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1988-03-23 第112回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十三日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 中村喜四郎君    理事 加藤 卓二君 理事 野中 広務君    理事 野呂田芳成君 理事 東   力君    理事 中村  茂君 理事 矢追 秀彦君    理事 西村 章三君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       大塚 雄司君    金子原二郎君       木村 守男君    北村 直人君       桜井  新君    田村 良平君       武村 正義君    松田 九郎君       村岡 兼造君    小野 信一君       木間  章君    坂上 富男君       三野 優美君    大野  潔君       伏木 和雄君    伊藤 英成君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 奥野 誠亮君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         水資源部長   大河原 満君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         建設政務次官  古賀  誠君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官事務代         理       中嶋 計廣君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 木内 啓介君         建設省河川局長 萩原 兼脩君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課長 平石 尹彦君         法務省入国管理         局警備課長   書上由紀夫君         厚生省健康政策         局計画課長   入山 文郎君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     森本 茂俊君         林野庁業務部業         務第二課長   小林 新一君         運輸省港湾局管         理課長     亀甲 邦敏君         気象庁予報部長         期予報課長   嘉味田宗治君         労働省労働基準         局監督課長   松原 東樹君         労働省職業安定         局企画官    吉免 光顕君         自治省行政局振         興課長     谷口 恒夫君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   渡辺  尚君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     宮繁  護君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     稲村 利幸君   遠藤 武彦君     小坂徳三郎君   桜井  新君     佐藤 文生君   武村 正義君     志賀  節君   松田 九郎君     浜田 幸一君  村岡 兼造君     三ツ林弥太郎君   中島 武敏君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     榎本 和平君   小坂徳三郎君     遠藤 武彦君   佐藤 文生君     桜井  新君   志賀  節君     武村 正義君   浜田 幸一君     松田 九郎君  三ツ林弥太郎君     村岡 兼造君   不破 哲三君     中島 武敏君 同月九日  辞任         補欠選任   坂上 富男君     井上 普方君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     坂上 富男君 同月二十二日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     松野 幸泰君 同日  辞任         補欠選任   松野 幸泰君     榎本 和平君 同月二十三日  辞任         補欠選任   橋本龍太郎君     北村 直人君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君     ───────────── 三月四日  宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)(予) 同月十五日  大都市地域における優良宅地開発促進に関する緊急措置法案内閣提出第六四号)  土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣提出第六六号) 同月三日  東京周辺地区開発に伴う丸の内駅舎復元保存活用に関する請願岩垂寿喜男紹介)(第五五二号)  同(長田武士紹介)(第五五三号) 同月十一日  尾瀬分水反対に関する請願桜井新君外一名紹介)(第七五七号)  東京周辺地区開発に伴う丸の内駅舎復元保存活用に関する請願高沢寅男紹介)(第七六六号)  同(榎本和平紹介)(第八三七号)  同(三野優美紹介)(第八三八号) 同月十六日  東京周辺地区開発に伴う丸の内駅舎復元保存活用に関する請願船田元紹介)(第八七七号)  同(愛知和男紹介)(第一〇〇四号)  同(井上泉紹介)(第一〇〇五号)  同(上田哲紹介)(第一〇〇六号)  同(大野潔紹介)(第一〇〇七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)  農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一七号)  特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第一八号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 中村喜四郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  両件調査のために、本日、参考人として住宅都市整備公団理事渡辺尚君及び日本道路公団総裁宮繁護君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 中村喜四郎

    中村委員長 この際、越智建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣
  5. 越智伊平

    越智国務大臣 日本道路公団理事収賄によりまして起訴されました。現職理事収賄容疑で起訴された、非常に残念でありますし、皆さんに申しわけない、また国民皆さんにもおわびを申し上げたいと思います。  道路公団総裁から報告を受けまして、総裁の進退を含めて相談を受けましたが、私から指示をいたしましたのは、今道路は非常に重要な時期であります。こういう時期に現職理事収賄で起訴される、非常に申しわけない次第でありますし、遺憾であります。したがって、綱紀粛正、この綱紀粛正といいますのも、一般的な粛正でなしに徹底した組織の見直しあるいは監視の方法、この点について具体的に施策を講じ、報告を受けることにいたしております。中間的な報告としては、理事に至るまで監視をするという報告を受けております。そして、総裁に対しましては、とにかく非常に重要な時期であるから、綱紀がきちっと粛正されるまで、また業務がいささかも遅滞を起こさないようにやってもらいたい、こういう指示をいたしました。  また、その後、住都公団の、これは昨年、六十二年の一月に退職をした職員でありますが、これまた収賄で起訴をされました。この点についても厳重に注意をいたしておるような次第であります。  重ね重ねの収賄、まことに皆さんに申しわけない、また国民皆さんにも申しわけないと深く反省をし、おわびを申し上げる次第であります。  以上二件について、当初に皆さんに御報告を申し上げ、おわびを申し上げるような次第であります。  以上です。     ─────────────
  6. 中村喜四郎

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野潔君。
  7. 大野潔

    大野(潔)委員 冒頭大臣から残念な報告を承ったわけでございますが、どうかひとつ綱紀粛正については、今の御決意どおりしっかりと引き締めてお願いしたいと思います。  もう一つ、けさの新聞を見ますと、小沢長官日米間の公共事業問題協議のために訪米されるそうでありますが、これの見通しはどうなっているのか、またどのような対案を持って臨まれるのか、差し支えないところでお答え願いたいと思います。
  8. 越智伊平

    越智国務大臣 明二十四日、小沢長官が特使として渡米されるようであります。  御承知のように、一月に竹下総理首脳会談に参りました際に、かねてから公共事業の参入問題で懸案になっておりました問題につきまして、我が国はもともと内外無差別であります、しかし日本の法令あるいは規則等を守ってもらいたい、こういうことでありますけれども、工事の実績というものを重く見ておりますが、アメリカ企業実績がない、この点で摩擦解消のためにプロジェクトを決めて、それに対する実績外国実績でも加味して、これは外国企業アメリカ企業が習熟するまでということでお話をいたしました。その後、その問題について、我が国でまたアメリカで二度折衝をいたしましたが、なかなか歩み寄りができない状態でありました。今度で三回目のを今アメリカでやっておりますけれども、なかなか見通しとしては難しい。難しいといいますのは、話し合いでございますから、両方が譲り合わないと話ができないわけであります。その点でまだ隔たりがあるようでございます。  建設省としては、プロジェクトについては今のようなところでございますが、運輸省の関係あるいはその他地方公共団体民間等の話、いろいろあるようでございますので、この点でお話し合いをするようでございますが、至って難しいという印象であります。難しいといいますのは、両方が譲る気持ちでないと妥協できない。私の方も実は、例えば植木で考えますと、幹の部分はもう絶対に守らないといけない。剪定の枝葉については、多少、交渉のことですから譲ってもというつもりであります。  でございますから、私の見通しとしてはなかなか困難である、こういうことであります。しかし、交渉のことでございますから一挙にできるかもわかりませんし、円満に解決することを望んでおるような次第であります。
  9. 大野潔

    大野(潔)委員 これから交渉なさることを余り突っ込んで伺っても無理でございますし……。  それでは、本題の大臣所信に対しての質疑ということでございますので、冒頭にお願いしておきますけれども、時間が非常に制約されて、大体四十分、延びても五十分程度ということでございますので、ひとつ答弁の方も簡単にお願いしたいと思います。  まず、両大臣に伺いたいのですが、代表して建設大臣に伺います。  一月二十五日でしたか、竹下総理施政方針演説が行われました。そこで、私たちも異論のあるところもありますが、しかしいいことも言っておられる。その中で、均衡のとれた国土づくりということで、そこをちょっと読み上げますと、「豊かな自然や住みよい都市環境地域における人と人との心の通い合い、住民の自発性に基づく町づくり村づくり地域づくりのための活動、そして、家族団らん、これらは、私が目指す政治一つの原点とも言うべきものであります。その意味で、各地方活性化促進するためには、ふるさとを育て、守っていく国民一人一人の活動に待つところが大きいと考えます。一方、政府としてもこれらの活動がよりよく発揮されていくよう、都市環境整備、」「自然環境保全など均衡ある国土づくりのための諸施策を積極的に講じてまいります。」こう述べられているわけでございますが、建設大臣所信表明を伺いますと、この部分がどこに述べられているのか、担当官庁として、また大臣としまして、これが具体化されているのがどの部分なのか、ちょっと私にはわかりにくかったのですが、改めてお示し願いたいと思います。
  10. 越智伊平

    越智国務大臣 今お示しいただきました総理所信表明の中、これを受けまして私から申し上げましたのは、「国土建設の目標は、住宅社会資本整備を通じ、国土の均衡ある発展を促進し、活力ある経済社会と安全で快適な国民生活を実現することにあります」、こういう項で申し上げておる次第であります。  総理の言われましたのは、自然を守り、ふるさと創生でございますから、特性のあるその都市都市をつくっていく、こういうことにあると思いますので、そうした面で今後も努力をしてまいろう、かように考えておる次第であります。
  11. 大野潔

    大野(潔)委員 ちょっとその点でも突っ込みたいのですが、時間が少ないものですからどんどん先へ進めます。  今大臣は、自然を守り云々ということをおっしゃいましたけれども、最近の地価高騰あおりというものが自然環境を非常に破壊するという現象が続出しているわけですね。その原因というのは、結局相続税軽減対策、これが原因のようでございます。  一、二の例を申し上げますと、ある新聞を引用して恐縮なんですけれども地価高騰あおりを受けて、東京多摩地区の二十六市で、児童公園スポーツ広場として地主から提供されていた土地が、この三年間で九十六カ所、ちょうど先日できました東京ドームのグラウンドの十個分に当たる十三万平方メートルが地主返還されているという事実が、東京都の市長会でわかったというわけです。地主相続税対策のため農地に戻そうと、土地返還を次々と求めているためだ。返還された土地は、それまで地主が無償や固定資産税分免除程度で市に提供していたところ。ところが、こうした土地は地目では雑種地、こうなるために、相続の際には税金宅地並み課税になってしまう。そこで、農地にしておけば、評価額が低くなることに加え、将来二十年間の営農継続が認められれば相続税の一部免除の特例もある。このために、相続税負担軽減を考えれば、その公園に貸してあった土地返還してもらって農地に戻す、相次いでこういう現象がある。  これは先日、建設大臣並びに自治大臣、それからまた大蔵大臣のところにも陳情があった問題でございますので、もう御承知と思いますけれども、これは完全に今の「ふるさと創生論」からいえば逆行しておる現象ですね。これにどのように大臣は対応しておられるのか、ひとつ伺いたいと思います。
  12. 越智伊平

    越智国務大臣 東京都を初め東京都以外も、全国的に今、農地遊園地、子供の遊び場というようなことで、ミニ公園のような状態に借りてやっておるというケースが非常に多いのであります。今先生の御指摘のように、東京都につきましてはそのことが行われておりますが、地価高騰いたしたために、返してもらいたいということで、だんだん返還をしておるような状態はお説のとおりであります。  私は、この農地の問題、特に市街化区域農地の問題については、できるだけ宅地にしてもらいたい、こういうことであります。また調整区域については、良好なところはできるだけ開発できるように進めてまいりたい。市街化区域につきましては、どうしても営農を続けるという方の土地は、交換分合してでも逆に調整区域に戻していくべきではないか、こういうことを言っております。また指導もいたしております。  そういう中で今のような現象が起きておりますので、今後これをどうしていったらいいか。いいことは、宅地に供給をしてもらう、その中にあって公式な公園とかそういう空間地帯をつくっていく、これが一番望ましいと思いますが、今言ったようなことで進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  13. 大野潔

    大野(潔)委員 ちょっとお答えが納得できない部分もあるのですが、その二つ目の例として、先日ある大学の教授にこんな話を言われましてね。その方は私の地元に住んでおられる方なんですが、四十七、八年ごろに、自分で家を求めたいと思ってずっと歩いたところが、すばらしいケヤキの木がありまして、これは自分土地じゃなくて情景なんですが、すばらしいところだということで、そこを早速借りて家を建てて、朝晩それを眺めながら楽しんでいた。ところが、出張から帰ってきてある朝窓をあげたところ、そのケヤキがなくなってしまって電灯線、鉄塔が見えるのだそうです。びっくりしたと。それでいろいろ聞いてみたら、そのケヤキはもう百年以上たっているような大木なんですが、結局それを遺産相続のため農地にするために切ってしまった。それでそこを、野菜などを植えて農地にしてしまった。こういう現象が出ているわけで、何だ、最近言われている「ふるさと創生論」、いわゆる自然を守るという現象から見て、言っていることと現実とは全然違うじゃないか、政治家しっかりしてくれ、こういうことで、建設大臣のかわりに私が怒られたような気持ちがするのですけれども、これに対して大臣、一言述べてもらいたいと思うのです。
  14. 木内啓介

    木内政府委員 大臣の御答弁の前に、ちょっと技術的に簡単に説明させていただきたいと思います。  先生東京市長会からの要望を聞いておりまして、これに対しましては、やはり緑を残すということからいえば後退でございますので、税制等相続税等の問題、大変難しい問題もございますけれども、こういうものを含めて検討させていただきたいと思います。  それから樹木につきましては、樹木保存に関する法律というのがございまして、確かに指定がなされておりますけれども、この法律保存義務規定届け出等でございまして、行為の制限等を伴っておりませんので、都市計画上あるいは税法上位置づけが大変難しい問題でございます。そういった問題もございまして、先生のような御指摘があろうかと思いますけれども、今後ともこの問題につきましても十分検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  15. 越智伊平

    越智国務大臣 今の樹木の問題でございますが、何か制限を加えるまでに、文化財とか何かになっておればでございますが、それ以外だと今の制限では非常に難しい、かように思います。私どもも、緑を残す、美しい立派な樹木は残していくということに努めなければならないと思いますが、何か法的な根拠がないと非常に難しい、かように思う次第であります。  それから、今、都市局長からお答えいたしました税制見直し等は逐次考えておりますが、次の機会にも今の雑種地の問題、雑種地も草ぼうぼうの雑種地は困るわけでございますけれども、利用している雑種地についてどうするか、特にミニ公園等に利用しておる場合にはどうするかというのを十分検討してまいりたい、かように思う次第であります。
  16. 大野潔

    大野(潔)委員 質問通告してあると、答弁の方が先回りして言うものだからやりづらいのですけれども……。  東京の例ばかりで大変恐縮なのですけれども、私は東京出身でございますし、地方は具体的な資料が手に入らないものですから、地元周辺の問題を率先してやっております。  私は三多摩地区に住んでおりまして、あそこには昔からの青梅街道五日市街道等もあれば、また玉川上水とかそういう史跡に近いような施設がたくさんあるわけです。ところが、玉川上水とかそういう施設というものは大体都有地になっておりますので、その辺の史跡はいろいろと手の施しようがあるわけで、今大臣の言われたように文化財まではいかないけれども保護できるわけです。ところが、問題は、青梅街道とか五日市街道になりますと私有地なのです。そこに百年を超すような直径一メーター以上のケヤキが何本もある。ちょっと私、調べてみましたら、それがこの十年間で半分に減っているのだそうです。それでは全然対策をしていないのかといいますとそうではなくて、やはり市の方では、また都の方も協力しましていろいろな手だてをしている。例えば指定樹木、また雑木地指定樹林ということで、樹木の方には一本年間三千円支払っておりますし、それからまた樹林の方には固定資産税、一遍納めてその分だけまた補助金を別に出すというような形でいろいろやっております。  ところが、冒頭から申し上げているように相続税地価の暴騰によってだんだん上がってまいりましたので、その大きなケヤキの木も宅地の中、または雑種地の中に生えているわけですから、結局相続するその方が健在なうちに農地に転換しておかなくてはならぬということでこういう現象が起きている。地元のそれぞれ市の当局に聞きますと、あと十年もすればあの大木は全部なくなってしまうのではないか、こういう心配をしているわけでございまして、これは文化財になっていればどうのこうのという、そんな優雅な状態ではないわけでございます。これは環境庁というよりもむしろ建設省、また場合によっては国土庁が相まって、総理の言うところの「ふるさと創生論」、自然を子孫のために残す、こういう立場から、今からその手だてをしなければならぬと思うわけで、その辺の決意を伺っているわけでございます。  そこで、ちらっと言われましたけれども、二十年間のいわゆる営農継続農地、こう認定されればそれだけ税金が安くなる、そういう法律が既にできているわけですから、それに準ずるような手だてを、あなたは大蔵大臣じゃありませんから、そういう税制をつくれと申し上げるのはいかがかと思いますけれども問題提起はできるはずなんですから、建設大臣国土庁長官でもって協議をされまして問題提起をされまして、大蔵当局にそういった減税の手だてをさせて、何とか自然が守れるようになさるべきじゃないだろうか、こう思うわけなんでございまして、その辺でさっきの都市局長が出てこなくちゃいけない。
  17. 木内啓介

    木内政府委員 先生の御指摘、大変ごもっともだと思いまして、相続税につきましては、私どもとしましては実は六十一年ぐらいからいろいろ、細かくなりますから簡単に申しますと、緑地保全地域だとか、先生の御指摘保存樹だとか、風致地区生産緑地等、広範囲にわたりまして相続税農地並みの猶予の措置も要望し、検討してきたのでございますけれども、六十一年、六十二年通しましていろいろな問題、事情がございまして、農地並みの扱いというのはなかなか難しいということになって見送られてきたわけでございます。ただ、緑地保全地区とか歴史的風土特別保存地区につきましては、相続税の中の延納利息につきまして若干の軽減が認められたという程度でございます。  このようにある程度法的な規制を伴い、あるいは長期に保存する見込みのある地域につきましても、相続税と申しますと農地並みというわけにはなかなかいかないで、たかだか延納利息引き下げ程度にとどまっているのが現況でございます。来年度におきましても、都市公園の中で借地公園がございます。そういうものにつきまして延納利息引き下げを要求しているわけでございますけれども、これとていまだ、相続税抜本改正の中で検討するということでペンディングのような状態になっております。そのように厳しい状態でありますけれども、これからも検討してまいりたいと思うわけでございます。  ただ一つ心配なのは、相続税軽減へ持っていきますと、先生も御指摘になりましたように、農地においてはやはり相続後二十年間は継続してやるという話がございます。そういうことで、借地小公園等について相続後例えば二十年間継続、二十年と言わなくても一定期間長期に継続してそういった借地公園等が続くだろうか、そういう継続に対して地主さんの方が耐えられるかどうかというふうな問題もこれありまして、そういったものとの兼ね合いで、継続性を主張しますと出してくれなくなる可能性も考えなきゃならぬというなかなか難しい問題があるわけでございますけれども、緑地保全ということは大変重要なことでございますので、私どもとしても引き続きこういった線で要望はしてまいりたいと思います。
  18. 大野潔

    大野(潔)委員 やはり減税措置というものをしっかりしておかなければ、これは受けないと思うのですね。指定樹木にしても五年ごとに地主話し合いをして決めるわけですから、地主がもう嫌です、あるいは切ります、こう言われれば、これは今のところ手の打ちようがない。だから十年もたてばなくなってしまうのじゃないか、こういうことでございまして、都の方としても歴史的環境保全地域というようなことで、条例の中でできる手だてはしているけれども、事税金問題になってくると、これはもうどうしようもないわけですよ、国でやる以外に。ですから、建設大臣の方から問題提起をして、大蔵当局協議の上、その指定を受ければそう税金がかからずに済む、よって保存ができる、こういう手だてをやるべきだと申し上げているのですが、大臣ひとつ。
  19. 越智伊平

    越智国務大臣 お話しの一メーターもあるケヤキとなりますと、何百年かかかって大きくなった、かように思います。これが無残に伐採される、非常に残念でございます。  お説の点について、税制の問題、よく検討して提起をしてみたい、かように思います。市とあるいは都、こことよく連絡をとって、何か保存の方法がないか、税制だけでいけるのかどうか、また税制がどういうことになるか、ひとつ今後大いに勉強をさせていただきます。
  20. 大野潔

    大野(潔)委員 してみたいとか勉強するなどという優雅なものじゃなくて、緊急性があるのでございますから、ひとつしっかりと頑張っていただきたいと思います。  余りこれだけにこだわっているわけにいきませんので、期待を込めてお願いをしまして、次は東京湾の臨海部の再開発問題について若干伺いたいのです。  首都東京が、いよいよ都庁が新宿移転する。それに伴って副都心構想が各所にできているわけでございまして、その中の大きなのがこの臨海部の再開発問題でございます。これの、結局各省庁間の権益問題というのが非常にまたがっておりますので、その調整のために協議会というのを設置されておりますけれども、その構成とそれからその推移について、簡単に御説明を願いたいと思います。
  21. 北村廣太郎

    北村政府委員 東京臨海部の開発につきましては、昭和六十一年十一月に東京臨海部開発推進協議会というものが発足したわけでございます。その構成は、発足当初におきましては内閣官房の特命担当室長、それから国土庁、通産省、運輸省、郵政省、建設省、国の各省庁の担当局長それから東京都の担当室長または局長という構成になっておりまして、以降協議を重ねまして、本年の三月十八日に、地域開発の基本的方針、根幹施設整備方針、開発者負担の考え方等を主な内容といたしました「東京臨海部における地域開発及び広域的根幹施設整備等に関する基本方針」を取りまとめたところでございます。  今後は具体的に、東京都が中心となりまして、根幹施設整備あるいは都市計画上の処置あるいは港湾整備等に取りかかるという段取りになっております。
  22. 大野潔

    大野(潔)委員 もう一言、その協議会の権限というものは大体どういうことになっておるのですか。
  23. 北村廣太郎

    北村政府委員 協議会そのものは協議の場でございまして、協議会そのものに権限があるわけではございません。しかし、国の関係省庁及び東京都、関係者が全部この席に寄っておりますので、国土庁が座長となりまして、よりよい開発状態を取りまとめるために一致して協議し推進する、こういう機構になっております。
  24. 大野潔

    大野(潔)委員 後で国土庁長官の方へ御質問が参りますので聞いていてもらいたいのですが、これは去年の十二月に運輸省の港湾局長の名前でもって東京都知事あてに、「臨港地区内の分区における構築物の規制に関する参考条例案(モデル条例)の改正について」ということで通達が出されている。この通達の内容を、運輸省、簡単にひとつ説明していただけますか。
  25. 亀甲邦敏

    ○亀甲説明員 御説明申し上げます。  今御指摘のいわゆる、私どもモデル条例と呼んでございますが、最近非常に社会経済情勢が変化してまいりまして、港湾という場におきましても単なる物流とかあるいは生産の場としての港湾ではなくて、非常に総合的な利用を図っていかなければいけないという要請が全国各地で出てきておるわけでございます。したがいまして、そういう情勢に対処いたしまして、いわゆる臨港地区と称しますところで、各港湾管理者でございます地方公共団体がその分区というものを設けて条例をつくりまして、ここの地区ではこういう建物をつくってはいけないとかいうたぐいの規制をしているわけでございます。その規制が時代にそぐわなくなってきておるんじゃないかということを受けまして、一年以上の歳月をかけまして検討いたしまして、その時代に即した条例に改正していこう、それのモデルになるような条例ということで私ども全国に示したものでございます。
  26. 大野潔

    大野(潔)委員 これでは港湾局長の通達のみならず、港湾局の管理課長の名前で、運用方法について出ております。これは協議会で了解のもとに出された文書でございましょうか。
  27. 亀甲邦敏

    ○亀甲説明員 これは今御説明申し上げましたように、港湾法という私どもが所管しております法律の解釈の通達でございまして、特に協議会におかけするような性質のものではございませんので、御了解とかそういう手続等は一切してございません。
  28. 大野潔

    大野(潔)委員 それなら余り協議会というのは意味はないんじゃないでしょうか。  これが十二月二十四日付で出されまして、ちょうど年末でございますので、これを東京都が受けたのが一月九日、松明けに受けております。ところがこの文書で、東京都で大騒ぎになった。問い合わせをした。そこで結局一月二十五日には、今度は建設省都市都市計画課から「臨港地区内の分区条例案改正に関する運輸省通達について」と、簡単に言えば、こんなものは無視してかかってくれ、こういう文書が建設省から出ているわけでございますが、こういう文書を受けますと、東京都としては一体どうやっていいかさっぱりわからぬわけでございますが、これはどうなっているのですか。
  29. 木内啓介

    木内政府委員 先生指摘の一月二十五日付というのは、都市計画の担当者名によりまして、いろいろな話がございましたので事務連絡として流したものでございまして、従来こういった臨港地区につきましての条例について建設省運輸省協議をして出した経緯もございましたのですけれども、今回の場合は協議を経たものでないということでございましたので、そういった面の誤解がないように、関係都道府県あてに一応周知せしめたものでございます。しかし臨港地区の問題につきましては、いろいろ運輸省建設省、これは権限争いをしていてもしようがない問題もございますので、協調体制を整備するというふうなことで、その後よく話し合いを進めるということで両省が合意しているところでございます。
  30. 大野潔

    大野(潔)委員 国土庁長官はよく御承知のとおり、鈴木都政もいよいよ仕上げの段階に来ているわけでございまして、本当に一日一日が貴重な時間になっているわけで、運輸省建設省あたりでもって権益争いをやっていてそのために仕事ができない、こんな状況が続いていたのでは、まさにこれは困るわけでございます。今都市局長は余り差しさわりない答弁をされましたけれども、この文書を見ますと、もう怒り狂った文書になっていますな。全然協議なしに出たものだから無視してもらいたいと言わんばかりの文書になっているわけでございます。これでは自治体としては全く手のつけようがないという状況なんでございますが、今後こんな問題が起きては困る、こういう意味でもって私はあえて申し上げたわけでございます。ここら辺で国土庁長官、ひとつ座長としての引き締めの言葉を……。
  31. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 中央の役所は、御承知のとおり縦割りになっておるわけでございますし、そういう縦割りの指図を全面的に地方公共団体が受けて実施に当たるわけでございます。したがいまして、矛盾があります場合には実施のしようがないわけでございます。  今度の場合に、開発協議会の基本方針が数日前に決定されたところでございますので、これを受けまして東京都が実施に当たる。その場合に、矛盾した問題につきましては東京都の方でしかるべくほぐす、こう思うわけでございますけれども、それが困難であります場合には、協議会の座長を国土庁が務めておるわけでございますので、当然調整すべきものだ、こう思います。
  32. 大野潔

    大野(潔)委員 ひとつ頑張っていただきたいと思います。  それで、大変時間もなくなってまいりましたので、今度は若干細かな問題についてお願い申し上げたいと思うのです。  今立川に昭和記念公園というのができておりますが、これはかつて戦争中に飛行場であった、大変な傷跡を平和の公園にしていこうということでございますが、その前に、この記念公園の造成の進捗状況と今年度の予定の工事について、概要をひとつ御説明いただきたい。
  33. 木内啓介

    木内政府委員 先生指摘のように、五十三年度より事業を実施しているところでございますけれども、五十八年に一部を開園してから逐次開園区域を伸ばしまして、全体計画区域百八十ヘクタールございますけれども、現在はそのうちの約半分について開園している状況でございます。  昭和六十三年度は、子供の森、それから昭島口広場等を整備する予定でございます。
  34. 大野潔

    大野(潔)委員 やはり地元民の協力を求めていかなければならないと思うわけでございますが、そのための気配り、これは地元で要望する施設などをつくるということが一番基本でございましょうが、それは今後の問題として、直接考えてまいりますと、災害時に避難場所として大いに活用させるということ、それからまた地元行事などには特別な配慮をするということ、さらにもう一つ大事なことは、公園建設の段階において、地元のいろいろな業者があるわけでございますから、そういう業者に極力協力させる。私の知り合いの方にこの議事堂をつくられた方がおりまして、来るたびに、空洞のあの部分はうちでつくったんだ、張ったんだ、こういうことで盛んに自慢していた方、今亡くなりましたけれども、そのことを思い出すわけでございまして、やはり地元の業者が、この部分はうちでやったんだ、こういったような配慮が必要だと思うのですね。それがいわゆる地元民に愛される公園になるのではなかろうかと思う。ところが今までの段階では、今の説明ではよくわかりませんでしたけれども、大きな池をつくったり大きなところを整地したりして、とてもとても小さな工事に切ることはできない。しかし、これからの公園は、森林部分であるとか彫刻の部分であるとか、割と五千万、三千万程度の仕事が大分できるのではないか。こういうことで、地元の業者に参加させれば、いざというときに地元民と密着した、まさに平和記念公園という名にふさわしい公園になっていくのじゃないかと思うのですが、その辺のことについてひとつ御意見を伺いたいと思います。
  35. 越智伊平

    越智国務大臣 この公園は御承知のように国営公園、しかも閣議決定であります。ですから、広く国民の利用ということになろうか、かように思います。  しかしながら、今お説のように公園そのものが第一番に避難場所、これはもう当然のことであります。また、いろいろ地元の行事に利用、これも危険とかあるいは差し支えない限り地元の御協力をいただかなければならないのであるから、当然御利用をいただく、このことが大切であると思います。  最後の業者の問題でございますが、確かに、小さいものあるいは地元でできるものは地元の方々にやっていただく、こういう配慮も必要であろう、かように存じます。でありますから、できるだけそういう御要望に沿うように考えていきたい。私がこの部分やったんだとか、お父さんがここをやったんだとか、おじいさんがここをやったという、全く「ふるさと創生」にふさわしい、こう思いますので、そういう面については十分配慮をしてまいりたいと思います。
  36. 大野潔

    大野(潔)委員 そう言われても、現実問題として、小さく切っても設計の日数というものは大きな設計と同じような手間がかかるわけですね。私は設計が専門でございますので、昭和二十一年から三十五年まで広場設計とかそういうものをいろいろやってきたわけでございます。ですから、相当な手間がかかると思うのです。大臣はそこまで言われるならば、ある程度その応援隊を出してこれから対応していかなければならないと思うのですが、そこまでやっていただけますか。
  37. 越智伊平

    越智国務大臣 具体的な問題は今後検討をしてみることといたしまして、先ほども話がありましたが、できるだけ、子供の森ですか、こういうことであろうと思いますから業種にも関係すると思います。御承知のように、土地をつくる、あるいはそれに植樹する、あるいは遊び場をつくる、そういういろいろ分かれるところがあるのではないか、こういうふうに想像いたしておりますので、技術的には十分事務当局に検討をさせて、地元で業者がやれるものは地元でできるように持っていきたい、かように思う次第であります。
  38. 大野潔

    大野(潔)委員 ちょっと時間をちょうだいしたようでございますので、ついでにまた突っ込んで申し上げますが、今のお答え、ひとつよろしく実行のほどをお願い申し上げます。  そこで、地元の問題ばかりで恐縮なんですが、地元では従来、花火大会とかマラソン大会とかやってまいりました。当初は自衛隊の基地などを利用してやっておったわけでございますが、公園がだんだんとできてまいりまして公園を利用するケースがふえてきた。ところが、結局、公園を利用するとなりますと、花火ですから夜暗くなってからやる。それでもなおかつ入園しようとすると入園料を規定料金を払わなければならない。まさか楽しみにおいでになる市民一人一人から取るわけにいきませんので、結局、地元の観光協会なり商工会、こういう主催団体が肩がわりして納める。ところが意外と大変な金額であります。地元公園の事務所で全然配慮がないかといえば、それは十分な配慮はしていただいておりますけれども、なおかつ大きな金額になっている。そこで、ただにしてくれと言っても、実際には管理も警備も、また後の掃除も必要でございましょうから、そういうものの実費は必要なんでしょうけれども地元の市当局や観光協会や商工会、こういったものがその主催なり後援会になってやる場合には、その規定は規定として特別な配慮をすべきではないかと思いますが、その辺のお考えはございましょうか。
  39. 木内啓介

    木内政府委員 大臣が先ほど御答弁申し上げましたように、国営公園でございますので、そのものの性格上、やはり国民広く一般に供するという性格のものでもございますし、また他の国営公園とのバランスというふうな問題もございまして、先生の御要望のような件につきまして、例えば入園料を割り引きするとか無料にするとかという点は大変難しい性格があろうかと思います。  しかし、イベント参加者については団体割引というふうな手段もございますし、また、昭和記念公園につきましては、先生承知のように、国土建設週間とか都市緑化推進運動期間とか都市緑化月間とか、そういうときに無料開園日等がございます。こういった無料開園日にそういったイベント、花火大会等をできるだけ合わせていただくとかいうふうなことで、できる範囲内の地元に対する助成、便宜と申しますか、そういったものも考えてまいりたいと思いますけれども、先ほど申しましたような公園の性格もございまして限界があるという点も御承知願いたいと思うわけでございます。
  40. 大野潔

    大野(潔)委員 無料開園日と合わせろというお話でございますが、では、無料開園日を変えることもできるのでございますか。
  41. 木内啓介

    木内政府委員 都市緑化推進運動期間につきましては五月中の土、日一回ずつとか、国土建設週間は七月十日から一週間程度とか、都市緑化月間につきましては十月中の土、日を一回ずつとか、無料開園につきましても若干の幅がございますので、その幅の範囲内ではいろいろ御都合を合わせることも若干なりとも可能かと思うわけでございます。
  42. 大野潔

    大野(潔)委員 余りここで詰めてしまいますとやりづらくなるから詰めないことにいたしますが、大いに期待しておりますから、よろしくお願いいたします。  最後にもう一度、災害時の避難場所ですね。  私見ておりますと、あれは悪い人間が中に入れないように厳重になっているわけでございますが、災害のときにはどういう手だてになっているのか。また、今なってなければ、将来どのようにしていきたいのか。その辺のこともひとつあわせて、地元民のために明快にしておいてもらいたいと思います。
  43. 木内啓介

    木内政府委員 先ほどもちょっとお話が出ましたように、この公園は有料でございますので、やはり何らかの囲いが必要なわけでございます。この公園につきましては二十四時間体制で管理人が常駐しております。したがいまして、災害時においては、現在八つの入り口がございますし、また広域防災基地の側でございますけれども、そちら側には非常口もございます。そういうふうなことで、周辺住民が避難できるよう配慮しているところでございます。
  44. 大野潔

    大野(潔)委員 こんな席で余り細かなことを言うと恐縮なんですけれども公園そのものには入り口があっても、そこへ到達する途中の段階がまだ整備されてない、国の施設が鉄条網等で囲われていてずっと回らなければその入り口に到達できないというような事態がありますので、これはまた追ってお願い申し上げますが、ここでは、とにかく地元民が安心していられるような、そういう協力はすると、もう一言大臣の方からお約束願って、時間が若干余っているようでありますけれども、終わらせてもらいます。
  45. 越智伊平

    越智国務大臣 この公園だけでなしに、公園というのは災害時には避難場所として利用できる体制にいたしたい、かように思います。  この公園につきましても、お説のことを十分配慮して、災害時にはなるべく早くここへ避難できる、こういう体制にいたしたいと思います。
  46. 大野潔

    大野(潔)委員 一時間の予定が急に短縮になりましたもので、本当に突っ込んだ質問ができずに終わりました。また、いろいろお願い申し上げましたが、ぜひひとつお約束願ったことは実行されますように心から願いまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  47. 中村喜四郎

    中村委員長 小野信一君。
  48. 小野信一

    ○小野委員 四全総に絞って奥野大臣に御所見をお伺いいたします。  国土庁の当時の計画局長が、四全総に比べますと前の三つの総合開発計画は役人の作文のようなものである、自分も役人だと私は思うのですけれども、ある座談会でそう発言しておりました。大きな自負と自信を持っておるようでございます。  そこで、従来の手法とどんな点で四全総は異なるのか、地方開発についてどんな衝撃を与えてこれを促進しようとするのか、そういう観点で四全総を見ますと、東京一極集中、東京一点集中に歯どめがかかって、地方東京の今まで集まった部分が移行するというような形にはならないのじゃないだろうか、なるにしても大変難しいのではないだろうか、私はそういう感じがしてなりません。要するに、地方開発計画が東京一極集中に歯どめをかけるほど強力な四全総だという感じを私は受けないわけです。  そこで、大臣に率直に、四全総を読んでマスターしたその感想を、地方開発という観点に絞って御所見をお伺いいたします。
  49. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 全国総合開発計画を作成された方々は、それなりに自信と誇りを持って当たってこられたと思うわけでございます。そういうことで四全総が過去の三つとは違うのだというような言葉も出てきたのじゃないかな、こう思います。  私が今度の立場に立ってまず思いましたことは、常に国土の均衡ある発展がうたわれながら、それらの計画が必ずしもそのとおり実現されていないじゃないか、やはり何か手法が要るのじゃないかな、こんな思いをしたわけでございました。そういうことから、あえて立法にも手をつけることにしたわけでございました。  今御心配になっておりますことは、東京一極集中を是正すると言うけれども、必ずしもそれが確実に受けとれないじゃないかという意味合いであったと思います。そういう意味であえて立法を志したということでございますけれども、例えて申し上げますと、政府関係機関を地方に移転させることにしているわけでございます。同時に、今後新しく機関をつくる場合には、この多極分散型の国土形成、それに配慮して立地を決めなければならない。なおかつ、その場合でも二十三区内に立地をしようとする場合にはチェックを受けますよというふうにしているわけでございまして、政府関係機関を外へ出す、二十三区には新しくつくらせないというような手法も講じておるわけでございまして、おっしゃいますとおりに今後一層、地方にそれぞれ核になるようなものをつくっていく、そこを中心にして創意工夫を尽くしながら、活力のある地域社会が生まれるような努力をしていかなければならない、こう思っておるわけでございまして、そういう意味で、地方の振興拠点開発区域というようなものをつくって積極的に国が力を尽くしていこうじゃないかということも考えておるわけでございます。  しかし、何といいましても全国をどう結んでいくかということになりますから、交通、情報、通信の体系を整備していくということ、これが非常に大事だと思うのでございます。今まではどうも東京中心に放射的にそういうものが流れていったように私は思うのでございますけれども、今度の四全総を見ておりましても、まず環状的に物を考える、横断的に物を考える、都市都市とを結び合っていくというようなことにかなり配慮しているようでございますし、そういうことから一日交通圏というような構想も出したりしているわけでございますので、ぜひ私たちは東京一極集中を是正して多極分散型の国土になりますように全力を尽くしていきたいなと考えているところでございます。
  50. 小野信一

    ○小野委員 四全総は、これまでの三つの総合開発計画とは違って大変難航いたしました。完成するまでに三年有余かかった異例の計画だったと私は思います。その異例の理由は、やはり東京対策をどうするのだろうか、このことに焦点があったのだと私は思います。東京への過度の集中を阻んで、特色ある機能を持った多くの地域が極を形成して、それがお互いに交流し合って多極分散型の国土をつくる、こういう方向をそのために打ち出したのだろうと思います。その目的達成のために、高速交通体系の整備が書かれてありました。  そこで私がお聞きしたいのは、現在の過度の集中がなぜ起こったのか、金融、業務、情報、世界的に見ても驚異的な東京集中がなぜ起こったのだろうか、そのメカニズムをしっかりと分析して正しい分析の上から東京一極集中への歯どめをかけるのでなければ、その分析がなければ私は架空のものになりはしないだろうか、こういう感じがするものですから、なぜ東京に、これだけ一極に集中したその理由、メカニズムについて、簡単で基本的なところでよろしゅうございますからお聞かせ願いたいと思います。
  51. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 東京一極集中、東京への再集中は五十年代後半から顕著になってまいりました。私どもはその原因を国際化、情報化の急速な進展と産業構造の変化、これが非常に大きな要因になっていると思います。国際化、情報化は御承知のような状況で、世界都市として東京に金融、情報のセンター化が起こっている。一方、産業構造の変化に伴って多く地方に立地しておりました製造業等が構造不況に陥り、そのために東京へ出ていかなければ飯が食えない、こういう状況が出てきたことが大きな原因だったというふうに考えております。
  52. 小野信一

    ○小野委員 国際化と情報化と産業構造の変化が東京一極集中化をもたらした大きな要因である、こう分析をいたしました。順次質問いたしますけれども、この三つが地方に分散する可能性を持った要素だとは私は全然思いません。国際化、情報化、産業構造の変化はこれから多極分散型の国土をつくる要素には一つもならない要素でございます。むしろ東京に集中をいたす要素でございます。それだけに、多極分散型の国土づくりというのは大変難しい問題を含んでいるということを痛感するわけでございます。  そこで、第一回目から四全総までの四つの総合開発計画の底流、基本的な考え方は、国土の均衡ある発展だったろうと思います。あるときには定住圏構想という名前になりました。あるときには今度のように多極分散型の国土の形成というサブタイトルになったにしても、その底流は均衡ある国土の発展であったと思います。そこで、均衡しなければならない国土の最低の条件とは、四全総の中で何と何を挙げているのでしょうか、数えるのでしょうか。
  53. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 均衡ある国土の発展とは、適切に人口、つまり人々がバランスよく国土を利用しながら住んでいる、またそういう人々の定住条件として諸機能――産業機能、都市機能等々の各種の機能が定住条件としてまたバランスよく配置されている、こういう状態国土の均衡ある状態というふうに認識しております。
  54. 小野信一

    ○小野委員 人口の適度の分散、要するに全国三十七万平方キロの日本国土の中に、あるところは集中だけじゃなく、あるところは共同生活ができないような過疎ではなく、過密であっても混乱のない国土、過疎であっても集団生活ができるような適度の人口の集中度、そしてそのために産業の適度の分散が行われることを国土の均衡ある発展だ、こう分析をいたしております。しかし、これもまた現在の日本の産業構造、人口の移動を考えた場合に、果たして四全総の持っておる十年間の範囲の中で、時間の中でどれだけ解決できるのだろうか、そう考えますと、まことに不安を感ぜざるを得ません。  そこで逆に考えまして、地域活性化が四全総の一つの目的です、それならば地域活性化というものはどういうものを言うのでしょうか。どういう指標が大きくなったり小さくなったときに、これは地域活性化が始まっておるのだ、こういう分析をするのでしょうか。地域活性化の内容、指標についてお伺いをいたします。
  55. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 なかなか特定の少数の指標で地域活性化状態をはかるのは難しいと思いますが、現在各地域の人々のニーズ、要望というものは第一に就業機会、第二に健康環境、第三に文化環境、この三つが多くの人々が求めるものになっております。このニーズにそれぞれの地域がこたえていけるような発展をすることが地域活性化だというふうに認識しております。
  56. 小野信一

    ○小野委員 ただいま雇用の機会の増大、健康が維持されるような地域社会、そして文化の恩恵に浴する地域社会、これが地域活性化の少なくとも最低の三つの要件だ、こういう御答弁をいただきました。これもまた実際地域に住んでおる者にとって、東京あるいは県都と言われるその地域の中央都市と比較いたしますと、その他の地域というのは大変難しい条件だなという感じが私はいたします。  そこで、これもまた四全総に書いておることなんですけれども、円高に伴う製造業の不振と非製造業の堅調という二面性がある、地域的には金融、証券業や不動産業にリードされる活況を呈する東京圏と、製造部門を中心に停滞する地方経済との明暗となってあらわれております、こう分析をいたしております。特に雇用問題が厳しいのだ、こう指摘をいたしております。特に地方経済は労働人口の高齢化が東京よりもずっと進んでしまいました。したがって、適切な雇用機会、雇用の場をつくらなければ地方の振興は難しいよ、こう分析をいたしております。だからといって雇用の発展策、雇用の開発政策が具体的に提示されておるわけではございません。したがって、国土庁地方開発についてどのような基本的なお考えをお持ちなのでしょうか。私は、ずんずん突っ込んでいくつもりはございませんけれども、基本的な方針として、地方開発計画にどんな方向、手法をもってすれば私どもができると考えます、こういう考え方がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  57. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 地方にも就業機会ができるためには、全体としてサービス経済化の方向に進んでおります産業構造の変化に対応しつつ、地方でも諸産業が活発になることが不可欠の条件だというふうに解釈しております。そのためには、地域間の交流、人材の交流あるいは経済交流あるいは文化の交流、そういう交流が活発になることが一つの契機になって諸産業の発展をも促す、こういう考え方で、四全総では三全総の定住に加えて交流というコンセプトを打ち出しまして、交流ネットワーク構想という開発方式を採用しておるわけでございます。
  58. 小野信一

    ○小野委員 大臣、昭和六十年の国勢調査をもとにして未婚率を調べてみました。未婚率の最も高いのは新潟県の粟島浦村、三十歳から三十九歳までの男性は四七・八%が独身でございます。二番目は長崎の伊王島町、四七・五%、二人に一人は独身でございます。三番目が山梨の早川町、四四・四%。ずっと四〇%台が続いております。私どもの郷土岩手県の最高は、川井村の三〇・九%でございます。  地域社会の振興といいましても、情報化の変化に対応した、産業構造に対応した地域の産業をつくれといいましても、私は、四全総の言っているこれらの政策は、ここに住んでおる人たちにとってはまことにむなしい空文に感ずるような気がしてなりません。これらの結婚することができない、一家を形成して、自分が一生の仕事としてこれから後継者を残そうとしても残すことのできない人々が全国にかなりの人数おる、地域社会に多数おるということであります。今回の四全総でも、これらの本当に地域で働いておる人々に希望を与えるような四全総なんだろうか、こういう不安、不満がうっせきしておりまして、これを解消することができません。私はどうしてももう少し、大部分の人が地域におるのですから、これらの人々に希望を与えるような具体的な、だれもが理解できるような四全総であってほしい、こういう気がしてなりません。  大臣、いかがでしょうか。最初に質問いたしましたように、四全総が果たして、地域の人々に大きな希望を与えるような、均衡ある国土の発展を促すような政策となるという大臣決意を私は聞きたいのです。御所見をお伺いします。
  59. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 御承知のように、日本の経済構造が非常に速い勢いで大きく変わりつつあるわけでございます。一次産業はウエートがどんどん低くなっておりますし、所得構成も低くなってきておるわけであります。二次産業に移り、二次産業から三次産業に移っていっている、その結果一番大きな影響を受けているのは農山村だ、こう思うわけでございます。したがいまして、国土づくりの問題だけでは解決しない、そういう意味の経済対策もあわせてとっていかなければならないんじゃないかな、こう思うわけでございます。国土対策の意味では、過疎対策をとりましたり、工業再配置政策をとりましたり、半島振興政策をとりましたり、離島振興の政策をとりましたり、いろいろやっておるわけでございますけれども、やはりそういう意味合いにおきましては、農山村の再編成みたいなことも考えながら、そこに雇用の機会を持っていくような努力もしていかなければならない。  ですから、四全総だけで全部片づけるということになりますと少し荷が重過ぎるんじゃないかな、いろいろな他の経済諸政策ともあわせまして、今御指摘になりましたような問題の解決に当たっていかなければならない。これはもちろん非常に大事な問題でございます。なればこそまた、日米間の農業問題につきましてもこれほど深刻な対立になってきているんじゃないだろうかな、こう思うわけでございます。  積極的に私たちも、そういう地域につきましても日の当たるように考えていきたい。そのために四全総で打ち出しているのは、交流をもっと活発にしたらどうだろうかということにもなっているんだと思うのでございまして、私の知っているところにおきましても、山村では学校が余ってくる、その学校を都市の青少年に利用させる、その農山村の製品を都市がさばいていくというような、こういう計画もあったりするわけでございますけれども、いろいろな知恵を絞りながら、それらの地域に、今おっしゃいました日の当たるような努力を重ねていきたいものだ、こう思います。
  60. 小野信一

    ○小野委員 それでは、四全総の目玉である、全国に極と言われる拠点都市をつくる、その形成を追求するということなんですが、極というのはどういう都市を言うのでしょうか。極と言われる都市はどういう任務を果たすためにつくられるのでしょうか。極の果たさなければならない内容について、もしそれを整理してあるならばお聞かせ願いたいと思います。そして、現在の都市の中で、極と言われるものはどことどこの都市であって、それは極と言われる都市の任務を具体的にこのように果たしておりますと、極の内容について説明願いたいと思います。
  61. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 四全総で、東京一極集中の反対概念として多極分散型国土ということを言っておるわけでございますが、その極とは何ぞやということに関しましては、特定の都市を意味するのではなくて、大小さまざまな都市が周辺と一体となって発展する姿を極というふうに考えておる。つまり、東京、大阪、名古屋の三大都市のほかに地方中枢都市もありますし、地方中核都市と呼ばれるのもありますし、また、農山漁村と非常に間近な地方中小都市というのもありますが、極には大小さまざまある、それらの都市を全部総称して、周辺の地域と一体となった概念でとらえているのが極の意味だというふうに解釈しております。
  62. 小野信一

    ○小野委員 質問項目の中に、この極の持っておる内容、極の意義づけについての質問を出しておらなかったものですから、これはちょっと質問する方が悪かったのかもしれませんけれども、御勘弁を願いたいと思います。  例えば、札幌、仙台、広島、福岡は、一つの県の範囲を超えまして、広域中核都市として格付をされております。これらの都市は、就業人口の産業別構成を見ますと第三次産業都市でございます。同時に、これらの都市の特徴は、東京の本社機能の一部を、支店、出張所、営業所という形で代理機能が集まっております。要するに支店経済都市であります。政府の出先機関を含めた中央の代理店としての機能も集中をいたしております。これらが広域中核都市と呼べるだろうと私は思います。  その下にある県庁所在地、これは県の広域中核都市と呼ぶことができるだろうと思います。これらの都市は、商業人口が多いということ、商業、サービスが活発で大型施設もあるということ、要するに、その県の全県的な集会、そういうものを実施することのできる都市になっております。極と言われる都市は、こういう全国的な東京からの支店、営業所的な要素を持ち、全県的な、人々を集める大集会所を持つ、商業、第三次サービスの機能を果たすことができる、現在の都市の段階から考えますと、極と言われるのはそういう役目を果たす都市をいうのではないだろうか、私はそういう気がするのですけれども、四全総でつくろうとする極という都市は、どんな役目を果たさせようとするのか、現在果たしている役割のほかに何かを付加しようとするのか、その違いをやはりはっきりと国民に説明しなければいけないのではないだろうか、そういう気がするのですけれども、いかがですか。
  63. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 先生がおっしゃった比較的大きな都市はもちろん極だと思います。大極であります。そのほかに中極、小極、さまざまな極があって、全体として八ケ岳型の発展を目指す、俗語でありますがこういうことを言っておるわけでございます。そういう極、中心になる都市の役割というものを、従来よりも都市のサービスエリアというような形で、その都市自体だけじゃなくて周辺にも都市的なサービス機能を及ぼす、そういう役割を持った都市としてとらえているわけでございまして、東京のような大極はもちろん全国的あるいは世界的なサービスエリアを持つわけでありますし、それから仙台とか札幌とか広島、そういった都市はブロック全体にその都市機能のサービスエリアが及ぶわけでございますし、それよりも小さい県庁所在都市は県全体にサービスエリアが及ぶ。それから、もっと小さい中小都市になりますと、周辺の農山漁村に対する重要な都市的サービスエリアを持つ、こういう考え方で極をとらえているわけでございます。
  64. 小野信一

    ○小野委員 全国の都市東京を頂点として、先ほど申し上げました札幌、仙台、広島、福岡というふうに広域中核都市がございます。それから県域中核都市、要するに県庁所在地がそう呼ぶことができると思います。そのほかに、一つの県の中の中心都市が存在をいたします。私は、こういうふうに現在の日本都市は構造的にでき上がっておると思います。多極分散型国土創生と言われる場合には、この広域中核都市、県域中核都市、県域中心都市の中から、下位の部分から一ランク上の都市につくり変える、上のものをまた上につくり変える、こういうふうに都市を大きくしていくことをいうものなのか、現在ある東京を頂点とするピラミッド型の都市の階層分化の中からどこか新しい地域都市を設定して、これらの持っておる任務を果たすようにつくっていくというものなのか。四全総を読んでみますと、多極分散型の国土をつくるという場合には、このピラミッド型以外のどこかの地域都市指定して、より大きな機能を持たせるような解釈が成り立つと私は思うのです。私も最初そう思いました。しかし、聞いていると、新しい極をつくるのではなくて、現在の都市を何かの援助を行うことによってより大きな機能を果たさせるというような感じがしてまいりました。その辺の整理整とんが必要なのではないかということを今の答弁、質問の中で感じました。  極というのは、どういう任務を果たさせようとして、現在のとは違う形の都市をつくろうとするのか、あるいは下位の都市を上位の都市に育成しようとするのか、その辺の整理がしてあったならばお聞かせ願いたいと思います。
  65. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 既存の都市の集積を活用しながら、その都市にそれぞれの地域の個性を反映した新しい特色ある機能を付加していこう、こういう考え方が主流になっていると思います。
  66. 小野信一

    ○小野委員 現在の我が国都市の階層序列の中からその階層以外に新しい都市をつくる、極をつくるということはほとんど不可能じゃないか、このことははっきり言えると私は思います。したがって、やはり小さい都市をより大きな機能を持った都市に育成していくという以外に、多極分散型の国土をつくる、都市の機能の拡大はないような気がしてなりません、まだ十分検討しておるわけじゃありませんけれども。ひとつその辺の整理をお願いしておきます。  次に、先ほど質問しました、なぜ東京だけが大きくなって地方の経済が停滞したのだろうか、この問題について私の意見を申し上げます。  本社が東京で工場が地方にある企業の場合、売上高あるいは出荷額の利潤はほとんど全額本社に吸い上げられます。地方に残るのは、そこで働いておる人々の労賃だけになっております。すべて利潤は本社、工場のある地域ではなくて東京に吸い上げられてしまいます。このようにして、本社機能が集中しておる東京には全国で生産される所得の大部分が集中することによって、東京の経済は莫大になったと私は思います。現代社会の特質としても、製造業での直接生産労働が減少して間接労働の割合が高くなることはだれもが承知しておるところでございます。したがって、本社機能を分散することなしには地方の所得の向上を図ることはできないと私は思います。経済がサービス化すればするほど、交通の便がよくなればなるほど、東京へ所得は集中するのだと私は思います。地方への工場の分散と言いますけれども、今東京にある本社機能を地方に移す傾向は一つも見えません。この傾向が続く限り東京への所得の集中、東京への一極集中は続くだろうと思います。その意味で、果たして四全総の目的が達成されるのだろうか、私はこう思われてなりません。  それに加えて、情報化時代になりましたらますます東京へ集中いたします。この経済のサービス化と情報の多元化、集中化は地方の経済を停滞させる要素を持っており、東京をますます大きくさせる要素であると私は思いますけれども、いかがですか。
  67. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 サービス化や情報化の進展といった経済メカニズムそのものは、確かに東京一極集中をむしろ促進する要因として今日まで働いているわけでございます。これに対して、各般の政策努力また各地域の人々の主体的な努力が、この経済メカニズムにいわば抗して地方を発展させていく、これが四全総の考え方でございます。  おっしゃられました本社機能が東京に集中しているということもやはり東京に経済力が集中する大きな原因だと思いますが、これに対抗するように各地方でもその地域独自の産業の発展を図っていくこと、また東京で得た所得を地域間交流を活発化させることによって地方で消費する、そういう動きを活発化させることもまた地方の経済を持ち上げていく理由になるだろう、こういうふうに考えております。
  68. 小野信一

    ○小野委員 最後に、大臣の所見をお伺いいたします。  四全総では交流ネットワーク構想がつくられまして、東京からの分散を促進しようとしております。しかし、今わずか四十分間の質問の中でも大変難しい内容を含んでおると私は感じます。大臣もそのことは十分承知しておられると存じます。これは新幹線の例を挙げるまでもなくて、交通交流体系の整備地方への分散の役割以上に東京への集中の役割を果たす結果になった、私どもは十分それを知っておるからでございます。要するに、交流ネットワーク構想も、東京との時間距離を短縮するというだけの機能を持つ限り四全総の意図とは反対の結果が生まれるのではないだろうか。要するに、新幹線開通にしても交流ネットワークにいたしましても、時間距離の短縮だけですべて終わるということであるならば、四全総の持つ意図とは逆な結果が生まれるだろう、私はそう思われてなりません。その意図と反対の意図をつくってはならないわけですから、私どもはそれに対する十分な施策を早急に立てて、先ほど申し上げましたように四七・九%という未婚率の高い地域の人々に頑張る気持ちを植えつけていくような、発生させるような政策を早急につくる必要があると私は感ずるわけですけれども、最後に大臣の所見を伺って終わりといたします。
  69. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 東京一極集中が加速されるのが今の姿じゃないかという御指摘がございました。これからどういう社会に変わっていくだろうかなということも考え方の一つのポイントになるだろうと思うのでございまして、やはり週休二日制、余暇時間が非常にふえていく、また国民がどういう生活を望むだろうかということも一つあるだろうと思うのでございます。ただ経済活動ばかり願うだろうか、あるいは快適な生活というところにもっと重点を移していくのじゃないだろうかというようないろいろなことが考えられるだろうと思うのでございます。  そういう考え方の今後の流れも見詰めていかなければならないと思いますけれども、同時に、御指摘いただきましたように情報とか通信とかいうことが非常に重要な役割を果たすわけでございますけれども、幸いにして通信の問題についても、先ごろ遠距離通信の料金の引き下げが行われたわけでございます。やはり遠隔の地におきまして通信、情報において不利な立場に立つ、これはできる限り縮小していかなければならないと考えるわけでございます。東京から離れた地域にあっても必要な情報は適時得られるのだということになってまいりますと、かなり変わってくるだろうと思います。  同時にまた、高速交通体系を整備してまいりますと時間的距離が短くなってくるわけでございます。何も人間が集まって会議をしなくてもテレビ会議をどんどんやれるじゃないか、こういう時勢になってまいりましたら、むしろ快適な土地に本社機能を持つことも不可能ではないじゃないか、こういうことも言えるのじゃないかと思うのでございます。早い話が、戦後日本は臨海に産業発展の地域を求めてまいりました。それからやはり空港の地域に求めてきたように思います。そして、これから先どうなるだろうかなと思いますと、大リゾート基地の周辺に頭脳中心の産業が立地を求めてくる時代もあるんじゃないだろうかな、こう思ったりもするわけでございます。  そういういろいろなことを考えながら、基本は均衡ある国土の発展でございますので、それに向けてあらゆる施策を講じていく努力を重ねれば、東京一極集中の弊害をだんだんと除去することも可能になってくるのじゃないかな、こう思うわけでございます。東京自身そのものが過密で、今やこのままではとても息苦しくなってしまっていると思うのでございます。したがって、首都構造も改革して秩序あるものにしていかなきゃならない。そういうことから副都心問題でありますとか業務都市問題であるとかいうようなことが出ておりまして、やはり基本的には職住近接の地域社会をつくっていかなければ快適な生活は営めない。今のままでは東京はそんな姿にはなっていないと思います。しかし、それも改造はしていきたいと思いますし、また日本全土がそういうことになりますように、これからもお知恵を拝借しながら最善の努力を尽くしていきたいと思います。
  70. 小野信一

    ○小野委員 終わります。ありがとうございました。
  71. 中村喜四郎

    中村委員長 伊藤英成君。
  72. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 まず本日冒頭建設大臣からお話のあった件でありますが、日本道路公団収賄事件に関してでありますけれども、この間、二月十日に日本道路公団理事が、同公団発注の主要高速道路の関連工事に絡んでの業者選定に関し収賄容疑で逮捕をされたという事件であります。我が国の代表的な公団でこのような不祥事件が起こったということについては極めて残念なことであります。管理監督者の責任は極めて重い、このように思います。  そこで、公団総裁は本件に関してどのように認識をされておるのか、また今後の再発防止についてどのようにしておられるのか、決意を込めてお願いしたいと思います。
  73. 越智伊平

    越智国務大臣 けさ私からおわびのごあいさつを申し上げましたが、公団の総裁にお尋ねでございますけれども総裁答弁の前に私から一言だけ申し上げたいと思います。  公団総裁は非常に責任を感じまして、私に進退伺いといいますか、そういうお話がございました。この事件は公団の理事、幹部でございますからまことに残念な次第であります。そこで、一般的に言う綱紀粛正ということの言葉だけではだめだ、であるから、組織の見直しあるいは今後、理事を含めての監視体制、こういうものをやってもらいたい、こういうお話をいたしまして、そのことを着々進めてもらっているような次第であります。  総裁のことにつきましては、総裁は、先ほど申し上げましたように進退伺いといいますか、率直に言いますと責任を感じて辞意の表明がございましたけれども、今このまま責任をとっておかわりになるということは、とても今の公団の実情――といいますのは、各地域とも非常に高速道路の要望が強い、また御承知のように十次の五カ年計画でさらに早く開通させようと意欲に燃えている次第であります。またもう一点は、内部の職員の監視体制も、外からちょっと見たのではすぐにはできない。でございますから、これが綱紀粛正がきちっとできる、軌道に乗るまではひとつとどまってもらいたいと、私から実は今お願いしている次第であります。本人のことにつきましては、本人がみずから処置をしている、減給とかそういうことをしているわけでございますが、今なお本人は辞意を漏らしておりますけれども、私はこれがきちっとできるまではぜひともしばらく現職にとどまって、その責任において再建してもらいたい、こういうことを申し上げておる、これが実情でございますので、先にそのことだけお答えをいたしたい、かように思います。
  74. 宮繁護

    宮繁参考人 ただいま先生からお話がございましたように、私どもの公団の役員が収賄の容疑で逮捕されて起訴されました。まことに大きな不祥な事件でございまして、極めて遺憾なことだと思いますし、申しわけないことが生じたと思っております。責任者といたしまして、重い、大きな責任を感じておるわけであります。  ただいま大臣からもいろいろお話がございましたけれども、私といたしましては、進退を含めまして大臣に御処置をお願いして待っておるというような状況でございます。こういった事件を起こしまして、今お話もございましたように、内需を拡大してこれから国民の生活基盤になる道路整備していかなければならないときにこんな問題を起こしまして、国民の皆様にも、また建設委員会の諸先生方にも心からおわびを申し上げたいと思います。  三月二日付で窪津が横浜地方裁判所に起訴されたことに伴いまして、三月三日付で建設大臣の御認可をいただきまして本人を解任いたしました。なお、当面、私と副総裁の俸給を懲戒的な意味を含めまして二〇%減給という措置をとっております。  それで、特に大臣から今後の綱紀の維持につきまして強い御指示がございました。それで同日付で、今後二度とこのような不祥事件を起こさないように、綱紀粛正委員会を設置いたしまして対策の検討を進めてまいりましたが、組織的な対応といたしましては、監察役を副総裁直結とする特別監察体制を設置いたしまして非違の防止に当たらせることにしたことなど監察体制の強化を図るとともに、職員の研修の活用によりまして自覚と資質の向上を図っていく、さらには管理職の職員に対しましては、家庭や奥さんの御協力も得まして対策を講ずるなど、組織を挙げて不祥事件の再発防止を図ってまいりたいと考えております。また、契約制度につきましても、三月三日付で契約制度の検討委員会を設置いたしまして、資格審査の方法等について検討を進めてまいりたいと考えている次第でございます。  以上のように、建設省の御指示を得ながら、綱紀の保持と適正な業務の執行のために最大の努力を傾注してまいりたい、かように考えております。
  75. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今大臣からも、それから総裁からもありがとうございました。先ほど申し上げましたけれども、この問題は、管理監督者の責任は本当に重いのです。しかし、このような国民の信頼を裏切るような事件が二度と起こらないようにすること、そういう業務執行の立て直しを図っていくことがそれ以上に重要なわけですね。そういう意味で、総裁以下公団の皆さん方にそれこそ頑張って取り組んでいただきたい、このようにお願いをしておきます。総裁、ありがとうございました。お引き取りいただいて結構であります。  次に、都市の景観の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  これはよく言われることでありますけれども、円高のせいもあるわけでありますが、今、日本が大変な経済大国になってくる。そして一人当たりのGNPだとか一人当たりの賃金水準とかそういうものが世界のトップレベルになってきた。そういうふうになってきたときに、じゃ日本都市というものを他の国々と比べてみたときに、まだまだだなという感じが否めないんですね。私も外国に生活していたり海外に行く機会は非常に多いわけでありますが、そういうそれぞれの国の都市と比べてみましても、日本都市景観というのはもう少し何とかならないものだろうかというふうに思うことは非常に多いのです。そういう意味で、日本都市の景観がこの経済大国の都市景観にふさわしいと思われるのかどうか、まずお伺いをいたします。
  76. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいま御質問の都市景観でありますけれども、率直に言って日本都市は至ってお粗末、こう言わざるを得ない。潤いと安らぎ、ゆとりのある都市とは思えない。なぜなれば、第一番に社会資本の充実がおくれている。公園は非常に狭い、下水道はまだ完備してない、建物はいろいろな、余りおもしろくない建物もある、こういう状態であります。まことにお説ごもっともだ。でございますから、まず社会資本の充実を図って、住宅も立派な住宅にしていく、あるいは公園や下水道の完備をしていく。道路ももちろんであります。そうしてその都市都市の特性を生かし、歴史あるいはいろいろの自然を取り入れて文化の薫りの高い都市にしたいものだ、かように存じておる次第であります。
  77. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今も大臣もお話がありましたけれども、私は、日本の歴史からいきますと、ちょうど今の時期というのはそういう意味で都市の景観というものを大事にしようという非常に大きな政策の変更の接点にあるときなんじゃないかと思うんですね。そういう意味でぜひよろしくお願いをしたいと思いますが、ちょっと具体的に、今都市景観形成モデル都市というのを進めておりますけれども、その内容並びに同モデル事業の実施状況はどのようになっているか、お伺いいたします。
  78. 木内啓介

    木内政府委員 良好な都市環境を形成するために、昭和五十八年度から、景観に配慮した街路事業及び公園事業を重点的に実施するという意味で、都市景観形成モデル事業という制度を設けております。これは街路あるいは公園を重点的に整備することによって町の景観をよくしていくという事業でございますけれども、具体的には盛岡市とか豊橋市とか呉市とか十三の都市地域において、一部の地域において実施している事業でございます。  さらにこれを都市景観形成の一層の総合的な推進を図るというふうな観点から、本年四月をめどに現在作業中でございますけれども都市部分ではなくて都市全体、都市景観形成モデル都市というものを、今のところ約二十都市程度指定しまして、指定された都市においては景観ガイドプランというふうなものを、マスタープランをつくりまして、良好な景観形成に配慮した例えばシンボルロード、ソフトの面とハードの面ございますけれども、立派な道路をつくると同時に、その沿道等の建築規制等も考えたシンボルロード整備事業、あるいはアメニティー下水道と申しまして、下水の放流水を活用しまして枯渇したせせらぎを復活する、あるいは豪雪地帯においては融雪機能を持たせるというようなアメニティー下水道等々の事業を織り込んだモデル都市指定を現在考えているところでございます。
  79. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 私は、二十都市とかというよりも、もっともっと数を多くして大々的にやった方がいいんじゃないかと思うのですね。先ほども、これは大臣のお話もありましたし、まさに今こそこういう都市の景観というものを重要視した都市づくり、そしてそれによる生活の潤いというか、これはまた文化でありますから、ぜひ取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  それから、都市の景観ということを考えたときに、夜間の都市景観ということももっともっと考えていいんではないか、こういうふうに思うのですね。夜間の都市景観の向上を図るために、あるいは歴史的な建物やらあるいはタワーに照明を当てて浮き彫りにする、いわゆるライトアップというのでしょうか、そういうことももっと考えてもいいんではないか。  例えば、この国会議事堂もアメリカのキャピタルヒルみたいに夜間ライトを当てるということも真剣に検討してみてはどうか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  80. 木内啓介

    木内政府委員 先生指摘のように、最近夜間照明についての関心も大変高まっておりまして、建設省としましても六十二年度から都市環境照明調査委員会なるものを設置しまして、本格的に検討しているわけでございます。  また、各都市におきましても、例えば大阪市のライトアップ大阪計画とか、あるいは御承知のように横浜の場合でもサマーナイトフェスティバルとか、そういうのもやっておりますし、また東京駅のライトアップあるいは新潟の万代橋とか、また首都高なんかでも、葛飾のハープ橋のライトアップとかいろいろやってきております。こういった機運のもとに、私どもとしてもできるだけきれいなライトアップということを考えてまいりたいと考えておるわけでございます。  それで、御指摘の国会議事堂につきましては、実はこれ昭和十一年に投光器というのが一応設置されておりまして、昭和三十五年には水銀灯もできておるわけでございます。過去におきまして、皇太子殿下の御成婚のときとか東京オリンピック時のような国家的な記念事業が行われたときにはライトアップが行われたという実例がございます。ただ、現在中央部の塔屋というのですか塔の改修中でございますが、昭和六十五年度に一応国会開設の百周年記念というふうなものを迎えるわけでございまして、こういうものを迎えることを前提に、現在衆議院、参議院の両事務局におきまして国会議事堂の照明のあり方等が検討されているとお聞きしております。
  81. 越智伊平

    越智国務大臣 国会議事堂ですから、実は国会の話ですけれども、私が議運の委員長をしておりましてこの議が論議をされたのでありますけれども、今お話しのように屋根を今全部修理をいたしておりますので、それが終わってから考えよう、論議しよう、こういうことになっておりますので、近々進むもの、こういうふうに期待をいたしております。
  82. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 それから次に、電線、電柱の地中化の問題でありますけれども、かつては電柱は文明開化のシンボルだったそうでありますが、今はそれこそ電柱のない道路が新しい文明開化のシンボルだろう、こういうふうに思うのですね。そういう意味で、今の電線や電柱の地中化の状況というのがちょっと寂しいなというふうに思うのですね。  それで今のキャブシステム整備事業の整備状況がどのようになっているのか、またこの事業の各地方自治体からの要望はどの程度出されているのか、目標はどういうふうになっているのかについて、まずお伺いをいたします。
  83. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先生指摘のように、キャブシステムは安全で快適な通行空間の確保とか、あるいは都市災害の防止、都市景観の向上、こういうものに非常に資するわけでございまして、地中化をしようという制度でございます。  昭和五十八年度から全国五カ所で試験施工を始めました。昭和六十年度にキャブシステムの整備モデル事業というものを経まして、六十一年度から本格的に実施をしたわけでございます。  六十一年四月に総合経済対策を受けまして、内需拡大の観点から電線の全部の地中化を五年間で約千キロということが出されまして、そのうち約四割をキャブシステムでやろうということが昭和六十一年度に打ち出されております。  現在、昭和六十二年度末で百三十四キロでございまして、今後の私どもの目標といたしましては、昭和六十三年度から発足させていただきたいと考えております第十次道路整備五カ年計画でございますが、キャブシステムにつきまして五百キロを整備したいというふうに考えております。  それから百三十四キロを今整備を進められていると申し上げましたけれども、これは全国で九十六都市でございます。  それから六十三年度に、今来ております要望、これは継続のものもございますが、七十一都市から八十八キロという数字が出てきております。
  84. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 同じような観点で、都市における河川、要するに親水対策、水に親しむ話についてお伺いをいたしますけれども、六十二年度の建設白書の二百七十一ページに「河川環境の現状に対する満足度」というグラフが出ておりますけれども、この調査結果についてどういうふうに理解をしておりますか。
  85. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  御指摘のグラフは昭和五十八年一月にアンケート調査をした結果でございますが、見まして、私ども、河川の環境保全整備に対します国民の皆様方の満足度が十分なものとは言えない、ますます私ども努力をして環境整備を図らなければいけない、そのように認識をいたしております。
  86. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 この図を見ますと、ある意味では、建設省もこういう調査をするようになったのかなという意味で感心しているのです。  これを見ると、それこそ「いつも豊かな水が流れる川」というふうに感じているのはどのくらい満足度を持っているのかな、あるいは「きれいな水が流れる川」という印象をどのくらい持っているかということを感じるように、この満足度を調べるようになってきたんだな。しかし、よくよく見てみますと、例えば「川沿いに並木のある川」というようなところの満足度を示しているのは一%か二%かしらんというぐらいの数字でありますし、「だれもゴミを捨てたりしない川」というところで「満足できる状態である。」というふうに感じているのはほんの数%かしらんというようなことを見ますと、都市の河川の状況は、ああこれは大変だなというふうにも言えると思うのですね。そういう意味では、これからの都市を考えたときに、その中の川の重要さというのは、その都市の潤いという中で今考えたときに、これは大変なものだと思うのですね。そういう意味では、これからぜひぜひこの都市河川の親水対策については真剣に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  それに関連いたしまして、六十三年度の新規事業として、これは若干大きなあれですが、スーパー堤防整備事業というのがございます。それから、桜づつみモデル事業、ラブリバー制度というものに取り組むことになっていますね。これの事業内容はどういうことを考えておられますか。
  87. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  まず、スーパー堤防整備事業でございますが、これは在来の堤防よりずっと広い堤防をつくりまして、超過洪水と申しますか、水位が堤防を越えても壊れないようなということで、結果的に治水の安全度を上げようというのが一番の目的でございますが、特に都市部の中で行いますときは、あわせまして市街の再開発とか住宅開発に役立つのではないかということで始めておるものでございまして、直轄河川においても補助河川においても、実はそれぞれ既に一部着工しておるわけでございまして、六十三年度からいよいよ本腰を入れてやろうと思っております。  それから、二番目の桜づつみモデル事業でございますが、これも直轄河川で考えておるものでございますが、先ほど先生もおっしゃいましたように、川沿いに並木があるという風景を皆さんお好みになるわけでございまして、むしろ私どもは、堤防の安全性を確保するためから堤防には木を植えてはならないということで多年河川管理をやってきたわけでございますが、大変御要望の強いところは、やはり先ほどと同じ発想で堤防を大変幅広にいたしまして強化することとあわせて、その部分には桜並木等を植えてもいいのではないかということを新年度からやろうかと思っております。  それから、三番目のラブリバー制度でございますが、これは逆に直轄ではございませんで補助の小さい河川で考えておりますが、住民の皆様がボランティア的な発想で大変川をかわいがってくださるといいますか、きれいにしていただけている川につきましては、逆に私ども重点的に修繕費等を投入いたしまして、そういうボランティア活動がいよいよしやすくなるように、例えば、治水上支障がなければ一部植栽活動等もしていただくというようなことを考えておる制度でございます。いずれも新年度重点的にやらせていただければと考えておるところでございます。
  88. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 以上、私、いわゆる都市の景観というところから始まって、今の都市河川の問題についてもちょっと触れましたけれども、先ほど申し上げたように、本当にこれからの生活を豊かなものにするために非常に大きな曲がり角に来ているのだ、こう思いますし、私たち地元では非常にこうした今の位置づけの重要さを説いているつもりなんですが、建設省にぜひこれからその推進方をよろしくお願いしたい、こういうふうに思います。  それから、道路局にちょっと具体的な話でお伺いしたいのですが、実は道路整備の仕方の問題についてお伺いするのが趣旨でございますが、まず、東京湾横断道路の完成目標年度はどういうふうになっておりますか。
  89. 三谷浩

    ○三谷政府委員 東京湾横断道路は、神奈川県の川崎市から千葉県の木更津市を連絡します延長十五キロ、総事業費一兆一千五百億円の道路事業でございます。昭和六十二年度に会社と道路公団の合併で施行する形式で着手をいたしまして、昭和七十年度に事業の完成を予定しております。
  90. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 この東京湾横断道路ができますと、その延長線上には川崎縦貫道路が考えられますね。この整備の現状あるいはその完成目標年度、あるいはその問題点はどのようになっていますか。
  91. 三谷浩

    ○三谷政府委員 御指摘のように、東京湾横断道路が川崎にちょうど入ってまいりまして、東京湾横断道路東京湾岸道路とこの浮島のところでちょうどぶつかりまして、それから川崎市を縦貫して、川崎市の都市基盤整備の骨格となる幹線道路ということで位置づけられております。  今、早期に着手をしておりますのは、ちょうどその東京湾横断道路のぶつかったところの湾岸道路のところから国道十五号線というのがちょうど通っておりますが、その間八キロにつきまして、これは四百九号ということで、四百九号沿いの計画案を今川崎市に説明をしております。引き続きまして地元関係者にも周知を図っているところでございますが、都市計画決定をしていかなければなりません。こういう所要の手続につきまして、昭和七十年度の、先ほど申し上げました東京湾横断道路と供用時を一緒に完成をしなければいかぬわけでございます。今そのためのいろいろ説明あるいは調査を進めております。  問題点でございますが、一般国道の四百九号の拡幅を行うわけでございますので、もちろん用地買収それから沿道の環境対策ということもございます。地域の理解と協力を得ながら事業を進める必要があろうかというふうに考えております。
  92. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 あそこの道路の状況を見ると、なかなか大変だろうなというふうに私は思うのですね。あの川崎縦貫道路を延長して東名高速に延伸をさせるというふうになりますね。そうしたときに、あそこにはちょうど多摩川が走っているわけですね。多摩川を利用することをもっと考えてもいいんじゃないかなというふうに私は思うのですがね。そういう検討はいかがでございますか。
  93. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほど申し上げましたように、まず国道十五号線までの八キロを今事業化して地元の理解を得て協力を得るべくいろいろお話し合いをしているところでございますが、その先、さらに十五号線の以西から東名高速道路の間、この間につきましては川崎の二〇〇一かわさきプランというのにもいろいろこの縦貫道路のことが書いてございますが、川崎市の都市整備の方向を踏まえつつ、既存の道路を利用する案とか、それから今先生のお話のございました、例えば多摩川に沿って上る案とかいろいろな案がございます。これらについては今幅広く調査検討を行っておりまして、まだこれから地方自治体と十分調整を得る必要がございます。できるだけ早く固めてまいりたいというふうに考えております。
  94. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のはかなり実現の可能性は高い案として検討はされているわけですか。
  95. 三谷浩

    ○三谷政府委員 川崎市の縦貫の道路が川崎市におきましては非常に欠乏しておりますので、こういう道路につきまして、先ほど申し上げましたようにプラン等でも掲げられております。ただ、先ほど申し上げましたように、十五号線までも大変環境問題、これは構造的にもいろいろ検討いたしまして今御相談申し上げておりますが、さらに以西となりますとなかなか難しい問題がございます。いろいろな案を今私ども考えておりますが、まだ調整中でございます。
  96. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 最後になりますけれども国土庁にお伺いをいたします。  今、国会の方で提出予定がされております多極分散型国土形成促進法に、道路、鉄道、空港を組み合わせた高速交通施設整備基本方針を策定をしてその趣旨を織り込むというふうに聞いていますが、どのような状況になっておりますか。
  97. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 多極分散型国土形成促進法案は現在まだ政府部内で準備作業中のものでございますが、高速交通施設は多極分散型国土を形成するための基盤として非常に重要なものでございますので、各省協力してその整備を総合的、体系的に進める必要がある、こういう趣旨の訓示規定を盛り込むことを考えております。
  98. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 実は私、この問題を考えるときに、かつて整備新幹線の問題で旧国鉄の最後のとき、国鉄が民営・分割化される直前でありましたけれども、当時の国鉄当局から整備新幹線についての考え方を聞いたことがあります。そのときにいろいろ話をされた中で、整備新幹線をうまくやっていくためには、高速道路網のスピードを落とすというかちょっと調整をしないと競争条件に負けるのでというような発言があったりしたことがありました。それから今度民営化された後、昨年の末だったと思いますが、JR各社が整備新幹線についての意見書を出されました。その中に、あるJRの、高速道路網についての若干の配慮をしないとなかなか整備新幹線はというような言い方の文章があったりいたしました。  私は、将来の形としては整備新幹線等は必要であるというふうに考えても、物には順序があるだろう。そのときに、これから四全総なんかで考えております全国一日交通圏とか、あるいは一極集中からそれぞれ地方分散をさせなきゃいかぬというふうに考えたときには、物の順序としては、高規格幹線道路網をびしっと早くやることがそもそも重要なんだということを私は非常に思うのですね、これは考え方の順序になるわけでありますが。そういう意味で、この基本方針あるいはそれぞれの道路や鉄道、空港等のネットワークの問題について基本的に大臣はどういうふうに考えられるかお伺いをいたしたいと思います。
  99. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 均衡のある国土の発展を考えましたら、どうしても高速交通機関の整備ということが欠かせないと思うわけでございます。しかし、御指摘になりましたように、整備新幹線をどう着工するかということが大問題になっておるわけでございます。同時にリニアモーターカーが出てきておるわけでございまして、これは国際的に考えても早く着工したいなということでございます。同時に、空港の問題につきましても、地方空港を整備していこうじゃないか、四十か五十くらいつくりたい。既に六十三年度予算にも一部盛り込まれておるわけでございます。さらにヘリコプター基地もつくっていかなければならぬじゃないか、こういうことになってまいりますと、ばらばらにやっておったのでは生きてこないし、やはり地域によっては矛盾したようなことにもなってくる。ですから、高速交通体系を整備したいな、そういう気持ちであの法律の中にも盛り込ませていただいたわけでございまして、これを基礎にしてひとつ今後の考え方をまとめる機会にしていきたいな、こう思っておるところでございます。
  100. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 終わります。ありがとうございました。
  101. 中村喜四郎

    中村委員長 辻第一君。
  102. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が短縮をされましたので、奥野長官にお願いをしておったわけでありますが、割愛をさせていただきますので御了承いただきたいと思います。非常にはしょった質問になるわけでございますが、ひとつ御了承をいただきたいと思います。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕  昭和六十三年度予算案によりますと、一般公共事業等に災害復旧を加えた公共事業関係費は総額で七兆二千八百二十四億円となり、対前年度当初比で一九・七%、約二割増の大幅アップとなっております。このうち建設省所管分の公共事業費は国費で四兆九千八百六十二億、NTTのA型を含んででありますが、こうなっております。対前年比二〇%増となっております。つまり、建設省公共事業費は国費で八千三百六十億円の増、事業費ベース、これは地方負担分や財投分を含んだものでありますが、二兆八千百四十五億円の増額、全体で十八兆百三億ということになっております。  ところで、国の公共事業関係費は昭和五十一年から五十四年度は毎年二〇%から二七%の伸びを示しておりました。その後臨調行革路線により、昭和五十五年以降ゼロシーリングになり昭和五十九年度からはマイナスシーリングが続いてまいりました。そこへ突如として昨年の大型補正予算一兆二千億による内需拡大への転換、そして今回の予算案へと続いてきておるわけであります。  そういう状況の中で、建設省の「昭和六十三年度建設省重点施策」というパンフレットを見てまいりましても、「欧米諸国に比べ大きく立ち後れている住宅社会資本整備水準」というような項目がございます。そうして、そのような状況の中で建設省は、「二十一世紀をめざして」というパンフレット、これの昭和六十一年から七十五年度までの累計投資規模は七百二十九兆程度と見込んでおられるわけであります。  こう見てまいりますと、建設省の仕事は今後ますます増大をするというふうに考えるわけでございます。このような状況の中で、我が党は公共投資を国民本位に切りかえること、すなわち大企業奉仕の大型プロジェクト中心ではなく、住宅、生活道路、下水道、公園、学校、福祉施設など、国民生活と密着した公共投資中心にすること、諸外国に比べて著しくおくれております社会資本整備することの重要性を主張してきたところでございます。  こういう背景の中で、建設省所管の公共事業の事業費ベース、これは五十九年までは横ばいだったと思うのですが、五十九年度から大幅にふえてまいりました。五十九年度と六十三年度の事業費ベースの額をお答えをいただきたいと思います。
  103. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 五十九年度の公共事業費は、事業費ベースで十二兆六百六十三億円でございます。それに対しまして、六十三年度は十八兆百三億円になっております。
  104. 辻第一

    ○辻(第)委員 大幅にふえております。約一・五倍になっているのではないか、このように考えるわけでございます。  ところが、定員削減の問題ですね、昭和四十三年から始まったようでありますが、既に一万百五十二人の定員削減が行われておる。しかも、事業費がふえております五十九年から六十三年、この間に千八百八十九人削減がされているように認識しているのですが、そのとおりですか。
  105. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 五十九年度の定員が二万七千四百五十七人でございます。それに対しまして、六十三年度は二万五千五百六十八でございますから、引き算いたしますと千八百八十九名の減、こういうふうになっております。
  106. 辻第一

    ○辻(第)委員 しかも大幅な前倒し発注ですね、これが行われる。しかも、本当に超大型の補正予算が組まれるという状況の中で、物すごく仕事がふえましたですね。こういう状況なのに、今お話がありましたように、定員削減が行われて、既にこの五年間には約千九百人近い方が定員削減をされているのですね。こういうことで本当に、今国民が望んでいる安全で良質な社会資本整備充実、こういうことがスムーズにやられるのか。また、労働者の労働条件といいますか、そういうことが本当に守られるのか、私は甚だ疑念を抱くわけであります。  どうも見てまいりますと、定員削減が、既に定員削減ありきということで、これはもう全然さわれない、これはもう回復することのできない問題、どうも極めて不合理なことになっているのが現状ではないかと思いますね。そういう状況で、増員も建設省は要求をされているわけでありますが、六十三年度の定員削減の数と増員の実態はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
  107. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 六十三年度におきましては、定員削減は政府が決定しております第七次定員削減計画に基づきまして、定員削減数三百六十四名、増員七十五名というふうになっております。
  108. 辻第一

    ○辻(第)委員 結局増員を差し引きましても、二百八十九名の減ということになっているのですね。  ところが六十三年度、二十六省庁中、定員削減を上回って増員になっているのが十五省庁あるということですね。例えば、法務省で九十九人、外務省で八十八人、大蔵省で三百三十九人、文部省で百五十二人、厚生省で百七十八人、こういうふうにふえているのですね。逆に減っているところでは、実数では農水省に続いて二番目ということですね。また比率では、農水省、北海道開発庁に続いて三番目ということであります。  これは、仕事が非常にふえてきている状態で、しかも、定員がどんどん削減をされている。これはどう考えてみても道理に合わない、理屈に合わない。しかも、その中の実態は、私はこれから後で述べますが、大変な状況になっているということであります。私は、建設省としては、この定員削減を見直す方向で、増員要求をもっともっとかち取るべきではないのか、その点についてお伺いをいたします。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  109. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 先ほど先生からもお話がございましたが、私どもといたしましては、第一次から第七次の定員削減計画を政府全体として決めまして、今実施をしておるわけでございます。ですから、建設省といたしましてもこの方針には当然従うことになると思います。  ただし、先生のお話にもございましたように、私どもの担当しております仕事の重要性は、ますます高まることはあれ、低まることはないわけでございますので、第七次の定員削減計画を策定する際にも種々その辺の事情を関係機関に説明いたしまして、理解を得るように努めた結果、第六次計画に比較いたしますと削減率が引き下げられるなど、建設省の主張はある程度考慮されたと思います。  もちろん、先ほどおっしゃいましたように、四十三年からで一万人ほどの減員がございますから厳しい情勢ではございますが、私たちは、増員についても、今後とも必要なものはその確保に格段の努力をしたいと考えております。
  110. 辻第一

    ○辻(第)委員 実態としてはそういうことでございますので、本当に大変な苦労をいただいておるということもわかるのですが、もっともっと御努力をいただきたい。重ねて強く申し上げておきます。  そういう状況の中で実際どんなことが起こっているのかということだと思うのですが、やはりそういう状況ですと、仕事の面は大変になってくると思うのですね。六十二年度は過去最高の前倒し発注ということでしたね。それから大型の補正予算ですね。そういうことになりますと、短期間にその年の大半の工事を発注するということになるのですね。六カ月間に設計し、積算し、時には用地買収まで行って契約をする、こういう状況。仕事は物すごくふえるわ、人手は足りないわということになりますと、当然そこのところでいろいろ矛盾が起こってきますね。詳しく申し上げる時間がないのですが、積算をする係員から、積算というのですか審査というのですか、後、見ていくのがもう十分できない。極端な言い方をしますと、あとはめくら判――悪い表現で申しわけないのですが、そういうことがかなりやられているというふうに私ども認識をしているわけであります。  そうなりますと、さまざまなミスが起こってくるということですね。ひどい場合は実施計画にない工事を出したり、まだ設計ができていないものまで発注したりという事態があるというふうに聞いているのですね。しかも、そういうところでの、建設省、仕事の知恵とかいうようなことで、概略契約ですか、概算契約ですか、こういうこともやられている。こういうことも、それは一面プラスはあるでしょうけれども、非常に矛盾が現場ではたくさん起こっているということですね。こういう状況の中で、六十一年十二月十二日に会計検査院の指摘に対する建設省の地建局長あて文書「建設省会発第千七十二号」というのが出されたということですが、そのとおりですね。
  111. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 簡潔にお答えする観点ででございますが、それに間違いないという、前段のところについては私は申し上げる意見がございますが、六十一年十二月十二日付で千七十二号を出したというところはそのとおりでございます。
  112. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変恐縮に思っているわけですが、時間がないので……。  さらに、「職員の健康管理について」というような建設省大臣官房地方厚生課長の通達も出されている。これは健康管理の問題なんですね。こういう状況の中で解決策として進められておるのは、やはり職員の残業ということが一つ起こってきていると思うんですね。残業が非常にふえている。それで補えないものは外部に委託をする業務委託という形をとっておられる。それから、先ほど申しました知恵を働かすというんですか、概算発注などがやられている。こういうことでカバーをしておられるのではないかと思うのですね。  職員の残業については、私の聞いたところでは百時間とか、極端な場合は二百時間というようなところもある、平均をいたしましても大体三十時間、いずれにいたしましても大変な残業時間になっているんですね。こういうことでは労働者の健康の問題、ひいて言えば家庭生活にまでひびが入るのではないかということまで私は心配するんですね。今労働時間の短縮ということが大きくうたわれているときに、逆にこういう超過密労働であり、しかも長時間労働ということは、これは大問題だというふうに考えるわけであります。  時間がありませんので言いっ放しで、おたくの方の言い分もあろうかと思いますが、そういうことですね。この問題については昨年参議院の下田議員、それから予算委員会の分科会で私どもの野間議員がお尋ねをしたということでございますので、ここはまた飛ばさせていただくわけでありますが、そういう状況ですね。  次に、業務委託の問題ですね。これは建設省が最大のよりどころにされているのではないかというふうにも考えるのですが、これは大変な問題を持っていると思うのですね。最近の委託業務の人そしてアルバイトの人は大体どれぐらいおられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  113. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 業務委託等については、実は詳しい実態調査をしたことがございませんが、六十一年度に庁務関係あるいは河川、道路の管理業務、これらの方々について実態を調査いたしました。その結果は八地建合計で二千六百六十人というふうになっております。
  114. 辻第一

    ○辻(第)委員 詳しくお調べになっておらないのでということでありましたが、私ども、全建労が調べられた数字で見てまいりますと、委託業務が三千六百七名、アルバイトが千百四十七名、合わせて四千七百五十四名、これは一昨年十一月二十六日の調べであります。  近畿地建では、業務委託とアルバイトが七百三十四名ですね。職員二千七百一名の三九%になっている。こういう数字があるんですね。これは六十一年十月一日でございます。ですから、五十二年からの十年間で四百十人の定員が削減をされ、そして七百三十四人もの委託業務、アルバイトの人々がお仕事をされている。そして一・九倍に伸びた事業量を消化されているというのが現実のようであります。  そこのところでいろいろ問題点をお尋ねしたいわけでありますが、定数削減というのはずっとやられてきている。ところが実際は、こういう委託業務であるとかアルバイトという方で、逆にそれ以上にふえて仕事をされている。定数削減の実態が、言うなら数字合わせというのですかまやかしというのですか、そういうことを言わざるを得ないような中身になっているのではないかということも指摘をしたいと思います。  それから、委託業務の問題でありますが、問題点がたくさんあるようですね。例えば現場の職員が減ってくる、そして委託業務に変わってくる。例えば監督官が一人で四人も五人も業務委託の、現場の技術の人と仕事をする場合、出張所なんかではそういうことが数多くやられているそうであります。しかも、概算発注などというようなことになりますと、地元などと折衝がふえるわけですね。そういうことで忙しくなって現場の監督に行く時間が非常に減るわけですね。ですから、言うなら業務委託の人に任せきりになるというようなことが現場で起こるのですね。これで法令に基づいた責任ある監督ができるのか、こういう問題が出てまいります。民間委託の方が仕事をないがしろにされるということは全然ないわけです。その方はその方なりに一生懸命やられるわけであります。しかしそれは、やはり官と民の境があるわけですね。そこで、責任でありますとか権限でありますとか、そういうものが働かざるを得ないと私は思うのですね。こういうことになりますと、本当に長もちする安全な公共構築物をつくっていく、そのためには建設省が責任ある監督をしなければならない、こういうふうに考えるわけでありますが、そういうことができがたい。民間の委託業務の方に任せきりになっているというのが一つの問題であります。この点についていかがですか。
  115. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 私どもは、業務委託に当たりましては、先生指摘のような懸念をなくするといいますかそういうおそれをなくするために、単純業務でありますとか設計、積算業務でも、例えば工事等に必要な現場条件の調査あるいは図面その他の資料作成等補助的技術業務に限って行っているわけでございますから、ただいま御指摘のような心配はない、立派に監督していると思っております。  それからなお、先ほどから再三、概算数量発注がいかにも何かおかしげなようなニュアンスの御発言がございますので、一言申し上げておきます。これは御承知かと思いますが、工事現場の状況が、標準的な図面を示せば請け負った方がそこで判断できるという場合に、例えば河川の護岸工事などにあって標準的な図面と数量を示して契約する方式でございますから、これは業務の簡素合理化の一環である、おかしなことではないと私どもは思っております。
  116. 辻第一

    ○辻(第)委員 私もその点についてまだいろいろと言いたいことがあるわけでありますが、時間がありませんので……。  私は一番最初にもちょっと言うておきましたけれども、全部否定する意味で言っておるわけじゃないのですね。非常に逆の矛盾点があるということも言いながら申し上げたわけであります。  それから、費用も委託業務の方は決して安くついてないのですね。例えば、現場技術業務の委託労働者は、近畿地建では百五十六人働いておられるわけでありますが、これは六十一年十月です。その業務の金額はトータルで約九十九億円ということですね。一年ずっと通して働かない方もありますので、一年間働く人で計算をしてみますと約一千万円の費用という試算が出ているわけです。こういうように見てまいりますと、業務委託というものが逆に高くついているのではないかという問題があります。  それから、これもまた委託業務の方が派遣労働者的な内容を持っているということであります。これは業務委託でありまして、現場に責任の人が来られて、その方から命令指揮されるという形になっているようでありますが、実際は、現場ではデスクを並べるというか、そういう職場もありますし、一緒のところでやっておられるということでありますから、指揮、命令、監督ということは職員の方から直接やられるということが多数あるということですね。私もいろいろ現場も見せてもらいましたし、また労働省にお尋ねをいたしましてその問題を見てみたわけでありますが、そういう内容も含んでいるのですね。それから、先ほど、単純な補助の仕事をさせております、大丈夫でございますというお話がありましたけれども、守秘義務の問題も、それは職員でない民の業務委託の方が実際は設計、積算のところに机を並べておられるわけでありますから、実際のところは守秘義務が守られないという問題もあるのですね。  こういうふうに見てまいりますと、委託業務でカバーされるという考え方、やり方というのは大問題だと私は思うのです。しかも、委託業務の方も一生懸命やっておられる方は、労働条件が非常に悪いというのもこれまた実態なんですね。ですから、委託業務の方にとっても大変いろいろな御要望がある。もっと労働条件をよくしてほしいとか安定した仕事でないということも含めましてあるわけであります。ですから、こういうところを見てまいりますと、やはり委託業務ではなしにもっと建設省の職員の人をふやしていただいて、本当に国民の期待にこたえる安全で良質な社会資本整備していただく、また労働者の労働条件を守っていただくという体制をぜひとっていただきたい、このように考えるわけでありますが、大臣いかがでございますか。
  117. 越智伊平

    越智国務大臣 辻先生のお話を聞いておりますと、建設省はいかにも悪いことをしておるようなお話であります。先ほども官房長からお答えいたしましたが、定員削減、これは政府の方針であります小さい政府ということであります。その中でどうしてやっていくかといいますと、委託業務もありますし下請もあります、いろいろな手法を使ってやっているのであります。先生の言われた委託業務、決して安くなってない、一人の所得が一千万だ……(辻(第)委員「いや、所得じゃないですよ」と呼ぶ)費用ですか、費用が一千万。一方では、委託の方々は労働条件が悪いというお話でございます。これはちょっと聞いておると矛盾するような気もいたします。  それにいたしましても、本当に安全で良質な施工をいたしております。御承知のように今非常に進みまして、計算にいたしましても、昔はそろばん、その次は計算機、今はコンピューターでやりますので、非常に能率もいいわけであります。また施工にいたしましても、今は写真を皆撮らせておりますし、それからコンクリートはコンクリートで試験をさせておりますし、また鉄筋は鉄筋でちゃんと検査をしておりますし、そんな劣悪な仕事をしておることは絶対ございません。またそういうことを請け負うにいたしましても、そういう仕事をしたものは排除されるということでございますから、責任を持ってやっております。決して御心配要りません。立派な工事をどんどんやっている。社会資本の充実、そして予算がふえたことでございますから、それなりに努力をいたしております。  また残業、超過勤務の話もございましたが、例えば用地買収、これは日曜とか夜間に行かないと、相手があることでございますから、昼の時間だけに用地買収に行くといっても率直に言ってできないのですよ。ですから多少残業が多くなりますけれども、労働が過重になるということもございませんし、大変よくやってくれております。現場の職員は皆よくやってくれております。  人員は、最初申し上げましたように定員削減、小さい政府でございますから、それは我々の方はまだやる方法があると思いますけれども、先ほどもお話がございました厚生省とか文部省、これは大学病院の看護婦さんは機械化するわけにいきませんので定員に入ってくるわけでございますが、我々の方は機械化したり合理化したりあるいは今の業務委託をしたり下請をするということでやっておりますので、決して御心配御無用であります。立派にやっていきます。ひとつ御安心をいただいてお任せいただきたい、かように思う次第であります。
  118. 辻第一

    ○辻(第)委員 大変懇切丁寧に御答弁いただいたわけでありますが、私としては非常に残念な御答弁だと思います。本当に現場のことをよく見ていただいて、実態もよく見ていただいて、ほかの省に負けないように、こういうふうに仕事がものすごくふえているのに定員が削減され、人員が削減され、そしてそのかわりに民間の人を入れていく、その中に非常に矛盾があるわけでありますから、そこのところをもっと真剣に考えていただいてお答えをいただきたい。私はこのことを要望して、ひとつ次へ移ります。  汚職の問題をお尋ねしたかったのですが、もう時間がないので割愛いたします。  大和川の治水対策の問題でお尋ねをいたします。  昭和五十七年に大和川の流域で大水害が起こりました。私はこの問題でもう既に三回、きょうで四回目の質問をするわけでありますが、これも端的に申しますが、流域総合治水対策協議会というようなものがつくられて、関係の地方自治体、建設省に非常に御苦労いただいているのはよくわかるのです。しかし、今の状況ではまた五十七年のような水が出れば安心できないという状態ではないかと私は考えるわけでございます。  そこで、この間も大和川工事事務所に行ってお話を聞かせていただいたのですが、御努力いただいているのはよくわかるのです。ところが一方、こういうような中川・綾瀬川流域総合治水対策協議会のものを見てみますと、もう少し具体化しているのですね。暫定治水計画の中で整備対象河川を掲げ、大まかではありますが治水計画施設概要図を示し、河道改修区間、その他改修区間、調節池などの位置を明らかにしております。また保水対策でも、期間十年を示して市街化区域への変更を行わないこととしたり、新規開発に伴う流出抑制対策で流出量の対策基準を示しているわけです。これに比べまして大和川というのは、御努力いただいているわけでありますが、まだ漠然とし過ぎており、流量分担まで示していただいているのですが、具体的な全体計画が明らかになっていないというのが私どもの考え方であります。  そういうことでありますので、ぜひさらに一歩進めて具体的な全体計画を明らかにできるようにしていただきたい、こういうふうに考えるわけですがいかがですか。
  119. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  中川、綾瀬川との比較での御議論でございますが、私どもは基本的には中川、綾瀬川も大和川も同じ考えに基づいて、おっしゃいますように流域協議会をつくりまして、流域整備計画をつくりまして、実施要領をつくりましてやっておるつもりでございます。ただ、それぞれ流域の性質がやはり大分違いまして、中川、綾瀬川は御存じのように大変低平なところ、低いところを流れておる川でございます。したがいまして、例えば雨を浸透させようと思いましてもなかなか実際は浸透いたしませんので、どうしても遊水地ですとかそういう施設をつくることが主体になろうかと思います。大和川も低平ではございますが標高の高いところでございますので、現にため池もたくさんございますし、ため池に水をためるとかあるいは雨水を貯留するとか浸透させることに主眼がございまして、ちょっとその辺の差が、見ていただきますと全体がぼやけているように見えるかと思いますが、そんなことではないかと思っております。  私どもはもちろんできるだけ丁寧に、全体計画がわかっていただけるようなものをつくるように一生懸命努力しているわけでございます。
  120. 辻第一

    ○辻(第)委員 それからもう一つ要望しておきたいのは、遊水地といいますか貯水池といいますか、ちょうど今近鉄線の天理線との交差点のところにそういう遊水地を建設省がつくっていただいているということでございますが、こういうものをもっともっと積極的に建設省としてやっていただきたいと思うのですがいかがですか。
  121. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  私どももうできるだけ適地を、適当なところを探しましてやっていきたく思っておりますが、ただ大和平野の場合は大変土地開発をされておりまして、実際はなかなかそういう適地を探すのは難しい状況にございますので、努力は続けたいと思っております。
  122. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひひとつやっていただきたい、お願いをいたします。  次に、河川の汚濁の問題についてお尋ねをいたします。  残念なことに奈良県の河川が、環境庁が昨年十二月に水質汚濁防止法に基づく測定結果を発表されましたが、ワーストファイブに三つの河川が入っておるのですね。それから建設省の大和川の水質調査でも、この大和川が奈良、大阪府ともBODが平均値で一三・一で、一級河川としては全国第二位という、こういう残念な状況になっておるわけです。それで、県を初め地元の市町村もいろいろと努力をされているわけでありますが、現実にはこういうことですね。建設省としてもまた環境庁としても、この地元の自治体と協力をしてぜひ大幅に改善ができるようにお答えをいただきたいと思うのですが、その点で建設省環境庁から御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。
  123. 越智伊平

    越智国務大臣 大和川の問題は、環境庁長官も御出身地でございますし、特に建設省に要望をされております。これは初めの、下水が各都市の立ち上がりがおくれたということで下水の普及率が遅かった、こういうことでありますので、下水を早く整備すればよくなってくるであろう、こういうふうに思います。この点については努力をいたしたいと思います。
  124. 平石尹彦

    ○平石説明員 大臣の御答弁の後で恐縮でございますが、御説明申し上げます。  大和川におきます水質汚濁でございますが、工場等のいわゆる産業系の排水も原因としてございます。しかし、むしろ主な原因は生活系の排水ということと考えております。したがいまして、環境庁といたしましては所管しております水質汚濁防止法の厳正な施行ということは当然といたしまして、下水道を初めといたします生活系排水の処理施設整備というものを推進していくべきだと考えております。奈良県につきましては、環境庁におきまして県に対しまして具体的な施策で水質の改善というものにつきまして緊急に推進するように指導しておりまして、密接に連携をとりながら進めていきたいと考えております。
  125. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わると言いましたが、まだ一分か二分ほどあるのですね。  建設省、礫間接触酸化法による河川浄化というものに実験的に取り組んでいただいているというふうに聞いているわけであります。これは実効があると思うのですが、ぜひこれを進めていただきたいというふうに思うのですが、いかがですか。
  126. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  礫間接触酸化法でございますが、御指摘のように、ただいま近畿地建で大和川におきまして実験中でございます。六十年度に施設をつくりまして、六十一年度から実験をいたしているところでございますが、本格施設の事業化は、大変残念でございますが今のところまだ未定でございます。ただ、先生御存じのように、既に実施箇所が全国的にはございまして、多摩川の支川の野川というところで五十八年に実際の施設をつくりまして、大変役に立っておるものでございます。いずれ私どもも事業化をと考えておるところでございます。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  128. 中村喜四郎

    中村委員長 委員各位には大変熱心な御議論を午前中いただきましたが、審議日程も詰まっておりますので午後一時半から再開をさせていただきますので、大臣以下政府関係者もよろしくお願い申し上げたいと思います。  以上、休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  129. 中村喜四郎

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木間章君。
  130. 木間章

    ○木間委員 第一次竹下内閣が発足されて、越智先生にはめでたく建設大臣に就任されて、そして精力的に建設省の陣頭指揮をとっておられます。大変御苦労さまですが、所信表明につきまして若干御質問させていただきたいと思います。  公共事業は広く国民福祉の増進を図るのだと、国家的大事業で進められております。その国家的大事業も、時には地域住民の方々に迷惑を与えることが間々あるだろう、このように受けとめるわけであります。特に、住宅が込み合っておる密集地で公共事業を行われようとするときに、例えば建造物の立ち退き、移転あるいは自治コミュニティーを二分、三分をするとか、また時には自然破壊を伴う、あるいは公害発生がどんどん高まっていくなどなど、局地的に見た場合に福祉が損なわれていく場合があるのではないでしょうか。このようなときに、当該地域皆さんの意見を十分に聞いて、そして局地的な方々の御意見も取り入れて実施されていかなければならないと思いますが、あるいはそのようにお進めになるのか、それとも旧の都市計画法のような既定方針どおりどんどんお進めになるのか、まず大臣気持ちをお尋ねしたいと思います。
  131. 越智伊平

    越智国務大臣 御承知のように、我が国社会資本は大変おくれております。でございますから、幸い予算も大変増額をされまして、今から事業を進めていかなければなりません。この事業を進めるに当たりましては、今お説にありました地域の方々の協力なくしてはやれない、こういうふうに思います。  でございますから、各地域の方々の絶大なる協力をいただく、また十分話し合いをしてやっていく。したがって、公害を残すようなことはしないように、例えば道路をつくりましても騒音と悪環境が残るだけだというような地域も、率直にいろいろ言われますが、こういうことのないように、また特に道路等で非常に車が多いようなところは防音施設をするとかいろいろ配慮をしていく。いずれにしても、地域の方々の御協力をいただき、また御理解をいただく、その中で事業を進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  132. 木間章

    ○木間委員 ぜひ今後ともそのような心根を持って、そして国家的大事業の先頭に立っていただきたいことを特にお願いをしておきたいと思います。  それで、東京外郭環状道路、この問題について、現状を少し私の方からも申し上げながら、皆さんの進めておいでになることを分析しながら質問をさせていただきたいと思います。  特に、外環道路の中でも千葉県の松戸、市川市の問題についてお尋ねするわけでありますが、この外環道路は昭和三十六年、七年ごろから測量等に入っておられます。そして昭和四十年、東京都市計画の中で街路網再編成の一環として決定を見まして、昭和四十四年、国道二百九十八号線として指定されたのであります。  この制度は旧法の時代でございまして、大正八年に制定された都市計画法のもとで作業が進められておるのであります。ただいまの建設大臣の御発言は、新憲法下の所信であろう、また越智大臣の日ごろからの政治に対する、行政に対するお気持ちだろう、こう察するところでございますが、旧制度のもとでは公共事業を執行するときに、今日までのいろいろの会議録その他でも散見されるところでございますが、私的に要約申し上げますと、原案を発表する前は外部には一切説明はされていない、意見も聞かれない、一たん原案を発表いたしますと絶対に変更はあり得ない、こういう状況のようでございます。そしてお困りになっておる関係者には補償で償っていく、こういう時代であったろうと思います。つまり住民の意思反映はほとんど認められていない、こういうふうに私は認識するわけでございますが、大臣あるいは担当の局長、私の認識がどうであるか、お尋ねしたいと思います。
  133. 三谷浩

    ○三谷政府委員 外郭環状道路は、今先生のおっしゃいました松戸から市川区域について申し上げますと、昭和四十四年に都市計画決定をされております。それで昭和五十三年に千葉県から、特に国道から南の路線、構造等について再検討を要請されたところでございます。  建設省ではこれらの要請をもとにいろいろな検討をいたしまして、昨年の十月に松戸、市川地区の東京外郭環状道路のルート、構造を、一つは自動車専用部プラス一般部の構造、こういうような工法を採用いたしまして、南北方向の交通軸を確立する。それからもう一つは生活道路の機能回復、地域環境の改善、こういうものを考えたわけでございます。  それから、構造でございますけれども、半地下構造を採用いたしまして、環境施設帯を配置いたしまして環境基準を満足するとともに、サービス道路、自転車・歩行者道を設置したわけでございます。さらに、下水道等都市施設の収容空間、緑化防災空間の確保を可能とした。こういうようなことをいろいろと考えまして、地元の事情に十分配慮した最良の案というふうに私どもとしては考えております。  今これを県にお示ししまして、県から市にいろいろお話しして御理解を求めつつある、こういう段階でございます。
  134. 木間章

    ○木間委員 私のお尋ねしたことと御答弁いただいたことと、ちょっと違うわけですが、それはそれで結構でございます。  確かに今道路局長がおっしゃられたように、この道路は国道二百九十八号線ではございますが、計画決定されたその当時の一日の交通量を見ておりますと、十六万台を見込んでおります。そして一般国道部分四車線、高速自動車部分四車線、幅員四十メートルから成っておるわけであります。その当時、市川市は間もなく人口が四十万人になるだろう、こう言われたのでございますが、その市川市を縦長に十一キロメートルにわたって四十メートルで二分しよう、こういう代物でございます。特に四十メートルの幅員の中には二千百戸の住宅、二千七百戸の世帯が住んでおりますし、幼稚園から小、中、高校までの学校法人もあります。そのほかに幼稚園四つ、病院一つ、医院が一つあります。道路の敷地内になるであろうその中はこのような状況でございますが、道路が新築されますと、当然のことながら周辺地域にもさまざまな影響が及ぼうというものであります。道路の両端から東西五百メートル地内には影響を受けるであろう二万三千二百世帯が今日住んでおりますし、教育施設や医療施設、福祉施設はたくさん存在しておる地域でもございます。それを縦長に四十メートルぶち抜こうということでございますから、これは聞いただけでも私たちはびっくりせざるを得ないと言わざるを得ません。しかし、この道路は都心を中心にして半径十五キロの地点に位置しております。川崎市を起点に都内、世田谷、三鷹を通り、そして武蔵野を抜け、杉並、練馬など住宅地を通って埼玉南部から千葉県へと入って東京湾岸道路に接続をする全国的な高速自動車道路網の一環として機能を果たすであろう、このように位置づけられておるところでございます。  このようなことから、当然関係者はいたたまれずいろいろの行動、例えば陳情とか見直しはできないだろうかとかさまざまなことへと発展するわけでありますが、それらの陳情行動がかなえられない、こうなりますと、だんだん運動がエスカレートしていこうというものであります。御案内のとおり、住民のそうした兆しが高まりまして反対運動へと拍車がかかり、勢い市当局や県当局へもそれらの問題が持ち込まれました。そして、自治体を動かしながら、四十四年に決定された国道二百九十八号線は具体的に四十六年に工事着手という段階で、住民の目に映ってそういった運動となり、今日十七年間この反対運動が続いておるところであります。  そういった中で、今、三谷局長おっしゃったように、若干の見直し気持ち建設省にあったやにお聞きするわけであります。当然のことながら今後どうやって進めていくのか、建設省も大変苦慮しておいでになるだろう、こう思うわけでありますが、こういった住民の運動もある、あるいは建設省も何遍も御相談を受けておる、だけれども解決しない、これから一体どのようにこれらのことについて進められようとするのか、お尋ねをしたいと思います。
  135. 三谷浩

    ○三谷政府委員 外郭環状線の概略をちょっと御説明させていただきますと、先ほど御指摘がございましたように、ちょうど半径十五キロくらいで延長八十五キロの環状道路でございます。確かに東京、首都圏につきましては放射状の道路に比べまして環状道路整備が非常におくれておりまして、この環状道路が分散導入を図る、こういうようなものでございます。かてて加えて、新しい沿線地域地域開発あるいは地域環境を創造する、こういう意味でも私ども外郭環状道路に非常に期待をしているわけでございます。  しかしながら、先ほど御指摘がございましたように、こういう首都圏地域の住家の多いところ、こういうところでこれから道路をつくるわけでございますので、関係者の間で大変いろいろな御相談が要ります。先ほどから申し上げましたように、昭和四十四年に、当初この区間につきましては幅員をちょうど四十メーターということで都市計画決定がなされました。その後、先ほどからお話しのございましたように県当局等から建設の反対ということで、特に国道六号の以南、今対象になっておりますこの十一キロの区間、ここについては抜本的かつ徹底的な検討をお願いしたいということで、昭和五十三年に県知事から建設省、具体的には関東地方建設局でございますが、いただいております。これを踏まえまして、先ほどちょっとお話がございましたような案を私どもいろいろ考えて、先ほど構造の面だけ申し上げましたけれども、そのほかルートの問題等につきましてもあらゆる検討をいたしまして、一つの成案を得ました。そこで昨年の十月に私どもがこの検討案につきまして県当局にお示しをした、こういうことでございます。  それで、特に松戸、市川市においては東京外郭環状道路は南北方向の交通軸を形成するわけでございまして、南北方向の時間短縮の問題あるいは生活道路の機能回復、地域環境の改善など都市構造改善のためにも非常に重要だと考えております。しかしおっしゃられるとおり、外郭環状線の重要性もありますが、今後とも地元の意向を十分に反映して、その実施に当たっては環境の保全に配慮していろいろ御理解を得て事業を進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  136. 木間章

    ○木間委員 地元の意見も十分に反映をさせたいということ、先ほど越智大臣の方からも地元皆さんと十分話し合ってやっていかなければならない、こういうお話もあって、まさにそのとおりなんですが、決定そして発表から今日、十七年間にわたって反対の意見がますます高まっておるのが現状でございます。  そこで、本論に入る前にもう一つお尋ねしたいのでありますが、一般的に道路を建設したい、あるいは改築の法線を決めようとするときにどういう地形を選ばれるだろうか。細い村道あるいは農道を核にして拡幅をするという手法もありましょうし、また、そういった中では密集地を避けるという手法も常識だろう、こう私は思っております。この法線を決定されたときはまさに旧法の時代でございまして、そこのけそこのけお馬が通る、こう言っても過言ではないと思いますけれども、今道路局長がお考えになっておるもの、あるいは見直し案、それらを見ましてでもその考え方が抜け切っていないのではないだろうか、私はこう指摘せざるを得ないのであります。とりわけ今度の見直し案を見ておりますと、前回までは幅員四十メートルでございましたが今回は六十メートルに広まっております。いよいよ大変な問題を投げかけるのではないでしょうか。ですから、十分に地元の意見を拝聴するんだ、県も市も住民もみんなが反対をしておるわけでありますから、そういった中で逆に幅員を広めてやろうというのは、どのような意見の反映が保証されるのでしょうか。一般的な問題として大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  137. 越智伊平

    越智国務大臣 御承知のように、都内の交通は大変渋滞をいたしております。都内に入ってまいります軍が五百万台、そして高速道路に乗っておりますのが九十五万台、こう言われております。その三分の一は都心部にはおりないで通過だ、こういうことであります。ですから基本的には、中央環状線それから今の外環状線、こういうことで軍を分散する道路網をつくらなければならない、こういうふうに思っております。そのことは大前提であります。  しかし、今お話のように、実情をもう少し勉強させていただきますけれども地域の全体の方が反対するというようなことになればなかなか難しいのでなかろうか。そこらを県あるいは市と十分連絡をとってよく御理解をいただき、御協力をいただく。また、道路がつけばその地域が非常によくなる、そういう前提を私は一般的に考えておるわけであります。道路がつけばその付近はよくなる、こういうことで喜んでもらえる道路、こういうことを希望をいたしておるのであります。高速道路等になりますと、インターの付近は喜ぶけれども、その中間は余り喜ばない、そういう現象もございますけれども、でき得れば喜んでいただく、そういうことで進めてまいりたい。  今の具体的な問題につきましてはよくまた連絡をいたしまして、県あるいは市とよく話し合いをし、またそこを通じて地元の方々とも話し合いを進めていくようにいたしたい、かように思う次第であります。
  138. 三谷浩

    ○三谷政府委員 構造の面だけ、ちょっとだけ御説明させていただきます。  四十メーターから六十メーターに広げましたというのは、掘り割り構造にしたわけでございます。基本的には、先ほど先生から御指摘がございましたように環境問題あるいは分断問題、こういうものが非常に問題になりますものですから、まず沿道の環境保全をとにかくできるだけ図る。それから潤いのある、緑豊かな空間、これは環境施設帯を設けまして、ちょうど掘り割りで道路が、専用部が埋まるような格好でございますが、前後に、上の方に環境空間をつくっております。  それから、当然ながら道路のもう一つ持つ機能でございます各種の、例えば下水道みたいな都市施設の収容を可能な構造とする。  それから、地域分断にならないように、平面交差あるいは横断歩道等の施設を適切に配置できるような構造、こういうようなことで四十から六十に都市計画変更ができないだろうかという御提案をさせていただいたわけでございます。  それから路線の方でございますが、路線計画はいろいろ地域によって違いますが、やはりこの場合は、例えば補償物件がもちろん大きな要素になろうと思いますし、また道路網が、道路がなかなか南北軸がないところでございますので、そういうものをどうしたら一番よくできるかとか、あるいは先ほど申しました施設収容機能とか、それから沿道の環境保全をどうやったらできるか、こういうことを全部考えて今の路線を選ばせていただいたわけでございます。
  139. 木間章

    ○木間委員 掘り割り部分を入れたんだ、こうおっしゃるけれども、結論的には幅員四十メートルが六十メートルになったということはそのとおりなんです。さまざまなその他の都市機能も取り入れてやるんだ、こうおっしゃられるのでありますが、今自治体も住民も困るんだ、こうおっしゃっておられますから、逆にありがた迷惑じゃないでしょうか。皆さんの、国の建設事業の一端なんだということをそこで一本筋通しながらやっておいでるとしか私は言いようがありません。  また、この地区の過去の選挙のときの公約などを拝見いたしましても、本院に議席を置かれた先生方あるいは不幸にして破れられた皆さんも同じようにこの問題については取り上げられて、そして反対をするんだとこの間主張されておるところでございます。  いろいろ他の案も検討したんだけれども都市機能を充実させるためにはこれが最良の案だ、このようにおっしゃっておられますけれども、他に何か方途がないものかどうか。私はまだ現地へ行っておりませんけれども、地図の上で何遍か私なりに検討を加えました。  例えば、ここの選挙区出身の新村勝雄議員が質問主意書を出しておられます。つい先日答弁書もいただいておるところでございますが、この質問書の項目の中に、地下方式でできないだろうか、完全地下構造はどうだろうか、このようにも実は質問をしておるところであります。ところがこの質問に対しまして回答は、一般部への車両の出入りを確保する必要等から地下構造とすることは不可能である、このようにも言われております。  しかし今他の公共事業等を見ておりますと、東京都は間もなく新宿へ新築移転されます。そして丸の内から新宿までの道路事情をどうするか。ただでさえ込み合っておる、そういう中で官庁街との往来をどうするのか、こういったものにもさまざまな知恵が出されております。新宿副都心から丸の内まで弾丸道路構想も実は上がってきております。これも私は一つの手法だろうと思うのでありますが、皆さんは、地元がありがた迷惑がっておるのに都市機能や他のものも取り入れてこの道路を新築したいのだ、こうおっしゃられるというのは、私はそのまま素直に受けとめられないのでございます。  ですから、そういった手法、あるいは河川敷を利用するという方法もありましょうし、既にこの地区には松戸―市川の有料道路もございます。これらをさらに立体的にも大きくしてそれを活用するとかそういった手法が考えられないでしょうか。  確かにおっしゃるとおり、東京への車の洪水を緩和させることは必要だろう、私もこう認識をする一人でございますが、しかし四十万になんなんとする大都市を二分する、そして市民生活環境、自治コミュニティー環境もすべて葬り去るような手法は政府のとるべき態度でない、このように私は思うわけでありますけれども、重ねてこのことについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  140. 三谷浩

    ○三谷政府委員 専用部のトンネルで、例えば仮に一般部を省略した工法というものができないかどうかという問題につきましては、非常に南北の地域交通軸がこの地域では欠けておりますので、生活道の機能回復とか地域環境の改善とかというような地域都市機能の向上のための骨格としてこういうのがいいのではないかというふうに私ども考えております。  しかし、ともあれ地域の方々の御意見をお伺いするのが一番のことでございますので、先ほど申し上げましたように、私どもこの案を昨年の十月に千葉県の方へお示しをいたしました。  千葉県ではいろいろ検討されまして、ではひとつこれを具体的に検討しようということで市川市の方にお話をされたようでございます。市川市の方もひとつ検討をされるということでございますので、私ども誠意を持っていろいろ御説明をさせていただきます。  また、このお話し合いがまだこれからでございますので、先ほど来の、御協力なくしてはこの道路がとてもできないことは私どもも十分わかっているつもりでございますので、いろいろ御説明をして理解を願いたい、こういうことでございます。
  141. 木間章

    ○木間委員 十分現地の皆さん、住民の皆さんを含めて話し合いを進めていく、強行は絶対あり得ない、このように今私は受けとめたのですが、それでいいですね。このことはひとつ……。
  142. 三谷浩

    ○三谷政府委員 はい、そのとおりでございます。
  143. 木間章

    ○木間委員 それで、大臣に一言この問題でお尋ねしたいのでありますが、率直に言って議論を続けるよりも現地を一遍視察をお願いしたいなあ、実はこう思う一人でございます。大臣が現地を歩かれるとなりますと、さあ地元も本省も大変だろうと思います、逆に人目に映るわけでありますから。そういった点ではいかがでしょうか。あるいはお忍びで出られるなども一つの方法じゃないだろうか。現地の実態をまず見てもらいたいということなんですね。  かつて先輩の建設大臣でございました方々も、例えば保利建設大臣は世田谷を視察されております。そして生活に重大な影響を与えるから変更についても検討せざるを得ない、このように述べておられますし、また西村建設大臣の時代にも、このルートについて慎重に扱わなきゃならない、金丸建設大臣に至っては、嫌というものならやる必要がない、その予算を他の地区へ回したら他の地区は何ぼこそ喜ぶであろう、このようにも言っておいでるのでございますが、建設委員会会議録にも載っておりますが、それはそれとして、やはり百聞は一見にしかず、住民の皆さんが悪態をついておるのかどうか、無理難題を言っておるのかどうか、どちらが無理か、難題を押しつけておるのか、そういったことについて私はぜひ現地を見ていただきたいと思うのですけれども建設大臣いかがでしょうか。
  144. 越智伊平

    越智国務大臣 お話、十分承りました。現地を見るかあるいは説明を聞くか、その手法はいろいろございますけれども、ひとつよく検討をさせていただきます。今もお話がございましたように、現地を見に行くとか行かないとか言いますといろいろございますので、その点はひとつお任せをいただきまして、十分検討をして、先ほどもお話がございましたように、私も喜んでもらえるところに道路をつける。もちろん全体的な日本の均衡ある発展に寄与することはもちろんでございますけれども、全体が反対するようなところをなかなか実際問題やれない、こういうふうに私は思っておりますので、今後の検討調査、ひとつお任せいただきたいと思います。
  145. 木間章

    ○木間委員 机の上で道路局のプランをお聞きになるだけでは私は全体像が映らないと思うのですね。やっぱり現地を見ていただいてその地域がどういう生活実態であるのか、そういったものなどを見ていただかないとなかなか理解がいただけないんじゃなかろうか、こう私は思っております。まあ何はともあれ、住民のため、国民のために陣頭指揮をとっておいでる越智大臣のことでありますから、そこはお任せいたしますけれども、ぜひひとつお願いをしておきたいと思います。  奥野国土庁長官に、この機会に一つだけお尋ねをしておきたいと思っております。  今さまざまな開発事業が計画され、構想の段階のものもございますけれども、あるいは間もなく着手をされようというプロジェクト事業がたくさんメジロ押しに並んでおります。とりわけ、東京を中心にした地区に集中しておるのも一つの特徴であろうと思います。それは東京都内であったり、あるいは神奈川や千葉県や、いわゆる東京都圏であったりもするわけでありますが、新たに作成されました四全総とこれらプロジェクト事業との整合性はどこにあるのだろうか、こう私なりに関心を持たざるを得ないのであります。  四全総の基本目標は、二十一世紀への国土づくりの指針として、おおむね昭和七十五年を目途にしています。そして、安全で潤いのある国土の上に特色ある機能を有する多くの極が成立し、特定の地域への人口や経済機能、行政機能の過度の集中がないように、地域間、国際間で相互に補完、誘発し合いながら交流している多極分散型の国土を形成することを目標とする。こうなっておるのでありますが、既に一極集中化させてしまったこの東京、そしてその周辺で再び、これらのプロジェクト事業が完成をされますと、この四全総で方向を定めておりますが、逆の現象が起こるのではないだろうか、こう思えて仕方がないわけであります。  例えば今精力的に各省庁とも事務所、事業所の圏外への移転も検討されております。小人数のそれらの事務所、事務所を郊外へ、圏外へ移転させてそこに何十階建てのビルができるとしますと、またまたたくさんの集中を呼び込むことは必至であります。したがいまして、四全総の定める方向とこれらの新しいプロジェクト事業との整合をどのように方向づけられるのか、国土庁長官の御決意をお尋ねしておきたいと思います。
  146. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 東京の二十三区は容積率を四割しかこなしていないと言われておるわけでございまして、窮屈さが目立つということになるのかもしれません。ある意味においては、むしろ道路を広げ緑地をつくりながらなおかつ土地の供給力をふやし得るじゃないか、そして、やはり文化的な地域にしていく必要もあるんじゃないかなという気がするわけでございまして、そういう意味でいろいろなところで再開発が行われたりすることは望ましいことだ、こう思っておるわけでございます。  今、四全総で書かれていることと矛盾しているじゃないかと言われているわけでございますけれども東京からできる限り出したいけれどもなおかつ東京に入ってくるものもかなりあるわけでございまして、そういう意味においてはオフィス床もなおふやしていかなければならない、そのことを通じて地価高騰を抑えていきたい、こう思っておるわけでございます。大規模プロジェクトはそういう意味においてオフィス床の供給に役立つんじゃないかな、こんな思いがしているわけでございます。  今の東京は過密になっているばかりじゃなしに秩序を欠いている。もう少し秩序を持った都市にして、都市としての機能を回復させるようにしていかなければならない。そういうことで、東京の中心部一極集中をむしろ七つの副都心をつくっていく、そして多心型の都市構造をつくり上げたい。そうなりますと、職住近接の地域社会をつくることも可能じゃないか。おっしゃっております臨海部の再開発、あれも七つの副都心の一つに数えておるようでございます。やはり中心を幾つもつくる方が職住近接の地域社会をつくりやすいんじゃないかな、ある程度秩序立った都市にしやすいんじゃないかな、こう思うわけでございまして、四全総の中には、地方に核をつくってそこを中心にして発展させていくという考え方と同時に、首都を改造していく、都市としての機能を回復させる、そして、七つの副都心でありますとか、さらに、業務都市をつくって都心の機能をそちらに移していくというようなことも含まれておるわけでございます。特に、業務都市の中には横浜、川崎、もうあれ以上大きくする必要はないじゃないかというお考えがあるかもしれませんけれども、やはり国際的な機能をあの地域に営ませることによって東京と並び立つ存在になるのじゃないだろうかな、そんなことで国際会議場を横浜のみなとみらい21に持っていくことにしたわけでございますけれども、そういうことは必ずしも四全総の考えていることと食い違っているのじゃなくて、そういう考え方もあわせ持った四全総でありますこともひとつ御理解いただいておきたいと思います。
  147. 木間章

    ○木間委員 時間が参りましたのでただ一点だけ申し上げておきたいと思いますが、七つの副都心をそれなりに整然とやっていく、私も賛成をするものでございますが、ただ、このプロジェクトを見た限りでは、現在のものはそのままにしながら新たにあちこちで再開発をやるんだ、私はこのようにも見受けられて仕方がないわけです。ですから、現在あるものを、例えば霞が関一体をあるいは幾つかどこかの地点へ移すとか、そういった極度の集中じゃなくて逆に分散をさせるという方途をとっていただきたいと思っております。そうしなかったら、外へ出ればもう交通渋滞がにっちもさっちもいかない、電車に乗れば満員電車どころか殺人電車のような感がいたしますし、これらをやはり緩和させなければならぬわけであります。  残余の問題は次の機会に譲らせていただきたいと思いますけれども、ぜひ国土庁長官にも、また越智建設大臣にも、今住民が一番望んでおること、そのことに向けて心の通った政治をやっていただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  148. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 今の御注意、十分配慮して努力してまいります。
  149. 中村喜四郎

    中村委員長 矢追秀彦君。
  150. 矢追秀彦

    ○矢追委員 初めに、私は首都機能移転問題について質問をいたしたいと思います。  首都機能の移転問題がこの一月二十二日に、一つの機関を出すということで、十七省庁三十一機関、こういったことが発表されまして、もう前々からでございますが、大変な議論を呼んでおるわけでございます。一括遷都、分遷都、展遷都あるいは展分都、いろいろな考え方がでてまいりまして、各都道府県からもいろいろな、施設を持ってきてもらいたいという要望等が出てきておりますし、またマスコミ等でもいろいろな学者の御意見等が開陳されている。ある意味では百家争鳴のようになりつつあります。もちろん議論は大いにやるべきだと私は思いますし、各県ともそれなりに、自分たちの地域をどうするかということで一生懸命やっていただくことが将来の日本にとって大変有効だと私は思うわけでございますが、ただ、これをやるに当たりましては、相当基本的な考え方といいますか哲学といいますか、さらに国民の合意がなければ成功しない、そしてまた将来を的確に予測していかなければならぬ、こう思うわけでございます。  そこで、一番問題になっておりますのは東京一点集中ということでございますが、この原因はどこにあったのか、そして、その原因を除去することがそれにかなうわけでございますから、まず、いわゆる東京に一点集中した原因をどうお考えになっておりますか。
  151. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 さかのぼれば明治の改革ということになるんだろうと思います。東京に遷都が行われて新政府東京に樹立された。自来、新政府中心に日本政治が行われ、経済もそれについてきたのじゃないだろうかなと思います。  近くは、五十年代の後半からだと思います。東京が世界の金融センターになったわけでありますから、外国の企業も東京を目がけて立地してまいりましたし、また外国人も住宅を求めて東京に殺到してきたと思うわけでございまして、国際化、情報化の時代ということも言われたりしているわけでございます。  同時に、加えて経済構造の変化も続いてきたと思います。重厚長大の産業から軽薄短小の産業へと言われまして、二次産業から三次産業にウエートが移っていきますと、どうしても集積のあるところへ向かいましてそれらの企業が集中してくる。それが東京一極集中を加速してきたのじゃないだろうかな、こう思っておるわけでございます。
  152. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今の長官のお答えは、どちらかというと総論的と私は言いたいと思います。もちろん、決して間違いとは申しません。ただ、私はもう少し具体的に言いますと、一つは、いわゆる役所の機能といいますか、もう少し地方に権限が移譲されておれば東京にこんなに企業等が来なくてもよかったのではないか、これが一つ挙げられると思います。例えば輸出入銀行を一つ取り上げましても、大阪の支店で決済はわずかな金額です。やはり東京へ来ないと決済がおりない。あるいは、通産省の輸出入の許認可にしてもやはり全部本省になってしまっておりまして、そういった意味で役所が東京にある。それと、経済活動も、昔と違って政治と経済が大変密着をしてきました。そういう意味でお役所の機能のあり方が一つ東京集中を呼んだ。これが第一点。  その次は、やはり情報です。どうしても今情報が、これだけ通信も発達しておりますからそれは文字とか文書とか映像といったものは全国どこでも同時に得られるわけですが、やはりそれだけではいかぬわけでして、人間、いわゆる人の交流による情報交換というものが特に経済活動においては非常に重要ですし、また、もちろん文化、教育面においてもそれが言えるわけでして、やはりそういった面で東京へどうしても本社を移さなければならない、あるいは東京で仕事をしなければならない。例えば、作家の小松左京さんが言っておりましたが、大阪で司馬遼太郎さんと会うのは大変難しい、むしろ東京での方が会いやすいんだ、だから東京は大変便利だ、だから私も東京へ来ざるを得ない、そうすると東北の学者とも会える、こういうことで、いわゆる情報、人的交流、やはりどうしても東京にならざるを得なかった。これが東京の集中ではないか。  それと、大学といいますか、教育機関もやはり東京の方が東大を中心として有名校、優秀な大学は東京にほとんど集中をしておる。こういうふうな状況でありますので、こういったことを一つ一つ解決していかなければいかぬと思うわけです。  ところが、現在出されております各省庁から一つずつ機能を持っていくというこの考え方では、もちろん先ほど大臣が言われた点もわかりますが、それではちょっと何か食い足りないような気がするわけです。いずれ百五十機関まで広げられるということを聞いておりますが、その点はいかがですか。  まず、集中の原因、私の指摘した点で間違った点、もし補う点があったらお答えいただきたい。
  153. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 中央集権的な日本政治、経済のあり方を指摘されました。全く同感でございます。やはり、一極集中を是正しようといたしますならば、地方分権的な仕組みに変えていかなければならないと思います。なかなか抵抗の多いものでございますけれども、その方向は大事なことだ、こう思っておるわけでございます。  政府関係機関の移転の問題は、これも四全総にうたわれ、行革審の答申に入り、昨年の政府の緊急土地対策要綱の中に入ってきた問題でございますが、しかし、今の東京の過密を救うためには、そういうことよりも首都機能を一括移転を必要とするんだ、こういう論も盛んになってきておるわけでございます。首都機能一括移転が行われても、必ずしもそれについていく必要のない政府関係機関、それはひとつこの際全部移転することにしたらどうだろうかなということで、今努力しておりますのがそれでございまして、昨年とりあえず一省庁一機関、どんなものを出せるかというお話から始まったわけでございますが、今は四つのカテゴリーを決めまして、この四つのカテゴリーに含まれているものは二十三区の外に移転しようじゃないかということで進んでいるわけでございます。
  154. 矢追秀彦

    ○矢追委員 たしかきのうの読売新聞の朝刊に、政府機関の第二次地方移転で、読売新聞調査でございますが、移転可能があと三十九、検討中が八十七で、不可能が百十四、検討中とそれから移転可能を足しましても百二十六ということになっておりまして、この中を見ましても、これがそっくりそうなるかどうかは別といたしまして、結局、今長官の言われたような、要するに部分的にすぎない。  今の原則だとそうならざるを得ないかと思いますが、私はもう少し――これも第一段階としては私決して反対するわけではございませんが、それの移転に際しましても、やはり移す側ですね、もちろん希望を出されてくるんでしょうけれども、例えば醸造試験所一つ取り上げましても、これは広島の方も大変名のりを上げて一生懸命ですし、大阪は大阪でまた府の要望の中にちゃんと醸造試験所を持ってこいということを言われております。京都はまた伏見のお酒で酒どころですし、兵庫は灘の生一本がありますし、そうなりますと、全国どこでも来てくれとなるわけですね。どの機関でもそれは言えるんじゃないかと思うのです。そこでどうするかというのは、私は力関係の綱引きであっては決してならない。やはり、その地域の主体性といいますか、自主性といいますか、さらにその他城は今後の日本の将来にとってどうあるべきなのか、こういった点をひとつきちんとしておかないと、それこそそこで利権といいますか、政治家同士の押し合いへし合いが出てきたりする可能性も十分ありますので、その点をひとつきちっとしていただきたいことと、もう一つは、県単位ですべて物を考えていいのかどうか。もう少し広がった、近畿圏なら近畿圏、四国圏なら四国圏、九州圏なら九州圏ということで、やはり国土形成というものの上からこういったものも考えていかなければならぬのじゃないかと思うのです。  そういう点で、今の四つの原則からこれを一つ一つ移していくこと、第一段階としてはいいと思いますけれども、その実施に当たっては相当またきちんとしたルールが必要だと思うのですが、その点はいかがですか。
  155. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 四つのうちの第一番目は地方支分部局でございますけれども、これは関東地方を管轄している地方支分部局が大多数でございますので、関東地方から離れたところへ持っていくことはできませんし、またできる限り一括して移転先を決めた方がいいんじゃないだろうかな、こう思っております。また、大学及びその附属機関は、それぞれの大学の予定を考えていかなければならないわけでございます。公庫、公団のたぐいや試験所になりますと、ある程度分散していくことになるんだろうと思うのでございますけれども、試験所などにつきましても、筑波学園都市を予定しているところもございますし、別なところもございます。醸造試験所になりますと、十六府県が希望しておるようでございます。バイオテクノロジーの研究をしておるものですから、先端産業の誘導力になるんじゃないだろうかなという期待もあるようでございます。  これらはいずれも既存の機関の移転でございますけれども、新しい試験研究機関も次々に生まれていくわけでございますので、そういうことをあわせまして国土政策上の配慮をしていかなければならない、こう思っておるところでございます。
  156. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私も大阪でございますので、大阪から出ている要望を申し上げますと、これも大変たくさんの希望が出ているわけです。今の醸造試験所なんというのは小さい方でして、大阪では文部省、文化庁、科学技術庁、特許庁、工業技術院、中小企業庁、こういったものも地方へ持ってきてもらいたい。あわせて、日本銀行、政府系金融機関の大阪への移転、それから医薬品産業、繊維産業が大阪はありますから、厚生省の薬務局、通産省の生活産業局、こういったものまで出てきておるわけでございます。     〔委員長退席、野中(広)委員長代理着席〕 そういう意味では、こういうのが各県とも盛んに出てくると思いますが、今長官の言われましたこれの移転と、いわゆる地方で進められているいろいろな計画、関西であれば関西文化学術研究都市あるいは南大阪のコスモポリス計画、それから阪南丘陵開発事業、そういったこともあるわけでございまして、そういうものとの絡みこそ非常に大事であると私は思います。  特に私は、大阪へ今の省庁を全部持ってきてもらえばそれはありがたいですけれども、そうもいかぬと思いますので、やはり大阪の持つ役割というのは、これから国際金融が中心にならなければならぬと思っております。四全総でもその点はきちんと指摘をされておるわけでございます。そのためには、やはり国際金融の機能の強化をしたい。これは大阪市も大変な要望をしておるわけでございますが、シカゴあるいはニューヨークのような商品の先物市場それから金融の先物市場、こういったものをぜひ大阪につくってもらいたいというのが大阪の財界人あるいは地方自治体の強い要請です、関西空港もできるわけでございますから。ところが、残念ながらこれはまだ民活法の対象プロジェクトには入っていないわけです。ことしの改正にもどうも入らないようでございますので、この点は長官、ひとつぜひ御尽力をいただきたいと思うのです。まあ実際の担当の役所は通産省が中心と聞いておりますけれども国土庁という立場で、ひとつぜひお願いをしたいと思います。  そのように、近畿圏はこういう金融なら金融でいく、そういう構想をやっぱり各地域によってどんどん出していただく。こういうのを相当議論を積み上げて、そして最終的には政府で決めるなりまたいろいろな審議会等で決めるなりいろいろなやり方があると思いますが、ただ私申し上げたいことは、決して一部の圧力とか力関係だけで決めないように、国民の合意と、それからその地域の今後の発展と、そして民主的な討議を経た上でやっていただきたい、こう思うわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  157. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 政府関係機関の移転につきましては、先ほどちょっと触れましたように、首都機能の一括移転の問題があるわけでございます。これはしかし、国民の間にもっと論議が深まっていって、その動向を見ないと決断できないものでございますので、そういうことには触れないで政府関係機関の移転を行おうと考えておるわけでございます。したがいまして、今、文化庁とか特許庁とかいろいろ名前を挙げられましたけれども、そういうものは対象になっていないということを御理解いただきたいな、こう思います。  関西が関西の復権を目指して努力しておられる。幸いにして関西文化学術研究都市でありますとか、あるいは関西国際空港でありますとか鳴門大橋でありますとかいろいろ国際的なプロジェクトがずんずん進んでいっておるわけでございますし、今お話しになりました金融の問題にいたしましても、大阪証券取引所では株先五〇を先に始めたりしているわけでございまして、さらに大型の新しい試験研究機関も近く関西に設置が決まるわけでございまして、これからもそういう意味合いで十分注意を払っていきたいなと思っております。
  158. 矢追秀彦

    ○矢追委員 これは大変大きな問題でございますので、慎重に議論を闘わし、検討していきたいと思います。  続きまして、水の問題に移らせていただきます。  昨年夏の首都圏における水不足は私たちの記憶にも新しいところでございますが、ことしも下手をすると水不足になるのではないかなという予想をするわけですが、その辺はどう見ておられますか。
  159. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  三月に入りまして大変雨が降り始めてはおりますが、二月までのところ、特に四国地方それから中部地方が少雨でございまして、それぞれ取水制限等を既にやっておるわけでございます。  また、首都圏と申しますか、関東地方に関しましては、ただいまのところ大体昨年と同じような傾向をたどっておりますが、昨年の渇水といいますのは四月の雨の異常な少なさに起因するものでございますので、これからの推移を見守ることになろうかと考えております。
  160. 矢追秀彦

    ○矢追委員 気象庁の調べによりますと、昭和三十年ごろをピークに全国的に少雨傾向になっておりまして、この数年間の雨量というのは、昭和三十年ごろから年間二百ミリ減って、しかも異常少雨が全国的に頻発し、そのために渇水の発生頻度がふえてきておる、こう言われておるわけでございます。  一方、生活用水の利用というのは、近年、年平均三%も増加をしておりまして、その需要に対するダム等の水資源開発は、開発適地の減少や建設コストの高騰等によりまして非常に厳しい状況にあるわけでございます。それに追い打ちをかけるように、東京では特に大きなビルがどんどんできて、膨大な水の需要、下水道施設の拡充整備というものも急がなければならぬという状況になってきておるわけでございます。  そこで、まずダムの問題についてちょっとお伺いをしたいわけでございます。  ダムの堆砂、最近、流入土砂のために埋没しようとしておるダムがたくさん出てきておりますが、その状況を御説明いただけますか。
  161. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  ダムを築造いたします場合はある程度の土砂が堆積しますことを見込みましてつくっておるわけでございますが、先生指摘のようにダムに砂がたまりますことで問題になっておるダム、全体の貯留量百万立方メートルぐらいで線を引かしていただきますと、全体の貯留量に対しまして八割以上砂がたまっているというようなダムが全国で十ダムほど出てございます。  また、特にもう少し大きなもの、全体の貯留量を五百万立方メートルぐらいのところで線を引かしていただきますと、いずれも天竜川でございますが、平岡ダムでございますとか泰岡ダムが八割から九割近い堆砂率になっておるという現状でございます。
  162. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今言われたように十ダムも八〇%以上の堆砂があるわけでして、十ダムですから、ちょっと恐縮ですけれども、建設されて何年ぐらいになっておりますか。
  163. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 十ダムございますもので一番古いものは大正の初年に建設されたものもございますが、当然戦後と申しますか、昭和の二十年代以降に建設されたもので既に全体の容量の八割近くたまっているものも多々見受けられます。したがいまして、やはり入り込んできます土砂の激しいものは、十年から二十年ぐらいで堆砂による支障が起き始めておろうかと考えます。
  164. 矢追秀彦

    ○矢追委員 一般的にダムの耐用年数というのは五十年から百年と言われておるわけですが、今言われたように、戦後つくられたもので既にもう八〇%以上の堆砂率を示しておるところも出てきておるわけでありまして、これは非常に大きな問題だと思うのですけれども、これに対する除去作業はなかなか難しい、困難な問題がたくさんあると思います。これは現在どのようにされておるのか、今後どういうふうな方向で対策を講じられていくのか、お示しをいただきたいと思います。
  165. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  まず、私ども河川管理者自身が洪水調節等を目的といたしましてみずからつくっておるダムでございますが、そういうものにつきましては、貯水池の末端に貯砂ダムをつくりましてそこへ砂をためる等のいわゆる貯水池保全事業というものを、ダムをつくりました後、堆砂の激しいダムにつきまして別途事業を起こしてやってございます。  また、俗に利水ダムと言われます、例えば発電でございますとかそういう利水を目的にそれぞれ事業者がおつくりになっているものにつきましては、例えば末端堆砂が問題になりますものについては用地買収を追加していただいたらどうか、あるいは極端な場合は末端の家屋について移転をしていただいたらどうか、そんなようなことを指導しておるわけでございます。
  166. 矢追秀彦

    ○矢追委員 天竜川水系の平岡ダムでは、十年ほど前に既に堆砂による水位の上昇で両岸流域の民家八十三戸が災害対策上立ち退きを余儀なくされて、そのほとんどは移転しておるわけでございますが、こういう災害対策上立ち退く場合の移転補償体制というのはどうなっておりますか。今日まで全国で何戸ぐらい移転対象になり、移転済みはどれぐらいなのか。
  167. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  おっしゃいますように、泰岡、平岡を中心にいたしまして、特に先ほど申しましたいわゆる利水ダムにおきましてそのような事態が発生しているものが多いわけでございますが、全国のトータルは持ってございませんが、中部地方のそのようなダムを中心にいたしまして、現在までに数百戸ぐらいまでは移転をさした事例があろうかと考えております。
  168. 矢追秀彦

    ○矢追委員 補償体制はどうなっておりますか。
  169. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 実際に障害が起こりますことが間違いなくダムの堆砂によるものであるということが確認できるものにつきましては、そのダムの管理者に対しまして、被害を受ける方々に対して立ち退きでありましたら立ち退き料等の補償をいたすように指導いたしておるところでございます。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ちょっと戻りますが、確かに堆砂の除去作業についてはなかなか予算等もかかると思いますので、この堆砂除去作業が経済効率的にはマッチしないかもわかりませんけれども、長期的、総合的展望に立つならば、やはりダムの機能を回復してダムの寿命を延ばすことになるわけでありますから、先ほど総論的にしかおっしゃいませんでしたけれども、堆砂の除去についてもう少し本腰を入れて、しかもきちっとした目標を立ててやれないかどうか、その点はいかがですか。
  171. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 ダムそれぞれによりまして大変事情は異なっておる部分があろうかと思いますが、少なくとも私ども建設省が所管をしておりますダムにつきましては、先ほど申しましたような貯水池末端に貯砂ダムをつくる仕事のほかに、たまたま六十二年度からでございますが特定ダム堆砂排除事業という事業項目を設けまして、そういう砂をのけることを事業目的といたします事業を、これもたまたま天竜川水系でございますが、美和ダムというダムについて既に始めております。今後、計画以上に土砂が入っておりますものについて、順次そういう事業を適用しながら対応していきたいと考えております。
  172. 矢追秀彦

    ○矢追委員 現在建設中のダムあるいはまた今後建設を予定しておるダムにつきましては、こういった堆砂除去というものを事前に想定してつくっていかなければならぬと思うわけです。特に堆砂の後、砂利や砂を建築資材として使うわけでございますから、その需要地域への輸送体制等も確保していかなければいかぬと思うのです。今も堆砂除去の作業が大変なのは、そういう道路等もなかなかないためにできないところが非常に多いわけでございますから、これからつくられるもの、現在建設中のものについては、その点を十分配慮する必要があると私は申し上げたい。その点いかがですか。
  173. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  これから計画いたしますものは、本来であればその貯水池の中にたまるべき堆砂のための容量を事前に確保することが基本かと思いますが、なかなかそれだけでは結果効率的なダム計画が立てられませんので、御指摘のような砂利資源への有効活用等も念頭に置きまして建設時からいろいろ対策を立てなければいけないと考えておりまして、現実に現在建設中のダムでも、例えば大きな排砂ゲートを設けますとか、つくる段階から末端のところに貯砂用のダムをつくるとか、実行に移し始めておるところでございます。
  174. 矢追秀彦

    ○矢追委員 ぜひこの点はきちんとしていただかないと、外国でも二十五年前に、世界第三位の規模を誇っていたイタリアのバイオントダムが地すべりを起こして、下流域の村落で三千人の犠牲者を出したという大惨事が起こったわけでございますから、ダムが決壊等をすると大変なことになりますので、ぜひ現在の堆砂の対策、そしてまた今後のダム建設についてもそれを意識してやるようにお願いしたいと思いますが、この問題を最後に建設大臣に伺いたい。
  175. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほど来河川局長がお答えしたとおりでありますが、今後のダムの新設あるいは管理、この面に一層の研究、努力をしてまいりたい、かように存じます。
  176. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それでは次に、私は、中水道、雑用水あるいは再処理水の問題について伺いたいと思います。  私は、昭和五十四年四月三日、参議院予算委員会でこの中水道問題について大平当時総理を初め国土庁長官あるいは建設大臣等にお伺いをしたわけでございます。その後、中水道問題については私たち公明党としても法案も出しておるわけでございますが、政府としてこの中水道に対しての今日までの取り組みについて簡単に説明してください。
  177. 木内啓介

    木内政府委員 先生指摘の下水処理水の有効活用と水のリサイクルは大変大事なことだと考えておりまして、リサイクルと申しますのは、一つはビル内の排水の循環利用でございますけれども建設省としましても、これにつきましては税制面、金融面、構造基準の設定とか容積率の緩和等の対象にするなどの措置を講じてまいっております。それからもう一つの方の下水処理水の再生利用に関しましては、五十四年度より下水処理水循環利用モデル事業をスタートさせまして、新宿の副都心を初め全国六カ所で事業を進めております。さらに来年度から新たに、処理水の再生利用を進めていくための総合的な計画としまして、都道府県における再生水利用基本計画の策定を促進することとしております。
  178. 矢追秀彦

    ○矢追委員 いろいろやっていただいておりますが、これは五十四年のときも指摘をしたのですが、まず水の名称が違うわけですね。雑用水、工業用水あるいは下水処理水、違うわけですね。別にどうしろということはありませんが、飲料水とは違いますから雑用水でいいのじゃないかと私は思いますが、やはり水道としたら中水道という名前がいいのではないかと個人的に思っておりますし、それで法案も中水道という名前にしてあるわけでございますけれども、結局監督官庁が通産省、国土庁建設省と厚生省、四つあるわけですね。この辺で、水のこういう問題についていろいろな役所間の調整ができない点があると思うのですけれども、まず名称の問題、それから監督官庁といいますか主務官庁といいますか、四つに分かれておってもどこがどう調整していくのか、その点について両大臣にお伺いしたいと思います。
  179. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 それぞれ所管がございますので、どこか一つにするということはなかなか難しい、しかし大事なことだと思います。それまでの間はできる限り協調して、問題は目的を達成すればよろしいのでしょうから、そういう方向に努力するように注意していきたいと思います。
  180. 越智伊平

    越智国務大臣 国土庁長官からお答えしたとおりでございますが、今の水の問題で四省庁の意見が違うということも余りございません。よく連絡をとってやっておるのであります。今後もなおお互いに協力し合って進めてまいりたいと思う次第であります。
  181. 矢追秀彦

    ○矢追委員 中水道が大事なことは、需給水量を減少させ水不足地域における緩和策の一つになりますし、また排水量、汚濁負荷を減らし下水道施設の負担を軽減する、あるいは節水型社会の形成に好ましい影響を与える、また都市整備に伴って今後増大する下水処理水の有効利用になる、こういうような点で我々としては法案を出したわけでございますが、立法化についてどうお考えなのか。今の問題にちょっと絡んでまいりますが、現在のところさっき言われたような形で進めて十分とお考えなのか、その点いかがでございますか。
  182. 木内啓介

    木内政府委員 建設省だけでお答えしていいか、ちょっと迷うところがございますけれども、今、雑用水の利用促進関係につきましては、雑用水利用促進関係省庁協議会ということで、厚生、通産、国土、建設の四省庁で国土庁主導により年一回程度会議等も開催しているわけでございます。  それから立法化の点でございますけれども、確かに今後極めて重要な課題となるということで、御提案はその意味で時代に大変即したものと考えておるわけでございますけれども、現段階で法制化ということになりますと、私どものいろいろの研究では、再利用の義務づけの是非、それから水質面、コスト面等の経済的な問題ということでまだいろいろ難しい問題もあろうかと思われますので、建設省としましては、関係各省庁との調整を図りつつ、なお一層の研究課題として真剣に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  183. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この問題の締めくくりとしてまた両大臣にお伺いしたいのですけれども、立法化は今言われたように確かに難しい面もあることは承知をしておりますが、あえて将来のために我々としては提案を六十一年からしてきたわけでございます。私がこの前質問をして少なくとも八年半たっているわけです。せめて名前ぐらいひとつ統一できないか。せっかく国土庁長官も実力ある大臣ですし、建設大臣も実力者でございますから、両大臣の間にひとつ名前ぐらい決めていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  184. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 よく相談してみたいと思います。
  185. 越智伊平

    越智国務大臣 よく相談して検討をさせていただきます。
  186. 矢追秀彦

    ○矢追委員 結構です。終わります。
  187. 中村喜四郎

    中村委員長 中村茂君。
  188. 中村茂

    中村(茂)委員 まず最初に、奥野国土庁長官にお伺いしたいのですが、昨年の国会で総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法が通りました。私もその法案に参加いたしまして附帯決議をつけたわけでありますが、六点の附帯決議の中で三点御質問をして、国土庁でおつくりになった基本方針と照らし合わせて、これから申し上げる点がどのように組み込まれ、どのように考えているかという点についてお伺いをいたしたいと思います。  まずその一つは、「地域の設定及び整備に当たっては、土地利用の適正化に努めるとともに、地価対策に万全を期すること。」これを附帯決議とした理由は、今まで行われてまいりました開発事業というものを見ますと、特にこのリゾートをやっていくというのは長期滞在型、しかも広大な地域で事業を進めていくわけでありますから、その上に民間の手をかりるという手法になっている。今までの開発ではそういう開発事業が起きるというところについては、とかく土地を買い占める、そしてそのものを他のところに売りさばくとか、そういう利益でまた開発をしていく。言いかえれば乱開発につながるし、その地域土地地価高騰を招く、こういう経過をたどっているわけでありますから、この大事なリゾート設定については特に地価対策に重点を置きなさい。国土利用計画法の中でも、規制区域を設定するというやり方もあるわけです。したがって、そういう手法を用いて土地対策に万全を期せよ、これが私ども附帯決議した趣旨だというふうに思います。  時間がありませんから三点ずっと言ってしまいます。  二番目には、「地域整備に当たっては、自然環境保全との調和に十分配慮するとともに、生活環境対策に努めること。」これは申し上げるまでもなく、特に自然環境保全とその調和というものは、開発に当たっては非常に難しい問題だというふうに思うのです。ですから、そういうものを保全しながら、調和をとりながら、重点を置いてこれに対処するように、こういうことでこれを加えたわけであります。  三点目には、「国民保養地にふさわしい良質な施設整備に努めるとともに、適正な料金で利用できるよう十分配慮すること。」長期滞在型ですから、今まで別荘をつくるとか高い料金を払わなければならないようなゴルフ場をつくるとか、そういうことだけでは別荘地になってしまうわけです。しかも長期滞在に耐え得るような施設と料金ということは非常に大切じゃないか、こういうことでこの項目を入れたわけであります。  冒頭申し上げましたように、こういう問題が基本方針の中でどのように取り組まれているのか、またこれから取り組もうとしているのか、お伺いいたしたいと思います。
  189. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 附帯決議を通じて御指摘いただきました点は、事務当局の方でも常に留意してまいってきているようでございます。  最初の地価問題につきましても、地価高騰を招かないように事前に対応していくべきだ、また心配なところについては監視区域の設定ができるように、用意していくように、特に重点整備地区についてはその配慮をすべきだという指導をしてまいってきているようでございます。そういうこともございまして、三重県、宮崎県では、基本構想の承認が受けられますと、重点整備地区につきましては監視区域の設定をしたい、こう考えているようでございます。  二番目の自然環境保全の問題につきましても、基本方針の中にそういうことを示しておるわけでございますし、同時に法案その中にも書かれているようでございますけれども、基本構想の承認に当たりましては環境庁協議をするということにもしているわけでございます。同時にまた国立公園や国定公園の特別保護地区については重点地区を設けてはならない、このような指導もしているようでございまして、これも大事なことでございますので、自然の環境の保全開発が矛盾しないように努力をしているようでございます。  三番目の、単に長期滞在型で別荘やマンションばかりの高級なものでは困るよという御指摘、これはもちろん当然なことでございまして、バラエティーのある料金という考え方で指導しているようでございますけれども、やはり多くの方々がそこを利用していただくことが一番大事なことでございますので、いわゆる大衆的な料金設定も当然なければならない、そういう注意もいたしているようでございます。
  190. 中村茂

    中村(茂)委員 特に地価対策の問題で、私、先ほど規制区域ということを言いました。あの国土計画法ができるときには、こういう開発するところについて網をかぶせて地価高騰を防いで立派な開発をしていく、こういう精神で規制区域というものはできたんだ、こういうふうに私は記憶しております。ですから、場所によっては規制区域も必要ではないかというふうに思うことが一点。しかし監視区域でやっていく、こういうことなら、先ほど、言葉じりつかまえて申しわけありませんけれども監視区域をするようだと。ようだという言葉ですけれども、ようではなくて必ずやっていくことを基本にするぐらいな考え方で対処していただきたい。特に重点整備区域、これは全体的な中で重点整備区域を置いてやっていくわけですから、その重点整備区域ぐらいは基本的に監視区域を設定してやっていくんだ、こういう姿勢でやっていただきたいと思いますが、その点いかがですか。
  191. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 地価高騰には十分配慮するという意味合いで指導しているわけでございますが、今一番進んでいるのは三地域ございます。そのうちの三重県と宮崎県につきましては、基本構想の承認と同時に監視区域の指定をするということでございます。福島県の方は、今のところ地価高騰のおそれがないという判断をしているようでございまして、しばらく見守りたいという考え方に立っているようでございます。三地域それぞれの考え方がございますので、ようだという表現を用いたわけでございますけれども、具体的にはそういうことになっております。  いずれにいたしましても、地価高騰を示すようなことになりますと、当然もっと強い指導を福島県についてもすることになるだろうと思います。
  192. 中村茂

    中村(茂)委員 それから二点目に私は重要だというふうに思いますのは、基本方針を決めて、これからそれぞれ計画している県から出されてきたものを基礎調査が行われるわけですね、この基礎調査というのが非常に重要だというふうに私は思うのです。  せっかく基本方針をつくり、先ほど私が申し上げたような附帯決議も組み入れてこれから立派なものをつくろう、こういうふうに言っていますけれども、県から上がってくる、または県で今計画しているもの、今の状況は、長野県でも、私の選挙区になるわけですけれども、信州フレッシュエア・リゾートエリアというのを佐久全体でまとめようというふうにやっているわけですが、今民間も入ったり第三セクター方式でこういう準備が進められていますけれども、どうもそういう状況を見ていると、スキー場、ゴルフ場、別荘地、変わった計画を考えようというところもあります。しかし、長期滞在型、こういうことを考えてみると、まだ勤労者の皆さんが長期で休暇をとれているというような風習もありません。しかし、二十一世紀に向かっての長期滞在型ということを考えてみると、なるほど基本方針の中にはいろいろ案が出たり書いてありますが、それが現実にそこのところへ移っていく、そのものができるというのは基礎調査というのが非常に重要で、皆さんの考え方をその計画しているところへ持ち込む、向こうの方も受け入れられるものは受け入れて本当の意味の長期滞在型のリゾートをつくり上げる、こういうことですから、少しでも早くやろうとか早く承認しようとか、そういう早くやれなんということでなくて、ゆっくりと、時間をとってもいいからよくよく話し合って、将来に向かって悔いのないような対応をしていただきたいということを強くお願いしたいというふうに思います。
  193. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 御指摘、全く同感でございます。また同時に、莫大な投資がなければ成立しないことでございますので、一遍にたくさんな指定をしますと共倒れになってしまうんじゃないか、こんなことも注意し合っておるわけでございますので、十分留意して考えていきたいと思います。おっしゃるとおり、基礎調査、これは一番大事なことだと思います。
  194. 中村茂

    中村(茂)委員 林野庁が来ていると思いますが、このリゾートを進める場合に、特に私のいる長野県などについては、国有林いわゆる林野庁の協力を得なければなかなかできないような地況でありますし、そういう中で、国有林の活用について林野庁からお聞きしたいと思います。
  195. 小林新一

    ○小林説明員 お答えいたします。  国有林野事業におきましては、国有林野の中の自然景観がすぐれた地域や野外スポーツに適した森林空間などを活用いたしまして、人と森の触れ合いの場を整備するヒューマン・グリーン・プランを、地域振興等の観点を踏まえまして推進することといたしております。  御指摘の総合保養地域整備に当たりましては、良好な自然条件を有し、国土面積の約二割を占めております国有林野の活用が期待されておりますことから、国有林野事業の管理、経営との調整等を図り、国有林野の活用につき適切な配慮を行うことといたしておりまして、総合保養地域に国有林野が含まれます場合には、ただいま申し上げましたヒューマン・グリーン・プランの積極的な活用を図っていく考えでございます。
  196. 中村茂

    中村(茂)委員 林野庁がそういうふうに積極的に取り上げていくのも、それは大いにやっていただくのは結構ですし、国有林を開放して、例えて言えば第三セクターをつくって恐らくお借りすることになるんじゃないかというふうに思いますけれども、そこの地域にふさわしいリゾートをつくっていく、こういう中の協力体制というものが非常に必要だということを私は先ほど申し上げたわけです。  ですから、形式的じゃなくて、その面について、特に自然環境保全ということを含め、それから保安林というようなことを含めなかなか調整は難しい面も出てくるんじゃないかというふうに私は思いますけれども、そういう面はそれなりきの解決をして、どういう調整、調和の中で積極的な協力ができるのか。積極的な協力がなければすばらしいリゾート基地もなかなかできない、こういう悩みがあるわけですから、その点の積極性についてお答えいただきたい、こういうふうに思います。
  197. 小林新一

    ○小林説明員 ただいま申し上げましたとおり、昭和六十二年二月からヒューマン・グリーン・プランを実施して、野外スポーツや自然景観にすぐれた地域におきまして、積極的に国民に国有林を活用していただくよう努めていくという姿勢でおります。  事業の実施に当たりましては、地元自治体、都道府県、市町村等と十分御相談しながら推進していく考えでございます。
  198. 中村茂

    中村(茂)委員 もう時間がありませんからそれ以上言いませんが、積極的な対応をお願いしておきます。  次に、三省協定の問題についてお伺いいたしますが、三省協定といってもこれはなかなか面倒な内容で、わずかな時間でといっても面倒ですけれども、私は、三省協定というただ協定でなくて、三省協定賃金というふうにつけているわけです。協定のところに賃金とつけているところに非常に私の質問の意味がありまして、その点を頭の中に入れてお答えいただきたい、こういうふうに思います。  私が申し上げるまでもなく、三省協定は、建設省、農水省、運輸省の三省の事務次官によって、公共事業の設計労務単価を決定する、その決定された単価を三省所管の直轄事業、補助事業等の公共事業工事を設計する際の見積もりにする、こういうものではないかというふうに思うのです。  そこで質問いたしたいというふうに思いますのは、この見直しについてお願いしたい。その理由は、今までは年に二回、これを決定する際の調査をしてきたわけですけれども、六十年から十月一回にして、その調査したものを基礎にして労務単価をつくっているわけですけれども、そのでき上がったものが後追いになっていやしないか、これが一点です。  それから二点目には、調査して得たものを決定の段階で手直ししているというふうに言うのですけれども、積算単価ですから、できたものは公表されません。ですから、調査そのものについてはわかりますけれども、その間のものが全然わからない。できたものもわからない。これが非常に低いものに抑えられているのじゃないか。  まずこの二点についてお答えいただきたいというふうに思います。
  199. 望月薫雄

    ○望月政府委員 公共工事の設計労務単価、いわゆる設計単価でございますが、これは先生お話しのように、現在毎年十月に調査をいたしまして、都道府県別あるいは職種別に平均値を算出している。これを基本にしまして私ども、労働省の毎月勤労統計調査などを参考にいたしましていわば調査時点から決定時点までの賃金水準の変動を考慮している、こういう格好で決めている次第でございます。  これを今、先生お話しのように、いわゆる後追いになるからひとつ見直したらどうかという御指摘でございますけれども、今申しましたように調査時点から決定時点までの賃金水準の変動というものは私どもなりには考慮して時点修正している、こういう見解に立っているわけでございまして、そういった中で可能な限り実勢に近いものになっておる、こういうふうに認識している次第でございます。  それから二点目に、いろいろ調査の過程で低い賃金が採用されていることになりはせぬか、こういう御指摘でございます。端的に言って元請、下請の関係なども含めての御指摘と思いますけれども、この調査は御案内のとおり事業現場数で一万件あるいは労働者数で十五万人、こういう大変膨大な数の人たちを賃金台帳によって実態把握しているわけでございまして、その間においては元請、下請の関係等も全部総合的に組み込まれる、こういうふうな理解をいたしておるわけで、お話しのように低きに流れるということはまずないのじゃないか、こういう認識に立っている次第でございます。
  200. 中村茂

    中村(茂)委員 この調査対象を見ますと、これは六十一年のときのものですけれども、  ①三省等が実施する直轄事業、補助事業等であること。  ②六十一年十月一日~三十一日の間に施工中の工事であること。  ③一件当たり原則として五百万円以上の工事であること。  ④請負に付されている工事であること。  そこで、この四番目の「請負に付されている工事であること。」という中で、元請がどのぐらい調査対象になっているのか、下請がどのぐらい調査対象になっているのか。
  201. 望月薫雄

    ○望月政府委員 調査の仕方は今先生がおっしゃったようなことを踏まえて賃金台帳によってやっておりますが、元請は大体四三%程度、したがって下請が五七%程度、こんな感じになっております。
  202. 中村茂

    中村(茂)委員 残念ですけれども公共事業も民間の工事もそうですけれども、建設業というのは大体重層下請になっていまして、大きい工事になればなるほど下請、孫請まで実際にはある。労務単価が積算されて工事全体のものができ上がる。それが公表されていないけれども、その工事を受ける元請、そして下請に出していくに従って、実態とすればそこに勤めている労務者の皆さんの賃金は低くなっている。そして、今の調査でも元請が四三%、下請の方は五七%、多くの人たちを実際に調査になっている。それを何万人やろうと、全国やるわけですから上がってくる。  実際の状況を六十一年度のものを見ましても、例えて言えば一番上がっているというふうに思われる大工さん、こういう人たちは一〇三・五%ですから、前の年より三・五%の伸び。しかし、実態調査では前年より下がっている人もある。塗装とか板金とかサッシとか、こういう人は前年よりも下がっている。ですから、調査の対象が下請へいくほどそういうふうになっている。そして実際の調査もそういうところが出てきている。だから、実勢に合わせて手直しと言うけれども、その手直しした中身がわからない。したがって、求められて得るものはどうしても低いものになっていってしまうのではないか、こういう疑念を持つ。そういうふうにはならないのですか、先ほどから言われていますけれども
  203. 望月薫雄

    ○望月政府委員 個別の数字等についてはちょっと資料を持ち合わせておりませんので御容赦願いたいと思いますが、総じて申し上げまして、先生のおっしゃった元請よりも下請は必ずといっては何ですが、低きにある、低い、こういう前提であるかの御質問と受けとめさせていただきますけれども、私ども実際にデータを見てまいりますと、かなりのものが下請の方がむしろ高いという現実も出ております。要するに、これは先ほど言ったように賃金台帳によって調べておりますので、個々の雇い主と個々の労務者の間の賃金がどういうふうに決められているか、こういったことを十二分に反映しているものと思いますから、下請は低いのだ、こういうふうには私ども必ずしも理解いたしておりません。
  204. 中村茂

    中村(茂)委員 それと調査の実態ですけれども、基本給というものがありますね、それが労務者については請負給というふうになっている人も非常に多い職場なんです。いずれにしても基本給なり請負給を八時間計算にする、それから基準内手当についても八時間勤務にして計算する、実物給与についても八時間労働に直す、年間のボーナスについても一日八時間労働に直す、そして一日単価が出てくる。ですから一日単価だけ見ると、なるほど先ほど言いましたのについても大工さんは一万二千七百円というふうになっている。  しかし、一万二千七百円という単価で見積もりしてできてきて、一日一万二千七百円の労務賃では、これは非常に低いものです。三十日は働けませんね、どんなに働いても二十五日ですね。そして、この労務賃だけでボーナスはないわけであります。ボーナスはこの一万何がしの中に含まれているわけです。ですから、一般の勤労者と比較するとどうしても日額単価、日額単価ということはその人の一日勤めての報酬、こういうふうに受け取りますから、しかも調査の実態はボーナスまで含めたり実物給与まで含めて一万二千七百円という単価の見積もりになっている、こういうことですから、実態と合わせてもこの日額単価というものはどうしても低いというふうに私は判断するわけです。
  205. 望月薫雄

    ○望月政府委員 私ども調査しておるのは、先生が今おっしゃったように、基本給だけではなくて、いわゆる基準内手当あるいは実物給与、ボーナス、こういったものもすべていわゆる基本日額に反映させているということですから、いわば生の日額よりも高目に出てくるもの、こう理解しております。  それにもかかわらずなお、今大工さんの例がございましたけれども、実勢よりも低いのじゃないか、こういう御指摘でございますが、これは統計的に十五万人という数を申し上げましたけれども、こういうトータルを見ての中で全体的には適正な水準を確保している、また、それを確保するための一応現在では合理的な調査の仕方ではないか、このように思っております。個別に、あるいは最近言われているような賃金水準が幾らというのと比較いたしますとそういう感覚的な問題もあろうかと思いますけれども、私どもとしては今のような見方をしておりますから、生の日額よりもむしろ高目に出てくる、こういうふうに理解をしておる次第であります。
  206. 中村茂

    中村(茂)委員 私ども調査をした膨大な資料があるわけですけれども、四つの建設会社が三省協定についてどういうふうに考えているかということを摘出して御紹介しておきますと、戸田建設はこの三省協定について「安い。変えるのは難しいが、業界全体で取り組みたい。」それから西松建設は「実勢の後追い。満足していない。」五洋建設は「あまりに低すぎる。」飛島建設は「現状より低いが、唯一の基準。無いと困る。」これが私ども調査した内容で、冒頭から申し上げておりますように、調整したという幅が私どもにはわかりませんから実態調査したそのもの、生ではわかります、今私、ここに資料があります、しかし、全体から見てどうしてもそれが低過ぎるという感じを受けておりますので、全建総連の皆さんがそういう問題について署名運動を行って国会に請願として出ているわけでありますけれども、その中でも、この三省協定について調査見直しをして改善してもらいたい、自分たちの職人の賃金と一般勤労者の水準がこの三省協定の賃金では非常に低い、もう少し上げてもらいたい、国会に対してこういう請願が出ていることもつけ加えて申し上げておきたいと思います。いずれにしても、この問題についてはまだ機会を持って対処していきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいというふうに思います。  次に、広域農道の問題についてお伺いいたしたいと思いますが、農水省来ていますね。  地元のことで申しわけありませんが、浅間山ろく広域農道というのがあります。これは昭和四十七年に着工が始まっているわけですが、ちょうど十五年。そして、六十二年度で全部の計画の五九・五%。この地域では、広域農道だから農道ですけれども、今バイパス的な役割を果たすような状況になっています。地元皆さんはこれを一日も早く完成してもらいたい、こういう強い願いがあるわけですけれども、あと残された金額は約二十三億円。もう三年ぐらいでできないですか。
  207. 森本茂俊

    ○森本説明員 先生指摘のとおり、浅間山ろく広域農道地区は六十二年度までかかって約六〇%でございますから、工期は相当長期化しております。しかも、これも先生指摘のとおり、その地域における重要な道路だということも認識しております。したがいまして、六十二年度からNTT資金を別に投入いたしましてその促進を図っているわけでございまして、今後も引き続きその進捗に努めてまいりたいと考えております。
  208. 中村茂

    中村(茂)委員 NTT株どんなに使ってもいいから、早くやってください。  それから今度、千曲川左岸の広域農道ですけれども、これは相当大幅なものでございますが、説明は省略していただいて、六十三年度から新規で着工していただきたいという強い希望があるわけですけれども、今の取り組み状況はどのような状況でしょうか。
  209. 森本茂俊

    ○森本説明員 千曲川左岸地区は、現在、県から事業の内容でございますとか重要性でございますとか、そういうことを聞いている段階でございまして、この地区の採択につきましては、今申し上げましたとおり必要性だとか内容だとかを十分に検討を行っていきたいと考えております。
  210. 中村茂

    中村(茂)委員 私の言っているのは、六十三年度で新規で採択できないか、こういうふうに言っているのです。  じゃ、もう少し違った言い方でお聞きします。この広域農道というのは、私が申し上げるまでもありませんけれども土地改良長期計画の中で農道を整備していく。反面、建設省と農林省との覚書によって、そういう状況の中で市町村道と区間、機能が重複するようなところについては建設省が受け持つ。だから両方の共管みたいになっているのです。そしてその覚書の中で、この新規の採択については「前年度の十月までに、当該基幹農道の計画線、幅員等全体計画について、建設省協議するものとする。」だから新たに採用するという場合については前の年の十月までに建設省と今申し上げたような協議をしなければならない。  今申し上げた千曲川左岸については去年の十月に建設省協議をされたですか、されないですか。
  211. 森本茂俊

    ○森本説明員 協議しております。
  212. 中村茂

    中村(茂)委員 協議しているということになれば、この覚書でいけば、前の年ですから、六十三年度には実施する、筋道としてこういうことになるんじゃないですか。私は金をどのくらいつけるとかどうとか言っているのではないです。難しいことを言っているんじゃないんですよ。金をどのくらいつけるとか、それはまだ予算が通らないから言えないでしょう。これははっきりしていますよ、予算がまだ通らないんだから。だけれども、採択するかしないかなんということはいろいろ難しいことを言う必要はないし、覚書からいっても十月に協議しているということになればそういう内容じゃないでしょうか。どうなんですか。
  213. 森本茂俊

    ○森本説明員 協議しておりますのは、広域農道として県から希望が上がってくるわけでございますけれども、その全国から上がってきております広域農道の採択候補地区についてすべて協議しているわけでございます。
  214. 中村茂

    中村(茂)委員 協議を前の年にするのですから、きっとなるんでしょう。いろいろ言わなくてももう少しはっきりした方がいいですよ、こういうときは。  それと、最後ですけれども、今申し上げたこの広域農道というのは、先ほど申し上げましたように、建設省と農林省の覚書によってそれぞれ行われている。  今つくっている状況を見ますと、どうも建設省の所管したところについては道路だから歩道がついている、農林省の所管したところについては農道で、どうも歩道がついていない。場合によっては歩道がついているところも片方あります。しかし全体的に建設省が行ったところについては歩道があり、農水省の担当のところについては農道で歩道なし。一本の道路で、担当したところが違うということについて私はどうしても納得できない。縦割り行政、そういうものが、覚書によって一つ道路をつくる、工事をする所管がそれぞれ区切られていく。そこら辺のところ、一本の道路ですから、もう少し道路だったら、特に広域農道で今バイパスのように多く車が通るわけですから、基本的に歩道はつける、そういう対応にこの覚書の内容でならないのでしょうか。
  215. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  今の浅間山ろくの広域農道でございますけれども建設省と調整をして全体で一本の二十七キロになっておりますので、全体の道路は浅間山ろく幹線道路と呼ばせていただいております。  この道路につきまして、確かに先生指摘のように、土地改良長期計画に関する覚書が建設省と農林省の間にございまして、この覚書によりますと、農水省が事業実施者に対して基幹農道の構造基準というのを、私ども建設省では道路をつくるときに道路構造令というものに基づいてつくっておりますが、農水省がこういう道路をつくります場合に、構造基準は道路構造令に準拠するよう指導するというふうなことを伺っております。  歩道の設置の考え方でございますが、建設省道路構造令では、安全かつ円滑な交通を確保するため、必要な場合においては歩道、自転車歩行者道を設けるものと言っております。実際には、幅が例えば歩道は一・五メーターあるいは自転車歩行者道は二メーター以上と言っておりますが、具体的にはやはりある程度の、例えば自動車は交通量、これは基準としては五百台とか、あるいは人間の歩いている数が百人以上とか、そういうような基準でつくっております。
  216. 中村茂

    中村(茂)委員 場所によっても違うかどうか知りませんけれども、今言われました浅間山の幹線道路、上田から出て農水省所管、それで中身のところ大幅に建設省所管、その次が農林省所管、穴の軽井沢で建設省所管ということで、四つの区域で二カ所ずつ、それぞれ担当していることになっているわけですけれども、どういう割り振りになったか、特に市街地の上田のところが農水省ですから、これほとんど歩道ありませんね。東部町というところへ来て中間のところ、田んぼですけれども歩道ありますね。だれが行っても納得できないのですよ。  いろいろ割り振りだのあるけれども、それでこの覚書をよく見ても、どうしても差が出る覚書になっている。農道というものが土地改良長期計画の中の農道、ところがそれっきりではいけないから、市町村道のところとその区間とか、そういうところは建設省が担当する、じゃ建設省が担当すれば道路ですよ。だからこの覚書の、いろいろつなぎ合わせて両方でつくり上げたものでしょう。だけれども、実際にはそういう差が出ているので、何とか話し合って、一本の道路なら一本の道路らしくしてもらいたいということを強く要請して、私の質問を終わります。
  217. 中村喜四郎

    中村委員長 西村章三君。
  218. 西村章三

    ○西村委員 私は、外国人労働者の不法就労問題、これを中心にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  国際化の急速な進展という中で、いわゆる物や金、これに引き続いて人の交流も非常に活発になってまいりました。日本人の海外旅行も年ごとに急増をいたしておりますし、また日本に来る外国人も年間およそ二百万人を越える、こういうことでございまして、それはそれなりに大いに歓迎をすべき国際交流であろうと思います。ただ問題は、外国から日本にやってこられる一部の方々、これが観光や留学の名目で入国をされ、不法に残留をして日本の職場で働いておる、就労している、こういう人が非常に多いわけでございます。  そこで、まず法務省にお尋ねをいたしますが、最近の資格外活動者及び資格外絡みの不法残留者として摘発をした件数、わかれば男女別に。  それと、全体的な最近の傾向がどのようになっておるのか。また、不法就労のいわゆる職種といいますか、稼働内容の主なものは何なのか。そのうちでいわゆる建設産業に関連すると思われる職種とその人員の数の推移はどうなっているのか。  いま一つ。さらに、摘発されない不法残留者の総数というものをどれくらいに見込んでおられるのか、まずお尋ねをいたします。
  219. 書上由紀夫

    ○書上説明員 御説明申し上げます。  入管法違反事件は、まず全体像でございますが、最近とみに増加しておりまして、昨年、昭和六十二年私ども入国管理当局において摘発いたしました人員は一万四千百二十九人の多きを数えておるわけでございます。この数は五年前の昭和五十七年が三千八百十四人でございましたので、この間に約三・七倍と急増しているわけでございます。  また第二の御質問でございますが、この間における男性の違反者及び女性の違反者の比率でございますが、総体的に申し上げますと、近年男性による違反者が急激にふえてきております。昭和五十八年には男性が千百二人、全体の二三%でございましたが、昨年、昭和六十二年に至りまして男性が五千六百三十六人と、全体の約四割という比率になってございます。この中の最大の要因といいますのは、ただいま先生から御指摘ございましたように、いわゆる不法就労者という人たちの増加でございまして、これは主として不法残留という入管法違反に該当するわけでございますが、中には一部、資格外活動という入管法違反に該当するものもございます。これを込みにしていわゆる不法就労者というカテゴリーでとらえてみますと、昨年、昭和六十二年では私どもが摘発いたしましたのは総数で一万一千三百七人、これは五年前の昭和五十八年の約六倍と急増しておるわけでございます。  また、このいわゆる不法就労者の中で稼働の内容を見ますと、先生から御指摘もございましたが、男性の場合には主に大都市周辺に集中しておりまして、土木建設現場の作業員、これが最も多い割合を占めております。昨年の場合ですとこれが千八百六十人、男性全体の四三%という割合でございます。次いで男性の場合には町工場の工員、これが千三十六人ということで全体の二四%ということでございます。  土木作業員として不法就労している外国人の方々が全体に占める割合は、昭和六十年が約二五%でございましたが、昭和六十一年に四一%、昨年の昭和六十二年に至りまして四三%とほぼ半数近くになってきているという状況でございます。  私どもこうしたものは入国管理制度上看過できない問題でございますので、関係当局と協力いたしまして鋭意その防止、取り締まりに努めておるわけでございますが、最後に御質問がございました、ダークナンバーと申しましょうか推定数、どれぐらいいるのだろうかということにつきましては、これは推定というお話でございますので確たる御説明はできかねるわけでございますが、私どもの持っております電算機において当該年度に入国した人の数から当該年度に出国した人の数を引きますと、恐らくその数は不法残留者として国内に滞留しているのではなかろうかという一つの目安ができるわけでございますが、昨年の末の時点でこれを取り上げてみますと約五万くらいになっているわけでございます。まあすべてが不法就労者というわけにもまいらないと思いますが、これから幾つかの状況を勘案いたしまして、およそどれくらいの人が不法就労して不法残留しているのかという推定値を出すのはどうもなかなか出しにくい点があるわけでございますが、私どもでは、それから一万ぐらいを引いた三万から四万ぐらいが一つの目安になるのではなかろうか、かように考えているわけでございます。
  220. 西村章三

    ○西村委員 お聞きのとおりでございまして、最近の異常な不法就労の伸びというものはゆゆしき問題だと思います。労働省もこれについてはいろいろと今日までも努力をしておられるようでございますが、労働省として、この実態を眺めて、外国人労働者の国内での就労について基本的な方針というものは従来と全く変わりがないのか。そして最近のこの情勢に対しての対応をどうされているのか。また不法就労そのものの実態といいますか、働いておられる方々の労働条件、こういうものについて把握をしておられるのかどうか、お尋ねをいたします。
  221. 吉免光顕

    吉免説明員 お答え申し上げます。  まず基本的な考え方でございますけれども、外国人労働者の取り扱いにつきましては、従来から単純労働力については受け入れないという方針できておりますし、また雇用労働市場面での影響、そういったものを考えたときに、これから先におきましても基本的にはこの方針を維持していくことが肝要であるというふうに考えております。こういう考え方のもとで、現在労働省に設置しています外国人労働者問題研究会、ここで今後における外国人労働者の受け入れのあり方を現在検討しておりまして、近くその研究成果を取りまとめるということで予定をしております。  さらに不法就労の実態についてのお尋ねでございますけれども、ただいま法務省の方からもお話がございましたが、不法就労事案につきましては非常に摘発件数が増加をしております。こういったものに絡んで労働関係法令、そういった面での違反も見受けられるということになってきております。そういうことから、労働省としましても、外国人労働者につきまして重大悪質な労働関係法令違反につきましての情報収集に努めておりますし、法違反については厳正に対処してまいりたい。また、そういった不法就労の就労実態についてさらにより一層の情報収集に努めていきたい、こういうように考えております。
  222. 西村章三

    ○西村委員 現実に摘発をされました男性の不法就労、そのうちで土木作業員が一番多いということなんです。六十二年中で土木作業員の数が千八百六十人ですか、およそ四三%もあるということでございまして、この数字は、一昨年、六十一年の九百人、およそ四一%と比べましても約倍になってきております。  私は六十一年の十月二十九日の当委員会でこの土木作業員が多いというこの顕著な事実について申し上げ、そしてこれについての取り組みを要請をしたわけでございます。建設省としてこの実態についてどの程度まで把握しておられたのか、あるいは不法就労のいわゆる労働条件の実態について調査をされたのか。報酬あるいは待遇、労働時間、労働災害補償、いろいろと条件があるわけでございますが、この労働条件について調べられたことがおありでございますか。
  223. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ただいま法務省、労働省の方からお話ありましたように、建設現場にいわゆる不法労務者がたくさん入っているであろうということが推定されるようなお話ございまして、私どもこのことについては非常に気を病んでいるところでございます。  今お話しの、しからば実態調査をというお話でございますけれども、確かに先生からかつてそういう御指摘をいただいております。ただ問題は、端的に言いまして本来入るべきでない者を雇っている、こういった雇用の実態等から、どこにどう入り込んでおるかということ自体がつかみにくいために非常に調査が困難である、あるいはまた仮に調査できたとしても、そういう不法労務者を雇っているということについてなかなか正確な調査がいただけない、こういったことのために、現在時点までまだ調査が実はできていないというのが現実でございます。
  224. 西村章三

    ○西村委員 これだけ問題が大きくなってきておりますし、特にいわゆる建設業界絡みの課題でありますだけに建設省としても当然取り組まなければならないと私思っておりますし、また六十一年の十月に私が当委員会で質問いたしましたときにも、大臣答弁として、今後この問題については積極的に取り組んでいく、こういうお話も伺っておるわけでございます。今日まで実態調査をなされておらないということはまことに遺憾だということを申し上げておきます。そこで、今後どのように対処しようとするのか、基本方針がありましたらお示しをいただきたいと思うのです。  それから、これは法務省の入国管理局の「外国人の就職・雇用Q&A」という、ことし発行されたものでございますが、その三十四ページにこう書いてあります。「不法就労外国人のうち、男性では、労働災害に遭遇しても、何の補償も与えられないとか、日本人労働者の半分以下の賃金しか入手できないなど低劣な状況の下で土木・建設作業などの単純労働に従事している者が少なくありません。」こう書かれておるわけでございます。この表現について建設省としての見解があればぜひこの際聞かせていただきたい。
  225. 越智伊平

    越智国務大臣 外国人労働者が建設業に従事をしておる、このことは率直に言ってまことに申しわけない、かように思う次第であります。閣議でも決定をいたしておりますし、使わない、こういうことになっております。  先刻、中村先生の質問の中にも、大工さんの賃金が一万二千円とか三千円とかいうようなこと、実態はこの調査にも問題が、問題といいますか、調査そのものは正確にやっておると思いますけれども、巷間伝えられるところでは三万円とか四万円とかいろいろ言われておる、そういう中であります。でございますから、これは今後、建設業者の指導、取り締まり、監督、この面において十分徹底をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  226. 西村章三

    ○西村委員 私は早急な実態調査が第一に必要だと思いますし、あわせて業界に対しての適切な行政指導が必要であると思います。  通達等は出されたことがあるのですか。具体的にそういうものを出したということがあればお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  227. 望月薫雄

    ○望月政府委員 建設省といたしましては、これまで業界団体を通じてこういった問題についての注意を喚起する、あるいは不法就労者を雇わないようにお願いというか、そういったことをやっておりますが、具体的に通達という格好で指導したことは現在までまだやっておりません。  ただ先般も、実は、二月でございましたでしょうか、労働省の方から、各事業団体あてに通達が出ておるわけでございまして、私ども、その通達の履行状況をぜひ見守りたいし、またこういったことに関連して業界指導を一層強めてまいりたい、このように考えております。
  228. 西村章三

    ○西村委員 これは仮の話でございますが、公共事業等の施行現場でこの外国人の不法就労がないということが言い切れるのかどうか。仮に不法就労というものが確認をされましたときに、建設省は一体どう対応をされようとするのか。仮に公共事業で不法就労があると現認をされたときに、請負業者、元請の労務管理の責任を追及し、建設省は内容いかんによっては指名停止などの行政処分を行う考えがあるのか。この問題は、もちろん就労する外国人の方にも責任がございますが、雇用する側の責任も極めて重大であります。したがって、日本の国内の方針としては閣議で何回も確認をされておるにもかかわらず、これに逸脱をして雇用をする、この雇用したものに対する責任は一体どうしていこうとするのか、このあたりについてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  229. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいまお話しのとおり、就労する方もよろしくない、でありますけれども雇用する方もよろしくない、これはどちらもよくないことであります。でございますから、ただ、実態がなかなかつかみにくいという点はございますけれども、今後そういう雇用をすることがないように厳重に指導してまいりたい、かように思います。  もしあったらどうするかということでございますけれども、この点については、雇用をしないように指導する、徹底をいたしたい、かように思います。
  230. 西村章三

    ○西村委員 これは現実に公共事業の建設現場で、ないと言い切れるかということを私はお尋ねしておるわけです。もしも仮にあった場合にはそれをどうするかということ。例えば、先ほど申し上げましたように、いわゆる労務管理の責任を追及して指名停止なども行う用意があるのかどうか、この辺のことについて具体的に答弁をしていただきたい。
  231. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 先生のおただしは広く公共事業ということでございますが、私ども例えば建設省の直轄というふうに受けとめて、代表的な例ですから御返事申し上げたいと思いますが、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、まずそういうことのないように強力に今後やっていきますが、仮に現認された、確かに確認された場合どうかというおただしがポイントだと思います。  その場合につきましては、先生の御主張もわかりますし、私どもも意のあるところは十分わかるわけですが、ただ、請負業者が外国人の不法就労者を雇っている場合に、どうも勉強いたしますと、請負契約が有効だとか、あるいはこれは一般的にですが、そういう不法就労者を雇用したことのみをもっては罰せられないということのようにも聞いておりますので、一方においてそういう事情がありますので、今後どのように対処することが正解であるか、もちろん心構えとしては大臣が御答弁したことがまず第一でございますが、そのようなことも踏まえて今後検討したいと考えております。
  232. 西村章三

    ○西村委員 労働省、おられますね。いわゆる不法就労絡みの、例えば労働基準法違反、それから職業安定法違反、労働者派遣法違反、こういうものが現実に起こった時点ではどういう態度をとられるのですか。
  233. 松原東樹

    ○松原説明員 我が国の労働保護関係法令は、外国人であろうと日本人であろうと、我が国内で労働する場合にはひとしく適用されるということでございますので、そういうことで、法令違反につきましては私ども厳正に対処してまいっておるところでございます。
  234. 西村章三

    ○西村委員 その場合、いわゆる雇用主に対しての措置といいますか、対応というのはどうされておりますか。
  235. 松原東樹

    ○松原説明員 労働基準法違反、あるいは最低賃金法、労働安全衛生法等の法違反がございますれば、必要に応じて最終的には検察庁に送検する等の手続をとっておるところでございます。
  236. 西村章三

    ○西村委員 建設省、お聞きのとおりでございまして、労働省側は、それなりに法律違反というものが明確になれば適正に処置していくということでございます。私ども、外国人の就労を禁止しておるというこの時点からかんがみましても、今後はいわゆる雇用主の方のそういった対応もより厳正にやっていただくことをお願いいたしたいわけでございます。  そこで、これは具体的な方法なんですが、建設現場での外国人の就労チェックの方法論としていろいろあるわけでございますが、アジアの国々の外国人は一見して顔の形あるいは体つき、これだけでは日本人と非常に識別がしにくいのであります。そのために、例えば大手建設会社の場合は、工事現場ごとに毎朝入場者の安全教育の時間を設けている。点呼や注意事項の徹底を行い、その後、安全教育受講確認という本人のサインを求めることにしているようであります。その際、外国人の場合は日本文字による氏名サインができないために、外国人であるということがすぐに確認できるわけであります。そして、発覚をしたときには就労させないで、そのまま作業現場から退去させているというのが実情であります。  しかし、このような方法をとっている建設現場というものは大手建設会社のごく一部だけでございまして、あとはほとんど野放しだというのであります。せめて建設省の直轄の公共事業の現場だけでもこれを実施させるように指導してはいかがでしょうか、見解を承りたいと思います。
  237. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、私どももそういうことのないようにしたいと思っておりますが、ただ、今ここで全部、ただいま先生から御指摘ありました、就労者に対し日本語のサインを求めるということを確約するところまでの自信は残念ながらございませんが、そういう精神で確実に不法就労のないようにしてまいりたいというお答えにしたいと思います。  それから、先ほど私のお答えに対しまして労働省側の見解を聞かれて、そういう線でということでございましたが、私どもの方も、労働基準法違反とかいろいろな違反ということになれば、これは業者が業務に関し不誠実な行為をしたという条項もございますから、そういう条項の発動は当然可能だと思っております。
  238. 西村章三

    ○西村委員 いわゆる、外国人の就労チェックのために、建設省として単に今の指導だけではなしに、通達を出す御用意はございますか。
  239. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、私ども、とにかくあらゆる機会を通じて本当に業界団体の場で厳しく指導を申し上げております。通達という格好にしたとしても、やはり業界団体を通じてという格好にはなるわけでございまして、当面は、先ほど申し上げましたが、労働省通達というものが本当にしっかりと守られるということを見きわめてまいりたい、こういうふうに思っております。必要とあらば、その辺のことも考えさせていただきたいと思います。
  240. 西村章三

    ○西村委員 いわゆる、外国人労働者の問題、これはいろいろと見解が今分かれようといたしておるところでございます。必ずしも反対論だけではございません。一部には賛成論もございます。貧しい国から富める国への労働力の流入は、これは自然だ、経済大国としてその責任を果たす意味でも労働者を受け入れるべきだ、こういう議論もございます。しかし、この論議は建前論でございまして、この裏にはいわゆる低賃金の労働力、これがほしい、こういう願望があることも事実でございますし、またその需要があることにも起因をいたしておるところでございます。  しかし、この問題は建前論や企業の論理だけでは考えられない、根の深い問題である。その理由は、一つにはやはり低賃金労働力の供給源として期待をされておりまするけれども、いわゆる汚い仕事あるいは危険な仕事、ハードな仕事、こういう日本人の嫌がる仕事を低いコストで充足しようという、この発想そのものが極めていびつだ、時代錯誤も甚しい、こういうことでありまして、結果的にはこの問題は、日本人の雇用機会を減らすことにもなりますし、労働賃金の低下、そういったことにもつながるおそれが非常に強いということであります。また、西ドイツやフランスなどのように、諸外国におきましても、かつて高度経済成長の時期には非常に大量の外国人労働者を雇い入れたのです。しかし、その後の経過を見ておりますと、景気が悪くなるにつれて採用ストップをしたり、あるいは退職させたり、家族の呼び寄せを制限をしたり、場合によっては、帰国するときに大変なお金を使ってまで帰ってもらわなければならぬという、結果論としては社会的なコストが非常に高くなる、こういう問題が生まれます。加えて、いわゆる外国人がその国に住みつく場合には必ず人権問題というものが発生をする、こういうことでありまして、余りにも弊害が多い。我々は、この諸外国の例を教訓として、この誤りを繰り返さないことが非常に大事ではないか、かように思うのであります。  そこでお聞きをするのでありますが、この問題、結局建設業における不法就労の原因、これは需要があるからということなんでございますが、建設省としてこの辺の見解をどう考えておられるのですか。建設業界だけがなぜこんなに多いのか、この根本原因はどこにあるとお考えですか。
  241. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほど法務省の方から御答弁ありましたように、この二、三年非常にふえているということでございますが、これはある意味では公共事業を初めとする我が国の建設投資が増大局面に入った、それと相通ずる時期でもある、こういうことが一つ言えようかと思いますが、基本的には、やはり建設業というのが言語不自由であっても、あるいはまた非常に安易に入りやすいという体質を持っていることも否めない、こんなふうに実は考えておる次第でございます。  そういった実情は実情として、私ども、とにかく建設業という職場に現在日本国内の本当に優秀な若年労働者がなかなか参入してまいらないという昨今の情勢等を考えますと、建設業界自体の体質をどんどん向上していかなければいかぬということを非常に重要な課題として受けとめております。そういった中で、今先生おっしゃったこと、全く私ども基本的認識を同じくするものでございますが、安易にそういった外国人不法労務者を入れるということについては極めて厳正、慎重でなければならぬ、こういう構えを一層強くしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  242. 西村章三

    ○西村委員 この原因が、建設業界における若年の労働力あるいは技能労働者の不足ということが端的に述べられておりますし、また、なぜ来ないかということにつきましては、やはり低賃金がある、あるいは労働の質がハードである、さらには、長時間の労働を強いられる、福祉厚生面が非常に不備だ、将来展望がない、こういったことが原因になっておるのでありますが、今後我が国といたしましては、経済大国にふさわしい社会資本整備、これが今非常に立ちおくれておるということで、迫られております。また、四全総に基づくいわゆる新しい町づくりも課題でございまして、建設産業の各面にわたる充実強化ということが強く要請をされてくる。  こういう状況の中で、この若年労働力あるいは技能労働者の不足について建設省はどのように認識をされ、業界を指導し、さらに対応をされようとしておるのか。例えば賃金の適正化の問題でありますとか、日曜祝日の全休でありますとか、労働時間の短縮、健保、社会保険の充実等々、余りにも問題が多いのでありますが、今後の対処する構えを聞かせていただきたいと思います。
  243. 望月薫雄

    ○望月政府委員 もう改めて申し上げるまでもないと思いますが、建設業というのは我が国の最も基幹的産業の部分である、しかも社会資本整備住宅等を整備する上で非常に重要な役割を果たしておる、こういった大変大きな役割を持っておるにしては、お話しのように最近若年労働者が魅力を感じないということが、私どもも非常に重視しておる点でございます。  そういった中で、これは単に安易に労務者を確保すればいいということではなくて、本当に質のいい労務者が入っていただけるように、基本的には建設業の体質そのものを改善向上しなければならぬというふうに考えておる次第でございまして、現在も中央建設業審議会におきまして建設業の構造改善策について諮問をいたしております。大体六月ぐらいには御答申いただけるのではないかと期待しておりますけれども、私どもとしては、そういった構造的な面をしっかりと固めながら対応策を充実してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  244. 西村章三

    ○西村委員 今後の二十一世紀を展望するときに、建設業界の担う役割というものは非常に大きいわけでございます。この問題は非常に奥行きも深く、間口が広いものですから、また改めてこの問題についてはお尋ねをしたいと思うのでありますが、当面、いわゆる外国企業の参入問題、特に日米公共事業への参入問題が焦眉の的になっております。  目下交渉中でございますし、小沢官房副長官もおいでになるようでございますから、交渉の方法だとかあるいは内容等については、微妙な時期でありますのできょうは具体的にお尋ねをすることは避けさせていただきますが、新聞報道によりますと、あれは二月ごろでございましたか、日米政府協議の事務協議日本側はアメリカに対しまして、建設工事は七億円以上、コンサルタント業務は二千五百万円以上の契約を開放の対象とするということが報道されております。ただ、この工事七億円以上の中には相当分の労務費が含まれておる、こう思うのでありますが、この場合の労働力というのは日本の国内の労働市場から調達をするのかどうか。国内で調達する場合には、当然ながら、これは外国に対しましては十分理解がいくような説明が必要であると思うのでありますが、一体どうなっておるのでしょうか。
  245. 望月薫雄

    ○望月政府委員 建設業に限らず、いわゆる単純労務者の入国問題については日本は厳しく規制しておるということはつとに明らかなところでございまして、今のお話の外国企業の参入という事態が現実に起こった場合、そういう時期を迎えた場合におきましても、私ども、この基本線はいささかも変わるものではない、こんなふうに考えております。  参考までに、今先生から、七億円以上の工事には労務費がかなりあるだろうと。全くそうだと思います。ただ、私ども現在、このプロジェクトそれぞれについて労務費の部分を実は精査いたしておりませんが、大体公共事業、あの種の事業では二割ぐらいを労務費が占めておる、こういったことでございます。くどいようですけれども、基本的には日本の労務者によって対応していただくべきもの、こういうふうに考えておる次第でございます。
  246. 西村章三

    ○西村委員 今後、国際化につれて外国企業の参入問題、アメリカに限らず広く世界の国々にわたってくるわけでございますが、今の局長の御答弁のように、基本原則はひとつきちっと守っていくように当面はしていただきたいということをお願いいたしておきます。  ことしの一月二十八日の衆議院の本会議で我が党の塚本委員長が質問をいたしまして、その中で、「関西国際空港の建設工事の一部をアメリカが請け負ったとして、まさか日本政府が禁止している外国人の一般労務者を特別に使わせるということは決してないということをこの場で内外に宣言しておく必要がありはしないか。それはまた、アジアのどこかの国がアメリカの下請工事を請け負ったときも同様」だという質問をいたしました。これに対して竹下総理答弁は、「我が国において、いわゆる単純労働に従事することを目的とする外国人労働者の入国につきましては、これを認めないのが政府の現在の方針でございます。御指摘のように、外国企業が請け負ったといたしましても、その例外ではございません。」こう明確に答弁をなされておるわけでございますので、ぜひこのことも肝に銘じて対処していただくようにお願いをいたします。  それから、外国人労働者の日本に来る資格についてのいろいろなあれがあるわけでございますけれども、いわゆる単純労働者、こう言われる人まで例えば社員あるいは技師というような名目で入国申請をしてきたときには、一体どのように対応していこうとするのか。日本の建設業界の一部では、現場作業員あるいは労務従事者というのですか、こういった人のことを技能労働者と呼ぶケースも間々ございます。この呼び方は国々によって異なるのでありますが、いわゆる単純労働者の範疇も法解釈上非常に問題があると考えております。技術者、技能者と呼ばれる人々を入国させる場合でも、その範囲をどこまで拡大するのか。  今、いわゆる中間技術者の範疇をどう定めるのかということも一つの問題点でございますが、単純労働者との明確な区別をつけなければなし崩し的にこれがふえていく、こういうおそれが非常に強いわけであります。日本の業界の一部で、今申し上げましたように技能労働者と呼ぶ人は場合によってはイコール単純労働者、こういうこともあり得るわけでございまして、この辺のことをきちっとしておかないと後々いろいろ問題が出てくる。そこで建設省としては、法務省や労働省とも協議をして、明確な定義を出しておかないと今後問題が残ると思うのでありますが、この点についてのお考えを聞かしていただきたい。
  247. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生指摘のとおり、私どもまことに気にしているところでございます。現在、単純労務者というのは、たしか、労働省、法務省の御見解等によりますと、日本の労働者によって代替可能な、要するに単純なもの、こういうふうになっていようかと思いますが、そういった意味では、我々が今話題にし議論しているような労務者は、今後ともほとんど単純労務者の範疇に入るのじゃないかと思っております。  そうはいいましても、いわゆる中間労務者問題というものも今後議論の過程で出てくることも先生指摘のとおりと考えますので、私ども、今後とも労働省、法務省ともよくよく連携をとりながら研究をさせていただきたいと思っております。
  248. 西村章三

    ○西村委員 大臣にお尋ねいたしますが、先ほども答弁がありましたように、法務省は外国人労働者入国問題検討委員会というものを既に設置して検討を開始しておられます。それから、労働省も外国人労働者問題研究会を発足させております。建設省のスタンスがまだ十分明らかではないわけでございますけれども、先ほど私が申し上げましたように、この問題は、単に単純労働者の不足、それにまたがる一過性のものだという認識ではございません。将来にまたがる建設業界としてのゆゆしき問題でありますだけに、いわば政府、内閣一体としての受けとめ方をしなければならない課題だと思うのであります。総合的な検討機関の設置を閣議で提唱して、この問題についてきちっとした対応をするお考えがありますか、ございませんか。
  249. 越智伊平

    越智国務大臣 先ほど申し上げましたように、建設省としては不法入国の労働者を使わない、こういう前提であります。そのためには、できるだけ工事の平準化を図ってまいりたい、そして日本国内の労働者で進めてまいりたい、かように思います。  この質疑応答の中にも、あいまいな点がたくさんありまして、今の技能者のお話、技能者といいましても技能者の判定というものは非常に難しい。でございますから、そういうことも含めて、とにかくいずれにしても不法入国者は使用しない、このことを建設省としては徹底をしていきたい、かように思います。  でございますから、先ほどいろいろ御説がございましたが、そういうことを含めまして使わない、使用しない。閣議でも何回も決定しておるわけでございますから、政府の全体の方針が変わった場合はまた別でございますけれども、ただいまのところはそういうあいまいな解釈とかそういうことをやっておることに間違いがある、かように思いますので、この点は、検討委員会とかなんとかというよりも、使わないことを徹底してまいりたい、かように思う次第であります。
  250. 西村章三

    ○西村委員 この問題は、現行の法制下にありましては、単に建設省や業界だけで勝手に独自の対応をすることは非常に難しいわけであります。だからといって、法務省や労働省、他省庁にゆだねるようなことではなしに、やはり建設省が一番大きな影響を受けるわけですから、前向きに勇気を持って議論をしていただき、一定の方針を明確にしていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  251. 中村喜四郎

  252. 中島武敏

    中島(武)委員 建設大臣所信表明で、「豊かで潤いのある河川の整備を積極的に進める」、こう言っておられます。  まず伺いたいのは、全国的にはたくさんの水力発電所が水利権の更新期を迎えているわけでありますけれども、現在、更新の審査中のところは何件ありましょうか。
  253. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  現在、更新期を迎えておりまして審査にかかわっております発電用水利使用は、百九十三件ほどあろうかと思います。
  254. 中島武敏

    中島(武)委員 今答弁ありましたように、二百件近い更新期を迎えているところがあるわけであります。私は、その一つの典型として大井川の問題を取り上げたいと思います。  大井川水系の中部電力の水利権の更新期に際して、地元の本川根、中川根、川根町の三町が、大井川に水を返せと一致して建設省と中部電力に要求をしております。マスコミも非常に大きく取り上げて、今全国的に非常に大きな注目を浴びておるところであります。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕  大井川の豊かな清流が奥泉ダムから川口、赤松発電所まで、主な支流の寸又川、笹間川の水をも含めて中部電力によって根こそぎ取り込まれているといってよい状況になっております。その水は結局どうなるかというと、本川とは別に導水管によって六つの発電所に次々と送られる、そして赤松発電所の下流で本川に放流される、こうなっておるわけであります。  その結果、奥泉ダムから赤松の放水口までの間、大井川の水量は激減して、特に塩郷ダムから下流二十二キロの間は事実上川とは言えない状態、つまり、支流からわずかな水が流入して、水たまりがあるいはとぎれ、あるいは細々と続くという状況であります。塩郷ダムから五キロ下流ぐらいまでは一滴の水もない状況でありまして、共産党の調査団もただただ驚くばかりであったわけであります。これは共産党で発行している「グラフこんにちは」という写真雑誌にたまたま載っておるのですが、実に一滴の水もない河原砂漠、こういう状況になっております。  しかも、塩郷堰堤の構造は、中川根町の昭和三十三年一月一日の広報「中川根」によりますと、河床の岩盤に久能脇発電所からの導水管が直接設置され、そしてその上に堰堤及び橋が建設されるという構造になっている。このため、伏流水もこの塩郷堰堤でせきとめられていると地元では言っておるわけであります。こういう結果、大井川中流域の三町の主張によりますと、魚類は激減をして、アユその他の魚はもちろん川を上らない。それから、この地域の特産でありますあの著名な川根茶の栽培にも川霧が立たないためにいろいろと悪影響が生じている。さらにまた、川根町の町営水道が枯渇して飲料水の確保の上でも非常に重大な問題が生まれているわけであります。このほか、塩郷ダム上流での堆砂問題あるいは水害問題あるいは中流域全体としての景観問題、いろいろな問題があって非常に深刻な問題になってきておるわけであります。  そこでお伺いしたいのですけれども、大井川中流域、特に塩郷ダム下流のこうした現状は、流水の正常な機能の維持をうたった河川法の第一条、そしてまた第二条の「河川は、公共用物であって、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行なわれなければならない。」こういう規定に照らして大問題だと思うのです。極めて重大な問題が発生してきている。直ちに是正されなければならないと考えますけれども、具体的なことは後から順次お尋ねしたいと思っておりますので、基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。
  255. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  発電水利そのものが公益性のある事業でございまして、ある時期動力源として大変重要であったという判断もございまして、歴史的に見ますと、そういう形で維持流量をなくすあるいは大変減らして運転されておるものが、大井川に限らず全国に多く見られます。  私ども河川管理者といたしましては、河川の環境維持も最近特にその重要性を高めてきておりますので、これらの水利権につきましては、更新の時期に当たりましてできるだけ適正な放流ができるように、そういう時期をつかまえて発電事業者を指導してきておるところでございます。
  256. 中島武敏

    中島(武)委員 この大井川の清流を取り戻して川をよみがえらせる、あるいはまたそのことによって景観を取り戻すというだけじゃなくてお茶の栽培にも非常によい影響を与える、あるいはまた飲料水をも保障するということは、喫緊の重要事、非常に差し迫った重要な問題だと思うのです。  建設省が私に提出しました「大井川中流域検討会の検討結果について」というふうに銘打った文書によりますと、「流水の正常な機能を維持するため」ということで、「景観及び動植物の保護の観点から、概ね次の放流量が必要である」としまして、塩郷ダムについてはおおむね三立米パーセコンド程度というふうにしておるわけであります。たった三トンでよいかどうか、私はだめだと思うのですけれども、何で三トンというふうにしておられるのか、その根拠を伺いたいと思うのです。
  257. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  塩郷ダムの維持放流量と申しますか、三トンの件につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように大井川中流域検討会を設けて検討してまいりました。これには学識経験者、私ども建設省の出先、静岡県当局、それから地元の町、それと発電主体でございます中部電力までが入った委員会でございまして、この委員会におきまして御指摘のような景観の保持その他、維持流量として備えるべき要件について種々検討を行いまして、三トンというふうな結論を出したと聞いております。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  258. 中島武敏

    中島(武)委員 共産党の調査団が中川根の町役場の責任者に会っていろいろとお話をしました。そうしますと、三トンというのはお話にならないと非常に怒っているのですね。といいますのは、要求としては、もともとの大井川と申しますのは越すに越されぬ大井川なんです。その水流の豊富な大井川をもとへ戻せ、よみがえらせよというのが切実な要求なわけです。  それで、県の方が塩郷ダムの下流の河原に幅三十メートルの河道を新たに掘ろうとして、町当局から拒絶されたのです。これは私も当然だと思うのです。といいますのは、塩郷ダムの川幅は約二、三百メートルぐらいありましょうか。ところが、その下流の方はぐっと広くなりましてほぼ九百メートルぐらいあるのです。その九百メートルもあるところに幅三十メートルの河道を掘って三トンの水を流して、これで正常な流量です、こういうふうに言っても、これは地元の方々はああそうでございますかと言う人はなかなかいないのですね。それで三トンという話が出ているのですけれども、三トンじゃどうにもならない。本気で川を生き返らせようと願う人であれば、だれでもこれで結構だと答えるわけにはいかないと思うのです。しかもさっき申し上げたような塩郷ダムの構造ですから、伏流水がここで遮断されてしまっている。そのために、仮に三トンの水を流したからといってさて川になるものやら、伏流水は遮断されて、ないわけですから、地下に潜ってしまうものやら、これもわからないという状況なんですね。  それで、町役場の方々も大変怒っているのですけれども、昭和五十六年三月、当時の建設大臣、現在静岡県知事をやっておられる斉藤滋与史さんが、河川審議会に今後の河川環境管理について諮問をしたことがあります。それについて五十六年十二月に「河川環境管理のあり方について」という答申があったのです。これを見ますと、これは都市化の中の河川環境管理とそのあり方ということを念頭に置いたのかもしれませんけれども、しかし大井川は別ですというものではないと思うのです。  これを見ますと、「本件は、極めて緊要な国民的課題である」、そういう観点が示されていて、「河川環境管理の理念」の項では「河川管理には治水、利水及び河川環境の三つの面がある。」こういうふうに述べて、川の存在というものと人間の日常生活との深いかかわりがうたわれておるわけであります。大井川の問題の解決もこの点が非常に重要な点だと私は思うのですね。  それで伺いたいのですけれども、現在大井川ダムの上流に長島ダムをつくっている最中であります。この計画によりますと、「下流の既得用水の補給等流水の正常な機能の維持と増進」、また下流四市十二町の水道水の確保その他を目的として、水質保全の観点から国鉄鉄橋地点の維持流量十一トンというふうにしていると思うのですけれども、間違いないと思いますがいかがですか。
  259. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えを申します。  私ども一級河川、特に大きい川につきましては水系ごとに工事実施基本計画というものをそもそも持っておりまして、大井川につきましてもそのようなものを持っておるわけでございます。  その中で、先生指摘のように、流水の正常な機能を維持するために必要な流量として、国鉄東海道本線鉄橋地点において十一トン確保できればそれが望ましいということを書いてございます。これは、おっしゃいました長島ダム等の開発によりまして、順次この流量が確保できるようにという頭で書いておるものでございます。
  260. 中島武敏

    中島(武)委員 今局長が言われたように、維持流量十一トン、こうなっておるわけですね。だとすれば、この十一トンと、それからすぐその上流にあります中部電力の川口発電所の水利権のことはちょっと一時おいておいて、他の水利権の流量は幾らあるかというと、これは建設省から既に資料をいただいておりますが、非かんがい期の合計で十七・二八五トンなんです。ですから、十一トンと合わせると二十八・二八五トンの流量がその川口発電所がなければ塩郷ダムから流れてこなければならない水になるわけですね。  塩郷ダムから赤松の放水口までの間に、これは静岡県の土木事務所の大井川の水系地図で調べたんですけれども、十五本の支川があるのです。笹間ダムがないもの、そしてそこに川が流れているものと考えて、非かんがい期にこれらの十五の支川から一体幾らの水が流れ込むか、多目に見ても局長これはせいぜい三トン程度ではないかと思うのですね、そんなものじゃないかと。この見方もかなり多目だと思うのです。それでその程度だということになりますと、その三トン程度が本川に流れ込んでいる、そうすると、その分を差し引きますと二十五・二八五トンが塩郷ダムからの流量とならなければならない、こういうふうになるのです。これはお認めになると思うのです、どうですか。
  261. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  先ほど申し上げました工事実施基本計画なるものは、河川法が昭和四十年に改正されまして、そのような計画をつくることが義務づけられまして以後決めたわけでございます。その時点では、既にいろいろな水利使用が現に行われていたわけでございまして、川の自然の状況もよきにつけあしきにつけ大変変わっておったわけでございます。そういう現状を全部見詰めまして、先ほど申しました東海道本線から鉄橋の下流でさて何トン要るかという結果が十一トンということでございますので、そういう前提条件に既にいろいろな水利使用がなされているということで決めた十一トンでございますので、途中で引かれているものと合わせたものが自然の状態ですと自然に流れてくるということにはならないんだろうと私どもは思っております。それぞれの条件を踏まえながらそれぞれ必要な数字を決めておろうかと思います。
  262. 中島武敏

    中島(武)委員 局長、それは物の言い方です。私の言っているのは理屈なんです。別に理屈を局長否定しているわけではない、今の話は。  それで問題は、塩郷ダムからの放流量、これを三トンなどという計算は何で出てくるかというと、私は率直なことを言うんだけれども、あくまで中部電力の水利権、より正確に言うと導水管で発電所から発電所を結ぶこの形式の取水を最優先して考えているから私はこうなるのだと思うのですよ。  昭和四十年以前からだ、こういうふうに局長言われる。それは確かに四十年以前からのいろいろな状況があったわけです。あったわけですけれども、ここでやられていることというのは、川の上流をせきとめてダムをつくって、導水管に移して、それでそれを六つの発電所へずっと送っていくわけですよ。こういうやり方なんですね。私は、この取水の方法、発電用水の使い方、これが非常に問題じゃないかというふうに思うのです。何しろ、導水管で本川に水を一滴も戻さないで取水する。奥泉ダムから川口発電所まで数十キロありましょう。五十キロぐらいありましょうか、その間全部川へ水を戻さないのですから。ずっとあの導水管の中を流れ放しなんですよ。このために、大井川中流城の二万人の人口を持つ三町の産業と生活が非常に脅かされるという状況になっているのです。確かに中部電力は水利権を持っているでしょう。しかし、あの水利権というのは水の利用権なんですね。所有権じゃないのです。事実上所有してしまっている、ずっと数十キロにわたって。川はからからだ。こんな例は一体ほかにあるのかということなんです。
  263. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 発電事業そのものは、改めて申し上げるまでもないわけでございますが、これは公益事業であるわけでございまして、発電なるものが大変人口に膾炙しておるわけでございます。いろいろな時代を反映いたしまして、公益上の判断のはかりがいろいろ違った時代があろうかと思います。そういうことの結果といたしまして大井川のようなケースができておるわけでございますが、全国的に見ましても、やはり当時つくりましたダムは全量水を取水いたしまして本川に流さなかったというケースが全国的に見ましても多々ございます。ただ、それは今この時代の目で私ども河川管理者として見直しまして決して好ましいことではございませんので、いろいろ必要な維持流量を少しでも流すような努力を今始めているところでございます。
  264. 越智伊平

    越智国務大臣 事実関係は今局長の方から御答弁を申し上げましたが、水利権、所有権の問題、いろいろございますが、水利権というのは非常に厳粛なものであります。なかなか水利権を変えようというのは大変なことでございます。この私が、確かに所信表明のときに潤いのある河川の管理ということを申し上げました。基本はそのとおりであります。しかし、今の大井川の話を聞いてみますと、ずっと以前からその水利権がきちっとしておる、これを変えようということは、できるだけそういう努力はいたしますけれども、それを無視することは私はできない、かように思います。  また、飲料水の話がございましたけれども、本当に飲料水がどうにもならないという事態に、電力会社にお願いをすれば、それを放流しないということはあり得ないと私は確信をいたしております。生活用水、特に飲料水が枯渇してもうどうにもならないというときに、それを放流してくれないということはあり得ない。今後とも、そういうことがありましたら、電力の方にもお願いをいたします。  いろいろお話がございましたけれども、漁業の問題その他ございましたが、そのダムをつくるときに、地域の方々、また漁業その他、皆話し合いをして進んでおる。今も検討委員会で検討しておるようでございますが、これも各界の人が入ってやっておりますので、その線に沿って努力をしていきたい、こう思います。  ただ、全部変えてしまえというようなお言葉、私は決して電力会社の味方ではございませんけれども、電力会社が皆悪いというようなことには私はちょっと受けとめていない。ずっと歴史がございますから、その歴史に従って進めていきたい、かように思います。
  265. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣、率直に言ってちょっと甘いのです。中部電力のこれらの発電所とダム、これはつくったときは県が所管したのですね。そのときの命令書がここにあります、三十一条から成っている。その中の二十五条には、「次の場合には静岡県知事は許可の一部もしくは全部を取消し、又は工事の変更中止を命ずることがある。 一、公益上必要があると認めたとき。」「三、河川の状況の変更その他許可の後に起つた事実によつて必要があると認めたとき。」こういう命令書があるのです。それで、現在の河川法の七十五条第二項三号、五号、ここに同様なことが書かれているのです。私は、中部電力を全部敵にするとかなんとか、そんな考え方を持っているのじゃないのです。しかし、こういういろいろな沿川町民、住民の生活がかかっている問題でありますから、この問題について、やはりもっとそれらの住民の人たちの意見もよく聞く必要があるんじゃないかということを申し上げたいわけなんですね。  それで、ちょっと端的な話をしますと、赤松発電所の件は別におくとして、川口発電所、ここには十七・二八五トンの流量による発電をやればいいのです。あるいは、塩郷ダムの堰堤だけは取り壊しても、中電の取水口、発電所の取水口を別につくるというやり方もできるのです。そんなことをと、こうおっしゃるかもしれませんけれども、実は自民党の県議の方ですけれども、この大井川がこうなったことによってどんな被害を及ぼされているかということを切々と述べて、そうしてこの塩郷ダムを取っ払えということを言っている。それで、この川口発電所がなくなっても中部電力は〇・五三%の被害にしかすぎない、こっち側の受忍限度と中電側の受忍限度を考えたらどうなるということを言って、切実に求めていらっしゃる。私は、やはりそういうふうにしなければならないんじゃないかということを重ねて大臣に申し上げたいのです。
  266. 越智伊平

    越智国務大臣 私が甘いのではないかということでございますが、私は甘くも辛くもない、中庸であります。公平な立場で申し上げておる次第であります。  いずれにしても、先生地域住民の方々と、こういう話でございますが、地域住民の方々はその市町村によくお話しして、各市町村また県、そして県もこちらに御相談があるでしょうから、そういう問題をとらえて進めていただきたい、こう思う次第であります。いきなり私の方から中電にダムをぶち壊せというようなことはなかなか言えるものでございませんので、それはやはり地域の方々、すなわち市町村あるいは県、そこらで十分御論議をいただいて、私の方としてはできる限りの措置をしたい、かように思う次第であります。
  267. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、この川をよみがえらせる、川を守るというのは、これはもう建設省しか行政の側にはどこにもないのです、何も中部電力を敵視せいということを言っているのじゃないのです。川を本当に守るのは建設大臣並びに建設省しかいない、この自覚に立って、ぜひひとつ大井川をよみがえらせ、流域の生活と産業が大いに発展をしますように重ねて要望しまして、時間の関係もありますので、次の問題に移らせてもらいたいと思います。  次の問題は、建設業者にかかわる問題についてお尋ねしたいと思っております。  実は、建設市場の国際的な市場開放問題とかあるいは外国人労働者問題あるいは官公需の単価問題など、ぜひ聞きたい問題が随分あるのですけれども、ちょっと時間の関係もありますものですから、その問題は別の機会に譲らせてもらって、きょうは、初めに建設業法の改正にかかわる問題で二、三お尋ねしたいと思っております。  まず一つは、特定建設業者が監理技術者を配置しなければならない下請契約の請負代金、現行は二千万円ですけれども、これは幾らに引き上げる予定でありますか。三千万円というような話も聞いているのですけれども、いかがでございますか。
  268. 望月薫雄

    ○望月政府委員 現行では、ただいま先生おっしゃったように、二千万円以上ということに相なっているわけでございますが、実はこの金額というのは、御承知のとおり、特定建設業の許可を必要とする下請代金の額とも定められているわけでございまして、これを全面的に見直すということは現在考えておりません。  ただ、一部の業種におきまして、下請への依存度が増大する傾向にあることも事実でございまして、私どもとしましては、こういった実情を踏まえて、現在、その見直しも含めて検討中でございます。
  269. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一つ重ねてお伺いします。  監理技術者を工事現場ごとに専任で置かなければならないものとされている工事は、現行では建築一式の場合には九百万円以上、その他の工事は三百万円以上とされておりますけれども、これをどこまで引き上げるお気持ちでありますか。これも三千万円とかいう話も聞いているのですけれども、いかがでしょうか。
  270. 望月薫雄

    ○望月政府委員 御指摘の件につきましては、昨年の一月十三日に中央建設業審議会から出されました答申の中におきましても、いうところの専任制の範囲については、真に専任を必要とする工事に限定して、建設業者に過重な負担とならないよう、工事一件の請負代金額を引き上げるようにと御指摘を受けている次第でございます。  私どもも、この答申の趣旨を踏まえまして、現在、具体の金額はまだちょっと差し控えさせていただきますけれども見直しについて検討中でございます。
  271. 中島武敏

    中島(武)委員 その見直しの場合なんですけれども、金額を決めるに当たって、建築の場合一級建築士を専任で置けるかどうか、受注金額と人件費の関係といった経済性の問題はお考えになっておられますか。
  272. 望月薫雄

    ○望月政府委員 私どもも、この問題をせっかく検討するからには、もろもろの要素を総合的に含めて考えさせていただきたいと思っております。
  273. 中島武敏

    中島(武)委員 実は、これは局長はよく御存じかと思いますけれども、一級建築士一人を雇うには、平均的に見て、仮に三十万円の給料としても六十万から七十万ぐらい、倍ちょっと、これぐらいの費用が必要だと言われております。三千万円で五カ月間の工事で計算しますと、これまで月のうち三分の一を他の工事現場をも兼務して仕事をしていた者を専任にする、そうしたらどれぐらいかかるか。結局、今申し上げたところから、三分の一ですから、二十万ないし二十三万円掛けることの五カ月ということで、百万から百十五万円の費用を当該工事で手当てしなければならないということになるわけであります。  そこで、建設省作成の六十二年八月に公表されたものですけれども、業種別平均財務諸表構成比率損益計算書に出ている原価構成比を三千万円の工事に当てはめて計算してみますとどうなるかというと、これは営業利益が二・三%ですから三千万円掛けると六十九万円ですね。これしかないということになるわけなんで、一級建築士を専任で置くことはできないということになります。それで、五千万円にしたらどうか、これも決して十分な金額じゃないのですけれども、工事期間が五カ月以内だったら、まあもうけはないのだけれども何とかとんとん救われるというような計算になります。問題は、金額の決めようによっては非常に中小建設業いじめになりかねないということであります。  それで私が申し上げたいのは、五千万円の工事と例えば数十億の工事を比較しますと、金額に比例して建築士等の技術者が必要になるわけではありませんから、まずやはり第一に押さえなければならないのは数千万円単位の小規模工事、ここの原価構成を押さえる。それからもう一つは、受注金額だけではなくて工事期間を配置基準に加える、考慮するということが必要じゃないかと思うのです。今、一級建築士一人で大体月一千万円ぐらい稼ぎ出す、こういうのが業界の通説になっています。この二つの点をぜひひとつ決めるに当たって考慮していただきたい、考慮する必要があるのじゃないかというふうに考えますが、いかがでございますか。
  274. 望月薫雄

    ○望月政府委員 ただいま先生から大変具体の御提言というか、問題を提起していただきながらの御質問を賜りましたが、私どもといたしましては現在検討の過程でもろもろのアンケートもしたり各方面の意見も聞きながら検討させていただいておりますので、その結果、ひとつまたお願いしたいと思います。
  275. 中島武敏

    中島(武)委員 ぜひ私の意見もよく御検討いただきたいと思います。  ついでにちょっとお尋ねしておきたいのは、全国建設業協会が主張している、公共工事で監理技術者が常駐していない違反業者は指名停止にしたらいい、あるいは常駐の有無を確認するためにパトロール体制を確立したらどうか、こういうことを言っているのですけれども、これは私は大変な問題だと思うのですが、建設省はどう考えておられますか。
  276. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生お話しのように全国建設業協会の方からいろいろな御提言があることも承知いたしておりますが、はっきり言えますことは、昨年の建設業法の改正の中で監理技術者資格者につきまして非常に重視しているということは御承知いただいているとおりでございます。こういったものにつきましては、私どもとしては、法に基づきまして資格者証の交付制度というものを創設し、これをもって専任制の実効を確保しよう、こういった考え方で今取り組んでいる次第でございますが、何としましてもこれを実効あらしめるためには、私ども、幸いにしてといいましょうか、二年間の施行猶予期間、六十五年六月からこの部分は施行になりますので、それまでにいろいろの勉強もさせていただき、また関係方面の理解も深めたい、このように考えておるところでございます。
  277. 中島武敏

    中島(武)委員 これは違反しているからすぐ指名停止だとか、それから監視体制、パトロール体制をつくれとか、こういうのはちょっと本末が転倒していると思うのですね。監理技術者を置くということの重要性とこのことは別のことだということを重ねて申し上げておきたいと思うのです。  それから、関連して官公需の共同受注体制、この問題について伺いたいと思っております。  中小企業庁の要綱で、官公需適格組合の証明を得る場合、工事にかかわる場合には「事務局常勤役員が一名以上、常勤職員が二名以上おり、当該役職員のうち二名以上が技術職であること」、こうなっているのですね。なぜ官公需適格組合に三名以上の専従者を置かなければ資格が取れないのでしょうか。
  278. 望月薫雄

    ○望月政府委員 この点は先生の御案内のとおり中小企業庁の方の基準でございまして、私どもからコメントをすべき筋じゃない、こう思うわけでございますが、考え方としましては、やはり発注者の信頼を十分得られるような組合にしよう、こういった観点からの基準見直し、こういうふうに理解している次第でございます。
  279. 中島武敏

    中島(武)委員 発注者の信頼と言われるのですけれども、これは大変なんですよ。きょうは泥臭い話ばかり質問しているのだけれども、中小企業を守るためにはやはりこういうところへ踏み込んで考えないと本当に守るわけにはいかないのです。  それで私あえて申し上げるのですけれども、三人の人件費は、年六百万円と仮に仮定しましても三人で千八百万円、その他の経費七百万円としても二千五百万円かかる。だからこれもまた、発注者の信頼ということを言うのですけれども、私は中小企業いじめにつながりかねないということを言いたいわけなんです。  といいますのは、私の知っている適格組合いろいろあります。そこは今までどうやっていたかといえば、組合理事長のところの職員の方が同時に適格組合の仕事をやっておられるのですよ。そこの社長が理事長を兼務してやっておられて、それで、やる仕事は非常に立派な仕事をやる、こういって褒められている、信頼があるのですよ。ところが、発注者の信頼ということでこういうふうに締められてきたら、これは本当に厄介なことになってしまうのじゃないかということを思うわけです。  時間もありませんので僕は最後に大臣にちょっとお尋ねしたいのですけれども、官公需法、これは建設省の方ではありませんが、官公需法で何を言っているかというと「中小企業者の需注の機会の増大を図るように努めなければならない。」ということを強調しておりまして、「この場合においては、組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」こういうふうに明記しているのです。  それから、大臣御存じの昭和六十二年度中小企業者に関する国等の契約の方針というものの閣議決定を昨年七月に行っておりますけれども、ここでも中小企業者の受注機会を増大させるための措置として、適格組合を初めとする事業協同組合を大いに活用しなければいかぬということを閣議決定しているわけですよ。  私は、今まで申し上げてきていることがこういう精神と相反することのないようにしなきゃいけない、もっと中小企業にたくさん受注の機会が与えられるようにしなきゃならない、こう考えるのですけれども大臣に最後に決意を聞かしてもらって、本当はいろいろ聞きたいことがあったけれども、時間がなくなりましたから質問を終わりたいと思います。
  280. 越智伊平

    越智国務大臣 中小企業に官公需の受注の機会が多くなるように努めております。建設省といたしましてもでき得るだけ努力をいたしております。  ただ、協同組合の受注の問題ですが、これも組合によってどういうことになるか、構成メンバーがどうかというようなことがなかなか難しい。要は中小業者に受注の機会が多くなるように努めておりますし、今後も努めてまいりたい、かように思います。
  281. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  282. 中村喜四郎

  283. 坂上富男

    坂上委員 まず河川行政についてお伺いをいたしたいと思います。  昭和五十九年でありましょうか、大東水害の最高裁判決が出ました。昨年でありましょうか、多摩川控訴審判決が出ました。実はこの二つの判決につきまして、法曹界では、裁判官が担当裁判官を集めていろいろの指導をしてこういう国寄りの判決をしたという、大変な批判も実は出ておる判決であります。  しかし結論は結論でございますので、河川行政の上においてはほっとされているのだろうと思うのでございますが、一体この判決をどのように受けとめられておるのか、河川局長さんからお聞きをいたしましょうか。
  284. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  先生指摘の五十九年一月二十六日の大東水害訴訟最高裁判決並びに六十二年八月三十一日言い渡しの多摩川水害訴訟東京高裁、いわゆる二審判決でございますが、いずれも、建設省がこれまで繰り返し申し上げてまいりました考え方、これを基本的に認めていただいた、そういうふうに私ども受け取っております。
  285. 坂上富男

    坂上委員 さて、その判決を受け取りまして、河川行政にどう生かすかということを聞いているわけです。
  286. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  判決の要旨は、改めて申し上げるのもなんでございますが、河川というのは本来的に危険が内在している公物であるということ、またそれを段階的に除去していかざるを得ないものであるということ、またそういうものを総合的に判断しました場合に、いろいろな制約のもとで同種同規模の河川の管理が一般水準、まあ社会通念に照らしまして是認し得る安全性を備えていればいいんだというようなところが骨子かと思います。私どもは、今まで努力して続けてまいりました治水事業を今までどおりの考え方で努力をして、続けていく、そういうふうに考えておるところでございます。
  287. 坂上富男

    坂上委員 さてそこで、確かに判決は、財政的、時間的、技術的な制約が河川にあるんだ、こう言っているのです。今あなたの御答弁を聞いておりますと、今までどおりやります、こういう御答弁でございます。  当時、井上さんという局長さんがおられました。近藤さんという河川課長さんがおられました。学者の先生方と座談会を開かれております。これは御存じでしょうか。この中にこういうことを言っているのです。あなたの答弁、大変不満だから御指摘を申し上げるのですが、「今回の判決を見て私が感じますことは、河川行政の立場を認めたものではありますけれども、河川行政に携わられる方が、一〇〇%自分らの主張が認められたとか、これが決定的な免罪符であるとお考えにならずに、これは見方によっては、河川行政の責任は非常に重いぞと言っているとも理解できます。」こう言っているのです。あなたの理解と、あなた方が集めた学者の座談会のあなた方への言葉はこういう言葉なんですよ。もう一度お聞きをいたしましょうか。
  288. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 私の答弁の言葉が足りなかったかもしれませんが、私どもも従前から、河川を管理します責任の重さについては十分考えておるつもりでございます。従前どおりと申しましたのは、ある時期裁判において敗訴が続きまして、これはあるいは私どもが従前考えておりました河川管理をそのまま続けていくわけにいかないのではないかという不安を持った時期がございました。それに絡みまして従前どおりのやり方をやらせていただくことになろうと思うというふうに答えたわけでございまして、責任が軽くなったとか、追認されたのでほっとしたとかという意味ではございません。
  289. 坂上富男

    坂上委員 こういう判決が出ますとどうも国家賠償法による救済が不可能だと、この座談会で言っておるわけでございます。そこで、河川審議会あたりが、水害保険あるいはその他の被害者救済の方法を早急に講ずべきだ、こう言っているわけであります。五十九年から今日まで被害者救済の観点から一体どのような検討がなされ、今後どういうふうに――今のようなやり方でやりますと今までのような被害も出るわけでございます。判決が出たからといって水害がなくなるわけではありません。したがいまして、こういう点をまず河川局長さんとしてはどのようにお考えになっておるか。  これはこの程度でとどめますので、ひとつ建設大臣、今そういう問題があるわけでございまして、今度こういう被害が起きた場合の救済方法、裁判に出してもだめだとするならば一体行政はこれをどう守るかということをどのようにお考えになっているのか、大臣からもお聞きをしたいと思います。
  290. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  大変残念なことでございますが、現在我が国におきます治水の安全度というのは極めて低いところにあるわけでございまして、御指摘のとおり年々大変な人数の方の被害者と大変な額の水害被害が起きておるわけでございます。私ども、やはり基本的には治水施設をできるだけ早く整備して被害を減らすことかと思いますし、またあわせまして、おっしゃいます水害保険等の構想についても検討は続けておるわけでございます。  ただ、日本の国の水害発生の実情を見てみますと、水害の発生地域そのものに大変いろいろ隔たりがございまして、保険をつくりましても結局危険度の高い地域の方だけが保険に入られることになってしまうというようなこと、また実際に起こる被害が大変巨額でございますので現実には保険制度としてなじむ名案がなかなか出てこないというようなことで、まだ実現には至っておりません。ただ、民間の損保会社等でも住宅総合保険等が実際には出されておりまして、また農地関係については農業共済制度が確立されたりしておりまして、保険の道が少しずつ開かれてきてはおろうかと考えておるわけでございます。
  291. 越智伊平

    越智国務大臣 河川の管理につきましては、常に留意をしておるところであります。まず災害が起こらないように、第一点はダムをもっとつくっていく、洪水調節。それから砂防施設、あるいは今度決定をいたしております急傾斜地の崩壊対策、こういうことで急に水が流れないようにしていく。そして河川は河川の改修を進めていく。したがって災害を未然に防ぐ、災害を出さない、こういうことに努めていきたい、こういうふうに思っております。御承知のように、今までは予算も非常に少ない。でございましたから、ことしから予算もふえておりますので、おいおいそういうことに努めていきたい、かように思います。  保険の方につきましては、今局長からお答えいたしましたように検討はしていくと思いますが、これは範囲が、洪水がどの地点に来るかというのが非常にわかりにくい。また渇水がどの地点に来るかというのはなかなか難しいのであります。でございますから、検討は進めてまいりますが、どの範囲が入っていただけるかという問題もありますし、今後の課題としてまいりたい、かように思います。
  292. 坂上富男

    坂上委員 大変失礼でございますが、甚だ不満です。もう三年もたっているのです。その間にも水害が起きているのです。裁判所へ持っていって助けてくれなければだれが助けるんだということなんです。やはり河川行政の中でどう助けるか。保険に入ればいいといったって、保険会社は民間なんです。これは行政的な処置としてどうすべきかということをこの座談会の中で議論なさっているわけでございます。どうぞもう一度勉強なさって、この次またお聞きをいたしまするから、ある程度安心のいくような対応をひとつお願いをしたいと思います。もちろん水害の起きないところの河川をつくっていただくことは第一原則です。万一起きた場合どうするか。どうも今の話を聞くと、これはしょっちゅう水害の起きることを覚悟しなければならぬというような答弁であってはいかぬと思いまするので、ひとつ甚だ失礼でありますが、強い要請をいたしておきたいと思います。  さて、また河川に関係をすることでございますが、ことしは、私新潟でございますが、雪が割合に少なかった、こう言われておるわけでございます。雪が少ないということになりますと、これまた関東地方の渇水にもかかわることでございます。それからまた、梅雨どきに関東の渇水というものが、大体今後どのように長期予報の中から見ておいたらいいのか、ひとつ気象庁から来ていただいているようでございまするので、御答弁いただけるでしょうが。
  293. 嘉味田宗治

    ○嘉味田説明員 お答えいたします。  積雪の状況についてでございますけれども、この冬の関東北部から新潟県にかけての積雪は、日光、高田それから新潟等の気象官署では平年の五〇%から七〇%でございまして、昨年と同程度となっております。  それからまた、群馬、新潟県境付近の山間部の水源地付近の積雪は、アメダス等の資料によりますと、昨年と同程度でございます。  今後の予想についてでございますが、四月から六月にかけての関東甲信越地方における降水量は、前半は平年並み、後半はやや少ないと予想いたしております。
  294. 坂上富男

    坂上委員 さて、両大臣おられますし、また河川もおられますし、水資源部長もおられまして、私は事あるたびに同じ問題を提起をしておるわけでございますが、御存じのとおり、信濃川分水関東送水という問題、それから尾瀬沼分水という問題が世上言われておるわけでございます。どうも政党政派を乗り越えまして、地域的な対立になろうといたしておるわけでございます。  もちろん私は信濃川分水反対、尾瀬沼分水反対の立場から質問をずっと続けてきたわけでございますが、大臣がかわられ河川局長さんもかわられておりまするけれども、この問題についてまず、河川局長さんや水資源部長さんは、どうも関東の方の水が足りないので分水というようなお話のようであるわけでございますが、どのようなお考えなのか。今お話を聞いておってもおわかりのとおり、信濃川の水源になるところの雪が大変少なくなって、長野、新潟等も、あるいは福島等も水が枯渇をする状態があるいは起きるのかというふうな心配も実はしておるわけでございまして、その辺ひとつ部長さん、局長さん、お答えをいただきたいと思います。
  295. 萩原兼脩

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  信濃川分水でございますが、先生御存じのとおり民間のレベルの計画でございまして、私ども建設省といたしましては現在のところ関知しておらないという立場でございます。  それから尾瀬沼分水でございますが、これは先生よく御存じのように、大正年代に実は一度水利処分がなされておるものでございます。やはりこれも自然保護との調和が大変大事な問題のようでございます。また、大変大きな流域同士の流域変更ということになりますので、関係県、当然両側の関係県がおいでになるわけでございますが、こちらの意見を十分に尊重いたしまして、私ども対応を慎重にしてまいらなければいけないと考えております。  なお、これは国土庁の方で先にお答えをいただいた方がよかったのかもしれませんが、国土庁さんの方で四全総を受けた総合水資源計画を立てておられます。私ども建設省は、それを受けて昭和七十五年、つまり二十一世紀初頭の水資源開発計画の施設計画をつくっておるわけでございますが、その計画の中では、ただいまお話しの信濃川分水あるいは尾瀬分水、いずれも私どもの計画としては現在含んでございません。  以上であります。
  296. 大河原満

    ○大河原政府委員 ことしの夏も首都圏の渇水が心配なわけでございますが、関東地域内におきます水資源のいろいろ開発施設には、従来から関係機関の協力を得まして積極的に取り組んできているところでございます。  そして二十一世紀当初の水需要でございますが、これは先ほど河川局長からも御説明ありましたが、全国総合水資源計画、これに基づきますと、五十八年時点で年間約百六十一億トンであったものが、現在、三十五億トン増加いたしまして年間百九十六億トンということになるわけでございます。  この需要を満たしますのには、現在、関東地域内の水資源開発施設、これを促進していけば対応できるというふうに考えておりまして、これらの関東地域内の事業を促進することが緊急である、こういうふうに考えております。
  297. 坂上富男

    坂上委員 ひとつ両大臣からも御所見を賜りたいのでございますが……。
  298. 越智伊平

    越智国務大臣 河川局長からお答えをしたとおりでありますが、信濃川の問題につきましては、ただいまのところ民間でございますから建設省は関知をしておりません。  尾瀬沼分水につきましては、お話にございましたように、分水ということになりますとなかなか難しい問題でございますから両県十分協議をしなければなかなか結論が出ない、かような認識であります。  さて、関東、東京都の水でありますが、気象庁からも今お話がございましたが、建設省といたしましても心配をいたしております。全国いろいろございまして大変でございますけれども、この夏、去年のような渇水にならないように、いろいろの方策を今進めておるところであります。一例を言いますと、電力会社等にお願いをして貯水をできるだけ多くしておこう、こういうことも今からお願いをしておるようなことであります。
  299. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 先ごろ、利根川、荒川の水資源開発基本計画の改定を閣議決定したわけでございます。その際に事務当局から伺いましたところでは、地域内の水資源を開発し有効利用することによって昭和七十五年までいけます、こういうことでございましたので、私から、分水のことは考えていないんだなと。これには入っておりませんということでございましたので、どなたかから同じようなお尋ねを受けましたときにも、現在考えておりません、こう申し上げたわけでございます。今も同じでございます。
  300. 坂上富男

    坂上委員 どうもありがとうございました。これはこれで終わります。  今度は建設省、厚生省、自治省との関連においてお聞きをいたしますが、地方生活圏構想あるいは広域圏構想、あるいは定住圏構想あるいは地方医療圏構想とかというようなことで、各県が四つか五つに広域化されてそこに行政をなさろうとしておるわけでございます。  関係官庁から来ていただいておるわけでありますが、私の出身県、新潟県の例を挙げまして、こういうものが今どのようになり、そしてまたその目的は何で、現在こういう利点が起きてきているという点をお話しいただきたいと思います。
  301. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 国土庁の方ではいわゆるモデル定住圏というのを担当させていただいておりますが、先生承知のように、三全総におきます定住構想を受けまして、大体各県一圏域がモデル的に設定されてきておるところでございます。このモデル定住圏のそれぞれの圏域におきましては、施設整備のようなハードな面とそれから住民の主体的な活動を支援するためのソフトの計画、この二つの計画を相まってこの事業を推進しておるところでございます。  新潟県につきましては、上越市を中心といたしまして三市十一町八村から構成されております上越モデル定住圏というのが設定されておりまして、このモデル定住圏におきましては、特徴的なところは、雪にも負けない便利な交通体系の整備を図るとか、あるいは雪に強い町づくりなどの事業を積極的に推進している、これが特徴であろうかと思います。
  302. 望月薫雄

    ○望月政府委員 建設省の関係では、地方生活圏というのを昭和四十四年以来実施いたしております。この考え方は、都市と農村を一体としてとらえて市町村を超えた圏域として、幹線市町村道など建設省所管の事業を体系的に進めていこう、こういうねらいのものでございます。現在全国で百七十九の圏域を設定しておりますが、新潟県につきましては七つの圏域を設定いたしております。  ただいま国土庁の方から御答弁ありましたモデル定住圏との関係でございますが、新潟県におきましては、上越モデル定住圏というのが指定されているというお話ございましたけれども、これはちょうど私どもの上越地方生活圏とイコールの区域でやっております。
  303. 谷口恒夫

    ○谷口説明員 自治省といたしましては、広域市町村圏というものを設定しております。発足当初、昭和四十年代の初めでございますが、いわゆるモータリゼーション等の発達に伴いまして、住民の日常社会生活圏が広域化してまいりました。それに対応するために、都市及びその周辺農山漁村を一体とした圏域ととらえまして、その総合的な振興整備を図る、こういう目的で設定したものでございます。  さらに、最近におきましては、住民の都市的行政ニーズというものにこたえまして、より高度の教育でありますとか文化でありますとか、あるいはサービス供給システムの広域化でありますとか、そういった面にも配慮をいたしまするし、また産業振興、雇用対策、こういった面から地場産業の振興等も含めて、やはり広域的に、総合的に対応するというふうに考えておるところでございます。  その広域市町村圏は全国で三百三十六圏域ございますが、新潟県では十二圏域が設定されております。  また、広域市町村圏行政の利点は何かというお尋ねでございますが、先ほども申しましたとおり、広域市町村圏内におきまして各種の事業が総合的、計画的に実施されまして、圏域が一体的に振興整備が図られるというものが最大の利点であるというふうに考えておるところでございます。
  304. 入山文郎

    ○入山説明員 厚生省は二次医療圏でございますが、これは医療法に基づきまして都道府県が作成いたします医療計画において、主として一般の入院医療を提供する地域的単位として設定されるものでございます。新潟県におきましては、既に昨年十三圏域を設定いたしまして、全国四番目の速さで医療計画が作成されているわけでございます。  その利点でございますが、医療圏ごとに計画的に医療施設整備を図っていくということでございまして、医療資源の地域的偏在の是正あるいは効率的な活用といったものに利するというように考えております。  以上でございます。
  305. 坂上富男

    坂上委員 さて、各省からその構想、生活圏等をお聞きをいたしました。  私の町は燕三条圏らしいんですが、自治省と建設省はぴたりと合っているようでございますが、厚生省と自治省と合ってますか。これはどうです。
  306. 入山文郎

    ○入山説明員 医療圏の設定に当たりましては、既存の圏域等に関する資料も参考にするように医療計画作成指針というものがございますけれども、その指針によりまして各都道府県を指導しているところでございます。しかし、それぞれの圏域設定の目的が異なっておりますので、二次医療圏につきましては、患者の受療状況等を分析した結果、他のそういう圏域と必ずしも一致しない、そういう場合が生ずるということも考えられるわけでございます。
  307. 坂上富男

    坂上委員 一致していないわけでございます。全く関係のないところと圏を同じくされているわけであります。そしてまた、各省庁はおのおの自分自分の考えによって圏域をつくっておられる。これでは果たして本当に理想とするところへ到達しているんだろうか。そしてまた自治省や建設省が、今おっしゃった圏域を検討しますと、ほとんど関係がない地域を圏域にしていると私は思うのであります。したがって、外れた地域はあっちにつけられこっちにつけられというような状況でございます。  例えば、今度は新潟県全体のことを考えてみますと、いわばJRは新潟は山形県と関係がある、それから電話関係は長野と新潟をやっておる、それから自動車関係などは富山県とやっておられて、一体新潟県なんというのは関東地方なのか東北地方なのかわからぬというようになっておるわけでございます。これが、今度は圏域をこうやって分けますと、端っこの町村は、おまえのところはあっちにひっつけ、そして我が省のときはあちらにひっつけといって、まさに全く縦割り行政が出てきて、ひずみが各町村に出ておって、それでもまだ相当な利点でもあったならばいいのでございますが、全く机上で計算をされたものが行政として行われているのじゃなかろうかな、こんなふうに実は思っておるわけでございまして、いわば各省のこういう広域圏の整合性というものをどの程度お考えになって設定をなさって、こういう行政をなさっているのか、ひとつ各省の代表の方、お答えをいただきたいと思います。
  308. 長沢哲夫

    ○長沢政府委員 モデル定住圏の設定が問題になりまして、その広域市町村圏あるいは地方生活圏等々の各省の圏域との調整が問題になりましたのは、三全総が策定されて二年ぐらいの間でございました。  昭和五十四年七月十六日付でモデル定住圏計画策定要綱なるものを国土庁が定めております。その要綱の中ではモデル定住圏設定の要件として幾つかの要件を挙げてあるわけでございますが、その中に、地方生活圏、広域市町村圏等の圏域と調整された圏域であることという要件を挙げてございます。もとより、それぞれの行政目的、それぞれの政策目的に沿ってつくられている圏域でございますのでぴったり一致するというわけにはいかないわけでございますけれども、非常に緩やかな意味でそれらの各圏域行政が重層的に積み重なって定住条件を形成していく、それが定住圏である、こういう考え方でこの定住圏の設定が行われておりますので、緩やかな意味ではありますが調整のとれたものになっているというふうに考えております。
  309. 坂上富男

    坂上委員 時間がないから各省いいです。  大臣どうでしょうか、今言ったような問題が出ているわけですが、こういう縦割り行政の弊害が出てひずみが出ておって、利点がほとんどないのじゃなかろうか。若干あるところもあるでしょう、道路とか広域の消防とかそういうのはあるのですが、全体をやっているとは僕は思わないわけでございまして、端っこなんかまさにひずみが出ている、こう言っても過言じゃないと思っておるわけでございますが、建設大臣、御感想をひとつ。
  310. 越智伊平

    越智国務大臣 今、各政府委員からお答えをいたしましたが、例えばお話にありました道路にいたしましても消防にいたしましても、いろいろ一つの市町村だけではできない広域的なものということであります。  各省でそれぞれ設定をしてやっておられますが、私が今まで感じておりますのは、決して悪いというふうには思っておりません。また、各省間での摩擦、こういうことも今のところ出ておるようにございません。いろいろやることについては連絡をとり合って、もちろん市町村が対象でございますから、そことの連携もありますから、ひずみが出ておるという実感は今のところございませんが、またそういうことがありましたら是正をしていくように努めたいと思います。
  311. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 新しく広域行政圏を設定するという場合には一つにすることも不可能じゃないと思うのですけれども、時間的にも発足が違っておりましたし、またねらいもそれぞれ違っておったわけでございますので、今日のような状態になってくることはやむを得ないのじゃないかな。でございますので、その違った中でできる限り協力をし合っていくという姿で進めていくことじゃないだろうかな、こう思っておるところでございます。
  312. 坂上富男

    坂上委員 その点をひとつよく調べていただきまして、ひずみと申しましょうか、広域圏とただ言っても本当に各省が都合がいいようなことしかしてないので、今道路の話があったわけでありますが、この広域圏の間の道路だけではないのでございまして、今道路なんというのは新潟から東京まで、新潟から大阪までというような道路なんでございまして、広域圏圏内における道路というのは今そんな小さいものじゃなかろうと私は実は思っているわけでございます。そんなような意味で、ひとつ全体的に整合性というものをもっと調整をしていただく、そしてこの構想があるならば、圏をつくったならば、つくったなりの利点というものを与えていただきたいな、こう思っているわけであります。  時間がありませんので、いま一つだけ地元の仕事の話でございますが、私の町三条市は本当に今、市の活性を願って都市開発をいたしまして、昭栄ビルというものを大変な困難の中でつくり上げたわけであります。しかし、これはつくっただけでは全く袋のネズミでございまして、これには橋をつくったり道路をつくったりしなければならぬわけでありまして、さしあたり昭栄橋というものを早急につくっていただかなければならないわけでありますが、ちょっと見通しを聞かせていただきたいと思っておるわけであります。  同じ川にかかっておるものでございますが、田島橋というのがまたあるわけであります。一つやっている以上はあとはその次だなんというようなことも実は聞いておるのでありますが、いかがなものか。ひとつきちっとしていただかぬといかぬと思っておるものでありますから、具体的な話をお聞かせいただきたいと思います。
  313. 木内啓介

    木内政府委員 実情につきましては先生の方がよく御承知だと思いますので、簡単に答弁させていただきたいと思います。  昭栄橋につきましては今三〇%ぐらいの進捗状況で、橋はたくさんの事業費がかかりますので、用地買収は大体済んでおりますけれども、橋梁の下部工の着手を六十三年度ぐらいからやりたいと考えております。それで、完成の見通しでございますけれども、できれば六十六年度ぐらいをめどに整備促進を図ってまいりたいと考えております。  それから、田島橋、これ二本の橋で、三条市も大変でございますけれども、これも三条市が都市計画道路としてやっているわけでございまして、これも六十二年度までは事業費ベースで三〇%の進捗になっております。六十三年度はまだ引き続き用地買収を進めてまいりたい。これも六十年代には完成するよう市の方も努力しておりますので、できるだけの応援はしてまいりたいと考えております。
  314. 坂上富男

    坂上委員 要望だけでございますが、昭栄橋というのは本当に三条の命運をかけたような状況になっておるわけでありまして、それを生かすも殺すもこの昭栄橋が早期に完成するかどうかにどうもかかっていると思うのであります。これが六十六年ぐらいというようなことになりますと、三年間本当に袋のネズミのところで、せっかくの開発したビルが死ぬおそれがあるのじゃないかと大変心配します。また、この昭栄橋の影響で田島橋が六十年代で完成などということは、住民は大変怒ると思うのでありますが、これはもっと促進していただかなければ本当にみんなしわ寄せが来るような感じでございますので、ひとつ強く要望をしておきまして、時間だそうでございますので終わらせていただきます。ありがとうございました。      ────◇─────
  315. 中村喜四郎

    中村委員長 次に、内閣提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の三案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。越智建設大臣。     ─────────────  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案  農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案  特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  316. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいま議題となりました道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  現行の第九次道路整備五カ年計画は、昭和六十二年度をもって終了することとなりますが、我が国道路道路交通の進展に比し、その整備のおくれが目立つなど、今なお質、量ともに不十分な状況にあります。今後、多極分散型国土の形成、地域社会の活性化等の緊急課題に対応するとともに、国民生活の充実を図るなど、国民道路整備への要請に的確にこたえつつ、道路整備の立ちおくれに適切に対応するためには、緊急かつ計画的な道路整備を推進する必要があります。  このような状況にかんがみ、政府といたしましては、昭和六十三年度を初年度とする道路整備五カ年計画を策定して、道路を緊急かつ計画的に整備することとし、このため、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、昭和六十三年度を初年度とする新たな道路整備五カ年計画を策定することといたしました。  第二に、道路整備五カ年計画に合わせて、昭和六十三年度を初年度とする奥地等産業開発道路整備計画を策定するため、奥地等産業開発道路整備臨時措置法の有効期限を昭和六十八年三月三十一日まで延長することといたしました。  その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。  次に、ただいま議題となりました農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、農地の所有者等による居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに、市街化区域の水田を主とした農地宅地化に資することを目的として、昭和四十六年に制定されたものであります。  この臨時措置法の適用期限は、当初昭和五十年度までとされておりましたが、過去四回の改正により、現在は昭和六十二年度まで延長されております。  これまで、この臨時措置法により、農協資金等を積極的に活用した農地所有者等による賃貸住宅の供給が行われてまいりましたが、三大都市圏など都市地域においては、良質な賃貸住宅の供給の促進を図ることがなお大きな課題であり、この臨時措置法は、今後とも住宅政策上重要な役割を有しておりますので、その適用期限の延長を図る必要があると考えております。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次にその要旨を申し上げます。  この法律案におきましては、農地の所有者がその農地を転用して行う賃貸住宅の建設等に要する資金の融通について、政府が利子補給金を支給する旨の契約を結ぶことができる期限を三カ年延長し、昭和六十六年三月三十一日までとするとともに、昭和六十六年三月三十一日において現に賃貸住宅を建設するために宅地造成に関する工事が行われている土地に建設される賃貸住宅に係る融資につきましては、その期限を昭和六十八年三月三十一日まで延長することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、昭和四十八年に三大都市圏の特定の市の市街化区域に所在する農地に対して固定資産税課税適正化を図るに際し、これとあわせてその宅地化を促進するために必要な措置を講ずることを目的として制定されたものであり、特定市街化区域農地宅地促進のための事業の施行、資金に関する助成、租税の軽減等をその内容としております。  これらの措置の適用期限は、同法のほか、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法、租税特別措置法及び地方税法により、当初それぞれ昭和五十年度までとされておりましたが、各法の一部改正により、現在は昭和六十二年度まで延長されております。  しかしながら、特定市街化区域農地宅地化の動向及び今後の三大都市圏における宅地需要を考えますと、昭和六十三年度以降においてもこれらの措置を引き続き適用し、特定市街化区域農地宅地化の促進を図ることが必要であると考えられるのであります。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次に、その要旨を御説明申し上げます。  前述のとおり、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法に基づく措置につきましては、同法のほか、他の法律によりそれぞれの適用期限が定められておりますが、この法律案におきましては、同法の附則において適用期限が定められている土地区画整理事業の施行の要請及び住宅金融公庫の貸付金利の特例措置につきまして、その期限をそれぞれ三カ年延長し、昭和六十六年三月三十一日までとするとともに、住宅金融公庫の貸付金利の特例措置に係る金利について現行の法定金利を上限として政令に委任することとしております。  なお、前述の他の法律により適用期限が昭和六十二年度までとされている措置につきましては、別途今国会に提案されているそれぞれの法律の改正案において、その適用期限を三カ年延長することといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  317. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  次回は、明二十四日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会