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1988-04-13 第112回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十三日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 中村喜四郎君    理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君    理事 東   力君 理事 中村  茂君    理事 矢追 秀彦君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       大塚 雄司君    金子原二郎君       木村 守男君    北村 直人君       桜井  新君    田村 良平君       武村 正義君    二田 孝治君       松田 九郎君    石橋 大吉君       小野 信一君    木間  章君       坂上 富男君    三野 優美君       大野  潔君    伏木 和雄君       伊藤 英成君    塚田 延充君       浦井  洋君    辻  第一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 奥野 誠亮君  出席政府委員         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         建設政務次官  古賀  誠君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 木内 啓介君         建設省河川局長 萩原 兼脩君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   垣見  隆君         警察庁刑事局暴         力団対策室長  深山 健男君         大蔵省主計局主         計官      武藤 敏郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  京須  實君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  倉茂 周明君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  渡辺  尚君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   橋本龍太郎君     北村 直人君   松永  光君     二田 孝治君   坂上 富男君     石橋 大吉君   伊藤 英成君     塚田 延充君   中島 武敏君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君   二田 孝治君     松永  光君   石橋 大吉君     坂上 富男君   塚田 延充君     伊藤 英成君   浦井  洋君     中島 武敏君     ───────────── 四月六日  東京駅周辺地区開発に伴う丸の内駅舎の復元と保存活用に関する請願木村守男紹介)(第一二一一号)  同(辻第一君紹介)(第一二一二号)  同(中島武敏紹介)(第一二一三号)  同(金子原二郎紹介)(第一二二六号)  同(田村良平紹介)(第一二二七号)  同(坂上富男紹介)(第一二三三号)  同(西村章三紹介)(第一二七四号)  同(五十嵐広三紹介)(第一三六九号)  高速道路料金障害者割引内部障害者にも適用に関する請願魚住汎英紹介)(第一二九二号)  同(加藤六月紹介)(第一二九三号)  同(柿澤弘治紹介)(第一二九四号)  同(亀井静香紹介)(第一二九五号)  同(平林鴻三君紹介)(第一二九六号)  同(小林恒人紹介)(第一三七〇号)  同(新盛辰雄紹介)(第一三七一号)  同(中路雅弘紹介)(第一三七二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 四月十三日  第十次道路整備五箇年計画に関する陳情書外三件(第三八号)  第二京阪道路建設に関する陳情書(第三九号)  第二次急傾斜地崩壊対策事業五箇年計画に関する陳情書(第四〇号)  リゾート地域開発推進に関する陳情書(第四一号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案内閣提出第二三号)  国土行政基本施策に関する件  半島振興法の一部を改正する法律案起草の件      ────◇─────
  2. 中村喜四郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  本案審査のために、本日、参考人として住宅都市整備公団理事京須實君、同理事倉茂周明君及び同渡辺尚君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 中村喜四郎

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 これから審議する法案は、住宅都市整備公団法等というふうになっていますが、中身は十本以上の法案が関連するその一部改正、こういうふうになっているわけでありますが、しかもNTT株売却したもの、それを公共事業にどういうふうに活用していくか、無利子制度でと、こういうふうになっているわけでありますから、その基本になるNTT株売却制度概要がどういうふうになっているか、その点をまず大蔵省からお聞きいたしたいと思います。
  6. 武藤敏郎

    武藤説明員 まず、売却制度運用面概要でございますけれどもAタイプBタイプCタイプというふうに分かれております。AタイプBタイプ公共事業関係でございますのに対しまして、Cタイプ公共事業以外の民活事業ということでございます。  六十三年度予算におきましては、Aタイプにつきましては一千億余、Bタイプにつきましては一兆円余、合わせまして一兆二千億円、Cタイプにつきましては一千億円、これを全部合わせますと一兆三千億円ということで考えております。  まずAタイプでございますけれども、これは収益によりまして返済の可能な事業ということでございますが、Bタイプの方は、これはいわば補助金前倒しといいますか、将来償還をしますときに補助金を出しまして償還財源を手当てするということでございます。そういう意味で、Bタイプ補助金前倒しという性格を持っておるわけでございます。それから、Cタイプにつきましては、これは民活事業でございますので、すべて償還財源収益によって返済される、そういうのが概要でございます。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 NTT株発行済みの株の総数は千五百六十万株だ、こういうふうに言われていますが、それをどのように売却したものを活用していくか、その点について概略お聞きしたいと思います。
  8. 武藤敏郎

    武藤説明員 ただいま御指摘のありましたNTT発行済みの株式数千五百六十万株のうち、三分の二は売却予定しております。三分の二は、ちょうど一千四十万株でございます。三分の一、すなわち五百二十万株は政府保有ということで、配当金収入をもとに技術開発等活用するということになっております。  そこで、三分の二の売却予定の千四十万株でございますけれども、六十一年度、六十二年度、それぞれ百九十五万株ずつ売却してまいりました。そこで六十二年度末におきまして六百五十万株が残高として残っておるわけでございます。六十三年度予算におきましては、六十一、六十二年度と同数の百九十五万株を売却する予定となっております。そういたしますと、六十三年度末におきまして四百五十五万株残高が残ることになります。  その残りの今後の売却予定ということにつきましては、これはそのときどきの財政事情あるいは金融情勢等を勘案しながら毎年度決めていく問題でありますので、現時点で明確に申し上げるわけにはまいらないわけでございますけれども、仮に、従来六十一年度から六十三年度と同様に百九十五万株、六十四、六十五と二年間にわたって同数売りますと、六十五年度末では残りが六十五万株ということになります。  ただ、以上申し上げました六十四年度以降の数字につきましては、今後毎年度決めていくという予定となっております。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 これからの売却をしていく計画、今お聞きしますと、六十四年度まで売却して六十五年度に若干残る、こういうことですが、六十四年度で売却をしてしまおうとしているのか、六十五年度にかかるのか、その点をもう少し明確にしておいていただきたいと思います。
  10. 武藤敏郎

    武藤説明員 ただいま申し上げましたとおり、六十三年度末で四百五十五万株残る。ここまではほぼ予定が立っておるわけでございますが、六十四年度を仮に従来と同様に百九十五万株売りますと、六十五年度でまだ大分残っておりまして、百九十五万株また売れる、そうしますと六十五年度末でさらに六十五万株残りますので、それは六十六年度に売却する可能性がある。そういうことでございますので、仮に従来のようなペースで売却していきますと、六十五年度までは従来とほぼ同様の数字が確保され、なお六十六年度に若干残る、六十六年度で完売するということになろうかと思います。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 これからも、例えて言えば六十三年度、ことし使うのは六十二年度に売却したそのものを使っていく、翌年越しに先ほどのA、B、Cタイプのものを産業投資特別会計へ出していく、一年送りに出していく、こういうふうに理解していいわけですか。
  12. 武藤敏郎

    武藤説明員 そのとおりでございます。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 次に進めたいというふうに思います。  先ほども大蔵省の方から説明があったわけでありますけれども、昨年の臨時国会社会資本整備特別措置法及び実施法ができました。そして、六十二年の補正予算の中で若干組まれた経過があるわけですが、今度提出されている一部改正、これはAタイプをどういうふうにしていくかということじゃないかと思いますが、もう少し細かく建設省から、AタイプBタイプCタイプ自分建設省の中における事業と絡めてこの性格を御説明いただきたいと思います。
  14. 木内啓介

    木内政府委員 AタイプBタイプCタイプにつきまして先ほど大蔵省の方からのお話があったのですけれども、もう少しかみ砕いて御説明をさせていただきたいと思います。  Aタイプ事業と申しますのは収益回収型の公共事業でございまして、地方公共団体以外の者が国の直接または間接の負担または補助金、そういうものを受けずに実施する公共的建設事業でございます。当該事業及びこれと密接に関連する他の事業から生ずる収益をもちましてその事業に要する費用を支弁することができると認められるもの、これをAタイプと称するわけでございます。  それからBタイプ事業補助金型の公共事業でございまして、地方公共団体等が実施する公共的建設事業のうち、都市開発事業その他の一定の区域の整備及び開発事業の一環として一体的、緊急に実施する必要のあるものということで、これは後年度の貸付金償還時におきまして補助金等が交付されるという性格のものでございます。  Cタイプ事業民活型の事業でございまして、民間都市開発法とか民活法等法律に基づきまして国民経済の基盤の充実に資する施設整備する事業のうち、当該事業がその周辺相当程度広範囲地域に対して適切な経済効果を及ぼすものでありまして、これにつきましては、日本開発銀行等を通じまして貸し付けが行われるものでございます。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 続いて、その貸し付け償還期間中身について続けて。
  16. 木内啓介

    木内政府委員 償還期間は、Aタイプにつきましては五年以内の据置期間を含みまして二十年以内の償還でございます。Bタイプは五年の据置期間を含みまして十年の償還でございます。Cタイプは三年以内の据置期間を含みまして十五年以内の償還となっております。  ただ、この償還期間それぞれ異なりますけれども、これについての考え方は、Aタイプ及びCタイプ事業につきましては、それぞれ収益回収モデル計算とか道路維持特会の無利子貸付制度、それから日本開発銀行貸付制度とかいう現在ある制度とのバランス、そういうものを勘案しまして償還条件を決定したものでございます。それからBタイプのものにつきましては、これは補助金型でございまして、法律によりましては二十年以内というふうになっておりますけれども、このタイプ貸付金性格及び将来の国債償還に充てるという財源性格にかんがみまして、その期間政令で十年程度と短縮したものでございます。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 Bタイプ法律上は二十年というふうになって、政令で十年というふうにした。補助金型ですから、負担をかけないで国が責任を持って補助金の形で返していく、こういうことになると思うのですけれども、もう一つ、どうして二十年、十年、十五年というこういう開きをつけたかという点がちょっとわからないのですね。もう少し細かく。
  18. 木内啓介

    木内政府委員 AタイプCタイプと申しますのは、これは収益還元型のものでございますので、例えば道路特会の無利子貸付制度等もございますけれども、こういったものは二十年とか、開発銀行貸付制度も平均十四年から十五年ぐらいの期間貸し付けております。そういうふうなこれに類似の既存の制度等を見ますと、AタイプCタイプにつきましては十五年か二十年ぐらいが適当かという目安が出てこようかと思います。補助金については、財政状況にもよると思いますけれども、できるだけ短い期間でということで十年というふうに短縮したというふうなものでございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほど申し上げましたようにこの活用法律は昨年の臨時国会で制定されたわけですけれども、それにあわせて六十二年度の補正としてつけ加えられたわけですが、一口に言えば実施状況、どのような状況になっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  20. 木内啓介

    木内政府委員 先生の御質問は、六十二年度の既に措置されているものについての実施状況ということだと理解させていただきまして御答弁させていただきます。  昭和六十二年度の補正予算におきましては八十三億円を計上させていただいておりまして、この八十三億円につきまして一応実施計画は全部策定されたわけでございます。これに基づきまして、事業の進捗に応じまして資金需要の生じたものにつきまして三十三億円の貸し付けの決定を行ったところでございます。なお、資金の余剰といいますか、使い切れないところが出るわけでございますけれども、六十二年度で資金需要の生じなかったものにつきましては六十三年度に繰り越して貸し付けることとしてまいりたいと考えております。  それから、六十二年度に創設された事業と申しますのは、道路公団首都公団阪神公団本州四国連絡橋公団地方道路公社等が行う総合駐車場整備事業とか開発パーキング事業、それからもう一つは第三セクターが行う緊急都市開発関連街路事業とか公共交通関連歩行者専用道整備事業、こういった種類のものが内容でございます。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 今若干説明がありましたけれども計画内容を見てみますと、道路公団関係と若干の第三セクター方式でやるのが去年法案で通っておりますから、ここのところへことしまた大幅に広がるわけです。特に道路公団計画を見ると駐車場とかパーキングとか、または第三セクター方式でいくという面についても公園とか若干ありますけれども、実施しようとしているのがほとんど市なんですね。それ以下の町とかそういうところは全然ないわけですね。収益型ですからどうしても都会に集中しがちになってくる。これを見ても明らかだというふうに私は思うのです。私もいろいろ相談を受けましたけれども、町村で収益型で、しかもこの事業でやってもらうというところは非常に少ないし、みんな頭を悩ましているというのが現状です。この計画を見てもそういうことがはっきりしているというふうに思う。  それから、先ほど御報告いただきましたように、補正予算ですから言えば半年しかないわけですが、一応計画上は八十三億のせている。しかし、貸付額で決定したのは三十三億で、実際に六十二年度中に貸付金として交付した額は二十二億。ですから、六十一億繰り越されている。こういう状況を見ても、計画だけはしたけれどもなかなか苦労しているな、どういうふうに収益を上げて今度貸し付けでやっていただいた分を返還していくか、その点について、どうしてこうなってきているのか明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  22. 木内啓介

    木内政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、六十二年度の実績というのは確かにおっしゃる数字でございまして、満額使い切っているという状態ではございません。これにつきましては、初年度でもございますし、地方公共団体制度内容をよく周知するというのに大変ややこしい制度でもございますので時間がかかったという面、それから第三セクター等をつくってやるということでございますから、執行体制というのも時間をかけなきゃいかぬというふうなことで、やはり完全な消化はできなかったわけでございますけれども、来年度、六十三年度につきましては、大分体制もできてまいっておりますし、私どもの方の指導等も相まちまして完全消化を目指して実施してまいりたいと考えておるところでございます。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 大都会だけで、これを地方にどういうふうにやるかということについては、また後ほど私の考え方を申し上げたいというふうに思います。  次に、先ほど申し上げましたように、十本以上の法律改正に今度なっていくわけですけれども、その法律がそれぞれ改正されて、皆さんの説明によりますと、Aタイプの中でやるのですが、その事業内容が大体三つスタイルに分かれているようです。まず最初に、宅地開発関連公共施設整備事業、これは改正するどの法律とどのように結びついて、しかも内容はどういうふうになっていくのか説明いただきたいと思います。
  24. 木内啓介

    木内政府委員 三つの新しい事業というのは、予算制度上の名称を使わせていただきますけれども先生最初に御指摘宅地開発関連公共施設整備事業というのがその一つでございます。  その内容は、NTT—A型の無利子貸付金貸し付けを受けまして、住宅都市整備公団あるいは地域振興整備公団、もう一つ地方住宅供給公社宅地を造成するわけでございますけれども、その宅地造成とあわせまして道路とか公園等公共施設整備を行いまして、造成宅地処分金によりましてこの貸付金償還をしていくものでございます。これにつきましては、根拠法は今改正していただく法律でございますけれども、その中で、住宅都市整備公団法地域振興整備公団法及び地方住宅供給公社法改正に当たるわけでございます。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 その場合に、私どもも全般的には一つ開発事業を行う、その開発利益を全体にどういうふうに還元していくか、こういう思想を持っておりますから、これも一つスタイルかな、こういうふうには思います。こちらの方の宅地開発をした、そしてこちらへ道路をつくった、そこのところへこの金でつくるわけですけれども還元をこちらの利益でやっていく、こういう仕組みだと思うのです。ですから、その限りでは一つ手法かなと思っています。  そこで、補助事業道路ができる、それはそれでいいと思うのですが、ほとんどそういうことでは間に合わなくて、開発の中で道路なりつくる。その境というか限界、そこのところが私にはよくわからないのですが、どういうふうに考えているでしょうか。
  26. 木内啓介

    木内政府委員 基本的には、NTTのA型の融資をする対象は、補助金が出し得る施設道路とか公園とか下水道補助対象となり得る施設ではございます。しかし、先生承知のように、開発事業等が行われますと、補助対象たり得る事業であっても現実に一気に補助がつけ得るかという問題が生じます。その場合、関連公共施設整備費とかいろいろありまして、私どもとしてもできるだけ補助をつけるべく努力をしているわけでございますけれども現実にどうしても補助がつかない、残りがあるというふうなものがあるわけでございます。そういったものは、もし補助がつかない、あるいは地方公共団体補助がつかないために整備しないということになりますと、従来で申しますとデベロッパー自分負担において、結局有利子負担においてそこを整備して開発に間に合わせなければいかぬということになろうかと思います。だから、その部分、いわゆる補助はつけ得ることはつけ得るけれども現実補助が出ない部分、そういったものについて従来デベロッパー等がみずから有利子負担していたものを無利子に変えようというようなことで、デベロッパー負担あるいは強いて言えば土地を購入する人の費用負担を軽減し、あわせて当該開発地域社会資本整備推進させようというふうなところをねらった制度だと理解しております。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 道路などはそういう複雑な面があると思います。公園一つやろう、そういうのはよくわかりますよね。  次に、民活区画整理緊急促進事業、こういうふうな言い方をしているわけですけれども、その点についても、改正する適用法律が違ってくるからだと思いますけれども、同じ道路とか公園とか下水道とか河川、こういうふうになっているのですが、区画整理事業のところで、これは民間だから同じ中身だけれども民間区画整理、どうしてこういうふうになっているのか、性格法律のかかわり合いをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  28. 木内啓介

    木内政府委員 今回の新しい事業二つ目として民活区画整理緊急促進事業というふうなものを考えておりますけれども、これは先ほどの公団等宅地造成と実質的に余り変わるものではございませんけれども手法が、区画整理手法を使うというふうなことが一つ違っております。先ほど御説明しましたのは、手法公団等がやる宅地開発であってもこれは区画整理を使わない一般開発の場合でございます、ややこしくて申しわけございませんけれども。そういうことで資本一つ違うということと、もう一つは、区画整理組合が施行するものにつきましてもNTT—A型というのは、先生承知のようにNTT融資一般には第三セクターということになっておりますけれども区画整理組合も第三セクター並みにみなしまして、区画整理組合にもNTT—A型の無利子貸し付けをするというところが特徴でございます。あとは、先ほど御説明したのと同じようなものでございます。  なお、この根拠法は、区画整理組合への無利子貸し付けにつきましては国から民間都市開発推進機構を通じて行うというふうなことになっておりますので、国から民間都市開発推進機構貸し付け部分につきましては、民間都市開発推進に関する特別措置法都市開発資金の貸付けに関する法律二つ根拠法になってくるわけでございます。それから、民間都市開発推進機構から土地区画整理組合貸し付け部分につきましては、民間都市開発推進に関する特別措置法改正というのが必要になってくる。非常にややこしくて申しわけないのですけれども、そういうことで幾つもの法律改正が必要になってくるわけでございます。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、開発関連幾つ法律も該当してくると思いますが、その点について御説明いただきます。
  30. 木内啓介

    木内政府委員 ただいまの先生の御指摘開発関連、これが三つ目でございまして、予算上は開発関連河川事業等と私ども称しておりますけれども、これは、いわゆる第三セクタースポーツ施設等の設置あるいは宅地造成等とあわせまして河川とか砂防設備とか地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設または海岸保全施設整備を行う場合、スポーツ施設等収益あるいは造成宅地等の処分金等によりまして償還していく事業でございまして、これも民間都市開発推進機構からNTT—A型の無利子貸し付けを受けて行うものでございます。したがいまして、こういう事業を行うために民間都市開発推進に関する特別措置法都市開発資金の貸付けに関する法律改正が必要となってくるという次第でございます。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 実例でもう少しお聞きしておきたいと思うのですが、「千曲川におけるNTT—A事業について」というのが建設省の方へ出されておると思いますが、これが今言われた型の中におけるA型事業というふうになるのか、その中身、それから何をこのNTT株のいわゆる無利子融資でやって、どういう事業でその返還をしていくというふうになっているのか、もう少しわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  32. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  先生が今御質問の千曲川におきますケースでございますが、場所は千曲川に犀川が合流しました合流点から少し下の長野市の屋島という地先でございます。中心になって計画を立てておられますのは長野市でございまして、河川の高水敷にスポーツ、レジャー施設、テニスコートですとかゲートボール場ですとか魚釣り場ですとか、いろいろ御計画になっておられるわけでございます。  御質問の開発関連河川事業で何をやるかということでございますが、現在、計画段階ではございますが、考えておりますのは、そういうスポーツ施設をつくりやすいように高水敷を平らにする、整正をする必要がございます。その土の移動、それからやはりいつも水が流れておりますいわゆる川筋に向かって低水護岸をする必要があろうかと思います。それを開発関連河川事業として実施いたしまして、今のところ、その長野市を中心とする第三セクターが考えておられますそういういろいろなスポーツ、レジャー施設収益でいずれ償還をしていただく、そういうふうに考えておるわけでございます。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、河川敷がある、その中へいろいろスポーツ施設なりつくる、そうして千曲川との間に護岸工事をつくる、その護岸工事に対してNTT株売却益を使う、その返還は、今つくるスポーツ施設の中から上がってきたもの、その事業をやる中から上がってきたもので返還していく、こういう仕組みですか。
  34. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 今先生がおっしゃいましたとおりの仕組みになろうかと思っております。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 スポーツ施設でそれだけのものを、また利益を得ていくという仕組みは、恐らく第三セクターか何かでやるのじゃないかと思いますが、もう少し細かく検討してみなければならぬと思いますが、宅地造成なら私もぴんと話はわかるのです。そういうもので開発利益が出たらこちらの方。ところがスポーツ施設とか公園とか、そういうのでその利益ということになると、入場料とかそういうものはうんと高くなったり、これからのそこの管理がどういうふうになっていくとか、そういうことに非常に疑問を持つわけですけれども、そこら辺のところ、どういうふうな絡み合いになるのか、もう少し御説明いただければ幸いだと思いますが。
  36. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  私ども、当てにしているというとなんでございますが、相手方に考えておりますのは、長野開発公社という、長野市が半分近くの株を持っておられる第三セクター昭和四十一年当時に既に設立されて現地にあるようでございまして、スキー場ですとか温水プールですとか、既にいろいろな経営をしておられる主体があるわけでございます。そこが今申し上げましたような施設を現地で計画されることになろうかと思います。  御指摘のように、テニスコートとかゲートボール場からの上がりというのはそう大きな額にはならないと私ども思っております。だから、開発関連河川事業としてここで実施いたします事業量もそんな大きなものにはできないと思っております。ですから、これは推測でございますが、いろいろ貸し付けます額も何十億とかいうことにはなり得るはずがございませんで、恐らく数千万とかそんなことになるのではないかと今のところ考えております。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 こういう場合、河川敷をお貸しすることになると思いますけれども、無料なんでしょうか。
  38. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  このような制度が開かれます前に、既に河川敷の占用はこういう施設について大変多くやられておるわけでございますが、公共的な性格の強いところが行われます場合については無料にしておるということでございます。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、これは大臣にお聞きしておきたいというふうに思うのですが、今ずっとやりとりしてきましたように、どうしても大都会収益の上がるところ、そういうところが事業をしやすくなっていく。どうしても収益を得なければなりません。それと、補助金型の方は地方公共団体計画で全く公共事業と同じように事業ができるというふうに思うのです。ですから、A型B型を含めてやはり地方の活性化、こういうところに力点を置いて計画を立て、続けていく必要が一番重要な問題じゃないか、私はそういうふうに思うのです。先ほど六十二年度の補正の中で決まったあの計画を見ただけでも、今度は事業幅が広がりますからこれよりも少し違ってくるかなという印象は受けるけれども、やはり収益型ということになれば中央集中型になりがちだ。地方の活性化に十分役立つような計画執行をお願いしたいというふうに思うのですが、大臣の御決意を一言。
  40. 越智伊平

    ○越智国務大臣 お説のとおり、Aタイプ、A型だけでいいますと、どうしても都市部に偏る。といいますのは償還の問題がございますので、できるだけ地方へもその計画を進めるようにいたしますけれども、A型だけでいいますと今言ったようなことになる、こう思います。  しかし、B型は結局補助金を後でするわけですから、返すわけですから、今の補助金と同じことになるわけであります。六十三年度も、前々から申し上げておりますように、開発のおくれておるところ、あるいは不況地帯、こういうところへ重点的に配分をしておるようなことであります。でございますから、A型とB型を含めますとこの先生の御意思のとおりになっておる、こういうふうに思いますし、今後もそうしたい。A型についても、今もお話ございましたが、無理して後で償還ができないようなところは、これは結局できるだけB型を含めた補助金で処理をしていくという方が堅実でないか、こういうふうに思いますので、全体を入れますと結局過疎地の方あるいは不況地帯、ここへ重点的に持っていく、こういうふうに考えておりますので御了解いただきたい、かように思う次第であります。
  41. 中村茂

    中村(茂)委員 C型もよくリゾートなどで第三セクターどうだのこうだのという話が出てくるわけですけれども収益型でやっていく場合には、A型、C型は今何回か申し上げているようにどうしても収益の上がるところに集中しがちだ。しかし捨ててしまわないで、これはもうB型でカバーするからいいんだいいんだということではなしに、やはり地方にもそういうものが活用でき、しかも地域の活性化につながるような使い方をしていただきたい。強くこの点は要望しておきたいというふうに思います。  それと、収益型でやって全体としてこれを長年にわたって管理していくわけで、先ほどの千曲川のやつもそういうことでやるにしても、できたものが全体的にきちっと管理されていかなければならないというふうに思うのです。管理というのはそこのところの保存なども含みますけれども、やはり十分みんなに活用していただいて、わかりやすく言えば借金を返還されていく、こういう仕組みのものですから、やはり管理というものをきちっとしていかなければいけないのではないか、こういうふうに思いますので、その点はどういうふうに指導されておりますか。
  42. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 まず河川についてのお答えをさしていただきますが、この形で行われます工事は、河川法上は、河川法の二十条に河川管理者以外の者の行う河川工事という条項がございまして、それの適用をして工事をしていただくことになろうかと思います。したがいまして、この法律に基づきます承認申請、承認ということになりまして、河川工事の完了後は、つまりその工事ができました後は河川管理施設として私ども河川管理者の方が引き継いで、いわゆる管理といいますかお守りをさしていただくということになろうかと考えております。
  43. 望月薫雄

    ○望月政府委員 私の方からは宅地開発に関連して整備される公共施設の管理について御答弁さしていただきますけれども、先ほど来出ておりますように、住都公団などが宅地開発に関連して行ういわゆる公共施設の管理、これにつきましては、これまでも事前に公団あるいは公団等におきましてはいずれ将来管理者になるであろう関係市町村等と協議をして事業を進めておるという経緯がございまして、これまですべてこういった調整の中で十分に管理がうまく移行しておる、こういう実態でございます。今回のNTT事業につきましても全く同じ手続でやらしていただきますので、その面でも遺漏なきを期してまいりたいと思っております。
  44. 中村茂

    中村(茂)委員 六十三年度の特に建設省関係の公共事業を見ますと、六十二年度の当初予算四兆一千五百三億、それから六十三年度は四兆九千八百六十二億、そしてNTT利子貸し付け予算が八千三百七十九億、六十三年度の予算から引いてみますと四兆一千四百八十三億で、六十二年度の当初予算より若干下回る。ですから、なるほど公共事業が六十三年度は二〇%伸びた伸びたというふうに言っているけれどもNTT株のおかげで伸びたというふうになっている、こういう中身ではないかというふうに思うのです。  ですから、先ほどから言っているように、Bタイプは全く補助金ということで出て、返還しなくてもいいわけですから、国が責任を持つわけですから、そういうことを考えてみた場合に、まず大蔵省にお聞きいたしたいというふうに思うのですが、このNTT株売却収入の活用される期間と、それが終わってしまった後どういうふうになるのかという心配が一つあるのでお聞きしたいというふうに思うのです。社会資本整備の促進に関する特別措置法、これは「国は、当分の間」、こういうふうに言っているのですが、この当分の間というのはどのことを指しているのでしょうか。
  45. 武藤敏郎

    武藤説明員 法律に「当分の間」という言葉が使われておるわけですが、厳密に申し上げますと、繰り入れ規定の「当分の間」、要するに売却収入を産投特別会計に繰り入れる規定、これに「当分の間」という言葉がついております。これは、売却収入がある間ということを意味いたしますので、なくなるとその当分の間の後は繰り入れることはできなくなるわけでございますが、ただ先ほど申し上げましたとおり、六十四年度以降も従来と同様に売却していくと、六十六年度で六十五万株売却をもって完了する。要するに六十七年度以降はなくなると申し上げたわけでございますが、これはあくまでも仮にということで、従来と同じようなペースで売却していくということでございますので、実際の売却は株式市場を初めとしてそのときどきの金融情勢等によって変動することが予想されるわけでございます。したがいまして、どの時点で売却収入が現実になくなるのかというのは、現段階で明確に申し上げることはできないわけであります。  ただ、いずれにいたしましてもNTT株売却収入は一時的な財源でございますので、遅かれ早かれ財源がなくなるではないかという御指摘があろうかと思いますけれども、その場合のその後の社会資本整備の促進策というものにつきましては、その時点におきます経済動向、財政事情等々を勘案の上、慎重に検討するということになろうかと思います。
  46. 中村茂

    中村(茂)委員 当分の間と言っているけれども、当分の間というのはNTT株売却して、その収益活用できる期間だ、こういうことだと思うのですね。それがどうなるかわからないから、大体はこうだけれども、こういう言い方になっている。いずれにしても、今言われましたように、恒久財源ではない、一時の財源だ。  私は、冒頭申し上げましたように、六十三年度の予算を見ても、NTT株活用しているから公共事業が二〇%ふえた、ふえた、こういうふうになっているけれども現実数字を見れば、若干だけれどもなおマイナスくらいなものに国費はなっている。これだけ膨らませていって、その終わった時期にまたどういうふうにするのだろうか。この活用期間のものを見せていただくと、今回のような工夫をしなくても対応可能な財政事情となる時期までの間と考えられる、片方はNTT株売却のことを言って当分の間、こういうふうになって、片方の受ける方は、対応可能な財政事情となる期間、こういうふうに言っているわけです。まあ、こういう問題だから形だけはこういう言い方になっていると思いますけれども、それを実行していく大蔵省の方、また建設省の方はこういうふうに言わざるを得ないからこういう表現になっているんじゃないかと思いますけれども、その後どういうふうになっていくか、そういう問題と、この問題が将来どういうふうに考えられているか、その点大臣からひとつ。
  47. 越智伊平

    ○越智国務大臣 大蔵省の方から御答弁がありましたように、結局今の方法でやっておれば六十五年で百九十五万株は終わる、あと六十五万株残る、こういうことでありますと、六十六年はまずまず今のベース、こういうことであります。六十七年はもう見通しがない、こういうことであります。  一方、社会資本につきましては、まだここ五年や六年やりましても、これで社会資本の充実が先進国並みになったとかあるいはこれで満足できるというような状態ではありません。でございますから、一番心配しておりますのは財源問題であります。安定した財源、そして社会資本を充実して、本当に住みよい、また均衡のとれた我が日本を形成していく、こういう必要があると思う次第であります。  しかし、財源の見通しというのは、でございますから率直に言って非常に不安であります。どうやって安定した財源を確保していくかというのは非常に難しい問題でございますので、いろいろ検討はしておりますけれども、今、このとおり六十六年以降もやっていきますというお答えをするような状況になっておりません。まことに申しわけないのですが、今後皆さんの御協力をいただいて、とにかく安定した財源社会資本を充実していこう、こういうことに、ひとつぜひとも御指導、御協力をいただきたい、かように思う次第であります。(「税制改革が必要だな」と呼ぶ者あり)
  48. 中村茂

    中村(茂)委員 税制改革は必要ですけれども、大型間接税と結びつけないように。  大蔵省にもう一点お聞きしておきたいと思いますが、五年なり三年なりたつと、いずれにしても返していくわけですね。金を借りているのを返していく。建設省なりで使われておるもの、または民間何とか機構というところに行く。民間の方に行くとしたら、それが民間推進機構のところに返ってくるわけですね。ですから、普通の金のようにそれがそこのところでまた将来も使われていくのか、民間推進機構に返したものが。それとも大蔵省の方へ返してしまわなければいけないのか。これは、その活用が切れる時点でその問題が当然出てくるわけですけれども、そういう方針についてはまだ決まってないと理解していいのですか、どうなんでしょう。
  49. 武藤敏郎

    武藤説明員 先ほどお答え申し上げました繰り入れ規定の「当分の間」というお話に対しまして一つ補足させていただきますと、実は、繰り入れ規定以外に、今の基本的な法律の国の無利子貸し付けの規定にも「当分の間」という言葉がついております。「当分の間」という言葉が実は二つございまして、NTT株式の売却収入を一般会計から産投特会に繰り入れるその繰り入れ規定に「当分の間」という言葉と、それを受けた産投特会が「当分の間」無利子貸し付けを行うことができるという規定になっているわけでございます。  なぜこのような規定になっているかといいますと、ただいま御質問のありました、制度としては貸し付けたものが償還されてくる、それをどういうふうにするのかということにつきまして、法律上は、制度としては当分の間これを無利子貸し付けできるということでございますので、償還額を財源にいたしましてまた無利子貸し付けを行うことができることになっております。  ただ、基本的にはこのNTTの株式の売却収入は国債償還費に充てるということが大前提でございますので、国債償還状況、それから今問題になっております今後の社会資本整備の必要性といいますか社会資本整備のあり方、その両方をにらみながらその当分の間をどう考えていくかということであろうかと思います。したがいまして、返ってきた財源がまた再度無利子貸し付けに充てられるということは十分考えられることであると思っております。
  50. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  51. 中村喜四郎

  52. 坂上富男

    坂上委員 私は、一時間、住都公団法等の一部を改正する法律案に関連をいたしまして御質問させていただきたいと思います。  まず、住都公団の目的というのは一体何でございますか。
  53. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 住宅都市整備公団は国により設立された機関でありまして、大都市地域等におきまして、一つ目として、健康で文化的な生活を営むに足りる良好な居住性能及び居住環境を有する集団住宅及び宅地の大規模な供給、二つ目として、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市の機能の更新を図るための再開発事業の実施を行いますとともに、都市環境の改善の効果の大きい根幹的な都市公園整備等を行うことを目的としております。
  54. 坂上富男

    坂上委員 そうだといたしますと、地方住宅供給公社はどういうことを目的としておりますか。
  55. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 地方住宅供給公社は地方公共団体により設立されているところでありますが、住宅不足の著しい地域におきまして、住宅を必要とする勤労者に対して、居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地地域の実情等を考慮しながら供給していくことを目的としております。
  56. 坂上富男

    坂上委員 それから、今度は住宅金融公庫の目的はどうなっておりますか。
  57. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設、購入に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的としております。
  58. 坂上富男

    坂上委員 さて、今目的を申していただいたわけでございますが、そういう目的のもとで一体公営住宅は大体どれくらいできておるものか、それから公団住宅がどれくらい戸数ができているのか、公庫融資によるところの住宅建設の戸数はどれくらいできているのかを実はお聞きをしたいと思うのであります。これは言葉に直しますと、公営住宅が何戸、公団住宅が何戸、公庫住宅が何戸、こういうふうに分類をして、ひとつその戸数を明確にしていただきましょうか。
  59. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず公営住宅でありますけれども昭和二十七年度から六十一年度末までの総計で建設戸数としまして二百二十七万戸、その後用途廃止等がありますから、現在管理しておりますのは百九十七万戸。次に公団住宅につきましては、種類が賃貸住宅とか分譲住宅とかいろいろございますけれども、六十一年度末までで総計で百二十四万三千戸。次に公庫融資によります住宅戸数は、六十一年度末までの累積で九百九十二万戸でございます。
  60. 坂上富男

    坂上委員 さて、この三つの関連でありますが、まず住都公団法によるところの目的の「住宅事情の改善を特に必要とする」ということはどういう意味なのか。それから、地方公社の「住宅の不足の著しい地域」の住宅の不足の著しいというのはどういう意味なのか。それから、住宅金融公庫の「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る」、こういうものについての住宅の建設だ、こう言っているわけでございますが、この一つ一つの意味と関連はどういうふうになっているのでございましょうか。
  61. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 住宅政策におきましては、国民がその世帯構成に応じまして適切な規模、適切な設備を有する良好な環境の住宅に居住することが重要でございまして、そのことを実現いたしますためにいろいろの政策手法があるわけでございます。  これを御指摘の順と違いますけれども公庫からずっと御説明申し上げますが、住宅金融公庫におきまして、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設のため必要な資金を融通することを目的としておりますが、これは、長期低利資金かつ安定的な資金を供給することを通じまして良質な住宅ストックの形成を図ることにより、国民の住生活の安定、向上を図ろう、こういうことでございます。  次に、公営住宅法にございます「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設」、これを目的としておりますが、これは、国の財政援助を通じまして地方公共団体が低廉な家賃の良質な住宅を供給することにより、住居費負担能力の低い低額所得階層の住生活の安定、向上を図ろうとするものでありまして、また、首都圏、近畿圏を初めとします大都市地域におきまして住宅のストック状況など居住水準が低位にあることを考えまして、住宅事情の改善を特に必要とする状況にある、こういう認識のもとに、国が住宅都市整備公団を設立いたしまして、勤労者等への大規模な住宅宅地供給を直接行うことにより住宅事情の改善を図っているところであります。  さらに、住宅事情は地域によりその状況は異なりますが、それぞれの区域内におきまして、住宅不足の著しい地域において地域の実情に即しまして住宅宅地供給を行うべく、地方公共団体の政策判断によりまして地方住宅供給公社が設立されている、こういう関係にございます。
  62. 坂上富男

    坂上委員 それでは、もう少し突っ込んでお聞きをさせていただきます。  言葉で言いますと「住宅事情の改善」というのはどういう意味ですか。それから、「住宅の不足の著しい」というのはどういう意味ですか。住宅が不足をしているのと著しいというのとどういう違い、数字的にどういうふうにごらんになっておるのか、この辺、もう少しきちっと明確にできませんでしょうか。
  63. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず「住宅事情の改善」ということは、現在居住している住宅の事情が非常に低位にある、規模が小さいとかあるいは建物が老朽しているとかあるいは勤務地に非常に遠いとか、そういうようなことを改善することを指していると思います。  それから、大都市地域におきます「住宅の不足の著しい」ということは、現に大都市地域におきまして、例えば賃貸住宅につきましては、家族向け賃貸住宅は絶対数において不足をしているあるいは最低居住水準を満たしていない、こういうようなところから、住宅事情が大変きつい、ニーズの大変強い地域、そういうことが大都市地域におきます住宅不足の著しい地域ということでございまして、また、地方供給公社が任務といたしております「不足の著しい」ということは、それぞれの地方都市におきまして、その地方地方状況に応じまして住宅不足がある、こういうことを指しているところでございます。
  64. 坂上富男

    坂上委員 また、これに関連するわけですが、ちょっと御通告申し上げないで大変失礼でございますが、日本は外国から言われているわけですが、ウサギ小屋である、こういう言葉があります。これは局長、どういうふうにお考えになっておるのか、この日本の住宅はウサギ小屋だと。非常に日本に対する侮辱的な言葉だろうと私は実は思っておるわけです。  あわせて大臣にも、突然でございまして大変失礼でございますが、ウサギ小屋というような言葉を浴びせられて、いや日本はもうウサギ小屋でなくなったという返事がまだ返ってこないわけでございますが、この意味は一体この条文との関係においてどうなっておりますか。今局長おっしゃいましたとおり、そもそも住都公団は「国民生活の安定と福祉の増進に寄与する」ために住宅を建てる、こう書いてあるわけです。それから、地方住宅公社は同じく「住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」。これは同じ言葉なわけであります。そこで今度は、住宅金融公庫法は、「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る」、こうあるわけであります。そうだといたしますと、このウサギ小屋という概念は、この条文との関係でどういうふうに解釈したらいいのでしょうか。  そもそもウサギ小屋というのは、行政を担当される住宅行政として一体どのような御理解をなさって、努力なさっておるのか。これはひとつ、率直でいいです、これはもう理屈ではありませんからお聞きをいたしまして、また大臣からひとつウサギ小屋の概念を、ひどいところになりますとネズミ小屋とも言われておるわけでございますが、私たちのこの住宅事情について一体どんなお考えなのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  65. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 ラビットハッチという言葉について、私どもの理解といたしましては、小規模の住宅でかつ規格化された住宅が集合的に機械的に並んでいる、こういう状況を指した言葉だと私どもは理解しているわけであります。  したがいまして、住宅事情の改善を目指すということにつきましては、住宅の規模はそれぞれ適正な規模でありまして、かつまた、非常に規格化されたところからさらにアメニティーのある、ゆとりのある住空間に直していく、こういうことでもって住宅事情、居住水準の向上を図る、こういうことが住宅事情の改善あるいは国民の生活の安定と確保、こういうことにつながっていくというふうに私は理解しております。
  66. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ウサギ小屋と言われているわけでありますが、人間の生活はもう御承知のとおり衣食住であります。衣の方は、もう十分どこでも何でも買えるという状態であります。食の方も、農産物を自由化せよ、こういうことでありまして、自給率の問題はありますけれども十分だ、こう思うのであります。住の方だけは、やはり今も住宅局長から御説明申し上げましたが、まだゆとりがあるという部類ではない。  率直に言って、中にはありますけれども、ほとんどがゆとりのある住環境だ、こういうふうには考えられない。でございますから、広さの面も、また内部施設その他外部の環境におきましても十分でない、こういうふうに思いますから、ウサギ小屋と言われた、けしからぬといって言い返すだけの自信は持っていない、こういうふうに感じておる次第であります。
  67. 坂上富男

    坂上委員 これは外国だけでなくして、日本の大臣までおっしゃっているわけです。石原運輸大臣が、撤回を結果的になさったようでございますが、ウサギ小屋があるようなところにリニアモーターカーを走らせるわけにはいかぬ、こう言っているわけです。——鶏小屋ですか。後からこれを撤回なさっておるわけでございますが、これはやはりまた一面をついているのだろうと思うのです。撤回はなさいましたけれども、日本の現閣僚ですらやはり率直な感情を、ウサギ小屋と言ったのか鶏小屋と言ったのかわかりませんがまあ同じことだろうと思いますし、あるいは鶏小屋の方が私はどっちかというと悪いような概念もしますが、そんなところにリニアモーターカーを走らせるなどというようなことはどうもいささかいかがかというようなお話であったわけです。そんなような状況でございますから、私はやはり、日本の住宅行政というものは本当にもっともっと力を入れていただかなければならないと思っておる立場に立っておるわけでございます。  そこで、今言いましたところの、「住宅事情の改善を特に必要とする」というのと、「住宅の不足の著しい」というのと、「国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る」ということと、これは順位からいったら、どちらが最も低くてどちらが高い意味を持つのでございますか。いかがです。
  68. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 それぞれの言葉がそれなりの重要性を持ちまして記述されておるところでございまして、これに順番を付して評価するという事柄の性格ではないと思っておりまして、住宅政策の重要性をそれぞれの側面から表現している言葉であろうかと存じております。
  69. 坂上富男

    坂上委員 ついでにこの関連もひとつお答えをいただきたいと思いますが、さらに前進をして質問申し上げます。  それでは、日本の現在の総住宅戸数というのは今どれぐらいになっておるのでございましょうか。
  70. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 五十八年の住宅統計調査によりますと、総住宅戸数は全国で三千八百六十一万戸でございます。
  71. 坂上富男

    坂上委員 日本の総世帯はどれぐらいになります。
  72. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 先ほどお話し申し上げました五十八年の戸数に相当するところの時点としまして、総世帯数は三千五百十九万七千世帯であります。
  73. 坂上富男

    坂上委員 さて、こういう割合の中で、健康で文化的な生活が保障できるという住宅はどれぐらいなんですか。
  74. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 健康で文化的な住宅を定義しますためには、住宅の構造でありますとか、それを構成する材料の質の問題あるいは規模の問題、さらに設備水準の問題、それから建て方の問題、さらにはその建物を取り巻く周辺状況等で判断をしなければいけないわけでありますけれども、そういう総合的な統計は残念ながらございませんが、そのうちの特に設備に着目した統計というのはございます。  台所、便所、浴室等についての統計がございますが、まず専用の台所を持つかどうかということで統計を見ますと、専用の台所を持っておりますのが三千四百三十六万戸でございまして、全体の九九%に当たります。次に、専用の台所と便所と両方持っておるもの、これが三千三百四十九万戸でございまして、全体の九六%であります。次に、専用の台所と便所と浴室も持っている、だんだんレベルが上がるわけでありますけれども、それを持っておりますのが三千四十六万戸で、全体の八八%でございます。
  75. 坂上富男

    坂上委員 それは数字的にはきちっと把握はなさっておるようでございますが、さっきから随分聞いたわけでございますけれども、住都公団法、公営住宅法あるいは住宅金融公庫法は、いずれも国民生活の安定あるいは社会福祉の増進、それから健康で文化的なことを目的にしているわけであります。その目的のもとで住宅行政をなさっておるわけでございますから、建設省住宅行政の最高の皆さんが、今いろいろ総合的に判断しなければわからぬとおっしゃっておりますが、立法ははっきりと目的はこうだぞ、この目的に沿ったものを建てるぞ、これに沿ったものを建設して賃貸するぞ、そして融資をやるぞ、こう書いてあるわけでございますから、これはもう当然きちっと、日本の健康で文化的な生活を営む住宅は今何世帯、そしてこれに入れない世帯は何世帯、それで著しくこの地域住宅が不足しておるからここに建設をする、こういうのがやはりぱっと出てくるのだろうと思うのでございます。これは、確かに今一面はおっしゃっておりまするけれども、総合的にこの法律の目的に沿ったように健康で文化的な住宅は日本で幾つですということは、やはり目的をはっきり書いてあるのを行政の上でどうなさっているかという問題なわけでございますからお答えが出てしかるべきだろうと思いますが、そこまで検討してないというならばまた次回に譲りますが、お答えできるならひとつもう少し突っ込んで御答弁いただきたいと思います。
  76. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 健康で文化的な生活を営む住宅ということになりますと、住宅の質の問題、規模の問題と、それからそれを使う居住の仕方によってまた状況は変わってまいります。大人数でございますれば小規模住宅に住んでいる場合は住宅事情が悪いとなりますし、小規模世帯であるならば、それらの住宅の規模で居住水準はいい、こういうふうになるわけでございますので、その両方考えないといけないわけでありますけれども、その両方を考えまして五十八年の住宅統計調査で世帯規模別に居住水準というのが決まっておりまして、最低居住水準で見ますと、四人世帯でもって五十平方メートルという水準がございます。これを満たしていないのがどのくらいあるかということを五十八年の統計調査で調べますと、全国でもって三百九十五万世帯、全世帯の一一・四%がそれに相当している。また、それの世帯人員といたしましては千五百五十万人で、世帯人員数全体の一三・四%、こういうふうになっておるところであります。  さらに、先ほどの住宅不足の著しい地域という地域別の問題がございますけれども、全国でもって最低居住水準を満たしていないのが一一・四%と申し上げましたが、これを地域別に見ますと、例えば関東の臨海部ではこれが一五・四%に上がってくる、近畿地方でも一五・一%に上がってまいります。低い方では、北海道は四・五%と低い状況、その次に低いのは中国の七・五%、こういう状況でございまして、一番きついのは沖縄の二〇%、こういう状況でございまして、地域別の住宅不足の著しい地域ということはそういうことでもって把握しているところであります。
  77. 坂上富男

    坂上委員 やや期待する答弁が出てまいりましたが、そういたしますと、三百九十五万世帯、今おっしゃいました一一・四%、これらは住宅困窮者と見ていいのでしょうか。いわゆる法律用語はどう言うのかよくわかりません、住宅行政上の用語としてはどう言うのかわかりませんが、少なくとも普通の言葉で住宅困窮者、こう言っていいのでしょうか。
  78. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 三百九十五万世帯、一一・四%が最低居住水準を満たしておりませんので、一応住宅困窮者として把握いたしますが、なお、これには住まい方の問題がございまして、個人の意思によりましてそういうことで甘んじてそういうところに住んでいるということもございますので、この三百九十五万世帯全部を正確に住宅困窮者と言うことにつきましては若干の疑義があるところでございますが、大体は住宅困窮者、こういうふうに理解しております。
  79. 坂上富男

    坂上委員 甘んじて悪いところへ住んでいる人はいないんだろうと思うのです。もうやむを得ず住んでいるんだろうと私は思うのでございます。この辺、余り議論しても適切な議論でありませんから言いませんが、やはり甘んじてという言葉はいささかいかがかなと私はお聞きをしております。  さてそこで、こういう住宅困窮者に対しまして、住宅行政といたしまして政府施策の住宅の三種、今申しました公団、公営、公庫、これについて一体どういうような対応をされるのか。住宅困窮者について今後どういうふうな力を入れていかれるのか、お答えいただきましょう。
  80. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 まず公営住宅は、先ほど目的を申し上げましたけれども住宅に困窮する低額所得者、これを対象にいたしておる、こういうことが特徴的でございます。次に、住宅公団につきましては、大都市地域におきます中堅所得階層を中心に考えていく、こういう性格のものでございまして、また住宅金融公庫につきましては、健康で文化的な住宅を取得するために長期低利の安定した資金を銀行の補完業務として融資していく、こういう性格のところでございます。  それぞれの施策の中身、態様によりまして、公営住宅につきましては国が補助金を交付する、こういう体制で取り組んでおりますし、公団住宅につきましては家賃の低廉のために利子補給を行う、さらにまた住宅金融公庫につきましては、原資と融資をしている金額の利子差額につきまして財政からかなりの額の利子補給をしていく、こういう取り組みをしているところであります。
  81. 坂上富男

    坂上委員 住宅局長さんの方が立ちっきりでございますからちょっと質問者をかえまして、今後またこの質問が続きますのでちょっとお休みいただきまして……。  これはどこになるでしょうか、公団の入居手続の抽せん方式、これは今どんなような対応をしておりますか。
  82. 渡辺尚

    渡辺参考人 公団住宅の入居につきましては相当の入居希望者があるわけでありまして、倍率がかなりのものになっているものもあるわけでございます。公団法の施行規則の九条によりまして、抽せんによる方法をとっているというのが基本でございます。  しかしながら、いろいろな社会的な要求があるわけでございまして、幾つか申し上げますと、落選回数が二十回以上、これは首都圏であります。したがって、中部、九州では十五回以上となりますが、これは優先入居ということであります。それから落選回数が十回以上の場合には、これは十倍優遇、確率が十倍になるように優遇するということでございます。それから年間所得五百九十万円以下の者、これは六十一年でちょっと古くて恐縮でございますが、五倍優遇ということにしております。さらに五人以上の世帯、大きな世帯、これも五倍優遇でございます。それから六十歳以上の高齢者あるいは四級以上の身体障害者またはこれらの方々を含む世帯、これにつきましては、高齢者の場合には高齢者特別区分というものを設置しておりますし、またその他の場合には十倍優遇、さらに六十五歳以上の高齢者世帯と同じ団地に入って、親族の方だと思いますが、居住したいということを希望される世帯につきましては十倍優遇、こういうような形でいろいろな優先入居あるいは倍率優遇というような措置を講じることによりまして、社会的な要請の実態といいますか、そういうものに見合うように努力しているところでございます。
  83. 坂上富男

    坂上委員 では、ちょっと例を挙げて聞きますが、二十回落選した人は優先権、十五回落選した人は優先権、これは結構でございますが、大体こういう人は一体何年ぐらい待つのですか。こういう二十回なり十五回なり落選してようやく優先的に入れてもらったという人は数字的にはどんなような数字になっておりますか。
  84. 渡辺尚

    渡辺参考人 空き家募集につきましては年四回やっております。したがって、年四回ですから、二十回ということになると五年あるわけですが、新規も全部含めて非常に熱心に申し込んでいただければ、一年とかあるいは二年ぐらいでその回数になる。  それからどのくらい優先入居しているか。大変申しわけありませんが、今ちょっと手元に数字がございませんので、後で見つけましたら御答弁申し上げたいと思います。
  85. 坂上富男

    坂上委員 そうしますと、公団の方は、一生懸命抽せんにさえ申し込んでおれば一年か一年半で入れるということが言えますか。
  86. 渡辺尚

    渡辺参考人 倍率のことを先ほどちょっと申し上げましたけれども、例えば六十一年で申しますと全国で十一・七倍でございますが、首都圏の場合には十七・八倍というふうに、やはり地域によって倍率差がございます。そういうこともございまして、一年全部申し込んでいけば必ず入れるかという御質問に対しては、直ちにそうだと言うのはなかなか難しいかと思います。
  87. 坂上富男

    坂上委員 いや、だからとにかくまじめに申し込んでまじめに抽せんを引いて、それでも運の悪い人たち、大体何年待てば入れるのですか、こう聞いているのです。
  88. 渡辺尚

    渡辺参考人 入居を希望される方はいろいろ場所等について希望があられるわけでございますけれども、そういう点について条件が幾つか重なってくるわけでありますが、そういう点をある程度公団の現状に合わせていただければ、先ほど申しましたような最短距離では一年とか一年半で入ることができるということでございます。
  89. 坂上富男

    坂上委員 人数はわからないですな。わかったらお答えください。そういう人たち、どれくらいおりますか。大体でいいですよ。
  90. 渡辺尚

    渡辺参考人 大変申しわけありませんけれども、確定的な数字は持ち合わせておりませんが、大体の私の記憶、勘でございますので恐縮でございますけれども、二千戸程度かなという感じでございます。
  91. 坂上富男

    坂上委員 さて、この数字が大事なんでございまして、さっき建設省の方もおっしゃいましたとおり、住宅困窮者が世帯数にいたしまして三百九十五万世帯あるわけです。今おっしゃいましたとおり、一年ないし一年半待てば何とか入っていただけます、最短距離ではございますが、これがわずかに二千です。とてもじゃないが、まさに比較にならない数字の差でございます。  こういう点から考えまして、いかがですか、どのような御感想をお持ちですか、担当行政の立場としまして。
  92. 渡辺尚

    渡辺参考人 公団といたしましては、先ほどから御議論ございましたように、全体の住宅政策の中での役割分担ということで努力をしているところでございます。確かに、いわゆる三百数十万という数に比べますと非常に少ないことは事実だと思います。  ただ申し上げたいのは、これは年々数字は変わるわけでございますけれども、先ほど申しましたいわゆる抽せん住宅、抽せんの対象となる住宅、これは六十一年度の実績で申し上げますと約四万八千戸でございます。そのほかに、これは立地条件等もあるわけでございますけれども、常時受け付け団地、あるいは住宅変更と申しまして、例えば大阪で公団住宅に入っておられる、その方が転勤で東京に来られるというような場合には、それを東京の方の住宅に優先して入っていただくというような制度もあるわけでございまして、こういうのを全部足しますと、六十一年度の実績で申しまして、募集戸数の合計は年間八万戸になっておるということでございます。
  93. 坂上富男

    坂上委員 決まり切ったことでございますが、住宅困窮者に対して、できるだけ安い家賃でできるだけ多く賃貸の住宅を提供するということがやはり基本なんだろうと私は思っております。  さてそこで、住都公団は私から見ておりますと大量の住宅の供給はどうもできていないのじゃなかろうか。一生懸命やりたいけれども予算が足りない、いろいろな条件が足りない、そんなようなことで、今おっしゃったとおり三百九十五万世帯対二千戸、これは全国の数字でしょうが、とにかく大都市だけを計算してみましても、僕は本当に甚だしい差だろうと思っておるわけでございますが、そんなような意味から、大量の住宅の供給がなぜできないのか、その隘路となっておるのは率直に言って何でございますか。公団の立場からいかがですか。
  94. 倉茂周明

    倉茂参考人 私ども住宅建設戸数としましては、昭和六十二年度も六十三年度も二万五千戸の計画を持って事業を進めておりますけれども、残念ながら六十二年度においても全計画戸数の完成はできなかったわけでございます。  その理由でございますけれども、その最大の理由は開発適地が少なくなってきているということでございます。そのほか、地方自治体とのいろいろな折衝の問題であるとか、国民の皆様のニーズにこたえかつ適正な価格で供給できるような建設費になるかどうかというような問題等もございますが、基本的には建設用地の確保が難しくなってきているということでございます。  それに対しまして、私どもとしましては、普通の買収で土地を取得するということが極めて困難になっているというようなこともございまして、借地で土地を使わせていただく、あるいは、六十二年度から始めました事業でございますけれども、地主さんが持っている土地の上に公団が住宅を建てまして、地主さんのものにいたしますけれども公団がそっくり借り受けて、公団の賃貸住宅として供給するような仕組み等も積極的に考えておりますし、さらに、公団自身が持っております既存の賃貸住宅の建てかえによりましてボリュームをふやして新しい住宅戸数も確保するというような方策、さらには、国公有地をできるだけ適正な価格で公団に使わせていただくような方策等いろいろな努力を積み重ねまして、できるだけ国民の期待に沿うよう努力したいと考えております。
  95. 坂上富男

    坂上委員 今御答弁ありましたとおり、これはことしの三月五日の新聞ですか、住都公団はもう民活導入で地価が高騰して国公有地に手が出ない、そして、しようがないから地ならし請負業に転身をした、変身をした、こう書いてあるわけでございます。これはまさにごらんになったのだろうと思うのでございますが、もう少し今言ったような御答弁、苦悩を言ってみてください。
  96. 倉茂周明

    倉茂参考人 大変不勉強で、先生指摘の新聞記事、拝見いたしておりませんけれども、地ならし請負業という意味は、私ども普通に企業が持っている土地を買収するということは、たとえその買収について話がついたとしても先ほど申しましたような住宅の供給価格の面で問題もございますので、私どもとしましては、民間企業の土地の造成を民間のコンサルタント的な役割を果たしながら仕事をし、比較的安い価格でその一部の土地をいただくというようなことも心がけていかなければならないということを一般的に考えております。市街地住宅等でも、都心の土地等につきましては公団は買収するのではなくて、公団が地主さんと一緒になって開発計画を立てまして、その一部について先ほど申しました特別借り受けという制度の賃貸住宅の供給等も図っていくというようなことで、言うならば地主さんと一体になった計画促進ということでそのような努力をしているということでございます。
  97. 坂上富男

    坂上委員 さてそこで、本来私たちが望んでおること、それから住都公団等の目的から見てみますと、やはり安い家賃で、安い住宅を提供できるというのが基本だろうと私は思っているわけです。しかも、そのことが福祉の増進につながる、健康で文化的な生活を営むだけの保障をしてやる、こういうところにかかるのだろうと思うのでございます。しかしながら、今の民活の導入や地価の暴騰によりまして遺憾ながらなかなか土地の入手ができない、そんなようなことから、所有地主と提携をしながら建設をやっているんだ、こういうような趣旨もあったわけでございます。  そうだといたしますと、今公団がお持ちになっておりますところの公団保有の土地の総面積というのは、全国で一体どれぐらいあるのか。そして、空き地になっている部分と建物が建っておる部分の敷地部分、こうあるわけでありますが、大体何%ぐらいの割合になっておるのか。そして、これを時価に評価してみますと一体どれだけの財産になっておるのか、お聞かせいただきましょうか。
  98. 京須實

    京須参考人 公団が保有しております土地は、昭和六十一年度末におきまして全体で約一万三千五百ヘクタールでございます。  この内訳は、先生申されました建物敷地分といたしますと賃貸住宅として供用開始というのが当たるかと思いますが、この分の土地が約四千七百ヘクタールでございます。残りにつきましては事業中または今後事業対象となる土地でございますが、これが約八千八百ヘクタールでございます。  なお、これらの土地につきましての評価でございますが、賃貸住宅団地につきましては今後とも引き続き賃貸し管理するものでありますし、また事業のための土地につきましてはいまだ完成しておりませんので、いずれも時価評価は行っておりません。
  99. 坂上富男

    坂上委員 これはどうして時価評価しないのですかね、特に空き地部分土地がない、ない、こうおっしゃっているわけです。しかしながら、八千八百ヘクタールの土地をお持ちなんだ、空き地なんであります。これは、国土庁がちゃんと公示しているのでありますが、そういう官公庁の公益な部分は、これは時価評価したらうちはこれだけ空き地を持っていますということをストレートに言えないものでしょうか、どうですか。
  100. 京須實

    京須参考人 お言葉を返して恐れ入りますが、時価評価を行うのは、通常、土地を担保に提供する場合とか売却する場合に意味があるものと考えております。それで、賃貸住宅等の敷地にしておりますのは経常的に営業活動を行っておりますので評価する必要はございませんし、また、事業のための土地につきましては事業を完成した際に原価あるいは時価評価等を勘案いたしまして値段を決める、そういう次第でございます。
  101. 坂上富男

    坂上委員 どうもちょっと今の答弁、私は納得できないのですが、我々はいやでも公示価格というのを設定されて、そしてそういうものを基本にいたしまして固定資産税をがっぽり取られているわけであります。公団は税金を払わぬのかどうかわかりませんけれども、だから、売却するときとか建設するとき初めて評価するのであって、今持っておる空き地について幾らになっておるかというようなことを評価したことがないなどというのは、これは大変なことです。  なぜ言うかといいますと、国鉄が何兆円の赤字だ、こう言われたわけです。しかし、それが持っておるところの財産の評価と合わせてみますと、差し引きしたら実際に赤字だったのかどうか、その辺、私たちは結果的にはいまだわからぬわけであります。これはなかなか、売却するといったって十年がかりであります。そんなようなことから考えてみますと、やはり公団の財産というものは適正な評価のもとできちっと把握されていていいのじゃなかろうか、こう思いますが、それはどうでございますか。
  102. 京須實

    京須参考人 先生承知のように、公団が土地等を取得する場合には借入金等をお願いいたしまして取得しております。したがいまして、その借入金等が膨大になる場合があるわけでございまして、ただいま先生お話しのように国鉄に比較するといったようなことがあろうかと存じますが、幸いと申しますか、公団の場合には借入金を借りましてもこれに見合う資産を保有しているわけでございまして、その借入金及びその支払い利息の返済等につきましては分譲代金とかいったもので十分回収できるめどが立ったわけでございまして、私どもは健全な財政が確保されていると考えております。
  103. 坂上富男

    坂上委員 健全な財政が確保されているかどうかについて、いささか私も疑問を持つのです。時々私のところに聞きに来るのがいるのでありますが、公団保有の土地民間に払い下げるといううわさも実はないわけでもないのです。どこから出ているかということは申し上げませんが、そんなような考えはありますか。
  104. 渡辺尚

    渡辺参考人 いろいろなケースがあると思うのですが、私は既存賃貸住宅の払い下げという問題についてお答え申し上げたいと思います。  今、先生民間に払い下げるというふうにおっしゃいましたが、それが例えば企業的なものであるとかいう場合には、現在既に居住者が住んでおられるわけでございまして、それから、大都市地域住宅政策の中で特に良質な賃貸住宅の供給という必要性が言われているわけでございます。そういったようなことから、この既存賃貸住宅の払い下げを直ちにやるということにつきましては困難があるというふうに考えているわけでございます。
  105. 坂上富男

    坂上委員 そういう話もさることながら、空き地がいっぱいあるからこれを民間に払い下げます、こういううわさは事実かどうか聞いているわけです。
  106. 倉茂周明

    倉茂参考人 空き地があるから民間に払い下げるというようなことは一般にはやっておりませんけれども、大きな町づくりに際しまして、公団がみずから建設する住宅だけで町を構成するよりは、民間に水準の高い住宅を建ててもらって、早く町を熟成し、かつ変化のある町にするというような意味において、公団が公団所有地を民間売却することもございます。
  107. 坂上富男

    坂上委員 そういう意味ですか。では、それはその程度でいいです。  さて、前身は日本住宅公団あるいは宅地開発公団でしたか、この二つが一緒になって今の住都公団ができているようでございますが、この日本住宅公団等最初から今日までの通し会計で見た場合に、一体この収支はどうなっているのですか。赤字なのか黒字なのか、それだけでいいです。
  108. 京須實

    京須参考人 昭和六十一年度末におきまする損益勘定で申し上げますと、累積の欠損金は、住宅都市整備勘定におきましては約十二億円でございます。これは公園事業という事業が入っておりまして、これが住宅都市整備公団に変わりました際に新たに付加されました公団の事業でございまして、初期投資といった関係がございますので、この公園部分の赤字によりまして全体が赤字になっております。それからまた、鉄道・軌道勘定におきましても、同じく初期投資の関係で約二十二億円の赤字になっております。  しかしながら、先行投資的なものを除きますと、住宅宅地の関係につきましては収支が相償っております。
  109. 坂上富男

    坂上委員 収支は相償うようにしておるのが決算諸表なのだろうと思うのでございます。ちょっと詳しく聞きたいのですが、時間がありませんので、一応これは結構です。  さて、それでは公団住宅の家賃の総収入というのは一体年間どれぐらいあるのですか。一戸当たり平均、大体どれぐらいの家賃収入になっておりますか。それから、分譲住宅の総分譲額、総売り上げは幾らぐらいになっておりますか。その戸数は一体どれぐらいやったのか。それから、その平均分譲価格は大体どれぐらいになっているのか、ひとつ御答弁を……。
  110. 渡辺尚

    渡辺参考人 まず家賃収入でございますが、六十一年度の決算ベースで申し上げますと二千七百四十三億円でございます。  それから、一戸当たりどのくらいの額になるかということでございます。これは管理開始年度ごとによって家賃が非常に違いますので、平均するということになりますとちょっと誤解を招くおそれがあるかとも思いますが、あえて申し上げますと、六十二年三月末現在で全体の総平均月額家賃が三千六百九百円でございます。したがって、年額に直しますと、平均でありますが四十四万二千八百円ということになります。  それから分譲住宅でございますが、六十一年度決算におきます分譲住宅収入の総額は三千五百二十九億円でございます。  それから、六十一年度に供給いたしました分譲住宅の戸数は六千九百七十五戸、その平均価格は三千十万円でございます。
  111. 中村喜四郎

    中村委員長 ちょっといいですか。一戸当たりの平均の家賃をもう一回言ってみてください。三万じゃないですか。渡辺参考人
  112. 渡辺尚

    渡辺参考人 大変申しわけございません。  総平均月額家賃は一戸当たり三万六千九百円でございます。
  113. 坂上富男

    坂上委員 住都公団を中心にしていろいろお話をお聞きいたしました。  そこで、新宿の都心に四十数階建ての超高層ビルを建てるという計画があるそうです。そして、このうち住宅は二十戸だけできるというようなお話でございます。それから、去年でございますが、多摩地区におきまして分譲価格七千万円のマンションがつくられたとか、南青山に家賃二十五万円の公団住宅が賃貸されているというような問題が出て、住都公団というのは最近どうもお金持ちのための公団のような感じがしてなりません。特に、今お話のありましたとおり、土地を入手することがなかなか困難だから地主と提携をしながらそういうようなことをなさるというようなお話になるといたしますと、どうも今お聞きをいたしました三百数十万世帯の住宅困窮者にとっては全く夢のまた夢のような住宅行政が公団によって行われているのではなかろうか、こう思うわけでございます。  率直に言って批判のあるところでございますが、御所見をひとつ公団の立場からお述べをいただくと同時に、これは大臣からもひとつ御意見を賜りたいと思います。
  114. 倉茂周明

    倉茂参考人 先生指摘の新宿の再開発ビルのことでございますけれども、これは住宅供給が主目的ということではなくて、先ほど局長から公団の設立目的の御説明がございましたけれども住宅都市整備公団として発足しましたときの、都市整備として新公団とともに公団が新たに実施することとなった事業一つでございまして、地元の自治体から要請を受けまして都市機能の更新を主目的とする事業ということで、都市計画に従いまして当区の要請をいただいた上で地権者をまとめて再開発事業をするというようなことから、地権者の必要とする住宅以外の住宅は公団としては建設しないという公団設立の目的のうちの都市整備に重点が置かれた事業であるということで御理解いただきたいと思います。  それからさらに、南青山あるいは多摩ニュータウン等で高い家賃の住宅があるではないかということにつきましては、一つは公団全体として賃貸住宅、分譲住宅ともに適正な住居費負担率でおさまるような計画を立てておりまして、例えば賃貸住宅でいえば三分位中位の勤労者の所得の一六、七%の家賃負担率というようなことで六十二年におきましてもおさまっておりますし、分譲住宅でも先ほど申しましたように三千十万円という価格でございますので、十分中堅的な勤労者が取得できる価格になっておりますが、これは平均でございまして、都市整備的な色彩の強い事業につきましてはどうしても場所がよい、コストもかかるというようなこともあって、少々負担率が上がってもそのようないい場所、いい水準の住宅に住みたいというニーズも別途強くあるわけでございますので、そういうニーズにもこたえながら、かつ平均的な負担率を維持しながら事業を進めていく、そういう考えで事業をやっておるところでございます。
  115. 越智伊平

    ○越智国務大臣 お話にありました分譲住宅あるいは賃貸住宅につきまして、世間から批判を受けるようなことのないように指導をしております。特に、分譲住宅で億ションと言われるこれに近いようなのは、やはりやめた方がいいんではないかということで指導をいたしております。  今も答弁がありましたが、平均価格もさることながら、最高価格を、これは都市部あるいは買いかえもございますので一概には言えないわけですけれども、せいぜい数千万程度で頭を抑えるべきでないか、こういうことであります。賃貸にいたしましても、もちろん今一六、七%と言いましたが、私どもの常識的に考えておりますのは所得の二〇%ぐらいまでで入れるように、こういうことであります。できるだけ、特に東京都内で非常に難しいのでございますけれども、そういうふうな指導をいたしておる、こういうことであります。
  116. 坂上富男

    坂上委員 時間が来たそうですが、どうも計算違いしているようで、もう五分あるはずでございましたが、最後でございます。要望いたしておきます。  まず抽せん方式です。これは公正のようでなかなか公正でないと私は思っているのです。でありますから、住宅困窮者というのをもう少しよく把握をしていただきまして、そういう人をできるだけ優先入居させるような方式をもう少し御検討ができたら御検討していただきたい、こう思っております。  それからいま一つNTT株の売り渡し資金を導入されるわけでありますが、なおこれは開発利益吸収型というようなことなのだそうでございまして、ますますこのようにもうかる仕事に手が出やすいと思うのでありますが、こういうときは特にひとつ、今申しましたとおり住宅困窮者のための住宅行政というものに力を入れていただきたい、実はこう思っておるわけでございます。  そこで、警察から来てもらっておるわけでございますが、この間、公団汚職が摘発をされたわけでございますが、これはどの程度把握をなさっておるのか。公団もまたこういうようなことについて今後どのような自戒の対策をなさっているのか、お答えをいただきたいと思います。  それからいま一つですが、私の湯沢町にNTT—A型の事業計画申請がなされておるそうでございますが、どの程度事業でどんなような見通しになっておるか、簡単でようございますが、お答えいただきまして質問を終わりたいと思います。
  117. 渡辺尚

    渡辺参考人 順序が違うかもしれませんが、私の方からお答えさせていただきます。  先日でございますが、元公団の職員が、これは元赤坂営業所の係長だった人間でございますが、贈収賄関係で起訴されたわけでございます。これにつきましては、公団としてまことに遺憾でありまして、心からおわびを申し上げたいというふうに思っております。  こういった事件は、その原因が個人的なものでありましても、団地居住者の皆様方からの信頼性を失う、今後の団地管理業務の適正な運営にも多大な影響を及ぼすおそれがあるわけでございます。そこで公団といたしましては、これは保全工事に絡んだ事件だったわけでございますが、保全工事につきまして厳正な業務執行を期すということで、改善すべき事項を検討することを目的といたしまして副総裁を長とする保全工事等業務改善委員会というものを去る三月八日に設置しておりまして、鋭意業務改善に取り組んでいるところでございます。公団といたしましては、今後、より一層綱紀の粛正に努めてまいりたいと思います。
  118. 中村喜四郎

    中村委員長 定刻を過ぎておりますので、簡単に答弁をお願いいたします。
  119. 木内啓介

    木内政府委員 先生から御指摘がありました湯沢町の関係でございまして、二つのリゾート開発が今持ち上がろうとしております。これは昨年の暮れの県のヒアリングで聞いた話でございますけれども、その中に街路と公園につきましてNTT—A型の該当事業がありそうな感じでございます。したがいまして、地元から貸付申請が出てくる可能性が高いと思いますけれども、出てまいりましたら前向きに対処させていただきたいと思います。
  120. 垣見隆

    ○垣見説明員 先生お尋ねの事案につきましては、警視庁において捜査をいたしました事案でございまして、当時住宅都市整備公団東京支社赤坂営業所の保全課係長をしていた被疑者が、昭和六十一年度実施の住宅補修工事の受注、監督等に便宜、有利な取り計らいをしたことの謝礼といたしまして、昭和六十一年七月ごろから同年十二月ごろまでの間数回にわたりまして現金合計数十万円の供与を受けたというものでございます。  この事案につきましては、本年三月一日収賄容疑で一名、贈賄容疑で三名の被疑者を逮捕、所要の捜査を行いまして立件送致をいたしております。
  121. 坂上富男

    坂上委員 どうもありがとうございました。
  122. 中村喜四郎

    中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  123. 中村喜四郎

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢追秀彦君。
  124. 矢追秀彦

    ○矢追委員 最初に、住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案について、その法案そのものについてお伺いをしたいと思います。  まず、今回の法律案が前回とは異なりまして、前回は、このNTT株売却益に関しましては一括した法案で大蔵委員会に提出をされたわけですが、今回は各省ばらばらに出てきたわけです。まず、その理由について御説明いただきたい。
  125. 木内啓介

    木内政府委員 昨年の百九国会では、NTT基本法の制定が必要であったわけでございます。それからまた、NTT制度のA、B、C型全般にわたり、かつ関係各省庁の施策を網羅したいわゆる実施法基本法と同時に制定する必要があったものでございますので、その基本法と実施法を一括して大蔵委員会で審議が行われたわけでございます。  今回は、各省庁の実施法についての改正でございますので、各省庁ごとに分けて、それぞれまとめて御審議願うというふうなスタイルをとったものと聞いております。
  126. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それで、補正予算で前回の法案が実施されたわけでございますが、まず、この売却益の予算に組み入れられたA、B、Cタイプの金額はどうなっておりますか。それが今日までどのように施行されてきておるか、状況をお伺いしたいと思います。
  127. 木内啓介

    木内政府委員 昨年の第百九国会において、A型事業としましては、公団及び地方道路公社等が行う有料駐車場あるいはパーキングエリア等の整備事業、もう一つは第三セクターが行う道路公園下水道等の整備事業が創設されたところでございますけれども、これらの事業は、六十二年度補正予算においては総額で八十三億が計上されたわけでございます。  この八十三億全体につきまして実施計画は一応策定されましたけれども資金需要の生じたものから貸付決定を行っておりまして、貸付決定は三十三億円ということになっております。したがいまして、六十三年度において貸し付けが繰り越されるという事業が相当あることになります。  具体のプロジェクトはよろしゅうございますか。
  128. 矢追秀彦

    ○矢追委員 いいです。  BタイプCタイプもお願いできますか。
  129. 木内啓介

    木内政府委員 補正AタイプBタイプ別では、Aタイプが八十三億、Bタイプが二千七百二十七億でございます。
  130. 矢追秀彦

    ○矢追委員 先ほど三十三億円しか決定してないと言われましたが、その理由はどこにあるのか。手続が大変おくれておるのか、それとも計画がまとまっていないのか、あるいは実際、要求といいますか要望というのがなかったのか。一覧表ではちゃんとできているわけですね。道路公団あるいは第三セクターの関係、きちっと八十三億の予算が組まれているわけですが、現実、今言われたように三十三億円しか決まっていない。その原因はどこにあるのか、お伺いしたい。
  131. 木内啓介

    木内政府委員 補正で新しくできた制度でございますので、制度内容の全国への周知に一生懸命努力したわけでございますけれども、周知が必ずしも十分できなかったというふうなこと、それから執行体制で、事業の執行には第三セクターなどをつくってやるというふうなことも必要でございますので、そういうふうなものについての執行体制整備に時間をとってしまったということがございます。こういうことで予定どおりいってないわけでございますけれども、六十三年は実質的に二年目でございますので、万全な消化をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  132. 矢追秀彦

    ○矢追委員 時間がなかったことと、いろいろな問題があったかと思いますが、私が指摘をしたいのは、このNTT株売却益については各方面とも非常に関心が高くて、申し込みといいますか名のりを上げるところが非常に多いわけです。にもかかわらず、少なくも六割、七割ぐらいですか決定していればいいのですが、八十三億のうち三十三億というと半分以下ということでありますので、実際この中身を見ますとそんなに時間のかかるようなものなのかなと。今言われたような事情はわからないでもありませんが、道路公団、公社関係でいいますと、駐車場等だけですからそんなに難しい問題ではない。仮に第三セクターとしても、これは道路関係、公園がちょっとありますけれども、そういう状況ですからそんな時間がかかったのかなと思うわけでございまして、重ねてお伺いをいたしますが、いかがですか。
  133. 木内啓介

    木内政府委員 確かに、周知徹底と準備ということ以外にはまだ私ども今のところ思い当たりませんので、できるだけそちらの方に努力してまいりたいと考えております。
  134. 矢追秀彦

    ○矢追委員 いわゆる民活型、開銀等からの分については大蔵省さんになりますか、これも相当使い残しといいますか申し込みがないといいますか、その状況はおわかりですか。
  135. 武藤敏郎

    武藤説明員 お尋ねのCタイプにつきましては、開銀等に対しまして地方公共団体あるいは民間企業などから数多くの融資相談が寄せられております。一部の案件につきましては六十二年度に貸し付け現実に行ったところでございますけれども、構想段階にあったいろいろなプロジェクトについて具体の融資に至るまでには新たに第三セクターとしての事業主体を形成して行うということでございますので、時間的に対応が難しいというような事情があります。それから、これはあくまでも採算性というか収益性で、収益によりまして返済をしなければなりませんので、そういう意味で、貸し付けに際しましての企業審査が開銀等におきまして非常に慎重に行われているといったような事情もあります。また、民活法、リゾート法ということで関連してまいりますので、特定施設の認定あるいは地域指定といった法的手続に時間を要するといったような事情がございまして、六十二年度に予定しておりました貸付財源の一部につきましては翌年度に繰り越すことになろうかというふうに考えております。金額的にちょっとまだわかっておらないのでありますけれども、五百八十億予算額では計上されておるわけでございますけれども、かなりの部分が六十二年度には実際の貸し付けには至らないという事情にあるようでございます。計数的にはまだ十分な把握ができておりません。
  136. 矢追秀彦

    ○矢追委員 新聞報道によりますと、大体七十億円程度で五百億円以上は使い残す見通しである、六十二年度中には二十五件、予算額の一二%、こういうふうなことがマスコミには書かれておるわけでございますが、今計数はわからないということでありますのでやむを得ませんが、これも先ほどの質疑と同じことになりますけれども、六十三年度はそれではいかがですか、かなりいろいろな候補が出てきておりますけれども
  137. 武藤敏郎

    武藤説明員 六十三年度におきますCタイプ予算額は一千億円でございます。  六十二年度におきましては、ただいま申し上げましたような二、三の理由によりまして繰り越しになる可能性が非常に強いわけでございますけれども、六十三年度におきましては、既に制度ができ上がってから時間がたっておりますので、懐妊期間といいますかそういう時間の経過がございますので、これは十分に使えるものというふうに現段階では考えております。
  138. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、これは補正予算でせっかく組まれておりながらこういう状況でございます。したがいまして、六十三年度、これがかなり進まなきゃならぬわけで、せっかくのNTT株売却益というのは本来はやはり国債整理基金特別会計に入れて、いわゆる国債の残高償還に充てるべきであるというのが私の基本的な考え方です。しかし内需拡大、いろいろな財政の問題等ありまして、やむを得ずこういう無利子の貸し出しということになったわけです。非常に貴重な財源ですから、やはりその年度年度きちんと消化をしていかないと意味がないわけですから、これはひとつ六十二年度の反省に基づいて六十三年度はきちんとしていただきたい、こう思うのですが、その点いかがですか。
  139. 越智伊平

    ○越智国務大臣 お説のとおり、年度年度で処理していくべきであります。結局A型の貸し付けというのは、政府委員からお答えをいたしましたように、やはり計画がきちっとしておるし、後この収益型、収益があるかないか、こういうことの審査、いろいろ問題があろうと思いますが、また、初めてでありましたから、六十三年度からは年度当初から準備をし、また指導をして適正に行われるように努めてまいりたいと思います。
  140. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、非常に初歩的な質問で恐縮ですけれども、この法律の名称がこういうふうな名称になったのはなぜなのか。私は、これは先ほどの一括法と関連するわけですが、NTT株売却益の無利子融資ですから、そういうふうな名前というものをつけた上でこういう法案にすべきではなかったのかなと思うわけです。ただその関連の法案を並べて、一番頭にある住宅都市整備公団法等の一部改正案、こういうことに出てきたわけですけれども、去年はきちんと、どういう法律なのかということは題名を見たらわかったわけです。ネーミングの問題で恐縮ですけれども、この点はいかがですか。
  141. 木内啓介

    木内政府委員 先ほどお答えしましたように、ことしは基本法と並行でなくて実施法の六本を並列的に審議していただくということになったので、その六本の法律、言うのは省略させていただきますけれども、これをまとめてやる場合に、普通代表だと、これは法制上のテクニックのようでございますけれども、一番古い、一番先にできた法律等の改正とするのが通常のようでございます。そうなると一番古いのは区画整理法なんです。ところが、今回もう一つ建設省としましては区画整理法の一部を改正する法案も御提出させていただいておりますので、両方、等がつくかつかないかで紛らわしいもので、建制順と申しますか建設省の組織令の課の順番、所掌順番で住宅公団が一番先に出てまいりますので、それを代表して住宅都市整備公団法等の一部改正という形で出していただいたわけでございます。多分に改正上のテクニックの要素が強いかと思うわけでございます。
  142. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今のはわかりましたが、そうしますと私は、もう一つ、先ほど聞きました、昨年でありますと御承知のように日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律整備に関する法律案、長い名前ですけれども、要するにNTT株だということがわかるわけですね。ところがこれだと、もちろん法案によっては名前だけのことですからわからなくていい、私はそうこだわるわけではありませんが、なぜ私はこんなことを言うかというと、こだわらないと言いながらこだわっておるんですけれども、やはり今後、次に質問を展開していきますけれども、これに対する実施とかそういうのは厳しくやらなければいかぬという考えを持っておりますので、先ほど申し上げたように大事な財源ですから、そういうことでもう少しわかりやすい名前、名前は長くなってもNTT株ということがわかるような法律にすべきではなかったかなと思うのですが、この点はいかがですか。
  143. 木内啓介

    木内政府委員 先生のおっしゃる趣旨はわかるのですけれども法律上、通常こういった場合にこういう名前で使っているのが法律上の建前のようでございますので、こうさせていただいたわけでございます。
  144. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、これは大蔵省になると思いますが、昨年まではNTT株売却益は国債整理基金特別会計から一般会計、そして産業投資特会に入れられて、それから道路整備特会、都市開発資金融通特会に入れられた、この二つしか道は開かれてなかったわけですけれども、今回治水特会にも道が開かれる、あるいはまたその他住宅都市整備公団地域振興整備公団あるいは地方住宅供給公社等にも直接これが出されていくというふうに今までより道が広げられたわけですが、これが追加されたのはどういうところにあるのか。私が先ほど指摘をした、昨年の補正が全部使い切れなかった、だからもっと使わなければいかぬ、そのためには窓口は広げなければいかぬという理由でこうなってきたのか、またそれ以外の理由があるのか、その点はいかがですか。
  145. 武藤敏郎

    武藤説明員 六十三年度の予算編成におきまして、従来になかった宅地造成に関連する公共事業等の大まかに言いますと三つタイプが追加されたわけでございますが、その追加に当たりまして、制度的にどのように特別会計なりなんなりを活用していったらいいのかというのは、かなり技術的な問題でありますけれどもども慎重に検討いたしました。その結果、いろいろな流れがあるわけでございますけれども民間都市開発推進機構活用したりあるいは都市開発資金融通特別会計を活用したりというふうなことでそれぞれの事業をやる場合に、現在の特別会計というその仕組みを基本的には変えずにこのAタイプ事業もやっていくのが適当ではないかということをまず大前提として検討した結果、御提案しているような姿になったわけでございます。その結果いろいろ複雑な流れになりまして、いろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、既に六十二年度にでき上がっております公園等に対する貸し付けの流れとか、その前の、Aタイプ以外の予算の流れとかいうものを総合勘案いたしまして、このような姿がベストなものではないかというふうに考えた次第でございます。
  146. 矢追秀彦

    ○矢追委員 誤解されたら困りますけれども、別に売却益をこういうことに使っちゃいかぬという意味で言っているのではなくて、私自身かつて大蔵委員会でもやったことがあるのですが、産業投資特別会計というのは余りにも古い法律でして、それは改正されましたので一応いいと言っておりますが、かつてはこれは廃止すべきではないかという意見を闘わしたこともあるわけでして、そういう意味では、特別会計というのはふえること自体余り好ましいことではないというのが私の基本的な考え方であるわけです。だから余計こういうお金の流れについては単純明快にしておいた方がいいのではないかと思いますので、今回どうしてもこの治水特会に道を開かなきゃならなかったのかどうか、その点はいかがですか。
  147. 武藤敏郎

    武藤説明員 ただいまのお尋ねの中の治水特別会計ということでございますけれども、やはり特別会計を新たにつくるということについては御指摘のようないろいろな問題があろうかと思いますが、既にある特別会計、これは例えば治水特別会計でございますと治水事業を一元的に運用しておる特別会計でございますので、治水に関連するものは治水特別会計というものを通すというのがむしろ自然の姿ではないかというふうに考えているわけでございます。
  148. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次にお伺いしたいのは、この六十三年度のAタイプの中に、治水は今治山治水ということになって、その中でまた治水、海岸、急傾斜地、こうなっておりますね。そのうちの治水のお金、百三十五億二百万、これはどこの会計に入り、海岸の七億九千五百万、これがどこへ入るのか、あるいは急傾斜地の七億百万、これはどこへ流れていくのか、これをちょっと教えていただきたい。
  149. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  最初河川、ダム、砂防につきましては、親会計と申しますか治水特別会計において現在経理をいたしておりますので、主計官が答えられましたように、治水特別会計を通しまして民都開発機構の方へお金が流れるということになろうかと思います。  それから、現に一般会計で経理をしております海岸保全事業、急傾斜地崩壊対策事業、これは都市開発資金融通特別会計を通させていただきまして、やはり民都開発機構を通じまして第三セクターの方へ回させていただくということになろうかと思っております。
  150. 矢追秀彦

    ○矢追委員 本来的に海岸とか急傾斜地は一般会計でやるべきであったのが、このような形でNTT株売却益ということで都市開発資金融通特別会計に入ってきたわけですが、それは結局、第三セクターあるいは土地区画整理組合がやる海岸であり、急傾斜地だと思うのです。本来これは果たしてAタイプに属するものなのかどうなのか、ちょっと無理があるのではないか、私はこう言いたいわけなんですが、その点はいかがですか。
  151. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 ただいまの状況でも、宅地造成その他につきまして、公共事業として私どもが所管いたします公共事業費の中で施設整備をしておるものもあるわけでございます。ただ、開発事業者の方が大変急がれる事情があり、また私どもから見ても、いわゆる公共事業として採択基準等に合致しておりますものでも、事業全体の配分の関係から実態上なかなかお金が回らない地域というのがあるわけでございます。そのような地域について現実にどうしておられるかというと、どうしても急がれる場合には開発者側において事実上お金を借りられてそういう施設負担してつくっておられるという実情にあるわけでございます。その辺がこの無利子融資によりまして大変救われてくることになろうかと思いますし、そういう意味でA型事業として成立するのではないかという判断をいたしまして、かような形でお願いをしておるわけでございます。
  152. 矢追秀彦

    ○矢追委員 実際、例えばAタイプの海岸を取り上げますと、具体的にはどういうことが考えられておるのですか。これはいずれ貸し出ししていくわけですね。これからいろいろな候補が上がってきて、審査をして決定してお金が出されると思うのですけれども、去年あたりから申し込みがいろいろあると思うのですが、具体的に言いますと大体どういうものなのか。
  153. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  海岸と絡みますものとしましては、私どもがイメージをしておりますのは、海岸線におきまして、例えば私どもの防波堤等のいわゆる海岸保全施設とあわせて行われますマリーナ等の一部施設に使える場合があろうかと思っておるわけでございます。このような組み合わせで実際にはA型の融資が行われることになるのではないかと考えております。
  154. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大変素人的な質問で恐縮ですが、実際に今言われた一つ地域、マリーンのところができたとしますね。それにこのお金が出る。海岸線全体としてはきちんと防波堤をつくっていかなければならぬ。ところが、その部分だけはNTT株売却益となるわけですね。お金もこういう第三セクターに入ってくる。だから、そこの部分とこちらと結局工事は分けてやれるものに限られないと、連続してやった方が得な場合もありますし、また防波堤に目印をつけるわけにいきませんから、これはAタイプの防波堤です、こっちはBタイプの防波堤です、これはCタイプ、これは本来の一般会計です、そういうわけにはなかなかいかぬと思うのですけれども、その辺の区別といいますか、実際の仕事をやる上においてそうしたきちんとした峻別というのはできるわけですか、どうなんですか。
  155. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  A型適用になります事業は、河川なら河川、海岸なら海岸全体で見ますれば、やはり私ども公共事業として考えております全体計画の中であるべきだろうと考えておりますので、急にそこにマリーナができますために新しく事業の方が起こってくるということではなかろうと思いますので、全体計画の中ではめ込まれるべき事業だと思っております。ただ、それが資金的に、在来の公共事業で行われるか今回の融資を通して行われるかということになろうかと考えておるわけでございます。
  156. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私、くどいようですけれども、今の海岸と急傾斜地を見ますと、圧倒的にBタイプの方が多いわけですね。Aタイプは少ないわけですけれども、少ないのですから全部Bに持ってくるなりあるいは一般会計でやるなりできなかったのかな、何か無理をしているのじゃないかなという率直な印象ですけれども受けるのですけれども、その点はいかがですか。
  157. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  結局は個々の実施箇所の問題になってこようかと思いますが、Bタイプのものも際限なく事業費をいただけるという事情にないわけでございますので、やはり新しい口座を開かしていただきまして事業施行の可能性を広げさせていただく方が私どもとしては好ましいという判断のもとに、A型にも参加させていただきたく思っておるわけでございます。
  158. 矢追秀彦

    ○矢追委員 これは大蔵省なのか、建設省になるのでしょうけれども、仮にAタイプとして貸し出しをしたその第三セクターなりあるいは土地区画整理組合の方の採算が最初計画と違ってだめになってきた、五年ぐらいたった後に、倒産とまでいかなくても経営がなかなか困難になった、そういう場合はどうなるのですか。貸し出しが停止されるのですか。それから、その場合の回収等はどうなるのか、その点はいかがですか。
  159. 木内啓介

    木内政府委員 そういうことのないように、まず最初に貸し出しに当たってそういう点を十分チェックするわけでございますけれども、貸し出したものは回収する予定でございます。
  160. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それではその次にこの活用でございますが、先ほど来きちんとした厳格な審査を行ってやっていくと言われておりますが、現実問題として、六十二年度を見ましてもかなり具体的に地方の方も入っておりますけれども、これからレジャーとかそういうことも含めまして採算性のあるところに貸し出すとなりますと地域が偏ってこないか、このように思うわけなんです。どうしても収益性の高いところに、首都圏を中心とした事業に偏っていくのではないか、そういう懸念を感ずるのですが、その点はいかがですか。まあリゾートなんかは割合地方になるかと思いますけれども
  161. 木内啓介

    木内政府委員 六十二年度の実績を見ましても、現在までのところ三大都市圏で八件、その他の地域で七件というふうなことで、若干三大都市圏の方が上回っておる。一般公共事業の支出で見ますと、通常の公共事業の場合は建設省所管で六五・五%が地方、三大都市圏が三四・五というようなことから見ましても、確かにそういうものと比べれば三大都市圏に多いという感じもいたします。しかし、先ほど大臣からお話ありましたように、NTTのB型を見ますと地方に七一・〇で三大都市圏は二九・〇というふうな形で、かなりNTTのB型は地方振興のために役立っているということでございます。  A型は収益還元型でございますから先生のおっしゃるような傾向は確かにあろうかと思いますけれども、私どもとしましては、新たな施策、メニューと申しますか新たな事業を考えるに当たっても、あるいは運用に当たっても、できるだけ大都市に偏ることのないように努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  162. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、公団等宅地開発に関連して整備される公共施設につきまして、設置後の管理主体との引き継ぎが円滑に行われないという心配があるわけですが、その点についてはいかがですか。
  163. 望月薫雄

    ○望月政府委員 およそ住宅都市整備公団などが行います宅地開発と一体となって整備する道路公園などのいわゆる公共施設の管理、これは最終的にはその管理者である公共団体に移さなきゃならぬというものでございます。そういった観点から、今までも公団が事業計画をつくりあるいは事業を進めるに当たって事前に管理者である公共団体と十分な協議をして事業を進めているところでございまして、今までもおかげさまで円滑に管理の移行が進んでおります。今回のNTT—A型の事業につきましても全く同じ扱いで取り組ましていただくということでございますので、基本的には従前と変わりなく事業を進めさせていただきたいと考えておる次第でございます。
  164. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今回の公団等宅地開発に関連した公共施設整備、これは本来地方公共団体補助事業として整備すべきであるものを、実際は、補助金タイプ、Bはそうですが、公団等NTT株売却収入によるAタイプによっても整備をするわけですが、これはいずれ返さなきゃならぬわけでして、そういうことを考えますと、結果的に宅地購入者の負担増加につながることはあると思うのですね。幾らお金を出したって、利息はついてないにせよそれは借金ですから、その点のおそれというのはないのかどうか、お伺いしたいと思います。
  165. 望月薫雄

    ○望月政府委員 おっしゃるとおり、こういった公共施設整備は最終的に公共団体に移管されるものということからしますと、基本的にはいわゆる公共事業費をもって整備するというのが望ましいわけでございます。ただ、率直にいいまして、いわゆる宅地事業の進度あるいは事業のやり方という中で、一気に整備するという宅地事業者のニーズと現実の関係公共団体なりあるいは予算の事情などからすると必ずしもマッチしないという現実があるわけでして、その間に、いわば補助対象として採択すべきはしているのでございますけれども現実に対応できないものについて従来はいわゆる有利子の金を使って整備している、こういうものであるわけです。私ども今回NTT—A型を活用するに当たりましても、公共事業で進めるべきものはまず積極的に取り上げる、こういった基本的構えはいささかも変わってないわけでございまして、むしろこれまで有利子のお金で整備してきていた事業についてNTT—A事業を導入したいと考えておる次第でございますから、むしろ金利の低減、無利子化ということに努めていこうというものでございます。
  166. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それでは、この問題の最後の方になりますけれども、先ほども議論が出ておりましたが、このNTT株売却収入というのはいずれはなくなるわけです。今のところは公共事業は伸びておりますが、結局NTT株売却収入分の活用に負うところが非常に多いわけでして、もしこれがなければやはり公共事業予算というのは大変少なかったわけでございます。  そういうことを考えますと、将来果たしてどうなっていくのか。これは財政再建の問題と関係をしてきますけれども、あと公共事業をやっていくために総予算の中でどれくらい必要なのか。これはそのときそのときによって変わってくると思いますが、やはり財政再建ということを第一義にして、そして節約はきちんと行政改革で進める。この行革だって結局、言い方は悪いかもわかりませんけれども、極端な言い方をしますと国鉄と電電公社がJRとNTTに民営化されたということぐらい。たばこ産業もありますけれども、あれはまだこういうふうな形での貢献はないわけでして、国鉄は将来どうなるかまだわかりませんが、いずれ株式市場に上場される、こういうふうになればありがたいのですが、そんな甘いものではないと思います。NTTだけはこうやって貢献したわけです。だから行政改革で非常によかった点はそれだけであって、あとの行革というのは進んでいるようで進んでいないのではないか。  これは大蔵大臣に対する質問かもわかりませんが、そういうことで、行革は依然として進めていただきたいし、このNTT株にいつまでも頼るわけにはいきません。したがって、その後の財源はどうなってくるのかとなると大型間接税という議論も出てくるわけでして、これは私たちは反対でございますが、またほかの財源の方法、さらに私は民間への移行というのがまだまだ行われる可能性はある。そしてその株が上場され、株を売却して資金にしていくということもまだまだ考えていけるものがあるんじゃないか。建設省所管で果たしてそういうものがあるのかどうかは別といたしまして、やはりそれは考慮に入れていかなければならぬのじゃないか、こう思うわけでございます。  まずここで大臣に最終的にお伺いしたいことは、先ほどから申し上げておりますように、大事なお金だけにむだにならないように、これが必ず景気刺激につながって税収の伸びに貢献するようなやり方、それと、本当にむだのないような効率的なやり方、六十二年度は事情があったから私これ以上追及はいたしませんが、六十三年度でもし使い残し等が出てきたならば、これは問題になると私は思います。そういった点で、この執行の適正化とそれから効果というものに最大限注意を払っていただくこと、それから今後、公共事業の確実な執行、高齢化社会へ向けてこれの依存ばかりに頼っておってはならぬ、どうやっていくのか、今言ったようなものを含めて大臣の考えをお伺いして、この問題については終わりたいと思います。
  167. 越智伊平

    ○越智国務大臣 お説のとおり、貸付金の分につきましては、先ほどもお答えをいたしましたが、A型につきましては都市のみでなくして全体的に進めてまいりたい、かように思います。  しかしながら、政府委員がお答えいたしておりますように、やはり返還ですね、返してもらう見込みがない分に貸し付けてもこれはかえって迷惑だ、こう思いますので、そういう審査をしておると期間もかかるししておる。でございますから、とりあえずはB型、これが地方にはよく回っておる、こういう状況であります。しかし、A型につきましてもお説のように全国的に活性化につながるように努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。  それから社会資本の充実につきましては、大変日本がおくれておるということは御承知のとおりであります。でございますから、このNTTが終わりましてもなお続いてやっていかなければならない。このためにはお説のように行政改革も引き続いて進めていく。そしてこうした特定な財源も大事であります。しかし一番安定したことは、やはり一般財源を多く繰り入れる、一般財源からちょうだいするというのが非常に大事だ、かように思う次第であります。税制につきましてはいろいろ各所で議論しておりますから、ここで私が税制の問題を申し上げるのはどうかと思いますが、いずれにしても一般財源で賄っていく比率を高くしていかないと安定した財源にはならない、かように思っております。  今後公共事業を中心に内需拡大をしなければならないし、社会資本の充実、大変おくれておりますので、この点につきましてはここしばらく増額をしても、少なくする、減額するということには相ならぬ。そのための財源獲得については今後とも努力をしていく覚悟であります。皆さんにもひとつぜひ御協力いただいて、公共事業、特に全国画一的に格差が縮まっていくようなふうにやっていきたい、こう思いますが、ひとつ御協力のほどをお願いいたしたい、かように思う次第であります。
  168. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、法律案とはちょっと離れますけれども、高齢化社会と住宅問題についてお伺いをしたいと思います。  二十一世紀に向かいまして、我が国は先進諸国に比べても非常に急テンポに高齢化社会に進んでおります。数字等についてはもう御承知と思いますので申し上げませんが、これから大変高齢者がふえるわけでありまして、一番問題は、この高齢者の方の年金それから医療、そして住宅、この三本柱だと思うのですね。要するにお金とそれから命と住まい、これは当たり前のことですが、その中で住宅の問題も非常にこれから深刻になっていくわけでありまして、全国的に住宅ストックの水準を高めていかなければならないと思うのですが、建設大臣の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
  169. 越智伊平

    ○越智国務大臣 高齢化社会の進展に伴いまして住宅対策、特に高齢者向けの住宅、これは非常に大切なことであります。したがいまして、公団、公営、こういう賃貸住宅にいたしましても高齢者向けの住宅、こういうことを進めてまいります。また公庫の貸付金につきましては、やはり高齢者、多く言えば三世代、家族の大勢おる、これに割り増しの貸し付けということも考えまして、大いに住宅を、持ち家あるいは貸し家、両方とも高齢者対策を考えながら進めていきたい。もちろん母子家庭であるとか身体障害者、こういうことも含めて今後の住宅対策を進めていきたい、かように思っておる次第であります。
  170. 矢追秀彦

    ○矢追委員 日本の場合は、老人ホームの入居については、ある世論調査によりますと七五%が反対、入りたい、入ってもよいというのはわずか一二%、こういうふうな状況ですし、まだまだ老人ホームはおば捨て山というふうな印象も強い。入れると今度は、私なら私が私の母親を入れれば私が親不幸と、ああいうところへほったらかしにしてと、こういうふうなことを言われる風潮が今までは強かったわけです。  ただ、最近の若い人たち、いわゆる新人類と言われる人たちは案外お年寄りと一緒にいたいという面も出てきております。また最近、今言われた三世代同居、あるいはお年寄りの方からいろんなことを学ぼうということも出てきておりますし、またそういうことを一生懸命やっておられるお年寄りもいらっしゃいます。ボランティアでやっていらっしゃる方もおられる。そんな状況ですけれども、まだまだ現実は老人ホーム入居については反発が強いわけですので、そういう意味では、先ほど大臣言われたような住宅をどうしていくかということになってくると思うのです。  ヨーロッパといいますか先進国におきましては、例えばデンマークは公共住宅の一〇%は高齢者の住宅建設の義務づけをしております。オランダが六%、フランスは五%、さらに住宅手当がついておる。イギリスは一五%、これは一九六〇年代、ちょっと古いので恐縮ですけれども、そのように高齢者向けの住宅建設が義務づけられておる、こういうことであります。  そこで、我が国の場合にもこういった方法というものも考えられるのではないか。法的措置を講じまして家賃あるいはローンのことも含めてこういったお年寄り向けの住宅をある程度義務的につくる、こういうことが必要ではないかと思います。それから先ほど金利のことも大臣ちょっとお触れになりましたが、西ドイツでは百年償還、金利一%という超長期住宅ローン制度整備されておると伺っておるわけですが、こういったことも含めまして、どのような方針でこれからいかれるのか。いかがですか。
  171. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 我が国におきまして、公的住宅を供給する場合に高齢者向けの住宅を数量的な義務づけとするようなことはいたしてはおりません。しかし、大臣が御説明申し上げましたように、高齢化社会の進展に伴いまして高齢者向け住宅の供給を充実することは非常に重要なことでございますので、この点につきましては、まず公営住宅におきまして、老人同居を可能としますための老人同居室がついている住宅、あるいはペア住宅など、高齢者向けの公営住宅の供給を行っているところであります。また公団住宅におきましても、同居が可能な大型住宅の建設にも着手しているところであります。  また、公営、公団住宅ともに六十三年度には高齢者対策ということで、五階建てにつきましては従来エレベーターを設置しておりませんでしたけれども、今回、六十三年度からそれを設置するようにしたということ、さらにまた入居の選定に際しましても倍率優遇をする。さらに、公営住宅につきましては入居の条件といたしまして同居の親族を要する、こういうことになっておるところでございますけれども、高齢者につきましては単身入居を認める、この際男子につきましては六十歳以上、女子につきましては五十歳以上ということで単身入居を認めているという措置、さらに住宅金融公庫融資におきましても老人の同居割り増し貸し付けを実施しておりますし、また親子二世代にわたる承継償還制度適用しておりますし、さらに六十三年度からはホームエレベーターあるいは近居、隣居に対する親孝行ローン等の創設もいたしているところでございます。  次に、御指摘の中にございましたドイツにおきます償還期間の長い住宅対策等のお話でございますけれども、これにつきましては、ドイツの場合と我が国の場合の方法は若干違いまして、ドイツにおきましては融資をいたしました場合、元金を返還する、償還してまいるわけでありますけれども、初年度の元金償還の金額と全体の金額との比率、これを償還率と称しておりますが、これを一%とか二%でもってセッティングいたしまして、その結果としまして元利均等で償還していった場合に償還期間が自動的に決まってくるという方式をとっているそうでございます。この場合、例えば我が国で行っております融資の最低の金利、四・五%という金利水準がございますけれども、仮に四・五%の金利水準をとりまして先ほどの初年度の元金償還償還率を一%として償還をいたしますと、償還期間が三十九年で償還できるというような状況でございますが、我が国はそのような方法をとっておりませんで、あらかじめ償還期間を決めまして元利均等償還なりの方法で償還をしていくわけでございますけれども、この償還期間につきましても、従来は三十五年が最長でございましたが、六十二年度におきまして、親子二世代承継償還制度を利用しまして質の高い二世帯住宅をつくりました場合につきましては最長の償還期間を五十年に延長するという超長期のローンをセッティングしたようなところでございます。  このような各種施策を適用いたしまして高齢化社会の進展に対応してまいりたいと考えております。
  172. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今の五十年にしたことは承知しておりますが、これが延びたことによりましてかなり申し込み等はふえてきておりますか。実情はいかがですか。細かい数字でなくて結構です。
  173. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 六十二年度の二世代承継償還制度の実績が、六十二年一月現在百三十三件でございます。
  174. 矢追秀彦

    ○矢追委員 過去からどうですか、ふえていますか、三十五年のときと比べますと。
  175. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 二世代承継償還は五十五年からやっておるのですけれども、その全体の率はちょっと手元に資料を持ち合わせてございませんですけれども、六十二年度の百三十三件というのはそれほど大きな数字ではない状況でございます。
  176. 矢追秀彦

    ○矢追委員 また後からで結構でございますからお願いしたいと思います。  それから、建設省が六十二年度からやっておられるシルバーハウジング・プロジェクト制度、これは初年度として五カ所実施となっておりますが、これは質問通告してなかったので恐縮ですが、これの状況がどうなのかということと、それから六十三年度以降新たにまた箇所をふやされる計画なのか、大体の見通しといいますか方針をお示ししていただきたいと思います。
  177. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 六十二年度に計画いたしましたところでございますので、とりあえず計画をつくりましたのが五カ所、六十三年度も同様の数字でまいりますけれども、まだ実績として供給には至っておりません。
  178. 矢追秀彦

    ○矢追委員 実質供給は大体いつごろからになりそうですか。
  179. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 地方公共団体計画で、計画着手年月日までは正確には把握しておりませんけれども、六十二年度計画のものにつきましては当然本年度から供給すべく指導はいたしているところでございます。
  180. 矢追秀彦

    ○矢追委員 高齢化社会に対する対策というのはもちろん住宅を建てればそれで終わりというものではなくて、相当全体的な計画でいかないといけないと思うのですね。先ほども申し上げましたように、特に医療というのが相当大事になってきますし、それからお年寄りの生きがい論、そういう意味では生涯教育というようなことも言われておるわけですが、そういう総合的な計画でやらないと、ただ住宅でそうやっていけばいいというものではありません。そういった点を考えますと、なかなか一挙にやるのも難しいし、現実土地の高騰等もあり大変なことであるわけです。  私もちょっと文献を見ておりましたら、これは住宅産業研修財団と生涯学習開発財団、これが鹿児島県の喜界島で「六十一年度生涯学習のむら」の本格的な展開に先立ってケーススタディーを行った。HOPE計画ですか、こういうことがやられておりまして、これは非常に結構なことだと思います。これは建設省も応援をしておられるようでございますけれども、これは一つのケーススタディーとされると思うのですが、こういったこともやられるならやられるで結構なんですが、相当急がないと、こういうのができたわ、じゃあそれを今度どこでやるかと。もっと我々の住んでいる地域でやる、そういうことになりますとなかなか難しい問題も出てきますし、田舎にそれこそ夢の住宅といいますか、お年寄りも住めるような地域が仮にできたとしても実際そこへ行くというのは大変なことでありますので、こういうことをやられるのは決して私反対ではありませんし大いに進めていただきたいのですが、それが本当に全国的にどのように実施がされるのか。  高齢化という問題に対して、これは厚生省もやっておるし文部省もやっておるし、各省もみんなそれなりにやっておるわけですけれども、この際もっと総合的な対策が必要ではないか。建設白書を見ましても高齢者というのは余り出てこないんですよ。ページ数としては非常に少ない。これではちょっといかぬのじゃないか、私はこう思うわけでございまして、今後高齢化社会に対して、特に建設面というのも非常に大事ですが、住宅だけではないわけです。今申し上げたように医療施設も持ってこなければいかぬわけですし、学校も持ってこなければいかぬわけです。そういう意味で、総合的な地域開発という上からこの高齢化という問題にどう取り組もうとされておるのか、建設大臣の抱負をお伺いしたいと思う。
  181. 越智伊平

    ○越智国務大臣 先ほど来政府委員からもお答えをいたしておりますが、高齢化社会の住宅、非常に大事であります。まず今私どもが一番望んでおりますのはやはり同居ですね。三世代とか二世代、親子同居、こういうことであります。  話がちょっとそれますけれども、先日、児島—坂出のルートで開通式がありまして岡山に行きましたら、岡山の知事さんが、実は三世代同居で渡り初めの募集をしたところが千組余り来た、でございますからその選考に困りましたと、うれしい悲鳴を言っておりました。こういうふうに三世代同居していただくと、高齢化になりますと非常にありがたいな、こういうふうに思う次第であります。  そういう点から、親孝行ローンとかあるいは増築に公庫からお金を貸し付ける、こういう政策を進めておる次第であります。もちろん、厚生省のやっております老人ホーム等も大事ではございますけれども、今の状態、特に田舎に行きますとなかなか老人ホームに行くということを余り好まない、お説のとおりであります。でございますから、例えば少し障害がある方も一緒に同居してもらう、こういうつもりで住宅政策を進めていきたい。このためには、先ほど来申し上げておりますように、融資とかあるいは税制の問題を持ち家の場合やっていきますし、また賃貸住宅につきましては、公団、公庫あるいは公営住宅につきましてもそれなりの広さ、またそういう人がゆとりのある生活ができるようなふうに進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  182. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、政府の住宅政策に対する取り組み方についての比較をしたいと思いますが、まず歳出総額に占める住宅対策費の割合は、フランスが四・六%、イギリスが二・二%、日本が一・三%、アメリカが一・〇%、西ドイツも同じく一・〇%となっております。歳入に対する住宅関係の減免税額の割合でいきますと、アメリカ四・一%、イギリス三・八%、西ドイツ一・三%、フランス一・五%に対して、日本はわずか〇・六%、これはアメリカの七分の一、イギリスの六分の一、西ドイツの二分の一以下であります。全体、この二つを合計いたしますと、住宅対策費と減免税額の合計額の歳出総額に占める割合、こうして見ますと、フランスが五・五%、イギリスが五・七%、アメリカは四・四%、日本は一・八%。格段の開きになってきておるわけでございまして、こういう比較をいたしますと、やはり政府の住宅対策に対する税の面あるいは予算総額の中に占める割合等比べましても、住宅に対して力が入っていないというデータになってしまうわけでございまして、こういったことがひいてはウサギ小屋批判になり、またこれが経済摩擦になってしまう。だから、住宅下水道公園、そういった社会資本というものが充実していないのに、品物だけ売りまくるということで反発を感じておるわけでございますから、やはりこの比率はもっと上げてもらわなければ困ります。財政が非常に厳しい状況であれば、住宅減税の方をふやす。少なくも、両方足した比較でもアメリカに次いで三ぐらいまではまず上げなければいかぬのじゃないかな、こう思うわけでございまして、その点についての大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  183. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 御指摘にありましたように、我が国の財政からの住宅対策費と、それから住宅関連の減免税額の諸外国比較をいたしましたときに、六十三年度の平年度ベースではまだ欧米諸国に対しまして低位にございます。しかしながら、六十三年度におきまして、住宅取得促進減税を大幅に拡充をいたしました。従来の公的資金につきまして二分の一掛けをしておりましたところ、これを取りまして、ローン残高全額に控除率がかかる仕組みにいたしましたことによりましてかなり大幅な充実を見ることができました。六十三年度ベースではまだ減税額の歳入に対する比率は〇・五%でございますけれども、平年度ベースになりますとこれが一・一%になってまいりますので、フランス、西ドイツが一・五、一・三ということでございますので、かなり近づいてきた、こういうことになります。  それから、税制と住宅対策費との合計のところでもって比較をいたしましたときに、六十三年度ベースでは日本は一・九という数字ですけれども、西ドイツは二・二、フランスは五・六%でございますけれども、日本は平年度ベースに直しますとこれが二・四という数字になりますので、西ドイツよりは上回る、こういう状況。他の国々にはまだ及びませんけれども、かなりの改善が見られておる、こういう状況でございます。
  184. 矢追秀彦

    ○矢追委員 大臣、いかがですか。
  185. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいま住宅局長からお答えしたとおりでありますが、もともと我が国の社会資本はおくれておる。これは住宅だけでなく、お説にありましたとおり、公園にいたしましても下水道にいたしましても大変おくれておる、こういうことでございますので、社会資本の充実、これに努めてまいりたい、かように思う次第であります。  税制の面につきましても、今説明いたしましたように今後なお税制の充実を図ってまいりたい、かように思う次第であります。
  186. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、日米の建設交渉の合意問題について一言だけお伺いしておきたいと思いますが、この合意に対して大臣はどのような評価をされておるのか。  アメリカの主張、それは気持ちはわからぬでもないのですが、まだまだアメリカの主張にもちょっと無理といいますか、そういったことを十分感ずるわけです。私自身も、今矢野委員長が訪米しておりますが、昨年一緒に参りましてヤイター通商代表とお会いしたときも、ボードを二つ持ってきまして、片方は真っ白、片方は日本の建築業界がアメリカで仕事をした量をグラフにして、毎年こんなにふえておる、アメリカは日本でゼロだ、真っ白だ、これをどう思いますかと。これは何もこっちは入れてないのではなくて、向こうが勝手に入ってこなかったわけですから。それを、ただそういう実績だと言う。本当に真っ白なもの。恐らく日本から行ったお客さん、だれにでもそれを見せて攻撃していると思うのです。にこにこ笑いながらですが、非常に厳しい議論になったわけでありますけれども、そういうふうなことを平気で言ってくる。  しかも、公共事業を開放していないと言いますが、日本の場合の公共事業と向こうの公共事業考え方が違うんじゃないか。いわゆる公共の福祉に関する建物はみんな公共事業というふうに何か向こうは思い込んで、関西空港だって攻めてきた、このように思うわけでして、そういった点の食い違いがもしかなりあるとすれば、そういった点をよくわからせなければいかぬわけですね。  といって、日本が門戸を開放しない、いつまでもこうやっておるのもこれは問題はあると思います。だからといって、じゃあどうなのか。やっぱり自由貿易という基本は、これは守らなければいかぬわけですから、片方でアメリカは東芝のココム問題に見られるようなジャパンバッシングをやり、またそういった面で市場開放を求める。じゃあアメリカはどうなのかというと、アメリカも結構保護主義が台頭して、議会なんか特にひどいわけですから、そういう意味で、一応は合意に達したものの、今後まだまだいろいろな問題が出てくると思いますので、今後の姿勢も含めましてこの問題をお伺いしたいと思います。
  187. 越智伊平

    ○越智国務大臣 もう御承知のように、二年来、非常に話し合いをしておりましたが、なかなか話がつかなかった。今般、竹下総理が訪米いたしまして、レーガン大統領との話し合い、続いて小沢副長官がアメリカに参りまして一応の合意に達したような次第であります。でありますから、建設省といたしましては、できるだけ誠意を持ってこれに当たっていきたい、こういうふうに考えております。  しかしながら、先生お説のとおり、アメリカの企業そのものがもっと積極的にやっていただかないと、これは結局、手続にいたしましてもあるいは発注にいたしましてもやはり日本には日本の習慣がございますから、これに早く習熟をしてもらう、習熟するためにこちらで協力をするということでありますけれども、相手の方も熱心にやってもらわないと、こちらが幾ら誠意を持って努力してもこれはだめであります。後で具体的に政府委員に答弁させますが、企業もなかなか余りその後来ていないようであります。でございますから、私も実は心配をしておる。せっかく話し合いがついたのですから前向きに進めていかないといけない、こういうふうに思います。両方が誠意を持って、熱意を持ってやっていかないとなかなか解決しにくい、こういうふうに感じておる次第であります。
  188. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げたことに尽きるわけでございますが、先生のお話の中で、今回の交渉を振り返って、公共事業をめぐって理解が大変ギャップがあったのじゃないかという点、私どもも率直に実はそう思います。二年間近い交渉を経て、とりわけこの公共事業については昨年の暮れ以来いろいろと議論が交わされてまいっておるわけでございますけれども、はっきり言いまして、公共事業という概念、私たちが持っているのは、どちらかというと事業主体がまず国あるいは公共団体であるとかあるいは公団であるとか、あるいはまた財源もいわゆる税金を使うものとか、日本風に言えば財投資金を使うものとか、こういった一つのシビアな概念を持っているわけですが、アメリカの場合には、今先生お話しのようにいわゆる公共的施設、こういうふうに非常に利用の現実を踏まえて概念されたということが率直に言ってございます。こういった中で我々交渉させていただきましたけれども、おかげさまでといいましょうか、数回にわたります熱心な協議の中で、大分お互いにその辺の理解は深まった。言うならば日本の公共事業というものについてもアメリカの理解は十分深まった、こう考えておりまして、先ほど大臣御答弁申し上げましたように、今後そういった中で我々としては誠実に誠意を持ってひとつ対応していきたい、こう思う次第でございます。  その際に、今も大臣御答弁申し上げましたけれども、米国企業の企業努力というものが当然必要であることは言うまでもないわけでございますが、何よりもまず公共事業に参入していただくためには、あるいは日本の民間での建設事業をやるためには、建設業の許可をとっていただかなければならないということでございます。私どももこの許可事務については適正に処理するという構えでおりますが、現在までのところ、実はなかなか許可申請も出ていないという状況でございます。私ども、今後の米国企業の熱心な対応というものを期待しながら十分の対応をしてまいりたいと思っております。
  189. 矢追秀彦

    ○矢追委員 終わります。
  190. 中村喜四郎

  191. 西村章三

    西村委員 住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、私は住都公団の住宅管理問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  限られた時間でございますので、御答弁をいただく皆さんには、どうぞ簡潔に要領よく御答弁をいただきますように冒頭にお願いを申し上げておきます。  最初に、公団にお伺いをしたいのですが、最近大阪市の大淀区の住都公団さざなみプラザの不法入居者に対する公団による住居明け渡し訴訟、これが提起をされました。その概要につきまして御説明をいただきたいと思います。
  192. 渡辺尚

    渡辺参考人 さざなみプラザ団地は特定住宅市街地総合整備促進事業というものの一環として建設されているものでございます。本件住宅は地元住民等の受け皿住宅でございまして、昭和五十八年八月以降に入居したわけでございますが、その後しばらくして廊下に看板が出されたり、あるいは団地内の不法駐車あるいは戦闘服を着た方が徘徊するといったようなことで、居住者から苦情が寄せられたわけでございます。それで、公団としましても、その都度関係者に対して看板の撤去でありますとか居住者への迷惑行為の中止等を要請するとともに、大阪市への協力依頼、これは六十一年の五月でございますが、などを行ったわけでございますが、十分な是正に至らなかったわけでございます。  公団といたしましても、これらの是正のための法的措置も検討してまいりましたが、何分法的措置が可能となる契約違反の事実というものを確実につかまなければいけないということでございます。そうしたところ、六十二年、昨年の七月に大阪府警によりまして前記の関係者に対します児童福祉法違反容疑に基づく家宅捜索が行われまして、関係住宅の目的外使用、不法占有の事実が判明したわけでございます。そこで公団は、昨年十二月から本年の一月にかけまして、関連住宅六戸の住宅の賃借人に契約解除の通知を行いまして明け渡しを求めたわけでございますが、これに応じていただけなかったわけでございます。  そこで、本年の三月に至りまして、先ほどの賃借人六名、それと不法占有者三名、計九名を被告といたしまして住宅の明け渡し等を求める訴訟を大阪地方裁判所に提起したわけでございます。この結果、四月に入りまして、二日でございますが、提訴住民の六戸のうち三戸について明け渡しそれから損害賠償に応じていただいた。残り三戸あるわけでございますが、現在まだ訴訟係属中ということでございます。
  193. 西村章三

    西村委員 ただいま御説明をいただきましたが、先住者住宅だとおっしゃいましたが、これは十五棟全部がそうですか。
  194. 渡辺尚

    渡辺参考人 淀川リバーサイド地区の整備計画では、これは全体で三十五・六ヘクタールでございますが、その中に三棟が受け皿住宅として建設されてございます。
  195. 西村章三

    西村委員 暴力の排除でありますとか暴力団の追放だとかいうのは国民の声でございます。特に最近は世論の高まりが非常に顕著でございまして、静岡県浜松市の一力一家の追放でありますとか、住民による民事訴訟の提起あるいはその立ち退き要求さらには住民運動というものの影響で、これはそれなりに非常に効果を上げておることでございます。  そこで、当然これは警察としても暴力団の排除あるいは暴力の排除につきましては意を持って取り組んでおられると思いますが、警察庁として基本的にどのような方針で臨んでいくのか、まずそのことを承っておきたいと思います。
  196. 深山健男

    ○深山説明員 お答えいたします。  警察は暴力団組織の壊滅ということを目指しまして、首領、幹部を初めとする構成員の大量検挙あるいは資金源犯罪に対する徹底的な取り締まりあるいは銃器に対する取り締まりといったことを基本にいたしまして強力な取り締まりを行っているところでございますけれども、暴力団の存在を支えあるいは暴力団犯罪を助長するような社会的基盤をなくしていくということで、暴力団をあらゆる職域、地域から排除するために、関係機関、団体さらには広く国民の協力を得て総合的な暴力団対策を推進しているところでございます。  特に、先生今御指摘ございました暴力団事務所の関係でございますが、これは暴力団にとりまして活動拠点であるだけではなく、対立抗争事件等が起こりますと、その標的になるわけでございまして、当然のことながら地域住民の安全にとっても極めてゆゆしき事態が予想されるわけでございます。したがいまして、警察といたしましても、地域住民や関係行政機関との連携のもとに積極的にこの種暴力団事務所の撤去を全国的に推進しているところでございます。
  197. 西村章三

    西村委員 ただいま警察庁の方から力強い方針の表明があったわけでございますが、警察庁の資料によりましても、六十一年全国で百十三カ所の暴力団事務所がマンションから立ち退いた、うち五十七件は住民による民事訴訟、三十一件は住民運動による効果だ、こう言われておりまして、いずれもいわば民間が主体でございます。そういう意味では、今回公団が主体となっていわゆる立ち退き訴訟を起こしたということはそれなりに評価ができるのであります。  ただ、今日の訴訟提起に踏み切るまでの経過にいろいろと問題点が多過ぎるということでございまして、以下事実関係について若干伺わせていただきますが、ただいまいみじくも理事の方からお話がございましたように、警察の告発によって、警察の家宅捜索によって初めてこの事件が発覚をされた、こう言うのですが、公団の認識、間違いございませんね。
  198. 渡辺尚

    渡辺参考人 先ほど申しましたように、五十八年当時からいろいろ苦情等もございまして、いろいろな対応をやっておったわけですが、法的措置としてやるということにつきましては先ほども申しましたような次第でございます。
  199. 西村章三

    西村委員 いろいろと早くからやっておった、こういうことでございますが、団地の迷惑行為というのは非常に顕著なことばかりでございます。マスコミの報道でございますが、迷惑行為の実例といたしまして、深夜に団地内の廊下をオートバイで走りますとか、ベランダの布団にたばこの吸い殻を投げたり、さらに家出をした少年少女のたまり場になっている、しかも看板等も堂々と掲出をされて今日に至っておったわけでございます。居住者は、二年も前からこの迷惑を非常にこうむったために不安や危険を感じて何度も公団に対して苦情を申し出ていた、にもかかわらず全く公団側は取り合ってくれなかった、こう言っておるのですが、事実ですか。
  200. 渡辺尚

    渡辺参考人 私どもが報告を受けている限りにおきましては、先ほど申しましたように、その都度いろいろな是正措置をやったのだけれども、なかなか思うようにいかなかったということで、結果といたしましては大変申しわけなかったというふうに思っております。
  201. 西村章三

    西村委員 いろいろとやったとおっしゃるのですが、そのやった内容が、全くこれは目に映らない、住民の方にもその回答は全くなかった、単なる一方的な申し入れに終わってしまっておったということでございまして、この人たちが住んでおるがゆえに、この団地、いわゆる転居の数が非常に多い。二年間で約二百戸近く転居しておる。もちろんそれはこのためだけではないでしょうけれども、特に今度訴訟で明け渡しを要求いたしました二十三号棟では二年間で十三戸、第二団地の二十五号棟では四十四戸のうち六戸、さらに第一、第二合わせまして六百六十八戸のうち百九十二戸、約三割の方が転居をいたしておるわけでございます。しかもこれは、先ほどおっしゃったように先住者のための住宅でございまするから家賃も非常に安いのでありますけれども、なぜこの安い家賃の中でこれだけ出ていくのか、これは住民が恐怖を覚えているからでございます。  そういう事情の中で再三再四公団に対したが、何にも取り合ってくれなかった、こう言っておるわけでございます。まことに遺憾なことでございます。この入居者からの苦情処理あるいは調査依頼の処理の方法は、どうやっておられるのですか。
  202. 渡辺尚

    渡辺参考人 まず入居管理でございますけれども、お入りになるとき、つまり契約するときの管理がまずございます。それから、入居された後の管理につきましては、大きく言って二つになると思います。一つは、居住者からの通報あるいは苦情、そういったものを受けて現地事務所あるいは事によっては支社対応ということで対応していく、それからもう一つは、定期的に調査を行って是正をしていくというやり方でやっております。
  203. 西村章三

    西村委員 今回の場合、もちろんこの事件が発生をしてからでございますが、警察その他の関係行政機関と打ち合わせをされましたですか。
  204. 渡辺尚

    渡辺参考人 この入居者自体は、受け皿住宅ということでございまして大阪市の推薦を受けて入ってきたものでございます。そういうことで大阪市あるいは関係機関といろいろと連携をとってきたことは事実でございます。
  205. 西村章三

    西村委員 いろいろと連携をとられたけれども、結果的には何にもできなかった、こういうことが結論だと思うのであります。しかも、今回のこの事件が発生をいたしましてから、警察が関係各行政機関に呼びかけて、この問題についての協議をしよう、こういう提唱をされまして、事実三月二十九日に行われておりますが、住都公団はお出になりましたか。
  206. 渡辺尚

    渡辺参考人 六十三年三月二十九日の会議には出席しておりません。
  207. 西村章三

    西村委員 どういう理由で出席をされなかったのですか。これは公団の暴力問題、まずみずからの問題じゃないのですか。
  208. 渡辺尚

    渡辺参考人 私、今手元に、写しでございますけれども当日の「連絡会の開催について」という通知文書を持っておりますが、実はその中に公団の名前はございません。それでいろいろ調べてみました。そうしましたら、この会議、当該会議への出席につきましては大阪市当局と協議を行ったそうでありまして、その結果出席しないということになったわけでございます。  その理由でございますけれども、元来何か町内会といいますか町会の呼びかけで行う行政レベルの会議であったというふうに聞いておりまして、この御案内といいますか案内書にもその名前がないということでございます。
  209. 西村章三

    西村委員 まことに遺憾なことでございます。これは公団自身の問題で、むしろ公団の方から警察初め各行政機関にお願いをして、連携をとって万全の措置をとるべきことが、全くこれは逆なことになっておる。今この時点で建設大臣、今までの話を聞かれて、どう感じられますか。
  210. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今いろいろ問答を聞きまして、やはり公団が管理をしている以上は、公団が主体になって警察や、必要であれば大阪市とか、逆に措置をしていくべきだ、かように思う次第であります。でございますから、管理をしておるものが主体で今後進めていくように指導をいたします。少なくとも公団住宅に暴力団の看板をかけるというようなことは許してはならない、こういうふうに思いますので、しかるべく指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  211. 西村章三

    西村委員 公団の方は、いわゆる管理の問題につきましては、今回のことも含めまして従来からも、家賃さえきちんと払えばあとは自分の方はどうでもいいんだ、こんな態度が間々見受けられたことがございます。私も、とある住都公団の団地でございますが、過激派が一つの目的を持って三十数人そこに雑居をしておるという情報を耳にいたしました、通告をいたしました、あるいは相談もいたしました、警察からも住都公団に対してそういう要請をいたしましたけれども何ら適切な対応がなかった、こういう事実もございました。したがって今回も、訴訟の提起に踏み切ったことはそれなりに評価はいたしまするけれども、ふだんの住宅管理あるいは暴力排除に対する決意というものが全くない。しかも今申し上げたように、家賃さえ払えば後は警察権もないし、プライバシーの侵害にもなりかねないから私たちは知らぬのだ、こういうことで、公団住宅の、特に賃貸住宅の管理責任というものは果たせるのですか、果たせないと思うのです。  この種の問題はこの団地だけに限りません、ほかにもたくさんあるはずです。六十七万戸の賃貸を管理しておられる、あるいは分譲も含めてそうでございますけれども、管理組合の中にも随分ある。そうした中で、今後、この暴力排除あるいは不正入居について住都公団はどういう態度をとられますか。
  212. 渡辺尚

    渡辺参考人 今回のような事態がありましたことは、今先生いろいろ御指摘ありましたが、遺憾なことであると考えておるわけでございます。今回の事態の経緯の中で、関係機関の協力を得まして対処できたということでもございます。これらの貴重な経験を踏まえまして、今後とも契約管理あるいは入居管理の適正化に努めてまいりたいと思っております。  そういう面もございますが、さらにその居住性ということも含めますと、いわゆる住宅管理の重要性というのは今後ますます重くなっていくということで、住宅管理体制の強化でありますとか調査の徹底等を図りまして、御趣旨に沿うように適正な住宅管理の徹底を期してまいりたいと考えております。
  213. 西村章三

    西村委員 もう一度確認のために、念を押すようでございまするけれども、今後他の公団住宅におきましても、みずからが調査をしてもしも不正な入居があったりあるいはその種の者が入居しているという事実があれば、住都公団みずからが警察に告訴をするというようなことについても協力をされる用意があるかどうか。  それから建設大臣、今後こうした問題が起こる前に、事前に住居管理については十分に注意をしていただく、同時に、この種の問題が発生いたしましたら、全面的に公団が警察に協力をする、あるいは住民の要求に沿うような方向で努力するということを約束していただきたいと思います。
  214. 渡辺尚

    渡辺参考人 情報の提供を受けるなど警察当局にはいろいろ御協力をいただいてきたわけでございます。今回の経験を踏まえまして、それぞれの役割分担がございますから、今後その役割に応じて可能な限り適切に対処して、御趣旨に沿うようにしてまいりたいと考えております。
  215. 越智伊平

    ○越智国務大臣 御承知のとおり住宅は安らぎの場所であります。でございますから、家賃を払ったとしても近所へ迷惑をかけたのではいけない。でございますから、先ほどお話がございましたが、警察に協力するのでなくして、管理者自体が警察へお願いして警察の御協力をいただく、またその他の方々の御協力をいただいて管理に努めなければならない、かように思います。でございますから、そういうふうに指導をしてまいりたいと思います。
  216. 西村章三

    西村委員 今後の姿勢につきましては私なりにある程度了解をいたしますが、もう少し事実関係についてお尋ねをいたします。  明け渡し訴訟を受けました六戸の供用の開始年月、それから名義人との契約日がいつか、住宅の間取り、室数、それから家賃はどうなっているのでしょうか。
  217. 渡辺尚

    渡辺参考人 六戸ございます。順番に申し上げますと、三LDK八十六平米のものは、五十八年八月二日に契約しておりまして、家賃は、傾斜がございますので変わってまいりますが、六十三年一月現在で四万三千五百円ということでございます。違反の態様は、不法占拠、目的外使用でございます。  二つ目は、一DK四十三平米、契約日が六十年五月二十三日、家賃は二万七千百円、同様に不法占拠、目的外使用でございます。  三つ目は、二LDK六十三平米、契約日が六十年五月二十三日、家賃は三万五千八百円、目的外使用でございます。  四番目は、二LDK六十三平米、五十九年一月二十六日契約で、家賃は三万五千八百円、不法占拠。  五つ目は、三DK六十三平米、五十九年六月十五日契約で、家賃は三万五千八百円、不法占拠。  六番目は、二LDK六十三平米、六十一年四月八日契約で、家賃は三万五千八百円、不法占拠でございます。
  218. 西村章三

    西村委員 名義人と今回明け渡し訴訟を受けた人とは同一人ですか。あるいはもしもそうでなければ、名義承継の届け出は出されていたのかどうか。
  219. 渡辺尚

    渡辺参考人 そのような申請は一切出されておりませんでした。六戸について訴訟を提起したわけでございますが、無断転貸というか、そういう方からの申請は一切ありませんでした。
  220. 西村章三

    西村委員 この中の一戸の名義人は公団と五十八年八月に契約したことになっておりますが、その御本人は、五十八年四月、すなわち契約の四カ月前に殺人罪で大阪都島署に逮捕され、現在も服役中だということであります。入居時の資格調査や、幾ら先住者といえどもその後の居住者調査等でわからなかったのかどうか、その辺はどうでしょう。
  221. 渡辺尚

    渡辺参考人 具体的につまびらかにできませんが、入居後の契約チェックといいますと、例えば表札と住民票を照らし合わせるとかという形でもってチェックをしていくということでございます。
  222. 西村章三

    西村委員 先住者の場合は、入居資格についてのチェックはするのですか、しないのですか。
  223. 渡辺尚

    渡辺参考人 これは一定の地域の中に住んでおられる方ということでもって、大阪市の方から推薦を受けるという形でございます。したがって公団としては、公団の規定上、例えば所得についての違いは多少ございますけれども、チェックは行っております。
  224. 西村章三

    西村委員 そうすると、当初は入居資格があった、その後勝手に無断で転貸をして六戸とも他の人間に使われておった、こういう事実ですね。それで間違いございませんか。
  225. 渡辺尚

    渡辺参考人 そのとおりでございます。
  226. 西村章三

    西村委員 先ほどこの六戸についての現行の家賃、三LDK四万三千五百円から二LDK三万五千円程度と、ずらっと列挙されました。このさざなみプラザの一般の方々の募集の時点における現行の家賃、専有面積はどうなっていますか。
  227. 渡辺尚

    渡辺参考人 同じようなもので比較いたしますと、例えば三LDK、多少専有面積は違いますが、受け皿住宅の方は七十九・五六平米でございます。これが先ほど申しました六十三年一月時点で四万三千五百円の家賃でございます。それに対して、面積が八十一・七六でちょっと大きいものですが、三LDKで十万九千九百円から十一万二千六百円ということでございます。
  228. 西村章三

    西村委員 この六戸につきましては、現行の募集の家賃、今申された十万円から十二万円、これの半額以下ということに減額措置がなされているのですが、その理由は単に明け渡した、あるいは先住者のための優遇措置、こういうことで理解をしていいのですか。
  229. 渡辺尚

    渡辺参考人 これは冒頭に申し上げました特定住宅市街地総合整備促進事業というのが制度要綱でできておりまして、それにのっとってやっているものでございますが、その場合に、例えば整備計画の作成でありますとか建築物の除却あるいは補償、それから住宅の共同施設整備費、これらにつきましては三分の一の補助が出ておる。それから、今問題になっております従前居住者用住宅、賃貸住宅でございますが、この用地取得と建設につきましては基本的には二分の一でございますが、本件の場合には住宅地区改良法に基づく改良事業整備計画区域内にあるということで三分の二の補助が出ている。その結果、家賃に差が出てきたものでございます。
  230. 西村章三

    西村委員 三分の二の補助が出ておるから家賃はこれくらいになる、こういうことでございますが、しかし、その実際の対象になった人はほとんどここに住んでおらない。全く別の人間がここに居座っておったということでございます。しかも、かなり前からこの公団の部屋にはいわゆる事務所用の看板がかかっておったわけでありますが、この看板の掲出について、用途外使用や模様がえの申請あるいは承諾というものはなされていたのですか、どうですか。
  231. 渡辺尚

    渡辺参考人 そのような申請はなされておりませんでした。
  232. 西村章三

    西村委員 全くそういう申請もなされておらないし、許可も出しておらないのに、公然と組事務所の看板が公団住宅の前に掲げられておって、しかもそれらは住民の目に広くとまっておりますし、しかもこの団地の管理をなさっておる方は当然知っておられたと思うのです。それを全然忠告もせずに放置をされ、しかも今回初めて訴訟を起こしてこの看板がおろされた。この経緯をどう考えられますか。
  233. 渡辺尚

    渡辺参考人 大変弁解がましくて申しわけないのですが、先ほど申しましたように、通報なり発見するその都度そういう注意は申し上げておったわけでございますけれども、結果的にその是正がなされなかったということで、大変残念に思っております。
  234. 西村章三

    西村委員 このマスコミの報道によりますと、不法占有の責任者はこの団地建設の以前からこの近くに組事務所を置いておった。そして、団地建設に当たって公団と市の当局が立ち退き交渉に訪れて、交渉の結果、入居することで合意をし、立ち退きに応じた、こういうことになっておるのです。したがって、入居は当然のことだし、あるいは事務所の設置や看板の掲出についても公団から暗黙の了解をとったと豪語しているのですが、まさか公団は了解を与えていなかったのでしょうね。確認をしておきます。
  235. 渡辺尚

    渡辺参考人 当然のことながらそういうことはありません。これは訴訟の結果を見ていただいてもおわかりいただけると思います。
  236. 西村章三

    西村委員 立ち退き要求に協力をしたこの六戸、ということは、必ずしも六戸に限定されるものではございません。例えば組事務所にいたその組事務所の所員といいますか、そういう人も対象に入っておるやに聞いておるのですが、いかがでしょうか。
  237. 渡辺尚

    渡辺参考人 住宅の戸数は六戸でございますが、提訴した対象の者は九人でございます。したがって、そういうことになるかと思います。
  238. 西村章三

    西村委員 そういうことを聞いているのではなしに、立ち退きに応じた人が九人、そのうちの六人が入ったということですか。私の言わんとするところは、いわゆる先住者としてこの団地の建設以前に六戸の世帯が住んでおった、それがそのままの形で優先入居させたということなのか、あるいは一つの組事務所を一つの団体とみなして、そこで働いておる人も含めて入れたということですか、どうですか。
  239. 渡辺尚

    渡辺参考人 これはまさにそこに住んでおられた六人の方の住宅として受け皿住宅に受け入れたということでございます。
  240. 西村章三

    西村委員 看板の掲出の問題につきましては、公団としても長く放置をしておったということで極めて残念なことだと思うのです。例えば用途外使用が認められる職種は一体何ですか。マッサージとか、公団の住宅の中で塾をやっているとか教室を開いておるとかいろいろあるのですけれども、公団として目的外使用を正式に認められるケースはどういうケースがあるのですか。
  241. 渡辺尚

    渡辺参考人 これは公団の賃貸住宅管理規程に細かい規定があるわけでございますが、今先生がおっしゃられたようなもの、つまり賃借人の利便を図るため住宅の一部についてそれらの業に供する場合、あるいは公職選挙法に基づきまして立候補の届け出をなさった方が住宅の一部を選挙事務所として選挙期間中にお使いになる場合、ほかにもございますが、そういうような場合であって、かつ管理上支障がないと認められる場合にこれを許可しているということでございます。
  242. 西村章三

    西村委員 目の悪い方がマッサージの看板を出すことすら公団は認めておらないわけでございます。にもかかわらず、白昼堂々と暴力団の看板がかけられておったというこの事実、私はまことにもってのほかだと思っておるわけでございますが、公団はこの以前の問題といたしまして、いろいろと調査をする権限をお持ちでございます。今六十七万戸の賃貸入居者があるわけでございますが、入居者本人の確認についてはどんな方法で調査をし、確認をされておるのですか。
  243. 渡辺尚

    渡辺参考人 先ほど時間を考えましてちょっとはしょりまして申しわけございませんでしたが、あんまとかはり、きゅうあるいは医師、助産婦等につきましては、先ほどの例の中に入っておると了解いただきたいと思います。  それから、ただいまの御質問の契約の締結に当たってどういうチェックをするのかという点でございますが、まず申込書あるいは住民票の写し、所得証明の提出を求める。それからさらに、今度は締結のときに印鑑証明書、入居者名簿の提出を求めて、入居する人が本人及びその家族であるということの確認を行った上でやっておるわけでございます。  それから、入居後のチェックでございますけれども、先ほども申しましたように、営業所等に投書、通報等があった場合にはその都度調査を実施してまいりますが、そのほかに、毎年度計画的に調査を実施しておるところでございます。
  244. 西村章三

    西村委員 関西支社の管理部長さんは年に数回居住者の調査をしておると言っておられるのですが、実態的に公団全体としてどれくらいの調査をされておるのか、その調査項目、さらにはその結果をどう活用しているのか、お答えいただきたい。
  245. 渡辺尚

    渡辺参考人 六十二年度に調査をいたしましたのは、調査対象戸数約五万戸でございます。それに対しまして、四百八十二件の違反が発見されまして、その大部分が無断転貸でございますが、一部に目的外使用あるいは不法居住というものがあったわけでございます。それでこれらにつきましては、訴訟によるものが三件ございますが、それを含めまして三百四十七件を退去させております。それからさらに、現在訴訟をやっておるものが十件、残り百二十五件まだあるわけでございますが、訴訟準備中のものを含めて対応を今急いでおるところでございます。  それでチェックの仕方でございますが、それは先ほど申しましたように表札と住民票を比べて、疑義がある場合には本人に来ていただいていろいろ事情を聞くというような細かいことをやりながら、調査を行っているわけでございます。
  246. 西村章三

    西村委員 全体の六十七万戸の中で年間およそ五万戸ぐらいしか調査ができない、こうおっしゃるわけでございますが、そうするとあとの六十二万戸は、この回転からいきますと何年に一度ぐらいやることになるんですか。  そして、無断転貸というものがいわゆる不法入居にもつながるわけでございますが、不正入居なんかもかなりあると思うのです。こういった実態の調査というのをどういう方法でやっておられますか。
  247. 渡辺尚

    渡辺参考人 実は現在やっております計画調査というのは第三次の、いわゆる五カ年計画と我々申しておりますが、調査でございます。その対象戸数が二十四万戸でございますが、それを毎年、五年間でやっていくということでございます。したがいまして、今回の二十四万戸でございますが、従来の調査の経緯をいろいろ踏まえまして、四十五年度以前に管理開始したもの、これを半分対象とする。それから四十六年から五十五年につきましては新しいということもあります。そこで、それは四分の一を対象とするということで、二十四万戸というような考え方計画をつくっておるわけでございます。
  248. 西村章三

    西村委員 この不正入居の件数というのは、最近の年次ではどのような変遷をたどっておりますか。
  249. 渡辺尚

    渡辺参考人 先ほど三回目の調査と申しましたが、第一回の調査は四十九年度から五カ年間でやったわけですが、三十五万戸をやりまして六千戸の不正入居が出て是正をしたということでございます。それから第二次でございますが、これは約二十六万戸を対象として五十六年度から五カ年間でやってきたわけでございますが、そのときには二千三百戸ということでございます。それから三次目の六十二年度は先ほど申したとおりでございます。
  250. 西村章三

    西村委員 時間がなくなってしまいましてまことに残念でございますが、今回の訴訟提起あるいは暴力排除という観点からの公社の立ち上がりを契機にいたしまして、公団内に限らずあらゆる公共住宅、さらには民間マンションも含めて暴力排除の姿勢が打ち出されていかなければならぬと私は思うのであります。当面、公団の関西支社では支社の中に不正入居者対策本部、これを設けられて洗い直しをしようということであるようですが、この際、公団本社にも同様の対策本部を設けてこれらの事件の再発防止あるいは管理体制の見直しや強化を図るべきだと私は思うのでありますが、公団の見解並びに管理監督の責任があります建設大臣の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  251. 渡辺尚

    渡辺参考人 我々としてもその入居管理の適正化、その重要性、十分認識しておるわけでございまして、プロジェクトチームあるいはいろいろな形になるかと思いますが、体制を整備しながら適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
  252. 越智伊平

    ○越智国務大臣 公団住宅の管理につきましては、いろいろ御意見をいただきましたが、特に暴力団排除、この面につきましては適切に、早急にやらなければならない、こういうふうに思う次第であります。なぜなれば近所迷惑であります。先生のお話のようなことであればこれは大変なことだ、かように思いますので、よく指示をいたしまして早急に措置をしていくようにいたしたいと思います。不正入居の部分につきましては調査をさせますが、戸数が大変多いからすぐに、一度にといってもこれはなかなか大変だと思いますので、それも進めさせますが、とにかく暴力団の措置だけは早急にやるように指示をいたしたいと思います。
  253. 西村章三

    西村委員 公団の権威と信用のためにも、この汚名を挽回するためにも公団の側には住宅管理については今後積極的に取り組んでいただきたいし、その対策を強化していただくことをお願いをし、また監督責任のあります建設省にも同じことを要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  254. 中村喜四郎

    中村委員長 辻第一君。
  255. 辻第一

    ○辻(第)委員 住宅都市整備公団法に関して質問をいたします。  この改正による無利子貸し付け財源は、NTT株式の売却益収入を前提にしたものであります。このNTTというのは極めて高い公共性格を持ち、本来公的な経営、管理運営が強く求められている電気通信事業であると思います。その株式を売却をする、そのことはNTTの民営化、利潤第一主義を一層促進するものであり、我々は賛成できないところであります。しかも、五十九年にNTTが設立をされるという法律が通り、六十年には国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律ができたわけでありますけれども、このときに、このNTT株式の売却益を国の財政再建のために国債の償却に充てるとして六十年の法律をつくった。それを六十二年には、この大義名分を放棄をして他に流用をする、そして社会資本整備ということになったわけでありますが、この問題も我々としては反対という立場でございます。このことの表明をまずしておいて、そして具体的な質問に入ってまいりたいと思います。  この法改正で追加される対象事業は、収益回収型のいわゆるA型の事業であります。NTT資金による融資制度は、AタイプCタイプはもとより、Bタイプ都市開発事業など民活公共事業が中心でございます。さて、今回追加されるAタイプ事業について、具体的にどのような事業予定をされているのか、お尋ねをいたします。     〔委員長退席、野中(広)委員長代理着席〕
  256. 木内啓介

    木内政府委員 今度の改正法案に基づきまして新たに追加されるAタイプの無利子貸付制度は三事業ございまして、その概略でございますけれども、第一は、宅地開発関連公共施設整備事業と申しまして、例えば住宅公団等宅地の造成とあわせまして道路等を整備する場合は、当然極力国庫補助金等により整備しているところでございますけれども、現に補助金によらずに整備している場合等がございます。こういった整備に対しましてNTT利子貸付金貸し付けるものでございまして、償還につきましては造成宅地処分金を充てることになるものでございます。  それから第二番目は、民活区画整理緊急促進事業と称するものでございます。土地区画整理事業手法によりまして行う場合でございまして、土地区画整理組合等が現に有利子の借入金によりまして整備している道路公園下水道河川等の公共施設に対しまして無利子貸付金を充て、保留地の処分金をもって償還するという事業でございます。  三つ目は、開発関連河川事業等と称するものでございまして、第三セクター宅地の造成あるいはスポーツ施設の設置等とあわせまして行うことが適当な河川とか砂防施設等の整備を行う場合、造成宅地処分金とかスポーツ施設等収益金によって無利子貸付金償還を行うというふうなものでございます。  概略、以上の三タイプでございます。
  257. 辻第一

    ○辻(第)委員 今河川敷の問題もおっしゃったわけでありますが、河川敷というのは本来特定の者に占有を許すべき場所ではない。国民だれもが河川の機能を阻害しない範囲で自然の場所として利用できるべきであります。公共の場所として整備すべき場所であることは当然であります。ところが、建設省予算概要その他を見ますと、河川敷のスポーツ施設等の設置とあわせて行う治水施設等の整備説明しており、河川敷利用推進事業はその河川敷に利潤原理を導入し、利益を生むテニスコート、ゴルフ場などのスポーツ、レジャー施設を設置専有を認め、その事業者による河川敷の整正や低水護岸整備をするというものであります。私ども、このように理解をしているわけでございます。  地方公共団体河川敷にスポーツ施設を設置し、無料で、あるいは極めて低廉な使用料で住民に開放するのは当然ですが、今回の場合は収益回収型というのでありますから、あくまでも収益を生じることが前提ではないでしょうか。つまり、赤字なら収益はないわけでありますから、今回のこの事業の場合、特定の者に河川の占有を認め、利潤を生むような利用料を取らなければ成り立たないのではないかというふうに私どもは考えるわけでございます。いかがですか。
  258. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  私ども河川を管理いたす者といたしまして、河川敷地の占用許可は原則として認めるべきでないと思っております。その中で、特に社会経済上必要やむを得ない場合に限って河川敷地占用許可準則というものを定めまして、その準則の範囲内で占用を許可しているというのが実情でございます。  この考え方は、今回NTT—A型の導入に関しましても全く変わっていません。ただ、この範囲内で現に条件の許しますところでは、御指摘のゴルフ場等も全国でいいますと既に八十数カ所あるわけでございます。これは新法になります前に設置されているものを含んでおりますのでいろいろなタイプのものがあろうかと思いますが、そういうゴルフ場の設置に関しましても、例えば利潤を目的としない、つまり完全にパブリックであることとか、条件を設けて私どもは認めている現状でございます。この基本方針は変えない形で、なおかつ関連河川事業として一部行われますことについて、償却の当てがありますものに限って今回NTT—A型の融資をいたそうかと思っているわけでございまして、この制度が生まれますということは河川敷地の利用の仕方そのものが基本的に変わってしまうということでは全くございません。その従前持っております考え方の範囲内で、できるものについて融資を行っていこうと考えているものでございますので、かように御理解をいただきたいと思います。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  259. 辻第一

    ○辻(第)委員 今御答弁いただいたわけですが、河川について言いましたけれども、ほかの事業についても収益が生じることが前提なんですね。いずれにしても利用者や購入者からの収入を当てにするものであります。私は、こうした事業のやり方というのは国民の立場からいえば納得できないものであろうと存じます。収益回収ということは、要するに国民負担公共事業を進めようということにほかならないと私どもは考えるものであります。  次に、公団住宅問題について伺います。  住宅都市整備公団は去る三月三十一日に家賃の値上げの申請をされました。これ自体大幅な家賃値上げで大問題であり、また公団が明らかにした家賃改定ルール案は、三年ごとの家賃改定、市場家賃とのバランスなどの内容となっております。これは国会要望決議に反するものだという声が強うございまして、私もそう思います。公団がこうした対応を続けるなら家賃訴訟の再現ともなりかねない、私はそんな心配もするわけであります。公団の見解を求めます。
  260. 渡辺尚

    渡辺参考人 公団では既に昭和五十三年、五十八年の二回にわたっていわゆる継続家賃の改定をお願いして、行ってきたところでございます。このたび、先ほど先生の申されましたように三月三十一日に、ことしの十月一日に家賃改定を行いたいということで大臣に申請をしたところでございます。  ところで、前回五十八年の家賃改定に当たりましての国会審議において、今も御指摘のございましたように建設委員長から「公団は、今後の家賃の改定について、適切な手続に基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」という要望事項がなされたわけでございます。  このような趣旨は、今までも住宅宅地審議会でもたびたび指摘されているところではございます。公団といたしましてはこの趣旨を踏まえまして、公団総裁の私的諮問機関である住宅都市整備公団基本問題懇談会の家賃部会においてこの問題を検討していただくことにいたしました。その部会には居住者の方、これは全部で十三名で成っておりますが、二名の居住者の代表の方も入っていただき、家賃改定のあり方について御意見を伺ってきたわけでございます。  その中で、家賃改定問題についてはいろいろ専門的なこともございます、技術的なこともございます。そこで六十年の四月の家賃部会で、皆様方の了承を得て専門部会で詳細な検討を行えということになりまして、それ以降二年余にわたって、専門部会で二十数回検討が行われてきた。それを昨年の十二月に家賃部会にたたき台という形で報告をした。その後四回にわたっていろいろ御議論がございました家賃部会を経て、去る三月十五日に基本問題懇談会に報告したわけでございます。したがいまして、ルールづくりに当たっては我々としては慎重かつ民主的に行われてきたと考えているところでございます。  公団といたしましては、これらの一連の手続及びその内容がルールづくりであると考えておりまして、いわゆるルールというものが、もちろんこれは未来永劫のものではございませんけれども、そういうものが一応できたということで、その内容に沿ってこの間の大臣申請を行ったということであります。  それで、御指摘二つございますが、三年ごとに見直すという点については、一つは家賃計算の一つの要素である固定資産税の評価がえが三年であるということ、それから居住者の面から見ましても、一気に上がるというよりはなだらかな上昇の方がよろしいのではないかということ、そういうことから三年ということになったわけでございます。  それから補正でございますけれども、これは従来の公営限度額方式に準じた方式、これに基づくものを基本としながらも、公団賃貸住宅相互間の均衡でございますから、それを是正しようということで補正を行うということでございます。  こういった点をるる見ていただきますれば、これらはいずれも公団住宅相互間の家賃のより適切、的確な均衡を図ろうとするものでありまして、御指摘のような委員長要望に反するものではないと考えておるところでございます。
  261. 辻第一

    ○辻(第)委員 この問題については十五日に集中審議もあるわけでございますので、私は先ほどの答弁には全く同意できない、反論をしたいわけでありますが、時間もありますので次に移りたいと思います。  建てかえ問題についてお尋ねをいたします。  この問題は、この間、我が党の中島議員もお尋ねをいたしました。私も昨年だったかお尋ねをしているわけでありますけれども、やはり公団にお住まいになっている人の御意見というのは本当によく聞いて事を進めていただきたいなというのが私の今の思いであります。  もう何度も申し上げていることなのですが、奈良にも三十年代に建てられた学園前団地がございます。そんなに大きくない団地でございますが、そこの世帯主の方はお年を召しておる方が非常にたくさんおられるわけです。六十歳以上ということで言えば恐らく三割も四割もおられると私は思うわけです。当然年金生活者が多うございます。こういう状態でございますので、先般もお会いをしていろいろ御要望を聞かしていただいたわけでありますが、このような方々は、何としても建てかえをやめてほしい、どうしても建てかえで残してほしいというものについては一部そのまま残してくれないか、こういう強い要望がございます。  理事さんももうそこそこお年だと思うのですが、私はもう六十二です。だんだん年をとると、昔のもの、古いものというのが物すごく魅力がありますな。僕は今そう思うているのです、昔のことが懐かしかったり。ですから、やはり長年お住みになったところをかわられるということは大変なことなんですね。しかも建てかえられるということになりますと、そこへお住みになることはまずできませんね、家賃がうんと、それこそ三倍にも四倍にもなるのですから。そうなると、公団の方は十ほど何か施策をやって、この間から何遍も聞いて十というのが印象に残っているわけでありますが、いろいろやっておられるけれども結局そこは動かなければいかぬということです。  僕はやはり、最初に言いましたように、住民の皆さん方の要望をよく聞いてできるだけの対応をしていただきたい、公団は公団のお考えがあろうと思いますけれども、そこに長年お住みになっている方の意見を十分聞いていただいて対応していただきたい、こういうことであります。この点についてお答えいただけますか。
  262. 渡辺尚

    渡辺参考人 今さら申し上げるまでもなく、建てかえ事業というのが非常に重要な事業であるということは御認識いただいておると思います。それから、いつも申し上げておりますように、住んでおられる方も、確かに我々のお客さんですから大切です。しかし一方において、国民的視点から見ますと、十倍も、首都圏ですと十七・八倍もの応募率がある、公団に入れない人は恐らく木賃でありますとかそういうところに入っておられる、そういう方々のことも全部総合的に勘案して建てかえ事業というものは進めていかなければいかぬ。そのときに居住者の御協力をいただかなければならないことは当然でございます。  そこで、二年間かけて、いろいろとお話を伺いながらできる限りのことをやっていく。特に、一定の要件に該当する高齢者等の世帯につきましては、戻られる場合にも、一定期間ではございますけれども家賃の特別減額措置をする。建てかえにつきまして、もともと七年間の六五%の減額という家賃制度はあるわけでございます。そういったものとあわせて、一定の世帯については特別減額措置をやっているというようなこともあります。そういうものも含めまして総合的に御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。
  263. 辻第一

    ○辻(第)委員 僕ももう何回も出ている話で簡単に言うたわけでありますが、お話聞きますと、大体三十年代というと三十年しかたってはしませんな。大体当初は六十年、七十年というつもりでされたわけでしょう。それはやはりそういう面も含めて、先ほど東京の例を出されましたけれども、奈良でも確かに住宅の問題は大変です。しかし地域によっては東京とは大分質的には違うということもあるのですね。学園前団地なんというのはそんなに大きくない団地でありますし、そうするとそこだけ残してこっちを残さぬとまたぐあい悪い、そういう難しい問題もあろうかと思いますけれども、僕は何も奈良のことだけなにせいと言っているわけではありません。しかし本当にそういうかたくなな同じ答弁ばかりおっしゃるのじゃなしに、その辺のところはぜひ御検討いただきたい、御再考いただきたい、このことを強く申し上げて、次に移りたいと思います。  公団は、建てかえに際し居住者に示した文書で、居住者が考慮する期間を二年間としているそうでありますが、そうですか。
  264. 渡辺尚

    渡辺参考人 そのとおりでございます。
  265. 辻第一

    ○辻(第)委員 そこで、居住者に示した文書で居住者が考慮する期間を二年間としておられる。ところが公団は、建てかえに必要な処理を早く進めるために、早急な合意を求めているのではないかという事例があるのですね。  兵庫県の千鳥団地で行われていることを幾つか耳にいたしました。千鳥団地では数人、未承諾者がおられるようであります。公団は訪問攻勢をかけている。訪問しているのは現場の事務所や関西支社の担当者でありますが、ある事例では、Tさん、この人には三月三十日付の内容証明郵便で「賃貸借契約の更新拒絶について(通知)」が出されております。そうしてさらに、同一文書を持って同日午後六時二十分ころ関西支社住宅改善課の職員の人がそのTさんの家庭を訪問し、奥さんが主人は医者に行っているので午後七時ごろに来てほしい、こういうことを言うと、それじゃ現場事務所で待っていると言って帰られた。ところが午後六時四十分ころ、Tさんが診療を受けている歯医者さんに行きまして更新拒絶の文書を渡す。歯医者さんまで行って渡されたということなんですね。しかもこういう歯医者さんの待合室なんかは、ほかの患者さんなどもいっぱいおられますね。そういうところで文書を渡す。さらにTさんをなじるような発言があったということですね。  いろいろ事情はあると思います。それはいろいろ難しい事情があると思いますが、これはTさんと公団の間の問題をほかの人が知る、こういうことになるのです。Tさんや奥さんはもう耐えられぬ、印鑑を押すしかしようがない、こういう気持ちになっておられるようであります。非常に追い込まれたというかせっぱ詰まったような心境になっておられるということであります。こういうことは即刻やめていただきたい、私はこのように申し上げるわけでありますが、御答弁をいただきたいと思います。
  266. 渡辺尚

    渡辺参考人 なるべく簡潔に申し上げます。  建てかえ事業につきましては、常に関係職員に対して誠心誠意お客様と対応するように指導しているところでございます。  それで、二点ございます。一点は訪問攻勢というお話でございますが、これは現地に現場事務所を設けて折衝しているわけでございますけれども、文書をお見せしなければいかぬとか、それからほかにもあると思いますが、電話でお話し合いをするよりも電話じゃなくて直接お会いする方が望ましいという場合もあるわけでして、そういう場合には訪問させていただいておるわけでございます。しかし、それがいわゆる訪問攻勢、なかなか意味がわかりませんが、そういうようなものではないというふうに考えております。  それから歯医者さんまで行って云々という御指摘でございます。早速調査いたしました。その結果でございますが、本件につきましては、責任者でございます支社の担当課長が直接折衝したものでございます。それで、待合室には本人以外にはおらなかったということ、それから更新拒絶の文書を手渡した事実もございません。これはもちろん、更新拒絶の文書は必ず内容証明郵便で送るものですから手渡すなんということはあり得ないということはおわかりいただけると思います。それから本人をなじるような発言をしたのかということについては、そういう事実はないと言っております。私は、部下のことでございます、確信を持ってそういう事実はなかったというふうに思っておるところでございます。
  267. 辻第一

    ○辻(第)委員 おたくの方はそういうふうにおっしゃるわけでありますが、私はそのように聞いてきておるわけであります。私もちゃんと聞いてきて聞いているわけであります。私の方は私の方で間違いない、このように考えておる、こう言っても水かけになりますね。しかし、それじゃ課長さんが歯医者さんまで何しに行きはったんかね。歯医者さんまで追いかけていかれる、その事実だけでもそれは大きな問題になる。ちょっと渡辺さん、この前の中島さんの質問のときにも絶対ないと確信しておりますみたいな、私ちょっと議事録読んでたらそないにおっしゃっていたんやけれども、ちょっと言い過ぎと違うんかいなと思うんやけれどもね。とにかくそれに近いような状態がある。部下を信頼するのはええけれども、信頼し過ぎてもろたら困るのや。こういうのはやはりもっとちゃんとやってもらわなあかん、こういうことであります。  それから先ほど申しましたように、建てかえのところはお年寄りなんかが多いのです。ですから特に無理な進め方はなさらないように慎重にやっていただきたい、重ねて要望しておきます。  それから、千鳥団地の建てかえに関して、公団と自治会のやりとりの中で約束された四項目というのがあるのです。特に第一項目、戻り入居の場合の措置、住宅変更の措置が創設されることになったとしているが、住民への説明では総裁の決済がまだだと説明されておる。これは本社で確認をされたことかどうか、お尋ねをいたします。
  268. 渡辺尚

    渡辺参考人 昨年の十二月三日に千鳥団地の自治会と公団の間で四項目について約束がなされているということを報告を受けております。  それから今の第一項目の件でございますけれども、これにつきましては、いろいろな点がございますので細部を今詰めておるというところでございます。
  269. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、平城第二団地という団地がございます。そこで昨年の十一月ごろアンケート調査がやられたわけでありますが、一番気がかりなことは住宅問題、家賃や建てかえ問題、これが七七・二%。率などはとにかくとして、やはりほかの団地でも住宅問題というのが最大の関心事になっているのです。  それで、住居の改善に関しては、室内修繕では浴室扉のアルミサッシ化、居住水準向上、設備改善では台所流し台の改良、洗濯機置き場の設置が高い率を示しております。これら住居改善についてはたびたび議論がされております。私も前にやったことがあるのです。ぜひこの要望にこたえてこういう改善を促進していただきたいと要望いたしますが、いかがですか。
  270. 渡辺尚

    渡辺参考人 住宅の専用部分におきます修繕等につきましては、居住者からの、我々クレーム対応と言っておりますが、クレームあるいは要望に基づきまして具体の状況を調査いたしまして確認の上、公団の負担におきまして修繕すべきものは適時実施するということでございます。  それから今、住宅内の設備等の改善、具体的にいろいろございましたが、これにつきましては居住者の方々の希望に基づきまして、一定の家賃増額をお願いしつつ、それを条件にして設備のグレードアップを図っていこう、我々はライフアップ作戦というふうに呼んでおりますが、例えばキッチンシステムでありますとか温水機能がついたレンジファンでありますとか、あるいは天井の収納ユニットとか浴室のシャワー化あるいは大型浴槽、シャワー化については既に実施しておりますが、こういったものについて今年度から実施したいというふうに考えております。
  271. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、高齢化社会の到来ということが言われて久しくなっているわけでありますけれども、この高齢化社会への対応が住都公団としても非常に必要なことは異論がないと思うのです。今後建設される住宅についてその対策、対応を行うことは当然でありますけれども、既設の住宅、古い年代の住宅を初め、入居者の高齢化の進行に伴いその対応が必要になってきております。  これもアンケートによりますとたくさん要望があるのです。浴室に手すり、浴槽は縁を低く広く、緊急用のベルの設置、階段の手すり、階下への移転、室内段差解消、団地内通路の段差解消、三十年代団地ではトイレの洋式化、こういうふうに具体的で切実な要求がたくさん出ております。高齢化に対処するための住宅設備改善をもっともっと力を入れてやっていただきたい、このように考えるのですが、いかが御対応いただけるのかお尋ねいたします。
  272. 渡辺尚

    渡辺参考人 住宅都市整備公団は、全体の住宅施策の中での一つの役割を持ちながら事業を展開しているわけでございます。したがって、そういう一つの枠組みの中ではあると思いますが、御指摘のとおり高齢化社会に対する対応というものが必要であることは十分認識し、できる範囲で努力しているところでございます。  具体的に申しますと、やはりソフトとハードと二つあると思いますが、ソフト面でも例えば入居の優遇でありますとかあるいはエレベーター階とか一階にお入りいただくとかいろいろやっております。それから親子が近居する、隣居するとかいう制度がございます。  それから設備の改善についてでありますが、これは高齢者の生活特性というのはやはりあるわけでございますから、そういうものを研究しかつ配慮しながら、空き家家賃制度というのがございますが、その範囲内で、これは六十二年度から二十三団地を指定しております。これは六十三年にも倍増しようということで二十三団地を指定したい。ただその場合に、ある程度の戸数がなければ回転の関係からいってよくないとか、あるいは周辺に医療施設がなければやはりお困りであろうとか、いろいろな条件があるわけで、なかなか単純にはいかないと思いますが、そういう団地を指定しまして、その中でまず住宅内につきましては、今もお話ございましたけれども、流し台を低くするといったような改善、あるいは浴室につきまして、洗い場と浴槽の段差の緩和ですね、ゼロにしますと水が入ってしまいますから。それから手すり、あるいは出入り口をアルミの折り戸にする、便所の改善をする、あるいは連絡通報システム、時間がございませんので詳しく申し上げませんが、そういうものをやっている。それから屋外につきましては、一階住戸に通ずる共用階段の手すりの設置でありますとか多目的広場、これはゲートボール場とか子供が遊べるとかそういうもの、それから先ほど出ました道路等の段差の解消等々やっておるわけでございます。いろいろ実績等ございますが、省略させていただきたいと思います。
  273. 辻第一

    ○辻(第)委員 端的に申しますと、家賃の値上げは最近これまでに二回ありましたね。家賃の値上げをしたらいろいろよくしてもらえるのかと、泣く泣く家賃の値上げに応じてきた、ところが、上げてしまったら後はさっぱり希望がかなえられないというのが正直、居住者の印象なんですね。僕もそう思います。値上げは上手にうまいことを言うてやりはるけれども、後はもう悪いことを言えば尻食らえ観音、そういうふうな感じを僕も受けるのですね。いろいろ御事情もあると思いますが、やはりそういう点もひとつ十分対応していただきたい、このように考えるわけでございます。殊にお年寄りとか母子世帯、障害者の人たちというところには一層の十分な御配慮、御対応をいただきたい、このように重ねて要望をしておくわけでございます。  こういうふうに申し上げておりますと、大臣はまた、住都公団の悪いことばかり言っている、もう住都公団は物すごく悪いと言っているみたいに思われる。この前ほかのところでそういう御答弁があったわけでありますが、私は先ほど来いろいろ言いましたけれども、住都公団が今日までやってこられた中にはやはり大きな役割をしていただいている、そういう評価もしながら、今の家賃の値上げの問題でありますとか、あるいは建てかえの問題でありますとか、あるいは改善の問題については私は納得できないということできょう質問をしたわけであります。  時間が来ましたので、これで終わります。
  274. 中村喜四郎

    中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  275. 中村喜四郎

    中村委員長 この際、本案に対し、野中広務君から修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。野中広務君。     ─────────────  住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  276. 野中広務

    ○野中(広)委員 ただいま議題となりました住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してあります。  御承知のとおり、政府原案ではこの法律昭和六十三年四月一日から施行することといたしておりますが、現在既にその期日を経過しておりますので、これを「公布の日」から施行することに改めるものであります。  委員各位の御賛同をお願いいたします。
  277. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  278. 中村喜四郎

    中村委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付すのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、野中広務君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  279. 中村喜四郎

    中村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  280. 中村喜四郎

    中村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  281. 中村喜四郎

    中村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中広務君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。野中広務君。
  282. 野中広務

    ○野中(広)委員 ただいま議題となりました住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による無利子貸付対象事業収益回収型)の採択に当たっては、収益性の高い大都市地域に偏ることのないよう留意し、内需の拡大、地域社会の活性化に資するよう十分配慮すること。  二 貸付金は、造成宅地処分金等により償還されることにかんがみ、貸付対象となる公共施設については、真に必要なものを整備するよう努めること。  三 貸付対象事業により設置した公共施設については、その管理主体を明確にするとともに、その適正な管理を図るよう努めること。 以上であります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  283. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  284. 中村喜四郎

    中村委員長 起立多数。よって、野中広務君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣。
  285. 越智伊平

    ○越智国務大臣 住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見やただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。     ─────────────
  286. 中村喜四郎

    中村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  288. 中村喜四郎

    中村委員長 次に、国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、半島振興法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来、理事会等におきまして御協議を願ってまいりましたが、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。  まず、起草案の趣旨につきまして、委員長から御説明申し上げます。  半島振興法は、産業基盤及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある半島地域の振興を図るため、昭和六十年六月議員立法により制定されたものであり、この法律に基づき十九地域が半島振興対策実施地域に指定され、六十二年七月には、これら十九地域に係る半島振興計画について、内閣総理大臣の承認が行われたところであります。  これにより、今後本格的に半島振興計画に基づく施策が実施されるわけでありますが、三方を海に囲まれているという地理的条件等により開発整備のおくれている半島地域の振興を図るためには、交通体係の整備が必要不可欠であります。  本案は、このような状況にかんがみ、半島地域の振興の根幹的施設であり、また、地域住民の要望の極めて強い道路等交通施設整備を促進するとともに、関係地方公共団体の財政負担の軽減を図るための措置を講ずることにより、半島振興のより一層の推進を図ろうとするものであります。  次に、この法律案内容について申し上げます。  第一に、国は、半島振興対策実施地域を循環する主要な道路または半島振興対策実施地域一般国道その他の交通施設とを連絡する主要な道路で、当該半島振興対策実施地域の振興のために特に重要と認められるものの整備に関する事業について、その円滑な実施が促進されるよう特に配慮することとしております。  第二に、半島振興対策実施地域における基幹的な市町村道、農道、林道及び漁港関連道の新設及び改築については、都道府県がかわって行うことができるものとし、その経費について後進地域開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律適用を受けることとしております。  第三に、国は、地方公共団体が実施する小型の航空機の用に供する公共用飛行場その他の航空運送の用に供する施設整備に関する事業について、その円滑な実施が促進されるよう適切な配慮をすることといたしております。  以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。     ─────────────  半島振興法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  289. 中村喜四郎

    中村委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。奥野国土庁長官
  290. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び委員各位の払われた御努力に深く敬意を表するものであります。  政府といたしましては、半島地域の現状にかんがみ、本法律案については特に異存はないところであります。  この法律案が御可決された暁には、その適正な運用に努め、半島振興事業を一層推進してまいる所存であります。
  291. 中村喜四郎

    中村委員長 これより採決いたします。  半島振興法の一部を改正する法律案につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  292. 中村喜四郎

    中村委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  293. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ────◇─────
  294. 中村喜四郎

    中村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  住宅に関する件調査のため、明後十五日、参考人出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、明後十五日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十三分散会