○岡田(正)
委員 そうでしょうね。なかなか難しい取り締まりの対象だと思いますが、こういうことが蔓延をしていきますと、これはもう全く金の勝負ですね。もうどうしようもありませんね。だから、
一つの例ですが、これは私が実際にタッチした問題ではありませんから、ある
先生から聞いた問題ですけれ
ども、不在者投票なんかにいたしましても、一万円をティッシュペーパーと取りかえるので二万三千人ということを聞いております。二万三千人といったら、一万円ですから二億三千万くらいの金が動くわけでございまして、これなら絶対当選確実ですよね、それだけの札が動けば。それと同じように、この陣中見舞いの空封筒というのも相当な威力があると思いますね。しかも、それは事務所の受付の
職員と持っていった人しかわからぬのですからね。そばにいる人だって、いかに厚かましい人でもちょっとその封筒よこせなんと言う者はおらぬだろうと思いますから、なかなか摘発が難しいと思いますけれ
ども、事ほどさように悪質な問題がはびこってきつつありますので、よく目を光らせていただきたいと思うのです。
次の問題続いて
委員長お願いします。
次の問題は、余り目を光らせぬでくださいという
質問です。これはどういう問題かといいますと、イエス・キリスト様がおっしゃいましたよね。心姦淫すれば、あああの人はいい人だな、きれいな人だなと思って何とかしてやりたいな、こう思う。いわゆるあの
行為に及ぶ。それを姦淫といいますね。心であの人としたらいいと思うなと思っただけでもあんたは姦淫したのである。心姦淫すればなんじ姦淫したり、これがイエス・キリストの教えだそうです。これはキリストさんのまねはできませんが、右のほっぺたをたたかれたら左のほっぺたを出しなさいなんというようなことも教えていらっしゃるくらいでございまして、とても常人にはまねのできないことでございますが、警察の取り調べ、現場の取り調べの中には、これに似通ったことがふんだんに使われておるのであります。
これは局長さんのようなトップの偉い人はそういう現場を御存じないかもしれませんが、例えば
選挙運動で金を使わないで動ける運動といったら何かといったら、もう局長さんだっておわかりになっていると思いますが、
選挙は足ですよ。歩く以外に札をとるというようなことはなかなかできるものじゃありません。そうすると、歩くのには戸別訪問をして、どうぞひとつ私に投票してちょうだいということを言うと投票
行為の依頼でありますから、これは直接ばっちりひっかかってしまうということで、みんな遠慮をして物が歯に挟まったような感じでどういうことをやるかというと、
選挙の前は事前
行為でありますが、事前
行為におきましてはどういうことをするかというと、まず、
後援会に入ってくださいというお願いに行きますね。それで、
後援会に入っていただいたらそれが戻ってきますね。戻ってきたら、それに対してお礼の手紙を出したりお礼に歩いたりしますね。
後援会に加入していただいてありがとうございます、こう言って歩きます。
これは、ありがとうございますと言っていることは、心をがっと開いてみたら中身は何かといったら、
選挙のときにはお願いしますという気持ちがあることは事実ですよね。それをいわゆる
後援会に加入していただいてありがとうございましたと言ってお礼に行っただけ、それ以上は絶対言葉に出してない。これは厳重注意を与えてやっているわけですね。そうやって歩いておる
部分を、心の中では
選挙になったら頼みますという気持があったでしょう、それはないんですか、あったんですかといって問い詰められるのですね。
それからいま
一つ、今度は
選挙中に相なりますと、
選挙用のはがきというのが公然と書いていただくことができるわけですから、
選挙のはがきを依頼する
行為というのは
違反になっておりません。ですから、
後援会の役員になっていただいておるのですからぜひひとつはがきを何枚か書いてくださいということをお願いに参ります。それ以上のことは絶対に言わないのです。投票をお願いしますなんということを言う必要はないのです、
後援会の役員ですから。
そういう人でも捕まった場合、どういう取り調べを受けたかというと、はがきに書いてくれと頼みに行ったには違いないだろうが、口には出してはおらぬだろうが、腹の中では投票をよろしくお願いしますという気持ちがあっただろう、ないと言えるのか、それでもおまえは運動員か、こういうふうにだんだんだんだん急テンポに追及が険しくなってくるわけですね。
それで相手が御婦人なんかですと、それで問い詰められて、もう奥さん観念しなさい。はい、そう言われれば、はがきのことしか言わなかったけれ
ども、私の受けた印象は投票してくださいと来られたな。この頼まれたと言われる人が十人集まる。その十人の人の取り調べの際にも、はがきのことしか頼まれておりませんと幾ら言っても、それでもあなたは相手から投票を頼まれたと思いませんでしたか、思ったでしょう、あなた、ばかか、こういうふうなことになる。そうすると、そういえば投票を頼むということも思っておられたと思いますね、私はそう感じました。それで感じましたと調書をとられるわけです。それで判を押せば素直に帰してくれるわけです。
それで、奥さん、こういうふうに十人もそろっているのですよ、ちゃんと証人がおるんですよ、投票を頼みに来たに違いないと言っているんですよ、判まで押しているんですよ、十人もそろっておるのに奥さんここで頑張るの、頑張るんだったら帰れないよ、帰らなかったら子供が困るんじゃない、御主人が困りやしませんか、一晩泊まってもらいますか、御近所がどう言うでしょうか、パトカーでそのことをお知らせに行きましょうか、御近所がどう思いますかね、こういう問い詰め方をするのです。
これはまさにキリストと同じですよ。心姦淫すればなんじ姦淫したり、そういうまことに手厳しい取り締まりを行うのです。みんな泊められてはかなわぬから、世間体があるものですから、何とかして早く帰りたいと思うから、それなら判こを押して帰ります、こうなってしまう。それがどんどん戸別訪問の罪で立件されていくわけです。
先ほど前段で申し上げたような悪質な
選挙犯罪が野放しに近い状態であるのに、何とかしてまともな
選挙運動をやろうと思って一生懸命
考えて、
違反にならないように言葉の一言一言まで十分に研究をして歩いておる人たち、いわゆる
選挙用のはがきを頼む、これが
選挙中の
行為、事前の
行為としては
後援会に加入のお願いに行く、あるいはそのお礼に行く、そういうことをとっつかまえてごんごん、
法律に詳しくない
一般の素直な人たち、純粋な人たちを、言葉は悪いかもわかりませんが、いじめるような取り調べをして無理やりとにかく立件をするというやり方については、大衆の中から物すごく怨嗟の声が起きております。これでは
選挙運動も何もできやせぬじゃないか、一体どうずればいいんだ。電話で頼む
方法があるじゃないかということをおっしゃいますけれ
ども、電話ばかりで実際の
選挙運動になるでありましょうか。
そういう点、これはもう保守、革新を問わず全部の
議員がひとしく持っておる感情であると思いますので、
先ほど厳しく取り締まってくださいと言ったものと、こっちの方は厳しくしないでくださいという矛盾した
質問でありますが、いかがでございますか。