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1988-04-15 第112回国会 衆議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十五日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 中村喜四郎君    理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君    理事 東   力君 理事 中村  茂君    理事 矢追 秀彦君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       大塚 雄司君    金子原二郎君       木村 守男君    北村 直人君       桜井  新君    武村 正義君       虎島 和夫君    松田 九郎君       小野 信一君    木間  章君       坂上 富男君    三野 優美君       薮仲 義彦君    伊藤 英成君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君  出席政府委員         建設政務次官  古賀  誠君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         参  考  人         (東京理科大学         理工学部教授) 石原 舜介君         参  考  人         (住宅新報社顧         問)      畑中 達敏君         参  考  人         (全国公団住宅         自治会協議会幹         事)      多和田栄治君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  丸山 良仁君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  倉茂 周明君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  渡辺  尚君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   大塚 雄司君     虎島 和夫君   橋本龍太郎君     北村 直人君   大野  潔君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君   虎島 和夫君     大塚 雄司君   薮仲 義彦君     大野  潔君     ───────────── 四月十五日  宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)(参議院送付)  都市開発法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第六五号) 同月十四日  高速道路料金障害者割引内部障害者にも適用に関する請願鹿野道彦紹介)(第一四五〇号)  同(増岡博之紹介)(第一四五一号)  同(若林正俊紹介)(第一四五二号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第一四六九号)  同(村上弘紹介)(第一五一二号)  東京周辺地区開発に伴う丸の内駅舎の復元と保存活用に関する請願長谷川峻紹介)(第一四六八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案内閣提出第六四号)  住宅に関する件(住宅都市整備公団家賃変更申請に関する問題)      ────◇─────
  2. 中村喜四郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  住宅に関する件について調査を進めます。  去る三月三十一日、建設大臣に提出されました住宅都市整備公団家賃変更申請内容等につきまして、建設政務次官から説明を聴取いたします。古賀建設政務次官
  3. 古賀誠

    古賀政府委員 概要について御説明を申し上げます。  昭和六十三年三月三十一日付で住宅都市整備公団から提出されました賃貸住宅家賃等変更についての承認申請概要は次のとおりであります。  第一に、家賃変更する理由としまして、これまで、昭和五十三年度及び昭和五十八年度家賃変更を行ってきたところでありますが、従来、家賃変更に当たっては激変緩和に配慮したこともあって、変更後の家賃はいまだに低い水準にあり、賃貸住宅相互間に不均衡が生じているため、この不均衡是正することとしております。  第二に、家賃見直し対象とする住宅は、原則として、管理開始年度の翌年度から起算して三年以上を経過した住宅としておりますが、傾斜家賃適用中の住宅及び傾斜家賃終了後三年を経過していない住宅等一定の要件に該当するものについては除くこととしております。また、家賃変更期日としては、昭和六十三年十月一日としておりますが、昭和五十九年度及び昭和六十年度家賃見直し対象となった住宅等については、変更期日を一年間繰り下げることとしております。  第三に、変更家賃算定に当たっては、公営限度額方式に準ずる方式により算定される額を基準として、公団賃貸住宅相互間のより適正な家賃均衡を図るため、立地条件等調査結果により、一定補正を行い、この補正後の額と現行家賃との差額の二分の一を現行家賃に加えた額を基準とし、引き上げ限度額を、一居住室住宅にあっては八千五百円、二居住室住宅にあっては九千五百円、三居住室以上の住宅にあっては一万五百円としております。この結果、公団の試算によれば、昭和六十三年度家賃変更が実施される住宅については、平均約四千七百円、約一八%の家賃変更となり、また、昭和六十四年度家賃変更が実施される住宅については、平均約三千円、約九%の家賃変更となります。  第四に、家賃変更に当たっては、生活保護世帯並びに老人世帯母子世帯及び心身障害者世帯生活に困窮するものについては、従来と同様に家賃減額特別措置を講ずることとしております。  第五に、家賃変更による増収額は、維持管理経費及び家賃の抑制に要する費用に充てるものとしております。  第六に、家賃変更に伴い、敷金変更家賃の三カ月分に相当する額に変更することとしております。  以上が今回の申請概要であります。  なお、前回家賃改定の際、当委員会委員長から、「公団は、今後の家賃改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」との御要望がありましたので、これを受けまして、公団において家賃改定ルールづくりを行い、これに基づいて、この申請が行われたものと考えております。  建設省としては、本申請を受けて慎重に検討を行ってまいりたいと存じますが、本日の建設委員会におきましても、本件について十分御意見を拝聴させていただきたいと考えております。  以上でございます。
  4. 中村喜四郎

    中村委員長 本日は、本件調査のために参考人として、東京理科大学教授石原舜介君、住宅新報社顧問畑中達敏君及び全国公団住宅自治会協議会幹事多和田栄治君に御出席を願っております。  この際、参考人各位委員長から一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変御多用中のところにもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  参考人各位におかれましては、それぞれの立場で忌憚のない率直な御意見を聞かせていただければ幸いに存ずる次第でございます。  なお、参考人皆様方には、時間として十分程度意見をまずお聞かせをいただきました後、委員各位からの質疑等に対してお答えをいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。  それでは、まず、石原参考人お願いをいたします。
  5. 石原舜介

    石原参考人 ただいま御指名いただきました東京理科大学石原でございます。  私は、住宅都市整備公団基本問題懇談会一員でございまして、その下に設けられております家賃部会部会長をさせていただいております。  そこで、本日は、まず初めにこの家賃部会の運営についてお話し申し上げ、次にその部会におきましてなされました主要な討議内容につきまして御報告申し上げ、そして最後に私の私見を述べさせていただきたいと思っております。  まず、前回昭和五十八年の家賃改定に当たりまして、衆議院及び参議院、両院の建設委員長より建設大臣への要望事項がございまして、その八項に、大臣全国公団住宅自治会協議会公団との間の係争をできるだけ早く解決するようにあっせんしろというような内容のことがございました。そこで、このために建設大臣和解への努力をされまして、その紛争解決が六十年の三月に図られたわけでございます。その際に了解事項といたしまして、基本問題懇談会家賃部会全国公団住宅自治会協議会代表居住者一員として参加させることになったわけでございます。  そこで、家賃部会では、六十年の四月九日に、これは継続的でございますが、第五回になるわけでございますが、新規には初めての家賃部会につきまして、全国公団住宅自治会協議会代表の方としまして井上氏の参加を得まして家賃部会を開催いたしました。その際、今後の家賃改定及び第四次空き家家賃改定に当たっての評価手法についてどういうふうに取り計らうかということを協議いたしまして、これを専門委員会の四名の専門的な方々、当時東大の教授をされておられました下総委員、それから明治大学の玉田委員、それから鑑定士といたしまして林氏、それから弁護士の梶谷氏の四名に専門的にひとつ御検討をいただきまして、そのたたき台もと家賃部会検討するというふうな運びにしたわけでございます。  それから、六十年の六月二十七日に、第四次空き家家賃につきまして専門委員会の方でまとめられましたたたき台が出ましたので、それをもと協議をいたしたり、それから六十二年五月二十八日には、現地調査ということでひばりが丘並び多摩ニュータウン永山地区を視察いたしました。それから六十二年十二月二十一日に、二年半に二十数回にわたる専門委員会検討の結果を御報告いただきまして、それをたたき台といたしまして審議に入ったわけでございます。  その審議過程におきましていろいろ問題が出されたのは後ほど申しますが、自治会協議会代表でございます井上委員の方から幾つかの質問が文書で出されました。例えば、一月二十五日の部会に対しまして七項目、二月十七日の部会に対しましては実に五十三項目もの非常に多方面にわたる質問が出され、こういうような質問事項などをもとにいたしまして審議を重ねていき、そして二月二十四日の会には家賃改定ルール及び家賃改正案に対する意見が提出されました。最終的には三月四日に取りまとめをしたわけでございますが、どうしても賛成できないということでございましたので、多数の方々の御了解を得ているということもございまして、その修正した原案を一応了承したということにいたしまして、三月十五日の基本問題懇談会の方へ提出したわけでございます。  そういうような経緯をたどりまして家賃部会というものは運営されたわけでございますが、その中で出されました主な意見に関しまして若干触れさせていただきます。  まず一つは、ルールづくりはこれでよいのかというようなことが問題になりました。  二番目としまして、今公団家賃改定必要性が果たしてあるのか。  三番目といたしまして、補正方法につきまして、民間家賃並みというような表現がやや多いので誤解を招くおそれがあるので、正確に意図を伝えるような表現を行うべきではないか。  四番目といたしまして、家賃改定するなら修繕及び居住性向上を強く望むというようなことで、こちらの方にお金をできるだけ回してもらいたいというふうな要望でございます。  五番目といたしまして、見直し周期三年は、これまでの五年をなぜこういうふうに三年に変えるのか。  六番目といたしまして、居住者の年齢が逐次高齢化してきておりますので、所得も低い階層が多くなっているので、果たして第三分位の中位の所得として考えることが適当かどうか。  七番目としまして、敷金につきまして、過去二回の家賃改定の際に見送りになっているので、またこれを蒸し返すのかというような話。  八番目といたしまして、文章が余りにも官僚的ではないだろうか。居住者に理解しやすいような表現を使うべきではないかというふうに意見が多く出されたわけでございます。  そこで、こういうような意見をそれぞれ審議してまいったわけでございますが、その結果は先ほど政務次官の方から御報告があったとおりでございまして、いろいろな意見の中で私自身が考えます主なもの、三つばかりについてお話ししたいと思います。  まず、この公営限度額方式に準ずる算定方法というのが果たして妥当かどうかということで、これは専門委員会におきまして不動産鑑定評価法とか基準家賃による方式だとかいろいろな方式検討された結果、やはり何といいましても、当初家賃との関連性があり、また住宅の規模、構造、古さ等を算定の中に反映できるし、それからまた大量の住宅を統一的に処理していく便宜性があるとかいうようなことがございます。しかし、この中で一番欠陥とされております立地条件とか環境条件を反映する問題が若干足りないので、この点の補正率を設けたということは今回非常に進歩した点じゃないかというふうに考えております。特に自治体によりまして固定資産税評価額が非常にまちまちでございまして、一部には評価額そのものが割合時価といいますか、そういうものに対しまして四割近くというようなものもございますが、そういうものに比較いたしますと東京などは割合低い値になっております。そういうようなバランスを図るということが非常に重要ではないかということで、こういう調整が必要だと思います。  それから周期見直しにつきましては、周期を余り長くいたしますと、やはり家賃値上げ額が非常に大きくなるというような問題もございますし、それから固定資産税周期との一致化ということは今後も非常に便益が図れるのじゃないかというふうなことが考えられるわけでございまして、または五月雨的な今までの改定方式では事務量ばかりふえてどうも余り適当ではないというふうに考えます。  それから、家賃適正化の結果生ずる増収額は、今回ちょっと修繕というもののほかに居住性向上を図るというところに踏み込んでおりますので、今後修繕ばかりでなくて、居住者居住性向上させるためにこれらのものを使っていくというような点に少し大きな発展があったというふうに考えております。  以上、時間がちょっと超過いたしましたが、一応私の意見を終わります。(拍手
  6. 中村喜四郎

    中村委員長 ありがとうございました。  次に、畑中参考人お願いをいたします。
  7. 畑中達敏

    畑中参考人 ただいま御指名をいただきました畑中でございます。  私は、住宅新報という住宅不動産専門新聞顧問をいたしております。それからまた、住宅都市整備公団基本問題懇談会委員をさせていただいておりますし、今回、家賃改定審議いたしました家賃部会一員も務めさせていただいております。しかし、本日はその家賃部会一員という立場ではなく、私の個人としての今度の家賃改定必要性やその中身について意見を申し述べさせていただきたいと存じております。  さて、今度の改定ですが、まず必要性ということが初めに考えられなければならないと思うのでありますが、御存じのように、公団既存賃貸住宅継続家賃一般物価水準所得水準などに比べてかなり低い水準にあるということは否定できないことではないかと考える次第であります。それは、公団住宅がこれまで五十三年と五十八年の二回家賃改定をいたしましたが、それまで二十何年間当初家賃のままずっと据え置いてきたそのひずみが前二回の改定で払拭し切れていないということでありまして、そのひずみがいろいろ不均衡あるいは不公平というようなことを生んでいるのもまた争えないことではないかというふうに考えております。そのひずみを是正するために低い水準にある家賃というものを適正なところまで引き上げていくということはぜひ必要ではないかというふうに考えております。  公団が今度の改定申請書につけた説明書を見ますと、そのゆがみの是正として公団が必要と考えているのは、第一は公団住宅相互間の家賃の不均衡是正、第二が維持管理費の確保、第三が国民的視点から公的サービスに対する受益者負担適正化することが必要だというふうに説明しております。  公団住宅という公的な施設を管理運営する責任ある立場にある公団としまして、新旧住宅の間の家賃の不均衡がある、あるいは維持管理費用を確保するのが因難であるということが大変重要な経営上の問題でありますので、その観点から今回の値上げ申請をしたのは当然ではないかと私は考えております。  しかし、私たち一般国民の目から見てもう一つ強調しなければならないのは、民間家賃との不均衡というかアンバランスがかなり大きいということではないかと考えております。公団住宅民間賃貸住宅家賃比較はなかなか正確に行いにくいのでありますが、私のところの住宅新報で毎年二回、春と秋に全国家賃調査をしております。それとの比較を御参考までに申し上げたいと思います。  例えば公団赤羽台団地ですが、この団地JR赤羽駅から徒歩十分のところにございまして、昭和三十六年から入居が始まっております。そこの二DKの当初からの継続家賃は現在二万五千円であります。それでは民間家賃はどのくらいかと申しますと、同じ赤羽駅から十分ないし十五分のところにあります二DKマンションがことし二月一日現在の調査ですと、下限、最も安いところが八万円、それから上限、高いところは十万五千円となっております。少なくともこれで見る限り公団家賃民間家賃の三分の一ないし四分の一以下ということになります。  それから、これは別のところの調査でございますが、同じ赤羽台団地家賃単価周辺民間マンションの二DK家賃単価を比べたものがございます。これを見ますと、公団の二DKは一平方メーター当たり五百九十九円であります。これに対し民間は大体千七百円から千八百円ということになっております。これで見ましてもやはり公団民間の三分の一くらいになっております。民間マンション公団といろいろ条件の違いがありますので、この数字はそのままではないかもしれません。調査の仕方によっては格差が縮まるかもしれませんし、あるいは開くかもしれませんが、相当の不均衡があると考えていいのではないかと考えております。  現在、新規に供給される公団賃貸住宅家賃を軽減するために年間約千七百億円の財政資金が援助されているということであります。その一方、公団住宅に入りたくても入れない人がたくさんいて、その人たち家賃の高い民間住宅で我慢しているわけであります。公団によりますと、空き家入居募集に応じた人が四大都市圏年間約六十万人あるということでありますが、そのうち公団住宅に入れた人は一割程度にすぎないということであります。そういう状況を考えますと、既存賃貸住宅家賃を余りに低い水準に置いておくということは全体としてやはり公平を欠くと私は考えております。公団住宅公共住宅ですので、民間比較したからといって民間並み家賃にしろということではございませんが、公共住宅だからといって経済や社会の変動にマッチしない、対応しない低い水準であるということはやはり問題であろうと考えます。  次に、引き上げ額算定方式でございますけれども、今回も前回あるいは前々回と同様に公営限度額方式基本として使っております。この公営限度額方式というのは大変便利な方式であると私も考えますが、公営住宅公団住宅とはやはり政策目的が違いますので、これをそのまま単純に使っていいのかどうかというのはかねて疑問を持っているところであります。  その疑問のところといいますのは、公営限度額方式の便利なところは、非常に平均的な指数で継続家賃改定算定ができますので大量に統一的に処理できるということなのでありますが、それが逆に公団のように全国各地住宅を建てているところ、しかも政策目的中堅勤労者にできるだけいい住宅を提供するというふうなことを考えますと、適正な家賃評価というものは公営限度額方式ではなかなかできないのではないかと思っております。  しかし、これにかわる案を編み出すのはそう簡単ではありませんので、今回この方式算定したというのは適当ではないかと考えております。ただ、不動産の価格や賃料を正しく評価するには一つ方式ではなくて複数の手法を併用するのが原則だというのが不動産評価では言われておりますので、将来はそのような方向で検討するのが望ましいのではないかと考えております。  また、従来の算定でもそうでしたが、今回も限度額方式算定した額の二分の一を値上げのとしております。これは激変緩和ということでそうしているのでありますが、この措置を続けていった場合に不均衡是正がいつまでもできないのではないかと思う次第であります。例えば、現在でも空き家家賃公営限度額方式算定した額をそのまま値上げの額としているわけですが、このままですと継続家賃空き家家賃との格差はだんだん大きくなっていくのではないかと思います。この間の不均衡あるいは不公平は結局是正できないことになるのではないかと思いますので、この点の検討が今後の課題ではないかと思っております。  今度の改定では団地間の不均衡是正するために地域補正という方式を導入しましたが、これは先ほども石原先生も御説明になりましたけれども、公団家賃算定としては一歩前進ではないかと考えております。  今回の改定による値上げの額は平均で月額四千七百円、値上げ後の家賃額は三万七百円となるということですが、この家賃額は六畳一間の木賃アパートがやっとという額ではないかと思います。ちょうど現在、我が国の景気は非常によくなっておりますし、この景気は相当長く続く大型景気になると予想されておりますので、今回の改定はそう無理のあるものではないと考えております。  以上で私の陳述を終わらせていただきます。(拍手
  8. 中村喜四郎

    中村委員長 ありがとうございました。  次に、多和田参考人お願いをいたします。
  9. 多和田栄治

    多和田参考人 御紹介いただきました全国公団住宅自治会協議会幹事多和田栄治でございます。私は国立市にある国立富士見台団地昭和四十年建設当初から住んでおります。  今回の公団家賃値上げに関し、大臣承認に先立って国政の場で集中審議をいただき、公団賃貸住宅居住者である私に参考人発言の機会を与えていただきましたことに、委員長初め各会派の理事の皆さん、委員の諸先生方に深く感謝を申し上げます。  ここに全国公団住宅自治会協議会代表し、全国公団居住者の意向を体して、今回公団の決めた家賃改定ルール値上げ実施案に反対する立場から意見を申し上げます。  初めに、私たちはなぜ反対するか、三つの点に絞って理由を挙げ、基本的な問題に触れさせていただきます。  公団において取りまとめられました「今後の家賃改定のあり方」と、それに沿っての値上げ実施案は、第一に、国会要望決議趣旨に反している、第二に、その内容公団本来の使命に背いた不当な高家賃化を指向している、第三に、居住者の実態と住宅設備の古さの実情を無視している、この三点にあります。  まず第一に、公団家賃改定ルールづくりに際し、国会要望決議趣旨を誠実に守ってないという点です。  公団基本問題懇談会家賃部会に諮ってルールづくりに着手し、その審議に私たち公団自治協代表を加えたことは、前回昭和五十八年四月の衆議院及び参議院建設委員会住宅都市整備公団家賃値上げに関する要望事項とそれに基づく家賃裁判和解に至る当事者間の協議及び建設大臣のごあっせんによるもので、その限りでは両者の関係の円滑化に向かう大きな第一歩でした。ルールができるまで次回値上げはしないと昭和五十九年の九月二十二日、裁判和解に向けての公団との協議の席上での公団の約束もあり、十分な審議によるルールづくりに対して私たちは大いに期待しておりました。ところが、実際には昨年十二月二十一日になって公団自治協の代表が参加する基本家賃部会は、団地視察を除くと二年半ぶりに開かれ、公団からルールの素案とセットして十月実施を決めた値上げの具体案が示された、これを一読して、まず初めに値上げありきという感を強く持ちました。前回昭和五十八年値上げのときの国会集中審議においても、基本家賃部会の論議が結局値上げ実施にのみ終始したということについてはこの席でも反省の意見が出たはずでございます。その後の経過も、私たちが危惧したように、十月値上げ実施のための大臣申請の日程に合わせてルールの取りまとめを急がれたのか、家賃部会での審議は極めて不十分なままに部会は四回で打ち切られました。  公団が初めて家賃改定ルールづくりに入るのですから、公団住宅の使命と役割、公団経営及び住宅管理上の諸問題、居住者生活実態等の基本的な問題が前提として論議され、家賃改定審議される際には高家賃引き下げの方策等についてもあわせて問題とされるべきは当然です。私たち全国自治協の代表は、第一義的に審議すべき課題であるルール値上げ案の審議は切り離しをするよう主張いたしましたが入れられず、一挙に値上げ実施案が決められたというのが実情でございます。  こうしたルールづくりの経過は、国会要望が適切な手続に基づく必要なルールづくりを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮することを求めている趣旨にほど遠く、国会軽視と言わざるを得ません。  第二に、このルールは市場家賃に連動させて公団住宅全体の高家賃化を図るものとなっている点です。  公団家賃は年々地価及び工事費の上昇を反映して高額化しております。家賃の不均衡は当初家賃の算出方法そのものから来ており、家賃の不均衡是正を第一の値上げ理由にするというのは納得いきません。この不当性については、既に前回の国会審議でも当協議会の代表参考人発言をさせていただいております。新規住宅家賃に地価等が直接に反映して高くなる決め方にまず問題がありますが、改定に当たってもそのときどきの地価の動向を何よりもまず反映させる方法を公団はとろうとしているのです。  ルールの当初案には、改定額の算定に当たっては周辺市場家賃の動向、周辺家賃とのバランス状況を考慮すると記されておりました。後に経済事情の変動に応じ適正に評価された家賃額と現在の家賃額との開差の是正と訂正はされましたが、いずれにしても公団家賃を市場メカニズムにゆだねる方向は明白です。具体的には公営限度額方式に準ずる方式によって算定される額を基本として、今後はさらに団地ごとの立地に応じた対価としてふさわしく補正を行おうという新たな方式です。ただし補正については何ら基準も限度も定められておらず、その指数さえも居住者には知らされません。公営限度額方式そのものは、東京都のように地価上昇の顕著な地域では地価ウエートの家賃への反映が余りにも大きいため破綻を来し、既にほごにされております。この方式がもはや大都市の実態にそぐわないことは下総薫先生からも御指摘をいただいております。この方式による算出額をさらに周辺地価の市場動向によって補正しようというのですから、地価高騰便乗型の値上げルールと言えます。  改定の第二の理由として、住宅維持管理に必要な経費の確保が挙げられております。この点での費用負担につきましては、私たちは常に協議に応ずる用意のあることを表明してきております。しかし、今回まだ値上げに伴っての修繕計画等については公団から各団地居住者に何ら示唆さえされておりません。修繕費の確保を理由にしながら、算定方式の面だけではなくそれについての公団の対応、修繕実施の状況は極めて不十分です。今大都市圏に異常な土地住宅価格の高騰が広がり、新たな住宅難を招いています。地価の抑制と住生活の安定が国民の切実な声となっている今日、国の機関たる公団が進んで公団家賃を市場メカニズムに即して値上げしようとするのは許しがたいことであります。また民間借家への影響を考え合わせるならば、国政上の問題としてもぜひ審議いただきたい論点でございます。かねてより再検討を求められていた算定方式に固執した上にさらに不動産鑑定評価手法補正しようというのは、明らかに国会要望に言う「現行家賃制度を逸脱しないこと。」の趣旨に反しております。  第三に、居住者所得実態と住宅設備の実情がルール審議値上げ額算定に当たって無視されているという点です。  公団は施策対象中堅勤労者世帯に置き、所得五分位階層の第三分位中位の世帯収入と、それに対する新規供給住宅家賃の負担率を基準にして負担の不公平を唱えております。近年公団が供給している住宅家賃が勤労者にとって適正か否かは別として、継続家賃改定に当たっては、現に居住している人たち所得、負担能力の実態、住宅設備の古さ、居住水準の低さ等についても現実に即して考慮されなければなりません。  全国自治協が昨年十月に居住者のアンケート調査を実施いたしました。お手元にお配りした資料をごらんいただきたいと思います。このたびの値上げ対象となる昭和三十年、四十年代団地を中心に二百十二団地、十二万二千世帯からの回答であります。その集計結果によれば、世帯主の高齢化が進み、低所得者層は急増しております。世帯主五十歳以上が全国平均三二・四%を占め、東京二十三区では四三・五%を占めています。公団賃貸住宅に永住を考えている世帯は全国で八五%を超え、高齢化は急速に進行していくことは必至であります。  世帯の年間総収入が三百六十四万円未満、第一分位ですが、これは三二・八%、三百六十四万から四百七十八万の第二分位が二八・六%で第一、第二分位合わせて六一・四%にもなり、公団住宅が施策対象層としている第三分位中位以下の世帯が大半です。公団は月収四十六万六千円を基準にしておりますが、それを言うならば現在の居住者の収入は十五万円から三十五万円が大半というのが実態です。  あわせて公団昭和六十年に行いました定期調査の結果もその資料の中に入れておきました。これは調査対象が私たちのと違って最近の新しい高家賃団地も含めてのサンプル調査ですから、多少の違いはありますが、傾向としては同じことを示していると思っております。  年金暮らしの世帯だけではなく、若い勤労者世帯にとっても実収入の伸びは今までになく低く、その反面、税金や社会保険料などの非消費支出はふえ続けています。教育費などの負担も大変です。構造的不況が長引いて勤労者は厳しい条件に置かれています。前回値上げ昭和五十八年から五年間、物価は安定しております。金利も下がっております。こうした状況の中で、なぜ公団家賃だけが大幅に地価上昇に合わせて値上げをされるのか、納得できる理由は見つかりません。  以上三つの観点から、公団から申請の出ている値上げ実施案の再検討を賜り、居住者生活実態にかんがみて、撤回をしていただきたいとお願いいたします。  結びに、私は、何よりも安くて住みよい公共賃貸住宅の拡充を図ることが、今多くの国民が望んでいる住宅難解決のかぎであることをこの場で訴えさせていただき、次の点で委員長初め諸先生方のお力添えを賜りたく、希望を申し述べます。  第一は、公団が国会要望の決議を守り、その実現に努めるようにすることです。  第二は、家賃改定ルールについて基本家賃部会で引き続き十分な審議を行い、全国公団自治協との定期協議においても誠実に話し合うことです。  第三は、すべての公団住宅居住者が安心して住み続けられる家賃制度にしてください。  第四に、安くて住みよい公団賃貸住宅建設を促進することです。  三月以来、多数の地方議会で私たちの願いを入れて公団住宅の高家賃化に反対する陳情、請願が採択され、政府と公団意見書が提出されているはずでございます。重ねて十分な御審議を賜ることをお願いいたしまして、私の発言を終わらせていただきます。(拍手
  10. 中村喜四郎

    中村委員長 ありがとうございました。  これにて各参考人の御意見の開陳は終わりました。      ────◇─────
  11. 中村喜四郎

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村直人君。
  12. 北村直人

    北村委員 本日は、石原様、畑中様、多和田様、御三人の参考人方々におかれましては、大変お忙しいお時間を私たちのために割いていただきまして、有益な御意見を大変ありがとうございました。  早速でございますけれども、私のいただいている時間が短うございます。御三人の参考人方々には大変失礼とは存じますけれども、端的に御意見をいただければ大変ありがたいと思う次第でございます。  まず、石原先生にお伺いをし、そして御意見をいただきたいと思うことがございます。  実は、全国公団住宅自治会協議会、いわゆる全国自治協の声明によりますと、今回の公団住宅家賃改定ルールづくりに際しまして、住宅都市整備公団基本問題懇談会家賃部会での審議が打ち切られた、そして値上げ申請が強行されたとなっております。ここにその文章がございますけれども、本当に審議が尽くされずに不十分だったのかどうか、また審議が打ち切られたことが事実かどうか、家賃部会の座長であります石原先生の御意見を賜りとう存じます。
  13. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  今、審議自体が尽くされたか、あるいは強行されたかというふうなことでございますが、先ほどちょっと私、運営のところで述べましたように、こういうような専門的なルールづくりみたいなものは、やはり専門の方々に一応たたき台をつくっていただかなければ審議がなかなか進展いたしませんので、そういう点で、専門委員会お願いいたしましてルールづくり基本をつくっていただいたというふうなことでございますので、それに基づいて審議をいたしました。ですから、このルールづくりにつきましての審議というのは、そういう専門委員会審議を十分考慮した形での回数その他を考えなければいけないだろうというふうに思っております。そういう点では十分な審議がなされているというふうに解釈しております。  それからまた、強行されたというふうに言われておりますが、なるほど、最後まで全国公団自治会協議会代表の方は賛成しかねるという御意見でございました。しかし、そのほかの十二名の委員方々はこれでよかろうというふうなことで御賛同を得ましたので、それで、一応そこで審議を完了いたしまして御報告した次第でございまして、別段、強行でも何でもございません。
  14. 北村直人

    北村委員 ありがとうございました。  そうしますと、あの見出しというのは多くの方々に誤解を招くようなことになるのではないかなというふうな気がいたします。十分に審議が尽くされて、強行されたというようなこともないというふうにお聞きをいたしましたので、安心をいたした次第でございます。  それでは、次に多和田参考人にお聞きをしたいと思います。  先ほども石原様の方からもちょっとございましたが、昭和五十三年の家賃改定を契機として行われたいわゆる家賃訴訟については、昭和六十年三月に、建設大臣のあっせんによって和解となり、またそれを契機に、全国自治協の代表者が居住者一員として家賃部会委員として参加することになったと伺っております。今回、公団賃貸住宅の今後の家賃改定のあり方について基本懇へ報告された内容については、家賃部会で今石原先生も申されたとおり民主的に議論がなされ、委員の大多数の方々の御賛同を得たものと伺っておりますが、このことにつきましてはどのようにお考えを持っておりますでしょうか。
  15. 多和田栄治

    多和田参考人 お答えいたします。  私たちが参加させていただいたのは基本懇の家賃部会であります。この前に御専門の方が回数を重ねて審議なさったということは報告を聞いておりますが、どういうことが討議され、どういう資料が出されたのかということは一切非公開でございます。  そうした中で、専門の方がやったんだから素人の集まりで言っても始まらないというふうな考え方だとするならば、これが十分に審議されたとかあるいは多数で決めたということよりも、むしろ先ほども申しましたように公団自身が持っている問題、不均衡というのは高いところと安いところがあるわけで、今、二十五万円の公団家賃もあるわけです。また、公団が一億円マンションを売り出しているということもあるわけです。そうした問題については何ら討議されないまま、安いところに比べて低いじゃないかというふうなことだけで進められたという点と、もう一つは、やはり根本的にそうした問題の討議を踏まえ、ルールについて、これはなかなか一〇〇%納得するということを期待するものではありませんが、それなりのルールらしいものが資料も公開され世論の批判も受けて、ルールが固まったところでそれに基づいて家賃値上げについての提案がなされるというのが筋ではなかろうか。セットして出され、しかもほとんど値上げ案については討議をされないというのが実情だったというふうに私は基本懇の参加委員から聞いておりますが、そういった意味で、私たちにとって不利だとかということではなしに、国民的な財産である、また国民が、世論が注目をしている問題だけに、もう少し開かれた討議もしてほしかったということを願うばかりでございます。
  16. 北村直人

    北村委員 ありがとうございます。なかなか意見がかみ合いませんけれども、しかし、懇談会の方の委員方々から家賃部会の方は任されて、その中で民主的にまた専門委員会をつくって、そこに任せようという皆さんの総意で、この専門委員会が二十数回にわたって議論を重ねて、さらにまたそのことを家賃部会の方では四回にわたっていろいろと御論議をいただいているというふうに聞いておりますので、私も実は、これは大変御賛同を得ているのではないかというふうな気がしているところでございます。  それでは、石原先生にもう一度お聞きいたしたいと思いますが、この専門委員会で十分検討された案をもとにして、家賃部会で幅広く意見を聞いて、公団がまとめたものを基本懇に報告されたと私は思っております。ですから、公団賃貸住宅の今後の家賃改定ルールができたと考えてよいのではないかと思うのですが、その点、先生いかがなものでしょうか。
  17. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  基本的な意味でのルールづくりというのはいかにあるべきかというふうなことは、家賃部会でも、相当大きな議論になりました。それで、これはやはり参考になりましたのが、五十六年の国会審議の際に当時の住宅局長が答弁の中で、ルールづくりとは判断基準算定方法それから周知方法、この三つをうまくつくることがルールではないかというふうなお答えがあったと記録されております。  そこで、この中で一番基本的なものは何かといいますと、何といいましても算定方法というのが基準になりまして、その算定方法をうまくつくるように、これが本当に皆さんの納得のいくような算定方法をつくっていかなければいけないということで、この算定方法自体を実は専門委員会の方にお願いしたわけでございます。これは非常に難しい問題がございますが、しかし今回御報告したように、公営限度額方式に準ずる方式の中で、特に立地条件あるいは環境条件を考慮した補正値を掛ける、こういうような方式基本になったわけでございますが、これは非常にいいやり方ではないかというふうに私は個人的には思っております。  今回、こういう算定方式が確立いたしましたので、それに伴いまして、その算定された額と現行家賃との差額がどうかということで、その差額をどのように見て、そこに差額がこのぐらいになったら家賃改定の必要があるのじゃないかという判断基準をつくらなければいけないわけでございます。その判断基準といたしましては、今家賃の額が五百円刻みで上昇するような形になっておりますので、差額が五百円を超えた額というふうな形で一応基礎ができて、そして現行家賃とその算定額との間の差額が求められますので、その差額がこういうふうな判断基準に沿いまして一応家賃改定必要性というものが裏づけられるという形でルールができるわけでございます。  それから、これを審議する形あるいはこれを周知する形というのがもう一つルール、先ほど申しました周知方法というふうなことでございまして、その審議する過程は、これは先ほどから申し上げておりますように、建設大臣のあっせんによりまして、全国公団住宅自治会協議会の方からの代表も参加していただいて、それで審議するというのも一つルールだと思います。  そしてまた、これから先の問題でございますけれども、これをいかに周知徹底するかということで、その予備的な措置といたしまして、私どもは、住民の方々にわかりやすいように、そして誤解のないように説明資料を設けることでこういうことの周知方をうまくやっていくような方法を考えた、今回こういうことではっきりとしたルールづくりができたというふうに私は解釈しております。
  18. 北村直人

    北村委員 石原先生、ありがとうございました。よく私もわかりました。ルールづくりで本当に御苦労されたことに感謝を申し上げます。  それでは、そのルール内容について畑中先生にお伺いをしたいわけでございますが、今回の家賃改定算定方法は、これまでの公営限度額方式に準じて算定された額を、立地条件等を考慮して一定補正を行うというものでありますが、これについてはどうお考えかということと、もう一つ、五十八年の建設委員長要望の第一項に、「現行家賃制度を逸脱しないこと。」とありますが、これも絡めて御意見をいただきたいと思います。
  19. 畑中達敏

    畑中参考人 お答え申し上げます。  住宅について非常に大事なことは、やはり交通の便がいいとか居住環境がいいとかという立地条件環境条件であろうと思います。それの違いが家賃に適正に反映されなければ、そこで不均衡なり負担の不公平というようなことが起こるのではないかと思います。これはもうどなたでも、都心に近く交通の便のいいところに住みたいと思いますので、遠いところと近いところと同じ家賃であるならばそれはおかしいというふうにお考えになると思いますので、それを今度の改定に当たりまして補正として得たのは非常にいいことではないかというふうに私は考えております。従来の公営限度額方式ではその辺の個別の社会的変化、経済的変化というものがなかなかあらわしにくかったのでございますが、これを補正という形で取り上げてきたわけでありまして、その辺評価していいというふうに考えております。  それから、前回の国会の建設委員長要望事項の中の現行家賃制度から逸脱するかどうかということでありますが、現行の公団法でも、たしか規則の四条でしたか五条でしたかに、住宅相互間の不均衡是正するということが一項目入っておりまして、現制度でもそれは可能になっておると思いますので、その点は逸脱ではないというふうに考えております。
  20. 北村直人

    北村委員 ありがとうございました。よくわかりました。五十八年の逸脱しないということが、今回のルールづくり算定方式に間違いのない方向づけがされたというふうに私も理解をさせていただきました。  それでは、多和田先生にもう一度御意見を聞きたいのですが、ちょっと長くなりますけれども、二つほど簡単にお答えいただければと思います。  公団空き家住宅は継続居住の住宅に比して家賃が高いということがございます。入居希望者が非常に多くて、六十一年度は四大都市で六十万人の方々から申し込みがあって、全体としてはその一割程度しか入居ができ得なかったという実態がございます。こうした公団住宅入居したくても入居できない人との関係、また広くは納税者の立場から見ても、公平な負担が求められるというふうに私は思うのですね。この点についてどうお考えかということ。  もう一つは、先ほどもちょっとございましたけれども、赤羽台団地の関係で、今二DKにずっと住んでいる方々は二万五千円で入っておられる。しかし、この近所にいる民間の人方は八万円から十万円だということでございます。今回の家賃改定では、平均引き上げが四千七百円、一八%ぐらいの引き上げ率だ、こういうことを聞いておるのですけれども、ではこれが本当に、公団家賃が限りなく民間家賃に近づくというふうにお考えになっておるのかどうか。そこら辺、二つ簡単にお願いいたします。
  21. 多和田栄治

    多和田参考人 お答えいたします。  まず、その赤羽台の近所の八万円の家賃の問題ですが、非常に残酷な家賃だ、非常に苦しいだろうと私は思います。やはり家賃は安定して低廉であるということが国民の願いです。だからこそ、空き家割り増しが少々ありますけれども大勢の人が空き家住宅に入ろうとしておる、入りたい、だから競争率が高い。これは大都市圏の庶民が、あるべき公団住宅のようなそうした住宅に入りたいという国民がいかに多いかということのあらわれであって、それが不均衡だというふうな理由にするのは、とりわけこういう国の政策審議していただく場所ではそういう観点からお考えいただきたいというふうにまず思います。  もう一つは、税金の問題でしたか、負担の問題ですが、公団説明書によれば、居住者は多額の援助を国からいただいている、しかし税金を納めても今先生がおっしゃったように入れない人がある、不均衡ではないかという問題があります。国から援助が出ているのは、公団住宅のみならず公社でも、分譲住宅でも公庫住宅でも出ているという点では変わりないと思います。むしろ公団の場合は公的資産の形成に寄与している、その他の場合は私的資産の形成に寄与しているという点で、やはり公団住宅に大変援助が税金から出ているということは結構なことだし、もっと出していただいて、そうした建設お願いしたいというのが、私も先ほど申しましたとおりでございます。  税金の面につきましては、細かいことになりますけれども、当初家賃に対する利子補給金という問題があります。例えば、昭和三十年の場合で家賃が五千円だとしますと、それに対する利子補給金は千円にはならないだろうというふうに思います。その後二回の家賃改定によって、今度ありますと少なくとも二万円以上の値上げになるということになりますと、七割が修繕に使われ、三割が高家賃の抑制に回されているとするのが事実であるならば、三、二が六千円、六千円が高家賃抑制に、本来私たちの側からいえば国がもう少し援助を出していただきたい部分を私たち家賃値上げによって補われている。そういう点でも、やはり納税の負担をもって不均衡、負担の不公正を言うのは当たっていないんじゃないかというのが私の考えでございます。
  22. 北村直人

    北村委員 もう時間がございませんので最後になると思いますが、畑中先生に二点だけお伺いしたいと思います。  家賃見直し周期を従来の五年から三年とするということについてどうお考えをしているかということと、それから自治協の主張では、家賃値上げについては修繕費等、維持管理上必要なものについて納得できるものであれば負担能力の範囲内で応じてもよいとのことでありますが、これについての御意見、もう本当に時間がございませんので、ひとつ簡単にお願いしたいと思います。
  23. 畑中達敏

    畑中参考人 お答え申し上げます。  周期を三年から五年にするというのは、一般的に民間賃貸住宅は二年でありますし、それから固定資産税評価額は大体三年ごとにしております。そういうふうなことを考えますと、そういうふうな周期に合わせた方が非常にいい。五年ですと、かえって今回の改定の場合に値上げ幅が大きくなって、入居者の方の負担が逆に大きくなるという問題もありますので、三年の方が適当ではないかと考えております。  それから修繕費、自治協の方々の主張でございますけれども、住宅というのは単に修繕費だけの負担ではなくて、いろいろな問題、総合的な使用対価でありますので、その点も含めて負担をしていただくべきでありまして、個々の人たちの負担能力だけから家賃なり物価なりというものを考えるのはおかしいのではないかというふうに考えております。
  24. 北村直人

    北村委員 大変ありがとうございました。お三人の参考人方々に心からお礼を申し上げる次第でございます。  私も、今回のルールづくりそれから家賃改定については、今の御意見を聞く限り妥当なものだというふうに考えさしていただきます。これで私の質問を終わらさしていただきます。
  25. 中村喜四郎

    中村委員長 中村茂君。
  26. 中村茂

    中村(茂)委員 どうも三人の参考人の方、大変御苦労さまです。  先ほどいろいろ説明された中で、ルールづくりという問題で、算定方法、二番目として審議の方法、三点目として周知をどのようにするか、こういうお話がございました。  そこで、算定方法をまずお聞きしたいというふうに思うわけでありますが、実は、五十八年のときに国会で決議した内容の第一項にも私どもの主張を取り入れていただきまして、「住宅基本法の制定と家賃体系の確立を図ること。」ということを政府に強く求めたわけであります。その一番大きな理由は、今、家賃体系というものが日本にはない。ですから、住宅基本法をつくってその中で家賃体系というものをはっきりさせなさい、こういう基本的な考え方の上に立って、それでは公団家賃について値上げなどを考えてみた場合に、どういう方法を採用するかということが一番大きな問題になってくる。ところが、公団家賃というのは御存じのようにそれぞれの個別原価主義をとってきた。その上に、今度値上げの場合にはどういう方法を採用するかということでありますから、今御審議の上いろいろ検討されて言われておりますいわゆる公営限度額方式に準じた方式、ですから、まず公営限度額方式を採用して、そこのところへ準じた方式ということで激変緩和なりさまざまの方法をつけ加えて算定基準にしている。  ですから、基本的に考えてみますと、先ほど申し上げましたように、まだ家賃の体系というものは日本にない。そのないという格好の中で、どうしても市場原理に左右されがちだ、またはそういう方向で持っていかれている。ヨーロッパなどの家賃体系を見ますと、そういう動きもそれはあるわけですけれども、基本的には応能制度を大きく採用してきている。ところが、この限度額方式なりいろいろ激変緩和はいたしますけれども、やはり市場原理をいろいろな面で取り入れた上に立って、応能制度というものがほとんど排除されるような仕組みになっているのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、この採用している公営限度額方式に準じた方法、これは万全なもので、これからもこの採用でずっとやっていこうというふうに考えているかどうかという点について石原参考人、それから、そういうものを採用しているということについての考え方、多和田参考人、続いてお願いいたしたいというふうに思います。
  27. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  今お話しのとおり、この算定方法というのは公営限度額方式に準ずる方式ということで、準ずるというところが一つの大きな問題点でございます。というのは、公営限度額そのものでいきますと相当高い額になりますので、それでは非常に今大変だろう。それで、継続家賃方々の場合にも、その利益の一部をといいますか、居住している一つの既得権を認めてその二分の一にしているわけでございます。ですから、そういう意味からすれば、ある程度の利益の折半みたいな形も考えられないことはない。ですからこれは、激変緩和というふうなこともございますが、そういう公営限度額自体を直接採用するということは、これは形の上では非常にうまい方式なんです。  ただし、その方式の中で、先ほどもちょっと申し上げましたように、いろいろ地代相当額のところでございますが、地代相当額が実は固定資産税評価額自体を持ってきまして、地代相当額の一つ基準にしております。そういうふうなことにいたしますと、実は、公団のように全国で非常に多くの住宅を抱えている場合に、地方自治体によりまして、例えば、東京の場合にはその公示価格に対しまして大体一けた違いくらいの評価額になっているのに対しまして、九州の方では四割近い額になっている。だから、やはり公団内部といたしましてこれをならす必要があるというふうなことで、今回世間に準じてやるということではございませんで、全体の額が決まったらその中で今の地代相当額に相当するところをそれぞれの立地条件を配慮して差をつけていこうということで、額を一定にしましてそれを配分するというやり方をしておりますので、別段これによって特に高くなるというふうなことがないので、このルールというのは私は非常にうまいやり方ではないかなというふうに思っております。  また、今お話のありました応能家賃制度というのは、これは公団がとるべき筋合いのものではなくて、むしろこれは公営住宅が行うとしたら行うべき筋合いのものではないかというふうに思っております。というのは、これは所得に応じて家賃額を決めるわけでございますので、その差額を国庫補助するわけでございますから、当然、低所得方々に対しまして住居の保証をするという立場からしますと、その性格からいいますと、もしも採用するということになればこれは公営住宅がまず最初に行わなければいけない筋合いのものではないかというふうに思っております。公団というのはそうではなくて、利子補給金を受けてやっている事業でございまして、そういう点から考えますと、その対象所得者階層もそういう意味では若干、中位というふうに申しましたように上位のところをねらっておりますから、そういう意味でこの応能制度というものを採用していく対象としては適切ではないのじゃないか。  それで、これまでの長い伝統の中で我が国では原価主義ということが中心になっておりますので、なかなかこれを、市場法に準じた方式なども一応は専門委員会の方で検討されました、そして、いろいろ多方面にわたって方式検討されましたけれども、やはり初期のでき上がった家賃といいますか、初期の建設にかかった原価主義で計算しました家賃に、それから物価スライドいたしまして現在同じものを複製したときというふうな形で考えるような形でやり、それを古さによって減額するということでその古さによって減額しまして、こういうようなやり方にしますと、設備の条件だとか工事の度合いだとか、こういうふうなものが全部加味されて原価主義をそれほど逸脱しない方式になっておりますので、ほかとのバランスが崩れないというような点からも、この公営限度額方式というのは今後も続けてこういうふうな形で進んでいくのじゃないかというふうに考えております。
  28. 多和田栄治

    多和田参考人 初めに応能家賃についての考え方から申し上げます。  私も、今、石原先生がおっしゃったように公団住宅が応能ということでなしに、国民だれしも収入に応じた家賃で、必要というか家族に応じた環境、住宅を欲しい、これが国民の願いだという点から、公団住宅だからとか公営住宅だから応能ということではなしに、制度としての応能家賃はやはり全国民的に保証されていく日が一日も早く来ることが大事だろうと思います。  二番目に、公団住宅の場合も、先ほど申しましたように公団は四十六万六千円の月収を基準にして公平の負担率、それが何%で古い人は何%しか払っていない。私たちが言いたいのはそうではなしに、本当に住んでいる人の生活はどうなのか、フィクションではなしに実際を十分考慮したルールをつくっていただきたい。制度としての応能家賃については、全国民的な視野から、住宅基本法をつくりながらこの場で御審議をいただきたいというふうに思っております。  さて、限度額方式の問題ですが、今回公団説明文書という形で配られました内容と、前回、五十八年のときに公団が配られましたパンフレットに大きな違いがございます。五十八年の値上げのときには、公団は「いわゆる公営限度額方式は、住宅の古さ、質的な差による違いはもちろんのこと、建設時以降の立地便益の変化なども考慮される方式であります。」というふうにビラをまいております。なお、五十八年三月二十五日にこの建設委員会で武田参考人は、公団の方ですが、「それからまた住宅の立地、規模、古さ、程度差等も、実はその計算の中に反映された合理的な評価方法だろうというように考えているわけでございます。」と、立地を最初に持ってきて優位性、長所を披露なさっておりますが、今度公団が書きました説明文書の中には、この立地便益の問題は消されております。これがないから補正をしなきゃいけないという論理にすりかわっているのが一つの事実でございます。  それから、冒頭に申しましたが、公営限度額方式東京都ではもうとっくにやめられております。なぜならば、地価の反映をして、これでは公共住宅家賃体系としてもうだめだということがはっきりしたからです。具体的な数字を申し上げますと、これはもう先生方御存じだと思いますから簡単にしますが、例えば公団家賃は償却費、地代相当額、修繕費、管理事務費、損害保険費、公租公課、引当金というもので決められます。そのときには、公営住宅法によって決められ、毎年建設大臣が官報で発表なさる推定再建築費率を適用されます。(中村(茂)委員「できるだけ簡単にお願いします」と呼ぶ)はい。五十三年のとき、五十八年のときは確かに上がりましたが、今回その数字を当てはめますと全部家賃は値下げすべきです。ただ、上がっているのは地代相当額、つまり固定資産税評価額に基づくこの地代相当額と公租公課の部分だけでございます。つまりこの内容は、値上げ修繕費の確保といいながら、実際に計算しているのは地価の高騰を反映している以外の何物でもない。これでも足りなくてなおその団地の周りを不動産鑑定研究所か、そういうところに依頼して調査結果をまとめ、それに基づく指数によって値上げしようということですから、実に我々としては賛成しかねるし、これはかなりの世論も支持してくるだろうというふうに確信しております。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 この公営限度額方式に準じた方式、この限度額方式というので一番のみそは、地代相当額、これを当初の用地費を固定資産税評価額に置きかえて算定する、ここのところじゃないかと思うのです。そうすると土地が上がれば自然にその中身は上がってくる。また先ほども御意見ありましたように固定資産税全国一律ではない。いろいろ波が起きてくる。ですから、この方式が完全なものだ、これで将来もずっといくんだ、こういうことではなしに、もっともっとこの点について研究を深めるように、皆さんの方から意見を聞くのに、私のは意見で押しつけのようですけれども、聞いておいていただきたいと思います。  そこで、二番目の問題ですけれども、審議の方法、これは私もいろいろ意見を持っていますけれども、多くの皆さんの意見を十分吸収するような方法でやってもらうということと、今までの経過で、このルールづくりということに重点を置いたのは、過去二回の場合には居住者の皆さんの意見を聞くというような方法がなかった、したがって、組織しております公団自治協の意見も十分聞くようなルールづくり審議をしたらどうだ、こういうことで、家賃裁判などあったのを建設大臣に入ってもらって和解し、代表が入る。ところが、先ほどの意見を聞いておりますと、これだけ大きな開きがあるというふうに私もびっくりしたのですけれども、相当な開きがあります。そこで、どの程度居住者の皆さんの意見を実際の場面で吸収できたのかどうか、その点について石原参考人に、簡単で結構ですけれども、お聞きしたいというふうに思います。
  30. 石原舜介

    石原参考人 お答えいたします。  今手元にございますが、確かに全国公団住宅自治会協議会代表の方にとりましては時間が少ないという意見はございました。そういう中で、一度にいろいろな意見を言うのもあれだから文章にして提出して、それによってそれぞれの項目についてどう考えるかということをそのときにいろいろあれし、そしてそれをもと協議しようじゃないかというようなことで、ここにありますように質問事項というのがその一、その二というふうな形で提出されまして、そしてこれをもとに我々も審議をしたわけでございます。  ですからそれが、先ほど申しましたように、五十数項目にわたる質問事項がございました。そういうことから考えますと、確かに全部の内容をその意見のとおりに承諾するという部分はあったかどうかということになりますと、それはなかなか承諾しかねる点がございました。特に一番問題になりましたのは、先ほどから出ております居住者所得の問題でございます。確かに、長く居住されている方々はだんだんお年寄りになっていきますので、所得が減ってくる。そういうふうなことで家賃負担が非常に高額負担になるんじゃないかというふうな心配をされておられました。この点に関しまして我々は、十分その事情はわかるけれども、公団は必ずしもそういう福祉政策的な側面から対応をする性質のものではないので、これはまた別途政策的に対応していただく以外にないのじゃないかというふうなことで、そういう非常に基本的なところで多少入れられない問題もございました。しかし、一応審議といたしましては、居住者代表方々意見というのは十分酌み取って、直すべきところはどんどん修正をしながら、意見を採択しながら審議していったというふうに行いましたので、私は十分対応できたというふうに思っております。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 それから周知の問題ですけれども、これはまだ解決できていないと思うのです。私どもは、やはり説明会を細かく開いて、時間をかけて意思疎通、理解を深めるようにしたらどうだろうか、こういうふうにしているわけですけれども、そうすると相当時間もかかり、どうだということで、もっと違う方法、印刷物、こういうふうに来ているわけですが、やはり印刷物だけではあれだから、直接会ってこうだこうだとやりとりするような理解の深め方、これを求めているわけですが、なかなかそういうふうにきちっといかないという点があるのです。石原参考人、その点はどういうふうにお考えでしょう。
  32. 石原舜介

    石原参考人 この周知方というのは非常に難しい問題でございます。今お話しのように、我々としては誤解のないようにできるだけ文章化いたしまして、そしてその文章が居住者方々に届くようにいたしまして、それを読んでいただければ大体理解できるというふうにした方が、個別的にお会いして、団地ごとにお集まりいただいてということになりますと、これは団地数が非常に多いものですから、そういうふうな点で場所、場所によって多少の誤解を招くような、あるいは説明の過不足があるような点があろうかと思いますので、まず基本はやはり文章ということで我々は説明資料というものを特にお願いをいたしまして、読んでわかりやすいようにというふうなことで説明資料を作成していただいたわけでございます。そして、できましたらこういうふうなことはその代表方々と十分協議いたしまして、これから周知方をさらに徹底できるように、いろいろな方策がありますので、そういうことを公団にぜひひとつ考えていただきたいというふうに思っております。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  34. 中村喜四郎

  35. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうも本日はお忙しい中、御三方には当委員会で貴重な御意見を開陳いただきまして大変ありがとうございました。開陳いただきました御意見を通じまして何点か御三方にお伺いしたいわけでございます。  御三方の御意見を伺いながら、私は、もう一度住宅都市整備公団の法律の総則を持ってこさせまして目を通してみました。第一条「目的」にこう書いてあります。「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅」最後の方に「国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする。」この公団目的をなぜはっきりしたかといいますと、特に石原先生畑中さんのお話を伺っておって、新旧格差民間との差があり過ぎるとか低過ぎる、公団家賃が低過ぎるのではないかという意味での御発言、これは私の聞き違いがあったら訂正していただいて結構だと思いますが、そういうふうに感じました。  私はこの建設委員会で、きょうお見えの丸山総裁が局長、あるいは渡辺さんも住宅局長、あるいは副総裁の豊藏さんが住宅局長のときからずっと、何回かこの住宅問題を論議してまいりました。そのときこの法律を読んで感じたことは、国民公団に対して何と思っていたか。畑中さんもジャーナリストの一員であれば思い起こしていただきたいのですけれども、当時の新聞は公団を書くときに何と書いたか。もうでっかい活字で高い、遠い、狭いと書いたのです。高過ぎるよ、狭いよ、遠いよ、こんな不便なもの何だ、こんなに家を建てられない土地を買って何だと、たたかれたことがあるんですよ。私は、今そこに丸山総裁なんかの顔を見ながら、時代が変わったなと思うのです。今は安過ぎる、全く話が逆なんですね。建設委に属する我々国会が間違ったのか。  私は、公共とか公営というのは軸が狂ってはいかぬと思うんですよ。今ようやく公団公団らしくなったときにたたかれたのでは、公団は立つ瀬がないのかな。当時は高いところに住んでいた皆さんが悪いのか。悪くはないと思うんですよ、その当時は高いと言われて、だれも住みたくなかったのです。そこへ入っていらっしゃった方が今になって、おまえたち安いぞ。これは何が問題かといえば、今竹下内閣、竹下総理が本気になって地価を下げよう、住宅問題を解決しよう、この法律の第一章にあるように、今これは大都市の問題なんです。我々田舎は、田舎ですよ、私は静岡ですけれども、公団がそんなに安いとは思わないです。三万前後で、まだ高いんじゃないかなと感ずるほどのところもあるんです。これは大都市に限った話なんです。ですから私は、諸先生ももう少し地方に行って公団のいろいろなケースを——私は五年前のときも参考人にお見えになった方に、諸先生は公団の実態を全国ごらんになりましたかと聞いたのです。そうしないと、国民の本当の実感はわからない、公団自治協の皆さんとのコミュニケーションや意見のかみ合いがうまくいきませんよ、こういう感じを持ったわけですよ。ですから、竹下内閣が今度土地臨調で何を言っているか。地価を下げよう、こういうことまで言っているのですよ。今までなかったのです。下げる。  しかも、東京都知事は東京副都心の中で、私はこの新聞をもう一回読んでみた、あそこは全部公共賃貸にしますというのです。これはこの間も片山住宅局長と論議しまして、また別なときにやりますけれども、それほど東京都は公共を先導して住宅を下げよう、家賃を下げようというのです。何年か前と随分変わったものだなと思うわけでございまして、私は、そういうことではなくて、公団のあるべき使命は一体何なんだ。やはりその軸というのは、政治というものが軸が狂ったんでは——民間もおかしいのですよ。東京が異常なんですよ。それに軸がしょっちゅうふらふらしたのでは国民は政治に信頼を失うと思うのです。やはりこの立法の趣旨に基づいてきちんとした判断を——お二人の方は家賃部会の諸先生であるならば、もう少し、低過ぎるという考え方について、多少私、意見を異にするのですけれども、御意見があったら、お二人どうぞ。
  36. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  高い、狭い、遠いというのは、これは新築の場合に対してのいろいろな当時言われた言葉でございまして、今我々が審議しております問題はむしろ継続家賃というもので、いわゆる三十年代、四十年代につくられた住宅家賃がどうかということを審議しているわけでございまして、最近建ちました住宅家賃が高いとか低いとかという議論ではないのであります。安いというのは、三十年代、四十年代の家賃値上げが実は今までわずか二度しか行われていなかったというために、相対的に低くなっているということを申し上げているわけでございます。
  37. 畑中達敏

    畑中参考人 高遠狭のものがそうでなくなるということは、事実あると思います。それは認識の仕方の違いというか、考え方が変わったのではなくて、世の中の経済社会の変化というものがそれに大きく影響することではないかと思います。  例えば、先ほども例にいたしましたけれども、赤羽台団地昭和三十六年の供給開始でございますけれども、当時私たちではとても入りがたいほどの高い家賃の高級住宅であったように思うわけであります。しかし、今の家賃は、私たち一般的に見てそう高くはない。これはやはり経済的、社会的な変化であると思いますので、その辺を含めて考えないとわかりにくいのではないかというふうに思います。
  38. 薮仲義彦

    薮仲委員 次の問題、お伺いしますけれども、私は公営限度額方式というのはある程度は理解します。しかし、ここに基本的に理解できない問題が二つあるのです。  それは、先ほど言われましたように、この要素となっております償却費あるいは地代相当額等々ございますけれども、この中で償却費という問題でございます。  これを理論的に考えれば、普通、契約を結んで償却というのはその時点で例えば三十五年あるいは七十年、この償却というのは当初の契約を変えるべき筋合いのものではないと我々は理解するのです。というのは、例えば我々がうちを建てようというときに公庫融資を受けます。公庫融資の金利も変わります。条件も変わります。しかし、当初結んだ契約というのはずっと継続されるのです。それは、二十五年間なら二十五年間というのはその契約条項は守らなければならない。これが信頼関係であり、そこに成り立っている。これはどんな商ルールにおいても、償却ということを言葉に出したらば、途中でそれを勝手に変えられるということはこれは私は契約に対して非常に不誠実な行為でなかろうかと思う点が一つでございます。  それから、もう一点は地代相当額でございますけれども、これは固定資産税、今下がってくれればいいのですけれども、下がるというケースはございません。特に、先ほどもお話ございましたように、東京のように固定資産税が異常に上がったときにはこれは破綻するのです。こういうことを前提にして、これは公平で妥当なものだと私はどうしても認識できないのです。やはりそういうものに対してきちんとした補正なり物の考え方というものを明確にして、国民あるいは居住していらっしゃる方に示さないと、お二人の話が決して意を尽くしていないのは私はわかりますので、それで全部責めようなんて思っていませんが、ただ、こういう点についてはこれから思いをいたして御審議をいただきたい。  時間がないから、言いたいことだけは言って、次の問題をちょっとお伺いしたいのですが、負担率の問題ですね。  これはちょっと具体的にお伺いしたいのですけれども、いわゆる家賃の負担は一七%でいいという意見があるのですが、果たしてこの一七%が適正とお考えであるかどうか。ならば限度、リミットはどこなんだ、ミニマムはどこに置くんだ。というのは、お二人の先生はこれ三年ごとに改定を是となさいました。公団入居なさっている方が今高齢化しているのです。五十代、六十代、六十五なんです。私東京都の高齢化の資料をちょっと読んでみたのです。そうしますと、六十五歳を過ぎますと九〇・何%は年金扶助料のある者なんですよ。これは東京都が六十五歳からの調査をしておりますから、その下でとったらもっと年金扶助料の方が多いと私は思います。年金扶助料というのはそんなに急激に上げられないわけです。そうすると、公団住宅というのはどこかの時点で高齢者は出ていけということになってしまうわけです。  ですから、この一七%を適当と思われるか、限度額はどのぐらいと考えられるか。このまま続けたら、三年は是となさいましたけれども、これは必ず追い出し政策になると私は思うのですが、この三つについてお二人の先生の御意見を簡単にお答えいただきたい。
  39. 石原舜介

    石原参考人 それではお答えいたします。  負担率一六ないし一七%というのは、新築住宅に対しましてそのときの第三分位中位の方々の負担としてはこのぐらいを目標に公団は努力して家賃を設定すべきではないか、これより高いようなものはできるだけ避けるようにというふうなことが目標で一七%というのがございまして、これが継続家賃家賃負担が一七%と言っているわけではございません。  それで、これがお話のように、確かに古くから住んでおられる方々、ということは三十年代にお住みになった方々も今日では三十年近くたっておられますから、入居時に三十四、五歳であられた方はもう既に六十五歳というふうなことで、第一線から退かれている方々もおられるかと思います。そういうような方々が逐次多くなっていくのではないかというふうなことで、こういう方々に対してどのような対策を立てるかということは、これは確かに公団におきましても大きな問題でございます。  公団の方では、特に今回の審議の中でもそういうことが一番大きな話題の一つになったわけでございますが、できるだけ高齢者用の住宅を、団地を指定しまして、そこで改造、空き家になったときに改装して、そして高齢者向きの住宅という形で一階部分をそういうような形に直していくというふうなことにしまして、あわせてそこに入る方々家賃は特別の体系にしようというふうなことで、母子家庭とかこういうふうな高齢者に対しては特別に申請がございましたらそういうふうなことで対応していこうということを一応考えまして、そういうような措置を講ずるようにしているわけでございます。  ですから、毎年、三年ごとにこういうような改定をしながら、逐次家賃を上げて追い出しするんではないかというふうなことでございますが、これはできるだけそういう申請をしていただいて、そしてそういうふうなことは五年間一応そういうことのないように確保しようというふうな措置を講じております。
  40. 薮仲義彦

    薮仲委員 適正なパーセントは、限度額はどのぐらいですか。
  41. 石原舜介

    石原参考人 限度額というふうなものは、先ほど申しましたように負担が、先ほどの新築の場合にこういうふうな努力をしようというふうなことでございまして、これが一般継続家賃に入っている方々の負担の限度額ということになりますとまた別の視点で考えなければいけない。これは所得が低くなればなるほど負担額というのは少なくなっていかなければいけないし、高額になればなるほど高くなるというのは常識的な線でございまして、やはり一〇%内外のところが所得の低い人は限界かと思います。
  42. 薮仲義彦

    薮仲委員 今石原先生からお話しございましたのですけれども、新築の場合も決して低くないのですよ。最高は三〇%超えているのです。こういうこともよく踏まえて、新築を一七%に目標を置かれて家賃部会でお決めになるというんでしたら、今新築が三〇%を超えているところもございますので、この辺も十分お調べいただいて是正の方法はお考えいただければと思うのです。  限度額でもう一点今後部会長お願いしておきたいのは、地代相当分というのは、我々が公共事業をやるときに公営住宅を建てかえなさいということを建設省に主張するわけですが、そのとき何が根っこかというと、一番高い地代がただですね。ですから、上物だけの料金だから再入居しやすいのです、とこう言うのです。その建てかえ促進のときに地代が安いということで我々はこうやっているわけですけれども、公団についての建てかえ促進ということは大事だと思うのですが、一つルールづくりとして今後御検討いただく際に、やはりこの地代については御検討をいただきたい、こう思うわけでございます。  それで、多和田さんは最後にお伺いしますから、ちょっと畑中さんにお伺いしたいのは、いわゆる建てかえる場合、今まで入っていた人が継続して住めるということが最も理想だな、私はこの公団に入った、ここで一生楽しい人生を過ごしていけるということが最も好ましい居住環境であろうと私は思うのですが、現在のこの建てかえでいきますと、確かに傾斜をかけてくださったり、三五%からスタートします、あるいはいろいろな形で優遇措置はございますけれども、非常に入りにくい方が出てまいります。特に石原先生にもう一つだけお願いしておきたいのは、高齢者に配慮しているというのは七十歳からなんですね。しかし五十歳以上の方も大変だということもよく御認識いただいて、それもファクターに入れていただきたい。  で、畑中さんに、いわゆる継続のときに急に家賃が上がるわけですけれども、もしも地代相当分をいろいろな補正を加えていただくともう少し入りやすくなるかなという考えもございます。今のルールでよろしいとお考えですか。
  43. 畑中達敏

    畑中参考人 建てかえの場合の家賃のことについては今回の家賃部会では審議対象になっておりませんのではっきりわかりませんけれども、取材なんかで聞いている範囲では、継続入居の方にはかなり減額措置を講じておるということでありますので、それでもかつ苦しい方がどの程度おられるか、私もはっきり存じませんけれども、建てかえの場合に、今先生が地代がないので安く上がるはずだとおっしゃったように解釈しましたが、現実問題として地代がなくても相当高いものについてしまう。やはり建設費が相当高い、それで家賃も相当上がるということでございますので、地代だけが問題ではない。やはりいいところに住もうとするときには非常にその辺の問題があるというふうに考えております。
  44. 薮仲義彦

    薮仲委員 畑中先生も家賃部会のメンバーだということでございますので、さっきから大変言いにくいことばかりで申しわけないと思うのですが、これはお願いしておきます。  今おっしゃった、地代だけじゃないと。私は全部試算してモデル一、モデル二、モデル三、地代がゼロだった場合に改定家賃はどうなるかというモデルを持っておるのです。それを見ましても、やはり一番影響しますのは地代相当分であるということは、もう一度、今度家賃部会で御検討なさるとき資料を公団に求められて御検討いただきたいと思うのです。  最後に大変お待たせしました多和田さんに率直な感想をお伺いしたいのですが、私は、地元にも公団の方いらっしゃいますから、決して安いとも高いとも、適正だと思っている方ですが、もっと上げないでくれというような気持ちはあります。ただ、いろいろ伺っていまして、上げるの反対だとは絶対言わないと思うのです。固定資産も上がるのです。メンテナンスにかかるのですから、これは当然たな子としてその修理、補修、居住改善のために負担しよう、これはあってしかるべしと私は思うのです。それはやはりきちっと御理解いただいているんじゃないかなと思うのですが、その家賃値上げについてどんなお気持ちか。例えば今度一万五百とか九千五百とか数字が出てきますけれども、このくらいの値上げならば我々庶民は我慢するよ、諸先生はパーセントで言うがあなたは金額でいいですよ、金額でいったらどのくらいですか。それだけ聞いて終わりたいと思います。
  45. 多和田栄治

    多和田参考人 大変答えにくいのですが、公団が前に七千円、それから一万円、今度一万五百円ということで、なぜ五百円つけたかというと、一万円よりも物価が上がっているから五百円つけた。家賃の問題じゃなしに引き上げ額だけの問題ですね。だけれども、今金利も下がっていますし消費者物価も落ちていますので、私自身の気持ちとしては、傍聴の方も大勢いらっしゃいますけれども、やはり七千円くらいで限度額はとめていただきたいなというふうに思っております。
  46. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。どうもありがとうございました。
  47. 中村喜四郎

    中村委員長 西村章三君。
  48. 西村章三

    ○西村委員 参考人の皆さん、大変きょうは御苦労さまでございます。  時間も限られておりますので私もできるだけ端的に伺わせていただきますので、お答えの方もそれなりによろしくお願いを申し上げます。  まず最初に石原先生にお尋ねをしたいわけでございます。先生は家賃部会部会長として今回のルール案あるいは改定案というものをおまとめになったわけでございますが、専門委員会で二十数回会合をなさって一つたたき台をまとめられた、それをもとにして家賃部会審議をされて修正をして原案を固めた、先ほどこうおっしゃったわけでございますが、家賃部会で修正をした部分の内容は一体何であったのか、それが一つでございます。  それから、家賃部会は昨年の十二月からことしの三月まで四回、延べ七時間開かれたと言われておりまして、今後の家賃改定ルール基本的に制定をされるという重要性から考えますと、もっともっと慎重審議をすべきではなかったのか、率直に私はそう思うわけでございます。特に懇談会の性格は、石原先生もおっしゃっておられますように、いわゆる審議会ではなしにあくまでも総裁の私的諮問機関、こういうことでありますだけに、ややもすると密室審議であるとかあるいは値上げをするための隠れみのに利用されたというような表現も言われるわけでございまして、これは先生としても不本意なことだと思うのでありますが、この懇談会形式が今後も継続をしていくことがいいのか、あるいは審議会的なものに性格を変えた方がいいのか。この二点についてまず伺いたいと思うのであります。
  49. 石原舜介

    石原参考人 お答えします。  専門委員会から出されました原案につきまして家賃部会の方においていろいろ意見が出まして修正した箇所につきまして簡単に申し上げますと、文章的には非常にたくさんあるんですけれども、主要な点だけ幾つか申し上げます。  それは、傾斜家賃対象になっている住宅の場合には、当初案では傾斜終了後二年以上というふうになっておりましたものを、三年以上ということで家賃改定対象にするというふうに対象の範囲を少し延ばした。これは三年ごとに見直すということが基礎にございましたものですから二年を三年にした。  それから、見直しの際に今回三年経過したものにつきましては一応改定対象にするというふうなことになっておりましたものを、今まで五年で改定しておりましたものですから、その五年というふうな気持ちでおられた方々も相当多いと思いますので、その方々には、三年、四年の方々につきましては一応一年猶予するということで今回は対象にしないということで、来年ひとつお願いしたいというふうにしたこと。  それから、引き上げ限度額が物価上昇率を乗じまして一居住室の場合には八千七百円、それから二居住室が九千八百円、それから三居住室が一万九百円となっておりましたものを、先ほど申し上げましたように五百円刻みにするということで、できるだけこういうものを引き下げるということで、八千七百円を八千五百円、それから九千八百円を九千五百円とか、それから一万九百円を一万五百円。それから生活保護世帯方々に対します特別減額措置を、三年ごとに見直すということでその適用期間が三年ということで考えておりましたものを、五年というふうに従来どおりに直した。  それから今回値上げによって発生します増収額の使途でございますが、これは私最初に申し上げたことでございますけれども、今回その修繕というふうなことだけではなくて、居住性向上——居住性向上というのは非常に大問題でございまして、今までは例えば外装の塗りかえとか、そういうふうな計画修繕対象になっているものを超えまして、そして新しくいろいろ技術が進歩しておりますから、そういうふうなものに、居住者方々居住性自体を高めるような形でやっていこうというふうなことで、多少踏み込んだ形で今回そういうことをしたらどうかというふうなことにした。  それから、高齢者の方々が多くなる関係上、できるだけ団地指定を多くして、そして高齢者向きの住宅というものを数多く公団も保有するように努力してもらいたいということにしたこと、こういう点が主として改正の、家賃部会の中でやったものでございます。  それから、審議会にしてはどうかという御意見でございますが、これは家賃値上げというものの責任をどこにはっきりと位置づけるかという、その責任の所在というものが非常に問題でございまして、審議会の場合には、審議会が一つ家賃値上げの責任を持って答申するというふうな形でございますが、懇談会の場合には、あくまでも住宅公団の責任において家賃値上げを考えるというふうなことでございますので、その責任の所在が審議会よりはむしろ厳しい形で公団の方に責任を転嫁しているというふうに考えるわけでございます。そういう意味で私は懇談会というのは決してまずい審議の仕方ではないというふうに思いまして、最終責任は全部これは公団がひっかぶるというふうな形で、我々はただ意見を述べるという、非常に勝手なことかもわかりませんけれども、そういう程度での責任しか負わないというふうなことでこの値上げ全部の責任が実は公団がしょっているという意味では、この懇談会が居住者方々と対応していかれる場合にもそういうふうな責任の所在がはっきりと公団にあるということを明確にする意味におきまして私は懇談会の方が適当ではないかというふうに思っております。
  50. 西村章三

    ○西村委員 この懇談会の性格につきましては、私もそれなりに意見があるわけでございますが、時間の関係もありますので、次に進ませていただきます。  五十三年、五十八年の二回にわたる改定の中でいろいろと議論をされまして、結局そのルールが確実ではない、いろいろ判断基準にいたしましても、あるいは算定基準にしても運用基準にしても、明確なものがなかったということで御苦労いただいたわけでございますが、今回のこのルールは、今後公団家賃を決定的なものにするということになるわけでございまして、それだけに完全に完璧なものかどうか、あるいは今後また、もちろんこれは社会経済情勢の変動という要素もございまするが、それなりの一つルールがやはりできた、ただ、今の時点で完璧でありましても、将来にわたって必ずしも完璧だということは言い得ないわけでありまして、そういう意味ではさらに今後も、あるいは今回の部分の中でも足らざる点といいますか、そういう面では検討の余地があるのかないのか、これをひとつお尋ねをいたします。  それから、入居者実態から見て、勤労者の第三分位の基準に基づく家賃の負担率、これが適正だ、正当だ、こういう御認識でいらっしゃいますでしょうか、石原先生にお伺いします。
  51. 石原舜介

    石原参考人 今回のルールが今後も継続してこれが明確で変更なく継承されるかという点につきましては、私は、完璧なものではないというふうに思っております。ですから、ある程度の修正があるいは将来起こってくる可能性もあり得るだろう。だからこのルール、特に家賃算定というものは非常に難しゅうございまして、いろいろ実際問題といたしまして、例えば修繕費の問題なんかにいたしましても、まだ経験が非常に浅うございまして、現在の修繕費の負担自体がこれくらいでいいかどうかということで問題がございます。  そこで、修繕費の負担率などにしましても、現在一%前後のものでございますが、実際にかかった分を算定してまいりますと、三%から四%ぐらいの率でないとこれはとても計画修繕さえできないというふうな状態でございますので、結局、今のところは新しいところでまだ補修に入っていないところの資金を古い方に回しておりますのでどうにかつじつまが合っておりますけれども、実際に単独で、例えば古い住宅そのものが、周りに何もなくてそこだけ経営しているというふうなことですと、これは今の状態では破綻します。そういうふうなことがございますので、これが破綻しないということがいわばルールとしては一番確立されるべきじゃないかというふうに思いますが、現状ではそれは破綻を生ずる恐れがある。そういう意味からもこれが完璧なものではないというふうに思っております。  それから負担率の問題でございますが、これはあくまでも新規住宅居住者対象としました負担率を申し上げていたわけでございまして、これは先ほどから申し上げているとおりでございますが、継続居住者にとりましての負担率ということになりますと、これまた別問題でございます。これはそのために負担率が高まっては困るので、保護世帯の方々に対する特別措置だとか、激変緩和だとか、いろいろなことが行われているわけでございまして、この負担率そのものが幾らかということは学問的にも非常に議論を呼ぶところでございまして、なかなか負担率の問題、家賃は幾らが適正かというふうなことは古くて新しい課題でございますけれども、本当を言うと今もって学界自体も答えが出ないという現状でございます。
  52. 西村章三

    ○西村委員 ありがとうございました。  次に、畑中参考人にお尋ねをしたいわけでございますが、先ほどお話の中で、前二回の改定だけでは家賃のアンバランスは是正がされていない、こういう御発言でございました。  確かに新規住宅家賃間のアンバランスというものは不公平感が非常に強いわけでございまするが、しかし、この原因は、さかのぼって考えてまいりますと、昭和三十一年から五十三年までの二十二年間、いわゆる社会経済情勢の変動、物価の変動という公団法施行規則第五条の改定要素があったにもかかわらず、この間全く何もしないままに放置をしてまいりましたいわば公団の怠慢といいますか、これが不公平を助長せしめた大きな要因だと思っておるわけでございます。そのために、前二回も今回も含めて激変措置の緩和策というものをとらざるを得なかったということだと思うのですが、畑中さんの御見解を伺いたいと思うのです。
  53. 畑中達敏

    畑中参考人 二十何年も長期間据え置いたということは、やはり公団あるいは建設省も入るのかもしれませんけれども、怠慢と言ってはあれですが、そういう情勢が熟さなかった点もございましょうけれども、やはり非常にまずかったのではないかというふうに考えております。そのために現在、激変緩和措置をとっているわけでありますけれども、この激変緩和措置をどれぐらい続けることが適当なのか。それは、そういう長期据え置いたことについて問うことと、それからやはり一般国民あるいは民間賃貸住宅入居している方々とのバランスの問題というようなこともありますので、その辺を含めて考えていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。
  54. 西村章三

    ○西村委員 畑中さんにもう一点お伺いをいたします。  前二回の改定時の議論あるいはその時点における国会要望、さらにはその後における建設大臣公団と自治協との和解のあっせん等々があったわけでございます。いわゆる家賃戦争と言われたトラブルなどの教訓が今回のルール案の中に、あるいは六十三年の家賃値上げの中に生かされたという認識をなすっておられるかどうか、伺いたいと思います。
  55. 畑中達敏

    畑中参考人 今回の家賃部会には入居者の代表が初めて入られましたので、過去のいろいろな家賃紛争その他の経験は生かされておるのではないかというふうに考えております。
  56. 西村章三

    ○西村委員 ありがとうございました。  それでは多和田さんにお伺いをいたします。  今も御質問申し上げましたように昭和六十年三月十九日、建設大臣和解あっせんによりまして、公団と自治協の関係は一応正常化をされました。私は大変歓迎すべきことだと思っておるのです。その結果、公団との定期協議が復活をされる、あるいは基本問題懇談会家賃部会への参加が保証されまして、対話や協議の場が広がっていると思うのであります。そういうあらゆる意味で一歩前進だと私どもは受けとめております。まずこの点について、どのように自治協としては評価をされておりますか。
  57. 多和田栄治

    多和田参考人 お答えいたします。  今西村先生のおっしゃったという点では私たちも異議はございません。  ただ、その重要な第一歩であって、これからどういうふうな進め方になっていくかということについては、今後の課題として私たちも努力していきたいというふうに思っております。だからこそ、そうした納得のできた、また関係の円満化に進む形での内容を伴った、家賃も含めた審議を、基本懇を通しあるいは定期協議を通じて分け隔てなく進めていくことが大変望ましいというふうに考えております。
  58. 西村章三

    ○西村委員 今後も関係の正常化の中でお互いに誠意を持って話し合う、このことが大変に必要であろうと思います。  ただ、公団自治協の従来のいわゆる家賃値上げ反対運動の中で私どもが一つだけ遺憾だと思いますのは、例の供託の問題でございまして、結果的に和解になりましたけれども、そのために多くの人々がいわゆる家賃の滞納金を徴収されたとか。しかし、それは結果的に自治協で責任がとれなかったわけでありまして、反対の意思表示は結構でございまするけれども、反対運動の内容については今後それなりに方法論というものは十分にお考えをいただきたい、このことが一つであります。  先ほど、今回の家賃値上げは従来の修繕費とあわせて居住性向上に踏み込んでいくのだという石原先生のお話がございました。私どもも大いに歓迎するところでございますが、もう御承知のとおり、既存の公団住宅には最低居住水準以下の住宅がたくさんございます。住環境の質的な向上を図るためには建てかえの促進がどうしても必要であろう。家賃が高くなるということについては、不安もあり、心配もあり、問題も若干残るのでありますが、現在公団がとっております激変緩和のための八年間の減額措置であるとか、それなりにいろいろ考慮されているのです。私は基本的に、建てかえは最低居住水準をなくし居住性向上を図るためにはどうしても必要だ、こうかたい信念を持っておりますが、あなたの御意見をお聞かせいただきたい。
  59. 多和田栄治

    多和田参考人 お答えいたします。  公団住宅の建てかえについては私たち基本的に建てかえには賛成でございます。ただし、一人一人の感情からいいますと、やはり住みなれたところに住みたいという気持ちがあるということも事実です。もう一つは、お友達のこと、うちのつくりのことにおいてもやはり住みなれたところでなくちゃいけないということもあります。ただ、現在公団がしようとしている場合、どうしてもネックになるのは家賃でございます。今、多少古い、狭いということは改善すると。死ぬ前にはもっときれいなところで死にたいとだれしも願っております。だけれども、家賃が今三万円から十万円になる、四倍、五倍になるということが、既に具体的に神奈川県あるいは東京都で進められている家賃の提示でございます。この問題の解決抜きには、建てかえに一般論として賛成するか反対するかということでは問題は大変多くございます。先ほど薮仲先生もおっしゃったように、やはり土地の評価というふうなことも踏まえた家賃制度をとる限りどうしてもこういう結果にならざるを得ない。その点では抜本的に見直していただいた上で、私たちも極力居住性向上のためには頑張っていきたいというふうに考えております。
  60. 西村章三

    ○西村委員 時間がなくなりまして、まことに残念でございます。  私もみなさんがおつくりになったこのパンフレットやら告発シリーズなるものも見せていただきました。それなりに十分理解のできるところもございますが、この中で二点だけ異議を申し上げておきたいと思うのです。  その一つは、「建てかえは財界の都市開発計画の一環として打ち出されたもので、本当の目的は、公団住宅の民営化を図るものだ。」こう書かれております。もちろんこの二冊を含めてそうでございますが、そういう意味のことが明確に書かれておるわけでございます。この表現はそのまま特定政党の口写しでございまして、飛躍も甚だしいものだ、多くの入居者はこのことには同意できない、もっと純粋に運動をやっていただかなければ我々も協調していくことができない、こう思うのであります。自治協の健全な発展のためにもあえて一言申し上げておきたいと思います。御意見があれば聞かしていただきたい。
  61. 多和田栄治

    多和田参考人 御意見として十分承り、今後に役立てていきたいというふうに考えております。ありがとうございました。
  62. 西村章三

    ○西村委員 終わります。
  63. 中村喜四郎

    中村委員長 中島武敏君。
  64. 中島武敏

    ○中島(武)委員 きょうは、石原畑中、多和田、三人の参考人方々、大変御苦労さまでございます。  最初に私、石原参考人にお伺いしたいと思います。  先ほど、お話を伺っておりましたら、石原参考人公団基本問題懇談会家賃部会の会長もおやりになっていらっしゃる。そして私、ここへ立つ前に若干のやりとりをいろいろ聞かしていただきました。そのことに関してなのですけれども、十分審議はやられたか、こういうのに対して、結論的に申せば十分審議はやられましたというのが石原参考人のお答えでございました。しかし、私が思いますのは、専門委員会、ここは非公開でやられたというだけじゃなくて、公団自治協の代表の人、居住者代表の人がここには参加していらっしゃらない。だから、ここで何回やってもその人たち意見というのは反映してないのじゃないか。それからまた、打ち切るというときには、これで審議はおしまいというふうにされるときには十二対一でございましたと、公団住宅自治協の代表の方がお一人反対でほかはみんな賛成。十二対一というと、これはどうしようもないというように聞こえてくるのですけれども、そのたった一人は数十万の居住者代表者である、こういうことを考えると、たった一人であってもやはりもっと意見を述べさせ、また聞くということが必要だったんじゃないだろうかと私は思うのです。そういう点からいうと、これだけのやりとりをいろいろ聞かせていただいて、おっしゃった上でも、なおかつ十分審議がされた、こういうふうにおっしゃるのでしょうか。そこをお聞きしたいと思います。
  65. 石原舜介

    石原参考人 十分審議されたと考えております。そこで一つはっきりさせておきたいことは、先ほどもちょっと話題になりました審議会と懇談会との差というものをその中で御理解いただきたいと思います。審議会であれば少数意見付記というような形で審議の最終決をとるという形がございますけれども、懇談会というのはあくまでも公団の責任においてこういう形での家賃改定をしたいということに対する意見を申し述べる機関でございますので、その意見が大体出尽くしたということが十分審議を尽くしたということでございます。ですから、先ほどから申しておりますように、反対があるからそれがどうこうということは、これは審議会でございませんので、そういうふうな扱いではありませんで、そこがちょっと懇談会というものの性格によるところが大きいと思います。  そういう意味で、専門委員会の方に居住者代表が入ってなくて意見が十分伝わってない、その意見がしんしゃくされなかったのじゃないかというおそれ、これは算定方式基本にやってまいりますので、算定方式それ自体の評価方法がどうあるべきかということをむしろ詰めて考えていくことでございますので、それを実際に適用したらどうなるかというのは後の問題でございます。そこのルールづくりの一番基本になります算定方式のところが専門委員会を中心に展開したということでございますので、そこは多少学問的あるいはいろいろな配慮の上で検討されたことでございまして、居住者の意向ということはその後でいろいろしんしゃくする問題であろうと思っております。
  66. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今石原さんのお話を聞いていて、懇談会と審議会の性格が違うことは私も承知しているけれども、それでもなお懇談会でも十分意見を述べさせていただきたかった、こういうことを思うのです。そして、今専門委員会の方で算定方式についての議論がずっとやられたのだというお話ですが、実はその問題について次にお尋ねしたいのです。  それは、公営限度額に準ずる方式、これはなかなかうまいことを考えたものだ、こういうふうに石原先生は先ほどからおっしゃっていらっしゃった。お話を伺いますと、要するにこの方式だと地価の高騰が家賃に反映するわけですね。それで地価上昇によって値上がり利益が得られる、その値上がり利益を折半するんだという御説明が先ほどありましたが、私は非常に疑問に思うのです。  といいますのは、中に居住していらっしゃる方々は値上がり利益を得るというふうに言われるのですけれども、どんな利益を得るのかなと思うのですね。何ぼ地価が値上がりしても家賃が上がるだけであと何も利益はないのじゃないかということですね。例えば鉄道を敷いたとか何を敷いたとか、そこがより便利になって値上がりをして、それで利益を得るというならこれは話はわかるのですが、そうでないでしょう。実は何も利益は得られないのじゃないかということを感じまして、皮肉な言い方かもしれませんけれども、居住者は一体どんな利益を得られるのかということについてお尋ねしたいと思うのです。これは土地を持っている人だって同じなんですよ。売らない限りは何の利益もないのです。税金が上がるだけなのです。そこをちょっと伺いたい。
  67. 石原舜介

    石原参考人 地代相当額の問題でございますが、地価上昇による利益の問題は何も家賃問題ばかりじゃございませんでいろいろな問題に絡んだことでございまして、それを売らなければ具現しないから利益がないとおっしゃいますけれども、それを利用する利益というものはございまして、例えばアクセシビリティーなどがよくなるというふうなことも、今お話しのように居住時点よりはその周りの交通条件もよくなるし、またいろいろな文化施設だとかあるいはいろいろな都市的な環境、こういうふうなものの利益も得ておられます。ですから、地価上昇によって利益が全くないというふうなことであるならば地価そのものが上がらないはずでございます。地価が上がるということはそれを利用する利益がそれに追従しているわけでございまして、それだけ社会的に認められているわけでございますので、これが居住者に何ら還元できない利益だというふうな解釈は私はしておりませんで、やはり居住者にもそれだけの何らかの意味での利益が還元していると解釈します。
  68. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これはちょっと異なことを承ったと思うのです。議論をやっておったらあれですが、利益がなければ地価が上がらないというのですけれども、今回の地価上昇はそんなところに原因がありません。これは見解が違うかもしれませんから、何もきょうは議論の場でもございませんので、私は避けたいと思うけれども、大体東京を金融国際都市にするとか需要が物すごくあるかのような発表を政府がやるとか、それでどんどん地価上昇があおられて、それで土地転がしだ、いや大きいところが土地を買うとかそれから金融機関が過剰融資するとか、いろいろ理由があって地価上昇になっておるのであります。  それで、私はちょっと石原先生とは見解を異にするのですけれども、時間もないことですから関連して、公営限度額方式だと今お話を申しましたように、投機によって上がろうと何によって上がろうと、要するに地価が上がれば固定資産税評価額が上がるという格好で家賃に反映してくる、こういう仕組みですね。ですから、この方式によりますと、これは五%ですね、そうすると例えば十万円固定資産税評価額が上がればその五%、五千円、あるいは百万円上がったらその五%、五万円、こういうふうに反映してくるというものですね。私の理解は間違いないと思うのですが、いかがですか。
  69. 石原舜介

    石原参考人 公営限度額方式というのは、おっしゃるように地価の固定資産税を基礎にしております。これはこんなところで議論しても始まらぬかと思いますけれども、私も土地臨調に参加しておりまして、おっしゃるようにこの地価の上昇の原因はいろいろありますけれども、しかし固定資産税というものの評価は、ほかの公示価格などが取引事例を中心として上げているのに対しまして、むしろ収益還元方式に近い形で固定資産税評価額というものがあるんだというような見解をとっております。ですから、そういう意味で公示価格の四分の一とか五分の一になるのはやむを得ないことだということでございますので、この収益還元というのはその土地を利用した利益があるということを還元したわけでございますので、先ほどの使用価値が上がったというふうなことは当然のことでございまして、地価の固定資産税が上がったということはそこを利用する収益が上がったというふうに解釈すべきであります。  ですから、そういうことで今回も固定資産税を基礎にしてやっておりますが、ただし、今回の改定の中心は、この固定資産税評価額算定いたしますけれども、しかし今度はこれを全団地でならしまして、そして立地条件を考慮して補正するというところに非常に大きな特徴がございます。上がった絶対額は変えないのですけれども、それの配分をいろいろ考慮するというふうなことでございますので、あるいは東京などの場合には固定資産税評価額の上昇以上に地価相当額が上がるということになろうかと思います。
  70. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間もありませんので畑中参考人に伺います。  先ほどお話を伺っておりましたら、公団住宅家賃は非常に低い、赤羽台団地の例をお出しになりました。実は、私はその近くにおります。それで、大変民間家賃との不公平、公平を欠くという御議論でございました。ところが、先ほど公団自治協の多和田さんのお話によりますと、どんな人が実際に公団住宅に住んでいるかというと、第一分位、第二分位の方々が半分ぐらいあるいは半分以上を占める、こういうお話でした。私は、みんなやはり例えば東京なら東京に住めるように、現在住んでいるところに住み続けられるように、こういうふうに思っていると思うのですね。ところが、民間家賃マンションやなんかとお比べになってどうも公平を欠く、こういうふうに言うと、私にはそこまでおっしゃってなかったかもしれないとは思うのですけれども、何かこう国が助成して公団家賃を多少でも抑えるというようなことは必要ないのかな、何かもう市場家賃を導入すればよろしいんだというふうにでも考えていらっしゃるんだろうかというような感じもしないでないのですけれども、どうなんでございますか。
  71. 畑中達敏

    畑中参考人 先ほどの陳述のときにも申し上げましたけれども、市場家賃民間家賃と同じ水準公団住宅家賃をすべきだとか、そうした方がいいというふうには考えているわけではありません。民間家賃とどの程度のバランスがいいのかということは大変難しい問題だと思いますけれども、政策住宅でありますので、そういう政策的な減額、民間の市場家賃よりははるかに低く減額、相当の減額が行われておりますし、また将来も行われるべきものであるというふうに考えております。
  72. 中島武敏

    ○中島(武)委員 公団住宅も、入った当初と違ってだんだん年数がたてばたつほどそうなんですけれども、高齢の方も出てくる。そうすると、なかなか家賃負担能力で率直に言って非常に大変だという方々が出てくるのですね。そうすると、この公営限度額方式に準じた方式でやりますと、もう家賃負担ができない、そういう人は一体どうしたらいいのか。これはやはり率直に言って出ていけ、こういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、そんなところに住むのは分不相応だ、こういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、それは非常に端的なお尋ねなんですけれども、どうなんでございますか。
  73. 畑中達敏

    畑中参考人 この問題は、先ほど石原先生もお話しになりましたけれども、家賃部会でもかなりの論議になった点でございますが、公団家賃制度あるいは公団住宅という範囲の中で高齢者の問題を解決していくのは、やはり制度的その他いろいろ無理があるのじゃないか。例えば、仮に公団が原資といいますか、そのお金を捻出して、今入居されている高齢者の方々あるいは所得の低い方々に相当、無制限と言ってもいいのですが、そういう助成をしたとしますと、ではほかの公団に入ってない人たち民間の賃貸に入っている人たちとのバランスはどうなるかとか、そんなような問題が絡んでくるのではないかと思いますので、この問題は公団ではなくてもっと広い場で検討すべきもの、あるいは論議すべきものであるというふうに考えております。
  74. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは多和田参考人に伺いたいと思うのですけれども、多和田参考人、最初の意見を述べられたときに今度の家賃値上げに反対する立場から意見を述べる、こういうふうに言われました。  私が端的に伺いたいと思っておりますのは、理由を述べていらっしゃるのですけれども、家賃値上げに反対する根本的な考え方、基本的な考え方について聞きたいと思っているのです。  といいますことは何かというと、家賃算定方式、当初家賃の場合でしたら例えば地代相当額は用地を取得したその費用に対する金利、これを償還する、そうなっているのですけれども、今度は固定資産税評価額というふうにこう変わってくるわけですね。あるいは償却費の場合でもそうなんですけれども、建設にかかった費用とその金利を償却していくというのが当初の考えなんですが、それが推定再建築費というふうに変わってくる。要するに、端的に言えば市場家賃の導入じゃないかというふうに私なんかは思うのですけれども、しかし、公団自治協の方はその点は何に反対されるのか。例えば家賃構成要素の中で可変部分を動かすことならいいというお考えなのか、反対の一番根本的なところをお尋ねしたいと思います。
  75. 多和田栄治

    多和田参考人 お答えいたします。  家賃算定方式は、先ほど他の参考人の方もおっしゃっていますように、いろいろな難しい問題があろうかと思います。だからこそ、私たち生活の実態とそして住居の居住性向上という観点から、その経費についても我々と話し合い、そしてそれが一定方式化をされるというふうな形での家賃でない限り市場家賃導入という言い方しかない。もう一つは低所得者の問題で、先ほど来低所得者のための特別措置があると言われておりますが、五十三年に確かにできました。そして値上げ対象団地は約四十万近くありました。その中でその制度が現実に去年現在ぐらいで適用されたのは三百二世帯です。  だから、そういうふうなことで実際的にこの緩和措置なり特別措置なりが実態に合った形で拡充していける、家賃算定方式もいろいろ問題がありますけれども、そうしたことについても、福祉の考え方で三百二世帯しか適用されないものを、あるあるというふうな形で結局大多数が市場家賃論で押し切られていく、このことについては私たちは何としても皆さんにお聞き入れをいただきたいということと、審議会の持ち方についても、公社住宅は三年半かかっております。都営住宅でも十一カ月、いずれも石原参考人が重要なポストについておられます。こうしたことで、審議会と懇談会の違いはありましてもやはり時間をかけてこの内容についてさらに引き続き検討していただき、今回公団から出されたものが決まったルールであるかのような形でお決めになることは避けていただきたいということをお願いいたします。
  76. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう時間のようですので、最後にもう一点だけお尋ねします。  それは、実は先ほど石原参考人が、今度家賃値上げ問題について周知徹底のために説明資料を公団はつくったと言うんですけれども、僕、それを読んでみますと、一番最後の方に書いてあるんですけれども、傾斜家賃と利子補給によって半分ぐらい国が持っているようなふうに書いてあるんですよ。これについてどうお考えですか。
  77. 多和田栄治

    多和田参考人 先ほど冒頭の質問にも答えましたように、とんでもない、確かに国からの援助をいただいているということはそうですけれども、それはそれ、しかしそれが家賃値上げになるということではないということと、ましてや傾斜家賃というのは後から払う、ツケが後に回ってきて、何らそれは国から援助が出ているのではなしにただ高い家賃だと入居者がないので少しでもさしあたり安くするための、見せかけのと言っては語弊がありますけれども、募集するための一つの手だてであって、傾斜家賃制度と利子補給金による減額措置とは全く質の異なるものだというふうに考えております。
  78. 中島武敏

    ○中島(武)委員 どうもありがとうございました。
  79. 中村喜四郎

    中村委員長 石原畑中、多和田三参考人には大変お忙しいところ、当委員会に御出席をいただきまして、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。  これにて参考人の質疑は終局いたしましたので、御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。      ────◇─────
  80. 中村喜四郎

    中村委員長 続いて、政府及び住宅都市整備公団に対して質疑を行います。野中広務君。
  81. 野中広務

    ○野中(広)委員 公団家賃変更申請につきまして御質問を申し上げます。  公団家賃が今日改定申請されておるわけでございますけれども、公団住宅が今日まで、公営住宅あるいは公庫住宅等の公的施策住宅とそれぞれ役割を分担しながら、大都市圏におきますいわゆる中堅勤労者層を対象にいたしまして、適正な対価で、かつ良好な住宅を大量に供給をしてきた役割は極めて大きいものがあるわけであります。一方、ただいまもいろいろ議論がございましたけれども、公団住宅は国の財政援助を伴った施策住宅であります。したがいまして、そこに居住をされる方々だけでなく、広く国民全体の資産でもあるわけでございます。こうしたことから、既存の賃貸住宅家賃につきましては、賃貸住宅相互間の家賃均衡、さらには維持管理に必要な経費の確保、また社会的公正等々の観点から、定期的に、かつ的確に見直しを行う必要があると私は考えるのであります。  以上のような観点から、以下数点の質問を申し上げたいと存じます。  第一には、いわゆる家賃改定ルールにつきまして、さきの五十八年の衆参両院の建設委員長公団家賃に対する要望書の中におきまして、これまた先ほど触れられましたけれども、「公団は、今後の家賃改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」との要望が出されたのでございます。公団はこれに対してどのような家賃改定ルールづくりを行われましたか、まずお伺いをいたします。
  82. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 今お話のございました建設委員会委員長要望、これを踏まえまして、先ほど来お話が出ておりますが、今後の家賃改定に当たりまして、そのあり方、すなわち再評価手法あるいは家賃の負担が急増しないための激変緩和措置、それから生活保護世帯等に対します特別措置のあり方、こういったことにつきまして、公団総裁の私的諮問機関であります基本問題懇談会、略称でございますが、その家賃部会の場で、居住者代表も含めていろいろと御意見を伺った上で実施しようということにしたわけでございます。  先ほどからもお話が出ておりますが、いろいろ専門的、技術的なものもあるということで、六十年の四月に開かれました家賃部会で全員の御了承というふうに私は聞いておりますが、専門部会がそのたたき台をつくるということを了解されまして、専門部会がそれ以降二十数回にわたって議論を重ねてきたということであります。それが昨年の十二月に家賃部会に上がりまして、そこで四回の議論が行われ、そして、大方の御賛同を得てその結果を取りまとめたわけでございまして、それを基本問題懇談会に三月十五日に報告をいたしたわけでございます。こういった一連の手続と、それから、先ほど申しました基本問題懇談会に報告しました内容、これが我々としては、委員長要望にございます「ルール作り」というふうに考えているわけでございます。
  83. 野中広務

    ○野中(広)委員 つきましては公団総裁にお伺いをいたしたいと思いますけれども、ただいま説明のございました、いわゆる基本問題懇談会へ報告をいたしました公団家賃改定につきましての内容は、今後の公団住宅家賃改定していくルールがこれによって確立をされた、このようにお考えであるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  84. 丸山良仁

    ○丸山参考人 ただいま渡辺理事からお答え申しましたように、十分な手続を踏んだ上でつくられましたルールでございますから、今後の家賃値上げにつきましてはこれでルールは確立された、このように私どもは考えているわけでございます。  ただし、今後、社会経済情勢の急激な変動があるなどいろいろの問題がある場合におきましてはやはり見直す必要があると思いますが、そういうような急激な変動がない限りにおきましてはこのルールで今後ともやっていきたい、このように考えておるわけでございます。
  85. 野中広務

    ○野中(広)委員 次に、前回家賃改定に伴いまして、それぞれこの改定に対する訴訟が行われたわけでございますけれども、その経過及び改定に対する訴訟の状況、さらには、この訴訟に対する判決の内容につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  86. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 五十三年から五十七年にかけて実施いたしました第一次の家賃改定、このときに相当家賃をお払いになるという方がおられたわけでございます。そこで、公団といたしましては、家賃額の確認と不足額等の支払いを求める訴えを順次提起しました。最終はたしか五十九年の夏だったと思いますが、総計で三千四百九十一名の方々に対してでございます。一方、五十四年だと思いますが、三百名の居住者方々から、債務不存在の確認を求める訴えが提起されたわけでございます。  公団が提起しました訴訟につきましては、訴訟後、改定家賃額といいますか改定額をお支払いになった方あるいは判決があった方等がありまして、現在係争中の、訴訟をまだ続けておる方々の人数は昨年の十二月末現在で三十九名でございます。  今までにございました判決は全部で百七十二件、これは上告審も含めてですのでダブりはあると思いますが、中に最高裁の判決三件を含んでおりますが、すべて公団の勝訴判決でございました。公団が借家法七条第一項の規定によって家賃改定ができるということが最高裁の判決によって認められたわけでございます。  また一方、先ほど申しました居住者から提訴をされました債務不存在の確認を求める訴えにつきましては、建設大臣のあっせんがあったわけでありまして、その結果、昭和六十年の三月二十八日と二十九日、両日付で訴訟上の和解を行ったわけでありますが、その場合、居住者方々改定額をすべてお認めいただいた、それから、改定額と、借家法七条第二項には一〇%の利息を付してということになっておりますが、この利息も付して支払いをいただいたことによって終了しておるわけでございます。  次に、五十八年度から六十二年度にかけまして第二次の家賃改定を実施させていただいたわけでございますが、その際にも、相当家賃をお払いになっているという方がおられるわけでございますが、やはり第一次の家賃改定の場合と同じように、一定の期間を定めまして支払い催告を行って、それでも支払っていただけないという場合には、不足額の支払いを求める訴えを順次起こしていきたいというふうに考えております。  それから、判決の内容ということでございますが、何せたくさんございますので、その主なものだけをかいつまんで申し上げますと、まず、先ほどちょっと申しました、公団賃貸住宅の利用関係は私法上の賃貸関係である、したがって、家賃増額については借家法七条第一項の適用があって、公団家賃を経済事情の変動に即した相当額にまで改定できる、これは最高裁の判決でございます。それから東京高裁の判決でございますが、家賃の増額に関する賃貸借契約五条、これは公団と借家人の方で結んでおる契約でございますが、これは借家法七条一項と同趣旨であるということでございます。それからもう一つ東京高裁でありますが、公団賃貸住宅家賃変更の場合に個別原価主義という規制は存しないという判決を得ております。それから、これは全部の裁判所でございますが、公団改定家賃額は証拠上すべて相当であるという御判断をいただいているところでございます。
  87. 野中広務

    ○野中(広)委員 次に、家賃算定方法についてでございますけれども、先ほども議論がございましたが、これまで家賃改定に用いてまいりました公営限度額方式に準ずる方式というのを今回見直すことにされたわけでございますけれども、その理由につきましてお伺いをいたしたいと存じます。
  88. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 先ほども御議論が出ておりましたが、公営限度額方式というのは、もちろん公営住宅法に定まった方式でございます。それで、公団住宅と同様の施策住宅であります公営住宅についてのものでもございます。  具体的には、家賃を構成要素別に管理開始後の経済変動に応じて算定するということで、当初家賃との関連が明確であるとか、それから規模、構造、古さを算定式の中で反映している、あるいは非常に大量の住宅の処理といいますか家賃算定処理、これに便宜的であるというようなことで、公団住宅家賃評価にもふさわしい方式ということが言えるわけでございます。したがいまして、従来からの経緯も踏まえまして、それを今後とも基本とするということはございます。  ただ、この方式は、当初の建築費などをもとにしましてその後の経済変動を平均的に掛けて家賃を再評価するという、いわば再評価法であるということでありまして、公団のように全国的に立地している住宅について見ますと、立地条件の反映、これはもちろん固定資産税というものが中に入っておりますから反映は一部あるわけでございますが、それが必ずしも十分でないということがあるわけでございます。  そこで、今後の家賃見直しにおきます家賃算定方法につきましては、従来の方式基本とする、しかしながら、その算定額に公団賃貸住宅相互間の立地条件の差異等を考慮して一定補正を行うというふうに決めたわけでございます。もちろん、継続家賃につきましては、現行家賃算定額との差の二分の一を加算するということは従来どおりでございます。
  89. 野中広務

    ○野中(広)委員 次に、いわゆる特別措置につきましてお伺いをいたします。  生活保護世帯あるいは老人世帯などの生活困窮と認められるような世帯に対しまして従来特別措置を講じてきたわけでございますけれども、これにつきましては、先ほど来もさらに拡大すべきであるという意見があるわけでございますが、公団としての考え方をこの際お伺いをいたしたいと思います。
  90. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 今お話がございましたように、家賃改定の際には、建てかえもそうでございますけれども、生活保護世帯あるいは老人、母子、身障者世帯等で一定の要件に該当する世帯の方々については、改定後の家賃がそれぞれの地域ごとに定められております生活保護法に基づく住宅扶助限度額を超える場合、最初から払っておられるもと家賃がそれより高い場合にはもと家賃ということになりますが、そういうものを超える場合にはそれを一定期間減額するという措置をとっておるわけでございます。  しかし、先ほどからも議論が出ておりますように、非常に狭い意味といいますか、いわゆる福祉的な措置というものは、本来国あるいは地方公共団体、こういった福祉制度と役割を分担しながらやっていかなければいけないというふうに考えておりまして、公団に与えられておる役割からしますると、公団措置をするということにはやはり一定の限度がどうしても出てくるというふうに考えるわけでございます。  したがいまして、公団家賃改定の場合の特別措置のあり方といいますか考え方でございますが、一つは、通常の福祉制度でもって一般に保護、援助を要する者とされている方々対象とすべきではないだろうか。二点目といたしましては、その措置内容でございますけれども、国の生活保護制度等で措置さるべき部分、先ほど申しました住宅扶助限度額というのはまさにそうでございますけれども、その部分を超える部分について公団としてやるということになるのではないかというふうに思います。そうしますと、以上のような観点をずっと総合的に考えてみますと、従来の特別措置、それから今回申請いたしております特別措置もこの考え方に立つものでございまして、これをさらに拡充するということは極めて難しく、現在の制度が妥当であるというふうに思っておるわけでございます。  ちなみに一つ二つ数字を申し上げさせていただきますと、六十三年度の場合で収入基準公団が定めておりますが、例えば東京の場合でございますと四人家族で月額で三十四万八千八百円、年額で四百十九万円というような基準以下の世帯でありまして、生活保護世帯はもちろん入りますが、かつ老人あるいは母子あるいは身障者世帯、こういった方々については今の制度の適用申請していただけば適用があるわけであります。ただ、例えば六十三年度東京都の住宅扶助限度額は四万七千八百円でございまして、それよりも家賃が低い場合にはこれは適用のしようがないというのが実情でございまして、先ほども適用の数が非常に少ないじゃないかというお話がございましたけれども、主たる原因はどうもその辺にあるというふうに思えてならないのであります。
  91. 野中広務

    ○野中(広)委員 公団家賃につきましては、公団が日本住宅公団として昭和三十年に発足をいたしまして翌三十一年に入居を開始いたしまして以来、先ほど西村理事からも発言がありましたように、実に異常な状態で二十二年間据え置かれたままでありまして、昭和五十三年、さらに五年後の昭和五十八年の二回にわたって改定がされたわけでございますけれども、今回の家賃改定理由につきまして、公団総裁としてのお考えをお伺いいたしたいと思います。
  92. 丸山良仁

    ○丸山参考人 御承知のように、公団賃貸住宅は、国の財政援助を受けて建てられた住宅でございまして、広く国民全体の資産でございます。したがいまして、その家賃につきましても、賃貸住宅相互間に均衡がとれているかどうか、あるいは維持管理のための経費が賄われているかどうか、さらには希望者の十分の一も入居できないというような実態も配慮しなければならないわけでございますが、こういうような点を考慮いたしますと、やはり定期的に適切な家賃に変えていく必要がある、このように考えているわけでございます。  このため公団といたしましては、今お話しのように二十二年間上げなかったわけでございますが、五十三年になって初めて行い、その後五年目の五十八年に二回目の値上げを行い、今回第三回目をお願いしているわけでございますが、その理由といたしましては、二回の値上げをいたしましたのですが、激変緩和措置その他を講じたためにやはり公団住宅相互間でなおかつ不均衡があるということが一点。もう一点は、今の家賃では十分な修繕もできない、このような状況にあるわけでございますから、そういう点を勘案いたしまして、十月から第三回目の一斉改定をさしていただくべく現在建設大臣承認申請中でございます。
  93. 野中広務

    ○野中(広)委員 時間がありませんので、あわせて二つお伺いしたいのですが、前回の五十八年の改定後の家賃の現状につきましてどのようになっているか、お伺いをいたします。  もう一つは、敷金改定でございますけれども、過去二回の改定におきましてはそれぞれ敷金は見送られてまいったのでございます。敷金というのは、申し上げるまでもなく何らかの理由家賃の納入がおくれた場合の担保でありますので、新規入居者はそれぞれ家賃の三カ月分を敷金として納入をしておるわけであります。さらに、その一部は運用益で団地の環境整備等に使われておるわけでございまして、居住者相互間の不公平を思うときに、過去二回の据え置きは非常に大きな不公平を生じておると私は思うのでございます。また一方、民間賃貸住宅の実情を思いますときには、敷金、礼金あるいは借りかえ等の実態からいたしましても妥当性を欠いておると考えなくてはならないのであります。  したがって、民間公団住宅とを一緒に論ずることはできませんけれども、しかし、少なくとも敷金というのはいわゆる担保力を保持するものであるということを考えましたときに、ぜひこの際改定をいたしまして、本来の原則に照らして徴収をするべきであると考えるわけでございますが、その実態なり改定理由につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  94. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 まず第一点目でございますが、過去二回家賃改定対象となりましたのは昭和四十九年度までに供給された住宅でありますが、その場合で平均を見ますと、現時点といいますか、その平均が二万四千二百円ということになっております。なお、今回値上げ申請しております住宅についての現在の状況を申し上げますと、三万円以下の住宅が七九・三%ということでございます。これを平均四千七百円上げさしていただくわけでございますが、それでも三万五千円以下の住宅が七八・一%というような状況でございます。  それから、第二点の敷金でございますが、私ども、過去二回の家賃改定申請におきましてやはり家賃の額に合った敷金をいただきたい、これは契約書にも明定されておるわけでございます。そういうことで申請をしたわけですが、大臣の御指導によって見送られたわけでございます。  数字をちょっと申し上げますと、ちなみにこれは極端な例で恐縮かもしれませんが、昭和三十一年からずっとお入りになっている方々、これは平均でございますけれども、この方々からいただいている敷金は一万三千八百円でございます。その方々平均家賃は現在一万八千四百円でございますから、月にしますと〇・七五カ月分にしかならないというのが一方にございます。しかして、六十一年度の供給賃貸住宅平均家賃でございますが、これは七万八千八百円でございます。仮にこれを七万円といたしましても、二十一万円の敷金をいただいているわけでございます。同じ公団住宅に住んでおられる方々で、もちろん家賃は違いますから別でございますけれども、やはりその辺の不公平ということも考えなければいけないのではないかということもございまして今度の申請もいたしましたし、これはぜひお認めいただきたいと考えておるわけでございます。
  95. 野中広務

    ○野中(広)委員 最後に、過去二回の家賃改定の状況の中から、増収額をどのように使ってこられたか。まず二回の改定によります増収の額、及びどのような状況になっておるのか。あるいは、先ほど申し上げましたように、その際、それぞれ衆参両院の建設委員長要望があったわけでございますが、この要望を踏まえてどのように使われておるのかをお伺いいたしたいと思います。
  96. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 過去二回の増収分でございますが、もし必要ならばトータルで申し上げますが、簡単にするために六十一年度で見てみますと、第一次の改定によります増収額は二百四十五億円でございます。そのうち百七十九億円、すなわち七三%を修繕費等の維持管理経費に充てて、六十六億円を家賃抑制に充当しております。それから、第二次の改定による六十一年度増収額は百九十七億でございまして、そのうち百五十五億円、つまり七九%を維持管理費に充てておるわけでございます。  ただ、この前の五十八年のときの国会でも御議論がございましたが、七割は修繕費に充てたい、三割は抑制に充てたいということで、今申し上げました二一%という数字は奇異にお感じになるかもしれませんが、家賃抑制というのは一回やりますとずっと続くわけでございます。したがって、毎年だんだん階段的に上がっていくわけでございます。したがいまして、昭和六十二年度にその抑制の比率がおおむね三〇%になろうということでございます。
  97. 野中広務

    ○野中(広)委員 建設大臣のお出ましをいただいておるわけでございますが、今回の公団家賃改定申請に当たりまして、建設大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。
  98. 越智伊平

    ○越智国務大臣 公団側から御説明ございましたように、住宅相互間、あるいは良好な維持管理、こういうものを考慮して値上げをしたいという申請が出てまいっております。きょうは当委員会集中審議がなされておるわけでございますが、皆さんの御論議を十分踏まえて今後審査をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  99. 野中広務

    ○野中(広)委員 ありがとうございました。
  100. 中村喜四郎

    中村委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ────◇─────     午後二時二十一分開議
  101. 中村喜四郎

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村茂君。
  102. 中村茂

    中村(茂)委員 五十三年度のときの値上げも五十八年のときも、一応国会で要望事項いわゆる国会決議を行ってまいりました。五十三年のときも五十八年のときも大体同じ決議になっているわけですが、その中で特に第一項は、政府に要望しているこういう項目になっているわけであります。「住宅に困窮する勤労者に対し、良質な公共賃貸住宅の供給と高家賃の引下げに努める」。第一回のときも第二回目のときも、特に私がここで強調したいというふうに思いますのは、この良質な公共賃貸住宅。第四次五計、第五次五計それぞれ見ますと、この面が計画的にも下がってきているわけですね。  それから、今回東京一極集中の土地の暴騰、高騰があった、それが各地方、特に地方都市に波及している。そういう中でよく言われるのは、本委員会においても昨年、そういうものに対応して住宅というものを考えてみた場合には、大都会においては公共賃貸住宅をこれから大量に建ててそういう面をなくしていく必要があるんじゃないか、こういうことでそれぞれ提起され、あの土地の審議した中にも、公共賃貸住宅の良質な住宅をどんどん建てるようにしなさい。ところが、今申し上げましたようにそれが一向にはかどらない。  この公共賃貸住宅というものについて、建設省はどのように考えているか、まずお聞きしたいと思います。
  103. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 第四期五計に公営住宅公団住宅などの公共賃貸住宅の計画を盛り込みまして、その執行に努めたところでありますけれども、現実には用地の取得難、特に公共賃貸住宅となりますと家賃に地価が反映するという観点から、地価の高いところはなかなか取得しにくい。また一方、特に公営住宅のように低額所得者の住宅でありますと、利便性の高いところにまた用地を求めなければいけない、こういうことから適地を取得することは極めて困難になってまいりまして、こういうことを反映いたしまして四期五計におきましては実績が計画を大きく下回ったところでございます。  しかしながら、第五期五計におきましては、六十一年度から始まるわけでございますけれども、公営につきましては、四期五計の実績約二十五万でありましたけれども、これを上回ります二十八万という戸数を計画し、また公団住宅につきましても、賃貸用の特定分譲を含めまして実績が七万戸でありましたけれども、これを四期五計と同じ戸数の十万戸を賃貸系につきまして計画いたしまして、その執行に努力をしているところでございます。
  104. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、四次までさかのぼらなくてもいいですけれども、第五次五計の、いわゆる六十一年、六十二年と経過したわけでありますけれども、その中の公団住宅の計画と実績、それをまず明らかにしていただきたいと思います。
  105. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 公団住宅につきましては五期五カ年計画は総量は十三万戸でございまして、うち特定分譲も含めました賃貸系が十万戸でありますけれども、六十一年度の見込みといたしましては総量で約二万戸でございまして、うち賃貸系は一万五千戸。次に六十二年度と六十三年度は予算ベースの計画戸数ということで二万五千、二万五千、こういうことでございまして、六十二、六十三が計画どおり執行するとなりますと、その進捗率は、全体の賃貸系に限りまして、十万に対する比率としては五三%、こういうことになるわけであります。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
  106. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで総裁にお聞きしたいのですけれども、第二次行政改革で住宅都市整備公団に対しても答申がなされて、簡単に言えばまず事業の区域の原則を四大都市に限定しなさい。二番目には、市街化地域における再開発、この事業については地方公共団体の要請を受けて行いなさい。みだりに行ってはいけないということで少し枠がはまった。それから三点目には、賃貸住宅建設については既存の建てかえでやって、そう進めなくてもいいよ。一応これも最小限度に枠をはめられてしまった。それから四点目としては、分譲の住宅については、これも地方公共団体と協議ということで枠をはめられた。そして、そういうふうに事業を縮小していって、人員を縮小して合理化をしなさい、この五項目じゃなかったかというふうに思うのです。  私は、これは非常に問題で、確かに行政改革という中でこういうふうに出されてきたわけでありますけれども、今申し上げましたように、この手法住宅についても賃貸についても民間でやればいいじゃないか、民間手法でやればもうこういう公共賃貸はそう必要ないんだ、こういうふうに枠をはめられてきたのだというふうに思うわけです。しかも土地の高騰で、大都市においては公共賃貸を進めていかなければとてもじゃないけれどももう入ることができない。うちを買えと言ってもとても買える値段ではない。結局、都会からははみ出されてしまう。  ところが先ほど、少ない数ですけれども、順に少なくなってきていますけれども、五期五計なりまたその前でせっかく割り当て戸数を割り当てても、それも消化できない。この最大の原因はどこにあるのか。それから、総裁として、こういう枠がいろいろはまってきているけれども、この面についてどういうふうに考えているか、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  107. 丸山良仁

    ○丸山参考人 まず、計画どおりに賃貸住宅なり分譲住宅が建たない理由でございますが、先ほど住宅局長からも答弁のございましたように最大の問題は住宅適地が減ってきたということと、地価の高騰によりまして、土地がたとえ買えたにいたしましても、当公団として供給すべき中堅勤労者対象にする住宅をなかなか供給いたしかねる、こういうことが最大の原因でございます。  それから行革審の問題でございますが、今先生お挙げになりましたように重点といたしましては五点になっておりますが、この面では事業に支障はないと私は考えているわけでございます。折衝の段階と申しますか、行革審でいろいろと議論のありました段階におきましては、賃貸住宅、分譲住宅等新規供給はすべてやめたらどうか、あるいは持っている土地は売ったらどうか、こういうような御議論があったわけでございますが、それに対しましては建設省を初め我々も行革審委員皆様方に十分御説明いたしまして、その結果このような答申になったわけでございます。したがいまして、現在事業を執行している段階では支障がないわけでございます。例えば、四大都市圏原則にしてやりなさい、そのうち二大都市圏に重点を置け、こういうことになっておりますが、現実には二大都市圏建設する住宅が全体の八割以上になっております。そういうことで、これは先ほど申しましたように、行革審に枠をはめられたから仕事が進まないわけではございませんで、いろいろな事情でできないということでございます。  それから賃貸住宅につきましては、先ほども説明がございましたが、五カ年計画では十三万戸のうち賃貸系が十万戸、こういうことになっておるわけでございます。現実にも、現在二万戸、昨年度は二万一千六百戸くらいの住宅建設できたわけでございますが、その大体四分の三は賃貸系の住宅で建てているわけでございます。  これから建てかえにつきましては、我々のこれからの最重点施策の一つと私は考えているわけでございまして、現在六十八万戸の賃貸住宅を抱えておりますが、そのうちの十七万戸が昭和三十年代に建てられたものでございます。これを二十年間で建てかえたい、このように私は考えているわけでございまして、六十一年度五百三十七戸、六十二年度二千四百十戸、本年度予算におきましては五千戸が計上されているわけでございます。これも着実に伸ばしてまいりたい、このように考えておるわけであります。  それから、これからの住宅政策都市政策を考える場合には、やはり市街地の再開発というのが最大の問題でございます。この点につきましても、現在二十七カ所八百ヘクタールの地域について仕事を進めているわけでございますが、六十三年度におきましては新たに六カ所百四十ヘクタールの地域について新規採択が認められているわけでございます。その他新都市開発につきましては、現在一万七千ヘクタールの地域において事業を進めているわけでございます。  そのようなことで、行革審の答申はございましたが、この線は、これから我々が当公団として仕事を進めてまいりたいと考えていた線に沿うものに最終的にはなっているわけでございまして、私どもはこの線に沿って仕事を進めてまいりたい、このように考えております。
  108. 中村茂

    中村(茂)委員 最終的には考えていた線に沿ったというのは、ちょっと言い過ぎじゃないかと思うのです。というのは、もっと公共賃貸をふやしていけ、しかし全体としては減らされて、四大都市圏、二大都市圏に力点を置け。私が今言おうとしているのは、とにかくこれは東京なら東京で考えてもいいのです。もっと公共賃貸をふやしていかなければ、一般の勤労者、庶民ではもう入るところがないですよ、土地を取得しても。  もう一点。せっかく計画を立てても土地が高いし取得できない、だからしようがない、これでは責任は済まされないというふうに私は思う。少なくも計画くらいはきちっと——不足しているわけでありますから、もうおわかりのように、公団も未利用地はなくなった、空き家もなくなった、そうして応募者も何倍とある、これは不足している証拠なのです。ですから、これは公団ばかりではなしに、大臣にも強く訴えておきたいというふうに私は思うのですけれども、もっと言えば、公団も計画上ふやして、実際に公共賃貸を実施できるように努力すべきだというふうに思うのです。それから、土地の取得で困難だとかいろいろ言っていますけれども、政府としてもここに言っておりますように公共賃貸住宅の供給を促進しろ、私どもも何回言ってきたって、それが達成できない。その責任は重大じゃないか、こういうふうに私は思うのです。
  109. 丸山良仁

    ○丸山参考人 確かに御説のとおり公共賃貸住宅をふやさなければならないことはもちろんでございます。したがいまして、計画どおり実施できないということはまことに遺憾に存じているわけでございますが、実情は先ほど申したような状況でございます。  そこで、我々といたしましてはいろいろ知恵を出しまして、国公有地は優先的に当公団に払い下げていただくというような措置を一生懸命今講じているところでございます。それと同時に、土地を買収するということになりますと家賃が高くなってしまう、こういうことでございますから、賃貸方式、土地をお借りして住宅を建てる、こういうような方式につきましても積極的に進めているようなわけでございまして、このような方式を実施することによりまして何とか計画に少しでも近づけたい、このように考えているわけでございます。
  110. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今総裁からお答えいたしましたが、問題は、東京都を中心に言いますとやはり土地の問題であります。でありますから私どもは、やはり国公有地を地方自治体並びに公団に利用さしていただいて、そして公営住宅あるいは公団住宅、これの供給をぜひともお願いしたいということで、今折衝をいろいろやっておるような次第であります。
  111. 中村茂

    中村(茂)委員 特に国公有地、それを地方公共団体なり公団に払い下げるという問題、これは本当に積極的にやっていただきたいというふうに思うのです。国鉄の用地などについても前にいろいろ話し合ったけれども、今までほとんど成功してないですね。いろいろ話は聞きました。しかし、大臣の政治力で本当にそういうものが活用できるように、それから、今回の国会にそれぞれ法案が出ております、工場の跡地とかさまざまなものが出ているわけです。そういうのをやはり、公共賃貸ということになれば公営住宅公団住宅、そういうところですから、ひとつ積極的に御努力をお願いしたい。  次に質問申し上げたいと思いますのは、やはり決議の中の三項ですけれども、午前中も参考人といろいろやりとりをいたしましたルールの問題です。これは午前中やりましたからそう多く申し上げませんけれども、公営の限度額方式で、これは、地代相当額が固定資産税というふうになっているところが、果たして家賃算定していく方法としては適当だろうか。ここのところが私一番気になるところなのです。というのは、地価が上がればどんどん固定資産税も上がる。しかし固定資産税のとり方というのはそれぞれの自治体に任されていますから、少し段階が出てくる。そういうものを地代相当額ということでこの中へ組み入れていく。午前中も話がありましたけれども、そこに住んでいるからといって、周りの土地が上がって固定資産税が上がっても、これは直接その人の収入がふえるわけじゃない。ただ便利がよくなる、それは確かですね。しかし、金銭的にいけば別に収入がふえるわけじゃない。そういうのをこういう中へ取り入れてきている。  そこで、午前中の論議でもいろいろありましたけれども、これをもう絶対曲げることはできない、金科玉条で、これを固定してしまうということについては私は反対です。やはり、一応の方向はこういうことを中心にしてやっていくでしょうけれども、世の中はさまざまな問題が出てまいりますし、恐らく周期三年のものはそういうふうにしなくてもいいのじゃないかというふうに私どもは主張はしておりますけれども、例えて言えば、そのように三年になったという場合に、ことし六十三年度固定資産税が次で適用されるわけですね。そうなると、この二年間物すごく土地が上がってきたものが次の値上げのときにもろに出てくるわけですよ。そういう算出方法でいいだろうかという疑問を持っていますから、余り固定的に考えないでもらいたいということを申し上げておきたいと思います。この点いかがですか。
  112. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 午前中にも議論が出ておりましたが、公団といたしましては適切な手続に基づくルールというものをつくり上げたと考えておるわけでございます。ただ、総裁も先ほど申し上げましたが、これを未来永劫のルールと考えているわけではございません。急激な社会事情の変動があった場合には当然に見直すことが必要であると考えております。
  113. 中村茂

    中村(茂)委員 今度値上げをしようというふうにした理由は何でしょうか。
  114. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 御存じのように、公団家賃変更につきましては公団法の施行規則第五条に規定があるわけでございまして、それにのっとって建設大臣承認申請をしたわけでございますが、公団住宅相互間の家賃の不均衡、それから、これは経済変動ということだと思いますが維持管理費の確保、そういうことが主な理由でございます。
  115. 中村茂

    中村(茂)委員 不均衡と言うけれども、不均衡は個別原価主義でつくられてきてもともとあるのだね。だから、その不均衡という物の考え方が全然わからないのです。その点どうでしょう。
  116. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 かなり古いものと新しいもの、これはそのときどきの物価が違いますからもちろん原価は違うわけでございます。過去二回既に改定をさせていただいているわけでございますが、例えば平米当たりの単価で見ますと、平均的に見ましても古いものにつきましては五百円を下回っていて、新しいものは千円をオーバーしている。そうしますと、そういう古さあるいは設備等を考えましてもやはり不均衡だと言わざるを得ない。  それからもう一つは、これは一つの例でございますけれども、たまたま同じような年度の同じ広さの同じような住宅が二カ所にあった場合に、空き家の募集をいたしますと応募倍率が非常に違うという現象も生じております。そういう場合に、応募倍率が非常に高いところというのは全体的に見て立地条件がいいということになりますから、公団賃貸住宅相互間としてもそこの均衡を図る必要があると考えているわけでございます。
  117. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、不均衡という問題は、今言われた点よりもここに問題があると思うのです。当初発足したときには比較的土地もまあまあの値段だった。それから開発である程度土地も大量に取得することができた。未利用地が発生するほどという状態だった。ところが、地価はどんどん上がる、何よりも上がる。したがって取得も困難だし、土地代が高くなってくる。でき上がった住宅は相当急カーブでどんどん上がってきている。これは政府の責任であるし、土地政策なりそういう全般的な政治責任なのです。だから、不均衡ができたとかいろいろ言ってこれを直そうと言ってみたところで、これは増収分を修理にどのくらい使うか、抑制にどのくらい使うかということと一致してくる論理なのですけれども、確かに値上げの場合に、修繕するとか値上げした住宅のところへ使っていくなら少しくらい上がっても皆さん納得すると私は思うのです。多分また、みんなのところへやって環境をよくしてやるのだよ、また内容もよくなるのですよと。ところが抑制に使う。抑制にやる部分は、今言ったように土地が上がってくる、そうして、皆さんが努力されるだろうけれども、急カーブでとてもこれでは公団住宅としては高過ぎる、だから傾斜をつくったり、そこのところへ使うというのでしょう。だから、皆さんの責任、政治責任でそういうふうになってきたところへ、さあ上げてくれ、その分こっちで使うぞ、こうなるから反対が出てくるのは当然じゃないかと私は思う。これは民間で商売でやっているなら別問題です。それは全体で経営するわけだから、やはりもうけも取らなくちゃいけないし、そういうことをやるでしょう。しかし、公団というのはそういうものと違うと私は思うのです。だからそこら辺のところをどうしても私は理解できないのですが、私の納得できるようにひとつ説明してくれないですか。
  118. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 現実問題として、都市の中央部といいますか都心地域でも住宅を供給していかなければならないわけでございますが、極端な例は別といたしまして、やはり都心に近くなれば非常に家賃が高くなる。そこで、五十八年の委員長要望の第一項にもございますが、「良質な公共賃貸住宅の供給と高家賃の引下げに努める」という点があるわけでございますが、我々といたしましては、そういう皆さん方からいただいた三割を抑制に回させていただいて、入りたい方はたくさん待っておるわけですから、そういう方々のために良質な公共賃貸住宅を供給していくことも非常に重要ではないかと考えているわけでございます。
  119. 中村茂

    中村(茂)委員 全然説明になっていませんね。  そこで、具体的な問題で若干お聞きしていきたいと思いますが、今度の中では、十月一日から実施となっております。過去を考えてみれば、五十三年のときには七月ということで上申されて九月から実施になった。五十八年のときには九月という上申が十月になった。だから、前にそうなったから今回は十月ということで出しておいて十一月からやる予定なのでしょうか。
  120. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 そういうことは全くございません。もう御説明するまでもありませんが、公団賃貸住宅は、先ほど総裁が申しましたように、国の財政援助を伴った施策住宅であります。要するに広く国民の資産であるということだと思います。そうしますと、適時適切に家賃見直しを行っていく必要がある、そして均衡を図っていく必要があるということであります。そして、五十八年度以降、継続家賃見直しにつきましては毎年度年央の十月一日に改定をずっとしてきたわけです。それとの公平性の確保という問題もございます。それから、算定額に用いる固定資産税評価をどう使うかという問題があるわけですが、直近のものを採用するということがあるわけでございますが、そういったようなことを総合的に勘案いたしますと、実施時期はやはり十月一日をおくらせるわけにはいかないと思います。ぜひともよろしくお願いをいたします。
  121. 中村茂

    中村(茂)委員 空き家家賃はどうして十一月になっているのですか。
  122. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 空き家は三年ごとに改定してきておりますが、十一月募集というのがございまして、十一月一日になっていると理解しております。
  123. 中村茂

    中村(茂)委員 空き家が十一月一日ですから、私は両方そろえた方がいいと思う、そのことを強く要求をしておきます。  それから、五年でやってきた。二回やったから私はこれはもう定着した、こういうふうに思っていたわけですけれども、三年周期ということは、どういう考え方で三年周期になったのでしょうか。
  124. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 家賃算定の構成要素の中に固定資産税評価額を使っているわけでございますが、まずこの固定資産税評価額というものの評価がえが、これは御説明するまでもなく三年ごとであるということでございます。そこで、改定が五年でありますと、確かに過去二回五年でやって、今度もそれから五年目になっているわけですが、三年と五年という差が出てまいります。したがいまして、その中に一度固定資産税評価がえが入る場合と二度入る場合と、そういうふうに非常にぶれが出てくる場合があるわけであります。そういうことと、それからもう一つは、これはやはり適時適切に見直すということでありますから、余り長期になりますと居住者の負担という面から考えましても、経済変動も含めますから上げ幅が大幅にならざるを得ない、そういうことも考えますと、三年というのが公平とかそういうことから考えまして一番妥当であるというふうに考えたわけでございます。
  125. 中村茂

    中村(茂)委員 またもとへ戻るのですけれども、公営限度額方式で地代相当額が固定資産税、その固定資産税が三年ごとに見直すから三年だ、こういうふうにぐるぐる回ってしまうわけですね。ですから、限度額方式でやる地代相当額が固定資産税ということで組み込んでいくことに私は非常に疑問を持つ。疑問を持つそのものを軸にしてまた三年というふうになるわけですが、いずれにしても五年で二回やってそう問題はなかったわけですから。じゃあばらばらじゃないか。いろいろ言うけれども、今はもう少し考えなければならないというふうに思いますのは、空き家家賃はそれぞれ上がってくる。一つ団地がある、これはそこのところへ行って一軒一軒確かめてみなければ、本当に家賃が、どういうふうな人か、恐らく五種類くらいな家賃の人が入っていると思うのですよ。入っている人は同じ団地で同じ棟でただ部屋が違うだけだ。しかし、入ったことによって、今までずっと入っている者と、空き家にぽつんぽつんと日時が違って入ってきた、したがってその者でも違う。それで五種類くらい入っている。こんな複雑な家賃の制度はないですよ。だから私は三年は反対です。それで五年にしていただきたいというふうに思いますけれども、三年にするならそういう空き家とかそういうものをやはり三年ごとにきちっとするとか、そろえるべきだというふうに私は思うのだ。値上げの時期だといったって十月一日と十一月一日で違う。ここらへんのところは、三年周期というものに反対して、私の意見を強く申し上げておきたいというふうに思います。  次に敷金でありますけれども、これももう二回やってきたから定着したんじゃないかというふうに思っていたところが、また上げると言うのだけれども、そこで、敷金というものはどういうものなんでしょうか。
  126. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 賃貸借契約におきまして、家賃などのいわゆる賃借契約に基づきます債権、これを担保するという目的で三カ月いただいているという性格のものでございます。
  127. 中村茂

    中村(茂)委員 民間でほとんどやっていますけれども、私は、こういう公団とか公営とかいうところは敷金の制度をつくること自身ちょっと問題じゃないか、こういうふうに思う、広くみんなに入っていただくわけですから。ですから、返すとはいうもののその制度自身について、私はまず一点疑問を持っているということ、それから、二回ももうずっと据え置きできたわけですから、やはり今回も据え置きにすべきだということを強く主張して、皆さんの意見は聞きません。  それから、激変緩和というか限度額ですけれども、この限度額前回値上げでは最高のところで一万円だったのが一万五百円というふうになっているけれども、全体的に上がってきてこういうふうにせざるを得なかったのでしょうか。ちょっと中身についてお聞きしておきたいというふうに思います。
  128. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 これは五十三年の改定のときに公営とかいろいろなことを勘案して七千円ということが決められたというふうに理解しておるわけでございますけれども、五十八年のときには、その七千円から消費者物価指数、貨幣価値の下落分だけ上げた数字を真ん中に置いて、今度は一居住室、二居住室、三居住室、そういうふうに三つに分けた。八千円、九千円、一万円ということでございます。それで今度はそれを九・七%、これは五十六年と六十一年の消費者物価指数の伸びでございますけれども、それで計算いたしますと、一万円は一万九百円になり、九千円は九千八百円、それから八千円が八千七百円ということになるわけでございますが、いわば端数を切り捨てる、少しでも限度額を下げるという意味で一万五百円、九千五百円、八千五百円という限度額お願いしているわけでございます。
  129. 中村茂

    中村(茂)委員 五年たっていますけれども、家は古くなるわけですね。五年間たてばそのものは五年間古くなる。それでいろいろな評価が上がってくるというのが私はよくわからない。普通は古くなっていけば家賃は下がらなければいけないのが原理だというふうに私は思っているのですけれども、古くなればなるほどまた上がってくるというそれがどうも、家賃算定なりあらゆる仕組みが悪いのじゃないか、私は基本的にはそう思っている。だから限度額前回と同じでいいんではないか、こういうことを主張しておきたいというふうに思います。  次に、生活保護世帯等の緩和の問題ですけれども、今やっている枠をもう少し広げることができないかということが一点。それから認定について半年間ということでやっていますけれども、値上げ周期の期間全部、半年なんというけちなことを言わないで、次までずっと発生しているわけですから、その分を全部見てやったらどうだろう。それから、期間が五年というふうになっていますけれども、今度周期が、三年は反対していますけれども、三年になったとすれば、次の六年というのは半端ですね。だから、そこら辺のところももう少し延ばすなり検討する必要があるのではないでしょうか、こういうふうに思いますけれども、枠の拡大について御見解を承っておきたいと思います。
  130. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 この席で何度も申し上げておりますが、住宅都市整備公団住宅というのは、やはり全体の住宅政策の中で公営住宅等との役割分担で進めていく必要があると思っているわけです。そして、生活困窮者あるいは生活保護世帯、こういう方々に対する措置というものは本来は国や公共団体がやるべきものだ。それとの役割分担ということはありますが、そういうことを考えますと、公団が現在の役割ということを前提にすればどうしても一定の限度があると考えておるわけでございます。そこで、公団家賃改定に伴います特別措置のあり方といたしましては、先ほども申しましたが、一般の福祉制度で対象となっている人を対象にする、これは特に問題にされていないと思います。それから内容も、生活保護制度等で措置される部分以上の部分についてやるということを基本にしているわけでございます。  それで、六カ月を延ばしたらということでございますけれども、受け付け期間につきましては、前回改定は五十八年でございますけれども、その際に国会委員長要望が出たわけでございますが、これを踏まえまして、特に収入基準あるいは住宅扶助限度額改定される前の当該年度の末日、これは毎年度住宅扶助限度額というのは変更されていくわけです、大体上がっていくわけですけれども、それが改定される前の当該年度の末日だということで、六カ月というのはその結果だったわけでございます。そういうことでありまして、これを延ばすということはもう限度ではないかということで、ぜひこれでお願いしたいということでございます。  それから、適用期間の延長の問題でございますけれども、本来的に考えましたのは、やはり周期との連動ということでございまして、三年ということだったと思います。ただ、先生もちょっとおっしゃいましたように、従来五年でやってきたじゃないか、そのときに、今まで五年で来たものが三年のときに、たまたまその住宅家賃改定がないということになった場合には今までより不利になるではないかという議論がございまして、これは従来どおり五年ということにしておるわけでございまして、もともと考え方といいますか、制度的に出てくるのは三年ではないかと思います。そういうことから申しましても、この五年はぜひお認めいただきたいと思います。
  131. 中村茂

    中村(茂)委員 縮小していくことばかり考えていて広げることを全然あなたたちは考えない。もう少し知恵を絞って広げることをきちっとやりなさい、こういうふうに言っているわけであります。  それから、増収分の問題で冒頭も申し上げました。増収分は全額修理改善に使ってもらいたい、これが私の本来からの主張であります。ですから、七〇%、三〇%、こういうことでやってきていただいているわけでありますけれども、その七〇%をできるだけふやしていく、この努力をしていただきたいというのが一点。  それから二点目の問題とすれば、先ほども生活向上にという話が修理の問題でありましたが、入っている人たち意見を十分聞く方法を考えながら修理または改善の枠をできるだけ広げていく、そういうふうに口で言っても、七〇%、三〇%の枠のある限り、こっち側へ持っていくかこっち側へ持っていくかで七〇%のたらい回しなんですよ。だから参考人の方が言ったことが私はよくわからなかったんだ。金をふやす、例えて言えば七〇%を八〇%にして修理費もふやしてやるからもっと中身をよくしていきますならいいけれども、枠を決めておいて、それで中身をよくしますと言うから、参考人何言ったかよくわからないのですが、そこら辺どうなんでしょう。
  132. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 まず七〇%を八〇%にせよという点でございますけれども、簡潔に申し上げますが、先ほど申しましたように大都市地域においては、なるべく安くて、いい賃貸住宅を供給していく義務が我々にはあると思うのです。そういう意味で家賃抑制というものを考えますと、総合的に見て七割、三割というのは動かしがたいというふうに思います。  それから、使い方の問題かと思いますが、居住性向上という観点、これはなかなか難しいと思いますけれども、いろいろな議論があると思いますが、予算の範囲というのがあることは当然でございます。したがいまして、その中で今後ともできるだけ効率的な使い方をしていきたいというふうに考えているわけであります。ただその場合に、現在いわゆる計画修繕として計画的に実施しておりますものがあるわけでございまして、それを適切に実施するあるいは促進していくということが非常に重要だということもあわせ考えながら対応しなければならないというふうに考えております。
  133. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、いろいろやりとりしてまいりました。意見の開きはまだ相当ありますけれども、冒頭申し上げましたように、何といっても公団にしっかりしてもらって賃貸の柱になるものを計画どおり積極的にやってもらわなければなりませんし、また中身の運営についてもきちっとやっていただく。値上げに際しても、私どもこれから与党野党話し合って一応のものをまとめたいと思いますけれども、建設省としても私どものまとめたものを忠実に実施していただくよう最後にお願いいたしたいと思います。
  134. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今回の家賃改定につきましては、きょうは集中審議で大変真剣に御論議をいただいておりますし、今までの委員会でもたびたび御論議をいただいておるところであります。この皆さんの御論議やあるいは御意見、これを配慮しながら審査をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  135. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  136. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長 代理 小野信一君。
  137. 小野信一

    ○小野委員 一昨日の建設委員会で、ウサギ小屋論争が行われました。まことに興味深く聞かせていただきました。その席に残念ながら公団総裁は出席しておりませんでした。  総裁は、現在の公団住宅は今日本が世界の人々からいろいろ非難を浴びておるウサギ小屋である、こうお考えになりますか。
  138. 丸山良仁

    ○丸山参考人 現在建設しているものについてはそういうことがないと考えております。と申しますのは、賃貸住宅で大体七十平米、分譲住宅で九十平米程度でございますから、これは西欧諸国の住宅に比べてもそれほど見劣りするものではございません。  しかしながら、残念ながら昭和三十年代に建設いたしました住宅は、十七万戸あるわけでございますが、この九三%までが当時の団地サイズと言われた二DK及び三DKでございまして、平均面積は三十八平米でございます。これにつきましてはウサギ小屋と言われてもやむを得ないかと思います。したがいまして、これを何とか早急に建てかえて、ウサギ小屋と言われないような住宅にいたしたいと考えておるところでございます。
  139. 小野信一

    ○小野委員 十七万戸、それの九〇%強がウサギ小屋と言われてもやむを得ない公団住宅である。これを建てかえる場合に、これから何年くらい時間が必要になりますか。
  140. 丸山良仁

    ○丸山参考人 計画といたしましては二十年を計画いたしております。と申しますのは、六十一年度、私が総裁になりましてから始めたわけでございますが、六十一年度に二団地、五百三十七戸の事業に着手いたしました。六十二年度に八団地、二千四百十戸に着手しております。いずれも大体入居者の方々の御理解が得られる段階でございます。一部、確かに家賃が高くなるということで反対がございます。しかしこれは、十分に御理解の得られますように十分説得してまいりたいと思っております。  そこで、今年度はこれが五千戸、予算化されております。来年度以降一万戸に持っていきたいと思います。一万戸でこれを進めてまいりますと二十年になるわけでございます。これをどうしてももう少し早くやりたいと私は考えておりますが、そのためには、ここに傍聴しておられる方々も含めまして入居者の方々の御協力がぜひとも必要でございます。その点は、この席をおかりいたしまして心からお願いする次第でございます。
  141. 小野信一

    ○小野委員 公団はこの三月三十一日に建設大臣に対して家賃改定承認申請を行ったと聞いております。きょうはその申請概要説明を拝見いたしました。建設大臣から許可を受けなければならない具体的な内容は何と何であって、他の、大臣から承認を得なくてもいいものについての説明は必要ございませんから、何と何である、その説明お願いいたします。
  142. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 改定期日でありますとか改定算定方法でありますとか限度額でありますとか、それから特別措置内容でありますとか敷金の問題でありますとか、そういったようなものでございます。申請内容と同じだと思います。
  143. 小野信一

    ○小野委員 これは、値上げの最高限度額として八千五百円、九千五百円、一万五百円、平均で四千七百円の値上げである、こう理解してよろしゅうございますか。
  144. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 お説のとおりでございます。
  145. 小野信一

    ○小野委員 しかし、この値上げ内容は、各公団住宅のいろいろな場所、建設時期その他によってかなり違うだろうと思います。東京都の場合、東京支社の公団住宅平均値上げ価格は幾らになりますか。
  146. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 平均引き上げ額東京支社でございますが、五千六百円ということになっております。
  147. 小野信一

    ○小野委員 大臣、今家賃改定申請を受けまして、承認を与えるためには、以前からの経過からして、昭和五十八年の衆参両建設委員長からの要望事項及び住宅宅地審議会の答申に照らして内容検討してみる必要があるだろう、またそういう手続を踏むのだろうと私は思います。今大臣は、この申請内容を拝見いたしましてどのような所見をお持ちでしょうか。どんな感想をお持ちでしょうか。
  148. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今、申請を受理いたしまして検討に入ったところであります。先ほどもお答えいたしましたように、皆さんの当委員会での御論議、御意見、これを十分取り入れて進めてまいりたい、また、以前からの委員長要望事項、こういうことも配慮に入れて審査を進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  149. 小野信一

    ○小野委員 私のお聞きしたい点は、今回の公団値上げをするに当たって、当然入っておる入居者の皆さんに大変な御負担をかけるわけですから、それに見合うだけの内部の経営努力が伴っていなければならないと私は第一に思います。そういう努力が今回の値上げ申請の裏側にしっかりと認められるのだろうか、そういうことを大臣はお認めになるのだろうかということが第一点。  二つ目は、やはりどういう理由があるにしても、現在の不景気の中での公団家賃値上げというのは入居者に大きな負担になるわけですから、入居者の皆さんから見た場合に、今回の値上げはどういう影響、どういう感じを与えるのだろうか、こういう二つの面から大臣に考えていただきたいな、そういう意味で質問しておるものですから、公団側の経営努力に対する感想と、入居者の負担が今度増加することに対する大臣の感想をお聞かせ願いたいと思います。
  150. 越智伊平

    ○越智国務大臣 前段の問題でありますが、公団にもいろいろの問題がないではない。先般来の御論議の中にもいろいろお話もございましたが、それはその都度指示をいたしております。例えば、暴力団排除の問題等につきましても指示をいたしておるところであります。  さて、この値上げのことでありますが、確かに入居者の負担が多くなる、そのことは大変でありますけれども、また、公団格差の問題あるいは維持管理の問題等々を考慮いたしまして今後審査を進めてまいりたい。ここで私が予見を先に申し上げるということはちょっと御遠慮を申し上げて、皆さんの御意見を、やはり国の問題でございますから、それぞれの代表で出ておられます国会議員の皆さんの御論議を踏まえて判断をしたい、かように思っておる次第であります。
  151. 小野信一

    ○小野委員 もう一度重ねてお尋ねしますけれども、公団の経営努力は値上げを認めるに十分なその跡が見える、そう大臣はお考えになりますか。第一点。  もう一つは、これから集中審議が終わりまして、申請を承認するしないは別にいたしまして、どういう手続を経て結論をお出しになるのですか。その手続についてお尋ねいたします。
  152. 越智伊平

    ○越智国務大臣 公団から申請が来ております。これを我が建設省で十分いろいろ論議をいたしまして審査をいたしたい、かように思います。  公団の問題でありますけれども、公団は、それは一部にいろいろな問題もございますけれども、皆さん大変難しい時期に、先ほど来お話もございますように、新しく戸数をふやしていこう、賃貸にいたしましても分譲にいたしましても非常に難しい時期でありますけれども、努力をしていただいておりますし、管理も一般的には努力をしてもらっておる、こういうふうに受けとめております。ただ、一部に、それでは満点かといいますと、やはり注意を喚起することもなきにしもあらず、こういうふうに受け取っておる次第であります。
  153. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 経営論といいますか、この家賃改定申請は前にも申しましたように均衡を図るということ、それから修繕費を確保するということ、そういった理由お願いをしているものでございまして、決して経営の赤字とかそういうものと関係がないというふうに御理解いただきたいと思います。
  154. 小野信一

    ○小野委員 民間住宅経営者の場合には、端的に言いまして値上げする場合には財政不如意、要するに収入不足が最大の要因にならなければならないだろうと思うのです。ところが、今回の家賃値上げの要請、要素というのはそういう問題ではなくて、他との不均衡是正というのが大きな眼目、目標になっておるところに、我々側あるいは入居者の皆さんがなかなか納得できない部分を保有しておると私は考えます。もう一度、理事、今回の値上げ理由について、箇条書きでよろしゅうございますから説明願いたいと思います。
  155. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 繰り返しになるかもしれませんが、今度の家賃部会等の議論を踏まえまして三つに整理をしたわけでございますが、一つ均衡を図る、これは公団賃貸住宅相互間の均衡ということでございます。それから第二には、先ほども申しましたように維持保全関係、管理関係ですね、維持保全の費用を確保していくということ、それから三つ目は、先ほどの均衡を図るということと関係があると思いますけれども、やはり国民的視点、といいますのは、公団住宅が国の財政援助を伴った施策住宅である、これは国民の資産ですから適切に管理をしていかなければならないし、有効な活用を図っていかなければならない、そういうことから均衡を図っていくということで申請をいたしたわけでございます。
  156. 小野信一

    ○小野委員 常識的に、均衡を図るという場合には、低い方を高い方に合わせる均衡と、高い方を低い方に合わせる均衡があるだろうと思います。先ほど中村先生から、君たちは高い方に合わせることの均衡のみを考えて、低い方に高い方を下げる均衡というのは考えたことがあるのか、こういう御注意がありましたけれども、私はやはり最初に聞いた理由、要するになぜ値上げをしなければならないのかというと、公団の財政が不如意である、収入が不足である、そういう背景の中から出てくる値上げならば今よりも少なくとも納得のできる多くの人が生まれるだろうと思うのですけれども、その点が問題なのだなという感じが私はいたします。後で内部の会計監査員の指摘などを質問いたしまして、果たして私の言っている方が妥当なのか、皆さんの言い分の方が妥当性があるのか、議論していただきたいと思いますけれども。  そこで、今回の値上げ一つ理由の中に入るのだろうと思いますけれども、地価の高騰があるだろうと思います。この地価の高騰がこれからの公団運営にどういう影響を及ぼしていくのだろうか、また今回の値上げにはこの地価の高騰がどんな影響を与えたのか、その説明お願いしたいと思います。
  157. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 先ほど総裁がちょっと御説明したように、地価が高くなっていく、それによって新しい公団賃貸住宅、あるいは分譲住宅もあると思いますが、なかなか難しくなっていくということはあると思います。  ただ、賃貸住宅家賃改定の場合でございますが、これは地価の上昇とどういう関係にあるかということになります。確かに固定資産税評価額算定の要素に持っておりますから、地価が上がればこれは上がります。しかしながら、大体地代相当額というものを見てみますと、平均的でございますけれども、大体家賃の中で三割ぐらいということでありますし、それから細かく御説明しませんで恐縮ですが、いろいろな激変緩和措置というものをやっているということでございます。そういうこともありまして、地価の上昇そのものが直接家賃に大きな影響を与えるということではないというふうに思っております。
  158. 小野信一

    ○小野委員 確かに今回の家賃改定の要素になる地価高騰は、昭和六十年の評価額が土台になっておるのでしょうからそれほど大きな影響を与えないのかもしれませんけれども、三年後、昭和六十六年の家賃改定の場合には、去年、ことしの東京の地価の高騰が大きく作用していくだろうと思います。今、三〇%が地価の高騰の影響として家賃にはね返る、こう説明しておりましたけれども、今回の六十数%あるいは七十数%の東京都の地価の高騰が三年後の家賃に大きなはね返りとなることは明らかでありますけれども、それに対する計算あるいは見通しはお持ちですか。
  159. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 先ほど申しましたような全体の三割程度であるということ、それから、例えば公営限度額に準じて算定した方式、今度は多少補正しますが、それとの差額の二分の一を値上げさせていただく、現行家賃との差額の二分の一を値上げさせていただく、そういうようなことで、ストレートにはそう大きな影響はないというふうに考えております。  それからもう一つは、固定資産税評価額というもの自体、これは公共団体、公共団体によって違うわけでございますが、地域の事情に応じましていろいろな配慮がなされているということから、いわゆる時価というものとの関係で見ますとかなり低額ではないかというふうに思っております。  こういうことを総合的に勘案してみますと、今後の経済事情の変動等がどうなるかということがわかりませんのでなかなか的確にわかりませんが、六十六年度の場合にも、そう大きな地価の高騰というもののはね返りというものはないのではないかというふうに考えております。
  160. 小野信一

    ○小野委員 公団の設立あるいは目的を見てまいりますと、主に中堅勤労者階層を供給対象として良質で適正な家賃住宅を供給することを使命として、昭和三十年に発足して以来現在まで約六十七万戸の賃貸住宅を供給してあると、いろいろなところに書いてあります。しかし、その間に高度経済成長が行われまして、したがって所得向上もありました。物価の上昇もございました。特に地価の高騰がございます。こういう要素が家賃の決定に大きな影響を与えてきたことも事実であると私は思います。  そこで、現在は、公団中堅勤労者対象としていると言いますが、具体的にはどの程度所得階層を対象として、家賃負担率はおおむねどの程度を目標として中堅サラリーマンの人々に住宅を提供するのか、それを具体的に説明願いたいと思います。
  161. 倉茂周明

    倉茂参考人 私どもの賃貸住宅の主たる供給対象として中堅所得階層、中堅勤労者というようなことを申し上げておりますけれども、具体的には、勤労世帯の所得の分位で申し上げまして三分位中位の方につきまして、その所得に対して家賃が一六、七%になるというようなことを目標としまして賃貸住宅の新しい供給を行うように考えているというところでございます。
  162. 小野信一

    ○小野委員 所得分位の分類の仕方は、第一分位というのは三百六十四万未満—第二分位というのは三百六十四万から四百七十八万未満、第三分位が四百七十八万から五百九十三万未満、第四分位が五百九十三万から七百七十六万未満、第五分位が七百七十六万以上という、貯蓄動向調査ですか、大蔵省かどこかでやっているあの所得分位の分け方で考えてよろしゅうございますか。
  163. 倉茂周明

    倉茂参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。
  164. 小野信一

    ○小野委員 第一分位から第五分位までの平均所得を計算いたしてみますと、第一分位は二百八十九万七千円、第二分位は四百三十二万三千円、第三分位が五百五十八万四千円、第四分位が六百九十四万五千円、第五分位が一千五十九万六千円というように、所得分位の数字と実際とはかなりかけ離れておる。むしろ分位の金額よりも実質所得が超えておるのは第五分位、要するに七百七十六万以上ですけれども、実質的にこの第五分位の人々は一千万以上の所得を持っておる、こうなっておりますが、この乖離はお認めになりますか。
  165. 倉茂周明

    倉茂参考人 第三分位中位と申し上げますのは、勤労者の世帯の方々所得順に一番少ない人から一番高い人まで順番に並べて、ちょうど百分の五十のところの方の所得でございますものですから、それぞれの分位の平均値とは必ずしも一致するものではございません。
  166. 小野信一

    ○小野委員 ああそうですか、なるほど。  ただ、それにいたしましても、分位各階級の平均所得と数字上分けた所得とではかなりの乖離があるということはお認めになるだろうと思います。この場合に、実質的な所得を無視して数字的な五つに分けたものをもって、その数字を対象として家賃を決定するということは非常に入居者に大きな負担を強いる、こういうことにはならないでしょうか。
  167. 倉茂周明

    倉茂参考人 私どもの公団の設立目的が、中堅勤労者に対して主として賃貸住宅を供給すると申し上げておりますわけでございますけれども、この考え方は、公営住宅等公的施策住宅との役割分担を果たしながら、公団賃貸住宅は公営の第一種の階層より少し上の方を対象とするというような考え方でございまして、厳密に第三分位中位の方に対して平均こうでなければならないというふうには必ずしも考えておりません。ただ、目標として負担可能な率ということで一六、七%ということを考えておるわけでございますけれども、その対象として三分位中位を一応の目標にして考えようということでございます。特に最近のように住宅のニーズが多様化してまいりますと、一律何%でなければならないという考え方はむしろ適切ではなくて、家賃はできるだけ安い方がいい、そのかわり少々不便であっていいという方もいらっしゃいますし、家賃の負担率が高くなっても便利な場所、いい水準住宅に入りたいというニーズもたくさんございます。したがいまして、公団としましては、平均的には先ほどのような家賃水準を考えておりますけれども、それぞれ立地あるいはお客様の指向に合わせまして幅広い供給をやっていくこともまたあっていいのではないかというふうに考えているということでございます。
  168. 小野信一

    ○小野委員 大臣、やりとりをお聞きになったろうと思います。  そこで、公団に入っておる第一分位の人々は三二・九%、第二分位の人々が二八・六%、第一と第二だけで六一・五%になります。第三分位二〇・六%、これをもし対象として、第三分位の中堅以下ということになりますと八〇%以上。第一、第二の人々が大部分ということになりまして、第三分位の中堅クラスを対象として家賃を決めるということは入居者に大変大きな負担を強いるということに私はなると思いますけれども、その点について大臣はどうお考えになりますか。
  169. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 住宅対策といたしましては、各住宅困窮者の所得階層別に一応の政策の体系ができておりまして、公営住宅につきましては、第一種につきまして下から三三%ぐらいのところを目途にいたしまして、第二種公営住宅につきましてはその半分のところ、下から六分の一のところを専ら対象とすることにしておりまして、公団住宅につきましては第三の中位を目標にいたしまして供給をしているところであります。  ただ、公営住宅につきましてはかなりの国庫補助金が入りますので、所得の制限を設けまして、収入基準を設定いたしまして運用しておりますけれども、公団住宅につきましては特段そういう所得制限を入居条件にはしておりませんで、支払い可能の方々対象に入っていただく、こういうことにしております関係上、結果といたしまして低額所得者も入ってくる場合が大変多い場合もありますけれども、一応施策のやり方としましては第三分位の中位を目標に執行している、こういうことになっております。
  170. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいま住宅局長からお答えいたしましたが、目的が御承知のとおり公団中堅勤労者、こういうことになっておりますし、今もなお、東京圏では非常に難しいと思いますけれども持ち家政策も進めているわけでございます。でございますから、まず所得の多い方は持ち家なりあるいはまたマンションなりでひとつお住いをいただきますし、中堅勤労者公団住宅、低所得者は公営住宅、こういう政策で進めておりますので、結果として今のような状況があることも存じてはおりますけれども、やはり中堅勤労者対象、こういうことで政策としては進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  171. 小野信一

    ○小野委員 ルール一つに、所得第三分位中位の中堅所得層、それを具体的には六十二年の月収で四十六万六千円、こうはじき出しております。家賃はその一七%ないし二〇%の範囲内、これを適正家賃と呼ぶ、こうなっておるようであります。したがって、四十六万六千円の一七%になりますと七万九千二百二十円、約八万円の家賃ということになります。もちろんいろいろな階層がありまして、その住宅によって家賃が異なることは承知しておりますけれども、計算上はそうなってまいります。東京の場合には八万円の家賃を払っても入る、こうお思いになるでしょうし、先ほどの参考人の皆さんはそれでも安いんじゃないかというような感想を述べておりましたけれども、私どものような東北の田舎から参りますと、八万円の家賃を払って住宅に入るなんということになりますと大変家計に響くだろうなと、まことに同情を禁じ得ないのが私の心情でございます。もちろん所得から家賃は考えるべきものであって、家賃の絶対額をもってそれを高いとか低いと評価すべきものではないことは承知しておりますけれども、私はそんな感じがいたします。  そこで、何で一七%前後であれば合理的な家賃、適正家賃と呼ぶことができるのでしょうか。その理由、納得できるような説明がありましたら説明をしていただきたいと思います。
  172. 倉茂周明

    倉茂参考人 家賃の負担限度額ということにつましては、いろいろな考え方もあるわけでございますけれども、私ども日本住宅公団として昭和三十年に発足して以来、第三分位中位の方に対して家賃負担率を十数%で供給してきたという事実がまずございます。それで、一般的にそのような家賃設定でまいりますとお客様からも相当な支持がございまして、順調にやってまいったわけでございます。  一方、客観的な見方としまして、住宅宅地審議会におきまして、住宅家賃負担は何%が妥当であるというような御意見も伺っておりますけれども、その数字からしましても一六、七%というのは妥当な数字ではないかというふうに考えているところでございます。
  173. 小野信一

    ○小野委員 妥当な数値と考えるということだけでは、余り二〇%の適正家賃というものの背景説明にはならないような気がいたしますけれども、住宅局長いかがです。
  174. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 家賃の負担率がどのくらいが適正であるかということにつきましては、いろいろの意見があったところでありますけれども、昭和五十年八月に、住宅宅地審議会がいろいろの意見を求めた結果としまして大臣に答申した資料がございます。  それによりますと、世帯の人数によって、それから所得の分位によりまして負担率が変わってまいりますけれども、四人世帯で第三分位の場合ですと「二一・五%を一応の限度の率とする」こういうふうに書いてあります。第一分位になりますとこれが一五%、第五分位が二三%、こういうふうになっております。  これはあくまでも限度でありますから、これが適正という意味ではございませんけれども、この限度の中でそれぞれ応募率等を勘案しながら執行されていることが実態の姿でございます。
  175. 小野信一

    ○小野委員 私を納得させるだけの説明がなされたと私は理解できませんので、何かの機会にまた行います。  私はこれは質問項目に入れておらなかったものですけれども、渡辺さん、ここ十年間に会計検査院から住宅公団が指摘された事項で、あなたの頭の中にこれは大きな指摘だったなと考えるようなもので鮮明に残っているのがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  176. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 私、実は昨年の七月に住宅都市整備公団に参りまして、そのずっと前に、五十二、三年だったと思いますが、未利用地の問題というのがあったことは記憶にあります。ただ、五十六年に未収金の問題で指摘がなされたということがあります。
  177. 小野信一

    ○小野委員 図らずも未収金の指摘を鮮明に記憶しているようでございます。六十一年度の財産目録を見てまいりますと、未収金四百億六千四百五十万千六百五十五円、これは最も古い未収金で、何年からずっと続いておる未収金でございますか。
  178. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 ちょっと正確な分析をしておりません。それで、正確でないかもしれませんけれども、普通大体は二、三年、長いもので五年くらいだということのようでございます。
  179. 小野信一

    ○小野委員 賃貸住宅等未収金九十五億六千九百六十九万円余、分譲住宅等未収金百八十六億一千六百五万円余、宅地未収金十一億二千七百三十九万円余、退去者等未収金ほか百七億五千百三十五万円余、合計四百億六千四百五十万余になります。  この金額は、回収不能と判断して未収金はカットし、これは必ず取れるという判断のもとに決算書に記帳した金額になりますか。もしそうであるとすれば、少なくとも六十一年度の決算に上がっている四百億以上のものは、何年で回収できる見通しとして今見ておりますか。
  180. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 確かに、未収金の問題、これは項目によって多少の増減がございますけれども、これはもちろん公団として看過できない課題でございます。そこで、昨年度、六十二年度でございますけれども、本社に副総裁を長とします対策委員会を設置しておりまして、関係の組織あるいは要員の拡充あるいは弁護士の活用、こういったことによります、債権回収を積極的にやる体制を強化していこうということにつきましていろいろ具体的な対策を検討しているところでございます。支社あるいは営業所に指示を出す等、逐次実施を図っているところでございます。支社あるいは営業所におきましてはそれぞれ具体の事例がいろいろございます。それぞれの具体の事例に即しまして滞納状況を分析しまして、文書、電話あるいは訪問によります督促、さらには法的措置というものを行いまして、非常にケースがいろいろありますので、きめ細かな対応が必要でございますが、そういう対応をやっている。ちなみに六十二年度におきましてはこの成果があらわれたと考えておりまして、対前年度末比で約三十億円を超える未収金の消滅といいますか回収といいますか、これができたということでございます。
  181. 小野信一

    ○小野委員 再度確認いたしますけれども、この四百億以上の未収金というのは不良債務として取ることは不可能だ、こう考えて切り捨てて、この四百億以上の未収金は必ず取れるという判断のもとに計上した金額ですか。
  182. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 後者でございます。要するに、努力してこれを回収していく。それからもう一点ちょっと申し上げたいんですが、決算時の数字だということもございまして、一カ月という滞納もこの数字の中に入っているということでございます。
  183. 小野信一

    ○小野委員 渡辺さん、そのように一カ月や二カ月、何かの事情で納めることのできなかった、故意ではなくて、何かの偶然の条件によって納めることのできなかった金額を除きますと、本当に未収金と言えるものは幾らぐらいあるんですか。
  184. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 今先生御指摘のような原因別といいますか、個別の分析をやっておりませんので、ちょっとお答えいたしかねますので、お許しいただきたいと思います。
  185. 小野信一

    ○小野委員 大臣、ここに約四百億円以上の未収金がございます。もし、これが忠実に業務を遂行することによって回収されておったとするならば、公団の経営あるいは財政内容はかなり違ったものになることは当然予想されます。  もう一つございます。五十九年度の決算で、やはり会計検査院が指摘した長期間にわたる処分されていない宅地造成、これがございます。  読んでみますと、本院が、事業が完了した地区における造成宅地の処分状況について調査したところ、募集方法や用途変更などの処分促進のための方途を講ずればその促進を図れると認められるのに、こうした努力が不十分であったため、造成後五年以上経過しているのに未処分のまま公団が保有しておる宅地が十六万平方メートル、その造成原価七十三億三千五百八十七万円、在庫利息三十六億八千八百八十七万円、五十九年度分の管理経費七千二百四十二万円、こう指摘されております。多額の事業費を投下した造成宅地を長期にわたり保有していることは、良質、低廉な宅地を供給するという目的が達せられないばかりか、利息や管理経費が累増することとなるので適切ではない、基本的には、公団において保有している未処分地についての認識が十分でなく、その処分について適切な対策がとられていなかったことによる、こう指摘をいたしております。  現在、どれほどの未処分地が保有されておりますか。
  186. 丸山良仁

    ○丸山参考人 担当の理事が参っておりませんから正確なお答えはできないと思いますが、確かに五十九年に今読まれましたような御指摘を受けたことは事実でございます。その後、鋭意販売に努力をいたしまして、現在ではゼロになっていると思います。なおその上、そこに書いてある数字以上の利益を上げて売っている状況でございます。
  187. 小野信一

    ○小野委員 一昨日、水曜日の坂上議員の質問の中に、八千八百ヘクタール、これが未処分地として残っております、利用しておるのが四千ヘクタールでございます、こういう答弁がございました。したがって、私は五十九年に指摘された以上に未処分地が保有されておるのではないかという感じを水曜日の日に持ったわけですから、その点の食い違いあるいは実態についてもう一度答弁を願います。
  188. 丸山良仁

    ○丸山参考人 坂上先生のときに私はおりませんでしたからどういう議論があったか存じませんが、現在当公団が所有している宅地、住宅両方合わせました土地の面積は一万三千五百十七ヘクタールでございます。そのうち、賃貸住宅が建っておる敷地が四千七百ヘクタールでございます。そのほかを加えましていわゆる完成宅地が大体五千ヘクタールでございまして、残りが八千五百ヘクタールになるわけでございますが、そのうち大体六千五百ヘクタールを現在工事中でございます。それから、残り二千ヘクタールあるわけでございますが、その二千ヘクタールにつきましては現在事業認可の申請中であるとか、あるいは用地の買収中であるとか、あるいは計画を策定中であるとか、こういう土地でございます。  大体宅地造成をやる場合には、多摩の例で申しましてもおわかりのように、二十年ないし三十年の歳月を要するわけでございます。そういう点から考えますと、この程度の計画的に必要な土地は持っておらないと当公団の経営はできないわけでございますから、これは未利用地とは言えないものであると私は考えております。
  189. 小野信一

    ○小野委員 次に、五十六年の決算報告の中に、「民営賃貸用特定分譲住宅に関する業務運営について処置を要求したもの」として、五十七年十一月十九日付で総裁あてに出されております。  これは、五十六年度末までの民賃住宅の譲渡件数、住宅八百七十七件、施設つき住宅千二百十一件、計二千八十八件で、割賦金の収入調定額三百八十億三千四百二万円余、収納未済額六十七億六千八百九十四万円余、この未納割合は、住宅の販売額の一二・九%、施設の二八%、合計で一七・七%と、こうなっております。滞納額に係る遅延利息額は八億六千五百六十八万円余と、こう指摘されております。  上記の事態の発生の原因として、譲り受け人の不誠実が第一であると、こう指摘されております。第二に、譲り受け申し込みについての調査検討の資料の不十分、賃貸住宅、施設の需要見通し、予定家賃、予定賃貸料の設定、調達資金返済について的確でない償還計画を作成しているなど審査不十分がある。三つ目として、滞納事案に対しての支払い督促の処置が総じて緩慢で、支払い計画、財源対策に関する確約書等の提出を求めるなどの方途も講じられておらず、滞納発生後の対応も適切に行われているとは認められない。こういう指摘がされております。  この事実が本当なのかどうかということが第一点。この指摘によってどんな改善策がなされ、これらの指摘された事項がどのように改善されたのか、報告を求めます。
  190. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 ちょっと時間をいただきまして、まず先ほどの未収金の問題でございますが、これは我々としてはかねてから努力して先ほど申しましたように減少しているということを御認識いただきたいことと、十二カ月以上の長期になるもの、これにつきましては、例えば家賃で言いますと六億円程度、それから民賃では六十億程度、分譲では三十億程度ということをちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、今御指摘の五十七年十一月の会計検査院のことでございますが、調定額に対する割合が一七%に達した、そして特に十二カ月以上の滞納が百四件あって、それが五十一億だということでございました。  先ほどお読みになりましたので簡潔にしますが、我々といたしましては、直ちに特別の対策委員会をつくりまして、いろいろな手だてを打ったわけでございます。その結果、その百四件に対する措置に伴います未措置の件数の推移を申し上げますと、五十七年の三月までに五十一億あったわけでございます。それをかなり急速に減少いたしまして、六十一年三月末にはこれをゼロといたしております。これは実際問題なかなか現場対応というのが難しい問題もございます。例えば督促の強化でありますとか、支払い方法の変更でありますとか、再譲渡でありますとか、あるいは抵当権の実行、譲り受け予約の完結でありますとか、そういったいろいろな苦労を重ねながらやっておるわけでございます。民賃の場合には特に一件の金額が大きいということもございます。それから経営者の破産といいますか、そういうものもあります。そういう場合には土地の抵当権を実行して債権を確保するというようなことも行っているわけでございます。
  191. 小野信一

    ○小野委員 今回の家賃値上げによって、単年度で幾らの増収になりますか。
  192. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 我々の見込みでは、平年度ベースで約百九十億程度というふうに見込んでおります。
  193. 小野信一

    ○小野委員 大臣、今回の家賃値上げによって平年度で百九十億ですか、百九十億だとします。しかし、未収金それから末利用地その他を計算してみますと、かなりの金額が計算されるのではないだろうか。私はやはり、これは公団内部の、経営に対して十分な配慮をして、その努力が如実に入居者の皆さんにわかるような真摯な姿勢が感じられるような経営があって初めて、どんな大きな値上げであっても理屈が通るならば喜んで協力するんだろうと思います。そのような公団内部の経営努力を大臣は十分御指導していただきたい、こう思いますけれども、今までの議論を聞きながら、公団の経営に対する考え方、感想をどういうふうにお持ちになりましたか、お聞かせ願いたいと思います。
  194. 越智伊平

    ○越智国務大臣 私、昨年の十一月に建設大臣に就任をいたしました。竹下内閣の発足に当たりまして、公共事業、特にこの公団等について指示を受けまして、効率的な運営をしてくれ、こういう話がありました。早速、公団総裁にもそのお話をいたしました。でございますが、ずっと調べてみますと、この末利用地はおいおい少なくなってきております。非常によくなってきておる。それから建築をしまして入居者がないというのもほとんどなくなった、こういう姿であります。その点については鋭意努力をしてくれておる、改善しつつある、かように思う次第であります。  それから未収金の問題でございますけれども、これはいろいろ先ほど来の問答も聞いております。しかし一つには、非常に失業率は少のうございますけれども、やはり産業の構造改善でもう本当に失業して再就職ができないような方もございますので、こういう方については、払わなくていいというわけではございませんけれども、やはり少しは余裕を持って家賃の支払いを願うということであります。ただ、長期の分については、確かに先生がお話しのように不良債権もあるかもわかりませんけれども、できるだけこれを回収する、こういう管理努力、これは続いてひとつやってもらいたい、こういうふうに思う次第であります。  家賃の支払いができていないというのは民間でもございますけれども、なかなか難しい問題ですが、極力そういう集金なり管理を厳正にやってもらいたい、かように思う次第であります。  総じて申し上げますと、まだ率直に言って百点満点ではないけれども、まあ努力をしている、こういうふうに受けとめております。  以上でございます。
  195. 小野信一

    ○小野委員 総裁、大臣は百点満点じゃないけれどもかなり高い点数を与えておるようでございますから、今後とも一層の御努力をお願いいたします。  最後に、今回の土地高騰によって中堅サラリーマン、中堅勤労者階層は一戸建ての自宅を持つことが大変難しくなってまいりました。したがって、公団住宅への入居希望がこれからますます多くなっていくだろうと考えられます。そうなってまいりますと、東京都圏だけでよろしゅうございますが、今どの程度の人々が公団住宅を希望しておるのでしょうか。もしその数字をつかんでおるとすれば公表し、そのための対策として、何年計画ぐらいでこれは解消できる、こういう計画がありましたら説明を願いたいと思います。
  196. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 六十一年度の数字で恐縮でございますけれども、空き家賃貸住宅について申し上げますと、一般公募でやりましたのが在京では二万五千五百八十四戸でございます。それに対して応募された方が四十五万六千四百二十二名。これは、何回も申し込まれるということがありますのでダブるかもしれませんが、倍率は十七・八倍でございます。大変な数でございまして、我々としては、新規供給を建てかえなども含めてさらに進めていく必要がある、そのためにも家賃抑制ということも必要であるというふうに御理解をいただきたいと思うわけであります。
  197. 小野信一

    ○小野委員 終わります。
  198. 野呂田芳成

    ○野呂田委員長代理 薮仲義彦君
  199. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、公団家賃改定に関しまして、大臣並びに建設省公団総裁初め公団方々に何点かお伺いをさせていただきたいと思います。  先般も大臣とは住宅の問題で少し論議をさせていただきました。きょう重ねてまた大臣の見解をお伺いさせていただきたいわけでございますが、重ねては申し上げませんけれども、きょうは公団総裁がお見えでございますから、そのことを思い起こしながらお話をさせていただきます。  あのとき私は、東京の二十キロ圏では一戸建ての供給はもうゼロになってしまった、サラリーマンは遠距離しか買えない、東京ではもう住むところがなくなっちゃったのかな、五十キロ圏まで行かなきゃならない、戸建ては断念しなきゃならない、こういう実態であると。さらに、これを解決するために、土地臨調であるとか東京都としてはいろいろ心を砕かれている。東京都知事は、東京副都心構想の中で、良好な住宅を建てよう、その目的は何かというと、いわゆる公的なものはすべて賃貸にする、こう言っているわけですね。  そこで私は、今の建設省手法の中で、これはもう総裁は御存じだと思うのですが、公営、公団、民賃とあるわけでございますけれども、今の公営の法律でいきますと、一種、二種で所得制限がかかってまいります。十万から十六万五千円です。そうしますと、先ほど来お話のある五分位の中の第一、第二分位、この辺を目指したのが公営でございます。きょう論議をする公団は第三分位の中位でねらっているところでございますけれども、今申し上げたように、東京都では総裁も御存じのように、勤労者の所得からいって十六万五千円という所得で公営に入れる方はほとんどいらっしゃらない。じゃ戸建てを建てようと思ったら建てられない。じゃ今度は公団にという問題になっておるわけでございます。  大臣、さっき私は総裁にもお話ししたし、参考人の方にも言ったのです。かつて数年前、私がここでこの公団質問をしたことがあるのです。そのときの新聞とそのころのいろいろな書かれたものを読んでみたら、何と公団に対しては、高い、遠い、狭い、高遠狭という批判が出ている。当時は、公団は高過ぎるとたたかれたのです。きょうここで論議するのは、公団は安過ぎるという話なんですね。  これは、私は先ほど参考人に申し上げたのです。確かに安いかもしれないけれども、変わったのは、建設行政は変わったわけじゃない、これは少なくとも法律に基づいてやってきた、変わったのは地価が急騰したんだ。私も地方でございますから地方の実感で言いますと、私は静岡ですけれども、大臣は愛媛ですね。私のところで公団がまだ安いという実感はわかないのですね。公団も並みぐらいかなという感じを我々受けているのです。余り上げない方がいいよ、こう思うのです。しかし、東京へ来ると、先ほどもお話があったように、赤羽台の団地の話が出てきまして、かくかくしかじかだ、安過ぎるという参考人の方の御意見でした。それは、この公団家賃をお決めになる専門部会のお二人の御認識だったわけです。私も振り返りますと、確かに何年か前は公団は高過ぎるということであった。しかし今自分の地元へ帰って——私はこの質問をするために地元の公団へ行ってまいりました。我々反対ですけれども、今自民党は税制改正をやろうというときに、税調の方は全国回られておられます。あなた方参考人は、公団家賃を変えるのだったらば、少なくとも公団の方の住んでいらっしゃるところへ行ってみて、そこからこの家賃はどうすべきかと思いをいたすべきだと私は思うのです。私も大臣も政治の場におりますから、私はやはり現場に行って、御婦人の方の意見を聞きました。そして、ああ、なるほどなと思って、きょうここに質問に立たさしていただきました。後ほどそのことは具体的に申し上げますけれども。  こういう高遠狭という時代が、今は安過ぎると言われておる。しかし、国の行政は立派にニュートラルで来たわけです。東京の土地の値上がりが異常であったのです。ですから、今度竹下内閣の最も大事な建設大臣は、地価を下げるという土地臨調の答申を六月ごろ受けられると思うのです。土地を下げろというのですよ。今までよりも下げろ、住宅ももっと安くしろ。だったらば、今ここで論じなきゃならないのは、そのためにどうするか、むしろ公営や公団が、周りが変わったことによって安過ぎると言われている面がないかどうか、クールに見直ししてみることも非常に大事かなと私は思うのです。  と同時に、これは総裁、私が考えていただきたいのは、公営という法律の中では東京都民が入れない。公団も、今これから出てくる新築の公団には入りにくいのです。これは後ほど具体的に数字で申し上げます。そうしますと、戸建てはできない。東京都民は一体どこへ住めというのか。建設省というこれだけしっかりした行政機関がありながら、都民のために東京都が何にもやってくれないのか。都知事はこうやって公的な賃貸を建てると言うけれども、国の根っこにある公営あるいは公団という法律の中で、公営の方は非常にやりにくい問題も出てくると思うのです。公団の方はいいですよ。そうしますと、私はやはり先般も住宅局長に言ったのです、公営法を見直して、公営あるいは公団がどう働くかをここで最も考えるときじゃないか。  さっき総裁が同僚委員への御答弁の中で、土地が高過ぎて公団がおうちをつくれない、こうおっしゃった。私は聞き違いだろうと思っておるわけでございます。そんなことはない。できないはずがない。総裁初め公団には練達の、また本当に住宅政策に詳しい方々がたくさんいらっしゃる。我々よりもはるかにプロです。私、あのとき申し上げた。東京都にうちが建てられないと言うけれども、なぜなんだ。例えば土地担保賃貸をやろうとしますと、御承知のように建設省の五百平米というところにひっかかって土地担保賃貸を使えないのです。荒川だ、江東だ、墨田だ、ああいう木造の連檐しているおうちが建て直そうとするとき、住宅金融公庫の貸し出しは減っているのです。高過ぎて建てかえできない。そこで、そういう土地を持っていらっしゃる方が公庫融資なりなんなり使おうとしたときに、五百平米というあれで使えないのです。今度公団さんにお願いしようというときに、公団さんはおおむね千平米です。もう一つ条件がついているのです、十二戸とついているのです。こうなってくると、では都民の人が快適なうちを建てようと思うときに、国の施策は何の恩恵もないわけですよ。できないのです、やろうと思っても。ですから、この問題、私は後で総裁に聞きますけれども、考えていただきたい。  ならば、公営、公団が、今こそ我が世の春だ、今までは冬だった、でも今こそ——さっき参考人の方の御意見が、余り安過ぎる、安過ぎると言うものですから、私はもう一回公団法を持ってこさせて、帰って自分の会議録を読んでみた。やはり高遠狭だったのです。この公団法にはこう書いてあるのです。「健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅及び宅地」の提供が書いてあるのですね。最後の方に「国民生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする。」私は、総裁は、今こそ公団が出る幕が来たぞ、あの都知事もああ言っている、土地臨調もああ言っているんだ、今こそやるのは公営、公団だ、今我々が出ずしてだれがやるかと言って、今こそ東京都の問題は一手に引き受けるようなお気持ちでいいと思うのです。  やりようはあると思うのです。例えば、今言った面積要件は切っていただく。例えば、お年をとられた方には優遇措置がありますが、でも、実際は若くたって、三十代、四十代だってお父さん、お母さんからもらった土地を持っている方もいるんです。その方が大きな団地を建てれば——公団さんだって、今家賃値上げで困っているんですよ。嫌になってしまう、こんなことを毎回やられたのじゃ。たな子さんも困るけれども、家主も困る。それと同じように、全然借家の管理能力の経験のない方が五十戸、六十戸なんといううちを、あるいは十戸でも持って、変な方が入ってきたらおじいさん、おばあさんにとってはたまりません。そこで、一戸、二戸でもいいですよと言えば、おじいさん、おばあさんの老後のためにできると思うのです。  我々公明党は、前からセミパブリック、土地を持っている方が小さい土地でも有効に使えるように何とかしてあげたらどうですかと。これは総裁もう御承知ですからあえて言うまでもありませんけれども、東京都の都民の土地持ちが一番持っているのはどこなんだ。建設省の言う五百平米以上の土地を持っている方は本当にごくわずかです。一けた違うのです。一番持っているのは百平米未満、百から二百平米でほとんど五割なんですよ。だから、その百平米、二百平米あるいは三百平米のところに有効適切にきくような施策をやれば、黙っていてもそこにノーハウを知っている公団さんが建てかえをやりましょう、セミパブリックで公的な資金を入れたのですから家賃は上げないようにしてください、そのかわり、あなたの住まいの部分と、お貸しするのは一居住区、二居住区でもいいです、そして、知り合って気が合った人を入れても結構です、安くしてくださいよ、こう言えば、都民の方も快的な住環境に住めないわけはない。  また、御承知のように、今国有財産も信託ができるのです。公団は信託のノーハウも持っていらっしゃるし、いろいろとできるわけです。私がお願いしたいのは、今こそ総裁が今まで蓄積したノーハウを生かして、この東京都の難局は公団に任しておけという時代が来たのじゃないかと思うわけですね。そういうことを含めて大臣と総裁に今最も公営を先行させて国民が望んでいるような東京都を活性化させるというふうにしていただきたいと私は思うのでございますが、大臣と総裁の御決意を最初に……。
  200. 越智伊平

    ○越智国務大臣 公明党の土地基本法、考え方、これも承っております。ただ、各党の合意がまだ十分でございませんので、立派なものであるとは思っておりますけれども、基本法制定までには至っていない、こういうことであります。  まず、大変御高説をいただいたわけでございますけれども、まず第一番に、私どもはできるだけ地価を高値安定しないで引き下げていく、地価を下げていく、こういうことに努力をいたしたい、かように思います。東京都心部では、御承知のような外交関係の大使館とか、そこは別といたしまして、あとは大体安定をしてやや下がりぎみ、中古マンション等は売買も二、三割下がっている、これは御承知のとおりであります。その傾向はいい、しかし、これではいけないから、さらに地価の下落に努力しないといけない、こういうふうに思っている次第であります。地価を下げますのには、何といっても最終的には需要と供給の面でありますから、まず政府が先に分散をして、皆さんにも呼びかけて、こういうことで今鋭意努力しておる次第であります。  また、お説の中にありました公団、特に公営住宅のお話、ごもっともであります。先ほどもお答えいたしましたが、できるだけ国公有地、これを地方公共団体あるいは住宅公団、ここに供給しまして早く賃貸住宅建設していく、こういうことに努めたい、こういうふうに思っております。  国鉄の跡地の問題がありますが、これは清算事業団との話で、これも汐留を初めたくさんございますが、これもできるだけ東京都並びに住宅都市公団でいただいて住宅にという気持ちもあるわけですが、なかなかまだ最終的な話がついていない。臨港部については計画に住宅をふやしております。これは御承知のとおりであります。でございますから、今後努力をいたしましてひとつ公団公営住宅の供給、これに努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  201. 丸山良仁

    ○丸山参考人 大変励ましのお言葉をいただきまして恐縮に存じます。  大臣から今詳細な御答弁がございましたからこれにつけ加えることはないわけでございますけれども、まず何と申しましても地価を下げていただくことが最大の課題ではないかと思います。しかし、地価が下がらないからといって当公団で仕事ができないというのでは、公団の使命を果たすことができないことはもちろんでありまして、地価が高くても何とか工夫をしなければいかぬということは先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、例えば臨海地区の都有地につきましては、相当広大な面積を東京都がお持ちでございます、知事も住宅を中心にしてやるというふうなことも言っておられますから、当公団といたしましても今東京都の委員会にも入りまして、あの土地をうちも活用さしてもらう、公営住宅も入れるというような形で活用することをいろいろ進めているわけでございまして、国有地につきましても最近でも二、三カ所払い下げを受けているわけでございます。また、国鉄用地につきましても清算事業団といろいろ話を進めているわけでございます。  それから、今お話しのございました一千平米、十二戸の問題でございますが、これは原則でございまして、必要があればこれを下げることもできることとなっておりますから、御趣旨を体して下げるように努力いたしたいと思います。また、おじいさん、おばあさんでなかなか経営が難しいというような問題もあろうかと存じますが、そういう場合は借り上げ制度がございまして、うちでつくってうちで経営してやって、家賃だけいただいてお返しするというような制度もことしからつくったわけでございますから、こういうような制度も活用してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても首都圏の住宅問題というのは、先生おっしゃいますように二十キロ圏内で適正な家を持つというのはなかなか困難な状況でございますが、その中にあって何とか立派な賃貸住宅なり分譲住宅を供給できるようにするのが当公団の使命だと考えておりますから、最善を尽くしたいと存じます。
  202. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか大臣、総裁に重ねてその方向で頑張っていただきたい。今こそ公団、公営、そういうものが地価あるいは住宅の供給に大きな力を振るっていただいて、それを下げていく方向へ御尽力いただきたい。  そこで総裁に、もう一つお願いだけしておきます。これは御答弁は結構ですけれども。今、市街化区域の農地について、諸悪の根源と言っては悪いですけれども、いろいろなところでたたかれるわけです。私は、あれも同じだと思うのですよ、農家の方に農住組合法。あんな大きいものをやれといったって一遍にできっこないですよ。だから、例えば自分の農地の中に二軒ぐらい戸建てをつくりなさい、これには公団がお金を出してあげますよとか、そのノーハウを教えてあげましょう、そうすれば市街化農地へ良質の戸建ての賃貸ができ、東京都の都民の皆様にどうぞお入りください、農家の方も一軒や二軒ならば管理ができる。自分の知っている親戚や何や呼んでこようか、それでも私はいいと思うのです。いろいろなメニューを考えられて、ただこれが悪い、あれが悪いじゃなくて、いろいろの手法でそれを解決できるようにどうすればいいのか、怒ってばかりいても北風と太陽の話じゃありませんけれども、やりやすいように御尽力いただくことがこの際必要じゃなかろうかと思いますので、これはあわせてお願いしておきます。  それで、先ほど来改定ルールのことがあったわけです。私も改定ルールのときにいろいろお話を伺った当事者の一人でございますので。好ましい改定ルールをつくるということになったわけでございますけれども、私は必ずしも入居していらっしゃる方の同意が得られていないのかなというふうに認識いたしております。じゃ、なぜ納得いただけなかったのか、合意できなかったのはどういう点なのか、今後のためにその点の要点だけ教えていただきたいと思います。
  203. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 家賃部会には二名の入居者、居住者代表の方が入っておられるわけでございますけれども、たたき台を中心にしまして四回の論議を経て案が取りまとめられたわけでございます。午前中に石原先生の方からもお話がございましたけれども、大方の御賛同を得て案を取りまとめたということであります。  ただ、家賃改定という事柄の性格上、立場の違いもあるわけでございまして、一部の委員につきましては全面的な同意に至らなかったことは事実でございます。自治協代表の方も一名入っておられるわけですが、これは非常にたくさんの反対意見を出されました。先ほど石原先生項目の数を言っておられましたけれども、ただそのほとんどにつきまして大方の御参同を、修正はもちろんございましたけれども、専門部会検討していただいた我々の原案が中心となって大方の御賛同を得たということでございます。細かくなりますので、あとは省略いたしたいと思います。
  204. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、意見の違いは違いとして、そこで終わったということではなくして、やはりこれからも協議が好ましい方向でいくように意見の吸い上げは続けていっていただきたいし、このことによって家賃改定ルールが双方納得の上できるように努力を重ねて進めていただきたいと思っております。  先ほど来申し上げますように戦後四十年たったわけですね。我々の生活環境の中でよく言うのは衣食住、こう言うわけです。着る物と食べる物はそれぞれ、グルメの時代というほど、また着る物もファッショナブルになってまいりましたから、これはある程度充足した。ただ末解決は住宅の問題だと思います。しかし、住まいというのは人生で非常に大事だと私は思うのですね。家族が団らんし、子供が育ち、大きくなり、そしてまた幸せな家庭が生まれていく一番根っこのところの家庭の問題が不安定であれば、私は非常によろしくないと思うのですよ。やはり住まいは安住できることが人生の最大の安らぎであり、またあしたも頑張ろうかなというのは家庭という基盤がしっかりしていなければならないと思うのです。我々も生まれていつか人生を終わるわけですが、その間に一番大事な住宅が絶えずふわふわしたのでは、次への楽しみなんてとてもわいてこないと私は思うのです。ですから、賃貸住宅、特に公営、公団がこれから非常に大事になってきますけれども、住宅政策万般の中で、家賃を払うとかあるいはローンを払うとか、ほかの楽しみの方がたくさんできてこれが重荷にならないような政策大臣やってもらいたいのですよ。あなたの一生何だったといったら、夫婦でローンを払って、親子二代でローンを払ったなんて、これは情けないですよ。でんでん虫々カタツムリだって昔からちゃんと住むところがあるのですよ。  今、日本の政治の中で何が一番大事かといったら、建設大臣のおやりになる住宅政策、少なくとも国民に安心してお住まいください、一生はおろかのこと、今住んでいる公営住宅に子供も孫もずっと住んだらどうですか。総裁、これは私、前にも大臣に言ったのですよ。ヨーロッパの石の文明と日本とは違います。木と紙です。でも石の文明では三百年、四百年というストックがあります。それとこれとを比べるというのは無理ですけれども、そろそろ公団も、本当に安くて住みやすくて百年、二百年という歴史に残るようなものをつくろう、しかもそれは高くちゃ困るのですよ。安くつくっていこう、しかもそれが民間を引っ張って、なるほどこれならもう心配ないというような時代をつくっていただきたいと思うのです。  そこで、先ほどから負担率の話が出るのですけれども、所得、年収の中で一七%ということをよく総務庁の第三分位中位からお出しになりますが、どの程度の負担率が好ましいとお考えになっているか。そしてまた、これ以上やったらちょっと無理だという限界はどの程度か、お答えいただきたいのです。
  205. 倉茂周明

    倉茂参考人 賃貸住宅家賃の負担率については、限度という考え方と平均的にはどのくらいが妥当であろうかという考え方があろうかと思いますけれども、私どもとしましては、賃貸住宅家賃につきましては、勤労者世帯の所得分位で申し上げまして三分位中位の方が一六、七%でお入りになれるような負担率が妥当であるというふうに考えております。これは平均でございます。限度につきましては、価値観の差等もございますので一概には言えないと思いますけれども、さらに高い率でも限度としてはあり得るというふうに思っております。
  206. 薮仲義彦

    薮仲委員 今第三分位中位でそのぐらいとおっしゃったでしょう。第三分位中位でどのぐらいが限度なんですか。
  207. 倉茂周明

    倉茂参考人 住宅宅地審議会の答申によりますと二一・五%が限度であろうという御答申をいただいているところでございます。
  208. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはまたなるべく建設省でおつくりになった資料で質問させていただきますからね。五十八年の建設省住宅需要実態調査、そちらは御専門ですから、これの表を読み上げます。  表の十一に「借家世帯の家賃及び住居費負担の評価」というところがあるわけでございます。これはどういうことが書いてあるかといいますと、ちょうど五十三年、前回調査と今回の調査で公営、公団がどういうふうに変わったかということが書いてあるわけです。そこで問題なのは、この中で「苦しい」「やっていける」「影響ない」、こういうランクに分かれているわけです。評価できるのは、「やっていける」というのが五九・七から六二・三にふえたのです。ところが、「苦しい」というのが八・八から一四・七にふえたのです。これはこの次の実態が出てこなければ何とも言えませんけれども、この五年間で苦しい人がふえてきたということは非常に重要な問題かな、家賃改定のときに考えておかなければならない条件だと思うのですが、これは建設省の資料ですからね、いかがですか。
  209. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 今回お願いしております家賃改定でございますが、先ほど出ましたように平均で四千七百円の引き上げでございます。それで、現在対象に考えております住宅平均が二万五千六百円ですから、四千七百円を足して三万三百円になる。そこで、例えば五万円以下になるものはどのくらいかということで、改定後に五万円以下になる住宅ということで拾ってみますと、九八・四%を占めるわけでございます。そういうことで、これはいろいろ価値観がございますし、なかなか薮仲先生と議論する能力はございませんが、やはりその実態というものも御理解いただきたいというふうに思います。
  210. 薮仲義彦

    薮仲委員 私がなぜ最初にどの程度が負担の限界かと伺ったかというと、今の論議はどこまでも第三分位中位で論議すると今渡辺理事のおっしゃったことはそのとおりであり、私は納得できるのです。  じゃあ、ここでちょっとお伺いしたいのは、公団さんのいわゆる入居者の収入ランク、これはどうなっておるか。賃貸だけで結構です。分譲は要りませんので、賃貸だけ簡単におっしゃってください。どういう分位になっているか。——これは公団さんから御説明をいただいた中ですから、時間の関係で私が申し上げましょう。間違っていたら訂正してください。  第一分位、三百五十万以下でございますけれども二六・八。第二分位、三百五十一万から四百五十万、二〇・三。四百五十一万から六百万、一八・〇。六百一万から七百五十万が八・四。七百五十一万以上が五・一。その他不明の件数もございますけれども、こういう実態であろうかと思うのでございます。  これを見ますと、第一分位と第二分位で大体これは半分ぐらいになっているのかなという認識を持つわけです。そうしますと、今のお話の根拠がもう少し下の方へシフトしないと無理かなという感じがするわけでございます。ですから、この実態でいくとちょっと高い負担になっているのじゃないかな。四十六万六千円でおやりになるのはわかりますけれども、もう少し下のところで考えないと実態とそぐわないのかなと考えられますが、いかがでございますか。
  211. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 今先生から数字の御披露がございました。これはいわゆるアンケート調査で行っているものでございます。したがって、各居住者から任意に回収するというものでございます。そういうこともございますし、また前の年のものか、あるいはことしのものか、その辺もはっきりしないというようなことがございますので、これでその実態ということはなかなか言えないのではないかな。  それからもう一つは、現在の住宅政策の構造といいますか、それ自体というものは、それぞれ公営、公団、公庫という役割分担でやっているわけです。先ほどからの繰り返しで恐縮ですが、三分位中位ということになるわけでございます。したがって我々は、それはそれなりに中心としてやっていくけれども、家賃改定の際にはいろいろな激変緩和措置も講じますし特別措置も講ずるということで、精いっぱい努力しているということを御理解いただきたいと思います。
  212. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、そちらの土俵でもう一回相撲をとりましょう。  現在管理開始なさっていらっしゃる住宅の中で、先ほど来御指摘になった一七%を超えている部分は何世帯あるのか。しかもさっき限度額は二〇%、二一・五ぐらいのことをおっしゃったと思うのですが、それを超えているものがあればそれはどのくらいなのか。ちょっとおっしゃっていただけますか。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  213. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 たまたま六十一年度平均賃貸住宅の供給家賃が七万八千八百円だったということがございまして七万八千円という数字を使いましたので、負担率が一六・七ということで一七%にちょっと足りませんが、それで計算いたしますと六十七万一千七百八戸のうち四万三百十五戸、パーセントにして六%でございます。
  214. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、さっきもう一人の理事の方がそちらの方から住宅宅地審議会の御答申の数字を言われましたので、私もそれは記憶いたしております。もう少し正確に申し上げますと、五十年八月の住宅宅地審議会の答申において家賃負担限度というものが答申されているわけです。そこで、正確に申し上げますと答申の中に数字として出ておりますのは第一分位の四人世帯で一五・〇というのが出ているわけです。そこから割り戻しまして今おっしゃった二一・五が限度である、こうおっしゃっていると思うのです。やはり二一・五というのがこの住宅宅地審議会の答申の限度だと思うのです。  そうすると、今の渡辺理事の御答弁の中でございますけれども、五十四年から管理開始した家賃負担の中で相当それをオーバーしているものがあると思うのでございますが、五十四年以降のいわゆる家賃負担率の最高、最低、簡単に数字だけ言っていただけませんか。
  215. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 まず、最高の方を年を追って申し上げます。五十四年度二五・七%、五十五年二五・二%、五十六年二四・九、五十七年二六・三、五十八年二九・〇、五十九年三一・六、六十年二八・四、六十一年三五・七。  それから最低の方でございますが、五十四年六・四、五十五年六・一、五十六年七・七、五十七年五・二、五十八年五・八、五十九年六・四、六十年三・八、六十一年三・八パーセントでございます。
  216. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは総裁、私は二つの立場で申し上げているわけです。  いわゆる今実態とそぐわない数字であろうという渡辺理事意見を私は受け入れているわけです。受け入れた上で最高最低を聞きますと、ここにありますように最高は三五・七というのがあるわけでございますけれども、住宅宅地審議会の答申の中で、それでは第五分位、今言ったように、一から百まで並べて、一番最高位の方がどのぐらいが限度額かなというのが出ておるわけでございます。御承知のように、一人世帯で第五分位で二三・三なんですね。これが限界なんです。これが負担率の限界ですよというのがあるわけでございますけれども、限界を超えている部分については、今渡辺理事のおっしゃった意見を私は全面的に受け入れたとしても、やはりこれは公団法の趣旨にのっとってどうあるべきかは研究をいただくことが、民間に引っ張られるんじゃなくて、やはり住宅宅地審議会という審議会で答申され、しかも公団には法律がございますので、この負担率については適正であっていただきたい。  大分意見は分かれるかもしれませんけれども、冒頭に申し上げましたように、やはり一つの軸というか、これは狂わないというものを判断の中心に置いておきませんと、絶えず状況は変わります、そうすると人の心や人の言い方というのは変わります。でも、大事なことは、これは変えられないというものを持って判断していただくと少なくとも我々はそうかなと納得できますし、また、これにはこれなりの事情のあったことも私もわからないわけじゃない、かといって、だからいいとも私は申し上げられないのです。と同時に、アンケートの中の実態が必ずしも、確かに我々も税務署なんて余り好きじゃありませんから所得を少し安くしようとか、あるいは公営の場合も少し安くして長くいようとか、あそこも追い出されますから、それは人間の弱さで、許される部分があってしかるべきだと思うのです。しかし、公団自治協の方のアンケートも出されていることは事実なんです。では、それが全くだめかといえば、数字というのはだめかもしれないけれども、そこから何かを読み取っていくのが我々政治の場にある者の立場だと私は思うのです。  ここでこれ以上のことは申し上げませんけれども、負担率の論議についてはやはりもう少し御検討いただいて、どうあるべきかということは非常に難しいのはわかりますけれども、東京都の異常な地価の高騰の中で快適な住宅を提供するという公団の使命の上から御検討いただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  217. 丸山良仁

    ○丸山参考人 今の数字は新しく公団住宅にお入りになられた方の負担率だと思います。したがいまして、家賃値上げとは直接関係がないわけでございますが、いずれにいたしましても、余り高い家賃の負担率は望ましくないことは先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、その人それぞれの価値観によりまして、そういう住宅に負担率が高くても入りたいという方もおられるわけでございますから、あなたは収入が少ないから、負担率が三〇%を超えてしまうから応募資格がないよと言うのはどうかというようなことも考えられますから、その点はひとつ検討させていただきたいと思います。
  218. 薮仲義彦

    薮仲委員 たくさん質問というか聞きたいことがあるものですから、次にいきます。  公団住宅の高齢化について、この際、もうちょっと総裁と論議をしておきたいと思うのでございます。  年齢構成、ごく簡単で結構でございますけれども、これ数字だけ言われちゃうと困りますから、ではポイントだけ聞きましょう。五十歳以上の入居者が全体の何%になるか、それだけお答えください。
  219. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 五十歳以上でございますと一四%ぐらいかと思います。八・五%、二・三%、一・四%、二・一%を足した数字でございます。
  220. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはちょっと急に言ったものですから、数字の足し算もあれでしょうけれども、五十歳から五十四歳の八・九から、五十五から五十九の六・〇、六十から六十四の三・八、六十五から六十九の二・三、七十以上が二・五、これが間違いなければ二三・五ぐらいになると思うのでございますけれども、いずれにしても五十歳以上がその程度です。その下のランク、五歳下の四十五歳、次の五十歳になる群団でございますけれども、ここは四十五から四十九で一〇・六%です。今は五十歳以上が二三・五ですが、あと数年でだんだん追い込まれて約三分の一の方が五十歳以上になるのです。そうしますと、これも負担率に影響してくる一つ条件になる。これは私、総務庁の貯蓄動向も数字として認めます。  ただ、労働省の「男子労働者の年齢階級別賃金及び年齢間格差」というような資料をもらいまして、きょうは労働省呼んでおりませんから私が読み上げます。  これは所定内賃金で労働省の数字のとおり読み上げますと、四十五歳とか五十歳、こう年齢をとっていきます。で、賃金が生涯の中でどこまで上昇して、どこから下がってくるかということが出ているわけです。所定内賃金で全産業でいきますと、四十五から四十九が上昇のピークなんです。頂上なんです。これは正確に言うと「昭和六十一年賃金構造基本統計調査結果報告(全産業)」、労働省の資料ですけれども、生涯の中で一番上がるのが四十五から四十九、月収が三十二万です。五十歳になってくるとだんだん下がりまして、五十五から五十九で二十七万二千円という賃金が出てくる。所定内賃金です。  そうしますと、公団の高齢者対策は七十歳から始まっておりますけれども、賃金構造からいくとやはり五十歳が一つの大変な山場じゃないのかな。五十歳から急速に負担率が高くなってくるのです。この辺は公団のこれからの高齢者対策の中で、七十でやっているとおっしゃらずに、五十歳、六十歳からもう一度思いをいたしていただきたい。  特にもう一つ、これは東京都が中心ですが、東京都の福祉基礎調査という資料を私もらいまして見てみたのです。公団の場合は世帯主の収入ということを中心にやりますけれども、高齢者といって六十五歳からとっているのですが、収入の種類で、本人収入が年金、遺族扶助料というのが九〇・六%、二番目が、仕事による収入が二八・八なんです。これは複数回答ですからパーセントは合いませんけれども、圧倒的に年金、扶助料の方が九割方いるわけです。  そうしますと、私が何を申し上げたいかというと、生涯賃金が五十から下がってきている。六十五歳から年金になったときに、これはもう自分の所得に弾力性がないわけですね。二十代ならばまだこれからふえていくという弾力性がある、弾性値がある。しかし五十歳過ぎますと弾性値がなくて、この一七%という負担率を固定化しますとだんだん深刻な状態になる。次に建てかえの問題をお聞きいたしますけれども、それにもリンクしてくるわけでございます。  ここで総裁に御検討をいただきたいのは、高齢化対策ということについてもう一度、五十歳くらいからはどうなのか。今の入居者の数からいってそういう状態ですから、若い人よりも高齢者の方が多いということを踏んまえて、単に一七%が第三分位中位であるということだけではなくて、もう少しフレキシブルにいろんなファクターをお考えいただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  221. 丸山良仁

    ○丸山参考人 先生のおっしゃることはよくわかりますが、午前中からの御議論にもございましたように、高齢者対策を当公団の事業の中で現在の制度のもとで行うことはなかなか難しい問題がございまして、これは政府全体で住宅政策と福祉政策の間で考えるべき問題ではないかと私は考えております。  当公団でできることは、現在やっております高齢者あるいは母子世帯、身障者世帯に対する特別措置ぐらいが、ぐらいと言っては申しわけございませんが、限度ではないかと考えておるところでございます。
  222. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはなるべくそちらの意見をここでかみ合わせるように私は最大限努力しますから、総裁の言うことを一〇〇%受け入れましょう。ただ、年齢構成の中で、さっきは五十歳以上を聞いたのですけれども、じゃ公団に入っている人の最低年齢は幾つかと逆に見ていくと、二十五歳なんです。これは総裁、そうかたくななことをおっしゃってはいけないのですよ。住宅は福祉であるという哲学を持った学者先生もいらっしゃるのです、住宅が一番大事ですよと。福祉政策といって何か特別なことをやる、救貧的なことが福祉ではないと私は思うのです。これは総裁と意見が違うのです。私は福祉というのは、勉強することも働くことも、あるいはいろいろな趣味やなんかでやることも、住むことも福祉でいいと思うのです。福祉社会というのはそういうものだと思うのです。遊ぶことも全部楽しい。あなたは生活が苦しいから、あるいはお体が御不自由だから特別に、こういう何か救貧的な福祉に対する意識は昔はありました。しかし少なくとも現代ではそういうことではなくて、政治万般にもう少し温かくやろうということを国民は期待し、我々政治もそうあらねばならない。特別の福祉じゃなくて、老後の問題も若い人の教育環境も、赤ちゃんがお母さんの懐に抱かれているときも全部福祉であって、単なるある一部分の、年とったから、あるいはお体が不自由だから、これだけが福祉というふうに切り捨てることは、私と総裁とはちょっと意見を異にするのですけれども。  ここで何を言いたいかというと、公団住宅は若い方も入りにくいのです。さっきの所定内賃金でやるとまた意見が分かれますから、なるべくそちらの懐で相撲をとっているつもりなんですけれども、労働省にお願いしまして、いわゆる所定内賃金にボーナスとか超過勤務を加えてくださいと言って、それを割り戻して積算していただいたのです。そうしますと、今第三分位中位というのは年齢別でいうとどの程度の年齢の人の所得だと公団は認識して施策を講ぜられますか。そういうところも一度お考えいただきたいところなんですよ。四十四万六千円、こうおっしゃるけれども、一体日本の国民の中で四十四万六千円取っている年齢はどのくらいなんだと。皆さん方はもうとっくにそれは過ぎたのかもしれませんけれども、でも四十四万六千円というのは勤労者にとっては相当高額なんですよ。年齢でいいますと四十から四十四歳で初めて四十四万四千五百円なんです。四十から四十四歳ですよ。そうしますと、例えば公団に入ってきたってすぐ高齢者になるのです。総裁、今かたくなに福祉対策や高齢者対策はできませんとおっしゃらずに、もう少しこういう実態の賃金とあわせて考えていただきたい。  じゃもうちょっと、きょうはせっかく総裁がお見えだから、総裁がおつくりになったであろうこの資料でやりましょうか。  この住宅需要実態調査でございますけれども、この中で、じゃどの世代で、どの年齢で住宅をかえようというアクションを起こされるか、考えたことございますか。人生の中で住まいをかえよう、新築しよう、アクションを起こす年齢は何歳だとして政策を立てていらっしゃいますか。  時間がございませんから、これはお帰りになったら表の十五を見てください。「収入階層別居住状況の変化」、この所得階層別と、それから年齢階層別のがあるわけです。その年齢階層の中で私は申し上げたいのです。総裁もお子さんもお孫さんも出てくるし、大臣もそうだと思うのですけれども、例えば御自分のお子さんが結婚したときは小さなアパートでいいのです。じゃあ新しい家に住まいをかえようというのは何歳くらいか。ちゃんと建設省の資料に出ているのですよ。一番多いのは、親と子の関係で長子、最初の子供さんが五歳までのときにアクションが最高なんです。三九%なんです。ほかは少ないのです。がくんと違うのです。ということは、子供さんが一人生まれると家をかえなきゃならない、ここが一つの人生の変わり目なんです。長子五歳というと、二十五歳で結婚すれば三十です。二十七歳であったら三十二歳。いずれにしても三十代がアクションを起こす若者の世代なんです。  その三十代の給与を見ますと三十三万九千八百円なんです。ここでは今おっしゃった第三分位中位にははるかに及ばないのです。そうしますと、若い人も入れないとなると、公団には共稼ぎでなければ入れないよということが建設省の資料ではっきりわかるわけです。これでいいのかどうか。福祉もそうですけれども、若い人も切り捨てる、共稼ぎして入れ、こういう住宅が果たして公団の使命としてよろしいのかどうか。ずばっと言いたいのはわかりますけれども、もう一度その辺のところを考え直して、この辺の若者も入れないところの家賃のあり方というのは御検討をいただけないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  223. 丸山良仁

    ○丸山参考人 先ほど私が住宅が福祉でないと申し上げたのなら訂正させていただきたいと思います。住宅は最大の福祉だと思っております。ただ、家賃問題につきましては、福祉対策を講ずるための家賃補助は当公団としてはいただいてないわけでございますからこれはおのずから限度がある、こういうことを申し上げたわけでございます。  それから、今先生からるるうんちくを傾けて教えていただきました件につきましては今後十分研究してみたいと存じます。
  224. 中村喜四郎

    中村委員長 薮仲委員委員長からお願いをいたします。専門的な質問のときには、資料をちょっと紹介をいただければ政府委員の方も答弁しやすいのではなかろううかと思います。
  225. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは建設省の資料で、専門的な資料じゃ全くないのです。私は建設省の資料以外は使わない約束でやっていますから、専門的な資料は一切使いません。  それでは、ごく簡単なことをちょっと聞きますけれども、首都圏で、何万円くらいが家賃負担として好ましいかという素朴な国民感情ですね、どのくらいと認識していらっしゃいますか。  もう一つはローンの返済が年収の何%くらいだったらいいかというのは、首都圏に限っても結構ですから、大都市圏の人はどういう認識でいるか。どうでしょうか。
  226. 倉茂周明

    倉茂参考人 首都圏における家賃の適正な額という御質問でございますけれども、私どもとしましては一概には申し上げにくいというふうに考えておりますが、先ほどの三分位中位の一六、七%というのが中心であって、幅としましてはいろいろなものがあってもやむを得ない、ただし一般的には首都圏においても十三万はなるべく超えないように考えていきたい、そういうように考えております。  なお分譲住宅につきましても、いろいろな考え方がございますが、平均的には約三千二百万くらいで供給できているわけでございますけれども、これまたいろいろ幅がございまして、いろいろな価値観の差のほかに立地条件によってどうしても高くなる、あるいは計画上三世代住宅を供給しなければいけない等のこともございますので、かなり幅があっていいと思っております。それにしましても、この間いろいろ御批判いただきましたような一億円などというものは適当でないというふうに考えております。
  227. 薮仲義彦

    薮仲委員 これも、首都圏、東京都庁から半径五十キロ以内、京阪神、大阪市役所から半径五十キロ以内の総理府の広報室のアンケート調査、これは御承知だと思うのです。こういう大都市圏のアンケートを総理府等がとっておるわけでございますが、こういう国民の考え方というのは非常に大事かなと思うのです。  これは総理府の統計ですから数字だけ申し上げます。いわゆる資金の調達方法及び返済額ということでどのくらいがいいか、ローンの返済額としてどの程度が可能かと聞いたところ、年収の一割未満がいいと言ったのは一三・七%、一割から二割が四二・七%、二割から三割が二二・三%。非常に低いところで済めばいいな、これは国民の素朴な気持ちですから、やはりこういうものは行政に反映していただきたい。それから、住みかえを計画している人に毎月支払う家賃はどれくらいまでが適当かを聞いたところ、三万から四万、四万から五万と答えた方が二三・七%と大半なんですね。半数なんですね。やはり、こういう国民の声は家賃改定や何かにいろいろ御反映いただきたい。今までるる負担率からどうのこうのということを申し上げました。やはり、この改定のときにこういうことも十分お考えいただきたいということをお願いいたしておきます。  それから、これは改めていただきたいと思うのですが、これは私の方にも具体的な例はございますけれども、それは避けて、こういうことがあってはいけないということでお願いしておきますけれども、公団が分譲なさいます。すると、公団の分譲というのは都内の民間の分譲よりはるかに安いわけです。これが、悪い不動産屋さんがここに目をつけないわけがない。つけておるわけですよ。そうすると、入居した途端に、例えば数字でちょっと申し上げて恐縮なんですけれども、三LDKで二千九百五十万だ。それを今度、すぐ三千五百万で買いますよ、こういう電話がかかってくる。これは公団の方で絶対だめだということになっているのですよ。本人が支払えなくなったとか、いろんな厳しい条件をつけたんです。でも、不動産屋さんがそれをクリアしちゃうケースで私の方に来ているわけでございますけれども、これはレアケースだと思うのです。レアケースであっても、やはりさっき総裁もおっしゃったように、大事な国の金を使っているという立場からいうと、これが財テクブームやそういうことの住宅転がしに使われるということは、レアケースであってもやはり我々はあってほしくない。こういうことについてはどうしたらいいのか、御専門の立場から研究して絶無を図っていただき、再び我々のところにこういう話が出てこないように御尽力いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  228. 丸山良仁

    ○丸山参考人 この問題につきましては、我々も非常に頭を悩ましているところでございます。先生御承知のように、五年間は転売禁止ということになっておりまして、その間は公団の承認を受けなければ転売はできないことになっておりますが、なかなかそれが守られていない例も二、三あると思います、確かに。この点につきましては、こういう時期でございますから特に管理を厳重にいたしまして、そういうことの起こらないように努力してまいりたいと考えております。
  229. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が余りありませんから、もっともっとたくさんお願いしたかったのですが、考え方を言っておきますから大臣もこれはちょっと心にとどめておいていただきたいのですが、次に問題になるのは建てかえなんですね。  私は、建てかえの基本的な考え方は、総裁も基本的には同じだろうと思うのですけれども、やはり入っていた方がずっと住みたい、住める、これが一番大事であろうと思うし、そういう施策を何とかできないか、こう思うのですが、その辺の基本的なお考えはいかがですか。
  230. 丸山良仁

    ○丸山参考人 私も心情的には、そのとおりだと思います。
  231. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで、きょうはもういろいろ聞きたいのですが、一体、再入居できるのがどのくらいか。これは数字だけで結構ですから、建てかえを行ったときに入居者の何パーセントぐらいが再入居できたか。それから、その中で、家賃の支払いができなくなってよそへ行かれた、これは非常に残念なケースであって、やはりこれはちょっと遠くへ転居していただきます、そのかわり家賃は安くしますよ、四割くらいカットします、あるいは一時金百万円はお渡しできると思いますとか、五年間はとか、いろいろ御苦労なさっているのはわかるのですけれども、やはり何とか長く住んでほしいという気持ちが私にありますので、パーセントで、大体今まで入っていた方が再入居できるのはどの程度のパーセントかだけ、ちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
  232. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 建てかえでございますが、現在十団地について事業を実施しております。まだ入居、というところまでは行っておりません。工事中というところはございます。  そこで、戻り入居される希望の方のパーセントを全体として申し上げたいと思います。全体として見ますと、これは六十二年度の八団地で恐縮でございますが、六三・九%という数字でございます。そのうち、賃貸に戻られる、これは住宅希望調査というのをとっておりますその結果でございますが、賃貸に戻られるという方が四四・六%、分譲が一九・三%ということであります。本移転を希望される、つまりそこじゃなくてほかに移られるという方の場合、これがトータルでございますと二七・九%、約三割、そのうち他の公団住宅に移られる方が一四%くらい、それで民間の方が一三%ちょっと、そういった数字でございます。
  233. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題も私いろいろとお聞きしたいのですが、やめましょう。こちらで大体お話をしたいと思うのでございますけれども、例えば公団さんにモデルケースを検討していただいたわけでございます。家賃改定ルールというのは単に活字で書かれているだけでわかりませんので、数字を入れるとどういうことになりますかということで、モデルケースを考えていただきました。これは私の方でちょっと推計もございますので、これは参考として聞いておいていただければ結構です。  こういうことがあるからどうかということで終わりたいと思うのでございますが、その要件の中に、償却費、地代相当額、修繕費、管理事務費、損保料、公租公課、引当金、こういう形で出てくるわけですね。そこに数字を入れまして、一つの例を、モデルを考えさせていただいておるわけでございますけれども、私は、これを公営限度額方式でやると幾らになるのかなという計算、これをやりました。それからもう一つは、この条件の中で、もしも地代相当分が限りなくゼロに近かったら——ゼロということはないわけですね。それを壊して建て直さなければならないわけですから、整地やいろいろあるわけであります。ゼロはないのですけれども、限りなくゼロに近かったらどうなんだろう。こういうモデルを私は計算をいたしました。しかしこれは私の計算ですから必ずしも正確でないので、こういう公の場で数字を申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、我々が委員会でやるときに、午前中も私申し上げたのです、公営の建てかえを促進してくださるというときに、いわゆる土地代がゼロですから、上物だけですから、何とか再入居できるようにしたいということでやっておるわけでございますけれども、特に公団の場合、もしもこれがゼロでしたらば当初家賃改定価格の差はどのくらいなのだろう。言われたとおりの公営限度額方式でやって幾らになるのだろう。この三通りを出したのです。そうしますと、私は、ここで言うのもちょっと、数字が間違っていてはいけないと思って黙っておりますけれども、いろいろな意味で検討すべき要件がここの中に相当数多くあるな、こう思うのです。  ここにいらっしゃる御専門の方々は、これだけ申し上げれば私の言わんとするところは大体わかっていただけると思うからこれ以上は申しませんが、先ほど来長々と、どうすればいいかということで申し上げて、意見がかみ合わなかった部分も数多くありましたけれども、一つの考え方としてとどめておいていただきたいのです。  最後に、二つのお願いがあるのです。  高齢者の対策というのはやはりやっていただきたい。というのは、なぜ申し上げますかというと、きょうはそういう高齢者のためにいろいろしたのですが、厚生省の人口動態統計、これでいきますと、高齢者の家庭内事故死、これが昭和五十九年度で三千五百四十人なんです。自動車で亡くなった数は二千七百四十一人なんです。何を言いたいかというと、交通事故よりも家庭内で事故を起こされる。その中で一番大きな原因として出てくるのが転倒なんですね。転ぶのですよ。転ぶということがお年寄りにとっては大変なんです。  そこで、東京消防庁のデータ、これは「老人の災害と防災環境の実態」というのがあるのですが、この中に、老人の一般負傷八千九百二人のうち、転倒、転落が八三・七%なんです。人口一万人当たりの転倒、転落により救急車で運んだケースの中で六十五歳以上が七一・〇%なんです。しかもどこで転ぶかというと、居住場所なんですよ。もう半分は居住場所で転ぶのです。これが転んだだけで済まないのですね。それが非常に長患いになって、寝たきり老人の原因になっている。  私もこの東京生活文化局の答申を見てみました。西ドイツではどうなっているのだといったならば、やはり一つ基準があるのです。西ドイツでは、高齢者住居、身体障害者住居の基準一般住宅に関連してドイツ工業規格で決まっております。イギリスでは、公衆衛生法、住居法、建築規則といった法を補完するものとして、住宅地方自治省の通達が高齢者住居基準を設定しております。それからスウェーデンでは全ての住宅適用される建築基準で、やはりお年寄りのためにそれぞれの国がお年寄りがけがをしないように何とか守ってあげようということで努力をしているわけです。  私は、ここにある「高齢者居住環境調査研究報告書」、老人福祉開発センターのこれも読んでみました。お年寄りが一体何を望んでいるかといいますと、階段の両側に手すりが欲しい。転倒が多いのですね。それから、五階まで上がるのがつらいとか、エレベーターがあったらなとか、それから階段とか上がりかまちの高さがお年寄りにとっては大変だ。これは私も気がつかなかったのですが、公団住宅はトイレのドアが、入るときにこう入れるわけですね。そうすると半開きのドアで中へ入る。これは体の不自由な者や私たち年寄りにとっては非常に入りにくいのです。ですから、トイレのドアの開閉ももう少し研究をしていただく必要があるのかな。例えば二戸一にして、ペア住宅にするとかあるいはケア住宅にするとかいろいろございますけれども、今申し上げたお年寄りのために何とか手すりをつくるとか、階段を考えるとか、上がりかまちを考えるとか、こういう点はこれからの施策の中で取り入れていただきたいと思いますし、と同時に、お年寄りはやはり近くに病院が欲しいとか、子供の声を聞きたいとか、そういうお気持ちもおありのようです。ですからそういうことを、転居なさるときにここは高齢者向けにいいのではないかなというようなところはお含みおきいただきたい。  それからもう一点。いろいろな団地へ行って一番言われたのは、三十年、四十年代の古い、とにかく住宅を間に合わせようというときにできた住宅ですから、いろいろ不足もございます。私も何回も言っておりますけれども、御婦人が一番困っていらっしゃるのは洗濯機の置き場なのです。御承知のように二Kあるいは二DKに洗濯機を置くと足をひっかけて、それで済めばいいのですけれども、防水はトイレとおふろ場しかないのです。洗濯を終えた水がばしゃっと下へ行くわけです。下の方が昼間いらっしゃればいいですけれども、勤めていらっしゃると、もう二階から下までどんどん行ってしまう。これが上の方にとっては心臓がつぶれるほど心を痛める。これは相当な数があって、一挙にこれを解決してといえば金もかかりますし、これは公団さんに何とかしろということも大変かなとも思うのでございます。しかし、ほうっておくわけにはいかないのかな、では、どうすればいいのか。いろいろ専門の方もいらっしゃるでしょうから、工夫をして、住んでいらっしゃる方と協議をなさって、どのような形で改造すれば少なくとも最も安い改造で好ましい結果が出るか、これは御検討いただきたいと思うのでございます。  以上二つ御答弁いただいて、私の質問を終わります。
  234. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 まず高齢者対策でございますが、七十歳というのは、これは生活保護基準から老人加算できているものでございまして、いわゆる特別措置対象でございます。いろいろ細かくございますので、ポイントだけ申し上げますが、まず、やはりソフトとハードがあります。また、そのミックスもございます。  そこで、まずソフト面から申し上げますと、入居制度関係では、例えば一般入居の優遇であります。これは六十歳以上。あるいは高齢世帯と息子さんとか、そういう近居の優遇措置、これは六十五歳以上、これも十倍でございます。あるいは住宅変更制度の問題。  それからさらに、団地管理におきましては、現在二十三団地、先ほどそういうお話がございましたけれども、一千戸ぐらいの大きな団地で、かつ周りに医療機関がある、そういうようなところを選びまして、一階部分について空き家になったときに特別な補修をする、その分は家賃を上げませんという形でやっておりまして、もう何戸かの数が出ておるわけでございますが、先ほどありました浴室の改善でありますとか便所の手すり等いろいろな細かいことをやっている。また緊急連絡用の電話もつけるというようなこともやっております。  それから、屋外施設でございますけれども、集会所の一部につきましては高齢者が何となく寄ってこれるというようなラウンジを確保しよう、これはなかなか検討すべき事項もございますのでいろいろ検討しておるわけです。それから、子供も遊べるし、老人も遊べる、一緒に遊ぶと危ないのですけれども、そういうような多目的広場。  それから、先ほど転倒のお話がございましたけれども、いわゆる団地内通路の段差の解消、そういったようなこと。さらに集会所の使用上の優遇でありますとか、これは非常に評判がいいのですが、高齢者向けの住宅相談コーナーの設置。さらには、これはまだ構想の段階だと思っておりますが、建設省の方と厚生省の方で今考えおられますシルバーハウジング・プロジェクト、これはもちろん公共団体との連係プレーが必要でございますが、そういったことにも積極的に取り組んでまいりたいと思います。  それから、洗濯機の水漏れの問題でございます。大変御迷惑をかけていると思いますが、今防水パン、水漏れ防止、これがない住宅が五十万戸あるわけでございます。それで、排水施設をやりますと最低でも十五万円ぐらいかかる。そうしますと全部で七百五十億というような数字になってしまうわけでございます。先生、そういう形で御理解ある御質問でございます。我々は、より経済的に手当てができないか、本当に真剣にいろいろと研究してみたいというふうに思っております。
  235. 薮仲義彦

    薮仲委員 以上で終わりますけれども、大臣、総裁、るる申し上げました。心にとどめてよろしくお願いいたします。終わります。
  236. 中村喜四郎

    中村委員長 西村章三君。
  237. 西村章三

    ○西村委員 住都公団家賃改定の前に、せっかく公団総裁がお見えでございますので、ちょっとお尋ねをいたすわけでございます。  一昨日、私は当委員会におきまして、大阪のさざなみプラザにおけるいわゆる暴力団の不法占有問題についてお尋ねもし、お願いもいたしました。総裁も既にお聞き及びのことと存じますが、建設大臣は早速に私どもの願いを聞き入れていただきまして、けさ監督官庁としての御指示をいただいたようでございます。  暴力排除というのは国民すべての願いでございますし、ましてや公共住宅であります公団住宅の中にこういうものがはびこっておるということは甚だ遺憾なことでございまして、当然排除をしていただかなければなりませんが、今後公団としてどのような姿勢でこの暴力団排除に臨まれるのか、具体的な質問の前にお尋ねをし、決意のほどをお述べいただきたいと思います。
  238. 丸山良仁

    ○丸山参考人 さざなみプラザの件につきましては、先生から御質問があったということは報告を受けております。それからその後、直ちに大臣に呼ばれまして、今後厳重に注意するようにという御指示もいただいております。  したがいまして、当公団といたしましては、既に支社には対策のプロジェクトのようなものがございますが、本社にもそれに類するものをつくって、暴力団と申しますかあるいは悪質居住者対策というような形で対策を講じてまいりたい、このように考えております。  それから、その中で特に我々だけではなかなかできない問題もございますから、入居者からいろいろとそういう苦情がありました場合には直ちに警察に連絡するとか、関係方面、公共団体等にも連絡するとか、あるいはみずから立ち退きの請求をするとか、そのようなことに厳正に努めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  239. 西村章三

    ○西村委員 公団の対応がいろいろと指摘されましただけに私どもも今後の公団の姿勢を見守っていきたいと思いますが、ただいまの総裁のお話によりまして、今後は住民からのそういった申告も含めて警察にも協力をしていくというお答えをいただきましたので、期待をさせていただきたいと思います。  それでは、具体的に私も公団家賃値上げ問題をお尋ねするわけでございますが、まず最初に、今日に至るまでの政府及び公団の努力実績についてお聞きをしたいと思うのであります。  五十八年の第二次の家賃改定の時点で、建設委員会委員長要望という形でそれぞれ衆参両院国会要望が出されました。その実現のために、この五年間公団あるいは政府はどのような形で努力されましたか、まずその辺からお尋ねをいたします。
  240. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 要望にございました第一点の公共賃貸住宅の供給につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、第四期五カ年計画におきまして実績ベースが大変落ちたところでありますけれども、六十一年度から始まります第五期五カ年計画におきまして実績を上回る戸数を計画し、その執行に努めているところであります。  また、住宅基本法の制定という事項につきましては、住宅基本法を建設省といたしましても従来から検討しておったところでありまして、昭和五十九年一月、百一国会におきましてこれを検討中法案として登録したところでありますが、これに関しましては、なお住宅政策の目標でありますとか国、地方公共団体の責務の問題、住居費負担の取り扱いあるいは居住水準のあり方等、国民、各政党の間にさまざまな考え方があり、いまだコンセンサスが形成されていないという状況でありますので、ただいまの段階では慎重に検討しているところであります。  次に、第一項の中に家賃体系の確立という御指摘もございました。この家賃体系の確立につきましては、これは特に公共賃貸住宅についてのお話かと存じますけれども、その考え方といたしましては、家賃が各施策対象層にとって適正な範囲内にまずあるということ、次に、各施策の中でそれぞれ供給されている住宅新旧間におきまして均衡がとれているということ、さらには各施策間の住宅におきましてその後において均衡がとれている、こういうことが守られていくことが基本であると考えております。  現在の施策対象住宅につきましては、当初の新規供給の時点においてはそれぞれ施策目標を持って家賃水準を設定いたしまして、例えば公営住宅につきましては一種については二分の一、二種については三分の二の補助金、さらには家賃対策補助ということで新規の供給を行い、また公団住宅につきましても十年間家賃の限度金利を三・五ないし四・〇%という設定を行い、このために必要な国の利子補給金を交付する。例えば六十二年度におきましては総額千七百九十億円の国費を投入して供給がなされているわけでありますけれども、その供給後におきましては、年月がたった後において旧住宅における均衡の問題あるいは古いものと新しく供給されたものについての均衡のとり方につきまして、各施策の中で家賃改定という手段は持っておるものの、その手段の行使が必ずしも十分とは言えないという状況もこれあり、さらにまた、各施策間での住宅が供給された後におきますバランスのとり方につきましては、家賃の負担のあり方とか水準の設定等いろいろな問題で先ほど住宅基本法のところで申し上げましたような考え方がまだ確立されてないということでバランスのとり方についての手段がまだ確立されないということもあり、なかなか難しい状況にあります。  しかし、今回住宅都市整備公団家賃改定に当たりまして、算定方式検討する際公営限度額方式に準ずる方式をいろいろの議論の結果とったということは、少なくとも公営住宅公団住宅との間に何らかの連携を保とうという意識のもとにこれがとられたことでありまして、このことをもって家賃体系が確立されていると言うことは大変おこがましい話でありまして、しかしながらその部分におきましてそういうふうに動きがある、こういうことでひとつ御理解いただきたいと存じております。  その次に、第二項におきます長期未利用地の問題でありますけれども、これにつきましては御指摘をいただきました時点、五十八年でありますから、その時点におきましては未利用地地区については十一地区事業化されておりましたものが、六十二年時点では十六地区に事業化されまして、さらに未入居住宅につきましては、その時点では一万五千戸が未入居でありましたところが六十二年度末には百六十三戸に急減した、こういう状況になっております。  次に、私どもの関係では五の敷金の追加徴収につきましては、公団に指示しまして追加徴収は取りやめられているところであります。  次に、八番の公団入居者間の係争中の問題につきましては、御案内のように建設大臣があっせん努力をしたところであります。  さらに、九番の実施時期につきましては、これは一カ月の延伸ということで努力をしたところでございます。
  241. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 公団の関係分を申し上げます。  第一項の良質な公共賃貸住宅の供給ということですが、公団といたしましても良質、低廉な賃貸住宅の供給に努力をしてまいったところであります。また、第一項の公団現行家賃制度を逸脱しないという点につきましては、公団法施行規則によります建設大臣の承認を得て行おうとするものでありまして、現行家賃制度を逸脱するものではないと考えておるところでございます。  それから第二項の長期未利用地等につきましては、局長の方から御説明がありましたので省きます。  第三項の今後の家賃改定についてのルールづくりにつきましては、るる述べておりますので簡潔に申し上げますが、基本問題懇談会家賃部会で手続を経てルールを一応確立したと考えているところでございます。  第四項の基準を定めて修繕等を促進する、それから値上げ増収分を極力修繕等に使用するということでございますが、五十八年度以降、計画的な修繕の実施内容を定めまして、これに基づきまして実施をやっておるところでございます。それから、増収分の七割につきましていわゆる修繕費等の維持管理経費に充てさせていただいているところでございます。  それから五項は、説明がありましたので省きます。  六項の生活保護世帯等に対する特別措置につきましては、三年の申請でありましたが、それを五年に延長しました。それと同時に、結果論でございますが、受け付け期間を六カ月に延長したということでございます。  それから第七項、家賃改定の周知徹底等についてでありますが、家賃改定趣旨などを居住者に十分御理解いただき御協力をお願いする、そのためには、正確、迅速、公平というような観点から文書による説明をできる限り多くの機会をとらえて行う、それと同時に、各支社に特別な説明窓口を置きまして、居住者質問にお答えするというような措置を講じてまいったところでございます。  それから第八項のところでございますが、これは先ほどとちょっとダブりますが、大臣あっせんによりまして、全国公団住宅自治会協議会代表の方に居住者一員として家賃部会に参加していただいております。それから、それとともに公団住宅の円滑な管理に資するために、全国公団住宅自治会協議会との間に定例的な懇談の場を設けてやってきておるところでございます。  以上です。
  242. 西村章三

    ○西村委員 今回の審議の中心であります賃貸住宅家賃の問題でありますが、これは公共あるいは民間を問わず家賃は安い方がいいことはもうわかり切ったことであります。ただ、何が適正な家賃なのか、あるいはその負担率が適正なのは何なのかということが一番重要なことでございまして、これはけさほどからいろいろと議論が交わされてきたことでございます。今現在公団の賃貸に適用される、あるいは一つの数値として言われておりますいわゆる所得の一七%の負担率、これも確たる根拠はございません。五十年の八月の住宅宅地審議会のいわゆる答申によるところだ、こう言われておるのでありますが、これもまだ、もう既に十年も経過をしておるわけでございまして、必ずしもそれが正しいものとは言えないのであります。  そこで、何を基準にするかということですが、やはりこれは将来に向かっての目標といいますか、こういうものが描かれて、それに基づいてどうなんだ、こういうことが非常に重要でございまして、先ほど来お尋ねをいたしておりますそういう意味での住宅基本法の制定というのは、これは政府の責任で行わなければならぬものでございますが、いまだにそれは制定をされておりません。そういう意味で、私は、この住宅基本法の制定について従来建設省、政府としてはどこまで検討をされておるのか、そのことを一点聞きたいわけであります。  また、先ほど住宅局長もいみじくもおっしゃったわけでございまするが、いわゆる施策間の均衡というものもそういう一つの目標があって初めてそれは制定できるのでありますから、それなりに住宅基本法というものが制定をされない限り家賃体系というものも出てこない、こう思うのでありますがいかがでありますか。
  243. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 住宅基本法につきましては、建設省といたしましても以前から検討をずっと続けてまいりましたけれども、いろいろと各界の御意見を徴してまいります間、先ほど申し上げましたように基本的なところにおきましてなかなか意見がまとまってこない、こういうことで、五十九年の百一国会を最後に登録をやめたところでございまして、現在は慎重に検討しているという最中でございます。これは継続いたしましていろいろと研究はしてまいりたいと考えております。  なお、基本法の成立がなくして家賃体系が難しいだろう、したがって、その家賃体系がないがゆえに既存の住宅家賃改定も難しいということにつきましては、先ほども御説明申し上げましたように、各施策別に仕事がされておりますけれども、その施策住宅の中での家賃のバランスのとり方につきましてはそれぞれの施策の中で改定ルールができておりまして、それはそれなりにそのルールに従って改定が進められていくことによりその一つの施策として供給された住宅の中のバランスはとれていく、こういうことでございますので、今回の公団家賃改定もその中での範囲でございますので十分考え得るところだと考えております。
  244. 西村章三

    ○西村委員 住宅基本法については基本的な考え方の相違がある、これはもちろんのことでございまするから、それはそれなりに当然であるのでありますけれども、もう既にこの委員会にも公明党さんの住宅基本法が議員立法で提出されまして付託をされておりますが、まだ一回も審議をされたことがない。同時に、私ども民社党も住宅宅地基本法案要綱というものを既に昭和五十六年に発表をいたしておるわけでございます。ところが各党間で意見を交わすといったことは全くなかったわけでありますから、私は、この問題を契機といたしましてこういった各党間の話し合いあるいは政府の見解等もお互いにフリーな形の中で述べ合う中で住宅基本法の制定に向けての努力をする必要があるのではないか、かように思うのでありますが、政府としては今後我々の言った意見にも耳をかしていただき、さらには政府の意見も述べていただく、こういうお気持ちはおありですかどうですか。大臣、どうでしょう。
  245. 越智伊平

    ○越智国務大臣 住宅基本法の問題につきましては、ただいま住宅局長からお答えをいたしましたが、公明党さんのお考え方、また民社党さんのお考え方、社会党さんのお考え方、皆それぞれございますけれども、まだ実際にコンセンサスを得る段階になっていない、こういうことでございます。今後十分論議をしていただいて、政府は政府としてもまた考えて進めてまいりたい、かように思います。ただいまの段階では、お説にございましたように政府の方も怠慢であったかとも思いますけれども、各党のすり合わせもできてない、これが率直な考えであります。
  246. 西村章三

    ○西村委員 住宅基本法をつくる前提は、何といいましても土地問題の考え方が基礎になければこれは当然できないわけであります。そういう意味では土地基本法というものの制定が優先されるべきものだということでございまして、現在、私ども民社党も含めまして社会党、公明党さらには社民連の四党でほぼ土地基本法の理念的なものがまとまりました。今それをどうするかということで最終的な判断の時期に至っておるわけでありますが、この土地基本法を含めまして住宅基本法の制定、あわせてこれを検討していくということをやりたいと思いますので、ぜひ政府におきましても我々の提言について御検討いただきますように強く要望をいたしておきたいと思います。  具体的な問題で、家賃改定の手続についてお尋ねをいたしますが、けさも参考人の皆さんにお尋ねをいたしまして、今回の基本問題懇談会の討議の期間でありますとか開催回数、審議方法について伺いました。ただ、残念ながら家賃部会の全員部会が二年半も全く開かれていない、こういう事実もございました。さらに、今回の改定ルールそして六十三年の値上げは、昨年十二月の二十一日からことしの三月四日まで、正月期間もこれございますので、実質的には非常に短時間で、しかも四回、七時間でこの審議が打ち切られてしまったといいますか終了したということになっておるわけでございます。先ほどの建設委員長国会要望の中の第三項「公団は、今後の家賃改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」この特に適切な手続に基づいたものかどうか、若干疑わしいわけでございます。  このやり方、方法につきましていろいろと批判をされております。その基本懇、家賃部会審議は密室審議であるとかあるいは値上げの隠れみのであるとか、こういう指摘も一部の方々からなされているのです。私は、皆さんは真剣にやっていただいたと確信をいたしておりますが、果たして適切な手続を要望した国会要望というものに沿うものかどうか、公団としてはどういう判断をなされておりますか。     〔委員長退席、野中(広)委員長代理着席〕
  247. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 経営につきましてはしばしば出ておりますので省略させていただきますが、一点だけ申し上げたいのは、六十年四月の家賃部会において全員の御了解を得て専門部会で詳細な検討を行うということになったということであります。そこで、公団の考え方でございますが、単に四回ということだけではありませんで、個々の先生方委員方々とのお話し合いをする場も持たせていただいたわけでございます。非常に詰めた話ということもあるわけでございます。そういうことを含めまして、今回国会要望に沿った適切な手続に基づくルールづくりができたというふうに考えておるところでございます。
  248. 西村章三

    ○西村委員 けさ石原参考人にお尋ねをいたしまして、この四回の中で、専門委員会がおつくりになったものをかなりの部分で修正がなされておるわけでございます。この五点にわたる修正が、わずか四回の中でこれだけの修正部分が出てきたわけですから、そういう意味ではもう少し家賃部会というものを継続をして、せめて一年とまで言いません、やはりそれに近いぐらいの審議期間をかけるべきではなかったのか、こういうことが悔やまれてならぬわけでございます。  これについて公団としてもう一度私は御答弁をいただきたいんでありますが、そういう意味の中で、監督官庁としてこの懇談会方式、いわゆる家賃部会を設けて、その中での専門委員会、そこで検討したたたき台をもって家賃部会でそれをさらに補正をする、あるいは補充をする、強化をする、そして全体の中で決められた、こういうことなんですが、石原参考人はけさの私の質問に対しまして、いわゆる一般審議会形式よりも懇談会形式というのはむしろ公団の責任を明確にしたものだ、かようにおっしゃられたわけでございます。しかし、一般的に我々考えますると、必ずしもそれはそのとおりにはならない、むしろ第三者による審議機関の方が適正な意見が出されるのではないかという期待感もあるわけでございます。そういう意味におきまして、建設省は今後この懇談会がそのまま継続、踏襲をされていくことが望ましいと思っておられるのか、その辺のことをひとつ伺いたい。  また公団としても、これが完全無欠な、最適なものだという確信をお持ちになって、今後も継続をされるのかどうか、この二点についてお伺いをいたします。
  249. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 公団に対しましては二点かと思います。  一点目は、短かったのではないかという点でございます。これは石原先生もおっしゃっておられましたし、私どももそこの家賃部会の場に出させていただいておるわけでございますが、大体意見が出尽くして——もちろん井上委員は非常に細かい意見書というのを出されました。しかし、そういうものも全部皆さん方にお目通しをいただいた、そして、その上で大方の先生方が同意をされて四回で終わったということでございます。  それからルールづくりでございますが、これは我々は相当の時間をかけ、手続を踏んでつくってまいったというふうに考えております。したがって、先ほど総裁も答弁いたしましたが、大きな社会変動といいますか経済変動とか、そういうものがない限りは我々としてはこのルールでやっていきたいと思いますけれども、もちろん世の中に未来永劫なんというものは存在いたしません。一〇〇%というものもないと思います。そういう必要な事態が起こった場合には、またこれを見直していくことが必要という認識でございます。
  250. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 このたびの改定に当たりまして、住宅都市整備公団が懇談会方式をとり、その中で家賃部会あるいは専門委員会という形を持ちまして、それぞれの役割分担を決めながらそれについて御議論を進めてきたやり方は一つの考え方だと私は思っております。  また、この懇談会方式、その特徴についてどうかという御意見につきましては、委員長の御要望趣旨が、家賃改定につきましてできるだけ多くの方々の自由な立場からの幅広の御意見を伺うという、こういうことにあったかと存じますので、そういうことから考えますと、現在の懇談会方式で十分機能は発揮されているであろうと私は考えております。
  251. 西村章三

    ○西村委員 必ずしもこの懇談会方式が絶対に間違いのない方式だと言い切れないわけでございまして、今後この懇談会方式が権限の面やらあるいは運営の面で限界があるという場合には私は見直していただくことをお願いをいたしておきたいと思います。  それから、ルールの点につきましても同様でございまして、今渡辺理事の方から、将来は当然のことながら大きな変動があれば見直す、こういうことがございました。石原参考人も、これは完璧ではない、したがって今後大きな社会変動あるいは経済変動、これも一つの要因でありまするが、社会情勢の変化によってはこれを見直すこともあり得る、こういうこともおっしゃっておるわけでございまして、再度確認をしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  252. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 絶対的なものでないということは事実でございます。そこで、どういう場合に見直すのかというのは、やはりそのときそのときの状況によって判断していくものと思います。大きな経済変動とか社会変動とかということを申し上げましたが、そのほかにも高齢化への問題等もあるかもしれません。そのときそのときの状況に的確に応じていく必要があると思います。
  253. 西村章三

    ○西村委員 具体的に少しお尋ねをいたしますが、この六十三年度家賃値上げにつきまして今回の改定案が完全実施をされた場合、六十三年と六十四年で、値上げ対象になります総戸数は何軒になるのか、管理開始の年度としては何年から何年までのものとなりますのか、お尋ねをいたします。
  254. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 今回申請しております内容によれば、管理開始後三年以上経過した住宅ということになるわけでございます。  まず、その戸数は全体で六十五万戸あるわけでございます。ところがその中から、傾斜家賃適用中の住宅あるいは終了後三年たっていない住宅、さらに空き家家賃が設定されていない住宅、そういったものを除きますが、これらがちょうど十八万戸ございます。そこで、今回の見直し対象となる住宅は四十七万戸ということになるわけでございます。これをお尋ねの管理開始年度で見ますと、大体昭和三十一年度から四十七年度までの住宅全部と、四十八年度から五十四年度までの住宅の一部ということになるわけでございます。  それから、四十七万戸を見直しますが、見直し改定ではございませんで、例えば、その計算した額と現行家賃の額の差が五百円未満の場合には改定を行わないというようなこともございます。そういうことがございますので実際に家賃改定となる住宅は三十六万戸でございますが、一部につきまして、その計算はしますけれども実際に家賃を上げるというのを一年間おくらせます。そういうことで、六十三年度改定を実施いたします戸数は三十四万戸ということになります。
  255. 西村章三

    ○西村委員 ただいま説明のありましたうちで、今回の見直し対象とならない住宅、すなわち除外をされた住宅の数はおよそ十八万戸だとおっしゃいました。確かに、おたくからいただいた資料でもそのとおりでございますが、今回のこの改定基準あるいは算定基準を、ルール一つを活用いたしましてこのまま当てはめてまいりますと、三年後の六十六年にはいわゆる傾斜家賃実施中あるいは終了俊三年未満の住宅以外についてはほぼ全戸が値上げ対象となるようでありますが、六十六年には実態的にどうなりますか。
  256. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 先ほど申しましたように、今回除外することになっているのが十八万戸あるわけでございます。それが六十六年の見直し時点でどうなるか。これは、傾斜終了後三年を経過することとなる住宅が新しく対象になってまいります。単純に見ますと三万五千戸ぐらいだと思います。  ただ、空き家家賃が設定されていない場合には除かれる。これはその状況によって違うわけでございます。それから、今回空き家家賃が設定されていないために除かれた住宅が、設定されて新しく入ってくるというようなこともありまして、なかなか推計することは難しいのですが、あえてこれを推計いたしますと、六十六年では、今回除外いたします十八万戸の約五%程度が新たに見直し対象になるのではないかというふうに考えられます。
  257. 西村章三

    ○西村委員 六十九年にはどうなりますか。
  258. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 ほぼ同様でございまして、さらに五%程度が加わってくるというふうに考えられます。
  259. 西村章三

    ○西村委員 これは議論の分かれるところでございまして、私が、この従来からの空き家家賃の設定の時期でありますとかあるいはその見直し対象となって三年を経過していない住宅、こういうものを逆算をいたしますと、必ずしもそういう数字にはならないのでありますが、この細かい数字の議論はまた後に譲ります。  ただ、全体的に申し上げまして、このルールが固定化をいたしますと、今後、新規住宅でも基本的には、およそ翌年度から起算をいたしまして管理開始後三年を経過した住宅はほとんど改定の実施対象となる。言葉をかえて申し上げますと、三年ごとにといいますか、ほとんど確定的に家賃改定があるということになるのでありますが、公団はどう考えておられますか。
  260. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 多少先ほどの繰り返しになりますが、空き家家賃の設定されていないものとか、そういうものがありまして除かれることになります。したがいまして、必ずしも管理開始後三年たったものが全部見直し対象となるというわけではございません。  それから、見直し改定ではないということは申し上げましたが、今度の場合ちょっと経過措置で二年分入っておりますが、四十七万戸のうち三十六万戸、これは約七七%になります。そうなりますと、いろいろな事情が大きく変わらないと仮定いたしますれば、今後も大体同様の状況になるのかなというふうに推定いたしております。
  261. 西村章三

    ○西村委員 時間がどんどんたってしまいましてなくなってきたのですが、この六十三年改定が実施された場合、値上げ家賃の総額は幾らになりますか。
  262. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 平年度ベースで百九十億ということを推定しておりますので、六十三年度につきましてはその半分ということになると思います。
  263. 西村章三

    ○西村委員 増収分の使途内容とその割合はどういうことになりますか。
  264. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 五十八年度のときと同様、修繕費と抑制に回したいというふうに考えております。その割合は同様かと思います。
  265. 西村章三

    ○西村委員 先ほども枠の問題が出ておりました。そして、けさからの私の質問の中で石原参考人は、今回の家賃の増収分につきましてはいわゆる居住性向上に効率的に使いたい、こうおっしゃっておるわけでございますが、これは具体的に何を意味するのか。例えばけさ石原先生のお話では、高齢者住宅建設ということも一つだ、こうおっしゃっておられる。先ほど総裁は、高齢者対策は政府全体の責任だ、もちろんこれはそうでしょう。しかし、公団としてやはり高齢者に向けての何らかの対応というものは必要でもございます。高齢者住宅建設一つの大きな仕事ではないかと私は思いますが、今回のこの増収分の中でこういうものが消化をされるのかどうか、それから、いわゆる建てかえの家賃抑制にもこれが使われるのかどうか、お答えをいただきたい。
  266. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 増収額のおおむね七割を修繕費に使わさせていただいて、三割を抑制に使わさせていただくということで、居住性向上という観点を踏まえまして、ただしかし、先ほど申し上げたのですが、現在計画的に実施している修繕、これを途中でストップしたり計画変更をするというのは大変御迷惑をかけますから、その辺の兼ね合いがかなり難しいわけですが、十分研究して効率的にやっていきたいということでございます。  それから、抑制の対象といたしましては新規住宅ということでお考えいただいて結構だと思います。
  267. 西村章三

    ○西村委員 時間が参りましたので、最後に、総裁と建設大臣にお尋ねをいたします。  安くて質のよい住宅の供給が公団の最大の使命である、ある公団の幹部の方は、公団住宅と競合するからこそ民間住宅も価格、質ともに一定水準を維持できる、こう言っておられたわけでありますが、最近の傾向は、残念ながらこのプライド、自負を捨てられたのかな、逆に民間に追従をされておる、あるいは公的使命の放棄につながるような現象が間々見受けられるわけでございます。例えば新規供給の賃貸の家賃が二十五万円以上でありますとか、あるいは一億円住宅建設でありますとか、そういうものがだんだんと顕著になってまいりまして、私どもは非常に心配をいたしております。今後の公団の果たすべき使命と役割は一体何なのか、また、収支相償の原則はこれからも堅持をされるのかどうか、総裁から明確にしていただきたい。  そして建設大臣には、今回の家賃改定申請について、入居者もいろいろ切実な希望を持っておりますので、適切な対応をしていただくように、特に最後に建設大臣からのお言葉をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  268. 丸山良仁

    ○丸山参考人 申し上げるまでもないことでございますが、当公団の使命は、国の住宅政策都市政策の実施機関でございまして、国民のために良質でなるべく安い住宅を供給する、あるいは立派な町づくりを行うという点にあると考えております。したがいまして、今お話の出ましたような高額物件はなるべく供給しないように努めているわけでございまして、平均で申しますと、先ほどからいろいろ出ておりますように家賃負担率であれば一七%、あるいは分譲価格であれば三千万円台ということにしたいと考えておりますが、立地条件によりましてはどうしても高くならざるを得ないものが出てくるわけでございます。そういう場合にも、大臣からも御注意を受けておりますから、例えば分譲住宅につきましては、五千七百万円以上のものを供給する場合には特に総裁の承認をとるというような形にいたしまして、適正な家賃のものあるいは適正な価格の分譲住宅を供給してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから収支の問題でございますが、これは当然でございますけれども、私の責任といたしまして赤字は絶対出さないように、と申しましても別にもうけようとは思っておりませんが、収支とんとんで何とか経営を進めてまいりたいと考えております。
  269. 越智伊平

    ○越智国務大臣 第一点は、今総裁からお答えをいたしましたが、本来の目的である中堅勤労者住宅の供給、こういうことでございますので、分譲にいたしましてもあるいは賃貸にいたしましてもその目標で進めていただくように指示をいたしております。ただ、今既に着工しておるものもございますし、非常に地価の高いところを購入しているところもございますので、今着工しておるものはしばらくの間やむを得ない。しかし将来に向かっては、ですから、この二、三年先までには、今から着工するものについてはあくまでも中堅勤労者向けのものをやっていく、こういうことであります。  また、後段の問題につきましては、皆さんの当委員会の御論議、御意見、これを十分配慮して審査を進めてまいりたい、かように思っている次第であります。
  270. 西村章三

    ○西村委員 ありがとうございました。
  271. 野中広務

    ○野中(広)委員長代理 中島武敏君。
  272. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私はいろいろ聞きたいと思っているのですけれども、時間の制約もありますので、まず敷金の問題について伺いたいと思っております。  公団から建設大臣値上げ承認申請を行っておられますけれども、それによりますと、改定家賃の三カ月分と入居家賃の三カ月分との差額を徴収することになっております。伺いたいのですけれども、敷金の追加徴収額ですが、これは最高それから最低、平均は幾らになりますか。
  273. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 最高額は、一次の最高の値上げ額の七千円、それから二次の値上げの最高の一万円、それに今回の最高限の一万五百円、これを足しまして三カ月分にしますので八万二千五百円ということになります。それから最低でございますが、これは五百円ずつでございますので、三カ月分で千五百円ということになります。。  それから平均でございますが、平均値上げ額、今度は四千七百円と計算しておりますが、第一次のときが五千三百円、二回目が五千円、今回四千七百円、これを足しまして三カ月分にいたしますと四万五千円ということになります。
  274. 中島武敏

    ○中島(武)委員 平均でも四万五千円、最高だと八万二千五百円、大変な額だと思うのですね。  この敷金の問題については、既に御存じのとおりなんですけれども、五十三年の値上げのとき、それから五十八年の値上げのときにも、衆参両院の建設委員会敷金の追加徴収はやめるべきであるということが決議されております。今回、今お話しになったように第一回分、第二回分、第三回分、こういうことになりますと、今まで徴収を中止しておった分をごっそり一括して取り立てる、こういうことになるわけですね。これは国会の決議にも反することになるのじゃないか。私は率直に言って、国会決議について公団はどういうふうに認識しておられるのか伺いたいと思います。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  275. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 先生には申し上げるまでもないと思いますが、敷金は、家賃などの賃貸借契約上の賃借人の債務、これを担保する目的で受理されるものでございまして、契約の終了時に清算されるものであると一般に解されております。  そこで、今お示しのように、過去二回公団申請をしたわけでございますが、大臣の御指導で敷金の追加徴収というのを取りやめたわけでございます。しかしながら、今私が申しましたような敷金の性格から申し上げますと、実際に一番低いところでは〇・七五カ月分にしかなってないという実態でございます。それから、先ほどもちょっと申し上げたのですが、平均的に言って六十一年度で見れば二十数万円になっているということがございます。そこで、いわゆる担保力というものが〇・七五ではほとんどないではないかという話と、同じ公団住宅に住む方で片方は三カ月分、これは家賃が違うということはおきましても三カ月分、片方は〇・七五カ月分というのではいかにも不公平ではないかという基本的な考え方に基づきまして、国会の御要望は重々承知しておりますが、やはり本来の姿に戻らせていただきたいということで申請をいたしたものでございます。
  276. 中島武敏

    ○中島(武)委員 しかし、この敷金の問題というのは、公共住宅の中で、公団以外のところでこういう追加徴収をしている例があるかと言えばこれはないのです。御存じのとおりなんです。それから、国会の決議も今申し上げたように二度ともそうしないということになっており、建設大臣の指導でもそうなっているわけなんです。しかも今回は、実際の負担額ということを考えてみても、先ほど理事の方から御答弁のあったように、非常に低いところもありますが、高額の場合は八万二千五百円、平均でも四万五千円と非常に高いのです。大臣一般の勤労者でも、子供が入学するとか何か一時に出費が必要だ、こういう場合を見越していろいろ貯金をしたり保険を掛けたりというようなことをやっているのです。ところが突如として五万だ、八万だというこういう出費がわっとかかってくるということになりますと、生活設計もめちゃめちゃになってしまう。ましてや年金で暮らしていらっしゃるお年寄りの方なんか、途方に暮れる一方だと思うのですね。こういうことをやりますと、これは政治はないと言われても仕方がないのじゃないか。ここは大臣、過去二回の例に倣って絶対認めるべきではないというふうに考えるのですけれども、大臣の見解を述べてください。
  277. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 大変申しわけございませんが、一言だけ申し上げさせていただきます。  一遍にということでございますが、これは申請書の中にも書いてございますが、分割払いの措置を講じて、急激な負担で御迷惑をかけることのないようにいたしたいと思っておりますし、この敷金はお預りして運用いたします。そして、その運用益で団地の環境の整備に使っているということもぜひ御理解いただきたいと思います。
  278. 越智伊平

    ○越智国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますように、予見を先に申し上げることは差し控えさせていただきたい、かように思う次第であります。
  279. 中島武敏

    ○中島(武)委員 この辺あたりはやはり大臣が、別に予見の話じゃなしに、よく聞いてもらいたいし、決断もしてもらいたいところなんです。あらかじめ申し上げておきます。  その次の問題なんですけれども、国会決議は、先ほどからもいろいろと議論になっておりますように「公団は、今後の家賃改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」こういうことを求めておったのです。ところが、午前中の参考人質疑の中でも極めて明瞭になりましたけれども、公団居住者代表である全国自治協の方の強い反対を押し切って今度値上げルールなるものが決められる、そういう経過なわけなんです。これは私は率直に言いますけれども、国会決議が求めていた適切な手続に基づく必要なルールだとは断じて言えないのじゃないかと思います。  それだけじゃない。今度ルールなるものを値上げと同時に出してきたのですね。これじゃルールについて居住者検討するいとまもないのです。本当だったら家賃部会でも十分検討する、それから居住者もじっくり検討する、その上で決める、それを踏まえて家賃改定案を出してくるというのだったら私もそれはそれで、賛成ということじゃないけれども、一応話はわかるのです。ところが、ルールだ、値上げだと一遍にどんと出してきて、さあ、こうこられるのは適切な手続というふうに言えないのじゃないか。今後ともルールについては検討していくことが必要だし、また当然のことですけれども、全国公団自治協の皆さんとも協議を継続していくべきである、こう考えるのですけれども、いかがですか。
  280. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 我々といたしましては、先ほど来るる申し上げておりますように、国会の要望委員長要望に沿った形での適切な手続に基づくルールづくりが行われたというふうに考えております。公団住宅というのは国民の資産でございますから、やはりいろいろな人の客観的といいますか、家賃部会という形で各界から入っていただいておるわけでございますが、そこで御意見を伺って取りまとめていくというのが適切な手続ではないかと思います。  それからもう一点、ルールと六十三年度改定を一緒に出したのはけしからぬというおしかりでございますが、実際問題として考えてみますと、ルールというのはやはりある意味では抽象的な問題になります。計算式とかそういうものが抽象的になります。そこで、六十三年度改定案というのを示し、かつ五十三、五十八というのを並べまして、結局、過去の経緯とこれから具体的にどうしようとしているのか、そういうものとあわせてルールを御検討いただくということが現実的ではないかというふうに考えたわけでありまして、結果的に見ましても、議論の過程の中で妥当なものであったというふうに考えておるところでございます。
  281. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ルールの中身についてはこれからいろいろお尋ねしたいと思っておりますが、家賃部会の専門部会ですか、ここで、居住者代表が入らないところでいろいろやっておられる、これじゃ実際の当事者である居住者代表が加わってないのですから非常にまずい。やはりもっとそういう代表を加えて専門的なことも審議する、議論するということが必要だということをこの問題については言っておきたいと思うのです。  それから次の問題について伺いたいのですけれども、午前中の審議の際にも資料が配られまして、公団自治協の調査によりますと、第一分位、第二分位は六一・四%を占めているというわけですね。それから公団の定期調査によりましても、不明の分を別にしますと、第一分位相当、第二分位相当で六〇%を占める、こういう結果が出ている。公団は、公団賃貸住宅対象者は所得分位で第三分位中位の層だ、そういうふうにおっしゃっておられるのですけれども、実際に入居しておられる居住者の収入実態とは非常に大きな乖離があるということを認められますか。
  282. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 私どもも定期調査ということで一応の把握はいたしておりますが、先ほども申し上げましたけれども、やはりアンケート調査であるというようなこと、それから、我々としては所得が幾らだということを立ち入って正確な把握はなかなか難しいということも考えられます。  そういうこともございますが、私が申し上げたいのは、やはり全体の住宅政策の中での位置づけではないかと思います。そして、その中でありますが我々といたしましては、いわゆる特別措置というようなことで一定所得水準以下の方につきましては、生活保護法の住宅扶助限度額を超える部分、または現在家賃がそれよりも高い場合には現在家賃を超える部分、それについてはお払いいただかなくて結構だ、そういう措置を講じている。そして、いろいろな数字につきましては先ほどからるる申し上げているとおりでございます。
  283. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今お話を聞いていると、結局公団はどういう役割のところを受け持つか、こういう話なんです。それだけじゃだめ、それは抽象論です。現実に何十万世帯というのが公団に住んでおられるのです。その実態を抜きにして、ただ抽象論で第三分位の中くらい、こういうことを言っておっては居住者の皆さんはもう納得できない、こういうふうになるのは当然じゃないかと私は思うのです。  私、ちょっと調べてみたのですけれども、老齢年金で受給者が最も多い厚生年金保険の場合ですが、一人当たりの年金額は平均で月額十二万円強、十二万五千円ぐらいなんです。そこへ今度は、公団の資料によりますと、例えば昭和三十四年度、四十年度管理開始団地では平均で月額六千三百円のアップです。最高は二DK住宅で九千五百円のアップなんです。  ちょっと伺いますけれども、東京都の範囲内の平均値上げ額あるいは二十三区の値上げ額はお幾らですか。
  284. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 支社別のデータを持っておりまして、大変恐縮でございますけれども東京支社で申し上げますと、先ほど申し上げたのですが、平均引き上げ額が五千六百円ということでございます。ただこれは、いわゆる東京圏にほとんどが存在するというふうにお考えいただいていいのではないかというふうに思います。
  285. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それは先ほど私、聞いたのです。ですから、私は東京都あるいは二十三区をお尋ねしたのですけれども、後ででもちょっと調べて教えてください。いいですか。  それで、実はこれは東京の三十七年の開始住宅団地です。御主人が七十八歳なんです。それで御夫婦お二人暮らしなんです。六十三年、ことしの厚生年金は月額十三万三千六百円なんです。前回値上げ以降ことしまでの五年間、年金額が月額で幾ら上がっているか、一万二千四百円しかふえていないのです。ところが、今度値上げをやられると三十七年団地平均値上げは五千八百円なんです。そうすると、五年間でふえた年金額の半分が家賃で消えてしまう、こういうことになってしまう。これは私は非常に深刻な問題だと思いますね。第三分位の中位とかいう話じゃないんですよ。これはもう現実の話なんですから。負担率一七%程度というようなものではもちろんないわけです。しかも今度、三年ごと値上げ、こう来るわけですよ。そうなってくるとこれはもう本当に大変な問題になるわけでありまして、私は、こういうやり方だと結局所得の低い人は公団に住むな、負担能力のない人は出ていってくれ、こういうふうに言うのと同じだと思うのですけれども、どうなんですか。
  286. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 お答えする前に、大変申しわけございませんが、二十三区というような範囲での計算ができないということでございまして、今マクロ計算しかやっておりませんので支社別等の数字しかありませんので、先ほど私うなずきましたが、大変申しわけございませんが資料を出せませんので、御了解いただきたいと思います。  それから今、十三万六千円というお話がございまして、これを十二カ月いたしますと百六十三万円の収入になられるかと思います。今回の特別措置の六十三年度の収入基準、これはもう既に公団が定めておりますが、老人世帯、これは世帯主が七十歳以上ということではありますが、老人世帯お二人の場合、年額で二百八十三万円以下の方はこの特別措置に該当するわけですから、もしお払いいただいている家賃生活保護法で定めるその地域の住宅扶助限度額よりも高ければ、今度の改定によって百六十三万円ですから特別措置対象になるということだと思います。
  287. 中島武敏

    ○中島(武)委員 なるほど私が申し上げたのは対象になりそうでございます。しかし、今までに一体どれだけの人たちがこの特別措置を受けることができたか、これを考えてみると、公団からいただいた資料によりますと、特別措置適用戸数は五十三年の値上げのときには百九十四戸であります。それから五十八年の値上げのときには二百八十二戸であります。これは基準が非常に難しいのです。難しいからこういうふうに適用がされにくくなってくるということなんでありまして、私は、そういう点では必ずしも今申し上げたようなものではない、この点はもっともっと考えなければならない、収入実態というのは非常に深刻な場合が随分と多いものだということを申し上げておきたいと思うのです。  それから、余り時間がないものですからちょっと先へ進ませてもらいたいのですけれども、公営限度額方式の問題について伺っておきたいのですが、実は私、公団に、今回の値上げ額を一〇〇とした場合に償却費、修繕費、管理事務費、地代相当額、損害保険料、公租公課それから引当金、この比率は一体幾らになるのかということをあらかじめお尋ねしたのです。資料を出してくださいということを言ったのです。ところがそれは出せませんということで断られてしまって、こんなことも出ないのかというふうに非常に憤慨しているのですけれども、今回の値上げに際して、公営限度額方式算定では地代相当額、公租公課、とりわけ地代相当額が決定的な比重を占めているのではありませんか。
  288. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 具体の団地のそういう構成要素につきましては、原価公表ということにもつながりかねませんのでお許しいただきたいと思います。  それから地代相当額が家賃構成の中で占める割合というのは、大体三〇%程度というふうに計算しております。
  289. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今度の値上げの中で占める割合をお尋ねしているのです。
  290. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 今度の値上げ分の中での地代相当額の部分というのはまだわかりません。
  291. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それがわからないというのがおかしいのですな。本当に僕には理解しがたいのです。きょう午前中の参考人質疑をやったときにも、参考人方々がいろいろお話をし、私も質問したけれども、公営限度額方式に準ずる方式公営限度額方式の場合で結局どこが一番影響を及ぼしているかといったら、結局地代相当額だということは認めていらっしゃるのですよ。言っていらっしゃるのです。だから、私先ほど申し上げたようなことなんかももっときっちりわかるようにしてもらわなくちゃ全く困っちゃうんですな、一番ポイントのところなんですから。特に、今回の値上げの一番のポイントはこの問題なんですよ。  三年前の固定資産税評価額を使用した今回の改定でさえも、地価の上昇が決定的役割を果たしていることはまず私は間違いないと思う。ところが、六十二年度固定資産税評価額、それからその後の、三年後の固定資産税評価額というものをもとにされますと、何のことはない、これは大変なことになってしまうんじゃないか、僕は率直にそう思いますよ。大変な値上げが起きてくるということは間違いないと思うのですね。  これまで二十年、三十年と公団家賃を払い続けて、今、年金生活に入っている公団居住者の方あるいはこれから年金生活に入ろうとする方、これらの人は今まで自分が住んでいる住宅の地代相当額をずっと払ってきたんです。ちゃんと払ってきた。ところが、この値上げというのは、土地の取得費が幾らだったか、造成費が幾らだったかということとは全く無関係に、何のことはない、土地は値上がりした、それで土地の評価額が上がった、そうしたらそれはストレートに反映してくるというのが公営限度額方式じゃありませんか。間違いないでしょう。
  292. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 公団住宅といえども、やはりその家賃というのは使用対価であるということだと思います。したがいまして、そういう形で固定資産税が、評価額でございますけれども、定められれば、それによって家賃を計算していくというのが、これは必要であると思います。  それからもう一点、先ほどの関係で、時間を使って申しわけないのですが、簡単に申し上げますが、今度改定した結果、三万五千円以下、これは六十三年度東京都の住宅扶助限度額が四万七千八百円ですから、それよりはるかに低い三万円以下の住宅家賃方々、この方々が七八・一%、そういう実態があるわけでございまして、先ほど先生が非常に適用数が少ないとおっしゃいましたけれども、これはやはり片っ方の住宅扶助限度額との関係というのも非常に大きな要素を占めているんじゃないかというふうに考えるところでございます。
  293. 中島武敏

    ○中島(武)委員 前の話じゃなくて、また後ろへさかのぼって議論していると大変なんですよ。  だから今の話で言うんですけれども、私は値上げの要素知っていますよ、公営限度額方式。だけれども、今回の場合は何が一番大きいかといえば、地価の値上がりがストレートに響いているのが一番大きいんじゃないかということを言っているのです。反対論だったら反対だと言ってくださいよ。僕は間違いないと思うのです。  それで、もう一ついきます。公営限度額に準ずる方式、先ほど参考人の方は、これはうまいこと考え出したんだと言って、折半するんだと。今の渡辺理事のお話にも使用の対価だ、こう言うんですよね。あなた、値上がりして何が使用の対価ですか。結局家賃にはね返って高い家賃取られる、これだけじゃないですか。売却するんなら別ですよ。そうじゃないのに、そんな計算上の話だけで使用の対価でございます、値上がり利益でございます、こんな話は全然通用しないと私は思いますよ。こんなこと公然と言ったら、居住者の皆さん方は怒り出しちゃうと思うのですよ。土地を持っておってさえ、売らなければ何の利益にもならないのです。税金が高くなるだけなんですよ。いいですか。そんなことわかっているじゃありませんか。  それから、もう一ついきます。公営限度額に準ずる方式によりますと、経済事情の変動に応じた適正に評価された家賃額と現在の家賃との差額の二分の一を値上げするということですね。経済事情の変動に応じた適正に評価された家賃額というのは、これは公団が書いている文章をそのとおり私読んでいるのです。  そうすると、こういう問題が起きてくるのです。改定基準算定基準の構成要素に何の変化もない、ちょっと大ざっぱなことを言いますと、つまり物価の値上がりもなければ地価の値上がりもない。それでも三年周期ですから三年たてば、二分の一になっておるわけですから、その二分の一との差をどうしても値上げしなければならない、こういうことになってくるのですよ。本来何にも値上げすべきはずのものではないのに、三年たてばその二分の一、その二分の一と上がっていくというのは、こんなものがルールですかね。これは重大な欠陥じゃないかというふうに僕は考えるのです。
  294. 渡辺尚

    ○渡辺参考人 公営限度額というのは、まさに、そこまでの値上げ公営住宅について上げるならば公聴会も大臣の承認も要らないというものでございます。それに準じているというのは、公営の場合は補助金が入っているし、うちの場合は入っていないとか、そういうところが違うので準じていると言っているわけであります。そこで二分の一を準じていると言っているわけではございません。つまり二分の一はあくまでも激変緩和措置としてやってきたわけです。したがって常にそこに残っている。激変緩和ですから、だんだんと上がっていくというのはある意味ではしようがないといいますか、そういうことになるのではないか。激変緩和措置であるということをひとつ御理解いただきたい。ただ、実際に計算してみて、つまり見直し改定ではないということは、これもひとつ御理解いただきたいと思います。
  295. 中島武敏

    ○中島(武)委員 あなたの解釈はそうなんです。先ほど参考人家賃部会やっておられた石原さんは、激変緩和ということもあるけれども、実は利益を折半する、これが準じての妙味なんだ、こういうことを発言されましたよ。家賃部会の会長ですよ。だから、あなたが言うみたいにもしこれが激変緩和だと——まあ私それを認めてもいいのです。だけれども、激変緩和措置だとしても、ところが私が今言ったように結局なっていくのですから、だからこれは激変緩和かもしれないけれども、また同時に大変な矛盾を持っている方式だということだと私は思います。そういう点では、今度の公営限度額方式あるいはその準ずる方式は非常に矛盾を持っているのではないかと私は思います。  最後に、時間も間もなく来ると思いますので、総裁にちょっとお尋ねしたいのです。  公営限度額方式に準ずる方式、これをとる限り地価の暴騰は結局家賃にストレートに響く。それからまた今申し上げたように、二分の一は激変緩和方式でもあるかもしれませんが、しかし同時に、これは家賃部会長がいみじくも言われたように値上がり利益を折半する、それで使用の対価だというふうに言われた、まさにそのことなんです。そういうことではかえって、何も値上がりがなくても三年ごとに値上がりしていくという、これは極めて矛盾を持った方式だと言わなければならぬのじゃないかと思うのです。そういう点では、これをルールとして確立するということは撤回をしてもらいたい、そしてルールとしてこれは認めない、ルールはどうあるべきかということを引き続き検討していくというふうにするべきじゃないかと思うのです。何か、でっかい経済事情の変動があったらなんというようなことをさっきから言っているのですけれども、そうじゃなくて、今申し上げたようなことを総裁よくおわかりだと思うのです。だから、これは性根を据えてひとつ御答弁いただきたい。
  296. 丸山良仁

    ○丸山参考人 まずその前に一言。申し上げたいのですが、今度の値上げでどれだけ上がるかということは四千七百円なんですけれども、現在の家賃平均幾らかと申しますと二万五千六百円なんです。それが平均三万三百円になるわけですね。それが例の総理府の統計で四十四万六千円は高過ぎるとおっしゃいましたが、うちの調査によると三十六万五千円になります。これで計算してみましても家賃負担率八・三%なんです。先ほどから一七%とか一六%とかいう話がよく出ておりますから、これと誤解されては困りますが、今度の家賃値上げ対象になる負担率は八・三%だということをまず申し上げたいと思います。  それからもう一点は、例のルールの問題でございますけれども、これは居住者代表お二人入っておられます。一人は自治協の代表でございますが、この方は反対されました。これは事実でございます。ただし、そのほかに労働界の代表あるいは住宅の専門家その他各界各層の方を網羅して、これで大変立派ないい制度だということが決まったわけでございますから、中島先生のせっかくの御議論でございますが、よほどの経済変動がない限りは変える考えはございません。
  297. 越智伊平

    ○越智国務大臣 いろいろ御議論を聞いておりますが、先ほど来お答えをいたしておりますが、激変緩和とか特例措置とかいうことできめ細かくやっております。日本国政府は、出ていけとか追い出すとかこういうことは一切考えませんから、公団にもそういうことはやらしませんから、オーバーに物を言われますと——出ていけというふうに言われたでしょう。まじめな議論をして、その中でここの委員会の議論を踏まえて審査をしたい、こういうことでありますからその点は十分御了承をいただきたい、かように思う次第であります。
  298. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう時間ですからやめますけれども、私はオーバーなことを言ったんじゃないのです。  いろいろ言いたいことがございますけれども、時間だからきょうはやめます。      ────◇─────
  299. 中村喜四郎

    中村委員長 次に、内閣提出大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案を議題といたします。  趣旨説明を求めます。越智建設大臣。     ─────────────  大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案     〔本号末尾に掲載〕      ────◇─────
  300. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいま議題となりました大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近の大都市地域における地価高騰は、国民住宅取得の夢を遠のかせ、社会資本の整備、良好な都市環境の形成に大きな支障をもたらすなど、経済の円滑な運営と社会の安定にとって極めて重大な問題となっております。  政府におきましても、昨年十月には、臨時行政改革推進審議会から答申を受け緊急土地対策要綱を閣議決定したところであり、今後、宅地開発の促進等所要の施策をこれまで以上に強力に推進することとしております。  宅地開発の促進につきましては、国と地方公共団体の緊密な連絡調整を図りつつ各種の施策を講じてきたところであります。大都市地域における広域的な住宅地需要に対応して、宅地開発事業を緊急に促進するため、優良な事業を建設大臣が認定した上で特別の措置を講ずることとし、ここに大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案として提案することといたした次第であります。  以上がこの法律案を提案した理由でありますが、次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、対象とする地域は、首都圏、近畿圏及び中部圏の既成市街地及び近郊整備地帯等とその周辺の地域を予定しております。  第二に、認定の手続でございますが、一定規模以上の宅地開発事業を行おうとする者は、事業計画を作成し、これを建設大臣に提出することとしております。建設大臣は、計画が良好な居住環境を有する良質な住宅地を供給するものであると認めるときは、それが優良である旨の認定を行うこととしております。  また、建設大臣が認定を行う際には、関係都府県等の意見を聞くこととしております。  第三に、認定を受けた計画に基づき行われる宅地開発事業の適正な実施を図るため、事業者に対し、造成開始の届け出、実施状況の報告義務等の責務を課すこととしております。  第四に、事業を促進するため、国等による次の五つの特別の措置を用意いたしております。  その一は、国税及び地方税についての軽減措置でございます。  その二は、関連公共施設の整備を促進することでございます。  その三は、必要な資金の確保等に努めることでございます。  その四は、助言、指導等の援助を行うことでございます。  その五は、都市計画法による開発許可等について適切な配慮を行うことでございます。  最後に、この法律案適用期限についてでありますが、現下の土地問題に対処するための緊急措置であることから、認定の申請をすることができる期限を十年間といたしております。  以上がこの法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  301. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会