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1988-04-22 第112回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十二日(金曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 近藤 元次君    理事 杉山 憲夫君 理事 谷津 義男君    理事 渡部 行雄君 理事 草川 昭三君       岡島 正之君    古屋  亨君       小川 国彦君    新村 勝雄君       小川新一郎君    古川 雅司君       大矢 卓史君    野間 友一君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長兼内         閣総理大臣官房         内政審議室長  的場 順三君         内閣官房内閣外         政審議室長兼内         閣総理大臣官房         外政審議室長  國廣 道彦君         内閣官房内閣情         報調査室長   大高 時男君         内閣総理大臣官         房審議官    本多 秀司君         内閣総理大臣官         房会計課長   河原崎守彦君         内閣総理大臣官         房広報室長   宮脇 磊介君         総務庁長官官房         審議官     紀 嘉一郎君         総務庁長官官房         会計課長    八木 俊道君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       原田 達夫君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政管理         局行政情報シス         テム参事官   重富吉之助君         総務庁行政監察         局長      山本 貞雄君         青少年対策本部         次長      倉地 克次君         外務大臣官房審         議官      遠藤 哲也君         外務省経済局次         長       内田 勝久君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      清水 達夫君  委員外出席者         国立国会図書館         長       指宿 清秀君         国立国会図書館         収集部長    金中 利和君         警察庁交通局交         通企画課長   山田 晋作君         警察庁交通局運         転免許課長   滝藤 浩二君         総務庁長官官房         地域改善対策室         長       瀬田 公和君         科学技術庁科学         技術振興局国際         課長      宮林 正恭君         科学技術庁原子         力局核燃料課長 結城 章夫君         大蔵省主計局司         計課長     兵藤 廣治君         文部省初等中等         教育局小学校課         長       熱海 則夫君         厚生省援護局庶         務課長     新飯田 昇君         農林水産大臣官         房審議官    濱田幸一郎君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     小林 盾夫君         資源エネルギー         庁公益事業部技         術課長     並木  徹君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  梅沢  泉君         建設省建設経済         局建設業課長  村瀬 興一君         自治省行政局公         務員部公務員第         二課長     佐藤  信君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第四局長  吉田 知徳君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔内閣所管総理府所管総理本府、総務庁)〕      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず、内閣所管及び総理府所管総理本府等について審査を行います。  この際、内閣官房長官概要説明及び会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十年度内閣所管一般会計歳入歳出決算概要説明  昭和六十年度における内閣所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  内閣主管歳入につきまして、歳入予算額は、一千七百五十五万円余でありまして、これを収納済歳入額八千二百八十一万円余に比較いたしますと、六千五百二十五万円余の増加なつております。  次に、内閣所管歳出につきまして、歳出予算現額は、百十四億五千百三十五万円余でありまして、支出済歳出額は、百十四億四千八百六十一万円余であります。  この差額二百七十四万円余は、不用なつたものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度総理府所管一般会計歳入歳出決算概要説明  昭和六十年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管歳入につきまして、歳入予算額は、二百七十五億六千七百二十九万円余でありまして、これを収納済歳入額三百十二億四百九十二万円余に比較いたしますと、三十六億三千七百六十三万円余の増加となっております。  次に、総理府所管歳出につきまして、歳出予算現額は、六兆三千八百六億四千六百十三万円余でありまして、支出済歳出額は、六兆二千四百二億五千九百二十一万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比較いたしますと、一千四百三億八千六百九十二万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は、一千三百三億八千百十三万円余であり、不用額は、百億五百七十八万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁総務庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、総理府本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係について申し上げますと、歳出予算現額は、三百九十二億七千八百三十一万円余でありまして、これを支出済歳出額三百八十六億三千七百三十八万円余に比較いたしますと、六億四千九十二万円余の差額を生じますが、これは外国為替相場の変動があったこと等により、物件費等必要額が予定を下回ったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度決算内閣についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度内閣決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度決算総理本府等についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度総理府決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会公害等調整委員会及び宮内庁関係歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────
  4. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
  5. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、小渕官房長官初め政府関係者災害遺児奨学金制度創設問題に関しまして、政府の意向をただしたいというふうに思います。  昨年暮れの党首会談におきまして、我が党からこの災害遺児奨学金制度に関して政府財政補助を求めましたところ、宮澤大蔵大臣予備費を充てることを検討するというふうにお答えになりました。この合意を踏まえまして、二月一日の予算委員会で当奨学制度創設について我が党の山口書記長予備費等を使って数千万円の金を支出すればできることなんですからやっていただきたい、四月一日までにぜひ災害遺児奨学制度を実現していただきたいということで、財源発足の時期を明らかにすることを総理にただしたわけでありました。これに対して竹下総理からは、四月一日を念頭に置きながら御要請に沿う形で鋭意検討を進めてまいります、こういう明確なお答えがあったわけであります。  また、三月二十五日の参議院予算委員会における久保亘議員質問に対しましても官房長官は、党首会談でのお約束の成果が得られるよう検討している、こういうふうに答えているわけであります。総理官房長官答弁政府財政補助を前提にした御答弁であった、こういうふうに私ども理解をしてまいったわけでありますが、制度実施が既にもう四月も半ばを過ぎたわけでありますが、依然これが具体的に実行されるというところまで至っていないわけであります。この点について、総理官房長官から従来所信表明されたことについて、私どもはその実行を強く求めたいと思うわけでありますが、この点について官房長官所見を伺いたいと思います。
  6. 小渕恵三

    小渕国務大臣 災害遺児育英奨学制度の問題につきましては、小川委員におかれましても熱心にお考えをいただいておりますこと、承知をいたしております。ただ、今いろいろな経過をお話しいただきましたが、実はこの制度創設につきましては、昨年末にいわゆる党首会談各党最高責任者からもお話がございまして、この問題に政府としても真剣に取り組んでまいることは竹下総理も申し上げてきておるところでありますし、党首会談という形の中でこの問題が御提起されておることにかんがみまして、現在、各政党間におきましてこの問題を鋭意詰めておる段階承知しております。  そこで、財政援助の問題でございますが、そうした御要請は、私も党首会談の席に陪席いたしておりましたので承知をいたしておりますし、その後いろいろ国会の御質疑の中でも出てまいったことも承知をいたしておりますが、実はこのポイントがこの制度の問題の極めて重要な点でございます。率直に申し上げますと、現段階におきまして、政府としては各党間の話し合いの動向を見守っておるところでございまして、この財政援助につきまして、例えば新しい年度に入ります四月一日までに結論を得るというようなことを申し上げることはできない立場でもございますので、この点についてはまだ政府として、こうした形での財政的な支出をするというようなことは実は申し上げる段階に至っておらない、こう認識をいたしているところでございます。
  7. 小川国彦

    小川(国)委員 この問題につきましては、五十八年の十一月に、熊本の高校生災害遺児にも高校進学の夢をということで全国に呼びかけられたわけです。同じ遺児なのに災害遺児には育英制度がないから交通遺児に比べてもっと困っているだろう、今度は僕らが街頭で訴えて制度をつくろう、こういう全国交通遺児気持ちが奮い立って、こうして全国的な運動が推進されてきているわけであります。そして既に、この方々努力によって大変な募金も集まってきているというような状況にあるわけであります。昨年度も、春と秋のキャンペーンで、十日間延べ十万人の学生が運動して三億二千万円というお金を集めているわけでありまして、これは、日本若者学生が行う街頭募金としてもあるいは一般街頭募金としても最大の規模のものではないかというふうに思うわけであります。  こういうふうに、交通遺児皆さんが、自分たちと同じような状況にある災害遺児のために、自分たちが受けた恩典を同じ立場にある学生や仲間に及ぼしてほしい、こういう熱情のほとばしりから、全国的な街頭募金を雨の日も風の日もそういう条件を克服してやってこられた。こういう若者努力に対して、やはり政治がこれにこたえるという姿勢がなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。国会でこの問題を取り上げますのは既に私が十四番目だそうでございまして、そういう意味では、政府政党も、責任を持ってこの問題に決着をつけるという考え方をこの際はっきりすべきではないのか、私はこういうふうに思うわけでございます。  そういう中で、先般、自民党文教合同会議の中でもいろいろ御検討がなされたようであります。それを仄聞するところによりますと、国庫補助の分につきまして、船舶振興会あるいは自転車振興会、こういうところからそれぞれ寄金を求めて、これをもって対策にしようというふうな考え方が示されているわけであります。私ども自民党案交通遺児育英会窓口にして行うということを決定したのは、まず窓口がはっきりしたということで大きな前進であったというふうに思うわけであります。それから、今年度創設するということもはっきりされたようであります。ただ問題は、財源の問題であります。これは当の交通遺児育英会においても、十九年間やってきた交通遺児育英会経験から見て、公営競技団体からの助成金には限度がある、そして政府補助金が出ない限り恒久的な制度とはなり得ないだろう、こういうふうに言っているわけであります。実施主体が無理だと言うものを推し進めていくのもいかがなものかというふうに私どもは思うわけであります。現実に育英会でも、奨学金の三分の一の補助があれば何とかなると言っているわけでありますから、やはりこの要望を入れて、奨学事業として継続的に維持できるような条件というものを政府も真剣に検討すべきではないか、私はこういうふうに思うわけでありますが、この点について官房長官所見を伺いたいと思います。
  8. 小渕恵三

    小渕国務大臣 政府といたしましても、今日まで、この災害遺児問題にどう対処したらいいかということで検討検討を重ねてきておるところでございますが、今委員指摘のように、一応内々には、窓口文部省、それから、交通遺児育英会制度の中で考えられないかという方向はほぼまとまりつつあるわけでございますが、財源の問題についてまだ結論を得ておらないということでございまして、甚だ申しわけないと思っております。  いずれにいたしましても、この災害遺児制度につきまして、委員指摘のように、ボランティア大学生たちが、みずからの力で募金をされまして、世論を喚起して、何とか不幸な災害遺児進学の機会を得るために制度創設したいと努力していることについては十分承知をいたしておりますので、先ほど申し上げましたように、政党間の問題、それからそうしたボランティア方々努力、そういうことを見守りつつ、政府としても何がなし得るかということにつきまして今検討いたしておるところでございます。  検討経過につきましては、この問題を担当してまいりました内政審議室長にもう少し詳しく御報告をいたさせたいと思います。
  9. 的場順三

    的場政府委員 それでは、これは与野党間で窓口を決めて折衝していただくことでございますけれども、従来の経緯がございますので、その経緯について若干御説明させていただきたいと思います。  先生御指摘のとおり、これは大変古い話で、五十九年から問題になっているわけでありまして、当初文部省団体あるいは育英会との関係でいろいろ話し合われたという経緯がございます。しかし、そのときにも、他の制度とのバランス等がございましてなかなか決着を見るに至らなかった。そういう経過を踏まえまして、昨年の党首会談におきまして、各党党首から竹下総裁に対して御要請があった。それを踏まえまして、内閣全体として何とかできないかということで総理官房長官から特命がおりまして、私のところに関係する各省庁集めましていろいろ検討してきたのでございます。  そこで、若干その背景を申し上げますと、政府の部内で事務的に検討いたしますと、一つは、大変気の毒な方々に対する奨学制度、つまり、育英ではなくて、高校に行けないようなことがあってはいけないという奨学制度というのは実は社会保障制度の中にきちんとございます。  例えば一、二例を申し上げますと、世帯更生資金の中に修学費あるいは就学支度費というのがございます。これは、条件は、低所得世帯について、例えば高校については、私立は月額二万二千円貸与するというもので無利子でございます。それから、それ以外にも母子福祉資金でございますとか寡婦福祉資金修学資金就学支度資金というのがございまして、一応この社会保障制度の中で、大変気の毒な家庭についてはその気の毒になった原因を問わず、すべてについて修学できるような手だてを講じているということが一つございます。  それと、委員承知のとおり、文部省には別途文教制度一環として育英奨学制度があるということでございます。それ以外に、例えば交通遺児育英制度に相当するようなものは、これは若干政府がかかわり合いを持っておりますけれども、例えば財団法人警察育英会でございますとかあるいは財団法人消防育英会でございますとか財団法人犯罪被害救援基金といういろいろなものがございます。これにつきまして、その中の一環財団法人交通遺児育英会というものがあり、交通遺児に対しては熱心な団体、例えば日本小型自動車振興会補助金でありますとか自転車振興会補助金等が出てそれ相応のことをしておられるということは十分承知しております。  これとのバランスで何か制度ができないかということを真剣に検討したわけでございますけれども、事務的に申しますと、社会保障制度なり文教制度の中にきちんとした制度があるではないかという意見が大変強うございます。しかし、党首会談での重みということを踏まえまして、それから各団体が熱心に過去いろいろ努力をしておられるということも踏まえましていろいろ検討した結果、どこかでうまいぐあいに制度そのものができないかということを検討いたしまして、窓口につきましてはこれは文部省になっていただく。それから、この交通遺児育英会の中で何か設けられないかというようなことを考えて、与党にお諮りするということで、あとの、例えば一体何人ぐらいの方がそういう対象としておられるのか、それから、その対象の絞り方はどうするのか、月額幾らにするのか、金が全体として幾ら要るのか、こういう話は、実は一般予算でございますと八月末に各省から予算要求が出てまいっております。しかし、これについては予算要求というのは、団体が言っておられることは文部省十分承知しておりますけれども、全く出ておりませんので、もちろん政府としても十分慎重に検討する必要はございますけれども党首会談で出たことでもございますので、与野党間で御協議をいただくということにさせていただいているわけでございまして、その辺のところの詰めをぜひ私ども立場からも早くやっていただきたいと考えている次第でございます。  以上、経過でございます。
  10. 小川国彦

    小川(国)委員 今、内政審議室長さんの方から御答弁いただいた内容については、私ども経過はほぼ了承しているところでございます。  ただ問題は、いずれにしても今交通遺児の会の皆さんが計算しておられるのは、高校生月額二万五千円で十二カ月、それで三千人と見て九億円、それから大学生が五万円掛ける十二カ月、これは六百人と見て三億六千万円、合計十二億六千万円の財源が必要だ。このうち三分の一の約四億円の補助金が見られるならばこの制度の運用はできるであろう、こういう見通しを持っているわけです。しかし、いずれにしても本年度は何としてもこの制度をスタートさせたい、こういう交通遺児育英会皆さんの熱烈なお気持ちで、ことしは高校生約五百人を対象として、二万五千円掛ける十二カ月掛ける五百人、一億五千万円ということで、このうちの三分の一の五千万円の補助を受けたい、こういうことなわけです。しかも、残りの三分の二についてはこの交通遺児育英会皆さんが、あしたから四万人の学生街頭に立って募金活動に入る。そして一億五千万を目標として、三分の二の資金をこの募金活動で集める、こういうふうに言っておられるわけです。ですから、そうした交通遺児という家庭的に、経済的にも非常にハンディを背負った学生皆さんが、同じような立場にある災害遺児のためにというこういう全国的な立ち上がりは、私は、いまだかつて見ない非常にすばらしい壮挙だというふうに思うわけです。  私も大臣に初めて質問をしますのに大臣の御経歴も調べさせていただきましたら、大臣も早稲田大学一年生のときにお父さんを亡くされたというようなことが「早稲田雄弁会」という本の中に書かれておりまして、大臣学生時代にこういうことに遭って恐らく大変御苦労されたんじゃないかというふうに思うわけであります。私自身もやはり戦後のいろいろな混乱期大変苦学をいたしまして、大学の一年間は夜学、その後も育英会奨学資金で学業を終えさせていただいた、こういう経験がありまして、やはりこういう育英資金のありがたさというものは身にしみて感じているわけであります。それだけにやはり交通遺児皆さんが、自分たちがこうした育英会資金で既に今日までこの十九年間で三万二千人の交通遺児皆さん進学できた、こういう喜びを災害遺児皆さんや病死の遺児皆さんやあるいは離婚の遺児皆さんや、そういうところに幅を広げていきたい、こういう考えを持っていらっしゃるわけで、その意味では、その第一段階としてのこの災害遺児の問題が解決されたら、こうした不幸な状況の中で勉学を目指している学生に大変な励みになるんじゃないだろうか、そういうふうに思うわけです。  そういう意味で、官房長官政府与党の第一人者的な立場にいらっしゃるわけでありますから、やはり政調会なり政調会長さんなりにも督励をしていただいて、そして、野党もこの問題について見ますと、ほとんど野党国会の中でこの問題の論議に加わってきているわけでありますから、政府与党から呼びかけがあれば喜んで野党の各政策担当者もはせ参ずると思うわけでありまして、やはり政府与党のリーダーシップの中でこの制度発足を早期に実現していただきたい、こういうことを私はお願いしたいわけでありますが、この点についてひとつ官房長官の御所見を伺いたい。
  11. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今の委員の御趣旨につきましては十分承りまして対処いたしてまいりたいと思います。二十日付の新聞を見ましても「政治待てぬ」ということで、募金を中心にいたしましてこの制度を、街頭募金で集められた学生たちがもう制度としてスタートされた。また、紙面で伝えるところによりますと、腰を上げない政府遺児対策に抗議する形で見切り発車した云々というようなことをいろいろ述べられておりまして、政治に携わる者としても内心じくじたるものを覚えていることも事実でございます。  ただ一方、先ほど的場室長がいろいろ御説明申し上げましたように、政府として予算を執行するということに相なりますれば、すべての制度を十分精査して誤りなきを期していくことも、これまた政府の与えられた責任の建前でございまして、そういう意味で今日まで何らかの道を得ることができないかということで懸命に模索をし続けてきたということも御理解をいただきたいと思うわけでございます。  そこで、この問題については、先ほど申し上げましたように、政党間でも何とかこの問題に道をつけたいということで、先般は与党野党、政調・政審会長さんの会談におきましても、税制問題をめぐってのいろいろ御協議の中ではありましたけれども、そのまとめの中に一項目を、この災害遺児制度につきまして各党間で話し合いをまとめたいという項目をあえてその中に挿入しておることをもってしても、各政党におきましてもこの問題については懸命の努力をされておるものと思います。  そこで、与党といたしましては、政調会長並びに政調会長代理に私からもこのことを強く申し上げまして、政党間での話し合いをお進めいただきまして、先ほどいろいろ金額、数字その他御指摘されましたので、そうしたことも含めまして何とかおまとめをいただき、政府とも相談の上で決着を図られるように努力をいたしていきたいというふうに考えております。
  12. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣の積極的な御姿勢については私どもも高く評価をしてきているところでありますが、交通遺児奨学金予算を見ますと、これは運輸省の交通事故対策費として自動車賠償責任保険の特別会計から、昭和四十四年から財源が捻出されるというような経過を承っているわけであります。こういうふうに考えますと、しかも文部省総務庁の共管の財団法人交通遺児育英会でこれを担当する、こういう経過を見ているわけです。  そうしますと、災害遺児の問題につきましては、確かに海難事故になれば運輸省になるとかあるいはまた炭鉱のようなところの事故になれば通商産業省になるとかあるいは建設工事における災害になれば建設省になるか労働省になるか、確かに各省庁にわたってこの災害遺児の発生原因というものを見ておる。そこに対する各省庁ごとの実態把握、それから各省庁の災害、事故対策というものがおありになると思うわけでございまして、そういう中でそれぞれの費目を検討される。こういうものを最終的には財団法人交通遺児育英会のところに委託をして、給付事業なり貸付事業なりが行われる、こういうふうな形も考えられるのではないか。  したがって、今官房長官お話のように、各党間であるべき姿をさらに煮詰めるということは、これは当然官房長官のリードのもとにやっていただきたいと思っておりますが、同時に財源対策の問題について、政府もこれにこたえ得るような作業なりをやはり進めていただきたい。そして各政党政府が一体になってこの問題の解決を見られるような、そういう並行した御努力を願いたい、こういうふうに考えるわけでありますが、この点についてもう一つ政府の前向きな御答弁を願いたい、こういうふうに思うわけであります。
  13. 的場順三

    的場政府委員 ちょっと事務的な点がございますので、長官の御答弁の前に申し上げますと、委員指摘のとおり、ただいまの財団法人交通遺児育英会に対しましては、自動車事故対策補助金ということで自賠責特別会計から補助金が出ております。これは自動車事故との関係でいきますと、因果関係が非常にはっきりしている。しかも自賠責の歳入というのは掛金でございます。掛金でございますから、ある意味で原因者負担ということから、自賠責特会を経由してこの財団法人交通遺児育英会交通遺児育英対策として金を拠出しているということになっているわけでございます。  今設けようとしております災害遺児育英制度でございますけれども、この災害の原因というのはたくさんございまして、天災でございますとかあるいは火災でございますとか中毒死でございますとか、その他いろいろあるわけでございます。天災の場合に原因者がだれかということになりますと、いわゆる自動車事故のように原因者がはっきりしない、不慮の災害でございますので、そういうものについてそれでは国庫補助金をどういう形で出せるかということについては、事務的に検討いたしますと、そういうことのために社会保障制度があるということで、ぐるぐる回りでもとへ戻るものでございます。したがいまして、その点について別途の方法がないかということで事務的な検討を進めているわけでございますけれども、これは折衝事でございます。国庫補助金をそういう意味で出すということについては、先ほど申し上げましたように一般財源としての補助金というのは大変難しい点が各省ございますけれども、それは折衝事でございますので、与野党協議の場でまたいろいろお知恵も拝借して決めていくべきことではないかと考えております。  おっしゃるように、財団法人の交通遺児育英会については、自賠責から金が出ているということについてはそのとおりでございます。
  14. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今的場室長答弁の中にもぐるぐる回りというお話がありましたが、行政ベースでいろいろ検討いたしますとどうしてもいろいろ、社会保障制度の枠内でやるべきだという問題もありますし、災害を受けた遺児の問題でないその他の要因によって勉学の機会を受けない方々に対する対応の問題との比較論とかいろいろ出てまいりまして、実は先ほど答弁のような形になるわけでございますが、しかしどこかでこれを断ち切らなければならないということになりますと、やはり政治的な判断といいますか決断といいますかそういうものが必要になってくるのではないか、そういう意味政党間の政治家レベルでの話し合いに期待も寄せつつ今お願いをしておるところでございます。が、さはさりながら、そうした政党間の話し合いをただ見守るということでなくして、政府としても、申し上げましたように何らかの決断をし、そしていかなければならないこともあろうかと思いますが、我々も、そういった意味政府としてもさらに勉強を深めてまいりたいというふうに思います。
  15. 小川国彦

    小川(国)委員 各政党間の話し合いということが一つ大前提としてある。しかし、そういうことを見守りながら政府としても何らかの決断をする考えがある、こういう御答弁をいただいたわけであります。  私ども確かに、政党間の話し合いということがあるとするならば、なかなか政府がその前に出にくいという事情もあろうか、これもわかるわけであります。ただいずれにしても、行政的な処理とかあるいは財源の問題は最終的にはやはり政府段階で決断をいただかなければならぬ、こういうふうに思うわけです。  しかし、今最大のネックが政党間の話し合いということになっているのですが、残念ながら税制協議会の中でこの問題については、「災害遺児育英対策について措置するよう努力する。」というのが三月二十九日の与野党政策担当者会議の中で自民党から回答がなされているわけです。しかしもうそれからほぼ一カ月たとう、こういう状況にあって、今度は四月二十七日に税制協議の中で――与野党政策担当者会議が行われるようであります。少なくもその四月二十七日の席では官房長官自民党政調会長さんにお話しいただく、私どもがまた野党の政審会長さんにお願いをする、そういう与野党努力の中で、四月二十七日の会談の中では実りある与野党会談が成功するような努力を、お互いがそれぞれの立場努力をし合って、そこで一定の結論が導かれるように、こういう努力をやはりお互いにし合いたいというふうに思うわけでございますが、この点について官房長官の方で各党協議の、政党間の話し合いということについて具体的にここに対して官房長官としての御努力を願えるかどうか、その辺のお考えも承りたいと思います。
  16. 小渕恵三

    小渕国務大臣 与党に支えられております政府でございます。自由民主党の方にも十分政府考え方を伝えて、前進のできるように努力をしていただくよう頑張っていきたいと思っております。
  17. 小川国彦

    小川(国)委員 お互いに努力をし合おうということを約束し合うこともいいのですが、もう一つそのめどについて、私どもは少なくも今国会中にめどをつけられるようなお互いの努力をしたいということと、もう一つは、既に災害遺児育英制度の問題については暫定措置ということで、「災害遺児高校進学をすすめる会」の皆さんは、従来の総理答弁から見て八八年度政府補助は必ず実現する、こういう期待のもとに四月十九日にこの制度をスタートさせてしまったわけです。こういうやむにやまれぬ思いで出発をしたという状況にあるわけでありますが、こういう点については、少なくとも今回行われる措置がこうした「災害遺児高校進学をすすめる会」の皆さんの期待を裏切ることのないように、それは大きくは政治の信頼につながってくるのじゃないかというふうに思うわけで、その期待に背かないような結論が出るようにこれは官房長官にもひとつお約束をいただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、その点はいかがでございましょうか。
  18. 小渕恵三

    小渕国務大臣 心情的には、先ほど御答弁申し上げましたように、こうした若い人たちが街頭に立って募金をして新しい制度創設したい、そして、災害に遭って勉学の機会を失っておるような仲間を助けようというその精神には深く感銘を覚えておるところでございまして、そういった意味で、何とかそういう方々が企図しておることを最終的に政府あるいは各政党がどうおこたえしていくかということについては、その精神のことは十分承知をいたしておりますので、何とかそのお気持ちにこたえられますように努力していることは、先刻来の政府並びに各党間の努力気持ちもやはり同じ方向を持ったものだということは間違いないと思います。
  19. 小川国彦

    小川(国)委員 質疑時間が参りましたので、私どもは、少なくともこの国会中にはこのことについての結論を得る、こういうふうに官房長官初め総理のお取り組み、それから相互に各党間の立場で、少なくも二十七日に行われるであろう与野党の話し合いの中ではこれが実りあるように官房長官にも最大限の御努力をお願いして、質問を終わりたいと思います。
  20. 野中英二

    野中委員長 渡部行雄君。
  21. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 まず最初に官房長官にお伺いいたしますが、本来ならば内閣総理大臣に直接お尋ねする案件でございますけれども、長官、ひとつこの際かわってお答えを願いたいと思います。  それは、去る四月二十一日の新聞ですが、中国を訪れていた自民党の伊東総務会長は二十日夕、首相官邸に竹下首相を訪ね、帰国報告した。この中で伊東氏は、対共産圏輸出統制委員会、ココム規制違反で友好商社二社が摘発された問題と、光華寮問題の対処が重要だと首相に進言し、適切な対応をとるよう求めたと報じられておるわけです。  そこで、ここで特に、光華寮問題というのは御承知のとおり現在最高裁の最終審理にかかっておる段階であるわけです。これが国内問題で済まされるものなら私ども何も文句を言う筋合いではありませんし、三権分立の立場からいたしましても一言半句口を出すことは許されないことは重々承知しておりますが、しかし、事が国際的問題にまで発展し、そしてそれが政治問題化して、今現実に国家間にぎくしゃくした関係が生み出されておる。こういう問題がさらに将来に大きな影を落とすようなことがありはしないか、こんなふうに心配されるのでございます。  したがって、国は、日中共同声明を厳守して、一分権の立場ではなく三権合体した立場からの国家意思の表明をすべきだと考えるわけです。つまり、憲法前文の精神にのっとって一日も早くこの問題解決に当たるべきではないかと思うわけでございますが、この点、いかがなものでございましょうか、お伺いいたします。
  22. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今お話のありました伊東総務会長でございますが、四月十七日から二十日まで特使として訪中をいたしまして、李鵬新総理初め中国の新指導者に対する祝意を伝達いたしますと同時に、鄧小平主席との会談を通じまして我が方の日中友好にかける熱意を伝えていただいたわけでございます。  その中で、今お話のありました光華寮問題につきましても、一連の会見のうちで言及されたところもありましたが、特使は、この問題が日中友好に悪影響を与えないよう大局的に双方で努力すべきであることを指摘されました。  そこで、この問題につきましては、今、憲法の前文にのっとってということでございましたが、日本政府といたしましては従来から、三権分立ということにつきましては、今、渡部先生も御質疑の中で申されておりましたが、その大原則のもとで司法の独立という立場で、現在この問題は司法の場で判断をいたす立場になっておりますので、この点につきましては我が方の立場を伊東特使におかれましても相手方に伝えられまして、御理解を願うように努力をされたというふうに聞いております。
  23. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 ただ私が心配するのは、この光華寮問題の今までの審理の経過を見てまいりますと、第一審の地裁においては中華民国側が敗訴になっているわけです。そしてこれは、いわゆる日中共同声明以降の中華民国というのは既に訴訟の対象資格を失っておるという判断でございます。私はこれは非常にすばらしい判断だと思うのです。ところが、これが高裁に行って、高裁ではこれが原審差し戻し、そしてまた京都の地裁でこの審理をしたら、高裁の指導のとおり今度は中華民国が勝訴になって被告が敗訴になる。そこでいよいよこれが国際問題になり政治問題化してきて、そして、さらにそれが控訴されて、高裁ではまた同じように中華民国の勝訴ということにして、そこで今度は最高裁に上がっておる、こういうふうになりますと、どうも裁判所の傾向というのは国際関係を全く無視した、そういう非常に狭い法理論の解釈、法理論の立て方、こういうことが感じられるのですよ。しかも、この問題というのは、ただ単に三権分立という立場で等閑視することが許されるだろうか。私はそう考えられないのです。国の命運にかかわるような問題については、やはり三権の上に憲法というものがあるわけですから、憲法の立場で私たちは、しかも前文でその精神がはっきりしておる。そういう中で、国家権力機関である国会あるいは行政府また最高裁も、これは話し合ってこの辺の解決策を求めるのが私は政治の問題だろうと思うのです。その点はいかがなものでしょうか。
  24. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほどの答弁の中でも申し上げましたが、我が政府としては三権分立の建前で、現在最高裁判所の中で厳正な御判断をいただくべく審理が進んでおるというふうに理解いたしておりますので、政府としては、この裁判続行中の問題についてコメントを正式にいたしますことは差し控えさせていただきたいと存じます。
  25. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題を私がここで言っただけでも相当影響力が出ると思っておりますから、先に進ませていただきます。  次に、竹下総理がこの間アメリカに行って、日米首脳会談の中で、外国人研究者の受け入れを約束されてきたそうですが、その内容と実行計画について明らかにしていただきたいと思います。
  26. 遠藤哲也

    ○遠藤(哲)政府委員 まず最初に私の方からお答えをさせていただきます。  先生御承知のとおり日米の科学技術交流は今後ますます拡大をしていきたいと思っているわけでございますが、現状を見ますときに、アメリカからの科学者、研究者が日本に来る数と日本からアメリカに行く数とがかなり違ってきておるわけでございます。私どもその流れをより拡大という方向で対処していきたい。つまりアメリカから科学者、研究者をもう少し呼びたい、こういうような観点から、総理御訪米の際にジャパン・US・サイエンス・フェローシップというものを創設すべくアメリカの国立科学財団に六億円、四百四十万ドル相当でございますけれども、それを拠出することを決めたものでございます。  なお、この拠出金の具体的な運用といたしましては、これをアメリカの国立科学財団に拠出しまして、向こう側がどんなふうな科学者を送るとか期間とか等々は向こう側に任せてありまして、それを日本側は側面から支援する、こういうことになっております。現実にこの四百四十万ドル、六億円でどのぐらいの科学者が日本に来るかというのはちょっと難しい、滞在期間によりけりでございますけれども、大体百人ぐらいの、かなり長期間の滞在が可能かな、こういうふうに思っております。
  27. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この目標は三百人のようでございますけれども、現実には五十人ぐらいになってしまうのじゃなかろうかというのが新聞に書かれておる予想です。それで、どうしてこういうアメリカあたりのすばらしい研究者が日本に来たがらないのか。それはやはり待遇が非常に悪い、あるいは住宅事情の問題それから研究の環境、これが非常に悪い、こういうところに来れば新しい知識の開発というものは逆に悪い影響を受けるのじゃなかろうかという危惧等が働いていると言われております。そういうことで、この辺の待遇、研究の環境あるいは施設の整備、そういうものについては今どういうふうに考えておられるのか、向こうが喜んで来るようにするためにひとつその内容を明らかにしていただきたいと思います。
  28. 宮林正恭

    ○宮林説明員 お答えさせていただきます。  科学技術庁といたしましては、先生今御指摘の点につきましては非常に重要な問題だ、こういうように考えておりまして、既に昨年から筑波におきまして宿舎の整備を図るというふうなこととか日本語研修をするべくことしからそういう予算をいただいているとかあるいはまた百人のフェローシップというものを、アメリカだけでございませんで、先進各国あるいはその他の国からおいでになる研究者に差し上げて、その方々日本での十分なる生活をしていただけるような程度の金額を差し上げる、こういうふうなこと等の施策を今講じようとしているところでございます。
  29. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、現在はどうなのでしょうか。確定した方は人員としてどのぐらいありますか、その辺を明らかにしてください。
  30. 遠藤哲也

    ○遠藤(哲)政府委員 新しい計画、今私の方からあるいは科学技術庁から御説明しましたように、アメリカだけをとりました場合二百人ぐらいの招聘を考えているわけでございますけれども、これは何分にもことしの予算で始めるところでございまして、何とか私どもはその満枠成るように、先ほど先生御指摘のような諸般のいろいろな難関というか問題があるのはそのとおりでございまして、それを解決しながら何とか実現してまいりたいと思っております。
  31. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私の聞いているのは希望でなくて、現在申し込みのある人数はどのぐらいかと聞いているのです。
  32. 遠藤哲也

    ○遠藤(哲)政府委員 まだ申し込みの数は出ておりません。しかしながら、これは四月一日からでございまして、何とか努力していきたいと思っております。
  33. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 この問題は非常に重要な問題でございますし、日本の科学技術の進展に非常な影響を及ぼす問題ですから、ひとつ万全の対策をお願いしたいと思います。  そこで次に、一昨年九月に調印された日米半導体協定に関連して、米国製半導体の日本での市場シェアを五年以内に二〇%となるよう日本政府が支援するといった秘密の附属文書が存在すると言われておりますが、この真偽のほどについて明らかにしていただきたいと思います。
  34. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 ただいまお話がございましたように、一昨年の九月に日米の半導体協定ができたわけでございます。その協定の中では、日本の市場に外国製の半導体がもっとユーザーによって使われますように日本政府がユーザーに勧奨する、エンカレッジするというようなことを取り決めておりますが、しからばその協定なりあるいは何らかのほかの形ででもこの日米間で今先生おっしゃいましたように五年先に日本の半導体市場の二〇%を与えるというふうな約束をしたというような事実はないわけでございまして、文書といたしましても国際約束を構成するものとしては公表されている取り決めのみでございます。  ただ、その交渉の経過の中で、実はこの二〇%という問題がいろいろ出てきたのは事実でございます。と申しますのは、アメリカの半導体の業界は、ヨーロッパでは実は五〇%ぐらいのシェアを占めているわけでございまして、ヨーロッパで五割ぐらいのシェアを占めれるものならば日本においても相当なシェアが占めれるはずであるというふうな感じをアメリカの業界としては持っていたわけでございます。ただ、そうは申しましても御案内のように日本には日本として非常に技術水準の高い半導体産業があるわけでございまして、アメリカの業界が幾らそういうふうに思ったからと申しまして、そうなるというものではないわけでございます。ただ、アメリカの業界が二〇%ぐらいのシェアを日本で占めたいというふうに強く希望しているというのはいろいろなところで話は聞いたわけでございまして、そういう話をアメリカの業界がしているということにつきましては私どもも重々承知しているというような状況でございます。  ただ、アメリカにせよ日本にせよ自由主義経済の国でございまして、およそこのマーケットシェアというような問題について政府ができもしないことを約束してみたところでどうなるわけでもないわけでございまして、そういう約束は一切いたしておりません。
  35. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは通産省も否定されておるわけですから、今さらそういう約束をしたというふうには答えられないと思いますけれども、これはもう既にあなたも読まれたと思いますが、文芸春秋の五月号にはっきりと指摘されて、しかもこれは公然の秘密としてその筋の人たちは知らない人がいない、こういうふうに報じられておるわけです。そして、その秘密文書というものも、これは原文で載っているわけです。文書化の問題はそれほど問題にしないまでも、約束というものがそれなりに、相手が約束と受け取るような発言をしたとすれば、これはやはり私は相当重大な責任の問題が出てくるのではないか。言葉の違いあるいは民族性の問題等で、例えば中国に行って、わかりました、そうすると、日本ではわかりましたということは約束を了解したんだな、こういうふうに受け取るけれども、そうではなしにそれはそういう事実についてわかったというだけのことで、そこでこちらから約束の履行を請求すると、いやそんな約束はしていない、こういうふうに返ってくるわけで、そういう点の違いもあるわけですから、よほど外国との折衝においては慎重にやらないとかえってそれが日本に大きな打撃を与えることになると思うのですが、そういう点で最近の企業の動きを見てみましても、この二〇%というのがやっぱり約束されたのではないかな、こういうふうに思われるような動きでございますが、そういう点はいかがなものでしょうか。
  36. 児玉幸治

    ○児玉(幸)政府委員 確かに日本の文化、欧米の文化に差がございまして、物事について話をいたします場合にも言葉遣いに気をつけなければならないのは仰せのとおりでございますが、この件について申し上げますならば、私どももその点は細心の注意を払って話し合いを進めてまいったわけでございます。日本側でもちょうど協定ができましたときには、こういうシェアについて何か約束しているのではないかというような質問もございまして、もちろんそういうことはないというお話もしたわけでございますが、一方、同じ時期にアメリカ側でもこの協定ができましたときに新聞記者会見が行われておりまして、その記者会見でも同じようなことについての質問が行われたわけでございますが、米国政府日本との間にそういうような約束をした覚えはないということをはっきりさせているわけでございます。したがいまして、特定の数字に基づくマーケットシェアについて約束したという事実は一切ないわけでございます。  ただ、それと日米間あるいは世界の半導体産業をどういうふうに健全にこれから繁栄させていくかというこれはまた別問題でございまして、やはり長期的に見ますと日米で半導体について、技術にしても資本にしましても製品にいたしましてもより活発にバランスのとれた交流が進んでいくことが望ましいわけでございます。そういう意味合いで、現在のように日本からの輸出に比べましてアメリカからの半導体の輸入が少ないという状況におきましては、もう少し日本側のユーザーにももし使えるものがあればぜひ外国製の半導体も使ってもらったらというふうに考えておりまして、情報の提供をしたりあるいは見本市、シンポジウム等々でできるだけ外国製の半導体についての情報が十分入りますようにいろいろな手当てはいたしております。だからといって何も約束しているわけではございません。
  37. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が大変少ないので、ひとつ御答弁の方も簡単明瞭にお願いしたいと思います。  そこで、次に移りますが、今日本で必要とする電力の需給関係について、一体電力は余っているのか足りないのか、その辺の御説明と、それから、通産省は最近家庭用電気について現在の百ボルトを二百ボルトに引き上げることを検討しておると言われておりますが、その内容、手順あるいはその検討はいつごろ終わり、そしてこの推進していく一つのプログラムについて明らかにしていただきたいと思います。
  38. 小林盾夫

    ○小林説明員 最初に、現在の電力需給についてお答え申し上げます。  先生御承知のように電力というのは貯蔵することができないということでございますので、設備の整備と申しますのは、最大需要電力に対応するように電源設備を整備するという必要がございます。そういった観点からいたしまして、最大需要に対しまして一定の予備力を保持した電源開発設備というものを私どもは開発していく必要があるというふうに考えております。  現在の状況でございますけれども、電気事業審議会の場がございまして、適宜需給見通しをチェックしているところでございますけれども、昨年の十月に策定されました電気事業審議会の中間報告の見通しによりますと、昭和七十五年におきまして二億一千二百万キロワットの供給力、現在、六十二年末の供給力は一億六千二百九十四万キロワットでございますので、この間十年余りで約五千万キロワットの供給力の純増が必要だという状況でございまして、現在電気が余っているというような状況ではないということを申し上げておきます。
  39. 並木徹

    ○並木説明員 電力の二百ボルト利用につきましてお答え申し上げます。  今後の国民生活の向上に対応いたしまして、家庭用の電気の利用につきましても、快適性やあるいは利便性を求める観点から多様なニーズが生じてまいるのではないかと予想されておるところでございます。御案内のとおり、欧米諸国あるいはアジア諸国等世界の国々におきましては、既に家庭用の電気の二百ボルト化が普及しておるところでございますが、家庭用の電気の二百ボルト利用につきましては、消費者の電力利用の幅を広げまして、あるいはその役割を高め、さまざまな二ーズへの対応を可能とするということが考えられるところでございます。  このような観点から、通産省といたしましても、従来の百ボルトに加えまして二百ボルトも利用可能な方式、電気温水器やあるいは大型のクーラー等の普及によりまして既に実施が進みつつある方式でございますけれども、単相三線方式と申しておりますが、このような二百ボルトの利用を進めていくことを検討してまいることといたしております。現在、資源エネルギー庁におきまして、学識経験者、消費者あるいは言論界の方々あるいは関係業界の方々から成ります電力二百ボルト利用懇談会という委員会を設けさせていただいておりまして、このような単相三線方式、百ボルト、二百ボルト両用を行う形での方式を進めることにつきまして、問題点あるいは対応策について検討を行っておるところでございます。
  40. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは次に進みますが、原発に対する最近の世界の動向というのは、特にチェルノブイリの事故以来、相当流れが変わってきたように思われるのであります。そこで、こういう世界の流れに対して、日本は一体将来どういうふうに原発というものを考えていくのか、この将来展望について一つはお願いしたい。  それから、今電力は決して足りないわけではないわけです。余ってはいなくとも足りないという事情にはない。しかも、最近は、科学の進歩によって無公害の燃料電池や太陽エネルギーの利用波力、あるいは潮力、また地熱その他いろいろなエネルギーの開発が進められて、しかも超電導物質が大変実用化されつつあるという段階に来ておるわけでございまして、そのほか核融合の問題も世界で大体トップクラスになって進められていると聞いております。こういうふうなエネルギー開発の新しい流れが出てきておるときに、今最も忌み嫌われている原発という問題、これは去年一年でヨーロッパでは二十基も中止をしているわけでございますから、この点についてひとつ明らかにしていただきたい。  それから、時間がありませんから一遍に申し上げますが、高レベル核廃棄物をイギリス、フランスで再処理して、その再処理したプルトニウムが日本に直送される、こういう場合の輸送経路における警備に万全は期されているのかどうか、また、これが日本に輸送される時期等についてはどうなのか、あるいはその貯蔵の場所、方法について、安全性の確保が完全になされているのかどうか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  41. 梅沢泉

    ○梅沢説明員 お答え申し上げます。  先生最初に御指摘の、チェルノブイリ事故以来世界的に原発政策が見直しされているじゃないかということでございますが、ヨーロッパのスウェーデンとかイタリア等一部の諸国において、原子力開発政策が見直しされているのは事実でございます。他方、英国あるいはフランス等経済規模が大きい国におきましては、今後とも原子力開発、利用推進を行っていく方針に変わりないというのも、これまた事実でございます。さらに、先般来日いたしましたIAEAのブリックス事務局長が述べておりますとおり、原子力発電というのは、経済性、環境への影響あるいは社会的リスク等の面から考えて、他の電源と比較してすぐれた電源であるということが言えるかと思います。資源に乏しい我が国といたしましては、原子力発電は供給安定性とか経済性等にすぐれた電源でございますので、今後とも、ベース供給力の中核といたしまして、安全性の確保には万全を期しつつ着実にその開発を進めていきたいと考えておるわけでございます。  さらに先生御質問の、最近燃料電池とか太陽光発電とかいったような無公害エネルギーの開発が進んでいるので原子力発電はもういいじゃないかという御指摘でございますが、近年そういう新しいエネルギーの開発が進められているのは事実でございます。しかしながら、向坊原子力委員長代理も述べておりますとおりに、いつまでに、どれだけの量を、幾らで、こういう三つの条件を現時点で満たし得るエネルギーは原子力をおいてないというのも事実かと思います。先ほど申し上げましたように、エネルギー供給構造が極めて脆弱な我が国といたしましては、今後とも供給安定性あるいは大量供給性あるいは経済性等にすぐれた原子力発電を、安全性の確保を大前提にいたしまして、着実に推進していく必要があろうかと思っております。
  42. 結城章夫

    ○結城説明員 プルトニウムの輸送につきましてお答え申し上げます。  イギリス、フランスから飛行機を用いて我が国にプルトニウムを運んでくる場合でございますけれども、これは、新しい日米原子力協定の実施取極の附属書の五というのがございまして、ここの規定に従って必要な核物質の防護措置を講ずることになっております。  具体的に申し上げますと、積み荷の常時監視及び防護に責任を有する武装護衛者を同行させるとか、すべての飛行場におきまして飛行機の隔離措置を講ずるとか、出発から到着まで継続的に飛行機の位置、状況を監視するオペレーションセンターを設けるなどの措置が講ぜられることになっております。  次に、それではこの輸送がいつ始まるかということでございますが、私どもといたしましては一九九〇年代できるだけ早く始めたいと思っております。  最後に、このプルトニウムがどこに持ち込まれるのかという御質問かと存じますけれども、このプルトニウムにつきましては当面茨城県の東海村にございます動力炉・核燃料開発事業団の東海事業所、ここのプルトニウム燃料の加工施設に運び込む予定でございます。
  43. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が参りましたので、実はこれからいい質問に入ろうかと思っていたのですが、この次の機会を見てやりたいと思いますから、これで終わります。どうもありがとうございました。
  44. 野中英二

  45. 小川新一郎

    小川(新)委員 現在、日本企業がアメリカ国内で受注した仕事量は金額で総額幾らか。逆に、アメリカ企業が日本国内で受注した仕事量の総額は金額で幾らか。また、今回日本側が開放した事業は総額で幾らか。
  46. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 まず、我が国の建設業者が米国において受注いたしました実績につきましてお答え申し上げます。建設省の調査によりますと、六十年度が二千八百四十三億円でございます。それから六十一年度につきましては三千五百九十五億円でございます。それから、我が国の建設市場におきまして米国系の企業が受注いたしました実績につきましては、昭和六十一年度で約五百四十億円でございます。そのうち、官公庁が発注いたしました分につきましては四十六億円でございます。
  47. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで今比べてみますと、確かに六十一年度で我が国がアメリカ企業に開放した仕事量は五百四十億、これに対して向こうが約五倍強である二千四百から三千五百億ということでございますが、そのことで日米建設市場交渉というものが出てきたと思うのでございますが、米企業の参入対象となる大型公共事業、開西国際空港方式三事業、公共事業七事業、民間第三セクター七つの事業、この総額の金額は幾らなのですか。
  48. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。  先般、実質的な決着を見ました日米の公共事業の交渉につきましては、外国企業が日本日本の公共事業の市場になれて、そこで日本の実績を積みまして、日本制度に習熟することを目的として先生御指摘の七プロジェクトを特定いたしまして、そこに特例措置を設けることといたしたものでございます。したがいまして、その七プロジェクトが幾らの工事量になるか、どのくらいの数字であるかということを基礎として協議を行ってきたものではございません。
  49. 小川新一郎

    小川(新)委員 でも、大体これぐらいの事業という概算が建設省またその他で試算されなければ目安というものができないのじゃないでしょうか。要するに日米間のバランスが崩れている。お互いの経済協力または事業協力、建設協力において、おまえのところはとり過ぎた、おれのところは少ないんだというところからこういうギャップが生じたことが摩擦になって出ていることであると理解しておりますが、当然これに対する見返り、これに対してどう措置をとるかということが外交交渉の一つの大きな目的でありますから、当然それに対して特例措置を講じたことによってどれぐらいアメリカ側にメリットをもたらすのか、総額幾らになるのかということぐらいは教えていただきたいと思います。
  50. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 我が国の公共事業市場はもともと内外無差別でございまして、特に外国の建設業者を排除するというようなシステムには全くなっておりません。ただ現実の問題といたしまして、外国からの公共事業参入がなかなか難しい。特に公共事業の場合には、業者の国内における事業の実績が一つの基準となりまして公共事業への指名入札というものの資格が得られるという実情もございましたので、今般の合意におきましては、海外における実績も国内実績と同様にカウントするということを先生御指摘の七プロジェクトについて認めたものでございまして、それは、なかなか海外から入ってこられない、参入が容易でないということに対しまする一つの特例の措置であるという点につきましては先生御指摘のとおりでございます。  先生がおっしゃっておられます七プロジェクトの工事量は客観的な数字として大体どのぐらいになるかという御質問でございましたら、私どもが外務省として承知しております数字といたしましては、工事費全体の合計額が約一兆円強と見込まれるということを聞いている次第でございます。
  51. 小川新一郎

    小川(新)委員 アメリカ商務省では総額約二兆円になることを明らかにしておりますが、小渕官房長官、これはあなたの交渉の中でどのように認識なされておるのですか、ちょっと聞いておきたい。
  52. 國廣道彦

    國廣政府委員 米側の説明で二兆円ぐらいのものだという説明がなされたという新聞報道は私どもも拝見しておりますが、その計算根拠が何になるかにつきましては聞いておりません。先ほど外務省から御説明がありましたように本件の交渉は金額でしたのではございませんで、しかも、工事費が幾らでも、その結果アメリカが幾らとれるかというような話は全然話吊してないわけでございますから、数字の話をすることは大変危険だと思います。したがって、その間の詰めはなしておりませんので、私どもは単純に七プロジェクトを足すと一兆円ぐらいに工事費がなるかなということは考えておりますし、それから、例の公共事業そのものの金額と、第三セクターとかそういうものをどういうふうに勘定するかによって多少違ってくると思います。しかしながら詰めはあえてしておりません。
  53. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、日米交渉に際しまして半導体問題については通産大臣が交渉し、オレンジ、牛肉等の農産物問題については農林水産大臣が交渉し、しかも今回の日米建設市場交渉については建設大臣の出番がなく、閣僚ではない小沢官房副長官を派遣し、いわゆる官邸主導外交によって交渉の決着を急いだのは、これは何でしょうか。
  54. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 今回の日米交渉におきましては、多数の関係省庁が一体となって外交交渉を行ってまいった次第でございまして、その交渉の最終局面におきまして小沢官房副長官に御訪米いただき、政治レベルでの働きかけを行って、これが交渉の促進に大きな役割を果たしたということは事実でございます。建設大臣、運輸大臣の訪米は行われませんでしたけれども、米側関係者の訪日の機会、交渉決着の前のいろいろな機会に、種々の働きかけが米側から建設大臣、運輸大臣の方に行われたことも事実でございますし、そういう過程で両大臣にもいろいろな御協力と申しますか、いろいろ力を出していただいたということは事実でございます。
  55. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はそれでは納得できないのですが、日米建設市場交渉の内訳を今正式には聞いてはおりません。私ので申し上げますから、間違っていたら訂正してください。  米企業の受け入れ対象となる大型公共事業については今申し上げました事業の内訳だと思います。次に公共事業の入札手続の時間見積もり期間を従来の二十日間から四十日間に延長する。民間、第三セクターの七事業については政府が勧奨する。二年後日米間で見直しを行う。そのほか、まだあると思います。補足していただきたいと思います。
  56. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 今回の日米間の交渉の決着概要説明しろという御趣旨と理解いたします。  第一点といたしましては、先般その前に合意いたしました関西空港手続について、これが米側にとって満足のいくものであることを第一点として確認した次第でございます。  第二点は、公共事業特定七プロジェクトにつきまして特例措置を設けることとした、特例措置の中身につきましては先ほど御説明申し上げました指名の基準につきまして、外国における実績を国内の実績と同等に評価するということでございます。一  それで、指名を受けますと、指名から入札までの期間、いわゆる見積もり期間でございますが、これを建設工事につきましては四十日にするということでございまして、その他特例措置の中身といたしましては、情報の提供ですとか技術仕様についての外国テストデータの受け入れですとか、そういった点を特例措置の中身としている次第でございます。  第三点の民間、第三セクターの調達につきましては、これももともと内外無差別でございますが、そういう内外無差別の調達方針を政府としても事業体に対して勧奨するということでございまして、具体的にはコンダクトポイントの設置でございますとかマスタープラン等の提供、妥当な見積もりの提出の期間を設けるといったことがその内容となっている次第でございます。  さらに、先生御指摘の二年後のアレンジメント、二年後にこの特例措置の内容がどのように動いているかということ、所期の目的を達しているかどうかということを日米間でレビューするということになっておりまして、これは今回の特例措置の結果、米側――外国企業と言った方が正確と思いますが、外国の建設企業の参入を容易にするという措置でございますので、その参入が容易になっているかどうか、実態がどのように動いているかということを検討し合うという目的で設定されたアレンジメントでございます。  以上でございます。
  57. 小川新一郎

    小川(新)委員 その中で、第三セクター、民間の七事業について日本政府が勧奨する、民間や第三セクターに勧奨する。この勧奨というのは、今説明がございましたが、どういう内容を意味するのかはっきりしませんし、勧奨の法的根拠はどこにあるのか、これが一つです。  建設業界では、アメリカ企業の参入実績が芳しくなかった場合、二年後の見直しの際、米通商法三〇一条が発動されるという不安がないのかということが非常に問題になっております。  さらに三点目では、アメリカ企業に対する機会の均等を保証することであって、ここが大事だと思うのですが、結果の平等を政府が約束しているのではないかという疑念であります。  この三点は非常に大きな政治的な配慮がなされた中で議論されたと思いますが、これはどうですか。こういう問題は官房長官お答えできますか、てきませんか。――小沢官房副長官を建設大臣のかわりに派遣したんでしょう。要するに政府サイドでもって、主導型のこういう交渉をやらしたんでしょう。あなたが知らないということはないし、答えられないことはないと思うから聞いているのだけれども、いかがなものですか。
  58. 小渕恵三

    小渕国務大臣 まず小沢副長官の訪米でございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、直接の交渉の当事者ということでなくして、公共事業参入の問題は既に二年ぐらい前からのいろいろ、両国間の経済摩擦の一環として頭の痛い問題でありまして、その最終段階に至りましたので、アメリカ側にもそれ相当の政治レベルでの判断のできる者もおろう、こう考えまして、それにふさわしい対応として小沢副長官が訪米をいたしまして、正式の交渉に側面から顧問役でお手伝いをしたというのが立場でございますので、直接交渉に当たったということでないことは御理解いただいておるところだと思います。  そこで今の問題でございますが、まず勧奨、エンカレッジということでしょうけれども、事業体が無差別の調達方針をとることを勧奨することといたしておりますが、勧奨でございますので法的に強制力を持ったものでなくて、政府が各事業体に対して内外無差別の調達方針をとるよう協力を求める、こういうことになっておるわけでございます。
  59. 小川新一郎

    小川(新)委員 ちょっと待ってください。もう一点お忘れになったのがありますが、アメリカ企業に対する機会の均等を保証することであって、結果の平等を保証する約束をしたのではないかということの質問なんです、三点目は。
  60. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今回のこの問題につきましては、外国企業の市場参入を容易にするものではあるが、市場参入結果を保証するものでなく、今後外国企業がかかる枠組みを利用して積極的企業努力を行うことによりまして、我が国の公共事業参入について米国企業が我が国の制度を習熟しつつ参入することとなるということでございますので、今委員指摘のように、あくまでもその結果を保証するものでなくして機会を与えるということと理解しております。
  61. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうなりますと、アメリカ企業の参入の実績が今度問題になってくるのですが、そうなった場合、二年後の見直しの際に米通商法三〇一条が、これは御存じのとおり不公正貿易慣行に対する対抗措置ですが、これが発動されるという不安はないのですか。
  62. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今回の取り決めによりまして米国の企業も、今申し上げましたように日本の参入についてその制度についても十分習熟をしていくことでございますので、結果的には良好な結果が得られると思いますので、今からその三〇一を発動するというようなことを想定することはあり得ないわけであります。  政府としては今回の取り決めによりまして、米側としては参入の機会がエンカレッジされることもありまして、仕事は日本においてこれはとり得るものだということを期待をいたしておりますので、その後のことについては三〇一条発動というようなことは、今から申し上げることはあり得ないということだと思います。
  63. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは入札をやるのですから、経済競争によってやってアメリカを追い落とせということで、日本企業が団結して損得を度外視してでも安い入札が出た、締め出してしまう。これは機会の均等であって実績の均等を話し合ったんじゃないんだから、そんなことまで責任を負えないということになるとまた貿易摩擦が蒸し返してくるのじゃないかと心配して私はあえて言っているわけです。  建設市場の開放で日米が合意したときの記者会見で小沢官房副長官の発言の趣旨はどういう意味なのかということでございますが、あらゆる国々に開放するのは基本的仕組みだが、二国間で互恵的関係にある場合には参加させるのが筋、こういう内容ですが、これはいかがなんですか。
  64. 小渕恵三

    小渕国務大臣 委員御案内のように、そもそもこの問題が生じておりますのは、我が方としては再三申し上げますように市場につきましては全世界に向けて全く門戸開放でおるわけでございます。しかし、最初の御質問にありましたように、その結果米企業において、我が国における参入の実績が彼我の間まことに大きいというようなこともありまして、日本のいろいろ制度も含めて問題があるのではないかというのがアメリカ側の主張として存在したわけでございまして、それがこの公共事業参入問題として数年にわたって論議をされてきたということでございまして、我が方としては全く門戸開放であります。しかし同時に、それぞれの国とは互恵平等の立場で、相互主義でおるわけでございますので、アメリカ側としては日本にすべて相互主義でこれまたやってきたことでございますが、実績が上がらなかったというところに今回の問題が生じてきたということでありまして、我が方としては種々勘案した結果、今回まとめられたようなプロジェクトについてのアメリカ参入についていろいろな意味でエンカレッジして実績が上がることのできるように協力もいたそうという考えでおるわけでございます。
  65. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういうことの話し合いが、日本建設業団体連合会、日建連などの業界の意見や要望書が出ておりますが、それが建設大臣が当面直接に交渉するのであればそういう問題も収拾できるのでしょうが、小沢官房副長官のときにはそれを聞いていなかったのではないかという不満が出ておりますが、その点が一つ。  二番目は、もう時間がないからまとめて言っているのですが、二国間で互恵的関係にある場合、貿易一般を指すのか、建設市場に限定する意味なのかということで、建設市場の開放は単にアメリカだけでなく広く行われる方向にあると思いますが、今後ヨーロッパ諸国、韓国等との協議はどのようにするかというのが二点目。  三点目は、新聞報道によると、アメリカの日本企業締め出しの中で、ニューヨークの地下鉄工事でしたか何だかで、鹿島が落札する寸前になって拒否されたとか入札の参入を拒否されたとかいうニュースが載っておりました。これは外務省にお尋ねしたいのですが、そういう報復的措置が現在行われているのかいないのか。  この三点で私の質問がちょうど時間いっぱいになると思いますから、締め切らせていただきます。
  66. 村瀬興一

    ○村瀬説明員 まず、第一点目についてお答えさせていただきます。  今回の日米交渉で合意した事項あるいは対象プロジェクトにつきましては、本来発注者が判断すべき内容であるというふうに考えておりまして、そういう意味で事前に業界の意見を聞くというようなことはいたしておりません。しかし、折に触れまして具体的な事項はどうかというふうなことで、今申し上げましたようにやってはおりませんけれども、折に触れましてこの問題全般について意見交換というものはやっておりますので、そういう意味で業界の大方の意向というものは酌み取っておるところでございます。
  67. 内田勝久

    ○内田(勝)政府委員 先生御質問の第二点、互恵の意味というのはどういうことかということかと理解いたしました。  互恵という意味は、これは非常に難しく、私も定義を持っておりませんけれども、相互主義と申しますと非常に厳格な意味を持ってくるのだと思います。双方全く同じ扱いにしなければいけない。互恵と申しますともう少し、基本は相互主義というところにあると思いますが、それを基調といたしましてもう少し幅広い概念であるというのが現時点で私の申し上げられる点でございますが、互恵といい、相互主義といい、実際に公共事業の開放、日本の市場のアクセスを容易化するという措置を海外、第三国に適用していきます、運用していきます際におきましては、それぞれ第三国、韓国でありますとかヨーロッパ諸国の制度、実態等がどうなっているか、そのもとで日本の建設業に対しましてどの程度開放的になっているか否かといったことを踏まえまして、やはりケース・バイ・ケースに考えていかなければいけないと考えている次第でございます。  第三点目の、ワシントンの地下鉄工事の件でございますが、本年三月にワシントン首都圏の交通局は、この工事が急がれることからという理由でございますが、一番札をとっておりましたカジマ・エンジニアリングと、これは合弁でございまして、キーウイット社のジョイントベンチャーの一番札を破棄して再入札を行うことを決定いたしました。このときには、その前、八八年の米国予算決議についた例のブルックス・マコウスキー条項というのが成立していましたが、それがどのように運用されるかということは必ずしもその時点でははっきりしておりませんで、このワシントン首都圏交通局は、本件一番札をどのように処理していいのか自分としてわからぬ、しかし工事は急ぐという状況のもとで、これを破棄いたしましてもう一回入札をしたというのが実情でございます。  もちろん、ブルックス・マコウスキー法が成立いたしましたときには、我が方としても極めて遺憾であるということを先方、米側に申し伝えておりますし、さらに今後、このような日米間の実質合意ができた次第でございますから、このブルックス・マコウスキー法は八八年一年限りの時限立法でございますので、八九年にはこういうものがつかないことを当然期待している次第でございます。以上でございます。
  68. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  69. 野中英二

    野中委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ────◇─────     午後一時十九分開議
  70. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。大矢卓史君。
  71. 大矢卓史

    ○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。  官房長官内閣総理大臣とともに各省庁をまとめていらっしゃるナンバーツーの地位にある方だと私は認識をいたしております。そこでまず非常に単純な御質問をさせていただきますけれども、私どもは議会で出てまいります法案を審議いたします。その間の法案に対するいろいろな審議の中で、条項に盛り込まれておりますそれを具体的にまた各省庁から政令とか省令とかいろいろな形でお出しになられますし、またいろいろな役所の中での通達でございますとか行政指導に至りますまでいろいろな言葉がございます。そのいろいろなことについて会計検査院がいろいろと行いました数字的なことは厳重な監査がなされていると思いますけれども、いろいろな行政の面、またそれがどのような予算が執行されましたその中で行政効果があらわれたか、そういうことも含めて私どもは審査をしていかなければならぬ。そのためにいろいろなこともお聞きをするわけでございますが、当然のことながら法律については私どもが衆議院でもって、また議会でもっていろいろと議論をいたしますけれども、それ以外の政令、省令等につきましてはその都度その都度出くわしましたときにわかるわけであります。それらは法律審議という中で、またそれ以後の中で私どもが意見を申し上げて、法律は議会でもって議決で改正をしていけばいいということになりますけれども、それらのことについてどのような形で議会なりまたいろいろな機関で取り上げられますことが実現をしていくのか。やはり少なくとも議会の中で問題になりましたことが直ちに各省庁、それに対応して改善、改革をされていかなきゃならぬ。その解釈にいたしましても、それがだんだん変わっていって、そして最後にはまた法律の手直しをしなければならぬということもあろうかと思いますが、そんなような法律、また政令、省令等私どもが携わります決算委員会としての任務を含めてどのように解釈をしていらっしゃいますか、お伺いをいたしたいと思います。
  72. 小渕恵三

    小渕国務大臣 国会における決算委員会におきまして、行政における諸般の行為につきましてこれを十分お目通しをいただくということは私ども行政を担当する立場からも大変貴重なことでございまして、議会における国政調査権によって行政全般にわたりまして御指摘をいただきますと同時に、予算執行に当たりましてもその内容にわたりまして御指摘をいただくことは十分受けとめまして、さらに国民のためによき行政のできますように参考にさせていただくことは当然だろうと思っております。
  73. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで具体的にお伺いをいたしたいのでございますけれども、本年の四月の五日でございましたか、新聞に国会図書館の方から出ました記事だと思いますが、政府刊行物が非常に各省の未納が目立って困っているんだということが出てまいりました。それにつきまして、官房長官の方でどの程度の御認識をしていらっしゃいますか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  74. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 御指摘の報道については承知をいたしております。
  75. 大矢卓史

    ○大矢委員 図書館の方ではこういうPRをしなければならぬということで、ただ単にこれは図書館がこういう協力をしてほしいんだということだと私は思っていろいろと聞いてまいりましたところが、そうではなしに国立国会図書館法という法律に基づいて、その第十章第二十四条に、政府並びに関係団体が出版をいたします納本について法律的に義務づけられておるということのようであります。冒頭申し上げましたように、少なくとも国会で決定をされました法律、それは完全に実行されなきゃならぬ。その法律に盛られましたそのことが実行されないでお願いをしなければならぬというような仕組みになっておるということについて、まずその間の事情につきまして国会図書館の方からもしお越しでしたら御説明を願いたいと思います。
  76. 指宿清秀

    ○指宿国立国会図書館長 お答えを申し上げます。  御承知のように、国立国会図書館は、国内で刊行されました出版物を網羅的に収集をいたします納本図書館としての使命を担っておるのでございます。わけても国及び地方の諸機関から刊行されます官公庁出版物の納本につきましては特にこれを重要視いたしておりまして、これら出版物は国会を初め行政、司法各部門や広く一般の利用に供せられておるのでございます。また、出版物の国際交換に関するユネスコ条約に基づきまして、外国政府出版物との国際交換の用にも供する、そういう特別の役割も負っております。  このような観点からいたしまして、当館といたしましてはかねてから関係諸機関に対しまして、その納本方につきまして強くお願いをいたしてまいっておるのでございます。これは法律に基づきまして義務づけられておるのでございますが、実際問題といたしまして、受けておるだけでは不十分でございますので、結果的にお願いをするという形をとっております。  幸いにいたしまして、その趣旨を御理解をいただきましてかなりの御協力をいただいておるのでございますが、現実におきましては必ずしも十分な納本がなされているとは申せない、それが実情でございます。今後関係諸機関の一層の御協力をいただきながら万全を期していきたい、こういうふうに考えております。
  77. 大矢卓史

    ○大矢委員 私どもは法律があることを知ろうが知るまいがその法律に違反したということで罰則を免れることはできないわけであります。この法律について罰則があるかないかは私存じませんけれども、法律として規定があってやっていくためにはそれをお願いをしてやってもらうというふうな、どちらでもいいというような条項では必ずしもなさそうであります。国がまた地方が出版をしたものについては必ず納本をしなければならぬ、その部数につきましても規定をされておるわけであります。  それ以外にいろんなことがあろうと思いますけれども、現実にこの問題が新聞で報道されまして以後、各省庁を取りまとめていらっしゃいます官房長官のもとでどのような手を打たれましたのか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  78. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 政府の施策につきまして国民の皆様方の理解と協力を得るために、政府の発行いたしまする刊行物の普及は、御指摘のように大変重要なものであるというふうに認識をいたしております。したがいまして、これらの入手を容易かつスムーズにいたしまするために、政府におきましては、つとに昭和三十一年に閣議了解によりまして、政府刊行物普及協議会なるものを設置いたしました。そして、政府刊行物の発行でございますとか、サービスセンターの運営等につきまして関係省庁と協議しつつ、政府刊行物の普及に努めているところでございます。  御指摘のように、不十分な点もあろうかと存じますが、このような観点からいたしまして、各省庁に対しまして、今後随時、その趣旨を周知するように図ってまいるよう努力をいたしてまいりたい、かように存じておるところでございます。
  79. 大矢卓史

    ○大矢委員 今、広報室長の方からお話ございましたので、しからばこの新聞報道を受けていろいろと調査もされたことと思います。そういたしますると、この国会図書館の本館以外に各省庁に支部がございます。その支部の図書館でもって自分のところの出版物が保存をされておるのかどうかということについて、お答えを願いたいと思います。
  80. 金中利和

    ○金中国立国会図書館参事 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたように、各省庁の図書館が国立国会図書館の支部図書館というふうになっております。それで私どもは、各支部図書館を通しまして各省庁の出版物の納本をお願いしておる、そういうふうなことでございます。  それで、各省庁で出版されました出版物が、各省庁の図書館でどの程度出版状況を捕捉して、そしてその出版されましたものを各省庁の図書館が確実に保存しておるかどうかということにつきましては、各省庁で出されました出版物の目録というものがはっきりいたしておりませんので、確実に保存されているかどうかということはつかんでおりません。  先生おっしゃいましたように、少なくとも各省庁で出版されました出版物は、その省庁の図書館の方にきちっと回って、そこで必ず保管をしていただきたいというふうに私どもは思っておりますし、さらに、各省庁の図書館を通じまして国立国会図書館の方にも納本をしていただきたい、そういうふうに考えております。
  81. 大矢卓史

    ○大矢委員 宮脇広報室長ですか、こういう新聞報道があったということはよく承知をしておる、それについて対応してこられたということでございますので、少なくとも自分のところの刊行物について自分のところに全部あるのかないのか、それらのことについて調査をされたと思いますけれども、それをお聞きいたしておりますが、いかがですか。
  82. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 具体的な調査ということではございませんけれども、随時、私どもの所掌の範囲内におきまして、各省庁と連携を深めましてそのように努力しておるところでございます。
  83. 大矢卓史

    ○大矢委員 私が調査をさせていただきましたところによりますと、人事院、これは「登録職員団体表」、昭和五十二年十二月三十一日現在までが本館の方にも納入をされておりますが、それ以後については支部の方にもない。人事院の方の図書館にもないわけであります。また、十八の省庁各機関の図書館の中で半数が図書館の本館の方にも納められておりませんし、また自分の支部の方にもないというような状態であります。科学技術庁の「科学技術庁重要施策」が昭和五十九年度まで納入されて、これまた支部にもございませんし、法務省は「世界の共産主義諸党の現勢」というのが六十年まで納入されておりましたが、これまた支部にもございません。そして農水省は「青果物流通統計年報」、これも五十九年まで納入されておりましたが、支部の方にもございませんし、林野庁は「特用林産物需給表」、昭和五十九年まで納入されておりましたが、これまた支部の方にもございませんし、工業技術院は「工業標準化業務計画」、これも昭和五十九年度までで、支部にございません。郵政省は「簡易生命保険の死亡率に関する調査」がこれまた昭和五十九年までで、支部にもございませんし、労働省は「年少労働調査資料」、これは第七十四集までで、それ以後ございませんが、これも支部にもございませんし、自治省の「都道府県・市区町村コード」でございますが、昭和五十七年度までが納入されて、それ以後ございませんけれども、これまた自治省にもあとのものはございません。  国会図書館というのは日本の図書館の中枢であります。ここにすべてのものが集められる。そして、それをそろえることによって日本のそういう文化が後に伝わってまいりますし、また、官庁のあらゆる資料が調って、立法、行政または私ども国会審議にそれが資する、これが目的でありますから、当然こういうものがそろっていなければなりませんし、また、後世いろいろなものが残っていくことが日本の文化を温存していく、また発展をさせていく一つの大きな要素であろう。過去における文化財等いろいろなことをやっていらっしゃいますけれども、少なくとも現在知り得るものについては全部収容されていなければならぬ。にもかかわらずこのような状態、このことについていかがお考えでございましょうか。
  84. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今日は、国立国会図書館並びに各省庁に附属する国立国会図書館分院に政府刊行物が納められることの少ないこと、御指摘をちょうだいいたしまして恐縮しておりますが、四月五日付の新聞も拝見いたしました。それから、改めて国立国会図書館法二十四条の規定も読みました。  しかし、そこで政府といたしましても、各種の出版物につきましては昭和四十八年に国立国会図書館法二十四条の規定についてもよろしくお願いしますということで、政府刊行物をそれぞれに送付することにつきまして関係者あてに注意を喚起いたしておるような事実もございますが、その後委員指摘のようにだんだん納められる数も少なくなっておるようでございます。それには、国会図書館に納付して保存するに向くのかあるいは単に役所の業務資料なのかという分類も問題があった点かもしれませんが、いずれにしてもこの法律もあり、そして政府で刊行したそれぞれの刊行物を今委員指摘のような目的のために保存していくことは必要なことでございますので、御指摘をいただいた機会に改めてそれぞれの省庁に対してその趣旨を徹底できるようにこれから努力をいたしていきたいと思います。
  85. 大矢卓史

    ○大矢委員 せっかく国会図書館がお越しでございますので、この納本制度は、今国の本、地方公共機関の本、これらが当然納本されるのでございますけれども、その他の納本のシステムについて御説明を願いたいと思います。
  86. 指宿清秀

    ○指宿国立国会図書館長 お答えいたします。  官公庁出版物のほかに一般の民間出版物の納本制度がございまして、これは国立国会図書館法第二十五条以下で規定がなされております。この民間出版物の納本につきましても、当館といたしましてはあらゆる機会をとらえてその納本の周知徹底を図っておるのでございます。この中には自費出版を初めいろいろな出版物がございまして、このような出版物の納本につきましては国立国会図書館として重大な問題意識を持って対処しておるというのが実情でございます。
  87. 大矢卓史

    ○大矢委員 今のお話の中で、出版物につきましては、大手の出版の販売会社から一般に出版されるものについては当然連絡がございましょうし、それを納本していただくということは当然だろうと思いますけれども、地方の小さな、そういう大きな出版物のルートに乗らない人たちの出版物についても当然何らかの形で納本されるべきであろうと思います。また、今少しお触れになりました自費出版、まして本屋のルートに乗らない自費出版にいたしましても、議員の先生方ももちろんでございますけれども、個々に出版をされておるのが非常に多くあると思います。それらも含めて、そういう自費出版のものについて現在どういうふうに対応していらっしゃるのか、またこれからどのように対応していこうとしていらっしゃるのか、お答え願いたいと思います。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕
  88. 指宿清秀

    ○指宿国立国会図書館長 御指摘のございました自費出版物はこのところ急速にその出版量が増大をいたしておりまして、私どもも注目をいたしておるのでございますが、何分にも既存の流通経路からの納本が十分期待できないというのが実情でございますだけに、その取り扱いについては腐心をいたしております。当面国立国会図書館といたしましては、自費出版を引き受けております出版元への働きかけあるいは各地にございます公共図書館を通じての自費出版物に関する情報を得るなど、特別の納本促進のための措置を講じておりまして、それなりの成果を上げておるということでございます。  いずれにいたしましても、自費出版物は一回限りのものが多いのでございまして、その収集は必ずしも容易ではございません。当館といたしましては、今後一般的な納本制度の周知徹底を含めて積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  89. 大矢卓史

    ○大矢委員 役所の中は当然法律を守るところでございますから皆さん方協力という言葉でございますけれども、義務として行っていただかなければならぬということはもちろんでございますけれども、今のせっかくそういう自費出版の図書も購入をしたいということでございましても、一般の方がなかなかわからないわけであります。こういうことこそもっとPRをしていただいて、少なくとも一部は国会図書館の方に永久保存されるのだということを皆さんに知らせて、そして御協力を願うということが大切だろうと思いますので、今後とも御努力願いたいと思います。  そこで、法律の第二十四条のいろいろなものの中の第六の「映画技術によって製作した著作物」、これは昭和二十四年の法律ができましたときに「第二十四条第一項第六号に該当する出版物については、当分の間、館長の定めるところにより、」「その納入を免ずることができる。」ということで、その当時、映画のフィルム等につきましてはこのときの附則で免じられているようでありますけれども、この「当分の間」というのが昭和二十四年から今日まで随分かかっておるわけであります。その間、フィルムを貯蔵いたしておりましたところが火事になって貴重なそういう資料が焼けてしまったというようなこともございました。この「当分の間」というのがいつまで続くのか。それともこういう法律に盛られておる限り「当分の間」ということでございましたら、これを外して、今後図書館でも映画フィルムを扱っていく、またこれからいろいろなものが出てくると思いますが、それらについても積極的に文化の豊庫として収集、保管して後世にまた引き継いでいくということにしていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  90. 指宿清秀

    ○指宿国立国会図書館長 映画フィルムの納入につきましては国立国会図書館法の制定当時から今御指摘のような規定がございます。原則的には納入の対象になっておるのでございますが、当時の諸般の事情、特に財政事情等の理由に基づきまして「当分の間、」「納入を免ずることができる。」という規定が附則にございまして、その規定を現在なお適用しておるというのが実情でございます。  御指摘もございましたが、今後の問題としては、当館の将来問題の一つといたしまして、先生御承知のように例えば現在関西図書館構想というようなものも検討いたしておりますが、そういった多面的な検討の中でこの問題も検討事項の一つとして検討を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  91. 大矢卓史

    ○大矢委員 出版物の中に入りますかどうか知りませんけれども、非常に長い歴史のございますカレンダー、これなども使い捨てということでなしに保管をされておるように聞いておりますから、関西地区につくられると言われております第二図書館構想、これらも踏まえて大きな前進をしていただくことを御期待申し上げておきます。  それでは時間が余りございませんので、次に、「税制改革に関する有識者調査」、過般この調査が行われました。議院運営委員会の方でそれについて官房副長官も弁明をされたようでございますけれども、これがどのような意図で、どのようなところで、どのような予算を使ってやられたのか、お答えを願いたいと思います。
  92. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 御指摘の税制改革に関しますところの有識者調査でございますが、これは本年の二月十三日から三月四日まで、ちょうど政府税調の地方公聴会を二十回開催しているのと並行いたしまして実施をいたしたものでございます。  ところで、巷間一部にはこれを世論調査と混同したような向きがございましたけれども、世論調査と全くその性格を異にするものでございまして、世論調査は、国民全体の皆さんのトータルな意識、世論の動向を把握するために行うものでございます。したがいまして、トータルの平均値、これが重要になるわけでございますが、今回のこの有識者調査というものは、これは専門的な、あるいは関心の高い方々、そういう九つの各界の方々を分類いたしまして、そういう方々がそれぞれどういう御意見をお持ちなのかということを掌握いたしたい、さようなことに基づきまして実施したものでございます。したがいまして、それぞれの各界の御意見は最終的にまとめてございますけれども、これをトータルして一体として平均を出してはおりません。そういう違いがございます。したがいまして、一部にございましたように、この有識者調査のトータルを出すこと自体がそもそもこの有識者調査の目的にそぐわないものでございますけれども、そのそぐわない有識者調査のトータルの平均を一般の世論調査等の結果と比較いたしましたりしてというようなことがございましたが、さような性格のものではないということでございます。  それから、これの予算についていかがかということでございますが、これは世論調査委託費というところから支出をいたしております。  以上でございます。
  93. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間がございませんので、長官、このことにつきましても私はこれ以上申し上げませんけれども、今言われましたように、世論調査ではないんだと言いながら世論調査費から出しておるわけであります。私ども、このような予算審議するときに、また法律を決めていくときに、先ほどの問題も国全体から見るとと言われるかもわかりませんけれども、いろいろな文化の問題がございましても、これだけの文字文化なり、そういう国会図書館に納められておるものは、これは長い間、これから将来にわたって貴重な文化財だと思います。また、いろいろな国の政治、それらに関しての貴重な資料であり、それが第二国立国会図書館をまた建設するに当たって、冒頭申しましたように、やはり法律をつくった人が、法律を施行していく人が法律をいかに守っていくんだという、そしてまた今の予算にいたしましても、国会審議にかけられ、そして、その場だけの説明だけで後はどんなことに使われてもいいんだというような、そういう状態でないように、国会に対してやはり内閣は、私ども審議をいたしましたそれに責任を持っていただいて、官房長官を中心に全省庁にそのことを徹底していただく、そのためにこのことを質問させていただいたわけであります。  最後に長官から決意のほどをお伺いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  94. 小渕恵三

    小渕国務大臣 冒頭も申し述べましたけれども、当委員会におきましての国政調査権のもとに政府の行ってまいりましたすべての行政のあり方あるいはまた予算支出のあり方についての御指摘につきましては、十分これを受けとめまして、国民の皆さんに申しわけの立つような姿として政治を行えるように、大いに参考にさせていただきたいと思います。
  95. 谷津義男

    ○谷津委員長代理 野間友一君。
  96. 野間友一

    ○野間委員 官房長官、御苦労さんです。  最初に、外国人留学生対策についてお聞きをいたしたいと思います。  既に御案内のとおり、テレビ等でも私もリアルによく実態を承知しております。円高、仕送りの目減り、それに地価の高騰、家賃に対するはね返り、本当に深刻であります。  留学生は一体何人おるのかということになりますと約二万二千人、国費が三千五百人、私費の留学生が残りですから一万八千五百人、私費留学生が非常に多いわけですね。  いろいろ要求が出ております。宿舎の建設の問題、これをぜひ早くやってほしい。七七%が民間のアパートあるいは下宿におるようですね。それから、私大の授業料減免の補助をやっておりますが、これを拡大してほしい。あるいは学習援助費の対象人員の拡充、大学院あるいは大学等々ですね。それから、直接の補助をしてほしい、あるいは下宿代の補助も欲しい、いろいろな切実な要求もありますし、私も、きのうもテレビでやっておりましたが、見まして、本当に深刻だなということを改めて感じたわけであります。  きのう、これに関する関係閣僚懇談会を発足させて第一回の会合を持たれたというふうに聞いております。官房長官が、座長か司会役か何か知りませんけれども中心になって、十省庁の閣僚をまとめてこれからやっていかれるということのようですけれども、この点についての官房長官の認識と、具体的に緊急なこういう措置を求める声に対してどのようにおこたえになるのか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  97. 小渕恵三

    小渕国務大臣 留学生問題でございますが、この留学生等を通じての国際交流は、教育、研究水準の向上、それから開発途上国の人材養成への協力という意義があり、また、我が国と諸外国との相互理解、相互協調の推進に貢献するものであることは言うまでもありません。  そういう観点から政府は、近年の留学生受け入れ増加に対応いたしまして、国費留学生の数の拡大を図るとともに、授業料減免措置の拡充等私費留学生対策の充実、宿舎の整備など関連の充実に努めてきましたが、著しい円高など、留学生を取り巻く昨今の情勢はまことに厳しいという認識でございます。  こういうことを踏まえまして、昨日、留学生受け入れに伴う諸問題についての総合的な検討に資するため、関係十閣僚による留学生等の交流推進に関する閣僚懇談会を開催することといたしまして、第一回をやったわけでございます。  今後、関係閣僚懇談会におきまして、議論を踏まえまして体制の整備を図り、留学生等の交流の一層の推進を図ってまいりたいということで始めたのでございますが、今御指摘のように、円高をめぐって非常に困窮の度が大きいということでございますので、当面すぐしなければならない問題まあ宿舎の問題もそうですが、何がなせるかということをもう一度レビューしてみよう。  それから、実は中長期的にわたっての問題もあります。前内閣のとき諮問したその答申も出ておりまして、二十一世紀には十万人くらいの留学生日本に迎えよう、こういうことですから、今後そういうことを年次的にも着実にふやしていかなきゃならぬということの中長期的な計画の実施もあるわけでございます。     〔谷津委員長代理退席、委員長着席〕  いずれにいたしましても、この最近の留学生状況、あるいは留学生のみならず就学生という名前もありますが、語学の勉強のために来ている方々の問題等、国際的に日本がなればなるほどいろいろな問題が起こってきておりますので、そういうことを総合的にこの懇談会でもう一度勉強し直して、適時適切な施策を講じていこう、こういう趣旨で設けたことでございますので、いろいろと御提言をいただきたいと思います。
  98. 野間友一

    ○野間委員 趣旨はよくわかりました。もう余り申し上げませんけれども、これは毎日毎日が生活だし勉強になりますので、とりわけ早期にやらなければならぬことは急いでやっていただくという姿勢でぜひ取り組んでいただきたい、こう思いますが、もう一遍。
  99. 小渕恵三

    小渕国務大臣 申すまでもないことでございまして、私も今御指摘の昨晩のTV番組も拝見いたしまして、勉学のために来ておられる留学生が一方では労働によって対価を得なければならないというような非常に厳しい状況も拝見いたしております。また、住宅その他の問題も非常に厳しくなっておりますので、そういった点で、この問題がいろいろ提起されておることに関しまして世論も非常に喚起されておりまして、宿舎の問題等につきましては、一部企業等におきましては現在空き部屋になっております宿舎等提供してもいいというような善意の企業等も出てきておりますので、そういったこともできる限り当面の対策として一つ一つ取り上げさせていただきたい、こう思っております。
  100. 野間友一

    ○野間委員 では次に、先ほど論議がありました税をめぐるアンケート調査についてただしたいと思います。  今までのいろいろな、いわゆる政府広報を開いてみますと、本来議会で成立した法律あるいは決定を見た施策の周知徹底、これが今まで中心であったと思います。ところが、昨今はこれが変わりまして、世論を誘導する、自分の都合のよい方向に世論を導いていくというような動きが大変顕著だというふうに私は承知しております。今回のこの税の問題をめぐります世論調査、世論調査という言葉は適切でないというふうに広報室長も言いましたが、しかしこれは紛れもない有識者に対する一つの世論調査だと思うのです。  このアンケート用紙の「御協力のお願い」を見ますと、必ず同封のパンフレット、これを参照してくれ、同封のパンフレットというのは大蔵省と自治省がつくったもので、これは税調の地方公聴会の参考資料というふうに書いてあります。しかも、この調査を見ますと、必ずテーマのまくらには解説があります。しかも、この解説たるやまさしく大蔵省の見解に落とすように仕組んだものであります。こういうのは計画にはもともとなかったそうでありますが、ことしの一月に急遽大蔵省の要請でこういうものをやったのだ、こうなっておりますけれども、これは本当にけしからぬと私は思いました。  例えば「問四」のまくらですが、ここでは直接税、間接税、これについて解説的な記事がいろいろ書いてあります。問題は、例えば直接税についていいますと、「累進的に納めるという点で優れている」、その「反面」ということで「不公平が生じる」、ここに落としております。間接税について見ますと、「逆進的と言われますが、」の「が、」の後ですが、「公平性を確保しやすい利点があります。」つまり、何か批判的なものをまず最初に述べて、しかしこうだということでいずれも直接税、間接税のことについて、間接税の方がいいのだというふうにすとんと落とすようなまくらがちゃんと置いてある。しかも、この参考資料は十分読んで答えなさい、こういうことになっております。これは一つの例ですね。「問六」のところなどを見ましても選択肢が二つしかないわけですね。「あくまでも直接税の中で改善を図るのがよい」、それからもう一つは、政府が今まで常に言ってきた「所得・消費・資産それぞれに対する課税のバランスをとった方が、」いいんだ、これは二つしかありませんから、こちらにウエートを置くのは当然だと思うのですよ、これを受けた人は。皆見ましても全部そうなんですね。今税制改革が必要だ、なぜなら直接税が原因なんだ、したがって薄く広く間接税をうんとふやさなきゃならぬ、こういう流れにもなっておるわけですね。  これは国民の税金でつくっておるアンケートですから、官房長官、これは議運でも問題になりました、統計学者あるいは全野党もこぞってこれは誘導であるということで批判しておりますけれども官房長官としての見解を聞かしていただきたいと思うのです。
  101. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 お答えをいたします。  まず添付資料の関係でございますけれども、今回のこの有識者調査につきましては、先ほど申し上げましたように世論調査ではない。ただいまも世論というようなお話がございましたけれども、世論というのは国民全体のトータル的な一つの動向を把握するというものでございまして、この有識者の場合には国民全体ではございません。世論ではございません。国民の中の一部の方々の……(野間委員「短くしてください、時間がないから」と呼ぶ)わかりました。限定された方々につきまして、専門的なあるいは関心の高いそういう方々から御意見を賜る、どういう御意見をお持ちかということを把握するというものでございます。したがいまして、そういう場合には十分なる判断の素材を提供しなければならないということで、これは、お話にもございましたけれども、税制調査会地方公聴会でも御出席された方々全員に論議を深めるためにお配りしました。決して誘導のためにお配りしているものではございません。そういう趣旨でお配りしたものでございまして、誘導などとは全く想到だにしないところでございます。  また、設問の選択肢が極めて少ないということでございましたが、御指摘の有識者調査の「問四」では八つの選択肢を設けてございます。これは多い方でございます。それからまた、一つ一つの設問は、一般に想定されます意見、対立する意見もございましょう、それを個々にお示しすることになります。したがいまして、相対立する方々からいたしますと、別の意見というものはどうも誘導じゃないかというようなお気持ちを抱くのかどうかはよくわかりませんけれども、そういうことでやってまいりましたらこの種のアンケート調査なり世論調査というのはできなくなります。ちなみにこの「問六」でございますけれども、これには「あくまでも直接税の中で改善を図るのがよい」という設問もございまして、私どもといたしましては、世の中で考えられる幾つかの代表的な意見、それを設問の形で取り上げているものでございます。誤解のないように御理解を賜り、また御協力もいただきたいと思います。
  102. 野間友一

    ○野間委員 長々と、僕は持ち時間は十五分しかないわけですよ、だから聞いたことに――僕は官房長官に聞いたわけですが、あなたがしゃしゃり出てきたわけです。副長官の小沢さんは議運の中でも、総理府の調査はこれから慎重を期す、決して意図的な調査じゃないが、いろいろ批判があることを受けとめて調査の基準などを明確にして慎重に対処したい、こう言っておるわけですね。それから、内閣委員会でもこの問題が論議されて、官房長官も、批判については謙虚に云々という、何かそういう答弁をされておるわけですけれども、こういう専門家とかあるいは野党の批判を踏まえてこれは謙虚に反省すると同時に、何らかの一つの基準こういうものをぜひつくるべきだというふうに思います。小沢さんもその趣旨で議運では言っておられるようですけれども、その点について官房長官の見解を聞かしていただきたいと思います。
  103. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今回の意識調査は決して世論誘導というものではないと思いますが、しかし、いろいろ誤解があったとすれば、それは政府の世論調査のあり方について考える必要があるかと思いますが、私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、いわゆる無作為抽出でやっておる世論調査と違って、あるジャンルの方々の御意見を聞こうということでいたしたことで、決して世論誘導というようなものでないことは事実です。  重ねてでございますが、いろいろ御指摘のあったことは十分承知をいたしておりますので勉強いたします。
  104. 野間友一

    ○野間委員 もう時間がありませんので終わりますけれども、やはりこういう国論が二分するような大問題ですよね。これについてはよっぽど慎重にしなければならぬ。今有識者調査ということを言われましたが、とりわけ有識者がこう考えておる――このアンケートの結果でも八割前後ですよね、こうなっておりますね。これを発表するわけですから、やはり偉い人はそうなのか、こういうわけですね。しかも選択肢とかまくらに全部政府の見解がつけてある。これはアンフェアであることは間違いないと思います。  今も長官も言われましたけれども、十分今後検討して、こういうことがないように、ひとつ厳重に私の方から忠告を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  105. 野中英二

    野中委員長 谷津義男君。
  106. 谷津義男

    ○谷津委員 官房長官に聞きたいと思うのです。  内閣の調整機能ということでございますが、実はこれは私、オレンジ、牛肉の自由化の問題を絡めながらひとつ御質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  農林大臣が米国に行きまして、自由化について非常に困難であるというふうな立場から非常に頑張っておられる。そういうときに、実は国内のテレビにおきまして経済企画庁の高級官僚が、自由化すべきであるというふうなことで盛んにやっておるわけであります。こういうことは閣内におきましていろいろ統一をしてやっていく、あるいは国民においても統一をした考え方で外交事というのはやらなきゃいかぬと思うさなかにこういうことを言っておるのでありますが、この件につきまして官房長官、どういうふうに考えておられるか、ちょっと御所見をお伺いしたいと思うのです。
  107. 小渕恵三

    小渕国務大臣 谷津委員指摘の具体的な発言ぶりにつきまして、私承知をいたしておりませんので、適切に答え得るかどうかわかりませんが、一般的には政府でまだ、牛肉、かんきつ問題に対する対応につきましては二国間でやりますということで、今やっておるさなかでございますから、現時点で政府として自由化するとかしないとかいうことを政府の者が言える立場ではないというふうに思います。  ただ、いかなる資格で、またいかなる設問に対して答えているかということ、十分承知しませんといけませんが、この点については具体的な例を定かにいたしませんので十分答えになりませんが、十分注意をして政府責任ある立場にある者としては発言すべきものだろうというふうに思います。
  108. 谷津義男

    ○谷津委員 この問題は、実はほかの問題につきましても多少言えるのではなかろうかという感じがするわけであります。農林省は今挙げて、その問題については全力投球で何とか国益を守ろうということで頑張っておるわけでありますが、新聞報道等によりますれば、自由化やむを得なしというふうな感じの報道が首相を初め幾らか新聞記事に載っておるということを見ますと、当面の交渉の矢面に立っている農林大臣は非常にやりづらくなるのではなかろうかというふうに考えるわけでありますけれども、この辺のところも長官の考えを聞いておきたいと思うのですが、いかがなものでしょう。
  109. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今竹下総理の発言ぶりということでのこともありましたが、総理としてはこの問題についていまだ農水大臣の御努力にまっておることでございます。したがいまして、自由化についての発言はいたしておらないわけでございます。ただ、マスコミ、マスメディアを通じましていろいろな御発言がそれぞれの方々からなされていることについては私も拝見をいたしております。しかし、それは公式の立場政府としての発言は担当者である農水大臣の発言に尽きるものだというふうに思います。
  110. 谷津義男

    ○谷津委員 官房長官は首相から牛肉、オレンジの自由化問題については政府側の責任者というふうな指名をされまして、我が党ともこれの調整に当たれというふうなことで大変御努力いただいておるところは私も感謝にたえないところであります。  そういう中で幾つか官房長官所見を承りたいというふうに思うわけでありますけれども官房長官は、現在行われている日米二国間で決着をつける方がよいと考えておりますのか、それともガットに持ち込んだ方がよいというふうに考えておりますのか、その辺の官房長官所見を聞かせていただきたいと思います。
  111. 小渕恵三

    小渕国務大臣 この問題につきましては今ほど申し上げましたように、政府立場といたしましては佐藤農水大臣がせっかくの努力のさなかでありますし、また御本人も非常な決意を持って、何としても日米間の牛肉、かんきつ問題に対する処理に当たりたいという御努力をいたしておりますので、私の私見と申されましたが、私としては総理からの御指示によりまして政府与党、この間の意見調整を図れということでございますので、この際、私の考え方につきましては申し述べることを控えさせていただきたいと思います。
  112. 谷津義男

    ○谷津委員 いずれにしましても、この問題は間もなく決着をつけなければならない問題だろうというふうに考えております。  漏れ承るところによりますと、二十五日月曜日に政府としても最終的なある結論を出して、これで米国との交渉に当たるやに承っておるわけでありますけれども、この件につきまして再び農林大臣を米国に送って交渉に当たらさなければならないんじゃなかろうかなと私は思うわけでありますけれども、現在のところ政府ではどういうふうな動きになっておるのでございましょうか。
  113. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先月末に農水大臣がワシントンに行きまして折衝いたしましたが、一時断絶のやむなきに至りましたが、その後引き続いてまた事務ベースで折衝が行われておりまして、我が方からもワシントンに行きましてアメリカ側と折衝をいたしましたが、いまだ結論を得ず、今日はアメリカ側からスミスUSTR次席代表が参られまして、今日もなお関係事務当局とその決着を目指しての折衝中というふうに聞いておりますので、その折衝いかんによらざれば、その後のことにつきましては今申し述べる段階ではない。願わくはスミス代表せっかく来日中でございますので、この機会に決着を得られますように双方ともひとつぎりぎりの話し合いを続けておるところでございますので、その成果を見守っておる、こういうことでございます。
  114. 谷津義男

    ○谷津委員 この問題は日本の農業を左右する本当に大事な問題でございますので、ひとつしっかりと頑張ってくださいますることを希望しまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次に、北朝鮮の卓球選手の入国についてでありますが、官房長官は二十日午前の記者会見で、五月十五日から新潟市で開かれる第九回アジア卓球選手権大会に参加を申し込んでいる北朝鮮の選手団十八人の入国につきまして記者の方たちと会見をした内容が私の手元にあるわけであります。この件につきましては、北朝鮮については大韓航空機の事件と相まちまして制裁措置ということで、さきに官房長官が談話を述べましたものをベースにしながらいろいろと事が進められているという状況であります。  実は私の所属しております内閣委員会でもこういう事例がありました。これは法務省の入管局長が、純粋なスポーツなら北朝鮮の制裁措置以前の対応をとることになろうというふうな答弁を私もこの耳で聞いておったわけであります。そうしましたら外務省が猛反発をして、そのときに軌道修正をしたというふうな新聞記事もあるわけでございますけれども、最近になりまして外務省におきましても、首脳の談話ということで、選手は原則許可してもよろしいのではなかろうかというふうな新聞記事が四月二十一日にまた載っておるのも拝見しておるわけでありますが、この問題については基本的に官房長官としてはどういう対応をしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  115. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御質問の中にも申されましたように、一月二十六日に、官房長官といたしまして、大韓航空機事件に関連しまして日本側の措置につきまして発表いたしました。その中に人事の交流の問題も入っておるわけでございまして、その中で、公務員の入国は原則として認めない、そのほか北朝鮮からの入国についてはその審査をより厳格に行うこととする、こういうことに相なっております。  そこで、この卓球選手の問題は、先般初めて正式に申請がございましたので、現在法務省におきまして、この官房長官談話をお話のようにべースにしながら鋭意検討中でございますので、私から、その諾否の状況につきましてまだその結果を聞いておりませんし、またその是非についてはあくまでも私の談話を基礎にして御判断をいただきたいということだけにとどめさせていただきたいと思います。
  116. 谷津義男

    ○谷津委員 実は官房長官に一つ聞いてみたいと思いますのは、この役員の中の今度団長で来られる方が主催者の一人だということなんですね。アジア卓球連合、ATTUの会長代理であるリ・ジョンホ、この方が北朝鮮卓球協会の副会長、しかもこの選手団の団長ということでございまして、この場合、これは私見でありますけれども、選手はスポーツとしてですからぜひ入れてほしいというのが私の考えでありますが、今申し上げました団長であり北朝鮮の卓球協会の副会長、これが官房長官の談話の中に該当するのかしないのか。これは非常に難しい判断だと思いますけれども、その辺のところはどんなものでございましょうか。
  117. 小渕恵三

    小渕国務大臣 この方も含めまして、その地位、身分その他につきまして現在調査中、こういうことでございますので、それが済み次第その結果によっての判断をさせていただきたいと思っております。
  118. 谷津義男

    ○谷津委員 官房長官にこれ以上聞くのは本当に恐縮なんでございますけれども、これは非常に大事な問題でもありますし、また日本にとりましても、二人の船員の勾留の問題もありますし、また日本人妻の問題という、私どもが話を聞きましても涙をしなければならないような問題もよく聞くわけでございますが、そうした問題も踏まえまして、これは政治的な判断ということも大変大事ではなかろうかと考えるわけであります。  こういった場合に、これは単に事務的な処理をなされるのか、あるいはまた政治的な判断も加味して検討なされるのか。これは内閣の一つの大事な要素だろうと私は考えるわけでありますが、官房長官考えはいかがでございましょうか。
  119. 小渕恵三

    小渕国務大臣 政治的なという意味が、これは難しいことになるのでありますけれども、いずれにいたしましても厳正に、そして最近行いました私の一つの判断の材料でありますこの措置についてのものをベースにいたしまして、この入国についての責任を持っておりまする法務省が最終的に判断をするものだ、こういうふうに思っております。
  120. 谷津義男

    ○谷津委員 私も余り追及はいたしませんけれども、新聞報道等によりますれば、法務省は、これは先ほど申し上げましたとおり、入管局長は、スポーツなんだから制裁措置以前の問題だということで対応するというようなことを内閣委員会では既に発言をしておるわけであります。そしてまた、外務省の首脳ということで二十日に、選手は原則許可ということでこれまたいいのではなかろうかというふうな意味の発言が新聞報道に載っておるわけであります。  そういうふうになってまいりますれば、これは選手の件については問題なかろうというふうに考えるわけであります。残ってくる問題が、そういうわけでありますから当然これは法務省だけの判断でやるとは私は考えておらないわけであります。今ここで官房長官から、これをこうしたらどうかというふうな発言が聞けるとは私は思っておりません。思ってはおりませんけれども、こういうふうな点につきましては、特にこれからのアジアの平和のためも踏まえて、これはむしろ積極的に判断をしてもらってもいいのじゃないか。スポーツとか芸術とか文化とか、そういう面については私はそう思うわけでありますので、その辺のところはひとつよろしく御判断くださいまして、この選手の入国についてはぜひよい結果を出してくださいますようにお願いしたいと考えている一人でございますので、よろしくお願いいたします。  それから続いて、先ほどから問題になっております世論調査の件でございますけれども総理府が行う世論調査につきましては、これは各省からの依頼によってやられるのが多いというふうに私どもは聞いておるわけでございます。そういう中で、いろいろな世論調査をやられるわけでありますけれども、この世論調査をした結果は依頼を受けた各省にまた戻されるのだろうと思うのですが、どういうふうな形でこれが政策の中に反映されているのか。もちろん、これは各省がやることでありますから、総理府の域を抜けるわけだろうとは思うのですけれども総理府としましてはこの世論調査をやった結果を自分のところでも分析するわけでありますから、世論調査に基づいて政策が行われているのか、あるいはそれが参考にされているのかということの追跡はやられているのでございましょうか。どうかその辺をお聞かせいただきたいと思います。
  121. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 委員仰せのように、総理府実施します世論調査につきましては、各省庁からの希望を受けて、それを調整いたしまして行うものがかなりあるわけでございます。そしてまた、これの実施した結果でございますけれども、可能な限り行政施策の企画立案、行政サービスの改善、行政施策の効率的な推進等の参考資料として活用いたすように努力をいたしておるところでございます。また、各種審議会ですとか委員会、あるいは白書ですとか年次報告、こういうものについての分析資料を提供するというような格好で活用されているところでございます。  各省庁等における行政施策への反映の追跡でございますけれども、当総理府広報室、私のところにおきましては週に一遍ずつ各省庁の広報担当者との定期的な会議を持っておりまして、常時緊密な連携をとっております。各省庁の要望とあわせて、私どもからの気のついたところあるいはお願いというものを毎週随時機動的に連絡をとり合っているというようなことでございまして、そういう中で委員指摘の趣旨をできるだけ生かしてやってまいる、そういう所存でございます。
  122. 谷津義男

    ○谷津委員 実はこの世論調査もさることながら、広報の仕事も非常に大事だということであります。先ほどこの調査について、意識調査というふうなお話がありまして、操作をしているのではないかと思われるというふうな質問がありましたけれども、私はそんなことはないだろうというふうに思っていますし、適切な調査だろうというふうにむしろ評価をしている一人であります。一方、広報活動というものは非常に大切なことになってくるだろうと思う。特に私どもはこの広報活動については、例えば外務省なんかも最近非常に力を入れまして、世界各国に対しましての広報活動もやられておるということでありますけれども、特にこの内閣としまして、いわゆる総理府としましてこれはやらなければいけないだろうというふうに思う点が多々あるわけでありますが、最近私の感ずるところを申し上げますとどうも少ないのじゃないか。もっと積極的に広報活動をやって、政府はこういうことをやりたい、こういうふうなものはぜひこういうふうにもっていきたいというふうなことをもっと予算を取ってやるべきだというのが私の考えなのですが、その辺のところについて、官房長官、どういうふうにお考えでございますか。ひとつ御所見を承りたいと思います。
  123. 小渕恵三

    小渕国務大臣 御激励をいただきまして大変ありがたいと思っております。  政府広報のあり方につきましては私どもも、国費を投入して行うことでございますので、公平に、そしてまた広く国民の皆さん政府考え方も理解していただく努力を重ねておるわけでございますが、一般的に広報室の予算ということになりますと百十八億円ということでございまして、これは民間のそれぞれの企業体が広告関係にかけておるお金に比しても、単純な比較はできませんけれども、二十七、八番目ということでございまして、また諸外国の数字に比べましても、大変残念ながら、かなり遜色のあるものだというふうに思います。しかし、その中でより適切な広報を目指して努力を積み重ねてまいりたい、このように考えております。
  124. 谷津義男

    ○谷津委員 売上税の話を今さら蒸し返すつもりはありませんけれども、国民の理解を得るというふうな面の一つのあらわれが広報活動の中にあってもしかるべきだろうというふうに考えるわけでございます。今後政府が目指そうとしております新型間接税、そういう面につきましても国民の皆さん方に理解を得るような方法というのをとっていかなければならない面が多々出てくるであろうというふうに思いますし、私はまたやるべきだというふうな考え方を持つわけであります。そして、多くの国民の皆さん方の考え方を吸収する、あるいは御理解を得る、そういうためには広報活動というのはなくてはならない本当に大事な要素だろうと思いますし、政府政府考え方を国民に知っていただくというふうな手段として、もちろん報道機関というものも大切でありますけれども、正しくこれを知っていただくにはみずからの広報によってやるということがより重要だろうというふうに考えるわけであります。この件についてはこれから力を入れていくつもりがあるか、あるいは補正予算をもっと取ってもやる考え方があるかどうか、長官の考え方を聞かしていただきたいと思います。
  125. 小渕恵三

    小渕国務大臣 これまた言うまでもないことでございますが、民主主義の中で政治を行う上では、何といっても国民の理解と協力がなければいかなる立派な政策もこれを遂行し得ないことは言うまでもないことでございます。そういった意味で、政府としては政府の基本的政策につきましても広く国民の理解を求めるべくこの広報活動を通じながら努力いたしていくことは当然だろうと思います。税制改正につきましても、これも竹下内閣としては施政方針演説の中でもその必要性を申し述べておるところでございますので、政府といたしましても適切にこの税制問題に対しての国民の理解を求められるような形での政府広報のあり方を検討してまいりたいと思っております。
  126. 谷津義男

    ○谷津委員 最後になりまして、時間がありませんので、端的に聞かしていただきたいと思うのです。  実は、海外放送でございます。そういうものを含めまして世界に向かっての広報というのも活動は非常に大事だろうというふうに考えるわけであります。日本は外務省を通しましてODA等でいろいろな資金援助もしておるところでございますけれども、ODAを受けている国ですら日本そのものをなかなか理解しないという面もあって、何かその辺のところはやはり海外に対する広報活動というものが鈍いのじゃないか、もっと積極的にやって、日本というものを正しく知っていただくということが大事ではなかろうかなというふうに考えておるわけであります。そういう面からいくと、まだまだこの辺についての活動も鈍いだけではなくして、そういった面の施設とか何かの面についてもまだ足らないのではないか。世界の中において聞き得ないところがまだいっぱいあるわけですね。この前カナダですか一つそういった施設をつくることに成功いたしましたけれども、そういった面では当然郵政省との絡みも出てまいりますから一口には言えませんけれども、その辺の対応については広報室はどういうふうな対策を打っておられるのか、その辺のところをひとつ室長の方から御意見をいただきたいと思います。
  127. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 海外広報の重要性は委員仰せのとおりでございまして、近年我が国の国際的な地位が高まるにつれましてますますその意味合いも重要になってきつつございます。  それにつきまして私どもといたしましては、海外向けの出版物、雑誌でございますとかいろいろつくりましたり、そのほかさまざまな形でこれが推進に努めております。国によってはいろいろ障害などもございますけれども、外務省あるいは各関連省庁と連携を保ちながら積極的に推進しておるところでございます。  ただ、委員指摘のように、先般外務省を通じて諸外国の予算を調べてみましたところ、まだ十分確認された数字はございませんけれども、ある国ではその国の文化を海外に理解してもらうそのための予算が年間七百億円であるというような数字も承知をいたしております。さようなことは急には望めませんが、官房長官からもございましたように精いっぱいの努力をすることによって効果のある広報をいたしてまいりたい、かように存じます。
  128. 谷津義男

    ○谷津委員 時間がなくなりましたので、最後に官房長官にこれはもうお願いを申し上げるわけでありますが、最初に御質問申し上げましたこの牛肉、オレンジの問題については日本にとっての大変な岐路に立つものでございますから、どうかひとつ体に十分に御留意いただきまして最後まで頑張ってくださいますることをお願いをいたしまして、質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。      ────◇─────
  129. 野中英二

    野中委員長 これより総理府所管総務庁について審査を行います。  この際、総務庁長官概要説明及び会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決ました。     ─────────────    昭和六十年度総務庁関係歳出決算概要説明  昭和六十年度における総務庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十年度の当初歳出予算額は、一兆七千九百三億七千四百八十三万円でありましたが、これに予算補正追加額九億千五百二十六万円余、予算補正修正減少額六億二百三十七万円余、予算移替減少額千七万円余、前年度からの繰越額千百三十一億三千八百二十一万円余、流用等増加額二億三千百六十六万円余を増減いたしますと、昭和六十年度歳出予算現額は、一兆九千四十億四千七百五十二万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額は、一兆七千九百五十五億六千五百七十四万円余、翌年度繰越額は、千八十四億五千五十二万円余、不用額は、三千百二十五万円余となっております。  最後に、翌年度繰越額不用額について御説明いたしますと、翌年度繰越額は、恩給費でありまして、これは文官等恩給及び旧軍人遺族等恩給の請求の遅延及び履歴等の調査確認に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。  また、不用額は、赴任旅費等を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度決算総務庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度総務庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ─────────────
  131. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷津義男君。
  132. 谷津義男

    ○谷津委員 行政監察についてひとつ御質問をしたいと思います。  実は、農協の件でございますけれども、前の玉置長官がこの農協につきましては、非常に経済活動ばかりやっているじゃないか、あるいはまた墓石まで売っているのはどうかということで、鳴り物入りでこの農協の行政監察をやろうというふうなことで始められたわけでありますけれども、現在この作業はどの辺まで進んでおられるのか、お知らせをいただきたいと思います。
  133. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 先生御指摘の農協監察でございますが、これは御案内のとおり農協が農業生産力の増進あるいは組合員農家に対する奉仕、そういった目的に即した運営になっているか、こういうことで、国あるいは県の指導監督並びに農協自体の業務運営の実態、これを監察調査をいたしておるわけでございます。  それで、どの程度進捗しておるか、こういう御指摘でございますが、御案内のとおり私ども昨年以来二十六の都道府県におきまして、県とか市町村のほかに二百数十の農協あるいは連合会、これを調査いたしまして、そしてその後、本庁におきまして中央段階の調査とこれらの集計分析、これを行いました。現在この取りまとめ結果に基づきまして農水省との間で事実確認作業をやっております。この作業が間もなく終わると存じますので、この作業が終了次第総務庁といたしましての改善意見を速やかにまとめまして、関係省に対しまする勧告を行いたい、このように考えております。
  134. 谷津義男

    ○谷津委員 その時期はいつごろになる予定ですか。
  135. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 時期でございますが、率直に申し上げまして、この実態調査結果全体が約千ページ近い膨大なものでございます。したがいまして、これを今農水省との間で精力的に確認作業をやっておりまして、何月というふうに今の段階で確定的に申し上げるのはちょっと困難かと思いますが、しかし、いずれにしましても、それほど遠くない段階におきましてこの作業を終えまして、できるだけ早く勧告を行いたい、こういうことが実情でございます。
  136. 谷津義男

    ○谷津委員 過日の新聞、四月十日付ですか、この新聞を読ませていただきますと、どうも発表がおくれているのは日米の牛肉、オレンジの自由化問題に絡んでいて、今ここでこれを発表するとどうもアメリカ側につけ込まれる要素を提供するようなものだというようなことから勧告がおくれているというふうな記事が載っておったわけでありますが、私はそういうことはもう絶対にないだろうというふうに思っておるわけですが、実際こういうふうなものは何か考慮の中に入っておるんですかどうですか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  137. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 過日の新聞記事を御指摘でございますが、ただいま申し上げましたように膨大な調査結果につきましてただいま農水省との間で事実確認作業を行っております。ざっくばらんに申し上げましてかなり進捗いたしております。農水省はこれに対して非常に協力的に事実確認作業に対応していただいておりますのでかなり進行いたしておりまして、一部新聞報道にございますようなことでおくれておるという事実は全くございません。これははっきり申し上げられると思います。
  138. 谷津義男

    ○谷津委員 ときどき新聞記事に監察の中身が断片的に載りまして、私どもも多少なりともかいま見ることができるんですけれども、そういう中において総務庁が今度の監察をやったということは実は評価している一人なんです。先ほどお話がありましたように、県あるいは農協内部の監査ということでありますが、そういう中にあって国が直接農協のあり方というものを監査されまして、そこで正しい姿が出てくるならば、これからの農協のあり方あるいは日本農業の方向づけのためにも大きな糧になるであろうというふうに考えておるわけでございます。  そこでお伺いしたいわけでありますが、そういう新聞等の情報を私どもが知る中においていろいろな監査の中身がちらちら断片的に知れるわけでありますが、現在監査をしておりまして、もうまとめの段階に入っておられるというお話が今あったわけですが、この中で、ずっと見られた中での感触は、最初見ていた農協の考え方と今途中で見られた農協のあり方というものは変化があったでしょうか、それとも最初監査するときの考え方と変わってなかったというふうに思われてますか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  139. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 新聞に監察の結果がちらちら出ているではないかというお話でございますが、これは率直に申し上げまして、いろいろなところでしばしば言われておることを、そういうことに基づいて推測記事を書かれた、こういうことであろうかと思います。私ども農協につきまして監察をいたします際、先生が今御指摘されましたように農協が組合員農家の自主的な協同組織体として農業をめぐる厳しい環境変化の中で組合員農家の意思を反映した事業の運営あるいは効率的な経営を行っているかどうか、さらにはまた、地域における農業生産と農村生活における中核農家としての役割を十分発揮しているか、こういう観点で農協の業務運営の実態を見ておるわけでございまして、こういつた観点に則して現在実態や問題点を取りまとめておる。私どもはあくまで世間で言われておるようないろいろな点について先入観を持たないで、本当に農協の本来あるべき姿というものを法律の趣旨に則したものになっているか、そういう観点で実態と問題点を取りまとめておる、そういう状況でございます。
  140. 谷津義男

    ○谷津委員 私、農協の弁護をするわけではありませんけれども、減反だとか、ごく最近に至っては米価の引き下げあるいは麦価の引き下げ、乳価の引き下げ、いろいろな面で農業を取り巻く環境というのは非常に厳しくなってきているわけであります。そういう中で、二、三の農協においては、トラブルを起こすというようなことで新聞記事にも載っておる面もあります。確かに農協の理事を選ぶシステムが、三年ごとに選んでくるわけですが、農家の人たちは円満を期するために、かわりばんつ地区から出しているということもありまして、なかなか専門家が育たない。ですから、しっかりしている農協長がおりますところは、比較的経営的にもまた仕事の面においても非常に有機的な仕事をしておりまして、非常に活力のある農協もあり、また、組合員のためにもなっているところもあるわけでありますけれども、そういうもろもろの情勢が非常に厳しい中にあるものですから、場合によってはどうしても金融等の方に力を入れまして、その利益をもって今度は営農活動の方にこれを使っているという面も、私どもの知っている範囲の中ではかなりあるわけでございまして、そういった面からいきますれば、農協も非常に容易じゃない中にありながら努力をしているということが私の目では見られるわけであります。  そういう状況でありますので、高鳥長官に最後にお聞きするわけでありますけれども、そういった農協の容易じゃない立場、あるいは農業の容易じゃない立場も含めまして、いろいろと監察をなされたその結果の発表のときにおきましては、その辺のところも配慮しながら、いろいろの面で発展的にこの監察が生かされるような方向づけをしていただきたいというふうに考えるわけでありますけれども、長官のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  141. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 農協監察につきましては、前々長官であります玉置さんが、ぜひこれはやるべきであるということで強い御指示があって始められたものでございまして、いわば玉置長官の遺言と言ってもいいような性格のものであります。行政監察局におきまして、監督官庁であります農林水産省あるいは地方の農政局、さらには都道府県、そしてまた市町村等を含めまして、農協の本来あるべき姿についてどのような指導をしているかということを含めて鋭意監察を実施したところであります。今委員指摘のように、大変厳しい経営基盤の中でやっておるわけでありまして、大変立派にやっているところもたくさんありますが、また、どうもまことにずさんだというものも見受けられるわけであります。それらにつきまして、ぜひひとつ本来農協組織が農民のためになり、また、ひいては消費者のためにも役立っていく、そういう性格のものとして育ってまいりますように配意をしながら監察の結果をまとめていきたい、このように考えております。
  142. 谷津義男

    ○谷津委員 よろしくお願いいたします。  次に、土曜閉庁について御質問をしていきたいと思います。  昨日衆議院の議運におきまして、初めて国会の場においてこの問題が取り上げられまして、基本的には土曜閉庁の実施についてはやる方向ということで、これからそういった機関をつくって審議をしていこうということになったわけであります。この土曜閉庁につきましては、さきの人事院の勧告等にもよりまして、積極的に政府もこれに当たっているわけでありますが、現在この土曜閉庁方式導入について政府検討状況、それから実施の見通し等についてはどんなふうになっておりますか、長官、ひとつお願いしたいと思います。
  143. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 公務員の四週六休、開庁のままでの実施につきましては、既に試行段階を経ましてこの四月から本格実施ということになったわけでありますが、閉庁方式につきましては昨年の十月、これは中曽根内閣のときでありますが、昭和六十三年度中に導入するということを目途として諸般の準備を進めるということを閣議決定しているところであります。これを受けまして、竹下内閣になりましてから、十二月の週休二日制・閉庁問題関係閣僚会議におきまして検討していただきましたところ、閣僚の間からこの際ぜひひとつ前向きの姿勢で積極的に取り組むべきであるという発言がございました。さらにまた、同時に、鋭意民意の反映に努めるということもその際決めたわけでありまして、国会あるいは裁判所、地方公共団体等々との関係につきましても鋭意検討を深めることといたしたところであります。その後、総務庁を中心にいたしまして、マスコミ、経済団体、それから労働団体、消費者団体などから幅広く御意見を拝聴してまいりました。さらにまた、各省庁におきましてもそれぞれ関係団体がございますので、その方面の御意向も踏まえながら、一体どの範囲まで閉庁するかということにつきましても検討を行ってまいったところであります。今委員指摘のように、昨日衆議院におきまして、この問題について政府が定めております方針どおり閉庁方式を導入することにつきまして、温かい御理解をいただいたというふうに承っております。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕  以上のような状況にございますので、最終的な詰めを急いでおりまして、できるだけ早期に閉庁方式導入についての具体的な政府の方針を決定したい、連休明けそう遠くない時期にぜひ最終的な案をまとめたい、このように考えておりまして、なおまた、閉庁の実施時期につきましては今後さらに閣僚会議におきまして御決定をいただくものでありますけれども総務庁といたしましては、昭和六十四年の一月を目途に導入したい、実施をしたいというふうに考えまして努力しておるところでございます。
  144. 谷津義男

    ○谷津委員 長官の先ほどのお話の中に、マスコミを初め各団体の意見も聞いたということでございます。国民的な同意を得るというのは非常に大事なことでありますし、また、いろいろと窓口業務等において支障を来すのではなかろうかというふうな国民の心配がないわけでもなかろうかというふうに思うわけでありますが、先ほどのお話にありました意見を聞いた範囲の中ではどんな意見でございましたでしょうか。わかる範囲でお知らせいただきたいと思います。
  145. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 まだ閣僚会議に御報告していないものですから、詳細な報告は避けさしていただきます。  全体の印象としては、やはり現在の日本の置かれた情勢、国際的な情勢から見て、閉庁ということでの週休二日制を進めなければいけないのではないかということが大多数の方の御意見でございますが、その中で、例えば緊急な場合にはきちっと対応してくれるだろうなというような御意見がございます。それからあと、土曜日は閉めるにしても、それじゃほかの込む日、例えば金曜日なんかにもう少し何か手厚く措置はできないのかというような御意見もございます。これはむしろ各省でやっているヒアリングですね、その中でそういう御意見が出てまいりまして、それを取り入れて各省も判断していくというふうにしている点もございます。部署によってはそういう御意見に従って、やはりこれは閉めずにいこうかというような判断をしようかとしている点もございます。いずれにしても、閣僚会議までにはそこら辺を整理してお諮りをしたいというふうに考えているところでございます。
  146. 谷津義男

    ○谷津委員 先ほど長官の御答弁の中で、六十四年の一月を目途にして実施していきたいというふうなお話がございます。そうなってまいりますと、これは法案を出さなきゃならないだろうというふうに私ども思うわけでありますけれども、六十四年の一月実施ということになると、これはかなり早く法案を通しておかなきゃならぬというふうな時間的な制約が来ているのではなかろうかというふうに考えるわけであります。この法律案の提出はいつを考えておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  147. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 ただいま委員指摘のように、閉庁するということになりますと、多年国の窓口というのは土曜日も開いているということになっておりますので、これを広く国民の皆様方にお認めいただくために土曜日も休むことあるべし、閉庁することあるべしということの法律を別に出さなければならないのではないだろうか。ただ単に国家公務員の給与法だけでは済まないだろうというふうに考えておりまして、したがってその法律の準備をいたしておるところでございまして、現在内閣法制局とも相談をして詰めておるところでございます。  なおまた、閉庁方式の導入に伴いまして勤務条件面での手当てが必要ということになりますが、これらにつきましては、人事院の勧告をいただいて所要の措置を講じていくことになろうかと考えます。  いずれにいたしましても、ただいま申し上げましたような情勢でございまして、まだ最終的に全部詰まっておりませんので、したがって今国会への提出は少し難しい。しかし次の国会にはぜひ出させていただこう。私の立場からいたしますと、臨時国会があるとかないとかということは申し上げる立場にございませんので、次の国会でぜひ御審議をいただいて、なるべく早く国民の皆様方にこうなるんだということを国会を通じてお認めいただきたい、このように考えておるところでございます。
  148. 谷津義男

    ○谷津委員 そうなりますと、確かに長官の立場からは臨時国会云々という言葉は言えないだろうと思うのですが、私どもの感触によりますれば、臨時国会というものは当然開かれるのではなかろうかというふうに考えるわけであります。もし臨時国会が開かれたならば、一番最初の国会に提出するというふうな理解でよろしいのでございますか。臨国が開かれればそこということで理解してよろしいのでしょうか。長官、ひとつお願いしたいと思います。
  149. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 私どもといたしましては、次の国会がありました場合にはいつでもお出しできるような準備をしておきたい、このように考えております。
  150. 谷津義男

    ○谷津委員 わかりました。この問題は国民の関心も非常に高いし、また土曜閉庁方式というのは私も大賛成でございますので、これからもひとつ積極的に国民の皆さん方にも御理解をいただきながら、また閉庁することによって国民へのサービス業務が低下しないような方向で努力をしていただいて、一日も早く実施できますように頑張ってくださいますことをお願いするわけであります。  そこで自治省にちょっとお聞きしたいのでありますけれども、土曜閉庁方式が導入されてまいりますと、住民との接触が一番多いのが県というよりも市町村の窓口ということになるわけでありますが、国の方が土曜閉庁方式を導入するならば、当然のこととして都道府県あるいは市町村もこれに合わせて実施していくことになろうかと思うのですが、サービスの問題について自治省は今どういうふうに指導をなさっておりますのか、あるいはまたそういう協議をしておるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  151. 佐藤信

    ○佐藤説明員 土曜閉庁の導入につきましては、ただいま国家公務員についてのお話がございましたけれども、地方団体におきましても避けて通れない課題であるというふうに考えてございまして、国に余りおくれないように準備を進めていく必要があるというふうに考えてございます。  このため、国家公務員の準備の状況も十分に勘案しながら検討を進めてまいりたいと考えておりますが、同時に私どもの方でも今月下旬からは地方公共団体の土曜閉庁に関する研究会を開催いたしまして、民間の有識者の方々からの御意見もいただきながら、ただいま御指摘のございましたような土曜閉庁方式を導入する場合の行政サービスのあり方でございますとか周知の方法等について御検討をいただくということにしておりますので、その辺も踏まえながら今後地方団体への指導をしていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、ただいま御指摘がございましたように地方公共団体窓口事務など住民に密着した事務を多く抱えておりますので、住民の十分な理解を得る必要があると考えているところでございます。
  152. 谷津義男

    ○谷津委員 ただいま御答弁の中で余りおくれないでというふうなお話がありました。これは国家公務員の立場と違いましていろいろな問題があるだろうというふうに思うわけでありますけれども、でき得るならば国と合わせて実施していくことの方がベストだろうと私は考えるわけでありますが、この辺は自治省としてはどのように考えておられますのか、お聞かせいただきたいと思います。
  153. 佐藤信

    ○佐藤説明員 ただいまもございましたように三千の団体それぞれいろいろな事情がございますので、同じように導入ができれば一番よいわけでございまして、できるだけそういう方向で努力というか指導はいたしていくべきであろうというふうに考えておりますけれども、基本的にはやはり予算とか、定員をふやさないとか、それから今お話がございました行政サービスの低下等の問題は地方の団体においてもいろいろと実情の相違もあろうと思うわけでございます。その辺、地方団体の意向なり職員の意向、それから民間の方々の御意向等十分踏まえてきめ細かい対応をする必要があるのではないかと考えておりまして、そういう点から指導してまいりたいと考えております。
  154. 谷津義男

    ○谷津委員 ということは、同時には無理だということですね、そう理解していいわけですね。
  155. 佐藤信

    ○佐藤説明員 先ほど申しましたけれども、できるだけ余りおくれないように、国と均衡をとりながら導入ができるように準備を進めてまいりたいと考えております。
  156. 谷津義男

    ○谷津委員 土曜閉庁を実施するということになりますと、これが閉庁できない機関というのも幾つもあるだろうというふうに思うわけであります。政府におきましても、総務庁の資料等を見させていただきましても幾つかこれが指摘をされまして、各官庁の中にそういう部門が出されているわけでありますけれども、こういうふうな閉庁できない部門についてはどういうふうな取り扱いをしていくのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  157. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 この点よく誤解されるのですが、まず時間短縮ということでやっております。今週から始めました四週六休の本格実施、これはある意味では週四十三時間から四十二時間の時間短縮を正規に行ったということでございます。  それで、その時間短縮をどういう形でやるのがいいかということになりますと、現在それを週休二日制の推進ということで四週五休から四週六休という形でやっているわけです。その中で、やはり職種によりますが、今のような半分ずつ交代ではなくて、むしろある土曜日は全部出てきてある土曜日は全部休むという方がいいというのが実は閉庁ということになるわけです。したがって、例えば交代制勤務であればそもそも閉庁ということにはなじみません。しかし勤務条件としては週四十二時間という基本は同じになっているわけでございます。したがって、現在そういう意味で処遇に差が出るということは全くないというふうに考えております。
  158. 谷津義男

    ○谷津委員 最後になりますが、青年の船について聞いておきたいと思います。  昨年まで実施しておりました青年の船をやめまして、六十三年度からは世界青年の船あるいは東南アジア青年の船ということで新しい事業概要のもとにこれを実施しようということで予算がとられております。そこで、昨年まで行われておりました青年の船のいろいろな実績あるいは反省をも含めて二、三お聞きをしたいと思うわけであります。  実は私も昔青年の船でお世話になった一人であります。そういう中でいろいろな仲間とお話をし、また聞いておる中で非常に難しい問題がある。それはどういうことかといいますと、参加するのに時間が長いためになかなか参加しづらい面がある。今度の六十三年度の世界青年の船というのを見ますと、この資料から見ますと七十日間、それからアジアの船の方が六十日間ということで非常に長期間にわたって行くのでございますが、これはまたそういった面で友好を図れるという意味で非常に意義のあることであって、すばらしいことではあります。しかしこれに参加するということになりますと、例えば会社に勤めている人なんかはかなり会社の理解を得ないと参加できない。そういった中で、かつて幾つか、青年の船に参加するために会社をやめて、会社が行っちゃ悪いと言うものだからやめて参加したというのもいるんです。そういったことで、これがまた六十日、七十日ということになるとなかなか難しい。ですから資料によりますと、参加する中身を見ますと、国家公務員、地方公務員合わせて約二五%、四分の一、学校の先生を含めれば三〇%が公務員と見られる人たちです。教員の中には私立学校の先生もおられますからこれはすべてではありませんが、そういう状況である。それから会社員が二六%くらいに達しているわけでありますが、実はこの会社員という中に私は大きな問題があるだろうというように考えておるのです。それはどういうことかといいますと、中小零細企業なんかに勤めている人たちが七十日も休んで行くということはまず会社の理解を得ることはできない。これだけはもうはっきり言えるのではなかろうかというふうに思うのです。せっかくのこういう立派な計画でありますので、多くの皆さん方が参加できるようにしてやるのが非常に大事なことだろうというふうに考えるわけでありますが、現実の問題としては行きたくても行けないというふうな状況が出てくるわけであります。  そこで、一言で結構でございますので、その辺のところはどういう配慮をなされておるのか、また希望者がもしそういうふうなことで行けないという状況があった場合にどういうふうに対応しておられるのか、それをお聞かせいただきたいというふうに考えるわけでありますが、一言、ひとつお願いしたいと思います。
  159. 倉地克次

    ○倉地政府委員 今先生御指摘のございましたように、船による事業はおっしゃるとおりに大変実施期間が長いわけでございまして、勤労青年がこれに参加する場合にはやはり雇用主の格別の御理解が必要じゃないかというふうに感ずる次第でございます。  私どもといたしましては、従来から、私どもの行っておる事業への参加決定者につきましては雇用主の方々の方へその期間中の格別の御配慮をお願いする文書を出していたわけでございます。今度、世界青年の船の実施に当たりましても、できるだけ雇用主の御理解を得ることが重要だというふうに考えまして、いろいろな団体を通じましてその辺の御理解を得るよう今努力している最中でございまして、今後ともそうした努力を十分重ねてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  160. 谷津義男

    ○谷津委員 時間が来ましたので要望だけ申し上げますが、やりたい人たち、行ってもらいたい人たちができるだけ参加できますようにぜひその辺のところは特段の御配慮をお願いをいたしまして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  161. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 新村勝雄君。
  162. 新村勝雄

    ○新村委員 私は中国残留孤児の問題についてお伺いをしたいと思います。  この問題は性質上あるいは午前中の方がなじむ問題であったかと思いますけれども総務庁とも全く関係のないことではないし、もちろん政府と大きな関係のある問題でありますのでお聞きをいただきたいと思います。  中国、特に東北地方にいわゆる残留孤児が戦後残されたということは周知の事実でありますし、既にこの問題については国会の中でもたびたび論議をされておる問題でございますが、この問題はまだ依然として完全な解決を見ておりません。この問題が本当に解決をされなければ戦後は終わらないということが言えると思います。また、孤児の立場からすれば戦争の大きな犠牲者でありまして、この戦争によって孤児それぞれの、一人一人の人生の運命が根本的に変わってしまったということでありますから、これは政治の問題として政府としても最後の一人まで完全な解決ができるように御尽力いただきたいわけであります。  そこで、直接この問題に携わっておられるのは厚生省でありますし、外務省はお見えになっておりませんようですから、まず厚生省にお伺いをいたしますが、この問題は中国に関する戦後処理のうちで大きな部門を占める問題であったわけであります。そこで、この問題について当然日中間に残留孤児に関する処理のための協定なり公の約束、国家間の約束、取り決め、こういったものがなければならないはずでありますけれども、それはどういう形でなさったのですか。
  163. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  中国残留孤児の訪日調査の実施につきましては、昭和五十九年の三月に日中両国政府で交換されました口上書に沿いまして実施しているところでございます。
  164. 新村勝雄

    ○新村委員 特別の協定はない、具体的な事実に即して進められてきたということですか。そうなりますと、こういう大きな問題についてそういう成文化したものあるいは取り決めがないということでは大変不適当だと思いますが、まあないものはしようがないということで、その後の一連の経過の中で政府がおやりになっていることについては一定の成果を上げているとは思います。思いますけれども、現在まだ継続中でありますし、その対処の方法等についても必ずしも万全ではないというふうに我々は見ておるわけであります。そして最近の報道によりますと、中国はこの問題について訪日調査をこの辺で打ち切りたい、それからまた日本政府の受け入れ後の対応についても必ずしも十分満足されていない、そういう報道がありますけれども、これについてはどういうお考えですか。
  165. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、訪日調査その他孤児問題全体につきましては、昭和五十九年に日中両国政府間で口上書を交換してございますが、この口上書の考え方と申しますのは、日中友好と人道主義の立場から、中国政府におかれては積極的に孤児対策に御協力するということでございます。そういうことでございますので、孤児対策全般につきまして中国政府の御了解、御協力をいただきながら、私ども積極的な対応をしているところでございます。  この中で、訪日肉親調査につきましては、本年三月に今後の訪日調査などに関しまして中国政府と幅広く意見交換を行いました。その際、中国政府から、昭和六十三年度の百名規模の集団訪日調査の実施につき協力する、また、昭和六十四年度につきましても、なおまとまった数の未訪日孤児がいることを前提として引き続き協力する旨の御回答をいただいたところでございますので、私ども、最後の一人まで調査をするという方針のもとに積極的な対応を図っていきたいと考えております。
  166. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、一部伝えられておる中国側の意向として、打ち切りたいという考えは、これはそういうことはないというふうに見てよろしいですか。
  167. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げたとおりでございまして、昭和六十三年度につきまして、私ども、百名規模の調査を実施する予算を確保してございます。また、昭和六十四年度におきましても、なおまとまった数の未訪日孤児がいるということにつきまして、私どもが従前と同様の調査を実施したいという申し入れにつきまして、中国政府から引き続き協力するという御回答をいただいているところでございます。
  168. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、これからも中国としてこの問題について積極的に取り組んでくださるということが確認されておるわけですね。そうしますと、六十三年度で百人、六十四年度においても相当数ということでありますが、今までに相当数の訪日調査があって、その中で肉親が判明した者、判明しない者があるわけですが、判明した者でも一回は全部帰るわけでしょうけれども、その後永住を希望してこられる方々、これは判明している人も判明していない人も永住を希望してこられるわけだと思いますが、現在中国に残っていてまだ訪日調査をしていない人たちはどのくらいおりますか。
  169. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  訪日調査につきましては先ほど申し上げた方針で私ども進めてございますが、日中両国政府で現在調整中の件数などからしまして、今年度予算において百名分の調査経費を確保しているところでございます。六十三年度分としまして百名分の調査経費を確保しているところでございますが、なお残る未訪日孤児数がどのくらいであるかということを確たるものとして現在のところは申し上げられる状況ではございません。しかし、今後におきましても、当分の間は養父母の協力等によりまして、孤児からの身元調査依頼が日中両国政府になされるものと思われます。
  170. 新村勝雄

    ○新村委員 訪日調査が未済のものでそのチャンスを待っている人たちが相当いる、それは全くわからないということでありますけれども、その概数もわかちないですか。
  171. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げたとおりでございますが、日中両国政府で今まで孤児と確認した者につきましては、御案内のとおり、昭和五十六年三月から本年三月までの間に通算で十七回にわたる訪日調査を実施いたしました。合わせて千五百八十八名の孤児が訪日したところでございますが、今後のことにつきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、現在のところ確たるものとして申し上げられる数字は私ども把握してございません。
  172. 新村勝雄

    ○新村委員 現在、判明しておって訪日調査を待っておる人たちが少なくとも二千人はいるというふうな情報もありますけれども、その情報についてはどう見ておられるのか。それからまた、この調査については中国の御協力のもとに、中国の公安局が担当して登録をしているという話を聞いておりますけれども、その現在の登録数がわからないということではおかしいのですが、現在公安に登録をされておって、なお訪日を待っているという人たちはどのくらいおりますか。
  173. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおりでございますが、今おっしゃった二千名という数値につきましては現在のところ日中両国政府とも把握しておりません。
  174. 新村勝雄

    ○新村委員 把握していないというのは、この数字については全く根拠のないものであるというお考えであるのかどうか。  それからまた、ある情報によれば、これは引揚者のある情報によれば、引揚者というか孤児の情報によれば、黒竜江省だけでも二百人が既に公安に登録をされている、これを確認しているという情報もあるわけですね。そうしますと、現在登録をされている数について日本政府当局が全く把握していない、あるいは聞いていないということはちょっとおかしいのじゃないでしょうかね。これは公安当局とも、中国の政府当局とも当然常時連絡をとっておられるわけでしょうから、現在の登録数がどのくらいあるのか、そしてその登録している人たちは当然訪日調査を待っているはずでありますから、そういう待っている人たちがどのくらいいるのかということがおわかりにならないのはおかしいですね。それはどうなんですか。
  175. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  孤児の身元調査に至るまでの過程としまして大きく経路が二つございますが、日本政府に孤児からの調査が寄せられる場合、これは都道府県ないしはボランティア団体を通じて寄せられるものを含めまして、我が国に調査依頼がある場合、私どもに最終的に調査依頼がある場合、これが一つのケースでございます。それからもう一つは、中国政府に孤児からの調査依頼がある場合がございます。  いずれにしましても、最終的には日中両国政府間で名簿を交換して、孤児であるということを確認するための作業を繰り返すわけでございますが、この作業を今後もなお中国政府の協力を得ながら進めてまいりたいと思いますが、現在なお残っている未訪日の孤児数はどのくらいかということにつきましては、今年度予算で百名分を確保している以外の数字については、現在では日中両国政府とも確たる数字を持っておりません。
  176. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは伺いますが、二つのルートがある。ボランティアの協力によってわかるもの、それからまた個人から日本政府に、これは日本側に個人から情報を寄せられる、こういうルートが一つある。それからもう一つは、中国政府の活動によって情報を収集してその数をまとめる、この二つのルートがあるというのですが、今までの訪日調査の孤児をこの二つに分けた場合には、これはどういう割合になりますか。数はどういう数になりますか。
  177. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  今お尋ねいただいた点につきましては、私ども比率を持ってございません。
  178. 新村勝雄

    ○新村委員 その程度の資料をお持ちでないというのは、ちょっとおかしいんですよね。これは、今おっしゃったように、二つのルートがあって、ボランティア及び個人からの情報、それからもう一つは中国政府の調査、この二つがあるということは今おっしゃったわけだし、そういう二つのルートによって日本政府は対応しているんだということであれば、これは両方のルートの数が、こっちのルートは何千名だ、こっちのルートは何千名だということは、これはおわかりでしょう。これがわからないというのはおかしいのですよ。おわかりになりませんか。
  179. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  いずれにしましても、私どもは最後の一人まで肉親調査を行うという方針のもとに、中国側の御協力を得て訪日調査、身元確認調査を実施することにしたいと思っておりますが、私ども、また中国政府とも、先ほど申し上げました調査ルートに乗りまして把握しておる数は、先ほどおっしゃったような数字としては把握していない、そういう状況でございます。
  180. 新村勝雄

    ○新村委員 ちょっと心もとない状況だと思いますけれども、とにかく相当数の孤児がまだ残っておる。しかも、訪日調査にまだ参加できないで、そういうチャンスを待ちながら異郷の地で――異郷の地といっても、もう子供のころから育てられた国ですから故国と思っているのかもわかりませんけれども、とにかく異国ですね。その異国で、そういう状況の中で訪日を待っている人たちが相当いるんですね。一説によれば、二千人あるいはそれ以上いるのではないか。この数字というのは、終戦時に向こうにおった日本の人たち、その家族構成、それから引き揚げてきた状況、そういったものから推計をして、ほぼ確実な数だと言われておるわけですね。そういう人たちが相当程度いる、これはほぼ間違いない数字だということで推計をされておるわけですけれども、そういう人たちに対する政府の対処の仕方、これは誠意を持ってやっていらっしゃるんでしょうけれども、大変心もとないという感じを受けるわけです、そういう数もわからないということですから。  そこで、そういう人たちをこれから政府の力によって、ぜひ今おっしゃったように最後の一人まで救済をする、救済をするというか、解決をするという決意でお願いをしたいわけですが、まず国際間の問題として、中国の好意に期待するという面が非常にあるわけです。しかし、例えばこの問題を解決するための費用の問題一つとってみても、日本政府の対処の仕方が必ずしも十分でないという感じがするわけですよ。  それは、この訪日調査の費用についても、訪日のための航空運賃あるいは日本に入国してからの経費等については、これは確かに日本政府が負担をしておりますけれども、その前の段階についてはすべて中国の負担であるというふうに聞いておりますけれども、それはいかがですか。
  181. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  中国国内における調査についてでございますが、先ほど申し上げましたように、昭和五十九年に日中両国政府間で孤児問題全般にわたりまして口上書を交換いたしました。その考え方は、日中友好と人道主義の立場ということでございまして、これに沿いまして中国側が積極的に調査に協力しているという状況でございますので、御指摘の負担につきましては、私ども考えておりません。
  182. 新村勝雄

    ○新村委員 人道主義の立場、これはそのとおりでありまして、まさにこれは人道の問題だと思います。同時にまた日本国としての責任、これもまた大変大きいわけですね。日本国が戦争を引き起こして、しかも、その結果としてこういう状況を引き起こしたわけですね。しかも、一人一人の孤児については何ら責任はないわけです。一人一人の孤児の意思とは全く関係のないところで、大きな時代の変動、戦争という大変な大変動の中でもてあそばれてというか、その激動の中にのみ込まれた。のみ込まれたといっても、幸い中国の好意によって育てられて成人してきたわけですから、そういう意味では戦死者よりはまだいいのかもしれませんけれども、とにかく一生涯を全く別の運命にもてあそばれたということについては、これは一人一人の孤児としては大変な問題であったわけですね。それからまた、この問題の解決について中国の立場からすれば、これは太平洋戦争あるいは日支事変を通じて、中国は最後の平和条約のときに日本に賠償を求めなかったわけです。賠償を求めないで、極めて寛大な態度で日本の国を許してくれた、そういう経過もあるわけですね。そういう経過を踏まえた場合に、孤児の問題の対処について、訪日の直接の費用だけ持てばいいんだという考え方はちょっとどうかと思いますね。  そこで大臣にお伺いしたいのですが、大臣はこれは直接の管轄じゃないと思いますけれども大臣としてこの問題を考えた場合に、どうお考えですか。やはりもう少し日本政府としては、経費等についてもあるいはまた一切のこの問題の処理についても――これは終戦処理の一環ですからね。この問題の解決に対処する場合に、費用の点あるいは精神面あるいは受け入れ後の対処の仕方、そういったものについてもう少し御努力があってしかるべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  183. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 ただいま委員のおっしゃるお気持ちについては私も大いに理解できるところでございますが、何分私の所管でないことについて私がとやかく申し上げることは、これは差し控えさせていただきたい、このように思います。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、中国からお帰りになる方々について最大限温かい配慮をするように努力すべきものであろう、このように考えております。
  184. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひ今の大臣のお考えで、所管ではありませんけれども、この問題についてひとつ御協力をいただきたいと思います。  そこでもとに戻りますが、中国ではこの孤児の調査あるいは登録それから日本に送り出す、そういったことについて物心両面の負担をしておると思いますよ。犠牲じゃなく負担、政府として負担をしておる、こう思いますよ。金に換算したらこれは相当な負担を中国はしていると思います。中国の場合、今国家として再建というか発展の途上ですから、そう言うと失礼ですけれども日本よりは経済的にも恵まれてはいない、財政的にも日本よりは恵まれていないと思います。そういう中で日本の戦争の後始末を中国がやっているわけですから、これに対してもう少し配慮があってしかるべきだと思いますね。向こうの公安の仕事なんか大変だと思いますよ、これは。登録をして、その情報を日本に提供して、それから日本に送り出して、それからまたその後の追跡の事務もあるでしょう。そういったことで中国の負担は、これは決して軽いものではないと思います。その中国の負担に対して、これは当然日本がすべてやるべきなのですけれども、それを単なる旅費しか持たないということでいいかどうかですよ。大臣、その問題についてだけ考えた場合、どうでしょうか。
  185. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 細かい経緯については私、実は残念ながら存じません。したがって、お答えをする資格が残念ながらございません。  ただ、中国側もやはり国家としてのプライドがあるわけでありますから、自分の国内のことは自分でやるよ、こういうことでお考えになっているのかと思います。厚生省の方でもその辺については十分協議の上で続けておられるものと思いますので、委員のおっしゃるお気持ちについては私もよくわかりますので、今後いろいろな機会にまた勉強してみたいと思います。
  186. 新村勝雄

    ○新村委員 それで、訪日調査が終わって帰るときに何がしかの、何というか小遣いというのかな手当ですか、これが支給をされるそうですが、その金額は国費ではなくてボランティアが出しておる、そういうことを聞いておりますけれども、そこらはいかがですか。
  187. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  孤児が日本に帰ってくるに当たりまして、また帰ってきてから生活を始めていく上で、戸籍を持つことは一番大事なことの一つでございます。戸籍を取る、就籍をするということにつきましては、私ども帰国前から、孤児に対しましてどういう資料を持ってきてほしいという指導をしております。また、所沢そのほかのサブセンターに入所中の期間に、最高裁判所等も協力しまして就籍についての細かい指導をしております。  またこの間に――失礼申し上げました。今のお話、ちょっと申しわけございませんでした。先生おっしゃいましたのは寄附金の件でございますね。
  188. 新村勝雄

    ○新村委員 帰りに小遣いというか手当を支給しているようですが。
  189. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 はい、申しわけございません。  孤児が訪日調査の際に国民の各層から孤児のためにということで寄せられる寄附金がございます。この寄附金を私どもありがたくお預かりいたしまして、この寄附金を帰る際にお土産代の一部にでもなればということで、国民の各層からこれは皆様方に寄せられたものでございますということで説明をいたしまして、私ども、現在訪日している孤児に対しまして一人当たり十万円の国民から寄せられた寄附金をお渡ししているところでございます。
  190. 新村勝雄

    ○新村委員 細かいことになりますけれども、この額が初めと終わりでは違うというような話もありますし、それから、そのお金を渡すときに「厚生省」という封筒で渡す。そうすると、これは厚生省の金なのかボランティアの金なのかわからないじゃないか、そういう疑問の声もあるのです。ですから孤児の皆さんは、これは政府から出た金だというふうに考えて持ち帰る、あるいは中には人づてにこれはボランティアあるいは国民からの基金だ、浄財だというふうにわかっておる者もある。そこらがはっきりしないということがありますけれども、これはどうなのでしょう。
  191. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  その点につきましては、国民の各層からこれは寄せられたものであるということを私ども毎回孤児に説明しております。昨年十一月の調査のときに若干のトラブルが起こったという反省を踏まえまして、ことしの二月から三月にかけて訪日した孤児につきましては、従来は口頭で私ども説明していたわけですが、それを中国語でわかりやすく説明する文書を入れまして、また、孤児の一人一人が誤解を招かないように厚生省の袋でない袋に入れまして十分その趣旨を説明するということで、この二月、三月の調査に当たりましては国民の各層から寄せられた寄附金をお渡ししたところでございます。
  192. 新村勝雄

    ○新村委員 十分な時間がありませんけれども、最大の問題は、訪日調査をして肉親がわかるあるいはわからなくても日本に定住、永住したい、そういう人たちが相当いるわけですけれども、その人たちが日本に定住をするためにまた来るわけですが、その場合のその後の対処の仕方について、これは必ずしも十分ではないという点があるわけですね。普通のルートとしては訓練センターにまず入ってもらう、訓練センターで四カ月間言葉の訓練をし、あるいは生活慣習等についても訓練を受けて、四カ月たてばすぐに今度は政府のセンターのあっせんによって定着をする。いわゆる定着、言うならば就職するわけですけれども、これでは大変無理があるし、四カ月で何がしの言葉が習得できるかということになると大変疑問があるわけですよ。この四カ月そこで生活をして定着をするわけですが、その定着をした後の孤児のあるいはその家族の状況を見ますと、これは政府の統計によっても全体の四〇%が生活保護を受けているという状況ですね。これでは、政府としては善意を持ってやっておられるのでしょうけれども、結果的には完全な失敗ですよ。四〇%が生活保護ということでは全く自立ができない。自立ができない人が四割いるということは大変な問題だと思います。ですから、現在の定着政策といいますか、受け入れてからの対処の仕方は極めて不十分である。  最近政府もそれに反省をされて、さらに新しい施設をつくり、訓練の期間も倍ぐらいに延長するというお話ですけれども、延長しても八カ月。八カ月過ぎればそこを出なくちゃいけないわけですから、それでは大変無理があるわけです。そういうシステムも必要ではありましょうが、同時に相当長期にわたってこれを受け入れて、そこで定着をし、安心して仕事をし、生活ができる、そういう意味での定着施設、これがぜひ必要ではないかと思うのですね。四カ月あるいは八カ月、そういうものではなくて、長期にわたってそこで生活ができる、仕事ができるあるいは技術を習得できる、そういう施設が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
  193. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、中国残留孤児が永住のために日本に帰国しまして地域社会に定着していく過程はなかなか厳しいものがあると思います。私ども、そういう意味で中国帰国孤児が定着する過程までの間で、例えばおっしゃった四カ月の生活、これは所沢のほか全国で合わせまして六カ所の定着促進センターがございますけれども、この四カ月の生活の過程においても日本語教育についての初歩的な指導それから日本の生活習慣についての指導ということを中心にしまして、それだけではなくて、地域社会で定着していくに当たりまして必要な指導を各般にわたってやっております。  また、定着自立対策を強化するために、この六十三年度におきましてはこの四カ月のセンター修了後のアフターケアを充実しようということで、全国十五の都市に自立研修センターというのを設置しまして、またあわせまして生活指導をする自立指導員制度を充実いたしました。こうしたことを中心にしまして私ども定着自立の対策を強化しております。また、これに合わせまして地方公共団体の施策もさらに充実されていくものと期待しております。  具体的に申し上げますと、日本語教室につきましては、地域社会において通所しながら生活に密着した実戦的な日本語指導を行うということにしたいと考えております。また、必要に応じて複数のコースを設定していきたいと考えております。また、生活相談あるいは生活指導につきましては、定着自立のための生活指導に熟知した相談員を常駐させて種々の相談に応ずるとともに適切な指導を行いたいと思います。また、就職指導につきましては、日本の労働事情あるいは雇用慣行について十分説明するとともに、地元の公共職業安定所等の協力を得て公共職業訓練校への案内や職業指導を行いたいと考えております。自立に当たりましては就労することが最も基礎的なことであるという理解を進めまして、生活保護からの早期脱却を図るということで指導していきたいと思います。このほか、地域社会で中国帰国者が家庭内に閉じこもってしまうということがないように地域住民との交流を図る行事を実施するとか、あるいは子女の就学等につきまして十分な指導をしたいと考えます。
  194. 新村勝雄

    ○新村委員 孤児の皆さんは文化も言葉も生活環境も全く違う中で幼児から今日まで育ったわけですから、そういう人たちが日本に来て、日本で自立をするということは大変な仕事だと思います。そういう過程をわずかに四カ月で解決しようということは、もう全く論外というか想像外のことだと思います。仮に外国語の基礎的な知識があったにしても、四カ月ぐらいでは日常会話さえもできないのが普通だと思います。ところが、中国にあって日本語あるいは日本の文化といったものについての基礎的なものが何もないわけですから、全くゼロなわけですから、そういうゼロの知識の人たちに対して四カ月、あるいは仮に八カ月であったにしても、これは全く無理だと思います。そういう人たちを今までは四カ月で社会に出していたわけですから、そういう人たちが社会にいざ出てみると四割は自立ができない、そして公的な不自由を受けるということですが、それだけならまだしも、それだけにとどまらず家族が分裂をしてしまう。そして家族の半分は中国に帰ることを希望し、半分は日本にとどまることを希望するというような分裂家族さえもしばしば出ている。こういうことになりますと、これは孤児にとっては、中国における今までの生活が必ずしも恵まれたものではない、そして日本に帰ったらさらにそれ以上の不幸が待っていたということではどうしょうもないわけです。  ですから、四カ月、八カ月という程度の定着センターではとても受け入れ体制として不十分ではないか。中には四カ月、八カ月でもいい人もいるでしょう、いるでしょうけれども、基本的にはそれでは不十分。ですから、これを根本的に解決するというかより一層改善するためにはもっと別の構想に立ったもっと基本的な、あるいはもっと広い構想に立った定着場が必要なのではないか。この定着場で無期限に、例えば八カ月なら八カ月という期間を切られてそれが過ぎればもうそこを出ていくということでは本当に親切な方法ではないと思いますから、長期にわたってそこにいられる、長期にわたってそこで仕事をし生活をしていられる、こういう定着場がぜひ必要ではないかと思いますけれども、そういった点については今のところお考えはないのですか。ないとすると、仮に八カ月の施設をつくってみても四カ月の施設のときと同じような過ちをまた繰り返すのでなはないかと思いますけれども、それはいかがでしょうか。
  195. 新飯田昇

    ○新飯田説明員 お答え申し上げます。  私ども、四カ月の定着自立センター、またそこを修了した後の八カ月間について自立研修センターという、帰国してから一年間日本語教育を中心にした生活指導をする体系をつくったわけでございますけれども、これらの運営に当たりましては御指摘の点を踏まえまして十分弾力的に進めてまいりたいと思います。また、これにあわせまして私どもは自立指導員制度の派遣期間というものを六十三年度、三年目も実施するということで拡充いたしました。この自立指導員による日本語指導あるいは生活指導もあわせて進めていきたいと考えております。
  196. 新村勝雄

    ○新村委員 時間が参りましたから以上で終わりますけれども、この問題についてはまた機会を見て厚生省プロパーのとき、あるいは外務省にもお伺いすることがありますので、引き続きお願いしたいと思います。
  197. 杉山憲夫

    ○杉山委員長代理 小川国彦君。
  198. 小川国彦

    小川(国)委員 最初に、高鳥長官に災害遺児奨学制度創設問題について御所見を承りたいと思います。  この問題につきましては、既に衆参の予算委員会を初め各常任委員会で各党からこの早期創設の問題が提示されておりまして、総務庁においてもいろいろな角度から御検討いただいていると承っております。また、四月十三日の衆議院の交通安全対策特別委員会の中で高鳥総務長官は、ともかく首相は前向きに何とかしようというふうな答えをしている、それに対して何を行政がもたもたしているのだろうか、早い対応を望む、こういう答弁をなすったと伺っているわけであります。  災害遺児奨学制度についてその主たる所管が文部省総務庁というような感じで、現在文部省、総庁共管の財団法人交通遺児育英会がこの実務を行っているわけでございます。そういうふうな観点から考えますと、これは総務庁長官にもこの制度創設に向かって政府部内でひとつ特段の御尽力を願いたいと思うわけでございます。今この問題については各党の政策責任者において協議をするということになっているわけでありますが、現実には先月の二十九日から税制協議もストップの状態でありまして、この二十七日にはそれが再開される見通しのようでありますが、どういうわけか税制協議の中にこの災害遺児奨学制度の問題が入っているというようなことで、私どもは、これは当然減税問題とは全く別個の問題であって、切り離して政府与党野党も一体になって交通遺児と同様にこうした災害遺児に対しても奨学資金が支給できるような制度を早期に確立すべきじゃないかと考えるわけであります。この点に対しての総務長官の所見をひとつ伺いたいと思います。
  199. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 災害遺児育英制度奨学金問題でありますけれども、これは予算編成時の野党側の御提案というか申し入れ、それを受けまして総理も真剣に検討するということをお約束しておられたと思うわけであります。かつまた、衆参両院における予算委員会総理の御答弁を伺っておりましても、大変前向きに取り組みたいという御意思のように拝聴したところであります。  先般、委員指摘のように四月十三日の衆議院の交通安全対策特別委員会で御質問がございました際に、内政審議室の方から御答弁を申し上げておったわけでありますが、聞いておりますと与野党協議にまちますという趣旨の御答弁であったと思うわけであります。  その翌日、私実は的場内政審議室長に会いましたので、委員会における審議の模様を伝えまして、それこそ何をもたもたしておるのかねということを室長に申しました。申しましたところ、いや実は与野党協議ということになっておりますので、与野党窓口を決めていただいて御協議を進めていただきますならば、私どもとしていかようにも対応いたしたい、こういうことを申しておりました。私は、それは与野党協議といってもあなた方の方でたたき台をつくってこんなことにしたらいかがでしょうかというようなものでも出さなければ前に進まないよということを申しまして、協議が行われるという段階になりますれば自分たちとしてもしかるべき対応を考えたい、こういうふうに申しておりました。  いずれにいたしましてもそういう状況にございますので、したがって主として今内政審議室で取りまとめをいたしておるということでありますが、委員指摘のように交通遺児育英会文部省と共管しております総務庁立場といたしましてできるだけの協力をし、促進してまいりたい、このように考えております。
  200. 小川国彦

    小川(国)委員 今、長官のおっしゃるとおりな状況にあるようでございますので、いずれにしましても総務庁の方からもこれを御督促願いまして、長官おっしゃるように、私は、与野党協議といいましても最終的には予算を組み、それを執行するのは行政当局でございまして、その点では政府がやはりより積極的におっしゃるようなたたき台をつくって与野党協議の場に出してくる、このぐらいの熱意がないとこの問題の進展は図れないのではないか、そういうふうに思うわけでございまして、政府部内でさらにひとつ長官の御督促を願いたいというふうに思います。  この問題は以上で終わりまして、次に私は畜産振興事業団の運営の問題についてただしたいと思います。  ただいま御承知のように、牛肉オレンジの自由化の問題をめぐって日米間において大変緊迫した状態があるわけでありますが、私どもこの輸入牛肉の取り扱いの問題にずっと取り組んでまいりますと、非常に高い輸入牛肉ということは単なる差益制度の問題だけではなくて、国内流通を指導し、あるいはまた国内流通に携わっている畜産振興事業団のあり方にかなり問題があるのではないかというふうに思っているわけでございます。  そういうことで、実はいろいろとこの流通問題を調べてまいりましたら、八七年に岡山でミートフェアというのが行われまして、このときに岡山県食肉連に対して日本食肉消費総合センターが共催でこれを行ったわけであります。これについては昭和六十二年の五月二十六日に五千四百二十三万五千五百三十円という開催経費が日本食肉消費総合センターから岡山県肉連に振り込まれて事業が行われた、そしてこの三分の二が補助金、そして三分の一が地元の負担、こういうふうに言われているわけでございますが、この予算の配分の中で実は現地において告訴事件が起こっているわけでございます。  これは、国から交付金が交付されているのでありますが、実際はその事業主体の中で行われた実の費用は、五千四百二十三万、この三分の二程度の費用で行われたものであって、実質的に地元の三分の一の負担は行われていない、こういうようなことが言われておりまして、さらにそれを裏づけますように岡山県食肉連から前会長の宮崎堅太郎氏を告訴するという事件が起こっております。  告訴人は岡山県食肉連でございまして、この日本食肉消費総合センターと共催によって輸入牛肉円高差益の消費者還元を目的として岡山ミートフェアの開催を計画して、昭和六十一年十一月二十七日に実行委員会をつくってこの事業を行った。ところが、この昭和六十二年一月二十六日、この実行委員会の商工組合中央金庫岡山支店に設けた同実行委員会名義の預金口座に金四千万円を預け入れてミートフェア実行委員会のための業務上保管中、このうち三千二百六十六万円を神戸市内の株式会社オール・クリエイションに対する設備費等の支払いを装って同社へ送金した上、このうち二千万円余りを同社から返金を受けて横領し、昭和六十二年三月八日ころ、岡山電波株式会社への支払いは、真実は金七十五万九千円であるのに、これに二十万円を上乗せして金九十五万九千円を同社へ支払った上、同社から金二十万円の返金を受けて横領したというようなことで、業務上横領、刑法二百五十三条で告訴事件が起こっているわけであります。  としますと、これは畜産振興事業団の出資団体である日本食肉消費総合センターが補助金として交付した者の中にこのような業務上横領があったということになってまいりますと、これは、補助金は公金でございますから、そうした公金を交付された者の中でこういうような告訴事件が起こるということはゆゆしい問題ではないのか、そういう点で農水省の方としてはこの実態をどういうふうに把握されているか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  201. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 お答えいたします。  岡山県食肉事業協同組合連合会、岡山食肉連と略称しておりますが、その連合会におきまして昨年半ば以降役員の異動等の問題がございまして、その過程におきましてただいま先生がお話しのような事案も含めましていろいろトラブルがあるということは承知しているわけでございます。  お話のございました岡山県のミートフェアにつきましては、六十二年の二月二十六日から二十八日まで岡山市で開催されたわけでございますが、事業費の合計は約五千四百万円という規模のものでございまして、そのうち助成金は約三千六百万円ということになっている次第でございます。この事業の開催に当たりましてその一部を前会長が横領したということで、六十三年の二月一日に現在の会長が告訴しているわけでございまして、現在捜査当局におきまして捜査中というふうに伺っております。  当省といたしましては、このミートフェアの事業実施主体であります財団法人日本食肉消費総合センターに対しまして関係書類のチェックを指示いたしたわけでございますが、今のところ、関係書類上は地元負担の問題を含めまして特に問題があるというふうには聞いてないわけでございます。本件につきましては、お話もございましたように現在捜査当局で捜査が行われている段階でございまして、その捜査の結果を見守りたいというふうに考えておるわけでございます。
  202. 小川国彦

    小川(国)委員 捜査当局の捜査は、それは当然こういう横領事件の告訴がなされたことによって行われると思うのでありますが、補助金を交付した団体としては当然岡山県食肉連からこのミートフェアの決算報告書が日本食肉消費総合センターに出されていると思うのですね。当然それに基づいてチェックをなすった、そのチェックをなすった中でこういう告訴事件のような疑念が出されていれば、その点について照会をしたり検討されるということは当然なことだと思いますが、この横領事実の点について、当該の株式会社オール・クリエイションというところにこういう事実があったや否や、これは捜査当局の捜査は別にして、補助金を交付した団体としては調査するのが当然のことと思いますが、このことの調査はなされましたですか。
  203. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げた次第でございますが、農林水産省といたしましては、このミートフェアの事業実施主体でございます日本食肉消費総合センターに対しましてそのチェックを指示いたしたわけでございます。私どもは、その総合センターのチェックの結果を伺いましたところ、今のようなお話を含めまして、関係書類上特に問題があるというふうには伺っていないわけでございます。
  204. 小川国彦

    小川(国)委員 大体こういうことは書類上は問題なくできているのは当然のことなんで、私が聞いているのは、こういう横領事件だということで事件が定義されている。  私どもが調査したところによりますと、今申し上げたような訴えの事実をさらに究明してまいりますと、五千四百万円の事業計画なんだけれども、実際にその支出した経費をチェックしていってみると、二千百四十八万円程度しかその支出の確実な裏づけというものが出てこない。そうすると、三千三百万円ぐらいのものがどういうところに使われたか明確なものが出てきていないんだというのを伺っているわけですね。しかも、現実には三分の一の費用負担というものは全くなされなかったということが言われているわけでありまして、私どもは、皆さんがセンターに報告させた報告書の体裁が整っているからということじゃなくて、少なくもその中の一番大きな問題点は、三千二百六十六万円を支払ったというのに実質二千万円余りが返金を受けているということは重大な事実じゃないかと思うのですね。  こういう重大な事実については、これは捜査当局の捜査を受ける以前の問題として、補助金を交付した主体として、当然そのことの真偽を確かめて、この点はこうであったということが答えられなければならないと思うのですね。その点はいかがですか。
  205. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 お答えいたします。  私どもの聞き取りをいたしました限りにおきましては、岡山県食肉連よりの振り込みというのはなされているという書類になっているわけでございます。  ただ、私どもは、ただいま捜査当局におきまして捜査中という状況でございますので、この捜査の妨げになるのもいかがかなという気持ちもございまして、捜査の進捗状況を見て、もし不正があれば厳正な措置をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
  206. 小川国彦

    小川(国)委員 ちっとも捜査の妨げにはならないと思うのですよ。こういう告訴事実で、三千二百六十六万円払ったものが二千万円返されて、実質先方には千二百六十六万円しか支払われていない、こういうことの確認一つすることはちっとも捜査の妨げにならないと思うのですよ。しかもそれは、農水省が監督官庁としてそういうことを調査するのは当然のことでございますから、これは捜査当局と別個の問題として、そういう疑念については調査をなすって、こういう点は心配ございませんということであれば、そういう御報告ができるという状態が望ましいんじゃないですか。
  207. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 私どもが今日まで把握しております事実につきましてはただいまお答えを申し上げたとおりでございまして、県当局の方にも照会をいたしたわけでございますが、それ以上の調査をいたします場合に、残念ながら関係書類が今捜査当局の方に行っているというような状況もございまして、なおかつ、私どもには強制捜査権というのはないわけでございまして、事実上とにかく書類がないということで、今日は、私ども、これ以上の調査が進まないわけでございます。  今後とも、捜査当局といろいろ御連絡をとりながら、必要な措置がございますれば措置を講じてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  208. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、この件については皆さんの方では問い合わせ確認はなすっていない、この二千万円が行方不明になっているということについては確認をされていませんか。
  209. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 お答えいたします。  私ども、この事業主体並びに県当局に対しまして確認調査を行ったわけでございますが、その結果によりますと、今日のところ、それを証明するものがないという事態でございます。
  210. 小川国彦

    小川(国)委員 非常に怠慢だと思うのですね。このことは、消費センター自体が補助金を交付しているんだし、それは畜産振興事業団の出資団体であるし、畜産振興事業団はまた農水省の監督下にある団体なんですね。何で岡山県の方に問い合わせをして返事をもらわなきやならないのか。そういう点も怠慢だと思うのですよ。  それから、前回私がやはり予算委員会の分科会で、同じくこの輸入牛肉を横流しして、昭和六十二年一月から三月に、民貿枠というので牛肉三十九トンを六千六百三十一万円で岡山県肉連が注文したものが、東京の食肉センターの冷蔵庫から独断で株式会社ゼンチクというところに売却処分されて、岡山県の肉の小売業者が本来割り当てを受けたものを、会長が独断で、農水省の指定している輸入商社ゼンチクに六千六百三十一万のものを一億円で売って、三千四百万の不当利得を上げた。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕  それだけじゃなくて、昭和五十七年から六十一年にかけて、同じく民間貿易分の輸入牛肉千百七十四トン、これを二十三回にわたって全肉連から割り当てを受けたものを、これがまた、岡山県肉連の前会長が東京の輸入商社ゼンチクに転売して、十三億五千二百四十二万円の売り上げをして、転売利益三億六千八十三万円を不当に得た。  このことも前回委員会で質問いたしましたが、皆さんは、これも捜査中であるということでこの当時お答えにならなかったのです。これは何も岡山県に照会しないまでも、畜産振興事業団が割り当てをしている全肉連に確認すればいいことであり、あるいは、あなた方が指定している輸入商社ゼンチクに確認すればこれを転売した事実も確認できることだということで私はただしましたが、この捜査は終わりましたか。
  211. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 お答えいたします。  先ほど冒頭申し上げましたように、岡山県肉連におきまして昨年半ば以降損害賠償請求事件等が生じているわけでございますが、これにつきまして、同県肉連を指導監督する立場にございます岡山県当局及び同県肉連の上部団体であります全肉連全国食肉事業協同組合連合会でございますが、その全肉連を通じまして調査いたしましたところ、次のような状況が判明しております。  まず第一点は、昭和六十二年七月八日、輸入牛肉三十九トンでございますが、この三十九トンの売買に関しまして、岡山県肉連の現在の会長が前会長を業務上横領の疑いで岡山南警察署に告訴したわけでございます。  また第二点といたしまして、昭和六十二年十二月二十二日に、前会長は、昭和五十七年度から六十一年度にかけまして、輸入牛肉千百七十四・七トンを転売する等によりまして、県肉連組合員に対し計四億四千二百二十三万円の損害を与えたということで、組合員百六十八名が前会長を相手取りまして損害賠償請求を岡山地裁に対しまして行っております。  第三点は、昭和六十三年二月一日に、先ほどお話がございました岡山ミートフェアの開催に関しまして、前会長がその一部を横領したといたしまして、現会長が前会長を岡山南署に告訴している、こういう事実がございます。  なお、お話がございました、その流通の過程におきましてゼンチク云々の問題でございますが、輸入牛肉の国内流通におきまして、一民間企業が具体的にどのように関与しているかということにつきましては、本来民間商業ベースの事項でございまして、その詳細について当省は承知していないわけでございますが、先生のお話がございまして、当省といたしましても御指摘の企業から事情を徴しましたところ、岡山県肉連との直接の取引関係はないわけでございますが、ある商事会社を通じまして当該輸入牛肉を入手したということでありました。ただし、この御指摘の企業は、当該商事会社とは輸入牛肉に限りませず国産牛肉も含めまして商取引がございまして、当該輸入牛肉が岡山県肉連から来たものであることは知らなかったという事情がございます。  いずれにいたしましても、世の誤解を招くような商取引があってはならないわけでございまして、この旨は当該企業に対しても十分指導いたした次第でございます。
  212. 小川国彦

    小川(国)委員 農水省が指導不徹底なことをやっていますから、ことしの三月十四日の毎日新聞の夕刊では、「所得隠し三十億円 神戸の肉輸入業者摘発」、シンガポール産業という会社が昨年まで三年間に約三十億円の所得を隠して、十三億円の法人税を脱税した。これも農水省の指定している食肉輸入商社なんです。ゼンチクもしかり、このシンガポールもしかり、こうした輸入牛肉の国内流通の過程で、三年間で三十億も所得隠しができるほどぼろもうけをしているのですよ。そういうのに対してあなた方は、全く指導不徹底な状態で農水省が推移してきているということが、牛肉行政に対して大きな批判と問題点を引き起こしていると思うのです。こういう点については、私はあなた方に期待していても無理なんで、会計検査院と行政監察局に、それぞれこういう問題について調査をしてきたような経過があるか、あるいはこれから取り組むというお考えがあるか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  213. 吉田知徳

    ○吉田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました点につきましては、実は私ども今回初めて伺ったような状況でございますので、今後関係団体検査に際しまして、御指摘の内容を十分念頭に置きまして調査をしてまいりたい、このように思っております。
  214. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 御指摘の行政監察でございますが、六十三年度におきまする農業関係の行政監察ないし調査につきましては、現在農産物の内外価格差の縮小ということが重要な課題となっておりますので、特に大臣の御指示もございまして、今年度第三・四半期以降畜産行政監察を行うことにいたしております。その場合、この監察に当たりましては、生産コストあるいは流通コストの縮減、こういう観点から畜産に関する生産性の向上あるいは流通の合理化、価格安定制度の適正な運用、こういった観点から畜産行政監察をやる予定でございまして、畜産振興事業団につきましてもそのような観点から取り組みたいと考えております。  なお、ただいま先生御指摘の事例の問題でございますが、御案内のとおり私どもの行政監察は個々の不正、不当事案の糾弾ということには重点があるわけではございませんで、あくまで行政の制度、施策あるいは体制、運営といったものが変化に対応したものに、そして総合的、効率的、また効果的、適正のものであるか、こういう観点で行政監察をいたすわけでございます。したがいまして、ただいまの事例に即して申し上げれば、行政監察におきまして、畜産振興事業団におきまする価格安定制度の運用、これが適正なものであるか、問題はないか、あるいは当該補助事業等が適正に行われているか、こういった観点から見まして、その制度、運営、仕組みに問題はないか、そういう観点で私ども畜産行政監察と取り組む、こういう予定でございます。
  215. 小川国彦

    小川(国)委員 質問終わりますが、今後全体的な面では総務庁の行政監察局の中でひとつお願いをしたいと思いますし、個々の問題では会計検査院の御答弁ありましたように、会計検査院検査の結果を待ちたいと思います。  終わります。
  216. 野中英二

    野中委員長 草川昭三君。
  217. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  まず最初に、農業協同組合に対する行政監察の総務庁のその後の経過をお伺いをしたいわけです。  それで、前の大臣から大変強い指摘があったようでございますけれども全国の二十六都道府県の約百二十組織を対象に農協の監察をする、こういうことが言われていたわけでありまして、当初三月じゅうにはこの発表ができるのではないだろうか、こういうお話がございました。実は、私は、二月二十七日の予算委員会でいつ発表ができますか、こういう御質問をいたしたわけでありますが、そのときに山本政府委員の方からも「できるだけ速やかに農水省に対してこの勧告を出したい、」こういう答弁もいただいておるわけでありますけれども、その後の経過あるいは問題点はどこにあるのか、お伺いをしたいと思います。.
  218. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 御指摘の農協監察の進捗状況でございますが、ただいま先生お話がございましたように、私ども、昨年以来二十六の都道府県におきまして県あるいは市町村、ただいまお話がございましたように百二十の総合農協とさらに約百二十余りの県連と、合計二百数十の農業団体、これの現地調査をいたしました。その後、中央段階におきましての調査を行いますとともに、これら団体の調査結果の分析等のまとめを行ってきたわけでございます。現在、率直に申しまして約千ページぐらいになるわけでございますが、これにつきまして私ども、農水省との間で事実確認作業をやっております。農水省の方でも積極的に対応をしていただいておりまして、この事実確認作業はかなり進捗しておるわけでございますが、この事務的作業が終了し次第、私どもといたしましては総務庁としての必要な改善意見を取りまとめまして、速やかに勧告を行いたい。  したがいまして、先ほども申し上げましたようにそれほど遠いということではございません。かなり取りまとめが進んでおりますので、ただ、現段階で何月と申し上げる段階ではございませんが、いずれにいたしましても速やかに取りまとめて勧告を行いたい、このような段階でございます。
  219. 草川昭三

    ○草川委員 行政監察局の従来の行政監察の取りまとめの段階で、それぞれの省と打ち合わせというのですか、事務的なすり合わせをする、これは勧告をするためには若干あると思うのですね、影響力があるわけですから。しかし、それは余りにも長期過ぎるのではないだろうか。そんな農協の監察をおやりになったのかどうか。私は、今のおたくの能力からいったらとっくの昔にもう案文はできておる、ただ、それを発表すると非常に政治的な影響力が強いという今の国際情勢がある、特に、牛肉、オレンジ等、自由化をめぐる日米交渉、農産物価格制度、いろいろな問題が今出ておりますから、それがまずいから遠慮しておるのではないかと世上言われておるわけですが、この点はどうお考えになられますか。
  220. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 ただいまの点でございますが、先ほど申し上げましたように、私どもは二百数十団体の調査結果を取りまとめまして、そして、相当膨大でございますので現在農水省と事実確認作業に入っておるわけでございまして、これは全体として千ページにわたる実態の内容でございます。私ども行政監察をやります場合は、あくまで実態と問題点というものは関係省庁と十分すり合わせるわけでございます。すり合わせにつきましては、それほど長期間になっておるわけではございません。私ども自体の取りまとめというものが相当時間がかかったということでございます。  それから同時に、私どもは農協以外にも、例えば農林担当の監察官がおりますが、このわずかな監察官室におきまして、先ほど勧告いたしました食管監察、そしてまたただいまは稲作の生産行政監察、こういったことも並行的にやっておるわけでございます。したがいまして、それぞれ担当の部屋におきましては精いっぱいの集計努力を日夜やっておるわけでございます。その結果に基づきまして、農水省とただいますり合わせ、事実確認作業をやっておるわけでございます。決して、先ほど申し上げましたようにタイミングを調整しておる、こういう事実はございません。
  221. 草川昭三

    ○草川委員 もう二月の段階で一部の報道機関は勧告案の内容の大綱を発表しておりますね。それで私は、その報道を中心に二月の予算委員会質問をしたわけです。そのときに局長答弁は今のような強い答弁ではなかったですよ。もう少し軽いタッチで、少しおくれておるけれども近いうちには出るであろうというニュアンスだったのです。きょうのこの段階での御発言の方が非常に厳しく農水省とすり合わせをやっておるというように私は承るわけであります。その間に各新聞はそれぞれ、私が先ほど指摘したように、日米の農産物交渉の難しさ、そういうものと並行して行政監察の報告がおくれておると一斉に報道しておるわけです。  この点は長官どうでしょう。今の局長答弁は何回か聞いておりますから、繰り返しでございますから、そういう政治的な配慮があるのかないのか。僕は、あるならあるとおっしゃってもいいと思うのです。それはまさしく問題点でありますから、全体的に理解をしながら、そして本当に今後の、営農指導が不十分だというならば営農指導が十分なされるような二十一世紀へ向けての農業政策というものを打ち出していく、これが将来の方向だと思うのです。長官の答弁を求めたいと思います。
  222. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 一部マスコミに、何か日米交渉をにらみながらというような、タイミングを図っておるというような報道がなされたことは私も承知いたしておりますが、しかし今行政監察局長が申し上げましたように、農林水産省のサイドから何か延ばしてくれとかなんとかというような、そういったアプローチなどは全くございませんし、農林水産省も鋭意私どもの監察結果の取りまとめに積極的に協力しているというふうに報告を受けております。したがいまして、監察結果がまとまり次第発表できるものと考えております。
  223. 草川昭三

    ○草川委員 押し問答になりますからあれでございますが、私が二月の予算委員会質問したのは、農林省ということよりは実は全中の方々から、今伝えられる内容で発表されることは非常に困るという強い申し出があったというように聞いております。その後私が触れましたように各報道機関でも報道されておるような関係が出ておるのではないかということを繰り返し言っておるわけでございますが、私は行政監察のあるべき姿は、詰められるという政治的な配慮も考えられてはいいのですが、しかし一定の、もう新聞報道で大綱が漏れるような段階では堂々と発表された方が本来の行政監察の姿勢、我々からの信頼がおける姿勢になるのではないか、こういうことを強く発言をいたしまして、次の方に移っていきたいと思います。  実は、一昨日のこの決算委員会でも警察庁に交通事故対策について質問をいたしました。きょうは総務庁に対しまして交通安全対策の取りまとめの立場から質問したいと思うのです。  最近、交通事故の死亡者が非常にふえておることはもう数字で申し上げるまでもございません。ちなみに六十二年では九千三百四十七の犠牲者を出しているわけであります。何とか八千人以下に交通事故死亡者を抑えたいという目標設定を大きく上回っておるということも事実であります。中でも問題は、二輪車の免許取得一年以内の方々に事故が非常に多いということに私ども実は注目しているわけであります。自動二輪乗車中に亡くなった方々の指数、昭和五十四年を一〇〇といたしますと昭和六十二年は二〇四・一です、二倍ですね。自動車の乗車中の死者数というのは昭和五十四年を一〇〇とすると一〇六・五ですから、明らかにこの二倍という数字は大変多いわけであります。しかも、その中身は一年以内の方の事故が多いというわけであります。  私は基本的なスタンスとして、これを減らすには交通規制、行政の取り締まり、これがどうしても表へ出るわけでありますが、そうではなくて、交通安全教育の充実しかないということを繰り返し指摘しておるわけです。二輪車の死亡事故は、その半数以上が四輪車、いわゆる自動車ですね、乗用車、トラック等の接触によるものが多いわけでありまして、それゆえに安全教育は、実は二輪車側だけに危ないぞ、免許を持たすな、若い連中は段階別だ、こういうようなことではなくて、四輪ドライバーを含めた全体の者の中から安全教育というものをやっていただきたいと思うわけです。そういう立場から次の質問をしたいわけでありますけれども、免許取得後一年目の事故が多いというその原因は一体どこにあるのか、当局の見解を求めたいと思います。
  224. 山田晋作

    ○山田説明員 二輪というのは構造的にもそれから運転技術の面でも四輪とはやや違います。ふなれというのでしょうか、そういった面でやはり事故が多いのではないか、こういうふうに思います。経験不足というのでしょうか、慣熟性の不足とか経験不足とかいうようなこともいいますけれども、やはり免許を取ってわずかな期間ですとそういった面で事故が多いのではないか、こういうふうに思います。
  225. 草川昭三

    ○草川委員 それで、警察庁はたしか五十七年か五十八年だと思いますけれども、二輪車に対しては段階別の免許を取るように、小型二輪からいきなさい、こういう指導をしたのではないかと思うのでございますが、この考え方について警察庁は今後どういう態度をとられるのか、お伺いしたいと思います。
  226. 滝藤浩二

    滝藤説明員 先生御指摘のとおり五十七年度から口頭で各県にそのような指導をいたしたことございます。現在も私ども段階的に安全サイドの考え方から、特に十六歳、十七歳前後の若い方々については小型から免許を受けていただいて、徐々に大きな方へと移っていただきたいというようには考えておりまして、そのような形で今後とも指導をさせていただきたいと思っております。
  227. 草川昭三

    ○草川委員 先ほど交通企画課長だったですか、やはり一年以内に事故が非常に多い、これはやはりふなれだとかなれていないとか、そういうことからだというふうにおっしゃったわけです。そこで私がお伺いをしたいのは、問題は、いろいろなデータが出ておるわけでありますけれども、小型であろうとあるいは百二十五であろうと段階別に幾ら差別をつけても、中型なら中型、中型という言葉はちょっとあれでございますが、わかりやすく言うならばナナハン以上は大型だ。こういうふうに私がわかりやすく説明をするとするならば、小型であろうと中型であろうと大きい自動二輪であろうと、最初に乗ったときにはふなれですからやはり事故が多い。それはたまたま数字で出ておりますけれども、私、今自動二輪の乗車中の死者数を一〇〇対二〇四・一だということを申し上げましたが、原付自転車の場合でも、昭和五十四年を一〇〇といたしますと昭和六十二年は一一〇・九というようにふえておるわけです。だから、小型から免許証を取りなさいよ、こう言っても小型でも一年以内の事故率は非常に高いわけです。  だから私は、事故をなくするには、原付からか自動二輪からだというように段階別に幾ら分けても、それは余り意味がないことだということをここで議論したいわけですよ。ところが警察庁の方は、事故をなくするには年齢別にまず小型から行きなさいよ。そしてそこでならし運転というのですか、体をならしておいて上に行きなさいというのだが、上に行っても今言ったように自動二輪の乗車中の死者数というのは二倍にもふえているし、事故の大半というのは実はほとんど一年以内にしている、こういうことを申し上げておるのですが、この点は、交通企画課長答弁になるのか、運転免許の方になるのかどちらか知りませんが、お答え願いたいと思います。
  228. 滝藤浩二

    滝藤説明員 先生御指摘の点につきまして私どもの資料の一部で見ますと、年齢別、車種別、走行距離当たりの事故車率、第一当事者、第二当事者、入っているわけでございますが、十六歳から七歳について死亡事故を見ましても、小型車と中型車における事故車率で申しますと二倍半近くの差が出ておりまして、先生御指摘の点当然あると思いますが、と同時に、小型の方がより死亡事故が少ないような感じも私ども持っているわけでございますし、小型から経験を積んでいただいて、そしてまた再教育の機会を積んで大型へ、大きな方へと行っていただいた方がより安全マインドと申しましょうか、事故に対する関心と申しましょうか、そういうものを積んでいただく上でもよろしいのではないかというような形で指導をさせていただいているわけでございます。
  229. 草川昭三

    ○草川委員 私が先ほど申し上げましたのは、原付自転車の死者数は昭和六十二年は八百七十七、これに比べて自動二輪の乗車中の死者数は千五百二十七ですから、自動二輪上の大型の車の方が絶対数が多いことは事実ですよ。それは私、百も承知なんです。だけれども、その絶対数ではなくて、例えば原付自転車、一番軽い車でも事故率というのは免許取得後一年以内ですよ。だから初心者に非常に多いので、そういう方々にどういう教育をするかという議論をぜひ行いたいと思う、こういうことを私は言っておるわけであります。  それで、二輪車教育というのは今まで交通安全特別委員会等においても余り議論をしていなかったのではないかと私思うのです。もししたとするならば、それは危ないということだけの議論ですね。学校の先生なんかとお話ししても、もうとにかく子供にオートバイを持たせるな。だから三ない運動のように、とにかく免許証を取らせるな、持たすな、そして乗らせるな、こういう教育で上から締めつけてくるわけです。若い人はそれなりにメカというものに対する関心もあるだろう、スピードに対する関心もあるだろう。ところが親も持っちゃいけない、学校の先生も持っちゃいけないということで抑え込んでくる。そういうものに対する反発が強い。だから、そうではなくて思い切ってきちっとした訓練所で、教育ができるところで本来のあるべき二輪車の教育ということを若い方々に提供する、これが必要だと私は思うわけです。  特に最近問題になっておりますのは、いわゆる二人乗りの問題です。そこで警察庁にお伺いしますが、自動二輪車の初心者、いわゆる初めて免許を取った方々ですね、初心運転者の二人乗りは禁止をしているわけでありますが、これはたしか免許取得後一年以内だと思いますが、なぜ二人乗りを禁止しているのか、その理由を明らかにしていただきたい、こう思います。
  230. 山田晋作

    ○山田説明員 今お話しのございましたように自動二輪車の二人乗りは禁止されてございますが、これを一人乗りと比較した場合には、二人乗りの場合は致死率が二倍強というぐあいに危険を伴う乗車方法でありますし、また二人乗り運転中の死亡事故の七割以上が運転免許一年以内のいわゆる初心運転者により起こされているといったようなことから、六十年七月の道路交通法の改正によりましてこのような措置が講じられたものでございます。
  231. 草川昭三

    ○草川委員 そこで私はお伺いしたいわけですが、今お話がありましたように一年以内は七一・三%の死亡事故率です。じゃ二年以内ならどうかというと、やはりここでも一五・二%の死亡事故があるわけです。ですから私は、二輪車の二人乗りというのはやめるならやめるできちっとしなければいけない。やらせるならやらせるでどこかできちっとした教育をしなければいけない。ところが、二輪車の二人乗りの教育というのは実技でどこかで教えているところがありますか、日本の指定自動車教習所において。
  232. 山田晋作

    ○山田説明員 ございません。
  233. 草川昭三

    ○草川委員 今ないわけですよ、教習所で二人乗りというのは。ところが、それでは一年たったらこの二人乗りができるかというと、今言いましたようにやはり一五%ぐらいの事故率はあるわけです。問題は、一人乗りと二人乗りとは運転の感覚が違うわけです。これは重心の置き方が違います。後ろから乗る人の重心がどこにあるかによって運転感覚というのは物すごく違うわけです。だから、せめて全国の自動車の教習所あるいは安全講習をするところで二人乗りと一人乗りの感覚が違うということを教えないと、二人乗りは危ない危ないというだけではだめだと私は思うのです。やはり教育の場が必要だというのがここで一つ証明できると私は思うのでございますが、また事故防止のためにそういう教育体系というものが必要だと思うのですが、その点はどのようにお考えになられますか。
  234. 山田晋作

    ○山田説明員 二輪車の二人乗りにつきまして実際に教えるといたしますれば、例えば二輪車安全運転推進委員会というのが各県にございますけれども、そういったところで行うとか、あるいは自動二輪車の安全運転講習を行うとすれば教習所でやるというようなこともございますけれども、これも希望者に対して行うというぐらいのことでございまして、現在の体制上の問題もございますので、これは慎重に検討させていただきたいと思うわけでございます。
  235. 草川昭三

    ○草川委員 問題は、その体制の問題ということに私非常に気がつくわけでありますけれども、そういう体制がない、先生もいない、そしてしかし二輪車はふえる、こういう状況では抜本的な事故対策というのが行われないのではないかと私は思うわけであります。  そこで、さらに一歩突き進みまして、実際どういう二輪車の事故が多いかといいますと、私どもの体験上では、私もドライバー、車が好きですからいろいろと運転するのでございますけれども、私が車を運転して交差点で右折をします。交差点で右折をする場合に、向こうから直進のオートバイが来たとします、二輸車が。そうすると、私どもドライバーの目では自動二輪が非常に遠くに見えるのです。例えばこれがトラックだとか乗用車だと、割と距離と自動車の位置というのがわかりやすいのです。ですから、私が交差点で右折をしようと思って信号を出して待っていますと、向こうが、直進が全部通り過ぎて右折をするということになりますが、オートバイだとかなり遠いと思って、私がまだいいと思って横切るとしますと、案外オートバイのスピードが早くて、オートバイが目の前に、近くに来ておってぶつかるという例が、実は私どもが調べた中では非常に多いと言われているわけであります。  ではこれは学校の中で、私どもがもし自動車学校の教習所へ行って右折なり左折なりの練習をする場合に、オートバイのスピードというものの感覚をドライバーに教え込まなければいけないわけですね。しかし、教え込むというそういう教育が実は今の自動車教習所にはないわけですよ。本当は一回やってみればいいですね、オートバイに乗ってみて。ああこういうものか、これは危ないから右折のときには完全に直進車をやり過ごしておいて、右折の矢印が出たら行くとか、きちっとそういう教育体系というものをつくる、あるいは学校におけるシミュレーションでそういうようなさまざまな、いろいろな条件を教えて、そして二輪車の事故防止ということを図らなければいかぬと思うのです。  私も地元が名古屋でありますから、東名高速に乗って時々車で帰ることがあります。そうすると、前にトラックだとかあるいは乗用車がいますと、車間距離を守れという指導がありますから、我々も車間距離というのを非常にたくさんとって、急ブレーキが、前の車が急にとまっても追突をしないように間隔を持ちますけれども、前にもし自動二輪がおりますと、トラックあるいは乗用車ほど自動二輪と自分の車の間隔を持たないのですね。割と近いわけですよ。それはどういうことか知りませんけれども、私だけの感覚か知りませんけれども、自動二輪は何となく近くにおってもそういう錯覚があるわけです。  こういう点は科学的に――これは私だけの経験ではありません、ほかの人にも聞いてみると。もし自動二輪がスリップして転倒したら、もう完全に後続車が自動二輪を踏み越えてしまうということになり、死亡事故にもつながるわけでありますから、こういう自動二輪と乗用車との関係はどうあるべきか、どういうモデルがあるのかというような教育というものを私はぜひ自動車学校で行うべきだと思うのです。  今の御答弁のように、安全推進委員会でひとつ任せようじゃないかとか、できたら学校でと。しかし、もう免許証取ったらなかなか来ませんから、体制の問題だというようなお話がありましたが、その体制の問題を早くつぶすことがこの九千三百四十七人を八千人の目標に、さらにそれを小さくしていくことになるのではないか。それを規制あるいは年齢別の段階、こういうことだけでは当面の糊塗策だけではないだろうかと思うのですが、どのようにお考えになられるのか、いま一度お答を願いたい、こう思います。
  236. 滝藤浩二

    滝藤説明員 先生御指摘のとおり、交通事故で亡くなられた方々のことを考えますと、今後の問題としまして教育が大変重要であるというように私どもも認識しておりまして、その面で初心者の教習と申しましょうか、教育を預かる自動車学校のウエートも高いものというように考えております。先ほど先生の方からもお話がございました、右折時の問題だとか二輪車の特性に伴う死亡事故の問題だとかシミュレーション等の御指摘もございました。例えばシミュレーション等につきましては、私どももその教育的効果は大変大きいというように考えておりまして、前向きに検討いたしているわけでございますが、真にシミュレートできるものにつきましていろいろ聞きますと、大変技術的な難しさがあるように聞いておりまして、直ちに導入は難しいだろうというように現在考えておりますが、将来的にはこういう方向でいくべきではなかろうかというようにも考えております。  御指摘のとおり、指定自動車教習所の教習の中で現在それはないわけでございますが、できるだけ一歩でも近づくようにということで、実際の道路の運転がどのような状態で行われ、どういう危険が待ち受けているのか、危険予知だとかその回避策だとか等につきましては、それに近い映画を映してその実感を少しでもとっていただくような努力もしているわけでございます。  十分ではございませんが、今後ともこの種の教育の充実を図ってまいりたいと思っております。
  237. 草川昭三

    ○草川委員 今申し上げましたように、二輪車だけの問題ではなくて四輪車の運転手に対しても二輪車の対応ということを教育する、こういうことが必要だと思いますし、今もいろいろと御答弁がありましたけれども段階免許の制度だけではこの二輪車の安全対策はできない。もっと抜本的な教育とその場所を提供することが必要だと私は思うのです。  それで、これは繰り返しの話になりますけれども、今お話を申し上げましたように、子供さんたちに三ない運動で若い人たちの関心を抑え込むとかあるいは免許年齢の引き上げをするとか段階別の免許制度だという形は、イソップ物語でいうところの、旅人のマントを脱がせるには北風を吹きつけるやり方だと思うのです。旅人のマントを脱がせるために寒い北風を幾ら吹きつけても、旅人はマントをますます抱え込んでしまう。それよりは暖かい太陽の光を当てることによって旅人は直ちにマントを脱ぐという、そういう安全教育なり交通行政をぜひやっていただきたいものだと私は思うわけであります。  この点について長官に、直接交通安全の総合対策をつかさどるところでございまして、事故が二輪車に多い。しかも一年以内の方々に多い。それに対して警察庁警察庁で大変熱心な一生懸命の取り組みをやっておみえになるわけであります。第一線の方々もそれなりの対応をしてみえますけれども、残念ながら今の若い人なんかのお話を聞いてみると、警察行政はどうしても取り締まり行政、こう受けとめる。事実二輪車に対する交通警察官の態度というのは非常に厳しいのですよ。私は別ににこにこして交通警察官が二輪車に対応しろなんということを言っているのではないけれども、やはり先入観があるのですね。おい、こういう感じです。やられた若い連中はやはり反発をする。これであっては真の交通行政にはならぬと私は思うので、特に最後の要望についていま一度警察庁とそれから総務庁の長官に御答弁を願いたい、こう思います。
  238. 山田晋作

    ○山田説明員 二輪車事故がふえておりますことにつきまして私ども大変苦慮しておるわけでございますが、そういった趣旨からいろいろな面で二輪車事故を減らすように努力はいたしております。もちろん関係機関、団体と協力の上ででございますけれども。私どものやりますことは街頭での指導だとか取り締まりだとか、さらに交通安全施設の整備だとか安全教育だとか、こういったことをやっておりますけれども、やはり二輪車というものを特に考えてみた場合には、マシンコントロールと同時にヒューマンコントロールというのでしょうか、運転する人の安全意識というものが最終的には大事になってまいります。  そういった意味で、最近では街頭での指導取り締まり、これはもちろん厳しくやってございますけれども、それと同時に安全教育、安全広報、いわゆる安全意識の啓発の方に大変力を入れているところでございます。
  239. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 ただいま二輪車の問題でいろいろと草川委員多年の御経験に基づく御意見を御開陳いただきまして、教えられるところが非常に多かったと感じております。私も実は免許を取りまして三十五年になりますし、今はこの立場ですから運転はしませんけれども、しょっちゅう運転しておりました。右折車と二輪車の関係などということについてはなるほどというふうに思いました。私は今まで車が左折するところへ直進車がぶつかるといいますか、そういうケースが多いんだと思っておりましたが、なるほど右折の場合にもそういうことはあるんだなということを教えられた次第であります。  免許を取って一年以内の二輪車に事故が多いというのは、やはり年齢層が非常に若い方が多い、その若い方はやっぱり免許を取るとついスピード感を満喫したいということで飛ばすことから事故の発生する率も多いんだろうと思います。したがいまして、教育の面で今お話のあったようなことについても教習所等を通じまして十分ひとつ配慮をしていくべきものであろうと思いますので、今後ともまた部内で検討させてまいりたい、このように思います。
  240. 草川昭三

    ○草川委員 それで、この件についての最後の質問質問というよりも要望ですが、長官、交差点等における二段階で停車をして弱い車を前に出すという、これは基本的な哲学というんですか、非常にいい指導方法だと思います。しかし、その二段階停車のところにオートバイを誘導する指導レーンというのは残念ながら非常に数が少ないわけで、昭和六十一年の末では全国でわずか四百を超した程度です。そういう意味ではこれも予算上の問題だとか道路のいろいろな条件がございますから一概に言えませんけれども、二輪車専用レーンあるいは原付専用レーン、今私が申し上げました二輪車の交差点における指導レーン、そういうものをぜひたくさんつくることができるように、総合的な交通体系の問題として公安委員会等においても取り上げていただきたいことを要望して、もう時間が残り少ないので次の問題に移りたいと思います。  そこで今度は総務庁にお伺いをしますが、行政情報システムということになるのでしょうか、個人情報保護法案というのがかねて来からいろいろと議論をされております。それで総務庁の方としてはかなりの内容をもうつくられまして、詰められまして、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案というものを最終案をつくられたというように聞いておりますが、これは今国会に提出ができるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  241. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 行政機関における個人情報、コンピューター処理されたものについての保護対策につきましては、ただいま鋭意所要の法律案の準備を進めておるところでございまして、かなりあらかたまとまってきたのではないかというふうに考えております。できれば連休前にも国会に提出させていただきたいということで最後の詰めを行っております。
  242. 草川昭三

    ○草川委員 残る日数はわずかでありますが、このまとめられた段階で今なお提出をされないということは、原案そのものの問題ではなくて、各省庁との調整の問題が残っておるのではないかと私は推察をいたします。そこで、これは将来のためにもぜひお伺いをしたいわけでありますが、各省庁は自分の持つデータでありますから、それを総合的にどのように利用されるかそれなりの抵抗もあるわけでありますが、どういう点が今調整上一番問題として残っておるのかお伺いをしたいと思います。
  243. 重富吉之助

    ○重富政府委員 お答え申し上げます。  現在主要な問題というのは三点ほどございまして、第一点は、先生御高承のとおり、今度の法律案は、各省庁が保有しております個人情報ファイルにつきまして、各行政機関の長から総務庁長官に対して事前通知していただく、一部事前通知の除外がございますが、そしてそれを公示する、公示する際も若干適用除外事項がございます、そして公示したファイルにつきまして原則として開示する、こういうことになっておるわけでございますが、それぞれの段階におきます適用除外の範囲をどうするかというのが一つ大きな問題でございます。  それから二番目の問題でございますが、例えば運転免許証とかパスポートとかそういうものが道路交通法とか旅券法等によって既に各人に交付されておるわけでございますけれども、それらはかなり個人情報を個人に開示しておるわけでございます。そういうものにつきましてそれらの法律、その根拠となる法律と今回の個人情報保護法案との調整をどうするか、もう既に他の法律で開示したものは開示しなくてもいいじゃないか、そこの調整をどうするかというのが一つ問題になっております。  それから第三点目は、新しく本法案によって開示請求権というのを認めたいと考えておるわけでございますが、その開示請求に当たって本人確認をどうするか、他人から開示請求されて万一見せたら大変でございますから、それからその手続をどうするか、それを開示する際の各省庁の体制をどうするか、そういうふうな問題がございます。  そういう問題について各省庁と鋭意詰めを行ってきておりますが、なお調整が完全に終了したという段階ではございませんが、ただいま長官からもお答え申し上げましたとおり、我々としては早急にその調整を終わってできるだけ早く国会に提出したい、こんなふうに考えております。
  244. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、この個人情報保護法案というのは我々も非常に重大な関心があるわけであります。我々個人の情報が知らない間にどこで利用されているのかわからないという問題もあります。現実の生活の中で全く知らないところからダイレクトメールが来る場合もあるわけでありますし、だれが私どものそういう住所を知っているのか、こんなことも一つございます。あるいはこれは私の最近の感想でございますが、実はそうではなくてもっと深刻な際限のないものがあるわけでございますので、ぜひ慎重な対応、そしてまた取り扱い、議論をしていただきたい。その上に立って国民の信頼ある法案になるよう期待をして終わりたい、こういうように思います。  以上です。
  245. 野中英二

    野中委員長 大矢卓史君。
  246. 大矢卓史

    ○大矢委員 長官には大変お疲れでございますが、おつき合い願いたいと思います。民社党の大矢卓史でございます。  まず、同和問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。私も、この問題につきましてはなかなか難しい問題がございまして、質問をさしていただきますにも十分でないところがございますけれども、特にこの問題につきましては大変御理解のある長官、また熱意を持ってこれに当たっていらっしゃるということをお聞きをいたしておりますので、この機会にお尋ねをいたしたいと思います。  地対財特法が昨年から、長い間の同和問題を解決していく中で新しい法律としてできました。ただ、ちょうどあの時期は国会が十二分な審議を尽くせないままで日切れ法案ということでこれが成立を見たように聞いておりますけれども、長官、これにつきまして基本的にどのようなお考えをお持ちか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  247. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 ただいま行っております法律につきましては、これは過去十八年間やってまいりました同和対策事業の成果というものを踏まえまして、今後あるべき姿について意見具申されました、その意見具申を踏まえて同和問題の抜本的な解決をできるだけ速やかにまとめ上げていこう、そしてこの法律が時限法として制定されておりますので、この法律がその期限が到来したときには一般事業としてその対策を進めるということをもっていわゆる差別感の解消ということに努めていくべきもの、こういうふうに考えておるところでございます。
  248. 大矢卓史

    ○大矢委員 この差別につきましては大変な歴史があるようであります。その歴史の中で、昭和四十年八月十一日に同和対策審議会の答申が、会長木村忠二郎さんから内閣総理大臣佐藤榮作さんあてに出されました。この答申に盛られておりますこと、本当に長い間の差別の歴史、そして、それを許さない、今後このようなことがあってはならぬということがすべて書かれておると思います。ただこの中では、任務ではないということで、同和地区の起源を学問的に究明することは答申の中には盛られておりませんけれども、やはりそういうものも含めて歴史をしっかりと身につけて、そして今あるべき同和問題差別をなくしていくためにどうすればいいんだということを一つ一つ解決していかなければ、時限立法とおっしゃいましたけれども、まだまだこれからも、五年、十年、二十年やそこいらでは解決していかない問題があろうかと私は思います。  まず、この審議会ではその定義がなされておりませんけれども、これらについてどのような御見解をお持ちでございますか。
  249. 紀嘉一郎

    ○紀政府委員 同対審答申以降の地域改善対策協議会等における意見具申等は、すべて同対審答申を踏まえて提言されているものでございまして、同対審答申の精神を継続して踏まえているものでございます。  ちなみに昭和六十一年地対協意見具申においては、同対審答申を受けて昭和四十四年に同対法が制定、施行されて以来十八年間にわたり地域改善対策が積極的に推進されてきたと同対審答申を評価するとともに、同対審答申では触れられていない新しい諸問題についても同和問題の解決のために提言されているものでございまして、現在の同和対策の基本的な考え方はそこにございます。
  250. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうことを聞いているのじゃないのですよ。起源説についてどういう定義をお持ちなのかということなんです。
  251. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 同和の人たちの起源の問題を先生から御質問いただきましたけれども、同対審の答申におきましても、同和の人々は本当の日本人であって日本人以外のものではあり得ないという御指摘をいただいております。
  252. 大矢卓史

    ○大矢委員 ここにありますように、人種的な起源説、宗教的な起源説、職業的な起源説、政治的な起源説というようなことがいろいろと言われておりますけれども、学問的に究明するところではないからこれは審議会の仕事でないのでやらないということを言っておる。そしてまた、新しくあなた方が調査をされました中に、それをどう思いますかということを調査しておる。どう思いますかということになったら、あなた方ではその起源説というものをはっきりつかんでいらっしゃらなければこういう設問ができないと思いますけれども、その点を私は聞いておるのであって、いかがでございますか。
  253. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 先生おっしゃいましたように、いろいろな起源説が学問上の論争という形ではあることは私たちは承知しておりますけれども、私たちが同和対策を進めていく上からは、本当の、真実の日本人という形ですべての施策を進めさせていただいているというのが実態でございます。  先生が、いわゆる調査の中で人々がどんな感じをお持ちになるかというか、そういった調査をする必要があるのでしょうかというふうな御質問だろうと思いますけれども、私たちも同和対策を進めていく上からは、やはり一般国民の方々の感じ方というものもある意味で心にとめながら啓発活動を進めていきたいというふうに考えたわけでございます。
  254. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういうことは聞いてないのです。ここであなた方は、同和地区の起源説というものをこの法律をつくる前に調査をしているのですね、設問しているのですよ。だったら、どういう答えが返ってきたらそれは正しいという判断のもとにこういう設問をしてアンケートをとられたのですか、調査をされたのですか、それを聞いているのです。その人間、当然日本人だ、そんなことは当たり前、ここに書いてあるし、当たり前のことなんです。そんなことをあなた方が言うこと自体がおかしいのじゃないですか。
  255. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 この調査の結果ではというか、学問的にもやはり政治起源説というものが正当だろうというふうに私たちも考えておりますし、一般の人々の感じ方もそういうことであるというふうに考えております。
  256. 大矢卓史

    ○大矢委員 この審議会としてははっきり答えを出しておらないのですけれども、それはどこかのところで、今おっしゃったように学問的にいろいろな起源説がある。しかし、今おっしゃったように政治的なものが正しいということなんですか。総務庁としてはそういう認識の上で今後いろいろなことをやっていこうということですか。
  257. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 総務庁を初めといたしまして関係各省庁におきまして同和対策を進めさせていただいているわけでございますけれども、すべて徳川時代以降の封建的な諸制度の中で形づくられてきたものという政治的な起源説の上に立って種々の施策を考えさせていただいているというのが実態でございます。
  258. 大矢卓史

    ○大矢委員 結婚に対する態度ということで調査をされておりますが、これはどのような結果で、どのような対策をされようといたしておられるのですか。
  259. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 結婚の問題につきましては、やはり一番、啓発活動を行っていく場合に私たちも重要な問題だというふうに考えておりまして、力を入れている問題でございます。ただ、まだまだ結婚の問題ですとか、それから就職の問題ですとか、こういった問題につきましては、完全に一〇〇%差別意識を解消するというところまでは参っていないというのが実情でございます。
  260. 大矢卓史

    ○大矢委員 いろんな地域の改善事業をされまして、改善された面もあろうかと思います。しかし、その反面、私は長い差別の歴史、百年にわたる差別の歴史と言われておりますけれども、これがやはり、せっかく地域の改善事業をしていただいても、それが本当に差別をなくすという気持ちからこの事業を行っていない、その行政の責任でもって私は大きな、一般的な人たちが言う逆差別というものを残していったと思います。逆差別をつくり出して、そして一般の人にまたそういうものを植えつけて、それがこれから先もっともっと長い差別につながっていく、そのことを私は非常に心配します。  我々は、この議会でいろんなことを質問をし、提言をしても、なかなか役所の人たちはそれをやろうとしない。長い差別の中で、あの人たちがどんなに要求をしても、それに耳を傾けなかった。それが、一つの法律を得て、ある程度行き過ぎの運動もあったと思います。しかし、そうしなければそれを聞かなかった行政に私は大きな責任があると思います。そして、それを一たん聞きますと、要求もしないことまでどんどんエスカレートしていく。そして、それがいつの間にか、ある一部の人からは逆差別と言われるような状態をつくり出している。私は、行政が本当の意味で差別をなくしていくために、本当の理解をしてこの差別をなくしていこうということでなければ、幾ら地域が改善されましても、今言う同和の方々に対する結婚を初め、差別感というものは一向に改善されない。これが今言われております五年かそこいらで改善されるはずがないわけであります。  私どもも、おやじからよく聞かされておりましたが、社会主義というものをもしやろうとしたら、私どもは資本主義の時代に教育を受けております。そして、できた子供が社会主義の世の中になって社会主義の教育を受け、そして、孫がその教育を受けて初めてその時代になっていく。それと同じように、私どもは差別を許す教育を受けてきたわけです。その私どもの子供が差別を許さない教育を受けて、そしてそこからできた子供が本当に差別のない世の中をつくっていく。私は常にどの場所へ出ましても言いますことは、非常にこれからも努力が要るし、これからも長い時間がかかると思います。しかし、それはまず全日本的な――一部関係のない地域もごさいます。その他の人たちがそれに対して無関心である、これも当然だろうと思います。しかし、少なくとも行政はそういうものを本当になくしていくという姿勢でなければいかぬ。何かいやいややっておるような形でやるから、そういうものは決して本当の解消につながっていかない。そしてそれが差別感をますます残していく。せっかくこれだけの費用を使いながら、私は非常に残念なことだと思います。  この後四年間でもって一般に移していくと言いますけれども、本当にこのことを解決していくためには、内容はまたみんなが相談をするといたしましても、やはり基本法というものをつくって、本当にそれらがなくなるまで私はこの行政を続けていくべきだと思いますけれども、長官、いかがでございましょう。
  261. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 過去十八年間の努力によりまして、委員、今、要望のないものまでやったという御趣旨の御発言もございましたけれども、何らかの形でそれぞれの地方自治体なり何なりが地域住民の要望を踏まえて対処してこられたものだと私は思いますけれども、居住環境等についてはかなり改善が進んだのではないかというふうに考えておりますし、また、最近の日本の社会そのものが本当に民主的な社会としてすべての面で機能しておりますので、したがって、十八年前と今日とでは随分変わったのではないかというのを意見具申は基本的に踏まえて答申をしておられるわけであります。  その答申を受けまして、これからはやはり一番肝心なのは心理的な差別、これを何としても広く国民皆さんから解消していただくべく努力していくことが一番肝心なことではないかというスタンスで私ども取り組んでおりますので、したがって、この法律の期限が来ました場合には、後はそうした何かをやるということについては一般的な事業の中で配慮をいたしまして、心理的差別の解消ということについては、これはまさにまだまだ五年で終わりというものではない、当然終わりではないわけでありますから、ずっと引き続き努力をしていくということではなかろうかと思っております。
  262. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういう実例がないと言うなら私申し上げますけれども、例えばこれは私の校下でありますけれども、そこは同和推進校で、従来、これだけの生徒がおるからこれだけの建物を建てていくということでかかっておられた。ところが、学区の編制がございまして、違う学校へ大分行かれたわけであります。そういう中で、当然、生徒が減りましたら教室が減っていくというのが当たり前なんです。ところが、依然として同じようなことをやっていく。そうなりますと、あそこだけが何であんないい学校が建つんだということになってくる。それを逆に運動体の人たちに指摘をされて、なぜ生徒が減ったら減ったような建て方をしないんだと言われて、これを減らしたということがございます。そういうことをするとどういうぐあいにまた人に思われるか。そういうことをやらないで――極論すれば、うるさいからやるんだというようなつもりで、何でもやっておけばいいんだという態度でおるから私はそのようなことを申し上げたのです。そのようなことがあるということを、長官は、何か私が言葉のしりで言っておるような、そんなことをおっしゃいますけれども、現実にあったから私は言っておるのです。それは運動体の方が逆にそれを修正させて教室を縮めていったという実例がある。だから私は、もっともっと温かい、血の通った行政をしてもらいたい、そういうことを申しておる。  そういうことで、今後もこの問題については、非常に御理解ある長官と思いますので、私は、五年やそこらでこれは解決すると思いませんし、今申しましたように基本法、長官のいらっしゃるときに、五年先やっていただけるかどうかわかりませんけれども、やはりそういう温かい気持ちでこの行く末を見守っていただきたいということをお願いをいたしておきます。  時間がございませんので、行政監察のことにつきましてお尋ねをいたしたいと思います。  これは特殊法人に関する調査でございます。行政監察局、各般にわたって調査をしていらっしゃるわけであります。会計のお金の流れにつきましては会計検査院の方で指摘をされます。そして、私どもが常に決算委員会のところで申し上げておりますのは、そのお金がそのように使われましても果たして経済効果があるのか、これでいいのかということを指摘しながら進めていっております。そこで、それをお金だけではなしに、行政全般の立場から果たしてこれがいいのかどうかということで大変監察局は御苦労願っておると思いますが、その中でいろいろな特殊法人の調査をしていらっしゃいます。私、全部が全部、実情はわかりませんけれども、この中での国立劇場のことにつきましてお尋ねをいたしたいと思います。  私は決して日本の文化、国立劇場等の予算が少なくなったらいいという立場で申し上げておるのではございませんけれども、果たして使われておるお金が、運営されておることが現状でいいのであるかどうか、そのことも総務庁の方で突っ込んで調査をしていらっしゃると思いますので、お答えを願いたいと思います。
  263. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 ただいま御指摘の国立劇場に関する行政監察ということでございますが、これは先生御案内のとおり臨調、行革審が特殊法人の共通活性化方策ということで指摘をいたしまして、それの具体化ということを行政監察局で逐一進めてきておる、こういうことでございます。  これまで会計処理基準の統一、こういうことで全特殊法人を通じて具体策を勧告いたしまして、財政審でこれを受けて、それに従って各省庁で特殊法人については行われる、こういうふうになりました。  続きまして、ただいま御指摘の特殊法人の中期事業計画、これを策定して行うべきだ、こういう臨調、行革審の指摘に従いまして、私ども、国立劇場を含みまする十九の特殊法人につきまして、現在事業計画につきましてどのような実態になっているか、こういう実情を調べまして、そしてそれをつくっておる五つ、国立劇場はそれをつくっておる例でございますが、いわば比較的推奨に値する例として国立劇場ということでございますが、そのほか民間の事例も調査いたしまして、そしてこの臨調答申を受けて、中期の事業計画はこのような一つの形でつくるのが望ましい、そういうふうな案を各省庁とも御相談いたしまして、そしてそれにのっとって関係特殊法人がそういった中期事業計画をつくるようにという勧告をいたしました。各省庁において現在それが行われておる、こういうことであります。その事例としての国立劇場につきまして、どのような中期的な事業計画をつくっておるかという実態が報告書の中に書いてある、こういうことであろうかと思っております。
  264. 大矢卓史

    ○大矢委員 私の記憶いたしておりますところによりますと、国立劇場が使っておる予算は四十五億円だと思います。その中の五億円が、何か第二ですか第三ですかの国立劇場の敷地代だということでありますから、四十億円が国立劇場の費用として出ておるようであります。この採算を見てみますと、十五億円の入場料を徴収いたしますのに仕込みが十五億円で、端数を入れますと三千八百七十四万五千円が六十一年は黒字になりましたということでございますけれども、こういうことを出されて、以前はずっと赤字続きであったものが黒字になりましたということを書いていらっしゃいます。しかし、この国立劇場の大劇場または小劇場そして演芸場、大阪の文楽、それらの数字を見ましても、果たしてこれが当初考えられておりましたように完全に機能しておるのかどうか。私は決して機能しておるように思わないわけであります。  演芸場にいたしましても年間で二万六千二百二十三人ということであります。そうなりますと、あそこのキャパが四百人でございますか何人でございますか、そして年じゅうやっておらないわけでありますけれども、民間の方が借りるということになりますとなかなか難しいようだ。その民間の有料の公開録音をやりますときだけが満員だ、そのほかはがらすきなんだ、そういう運営をしていらっしゃるようであります。  また、文楽につきましても、大阪の文楽のために建てました劇場と言われますけれども、それは決して文楽だけのために建てたのではなくして、大阪に国立劇場という、やはりそれにふさわしい、貸し小屋も含めての劇場だということで建てた。しかしながらその運営が必ずしもよくなかったということで、過般汚職事件等も起こしました。しかし、その体質が果たして直っておるのかどうかということになりますと、甚だ疑問だと私は思います。  それらも含めて、このようなただ一片の計画書だけでこれでいいのだということになるのかどうか、今後ともこのあり方についてもっともっとメスを入れてもらいたい。そして本当に生きた金を使って、劇場を生きたように国民のために使っていただきたい。そうでなければこれからつくる劇場自身も、一部言われておりますように、もう東京では要らないのじゃないか、地方へつくったらどうなんだということが言われている、そういうことも含めて、私はもっと真剣にこれを考えていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  265. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 先生の御指摘の趣旨がただいまよくわかった次第でございます。  御指摘の国立劇場の関係の監察でございますが、先ほど申し上げましたように、あくまで臨調答申が言っておりますこの中期事業計画というものを全特殊法人がつくる、その場合にどのような計画をつくったらいいのであるか。そういったことで、実態を調べつつ、そのあり方を示し、それにのっとってつくっていただくように勧告を申し上げた。そして、つくっている事例といたしまして国立劇場の事例も報告書の中に書いてあるわけでございます。しかし同時に、ただいま先生御指摘のように、この報告書の百五ページをごらんいただきますと、その計画が必ずしも十分とは言えない。今御指摘がございましたように、やはりその計画にも不十分な点がある。「計画期間内に達成すべき具体的目標を設定すべきであると認められるにもかかわらず、これを設定していない」、こういうことで国立劇場を一つの例に挙げております。単に重点目標とか重点課題とか具体的施策、そういうことだけではなしに、やはりただいまおっしゃいましたように、観客が一体どれだけ動員できるか、そういった具体的な目標なり内容も含めてつくらなければ十分ではない。そういった幾つかの問題点もあわせて指摘いたしております。  それから、もう一点でございますが、十七ページの国立劇場の十五億円の収入との対比においてわずかに黒字がふえたと言っておるではないか、こういうことでございますが、確かに御指摘のように国立劇場というものを全体として見ました場合、この事業といいますのは、やはり非常に公共性のある、いわば古典的な我が国の伝統的な文化を維持発展させるということでの補助対象事業というものがございます。これは御案内のとおり、例えば六十年度ベースでは三十八億ございます。これはここには載っておらないわけでございます。そして、採算ベースで行うべき補助対象外事業として二十三億円という事業のものがございます。そして、そのうち自主公演事業で収支をとる、こういうふうなことでございますので、自主公演事業におきまする収支の状況ということに限ってみますれば十五億円とんとんで、六十一年度においては若干の黒字に転じた、こういう数字を事実として示しているだけでございまして、これをもって直ちに評価をいたしておるというわけでもございません。また、その差額というものは、貸しホールの収入あるいはパンフレットの売却収入とかそんなことで補助対象外事業は対応しておるわけでございます。そういうことで先生の御質問お答えしたいと思います。
  266. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が来ましたので余り申し上げませんけれども、この国立劇場がやることに「伝統芸能の正しい継承とその発展」ということで歌舞伎の公演ということがございますけれども、これは松竹さんの持ち物であります。松竹さん一社が独占している持ち物をやって、松竹さんも松竹さんで公演をしていらっしゃるわけであります。それだけを頼りにして、伝統芸能の継承だからといってこれを公演していく、自主公演だということでやっていきますと、これは決していい結果が生まれてこない。もっとほかのことについてもやっていき、そして本当にこれ以外に、そのために全体で四十五億という予算を組んでおるわけでありますから、マイナス面があってもいいと私は思いますけれども、なるほどなと言われるような形で、結果的にそれだけの費用が要ったというならいいですけれども、そうでなしに、親方日の丸的なやり方でやっておって、その結果がそれだけの金をどこかわからぬけれども食ってしまった。今貸しホールがもうかっていると言いますけれども、そのもうかっている陰にどれだけえげつないことをしているかということも私知っております。だから大阪で問題が起きたのです。それが完全に直っているかというと、ますます悪くなっております。そういうことも含めて、これは全体を見た中での一つのおたくの仕事で、大変なお仕事だと思います。しかし、それをもっともっとこれから充実していただいて本来のお仕事が完遂されるように、先ほどのことも踏まえて決意のほどを最後に長官にお聞きいたして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  267. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 国立劇場のことにつきましては文部省の方で対応しておられると思いますが、委員の御趣旨を踏まえてやっていただくようにいたしたいと存じます。
  268. 野中英二

    野中委員長 野間友一君。
  269. 野間友一

    ○野間委員 最初にお聞きしたいのは、自動車の登録をめぐる諸問題、特に自動車販売業者いわゆるディーラーの悪徳商法、これらをめぐる問題についてお伺いしたいと思います。  行監局が六十一年六月に「自動車の検査・登録及び整備事業に関する行政監察結果に基づく勧告」を出されまして、それに基づいて各所管庁の回答も出ておりまして、私もそれを拝見しました。大変努力をされておることはわかるわけですけれども、大変大事な点が欠落していやせぬかということであります。  つまり、今の自動車の登録をめぐる運用あるいは運営の面ではディーラーが中心ということになっております。ところが、本来固有の権利というのはまさしくユーザーにあるわけですね。私も商工委員会の中でもかつてやりましたし、六十年六月二十五日付で質問主意書を出しまして、七月十二日に回答が返ってきております。私たちは大変大問題にしたわけです。その理由は、登録事務を代行する販売業者の多くが自動車の購入者から納付義務がない自動車重量税とか自動車税あるいは自賠責保険料を詐取する。また実際に納付する額の数倍から数十倍の自動車取得税を徴収する。さらに、頼みもしないのに下取り査定料を徴収する。そしてユーザーが店頭に取りに行っているのに納車費用を取る。あるいは公定料金の数十倍に上る登録諸費用を徴収する。こういう悪らつなことが公然とずっと行われてきたわけです。そこで私ども共産党は大変問題にしたわけです。政府も私ども質問主意書に対しまして、詐欺、横領の成否が問題になるとかあるいは民法上の不法行為が生ずる場合が多いとか、改善指導を約束しました。そしてその後、運輸省あるいは通産省が連名の通達を関係業界あてに出しております。この業界の調査もそういう一連の事実を踏まえた上でやられたと思いますが、残念ながら今申し上げた大事な点が欠落していると思うわけであります。  まず初めに局長に、こういう事態について一体調査されたのかどうか、どう見ておるのか、この点について見解を承りたいと思います。
  270. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 御指摘の「自動車の検査・登録及び整備事業に関する行政監察」でございますが、これは自動車の検査、登録及び整備事業に関します行政の制度及び運営の実態につきまして調査を行いまして、御指摘のように昭和六十一年六月に運輸省等に対しまして勧告を行ったものでございます。勧告の骨子といたしましては、もう御案内のとおりでございますが、自動車の検査の民間能力の活用あるいは自動車登録手続の簡素化また検査登録体制の合理化等々でございます。  ただいまの御指摘のディーラーがユーザーから受け取っている検査、登録手数料は、法定費用のほかに当該手続を行うに当たってディーラー等が必要な人件費あるいは交通費等を含む諸費用、これも二つに分かれると思うのでございますが、運輸省や通産省が事実上指導の面から通達を出しておられることは私たち承知をいたしておりますが、そういったただいまの二つに分かれるうちの後者の諸費用につきましては、基本的には売買の当事者の契約による民事上の問題であると私ども考えるわけでございます。したがいまして、その額は業界自身が社会通念上妥当と考えられる額を徴する、こういうふうに業界自身が努めるべきだと思います。  したがいまして、この適正化につきましては通産あるいは運輸両省が事実上この問題に対して指導の通達を出しておられますので、私どもはそういう民事上の問題につきましてはその指導の状況というものを見守っていくという対応でございます。
  271. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので、簡潔に聞いたことだけに答えてください。  私は根源のことについて聞いたわけですけれども、結局これはユーザー中心の運輸行政になっていない、ここにメスを入れなければならぬということを申し上げたいわけで、決して民事上の云々ということで矮小化することは許されないと思うわけであります。  具体的な事例について若干申し上げたいと思いますので、これは正式に資料として出すわけじゃありませんけれども、参考までに関係者にごらんいただきたいと思います。これはおわかりのとおりで、全部一覧表にしておりますけれども、既に原本も運輸省に渡しております。  神奈川トヨタの場合、これは八五年十二月にOというユーザーに中古車のカリーナを販売した際、ユーザーに納付義務がない自動車税九千八百七十円、納車費用九千三百円、査定料五千五百円などを徴収し、四万五千円でいい自動車取得税を十万二千五百五十円も徴収、この不当あるいは不法な徴収でユーザーの被害は十万五千九百二十円にも上っている。これが一つの事例ですね。時間がありませんから、あと日産プリンス多摩販売あるいは岐阜のオートパルコ、その他幾つか挙げておりますけれども、いずれもこういう悪らつな商法の被害者でありまして、ここに挙げましたのは氷山の一角なんですよね。これは通達を出しまして、運輸省はこれで責めを免れたと考えたらとんでもないことでありまして、こういう商法が今なお堂々とまかり通っておる、通達後も依然としてこれは後を絶っていない、こういう事態であります。運輸省はこういう事態をこのまま放置するのかどうか明らかにしていただきたいと思います。
  272. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の件でございますが、ただいま先生お話しございましたように、私どもといたしましては六十年の九月十八日付でもちまして通産省と私ども連名でもちまして自動車の流通に対する消費者の不信を招くことのないように、この諸手数料の問題につきまして具体的な対応策について鋭意指導をしてきておるところでございます。それで、御指摘のように依然としてなくなっていないではないか、こういう御指摘でございますが、これにつきましては先般別途具体的な事例も提示していただいております。そういうケースにつきまして、自動車販売連合会、中古車販売連合会、そういう傘下会員にかかわる事案につきまして、現在これらの両団体を通じまして事情聴取などを行いまして、適正な諸費用の収受について指導を進めておるところでございまして、決して放置しているということではございません。
  273. 野間友一

    ○野間委員 登録の諸費用の問題ですが、この徴収についてももうむちゃくちゃであり、自動車の登録に必要な法定費用というのは九百円と手数料が五百円合計千四百円というふうに私は承知しております。行政書士の方に依頼した場合でも五千円から一万円、これは車庫証明も含めてそれで全部やっていただくわけですね。ところが、この諸費用についても今参考までにお配りしたその資料の後半、資料(2)のところにも書いてありますように、全く法外ですよね。法定費用の数十倍、行政書士料の数倍もの登録諸費用を徴収して登録代行がされておる、常態化しておるわけですね。ユーザーには何の説明もしない、明細も示さずにこういうものを徴収するというのが非常に多いわけであります。全部のディーラーがそうだというふうに私は言わぬわけですけれども、こういうのは非常に多いわけですね。これについて運輸省、これらについてもやはりきちっと指導してきたのかどうか、これも資料を差し上げておりますから、これ後をずっと絶っておりませんよね、お答えいただきたいと思います。
  274. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  登録、納車等に伴う諸費用でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げました通達の中におきまして具体的に指示をいたしております。実際のかかる経費につきましては、ユーザーの方にその内容を親切丁寧に事前に説明するということ、またこの費用につきましては法定費用並びに人件費交通費などで当該業務の実施のために必要な直接経費、ただし、検査登録申請書類、車庫証明申請書の作成などは除きますが、直接経費に限ることといたしまして、その額は各者の実態に即しまして合理的に算定されたものであること、こういう指導をいたしておるわけでございます。それで、先ほども申しましたが、この内容につきましてはあくまでもユーザーの方に誤解や不信を招くことのないよう懇切かつ誠実に対応するよう指導を続けておるところでございます。
  275. 野間友一

    ○野間委員 指導しておると言われますけれども、これ何回やっても変わらないわけですよ。だからこそこの点についての、運輸行政の根本的な点についてメスを入れて改善しなければならぬ、こういうことになるわけです。  資料(2)のところもごらんいただいたらわかりますけれども、トヨタオート京都の場合、登録諸費用一万九千円です。トヨタ東京オートこれは一万四千五百円東京トヨペットの場合には三万七千七百円で、もうむちゃくちゃですよね。だから行政書士さんに頼むよりも――私はこれは行政書士法違反の疑いも随分あると思うのですがね。法外なものを取りながらしかも実際にはこれはユーザーに明らかにしない。依然としてこれは後を絶っていないわけですね。ですから今、こういう販売業者のこういう悪徳商法に対しまして各地で返還請求あるいは告訴、告発が続発をしておるわけです。我々がずっといろいろ調べたところによりますと、ユーザーの被害は、我々が知った範囲でも一兆円以上を超える、こういうふうに推定をしておるわけであります。  ですから私は、何も販売業者に頼んでいろいろな手続をしてもらう、こういうことを全く否定するわけではありません。しかし少なくともこういう時勢ですから、特にユーザー本位な運輸行政をやらなければならないというのはこれは当然だと思うのです。法もそのとおりであります。ですから私たちはユーザー登録制度の確立を今までつとに言ってきたわけであります。日本自動車ユーザーユニオンあるいは日本消費者連盟、こういう消費者団体も運輸大臣あてに実はきょう請願書を出されたようであります。その中身は、ユーザー自身による登録、検査を原則とした道路運送車両法に基づき各陸運支局、事務所等にユーザー登録窓口を新増設し、その業務内容を新聞、テレビでPRすること、二つ目は登録、検査手続を簡素化すること、こういうものを要望しております。これは当然でしかも切実な要求であります。こういう悪徳商法からユーザーを守るために今申し上げた意味でのユーザー登録制度の確立をぜひ図るべきだ、こう思いますが、運輸省いかがですか。
  276. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  自動車の登録、検査手続につきましては、従来からユーザーがディーラーや整備工場に便宜上依頼されるケースが多かったんでございますが、御指摘のように最近におきましてはユーザーみずから申請されるケースも増加する傾向にございます。したがいまして、私どもといたしましても、法律的にはユーザーみずから既に過去から申請できることになっておりますが、そういうユーザーみずからが自分でやりたいと希望を持たれた場合にそういう申請が容易に行われるようにする必要があろうか、かように考えております。そのため現在陸運支局という車検登録の窓口がございますが、その主要な支局にはユーザー登録担当の専門官、これは六十二年度末で十九カ所ございます。それで六十三年度予算ではさらに一カ所追加になっております。さらにユーザー車検の専門官、これは六十二年度末で八カ所ございます。六十三年度には三カ所増加する、こういったことで、そういうユーザーの方が直接来られた場合にも懇切丁寧にできるような窓口を設ける、こういうことで努力をいたしておるところでございます。
  277. 野間友一

    ○野間委員 ですから私は、自動車の登録というのは自動車を買った人の固有の権利でありかつ義務だというスタンス、これを踏まえておるかどうか、この点についてもう一つ伺っておきたいと思います。
  278. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように自動車がますます大衆化いたしておりまして、ユーザーの方がどんどん来られる、こういうことでございますから、私どもといたしましても、逐次そういう方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  279. 野間友一

    ○野間委員 運輸省も一定の努力をされておることは私も否定はしないわけですけれども、ただ、基本的な観点に立てば、今もお話がありましたけれども、そのユーザー登録窓口についても各陸運支局あるいは事務所に設けるべきだし、窓口にはそれを明示するプレートなどを掲げる必要がありますし、ユーザーの相談に応じ、ユーザー登録を受け付ける、今も話がありました専門官の配置、それから、登録手続の大幅な簡素化、さらに、業界を通じて自動車販売業者に対して、その購入者にユーザー登録の説明をする、やはりこういう指導もするような措置もとるべきだと思うのですね。  今申し上げたようなことについて、積極的にこれを踏まえて措置をするかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  280. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げましたときに少し漏れまして恐縮でございますが、専門官を置いてないところにつきましても、相談コーナーという形で窓口は設けてございます。  それから、細かい話でございますが、窓口サービスの設備的ないろいろな、案内パンフレットだとかあるいは書類作成の手引だとか、そういう細かいところにもいろいろ配慮をして考えておるところでございます。
  281. 野間友一

    ○野間委員 ぜひ、車のあるところ、ユーザーのあるところにきちっとそれを全部配置をされたい。今うなずきましたけれども、それを積極的に取り上げていただきますように、私の方から要望しておきたいと思います。  それから、もう一つの問題ですが、販売業者の多くはユーザーの登録を妨害するために、完成検査証あるいは譲渡証、これをユーザーに渡さないというようなことが非常に多いのですね。特に割賦販売の場合、ほとんどの販売業者が所有権留保をやっていますから、これを悪用して完成検査証等を渡さない。非常に困るわけですね。ですから、ユーザー登録制度を本当に確立しようと思えば、こういう悪質な業者の不法不当な妨害を絶対排除しなければならない、こう思います。そういう点で、ぜひ業界に強力な指導をされたい、こう思いますが、いかがですか。
  282. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 御指摘の件につきましては、既に自動車販売連合会におきましては、傘下会員ディーラーに対しまして、ユーザーから要請がありました場合、完成検査終了証並びに譲渡証、そういうものを渡すように指導が行われておりまして、ユーザーから申し出があった場合にディーラーが妨害する、こういったような事実は私どもとしては聞いておりませんが、仮にそのような事実がございましたら、運輸省といたしましても、その基本的な方針にのっとって指導してまいるつもりでございますので、ユーザーの方は最寄りの陸運支局等の窓口で御相談いただければ結構かと考えている次第でございます。
  283. 野間友一

    ○野間委員 行監のその点の勧告を見ましても、登録手続の簡素化の中で、様式規格の調整、ワンライティング化、これがあるだけです。非常に私はがっかりしたのです。あなたに聞くとまた長々とわけのわからぬことを言いますので、きょうは聞きません。  大臣に、今お聞きいただいたとおりで、この問題について、本当にユーザー中心のそういう運輸行政をという点で、総務庁としてもぜひ運輸省を指導していただきたい、このお願いでありますが、いかがですか。
  284. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 運輸関係にはいろいろな規制がたくさんございまして、私どもとしましては、規制緩和の点について、今いろいろと行革審などを通じまして検討させていただいているところであります。  手続の簡素化等については総務庁も積極的に推進してまいりたい、このように考えますし、今委員からいろいろな資料でいろいろなケースをお示しいただきましたが、随分いろいろなことをやるものだなと思って、私も実は今びっくりしておったところであります。  納車手数料等については、社会通念上妥当な額であるべきでありまして、それを超えた、特に税金の二重払いみたいなことをさせておるということは極めて遺憾なことだと思います。
  285. 野間友一

    ○野間委員 大変明快であります。ぜひそういうスタンスでやっていただきたいと思いますし、それから、局長もやはりきちっとそういう点を踏まえてやるべきだし、今後そういう点でひとつやっていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  時間がありませんので、あとわずかの時間をいただきまして同和問題について。  私が予算委員会の分科会で六十年三月八日に、和歌山の芦原という小学校の問題を取り上げてやりました。これは、全国で非常に少ない、小学校が六校、中学校が一校しかないその一つでありますが、いわゆる同和地区単一校、この解消の問題であります。一つの同和地区がありまして、そこに小学校が一つあるわけですね。そういう学校でありまして、一般地区とは全く隔離されたような学校が存在するわけですね。  これの弊害についても、この前の分科会でもいろいろ申し上げました。閉鎖性から来る特有の言葉遣いとか、生活慣習の違いを大事な時期に克服できないとか、社会性あるいは社交性に乏しい、これは交際範囲が狭いからとか、あるいは、同級生というものを通じてのいろいろな自然交流が、地区外の壁を取り除いていく、そういう上で非常に効果的だ、自然交流は親の交流にも発展するというようなことも踏まえまして、これは専門家からいろいろ聞いたわけですけれども、ぜひこれを解消されたいということで要求しました。  当時、後藤田さんが長官でありまして、そんな学校がいまだにあるということを初めて聞いた、何らかの打開策を講ずる方がいいんでしょう、こういうように言いました。  今、和歌山市におきましてもおいおい検討中だと思いますが、この点について文部省、早期にこれを解消するという点でどのような作業を進められておるか、聞かせていただきたいと思います。
  286. 熱海則夫

    ○熱海説明員 お答え申し上げます。  前回先生から御指摘のありました問題につきまして、あの後、特に芦原小学校の件でございましたので、和歌山県の教育委員会、そこに、問題点その他についても含めていろいろ研究してほしいというお願いをしたわけであります。和歌山市ではその後、こういった単一校区の解消に向けての基盤づくりに今努力している、そして、六十三年度からは和歌山市教育委員会の中に同和問題に関するプロジェクトチームを設けて、その中でこの芦原小学校の問題についても検討したい、こういう報告を受けているところであります。  もともとこの小中学校の通学区域については、やはり長い沿革もありますし、それから、それぞれ教育委員会がいろいろ通学の便などを考えて設定しているものでありますから、簡単にこれをすぐ変えるということにはなかなかいかないようでありまして、文部省としては、こういう市の対応を見守りながら、協力の要請があれば、情報提供など文部省として可能な限りで協力を行っていきたい、こんな考え方でおるわけであります。
  287. 野間友一

    ○野間委員 高鳥長官、地対法を見ましても、周辺地域との一体性の問題を非常に強調していますし、今、地域改善の事業は大体そういう方向でうんと進められております。地域改善対策室も非常に御苦労されておる。私もその労を多としておる一人でありますけれども、そういう周辺地域との一体性の確保という点からも、長官、今お聞きいただいたように、これはやはり早期に解消するということはぜひ必要だと思うのです。そういう点で、調整されます長官として所見をひとつ承っておきたいと思います。
  288. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 私ども一般論としてはこういうものが存在する、こういうふうな学校が存在するということは、何と申しましょうか、いわゆるその地域の一体的な同和解消ということにとっては果たしてどうなのかなという感じを持っております。具体的な対処は文部省がしていただいておりますので、文部省の対処を見守ってまいりたいと存じますが、一般論として申しますならば、どうも余り好ましいことではないのではないかと思いますので、できるだけ早く問題を解決していただきたいと思います。
  289. 野間友一

    ○野間委員 最後に、あと一点ですが、進学奨励金の問題ついてお聞きしたいと思います。  この進学奨励金が給付から貸与に変えられまして、非常に親は、また本人も困っておるわけですね。特に、和歌山で私調べてみたのですが、格差が――格差といいますのは進学率ですね、高校も大学も。非常にこの差が開いてきたわけですね。大学進学率、和歌山県全体で見ますと、五十年が三八・五%、六十二年が三一・八%、これは六・七ポイント減っております。ところが、同和地区について言いますと、三一・四%から一七・六%、一三・八ポイント減っておるわけですね。高校もしかりでありまして、だんだんその差が開きつつあります。  ですから、特に地場産業と言われます皮革とか、和歌山では円高等の中で非常に不況であります。失業者、半失業者あるいは倒産が続出しておりますね。そういう中で何とか給付に戻していただきたいというのがやはり切実な親の、子の願いであります。こういう点で、ぜひそういう声を聞いていただいて、そして給付制度に戻していただく、こういう要望を強く願うわけでありますけれども所見を賜りたいと思います。
  290. 熱海則夫

    ○熱海説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、昭和六十一年十二月の地域改善対策協議会の意見具申を受けて行われたいわば見直しの中でこれは行われたものでありますが、これを再び給付制に戻すということはもとより大変難しい問題であります。文部省としては、この進学奨励事業がこれまで果たしてきた役割にかんがみ、生活困難な場合の返還免除制度というようなものを取り入れて、できる限り進路に支障を来すというようなことがないようにいろいろ努力をしているところであります。これは十分御理解をいただいた上で、また、運用の面でいろいろ工夫をしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  291. 野間友一

    ○野間委員 やはりそういうのを知った上で私やあるいは地区の皆さんも要求しておるわけですが、きょうの答弁はそういうことのようですけれども、ぜひ給付に戻してほしいということで我々も執拗に要請をしたいと思います。その点、時間がありませんので長々と言えませんけれども、そういう窮状を十分認識した上でぜひしかるべく前向きに善処していただきたい、このことを最後に長官に所見を承って、質問を終わりたいと思います。
  292. 高鳥修

    ○高鳥国務大臣 この点につきましては、各方面からの御要望があることは承っております。ただ、委員承知のように、意見具申の中では給付的な事業は原則として廃止すべきであるという指摘がございまして、それを踏まえて措置されたものでありますので、進学率等の問題につきましては、また文部省で大いに検討していただきたいと思っております。
  293. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  294. 野中英二

    野中委員長 次回は、来る二十五日月曜日午後零時四十五分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十四分散会