運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-05-18 第112回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十八日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 近藤 元次君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君       岡島 正之君    古屋  亨君       新村 勝雄君    小川新一郎君       古川 雅司君    大矢 卓史君       野間 友一君  出席国務大臣         労 働 大 臣 中村 太郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       安原  正君         環境庁長官官房         会計課長    梅沢  泉君         環境庁企画調整         局長      森  幸男君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁大気保全         局長      長谷川慧重君         環境庁水質保全         局長      渡辺  武君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         労働大臣官房会         計課長     椎谷  正君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省労政局長 白井晋太郎君         労働省労働基準         局長      野見山眞之君         労働省婦人局長 佐藤ギン子君         労働省職業安定         局長      岡部 晃三君  委員外出席者         公害等調整委員         会事務局総務課         長       石倉 寛治君         国土庁長官官房         審議官     畑  正一君         法務大臣官房審         議官      米澤 慶治君         大蔵省主計局司         計課長     兵藤 廣治君         国税庁直税部法         人税課長    買手屋孝一君         文部省教育助成         局施設助成課長 遠山 耕平君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 松田  朗君         厚生省生活衛生         局環境整備課長 藤原 正弘君         厚生省生活衛生         局産業廃棄物対         策室長     三本木 徹君         通商産業省基礎         産業局鉄鋼業務         課長      中尾 舜一君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部保安課長   百瀬  信君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部施設課新幹線         環境対策室長  羽賀  肇君         運輸省貨物流通         局陸上貨物課長 小幡 政人君         会計検査院事務         総局第二局長  志田 和也君         会計検査院事務         総局第四局長  吉田 知徳君         参  考  人         (東日本旅客鉄         道株式会社常務         取締役)    松田 昌士君         参  考  人         (雇用促進事業         団理事長)   関  英夫君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管環境庁)、労働省所管〕      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管環境庁及び労働省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として東日本旅客鉄道株式会社常務取締役松田昌士君及び雇用促進事業団理事長関英夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 野中英二

    野中委員長 次に、環境庁長官及び労働大臣概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十年度歳出決算に関する概要説明                   環境庁  環境庁昭和六十年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十年度の当初歳出予算額は四百二十九億九千七百六十万円余でありましたが、これに予算補正追加額五千百二十七万余、予算補正修正減少額四億三千百六十九万円余、予算移替増加額一億六百四十五万円余、予算移替減少額二十六億四千二百五十一万円余、前年度からの繰越額一千六百八十八万円余、流用等減少額二千六百八万円余を増減いたしますと、昭和六十年度歳出予算現額は四百億七千百九十三万円となります。この予算現額に対し、支出済歳出額三百九十九億五千四百十一万円余、翌年度への繰越額二千四十五万円余、不用額九千七百三十六万円余となっております。  次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、公害防止等調査研究関係経費といたしまして五十七億四千四百十七万円余を支出いたしました。これは、化学物質実態調査等を実施するための経費及び国立公害研究所国立水俣病研究センター運営等経費として支出したものであります。  第二に、自然公園関係経費といたしまして四十一億二千三十五万円余を支出いたしました。これは、自然公園等における管理及び園地、博物展示施設長距離自然歩道等整備並びに渡り鳥の調査、絶滅のおそれのある鳥獣の保護対策等経費として支出したものであります。  第三に、環境庁一般事務経費といたしまして三百億八千九百五十七万円余を支出いたしました。これは、公害防止を図るための施策推進に必要な調査費地方公共団体に対する各種補助金公害防止事業団及び公害健康被害補償協会に対する交付金環境行政に従事する職員の資質向上のための研修所運営費並び環境庁一般行政事務等経費として支出したものであります。  最後に、翌年度繰越額不用額について主なるものを御説明いたしますと、翌年度繰越額は、自然公園等施設整備費において、異常気象等によって事業の実施に不測の日時を要したこと等により年度内に完了しなかったものであります。  また、不用額は、退職手当等人件費を要することが少なかったこと等のためであります。  以上簡単でありますが、昭和六十年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度決算環境庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度環境庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度労働省所管一般会計及び特別会計決算説明要旨  労働省所管昭和六十年度決算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額は五千三十八億六千八百七十三万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額五千二十八億二千七百十六万円余、予備費使用額十億四千百五十六万円余となっております。  この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額五千二十五億五千百八十六万円余、不用額十三億一千六百八十七万円余で決算を結了いたしました。  支出済歳出額の主なものについて申し上げますと、雇用保険国庫負担金及び失業対策事業費等であります。  これらの経費は、「雇用保険法」に基づく求職者給付等に要する費用の一部負担及び「緊急失業対策法」に基づき実施した失業対策事業に要したもの等でありますが、このうち失業対策事業の主な実績は、事業主体数五百九十箇所、事業数二千十五、失業者吸収人員一日平均四万三千人余となっております。  なお、不用額の主なものは、職業転換対策事業費等であります。  つぎに、特別会計決算について申し上げます。  まず、労働保険特別会計について申し上げます。  この会計は、「労働保険特別会計法」に基づき昭和四十七年度に設置されたものであり、労災勘定雇用勘定及び徴収勘定に区分されております。  初めに労災勘定について申し上げます。  歳入につきましては、歳入予算額一兆六千五百三十七億九千三百七十八万円余に対しまして、収納済歳入額一兆六千百九十八億八千六百五十八万円余でありまして、差引き三百三十九億七百二十万円余の減となっております。  これは、徴収勘定からの受入れ予定より少なかったこと等によるものであります。  つぎに、歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも一兆六千五百三十七億九千三百七十八万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額九千七百八十九億六千八百六十八万円余、翌年度繰越額二億四千八百六十四万円余、不用額六千七百四十五億七千六百四十五万円余で決算を結了いたしました。  支出済歳出額の主なものは、「労働者災害補償保険法」に基づく保険給付に必要な経費及び労働福祉事業に必要な経費等であります。  この事業実績概要について申し上げます。  保険給付支払件数は五百二十九万一千件余、支払金額は七千五十九億三千五百五十九万円余となっております。  なお、不用額の主なものは、支払備金等に充てる経費であります。  つぎに、雇用勘定について申し上げます。  まず、歳入につきましては、歳入予算額一兆八千八百八十億三千九百二十八万円余に対しまして、収納済歳入額一兆七千五百八十二億六千四百八万円余でありまして、差引き一千二百九十七億七千五百十九万円余の減となっております。  これは、予備費を使用しなかったこと等により、積立金からの受入れを必要としなかったこと等によるものであります。  つぎに、歳出につきましては、歳出予算現額一兆八千八百八十一億一千四百九十二万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一兆八千八百八十億三千九百二十八万円余、前年度繰越額七千五百六十三万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額一兆三千九百七十七億一千六百五十一万円余、翌年度繰越額二億六千五百八十八万円余、不用額四千九百一億三千二百五十一万円余で決算を結了いたしました。  支出済歳出額の主なものは、「雇用保険法」に基づく失業給付に必要な経費及び雇用安定事業等事業に必要な経費等であります。  この事業実績概要について申し上げます。  失業給付のうち、一般求職者給付及び日雇労働求職者給付月平均受給者人員は、一般求職者給付六十二万七千人余、日雇労働求職者給付十一万三千人余、また、高年齢求職者給付短期雇用特例求職者給付及び就職促進給付受給者数は、高年齢求職者給付七万九千人余、短期雇用特例求職者給付六十七万三千人余、就職促進給付二十五万七千人余でありまして、支給金額は、一般求職者給付八千七十九億七千八百四十四万円余、高年齢求職者給付三百五十七億八千八百八十五万円余、短期雇用特例求職者給付一千四百六十九億二千二百二十九万円余、日雇労働求職者給付五百四十一億四千五百二十三万円余、就職促進給付六百二十九億四千六百三十二万円余となっております。  また、雇用安定事業等事業に係る支出実績は、支出済歳出額一千五百三十九億八千九百二万円余となっております。  なお、不用額の主なものは、失業給付費等であります。  つぎに、徴収勘定について申し上げます。  まず、歳入につきましては、歳入予算額二兆五千七十八億七百五十七万円余に対しまして、収納済歳入額二兆四千七百八十七億六千九百四十六万円余でありまして、差引き二百九十億三千八百十万円余の減となっております。  これは、労災保険有期事業に係る保険料収入予定より少なかったこと等によるものであります。  つぎに、歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも二兆五千七十八億七百五十七万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額二兆四千七百七十億九千六百七十二万円余、不用額三百七億一千八十四万円余で決算を結了いたしました。  支出済歳出額の主なものは、労災勘定及び雇用勘定への繰入れに必要な経費であります。  この事業実績概要について申し上げますと、労災保険適用事業場数二百六万七千余、労災保険適用労働者数三千六百二十一万人余、雇用保険適用事業場数百四十七万三千余、一般雇用保険適用労働者数二千七百四十八万人余、日雇雇用保険適用労働者数十五万人余となっております。  なお、不用額の主なものは、他勘定への繰入れに必要な経費であります。  最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計のうち、労働省所掌分炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費歳出決算について申し上げます。  歳出予算現額及び歳出予算額とも百七十九億三千四百五十一万円余であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額百七十八億二千八百四十九万円余、不用額一億六百二万円余で決算を結了いたしました。  支出済歳出額の主なものについて申し上げますと、炭鉱離職者緊急就労対策事業に必要な経費及び産炭地域開発就労事業に必要な経費であります。  これらの事業実績概要について申し上げます。  まず、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数三十八箇所、事業数百五十五、就労人員延四十一万九千人余となっております。  つぎ産炭地域開発就労事業につきましては、事業主体数四十六箇所、事業数百九十六、就労人員延六十七万五千人余となっております。  なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者援護対策費であります。  以上が労働省所管に属する昭和六十年度一般会計及び特別会計決算概要であります。  なお、昭和六十年度決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、誠に遺憾に存じております。  これらの指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後このような御指摘を受けることのないよう一層努力をいたしたいと存じます。  以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計決算説明を終わります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十年度決算労働省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度労働省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項四件及び意見を表示し又は処置を要求した事項一件であります。  まず、法律政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項について御説明いたします。  検査報告番号七一号は、労働保険保険料徴収に当たり、徴収額過不足があったものであります。これは、事業主が提出した保険料の算定の基礎となる賃金支払総額が事実と相違していたことなどにより、徴収額過不足があったものであります。  検査報告番号七二号は、雇用保険失業給付金支給が適正でなかったものであります。これは、失業給付金受給者が再就職しておりますのに、失業給付金のうちの基本手当支給していたり、事実と相違した再就職年月日を基に再就職手当支給していたりして給付の適正を欠いたものであります。  検査報告番号七三号は、雇用保険特定求職者雇用開発助成金支給が適正でなかったものであります。この助成金は、高年齢者等特定求職者雇用機会の増大を図るため、特定求職者公共職業安定所の紹介により雇用した事業主に対して、その特定求職者に支払った賃金の一部を助成するものでありますが、事業主が既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど支給要件を欠いておりましたのに助成金支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。  検査報告番号七四号は、雇用保険定年延長奨励金支給が適正でなかったものであります。この奨励金は、定年引上げによる高年齢者雇用延長促進を図るため、定年引上げを行った事業主に対して支給するものでありますが、定年を引き上げた日以後に雇用した労働者を対象被保険者として申請したりしているなど支給要件を欠いておりましたのに奨励金支給しており、給付の適正を欠いていたものであります。  次に、意見を表示し又は処置を要求した事項について御説明いたします。  これは、雇用保険特例一時金の支給に関するものであります。  雇用保険特例一時金は、被保険者のうち季節的に雇用される者又は短期雇用に就くことを常態とする者が失業した場合に、その者の生活の安定を図り、求職活動を容易にすることを目的として基本手当日額の五十日分が失業日数にかかわりなく一時金として支給される失業給付でありますが、同一事業所において短期間で就職離職を繰り返し、離職の都度特例一時金の支給を受けている者のうちには、同一事業所に継続して雇用されることが可能であると認められる者がおり、これらの者に対しましても、特例一時金を支給していて制度の趣旨に沿わない事態が見受けられました。  したがいまして、労働大臣に対しまして、雇用保険データ等を活用するなどして特例一時金の支給状況等を把握する体制整備するとともに、公共職業安定所に対して特例一時金の支給を受けようとする者の確認支給要件確認等を効果的に行うための具体的な方策を指示するなどの措置を講じることにより、特例一時金の支給の適正を期するよう意見を表示いたしたものであります。  以上をもって概要説明を終わります。     ─────────────
  6. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷津義男君。
  7. 谷津義男

    谷津委員 環境庁長官、質問ございませんのでお休みになっていてください。  まず、外国人労働者問題につきまして労働省にお聞きいたしたいと思います。  現在、外国人労働者問題が大きな政治問題になっております。最近、観光ビザ等不法入国して就労している外国人労働者が相当多いということを聞いておるわけでありますけれども、この問題は非常に大きな問題になっているだろうと思います。就労状況も、決して健康的なところに勤めている人ばかりではないというふうな話も聞いておるわけでありますが、これらに対しまして労働省はまずどういうふうにお考えになっておりますか、この辺からお聞きいたしたいと思います。
  8. 岡部晃三

    岡部政府委員 先生お尋ねの、いわゆる不法就労者の増加問題でございますが、実態としてどの程度いるかということはなかなか把握しかねるような、いわば地下に潜っているのが実態でございます。一つの目安といたしまして、いわゆる不法残留と申しますか、パスポートの期限が切れましても、ビザの期間が切れましてもまだ日本に滞在し続けているという不法残留が、少なくとも不法就労者の数をうかがわせるに足る一つのものと思いますが、これは五万以上の数を数えるのでございます。  これらの人々がなぜ日本に来るかということになりますと、一つには、やはり圧倒的とも言えるそれらの国々と我が国との間における賃金格差という経済条件であろうかと思うのでございます。しかしながら、そのような不法就労というのはやはり好ましくないことでございまして、これに対する対応を考えなければならないと考えております。したがいまして、労働省といたしましては、ことしに入りまして、労働大臣の指示に基づきまして、全国的な労働行政機関を通じましての各種取り締まりに着手をいたしますとともに、入国管理行政との連携を強めまして、それへの通報体制、そしてまた関係事業主団体に対するところの協力要請等を重ねている段階でございます。  なお、今後とも、この問題につきましては外国人労働者問題研究会報告というのが最近労働大臣あて提出をされましたので、そのことも踏まえまして検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  9. 谷津義男

    谷津委員 不法残留だけでも五万人以上ということになりますと、例えば観光ビザ等不法就労している人たちというのは場合によってはこれに数倍する、数十万というふうに考えてもいいぐらいの方が入国して、それなりに職を求めて勤めているのではなかろうかなという考えでありますけれども、私どもとしまして考えるのに、例えば今法務省が非常に入管等で厳しくチェックしているようではありますが、現実の問題として、観光でこういう目的で来るのですよということになりますと、そこで抑えることはできないだろうというふうに思うのですね。まだまだこの問題はふえてくるのではなかろうかと思うのですけれども、これは、実態を調べるというのは非常に大変な努力も要るしなかなか物理的にも不可能な面もあろうかと思いますが、この辺は何らかの手を打たないと、非常に国内に与える影響というのがこれからもだんだん大きくなってくるだろうと思うのです。その辺のところは労働省はどういうふうに考えているのですか。
  10. 岡部晃三

    岡部政府委員 この不法就労者の問題は、西欧諸国も非常に頭を悩ましている問題でございます。労働省に設けられました外国人労働者問題研究会におきましては、西欧の事情を非常に詳細に調査をいたしたわけでございますが、そこの提言として雇用許可制度を導入してはどうだろうかというアイデアが出されているわけでございます。これは一言で申し上げますると、事業主雇用管理責任を負うていただきまして、事業主を通じまして不法就労が行われないようにする、そしてまた事業主に対しまして各種指導監督行政官庁としては行っていく、このような形の提言がございます。これも一つの極めて示唆に富む案であろうかと思うのでございますが、ともかくこの問題は、労働省だけというよりも、関係各省相協力し合いましてこの問題に対し行政を進めていかなければならないと考えているところでございまして、今後とも、この問題につきまして具体案を得るべく努力をいたしたいと考えております。
  11. 谷津義男

    谷津委員 確かに雇用許可制度というのも一つの方法だろうというふうに考えますが、基本的には、労働省考えとしましては単純労働は入国させないというふうな考えで現在動いているというふうに私は認識をしておるわけです。仮に雇用許可制度というふうなものが、仮定ですけれども取り入れられるとするならば、単純労働はそれでもだめだということになるのですか、それもある程度含めてという方向の検討になっているのですか。その辺のところはどんなものでしょうか。
  12. 岡部晃三

    岡部政府委員 研究会報告におきましては、専門的、技術的、技能的な労働者につきましては国際化の今日でございますので受け入れを拡大すべきである、しかしながら、いわゆる単純労働者につきましては、諸外国の今苦い経験にかんがみましてこれは十分に慎重に考えていかなければならない、このような御提言であったわけでございます。したがいまして、雇用許可制度提言につきましても、これは先ほどのような技能的といいますか技術的といいますか、これは中間技能的なものも含まれるというふうに考えまするが、いずれにいたしましても、全くのいわゆるノンスキルドワーカーという階層につきましては慎重でなければならない、こういう態度であろうかと思います。
  13. 谷津義男

    谷津委員 最近、内需拡大政策がだんだんと浸透してまいりまして非常に企業も忙しくなってまいる、そういったことで、特に公共事業等を行う建設業等においては労働力不足が非常に問題になってまいりまして、特に小零細企業等におきましては良質な労働力が確保できないということで、外国人の労働者を入国させてもいいのじゃないか、そういうふうな声もかなりの部門で出ております。  実は私どもの地域ですと、大企業の進出が非常に多いものでございますから、若年優良労働者というのはみんな大企業に吸収されてしまいまして、そこにあります中小企業等にはそういった新規勤労者、若年労働者の良質な労働力を確保することが非常に困難になっている。そういうことから、今みたいな不法労働でこんなに入ってきているのであれば、政府がひとつ国策でその辺のところは考えていただいて、そうした労働力をぜひ使いたい、ぜひまた入れてもらいたいというような声がかなりあるわけなんですね。そして、そういった就労させることによって何とか今確保できにくい良質な労働力に肩がわりしていきたいというふうな考え方を述べる人がかなりいるわけなんでありますけれども、単純労働者を入れないということになりますと、こういった問題をどういうふうに解決していくかということも労働省にとっては大きな問題だろうと私は思うのですが、この辺はどんなふうに考えておるのでしょうか。
  14. 岡部晃三

    岡部政府委員 労働市場の一部に労働力不足が見られるということが最近いろいろと聞かれるところでございます。御指摘のような建設業の一部あるいはまた第三次産業の一部等に不足が見られる、第二次産業につきましても、零細と言われるような企業につきまして見られるということも私ども耳にしているところでございます。ただ、一部に不足が見られるといたしましても、これに対しましては、各般の労働力需給調整施策の強化をまず図るべきであろうと考えているわけでございます。と申しますのは、現在の我が国の失業率は二・六ないし二・七でございまして、目標といたしまするところの二%を上回って失業率が高いわけでございます。地域的に見ましても、例えば北海道、九州といったような失業のたまりというふうなところもあるわけでございます。建設業界等にも伺いましたけれども、総量として労働者が不足しているのでは必ずしもない、何らかの形で需給調整を図ればこの労働力不足状態は解消できるはずのものである、私どもこういうふうな一種の判断に立っているわけでございます。  その一つの決め手は、やはり雇用管理面の改善、例えばそこの職場を魅力あるものにしていく。例えば労働条件面の改善等におきまして良質の若い労働者がその職場に行くような施策もまたあわせて考えていく、そしてまた基本的には、長期的には合理化、機械化というふうなことで対応すべき部分もあるのではないか。例えば東京でもその辺のそば屋さんのざる洗いは最近バングラデシュあるいはパキスタンの人が入っているということを耳にするわけでございますが、そのような部分は何らかの機械化が図れないか、そのような努力もされていると聞いております。そういうふうなことで対応することを基本とすべきではないかということを考えているわけでございまして、そのような努力を行わずに安易に外国人の安い単純労働者を受け入れるというふうなことは、これは大きな目で見ますと経済構造の転換をおくらせまして、雇用構造の改善や労働条件の向上というものにマイナスの作用を及ぼすわけでございます。  この労働力不足が一部に見られるという問題につきましては、労働省として非常に重要な問題として実は考えております。来年度新施策の検討を現在始めておりますが、その中で、一つの大きな柱といたしまして労働力不足部分についての労働力供給体制というものを来年度施策に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
  15. 谷津義男

    谷津委員 確かに今のお話、よくわかるわけですが、失業者等を見ますと北海道とか九州とか地域差というものもありますし、また雇用管理面で企業がいま少しそういった面に投資をし、あるいはそういった施設をきちっとしていけば入ってくるのじゃなかろうかという話がありますが、現在この問題を起こしているのは中小というよりもむしろ小零細企業が多いのですね。ですから、雇用管理面でそういった設備をしなさいよ、働きいい場所にしなさいよと言ったって、それだけ投下できるだけの資金的な面においてもなかなかこれが確保できないというのが長い歴史の中で事実わかっているわけなんですね。  それから地域的な問題でありますが、例えば北海道で失業なさっている方が、それじゃ私どもの関東へ来てやりなさいと言ったって、学校の問題もあれば住宅の問題もある。そういったいろいろ全体を考えると、さあ簡単に移りなさいと言ったってそうはできない面もありますね。この辺のところは言うはやすしやるは難しであります。ですから、非常に簡単におっしゃいますけれども、この辺のところにこれからメスを入れていきますと大変な問題がいっぱい出てくる、日本の産業の基本的な問題にまで入ってくるだろうと思うのですけれども、その辺のところはどういうふうにお考えになっているのですか。
  16. 岡部晃三

    岡部政府委員 この問題につきましては、私ども大変な重荷を背負ったと考えているわけでございます。中小零細企業というものが成り立っていけるようにいかに御援助申し上げることができるかというふうなことは、労働省のみの力ではなし得ないことでもございます。関係各省と十分に連携をとりながら中小企業の近代化、合理化ということにつきましてさらに進めることがまず基本であろうかと思うのでございます。  それから地域的なお話で、北海道の労働者は動けと言ったってすぐ動けるものではない、まことにそのとおりでございます。実は最近の雇用情勢、全般的に改善の傾向にある中で北海道、九州は依然として改善を余り見ていないわけでございます。例えば炭鉱が閉山した、そこで離職者が大量に出た、さてそれでは求職口があるんだから、求人口があるんだから動けばいいではないか、なかなかお移りにならない。おっしゃるようなそれぞれの個人的な事情も十分にうかがわれるところでございます。  しかしながら、労働省におきまして今般六月一日から全国的に総合的雇用情報システムというネットワークが完成をいたします。これはどこにおりましても、どこでどういう求人があるかということが一目瞭然にわかり、あるいはまたどこにそういう求職者がいるかということが瞬時にわかるというシステムが、これは世界で初めてであろうと思いますが、ネットワークが完成するわけでございます。その一つの眼目はいかに広域職業紹介を行うかということでございまして、遅々たる牛の歩みかもしれませんが、先生おっしゃいますような中小、特に零細企業問題それから疲弊した地域の問題につきまして進めてまいりたいと考えております。
  17. 谷津義男

    谷津委員 外国人労働者問題の対応のあり方について、過日法務省の審議官労働省を批判しましたね。この問題については労働省はどういうふうに考えておるのですか。
  18. 中村太郎

    ○中村国務大臣 外国人労働者問題の扱いは、日本の将来の国のあり方に関連する極めて重大な問題であると承知をいたしておるわけでございます。労働省としましては、先ほど来御答弁申し上げましたように、研究会などを発足させまして鋭意検討しておるところでございますけれども、先般法務省の審議官が個人的見解ということで一つ考え方を発表になりました。これはあくまでも個人的な見解ということでございますから、労働省の立場としてこれをとやかく言う筋合いはございませんけれども、いずれにいたしましても、私どもは、我が国の雇用情勢あるいは労働市場への影響、どういうような悪影響があるのか、また一方、不法就労者実態を把握して、これに厳正に対応するにはどうしたらいいかというそのことにつきまして関係省庁間で十分な論議を重ねて結論を見出さなければいけないと思っているわけでございまして、一部の新聞が、新聞といいましょうか、マスコミあたりが言われております縄張り争いというようなことは私どもとしては毛頭考えておらぬわけでございまして、実効のある方法についてよく論議を、協議を重ねていきたいと考えているわけであります。
  19. 谷津義男

    谷津委員 ただいま中小企業の問題に絡めて外人労働者の話をしたのですが、中小企業の問題について、話題を変えますけれども、ちょっとお聞きしたいと思うのです。  今、日本の労働組織の中でいわゆる組織率が六十一年の推定で二八・二%、統計上そうなっております。そうなってまいりますと、ほかの七二%近くが未組織労働者ということになるわけですが、この方たちはほとんどが中小零細企業に勤めている。しかも非常に悪条件下の中で今日の日本経済を支えてきた大きなエネルギーになっておったということは言えるのではなかろうかと私は思うのです。この未組織労働者人たちに対する労働福祉対策というものは、大企業に比べまして非常に格差が大きいと思っておるわけであります。この辺のことにつきましては、企業でそれをやれと言っても、それだけの力はない。当然のこととして国の施策においてこの辺は考えていかなければならないと思うわけであります。現在いろいろその対策は練っておられるようでありますし、雇用促進事業団等でいろいろそういうことをやっておることも私は知っておるわけでありますけれども、この大多数と言ってはなんですが、そういった未組織労働者に対しまして、勤労者に対する労働福祉対策は国を挙げて、労働省を挙げてもっと積極的にやらなければいけないのではなかろうかと考えておるわけでありますけれども、労働省はその辺はどのように認識を持っておられますか、少しお聞かせいただきたいと思います。
  20. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答え申し上げます。  先ほどからお話がございましたように、中小企業労働者、特に未組織が多いわけでございますけれども、御指摘のように福祉につきましては大企業に比べると立ちおくれている面がございます。今先生ちょっとおっしゃいました施設等につきましても、大企業では、五千人以上の規模では体育施設を九三%持っているのに対しまして百人未満では三二%、保養所等につきましても、九九%に対して二四%という状況でございます。これらに対応いたしまして促進事業団では、体育施設、研修施設その他宿泊施設等の整備を行ってまいりました。それからなお労働省としましては、今先生おっしゃいましたように、高齢化の進展、勤労者の福祉ニーズの多様化等に対応して、中小企業勤労者についてもその生涯にわたる総合的な福祉の拡充の必要性が高まっている、総合的に対応していかなければならないということで、六十一年の十月に労政局の中に中小企業労働対策室を設けまして、集中的な対応を図っているということで進めているわけでございます。  今後、ここでなお先生のおっしゃった趣旨に沿いまして進めていくつもりでございますが、例えば財形制度では、大企業では八五%に対して百人未満では五七%、それから貸付金制度では、大企業が九四%持っているのに対しまして二五%という数字になっております。まず今年度におきましては、ソフトの面と申しますか、労働福祉格差を縮小し、中小企業勤労者が生涯にわたりまして充実した生活ができるように中小企業勤労者総合福祉推進事業というのを創設することといたしております。この事業は、市町村単位に中小企業勤労者のための総合的な福祉事業、例えば不時の災害等に重点を置いた共済給付や福祉施設の割引利用のあっせん等の事業を行う中小企業勤労者福祉サービスセンター、仮称でございますけれども整備していただき、これに対して市町村を通じて運営費の助成を行っていこうとするものでございます。いろいろとこれらのものを中心としながら総合的な施策の充実を図ってまいりたいというふうに思っております。
  21. 谷津義男

    谷津委員 そういう対策が徐々に行われてきておるということについて私も敬意を表するわけでありますけれども、実際に中小零細企業に勤めている方たちは非常に雇用条件も悪い、あるいはまたこういうことを言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、経営の不安にもおののいておる。一方において、労働福祉的な面も非常に悪い条件下にある、賃金も安い、そういう中で、今日の日本経済を支えてきた本当に大事な人たちだろうと思うのです。  ところが、そういった施設がなかなかないものでありますから、大企業でありますと保養施設を持っている、あらゆるそういった厚生施設を持っている、公務員の皆さん方もそういった面ではかなり安くいろいろなものが使える、かなりの施設を持っておられる。しかし、中小に勤める未組織の労働者の皆さん方というのはそういったものを使おうにも使える場所がない。これからいろいろ施策が行われると思いますけれども、自分たちで、家族でたまには旅行に行きたい、あるいは子供たちを海に連れていってやりたい、結局は高いホテルに泊まらなければならぬとか、そういうところで出費が多くなってくるという状況になって、私の目から見ると、何か踏んだりけったりという感じすら受けるわけであります。この辺のところに着目した国の施策、社会政策的な施策をやっていかなければ、これからの日本を支える本当に大事な人たちでありますし、またそういうものがある程度確保できることによって、先ほども答弁がありましたけれども、中小企業に勤める人も確保できてくるということにもつながってくるのだろうと思うのですけれども、この辺の対応が今までの国のやり方は非常に弱い。ただ、このやり方は非常に難しい、非常に難しいというのはよくわかっておりますけれども、これはこれから国として一つの大きな目玉にしてやっていかなければならないのじゃないかと思うのですが、この辺のところはどのようにお考えでございますか。
  22. 中村太郎

    ○中村国務大臣 御指摘のように、中小企業対策というものは非常に視野の広くて、しかもきめの細かい行政でなければならぬと思っているわけでございます。そのためには、労働省としましては、産業政策、通産省等の中小企業対策と十分な連携の中で積極的な進め方をしていかなければならぬと思っておるわけでございます。御指摘のように、私も中小企業の出でございまして、肌で実態を受けとめておるわけでございます。  労働条件、雇用条件ともなかなか難しいわけでございますけれども、このままの状態でいいというわけにはまいりません。したがいまして、まずは第一に、中小企業者自身の自助努力、それからかてて加えて集団での福祉対策に対する取り組み、それに対して国なり県なりの助成措置というようなものが一体となってやっていかなければいけないのではないかというふうに思っておるわけでございます。今の経済の繁栄の支えになっておりまする中小企業を何としてもこれから育成していかなければなりませんので、その観点に立ちまして、労働省といたしましてはあらん限りの努力を傾注いたしまして、その発展に尽くしてまいりたいと考えております。
  23. 谷津義男

    谷津委員 ぜひひとつこの問題についてはお願いをしたいと思います。  時間がありませんので最後になりますが、週休二日制の移行についてお聞きをいたしたいと思います。  九〇年度前半までに週休二日制に移行させたいという考え方で、今いろいろと対策が打たれているわけでありますが、その問題で、週休二日制ということになりますと、実は私のいろいろ調べたのによりますると、日給月給をとっている会社が、業種によっていろいろ分かれていますけれども、非常に多いのですね、まだ四割ぐらいはとっておるのじゃないかと思うのです。そうなってまいりますと、もし土曜日が休みということになると、その分給料から引かれるという形になって、勢い賃金を確保するためには残業等が多くなってくるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでありますけれども、そうなると、むしろ結果的には労働条件が悪くなってくるのじゃないか、そういう感じを持つわけなんですが、この辺のところは労働省はどういうふうに考えておりますか。
  24. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 労働時間の短縮を進めていく上で週休二日制の普及促進が非常に大きな柱になることは、先生のお話のとおりでございます。その中で、労働時間の問題は企業におきますコストとの関係がございまして、生産性が変わらない状態で労働時間を短縮していけば、企業におきましてコストが高くなるかあるいは賃金を切り下げるかということに理論上はなるわけでございますが、私ども、労働時間の短縮は、労働生産性の向上の成果を賃金のアップあるいは労働時間の短縮に振り向けていくということを基本に置きつつ、また逆に労働時間の短縮をすることによって、企業の仕事の仕方を改善することによって能率を上げていくという、それによって生産性が逆に上がっていくという効果の面も考えられるわけでございます。  したがいまして、これまでの私どもの調査等によりますと、週休二日制を導入した企業におきましての賃金面の対応を見ますと、多くの企業で従来の賃金の水準を維持しているというような例が多いようでございまして、必ずしも時間の短縮によって収入減をもたらしているということには即断できないように考えているわけでございます。しかしながら、賃金の決定につきましては、基本的には労使の話し合いにおいて進められていくべきものでございまして、今後労働時間の短縮を進めていく中で、これらの日給労働者の所得との問題につきましても十分配慮しながら見守ってまいりたいと考えております。
  25. 谷津義男

    谷津委員 確かに今週休二日制をとっているところはそれだけの力がある大企業であり、それだけの企業だからそういうものであると思うのですが、これからはそうはいかなくなってくると思うのですよ。先ほどから話が出ている小零細企業もだんだんそういうふうになってくるとなれば、今の問題だけでは事は済まなくなってくると私は認識しているのです。ですから、その辺のところは十分に配慮していただきたい。  週休二日制の問題に絡めてパートの問題をお聞きしたいのです。  最近、パートの問題で、いわゆる短期パート等においては就労者が非常に条件が違うなんというのでトラブルがかなり出ているという話も私どもは聞いておるのです。特に週休二日制に移行していきますと、労働時間の短縮とは裏腹にパートの必要性がだんだん大きくなってくるのではなかろうかというふうにも私は考えるわけであります。そうなってまいりますと、パートの問題については何らかの対策を抜本的に打っていかなければならないのではなかろうかと考えるわけでありますが、この問題については立法措置等も含めて、法制化等も含めて労働省は何か考えておるのでしょうか、どうでしょうか。大臣、最後にお聞かせいただきたいと思います。
  26. 中村太郎

    ○中村国務大臣 パートタイム労働者は近年著しく増加をいたしておるわけでございます。同時にまた質的に見ましても、勤続年限の長期化あるいは就業分野の拡大等の傾向が見られるなどいたしまして、重要な労働力の一環となっておるわけでございます。  こうした状況を踏まえまして、昨年十月、女子パートタイム労働対策に関する研究会から、法的措置を含めまして総合的な対策を検討すべきだという提言も受けておるわけでございまして、労働省としましては、今年度において早い時期に各方面の専門家から成りまするパートタイム労働問題専門家会議、これを設けまして、今後のパートタイム労働対策のあり方について、御指摘のような法的な整備の問題も含めまして総合的に検討を進めてまいる所存であります。
  27. 谷津義男

    谷津委員 終わります。
  28. 野中英二

    野中委員長 新村勝雄君。
  29. 新村勝雄

    ○新村委員 私は、外国人労働者の問題について、既に議論がありましたけれども、別の観点から重複しないようにお伺いしたいと思います。  外国人労働者に対する日本政府の基本的な方針、考え方はいかがですか。
  30. 岡部晃三

    岡部政府委員 外国人労働者の受け入れ問題につきましては、過去三回、これの受け入れは慎重でなければならぬ、受け入れないという考え方で閣議口頭了解を行った、その線で現在まで運用がなされているというのが実情でございます。
  31. 新村勝雄

    ○新村委員 今盛んに国際化ということが言われておりますし、また国際化を日本は世界から期待をされておるわけでありますし、また憲法の前文にも、自分の国のことばかり考えて他国を無視してはならない、こうあるわけであります。ほかの商品経済についてはいろいろ貿易摩擦等が今までありましたし、現にあるわけであります。労働市場についてもやはりこういうことがあると思いますし、あるいは将来はさらに問題になるのではないかという気もするわけでありますが、この労働問題について他国、特に中後進国から国家間の話し合いで何か要請なり希望なりが日本に対して述べられたことがありますか。
  32. 岡部晃三

    岡部政府委員 国際化の進展という点につきましては先生御指摘のとおりであると存ずるのでございます。ただ、物とか金とかと違いまして人の問題になりますと、これはまたいろいろ非常にデリケートな側面があることも現実でございます。それで、人に関しまして、いわゆる外交ルートにおきまして正式に日本が受け入れを迫られているという状況には現在ございません。  しかしながら、例えば竹下総理が先般フィリピンを訪問した際に、アキノ大統領から、フィリピンの労働力を日本で少し受け入れてくれないだろうかというふうな問題が、日本におけるいわゆるジャパゆきさん問題の解決と申しますか、フィリピン女性を日本においていろいろと問題がある業種に多数使っているのではないか、そういうふうな問題の裏腹の関係といたしまして提起されたというふうに承っております。しかしながら、外交ルート上正式な国の間の要請というのはまだ現実にはないのが現状でございます。
  33. 新村勝雄

    ○新村委員 外交ルートでは正式にはないということでありますけれども、アジアを考えた場合に日本だけがずば抜けた先進国あるいは経済大国になっておりまして、それ以外についてははるかにおくれたところを走っておるということであります。そうすると、将来日本に対して労働力の受け入れについても正式にそういった希望が表明されることが予想されるわけです。  それからまた今までの経過を見ても、日本がかつて中進国後進国であった時代に、アメリカにあるいはブラジルに、世界じゅうに移民をした時代があります。当時は日本人は食えないで、単純労働者として外国に行ったのです。こういう移民をそれらの国は好意を持って受け入れてくれたわけです。まあアメリカにおいては後で排日移民法などということになりますけれども、とにかく数十万という日本単純労働者を受け入れてくれた。当時はそのことによって日本はかなり助かったわけであります。そういう経過があるわけでありますけれども、日本が今度は経済大国になってしまうと、単純労働者は一切お断りだということで済むのかどうか。これは道義的に考えても、かつてお世話になったのに、今度はこっちが強くなり繁栄をしてくればもう一切お断りだということで、国際化という言葉は大変難しい内容を持っておるようでございますけれども、極めて常識的に考えて、いわゆる国際間のおつき合いということからして、そういう完全なシャットアウトが道義的に果たしてできるのかどうかということがあります。  それから、もちろんこれは今お話しのように極めてデリケートな問題であって、商品とは違うということもあります。また国内の労働市場の問題もあります。また国内の労働組合、労働階級――労働階級といいますか、労働者との調整もあるでしょう。そういう調整はもちろん無視はできませんけれども、ただ単に入ってきては都合が悪いからシャットアウトだということで、これから国際的な世界の日本として立っていく場合に済むのかどうかということがありますが、そこら辺いかがですか。
  34. 中村太郎

    ○中村国務大臣 御指摘のような意見もあることを私どもは十分承知をいたしておるわけでございます。物の自由化が行われた、金の自由化も行われた、国際化という間においてはこれからこそ人の自由化であるべきではないかという御論議もあります。しかし、少なくとも私ども労働省としましては、今の雇用失業情勢あるいは労働市場への影響、このことに視点を置いて考えていかなければならないと思っておるわけでございまして、将来日本の国が大いに繁栄をいたしまして、今の雇用失業情勢も回復をいたしたという時点では別でございますけれども、御案内のように、失業率はよくなりましても二・六%、百六十三万の完全失業者、有効求人倍率におきましても、よくなりましたといっても〇・九〇倍でございますし、地域によっては〇・四四倍、〇・四五倍、〇・四七倍という状況があるわけでございます。こういう求人倍率がまだら模様のある限りにおいては、いま少し外国人の入っていただくのを我慢してもらう必要があるのではないか。  しかし、一面におきましては、企業の技術革新、国際化に伴いまして外国人労働者の受け入れをしたいというニーズも非常に高まっているわけでございまして、この辺のことも調整をしながら、技術者、技能者等々につきましては受け入れの範囲を拡大をすべきではなかろうか。しかし、単純労働力の受け入れにつきましては、やはりいましばらく現状の方針を維持すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。  御案内のとおり、これは単なる労働力の問題だけではなしに、西ドイツ、フランスの例を眺めましても、これが住宅問題、教育問題あるいは治安問題等に絡みまして、六〇年代に外国人を不法でなくて本当に受け入れた国におきましても、実態は今手をやいておるという状況を見るにつけましても、やはり慎重であるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし、この件につきましては、これからも労働省の基本方針は維持しながらも、各方面、各省庁との連絡協議を調えながら視点を見出していきたいというふうに考えております。
  35. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣おっしゃるように、確かに完全失業者はおりますけれども、先進工業国ではずば抜けて成績がいいわけですね。失業率は一番低い。ずば抜けていいわけであります、いいからといってもまだ完全ではありませんけれども。そして一方では、技術者あるいは研究者については十分受け入れる。これは受け入れれば日本の経済の発展にとって都合がいいから受け入れるということでしょうから、都合のいいものについては受け入れる、単純労働者が入ってきては都合が悪いからだめなんだということではその理屈は世界的には通らないのですよ。  だから、それはそれでそういうことはあるでしょうけれども、それからまた労働者あるいは労働組合との調整は必要でしょうけれども、将来はやはりこの問題について必ず日本が諸外国から要求をされるときが来る、既に来つつあると思います。その場合に、今大臣がおっしゃるような理屈だけでは通らないと思うのですよ、国際化の日本として、しかも世界一の経済大国が。ですから、そういう点についても基本線は維持するとおっしゃいますけれども、当面は維持しなければならないと思いますけれども、将来はこういう問題も十分真剣に国際間の問題として考えていかなければ日本は孤立していくし、口では国際化を言いながら勝手なことばかり言っているじゃないかということになるので、ぜひひとつ御検討はいただきたいと思います。  それからもう一つ日本の労働運動の中で、先ほども話が出ましたけれども、現在の労働組合の組織率は二六、七%、そんなものだと思います。極めて低いわけです。この組織をされている分野を見ますと、いわゆる中小企業においてほとんど労働組合がない。そして、一流企業にはほとんどあって、しかも労使の関係も日本は大変よくいっている。労使協調とは言いませんけれども、労使の関係がよくいっていることが日本経済の大発展のもとになったと言われております。そして、同時にまた労働組合の組織をされている職場においては労働者の労働条件も非常によくなっておるわけです。これは企業の方の努力もあるでしょうけれども、労働組合の存在がそういうことをさせたわけであります。ところが一方、組合のない中小企業においては労働者の労働条件も、したがって賃金も一流企業、組合のあるところに比べて格段に悪いわけですね。この悪いということについては中小企業の経営者ばかりを非難するつもりはありませんけれども、やはり労働組合がないということが大きな原因になっていると思うのです。  そういう意味で、現在のような大変偏った労働組合の状態、組織率、そういったものについて労働省はどうお考えですか。労働省が旗を振って組合の結成を奨励するわけにはいかぬと思いますけれども、やはりそこにはいろいろ問題がありまして、中小企業の経営者というのは労働組合を非常に恐れているわけですね。何とかして労働組合をつくらせないという意識が潜在的にあるいは顕在的にあるわけです。ですから、そういう意識は時代おくれでありまして、経営者はやはり労働者と共存する、また労働組合と共存していくという意識でなければ、労働問題の近代化あるいは職場の近代化もできないと思うのです。そういう意味で、労働省の基本的な組合に対するお考えを伺いたいと思います。
  36. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答え申し上げます。  組織率につきましては、労働省の政策調査部において実施しております労働組合基礎調査によりますと、昨年六月三十日現在で我が国の推定組織率は二七・六%ということになっております。アメリカよりは高くなっておりますが、欧州の諸国に比べますと低いというのは今先生御指摘のとおりでございます。  組織率の低下またはその低いという原因につきましては種々の見方があろうかと思いますが、いろいろな関係者の話等では、第三次産業化の進展パート労働、派遣労働等就業形態の多様化、労働者自身の意識の多様化等を指摘しております。第三次産業化や就業形態の多様化等は今後とも進展していくと思われますので、これらについての低下の要素は今後進むわけでございますけれども、これに対しまして労働組合は、連合結成等の新しい情勢の中で、パート労働者や中小企業の組織化に取り組んでいるところでございまして、組織率が今後どのように推移していくかということは、なかなか今直ちに申し上げることは難しいというふうに思っております。私たちとしては、これらの労働組合の運動に注目してまいりたいというふうに考えております。  後半でおっしゃいました労働組合の組織率が低下するのがいいのかどうかという問題があるわけでございますけれども、労働組合を直接政府の側として個々につくっていく、つくらせるというようなことは望ましくないわけでございまして、この問題につきましては直接的には労働組合自身の問題であるというふうに考えているわけでございますけれども、労使の関係で、労働基本権全体の問題についての認識を深めてまいりますとともに、その環境整備と申しますか、そういうような点で労働省としても務めを果たしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 新村勝雄

    ○新村委員 政府に労働組合の組織化を奨励するようにということを申すつもりは毛頭ございません、これは労働者の責任でありますから。ただ、中小企業の職場あるいは経営者の意識としては何とかして労働組合を抑えたい、つくらせたくないという意識があるように思われるわけです。しばしば、違法行為まではいかないにしても、労働組合を圧迫するような行動なり方針なりが経営者によってとられる場合が実際として多いわけです。ですから、労働基準法に反するようなそういう傾向については、組合を圧迫するようなやり方はしかるべく指導していただきたいということを申し上げたいわけであります。あとはすべてこれは労働者の責任でありますから、労働者に健全な労働組合をつくるように頑張っていただく以外にないわけでありまして、それ以上申し上げるつもりはないわけであります。  次に、環境問題についてお伺いいたしますが、まず一つは、湖沼の汚濁についてであります。  私いつも湖沼の汚濁については申し上げるわけでありますが、湖沼の汚濁については特別立法までつくって政府において努力をされていることについては評価をいたしますけれども、実際には、現場へ行ってみますと、その状況がなかなか改善をされないというような状況です。全国で湖沼、特にいわゆる閉鎖性水域というのはたくさんございますけれども、その中で、ワーストワンという日本一の汚濁ということで有名であります手賀沼、あの近所に私おりますが、これは、この手賀沼のことを言っているのではなくて、手賀沼を代表的に取り上げてお願いするわけでありますけれども、そのことについて申し上げるわけです。  この対策としては、一つには基本的なものだと思いますけれども、公共下水道あるいは導水事業、流域対策、流域の家庭に対する協力の依頼要請ということになると思いますが、そういうことと同時に、今まで汚染して死の沼と言われている状況、これについては周辺対策だけではどうにもならない面があるわけであります。沼の底に大変な泥が堆積をしておりまして、これを除去するあるいはまたそこに流れ込む水路の管理をやる、完全に抜本的な対策を立てるというようなことでないと解決しないわけであります。流域対策というのはこれ以上悪くしないという対策であって、今かなり重傷になって悪くなっているものをよくすることはなかなかできないということでありますから、それらについての環境庁のお考え環境庁事業省庁ではないので大臣に無理を申し上げるつもりはありませんけれども、そういう抜本的な水の浄化についてどうお考えですか。
  38. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、湖の浄化につきましては湖沼水質保全特別措置法という法律がありまして、それに基づきまして湖沼の指定をし、そして指定をしますとそれを浄化するために計画を立てまして、それに基づいて計画的に浄化を進めていくという体制が整っております。手賀沼につきましても、そのルールにのっとりまして、六十二年の三月に計画が立てられまして、五年間で三百六十六億ぐらいの事業をやるということに各省の協力を得て決定をいたしておるところでございます。  先生御指摘のように、中身は中心が下水道の整備ということにあるわけでございますけれども、今先生御指摘のような湖そのものをきれいにする、あるいはそれに注ぎ込んでおります川をきれいにしていくという事業につきましても、若干ではございますが中身として予定されておりまして、例えば手賀沼につきまして、たまっておりますヘドロをしゅんせつするという仕事、五年間で二十三万立方メートルぐらいしゅんせつをしていく。これは五十一年から六十年までの十年間で大体そのぐらいのしゅんせつをやったわけでございますけれども、今後は五年間で過去十年分ぐらいのものをやっていこうというのも計上されておりますし、もう一つは、手賀沼に注ぎ込みます大堀川そのものをきれいにしていこうということでございまして、河床に礫、石でございますけれども、それをあるところに敷き詰めまして、それによりまして浄化をしていこうというような事業費も計上されておるわけでございまして、これらを計画的に実施していくことによりまして浄化が図られていくのではないかというようにも思っております。  また、余計なことかと存じますが、この三百六十六億の計画には入っておりませんけれども、先生御承知のように、北千葉導水事業という事業が別途公共事業でございまして、利根川の水を手賀沼に一部、浄化用の水として流し込むという構想のもとに事業が進められております。六十五年が完成目標になっておりますけれども、これが完成した暁におきましては、一秒当たり十トンというかなり大量の水が浄化用水として手賀沼に流れ込むことにもなりますので、浄化につきましてはかなり大きな効果が出てくるのではないかというように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  39. 新村勝雄

    ○新村委員 今おっしゃった仕事をおやりになっているということについては承知をいたしておりますが、環境庁さんの決算を見ますと、研究調査費が主体になっておりまして、事業については他の省庁、建設省がおやりになっているので、これは結果的にはそれでいいと思いますけれども、もう少し直接水を浄化する、あるいは周辺の整備をするということについても環境庁さんが主体的にもっと指導力を一層発揮していただくようにお願いをしたいと思います。  次に、鉄道の騒音の問題、これは環境庁さんと鉄道の方、両方に関係する問題でありますが、最近の調査によりまして、鉄道騒音、特に新幹線の騒音が非常に環境基準を超えておるという調査があるわけでありますが、その実態についてどういう御認識ですか。
  40. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  新幹線の中で特に東北・上越新幹線は六十二年の六月、十一月がそれぞれ環境基準の達成目標期間の最終期限ということでございますので、環境庁におきまして、六十二年度におきまして東北・上越新幹線の騒音につきまして調査いたしたところでございます。  その結果を概略申し上げますと、その結果によりますれば、昭和六十年度にも調査いたしたわけでございますが、昭和六十年度における調査と六十二年度調査を比べてみますると、騒音レベルは〇・六から二・三ホン減少している、低減しているということで、かなり良好な成績が得られたわけでございますが、環境基準の達成状況について申し上げますと、東北新幹線におきましては、軌道中心から十二・五メーターのところで二二%、それから一番遠い百メーターの地点では八一%、上越新幹線におきましては、軌道中心から十二・五メーターのところでは二八%、百メーターの地点では八〇%というような状況になっているわけでございます。  そういうことで、調査の結果そういう形のものが得られたわけでございますので、今後、この環境基準の達成を図っていくためには、まず第一に、基本的施策でございます音源対策を推進いたしまして、特に住宅が集合する地域におきましては、六十五年度を目途に七十五ホンを超える地域にありましては少なくとも七十五ホン以下とする、それから七十五ホン以下の地域につきましても環境基準の達成に向けて対策に努める必要があるというぐあいに考えているところでございます。そういうことで、今後ともこの騒音低減技術の開発に努めますとともに、その成果のうち実施可能なものから逐次音源対策への活用を図る必要があるというぐあいに考えているところでございます。さらに今、新幹線鉄道騒音に配慮した沿線の土地利用の適正化についても一層努力する必要があるというぐあいに考えているところでございます。
  41. 新村勝雄

    ○新村委員 この騒音については、騒音の解決は、もちろんこれは音源、どこから騒音が出るかということを分析をして、その分析に従って個々に対策を立てるということになるわけでありましょう。主たる音源については、軌道構造物、遮音壁あるいは架線、車両というようなことのようでありますが、これらの主要なる音源について、それが全体の騒音のどういう部分を占めているのか、それから個々の音源ごとにどういう対策があるのかを概略お示しをいただきたい。
  42. 羽賀肇

    ○羽賀説明員 ただいまお話がございましたように、東北・上越新幹線につきましては、大宮が開業しまして五年を経ましたということで、昨年環境庁によって騒音測定をしまして、このたび結果が公表されたわけでございます。ただいまお話がございましたように、線路から極めて近い十二・五メートルの地点で平均値がほぼ七十五ホンを切るというところまで達したということでございまして、二年前の測定結果よりも改善の跡が見られるということで、私どもとしましても対策の成果というふうに考えてございますけれども、そういった線路から近いところにおきまして環境基準の達成率というのがいまだ低いということは事実でございまして、なお一層引き続きまして担当のJR東日本会社を指導してまいりたいというふうに考えております。  東北・上越新幹線の騒音対策としましては、東海道・山陽新幹線の今までの経験あるいは東北新幹線を建設するときに小山に先行的に試験線をつくりまして、そこで種々の検討、試験を行いました。そういったことで確認された施策を積極的に導入しまして、例えば車両のパンタグラフを改良するとか、あるいは防音壁も改良して逆L型の防音壁を設置するとか、鉄製のけたを採用しないとか、そういった実施可能な騒音低減策を総合的に実施してまいったわけでございます。開業後におきましても、今度はレールをできるだけ磨いて平らにする、そういった施策を鋭意実施してまいったわけでございます。  今般、環境庁からも改善要請を文書として受けまして、今後の対策についてはJR東日本に必要な指示をすることとしてございますけれども、吸音板を設置するとか、あるいは逆L型の防音壁をさらに設置していくとか、そういった対策をまず所要の地区に逐次実施していくというほかに、車両的には十二両編成の列車におきましてはパンタグラフの数を半分にするということで、できるだけパンタグラフのすれるときの音を小さくしようというような対策を逐次実施していく、あるいは今申し上げましたようにその効果が確認されております、レールを磨いていく、レール削正と言っておりますが、レール削正をさらに深度化していくというような対策が中心になっていくものと思っております。また、引き続きまして騒音防止対策といいますか、そういった面の技術開発の促進というものについても努めてまいりたいというふうに考えております。  それから冒頭、音の中で騒音に対する寄与率というようなお話がございましたけれども、これはその道の技術の方からちょっと聞いたお話でございますけれども、大体二百四十キロぐらいの高速で走っていて標準的な高架橋というところから音が発生するのを分析してみますと、今の状態ですと、車両が空気を切る音、空力音と言っておりますが、それと、それから上についておりますパンタグラフが空気を切る音、こういうふうに風を切るということの寄与率が、正確な細かい数字というよりも五割とか六割とか、そういうオーダーで寄与しておるというようなことを聞いております。
  43. 新村勝雄

    ○新村委員 音源の分析、その寄与度、そういったことについて一層努力をされて、それぞれの音源についての対策をぜひ科学的にとっていただいて、少なくとも環境基準に一日も早くおさめるということに努力をいただきたいと思います。  次は、青函トンネル、これは最近、二十数年の大事業が完成をして、内地と北海道を結んだ大変な成果ではありますけれども、一方では、非常に長い長大トンネルの中で万一事故が起こった場合の懸念がされておるわけです。そこで、いろいろ事故対策、安全対策については努力はされていると思うのですが、一方ではいろいろ懸念もされておるわけであります。例えば三月十三日に開業して、それから小事故というかそういうものが何件か出ておるわけですね。開業してまだ早々ではありますけれども、そういったことについての反省といいますか、検討が必要だと思いますけれども、どういうお考えですか。
  44. 百瀬信

    ○百瀬説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘ございましたけれども、三月十三日の開業以来輸送上のトラブルが多発いたしました。この中身につきまして逐一私どもの方で報告をとりまして、これにつきましての調査をしておるわけでございます。  中身といたしましては、列車の火災を早期検知するためにトンネル内に火災検知装置というものをたくさんつけておりますけれども、これらの検出温度の判定の設定値が非常にシビアに設定していたがために動作をしたということがたくさん出ております。そのほかに機関車等の初期故障的なものも出ております。いずれにしましても、JR北海道におきまして安定輸送のための対策委員会を設置いたしまして、これらの原因と対策について逐一やっておりまして、今まで発生しましたそういった小さなトラブルにつきましては、主として初期故障的なものでございますけれども、ほとんどがおさまっておりまして、今日では安定輸送の姿になっております。
  45. 新村勝雄

    ○新村委員 トンネルの中で起こる事故で一番怖いのは火災だと思いますけれども、この中で火災が起こったことを想定した演習等は行っておりますか。特にそこで起こり得る最悪の状況を想定しなければいけないわけですけれども、そういった想定のもとにどういう演習等が行われておりますか。
  46. 百瀬信

    ○百瀬説明員 その訓練につきましての前に、青函トンネルの火災に対する安全対策の考え方、設備ということについて若干付言させていただきますと、青函トンネルの安全防災対策のうち火災対策につきましては、昭和五十四年度日本鉄道建設公団内に設置いたしました青函トンネル火災対策委員会というものの検討結果を踏まえまして、トンネル内の二カ所に列車をとめて乗客の避難誘導と消火を行うための設備、これは定点というふうに申しておりますけれども、これを設けているほかに、先ほど申しました火災検知装置、それから消火設備、換気・排煙設備、避難誘導設備等がこれらの災害に対応するように設置されておるわけでございます。  ただいまの御質問の、万が一の場合に備えてのこれらの防災訓練はどんなことをしているかというお尋ねでございますが、昨年、地域消防と連携をとりまして、これらのトンネルの中で火災が発生したということを検知いたしまして、それで列車に乗客を模擬的に乗せまして、この定点にとめて、そして避難誘導するという総合的な訓練を実施しております。それから今後におきましても、やはりこういった問題につきましては常日ごろそういう訓練をしておくということが大切でございますので、防災の日というふうな時期をとらえまして、こういった総合的な防災訓練というものを今後も継続的に実施するという方向で指導してまいりたいというふうに考えております。
  47. 新村勝雄

    ○新村委員 これはいただいた図面ですけれども、これによると、海底に本線が敷設をされて、その両側にたくさんの枝線が出て、そこが避難の場所になったり排煙のパイプになったりしているようですが、こういう最新の技術あるいは施設ではありますけれども、この中で実際に火災が起こった場合に、その煙がどういうふうに流れていくのか、あるいはその場合の空気の流れがどうなっていくのかということについては、実際にその規模のものを実験してみないと本当の確信は持てないのではないかと思うのですね。ですから、列車をとめてそこで避難訓練をやったというだけでは十分ではないと思います。実際の汽車を燃やすわけにはいかぬでしょうけれども、起こり得る最大の火災をそこで実際につくってみて、そしてそのときの状況を見なければ本当のものではないと思いますけれども、そういう面についての実験はどの程度のものをおやりになったかということです。
  48. 百瀬信

    ○百瀬説明員 ただいまトンネルの中での火災の実験を、どの程度の実証試験をやってきたかというお尋ねでございますけれども、昨年、トンネルの中の火災に対しましてのいろいろな実験につきましては、消防機関あるいは鉄道建設公団あるいはJR等々の関係者の委員会をつくりまして、そしてトンネルの中で実際に燃料を大量に燃やしまして、それらの排煙の効果あるいはそれがトンネルの中にどう及ぶのか、それから換気の効果というようなことを、期間はちょっと失念いたしましたけれども相当長期にわたりましていろいろな実験を総合的にやっております。そういったことで、とにかくトンネルの中では常時換気しておりますし、また火災発生の場合には排煙設備というものが強力なものがございますので、それを動かしまして排煙するわけでございますけれども、この排煙機能の確認も十分行われまして、乗客が煙に巻かれるというようなことは絶対にないということが確認されております。
  49. 新村勝雄

    ○新村委員 このルートというのは活断層を貫通して施工されているというふうに言われておりますね。そういう点についての問題で、地震の場合が大変心配になるわけでありますが、活断層と地震の関係、それからまた地震がないにしても、将来時間がたつにつれて老朽した場合の漏水、あるいは地震がないにしても活断層と施設との関係、そういったものについての予測はどうなっておりますか。
  50. 百瀬信

    ○百瀬説明員 お尋ねの地震対策についてでございますけれども、地震に対しましては、地震の振動加速度は一般に地中におきましては地表に比べて小さいと言われております。青函トンネルでの過去十数年間の観測結果でも、地中の振動加速度は地表に比べまして三分の一ないし五分の一程度となっております。したがって、青函トンネルにおきましては地震に対して十分安全と考えられます。ちなみに、昭和五十八年五月に発生いたしました日本海中部地震、これはマグニチュード七・七、青函トンネルより震源まで約百五十キロでございますけれども、これにおきましても被害は全く発生しておりません。また、青函トンネルには六カ所に警報地震計を設置しておりまして、ある一定の振動加速度を検知いたしますとATCに連動いたしまして列車を停止させることにしております。  それから漏水対策についてでございますけれども、竜飛の作業坑、竜飛の斜坑底及び吉岡の斜坑底の三カ所にポンプ室を設けておりまして、竜飛、吉岡の斜坑から坑外に排水をしております。排水設備としましては排水路、ポンプ設備、排水管、受配電設備、非常用発電機が設けられているわけでございます。また、非常時の対策といたしまして、停電を考慮しまして電源は多重系、これは竜飛方が二系統、吉岡方三系統となっておりますが、さらに万が一を考えまして非常用の発電機を設備しております。また、ポンプの故障に対しましては予備ポンプを設置しておるわけでございまして、こういった事柄によりまして地震並びに水ということに対しましての万全な対策が講ぜられておる、このように考えております。
  51. 新村勝雄

    ○新村委員 一番危険な外力は地震でありますけれども、この設計は地震のどの程度を想定して施工されておるわけですか。
  52. 百瀬信

    ○百瀬説明員 私、手元に資料を持っておりませんので、設計の基準の細かいところまでちょっとお答えできませんけれども、先ほど申し上げましたように、トンネルの安全性の問題につきましては、地表よりもトンネルの方がはるかに安全である、過去のトンネルにおいても地震でつぶれるというケースがございませんので十分安全である、このようにお答えできるかと思います。
  53. 新村勝雄

    ○新村委員 時間のようでありますから、まだ幾つかの疑問がありますけれども、改めて別の機会に譲りたいと思います。  終わります。
  54. 野中英二

    野中委員長 渡部行雄君。
  55. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 まず最初に、環境庁長官にお伺いいたしますが、今日、全世界的な規模で環境破壊が進んでいるわけでございます。そういう中で日本も決して例外ではありません。大気汚染、緑の破壊、水質汚濁その他環境悪化は日を追って憂慮されているわけでございますが、この状況を見られて今後どのような基本対策をお持ちでございますか、長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  56. 堀内俊夫

    ○堀内国務大臣 環境庁といたしましては、公害を防止し、かけがえのない自然環境を保全するという我々人間生活に非常に大事な重要な使命を持っているものと認識をいたしております。しかしながら、今御指摘のように特に大都市圏においては大気が汚れる、あるいは大都市圏周辺の河川、閉鎖性の湖、内海、そういう地域における水質汚濁は目に余るものがございます。私は、これらの問題に対処して、一日も早く私たちが快く住める環境をつくっていきたいと考えているのであります。  まず第一に、大気の汚れについてでございますが、かつて私たちの生活に最も大きな役割を果たしてくれました電力等の燃料が石炭でありあるいは重油であったために、硫黄酸化物が大気の汚染の大きな原因となりました。そのため、ぜんそく等の患者が非常にふえてまいりました。これらの抑制に全力を挙げた時代がございました。幸いにしてこれらの問題を克服したけれども、現在いわゆるNOxと言われておる窒素酸化物による汚染がなお横ばい状態が続いております。特に昨年度の報告によりますと、かえって悪化しているという結果も出ているのであります。この原因は言うまでもなく自動車公害と言われるものであります。特に私たちの乗用車あるいはタクシー等ガソリンを使っている車についての排気抑制は、十二、三年前の状態から見ると一割程度にまで抑制されて、今や世界一の排気抑制車になっているのでございます。  ところが一方においては、昨年度の統計によると、我が国の自動車の需要が二百万台を突破している。しかもこれらの車はほとんど大都市に集まってくる傾向にございます。まさに一方で排気抑制をしながら、一方では車の台数がふえるという悪循環によって、私たちは大気の汚染から脱却がしにくいのであります。しかし、考えてみますと、今一番問題になっているのは、いわゆる大型トラック、バス等に使われておる軽油をもとにしておるところのディーゼル車の排気抑制、これがガソリン車に比べると非常におくれているのが現状でございます。先ほど申しましたように、十三年前から見ると一割まで抑制されているガソリン車に対してディーゼル車においては四七%ぐらいの段階だそうであります。これらの排気抑制を本年度から三カ年にわたって一五ないし三〇ぐらいの抑制を強めていく、規制を強めていくということを環境庁では決定をいたしております。これらの抑制によって環境基準を達成できるように努めてまいりたいと考えております。もちろん、これとともに工場等においても排気を抑制しなければならない部面もまだあるようでございますので、これらの監視、排出規制を強めていく決意であります。  また、第二番目の湖沼、内海あるいは都市に近い河川の汚濁の問題でございますが、これは御承知のように、かつては工場においての毒物が流れたりあるいは汚染した例もございますけれども、これらはほとんど十年前には克服をしてまいりまして、今そのほとんどの原因が、一般家庭における家庭雑排水がその汚濁の主たる原因となっていると認識をしております。したがって、私どもは下水道の整備を一段強めるということ、さらに下水道のまだおくれているところについては、合併槽を奨励してこれらの汚濁の原因を一日も早く解消していきたいと考えております。ちなみに、我が国の下水道の達成率は三七%程度であるらしいのであります。ところがヨーロッパにおいては、既に八十数%という比率になっております。だから、今日の我が国の経済力から見ても、下水道を一日も早く完備する公共事業を進めることが非常に重要と考えております。  さらに自然環境の破壊についてお尋ねがございました。私どもは、一度破壊するともとに復元することは大変困難であるという認識のもとに立って、乱開発を規制する等自然破壊に対して全力を挙げて食いとめていきたいと考えておるのであります。
  57. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、環境庁が公害のない夢の自動車として大々的に宣伝して、七年前にリースで電気自動車三菱デリカバンというのを導入したわけでございますが、ほとんどこれが使われずに、しかもリース期間内に返却された。そしてことしの一月にスクラップにされたということですが、これは一体どういうことでありますか。しかも環境庁での使用実績は記録が全く残っていないため不明。日本電動車両協会では、月ごとの走行キロ数、故障の有無を提出してもらう約束で、環境庁、国公研にもお願いしたが出てこなかったと語られているわけです。一体これはどういうことでしょうか、簡潔に御答弁をお願いします。
  58. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の電気自動車の件でございますが、環境庁におきましては、電気自動車の普及を促進する立場から昭和五十六年に電気自動車を導入いたしたわけでございます。そしておよそ一年半、国会の連絡用務等に使用いたしまして、引き続き国立公害研究所におきまして二年間使用いたしまして、結果的には最初の契約期間でございました三年を半年延長いたしまして三年半使用したものでございます。この間一日最大七十三キロメーターを走行するなどその利用に努めた結果、一充電の走行距離が短いなど電気自動車の性能がまだ不十分であり、その用途は限られているということなどを把握することができたわけでございます。そういうことで、リース期間が終わった後の時点で電動車両協会に返還したものでございまして、環境庁といたしましては有効に利用できたというぐあいに考えているわけでございます。その間環境庁におきましては電気自動車の管理運行表といいますようなものもつくりまして、できるだけ有効的に使っておったわけでございまして、そういう面で、ただいま申し上げましたような形で三年半使ってそれなりのその時点における電気自動車の性能の把握をいたしたわけでございます。  最近の電気自動車につきましては、バッテリーなどの改善がなされまして性能も向上しているところでございますが、これを踏まえまして、先般、低公害車普及基本構想によりまして今後の電気自動車等の普及につきましての構想を取りまとめた次第でございます。そういうことでございますので、五十六年度の導入の時点における電気自動車につきましては、いろいろ使いまして性能等を調査したということでございます。
  59. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはどのくらい走行したのか、そのキロ数はわかりますか。
  60. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 大体二千五百キロメーターを走行したという記録が残っております。
  61. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 三年半で二千五百キロというのは全く走らないと同じじゃないですか。そういう使い方をして、しかも一方においては低公害車普及基本構想というものを打ち出しているわけですね。そうすると、これはどういうデータによってこの基本構想が打ち出されたのか、その辺についてひとつお願いいたします。  また、この低公害車は将来今のガソリン車に匹敵するくらいの開発が可能なのかどうか、その辺に対する見通しもあわせてお願いいたします。
  62. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 大変失礼いたしました。数字を取り間違えました。電気自動車は冬期間ほとんど使われなかったために、三千五百キロくらいを走行したということでございます。  ただいまのお尋ねの件でございますが、最近の電気自動車につきましては、五十六年当時の電気自動車と比べますとかなりバッテリーなどの改善がなされまして性能も高まっているところでございます。そういうことで先般、低公害車基本構想を取りまとめたところでございます。この低公害車基本構想を基本的な戦略といたしまして、低公害車普及モニター調査や公害健康被害補償予防協会の基金を活用いたしまして、今後低公害車普及を進めてまいりたいと思っているところでございます。  お尋ねの普及見通しでございますが、現在我が国におきます低公害車の普及状況といたしましては、電気自動車につきましては約八百台が公害のパトロール車、一般業務車両等の用途に供されておるところでございます。またメタノール自動車につきましては、現在走行試験を実施している段階でございまして、東京、大阪などで約五十台が走行中でございます。  今後の見通しでございますが、電気自動車につきましては、公害パトロール車など従来からの普及分野に加えまして、さらにごみの収集車とか、あるいはリゾート地におきます観光用車両などへの普及を促進することといたしたいというぐあいに思っておるわけでございます。また、メタノール自動車につきましては、都市内のディーゼルバス、トラックの代替を目標としつつ改良、開発の促進をしてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。  低公害車の普及見通しでございますが、非常にいろいろ課題もあるわけでございますので、長期的な観点から推進すべき課題だというふうに認識いたしておるところでございまして、環境庁といたしましては、先ほど申し上げましたように公害健康被害補償等に関する法律に基づきます基金の活用等によりまして、ここ数年の間は年間百台程度の導入を図りたいというぐあいに考えておるところでございます。さらに中長期的には、技術開発の進展によりまして性能の向上が見込まれることから、これらを踏まえまして新たな普及分野の拡大などを行いまして、低公害車の一層の普及に努めてまいりたいというぐあいに考えておるところであります。
  63. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 どうもこれは答弁がちぐはぐですね。  時間がありませんから先を急ぎますけれども、これはまたどういうことでしょうか。この三年半リースしたそのリース料が庁費の中から支払われているということは、ほかに出す科目がなかったのでしょうか。
  64. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 この電気自動車は電動車両協会から一年契約でリース、賃貸でございますので、そういう面で庁費の方からリース料金を支払っておるということでございます。
  65. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 先ほどはリースは三年契約、このリースの契約は大分違うではないですか。三年、四年、六年という一つのリースの契約する期間になっているわけですが、一年契約というのはどこにもない。そして先ほどは三年半使ったことになっているわけですから。
  66. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 大変失礼いたしました。  電動車両協会の方といたしましては、リースをする場合に三年とか四年とか六年という長期的な期間においてリースをしたいという考え方を持っておるわけでございます。そういうことでございますので、環境庁といたしましてもリースをする場合には一応三年間の長い期間のリース、賃貸をやりたい。しかしながら、法的なほかの問題等もございますので、契約上は一年間更新ということで三年半使っておったということでございまして、そういう面で、私の答弁で一年とか三年とかいろいろ言いまして先生に誤解を呼んだことについておわびを申し上げます。
  67. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間がありませんので先に進みますけれども、とにかく低公害車というものの開発は非常に重要であります。しかし、政府が本気になって開発するならば、これは科学技術庁なり通産省なりあるいは運輸省なりと連携をとって、一緒になって開発していけばもっと有効な手段があると私は思うのです。そういう点で、今後私のそういう要望にこたえていただきたいと思います。  次に、会津フレッシュリゾート構想についてお伺いいたします。  これは、今その承認は国土庁になっておるようでございますので、まず国土庁から現在までの経緯と、それから大体いつごろ承認の見通しになっておるか、この辺についてお伺いいたします。
  68. 畑正一

    ○畑説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御質問のあった福島県のリゾート構想、会津フレッシュリゾート構想についてでございますが、昨年末に基本構想の、これは県がお立てになる基本構想でございますが、基本構想の前段階といたしまして基礎調査というものを実施していただくことになっておりますが、この報告を県から受けましてから福島県と六省庁とで整備考え方あるいは構想の熟度等につきまして検討を重ねてきたところでございます。三月末にはおおむね妥当であるとの結論に達しまして、県にその旨御通知したところでございます。現在、県におきましてこれまでの検討状況を踏まえまして基本構想の作成に着手されていると伺っておりまして、間もなく承認申請があると承知しているところでございます。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕
  69. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 間もなくというのは六月初旬ごろでしょうか。
  70. 畑正一

    ○畑説明員 間もなく正式の承認申請があるものと予想しているところでございますが、まだ県において基本構想の作成中でございますし、また承認手続の過程で関係行政機関の長との協議も必要でございますので、現時点で確たることを申し上げることはできない状況でございます。しかしながら、基本的な姿勢としてできるだけ速やかに所要の手続を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  71. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大体六月中旬ごろまでには大丈夫ですか。
  72. 畑正一

    ○畑説明員 ただいま申し上げましたように、私どもの立場として基本構想の提出をしていただいたものをさらに関係行政機関の長と協議を進める必要がございますので、いつごろという確たる御回答はできないことを御了承いただきたいと思います。
  73. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、これは環境庁ですが、この中には国立公園、県立公園等があることは御承知だろうと思います。このリゾート開発と公園との調和をどのようにお図りになるつもりか、その辺を簡単にお願いします。
  74. 山内豊徳

    ○山内政府委員 まず一般的な枠組みを申し上げますと、御指摘のように各県のリゾート構想、必ずしもすべてではございませんが、国立公園の中に特定施設を建設したいという構想もあるようでございます。  今お尋ねの会津の構想につきましては、先ほど国土庁からお話がございましたように、正式の協議はまだ私どもいただいておりませんが、私ども県庁の自然公園担当部局とも相談しながら大体の計画の概要を事前に知らせていただきましたところ、一カ所につきましては自然環境保全審議会に御審議をいただいて公園計画を変更しなければならないところがございますが、これについても事前にかなり綿密な資料を県庁からいただいておりますので、公式協議を受けて、あるいはまたそれを待たずにも我々なりに国立公園との調整を図りたいと考えておりますが、また一般論に戻りますと、国立公園の中でも特別保護地区でございますとか第一種の規制をかけているようなところには特定施設は御遠慮いただく、しかし、それ以外のところでは今私が申し上げましたような形で公園計画との調整を図りながら前向きに対応していきたいと考えておるところでございます。
  75. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大臣、もう結構ですからどうぞお帰りください。  それでは最後環境庁の方にお伺いしますが、福島県の西白河郡西郷村羽太というところに産業廃棄物処分場が建設されている問題についてでありますが、これはその村からも大変な反対が出て、今大きなトラブルが起きているわけでございます。  そこで、この産業廃棄物処分場は、県から計画変更の届けが出されておったのを不受理にされているわけです。したがって、これはやはり県でも適当でないということを認めているわけです。そこで、ホワイトクリーンという企業なのですが、これが行政不服審査を請求しているようでございますが、これは大きな問題で、阿武隈川の上流にある地点ですから万が一ここから毒物なり汚物が流れていった場合には大変な事態になるわけで、この点について今後どういう対策を進めるおつもりか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  76. 三本木徹

    ○三本木説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生、福島県西郷村に建設中の産業廃棄物処理施設、最終処分場の設置につきましての御指摘でございますが、この問題につきましては、現在私どもの方にこのホワイトクリーンという産業廃棄物処理業者の方から行政不服審査法に基づく再審査請求というものが出されておるところでございます。  この経緯についてでございますが、実は昭和五十九年の三月に福島県の白河保健所長に最終処分場の設置につきまして届け出がなされておりまして、一度その届け出が受理されまして工事が進められたわけでございますが、その後、地域住民等のいろいろな反対等の声もありまして、規模を縮小するなどといったような工事変更をすることに至ったわけでございます。その点について、県の方から設置の変更の届け出を求められまして実は設置の届け出を白河保健所長にしたわけでございますが、そのときに白河保健所長からその設置の届け出を不受理にした、受理しなかったということで、この行政上の処分につきましての再審査請求が厚生大臣の方に上がっているということでございまして、ただいま私どもの方で慎重に審理を進めているところでございます。
  77. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは大変重大な問題に発展しますから、ぜひここの地域で産業廃棄物の処理を行わないように御指導を強く要求して、環境庁に関する私の質問を終わります。  続いて労働大臣にお尋ねいたしますが、まず労働大臣の主たる任務についてわかりやすく御説明願いたいと思います。特に労使関係についてお願いいたします。
  78. 中村太郎

    ○中村国務大臣 労働省の任務の主たる部分というものは、御指摘がありましたように勤労者の生活の安定、同時にまた福祉の増進を図ることにあると思っております。  今我が国経済というのは産業構造の転換が急激に進展をいたしております。さらに中長期的に眺めますると、これに加えて人口の高齢化あるいは技術革新、情報化、国際化等々大きな変革が予想されるわけでございます。労働省としましては、これらの変化に対応して、この変化のために勤労者の皆さんにいろいろな面で生活の変化が出ると思うわけでございますが、このことに的確に対応いたしまして、より一層雇用の安定を図り、福祉の増進を図っていかなければいけない、こういう使命があると思っておりますし、また労使間におきましても、我が国経済発展のもとになりまする労使間の本当の安定ということが基本でなければならぬというふうに考えておるわけであります。
  79. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、労働基本権に関して憲法上どういう位置づけがなされていると思いますか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  80. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答え申し上げます。  憲法二十八条に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」とありまして、団結権、団体交渉権、争議権のいわゆる労働三権を保障しております。この労働三権の保障は、経済的弱者と見られる労働者が団結することによって実質的に使用者と対等の立場に立ち、団体交渉を通じて実質的に労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上を図っていくことを可能にするために認められたものであるというふうに理解いたしております。
  81. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、今の「新憲法は、一方においては財産権の保障を宣言するとともに、他方においては、労働者労働者として、その生存を確保しうるようにするため、労働者の諸権利を保障している。このような労働者の諸権利の保障のうちに、労働が、それ自体財産権と並んで人の生存を確保する二大支柱の一つであることが、いわば国是として確認されたものという」云々とこの法律学全集に書かれておるのですが、これは正しいとお認めになりますか。
  82. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答え申し上げます。正しいと思います。
  83. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、この労働基本権が侵されている事実を後で直接にその使用者の方からお聞きしながら、ただしていきたいと思います。  その前に一つ日本の労使関係と申しますか、日本の労働政策の傾向というものを見た場合に、一体そこから何が方向づけられているのかという点についてお伺いいたしますが、労働組合の組合員数と組織率というものを過去十年間見てみますと、昭和五十三年に一番組織されて、三二・六%の組織率を示しておるものが、どんどん減りまして六十二年度では二七・六%に減ってきておるわけです。これは日本は文化国家として発展しているというけれども、民主的な立場から眺めてみると、逆に民主主義的に非常におくれてきておる、いわゆる未成熟がまだまだたくさん残っておる、私はこういうふうに言われると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  84. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答え申し上げます。  先ほども労働組合の組織率については御質問があったわけでございますが、今先生御指摘のように昭和五十三年に三二・六%、六十二年に二七・六%ということで推移いたしております。この原因その他については先ほどもお答えいたしましたとおりでございまして、第三次産業化の進展、パート労働、派遣労働等就業形態が非常に多様化しているということや、労働者自身の意識の多様化等があろうかと思います。そして、これらの多様化及び産業構造の変化はさらに進んでいくというふうに見られるわけでございますが、この組織率は確かにイギリスや西ドイツに比べては低くなっておりますけれども、例えばアメリカなどの場合には昭和六十一年で一七・五%というふうになっておりまして、日本と同じような原因その他によるものかというふうに考えております。  この労働組合の問題は直接的には労働組合自身の問題であるわけでございますが、使用者側にとっても、労務管理の円滑かつ効率的な実施の面で問題があるというようなこともあるわけでございまして、これまでの安定した労使関係を維持できるかどうかという問題からしますと、組織率の問題はやはり成り行きを注目しながら、我々としては労働組合運動その他に注目を払っていかなければならないというふうに思っている次第であります。
  85. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはアメリカも同じような傾向にあるわけですが、イギリス、西ドイツ等はそれほど変わっていないわけです。私は、この問題は確かに労使関係それ自体の問題であることは一面であると思いますけれども、やはり政府の労働行政や労使関係の正常化、近代化、こういうことについての指導が非常に貧弱じゃないか、こういうふうに思うわけです。戦後民主主義が急速に伸びたころは、もうみんな労働組合に入って、そしてみずからの権利を守ろうとしたのですが、その後企業の力がつくに従って労働者を非常に不安の状態に陥れて、組合に入ることが何か悪い犯罪でも犯すようなそういう考え方に使用者の側から押しつけられる、あるいは首になるのではないか、いわゆる生存権すら脅かされる、そういう結果がこういう数字になって出たものと思うわけですが、いかがでしょうか。
  86. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、組合の組織率の低下はいろいろな原因があるかと思いますけれども、産業構造の変化や就業構造の変化等を背景としまして、いわゆる労働組合員の組合活動参加意欲が低下してきて労働組合離れが進んだという面もあると思います。今先生おっしゃったような問題も確かにあるわけでございまして、そういうような点につきましては、戦後ずっと労働教育その他で労働基本権の問題につきまして労働省としては指導を進めてまいったわけでございますけれども、そういう特に基本権の根本にかかわるような問題につきましては、今後基本的にさらに指導を進めてまいりたいというように考えております。必ずしも使用者におどされて組織率が落ちているということよりも、社会の変化が非常に影響しているのではないかという面があるというように考えております。
  87. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 今社会の変化ということであなた逃げられましたが、私は、いい変化なのか悪い変化なのかということを認識の前提に置くべきだと思いますよ。悪い変化を社会が容認しているという見方になれば、これは内閣全体の責任になるわけですから、その辺は少しよく考えてください。  もう一つは、ここにもあるように「わが国の労働立法が、憲法上の保障を背景とするものとして根強い地盤をもつことになったことは、極めて注目すべきことである。けだし、労働立法は経済社会の推移のうちに若干の変転を免れがたいが、わが国においては、各個の労働立法が常に憲法の精神に適うものであることを要求され、労働者の基本的な諸権利の制約については、常に憲法違反ではないかという面からの批判に堪えうるものでなければならないからである。即ち、この限りにおいて、「労働立法の恣意性」が制約されているといえる。」こういうふうに労働者を規制していく場合には常に憲法の立場から問題を考え、そして会社の恣意的な立場であらゆる規則をつくってはならない、そういう労働者の基本権を侵すような規則あるいは立法はしてならないということをここで言っているわけですよ。その点はいかがでしょうか。
  88. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 その辺は、先ほどから先生のお話にもございましたように、憲法で保障されました労働基本権が維持されるような立法が行われなければならないということでございます。しかし一方、先生もおっしゃいましたように財産権の保障もあるわけでございまして、それとの調和の上でまた公共性による制限ということもございます。それらの憲法全体の調和の中で判断されていかなければならないと考えております。
  89. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで次に、JR東日本旅客鉄道株式会社が行ってきた今日までの不当労働行為及び人権侵害の事実について参考人にお伺いいたします。  実は私は、この問題は大変重大な問題でありますから社長さんにぜひ来ていただきたいということをお願いしたのですが、何か御都合があってどうしても来れないというので、きょうは社長代理として松田常務がおいでになられたようでございます。その事情はいたし方ないといたしましても、今後は相当の期間を置いてお願いすることがあるかと思いますが、その際は、ひとつ国会ですから、もっと国会の立場というものあるいは権威というものを十分考えられて準備をお願いしたいと思います。そのことを帰られたらぜひ社長に伝えていただきたい。  そこで、きょうは松田参考人にお忙しいところを来ていただいて非常にありがたく思っております。早速お尋ねいたしますが、JR東日本は、現在労使紛争に関する事件がどのくらいあるのでしょうか。
  90. 松田昌士

    松田参考人 松田でございます。五月十七日現在で当社を被申立人として地方労働委員会に起こされております案件は百九件でございます。
  91. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは、都労委がJR東日本の不当労働行為を認定して、貴社に対して命令書を発せられた事実は御存じですか。
  92. 松田昌士

    松田参考人 今言われました都労委からの初審命令をちょうだいしております。その事実は存じ上げております。
  93. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それに対してどのような御措置をされたのでしょうか。
  94. 松田昌士

    松田参考人 私ども都労委の初審命令を検討させていただきました結果、個々の内容には重大な事実の誤認と見解の違いがある、私どもはそれを謙虚に検討いたしましても不当労働行為ではないということを確信しておりまして、したがいまして、現在中労委に再審査の申し立てをしております。
  95. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは労働大臣もぜひ聞いていただきたいのですが、私この命令書を読んでみます。  一、被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合東京地方本部八王子支部新宿車掌区分会所属の組合員田中博に対し、昭和六十二年六月八日付で行った内勤の運転担当から電車乗務への指定替えを撤回し、内勤の運転担当に復帰させなければならない。  二、被申立人会社は、申立人分会所属の組合員に対し、申立外国鉄労働組合に所属している限りは担当業務の不利益な指定変更がありうる旨の言動を行ってはならず、また申立外同組合に所属していることを理由として、そのような担当業務の指定変更を行ってはならない。  三、被申立人会社は、本命令書受領の日から一週間以内に、五十五センチメートル×八十センチメートル(新聞紙二頁大)の大きさの白紙に、下記(別掲)内容を楷書で明瞭に墨書し、被申立人会社の新宿車掌区内で従業員の見易い場所に十日間掲示しなければならない。  四、被申立人会社は、前第一項および第三項の命令を履行したときは速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 というものでございます。  しかし、ただ単にこの文書が天から降ってきたように出てきたのではなくて、これを出すには、相当の調査の結果これが出てきているわけです。不当労働行為でないというのはどこを指しているのですか。
  96. 松田昌士

    松田参考人 中労委で現在係争中の問題でありますから、この場でこの内容にわたって詳しいお話をすることは適当ではないと思っております。ただ、二、三申し上げますと、その内容にございます、例えば車掌区内勤あるいは実際に乗務するというこの二つのものが何か非常に違う職種のようにそれには言われております。例えば国鉄時代の職種と今のJR東日本の職種とでは全く違っているのでありまして、その点が大きく前提を間違えておると中労委で私どもが主張している点であります。  もう一つは、特定の組合の人だからそういうことをしたのだと言っておりますが、現実にはそうじゃない組合の方もたくさん同じことをしておりまして、その点においても事実誤認がある。内容については以上でとめさせていただきます。
  97. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題一つなら私も一体どうなのかなというふうに考えますけれども、ところが、これは先ほども言われたように百数件の地労委に対する不当労働行為の訴えが出ているのですよ。しかも福島県においては、不当労働行為というより人権問題としてこれが指摘され、そして勧告を出されているのです。  そこで、組合バッジ着用者に対する人権侵害と福島県人権擁護委員会に対する救済申し立てに至る経過を若干申し上げてみます。  一、一九八七年四月一日午前零時を境にして組合バッチ着用者に攻撃開始。その具体例。①組合バッチ着用を理由に、就労意思を無視し、火の気のない詰所に追い立てる。②講習室に軟禁し、反省文の強要、就業規則の書き写しの強要。③倉庫に椅子を運ばされ、倉庫に押し込められ、腰痛になった人も、などの行為が約五十日から六十日続く。  二、五月十一日、十一名の組合員が福島県人権擁護委員会に救済申し立て。三、五月二十七日以降、組合バッチ着用者の妻あてに各現場から脅迫文が届く。これは後で読んでみます。四、六月十二日、組合バッチ着用者に不当処分。二百四十九名、福島県支部。五、七月三日、組合バッチ着用を理由に夏季手当五%カット。二百八十四名、総額五百五十八万四千二十九円。六、七月十日、十名の家族代表、福島県人権擁護委員会に救済申し立て。七、十一月九日、組合バッチ着用者に不当処分。百八十八名、福島県支部。八、十二月十四日、組合バッチ着用を理由に年末手当五%カット。百八十九名、総額五百六十万円。  こういうような経過のもとに、今度人権擁護委員会から一々指摘がされて勧告を受けたわけでございます。それを読んでみます。  「人権救済申立事件の処理結果の御報告」、これは時間の関係で一部省略します。「昭和六三年四月二三日の当会の理事会の承認を得て、別紙の勧告書を東日本旅客鉄道株式会社本社および東北地域本社に送付致しましたので御報告申し上げます。」こうなって、その「勧告書」です。  一、当弁護士会(人権擁護委員会)は、東日本旅客鉄道株式会社の郡山保線区に配属勤務していた加藤充彦、金沢勝美、堰上一司、五十嵐敬および二瓶修爾、郡山第一信号通信区に配属勤務していた島津隆、梅宮繁、斎藤和範および弓田力、福島運転所に配属勤務していた竹村直樹および佐久間郁夫の各申立てにかかる人権救済申立事件につき、詳細に検討して参りましたが、その結果次の事実が認められました。 こういうことで、「次の事実」を今度読んでみますと、  (一) 郡山保線区の件   郡山保線区に配属勤務していた右加藤充彦外四名は、昭和六二年四月二日田崎栄一保線区長及び助役から国労バッチを外すよう執拗に迫られ、翌三日、堰上一司、五十嵐敬および二瓶修爾は午前八時四〇分頃から、同区長の指令の下に「国労バッチを外さなければ業務指示はしない」と言われた後、同日午後五時頃まで詰所に待機させられ、その間監視下におかれ、「話をするな」「机から離れるな」「顔に手をあてるな」「机の上に手を置くな」「業務指示にないことをするな」等、その行動一つ一つを注意され、トイレに行く際は許可を受けなければならず、外部からの電話も取り次いで貰えなかったものである。  (二) 郡山第一信号通信区の件   郡山第一信号通信区に配属勤務していた右島津隆外三名は、伊藤宏区長の指示の下に国労バッチを外さなかったことを理由とし、昭和六二年四月二日午前八時四五分頃から終業時まで、作業道具、油缶などを入れていて、油とホコリの臭いのする倉庫内に入れられ、昼食をそこで取るよう指示され(実際は取らなかった)、翌三日から五日までも年休で休んだ者以外は同様の指示を受けて軟禁に近い状態にされたものである。  (三) 福島運転区の件   福島運転所に配属勤務していた右竹村直樹外一名は、昭和六二年四月一日午後九時三〇分頃、夜勤入りの際、国労バッチを外さないことを理由に夜勤勤務を外され(出勤簿に出勤の押印をさせられない)、やむなく詰所に待機中、安斎三郎運転所長から、「お前らが居ると悪影響を与えるから、さっさと出ていけ」、「電気料がもったいないから早く出て行け」などと言われ、さらに翌二日午前〇時一五分頃、両名は同所長に「二日の勤務はどうなるのか」と尋ねたところ、同所長は「分からない」旨答え、さらに「あんた達みたいな奴にちゃんと対応する現場長はいない。いいから帰れ、帰れ」と言われ、両名が「西部詰所で待機している」旨伝えると、同所長から「西部に行っても勤務やってる人の邪魔になるから帰れ。西部にいるようならつまみ出すから早く帰れ」と言われた上、同日午前六時頃、両名は関沢助役から「佐久間君と竹村君については業務指示を出していないので点呼に出さないで下さい。邪魔になります」と言われたものである。   以上の事実は、業務指示の名の下に労働者に対し侮辱的かつ差別的な取扱いをなしたものと認められ、労働者の人格を無視ないし軽視するものであって人権の基調にある個人の尊厳を不当に侵すものといわざるをえません。   よって東日本旅客鉄道株式会社の管理者が救済申立人らに対してなした上記各行為は、いずれにしても健全な労働関係、近代的労使関係の業務命令の範囲を逸脱したいわゆる「いじめ」的なものと認めざるをえず、内容的にも憲法一三条が保障する個人の尊厳を、また憲法二八条が保障する労働者の団結権を侵害するおそれのあるものと認められますので、早急な是正措置を勧告するものであります。  二、また右の件と関連して、夫が東日本旅客鉄道株式会社の福島第一電力区に配属勤務していた貝沼博子、斎藤えみ子、橘孝子、堀部洋子、夫が郡山保線区に配属勤務していた五十嵐朝子、夫が郡山運転所に配属勤務していた橋本典子、夫が郡山第一信号通信区に配属勤務していた佐藤恵子、小田裕子、夫が会津若松保線区に配属勤務していた坂内禮子、夫が会津若松駅に配属勤務していた渡部アヤ子からも人権救済申立事件が申立てられましたので、当弁護士会(人権擁護委員会)で詳細に検討して参りました。   これらの一〇件の申立事実は、いずれも勤務中に国労バッチを着用し、東日本旅客鉄道株式会社がこれを外すよう注意、指導しても応じない当該社員の妻はじめ家族の者に宛て、「右行為は会社のイメージをおとしめるものだから、厳正な処置をとらざるを得ない。当該社員が規則に従うよう協力してほしい」旨の文書を郵送したものであります。   これは本来、東日本旅客鉄道株式会社と何ら法律関係のない家族の者に対し、その家族の働き手で一家の柱である社員が規則違反によって、会社のイメージをおとしめているので厳正な処置をとることになるということを告知するもので、これは被告知者をいたずらに困惑させ、不安をいだかせるとともに、家族の当該社員に対する信頼を低下させ、ひいては家庭騒動をも起こさせかねないものであり、また社員が雇用関係にあることのみをもって、当該社員およびその家族個々人の思想、信条にまで踏み入るもので、基本的人権の基調にある個人の尊厳を著しく侵すものと認めざるをえません。基本的人権の保障を最高の理念とすべき民主憲法下において、公共的使命をもおびる東日本旅客鉄道株式会社がこのような事態を生じさせていることは由々しい問題であり、早急な是正措置をとられるよう勧告するものであります。                    以 上 こういうふうになって勧告書が出されているのです。  今読んだけれども、あなたどのようにお考えですか。どういう感じを持たれましたか。
  98. 松田昌士

    松田参考人 現在、お読み上げになりました勧告書を私も手元に持っております。私どもの見解は、この勧告書は事実をかなり一方的な目で認識をしておって、その一方的な目で見た結果、間違った結論を出しておるというふうに考えております。例えば今読み上げました最後の部分で、現場長がその家族に対して、規則に違反をした場合には厳正な処置をとらざるを得ないということを手紙で出したという点だけを取り上げております。  ところが、この手紙の全文を私持っておりますけれども、現場長が出しましたのは、五月になりまして、昨年JNRからJRになりまして新しい会社ができた。この新しい会社が順調にスタートを切ることができたのは皆様の協力のたまものと心からお礼申し上げますというところから書き出しまして、新しい会社というのは一流企業を目指して社長初め全社員が一丸となって努力しようじゃありませんか。ところが残念なことに、社員は勤務時間中に会社の規則に違反をしたり、それから着用してはならない組合のバッジをつけたりというようなことをし、再三再四にわたって注意をしてもこれを取り外さないということをしております。こういうことをしますと、新しい会社をつくったのにその会社のイメージを損なって、社員みんなの生活が混乱することになってまいります。したがいまして、そういう場合には規則違反に対して厳正な措置をとらざるを得ないという場合もあるんですよ。そのことを御理解ください。そして会社を新しくつくり上げていくために、  家族のみなさんも安心していただく会社を作り上げるためにぜひともご理解とご協力を賜りたいという手紙を出しているのでありまして、私から見ますとこれは当たり前、当然の協力を求めることであって、そのうちの全く一言だけを取り上げて厳正なということはいかにも歪曲をしておるというふうに私は思います。  それから続けさせていただきます。(発言する者あり)
  99. 谷津義男

    谷津委員長代理 答弁してください。
  100. 松田昌士

    松田参考人 そうですか。それでは続けさせていただきます。  なおバッジを着用したことによってボーナスをカットしたとかいろいろなことを今言われておりますけれども、私どもの就業規則は、その就業規則の二十条で、制服等の定めのある社員は、勤務時間中、所定の制服をつけなければならない、その制服は常に端正に着用するように努めなければならない、しかも社員は、勤務時間中または会社施設内で会社の認める以外の胸章、胸のワッペンのようなものであります、それから腕章等を着用してはならないということを就業規則に明記しておりまして、当然のこととして、もしこの服制に違反することがございますと会社のイメージを損なったり、みんな一緒にやっていこうという新しい会社をつくる目的に反するわけでございますから、管理者が注意をしないことの方がむしろおかしいのでございまして、管理者はその服装を正し、注意をし、あるいはそれでも従わない場合にはいろいろな形でもって教育をし指導をするということは当然でございます。  さらに、直ちにそれがボーナスのカットとか必ずしもいろいろなことになるわけではないわけでありますけれども、そういった行為が再三再四の注意にかかわらず行われますと、それは上長の業務命令に従わないということにもなりますし、あるいは職務専念義務に違反をするということにもなりますし、それから現場の秩序を乱すということにもなるわけでありまして、それらはその人の勤務成績を判断する上でその人にとってマイナスの評価になることは当然であります。そういうものが重なりますと、勤務評価としてボーナス等に差が出てくることもあるわけでございまして、これは我が日本の国におきましては、民主国家である我が国においてはどの会社においてもとられている事柄であります。私どもは、人事考課をする場合には具体的事実に基づきまして公平、公正に総合的な判断を加えて行っているつもりでありますから、決してそこに御指摘になるような単純な形での、あるいはゆがめられた事実に基づいての人事差別とかボーナスカット等が行われたことはあり得ないし、今後もないということを申し上げておきたいと思います。
  101. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私は大変驚きました。参考人は最高学府を出られておると思いますが、今、日本の民間会社で労働組合のバッジをつけていることで何か紛争を起こしておる会社がありますか、JRのほかにありますか。それをお聞きします。
  102. 松田昌士

    松田参考人 私は当社についての御質問に答えるために来でいるのでございまして、ほかにあるかどうかということは、お考えいただけば結構であります。
  103. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大体そういう一つ労働者の基本権にかかわるような規則をつくるにはそれなりの調査が必要だろうと思うのです。バッジをつけることがどうして業務に差しさわりがあるのですか。しかも労働慣習法というものもあるわけですよ。どこにおいても組合員が自分の組合員たることを世間に表示し、そしていつでも組合員はそれなりの連絡もとれるようにしていくには組合員の表示がなければわからないでしょう。しかも組合というのは憲法で保障されておる。その保障された組合の組合員たることを表示する表現の自由というのも憲法で保障されている。  そのほかに労働慣習法というものがありまして、「労働慣習法とは、慣習の形で存在する労働法であって、「事実上の慣習」と区別されている。両者の区別についても、一般法源論として若干議論が分れているが、一般には、事実上の慣習は契約などの解釈に当り材料となるにすぎないものであるのに対し、慣習法は、慣習に法たる確信が加わることによって法規範としての性質を有するにいたったものであると解されている。」こういうふうに法律的にもそういうものは労働慣習法として認められていると私は信じますよ。そのバッジがなぜ悪いのか。この点については労働省の方から御見解をお願いいたします。
  104. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答え申し上げます。  バッジの問題について申し上げますと、一般に労働者は労働契約上、就業時間中は使用者の指揮命令に従って労働に従事すべき義務を負っております。使用者の許可なく就業時間中に組合活動を行うことは正当な行為とは言えないとされておりまして、組合バッジ等を着用する行為は、一般的には団結示威のため行われる就業時間中の組合活動と考えられ、先ほども述べましたように、これは就業時間中の組合活動として正当なものとは言えないと解されております。これは判決等もございまして、一般に通常そう解釈されているわけでございます。
  105. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それはあなた、リボンやワッペンのことの判例を見て言っているんでしょう。バッジについてはそんな判例ないですよ。でたらめ言いなさんな。バッジは組合の存在を表示するものですよ。争議行為とは全然違うんだよ。ワッペンやリボンとは性格が違うんだよ。もっと真剣な取り組みをしなさいよ。それはどうなんですか。
  106. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答えいたします。  基本的にはリボン等ということで、バッジも含んでいるというふうに解しております。
  107. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 闘争の意思表示としてつけるものと、それから組合員であるという表示をするためにつけるものと、それがどう同じなのですか。全く性格が違うのですよ。それじゃ、ほかのよその民間会社、皆つけているじゃないですか。それはどういうことです。しかも国鉄が民間になる前はずっと皆つけておったじゃないですか。そういう慣行はどういうふうにあなた解釈するのです。余り会社側べったりの解釈してはだめですよ。もっと公正な立場で考えてください。
  108. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 一般的には先ほど申しましたようなことでございまして、したがって、組合バッジの着用について就業規則等で定められている場合に、冒頭に申し上げましたように、就業時間中は使用者の指揮命令に従って労働に従事すべき義務を負っているということから、その就業規則違反につきまして一定の処分が行われるということ等については、直ちにそれが不当労働行為その他の違法に当たるということは言えないという意味でございます。
  109. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 就業規則で何でも決めていいわけじゃないのですよ。私は先ほど論文を読んだのをあなたは認めたでしょうが。それを認めておりながら、今度は何でも就業規則、就業規則と言って、こんな規則は恣意的なものじゃないですか。ちっとも憲法上の人権や労働基本権を考慮していないでしょう。どこに、ここにバッジつけただけで業務上差し支えがあるのですか。具体的に指摘してくださいよ。
  110. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生御指摘になった本を読まれた点について、そのときにも申し上げましたように、労働基本権を守るとともに財産権の保障もある、そこの調和を保たなければならないということでございまして、就業規則によりましてそれが禁止されているということが直接的にいわゆる基本権を害するものでない場合には、就業規則によって会社側が業務上の指揮命令を発するということは当然認められた行為であるというふうに思っております。
  111. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは、実はもっと長々読めばわかると思いますけれども、まず人間を人間として認めるということが基本になければならないのですよ。そして「労働者にも完全に人間的な存在を保障するための国家の積極的な配慮がなされなければならぬ」、こういうふうになっているのですよ。国家の責任まである意味では要求しているのですよ。  それなのに、先ほどこの手紙は当たり前だと言うが、この家族の人とどういう雇用関係を結んでいるのですか。冗談じゃないですよ。私人ですよ、これは。個人ですよ。それに対して、あなたは現場長名と言うけれども、これは会津若松駅長名ですよ。そしてここに、一方的だと言うが、この前文は全くの普通の手紙の形式ですよ。こんなこと、だれでも皆書くでしょう、最初に「新緑の候、」何々と。そしてここには「規則違反に対しましては厳正な処置をとらざるを得ない」、こういうことを家族が聞いたら、これは大変でしょう。あすからの飯の食い上げになるかもしれないとおびえるのは当たり前じゃないですか。そういうことを当然だという感覚でおること自体が私は問題だと思いますよ。  そこで最後確認しますが、このバッジ着用を認める御意思はございませんか。これが第一点。  それから、国労という労働組合員であることを理由に差別、選別、不利益処分をしないかどうか、このことをしないとはっきり言われますか。  それからバッジ着用による賃金カットなどはしない、こういうふうに約束できますか。  それから年末手当等の今までカットした分は、これは当然に返還するかそういう措置を講ずるお気持ちはありませんか。この点についてひとつお答え願いたいと思います。
  112. 松田昌士

    松田参考人 バッジだけじゃなくてワッペン、リボンも含めまして、私どもは就業規則にのっとった形で今後の会社運営も進めますので、これに違反するものは一切認めるつもりはございません。  なお、そういう形の中で、この違反をなお続ける人に対して、いろいろな形で勤務成績が不良になりそれが人事考課に反映するのは、私どもは当然だと思っておりますから、それによって行いましたカット分を返上することもありません。  国労を、国労の組合員であるがゆえに差別するのではないかというお話でありますが、私どもは今まで組合員によって、組合種別によって差別をしたことはございませんし、今後もそういうことはあり得ないということを申し上げておきます。  なお一つ追加させていただきますが、先生の先ほどのお話で、私どもの会社の就業規則が当社だけが、当局側といいますか、会社側だけが単純につくったかのようなお話がございました。これは法手続に基づいて、まさに先生のおっしゃる労働基本権から発生する労働法の手続に基づいて、そしてこれは我が社の各労働組合の意見を聞いてつくったものでございまして、場合によっては先生のお話は私どもの主力組合である東鉄労を中心とする組合をも侮辱する発言になりかねない、その点だけを御指摘申し上げておきます。
  113. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それはとんでもない話ですよ。何でほかの労働組合を侮辱するのですか。私は労働者の基本的な権利として訴えているのですよ。冗談じゃありませんよ。ほかの労働組合の労働協約に文句をつけているわけじゃないのですよ。あなたは、大変ないいかげんなことを言いなさんな。  最後に大臣にお伺いいたしますが、このように労働者を社内規則等で規制を加える場合、恣意性があってはならないことはもちろんでございますが、その適用に当たっては憲法が要請している人権、労働権等が十分守られなければならないのは当然でありますが、特に労使関係においては正常化、近代化されていないところが多々あるわけでございます。したがいまして、今後労使の正常化、近代化のためにどのような御指導をなさるおつもりか、大臣の御決意を最後にお聞きしたいと思います。
  114. 中村太郎

    ○中村国務大臣 御承知のとおり、不当労働行為等に対する係属案件につきましては私どもが口を挟む余地はないと承知をいたしております。しかし、本来的に不当労働行為はあってはならないという前提に立ちまして、私どもは各使用者に向かって行政指導を行っておるところであります。  以上です。
  115. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が参りましたので終わりますが、きょうは参考人、どうも御苦労でした。もし非礼があった場合はお許し願いたい。あと見解の相違についてはやがて法廷等で明らかにされるものと期待しております。  以上で終わります。どうもありがとうございました。
  116. 谷津義男

    谷津委員長代理 松田参考人には御苦労さまでございました。  午後一時四十分から委員会を再会することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ────◇─────     午後一時四十一分開議
  117. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  118. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 石綿公害汚染問題についてお尋ねする前に、委員長にお願いいたしますが、資料の配付をお願いいたします。  私は、今社会的問題になっております石綿、アスベスト汚染問題についてお尋ねいたします。  強力な発がん性物質、発がんを促進する物質として石綿、すなわちアスベストが建築資材等で一般に広く使用されていることが注目されておりまして、石綿製造、加工、解体、除去工事に関する労働者の方や住民の障害予防が叫ばれている今日、最近小中学校の校舎等のアスベスト除去作業が進んでおります。児童生徒のように抵抗力の弱い者、未来を背負う青少年の健康を守るために時宜を得たものと思っております。また、老人ホームや保育所の施設のアスベストの除去作業に伴うお年寄りや幼児の健康問題も考慮されながら今除去作業が進んでおります。そのとおりですか。
  119. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答えいたします。  全国の小中学校のアスベストの使用状況とそれの撤去等の状況でございますが、文部省では、昨年、昭和六十二年五月に全国の公立学校全部を対象にしまして吹きつけアスベストの使用状況の調査を行ったわけでございます。その結果、小学校では全体の二・九%に当たる七百十一校、中学校では全体の三・一%に当たる三百二十二校、合計小中学校で二・九%に当たる千三十三校で吹きつけアスベストが使用されている、こういうことが判明したわけでございます。  文部省としましては、著しく老朽化した吹きつけアスベストにつきましては早急に措置することが望ましいということで、都道府県を通じまして各市町村に指導をしているわけでございまして、六十二年度から吹きつけアスベストの撤去、改修工事につきましては大規模改造事業の補助対象として、昨年度中に申請のありました三十六校については優先的に補助事業として採択したところでございます。さらに昭和六十三年度、本年度につきましては、アスベストに係る大規模改造の補助対象でございますが、昨年までは補助対象工事費が二千万円という限度額があったわけでございますが、それを四百万円に下げまして、小規模のアスベストの改修工事についても対象にしましたし、それから大規模改造事業については十五年という経過年数が必要だったわけですが、それについても経過年数を問わないということで改善を行ったわけでございます。そしてさらに予算額でございますが、六十二年度では大規模改造費全部で二百四十一億円だったわけでございますが、九十三億円増をしまして三百三十四億円ということで大幅に増額をしまして、その対応に万全を期しているところでございます。
  120. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今御説明があったように、小中学校及び老人ホーム等こういった建築に使われたアスベスト材については撤去もしくはそういうものを使ってはならないという予算が組まれ、またそういった健康対策というものを講じているわけでございますが、実は恐るべきことは、今日本の国に自動車が五千万台とも八千万台とも、またバイク、オートバイ等を含めますと、一億台とも言われる車が走っておりますが、その車のブレーキ、クラッチ、そしてアスファルトシート、こういうただいまお配りした資料の車の赤い部分にアスベストが使われているわけでございます。しかも、このアスベストのブレーキの摩擦によって粉じんとなって飛んでいく。大変な量だと思うわけでございます。我々の健康を取り巻く大気汚染の問題については、自動車から出される窒素酸化物、硫黄酸化物、またアスファルトの粉じん、その他公害、有毒な工場排気におけるところのガス、そういった問題に加えて、今度は自動車に使われておりますクラッチ板やブレーキ板、これは七〇%近いアスベストを含んでいる製品でなければブレーキの役に立たない、クラッチの役に立たない、高熱を発する摩擦に対応できないということで全自動車に使われているわけでございます。これは大変な公害が発生するということで、五月十六日のNHKテレビの十九時からのニュースによりますと、飛行機のYS11のアスベスト含有のブレーキは製造中止によりブレーキをアスベストを含まないものに交換されておる、また他の飛行機にはアスベストを含んだ機材のブレーキは使われていないということになっておりますが、長官、これは大変な問題でございますが、まず御感想を聞かせていただきたいのでございます。  ちなみにヨーロッパにおいては、スウェーデンにおいては、一九八七年かち自動車の部品でありますガスケット、アスベスト含有品、クロシドライト、またブレーキ、クラッチその他については一九八七年から八八年の間にスウェーデンではもう中止。西ドイツでは摩擦材、すなわちブレーキ、クラッチ、全車補給品の部品については八六年、その他言われております。米国においては、全アスベスト製品、全部品、一九八八年から九三年の間に全部これを禁止する、こういうことでございますが、今私どもを取り巻く生活環境の中で一億台近い自動車のブレーキ、クラッチ板、またシート、そして密室の小さな車の中で夏は冷房、冬は暖房、車内を閉め切ったまま高速で飛ばし、粉じんを吸っているわけでございます。何もそういう摩擦のない建築資材でさえも危険だといって今取り外しを騒いでいるときに、自動車の規制というものは一体どういうふうにお考えになっているのでございましょうか。
  121. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  アスベストにかかわります問題、先生広範にいろいろお話しなさったわけでございますが、まずアスベストの環境中におきます濃度につきましては、環境庁の方におきまして五十六年から五十八年にかけてかなり基礎的なデータの収集をやりました。また、先生お話ございました道路沿道におきますアスベスト濃度の測定もやりまして、その結果におきましては、現在のところ一般国民に対するリスクは小さいという御判断をいただいたわけでございますが、アスベストの蓄積性あるいは今後の濃度の推移を見るためにもモニタリングをやる必要があるという御提言をいただきまして、六十年度から隔年置きにいろいろな地域特性別の環境モニタリングを実施いたしております。そういうことで、五十六年、五十八年のデータあるいは六十年度のデータにおきまして、いわゆる沿道におきます濃度と申しますのは一般の住宅地域なり商業地域と比べましてそう大きな差はないわけでございますので、そういう面で問題としての御指摘は十分わかるわけでございますけれども、現在のところそれをもとにしてどうこうという話には至ってないのじゃなかろうかなというふうに思っているわけでございます。  それからまた、その自動車にかかわりますブレーキ等でアスベストが使われておりますのは先生御指摘のとおりでございまして、そういう面で私ども通産省あるいは業界に対しましてそういうアスベストを使わない、他の代替品が使われるようなことでの代替品の開発研究あるいはそういうものの使用ということについて要請いたしているところでございまして、自動車の形態によりますけれども、例えば乗用車のブレーキ等につきましては一部に代替品が使われておるというような状況でございまして、だんだん代替化が進みつつあるというような状況にあろうかと思うわけでございます。  それからまた外国のデータ、規制等についてのお話もございましたが、先生のおっしゃるとおりでございますけれども、ただ、それぞれ代替品ができるまでの間は様子を見るというようなただし書き的な条項もあるように私ども理解いたしておるところでございまして、そういう面で外国における規制の状況、国内における開発状況、それから環境上のモニタリング等を通じまして、アスベストに対する対策といいますか監視と申しますかそういうものについては今後とも関係省庁と連絡をとりながらきちっとやってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  122. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことにのんきな話を今お聞きしました。大体公害というものは、水俣病、イタイイタイ病にしてもすべての公害が墓場からの告発でなければ問題化しない。  これはきょう国会図書館から取り寄せた資料ですが、「USA.アスベスト追放に動く」ということで一九八六年一月二十九日、もう今から二年前、EPA、アメリカ環境保護局の「連邦官報に改正案を公表し、アメリカ合衆国からアスベストという特殊な用途の繊維を放逐しようとしている。」有毒物質に対し「アスベストの五つの主要製品を直ちに禁止し、残り全部のこの物質の使用をこの十年間のうちに段階的に廃止するというEPAの意図を初めて明らかにした。」あなたは何をおっしゃっているか知りませんが、調査した調査したと言っているけれども、一体どこを調査した。高速道路が三カ所ないし四カ所、一般主要道路は六カ所、しかも一年置き。日本の道路の延長度からいっても、一体自動車が一日どれくらい走って、ブレーキを何十回踏むのか、そういう計算の中から一体正確にモニタリングしているのか。環境庁は、三カ所とは一体どこなんだ。日本の主要道路の六カ所なんてこんなの調査するに値しないじゃないですか。村のわずか二千メーターか三千メーターの道路を調べるにしたって五カ所や六カ所は調べなければならないのに、日本全国の北は北海道から沖縄に至るまでの主要道路がたった六カ所、しかもどこの基点を調査したのかという私の依頼に対して答えがないじゃないですか。そんなことを言っていて一体守れるのかどうか。しかもこの十六日のNHKの報道によると、飛行機のYS11のブレーキのアスベストのブレーキをやめろ、アメリカのEPA、環境保護局から通達が来て、それを取り外して違うのに変えたらおかしくなっちゃったという報道でしょう。飛行機がだめで自動車がいいというのはどういうわけなんですか。アメリカが出されている飛行機にはアスベスト製品のブレーキがないじゃないですか。どういうわけで車にだけはそうやって緩やかな規制を行っているのかということに私は非常に疑問を持っている一人でございます。しかも日本は未規制でございます。アスベストに対しては規制がないのです。基準がないのです。基準のないものを一体どうやって調査をし、どこが有害であるのかということの判定ができるのかということ。  でありますから、今私が申し述べたようにヨーロッパ、スウェーデンの例、西ドイツの例、アメリカの例を引いて一九八七年、八六年、八八年という年まで言いながら、それはすぐきょうというわけには向こうもいかないでしょう。でありますから、こういう姿勢でこういうところまでは我慢していただくけれども、ここから先はこういたしますよということを公表しているじゃないですか。日本は何にもやってないじゃないですか。それで日本は公害――今私たちの身の回りを見ても、大臣御存じのとおり食品公害、大気汚染の公害。この後質問をちょっとしたいのですが、シアンの垂れ流しによるところの水質汚濁による公害。何から何まで毒づけ、薬づけ、飲んだ薬はまた薬公害。だから病院は満タンで、もうそれこそ足の踏み場もないほど繁盛している。人間は薬が発達したので長生きはしておりますが、半病人ばかり続々ふえてしまった。なおかつ今や肺がんが続々ふえている。たばこの例なのか、石綿の例なのか、それとも一体アスファルトの粉じんによるのか、その因果関係さえまだはっきりしていない日本の状態の中で、一億台に上る車が毎日毎日ブレーキを踏んでアスベストの粉をまき散らして、害がないなんということは子供だって信じられない。だから私はそれに対して、今すぐじゃどうすると言われても、代替の製品ができない、そういった機材がないのに、自動車という文明の利器を追放して我々昔のようにかごに乗ったり馬に乗ったりするというわけにいきませんので、少なくともその姿勢というものを明確にしながらこの公害の認識というものを明確にしなければならぬのじゃないですか。  ただ黙って静かにしているところの壁を害があるといって今一生懸命小学校の校舎から取り除いているでしょう。壁は何もこすったり何かして粉じんを上げているのじゃないのですよ。そういうアスベストを吹きつけた機材を危険だからといって取り外しているじゃないですか。ところが自動車の中には今我々の座っているシートに全部アスベストが敷かれている。ブレーキとクラッチには全部使われている。それが約七、八千万台の車が行ったり来たりしてブレーキを踏み続けて粉じんをまき散らしているのにのんきに過ぎる。しかも調査した拠点が六カ所と四カ所ないし三カ所という。これは調査しないにも等しいのじゃないですか。何かこれに対して文句、不平、不満、言いたいことがあったら言ってください。
  123. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 モニタリングの箇所数の御指摘でございますが、確かに先生おっしゃられますように、道路沿道におきますモニタリングの箇所数は先生からお話がございましたような箇所数でございます。しかしながら、私どもとしましてはそういう道路沿道あるいは住宅地域、商業地域あるいは発生源周辺というようなところというぐあいに全国的に地域特性をにらみながらモニタリングの点を定めまして、そこにおけるアスベストの状況を六十年度を初年度として隔年置きにモニタリング調査をやるという形でやっておるわけでございます。  そういう面で先生御指摘のように、国の調査で道路沿道だけを取り上げてまいりました場合には足りないのじゃないかという御指摘もあるわけでございますけれども、私ども全国的な道路沿道におきますアスベストの状況を把握するにはこれである程度全国的な推移を把握できるというふうに考えているところでございます。しかしながら、それ以外に各自治体におきましても道路沿道を含めましていろいろな点における測定等もやっているわけでございますので、そこら辺をあわせにらみながら今後必要に応じてモニタリング調査の中身等についても検討を加えてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  124. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大体その場所が明らかにされてないじゃないですか。祝田橋付近とか、または連休における高速道路の一番煩雑なところを調査したとか、どこをやったんだか、田んぼの中でやったのかどこでやったのか我々わからないのですよ、説明されなければ。そういうところを隠しているから我々としては言いたくもなる。六十年に三カ所、六十二年に四カ所、六カ所しかやらないのですからね、これだけの道路があって。地球を何十回り半もするほどの延長道路の、距離からいったら大変な距離の中での調査のどういうところのどういう時点で、夏なのか冬なのか秋なのか、雨の日か風の日か風でないのか、そういうことまで詳しく我々は公表してもらわないと、生命、健康を害する問題ですから、はっきりしてもらわなければなりません。それを御答弁いただくと同時に、自動車に対して今後はどうするのか。さらに、飛行機のブレーキは禁止されて、自動車のブレーキは禁止されないのはどういうわけなのか。さらに、今後未規制をやめて規制の対象にして欧米やその他の先進国並みの規制を、大気汚染の観点からこのアスベストという問題を取り上げるのかどうか。こういう点を今質問したわけでございますから、四点、頭のいいところで整理してお答えください。
  125. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 道路沿道の場所の問題でございますが、私どもは、どこの県でやっているかということは発表いたしておるわけでございますが、直接何々町のどこそこの何とかというような個別の地名等についての公表は差し控えさせていただいております。それから、それは道路のまさに真横というところで空気のサンプリングをやっておるわけでございますので、そういう面では道路へ出てまいりますアスベストをきちっと正確にとらえておるというぐあいに理解いたしておるところでございます。  それから、順番が異なりますが、飛行機のブレーキの問題でございますけれども、先生からお話しございましたように、NHKニュース等も私ども拝見いたしておるわけでございます。NHKのニュースにつきましては、本年の一月十日の米子空港でのTDAのYS機オーバーラン事故の原因に関するものということで、アメリカのグッドイヤー社製のノンアスベストブレーキの性能に問題があったのではないかとする報道でございますが、この事故原因につきましては現在運輸省の航空事故調査委員会で究明中であるというぐあいに理解いたしておるところでございます。  それから、飛行機の方ではかなり非アスベスト化したものが使われているわけでございますが、それを自動車になぜできないかというお尋ねもございました。これにつきましては、飛行機は、先生御存じのとおり、比較的限定されております使用者一定の決まった方法で離着陸を繰り返し、使用するわけでございます。それからまた、整備の方も専門家によりまして確実に行われるということが前提になっているわけでございます。それに対しまして自動車の方は、非常に不特定多数のユーザーが使われるわけでございますし、また、その使用方法も、御存じのように、車のスピードがいろいろ違っているときにおいてブレーキ等をかけることもありますでしょうし、地面の状況によっても異なるわけでございますし、それから、乗用車あるいはトラックの大型、小型というように車の重さ等もいろいろ異なるわけでございますので、そういう面でのブレーキの使用方法も飛行機に比べますと非常に多様なものになっているわけでございます。また、整備の問題につきましても、比較的完全なものでやるわけでございますので耐久性が維持されるように設計されておるわけでございまして、そういう面で飛行機の場合と自動車の場合につきましては必ずしも一概に直ちに論じることは難しいというぐあいに理解いたしております。
  126. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 全く逆ですね。飛行機は空を飛んでいるのですよ。ブレーキをかけるのは離着陸のときだけ。自動車は地上を走っているから、毎回ブレーキをかけているのです。  あなた、今大事なことを言い忘れましたよ。米子の事故はなぜ起きたかというと、アスベスト使用のブレーキを取り外させて違うブレーキにかえて、そのブレーキが欠陥を生じたのじゃないかという後段のところだけ引用しているのだ。前段は、アメリカが注文つけてアスベスト使用のブレーキを取り外させたのだ、それで、新しい製品にしたところがどうも完壁な作動をしなかったのではなかろうか、そして、その粉がエンジンだとかいろいろなところに付着するので、これはだめだと言ってもう一遍取り外しをして、今YS11のブレーキ構造については部品の取りかえをやっている、大体こういう報道でしょう。それは一字一句違ってないとは言いませんけれども、大体そんなところですね。  そういうわずかな離着陸の時間しかブレーキをかけない飛行機にアスベスト使用のブレーキのそういった部品を禁止しておるにもかかわらず、毎回毎回地上を走る車は、しかも千台や二千台じゃない、約八千万台も一億台もあると言われているすべてのモーターカーのブレーキの作動の中につける部品がそれは大変な量になるのじゃなかろうかということを心配して今警鐘しているのですよ。空を飛んでいるものは、主に空なんだからブレーキを踏んでいるわけじゃないのですよ。飛行場を飛び立つときとおりるときだけはブレーキをかけるのですよ。それでもアスベスト公害の粉じんが舞い上がるからまずいと言っているのです。自動車の方は毎回下を走っているのだから毎回やはり出ているのです。そこのところの認識が私とちょっと食い違った御答弁のように承ったのです。だから何もあなたの責任じゃございませんけれども、こういった問題について、我が国は前向きにこういう問題をするのだということをしなければしようがない。大臣どうですか。答えてください。
  127. 堀内俊夫

    ○堀内国務大臣 今先生の話、だんだんに承っておりますと、アスベストによる非常な公害が日常発生しているという御指摘でございます。私は環境庁長官になって半年でございますが、その間これらの問題の討議を一度も聞いておりません。言いかえると、そのような認識は今聞くまでありませんでした。したがって、この問題について根本的に科学的知見を出せるように検討をいたします。
  128. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことに正直な、率直な御意見、きょう初めて国会で聞いた、大臣のその態度、まことに男らしく敬服に値する答弁であります。  局長、そういうわけですから、大臣がそこまでおっしゃっているのですから、あなたの認識が後になって大後悔をしないように私は今警鐘乱打をしているわけでございます。七、八千万台から一億と言われているような自動車が毎日毎日何十回もやっている問題を大したことないのだなんて認識しておりますととんでもない問題を惹起して、水俣病やイタイイタイ病や阿賀野川だ、もうそんな事件どころじゃないような大問題になってから大騒ぎをしたって追いつかないからこそ今声を大にして言っているのじゃないですか。どうですか。私が言っていることは間違っていますか。それに対する決意を一言お願いしたいと思います。一言でいいですよ、たくさんは要りません。
  129. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 先生の御指摘と大臣の指示を受けて一生懸命やってまいりたいと思います。
  130. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この次は、公害の問題で、時間がなくなってしまってまことに申しわけないのですが、新幹線公害の基準というものは七十五ホンを超えると住宅集合地域は防音装置をやると言っております。ところが環境庁では七十ホンだ。それによって今裁判が起きておりますが、このたび初めて総理府の公害等調整委員会というものにこの七十ホンから七十五ホンの間の人たちの措置に対して争いが起きておりますが、これは十七年間の公害委員会発足以来の新事実であると指摘されております。この問題についてひとつ御答弁をいただきたい。  二点目は、瀬戸大橋ができました。非常にありがたいことだという人と公害で泣いている人がいらっしゃいます。その昔、平和に暮らしておる島の方々が現在八十七ホンという瀬戸大橋の車の騒音に悩まされておりますが、一体こういう八十七ホンなんというものは、新幹線の公害が七十ホンもしくは七十五ホンが問題になっているときに、八十五ないし八十七という全く恐ろしいような騒音がまき散らされていることについてどのような対策を講じ、これらの方々のお苦しみをどのようにして取り除いてあげられるのか、二点お尋ねいたします。
  131. 石倉寛治

    ○石倉説明員 お答えをいたします。  今般、公害等調整委員会に対しまして大阪市東淀川区の住民七名から、JR東海を相手にいたしまして、東海道新幹線の運行に伴って発生いたします騒音、振動などの被害を救済してほしいという調停申請が出ておるところでございます。  申請の内容は、列車走行の際に発生いたします騒音、振動などそういったものによりまして、住んでおります家屋のたてつけが悪くなったり、あるいは静穏な生活が守られないというようなことがございます。特に、騒音問題につきましては、JR東海はみずからの負担で防音工事をやっておりますけれども、その施工基準が決められております新幹線の騒音に関する環境基準をクリアしていないという御指摘がございます。申請人らが求めております内容は、住宅の防音工事、防振工事につきまして必要な費用を払ってくれ、そうでなければ至急みずから工事をしてほしい、いずれもしてもらえないのなら午後九時以降の列車の運行をとめてほしい、こういう内容でございます。  私ども公害等調整委員会といたしましては、この申請を受理いたしまして、調停委員会を構成いたしまして現に鋭意手続を進めているところでございます。
  132. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お尋ねの第二点目の瀬戸大橋の騒音対策のことでございますが、瀬戸大橋の騒音対策につきましては、現在、本州四国連絡橋公団におきまして対策工事を実施中でございますし、また、この公団及び四国旅客鉄道株式会社におきましてさらに騒音対策を検討中であるというぐあいに聞いているところでございます。  環境庁といたしましては、環境影響評価に際して述べました意見において記しました努力目標である八十ホンが達成される必要があるというぐあいに考えておるところでございまして、事業者によります対策の内容を見きわめた上で、必要があれば騒音測定等の調査を実施するとともに関係機関に対し対策を要請するなど適切に対処してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間が来ましたから終わらせていただきますが、ちょっと今不審に思うことは、八十ホンが努力目標、新幹線は七十ホン、どうして大橋の方は八十なんですか。この点がちょっとおかしいと思いますので、再答弁願いたい。  それから、シアンの問題につきましては、時間が来ましたので後日に譲らせていただきます。きょうおいでをいただきました関係の皆様には大変御無礼いたします。
  134. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 ただいま申しました努力目標八十ホンと申しますのは、瀬戸大橋をつくりますときにおきましていわゆる環境影響評価が行われたわけでございます。当時の事業者側といたしましては八十五ホンということで計画が出てまいったわけでございますが、その時点からいろいろな騒音対策の技術といいますのはこれからも進歩、開発されるであろうということで、事業者の計画でございました八十五ホンを、技術開発の進展を即座に実際の工事の中に取り入れることによってさらに五ホン下げられるじゃないかということで、努力目標八十ホンということで環境庁は環境影響評価に際して要請したということでございます。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間が来ましたから終わらせていただきます。
  136. 野中英二

    野中委員長 草川昭三君。
  137. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  まず環境庁長官にお伺いいたします。  六十一年の十月だったと思いますが、当時の稲村環境庁長官は幅広く国民の寄附金によって自然環境を買い取ろう、そして保存をしようではないかという、俗にいうナショナルトラストの受け皿として全国法人を六十二年度中につくろうではないか、こういう呼びかけをされたことを記憶しておるわけでございますが、その後我が国におけるナショナルトラスト活動というのは現状どうなっておるか、お伺いしたいと思います。
  138. 山内豊徳

    ○山内政府委員 先生御案内のようにナショナルトラストは国際的にはイギリスを発祥の地としておる運動でございますが、我が国におきましても、後ほど詳しく申し上げてもいいのですが、既に三十カ所前後の運動が展開されております。  今御指摘の、これを全国的な展開を推進する見地から何らかの形で助成を主眼とした全国法人をつくってはどうかということは私どもも部内的に可能性を検討した経緯がございます。率直に申し上げまして、各県単位でいろいろな緑の保全基金ができましたり、かなりその後二年の間に動きはあったと思っておるのでございますが、現在のところこれを全国認可法人として組むような状態にまでいっていないのが実情でございます。  ただ、そういった実態がある上に、この二年の間、税制上の措置につきましては、各年の税制改正におきましても例えば民法法人に対する所得税法上、法人税法上の措置とかあるいは民法法人の場合は相続税の上でも優遇措置が講じられたりしております。その後、公益信託による環境保全の手法も大分普及しておりまして、この点でも所得税法上の措置を実現いたしまして、あと懸案として相続税法上の優遇措置を何とか実現したいというのが当面の私どもの念願でございます。
  139. 草川昭三

    ○草川委員 今もお話がありましたように英国では自然を保護するという意味での住民の参加ということが相当大切にされておるわけでありますが、そういう一つの発想が我が国に定着をする、高度成長、行け行けどんどんの時代ではなくて、いま一度自然を大切にしたいというように振り子が戻っておる、そういう社会環境ではないだろうかと思っております。そういう意味では国民参加を求めながらの自然を守るこの運動というのは極めて有意義だと思うのであります。残念ながらその方針どおり進んでいないという局長答弁でありますが、環境庁長官の決意次第によっては我が国におけるナショナルトラスト活動というのは十分伸びる要因がある、社会的な背景がある、こう私は思うのでありますが、長官の決意と見解を求めたいと思います。
  140. 堀内俊夫

    ○堀内国務大臣 御指摘のとおりでございます。  私は、日本におけるこの創始者ともいうべき南方熊楠先生の記録などを読んだことがございます。そういう先輩の先覚者もあるし、鎌倉では大佛次郎先生が中心になって今おっしゃったナショナルトラストを始められたという、また実を結んだ経験も持っておるし、いろいろそういうものができる要素がございます。これは先ほど局長説明にありましたように税制上の優遇措置も含めて、民間が大事な点は守っていくという趣旨をさらに発展できるように支援もしていきたいし指導もしていきたいというふうに考えます。
  141. 草川昭三

    ○草川委員 歴代の環境庁長官はそれぞれ非常に活発な御行動をなされて歴史に名を残すような長官も随分おみえになるわけでありますので、ひとつきちっとした、力強い指導を長官に求めたいと思うわけであります。  私はなぜこういうことを言うのかといいますと、例えば、これは六十一年の暮れだと思いますけれども、環境庁は環境保全長期構想というのを打ち出しました。一つの理念があるわけでありますけれども、古い話ですが昭和五十二年に環境保全長期計画というのを出したことがあるわけです。六十一年のときには長期計画ではなくて一歩下がって長期構想という考え方を出しました。それはそれなりに非常に大切なことをこの構想の中で言っておみえになるわけですが、その後、国の方は四全総というのを打ち出しました。この四全総も、中曽根総理の考え方が一時出まして一極集中という声が強く、それが各地方から大変反発を受けまして今日のような多極分散というような形になっておることは御存じのとおりであります。そういうような経過の中で、果たしてこの環境庁の環境保全長期構想というものが四全総の中にも、哲学の問題として、考え方の問題として打ち出されているのか。残念ながら四全総の中では、ただ東京に集まるから問題だ、土地が上がるから大変だという形で多極分散という発想になっているのではないかと私は思うのです。とにかく我々が日本に住むわけでありますから、自然を守りながら、そして我々の子孫にいい国を残していくという立場に立つならば、四全総の前に構想ではなくて長期計画があってしかるべきだ。残念ながら構想ですけれども、その構想で打ち出した考え方というのが四全総の中にもっと力強く打ち出されてしかるべきではないだろうかと考えるわけでございます。この際、環境政策の指針としてのこの長期構想というものがどういうようになっておるのか、あるいは四全総が打ち出された中でどのように補強をされていくのか、見解を求めたいと思います。
  142. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 先生御指摘の環境保全長期構想でございますが、この構想をつくりました背景は、今先生のお話の中にも出てまいっておりまずけれども、近年都市化の進展であるとか産業構造の高度化であるとか消費の多様化など、いろいろ環境をめぐる諸条件の変化が見られまして、そういうものを背景として、交通公害、生活排水あるいは廃棄物の問題等々環境上の問題が大変複雑多様化してきているという背景がございます。そういう状況の変化を踏まえて、二十一世紀を展望しつつ六十年代における環境政策の方向づけを行うということで策定をいたしたものでございます。  このように長期構想というのは今御指摘の点も踏まえまして取りまとめられておるところでございまして、この構想で示された種々の施策については今後その実現に努力をしていきたいと考えております。今申しましたように、一昨年の十二月にこの長期構想を策定いたしたばかりでございまして、現在の段階では、環境庁はもとより関係各省庁にもお願いをいたしましてこの実現の方向に沿って努力をしているところでございます。今後とも環境を取り巻く状況の変化をにらみつつ適切に対処していきたいと思っております。
  143. 草川昭三

    ○草川委員 これは要望でありまずけれども、この環境保全の長期構想というものはただ構想を打ち出す、各省庁に言いたいことだけを言うというだけの構想であっては相ならぬと思うのです。これは今も答弁がありましたように、それぞれの年にまた新しい問題が出てくるわけですから、ぜひ補強をした見解というのを打ち出して、きちっとした環境行政の指針というのを打ち出していただきたいと思います。  三番目になりまずけれども、都市ごみの問題を少し触れてみたいと思うのです。これは厚生省にも若干関係しますが、環境庁長官最後の見解を賜りたいと思うのです。  現在の都市ごみは年に六千万トンぐらいですか、膨大な量が出るわけです。それの約八倍という産業廃棄物、特に建設資材だとかコンクリートの破壊残滓、こういうものもあるわけですが、今各都市で都市ごみについては高温焼却ということをやっておりまして、国からも助成が出ております。小さな市町村になりますと組合をつくって共同管理をするということもあるわけですが、いろいろな技術的な方法がございまして、方式の違いがあるのですけれども、連続燃焼炉というのはたしか七百五十度から上限は九百五十度C、この範囲内の炉については国から補助金が出るということになっておるのです。いろいろなメーカー等の意見も聞いてやっておみえになると思うのですけれども、私どもが各市町村を訪ねて市長なんかの話を聞くと、都市のごみというのはだんだん膨大なものになってくる、だからどうしても大口の焼却をやりたい。だから、素人目ですけれども高温焼却にしたいのだが、上限が九百五十度Cでとまっておるので、もし技術革新によってこれが千度以上のものになるとするならば、例えば千度以上になるとデメリットがあるとおっしゃるのですけれども、そういうような状況になっても補助金はつけるべきではないかという要望もあるわけです。  ですから、高温になりますとかえってNOXが出るからだめだとか炉の壁が溶けるとか、いろいろ難しい問題はあるのですけれども、技術革新がその問題点を克服するとするならば、上限の九百五十度Cというのはスライドしてもいいのではないかと思うのですが、その点は厚生省の方からお答えを願いたい。  さらに、今のままでいくと日本列島はやがて廃棄物に埋まる日が近づくのではないだろうかとさえ言われるごみ、都市ごみばかりではなくていわゆる建築公害等による廃棄物処理、そういう問題等を含めて長官の見解を賜りたいと思います。
  144. 藤原正弘

    ○藤原説明員 お答えいたします。  厚生省では、市町村が実施しますごみ焼却施設の整備につきましては国庫補助によって支援してきておるところでございます。国庫補助事業の実施に当たりましては、ごみ処理施設構造指針によって行っておるわけでございます。昭和六十一年八月に新しい構造指針をつくったばかりでございますが、この指針は、大学、市町村、プラントメーカー等からの専門家から成る委員会を設けまして、そういう委員会で最新の知見をもとに作成したものでございます。  先生御指摘のように、同指針の中には燃焼温度の範囲が規定されておるわけでございます。摂氏七百五十度から摂氏九百五十度まで、例えば全連続炉といわれる炉ではそういうふうに定められております。  これの根拠でございますが、下限値の七百五十度といいますのは臭気の発生を防ぐために決められておるわけでございますし、上限値の九百五十度といいますのは灰の溶融防止、またクリンカーの生成防止というようなこと、また窒素酸化物の発生防止というような観点から決められておるのでございます。  しかしながら、ごみ質の高カロリー化というのが最近進んでおることは事実でございまして、ごみの高温燃焼技術の開発確立は今後の重要な課題の一つ考えております。処理技術の動向を踏まえつつ、必要となる調査研究を進め、知見の集積を行ってまいりたいと考えております。
  145. 堀内俊夫

    ○堀内国務大臣 都市化が進み、私たちの生活が高度になってくると、農村でも都市生活を営んでおるわけでございますから、廃棄物の処分の問題は今後重要さをますます増すと思います。先ほど先生の御指摘があって、九百五十度というような一つの基準をお示しになっておりまずけれども、それ以上だって同じようにやるのは僕は当然ではないかと思ったのは、御承知のように私ども今、廃棄物の中にPCBがまじってないかということを一番懸念しております。これらの問題を解決しようと思うと千百度以上の温度でないと解決できないそうでございますから、高温である方が廃棄物の処分としてはより効果がいいのではないかと、今お話を聞いている間でも私個人はそう思ったのでございます。  いずれにせよ、廃棄物処理法によって海で埋め立てるとかほかで埋め立てるとかいう基準を環境庁はつくっておるわけでございますから、この基準を十分精査して今後ごみ処理をできるだけ効果的に、また危険度の少ないような方法で検討をしていきたいと思います。
  146. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ日本列島がごみの中に埋まるというようなことがないように、これは考え方の問題ですけれども、そういう状況が出ないように強い方向を打ち出していただきたい、要望を申し上げておきます。  そこで、環境庁の方にはまだ細かい点で若干の質問がございますが、今度は労働省の方に質問を移します。  労働省の方にもたくさんの質問があるのですけれども、その中でもわけて今一番問題だと思いますのは、午前中にも出たかもわかりませんが、いわゆる外国人労働の問題であります。特に不法残留をするところの外国人労働の問題については私自身も何回か関係委員会で質問をしてきておるところでありますが、その後労働省の方からいろいろ小池先生等の御意見も聞かれたようでございますが、審議会でいろいろな提案がなされております。その中の一つ雇用許可制度構想というのが打ち出されたわけであります。この雇用許可制度について実は関係者の方々からも大分いろいろな意見が出ておりますし、また本日法務省から米澤審議官にもおいで願っておりますが、この審議官の個人見解という形で法務省からまた別な見解が発表されておるわけであります。同時に、我が国の中に不幸な歴史というのでしょうか、いろいろな歴史的な経緯の中から在日韓国・朝鮮人の方々がたくさんお見えになるわけであります。特にその中でも在日本大韓民国居留民団の中央本部の方から、雇用許可制度構想については、在日韓国人社会に非常に大きな影響力を与える、だから断念をしてもらいたい、あるいは抜本的な再検討をしてもらいたいという要望が寄せられてきておるわけです。  そこで、まず冒頭に居留民団の方々がこの雇用許可制度に反対するのかという趣旨を概略私の方で問題提起をしてみたいと思うのですが、一つは、在日韓国人の就業状況が非常に深刻なものになる。現在、在日韓国人の就業率は二三%にすぎない。これは昭和六十年度の法務省発行の在留外国人統計。同じように米国人の就労状況を見ると三八%、在日中国人の就業率は二九%だ。だから、非常に長期に歴史的な経緯から日本で暮らしておみえになる方々が一番低い、こういう問題が前提条件として一つある。そういう条件の中でもし雇用許可制度というものができるとするならば、差別がより一雇厳しくなるのではないかということを言っておみえになるわけです。現実に在日韓国人の方々の就業状況というのは、金属くずの回収業あるいは古物商、遊技場、いわゆるサービス産業ですね。零細企業、販売業等、いわゆる日本社会の底辺部分と言われる不安定な職種に従事しているのが現状である。一流の三井、三菱というような、あるいは一流の銀行に在日韓国人の子弟の方々が高学歴にもかかわらず就労しておるというのは極めてまれなんです。そういう前提を言っておみえになりまして、今申し上げたような状況の中から差別状況というのは現実にある、この差別状況の上に雇用許可制度が実施されるとするならば、事業主側すなわち雇い主側が在日韓国人を採用しなくなる絶好の口実を与えることになるのではないか。もちろん労働省の提案の中にも永住外国人は制度の適用外だというようなことを言っておみえになりますけれども、逆に故意にこの制度を最大限に悪用されるケースもなきとしないということも言っているわけであります。  それから、一般日本人にとっては、外国人を雇用することになる場合でも面倒な手続が必要だという先入観を与えてしまって、結果的に在日韓国人の採用については敬遠するおそれがある、あるいは永住外国人であることを証明するために外登証の提示を求められたり、それに対してプライバシーの侵害につながるようなことがたくさん出てくるのではないだろうかというようなことを言っておみえになります。  さらに、日本には、これも歴史的な経緯があるわけですが、潜在居住者という方々がかなりたくさんお見えになるわけであります。こういう方々がもし本制度の採用ということになると大量の失業者になって表面化し、社会問題になるのではないだろうかと。これは全く私ども気がつかなかった問題でございますけれども、かつて、戦前日本に強制連行される、そして戦後一たん自由の身になって半島の方に戻られる、そしてかつての日本のいろいろな友人、知人等の関係からこちらの方に潜在的に密入国をする。それが長期間、十年あるいは二十年になってそのままになっている方も随分お見えになるわけですから、そういうことも頭に入れて対応を立てないと問題が起きるのではないだろうかというようなさまざまな問題があるわけでございます。  この点について、これは四月二十六日に労働大臣に民団の団長の名前で提出をされておるわけですが、どのように承知をしてみえるか、お伺いをしたいと思います。
  147. 中村太郎

    ○中村国務大臣 労働省内の外国人労働者問題研究会におきまして、三カ月にわたる研究の成果を三月の下旬にまとめられました。その中に御指摘のような雇用許可制度の御提言もあるわけでございます。このことにつきましては韓国居留民本部から私どもも要望書をいただきまして、その中身については承知をいたしておるわけでございます。  もともと研究会の雇用許可制度は永住者、とりわけまして韓国の皆さんの永住者は対象外にするということで進んでおるわけでございます。当然、長い間日本におりまして日本人同様の状況の中にあるわけでございますから、これから仮にこの制度を進めるに当たりましても十分そのことは配慮していかなければならないと考えておりますし、御指摘のように就職が非常に困難だという場合におきましては別途、例えば就職相談、雇用開発あるいは技術訓練等々、今労働省が行っているようなことも在日韓国人の皆さんに御提供することもやぶさかではないわけでございます。  いずれにいたしましても、まだまだこれからのいろいろな面における検討課題でありますので、十分御指摘の点を念頭に置きながら準備を進めてまいりたいと考えております。
  148. 草川昭三

    ○草川委員 私はかつて社会労働委員会に所属をいたしておりまして、就職差別問題を取り上げたことがあるのです。当時はまだJRではなくて国鉄、電電公社、専売、この三公社の人事担当の課長を目の前に、在日韓国人の差別をするのかしないのか、こういう質問をしました。もちろんするわけはない、十分機会均等だということを言っておりますが、その後の実績を我々が少なくとも承知をする限りは、もう極めて門戸は狭い、こういう状況であります。ですから、今せっかく大臣、在日韓国人の方々の就職差別をなくするように努力するとおっしゃっておられますけれども、私は、残念ながら依然として日本の国全体の中でまだ差別問題というのは残っておる、こういうことを申し上げなければならぬと思うわけであります。  そこで、そのことはちょっと別に置いておきまして、法務省の米澤審議官の方は、個人的な見解だと言っておみえになりますが、許可制度の問題点についてはかなり突っ込んだ御発言があります。許可制度導入にはどういうような問題があるのかということをひとつ法務省サイドの立場から、個人的な見解で結構でございますが、審議官が何をお考えになっておられるのか御発言を願いたい、こう思います。
  149. 米澤慶治

    ○米澤説明員 お答えいたします。  まず、雇用許可制一般につきましては、御承知のとおりだと思いますが、我が国で稼働したいとする、報酬を得て働きたいとする外国人が仮にいたといたします場合に、それを雇おうとする側が労働省の許可をあらかじめとらなければならないという制度のようでございます。私の理解がもし正しければ、そうだと思います。  この日本で働きたいとする外国人といいますのは、もちろん国外にいる者もおりますし、それから国内にいる者もおるわけであります。今委員御指摘の在日韓国・朝鮮人の方々も、除外例を設けなければもちろん対象になるわけであります。御承知のように、これは釈迦に説法で恐縮でございますが、憲法あるいは人権規約等の関係からいいますと、職業選択の自由、あるいは人種とか性別とか国籍の別によってそうした就職機会が差別されてはならないという精神がうたわれておりますので、特に外国人だけに限りまして特別の関門を設定するということは、形式論理的には少なくとも内外人の差別に当たるであろう、こういうふうに考えますので、もしその点につきまして、合理的な区別であるというような点で合理化できますならばともかくといたしまして、少なくとも形式的にはその差別に当たる。  ただ、それだけじゃございませんで、今委員がおっしゃいましたように、在日韓国・朝鮮人の方々につきまして、その永住者を仮に許可の対象からまず除いたといたします。そうしますと、まず大多数の在日韓国・朝鮮人の方は雇用許可が要らないわけでございますが、委員御指摘のように日本におられます在日韓国・朝鮮人の方々の中で永住権を持っていない方が相当数あります。簡単に申し上げますが、例えば、永住権をかつて持っておられましたが、犯罪を犯されたために永住権を喪失され、しかしながら長い在日歴等を考慮されて法務大臣によって特に在留が許可されているという人たちがおられます。あるいは密入国してこられた結果、後でそれが発覚をし、在日歴が長くて地縁血縁関係ができておりますために法務大臣が特に在留を許可したというような方々もおられます。こういった方々を粗っぽくまとめて申しますと、現在一万四千名余りになるわけでございます。そのほかに、日本人の配偶者として日本に在留している方もございます。この方々が永住権を持っておられない方の一部を構成するわけであります。それから、先ほど委員が御指摘なさいました潜在居住者といいますか、好ましいことではございませんけれども、何らかの理由があって日本国に密入国され、その結果長年日本社会に根づいておられる方々、こういった方々が一説には数万おられるだろうというようなお話もございます。こうした永住者以外の在日韓国・朝鮮人の方々は、少なくとも外形的には平穏に日本人並みに就職をしたりあるいはいろいろな社会活動をされることが好ましいわけであります。その場合に永住者だけ除きますと、これらの方々について雇用許可の対象になりますために、一々雇い主はこれをチェックいたしまして許可を受けなければならない。  ところで、このいわゆる永住者以外の在日韓国・朝鮮人の方々の中には、単純労働に従事している――概念があいまいもことしているという御批判はございますが、いわゆる単純労働と言われている職種のところで御活躍の方もおられるわけでありますが、雇用許可の対象は、単純労働者は対象にならない。つまり、許可対象にならなくて不許可になるわけです。仮に申請を出しましても、その方々には雇用許可が与えられない。その辺をどういうふうに調整するかという難しい問題がございます。  長くなりますので、この程度で簡単に終えますが、委員御指摘のように事実上の差別につながる可能性もございますので、今後とも労働省の担当官と、この点につきまして問題があるかないか十二分に協議させていただきたいと思っておるところであります。
  150. 草川昭三

    ○草川委員 審議官にちょっとの方から質問をしますが、もしこういうことになりますと、それ自体が非関税障壁で国際的な非難を受けることになり、ひいては日韓間の大変な問題になるのではないだろうか、いわゆる国際化に発展をするのではないだろうかというような趣旨があったのではないかと思うのですが、その点どのようなお考えかをお伺いしたいと思います。
  151. 米澤慶治

    ○米澤説明員 その点につきましても、私は問題をよく検討して吟味しなければならないだろうと思います。  これを簡単に申し上げますが、いわゆる経済学的な観点から申しますと、労働力という財が国際間の障壁を越えまして国際的に流通するといいますか、行き来するということを考えてみますと、例えば物とか金とかいう財、これも経済学上財でございますが、その国際間移動に関しまして、いわゆるセキゼイと言っておりますが、関税以外の何らかの規制をかけることはいわゆる非関税障壁の概念に当たると思います。ただし、合理的に、例えば出入国管理とかあるいは在留管理の観点から独立国家としてある種の規制をかけることは、これはどの国も非関税障壁とは言いません。これは人の行き来の話でございます。しかし、労働力という観点だけを取り上げればまさにその問題に逢着するかと思います。
  152. 草川昭三

    ○草川委員 ここで労働省にお伺いしますが、労働省は、私もかねがね申し上げておるのですが、非常に時代の先取りをする省庁だと思っておるのです。今、労働省所管の労働立法はたくさんありますが、当時は随分英国あるいは西ドイツの法律を引用いたしまして、本来ならば労働組合側の要求なり野党側がこうすべきだというような要求があって役所が法律をつくるというのがよくある例でございますけれども、そうではなくて、非常に前衛的な発想でリードをしてきたと私は思っておるのです。     〔委員長退席、近藤(元一委員長代理着席〕  ところが、この外国人労働問題についても私が言及すると、立派な学者先生を含めてかなり議論をなすっておみえになるようだが、今法務省の方からの御指摘があったような点を考えますと、私は、少し議論が簡単過ぎたのではないか、労働省として似つかわしくない問題提起ではなかったかと思うのですが、そういう前提はさておきまして、今の法務省の方からの見解に対してどのような反論があるのか、お伺いしたいと思います。
  153. 岡部晃三

    岡部政府委員 法務省の審議官の個人的見解に対しまして労働省としての公の見解はどうかというお尋ねではいささか私も戸惑いを覚えるものでございますので、私個人の見解ということで述べさせていただきたいと存ずるのでございます。  まず最初に、憲法及び国際人権規約等における平等取り扱いの原則に雇用許可制が反するかどうかという問題点でございまするけれども、この点は、雇用許可制の求めております保護法益と申しますものが、国内における雇用の安定、つまり現在でも失業率はかなり高うございまして、失業があふれている地域もございますが、そういった中におけるところの雇用の全国的な安定というふうな労働市場の観点、あるいはまた当該外国人労働者というものが、巷間伝えられるところによりますと、また二、三の例もございますが、最低賃金すれすれで雇われておる、つまり三分の一ないし四分の一の賃金で雇われておる、その当該外国人労働者そのものの労働条件の保護、このようなことを確立いたしますためにこの雇用許可制度が提唱されていると私は存ずるのでございます。したがいまして、そのような大きな法益、国民生活の基盤でございます雇用という問題、それから当該外国人労働者の人権という問題を守るための制度考えますので、憲法上あるいは国際人権規約上の問題はいささかも起こらないと今考えておるところでございます。  それから第二に、民団からの就職が困難になりはせぬかという問題でございます。  これは私も極めてデリケートな面を含む御指摘であると拝聴をしたわけでございます。この点につきましては、先ほど大臣から答弁がございましたように、労働省におきまして、韓国人の方々の就職促進ということにつきましては今後大いに意を配りまして、その就職促進の実を上げるために相談あるいは求人開拓あるいはその他の援護措置をフル活用いたしましてその就職促進に努めてあげまして、就職が困難になりはしないかという御危惧が起きないように全力を尽くしてまいりたいと考えるのでございます。  それから、非関税障壁を設けることにならないかという点の御指摘でございますが、これは、研究会報告指摘されておりまする重要な中身は、一つは一定水準以上の方々、つまり技術技能を持った方々につきましては積極的に門戸を開放していこうということでございます。これは研究会の先生の計量的な分析でございますが、門戸を開放しようというエリアは日本の労働市場の中の六分の一に相当する部分につきまして開放していこうということでございまして、障壁を設けるどころか、逆に障壁をなくしていこうという考え方であろうかと存ずるのでございます。  したがいまして、まことに個人的なことを申し上げましたけれども、今のような点につきましては、法務省の方とは今までも随分議論をしてまいりましたし、これらの点も含めてすり合わせをしてまいりましたが、今後ともさらに議論を深めまして、政府一体となりまして本問題の円満な解決ということに努力を尽くしてまいりたいと考えております。
  154. 草川昭三

    ○草川委員 今の局長の答弁は、何はともあれ日本雇用というものが前提で我々は考えているのだ、そういう状況の中でいろいろな判断をしているのだ、こういう趣旨だと思うのですけれども、ただ、私が一番最初に問題提起したのは、何回か申し上げますが、民団の方々が長い歴史的な経過の中から、戦前からの帝国主義時代に強制連行したりあるいは侵略をしたような経過の中から当時の朝鮮半島から日本にお見えになる、今の韓半島出身の方々が何十万人かお見えになる、その方々の現状から非常に鋭い指摘があるわけです。それがいみじくも、個人的な見解ですけれども、法務省の審議官の問題提起ということと合致をする点がたくさんございますね。     〔近藤一元)委員長代理退席、杉山委員長代理着席〕 今問題になっておりますのは、別に労働省の方も単純労働を認めるというわけではありませんね。これは全然問題外だという趣旨で議論なすっておみえになるわけですよ。単純労働に従事をするという前提で議論をするならば今のような局長答弁になってきてもいいと私は思うのです。しかし、単純労働は全く別だという前提になるならば、現行法規のいろいろな解釈なり、あるいは法規を幅広く運用するなり、いろいろなやり方によって十分対処できるのではないかと私は思うのですが、その点は法務省の方は、これも個人的な見解という前提でお伺いしますが、どういうような御判断になっておられるのか、お伺いしたいと思います。
  155. 米澤慶治

    ○米澤説明員 今の御指摘の点につきましては、既に法務省入管局が発表いたしましたように、入管法改正を行いまして、受け入れの枠あるいは受け入れるべき外国人労働者はいかなる範疇に属する人にすべきか、これをガラス張りにし、かつ迅速な審査手続をとって、できる限り迅速に国際化の波にうまく対応していきたいと考えておりますが、他方、今職安局長からお話のありましたようなお考え労働省にございますので、両省でさらにどういった対策が一番いいのかということも十分協議した上、国会あるいはその他の方々に結果を報告することになろうかと思っております。  私自身の個人的見解を次々言いますと余りにも問題が起こるかと思いますので、私としては、入管法の改正で十分賄えまずけれども、不法就労者対策としては、今後とも労働省あるいは警察庁とタイアップしなければならない点が多々あろうかと思っております。こういった御議論あるいは御指摘を踏まえまして十分立派な対策を立てていきたいと思っております。
  156. 草川昭三

    ○草川委員 個人的な見解と言っても、もうきちっとした見解が出ておるわけですから、遠慮せずに言ってもらわないと我々も困るわけです。  たまたま法務省の方で先ほどもちょっと答弁があったのですが、今までの入国あるいは在留許可に加えて事実上新しい許可を受けなければできないということになると二重の負担ではないか、その間に長期間の期日を要することになって国際間の円滑な人的交流が阻害されるというような御指摘があると思います。これは実は単純労働の話ではありません。ハイテク産業なり大学教授の問題とかいろいろな高レベルの人的交流が今現実に行われております。  今度は労働省の方にお伺いしますが、例えばそういう場合、どういう企業ならば許可になるのか。一流の上場企業ならこれは文句なしにパスしますよ、ところがベンチャービジネスで新しい企業だと裏からも縦からも横からも調べる、では、それを調べるのは一体だれか、当該地区の職業安定所が調べるのか、あるいはそれはすべてもう県知事の判断に任せてしまうのかというようなことも議論になってくると思うのですね。もしそれがスムーズにいかなければ、法務省の指摘のように大変手間がかかって、まさしく二重のチェックになるのではないか、こうなるのですが、その点はどうお考えになられていますか。
  157. 岡部晃三

    岡部政府委員 まだ雇用許可制度そのものの具体的な内容が明らかに構築をされておらない段階で、それに対しまして的確なお答えになるかどうかはいささか危惧するものでございますが、その研究会の議論の中で出ましたのは、やはりそのような雇用許可制を実施する機関といたしましては、仮に労働省の出先ということにすれば、例えば公共職業安定所と労働基準監督署が連係プレーのもとに行うのが妥当ではないだろうか。と申しますのは、その雇用許可というものは事業主に対して与えられるものでございますが、その事業主に対する許可を与えていく要素と申しまするのは、一つは外国人を雇用するに当たりまして十分な雇用管理能力があること、それから労働条件につきましては日本の同種労働者と同程度の労働条件を維持することを確約すること、それから当該企業が過去法令違反、特に労働関係法令の違反を犯したことがごく最近の時点においてないこと、このようなことを調べるというふうなことに相なろうかと思うのでございます。したがいまして、それは複数の機関で共同して当たるというふうなことが研究会の中では話し合われたと記憶をいたしております。
  158. 草川昭三

    ○草川委員 今局長からたまたま労働省のラインでいろいろと審査をするというようなお話がありましたし、その中で例えば労働諸法令に違反をするような事実ありや否やというような御発言もあったわけです。そこらあたりになってまいりますと、各企業サイドも非常に煩わしさを感ずるようになると思うのですね。  今全国にたくさんの企業がございますけれども、私、本来はきょう問題提起をしようと思っておったのですが、例えばの話ですけれども、労働安全衛生法という法律は細かい規則まで入れるとこんなになるのですよね。その労働安全衛生法をすべて熟知をする管理者というのは探してきたらまずいないと思うのです。それは労働省の担当官は全部知っておみえになると思うのですが、何か問題があると初めて、それはかっての、昭和何年のときにこういう法律があって、この薬を使ってはいけないよとか環境がどうだよというようなことになってくるわけですから、細かいことを言いますと、今の日本の企業を労働安全衛生法だけで徹底的に点検をしたら何らかの違反の事実というのは出てくると思うのですね。私はそうだから外国人の雇用ができないとは申し上げませんけれども、非常に煩わしさが出てくることは事実だと思うのです。だから、そういうことよりは、現行労働関係法規で十分対処できるのではないだろうかと先ほども言っておみえになるわけでありますけれども、これはもう一回念を押しますけれども、現行関係法令で十分対処できると法務省として思っておみえになるのかならぬのか、そこだけ簡単にちょっと答弁願いたいと思います。
  159. 米澤慶治

    ○米澤説明員 結論だけ申しますと、できると思います。ただし、ただし書きをつけて恐縮ですが、労働政策的観点から労働省が多大の御関心を持たれ、何らかの政策の指針を与えられれば、我々も十分考えるべきであろうと考えております。
  160. 草川昭三

    ○草川委員 今法務省の方から、現行の法律で十分できるというようなお話、そして多分入国管理についていろいろな注文をつけられるならば法務省としても考えるというようなことを言っておみえになるわけでありますが、この点は非常に重要な話だと思うのですが、労働省の方は今の答弁についてどうお考えになられますか、お伺いします。
  161. 岡部晃三

    岡部政府委員 最近の不法就労者の増大というふうな現象につきまして、法務省、労働省を問わず、これは共通の一つの問題点として認識をいたしているところでございます。  その対策その他今後合法非合法を問わず外国人労働者というのはふえ続ける傾向にございますが、それに対してどのような一つのルールを考えていくかというふうなことはやはり非常に重要な国民的課題であろうとも考えるのでございます。この点は両省の間で意見をすり合わせまして、十分にお互いが協力し合えるという体制をつくることが私どもの念願でございます。その線に従いまして、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  162. 草川昭三

    ○草川委員 この問題で少し時間をとり過ぎましたので、これで終わります。  両省に要望を申し上げますが、今お話がありましたように、東南アジアの国々からもたくさん不法就労してみえる方もお見えになります。さりとてその問題を放置するというわけにはいきませんし、またそれらの方々の対応というのも十分対策を立てていかなければいけないと思います。  ただ、ここで私が申し上げたいのは、そういう問題の中から派生をしてきて、せっかく在日韓国居留民団の方々が平穏な市民生活を送っておみえになるところにいたずらに不安感を与える結果が招来しないように、強くその件だけを要望しておきたいというように思うわけであります。これは強く要望をして、ひとつ大臣からいま一度この問題についての見解を賜りたい、こう思います。
  163. 中村太郎

    ○中村国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、在日韓国人の永住者の問題につきましては、特別な配慮をしていくべきであるということは当然だというように考えております。  いずれにいたしましても、外国人労働者問題が本当に所期の目的を達するような方向で、法務省、労働省、警察庁、外務省等々関係省庁などで十分なコンセンサスを得ながら、その実効が上がるような方途を見出していかなければいけない。一部マスコミで取り上げておりまするような各省の縄張り争いなんというけちな考えは私どもは毛頭持っておらないわけでございまして、そういう観点に立って対処してまいりたいと考えます。
  164. 草川昭三

    ○草川委員 私は一言も各省の縄張り争いという発言はしておりません。だからそれは、今大臣もマスコミのというお言葉がございましたが、本当にそうでなくて、大変難しい時代になってきたということだと思うのです。我々も外国から不法就労人たちがこんなにたくさん来ると思ってなかったのです。そういうことでありますから、その対応についてそれぞれ各省庁が急いでいろいろな問題を考える、その中でとんだところにとばっちりが行くという趣旨で私は発言をしたつもりでありますので、両省でいろいろな意見を立てられると思うのでありますが、私の申し上げた趣旨を体して対処していただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  もう時間があと二、三分しかありませんので最後になりますが、労働省はかって、つい最近でありますが、三十万人雇用開発プログラムというのを打ち出しました。そして、その中にミスマッチという言葉もあったのですが、そのミスマッチというのは果たして解決したかどうか。  雇用促進事業団はことしの秋ですか雇用促進センターというのをつくりまして、各県段階でセンターをつくっていこう、こういう計画ですね。だから、目の細かい人を集めようという情報を掘り出そう、私はそれは非常にいい傾向だと思うのです。ただ、そういう場合に、従来、ミスマッチのときにも出たのですが、広域職業紹介というものがおざなりになるのではないか。各県段階で鋭く掘り起こすということは非常にいいけれども、逆にその情報を広い意味で紹介ができるようなことになるのかどうか、それがうまくいくのかどうかという一つの心配なんですが、そういうことの心配があるわけでございますが、その点について労働省の見解を求めて質問を終わりたい、こう思います。
  165. 岡部晃三

    岡部政府委員 まず第一点の三十万人雇用開発プログラムの成果という問題でございますが、これは昨年十二月末で、数字だけ申し上げますと、二十七万六千人の雇用開発を行ったということでございます。したがいまして、この三月末の締めの集計を急いでおりますが、三十万人を突破することはほぼ確実と考えておりまして、御要望の線に沿えたのではないかと思うのでございます。  なお、このプログラムは、今年度におきましては産業・地域・高齢者雇用プロジェクトにその主要部分が引き継がれております。さらにこれを強力に推進をいたしてまいるのが私どもの責務と考えているところでございます。  第二のお尋ねの雇用促進センターを雇用促進事業団に置くというこの施策でございます。これは臨調答申あるいはその後の一連の行革関連の閣議決定等の線に沿うものでございまして、事業団業務の見直し、事業の重点選別化という線に沿うわけでございまして、各般の地方にございました組織を個々に取りまとめまして、各都道府県ごとに一個の雇用促進センターを置くということで整理をしたものでございます。この雇用促進センターにおきましてはもろもろの雇用援護業務を行うわけでございます。先生御指摘の点に、御期待に沿いますようにこの雇用促進センターの円滑な運営を図ってまいりたいと考えております。
  166. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わりますが、厚生省の食品保健課長を初めかなりたくさんの答弁予定者を求めましたが、時間の関係でできませんので、おわびをしながら質問を終わりたい、こう思います。  以上です。
  167. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 大矢卓史君。
  168. 大矢卓史

    ○大矢委員 まず環境庁長官、御苦労さんでございます。一点だけお聞きをいたしたいのでございます。  長官はこの環境行政大変熱心に、私どもが質問させていただきますと、即役所の考えでなしに長官そのものの考えで受けとめていただいて、その行政に反映をしていただく、大変感謝をいたしております。そこで先ほどお話ございました瀬戸大橋、JRの問題でございますけれども、これは本委員会といたしましても視察に行く予定になっておるようでございますけれども、先ほどのお話の中にございました、せっかくあれだけの大事業で、すばらしい大橋をつくっていただいて本土と四国が大きく結ばれてこれからの経済的、また観光的にいろいろなものに大変な期待をいたしておるのでありますけれども、新幹線の環境の基準となぜ、そのようなときに、特にそれだけ地元の方の御協力をいただかなければなりませんし、これからもすべての人に祝福されなければならぬものが当初から食い違っていたのか。環境庁としては、いろいろとやはり各省庁に関係ございましょうけれども、このようなことを事前に察知していただいて、少なくとも長官が耳に入られた限りは即この問題を解決して、地元民も非常に祝福されてこれが今後国民経済の上にも役立っていく効果的な役割を果たしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  169. 堀内俊夫

    ○堀内国務大臣 私もさきの質問を聞いておって変だなと実際は思っておったのです。私たち今こう話しているのが大体五十ホンぐらいらしいですね。ちょっと興奮して大きな声を出してやり合うと六十ホンぐらいになるのじゃないか。ところが、新幹線の場合七十ホンあるいは七十五ホンということで決めたようでございますが、御指摘のように瀬戸大橋は八十ホンだ八十五ホンだということで今問題になっておるので、私も先ほど聞きながらどういうことかなという実際は思いであったのです、率直に言って。ところが、これを決めた段階の話を私も早速事情を聴取いたしました。すると、当時これは在来線ですのでその能力というのが八十五ホンくらいが大体その能力だということで、向こうはそういう感じで言っておったのですけれども、いろいろ検討して、いや努力をすればもう五ホンくらいは下げられるじゃないかというような経緯で決めたようでございます。だから、今のように御指摘あると非常に答弁しにくい話になってしまいますので、これらのことについてもっと下げられるかどうか検討したいと思います。
  170. 大矢卓史

    ○大矢委員 在来線でございますといろいろな列車が走るということのようでございます。しかし、やはり観光ということも含めてあの橋を通る列車は非常にモダンな列車も走っております。いろいろなものが乗り入れるということも必要でございますけれども、あそこから島々を眺めて渡っていく。そのために、ただ単に四国と本土とを結んで流通だけということではなしに、そういう観光ということを兼ねておりますので、私はまだ参ったことございませんけれども、自動車で参りますと自動車の中から外が見えないようなんですね。そうしますと、どうしても外を見ようとしますととまっておりて外を見るということで、やはりそこには当然停滞ということもございましょう。そういうことで列車の中からは今のところはよく見えるようなんです。  そういうことでございますから、そういうこともやはり、あの橋を渡ります者はできるだけそういう専用の車で、それだけの基準が八十、八十五がどうでございますか、新幹線並みにしていただくことがやはり住民が納得することだろうと思いますので、非常に難しい問題でございますけれども、長官、このことに役所的な感覚じゃなしに、地元住民も喜んでこれに参加していただいたわけですから、これからも喜んで誇りに思っていただける橋であり、またこれからも明石、またもう一本ございますか、そういう橋についてもこれがネックになりますと建設がなかなか難しい状態になると思いますので、よろしくお願いをいたしたい、要望いたしておきます。  一応これで環境庁の関係は終わらせていただきますけれども、大臣いま少しだけ国務大臣としてちょっとお残りいただきたいのであります。  それはアジア福祉教育財団というのがございまして、これは理事長を奥野誠亮先生がやっていらっしゃる財団でございます。これは難民を受け入れるための、初代の理事長は松田竹千代先生のようでありますけれども、これがやっております事業と、日本が受け入れをいたします法律なりどのような形で受け入れをしておるのか、ちょっと労働省の方、お聞かせ願いたいと思います。
  171. 岡部晃三

    岡部政府委員 インドシナ難民の受け入れにつきましては、例えば姫路あるいは大和における定住促進センター、あるいは東京にございますが国際救援センター、こういったところに入所いただきまして、そこで生活の落ちつきを得られるよう労働省といたしましても就職促進につきまして御援助申し上げる、こういったことでお手伝いをさせていただいているわけでございます。  その窓口は、これら三つのセンターを統括いたしますアジア福祉教育財団によってこれは統括されているわけでございますが、労働省におきましては、その財団に職業紹介等業務を委託をいたしまして就職の円滑な実現に寄与させていただいている、このように考えております。
  172. 大矢卓史

    ○大矢委員 職業紹介につきましてはどのような法律の恩典がございますか。
  173. 岡部晃三

    岡部政府委員 職業紹介関係につきましては、有料職業紹介制度、無料職業紹介制度というのが職業安定法にあるわけでございます。この無料職業紹介の許可を労働大臣からこれらの三センターに差し上げてある、このようなことでございます。
  174. 大矢卓史

    ○大矢委員 雇用対策法でございますか、何かこれの適用を受けておるということでございますか。いかがですか。
  175. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 お答え申し上げます。  インドシナ難民の問題につきましては、非常に緊急を要した問題でもあり、かつ、外務省や文部省、あるいは厚生省という関係団体が広いこともございまして、先ほどのように財団を窓口にいろいろな措置を講じております。  労働省といたしまして行っておりますことは、職業相談、職業訓練、その他就職を容易にするための雇用対策法の援護措置に準じた各種援護措置の実施に係る業務について、その財団に委託いたしまして実施しているということでございます。
  176. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは、中国引き揚げの方でございますとか身障者の方、また母子家庭、不況業種の対策でございますか、そのような中で行われておる対策の中で何か例外的にこのインドシナ難民の皆さん方に対して閣議で決定をして、住宅確保援助金でございますか、また職適訓練費等が支給されておるということを聞いておりますが、いかがですか。
  177. 岡部晃三

    岡部政府委員 インドシナ難民対策の施策及び予算についてのお尋ねでございます。  まず、インドシナ難民の方につきまして広域求職活動のための費用を助成をしなければならないということで、そのような制度ができておるわけでございます。そして、それが実現をいたしましてもし移転に費用がかかるという場合におきましては、移転援助費を差し上げる制度ができ上がっているわけでございます。それから、やはり職場適応訓練等職業訓練を受けなければならないという要請は直ちに生ずるわけでございますが、これにつきましては訓練受講援助費という制度ができ上がっておりまして、これによって御援助を申し上げるということでございます。  そのほか、住宅確保奨励金でございますとか就職援護のための事務費も計上されておりまして、もろもろの施策につきまして毎年度予算化がされておるところでございます。
  178. 大矢卓史

    ○大矢委員 お聞きしておりますのは、今申しましたような中国の引揚者の方とかそういうもろもろの方々に対してやっておられる施策とこの難民に対する施策、どれだけ違いがあるかということをお聞きしております。
  179. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、非常に多角的な対策を講じなければ就職の実が上げられないという実態にかんがみまして、財団に委託して業務を行っております関係上、雇用対策法に基づく措置に準じたと申しますか、水準的には同じ措置を予算上の措置として行っているということでございます。
  180. 大矢卓史

    ○大矢委員 水準的にはわかりますけれども、違っているところはどこなんですか、全然違わないのですかということなんですよ。
  181. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 内容的にも水準的にも同水準のものと考えております。
  182. 大矢卓史

    ○大矢委員 私が労働省の方から聞きましたことでは、やはり同じではないのだ。閣議決定で、先ほどのような住宅問題でございますとかまた職場に対する確保の援助費だとか、この二点についてはやっておられますけれども、中国の帰国者との間にはおのずから施策が違うんだということをお聞きいたしておりますから御質問をいたしておるのであります。いかがですか。
  183. 岡部晃三

    岡部政府委員 そのような若干のずれがあるという指摘を私、実は事務的に報告を受けておるところでございます。今、インドシナ難民であることの特性に基づくところの差というものもどうもあるようでございまして、その辺につきましてやはり関係者の御納得がいくように、今後さらに研究を深めて調整をしてまいりたいと考えております。
  184. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、今言われましたように、何かあるようなないような、私がお聞きしたところでは、やはり中国から帰還された方またこれらの方々が受けておられることとは違うんだ、ただ先ほどの二点だけは閣議で特に了承を得てやっておるんだということでありますけれども、これはよくお調べを願って――堀内長官にお延べ願ったのは、やはりこういうことは緊急を要すということで閣議でお決め願って実際の運用をしていらっしゃるようでございます。せっかく奥野先生こういう事業も一生懸命やっていらっしゃる、そして諸外国との問題にも努力をしていらっしゃる。この委員会で発言をされたことにつきましては、閣僚としてはいかがかという気持ちは私どもとしても十分にございましたけれども、こういうことも一生懸命やっていらっしゃる。それを完全に政治の中でフォローしていただいて、職業等すべての点で難民を受け入れる、日本に永住していただく、その努力を今後もしていただきますように、堀内長官にも閣議の中でも一層御努力願いたいということをお願いをいたします。  長官、もう結構でございます。  雇用促進事業団の理事長さん、御苦労さまでございます。  一つ、まず大臣にお聞きをいたしたいことは、「六十一年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針」ということで、六十年十二月二十八日でございますかに雇用促進事業団のことについて閣議決定がなされております。これはどのような文言で、どのようにお受けとめになっていらっしゃいますか、お答えを願いたいと思います。
  185. 中村太郎

    ○中村国務大臣 雇用促進事業団は、御承知のように国の雇用政策を補完するものといたしまして労働行政の広い分野において業務を行っておるものでございます。その中には、社会情勢のニーズとの間に格差を生じてきているもの、あるいは効率的な運営を図る観点から、他の法人等に移管した方が適切なものとが見られるわけでございます。  他方、我が国の経済構造、産業構造は大きな転換期を迎えておりまして、雇用促進事業団においてもこれらに対応した施策の強化を図る必要が生じてきておるわけでございます。このため、第二次臨調答申及びその後の一連の行革関係閣議決定の指摘を踏まえまして、昭和六十一年度雇用促進事業団業務全般について見直しを行ったところであります。  この中で、心身障害者雇用促進業務、移転就職者用宿舎の修繕業務、全国勤労青少年会館の運営業務、港湾労働者福祉業務については、それぞれ他の法人へ移管し、整理合理化を図ることといたしておるわけでございます。
  186. 大矢卓史

    ○大矢委員 そのときの、どういう文言であるかということにつきましてはお触れ願えませんでしたので、私から読ませていただきます。「昭和六十一年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針について」六十年十二月二十八日閣議決定。「雇用促進事業団」として、「雇用失業情勢の推移を勘案しつつ、広範な業務範囲を見直すとともに、事業の選別重点化及び効率的な業務処理を図るための整理再編計画を昭和六十一年度中に策定し、逐次、組織及び要員の整理合理化を推進する。」こういうふうになっておりますが、この閣議決定に基づいて整理再編計画がなされましたでございましょうか。
  187. 岡部晃三

    岡部政府委員 この六十一年行革大綱の先生御指摘の線に基づきまして、雇用促進事業団の業務内容の見直し、再編整理、鋭意計画を立てたわけでございます。したがいまして、その雇用促進事業団の業務が、言うなれば非常に広範にわたり過ぎたというふうに行革大綱の方では指摘をしているわけでございます。  ひとつ、これを大いにスリム化すると申しますか、業務の移管を行うことを中心とした計画が立てられたわけでございまして、ただいま労働大臣から若干お答えがございましたけれども、例えば心身障害者への雇用促進の業務につきましては、障害者雇用促進協会の方に全面的に業務を移す、それから移転就職者用宿舎の修繕業務につきましては、勤福センターに全面的に移管をする。それから全国勤労青少年会館、これは中野サンプラザでございますが、この業務につきましては民間法人化するということで、業務を割愛をする。それからまた、港湾労働者福祉業務につきましては、先般国会で決議をいただきました港湾労働法の改正によりして、今般この業務も雇用促進事業団の手から離れるということで、他の法人への移管、整理合理化が図られつつあるところでございます。     〔杉山委員長代理退席、谷津委員長代理着席〕
  188. 大矢卓史

    ○大矢委員 今お聞きいたしておりますと、あっちへ移した、こっちへ移したというだけで一向に整理をするということになっておらぬようであります。これは当初これが発足いたしましたときには、やはり炭鉱離職者の対策として行われた、その後にいろんな経過を経て今の事業全体をしていらっしゃるようであります。  ただ、理屈はどうあれ、日本全体として私がいつも評価をいたしておりますのは、中野サンプラザ、これをお役所がやりましたことにつきましては非常に文化行政に寄与しておるということで、このサンプラザにつきましては私もずっと以前に見せていただきましたけれども、まさか労働省がやっておると思えないような、日本的に立派なネーミングでもあり、また内容でもある。これだけの立派なものをやっていらっしゃったのかな、ただそれが、やっておるところはどこだとお聞きしますと、雇用促進事業団、およそ私どものなるほどと思えないようなことでございました。そういうものがどんどんつくられていくということで、各地につくられたはずであります。  しかし、私いつも思いますけれども、こういう特殊法人にいたしましても、おつくりになりますときに、今言いましたような目的でつくられましても、それができますと、それを大きくしていっていろいろなものを入れていって、だんだん当初の目的がわからなくなっている、そういうことで各団体に対しては、行革の折に非常に厳しい対応が迫られておるわけであります。  そういうことで、この整理再編ということも言われておる中で、中野サンプラザを民営化するんだというような記事を私、見まして一体どういうことなんだろうか。当初、中野サンプラザにつきましては事業団が直営でやるということで、直営でやってまいられました。そして、当初からかどうか知りませんけれども、毎年毎年利益を上げていらっしゃいますし、私がいただきました資料によりましても、六十一年度の収支決算が九千百四十一万余円の純利益ということになっております。償却を入れない償却前の利益といたしますと、一億六千二百六十九万円という利益を得ておるわけであります。  しかしながら、それから後、何カ所でございますか、いろいろなところを建設なさいました。大阪にも誘致の運動がございまして、大阪市の当時の市長大島さんは労働省の出身の方でございますから、大阪市誘致を言われました。  しかし、それ以後つくりましたところは、このいただきました収支決算によりますと、黒字と赤字のところが出ておりますけれども、必ずといっていいくらい赤字が出る。ですから当然、この事業団で直営でやってもらいたいということを申し入れて、それが入れられずに各地方で直営でやっておらないから、建てるものは建てる、土地は出してくれ、そして金を渡して建てるものを建てたら、後はそっちで補助金でやってくれということで運営されてきております。  そういうことで大阪も、大阪市が断念をして府が建てるということになって、この問題につきましては今せっかく進行のところでございますから申し上げようとは思いません。  しかし、いろんな施設の中で資料をいただきました六十年度の広島と六十年度の福岡でございますか、そして名古屋、これの収入支出の状態を見ますと、広島は、広島市が補助金を出しておりますのが一億三千四百余万円。そして広島市が受託をいたしておりますのが千二百万円ほどであります。それでいながら、まだなおかつ当期の欠損金が五千六百四十余万円ある。そして福岡が、これまた福岡市の補助金が二億円余りでございます。それの補助金を出してようやく当期の利益金というのが二十二万円ほどであります。そして、名古屋だけはようやく採算が合うようになりましたということで当期の剰余金が百万円ということのようであります。  このような中で、今回中野サンプラザを先ほどの説明のようにまた別の組織に移すのだということであります。どういう発想かわかりませんけれども、これは東京都がございますから東京都さんにやっていただくというのならこれも一つ考えでしょうけれども、各地方は各地に任せて、赤字はどんどん先ほどのように負担をさせてもうかるところだけ置いておいて、そしてまたそれはそれで別な組織でやろうというような考えは私は少しわからぬわけであります。こういうような考え方、これは直接運営をしていらっしゃいます理事長さんにもお聞きをしたいのでございますけれども、当然これらをつくられましたときに労働省の方で直接これに参加をしていらっしゃったと思いますけれども、それらの今日までのこういう経過、そしてあなたも次官を終えられてそのところにおつきを願っておるということでございますけれども、中野サンプラザの館長さん、この方も同じような御経歴の持ち主ですか、そこらも含めて、雇用促進事業団にも次官の経験者の方がいらっしゃるし、この中野サンプラザの館長さんにもそういう経験の方がいらっしゃるし、非常に私も不思議に思っておりますところは、これがまた新しい財団をつくってこのまま利益のあるものをそこに移して、そしてその上に今出しております大学講座の委託費三千六百七十五万円ですか、これもつけてお渡しをして、そしてこれが民営化だということは、私どもから考えますと全然納得がいかない、そのことについてどのようにお考えでございますか。
  189. 岡部晃三

    岡部政府委員 まず私からお話し申し上げたいと思いますが、中野サンプラザの民間委託につきましては、中野サンプラザの内容というものは多岐にわたるわけでございますけれども、一つの企業体としてこれを見ることができるような成功をおさめ得たということが一つあるわけでございます。御承知のとおり、各地のサンプラザは御指摘のように最初赤字でスタートするわけでございます。しかし、中野サンプラザのように長年の経験を積みましてスタッフもそろうというときにだんだんにひとり立ちできるような状況になってまいるわけでございまして、当初のところその運営を委託しております各市の財政的な援助も最初から見込みながら、しかしながらだんだんに離陸をしていくというふうな形でこの各地のサンプラザ構想ができ上がっていると思うわけでございます。  この中野サンプラでございますが、先ほど御説明申し上げましたような雇用促進事業団整理再編計画の一環といたしまして民間方式に改めることとしたわけでございますが、そこで公益法人をつくってそこに委託するのでは真の民間委託化とは言えないではないかというふうな御指摘でございますが、このサンプラの施設は御視察いただきましたように勤労青少年が多く利用する施設でございます。したがって、利用についての勤労青少年に対する優遇措置をしっかりとやってもらわなければなりません。それからまた、職業等に関する各種相談でありますとか図書館でありますとかいろいろな研修でありますとか、各種の非営利事業を行うわけでございます。したがいまして、そのようなものがいたずらに縮小などされませんように、ちゃんとした公益法人をつくりましてそこに委託をして、これら公共的な目的が達せられますようにというのが私どもの計画なのでございます。
  190. 関英夫

    ○関参考人 お答え申し上げます。  中野サンプラザの民営化に当たって、公益法人にする理由等につきましては、ただいま職業安定局長の方からお答えがございましたので重複を避けますが、余りにも複雑多岐にわたるので整理すべきは整理し、そしてまた雇用失業情勢に応じてますます力点を置いて運営すべきものは運営すべしという再編計画を実施していく義務を私ども負っているわけでございますが、その整理すべきものの中に、例えば中野サンプラザのような施設をみずから職員を抱えて運営するのではなくて、ちゃんとしたところにお任せしてそこで十分にやっていただけるならばそれは事業団にとって整理すべきものを整理したことになるというふうに私どもも思います。ただ、移管に当たりまして、働いている従来の私どもの職員の不安、動揺、そういうことなしに十分施設の目的を今後とも発揮して運営していただきますように意を尽くして、これから新しい法人へ円滑に移管し、その後円滑に運営できるように努力いたしたいというふうに考えております。  また、全国の勤労者のための総合的な福祉施設、ブロック別に置かれておりますものについては非常に多くが赤字であるという御指摘がございました。そのとおりでございまして、私どもも頭を痛めております。ただ、設置のときの経緯として、ぜひともこの地にこういうものが欲しい、いやその内容ではどうしても赤字要因を免れませんよ、一年や二年いいですけれども、長い間赤字を出すということは私どもとしては本意ではございません、もう少しいろいろお考えいただいたらどうでしょうかというようなことでいろいろ折衝を重ねた結果、やはりどうしてもこういうものが当地としては必要なのだ、当地の勤労者のためにこういうものをつくってほしいという強い御希望がございまして、それでかつ、その後の運営については法人をつくって主として責任を持って勤労者のために運営していくからというようなお話がございまして設置が決まり運営されてきたものだろうと思います。  ただ、先生御指摘のように、そういった施設がいつまでも赤字のままでいいかといえば私はそうだとは思いません。やはりそこに少しでも赤字を減らし効率的な運営が行われ、かつ、勤労者のためになるようにしていくにはどうしたらいいか、やはりそこは運営上のノーハウの問題だろうと思います。そこで、例えば中野に勉強に来ていただくというようなことをするとかあるいはいろいろな打ち合わせをして運営上のノーハウをお互いに勉強し合うとか、いろいろこれからも工夫していかなければならないと思いますが、そういうことに今後とも努力していきたいと思っております。
  191. 大矢卓史

    ○大矢委員 それは、冒頭申しましたように、中野サンプラザのようなものを、あの立地条件のものを各地におつくりになったら、もうけこそすれ赤字になるということはないと思います。ところが、そういうものでないものを労働省の方でお認めになっておつくりになったというところに私は問題があると思う。  そこで今申しましたように、償却前で一億六千万という利益を得ておる、そんな中野サンプラザ、そこへまた、三千六百万というお金をつけて独立させて外郭団体でそこへもうけさすというようなことではなくして、やはり従来ですと、純益が入ってくるわけですから、それを少なくとも今までの赤字を出しておる地方の団体に少しでも分けて穴埋めしていくというようなことも含めて考えてこそ初めて――今せっかく進めていらっしゃいますから、今さらこれをやめなさいと言ってもやめないでしょう。本来ですと、そういうことを民間に委託して利益を上げたらそれをすぐみんなに回してやるということは当然だと思いますけれども、そういうことも含めて、大臣、この問題だけで時間がございませんが、私の言っていた当初からの趣旨を聞いていただいておりましたので、それに沿うようなことで今後努力していただくということでいかがでございましょうか。
  192. 中村太郎

    ○中村国務大臣 御意見は大変貴重なものだと拝聴いたしております。仰せの線を十分参考にしながら今後の運営に当たってまいりたいと考えます。
  193. 大矢卓史

    ○大矢委員 冒頭申しましたように中野サンプラザは日本のお役所がつくっておる施設の中ではナンバーワンだろうと思いますので、それはそれとして伸ばしていただいて、せっかくつくっていただいたものがすべて持ち出しになって赤字、赤字ということにならないように、その穴を埋めていただく努力、稼いでいただいてそこを埋めるというようなことも含めて努力をしていただきたいということを御希望申し上げて、きょうは御苦労さまでございました。
  194. 谷津義男

    谷津委員長代理 関参考人にはどうもありがとうございました。退席されて結構でございます。
  195. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで、時間がございませんので職業紹介のことについてちょっとお聞きをいたしたいのですけれども、私いつもこの委員会で質問いたしておりますことは、法律というものはやはりどんな法律でもみんなが守らなければならぬ。その法律で不備がありますればそれを改正していって納得した上で守っていただかなければならぬということで、そういう観点から御質問をさせていただきたいと思います。  職業紹介は当然労働省がおやりになることでございますけれども、それ以外に私的な職業紹介、これはお役所がやるにはなじまないということで、各職業紹介所の許可ということをしていただいておると思います。第三十三条の四の「兼業の禁止」の中で「料理店業、飲食店業、旅館業、古物商、質屋業、貸金業、両替業その他これらに類する営業を行う者は、職業紹介事業を行うことができない。」ということで種々書いております。これができた時点での文言であろうと思いますけれども、いろいろな業種が減ったりふえたりして、今二十八業種があるようであります。  当然この文言に当てはまる業種はございますし、またすべての業種に当てはまります貸金業等、金銭でこれが左右されるということがいけないという趣旨のようでありますから、当然このような貸金業ということについては全紹介所に適用されます。例えば調理師さんを紹介する業種が料理店をやるとか、また芸能人を紹介する業種がそういう受け入れ側の業界のお仕事をするとか、そういうあっせん側と受け手側とが一緒の人がなっておるというようなことがありますと当然問題になりますけれども、すべての業種にこれが当てはまらないということが非常に不合理だと私は思うのです。その点、これを改正していただく、そして現実的になるほどなというような法律にしていただかないと、それができましたときはそれで意味があったと思いますけれども、現在に適合しないと思いますので、いかがでございますか。
  196. 中村太郎

    ○中村国務大臣 いずれにいたしましても、この法律昭和二十二年でございまして随分たっておるわけでございます。社会情勢の変化等々もあります。指定職業を一律的に定めたということでありまして、必ずしも今の実態にそぐわない面もあるわけではございますけれども、逆に中間搾取等の弊害の発生が全くないとも言い切れませんので、御指摘の点につきましては今後真剣に検討してまいりたいと考えております。     〔谷津委員長代理退席、委員長着席〕
  197. 大矢卓史

    ○大矢委員 余り時間がございませんので、内部的にも言われておりますように、この職業紹介の業種にいたしましても必要なものはふえていきましょうし、また要らないものは減っていくと思います。その中で私は非常に相談を受けて困りますのは演芸家という職業紹介、これが労働省の方にいろいろなことを聞きましても非常にわかりにくうございます。どういう仕事をする場合にこれが必要であり、それ以外のものは必要ないんだということでないと、必要であるのかないのかわからぬのをとっておかなければならぬのか。我々はできるだけそういうものはとってやりなさいよと従来言ってきましたけれども、現場でこれは要らない、これは要らないということになってくると、そういうものは要らないのかどうか。そこらも来ていただいていろいろな話を聞くのですけれども、聞けば聞くほどわからなくなるわけです。雇用関係ある、ない、いろいろなことがございますけれども、それらも一応整理していただいて、末端の方にわかりやすく、そしてまたこれら業者の方々、紹介所の方々というのは役所でできないことをお願いしてやっていただいておる、それだけに窓口親切にお話し願って、とるべきものは当然とっていただく、必要のないものはやるということでございます。  大蔵省の方、来ていただいておりますか。  もう時間がございませんので、申しわけございませんが、大蔵省の方のあっせんという仕事の内容と労働省の意味合いがまた違うようであります。そういうことでこれもわかりやすくやっていただかないと、現場でもまた業者の方も非常に困ると思います。せっかく大蔵省の方来ていただきましたけれども時間が来ましたので、私どもも大蔵省の言われることの意味と労働省が言われる意味とが違うということだけがわかったので、今後もそういうことが現場でわかりやすいように教えていただいてやっていただくことをお願いをし、そういう法律なり、現場の人たちが協力する、労働力を確保する、そのためのいろいろな努力をされることについて今後内部でも十二分に検討していただいて、日に日に新しい時代に対応していただくということをお願いして、最後に大臣に一言このことについての決意をお聞かせ願って、終わらせていただきます。
  198. 中村太郎

    ○中村国務大臣 御指摘のように現実的には大変難しい問題がたくさんあります。実は私もきょう午前中説明を受けたわけでございますが、がえんずるに難しかったという点もございますので、極めてわかりやすいような方向で見直しをしなければいけないではないかというふうに考えております。
  199. 野中英二

    野中委員長 野間友一君。
  200. 野間友一

    ○野間委員 きょうは三つばかりテーマがございますが、まず最初に労災の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  円高あるいは産業構造転換、こういうことを口実にした鉄鋼メーカーの史上空前の人減らし、大合理化、こういう中で死亡災害も含めまして今重大な災害が続発をしております。まさしく今非常事態宣言を発しなきゃならぬ。決して誇張でも何でもありません。以下、順次具体的なケースから入りたいと思います。  委員長、便宜上資料をまとめておきましたので、お願いします。  これは、労働省には事前にこの一覧表を渡してあるわけでありますが、あと三つばかり追加をしております。これは、住友金属工業和歌山製鉄所の構内で去年の六月からことしの五月、現時点までの一年間に起こりました災害の記録であります。去年の六月四日の二十一歳の青年の転落死事故、これはナンバー1ですが、これを初めわずか一年の間に十一件、十二人の労働災害が既に起こっておるわけであります。  そこで、きょう特に問題にしたいのは、労働者の生命とか安全というものについて企業はどういう基本的な姿勢をとっておるかというような点であります。  まず労働省にお伺いしますが、この一覧表のナンバー6の山本敏郎さんの両足中足骨骨折、この事故の概況及びその問題等について御報告をいただきたいと思います。
  201. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 御指摘の事故につきましては、六十三年四月七日、住友金属工業和歌山製鉄所構内の第二内港東岸壁接岸中の昭和丸船倉内で、ビレット、いわゆる鉄の丸棒の積みかえ作業中に、この鴻池運輸所属の山本さんが既に積み込んでありましたビレットに足をかけた際に荷が崩れて両足を挾まれ、両足骨折という事故に遭ったものでございます。  この労働災害に関しまして、四月十八日、和歌山労働基準監督署に対しまして、本件災害の発生場所、時刻、発生状況を偽った死傷病報告が出されたということでございまして、その後、同社より報告は事実に相違していたという報告がございましたので調査しましたところ、当初の報告には虚偽があったということがわかったものでございまして、このような報告がどのような意図でなされたのか、現在調査中でございます。
  202. 野間友一

    ○野間委員 まさしくそうなんですね。  それで、もう少し具体的に私どもの調査の結果を申し上げますと、この事故に遭った時間は四月七日の朝の三時四十五分なんです。ところが病院に運ばれたのは七時四十分なんです。つまり約四時間の間、両足を骨折して泣きわめきながら職場の中で放置されておったわけです。これは大変なことですね。しかも、四月十八日、つまり事故から十一日たった後にやっと労働省に報告があった。ところが、その報告たるや、構外の事故、全く虚偽の報告をした。そして、いろいろな情報の垂れ込みがありまして、共産党が二十二日に会社に抗議に行ったわけですが、翌二十三日に早速訂正の報告を労働省にする。こういう経過があるわけです。したがって、まず事故隠し、それから虚偽の報告、それから被災者の被災後の措置が全く人間性を無視した措置がなされたというのが特徴であります。  鴻池というのは、住金の有力な元請業者の一つでありますが、ここのSという主幹がおりますが、事故後、報告前にこんなことを言っております。構内の事故とすれば仕事がとられるので構外の事故として申告する、もし仕事がとられてもよいなら構内の事故として申告すればよいが、こういうことで口封じをやっておるのですね。これはとんでもないことで、会社ぐるみでこういうようなことを実はやったわけです。人間の命が地球よりも重いというのは当然でありますけれども、こういうようなことを見ますと、一体どう考えておるのかというふうに疑わざるを得ないわけですね。これは労働安全衛生法百条、これは罰則つきの規定ですが、それと遅滞なく報告、これに違反しますし、虚偽の報告自体も百条違反、いずれも刑事的な制裁を受けるケースであると思いますが、いかがでしょうか。
  203. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 この事件につきましては、虚偽の報告の経緯等について今調査中でございますので、その結果を見なければ結論は申し上げられませんけれども、百条違反、いわゆる報告違反ということであれば、この法律に基づく必要な罰則の適用になろうかと思います。
  204. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、刑事処分、司法処分も含めて今検討中ということですか。
  205. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 現段階ではどこまでということは申し上げられませんが、処分も含めて調査中ということでございます。
  206. 野間友一

    ○野間委員 資料にもありますように、ナンバー2、ナンバー4、ナンバー6、ナンバー7、いずれも鴻池運輸の関係する従業員の構内事故ですね。八月十九日の志場さん、有本さん、この両名とも骨折、現在も入院しております。二月十六日の杉山典男さん、これは亡くなりました。それから今指摘した四月七日の山本さんの件。さらに四月十七日の有本健三さん、これは肋骨亀裂ですね。この四件五人は鴻池運輸の従業員ですが、労働災害によって死んだり大けがをしておる。しかも労災隠しまでやっておる。こういう事実がありますけれども、まず大臣に、これをお聞きになりましてどういう御所感を持たれるか、一言で結構ですからお伺いしたいと思います。
  207. 中村太郎

    ○中村国務大臣 先生からただいま報告を受けた限りにおきましては、全くもってとんでもないことであるという印象を強くいたしたわけでございまして、企業に対しましても、安全意識の高揚、一層の指導を強力に行わなければいけないかなと感じ取った次第であります。
  208. 野間友一

    ○野間委員 これは、下請、例えば今の鴻池ですが、ここだけを厳しく刑事処分するとか指導するということだけで解決する問題ではないと私は思うのですね。  実は住友金属自身が労災隠しを行った事実があります。  それは、この一覧表の中では去年の十一月四日の大江芳茂さんの件ですが、この方は、左足の下腿部のふくらはぎの熱傷、大やけどをされたわけであります。これも十一月四日の事故ですが、十一月二十四日に私どもの仲間が情報を提供するまで全然無申告でありました。それで二十五日に労基局が現場を立入検査されたわけですけれども、おもしろいというか、これは大変けしからぬと思うのですね。十一月四日に事故があった、労基局へこの事故について摘発するべきだと言って初めて二十五日に立入検査をした、ところがその後の措置ですが、病院に入院しておったのですが、会社が二十五日同日に退院させまして、この人は日高郡の由良町というところに家があるのですけれども、会社がタクシーで送迎させる、こういう措置を昨年の末までした、本人は包帯を巻いて、とにかく仕事ができませんから会社の雑用係という形で仕事場におる、こういうことですね。この事実はどういうことを意味するかといいますと、要するに申告漏れ、報告してないわけですね。それが摘発された。直ちに退院させて、そして自宅へ帰して、タクシーで送り迎えをやるということ、これは一時間半かかりますからね。会社の費用持ちですよ。つまり、これは軽症だからもう報告しなくてもいい、そういう口実をつくるためのものとしか考えられないわけですね。労働者は皆そう言っておるわけです。ですから、住友金属みずからがこういうような事故隠しをやっている。これについてはさすがの労働省も大変怒ったと思うのですが、住金の社長に対してたしか勧告書かなんかを出されたと思いますけれども、いかがでしょうか。
  209. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 今御指摘の事案につきましては、報告がなかったということ、あるいはその後の措置等にかんがみまして、昨年の十二月十日、関係会社社長に対しまして和歌山労働基準監督署長から、この事故、労働災害の報告届け出がおくれたことに対する問題点、また今後こういうような事態が再び発生することのないように警告をするということと同時に、その事故の原因の追及と対策につきまして徹底するように要請する旨の警告書を発したところでございます。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕
  210. 野間友一

    ○野間委員 社長に直接警告するというのは行政上はまさに異例中の異例なわけですね。親も親なら子も子だというふうに会社では従業員が言っておりますけれども、本社みずからがこういうことをやるから、しかも本社は構内ではゼロにしなければならぬ、確かにゼロにしなければならぬわけですよ、しかし、少なくとも起こった事故については正式に手続をして、そして万全の治療をするというのが当然会社側のとるべき態度ですね。ところが、実際にこういう一連の経過からもおわかりのように、みずからの企業のイメージが落ちる、事故がいろいろカウントされると困るということですね。合理化をどんどんやっておりますから、合理化計画に支障が出るということから、親も親なら子も子、しかも子に対して非常に厳しく、元請に対して、あるいは下請に対して厳しくやる。そのため、どうしても構内の事故を隠さなければならぬ、そういうような状況を醸し出しておるというのが現実の姿であります。  通産省はお越しですか。  通産省にお聞きします。暦年で結構です、昭和六十二年一月から十二月まで住金和歌山製鉄所構内での労災事故、これは何件あったというふうに理解しておりますか。
  211. 中尾舜一

    ○中尾説明員 お答え申し上げます。  私ども本件につきまして住友金属工業に問い合わせて聞きましたところ、六十二年の災害発生件数といたしまして、労働基準監督署に対しまして、住友金属工業直営分二件、協力会社分二件、合計四件と報告したという回答を得ております。
  212. 野間友一

    ○野間委員 さあ、そこで、労働省にお聞きしたいと思いますが、労働省の出先、和歌山の監督署で住金の六十二年の構内事故、この件数は何件と承知をしておられますか。
  213. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 私どもで把握しております昭和六十二年中に和歌山工場構内で発生した休業四日以上の労働災害は十二件、これによる死傷者数は十三人と承知いたしております。
  214. 野間友一

    ○野間委員 さあ、そういうことなんですよ。私ここに今住金の和歌山製鉄所が出しました「安全衛生管理概況」、六十三年一月に出したものですね。これは通産省が言うように四件、うち死亡が一件、これはちゃんとはっきり書いてあるわけですね。ところが、今いみじくも労働省の方から答弁がありましたように、実際には十二件も監督署に届け出をしておるわけですね。一体この差がどこにあるのかということですね。これは二枚目の資料の二に挙げておきましたが、この資料の二と資料の三を見ていただきたいと思うのですね。資料の二というのが今通産省が答弁した数字なんです。昭和六十二年四件、それから死亡が一、こうなっていますよね。ところが、労働省が今答弁されましたが、これは資料三であります、三月十八日の鴻池運輸の従業員から始まって、十一月二十日の大阪富士工業まで、こういう十二件、十三人という数があるのです。  ですから、四件と十二件、この差が一体どこにあるのか、これは大問題なんです。つまり、これまた事故隠しなんですね。ですから、通産省の把握と労働省の把握が全く違う。下請は要するに労災の補償の手続をしなければならぬ、だからその手続をするわけですね。ところが、会社で構内の事故ということになりましたら会社から大変な制裁を受けたりいろいろな不利益な処分を受ける、そこで住金そのもの、会社には黙ったままで、労働省に対しては所定のその手続をするということの差がここに出ておるわけですね。やはり世界に伸びる住友金属、世界的な鉄鋼メーカー、大企業ですよね。こういうものがこういうこそくなことをしていいのかどうか、会社のモラルとしてこういうのが許されるのかどうかということを私考えまして、腹が立って本当に寝られなかったわけですね。こういう本社の姿勢、それから下請、孫請という全体の会社の姿勢というものをやはりきちっと正していかなければ、労働者は絶対虫けらじゃないということで、私も憤りを感ぜざるを得ないと思うのですね。  大臣、今の数字の違いを含めて、お聞きになって、これもどういうようにお感じになるのか、一言でいいですからお答えをいただきたいと思います。
  215. 中村太郎

    ○中村国務大臣 私も感じといたしましては先生と同じであります。
  216. 野間友一

    ○野間委員 もうあれだけ警告書を受け、いろいろなことをしておっても、こういう状態が続いておるわけですね。なぜこんなことが起こるのか、これがやはり最大の問題なんですよ。私は労働省は大変御苦労なすっておると評価しております。ぜひこれはお聞きいただきたいと思いますが、これはやはり史上空前の合理化が本当に元凶なんですよね。     〔谷津委員長代理退席、委員長着席〕  鉄鋼大手五社の人員削減計画、これは通産省からもらった資料を私持っておりますけれども、間違いがあれば言っていただきたいと思います。新日鉄は高炉がことしの十二月にとまりますので、まだ計画中ですが、五万人のうち一万九千人削減する、日本鋼管は六千人の削減のうちで現在二千二百人実施、もう既に計画を達成しておる、川鉄は五千三百人の減員のうち三千四百人達成、住金は六千人のうちで四千八百人達成、神戸製鋼が六千人のうちで三千六百人達成、それから日新製鋼が千七百人のうち千百五十人達成、これはいずれもパーセントを私は出しましたが、住金の場合には八〇%を達成、これは六十一年から六十三年の計画で、こういうことだと思いますが、数字に間違いがあれば御指摘いただきたいと思います。
  217. 中尾舜一

    ○中尾説明員 ただいまの数字で間違いございません。
  218. 野間友一

    ○野間委員 それじゃ生産は一体どうなっておるのかということを調べてみたわけです。これは全体のものを持っておりますが、便宜上資料四をごらんいただいたらわかりますが、これは紀陽銀行の調査月報から拾ったわけであります。組合員数は「組合ニュース」からでありますが、なぜ組合員数と一人当たりの生産高を知ったかといいますと、これは労働組合がユニオンショップですね。和歌山で大体千五百人ぐらい出向しておるわけですね。そうしますと組合員の資格を失いますけれども、在籍は住金にある。したがって、実労働というのは組合員だけがやっておるわけですね。ですから、この五十八年から、従業員の推移が組合員の推移ですから、実労働ですから、一人当たりの生産高を見ますと、どんどん上がっていますね。六十二年度は一人当たり五百十八トン。人間はどんどん減らされて、今もうとにかく八〇%まで計画が達成されておるわけですね。四千八百人やられた。ところが、一人当たりの生産量だけはどんどん上がっておる。こんなことをやられたら事故が起こるのは当たり前なんですよ。私はこういうやり方そのものにやはり最大の問題があると言わざるを得ないと思うのですね。  労働者にも随分聞きました。超過勤務、超過密労働、あるいは連続勤務、これがうんとふえていますよね。そういう中で非常に疲労します。そうしますと、ちょっとしたミスが大事故につながる。これは労働者はみんな異口同音に言っておりますよ。例えば通産省も御存じのとおり、鉄鋼メーカーの中で甲番、乙番、丙番というのがありますね。私、鴻池で調べてみたのですけれども、甲番が八時から十五時、乙番が十五時から二十二時、丙番が二十二時から八時まで。ところが週二回、例えば乙番と丙番と連勤、これをやられるわけですね。そうしますと十七時間ですか、とにかくこういうのを連続して働かなければならない。先ほど指摘した山本さんの事故もまさに全く疲労が蓄積をしたその極限のきわみのときの事故であります。  また表にもありますが、ナンバー1ですが、二十一歳の青年がピットに転落して亡くなったのですけれども、省エネということで照明が非常に暗くされており、ピットの中にどんとはまって死んだ。これも本当に経験の浅いこの青年を一人作業につかせている。だからさっぱり勝手もわからない。そして踏み外して転落して亡くなった。しかも一人作業ですから、しばらくの間わからなかったのですよ、どこへ行ったのか。そういう状況の中での事故なのですね。  私、六十年五月二十四日の商工委員会でこの住金の和歌山製鉄所の行き過ぎた合理化、これが労働者の生命を縮め、奪っておるということを警告したわけであります。当時は村田通産大臣、それから野々内さんが基礎産業局長をされておりましたが、そういう無理な合理化は好ましくない、指導するということを約束されたわけであります。声をかけられたやに聞いておるのですけれども、しかし依然としてと申しますか、さらにずっと災害が激化しておる。しかも数は少なく少なく、通産省に対しても、あるいは社内の文書に対してもそういう報告をして、実は事故というものは減っておるのだ、こういうような体裁をとるというのがこの住金のやり方であります。  そういう点で、ぜひ通産省も本当に前に答弁をされたように、人の命や健康を無視するような合理化、行き過ぎた合理化は絶対にやめろということを強力に指導してもらいたいと私は思いますが、いかがですか。
  219. 中尾舜一

    ○中尾説明員 現在の鉄鋼業界の状況でございますが、内需は堅調でございますが、円高の進展で輸出は減少しておりますし、輸入は増大するということで、先行き不透明な状況にございます。現在、先ほどのお話にもございますように、鉄鋼各社合理化計画を進めているわけでございますけれども、これはNICS等の追い上げに対しまして、生き残るためのやむを得ざる措置として各社合理化計画を推進しているところでございます。その際、鉄鋼各社の合理化計画は無理なものとならないように十分検討を行った上で推進しているものというふうに私どもは理解しております。  ただ、先生のお話にもございましたように、この合理化計画の推進につきましては、事前にその計画の内容も聴取いたしまして、その際、当該計画におきましてこういう労務問題についても十分配慮がなされるようにこれまでも要請してきたところでございます。
  220. 野間友一

    ○野間委員 これまでも要請してきた、そういうなまくらな行政指導をやるから何ぼでもふえるのですよ。だから通産省は本当に姿勢がなっておらぬと僕は思うのですね。やはり生産第一主義なのですよ。これはひとつ労働省が本当にしっかりやってもらわぬことには、通産省はああいう状況ですからね。  大手鉄鋼メーカー五社の災害記録を調べてみたわけでございます。これは資料の五にございます。一九八八年、既に死亡事故が六名出ておるわけですね。これも結局は今申し上げたようにどんどん事故隠ししておりますから、正確な数字は出ておりません。この資料五は、新日鉄の八幡の安全衛生室がつくった会社の資料ですが、これに基づいてやったわけですが、一九八八年に六名既に出ておるわけですね。  そこで労働省、こういう構内事故の多発、しかも事故隠し、これはやはり強力な対策が必要だというように私は思うのです。したがって、今申し上げたようなことを踏まえて、こういう鉄鋼メーカーに対しては新たな決意で強力な御指導、対策をとっていただきたい。これは要請ですが、いかがでしょうか。
  221. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 私どもでは、本年度、六十三年度から五カ年計画の第七次労働災害防止計画を策定いたしまして、経済社会情勢の変化に対応した労働災害防止対策を推進することといたしているわけでございますが、その中におきまして、鉄鋼業につきましては特に重点業種に位置づけまして、親企業と下請企業との緊密な連携によりまして、安全衛生パトロールを実施するとか安全衛生教育の徹底を図るとか、あるいは持ち込み機械等の点検など、親企業と下請企業と一体となりました総合的な安全衛生対策を進めていくということを重点にいたしているところでございます。今後、これらの方針に沿いましてさらに指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
  222. 野間友一

    ○野間委員 時間がありましたらまた後で補足して質問したいと思いますが、質問の中身を変えます。  銀行などのサービス残業の問題であります。  セブンイレブンという言葉が、和歌山のささやかな銀行ですが、和歌山相互銀行あるいは興紀相互銀行で今はやっております。つまり、七時に出勤して十一時に退勤する、それをセブンイレブンというふうに言うそうですね。ただ働きの実態、この事実を踏まえながら、昭和五十五年三月六日の衆議院予算委員会で私がこの問題を取り上げて、労働省調査あるいは是正方をお願いしたわけであります。それで非常に努力された結果、サービス残業、つまりただ働きがなくなりまして、一人当たり七万、八万のバックペイと申しますか、お金が正式に支払われたということで、皆さん非常に喜んでおったわけですけれども、また同じような状態がずっと展開しておるわけです。  労働省にお聞きしますが、時間がありませんから簡単で結構ですが、五十五年三月六日の私の質問を踏まえて調査をされた結果、要するに残業手当を払わないというようなケースが恐らく随分あったと思います。それで指導していただいたと思いますが、いかがですか。
  223. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 御指摘の事案につきましては、労働基準法違反の確認がとれましたので、関係銀行等に対しまして文書で指導いたしまして、その結果、必要な是正措置がとられた旨の報告を得ております。
  224. 野間友一

    ○野間委員 現地では大変に監督官の数も少ないのに非常に苦労していただきまして、しかも資料なんかを借り出したりいろいろなことをやりますので大変なお骨折りをいただきまして、私も感謝を申し上げたいと思うのです。ところが、今申し上げたように、また同じようにどんどんそういうものが常態化しておるというのが実態であります。  既に労働省には資料もお渡ししておるわけですが、警備保障会社の出退勤の状況の報告書が、これは興紀相互銀行のケースですがございますね。これは既に渡しておりますので多くは御説明しませんが、興紀相互銀行のある支店の六十三年二月度、一日から二十九日までの警備記録です。警備の開始というのは、行員がすべて帰ってそして機械警備になった時刻ですね。警備の終了というのは、朝行員が来られる、そして警備が終わる時刻、これはカードでやるわけですけれども。これを見ましたら、警備の開始をごらんいただいたらおわかりのように、物すごい遅いですよ。最後には支店長ないしは支店長代理が出るわけですが、その役職というのは従業員の仕事があるから残らなければならぬ、こういう状況なんです。ですから、まさしくセブンイレブン、もっとひどい状況がずっと連続して今続いておるというのがこの興紀相互銀行の実態であります。これは単に一つの支店ですけれども、私もいろいろな調査をしておりますが、どこでも同じなんです。これは後で時間がありましたら大蔵省に聞きますが、要するにノルマが非常に多い。大体ここでは八時五十分から四時四十五分というのが通常の勤務時間なんですが、とてもじゃないがノルマが多くてこれは消化できない。夜帰ってくるとまたもう一遍出ていけということで、ノルマ達成、けつたたかれる。そうして、それを持って帰ってきてまた行内で帳簿の整理をしなければならぬ。大変なことになるわけです。ですから、行員の人に聞きましたら、一つは、家庭の生活が破壊される。もう一つは、幾ら働いてもとにかく金を、残業手当をくれぬ。こういう状況がずっと続いておるのです。ですから、この前にも申し上げたようなケースがまた同じように続いておるということであります。  さらに、和歌山相互銀行につきましても、これも私きのう私の調査の結果を御報告したわけでありますけれども、物すごいですよ。銀行ですから退行というふうに言うそうですが、退行の時刻表を見ますとこれまた同じことなんです。やはり深夜です。ところが奇妙なことに残業手当を私ずっと調べてみますと、これは和歌山相互銀行ですが、ことしの三月です。残業時間が全行平均で二・八時間、こういう状況なんですよ。本当にみんな大変なんです。  ですから、統一労組懇の人がいろいろアンケート調査をしまして、私も持っておりますけれども、みんな何とかしてくればかりなんです。ぜひ私は、労働省にお願いしたいのは、一たんお世話になって直っておりましたけれども、今は特に巧妙になっておりますが、これはぜひ一遍御調査いただいて、残業手当を払わぬ場合には処罰、刑罰の適用、罰則がありますから、ぜひ強力な指導と御調査をいただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  225. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 先生のおっしゃっておりますいわゆる残業の有無あるいはそれに伴います法違反の有無等につきましては、具体的なそれぞれの行員についての実際の時間と帳簿上の時間とのチェックその他事実関係を詳細に調べる必要があるという観点から非常に困難を伴う問題であるというふうに考えているわけでございます。しかしながら、今御指摘のような問題のある事業所につきまして具体的な情報が得られるならば必要な対応は考えてまいりたいと思っております。
  226. 野間友一

    ○野間委員 累犯前科ですからぜひ強力な御指導をお願いしたいと思います。  ここに興紀相互の仕事の目標、ノルマについての資料があるのですけれども、これを見たら大変なことなんです。よくこれだけ仕事をこなすなと思うほどで、私は銀行というのは非常にスマートな職場で仕事もスマートだというふうに一般の認識もあるのですけれども、金集め、大変なんですね。今消費者ローンというのが随分とふえております。サラ金の親玉のようですけれども、これがまた大変なようです。一人当たりのノルマが一カ月大体二百万ないし三百万といいます。一人大体一口平均したら百万、これは自動車を買うとか結婚の費用とかそういうものに使う人もあるそうですが、消費者ローンそのものは私は結構だと思うのです。ただ、これがノルマを課せられまして一カ月に三人集めろということになったら一年で三十六人をとにかくどこかで獲得しなければならぬというふうになるわけです。これはできませんから、どうしておるかといいますと、他人の名義を借りて自分が借りて、利息は自分が払う。大体三カ月ぐらいで返済してまた回転するそうですけれども、そうすると結局金利が一〇%としても二万数千円から三万円ぐらい賃金が実質減ですね。そういうことがずっとまかり通っておる。これまた大変なんですね。  ですから、大蔵省は通り一遍に各銀行や銀行協会に対して通達を出しまして、過当な競争というものは自粛しなさい、こう言っておりますけれども、そんな通り一遍の自粛の要請じゃだめなんです。こういうのは全部まかり通っております。自粛という要請の中で起こったケースですから、労働省、もう一遍こういうような労働者法律を違反したようなケースを絶対に許さないという立場から強力な御指導をいただきたい。もう一度答弁をいただきたいと思います。
  227. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 労働基準行政といたしましては、労働基準法を初めといたします労働関係法理の遵守が的確に行われますように適切な対応を図ってまいりたいと思っております。
  228. 野間友一

    ○野間委員 信頼して推移を見守っていきたいと思います。  それから、もう一つの問題について、これは運輸省、お越しですね。去年の八月十一日付で近畿運輸局和歌山陸運支局長から和歌山県トラック協会あての「貨物自動車運送事業に係る運賃料金の適正収受について」という文書を出されております。これは時間の関係で私の方から申し上げますと、住友金属の物流輸送部門の元請が六社ばかりございます。その六社とその下請がまたたくさんございます。そういうことが前提になりまして、その住金が荷主、住金と元請との間で道路運送法に定める認可運賃が守られていない。つまり、それを下回って運賃が払われている。この文書にもありますように、認可運賃の最低額をも下回っている状況が認められた、これは運輸省の判断であります。そして、これについて実施された対策ないしは実施しようとする対策について、具体的中身を支局に報告せい、これが八月十一日付であります。これは実際にその後是正されたかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  229. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように昨年の八月に和歌山陸運支局の方からトラック協会を通じまして指導をしたわけでございます。それを受けましてトラック協会と荷主さんの間、あるいは関係の運送業者と荷主さんの間というような形で話し合い等が行われているようでございますけれども、残念ながら現在までのところ特段の進展がないというふうに聞いております。  そういうことでございますので、我々といたしましては近いうちにその荷主さんを含めました荷主懇談会を開くようにトラック協会に指示をいたしまして、その場に陸運支局の担当官を派遣いたしまして当該者から関係の方々に対する適切な指導をしたいというふうに考えておるところでございます。
  230. 野間友一

    ○野間委員 ぜひ御苦労をお願いしたいと思います。  通産省、この件について、荷主が住金ですから、法律に違反して去年の八月のこの時点から今も認可運賃を下回ったそういう運送契約によって車が動いておるという実態、これを踏まえてやはり荷主に強力な指導をして、これは法律違反、罰則がありますから、ぜひこういうようなことがないように指導していただきたい。いかがですか。
  231. 中尾舜一

    ○中尾説明員 通産省といたしましても、所管の運輸省とも十分連絡をとりながら、運輸省の対応にできるだけ協力してまいりたい、このように考えております。
  232. 野間友一

    ○野間委員 運輸省に協力して云々、それは当然ですけれども、荷主に対して、会社に対しても、少なくとも法律を守れというふうに指導していただけるかどうかです。
  233. 中尾舜一

    ○中尾説明員 法律の遵守は当然のことでございます。指導はしてまいりたいと思っております。
  234. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので、大臣、三つばかり挙げましたけれども、この最後の件について言いますと、認可運賃制度がございますね。それを下回って元請に払われる。そうすると、これはさらに下請がございます。これがまた下回るわけです。それで労働条件がうんと低下しまして、その結果労働者の権利というのは物すごく侵害されるわけです。これは下請の業者の人も大変なんです。ところが親方は親方なものですからなかなか物が言えないという実態で、これも労働省労働者の権利を守っていくという観点からも直接の関係がございますので、今運輸省、通産省答えましたが、ぜひ労働者の権利を守る立場の労働省も十分あとの二者と協議をして、そして労働者の権利を守るという立場からこういう法違反の事実がないように御指導いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  235. 中村太郎

    ○中村国務大臣 輸送関係につきましては私もある程度承知をいたしておるわけでございまして、まさに実態はそのとおりでございます。ひどいところになりますと、認可運賃を何十%下回っている、そのこと自体がひいては労働条件へも直接響いてくるわけでございます。そういう意味で、労働者生活の安定という面から考えましても、関係省庁と連絡をとりながら認可運賃を守れるような御指導をしなければいけないと考えております。
  236. 野間友一

    ○野間委員 最後に一点だけ、通達の中身について聞いておきたいと思います。運輸省です。  五十三年六月二十六日付道路運送法施行規則及び自動車運送事業等運輸規則の一部改正についての自動車局長からの通達ですね。これに今のいろいろな認可運賃等々をめぐる問題についての指導の中身が書いてありますが、この中で四項ですが、「記載された取扱手数料額等が高額又は高率に及ぶ場合には、取扱事業者の業務の内容及び当該取扱手数料額等とする根拠を聴取し、それが過大であると判断される場合は、必要な指導を行うこと。」というのがありますね。この場合の「高額又は高率」というのは、運輸省としては数字で言えば幾らを考えておるのですか。
  237. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  実は取扱業の担当の課は別でございまして、ちょっと定かでございませんけれども、私が聞き及んでおるところによりますと、最高は二五ということで、それ以内ということで指導しているように聞いております。
  238. 野間友一

    ○野間委員 今のはうそですよ。そんなもの違いますよ。それは取り消してください。それではもう答弁は求めません。
  239. 小幡政人

    ○小幡説明員 恐縮です。取り消させていただきます。
  240. 野間友一

    ○野間委員 うそ言われては困る。  終わります。
  241. 野中英二

    野中委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十二分散会