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1988-04-27 第112回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十七日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中村喜四郎君    理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君    理事 中村  茂君 理事 矢追 秀彦君    理事 西村 章三君       榎本 和平君    大塚 雄司君       金子原二郎君    北村 直人君       佐藤 静雄君    桜井  新君       田村 良平君    渡海紀三朗君       二階 俊博君    松田 九郎君       松永  光君    宮里 松正君       小野 信一君    木間  章君       坂上 富男君    三野 優美君       大野  潔君    田中 慶秋君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君  出席政府委員         建設政務次官  古賀  誠君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 木内 啓介君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   小野 信一君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     小野 信一君 同月二十七日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     佐藤 静雄君   大塚 雄司君     宮里 松正君   木村 守男君     二階 俊博君   武村 正義君     渡海紀三朗君   橋本龍太郎君     北村 直人君   伊藤 英成君     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君   佐藤 静雄君     遠藤 武彦君   渡海紀三朗君     武村 正義君   二階 俊博君     木村 守男君   宮里 松正君     大塚 雄司君   田中 慶秋君     伊藤 英成君     ───────────── 四月二十五日  東京周辺地区開発に伴う丸の内駅舎復元保存活用に関する請願矢追秀彦紹介)(第一七五二号)  高速道路料金障害者割引内部障害者にも適用に関する請願田中直紀紹介)(第一七五三号)  土地住宅政策に関する請願山花貞夫紹介)(第一八二七号) 同月二十六日  高速道路料金障害者割引内部障害者にも適用に関する請願吉原米治紹介)(第一八五五号)  東京周辺地区開発に伴う丸の内駅舎復元保存活用に関する請願菊池福治郎紹介)(第一八八九号)  同(伏木和雄紹介)(第一九七九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第六五号)  土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣提出第六六号)      ────◇─────
  2. 中村喜四郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三野優美君。
  3. 三野優美

    三野委員 おはようございます。  議題となりました都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  大臣は後にして、局長にお尋ねしますが、この法律はまず二つから成っていますね。一つは、市街地の再開発事業施行区域要件緩和があります。これからひとつ入りたいと思うのでありますが、市街地における再開発施行区域要件緩和中心になっているわけですね。この法案のねらいというのは、大都市における土地不足、いわば事務所用地確保などを考慮に入れながら都市の再開発の促進に対処しよう、こういう考えでこの法案をお出しになっているのかどうか、これは大臣でも結構ですが、まず当初にお聞きしておきたい。
  4. 木内啓介

    木内政府委員 先生御指摘のように、この法案は大きく分けまして二つの要素がございます。一つは、都市開発施行要件緩和、それからもう一つ工場跡地等、未利用、低利用土地計画的誘導開発という二つでございます。  その最初の方は、先生承知のように最近の地価の値上がりが、主として東京都の都心業務あるいはマンション用地等に端を発しまして、住宅地に及んできたという事情がございます。そういう意味で、その対策として新規郊外等における宅地供給増とあわせまして、既成市街地内における住宅あるいは業務用床の増大を図る必要があるという観点から、再開発要件緩和しまして再開発事業をもう少したくさんしていこうということでございますから、これは大都市向けでございます。  二つ目の方は、これは地方の振興をもねらいとしました大都市及び地方都市向け、両方をにらんだ改正考えていただいて結構だと思います。
  5. 三野優美

    三野委員 第一の部分は、いわば首都圏中心とする大都市への適用が重視されておる。いわゆる施行区域要件緩和の方はそうだ。そうしますと、この法律施行によって、一番問題になっている首都改造にどういう影響をもたらすとお考えになっていますか。
  6. 木内啓介

    木内政府委員 確かに、ねらいとしては大都市既成市街地業務用床とか住宅供給がねらいの主因でございます。ただ、この法律改正してまいりますと、確かに大都市の特例ではございませんで一般的に改正しましたが、適用としては全国に同じような適用があることは、先ほどちょっと言葉足らずでございましたけれども、つけ加えさせていただきたいと思います。  さて、この改正によってどれだけ首都改造影響があるかということでございますけれども、先生も前回のとき御質問されまして私答弁させていただいたのでございますけれども、今、市街地開発事業、これは施行中も含めまして三百何カ所かになります。しかし、全体としましてまだそんなに、都市の全体、例えば東京全体を左右するような大きな事業になっておりません。そういうふうなわけで、これを着実に伸ばす必要があるわけでございますけれども、そういうふうなことで今回事業を伸ばすための方策というのはいろいろ考えたわけでございます。例えば施行地区要件をふやしたらどうかとか、あるいは三分の二以上である程度強行的にできるようにしたらどうかとかいろいろ検討した中から、こういった施行要件緩和というのを選び出して改正したわけでございます。  これによって相当程度開発事業が伸びると思いますけれども、まだまだ首都改造全体に大きくインパクトを与えるような形には残念ながらなれないという感じでございます。しかし、こういった事業を伸ばしていくことによりまして、都市機能更新都市防災性向上というふうなものにとっては相当の効果は期待できるのではないかと考えている次第でございます。
  7. 三野優美

    三野委員 今の局長の答弁のように、これは全国的に適用されるものであるが、主として市街地における再開発ですから、大都市に集中的にこれが動かされるだろう、こういうことが想定されるし、それを期待しているわけですね。しかもそれが首都機能に、これだけではないにしてみてもある程度影響を及ぼすであろう、こういうことを言われているわけであります。  さて、今まで再開発事業をやって、三大都市圏のうちではかなりの分やっていますが、東京では五十八年から六十二年までに、この期間だけを限ってみると十三ヵ所、そういう事業をやっていったのだけれども、そこでこの十三ヵ所の今日までの再開発の結果、事業所数がどのくらいふえてしまったのか、事業所に必要とするスペースがどのくらいふえてしまったのか、あるいは人が住む部分について居住部分が一体どの程度、どう変化をもたらしたのかということを聞いておきたいと思うのです。  私がこれをお聞きしているのは、実は私の手元にある限りにおいては、東京都の十三のうち例えば居住用戸数というのは、都民がそこに居住するための戸数というのは一・八倍くらいになっているのですけれども、調べてみると現実には、これはあなたも御存じのとおり、例えば六十三年の四月の新規入学者などを見ると、改造したところ、再開発したところも含めて都心部というのは、いわば子供が住めなくなっているわけですね。  ということは、都市開発をやって事業所などの確保はできたけれども、一家がそこに家族ぐるみで生活をして、居住をしていくそういう環境というものがつくられなかったのではないか。そういうことから、ことしの入学式のときにも入学生が二人や三人たった、こういうところが都心部中心に多く出てきたと思うのです。再開発する場合に、それは事業所確保のためにするのか、あるいはまた東京都民中心として人が東京に定着して住みながら暮らせるような社会環境でいくのか、ここらの点はやはり再開発をする場合に非常に重要な要件になると思う。その点が、再開発事業について今まで少し抜けておったのではないかと私は思うのでありますが、今度の施行区域要件緩和で本格的にやろうとする場合に、そこらの、再開発する町の構造というものについてどういうことをお考えになっているのか、これを一つ聞いておきたいと思うのです。
  8. 木内啓介

    木内政府委員 再開発と申しましても、いろいろ地域の位置、特性に応じまして、一つには住宅供給型の再開発、あるいはもう一つには逆に非住宅供給型、店舗等主体とした再開発とか、その中間型のものがございます。先生のおっしゃいますように、都心とか非常に中心部になりますとどうしても非住居型の再開発にウエートが移ってまいります。しかし、都心よりちょっと離れますと住宅供給型の再開発かなりあるわけでございます。例えて申しますと、東京の品川区の西大井一丁目の再開発がございますけれども、そこにおきましては、かなりの場所でございますけれども、事業施行前の住宅戸数が例えば十八戸、ところが事業施行後の住宅戸数が二百五十戸というふうにふえたのもございます。これから世の中が職住近接ということで都心型の住まいということを重視していく必要があるというふうな環境にございますので、こういった都心に近いところの住宅供給型の再開発というふうなものに特に力を入れていく必要があるという方向でこれからも運営してまいりたいと考えておる次第でございます。
  9. 三野優美

    三野委員 そうすると、局長、あなたが言われるように再開発にもいろいろな性格がある、私はそれを全部否定しません。ただ、特に首都東京はこういう過疎状況が生まれるいる。昼の人口は多いけれども、夜が来たらもう猫と犬が走っているというだけであって人は住んでいない。ことしも御承知のように港区を中心に幾つかの学校で入学者ゼロということは、たとえそこに住宅があってもそれはいわば出稼ぎ的な者が住む住宅であって、家族を含めて生活しているということにはならないのであって、どうですか、これから今度の法律施行に当たって都心部で再開発する場合にも、東京というのは都心も含めて人も住み、そこで多くの人が仕事もしているという町づくりをするという場合には、一定程度の再開発をする場合の条件をおつけになる考え方はあるのですか。例えば、この再開発については事業用スペースはここまでょ、したがって家族が住めるような住宅というのは何%ぐらい確保しなければならぬというような条件を、今法律にはないわけですが、そういうことについても考えてちゃんと義務づけをするような考え方があるのかどうか、あるいはどういう再開発があなたの中でイメージとして、都心部においてはどの程度人が住めばいいとお考えになっているか、これをひとつ聞いておきたいと思うのです。
  10. 木内啓介

    木内政府委員 再開発法の中では再開発の基本本針をつくるということになっておりまして、例えば東京でいうならば、東京で再開発をこれから重点的にやる地域というものを限定しております。その地域性格等に応じて再開発がなされるわけでございますけれども、そこでその地域を決めるに当たってはかなり住宅等を重視してやるということが方針の中に出せれば出すという形でございます。  具体にそういう方針に基づきまして再開発事業を行う場合でございますけれども、先生のおっしゃるように、現行法体系においてはそこで行われる再開発は例えば二割なら二割、三割なら三割を住宅にしなさいということにはなっておりません。しかし、現行法上でも、住宅不足が著しい地域においては、再開発虫業をやる場合にはその計画の中に住宅をどれだけつくるかということを明確にしなさいということになっておりますし、また国の補助金もそういった住宅向けの再開発につきましては補助が厚いというふうなこともございます。それから、特定街区とか総合設計、これは法定再開発でございませんけれども、そういった制度におきましても容積率割り増し等ございますけれども、住宅をつくる場合にはそうでない場合より、ちょっと正確ではございませんけれども、割り増し率を多く認めるとかの優遇措置はございますけれども、ただ先生のおっしゃったようなどのくらいというところまではできていない。なぜかと申しますと、要するに再開発というのは補助制度はありますけれども、先生承知のように基本的には採算をとらなければいかぬという問題がございます。そうしますと、もともと地価の高いところでやりますと相当高い住宅ができてしまうという問題がございまして、もともと地価の高いところでやる場合にはかなり住宅が苦しくなるという事情があろうと思います。そこで助成があるのですけれども、まだ比率を守れというまでには至ってないのが現状でございます。なかなか難しいことだと思います。
  11. 三野優美

    三野委員 局長が言われたように、地価がやはり一番難点になっているわけです。私も何カ所か再開発したところを経過を聞いてみると、やはりそこに住んでいる人は出されているわけですよ。結果的に、都心部、この周辺においては事業用のものがほとんどを占めてしまって、そこに住んでいた人々まで出ていく、あるいは再開発によって高層ビルが建つものですから、もちろん平家でおるというわけにはいきませんですから、その中へ組み込まれなければならぬということになる。そうすると、あなたの言われるように非常に高くついて一般的なサラリーマンは住めないということになるわけですね。そのことが、ある意味においては東京一極集中という弊害を持ちながら同時に東京都心部において過疎をつくるという二重の弊害をつくっているわけですね。ましていびつなゆがんだ町づくりになっているわけですから、その点についてはやはりある程度将来義務づける必要があると私は思うのです。少しばかりの優遇措置をやってみたって事業用の方がより効率が高いものですからそっちへ傾斜するということがありますので、こういう点については今直ちにというわけにはいかぬにしても将来の東京都のあり方あるいは都心部あり方という点について都市局は本格的に取り組む必要があるだろうということを申し上げておいて、後で御意見を聞きたいと思います。  さてこの部分について、例えば今度建築面積適用範囲を百平米を百五十平米にする、あるいは容積率についても三分の一という、耐火建築物というものの基準があるけれどもそれも除く、こういうことになって同施行区域以外との均衡のアンバランスが生まれるわけなんですが、今後このことによって他の行政執行との上で問題は残さないのか、この地域だけいわば再開発する場合に、適用範囲を百平米を百五十に変えるでしょう、それがほかの行政を行う場合との関係で次々とそういう問題が起きて行政上に問題を残さないだろうか、この点については心配ないと思っているのでしょうか、この点だけ聞いておきたいと思います。
  12. 木内啓介

    木内政府委員 再開発施行要件を拡大したのは、先生承知のように、今まで再開発というのはどこでもできるわけではなくて、かたい建物、耐火建築物が三分の一以上あっては原則としてはいかぬ。その耐火建築物というのに修正を加えまして、耐火建築物であっても百平米以下のものは木造並みにカウントする、それを百五十平米以下のものは今度は木造並みにカウントするということに改正したわけでございます。したがいまして、再開発をしようと思えばできるところの区域がふえてきた、対象がふえてきたということでございますので、対象がふえることによりまして再開発がやりやすくなるわけでございますけれども、再開発をやるところとやらないところにアンバランスができるということにはならないのじゃないかというように感じております、質問の趣旨を取り違えているかもしれませんけれども。
  13. 三野優美

    三野委員 さて、二つ目の再開発地区計画についてお尋ねをしたいと思うのですが、この法案は従来の都市開発と特に異なる特徴点というのは一体どういうものか、これをひとつ示していただきたいと思うのです。従来再開発をやってきた、それとは——今度の再開発地区計画決定、これがどういう特徴があるのか、その特徴的なところだけ示していただきたい。
  14. 木内啓介

    木内政府委員 再開発地区計画制度というふうな、ちょっとややこしい名前のものを導入させていただこうとしているわけでございますけれども、これは従来の手法、例えば先ほど御質問ございましたいわゆる市街地開発事業というふうなものとの関係では、市街地開発事業とか特定街区とかそういったものが一つ事業でございます。ところが、今回お願いしております再開発地区計画制度というのは計画誘導手法でございまして、計画誘導をするという手法であるという違いがございます。再開発としてはそうでございますけれども、それから今度は都市計画法上の位置づけとしましては、先生承知のように従来再開発がついていない地区計画制度というのがございました。これは、既成市街地にもできるわけでございますけれども、主として既成市街地に新しく入るところとか、既成市街地内でもまだビルトアップしていないところ等中心にやっている制度でございまして、地区計画制度というのと非常に似ているわけでございます。  その地区計画制度の再開発版だというふうに考えていただいてもいいのでございますけれども、地区計画制度と違っているところは、従来の地区計画制度は、ベース用途地区範囲内でさらにそれを絞り込むということに限定されておりまして、今度の再開発地区計画制度は、そういう働きと同時に、重ねてベース容積率より高い容積率設定できるというところに特色があろうかと思うわけでございます。
  15. 三野優美

    三野委員 きて、この再開発地区計画決定ですね、設定する場合に、ここに四つほど挙げているのですけれども、利用状況が著しく変化し、また見込まれるというのは何を指すのか、どういうものを指すのか。二つ目高度利用のための公共施設がない地域、これは同地区内に道路下水道などがないということなのだろうけれども、この道路下水道等公共施設というものが、ここで言っているのはこの開発業者の責任ということで考えているのだろうと思いますが、公共施設がない地域というのはそういうことを言うのか。それから都市機能更新に貢献するということは、いわば現状都市機能を持っていないけれども、これを再開発することによって都市化していくということを指しているのか。もう一つは、四つ目にこの用途地域が定められた地域、こう設定していますね。今、都市計画法に基づいての用途地域設定ですか、その中でのみという意味なのでしょうか、ひとつ説明してください。
  16. 木内啓介

    木内政府委員 逐次御説明させていただきたいと思います。  土地利用の著しい変化というのはどういうことかでございますけれども、これはこの法律のねらいでもございまして、最近産業構造変化に伴いまして、大量の重厚長大型工場敷地等があいてまいってございます。それから、流通機構変化に伴って、例えば国鉄の清算事業団が持っておりますヤード跡地等の問題が出てくる、そういったことが典型的な例でございますけれども、一般的にそういった社会構造産業構造変化に伴いまして土地利用が大きく変わってくるというふうな状況が出ている地域を指しているということでございます。例えば工場跡地について、住宅業務用開発が行われているような地域というふうに見ていただきたいと思います。  それから、高度利用を図る上で必要となる公共施設というのは、道路主体となろうかと思いますけれども、そのほか公園、緑地等も当然そういう施設考えております。これらの施設につきましては、開発者負担、この法律の中では一応身の回りのものと申しますか、メインの、その都市計画幹線道路みたいなものを除いて、地区施設的なものは原則的には当該開発者に負担していただこうというふうに考えているわけでございます。  それから都市機能更新でございますけれども、これは非常に一般的な話で恐縮でございますが、都市機能と申しますのは、要するに都市において住む、働く、憩うというふうなことが都市機能ではないかと私は思います。そういうふうな住む、働く、憩う上に都市の担うべき役割の向上、改善につながるような、そういうふうな土地利用転換といいますか、高度利用を図るというふうなことがこの要件になっていると考えているわけでございます。  なお、一般的に用途地域があるところが都市の整備の方針が決まっているところでございますから、用途地域設定のないようなところは対象とは考えておりません。
  17. 三野優美

    三野委員 さて、この再開発計画市町村長が再開発地区設定をするわけですね。市町村長設定するんだけれども、土地そのもの私的所有土地ですね。いわば他人の土地行政がこの法律に基づいて設定するわけなんでありますが、場合によりますと、そのことによって、これは市町村長がやるわけですから私権に対する制限にもつながるような性格のものなんです、この法律は。また、その設定によって、この設定する地域周辺関係者にも影響を及ぼす、こういうことも考えられるわけですね。そうなりますと、この設定に当たっては土地所有者同意を必要とするのかしないのか、または周辺関係者の合意を得る必要があるのかないのか、もしその必要があるとするならば、その手段方法はどういう方法でやろうとしているのか、この法案のどこにそのことが明示されているのか、いや、法律の中では、やるかやらないか町村長の勝手だ、やってもやらぬでもいいよというのか。その同意は必要なんですよ、周辺意見を徴する手段方法はこういう制度としてやらなければならぬですよというのを法律が示しているかどうか、その点をひとつ説明してもらいたい。どうも法律にないと思う。
  18. 木内啓介

    木内政府委員 先生おっしゃるとおり、再開発地区計画市町村決定して都道府県知事が認可するという原則になっております。これは一つ都市計画でございますから、法律改正でややこしくなって大変申しわけないのですけれども、「地区計画等」の中に入れておりましたので、その手続規定改正が、もともとある地区計画と並びの再開発地区計画というものをセットしましたから、改正法上は出てこないのですけれども、地区計画と同じ手続が要る、要するに都市計画法上の手続が要るわけでございます。  それを繰り返しますと、これは先生おっしゃるように同意は要りません、同意は要りませんけれども、関係権利者意見をよく聞いた上で、必要に応じて都市計画中央審議会等にかけまして、それで市町村長が決めるという通常の都市計画手続に乗ってやられる、ただし、同意は前提とはしておりません。
  19. 三野優美

    三野委員 この点は運用をうまくしないと、同意を義務づけていないものですから、いわば私権制限をするわけですから、その点についてやはりこの法律の問題点が残っているような気がするわけですね。  それから、同法案の七条八に言う当該地区の全部又は一部は整備計画を定めることを必要としないということが規定されていますが、これはどういうことを意味するのか、これをひとつ聞いておきたいと思う。  もう一つは、開発事業者がその地区設定のところに計画の届け出をする、その開発業者開発計画が同計画に適合しない場合に市町村長は勧告することができると書いているのですね。勧告ということにしたのは、例えば市町村長が、この地区についてはこの区域設定しますよ、再開発地区計画区域設定しますよ、それはこういうものを市町村としてはつくりたい、審議会の答申を得てつくった、土地所有者及び開発業者は必ずしもそれと一致しなかった。いわば市町村長が、市町村考え計画からはみ出した場合に、これは計画施行の中止または停止ではなしに勧告になっているわけですが、どうして中止または停止ができなくて勧告なのか、これをちょっと聞いておきたいと思います。
  20. 木内啓介

    木内政府委員 制度がややこしくて恐縮でございますけれども、先生承知のように、再開発地区計画というのは基本的な大きなマスタープランがあるわけでございまして、その大きなものの中で機が熟して——最初から機が熟していれば一挙にやってしまえばいいのですけれども、それが相当な規模になる場合には、部分的に機が熟したところから再開発地区整備計画というのもつくってやっていくというふうに、段階的にやっていくわけでございます。したがいまして、その再開発地区計画の段階では、建築規制、建築物に対する一種の規制、そういったものが、いわゆる再開発地区整備計画に該当するものがあらかじめできていない場合でも、大きなマスタープラン的な都市計画道路とかそういう位置づけ、そういうふうなものは地区計画の段階から働く。整備計画ができたときにもう少し細部の規制が働き、それでボーナスも、容積率の割り増しも出てくるというふうな二段構えになっているわけでございます。そういうことが一つ。  それから、先生のおっしゃったように、デベロッパーあるいは土地所有者と申しますか、そういう方々が再開発地区計画あるいは再開発地区整備計画に合わないものを持ってきた場合には、確かに届け出、勧告制度しかございません。これが誘導型都市計画のために若干手ぬるいと思われるような線でございますけれども、ただ、これは市町村長が必要とする場合は単に届け出、勧告ではなくて、再開発地区整備計画の内容の主要な部分、どうしても守ってほしい部分は条例をつくりまして、それで、これでやってくれというふうに条例をつくった場合は、これは法的な規制力が働きます。そういった条例をつくった段階では、それに合わないものをつくった場合には容積率のおまけだとかいうことはできないし、条例違反になりますから、その範囲内でそういうものはできないというふうなことになります。  ですから、要するに、もう一遍言い直しますと、地区計画という大きなものをつくって、機が熟したときに地区整備計画をつくる。条例ができない段階では先生のおっしゃるように勧告、指導しかできません。地区整備計画に基づいて、主要な部分に対して、どうしてもこれは確保したいという部分について条例ができた場合には、その規制に従わなければならぬ。こういうふうな段階を追って誘導していくという形をとっている次第でございます。
  21. 三野優美

    三野委員 これはあなたの方からいただいた説明資料ですが、いわば地区計画設定するなら全体をする。第一段階でこれしかない。あとはしませんよ、これは開発業者の都合もあるだろうから。その場合に、これを全体を地区計画として設定をして、事業をやるのはこれだけでもいいです、しかしこれも、設定をしておりますから、市町村方針に従って第二段階で、一定の時期を置くだろうけれども、やらなきゃなりませんよという規制はかかるわけですね。これはかかるのですね。これはひとつ聞いておきたい。  それから二つ目に、私の質問の中で、開発業者が、市町村設定をした区域市町村考えている中身、このとおりやらなかった場合には当面勧告だ、条例をつくれば条例に従ってこれは停止もしくは中止もできますよ、こういうことなんです。それはそのとおりだろう。ところがこの法律には、後で触れるが、ほかにもありますが、御承知のように税制の減免措置があるわけです。減免措置があるということになると、やはりもっと規制というものは強化されなければならぬ。単に勧告だけではなしに、その市町村の意図が貫徹しない場合においては中止もしくは停止をするということがなければ、一方において当然義務として払わなければならぬ税金、国民みんな払っておるにもかかわらず、ここだけ免除しておいて単に勧告だけということについては、減免措置という法の運用とこの勧告というものは整合性がないと私は思う。したがって、もしこれを適切に運用するとするならば、減免措置との関係で運用するならば、当然条例は裏づけでなければならぬと思うのですね。市町村の意思が貫徹するんだ、だから減免措置だというのでなければ、私は運営としてはうまくないと思うのですね。ここにこの法律の問題点があると思うのですが、そこらはどうでしょうか。
  22. 木内啓介

    木内政府委員 先生の御質問二つあろうかと思います。  一つは、整備区域にならないところで段階的に取り残されたところが最終的に計画どおりになる担保があるか、強制力があるかということでございますけれども、先ほども申しましたように、これは誘導型の再開発でございますので、はっきり申しまして強制力はございません。ただ、市町村が、公共団体がそこの再開発を必要として、まずもって民間活力といいますか、地主等を中心として独自に開発を誘導して、それでもし残りの部分が出ましたら、これは理屈の上からいいますと、先ほど申しましたように、市町村にも再開発事業施行能力がございますし、区画整理事業施行能力がございます。そういうふうなことで、区画整理事業あるいは再開発事業とかその他の面開発でフォローして目的を達するようにすべきだと私は考えますけれども、市町村にも財政事情とかいろいろございますから、すぐにとかなんとかということはあるいはできない場合もあろうかと思いますけれども、理屈としましては、やはり市町村の決めた都市計画でございますから、地主等がみずからなかなかやらないというような場合には、やはり残った部分がもし出てしまうということになれば、それは市町村がそれをフォローすべき施策を講じる必要があるのではないかと考えている次第でございます。  それから第二点の場合、指導、勧告程度のことで税金をまけるのはおかしいではないかというのはおっしゃるとおりでございまして、これは政令段階で税金を決める、詳しい内容は税金の関係の政令で決めることになりますけれども、ここにおきましては、先生のおっしゃる趣旨で条例等の規制が働く場合で、それにパスした場合というふうに限定したいとただいま考えている次第でございます。
  23. 三野優美

    三野委員 そうすると、今の局長の説明は、この法律が成立をして、そして市町村長がこの区域設定する段階には同時に条例を設定する。そうでなければ規制する能力はありませんからね。勧告でとまるわけなんですよ、今の法律のままでは。したがって、そこのところは変えなければ、今のこの法律ではできないのです。そういう問題が依然として残りますので、これはやはり適当ではない。  それからもう一つ、これは私ちょっと不勉強でよくわからないのですが、税制上の特別措置の場合に、特別土地保有税の非課税ということになっているが、これは市町村長開発地区に指定をした段階から非課税になるのですか。これらの税制措置というのはすべて指定した段階なのか、あるいは、事業主あるいは地主が施行が終わった後なのか、その点はどうなんでしょうか、これを聞いておきたい。
  24. 木内啓介

    木内政府委員 指定した段階でございます。
  25. 三野優美

    三野委員 そうするとおかしくなっちゃう。そうしますと、これを指定した段階でこれはいつの日か、開発するかどうかわからぬけれども、第一段階で開発した部分はいいにしてみても、第二段階でいつやるかわからぬ、これがずっと非課税で置かれるということになるわけですね。いわば土地を持って、土地の値上がりを待って転売しようとする者が非課税の土地をずっと持ったままじっと置くということになっちゃうので、そうなるとこの運用は問題になるわけです。
  26. 木内啓介

    木内政府委員 対象区域が二重になっているので非常にわかりにくうございますけれども、再開発地区計画の一番広い枠を指定した段階ではございませんで、具体に機が熟したときにその中の整備計画をつくっているわけでございますけれども、整備計画ができた段階からということでございます。
  27. 三野優美

    三野委員 ではそうすると、市町村長がこの地区全体を指定してみてもそれは税制措置はない。事業主が具体的な整備計画をやって着手をし、何月何日までにやりましょうやと言うた段階から非課税というのか、それとも整備計画、具体的な計画が実施されて完成した段階に税制措置をやるのか、ここのところをはっきりしておかぬと、いつまででもどろどろいかれちゃ、かかってます、道だけ入れています、そうやって何年も置かれたのでずっと非課税になっちゃったのでは、市町村は税金だけ取れぬでどうにもならぬということになる。そこらはどうなんですか。
  28. 木内啓介

    木内政府委員 先ほど申しましたように、地区整備計画、具体の整備計画市町村長が決めるわけでございますけれども、これも市町村長でございます事業者が機が熟したときに具体の計画をやる、そのときから税制は動き出すわけでございます。税制の中で建築物に対する割り増し償却というのは、建築物をつくるときに、先生承知のように、つくった費用を事前に償却できるという制度でございますから、実際の適用のあるのは建築物ができた後でその割り増し償却が適用されるわけでございまして、すぐ……(三野委員土地は」と呼ぶ)土地地区計画が指定された後で、地主が外へ出ていたり中へ入ってきたりする場合、そういうふうなものでございますから、地区整備計画が指定された後からは適用があるというふうに考えておるわけでございます。
  29. 三野優美

    三野委員 やはりこれは少し問題があります、運用という問題。しかし、次があるからいきましょう。  それから次に、建築基準法緩和の問題でありますが、同区域内における建築物には建築基準法五十二条の規定を適用しないということなんですね。そうしますと、基準法による建ぺい率その他を、基準法というものをこの法律はいわば否定していることになっちゃうね。この地域内においては基準法にいう五十二条の規定は適用しないんだよ、いわば緩和するわけです。それから、五十六条を適用しないということですね。これはどういうようにして環境保全するのですか。一般的な都市開発よりもこの法律に基づいて都市開発をする方がより環境のいい、より地域住民に住みいいような開発をするために、いわば建築基準を上回る厳しい条件をつけるのですよ、だから税金はまけてあげましょう、非課税にしましょうというならわかるわけです。基準緩和して、一般的な決められた基本法である基準法、それを緩和してそれよりも上回るものをやらせておいて、いや税金はまけてあげましょうというのは矛盾を感じませんか。私はどうしてもここのところに問題があると思うのですが、どうでしょうか。
  30. 木内啓介

    木内政府委員 先生にも御理解いただきたいのは、この制度自体は、言葉は悪いのでございますけれども、一つの痛みといいますか、むちとそれに見合うあめというふうなことで構成しているつもりでございます。と申しますのは、例えば工場跡地等を低利用で放置しておくというのは都市にとっても国にとっても大変もったいないということで、これを何か有効利用したいということでございます。ただ、いたずらに容積率緩和とか用途地域の変更とかしますと乱開発とか地価の高騰を招くということで、それではまずいので、必要な公共施設はちゃんと開発者にある程度は負担してもらうというふうなこと。しかも、現在の実際の用途地域は、先生承知のようにそんなにきめ細かいものではございません。それをもっときめ細かいものにする。いわば純化した用途地域、非常に厳しい用途地域というふうなものに置きかえるということ。したがいまして、公共施設の整備に対する負担あるいは厳しい土地利用規制というふうなものを前提にしまして、そうした場合に、必要に応じて容積率を追加することができるような仕組み、あるいはいいものでございますので税制上の恩典もとれるような仕組みを構成した、いわば厳しいむちの面ともあめの面とも調和させながら誘導していこうという趣旨でございます。  特に税制につきましては、東京の二十三区とかの大都市、大阪の旧市街地とかいうところには税制の恩典の適用がございません。これは地方への適用でございます。そういうふうなことでして、地方のインセンティブを持たせるためにやったわけでございます。  そういうふうにして、全体としてあめとむちを入りまぜながら、結果的には無秩序でない良好な町づくりに誘導していこうというふうな趣旨でございますので、御理解願いたいと思います。
  31. 三野優美

    三野委員 建設省の考え方は、例えば国鉄の跡地だとか工場用地の跡地をぜひ活用したい、そのための施策としてこれをお考えになったんだろうと思うのですが、都市開発法なり建築基準法というのは、我々が町づくりをする場合の基礎的な法律なんですね。法律というのは最低限を守るわけなんです。法律というのは最低限を示しておるわけなので、よりいい環境をつくるためにそれを上回る規制をする。都市開発法なりあるいは建築基準法というのを上回る規制をする。そのための代替措置として税制あるいは補助金その他を措置をするというのなら、わかるわけですね。ところが、それを最低の基準である基準法なり再開発法都市計画法というものを緩和する、下げちゃう、下げるのに国民皆ひとしく負わなければならぬ税金をまけてやるというのは、私はどうも理屈に合わぬと思う。これは逆だと思う。その点についてはそちらのおっしゃったことがどうしても納得できませんね。これはできない。私は、もしこの工場跡地なり国鉄跡地なり、国鉄跡地は国有ですけれども、都市機能が変わらなければならぬ、それを再開発するためにぜひやれというんだったら、ほかの方策があったと思う。税制以外の方策があったと思う。税制というのはやはり国民にとってはどうしても平等というものの原則を貫かなければならぬわけです。それを私は、この基準法の緩和などということでやるというのは、逆な方向へ持っていっているのでどうもうまくないと思うのですが、これについてはあなたと意見が一致しないかもわからぬが、私は同意できません。  それから、計画地域内における、開発計画に伴って施行しようとする公共施設あるいはその他の事業について、国または地方自治体は補助金または融資制度というものを考えておるのかどうか、これもひとつ聞いておきたいと思います。
  32. 木内啓介

    木内政府委員 再開発地区計画制度計画誘導手段でございますから、それに基づいて事業が行われることになろうかと思います。それにつきましては、いろいろな形の事業があろうかと思いますけれども、特に予算措置としましてこれでフォローしていく事業については補助考えております。補助考えておりますけれども、これは一律的な補助でございませんで、市町村計画等を策定する費用については助成措置を全般に見ておりますけれども、事業を行うに当たって、例えば既存の工場跡の余計なものを撤去する費用だとか必要なオープンスペース、緑地帯をつくるとか、そういった公共的な事業等についての助成はありますけれども、これは特定不況地域、例えば来年度の予算上の予定都市としましては北九州、大牟田等を考えておりまして、産業構造の非常な変化によって不況に陥っているような地域のみに事業的な助成をする、したがいまして、大都市東京、大阪等ではそういった助成はございません。
  33. 三野優美

    三野委員 それは地区設定する市町村計画に対して補助をするということであって、事業主にするということではないんですな。この点ひとつ聞いておきたい。  それで、道路下水道などについてもするのかしないのか。これはいろいろなやり方があるんですね。幹線道路を抜く場合には、市町村道なり県道なり、公共事業としてみずから行政がやる。それからそうでなしに、その団地の計画の中における固有のものについては事業主がやる。それを将来必要によって市町村に移管するとかいうことは、公園その他の完備されたものを移管ということはありますわね。これは一つ一つ聞いておきたいと思う。  それから、もう時間が大分なくなりましたので次の問題も聞きたいのでありますが、先ほどの答弁の中で、この説明にも書いてあるのですが、用途指定のあるところにおいてのみこの地区設定をするということになっているわけですね。さて、用途指定のあるところにということになると、例えばあなたの言われるように工場跡地だということになると、用途地区内における建築物の用途制限をしている、例えば工業専用地域、工業地域などというのは多いわけですわな、工場跡地なんかをやる場合に。そこの用途指定のある、極端に言えば工業専用地域の用途指定のところにこの再開発地区決定をする。ですから、用途指定とは異なった地区設定をするわけですわね。その場合に、この工業専用地域はその地区及び周辺あるいはその地区だけなのか、これは解除をするのかしないのか、この点をひとつまず聞いておきたいと思います。
  34. 木内啓介

    木内政府委員 公共施設整備につきましては、先生おっしゃいましたように公共団体のみでございまして、事業者への補助考えておりません。  それから、関連公共施設整備につきましては、やはり必要となる関連公非施設の整備は一般の通常措置等で対応して、万全を期したいと思っております。  それから、いわゆる用途地域のあるところに設定しますので、ある意味では二重設定みたいに考えられると思いますけれども、先行している地区計画制度もそうでございまして、例えば住居地域、専用地域でもいいんですけれども、その中にさらに用途の純化といいますか、用途をさらに限定した形で地区計画制度をつくるという制度がもう先行してあるわけでございます。それの例に倣ったわけでございますけれども、具体的に申しますと、例えば工業地域、現在のベース用途地域が工業地域であるという場合を想定していただきますと、先生承知のように、工業地域におきましては工場のほかに住宅、事務所、店舗等々、いろいろ多くの用途が許容される地域ではございます。そういった地域の中で、この再開発地区計画によりまして、例えば住宅とか小売販売店舗あるいは一部のごく限られた業種の工場というようなものをそこへつくろうというふうなことで、その他の用途のものはこの中に入れたくない、入れない計画であるというふうな場合には、そういったことを地区計画の内容にして絞り込みができるということでございます。絞り込みができる。ですから、そういう意味で重複ではない。絞り込んでさらに限定していくという考えをとってまいりたい。  したがいまして、もう一つお答えしなければいけませんのは、そうであるならば工業専用地域というのはおかしいじゃないかという議論は確かにございます。ただ法律のテクニックとしては、工業専用地域内でも逐次新しい用途地域に取りかえていくということはできる建前になっております。しかし、先生のおっしゃいますように、工業専用地域の本来の目的からしまして、そこを住宅の方に特別な都市計画で持っていくというのは、これは理屈の上でちょっとおかしなところがある。こういうときには工業専用地域を例えば住居地域なり準工業地域なりに一応用途変更した上でダブってかけるということは、実際の運用としては必要ではないかと考える次第でございます。
  35. 三野優美

    三野委員 これは少し理屈になって申しわけないんだけれども、私が言うまでもないと思いますが、この都市計画法は基づく用途地域設定においては、二つ用途地区設定はできないのですね。できないはずなんです、一つなんです。ところが、例えば工場跡地なら工業専用地域もあり得るわけですね。十分あり得るわけですね。そこへ今度市町村長が、例えば住宅も含めた近隣商業地域というものを建設しよう、しかも規模が大きい場合には、例えば極端に規模が大きい場合には学校も必要かもわからぬ、幼稚園も必要かもわからぬ、そういうことも起こるわけですね。そうしますと、工業専用地域設定をそのまま置いて、さらに今度この法律によって地区開発計画というものを設定しますと、まさに二重の性格がこの一つ土地設定されるということになってしまうわけです。そのことが後の土地の運用について、いわば事業開発者にとって、一方においては設定地区ではあるけれども、一方においては工業専用地域なんだよという事態も起こり得るわけなんですが、そういう矛盾はありませんか。あるいはこれは法律の運用上に問題を残しはしないかと思う。したがって私は、もしそれを設定しようとする場合には、もとの工業専用地域というものの用途制限を外すのかあるいは自動的に外れるのか、こういうところが気になったのですが、実はあなたのところのきのう、おとといの説明によると、いや二重だと言うのですね。二重だというのはやはりどうも矛盾があると私は思うのですが、その点はどうだろうか。  同時に、例えば小さいのは五ヘクタールからある、大きいのは何十ヘクタールあるでしょう、あなたのところは五ヘクタールと言っているが。その場合に、規模によっても違うんだけれども、周辺との調和ということも当然考えられなければならぬわけですね。この点についてはどういうように規制し、どこで歯どめをするのか。あなたはここで言葉では言っておってみても、できた法律は一人でずっと歩きます。私はいつも言うのです、法律はできたら一人歩きする。あなたのここでの考え方とは異なって一人で動くわけだ、法律の解釈上だけの問題で。したがって解釈を厳密にする必要がある。さっきの条例の問題も同じなんです。ちゃんとこの法律の中に指定しない限りやはりうまくないと思うのですが、そこらはどうでしょうか。
  36. 木内啓介

    木内政府委員 最初の点から御説明さしていただきます。  例えば工業地域に再開発整備計画の用途が決められたという場合には、確かにそのベースの用途はございますけれども、段階的にベース用途地域の規制が地区整備計画で決められた整備計画の規制の内容に移行していくというふうにお考えいただいた方がよろしいかと思います。ただ、整備計画ができていない残った地域がございますね、それは従来の例えば工業地域の規制が働く、しかし整備計画ができて新しい用途現制がなされたところは新しい方へ移っていくと解釈していただきたいと思います。
  37. 三野優美

    三野委員 最後に、そうすると、あなたの解釈は、かつての用途指定を解除しなくても、新しい地区整備計画の指定によってかつての用途指定というのは自然死するんだ、こういうことなんですね。したがって、それは自然の間に、いつの間にか眠るように死んでいっちゃって、そこにはかつての用途指定というものは適用されないと判断していいのですね。これで終わりだから、答弁だけいただきたい。
  38. 木内啓介

    木内政府委員 自然死するというように受け取られたのは私の答弁の間違いでございまして、要するにベース都市計画をさらに純化した形で絞り込んだ形のものがかかってまいりますから、相互に矛盾することはないというふうに言い直したいと思います。
  39. 三野優美

    三野委員 非常に問題点があることだけ申し上げて、これで終わります。ありがとうございました。
  40. 中村喜四郎

  41. 小野信一

    小野委員 最初に、大臣の所見をお伺いいたします。  この法律を制定しなければならなかった背景と、この法律の効用といいますか、効果についてどのような判断をお持ちなのか、まず大臣の所見をお伺いいたします。
  42. 越智伊平

    ○越智国務大臣 御承知のように産業構造が大変変化をいたしまして、工場等の閉鎖をした箇所等たくさんあります。今も三野先生からいろいろ御質疑がございましたが、例えばこれは地元から非常に強い要望が出ておりますが、今度鉄道が変化いたしまして、高松港とか宇野港とか、あるいは函館、青森——青森はまだ私の方には要請は来ておりませんが、空き地が非常にたくさんできた、それを再開発して優良な床あるいは住宅というところに持っていく、こういうことで先ほども局長からお話がございましたが、大牟田にいたしましても、北九州——北九州は御承知のように製鉄所の跡が遊休でございますが、こういうものを再開発していく、有効に利用していく、土地を有効に利用することによって事務所あるいはまたその他の施設、その地区地区に合ったようにして持っていく、また住宅も供給できる。こういうことで、今ぜひともこの法律を提案して、有効な土地利用という観点からどうしてもこれをやっていただきたい、こういう趣旨であります。
  43. 小野信一

    小野委員 大臣の答弁の中にも、あるいは提案理由の中にも「産業構造の転換、物流・交通体系の変化等に伴い、都市内においてまとまりのある空閑地等が大量に発生しており」、こう言っておりますけれども、全国でそれはどれだけの面積になっておるのでしょう。同時に、産業構造の転換の前に再開発しなければならないと考えておった面積と比較してどの程度になるのでしょうか。
  44. 木内啓介

    木内政府委員 お答え申し上げます。  再開発地区計画制度を導入しようと考えるに際しまして、全国にどのくらいの対象地域があるかというのを都道府県に対してアンケート調査でまとまった結果がございます。これによりますと、どうもこの再開発地区計画対象になり得るわけでございますのでそこを実際やるかどうかは別でございますけれども、対象になり得る地域は全国で六百七十七地区、約六千ヘクタール程度あることが判明いたしました。東京へ集めますと山手線の内側くらいの面積になります。一ヘクタール以上のまとまりのあるところは、そのくらいの規模、見当たるのではないかという調査でございます。
  45. 小野信一

    小野委員 局長、これは今回の産業構造の転換あるいは物流交通体系の変化によってもたらされた六百七十七カ所、約六千ヘクタールだろうと思うのですが、その前に、既に建設省が再開発をしなければならないと考えておった、あるいは必要だろうと指定したり、あるいは地方自治体が申請しておったものは面積としては幾らくらいあったものでしょうか。
  46. 木内啓介

    木内政府委員 これまでに先生の御指摘のような調査した例はございません。ただ、ちなみに、ちょっと外れるかもしれませんけれども、例えば東京都の二十三区で昭和五十六年と六十一年で比較しますと、工業系の用途地域が昭和五十六年では一万二千ヘクタール強くらいあります。それに対しまして、六十一年では一万一千九百へクタール、トータルとしてはやや減っている状況にあります。
  47. 小野信一

    小野委員 この法律がつくられまして、都市計画と今回の法律というのはどういう関係になるのでしょうか。
  48. 木内啓介

    木内政府委員 今回の改正の、先生の御指摘は再開発地区計画の方だと思いますけれども、これにつきましては、都市計画では従来から、再開発がつかないただの地区計画制度というのがございまして、これはベース用途地域の中で用途をさらに純化するような形で絞り込んで細かい詳細な規制をするという制度でございますけれども、そういったものの制度のメニューが再開発版というような形で一つ追加されたというような位置づけになるわけでございます。
  49. 小野信一

    小野委員 今回の法律のように、規制の緩和の特例までつくって再開発をしなければならない地域というのは、現行の都市計画と比較いたしましてどんな緊急性、どんな重要性があってこのような法律改正になったのですか。
  50. 木内啓介

    木内政府委員 誤解があるといけませんのでちょっと御説明させていただきたいと思いますけれども、規制の緩和と申しますけれども、緩和には違いないのですけれども、例えば現在いろいろ用途地域——工業地域用途地域で申しますと、平均的には二〇〇%くらいの容積率でございます。それを例えば工場でなくなったからこれを業務用住宅用にしますというと四〇〇とか六〇〇とかいうふうな容積率になるわけでございます。そうしますと、ただ工業地域があって工場跡地があります、それを今準工業地域に指定しているのを用途変更しまして、もし商業地域に変更がえしたとしますと、これは手放しというか、それがまさに容積率がばんと上がりますから、言ってみれば何もしなくても容積率が上がってしまう。これは規制の緩和といえば緩和でございますけれども、用途の変更に伴って容積率が上がってくるわけでございます。ところが今度の考えは、そういうふうにただ工業地域をあいたからといって商業地域のようにしてしまいますと容積率なんかが上がってしまいまして、乱開発とか地価の高騰を招くというふうなことがございますので、ただそうするのではなくて、公共施設整備をちゃんとしていただいてそれなりの負担もしていただいて、しかも詳細な計画をつくって一般の都市計画よりさらに厳しい詳細な計画に合ったいいものをつくっていただく、そういうことを前提に工業用の容積率を商業用の容積率並みに持っていくということでございますから、殊さら緩和というふうな、結果的には確かに二〇〇が四〇〇なり五〇〇になるのは緩和でございますけれども、普通安易な緩和ではなくしてかなり注意深い形で緩和していくというシステムをとったわけでございます。
  51. 小野信一

    小野委員 ちょっとしつこいように思いますけれども、もう一度お尋ねします。  今回の都市開発法及び建築基準法の一部の改正は、どちらにしても、私は、局長が言っているように、緩和とかそういうことを言っている前提を抜きにしてお聞きしたいと思うのですけれども、逆に考えますとこの二つ法律改正点が今までの都市開発の促進のための阻害要因になっていたのじゃないか、都市開発が進まなかったので今回それを改正することによって促進する、こういう内容を持っておる、そう考えざるを得ないのですけれども、そう考えてよろしゅうございますか。
  52. 木内啓介

    木内政府委員 今度の改正の第一点の再開発地区施行要件緩和するというのは、まさに先生のおっしゃったように、従来の再開発が持っていた施行要件が狭いという悩みを解消して再開発事業をさらにふやそうという趣旨でございます。それから再開発地区計画制度の方の導入というのは、再開発は従来事業開発主体でございますけれども、計画誘導型の手法を新しくつくったというふうな意味で、両方とも合わせて広義の意味の再開発を促進していこうという観点でございます。
  53. 小野信一

    小野委員 もし今のような局長の物の考え方で、法律の規制要件都市の再開発を阻害しておった、進行を少なくとも遅くしておった、こう考えるとすれば、都市開発の促進のためには今回の改正点をすべての都市計画なりあるいは再開発地域にこれを適用することの方が正しいのではないだろうか、こう考えざるを得ないのですけれども、なぜそういうことにならないのですか。
  54. 木内啓介

    木内政府委員 ちょっと先生の御質問の趣旨か——地区計画制度の方のことでございましょうか、再開発施行要件緩和のことでございましょうか、それでちょっとお答えが違ってくるかと思いますので。
  55. 小野信一

    小野委員 要するに今までの都市計画なり再開発を行う事業が、今回の改正点がその進行を阻害しているために、進行を妨げている要素があるために今回改正を行いました、こう局長は答弁をいたしましたので、もしそうであるならば今度の改正点を今度の都市開発地域適用するだけではなくて、すべての都市開発なり再開発事業適用することの方が局長の答弁からいくと正しいのではないだろうか、なぜそうならないのですかと聞いておるわけです。
  56. 木内啓介

    木内政府委員 今までの再開発を妨げていたというのは私の舌足らずでございまして、施行要件改正の方は、施行要件が厳しいために要するに再開発の着手ベースですね、どこでもできるわけではないので、再開発地区が非常に限定されていたために再開発が起こりにくかったということでございますから、それを対象を若干広げますとより起こりやすくなるという趣旨でございます。
  57. 小野信一

    小野委員 その答弁をいただいてもまた同じことです。要するに現在までの再開発地域すべてに今度の改正点を適用した方が再開発が進行するのではないかという到達点になりますけれども、いかがです。
  58. 木内啓介

    木内政府委員 先生の御指摘は再開発地区計画の方の適用要件が厳し過ぎるのではないか、そういうことでしょうか。——これはかなり私どもとしては現在の未利用地といいますか低度利用地を広くとったつもりでございますけれども、これは新しい制度でございますので、できるだけ対象を、要件ではそんなに絞ったつもりはございません。ちょっと二つ改正がごっちゃになっておりまして申しわけございません。
  59. 小野信一

    小野委員 施行地区要件緩和や権利変換手続の特則の拡充等を行うことで、今回市街地開発事業の大幅な拡大や円滑な実施ができるとお考えになりますか。
  60. 木内啓介

    木内政府委員 施行地区要件緩和や権利変換手続の特則によりまして、再開発事業が具体的にどの程度拡大するかという御質問だと思います。  施行地区要件緩和によりまして、従来鉛筆ビルの密集地域、それから工場跡地、臨海部等の倉庫群等の低利用のまま放置されているような地区での再開発の相当部分施行が可能となってくるわけでございます。そういうことによりまして東京都の調査、東京都だけでございますけれども、とりあえずこういった改正を行った場合どの程度ふえるであろうかということを調査をお願いした結果によりますと、東京都が現時点で市街地開発車業をやろうと構想しているのが三十九地域、具体的にございます。再開発事業をやりたいと思っている地域でございます。ところが、現在の要件改正前の要件ではそのうちの八地域ができない。要するに要件に該当しないのでできない。三十一地域が従来の改正前の再開発法でもできるというふうになっております。したがいまして、今回の改正によりまして、その従来ではできなかった八地区が再開発事業が理屈の上ではできるようになったというふうなことでございますので、大体二割くらいでございます。  したがいまして、これは一部の現況での調査でございますから、もっとそれをポピュラーに全国的あるいは長期的に見ましたところ、これから類推しますと従来より二割方再開発事業がふえる可能性が出てきたというふうに私どもは解釈しているわけでございます。
  61. 小野信一

    小野委員 再開発地区計画活用によって規制の緩和は可能になります。したがって、隣接地域環境とのバランスが崩れることになりますけれども、この調和を乱すことについてはどんな判断をお持ちでしょうか。
  62. 木内啓介

    木内政府委員 これはもともと都市計画法では、マスタープランとしましては都市計画の市街化区域内の整備、開発の保全から始まりましてもろもろの都市計画を一体的にやっているわけでございます。その一部分として、これもまた都市計画として再開発地区計画制度、再開発地区整備計画等が出てくるわけでございますので、全体の体系を見た上でそこの位置づけが当然なされるということでございますから、全体の調和を乱すような形の計画はつくらないというふうなことになろうかと思います。なお、全体とのバランスは当然とってやられると思いますけれども、その地区内はおきましても公共施設の整備あるいは広域施設その他必要な環境保全上の施設の整備は、開発者負担を含めまして万全につくってまいりたい、確保してまいりたいと考えておる次第でございます。
  63. 小野信一

    小野委員 一つ要望を申し上げておきますけれども、その地域が他の隣接地域とは違った緩和が行われるわけですから、隣接周辺地域とのバランスを十分考えて、その例外規定を余りバランスを崩さないような方法で許可をしてやっていただきたい、そう思います。今申し上げましたように法に例外規定があるということが人間的だな、私はこう思う反面、法律にはすべての人間が平等である、こういう要求もまた成り立つ。したがって、今回の場合で構いませんけれども、この例外規定というのはどういう感じをお持ちになりますか。
  64. 木内啓介

    木内政府委員 先生の御指摘の例外というのは容積率の特例ということではないかと思いますけれども、これは確かに今まで、例えば工業地域等は低い容積率でございましたからそれを用途変更すれば高い容積率になります。しかし、ただそういうふうに低いところを高くするということになれば、特別の地域、特別な企業等に何ら負担をかけずに容積率緩和等であめを与えたということになるわけでございますので、そういうことにならないように、公共施設の整備あるいは都市計画の規制を一段と強めることによって、いい町をつくるということの対価をもって用途変更をしていくというふうにしたわけでございまして、特別の恩典を与えたことにならないと私どもは考えておる次第でございます。
  65. 小野信一

    小野委員 大量に発生した空閑地の活用、こう一口に言いますけれども、東京や幹線の駅前、要するにその土地の一等地の再開発ならば容易でありますけれども、その他の地域、例えば室蘭であるとか釜石であるとか産炭地であるとか、高炉がとまる、大きな産業転換を強いられて過疎、人口流出の大変大きい地域になりますと、空閑地の活用といいましても大変難しいことは御理解していただけると思います。土地に対する需要度が全然違うのですから、背後の人口密度が違うわけですから、同じ空閑地であってもその空閑地を取り巻く経済的な環境が全然違う。同じ手法をもって再開発をしようとしてもいろいろな障害が出てくるだろうし、差が出てくるのは当然だろうと思います。この問題についてどうお考えになりますか。特に今、国会の最大の課題である国土の均衡ある発展、多極分散型国土の形成という観点から見た場合にこの問題はやはり議論を避けて通ってはいけないのではないか、こういう気がいたしますので、御意見を聞かしていただきたいと思います。
  66. 木内啓介

    木内政府委員 先生御指摘のように、今東京の問題と地方の問題というのは、再開発とか新規開発においても物を分けて考えなければならぬ、特に特定不況地域等との間では共通な感じで、物差しで制度をつくっていいのかという疑問は常に感じております。そういうふうなことでございますけれども、今度創設した手法は、これはいわゆる誘導の仕方の問題でございます。現実にやる事業ではございません、誘導の仕方の手続の問題でございます。手続においては、結論的に言えばこれは東京であっても北九州であっても同じ手続がとれるのではないかと思うわけでございますけれども、実態は全く違っておりまして、例えば容積率の見直しというのは東京とか大都市においてはそれが再開発事業のインセンティブになると私は思います。容積率用途地域の変更に伴って上がることによって事業をやろうかなというインセンティブになろうかと思うのです。しかし、特定不況地域のところでは容積率を変えて新しい容積率設定するといったってインセンティブにはならないと思います。  そういうふうなことでございますから、東京とかそういうところに行われている場合にはこの土地利用計画のインセンティブは容積率の方にウエートが置かれますけれども、地方の場合には中核となる都市中心地以外のところではそれはインセンティブにならない。むしろ、これと並行的に予算補助で行われる不況地域に対する都市整備の予算的なバックアップ措置とか税金とかといったものをインセンティブにしまして、不況地域都市の生まれ変わりの一助としたい。そのための都市計画的な手続としてはこれを利用してもいいのではないか。もっと大きく言えば建設省全体でも、公共投資配分につきまして、それは不況地域とかそういったところにウエートを持って公共投資配分というのはもっと大きな力になるかもしれません。しかし、都市計画的にも何かお役に立つことがあるとすれば、こういった手法をもってしかも予算的あるいは税制的にバックアップすれば地方の活性化の一助になるというような考えで、あえて東京だけに限定する必要はない、また地方を重点に置いて東京をやっていかぬというふうに限定する必要がないもので、全国一律の手法にしたわけでございます。画一的ではございますけれども、運用、内容においては大きな違いがあることは承知している次第でございます。
  67. 小野信一

    小野委員 先日、土地特別委員会で関西経団連の宇野会長が、民活で事業が推進できる地域東京だけだろう。名古屋、大阪は民活で採算の合う仕事と合わない仕事は当然出てまいる地域です。その他の地域は民活で仕事をしなさいといってもかなり不可能の可能性の方が大きい。ですから、東京、名古屋、大阪以外は公的投資によって事業の拡大なり地域開発を行うべきだ。こういう話をしておりまして、私もなるほどなと思って聞いたのですけれども、もしその判断が正しいとすれば、私はこの法律にもそういう区別があってもいいのではないだろうかという感じがいたしたものですからそういう質問をしたわけでございます。  それで、局が今回のこの法律の一番目玉だと思っておるものをお聞かせ願いたいと思います。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
  68. 木内啓介

    木内政府委員 既に御答弁の中に入っていたかもしれませんけれども、改めて申しますと、今回の改正の目玉は、市街地開発事業施行地区要件の拡大を図って対象地区を広げたということでございます。中でも、その拡大の仕方の中で二通りの仕方をとっておりまして、耐火建築物でも百平米以下のものは耐火建築物にカウントしないというのを百五十平米に引き上げたという点があります。これは規模を引き上げたということで特段大きな法律的な意味合いはないかと思いますけれども、もう一つのその改正の新味と申しますのは、容積率は再開発事業をやる場合には高度利用地区というのをかけるわけでございますけれども、その高度利用地区というのは容積の最高限と最低限を決めるわけでございます。大体最低限以下のような建物は、言い直しますと最高限度の三分の一以下の容積率しか使っていないような建物は耐火構造とカウントしないという要素を入れたわけでございます。ですから、法定の容積率より三分の一以下程度利用しかないものについては耐火建築物としてカウントしない。したがいまして、それだけ施行可能対象地域が拡大したというところが一つのみそといいますかポイントかと思うわけでございます。  もう一つは、先ほどからお話ありました経済社会情勢の変化によって多数発生している工場跡地とか鉄道跡地について、これを計画的に利用するような形に持っていくために開発者負担による必要な公共施設を前提とした上で容積率緩和といいますか、別に容積率設定するというふうなことをした。と同時に、より詳細な、西ドイツのBプランといいますかそういうのに似たような形の詳細な土地利用計画というふうなものの再開発版をつくったということだと思います。  ポイントと特徴はそんなところだと思います。
  69. 小野信一

    小野委員 再開発なり都市開発という言葉をお互いに連発するわけですけれども、ここで再開発というのはどういう意味でありどういう意義があるのかということを、まず簡単に説明願いたいと思います。
  70. 木内啓介

    木内政府委員 先生の方があれかと思いますけれども、私なりに再開発というのを理解していますのは、都市既成市街地におきまして、社会的、経済的な状況変化に対応しまして建築物と公共施設とを一体的に整備するということによりまして、その都市土地の合理的かつ健全な高度利用とそれから都市機能更新を図ろうというふうなことをする事業を再開発事業というのではないかと思います。  具体的に再開発事業の実施に当たりましては、当該地区が適正な配置及び規模の道路あるいは公園等の公共施設の整備された良好な都市環境を形成すること、そういうことが必要でございますし、また建築物が当該地区にふさわしい容積とか建築面積、高さ、配列、そういったものを備えました健全な形態を有していること、それから建築敷地の方も高度利用形態に適合した、道路と仕切られた適正な街区が形成されていること、それから特にまた住宅不足の著しい地域におきましては、住宅不足の解消に寄与するような、そういうふうな必要な住宅確保するということも現在の段階では必要ではないか。以上のような配慮を伴って都市利用転換を行っていくことを再開発事業あるいは再開発というのではないかと思います。
  71. 小野信一

    小野委員 ただいま説明を受けましたけれども、要するに経済活動あるいは生活の場として十分な条件を満たしていない地域に対して市街地を整理して土地高度利用を図ろうとするものである、私はこういう定義をしたいと思います。しかし、この一律の定義だけでは東京の再開発が果たして東京都民に満足できるようなものとして再開発できるんだろうか、こういう気がするものですから、先ほど定義を聞いたわけです。東京における再開発というのはそういう一般的な定義のほかに何か特殊な条件を加味しなければならないんじゃないだろうか、そういう気がしてならないのですけれども、そういう考えはお持ちになったことはございませんか。
  72. 木内啓介

    木内政府委員 いろいろ考えますけれども、国際化の進む中で東京が世界の一流都市としてというようなことを考えますと、技術、情報、そういった先端的なものに対応した社会の進歩の最先端を行くようなものに対応する姿勢が一つはなければいかぬかなという問題と、もう一つは、現状から見まして非常に住宅事情等が悪いということになりますと、特に東京においては職住近接意味も含めまして、再開発について住宅を重視する必要はあるのではないかというふうな感じは持っております。
  73. 小野信一

    小野委員 要するに私の聞きたかったのは、先日のある新聞に「新設の小中校ガラガラ 佃の「大川端・リバーシティ21」」こういう見出しであったことが頭にあったからでございます。四月から一部のマンションがこのリバーシティで売り出されました。五十倍というまことに大きな競争率で抽せんされた人々が公団賃貸住宅九十戸に入居が始まったのですが、転入生の小学生はわずかに三人、中学生はゼロだった、こう書いてございます。どうもこの大川端・リバーシティ21の再開発事業、ニュータウンの建設は人間臭さを感じられなかったのです、この新聞を見た限りでは。もちろん私は現地も見ましたけれども、余りにも人間臭さがないことにちょっとショックを受けたわけでございます。したがってこの再開発事業、大川端・リバーシティの開発事業に何が不足しておったのだろうなということを私自身考えるのですけれども、余りまとまらないものですから、今後の東京の再開発を進める上でこの大川端のリバーシティ21の建設、再開発から何を学んで、どういうことを加味してやらなければならないとお考えになりますか。
  74. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 大都市既成市街地におきまして工場跡地等を活用いたしまして良質な市街地住宅の供給と住環境の整備を推進することは、これは御指摘を待つまでもなく住宅政策上の重要な課題であると考えております。  大川端地区におきましては、特定住宅市街地総合整備促進事業制度を活用いたしまして、道路、公園などの公共施設の整備とあわせまして、良好な市街地住宅を建設することとしているわけであります。  また都心部の定住人口確保のためには幅広い需要にこたえる必要がありますために、本地区におきましては公営、公社、公団及び民間が共同して多様な住宅を供給することとしているものであります。  この場合の入居世帯につきましては、本地区都心に近接しておりまして、かつ民間住宅の比率を高めているという観点から、全体としましては比較的高い家賃の住宅が多くなっているということ、また極めて利便性が高いということによりまして、いわゆる郊外団地に比較すれば共働き世帯、中高年世帯等、就学児童等の少ない家族構成の世帯の割合が多くなると考えておるわけであります。  特にこの大川端地区の場合は、当初六十三年度におきまして六百十戸の供給を考えておりましたところ、計画が若干おくれまして、今回募集して既に入居しておりますのは公団住宅の九十戸ということになっております。その点ともう一つ、当初公団住宅の九十戸は分譲住宅で予定しておりましたけれども、その後のいろいろな状況からこれを賃貸住宅に変えました。分譲住宅と賃貸住宅の場合は発生児童数が極端に違いまして、こういうこともありまして現在既に建てられております学校に対する就学児童数は少ないということでございます。  このプロジェクトの実施に当たりまして感じておりますことは、この大川端プロジェクトの役割と性格ということと、それから現在の東京におきまして中心部の空洞化など土地利用の実態が混乱をしているという御指摘、さらには市街地住宅の強いニーズ、こういうこともありまして、これらを総合的に考えましたとき、このプロジェクトとしましては極めて意義あるものと考えております。しかしながら、実施をしておりますときに特に感じておることでありますが、今後取り組まなければならない大きな課題として認識しておりますことば、こういうプロジェクトを実施していく際に公的住宅の比重をまず強めていく必要があるということ、特に家族型の住宅を多くしていくことが必要ではないかということ。当然それと関連いたしまして公的住宅の家賃の低廉化に努めなければいけない、こういうようなことを認識しているわけでありますけれども、今後、都心近接地域におきまして家賃水準にも配慮しながら、職住近接の利便性を求める幅広い住宅需要にこたえていきますために、このような住宅型の再開発のプロジェクトには積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  75. 小野信一

    小野委員 局長の言うとおりの結論だろうとは思うのですけれども、私はそんなに難しいことを聞いているのじゃないのですよ。要するに、東京の再開発をする場合には、一般論としての再開発のほかにその地域の持っておる特性を十分研究して、今度のように小学校に三人しか入らないような再開発をやめてくれ、もう少し何とか、再開発するごとに住環境がよくなれば、そこに住んでいる人たちがなるほど再開発というものは楽しいものだ、いいものだと思えるようなものをその計画の中に、底辺にしっかり据えてくれということを要望したいわけで、今局長が言うようなことを私は希望しているわけじゃございませんので、その辺もう少し簡単に考えて人間臭い再開発をしていただきたい、こう希望をいたしておきます。  次に、新聞で三菱地所の丸の内開発の記事を見させていただきました。そのコメントによりますと、容積率を二〇〇〇%に引き上げることを前提としておりますけれども、丸の内の現在の容積率は幾らぐらいになっておるのですか。
  76. 木内啓介

    木内政府委員 丸の内の現在の容積率は一〇〇〇%でございます。これは現行の最高の容積率でございまして、東京では大手町、丸の内あるいは西新宿、新橋駅周辺、大阪では梅田とか中之島、御堂筋、そういうところで最高の容積率になってございます。
  77. 小野信一

    小野委員 現行制度で二〇〇〇%は可能ですか。
  78. 木内啓介

    木内政府委員 この三菱地所の計画というのは、計画と申しますより構想でございますから、余り私の方がとやかく言うのは、コメントは差し控えたいと思います。  ただ、現在一〇〇〇%のところがどこかにあるとしまして、それが二〇〇〇でできるかという問いだと仮定してお答えいたしますと、特定街区等あるいは総合設計とかいろいろな形をとった場合に、二割から三割ぐらい増す可能性は一般論としてはありますけれども、倍というのは現行制度上はなかなか難しい話ではないかと考えられます。
  79. 小野信一

    小野委員 現行制度を前提にしないで、丸の内地区の二〇〇〇%の容積率は可能になりますか。
  80. 木内啓介

    木内政府委員 現行制度を前提にしないと申しますと、あるいは不可能とは言いにくいわけでございますけれども、ただ、そもそも容積率を何で決めるかということになりますと、先生承知のように、交通量がはけるかとか、公共施設それから周辺環境、そういったものとの兼ね合いで容積率が決まるわけでございます。したがいまして、今の最高一〇〇〇%とか、特別の空地等をとった場合にそれの二割増しというのは、現在の交通の容量とか下水の容量、環境、そういうものを総合的に見て上限はそうだというふうに決めているわけでございます。したがいまして、技術の進歩とか世の中が将来どう変わるかまでは予測できませんけれども、そういった公共施設の整備等との兼ね合いからなかなか容易なことではないのではないかな、これは感想でございますけれども、そう思っております。
  81. 小野信一

    小野委員 例えば法律改正になって容積率が無限大になったとしても、他の条件で二〇〇〇%というのは非常に難しいものだと解釈していいのですか。
  82. 木内啓介

    木内政府委員 容積率自体が交通容量とか環境とかによって決まりますので、容積率自体を無限大にするということはないことでございます。やはりおのずと限度がありますから制度改正にもおのずと限度があるという感覚を持っておりますということでございます。
  83. 小野信一

    小野委員 大臣の所見を今までのやりとりの中からお聞きいたします。  四全総は、多極分散型国土の形成という副題というのですかサブタイトルがつきました。そしてそのための促進法みたいな法律も先日通過をいたしました。したがって、我が国の現在の政治の方向は一極集中の是正だろうと思います。多極分散型国土の形成を図りながら東京を再開発するということになります。私は、その多極分散型国土の形成と再開発が矛盾するということを言っているのじゃなくて、方向が逆な場合のこともあるわけです。しかし再開発はしなければならない。だとするならばその逆な方向、この二つ法律をどのようにバランスをとるかということが、政治、国政に課せられた任務だろうと思います。したがって、多極分散型国土の形成と再開発とはどのように調和させるのだろうか、そのことについて大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。
  84. 越智伊平

    ○越智国務大臣 一極集中から多極分散、これはぜひともなし遂げなければならない、かように考えております。  先生の御質問また政府委員の答弁を聞いておりまして、再開発といいますのは東京だけではない、全国やっていかなければならない。確かに先生が先ほど言われました産炭地の跡地など、再開発といってもなかなか需要の方がない。でございますから大変な問題であります。しかし、一極集中というのは、東京の一極集中、各県では県庁所在地への集中、こういうことはなっておりますから、東京中心にすると他の方面に分散をしなければならない、また県庁所在地にしても分散をしなければならない。  先ほどちょっと私が申し上げたのでありますけれども、先般、児島—坂出の橋が開通いたしました。ところが、高松と宇野、これは大変な問題であります。これを活性化しなければならない。特に宇野の方は造船というのがございまして、造船不況、その上に鉄道がなくなったのですから大変なことであります。そこで玉野市からぜひとも何とかこの再開発をしてもらいたい、こういう話がありました。函館もそういう話がございました。函館も御承知のように鉄道はなくなるし、造船不況、こういうことであります。でございますから、何とかそういうことを進めて、岡山で言いますと、今の宇野が岡山市に流れ込むようなことのないようにしたいものだ。でありますから、市長さん、何か産業の方をお考えなさいよ、そうしなければ、産業がなければ再開発するといっても方法がないですよ、こういう話をしておいたような次第であります。  でございますから、やはりこれも先ほど申し上げたのでありますが、八幡製鉄の跡地等も北九州はやはり需要があると思います。でございますから、今回再開発地として指定をいたしたようなわけです。そういうふうにできるところは、東京都でなしに全国的に見て需要があるところはどんどん進めていく、そして需要がないところはほかの方法で、例えば公共事業の傾斜配分とかそういうことを進めて、均衡ある発展をしていかなければならない。  それから、先生の言われました東京都内の夜間人口の過疎化、定住してないということですね。これは各都市でも、都市中心部は大体今そういうドーナツ型で外へ出ていっております。でございますから、住宅政策にいたしましても、やはり都市中心部住宅を持つ、事業所住宅とが接近する、それにはそれなりの環境をつくってやらないといけない。また、先生の言われる本当に人間の住める住宅にしていかなければならない。高級住宅だけで、会社の重役さんだけが入っておるようなところではいけない、私はこういうふうに思っております。そういうことをやりながら、やはり均衡ある発展をしていくためには、地方に分散をするとともに、都心部から流れ出ておる住宅をひとつ何とかして取り戻したいものだ、こういうふうに考えております。そういうことをやりますためには、やはり今、東京都で言いますと、低家賃の住宅をたくさん供給する、このことであろう、こういうふうに思っておる次第であります。  いずれにしても、一極集中を分散いたしますし、均衡ある発展、均衡ある発展といっても、これはなかなか難しいわけですけれども、できるだけそういうふうに誘導していく、またこの法案もできるだけそういうことのお役に立つように運用をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  85. 小野信一

    小野委員 私、社会党ですけれども、社会党の人はこう考えるだろうという前提に立って御答弁をいただくのですけれども、私は、混乱なき過密の場合にはやむを得ないのじゃないかという考え方を持っているのです。要するに、東京集中、集中と言いますけれども、東京に集中する理由があるわけです。東京集中が悪いのは東京に混乱があるから悪い。混乱なき過密であるならば、私はやむを得ないのじゃないかという考え方を持っています。過疎につきましても、共同生活の最低の条件、社会生活を維持する最低の条件、医療であるとか学校であるとか、そういう最低の条件を維持するならば、過疎であってもそれは認められるべきだ。過疎だからすべて悪い、過密だからすべて悪いという考え方を私は持たないわけです。  しかし、もちろん過密よりは豊かなバランスのとれた都市がいいに決まっておりますし、過疎よりもやはりちょうどいい農村地帯の人口配置がいいことは当然でありますけれども、それらを維持するためには、なかなかマーケットシステムの流れとは逆な方向で政策誘導しなければならないわけですから、大変な事業だな。こういう意味で、私、基本的にそういう考え方を持つものですから、東京の場合どうかは別にいたしまして、東京以外の地域で果たしてこの法律改正が導火線になって今まで以上に再開発事業が進展するんだろうか、こういう気がするものですから、今までのような質問を行いました。  最後に、順次法律の内容について質問いたします。  市街地開発事業施行区域要件等の改正内容について、簡単に箇条でよろしゅうございますから、説明をお願いいたします。
  86. 木内啓介

    木内政府委員 施行区域改正内容に入る前に現況でございますけれども、施行区域要件は、区域内の耐火建築物建築面積の合計が全建築物の建築面積の合計のおおむね三分の一 であるということが定められておりまして、それが基本でございますけれども、本要件の算定上、耐火建築物であっても二階以下のもの等は耐火建築物に含めないこととされている、これが現状でございます。  この改正は、耐火建築物に含めないものの範囲を拡大した。ということは耐火建築物に含めないものの範囲が拡大されますので、三分の一のカウント上対象面積がどうしても広がる、対象が広がるということで、その再開発施行が容易になるというふうな改正でございます。  その耐火建築物に含めないものの範囲の拡大の第一点は、耐火建築物に含めないものとされている建築面積の小さいものの範囲を現行の建築面積の百平米未満から建築面積百五十平米未満のものに拡大したというのが一点。  第二点は、容積率高度利用地区に関する都市計画において定められた容積率の最高限度の三分の一未満であるものは、耐火建築物に含めないこととするというふうな二点でございます。  複雑で恐縮でございますけれども、もうちょっと簡単に申しますと、耐火建築物にカウントされない小さなものの範囲をちょっと広げた。それから、余り低いものは耐火建築物であっても耐火建築物とみなさないようにした、そういうことでございます。
  87. 小野信一

    小野委員 施行区域要件緩和によって、どんな地域で新たに市街地開発事業施行が可能になりますか。
  88. 木内啓介

    木内政府委員 百平米未満から百五十平米未満に引き上げることになりましたので、小規模で、ということは百五十平米以下でという意味でございますけれども、利用効率の悪い、いわゆる通称鉛筆ビルと称しているようなものがたくさんあって、そのためにかたい建物が、それもかたい建物でございますので、従来はそういうものがたくさんあるために再開発事業ができなかったというふうな地域が、この改正によりまして施行が可能になるというのが一点でございます。.  それから容積率高度利用地区に関する都市計画において定められた容積率の最高限度の三分の一未満である耐火建築物耐火建築物に含めないことというふうなことによりまして、例えば工場の跡地とか臨海部の倉庫とかそういうことで比較的低利用のままになっていたようなところ、そういうところでも再開発の可能性が出てまいったということでございます。
  89. 小野信一

    小野委員 再開発地区計画対象区域要件は何ですか。
  90. 木内啓介

    木内政府委員 再開発地区計画対象要件は、工場跡地等まとまりのある低・未利用地における再開発を誘導するために、この趣旨にふさわしい土地区域を限定したものでございまして、具体的には本制度において土地利用状況変化に係る動きをとらえまして民間の再開発車業を誘導することが効果的であり、かつ適切であるということ、それからもう一つ公共施設が当該地域で十分整備されていないというふうなことでございます。整備されている地域用途地域の変更等の単独の手法で対応できるわけでございますので、公共施設が十分整備されていない地域一つ要件としたというふうなことでございます。それから三つ目は、特別な手法を用いる以上、都市にとって重要な効果を持つ地域であることを要する。それから、最後に四つ目要件としましては、本制度の趣旨にかんがみまして、土地利用の基本的方向が定まっている地域であるというふうな四つ要件に該当する地域対象地域としたものでございます。
  91. 小野信一

    小野委員 その四つ条件が全部そろわなければならないのですか、それとも一つ外れてもいいのですか、一つ適合すればいいのですか。
  92. 木内啓介

    木内政府委員 それは全部そろわなければいけないということでございます。
  93. 小野信一

    小野委員 終わります。
  94. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長 代理 矢追秀彦君。
  95. 矢追秀彦

    矢追委員 大臣、時間の関係で、最後に質問することになっておりました問題を先に聞かせていただきますが、先ほども多極分散型のことについてちょっとお触れになっておりましたが、私も本委員会で以前にも質問したことがございますが、今度の都市開発法の一部改正で、大都市において再開発はやらなければならぬのですが、その町づくりも大変結構でありますし、私も大阪の市内のど真ん中に住んでおりますから再開発した方がいいというところはたくさん感じておるわけでございますが、現状はなかなか厳しいわけでございまして、特に東京の再開発と、さっきも先生質問されておりましたが、地方への移転といいますか地方に中核都市をつくっていく、ちょっと相矛盾する面もなきにしもあらずだと思うのです。  私はこの前も国土庁長官にもお伺いをいたしましたが、私の考えとしては、県単位ももちろん大事ですが、いわゆるゾーンといいますか、近畿圏あるいは四国圏、中部圏、そういうふうなゾーンでもう一つくくって、なかなか難しい面もあると思いますが、そこでその地域をどう活性化していくか、その地域はどういう国土づくり、町づくりをしていくか、これが非常に大事ではないかと思うわけです。大臣のおひざ元である四国、今回本四架橋ができまして大変結構でございますが、瀬戸内活性化についても私たちも一生懸命頑張っておるわけでございますが、そういう意味で県を越えた何かが必要ではないか。だからといってすぐ道州制がいいか悪いか、この議論はさておきまして、そういう面でやっていかなければならぬと思います。  そういう面で、私の住んでおります大阪、近畿というのは東京に次ぐ拠点ということで一生懸命やっておるわけでございますが、その点でいろいろな案が出てきておるのでございますが、大阪はやはり金融といいますかお金ということを中心にやるべきではないか、昔お金と物、煙の都ということでございましたけれども、そういうことを中心にやるべきではないかというふうに私は考えておる次第でございまして、そういう意味におきまして、これから都市の再開発もやりながら、今言われた、先ほど随分宇野のこととかお出しになっておりましたが、そういうパイロット的にこつこつやるのじゃなくて、今もう一つ大きい網をかぶせて、そしてその中でどうしていくか、首都機能の移転とともにこれをやっていかないと、もう行き当たりばったりばかりやっておったのではしようがない、こう思うのですが、その点をまずお伺いしたいと思います。
  96. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今御質問がありました一極集中、さらに大阪なら大阪府あるいは大阪市ということではなかなかうまくいかない、近畿圏とか中部圏とか首都圏とかいろいろ言っておりますが、今の経済なりそういうものは、一つの単位では、その大阪市なら大阪市ではなかなかいかない、やはり周辺の圏域で、ゾーンといいますか、そういうことでないといけない、四国の話が出ましたが、私は四国は一つだ、こういうふうに思っております。そうでないとなかなかうまくいかない。  そこで、この再開発法は、大阪でいいますと、大阪市内はもちろんでございますけれども、あの周辺産業構造変化をしたようなところは需要さえあれば再開発をして有効に利用してもらう、大阪市内にいたしましてもやはり工場等の閉鎖をしたようなところは再開発をして、それは先ほども御指摘を受けたわけなんですが、どこの対象の答弁ということよりも全体的に、夜間人口が減る、学校があっても小学生も中学生も減ってくる、都市中心部では減っていくし、また山村地では減っていくし、都市周辺にドーナツ型に固まってしまうこういう現象はよくない、こう思いますので、そういう首都圏を初め近畿圏、中部圏あるいはそのほかの地域もこの法律によって良好な都市づくり、良好な環境づくり、これを誘導していきたい、こういうふうに思っている次第であります。
  97. 矢追秀彦

    矢追委員 それでは、都市開発法でございますが、この第一条には「この法律は、市街地計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用都市機能更新とを図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。」非常に立派な文章が出ておりますが、昭和四十四年にできて今日まで何回か改正がされ、今回また改正ということになっておりますが、この再開発法ができてもう十九年になるわけです。これがこの十九年間でどれくらい効果があったのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕  と申しますのは、私の地元でございますが、阿倍野区というところがございまして、阿倍野地区の再開発がずっと進んでおりまして、昨年B棟というのが完成をいたしました。その裏の方の住宅も大変ごちゃごちゃした環境の悪いところでございましたが、今でいう立派なマンションが建ちまして、もう一つは下が商店街、上が住宅というのができまして、そごうさんという百貨店も入っておるわけですが、残念ながら、昭和五十一年から七十年までの計画でございますけれども、まだ全体は完成を見ておりません。あと七年しかないわけです。ところが、肝心の阿倍野の天王寺駅に近い方のAという地区部分の方が全然今のところ動いていないわけですね。現在できたところでいろいろな問題を私も聞いておりますけれども、一つの問題は、せっかくきれいになったのですけれども、最初はお客さんがいっぱい来ましたけれども、今のところお店が余り繁盛していないのです。それからすぐ出ていかれる方もあるという状況で、できたところについてはまだまだ大変。これは全部完成しないとだめですし、仮に完成したとしても阿倍野そのものの人の流れというのが昔とは大分変わってきております。そういう問題。  それから、住居と店舗を一緒にした場合、これはいいか悪いか議論の分かれるところだと思います。ある程度は必要だと思いますが、特に百貨店なんかが入った場合は上に住宅があると困るというのですね。何で困るかといったら、バーゲンセールをやるとか大売り出しやるときにはでかい垂れ幕が出せぬらしいですよ、上の住民が反対して。だから困る。そんなこともありますし、そういう一階、二階あるいは地下に店舗があって上に住宅があるというところ、必ずしもいい面ばかりではない、悪い面もある、そういった面をどう克服していくのか。それからもう一つは、やはり交通網。ここは地下鉄の駅があるからまだいいですけれども、交通網が整備されないと問題が出てくるのではないか。  それと、私は最初に大阪市の方にも言ったのですけれども、阿倍野区というのは人口が全体的に減っておるわけです。ところが、その地区は全然人口をふやさないわけですよ。せっかくすばらしい住宅に切りかえるのなら、全部平家だったわけですが高層になるのだからふやしたらどうだと言ったら、どうもぐあい悪いのですとかなんとか言って、結局その地区は大体人口は同じなんです。建てかわった分と入る人と大体一緒なんです。ふやしたらいかぬという——先ほど言われたようにだんだん周辺へ行くわけですから、駅から二、三分のところで非常に便利だから私は入る人はいっぱいあると思うのですね。ところがふえなかった。そういう問題もありますし、あとの地区が進まないのは地主さんが非常に頑張っておられまして、そうやっているうちにどんどん地価も上がってくるわけですね。これは余計非常に問題が起こっております。  こういう再開発、まだまだ問題はいろいろあろうかと思います。特にきょう議論されているのはどちらかというと工場なんかを対象とされたようなところですが、今私が問題にしているのはもう本当の中心の、いわゆる玄関どころの再開発です。大阪の梅田の方も裁判ざたになるような問題がありまして、住民との話し合いといいますか、そのことと、それから私先ほども言った、全国的にもそうですけれども、その地域のそこだけ見ているとちょっと失敗するような面があるのではないか。もうちょっと広い範囲での問題、交通のこととかそういうことも考えていかなければいかぬのじゃないかと思うのです。この再開発の哲学といいますか、過去十九年間の実績を踏まえた上で今後どう反省しどう持っていくのか、建設大臣の大まかな所信をお伺いしたいと思います。
  98. 越智伊平

    ○越智国務大臣 十九年間の実績につきましては、政府委員から答弁をいたさせます。  工場跡地主体に御答弁申し上げておりますのは、その地区、商店街なら商店街、これはもう先生承知のように商店街というのは非常に難しい問題がたくさんあります。例えば百貨店なら百貨店を一ヵ所やりましても、専門の学者の方に聞きますと、やはり点がうまくそろわないといかないとか、その点はもちろん建設省でありますし私も不勉強でございますけれども、そういういろいろな問題がある。その上に非常に民主主義が徹底をいたしまして、たくさん地主がありますとなかなか難しい。それを無理してやりますとまた地上げとかいうことになりまして、その地域の方がみんなで話し合ってうまくいけばいいのですけれども、その点が今なかなか難しい、こういうふうに思います。しかし、非常に劣悪な環境ではいけないということもわかります。  それを掘り下げて言いますと、土地そのものが、もちろん私有権、所有権を認めておるわけなんですけれども、大きい目で見ていただいて土地はだれのものか、もちろん自分のものであることには違いないのですが、それを全体的に役立てていく、有効に利用するという観念がないとなかなか話はまとまらない、こういうふうに私は思います。でございますから、もちろんいろいろな場所、駅前でございますとかこれの再開発もちろん結構でありますけれども、一番手っ取り早いのは今遊休地、工場跡地等がありますからそういうところを早くやって、いずれにしても事務所にしても床面積あるいは住宅、これの供給も早く進めていかなければならない、こういうふうに思いますので、重点といいますか、そういう話をしたわけでございます。もちろん話さえまとまれば商店街であろうとどんどん進めていくことがいい。その場合はやはりみんなが話し合って円満にやっていくようにしないとなかなかうまくいかないと思いますので、その方も進めますが、とりあえずは工場跡地等について早急に、一方土地の供給あるいは住宅の供給ということを急いでおりますので、そういうことに力点を置いて申し上げたような次第であります。
  99. 矢追秀彦

    矢追委員 実績等のデータはまた後で結構です。  次に、本法案では施行地区要件緩和や権利変換手続の特則の拡充等を行うことになっておりますが、果たしてこれだけで市街地開発事業の大幅な拡大あるいは円滑な実施を図ることができるのかどうか。先ほど私は、今回の対象とはちょっと違うかもしれませんが、再開発というのがなかなかうまくいかないし、時間もかかるし非常に難しい。ただこういった一部の、言葉はなんですが、あめというふうな、まあ今度はむちもありますが、これだけで果たして拡大ができるのかどうか。先ほどアンケートによる数字はおっしゃいましたけれども、実際どれぐらいこの市街地開発事業の拡大を見込んでおられるのか、その点はいかがですか。
  100. 木内啓介

    木内政府委員 一般的に再開発都市開発とか再開発事業と私どもが言う場合には、本日お願いしている法定再開発市街地開発車業のみのことを多分言っていないことが多かろうと思います。市街地開発事業というのは強制力を伴った法定の再開発車業でございますから、やる場所が非常に限定されていることもありますし、いろいろな事情でそんなに都市全体を埋め尽くすほどはやられておるわけではございません。先生先ほどちょっとあれがありましたけれども、これまでに百七十八地域で面積も二百二十九ヘクタールが全国で事業を完了したところでございます。計画中のものを入れましても事業箇所で全体で三百二十二地区、面積は五百六十六ヘクタールということでございますから、これによって都市の、アーバンリニューアルと申しますか、それを全部やってしまうというふうな大きなものではないことは事実でございます。  そういうふうなことで、まずこの改正前の法定再開発で大体どれだけできるんだということになりますと、そういった位置づけでございますけれども、これは法制定以来いろいろ改正なり工夫なり努力を重ねてまいりまして、今の事業箇所数も年々ふえておるわけでございます。確かにこの程度しかふえないというふうなおしかりも方々からございますけれども、これにつきましては制度論だけではございませんで、国民の権利意識とか権利調整が大変難しい、大きな事業であるために長期間かかるというふうなもろもろの要件もございます。そういうふうなことでなかなか普及しない。努力はしておるのでございますけれども、いかない面があるわけでございます。したがいまして、そういった事業でございますから、先生御指摘のようにここで要件一つ二つ変えましてやりやすくする方向で変えてはおりますけれども、先ほどの東京都の調査によりましても従前の二割くらいがふえるかなというふうなことでございます。この改正によって二割程度従前のものがふえても、それだけではとても十分という形にはならない、本来の市街地開発事業をもっと進めるための財政上の問題とかあるいはコーディネーターの育成だとか、再開発に入る前のいろいろの努力をもっと積み重ねていかなければいけないと考えているわけでございます。したがいまして、我々はこの改正等も伸ばしていくための一つの有力な手段だと考えておりますけれども、改正にかかわらないいろいろな要因、そういったものも十分検討し、前向きの対応もなお一層やっていかなければいけないのじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  101. 矢追秀彦

    矢追委員 本法案では、再開発地区計画の活用によりまして区域内の建築物につきましては用途、容積率、高さに関する制限緩和する、こういうことが可能になってくるわけですが、それによりましてその周辺環境公共施設の整備状況との調和を乱すおそれが出てくると思うのですが、その点についての配慮というのはどのようにされておりますか。この点お伺いしておきます。
  102. 木内啓介

    木内政府委員 今回改正をお願いしております再開発地区計画によりまして、ある程度公共施設の整備とか一般より厳しい土地利用規制等が伴うわけでございますけれども、その一方としまして、それの見合いで規制の緩和が行われるわけでございます。その緩和に当たりましては周辺環境との調和に十分配慮しつつ、また一方地区外における必要な公共施設の整備というふうなものも十分強力にやっていくというふうなことを条件として行われるものでございますから、先生御指摘のような心配がないようにしたい、ないと思いますけれどもさらにないようにしたいと考えております。
  103. 矢追秀彦

    矢追委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。後で混乱が起こったりまた裁判等になると大変でございますからよろしくお願いしたいと思います。  それから、これに関連するわけですが、他の一般の地域の規制状況と比べて格差が生じることにはならないのかどうか、その点はいかがですか。
  104. 木内啓介

    木内政府委員 再開発地区計画は、良好な再開発を誘導するために必要な建築物に関する一般の規制よりもっと詳細な規制を定めることということが一つ、それから容積率の規制の緩和は、先ほどもお話ありましたように周辺とのバランスに配慮しつつ、また必要な公共施設の整備につきましては開発者負担を取り込みながら整備をしていくというふうな条件をもって緩和するわけでございます。したがいまして、周辺等との特別の格差が生ずるというふうなことには考えておらないわけでございます。
  105. 矢追秀彦

    矢追委員 次に、高度制限や高さの例外許可のあり方についてどう考えておられるのか。例えばこの法案ではアッパーリミットをどの辺にするかが不明でございます。この点についてはいかがですか。
  106. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 高さ制限緩和につきましては、再開発地区整備計画が定められた区域内におきまして特定行政庁が具体の建築計画を審査しまして、敷地内に十分な空地が確保されていることなどから、交通上、安全上、衛生上及び防火上、そういう観点から支障がないと認めた場合に建築審査会の同意を得て許可をすることによりまして、建築物の高さを制限しております斜線制限、これには道路斜線とか隣地斜線がございますが、それを適用しないことにするということでございます。
  107. 矢追秀彦

    矢追委員 工場跡地等土地利用転換の促進を図るためには、再開発地区計画の活用と課税の特例、これが出ておりますが、そのほかにどのような事業手法を活用されようと考えておられますか。その点いかがですか。
  108. 木内啓介

    木内政府委員 工場跡地等の適正な再開発を図るために、都市計画手法であります再開発地区計画の活用とあわせまして、都市基盤施設の一体的整備及び拠点的施設の整備を促進するために、一つとしては公共施設の整備等を一体的に行う土地区画整理事業、それから二つ目としては拠点的施設に対する助成を行う都市活性化地区総合整備事業、これは予算補助でございます、及び新都市拠点整備事業、これも予算措置の事業でございますけれども、そういった再開発事業を積極的にこれに導入してまいりたいと考えております。
  109. 矢追秀彦

    矢追委員 本法案に基づきまして市街地開発事業が進展することに伴いまして、従前の居住者、こういった人たちに対する配慮がどのようになっておるのか、この点お伺いしたいと思います。往々にして今まで住んでおった人への配慮が欠ける面が出てまいりますので、その点はいかがですか。
  110. 木内啓介

    木内政府委員 これは本法案に関連してはなかなか難しいわけでございますけれども、一般的に市街地開発車業は、権利変換等によりまして従前の居住者の権利を一応守ることを基本としております。  そのために具体的にどういう配慮をしておるかと申しますと、引き続き居住したいという人は権利床を得るとともに、さらに希望があれば保留床についても優先的にその譲渡を受けることができるというふうな仕組みになっております。また、外へ出ていく転出者に対しましては、当然のことながら正当な補償を行うとともに、希望によりまして代替地の紹介とか再開発住宅の建設等によりまして公的住宅への入居のあっせん等も行っているわけでございます。商業系の転出者につきましては、代替地のあっせんのほか中小企業金融公庫、国民金融公庫等の政府金融機関によりまして低利の融資制度を用意しているわけでございます。  これは既存の、現行の制度でございますけれども、本法案改正に関連しまして再開発事業がふえてくることでございますので、運用の強化等を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
  111. 矢追秀彦

    矢追委員 東京二十三区の容積率の平均は二四二%と言われております。しかし、都市施設の整備水準が現状のままでありますと、指定容積率の七〇%前後、平均一七〇%前後の容積を利用するのが限界、このように見られております。ところが、政府は中曽根内閣以来、東京都環状七号線内の第一種住居専用地域を第二種住居専用地域用途地域変更するように働きかけておられますが、もし仮に用途地域変更されて中高層化された場合、現在の都市施設整備水準では到底対処できないのではないか、このように思うわけでございますが、この点について政府はどのように対処されていくのか、お伺いしたいと思います。
  112. 木内啓介

    木内政府委員 建設省といたしましては、東京住宅需要にこたえる等の観点から土地高度利用を重点的に図る必要があるということで、東京都の環七内の第一種住居専用地域についてはこれをできるだけ第二種へ変更してほしいというかねがねのお願いを東京都にしていたわけでございます。東京都もこれを受けまして、一応原則として第二種住居専用地域へ変更するという方針で現在の用途地域の見直しを進めておるところでございます。本年度の終わりごろになりますと、その具体的な決定がなされるかと思うわけでございます。  しかし、先生御指摘のように、この際、都市施設の整備状況容積率規制とのバランスに留意することは大事でございます。都市施設が非常に貧弱なところに高度利用だけを押しつけますと地域が混乱するという問題がございますので、そういう御指摘は大変重要なことでございますので、都市基盤の整備もあわせて推進する必要があろうかと思います。そのために、必要に応じまして地区計画等を活用しまして、これは従前からある制度でございますけれども地区計画等を活用するなどしまして良好な市街地形成を図る必要があると考えておりますし、東京都もそういう方向で検討していると聞いております。
  113. 矢追秀彦

    矢追委員 東京二十三区内の都市施設で辛うじて欧米と同程度の整備水準にあるのは千代田区と中央区の道路だけだ、このように言われておるわけでございます。例えば、東京都の汚水処理場のうち、新宿の落合処理場では既に一日の最大汚水量が処理能力を超えておりますし、三河島処理場、小台処理場も、近い将来、処理能力を超える、こう言われておるわけでございます。そういった状況の中で、本法案に基づく再開発地区計画では、このような都市施設のうち、特に汚水処理場のような基盤施設のキャパシティー、この関係についてはどのように配慮されておるのか、その点はいかがですか。
  114. 木内啓介

    木内政府委員 今回の改正に基づく再開発、それから従来の再開発でもそうでございますけれども、再開発なり土地高度利用が進んでまいりますと、先生のお話にございましたような都市施設のキャパシティーとの問題が常に生ずるわけでございます。特に、下水道等も問題になっていることは承知しております。  東京都の下水道について例示的にお話しさせていただきたいと思います。例えば、東京都の下水道施設の整備能力というのは、汚水量の大変な増大に対しまして現有能力は五十九年度で五百八十八万立米・パー・デーになっておりますけれども、そういった能力を長期目標としては九百九十七万立米に上げるというふうなことで、長期的に再開発等を含む都市化の進展に伴ってキャパシティーの増強を一生懸命やっているところでございます。ただ、こういうふうな長期目標を掲げて整備はやっておりますけれども、ある場所においてその長期的な整備に先行するような形で事業が出てきてしまうというふうなことがしばしばあるわけでございます。そういったものにつきましては、下水の循環利用をさせるとか、あるいは、場合によっては管渠の排水能力が足りない地区におきましては調整槽を設置させるとかいうふうなことで対応しているところでございます。
  115. 矢追秀彦

    矢追委員 では次に、商住併用施設が多く存在する地域あるいは住宅と商業、業務用建物が混在する地域土地高度利用が可能な地域につきましては、商住複合の用途地域といったものが考えられるわけでございます。もちろん一部は認められておりますが、先ほどもちょっと申し上げましたように一緒に入る場合、いろいろな問題もございますし、どれぐらいにしたら一番いいのか、その点はいろいろ問題はあろうかと思います。例えば、一定の高さを境界として、その高度により用途地域を分ける立体用途地域制といったものを導入をいたしまして、住宅、商業混合の複合用途地域、こういったことを新しくつくってはどうか、このようにも考えるわけでございますが、この点については何かお考えがございますか。
  116. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 立体用途規制の件につきましては、ただいまの御指摘の中にもありましたように、現行制度の第二種住居専用地域におきまして、三階以上の部分には住宅及び住宅の近隣に必要なものに限り建築できるということにしておりまして、立体用途規制が部分的に導入されているところであります。また、現行の地区計画制度におきましても、一定の階数以上の建築物の床の部分の用途を住宅に限るというような立体的用途規制を行うことも可能であり、これにつきましても既に実例を見ているところであります。さらに、今回の再開発地区計画制度におきましても、そのようなことができるように措置をしているところであります。  なお、市街地におきます住宅と事務所、店舗等の複合利用の一般的なあり方につきましては、本年三月、建築審議会に、市街地環境整備の方策についてということを諮問しておるところでありまして、この中で検討を進めていきたいと考えております。
  117. 矢追秀彦

    矢追委員 検討は結構なんですが、前向きなんですか、それとも今の方がいいとおっしゃるのか、いかがですか。
  118. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 立体用途規制を導入します場合に、例えば業務地区の高度に土地利用を行わなければいけないというようなところにつきましては、住宅との立体用途というのはなかなか難しい面があると考えておりますけれども、それほど業務の量は高度に要求はされていないけれども、職住近接の要請もあるというような地域におきましては、これは十分考えられるところであります。しかしその場合に、業務の機能と住宅の機能とは相反する面がございますので、そういうところの調整もしなければいけない。そういうことも含めまして検討を進めるわけでありますけれども、これだけの土地高度利用の要請と市街地住宅のニーズの高さを考えましたときに、これは前向きに取り組まなければいけないと考えておるところであります。
  119. 矢追秀彦

    矢追委員 都市施設の整備状況等から見まして、土地高度利用が可能である地域では、一定要件のもとで広場の一部、道路などの上空を業務施設や中高層の市街地共同住宅として有効活用ができるように関係法の見直しなどを検討してはどうか、このようにも考えるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  120. 木内啓介

    木内政府委員 道路、公園等の公共施設の上空の活用を推進することは大変重要なことだと思いまして、そのためにまず道路の上空の利用あり方に関しましては、私ども道路局が中心で立体道路研究会というのを開きまして、今検討をしております。それからまた、建築空間複合利用研究会というのも設けておりまして、これも検討しているところでございます。それから、都市空間の上空、地下の利用あり方につきましては、都市計画中央審議会におきまして経済社会の変化に対応した都市計画あり方に関する検討委員会におきまして、鋭意検討しているところでございます。こういう検討の結果、かなり難しい問題がございますから若干時間がかかると思いますけれども、制度的にいい方策が見つかった場合には積極的に対応してまいりたいと考えている次第でございます。
  121. 矢追秀彦

    矢追委員 都市施設が整備されているか、あるいは整備が可能で都市の再開発土地高度利用が進められる地域につきましては、その地域都市計画上の位置づけ等についても十分配慮された上で、スポットゾーニングにより積極的に用途地域の変更や容積率割り増し等を行い、そして優良プロジェクトの実施を推進する、そういう誘導措置をもう少し検討されてはいかがかと思うわけでございますが、その点はいかがですか。
  122. 木内啓介

    木内政府委員 先生御指摘のように、市街地開発事業等、優良な個別のプロジェクトが行われるというふうなところにつきましてはスポットゾーニング、部分的なゾーニングを適用しまして、用途、容積の見直しを進めることにしております。しかし、これはあくまでも市街地開発事業等、優良な事業が行われるというところに限定して運用してまいりたいと思うわけでございます。  その一方、今度の改正でお願いしていますように、工場跡地等、まとまりのある低・未利用地につきましては、土地利用転換に伴う整備事業の進捗に応じまして、個別、段階的にきめ細かく規制緩和をして再開発を誘導していくというふうなことが必要だと思われますので、再開発地区計画の積極的な活用を考えてまいりたいということで、ただいま審議をお願いしているわけでございます。
  123. 矢追秀彦

    矢追委員 次に、都市整備のために土地の有効活用が不可欠な大都市地域におきましては、地域環境産業構造変化に伴い生じた工場跡地あるいは移転予定地などで高度利用が可能な地域、そういったところにつきましては早急に用途地域の指定の見直しを行うべきだと思いますが、その点についてお伺いをしたいと思います。特に東京や大阪ではこういったケースがたくさんあると思われます。ところが、現実には果たしてどれぐらいこの用途地域指定の見直しが行われておるのか、その点も含めてお伺いしたいと思います。
  124. 木内啓介

    木内政府委員 用途地域の見直しは、都市計画法に基づきましておおむね五年ごとに行っております。工場跡地につきましても、公共施設の整備の状況あるいは整備計画周辺土地利用状況等を勘案しまして、その定期的な見直しの際に、できるものは適切な見直しを行っている次第でございます。その結果もございまして、工業系の用途地域は、例えばこの五年間で東京二十三区におきまして約百ヘクタール減少しているところでございます。しかし、百ヘクタールと申しましても、全体の工業系の約一%でございますから、そう大きく減っているというところではございませんけれども、現実に見直しがなされているということでございます。  そういう一斉見直し以外に、先ほどちょっと御答弁申し上げましたように、優良プロジェクトに対応したスポットゾーニングというのを適宜行っているわけでございます。二、三例を申しますと、東京都の大川端地区、これは特定市街地住宅総合整備事業という事業でございますけれども、優良な事業でなされておりますので、そういったもの、それから川崎市新川崎地区で、これは特定街区という事業でございますけれども、これを行った事例、それから横浜市の神戸町地区で、これは地区計画利用して事業を行っているものに対しますスポットゾーニングではございますけれども、そういった具体の例もございます。定期的あるいは優良なものは適宜見直しを行っていきたいというふうに考えている次第でございます。
  125. 矢追秀彦

    矢追委員 市街地開発組合で市街地開発事業を実施する場合、現行法のもとでは国庫補助対象となる再開発地区面積が五千平方メートル以上となっております。しかし、市街地開発事業の促進という視点から、現行法のもとでは二千平方メートル以上となっている住宅都市整備公団の施行基準程度緩和をすべきだと思いますが、その点はいかがでございますか。  また、初動資金、準備組合活動費、コンサルタント費に対する国庫補助制度、こういったものも促進のためにつくってはいかがかと思いますが、その点についていかがですか。
  126. 木内啓介

    木内政府委員 組合施行市街地開発事業の国庫補助採択基準の問題でございますけれども、これは一般的には五千平米以上というふうになってございます。しかし一定の場合には、一定の場合としまして幾つかございますけれども、一例を申し上げますと、市街地開発事業地区整備プログラムに基づきまして小規模なものが連鎖的に行われるような場合とか、そういうふうなものにつきましては二千平米以上でも補助採択が可能になっておるわけでございます。その他幾つか二千平米以下でも採択がなされる場合がございますので、まずこれを積極的に活用してまいりたいと思います。長期的には再開発事業の組合の補助もできるだけ強化してまいりたいと考えている次第でございます。  それから、御指摘ございました再開発のなかなかおくれている理由というのは、今回改正をお願いしました施行要件という問題もございますけれども、何と申しましても、これは制度上の問題ではないのでございますけれども、再開発事業が要するに出発進行に入る前の、ある程度そこを再開発事業をやるというコンセンサスを得るための対策、これが極めて重要なわけでございまして、再開発コーディネーター制度とかいろいろなものを活用しながら、啓蒙とか促進のための運動をやっておるわけでございます。確かに初動期対策というのは大変重要でございます。それも重要でございますけれども、しかし今の段階で、どういう形で補助対象にするかというのは大変難しい問題でございますので、初動期対策のあり方全体を含めまして、助成も含めまして今後検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  127. 矢追秀彦

    矢追委員 大都市における住宅供給の促進を図る観点から、今回は特に、先ほどから何回も言われておりますが、工場跡地等一つ対象になっておりますが、密集住宅地の再開発が非常に大事だと思うわけです。これは相当いろいろございます。しかし、これもなかなか難しい面があろうかと思いますけれども、この密集住宅地をどうするか、この辺についてはいかがでございますか。
  128. 木内啓介

    木内政府委員 今回御検討をお願いしている再開発手法というのは、いわば段階的な、誘導型の再開発手法でございます。したがいまして、ソフトといいますか土地利用面の強制力はありますけれども、事業実施の面の強制力は付与してないわけでございますので、この手法で密集地域をやるというのは非常にやりにくい要素は多分にございます。制度的には、その利用が低利用であって公共施設が十分でない、そこの開発都市機能向上に役立つ等の要件に合致しておれば制度論としてはできないことではないかと思いますけれども、実際にはこのソフトの誘導型の段階的な再開発手法でそういう密集地でやるという場合はなかなか容易ではない。もしできるとすれば関係権利者等の基本的な合意が得られるというふうな場合に限定されるのではないかという感じがいたします。こういったところはこの誘導型の再開発もさることながら、事業型の再開発ができれば一番向いているんではないかと考えるわけでございますけれども、制度としては可能でございますので、検討してまいりたいと思うわけでございます。
  129. 矢追秀彦

    矢追委員 今の問題、確かになかなか難しいと思います。特に日本の場合は公共の福祉というものに対する意識というのがまだまだ政治に大きな責任があると私は思っておりますが、まだ個人の利益といいますか権利の主張というのは非常に強い。もう少し公共の立場に立ってもらいたいと思いますが、それは公共の立場に立たせないようにしてきた政治に大きな責任があると私は思っております。この密集住宅の問題でも、やはり人間ですから劣悪な住宅よりいいところへ入りたいのはだれしもの願いだと思うわけです。しかし、さあそこを開発するとなるといろいろな問題が出てくる。そういった意味でモデル的ないいところがどんどん出てきますと、自分たちもああいう住宅ならば、こういうことにもなろうかと思いますので、そういう意味で今回この面でもひとついいものをつくっていただきたい、こう思うわけでございます。  そういった面で、質問通告にはございませんけれども、こういう見取り図もいただいておりますけれども、私この間も高齢化社会と住宅ということでちょっと質問させていただきましたが、この再開発の中にそういうふうな考え方といいますかソフト面といいますかそういうものは、どれぐらいの指導といいますかそういう面で盛り込まれておるのか。ただショッピングセンターをつくり公共施設さえつくればそれでいいんだということなのか、あるいはそういった三世代の住宅とかあるいはお年寄りのことも考える、また生涯教育の場づくりもやる、そういうふうなこともお考えの中に入っておるのかどうか、そういうことはこういう法律とは全然関係ない問題だから当たり前の話なんで、それはそこをやる事業主体の方に考えさせればいい、こういうことなのか、その点はいかがですか。
  130. 木内啓介

    木内政府委員 法律の大ざっぱな制度のところには明確に規定されておりませんけれども、具体の運用、例えば容積率の割り増し、緩和要件としまして、例えば住宅等に使う場合の割り増し率というふうなものを大きくするというふうな配慮はできると思いますし、したいと考えております。これは一般の特定街区等の場合でもそういった意味の配慮をしておるところでございまして、当然この地区計画、これは具体には市町村長の決めるところでございますけれども、地域においてはそういった配慮をしながら運用するようにということを私どもの方もお願いしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  131. 矢追秀彦

    矢追委員 工場跡地の空閑地というのは場所によって千差万別だと思います。都市内の位置あるいは規制状況、それから周囲の状況、先ほど来大臣のおっしゃっているような新日鉄というようなああいう広い土地で本当にそこに工場しかなかったというところもありますし、また大阪市内あるいは東京都内のような密集地帯の中に工場が昔の古いのがあって、それが移転してそこだけちょっと狭いところであいておるとか、あるいはさっきの宇野ですか、そういうふうなところとか、産業の性格といいますか種類によっても非常に違ってくると思うのです。したがって、ただ単なる画一的な手法では本当に立派な都市づくり、住宅づくり、地域づくりができるのかどうか、その点心配があるわけですが、この法律ではそういうふうなことは余りうたわれてないように思うわけですが、その点はいかがですか。
  132. 木内啓介

    木内政府委員 この法律に書いてあるのは要するに計画手法手続等が書いてありまして、内容を一々書いてございませんからそういうふうに感じられるわけでございますけれども、当然再開発地区計画はその対象地域及び周辺状況開発の目的等に応じまして建築物に関する規制内容とかを選択的にケース・バイ・ケースで定めることになっております。したがいまして、再開発地域の特性に適合した形で内容が出てくるわけでございまして、例えば北九州におきましては国際情報文化センターのようなもの、そういうところを核にして開発が行われるという話も聞いております。それから、先生のおっしゃいましたように住宅の需要が非常に旺盛な大都市周辺の適地におきましては、マンション等を主体とした内容のものになるかもしれません。内容自体は、したがいまして周辺状況とかその地域の特性に応じて必要な内容になっている。ただ法律に書いてある手続は、同様の手続を踏んでなされるということでございますので、極力内容につきましては都市の活性化も図るように、地方都市の活性化等も図れるような形でなっておりますので、そういう方向で運用してまいりたいと考えておる次第でございます。
  133. 矢追秀彦

    矢追委員 こういった再開発の実施が地価の高騰を招くことにならないのかどうか。デレギュレーションがこれからどんどん進んでくるということで、今持っている土地、今のままだとだめだからもうちょっと待っておれ、こういうようなことでまた上がってくる可能性もありますし、そこが規制が緩和されるとなると、またいいところができるとなると、工場の跡地を先に持っておこうかというような気が起こる人も出てくるかもわかりませんし、また持ち主がそのまま頑張る、こういう点もあろうかと思いますので、そういった面での地価の高騰、最近監視地域を設けたりいろいろされておりますが、これによっての誘発というおそれはあるのかどうか、あるとすればどうやって抑えるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  134. 木内啓介

    木内政府委員 まず一般的な現象としまして、再開発車業にかかわらず新規開発事業でも、例えば新駅ができるとかいろいろな開発期待がありますとどうしてもそれを見込んだ形の投機とか思惑的な土地の買い占めとかいうのが出がちでございます。これは残念なことでございますけれども、やはり一般的に国土利用計画法の監視区域とかいうふうな形である程度監視しなければならない問題でございましょうし、また宅地建物取引業法等の問題かもしれませんけれども、いずれにしましても思惑とかちょっといびつな形で地価の上昇というのが起こらないような配慮というのは一般的に必要だと思うわけでございます。  ただ、今回の改正との関連でお話しさせていただきますと、再開発車業が行われるあるいは誘導再開発が行われるということになりますと、その土地のいわゆる効用は増加するわけでございますので利用価値は増加するわけでございまして、結果的に立派なものができればそれは事業の前よりはやはり事業が完了した後において地価はそれなりに上がると思います。これは効用増でございますし、やむを得ないことだと思うわけでございます。  しかし、そういう当該箇所は有効利用のための効用増がございますけれども、もっと一般的に土地需給関係が逼迫しているあるいは業務用の床の需給関係が逼迫しているものにつきましては、土地の供給をふやすあるいは業務用の床の供給をふやすという形をとりますので、全体の需給関係緩和されるというふうなことで、総体としての地価の安定には資するものと考えておる次第でございます。
  135. 矢追秀彦

    矢追委員 終わります。
  136. 中村喜四郎

    中村委員長 午後二時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時一分休憩      ────◇─────     午後二時二十分開議
  137. 中村喜四郎

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。田中慶秋君。
  138. 田中慶秋

    田中(慶)委員 このたび御提案いただいております都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。  御案内のように、地方の工場跡地利用が今日いろいろな社会問題になっているわけでありますけれども、この都市開発法改正に当たって本案の効果等についてどのようにお考えになっているのか、まず第一点、お伺いをしたいと思います。
  139. 木内啓介

    木内政府委員 この法案改正をお願いしている点は、大別しまして二点ございます。  一つは、市街地開発事業をもう少しできないかということで、施行要件緩和でございます。もう一つは、先生ただいま御発言ございましたような形で、地方等も含めまして産業構造の変革に伴いまして工場用地等の低・未利用地がたくさん存在する、それを計画的に、しかも段階的に誘導する手法という新しい制度都市計画制度として創設するという二点でございます。したがいまして、御質問の趣旨から申しますと、後段の効果をお尋ねだと思われますので、後段について御説明申し上げたいと思います。  先生御指摘の工場跡地等は、私ども、この法案のために特別に調査したわけでございますけれども、この再開発地区計画制度対象になり得るであろうというふうな地域が大体どの程度あるかということを都道府県を通じて調べた結果、一ヘクタール以上のまとまりのある工場跡地等の低利用地は全国で約六千ヘクタールほどある。ですから、具体にこの計画適用できるかどうかは別として、しようと思えばできそうなところが六千くらいある。そのうち三大都市圏に三千二百くらい、あと二千八百くらいが地方にあるということになるわけでございます。  ところで、そういった低利用地の中で特に工場跡地に的を絞ってどういうところにあるかということを調べてみましたところ、町の中心市街地あるいは駅とかインターチェンジに非常に近いもの、そういうものが跡地のその候補地の中の約八割でございます。ですから、都市にとりましても大変貴重な財産がかなりいいところにあるというふうな認識を得たわけでございます。  そういったところの候補地でございますけれども、その候補地を一挙に用途地区の変更をしてしまいますと、あるいは容積率を高くしてしまいますと、乱開発になったり土地が上がったりしてはいけないということで、できるだけこれを計画的に誘導しようというふうなことで、そういった土地の将来の転換方向を明確にして、それで、しかも必要な公共施設の整備の手順を決めまして、そして、それを前提としましていわゆる用途地域の変更、例えば準工業地域から業務用地域にと、これは実質的には一種の容積率緩和を伴うわけでございますけれども、そういったものをあわせて行いつつ、民間のエネルギーを誘導しながら段階的に整備していこうということでございます。  したがいまして、これによりまして大都市圏におきましては、住宅の床とか業務床の供給を図ることに寄与すると思われますし、地方都市におきましては、そういうこともありますけれども、さらにその地域の活性化の拠点づくりというふうなことに役立つものではないかと考えている次第でございます。
  140. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大変積極的な取り組みをされているわけでありますけれども、ただ、そこで問題なのは、この工場跡地の問題で、例えば今お話にもありましたように、市街地、駅周辺並びに町の中心に約八割の工場跡地が存在している。そこには例えば工業地区という問題があるとすると、その工業地区の用途指定はどうなっているのか。あるいはまた、そこで、今お話にも出ましたように、急激に容積率を変えてみたりすると乱開発につながるあるいは地価の高騰につながる、こういうお話も出ているわけでありますけれども、基本的には逆だと私は思います。今地価がこれだけ高くなっているわけですから、そういう中で、この容積率一つをとっても、準工の容積率あるいは工業の容積率、さらにはまた住居一種、二種の容積率、全部違ってきているわけですから、そういう点では、これらの問題に対してもう少し計画的に、例えば工業地区、駅周辺なり市街地の中に工業地区があった場合において、なかなか準工にも用途の変更がしにくいし、あるいはまた、そこにおける近隣商業にもなかなかしにくいのが現状だと思うのです。ところが、こういう法案が今回改正されるということになると、一般には今まで工業地区として指定されたところが跡地になって、現実にその跡地利用が準工になっていくのか、あるいは近隣商業、商業になっていくのか、そういうことに具体的にどういうふうな傾向を持って取り組んでいかれるのか、お答えをいただきたいと思います。
  141. 木内啓介

    木内政府委員 先生おっしゃいましたように、現在の工業地域、準工業地域、これは地域によって異なりますけれども、容積率を申しますと大体二〇〇%とか三〇〇%あるいは四〇〇%、存在する場所による割合には非常に低くなっております。それで、こういうところを一挙にやりますと、大体こういうところは、工業地域等は、工業地域として存在したために業務用地域とか住宅地域にもしするとすれば公共施設が十分なかったり、例えば緑地がなかったり、そういうふうなことで、ただ期待感でそこの、当該土地の値段が上がってしまうということになりますので、そういうことのないように計画性を持って誘導していこうということでございます。  その計画性への誘導というのは、例えば工業地域の中でも、現在も、先生も御承知のように、住宅工場もいろいろなものができます。しかし、この計画では、一定の計画をつくりまして、その中で逐次熟度の高いところから整備計画というものをつくっております。その整備計画では何でもかんでもできるのじゃなくて、ある程度望ましい用途、例えば住宅とか、その場所によって違いますけれども、商業地にしたいところだったら業務用地にできるだけ特化する、あるいは住宅にできるだけ特化するというような、望ましい業務に特化した絞り込みをかけまして、それに対して、新しい絞り込みをかけた用途に対してふさわしい容積率を付与していくということになりますので、業務用床でしたら相当、周辺業務用の、業務地並みの容積率になりますし、住居地域で高層化をねらうとしたらそれにふさわしい容積率になる、事業内容に応じて容積率を変えていこう、こういう考えでございます。
  142. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで問題は、今回この再開発の問題を含めて御提案いただいておりますけれども、再開発法法律の精神、区画整理組合法の法律の精神、これはどっちも同じなんですね、生いたちを見てみますと。ところが、区画整理組合法というのは比較的順調に公示後施行されております。せっかく今回もこの法律が、工場跡地を含めた再開発法の精神が、恐らくいろいろな形で期待されていると思うのです。ところが、再開発法を見ていただけばわかるとおり、再開発法律適用する場所というのは限定されております。限定されているがゆえは、なかなかその法律がうまくなじまないといいますか、その施行どおりされておりません。例えば町の駅前の再開発を見ていただけばわかるように、大体この法律適用して再開発をしようとしても十年、十五年、二十年、長いのでは三十年もかかっております。一方の区画整理組合を見ていただければわかるように、せいぜい五年か六年でこのすばらしい宅地なり計画されたものが実現をできる。  そこでお伺いしたい。なぜこういうふうになっているのか、その問題点と矛盾点があったらお伺いしたいと思います。
  143. 木内啓介

    木内政府委員 確かに先生のおっしゃるように、区画整理はいわば市街化区域内どこでもできる、再開発は非常に限定されたところでしかできないという形をとっております。これは法制定の経緯もあるかとも思いまずけれども、一般的に定説となっておりますのは、区画整理は一応土地変化だけでございまして、いわゆる財産上の問題はありますけれども、その生活居住形態、営業形態というものを大きく変えるものではない。ところが再開発の方は土地の権利を、上物の権利を移すというようなことで、生活の形態、商売の形態、あるいはコミュニティー全体を変えていくというものでありますので、より場所が限定されなければいけない。場所を選ぶのに慎重であるということでできたというのが定説のようでございますけれども、その上に再開発も重要になってまいります。実は今回の改正もできるだけ範囲を広げる必要があるのではないかという認識のもとにいろいろ検討したのでございますけれども、やはりその上に我が国の都市計画といいますか土地に関する全般の制度そのものが、利用の規制という面ではそれなりの規制があるわけでございますけれども、一たんその土地を有効に利用するというイミの利用強制的な面では一般的にまだそこまでいってないんではないか。そうしますと、利用の強制の程度から見ますと、区画整理の場合は言ってみれば宅地を交換してもそれを今度どういうふうに利用しなければならぬかというところに自由度が保たれておりますけれども、再開発の場合は土地がビルになってしまいますから自由度が非常に厳しくなってしまって利用強制の度合いが強いんじゃないか。そういうことでございますので、やはり対象地域の選定にも限定がある。要するによほど必要がないと適用にならないというバランス上の問題があるんではないか。後段の方は私見でございますけれどもそういう考え方でございます。
  144. 田中慶秋

    田中(慶)委員 はっきり申し上げてその辺がいま少し皆さんの方は認識が薄いんじゃないかと思うのです。やはり再開発法が、もっともっとこの法律の精神が生かされていくならば、今申し上げたように二十年も三十年もかかって整備をされなくても済むわけです。ですから、確かに地椎者の問題とかいろいろなことがあろうかと思います。今回もそういう点では一部適用面積を広くしてみたりいろいろなことをしておりますけれども、僕は今回の法律を言うならば、もっともっと現実に合った抜本的な対策を立てない限り、この再開発法が多少今回のように部分的修正をされたところで、この再開発をする場所がいつまでも、十年も十五年も二十年もかかってもそれは改善されない、私はそんなふうに信じておりますし、またそれを何らかの形で法の抜本的な見直しをしなければいけないんだろう、こんなふうに思っておるのです。  ところが現実にはなかなか、皆さんもそう思っていながらも具体的に着手をしようとするといろいろな、きょうここにも法制局の人が来ているかどうかわかりませんけれども、せっかくいいものを考えようとするとみんな骨抜きになってきているのが現状だ。例えば今回の建築基準法の問題なり都市計画法の問題も同じでありますけれども、大きな社会的なニーズが変わってきている、ところがこれが法案には生かされていない。道路と建築行政都市行政、こういうものがみんな、今から二十年前につくった法律が今日ではそれなりに変わってきている。ところがそれぞれその期間の間部分的修正をされておりますから、そこに整合性がない、これが現実であります。  例えば具体的に申し上げておきますと、一つの大きい道路幹線道路があります。ところが交通渋滞を来しますから、そこは自然と立体化になりますね。立体化になりますと、側道ができてまいります。側道にすることによって、現実問題としてその側道は建築基準法上の道路として見れば狭くなってきます。道路法上の道路になれば従来の、現行どおりの道路になっていくわけです。ところが狭くなれば道路斜線やら容積率が全然下がってきている。こういう形で多くの問題点が出てきているわけです。そういう点での整合性が全然欠けている。今日の都市計画、再開発法あるいはまた建築基準法にもそういう問題点があるわけであります。これらの整合性について検討されたことがあるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  145. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 基準法上の道路幅員の考え方についてまず私の方から御説明申し上げます。  道路幅員による容積率制限する場合でありますけれども、この趣旨は、道路に沿いまして高容積の建築物が立ち並ぶことによりまして交通、環境、避難等の面での支障が生じないようにすることに目的がございます。したがいまして、実際に歩行者、自動車等の交通上有効な部分の幅員をもって道路の幅員はとすることにしております。したがいまして、高架状道路が設置されまして、このことによりまして道路が分断されまして、敷地の接する部分道路、これは御指摘の側道という表現をされましたけれども、その側道の部分が他の道路部分と一体的な利用が相当部分にわたってできなくなる、こういうような場合につきましては、容積率の算定に当たりましてはその側道の部分道路の幅員とみなして扱っております。また道路斜線制限につきましては、そういう立体交差のための高架状道路が設置されたことによって全体の道路道路上の上部空間が大きく左右されるということはございませんので、道路全体の幅員をもって斜線制限の算定基礎にしているところでございます。
  146. 木内啓介

    木内政府委員 先生の前段の御発言で、要するに都市開発法も何回か改正されたけれども、部分的な修正、ちまちました修正ではないかということで、今回もその延長線ではないかというのは、要するにどこでもできるというふうな飛躍がない、従来の枠の中で必要なところに限定してやるということでございますから、確かにそういう意味では延長線上でございます。しかし、それをさらに時代の要請とともに広げなければならぬではないかというお感じも私はわかります。ただ現在、要するに都市計画制度全般にわたりますけれども、関係権利者との関係が非常に重要でございまして、制度をつくりましても関係権利者の理解を得て進めないと事業ができないという問題がございます。したがいまして、促進区域制度とか土地利用を進めるための改正も何回かなされましたけれども、大体促進区域制度等はなかなか有効に活用してない。結局地権者、関係者その他が公目的のために私の利益を抑えるというような感覚がなかなかないわけでございますので、そういう形が外国に比べて薄いためかどうかはちょっとわかりませんけれども、そういうことも言われますけれども、関係権利者同意を得にくいような制度を導入しましてもなかなかそれが実を結ばないというのが実態でございます。そういうことで、やはり実態等を考慮して一つ一つ着実に制度を拡充していくということになりますと、こういった地道な制度をとるほかはないのではないかというのが第一点でございます。  それから制度の整合性でございますけれども、やはり都市計画法中心としまして、建築基準法都市開発法等関連する法律は、体系的に一応私たちはできていると思っております。したがいまして、そういった法関係におきましては一応整合性はとれているというふうに考えておりますし、具体の運用に当たって整合性を欠くようなこともなきように的確な運用を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  147. 田中慶秋

    田中(慶)委員 都計法なり建築基準法、再開発法もスタートの時点では、はっきり申し上げて整合性もセオリーもちゃんとできております。しかしこの二十年なり十五年なりたってまいりますと、そこに部分修正ができてきたりいろいろな手直しをしているものですから、そういう点で、変な話じゃないですけれども、はっきり申し上げてちぐはぐな部分が現実にあるということです。  例えば、あなたたちがそれでは一つの用途の問題で考えてごらんなさい。基本的に道路幹線道路がある。そうしたら、そこには路線住居があって二種があって一種があって調整区域だったらそれは整合性を持った理論構成でしょう。ところが現実問題として、路線住居があって一種があって二種に入って調整区域、これは整合性がありますか。現実問題としてそういうものが点在しているのですよ。そういうことを私は申し上げているわけですから、今回の改正ができなくてもそういう哲学に基づいてこういう改正というものを二十年たったら見直しする、十年たったら見直しをする、そういう姿勢でなければその弊害というものは逆に消費者とかいろいろなところに、結果的に高いものになってみたり、安い住宅、良質の住宅をつくるといったところでそういう規制法が、あらゆるものが私は日本の高い住宅をつくっている、こんなふうに考えております。ですから、私が今申し上げたような整合性の問題について話し合ったことがあるかどうか聞いているのです。
  148. 木内啓介

    木内政府委員 確かに今用途地域の問題、あるいは線引きの問題でもそうでしょうけれども、法律の精神といいますか、趣旨としては、先生のおっしゃったようにある程度理想的なというか、整然とした形で用途地域を決め線引きをすべきという形になっておりまして、抽象的ではありますけれども、その基準は明快に書いてあるわけでございます。  ところが実際の運用に当たりましては、実際の運用は適当だということではなくて、現実に権利義務を有する地権者との話し合いをもとに、そこをそういった用途地域なり線引きなりを行おうとする場合には、やはり既に都市ができ上がってしまったところでございますから、新しく都市をつくるところならいいわけでございますけれども、その地域の既存の利用形態とか住民の人々の意向というものを全く無視するわけにはいかない。そういうことから、現実的には部分的にはそういった先生の御指摘のようなことが出てくるのではないかと思います。そういうふうなことをできるだけ見直しとかそういった際に直していく必要はあろうかと思いますけれども、なかなか言うべくして難しくて直すのは大変だ。  そこでもっと抜本的な話をというお話になろうかと思いますけれども、現実をいい方へ正していくという方向はできるだけ努めながらも、抜本的な話というのは、かなり制度の抜本的な見直しまでなりますと長期的な話になりますのでどうしてもいろいろな角度からの検討も必要でございますし、こういったものを含めまして都市あり方については審議会等でも少し腰を据えて検討してまいりたいと考えておりますけれども、当面の問題としましては、こういった形で現状よりは一歩前進とか二歩前進という形を進めたいと考えておる次第でございます。
  149. 田中慶秋

    田中(慶)委員 局長の言われていることはわかりますけれども、一歩前進二歩後退にならないようにしてもらいたいわけです。例えばあなた達が用途指定をした一種住専あるでしょう。一種住専というのはどういうことですか。少なくとも環境のいい、住宅地としては最高のところです。ところが現実問題として、一種住専の分布、マップの色合いを見ていただければわかるとおり、幹線道路のそばに一種住専がずっと並んでみたり線路のそばに並んで開発をされて、はっきり申し上げてそれが現実の一種住専なんです。横浜なんてそういう点が特に多いわけです。ですから、私はそういう点を含めて全体的な見直しが必要であろうと言っているわけです。  ところが、東京から横浜に行くときには一種住専というからすばらしいところだと思って行くわけです。そうしてそこにうちを求めて住んだとします。ところが幹線道路のわきですから、ぼんぼん道路がくる、うるさい。そうするとまたそこに道路に対する住民運動が起きてみたり、いろいろなことがその一つの法の解釈論でできてくるわけですから、少なくともそういう誤解とかそういうものを生まないような形で法律の制定とか枠組みというものをつくっていかなければいけないだろう、私はこんなふうに思うのです。現実にそれはあるわけですから。京浜急行でも京浜東北線でも、悪いですけれども駅前でなければあのわきはほとんどが全部一種住専です。ところが良好な住宅環境というこれだけとってみますと、騒音もなければそういうことが全然ない状態に指定をされている。近隣商業であるとか住居であるとか二種住専であるとかそういう基本的なものを明確にしてないものですから、そういう問題が出てきているわけです。  例えば、新都市計画法が四十五年六月十日施行されています。この俗に言う線引きの問題。私は、この線引きの問題は予算委員会でも申し上げましたように基準がないということをはっきり申し上げておるわけです。当時から私これを担当していたのですけれども、それはもう法律は皆さん方の行政主導型でできたものでありますけれども、現場は行政が主導してできて色塗りしたわけじゃないものですから、もう個人の申請であり、いろいろなことを含めてやりました。そうしてそこで必ず見直しをするという前提で施行されていましたから、現実はその見直しが絶対に許されないような状態になってきてしまっている。虫食い的なところが微調整で見直しをされる。そこに大きな期待や問題が出てきておるわけであります。ですから、新都市計画法の線引きの一つの問題をとっても、私はいつも申し上げているのですけれども、この国道一号線であるとか主要地方道であるとかそういうところから何メーターとかあるいは駅中心から何キロとかそういうものが明確になっていれば、この線引きの見直しをするにもあるいは線引きの基準をするにも説明しやすいし、あるいは今度それぞれの見直しをしてくれるのじゃないか。五年に一度見直しをするという法の説明であったわけですけれども、そういうことを考えたって現実問題としてちゃんとした説明もできるし、こういう基準があるからこういう見直しをしていきましょう。ところが、今全然それがない。ですから、やたらと陳情合戦をしてみたり、いろいろなことばかりやってこの線引きの見直しだって現実には一つのセオリーが全然ない。こういうところに問題があると思うのです。これについてどう思いますか。
  150. 木内啓介

    木内政府委員 線引きの問題も用途地域の問題もでございますけれども、線引きでお答え申し上げますと、線引きについて一応法律では「人口及び産業の将来の見通し等を勘案して、産業活動の利便と居住環境の保全との調和を図りつつ、国土の合理的利用確保し、効率的な公共投資を行なうことができるように定める」というふうに法律の十三条で一応書いてございます。これにのっとりまして、政令あるいは通達等で一応その基準考え方の哲学と申しますか、基準は書いたものになっているわけでございます。そこは細かくは申しませんけれども、沼、低湿地帯はだめだとか公共施設との関連ではどうだとかいう基準はあるわけでございます。しかし、先生のおっしゃいましたように、一律な即地的な、駅から何分ぐらいはというふうな基準にはなっておりません。これは法律とか政令でそういうふうに決めますと、やはり線引きとか用途地域の場合でもその地域の地形とか大きさとかいろんなものが違いますから、一律になかなか駅から何分というように決めがたいもので、そういった基準にはなっておりませんけれども、基本的な考えは示してあるわけでございます。したがいまして、それを地方公共団体がそういった基本的な考えに基づいて具体的に決めていただく、それがどこからも余り文句の出ないような形でなるほど合理的に決めていただければ一番いいわけでございますけれども、先ほど申しましたように、いろいろもう既に都市ができ上がってしまっているという事情等もございまして、それは理想どおりにはいかない問題があろうかと思います。そういった問題については、公共施設の整備等の時期が熟した段階ではだんだん見直して、できるだけ理想といいますか、趣旨に合ったようなものに見直していくことが必要だと思いますので、やはり五年ごとの見直し、場合によっては五年待たずしても、いいプロジェクトのある場合には見直しするように私どもは指導しておるわけでございますけれども、実情は先生のお話ししたような点がやはり多々あるのではないかというふうなことは認めざるを得ないと思います。できるだけ直していきたいと思います。
  151. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ですから、法律を一度つくってしまうと、今局長が言われたように、法律ではその趣旨に沿うてこうなっております、それだけなんですよ、はっきり申し上げまして。ですから、現実に末端がどうなっているか掌握できていないわけですよ。今度の線引きの問題も用途の問題も、法律上で言うならば局長の答弁はまさしく名答弁だと思います。しかし、現実に問題があるから、私、今指摘したわけでしょう、はっきり申し上げて。そして、五年ごとの見直しという法律の問題もそうなっておるわけです。ところが、見直ししようということであって、いや今度見直しだからささやかな期待として自分のところも陳情とかいろいろな形で現実に、ところが見直しはその時点になって都市計画審議会でだめ、こういう形になるわけですから、やはり基本的な部分で、私が今申し上げたような全体的な法の見直しとか、抜本的に、時間をかけてもいいから、時代がこう変わってきているのですからやらなければいけない。例えば住宅もそうでしょう。高度地区の問題、特定街区の問題だってそうだと思います。基本的に、山手線の中全部特定街区にするんだというならば、高さ制限じゃなく低さ制限をもっと明確にすればいいのです。そういうことを含めて考えればいいのです。そうすると、何も遠方まで通勤を一時間だ二時間だなんて言わなくたって、この中にまだまだそういう点では住宅がたくさん求められるし、あるいはまた緑地も道路も立派なものができるわけです。ですから、都市計画法一つ基準のとらえ方なり見直しのとらえ方を一点を逆に裏返しすれば、そういう都市づくりといいますか、そういうものができるわけですから、そういう観点でこの法の改正というものは当たっていただかないと、部分的に修正だけをしたって整合性が全然出てこないところに問題があるわけなんです。例えば現在の商業地区容積率だってはっきり申し上げてばらばらですね。近隣商業も商業地区容積率も建ぺい率もばらばらであります。そんなことを考えたときに、例えば、今のような状態なんですから、近隣商業なり商業のところについては、事務所併用げた履き住宅をつくるような形の中で高層を逆に推進する意味で高さ制限じゃなく低さ制限をむしろかけて、土地の少ないところですから、そういうことによって利用度が高くなってくるわけですね。そういう形で地価の高い土地が逆に、利用度が高くなって空間利用をもっとすればもっともっと良質の安い住宅ができるわけです。  ですから、この委員会土地問題じゃないわけですけれども、観点を変えていけば、都計法なり建築基準法なり再開発法の原点を見直しをすることによって安い良質の住宅に全部影響するわけです。ですから、そういう観点を時間をかけてでもいいからぼつぼつ踏み切るべきじゃないかな。今回の問題、悪いと言っているんじゃないですよ。これも改善をされているんですからそれはそれなりに評価しますけれども、先ほど言ったように地価が上がる、いろんなことで計画的にといっても工場跡地一つとってもいろんなことの問題が出てくるわけだし、先ほどの中で示したように全体の再開発なんというのは十年も十五年も二十年もかかっちゃうわけです。だから、当初計画していたプランニングと十五年、二十年後というのは全然違ってくるわけですから、そういう点ではもう少し弾力性のある、もう少し現実性のある形の中で整合性に取り組んでいく、そういう抜本改正が必要であろう、こんなふうに考えているんですけれども、局長どうですか。
  152. 木内啓介

    木内政府委員 抜本改正というのは方向としてはよくわかるんでございますけれども、現実問題としてなかなか難しい。例えば、先生ただいま御発言ありましたように、特定街制度の最低限を決めるというお話がありましたけれども、特定街区はプロジェクトごとに決めるのでいいのですけれども、高度利用地区で建物の最高限、最低限を決めるシステムはあります、制度はあります。ところが、これは事実上なかなか活用できないという問題がございます。なぜ活用できないかというと、現実に例えば東京で申しますと、土地の所有区分が平均見ますと百平米以下だとかそれから公共施設が非常にちっぽけだとかいうことで、例えば最低限を強制させるシステムをとりますと建てのちえができなくなって困ってしまう人がたくさん出てくるというふうな、要するに現実論、それから国民の意識の問題、そういうことを勘案しますと、先生の思い切った構想は非常に私どもの参考になりますけれども、飛躍的は改正するということが大変難しい状態であることも御理解願いたいと思います。
  153. 田中慶秋

    田中(慶)委員 待ちに待った大臣が来ましたので、やはり局長局長の立場でそれ以上のことは踏み切れないということも役所ですからわかるんです。ですから、大臣、今来たのでよくわからないと思うので、要するに、今回、せっかく都市計画法建築基準法も再開発法も見直しをして一歩前進だと思うのですね。ですけれども、この法が生まれて十五年、二十年たっているわけであります。そういう点では全体的にいろんな整合性の問題と時代のニーズとかいろんなことを考えると抜本的な改革が必要であろう、こういうふうに私は考えているわけです。ですからそういう点で、今局長さんにすぐ答弁をしろと言ってもこれは無理なことであろうと思います。例えば、再開発法というものと区画整理組合法は同じ住宅なり同じ町づくりを前提とした法律なんです。ところが、区画整理というのは比較的幅広くいろいろなところでできるわけでありますけれども、再開発法というのは限定をされてまいる。その再開発法が限定をされているがゆえに、その法に基づいた町づくりをしようとすると十五年も二十年もかかってしまう、これが現実であります。それは地権者の問題とかいろんなことがあります。しかし、そういう全体の問題も含めながら、都市計画法なり建築基準法、再開発法を含めて抜本的な見直しをする必要があるだろう、私はこういうふうに申し上げて今質問していた最中なんです。大臣、そういう点で大臣のユニークな、行政マンじゃなくして政治家としての取り組む姿勢というものを聞かしていただきたい。
  154. 越智伊平

    ○越智国務大臣 先生の御意見、そのとおりのところもたくさんあると思います。時代の要請、また社会の変化、また国民のニーズ、こういうことによって大いに変わってくる、かように思います。再開発も、午前中もいろいろ御質問がございましたが、以前は駅前であるとか商店街であるとか、そういうところの再開発に非常に有効に働いていた、こう思うのであります。ところが、最近のように地価が高くなるし、非常に民主主義の徹底をいたしますと、中に何人か嫌だと言ったらなかなかできない、こういうことも率直に認めざるを得ない。しかし、大方の方はやはり再開発をすべきだという意見が強くても、何人か反対したらなかなかうまくいかない、こういうことであります。でございますけれども、それも進めなくてはいけない、こう思います。しかし、産業構造が非常に変化をいたしましたので、工場跡地等の遊休地がたくさんありますので、そういうものを速やかに再開発をして宅地の供給をする、そうすることによって住宅もやはり供給が早くなる、こういう観点から、ただいま現在の緊急を要するものをやっていこう、もちろん以前からの分も進めていきますが、そういうことによって改正していこう。  整合性の問題でありますけれども、確かに整合性の問題もございます。これはなかなか複雑で難しいところでありますけれども、そこらは弾力的な構想によってその地域地域のニーズにこたえていくように最大限の努力を払っていきたい、こういうふうに思う次第であります。
  155. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、今日本で一番問題なのは住宅だと思うのですね。良質な安い住宅をつくるために、お互いに制度上の工夫が必要だと思うのですね。これはやはり、僕は政治的な思い切りがないとできないと思うのです。欧米に行っていただければわかるように、比較対照していただければわかるように、向こうは年間の所得の三倍から五倍の範囲でいい住宅がたくさん求められているわけです。日本はなぜそれができないかというと、そこに許認可のいろいろな問題が余りにもあり過ぎる、時間がかかり過ぎる。そうでしょう。再開発で二十年も三十年もかかっていたら高くなるのは当たり前ですね。そういう制度の抜本的な見直しが必要であろう。やはり、ひとつ良質な安い住宅を提供するんだ、安全性もそれはありますよ、いろいろなことを含めて、それが前提となっていろいろな全体の見直しをしない限り、私は今度の制度の見直しというのが抜本的にならぬと思うのです。それは役人さんも優秀な人の集まりですから、しかしそれは部分的な修正しかできていないわけです。ですから、やはりもう十五年、二十年たっている法律ですから、そういう点で、大臣大臣の任期期間中にあなたの諮問機関でも何でもいいですから、そういうものを設置して、全体的な見直し、全体的な制度のチェック、そういうことを含めてやっていただけませんか。
  156. 越智伊平

    ○越智国務大臣 お説の点、わかりますので、十分勉強をさせていただきたい。ただ、今の許認可の問題等につきましては、今のように変化の激しいときでありますから、速やかに、できるだけ早く、早い期間にやるようにしないと、許認可でおくれておりますとそのうちにまた時代が変わってくる、こういう時代でございますから、その許認可の問題については極力早くやるように指導してまいりたい、かように思う次第であります。
  157. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間もないようでありますから、私にちょうだいしている時間も既にオーバーしましたので、大臣、これだけ要望しておきます。  大臣も予算委員会で、それぞれ通達をして許認可をできるだけ前倒し、縮小するあるいは全体的な一回か二回で集まっていただいて制度が検討できるように指導する、こういうことで答弁いただきました。現実に、もう事前協議から本審査等々も含めて余りにも時間がかかり過ぎる。これは大臣も認めたわけですけれども、そういうことを含めて、大臣が言ったように変化が激しいのだから、もっと簡素化に、もっとスリムな、小さな政府じゃないですけれども、そういう形のスタイルをとっていかないと、この前、私具体的に申し上げたと思うのですが、五ヘクタールで宅地が完成するまで四年から五年もかかっていたのでは、金利だけでも、資材も上がるし、もっとそれが、もう二年ぐらいそういうものを全体を含めて短縮できるわけですから。いい住むをつくらせるということが行政のサービスだと私は思う。今むしろ高い住宅、そして期間を置いてなかなかつくらせないような、極端な悪口を言えば、そんな傾向が随所に見られるわけですから、やはりそういうことのないようにして、もっともっと簡単にできるようなことを考えていくべきだ、これは要望しておきたいと思いますが、大臣、見解があったら述べてください。
  158. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今の許認可の問題については全く同感であります。許認可が非常に遅いために、この再開発の問題だけでなしに、新しく開発する宅地にいたしましても、年限がたくさんかかる、そうすると金利が高くなる、金利が増してくれば土地代にはね返ってくる、住宅にはね返ってくる、こういうことでありますから、今後できるだけ早くやるように、縮めていくように指導してまいりたいと考えております。
  159. 田中慶秋

    田中(慶)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  160. 中村喜四郎

    中村委員長 中島武敏君。
  161. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は都市開発法及び建築基準法の一部改正案についてお尋ねいたしたいと思うのです。  この改正案について、実は私のところに幾つかの疑問が寄せられておりますので、初めにその点についてお尋ねしたいと思います。  まず一つは、今回の改正案で、再開発地区計画制度が創設されたわけですけれども、この制度をつくった目的は何なのか、それからこの制度の活用を行う場合の対象区域はどんな区域なのか、そしてその対象区域の規模はどの程度なのか、このことをお尋ねします。
  162. 木内啓介

    木内政府委員 お答え申し上げます。  まず地区計画制度の目的でございますけれども、これは産業構造、社会の変化に伴いまして未利用地が、工場跡地とか鉄道ャード跡地とか未利用地が大変出てまいっております。そういうふうな低・未利用地の土地利用転換を通じてうまく誘導することによって、地域の実情や特性に応じた再開発を誘導しようという制度誘導手法をつくるというのが目的でございます。  それから二番目の対象区域でございますけれども、そういった制度の趣旨を生かすために、法律的には第七条の八の二第一項で書いてございますけれども、まず第一に、第一号としまして、土地利用状況変化が著しい地域であること。工場的な、工業的な利用から住宅あるいは業務用利用に転換が現に行われているあるいは行われる気配があるとか、そういうところでございます。  それから第二は、土地高度利用を図る上で必要な公共施設が十分でない地域公共施設が十分であれば、用途変更をそのまま行えばあるいはいいのかもしれません。しかし、工業用地とか鉄道ャード跡地等は住宅用あるいは業務用にするにはどうしてもきめ細かく、あるいは主要な公共施設が欠落しているという問題もございますので、そういうことで、必要な公共施設をつくっていかなければいかぬ。ところが現状においてはそういった公共施設がない場所、そういう場所が二つ目要件でございます。  三つ目の要件は、その土地高度利用を図ることが都市全体の、当該都市の機能の更新、いわゆる住むあるいは働く、憩うというふうな都市の機能の更新に全部または一部に大きく貢献することということが要件でございます。  それから四つ目は、当該都市の整備の方針が明らかになっていないといけませんので、用途地域内にあること、用途地域が指定された地区内の土地であることというのが要件でございます。  それから規模でございますけれども、一応まとまりのある開発ということになればおおむね一ヘクタール以上にすることが適当だと思いますけれども、制度的には規模を法定はしてございません。
  163. 中島武敏

    ○中島(武)委員 この制度を創設することによって、土地高度利用都市機能更新、それから大都市圏における宅地及び住宅、事務所の供給の促進、地方都市における地域の活性化、拠点づくり等を積極的に進めるんだ、こういうふうに私はあらかじめ聞いているのですけれども、これは間違いありませんね。  続けてお尋ねしたいのですけれども、そのことは法律を読みますと余りはっきりわからないのですけれども、今申し上げたことがそうだとするならば、それをどういうふうにして担保するのかということについてもあわせてお答えいただきたいと存じます。
  164. 木内啓介

    木内政府委員 前段につきましては、先生のおっしゃるとおりだと思います。都市には住む、働く、憩うという機能があるわけでございますけれども、こういった計画制度を導入することによって、都市機能更新に寄与するものとしたいと考えておるわけでございます。  それでは、これでどういうふうに担保するかと申しますと、まず、低・未利用地で公共施設の整備されていないような地域工場跡地が広く残っているような地域でございますけれども、そういった地域中心に再開発地区計画、これは市町村都市計画で定めるわけでございまして、その対象地域の中で、根幹的な公共施設等主要な都市計画を定めて、一気にその事業をやってしまっても構わないわけでございますけれども、大きな地域だと部分的に開発が行われるような場合があります。そういう場合には、機の熟したところから再開発地区整備計画というのを設けまして、順次開発していくわけでございますけれども、その整備計画では非常に用途を限定して、そこが業務用になるか住宅用になるか、あるいはあわせて両方の形になるか、その地域の特性によって変わりますけれども、要は、都市計画で実現したいという用途、それに特化したような計画をつくります。それが条例で担保されますと、それ以外の建物は排除されるという形になりますから、今の工業用地域、準工業用地域の中で、何でもということはないのですけれども、たくさんいろんなものが建てられる中から絞り込んだ形で建てよぅとするもののメニューが決まってくるわけでございます。そういうことになって絞り込んだものができますので、それと同時に、公共施設の整備とか空地とか環境整備もできますので、そういった条件であるならば、従来は例えば準工業地域容積率が二〇〇なら二〇〇くらいに抑えられていたけれども、そういう目的のものならば、高度な住居地域なら三〇〇とか四〇〇とか、商業地域なら四〇〇とか五〇〇とか、そういうものが計画されますので、そういう場合にはその高度な利用の方の容積率に移行していく、それが可能なようにするということで実現していくわけでございます。  そこで問題は、そういうふうにとんとん拍子にいくのはいいのですけれども、全体の地区の中で取り残されていく地域等が出る、それをどうするかという問題でございますけれども、これにつきましては、これは誘導型の都市計画で強制力がございませんから、やらせることを強制できません。しかし、ある都市がそれがいいというふうに考え計画でございますから、誘導手法でなかなかできないものでも、最終的には地方公共団体がみずからの区画整理なり都市開発なりでフォローするのが建前ではないかと考えているわけでございます。そして最終的には、最初の都市開発地区計画でねらった用途、容積の市街地環境の良好な市街地が形成されることを期待しているわけでございます。
  165. 中島武敏

    ○中島(武)委員 この整備計画で、住宅については必ずつくるのですか。またつくるとすれば、どれだけの広さのところの土地だったら何戸住宅をつくれというふうな基準を設けるのかどうか。それからまた、基準なんかつくらないというのであれば住宅を担保することはできないのだと思うのですけれども、その点はどうなのかということについてお尋ねします。
  166. 木内啓介

    木内政府委員 お尋ねの点でございますけれども、工場跡地等は、先ほど申しましたように日本じゅうで東京から九州からいろいろなところがございますので、そこの利用でございますから、その一番適切な利用をしますので、必ずしもそこに住宅をつくることがいいかどうかという問題もございますが、一概には、住宅をどれだけつくることを奨励するとか目標にせよとはなかなか言えないわけでございますけれども、大都市等で住宅をつくる必要のあるようなケースには、その地区整備計画の中身に、目標は住宅をどのくらいつくるということを考えていくことはできると思います。  それと同時に、それを実現する手法としまして、先ほど割り増して言いましたけれども、新しい容積率設定する場合にも、住宅向け容積率というのは、やはりそうでない場合よりは割り増し率を大きくする。これは容積率性格からいいまして、業務用より住宅用の場合の方が発生交通量等も少なくて、同じ土地では高く積み上げても支障ない、そういう根底があるわけでございますけれども、それを政策的にも生かしまして、住宅の割り増しの場合にはほかの業務用の場合より若干多くするというような方法をとりまして、インセンティブをつけていくことはできるかと思います。
  167. 中島武敏

    ○中島(武)委員 東京都心の再開発の場合に、住宅をつくるということになったら賃貸でどれぐらいの価格になるとお考えでありますか。
  168. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 賃貸住宅でのおただしでございますけれども、坪賃料として一万円ぐらいということで再開発事業では実施されているところでございます。
  169. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは大川端の再開発ですけれども、今答弁した局長、御存じだと思うのですけれども、住都公団で一DKから二LDKクラスで十一万四千六百円から二十三万四千三百円、こういう数字が出ているのですね。それから三井不動産のもので二LDKから三LDKで二十四万二千円から三十九万六千円。とてもこれでは、住宅をつくっても普通の勤労者はなかなか住めないというようなものになってしまうのですね。この大川端の団地内に小学校、中学校を新しくつくったのですけれども、児童がどうしてもふえない。それは若い御夫婦ではとてもこういうところに入れないからであります。やはり家賃が家賃だからといって学校の方もあきらめているという話が出ているのですね。私は、子供がいないような住宅というのは本当の町づくりに適しているのかなということを思わざるを得ないのですね。そういう点では住宅をつくるといっても実際には勤労者にとっては高ねの花になるのじゃないかと思います。  それから、次にちょっとお尋ねしたいのは、この制度は先ほど言われたように旧国鉄の跡地とか、あるいは工場跡地とか、そういうところを予定しているようですけれども、それだけじゃなくて、住宅密集地の再開発ですね。これもこの制度を活用することができるのか、またそれを期待しているのかという点について伺います。
  170. 木内啓介

    木内政府委員 法律制度としましては、先ほど申し上げました四つ要件に該当していればできるわけでございますけれども、現実の問題としまして、これは誘導型の段階的な手法を決めた制度でございますから、やはり誘導である以上、そこの関係者の基本的な合意というものがないとなかなか誘導しにくいという問題がございます。したがいまして、現実にはそういう先生のお尋ねのようなところでやる場合は、よほど皆様方の合意が得られるというふうな限られたケースにならざるを得ないのではないかと想定しております。
  171. 中島武敏

    ○中島(武)委員 この改正案は、再開発地区計画区域には容積率緩和する、斜線制限も用途制限適用しない、場所によっては税金もまけてあげる。言葉をかえて言いますと、大いに再開発を奨励する、そういうものになっているのですけれども、この問題と関連して、再開発の問題について幾つかお尋ねしたいと思っています。  東京の場合なんですけれども、大都市東京で何でも再開発をすればよいというものではないと私は思っているのです。再開発がどんな影響を及ぼすのか、このことを十分に調査をして、そしてそのことを十分考慮してからでないと再開発に取りかかってはならない、ちょっと私なんかはそう思うのですね。  東京における最大の再開発計画あるいは構想ということになりますと、東京都が発表しました臨海部の開発計画、それから三菱地所が発表した東京丸の内の再開発計画、これがやはり一番大きいと思うのですね。臨海部の方はこれができたら就業人口が一体どれくらいふえるのかということなんですが、十七万から十九万人新たにふえる。現在この地域に九千人の就業労働者がおりますから、それを差し引いても十六万から十八万人ふえると思うのですね。それから丸の内の方は、これは三菱地所の発表によりますと、現在二十七万人いるのですけれども、四十七万人に二十万人ふえる、こういうことを発表しているのです。ですから、この二つ計画だけで、アバウトな言い方ですけれども、約四十万人の就業労働者がふえる、こういうことになるわけです。それでお尋ねしたいのは、東京都心で就業人口が千人ふえると、地下鉄だとか上下水道だとか道路だとか、その他社会資本にどれだけの費用が必要なのかということについてお尋ねいたします。
  172. 木内啓介

    木内政府委員 先生の御質問の中のコメントで、東京臨海部については政府の考えと大体一致しておると思います。ただ、丸の内の再開発構想につきましては、これは民間企業の構想でございまして私たちはコメントできませんから、その全体の人間の増大については直接お答えできませんけれども、千人当たり社会資本はどのくらいかかるかというのは、それは当然のこととしてどこの地域でどうふえるかということによって……(中島(武)委員都心都心」と呼ぶ)都心でもいろいろなかなか難しい問題がございますけれども、いろいろ私どもが計画とか何かをする場合に、試算的に計算したものはないわけではないわけでございます。  そうしますと、例えば東京臨海部においての開発で見ますと、これは公共施設のかかる分をふえる人口で割ったわけでございますけれども、これでざっと千人当たり六十八億円ぐらいかかるということになりますし、また、私どもが前に東京都内で計算した例で見ましても、街路、下水道を含めますと、街路で四十億、下水道で六億ぐらいかかるかなというふうな計算はあります。ただ、これは仮定を置いた計算でございますからそんな精密なものでないということを御了承願いたいと思います。
  173. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは一九七二年に東京都が計算した数字なんですけれども、六十九億円、こういう数字があります。それから経済白書で同じく七二年に三十四億という数字が発表されております。現在価格に直しますと、東京都で発表した数字六十九億というのは、その後の物価値上がりその他を計算しますと百四十八億になるのじゃないか。そうすると、四十万人就業人口がふえるといいますと、これは単純に掛け算しますと五兆九千二百億円、これは大変な財政負担が出てくるわけなんです。これは国民の肩に、東京都民の肩にあるいは近隣の周辺の県民の皆さん方の肩にかかってくるということになるわけですから、この東京都心で再開発をやって就業人口をふやすという問題は非常に重大な問題なんだということですね。  それからもう一つ続けて言いますと、大きな再開発をやりますと、道路交通問題だとか、こういう大都市問題が非常に大きく発生をするわけです。丸の内再開発の方はまだ試算の発表はないのですけれども、臨海部の東京都の試算が発表されておりまして、それによりますと、自動車交通、自動車だけで新たに三十二万台ふえるというのですね。これは大変なものなんです。東京環状七号線といったら有名な交通量の多いところですけれども、これの世田谷通りとの交差点、若林の地点で計りますと、二十四時間七万九千台です。それから東名高速でいいますと、東京と川崎の間で計りますと十一万五千台です。そうすると、環七のざっと四倍、東名高速の三倍、これが臨海部の開発だけで出てくるわけであります。汐留の開発が予定されている。これは今度の今審議している法律案適用されると思うのですけれども、これと臨海部とのかかわりもある。それで、交通をどうするかというので有名になりましたけれども、幻のマッカーサー道路はどうしても買収せぬければいかぬのじゃないか、通さぬければいかぬのじゃないか、こういうことが問題になってくる。さあ、東京地価は大変であります。あの幻のマッカーサー道路と言われた環状二号線、虎ノ門—新橋間、これはわずか千三百五十メートルしかないのですけれども、買収したら幾らかかりますか。
  174. 木内啓介

    木内政府委員 その金額は、もし買収しますと、東京都の試算でございますけれども、六千六百億円、うち用地費が六千五百億円ぐらい見込まれるということになってまいります。
  175. 中島武敏

    ○中島(武)委員 六千五百億、六千六百億、大変なものであります。世上、一兆円じゃないか、こういうことも言われて、よく新聞に載っておるわけであります。ですから、環状二号線はこれは東京都道ですから東京都がやらなければいかぬのですけれども、その財政負担たるや大変なもので、こんなもの本当にできるのかな、しかしこれをやらないとどうにも交通問題が解決つかない。しかしこれをやっただけで交通問題が解決つくかといったら、さっき言ったように、予定されているのは、新たにふえるのは三十二万台ですから、とてもじゃないけれどもこれだけじゃ足りないということになってくる。大問題が発生してくるわけですね。  それから、こういうことを建設省の方ではお考えになっていらっしゃいますか。再開発で出なければならなかった、言葉を悪く言いますと追い出された人たちがどうなっているか追跡調査をされたことあるでしょうか。これは特にお年寄りは大変なんです。私、新宿の西口の再開発、これは民間が再開発を予定してやっているところの地上げ、これに行ってきて調べた。そうしたら、ここはお年寄りの多いアパート群がたくさん並んでいたところなんです。それがもうきれいに地上げされてしまっている。このお年寄りの人たちは一体どういう運命をたどっているだろうか、私も非常に心配になりました。最近新聞を見ておりましたら、何かそういうところを追い出されたお年寄りは駅だとか地下道に野宿をしているという新聞記事が出ておって大変胸が痛んだのですけれども、建設省の方ではこういうことについて御存じでしょうか。または追跡調査なんかやっておられます
  176. 木内啓介

    木内政府委員 ただいまの質問の前にちょっと、環状二号線の話でございますけれども、確かに再開発事業東京港を開発するために環状二号線はどうしても必要だと思いますけれども、もともと環状二号線でございます。これはもし再開発の話が出なくても本来的にやっていくべき道路であったわけでございまして、それがおくれてしまったためにこういうふうに、威張るわけではございませんけれども、残念ながら用地費がたくさんになってしまったという原因もあろうかと思います。  それから再開発に対する追い出される方々の問題でございますけれども、市街地開発事業そのものは追い出す事業ではございませんで、中に住んでいた人を、権利の形態は変わりますけれどもできるだけ中にとどめるというふうな事業になっております。したがいまして、原則的には中におっていただくことが多いわけでございますけれども転出者がないわけではないわけでございまして、転出者に対する対策としましては当然のことながら適正な補償を行うとともに、希望により代替地の紹介とか再開発住宅、公営住宅の一種でございますけれども賃貸料等が安い住宅、そういった住宅を建設しまして再開発住宅に入っていただく等公的住宅への入居のあっせんをしているわけでございます。なお商業系の転出者につきましては、代替地のあっせんのほか中小企業金融公庫、国民金融公庫等による低利融資制度があるわけでございます。  再開発事業により転出される居住者全体を個別に動向を把握したわけではございませんけれども、一般的に土地あるいは建物所有者については代替地における自力建設またはマンション等の分譲住宅を購入する事例が多いと思われます。  借家人につきましては、入居、転出の状況地区によって異なりますけれども、例えば住宅借家の多い東京都の西大久保地区においてこれを数字を見てみますと、従前七十三名の借家人がおられました。そのうち三十二名が新しく立てた再開発のビルに入居しまして四十一名が外に転出しております。その四十一名の転出者のうち三十六名は公的な賃貸住宅に入っております。残りの五名が民間の賃貸住宅に入っているというふうな形になっております。それからまた、商業借家の多い宝塚市の逆瀬川駅前地区について調べますと、従前の百三十六名の商業用の借家人、商売をしている借家人の方々の百三十六名のうち百十八名はできた再開発ビルに入居しております。それから残りの十八名が外に出られておるというふうな状況でございます。典型的な例で申し上げさせていただきました。
  177. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いろいろよく調べてお答えいただいたと思うのですけれども、これは大臣、再開発をやろうとすると、私が今までいろいろ聞いている限りでいいますと、やはり半分くらいは転出しなければならないというようなことがほぼ全国的な平均の数字のようでございます。それらの人たちが再開発をすることによってどうなったのかということも非常に大事なことだと思うのです。そういうのを今局長がいろいろお調べになって答えられたのですけれども、建設省の方ではどうなるのかということを定期に調べるとか何かそういうことをぜひ確立してもらいたいなという気が私としてはするのです。特に大変なのは地上げや何かで追い出された、その後再開発、こういうふうになっていくケースなのですね。お年寄りの人たちはなかなか普通のアパートなんかでも受け入れてくれるところはないわけだし非常に難渋するわけです。そういうことについて、大臣、どういうふうにお考えになりますか。大都市東京というのはそういう矛盾がいっぱいあるのですよ。こういうのをよく調べて、それで今後のいろいろなことに資していかなければいけないんじゃないか。そういうことを、制度化とまでは言わないけれどもきちんと調べるというようなことは非常に必要なことじゃないかというふうに考えるのです。
  178. 越智伊平

    ○越智国務大臣 若干先生質問と我々が認識しておるところが違うところがあります。現に住宅に入っておる、公営であろうと公団であろうとあるいは民間であろうと入っておる、その場合に、追い出し追い出しと言いますけれども、借家法なり借地法なりその法律に基づいて入っておるのですから、出るときにはそれなりの話をして、どこかかわるところか、あるいはかわるところがなければ金で補償するとか、いろいろ方法があると思うのです。ただ追い出し追い出しということで不正に追い出しをする場合には、十分指導、取り締まり、また事によってはそれが我々の宅建業者であれば十分そういうことを告発してでも守ってあげる、こう思うのです。ところが承諾してお金をもらっておいて追い出された追い出されたと言うのでは、これは話がまた違う、私はこう思うのです、ケースがいろいろありますが。ですから、確かに追い出しというかそういう方もたまにはあるかもわかりませんけれども、出ていく人が全部追い出しではない、ごく一部だ、私は今まで聞いておりますのをこういうふうに認識しております。ですけれども、先生の党はすべて追い出し追い出し、出ていったら追い出し、こうなるのですが、借家法があるし借地があったら借地の法律に基づいて、ただでそんなに簡単に出ていく、今の時代にそういうことばかりではない、私はこういうふうに思っているのです。ですから、ちょっとそこらがいつもかみ合わないのですが、やはりまじめな話し合いをして進めていく、こういうことに進めていきたい、こういうふうに思う次第であります。
  179. 中島武敏

    ○中島(武)委員 何もそんなにすべて出なければならない人を追い出し追い出し、こういうふうに言っているわけではありません。それが共産党だなんてそういうふうに決めつけてきちゃいかぬですよ。やはり出なければならなかった人の運命も気にかけなければなりませんということを私は申し上げておるのです。  それから、再開発をどんどん進めていくと床の供給が進むのだから地価は下がると思われるかもしれませんけれども、実はそうじゃないのです。これは非常に大事な問題なんですけれども、大臣はどういうふうにお考えですか。
  180. 越智伊平

    ○越智国務大臣 再開発だけで地価が下がるとは私はいつも言ってない。すべてのいろいろの手法を使って宅地の供給を多くしていく、供給が多くなれば、需要の方が少なくなれば下がる、こういうことを常に申しておるわけであります。この再開発法だけで土地が値下がりしますということでなしに、いろいろの手法を使って宅地開発をしていき、そうして供給をふやしていくと、需要よりも多くなっていくと下がっていくであろう、こういうふうに考えております。
  181. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は何も大臣がそういうふうに言ったと申し上げておりません。よくそういうふうに言われているのだけれども大臣はどう考えるかということをお尋ねしたのであって、大臣も私の言うことをよく聞いて答えていただけば結構なんです。  これはなかなかょく言われているのですけれども、しかし非常に大事な問題なんですね。再開発する、容積率を上げる、そうするとどうなるかというと、地価は一般的にいいますと大変上がっていくというのが傾向なんです。東京都は土地白書を発表しておりまして、それを見ても千代田は容積率の平均が四二五・九%、それを基準地価で申しますと平米当たり千四百六十万三千二百円、非常に高い。それから、それに次ぐところは中央区ですが三五八・五%、これに対して千三百三十三万五千円、非常に高いところにあるわけです。容積率が高くなれば地価も高くなるというのが一般的傾向なんです。それから、もうちょっと下の方で見ますと、例えば品川でいいますと、品川は一〇八・八%で百九十三万三千三百円、こういうふうになるんですね。この点非常に私どももよく考えてやらなければならないということをこれは証明していると思うのです。  それで、もう一つお尋ねしたいのは、都市開発協会が興味ある分析をしているんです。これは私鉄不動産の協会ですから我田引水のところも随分目につくのではありますけれども、東京とパリを比較して、それで東京道路、公園がいかに少ないか、そして「当面、都市環境、住環境などを充分に維持しながら、東京都二十三区内で土地高度利用を広い範囲にわたって進めることは相当に困難と考えざるを得ない。」こう述べているんですね。そして、仮に東京を全部パリ並みに五階建てにしたとして、貧困な都市施設をパリ並みにすれば、建物の床は一・三五倍にしかならない、こういう試算をして、そして「都市環境、住環境を維持する限り、建物を中高層化しても都市機能の拡大には限度がある」と結論づけているのです。  思い切って、私は今ここで発想の転換をやるべきじゃないか、こういうことを考えます。何でもまとまった土地があれば再開発だ、容積率をボーナスでふやしてあげる、あるいは斜線制限は余り適用しないとか、そのための法律をつくる、こういうふうにするばかりが能じゃないんですね。そうじゃなくて、大都市東京はその典型ですけれども、空き地があるならば生活環境の改善に使おう、住民の要求はどうなっているんだ、ああ公園か、それは外国の首都に比べたって東京は公園がぅんと少ないわけですから、思い切ってひとつ公園にしようとか、そういう発想の転換を必要としているのじゃないかと思うのですけれども、建設大臣のお考えを伺います。
  182. 越智伊平

    ○越智国務大臣 いろいろの先生がいろいろ御意見、構想を練ってくださること、非常にありがたい、こういうふうに思っております。いろいろの意見を聞きながら進めていきたい、かように思います。  確かに公園は都心部に少ない、これはもう御承知のとおりであります。パリに比べましても、ロンドンに比べましても非常に少ない。でございますから、公園はふやしていく、こういうふうに努めたい。そのためにも、再開発をやりましてその中に公園部分をとるというようなことで、そうしなければ、今土地を公園にするから売ってくださいと言ってもなかなか難しいですよ。ですから、それは国有地、公共用地も含めて、この部分は公園、この部分は事務所、この部分住宅、こういうことにして環境のいい東京都にしたい、こういうふうに思っております。
  183. 中島武敏

    ○中島(武)委員 空き地の中は、これは何に、これは住宅に、これは公園にというのはわからぬことはないのですけれども、それは思い切ってやる。全部公園にするとか、それくらいの思い切りが今大都市東京には必要になってきているんじゃないかと思うのです。アメリカのニューヨークでさえ集中を規制するために最高容積率一八〇〇%を一五〇〇ないし一六〇〇%に下げる思い切ったことをやっているんです。ロサンゼルスだって最高容積率を現在の一三〇〇%から六〇〇%へ下げて再開発を抑制する、集中を規制する、そして住みよくしていく、こういう思い切った措置をとっているんです。私は、こういうことにも大いにひとつ学んでやっていく必要があるんではないかということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。
  184. 中村喜四郎

    中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  185. 中村喜四郎

    中村委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  186. 中村喜四郎

    中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  187. 中村喜四郎

    中村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中広務君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。西村章三君。
  188. 西村章三

    ○西村委員 ただいま議題となりました都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 部市における再開発の円滑な実施及び健全な生活環境の整備を図るため、今後とも地価対策の推進に努めること。  二 市街地開発事業の実施に当たっては、関係権利者の理解と協力を得るよう努め、その生活の安定・向上を図るとともに、市街地住宅確保に十分配慮すること。  三 再開発地区計画の策定に当たっては、当該計画地域の活性化に資するものとなるよう、社会経済動向の変化に十分留意するとともに、土地利用等に関する地域住民の意向の把握に努めること。  四 再開発地区計画によって容積率等を緩和する場合には、良好な都市環境の形成及び公共施設の整備に十分配慮すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  189. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  190. 中村喜四郎

    中村委員長 起立多数。よって、野中広務君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣
  191. 越智伊平

    ○越智国務大臣 都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきましては、御審議をお願いして以来、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  192. 中村喜四郎

    中村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  194. 中村喜四郎

    中村委員長 次に、内閣提出土地区画整理法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。越智建設大臣。     ─────────────  土地区画整理法の一部を改正する法律案関係資料     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  195. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいま議題となりました土地区画整理法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  土地区画整理事業は良好な市街地の形成とともに、宅地の供給についても大きな役割を果たしてきたものでありますが、現下の状況を見ますと、市街地の整備及び良好な宅地の供給の促進は以前にも増して強く望まれているところであります。  このような要望にこたえ、健全な住宅市街地の造成を促進するためには、土地区画整理事業をなお一層推進することが重要であります。このため、宅地の所有者または借地権者の発意に基づいて施行される事業について、個人施行制度を拡充するとともに、土地区画整理組合についての参加組合員制度を新設するほか、地方公共団体等が施行する事業において、宅地地積の適正化のための措置を拡充すること等が必要であることから、この法律案を提出することとしたものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、住宅都市整備公団等のほか土地区画整理事業施行するために必要な資力、信用及び技術的能力を有する者であって一定の要件を満たすものは、宅地の所有者または借地権者以外の者であっても、これら地権者の同意を得ることにより、土地区画整理事業の個人施行者となることができるよう個人施行制度の拡充を図ることとしております。  第二に、土地区画整理組合が施行する事業において、住宅都市整備公団等の公的主体で定款で定められたものは、宅地の所有者または借地権者以外の者であっても、事業費の一部に充てるべき負担金を土地区画整理組合に支払うことにより、組合員となり、換地処分時に保留地に充てるべき土地の一部を取得することができる参加組合員制度を新設することとしております。  第三に、地方公共団体等が施行する土地区画整理事業において、小規模な宅地の所有者及びその宅地に隣接する宅地の所有者の申し出があった場合には、これらの宅地について、施行地区内の土地の共有持ち分を与えることができるものとする共有換地を認めることにより、小規模宅地に関する宅地地積の適正化措置を拡充することとしております。  第四に、土地区画整理組合の役員に係る規定の整備等所要の改正を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  196. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明聴取は終わりました。  次回は、来る五月十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十四分散会