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1988-04-01 第112回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月一日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 中村喜四郎君    理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君    理事 中村  茂君 理事 矢追 秀彦君    理事 西村 章三君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       金子原二郎君    木村 守男君       北村 直人君    桜井  新君       自見庄三郎君    田村 良平君       武村 正義君    月原 茂皓君       中島  衛君    松田 九郎君       松永  光君    村岡 兼造君       小野 信一君    木間  章君       坂上 富男君    三野 優美君       大野  潔君    薮仲 義彦君       伊藤 英成君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君  出席政府委員         国土庁土地局長 片桐 久雄君         外務省経済局次         長       内田 勝久君         建設政務次官  古賀  誠君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官事務代         理       中嶋 計廣君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 木内 啓介君         建設省河川局長 萩原 兼脩君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         国土庁土地局次         長       藤原 良一君         労働大臣官房政         策調査部統計調         査第二課長   樫福 保雄君         建設大臣官房審         議官      伊藤 茂史君         住宅金融公庫総         裁       河野 正三君         住宅金融公庫理         事       吉澤 奎介君         住宅金融公庫理         事       亀井 敬之君         住宅金融公庫理         事       山本 重三君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  京須  實君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  倉茂 周明君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  渡辺  尚君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 四月一日  辞任         補欠選任   大塚 雄司君     月原 茂皓君   桜井  新君     自見庄三郎君   橋本龍太郎君     北村 直人君   村岡 兼造君     中島  衛君   伏木 和雄君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君   自見庄三郎君     桜井  新君   月原 茂皓君     大塚 雄司君   中島  衛君     村岡 兼造君   薮仲 義彦君     伏木 和雄君     ───────────── 本日の会議に付した案件  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案内閣提出第二二号)  住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案内閣提出第二三号)      ────◇─────
  2. 中村喜四郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  本案審査のために、本日、参考人として住宅都市整備公団理事京須實君理事倉茂周明君及び理事渡辺尚君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 中村喜四郎

    中村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 きょうは四月一日で、余りごまかさないように、ひとつ明確な答弁をお願いいたします。  昭和六十三年度地価公示動向特徴について、国土庁から見解を求めたいと思います。
  6. 片桐久雄

    片桐政府委員 六十三年の地価公示は、四月一日、本日公表した次第でございますけれども、今回の地価公示特徴といたしましては、まず東京圏では住宅地等地価高騰がさらに縁辺部に大きく拡大したということが一点。それから大阪圏名古屋圏地方主要都市でも中心商業地価格上昇したということが第二点でございます。  ただ、昨年の末には東京圏では東京都の住宅地等地価が下落に転じ、周辺県でも地価上昇が著しく鈍化する等の鎮静化傾向が出ているということが言えるかと思います。それからまた大阪圏でも、中心商業地等では地価上昇が鈍化しているというような傾向が出ていると思います。  それからまた、東京圏大阪圏それから名古屋圏その他地方主要都市商業地、それを除いてはいわゆる地方圏では極めて地価は安定しているという、地価の二極分化傾向が非常にはっきりしているということがあると思います。  私どもといたしましては、依然として地価上昇の継続している地域も見られますので、また東京圏地価水準は著しく高いということもございますし、今後とも地価動向を十分監視していくとともに、諸般の対策を推進していくことにより地価の安定、引き下げに努めてまいりたいと考えております。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、六十二年と六十三年、二年間続いて大幅な上昇を見たというのが非常に大きな特徴じゃないかというふうに思うのです。今までの傾向を見ますと、大体一年か一年半で鎮静化というか、そういう傾向があったわけですけれども、全く二年間連続して大幅な値上げをした。  その状況を、いただいております資料東京圏住宅地商業地地域別変動率」の表の二というので見てみますと、東京都は六十二年には五〇・五%、六十三年には六七%、両方合わせてみますと、二年間は一一七・五%上がっているわけであります。しかも六十二年度に五〇%上がっている上に上積みの六十三年度の六七%ですから、非常に高い伸び率を示してしまった。千葉県を見ますと、六十二年の場合には六・二%、しかし六十三年に至っては六三・二%、合わせてみますと六九・四%。ですから、六十二年のときには比較的、六・二という数字ですけれども、六十三年大幅に上がってしまった。埼玉県も大体同じ傾向で、合わせて六二・一%。神奈川県は六十二年もある程度上がったし、六十三年は非常に大幅な値上げになって、合わせると九七・八%。  確かに言われておりますように、昨年の十月から十二月のところへ来て横ばいになって、少し、一%程度下がっているところもあるわけですけれども、しかし一番下がっても都心三区の三・三%。ですから、鎮静化という意味は、上がっていくのがとまってきたという意味ではないかというふうに思うのですけれども、これからの対策として、これだけ上がったものを押さえ込んでいくばかりではなしに、もっと地価が下がってくる、こういう努力を全体的にしなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけであります。  過去の例をいろいろ調べてみますと、国土利用計画法が四十八年のあの値上げのときにつくられまして、これを実施した。実施するときにいろいろ話し合って、地価の値下げを二〇%下げるような努力をこの法律でしようじゃないか。結果的には、過去戦後四十年の中で地価が下がったというのはその一年しかありません。まあ一〇%程度現実は下がりました。  私も国土庁長官土地対策特別委員会で、地価を下げるという努力をすべきではないか、今申し上げました過去の例を申し上げて言いました。ただ数字的にやれ一〇%だ二〇%だなんという問題ではなしに、もっと大幅に下げるような努力をしなければいけないんだ、こういう答弁がありましたけれども、しかし結果的には横ばい状態。このままで推移するとすれば、言われておりますように高値安定、こういうふうにならざるを得ないというふうに私は思うのです。  確かに監視区域という制度ができて、効果は上げているというふうに思います。しかし、その指導価格というのは実勢価格指導しているわけですから、どんなにやっても下がる価格にはなりません。ですから、政策的にどのようにこれを下げる方向に導いていくか、国土庁決意なり見解をお聞きいたしたいと思います。
  8. 片桐久雄

    片桐政府委員 先生御指摘のように、東京圏地価はここ三年ないし四年を累積いたしますと、平均的にいいましても三倍程度上昇いたしておるわけでございます。こういう地価水準といいますのは地方圏と比べても非常に極端に高いということは事実でございますし、それからまた、一般サラリーマン住宅取得についての支払い能力という観点から見ても極めて高い水準であるということは否定できないと思います。  私どもは、とりあえず投機的な需要を抑制するという観点から、現在まで種々対策監視区域制度の機動的な運用とか、それからまた金融機関に対する融資の自粛、そういう指導を徹底して何とか鎮静化というところまでこぎつけたというふうに思っている次第でございます。さらに、この東京圏地価引き下げるべきではないか、引き下げ努力を大いにすべきではないかということにつきましては、私どももそのように考えている次第でございます。  今回の地価高騰は、まさに東京だけが突出して上がったという点が非常に特徴的でございまして、やはりこれは東京に諸機能が一極集中しているという現象が非常に影響したというふうに考えておりますので、基本的な対策といたしましては、諸機能地方分散を基本的には進めるべきであるという観点から種々対策を講じていきたいという点がまず第一点でございます。  それからまた、全般的に住宅地需給がタイトであるということは否定できない事実でございますので、やはり住宅宅地供給促進対策本腰を入れていくということが重要であるというふうに考えております。  こういうような政策を展開しながら土地需給の緩和を図るという対策をこれから本腰を入れて進めてまいりまして、地価の安定、ひいては地価引き下げ努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 しっかりやっていただきたいというふうに思います。  今二点目に言われました住宅宅地ですね、土地問題というのはいろいろありますし、今申し上げましたように、これだけ上がった土地をできるだけ下げる努力をしなければならないし、安定的なことを求めていかなければならないと思いますが、私はやはり土地問題の集約は、宅地それから国民住宅をこういう土地値上がりした中でどのように政策的に追求していくかということが非常に大事だというふうに思うのです。  そこで、住宅宅地対策というものを考えてみた場合に、一方では土地値上がり宅地供給が非常に大変な事情になっている。一方、求められている住宅というものについては、今内需拡大というふうに言われていますけれども内需拡大への波及効果というものが非常に大きい。それからもう一点は、つくづく思うのですけれども、先般いろいろ発表されています、例えて言えば日本人一人のGNPがアメリカを超して世界第二位になった、経済大国というふうに言われる。一方では金余り現象だといってさまざまな問題が出ている。しかし、私ども生活していてそれだけの経済大国になったという実感がなかなか生まれてこない。確かに実感が出てこないという中では、どうも日本人はゆとりがまだいろいろ不足している、そして二番目に、考えてみるとやはり住環境、住宅、こういうものが非常におくれている、こういう一面があると思う。ということは、厳しい中だけれども住宅というものについては国民の期待にこたえるような政策努力をしなければいけない、それだけの国民的な要望がある、こういうふうに思うわけですね。  一九八七年度版の「住宅経済データ集」というのを見せていただきました。監修建設省住宅局住宅政策課ということで、住宅産業新聞社で出したのですけれども、その冒頭を見せていただきましたら、「推薦のことば」で片山住宅局長見解を出しているわけです。これは全く私も賛成ですし、なかなかすばらしいことを言っているな、しかし、これが果たして実行できるかどうかという疑念を持ちながらこれを見せていただいたわけであります。また、「監修に当たって」ということで、その当時の石井政策課長がそのものずばりでいろいろ言っております。  ですから、こういう住宅事情住宅をどういうふうにしていくかという決意について、見解をお聞きいたしたいというふうに思います。
  10. 片山正夫

    片山(正)政府委員 我が国住宅事情を見ましたときに、物理的な状況として見た場合、規模を基軸に考えますと最低居住水準に満たない世帯が一一・四%あると統計では出ておりますし、また、新たに第五期五カ年計画でつくりました誘導居住水準、これで見ましたときに、これを満たさない世帯が七一・六%あるという状況でございまして、規模の点から見ましたときにまだまだ我が国住宅水準は低いと考えざるを得ない状況であります。加えまして、設備でありますとかあるいは住宅の性能、さらにはそれを取り巻く環境、あるいはまた通勤のことを考えましたときに、利便性などを考えましたときにまだまだ改善を要する点が多々あるという認識をしております。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 資料をひとつ配付さしていただきたいと思います。  ここにも書いてありますように、三月三十日付の住宅産業新聞から抜粋したものでありますけれども、この資料によりますと、一九八六年で書いてありますから昭和でいけば六十一年、昭和六十一年には戸建てが四千六百十八万円、分譲マンションの方は三千六百三十万円。そのほかその下の方にいろいろ書いてあるわけですけれども、翌年八七年、昭和でいけば六十二年には、それが戸建てについては七千百万円、前の年と比較すると二千四百八十二万円、約五〇%強値上がりしてしまった。しかもこの「注」のところに書いてあるわけですけれども、この値上がり分土地上昇分のみを見てこういう算出をしました、こういうふうになっている。分譲マンションの方は五千百万円で、千四百七十万円上がっている。  そういうことを考えてみると、この資料によりますと一番下の項になるわけですけれども勤労者世帯に占める割合ということで、八六年のときには戸建てが四%、マンションは二二%、翌年は戸建てが一%、分譲マンションが五%。そして、これの記事は、住宅新規について、またはリフォームについてこの一年間上昇ぎみだったけれども、これだけ価格が上がってきてしまったのでこれから非常に下がっていく、それは、勤労者世帯人たちの四%が戸建てでいけば買うという資金力が生まれてくるけれども、翌年これだけ値上げになれば一%しかそういう人がいなくなってくる、こういうデータにこれを組み立ててあるわけであります。  ですから、この住宅宅地、皆で努力していかなければなりませんし、また、今度の国会でも建設省からこの委員会に出している法案を見ますと、もう九〇%の法案住宅宅地をどのように供給していくか、その関連の法案ではないかというふうに思うのです。しかし、ばらばらに出ていて、私どもこれからそれを一つ一つ審議していくわけですけれども、これだけのものを審議してでき上がって、どういう政策ができ上がって住宅宅地供給体制が出てくるだろうか、ちょっとつかみにくい面もあります。それから、どういう手法になっていくだろうかという面もあります。ですから、言われておりますように、東京圏などについては、このデータ東京から二十キロという圏内で算出してありますけれども、大体この圏内について庶民が、または勤労者がこういう戸建てなどについては取得することが特に困難になってきている。そういうことを考えてみると、公的賃貸なりそういうものをどういうふうに位置づけていくか、宅地供給をどういうふうに持っていくか。  それからもう一点、これは私にもよくわからないのですけれども、八六年のマンションのこの価格なら住宅金融公庫の金を借りることができるということで、金融公庫の千六百十万円というのが挙がっています。しかし、戸建ての部分については、価格がこれだけなのでそれを適用するわけにはいかないというふうになり、翌年の分については、もう戸建て分譲マンション金融公庫融資は無理だ、こういう定め方になっていますけれども、これは資金調達なりこれを支えるその人の収入なり、そういうものからこういう結果になっているのじゃないかというふうに思います。だとすれば、やはり住宅金融公庫限度額などについても再検討していく必要があるのじゃないか。  こういうさまざまなことをこの参考資料の中から言われるわけでありますけれども、この参考資料について見解をお聞きいたしたい、こういうふうに思います。
  12. 片山正夫

    片山(正)政府委員 住宅産業新聞のこのデータのそれぞれの資料根拠がもう少しはっきりわかりませんので、これに対する直接的な評価等はちょっと差し控えさせていただきたいと存じますが、私どもで現在つかんでおります統計から申し上げますと、まずマンションで説明を申し上げますけれども東京神奈川千葉埼玉という首都圏区域でもって新規供給されたマンション価格につきましては、六十一年が二千七百五十八万円、それから、それが上がりまして六十二年では三千五百七十九万円、これは年度の平均でまいってきておりまして、六十三年二月では四千九万円となっております。  一方、貯蓄動向調査による京浜地区勤労者世帯年間収入平均を見ますと、六十一年が六百六十三万、六十二年が六百八十二万ということでございますので、これでもって年収倍率を出しますと、六十一年は四・二倍でありましたが、六十三年二月時点ではこれが五・九倍となっております。  したがいまして、私どもの方で常々考えております適正倍率と申しますか、限度倍率ですね、適正というよりむしろ限度としての倍率は五倍相当とモデル的には試算をしておりますから、そういうことから考えますと、六十三年二月の時点中堅サラリーマンにとりまして住宅取得はかなり困難な状況になっていると言わざるを得ないと思っております。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 この同じ資料のところには「三大都市圏中高層住宅価格の対年収倍率推移」ということで出ていますけれども、一番低いときには六十一年の四・七七、そして一年で五・五五というふうになっていますね。今までずっと住宅宅地を検討してきましたけれども、日本の場合に、住宅宅地政策の中で賃貸なら家賃、それから戸建てなら取得価格、この体系がきちっとしていないのじゃないか。先ほど申し上げましたように、これだけの法案を審議して、どういう規模の、幾らぐらいなものを皆さん目標として供給しようとしているのか、そういう体制をつくろうとしているのかということが非常に不明確なんです。やはりそういう点はもう少し目標を置いて、こういうものを、良質な、しかも値段はこの程度のものを目標に置いて供給努力していますよ、新規でやるなら年収の何倍程度のものを努力していますよ、こういう目標が極めて不明確だという印象を私は今まで強く受けているわけであります。  しかも、そういう体系を見ますと、例えて言えば住宅都市整備公団公団住宅、あれは個々の原価家賃主義でまず出発した。それで今の値上げなどの根拠を見ますと、公営限度額方式を採用して、それを中心にして値上げをいろいろ試算している。ヨーロッパなどのそういう状態を見ますと応能主義を大体主軸にしてきている。支払い能力があるかどうか、したがってどのくらいな住宅政府の責任で供給しなければならぬという体制になってきている。  ですから、もう十年程度前ですけれども、そういうものをきちっとするために住宅基本法を制定しなさいという要求が起きたことがあります。私ども住宅保障法というものを今まで提案してまいりました。確かに建設省もいろいろと論議いたしました。そして、ある程度の案ができ上がるところで、どこに反対されたか私はよくわかりませんけれども、何か聞くところによると与党の意見がまとまらなかったということで立ち消えになってしまっている。それは根本的な問題ですから努力していただくにしても、やはりここのところで皆さん政策努力をするという点について、その点もある程度検討して国民の前にそういう点を明らかにして提起していく必要があるんではないか、こういうことを痛切に感ずるわけであります。  私ども社会党は、賃貸については月収の一五%を基準にして住宅供給する、また購入については年収の四倍、ここら辺のところにきちっと目標を定めていくという努力をする必要があるんではないか、こういうふうに考えているわけでありますけれども、その点についてはどういうふうにお考えになり、どういう目標設定でいこうとしているか、お伺いいたしたいと思います。
  14. 片山正夫

    片山(正)政府委員 負担水準の考え方としましては、昭和五十年に住宅宅地審議会からの答申がございまして、この場合、まず家賃負担、これは限度としましては、四人世帯のところで見てみますと第三分位で二一・五%、第二分位では一八%、第一分位のところで一五%、こういう数字が出ております。また、持ち家の償還限度率につきましては、一分位、二分位、三分位とも償還限度率として二五%、収入の二五%が限度率、それから第四、第五分位が三〇%が限度、こういうふうな答申が出ております。  こういうことを目途にいたしまして、まず賃貸公団住宅につきましては、所得分位の第三位のところがその大宗でありますので、この御答申では二一・五%という限度率でありますけれども、実施する場合の目標といたしましては一七%を目標は実施をしているところでありまして、実績におきましてもその前後でもって推移をしてきているところであります。また、公営住宅につきましては、第一種につきましては一六%、第二種につきましては一五%を目途家賃設定をしておるところでありまして、実績におきましても、その以内の数字でもって推移をしているような状況でございます。  持家につきましては、償還限度率を二五ないし三〇という御答申がありますので、これをもとにいたしまして、使える自己資金をまず投入をする、次に、金利の低い公庫資金を借りる、さらに二五%の償還限度率を頭に置きまして、それを限度民間ローンを借りる、さらに住宅取得減税がございますから、その減税によりまして民間ローンをより借り増すことができるということを考慮いたしまして、それぞれの年収をベースに取得可能額年収でもって割りますと、現在私どもの方で試算しておりますのは約五倍という数字が出てきております。  したがいまして、一応の目標としては、そういうことが目標としてはよろしいのではないか、こういう感じでございます。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 住宅都市整備公団公団住宅、第三分位で一七%というのは、私も今までお聞きしていますし、そういう努力でやっているというふうに理解しています。  それから、年収の五倍という今お話があったんですけれども、このデータでいっても五・五倍まで来てしまった。そこで、公団なり公営なりそういうところはそういう努力ですけれども、その基準を、民間のいわゆる家賃なりまたは戸建てのものの購入なりは、今のそういう言われている考え方をどういうふうに近づけていくかということが非常に重要なことだというふうに思うわけですね。ですから、全体的に今申し上げた基準などを頭の中に置きながら政策努力を強力に進めていただきたいということを強く要求しておきたいと思います。  そこで、この法案の改正点ですけれども、親孝行ローンと、名前はいいのです。親孝行というと聞いたところはいいけれども、これは中身を見ますとちょっと誤解を生みやすいんじゃないかというふうに私は思うのです。親子ローンというのがこれは正しい言い方である。親子ローン、親の方もできるわけですし、子の方もできるわけですから。親孝行ローンという、これでいくと、何でも子供さんにおんぶしてしまう。これは大したことはありませんけれども、私は、どうせ言うなら親子ローンと言った方が中身と一番ぴったりしている、こういうふうに理解いたしました。  そこで、非常にややこしいのですけれども、隣居、近居を親子でやる。それからこれも親それから子供それぞれの建てかえ、リフォーム、これはふるさとの住宅更新タイプ、こういうふうに言われておる。その二つきりだと思ったら、今度その下の方は「親族」という問題が出てきて、「居住の用に供する」。その絡みがちょっとわからないのですけれども、そこら辺のところを簡潔に説明してくれませんか。
  16. 片山正夫

    片山(正)政府委員 民法上の親族という定義につきましては、六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族、こういうふうに規定されているところでありますけれども、この親孝行ローンと私ども言っておりますものにつきましての親族の考え方としましては、法律上は親族という言葉を使っておりますけれども、予算上の条件といたしまして、まず範囲としまして、親子等の直系親族が居住することをまず原則といたします。  したがいまして、直系でございますれば尊属、卑属を問わずずっとよろしい、こういうことでございますが、もし直系の尊属が存しない場合、親でありますとかあるいは祖父母が存しない場合におきましては、貸し付けを受ける者または配偶者の兄、姉、おじ、おば、またはその配偶者。ですから傍系の三親等、こういうところの範囲。または、子等の直系卑属が存しない場合につきましては、弟、妹、おい、めい、その配偶者でありますから傍系の三親等以内、こういうところは限りましてこれを適用することとしております。  したがいまして、法律上の規定と予算上の条件とは、そこのところは若干食い違いがあるところであります。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 それから、同一市町村または隣接市町村内ということで、運用上、通常の交通手段によりおおむね一時間で到達する範囲内ということになっているんですが、これは話はわかることはわかるんですね。地況によっていろいろありますから、その間に一つ市町村はあったとしても、隣接していないにしても交通手段がよくてもう隣接以上に便利がいい、こういう地況もあると思うから、おおむね一時間は何に乗ってですか。車ですか、それとも電車ですか。
  18. 片山正夫

    片山(正)政府委員 親子間の生活のことを考えてこういう規定を設けておりますので、通常の交通手段として考えておりますのは、通常考えられます都市交通でありますからJRのE電でありますとか地下鉄とかバス、そういうものを考えております。したがいまして、広域間の高速交通機関、新幹線でありますとかJRの特急でございますとか、そういうものは一般的には考えていない、こういうことでございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、貸付金利についてお伺いしますが、戸建てのものとか、今、通常はどういう貸付金利になっているのでしょうか。
  20. 片山正夫

    片山(正)政府委員 規模別に金利を設定しておりまして、今回の六十三年度予算でお願いしておりますのは、まず百二十五平方メートルまでが四・五%、それから百五十五平方メートルまでが四・八%、その次に二百二十平方メートルまでが五・一%、こういうことでございます。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 今回改正のものについてはどれを適用しようとしているわけですか。
  22. 片山正夫

    片山(正)政府委員 親孝行ローンの金利の御指摘だと存じますけれども、一番規模の大きい百五十五平方メートルから二百二十平方メートル、いわゆる大型住宅と称しております財投並み金利五・一%のところを予定しております。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 小さくも大きくもこれは五・一%という一番大きいところを基準にしてしまっているということですが、どうして一般のもののように——一般は建て幅によってずっとやっているわけですけれども、区別した理由は何ですか。
  24. 片山正夫

    片山(正)政府委員 金融公庫法の現在の法律の趣旨としましては、みずからが居住する住宅取得する際にそれに融資をする、これを住宅対策としては第一優先と考えておりますけれども、今回は親孝行という趣旨もこれありということで対象を少し広げることにいたしました。したがいまして、融資を受ける者から見ますれば二番目の住宅、こういうことに相なるわけでございます。そのことが一点。  それから、親と同居するような場合につきましては、百五十五平方メートル以上の大型住宅をつくるような場合が考えられますけれども、そういう大型住宅の金利が五・一%ということを考えまして、そこら辺を総合判断いたしまして五・一としたところであります。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 今傾斜になっていて、先ほど言った四・五にしても四・八にしても当初はそうですけれども、十一年目から変わるでしょう。これはどういう仕組みになっているのですか。
  26. 片山正夫

    片山(正)政府委員 通常金利口、それから中間金利口は御指摘のように十一年目からは財投並み金利の五・一になります。この親孝行ローンのもの件つきましては、五・一は最後までそのまま通年として続いてまいります。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 当初の十年間の低いのを外して十一年目からのものを持ってきたようなものだね。もう一度確認しますけれども、傾斜にはならないですね。一番先のものがずっといく、こういう方法で五・一%。——わかりました。  そこで、前に言ったデータをちょっと使わしていただきたいと思うのです。  この百十九ページに「住宅ローン金利等の推移」ということで、昭和四十七年から六十二年までの経過がずっと出ているわけです。確かに住宅金融公庫の金利については安定的に、一番高くも五・五ということでずっと推移している、どんなローンよりも極めて安定的に推移してきたということがよくわかります。民間については相当高くなったり低くなったりいろいろ出てくる。ましてや公定歩合のところについては、一番高くなったときには九%、今は二・五%、そういう中で、安定的はいいわけですけれども、これだけ公定歩合が下がってきた段階では、貸付金利をもっと下げて国民のためになるような方法を考えた方がいいのじゃないか。  そこで、今決まっております金融公庫基準金利、財投並み金利はどういうふうになっているのでしょうか。
  28. 片山正夫

    片山(正)政府委員 財投並み金利につきましては五・一でありますけれども、原資であります財投金利の動きにつきましては現在五・〇%になっております。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 今の五%は基準金利のことを言たのですか。
  30. 片山正夫

    片山(正)政府委員 公庫の基準金利は四・五%であります。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 国の大きい政策の中で公定歩合、そういうものが移動するたびにこういうものが決まってくるわけです。ですから、これだけ公定歩合が下がり、低金利時代ですから、根本的はもう少し低い金利で何とかできないものか。これは冒頭から申し上げてきていますように、これからの住宅政策というものを考えてみた場合に、住宅金融公庫の役割というものは非常に大きいと思うわけですよ。これをどういうふうに運用していくかということが内需拡大に絡めた住宅政策、それからこれだけ立ちおくれている住宅政策土地がこれだけ値上がりした住宅政策政策手段でいろいろやっていただくわけですけれども、やはり直接個人個人というふうになってくれば、この金利というものをどういうふうに据えていくかということが非常に重要になってきている。大蔵省は呼んでありませんけれども、そういう努力をしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。  次に移りたいと思いますが、大型公共事業問題。  外務省からもらった「決着の概要」というのによると、「大型公共事業問題」と書いてあるから今そう申し上げたのですけれども、新聞を見ると「建設市場開放」とか、この問題がずっと問題になってきたときには「公共事業」ということでアメリカが参入する、こういう言い方になってきた。中身をいろいろ見ていったり経過を見ると、きちっとした公共事業だけじゃなくて、第三セクターを含めての民間まで今度含まれてくるような格好になってきている。  この決着を見て、建設省はどういうふうに理解し、どういうふうに対応していこうとしているか、大臣の見解をお聞きしたい。
  32. 越智伊平

    ○越智国務大臣 御承知のように、米国との公共事業の問題は二年前から非常に論議を呼んでいた問題であります。ちょうどことしの一月、竹下総理訪米の際に首脳会談において、大型プロジェクトについてアメリカの企業が習熟するために努力をしようという提示をいたしました。それで日本側で一回、アメリカ側で今回を含めて二回でありますが、第二回までは決着しないで、今回小沢副長官が訪米いたしまして、いろいろお話し合いをして決着を見たような次第であります。  そこで、ようやく解決をいたしましたから、このことは喜ばしいと思っております。今後は、取り決めをされましたことを誠実に努力いたしまして、公共事業が国際的に両方、我が国からアメリカ、アメリカから我が国、そして非常に技術的にも強い部門にお互いに努力をしていく、こういうことでいいのではなかろうかということであります。  ただ、心配いたしておりますのは、公共事業を含めて日本の建設業の歴史あるいは習慣ということに本当に習熟してもらうという意味で、やはり努力をしなければ取り決めをしましてもなかなか実効が上がらない。また、あの中に二年後の見直しというような点も含んでおりますので、こういうことにできる限り我が国の方も親切にしていかなければならない。そして国際交流がますます盛んになるように努力をしてまいりたい。こういう気持ちでおります。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 公共事業であろうと民間であろうと、日本の場合にはまず競争入札する、または指名入札という方法がある。そして建設業界の方はどちらかというと、談合とまでは言いませんけれども、調整という言い方で非常に談合臭い体質を持っている。そこへ今度「奨励」という言い方が出てきたわけですね。正式には競争入札、指名入札、そこのところへ、それしかないと言われているこの制度の中で、奨励というのはどういうことなんでしょうか。
  34. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今回「奨励」という言葉が出てまいりましたが、これは、御承知のように公共事業につきましては入札制度であります。ところが、民間部門といいますか、例えばターミナルになりますと見積もりなりあるいは随意契約も行っておるところであります。そういう民間のことにつきまして、もちろん政府として民間に命令するわけにはいかないのは御承知のとおりでありますから、勧奨ということで、拘束はしないけれども依頼する、そういうふうに解釈をしております。
  35. 中村茂

    中村(茂)委員 さっぱりわからぬですね。そうすれば、純然たる公共事業、主体も官公の公共事業、これは政府がみずからやるわけだから競争入札でアメリカに入ってもらう。それから、第三セクターなどで民間がやるけれども事業そのものが公共だ、または提起されている事業だ、この場合にはそこのところに対してできるだけとってくれや、こう言うわけですか。そうすると、それは指名入札になるわけですか。やはり競争入札に入れるや、こう言うわけですか。どうなんでしょうね。
  36. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げたことは尽きるわけでございますけれども、冒頭先生から、今回の交渉が公共事業であったのか、それ以外のもっと広い建設市場一般なのか、いろいろと変遷があったように思うという御指摘がございましたけれども、全くそのとおりでございまして、大臣がお話ししましたように、一月の首脳会談のときには、公共事業について参入しにくいという現実を踏まえてあの種の御提案を日本側から申し上げた。その後いろいろと交渉、折衝を続けている中で、アメリカ側の求めているものはそれにとどまらずにもっと広い概念の中での参入問題として関心があったということで、三月三十日に合意に達しましたものは、お話がございましたように特定の公共事業の分野に加えまして民間といいましょうか、その当該特定公共事業が展開する大型プロジェクトに関連するという縛りはございますけれども民間事業なり第三セクターが行う事業についても合意という部分が出てまいったわけです。  しからばその内容はどうかということでございます。公共事業についての部分と民間あるいは第三セクターの部分についてはおのずから事の性質が違ってまいります。公共事業につきましては、これは私どももう終始申し上げているように、また今回の交渉でも終始貫かさせていただきましたが、日本の制度の根幹である指名入札制度というものは大前提としてこれを踏まえて、いろいろと手続面で弾力化を図るのが限度でございます。こういったことでありますので、公共事業は指名入札制度の中の話になります。  ところが、今おっしゃった第三セクターなり民間のことでございますが、これは言うまでもなく、それぞれの事業主体がどういう契約方式をとるかということは全く当該事業主体の判断にかかわっていることでございまして、ともすると随意契約等が一般的に行われているといった現状がまずあるわけでございます。そういった中で、それぞれの第三セクターなり民間企業が内外無差別で調達するように政府として勧奨してまいりたい、こういうことを七つのプロジェクトについて合意したというものでございます。したがって、これは言うなれば指名入札制度にしなさいとか随契の場合だれにしなさいというものではございませんで、言ってしまえば、基本的には当該発注者である民間なり第三セクターが決断し最終決定すべきものという大前提の中で、内外無差別の手続をぜひお勧めしたい、こういう性質のものでございます。したがって、それ以上に介入するというものではないと理解いたしております。
  37. 中村茂

    中村(茂)委員 それ以上勧奨できないと思うが、まあいろいろな勧奨の仕方もあると思うけれども、いずれにしても公正にやってもらいたい。向こうがどう言おうとそのことを強く申し上げておきたいと思います。日本の建設業界はいろいろな体質を持っていますし、そういう中でこの勧奨という今までの慣行の中にないようなものを突っ込まれてきて、それがはびこるようでも困るし、いずれにしても公正ということを要求しておきたいと思います。  アメリカとこういう決着、合意ができれば、ECなり韓国というところからも当然要求が出てくると思うのですけれども、そういうところの対応については大臣としてはどういうふうにお考えですか。
  38. 越智伊平

    ○越智国務大臣 前段の公平にということにつきましては、公共事業はもちろんでありますけれども民間もやはり株主なりその他の方々が見て不公平なようなことはできない。でございますから、やはりいい施設を安くということでありますから、その点はあくまでも公平にしなければならない、かように思う次第であります。  後段のECなり韓国の問題でありますけれども、これはもともと我が国は内外無差別であります。でございますから、別に韓国なりECなりを排除するということではございません。しかし、やはり相互主義でございますから、向こうの国にも行ってやる、こちらへも来てもらうというようなことがやはり行われないと、一方的なことではやはり私は都合が悪い、こういうふうな解釈をいたしておるのでございます。でございますから、内外無差別であるけれどもやはり相互主義、こういう考え方で臨みたいと思っております。
  39. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  40. 中村喜四郎

    中村委員長 三野優美君。
  41. 三野優美

    ○三野委員 まず、委員長に私よりちょっとお断りしておきたいのですが、実は私は讃岐の山の奥の百姓語でして、議事録を見たら全く議事録になっていないところがあるんですね。言葉もわからぬところあるだろうし、速記の人なんかも非常に困っているらしいのです。それからまた理事者の方なりほかの先生方にも大変失礼な言葉も出るだろうと思う。その点ひとつお許しいただいて、あと議事録を見て言葉になっとらぬところはまた直すことを御了承いただきたいと思うのです。例えばあなたというのはあんたはんとかおまはんとか、こう言うんですわ。これでもうちょっと失礼なことがあると思うんですが、ひとつお許しいただきたいし、例えばごじゃ言うなということでもそれはつじつまの合わぬこと言うなと、ごじゃ言うなとこう言う。大臣は東京古いですから、私はまだ浅いものですからそれわからぬですが、ひとつお許しいただきたいと思うのです。  まず最初に、実は法案の中身について少し触れておきたいと思うのでありますが、先ほどもちょっと出ておりましたが、今度のこの住宅金融公庫法案の中で老人同居等の割り増し貸付制度というのがありますわね。高齢化社会への対応ということであるんですが、これに関連してひとつ聞きたいのでありますが、住宅金融公庫なりあるいは建設省は、いわば一人当たりの居住面積というのは何平米をお考えになっているんでしょうか、日本におけるその基準をちょっと示してもらいたい。
  42. 伊藤茂史

    伊藤説明員 先生御案内のとおり、住宅政策は五年ごとに五カ年計画というのをつくってやっております。現行の五期の五カ年計画でございますが、その中で居住氷準の目標というのを定めております。これは世帯人員の規模、それから子供の年齢だとか男女の性別であるとかというのを全部組み込みまして、家族構成ごとにどのくらいの面積が要る、それは居住室としてどのくらい要るか、寝室としてどの規模のものが要るか、それから台所とか食堂とかどのくらいのものが要るかというのを全部積み上げてやっておりまして、そこを平均すると一人当たりと先生が言われたのが出てくるわけですが、ちょっとそれを見てみますと、一般型誘導居住水準というのがございます。これは郊外あるいは地方の都市での居住水準でございますが、四人家族で住戸専用面積が百二十三平米ということでございますから、一人当たり三十平米。百二十三平米を四人で割りますと一人当たり、三、四、十二でございますから、三十平米余ということになります。ですから、そこのところは先ほど申し上げましたように規模で、世帯人員の構成であるとか人数によって一人当たりの計算が違ってまいりますから、四人のところをとればそういうことになります。
  43. 三野優美

    ○三野委員 老人同居割り増し、してますな。老人が同居した場合の老人の居住する平米、割り当て、何ぼを基準にしているのか。
  44. 伊藤茂史

    伊藤説明員 老人同居割り増しあるいは二世帯住宅で割り増し融資をしておりますが、その際に限度額を例えば老人同居の場合には六十三年度予算では二十万円ほど引き上げまして百三十万円、それから二世帯住宅では四十万円引き上げまして二百五十万円ということにいたしております。それでどのくらいの規模のものができるかということを逆算して、先生のお答えになろうかと思います。  公庫の予算の組み方とし接して標準単価というのがございます。これが平米当たり十万七千円、ころいうことになっております。それからもう一つは、公庫というのは要る工事費全額お貸しするという制度になっておりませんで、要る額の八割ということになっておりますので、あとの二割を加えまして十万七千円で割る、こういうことをやるわけでございます。同居で計算しますと十五平米、六畳の部屋と押し入れ程度、それから二世帯住宅で三十平米、八畳の部屋と押し入れの二畳とダイニングキッチン、六畳程度の老人用のダイニングキッチン、それから洗面、手洗いが四畳分ぐらいに相当するものがつきます。  それで、先ほど申しました居住水準目標では、老人が同居する場合にどういう面積が要るかということを一つ入れております。それを御参考までに申し上げますと、例えば五人世帯、四人世帯に一人老人が入る、こう勘定しますと、四人世帯で百二十三平米、五人世帯で百五十八平米というものが参考はなろうかと思います。これは誘導水準でございまして目標でございますので、今はそこまで行ってないということでございますが、一つの参考になろうかと思います。
  45. 三野優美

    ○三野委員 あなたのその計算と僕と少し違うのですが、老人同居の割り増し貸付金が百三十万でしょう、今の話だと坪当たり三十万ぐらいで家ができるというのですね。三十万ぐらいでできる家はあるんですかな、今。私は、プレハブその他どこで調べてみても、坪当たり大手が出しているのが五十万ないし五十五万ですよ。そうしますと、平米当たり十五万円ぐらいになってしまう。これは八〇%しかあなたのところは貸しませんからね、そうすると十・七平米になってしまうのです。いわば我々百姓流に言えば三坪ちょっとですね。押し入れを取ってしまうと五畳になるのです。五畳でおじいさんとおばあさん、おまえそこへ入っておけ、こういる発想なんだな、これを見ると、私の計算によると。これは少し私の方が坪単価を高く見過ぎているのかどうか知らぬが、三十万ぐらいでできる家があるのかどうか私は知りまぜんが、どんな家か知らぬけれども、そんなところは冬が来たらがたがた震えるし、夏が来たらもう蒸し暑うて死ぬ。五畳しかないわけです。どうも私は、この百三十万円という割り出し根拠は実際とは大幅に食い違っておるのじゃないのか。ゆとりのある住環境なんて、五畳のところにおじいさん、おばあさん入っておけといったって、これはなかなかいかぬということが一つ。  それから、二世帯住宅というのは、あなたが言われるように、一軒の家で世帯を二つ持っているということですね。そうすると、おやじの方も息子の方も、ふろ場に便所に炊事場があって、やはり押し入れもちゃんとそれに合ったものがある。これも同じ計算でしてみると、平米当たり約十五万円、実はこれは坪五十万円かけているのです。炊事場やふろ場や便所をつくりますとやはりかなり割高になっていますから、五十万を見ている。八〇%ですから二十・七平米、これは六坪なんですよ。こうなると、二世帯ですから、やはり床も要る、押し入れも要るだろう。そうするとこれは約十畳のところへふろ場も便所も炊事場も寝るところも全部つくれなんということになってしまうわけなんです。したがって、どうもあなたの計算と私の計算と合わぬわけなんで、私が学がないから、おまえ数字を知らぬからというのであれば説明してもらいたいのだけれども、どうもこれは合わぬような気がするのですけれども、どうでしょう、間違いでしょうか。
  46. 伊藤茂史

    伊藤説明員 先生の御計算と私どもの先ほど申し上げましたものとの一番の差は単価の問題だと思います。  単価をどのくらい見るかということで、私どもは標準建設費ということで予算上ずっと考えておりますが、これは実績がありますので、実績を踏まえて予算上組むことはなっています。ですから、実態の、いろいろな資材の値上がり、工事費の値上がりを後から追っかけていっているわけでございまして、追い越すことはございませんし、したがって、今現在どうなっているかといいますと、実績単価が、六十一年度が平米当たり十一万六千三百八十円というのが公庫の実態になっております。一方、標準建設費の方は十万七千四百円ということで、若干差がございますが、これは、できるだけ実績単価に近づける努力を今後ともやっていきたい。そういう実態を追いながら、単価を上げていって限度額を上げていくというのが今後とるべき道ではないかと思っております。
  47. 三野優美

    ○三野委員 あなたの方のも、少し差があるが、だんだん数字が私に近づいてきているのだけれども、なおかつ実際とは若干開きがある。しかも、今言ったように、どう考えてみても、あなたのような計算をしてみても七坪かそこらになってしまう。それ以上出てこないのですね。したがって、私は、ここに出しているこの住宅金融公庫基準からいえば、どうも少しこれは実際とは相入れないような状況があると思いますので、この点はもう一遍再検討すべき必要があるだろう。これは実際言って合わないです。これが一つ。  それから、二つ目に入りますが、御承知のように、建築戸数が、六十年が落ち込んで、六十二年から急上昇に入ったわけですね。きょうでもう年度が変わりましたが、いわば六十二年度はかなり急上昇したのだけれども、実は、四回目がどうも申し込み状況が鈍化しつつあるような傾向ですね。  これは、実は私は、この問題があるということで、この間高松に帰ったものですから、金融機関なりあなたのところの金融公庫の支所へも行ってみました。金融機関の方では、どうも落ち込み傾向にある、したがって、この数字が永続的にいくという見通しについて若干不安を持っているようなんですが、建設省、これはどう見ていますか。
  48. 伊藤茂史

    伊藤説明員 六十二年度の募集状況は、先生から今御指摘ございましたように、第四回は一月二十五日から三月四日までやりましたが、昨年の一月九日から三月二十七日まで、これは通常の年の第四回目でございますが、それが九万九千戸ほど来ておりますから、それと比較しますと、先生おっしゃいましたように半分ぐらいということでございます。  ただ、六十二年度は非常に通常の年と違った状況がございました。と申しますのは、第二回募集の段階で、景気の上昇かげん、過熱ぎみかげんとか国際的ないろいろな金融の状況から、金利を少し上げようではないかという動きがずっとございまして、公庫の金利も将来上がる情勢になってきたわけでございますが、そのときに、第二回の募集の際に、この期間を二度にわたって延長したわけでございます。したがって、住宅を買いたいとか住宅を建てたいという人たちは、先に待っておれば安くなるということであれば待っておりますけれども、先々高くなるという予想がありますと、前倒しで先に駆け込むわけでございます。  それで、この第二回の募集が結果的に七月二十日から、通常ですと一月ちょっとぐらいで終わるところを、十一月二十五日までやりたわけです。その結果、この期間に合計で二十三万件ほど参っております。これが言うなれば三回目、四回目の分を食ったという格好はなっておりまして、通年でこれを見ますと四十二万戸ということで、六十一年度が三十七万戸でございますから、一三%の増になっているわけでございます。したがって、公庫の応募状況だけを見ますと、非常にがくんと落ちた格好になっております。しかしそれは、その募集の仕方と金利の情勢に原因があったということでございます。  一方、六十三年度の住宅着工につきましては、金利の状況は予想されたような金利高にはなかなかなりませんで、むしろ低水準、安定型に推移せんか、こういう情勢でございますし、それから、地価の問題がございますけれども、資材その他は相当安定をしているということでございます。したがって、持ち家系は今まで地方を中心に非常に堅調でございまして、この調子が六十三年度も続くであろう。ただ、貸し家につきましては、大都市で非常にふえましたものが地方は波及をし、これが大体一巡をしておりますので、六十三年度は貸し家はピークを越えて落ちてくるだろう、こういう予想でございます。  したがって、総じて見ますと、公庫が全体で五十四万五千戸を今回の六十三年度予算でお願いしてございますが、持ち家の動向、貸し家の動向を見て、その程度の公庫の募集戸数は完全達成が可能だ、こういうふうに確信をいたしております。
  49. 三野優美

    ○三野委員 続いて、先ほどもちょっと中村先生から出ていましたが、親子ローンの金利が五・一%、一般貸し付けは四・五%ですね。この親子ローン、親孝行ローンですか、この方が高いということについて、中村先生も言っていましたが、やはり私はどうも納得しがたい。もう少しこの理由を明確にしてもらいたい。というのは、住宅の改良貸し付けはついても同じことが言えるんじゃないかという気がするわけですね。  それからもう一つは、金融公庫の貸し付けに、住宅の建築延べ面積によって金利差が出てくるわけですね。これはどういうことなんでしょうか。例えば延べ面積を幾らにするかということは、もちろん収入が無関係とは言いませんよ、家族数によって延べ面積が決まるというのが一般的な建築する側の考え方なんです。そうしますと、家族が多かったらおまえ金利を高いのを払えということに通じるので、どうもこれも理屈に合わぬなと。いわばぜいたくという点だけではなしに、家族数に応じて部屋数とか延べ面積を決めてしまうわけなんですね。そうしますと、おまえは貧乏人だけれども家族が多いだけ余計払えなんということになってしまうので、ここの理解はどういうようにしたらいいのでしょうか、ちょっと説明してもらいたい。
  50. 伊藤茂史

    伊藤説明員 先生御指摘のとおり、現状で見ますと、規模別に、大きな広い住宅は高い金利という体系になっています。これは、制度の過去のものを追ってまいりますと、当初は百二十平米未満までを、今でいいますと一番低い金利のところ、昔は五・五だったのですけれども、五・五でお貸しする、こういう制度でずっと長い間公庫はやってきたわけでございます。ただ、それを、国民の居住水準の向上がずっと進みまして、次第に広い住宅を建てるようになってきた段階で、財政の状況等を勘案しながら私どもの方はできるだけ規模の大きなもの、広いものにもお貸しをしたい、こういう希望がございますし、それから財政の方は、そうはいってもなかなか苦しいではないかという話がありまして、結果的に制度として、今まで百二十平米だったものを、さらにその融資の範囲を拡大する過程で、規模の大きいものには若干高目の金利を課すということで制度を創設したわけでございます。それをそのまま引いております。  それで、そういう三段階の規模別金利ができました後、それぞれの規模の範囲を実情に応じて上げる努力をしてきております。当初、規模別金利が発足しましたときには、一番低い基準金利のところが百十平米でございました。これを今現在、六十三年度は百三十五にお願いをしてございまして、したがって、そこまで上がってきております。これは、先ほど言いましたように、五カ年計画の居住水準目標であるとか、それから実際に各地方で行われている住宅規模を勘案しながらそこら辺を決めておるわけでございまして、制度の生い立ちの経緯からそういう結果になっておるということでございます。  それでもう一つ、先生お尋ねの親孝行ローンで財投並みの金利にした、こういうことはどういう理由なのかということでございますが、今申しました規模の大きな住宅には高い金利という全体の大きな体系の枠の中で、先ほど中村先生に対する局長答弁がございましたけれども、バランスを考えながらこういうところに決着をしたということでございます。  もう一度申し上げますと、今までですと二世帯住宅の建設という形で同居ができるわけでございますが、その際にも今は財投並み金利になっておりますし、それから、今回自分の住宅とそれから親族の住宅と二軒建てるわけでございますが、その際にも、例えば両方を合わせて面積を計算してみますとどうしても二軒ですから広くなりますが、そういうもの、それから、一般的な貸し付けで百五十五平米以上二百二十平米は大型住宅ということで財投金利ということになっておりますので、そういうものの今までの体系の中に組み込む場合にやはり五・一ということで決めたということでございまして、ぜひともこの点御理解いただきたいと思うわけであります。
  51. 三野優美

    ○三野委員 あなたは、過去の経緯を拡大していっているのだからそれでいいだろう、こういうふうなことですね。今例えば世間一般的には、親子一緒に住めだとか、二世帯住宅だとかあるいは三世代同居だとか、こういうことを奨励しているわけですね。実は、これは私的なことで申しわけないのですが、私のところもこの四月、あした帰ったら、あしたから三世代になってしまうわけです。七人家族です。みんながそう言うものだから、それではやってみいということで、親子げんかするかしらぬけれどもやるのだが、そうしますと、七人家族に必要な住宅というものがやはり求められるわけですね。今の金利の制度というのは、あなた方の過去の経緯に基づいて、おまえ、七人も住みやがって、大きなのを建てたのだから金利を高うせい、こう言うのだろうけれども、それは理屈に合わぬと思う。やはり私は家族数なりその必要に応じて住宅というのはつくるべきである、それに見合った制度というものに変わっていかなきゃならぬと思うのでして、今までの経緯は経緯として、どうですか、そういう物の考え方もとるべきではないかと思うのですが、その返事だけしてもらいたい。
  52. 伊藤茂史

    伊藤説明員 将来日本の各家庭の世帯がどういう構成になっていって、それに対して住宅事情がどういうふうに発生をして、住宅政策としてどういう方向へ進むかという大問題にかかわるような先生のお話かと存じます。私どもは、やはり二世帯が同居で住みたいという場合に、広い住宅、居住水準の立派な住宅をつくっていただくということは政策的には非常に重要なことでございまして、今後ともいろいろな制度の拡充というのをやっていかなければならぬと思っております。  ただ、今現在のいろいろな分析をしてみますと、大規模住宅を建てる人で結果的に相対的に高い金利の負担をしている人が片方におりまして、それから小さな住宅基準金利で負担をしている方もいるわけでございますが、いろいろな世帯の分布がございますけれども、それを子細に見てまいりますと、大型住宅、大規模住宅をつくっている人の方が非常に負担が苦しいか、小さい住宅で金利の安い方の人は負担が低いか、こういいますと、そういうことにはなっておりませんで、これは統計的なことで恐縮でございますけれども、非常にバランスをしていますので、そういった実態、財政事情を勘案しますと今のところはこれで我慢しなければいかぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  53. 三野優美

    ○三野委員 もうそれ以上議論しませんが、あなたみたいなことを言ったら、私は息子に、おやじとおふくろがついてくるので高い金利を払わなければいかぬから出ていけなんて追い出される危険性があるので、あなたの方に賛成できないんだよ、それは。  住宅金融公庫金融機関の窓口で聞いてみると、通年受け付けはどうだ、こういう話があるのですね。去年は四回やった。四回やるともう通年に近いのです、事実上は。これについてどう考えるのか、ひとつ聞いておきたいと思うのです。  それからもう一つ、続いて申し上げますが、土地に対する融資なんですね、あなたのところが土地に対する融資制度というものをおつくりになっている。これは貸してくれぬより貸してくれた方がいいんだけれども、例えば例を申し上げますと、約六十坪土地を買う。大都市では四百四十万円、地方では百二十万円、坪当たり二万円ということになる。私の住んでいる高松だと二百二十万貸してくれまして、だから坪当たり三万七千円ということになる、これだけで買うということになってしまうとですよ。私は、率直な話をすると、余りにも実情からかけ離れた貸付制度ではないのか。いや、もとの出発は、土地も持っておらぬような貧乏人には貸さぬ、土地を持っている人で上物だけを対象にして出発したんだよと言われるかもわからぬ。そうなんだろうと思う。そうすると、土地を持っておらぬ貧乏人はいつになっても家ができませんで、こういうこの制度について何か矛盾を感じてないのかどうか。  とりわけ、しかも支払い期間が上物と同じ二十年なり二十五年なり三十年ですね。ここで一つ私は聞きたいのだけれども、上物は減価償却するものですから、一遍建てたらば五十年でも百年でもというわけにはいきませんね、木造なんかについてはいきません。そこで、あなたたちは二十五年としたわけです。土地も余計は貸さぬけれども、本来ならばもう貸さぬのや、けれどもちょっと、少しだけ貸してやるわ、手付金程度貸してやる。それで、買うたらばやはり二十年なり二十五年なり三十年、家と同じになっている。土地も減価償却するのですか。私のところの四国では土地は減価償却しない。何万年もずっと続いているわけなんですが、建設省の方はするのですか。これをちょっと聞いておきたい。
  54. 伊藤茂史

    伊藤説明員 まず、お尋ねの受け付けの通年募集の件でございますが、御指摘のとおり六十二年度は四回、以前は三回とかそういったことをやったときもございます。通年という話がしょっちゅう出てくるものですから、できるだけ回数をふやして通年に近づけてきておるわけでございます。  ただ、今先生、民間金融機関にお聞きになったということ、ちょっとお話ございましたが、受託業務をやっております民間金融機関もいろいろございまして、その仕事量の非常に多いところもいろいろあろうかと思いますが、公庫は民間金融機関に対しまして貸付業務をお願いをする、それから債権の管理、回収業務もお願いしております。それから、調査関係のいろいろな仕事もやっていただくというようなこともやっておりますが、こういう仕事の手順といいますか、銀行での募集業務と管理、回収業務等その他もろもろの仕事の手順をいろいろ考えてみますと、しかも、その管理、回収業務のうちで延滞の整理とか融資物件の用途違反の調査とか、非常にややこしいものもいろいろございますので、そういうことも踏まえて考えますと、やはり期間を限って募集をしていった方が仕事の手順として非常によろしいというふうに考えておりまして、四回ということになっております。ただ、利用者の利便からしますと、いつでも飛び込めば受け付けてもらえるというのは非常に便利でございますから、先生の御指摘のとおり重要な課題とは考えております。ですから、その一回一回の期間をできるだけ延ばすとか、そういうことをしながら、先生のおっしゃるような通年業務に近づけてまいってはいかがかというふうに考える次第でございます。  それから土地融資についてのお話でございます。御指摘のとおり、どんな計算をしましても実態と乖離しているということは、これはもう単純明快なことでございまして、これを否定するわけじゃございません。ただ、私どもは、格差がございますし、それから、庶民が住宅取得するときに、やはり土地を持っている人もおられますけれども土地も買わなければならぬ人もおります。したがって、できるだけ実態に合わせようということで逐年非常な努力をいたしておりますが、現状は御案内のとおりでございます。  それで、最近どういうふうな努力をしたかということでございますが、昨年五月の緊急経済対策では、特別割り増し貸付制度ということで二百五十万円、これは金利の高い分でございますけれども、プラスするということをやりました。それから、六十三年度予算案につきましても、最近の地価上昇を勘案しながら東京圏については最高二百万円、通常分が百万円と今お話ししました特別割り増し分をさらに百万円プラスするというようなことをやっております。したがって、そこら辺努力をいたしておるということにつきましては御理解を賜りたいと存じます。  今お話しの、土地費の償却に期間があるのか、それから建物の償却の期間に合わせて土地費を償還するのはどうかというお話でございますが、住宅金融公庫の本来的な使命といいますか、金融機関としての使命でございますが、政策金融機関としての使命としましては、居住水準の向上あるいは良質住宅ストックということで、いずれにしましても上物に目が行っているわけでございます。したがって、建設の際にいろいろな基準がございまして、それをチェックするというようなこともやっております。  それで、住宅を建設するあるいは購入の際に、前もって買った土地がある、その土地は大概の場合には民間のお金を借りて買っている土地でございますが、これを建てるときに公庫融資で肩がわりできるようにする、こういうのが原則的な仕組みになっている。それから、分譲住宅の場合には、上物と土地が一緒でございます。そういうことで、どうしても上物にくっついた形になっておりまして、返済期間は上物と同一という格好になっておりまして、土地費だけを切り離してやるということはちょっと困難ではないかというふうに考えております。
  55. 三野優美

    ○三野委員 伊藤議官、あなたは早うに土地を買うてもう準備しておるのだろうからいいけれども、準備しておらぬ人も余計おるわけ。東京は知らぬけれども、高松のサラリーマンでは準備しておらぬ人は余計おるわけ。  そこで、理屈の問題として、土地も担保にとるのでしょう、貸したらば。家もとる。ところが、家の方は三十年なり二十五年で償却してしまうので、その間に払わなければいかぬよということだが、土地を担保にとったら何代でも続くわけですよ。それを持っていくわけにいかないわけ、担保をとってしまったら。したがって、私は、一戸建て住宅土地も含めて個人住宅というものを推進するとすれば、土地に対する物の考え方を変えて、土地に対する融資制度を再検討すべきだ、こう思うのですが、そう思いませんか。思うか思わないかだけ言うてくれぬかね。そうせぬと、あなた方、今の分に理屈ばかり合わせたって困るので、思うか思わぬか。それで大臣に聞いておいてもらうのだから、大臣が次にそれは変えろということになるかもわからないから、それを言ってもらえないか。
  56. 伊藤茂史

    伊藤説明員 思うか思わぬかということでございますが、土地を買う、あるいは建物と一緒に分譲住宅の形式で買うということは、資産を持たないサラリーマンにとってこれから持ち家を持つ場合にどうしても避けられないことだと思います。したがって、土地費の負担をもっと少なくするような方途はないか、こういう御意見でございます。その点につきましては私ども同感でございます。  ただ、以下また小理屈になって恐縮でございますが、先ほど申し上げましたような住宅金融公庫の基本的な政策の考え方、それから、その根底にはやはり土地に対する、庶民がそういう気持ちを持っているということを申し上げるわけではございませんけれども、やはり土地は投資の対象であるという、これは現実問題そうだと思いますが、そういう問題があるということ。したがって、資産として非常に大きな役割をするわけでございますが、資産に対する国の援助といいますか、そういう物の考え方でございますけれども、これがなかなか、いろいろな制度がございますけれども非常に厳しゅうございます。したがって、例えば農業政策土地に対する考え方、これは要するに生産手段でございますから、それと個人の資産としての土地に対する援助の考え方というのは、日本の今までのいろいろな制度を見ますと考え方は全く違っておるわけで、そこら辺の大問題もございますので、先生の御意見ども十分理解できますけれども、現実はなかなか難しい問題があろうかと思うわけでございます。
  57. 三野優美

    ○三野委員 もうこれ以上議論しませんが、私は土地だけに貸せいと言っているのじゃない。土地も買い家も建てる人に、土地に対する物の考え方を少し変えた方がいいんじゃないのか。それでなきゃ土地が手に入らぬよ、土地がなければ上物も貸さないということになっちゃうと結局どっちも借りられないということになっちゃうので、その点についてはやはり検討すべきじゃないか。物の考え方に間違いがあると私は思うのです。これを一つ指摘だけして、ぜひ改善してもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、金融公庫の方に御出席いただいておるのですが、これは私、窓口で聞いたのですけれども融資をするのは、まず基本的には、案外窓口でも金融公庫の支所でも利用者の意見というものが割と入ってこないような仕組みになっているわけです。なぜかというと、こうやって法案をつくる、つくったらば窓口へ来る、これこれの条件の中でのみ貸します、それ以外はだめですよ、こうなっちゃうのですね。そうしますと案外に意見が出ないと言うのです。もちろん制度もだんだん改善されてよくなったからということもあるだろうと思うけれども、実は行ってみてびっくりしたのは、直接利用者の意見というのはほとんど出てこない。どうして出ないんだと言ったら、金融機関の方は、いやそれはうちの方はどうにもなりませんから、こういう制度でこうなっていますよ、この範囲の中で御利用されるならばどうでしょうかということが出てきているのですね。  そういうことについて日常業務をやって、しかもあなたのところの窓口へは一般の利用者は来ないわけで、みんな金融機関へ行くわけです。あなたのところは窓口をあげているけれども、利用者は金融公庫へ一々行ったり電話をかけたりすることはないでしょう。件数は非常に少ないですね。そういうことについてどうお考えになっているのか、どう受けとめているのか聞いておきたい。  それから、融資の回収状況は今全体としてどうなっているのか。そして、私が地方の金融機関の窓口で聞いたところによると、一戸建てよりもマンション購入者の方が回収困難率が高い、こういうふうに聞いているわけです。東京とか大阪の大都市は知りませんよ、マンションがほとんどでしょうから。地方へ行くとそういうのが多いというのですが、こういうのはどういうようにお感じになっていますか。  言われてみると、地方なんかではマンション購入者は年齢層が一戸建てよりも割と若い。それと同時に、二、三男坊が嫁さんをもらった、親は田んぼをつくっておるけれどもすぐに家を建てるという経済的力もないので、まあとにかくマンションでも買って入っとこうかという、まあがついているのですな。そういうことで、どうも地方ではマンション居住者の中には、全部とは言わないけれども、一部だろうけれども、やはりしっかりした住宅計画というものが立ってないんじゃないかという気もしたわけなんです。あなたのところの支所の話ではない、金融機関の話なんですが、これらについてどうお考えになっているのかということが一つ。それからもう一つは、私が今まで指摘した部分について、私は先ほどから必死になってやっていますが、公庫としてこの点は特にこうだというのがあったら、ひとつこの際言ってもらいたい。
  58. 亀井敬之

    ○亀井説明員 広いお尋ねがございましたが、まず後段の方に先にお答えをさせていただきたいと思います。  御指摘の一戸建てマンションの回収、延滞の状況いかんというお尋ねでございました。私どもの債権回収の管理上では一戸建てマンションを区別してとっておりませんので、お尋ねの実態に関しましては残念ながら明らかではございません。ただ、個人にお貸しをいたしております個人債権全体ということで申し上げさせていただきますと、六カ月以上の延滞の件数は、これは六十一年度末、六十二年三月末でございますが、一万七千五百八十三件というような状況になってございます。お貸ししております件数は全体でもう五百七十五万件を超える数字でございますので、率といたしますと〇・三一%というような状況でございます。  そういう延滞の状況でございますが、こういう原因といたしましては、いろいろな経営不振とかあるいは臨時の出費等ということでございますが、私どもは、こういった状況にかんがみまして、基本的には延滞を防止していくためにやはり申込人に無理のない資金計画を立てていただくことが非常に重要じゃないかと考えておりまして、先生御指摘の、金融機関の実際にお借りになられる窓口におきまして、全体の資金計画とか返済計画をトータルでお出しいただきまして、十分審査をし、延滞の未然防止に努めておる、こういうことをいたしておるところでございます。  最初の前段は、別途、お答えを別の者が申し上げます。
  59. 吉澤奎介

    ○吉澤説明員 先生の前段の御質問に対してお答え申し上げたいと思うのですが、金融公庫の貸付条件、多々ございます。  それから、例えば自分で設計をしてお建てになる場合あるいは既にできている家をお買いになるという場合、大きく分けると二つに分かれるわけでございますが、私ども先生のおっしゃる意味、若干わからないところがあるのですが、例えば家をおつくりになる場合に原則としてどういう家をおつくりになろうとも、例えば現在ですと、二百二十平米を超える家はだめだとか、そういういろいろな制約がございますし、またお貸しするお金の額の制約もいろいろございますが、どういう家でなくちゃだめだとかいう種類の制約は、これは例えば基準法をマスターしてないとかあるいはそのほか私どもで決めております建設基準に合致していないとかいう、これは詳細審査の結果だめになるものがあり得ることは確かでございますが、申し上げたように、原則としてどういう家に対してでも私どもで決めている条件の範囲内ではお貸しできるようにしているというつもりでございます。
  60. 三野優美

    ○三野委員 いわば滞納している部分が、一戸建てそれからマンションとの差というのは、どっちがどうかというのはよく統計がとれてないようですけれども、あなたのところは窓口が直接ありませんが、金融機関ではやはりそういう実態があるということを聞いておりますので、何らかの形で統計をとってすべきだろうと思いますから、それだけ指摘しておきたいと思います。  それから、住宅政策の一般について少し政府の側にお尋ねをしたいのであります。  住宅が順調に伸びている。伸びているんだけれども、いわゆる技能労働者、我々の言う職人ですね、職人の確保が非常に困難であるという事態なんですね。しかも公共事業が非常に伸びていく状況の中で、都市に取られちゃって地方ではもう職人がつかまらぬ、こういうことが非常に問題になっているわけです。  いわば建築の技能労働者の確保というものが非常に重要になるのですけれども、一体なぜできないのかと考えてみると、やはり一つは、建設業に携わる企業の側の雇用形態というものが非常に非近代的である。職人は必要なときだけ日当で雇って、必要ないと、はい、ぽい、こうなっているのですね。大手であろうが中小であろうが、いわば職員として建設技能者を常に雇用するという、そういう体制がないわけでありますが、この点について建設省はどういう指導と将来に対する展望を持っているのか。  あるいは木造関係の技能者が特に不足しています。職業訓練校というもの、例えば建設労働組合が外郭団体として職業訓練学校をつくる。来ないのですよ、実は。若い人が来ない。これは労働省が担当しているのですね。労働省の方は失業対策としてやってしまうわけなんです。これはむしろ建設行政を担当する建設省が技能者の訓練あるいは確保という問題を含めて考えるべきだと私は思うのですが、この点についてどういうようにお考えになるのでしょうか。
  61. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生からまず技能労働者のことでお尋ねございましたけれども、全般的に建設業といわゆる職人といいましょうか労働者の需給の関係、確かにおっしゃるようにいろいろと現象面で問題が出ております。  私ども実はこの辺については、五十四年度から毎月の建設労働需給調査というものもやってまいっておりますけれども傾向として見てまいりますと、これは言うまでもないことでございますけれども、建設投資、需要の大きさによって非常に変動がある、これは当たり前のことでございまして、低迷期には余裕がある、需給は緩和しますけれども、建設投資が増大する局面では、とりわけ特殊工でありますような型枠工とかそれから鉄筋工あるいは昨今では先生おっしゃったような大工などの技能者が不足している、こういった局面が出てまいっている傾向がございます。さらにまた、一年間通してみますると、これはまた時期によっていろいろとばらつきがあるわけでございまして、年度当初とか年度後半、これは一般的に需給は緩和する傾向がありますけれども、秋口から年末にかけては例年のように厳しい状況がある、これはおっしゃるとおりでございます。  こういったことは今先生からお話がありましたけれども、建設業という業種の特性といいましょうか、言うなれば受注産業として現場で組み立てるという産業構造、あるいはまた季節によっても地域によっても非常に事情が変動する。こういったことなどからしますと、お話もありましたけれども、いつもピーク時に合わせて労働者を確保しておくということがなかなか困難な業務の実態である、こういったことは私どももまた率直に認めざるを得ない実情があります。  そういった中で業界としてもいろいろと御苦労されておりますし、私どももそれなりの努力をいたしてきてはいるわけでございますけれども、基本的な課題としまして、やはり私どもはこういった良質の労働力を何とか入れやすい環境づくりというのは大変重要な課題である、こういうふうに受けとめております。そういった中で、いろいろの労働条件が悪いとかあるいは職場環境が悪いなんということも改善していかないと、良質労働力がなかなか入ってきにくいという事情はいつまでも払拭できないわけでございますので、そういった面での努力をしているわけでございますが、私ども特に建設省としてといいましょうか、発注者としてできること、また努力すべきこともあるわけでございまして、とりわけそういう現象が深刻に出がちな下請のレベルなどについていろいろ考えますと、元請、下請関係の合理化、こういったものもさらに積極的に進めてまいりたいというふうに思っております。  なお、これは抜本的な課題というものを考えますと、現象的な問題も大事でございますけれども、やはり建設業自体をどういうふうにこれから産業として持っていくか、こういったことが大変重要な課題であると認識しておりまして、現在、中央建設業審議会で御審議をお願いしている一つの大きなテーマとしてこれを勉強をいただいておるわけでございます。六月ごろには御答申いただくということになっておりますので、よく詰めたいと思います。  それからもう一つは、職業訓練の問題でございます。今おっしゃるように、最近非常に職業訓練を受ける希望者が減ってきておるという状況があるわけでして、これは労働省でやっていただいておりますが、私どもも、労働省にいろいろとお願いしておりますけれども建設省としてももちろんできることはないのか、こういう点は大事な課題でございます。私どもの関係で言いますと、社団法人の営繕協会というものを持っておりまして、こういったところで施工管理者の教育なんかもやっておりますけれども、特にそういったことも頭に置きながら、六十二年度、今年度私どももいろいろと調査をしっかりやろうということで、「若年建設従事者の確保等に関する調査」というものを、とりわけ工業高等学校、こういったところを対象に今調査中でございます。言うなれば、建設業に向かう希望者の意識というものはどうであるかとか、あるいはまた一たん入ってまたやめてしまったという人も数少なくなくいますので、こういった点について、どういうふうな受けとめ方をされているのかなどの点をいろいろと調査中でございまして、これも結果が出次第、早速に私どもはこれから施策に反映していきたいと思います。
  62. 三野優美

    ○三野委員 あなた言われるように、技術屋さんが安定的に職が確保できないというのがあるわけです。言ってみれば我々みたいな田舎言葉で言えば使い捨てなんです。必要なときだけ使って、はい帰れ、こうなっちゃう。これではやはり若い人が新しくこの職業につこうということになりませんね。したがって、やはりこの点では業界の体質も変えなければならぬが、業界に対する指導力を建設省は持たなければならぬと思いますので、この点は一つ指摘だけしておきたいと思います。  それからさっき言ったように、労働省がやっているのは失業対策でやっているわけです。建設省が職業訓練校を持って、そして自分のところで育てた者をどう安定的に定着さすかという方針をみずから持たないといかぬということも、あなたもちょっと言われておりましたが、時間がないから指摘しておきます。  それから、時間がだんだんなくなってなんですが、この際ですからひとつ公営住宅の入居基準、これはだんだん緩和されつつあるけれども、実は皆さんのところの若い人でもそうですが、例えば地方公務員なり国家公務員のだんなが入る、嫁さんが勤めていたらもう最初から入れないわけですね。嫁さんをもらっても、嫁さんをやめさすかしなければならぬ。低いのを上げろという意味じゃないですよ、もちろん低所得者が入りやすいような状況をつくらなければならぬが、もう少し実情に合ったような、今ごろもうみんな夫婦勤めですよ、若い人は。そこで、そういう緩和する考え方、幅を広げる考え方があるのかどうか、ひとつ聞いておきたいと思うのです。  もう一つは、前からも聞いていますが、国公有地の公営住宅への活用というのを考えなければならぬ。国公有地を売ったらみんな寄ってたかって値上げをされてしまってどうにもならぬということで、今ストップをかけていますね。私は特に東京など大都市の国公有地を売るのは基本的に反対であります。したがって、あと法案がいろいろ出てきていますけれども東京では持ち家住宅なんていったって、庶民にはとてもじゃないが届く状況ではない。もう上がるのはとまりましたよといったって、このままとまったってどうにもならぬわけですから、そういう意味では私はもう、東京とか大都市は働く、稼ぎの場所ですから、公営住宅を建ててもらって稼ぐ間公営住宅でおって、退職したら、近いところがいい人は山の方へ行って、涼しいところがいいといったら青森へ行く、暖かいところは四国へ、こういうことでやはり東京の生活環境というのは根本的に変えなければしようがないんじゃないか。東京で持つというのだったら、給料を今の五倍か十倍あげなければ東京で家を持てませんので、そういう意味で、国公有地の公営住宅への活用ということについてこの際ひとつ聞いておきたいと思うのですが、どうでしょう。
  63. 片山正夫

    片山(正)政府委員 最初の、公営住宅の入居基準の問題でありますけれども公営住宅の入居基準の決め方としましては、第一種公営住宅につきましては所得分位下位から三分の一を目標に、また第二種公営住宅につきましては六分の一を目標に設定をしておるところでございます。これにつきましてはおおむね三年くらいを目途に改定をしているところでございまして、現在のものは六十一年七月に改定したところであります。  しかし、御指摘にありましたように、新婚の共稼ぎの方々が、共稼ぎの状況がそれぞれのパート的な要素でなくして完全になりましたときに入居が困難な事例ということはよくございます。またそれが、共稼ぎの状況がしばらく続きましてから子供が生まれまして退職をしますると、途端に月給が減りまして公営住宅階層にはなる。しかし最初のときには入れないという矛盾点は確かにあるわけでありますが、現在の入居基準のとらまえ方としましてはその時点世帯の総収入ということで、これを別の便法というか新しい基準をつくるということはなかなか困難な点は確かにありますけれども、現実に矛盾が出ていることも事実でございますので、これは何らかの形でもって研究はしなければいかぬと思っております。  現在、所得税法の控除とは違いまして、どのような大きな収入が共稼ぎの相手方にありましても、入居の基準の場合の控除の対象、三十三万には入れているのです。その点は所得税法よりは有利な扱いをしているところですけれども、御指摘のありました点については研究をする必要があるかと思っております。  それから国公有地の使い方でございますけれども、大都市圏におきましてもう空地が少ないわけでございますから、これは住宅対策からとりますとまことに魅力的な土地でございまして、何とか使いたいと考えております。しかしながら国公有地につきましては、他の利用用途等もございますので、そういうこととの調整を十分図りまして公的住宅の用地として利用すべく努力をしてまいりたいと考えております。
  64. 三野優美

    ○三野委員 これはまた後で大臣から最後は答えてもらったらいいと思うのですが、例えば東京で大蔵省が持っている土地と国有鉄道が持っておる土地の半分を使ってみても公営住宅がかなりできるんじゃないかと思う。これは売るんじゃなしに貸さなきゃならぬと思うのです。貸し住宅。これは計算したことがあるかどうか知らぬけれども、ぜひひとつ大臣にも注意してもらって、これは国民の財産ですから国民に使わすのが一番合理的なのですから、この点はひとつお願いしておきたいと思います。  最後に住都公団に忙しいところ来ていただいてまことに申しわけありませんが、あなたのところはこのごろ割と派手で、新聞によく取り上げられているのですが、億マンションというのをやっているらしいのですね。この資料をもらった限りにおいては、五千万円以上が例えば首都圏でわずか〇・七%、近畿圏で一・三%。とにかく一億近いのをこの間売り出しをした。するとさあっと来たというのだけれども、私は率直に申しまして、国民感情から言うならば、住宅難になっている状況の中で住都公団というのは庶民の味方だ。それなのに、事もあろうに億に近い九千九百八十八万円なんて、こんなものをつくって何だ、これはやっぱりだれでも言いますよ。ところが実態を見ると、そんなに数が余計あるわけじゃない。こんなものおやめになったらよかったんじゃなかったでしょうか。いかにも新聞だけ見ると、国民の側から見ると、我々庶民のことを考えないでそんなものばかりやっているんじゃないか。これを見て私は、政策上これは非常に失敗したと思っているわけなんです。これはどう考えるのかひとつ聞いておきたいのが一つ。  それからもう一つ聞いておきたいのは、あなたのところが出資をしている法人がたくさんある。これも資料をもらって見ると、何とまあつくったもつくったも別会社を十八社つくっているわけです。この十八社つくった理由をひとつ聞かしてもらいたい。調べてみると、詳しいことはまだよくわかりませんが、この資料を見る限りにおいては、同じような会社を各団地ごとというか各ブロックごとにつくっているみたいなことがあるわけですね。しかもこの関連会社には、あなたのところのOBなり、建設省は余り行ってるみたいじゃないけれども、どんどんどんどん行っている。こんなのはOBをやるためにつくったの。私はもっと整理統合すべき点がある、十八社は要らないと思う。団地ごとに会社をつくっている。これはやっぱりだれがどう見てもどうもうまくない。しかも、もとの出発が庶民の住宅確保という関係ですから、別会社をつくるにしてみても、やっぱりそこに住んでいる居住者のサービスのための会社、しかも他の企業ではやりづらい、関連企業でなければ、採算を度外視してでも住民のためにやらなければならぬという企業ならばいいですよ。それがだんだんだんだん膨れ上がって、この間も新聞に出たように、団地サービスなどというのは他の企業でもやり得るところまで手を出してしまっている。こういう傾向がある。それが膨れ上がってしまってこういう事態になっていると思うのですが、この点について一体どういうようにお考えでしょうか。
  65. 倉茂周明

    倉茂参考人 第一点の御指摘の九千九百八十八万の住宅のことでございますけれども、私どもとしては適切でなかったというふうに考えております。  ただ、この住宅につきましては、共同分譲住宅と申しまして、公団宅地を造成し、その宅地を分譲する、その宅地の上に民間の開発者が住宅を建てまして、それを売る。それをあわせて募集いたしますものですから総額でそのような数字になりまして、甚だ御迷惑をかけているわけでございますが、公団自身が国の資金をお借りしてつくります分譲住宅につきましては、先ほど先生もおっしゃいましたように五千万を超えるものはごくわずかしかございませんし、平均では六十一年度三千十万、六十二年度につきましては、十二月末でございますけれども三千万というような水準を確保し、十分中堅勤労者の期待にこたえられているというふうに考えております。
  66. 京須實

    京須参考人 先生の御質問の後段につきましてお答え申し上げます。  御質問にございましたように、住宅都市整備公団が出資等を行っております会社等が十八ございます。うち三つは財団法人でございまして、いわゆる出捐と申しまして寄附行為をやっておるわけでございますが、その中での内訳を申し上げますと……(三野委員「内訳はいいですよ」と呼ぶ)よろしゅうございますか。公団の団地居住者等のための利便施設の建設または管理等を主とするものが十ございまして、これが一番多うございます。その他に、公団団地の熟成等のための鉄道建設等のために鉄道を業務とする会社に出資している場合とか、あるいはまた公団が再開発等を行いました場合に、再開発で建設しました再開発ビルの管理のための法人とか、いろいろあるわけでございます。  いずれにいたしましても、公団の事業の周辺にございまして公団と密接な関連のもとに実施するものでございますので、公団がみずから行う必要があるのでございますが、予算あるいは人員等の制約もございますし、また、その実施に当たりまして専門的な知識とか経験を必要とするものもあるわけでございます。したがいまして、別法人によりまして事業を行うことがより合理的であると認められる場合に我々はそういう法人をつくったわけでございまして、決して天下り等のためを考えたわけではございません。
  67. 三野優美

    ○三野委員 最後にしますが、大臣、これはみんな、議員さんでも、私も十八もあるというのは知らんかった。やっているもやっている、とにかくまだ、今言ったように鉄道までやろうということですから、それは鉄道だってやったら住民のためにはなるかもわからぬよ。それから都市開発という形で大きなビルを建ててしまって、貸し事務所もやるわけ。私は、やはり出発の性格から言うと少し行き過ぎていると思う。管理する大臣としてもう少しこの辺を監督、注意してもらいたい。大臣も中身は御存じないかもわからぬわね、これは何分にも規模が大きいものですから。その点を特にお願いをして終わりますが、決意を述べていただきたい。それと、さっきの国公有地の問題、この二つ。
  68. 越智伊平

    ○越智国務大臣 数点について政府委員と論議をいたしましたが、大臣としての考え方を申し上げておきたいと思います。  第一点、先ほど通年貸し付けでどうかという御意見でありますが、このことにつきましては政府委員から答弁をいたしましたが、もう一点、これは財投金利を〇・五下げるということがございますので、結局、ただいま百二十五平米までが四・五%というのが、財投金利が今五%でありますので、これの上下がありますから、その点からいっても通年でやりますと一定の金利になりますからそれがちょっと都合が悪い、こういう点もございますので、御理解をいただきたいと思います。  それからもう一点の、土地に対する金額が少ない、これはお説のとおりであります。もっとふやしていくべきだと思いますが、これは毎年、住宅金融公庫の貸付金額、条件、金利等について大蔵と常に折衝をいたしておりますので、もともと建物ということで出発をいたしておりますから土地が非常に低いのでありますが、逐次地価が上がっておるわけでございますから、少しでも上げるように今後努力をしていきたい、かように思う次第であります。  それから、技能労務者の問題であります。これも政府委員答弁をいたしましたが、基本的にはブルーカラーの賃金がもっとよくないと、所得がよくならないと人は来ない、私はこういうふうに思います。今でも、機械に乗るという格好のいい仕事は人がおります。ただ、大工さんとか鉄筋工とかこういうものが少ない。でございますから、これはもっと所得が多くならないと集まらない。建設省対策といたしましては、できるだけ公共事業を平準化して、こういう技能労務者が一時にたくさん要らないように平均化していく、こういうことであります。  それから支払いの方は、もちろんローンの支払いの問題はお説のとおりでございますから、公庫から御答弁がありましたように、できるだけ返してもらうように努力をしなければいけないのでありますけれども、構造不況で失業したような場合がありますので、これはやはり余裕を見てやらないと、例えば広島県の因島のようなところ、造船所が全部やめてしまった、こういうところの金を借りておったが支払いができないというのはやはり少し支払い延期をしてやらないといけない、こういうふうに考えております。  それから、ただいまのお話のJR等の土地、旧国鉄の土地等につきましては、私どもの希望は、できるだけ地方公共団体に払い下げて公営住宅、また我が方の住宅公団にもいただいて貸し家なり分譲住宅、こういうことでございますが、これは鉄道の清算事業団との話がまだ十分ついてないというのが実態でありますけれども、私ども建設省の立場では、できるだけ住都公団なり地方自治体に譲渡して、そこで住宅に使えるようにしてもらいたい、こういう希望を申し上げておるという状況であります。
  69. 三野優美

    ○三野委員 住都公団の監督、頼みますよ。
  70. 越智伊平

    ○越智国務大臣 もう一点、住都公団の今の問題は、非常に高額な分譲住宅、これは大阪の箕面市にありまして、箕面市の希望も、ちょっといいものをやってくれという話もあったそうであります。また、マンションに入って、マンションを売って買いかえというような方もあるようでありますけれども、本来住都公団の問題でございますので、中堅サラリーマンということで、今後は一億とか、あるいは家賃もうんと高いものはやめるように既に指示をいたしております。でございますが、必ずしも、先ほど言いました三千万前後の平均でありますけれども、三千万だけでなしに、それは都市の中心部にありますと五、六千万になる場合もありますが、一億というようなことはしないように指示をいたしております。  それから、会社が十八ですか、これも私も見ておりますが、よく検討をしてみまして、不要のものは合併するなりなんなりするようにいたしたいと思いますが、ただいま話を聞きますと、皆必要で、それが十分サービスに供しておる、こういう話を聞いておりますが、なおよく検討をしてみます。
  71. 三野優美

    ○三野委員 どうもありがとうございました。
  72. 中村喜四郎

    中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  73. 中村喜四郎

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  74. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、委員長初め当委員会委員の皆様の御了承をいただきまして、きょうは住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に関連いたしまして、住宅に関する件を何点か大臣並びに建設省にお伺いしたいと思います。  大臣もきょうの新聞をごらんになってまた心が痛まれたと思うのでございますが、土地の公示価格というもの、あの記事は見出しの上だけでは必ずしも正確に現在の実態を言ってないなというのは大臣も気持ちの上にあろうかと思います。いずれにしましても情報化社会でございまして、あのような情報が流れるとまた国民からマイホームが遠くなったのかなという感じがするわけでございます。私は、それらを含めましてまず大臣に、現在の日本の住宅事情といいますか実態に対する御認識、さらにはまた、住宅問題といえば言うまでもなく首都圏、なかんずく東京に限るような問題の感すらございますが、首都圏住宅事情は関してはどういう御認識をお持ちであるか、最初にお伺いしたいと思います。
  75. 越智伊平

    ○越智国務大臣 首都圏全体でありますけれども、お説のとおり、まことに残念でありますけれども非常に地価が高騰いたしました。私ども地価を、今横ばいとかわずか下がったとか言っておりますけれども、もっともっと下げなければならない。この施策は、やはり一極集中から分散をしていくことが第一点。第二点は、需要と供給の面でありますから、やはり供給の面をふやしていくということをやらなければならない、こう思いまして、今努力をしておる最中であります。高値安定になったのではいけない。一部には、これはこの後大分値下がりすることもあり得るというような意見も出ておりますけれども、何としてでも供給をふやしていかなければならないと思っております。  さて、住宅の問題でありますけれども住宅は全国的に見て戸数そのものはございますけれども、非常に住環境が悪い、劣悪だ、こういう認識であります。でございますから、今からよりゆとりのある住宅供給していかなければならないと思う次第であります。そして大都市ではお説のようにサラリーマンの住宅、持ち家が非常に難しくなっておる、これはもう実態であろうと思います。中小都市では必ずしもまだそうではないと思っております。でございますから、ひとつ地価をうんと下げていく、そして金融面、税制面で優遇をして持ち家政策を進めていく、また低所得者等については公営公団住宅供給していく、しかも家賃を適正な価格で進めていかなければならない、こう感じておる次第であります。
  76. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと重ねて大臣にお伺いをしたいと思うのですが、今大臣の御答弁の中にも出てきたわけでございますけれども、大臣がいみじくもおっしゃられたように、東京都内では平均的なサラリーマンが一戸建てといいますか、あるいはマンションにしてもそうですけれども、家を購入するのはもうほとんど困難だという感じがあるわけでございます。最近の新聞、大臣も篤と御承知のように、見出しですからそのまま読みますと、「ついに都心二十キロ圏まで 新築一戸建て供給ゼロに サラリーマン 遠距離しか買えず」あるいは「東京のマイホーム あきらめちゃった」あるいは「マイホーム断念、消費に走る首都圏人」、こう出ておりますが、いずれにしてもまじめに働くサラリーマンが東京で家を求められない。よく言いますけれども、デンデンムシムシカタツムリだって生まれたときから住むところを持っているわけです。一番大事な人間の衣食住という生活の問題の衣と食は、非常に飽食の時代とかファッショナブルになっておりますけれども、肝心の住の問題ではサラリーマンが東京都に住めないということは、住宅建設の主管の大臣としては非常に遺憾といいますか困ったことだなと私は認識しておるわけでございますけれども、サラリーマンが、まじめに働いている人が家を持てないという現実については、重ねてで恐縮ですが、いかがお考えになられますか。
  77. 越智伊平

    ○越智国務大臣 率直に言って、まじめにサラリーマンが働けば退職時には家が持てる、以前はこういう目標でございました。それを今はローンによって途中でも持てる、こういうことが望ましい、全国的にはそういうことが行われておると思います。ただ、先ほども申し上げましたように首都圏については地価上昇で非常に持ちにくい、絶対持てないということでもございませんけれども難しいと思います。ただ、東京都でも古いマンション等は二割も三割も下がったというふうは言われております。土地も、地上げと言っていいのかどうか、今買っておる人が実は困っておるというようなことが言われておりますので、これが放出をされれば、しかし損して売却するというのも大変でしょうけれども、これは困ったものだなと思いますけれども、そうしたものが出てくる。先ほど申し上げましたように、地価も高値安定でなしに下落方向に向かって努力をしていかなければならない。また、通勤の問題ですけれども、郊外でも一時間程度のところに住宅が持てる、持ち家が建設できる、こういうふうに進めてまいりたいと思っている次第であります。
  78. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、ずばっと聞きますけれども、では建設省住宅政策というのは、まじめに働いたサラリーマンが東京都あるいは首都圏で家を買えるように地価をどこまで引き下げるか、需要と供給というお話がございましたが、建築費はそうかかってはいないと思うのです。問題は地価だと思いますけれども、いずれにしても建設大臣の御決意としては、サラリーマンが東京中心首都圏に家を持てる程度にしていくということが建設省住宅政策である、こういう認識でよろしいのかどうか。それから、本年度の建設省の重点政策、そのために建設省の目玉はこういうことをやって住宅取得を非常に楽にしますよ、こう国民の皆様にお約束なさっていると思うのですが、そのことを要点だけ簡単で結構でございますからお答えいただきたい。
  79. 越智伊平

    ○越智国務大臣 率直に申し上げまして、今一戸建て住宅首都圏で持つというのは非常に難しい、こう思うのですが、行く行くは一戸建ての持ち家ができるように進めたい、こう思いますが、ただいま現在では高層マンションですね。高層マンションではやはり中堅サラリーマンが持てるようにやっていきたい、こういうふうに思います。  そして、先ほどお話がありましたことしの住宅目標としては、やはりこの持ち家、それで低所得者には貸し家でやっていけるように、しかもゆとりのある住宅ですね。少し、ゆとりあるという言い方がどうかと思いますけれども、先ほど言いました、戸数はあるわけですから、より大きい、またいろいろゆとりのある住宅、これを進めていきたい。このために貸付金利の問題とかあるいは税制でもそういうふうな方向に向かって努力をいたしておりますし、ただいまも提案をしておるような次第であります。
  80. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ、この辺から少し局長に具体的にお伺いしたいのですけれども、わかりやすく数字でお答えいただければ結構ですが、よく言われることに年収の何倍という言い方をしますね。建設省は、大体年収の何倍ぐらいを建設省住宅政策目標として国民の皆様にお約束できる、サラリーマンの方の年収のこのぐらいの金額で住宅取得するようにいたします、それは戸建てあるいはマンションでも条件は大体同じですけれども、大体何千万ぐらいにいたします、それで年収の何倍です、年収は幾らぐらいですと、お考えになっている一番基礎になる資料をちょっと言ってください。
  81. 片山正夫

    片山(正)政府委員 住宅取得の一応の目安と申しますか限度価格と申しますか、そういう点につきましては、ベースとなりますものは住宅宅地審議会からの御答申にあります負担率の問題でありまして、持ち家を取得します場合に所得からの償還限度率を所得の第一分位から第三分位までは二五%を限度とするとありまして、また第四分位、第五分位は三〇%を限度にするという御答申をいただいております。建設省といたしましてもこの二五%ということを一つの目安としてとらまえまして、次に住宅取得します場合は、基本となりますものはまず自分で持っております自己資金がベースでございまして、そのほかに借入金、この二つでもって調達可能額が出てまいります。この調達可能額の算定に当たりましてはいろいろの方法があろうかと思いますけれども京浜地区での現在の状況で私どもが推計しておりますのは、まず年収につきましては、六十一年度の貯蓄動向調査、これをベースにいたしまして、次に政府経済見通しで使っております一人当たり雇用者の所得の伸び率、これを掛けまして六十三年の京浜地区勤労者平均的な年収というものを出しますと、これが七百七万円になります。  次に、自己資金貯蓄動向調査から推計いたしますと、六十三年ベースでは六百八十三万円と推計ができます。この場合の自己資金には生保等の使いづらいお金というものは貯蓄から除きまして、その他の使える、処分できる貯蓄を六百八十三万円、次に公庫の借入金をまず借りることにいたしまして、これは通常分と特別割り増し額、これもいろいろの借り方で金額が違ってまいりますけれども、この場合セッティングしておりますのは通常貸し付けが千二百万円とセッティングしまして、特別割り増しを六百五十万円とセッティングしております。次に、先ほどお話ししました償還限度率二五%に至るまでに民間借入金をこの場合六・四八という固定性の金利のものを導入することにいたしまして、これで締めますと資金調達可能額としては三千五百二十七万円になります。  その次に住宅取得促進税制による効果、これは所得減税がございますので、このことによりましてさらに民間ローンが割り増しで借りられるということの効果を入れますと、資金調達可能額として三千七百十二万円でございます。  これを先ほどの七百七万円で割りますと五・二五倍、こういうことになりますので、一応の限度としての目安、これは約五倍、こういうことで金額的には三千数百万円の値のところが一つの目安のものであろうかというふうに考えております。
  82. 薮仲義彦

    薮仲委員 私も建設委員を前は長くやっておりましたので、いつもこの七百七万とか京浜地区の、とやられておったわけでございます。私も実感として余りぴんとこないわけですよ。サラリーマンの方に聞いてみますと、そんなことないよというお話があるものですから、きょうは賃金の総元締めの労働省にちょっとお伺いしますけれども、これは局長も御承知のように、後でこれは詳しく一つずつやっていきますけれども、我々が住宅取得しようとする必要な段階は、結婚して子供さんが六歳から七歳いわゆる小学校へ入ったころから住宅に対するいろいろなニーズが出てくるわけです。それは後でお話ししますけれども、要は、住宅取得というのは三十代から始まるのです。では、その三十代からどの辺までが限度だといいますと、償還が二十五年あるいは三十年ぎりぎり貸してくれるといっても、四十五、六になってきますと、きょうは公庫の方もお見えでございますけれども、なかなか貸してくれません。二十年ぐらいにしてくださいとか圧縮されてきます。三十代で借りれば償還年数いっぱいまで借りられるんです。ローンも組めるわけです。三十代から四十代の東京神奈川、よく京浜地区とおっしゃるけれども、実際の給料というのはどうなのか。六十一年度で労働省の統計、私、これ見まして、ちょっと金額が違い過ぎる感じがするわけですけれども、労働省、金額だけ言ってください。もう時間がありませんから、ばりばりと数字だけ言えば、わかっていますからどうぞ。
  83. 樫福保雄

    樫福説明員 労働省としましては、年齢別の年間の賃金というのを直接把握した統計を持っておりませんけれども、賃金構造基本統計調査によりまして、あくまで推計でございますが、東京、三十から三十四歳四百六十八万九千円、三十五歳から三十九歳五百五十九万二千円、四十から四十四歳六百三十八万三千円、四十五歳から四十九歳六百九十五万八千円、神奈川、三十から三十四歳四百五十三万三千円、三十五歳から三十九歳五百三十四万二千円、四十から四十四歳五百八十一万五千円、四十五歳から四十九歳六百十七万三千円、これはあくまで六十一年の推計値ということでお答えさせていただきます。
  84. 薮仲義彦

    薮仲委員 この差は後でゆっくり、きょうじゃなくて論議をしたいと思うのですけれども、これを申し上げると、大体三十代で四百六十万前後なんですよ、一番家を建てたい人というのは。では貯金をそんなに持っているかといいますと、この間も新聞記事では貯蓄八百七十万と出ていますけれども、最貧度は二百三十万から二百四十万が国民の最貧度の貯蓄の金額なんです。例えば三十代の方がそれだけ持っているかどうか。持っていたとしてもとてもローンを組めるような収入ではないわけですよ。東京のサラリーマンの方あるいは神奈川の方、神奈川は今申し上げたようにもっと低いですよ。いまおっしゃるような七百万近くになると五十歳なんですよ。六百九十五万七千円というのはもう五十歳なんです。五十歳ですと定年まであとわずかです。六十定年でも十年間です。そうなってまいりますと、国民の所得との乖離という問題で、おっしゃる統計数字は間違いではないと思うのですが、我々も生活実感として考えるときに果たしてこれが、ほかの統計から見ていったらこれでいいのかなと私は感ずるわけです。  それはなぜかといいますと、きょうは住宅局長と少し基本的な住宅政策というか住宅の認識を一致させておかないと話が進まないものですから、私は建設省資料で話しますから。どこに一体問題があるのかというのは建設省資料でちょっとやりたいと思うのですけれども住宅需要実態調査、これは昭和五十九年、この前が五十四年ですね。五年に一度おやりになる。これをもとにして——そのとおり読み上げますから。現在の住宅及び住環境総合評価ですね、これに対してこう書いてあるのですよ。「住宅及び住環境に対する総合評価では、全国で、「非常に不満」が七・一%、「多少不満」が三一・三%で、不満率は三八・四%となっている。また、実数では、一千三百三十七万一(千戸)」が不満でありますよと。ちなみに五年前のを、同じく書いてあるのですから読みますからね。「ちなみに、昭和五十三年調査では、質問の形態が異なってはいるが、住まいについて「何とかしなければならない程困っている」と「因っている点がある」とを合わせた世帯の率は、全国で三八・九%」。当時が三八・九で五年たって三八・四。今度また五年後に出てくるわけですけれども、これでいくとほとんど不満の率は変わっていないのですね。五年間建設省住宅政策は一生懸命努力なさったわけですが、国民の受ける実感は、不満率は変わっていない。  また、圏別に見ますと、都市圏では不満率は、東京では四二・一%。これは総合評価ですよ、住環境を含めて。大阪では四一・六。これはその五年前に比べますと、四二・四と四三・二で、これは全く変わっていないのですよ。圏別でも状況は一つも変わっていないのです。これは建設省資料ですから、ほかの資料を読んでいるわけじゃないのです。  こうなってまいりますと、不満の実態というのは五年間、この資料はこの次はまだ出ていませんからわかりませんよ、私は、余り変わっていないんじゃないかと思うのです。五年間、四期五計、五期五計がスタートしているわけですけれども、不満の実態が変わっていない。かえって悪くなっているんじゃないかという意見すらあるのですけれども、この建設省住宅需要実態の調査の上からいって、これに対して局長としていかがお考えですか。これは建設省資料ですから。
  85. 片山正夫

    片山(正)政府委員 御指摘の中にありました住宅の不満度の問題、五十三年の数字は、御指摘のありましたように三八・九%、全国ベースでそういう数字が出ております。それから、五十八年の調査でも三八・四でありまして、ほとんど変わっていないということはそのとおりであろうかと存じます。  ここで、居住水準についてその流れをちょっと見てみたいと思うのですけれども、これを規模別でもって見てみます。統計上一人当たり平均畳数というのが出ておりますので、それで見てみますと、四十八年のときに一人当たり平均畳数は全国で六・六一畳、五十三年になりまして七・七八畳と上がりまして、五十八年では八・五五畳と、この一人当たりの規模は着実に向上をしてきたと統計は示しております。しかるに、住宅の不満度というのはほとんど変わっていないというような状況ですから、このことにつきましては、現実には住居の水準というのは少しずつではありますけれども向上をしてきていると私は見たいと思っております。これは、規模の点につきましても設備についてもそういうことは言えるのだろうと思っております。  しかし、不満度が変わらないということは、また一方、所得水準が上がるなりあるいはより豊かな生活がわかってくるなり、そういうことでもってまた不満度は相変わらず同じようなレベル、こういうことで、国民住宅に対する需要が物すごく強いというふうに私は認識しております。
  86. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少し論議を詰めていきますと、その次に今度は、今のは総合関係ですよ、総合住宅環境でやったのですけれども、今局長住宅だけおやりになったのですが、それだけじゃないのですよ。住宅というのは間取り、浴室、台所、トイレ、暖房、給湯設備、遮音性、傷みぐあい、収納スペース、屋敷の広さ、外部からのプライバシーの確保、これだけの条件がありまして、きょうはその数字局長と論議する時間がありませんからやめておきます。局長は広さだけおっしゃったけれども、それは確かにそうかもしれませんけれども、私が言ったのは、住宅というのは住まいと環境なんです。これをトータルしてこうですよと申し上げたのです。  今度は、今おっしゃったその広さの方、スペースの方でいきますと、これはもっと深刻なんですよ。はっきり言いますと、これを住宅だけで問題点だけ言いますと、都市圏別で不満率は、東京圏は五〇・一%、大阪圏は五一・〇%。これは半分不満なんですよ、もう五割の人が不満。それでタイプで言うと、これは大臣がおっしゃったのですけれども局長、もう少し頑張っていただかなきゃならないのは、タイプというのは、いわゆる持ち家と借家に分けたタイプでいきますと、住宅に対する評価では、持ち家で不満率は三九・〇、借家では六〇%なんですよ。公営であれ公団であれあるいは民賃であれ、六割の方は納得しないということは、半分以上なんですね。  となってまいりますと、今、国民のニーズに追いつかないとおっしゃられたけれども、追いついていただかないと困るのです、私は国民の一人として。だんだん乖離が、五年たったら、十年たったらもっと悪くなったというのは、国民の要望がそれだけふえてくるのだったら、それにふさわしいだけの住宅政策というのを確立してダイナミックにやるべきだと私は思うのですよ。さっき大臣にお伺いしましたけれども、今年度の建設省の目玉は何なんだ、これによって住宅は解決できるよ、国民皆さん期待してくださいと、少なくとも五年たったらまた悪くなったんじゃなくて、こうなったというような政策がほのかに見えてこないといけないと私は思うのですよ。これはお答えしてくれと言ってもちょっと答えづらいでしょうから、まとめてやりますけれども。  もう一つ言っておきますと、ここに公庫融資の歴年の統計があるのですよ。これの中でも、東京都は公庫融資が役に立っているかどうかという問題点があるわけなんです。果たして東京は公庫融資が効いているのかどうか。これは局長としては、公庫融資は絶対東京は効いているというお感じですか。それから、さっきの不満度にも反論があったらどうぞやってください。
  87. 片山正夫

    片山(正)政府委員 公庫融資は、御案内のように、長期でかつ安定的な資金で、民間ローンに比べまして低利の資金をお貸ししております。  その利用状況を見てみますと、年々公庫資金の利用率が上がってきております。現在直ちにその数字が出ませんけれども、従来は公庫資金の利用率が四割と言われておりましたけれども、最近これが五割に上がりました。それと、自己資金、その余を民間のローンというふうな形になりまして、国民にとりまして公庫資金は使いやすくてまた使い得と申しますか、非常に便利ないい資金だというふうに皆さん考えてもらっているんじゃないかと、私は自信を持ってお答えができるんじゃないかと思います。
  88. 薮仲義彦

    薮仲委員 不満の方はどうですか、五割から六割の方が不満というのは。
  89. 片山正夫

    片山(正)政府委員 これにつきましては、やはり都市につきましては、特に地方に比べまして住宅困窮度が高い状況でございまして、一方、地価あるいは住宅価格そのものが高いわけですから、取得するのに大変困難をきわめる、改善に時間を要する、こういうことで、都市圏におきましては特に高く不満度が出ているというふうに認識しております。
  90. 薮仲義彦

    薮仲委員 局長、これもちょっと新聞記事を読まさしていただきますと、融資申込者は激減なんですよ。これは金融公庫もダウンなんです。これはさっきの、大臣にちょっと新聞の見出しだけ言ったあれなんですけれども東京のマイホームをあきらめちゃったというところの中身なんですよ。  どういうことかといいますと、歴年のこの統計でいきますと、東京というのは本来住宅で一番困っているのですよ。これは建設統計月報一九八八年三月号ですから、昨年の一年間の一月から十二月まで出ている。住宅事情の悪い東京で公庫融資を使えない。数字で申し上げます。これは時間がかかりますから、私の方で言った方がいいと思うのです、ここにありますから。例えば北海道が二万九千件、それから千葉が二万五千件、神奈川が二万二千件、愛知で三万一千件、埼玉で三万一千件、東京は一万三千件なんですよ。静岡は、私は静岡ですけれども、一万六千八百七十八件なんです。静岡は三百数十万です。東京は、東京都内だけで一千万を超えているのですよ、一千数百万です。それからいって、公庫融資をあきらめちゃった。  この新聞記事を読みましょうか。「地価高騰で用地が買えなくなったり、東京周辺で、手ごろな値段の新築建売住宅がほとんどみられなくなったため、」これも、ここにあきらめちゃったマイホームと。  今局長は、公庫融資というのは効いている。私もそう思います。これは大事な国の施策です。でも、肝心の、一番住宅の困っている東京で公庫融資が効かなくなってきた。これはやはり本格的に住宅の実態について練り直して、都民が、首都圏の人が使えるような施策を組み立てていかないと、ますます都民から家は遠のいていってしまうのじゃないか、そう感じておるのですけれども、いかがでしょうか。
  91. 片山正夫

    片山(正)政府委員 御指摘にありましたように、東京支所管内では申し込み率が六十一年から六十二年になりまして減っております。全国では公庫融資は、六十一年から六十二年、かなりふえておるのですけれども東京は減っております。例えば、建て売り住宅については対前年度比三二・五%でありますし、それからマンションが五九・五%というふうにかなり減っておりますけれども、しかしながら、この理由としましては、東京支所管内におきまして新規供給される物件、これに公庫融資対象となるものにつきましての物件が極度に少なくなってきている、こういうことで申し込みが減ってきた、こういうことに解しております。そのかわり、周辺の方がそれに見合う分ふえている、こういう状況になっていると思います。
  92. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、さっきから申し上げていますように、例えば大臣のいる愛媛とか私のいる静岡というのも大変ですよ。でも、さっきから申し上げているように、住宅問題というのはもう首都圏の問題を中心にきょうは論議しましょう、私は、いつも首都圏でという前提を置いていますから、これからの論議も中心首都圏にあるということを念頭に置かれて、全国はふえている、役に立っているのは知っているのです。でも、今住宅問題を論ずるときに、首都圏を解決せずして住宅問題の解決はないという認識で私は質問しておりますので、その辺で御了承いただきたいのです。  私は、五期五計についても改めて——五期五計に入ってこれで六十一、六十二、六十三年と三年目に入っておるわけでありますが、四期五計の結果を見て、四期五計でさっき大臣おっしゃいました持ち家と借家の統計で見てみますと、四期五計では持ち家計が五百五十万戸、それから借家計が二百二十万戸、比率で七対三で四期五計は計画をお立てになったのです。その結果、実績はどうかというと、持ち家計は三百八十七万戸、パーセントにして七割しか達成できなかった。しかし、借家計は二百二十三万戸で、一〇〇%達成しているわけです。一〇一%ぐらいになっていると思います。ところが、このいわゆる借家と持ち家という計画をお立てになった結果、持ち家計は大幅に割り込んだ、これに対して局長はどう分析なさっておられるかが一つ。  それから、五期五計をお立てになるのに対して、今度数字をお変えになった。持ち家計を四百二十四万戸、借家計を二百四十六万戸、比率でいうと大体大ざっぱに言えば六対四ぐらいに借家計をふやされた。五期五計で持ち家を借家にシフトなさったのは、いかなる理由で、どういう分析のもとにこれをおやりになったのか、ちょっとお答えいただきたいのです。
  93. 片山正夫

    片山(正)政府委員 まず、借家がふえている理由としまして一般的に言われていることは、単身世帯、特に若年層の単身世帯が急激にふえまして、このことと、それを背景にしまして貸し家経営が経営的は非常に有利になってきて、このことは金利が低いとか建設費が安定期が続いてあったとか、そういうこともあったと思いますけれども、そういう需要と供給両側面から、貸し家の建設がこの数年間かなり顕著に伸びてきた、こういう実情にあろうかと思います。そういうこともあり、五期五計におきましては、その持ち家と借家の算定に当たりまして、御指摘にありましたように四期五計よりは約八ポイント借家の方をふやして計画をしたところでありますけれども、その長期需要の中でも主要要素としましては、建てかえというのが一つの要素、それから世帯増加というのが一つの要素、次に流通空き家等の空き家の確保という観点で、その三つが主要なる要素でありますけれども、建てかえ要素につきまして、まず建てかえ時期になる持ち家の方の戸数が五期五計期間中は四期よりは減っているということ、約八十九万九千戸減っているということ、その逆に、借家の方は二十六万八千戸の増になってくる、これが一つあろうかと思います。  それから次に、需要全体の動きとしまして、例えば単身世帯の動きなどで見てみましても顕著に借家居住率が上がってきている。例えば六十歳、これは高齢単身の方の話になりますが、六十歳から以上の方々を見ますと、例えば四十八年のときには六十歳から六十四歳の人は、単身の場合借家率が三四・二%だったのですけれども、五十八年では四五・九%と高齢の場合でも借家志向が大変強い。加えて、当然のことながら二十五歳から二十九歳、あるいは三十歳から三十四歳というのはいずれも数字が五十八年ベースで九四・七とか八七・二というふうに借家居住が多い。こういうことで、単身世帯がふえることによって借家の方の需要がふえる、これが一つ。  それから、その次にもう一つは、単身の借家率の高い、今九四・七とか八七・二と申し上げましたが、この世代の単身世帯率が五期五計中も引き続き高い。例えば、五期五計中二十五歳から二十九歳になるところの構成比は、六十年ベースで一九・七五%というのがそのままシフトする、非常に高い構成率でもって単身世帯がいる、それが借家率の高いところでそのまま引き続きいる、こういうことが全部加わりまして借家の方へシフトさせた、こういうことであります。
  94. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、建設省はやはり戸建てから借家の方へ、賃貸の方へ政策をシフトなさった。私は、ここでさっきの労働省の給与をもう一度思い起こしていただきたいのですけれども、あの給与が大体どのくらいかということを前提にして、私がちょっとお話を進めさせていただきたいのは、先ほど来大臣の答弁にありましたように、首都圏においてはもう戸建てがちょっと無理かなというお話でございます。それは遠くまで行けば、五十キロ圏まで行けばいいでしょうけれども、それはさておいて首都圏においてはちょっと戸建てが無理だ。  そうなってきますと、最後に大臣にお伺いしますけれども、今行革審がいろいろ土地臨調をやっておるわけでございますが、あそこの提言の中に、まだこれは六月ですから、新聞紙上のことであって事柄は正確でありませんので、書かれている範囲内でしか申し上げられませんけれども、この中の住宅対策の推進の中で、東京等大都市圏で公団や地方自治体による賃貸住宅供給を推進すべきであるという提言があるわけです。私は、これは一つの方向としては的を射ていると思うのです。なぜかならば、今まで論議の中に出てきたように、戸建て取得が無理だったら、じゃ今度は賃貸へシフトする、じゃ賃貸もどうなんだ、賃貸も実際は都内で今高い土地にうちを建てて果たして住めるような、サラリーマンが入れるような家賃で入れるかどうかになってくると、これは大変かなという感じがするわけです。  今度はその辺に論議を進めていきたいわけでございますけれども建設省が今やっていらっしゃる公営住宅ですね、あるいは公団民間、こうなっていくわけでございますが、公営住宅法、これは確かに公営住宅公営住宅法に基づいてシビルミニマムといいますか、国民の文化的最低限度の生活の基盤を保障するという法律の建前からできているわけです。しかし、この公営住宅も一種、二種とあるわけでございますけれども、じゃ、一種、二種の公営のところに今のサラリーマンの方が入れるか、さっき労働省のおっしゃった賃金ベースの方が入れるか。入れないのです。これは一種、二種ともに所得制限がかかっているのです。御案内のように、片や一種は十六万二千円、二種は十万円、これは月収ですからね。すると、今十六万二千円のサラリーマンの方は、さっきの労働省の、月収の中でもいないわけですよ、三十代では。こうなってきますと、ほとんど今の公営住宅では出ていきなさいと言われるわけです。では、戸建てはだめよ、賃貸でしかも自治体がつくりなさいと言うけれども、自治体がつくれるのはいわゆる公営住宅法によって一種、二種の住宅あるいは特定賃貸もありますけれども、いずれにしても大したことではない。ここは入れない。そうなってきますと、もう公営住宅に対しての考え方をかたくなに一種、二種——最低居住水準というのはシビルミニマムを守るということだけであっていいのかどうか。これは本気になって局長に考えてもらいたい。国民はそこへシフトしようと思っても、所得で追い出される。どこへ行けばいいのだ。賃貸は高い。公団も、安くしようと思っても底地が高いですから、どうしても高過ぎるじゃないかと、この次恐らく公団家賃の問題が出てくると思うのですけれども、ちょっと上げようとすればだめよとやられてしまう。また、戸建てでつくろうと思えば高い住宅しか提供できない。そうなってきますと、サラリーマンは家は持てない、公営住宅に入ろうとすれば入れてくれない。一体どこへ行けばいいのですか。これは住宅政策として本気になって考えなければならない。  いわゆるヨーロッパとかあちらの石の文明と木の文明の日本とは違います。局長もECに行かれて、あの石の文明の中に二百年とか少なくともそういう住宅のストックがあるわけです。我々の居住環境、単に五年、十年たったらガタピシくるような家じゃなくて、少なくともセンチュリーハウジング、一世紀ぐらいもつような社会資本の充実を住宅政策の根っこに据えて、しかも、公的な家に入ることが誇りである、お父さんも入った、子供も入ろう、そこに入ることが、例えば、すぐ居住水準とかなんとかと言いますけれども、五LDKでも六LDKでも本当に公的な住宅が住みやすくなった、一生住んでいよう、そういう政策の転換を図らないと、東京都に住んでいらっしゃるサラリーマンの方は何ら公的な住宅の恩恵にあずかれない。この公営住宅法を抜本的に本格的に考え直して、首都圏にあってこれが効くような体制に直さなければいけないのじゃないか。やはり、これから首都圏においても公営住宅法の言っている良質で低廉のというものに入りながら、なおかつある一定の所得のサラリーマンの方も追い出されないでそこに住んで生活の核として生涯過ごせるようなものにしなければ、いつも追い出されるという不安があったらだめなんです。  これは続けて後で論議をもっとやっていきますけれども公営住宅法、公営住宅に対する認識をこの辺でもう一度フレキシブルに考え直す必要がある。ということは、高いものをつくれば怒られるということもそうかもしれません。でも、国民合意です。一種、二種はこうです、しかしこれからはこういう家とかこういう家を公的に提供したいのです、国民皆さんいかがでしょう、東京都の皆さんいかがでしょう、首都圏皆さんいかがでしょうというふうにメニューをそろえてみて、国民皆さんは賛成するか反対するか聞いてみた方がいいと思うのです。やはり、政治は国民が最も幸せになる方向へ持っていくのが住宅政策だと私は思うのです。この公営住宅法にかかわって、今それしかないのですから、それでやろうとしてもできないのだったらこれは考える必要があろうかと思うのですが、いかがですか。
  95. 片山正夫

    片山(正)政府委員 住宅取得に非常に厳しい大都市におきまして、公的住宅の役割は極めて大きいと私どもも考えております。特に公営住宅は低額所得者向けの住宅でありますので、その役割はなおのこと大きいと考えておりますが、この場合につきましても、極力家賃を下げるために国の方で建設に当たりまして補助金を出しまして、さらに家賃対策補助金を支出し、さらに地方公共団体は、その国の補助金を受けてつくりました限度家賃を今度はそれぞれの地域事情に応じまして公共団体の方で減額をいたしまして実際の家賃として提供している、こういうことでございまして、これによりますと、先ほど収入が十万と十六万二千ということがありましたけれども、これはいろいろと控除を引いた後の収入でございますので、扶養親族、例えば標準世帯四人ということで見ますと、一種住宅について十六万二千とありますのは三十五万七千になりまして、二種の十万とありますのは二十七万九千九百九十九円、こういうふうになるわけでありますけれども、こういう収入基準の中で供給されております公営住宅の六十一年度の実績ベースで見ますと、これは全国の数字で恐縮ですけれども、全国の一種につきましては平均ベースで負担率が一二・六%になっている。この場合の家賃は一種は四万円であります。二種につきましては二万五千円で負担率は一二%。平均的なところでそうなっているところでございますので、こういうことを考えますと、公営住宅収入の一つの方針としまして一種一六%、二種一五%を目途家賃を設定して供給していくということにつきまして、実績におきましてはほぼその方針の中で推移しているものと考えております。
  96. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は公営住宅法とか公営住宅家賃の設定とか、そんなのはわかっている。わかっているとは申し上げませんけれども、何回も論議したわけです。だから、それじゃ入れないでしょうと言っているのです。さっきちょっと数字を間違えましたけれども建設省資料でやった方がいいのですが、第一種公営住宅は「十万円以上十六万二千円以下」「十九平米以上八十平米以下」、これは六人以上ですからね、ここに書いてある。ここに書いてあるとおり読みます。第二種は「第一種公営住宅家賃を支払うことのできない程度の低額所得者」となっているわけです。さらに、ここは明け渡しの金額が出ているわけですが、それはさておいて、ここで建設省は三人を標準世帯としているわけですね、普通大蔵省なんかは四人のところを標準世帯というわけですけれども、四人の世帯で見ますと、一種の年収は四百六十九万九千九百九十九円、いわゆる割り増し料率を掛けても五百三十三万一千九百九十九円、これは建設省資料ですから、さっき労働省の資料で言ったように三十五—三十九歳の人は五百五十九万一千九百円ですから追い出されるのですよ。出ていきなさいと言われるのです。ですからこの辺のところは、今おっしゃったことはわかっているのですけれども公営住宅の中で少し検討を加えていかないと、都民のために、さっき言った住宅金融公庫のお金も使えません、公営住宅も入れません、その次私は土地担保賃貸の話へこれから進めますが、それも使えないのですよ。すると、建設省の目玉となるような住宅政策が、公庫融資はだめですよ、公営はだめですよ、土賃もだめですよ、こうなってきたら、東京都の人は勝手に自力でやっていけということになりますよ、ですから住宅政策を本当に根っこのところから洗い直さないといけないのじゃないですかと私は論議しているわけです。  それで、どんどん時間がたってしまいますから、この次はどうしたらいいかという話をしておかなければいけません。ここに建設経済研究所の提言があるわけですが、これは非常にいいことが書いてあるのです。ここの中で住宅局長にお願いしたいことがあるのです。この提言の中で、住宅及び住宅環境については抽象的な目標ではだめです、こう言っているのです。じゃどういうのかというと、住宅は入れます、安くなります、こうなりますというようにはっきり言いなさい。供給対策として信頼に足る供給体制が必要です。第一番目には、これはちょっと記憶しておいてください、価格と場所と量を明確にして土地供給プログラムを国民に示しなさい、これが大事です。それから、供給の可能性が需要を上回ることを明確にしなさい。これは国土庁の方がいらっしゃってて、きょうはやめますけれども、白書やいろいろな報告書の中にちらっと書くとオフィスビルがぐっとふえたというほど国民はこういうのを見ているのです。ですから、供給の可能性が需要を上回ります、これは非常に重要なんです。足りないというと値上がりするのです。それから、東京都などが臨海部を業務用じゃなくてむしろ極力土地を原価に近い、ここには二—三万と書いてありますけれども、大量に住宅供給する、むしろこれからは自治体が住宅市場をコントロールできるぐらい家を持った方がいい。この供給量は四LDKで三十万戸供給可能ですよ。それで、もしも三千ヘクタールをすべて住宅にすれば、土地代は埋立費でゼロに近い。坪二、三万、高く見積もっても一戸当たり二千五百万で取得が可能ですよ。こういうことをずばっと出されますと、これしかも場所はここです、こうです、こうやりますというプロセスをきちっとしておけば国民は納得できるし、なるほどなと思うのですよ。  しかもこの提言の中には、東京臨海だけじゃなくて、あるいは問題になっている市街化区域の農地についてはこれぐらい出てきますよ、あるいは都市の再開発でこうやって出しますよ、これは建設省なら私はできることだと思うのです。この提言に本気になって取り組まれて、本当に住宅供給ができないのか、東京土地がないのかどうか、調べてみる必要があるんじゃないか。本当にできないのか。建設省がギブアップは絶対しないと思うのですよ。中途半端にやっているから国民が苦しむのであって、ドラスチックにやるぞと決めて、本気になって住宅政策にここで取り組まれて、来年の施策の中に盛り込んでいただきたい。  どうやったらできるか、これは提言は全部出ているのです。今さらここで私が言うまでもないのです。ただ、何点か、行革審の答申の中にもあるのですけれども、国公有地の問題が出てくるわけです。清算事業団の持っている土地も上がっております。あるいは老朽官舎あるいは公務員の皆さんがなぜあんな劣悪な住宅にいなければならないのかという場所もあるわけです。思い切って建てかえた方がいいと思うのです。  でも、そのときに一番根っこにあるのは建築基準法なんです。一種住専を二種にしろなんてよく叫ばれた方もいますけれども、したって無理なんです。建築基準法という法律が根っこにある。前面の道路の制限がかかってきます、北側の斜線制限がかかってくる、商業地以外は日照権四時間がかかってくる、高さを上げようとしても上げられないのです。やはり首都圏において、規制緩和という言葉ではなくて、根っこにある建策基準法をどうするか、そこもしっかりにらんでいただいて、容積率をただ上げるといえば、地上げ屋さんは容積率が倍になれば地代を二倍にしてくるのです。そうではなくて、建築基準法そのものをどうすれば東京都で高層の住宅が建つか、また住民の納得などができるか、その辺のところも考えなきゃならぬ。  国公有地も、国有地の信託法も通っているわけですから、信託に対してどうするか、これも本当に建設省中心になって、信託して住宅に提供できるのはこのぐらいありますよ、ずばっと言った方がいいと思うのです。清算事業団の持っているのはこれだけです、これは国としてやります、国公有地はこれだけあります、これもやるようになります、こういうことを建設省がおやりになれると私は思うのですね。これが一つだと思うのです。  それから、土地担保賃貸の話にこれはしたいと思うのですけれども土地担保賃貸というのが、非常に建設省というのは今度の法案も、後ほどお伺いしますけれども、規制緩和じゃなくて規制がお好きなんですね。どうしてこうお好きな官庁かと思って不思議でならない。あれは親孝行ローンじゃないですよ。私は後で大臣に聞きますけれども、なぜあんな規制をつけなければだめなんですか。本当に親不孝ローンじゃないけれども、余り賛成してないのです、これは別ですけれども。  土賃の問題で、例えば面積要件が五百平米というのですよ。東京で五百平米以上持っている地主さんの分布図、建設省に調べておいてくれと言いましたから調べてくださっていると思うのですけれども、また答弁を求めると長く言われるとかなわないから、私の方で建設省資料を読み上げます、わかっていますから。東京都の中で地主さんが一体どれだけ持っているか、五百平米という土賃のきく地主さんが何人いるか調べたことあるのですか。調べてみると、これはきかないのです。  まず百平米未満、一番いるのは百平米未満ですよ。五十万五千七百五名です。それから百平米から二百平米、四十五万一千八百七十五人です。二百平米から三百平米、十七万四千四百三十三なんです。五百平米未満、十一万二千四百二十五、ここまでが十万台なんですよ。局長が土賃で何とかしようという五百平米以上は一けた違うのです。五百平米から一千平米だと六万三千、その上が二万九千、二万四千と下がってくるのです。大宗はどこにあるかというと五百平米じゃないのですよ。百平米とか五百平米未満の人が東京都の地主なんですよ。そこにこの土地担保賃貸がきかないじゃないですか。  公庫融資はきかない、土地担保賃貸はきかない、公営住宅は入れてくれない、局長、これじゃ建設省東京都に何をやっているんだということになってしまう。だから公営住宅ももう少しフレキシブルに——局長法律を読まなくたっていいのです。ここにいる先生方みんなわかっているのだから、何十年とやっているのだから、この建設委員会は。そんなことよりも、次にどうしましょうかということをやろうと言っているのですよ。我々だって国会議員として同罪なんだから。決して局長一人の責任で名答弁を期待してなんて、そんな考えは大臣も持っていないし我々も持っていないのです。みんなでこの住宅問題解決しよう、知恵を出そう。土賃をきかせようと思ったら、五百平米というのはだめですよ。しかもお年寄りは百六十五平米でいいというのですよ。お年寄りはよくてなぜ若いのがだめなんですか。  例えば私がお父さんから六十坪の土地を受けました。百六十五平米ぐらいだと思う。ここに公庫いらっしゃるから、済みません、土賃でやってください、だめです、おおむね五百平米です。では住宅都市整備公団へいらっしゃい、十二戸で、おおむね千平米以上と書いてあるのです。でも小さいのもやってくれるかもしれない、こうなってくる。そうでしょう、間違いないですけれどもね。これではとても使い道が、やりたくても再開発をできないのですよ。  今大型の都営住宅を建てろとかいうよりも、公明党は前々からセミパブリックということを言っておるのです。小さな、百平米でもあるいは二百平米でも三百平米でも、その人が自分の住む良質な住宅と同時に、賃貸で一部屋でも二部屋でも建てましょう、それには融資してあげましょう。今大きなマンションやったらだれが入ってくるかわからないのですから、ぜひいい友達や何か入れてあげたい、あるいはこういう人を入れてあげたい。例えば一軒とか二軒なら管理できますけれども公団さんが管理できなくて今困っているじゃないですか。今度の委員会で、公団家賃でやられるんじゃないですか。あれだけ持ってきたら大変なんですよ。素人が借家をするときに借地・借家法だ区分所有法だ、出ていけ出ていかないとやられたらたまらないから、やはり気の合った人を入れましょうといったら、一軒か二軒から始めてみようかな。今住宅金融公庫に行って貸してくださいと言ったって、いろんな要件が重なっていまして、できないのですよ。  ですから、どうのこうのじゃなくてセミパブリック方式であるとか土地担保賃貸をもう少し、都市の再開発や良質な住宅の提供のために使えるようにしたらどうか。しかも、あの市街化区域の農地に対して偽装農地だとかなんとかというのは、もう少し、これも局長、私問題があると思うのですよ。もっと実態を本当に聞いてあげて、知ってあげて解決しなければいかぬと思うのです。  私がきょうの質問のために、一体市街化区域農地というのは一人頭どれだけ持っているのか、どういう状態なのか、どこの省庁に聞いたって、的確な報告は入ってきませんよ。農地だから農水省、いやあれは市街化農地でございますから、我我から申しわけないけれども切り離れている。自治省に聞けば数字の上では出てきますけれども、実態について本当に御存じであるかどうか。建設省に聞いても、私は建設省資料を持っておりますけれども、本当に農家の身になって、どうすれば家を建てられるか。あれは今度の建設委員会で、緩和していると思うのですよ、面積要件や何かの。それにしても五百平米です。今農家の方が始めて、土地担保賃貸で大きな家を建てて管理できるか考え込むと思うのですよ。  例えば、農家の方が戸建ての借家を建てるのも建設省が考えてあげましょう。例えば広大な敷地にあんなマンション建てないけれども、良質で多少は高額だけれども地代はただですよ、六LDKぐらい建てて六軒ぐらいとか、五軒でも農家の方が良質な戸建て賃貸住宅を提供するんだったらば融資の方を考えましょう。地代が安いと建築費だけだったら大したことないのです。それを、公的資金が入っておりますから、スタートの家賃から、傾斜は何%で固定資産税の上昇率とも見合っておやりになれますよというようなことになれば、農家の方だって、あんなでっかいマンションよりも普通の和風の小じんまりした戸建てを建てられるのか、ではやってみようか。そうすれば、そういう戸建てにサラリーマンの方が入れるじゃないですか。  首都圏のそういう東京都の地主さんの問題、あるいは市街化農地の農家の皆さんの、その土地をどうやったら使えるか。もう少し根っこの実態を私は何か、これは大臣にお願いしたいのですが、専門のプロジェクトチームをつくって、実態はどうなんだろう、地方からも来ていただく、建設省も自治省も農水省も集まって、本当にこれは宅地化できないのか、どうなんだろう。できるところに、じゃあどういう資金を使ったら良質な戸建て賃貸ができるのか。あるいは都内はどうだろう。私はよく建設省皆さんと懇談するときに、荒川か墨田区の町の真ん中へ行って、お握り持っていって一日ベンチに座って考えてみろ。ここにいる人をどうやって住みやすくするかというところから発想したらお互いに意見が合うかもしれないよ。恐らく政治家である建設大臣は現場に行っていらっしゃるからいろいろな問題をわかっていらっしゃる。皆さんもわかっていらっしゃる。でも、本当のところをもっともっと調べないと、国民が納得できる住宅政策は進まないと思うのですよ。そういう意味でこの土賃とか公営住宅とかいろいろな市街化農地の提供の問題をこれから少し研究してもらいたいと思うのですけれども局長が言うと通り一遍になるから、大臣、少し研究していただきたいと思いますが、いかがですか。
  97. 片山正夫

    片山(正)政府委員 住宅対策供給と需要の点でまず基本のことは、御指摘にありましたように、供給ベースでいつでも手の届く価格のところで物が供給され、市場にある、こういうことは基本のことで御指摘のとおりであると存じます。しかしながら、現実大変厳しいわけでございますので、建設省といたしましても、地方公共団体とただいま一緒に協力をしながら具体的なプロジェクトの積み上げ作業を現在やっているところであります。  過日も東京都の臨海部の開発に当たりましては、従来業務中心でもって開発が進められていく状況でございましたけれども、特に大臣から知事さんに対して要請をしていただきまして、その結果原案よりも住宅がかなりふえたところでもって東京都の案が発表されたところであります。今後こういうふうに公共団体と協力しながら具体的なプロジェクトを大いに積み上げて国民に安心してもらいたいというつもりで努力をしてまいりたいと存じます。  それから土地担保賃貸住宅は、要件を原則千平方メートルのところ、これを六十一年度に三大都市圏につきましては五百平方メートル以上と緩和をいたし、ことしの六十三年度予算におきましては、さらにその地域を通勤圏内人口五十万以上と県庁所在市のところまで広げました。しかし一方シルバー対策としましては百六十五平米以上と、これはかなり緩和をしたところでありますが、御指摘にもありましたところでありますので、土地担保賃貸住宅の敷地要件でありますとか建物面積要件につきましては緩和のことをひとつ検討してみたいと考えております。
  98. 薮仲義彦

    薮仲委員 私はきょうたくさんフラストレーションがたまっておりますけれども、やろうと思ってももう時間がありませんからどんどん飛ばしていきますが、せっかく土地局次長の藤原次長お見えでございますから、きょうの新聞については、大臣もさっきおっしゃったように、新聞とか情報というのは事柄を正確に書いてくれている部分もありますけれども、見出しだけ見ますと困ったなと私は思うわけでございます。実際は昨年度の後半期は都心においては下がっているよとかなんとか、大臣も言いたいと思うのですよ。建設省国土庁が一生懸命努力しているのに何だということになると、こういう書き方は——それは間違ってないのです。このとおりなんです。でもやはり努力をしてこう下がってきているということをきちっと言っておかないと事柄が必ずしも正確に伝わらないと困りますから、これはもう時間がありませんからごく簡単に、土地局だけでいいですから、土地局の立場で実際はこうですと言いたかったらおっしゃってください。私はこうですと。簡単でいいですよ。
  99. 藤原良一

    ○藤原説明員 地価公示、公表しましたとおり、年間を通じてみますと、東京都、東京圏非常に高い高騰になっておりますけれども、昨年後半から鎮静化の兆しが見えておりまして、我々の調査でも十—十二月期には東京都の区部、多摩地区、いずれも多少なりとも下落をしております。今後ともそういう方向で地価がさらに展開されるんじゃないか、そういうふうに我々見ております。
  100. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、何か今の問題で言いたいことございますか。
  101. 越智伊平

    ○越智国務大臣 大変御高説を熱弁で承りました。まことにありがとうございます。参考にさしていただきます。  先ほども申し上げましたが、古いマンションは確かに値下がりしておる、こういうことであります。今国土庁からもお答えいたしましたが、土地もやや下落傾向ということであります。先般も新聞、テレビを見ておりましたら、東京都の知事が、土地は思惑で値上がり、これで買っておる人がある時期がたてば放出する、これがうんと下落するであろうということを発表しておりました。うんと下がるかどうかはわかりませんけれども、今よりは下がってくる。金融機関が金を貸しておる、いつまでもそのままに置いておくわけにもいきませんから下がるものと私は期待をいたしております。  その他のことで、国鉄清算事業団等の問題もございまして政府内でいろいろ協議をしておりますが、地方自治体なりまた私の方では住都公団、ここにぜひとも適当な価格でいただきたい、こういう折衝を今しておる最中であります。
  102. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一つ地価の問題で何とかしていただきたいことがあるんですが、これは住宅局長にもお願いでございます。  例えば私が神奈川住宅を借りようあるいは土地を買おうとか、あるいは北海道へ行こうあるいは九州の熊本で家を借りるというときに、都内でもそうですけれども、一番困るのは住宅の情報なんです。客観的な情報です。今確かに固定資産税のための評価がございますね。それからいわゆる相続税の路線価もございます。国土庁がおやりになっている地価公示もございます。皆さん方が公共事業をやるときの公示価格から割り出す公共事業のための収得価格もございます。地価というのはいろいろあるわけでございますけれども、実際例えば品川でお家を借りるとき三LDKだったらこう、四LDKだったらこう、マンションならこう、確かにリクルートやなんかで本は出ております。それはあくまでも一不動産業と言っては失礼ですけれども、その方の情報であります。  例えば私が静岡で一つの物件、事務所なり家を求めよう。Aさんが持っている、自分の持っている物件の価格と、それがぐるっと回ってこちらから出てくるのは、手数料が入ってきますから同じAという物件でもコストが違って入ってきます。こうなってきますと、我々国民にとって地価がなぜ上がるかというのは、値段について正確な情報を承知しておらない、この問題はこれから、私はきょうにすぐということは言いませんけれども、もしも国民の欲しい土地情報が入ってくるならば、例えば今転勤の時期だと思うのですが、九州の公営住宅の空き家情報、公団住宅の空き家情報、民間住宅の空き家情報等がここにいながらにしてちゃんと、今情報化社会ですぐ出てくるわけですから、それがもしも公平なあるいは公正な納得できる価格が収集できればこれは地価を安定させ、衝動買いであるとかそういうことはないと思うのですね。  もう一つは、これは法務省の関係がございますけれども、転々売買のときの中間省略というような登記の問題、これもやはり検討の課題であろうかと思うのです。こういうことも含めて土地情報のあるべき姿、建設省は今度宅建業法改正等もお考えのようでございますけれども、宅建業者だけが扱っている量というのは限りがある。直接もあるし、いろいろあると思うのです。きょうは時間がありませんからやめますけれども、いろいろな学説があるわけです。どうするか。土地情報をやはりきちんと掌握することがこれからの住宅政策上非常に重要である、私はこういう考えにあるわけです。これはプライバシーの問題もあります。取引の守秘義務の問題もございます。簡単にできることではありませんけれども、やはり情報の正確さということが、これだけ異常な地価を鎮静させる上においては非常に大事だと思いますし、また、私は、ある意味では不動産業という社会的なステータスを上げるべきだと思うのです。大学が学部をつくり、社会的にも不動産を取り扱う人に対する信頼感、あの人の扱っている物件は信頼に足る、そういうような業界であり、ステータスを上げていくということが今の地価の高騰を防ぐための、回り道のようでありっも非常に重要なことではないか。そういう意味での情報と業界全体のステータスを上げていく、そして本当に国民とともに、福祉といいますかそういう意味での業界であっていただきたいと思うわけです。  簡単にこれについて、私は今すぐどうしろこうしろということは言いませんけれども、トータルの中で国民に正確な土地情報を与えるシステムを研究していっていただきたい。いろいろな学者もいらっしゃいます、専門の方もいらっしゃいます。どうすることが個人のプライバシーを守り、しかも生活を守り、地価を公平な形で提供できるかという、そういう点での情報についてのお考えがあれば何とか進めていただきたいと思っているのですが、いかがでしょう。
  103. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほど来、不動産についての先生の御高説を拝聴させていただいておりますが、私ども常日ごろ考えておりますことは、特に昨今のようなこういう異常ともいうべき地価水準、物件水準が高まっている中で、一つには、供給をいろいろな手法で展開していくということの重要性をかみしめておりますし、あわせまして、先生今おっしゃったように不動産情報を本当に充実していくことは極めて重要なことと思っております。  率直に言いまして、今までの不動産情報というのは、私どもが描いている理想像というか将来持っていくべき姿からするとまだまだ道遠しという感じがございます。片方で、今、先生がおっしゃったように情報のすべてが必ずしも宅建業者の手にかかるものとも思えません。それ以外の流通の姿というものはあると思いますけれども、そうは言いながらもとにかく現実に一歩でも二歩でも進める、こういった観点から、不動産流通市場というものを近代化する努力をいたしております。先生御存じと思いますけれども、いわゆるレインズの普及なんというのはその一つのあらわれでございますし、今でも全国十一ぐらいの県でもう既に軌道に乗っていますが、問題は、それにどういう情報を的確に入れていくか、これが大きな課題でございます。  そういった中で、今お話がありましたけれども、私ども今国会に宅建業法の改正をお願いしているわけでありますが、その中の一つの大変大きな目玉に、専属専任媒介契約という制度を御提案させていただいております。これは、流通というか、不動産業者に物件の取引を依頼した場合に、ある一定の契約を結ぶことでそれは業者も必ず流通市場に、情報網の中に入れるという義務づけをしながら、とにかく広く消費者のニーズにこたえていこう、こういった考えでございまして、これを一歩二歩着実に進める中で、今、先生おっしゃったような方向に、遠くない将来に実現すべく努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、時間も参りましたが、最後に法案のことをちょっとお伺いします。  どうして建設省はいろいろ条件をおつけになるのがお好きなのかと思って私は感心しておるのですけれども、この中で、まず「親子が隣居、近居を行うため、一定の地域内に親又は子がそれぞれ」、こういうのですね。親が現に居住する住宅について、持っていなければだめですよ、親が。建てかえやリフォームはさせてあげますよ。近居、隣居ならいいですよ。遠くはだめか、だめですよ。そして、同一市町村、または隣接市町村内で建設または購入するとか、直系尊族が存しない場合に限って例えばおじさんとかおばさんとかお姉さんとか兄弟はいいですよ、こうなっています。なぜそんな理由をつけなければならないのか、私にはどうしてもわからないのですね。私が、例えば、もうおふくろはいませんけれども、おふくろと一緒にいる、では妹が、これもいませんけれども、妹のために家を建てるとか、お世話になったおじさん、おばさんにといって、これは何にも悪くないと思うのです。建設省は御説明なさるのに、隣居、近居が住民の願いであると言いますけれども、私は新人類の話をちょっとします。我々はもうシーラカンスみたいな方ですからね。  「新人類 親孝行なのか現金なのか」という見出しなんですが、「同居、扶養します」と書いてあるのです。ちゃっかりしているのですよ、今の若い人は。「現実の同居生活については「とても良かった」と「まあまあ良かった」とを合わせた満足派が二十代を含めた各世代とも九割近くになっており、同居を高く評価している。」今ですら同居を嫌だとは言ってないのですよ、新人類は。嫌だというのはシーラカンスか石器時代の方の考えであって、新人類はいろいろな見方がある。これが全部ではないですよ。でも、そういうような新しい世代の方もいらっしゃるし、我々だって親孝行しようというのですよ。  お父さんが富山の出身だ、石川の出身だ、愛媛の出身だ、ではお父さん、そっちへ家を建ててやろう。そうしたら、同一市町村じゃなければだめというのでしょう。建ててやるのだったら富山だって石川だって、大臣のいる愛媛だっていいじゃないですか。私は東京で頑張る、お父さん、愛媛へ家を建てるよ。建設省はだめよと。今、ディレギュレーション、規制緩和の時代に、何か条件をつくらないとだめだというのは、建設省じゃなくて大蔵省が悪いのかもしれませんけれども、そういうかたいのはやめて、一人の人間のできることは限界があるのですから、一々あれがだめ、これがだめと言わなくたってそんなにひどいことはないわけで、なぜこんなに規制をおつくりになるのが建設省というのは非常にお上手でお好きなのかなと思って感心するのですけれども、親孝行したければ日本じゅうどこでもお建てなさい、同居もいいですよと。お父さん、お母さんがいたっていいじゃないですか。もしも兄弟に建ててあげたかったらいいですよ、こう言った方が私は納得できると思うのですけれども、これは建設省の見識ですから御意見を伺って、最後に大臣、私まだまだたくさん、高齢化社会の問題とかいろいろなことをきょうは聞こうと思ったのですが、もう時間が参りましたからやめますけれども、六月には行革審、いわゆる土地臨調の答申も出てまいります。私たち国民にとって一番大事なのは、やはり住みよい住宅を建設大臣が住宅政策の中で、建設行政の中で実現してくれるんだ、こんなにバラ色の人生が待っているよというものをダイナミックにやっていただくことを国民は期待していると私は思うので、局長答弁の後、最後に大臣の御答弁を伺って、質問を終わりたいと思います。
  105. 片山正夫

    片山(正)政府委員 今回の親孝行ローンの制度は、もう御案内でありましょうけれども、従来の金融公庫融資対象が、みずから居住する者に融資をするという政策金融としてのたががはまっておったわけでありますが、これを親族のためにもということで一つ踏み出して、そういう制度創設の時期でありますので、そこから順番に手をつけた。この実施状況を見守りまして、将来また検討の課題であろうかと存じております。
  106. 越智伊平

    ○越智国務大臣 土地臨調、ただいま審議中であります。報道等で見ておりますと大変いいことを言ってくれている、こういうふうに思います。  例えば、国鉄の清算事業団の土地あるいはその他の土地住宅に回せ、こういうお話でございますから、この答申を待って、その線に沿って努力をしてまいりたい、かように存じておる次第であります。     〔委員長退席、加藤(卓)委員長代理着席〕
  107. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  108. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員長代理 伊藤英成君。
  109. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 まず最初は、先般の日米建設交渉の合意の内容並びに基本的な考え方についてお伺いをいたします。  この日米合意のうちの公共事業に関連をした民間、第三セクタープロジェクトについての合意に関してでありますけれども、この中に、要するに日本側はこれまで民間工事の発注に政府が介入することは法制上困難だという主張を続けてきたわけでありますけれども、最終的には、あの合意の中を見ますと政府が勧奨するという表現で、民間企業に対して米国企業の参入を促すことになったというふうに述べられております。そこで、まず勧奨ということはどういう意味なのか、またどういう方法で勧奨するということをされるのかについてお伺いをいたします。
  110. 越智伊平

    ○越智国務大臣 まだ小沢副長官が帰っておりませんので打ち合わせをしているわけではございませんけれども、勧奨という言葉、これは民間あるいは第三セクターでございますから主体性はそこにございますけれども、それに文字どおり勧奨、解釈のしようでは見積もりをさせてくれないかとか、そういうことのお勧めといいますか、そういうことであろう、こういうことであります。もちろん公共事業につきましては、これは国民のお金でありますし、株式会社になれば株主の財産をつくるわけでありますから、そういうことを含めて、民間の部分あるいは第三セクターに強制する法的根拠はない、こう思いますけれども、やはり協力をしてもらって、そういうことを勧めていきたい。ただ、米国側も立派な施設を安くできるように努力をしてもらう、こういうことであろうと思います。  建設省といたしましては、その許可とか手続とかいうことについて、親切に親切に御指導をしていきたい、こういうふうに思っております。
  111. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 いろいろ指導されるようでありますけれども、もうちょっと確認をいたしますが、小沢官房副長官はアメリカで、本件に関して、政府には参入させる権限はないけれども、事業主体からの了承を取りつけており、政府から参入をお願いするということであるという解釈を述べておられると、こう思いますが、これはやり方とか何かをアメリカによく知らせるというだけではなくて、日本の方の主体に参入をお願いをするということですね。
  112. 越智伊平

    ○越智国務大臣 小沢副長官が了承をとっておられるということ、報道ではありましたけれども、どの企業にどれだけ了承をとっておるのか、まだ聞いてはおりません。しかし、例えばターミナルビルにいたしましたら、そこのどういうものをつくるとか、それに見積もりをさせてやってくれないかというようなことのお話をするのでなかろうか、こういうふうに受けとめておる次第であります。
  113. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、実は今の大臣のお答えになられた内容は、ああちょっといいかなという気がするんです。  そういうふうに感じますので、まずそれに関連してお伺いするわけでありますけれども、今回のこの合意の内容を見てみますと、一番最後の方の第五項目目に相当するんだと思いますが、こういうふうに書いてますね。今回の合意を監視するために日米間で会合を持つ、そして、二年後にこの合意が目的を果たしているかどうかを見直しをするというふうになっております。  そこでまずお伺いするわけですが、この果たすべき目的というのはどういう内容になるのか。そしてまた、アメリカ側はどういうふうに理解をしているのかということについて、お伺いをいたします。
  114. 望月薫雄

    ○望月政府委員 今回の措置の趣旨は、米国企業が我が国の建設市場におきまして参入機会の拡大を図るということにあるわけでございまして、言うなれば、このこと自体が所期の目的であると私ども受けとめております。したがいまして、参入の保証をしたものではない。もっと言えば、落札という、いわゆるキャッシュレジスターが鳴るということを保証したものではないということで確信いたしておりますが、米国の企業がその能力やあるいは企業努力のいかんによってその結果は出てくるものと、こういうふうに考える次第でございます。
  115. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 外務省の方は、同じ考え方ですか。
  116. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 お答えいたします。  外務省といたしましても、ただいま建設省から答弁ございましたとおり、今回の合意の目的は、外国の企業の特定の公共事業への参入を容易にする、容易にすることによりまして外国企業が日本の建設市場で実績を積んで日本の制度に習熟してほしい、そういう機会を与えるということを目的として特定の、特例措置と申しますか、そういう措置を設けることといたしたものでございまして、参入保証といいますか、そういう結果についての保証をしたものでは全くございません。     〔加藤(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
  117. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、今言われたような内容が、アメリカ側もそういうふうに理解をし、そして二年後においても今のような前提に立って評価をされるというふうになってくれればいいがな、こういうふうに思うのですね。  そういう意味で再確認をしたいのですが、これは、いわゆる参入の実績が上がっていなくても大丈夫なんでしょうねということであります。  なぜ私がこういうふうに申し上げるかといいますと、私は、今までの日米関係の経済摩擦の多くは、それぞれ交渉をしたときに、日本側はこういうふうにやりますというふうに約束をしたと思われていることが、後になって、アメリカ側から見ますと約束をしたことを実行していないではないかということから来るそれぞれの不満ですね、そういうところが摩擦の非常に大きな要因だ、こう思うのです。  実は、この問題にも関係するのですが、竹下総理がアメリカを訪問された。そして、日米首脳会談が行われた。実はそのとき各政党が談話を出したりいたしました。私があのときに民社党の国際局長として談話を出した内容の中の一つの大きな柱は、あのときに約束したことは日本政府として必ずちゃんと実行してくれということを申し上げたのです。だから、そういう意味で、ああ今回の問題についてもいいのかなというふうに思いますし、そしてまた、多くの方が御存じだと思いますが、去年の秋に、中曽根総理の後、次期総理はだれになるのだろうかというような問題について、私が読んだところによりますと、アメリカの国務省に報告をされているレポートでは、次期総理はどういう人がいいかというと、これはこれからの日米関係を考えたときには、日本国内の業界等との調整が実際にどれだけちゃんと実行できるかどうかということにかかってくる、そういう人が望ましいんだという考え方でいろいろ述べられていたりしていました。まさに今回、最初の交渉になったのだと思うのですが、これがどういうふうにちゃんと実行されるかということになる、こう思うのですね。そういう意味で先ほどの質問をお伺いしたわけです。  そしてまた、当初この交渉の背景になったのが、アメリカ側から見ますと、アメリカ国内の公共事業で日本の企業が受注の実績を上げているのに対して、日本の公共事業で米国の実績が上がっておらぬ。そのために日本のルールを変えて米国企業が入りやすくすべきだというのが一つの大きな背景になっていると思いますし、そして今回の交渉の後も、新聞の報道するところですと、商務次官も、今回の合意はまさに新たな始まりであって、真の受け入れが可能になったかどうか、これは今後証明さるべき問題だというふうに言われたりしております。  そしてまた、空港のターミナルビルについて言いますと、この合意文書の中では、勧奨とか期待をするとかいうような言葉ではなくて、確信という言葉で今回の入札の手続が適用されるとして、新聞では実質的な約束を取りつけていると米国側は解釈しているというふうに報道もされたりしております。  さらには、この合意内容の第一項目には、「日本の建設市場に外国企業が参入することを歓迎する。」という文章が一番最初についております。  そして、これはアメリカの新聞でもそうですし、あるいは全国に飛んでおりますけれども、APダウ・ジョーンズのニュースの中には、日本の何人かの政府の役人も、今回の合意が米国の企業の受注を保証していないために、将来、いわば非難が出るのではないか、そういうことを恐れているという文章が世界に飛んでおります。  だから、そういうような状況でありますけれども、参入の実績について、先ほどはほとんど触れられませんでしたけれども、その辺についてはよろしいのでしょうねということを確認したいと思います。
  118. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今お話がございましたけれども、二年後に見直し、こういうことも入っております。でございますから、先ほど申し上げましたように、やはり親切に指導をして、参入をしてもらう、建設事業について国際的に交流が深まっていく、このことを期待いたしております。  ただ、必ずしも法的に拘束されたものでありませんから、やはりアメリカ企業も大いに勉強をしていただいて、要は、先ほど申し上げましたように立派な施設を安くやってもらう、こういうことでないと、同じもので日本の方がうんと安いということになりますと、なかなかうまくいかない。ですから、同じ施設にいたしましたら日本よりも安くできる、それはそれぞれ専門分野もあることでありましょうから、アメリカ企業も大いに努力をしていただく、こういうことで、二年後紛争が続かないように努力をしていきたい、こう思いますし、また日本側からアメリカに行く場合も同じことで、専門分野では努力をして国際交流が盛んになることを期待いたしておる次第であります。
  119. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 大臣のお答えになった後でありますけれども、外務省の方は、先ほど私が申し上げたような視点から考えて大丈夫でしょうね。
  120. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 今回の合意の目的につきましては、先ほど申し述べさせていただいたとおりでございまして、そういう今回の合意、特例の措置を米国の建設企業が大いに活用いたしまして、日本市場での活動と申しますか参入の成果を上げることを私どもも期待、希望しておる次第でございます。  それから、この目的が達せられなかった場合にどうなるのかという御質問でございます。そういう所期の成果がおさめられるかどうか、私どもは、今回の特例措置あるいは対象のプロジェクトの数から見まして、米側が十分に経験を積むだけのプロジェクトの数であるし、特例の措置であると考えている次第でございますが、これが本当に何らかの具体的な成果を上げられるかどうかという点につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、二年後に日米の間でレビューをしてみるということになっている次第でございます。
  121. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は最初申し上げましたけれども、今まで多くの交渉が、これは通産省、外務省が中心になっている話が多かったと思いますけれども、多くの話は、先ほど申し上げたとおりにあるシステムをつくり上げればいいかというと、それだけでおさまらなかった例が多かったと思うのですね。そしてまた、もちろんそのつくったシステムなんかも、それ自体、国際的なシステムからすると若干問題であったものもあるでしょうしということだと思いますが、非常に心配をしておるということであります。  それは何かといいますと、事のよしあしは別にして、アメリカ側の主張は、結果として例えば成約なら成約に結びつかなかった場合には、それは自分たちの力がなかったとかいうような論理よりは、日本のルールなり制度がおかしいのだよという主張が今まで非常に多かったと思います。そういたしますと、事の手続、やり方等々が十分に理解をされていくかどうかということは非常に重要な話になっていくと思うのですね。よく透明性、透明性、こういうことを言いますけれども、その辺は本当にこれから、この問題もひょっとすると二年後かあるいはその途中かでなかなか厳しい状況になるのではないかと私は思うのですね。そういう意味でも建設省、外務省等に注意を払って最善を尽くしていただきたい、こういうふうに思います。  それから、今の問題に関連するわけでありますが、今回の合意を受けてEC各国あるいは韓国、さらにはシンガポール、マレーシア等も入るのかもしれませんが、そうした米国以外の国からの参入についてはどのようになるのか、お伺いいたします。
  122. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ただいまの御質問に答える前に、先ほどの先生の御懸念に絡んでちょっと一言つけ加えさせていただきます。  今回の合意事項は、大きく言って、公共事業の分野、それから大規模プロジェクトの中で展開される民間あるいは第三セクターの部分、いわゆるエンカレッジ、勧奨する部分の二つがあるわけでございます。特に公共事業について申し上げさせていただきますと、私ども今回の交渉で終始アメリカに理解を求めていましたことは、日本の独自の制度は根幹を守っていただく、それを是認していただいた上で習熟していただく、これが大前提であったわけでございます。それはどういうことかといいますと、端的に言うと、公共事業の場合にはまず建設業の許可をとっていただくのは当たり前でございますけれども、当該発注機関に登録もしていただく、それからその上に立って指名をいただくという例の指名入札制度、これを私どもは公共事業の世界では譲れない大原則としている現実がありますので、この中での話でありますということをるる申し上げて御理解を得ているところでございます。そういった意味で、手続も可能な範囲内で弾力化を図っていただくということでございまして、そういった経過からいたしますと、先ほど来先生が御懸念いただいております実績ということについては、挙げて、早い話が建設業の許可をとっていただき、登録をしていただき、それから企業努力もしていただく、こういった一連のことは言うまでもなくお願い申し上げたいところ、その結果として参入の実績が上がるべきものは上がるだろう、こう理解している次第でございます。このことはアメリカにおいても理解をいただいていると確信いたしている次第でございます。  しからば他の第三国に対してどうかという点でございますけれども、これはもう先生にはくどいかもしれませんけれども我が国の建設市場は公共部門のみならず民間部門含めまして、全く内外無差別であるわけでございます。一例を申し上げますと、建設業許可一つとりましても何らの制約もございません。そういった意味で、全く内外オープンであるということになっているわけです。確かに今回の交渉等を通じまして何となく公共事業あるいは建設市場への参入開放という言葉がいろいろと散見されましたけれども、基本的には閉ざしているのを開放するのではなくてもともと開かれている、こういったことは御案内のとおりと思います。  そういった中で今回の特例措置が決められたわけでございますけれども、この特例措置自体は申し上げるまでもなく日米間で合意されたものであるわけでございまして、これを直ちに第三国にどうするかということにつきましては、実は公共事業にかかわる各国の制度などがさまざまでありまして、こういったものをどうするかという問題、言うならば多国間の議論はなされていないわけでございます。そういった意味で、今後、今おっしゃったような諸国との関係というのは、公共事業にかかわるそれぞれの国の制度が区々さまざまであるという姿の中では、やはりケース・バイ・ケースによって判断していくべきものじゃないかと我々は考えておる次第でございます。そういった意味で、私ども建設省でよく相互主義ということを申し上げてきておりますが、いずれにしましても、今申しましたような基本的な認識に立って、今後政府全体で概念をしっかりと整理していく必要があると考える次第でございます。
  123. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 外務省はどうですか。
  124. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 我が国の建設市場が公共部門、民間部門とも内外無差別の制度となっている点につきましては、私どもも米側あるいはこれから申し上げます第三国におきましても機会あるたびに説明をしてきているところでございます。現在、国際的に申しますと建設サービスに関する一つのルールと申しますか国際的な枠組みというものは存在しない現状でございますので、この点につきましては、現在行われておりますガットでのウルグアイ・ラウンドの協議の中でも何とかサービス部門についての国際的取引の枠組みなり一つの基準といったものができないかという作業が進行しておりまして、この作業には我が国政府も積極的に参加している次第でございます。いずれにいたしても、今日ではそういう国際的ルールがないということになりますと、公共事業の例えば今回の特例措置にいたしましても、これをどういうふうに適用していくかということは日本国政府政策判断に任されているというのが第一点で、大事な点かと思う次第でございます。  今回の措置はもとより米国との協議の過程で合意されたものでございますが、書き物といいますか、まだ正式の書簡交換には至っておりませんけれども、書き方といたしましては外国企業という書き方をしておりまして、米国のみを対象とするものではないという建前は貫いております。しかしながら、具体的にどこの国にどういうふうに適用していくかということにつきましては、ただいま建設省の方からも答弁がございましたとおりなお政府部内で検討中でございまして、具体的には各国の制度がどうなっているかの調査、あるいは話し合いが必要になってくる場合もあるかもしれない、そういう過程で、今後どういうふうに第三国に適用していくかということについては政府内部で検討していかなければいけないという問題であろうと考えている次第でございます。
  125. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 建設省にお伺いしたいのですが、さっき相互主義云々という話をされましたけれども、現在の時点で考えて、参入を希望していわば互恵的関係にある国というのはどういうところが予想されるのでしょうか。
  126. 望月薫雄

    ○望月政府委員 率直に申し上げて、建設省に対して具体的に申し入れがあったという国は、申し入れというよりむしろ照会等があるわけでございますけれども、韓国の方から時々ありますくらいで、そのほかECも一回くらい照会があったかと思いますけれども、正直に言って申し入れという格好ではまだ明確なものはないわけでございます。先生の今の予想されるという意味ですが、私ども大変お答えしにくいわけですけれども、現状はそんな状況でございます。
  127. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 予想されているのはちょっと発言しにくいという感じですか。
  128. 望月薫雄

    ○望月政府委員 しにくいというか、ちょっと予想が立ちにくいわけでございまして、新聞等に報道されている諸国はございますけれども、私ども肌で感じているものということではちょっと今のところまだ申し上げにくい状況でございます。
  129. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 またいつかの機会に議論することもあるかと思いますが、実はこれからここの項目についても他の国から見たときにアンフェアというような話が起こってくる可能性が非常に強い項目だな、そういう取り決めじゃないかなという気もしております。最初に申し上げた目的、今回の合意の目的云々というようなことを申し上げましたけれども、それこそ近い将来に本日の議事録をここへ持ってきて、こういうふうになっているということにならなければいいがと思っておりますが、この問題はここまでにいたします。  それからもう一つ、この問題についてお聞きしたいのですが、今回の合意によって、いわゆる八八年の包括歳出法案のブルックス・マコウスキー条項になりましょうか、米国の公共事業から日本企業を締め出す条項の適用解除はどういうふうになるのか、お伺いをいたします。
  130. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、八八年度米国長期暫定予算決議のブルックス・マコウスキー法案、いわゆるBM条項でございますが、これは本会計年度中、具体的には八八年九月三十日まで適用されるものでございます。今回の日米間の実質合意によりまして我が国の公共事業市場等に米国の企業の参入が容易になってまいりますれば、これはことしの十月からまた新しい八九年度の米国長期予算決議があるわけでございますけれども、その中でこのBM条項のようなものが再度立法化されることはないと考えている次第でございます。  また、もう一つの御質問の、それでは現行の制裁の撤回、制裁と申しますかBM条項の撤回を求めないのかという御質問かと理解したのですが、この条項に基づく対日制限につきましては、我が国の大型公共プロジェクトに対しまして米国側が言っております参入障壁、いわゆる参入の機会が容易になるという今度の具体的な措置が具体的に実行の過程で実効性を持ってくる、そういう状況が明らかになりますれば解除され得る規定となっている、それが規定の中身でございます。米国側は今度の具体的な措置が実効的に動き出すということがはっきりしなければ障壁が撤去されたことを証明するには足りない、それは難しいとしていることは事実でございますが、私どもといたしましては、今回のこの措置を日本側といたしまして誠実に実行してまいりますれば、米国の方でもこのBM条項の解除措置がとれるようになる、そのように期待をしているということでございます。
  131. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今の御質問でちょっと確認したいのですが、それは今回の合意の実効が上がっているのがわかったら解除するであろうという意味になるのですか。
  132. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 BM条項が解除されるか否か、私どもは切にこれが解除されなければいけないと申し入れもしている次第でございますが、米側の言い分を申し上げますれば、先方は今度の措置が具体的に働き出すということ、それによって日本の建設市場の彼らの言うところの参入の障壁と見られたものがなくなってきている、そういうことを彼らが確信すれば、あるいはそれが証明されれば、法律では証明があればという書き方をしておりますけれども、そういう証明があれば解除し得るということに法律上はなっておりまして、そのような証明ができれば解除に至るというのが私どもの解釈でございます。
  133. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 それはいつごろまでには解除できることになるであろうと予想、期待していますか。
  134. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 今回の合意がつい一両日前にようやく合意に達したわけでございまして、これからいわゆる特例措置その他が働き出すわけでございますので、ただいま具体的な日取りでいつごろこれが解除されるとかといった問題について私の口から想定した発言はできない点、御理解いただけたらと思う次第でございます。
  135. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございました。  時間も余りありませんので本件はこれまでにいたしますけれども、途中でも申し上げましたけれども、この問題というのはなかなかこれからが本当に大変だ、こう思います。そういう意味でぜひそれぞれの関係するところで御努力をお願いしたい、こういうふうに思います。  金融公庫法の問題でありますけれども、今回の改正で親孝行ローンとか住宅改良についての施策が打ち出されているわけでありますが、私はこれは非常に喜ばれる話であろう、こう思いますが、幾つかの問題もあるわけです。  まずその金利の問題ですね。金利の問題についていわば財投並みの金利を適用されるところが多多あるわけでありますが、基準金利を適用する必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  136. 片山正夫

    片山(正)政府委員 このたびの親孝行ローンの金利は、御指摘のように財投並み金利五・一%で予定をしているところでございますが、この考え方は、従来の金融公庫融資の対象がみずから居住する場合についてその取得する資金に対し融資をする、こういうところでありましたところ、これを拡大いたしまして「親族の居住の用に供する」という表現で、とりあえず親子の関係、直系親族のところまで、若干の幅はございますけれどもそういうところで拡大をしたところであります。したがいまして、二番目の住宅であるということと、同時に既に融資制度としてあります大型住宅の金利、これが百五十五平方メートルから二百二十平方メートルに予算ではなっておりますけれども、これが五・一%という金利になっておりますので、そのこととも総合的に判断いたしまして五・一としたところであります。
  137. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 私は、実はほかの方との関連で、こう言われましたけれども、そちらの方も金利を是正すべきではないか、こういうふうに思うのです。先ほどの親孝行ローンの方ですね、これはこういうことをしようとした場合には、現に公庫から借りている者についてはなかなか実質的には支払いの面からいっても利用することが難しいということがないかなというふうに思うのですが、いかがですか。
  138. 片山正夫

    片山(正)政府委員 負担の判断をしますときにどのようなモデルをつくるかによっていろいろ考え方が違ってしまいますけれども、この場合モデルとしまして、十年前にみずから居住するためのマンション購入したといたしまして、それが親のための住宅購入する、こういうモデルをセッティングいたしますと、五十三年度に年収三百四十九万の者がおりまして、そのときに返済額は公庫融資に関しまして年額七十三万円、これがその後六十三年度になりましたときに年収は七百七万円に、毎年の所得の向上によりましてなっている。このときに新たに親族の居住の用のための住宅取得しましたことにより、モデル的にふえます六十三年度分の返済額は年額八十四万円、こういうことになりますと、前にみずからの居住のための返済額が七十三万円残っておりますので、これが百五十七万九千円に相なる。こうなりましたときに返済負担率で見ましたときに、五十三年度のときに自分の、みずから居住の用の住宅のときの返済率が二一・一%でありましたところ、その後の所得の向上等がございまして、今回みずから居住と親族居住の両方の返済分を含めましての返済負担率が二二・三%になる、このモデルではこういうことになっておりますので、みずから居住する住宅取得しましてしばらく期間がたった後におきましては可能であるのではないか、こういうふうに考えております。
  139. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 あと幾つか質問をしたい、こう思っていたのですが、時間も参りましたのでここで質問を打ち切らせていただきます。ありがとうございました。
  140. 中村喜四郎

  141. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。  最初に、東京都心に端を発した地価狂騰は、首都圏に、さらに全国主要都市に拡大をして国民生活と経済を大変直撃をいたしております。きのう発表されました地価公示価格の発表は、まさにそのことを示しているものだと思うのです。  そこで伺いたいのですが、住宅金融公庫東京地区、つまり東京都と神奈川県ですけれども、この東京地区における建て売り住宅及びマンション融資申込者数は、六十二年度と六十一年度を比較するとどうなっておりましょうか。
  142. 片山正夫

    片山(正)政府委員 東京都、神奈川県を管内といたします東京支所の建て売り住宅につきましては、六十一年度が四千三百八十六戸、六十二年度が千四百二十四戸になっております。マンションは、六十一年度が八千六百七十五戸、これが六十二年度になりますと五千百六十五戸、こういうふうになっております。
  143. 中島武敏

    中島(武)委員 非常に東京地区における建て売りとマンションが激減をしているわけです。今局長が言われた数字は、建て売り住宅で見ますと、六十二年度は六十一年度の三二%、ここまで激減をしている。それから、マンションの場合には六〇%まで激減をしている、こういう状況であります。東京都心部とそれに隣接する地域、こういうところではマンションはもう一億円クラス、それから、建て売り住宅はもう一億から二億、こういうクラスがざらであります。もうとても勤労者は買える価格ではありません。仮に勤労者が借金できたとしても、そんな借金はできないのですけれども、とても返せる額ではありません。  人口の上でも全国的に見て非常に大きな比重を持っているこの東京地区におきまして、公庫の利用者が激減をしてくる、利用そのものが不可能になる、これはもうゆゆしい事態でありまして、融資を受ける前提自体が崩れる。こういうことになりますと、住宅金融公庫の存在意義そのものが問われるという事態になるのじゃないか、こう私は思うのですけれども、この点についての認識はいかがでしょうか。
  144. 片山正夫

    片山(正)政府委員 昭和六十二年度中に供給をされたマンション平均価格は、二十三区では四千七百九十一万円、二十三区外の都下では三千三百七十八万円、神奈川県では三千三百七十四万円、こういうことでございまして、億ションというものは都心を中心に展開しているのだろう、こういうふうに考えているわけであります。  ちなみに、六十二年度中に首都圏、これは東京神奈川千葉埼玉、茨城南部を含みますけれども、ここで供給された建て売り住宅平均価格は三千六百六十八万円、こういうふうになっているところでありまして、勤労者にとりまして都心のマンションについては、御指摘のように手も出せないところでありますけれども、通勤可能圏におきましてはまだ手の出せるものが供給されている、こういうふうに考えております。  また、公庫融資につきましても、役割といたしまして、建て売り住宅でありますとかマンション供給に対しては当然融資をしてまいりますけれども、また、住宅の建設のうちの相当数は自分の家の建てかえ、土地代のかからない建てかえ等が相当数を占めておりますので、そういうことに対しても建築費の融資をしていくという大きな役割がございますので、今後とも公庫の役割は大きいものと考えております。
  145. 中島武敏

    中島(武)委員 都心部それからそれに隣接する地域、これは今私が申し上げたとおり、局長が言われた点もまた事実でありますけれども、しかし、ことしの地価公示価格はかなりのものであります。こういう調子で進みますと、やはり大変ゆゆしき事態も出てくる。したがって、そういう時期でありますから、私は、勤労者が利用しやすい制度により一層改善をしていくというこの問題について幾つかお尋ねをしたいと思っているのですが、ちょっと時間の関係もありますので、公団の建てかえ問題を間に挟ませていただいて、後でもう一度この公庫融資に係る問題についてお尋ねしたいと思います。  今申し上げた公団住宅の建てかえ問題なんですが、蓮根団地の建てかえ問題についてお尋ねしたいと思っております。  蓮根団地は建てかえ対象の団地として事が進められているわけですが、まず、幾つかのことを聞きたいのですけれども、その中の最も重要な一つであります一時使用賃貸借契約書問題、この問題について伺いたいと思っております。  現在、この一時使用賃貸借契約はどの程度締結がされているものでしょうか。
  146. 渡辺尚

    渡辺参考人 昨年の六月十二日に説明会の第一回に入ったわけでございますが、そのときに、住んでおられる方が七百六十四世帯おられたわけでございます。御存じのとおり、住宅希望調査を出していただきますが、これが昨日、つまり三月三十一日現在で六百三十四戸、つまり八三%の方々から提出をいただいております。そしてさらに、本移転あるいは仮移転を既に済まされた方、この方々が百三十八戸、一八%ということになっているわけでございます。  そこで、お尋ねの一時使用賃貸借契約を締結していただいている方々でございますけれども、これは先ほどの時点で、つまりきのうでございますけれども、百二十戸、一五・七%ということでございます。ただ、先ほど申しましたように、八三%の方々から希望調査をいただいているということもありますので、順次御協力をいただけるものと考えております。
  147. 中島武敏

    中島(武)委員 この一時使用賃貸借契約書なんですけれども、この契約書を見ますと、現在の賃貸借契約を解除して、そして一時使用の賃貸借契約を結ぶ、こういうふうに書いてあるわけですね。このことはつまり、この契約書を結びますと、借家法の八条によって借家法の適用除外になるのではありませんか。
  148. 渡辺尚

    渡辺参考人 お説のとおりでございます。
  149. 中島武敏

    中島(武)委員 これは私率直に申し上げたいと思うのですけれども、この一時使用契約書を結ぶと借家人を守る借家法を適用されなくなる、あるいは適用されなくするということは、私は、非常に重大な問題だというふうに思っております。  しかも、戻り入居の条件ですね、家賃その他について合意に達していないのに、ただもう強引に一時賃貸借契約書を結ばせよう、こういう動きが非常に顕著なことは極めて残念なことであります。戸別訪問をおやりになって、自治会から抗議をされて一時これは控えていらっしゃったのですけれども、今度は電話作戦に切りかえて、それで、あなたの号棟から壊すから何月までに出てもらいたい、それで一時賃貸借契約に署名捺印をしてくれ、こういう電話攻勢をかけるわけですね、公団の方から。私は、これはぐあいが悪いと思うのです。  それで、当然のことですけれども、自治会がこれに抗議をした。そうすると、今度はまた新手を考え出してきた。何かというと、公団蓮根分室の「分室だより」というのを配付して、一時使用契約がどうしても必要であるかのような説明をして、さらには、その自治会が現建てかえ計画に基本的には反対をしていないかのように述べている、そういうふうに書いてあります。しかしこれは違うわけでありまして、自治会の方ははっきりした態度を明らかにいたしております。現在計画には反対だ、抜本的な再検討をやってもらいたい、一言で言いますとこういうのが自治会がとっている態度なんです。ところが、自治会は基本的には反対していないんだ、こう言って、いかにも自治会も賛成であるかのようにして、あくまで契約を結ばせようとしている。私は、これは非常に問題じゃないかと思います。  戻り入居の条件、つまりその一番大きいものはどれだけの家賃になるかということなんですけれども、そういう問題について合意されていないのに団地居住者を借家法の適用除外にして、言葉は悪いですけれども、追い出そうと思えばいつでも追い出せる、そういうふうにする、もう借家法の保護は受けられなくする、そういう策略を弄していると言われても仕方がないのではないかと私は思うのです。しかも、戸別訪問などをやって強引にやるというのは、私は民間でもこれはやっちゃいけないことだと思うのですけれども、公的な機関である公団のやるべきことではないと思うのですね。やはり戻り入居の諸条件について居住者との間に合意ができない限り、一時使用賃貸借契約というのはやめるべきじゃないかというふうに私は思います。いかがでしょうか。
  150. 渡辺尚

    渡辺参考人 何点か御質問があると思いますが、順序は多少異なるかもしれませんけれども、まず一時使用賃貸借契約でございます。  これを締結させていただきながら事業を進めていくということをやっておるわけでございます。これにつきましては、事業の進め方あるいは建てかえのスケジュール、事業のスケジュール、それから建てかえ後住宅の概要、こういったものについて説明会を行った上で、その後先ほど申し上げました希望調査を行っておるわけでございます。そして、それぞれの方々から希望調査の内容について具体的にいろいろお伺いをする。そして十分お話し合いをして、できる限りその御希望に沿うように努力しているというところでございます。このように、建てかえ事業を進めるに当たりましては、例えば建てかえ後の住宅に入居を希望されている方々、この方々は、大体いついつに入居していただけると考えるというような、あらかじめ御説明したそういう時期に建てかえ後住宅に入居できないということになりますと、そういう方々に非常に御迷惑をかけることになるわけでございまして、そういうこともございまして、公団としてはこのスケジュールをできる限り予定どおりに進めたいというふうに考えているわけでございます。そのためには建てかえ事業を着実に進めていく必要があるわけでございまして、居住者の御意向等を確実に把握するという必要もございますし、それから、入っておられる方々はそれぞれ入居時期が異なります。したがいまして、ある建てかえ事業をする場合には、一戸一戸壊すわけにまいりませんので、一定の時期にそろえて工事を進めていかなければならない。そういう意味も含めまして、一時使用賃貸借契約に切りかえさしていただいているということでございます。  その際に、先ほども借家法の問題ございましたが、そういう方々、これは全員でございますが、そういう方々に一時使用賃貸借契約を締結すると、今先生御指摘のような不安というのは出てくると考えられます。そこで、それを解消するために、建てかえ後住宅の優先入居でありますとか、家賃の減額措置でありますとか、あるいは移転料の支払いなど、こういった項目につきまして確認する文書、これは覚書といっておりますが、これを一時使用賃貸借契約を締結していただいた方全員と結んでいるということでございます。  それから、非常に強引にやっているのではないかというお話でございます。私は、建てかえ事業を担当しております担当理事という立場で申し上げたいと思いますが、前からもう何回も申し上げておりますように、担当職員には誠心誠意を持って当たれという指導をしております。それで、各現場の責任者からもいろいろと話を聞いております。そういうことを総合いたしますと、いろいろ御指摘ございましたけれども、そういうような事実はないと私は確信をしております。
  151. 中島武敏

    中島(武)委員 今長い御説明がありましたけれども、希望調査が八三%あるということは、いかにも建てかえを希望している人たちが八三%もいるように聞こえるのです。聞こえるのですけれども、その一方で一時使用賃貸借契約がなかなか進まないというのは、一五・七%という先ほどの発表だったのですけれども、この辺はどう考えているのかなと私は思うのです。お答えを必要とするのじゃないのですけれども、どう考えているのか。つまり、みんな非常に大きな不安にさらされているということなんです、これは端的に言って。それから、戻り入居の条件がまだやはり合意ができてない。これは納得がいってないということでもあるわけなんです。ここのところは十分に公団の方は考えなければいけないのじゃないか。したがって、住民を不安に陥れるような一時使用賃貸借契約というのはやはりやめるべきじゃないかということを思うのですね。  この問題と関係がありますから伺うのですけれども公団家賃ですね、これは一体第三分位の中位の収入の人を対象としているのじゃないでしょうか。そうでしょうね。
  152. 渡辺尚

    渡辺参考人 お示しのとおりでございまして、国の全体の住宅政策の中で公営住宅あるいは金融公庫、そういったものとの役割分担の中で、住宅都市整備公団は中堅勤労者階層ということになります。そうしますと、その真ん中といいますか中心は、いわゆる所得分位の第三分位中位ということになると思います。
  153. 中島武敏

    中島(武)委員 第三分位の中位といいますと、年間収入五百三十五万円なんですね。ところが、これは昨年の八月の質問のときにも私申し上げたのですけれども、蓮根団地というのは非常に高齢化の進んでいる団地なんです。それで、昭和六十一年十月のこれは自治会が行った調査なんですけれども、そのとき現在の収入を調べてみますと、税金、ボーナス込みで三百五十万円以下が四二・一%、それから四百五十三万円以下が二六・〇%、合計すると六八・一%、約七〇%近いのです。つまり、第一分位、第二分位のクラスで七〇%を占めるという実態なんです。ですから、戻り入居するということを考えますと、そのときにはもう六十歳以上の人が六割を占めるという状態になっておりますし、そういう人たちにとりましては現在家賃の四倍にもなる、こういう——いろいろな減額措置その他は先ほど説明がありましたけれども、しかし、実際には最終的に落ちつくところはその四倍にもなる、こうなるわけなんですね。そうすると、例えばこれは二DKで申し上げますと八万八千円あるいは九万九千円の家賃、これは多くの方が年金生活に入っているという状況のもとでは不可能に近い、率直なところこうなんですよ。  私は公団に伺いたいのですけれども、建てかえ後も全員がちゃんとその団地に入れるということを目的とはしていないのか、そういうお気持ちではないのかということをお尋ねしたいのです。
  154. 渡辺尚

    渡辺参考人 もうこれも御説明するまでもないわけでございますが、現在大都市地域において良質な公共賃貸住宅供給ということが強く要請されているところでございます。そういうことも含めまして、かつ、居住水準の向上あるいは土地の有効利用ということを含めまして、建てかえ事業というものをぜひ進めていかなければならないというふうに考えているわけでございます。したがいまして、確かにそういう御希望はあると思います。しかしながら、やはり全体として考えた場合に、そこを有効利用して建てかえていくということがぜひとも必要であると思いますし、その際に、我々としては十項目はも上るいろいろな措置を講じておる、特に一定の収入以下の高齢者の方方の世帯あるいは母子世帯、身障者世帯、こういう方々については、五年間ではありますが一定額以上の家賃については免除するという制度もとっておるということも御理解いただきたいというふうに思います。
  155. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、そこに住んでいる人が建てかえによって入れなくなる、これは考えなければならない根本問題だと思うのです。といいますのは、その建てかえがなければまだずっと住んでいくことができたはずなのです。ところが、建てかえたために家賃がかくかくしかじか四倍になります、それで入れなくなる、高齢化も進んでくる。私は、これは非常に大事な問題じゃないかという気がするのです。  そういう点からいいますと、建てかえたがために戻れなくなる、住むことができなくなる、こういう実態で蓮根団地は大問題になっているわけでございますから、蓮根団地に現在住んでおられる人たちになおかつ引き続き住んでもらうためには、建てかえをやめるかそれとも住むことのできる家賃にするか、これしかないのじゃないかと考えるのですけれども、どうでしょう。
  156. 渡辺尚

    渡辺参考人 私個人といたしましては、先生の御指摘は十分理解できるつもりでございます。しかしながら、やはり政策としてこの事業を進めていくということはぜひとも必要だ。そうしますと、私が前から御説明しているような形になっていかざるを得ないというふうに思うわけでございます。  御存じのように、公団賃貸住宅は国からの援助をいただいて公団がつくって、そしてお住まいいただいているものでございます。したがって、国民的視野からもその辺はお考えをいただく必要があるのではないか。もちろん、一〇〇%十分とは申せませんけれども、我々ができる範囲で、我が公団は、制度なり予算上の制約なりいろいろございます、かつ、先ほど申しましたように公営住宅というもう一つの役割分担を持つ分野があるわけでございます、そういう中で、一定の世帯については家賃を一定以上は減額するというような制度を導入してやっておるわけでございます。  それで、そこにお住まいになりたいという気持ちは非常にわかるのでございますけれども家賃の問題で申しますと、我々といたしましては、先ほど十と申しましたが、その中に、大体同じ家賃でお入りいただけるようなところはあっせんをするということもやっておりますので、ぜひその辺を御理解の上御協力をお願いいたしたいと思っておるところでございます。
  157. 中島武敏

    中島(武)委員 蓮根団地は三十年前に建てられた。このときは非常に高ねの花で、みんな入りたいと思ってもなかなか入れない、それだけの家賃住宅だったのです。まだあそこは開けてなかった。だから、朝露を踏んで出勤しなければならない。洋服のすそがびしょびしょにぬれてしまう、長靴を履いて出勤して駅で長靴を短い革靴に取りかえて出勤するというようなことから始めて、三十年間ああいう蓮根団地という地域社会を建設してきたのです。その三十年間住みなれて建設した社会から建てかえが行われるために出なければならないというのは、だれしも納得のできない問題じゃないかというふうに私は考えるのです。  それで、住民の納得のいく家賃にしない限り住民の皆さんが新しい一時使用の契約を結ばないということになれば、現在の契約は法定更新されますから、これは生きていく、継続されていくということになるのですね。そうすると法的にも実際にも建てかえというのは不可能になると私は思うのです。そういう点からいえば戻り入居の条件、みんなが帰ってこれるような家賃というものを、いろいろあるけれどもやはり考えて、全員の人に住んでもらえるような、そういう根本的な考え直しというものを必要としているんじゃないかと私は思うのです。  それから、もう一つ続けて言いますと、建てかえを希望する人でも家賃が高いから戻ってくることができない。ところが建てかえを希望しない人もいるのです。そして、その人たちは強引に建てかえのために出なきゃならない。これはめちゃくちゃな話じゃないかというふうに私は思うのです。これは前回も言ったのですけれども、大事なことは、何といってもやはり公団の居住者の要求が一番中心に置かれなければ問題だというふうに私は思います。そういう点からいえば、これも率直な話、やはり建てかえを希望しない人のために建てかえない号棟もつくるべきじゃないのか、そしてガス管は安全なのか点検をしてみる、内装、外装を施して住みよくして住んでもらうというふうにするのも公団の使命じゃないかと私は考えるのです。いかがですか。
  158. 渡辺尚

    渡辺参考人 二点あると思いますが、抜本対策というお話がございました。我々としては今まで詳細かつ慎重な検討をした結果として現在の制度でお願いをしているということでございます。  それから、契約の問題でございますが、我々はあくまでも御意見を伺って話し合いによって御納得をいただいた上でこの事業を進めていきたいと基本的には考えております。しかし、先ほど申し上げましたように一定の方々あるいは相当の方々が生活設計をして、いついつまでにそこに戻ってくるんだということになりますと、そういう方々の生活設計も考えなければいけないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。  それから、もう一点申し上げたいのは、今の点に関連してでございますが、これはこの前も申し上げましたが、昨年の実績首都圏で空き家の応募倍率は十七・八倍でございます。つまり十七万人の方が申し込まれてもたった一万人しか入れない。この数字首都圏数字ではございませんので恐縮でございますけれども倍率だけでございますが、そうしますと、そういう方々は恐らく民間の木賃とか、そういったところに入っておられるのだろうと思います。そういう方々にもやはり公団賃貸住宅というものも供給していかなければならないということになると思います。そこで、くどくど申し上げてもしようがないと思いますが、先ほど申し上げておりますような、そういう供給のための土地利用の適正化、高度利用それから全体としての居住水準の向上、こういうことからいいますと、残りたいということである棟だけを現在のままにするということは、これは全体の住棟計画等から申しましても非常に非効率でありますし、困難な問題が多いわけでございます。これはなかなか無理であるというふうに思っております。
  159. 中島武敏

    中島(武)委員 私は今の理事答弁は、とてもじゃないけれども納得できないのです。それで、時間の関係もありますからまた別の機会にやりますけれども、やはり一時使用賃貸借契約なんというのはさっきも申し上げたよるにやめる。それからもう一つは、やはりみんなが戻ってこれるような家賃というものを考える。それから、何といったって居住者が主人公なんですから、その方々が望んでいらっしゃることをやるというふうでなければうそだと思うのです。その点で建てかえない号棟もつくるというようにぜひしていただきたいということを重ねて申し上げてこの問題については終わりまして、住金法の問題にまた戻ります。  いろいろと改善要求についてお尋ねしたいと思っておりますが、その一つは段階金利制の問題なんです。勤労者住宅建設を推進する上で借入金の金利負担を軽減することは極めて重要な意義を持っていることは建設省認めておられるところであると思います。この点で、段階金利は公庫利用者の金利負担を大きくふやしました。  段階金利導入の理由の一つに、財投金利が高くて公庫融資金利との差を埋めるために、そのための利子補給が多くなるということを挙げていたわけであります。しかし、現在は財投金利とそれから住宅金融公庫の金利との差は大変縮まっております。この点からいって、今この際これを撤廃をする、そして利用者の利益を図るということに踏み切るべきときじゃないかと思うのですけれども、どうでございますか。
  160. 片山正夫

    片山(正)政府委員 財投金利と融資金利の差を財政から補てんするために補給金を出しておりますけれども、これが高額になってきたために段階金利制を導入したところであります。六十三年度末で、現在特別損失金としまして残されておる借金と申しますか、これが五千百六十四億円であります。  さらに、現在の状況でもってこの段階金利制を廃止した場合、どのぐらいの補給金が必要になるかということでありますけれども、これはいろいろの条件が違いますのがありますので一概に言うことはできませんけれども、今の条件でもって計算をしますと、これは既往分も全部含めて遡及して廃止する、こういうことでありますけれども、六十八年度で八十五億円がさらに必要となり、十年後の七十三年度で千二百億円が必要となり、ピーク時であります八十三年度は千七百億円が必要となる。現在の特別損失金の累計五千百六十四億円にさらにこういうものが毎年毎年累積して乗ってきますので、そういうことを考えますと、現在金利差が縮小している状況でございますけれども、段階金利制を廃止することはよろしくないのではないかと考えております。
  161. 中島武敏

    中島(武)委員 これは前回導入するときの話では、二十年後には二千数百億円、こういう話があった。今答弁のあったように、一番大きくても千七百億なんですね。それからまた減っていくわけなんです。そのことを考えると、やはり利用者のために考え直していただきたいということを、この点については申し上げておきたいと思うのです。  それからあと二つ、きょうお尋ねしたいのです。  個人住宅の貸付枠の拡大の問題なんですけれども、個人住宅の一般融資の貸付限度額について、特に標準住宅Aタイプの貸付枠は極めて低いのです。五百万円から六百万円台です。今日の建築費の現状から見ますと、少なくとも一千万円以上に引き上げる必要があるんじゃないだろうか。大体今、木造で、東京あたりですと坪五十万円、こういうふうに言われておりますので、この点の引き上げということについてどう考えられるか。引き上げるべきだというのが一つであります。  それからもう一つは、住宅改良資金の問題なんですが、これの中間融資をぜひ実施する必要があるんじゃないかという問題であります。住宅改良の推進というのは政府も、これは公庫の方からお答えくださっても結構ですが、政府も大変言っているところでありますけれども、これを推進する上で中小零細の建設業者の仕事確保につながれば、これはなおさら国民経済への貢献も大きいというものであります。ところが、五百万円強の改良融資についてですけれども、中小業者は改良工事を受注する上で大きな障害になっておりますのは資金手当ての問題なんです。工事に入った場合に材料費等の資金を工務店が手当てしなければならないわけですけれども、零細業者にはこれはなかなか大変なんです。それで、なかなか大変だということになっておりますと、有力な工務店が出てきて仕事を持っていってしまう、こうなるわけです。それで中間は融資をする。その中間資金の交付というふうにやりましたならば、こうなりますと大いに営業活動も盛んになりますし、発注者も拡大します。それからまた中小建設業の育成の上でもよくなりますし、融資も拡大をする。どこを考えても大変いいことになると思うのですね。そういう点で、中間融資と申しますか中間資金の交付をぜひひとつ制度化してもらいたい、こういう要望が非常に強いのです。  以上二つの点はついてお答えをいただきたいと思います。
  162. 片山正夫

    片山(正)政府委員 Aタイプと御指摘でございましたけれども、予算案の、百二十五平方メートル以下の基準金利のものでありますけれども、これにつきましては補給金を要するということで、その増額につきましては困難さを伴うところでありますけれども、六十二年におきましてこれを六百三十万から六百八十万に引き上げまして、さらに特別割り増しどしまして百万円の増額を行い、さらは暖房給湯設備工事に対して五十万円を割り増すなど、特定工事八項目につきまして政策割り増しを実施しております。  また六十三年度予算案におきましては、建築費につきましては六百八十万円と据え置きましたけれども、特別割り増し貸し付けを五十万円増額いたしまして三百五十万円に引き上げるなどの措置をしているところでありますが、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  163. 山本重三

    ○山本説明員 住宅改良資金の貸し付けにつきましては、全体として融資額が相対的に新築に比べて少なくございますし、工期も大体新築の三分の一程度でございます。そういう意味で、竣工後は一括交付する方が手続としても簡潔でありますし、ユーザー側としても大変利用しやすい。  また新築資金の中間資金交付につきましては、民間住宅ローンでは実施しておりません。これはむしろ公庫の特例措置であると考えております。  また先生のおっしゃいました点から、仮にこれを融資を行うといたしました場合には、やはりこのための債権保全措置を講ずる必要が出てまいりますし、また中間交付をするためには出来高確認という手続もとらなければならない。そういう意味で、利用者にとってもかえって手続は複雑であり、また利用しにくい、国民側にとっても利用しにくいという問題が出てくるかと思います。  しかしながら、できるだけ資金交付を早期に行うために、昭和六十二年度からクイックリフォームローンという制度を設けて、できるだけ早期に資金が交付される措置を講じておりますので、今後ともそういった点で努力をしてまいりたいと考えております。
  164. 越智伊平

    ○越智国務大臣 全般的にお答えをしておきたいと思いますのは、御質問ございませんけれども、ずっと座って黙っておりますと、これは認めたことになりますので、ひとつ考え方を申し上げたいと思います。  東京都、都心部中心に大変地価が高騰いたしまして、これは率直に認めます。この地価を第一番には下落させないといけない。そのためにはやはり土地の需要と供給であります。でございますから、土地供給する面で建設省としては進めていかないといけないと思います。  また住宅の方も同じであります。住宅の戸数は十分ございますけれども、環境が非常によくない。でございますから、環境のいい住宅供給しないといけない、こういうことであります。  そういうことから考えますと、やはり公団住宅もあるいは公営住宅も、古くなったところは建てかえて戸数も多くするし、環境のいい住宅にしなければいけない、こういうことであります。その点についてぜひとも御協力をいただきたい、こう思うのであります。七〇%、八〇%の方が同意していただいたら他の方も御協力をいただいて、みんなで供給面、立派な住宅をたくさんストックができるように持っていきたい、こう思いますので、ぜひともひとつ御協力をいただきたい、かように思う次第であります。
  165. 中島武敏

    中島(武)委員 いろいろ言いたいことはありますけれども、時間ですから終わります。
  166. 中村喜四郎

    中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  167. 中村喜四郎

    中村委員長 この際、本案に対し、野中広務君から修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。野中広務君。     ─────────────  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  168. 野中広務

    ○野中(広)委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してあります。  御承知のとおり政府原案では、この法律は、昭和六十三年四月一日から施行することといたしておりますが、これを「公布の日」から施行することに改めるものであります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  169. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  170. 中村喜四郎

    中村委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付すのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案並びに野中広務君提出の修正案について採決いたします。  まず、野中広務君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 中村喜四郎

    中村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  172. 中村喜四郎

    中村委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  173. 中村喜四郎

    中村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、野中広務君外四名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。中村茂君。
  174. 中村茂

    中村(茂)委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 地価の高騰等により、大都市圏を中心住宅問題が深刻化している現状にかんがみ、国民が良質な住宅取得することが可能となるよう、住宅宅地対策を積極的かつ強力に促進すること。  二 我が国の立ち遅れている居住環境及び居住水準の整備・向上に積極的に取り組むとともに、良質な賃貸住宅供給促進及び住宅減税の拡充に一層努めること。  三 住宅金融公庫融資については、融資限度額等質付条件の充実に引き続き努め、公庫に対する利子補給等の財政援助に特段の配慮を払うこと。  四 今後とも、高齢化社会や多様な居住形態に対応するための住宅対策の拡充に努めるとともに、内需の振興を図るため、住宅の建設を積極的に推進すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  175. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  176. 中村喜四郎

    中村委員長 起立総員。よって、野中広務君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣。
  177. 越智伊平

    ○越智国務大臣 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。  ここに、本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。     ─────────────
  178. 中村喜四郎

    中村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  180. 中村喜四郎

    中村委員長 次に、内閣提出住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。越智建設大臣。     ─────────────  住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  181. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいま議題となりました住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国の現下の経済情勢を見ますと、国民生活に緊要な社会資本の整備を促進することにより、内需を中心とした景気の持続的拡大を図り、雇用の安定と地域経済の活性化を積極的に図っていくことが重要な課題となっております。このため、昭和六十二年度において、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用した国の無利子貸付制度を創設し、社会資本の整備の促進を図っているところであります。  昭和六十三年度においても、引き続きこうした課題にこたえるため、所管事業の効果的かつ効率的な実施に努め、また、民間活力をも活用しつつ、住宅・社会資本の計画的かつ着実な整備を推進していく所存でありますが、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用した国の無利子貸付制度についても、住宅都市整備公団等が行う公共施設の整備に関する事業の一層の促進を図るために、その拡充を図ることが必要であることから、この法律案を提出することとしたものであります。  この法律案は、  第一に、住宅都市整備公団等が宅地の造成とあわせて行う道路、公園、下水道、河川等の公共施設の整備に関する事業  第二に、住宅都市整備公団土地区画整理組合等が土地区画整理事業として行う道路、公園、下水道、河川等の公共施設の整備に関する事業  第三に、第三セクターが行う河川、砂防設備等の整備に関する事業 の各事業のうち、その事業に関連する事業により生ずる収益をもってその事業に要する費用を支弁することができると認められるものについて、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用した国の無利子貸し付けを行うことができることとするものであります。  このため、住宅都市整備公団法、地域振興整備公団法、地方住宅供給公社法、民間都市開発の推進に関する特別措置法、都市開発資金の貸付けに関する法律土地区画整理法の六法律について所要の改正を行うとともに、当該無利子貸し付けに関する政府の経理に関する規定等を整備するため、附則において、関連する四法律について所要の改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  182. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明聴取は終わりました。  次回は、来る六日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後三時五十分散会