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1988-03-02 第112回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中村喜四郎君    理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君    理事 東   力君 理事 中村  茂君    理事 矢追 秀彦君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       大塚 雄司君    金子原二郎君       木村 守男君    北村 直人君       田村 良平君    武村 正義君       松田 九郎君    松永  光君       小野 信一君    木間  章君       三野 優美君    大野  潔君       伏木 和雄君    伊藤 英成君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 奥野 誠亮君  出席政府委員         国土政務次官  大原 一三君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         水資源部長   大河原 満君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         建設政務次官  古賀  誠君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官事務代         理       中嶋 計廣君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 木内 啓介君         建設省河川局長 萩原 兼修君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         建設大臣官房審         議官      伊藤 茂史君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     宮繁  護君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   橋本龍太郎君     北村 直人君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 中村喜四郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  両件調査のために、本日、参考人として日本道路公団総裁宮繁護君及び住宅都市整備公団理事渡辺尚君の出席を求め、意見を徴したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────
  4. 中村喜四郎

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村守男君。
  5. 木村守男

    木村(守)委員 私は、まずもって国土庁長官にお尋ねをしたいと思います。  長官におかれては、御就任早々都市近郊中心とする土地対策等について、的確、果敢な対応に御努力されていることに心から敬意を表します。また、二十一世紀を志向して大きな節目として四全総策定を受け、これに対応すべく具体的諸問題に既に取り組まれていることを多とするわけであります。そこで、時間の関係もありますので、数点に絞って具体的に所信を伺いたい、こう思うわけであります。  まず、この四全総まで来る間の我が国の一つ国土庁の使命というのは、全国の均衡ある総合的な発展を促してきたと思います。その中で脈々と続いてきているのは、今申し上げたように、全国の均衡ある発展、そして時代の要請にこたえて、特に高速ネットワークというものをその柱にして唱えてまいっています。しかるに、新全総、二全総あるいは三全総においても、新幹線については具体的に極めて積極的な表現をもってこれをあらわしてまいりました。しかしながら、今度の四全総においても整備新幹線についても触れられておりますが、これまでの経緯を申し上げますと、御案内のとおり、もう既に十三年、十四年と経過いたしておりまして、この間、具体的に残されている希望三線については何ら具体的な目安がまだついていないのが現状であります。  御案内のとおり、昨年六月三十日に閣議決定となった四全総も、多極分散型形成のための交通体系としての整備五線については逐次着工するとされております。ちなみに新全総においては、各地域基本構想の中で「建設する」または「建設を早急に行なう」等と記されておりました。三全総においては、整備五線については「環境等を含め徹底的な調査を行い、国鉄財政再建の成果、経済社会情勢推移等を見極め、順次その建設を図る。」とされておりましたが、いまだその見通しさえも立っていないのが現状であります。  昨年末、我が党、政府間においての申し合わせによりまして、今後八月をめどとして財源問題の検討委員会並びに順位を決めるべく検討委員会のスタートを切っておりますが、八月先送りといっても、今極めて厳しい環境にあるのじゃなかろうか、こう思っております。そういう中で、四全総目標年次までにこれを効果あらしめるためにはどうしても整備新幹線着工実現が待たれるわけでありますが、長官決意のほどを、そしてまた、本来ならばこの政府与党検討委員会にできれば長官みずからもメンバーとしてお入りになるべきでなかったのか、また、これからでもそういう御意思があるのかどうか、率直に伺いたいと思います。
  6. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 高速鉄道をどこからどこに建設をするかということになりますと、国土政策の大きな課題になると思います。現在の整備新幹線は既にそのことは決定しておるわけでございますので、あえて国土庁が今度の問題に首を突っ込む必要はないんじゃないかな、こう思っておるわけでございます。  今や言われておりますのは、どの線から着手していくか、財源問題をどうするかということが中心だと伺っておるわけでございます。一刻も早く問題が解決して、新幹線建設に着手されることが、今御指摘になりましたように、国土の均衡ある発展のために大変必要なことだと考えておるわけでございます。  もう大分昔の話でございますけれども、高速道路をどうつけていくかということにつきまして、常に東京から事業を始めているじゃないか、これでは地方発展しないよ、高速道路をつけるなら青森から東京に向けて着手していくべきだ、鹿児島から東京に向けて着手していくべきだ、そうすれば国土の均衡ある発展が図られるんだと言われた方がございました。私も同じような気持ちを持っているわけでございまして、同時にやはり高速交通網を早く整備していくことが国土をくまなく国民に適切に利用してもらえるような状態に置けることになるんじゃないかな、こんな気持ちも持っているわけでございます。私も早い時期に着手されることを望んでいる一人でございます。
  7. 木村守男

    木村(守)委員 基本的な大臣姿勢は了とするわけですけれども、検討委員会にあえて入らなくてもと、こうおっしゃいますから、それはそれで、国土庁の持つ性格としてそれも了解できないことではありません。ただ、順調に来ておりませんので。しかし、大臣の今の答弁に尽きるかもしれませんが、今後とも四全総ある限り、整備新幹線についての推進を、実現を期すということについての政策変更はあり得ないということで理解してよろしいのですか。
  8. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 四全総実現を確実にしたい、そんな気持ちで今法律案をまとめている最中でございまして、その中にも高速交通体系整備していく、それを促進していくというような一項を設けておるわけでございます。  やはり高速鉄道網をどこにどのようにつけていくかということは国土発展と深いつながりを持っているものだ、こう考えておりますので、私たちは努力を続けていかなければならないと決意しているわけでございます。
  9. 木村守男

    木村(守)委員 長官にもう一言伺います。  先ほど、できるだけ青森からでもどこからでも、東京側からでなくてという、もっともなお話で心強く思いました。特に四全総の中にも、例えば札幌—仙台間の国土の均衡ある発展のために具体的に青函インターブロック交流構想というのが書かれてある。だとすれば、青森函館を核とするということは結構だ。そういうことなどを踏まえても、四全総の確かな実現のためにはどうしても盛岡以北残工事——青函トンネルは、御案内のとおり新幹線を通すための規格で国家の莫大な投資をやって今度完成されたわけです。そういう政策継続性とかあるいは効率活用とか、まして四全総で言われている青函インターブロック交流圏の核としての青森—函館間、それ等々を考えると、盛岡以北トンネルまでの百七十キロの残工事の促進のための決意のほどを具体的に伺います。
  10. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 おっしゃっておりますように、ばらばらに事業をやっておったのでは私は生きてこないのじゃないかな、総合的に計画を進めていくし、総合的に利用に供されるように持っていかなければならないな、こう思っております。四全総にも御指摘の記載もあるわけでございますので、将来とも留意してまいりたいと思います。
  11. 木村守男

    木村(守)委員 盛岡以北残工事について御言及願います。
  12. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今の御指摘十分心にとめて努力をさせていただきます。
  13. 木村守男

    木村(守)委員 よろしくお願いします。  次に、四全総一つの柱として、時代に対応すべくいわゆるリゾート開発が目玉になってきた。いま一つは高規格道路建設省ともども、私ども地方にある者としては非常に結構だな、こう思っております。そこで、このリゾートには大変各地域熱意がございまして、順次国土庁に御指導いただき、指定をいただくべくその時期に入ってきていると思いますが、私はこの場合、この面積についても十五万ヘクタールというのが一つの網になっておりますが、北海道あたりとかあるいは青森県なんかでも、雪国であるけれども海を持っているとか、四季を彩る折々のスポーツ、観光とか、いろいろと考えられる。それやこれや考えた場合に、十五万ヘクタールといっても、その地域実情に合ったような御指導、御判断をいただける方向でのこのリゾート開発推進をお願いしたいと思いますが、その辺はどうですか。
  14. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 十五万ヘクタール以内というのは一つめどだと思うわけでございまして、若干の増減、それは当然あってしかるべきだと思います。
  15. 木村守男

    木村(守)委員 それから、高規格道路について伺いますけれども、これも先ほど新幹線の際の答弁の中に、一つ考え方として、必ずしも東京側ばかりとか言わないで青森側からでもというような御発言があったようです。道路についてという例をとられたようですけれども、高規格道路を、例えばとかく行政的には経済波及効果とか当面の需要増見通し、そういうことなどが優先要因になってこの調査、あるいは着工へとなる。今度の四全総調査費全国網羅した調査費ということになるのでしょうけれども、その次に来るべく着工への段階になった場合に、どこから着工してもらえるか、こうなると、そういう経済ベースだけで考えないで、やはり先行投資的な、あるいはリゾート開発地域、あるいは港振興を控えてその建設途上にあるとかあるいは既に着手している現状、そういう実情を踏まえたことを要素として着工順位に留意してほしいが、その考えを伺いたい。
  16. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先ほど申し上げましたように、国土庁で用意しております法律案の中に高速交通機関整備を促進していくという規定を置いておるわけでございます。その規定のもとに各省間でどう話し合いをしていくかということでございますけれども、やはり本来どこを先にやるかという考え方が出てくるのがあるべき姿だろうと思います。しかし、それもなかなか言うはやすくて難しいことではないかと思います。  しかし、そういう考え方に立つべきだと思いますし、同時に、一般的に道路建設の場合に一番ネックになるのはやはり用地確保じゃないかな、用地確保の場合に地元がどれだけ熱意を示すかということじゃないだろうかな、こんなこともございますので、やはり地域地域の住民の熱意もこういう問題には大きな影響を持つのじゃないかな、私はこう思っております。
  17. 木村守男

    木村(守)委員 今の件についてもう少し具体的に局長から。
  18. 三谷浩

    三谷政府委員 ただいま高規格の御質問がございました。高規格道路、六十二年の六月に道路審議会答申を得まして、一万四千キロ、こういうことで決定をしております。中身といたしましては、高規格幹線道路は、いわゆる従来の国幹道の延伸でございます分が一万一千五百二十キロと、それから一般国道自動車専用道路の分が二千四百八十キロメートル、こういうことで効率的かつ計画的に整備をいたそうというふうに考えております。昭和七十五年までにおおむね九千キロの供用を図ることを目途といたしまして、この昭和六十三年度から始まります第十次五カ年計画におきましても、昭和六十七年度末の供用延長を約六千キロメートルとするようにその整備を積極的に推進しようというふうに考えております。  そこで、その整備の問題でございますが、いろいろ今調査をしております。いずれにいたしましても、先ほど御答弁がございましたように、高規格幹線道路については多極分散型国土形成を図り、国土の均衡ある発展を図る上で重要なプロジェクトでございますので、交通需要を初めとしまして各種開発計画動向等も十分勘案しつつ、地域活性化に資するようその整備推進してまいりたいというふうに考えております。
  19. 木村守男

    木村(守)委員 次に、土地対策について伺っておきたいと思います。  国土庁長官土地対策には大変緊急に精力的に取り組まれたことは心から敬意を表します。特に具体的に心ない不動産業者等に対する融資規制等を初めとする金融面での指導規制、そしてまた土地の供給ということで既に具体的に取り組まれているわけでありますが、私はこの機会に、そういう面だけでなくさらに土地高度利用ということが必要じゃなかろうか、特に大都市においてはそういう気がいたします。さらにはまた、その前提として、公的規制や既に論議されてまいっておる私権制限強化というのは避けて通れないこれからの大きな課題じゃなかろうか。土地というのは元来、供給しても再生産できない、そういう性格を厳然として持っている。だとすれば、やはり長期にわたって効果のある、しかも今すぐ取り組まなきゃいけないのはそういう公的規制私権制限強化、こういう点を今突っ込んで取り組むべきじゃなかろうか、こう思っておりますが、いかがですか。
  20. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御指摘になりましたように、土地国民が活動をし生活する共通の基盤でございますので、単に私的な所有権の対象になってはおりますものの、公共の福祉ということを頭に置いていかなきゃならない。そういう意味においていろいろな私権制限を受けることはやむを得ないじゃないかな。また、そのための都市計画法でありますとか国土利用計画法でありますとか、いろいろな法律もあるわけでございます。さらになお一層進めるべき課題があるじゃないかということで、新行革審においてもこの問題を取り上げていただいておるわけでございまして、六月には答申をいただけるということにもなっておるわけでございますので、そういう答申にも期待をかけておるところでございます。
  21. 木村守男

    木村(守)委員 次に、建設大臣がまだのようですが、時間の関係もありますので一応質問を続けて、間に合っておいでになれば御答弁を求める、間に合わなかったら関係局長からということでよろしく委員長お願いします。  今度の六十三年度予算では総体的に四・八%の伸び公共事業においては一九・七%の伸びとなったわけであります。特にこの公共事業関係は、昨年当初で比較いたしますと、実質的には横ばいですが、NTT株売却益でのプラスで一九・七%増になったという、この事業量事業予算確保に御尽力された建設大臣並びに関係皆様に心から敬意を表し、感謝申し上げるわけであります。  そこで、昨年の緊急対策、五兆円規模の公共投資の通過が功を奏して景気が昨年六、七月ごろから上昇に入っていることは結構なことであります。しかしながら、今後とも国際公約さらには国民経済安定拡大のために内需拡大努力していかなければいけないわけでありまして、今後特に国土の均衡ある発展、あるいは特に長い間景気の低迷を余儀なくされてきた地方あるいは特別不況地域積雪寒冷地域等に対して、せっかくの予算重点配分していかなければいけない。そういう点についての基本的な考えをまず伺いたい。
  22. 越智伊平

    越智国務大臣 今先生から御意見がございましたが、社会資本が大変立ちおくれておる、これはお話のとおりであります。また、予算配分につきましては、私かねがね申し上げておりますが、開発のおくれておるところ、不況地帯、こういうところに重点的な傾斜配分をしていきたいというふうに存じております。
  23. 木村守男

    木村(守)委員 既に大臣は御承知おきと思いますが、積雪寒冷地域とか地方重点的配分をお願いしなければならないのは、今までみんなそうおっしゃって努力してくれているけれども、現実にはなかなかそこまで裏づけがなされていない。例えば、国土庁長官もおられますから、せっかくでございますからちなみに申し上げますが、昭和五十一年から六十年までの十年間、いわゆる三全総期間公共投資額を調べてみると、総額は五十五年基準価格全国実績二百二十三兆円となっております。そのうち、新潟県を含む東北七県の公共投資額は二十五兆九千億円で、全国比で一三・二%、東北六県の公共投資額となると十九兆九千億円で全国比で一〇・二%だけで、特に青森県などは見ますと三兆四千億円で全国比一・七%と低い投資額でございます。こういう程度でいくと四全総においてもまた地方はおくれる。四全総が完成されるときごろにようやく三全総の中ぐらいまでに沖縄とか北海道とか、沖縄特殊事情があるから特別立法で頑張ってもらうにしても、北海道とか東北六県はさらにまた四全総の終わりごろにようやく三全総段階じゃなかろうか、こう言っても過言でない。極めて深刻であります。そういうことなどを考えると、今率直に大臣がおっしゃられたそれを、具体的に積雪寒冷地域あるいは不況に悩んできた城下町等中心とする地域、そういうところに重点配分をしなければいけません。そういうことをひとつ大きく私としては要請しておきたい。  それからいま一つ、毎年のことですけれども、今までは財政が厳しい、そのために前倒しをせざるを得なかった。そのために雪国である青森県とか東北の一部、北海道冬期間働く場所がなくなる、公共事業がなくなる、出稼ぎをせざるを得ない、家庭問題に波及する、こういうことでございます。それではいけないので、この冬期間をどうするか。予算平準化、今度大臣初め皆さん方努力公共事業費伸びましたからそれなりに平準的に使っていけるかもしれないけれども、平準化することによって、実質的には総体では予算伸びても前倒しでいかしてもらったときよりは上半期が今度逆に落ち込むというようなことがあっても相ならない。それでは経済が順調に伸びていかない、こういうことでもあります。あるいは毎年の端境期の場合にはどうしても空白を生む、こういうこともありますので、その辺に対する留意された考え方を伺っておきたい。
  24. 越智伊平

    越智国務大臣 第一点、今まで傾斜配分を言っておるけれども、現実にできてないではないか、こういうお話でございますが、この点につきましては、六十三年度についてはきちっとやりたいと思っております。  第二点の事業平準化につきましても、一つには資材価格の問題、また労務の問題、また地域の問題、お話にありました積雪寒冷地帯の問題等々を考慮いたしまして平準化いたしたい、こういうふうに思っております。でございますから、年度当初から事業ができるように、そして積雪寒冷地帯ではできるだけ早くやっていただきますし、その他では平準化して進むように、これは資材価格対策もありますし労務対策も含めてやっていきたい、こういうふうに存じております。
  25. 木村守男

    木村(守)委員 建設大臣に伺います。  六十年度から六十三年度までの暫定として高額補助事業等についての補助率の一律カットがなされてきました。六十三年度で終える御予定ですか。地方自治体にしてみれば速やかに解消してほしい、こういうことに相なります。今度の税収、税制改革見通し等によるかもしれませんが、いずれにしてもこれに対する各省間の調整は終えたのかどうか。
  26. 越智伊平

    越智国務大臣 補助率の問題でありますが、このことは事業を多くするか、事業を小さくして補助率を上げていくかの問題もございますし、また各省庁いろいろございますし、地方公共団体等もありますので、この問題はひとり建設省だけでどうということもできませんので、よく各省庁あるいは地方公共団体等意見を聞きながら六十四年度以降については配慮をしていく、こういう考えであります。
  27. 木村守男

    木村(守)委員 両大臣に御理解願いたいのですけれども、積雪寒冷地域、そこに住む人でなければこの喜びも苦しみもわかりません。そこで、高速ネットワーク全国やろうとしている。もうやってもらっている時代です。それに引きかえ、建設省の維持されている直轄国道、それももう昔と違って、モータリゼーションの時代は、必ずしも豪雪地域でなくても一般的な積雪寒冷地域にとっても地域生活道路でもあるのです。その中で、そういう地域は普通のところよりは幅員を一・二か一・五ぐらいの幅を持たせて御配慮をいただいておりますけれども、現状に合いません。車道除雪確保している。その除雪がゆえに歩道が死んでしまっている、全部とは言わないけれどもおおむねそういう現状であります。これが一つの例でございますけれども、こういう時代に入ったら、この際四全総あたり建設省みずからも積雪寒冷地域の抜本的な建設行政に、あるいは国土庁自体がそれに取り組んでいく姿勢を示すべきだ。  一つの例として道路幅員のことを今申し上げましたけれども、例えば通学スクールゾーンにしても除雪費の中での措置で毎年幾らか予算は伸ばしてもらっているけれども、車道確保には除雪費と銘打っているけれども、歩道確保にはそういうことは予算上項目にも取り上げてないのですよ。こういう姿勢ではよくない。道路だけでありません。この際、国土庁あたり一つの哲学を示して、積雪寒冷地域に住む人々の暮らしをどうするか、またそれを受けて、あるいはそれ以前にも直接主管となる建設省積雪寒冷地域に対する総体的な見直しに入るべきだと思います。この点について伺っておきたい。
  28. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 積雪寒冷地帯長期計画見直しを今やっているところでございまして、近く決定できると思います。その中で、御指摘になりましたように、車道除雪だけじゃなしに歩道除雪も始めようじゃないかということを取り上げておるわけでございますし、同時にまた、住宅につきましても克雪住宅普及奨励を図っていこうというようなことも取り上げておるわけでございまして、前進をさらに続けられるように努力していきたいと思います。
  29. 越智伊平

    越智国務大臣 全般的にはただいま国土庁長官からお答えしたとおりでありますが、例えば道路の話が出ましたが、道路の構造等についてもよく研究検討をして、積雪寒冷地帯道路車道歩道を問わず利用できるような方法、拡幅の問題等研究をしてまいりたい、かように思います。
  30. 木村守男

    木村(守)委員 ありがとうございました。
  31. 中村喜四郎

    中村委員長 次に武村正義君。
  32. 武村正義

    ○武村委員 私は、専ら地方で答える仕事ばかり十数年やってまいりまして質問は余りなれておりませんが、三十分よろしくお願いを申し上げます。本当は地元の琵琶湖総合開発とか道路、河川、下水道等切実な問題についてお尋ねをいたしたいのでありますが、いささか背伸びをしまして、国土とか都市のあり方について私見を申し述べ、ぜひ両大臣の御所見を賜りたいと思っております。  まず最初に、日本の国でございますが、何となく国民の常識として我が国土は大変狭い、しかも大半が山である、そこに一億二千数百万の国民が住んでいるのだから、せせこましいといいますか、ほかの国に比べて住宅土地の条件が大変悪いのはやむを得ないのだというふうな一種のあきらめのような常識があるわけでありますが、率直に申し上げて、奥野大臣にまずお聞きしますが、これは御感想として、一億二千万の国民の数とこの三十七万数千平方キロの国土とのかかわりについて、大変狭いというふうにお感じなのか、それほど狭くないとお感じなのか、御感想を賜りたいと存じます。
  33. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 日本の国土は世界の陸地の〇・三%しか占めていない。その中に世界の総人口の二・五%住んでいるわけでございますし、また可住地の面積がたしか二一%と承知しておりますが、欧米は大体五〇%か六〇%あると言われております。そういうことから考えますと、人間の割には狭いということになるのでしょうけれども、反面海岸線の長さは私は世界有数じゃないかな、人口一人当たりの海岸線をとってみたら世界で抜群の国じゃないか。そうなりますと、土地利用度は非常に高いということになるわけでございまして、そうなると土地は広い、こういうことになるわけでございまして、物の考え方によって狭いとも言えるし、広いとも言えるのではないだろうか、こう思います。
  34. 武村正義

    ○武村委員 ありがとうございます。御指摘のとおりでございますが、人口密度、中学校のときに習った数字なんかを思い出しますと、同じように国土との対比ではイギリスやオランダやベルギーなんかも大変日本に近いという意味では狭い国だなあと思っておりましたが、今大臣指摘のとおり、可住地面積といいますか、人間が都市的に活用可能な国土の面積が非常にゆったりしている。この差が大変大きいと私も思うわけであります。  ただ、それにしましても日本は三分の二が山であるというふうに習ってきたわけでありますし、事実そうでありますが、可住地面積をとりましても、今建設省の、これは公式見解かどうか知りませんが、監修の書物には二一という数字が上がっておりますが、国土庁が片方、傾斜度八%というふうな物差しから傾斜度八%以下の国土を一応可住地面積としてとったものは二八・六だそうでございますし、朝日新聞の「民力」という書物を見ますと、これは全国土から森林と原野と湖沼を差っ引いているわけです。建設省もそうなんですが、森林のとり方が平地林等と傾斜度の低い森林は省いているというとり方で見ると三二%という数字がございまして、どちらかというとこの数字が一番実態に合っているのかなと私は思っているわけでありますが、この三二という数字を前提にしますと、我が国土、狭いと言われる国土の約三分の一弱の面積が可住地面積である、いわゆる開発可能といいますか、山林以外の目的で利用が可能な国土であるというふうに理解ができるわけであります。  片方、一体我々は今国土のどのくらいを活用しているんだろうかという数字も調べますと、さまざまな数字がありまして、これはなかなか決まった数字を申し上げるわけにいきませんが、例えば市街化区域の面積は一万四千数百平方キロという数字でございます。ここからいわゆる市街化区域に入っている平地林、農地なんかを引きますと一万一千数百平方キロ。三十七万か八万平方キロ、これは北方領土が入るか入らぬかで差があるようでありますが、三十七万としましても、この広い全体の国土面積の中で市街化区域も一万四千でありますし、実際に既成の市街地というのは一万一千数百だということになりますと、まあ三%弱という数字になるわけでございます。言ってみれば全国土の三十分の一、三%弱ぐらいしか我々は都市的には活用してない。先ほどの可住地面積三二という数字からいきましてもその一割前後しか我々は活用していないということになるわけでございます。  そういう数字の理解でいきますと、まだまだ開発可能といいますか都市的な土地利用可能な国土というのは非常に広い。今の十倍ぐらいあるんだという理解もできるわけでありまして、今日までの国土政策とか都市政策を振り返りますときに、我々は少し国土の使い方が下手なんじゃないか、狭いからしようがないんじゃなしに、非常に日本という国は広いんだ、ゆとりがあるんだ、土地はたっぷりあるという認識をむしろ持って、その上で一体どういうふうにこの可住地面積を中心にした国土を活用していったらいいんだろうか。もちろん北海道とか地域によって随分ばらばらでございますから、関東平野はかなり可住地面積を使い果たしておりますし、北海道のようにまだ大変余っているところもあるわけですから、いきなり人口をたくさんそこへ移動するわけにもいきませんから、そう極端にはいきませんが、全体でとらえたときに、もう少し国土利用、特に都市的な土地利用の面積を思い切って拡大するという政策を打ち出すことができないだろうか。  従来、我々はどうしても極端なことはできませんし、現状の中で可能な道を求めてきたわけであります。しかし、結果としてみると、戦後の灰じんの中から出発をして、バラックを建て、モルタルを建て、鉄筋を建て、そして超高層を建てというふうに努力をしてきたわけではありますけれども、何となく継ぎはぎといいますか対症療法的な政策を続けてきた嫌いがございます。この辺でこの三十七万平方キロの我が国土全体を隅々までにらみつけて、そこから一億二千万の国民がもう少し広々と、空間的な意味ですが、生きていくためにはどういうふうな国土政策なり土地利用なりあるいは都市政策、ひいては人口や産業の再配置とか国土のインフラストラクチャーの整備の問題に絡まってくるわけでありますが、そういう何か一遍御破算で願いましてはというようなことはちょっと極端でありますが、そこから何か発想し直して、そして現実を踏まえた、しかし超長期の視点に立った新しい国土政策なり都市政策を打ち出していく必要があるのではないかということを感じているわけでございますが、この点についていかがでございましょうか。
  35. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 日本全体を見ますと、東京一極集中になっていると思います。府県単位で見てまいりますと、多くの府県では府県庁所在都市一極集中になっていると思います。やはり、多極分散型の国土づくり、国全体につきましてはそういう方向で四全総ができ上がっておるわけでございます。府県単位に見ましても、やはり同じような配慮が必要じゃないだろうかな、こう思うわけでございまして、やはり多くの核、その核を中心にして創意工夫を使って特色を生かして、活力のある地域社会をつくっていくということじゃないだろうかなと思います。  東京一極集中の結果は地価高騰につながっていったわけでございますけれども、私は、土地はあるんですよ、知恵を出せばいいんですよ、努力すればいいんですよと言い続けてまいっているわけでございます。土地があるんだよという例でこんなことを言うとしかられるかもしれませんけれども、お米が余っちゃって七十七万ヘクタール転作を求めている。これは水田の三分の一なんですね。しかし、転作してやっていける目途はなかなか立たない。だから、遊ばしている水田も随分ございます。農地以外に持っていくことは許されない。それがそのまま通っていく日本であるということは土地があるという証左じゃないか、ちょっと皮肉みたいなことになりますけれども、そうも言えるわけでございまして、やはりみんなで知恵を出して、それぞれの土地国民に適正に利用されるような状態に努力していかなきゃならない。そういう計画を立て、そういう計画実現されるような配慮、工夫が必要じゃないかな、こう思っておるわけでございます。
  36. 武村正義

    ○武村委員 建設大臣、今の私の考え方でこの可住地面積三二というとらえ方をいたしますと、今使っておるのがわずか三%前後ですから、思い切って将来、これは超長期ですが、この倍くらい、いわゆる可住地面積の二割ぐらいにまで都市的な土地利用を拡大していくというふうな大胆な考え方は持つことができませんか。
  37. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいま国土庁長官からお答えをいたしたとおりでありますが、この都市計画が確かに戦後、戦前からいいましてもちょっと継ぎはぎのような感じがしないでもありません。例えば、戦時中に襲撃を受けまして焼けたところがかえってよくなって、戦前から残っておるところは悪い、こういうこともありますし、その都市計画自体も、四十年たってみると非常に道路が狭いとかいろいろな問題があります。そこで、都市をできるだけ分散をするし、また広くとっていく、一方ではいつも言っておりますように、線引きの見直し等も含めてゆとりのある都市づくり、こういうことに努めてまいりたい、こういうふうに思う次第であります。なかなか一回にはできませんので、思い切って先生の言われるようにやりたいと思いますけれども、一度にできませんが、できるだけ線引きの見直し等も含めて都市をゆとりのある都市にしていきたい。また、国土庁長官の言われましたように、一極集中でなしに分散して発展をさしていくように誘導していきたい、かように思う次第であります。
  38. 武村正義

    ○武村委員 そこで、住宅宅地とのかかわりでございますが、これまた御承知のように、今の日本人の暮らしの中で一番先進国におくれている分野が住宅でもありますし、それよりかサラリーマン層を中心にして住宅に対する要求といいますか、願いというのは大変切実なものがあるわけです。現在、日本の政治の中で最も大事な政策は何かといえば、住宅政策だと言っても言い過ぎではないと思うのであります。  そこで、今日本の国は活用の仕方によっては大変広いんだという認識に立って、あえて申し上げるわけでありますが、今はウサギ小屋という批判を受け、東京ではそのウサギ小屋ですら夢になってしまった。そんなウサギ小屋のマイホームですら持てない現実であります。そこで、東京地方では違うわけでありますが、住宅の状況をちょっと調べてみますと、大都市圏の住宅ストック、既設の住宅の平均の床面積は、共同住宅になると四十平米しかないのですね。これは家族が三人か四人かで割れば本当にせせこましい空間であります。他方、日本人の教育論からいいましても、福祉のあり方からいいましても、家族というものが大変大事だと言われてまいりましたし、家族の生きる場所は住居でありますね。この空間が非常に貧しい、狭いということが伝統的な日本の家族主義というものを崩壊に追い込んでいる一つの要因であります。和気あいあいとして家族が団らんしながら毎日そこを拠点にして生きていく、そういう基盤が崩れてきているわけでありますし、また経済が大きくなって、心豊かな日本人をつくろう、これまた教育の分野で盛んに言っている言葉でありますが、本当に心豊かな日本人をつくっていくためにも、やはり住まいの条件というものは、量的に充足するだけでなしに、大きさを一つの大きな政策として思い切って広げるという方向に新しい政策を打ち出していく必要があると私は思うのです。  四十平米、これは共同住宅でございますが、ちょっとヨーロッパの数字なんかなかなか手に入らなくて、さまざまでわかりにくいのですが、パリなんかも大体が共同住宅ですが、数十平米から八十くらいはあるんではないか。ロンドンに行って調べてきたんですが、百五十とか百とか、いろいろな数字が上がってきてもう一つ確たるものはありませんが、外国人の家に行った感じで見ましても、特に共同住宅は倍近くアメリカやヨーロッパの場合は広いのかなと私は推測をしているわけです。マイホーム空間といいますか、これを思い切って倍に広げるような政策目標を打ち出すことができないだろうか。官舎にしましても、公団の住宅にしましても、あるいは県営や町営住宅、特にこういう公的な住宅が非常に狭いわけでありますだけに、むしろ率先してマイホーム空間を倍増するというふうな考え方をとるべきではないか。  しかし、これは五年、十年、建設省の今出している誘導居住水準なんかというのは七十五年ですか、こういう短期間では簡単にできません。だから、場合によっては数十年なり新世紀百年かけてやるくらいの、大変遠くなりますけれども、そのくらいの目標でもいいんです。しかし、遠い将来には今の居住空間を倍にする、宅地も倍、マイホーム空間、居住面積も倍というふうなそんな目標が出せないだろうか。そのことの中には、当然住居の周辺の公園とか広場とか前の道なんかのいわゆるオープンスペースもそれぞれ大きくしていかなければなりません。公園は、日本の場合は平均一人当たり五平米でございますが、欧米は平均二十平米です。そういう意味では四倍くらいでやっと欧米並み。道路空間も、今全体の都市の一二%ですが、道路のスペースは大体平均二〇%くらいですから、そういう意味でも、やはり倍ぐらいの目標をこういう公的なスペースについても掲げなければならぬわけですが、そういうものと一体にして、可住地面積を前提にして、都市的な土地利用を思い切って拡大する、そういう発想の中で、かなりロングタームで一人一人の国民のマイホーム空間といいますか、マイホームのスペースもおおむね大都市においては倍ぐらいの目標を打ち出していいんではないかと私は思っているんですが、いかがでしょうか。
  39. 越智伊平

    越智国務大臣 御高説をちょうだいいたしました。環境というのはやはり人がつくり、人は環境に支配されていきます。このために、やはりゆとりのあるマイホーム、このことはお説のとおりであります。  昨日も所信表明の中で申し述べましたが、今非常に地価の問題等々難しい問題がございますけれども、一つには、開発がどうも抑制ぎみ、昔のとおりでございますが、先ほど国土庁長官の言われましたように、公共団体によって違いますけれども、農地も三割、三分の一は休耕になっておるような時期でございますから、できるだけ開発をしていただいて宅地を安く手に入れる、そうしてゆとりのある宅地、ゆとりのある住宅、こういうことを第一番に目標にしていきたい、こういうふうに思う次第であります。また公共建物、公団あるいはその他地方公共団体の公営住宅につきましてもできるだけ広げてまいりたい、またこの面は、個人の場合は税制の面でも優遇をしていって、できるだけウサギ小屋と言われないようなゆとりのある、潤いのある住宅政策を打ち立てていきたい、全く同感であります。家賃ももちろん安くいたします。マイホームは、持ち家はいつも言っておりますように年収の大体五倍、また家賃は月収の二割、二〇%こういうことでございますから、この目標に、それから土地の問題は首都圏を中心に大変難しい問題がございますけれども、一つには通勤範囲内の宅地の開発も進めてまいりますし、また一方、交通網の整備をして時間を短縮する、このことにも努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  40. 武村正義

    ○武村委員 きのうの朝日新聞の記事を見ておりましたら、これは労働組合の調査ではありましたけれども、ロンドンでは都心から三十分で三百平米の土地で大体三千万、ニューヨークは四千万、ロサンゼルスは二千五百万という数字がありました。トロントなんかは一千万から一千五百万、同じような巨大な都市であるニューヨーク、ロンドンでも三千万、四千万ぐらいで約百坪近い、三百平米で百五十平米の住宅でしたか、これを見ると東京とは何倍か違うなというふうに思ったわけですが、その理由は、東京は人がたくさん集まっているから、巨大な都市だからということだけではないのだな、そんなことを考えますと、土地利用政策なり都市政策の中で思い切った大胆な発想が今こそ必要じゃないかなということを痛感いたしております。  もう時間がなくなりましたが、最後に奥野長官に、大変各方面で遷都論が関心を持たれておりますが、御承知のように自民党の中でも首都機能移転に関する調査会が先般スタートをいたしました。今日までも遷都論についてはいろいろとこの衆議院を含めて論議があったようでございますが、与党の自民党の中に正式に二百名を超えるメンバーの調査会がスタートをしたということだけでも、この首都機能移転の論議については画期的な出来事ではないかなと私は思っております。この辺をどう御評価、認識され、そして政府としてこの首都機能の移転問題に今後具体的にどういう取り組みをしていかれるのか。一省一機関の問題については連絡会議、協議会等をおつくりになって大変精力的に御苦労をいただいておりますが、国土庁の中にしろあるいはできれば各省庁をまたがるチームか何かにしろ、政府におかれましても、これは長期課題ではございますけれども、並行してこの首都機能の移転、主として政治行政機能の移転と言った方がいいのかもしれませんが、長官がいつもおっしゃっている、いわゆる一括移転という表現でもありますが、ひとつこの問題について、少なくとも調査ということで真剣にお取り組みをいただきたいと思うのでありますが、御所見を伺います。
  41. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 首都移転の問題は古くて新しい問題と申し上げることもできるのじゃないかと思います。二、三十年前にも盛んに言われましたし、最近特に議論が活発になってまいりました。それは、東京の地価高騰、これも一つの原因になっているのじゃないかなと思います。この問題を解決するためには首都移転が大切だという観点に立っているのだと思います。  地価問題だけで申し上げますと、私は常日ごろ、土地に対する仮需要を抑制する、実需要を分散させる、そして土地の供給を増加させる、この三本だけだ、こう言っているわけであります。実需要分散の中では、民間のいろいろな施設も地方に移転させてもらいたい、そういうための誘導政策もいろいろ唱えておるわけでございます。それには政府も率先垂範すべきじゃないかということになりますと、政府関係機関を移転させるということになるわけであります。その政府関係機関の移転の中で、首都機能を一括して移転するいわゆる首都移転の問題、それ以外の政府関係機関を移転させる問題、両方があると思うのでございます。今、実需要を分散させる政府が率先してやらなければならない方式として、政府関係機関の移転の問題に努力を払っているわけでございます。これは、首都機能の一括移転問題がある、並行的に進めていける。言いかえれば、首都の移転が行われても、それについていく必要のない機関はこの際全部二十三区の外に移転するように努力しようじゃないか、それなら首都移転問題と矛盾せずに進めていくことができる、こう考え努力しているわけでございます。  首都移転ということになってまいりますと、国土政策の見地から論ずるだけでは足りない、もっといろいろな角度から論じなければならないし、国民みんなの間に熟した考え方が持たれるような方向に進めなければならない、そういうことでございますので、議論の熟するのを待ちたいなあ、それまでは政府はいずれとも示すような姿勢はとるべきではない、こんな気持ちでおるわけでございます。しかし、研究は研究として進められてしかるべきでございますので、国土庁予算の中にもそういうための研究費は計上いたしておるわけでございます。
  42. 武村正義

    ○武村委員 調査費の活用の中で、国土庁の中でも研究を始めていただくことになると思うのでありますが、一つは、言われていることでありますが、単なる東京対策、東京のどういう機能、施設をどこへ移すかという次元でなしに、このことをきっかけにして、私が先ほど申し上げた国土計画土地利用という問題もございますが、日本の国をどうつくり直していくか、都がえがつくりがいのある、国がえが国のつくりがいになるような、日本列島全体をどう新しく魅力的につくりかえていくか、そのための第一歩あるいは象徴的なテーマとしてこの一括移転の問題をぜひ御調査をいただきたいと思いますのと、もう一つは、やはり行政改革でありますが、国鉄等は別としましても、本当に行政本体の改革はまだまだ緒についておりません。国の中央省庁各省庁のあり方、統廃合という議論もございますが、この問題もほとんど手がついておりませんし、国と地方関係についてもさまざまな課題が、もう二十年、三十年言われておりながらほとんど前進を遂げておりません。地方自治のあり方についても昨今またいろいろな御論議があるわけでございますが、明治以来の歴史の中で、もし、政治、行政機能を移転するということを真剣に考えるならば、その課題と並行して、まさに行政改革、国や地方自治のあり方を思い切って考え直す好機でもある。言うなれば、都がえということと並行して、新しい国と地方の政治や行政のあり方をそこで求めていっていいのではないかというふうに思っております。長官地方自治の大権威でもございますし、もうきょうは時間がなくなりましたので終わりますが、そういう政治、行政のあり方、仕組みのあり方も、ぜひ政治、行政機能の移転の問題と並行して真剣に御調査をいただきたいことを御要望申し上げて終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  43. 中村喜四郎

    中村委員長 次に、三野優美君。
  44. 三野優美

    ○三野委員 国土庁長官予算委員会の方に出られるようでありますから、まず最初に長官にお尋ねしたいと思います。  先ほども出ておりましたが、今国を挙げて政府関係機関の地方移転ということが大変議論になっているわけであります。政府の方は移転推進連絡会議を石原官房副長官を軸にして持っておられるわけでありますが、そこによりますと、六月ないし七月に移転機関の閣議決定をする、こういうことが報道されているのであります。  政府の方は、六月ないし七月、これは予算の概算要求とのかかわりがあるのでありますが、一体どの時点で決定をするのか。その決定をする対象機関は当初十七省庁三十一機関、これが対象ということが言われていたのですが、いやそれでは少な過ぎる、二百ぐらい対象にしなければならぬのじゃないかということを言っておられるわけであります。この六月ないし七月に閣議決定される部分は十七省庁三十一機関の部分なのか、あるいは追加の百五十ないし二百ですね、これも含めてなのか、二段階論なのか、この点について、まずお尋ねしておきたいと思います。
  45. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 政府土地対策関係閣僚会議を設けているわけでございまして、総理大臣を座長にしているわけでございます。昨年の十一月の二回目の会議の際に政府機関の移転問題を決めたらどうかという話があったわけでございますけれども、その問題は次の機会にさせてもらいたいということで見送ったわけでございました。ところが、三回目の土地対策関係閣僚会議予算内示までにどうしても持つことができませんでした。そんなことから、とりあえず一省庁一機関ということで移転対象機関を選定してもらえないかという話になって出てまいりましたのが、今御指摘になった機関でございました。  その後、一月二十二日に第三回目の土地対策関係閣僚会議を持たせていただきまして、四つのカテゴリーに属するものは原則として移転するんだという方針になったわけでございます。それを受けて、さらに閣議におきましても同様の決定をさせていただいたわけでございます。二月になりまして、その方針に基づいて、事務的に各省間の折衝をして移転機関を選定して、三月いっぱいに決めてもらいたい、こういう話になっておるわけでございます。したがいまして、一省庁一機関ということで選定していただきました内容を見直していただきまして、四つのカテゴリーは全部移転するんだという建前でもう一遍選定をしてもらおう、それが三月いっぱいということを期待しているわけでございます。  それが出ますと、今度は跡地をどうするか、どういうところへ移転していくか、移転機関の職員の処遇をどうしていくか、いろいろな問題があるわけでございますので、そういう問題を個々に詰めてまいりまして、七月いっぱいには閣議決定したいなと。そうすると、八月いっぱいに大蔵省に予算要求書を出すわけでございます。その中には盛り込めるじゃないか、六十四年度予算にはきちんと必要な経費も計上できるんじゃないかな、こういう順序を考えているところでございます。
  46. 三野優美

    ○三野委員 そうしますと、この七月いっぱいに決定するのは、関係省庁の移転先も含めて閣議決定するということで理解していいですね。
  47. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 できる限りそういうふうに運びたいものだと思っております。
  48. 三野優美

    ○三野委員 そこで、七月いっぱいに予定地も含めて決定するということになると、かなり時間は切迫しているわけですね。かなり重大な決意でやらなければならぬと思うのです。  この地方移転というのは、言うまでもありませんが、東京一極集中を避け、と同時にさらに地方活性化というものも考えあわせて移転先を決める、こういうように考えるわけです。したがって、できるだけこの移転先というものは都市が集中してないところ、過密都市でないところ、しかも、同時にその移転する機関というものが設置されるにふさわしい条件が具備されるところを選ぶべきである、こう思うのです。東京から移転したけれども、行った先がまた過密都市で東京の二の舞みたいなことをつくるようでは余り意味ないのですが、その点はそういうことを配慮に入れながら候補地を決定されると思うのですが、いいですか。
  49. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 二十三区の外に移転したい、これはもう基本的な考え方でございます。  四つのカテゴリーを挙げました中で、地方支分部局がございます。これはおおむね関東地方を所轄の区域にしている機関だと思います。こういう機関を二十三区の外に移転します場合にも関東地方以外に移転させるわけにはまいりませんし、やはり関東地方の方々が足を運ぶのに交通の便利なところを考えなければいけないだろう、こう思うわけでございます。試験研究機関などになりますと、その試験研究にふさわしいところで、今御指摘になりました、地域活性化にもつながるようなところを選ぶということは大事なことじゃないだろうかな、こう思っております。
  50. 三野優美

    ○三野委員 まずは、この問題のいわば元締めである国土庁は、みずからの関係機関、水資源公団などの移転については長官決意されておるわけですね。その点を聞きたい。
  51. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 国土庁専管の機関というのはないわけでございまして、各省共管になっている機関が幾つかございます。幾つかございますが、いずれも、ひとつ二十三区の外に移転するように決意してもらえないものだろうかという強い希望を持ち続けているわけでございまして、政府機関の移転が国の政策として、やはり中身のある政策として実現していくようにしたいものだなと、閣議でもそういうことを申し上げましたし、各閣僚ともそれにつきましては皆さん御賛成をいただいたわけでございました。
  52. 三野優美

    ○三野委員 国土庁長官、ありがとうございました。これに関連する建設省関係は、ちょっと大臣に直接関係する部分ですから、建設大臣が来てから質問させてもらいます。  続きまして、道路公団の収賄事件について少しお尋ねをしておきたいと思うのです。きょうは総裁に御出席をいただいていると思うのでありますが、ありがとうございます。  二月の十日に日本道路公団理事窪津義弘氏が神奈川県警に収賄容疑で逮捕されたわけでありますが、この事件はもう新聞で大きく出されておりますように、横浜横須賀道路長坂工事用道路の工事、この点に関連したものでありまして、このものについては、窪津さん本人が東京第一建設局長時代のものですね。で、昭和六十年十一月二十九日に契約して、相鉄建設になされているわけであります。契約金額が六千百万円。それから二つ目は京葉道路市川地区遮音壁改良工事、六十一年十月九日契約、飛島道路、八千二百万円、東京第二管理局発注。もう一件は東北自動車道路の鹿沼インターから矢板インター間の舗装改良工事、昭和六十二年三月十一日契約、同じく飛島道路一億三千八百六十万円、これも東京第二管理局の発注のものなんですね。この一連の事件を見ておりますと、窪津理事というのは、昭和三十一年の六月に日本道路公団の発足と同時に同公団に採用されて、いわば三十二年間公団に勤務されているわけで、公団生え抜きの方ですね。したがいまして、公団の仕組みを見ると、総裁を除いて七名の理事のうち三名が公団出身であって、その中の二名が技術出身者である。窪津さんもその技術畑の一人なんですね。いわばこの窪津さんというのは、そういう意味では公団とともに生きてきた人でありまして、公団の、まあ町でいえばボス的な存在であった、こういうことがいえると思うのであります。  そこで、まず総裁にお尋ねしたいのでありますが、昭和六十年十一月二十九日に相鉄建設に契約したこの物件については、窪津さん自身が東京第一建設局長、現職なんですね。その後の東京第二管理局が発注した二件につきましては、これは局長権限のもとで発注する部分ですね。ところが窪津さんがこれに関係しているということになっているわけです。窪津理事は当時理事で、企画調査部、維持施設部担当の理事として関係をしておるわけです。直接発注責任者ではないが、しかし理事としてこれを監督指導する立場にあったわけでありますが、この場合どうなんでしょう。いわば窪津さんが最初の一件についてはみずから手を下した。あとの二件につきましては関係職員を通じて手を下したものなのか、あるいはみずから、よく世間で言われる、天の声と言われるが、理事という地位を利用してこれを飛島道路に有利になるようにしたのか、この点についてひとつその経過を総裁からお尋ねしたいと思います。
  53. 宮繁護

    宮繁参考人 ただいまの質問にお答えを申し上げます前に、おわびを申し上げたいと思います。  当公団の理事が逮捕されるというような不祥事件を起こしまして、まことに遺憾に存じております。また、責任者の私といたしましても大変大きなまた重い責任を感じておりまして、国民の皆様また関係者の皆様に心からおわびを申し上げたいと思います。現在司直の手で調査が進められておりますので、事実の判明し次第、厳正な処分もいたしますし、また、二度とこのような事件の起こることのないように最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。  今お尋ねの窪津の事件の概要でございますけれども、先生がおっしゃいましたような状況でございます。これは、実は私どもつぶさにどういうことをやったかということをまだ手に入れておりません。きょうもし起訴されるといたしますと、きょうあたりそういう書類が手に入るか、あるいはまた、あしたぐらいそういう書類が手に入るかというような状況でございますので、つぶさにはいたしておりませんけれども、最初の、彼が局長でおりましたときの仕事につきましては、彼が指揮監督権限がございまして、長坂の工事用道路の発注につきまして業者の指名の選定に携わっておりまして、強制捜査令状の内容あるいはまた新聞の報道によりますと、この指名選定に当たりまして便宜を図った、こういうような報道になっております。ですから、直接関与した、こういうことでございます。  それから二つ目のこれは実は理事でおりました当時のものでございまして、御指摘のとおり、維持施設の関係の仕事でございまして、この点につきまして、実は第二管理局の仕事でございますので、管理局長を呼びまして事情を聴取いたしました。それで東京第二管理局長は、窪津から指示は受けなかった、こういうふうに申しております。それで、どういう実力、実力といいますか影響力を行使してこういう結果になったのか実はまだつまびらかになっておりませんので、詳細につきましては司直の手で取り調べ中でございますので、その結果を待ちたい、こんなふうに思っているわけでございます。
  54. 三野優美

    ○三野委員 いわばあとの二件について第二管理局長は指示を受けてないというんだけれども、管理局長以外の職員も指示を受けておりませんか。これが一つ。  それからもう一つは、きょう起訴されるかもわからぬ、起訴されれば書類が回ってくるので、それから本格的に調査したいというのですけれども、あなたのところで起きた事件なんですね。逮捕されたという事実があるわけなんです。逮捕されてから今日まで内部で真相を公団みずからの手で解明するための調査委員会その他つくっておやりになっているのか、なっていないのか、それを聞きたい。
  55. 宮繁護

    宮繁参考人 局長以外の者も呼びまして事情も聴取いたしております。しかし同時にこれらの関係者並びに関係書類が警察の方に押収されておること、それから本人も何回も聴取を受けておりまして、その間を縫っていろいろな事情を聞いておるわけでございますけれども、多少、前後彼らの申しますことが違ってまいりまして、真相がなかなかきわめがたいというのが実は本来の状況でございます。  それから、先ほどお話のございましたように、委員会等をつくってすぐ対策をというお話でございますけれども、実はきのうやっと本社それから局の調査、それから書類の関係の、押収された書類の一部をお返ししていただいたとか、あるいはまたきのうまで警察、検察庁その他でも取り調べ等、あるいは事情聴取等が行われておりまして、やや職場が混乱したような状況でもございますので、まだそういう調査委員会等設けておりませんけれども、こういうものにつきましては建設省からの御指示もございますし、できるだけ早くいろいろな対策は講じてまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
  56. 三野優美

    ○三野委員 総裁調査委員会を設けてない。起訴されたらば、その警察の起訴事実に基づいてのみ調査しようということになると、あなたのところは今度の事件について警察が調べた範囲の中でのみ処理しようという考え方なんですか。  もう一つ、第二管理局長及びその関係者にお聞きになって、指示を受けたことはないということなんですが、当時指名を受けた業者に対して天の声などというものがおりた事実があるかどうか、お調べになったことがありますか。
  57. 宮繁護

    宮繁参考人 今お話しの件でございますけれども、事実の究明ができますと、これに対しましては直ちに適切な措置を講ずるわけでございますけれども、今のところは業者に対しても聞いてはおりません。ただし、直ちに指名の停止はいたしました。その処分は逮捕されましたときにやりました。そんな状況でございます。
  58. 三野優美

    ○三野委員 総裁、私が言っているのは、警察が調査をして起訴した。その起訴された範囲の中でのみ調査をするという公団の体質、そこに問題があると私は思う。常日ごろ、決して職員を疑えという意味ではないが、御承知のように道路公団が今日日本列島でやっている仕事は膨大なもの、さらにこれからの五年の間の計画の中でもって膨大な事業が行われるわけなんですが、内部チェックする体制がなかったと見なければならないと私は思うのです。しかも、事件が起きてからなおかつ調査委員会ができていない。私は相鉄建設だけを言っているのではなしに、当時、二つ三つの事件に関連をして指名を受けた業者に対して天の声がおりたかどうか。内部から、理事が部下に指名の要請を受けていないとすれば、窪津理事自身が天の声を出したということが想定されるのです。その場合に、その指名業者に対してそういう事実があったかどうかというのはお調べになる必要があるのではないでしょうか。そういうことが常に行われる体制がなければ、再発防止はできないと私は思うのですね。そういうことを聞いているわけなんでありまして、その点については、ひとつぜひ慎重に対応してもらいたいと思うのであります。  さて、この際、建設省にお尋ねしたいのでありますが、この相鉄建設は住都公団の工事も受注をしているわけであります。相鉄建設の役員に住都公団から天下りがあるという話を聞いているわけでありますが、そういう事実があるのかないのか、この点をひとつ聞いておきたいと思うのです。  と同時に、御承知のように、残念ながら、ゆうべのニュースでもきょうの新聞にも出ておりますが、さらにまた今度、住都公団自身の汚職問題が出ています。これは、相鉄関係ではないのですが、出てきているわけですね。そういう事実があるのかどうか。  この点について、いわば政府関連の公社公団から相鉄建設に天下りがある、あるいはもう一つ今度きょう出てきたのは、住都公団がおつくりになっている団地サービスという、それがほとんど住都公団職員の天下りの巣だなんということが書かれているのですが、そういう天下り問題について建設省はどういうふうにとらえているのか、ちょっとこれを聞いておきたいと思います。
  59. 伊藤茂史

    伊藤説明員 前半の相鉄建設との問題のお尋ねでございます。  公団が相鉄建設に対して発注額はいかほどかということでございますが、六十年度、三件三億三千万円、六十一年度、三件五億九千万円、昭和六十二年度、三件四億九千万円というふうに公団から報告を受けております。  それから、公団を退職して相鉄建設に就職した者、天下りした者があるか、こういうお尋ねでございますが、一名ございます。今のところ、だれであるか、あるいはどういう経歴の者かということは、個人の問題でございますのでここではお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。  それから、三月一日に新たに起きました、公団の元東京支社赤坂営業所保全課保全係長渡辺昌一郎が逮捕されたという件でございますが、事件の詳細につきましては、目下捜査当局において捜査中、司直の手にゆだねられておりますので、私どもも、公団の中で起こった問題でございますので、公団に早速調査するようにということで指示をしたところでございます。  事件そのものは、既に本人が逮捕されております。事件が発生したことにつきましてはまことに遺憾に存ずる次第でございます。建設省といたしましても、住宅対策の大きな柱として公団は仕事をやっているわけでございまして、そういうところでこういう問題が起こったということにつきまして非常に遺憾に存ずると同時に、今後はこういうことが起きないように十分な指導監督にも留意したいというふうに考えております。
  60. 三野優美

    ○三野委員 住都公団の問題はまた改めてお尋ねするとして、名前も言えないというのはおかしいわけですから、これまた後からお尋ねします。  この際、建設省及び公団にお尋ねしたいのですが、今建設省なり公団が工事を発注する場合に、かつては指名業者は大体五社ないし八社という数社になっておったのです。それがある時期に談合問題が出て十数社になった。それがある短い期間のうちにまた数社に、五社ないし八社ということになったわけでありますが、その五社ないし八社という数社では談合が起こりやすい危険性があるから十数社にしようとこう言った。それがまた五社ないし八社に、もとに戻ったという理由、どこに不都合があったのか、どういう経過の中で功罪があったのか、この点をお尋ねしたいのが一つ。  いま一つは、工事発注する場合に、現場説明から入札まで五千万以上が十五日、五百万から五千万が十日、五百万以下は一日ぐらいが適当ではないかと大体お決めになっているわけですね。これは物理的にかなり難しいと私は思うのです。しかも今日のように複雑な、建築物の場合も同じだろうと思うのですが、複雑な工法の状況の中でかなり無理があると思う。なぜこういう基準をお書きになったのか、この点も聞いておきたいと思います。  時間の関係がありますから続けて聞きますが、この公団の職員の内部登用というものも否定するものではありませんが、少し建設省との人事交流というのは深めていくべきじゃないか、そういうことで気持ちも改めてやっていくということが必要なのだろうと思うのであります。これらの点についてひとつお尋ねしておきたいと思います。
  61. 牧野徹

    ○牧野(徹)政府委員 三点にわたっての御質問でございますが、まず、指名業者の数でございます。  先生御指摘のとおり、五十六年度までは最高で十人というルールでやっておったわけでございます。ただ、御指摘のような事件等もありましたので、競争性の拡大を図るという見地で、五十七年度からなるべく二十人を目途に行うように改めたところでございます。しかしながら、その後五十八年の三月十六日に、ずっと検討されておりました中央建設業審議会の建議がございまして、次のような指摘がなされました。  すなわち、相当程度の発注者の方が指名業者数を皆さんふやされた、その結果、三つほど問題が出てきた。一つは、受注能力のない者までが指名されるようになった。二つ目には、ダンピングの増加が生じて、公共工事の適正な施工及び建設業の健全な発展に悪影響を及ぼすおそれが出てきている。それから三つ目には、発注者、受注者双方で事務量が大幅に増加した。また、「このような問題の解消を図るため、工事の種類・規模、地域の事情などの要素を十分考慮して、適切な数となるよう見直しが図られるべきである。」という中央建設業審議会の御答申をいただきました。  そこで、私どもといたしましては、この御建議に沿いまして五十八年度から、建議にありますように、工事ごとにその工事の種類とか規模、内容あるいは建設業者の実態等を十分考慮して適切な数の業者を選定するというふうにしたところでございます。  第二点の御質問は、現場説明から入礼までの期間が短いではないか、実際、算定するというのはなかなか難しいぞという御質問でございます。  私どもの建設工事の直轄工事で申し上げますと、先生御承知のように、建設業法あるいは予決令等の関係で少なくとも十日、間を置くというふうなことになっておりますので、私どもはそれを守ると同時に、一方やはり業務の効率的執行という点もございますので、余り長い期間はとっていないのが実情でございます。ただ、そういう期間で適切な積算ができますように、私どもといたしましてもいろいろ工夫をしておりまして、積算の基本的な考え方あるいは標準歩掛かり等の積算基準を公表いたしました。と同時に、工事の具体的な発注に当たりましては、設計図書の中で材料等の所要数量を明示した数量総括表、切り抜き設計とかそういうことがございますが、そういうものをお示ししておりますので、業者の方がこの期間内で積算を適切にすることは私どもは可能だというふうに考えております。  それから最後の第三点目の、建設省関係公団との人事交流のお話でございます。これにつきましてはごもっともだと思います。私どもも公共的な仕事を担当しておりますが、関係公団も大いに公共性のある仕事をともども担当しているわけでございますから、従来からも人事交流は行っておりますが、今後とも、もちろん適材適所ということは必要でありましょうが、積極的に必要な人事交流は行ってまいりたい、かように考えております。
  62. 三野優美

    ○三野委員 今の数社の指名の問題、あるいは十日ないし十五日という見積もり期間、これについては議論を後に残そうと思う。少し問題があると思う。事実上難しい。難しいものだからそこにいろいろと、あなたのところも資料を地方の方へも流していますが、それらの関係があって、発注者と業者との関係が生まれてくる危険性もそこにあると思うのですが、これはひとつ後に議論したいと思う。  いずれにいたしましても、住都公団及び道路公団が最も大事な時期にこういう事件が次々起きてくる、これは非常に重大な問題だ。そうなりますと、こんなことが起きていると、公社公団のあり方ということが問われるわけですよ。いわば国会の直接的な審議の対象外になっている、これだけの大きな事業がどんどん行われていくということになると問題になるんですが、それはそれとして、当面この問題についてこれから内部的にチェックする体制というものをどういうようにお考えになっているのか、それを聞いて終わりたいと思います。
  63. 宮繁護

    宮繁参考人 一つは、やはり職員自身の自覚あるいは倫理観と申しますか、こういうことを確立することも大変重要だと思いまして、研修その他の場を通じましてそういう資質の向上を図っていきたい。あるいは先ほど御提案ございました人事交流等も、お互いに研さんする場として活用していきたいと思っておりますけれども、やはりシステムと申しますか、仕組みそのものも検討しなければならないと思います。  先ほども先生から御指摘もございましたけれども、この契約に関する制度につきまして、例えば業者の指名をする委員会がありますけれども、そういうものについての人数をどうするかとか、あるいはまたランクづけの問題等につきましても、そういう仕組みにつきましても早速委員会等をつくりまして十分に検討いたしましてやっていきたい、こんなふうに考えております。
  64. 三野優美

    ○三野委員 早急にこれは対応してもらいたいと思う。理事の中にも、総裁建設省から行かれている。あと事務屋さんも含めまして大蔵省からも来ている。ところがその大蔵省から来たりした人は事実上はわからないのですよ。生え抜きの理事がいわば公団を自由にできるような仕組みになっている。それで、こういう事件が起きたけれどもどこもチェックする体制がないという、ここに問題があると思うのですね。したがって、これは担当大臣として建設大臣決意もお尋ねしておきたいと思うのです。
  65. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいま道路公団、住宅・都市整備公団等で汚職の問題で取り調べを受けておる、遺憾であります。国民の皆様に申しわけない、かように存じております。  このことにつきましては、今も公団の総裁からお答えをいたしましたが、建設省といたしましてもいろいろ見直し指導、これの徹底を図っていきたい。従来から綱紀粛正は常に言っておりますけれども、なかなかそのことの実が上がらない、上がっていないと言われてもいたし方ない、こう思いますので、十分指導をしていきたい。またいろいろの仕組み等についても検討をいたしたい、かように存じておる次第であります。
  66. 三野優美

    ○三野委員 総裁、ありがとうございました。  建設大臣、実は大臣が向こうに出かけている間、国土庁長官政府関係機関の地方移転のことについてお尋ねしたのです。重大な決意でやる、七月には行き先の場所も決めてやる、こう言うのですが、さて建設省関係している本四公団の移転ですね、これは建設大臣は重大な決意で七月までに場所決定も含めておやりになる決意があるのかどうか、聞いておきたいと思います。
  67. 越智伊平

    越智国務大臣 本四公団の移転につきましては、政府として、また建設省としてやります。
  68. 三野優美

    ○三野委員 この本四公団は現在三つのルートが建設作業中なんですが、移転をする公団事務所は単に建設の作業のみならず、将来の長期にわたった管理運営を考慮して移転先というのは配慮すべきだろう、こう思うのですね。そうなりますと本四公団というのは、まことに言いにくい話ですが、四国につくわけでして、本土からそれぞれのルートを通じて四国に通じてしまうわけですよ。そうすると、おのずから公団の事務所の候補地というものは本来的に四国になるというのが世間の常識だと思うのですね。大臣、非常に常識的な方だと思うのですが、その常識、どうですか。感想をひとつ聞いておきたい。
  69. 越智伊平

    越智国務大臣 お話しのように、将来の管理、ただいまの建設、いろいろなことをもちろん考慮をいたしますけれども、中国がいいとか四国がいいとか近畿がいいとか、こういうことはただいまのところ考えておりません。今から検討をいたしまして、よく検討をして決定をいたしたい、かように思う次第であります。
  70. 三野優美

    ○三野委員 これは建設大臣答弁は要りませんが、ただ私、さっき国土庁長官にも言った、東京一極集中をやめたけれども、また関西に行って過密都市へ行ってどうにもならぬということだとこれはうまくないので、その点はやはり地方活性化も含めて、しかもこれが行くにふさわしい環境というものを考慮してお決めになっていただきたいということを希望だけ申し上げておきたいと思う。  水対策についてお尋ねしたいのでありますが、今年は御承知のように早くも水不足が起きている。私どもの住んでいる四国でも、早明浦ダムが既にもう異常渇水だということで対策本部を置いたわけでありますが、この全国的な状況と、ことし、まだ春になってないですね、これから長期にわたる水不足時期を迎えてどういう対応をしているのか、これをひとつ聞きたいと思うのです。  それから二つ目は、水対策として多目的ダムを随分おつくりになっているのですが、この多目的ダムというのは、建設省中心になっておつくりになるのだけれども、二つの性格を持っていると思う。一つは治水対策ですね、洪水に備えての治水対策。一つは水資源の確保という二つの問題がある。この二つの性格を持っているのですが、これは相矛盾するものなんですね。地域住民は、ダムをつくってくれたからさあ今度はもう水は解決するわと思ったら、年じゅう水がたまってない。私のところでつくってもらった小豆島の内海ダムというのは、できてから以後ことし初めていっぱいたまった。あれはたまったらいかぬらしいですね、考えてみると。治水のための条件というのがあって、ためたらいかぬダムらしい。ところが毎年水不足で、船でえっこらえっこら運んでいるのはもう御承知のとおりですね。高い水を運んでいる。したがってこの二つの矛盾を持っているのでありますが、近年の水不足が起きている状況から考えてみて、この多目的ダムの機能の調整ということについて建設省はお考えになったことがあるのかどうか、これが一つ。  二つ目は、ダム建設の場合に、今言ったようにダムにもよりますが、発電用があってみたりあるいは農業用水があったり工業用水があったり上水道用水がある。三十年代から四十年代にかけてつくったダムは、どのダムも工業用水部門がかなりの部分を占めているわけですね。ところが、御承知のように日本の産業構造というのが性格が変わってきた。水を使わない企業というのがふえてきた。そうすると、当初建設段階では工業用水がかなりの部分を占めておったけれども、実際には使ってない。  もう時間がないから数字申し上げません、私はある例を持っているのですがね。来年も再来年もその見通しはない、こういう場合に、もちろんアロケーの問題はあるのでありますが、この環境が変わったという状況に応じて配分について再検討することは、ダム管理者である建設省としてどうお考えになっているのか、あるいは水資源確保という点から、国土庁としてこれについて大々的に再検討するという用意があるのかどうか。幾らダムをつくったってこのままでいったら水不足解消にならないということになるのでありますから、その点ひとつお尋ねしておきたいと思います。
  71. 萩原兼修

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  一番最初のことしの渇水でございますが、先生もよく御存じのように、現在中部地方と四国地方が渇水状況になっておりまして、川の名前で申しますと、四国の吉野川、中部地方の木曽川、豊川、これを中心に取水制限が行われております。ただ、本年二月が全国的に少雨傾向でございましたので、他の地域についてもその傾向が出始めているところがございます。  どういう対応をしておるかということでございますが、私ども建設省では、申し上げました四国地建、中部地建、それから先月二十六日に私ども本省にそれぞれ渇水対策本部を設置いたしまして、現在情報の収集、逆に情報の提供、それから実際に現地では水利用の調整に努めておるところでございます。特に利根川等につきましては、昨年のこともございますので、現状厳しい渇水状況ということではございませんが、一部発電事業者等に水位を保持することのお願いをしたりいたしております。長期的にはいろいろダムを一生懸命つくるということでございますが、さしあたりそういうことをいたしております。  それから、二番目に御質問のございました多目的ダムの性格論の点でございますが、確かに先生おっしゃいますように、洪水を調節するためにはダムの容量をあげておかなければいけません。それから、水を使いますためにはできるだけダムにためなければいけないわけでございまして、おっしゃいますようにそれぞれの目的は相反するわけでございますが、日本のようにダムをつくりますサイトが必ずしもどこにでもあるという国情でございませんので、異なる目的ではありながら、別々につくりますよりは一カ所で一つつくります方がずっと経済的であるということで、大変性格の違う事業を同居させて多目的ダムをつくっているのが実情でございます。  もっと有機的に使えないかというお話かと思いますが、これは大前提になりますのが雨の予測であるわけでございます。長期的なものあるいはごく短期的なもの、その辺が大変実際には自信がございませんで、うまくいくこともあろうがまずくいく確率も高いというのが現在の日本の降雨予測の実情かと思いますので、もう少し慎重に勉強しようと思っております。ただ、洪水に見舞われる頻度よりも渇水に見舞われる頻度が高いという方については、より利水のことを考えたダムをさらにつくっていくということになろうかと思います。  それから、三番目の点でございます。建設当時に比べるとどちらかというと工業用水が余りぎみで、生活用水に転換できないかというお話でございます。  全国的に見ましても、やはり生活用水の方は着実に需要が伸びておりますが、工業用水の方は昭和五十年代からほとんど需要の伸びがとまっておりますので、ダムをつくりましたときにしかるべき工業用水量を確保いたしましたところで、現在その量まで工業用水の需要量が達していないという箇所も散見されるわけでございます。  ただ、これは先生御指摘がございましたように、既にダムに対して工業用水事業者が相当額の費用負担をいたしておりますという問題、それと現状工場は来ておりませんが、その地域にとりましては、現在工業用水を確保しているということが企業誘致と将来の地域開発にとって大変大きな有利な条件になっているという実情がございまして、現実には転換しますことについてはなかなか難しいという状況でございます。ただ、転換をいたしました前例がございますので、私どももできるだけ具体の例に即しまして、そのようなことが可能な箇所についてはそういう努力をしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  72. 三野優美

    ○三野委員 要請しておきますが、あなた御存じのとおり、私のある資料によりますと、五十年に貯水した水資源があるわけです。これはその当初は工業用水に七千九百万トン予定していた。ところが、来年幾ら使うといったらわずか五百五十万トンだというのですね、見通しは。一割にも満たないところがあるのです。これは、あなたは非常に難しい問題があると言うが、縦割り行政の弊害なのですよ。通産省は、いやそれはだめよ、こう言っているわけです。ですから、ここのところは建設省国土庁含めまして高い立場で全体を見直さなければ、十年、二十年たちますと経済情勢変わっているわけですから、それを殊さらに海に流しながら、片っ方で水不足で船で運んでいるにもかかわらずこういうことがあるということを十分考慮に入れて、ぜひ再検討をお願いしたいということを私は申し上げておきたいと思います。  それから続いて、公共事業への外国企業の参入問題をお尋ねしておきたいのであります。  これは公共事業でありますから、運輸、通産、建設その他いろいろと関係があるのですが、ただ、公共事業部門、建設省がかなり担当している部分があるわけです。このごろ非常に激しいアメリカからの要請がある。農産物の自由化とあわせてあるのですが、その背景というものは一体何だろうか。貿易不均衡というものが背景にあるのか、そのほかに原因があるのか、この点大臣、どう思いますか。
  73. 越智伊平

    越智国務大臣 この問題はいろいろあろうと思いますけれども、私のところの建設省といたしましては、日本の企業がアメリカへ実際に行っておりますし、相互主義ですから、全然だめよと言うわけにもいかない。こういうことに基づいて努力をしておる、こういうことであります。
  74. 三野優美

    ○三野委員 そうすると、大臣、日本の企業が外国へ行ってやっているからそれは応じざるを得ない、努力をせざるを得ないということになると、日本企業が行っている諸外国すべてがこの対象になるということになっていいですか。
  75. 越智伊平

    越智国務大臣 もちろん相互主義でありますから、今の日本の制度そのものにも、外国企業はだめですよ、こういうことは言っておりません。どちらもいらっしゃい、どこでも相互主義ですからいらっしゃいという法制度になっておりますし、また、事実そういうことをやっておるということであります。ただ、公共事業につきましては、やはり立派な仕事、しかもそれを安く、また日本の気象とかそういうものに合う、そういうことを考慮してやっておりますから、そういうことで進んでまいりたい、こう思っております。
  76. 三野優美

    ○三野委員 そうしますと、外国企業は日本で経験のない企業がほとんどなのですね、この建設業については。そうなりますと、その企業が自国において日本の指名条件に合っているかどうかということを、発注する日本政府側が調査するのかあるいは向こうの政府の推薦によってやるのか、それを基準にして選定をするということになるのかどうか、これが一つ。  いま一つは、もし参入するということになったならば、それは外国企業単独だけでも認めるのか、あるいは日本では経験がないから日本企業とのジョイント方式でなければ認めないのか、あるいは設計、機器あるいは工程、技術管理含めてすべての面を開放するということなのか、この点聞いておきたいと思います。
  77. 望月薫雄

    ○望月政府委員 今般の日米協議の背景等は大臣から御答弁申し上げたとおりでございますので省略いたしますが、そういった中で現在交渉を継続中という段階であることは、先生も御案内のことと存じます。  そこで、今その中で具体的に二点ほど御質問がございましたが、まず、外国企業の申請に基づいてそれに対して我々の方で調査をし、向こうの国の言うならば推薦というものを必要とするか、こういう点でございますが、実は率直に言いまして、現在の交渉は、公共事業の場合でございますけれども、海外の実績しかない外国の企業でも私どもとしては公共事業の発注に当たってその実績を考慮する、こういうことをアメリカに提案しているところでございまして、その際に具体的にどういうふうに実績を評価するか、見るかということは、実はこれからもうちょっと詰める必要があると思っております。ただ、そういった中で、先生今お話しの相手国政府の推薦といいましょうか、こういったものは、正直言って私どもまだよくわかりませんけれども、余り念頭にないところでございます。  それからもう一点のジョイントベンチャー云々の点でございますが、これも今交渉中の段階であるわけでございますけれども、ジョイントベンチャー、いわゆる共同企業体方式でどうかというようなことについてはまだ具体的な協議の場に乗っかっておりません。そういったことで、これはどういう格好でまたアメリカ企業の方あるいはアメリカ政府の方が関心を持つかどうか、これも交渉の過程であるいは出てくるのかもしれませんけれども、現在何とも申せません。  ただ、はっきり言えますことは、現在の我が国の公共工事の場合、大型の事業は御案内のとおり大体がいわゆる共同企業体方式をとっておる、こういったこともひとつの今後の物の考え方の上で基本として言えるのではないか、こんなふうな感じでおります。
  78. 三野優美

    ○三野委員 この問題は、例えば一つは、今米国との交渉をやっていますが、アメリカだけにとどまらぬわけですね。建設大臣が言うように、我が国が行っているところはお互いだから引き受けなきゃならぬということになると、他の国々もある。あるいは貿易不均衡だからその是正の一環として十二品目、農産物と同じようにそれをやるのだということになると、これもまたアメリカだけではない。基本的にはこの問題はやはりすべて世界に広げるということになっちゃうので、この点はまた改めて議論をいたしますが、そのことを頭に置いてやらなきゃならぬ。あるいは入札をして全部国内企業に下請させたということになればピンはねだけになってくるし、あるいは現場の仕事までやるということになると日本の労働者の労働現場を奪われる危険性もある。こういうさまざまな問題がありますので、この点についてはまた改めて議論したいと思いますが、ひとつ慎重に取り扱ってもらいたいということを申し上げておきます。  次に、宍道湖の問題についてひとつお尋ねしますが、これは御承知のとおり農林省が進めているわけです。もう三十年来の懸案です。この間も、聞くところによると予算委員会において、地元ですから竹下総理が、地元でかなり時代の変革と同時に世論が変わってきていることは否定できない、こう言っておるわけです。実は、この宍道湖、中海というのは御承知のとおり建設省が管理をしておる河川であります。これについて、建設省は御承知のように四十三年の十一月に建設大臣から島根、鳥取に対して公有水面埋立法の認可をする、あるいは十二月十四日には河川法に基づいて堤防あるいは排水機場の設置を農林大臣に認めた、こういうことになっているわけですね。四十七年の二月の十六日には中浦水門の設置が行われた、こういうことになるわけです。  そこで一つお尋ねしたいのでありますが、私この現場を見せてもらいました。同計画のうち大海崎堤防というのですか、この堤防は既にもうできているわけですね。松江市と大根島と江島をつないで陸続きにしちゃったという。私は、従来の慣行から言いますと、河川の中に固定物を設置することは認めないよというのが建設省の一般的な通例だったと思う。それがああいう大きな堤防もつくっちゃったわけですね。道路として使っているわけですが、これに類似したものが出てきた場合に、実は私のところにもあるのですが、認めてくれぬかと私出そうかと思うのですが、そういうような類似したものが小なりといえどもあった場合に、これは今の時代でもお認めになるのですか。三十年たったけれども、三十年前のことを今もやはりやるのかどうか、それを聞いておきたいと思います。
  79. 萩原兼修

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  河川管理上いわゆる河川の中に固定の構造物をつくらせないといいますのは、洪水を安全に流下させるためにそういうことが必要でございまして、そういうことをさせないというのが一般原則でございます。  ただ、先生御指摘の今の大海崎堤防、干拓堤防で農林省がつくられたわけでございますが、これは御存じのように中海という大変広い湖の一部を埋め立てられたわけでございまして、中浦の水門をつくられるとかあるいはいろいろ治水上の対策をされるとか、いろいろの仕事との組み合わせで洪水対策上支障がないという判断でああいうものができたと思います。それはやはり大きな湖の中であったという、河川の区域ではありますが特殊の条件があってああいうことが可能であったのではないかと思います。そういう事情は、認可をいたしました四十三年当時と現在と基本的には余り変わっておらないと思います。  ただ、再度申し上げるのもなんでございますが、河川の一般的な原則は、いわゆる普通の川の中には大きな固定物はつくらせない、これもまた現在そういうことでやらせていただいておるわけでございます。
  80. 三野優美

    ○三野委員 そうしますと、規模は小さくてもあれに類似したものだったらお認めになるということですね。今後も今日現在もお認めになるということですね。そう受け取ります。それでいいですか。三十年という条件は配慮しない。
  81. 萩原兼修

    ○萩原政府委員 お答えをいたします。  認める認めないの大前提は、洪水が出ましたときに支障がないということを満たしておらなきゃいけないわけでございますので、その条件が完全に満たされればということでございます。
  82. 三野優美

    ○三野委員 私は現場を二日間見てまいりました。率直に申しまして、洪水そのものがどうであるかもあるが、しかし同時に環境保全という立場から、あらゆる面から考えてみて、恐らくあれが今日の時点だったらあなたのところはお認めになっていなかったのじゃないかと思う。当時は、食う物が足らないわということで食糧増産という背景のもとでお認めになったのだろうと私は思うのですね。したがって、私はこれは適切なものではないと思うのです。  さてそこで、中浦水門の問題について建設省が二回にわたって農林省に対して質問書を出していますね。これは全部合意されましたか。合意されたとすればその内容を、これは時間がありませんから後で出してもらいたい。これが一つ。  それからもう一つは、これは仮定の問題になりますが、これは日ごとに動いているわけですね。ここ一、二年が大変問題でしょう。もしあの干拓事業というものが中止という事態になった場合に、あの大海崎堤防、これは非常に、無用の長物というか、あの環境を悪くしていると思うのです。これは農林省がやったことではありますが、河川管理者とすれば、あれは時間をかけてでも本来橋梁にすべきであった。もう既に人は通っていますから、通っているのをのけるわけにいかぬのだが、橋梁にすべきだと思うのですが、そういう考え方はお持ちになりませんか。
  83. 萩原兼修

    ○萩原政府委員 まず第一点の、私どもの出先と農林水産省の出先との限定的淡水化試行計画に関します打ち合わせの関係でございますが、現在打ち合わせを、説明を受けました上で御指摘のように疑問の点は私どもは伺いますしあちらが答えてくださるということを繰り返しておりますが、そういう下協議の継続中の段階でございます。  それから、干拓事業全体が中止になった場合というお話でございますが、本来国の機関でございます農林水産省と私ども建設省とが事業の執行に関しまして基本的に物の考え方の違うはずがないわけでございます。あれだけ、数百億の御投資をされましたものについて、そういう事業が中止になるということを前提で私どもがどう考えるかというところまでちょっとまだ考えが至らないわけでございまして、御勘弁をいただければと思うわけでございます。
  84. 三野優美

    ○三野委員 局長、あなたのところから二回にわたって農林水産省へ質問書を出しているわけですね。それに対していまだに合意できないのです。それほどあの中浦水門というのは管理上非常に難しい問題がある。これも建設省が管理するのか農林省が管理するかという問題がある。河川ですから、本来なら建設省が管理しなければならぬ、農林省がつくったものを。それで、二転、三転して動いている。こういう難しい状況であるということを十分に頭に入れて、やはり河川管理者としての立場で言うべきことは言わないと将来に禍根を残すと私は思いますから、そのことを特に注文しておいて、これは終わります。  時間になりますから最後に、実は東京駅の丸の内駅の本屋の保存について、これは建設省が技術者としての立場ということでひとつお尋ねしておきたいのであります。  東京駅を愛する市民の会というのが保存運動をやっていますね。これは明治四十一年からやって大正三年までにできた、こういうことです。この保存運動の代表委員の中には、日本建築士会連合会会長の太田さん、有名な女優の高峰さん、作家の三浦さんなどが先頭に立っておやりになっているわけです。市民運動の立場は、市民に愛される歴史的な建造物であり、日本人すべての文化と心の財産である、東京駅だからそれはそうでしょう、東京の人だけじゃないでしょう。  さて、建設省から見た場合に、この建造物が技術的に見て保存、復元すべき価値のあるものだとお考えになっているのかどうか、これを一つ。  それから最後に、国庫補助金の負担の切り下げの問題。  実は、ことしは御承知のようにうまくいって税収がふえてしまった。本来ならばあのときに補助金カットというのは排除すべきなんだ。ところがそのままいってしまった。今まで四年間に総額五兆円突破してしまったのです。これはどうでしょうか。建設大臣、来年からは地方自治体を苦しめるような補助金カットは絶対認めぬということで決意をひとつ述べてもらいたい。
  85. 越智伊平

    越智国務大臣 東京駅の価値観の問題、また技術的な問題等につきましては政府委員から答弁をさせます。  補助金カットの問題は、政府全般の問題でありますから私の方の建設省だけのことにもなりませんので、各省庁とよく連絡をとりまして、どれがいいのかということを今から話し合いをしていきたい、かように思います。  一方では、補助金を含めて事業量が多いか少ないかの問題もこれあり、ですから、そのときの判断は、補助金をもとへ戻すとどうなるか、あるいは今のままではどうなるか、その点も含めて今から検討をしていきたい、こういうふうに思う次第であります。
  86. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 東京駅の丸の内駅舎、いわゆる赤れんがの駅舎でございますけれども、御指摘にありましたように明治四十一年から大正三年にかけまして明治の代表的建築家であります辰野金吾先生らの設計によるものでございますが、戦災を大きく受けまして改修されて現在のものになっているわけであります。  建築的には、この建物が日本の近代洋風建築の中で現存する最大規模のものであるということ、それから外観を赤れんがづくりとした洋風駅舎で日本の現存する唯一のものであること、こういうことから歴史性が非常に高いということ、それから立地する場所も影響があるわけですけれども、都市景観上大きな役割を果たしている、こういうことから、先ほど御指摘の中にありましたように士会連合会会長の太田先生なども入りまして保存運動も現に起こっているところであります。一方、このものがその後の改修によりまして外観と内部装飾が大きく変わっているという指摘もありますので、これの価値につきましてはいろいろの意見がございまして、一概にどうこうというのはなかなか申し上げかねるということでございます。
  87. 三野優美

    ○三野委員 どうもありがとうございました。
  88. 中村喜四郎

    中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕