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1988-04-22 第112回国会 衆議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十二日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中村喜四郎君    理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君    理事 東   力君 理事 中村  茂君    理事 矢追 秀彦君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       大塚 雄司君    金子原二郎君       木村 守男君    北村 直人君       桜井  新君    田中 直紀君       武村 正義君    中島  衛君       額賀福志郎君    松田 九郎君       松永  光君    村岡 兼造君       小野 信一君    木間  章君       坂上 富男君    三野 優美君       大野  潔君    薮仲 義彦君       伊藤 英成君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君  出席政府委員         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    中嶋 計廣君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 木内 啓介君         建設省河川局長 萩原 兼脩君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示指導課長 鈴木  満君         総務庁行政監察         局監察官    松田 隆利君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   吉田  博君         国土庁土地局次         長       藤原 良一君         外務省経済局海         洋課長     堀口 松城君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 上野 憲正君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団工務部長) 藤井  浩君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     額賀福志郎君   田村 良平君     田中 直紀君   橋本龍太郎君     北村 直人君   伏木 和雄君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君   田中 直紀君     中島  衛君   額賀福志郎君     榎本 和平君   薮仲 義彦君     伏木 和雄君 同日  辞任         補欠選任   中島  衛君     田村 良平君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)(参議院送付)  都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第六五号)      ────◇─────
  2. 中村喜四郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本鉄道建設公団工務部長藤井浩君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありません     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 中村喜四郎

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤英成君。
  5. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 まず最初に、本日民社党の党大会のために質問の順位を一番最初にやらせていただき、そのことにつきまして、委員長ほか皆さん方に特段の配慮をいただきましたことをまずもってお礼を申し上げたい、こう思います。  それでは質問を始めさせていただきますけれども、今回のこの改正趣旨についてでありますけれども、この宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部改正経緯目的についてお伺いをいたします。
  6. 望月薫雄

    望月政府委員 昨今、一部の不心得な不動産業者による行為とはいえ、悪質な地上げ等が大変大きな社会問題になっておるということがまことに残念であるわけでございますが、一方で住宅の住みかえの増大というようなこと等を踏まえまして、不動産流通市場整備近代化というのは大変重要な課題になっている、こんなふうに考えているわけでございます。  そういったことから、私ども今回御提案申し上げております法案におきましては、業者資質向上業務適正化ということを図ると同時に、媒介契約制度の改善をいたしまして、不動産流通市場整備近代化を図ろうというのが最大目的でございます。  この法案を御提案申し上げるに至りました経緯としてちょっと補足させていただきますと、今申しましたようないろいろの背景事情、こういったものを踏まえまして、私ども建設省におきましては、かつて今後の不動産業のビジョンを整備させていただきまして、それを受けて住宅宅地審議会でいろいろと御審議を賜りました。その御審議の結果を受けまして、今回の法案をまとめさせていただいておるという点が一点ございます。  あわせまして、昨年十月に御承知のとおり土地臨調答申、あるいは政府緊急土地対策要綱、こういったところにおきまして、宅地建物取引業の規制の見直しが提言されているところでございまして、本法案はそれらのことを全部踏まえまして御審議を賜っているという状況にございます。
  7. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この宅建業法に絡みますトラブル並びにその対応についてお伺いするわけでありますけれども、この改正宅建業者資質向上及び業務適正化が大きな柱になっているわけでありますが、最近の宅建業者に対する処分状況並びにその処分原因となっている事由はどのようになっているでしょうか。
  8. 望月薫雄

    望月政府委員 宅地建物取引をめぐります苦情紛争等、結構数が多いわけでございます。そういった中で、行政としては免許取り消し、あるいは業務停止等の厳正な処分をもって対処しているところでございます。  六十一年度におきます監督処分等件数は千六十七件、千件を超える状況になっておりますが、このうち免許取り消しは三百四十三件、業務停止が六十一件、指示が八十件、文書による指導が五百八十三件、こういう状況になっております。監督処分理由でございますけれども、その大きなものを申し上げさせていただきますと、営業保証金を供託してない、あるいは事務所の確認ができない、あるいは重要事項説明義務違反、こういったところが大宗を占めているところでございます。
  9. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この地価の急騰に伴いまして、今もお話に出ておりますいわゆる悪質な地上げが横行して、放火とか打ち壊しといったような立ち退きのための強引な手段が行われるというような暴力事犯というのでしょうか、そういうものもいろいろ報道されたりしておりますけれども、今回の改正によってこのような立ち退きに絡んで暴力的な行為を行う者を介在させた宅建業者、そういう者への監督処分というのはどのようになるわけでありますか。
  10. 望月薫雄

    望月政府委員 お話しのように、いわゆる地上げ行為を行うに当たって悪質な行為を伴うということについては、私ども監督指導を預かる者として日ごろ非常に心を痛めているわけでございますが、そういったことに対処して、今回の御提案を申し上げている宅建業法では、一つ免許を与えるときに当たって基準強化ということで、そういう暴力行為等行って罰金刑以上に処せられた者は免許を与えないということもやっておるわけでございますが、ただいま御質問の、特に宅建業者がそういう者を使った場合、あるいはみずからそういった行為を行った場合、これについてどうか。これにつきまして、私どもこれまでも厳正に対処しているところでございます。とりわけ、昨年十二月に通達を出してこの辺の注意を再度喚起いたしておりますが、今申しましたように宅建業に関して暴力団を利用したとか暴力団違法行為を行った場合、こういったときについては宅建業に関して不正または著しく不当の行為をしたという条項に該当するものとして業務停止免許取り消し、こういった措置をとっていくように地方公共団体に改めて注意をして指導をいたしておるところでございます。
  11. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 六十二年度の警察白書を見ますと、警察に寄せられた民事介入暴力事案相談受理件数が、「家屋賃貸借等不動産に絡むもの」というのが五十九年度まで年間千二百件程度でありますけれども、その後急増いたして、六十一年になりますと二千件弱というぐらいの状況になっております。この中には無免許業者によるトラブルも多いというふうに思いますけれども、この取り締まりは警察の役目になるかもしれません。建設省としては、警察とどういう連携をとりながら進めておりますか。
  12. 望月薫雄

    望月政府委員 広く不動産取引を行っている者の中に、大変悪いことをやっている多くの業者の大半がいわゆる無免許業者という実態にあることは先生の御指摘のとおりでございまして、私どももこれについては厳正に対処していく必要がある。しかし、事は警察に相当お願いしなければならぬという実態でありますので、従来から警察当局との連携を一層緊密にしようということでやってまいっております。とりわけ、最近のこの地価高騰の中での事犯増大という中で、宅建業を預かる私ども立場からも積極的に告発行為を行っていくというようなことも含めまして、一層の連携を深めているところでございます。  最近の状況を見ましても、幾つかの県では具体県警レベルと県の宅建取引行政部局の間などでそういった協議協調体制をつくっているというところもございまして、さらにこれを一層進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  13. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この問題を考えるとき、ちょうど私は思い出すのは、映画の「マルサの女2」がありました。あれは見られましたか。
  14. 望月薫雄

    望月政府委員 私ども担当課長以下大勢見ているようですが、私は実は見ておりません。
  15. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 この間、官房長官でしたでしょうか、見られて、そのことが新聞に出たりしておりましたけれども、私は見ましたけれども、なかなか興味深い話でありました。内容は御存じかと思いますが、そのときに三國連太郎扮する鬼沢という人ですか、彼が捕まって捜査を受けているときのいろいろな発言、たんかを切ったりいたしますね。それこそ地上げ屋が頑張ってやるのは、要は国のためにやっているのだよ、そして自分たちが頑張らなければ、例えば再開発とかなんかはどうやってできるのだというようなことを言ったりしておりました。物の考え方いかんによってはああいう理屈も成り立つんだと思いますね。したがって、例えばこういう警察の問題やら建設省の問題やらこの辺はよほどきちっとやらないと、何となくその彼の映画の中の主張をひょっとしたら暗黙のうちに認めてしまうような話になりかねない。もしもそうなったとしたらまた大変なことだと思うので、そういう意味であの映画のことを今思い出したのですが、どんな感じでいらっしゃいますか。
  16. 望月薫雄

    望月政府委員 お話しのような論理といいましょうか、発言が、今の「マルサの女」もそうだと思いますが、それ以外の現実の聴聞の中でも発言をしておるような事例も私ども耳にしておりますが、はっきり申し上げまして、幾らその行為が、ある側面から見れば付加価値を高める、いわばある目的に即した適正な行為であるという論理があったといたしましても、私どもが見る基本的な立場というのは、いかなる商行為といえども、その過程において平穏な市民生活安寧を乱すような不法不当な行為というものはいささかもあってはならない、こういう観点に立っておるものでございます。したがいまして、どのような理屈があろうとも、私どもは法に照らして厳正に対処していく、消費者保護市民生活安寧に徹底していくということを基本に据えてまいっていくつもりでございます。
  17. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それでは、ちょっとまたこの法案中身に戻りますが、宅地建物取引主任者制度見直しの問題でありますが、今回の改正宅地建物取引主任者制度見直しを行って、案内所等における専任取引主任者設置義務の創設、登録基準強化を行うこと、このようになっておりますが、この件について、まず最近の宅建取引主任者受験者数、それから合格者数、登録者数の推移はどのようになっておるか、お伺いいたします。
  18. 望月薫雄

    望月政府委員 五十八年以降の状況を御答弁させていただきますが、大体五十八、九、六十年、この間は毎年受験者が十万人ちょっと超える程度水準でございます。ほぼ十万人でございます。これに対しまして合格者が一万四千人から一万六千人、こういった状況にありますが、六十一年度、六十二年度とかなり急激にふえておりまして、六十一年度は受験者が十三万人余り、合格者がこれに対して二万二千人弱、六十二年度が受験者十九万二千人でございまして、そのうち合格者が三万六千六百人、こういう状況でございます。
  19. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今回、新たに専任取引主任者設置を義務づけております「案内所等」とは具体的には何を指すのか、またその数はどのくらいあるのか、それからさらに、従来十人に一人の割合で取引主任者設置を義務づけられておりました事務所においても五人に一人と設置基準強化をされるわけでありますが、これによって、全体としてこの設置が新たに義務づけられる取引主任者の数というのはどのくらいの程度と考えられますか。
  20. 望月薫雄

    望月政府委員 新たに設置を義務づける設置場所具体的には建設省令で決めることになっておりますが、その主たるところを申し上げさせていただきますと、一つは、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所事務所以外のもの、もう一つは、いわゆるデベロッパー一団宅地開発分譲現地案内所で行うという場合のこの案内所、それからもう一つは、デベロッパーが行う一団宅地建物分譲の代理あるいは媒介案内所設置して行う場合、その案内所、こんなところを考えておりますが、大体のところ総数は全国で七千程度になるのじゃないかと見ております。  それから、それに対応して、今先生お話しのように、あわせて、従来の十人に一人というのを五人に一人というふうに基準を改善して増員を図るということで新たな主任者の必要が出てまいりますけれども、現在登録されている取引主任者の数が六十一年度末でもって三十五万四千人でございます。それに先ほど六十二年度は三万六千六百人余り合格しているということを申し上げましたが、大体六十二年度末で、全部が登録されるわけじゃございませんが、三十七万人程度登録されているだろうというふうに見込んでいるところでございまして、そういったことからしますと全体的に見て十分対応できるんじゃないか。なぜなら、参考までに、宅建業従業者総数で五十四万人でございます。この五十四万人に対して三十七万人程度の者が取引主任者資格登録を持っている。こういうことになりますと大体総数的には対応できるもの、こういうふうに考えているところでございます。
  21. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 総数としては大体対応できるという話が今ちょっとあったわけでありますが、総数総数としても個々に考えるとなかなか大変かもしれませんですね。そういう意味経過措置というのはどのように考えていらっしゃいますか。
  22. 望月薫雄

    望月政府委員 宅建業者の八割は実は従業員五人以下というかなり規模が小さいものでございまして、そういった意味では既にこれらの中小零細業者取引主任者を新しい基準に適合するように置いている、こういったことが言えようと思いますので、残りの二割の業者、このうち中堅業者主任者等が不足するという事態が一応想定されます。それに対して、先ほど来申しているように総数的に言えば対応できると考えておりますが、個々具体事例についてはいろいろなことも出るかもしれません。そこで、私ども、現に免許を持っている業者につきましては法施行後六カ月間猶予期間を置きたいというふうに予定しておるところでございまして、この間それぞれの業者においては適切な対処、準備をしていただきたいと考えている次第でございます。
  23. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そういえば、先ほど事務所とか案内所等中身、要するに事務所等というのは一体何を示すかという話をちょっとお伺いしましたけれども、実はいろんなケースがあるんじゃないかという気がするのですね、さっきは一応の定義のようなことを言われましたけれども。したがいまして、例えば事務所あるいはいわゆる案内所案内所でもどのくらいの権限を持っているものかどうかとかいろいろなものがある、こう思うので、その辺はそれぞれの業務実態に合わせた措置が必要かと思いますが、その辺はどのように考えていらっしゃいますか。
  24. 望月薫雄

    望月政府委員 率直に申し上げて、先生指摘のとおりと考えております。そこで、私ども先ほど基本的な考え方を御答弁申し上げましたが、省令を決める過程におきまして実情等もう少し精査して、その辺を整理した上ではっきりさせたいと考えておるところでございます。
  25. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それから、取引主任者登録基準強化して二年以上の実務経験を有することとしているのはこれはまた意味があることだ、こう思いますが、一方で今のこの設置義務強化に早急に対応しなければならぬ、そうするとどうのこうのという話が先ほどありましたけれども、対応しなければならぬ。あるいはまたこれからいわゆる産業構造変化等によって中高年でそういうところに移ってくる方もまた多いかもしれません。そういう意味で、こうしたニーズに対してどのように対応する措置を講ずるのかお伺いをいたします。
  26. 望月薫雄

    望月政府委員 今回の改正案で、取引主任者実務経験を求めることは私ども大変重要な意味を持っているということでお願いしている次第でございますが、そういった中で今お話しのような、ある意味で逆の面でのいろいろの問題点も当然想定しなければならぬという面がございます。  そこで、実際に経験のない者について一切だめにするかという点でございますが、これにつきましては建設大臣が指定いたします講習を受講して一定の基準に達した者に対しましては、実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者、こういう扱いをしたいと考えております。したがって、登録もするということになるわけでございます。このことによりまして、お話の中にありました中高年齢層の方々の転職等に重大な支障が起こらないように、困難にしないように配慮してまいりたいと考えておるところでございます。
  27. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に、手付金等保全の問題でありますけれども、この改正によって売買代金の額の一割または一千万円を超える手付金等の授受について保全を義務づける、こういうふうになっておりますが、一割あるいは一千万という金額が現在の取引状況から見て妥当なのかなと思うのです。例えば、一千万がざっと一割ぐらいというふうにもしも考えたといたしますと一億円ぐらいですね。ひょっとして東京の辺ですと、それこそ一億あるいは一億以上なんて話はざらなんでしょうが、ちょっと地方に行きますと一億未満の取引が非常に多いです。そういうようなことを考えたときに、この水準はいわゆる保全措置という考え方趣旨目的からして大丈夫だろうかと思いますが、どうですか。
  28. 望月薫雄

    望月政府委員 現在、宅地建物取引に関します紛争のうち、業者が売り主となっているものについてその原因を見てみますと、手付金等の返還をめぐっての紛争が実は二割程度を占めております。そういったことから今回の改正案の御審議をお願いしているわけでございますが、その額、率等考え方についてでございますけれども、一般的に売買代金の一割を超える額の手付金を取るという場合の方が、一割以下の場合に比べて事故率が非常に高くなっている。大体一・五倍くらいの事故率があるという現実一つございます。それからもう一点は、マンションのようなものについて、工事完了前の物件の場合に百分の五を超える手付金について保全を義務づけている、これは現行の制度でございます。  こういったようなものを踏まえて、住宅宅地審議会の御答申をいただいて、今回はその一つは、一割を超える手付金を受領しようとする場合には保全措置を講じさせようという、これがまず第一点でございます。それから今先生お話にもございましたが、しかしこの率だけでやることですべて大丈夫かという問題があるわけでございまして、別途政令で定める額を超える手付金を受領する場合についても保全を義務づけようというふうに考えておりまして、一応現在予定していることは、一千万円を念頭に置いております。  この最大理由は、最近の大都市圏を中心とします取引の動向を見てまいりますと、非常に価格が高額化している傾向があります。そういった中で代金の一割ということだけではなかなか救済できない事態も想定されるわけでございまして、こういったことに備えて別途営業保証金の増額、これも一千万円ということで予定させていただくわけでございますが、これでは担保できない、十分に保全できない事態も想定されますので一千万円という金額具体に決めての保全措置の義務づけということで、一割という率と一千万円という金額のどちらかそれに該当すれば保全措置を義務づけるということで御提案をさせていただいている次第でございます。(伊藤(英)委員水準的には大体このくらいでほぼいけるという……」と呼ぶ)私ども一千万円という水準でやらせていただくと、あるいは一割という基準を適用させていただくと、まず紛争事案の九割程度以上のものは救済できるというふいに考えている次第でございます。
  29. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それから、今回の改正一般ユーザーというか国民への周知徹底の問題であります。  この改正は、宅建業者資質向上ということに加えて、クーリングオフ制度改正とか従業者証明書制度改正というように、消費者保護のための対策というものがなされているわけでありますけれども、これはいわゆる一般消費者がそのことを知っていないと実は効果をあらわさない、意味がないわけですね。それで、不動産適正取引推進機構調査を見てみましても、その調査でも苦情紛争防止策ということの中では、いわゆる消費者への啓蒙、啓発ということが最大のファクター、それが一番トップに挙げられておるのです。そういう意味からしても、みんなが知らなければこれは意味をなさないというさっきの話がそのまま結びつくわけでありますが、今回のこの改正消費者への周知徹底の問題についてはどのように考えておられますか。
  30. 望月薫雄

    望月政府委員 私ども提案申し上げている改正案は、基本消費者を一層保護しようということに尽きるわけでございますが、お話のように、それであるだけにいわゆる消費者である個々国民がそんなこと知らなかったということではこの実効は全く期待できないということで、私どももこの普及啓発最大限に重視しておるつもりでございます。したがいまして、この法案を御審議いただき成立させていただいた暁におきましては、私ども当然行政なり公共団体に対する指導を早急に濃密にやらせていただきたいと思います。と同時に、いろいろな機会をとらえて、一般国民に対する啓発活動も十分にやりたいと考えておるところでございます。とりわけその中で、不動産近代化センターあるいは今お話の出ましたような不動産適正取引推進機構、こういった組織体活用しながら十二分のPR、啓発、啓蒙活動をしていきたいということを考えておるところでございます。
  31. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今のようなPRは、行政関係だけあるいは専門家のところだけにいっても本当は意味がなくて、一般の人がちゃんと知らなければいけないですね。そういう意味では、例えば週刊誌とか新聞だとか、そういうものによって啓蒙を図ることも考えなければいけないのじゃないか、こういうふうに思ったりいたします。ぜひまたそうしたことも御検討をお願いしたい、こう思います。  時間が来ましたので、一番最後にちょっと大臣に、今回の改正を踏まえて土地取引適正化ということについてのお考え、決意をお伺いしたいと思います。これは一番最初趣旨のところでも話がありましたけれども、いわゆる地上げ問題等、それこそ一般国民が大きな関心を持っていることでもありますので、大臣の決意をお伺いして終わりたいと思います。
  32. 越智伊平

    ○越智国務大臣 土地取引につきましては、今の業者ほとんどは善良な業者でありますけれども、ごく一部に不良業者がおります。それが社会問題になっておることを十分承知いたしております。でありますから、この際できるだけ資質をよくしていく、悪質業者を排除するという意味を持って御提案申し上げた次第であります。  でございますから、この法律が成立いたしますと、いろいろお話がございましたようにできるだけ周知徹底を図りますし、また業者以外に無免許業者というものについても十分取り締まりをしていく、こういうことによって消費者が安心してやっていけるようにいたしたい、こう思うのであります。  また一方、こういう土地とか建物の所有者につきましても、やはり財産でございますから自分が守っていく、そのためにはある程度の知識を必要といたしますが、その点についても十分配慮して周知徹底を図りたい、かように思う次第であります。
  33. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 どうもありがとうございました。
  34. 中村喜四郎

    中村委員長 坂上富男君。
  35. 坂上富男

    ○坂上委員 宅建業法改正審議されておるわけでございますが、去年、おととし、宅建業担当の課長さんから宅建業者のあり方等について若干の説明を受けて感銘したことがあるのであります。現在いかがでございましょうか。宅建業について、さっきのお話のときは監督産業から信頼産業へ移行したいというふうな理想が掲げられていたわけでございますが、今宅建業者について建設省はどのようなお考えなんでございますか。
  36. 望月薫雄

    望月政府委員 宅建業の将来というものを展望して、私ども建設省におきましては、先般来学識経験者等も交えながら、いろいろと御審議賜りながら一つ考え方をまとめてまいっておりますが、やはり宅建業というのは今後我が国の国内産業として国民生活の充実、基盤の安定化という上で非常に重要な役割を果たすということを基本認識として持っているわけでございます。そういった中で、当面中期的に一番大事な課題は信頼産業への道である、こういうことで御提言をいただき、私どもの施策もその方向で取り組ませていただいているという次第でございます。その間におきまして、業界団体においてもそういったことを十二分に受けとめて自覚していただきまして、その辺での企業努力というものについて力強く取り組んでいただいているというのが現状と認識しております。  ただ、この間におきまして、先ほど来出ておりますことでもありますが、一部宅建免許を持っていない無免許業者も含め、あるいは本当にごくごく一部とは思いますけれども免許を持っている業者においてもまことに残念な行動をとっている業者もなしとしないということの中で、全体のイメージがいまだ上がらないということについて、いささか私ども残念に思っているところでございます。
  37. 坂上富男

    ○坂上委員 さっき建設大臣お話がありましたとおり、宅建業者の皆様方は本当に町のいわば不動産業者として庶民のための相談相手に一生懸命になっておって、大変私たちも期待をしておるわけであります。おっしゃるとおり、本当にごく一部の諸君が大変な問題を起こしていると理解をしておるわけであります。  そうだといたしますと、監督産業から信頼産業への移行ということを理想とされておるわけでございますが、現在大体どの程度なんですか、監督産業を今度信頼の方に移しましたというのは。また、こういう点では変わってまいりましたというようなことは、ひとつどんなところが監督から信頼に移っておりますか。
  38. 望月薫雄

    望月政府委員 本当に業界は今、挙げてそういった意味での自助努力、自覚、啓発活動というものに努めていただいているところでございますが、残念ながら国民が見る目というのがなかなかまだ厳しいということで、どちらかというと信頼感というものがまだまだ低いという現状が、そう早急に改善されないという現状にございます。ただ、私ども本当に頼もしく思っていますのは、昨年の九月、例えば業界九団体が大変力強い申し合わせをして暴力団排除から悪質地上げ行為の排除などなどをやり、それから地道にいろいろと取り組んで将来に備えていこうという努力をしているところについて、これから一層の助長、助勢に私どもとしても努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  39. 坂上富男

    ○坂上委員 これは今回の法案改正に当たる私の率直な意見ですが、監督産業から信頼産業というようなことでなくして、ますます監督産業としての条文になっておるのではなかろうかということを私はひしひしとこれで見て感じておるわけでございます。でありまするから、確かに問題は大変大事な問題だとは私は思っているわけでございます。この改正業者については強過ぎる、こういうようなところをぜひとも私は言いたいところでもあるのでありますが、やはり一番大きい問題は専属媒介問題だろうと思うのです。これはまさに監督から信頼へ移るわけです。これをどうやって生かすか殺すかということが、いわゆる監督から信頼へ移行できるかどうかの重要な問題を提起したのだろうと私は実は思っているわけです。でありまするから、この問題を中心にいたしましてきょうは御質問をさせてもらいますが、その前提としてひとつ若干の問題点を御指摘申し上げながら論調を進めさせていただきたい、こう思っております。  まず、宅建業者でございますが、さっきお話があったわけでありますけれども、その人数についてもう一遍お話しをいただきまして、現在の宅建業者は適正規模なのかあるいは余り過ぎているのか、まだまだ不足をしているのか、いかがでございます。
  40. 望月薫雄

    望月政府委員 宅建業者の数は現在十一万二千程度でございますが、この数が多過ぎるかどうかという点、実は宅地建物取引業、もっと言うと不動産業の経済の大きさ、売上高の大きさというようなものを考え合わせてみますると、このくらい要るのかなとも思いますが、率直に申し上げていささか多いなという感想も持っているところでございます。それで、十一万業者ということを一言で申し上げましたけれども、この中には実は宅建業という類型の中に非常にさまざまな、デベロッパーからいわゆるあっせん業までというふうなすそ野が広いというか広い業種業態になっているものですから、多いか少ないかということを明確に御答弁することはちょっと困難でございますが、いずれにしても、いわゆる過当競争等々の姿になることは決して望ましくないあるいはまた不適格業者がどんどん入ることについてはいかがなものか、こういうことも考えながら今後の行政を進めていく必要があると私どもは思っているところでございます。
  41. 坂上富男

    ○坂上委員 局長はあるいは御遠慮なさって答弁なさらぬのかどうか私にはわかりませんが、不動産業者の皆様方が現在適正規模なんだあるいはまだ足りないのだ、余っているのだ、こういうような見通しをきちっと国民の需要との関係において立て、そしてまた不動産業者の営業成績等から見まして、やはり監督官庁でありまするところの建設省が本当にそういう点の把握をしなければ、悪徳業者を追放するとか健全業者を育成するとかなんとかといっても、過当競争だったら本当にたたき合いになるわけです。また、業者が少なければ国民も困りまするし、需要にこたえることができないわけでございますから、遠慮しないでぴしっと業界指導意味からも、不動産業界の収入、営業成績、国民の需要、そういうあらゆる観点から常に産業というものは把握をしていただきませんと、ただ監督ばかりすればいいわけではありません。本当に国民が信頼し、建設省が信頼をして営業していただかなければならぬ、こう思っているわけでございますから、行政機関でありまする建設省がきちっとした、年ごとに把握をしておいていただかなければいけないのじゃなかろうかな、こんなふうに実は私は思っております。これは私の意見でございますから、ひとつ最後にでも結構ですが、そういう点を交えて御答弁もいただきたいなと思っております。  さて、今度皆さん方から白パンをいただいておるわけでございますが、宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法、一緒くたに書いてあるわけでございますが、読むのになかなか苦労しました。これは別々の条文でしょう、法律でしょう。それを一緒くたにこうやって書いてあるわけでございます。  例えば、これもまたページ数も打ってない、ページ数ぐらい打っていただきたいと思いますが、例えば、法律案要綱の「第三 附則」があります、四、五枚はぐると。「一 施行期日」、「二 経過措置」、こう書いてあります。それから、今度は法律案があります。案の中で附則の「施行期日」がある。これは今度は二十三ページと書いてある。これがページがあったりなかったり、これもちょっとひとつ事務局よろしく、わかりやすいようにしていただかないと。これは法律案の二十三ページ、ページが打ってあります。この「施行期日」というのは一体どの施行期日ですか。少なくとも法律案でございますから、きちっとこの法律についてはこの施行期日、この法律についてはこの経過規定ときちっとうたってしかるべきなんだろうと思うのですが、これはどうなんですか、私の見間違いなんでございますか、どうです。
  42. 望月薫雄

    望月政府委員 施行期日のお尋ねでございますが、これは文字どおり、ここにありますように、一条中宅建業法三十四条の二の改正規定なんとかという部分を除いた全部が公布の日から施行する、こういう意味でございます。
  43. 坂上富男

    ○坂上委員 もう一つ、だから今度は法律案の方をごらんなさい。
  44. 望月薫雄

    望月政府委員 いや、私、今法律案で申し上げさせていただいておりますけれども、要するに二十三ページでございますね。二十三ページで「この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」ただし書きがついております。だから、このただし書きの部分を除いて全部が「政令で定める日から施行する。」こういう意味でございます。
  45. 坂上富男

    ○坂上委員 こういう法律の規定の仕方というのはありますか、どうですか。
  46. 望月薫雄

    望月政府委員 これは及び法の改正法案でございますけれども、二つの法律案を「及び」でつないでいる法案ですけれども、私ども通常こういう格好で一般的にやらしていただいておるのが現実でございます。
  47. 坂上富男

    ○坂上委員 今度は経過規定をごらんになってください。この経過規定を見ますと、宅建業法十五条、五十条二項の規定は云々、このままの経過措置が条文の中に盛られるわけじゃないでしょう。これは成案じゃないでしょう。  それから、「改正後の宅地建物取引業法第三十七条の二の規定は、」云々、こう書いてある。これはこのまま条文の中に入るわけじゃないでしょう。  それから、四、改正後の宅建業法四十一条の二の規定は云々、これはそうじゃないでしょう。少なくとも、宅建業法四十一条の二の規定は云々、こうなるでしょう。  それから、五の、この法律の施行の際現に改正前の宅建築法、指定を受けている者は云々と、これはいいでしょう。それから、六もいいでしょう。それから、七もいいと思うのですが、こういうような、いいと言ったのは二つの法律にかかるのですか。それともどの法律にかかるのですか。
  48. 望月薫雄

    望月政府委員 これは文字どおり附則の経過措置の規定でございますので、ここに書いてございますように、例えば経過規定の三項でいいますならば、改正後の宅建業法三十七条の二の規定の部分、このことを指しているわけでございますし、そのほかの条文についても同様でございます。
  49. 坂上富男

    ○坂上委員 だから、法律案なんですから、案はこういうふうに変えますというのは要綱でいいのです。案なんですから、ぴしっとそのものを書かなければいかぬでしょう。どう改正になるかわからぬ、あなたたち審議するのに。あと見ても、この附則の条文の改正はこういうふうにいたしますと書いてないのだ、概要説明なんだ、要綱説明なんですから。私の言っている意味はおわかりでしょう。どうですか。
  50. 望月薫雄

    望月政府委員 今御指摘の点はあくまでも附則、経過規定であるわけでございますので、これは本則の条文そのものがどう動くかということは、今先生おっしゃったように、非常にわかりにくい書き方だというこの本則の方に入っているものでございます。  そこで、お手元の資料で大変恐縮でございますけれども、大変御理解しにくいという御指摘にこたえるために、私どもはその次に新旧対照等をつけて御審議の便に供さしていただいているという次第でございますので、よろしくお願いします。
  51. 坂上富男

    ○坂上委員 新旧対照表を見て書いてないから言っているのです。経過措置は書いてありますか。
  52. 望月薫雄

    望月政府委員 おっしゃるとおり、経過措置でございますので、これはこの法律の改正条項をどう適用していくかという、いわゆる経過的な規定を置いているということで、御指摘のとおりこれは新旧対照には入れでございません。
  53. 坂上富男

    ○坂上委員 そうでしょう。だから、新旧対照を見たってわからぬではないかというのが私の主張なんです。せいぜいわかるのは、この条文じゃないかと言っているわけでございます。  というのは、さっきの御質問先生も大事なことを言っておるわけであります。経過措置はどうなるかということが大事なんですよ。だから聞いているわけでございます。  そこで、ここに書かれておる経過措置、ひとつ具体的に説明してください。この部分はこういう経過措置をいたしますということを具体的に言ってください。さっき前の先生のにはきちっと一つの主任の人を置くということについての経過措置をおっしゃったわけでありますが、あと全体的な経過措置を、この点はこうなりますということをきちっと言ってみてください。
  54. 望月薫雄

    望月政府委員 先生に大変大事な御指摘をいただいているわけでございますが、この各項目について一々御答弁するということは大分時間がかかり、長い、くどくなるおそれがあるわけでございますが……(坂上委員「ポイントだけでいいですよ」と呼ぶ)ポイントで申し上げさせていただきますと、経過措置の二項で申し上げていることは、例えば取引主任者について一定の設置義務基準強化をいたしておりますが、これについては法律施行と同時ではなくて六カ月を経過して適用する、こういう点がございます。  第三項の改正後の三十七条の二の規定でございますけれども、これは法施行前にされた宅地または建物の買い受けの申し込みについては適用しないとか、あるいは第四項で言っていることは、四十一条の二の規定の関係を言っているわけですが、これは保全措置の条項を入れさせていただいておりますけれども、これは法施行前になされた売買契約については適用しないということなどなどを、ちょっと個別、技術的に整理している次第でございまして、全部一々やらしていただくとちょっとくどくなりますので、とりあえず主たる点を申し上げさしていただきました。
  55. 坂上富男

    ○坂上委員 経過措置というのは極めて重要な影響を及ぼすと思っておるものでございますから、できたら詳しく聞きたかったのでございますが、これまた別途、後へ譲りましょう。  さて、経済企画庁がお見えのようでございますからお聞きをいたします。それから、公取からもちょっとお聞きをいたします。  原野商法というのがあるわけです。まず、原野商法というのは一体どういうものを言うのか、それから原野商法の被害の実態は今どんなふうになっておるのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  56. 吉田博

    ○吉田説明員 原野商法につきまして御説明をいたします。  老人などを温泉への招待旅行に当せんをいたしましたということで温泉に招待をいたしまして、その場で二束三文、遠隔地、例えば北海道等でございますが、遠隔地の土地を不当な高額で強引に押しつける、売りつけるという手口が、ここ四、五年、国民生活センターへの苦情等として上がってきております。国民生活センターで受けつけました件数で申し上げますと、六十一年度が二十九件、それから六十二年度が二十二件、こういうふうになっております。  なお、最近で見ますと、第二次被害を伴うもの、以前にそういうことで買いつけられた土地につきまして、それを高く売ってやるからということで、測量費とか営業費が要るということでお金を受け取りまして、そのまま逃げてしまうとか、そういう手口が出ております。こういうのを我々は新原野商法と言っておりますが、先ほど申し上げました六十一年度二十九件のうち新原野は十七件、六十二年度は二十二件のうち十一件というふうになっております。
  57. 坂上富男

    ○坂上委員 公取の方はどうですか。不当表示というような問題もこの原野商法に相当出ていると思うのでありますが、公取あたりは把握をしておる点はどういう点が問題になりますか。
  58. 鈴木満

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  実際に売る土地よりも著しく有利あるいは優良であると一般消費者に誤認される表示というのは景品表示法四条に言う不当表示に該当しまして、法律に違反する行為でございます。公正取引委員会といたしましては、そういった不当表示が見つかり次第、法に基づいて適切に処理をしているところでございまして、来月にもまた全国で一斉調査を行う予定にいたしております。
  59. 坂上富男

    ○坂上委員 これは今警察でもあるいは被害を救済しておる弁護士会でも大変大きな問題になっておるわけです。本当に価値のない、一坪一円くらいのものを一万円だとか何千円とかで売り飛ばしておるというような被害があっちこっちに出ておるわけであります。  しかし、これは詐欺だと言うにはなかなか問題があるようでございまして、果たして詐欺による欺罔行為が当たるかどうかというようなことが問題になっておるわけであります。だものでございますから、どうもこういう原野商法に不動産業者が加わっておられることが多いのだろうと思うのでございます。  でありますから、建設省立場におきまして、この原野商法に対する監督指導をどういうふうにやっておられるのかお聞きをしたい、こう思います。
  60. 望月薫雄

    望月政府委員 お話のように最近また原野商法というものが新聞紙上等をにぎわしている、社会問題的側面を出しているということについて、私どもも気になるところでございますが、これは先生御案内のとおり、原野商法の実態はいろいろあると思いますが、直接的には山林原野の売買自体は実は宅建業法の対象外という現状にございます。で、そうはいっても、今おっしゃったように、こういったことは不動産業者、いわゆる宅建業者が絡むものもあるんじゃないかという御指摘でございます。私どもそういった点が十分調査できておりませんけれども、できるだけ業者においてはそこらを自重、しっかりと厳正な営業活動に、適正な営業活動に努めていただきたいということは一般的にこれまでも業界を指導しているところでございますし、おっしゃったような点についても今後念頭に置きながら指導に努めていきたいと思っております。  その一方で、こういったケースはいろいろと事情がありましょうけれども消費者におかれましても、やはりうまい話に安易に乗らないようにという一つ注意も必要であろう、こんなことも考えている次第でございますが、ともあれ、宅建業法を預かる私どもといたしましても、適正な営業活動ということを逸脱しないような一つの倫理的な活動というものを十分要請し、指導してまいりたいと考えております。
  61. 坂上富男

    ○坂上委員 確かに農地であるとか山林であるとかというのは宅建業法の対象外であるということはわかっておるわけでございます。しかしながら、実際現況を見まして宅地であるようなもの、それからまさに山林ではありますけれども宅地としての使用価値のないようなもの、そういうものも結構あることはわかっておるわけでございます。  しかし、この間ネズミ講を私たちが再改正しなければならぬというような事態に追い込まれたことがはっきりしたわけでございますが、そんなようなことで、原野商法というのはやはり不動産売買に絡まりまして大変被害者が続出をしておるわけでございますから、監督官庁でありますところの建設省においてはこういう被害者に対してぜひ何らかの行政指導をよくしていただきまして、被害者の救済に当たることができるならば——官庁の中でどこがどう対応するのかわかりませんが、これは刑事問題にするのはなかなか容易じゃないのです。一円のものを一万円で売ったからといってストレートに詐欺になるかというと、なかなか警察は慎重です。慎重過ぎるぐらい慎重で、私はいかぬと思っているわけでございますので、やはり建設省が音頭を取っていただきまして、警察庁、経済企画庁あるいは不当表示を中心とする公取、そういうところが一体になってこの原野商法についてきちっとした取り締まりを、それから指導をしていただかなければならぬ、こう思っておるわけでございますので、そういう点でひとつ御配慮をいただきたい、こう思っております。大臣、現在そういう状況があることも御理解いただきまして、それに対する御所感を賜りたいと思います。
  62. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今のお話でありますが、これはやはりこういうものが取引されるということ、甘言に乗るといいますか、する方も気をつけていただきたい、かように思いますけれども、さてこれの取り締まりでございますが、政府全般としてはひとつ十分やってまいります。建設省が適当なのかどうかということについては今後検討をさせていただきたいと思う次第であります。  これは御承知のとおり山林とか原野とか、そういうところが多いと思いますので、それは政府全般としては進めていかなければならないのでありますが、今の、建設省でどうであろうかということについてはよく協議をして、いずれにしてもそういうことが行われないように、また宅地建物取引業者がそういうところに入っていかないように、その点の指導建設省でございますから、進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  63. 坂上富男

    ○坂上委員 今度は行監がお見えでございますから一つお聞きをいたします。  行政監察が宅建業取引についてありまして、昭和五十九年十一月に「宅地建物取引の現状と問題点」という本が出ておるわけでございます。これを読ませていただいたわけでございますが、まず行監の方で勧告をしておる二点について、その内容を簡単でいいですからお聞きしたいのです。苦情紛争取扱機関の運営の適正化に関する勧告、それから行政機関による厳正な監督処分の実施に関する勧告、この二つ、どういう勧告をなさったのですか。
  64. 松田隆利

    松田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘行政監察は五十八年に実施いたしましたものでございまして、宅地建物の購入者等の利益の保護、それから不動産流通の円滑化等を図る、そういう観点から関係行政の改善に資するため実施いたしたものでございます。先生指摘のように、五十九年の九月に建設省及び公正取引委員会に勧告を行っております。  今先生指摘の勧告事項でございますが、一つ苦情紛争取扱機関の運営の適正化ということでございます。宅地建物取引にかかわります苦情紛争は県の宅建業関係の主管課ですとか、あるいは宅建業団体等の相談窓口、それから一般的には生活相談等々多岐にわたっておりまして、その間、そういう紛争の処理が機関ごとに区々に行われておりまして、相互の連携が十分とられていない。このために中には専門知識に不十分なそういう機関もあるわけでございまして、十分な教示が、あるいはあっせんが行われなかったために購入者等の救済が十分図られなかったという例もございます。そういうことでございますので、勧告におきましては、そういう機関がそれぞれの能力、機能等に応じまして役割分担を明らかにしつつ相互に連携をとって事案処理に当たっていったらどうかということを勧告いたしているわけでございます。  それからもう一つ先生が御指摘ございました監督処分の厳正化の問題でございます。この問題につきましても宅建業主管課、それから犯罪にわたりますものについては警察等々、関連部局いろいろあるわけでございますが、中にはある機関により無免許業者が見つかりました場合にそういう告発が行われていないとか、あるいは法違反がございました場合に宅建業主管課に十分な連絡がなされず、宅建業主管課の監督処分が行われていないとか、そういう事実がございましたので、処分を厳正に、また連携をとりつつやるように建設省等に勧告をいたしておるということでございます。
  65. 坂上富男

    ○坂上委員 さてそこで建設省、こういう勧告をもとにいたしましてどのような改善をなさいましたか。
  66. 望月薫雄

    望月政府委員 勧告は、今お話しのとおり、一つ取引適正化対策一つは流通市場の近代化対策、こういった大きく言って二つの点に分かれていると思いますが、まずその取引適正化の関係でございますが、これについては私ども、やはり基本は購入者等に不測の損害を与えないようにということが最大の眼目でございます。  そういった意味で、私どももこの勧告をいただいて関係方面に早速に通達を出して具体指導をいたしておりますが、特に今お話しの点についてだけ御答弁させていただきますと、まず苦情紛争処理機関の運営の問題でございます。これにつきましては私どももいろいろと配慮している中で、特に五十九年の四月には建設省地方公共団体が出資いたしまして不動産適正取引推進機構、これを設立いたしております。この機構によりまして公共団体、事業者団体あるいは消費者団体に対する紛争処理に関する助言、支援をやっていこう、あるいはまた特定紛争事案の処理もしてみたい、あるいは紛争事例あるいは判例の収集分析調査、こういったことによって紛争処理についての情報を整理、濃密化したい、こういった点がございます。それからもう一つは、紛争処理の処理基準あるいは処理マニュアル、この整備の問題がございますが、これについても現在検討中でございます。  と同時に、関係機関の連絡会議等の設置ということが大変大きなテーマとして勧告いただいております。私どもとしてはいろいろの指導を行いながら各都道府県単位に不動産取引関係の機関連絡会議、協議会、こういうものを設置するよう指導しているところでございまして、現在のところ十五程度の機関ができております。  それからもう一つ、厳正な監督をするようにという御指摘でございますが、これは私どもも法の適正な執行には日ごろ注意をし、また所要の指導通達等を出してまいっているわけでございますが、その中で具体的に監督処分基準の作成に努めるようにというお話がございます。これについては現在まで全国大体四分の三の都道府県で基準がつくられておりまして、残る県についても鋭意作業中、こういう状況でございまして、処理の厳正化と同時に迅速化ということについて精力的に取り組んでいる次第でございます。
  67. 坂上富男

    ○坂上委員 もう一つ聞きたいのですが、この勧告、今言った二つの勧告がこの法改正にどう結びついているのでございますか。
  68. 望月薫雄

    望月政府委員 まず取引適正化対策で勧告いただいた苦情紛争処理というストレートの部分は、直接は今回の法律改正では具体的にどこというところはございませんが、特に行政機関による厳正な監督処分の実施、この精神を踏まえて、私ども免許基準改正以降一連の条文を入れさせていただいておるというのが一点言えようかと思います。  それからもう一つ、流通市場の近代化対策でございますが、これは文字どおり専属専任媒介契約制度、これを新しく入れさせていただいているのはこのかかわりが大きいところでございまして、近代的な流通市場を整備することも頭においての専属専任媒介契約ということを御提案申し上げている次第でございます。
  69. 坂上富男

    ○坂上委員 それではもう一つ移りましょうか。  総務庁、広告表示の適正化に関する勧告、どのような勧告をなさったのですか。公取はこれに対してどのような対応をなさっておるのか。さっき申しましたとおり原野商法に対する被害が出ておるわけでございまして、これはまさに広告表示の不適正にかかわるものだろうとも思っておるわけでございますが、この点はいかがですか。
  70. 松田隆利

    松田説明員 お答え申し上げます。  不動産販売にかかわります広告には誇大なものと不適切な表示が多いということでございまして、私どもは当時実態調査をいたしまして、新聞折り込み広告を約千枚集めましてその実態を見ましたところ、不適切な表示になっているものが約六割ございました。そういう実情もございますので、新聞折り込み広告作成に際しまして、広告表示の自主規制団体である不動産公正取引協議会、これは公正取引委員会の方が指導されているところでございますが、そこのチェックを効果的に行っていただくということなどによりまして、広告表示の適正化を進めるべきではないかという勧告を申し上げております。
  71. 鈴木満

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  公正取引委員会は、総務庁からのただいまのような勧告を受けまして直ちに景品表示法に基づいた公正競争規約を運営しております全国九地区の不動産公正取引協議会に対しまして、新規参入業者に対して公正競争規約を積極的にPRし普及するようにという点と、新聞折り込み広告作成の際に、広告主等による不動産公正取引協議会への事前相談を効果的に実施すること、また広告作成段階での自主規制を実効あるものにするために、広告業者等を賛助会員化するよう検討することという指導を行いました。  これに基づきまして協議会では、会員を対象に規約の研修会を開催してこの周知徹底を図っておりまして、ちなみに九協議会が開催した研修会は昭和六十一年度において延べ百三回に上っておりますし、またこれは首都圏の不動産公正取引協議会だけの数字でございますが、事前相談件数も、五十八年度が四千六十七件であったものが六十一年度には二五%アップの五千百二件もの相談を受けております。さらに、広告業者等を協議会の賛助会員化する動きも活発に行われておりまして、ことしの三月末現在では延べ百八十五名の広告業者が協議会の賛助会員になっております。今後とも、この勧告に沿ってなお協議会を指導してまいりたいと考えております。
  72. 坂上富男

    ○坂上委員 建設省、これに対してはどういう対応をなさったかおわかりですか。それから、この問題が今回の法改正にどう生かされておりますか。
  73. 望月薫雄

    望月政府委員 この点につきましては、ただいま御答弁ありましたように、特に不動産関係の公正取引協議会といったところの機能を私ども最大限に重視している次第でございまして、これに対していわゆるアウトサイダーがまだ相当おるという現実でございます。数字を申し上げさせていただきますと、全国九つの協議会で大体十万の業者が加入いたしておりますけれども、ほぼ一万余りの者がまだアウトサイダーである。こういったことから、これを早急に加入促進するようにということを指導しているところでございますが、あわせまして協議会の加盟業者資質向上にも大いに努めていただきたいという指導をいたしておるところでございます。
  74. 坂上富男

    ○坂上委員 さて今度は専属専任媒介契約に通ずるところの流通市場の整備について、総務庁の勧告、三項目あるようでございますから、それだけ読み上げてください。
  75. 松田隆利

    松田説明員 お答え申し上げます。  流通市場の整備につきまして勧告した点、ポイントだけ申し上げます。  一つは、不動産流通機構における物件登録を促進させるため、専任媒介契約の活用を図るなどの活性化対策を講ずる、二点目は、同一圏内の不動産流通機構相互間におきます情報交換等の連携をより一層図るため、各不動産流通機構の物件情報規格の統一、物件登録様式・方法等運営システムの共通化を推進するなど、その前提となる諸条件の整備を図る、それから三点目は、不動産流通市場の活性化を図りますため、価格査定マニュアルの使用を宅建業者に徹底させるとともに、価格査定マニュアル使用のための取引事例の収集のあり方の見直しを行うなど合理的な価格査定の普及を図ること、この三点を勧告いたしております。
  76. 坂上富男

    ○坂上委員 さて、その専任媒介ですが、あなたたちの勧告は直接取引を禁止する意味ですか。
  77. 松田隆利

    松田説明員 お答え申し上げます。  不動産流通機構発足間もないという点もございますし、それから宅建業者サイドにいろいろな意見がございまして活動が低調な面がございました。しかし、不動産取引の活発化、広域化が進んでおりますので、不動産流通機構を活用していくべきである、そういう立場から、この専任媒介契約を活用するなど活性化対策を講ずべきという勧告を行っているわけでございます。  不動産業者サイドには、不動産流通機構に物件を登録いたしますと片取引になる、手数料が半分になるという面、それから直接依頼者への直取引が行われる心配がある、そういう面があるわけでございますけれども、そういうことで消極的な意見がございまして、専任媒介契約ということで、この場合は依頼者を直接縛るものではございませんが、そういう制度を活用していくべきではないかという勧告を申し上げているわけでございます。
  78. 坂上富男

    ○坂上委員 専属専任媒介契約、今回の法律改正の中ではこれは大きな目玉になっておるわけでございます。しかも、依頼人が今度直接取引ができなくなるという媒介契約でもあるわけです。もちろん契約によっては直接取引してもいいというあれもありますけれども、一たん任した以上は自分でよそへ直接売れない、こういうことになる。これに違反いたしました場合は報酬請求権があるというのがどうも状況のようでございます。これは私は問題が起きるのだろうと心配をしておるわけであります。まず、これは業界は希望したわけでございますか。
  79. 望月薫雄

    望月政府委員 業界の希望ということについては、業界といっても一口で言い切れない実態がございますのでまことに御答弁しにくいところでございますが、少なくとも積極的な反対はないという中で私どもは立案させていただいております。というのは、業界の声もさりながら、私どもとしては不動産流通市場をどう近代化し合理化していくか、こういった大きな課題意識を持っていることもこの御提案の背景にございますので、御理解賜りたいと思います。
  80. 坂上富男

    ○坂上委員 そこで、不動産業者で本当に一部の悪質な人がこの専任媒介契約を悪用いたしまして、とにかく私と契約を結んでください、心配ありません、必ず成立をいたしますから、こう言って契約書をつくってやって、そして事実上依頼者の期待にこたえられないという場合が相当あるのじゃなかろうか。しかもその期間は、三カ月で一回更新して六カ月間でございます。専任媒介を結んでしまいますと、こういうことで全く押さえ込まれて、余り知識のない一般庶民はこれを悪用されるということはどのようにお考えになっておりますか。これは確かに、本当に皆さんが信頼した条文の一つなんですね。しかし、これはまかり間違って悪用されたらとんでもないことになるのではなかろうか。でありますから、業者の皆様方が強くこれを希望したのか。どうもいろいろ聞いてみますと、今でも専任媒介やっておりますけれども、二週間に一遍ずつ報告なんというのは大変でございますから、先生私ら余りやっておりませんというお話も実はあるのです。でありますから、今までのような専任媒介でいいんじゃなかろうか。もう一たんこれに委託をいたしましたら直接依頼者が他に売却することはできないということになりますと、これは悪用されると大変なことになるのではなかろうか、こんなふうに思っているのですが、建設省どのようなお考えですか。
  81. 望月薫雄

    望月政府委員 どんな立派な目的を持った制度でも一朝悪用という事態になったときにはいろいろなことが想定されることは先生お話しのとおりだと思います。  そこで、今回のこの専属専任媒介契約でございますが、これはもう申し上げるまでもありませんけれども、従来の一般媒介契約制度あるいは専任媒介制度、これを排除してすべてこれにするというわけではもちろんないわけでございまして、依頼者がどれを選ぶかは依頼者の自由である、まずこれが大原則でございます。それだけにまた、そのことはよく国民の皆さんに、依頼者に十分に周知いただくことが基本として必要である。これは私ども当然考えておりますが、そういった中で専属専任媒介契約を結んだ場合でも三カ月問たてば解約することができるわけです。  それで、今度お願いするに当たりまして、当然依頼者は自分の物件の処分希望価格というものも大事な要素になります。こういったことを業者がどういうふうに受けとめてやるかということは依頼者が常に今度は注視するということになるわけでございますので、ゆめゆめその辺でおかしくなるということはあってはならないし、ないだろうと思っております。同時にまた一週間に一遍ずつ状況を報告するという義務も依頼を受けた業者の方も負うことになっているだけに、私どもこの制度というのはこれだけでほかのものは許さないというものではないということを御理解いただいた上で、この制度の妙味というものを十二分に業者と依頼者が生かしていただくということが基本だろうと思っております。それにつけましても、私どもこの辺の趣旨の徹底、理解を深めるためのPR活動、啓蒙などは当然十二分にやらせていただきたいと思っております。
  82. 坂上富男

    ○坂上委員 業者の方はわかるだろうと思うのでありますが、一般国民はその分類はなかなかわかりません。でありますから、もう少し消費者保護対策というものがあっていいような気がするのでございますが、その辺実施の面において十分な御検討をいただきたいと思います。本来うちの方はこれは賛成のような方向のようでもございますので別に反対しているわけではありませんけれども、被害が、悪用されることを実は恐れているわけでございまするから、一部の諸君が悪用されますと健全な業者に対するまさにもろ刃の剣になる恐れがありまするので、ひとつ十分な御配慮を賜りたい、こう思っておるわけでございます。  ちょっと話がそれますけれども、沖ノ鳥島のことについてちょっとお聞きしたいのでございます。  きょうのテレビでも、きょうから島の修理に出かけるそうでございますが、外務省、一体領土というのはどういうことを言うのです、島の領土というのは。条約はあるようでございますが。
  83. 堀口松城

    ○堀口説明員 お答え申し上げます。  領海条約十条に島としての定義がございまして、これは「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」という規定になっております。
  84. 坂上富男

    ○坂上委員 だから聞くわけです。島とは自然に形成された陸地でなければならぬわけであります。沈没しているのを何億かかけてこれをやって領土になるのですか。もしよそからクレームがついたらどうなるのでございますか。
  85. 堀口松城

    ○堀口説明員 お答え申し上げます。  沖ノ鳥島は我が国の領土でございまして、これを国土保全という見地から補強することは国際法上何ら問題のないところでございまして、これを補強することによって島としての地位が影響を受けるということでもございません。したがいまして、諸外国からはクレームがあるという事態は想定されにくいところでございます。
  86. 坂上富男

    ○坂上委員 建設省はどういう保全をなさるつもりで出発するのです。
  87. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えいたします。  御案内のように、今、沖ノ鳥島には二つ露岩と申しますか、外務省がおっしゃいましたように潮の高いときでも頭の出ている岩が二カ所ございます。その周辺をまず直径五十メートルでドーナツ状に鉄製の消波ブロックを設置いたします。しかる後にその自然の岩とドーナツ状の鉄製消波ブロックの間をコンクリートで充てんして二つの露岩をそれぞれ保護する、そういうことを考えております。
  88. 坂上富男

    ○坂上委員 これは素人の質問ですが、外務省、そうすると、私たちが海の中で埋め立てて島をつくっても領土になって、そしてこれの適用を受けるのですか。
  89. 堀口松城

    ○堀口説明員 領海条約に言うところの自然に形成された陸地であるということは、既にあるものを補強するという場合には問題ないと思いますけれども、他方、大海に突然島をつくるというふうなことになりますと条件は異なってくるかと思います。
  90. 越智伊平

    ○越智国務大臣 この問題は、現に島があるわけであります。岩礁があるわけであります。この岩礁を保全していく、こういうことであります。一般的に言いまして、そこそこに島がありますが、海岸が非常に侵食されておるようなときには補強をしてまいります。同じ考え方で日本国政府として、また建設省として一つの島を守っていこう、こういう考え方であります。これはあくまでも島をつくるというのではございません。岩礁をつくるというのでなくして今あるのを守っていく、こういう考え方で日本国政府としてやっておる、こういうことでございますから、これはいろいろ研究をいたしまして早急にやっておく、こういうことで進めておるような次第でございますので御了承をいただきたい、かように思う次第であります。
  91. 坂上富男

    ○坂上委員 いや、了承も何もないのですよ。頑張ってもらわぬと困るから言っているわけでございまして、よそからクレームがついて守れるかと聞いている。外務省、そういった場合、領海条約の十一条はどう解釈するのです。
  92. 堀口松城

    ○堀口説明員 領海条約の十条でございますか。
  93. 坂上富男

    ○坂上委員 十一条です。あなたはさっき島の定義を言ったわけです。その次に十一条がこれに関係してくると思いますから聞くのです、今、大臣が答弁したことと関連してきますから。
  94. 堀口松城

    ○堀口説明員 十一条は低潮高地に関する定義でございまして、「低潮時には水に囲まれ、水面上にあるが高潮時には水中に没するもの」、こういうわけでございますが、沖ノ鳥島につきましては、先ほど建設省からの答弁にございましたように、現在高潮時においても二つの岩が水面上にございまして、低潮高地という定義から外れるかと思います。
  95. 坂上富男

    ○坂上委員 多分十一条を乗り越えて本当に島は没してしまうおそれがあるものですからこういう御努力をなさるわけでありますが、この影響というのは大変大きいことも私らはわかっておるわけです。ただ、私は単に海岸の保全とか湾の保全につながるものだというだけで解決できるかどうかいささか心配をしているわけでございます。よその国からクレームをつけられないだろう、こうおっしゃっておるわけでございますが、くれぐれも間違いのないように、それこそ小さい二メーター、五メーターの島をなくしようものなら日本にはどうも大損害を招来するらしいと思われますので、ひとつこの条約との関係においても、外務省、一生懸命に頑張っていただきませんと、また建設省もこのやり方によって何かクレームがついてきたらこれは大変だ、人工島じゃないかというようなことを言われたら、これはやはり問題が残るんじゃなかろうか、一国民として大変心配しているのでございますので、どうぞひとつ頑張って、クレームのつかないように、心配のないようにひとつお願いをいたしたい、こう思います。  それからいま一つ、大変恐縮でございますが、新潟県に北越北線というのを完成しようとして一生懸命につくっているわけでございますが、事業主体が北越急行株式会社でございます。一つの新聞を見ると、北越北線の完成六十五年度は不可能、こう書いてあるわけであります。いま一つの方は、六十六年春開業確実、こうなっておるのです。いずれもどっちが本気なのか、見通しをきちっと、これは公団ですか、お答えいただきたいと思います。
  96. 藤井浩

    藤井参考人 お答え申し上げます。  北越北線は新潟県の六日町と犀潟を結ぶ鉄道新線でございまして、昭和六十年の二月に当公団に工事実施計画の指示を受けまして工事を再開しているところでございます。昭和六十三年三月末現在の進捗状況を見ますと、用地を確保しております延長が全長の八三%、路盤につきましては、着工しております延長が七二%というような数字になっております。  それで、ただいま先生指摘の完成予定年度でございますが、現在のところ、昭和六十五年を目途として工事を進めているわけでございます。ただ、北越北線は非常に長大な山岳トンネルが多いことや地質が非常にやわらかい点もございまして、トンネル工事等が非常に難航しております。また、建設費等の予算事情を勘案いたしますと、昭和六十五年度の完成はなかなか難しいような状況になりつつあるということでございますが、私ども公団といたしましては、現在、完成に向けまして鋭意努力を払っている次第でございます。
  97. 坂上富男

    ○坂上委員 もう一点。どうもはっきりしないのでありますが、六十五年度を目途にして頑張っておる、しかし六十五年度完成は難しい。そうすると、これはいつできるという見通しなんですか。
  98. 藤井浩

    藤井参考人 お答え申し上げます。  完成予定年度につきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、昭和六十五年度を目途としております。ただ、先ほど御説明しましたように六十五年度の完成は非常に困難な状況にもなりつつありますので、今度の完成予定時期等の取り扱いにつきましては、現在やっておりますトンネル工事の進捗の状況とか事業主体であります北越急行株式会社、また関係します関係当局とも調整を図りまして対応さしていただきたい、かように考えております。
  99. 坂上富男

    ○坂上委員 もう時間が過ぎましたので終わりますが、六十五年度、六十六年の春ということなんでございますが、ぜひともこれは完成に御協力賜りたい、こう思っております。  以上でございます。
  100. 中村喜四郎

    中村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三十四分休憩      ────◇─────     午後一時十七分開議
  101. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長 代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小野信一君。
  102. 小野信一

    ○小野委員 最初に、大臣の所見をお伺いいたします。  この法改正を決意した基本的な考え方と、もし——もしと言っては語弊がありますが、この法が可決されて実施された場合にどのような効果を御期待していますか。考え方をお尋ねいたします。
  103. 越智伊平

    ○越智国務大臣 宅地建物取引業者は、今朝もいろいろお話がございましたが、業者数は非常に大勢、十何万という数字であります。また、この中には大手から中小といいますか、中小零細までございます。その中にも非常に良心的な人が多いわけでありますけれども、中には非常に悪質ないわゆる地上げ屋というふうな業者もいるわけであります。でございますから、法を改正いたしまして各業者資質向上、これと、先ほどお話がございましたようにやはり業者間の連絡、こういうこともいたしますし、近代化していかなければならない、こういうふうに思いましてこの法案提案した次第であります。  でございますから、確かにアウトサイダー、これも強制するわけにはいきませんけれども、できるだけ団体等を組織していただいて法の趣旨を徹底いたしますし、また各消費者から信頼をされる、これはどの業種も同じでございますけれども、特に人の財産の売り買いをするわけでございますから、信頼をされる、こういう業者になってもらいたい、こういうふうな希望をいたしておるのであります。  でございますから、今後も指導もしていきますし、また業者自体も地上げ屋と言われるようなことがだんだんなくなっていくであろうと希望もいたしておりますし、そういうふうに持っていきたい。したがって、消費者に安心して売買をしてもらうように進めていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  104. 小野信一

    ○小野委員 不動産の取引件数は年間に幾らぐらいあるものでしょうか。
  105. 望月薫雄

    望月政府委員 実は不動産取引件数の全貌というものを私どもも詳細に把握できていない次第でございまして、そういった意味で統計資料がいわば不備という現状にありますけれども、法務省の資料によりますと、昭和六十一年におきます売買による土地取引件数、約二百十五万件ということでございます。同じく建物では二十一万件という状況と承知しております。
  106. 小野信一

    ○小野委員 不動産業が我が国の経済、国民経済に占める位置というのはどういうものでしょうか。
  107. 望月薫雄

    望月政府委員 大蔵省の法人企業統計によりますと、昭和六十一年版でございますけれども、これだと業者数が大体十七万業者ということになっておりますが、この不動産業者の売上高、これは法人だけでございますけれども約二十三兆円、全産業に占めます割合は二・二%、こういう状況になっております。  また、総務庁の事業所統計調査報告、同じく六十一年物でございますけれども、これによりますと、不動産業の事業所は全国で二十五万八千カ所、従業者数七十一万三千人ということになっております。
  108. 小野信一

    ○小野委員 非常に莫大な不動産の取引、不動産の我が国に及ぼす影響を考えた場合に、不動産業の持っておる特性、特徴というものはどういうものだと把握をいたしておりますか。
  109. 望月薫雄

    望月政府委員 まず大臣から御答弁申し上げましたように、不動産業というのは非常に国民にとって大事な財産を売り買いするときに関与する業種、業態であるということで、大変重みのある業である、こう認識いたしております。  この不動産業の特性として、実態はどうなっているだろうかということをちょっと申し上げさせていただきますと、幾つかの特性がありまして、一つは中小零細性が非常に高いということでございます。四人以下の事業所数のシェアは全産業平均で六七%でございますけれども不動産業は八九%余り、こういうふうに非常に高い比率でございまして、中小零細性が著しいという点が第一点でございます。  それから、不動産業は就業者の面でも他産業に比べまして参入、退出が非常に多いというのも一つの特色かと思います。宅建業者につきまして、六十年度末に十万八千の業者免許を取得しておりまして、六十一年度一年間で一万くらいの事業者が新たに免許を取得いたしておりますけれども、その一方で五千七百くらいの事業者が廃業いたしておるということで出入りが非常に激しい、こういった点が一つの特徴として言えようかと思います。また雇用の面で見ましても、離職率が近年まで二〇%と非常に高い水準にあるということが労働省の雇用動向調査で明らかになっております。  三つ目には、不動産業は就業者に占めます高齢者の比率が高いということも一つの特色かと思いますが、参考までに数字を申し上げますと、全産業の平均が五十五歳以上の高齢者が一七%に対しまして不動産業は三五%、極端に高くなっております。  さらにまた加えて、借入金依存度が他産業と比べて極めて高いというのも一つの特色かと思います。大蔵省の法人企業統計によりますと、売上高支払い利息率、これは全産業平均で二・一%であるわけですけれども不動産業の場合は九・五%、これは六十一年度の数字でございますが、こういった状況になっております。  以上のような事態不動産業の抱えておる問題点でもあります。  加えて総体的に申し上げさせていただきますと、大変残念でございますけれども国民不動産業に対するイメージが総じて余り高くないということも大きな特色であり問題点であろう、このように認識しております。
  110. 小野信一

    ○小野委員 不動産業者が法人で約十七万、土地の取引二百十五万件、住宅二十一万三千件、その売上高二十三兆円、直接波及効果は十二・七兆円、間接波及効果十六兆円、まことに我が国の経済に及ぼす、大きなウエートを占めた産業でございます。五十九年に鉄鋼業の我が国におけるシェアが、売上高が一・七%ですからどれだけ大きいかがわかると思います。  これだけ大きい不動産業者、業界が、問題点を拾ってみますと、一つは自己資本比率が大変低い。第二に不思議なことに、これは当然なのかもしれませんけれども、利益率が非常に高い。先ほど局長がおっしゃっておりました中小零細性が著しい。そして参入、退出者の率が非常に高い。私はこれだけ大きな産業であるのに何で参入、退出率がこんなに高いのだろうか、不思議でなりません。非常に不安定だということを示しておりますけれども、この問題について、これだけ大きいウエートを持った産業であるにもかかわらずこの参入、退出率が非常に高いという理由についてどうお考えになりますか。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席)
  111. 望月薫雄

    望月政府委員 おっしゃったように、日本の国民経済に占めるウエートというのは極めて高い産業であるということは私どももつとに認識して取り組んでおるところでございます。ただ、いろいろと問題点もあるということは繰り返すまでもありませんが、特に参入、退出率が高いというふうなことの大きな原因一つとして、ある意味では非常に参入しやすいということも要因としてあるのではないかというふうに思っております。それがまた裏返せば退出率も高いというようなことで、言ってしまえば業の安定性という意味で非常に問題を残しているような感じもいたします。  それからもう一つは、借入金依存度が高いということに象徴されますように、いわば装置産業でないという特性からしまして自己資本、自己資金というものがないままに安易に営業ができるというふうな側面も否定できないというところがございます。  そういった意味で、手続的なというか制度的な面での許認可の仕方、制度のあり方の面でも、あるいはまた資金調達、資金需要の面等々も含めまして非常に参入しやすく退出しやすい。こういったところが構造的に今後の業の持っていき方という面で非常に大きな問題点ではないかと思っております。
  112. 小野信一

    ○小野委員 先ほど大臣も局長もおっしゃっておりましたけれども不動産業に対する我々のイメージ、国民のイメージは残念ながら高くありません。ある調査機関によりますと、大手企業で五割、中小企業に至りますと二割程度しか信頼されないという資料が発表になりました。ただ分析をいたしてみますと、実態はイメージほど悪くはないようでありますけれども、やはりイメージは他の産業と比較して悪いことは間違いないようでございます。このイメージの悪さはどこから来るものと建設省は分析しているでしょうか。
  113. 望月薫雄

    望月政府委員 冒頭大臣御答弁申し上げましたように、業全体として多くの企業の方々が大変真剣に健全な営業に努力しているということがある一方で、今先生指摘のように、イメージが低いということは私どもも大変残念に思っておる次第でございます。  これがよって来るゆえんは一体どういうところだろうかというふうに考えてみますと、いろいろ原因はありましょうけれども一つにはやはり現象的に、幾つかのことが国民の目から見て信頼に足らないというふうな事象があります。  その一、二を申し上げさせていただきますと、無免許業者によります違法行為や投機的な取引というものが最近非常に目につく、こういったことがまたイメージを低くする大きな要因になっているというふうに考えられます。さらにまた免許を持っている業者の中にも、残念でございますけれども一部に悪質な業者がおるということも、これは率直に言って否定できないところでございまして、こういった業者違法行為だとか行き過ぎた投機的取引に走っている、こういったことがあろうと思います。  それから、国民にとって非常に大事な住宅宅地というふうな物件を扱っているだけに、消費者立場からしても非常に神経をとがらせる部分でございまして、その間で消費者とのトラブルが結構多い、こういったことがございます。  それやこれや総じてこれらが相乗効果を持つ中で不動産業者全体に対するイメージを低くしているということでございまして、私どももこの業の今後を考えますと、その辺を十分に受けとめた施策の展開というものに一段と頑張らなければならぬ、こんな感じでいるところでございます。
  114. 小野信一

    ○小野委員 大臣、今やりとりした中で、不動産業界が持っておる特徴の中で自己資本率が低いとか利益率が高いとか、こういう問題は私どもがこの法律で規制することもできない問題でありますけれども、中小零細性が著しく高いという問題と参入、退出率が非常に高いという問題、これは今回の法改正とどのように結びついておるのでしょうか。全然関係ございませんか。
  115. 越智伊平

    ○越智国務大臣 不動産業者といいますと非常にイメージが悪い、これは事実であります。しかし、これは全体の問題ではなくごく一部のものであります。しかし、財産の取引でありますから、売る方はこれで十分だと思わないし、また買う方もこれは安く買えたという満足度がどちらも違うということも一つ原因であろう、かように思います。  それから零細の問題ですが、中小零細が絶対悪いとは私は考えておりません。といいますのは、地域によって、町村等あるいは離島等にもこういう業者がおりますから、全部大手に誘導していくということもこれは問題がある。でございますから、要は信頼度を高くしていく、こういうことであろうと思うのであります。やはり信頼のない者は自然淘汰になりますけれども、それを待っておるのではいけませんので、我々の方法なり指導なりによって消費者から信頼をされるように持っていかなければいけない、こういうふうに考えております。  これはなかなか難しい問題で、昔で言えば仲介人といいますかそういうイメージがありまして、この法を制定して、あるいは改正してやっていってもなかなか難しいと思いますけれども、できるだけ早く国民から、消費者から信頼されるように持っていかなければならない、こういうふうに思う次第であります。
  116. 小野信一

    ○小野委員 大臣、零細性というのは規模が小さいということだけではなくて、財務内容、財務を構成する比率が非常に悪い。要するに、借金だけが多かったりあるいは人件費だけが多かったり、お客さんに大変迷惑をかける要素をその財務内容に持っておること、そして規模が小さいということ、この二つを兼ね合わせて持っておることを私は零細性と考えるわけです。したがって、形だけが小さいということをもって私も悪いとは思いませんけれども、やはりその規模に合った財務内容の向上がその裏づけとしてなければいかぬという意味でそのような御指導も心がけていっていただきたいと思います。  次に、不動産の売買、特に住宅の購入は我々は一生に一度か二度でありますから、一生の所得をかけたり貯蓄をはたいて建てるわけですから、当事者は業者を万全の信頼をして行うわけですので、小さなトラブルでもそれだけに非常に大きな不満となって返ってまいります。そこが一つ大きな問題点だろうと思います。心理的な要素であろうと思います。特に、先ほどから何度も出ておりますように、無免許のアウトサイダーの不始末が業界の全体の評価を下げておることは間違いございません。  そこで、トラブルの発生件数、土地、建物に分けて年間どれぐらいあるとつかんでおるものでしょうか。
  117. 望月薫雄

    望月政府委員 いわゆる不動産をめぐりますトラブルというのが、六十一年度の数字でちょっと申し上げさせていただきますと、建設省なり都道府県に持ち込まれた紛争相談というレベルで一万二千件でございます。それで、この主な原因で見ますと、原因が判明しているものと判明してないものがあるのですけれども、判明しているものが大体九千三百件という状況になっておりますが、その中で主要なものは、重要事項説明等が十分でなかったことによるトラブルが全体の大体二七%を占めております。それから、契約解除に関するトラブルが一二%、登記、引き渡しに関するトラブルが七%、手付金、中間金あるいは預かり金といったものをめぐりますトラブルが八・三%、こういう状況でございます。
  118. 小野信一

    ○小野委員 この一万二千件の中でアウトサイダーと呼ばれる人々の起こした件数はどんなものなんでしょうか。  同時にもう一つ、その中で、お互いに善意を持って交渉しながらトラブルが出る場合もあるのですけれどもそれは抜きにいたしまして、最初から詐欺的行為と見られることによって起こる紛争は何件ぐらいなものでしょうか、あるいは何割ぐらいあるものなのでしょうか。
  119. 望月薫雄

    望月政府委員 実はその辺の実数をちょっと承知できていないのでございますけれども、今申しましたように六十一年度の数字で一万二千件あって、そのうちの原因が何らかのことと判明したのが九千三百件、こう申しましたが、この九千三百件の中で今、先生指摘のようなものはそれほどないと承知いたしております。ただむしろ、この九千三百件と一万二千件の差、この中にどの程度あるかいささか気になりますが、今のところちょっと手元に整理できた資料がございませんので、御理解いただきたいと思います。
  120. 小野信一

    ○小野委員 不動産は我々国民の重要な財産であるにもかかわらず、一年に一万二千件もの紛争がその取引に発生するということはゆゆしき問題であります。これらの苦情紛争について、事業者要因として調べてみますと、強引な販売活動、従業員の管理、教育の不徹底等、消費者要因としては、調査不十分、契約理解不十分等がそれぞれ主な要因になっておる、こう書いてありますし、今、局長もそう申しておりました。  問題は、これらの紛争の内容を分析した場合に、不動産業者に責任がある場合と売り買いするこちら側にある場合とあるのですけれども、その責任の所在はどちらにより多くあるように紛争を分析して結論を出しますか。
  121. 望月薫雄

    望月政府委員 不動産をめぐりますいわゆる苦情というのは実に多種多様にわたっているわけでございますし、特に今お話しのような、業法に非常に触れるような紛争から始まって、建具の不備などに至るいわゆる不備、不都合といったものまで非常に幅広いわけでございまして、その原因がどちらにあるかということはなかなか私どもも一律に申し上げにくいわけでございます。  実態調査もそういう意味でできていないのですけれども、たまたま五十九年九月の総務庁の宅地建物に関します行政監察結果、これを見てまいりますと、どういう判断基準で判断されたか私ども詳細にはわかりませんが、答えだけ申し上げますと、調査件数五千二百件のうち七〇%余りがいわゆる不動産、宅地建物取引業者にむしろ原因がある、こんなふうな報告が出ております。
  122. 小野信一

    ○小野委員 約七〇%が不動産業者側に責任がある。そのほかに紛争取引件数の約一割近くが詐欺的行為だ、こういう調査結果がありますけれども、この一割程度紛争の中での詐欺的行為をお認めになりますか。
  123. 望月薫雄

    望月政府委員 その全体に占める率あるいは数量についてはちょっと御答弁申し上げる能力はありませんけれども、よくありますように重要事項の説明をしてなかった、それも過失でなくて、あえてしてないというのもあり得るかと思います。あるいはまた広告のあり方についても、いわゆる誇大広告、これが詐欺的というふうなところに結びつくような側面もあり得るのではないか、こんなふうに考えますと、件数具体の数値は別として、そういった要因による紛争というものも否定できないと認識いたしております。
  124. 小野信一

    ○小野委員 大臣、今のやりとりをお聞きになって、今回の法律改正によって約一万二千件、その中に九千数百件の紛争内容のはっきりしたもの、その中の一割くらいが詐欺的行為だ、七〇%が不動産業者側の責任がよりある、こういう結論が出ておるのですが、今回の法律の改正によって、大臣はどれほど確信を持って紛争件数を大激減させる、こういう自信と確信はおありになりますか。
  125. 越智伊平

    ○越智国務大臣 何%紛争が減るかということはちょっと予見はできませんけれども一つには、やはり売買でございますから、売る方も買う方も一番問題はだまされた、こういう感じを与えることがやはり不満であろう、紛争であろう、こういうふうに思うのであります。でございますから、今回は五人に一人は主任者も置かなければいけない、各事務所、各営業所にも置かなければいけない。ですから、十分にこの法とかそういうものを熟知した者を置く、こういうことが行われます。そして、財産の売買でありますから、一般消費者国民にも十分その点を、自分の財産を売る、あるいは自分の財産を買うということですから、その点もよく確めてやってもらいたい。この点の周知もしなければならない。しかし、これは普通の方であれば一生に一回あるいは二回あるかないかということでありますから、その点について十分法の徹底もいたしますし、また御理解もいただくし、やはり主任者を中心に親切に満足ができるような説明をしなければならない、こういうふうに思うのであります。そうしてやっていけば徐々に紛争も少なくなっていくであろう、こういうふうに確信をいたしております。また、そうしなければこの法改正趣旨に反するわけですから、法を改正してより強化をし、より近代化をいたしたい、こういうふうに思っております。  それから、先生先ほどの問題ですが、財務内容はもちろんであります。借金だけをたくさん持っておる人が不動産業をやるというのは不適当でございますので、借金は隠されるとなかなかわかりにくいのでそれの調査まではなかなか難しいのでありますけれども、要は、その点は、何回も言っておりますように業者自体が信頼されるということでないといけないし、また信頼のある業者でなければ発展しないであろう、こういうふうに思います。今の点につきましては、確かにこの法を施行いたしますとよくなる、こういうふうに思います。  それから、今の暴力団の排除とか傷害とか、こういう事件を起こした者は免許しない、そういうことも今言った趣旨によるものでございますから、必ずよくなる、すぐにどれだけ何%よくなるかといいますと、これは私も自信がございませんけれども、よくなることだけは間違いない、こういうつもりで提案をしておる次第であります。
  126. 小野信一

    ○小野委員 国が紛争の片方の当事者になりそうな問題を一つお聞きいたします。  大蔵省からおいでになっておると思いますけれども、四月十四日朝日新聞の夕刊、「国有借地で増築二十平方メートル 四百五十万承諾料は妥当か」という見出しで報道になりました。これは「地価の高騰を追認」すると読者が批判し、国側の方は「財産を適正運用」、こう言って新聞紙上で論争をいたしております。  そこで、その経過と二十平方メートル増築に当たって四百五十万円の承諾料を算定した根拠について御説明を願いたいと思います。
  127. 上野憲正

    ○上野説明員 お答え申し上げます。  まず、増改築承諾料の基本的な考え方について御説明申し上げます。  一般に増改築承諾料は、借地人による増改築が行われますと借地人は借地権の存続期間が延長できるという利益があります反面、地主の場合には建物の朽廃により土地が返還されるという利益を失うというようなことから、両者の利害調整を図るという観点から、特に大都市圏で民間取引におきまして慣行として成立しているものでございます。  国有財産の貸し付けに当たりましては、財政法第九条第一項の規定によりまして適正な対価によらなければならないということになっております。この場合は普通財産の貸し付けになるわけでございますけれども、普通財産の貸し付けの場合には私法上の賃貸借契約でございますので、適正な対価というのは従来から民間の取引水準に応じたものとすることが最も妥当であると考えて処理してきているところでございます。したがいまして、その貸付契約を継続していく中で借地人が増改築を行う場合には、国は先ほど申し上げた財政法の趣旨にのっとりまして民間の取引に準じて増改築承諾料を徴収することが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。  お尋ねの四百五十万円の承諾料の問題でございますが、具体的な算定根拠につきましては個別の問題でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げますと、国の増改築承諾料は近傍類地の公示価格をベースに求めた貸し付け土地価格を基準として算定しているところでございます。
  128. 小野信一

    ○小野委員 大臣、やはりそれぞれ理屈はあるだろうと思います。ただ、内容を調べてみますと、国から土地を借りておる人が、娘夫婦が近く地方から戻ってくるために二階に九畳の一部屋を増築しよう、そして一階に四畳半の増改築を計画した、こういうことなのです。二階の九畳の部屋というのは、確かに一階建物よりは二階の方があるいは借りる場合には敷金というのは高いのかもしれませんけれども、普通私どもが考える場合には、二階を建てた場合でも承諾料を払わなければならないのだろうか、そういう感じがするわけです。もちろん一階に四畳半を増築するわけですからその分については払わなければいけないのかなという理解はできますけれども、二階に増築するのまで承諾料を払わなければならないのかなという気もするものですから、記事に対して投書が非常に多かったということだと思います。これが一つと、それから公示価格を基礎にしてこの承諾料を算定した、こういうことでございます。私どもは、ここ二年間の東京地価の大高騰に対して公示価格の算定がおかしいのじゃないのか、つくられた価格をもってそれが民間ベース、基本ベースだといって公示価格を算定したのではないかと言って攻撃してまいりました。例外的な取引は排除して本当に需要供給の上に成り立った民間の取引を基礎にした公示価格にすべきである。したがって、土地転がしのようなある特定の企業がある特定の莫大な利益が見込まれる仕事のために買う地価をもって公示価格の算定の基礎にすべきじゃない、こういう話をしてまいりました。したがって、公示価格自体が果たしてその地域の適正な民間のベースなのかどうかについても聞きたいところではありますけれども、それは抜きにいたしまして、国のたな子と言われる土地を借りている人にこのような承諾料を請求することが果たして国民感情に合致した、なるほど国の政策は正しいわ、こういう共感を国民が持つことができるでしょうか。私はどちらが悪いとも言いませんけれども国民感情として大きな疑問を持つのですが、大臣、いかがです。最初に、国土庁来ていますか。国土庁の立場から公示価格を公表する、算定する、国土庁の立場からこの問題をどうお考えになりますか。
  129. 藤原良一

    ○藤原説明員 地価の高騰はやはり経済運営にも社会生活面にも非常に大きな影響を及ぼすんだというのをしみじみ感ずるわけでございますが、私どもとしましては、やはり借地条件を変更しましてそれで経済的に価値が増大するという場合には、大蔵省から答弁されましたように何らかの対価が支払われていくのがどうも慣例のようでございます。ただ、その際公示価格等が参考にされたようでございますが、公示価格の判定はこれまでも御答弁申し上げておりますように、自由な取引において通常成立すると考えられる正常な価格ということで、ベースは取引事例等を参考にしながら決めておるわけでございますけれども、その際御指摘ありましたように、投機的な取引事例を排除しながらできるだけ高値水準になるようなことは厳にないように十分これからも配慮していかなければならない、そういうふうに思っております。
  130. 小野信一

    ○小野委員 大臣から、それでは答弁を求めます。
  131. 越智伊平

    ○越智国務大臣 大蔵省なり国土庁からいろいろ御意見がありました。借地権の問題あるいはこうしたときに国有地をいろいろ扱うこの大蔵省の問題、これはそのとおりだろう、こう思うのであります。しかし、先生が言われておりますように、住んでおる人にとっては大変だ、こう思うのであります。でございますから、建設省あるいは政府立場としては土地が高値安定にならないように引き下げる、地価を下落さす、このことを進めていかなければならない、こういうふうに思います。今の取引といいますか契約上の問題は、これは事務的にやられたことと思いますけれども、私としては地価を下落さす、引き下げる、これに最重点を置いて進めていかなければならない、こういうふうに思う次第であります。
  132. 小野信一

    ○小野委員 法案具体的な内容に入ります。  今回の一部を改正する法律案概要、大きい一に「資質向上及び業務適正化」、一に「免許基準強化」こうでございます。これは、「暴力団等悪質な業者を排除するため、」云々と書いてあって、それらの人々には「一定期間(五年間)免許を取得できないこととする。」こういう条項でございます。この約一万二千件の不動産の取引の中で暴力団が入ってきて大変迷惑をかけておるという件数は幾らぐらいあるのでしょうか。要するに今度の免許基準強化の背景になっている現実問題というのはどういうことがあったのかということを説明願いたいと思います。  それから、一定期間、五年間免許を取得できないという決定の五年間の算定の根拠をお聞かせ願いたいと思います。
  133. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほど来いろいろとお話出ておりますような宅建業、もっと広く言えば不動産業の体質問題、こういった中で国民の信頼にこたえていく道というものが大変重要なわけでございますけれども、そういった中で最近社会事象として非常に問題視されておりますいわゆる暴力団あるいは暴力行為等を行う取引というものについてここで毅然たる対処をしてまいりたいというのが基本的な背景でございます。それで、一万二千件の中でどのくらいそういった暴力団なりあるいは暴力行為を行使した者が関与しているかということについては、実数ちょっと掌握できておりません。ただ、そういうことが、数が多い少ないはともかくとして現実に出ているということについて対処してまいりたいということでございまして、そういった観点から今度は新たに罰金刑以上の刑を受けた粗暴犯に対しても免許を与えない、こういうことにしたわけでございます。  その五年間の根拠でございますけれども宅建業法上の免許を与えない期間というのはかつては三年間という時代がございました。これがその後改正されて現在のような五年間ということになっているわけでございますが、これについてはやはりそのときの社会の需要実態、社会の求めている適正な取引の担保、こういうことを頭に置きますと、私ども、刑の執行が終わったからといって余り早い時期に免許を整々として与えるということについてはいかがなものか、こういう気持ちがございます。
  134. 小野信一

    ○小野委員 私は長過ぎるんじゃないかという意味じゃございません。むしろ短過ぎるのではないか。極端な話、そういう問題を起こした場合には社会的に十分この人ならば免許を与えてもいいとだれもが認めるような証拠でもない限り一生与えなくてもいいんじゃないか、そういう気がするものですから、逆な意味でございますので……  次に、二番目の「宅地建物取引主任者制度改正」、これは(1)に案内所等における主任者設置義務、その他ずっと強化の内容になっておりますけれども、これはどういう背景で、どういうトラブルがあったためにこういう改正が行われたんですか。
  135. 望月薫雄

    望月政府委員 今回取引主任者設置について基準を厳しくするというか濃密に配置をしていただこうという御提案を申し上げておりますが、一つには、これは政令等で決めますけれども、従来十人に一人というのを五人に一人という割合で置いておくようにあるいはまた案内所にも置くように、こういうことを内容としておるわけでございますけれども、これは率直に言いまして、非常に大事な物件を取引するに当たって先ほど来出ておりますようにいろいろと苦情紛争が絶えない、こういった中で現実にいわゆる営業マンと称する方々が、例えば案内所においてお客に対していろいろと説明をする、こういったことをやる過程で法が求めております大変重要な事項いわゆる重要事項説明、これも欠落するとか、いろいろと紛争の種が出てまいっておる現実がございます。こういった中で、私ども、この際は本当に消費者保護により徹するという観点から主任者の配置というものについてもっと厳しく、濃密にしていきたいということでございます。
  136. 小野信一

    ○小野委員 またこれも余り小さ過ぎる質問になりますけれども、一万二千件のトラブルの中で業者側の説明が不十分なために起こっておるトラブルというのは何割ぐらいあるのでしょうか。そういう背景からこの取引主任者設置することをより強化したということならよく理解できるのですが、その辺の内容はどうですか。
  137. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほど一万二千件の紛争のうち原因がわかっているもの九千三百余りというふうに申し上げました。その中で特に私ども注目したいのは、いわゆる法が求めています重要事項説明を行っていないというもの、これが二八・四%、先ほどちょっと二一%と申し上げたかと思いますけれども、二八・四%、ほぼ三割に近い実態がございます。これがいわば本当に消費者、購入者にとって大変な意思決定のポイントになるわけでございますので、ここのところで三割近くのものが重要事項説明していないということは、大変これは深刻な局面である、こういうふうに受けとめているところでございます。
  138. 小野信一

    ○小野委員 三番目の「クーリング・オフ制度改正」、これは事務所案内所以外のところで契約を結んだために、その後に問題が起き得るという意味で、解約のできる期間を延長したのですが、この事務所以外で契約することによってトラブルになった件数は、九千三百件の何割ぐらいあるのです。
  139. 望月薫雄

    望月政府委員 申しわけございませんですが、これはちょっと確認できておりません。
  140. 小野信一

    ○小野委員 四番目の「従業者証明書制度改正」、これはどういうトラブルの背景のもとにこの改正が行われるのですか。
  141. 望月薫雄

    望月政府委員 いわゆる営業マンと称する方々が説明等をするのといわゆる取引主任者がやる場合では、法的に極めて重みが違います。そういった中で、従業者という立場だけでいろいろな重要なことを説明し、勧誘し、あるいは意思決定に結びつけるということについては、やはりこれも大事なポイントであるわけでございまして、私どもとしては、こういったいわば入り口といいましょうか体制の不備、もっと強化することによって未然に防止できるトラブルというものを防止するために、ここで従業者証明書制度というものをより精緻な確立されたものにしたいという動機から今回の御提案を申し上げておる次第でございます。
  142. 小野信一

    ○小野委員 大きい二番目の「保証の充実」、その内容、五、六番目、これは手付金その他の金銭トラブルになりますけれども、この法の改正をすることによって阻止するための対象となったトラブルというのは、九千三百件のトラブルの中で幾らぐらいあったのです。
  143. 望月薫雄

    望月政府委員 これも先ほど来申し上げている六十一年度の実態を申し上げることになりますけれども、一万二千件のうち九千三百件が原因判明している。その判明している九千三百件のうち、七百七十四件というものが手付金、中間金あるいは預かり金等をめぐってのトラブルでございます。比率は八・三%という状況になっております。
  144. 小野信一

    ○小野委員 いや、聞いてびっくりしますね。七百七十四件、八・三%、これはこの保証の充実によって、法改正によって完全に阻止することができますか。
  145. 望月薫雄

    望月政府委員 今回のこの保証の充実というのは、手付金等をとにかく渡してしまった、その後宅建業者が経営上いろいろと好ましくない事態に陥ったということが最大原因として考えられるわけでございますので、その意味では、先ほど来出ていますような資質向上ということも大変な大事なポイントであります。そういったこともやりながら、私どもは、この手付金保全措置というものをやることによって、いわば当該業者直接という格好よりも、総体的なシステムの中でもって担保するという構えでございますので、先生今おっしゃったように完全になくなるかということについては、率直に言ってまだ問題が残ります。というのは、この保全措置は、要するに手付金を一割以上いただく場合とか、あるいは政令で定める金額、現在私ども一千万円を予定していますけれども、それ以上のものをいただくときに保全措置を講じなさいといたしておりますから、それ以内の手付金あるいは中間金、こういったものは今後とも実態として当然あり得ると思います。そこをめぐってのいわゆるトラブルというものは、完全に根絶するということは今回の制度だけをもってしては担保できないという面も予想されるところでございます。
  146. 小野信一

    ○小野委員 完全は無理にいたしましても、かなりの部分、大部分はもう阻止できる、消費者保護ができる、そうお考えになりますか。
  147. 望月薫雄

    望月政府委員 そういう意味では、大幅に事態は改善されるというふうに私ども考えております。
  148. 小野信一

    ○小野委員 大きい三の「媒介契約制度改正」、これはどういう背景でこの制度改正しなければならなかったのですか。
  149. 望月薫雄

    望月政府委員 御案内のとおり、今まで一般媒介契約と専任媒介契約、この二つの契約方式があるわけでございますが、これまでの契約制度を見ております限り、私どもは、大変大きな課題として考えております不動産取引の情報、これを広く開示する、その中で消費者にとっても、また広く宅地対策住宅対策の面からしても望ましい関係をつくっていきたいという大きな目的の中で見たときに、従来の制度というのは必ずしも十分機能していない。要するに広く情報を開示したい、これが一点ございます。  その際に、今までのような一般媒介契約制度あるいは専任媒介契約制度では、片方で自己発見という機会もいわば許容されているということのためになかなか機能していなかったという実態もございますので、ここについていささかの規制も強化するわけでございますが、このことによりまして、挙げてまず広く情報を出すことによって、依頼者である個人、これも適切な契約の相手方を検索することができるというメリットを期待し、あわせて不動産流通市場近代化を図っていきたい、こういう思いでございます。
  150. 小野信一

    ○小野委員 大きい四の八、九、十。八は「免許の更新等に関する規定の整備」、九が「積立式宅地建物販売業法改正」、十「その他」、こう三つ続いてありますけれども、それぞれ改正しなければならなかった背景について、もしこの法律が改正された場合にはどの程度事態が改善される、こうお考えになるのか、その見通しについてお伺いいたします。
  151. 望月薫雄

    望月政府委員 まず第三条関係、いわゆる免許の更新に関する規定でございます。その改正の関係でございますが、この免許更新の申請について処分がなされていないときは、その処分がなされるまでは従前の免許を有効とする、こういう趣旨がこの三条の改正でございます。  これははっきり申しまして、通常の業者と比較しまして大変事務所の数が多いとか、あるいは欠格事由、これはまた今度一段と厳しくいたしますけれども、欠格事由に該当する疑いが強い業者、こういったものになりますと、宅建業法を厳正に執行していくためにはいろいろと審査を厳重にしなければいかぬ、そのために時間がかかるということで、旧の、従前の免許の有効期間中に更新の手続が終わらないというふうなことが懸念されるわけでございます。そういったときでも従前の免許によって有効に営業活動ができるということを、いわば確認的に入れさしていただいているものでございます。  それから次の「積立式宅地建物販売業法改正」の背景でございますが、これは先ほど来出ていますように宅地建物取引業法、これの免許基準強化、あるいは従業者証明書制度の充実、あるいはまた監督罰則規定の整備、こういったものと相運動させまして積立式宅地建物販売業法についても所要の改正をしたい、こういうものでございます。  それから三番目に「その他」と言って、言われました監督及び罰則の規定改正でございます。  私ども、これはまず監督処分それから罰則の関係と大きく言って二つございますが、まず監督処分の関係では、専任取引主任者を置かなければならないとする今回のより充実しようとする改正、これに伴って、それを担保するための監督処分、あるいはまた手付金保全の義務づけあるいはまた従業者証明書制度、これをよりしっかりとしたものにする、あるいはまた事務所ごとに従業者名簿を備えさせる、こういったようなことを実効上担保するために監督処分の規定をこれで受けさせていただく、こういうものでございます。具体的にはこういったものを守らなかった場合は一年以内の期間を定めましてその業務の全部あるいは一部を停止命令することができる、こういうことにするものでございます。  大きく二つ目には罰則の関係でございます。一つは、先ほどお話がありましたように、手付金等の指定保管機関の関係でございますけれども、これはこれまでの指定保証機関と同様に兼業の制限あるいは事業方法書によらないで手付金等の保管事業を営むことの禁止などのことを規定しているのにあわせまして、これに違反した場合の罰則、二十万円以下の罰金を科そう、こういうものでございます。  さらにまた、第八十三条の一項の改正というのを行っておりますが、これは指定保管機関に関する規定の創設に伴いまして従来の指定保証機関と同様の罰則を設けるとか、従業者証明書以外に従業者の表示書を認めないということに伴いましてこれに違反した場合の罰則、さらにまた事務所ごとに従業者名簿を備えつけておくように、こういうことを義務づけているわけでございますが、それに違反した場合の罰則、いずれもこれは十万円以下の罰金を予定するということで、信用力を高めるための制度の充実を実効上担保するために必要な罰則規定を備えたというものでございます。
  152. 小野信一

    ○小野委員 暴力団と悪質な業者を排除するためにいろいろな法律改正が行われております。特に地上げを契機として社会的な批判が出てまいりました。ところが、だれが考えましても、暴力団地上げをする場合に、自分たちが金を出してその土地を買ってだれかが買ってくれるだろう、こういう順序で物を考えて売るのではなくて、大手不動産、大きな会社がこの土地が欲しい。その地上げ暴力団に直接頼むか頼まないかは別にいたしまして、委託して地上げを行う、こういう順序になっておることは新聞に書かなくてもだれもが承知しておるところでございます。小悪を殺して大悪はそのままにしておるというのが現在の実態でございます。この問題を大臣はどうお考えになりますか。
  153. 越智伊平

    ○越智国務大臣 いろいろあるであろうと思いますけれども、要は暴力団に依頼するというような行為は十分指導してまいりたい、かように思います。  今の地上げ屋、これもなかなか難しい問題は、登録しておる業者がやる場合はまだいいのですけれども、無免許の者がやる。これは取り締まり、指導が非常に難しいのですが、これも警察当局とも連絡を取り合ってそういうことのないように指導していく。また、大手業者もそういうことをやる業者とやらない業者があるであろうと思いますけれども、一部あったといたしますればその点は十分指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  154. 小野信一

    ○小野委員 主任者の名義貸しというものは本当はかなりの数に上っておるのではないだろうか。実態はかなり多いのじゃないだろうかという気が私はいたします。この不正行為に対して建設省はどういう調査、あるいはどういう実態なのか調査してつかんでおりますか。
  155. 望月薫雄

    望月政府委員 主任者の名義の問題につきましては、免許審査に当たって私ども常にやっておりますことは、主任者資格登録簿との照合ということはもう当然のように非常に大事な部分としてやっておるわけでございますし、また取引主任者事務所における専任制というものの確認を常にやっておるわけでございまして、私ども一連の事務処理に当たっては非常に厳正にこれをやっておるところでございます。  そうは言いながら、今先生指摘のようなことが皆無ではないということも率直に言って認めざるを得ないところでございまして、建設省では六十三年度から宅建業免許事務のOA化を推進することといたしておりますが、現在まだこれが実用に至っていないという現状でございますので、率直に言って十分な審査が網羅的にできているかというといささか疑問もありますが、六十一年度におきます取引主任者の名義貸しによる事務禁止処分、これは十一件ございます。いずれにしましてもこの問題は大変大事な点でございますので、今申しましたように私ども本年度から事務のOA化を進めてまいります。この事務のOA化を進める中で何とか早く、免許事務に当たってOAによる事務処理というものを二年度以内に実現してこの辺をより徹底してまいりたい、このように考えて、急いでおるところでございます。
  156. 小野信一

    ○小野委員 もう一つ。例えば何億、何十億、何百億のビルの売買の場合と地方の小さい土地の売買の場合でも、一つ免許でそれができるということになっております。私は、ビルの売買のような場合と小さい土地の売買とを同じような免許で、一つ免許で行うというのは果たして実態に合うだろうか、そういう感じがします。少なくともビルを売買する場合には最初に取った免許に幾らかの講習会なり何かの資格が付与されることによって大きなビルが売買できる、お世話できる、順序としてそういうのが正しいんじゃないだろうかという気がしますけれども一つ免許で何でも不動産売買ができるというような免許制度について不合理がないのかどうか。これは改正しなければならない点だとお考えになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  157. 望月薫雄

    望月政府委員 現在の宅建業免許というのは、いわゆるデベロプメント、デベロッパーのような大きな仕事から仲介、あっせんというようなところまで非常に幅広い分野があるわけでございますけれども、それに対して法律上は一本の免許、こういうことになっているのは先生の御指摘のとおりでございます。こういったことからして、例えば分譲業の場合あるいはあっせん業の場合等々でそれぞれ違うのだから、違うということはそれに伴って必要な財産的基盤あるいは人的構成等も当然違うものが求められてしかるべきだというところに結びつくわけでございますが、そういった観点からこの免許のあり方についてはいろいろと御意見があることも事実でございます。現実にかつて私ども住宅宅地審議会の方からもそういった御答申も検討課題としていただいている経緯もございますが、私ども率直に言いまして、この免許のあり方を区分するということについてはまた違う意味で新しい規制の導入等々の問題点指摘も実はあるわけでございまして、これはもうちょっと慎重に勉強させていただきたいと思っております。  ただ、言えますことは、こういうふうに幅広い業種業態、態様が非常にさまざまであるということでありますだけに、私どもの業界指導というものについてもそういった実態を踏まえてのきめの細かい指導が一層問われているな、こういう考えを強くしている次第でございまして、私ども行政の事務処理の上で、あるいは運用の上で適切な方向に持っていくように努力してまいりたいと思っているところでございます。
  158. 小野信一

    ○小野委員 終わります。
  159. 中村喜四郎

  160. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案につきまして、大臣並びに関係省庁に何点か質問をさせていただきます。  最初にお伺いしたいのは、建設省といたしまして不動産業界全体の将来像、どういうふうに描いていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
  161. 望月薫雄

    望月政府委員 まず現状について申し上げさせていただきますと、現在でも不動産業というのは国民経済上大変大きなウエートを占めておる、加えて国民生活に密着する大変重要な部分である、こういった現状がございますが、いずれにしてもこの辺のよって来るゆえんは、不動産というものがあらゆる人間活動あるいは生産産業活動の基盤である、それだけにこういったことにかかわる業種として、業界として、今後国民生活上まことに重要な基幹的産業である、こういうふうに認識いたしております。  しかもこの将来を展望いたしますと、いわゆる不動産業のかかわる分野として、都市開発の推進だとか宅地開発の推進だとか、さらにまた一方では流通の活発化などなど幾つかの展望が持たれているところでございまして、いわば将来に対する発展可能性も極めて大きい、こういった認識を持っておる一方で、それであるがゆえに、いわば信頼を持たれる産業として今後一層の堅実な発展を目指す必要がある、こういうふうに考えている次第でございます。
  162. 薮仲義彦

    薮仲委員 今の御答弁にもございましたけれども、ここに建設省不動産業中・長期ビジョン研究会の答申があるわけでございます。「二十一世紀への不動産業ビジョン 高い信頼性と豊かな創造性を目指して」、この指摘は私非常に重要であろうと思うのでございます。特に今局長の御答弁の中にもございましたけれども不動産業界といいますか宅建業界といいますか、今一番大事なのは信頼である、私は全くそうだと思うのですね。今何が必要だ、本当に安心してあの方から土地なり建物なり紹介していただいたり購入いたしましょう、これは国民経済あるいは我々の生活に与える影響性というのは非常に重要である、お話のとおりだと思います。  この研究といいますか、答申の中にもございますが、「不動産業のイメージ」「不動産業国民経済に占める役割の増大にもかかわらず、不動産業に対する国民のイメージは、いまだ総じて低い。不動産企業に対するあるイメージ調査によると、「近代的な感じ」と思う人は、大企業で六割であるのに対し中小企業では一割と低い。「信用できる」と思う人は、大企業に対しても五割程度でしかなく、中小企業に対しては二割程度と更に低い。」ここでいろいろと原因があるわけでございますが、建設業界、そして不動産業界、これから大きく発展する業界であるといいますけれども、一番肝心の業界に対して国民が不信感を持っている。これは商売においては全くだめだと思うのですね。どんな商売だって、お客様とその商売をやっていらっしゃる会社なりお店の店主なり、そこに人間関係の信頼があるから、あそこの店で大根一本でもあるいはニンジン一本でも買おう、その信頼が欠落しているという事柄は、この業界にとってある意味では根本的だというか、本気になってこれを改革しなければならない、他のことはさておいて、信頼の回復こそ私は最も重要だと思うのですが、そのことについてはいかがでしょう。
  163. 望月薫雄

    望月政府委員 不動産業界全体として見たときに、それぞれの業者の方々あるいは業の従業者の方々、非常に誠実に、誠心誠意努めているという現実があるわけでございますが、その一方でいわゆる無免許業者の横行あるいは免許を持っておる者の中にも、極めて一部とはいえ不心得な行為を行う者があるという現実の中で、先ほど来も出ておりますように、年間一万二千件からに上るいわゆる苦情が県あるいは建設省に持ち込まれておる。こういったことがおっしゃるように非常に信頼感を損なっている、あるいはイメージを下げているということでございまして、私どもも全く今先生の御主張のとおり、今後の不動産業をどう考えるかというときのいわば原点である、こういうふうに考えて今後の行政にも取り組んでいく決意でございます。
  164. 薮仲義彦

    薮仲委員 私きょうは一番根本問題の信頼について少し局長と話をしたいと思うのでございますけれども、やはり信頼というときには、例えば我々と大臣、もちろん人間関係でございまして、最初にぶち当たるのは人間対人間の人間的な面でのヒューマンリレーションといいますかコミュニケーションといいますか、人間関係の信頼がなかったらそこから何も生まれてこないのです。とってもあの人は信用できない、さっき大臣もおっしゃっておられましたけれども、なぜ大事かというと、家を買おうあるいは土地、建物を買おうというのは一生に一度のチャレンジかもしれない。しかし、なぜ怖いかというと、ほかの買い物ならばしまったなと思ったらやり直すことが可能なんです。しかし、この不動産というものは一生に一度ですから、間違うとそこに結んだ契約によって一生それを引きずって生きていかなければならない。ですから、くどいようですけれども、私はこの信頼ということにきょうは重点を置いてお話をさしていただきたいわけでございます。  まず第一は、人間的な資質向上といいますか、不動産屋さんという言葉の上につく言葉が、新聞の活字は、残念ですけれども悪徳というような言葉がすぐつく。これをまず取っ払うために業界はもちろんのこと、これはひいては国民経済万般の問題ですから、建設省としてそのマンパワーの教育をどうするか。そしてまた経営形態も、非常に定着性が薄いとか雇用関係も歩合制になっているとか、本気になって改革しなければならない問題がありますが、まずお一人お一人の資質が、国民のためにサービスしよう、悪いことをやめよう、適正な利潤で何とかしようという方がふえてくれば私は大万解決することかなと思いますが、この人間的な教育の面で建設省はどう取り組もうとなさっていらっしゃいますか。
  165. 望月薫雄

    望月政府委員 業界としての信頼を高めるためには、おっしゃるようにマンパワーの充実、高揚ということは極めて大事であると考えるところでございます。特に信頼ということを実現するためには、まず基本はそこに働く従業者の自覚とある意味での誇り、こういうものがない中にはおよそ人から信頼されるような部分は出てこないんじゃないか、こういったことも考え合わせる必要があると思っております。そのためには片方でまず国民の信頼、イメージがもっと高い業界への体質改善ということが問われているわけでございまして、そういった意味から今回、規制強化という言葉で言っていいかと思いますけれども、そういった法案を御提案申し上げておる、これが一点ございます。あわせまして、職員の資質の高揚ということが大変重要であると私どもも考えています。そういった中で、まず業界の中におきます職員訓練、指導、こういったことに建設省も大いに力を寄せながら、いわゆる職員講習、研修なども充実してまいりたい、こういうふうに考えておりますし、さらにできることならば学校教育等も含めて資質の高揚、教育の充実、こういうこともこれからの大きな課題だ、こういうふうに認識しておる次第でございます。
  166. 薮仲義彦

    薮仲委員 後で時間がなくなると残念ですから先に言っておきますけれども、今の局長の御答弁の中に非常に大事な点がありました、教育という問題。特にアメリカ等における不動産業界といいますか不動産仲介業の社会的信用性といいますかステータスというのは非常に高いですね。やはりああいうような業界に将来すべきだと思うのです。先ほども同僚委員指摘がありました。やはり建設業というのは極めて専門的な、都市工学であろうとあるいは材料工学であろうと建築基準法にかかわるすべての問題をクリアしなければならないし、あるいはもっと人間的な社会心理的なことまで知ってないと本当の不動産業というのは成り立たない、総合的なすばらしい事業だと私は思うのです。  そういう意味で、日本の大学ではまだ二つの大学しか不動産学部がないようでございますけれども、これは私大臣にもお願いしたいのですが、文部大臣とのお話の中で、不動産業資質向上というのはやはり大学の中に不動産学部ができる、あるいは都市工学というものを専攻する学生がどんどんふえてくる、こういう問題については大臣どうか心にとどめられて、大学の中で本当にすばらしい二十一世紀の不動産業界を担うような人が育つような環境は大臣の心にとどめておいていただきたいと私思うわけでございます。  それはさておいて、さっきの信用の二番目ですけれども、これは大臣にもよくお聞きいただきたいと思うのでございますが、私は人間的な面ともう一つ、不動産屋さんがなぜ信用されないか。これは全く素朴でございますけれども、不動産屋さんが売る物件に対して信用がないんですよ。土地、建物に対して、この土地は本当にこの値段で買って得するのかな、この建物はこの値段でいいのかな、この建物に傷はないかな、そのことについて、私は非常に不安があると思うのですね。ですから、信用の二番目は、不動産業界の持っている、売るべき物件、それに対する情報の確度だと思うんですよ。情報の確度が高ければ信頼はおのずと上がってくると思うのです。今なぜ信用がないか。不動産業界の情報が信用できないから、業界全体の信用がなくなってしまうと思うんです、私は。やはり、今信用を回復するんだったら、情報の確度を上げる、情報を本当に国民の皆様が親しみやすい、信頼できる、安心できる、これならもっと暮らしがよくなる、こういう確度の高い情報を提供することが私は業界全体のレベルアップであり、不動産物件の流通の円滑化につながると思うんです。そこを閉ざしておいて、何とかうまく安いものを高く売ろう、こういうことでは絶対に私は業界の将来はない。情報をオープンにして、そして本当に適正な価格で売買できるような情報を流さなければならぬ、こう考えるのですが、それはいかがですか。
  167. 望月薫雄

    望月政府委員 おっしゃるとおり、今後の業界のあり方ということを考え合わせましても、またそれよりも直接的に不動産の流通の今後というものを考えましても、情報の市場というものは非常に大事なポイントだと思っております。  御指摘のように、今までとかく依頼者と依頼を受けた業者の間だけの閉ざされた情報というものが大半を占めているというか、非常に多くを占めておる、こういったことでは今後の不動産流通市場というものは健全化しないであろうし、またそのことがひいては信頼感にも結びついてくる、こういったふうに考えまして、私ども今回御提案させていただいていますいわゆる専属専任媒介契約制度、これを裏づける流通市場の整備ということは、私ども今後目指すべき、大変重要な行政分野と受けとめている次第でございます。
  168. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、この情報をもう少し突っ込んでお話をさせていただきたいのですが、先ほど来大臣のお話を伺っても、局長お話を伺っても、やはりこれからの建設業界というのは、日本は経済摩擦、いわゆる構造調整ということを好むと好まざるとにかかわらず迫られております。内需に転換しなければならない、あるいは良質の社会資本をストックする、公共事業等によって。そうなってきますと、その一番基本の部分は地価であり、いろんな不動産の物件が横たわっているわけでございます。物件の流通が正常であるということは、非常に国民経済にとって好ましいし、私は国民生活にとっても好ましいと思います。これが不正常であるということは、私は国民経済も国民生活も、非常に不幸なことだと思うのですね。  そこで、今局長は、専属専任媒介契約制度お話もちょっとございましたけれども、私はこれは一歩前進であって、非常にいいことだと思っております。ただ、物件に関していいますと、土地、建物、まず分けてお話したいと思いますが、最初に建物の情報。今度の専属専任媒介契約制度は、いわゆる売買ですね、売りますという情報を流しましょう、買う人はそこから一番好むものを選びましょうというオープンな形をとられる。私は、これは一歩前進だと思うんです。しかし、建物には、売買だけじゃなくて賃貸というものがあるわけですね。レインズという方法を考えていらっしゃいますけれども、これも私がいただいている限りのフローチャートでは、やはり売買が中心のフローチャートになっているわけでございますが、しかし、この専属専任媒介契約制度の中にもし賃貸の情報がインプットできたらどうなるだろう。私は、この前の委員会でも、たしか局長にお願いをしたと思うのです。転勤のときに、公営、公団住宅の空き家情報が入っていたら本当に助かりますけれども、全国の情報がインプットできませんか、こういうことをお願いしました。これは公的にできるのは、公営、公団ということですが、しかし私は、建設省はもっと業界にも応援をいただいて、民間の賃貸住宅の空き家情報もインプットしておけば、これは非常に国民にとっては好ましいことなんですね。良質な民間賃貸住宅がキーボードを押したらば画面にばっと出てくるというようなことで、国民は非常にこの賃貸の公営、公団あるいは民間について、最も自分にふさわしい情報をキャッチできる。こうなってきますと、国民は、ああこの業界っていいな。そこに信頼の一歩があると思うのです。情報の公開であり、情報の確度の高さ、親切さを国民は待っておると私は思うのですが、売買だけじゃなくて賃貸もこの中に流す。新築のうちをつくりました、借りたい方はどうぞというような感じでの情報は流して差し支えないと思うのです。今度のこの専属専任媒介契約やレインズの中に賃貸もインプットすべきだと思うのですが、いかがですか。
  169. 望月薫雄

    望月政府委員 専属専任媒介契約制度というものがいわゆるレインズと不離不即の関係にあって、今後我々が非常に期待しておる分野ということは繰り返すまでもないわけでございますが、その中で、今先生がおっしゃったように賃貸の関係の情報、これも入れるべきだ、全く私どもも同感でございます。  それで、現実に例えば東京レインズというのは既にもう六十一年から動いておりますけれども、これはたまたま六十二年度の実績を見てまいりますと、三万九千件くらいの物件をここで情報をインプットし、出しておりますけれども、その中で二万一千件くらいが実はもう賃貸をやっております。これは東京レインズの例でございますが、ですから私どもも、今後この制度が全国的に展開していくという一つの方針の中ではぜひともこういったこともあわせ充実してまいりたいというように考えております。
  170. 薮仲義彦

    薮仲委員 それは大変好ましいことでありまして、どうか、売買物件それから賃貸物件が我々の使いやすい身近なところの情報収集源から収集できるようにますますネットワークを拡充していただきたいと思うのでございます。  建物は終わりまして、今度は土地の問題でございますけれども、今情報で一番不足しているのは何かというと、私は土地だと思うのですよ。これほどわからないものはない。例えば私が北海道であるいは九州で、四国で土地を求めよう。このときに、じゃあ何でやるかといえば、不動産業者お話であるとか、新聞なりチラシなりの広告で知るしかない。果たしてこれが適正な価格であるかどうかということはどうしてもわからない。そうすると、業者の言いなりの値段で買う。となりますと、これがひいては地価暴騰の引き金になっておるわけです。  何がいけないか。ここの土地は例えばこの値段が適正な値段なんだ、こう我々は判断したいのですが、信頼できる判断基準がない、ここに私は非常に問題があろうかなと思うのです。もしも的確な判断基準があれば、国民は断じてその判断基準から極端に高いものやかけ離れたものは求めないと思うのですね。そうすると、今の東京の地価のように何倍、何十倍などということは決して起こり得ないし、そういう選択は国民は絶対にしないと思うのです。  では、現在、土地の値段について我々が知り得るのは何だろう。こう言われますと、いろいろリクルートで出しているものや業界で出しているいろいろな冊子があります。しかし、我々はどうもこれでいいのかなという不安があります。じゃあ公的なものは何か。先ほど来御指摘のあったいわゆる国土庁がやっております地価公示でございます。これはオープンになっております。もう一つは、我々が自分で市役所に行けば閲覧できる自治省の持っております固定資産税の評価額、この台帳があります。それから三番目には、相続税の算定の基準となる路線価。公的な地価というものは大体三つあるな、こう思います。でも、この一つ一つはそれぞれ行政目的があります。一番目は公開しますけれども、二番、三番は、これは公開されるべきものでもないでしょうし、公開されておりません。  しかし、私は、将来これも何らかの形で利用できないかなという気持ちは持っておりますが、それはさておいて、ではオープンになっている地価公示価格、これがもしも限りなく実態に近ければ、この公示価格に対する国民の信頼が絶大であったら、私はこれは非常にすばらしいことだと思うのですよ。あの地価公示は信頼できる。ところが、きょうは国土庁がお見えになってこんなことを言うのは非常に申しわけないのですけれども、まだ国民の大方は、地価公示、ううんという程度であって、参考にはしますが、しかしそれがまだまだ地価抑制の基準たり得ない。なぜ地価公示が無理なのかなという感じがするわけでございますが、一番いいのは、この地価公示を実態に近づけることが手っ取り早いと私は思うのです。きょうは国土庁お見えでございますから余り嫌みを言うのも悪いのですけれども、標準地点とそれから地価を算定する要素、どうやってこの地価をおやりになっていらっしゃるのか。  もう一つ、私は今大変御無礼なことを申し上げましたが、もしも実態に近いように確度を上げるとなったら、仮に調査地点を上げるとか他の何らかの手法によって公示価格が国民の信頼にたえ得るところまでできないものか。仮に標準点を上げればできるのかどうか、その辺はいかがでしょう
  171. 藤原良一

    ○藤原説明員 まず、地価公示価格の判定方法から、ちょっと基礎的なことで恐縮でございますが、御説明させていただきます。  地価公示法二条に基づきまして、土地鑑定委員会が都市計画区域内の標準地につきまして毎年一回、二人以上の不動産鑑定士または不動産鑑定士補の鑑定評価を求めまして、その結果を審査し、必要な調整を加えまして各標準地の正常な価格を判定しておるわけでございます。  算定を行う際の鑑定評価の基準でございますが、これも地価公示法四条に定められておるところでありまして、具体的には、近傍類地の取引価格から算定されるいわゆる取引事例比較法の価格、二つは近傍類地の地代等から算定される収益還元法の価格、三つには同等の効用を有すると思われる土地の造成に要する費用、原価法と言っておりますが、これらを勘案して算定しておるわけでございます。特にこの中でも取引事例比較法が非常に重要な役割を果たしておるわけですけれども、各鑑定評価員が組織的に多くの事例を収集しまして、これを大量観察し、この中から非常に特異な、異常なものは捨象して、投機的あるいは過大な値上がり期待価格のようなものは除いた適正なもの、正常なものだけを採用して公示価格の判断資料にしておるわけです。  ただ、そうはいいましても、標準地も地価公示制度が発足した四十五年以来年々拡充してきておるわけですけれども、五十七年以来頭打ちになりまして、六十三年の例でいきますと現在一万六千八百二十地点ということになっております。おおよそ一平方キロメートルに一地点ということでございますから、これはまだまだ地点数が不足じゃないか。それともう一つは、そういう地点から参考にしようとする対象土地まで引き延ばすのに、その引き延ばす方法が一般の方には非常にわかりにくいのじゃないかと思います。そういう点につきましても我々はさらに皆さんに活用していただきやすいような努力をしないといかぬのじゃないかと思っております。  それと、先ほど説明しました事例の収集に当たりましても、できるだけ新しい事例をできるだけ迅速に収集し、解析する努力を怠ってはいかぬと思っております。
  172. 薮仲義彦

    薮仲委員 日本全体が一万六千八百程度で公正な値段が出るのかなとちょっと思いつつ、建設経済局長にお伺いしたいのですが、建設省も公共事業をやるときに一番ネックは地価だと思うのです。基準点を持っていらっしゃって、公共事業の基準点からいろいろおやりになって、公共事業を施行なさるときに土地を買収なさっている。建設省が本当に公共事業をやる、良質な社会資本をストックしようと思ったときに一番ひっかかるのは地価だと思うのです。特に東京においてはもう公共事業ができないのじゃないかなと思うほど地価が事業費の大半を占めてしまうと思うのです。そうなってきますと、地価という問題は非常に重要だと私は思うのです。今幾つか地価として挙げましたけれども建設省も、きょう、あしたおやりになる事業の中でこの地価の問題等は全国で多くの方が苦労なさっていらっしゃると思うのです。そうしますと、私の申し上げた地価の情報も確度が高くあってほしいなと思うのは、我々国民もそうですけれども、一番重要な建設業というか建設省にとって、地価の的確なというか確度の高い情報というものが一番必要なのは建設省が最も中枢の官庁じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  173. 望月薫雄

    望月政府委員 おっしゃるとおり、私ども建設省では毎年毎年大変大量のいわゆる公共施設用地を関係職員が大変苦労して取得させていただいているのが現実でございます。もう御案内のとおりでございますけれども、公共用地の取得価格をどう決めるかということについては、土地収用法等でも明らかになっていますように、基本は適正な対価、収用法で言えば適正な補償ということになるわけでございまして、その際には当然のように近傍類地の取引価格というものが大変重要な要素になっております。そういった実情からすると、取引の実情、価格の実態というものは我々も公共事業執行者として非常に関心もあり、この充実を強く期待しているわけでございますが、率直に言いまして公的情報の集大成のシステムというものがまだ十分できていないのが現実であります。お話しのように、その間において、私ども地価公示価格も大事な要素としてもちろん考慮しなければなりません。地価公示法等で既に明らかに条文化されていますように、そういった用地を買うときにはこれを規準として起業者は買わなければならぬ、こういったこともありますので、片方では地価公示の充実を我々は期待しているところでございます。  いずれにしましても、そういった意味で私どももこれからもまた社会資本の整備を営々として進めていく中ではこの土地の評価の問題というのが大変重要な課題でありますので、我々も一生懸命努力して充実に努めますけれども、あわせて今後のそういった情報の整備というものに対する期待もまた大きいところであります。
  174. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、今藤原土地局次長の話もありました。あの藤原さんは、大臣御承知のように元建設省建設業課長ですから詳しいわけです。  では、今私が何を申し上げたいかといいますと、先ほど来の業界がみずからの手でこの不信を払拭しなければならないというのはこのことなのです。恐らく国土庁の方はこういう公の席では言いにくいと思うのですが、一番情報としてとりにくいのは土地の売買であり、その売買が成約したとき幾らかということを正確に知るか知らないか、これがどんなに調査点を仮に一万を百万にふやしたって、もしも根っこの情報が狂っていればこれはもう一円の値にもならないかもしれない。ということは、その情報をだれが持っているかというと、宅建業界の方であろうし、建設業界の方であろう。もちろん一人一人が商売なさる情報もあるのです。でも、今その情報がどこからもわからないのです。この土地は幾らで売買されたのかというのがわからないのです。だから値段のつけようがないのです。我々が判断できないのです。そこを何とかしなければだめなのだということを、何とか建設大臣そして建設経済局長に御尽力いただいて、業界も二十一世紀のために、二十一世紀のリーディングインダストリーたるためにはどうしてもここをはっきりしなければ国民の信頼はかち得ない。だから、例えば建設省、国土庁が力を合わせて何とかその公示地点の的確な情報を、個人のプライバシーとか秘密とかそんなことは一切守る、でも実際はどうだったのかということを教えてくれることがなければ、的確なものは建設業界であり、宅建業法を握っていらっしゃる建設省が協力しない限り本当のデータは出てこないと私は思うのです。そしてまた、これは大臣も奥野大臣と協力して、今行革で調査点がカットされている、私は、これは問題だと思うのです。これだけ地価の高騰を騒いでおって、信頼できる地価の公示価格をカットするというのは本末転倒だと思うのです。今国民に本当に行政がやらなければならないのは、安心してできる地価を公示しましょう、これをやってこそ地価は鎮静化すると思うのです。それをカットする手は、私は断じてないと思うのです。きょうは大蔵省を呼んでいませんけれども、私は大蔵省の主計官とも話し合ってみたい。本当に国民のためにこの公示ということはどれほど大事か、公共事業やあるいは国民の豊かなリゾートや、そういうものをつくるにしても地価がどれほど大事か。二十一世紀に向かって内実的な経済を活性化するのも、地価がわからなくて何ができるか。これを本当に私は、業界の人とよく話し合って、正確な情報を出しましょう、このいわゆる不動産の流通が円滑化すればどれほど国民経済が活性化するか、さらには国民生活がより豊かになるか、建てかえやあるいは住みかえがどんどんできれば——国民は、本当に戦後四十年間このことで苦しんでいるのです。いまだ解決しないのは衣食住で住なんです。それは、やはりこの不動産の流通が円滑化しない、根っこには土地情報が不足しているのです。  私は、本当に大臣と奥野大臣に、きょうは呼んでいませんけれども、お願いをしたいのは、この地価公示というものを限りなく実態に合わせる、今これしかないのですよ。ほかにやろうたって出せないのです。だったら、あとは業界、いろいろな方から、民間の方あるいは個人の方からも御協力いただいて、そして、本当に限りなく実態に近い地価公示がもしもできて、これが本当の安心して信頼できる地価ですよというものをきちっとつくったらば、国民はこんな地価の狂乱の中で苦しむことは断じてないと思うのです。どうしても私は、この地価の公示を本当に限りなく実態に近づけるように、大臣に最もやっていただきたいのはこのことであり、奥野大臣とこの竹下内閣として、本当に国民の負託にこたえるんだったら、この地価公示を限りなく実態に合わせていただきたい。いかがでしょう。
  175. 越智伊平

    ○越智国務大臣 非常に熱意のこもった御意見、まことにありがとうございます。できるだけ奥野国土庁長官とも連絡をいたしまして、情報を流すように努力をしていきたいと思います。  ただ、非常に難しいのは、先ほども御答弁がありましたが、一平方キロに一カ所の公示価格、これは道路を一つ隔たったらもう倍半分とか、あるいは同じ道路内でも南受けと北受けではうんと違うとかいろいろな要素、また、道路に面した長さと奥行きとの問題ですね、要は地形とか、非常に難しい要素がたくさんあります。  今の公示価格については、先ほど御説明がございましたように、そういういろいろのことを考慮して公示価格を決定しておる、でございますから標準になる、こういうふうに私も思っておりまして、それによってやりますけれども、一地点を、例えば角地で銀行が店を出すとか、あるいはガソリン屋さんがガソリンスタンドをつくるといったら倍の値でも買うというような実態もございますし、なかなか難しいことがございますけれども、そういうもろもろのことを考えて国民に情報を提供するということは非常に大事で、お説のとおりでございますので、今後努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  176. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはもっといろいろとお伺いしたかったのですが、もう時間が参りましたのでやめますけれども、ただ、私が非常に心配なことを大臣並びに住宅局長に御検討いただきたいと思うのでございます。  このビジョンにも指摘されておりますけれども、いわゆる二十一世紀に向かって、住宅やビルの不動産のストックというのはどんどんふえていくのです。これはある意味では非常に好ましいことだと思うのです。しかし、この報告書にも指摘されておりますように、結果として二〇〇〇年にはマンションが現在の三倍の九百三十万戸、ビルのストックは二倍の八億から九億平米になるわけです。と同時に、同じようにこの老朽化も進むようになるわけですね。そうしまして二〇〇〇年には、分譲マンション全体の三六%、九十五万戸が二十年を過ぎるわけです。さらには、三十年経過したのも十三万戸出てくるわけです。これをどうやって建てかえるか。  建設省は区分所有法の改正等をおやりになっておりますけれども、きょうはそのことでちょっと論議をしたかったのですが、もう時間がございませんのでやめますけれども、このマンションの建てかえというのは、この間大臣は福岡の例をごらんになったと思いますが、あれはしアケースだと思うのです。しかし、あのような事柄はこれから出てくるわけです。特に、この法律の中で、管理組合の成立条件として三十名が成立条件になっていますし、五分の四の賛成があれば建てかえは成立するわけです。買い取り請求権が出るわけであります。しかし、あの福岡の場合は建ててから十四、五年ですから、まだ耐用年数——この法律は、「老朽、損傷、一部の滅失その他の事由により、」こうなっているのです。本法の六十二条にこれは大体該当するのかどうかな、きょう私はその論議をしたかったのですが、疑問に思われる点もあるわけです。だから福岡がどうということではございません。  事ほどさように、この建てかえということは、これから非常に困難であり難しい問題です。ほっておけば廃墟になってしまいます。ニューヨークのあのサウスブロンクスをごらんになったと思うのですけれども、あのように廃墟になったら大変です。しかし、これを円滑に建てかえることはまた良質なストックを蓄えることになって、非常に大事な事業なんです。難事業であってもやらなきゃならない重要なことであって、二〇〇〇年といってもあと十数年ですから、このマンションの建てかえについては今から研究会を発足させていただけないか、こう私は思うのです。  と同時に、最後にこれは大臣に、この問題とあわせて、御答弁というよりも私の希望でございますけれども、私は、この建設業界というものは二十一世紀のリーディングインダストリーたるべき資質があると思うのです。完全に二十一世紀を引っ張っていけるのは建設業でありあるいは不動産業だ、こう思っているのです。もしこの不動産業が、信頼が今までどおりであったら、私はそうなれないと思うのです、資格はないと思うのです。この輝かしい二十一世紀のリーディングインダストリーたるべきには、国民の信頼をまず回復する、国民が本当に喜んでこれに参加する、そうなって初めて、私は、不動産流通や建設業界全体や社会資本の整備が円滑に進んで、より豊かな国土、そして住環境もできていくと思うのですね。  ということはなぜかといいますと、建設大臣がいろいろ法案をつくったり、二十一世紀に国民が目指す、この言葉が幾つかあるのですよ。例えばよく使うのは、リゾートだとかスポーツだとかレジャーだとかレクリエーションだとか健康余暇センターだとか、この言葉は全部不動産業界につながっているのですね。ここがしっくりしなかったら全然進まないのです。ですから私は、一にかかって、先ほど来申し上げましたように、信頼と情報の確度の高さが最も大事であり、マンパワーだと思うのです。本当にこの業界全体の社会的なステータスを上げて、よかったなという時代をつくって、みんなで喜んで二十一世紀を築いていくためには、私は、建設大臣のこの責任たるやまことに重かつ大だと思う。我々に責任がないとは言いませんよ。  そういう意味で、最後に大臣の御決意を伺って、私の質問を終わります。
  177. 越智伊平

    ○越智国務大臣 御激励をいただきまして、まことにありがとうございます。  マンションの建てかえの問題、これは本当に大事な問題であります。今後よく勉強をしまして、よく検討をいたしまして進めてまいりたい、かよう思う次第であります。  さて、この不動産業の問題でありますけれども、これは国民の大事な大事な財産の売買であります。でありますから、これを扱う不動産業者が、本当に先生の言われるように信頼をされる、こういうことにならなければならない。これを目指して今回も法律の改正提案しておるわけでございますけれども、今後十分指導し、また団体等によく呼びかけて進めてまいりたい。したがって、国民の皆さんあるいは消費者に御迷惑がかからないように、信頼されるように指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  178. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。ありがとうございました。
  179. 中村喜四郎

    中村委員長 大野潔君。
  180. 大野潔

    ○大野(潔)委員 私の方からは宅地建物取引業法一部改正法律案、これに絞ってまずオーソドックスにちょっと伺っていきたいと思います。  まず、土地の売買に絡みまして、悪質な地上げ屋による暗躍あるいは投機的な取引というものが依然として世間を騒がせておるようでございます。そこで、宅地建物取引に伴うトラブル件数は最近はどんな傾向にあるのか、トラブル件数の推移またトラブルの内容はどんなものか、その辺についてまず傾向をお尋ねしたいと思います。
  181. 望月薫雄

    望月政府委員 いわゆる宅地建物取引をめぐりますトラブルの傾向でございますが、昭和五十四、五年度、このころは大体三万件くらいが建設大臣あるいは都道府県知事に持ち込まれておりました。その後大分減った状況になっておりますが、六十一年度では一万二千件、こういう状況になっております。  その主たる原因でございますけれども原因が判明しているもの、実は九千三百件余りでございますが、この中で特に大きなものは、重要事項説明を行ってない、あるいはそれにかかわる苦情、こういったものが全体の二八・四%を占めております。それから次いで、契約解除に関するもの、これが一二・一%、登記、引き渡しにかかわる苦情、これが七・〇%、また手付金、中間金、預かり金等の返還にかかわるものが八・三%、このようなところが主たる紛争の事由でございます。
  182. 大野潔

    ○大野(潔)委員 今伺いますと件数的には漸減方向だと思うのですが、なかなか巧妙といいましょうか、悪質といいましょうか、非常にたちの悪い傾向にあるようでございますが、こういったものに対してどのように対処しておられるか、建設省の対応についてお伺いしたいと思います。
  183. 望月薫雄

    望月政府委員 いわゆる苦情件数ということで、ただいま申し上げましたように特にふえているという傾向もない、むしろ一万二千件くらいでこの二、三年推移しているという状況にありますが、お話のようにこの中で私どもが一番心配いたしますのは非常に悪質のものあるいは悪質化の傾向が見られるかということが気になっているところでございます。ただ、実情、これは、先ほど申し上げましたように原因が判明しているものが一万二千件のうち九千三百件余りと申し上げたような次第で、そこのところが、特に悪質なものがどうなっているということはちょっとはかりかねますが、ただ言えますことは、重要事項説明が十分でなかったというような非常に大事な点をめぐってのものが三割近くを占めているというようなことは、とかく悪質に結びつく要因として重視している次第でございます。こういったことにかんがみまして、私どもも、都道府県を初め関係の業界団体に対しましても、こういった苦情の処理あるいは起こさないように適正な業務の遂行についてということをしばしば指導通達を出し、あるいは要請をしておる、こんな現状でございます。
  184. 大野潔

    ○大野(潔)委員 国民から見れば、監督官庁である建設省さらには国土庁も含むのでしょうけれども、それの監視というものが大変期待の的でございますので、どうかひとつしっかり頑張っていただきたいと思います。  そこで、中身に入る前に、中身に入ってからでしょうか、クーリングオフ制度について、事務所以外の場所においてした買い受けの申し込みの撤回等を行うことができる期間を五日から八日に三日間だけ延長する、こういう内容でございますけれども、しかし、普通サラリーマンがこれだけの買い物をするということは一生に一度か二度の問題だと思うし、そのときはいいと思ってもやはり家族で話し合ってみればなかなか難しい問題等も出るのが通常じゃないかと思う。いわゆる一般の買い物とは違うという点ですね。そういう点を考えますと、どうせ延長するならば五日間を八日間にするのではなくて、思い切って十日なり二週間という幅を持たせるべきではないのかな、こんな感じがするのでございますが、その点大臣どうですか。さっきからずっと座っていらっしゃるから、たまにはお答えを:::。
  185. 望月薫雄

    望月政府委員 お答えする前に、先ほど答弁をもうちょっと丁寧に申し上げるべきところを欠落してしまいましたので補足させていただきますと、要するにトラブル防止のために私どもいろいろなことを努力していますが、特に申し上げさせていただきたいのは、五十九年の四月に建設省公共団体によります出資によって不動産適正取引推進機構というものを設立いたしております。これはまさしく苦情紛争の処理に当たって助言、指導を強くしていこう、あるいはまた事例を収集して相談にあずかっていこう、こういったことで体制の面でも整備をして、現在おさおさ怠りなく努力を積み重ねているという点がございます。  それから、ただいまのクーリングオフでございますが、これは先生が今お話しのように、言うなれば業者がいわば特異な状況のもとで消費者に物件を売る、こういった状況のもとで契約あるいは申し込みがなされる。果たしてそれでいいかということになりますと、ここにいろいろな問題が派生してくる原因がございます。言ってしまえば正常でない、ゆがめられた状況の中での意思決定ということをどう正常化するかということで私どもこのクーリングオフ制度というものを設けさせていただいているわけでございますが、従来五日間でやらせていただいております。それを今回の法案で八日間という期間の延長をお願い申し上げているわけでございますけれども、率直にいいまして、これを非常に長くするということは、またある意味では一般的な正常な取引を阻害してしまうという側面もございます。それだけにまた消費者も物件購入に当たりましては慎重な調査と判断というものを求められることは当然のことでございます。そうはいいましても、今申しましたようなおかしげな環境で申し込んだものを撤回できる期間を従来の五日から八日にしたいという提案でございますが、率直にいいまして、八日間ございますと土曜日、日曜日は必ず入るということで、かなり冷静に御判断いただく日も十分とれるということで今回期間の延長をお願いしている次第でございます。
  186. 大野潔

    ○大野(潔)委員 今の御説明を聞いておりますと、最近テレビなんかでもっていろいろな品物を売る、テレビ販売というのですか、それは大体苦情の期間がそういうことなんですけれども、今申し上げたように土地、建物、特に住まいを買うということはなかなか大変なことなんですね。ましていわゆる悪質なのがいるからこういう法律改正に至ったわけでございますから、そういう点を考えますとやはり八日という期間は非常に短いのじゃないか、こう思うので、十日なり二週間と私も申し上げたわけでございますが、どうですか、大臣。
  187. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今局長からお答えいたしましたように五日間を八日間にいたしました。これは、八日間になれば土曜、日曜を含む、こういうことになります。でございますから、売りたいという人も早く決定をしたい、買いたいという人も決断を早くしてもらう、これは先生のお説のとおり一生に一回あるいは二回、一回の人もたくさんいるかもわかりませんから大変なことでございますけれども、十分そこらのところを調べて、大事な大事な財産を買い、大事な大事な財産を売る、こういうことでありますから、期間だけの問題でなしに十分勉強して納得してやっていただく、いよいよ決断したら御相談する期間は八日間ぐらい、これが適当でなかろうか、こういうふうに判断をしております。
  188. 大野潔

    ○大野(潔)委員 クーリングオフと決断とは余り関係がないのだけれども、大臣がそこまで言明される以上はしっかり監督を強めていただきたいと思います。  そこで、今度の法改正の中で宅地建物取引主任、これは登録の条件として新たに二年以上の実務経験が必要になる、このようでございますが、これは消費者保護という視点から見た場合に、どんなメリットがあってこのように入れられたのか、その辺の御説明をお願いしたいと思います。
  189. 望月薫雄

    望月政府委員 いわゆる宅地建物取引の中におきまして、取引主任者というものの重みが非常に大きいわけでございます。そういった実態にあるわけでございますが、取引を正確にあるいは的確に実際実現していくということのためには、率直に申しまして取引業に関する知識だけではいささか疑問がある、こういうふうに私ども考えておる次第でございまして、お客さんに対する重要事項あるいは契約書の説明あるいは現地の物件調査、登記簿の見方など、実務の経験というのは極めて重い、必要である、こういうふうに考えておる次第でございます。  そういった観点から、今回登録要件に実務経験を加えるということになったわけでございますので、今までのように、言うなれば知識だけでもって登録をいただいた、登録ができたということに対しては、消費者保護の面でも非常に大きな進歩になる、こういうふうに確信しているところでございます。
  190. 大野潔

    ○大野(潔)委員 今度政府立場としまして、専属専任媒介契約制度の創設というものは流通の近代化、円滑化にどの程度の効果といいましょうか、これは期待しておられるのか、その辺の説明をお願いしたいと思います。
  191. 望月薫雄

    望月政府委員 率直に整理させていただきまして、今回御提案している専属専任媒介契約制度というのは、大きく言って二つの側面があると理解しております。  一つは、やはり宅地建物取引の依頼をした個人から見て、この物件の情報を非常に広く出していただくということがまず基本でございます。そういった意味で、今回の媒介契約というのは物件情報を消費者立場、いわゆる依頼者の立場から見ても広く市場に出していただいて適正な相手を検索していただく、こういう面がございます。  それからもう一つは、そういった行為の積み上げの中ではございますが、物件の流通情報というものが非常に集約化され集中化されることによりまして、不動産取引市場というものが非常にオープンなものになる、こういったところに大きな期待を寄せている次第でございます。  私ども今回の新しいこういった制度を導入することによりまして、言うなれば消費者のニーズにこたえた適切な相手方の検索と不動産流通市場近代化を大幅に促進させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  192. 大野潔

    ○大野(潔)委員 これは売り手といいましょうか消費者と申しましょうか、その立場からいうと、売る場合には少しでも高く売りたいというのが常織、当たり前だと思うのですね。それで業者に依頼した、しかしながら、そのうちに、あちこち話しておるうちに自分で買い手を見つけた。自己発見というのですか、自己発見取引というのですか、こういうケースが非常に多いと思うのですね。  その場合に、今までは頼んだ業者に対して、いや見つかったから済みません、これで済むわけですが、今度の場合には、この法律が通りますと、結局依頼したその業者に対して相当な違約金といいましょうか委託料といいましょうか、支払いをしなくちゃならない、そういうことになるわけでございます。ですから、こちらの買う人が二百万ばかり高い、ところが今度そっちを断りに行ったところが、そっちで三百万も取られてしまった。差し引き、結局うかつに自分が動いたために百万も損した、こんなケースも出てくるのではないかと思うのですが、今度取引はこう変わるのですよというようなことを国民に周知させるにはどのような手を打って、そういう事態が発生しないような手だてをなさるのか。一つはその辺のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  193. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほど来出ていますように、不動産流通の場におきますいわゆる信頼関係ということが非常に大事であることはもう言うまでもないわけでございますが、そのためには業者から見て、やはり依頼者である個人も信頼に足りる行為、行動というものが問われている面があると思います。もちろん、その前に業者自身が依頼者から見て信頼されるような行為が不可欠であるということは論をまたないところでございますが、そういった中で、今先生おっしゃったように、自己発見取引というものが整々と行われておることを放置したのでは、これは取引の正常化、近代化というものがなかなか容易でないというふうに認識しております。そういった観点から、今もおっしゃったように、違約金の規定等も準備させていただいておるわけでございます。問題は、このことがいわゆる依頼者にとって非常に問題を残すということも、これもまた問題でございます。そういった観点から専属専任媒介契約というものについて、私どはこの制度を実現していただきました暁には、まず十二分のPRをしていきたいと思っております。  この部分は実施までに二年間の猶予期間を予定させていただいておりますが、この二年間に大いにこの制度というものについての御理解を深める啓発活動、これをあらゆるパブリシティー等も使いながら、あるいは業界団体あるいは都道府県等も通じて全面的な普及、啓発、通知をやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  194. 大野潔

    ○大野(潔)委員 今のお答えは中身がなくて何だか二年間だけあるからというような御答弁の感じだったのですけれども、私が伺っているのは不動産の取引をやる方というのはしょっちゅう、食事と違って朝晩買ったりするものではない。まさに一生に一度のものですね。しかも通常手数料というのは大体、最近は平均的に三%くらいですか、そうすると、違約金といえばその三%を払わなくちゃならぬというのは大体私常識だと思うのですが、結局一億円の売買をすれば三百万ですね。また倍の二億近いもの、最近は地価も上がっておるしすべて上がっておりますから、二億ぐらいですと六百万、大変高価な違約金になるわけでございます。  それで、今までの取引からこう変わるのですよというものを全くこういう売買の仕方を知らない方に、依頼する場合にはこういう点を考えた上で依頼してくださいよ、注意してくださいよ、こうういうことをどのようなPRをなさるのかと私は質問をしておるわけでございます。
  195. 望月薫雄

    望月政府委員 こういう新しい制度を導入することについては、おっしゃるように国民に広く十二分の理解あるいは誤解のないようなところまで徹底することが不可欠であると当然考えております。この専属専任媒介契約制度を御提案申し上げているわけでございますが、これは何もこればかりでなくて従前の一般媒介契約あるいは専任媒介契約、これとの関係で選択の自由は消費者にまずあるということは当然まず周知徹底をしなければならぬ点の第一でございます。  問題は、そういう言葉だけでなくて専属専任等の言葉だけでは一般国民になかなか御理解いただけないということにも私ども十分意を用いながら、これからの不動産の媒介契約というものについてはこういう点がこうなりました、こういう点が必要でございます、こういう点を理解していただきたいというようなことを私ども懇切丁寧に整理したものを十二分に活用して普及啓蒙をしてまいりたい、こういうことを申し上げている次第でございます。
  196. 大野潔

    ○大野(潔)委員 どうかひとつトラブルが発生しないようによろしくPRの方をお願いしたいと思います。  そこで、私もこの法案が出てちょっと勉強させていただいて驚いたのですが、我が国における不動産取引というのは国際的にも非常に数が多いんだそうですね。国際的にはこれほどの不動産が動くというケースはなかなか少ないんだそうでございます。ところが欧米諸国では大学に不動産学部だとか不動産学科というものが設けられているそうでございまして、先ほど薮仲委員がちょっとこれに触れておられて質問されておりました。  そこで、この法律は残念ながら悪質な地上げ屋、これを締め出す法律にとどまっているようでございますけれども、もっともっとこれを進めて、法律のことなら弁護士さんがいる、また経理のことなら公認会計士ないしは税理士さんがいる。それぞれその職業というものは世間から非常に信頼される、またとうとばれる職業なわけでございますから、やはりこういうものを、不動産関係についてはもっと国で力を入れまして、今不動産鑑定士というのはありますけれども不動産業者というものは放任されている形になっておりますので、文部省とも話し合いをして、そしてもっともっと権威のある立場に押し上げていくべきじゃないか、国はこれをリードしていくべきではないか、こう思うのでございますが、その点建設大臣は文部大臣あるいは文部省と話し合っていかれる気はあるかないか。先ほど薮仲委員はそこまでは詰めていなかったので、その点を最後にお聞きしたいと思います。
  197. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今のお話でございますが、先ほどもお答えをいたしましたように、そのことは今回の法案には載っておりませんが、今後よく勉強をいたしまして、また文部省ともよく打ち合わせをいたしていきます。今ここで直ちに大学にどうするということも文部省との打ち合わせをしなければちょっとお答えしにくいわけでございますので、十分勉強をさせていただいたら、かように思う次第であります。
  198. 大野潔

    ○大野(潔)委員 急に言ってそれ以上の答弁を求めるというのが無理だと思うのですけれども、やはり一生に一度の買い物をする、しかもまた、今言ったように制度が変わる、そういうように考えますと、単なるだれでも業者になれるというのではなくて、専門的な権威のある立場に、不動産何とか士というのでしょうけれども、ひとつそういったものにしていただきたいと私は思う次第です。  そこで、まだ若干時間がございますので伺っておきますが、先日、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案、これが通りまして、それでそれぞれの附帯決議も行われました。そのときに同僚議員の質問に答えて大臣は、地価というものは需要と供給の関係で、需要が一割上回ると地価は倍になり、供給が一割上回ると地価は半額になる、こんなような趣旨のことを答弁されましたね。すごいことを言われる大臣だなと思って聞いたのですけれども、この趣旨はそのとおりで間違いございませんか。
  199. 越智伊平

    ○越智国務大臣 私は地価が供給が一割多くなれば半分になる、需要が一割多くなると倍になる、こういう趣旨で申したのではございません。あのときは物価の問題で、物によっては一割オーバーすれば半分になるし、一割少なければ倍になる、これは保存のできるものになりますとそれが非常に変動率が少ない。保存のできないものは今言ったようなことであります。でございますから、一般的な物価の問題でそういうお話を申し上げた、こういうことであります。私が申し上げたのは需要と供給の問題で、地価を引き下げるということにはやはり最終的には需要と供給でございますから、見込みを含めまして、見込みが非常に、需要が多くなると地価が上がるし、見込みを含めて需要が少ない、供給の方が多くなれば地価は下がる。何としてでも地価を引き下げなければならない。先ほど言いました一割一〇%の問題は一般の物価の話で申し上げた、こういうことであります。
  200. 大野潔

    ○大野(潔)委員 一般論として、その延長線上で考えれば、地価を抑えていくにはそれしかない、そういう意味で言われたと了解しました。  そこで、それならば宅地の供給をふやしていけば、今高値安定になるのではないかと言われているこの地価についてもこれが少なくとも適切な価格になってくる、こういうことなんでございましょうが、それでは大臣として今考えておられるその供給をふやす、こういう方法はどんなことを考えておられるのですか。ちょっとその辺のことをお考えをお聞きしたいと思います。
  201. 越智伊平

    ○越智国務大臣 需要と供給の問題でありますけれども、まず第一番には地方分散、一極集中から地方分散を考えております。これは政府全体として、今国土庁長官が中心になって進めておるわけであります。それから、今の供給の方の問題につきましてはもういろいろ論議をしておりますけれども、新しいところの開発あるいは再開発、あるいは都市計画、こういうことを強力に進めてまいりたい、かように思うのであります。また、多極分散といいますか、あるいは通勤距離等の問題につきましては、道路、鉄道、まあ鉄道の問題は運輸省でございますけれども政府一体になってこれの早期の開通、こういうことでできるだけ分散をしていこう、こういうことであります。両々相まって土地の供給をふやしていこう、またマンション等もふやしていこう。現にマンションは、特に中古マンションについては、御承知でありましょうけれども分譲価格も三〇%程度値下がりをした、こういうことでございます。でございますから、やはり供給をふやしていかなければならぬ、こういうふうに思っておる次第であります。
  202. 大野潔

    ○大野(潔)委員 余り事前通告なしに聞いているものですから、大臣としては面食らっていろいろなことを言われたと思うのですけれども、これはある極端な意見ですけれども、この間、あるサラリーマンの皆さんと話をしておりましたら、銀座や新宿などの商業地区で一平方メートルが何千万とかあるいは何億と言っている。しかし、そこの場所にその土地が欲しいんだ、店を出したいんだというのは、何千万出そうと何億出そうとそんなことは勝手だ。だけれどもその延長線上で、我々サラリーマンの夢である、一生かかって家をつくる、老後を過ごしたい、こういう住宅なりまたマンションを買いたいんだ、そこへその延長線上で持ってこられるのは困るんだ。だから政治の力として、銀座やその他新橋、新宿、そっちの商業地区が何ぼ上がったってそんなことはほっぽっておけばいいじゃないか、我々サラリーマンの住める住宅地の対策をしっかりやってもらいたいんだ、こういう声があるわけですね。ところが、今いろいろな政策を見ておりますと、何となくどこかの外国大使館が土地を売ろうとした、それを一生懸命で抑える。これはその周辺に都庁が別な計画があるからおやりになったらしいのですけれども、確かに、サラリーマンのために本当に建てるような近郊、郊外地帯の地価を抑える、こういう施策というものはどうも打たれていないのじゃないかと思うのですが、それは大臣に聞いても無理な場合にはどうかひとつどなたか適切な方に御答弁を願いたいと思います。
  203. 望月薫雄

    望月政府委員 最近の地価動向等をにらんでの今後の宅地地価対策ということを考えますときには、もうありとあらゆる施策を講じなければいかぬというふうに私ども日ごろから考えているところでございますが、とりわけ市街地の再開発等による住宅の供給ということも大事な問題でありますが、一方ではやはり健全な良好な宅地供給ということもこれまた非常に重要な問題である、こういうことで私ども特に市街化調整区域もにらんでの優良宅地供給ということを重視していく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。総体的に申し上げまして、やはりこの宅地問題というのは公的機関のみならず民間の力というものも大いに適切に誘導し活動していただくという基本線をもって総合的な施策展開を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
  204. 大野潔

    ○大野(潔)委員 余り適切な答弁ではなかったと思うのですけれども、じゃこちらから申し上げますけれども、市街化区域内の宅地をふやすという一つの方法として、市街化区域内の長期保有農地、これを宅地として売却する場合、現状では土地譲渡所得税というのが四千万までは税率が約二〇%になっているのですか、それを超えますと総合累進課税ということで一挙に税金が高くなってくる、こういったことが意外と供給の邪魔立てをしているのじゃないか。だからある一定期間を定めるなりして、三年なら三年、五年なら五年以内に宅地にするという条件をつけて、その部分は一億になろうと二億になろうと二〇%の税率で済ませる、こういった思い切った手だても必要ではないかと思うのですが、その点はいかがでございましょうか。もし大臣が答えられるなら大臣答えてください。なお、もちろん今大蔵大臣聞いているわけではございませんから、私は大蔵大臣にかわって答弁しろと言うわけではありません。そういう点を建設省として大蔵大臣なり大蔵省とかけ合うべきではないか、その点をお尋ねをしておるわけでございます。失礼しました。
  205. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今の土地税制につきましてはいろいろな問題があります。譲渡益に対する処理、さらには相続に対する問題等々、私の方の建設省立場でいいますと、大蔵にいろいろと要望をいたしております。ただ、農地の問題につきましては、市街化区域内の農地いろいろございますけれども、長期営農ということでやっておられる。その長期営農も結構でありますけれども、本当に長期営農であればどこか交換分合でもしてまとめて、調整区域に逆線引きをしていただくことがいいのではないか。実際問題として今キリを植えたりクリを植えたりしたところを、宅地並み課税を逃れてと言ったら悪いかもわかりませんけれども農地並みの課税、こういうことでございますので、この辺のことも整理をしてもらいたいというような要望を常にいたしております。税制改革もいろいろ研究しておるようでございますので、その際にぜひとも今言ったようなことを進めてまいりたい、こういうふうに思う次第であります。
  206. 大野潔

    ○大野(潔)委員 ちょっと大臣の答弁が筋道が違っていますので、事務当局から……。
  207. 望月薫雄

    望月政府委員 基本的には大臣が御答弁申し上げたことと同じでございますが、市街化区域内農地の宅地化促進ということは、先生おっしゃるように私ども大変大事な問題だと認識しております。ただその際に、税制をどう絡ませるかということについてはいろいろな面から検討しなければならぬ課題を抱えております。ただその際に、当面何を私ども建設省として重視させていただくかということになりますと、譲渡課税の特例ということが今後あり得るのかもしれませんけれども、当面保有課税についての厳正な運用ということが何よりも大事ではないか。現在でも市街化区域内農地の宅地並み課税がせっかく制度としてできているのにもかかわらず、現状は、例えば東京圏におきましても八五%近くのものが長期営農認定を受けておるといったような状況でございますので、むしろ宅地並み課税という現実制度についてとにかく厳正に運用、執行していただくということについてまず最大の関心を持っている次第でございます。
  208. 大野潔

    ○大野(潔)委員 時間もどんどん迫っておりますので、いろいろ申し上げたいことがありますが、努力していただきたいと思います。  さらに、首都圏初め大都市が特に値上がりになっておるわけでございますから、そういった値上がり地域の知事さん方と話し合って思い切って容積率を高める、これも供給をふやす一つの方法ではないかと思うし、またある意味では地域を限って、この地域はこれ以上の高さがなくてはならない、こういう決め方も一つの方法と思う。あらゆる方法の中にそういった方法も必要だと思いますが、そんなお考えはありますか。
  209. 木内啓介

    ○木内政府委員 先生ただいま御指摘のように容積率は決まっておりますけれども、現況で申しますと、法定容積率の最高限は、例えば東京で申しますと最高限度の半分くらいしか実際の容積率は使われておりません。そういう意味で、容積率を高めることあるいは場所によってはさらに最高の容積率を高めることは一つの供給策として有力な話として出てくるわけでございますけれども、ただ、容積率を高めるということが、現状では公共施設の整備等を伴わない場合にはやたら地価の値上がりとか乱開発になるおそれもございますので、再開発車業、区画整理事業その他優良な再開発事業と一緒にしまして、そういった場合に容積率を引き上げていくということを、現行制度でもございますけれどもさらに進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  210. 大野潔

    ○大野(潔)委員 御努力を願います。  それから、民間で宅造などを行う場合、三〇%から四〇%近い公園とか道路、あるときには学校用地まで提供させている。これはやられるのは都道府県というよりはむしろ市、町当局のいろいろな方針に基づいておやりになるようでございますが、それは無償で民間の施工者に出させている。これが結局はでき上がった造成宅地の値上がりにつながっている、こういうようになっております。こういうものに対して建設省指導しておられるのですか。その辺を簡単に御説明を願いたい。
  211. 望月薫雄

    望月政府委員 おっしゃるとおり、一定規模以上の大きな宅地開発になりますと、いわゆる公共施設、公益施設が当然必要になってまいります。そういったことは現実でございますが、それを受けとめる市町村の立場としていわゆる指導要綱というものを持っていろいろと条件をつけるというのが現実にありますが、その中に幾つか行き過ぎたものが見られるのが現実でございます。今先生指摘の小中学校用地の無償提供などというのも私ども行き過ぎの一つと受けとめておりますが、こういった行き過ぎの要綱の是正について建設省といたしましてはこのところ精力的に指導に努めておるところでございまして、最近では個別市町村ごとに私ども立場でも市町村に対してまでもその是正について要請するということまでやって、少しずつ現在改善を見ているということでございます。今後とも引き続き私ども精力的に努力してまいりたいと思っております。
  212. 大野潔

    ○大野(潔)委員 同じような問題でございますが、民間の分譲マンションなどを建設する場合に、通常の公共空地のみならず、自治体の都合で無償で道路敷地であるとかそういった土地の提供が求められて、六割程度しか土地が事実上使えない。四割も取られるということは大変なことでございますし、それは全部分譲マンションの価格に上乗せされる。それが価格をつり上げている大きな原因になっているようでございますが、その辺も努力をしていただきたいと思うのです。そこで、お答えは同じだと思いますので、時間もございませんので、最後にその辺の御決意を大臣が締めくくって答弁していただきまして、終わりたいと思います。
  213. 越智伊平

    ○越智国務大臣 道路であるとか公園であるとか公共施設につきましては、建設省としてはできるだけ助成するなり、そういうことで公共でやっていただいて、地価がはね上がらないように努めてまいりたい。今後市町村を十分指導してまいりたい。実際にそういうことが行われておる市町村もあるわけでございますが、今後十分指導をしてまいりたい。要は、でき上がった宅地ができるだけ安く売買ができるということに努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  214. 大野潔

    ○大野(潔)委員 質問を終わりますけれども、いずれにしても国が国らしい対策をとってもらいたい、これが国民の願いであり、特にサラリーマン全員の願いでもありますから、どうかひとつ建設省それから国土庁の皆さんのさらなる御健闘を願って終わらせていただきます。ありがとうございました。
  215. 中村喜四郎

    中村委員長 辻第一君。
  216. 辻第一

    ○辻(第)委員 今回の法改正消費者保護を中心にかなり改善がされたわけでございますが、関係業者にとってはいろいろと問題点指摘をされているわけでございます。その点を中心に何点か質問をいたしたいと思います。  まず、取引主任者に関する改正でございますが、専任取引主任者設置義務強化に関する改正で、政令で定める場所及び数はどのようになるのかお尋ねをいたします。
  217. 望月薫雄

    望月政府委員 具体的には建設省令で定めさせていただくことになりますけれども、今私ども考えている主たるところを申し上げさせていただきますと、継続的に業務を行うことができる施設を有する場所事務所以外のもの、これが一つでございます。それからデベロッパー開発した宅地を分譲する場合の案内所、これは設置して行う場合が多うございますのでこの案内所、あるいはまた同じようにデベロッパー開発した土地の売買のあっせんの依頼を受ける、そういった依頼を受けた分譲の代理者が現地に置く案内所、こんなところを予定いたしております。  改正のポイントでありますどのくらい充実するかということでございますが、私どもは、事務所につきましては従来十人に一人という割合で置く義務づけをしておりますけれども、今度はこれを五人に一人以上になるようにしたいというのが一点でございますし、案内所等につきましては最低一名は置くように、こんなことを予定をしておる次第でございます。
  218. 辻第一

    ○辻(第)委員 そうなりますと、一定の増員が必要になると思います。この必要人員の確保について、建設省はどのように対応されるつもりなのか、お尋ねをいたします。
  219. 望月薫雄

    望月政府委員 現在、宅建業に従事している職員というのは大体五十四万人程度と私ども掌握しておりますけれども、一方で取引主任者として登録を受けている者が三十五万人程度ございます。こういった実態を背景にしまして、今申しました案内所等設置の関係でございますが、案内所などは臨時のものであるというような実態がございますので、一体幾つあるかという正確な掌握はできませんけれども、大体私どもの推計では全国で七千くらいになるのじゃないか、こんなふうに考えている点がございます。そういった意味で、この関係では七千人という数字は出てくるわけです。  それからもう一つ事務所におきます設置義務でございますけれども、これは事務所実態というものを見てまいりますと、現在宅建業者の八割は従業者数五人以下というふうに推定されておりまして、こういったことからすると五人以下の事業者は既に今までも十人に一人とはいっても主任者を置いている。そうすると残りの二割くらいのものの中堅企業者、ここで主任者をふやさなければいかぬという事態が予想されますけれども、六十二年度の主任者試験の合格者数、大体四万人ございまして、それから先ほど申しました既に登録した人三十五万人、こういったことを考えますと、人事配置等によって適切に対応できるのじゃないか、こう思っております。そういった中ではございますが、この件については施行後六カ月間の猶予期間を置いて実施に移したいと考えておりますので、何とか十分な準備期間というものが確保できておるというふうに思っておる次第でございます。
  220. 辻第一

    ○辻(第)委員 今回の改正取引主任者登録基準強化により、実務経験年数を要件にするということです。今回の改正で必要となる取引主任者については、既に実務経験を有している方が試験に合格するか、あるいは新たに採用した人が試験に合格をして実務経験を積んでから登録するか、こういうことです。いずれにいたしましても、人事に関係する問題でありますから機械的に解決できない問題があろうと思います。特に中小の業者先ほど言われました五人以上の中小の業者、そこはいろいろと深刻な問題が起こる、そういう要素も含んでいると私は思うのです。ですから、必要な猶予期間あるいは指導期間あるいは先ほども申しましたけれども必要な取引主任者の確保等に万全を期していただきたいと思うのですが、その必要な猶予期間や指導期間について、もう一度お尋ねをいたします。
  221. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほど御答弁申しましたように、この件については六カ月間の猶予期間というものを置いて十分な配慮をその限りにおいてさせていただきますが、あわせまして片方で講習ということもやりまして、その辺の実際の対応に対して便宜を図らせていただきたいと考えているところでございます。
  222. 辻第一

    ○辻(第)委員 十分な対応をしていただきたいと要望しておきます。  次に、暴力団など悪質なものの排除のためとする改正が行われます。しかしこれだけでは、暴力団などであっても該当する罪による刑罰を受けていない者の名義にすれば排除できないということになります。この規定だけでは必ずしも暴力団等悪質なものの排除可能ということにはならないのではないか、このように考えるのですがいかがですか。
  223. 望月薫雄

    望月政府委員 おっしゃるとおりこの件は大変大事なポイントでございまして、現在の宅建業法実は四十六年に改正されて以降、いわゆる役員とか支店長というふうな公式のものでなくとも、実質的に経営上の支配力を持っているというようなものも含めて免許基準の審査に当たっては厳正に対処しているところでございます。  具体的に言いますと、顧問だとか相談役だとかいう格好で後ろに引っ込んでいるその人が実力者であって、しかもその人が株式発行総数の百分の五以上を持っているとか、過去において不正、不当な行為を行って免許を取り消されたことがあるとか、あるいはまた過去に処分を逃れるために廃業したとか、こういったふうな行為を行った者である場合は免許を与えないということでやらせていただいております。そういった意味で、免許の審査の厳正化ということが当然基本的に大事でございますが、この辺に関しまして特に昭和五十三年以降私ども行政実態として近隣都府県の間でもってお互いに情報を交換して、より緊密な連絡体制を図るということにも努めているところでございます。さらに加えて、六十三年度から私ども宅建業免許の審査事務OA化ということを進めたいというふうに考えております。今回の改正法が施行されるときまでに何とか全国的なこのシステムの展開というものも実現してまいりたい。こんなふうに考えて全きを期してまいる所存でございます。
  224. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ法改正以外での対応もあるようでありますが、従来私の聞いている範囲ではそうきれいごとでいかない問題がたくさんあったように私は認識をしているわけでございます。ぜひ本当に実効のある対応をやっていただきたい、お願いをいたします。  それから近年の土地高騰の中で一部不動産業者が不当な地上げ行為をやる、こういうことがたくさん見られました。まだ続いているというのが現状だというふうに見ておるわけであります。暴力団などの排除やこのような一部不動産業者違法行為、これに対する断固とした措置はもとより、不当な行為についても指導強化など十分な対応をされたい、このように考えるのですがいかがですか。
  225. 望月薫雄

    望月政府委員 お話しのように、不動産取引に当たりまして暴力団あるいは暴力的行為、こういったものが入ってくるということは我々極めてゆゆしき事態ということで非常に厳しく見ているところでございます。そういった意味で、特に昨年の十二月に改めて通達を出しまして、暴力団を利用した宅建業者、あるいはまたみずから違法行為を行った場合、当然でございますけれども、そういったものについては宅建業法の規定に即しまして宅地建物取引業に関して不正あるいは著しく不当な行為を行ったものというふうにとらえて監督処分をやっているという状況でございます。  特にここであわせて申し上げさせていただきますのは、昨年の九月に不動産関係の九団体が要するに暴力団排除のための強い申し合わせ、決議をいたしておりまして、私どもこの辺についてもむしろ業界自身の強い自助努力ということを非常に期待しております。そういった意味でこれからこういう事態が非常に整序されていくものというふうに期待しながら一層強く努力してまいりたいと思っております。
  226. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろと御努力はいただいておるようでありますが、違法行為に対する断固とした措置、また不当な行為に対しては本当に十分な強化をやっていただきたい、重ねて要望いたします。  次に、政令改正が予定されている営業保証金の問題について、その改正内容はどうなっているのか、お尋ねをいたします。
  227. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほどお話のありますように、今回の改正消費者保護をより強化するということに大変大きな眼目があるわけでございまして、その一環として営業保証金の引き上げも考えさせていただいております。これは具体的には政令で決めることになりますが、現在三百万円という営業保証金の額を一千万円に引き上げたいというふうに検討しているところでございます。この一千万ということについてはいろいろな御意見もその業の方においてはあり得るところと思いますけれども、私どもは、今回の御提案申し上げている趣旨に即してみますると、本当に健全な発展、信頼ある業の確立というためにはこの程度の負担はぜひお願いしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  228. 辻第一

    ○辻(第)委員 この保証金は、既に免許を受けている業者の場合は政令改正後直ちに追加分を納めることになるのかどうか、いかがですか。
  229. 望月薫雄

    望月政府委員 先ほどの御答弁にちょっと補足させていただきますと、あわせて中小零細業者の方の問題も一つございます。中小零細業者の方については保証協会に加入していただくという格好で、これにかわるべき措置が準備されておりますが、これの保証金分担金というものは、御案内のとおり現在二十万円でございます。これを六十万円程度に引き上げたいというふうに考えておりますが、いずれにしても追加の問題が出てまいります。これについていろいろ各企業の事情も考慮に入れながら、私どもとしては三カ月問の猶予期間を設けさせていただきたいと思っております。
  230. 辻第一

    ○辻(第)委員 三百万円を一千万円に引き上げる問題は、中小零細業者では今度の法改正の中で最も大きな問題点と受けとめております。先ほどお話がありましたように、この業界は「従業者規模別事業所数をみると、四人以下の事業所数のシェアは全産業平均が七九%であるのに対し、不動産業は九五%と極めて高い。また、一事業所当たり平均従業者数も全産業が七・九人であるのに対し、不動産業では二・六人と中小零細性が際立っている。」これは「二十一世紀への不動産業ビジョン」の中にこういうふうに書かれているわけでありますが、中小零細業者にとって七百万円の積み増しというのは本当に大変な負担増だ、このように私は思いますし、そういうことを中小企業者の方が切実に訴えておられるわけでございます。  今分担金のお話がありました。私も存じ上げているわけでありますが、こういう保証金の引き上げというのは安全かつ円滑な取引に必要であるということもよくわかるのでありますが、しかし、この七百万円の引き上げというのはやはり引き上げ幅が大き過ぎる、こういうふうに思います。それから、その分担金は協会に入れば今は二十万ですか、それが六十万になるのですね。しかし、どうしてもそういう協会に入りたくないという方も少数ではございますけれどもおられるのです。その理由はいろいろあるのですが、協会の物の進め方だとか考え方あるいは方向だとか、どうしてもそれが気に食わない、もう絶対に入らないという人があるのですね。それからまた、今度の分担金ということになりますと、一千万円が六十万で済むのですか、これはえらいメリットがあるのです。ほかの点では協会に入っても余りメリットがないというような人もあるのですね。ごく少数でありますがこういう方もおられるのです。こういう方も含めて、やはり私はこの三百万が一千万になるというのはちょっと多過ぎるのではないか、もう少しお考えはないものか、このように思うのですが、いかがですか。
  231. 望月薫雄

    望月政府委員 先生から今具体の、個々の企業者立場での御感想、御感触みたいなお話を伺ったわけでございますが、私ども行政を預かっている立場で申し上げさせていただきますと、個々業者の事情はいろいろありましょうけれども基本的にはできるだけ協会等に御加盟いただいて、秩序ある業界としての整々とした仕事に励んでいただきたい、こういう気持ちは基本的に実は持っております。  そういった気持ちを持ちながら、実は最近の事故率をちょっと見てまいりますと、業界団体に加入している業者と加入していない業者では、東京都の調査の例なんか見ましても、やはり加入していない方の方がいわゆる事故率がかなり高いという現実もございます。そういった意味も含めましてできるだけ、特定のどこということは私どもは関知することではございませんけれども、何らかの団体に加入していただくということの方がこれからの業界の健全な発展のために望ましいのではないか、こんなふうに考えているわけでございますが、その中でも、どうしても加入、入会はいやだ、こういう方もいらっしゃることは事実と思いますけれども、こういった方については営業保証金の供託ということで措置していただくほかはない、非常に冷たい言い方でございますが、そんなふうに考えている次第でございまして、何とか御理解を深めていただきたいと思う次第でございます。
  232. 辻第一

    ○辻(第)委員 大局的にはそういうお話もようわかるのですけれども、少数者の声をひとつよくお考えをいただきたいと思います。  専属専任媒介契約制度に関連をしてお尋ねをいたします。  この制度では、政令の定めるところにより物件情報の登録を義務づけることになるようでありますが、どこにどのように登録をし、またその情報の活用はどのように行われるのか。
  233. 望月薫雄

    望月政府委員 今回の専属専任媒介契約を御提案申し上げている大きなねらいの一つ不動産流通市場近代化ということであるわけでございまして、いわば不動産流通情報というものを一つのシステムの中でもって非常に広く提供していただくということがねらいでございます。そういった意味で私どもが考えておりますのは、建設大臣が指定した優良な流通機構、ここにひとつ御参加願いたいというふうに考えている次第でございます。このことによって情報が集まる、広く開かれるということで、成約もまた迅速化されるというふうに考える次第でございます。
  234. 辻第一

    ○辻(第)委員 今おっしゃいました優良な流通機構というのはいわゆるレインズというようなことなんですね。もし業者がそれを利用しようとすれば、一定の機器、機械が必要になるということでありますが、どの程度のものが必要になるのか、レインズと業者の関係はどうなるのか、お尋ねをいたします。
  235. 望月薫雄

    望月政府委員 おっしゃるように、不動産情報システムをこれから確立していく中で、私ども建設省として非常に推奨してまいりましたレインズ、これは大変有力なシステムというふうに念頭に置いております。このレインズを導入することについて、先生、今私ちょっと聞き間違えていると大変御無礼でございますが、いろいろと中小零細業者の方にも負担があるということを含めての御質問かと思いますが、それについては、当然加入していただきますとファックス等を備えていただくということに伴っての一連の経費は御負担願わなければならぬということに相なります。
  236. 辻第一

    ○辻(第)委員 重ねてお尋ねしますが、専属専任媒介契約を結ぶには指定流通機構への登録が必要だ。そうなりますと、その業者がレインズ等への加盟、機器の設置等を行っていることが前提条件ということになるのですか。
  237. 望月薫雄

    望月政府委員 情報網をひとつ整備しようという中でございますから、結論的に、今先生おっしゃったとおり、当該流通機構の会員であることが必要になります。
  238. 辻第一

    ○辻(第)委員 例えば東京圏ではどうなるのか。ここには現にレインズを導入している流通機構がございますね。ほとんどが法人か株式会社でございますが、東京圏では東京レインズや埼玉レインズ、これはホストを東京レインズと共用しているなど、全宅連系のレインズがございます。また、大手業者による不動産センターの霞ケ関レインズ、さらには全日本不動産協会の全日関東レインズがございます。一方で、一経済圏域一流通機構という建設省考え方もございます。東京レインズと霞ケ関レインズの連合体を東京圏の指定流通機構とするとの意向があると伝えられておりますが、この場合、全日レインズなどとの関連もどうなるのかなどの問題がございます。  どのレインズが指定流通機構になるという問題もありますが、専属専任媒介制度をつくり、指定流通機構への登録を求めながら、その指定流通機構への登録が例えばその母体となった協会、団体の加入員でなければならないとすれば、問題があるのではないか。法令で登録を求めつつ、特定の団体に加入しなければならないとか、どの協会、団体にも入っていない業者には流通機構への登録を認めないということになりますと、この制度により特定団体への加入を誘導するという問題が生じることにはならないか。私は、そういう問題、登録はオープンでなければおかしいというふうにも思うのですが、どのようにお考えですか。
  239. 望月薫雄

    望月政府委員 おっしゃるとおり、現在東京には三つのレインズが存在しているわけでございます。ただ、先ほどお話し申し上げているように、今回の御提案申し上げている趣旨は、不動産流通情報というものを非常に広域化してオープンにして近代的な流通市場の形成を急いでいこうということが最大のねらいでございます。そうなりますと、私ども率直な気持ちとしましては、今後関係のレインズ代表者が提携、統合に向けて協議され、情報の共有化が図られる方向に実現していくことを期待いたしている次第でございます。  今先生おっしゃったように、今度は特定の団体に入ってないものがレインズを利用できないということについての御指摘でございますが、レインズの問題というのは、その根っこにおいては当然業界としての体質強化あるいは信頼産業への道ということがあるわけでございまして、現在全国で十一万業者のうち何らかの団体に入っていないという人が一万社ございます。言うなれば、一割弱のものが未加入ということになっておりますが、基本的には私どもこういった方々においても特定の団体ということを必ずしも申し上げる立場ではございませんが、何らかの業界団体に加入していただいて何とかこの広域情報システムの中に御参加いただくという方向が当然望ましい方向ということで考えている次第でございます。
  240. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、レインズの利用料金なんかに幅がありますね。それは大手となにと違うという話も聞いたのですが、また現在、図面の配送業者があるレインズでは大体三割、情報提供される三五%が直接情報提供される、また三五%が事務代行というかそういう形でやられているという問題ですね。あるいは情報登録の方法とそのスピードの問題などいろいろレインズにかかわる問題があるというふうに思うわけでございます。こういう点について建設省考え方を簡単にお答えをいただけたらと思います。
  241. 望月薫雄

    望月政府委員 まず、レインズの利用料金のことを触れられましたのでちょっと簡単に申しますと、これはおっしゃるように、構成員の数だとかいろいろな事情によっていささかの違いが出てくることは当然あろうかと思いますけれども、東京レインズの場合で、これは現在四千社ぐらいがメンバーと思いますが、それで申しますと、端末のリース料が月五千円とか会費が三千円、あとファクシミリ用紙代がその都度要る、こんなようなことでございます。そういったシステムでございますが、このレインズシステムというのは、センターに即時に情報が登録できるというのが非常に特徴でありますのが一点と、もう一つは、パソコン等を端末に置くわけですけれども、総じて非常に操作しやすいというふうに言われているものでございまして、どちらかというと簡便なシステムということになっております。ただ、そうはいいましても、このパソコンの操作あるいはファックスの利用というようなことについてなかなかふなれな方も現実に大勢中にはいらっしゃるわけでございまして、そういった中から、今お話しのように、本部の事務局があるいは代行しているというようなことがあるのも事実でございます。しかし、今現在我々が考えられるどっちかというと最も利用しやすいシステムでありますだけに、今後また直接登録の研修なんかも精力的にやらせていただいて、何とかこのシステムをベースにこれからの普及を図っていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  242. 辻第一

    ○辻(第)委員 宅地建物取引にかかわる苦情紛争というのがかなりございます。ある時期に比べますとかなり減少したというふうに聞いておるわけでありますが、最近のその件数というのはどのようになっておりますか、お尋ねをいたします。
  243. 望月薫雄

    望月政府委員 宅地建物取引業をめぐりますいわゆる苦情紛争状況でございますが、建設省あるいは都道府県に持ち込まれているものを申し上げさせていただきますと、五十四、五年ごろは大体年間三万件ぐらいございましたが、最近では、六十一年度の実態で一万二千件、こういう状況でございます。  この一万二千件のうち、苦情相談の内容が判明しているもの——実は判明していないものもありまして、判明しているものが九千三百件くらいございます。その中で主なものを申し上げさせていただきますと、重要事項の説明を十分にしていない、こういったものが二八・四%を占めております。あるいはまた、契約の解除に関してトラブルがあるもの、これが一二%、登記あるいは引き渡しにかかわるもの、こういったものが七%、あるいはまた、ちょっと先ほど出ていましたけれども手付金とか中間金等預かり金の返還についてのトラブルというのが八・三%、こんな状況でございます。
  244. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、大臣に御要望申し上げます。  今御答弁いただきましたああいうような宅地建物取引にかかわる苦情紛争が大分減ったようでありますが、まだ一万二千件ですか、相当ございます。これにつきましては、未然に防止することが重要であることはもちろんでございますが、この苦情紛争に対する適切な処理体制といいますか、どこへどういうふうに相談すればいいのかとか、案外わからない方が多いようにも聞いているわけでございます。そういう体制をもっと充実強化をしていただきたい、このことを強く御要望申し上げるわけでございますが、大臣の御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  245. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今の紛争の問題でありますけれども、確かに紛争はたくさんございます。一つには、必ずしも宅地建物取引業免許を受けてない方が行われるものも含めて宅建業者と言われるわけであります。もちろん、免許を受けないでこういう業を行っておるものについては十分取り締まっていきたい、こういうふうに思います。  それからもう一点は、地上げ屋地上げ屋といいますか、この地上げも必ずしも宅建業者だけではないのであります。宅建業者も確かに、東京が主としてでございますけれども宅建業者でないのもあります。  そこで、今の紛争の処理でありますけれども、今後十分配慮して進めていきたい、そうして今の法を強化してそういう指導取り締まりが十分できるように、これがこの法律の目的でありますから、御了解をいただきたい、かように思う次第であります。
  246. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  247. 中村喜四郎

    中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  248. 中村喜四郎

    中村委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  249. 中村喜四郎

    中村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  250. 中村喜四郎

    中村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中広務君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。矢追秀彦君。
  251. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ただいま議題となりました宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、すでに質疑過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、こ際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。    宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 最近における宅地建物取引業実態にかんがみ、悪質な業者を排除し、資質向上及び業務適正化について強力に指導するとともに、中小業者保護・育成に十分配慮すること。  二 宅地建物取引にかかる苦情紛争の未然防止に努めるとともに、その適切な処理体制の充実強化を図ること。  三 事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等に関する制度従業者証明書制度等については、本改正趣旨周知徹底に努めること。  四 専属専任媒介契約制度については、中小業者の過重な負担とならないように配慮しつつ、その導入を図ること。  五 購入者等の保護の充実を図るため、営業保証金の額及び宅地建物取引主任者設置割合について適切な見直しを行うこと。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  252. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  253. 中村喜四郎

    中村委員長 起立総員。よって、野中広務君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣
  254. 越智伊平

    ○越智国務大臣 宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案につきましては、御審議をお願いして以来、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。  ここに本法案審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  255. 中村喜四郎

    中村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  257. 中村喜四郎

    中村委員長 次に、内閣提出都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。越智建設大臣。     ─────────────  都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  258. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいま議題となりました都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、都市環境の整備改善、住宅事務所の供給の促進等の要請が高まっておりますが、これらに対処するためには、市街地の計画的な再開発を一層推進することが重要であります。  特に、産業構造の転換、物流交通体系の変化等に伴い、都市内においてまとまりのある空閑地等が大量に発生しており、このような区域について一体的かつ総合的な市街地の再開発を誘導することが重要な課題となっております。  そこで、市街地再開発事業について施行区域要件の緩和及び権利変換手続の特則の拡充等を行うとともに、再開発地区計画に関する都市計画を新設し、その区域内における建築物に関する制限の特例を設けるため、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず、都市開発法改正についてであります。  第一に、市街地再開発事業の施行区域内の耐火建築物の割合の算定に当たり、容積率の低いものは耐火建築物に含めないこととするとともに、耐火建築物に含めないこととされている建築面積の小さいものの範囲を拡大することにより、施行区域要件を緩和することとしております。  また、地方公共団体等の施行する市街地再開発事業について、権利変換手続の特則を拡充するとともに管理処分手続の特則を新設することとしております。  第二に、土地の利用状況の変化が顕著であること、十分な公共施設がないこと等の条件に該当する土地の区域で、一体的かつ総合的な市街地の再開発を実施することが適切であると認められるものについては、都市計画に再開発地区計画を定めることができることとしております。  再開発地区計画に関する都市計画には、区域の整備及び開発に関する方針、道路、公園等の公共施設の配置及び規模並びに再開発地区整備計画を定めるものとしております。この再開発地区整備計画には、必要に応じて、地区施設の配置及び規模、建築物の用途、形態、敷地等に関する事項その他土地利用に関する事項を一体的に定めることとしております。  第三に、再開発地区計画が定められた区域内において建築行為等を行おうとする者は、市町村長に届け出なければならないものとし、市町村長は必要があると認めるときは勧告ができることとしております。  第四に、再開発地区計画の区域のうち再開発地区整備計画が定められていない区域内の権利者は、建築物、公共施設等の整備に関する事項を内容とする協定を締結した場合には、再開発地区整備計画を定めるべきことを要請することができることとしております。  次に、建築基準法改正についてであります。  再開発地区計画に容積率の特例が定められている区域内において、その計画の内容に適合する建築物で、特定行政庁が支障がないと認めるものについては、容積率をその特例の範囲内のものとすることができることとしております。  また、再開発地区計画の区域内の建築物について、特定行政庁の許可により斜線制限を緩和することができることとするとともに、用途の制限の例外許可についての特例を設けることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  259. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十一分散会      ────◇─────