか趣旨もその要件でございますから、これを立証しなければならぬわけでございます。しかし、趣旨というのは本人の供述だけで決まるわけではないわけでありまして、諸般の情勢から総合的に判断して最終的に決定されるものでございます。取り締まりに当たりましては、悪質なものを重点として、軽微なものにつきましては警告措置等を十分活用いたしまして、適正妥当な取り締まりが推進できるように今後とも努めてまいりたいと思います。
  166. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは最後にお願いをしておきますが、とにかく日本は、昨日も話題になりましたけれども、アメリカの大統領選挙みたいに華やかなあけっ広げの、金は幾らかかっても構わぬと言わんげなああいうお祭り騒ぎのような選挙というものは、日本では許されておりません。あんなことが野放しになったら、我が日本では大ごとになると思います。ですから、それはそれで結構でございますが、そういう厳正な法の中でこれなら許されると考える範囲できちょうめんな運動をやっておる者に対して、悪質でない者をわざわざ重点的に、何百という刑事をほうり込んで何十日も日にちを費やして、そして立件をしていくというようなことに余り精力を注いでいただきたくないな、これは恐らく岡田正勝一人の考えではないと思います。これは全国会議員、衆参両院同じことだと思いますので、まじめなまともないわゆる穏やかな選挙に対して余り厳しくないように、そういう点を重ねてお願いを申し上げまして、警察庁に対する質問は終わらせていただきます。途中引きとめて申しわけありませんでした。どうぞお引き取りください。  それでは次に質問をいたしますが、時間がありませんので、一点だけお話をさせていただきたいと思います。  今の定数問題について、これの改正をどうするかということは、今議会制度調査会においてもいろいろと論議になっておるようでございますけれども、とにかく私どもの党は、これはお互いその政党政党それぞれ事情がありますので、この定数問題というのは、直接現役の議員が、政党がこれに手を染めるというよりは、例えば中選挙区制でいきましょう、そして一人区とかいうようなのはなくしてくださいとか、そういうような原理原則だけ、大原則だけを政党間で取り決めて、あとの細かい問題について、どこの区は何人にするというようなことについては、選挙制度審議会というのがあるのですから、これは休眠状態になっておりますが、すべてそういうところで審議をするべきではないかと私どもの民社党は実は常々主張しておるのでございます。このことにつきまして、大臣といたしましてはどのような御感想をお持ちでしょうか、お答えください。
  167. 梶山静六

    梶山国務大臣 御指摘のように、選挙制度の抜本改正は焦眉の急であり、何よりも何よりも大切なことだというふうに認識をいたしております。そして、毎度申し上げているとおり、前回の六十一年五月二十一日の衆議院本会議の決議の中に盛られたいわば五つの大綱の各党話し合いが煮詰まって、そういう具体的な方式のもとに細部の検討に入れというのならば、自治省を挙げて早急にそれに取り組んでまいりたい。  それから、御提言のございます選挙制度審議会の活用の問題でございますが、これも先ほど御答弁を申し上げましたが、四十七年以来実は休業状態でございます。それはなかなか意見がまとまらない。というのは、前提条件が置かれない限りはなかなか言うべくしてできないことでございますので、この本会議の決議のいわば五つのテーマに対して各党間の話し合いが早急に詰まることを期待いたしておる次第でございます。
  168. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間が参りましたのでこれをもって終わらせていただきますが、大臣に最後に希望申し上げておきます。  今私どもは、その衆議院の国会決議に基づいて、定数問題については真剣に取り組まなければならない大事な時期に遭遇をしております。そうでありますだけに、何とかして各政党間のエゴがむき出しにならないように、国民の目から見てなるほどと思われるような結論を出すためには、大臣は今中立的です、そしてやはり中立的ないわゆる選挙制度審議会のようなものにちゃんとしたテーマを与えて、それに対しての答申をお願いするというようなやり方が一番国民に納得のいく方法ではないかと私は信じておりますので、再度御勘考いただきますようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  169. 森清

    森委員長 松本善明君。
  170. 松本善明

    ○松本(善)委員 まず、定数是正問題でありますが、この抜本是正の問題について、我が党は抜本是正の法案を提案いたしまして、残念ながらそれが賛同を得られませんでしたので、今改めて抜本是正の問題が問題になっているわけであります。  自治大臣先ほどから御答弁で、これはもう焦眉の急である、各党が国会決議に沿った合意をしてもらいたいというお話でございました。そうなりますと、一番問題なのはやはり自民党だと思います。自民党が政府与党として三百議席を持っておる、この党が案を示す、そして主導権を握ってこういうふうにやりたいがどうだということでこなければ、事が進まないですね。  ところが、先ほどこの委員会でも問題になりましたが、自民党選挙制度調査会長の後藤田さんは、理論的には六十五年まで現行定数で差し支えない、こういう見解だ。これは国会決議とも違いますし、先ほど来の自治大臣の見解とも私は違うと思いますが、この後藤田見解は違っている、こう自治大臣はお考えになるかどうか、お聞きしたいと思います。
  171. 梶山静六

    梶山国務大臣 後藤田自民党選挙制度調査会長と直接会ってお話を聞いておりませんから、真偽のほどはわかりませんが、今委員指摘のように、理論的に言えば六十五年までよろしいと言った背景は何かということを今ここで考えたわけでございますが、言ったとすれば、恐らく、例えば一対三までは違憲ではないということがあるとするならば、前回の六十年国調においては一対二・九九でしたか、そういうことでございますから、理論的にそういうことを申し上げたのかしらという、いわばまさにその数字上のことを申し上げたので、恐らく政治的には焦眉の急だという認識を後藤田さんもお持ちになっているというふうに、私が後藤田さんと会った範囲内ではそういう感覚に私は受けとめております。
  172. 松本善明

    ○松本(善)委員 それではさらに伺いますが、私は先ほどの塩崎委員とのやりとりを聞いておりまして、塩崎さんは自民党選挙制度調査会の会長代理なんですね。それで急いでやれということで自治大臣に言われる。自治大臣の方は国会の方で急いでやってくれと。これでは私は、これはほかの党なら別ですよ。自民党選挙制度調査会の会長代理が自治大臣との間で、早くやれ早くやれとお互いにやっている。これは国民が見たら何と思いますか。  先ほど自治大臣が神に祈るような気持ちでこの合意のできることを願っていると言われましたけれども、そうじゃないのじゃないか。やはり後藤田さんと詰めるべきじゃないか。自民党は与党でしょう。先ほどあなたが行動力が高く評価をされたような御質問もございましたけれども、それは神に祈るのじゃなくて、後藤田さんにあしたでも会ってこれはちゃんとしなければいかぬじゃないか。自民党の方でやらなければ自治省で案をつくるとか、その辺の考え方をきちっと政府・与党の中で一致をさせて事を進めなければ、お互いに責任逃れをしていると、結果は、今否定をされたけれども、後藤田さんの言うように六十五年までは何もやらぬということになりかねない。私は自治大臣に、やはり後藤田さんにすぐ会って、この問題で自民党と政府が統一的な立場でこういうふうにしようという案をつくるべきだと思いますが、いかがでしょう。
  173. 梶山静六

    梶山国務大臣 御承知のように、衆議院本会議の決議これは定数是正協議会という議長の諮問機関のもとにおいて前回の暫定措置がなされたわけであります。ですから、実は院の最高の意思決定でございます。松本委員言われますけれども、与党独善であっていいはずがございません。ですから、各党協議の場でこの問題はまずもって行われるべきであるし、その大きな責任を与党が負うことは当然であります。ですから、私は先ほどお答えをいたしておきましたけれども、議運の委員長のもとにあって各党に伝えてほしいという要請を申し上げたことは、年当初に委員長を訪ねて申し上げたことはお答えをいたしましたけれども、それ以前に、昨年末後藤田さんに対しまして早く党の機関を指導してほしい、そういうことも実は内々、ほかの党に申し入れをしないで自民党だけに申し入れをしていいかどうかという問題がありますが、松本委員指摘でございますから御返答申し上げるならば、そういうこともいたしております。  いずれにいたしましても、この院の決議でございますから、みずからも立法府の責任においてこの大きな五項目を各党協議の上に早くクリアをしていただくようにぜひとも各党間で御協議を煩わしたい、そういうことのためのいわば準備や手助けは自治省挙げていたしますし、その大きな条件が整うならば、それは早急に自治省としての責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。
  174. 松本善明

    ○松本(善)委員 今なすべきことは、どこでその協議をするか、それからやはり定数是正でありますから、格差をどうするか、そこが一番中心問題であろうと思います。議運へ行かれたと言いますけれども、堂々とここに公職選挙調査特別委員会という国会の機関があります。それが動けないようなことはやるべきでないし、ここが早急にやらなければならぬ。何かこの委員会で各党協議をするのについて支障はあるのですか。
  175. 梶山静六

    梶山国務大臣 議会の正式機関でございますから、ここで最終的に行われることは当然でございます。ただ、前回の経緯を見ますと、定数是正の協議会が議長の諮問機関として行われた経緯がございます。過去の実績は大切なものでございますから、その延長線上に今回の抜本改正は置かれるということを考えますと、まずもって議運に私が申し入れることは当然であるし、議運から重ねて公選特に果たして話があるのかどうなのか、この辺の推移も各党協議の場を見定めない限り順序は曲げてはいけない、こういうふうに私は考えております。
  176. 松本善明

    ○松本(善)委員 定数協の問題にちょっと触れられましたけれども、あれは我が党が入っておりません。今各新聞でいわゆる国会の形骸化ということが盛んに言われております。あの事態というのは形骸化である。最後はもちろんこの委員会にかかりましたけれども、やはり審議は極めて不十分です。そういうような事態が繰り返されないようにということが極めて必要だということを、時間もありませんのでそれについての答弁を求めませんけれども、公選特がすぐ動き出すということが支障になるような議運でまずやってからの話だとか、そういうようなことのないようにすべきであると私は考えているということを申し上げておきたいと思います。  そしてもう一つの格差是正の問題、何としても格差是正の問題について自民党がどういう態度をとるかということがやはり中心問題ですよ。この間の改正のときに議論がありました。当時、今の委員長自民党の提案者でありました。我が党の野間委員が、憲法学者や公法学者が圧倒的に格差二倍以内ということを言っているということや、日弁連がそういう見解だということや、あるいは日本選挙学会の理事長もそう言っているというようなことを挙げながら質問したのに対しまして、森今の委員長は、「今後抜本的改革をするときには、そういうものも参考にしながら各党間において協議を続けていきたいと考えております。」という答弁をされました。  また、森さんはなかなか勉強家で、自治研究の六十一巻一号には、「衆議院議員定数是正案」というもので論文を書いておられまして、ここでは、「西ドイツでは平均に対して上下三分の一(最大隔差は二倍)と法定している。」「私は、西ドイツもそうであるが、平均に対し、上下三分の一以内(最大で二倍)とすべきであると考える。」こういう見解を発表されています。  自治大臣、この格差二倍にすべきだということについてどのようにお考えでありますか。葉梨自治大臣は、前回お聞きしたときには、できるだけ一票が一対一になるように努力をしなければならぬというところまでは御答弁がありましたけれども、これは自治大臣としての御見解をひとつ伺いたいと思います。
  177. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 まず、事務的にお答えさせていただきたいと思いますが、学者の多くの方が一対二というような説をとっておられるということは、私ども承知しております。一方、司法判断ということもあるわけでございまして、最高裁の判決等から見ます限り、一対二ということを言っているわけでも必ずしもないだろうというふうに見られます。あとまた、抜本改正の際には、衆議院の決議におきましていろいろ検討すべきことを書いておられます。例えば、過密過疎の問題でありますとかその他もろもろ書いてございます。そういうものも全体的に考えて、やはり抜本改正というものがどうあるべきかということを検討していかなければならないのではないだろうかというふうに受けとめております。
  178. 松本善明

    ○松本(善)委員 自治大臣に特にお聞きしようと思ったのはなぜかといえば、最高裁がどのように言おうと、やはり国会が決めるべきことですよ。それは、国会が一人が二票以上持つということはおかしい、だからこそ学会もみんな多数説になっていますし、それから今の選挙法に関しての判決でも、今の状態は違憲状態だという判決が出ていることは御存じのとおりだと思うのです。国会議員でもある自治大臣が、一票の格差が二倍以上、一人が二票以上持つというのはおかしいんじゃないか、その点についてどのようにお考えかということを聞いているのです。
  179. 梶山静六

    梶山国務大臣 まさに立法府の責任において決定をすべきことでございますから、他のことはいろいろ参考意見にすべきでありますが、みずから決定をしなければならない問題であります。委員指摘のとおり、原則として一対二におさまることが望ましい。さは言うものの、衆議院の本会議の決議がございます。最高の決議でございますから、この五つの条件をそういうものでどうやって満たし得るか、その具体的な手法をこれから見定めてまいらなければならないと思っております。
  180. 松本善明

    ○松本(善)委員 委員長にお願いしたいのですが、今この議論を聞いておりましても、選挙制度調査会自治省としてやるというのは、大筋が国会で決まってからというお話です。そうすると、この委員会が果たさなければならない役割が非常に大きいと思うのです。ほかでどのような議論があろうとも、ここの委員会の任務を放棄をするというわけにはいかないはずです。各党がどのようにこれらの問題について考えているかということを国民の前に明らかにする責任があると思うのです。理事会だけにとどまらず、公開の委員会で各党が案を持ち寄って論議を進めるというふうに進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  181. 森清

    森委員長 御趣旨よくわかりましたので、理事会等で検討いたします。
  182. 松本善明

    ○松本(善)委員 次に、政治資金の問題でありますが、先ほど政治資金規正法の附則八条の議論がなされております。この附則の八条でいわば五年ごとに見直すということでありますが、方向としてどういう方向で見直すかということについて規定があるのはただ一つ、「政治資金個人による拠出を一層強化するための方途」、これだけであります。ほかは「政治資金あり方について」ということですから、これは当たり前のことですから、こういう方向がどうしても法律の求めているところであります。  これが議論をされた当時の総理大臣であります三木さんは、「かねがねから、三年間で企業献金を廃止してはどうかということを主張してきた」ということを自分の主張として答弁で言っておられます。そして、「それが実現できなかったことは遺憾に思っています。この法案においても、五年後に検討するということになっておりますが、自民党は、その法案の検討に先立って、五年後には企業献金を辞退して、みずからの党費と個人的寄付によって党の経常費は賄うという党議の決定を行っておるわけであります。」経常費というのは小さなものですけれども、基本方向は個人献金を強化をするという方向がはっきり打ち出されている。これが一体変わるのかどうか、竹下内閣のもとではこの方向は変えるのかどうか、その点は自治大臣としてどうお考えになっているか、伺いたいと思います。
  183. 梶山静六

    梶山国務大臣 個人献金というか、個人に頼るべき分野が多くなることが望ましいということは、私もそう考えております。ただ、団体や企業もまさに社会的存在でございますから、これを否定する方向でなされるべきものではないというふうにこれまた考えております。
  184. 松本善明

    ○松本(善)委員 団体献金、企業献金をやめるべきだと私の党は考えていますけれども、少なくとも附則で、個人献金の比率を高める、企業献金や団体の献金は減らしていくという方向であることはもう明白だと思うのですね。そういう点で見ますと、今度の自民党の案といいますのは全く逆行している。選挙制度調査会でつくりました企業献金の限度額を現行の二倍の二億円にする、平均一・四五倍に拡大する、パーティー券の問題は後で問題にいたしますけれども、企業献金の枠を拡大するというのは、まさに附則の八条の言っている方向と逆行するということではありませんか。
  185. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 自民党政治資金等委員会中間報告を拝見いたしますと、ここでは十三年間据え置かれてきました寄附限度額について主として物価調整的見地からの見直しを行うとしておりまして、この場合、個人献金については寄附限度額を二倍に引き上げまして、会社につきましては最高約二倍、平均一・五倍程度引き上げるというふうに承知しております。したがって、これを見る限り、個人献金強化の方向に逆行するとまで言うのはどうかなというふうに思っております。
  186. 松本善明

    ○松本(善)委員 金額的に言えば、企業献金は莫大だから、それは大きくなっていきますよ。実態的にはそうだというふうに思うのですね。物価調整的と言いますけれども、じゃ自治大臣に聞きますが、自治大臣はちょっと御存じないかもしらぬから選挙部長に聞きましょうか、自民党収入はこの十年間、例えば昭和五十一年と昭和六十一年を比べてどのように変化していますか。
  187. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 自民党収入でございますが、私ども政治資金収支報告書によって承知しておるわけでございますけれども、それで見ますと、昭和五十一年は七十八億六百万でございます。六十一年は二百五億五千五百万、こういうふうに承知しております。
  188. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、約三倍になっていますね。そうすると、物価が上がったといったって、結局自民党は上がふえているわけですよ。企業献金の枠を拡大することはさらさらない。物価調整的なといっても、前と同じだったらそれは違うかもしれない。十年前と比べて三倍になっているじゃないですか。そういうことじゃありませんか。
  189. 浅野大三郎

    浅野(大)政府委員 お尋ねがございましたので申し上げますが、先ほど収入総額について申し上げたわけでございますけれども、例えば政治団体からの寄附というところで見ますと、五十一年の六十九億七千万円が六十一年では百十一億四千四百万円というような数字になっておるようでございます。それからまた、党費を見ますと、五十一年の九千六百万円が六十一年で三十七億八千百万円というような状況になっておるようでございます。
  190. 松本善明

    ○松本(善)委員 しかし、物価調整的な考えといったら、総額で比べるのが当たり前でしょう。当然のことじゃないですか。それから、先ほど個人献金の問題で言うならば、自民党の場合は私の調べでもわずかに二%ですよ。もう時間が余りないから一々聞きませんけれども、二%で、あなたの言ったように、企業献金の比率を先ほど答弁しましたけれども、全体から見れば企業献金がふえるということは間違いないじゃないですか。それは私は論弁だというふうに思います。  パーティーの問題を聞きますが、パーティーの問題についていろいろ批判がありました。それでこの問題については、この自民党の案というのはむしろ金権パーティー法律で公認しようとするものでさえあるというふうに見ざるを得ないと私ども思っています。といいますのは、報告義務は何の罰則もない訓示規定にすぎない。それから、パーティー券一枚二万円未満にすれば何の規制も受けない。それから、二万円以上の場合でも、政治団体でなくて励ます会などのやり方にすれば収支報告しなくてもいい。そうすると、規制どころか逆に金権パーティーを公認するということになりかねない。絶対こういうことは容認できない。  先ほど自治大臣が、政治家は自律しなくてはいかぬ、こう言われましたけれども、では竹下内閣でどうか。これからパーティーの予定は、報道されているところでは、四月二十七日に伊藤科学技術庁長官、五月九日に中島文部大臣、十日は藤本厚生大臣、十九日は中山郵政大臣、二十日は佐藤農水大臣、三十一日は中尾経済企画庁長官、六月二十八日は宇野外務大臣、そしてもう既に瓦防衛庁長官とか粕谷北海道・沖縄開発庁長官なんかはパーティーをやっている。閣僚が先頭に立ってやっている。それで、ここでこれだけいろいろパーティー券議論をしたって、これはもう自律も何もありゃしないじゃないですか。  私が自治大臣にまず聞きたいのは、一つは、定数是正もしないで企業献金の枠を拡大する、パーティーを公認するというような法律をやるというのはもうとんでもない政治不信を招くのじゃないか、そんなことは絶対許されないんじゃないか、これが一つ。  それから、閣僚ですから自治大臣、今申し上げましたように閣僚のパーティーの状況を見たら、自治大臣が閣議で、これを自粛すべきじゃないか、こういうことをやめるべきじゃないかということを発言すべきじゃないですか。内閣としてこういうことをやめていくというところから出発すべきじゃないですか。その二点を伺いたいと思います。
  191. 梶山静六

    梶山国務大臣 選挙制度も選挙資金の規制も、車の両輪のようなものだということはよく理解をいたします。ただ、政治に金がかかるというか、これが悪だというふうには私は考えておりません。正当に政治の認識を国民の中に定着させ、そういうものの期待感ないしはニーズを掘り起こすために正当な活動は当然あってしかるべきだし、正当な集める方式で、正当に支出されるならば、私は、時代に大きく背離しない限りにおいては、むしろ堂々たる活動をすべきだという考え方を持っております。  それから、今閣僚のパーティーの話が出ましたけれども、前段来話が出ておりますように、まさに人間のいわばそれぞれの考え方に立って行われるべきものでございまして、その内容が何たるか、私は承知いたしておりません。まさに文字どおり励ます会で、どなたがやってくれる会合であるかも知りませんし、御懸念になるような政治資金を収集するような会合であるとにわかに断定ができませんので、個々の方に当たって聞いてみたいと思っております。
  192. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間が終わりですからこれで終わりますけれども、極めて不満な答弁で、本当に政治資金規正法の附則の八条の方向に行こうという気配はさらさらないように伺って、極めて遺憾であります。この委員会の任務は非常に重要であると思いますので、委員長にもこの委員会を積極的に動かしていただくよう要望して、終わりにしたいと思います。
  193. 森清

    森委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十四分散会