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1988-04-20 第112回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 近藤 元次君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君       岡島 正之君    中曽根康弘君       古屋  亨君    新村 勝雄君       小川新一郎君    古川 雅司君       大矢 卓史君    野間 友一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      大出 峻郎君         警察庁長官官房         長       森田 雄二君         警察庁長官官房         会計課長    半田 嘉弘君         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         警察庁刑事局保         安部長     漆間 英治君         警察庁交通局長 内田 文夫君         警察庁警備局長 城内 康光君         法務大臣官房長 根來 泰周君         法務大臣官房会         計課長     石川 達紘君         法務省民事局長 藤井 正雄君         法務省刑事局長 岡村 泰孝君         法務省矯正局長 河上 和雄君         法務省入国管理         局長      熊谷 直博君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         自治大臣官房長 持永 堯民君         自治大臣官房審         議官      湯浅 利夫君         自治大臣官房審         議官      柿本 善也君         自治大臣官房会         計課長     富永 栄一君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 渡辺  功君         消防庁長官   矢野浩一郎君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部生活経済課         長       泉  幸伸君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   吉田  博君         外務省アジア局         北東アジア課長 田中  均君         外務省中近東ア         フリカ局中近東         第二課長    木村 光一君         大蔵省主計局司         計課長     兵藤 廣治君         文部省高等教育         局大学病院指導         室長      押田 克己君         文化庁文化部宗         務課長     根木  昭君         厚生省健康政策         局指導課長   松村 明仁君         労働省職業安定         局企画官    吉免 光顕君         建設省建設経済         局労働資材対策         室長      徳山  直君         会計検査院事務         総局第一局長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局第二局長  志田 和也君         最高裁判所事務         総長      大西 勝也君         最高裁判所事務         総局総務局長  金谷 利廣君         最高裁判所事務         総局人事局長  櫻井 文夫君         最高裁判所事務         総局経理局長  町田  顯君         最高裁判所事務         総局民事局長         兼最高裁判所         事務総局行政局         長       泉  徳治君         最高裁判所事務         総局刑事局長  吉丸  眞君         最高裁判所事務         総局家庭局長  早川 義郎君         公営企業金融公         庫総裁     近藤 隆之君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔裁判所所管法務省所管総理府所管警察庁)、自治省所管公営企業金融公庫〕      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず、裁判所所管及び法務省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  裁判所所管審査に関し、国会法第七十二条第二項の規定により最高裁判所長官の指定による代理者から出席説明をする旨の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 野中英二

    野中委員長 この際、最高裁判所当局及び法務大臣概要説明会計検査院検査概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算概要                 最高裁判所  昭和六十年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算概要を御説明申し上げます。  一 裁判所所管歳出につきましては、当初予算額は二千百八十三億九千二百二十八万円余でありますが、これに大蔵省所管からの移替え額五億六千三百八十二万円、昭和五十九年度からの繰越額一億八百十三万円余、予算補正追加額二十二億九千八十八万円余、予算補正修正減少額三億四千八百四十六万円余、差引き二十六億千四百三十七万円余が増加されましたので、歳出予算現額は二千二百十億六百六十五万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は二千二百一億九千四百一万円余であり、歳出予算現額との差額は八億千二百六十三万円余であります。  この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は二億二千六百七十八万円余、不用額は五億八千五百八十五万円余であります。  不用額となった経費は、人件費四億五千六百八十七万円余と、その他の経費一億二千八百九十七万円余であります。  二 裁判所主管歳入につきましては、歳入予算額は十八億五千七百三万円であります。  これに対しまして、収納済歳入額は十九億八千三百六十万円余であり、歳入予算額に対し一億二千六百五十七万円余の増加となっております。  この増加は、民事訴訟費用弁償金増加等によるものであります。  以上、昭和六十年度裁判所所管一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。     …………………………………    昭和六十年度決算裁判所についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度裁判所決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算説明  昭和六十年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。  一 まず、一般会計決算についてであります。  (一) 法務省主管歳入につきましては、予算額は、八百六十六億八千四百三十六万円余であります。  これに対しまして、収納済歳入額は、八百三十九億千十二万円余であり、歳入予算額に比べると、二十七億七千四百二十四万円余の減少となっております。  この減少しました主な要因は、罰金及科料十四億四千七百三十四万円余、刑務所作業収入十億七千七百五万円余、雑収二億五千四百六十一万円余が減少したことによるものであります。  (二) 次に、法務省所管歳出につきましては、当初予算額は、三千八百十八億九千七百五十三万円余であります。これに、予算補正追加額三十二億四千二百六十三万円余、予算補正修正減少額七億七千百八十二万円余、前年度からの繰越額八千八百三十三万円余、予備費使用額三億九千六百七十万円余があり、差引き二十九億五千五百八十五万円余の増加がありましたので、歳出予算現額は、三千八百四十八億五千三百三十八万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は、三千七百九十八億八千五百五十一万円余であり、その差額は、四十九億六千七百八十六万円余となっております。  この差額のうち翌年度へ繰り越した額は、二億九百三十三万円余であり、不用額は、四十七億五千八百五十三万円余で、不用額の主なものは人件費であります。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費二千八百七十七億八千三百八十八万円余、外国人登録事務処理経費十八億四百八十九万円余、登記事務等処理経費十一億九千八百三十六万円余、検察事務処理経費二十八億四千八百十五万円余、矯正施設における被収容者収容作業等に要する経費二百四十五億二千八百五十五万円余、補導援護経費三十九億四百六十三万円余、出入国審査難民認定及び被退去強制者収容送還等に要する経費六億八千八百九十五万円余、暴力主義的破壊活動団体等調査に要する経費十八億千三百七十六万円余、施設費九十億三千百十九万円余となっております。  二 次に、法務省所管登記特別会計決算についてであります。  (一) 収納済歳入額は、五百八十一億六千二十万円余であり、支出済歳出額は、五百三十六億七千四百五十八万円余で、差引き四十四億八千五百六十二万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、登記特別会計法第七条の規定により翌年度歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。  (二) 次に、歳入につきましては、当初予算額は、五百五十五億七千三百三十二万円余であります。これに、予算補正追加額十億五千六百七十万円余、予算補正修正減少額六千六百三十八万円余があり、差引き九億九千三十二万円余の増加がありましたので、歳入予算額は、五百六十五億六千三百六十五万円余となっております。  これに対しまして、収納済歳入額は、五百八十一億六千二十万円余であり、歳入予算額に比べると、十五億九千六百五十五万円余の増加となっております。  この増加しました主な要因は、郵政事業特別会計より受入十五億六千四十二万円余が増加したことによるものであります。  (三) 次に、歳出につきましては、当初予算額は、五百五十五億七千三百三十二万円余であります。これに、予算補正追加額十四億二千五百四万円余、予算補正修正減少額四億三千四百七十二万円余があり、差引き九億九千三十二万円余の増加がありましたので、歳出予算現額は、五百六十五億六千三百六十五万円余となっております。  これに対しまして、支出済歳出額は、五百三十六億七千四百五十八万円余であり、その差額は、二十八億八千九百六万円余となっております。  この差額のうち翌年度へ繰り越した額は、一億七千七百四十八万円余であり、不用額は、二十七億千百五十八万円余で、不用額の主なものは予備費であります。  支出済歳出額のうち主なものは、人件費四百六億四千四百六十二万円余、登記情報管理等事務処理経費八十六億七千四百七十三万円余、施設費二十八億千五十二万円余となっております。  以上、昭和六十年度法務省所管一般会計及び登記特別会計歳入歳出決算について、御説明申し上げました。  よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十年度決算法務省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度法務省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項一件であります。  これは、職員不正行為による損害を生じたもので、松山地方法務局登記部門職員が、登記受付事務に従事中、受け付けた登記申請書にはり付けてあった収入印紙のうち四百万円分を消印しないで台紙ごと抜き取って領得したもので、同人はこれを隠ぺいするため、処理済みの他の登記申請書から同額の消印済み収入印紙台紙ごと抜き取り、これと差し替えていたものであります。  なお、本件損害額については、六十一年三月、全額が不正行為者から返納されております。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ─────────────
  6. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  7. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最初に、昭和六十年度決算検査結果について、裁判所関係は全く違法、不当という事項がないということはまことに御同慶にたえない次第であります。ただ法務省関係収入印紙四百万円を領得したという事件があるようでございますが、登記の際の収入印紙をごまかすということはたまたまあることで、これについては、今後コンピューター化になった場合印紙との関係はどういうふうになりますか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  8. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 印紙に関しまして不正事件が起こっておりますことはまことに申しわけないことでございまして、今後ともこのような不正事件の発生がないように綱紀粛正の徹底を図ってまいりたいと考えております。今後、登記事務コンピューター化された後においても印紙納付方法につきましては従前と特に変わることはございません。
  9. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ひとつこれからこういうことのないように十分お願いしておきます。  そこで、これは裁判所法務大臣かちょっとそちらで判断していただきたいと思いますが、日本三権分立について、この三権均衡がとれ、互いに独立し、牽制し合える関係が完全に確立しているというふうに思われますかどうか、お伺いいたします。
  10. 大出峻郎

    大出政府委員 三権分立といいますのは、通常は国家作用立法司法行政三権に分けまして、おのおのを担当する機関相互分離、独立させ、それらの機関相互に牽制させるという統治組織原理のことを指すものと承知をいたしております。日本国憲法の定めております統治組織もこの原理基本的原理といたしておる次第であります。日本国憲法のもとにおける立法司法及び行政三権の間の関係は、戦後約四十年の間に調和と均衡を維持して発展をしてきているものと承知いたしております。
  11. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、三権分立が完全な形で確立しているとは私には思えない部分があるわけでございますが、まず第一点といたしまして、内閣総理大臣国会指名に基づいて天皇が任命するのに対し、最高裁判所の長たる裁判官内閣指名に基づいて天皇が任命する、こういうふうにもう任命の出発点から要素が違っておるわけです。これは行政府人事を通して司法を支配するという一つ考え方もここで成り立つのではないかと思われますが、いかがでしょうか。
  12. 大出峻郎

    大出政府委員 先ほど申し上げましたように、三権分立という考え方はそれぞれの機関相互分離、独立させるということと同時にあわせまして相互にそれらの機関を牽制する、いわゆるチェック・アンド・バランスというような関係をその内容として持っておるわけであります。ただいま先生指摘の件についてもそういうような意味合いでの相互牽制一つの場合であると理解をいたしております。
  13. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは相互牽制になるのでしょうか。行政府最高責任者が一応だれだれを最高裁裁判長にすると決める、最高裁判所のいわゆる最高人事行政府の長が決めるということで、せっかく牽制しようとするそのことが崩れているのではないか。もちろんこれは憲法でうたわれておりますから今さら条文を直すとかいうことはできませんけれども、そういう一つ仕組みの中でこれはどういうふうに牽制し合っているのか、その辺を御説明願いたいと思うのです。
  14. 大出峻郎

    大出政府委員 ただいま先生指摘の点につきましてはそれぞれ憲法規定で定められているところでございます。先ほど申し上げましたように、三権分立という形でそれぞれを分離、独立させると同時に、また相互チェックをするという一つ意味を持つものとしてそういう仕組みがとられておると考えておるところであります。いずれにいたしましても、これは憲法でそういう規定を設けて制度として確立をしていることでございますので、その受けとめ方をどう受けとめるかということかと思いますが、私どもはそれも一つの場合であるというふうに理解いたしておるところであります。
  15. 渡部行雄

    渡部(行)委員 このことはその程度にしておきまして、次に最高裁判所には違憲立法審査権というものがあるわけですが、時間の関係部分だけ読みますけれども憲法八十一条に「憲法に適合するかしないかを決定する権限」ということがうたわれているわけです。しかし、実際に憲法違憲審査権というものを発動するには訴えがなければできない。ここに日本裁判制度一つの問題があるように私は考えるのです。  本来、最高裁判所判事が現に目撃したりあるいはその事実が憲法違反であるということを知れば、その最高裁判所判事から一つ告発ができる、そういう告発権というか告訴権というか、事案によってそういう権利を持ってこそ本当違憲立法審査権というものが生きていくのではないか。ところが、現在はそうでなくて、必ず訴えというものを通してその中で憲法が論じられないことには最高裁憲法に対する判断を下すことはできない、こういうことについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  16. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 今、委員指摘のとおり、日本におきます違憲審査権というものは具体的審査権制度をとっております。これは国によりまして、フランスでありますとこれは抽象的な審査権を持っております。それから、中間的な制度といたしまして西ドイツの憲法裁判所があるところでございます。ただ、日本におきましては日本司法権というものがどういうものであるかということが憲法の解釈から生じてくるわけでありますが、日本司法権というものは、いわゆる法律専門家であります裁判官手続を主宰する、またそこで行われます手続は、国民から具体的な特定の原告、被告が法廷にあらわれまして、その特定少数訴訟関係人だけが法廷の場で証拠を提起し裁判を行う、こういう手続をとっております。日本国憲法司法権というものはそういうものを想定いたしております。したがいまして、日本司法権は具体的な法律上の争訟のみを取り扱うというふうに解釈されております。したがいまして、現行の憲法は具体的な事件になったもののみ裁判官違憲審査権を行使するということになっておりまして、今、委員指摘のような最高裁判所が積極的に違憲指摘をするということは憲法上は予想されてないというふうに考えております。
  17. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これは、つまり最高裁判所日本憲法を守る義務があると憲法考えられると私は思うのです。そこで普通の裁判官と違って、衆議院の総選挙の際に国民審査を受けて、そして国民の支持のもとに成り立っている最高裁判所判事でございますから、日本憲法基本法が犯されているということを見ても見ないふりをする、具体的な訴えがなければ我関せずというのは、憲法を守るという積極性がなくなってしまうのじゃないか。この辺についてはどういうふうにお考えですか。
  18. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 もし日本の社会におきまして違憲状態が発生するということを仮定いたしました場合に、それは必ずその事件を具体的な当事者が、国民の方が裁判所に提起されるわけでございまして、そういう国民の方が提起された具体的な事件につきましては、裁判所はこの違憲立法審査権を積極的に行使していく、こういう建前憲法ではとられているもの、こういうふうに理解しております。決してただいま委員の御指摘のような制度がないからといって不都合があるというふうには考えてないわけでございます。
  19. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、例えば政治の上で一番大事な国会議員選挙において、定数の問題で最高裁は、三倍以下が合憲だと言っておるようですが、これとて私は非常に疑問がある。いわゆる人間人間を代表する場合は、これはいかなる場合でも、一人が二人以上を代表するということと二人未満の数を代表するということとは、全くそこに性格的に違いが出てくると私は思うのです。そういう場合、選挙民からの訴えがない限り最高裁は幾ら、例えば五倍になってもそれは違憲として取り扱うことができない、こういうふうになっているのじゃないでしょうか。
  20. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 憲法がどういう建前をとっているかということにつきましては先ほども申し上げたとおりでありまして、その妥当性のいかんにつきましては私どもが申し上げる立場にはないと存じます。  また、今御指摘定数訴訟に関しましては既に具体的な事件が発生いたしておりまして、その中で委員指摘のような主張がなされております。その事件は現に最高裁に係属いたしております。したがいまして、その中身にわたりましては私どもとしては申し上げることができませんので、そのことに関しましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)委員 中身は申し上げられないと言うから、これはいたし方がありません。  それでは次に進めますが、日本裁判は大体合議制になっておるようです。下級裁判所の場合でも合議制による判決が大部分を占めておるのではないかと思いますが、その際少数意見については公表されていない。ところが最高裁判所による判決だけが少数意見の公表がされる。これはどういうことかというのが私はわからないわけです。本来、本当の民主的な裁判をするにはやはり下級審においても少数意見というものを尊重し、あるいはどういう経過を経てこういう判決になったんだという、その審査経過がわかるような方法にしてこそ本当意味で民主的な裁判ということが言えるのではないか、私はこう思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  22. 根來泰周

    根來政府委員 ただいまの御質問につきましては、今の裁判所法委員指摘のような制度をとっております。委員指摘のような点を改正するとすれば裁判所法の改正ということになりますので、便宜私の方から答弁させていただきますが、一つ先生のようなお考えももっともな点がございますけれども裁判官憲法七十六条に言っておりますように、良心に従って独立して職権を行う、憲法法律のみに拘束されるということでございます。そういうことでございまして、裁判官が合議するときにどういうことを言っておるか、どういう内容を言ってそしてどういう結果になっておるかということについてはやはり秘密にした方が自由に発言して、自由な発言の結果公正な判断が出るんではないかということで、裁判所法七十五条で、その評議状況あるいは評議過程等につきましては公にしないというふうに定めているように思うわけでございます。  一方先ほども触れられましたように、最高裁判所裁判官につきましては国民審査という制度がございます。そういう制度につきましてはやはり最高裁判決、決定に至る各裁判官の意見ということを国民の前に提供しなければそういう公正な審査を受けられないということから、最高裁裁判官については意見を公表することになっていると思うのでございます。両方の制度の兼ね合いの上に立って、最高裁裁判官の意見については公表し、下級裁判所裁判官の意見については公表しないという扱いになっているというように理解しておりまして、両者の調和の上にこういう制度が成り立っておると思いますので、現在のところ、こういう制度が一番いいのではないかというふうに考えております。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)委員 下級裁判所は自由に議論ができるようにするために少数意見を公表しない、こういうふうに言われましたが、この文芸春秋五月号を恐らく読まれたと思いますけれども、それが本当に効果をあらわしているならば、ヒラメ判事というような言葉は出てこないはずなんですね。ところが、これによるとヒラメ判事という言葉が出て、ヒラメ判事とは一体何だといったら、それは上の方ばかり見てほかを見ないからヒラメ判事だ、つまり最高裁の御機嫌伺いばかりして本当裁判に魂が入らないということを意味しておるようでございますが、こういうものとあわせて考えると、私は、これは全く逆じゃないかと思うのです。  それで実際最高裁判事国民審査に付されるときに、一体この裁判官はどういう経過でどういう思想のもとにこの判決を下してきたか、その歴史というものがほとんどわからないんですよ。ちょっとしたことを一件か二件、二、三件出される程度でほとんどわからない。ところがこの文芸春秋の中には、大体裁判官一人当たり三百件くらい、判決文を書かなくちゃならない案件を常に抱えておるというんです。そうなると、今お答えになったのではどうも納得できません。その点はいかがでしょうか。
  24. 根來泰周

    根來政府委員 裁判の実情等についてはお答えする立場にございませんが、先ほども申しましたように、やはり制度というのはいろいろの利害調節、調和というところに立っているのでございまして、そういう点からいたしまして、最高裁裁判官国民審査の便宜に付するために裁判内容のみならず裁判官の略歴とかその信条等を記載した公報が提供されておるわけでございまして、そういう意味では下級裁判所裁判経過等まで公表する必要がないのではないか。そういうことをすると、先ほど申しました裁判の公正というのがむしろ脅かされるのではないか、そういうふうに考えております。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ほとんど裁判の結果の判決一つの流れに沿うて出されていくならばそういうことが言えるかもしれませんけれども事件によっては全く正反対の判決が出されるわけです。第一審では有罪になったのが第二審では無罪になる、あるいは民事の場合、第一審で勝訴したのが第二審では今度は敗訴になる、こういうふうに裁判の仕方一つで全くがらっと裏表に変わってしまう。こういうことが出ている限り秘密にすることが一つの正しい判決を導く要件であるというふうに考えるのは早計ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  26. 櫻井文夫

    ○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判をいたします場合に一審と二審で結論が逆になる場合、あるいは似たような事案で裁判所によりまして別の判断が出る場合、いろいろあると思います。一番大事なのは、裁判官がそれぞれ自分の良心に従って独立してその職権を行うということが一番大事なことでございます。そうして、裁判官は皆いろいろな学説を参照し、過去の判例を参照し、そして自分の頭で懸命に考えて結論を出しているわけでございます。その結論が事件によりあるいは場合により人と違う場合というのはもちろんございます。しかし、どの裁判官も全部その自分の良心に従って一生懸命にその結論を出しているわけでございます。  私は裁判所に入りまして三十年近く勤務いたしております。下級裁判所にも勤務をいたしておりますけれども、先ほど御紹介のありましたヒラメ判事というような言葉を私は一度も聞いたことがございません。そういう言葉をあるいは使う人があるのかもしれませんけれども、そのような言葉を仮に吐く裁判官があるとすれば、それはやはり裁判官の心得という点で足らないところがあるのではないかというふうに私は思います。そういった最高裁の意向を気にして裁判をしているような人は一人もいないのではないかというふうに私は思っております。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私はこれを全部、完全に一〇〇%信用はしておりませんけれども、ただこういう大衆雑誌に裁判所の内幕が書かれて、言ってみれば暴露されたと言った方が適切かもしれませんが、結局判決の過程で裁判官の独立性というものが守られてきているのかというと、今度は別な方面で、いわゆる人事という方面で逆に、最高裁の意を体しないと出世できない、こういうことで下級の裁判官は非常に不安に駆られている。そこで、この高山判事が飛びおり自殺をしたというのも、これはあながち精神的な異常によるものではないだろう。そういう裏に人事あるいはその他の問題が内在しているのではないか。その証拠にいわゆる遺言も何もないし、その当時は死というようなものは非常に想像できなかったということがこれに書いてあるわけです。ですからもちろん、裁判所の方からヒラメ判事がいて困るなどということは、これは口が腐っても言えないはずですから、この問題がこういう形で国民に暴露されるようなことのないように、これを機会に綱紀を引き締め、かつまた、もっと裁判官の独立性というものを、あるいはその将来に対する一つの希望をもぎ取るようなことをしないようにして、本当に自由な立場で学習の精神が、あるいは正義の心がそのまま判決に反映できるように、そういうふうに最高裁の御指導をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  28. 櫻井文夫

    ○櫻井最高裁判所長官代理者 委員の御指摘のように、全国の裁判官がそれぞれ正義の心を持って、そして裁判に全力を注いでいく、そのように人事行政をしなければならないというのはもうおっしゃるとおりでございます。私どもそのように常日ごろ努力をいたしているところでございます。  全国の裁判官判事判事補、簡易裁判所判事すべて含めまして二千八百人くらいの裁判官がいるわけでございます。これを全国に配置をし、そして、それぞれその適性に応じた仕事をしていただくというのはなかなか難しいところがございまして、そういう点で、その二千八百人、一人も残らず完全に自分の部署に満足をしてやっているとは言えないかもしれないと思っております。しかし、とにかく全員に全力を挙げさせるように、そのような人事行政をやりたいという気持ちを持っておりますことは間違いございませんので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  29. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 検察庁でありますとか裁判所というところは一般の世事からちょっと離れましたところでございまするので、これがおもしろく雑誌に書かれるということは考えられるところでございます。裁判官におきましても、これはおのおの独立して、良心に従って、憲法法律に基づいてやっておるのでございまするが、やはり人間でありまするから、すべてが完全というわけにはなかなかまいらないだろうと存じます。しかし、憲法に定められたところによりまして、民主国家でありまする日本裁判官といたしまして、良心に従って、そしてまた独立してやっていくことができるように法務省といたしましても十分努力をしてまいりたいと存じまするので、今後ともよろしく御指導をお願い申し上げます。
  30. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それでは、次に移ります。  まず、条約とか協定あるいは共同声明その他国家間の約束などと国内法がかかわり合う場合、そういうときの裁判をやる場合にどのような配慮が一番大事なのか、その点についてお伺いいたします。
  31. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 委員つとに御承知のとおり、憲法七十六条の三項におきまして「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と規定しております。ここに言う法律の中には条約が含まれることは言うまでもないところでございます。裁判官といたしましてはいかなる事件でありましても、この憲法の命ずるところに従いまして裁判すべきものである、こういうふうに申し上げる以外にはないかと存じます。
  32. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、係争される案件がすぐれて政治的な場合、あるいはまた国際的な非常に影響力を持つであろうと推察される場合、そういうときにはその最も密接な関係者と申しますか、そういう者から事情を聴取するなり、あるいは国内裁判所としてはこの問題はとても取り扱いにくい、したがって、そういうものは政治の分野で解決すべきである、こういう判断を下して、その適切な結論を求めるようにはできないものかどうか、その点ひとつお伺いいたします。
  33. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 委員指摘のとおり、裁判所裁判をいたします場合に条約等を含めましてすべての法規を精査し、妥当な結論を導くように努力すべきことは御指摘のとおりであろうかと思います。それ以上のことは私どもの立場としては申し上げることは控えさせていただきたいと存じます。
  34. 渡部行雄

    渡部(行)委員 特に私は、光華寮事件の問題、この判決経過を見て大変驚いたのです。しかもこれは、現実に今国家間の重大な問題になって、日中間に、ある時期は大変なぎくしゃくを生んだのも事実であります。こういうものについて先ほど法務大臣も言われたように、裁判所関係とか検察関係というのはとかく世間に疎いということで、一般的常識に欠ける面が非常に多いのじゃないか、私もそういうふうに感じました。  この経過を見ると、例えば中華民国が原告になって、そして光華寮の土地建物を引き渡せ、こういう裁判が提起されて、途中で今度はいわゆる日中国交回復により、また国連における中国の承認により、中華民国というものは政府として認めなくなったわけです。そして、中国を代表する一つの政府は中華人民共和国である、こういうふうになったにもかかわらず、この問題を正面から取り組むことなしに、ただこの問題は司法という立場でこれを解釈して、そして、その判決の導き方が余りにも、私は、作為的なものであるように思われてならないのです。  こういうことについて、それじゃ外務省から一回でも何か事情聴取なり、あるいはそういう、外に出て正面からやると三権分立に問題が生ずるかどうか疑わしいというような場合はそうでない方法でも、何らか外交上の問題として認識する必要があるのではないか。私は、そのくらいの裁判官の慎重な姿勢があってしかるべきじゃないのかと思うのです。  ところが、そういう点については全然、外務省は何ら一言も聞かれていない。そして、外交上の問題とすれば、明々白々に中華民国というものはもはや国家権力としても国家の機能としても認めていない、こういうことがはっきりしているわけです。それなのに、この判決は中華民国に対して判決を下しておる。一体これはどういうことなんですか。
  35. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 ただいま委員指摘事件につきましては、最高裁判所の第三小法廷に係属いたしております。そこで当事者からいろいろな論点が持ち出されていると思いますが、それらにつきましては、裁判官の方で慎重に判断すべき事項で、私どもの事務総局におります立場の者といたしましてはあれこれ申し上げることはできないわけでございますので、御理解いただきまして、この辺で、私どもとしては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  36. 渡部行雄

    渡部(行)委員 もっとも、事務総局ではこれは答弁できないのは私も知っております。しかし、これを国会で取り上げないまま過ごしたならばどんなことになるかわからない。私は、その点を非常に危惧してわざに取り上げたのです。  本来ならば最高裁判所長官がここに出てこなくちゃならない。この決算の総括の際には内閣総理大臣も出てくるのですから、それを出なくてもいいような慣行をしておるところに一つの問題もあるわけですよ。だから、こういう問題のときには答えられない。これでは国民に責任がとれないじゃないですか。少なくとも国会は、国民の代表者がこうして国の行政なりあるいは裁判のあり方についていろいろと国民にその実態を知らせる、そういう責任があるわけですよ。それを、ただ事務総局だから答えられないだけで逃げようとすることは、私はいかがなものかと思います。  しかも、この日中国交問題に関しては、昭和四十七年の十一月八日に国交正常化の決議が国会においてなされ、そして今度は昨年、六十二年の九月十日には、国交正常化十五周年のためにまた国会決議がなされているわけです。そうすると裁判官は、この日中関係について今どういうことが大切であるかというのは知っていなければならない。そして、この判決を下すことによって二つの中国を日本はつくろうとしているという、そういうことの抗議が日本になされておるわけですよ。あの判決を見ると、私も腹の立つような判決です。  そしてこの光華寮問題は、具体的に指摘するとなかなかお答えできないでしょうから、仮に、今係属中の訴訟において原告が死亡した場合、その訴訟はだれが継承するのか、あるいは継承させないでそのまま裁判を取りやめるのか、その辺はどうなんでしょうか。
  37. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 具体的に提起されました事件につきまして、先ほど事務総局におる者の立場として申し上げられないと申し上げましたが、若干言葉をつけ加えさせていただきますと、裁判所に提起されました具体的な事件に対する裁判所の答えというものは、やはりすべて判決の中で申し上げるべきことでございますので、たとえ私以外の者が出てきましても、これは申し上げることができないものでございます。  それから、ただいま具体的な問題を御提起になりましたが、その点につきましても、既に具体的な判断中身にも触れかねませんので、私どもとしては何とも申しかねる次第でございます。ひとつ御理解いただきたいと思います。
  38. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私が最後に言ったのは、決して具体的じゃないです。一般的、抽象的に言ったのですよ。今裁判係属中のものが、その係属中に原告が死亡した場合には、それは例えば相続人によって承継するのか、これは、原告が死亡したからこの裁判は一応これで終わりとするのか、その辺についてお答えを願いたい、私はこう言っているのです。
  39. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 論点が通常の建物明け渡し訴訟だけでございますとお答えやすいわけでございまますけれども判決考えられる可能性としましてはいろいろなことが考えられるわけでございまして、一律に申し上げることはできないわけでございますので、あれこれ申し上げますことは、誤解を招いてもこれはいけないことと存じますので、これ以上のことは申し上げかねる次第でございます。
  40. 渡部行雄

    渡部(行)委員 しかし、いろいろな場合といったって、それは、例えば具体的に、だれだれが死んで、そして相続人は五人いるなら五人いる、こういうふうに指摘して、この場合相続人は、当然の相続権を行使してその継続を要求するのかしないのか、こういう話なら、それは答えられないで済むでしょうけれども、私は、原告の一方が死んでしまったら、訴訟提起者が死んだらそれで終わりじゃないかと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  41. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 一般的な建物明け渡しの場合ですと、その占有が不適法であるから建物を明け渡せという請求になりますから、その占有している方が亡くなればそういう占有状態はなくなってしまうことになるわけでございますけれども、訴訟にはそういう中身の問題のほかにも訴訟要件の問題もございますし、いろいろな問題がございます。したがいまして、一律にこうであるということは申しかねます。また、事件の性質によりましても異なりますので、ここでこうであるというようなことを断定的に申し上げることは、これは何かと誤解を招くことにもなりますので、これ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  42. 渡部行雄

    渡部(行)委員 どうも私はわかりません。私は至って抽象的に、具体的に聞いているのですよ、中身は抽象的に。しかし、あなたは明け渡し、明け渡しといって光華寮の問題を先入観として入れているから答えができなくなってきているのじゃないですか。そうではなくて、私は、提起した原告が死んだらその事件はそこで終わりだ、そして後相続人がまた新たに提起しようがしまいが、それは裁判官の知ったことでないじゃないか、言わんとしているのはこういうことなんですよ。その辺はどうでしょうか。
  43. 野中英二

    野中委員長 これは立場を変えて藤井民事局長が答えた方がいいのじゃないか。最高裁では答えにくいだろう。――藤井民事局長
  44. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 訴訟当事者、特に原告が死亡いたしました場合に、一般的には訴訟承継が生じまして相続人が訴訟を受け継ぐことになりますが、それが一身専属的な権利関係に関するものである場合には訴訟が終了するということになると思います。
  45. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そう言われるとちゃんと答えられるじゃないですか。  そういうことで、日中共同声明というものを盛んに判決の中に書いてはおりますけれども、その道筋をたどると全然考慮されていない。しかも、中華民国というのは今はないのですよ。このないものをそのままの名称で訴訟を係属させているということは、裁判官裁判の指導権を握っているのだから、もっとその辺の明確な指導をする必要があるのではないか。現実にないもの、幽霊相手の判決みたいなことでは私はどうも納得できないのですよ。そういう点は国家間に及ぶということはもう既にわかっておられる。今、最高裁で係争中であると言われておりますが、これだってすぐれて国際間の問題となれば、こういうのは最高権力機関である国会なりにゆだねた方がいいじゃないかと私は思うのですよ。裁判官判決したことによって国家間の争いにまで発展するようなことは到底許されないと私は思うのです。この辺について、もっと国家的立場で事の問題点というものを見詰める必要があるのではないか、その点はどうでしょうか。
  46. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 日本憲法では司法権裁判所に属しておりまするので、それ以外のものは司法権を取り扱うということはできないわけでございます。これは先生篤と御承知のとおりでございます。そして法務大臣の権限法があることも御承知でございまするが、四条によりまして国の利害に重大な関係のあるものは法務大臣が意見を述べ得ることになっておるのでありまするけれども司法権が独立しておる、三権分立建前から申しまして、この法務大臣の権限は極めて慎重にしなければならないということでありまして、それが慣例になっておるのでございます。本件は現在最高裁で審理中でありまして、まだ何もそこまで、法務大臣の意見を聞くというところまでは至っていないわけでございまして、したがって法務省としては慎重に見守っておるという状況でございますることを付言させていただきます。
  47. 渡部行雄

    渡部(行)委員 これはこういうことなんですよ。最初、京都地裁に昭和四十二年に提訴されて、そしてこの地裁の第一審で原告が、いわゆる中華民国が敗訴になっているのです。そして今度、原告は大阪高裁に控訴をして、大阪高裁はこれを差し戻しているのですよ。原判決どおりで終わればそれで何もなかった。ところがこれを差し戻している。それで、いわゆる原審差し戻しになった京都地裁は今度は反対の判決、つまり原告勝訴にしたわけです。そして、これがまた大阪高裁に控訴されてこれまた原告勝訴。そして今、最高裁に上告中、こういうふうになっているわけです。  そこで現実に今、国家間の問題となって、外交上このことによってどれほど日本が損をしているかというのがわからないでしょうか。そういう点で、今、法務大臣の言われたことを考えますと、それは三権分立もわかりますよ、しかし、事国際問題に発展しておる現実の場合には、やはりその三権分立の上にある最高国家機関がこれをやるべきだし、そしてまた法務大臣という一つの権限を持った方がある意味では口を出せるというならば、もうそういう時期に来ているのではないか、私はそういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
  48. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 先生のお考え方もあろうと存じまするけれども、やはり憲法上の三権分立というものは日本の国として、民主主義の国といたしましてあくまでも貫いていかなければならない、こういうことでございまして、現在そういう状況にあるということでございます。
  49. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間がそろそろなくなってまいりますので先に進みます。  次には、日本裁判期間が外国と比べても大変長過ぎると思うわけですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  50. 金谷利廣

    ○金谷最高裁判所長官代理者 外国の裁判と比べまして日本裁判が長過ぎるのではないかというお尋ねでございますが、外国の詳しい統計は把握しておりませんが、私どもで調べました限りでは、日本裁判が外国の裁判に比べてそれほどおくれているという状況にはございません。しかし、日本裁判におきまして民事事件、刑事事件とも遅過ぎる裁判あるいは長過ぎる裁判と言わざるを得ない状況に至っているものが一部ございますことは委員の御指摘のとおりでございます。
  51. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ここにその外国の裁判日本裁判の審理期間がありますが、もっともこれは一概にただ比べるわけにもいきませんけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、いずれも非常に短い。長期でアメリカの場合は大体二十五カ月以上くらいで、それから西ドイツの場合は二年を超えるもの、大体三年以内、そういうのが民事事件でわずかに二・八%くらい、それから刑事で一・九%、こういうふうになって、まあ時間もなんですから読みませんけれども日本では長いものになると二十六年一カ月というのもあるし、二十四年七カ月、事件名はもう言いません、それは皆さんの方がよく知っていますから。あるいは民事でも八年から十二年、十年こういうのがたくさんあるわけです。  こういうことで私が心配するのは、事案によっては長くならざるを得ないものもあるでしょうが、ただ、原被告の健康状態なり年齢なりをやはり考えながら裁判というものの効果と申しますか役割を十分果たさせるというのが大事だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  52. 金谷利廣

    ○金谷最高裁判所長官代理者 外国の裁判について御指摘になりました点は資料そのとおりでございます。確かに日本裁判で非常に長い裁判がございます。ただ、平均審理期間というような観点から申し上げますと、例えば地方裁判所の一審事件を例にとらしていただきますと、日本裁判では「民事裁判で最近では約十二カ月というところでございます。刑事裁判では約三・四カ月、このあたりは外国と比べますとさほど大差ないというところから先ほどのとおり申し上げさせていただいたわけでございます。  なお、裁判におきまして、それぞれの事案に応じまして時宜に適した解決が図られなければならないということはそのとおりでございます。そういう点から、裁判がおくれるということは裁判の拒否に等しいという格言がございますとおりでございます。
  53. 渡部行雄

    渡部(行)委員 では、もうそろそろ時間が参りますから、あと一つお聞きいたしますが、私は罪の、いわゆる刑の量定、これについて非常に不公平、不均等があると思うのです。というのは、例えば交通事故で人をひき殺した、そういう場合、その人の命というものの値打ちが大体二千万とか三千万とか、もちろんそれはその人によっても違うし、計算の仕方もいろいろあるようでございますが、いずれにしても最終的にはそうして命が金額で表示されてくるわけです。ところが、詐欺、恐喝で何十億という金をだまし取った、そういう人たちはわずか四カ月とか六カ月の懲役で終わっておる。これは例えば人の命を奪って三千万の損害賠償をしたとすれば、三十億の金をだまし取った人はまさに百人の人を殺したに匹敵するのじゃないか。しかし、そういうものがほとんど考慮されていない。そして経済犯と申しますかこういうものは全く軽い刑で終わっておる。ですから、自分がだまし取った何十億か何百億かの金を全部どこかに隠してしまって、どうせ監獄に入っても四、五年だ、出てくればそれこそ大尽暮らしができるという、こんなばかな量刑の仕方があるだろうか。こういう点を見ていると私は非常に腹が立つのです。この点について一つ。  それからもう一つは、今度最高裁の長官が陪審制度をひとつ考えてみたい、こういうことを言われておるようですが、これについては、今陪審制度はとめられているわけで、これをやるには国会によってその制度のとめたものを復活をさせなければならない、そういう手続が必要であるのに陪審制度を導入したい、こういうことを言っておられるようですが、そしてまた弁護士から判事を登用したい、こういうようなことが言われているようですが、その点は今どのように実態として進んでおるのか。以上お伺いして、私の質問を終わります。
  54. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 経済犯罪につきまして刑の量定が軽いのではないかという御質問の点でありますが、現行法では詐欺あるいは業務上横領につきましては十年以下の懲役に処するということになっているところであります。これらの詐欺あるいは業務上横領等の事件を複数犯しまして、併合罪関係に立ちますれば併合罪加重によりまして懲役十五年以下ということになるわけでございます。現実に多額の詐欺あるいは業務上横領事件が発生いたしているところでありまして、これらの量刑を見ますと、例えば懲役八年あるいは懲役七年といったような刑に処せられている者もあるわけでございまして、被害額が少ないと刑も軽いであろうと思いますけれども、被害額が多額の場合にはそれ相応の刑が量定されているものと思っているところであります。  また、こういった経済犯罪を犯した者が所得した金銭を不正に隠しているのではないかという点でありますけれども、これにつきましては、捜査の段階で鋭意そういった関係を調べまして、これが発見できれば差し押さえ等によりまして被害者への還付という道も図っているところであります。そういうような点を考えますと、現在の経済犯罪に対する刑が軽いというふうには一概には申し上げられないところであろうかと思います。  次に陪審の関係でありますけれども、御承知のように、刑事事件につきましての陪審が大正十二年に施行されまして、昭和十八年にこの陪審法の施行を停止するということになりまして現在に至っているところであります。陪審法の施行が停止されました理由でありますが、簡単に申し上げますと、陪審員の評議に付されます事件が非常に少なくなってきたことや、あるいは戦時中でありまして、いろいろな手間、労力もかかるといったようなことが考慮されてその施行が停止されたものであるというふうに思うのであります。  陪審制度を復活したらどうかという御意見のあることは承知いたしているところでありまして、国民裁判を結びつける方法といたしまして一定の意義はあるところであると思うのであります。しかしながら、現在陪審制度を採用するかどうかにつきましてはいろいろな問題があろうかと思うのであります。例えて申し上げますと、陪審法の施行が停止されましてから既に四十数年たっているところであります。我が国の一般国民が陪審の制度を強く望んでいるのかどうかということにつきましては、なお疑問もあろうかと思います。また、現在のいわゆる職業裁判官によります裁判国民がなじんできておるという面もあろうかと思います。また、陪審制度におきましては事実の認定が一審限りということになろうかと思います。現行の三審制度になじんできております国民の立場から見まして、一審限りの陪審ということにつきましては直ちに受け入れられるものかどうか、その辺にも問題があろうかと思います。その他いろいろな点がありまして、陪審制度を採用すべきかどうかといった点につきましては、幅広い角度から検討が必要であろうと思っております。
  55. 渡部行雄

    渡部(行)委員 もう一つ
  56. 櫻井文夫

    ○櫻井最高裁判所長官代理者 弁護士からの裁判官の採用の問題でございますが、これは今回初めての試みというわけではございませんで、実は以前から弁護士で適任者を裁判官に採用するということは行われていたわけでございます。今回改めて、現在の社会の状況ということも考えまして、弁護士経験を有する者に裁判所に来てもらって活躍していただこうということから、弁護士からの裁判官登用を積極的にやっていこうということを明確に打ち出したわけでございます。  具体的には、三月の末に弁護士から裁判官を採用する場合の判事採用選考要領を作成いたしまして、これを三月二十五日に日本弁護士連合会に持ってまいりまして、これを説明し、全国の弁護士の中に周知徹底していただくということをお願いしたところでございます。
  57. 渡部行雄

    渡部(行)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  58. 野中英二

  59. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 弁護士の倫理についてお尋ねいたします。  犯罪や不祥事、弁護士自治に基づく懲戒処分になった、俗に言う悪徳弁護士が最近ふえていると言われておりますが、その原因をどのように考えているのか。多くの有能な、まじめな、そして正義の味方として闘っていらっしゃる弁護士の諸氏に傷をつけるような連中もおることが新聞紙上、テレビ等で報道されております。その実態、原因を大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか。二番目は、法の番人であるべき弁護士の不祥事が多発しておりますが、弁護士の倫理について、まず法務大臣の所見と、二つあわせてお答えいただきたいと思います。
  60. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 弁護士は、先生指摘のように法を守る番人と言っていいわけでございます。そういう人が批判の対象になるということはまことに遺憾なことでございます。  御承知のように、弁護士の倫理問題につきましては日弁連におきまして十分監督をするということになっておりまして、日弁連としてもいろいろ監督あるいは監視をしておられるわけでございまするけれども、さらにその努力をしていただきまして、弁護士というものは真に国民のために法を守るということであらなければならないと存じます。  これからも法務省といたしましても日弁連を通じまして、日弁連の努力をお願いしたい、かように存じております。
  61. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私の後ろの友人も弁護士でございます。私に水などサービスしてくれておりますけれども、まことにまじめないい方でございますから、全部と言っているわけではございません。その辺どうか誤解のないようにお願いしたいのでございます。  弁護士法によりますと、いかなる機関、いかなるところよりも圧力や介入や干渉を受けない。これは弁護士の特権であり、またみずから律していく弁護士自治に基づく精神であります。そうしますと、特別にさらなる前進、そして自己開発、自己管理、そういう問題についての新たな手法について、また前向きなことが報告もされ、実行に移されなんとしておるのでございましょうか。
  62. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま委員からお話がありましたように、日弁連というのは自主団体でございまして、日弁連が弁護士さんの監督をしておる、こういうことでございます。  弁護士法を見ますと、弁護士会の中に懲戒委員会なり綱紀委員会が置かれております。こういう懲戒委員会とか綱紀委員会というのは弁護士さんだけで構成しているのではなくて、私ども法務省なり検察庁なり裁判所からも委員を派遣してその公正な決定に資しておるわけでございまして、そういう点を通じましてこれからも弁護士会の方のいろいろの施策に協力したい、こういうふうに考えております。
  63. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 さらに、東京国税局の昭和六十一年分の税務調査では、弁護士や司法書士の脱税や申告漏れはどのような結果になっているのか。法を守る立場のそれらの方々、弁護士さんや司法書士さんが調査対象になった理由は何か。しかも、調査の九割もの人たちが一人当たり四百五十万円から五百五十万円も巨額な申告漏れをしていた事実について、これまた法務大臣の御所見を伺いたいのであります。サラリーマンの平均年収三百六十三万円を大きく上回っております。
  64. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 弁護士の税務申告の問題につきましても御指摘がありましたが、申すまでもなく法を守る立場にあるわけでございまするので、まことに遺憾なことでございます。  こういう問題につきましても日弁連にいろいろ審査する委員会がございまして、それを通じて弁護士の倫理を果たしていくということに努力をしておられまするので、さらにそれを進めていただきたい、かように期待をしておるところでございます。
  65. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 期待することによって結果は生ずるのでございましょうか。
  66. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 その点は日弁連で十分やっていただけるものとかように存じます。  なお、法務省と日弁連は時々会合をいたしまして、私は弁護士会長とも話し合いをしておりまするので、そういう場におきましても、日弁連会長からもそういう話が出るわけでございまして、さらに努力をしていただくようにお願いをいたしたいと存じております。
  67. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 法廷における傍聴人のメモについてお尋ねいたします。  裁判長法廷の秩序維持のために必要な措置がとれると法律は定めております。法廷でメモをとることも裁判長の許可が必要で、実際は報道関係者に許されているだけであり、報道目的以外の一般の傍聴人がメモを申請しても許可になった例はございません。国会では既に傍聴人のメモを許可しており、また、欧米のほとんどの国ではメモを制限されておりません。一般論として、法廷における傍聴人のメモを許可する方向で検討はできないのでしょうか。
  68. 吉丸眞

    ○吉丸最高裁判所長官代理者 一般に、傍聴人のメモを許すかどうかは、それぞれ事件を担当する裁判所法廷警察権に属することであると解されておりまして、現に、それぞれの裁判所がそれぞれの裁量によって許すかどうかを決めているところでございます。  また、この問題につきましては、現に裁判所に具体的な事件が係属中でございますので、そのようなこともございまして、事務当局の意見を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。  一般に言われているところを御紹介申しますと、まず、憲法八十二条一項には「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」と規定し、裁判の公開を保障しておりますが、ここに言う「公開」とは、公判期日における手続を何人の傍聴も許す状態で行うということでございまして、それ以上のものではない。したがって、同条の趣旨から見ましても、法廷でメモをとることは当然の傍聴人の権利の内容に含まれるものではないというふうに考えられているところでございます。現在、基本的にはこのような考え方に立って実務が運用されていると承知いたしております。  問題は、メモを許した場合にどのような弊害あるいは問題を生ずるかということでございますが、この点につきまして第一に言われておりますのは、傍聴人がメモをとった場合に、証人などがこれを非常に気にいたしまして、自由な証言をしにくくなるおそれがあるということでございます。現に、事件によりましては、弁護人から裁判長に対しまして、傍聴人がメモをとっているようだが、これをやめさせてほしいというような申し出がなされることもございます。申すまでもなく、法廷で証人等が傍聴人などに何の気兼ねもなく自由に供述できるような雰囲気を確保することは、適正な裁判を実現するために最も基本的な条件であるということでございますので、裁判所としては、この点については特に慎重な考慮をせざるを得ないと考えられているのでございます。  第二に、事件によっては、法廷外において事件関係者またはその支持者などが、証人の証言について、証人を非難、攻撃し、時には名誉棄損または威迫に当たるような行為に及ぶことがあるわけでございますが、そのような際にメモが悪用されるおそれがあるということも指摘されております。このようなことから、現在、全国の裁判所の運用を詳細に承知しておるわけではございませんが、事案によってはメモが許されている場合もございます。ただ、裁判所としては、さきに申しましたような点を考慮いたしまして、メモの許可については慎重な運用を行っているところが多いのではないかと思います。  御指摘のように、この運用につきましてはいろいろな御意見、御批判があることは承知いたしておりますが、他方、ただいま御説明申しましたように、実際の訴訟の上では慎重な考慮を要する問題もあるところでございますので、今後、それらを含めまして、許否の基準等についてさらに検討されていくことになろうかと思います。
  69. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣、簡単に一言で結構ですが、今のるるお述べになったことをお聞きになって、あなたの御所見を承りたいと思います。
  70. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 裁判所の訴訟指揮の問題でございまするけれども法務大臣としてそれについてとやかく申し上げることはちょっと差し控えた方がいいんじゃないかと存じまするので、よろしくお願いをしたいと存じます。
  71. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 簡単にお逃げになったようでございますけれども、私も国会議員でございますので、何でもかんでも大臣に答弁しろと言っているんじゃなくて、あなたの考え方をお聞きしたかったのですが、残念でございます。  そこで、時間もございませんので、この問題は後回しにいたしまして、入管法、出入国管理及び難民認定法の改正問題についてちょっとお聞きしておきます。  現行法では、外国人の単純労働者の受け入れは認められておりません。しかし、職種の内容によっては、日本人労働者が極端に不足して、募集しても集まらない分野もございます。日本人に失業をもたらすおそれのない分野においては、一定のルールを定めて、一定の範囲内で外国人に単純労働を認めることは検討してもよいのではないかと思います。  具体例を挙げてみますと、建設業においては、大手はともかく中小建設業者の中には、大工さんやコンクリートの仮枠のお仕事をしていらっしゃる方が極端に今不足しております。大工さんや仮枠工は高齢化しつつあり、その子弟で後継ぎになる者もいない。これでは、せっかくの公共事業の増加等による内需の振興策も、一部の建設労働者の不足がネックとなって、今、十分に仕事が消化できなくなるおそれが出ております。  大工や仮枠工について、外国人からの希望があり、国内においても、受け入れ態勢が整い、しかも、国内に失業をもたらさず、内需の拡大にもつながることになるのであれば、一部開放してもよいのではありませんか。
  72. 熊谷直博

    ○熊谷政府委員 委員御承知のように、現在我が国政府といたしましては、単純労働に従事することを目的とする外国人労働者の入国を認める体制をとっておりません。  今後、そのような単純労働に従事する外国人労働者の入国を認めるべきかどうかという点につきましては議論のあるところでございまして、我が国の労働市場への影響も考えなければいけませんし、それ以外にも、広く我が国の経済活動、社会生活、さらに対外関係のあり方等にも重大な影響を及ぼす問題であるという問題もございます。したがって、その取り扱いにつきましては、現在入管法改正の作業を進めておるわけでございますけれども、そのような中でも、今後、多角的な観点から十分な検討を行った上で的確な結論を出すべきものと考えております。
  73. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省と労働省、それぞれ簡単に御意見をお願いいたします。
  74. 吉免光顕

    吉免説明員 先生指摘の点でございますけれども、ただいまお話がありましたように、外国人の単純労働者は、日本の雇用失業情勢あるいは国内の労働者の労働条件というようなこと、そういう労働市場全般への影響をもたらすというおそれがございますので、従来から原則としてこれを受け入れないということにしております。  御指摘のような点で労働力不足が見られる点につきましては、仮に労働条件面での問題に起因するというようなことがございますれば、単に外国人労働者の導入をもって対処するということではなくて、そうした雇用機会の質的な面での改善の努力をしていくべきであるというふうに考えております。
  75. 徳山直

    ○徳山説明員 いわゆる単純労働に従事することを目的とする外国人労働者の入国は認めないという趣旨の閣議了解がある以上、建設業の分野におきましても、この政府の方針は遵守していかなければならない、こういうぐあいに考えております。また、建設業の構造改善を図りまして高度化する国民のニーズにこたえ、より高品質の建設生産物を生産している合理的で生産性の高いそういう建設業界をつくっていく上からも、単純労働に従事する外国人労働者の受け入れということについては極めて慎重に対処していかなければならない問題だと考えているところでございます。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 聞いておりましてまことに紋切り的であり、何だか思いやりのない、実情をよくお知りにならないような御発言のように承ります。しかし、法律があるからどうしようもなもないのだ、これでは何のために私が聞いているのだか意味がございませんので、あなた方のお国元であるそれぞれの省庁にお帰りになって大臣によくお聞きになって、あなたの答弁が正しいのか大臣がどのようにお答えになるか、改めて次の決算委員会で聞きますから御用意をしておいていただきたいと思います。  次に、新聞配達員、我が国の大新聞の宅配制度を支えていると言える新聞配達員が慢性的な配達員の不足状況が続いており、職業安定所でも人が集まらない状態であります。新聞販売店の後継者も少なくなっているこの分野において一定のルールを決めて外国人の労働者を受け入れる考えがないのかということを労働省に聞きたいのでございますが、これも前と同じ答弁になるでしょう。しかし、これは大臣が心配して、私にこういう質問をつくれというような意味のことを言っているのですね。一体どういうわけでこの委員会に来ると全く別の答弁がはね返ってくるのか。政治とはこういうものなのか。まことにもって不可解であると私も二十二年間国会にいて感じます。これは所管のあれではございませんが、ここに竹下内閣の閣僚の一員として最高責任者法務大臣しかおりません。法務大臣は労働省や建設省の答えは知らないのだ、おれはそんなことは関係がないのだ、法務省の仕事をやっていればいいのだと申し上げるような愚かな答弁はまさか返ってこないと思いますので、大臣、今の実情を踏まえてあなたの御所見を承ります。
  77. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 今、日本が国際国家になってまいりまして、また円高になってきておるということで、外国人が日本へ入ってまいりまして、そして滞留していわゆる単純労働にも従事しておるという状況でございまして、これは実は閣議におきまして、単純労働者は日本へ入ることを認めないけれども、その他の労働者いわゆる技能とか技術、そういう労働者につきましては入れるということになっておるわけけでございます。  そこで、先生のおっしゃいます新聞配達の少年でありまするが、これは実は外国人の留学生とかあるいは就学生が日本へ入ってきておりまして、大体週二十時間程度以内でありましたならばアルバイトを認めておるということでございます。そういう人たちがアルバイトとしてやり得るのではないだろうか、かように存じます。
  78. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういうことも幾らかはあるでしょう。しかし、今、それでは消化し切れない問題であるので私があえて取り上げております。  この次のこの質問がそれに絡んできますが、最近東南アジア方面を中心に我が国への留学生や就学生が急増しております。我が国としても将来十万人の留学生の受け入れを目指している。これらの留学生や就学生は本国からの仕送りも頼りなく、急激な円高の中で厳しい生活をしながら苦労しておりますが、我が国としてもあらゆる支援を行う必要があると思いますが、その支援はどうかというのが私の趣旨ですが、留学生や就学生のアルバイトについてはどの程度認めているかということなんです。新聞配達や皿洗い等については積極的に認めてよいのではないか。ところがこれが実情ではなかなかできませんので、今大臣がおっしゃったような実情とはかけ離れております。その辺のところをひとつ御答弁いただきたいと思います。
  79. 熊谷直博

    ○熊谷政府委員 留学生につきましては積極的にアルバイトを認めるとか、やりなさいという制度になっているわけではございませんけれども、週二十時間程度であるならば入管制度上の特別の許可を得ないで御自由になさってくださいという制度になっております。就学生、いわゆる日本語学校に就学をするような就学生につきましては、留学生のような自動的にアルバイト可能という制度にはなっておりませんが、入管の事務所に届け出をすることによってアルバイトは可能ということにしております。
  80. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 雇用者の方がなかなかそういう問題を熟知しておりませんので、採用にトラブルが起きている。またいろいろな面、所得の面とか待遇の面とかで行き詰まってできない点が多々ありますので、どうか適切なる指導をお願いしたいと思います。
  81. 熊谷直博

    ○熊谷政府委員 現在の入国管理法のもとで在留資格制度及び在留期間を設けまして外国人の在留管理を行っているわけでございますが、資格外活動のようなことで不法就労などが行われるような状況も見られておりまして、現在の在留資格制度自体に何か問題はなかろうかというような反省を最近いたしております。そこで、現在の在留資格制度昭和二十六年につくられました入国管理法のほとんどそのままであるということでございますので、現状に即した在留資格制度をつくるべきではなかろうかということで、最近に至りましてこの問題が非常に問題になりましたこともありまして、在留資格制度及びその基準その他を明確化するというようなことも含めまして現在、法の改正という方向で検討中でございます。その改正におきまして、委員の今の御指摘のように、外国人本人あるいは雇用したいという人、つまり第三者が、どういう在留資格を持っている、あるいはどういう在留活動ができるのかというような点についてもっと明確にわかるようにしたいというような考え方で法の改正作業に努めているところでございます。
  82. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 非常に前向きな姿勢で評価させていただきますが、私の質問の問題点をよく御理解いただきまして法改正に取り組んでいただきたいと思っております。  在留資格の中で研修をふやすことは日本と外国との友好関係のためにも役立つことであり、技術交流にもなり好ましいことであります。例えば我が党の伏屋衆議院議員、太田参議院議員が尽力して技術研修生受け入れを行ってきた事例がございますが、岐阜市と中国杭州市との友好都市提携により岐阜繊維縫製加工業連絡協議会へ、昭和六十年十二月からの一年間三十人、昭和六十二年一月からの一年間三十人の技術研修生の受け入れを行ってきた。このような研修の受け入れは今後とも積極的に行うべきであると思いますが、いかがでしょうか。
  83. 熊谷直博

    ○熊谷政府委員 初めに制度的といいますか、いかにして技術研修生を我が国が現在受け入れているかということについて若干御説明申し上げたいと思います。  委員指摘のように技術研修生を受け入れるということはその国との関係、その国への協力などの観点からも非常にいいということでございまして、従来からもその入国を広く認めるということにいたしております。しかし、現実に稼働つまり就労、研修ではなくて稼働を目的として技術研修の名をかりて入国する人がいるということもまた事実でございます。そこで、技術研修の目的ということで入国申請がありますと、入国管理当局といたしましては、その審査に当たりまして申請人の経歴、それから研修の日程、内容、受け入れ先の職員状況等、その受け入れについて十分調査させていただいております。そういう調査を通じて当該研修がどういう状況にあるのか、果たして真正な研修を行わせるものであるのかどうかというような点を慎重に審査いたしまして、その上で入国を許可するあるいは許可しないという決定を行うことといたしております。  先ほども申しましたように、現在入管法の改正を検討しているところでありますけれども、技術研修生の受け入れ等に関しましても、委員指摘のような点も踏まえつつ、基準の見直しとか明確化とか、そういうことについて検討いたしたいというふうに思っております。  委員具体的に御指摘になられました繊維縫製加工業のことでございますけれども、これは実はおっしゃいましたように太田先生がお扱いになっておられる案件でございますが、過去二回研修を認めておりましたところ、今般第三回目の申請がございまして、実は実態調査をいたしましたところ、受け入れ先である工場が閉鎖されているとか、それから従業員数が私どもが基準といたしておる要件を欠いているとか、そういうところに研修に来るというような案件でございましたので、この第三回目につきましては許可をしないという決定をさせていただいて、今後その受け入れ先の実態を変えて基準に合わせた形で再申請をしてくだされば受け入れるように考えますということについても太田先生にも御説明済みでございます。
  84. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間が参りましたので、残余の質問につきましては後日に譲らしていただきます。きょうはお呼びいたしまして大変失礼いたしました。ありがとうございました。
  85. 野中英二

    野中委員長 草川昭三君。
  86. 草川昭三

    ○草川委員 まず裁判所法についてお伺いいたします。  裁判所法五十七条によりますと、最高裁あるいは各高等裁判所及び各地方裁判所裁判所調査官を置くということになっております。そこで、ただいまのところ裁判所調査官という方々がどこの裁判所にどれだけの人数が、あるいはまた出向期間はどの程度、また出向元の各省庁はどこか、お答えを願いたいと思います。
  87. 櫻井文夫

    ○櫻井最高裁判所長官代理者 裁判所調査官でございますが、現在全国に二十二名でございます。そのうち十八名が東京の裁判所におりまして、四名が大阪に勤務いたしております。  担当別で申しますと、特許を担当する者が十五名、それから税金を担当する者が五名、その他が二名ということになっております。  出向している省庁でございますが、特許庁と国税庁、海難審判庁から参っておりまして、出向期間は大体二、三年というところでございます。
  88. 草川昭三

    ○草川委員 裁判所が、わかりやすく我々庶民の言葉で言うと、行政庁に助っ人を求めている。助っ人という言葉は大変失礼な言葉になりますけれども、専門の知識の方々にいろいろと調査をしていただく、こういうことになるわけであります。これはよく考えてみますと、一般の国民行政庁を被告として取り消し訴訟を訴えるという場合に裁判所が、今もお話がありましたように、特許の問題とか国税の問題だとか海難審判、この非常に難しい専門的なことについて特許庁から国税庁から海難審判庁から専門官に来ていただいてその人の意見を聞くということになりますと、一般庶民としては特許庁を相手に取り消し訴訟をするあるいは国税庁に対してそういう税の取り方について問題があるから取り消してもらいたい、こういうことになりますと裁判の公平ということが外形的にも疑わしいのではないか、こういうことになるわけであります。  そこで私は裁判所に対しまして、一体この専門官が関与した裁判で勝ったのか負けたのか、いわゆる行政庁が負けた例があるのかあるいは勝った例があるのか、いわゆる星取り表のようなものをつくってもらいたいという要望をしたのでございますが、そのことについての御説明が本日できますかどうかお伺いをしたいと思います。
  89. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 委員のお挙げになりました特許事件について申し上げます。  特許の審決取り消し訴訟は東京高等裁判所の専属管轄になっております。六十一年度の終結した事件数を見ますと二百十三件でございます。そのうち四十六件の取り下げがございます。判決で終わりました事件は百六十七件でございますけれども、百六十七件の中でいわゆる特許出願者の請求を認容した事件、これが七十六件ございます。それからその請求を棄却した事件が九十一件でございます。したがいまして、率にいたしますと約四六%くらいの事件がいわゆる特許出願者が勝っている、こういう結果になっております。
  90. 草川昭三

    ○草川委員 今その四六%が勝っておるということで客観性がある程度証明されたと思うのでございますが、国税あるいは海難審判の方はどんなような状況になっておりますか、おわかりですか。
  91. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 申しわけありませんが、ただいま数字を持ち合わしておりません。
  92. 草川昭三

    ○草川委員 ここで法務大臣法務省にもちょっと制度上の問題としてお伺いしたいわけでございますが、こういうような制度というものがこれから非常に専門的になってきますね。例えばハイテク産業がどんどん出てくる、そうすると特許の件についても専門官の意見を聞かなければいけない、裁判官としてもそういうことを聞かなければ判断ができないような状況になってくると思いますね。こういう例が今後ふえるということになりますと、私が最初に申し上げましたように、行政庁を被告とする取り消し訴訟というものが非常に疑わしいのではないかということを考えざるを得ません。また中には、これは出向する行政庁にとってみれば、君はいよいよこれから裁判所に出向するんだが、しっかりと知恵をつけろ、よもや出向省庁に不利になるようなことはやるまいな、こういうことを言うか言わぬかわかりませんけれども、心情的には我々はそういうことがあるのではないかと、ひがみ根性ではありませんけれども思うわけであります。要するにこういう制度について特段今後問題が出てくるのではないだろうかという感じがするわけでございますが、先ほどの小川さんの質問ではございませんけれども、大臣として制度上の問題として私の意見についてどんなような御判断を持っておみえになるのか、これは後ほどお伺いをしたいと思うのです。後で簡易裁判所の問題についても聞きますので、最後に大臣の答弁を求めたいというように思います。  そこで、次の問題は、五月一日をもって簡易裁判所の統廃合が行われることになります。実はこの簡易裁判所というのは、戦後、庶民が手軽に裁判所を利用する、少額、軽微な事件を簡裁にお願いするわけでありまして、手続的にも非常にいろいろな配慮がなされているわけでありますが、残念ながら今の実情は、簡易裁判所というのは、いわゆるサラ金なんかの消費者金融関係事件に利用され過ぎているのではないか、こういうことで、一般の庶民の方々の簡易裁判所の利用というのに大変問題があるという不満が全国的に寄せられてきているわけです。  そこで、今支払い命令事件というのは年間何件くらいあるのか。そのうち、いわゆる消費者ローンと言われる事件はどのくらいあるのか。そして、支払い命令の手続が簡易迅速に行われることによって、消費者保護の面から見て問題はないのか。こういった事件の今後の見通しはますますふえるのではないか、こういう疑問があるわけでございますけれども、その点についてどのようにお考えになっておられるのか、お答え願いたいと思います。
  93. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 消費者信用関係事件に関連いたしまして督促事件の新受事件をお尋ねでございますので、お答えいたします。  督促事件の新受事件は、六十二年度で申しますと六十二万九百六十件でございます。この趨勢でございますが、五十二年度を一〇〇といたしますと六十二年度新受事件数は二八六ということになっておりますのでかなりの増加になっております。この事件のピークは昭和五十九年に参りまして、昭和五十九年で六十七万七千三百三十六件でございました。それがここのところやや鎮静化いたしております。しかしながら、今申しましたように五十二年の約三倍という高水準になっております。  これがどういうふうに推移するかという予測でございますけれども、この督促事件は、委員指摘のとおり消費者信用関係事件が大部分を占めております。そこで、この事件の趨勢を判断する際の一番の要素といたしまして消費者信用等における新規信用供与額というものがございますが、それが近年ずっと増加傾向にございます。したがいまして、この督促事件というものはここのところやや落ちついてはおりますけれども、高い水準で推移するのではないか、こういうふうに考えております。
  94. 草川昭三

    ○草川委員 見通しは今後非常に増大をするだろうということでございます。いずれにしましても、簡易裁判所は庶民の裁判所であることを忘れずに、どう充実し、対応するか、考えていただきたいところであります。  今申し上げましたように五月一日をもって簡裁の統廃合が行われることになるのでございますが、統廃合によってやめたところの人間は当然浮くわけでございますが、それがどう処遇をされるのか。そしてまた、浮いた人間はどのようなところに振り向けられるのか。そしてまた、統廃合によって、事件数などの関係で非常に忙しい簡裁とそうでないところ、例えば、離島でどうしても欲しいところ、しかし事件数は少ない、ところが一方、集中をするというようなところもあるわけです。そういうバランスをどのようにとられるのか。あるいは簡裁の判事の方が五名ほど今度の予算では増員になっておるわけですが、どういうところに充てられるのか。それから、統廃合によって、裁判官のいわゆる常駐庁がなくなる場合もあるわけであります。なくなるとすれば、そういう判事の方々はどういうことになるのか。  そしてまた、時間がございませんので全部あわせて質問しますが、一般職員の増員はどうなっているのか。果たしてそれで十分なのかどうか。非常に少額の軽微な事件というのは、アメリカ等におきますと専門のそういう裁判所もあるやに聞いておりますし、悪徳商法等の例を挙げますとクラスアクションというようなことも出てくるわけでありますから、裁判所の運営自身が、今後今日的な諸問題に対応できる機能が非常に必要ではないだろうか、こういうように思うのでございますので、あわせてその質問をしたいと思います。  これで終わりますので、法務省の方の質問は残念ながらやめますので、今の質問にだけ答えていただいて、終わりたい、こう思います。
  95. 金谷利廣

    ○金谷最高裁判所長官代理者 まず、簡易裁判所の統廃合によりまして廃止される庁の職員がどこに振り向けられるのかというお尋ねからお答えさせていただきます。  廃止される簡易裁判所には裁判官以外の職員が約二百八十名配置されております。これらの人員は裁判所全体、特に簡裁の機能を一層充実強化するために活用することにいたしております。  具体的に申しますと、一つは、事務量の著しく少ない一部の庁を除きました受け入れ庁、この受け入れ庁と申しますのは統合される簡易裁判所の土地管轄を引き継ぐ庁のことでございますが、その受け入れ庁の方には約百三十名を振り向けます。  二番目といたしまして、受け入れ庁の簡裁ではございませんが、現在比較的忙しいと思われます簡易裁判所の方に約七十名を振り向けます。ということで、合計約二百人を簡易裁判所に振り向け、残りの約八十名は地方裁判所、家庭裁判所の本庁または支部のうち比較的忙しいと思われるところに配置する予定にいたしております。  次に、統廃合によって全国的にバランスがとれるかというお尋ねについて申し上げさせていただきます。  おかげさまでかなりバランスがとれるということになります。今回の適正配置によりまして著しく事件の少ない簡易裁判所に配置されていた職員を今後順次事件数の多い、言うならば比較的忙しい簡易裁判所の方に振り向けることができるわけでございます。これによりまして職員の配置は全国的にかなりバランスのとれたものになる、こう考えております。  ただ、今回の改正によりましても、例えば事件数が極端に少ないけれども、隣の庁まで行くのに時間がかかり、これを統合しますと住民に非常に御不便をおかけするというような庁、あるいは離島にあります簡易裁判所などにつきましては統合の対象から除外しているわけでございまして、これらの庁につきましては依然として事務量が著しく少ないところに人を配置している、そういう面のアンバランスはなお残ることになります。  それから、簡裁判事五名の増員、これをどちらに振り向けるのかということでございます。  簡易裁判所事件の増高は最近ようやく落ちつきを見せておりますが、民事訴訟事件を中心にいたしましてかつてに比べてなお相当多うございますので、特に都市部の簡易裁判所ではそういう傾向のところが少なくございません。一方では、今回の適正配置によりまして簡易裁判所判事の非常勤庁のうち事件数の極めて少ない九十庁が統廃合されることになりますが、なお五十一庁につきましては非常駐庁として残ることになるわけでございます。これらの非常駐庁につきましてはその事件数なども考えながらできる限り常駐化を図っていきたい、こう思っております。  こういうことを考慮いたしますと、今回の増員の五名と統合されることになりまして浮きます簡易裁判所判事十名、合わせまして十五名を、一つは都市部を中心とする簡裁の増強、もう一つは一部非常駐庁の常駐化に充てたい、こう考えております。  具体的に申し上げますと、統廃合によりまして裁判官の非常駐庁がどうなるかという点でございますが、ただいま申し上げましたとおり、全部とはまいりませんが、裁判官の非常駐庁というのは相当数解消いたすことになります。独立簡裁の裁判官非常駐庁というのは、六十二年度におきまして百四十一庁ございました。今回の適正配置によりまして九十庁が廃止になります。残る非常駐庁というのは五十一庁になるわけでございます。このうちには隣接庁までの距離がかなりあるものの事件数が極めて少ない、そういう庁もございます。そういう庁についての常駐化を図るということは難しいところでございますが、他方、非常駐庁の中にも相当の事件数があるとかあるいは今後の事件数が見込まれる、そういうことで統合を見送られた庁もございますので、これらの庁につきましては、今後の事件数の動向も見ながら常駐化を図っていきたいと考えております。さしあたりまして昭和六十三年度におきましてはこのうちの七庁について常駐化いたしたい、こう考えておるわけでございます。なお、非常駐庁につきましてはてん補の回数をふやすとかそういったことで地元の住民の需要にこたえていきたい、こう考えております。  なお、最後にお尋ねの、一般職の増員が簡裁の充実強化にどう結びつくかという関係でございますが、この点は、今回におきます定員法の御審議によりまして、簡裁の民事訴訟事件処理及び督促事件処理のために事務官十八名の増員が認められました。それにあわせまして、先ほど申し上げましたとおり適正配置の実施で廃止庁に配置されている一般職員のうちの約二百名を簡裁に配置することができるようになったわけでございます。その結果、受付事務の充実、調停手続の充実策とかあるいは簡易裁判所の統合された地域に対する出張事件処理につきましてかなりの手当てが行い得るものと考えております。  こういう人員面での増強に加えまして、設備の改善とかあるいは各種の手続を平易に解説いたしましたパンフレットを配布するとかあるいは各種事件の申し立て書式を整備するとか、そういったもろもろの施策をもあわせて進めまして、国民の利用しやすい簡易裁判所としてかなりの程度充実を図り得るもの、こう考えておるところでございます。  以上でございます。
  96. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来ましたので終わりますが、ぜひ庶民の簡裁、これの充実強化に努めていただきたいことを要望して終わりたいと思います。
  97. 野中英二

    野中委員長 大矢卓史君。
  98. 大矢卓史

    ○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。  私、法律的には専門家でございませんので、大変素人っぽい発想からいろいろと質問すると思いますけれども、お許しを願いたいと思います。  裁判所というところは、私は何と申しましても非常に法律的に神聖なところであるというふうに思っておりましたし、その場所で従来競売という大変いかがわしい行為がその中で行われておるということを再々耳にいたしてまいりました。そういうこともございまして、法律改正が五十五年の十月になされたようでございますけれども、旧法と新法、どのようになっておりますのか、その点、まず御説明を願いたいと思います。
  99. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 委員ただいま御指摘になりましたように、昭和五十五年の十月から民事執行法が改正になりました。いわゆる競売の不明朗化に関連しましてどういう点が大きく変わったかという御質問でございますので、その点を申し上げさせていただきたいと思います。  改正前の旧民事訴訟法、旧競売法におきましては、競売の方法といたしまして競り売りそれから期日入札の二つが定められておりました。競り売りというのは、文字どおりその場で値を競っていく制度でございます。それから、期日入札は、ある一定の日に入札希望者が集まりまして入札書を執行官に提出して、その中から最高の価格を提示した者を競落人に決める、こういう手続でございます。法律上はこの二つのうちで競り売りを原則とするという形になっておりました。ところがこの競り売りは非常に、その性質上不動産ブローカーと申しますかそういった不明朗な者の介入する余地を残していたわけでございます。そこで、新法におきましてはこの二つのほかに期間入札という制度を設けました。この期間入札は一定の、一週間以上、一カ月以内の期間を定めまして、その間に入札を希望する者が直接執行官に入札書を届けてもいいし、また書留郵便でもって裁判所に出頭せずに入札書を郵送してもいい、こういう制度でございます。こういう制度でございますから一般の方が非常に参加しやすくなった、こういうところに大きな特徴がございます。そのほかにこういった売却方法でも、なかなか売れないものにつきましては、特別売却という形で裁判所が相当と認める方法で売却する方法も認められるようになった、この点が大きな特徴でございます。
  100. 大矢卓史

    ○大矢委員 旧法から新法に変わった。その中で、旧法の中で競り売りというのが不動産ブローカーが関与することが多かったので、原則的に競り売りということを――これはもう法律的に、原則というのはどこかに入っておったのですか、それとも言葉でなしに現実の運用として競り売りをやっていらっしゃったんですか。
  101. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 法律上は競り売りを原則とするという文言になっておりました。ただし、その競り売りにつきましては、委員指摘のような不明朗な行為が介入する余地があったために、実務の運用におきましては逆転いたしまして、期日入札を原則といたしておりました。そういう実情でございます。
  102. 大矢卓史

    ○大矢委員 新法におきましては、そういたしますと、原則という文言が外れましたけれども、なおこの競り売りと期日入札、期間入札、特別売却。ですから、従前の期日入札、競り売りに加えて期間入札、特別売却というものが加わった、そういうことでございますか。
  103. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでございます。  そして、運用におきましては、先ほど申しました期間入札が最も妥当な方法と思われますので、大部分の庁ではこの期間入札を中心にして運営をしている、こういう実情でございます。
  104. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは妥当と思われると言いますけれども、この四つが明記されておりますとどれをやっても違法ではないと思いますが、その点は何か、こういうことが望ましいとかなんとかということでそうやっていらっしゃるのですか。
  105. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 法律上は、どういう方法を採用するかは裁判所が選択するという定めになっております。したがいまして、どの方法をとりましても違法という問題は生じないわけでございますけれども、やはり実際にやってみまして、期間入札が一番明朗な方法でいいというふうに内部の理解が広まってまいりました。私どもも、そういったことで、その期間入札の利点につきまして各裁判所の理解を求めるようにしている、こういうことでございます。
  106. 大矢卓史

    ○大矢委員 不動産ブローカーが活躍をする競り売りがいけないということで法律を改正したといいながら、この競り売りが残っておるというのはどういうことですか。
  107. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 不動産にはいろいろな種類もございます。それから、地域によっても実情が違います。先ほど、不動産ブローカーとかそういった不明朗な者が介入することもあったと申しましたが、これは主に都市部でございます。したがいまして、そういうおそれもなくて公正に行われた場所ももちろんあるわけでございます。そういった点で、選択の余地は残すという意味で残されているわけでございますけれども、今はほとんどこれは休眠状態といいますか、運用されておりません。
  108. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで、そういうブローカーが暗躍しないように、一般人の方でも参加ができるというような道を開きたいということで改正がなされたようでありますけれども、その一般人の方の参加をどういう方法でされるようになさったのですか。
  109. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 まず第一の方法といたしましては、先ほどから申し上げておりますように、運用におきまして、一般の方が一番参加しやすい期間入札を原則的に採用して運営する、こういうことが一番の方法でございます。  そのほかに、一般の方にわかっていただきますために、裁判所は、法律で定められました公告、これは裁判所の掲示板に掲示するものでございますが、それを市町村の役場にも掲示いたしております。  そのほかに、日刊紙でありますとかあるいは住宅情報誌に、どういうものが競売に付されているかということを、広く市民の皆様にわかっていただくように掲載いたしております。  それから、裁判所におきましても、どういうふうにして競売に参加できるかということをわかりやすく説明いたしました「競売不動産買受けの手引」といったようなリーフレットも置きまして、だれでも参加できるようにやっているところでございます。
  110. 大矢卓史

    ○大矢委員 一番好ましいと言われております期間入札について、具体的に御説明願いたいと思います。
  111. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 期間入札の方法でございますが、裁判所が入札の期間、これは一週間以上一カ月以内でございます、通常は一週間程度が多いようでございますが、その入札の期間を定め、別に開札期日というものを定めまして、そのときに執行官が、その期間の間に提出された入札書の封筒を開封いたします。そこで、最高価額で入札された方を買い受け人と決める手続でございます。  それから、先ほども申しましたように、入札の方法でございますが、入札書を入れて封をしまして、これを開札期日を記載した封筒に入れまして執行官に差し出すという方法と、もう一つは、その封筒を別の封筒に入れまして書留郵便によって執行官に送付するという二つの方法があることは、先ほど申し上げましたとおりでございます。
  112. 大矢卓史

    ○大矢委員 この執行官というのは何人ですか、そして、どういう形でいつ開封し、どういう形でそれをだれが知り得るのですか。
  113. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 執行官は、現在五百十四名程度おります。  それから、開札期日におきましては、その執行官が開札するわけでございますが、これは利害関係人に通知をいたしますので、入札した人が中心になって開札期日に参ります、その前で開封をする、こういうことでございます。
  114. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは一般人の方の参加ということでいろいろな告示をしていらっしゃいますけれども、少なくとも建物の場合に、上屋でございますとか土地の関係がございますし、土地を売られる場合には上屋の関係がありますし、また居住人の関係がございますし、普通でいきますといろいろな関係人があるわけでありますけれども、その人たちが、一般人の参加のためにいろいろな告示をしておると言われます中で、私は、完全に知り得ないだろうと思いますけれども、その点はいかがでございますか。
  115. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 ただいまの入札期間でありますとか開札期日、こういったものを一定の者に通知することになっております。これは、その中には、差し押さえ債権者でありますとか債務者、配当要求をしている債権者、知れている抵当証券の所持人などのほかに、「その他執行裁判所が相当と認める者」という文言がございまして、これでもって必要と判断される者に通知をいたしております。その中で、ただいま委員指摘のような方々に対する通知という方法もとられているわけでございます。
  116. 大矢卓史

    ○大矢委員 その執行裁判官が適当と認める者という文言でございますか、ほかに通知をする者は。今言われましたのはどういうことですか。
  117. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 通知の相手方といたしまして四つほど列挙しておりまして、そのほかの五番目といたしまして、「その他執行裁判所が相当と認める者」、こういうふうになっております。
  118. 大矢卓史

    ○大矢委員 そうすると、「相当と認める者」、今いろいろなことを言われましたけれども、私が申し上げました、その者に対しての通知義務はあるのですか、ないのですか。
  119. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 建物が競売されます際に、その敷地所有者に対して通知する義務があるかどうかという御質問かと思いますが、法律上は先ほど申しました文言になっております。しかしながら、先ほど申しました規則を解説いたしました私どもの逐条解説におきましては、敷地所有者にも通知するのが相当であるというふうに書かれておりまして、それを一般の裁判所に流しております。そこで、具体的に大阪などでは、敷地所有者に対しても通知が行われているわけでございます。
  120. 大矢卓史

    ○大矢委員 ですから、敷地所有者は、それは建物を建てる場合はわかりますよね。ですけれども、もし土地が競売になる場合に、上屋の所有者なり、またそれを第三者に貸していると居住権、使用権がありますし、その人たち、もしくは少なくともそれに関係のある近隣の人たち、それに直接接しておる人たちにもこれを知らしめる必要があると私は思いますけれども、この点は必要な事項の中にそういうものも加えていただいて、これをまず徹底させていただきたい。いかがですか。
  121. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 通知先は、主に競売に参加しそうな可能性のある方を中心にして通知しているわけでございますけれども委員指摘のような範囲につきましては、なお実情等も見まして研究さしていただきたいと思います。
  122. 大矢卓史

    ○大矢委員 それでは、やはり利害関係者にはわかるような方法で告示をしていただきたい、参加できるような方法でやっていただきたいということを希望いたしておきます。  そこで、今御答弁の中にございました大阪ではということでございますけれども、私も法律には素人でございますので的違いの質問かもわかりませんけれども、最近行われました競売の中で、大阪市の天王寺区の問題でございます。具体的なことにつきましては余りお答えをなさらないようでありますが、おたくからいただきました資料によりますと、「執行官調書によれば、」「大阪市公衆用道路上に建っており、敷地利用権はない。」言うならば、市道の上に建っておるということを明示しておる、不法占拠の建物を競売に付されたようであります。そういうような現実がありました。  しかし、法律の解釈によりますと、これの申し立てが新法ができます以前からあったものだということで、大阪市に対して何ら通知がなかったし、そのまま今なお大阪市はそれを知り得ておらないという状態のようでありますけれども、このことにつきましてどういうようにお考えになりますか。
  123. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 旧法下におきまして発生した事件でございます。旧法当時は、入札期日を公告するという形で一般の人に通知しておったわけでございますけれども、公告書の中では敷地利用権がないということは明示していた事件のようでございます。しかし、なおその点につきましては、新法のもとにおきましては敷地利用者にも通知するという運用がなされておりますことに照らしましても、いろいろ考えるべき点があったのかもしれないと思っております。
  124. 大矢卓史

    ○大矢委員 冒頭申しましたように、裁判所というところは法律を守っていく、そこに法律を守らないような人たちがたむろして利益を得ている、そこにもってきて、このように不法占拠の土地を競売にする。これは大阪市でございますけれども、やはりどこにいたしましても、こういう公共の、それまた道路用地、道路の上に建っておるものを競売して、大阪市にも何らの連絡がなかった。それも旧法の間に競売されたのではなくして新しい法律になってから。いろいろなことがございましょうけれども、そういう精神で運用していらっしゃるにもかかわらず、旧法のときに申し立てがあったということで何ら連絡もしていない、そういうようなことがあったということであります。私も愕然といたしましたけれども、非常に考慮しなければならぬということでございましたけれども、これからは旧法時代に申し立てのあったものでも、こういう新しい法律に基づいていろいろな人たちに対する知らせをするということはいかがでございますか。
  125. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 執行を実際に担当している担当者の方々と十分に研究させていただきたいと思っております。
  126. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、今私が申し上げましたように、そういう不法占拠の上に建っておるものが売り買いされておる、裁判所の中でやられておる。こういうものに対して撤去していくという姿勢が大阪市にも乏しかったと思いますけれども、そういうことが堂々とまかり通っておるということについてどのようにお考えになりますか。
  127. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 事実をよく承知していないわけでございますけれども、そういうことが事実でありましたならば、まことに遺憾なことと存じます。十分検討をさせていただきます。
  128. 大矢卓史

    ○大矢委員 私、法律の専門家ではございませんけれども、私どもが信頼をいたします法の番人、それらのところで何か納得できないようなことが行われておるということについては、できましたら、法律がどうあろうとも運用の面で改善をしていただきたい。また大阪市に対しましても、このようなことを新しい所有者なり、これは恐らく第三者にまた貸しされておるでございましょうから、そこらのところも含めて、これを撤去さすべく努力してまいりたいと思いますが、これからはそのようなことのないようにお気をつけ願いたいと思います。  そこで、時間がございませんので、入管の関係で少しだけ。これもまた私の考え方でございますので、果たして今の運用でそれがいいかどうかは別でございますけれども。  この入管の関係で、国際化の中でいろいろな外国人の方々が日本に来られます。いい印象を持って帰ってもらわなければならぬわけでございますけれども、その中で、単純労働者とかいろいろな問題がございますが、芸能人が日本へ来られる場合には、興行という形で、一般のダンサーの人にいたしましても歌い手の人にいたしましてもいろいろございます。しかし、国を代表するようなタレントもいらっしゃいます。私も余り専門家でございませんのでその点わかりませんけれども、大きなタレントと申しますか、国を代表するような方もいらっしゃるわけであります。それらの人々と、こういうことを申しますと非常にいけないかもわかりませんけれども、いわゆる芸能人として入ってきていろいろなお仕事をしていらっしゃる人々とが、興行というだけで同じ文言で扱われている。これらについても私は何か釈然としないものがございます。俗に言われておるマイケル・ジャクソンでございますとかマドンナでございますとかスティービー・ワンダー、いろいろな大きなタレントも来ていらっしゃいますけれども、そういうタレントも、また一般のショーの要員として来られていて、それでいながらそういうショーでなしにホステスの仕事もしていらっしゃる、いろいろな方がいらっしゃると思いますけれども、そこらが一つの興行という枠の中だけで扱われておる。このことについて何か私、日本がこれからこういう方も含めてどんどん来られる、それに対して、やはりいい感じを持って帰っていただくということが大切だろうと思いますけれども、これらについてどのようにお考えでございましょうか。
  129. 熊谷直博

    ○熊谷政府委員 委員指摘のマドンナのような有名な人と、いわゆる東南アジア諸国から入ってこられまして、日本で公開興行という形でいろいろなクラブ等で歌ったり踊ったりしている人と、そういうのを一緒くたにして入管法上は扱っているではないか、これはいかぬのじゃないかという御指摘のようでございますけれども、御指摘のように現在の在留資格制度のもとでは同じ在留資格、四―一―九という在留資格に入っておりますけれども、その運用といいますか、入国していただくときの運用に当たりましては、いわゆる国際的に著名な芸能人につきましては、現地の、つまりアメリカとかフィリピンとかそれからフランスとか、そういうところにある日本大使館で直ちに査証発給できるようにしております。したがって、そういう運用の面で著名な芸能人については入国が簡単にできるようになっております。他方、今申しました東南アジアあたりからおいでになっていろいろ問題の活動をなさるような方々につきましては、やはり厳格な入国審査を行っている。ただし、在留資格の面で申しますと、今申しましたように同じであります。
  130. 大矢卓史

    ○大矢委員 時間が参りましたので、いろいろと通告をして御出席願った方には申しわけありませんけれども、終わらしていただきます。
  131. 野中英二

    野中委員長 野間友一君。
  132. 野間友一

    ○野間委員 霊感商法について質問をしたいと思います。かなり時間がずれておりますが、私が最後でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  警察庁の定義によりますと、「人の死後あるいは将来のことについてあることないことを申し向けてその人に不安をあおり立て、その不安につけ込み、普通の人だったら買わないようなものを不当に高価な値段で売りつける商法、」こういう定義をしております。そして、それについて、「各種の悪質商法の中でも最も悪質なもの、すなわち人の弱みにつけ込むというか人の不安をかき立ててその弱みにつけ込むという意味で大変に悪質なものだ、」これは警察庁の定義なり見解であります。これは六十二年五月二十一日の衆議院の物特での上野生活経済課長の答弁であります。そして、厳正にこれに対処しなければならぬということも言っております。  ところで、経企庁のいろいろな資料、統計等を開いて見ますと、依然として後を絶っておりませんね。相談件数が五十九年が二千八百七十六、六十年が三千二百九十九、六十一年が五千三百五十七、六十二年の四月から六十三年の一月まで二千九百七十二、被害金額を見てみますと、五十九年が十八億余、これは億以下は切り捨てます。六十年が二十億、六十一年が六十五億、六十二年の四月から六十三年の一月にかけて四十五億、物すごいですね。警察庁の資料を見ますと、相談件数ですが――これは警察庁ですね、先ほど言ったのは経企庁。六十一年が百九十八件、六十二年が四百三十九件、これは相談件数であります。検挙した件数は、六十一年が三件、六十二年が五件、これはまだ公判中のものもあるようであります。  こういうふうに見てみますと、相談件数というか苦情が非常に多い。金額もべらぼうな金額が出ております。ところが、警察の検挙件数は、これらに比べますと非常に少ない。ほとんどあるかないかというようなことであります。こういう点について、どういう理由でこういうふうに立件したりあるいは公判請求したのが少ないのか、その特徴についてまず警察庁に伺いたいと思います。
  133. 泉徳治

    ○泉説明員 ただいま御指摘のありました警察で検挙した事件につきまして、六十一年三件、六十二年五件ということでありますが、これは私どもまず相談件数、個々の相談された人ごとにとっておる件数と今三件、五件と申し上げましたのは事件数でございますので、必ずしも相談件数に対応するものではないということでございます。  霊感商法につきましては、先ほど御指摘のありました基本姿勢で対処しております。私どもに寄せられました相談につきまして、その中身について……(野間委員中身は結構です」と呼ぶ)内容、相談の性質等につきまして申し上げますと、先ほどの件数がございますが、ほとんどがこういうものに関与したから解約したいがどうかとか、こういうものに係るものは被害届けという形ではなくてこういうものを解約する方法はどうかというような相談がほとんどでございまして、具体的事件につながるものもその状況の中で少ないという実態でございます。
  134. 野間友一

    ○野間委員 物特の中でも、これは上野さん当時答えていますが、組織的に法令を研究しておる、証拠を残さない、捜査に着手すると被害者と示談に入ってしまう、これがこの種の特徴だというふうに答えておりますが、まさしくそのとおりであります。  法務大臣にお聞きしたいのですが、去年の六月四日、参議院の決算委員会で我が党の佐藤議員の質問に対して当時の遠藤法務大臣ですが、「根を絶やすような方途もこれから検討していかなければならぬ」こういうふうに言明をされております。この言明は恐らく今林田さんも維持されると思いますが、その点だけお答えいただきたいと思います。
  135. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 遠藤前法務大臣も具体的な刑事事件ということを念頭に置かれてそういう発言をされたものと思うのでありまして、具体的事件が参りました場合には、検察といたしましてはそれが会社ぐるみあるいは組織ぐるみの犯罪であれば、その組織あるいは上部の方にまでさかのぼった徹底した捜査を行いたい、こういうことであろうかと思うのでありますが、検察といたしましてはやはりそういう考えで、もし組織犯罪であることが判明いたしますれば、組織の上部を解明するような徹底した捜査をいたすものと思っております。
  136. 野間友一

    ○野間委員 いや、単にそうだけじゃなしに、もっと広い意味で答えていますよ、これからいろいろ検討していかなければならぬということでね。これは私はかつて五十九年ですか、法務委員会で質疑したときも、当事の刑事局長、だれでしたか、筧さんかな、これは各省庁協議した上でやらなければならぬ、それから住さんという当時の法務大臣ですね、彼もそういうふうに答えております。これは厳正にぜひひとつお願いしたいと思うのです。  時間がありませんから次に進みますが、この霊感商法を見てみますと、既に御案内のとおり国会でも何度も論議されております。印鑑、つぼあるいは多宝塔ですね、こういう物品の輸入、卸、販売、これを行ってきたハッピーワールドあるいは「世界のしあわせ」ですね、これが去年の四月に自粛をするということを、これは通産省とそれから経企庁所管の国民生活センター、こういうところに文書を提出しております。私も持っております。しかし、先ほども数字を挙げましたように、自粛声明出したにもかかわらず、四月以降も各地の消費生活センター、ここに苦情がうんと寄せられております。これは数字の上で既に挙げたとおりであります。こういうことについて経企庁はどう受けとめておるのかということと、どうも最近の被害の特徴を見てみますと、販売する物品とか手口ですね、従来と違ったそういう特徴があるというふうに私は見ております。日弁連の報告書にもありますが、どういうふうにお考えなのか、その点も含めてお答えいただきたいと思います。
  137. 吉田博

    ○吉田説明員 昨年の七月をピークに被害件数自体は若干減少の傾向にございますが、まだまだ非常に高水準にあるということでございます。  それから事例でございますが、印鑑だとか高麗ニンジン、多宝塔というのもまだまだ多数を占めておりますが、同時に和服であるとか絵画であるとか、そういうふうに介在する商品が非常に多様化をしております。
  138. 野間友一

    ○野間委員 日弁連のことしの三月につくりました「霊感商法被害実態とその対策についてその二」ですね、これにも特徴などについてもいろいろ書いてありますが、宗教的人間関係を形成した上で販売を実行、新たな商品として弥勒仏、これなどが見られる。絵画も今指摘ありましたけれども、まさにそのとおりであります。  それから、自粛声明を出しながら依然としてこういう被害がその後も続いておるということであります。しかも、今も日弁連の指摘を挙げましたように、宗教的人間関係をまず形成する、その上で販売を実行するというのが一つの大きな、新たな特徴だと思うのですね。日弁連の「その二」、これ恐らく経企庁もお読みになっておるわけですよね。消費生活センターあるいは国民生活センター、ここへ寄せられた被害の特徴等と手口、これは恐らく日弁連の「対策について」という報告書の中の特徴とほぼ似ておると思いますが、いかがですか。
  139. 吉田博

    ○吉田説明員 その日弁連の報告書を全部見ておるわけではございませんが、センターに寄せられました苦情及びその報告書をざっと見た感じで申し上げますと、かなりの類似点がございます。
  140. 野間友一

    ○野間委員 もともと「世界のしあわせ」とかハッピーワールド、それからずっと系列がありまして、そして末端の、これは統一協会の会員ですが、それがずっとこういうことで売りさばいておるというのが、これは何度も国会でも論議されておるからおわかりのとおりだと思います。手を変え品を変えというのが特徴でありまして、今このハッピーワールド等々、これらがずっと組織が変わったりつぶれたりしまして、霊石愛好会、こういう名前でいろいろなことをやっておりますが、それは事実御存じですか。
  141. 吉田博

    ○吉田説明員 我々の方に会の案内状だとか釈明書のようなものも送ってきております。そういうことで、存在自体は承知をいたしておりますけれども、そういう会の内容については承知をいたしておりません。
  142. 野間友一

    ○野間委員 霊石愛好会というのが、私もいろいろ聞き取りましたが、友人や親戚などのつて、こういうのをどんどん使って、そして手相占い、あなたの手を見せてくれとか、あなたの顔色はどうだとか、そこから始まるわけです、戸別訪問をして。  戸別訪問をする連中というのは今までの統一協会の連中ですが、そして親しくなった相手を霊石愛好会の持っております道場と称するところへどんどん連れ込んでいく。そして、ここで霊能師と称する者に引き合わせる。それから長時間かつ強引にいろいろなことを言う。手口としては、あなたの祖先に悪いことをした者がおる、だから今献財しろとか物を買えということで、畏怖、恐怖心を起こさせまして、そしてその上で今、念珠、数珠あるいは弥勒仏、こういうものを高額な価格で購入させる。それだけじゃなくて、日弁連の報告にもありますように、祈祷料とかあるいは献金、献財と称しますが、そういうものを強いるというのが今の特徴なんですね。  かつては戸別訪問をして物をどんどんむちゃくちゃに売っておったわけですね。ところが、今ではあなたの手相を占ってあげるとか、何やかんやと言いながら戸別訪問をして、そして道場等へ引っ張り込んで、宗教的な色彩を帯びたところへ連れ込んで、そこであなたの祖先を恨んでおるとか、だからこれを買え、あれを買えあるいは祈祷料を出せとかいうことで長時間そこに連れ込んで、そしてだましだましして金を巻き上げるというのが新たな特徴であり、これも日弁連の報告の中にも出ております。  これも日弁連の報告の中にもありますが、ことしの二月までに対策弁護団に持ち込まれた被害が二十六都道府県で約四百四十件、これは新たな手口になっているわけですね。恐らく警察もそういう実態等については把握されておると思いますが、いかがでしょうか。
  143. 泉徳治

    ○泉説明員 警察に寄せられますいわゆる霊感商法の相談の中に今御指摘のような名前を持ったものがあるというふうには思っておりますが、具体的にどのような状況になっているか、どのくらい割合があるかということについては現在把握しておりません。
  144. 野間友一

    ○野間委員 これは新たな手口ですから、警察も経済企画庁も法務省も少し勉強していただいて、恐らく法務省も日弁連の報告書もお読みだと思いますが、こういうものがはびこると大変なことになりますから、ぜひ喚起をしていただきたいと思います。  しかもいろんな世論の糾弾の中で霊石愛好会、これがあたかも石なり多宝塔、そういうものを愛するというか守るという、外郭団体のようなふりをしながら、実際にはそういう連中が衣がえしてやっておるということが既に明らかになっておりますが、それがことしの二月一日からさらに宗教法人の天地正教というものに衣がえしておりますね。私写真を持ってきましたが、これは霊石愛好会の大田の道場、これが二月一日から宗教法人天地正教に変わるという、入り口に紙が張ってあるわけです。これはどこでも張ってあるのですね。霊石愛好会は百五十くらい道場を持っておるそうですね。それが今度は二月一日から宗教法人に衣がえをしたわけです。みんな一緒なんですね。横すべりしただけの話であります。  私ここにカードを持ってきたのです。これは二月一日以降天地正教になってからの会員証です。しかしこれは霊石愛好会、まだ間に合わなかった段階だと思いますけれども、そういうものがこういうものをつくっております。  同時に天聞行録、こういうカードがありまして、ここでビデオテープを見たのが「済」と判がありまして、これは三回書いてあります。これを見ますと、二月十九日、二月二十五日、三月三日、こういうふうにありますけれども、こういうふうにしてどんどん衣がえして霊石愛好会、今警察も認識していると言われましたが、これが今では宗教法人天地正教という名前に変わっておるわけですね。それが間に合わぬから、要するにまだ霊石愛好会のものを使っておるというのが実態なんです。だからこれは全部一緒なんです。  我々これを持っている人にいろいろ聞いてみたのですけれども、こういうことなんです。  これは三十九歳の主婦ですが、ことしの二月の中旬に友人から、ある会に入ったら家庭が円満になった、こういう話を聞いて紹介された人がある。その話を聞いた翌日、Tという人がこの主婦のお宅を訪ねておる。家系祈願と称して家系図を書かせた。三人の子供の名前を書いたら、あなたの長男は養子になる、次男は名前に刃物が入っているから手術をしなければならぬ、長女は後家になる、先祖の供養をしなければ、こう言われた。びっくりしたこの主婦が誘われ、天地正教の道場に行くことを約束しました。  この人は船橋の道場に行きました。最初は十時から午後の六時まで延々と先祖供養の話がされた。そして渡されたのがこの会員証です。それから、この道場に四回、ビデオセンター・船橋愛好会というところに三回通いました。そして天聞行録と称するカード、これを渡されました。  そして五回目のときに、先生と称する人が来まして、先祖供養のため出家しなければならぬ、あなたは出家しなければだめですよ、しかしそのかわり、もし出家が嫌ならかわりもあると言って、浄財を出せ、献財を出せ。どのくらいかと聞きますと、先祖に聞いてくると称してまた別室に入りまして、それで紙に数字の七と書きまして、そして続けてゼロを五つ書きまして七十万、これだけ献財しなければ先祖の供養ができない、こう言われたわけです。そしてその日には帰ってきたのですが、後でいろいろな人に相談して、これがいわゆる霊感商法だということで気がついて、結局これは払いはしませんでした。  そこで、このカードの中に「紹介者」というのがあります。これはTという女性ですが、これは従前、いわゆる霊感商法の一幸商事でいろいろなものを売っておったそういう女性であります。こういうふうにずっと以前からつながっておって、今では宗教法人になっておるということを、いろいろな実態、組織は同じだということをぜひお知りおきいただきたいと思うのです。  最高裁判所に一言だけ聞いておきますけれども、こういう意味での被害を受けたある女性が、百万円の不法行為に基づく損害賠償請求債権ですね、これに基づいて、この宗教法人天地正教の土地、建物に対して仮差し押さえの申請をして、仮差し押さえの決定がなされました。この事実だけをまず聞いておきたいと思います。
  145. 泉徳治

    泉最高裁判所長官代理者 東京地方裁判所におきまして、六十三年七月四日に仮差し押さえ決定が出されております。その債権者は東京の女性の方でございますが、債務者は帯広の天地正教となっております。この内容は、百万円の損害賠償請求権を保全するために八十万円の担保を提供させまして、帯広の天地正教の宅地を仮に差し押さえる、こういう内容のものでございます。
  146. 野間友一

    ○野間委員 この申請書の請求債権目録を見ましても、あなたの祖先は武家で人を殺した因縁がある、このままでは幸せな結婚はできない、先祖の因縁を断ち切るために霊界解放しなさい、浄財こそ霊界解放になる、こういうふうに申し向けて九時間にわたって献金を迫って、百万円の献金を約束してこれを交付した。これが今最高裁判所の言われた保全権利の中身の一こまであります。  そこで、文部省にお聞きしたいと思います。  これは宗教法人ですから文部省、文化庁の所管になるわけですけれども、認証官庁の北海道がこの天地正教に対して事情聴取をするという報道がありました。事情聴取をしたのかどうか、したとしたら中身、あるいは事情聴取をするようになったいきさつ、これについてお答えをいただきたいと思います。
  147. 根木昭

    ○根木説明員 先ほど先生おっしゃいました天地正教は北海道知事所轄の宗教法人でございます。昨年の十一月に認証されまして、この一月に天地正教に名称変更をし、現在に至っておるということでございます。  ことしの二年だったと思いますが、それ以来、天地正教に係ります種々の新聞報道がございました。先ほどもお話に出ておりましたように、例えば霊石愛好会との関連とか献金に係る被害といったようなことにつきましての報道がるるございました。また、東京地裁による本部の土地の仮差し押さえの決定ということがあったわけでございます。  このような状況にかんがみまして、北海道といたしましても所轄庁としての立場から一応事情をお聞きせざるを得ないということで、近々、天地正教のしかるべき方をお呼びし、あるいは何らかの形で事情をお聞きするということで今先方とコンタクトをとっておるという状況のようでございます。ただ、代表役員の方が体調が余り思わしくないといったようなこともあり、具体的な日取りなりなんなりの設定はまだできておらず、したがいまして具体的な聴取にはまだ至っていない、そういう状況でございます。
  148. 野間友一

    ○野間委員 これは朝日ジャーナルですが、最近まで霊感商法に携わっていた人たちの証言がコンパクトにまとめてあります。「霊感商法への批判で、状況は厳しい。今後はひとりの対象者を連れてきたら確実に落とす心構えが必要だ。」とか、「文鮮明教祖の統一原理は、高齢者には難しいので、わかりやすく「お経」という形に作りかえてできたのが「霊妙慈経」だ。このことは、文鮮明教祖の許可を得ている。」とか、「「霊石愛好会」という宗教団体だと税金がかかる。献金の効率を高めるためには、宗教法人になることだ。」こういうことで、名義をかえて天地正教にしたんだということが、今まで携わっておった人たちの証言であります。  また、ある雑誌にはこういうような厳しい指摘もあります。天地正教は初めから霊感商法を目的とする団体の色合いが濃い、こういうことですね。  これは、時間がありませんからいろいろな事例を挙げることはできませんけれども本当に大変なことが行われておるわけですね。だから、最初は物を売る、もうむちゃくちゃにだまして。ところが、今度は霊石愛好会になりますと、宗教的な色彩を帯びた、そういうポーズをとりながら、そして、先祖のたたりがあるからこの物を買えとか、そういう格好で出てくる。今ではやらずぶったくりですよ。要するに、先祖のたたりを解放するためには供養が要る、供養するためにはまずおまえが出家せい、出家が嫌なら銭を出せと。献財、浄財と称するわけですね。そして金を巻き上げていく。もとはただですよ、これは。しかも、宗教法人という名前の中に逃げ込む。もとより私は、信仰の自由あるいは信教の自由は最大限に守らなければならぬ、もちろんそういう前提に立っておりますけれども、こういうふうに宗教法人の仮面に隠れて、そういう中でこういうことがどんどんやられたとするならばこれは大変なことになると思うのです。  刑事局長、お越しになっておりますので、私ちょっと聞きたいと思うのですけれども、新聞報道等もございますが、この天地正教のケースですね。  一つは、これはまず印鑑の訪問販売がきっかけのようですけれども、それから今申し上げたようにいろいろな手口で道場に連れ込んで、あなたの先祖は霊界の暗やみで苦しんでいる、その因縁がある限り幸せになれない、あなたは霊界解放するために選ばれた人だと入会を勧めて、お金に執着するのは邪心があるからだ、浄財を出しなさい。そして、六十万、六十万じゃだめだ、それで百万を示した。そして、百万をおろしてきてこれを渡した。  もう一人は五十歳代の主婦ですが、これもやはり訪問販売が契機で道場に誘われる。あなたの家は長男が立たない、あなたが救わなければ絶家すると言われ、恐ろしくなって何回も通った。そのうちに、御先祖は千二百万の金が必要だと言うておる、断れば、三百万で結構と言うておる、三は御先祖も喜ぶ数字だ、こう言われて、銀行でおろした現金を道場に持参した。こういう二つのケースがあります。  これは私は、冒頭に申し上げた経緯からしても、あることないことを申し向けて、そして金員を喝取したり詐取する、まさしく詐欺とか恐喝が成立するケースが非常に多いと思いますが、刑事局長、それを法律的にどう評価できるのか、お答えいただきたいと思います。
  149. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 一般論として申し上げますれば、人を欺罔して金品をだまし取った場合は詐欺罪、また、人を威迫いたしまして金品の交付を受けました場合は恐喝罪の成立が考えられるところであります。
  150. 野間友一

    ○野間委員 ですから、今申し上げた手法、これは日弁連のあれにもありますし、こういう手口ですね、先ほどから幾つかケースを挙げましたが、こういうものは詐欺とか恐喝になると私は判断しますが、いかがですか。
  151. 岡村泰孝

    ○岡村政府委員 先ほど来申し上げましたように、詐欺あるいは恐喝の成立が考えられるところでございますが、具体的事件になりますと、やはり被害者、関係人等の供述によりましてどういう証拠が集まってくるかということにかかわってくるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたような詐欺、恐喝の構成要件に当たる事実が認められますればそれぞれ犯罪が成立する、こういうことであるわけでございます。
  152. 野間友一

    ○野間委員 時間が参りましたので終わりますが、最後に法務大臣、時間の関係で非常にコンパクトに申し上げましたけれども、こういうようなものは今社会問題、政治問題になっているわけですね。次から次へと手口を変えてくる。こういうものの根を絶やさなければどうにもならぬわけですね。被害者、私は経企庁からもらった数字でびっくりしたのですけれども、被害金額は一人で最高が八千八百六十万あるいは七千九百八十万、これは一人の被害ですよ。むちゃくちゃですね。法務大臣、今のお話をお聞きになって、本当に厳正に対処していただきたい。ひとつ決意のほどを聞かしていただいて、質問を終わりたいと思います。
  153. 林田悠紀夫

    ○林田国務大臣 法務省という役所は、これは刑罰法令に触れて初めてその事件を追及していくことができる、こういうことでございます。したがって、そういう刑罰法令に触れるものがありましたならば、さらに積極的にそういう問題を根絶するように努力をしたい、かように存じます。
  154. 野間友一

    ○野間委員 終わりますが、これは本当に所管庁がいっぱいありまして、きょう訪問販売法の改正も商工委員会でやっておりますけれども、これは救われぬ場合が非常に多いわけですよ。だから各所管庁、経企庁、通産省、法務省、警察、皆寄って、本当にこれに対するきちっとした態度、姿勢を示してほしいということを重ねてつけ加えて、質問を終わりたいと思います。
  155. 野中英二

    野中委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二分休憩      ────◇─────     午後一時四十分開議
  156. 野中英二

    野中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより総理府所管警察庁自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。  この際、梶山国務大臣の概要説明会計検査院検査概要説明公営企業金融公庫当局の資金計画、事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十年度決算説明                   警察庁  昭和六十年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和六十年度歳出予算現額は、一、六八九億四、〇六七万円余でありまして、支出済歳出額は、一、六八六億一、八七六万円余であります。  この差額三億二、一九一万円余のうち、翌年度へ繰り越した額は、一億六、三六四万円余であります。これは、設計に関する諸条件により工事等が遅延したため、年度内支出を完了することができなかったものであります。  また、不用となった額は、一億五、八二六万円余であります。これは、管理職手当が少なかったこと等により、職員諸手当を要することが少なかったこと等のためであります。  次に、支出済歳出額の主な費途について、その大略を御説明申し上げます。  第一に、警察庁経費として一、一二九億二、九六八万円余を支出いたしました。これは、警察庁自体の経費及び都道府県警察に要する経費のうち警察法の規定に基づき国庫が支弁する経費として支出したものであります。  第二に、千葉県警察新東京国際空港警備隊の経費として六三億八、七八二万円余を支出いたしました。これは、千葉県警察新東京国際空港警備隊が新東京国際空港に係る警備活動を実施するために要する経費として支出したものであります。  第三に、船舶建造費として二億一、一四六万円余を支出いたしました。これは「警察活動に必要な警察用船舶の建造に要する経費として支出したものであります。  第四に、科学警察研究所の経費として八億六、八四四万円余を支出いたしました。これは、科学捜査、防犯及び交通についての研究、調査等のための経費として支出したものであります。  第五に、皇宮警察本部の経費として五二億七、八五一万円余を支出いたしました。これは、皇宮警察の職員の給与、皇居の警備、行幸啓の警衛等のための経費として支出したものであります。  第六に、警察庁施設費として三〇億一、五九四万円余を支出いたしました。これは、警察庁関係の施設を整備するための経費として支出したものであります。  第七に、都道府県警察費補助の経費として三九八億六、七六五万円余を支出いたしました。これは、警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出したものであります。  第八に、他省庁からの予算の移替えを受けた経費は、総理本府からの生活基盤充実事業推進費として三四〇万円余、科学技術庁からの科学技術振興調整費として一、八八九万円余、同じく、国立機関原子力試験研究費として八五三万円余、環境庁からの環境保全総合調査研究促進調整費として五九一万円余、同じく、国立機関公害防止等試験研究費として一、四四五万円余、国土庁からの災害対策総合推進調整費として八〇〇万円余をそれぞれ支出したものであります。  以上、警察庁関係歳出決算について御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度自治省所管決算概要説明  昭和六十年度における自治省所管決算につきまして、概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額九兆七千七百十九億八千六百五十七万円余、予算補正追加額三千三百五十万円余、予算補正修正減少額八億三千三百十三万円余、総理府所管から移替を受けた額四千六百十八万円余、予備費使用額四億一千二百九十四万円余、合計九兆七千七百十六億四千六百七万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は九兆七千七百十五億五千二百七十九万円余で、差額九千三百二十八万円余を生じましたが、この差額は全額不用額であります。  以下、支出済歳出額の主なものにつきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は九兆六千九百億八千万円余、支出済歳出額は九兆六千九百億八千万円余でありまして、全額支出済であります。この経費は、「交付税及び譲与税配付金特別会計法」に基づき、昭和六十年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額に昭和六十年度の地方交付税交付金の特例措置による加算額を加算した額を、交付税及び譲与税配付金特別会計の交付税及び譲与税配付金勘定へ繰り入れたものであります。  次に、地方債元利助成費でありますが、歳出予算現額は九十六億二千八百八十七万円余、支出済歳出額は九十六億二千八百八十六万円余であります。この経費は、新産業都市の建設及び工業整備特別地域等の整備に係る地方債の特別調整分に対する利子補給金として、道府県に対し、交付したもの等であります。  次に、地方公営企業助成費でありますが、歳出予算現額は二百三十六億三千七百九十五万円余、支出済歳出額は二百三十六億三千七百九十四万円余、不用額は一万円余となっておりまして、この経費は、公営企業金融公庫の上水道事業等に係る貸付利率の引下げのための補給金として、同公庫に対し、交付したもの等であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は百九十九億五千万円、支出済歳出額は百九十九億五千万円でありまして、全額支出済であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、歳出予算現額は五十二億円、支出済歳出額は五十二億円でありまして、全額支出済であります。前述の経費及びこの経費は、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、交付したものであります。  次に、衆議院議員及参議院議員補欠等選挙費でありますが、歳出予算現額は四億一千二百九十四万円余、支出済歳出額は四億一千二百五十七万円余、不用額は三十六万円余となっておりまして、この経費は、参議院議員補欠選挙の執行に要したもので予備費を使用したものであります。  次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は百十八億二千二百十二万円余、支出済歳出額は百十八億一千八百六十一万円余、不用額は三百五十一万円余となっておりまして、この経費は、消防施設等の整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し、補助するために要したものであります。  以上が一般会計歳出決算概要であります。  次に、特別会計決算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、この特別会計には、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定を設けております。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定につきましては、歳入予算額は十五兆八千九百三十八億四千七百五十二万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は十六兆四百十八億九千九百七十八万円余となっております。  また、歳出予算現額は当初予算額十五兆八千四百九十二億四千七百五十二万円余、前年度繰越額一千二百七十二億二千二百十万円余、合計十五兆九千七百六十四億六千九百六十三万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は十五兆九千六百十九億一千三百九十万円余、不用額は百四十五億五千五百七十三万円余であります。  不用額を生じましたのは、一時借入金の利子の支払いが少なかったこと等によるものであります。  支出済歳出額の主なものは、第一に、地方交付税交付金九兆四千四百九十九億三千六百八十二万円余でありまして、これは、地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額を超える場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。  第二に、地方譲与税譲与金四千六百十五億二百五万円余でありますが、これは、地方道路譲与税譲与金、石油ガス譲与税譲与金、航空機燃料譲与税譲与金、自動車重量譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として、関係地方公共団体に譲与したものであります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定につきましては、歳入予算額は七百五十六億九百三十九万円余でありまして、これに対し、収納済歳入額は七百五十億四千五百九十四万円余となっております。  また、歳出予算現額は七百億三千二百三十九万円余でありまして、これに対し、支出済歳出額は六百九十六億九千五十八万円余、不用額は三億四千百八十万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、交通安全対策特別交付金六百四十一億三千五百八十万円余でありまして、これは道路交通安全施設の設置等の財源として、都道府県及び市町村に対し交付したものであります。  以上、昭和六十年度自治省所管決算概要を御説明申し上げました。  なにとぞ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十年度決算警察庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度警察庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度決算自治省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度自治省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件であります。  これは、田園都市中核施設整備事業の効果に関するものであります。  自治省では、新広域市町村圏計画に基づき地域社会の総合的整備を推進するため、五十五年度から六十三年度までの間に十勝広域市町村圏ほか四十五広域市町村圏等において教育・文化施設、スポーツ・リクリエーション施設等を複合した田園都市中核施設を整備する事業について六十年度末現在国庫補助金七億二千四百八十二万七千円及び助成交付金四十八億六千三百十万円を交付しております。  この中核施設整備事業は、中核施設の整備を行うことにより広域市町村圏等の既存施設等との連携を図るなどして圏域全体にわたる広域サービスシステムを形成しようとするものでありますが、六十一年中に本院において、北海道ほか十四府県の十勝広域市町村圏ほか十七広域市町村圏等で実施された十八中核施設整備事業(国庫補助金二億八千五百四十万二千円、助成交付金二十七億三千八百七十五万円)について、中核施設を拠点とした広域サービスシステムが適正に形成されているかという事業の有効性に着目して調査いたしましたところ、事業の効果に関し問題点を有する事態が次のとおり見受けられました。  すなわち、  (1) この中核施設の整備事業は圏域の共同事業であることから、中核施設の建設費等の一部又はその管理運営費の一部を設置市町村以外の市町村も負担するなどとされておりますが、十中核施設におきましては施設所在の市町だけで建設費、管理運営費等を負担しているものが見受けられました。  (2) 中核施設の整備計画では、事業の企画、立案等を行う管理運営組織を設置することとされておりますが、十二中核施設においてはこれを設置していなかったり、設置はしておりますが会議を開催していなかったりなどしておりまして、管理運営組織の設置及び運営が適切に行われていないものが見受けられました。  (3) 中核施設は住民の活動分野の広域化に対応した圏域住民の交流、発表、啓発の場としての機能を有しておりますが、十六中核施設においては個々の施設の全部又は一部についてこれらの活動は行われておらず、圏域住民を対象とした広域的な利用が図られておりませんでした。  したがいまして、このような事態がこのまま推移いたしますと中核施設は施設所在市町住民の施設としての利用だけにとどまり、圏域住民の交流、啓発等の場としての利用が図られないことになり、ひいては、中核施設を拠点として広域サービスシステムを形成するという事業の目的が達成されないことになると認められたものであります。  この点について当局の見解をただしましたところ、自治省では六十一年十一月関係道府県に対して通達を発するなどして、関係市町村に対する中核施設整備事業の趣旨の周知徹底を図り、整備計画に即した広域サービスシステムの実現について指導を強化するなどして本件事態の是正を図る処置を講じ、また、中核施設整備事業の総点検に着手したものであります。  以上をもつて概要説明を終わります。     …………………………………    昭和六十年度決算公営企業金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度公営企業金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度業務概況説明              公営企業金融公庫  公営企業金融公庫昭和六十年度の業務概況について御説明申し上げます。  昭和六十年度における貸付計画額は当初一兆千七百十四億円でありました。  これに対し貸付実行額は一兆二百七十六億九千二百六十万円であり、前年度と比較して十一パーセントの減になっております。  一方、この原資としては、産業投資特別会計からの出資金七億円、公営企業債券の発行による収入等一兆二百六十九億九千二百六十万円を充てたのでございます。  なお、当年度における元利金の回収額は九千六十七億千二百九十七万円余でありまして延滞となっているものはございません。  貸付実行額の内訳は、地方公共団体の営む上水道事業、下水道事業等に対するもの七千二十億千九百十万円、公営住宅事業及び臨時地方道整備事業等に対するもの三千百四十七億八千百九十万円、地方道路公社及び土地開発公社に対するもの百八億九千百六十万円となっております。  以上により、当年度末における貸付残高は九兆六千六百九十一億五千五百七十万円余になり、前年度末残高と比較して九パーセントの増になったのでございます。  以上のほか、短期貸付として九十億円の貸付けを行いました。  また、農林漁業金融公庫から委託を受けて公有林整備事業及び草地開発事業に対し二百十九億六千五百九十万円の貸付けを実行しました。  このため、受託貸付の当年度末における貸付残高は二千九百四十六億三千七百五十四万円余になっております。  次に、当年度における公営企業債券の発行額は一兆五千二十八億六千九百五十二万円余でありまして、このうち公募債が一兆千三百九十六億八千九百五十二万円余、縁故債が三千六百三十一億八千万円であります。  次に、公営企業健全化基金について申し上げますと、当年度における公営競技納付金の収入額二百九十八億二千百十八万円余を基金に充てました。一方、当年度における地方債の利子の軽減に要する費用を基金の運用益によって補てんし、なお不足する額二百九十六億八千五百四十六万円余に相当する基金を取りくずしました。  この結果当年度末における基金総額は二千五百三十一億百九十六万円余になりました。  次に、収入・支出の状況について申し上げますと、収入済額は収入予算額七千八十九億二千百四十四万円余に対し七千五十九億七千二百八十四万円余、支出済額は支出予算額七千三百十三億六千三百二十一万円余に対し七千百八十二億四百二十万円余でありました。  また、損益の状況でございますが、貸付金利息等の利益金総額七千六百五十五億四千五百五十三万円余に対し、債券利息及び事務費等の損失金総額七千三百三十一億四千九百十万円余でありまして、差し引き三百二十三億九千六百四十二万円余を債券発行差金等の償却に充当いたしましたので、利益金は生じておりません。  以上、昭和六十年度公営企業金融公庫の業務の概況について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議の程をお願いいたします。     ─────────────
  158. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  159. 新村勝雄

    ○新村委員 外務省、いらっしゃっていますか。――それでは、プロパーの問題ではありませんので、先に外務省にお願いをして、終わったら帰っていただくということにしたいと思います。  そこでお伺いをいたしますが、これは主として警察庁の問題でありますけれども、大韓航空機の問題については大変な論議を呼んだわけでありますが、ここのところ話題が鎮静をしておるということでありますが、その前にお伺いしますけれども日本政府が北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国に対して制裁措置をとったわけであります。そこで、現在、日本と朝鮮民主主義人民共和国との間の関係はどうなっておりますか。
  160. 田中均

    ○田中説明員 お答えを申し上げます。  お尋ねの北朝鮮との関係でございますけれども、御案内のとおり大韓航空機事件に関して、日本政府として国際テロは断固糾弾しなければいけないという観点から対北朝鮮措置というものをとりまして、現在その措置を実施しているということでございます。他方、北朝鮮との関係につきましては、交流をすべて断ち切るということではございませんで、各分野の民間交流というものを基本として関係を維持しているというのが現状でございます。
  161. 新村勝雄

    ○新村委員 両国の基本的な関係ですが、両国には国交がないわけでありますけれども、両国の関係が、全く関係がないという関係なのか、それとも何らかの意味関係があるのか。それは、この制裁措置とは別に両国の関係、それを伺いたい。
  162. 田中均

    ○田中説明員 お答えを申し上げます。  北朝鮮との間におきましては現に貿易関係も存在いたしておりまして、私、直ちに数字を申し上げられませんが、約三億ドル前後の貿易関係というものも存在しております。漁業につきましても、民間取り決めに基づきまして操業が行われているというのが実態でございます。
  163. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、国と国との関係、これは、貿易あるいは商業関係というのは民間レベルであって国と国との関係ではないと思います。国と国との関係がどういう基本的な関係にあるのか。全く国と国との関係はないのか、あるいは、ある意味では何らかの意味であるのかということです。
  164. 田中均

    ○田中説明員 御案内のように北朝鮮との間では国交がございません。したがって、厳密な意味で国と国との関係はございません。
  165. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、日本と北朝鮮の間には国と国との関係は全くないですね。全くないということになりますと、国交がないし、向こうも主権国家でしょうから、両主権国家の間に全く関係がないという関係ですね。そうでしょう。全く関係がないということになりますと、そういう関係のもとで一方が他方に対して国家としての行動をとるということ、制裁も国家としての意思表示あるいは国家としての行動でしょうから、そういう行動をとるということについては常識的にはちょっとおかしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  166. 田中均

    ○田中説明員 私が御答弁申し上げていますのは、北朝鮮との間で国と国との法的な関係は存在しないということでございまして、実態的には人の交流、さっき申し上げましたような貿易関係、漁業その他あるわけでございます。私ども政府として北朝鮮に対して措置をとりましたのは、これはあくまで大韓航空機事件というものに対して、国際的なテロというものは断固糾弾しなければいけないという明確なメッセージを送るという趣旨からとったわけでございまして、具体的な措置の内容は人的な交流を中心といたしまして措置をとったわけでございます。
  167. 新村勝雄

    ○新村委員 日本国は朝鮮民主主義人民共和国という主権国家の存在を認めていないわけですね。認めていないわけですから、朝鮮民主主義人民共和国という主権国家はないわけですね、日本政府の立場からすれば。そういう主権国家はないということになりませんか。そうしますと、そういう状況のもとで向こうさんに日本政府として主権の発動たる行動をとるということについて、相手がないのに行動がとれないではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  168. 田中均

    ○田中説明員 日本がとりました措置というのは、日本の主権の範囲内で措置ができる措置という観点から、日本の主権の発動として措置をとったわけでございます。現実に北朝鮮との関係におきましても、北朝鮮から人が来るということは、日本の主権としてこれを認めるかどうかという判断をいたすわけでございまして、今回の北朝鮮措置といいますのは、人の交流についてある場合にはこれを認めない、これは日本の主権としての措置でございます。
  169. 新村勝雄

    ○新村委員 これは一般論として、外国に主権国家が新たに発生した場合あるいは革命によって新しい性格の主権が発生した場合に、直ちにこれを承認して国交を開くという場合が普通だと思いますけれども、そうではなくて、諸般の情勢でそれができないという場合に、それはその主権が発生したことをただ認める、国交は開かない、ただ認めることは認めるというような、そういう意味での日本政府としての認知といいますか、そういう意思表示というか行動というか、そういうことはあり得ますか。また、そういう例がございますか。
  170. 田中均

    ○田中説明員 大変難しい御質問であれでございますけれども、実態問題といたしましては、主権国家を認知するということは国家として承認をするかどうかということでございますから、現段階においてはそういう余地はない。他方、朝鮮半島の緊張緩和ということはまさに日本の安全にとっても必要なことでございまして、そういう緊張緩和という観点から一体どういう政策がとり得るのかということは、今までも日本の非常に重要な課題でございましたし、今後ともそうであろうというふうに考えます。  現在基本的には、朝鮮半島の緊張緩和というのは南北の直接の対話によるということが基本方針でございますけれども、韓国の盧泰愚新大統領は、例えばクロス承認の考え方を進めようといったことも提唱しておられますし、韓国との友好関係というのを大前提にしながら北朝鮮との関係を今後とも考えていくということであろうかと思います。
  171. 新村勝雄

    ○新村委員 その点はよくわかるのですけれども日本が国際社会の中で行動する場合に、客観的に世界の中に存在する主権国家を全く認めない。国交を開かないということと認めないということとは一つであるか別であるかわかりませんけれども、認めないということについてはかなり無理があるのではないかと思いますね。  今回の北朝鮮の制裁についても、日本政府はまだ朝鮮民主主義人民共和国を認めていない、そういう状況の中で制裁措置をとるということになりますと、相手を認めていないわけですから相手はいないわけですよね。朝鮮半島の北は日本政府にとっては全くの空白であって、そこに主権国家はないということに理論的にはなるわけですから、そういう主権国家のないところに対して、日本国としての一つの主権の発動でしょうから、そういうものを発動するということについては、これは理屈の上から言うと、ちょっと筋が通らないと思うのですね。そこのところの明確な御答弁はいかがでしょう。
  172. 田中均

    ○田中説明員 まさに朝鮮半島問題の根幹にかかわるところであろうかと思いますけれども、北朝鮮を国家として認めている、承認している国とそうでない国というのは現に国際社会の中で存在しているわけでございます。他方、韓国を承認していない国、ソ連等も存在するわけでございまして、国際政治の現実として、そういう状態が存在をするということであろうかと思います。  対北朝鮮措置と申しますのは、まさに国家と国家の関係がないわけでございますけれども、実態として北朝鮮から日本に来る人々あるいは日本から北朝鮮に行くという人々がいるわけでございますから、日本の主権的な措置としてそういう人たちに措置をとる、これは日本の政策として国際テロとの関係でとるべき措置という判断に立ったからとったということで御理解をいただきたいと思います。
  173. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、朝鮮民主主義人民共和国を主権国家としては日本は認めていない、これは明らかに認めていないわけですよね。認めていないけれども、認めていないというのは国交の相手として認めていないのであって、現にそこに主権国家があるということは認めているか、あるいは暗黙のうちに認めているか、どちらかでないと制裁措置というものの――対象のない措置というのはないわけですから、何を対象としたかということになりますと、北朝鮮という、北朝鮮のそこに住んでいる人たちを対象としたのかあるいはそこの国土を対象としたのか。主権国家としての対象ではあり得ないわけですから。そこが極めてあいまいですね。  それから、北朝鮮に対して貿易をしないあるいは入国を認めないということは、そこに住んでいる人たちは入国を認めないあるいはそこに住んでいる人たちとの交易は認めない、こういう単なる国家権力というものを離れた、そこに住んでいる人たちということで相手にしているのかどうか。そこらが極めてあいまいなんですけれどもね。
  174. 田中均

    ○田中説明員 日本政府の立場といたしましては、国連決議がございまして、その種の有効な政府ということで韓国政府を実効的な政府として承認をしているということでございまして、そういう観点から日韓の基本条約というものも結ばれているということでございます。  現実に、法的な関係でいきますと、私が申し上げたとおり、国家ないしは政府として北朝鮮の存在というものを法的に認めてはいないわけでございますが、他方、実態的には先ほど申し上げましたように、北朝鮮から政府の公務員という人たちが日本に来ているわけでございまして、これは国交がない国でございますから、日本がそれを認めるかどうかというのはあくまで日本の主権事項である。したがって北朝鮮の措置という観点から見れば、そういう公務員は日本への入国というものは見合わせる、認めないという措置をとったわけでございます。
  175. 新村勝雄

    ○新村委員 同じような御答弁でどうもはっきりしませんが、相手を認めていない、朝鮮民主主義人民共和国という主体、主権国家というものはないわけですから、そのないところに制裁措置をとるということについて、ないものに対して国が行為をするということについてどうも納得できませんけれども、まあいいでしょう。  次に、大韓航空機事件については一時論議が沸騰したわけですけれども、その後この問題については鎮静をしておりますが、この問題の真相についてはまだ完全に一〇〇%、明らかに北の犯行と断定できない面もあるように思うわけです。  そこで警察庁にお伺いしますけれども警察庁では既に何回も現地に捜査官を派遣して、金賢姫容疑者その他に直接会って調査をされたようでありますけれども警察庁としては、化の犯行と断定した理由あるいはそう断定した心証といいますか、そういったものについてお伺いしたいと思います。
  176. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  金賢姫は、本研の犯行が北朝鮮の指示によるものであること及び本件犯行に至る詳細な経緯を供述しておりまして、その供述内容は裏づけられるところも多いのであります。また我が国の捜査結果からも、北朝鮮工作員であることが判明しております宮本明なる男が金勝一所持の旅券の偽造に関与していたこと、金賢姫の旅券が北朝鮮でつくられたことが明らかになっておりまして、本事件は北朝鮮の犯行であるとの十分な根拠が存在すると判断しております。  さらに、本件を北朝鮮の犯行だとする金賢姫の供述も韓国当局の発表も、さらに我が国の捜査結果につきましても全く根拠のない捏造だとする北朝鮮の反論は極めて抽象的でありまして、例えば平壌放送では、南朝鮮旅客機失踪事件は事実上米国、日本、南朝鮮かいらいの国際的陰謀の産物であるというようなことを言っておりまして、こういったたぐいの表明に見られますように、具体的な反論のための事実を提示することはなされていないのであります。
  177. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、金賢姫が教育を受けたという日本人の特定がまだ行われていないようでありますけれども特定できるかどうか。それから、現在の経過等はいかがになっていますか。
  178. 城内康光

    ○城内政府委員 現在、李恩恵を割り出すための捜査を継続中であります。身元に関する情報が限られておりますし、十年ほども前の古い話でもありますので、身元割り出しには大変苦労をしておるところでありますけれども、今後とも国民各位の御協力を得ながら鋭意身元の割り出しに努めてまいりたいと思っております。
  179. 新村勝雄

    ○新村委員 これは極めてセンセーショナルな事件でありますし、日本人がどういう形で向こうに行ったとしても、向こうへ行ってこういう役割を演じているとすれば、これは何らかの形でもっとはっきりするはずだと思うのですけれども、情報の量はどのくらいあるのか、あるいはまた、その情報を調査分析した経過等についてはいかがですか。
  180. 城内康光

    ○城内政府委員 先ほども御質問がありましたように、警察庁の係官が二度ほど向こうへ参りまして金賢姫に面談をいたしまして、李恩恵なる人物の身元を捜すのに役立つような事柄について幾つか聞き取っておるわけでございます。とりわけその中で、本人の生年月日が日本昭和で言いますと昭和三十二年七月五日であるということでありますので、場合によったら年が違うかもしれないとそれに若干幅を持たせてありますが、そういったものを手がかりとしていろいろと捜しておるわけであります。国民各位からもこれまでに二百数十件のいろいろな情報が寄せられて、それについて一々シラミつぶしに調べておるということでございます。  また、この李恩恵なる人物が東京に生活基盤があるというようなこともわかっておりますので、東京及びその周辺につきまして、例えば高等学校に在籍した、もちろん中学にも行っているでありましょうから、そういった点について、大変量が多いわけでございますが、それについて全部当たっているという状況でございます。
  181. 新村勝雄

    ○新村委員 東京ということになれば人口は確かに一千万を超えておりますけれども、地域は極めて狭いわけでありまして、世界一と称される警察にその程度のことができないということはちょっと常識に合わない気がするわけですね。この程度のことがそんなにわからないのですか。
  182. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  世界一というお褒めをいただいたわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように東京というふうに限定してしまうのもいかがかということで、広く網をかぶせるといったような意味で、東京を中心としまして周辺県も含めて今作業しておりますので大変量の多い仕事になる、今それをやりつつあるという状況でございます。
  183. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、航空機が爆破をされたということになっておりますけれども、爆破をされればどこかに落ちるはずでありますが、この大韓機が爆破をされてどこかに落ちているはずでありますけれども、その破片なり機体なりが収集されたということを余り聞かないのでありますが、それらの情報についてはいかがですか。
  184. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、金賢姫はこの飛行機の爆破のことについていろいろと供述しておるわけでございまして、供述の一々は申し上げませんが、大変よく裏のとれる供述をしておるわけでございます。そういうことで、爆破したということについては、金賢姫の供述からある程度わかっておるわけでございます。  また、ビルマ政府は、ICAOに提出した報告書の中で、大韓航空機八五八便は爆破によって破壊され、事故原因は、乗客を装った二名の破壊工作員が仕掛けた時限爆弾による空中爆発というふうに推定しておりまして、実際に、焼け焦げ、破壊跡が残っている救命ボートも発見されたということを承知しております。
  185. 新村勝雄

    ○新村委員 とにかくこの問題は、日本国の名において対外的な行動をとっておるわけでありますから、間違いのないようにお願いをしたいと思います。  次に、外務省さんにあと一問、二問お伺いしますが、きのう、おとといの新聞によりますと、ペルシャ湾の情勢が大変緊迫をしておる。そして、アメリカが実力行使に移ったということでありますけれども、それにはそれなりの理由があるのでありましょうが、とにかくあの事件、ペルシャ湾の不安が今後一層増幅をされる、あるいはそれが一層拡大をされる、特にアメリカの参加によって拡大をされるということになりますと、これは世界の平和に大変な影響を及ぼすと思います。いわゆるアメリカの同盟国としての日本がアメリカに対して、十分賢明な判断をするようにという、これは忠告と言ってはおかしいのかな、助言ですか、相談に乗るということになりますか、そういったことについて日本はなし得る立場にあるはずであります。  それからまた、日本はイランとも悪くないということでありますから、あの事件が将来さらに一層拡大、悪化しないような努力を日本の立場からなし得るのではないかと思いますが、それらについて外務省はそういうことをやるお考えがあるかどうか。  それからまた、現在のペルシャ湾の現況及び将来の展望はいかがでしょうか。
  186. 木村光一

    ○木村説明員 お答えいたします。  アメリカは、今回のイランの石油プラットホーム攻撃は、イランの機雷敷設という敵対行為に対応した自衛権の行使である、あくまでもイランの攻撃の抑止を意図した措置であると私ども承知しております。  このような現在の緊張した状況下におきまして、不測の事態を回避いたしまして湾内の安全を確保していくためには、イラン、イラク両紛争当事国だけではなく、湾内に軍事的なプレゼンスを持っている国が幾つかあるわけでございますけれども、その関係国ができる限り冷静かつ慎重に行動することが必要であると私ども考えております。  先生御承知のとおり、昨日、今回の事件につきまして政府としての見解等につきまして記者会見で意見を明らかにしておりますけれども、アメリカは、イランが攻撃をもし継続すれば米国も適切な措置をとるということを申しておりますが、十九日以降事態そのものはどちらかというとおさまる方向を示しているものと私ども承知いたしております。ちなみに、アメリカは、現在事がおさまりつつあるようである、このような事態が継続することを強く期待するということを申しております。  私どもといたしましても、かねてから、こういう緊張した湾岸における情勢、その根本には、既に九年になんなんとするイラン・イラク紛争が行われているわけでございますけれども、これの根本的な平和的解決が必要であるということで、先生も御承知のとおりイラン、イラク両国に独自の立場から外交的な働きかけもこれまで行ってまいりましたし、また、国連安全保障理事会のメンバーといたしましても紛争の平和的解決に努力しているところでございます。
  187. 新村勝雄

    ○新村委員 現在の日本政府はアメリカの同盟国をもってみずから任じておるわけでありますから、こういう場合には十分アメリカに自省を求める、あるいは忠告をしていくということをお考えいただきたいと思います。  外務省さん、お帰りになって結構です。  次に警察庁さん、続いてお伺いをいたします。  まず、国内の防犯対策であります。何回にもわたって言論機関、特に朝日新聞に対して攻撃が加えられておるわけであります。これは言うまでもなく民主主義に対する基本的な挑戦であり、言論機関に対する挑戦はまさに国民に対する挑戦であると思いますけれども、この対処の仕方あるいは犯人の検挙等について全くはかばかしくないわけであります。その後の状況はいかがですか。
  188. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 一連の朝日新聞社銃撃事件につきましては、それぞれ発生都県警察に警察本部長を長といたします異例の特別捜査本部を設置いたしまして、現在発生現場を中心とした地取り聞き込み捜査、犯行に使用した散弾銃及び実包の捜査、犯行声明文作成に使用したワープロの捜査、静岡事件における遺留品の捜査、赤報隊の捜査等を行っているところでございます。  また、このうち全国にわたって捜査を必要とするものもあるわけでありますが、これらにつきましては全国警察の組織を挙げて捜査を推進中でございます。  いずれにいたしましても、この事件は、ただいま先生申されましたように反社会性の極めて強い許しがたい凶悪事件でございますし、社会に与えました不安感も大変大きいと思いますので、ただいま申し上げましたような捜査を着実に推進することによりまして早期に解決すべく今後とも懸命な努力をしてまいりたいと考えております。
  189. 新村勝雄

    ○新村委員 こういう極めて悪質なテロが横行まではいかないにしてもしばしば起こっている。それから、一方ではグリコ・森永事件のようなこれまた極めて陰湿な、テロとは性格が違うでしょうけれども、これまた極めて反社会的な犯行が繰り返し行われておりますけれども、残念ながら両方ともまだ解決をしていないということなのですね。  グリコ・森永、この問題については世論としては鎮静化をしておりますけれども、事実としては全く未解決のままでありますから、時日が経過するに従ってますますこの事件の悪質さが増幅をするという現実だと思います。これについてはいかがですか。
  190. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 お尋ねのグリコ・森永事件につきましても、現在警察といたしましては最重要課題といたしまして、大阪、兵庫、京都、滋賀及び警視庁を中心に全国警察を挙げて捜査を続行しておるところでございます。  具体的に申し上げますと、犯人が使用しましたタイプライターの捜査、無線機等遺留品の捜査、似顔絵の男等についての捜査等を重点として捜査中であります。  本事件につきましては、犯行現場周辺から有力な目撃情報が得られていないというようなこと、それから遺留品がございますけれども、これらがすべて大量生産大量販売されているものでありまして、その追跡捜査が極めて困難であるというようなことから捜査が長期化いたしておるところでございます。しかし、ただいま先生指摘ございましたように本事件を風化させてはならないわけでございます。警察といたしましては何としても検挙、解決するという決意のもとに、引き続き所要の体制をもって、既定の捜査方針に基づいて着実に捜査を進めてまいりたいと考えております。
  191. 新村勝雄

    ○新村委員 こういうような大きな事件のほかにも散発的に食品に毒を入れるというようなことがありますね。そういう事件が必ずしも全部解決をしていないということでありますけれども、そういう一連の、食品に毒を入れるあるいは陰湿な形での反社会的な犯罪の一つの形態があると思うのですが、こういう形態は最近この四、五年に出てきたと思うのですね。それについても、やはり社会的な背景なりあるいはまたこういう犯罪が出てきたことについての何か必然性が社会構造の中にあるいは社会生活の中にあるのかどうか、そこらについての認識はいかがですか。
  192. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 我が国におきましても今御指摘のグリコ・森永事件以来、食品に毒物を混入する等して企業等を恐喝するというような事案が多発しているのは御指摘のとおりでございます。聞くところによりますと、やはりアメリカとか韓国におきましてもこの種の事件が多発する傾向にあるということでございまして、やはり社会経済的な背景というものが大きく影響しているのではないかと思います。
  193. 新村勝雄

    ○新村委員 そういった国内の不安があるわけですが、同時にまた国外にいるテロリスト、これの問題が一つあると思うのですね。そういうようなテロリストたちが主として国外で活動をして、時には日本に潜入して悠々と行動してまた出ていく、また入ってくる、こういうことが最近あるようでありますけれども、こういうことに対する国際的な犯罪の防止、抑圧、国際的な協力、この機構はもちろんあるわけでありますが、それに加入をしていない地域あるいは加入をしていない国家もあるでしょうから、これは全世界をカバーするまでには至っていないと思うのですね、そこでこういうことがあるのでしょうが。国外にいるテロリストの情報、情勢、それらについての把握が必ずしも十分ではないように思うのですけれども、それはいかがですか。
  194. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  今アメリカあるいはイタリーにおきまして日本赤軍の犯行がいろいろと言われておるわけでございます。こういったものにつきましては、私どもといたしましてはもちろん国内におけるいろいろな機関との連絡を密にしておりますし、また国際的にもインターポールなどを通じましてその関係の情報の収集に当たっておるわけであります。また、各国治安機関との情報交換も必要でございますので、専門的な知識と経験を有する担当官がそういったことに当たっておりまして、日本赤軍の動向を把握し、情報の分析、整理を行い、そういった国際捜査共助の推進に努めておるところであります。
  195. 新村勝雄

    ○新村委員 そこで、国際的なテロあるいは国際犯罪等、それから近づいておる隣国のオリンピックとの関係が今論議をされておるようでありますが、仮にオリンピックのためにするテロが行われる、そしてそういうことはないでしょうけれども、我が日本がテロの策源地にされるということになると、これは大変なことであります。平和国家としての日本の国際的な声望も一挙に下がるということにもなりますから、これは厳戒の必要があると思うのですけれども、そういった配慮なり警備体制はどうなっておりますか。
  196. 城内康光

    ○城内政府委員 ただいま御指摘のように、日本がそういったソウル・オリンピックに向けてのテロ行為の基地になるというようなことは絶対あってはならないということでございます。かつて文世光事件というものが起きておりますし、また先ほどの御質問にありました金賢姫も将来は日本で仕事をすることになっていたということでございますから、大韓航空機事件みたいなことが日本で起きると、これはまた大変なことになるわけでございます。また、日本ではソウル・オリンピックに先立ちまして各国の、三十数カ国の選手団が日本においてトレーニングをするというようなこともございます。かつて、ミュンヘン・オリンピックのときにイスラエルの選手宿舎がアラブのテロリストに襲われたというような事件もございますので、そういったことも想定しておかなければならないというふうに思います。  そこで、私どもといたしましては、外務省あるいは出入国管理官庁ともいろいろと連絡をとり合いまして、そういった不審な外国人の入国についての情報の収集とかあるいは密出入国の摘発とかそういった面について事件検挙をするとともに、選手村、そういったところに対する警戒、警備を十分にするというような対策を全庁的な立場で立てておるというところであります。
  197. 新村勝雄

    ○新村委員 それとともに、我が国は四面海に囲まれているわけですけれども、その非常に長い海岸線はこれを完全に警備することはいろいろ難しい点があると思いますけれども、その虚をつかれるということがよく言われますけれども、その虚をつかれて海岸から拉致をされるというようなことが言われますけれども、そういう警備体制はどうなっていますか。
  198. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  昭和五十三年に福井あるいは新潟、鹿児島、富山、七月、八月と続いて三件ほどいわゆるアベックの蒸発事件がございましたし、最後の富山の事件は未遂であったわけでございます。この事件などを見ますと、沿岸周辺で突然いなくなっているというようなことから拉致されたという疑いが持たれるわけでございます。それからまた石川県の宇出津海岸から東京の三鷹の市役所に勤めております警備員が北朝鮮のスパイと思われる者にいろいろだまされまして海岸から運び出されるというようなことが起きております。また、韓国で摘発した辛光洙事件などにつきましては、大阪に勤めているコックさんが宮崎の海岸から拉致されるというような事件が現に起きておるわけでございます。  ただいま御指摘がありましたように、大変海岸線が長いということで、こういったものを完全に見張れるのかということになりますと、それはおのずと無理だということになるわけでございます。ある程度限度があるということでございます。しかしながら、私どもといたしましては、沿岸警察におきまして、そういった密出入国というようなことがあるということでございますので、警ら活動とかいろいろな、あるいは密航監視哨の勤務とかそういうものを通じて、あるいはまたそういう沿岸部に居住しております住民の方々の協力、提報などをいただいて、そういうものに対して警備、監視をしておるという状況でございます。
  199. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは、次に大臣にお伺いをいたしますが、既に先ほどもこの質問が出ましたが、衆議院の定数是正の問題ですね。この選挙制度は自治省の所管でありますから、定数是正についてはこれは院みずからが決定すべき問題だということで逃げることなく、やはり所管大臣としてひとっこの問題についての明確な御見解と、それから今後定数是正について自治省がやはり積極的に役割を果たすということが必要だと思います。  現在の定数はいわゆる緊急避難的に六十一年五月八日ですか決められたわけでありまして、現在のいわゆる中選挙区制三名から五名という原則を外しておるし、同時にまたその総定数についても、戦前は四百六十六名だったと思いますが、これが次第に無原則的に、無原則というと適当ではないかと思いますけれども定数是正のたびに増加の一途をたどっておるということでありまして、こういう経過から、やはり原点、原則に立ち返って定数については、増加の一途で来たわけでありますから、しかも前回の緊急避難的な是正の場合にはこれは緊急避難的に一名ですけれどもふやすということであったわけです。ですからあれは一名ふえたけれども、院の正式の意思表示として、意思決定としてふえたのではない。それからまた、ふやすということについては、あのときは、当初は予定されていなかったわけでありますから、増減同数ということがあの問題に対処する院の暗黙の了解でもあったわけでありますから、それが緊急避難的に一名ふえちゃったということですから、一名ふえたことについてはこれは好ましくない、好ましくないというか本来の姿ではないと思います。そういったことで、現在の定数及び各選挙区に対する議席の配分も極めてこれは異例のものであると思われます。そういう緊急避難的なものは速やかに解消するというのが院の決議でもあったわけであります。そういう意味で、もちろん基本的には院が決めるものではありますけれども、各党の合意によって決めるものではありますけれども、それに対して助言をしあるいは忠告をし、そういう方向に指導というか協力していくのが自治省、自治大臣だと思いますので、そういった意味でひとつ御見解を承りたいと思います。
  200. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 衆議院の議員定数の抜本改正の問題は、本院にとっては何よりも大切な問題でございます。今お話しのとおり、六十一年五月の衆議院本会議において決議を見ましたこの抜本改正についてでございますけれども、その中については五つの大きな枠組みがございます。一つは、六十年国調の確定後速やかに抜本改正の検討を行う、それから、二人区、六人区の解消を行う、議員総定数の見直しを行う、選挙区画の見直しを行う、それからさらに過疎過密等地域の実情に配慮をする、この五つの大きな枠組みがあるわけでございますから、この問題の五つの枠組みを頭に置きながらこの作業に入らなければならないと思います。しかし、いずれにいたしましても、この定数の抜本改正という問題は国会の構成の基本にかかわる問題でもございます。ですから選挙制度審議会やその他の議論もありましょうけれども、各党間で本院の決議、この五つの要項に対する理解あるいは協議、これが整いませんとこの五つの決議、最高のものでございますから、この最高の決議と違背するような議員定数の改正はできないわけでございますから、この五つに対する各党間の理解というものがまず前提になければ作業に入ることができない。ですから、この五つのものをするために我が自治省がいかに協力をすべきかという問題はございますし、この五つの問題で各党の共通認識が、共通の広場、土俵ができるならば、それに向かって速やかに抜本改正を行う準備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  201. 新村勝雄

    ○新村委員 各党の合意はもちろん必要でありますけれども、大臣もメンバーの一人であるし、またそれを指導する立場におありになるわけであります。また、内閣総理大臣は与党自民党の総裁でもあるということで、まず総理、そしてまた大臣、そういう方々が積極的にイニシアチブをとらなければ、いかに五項目が重要である、あるいは各党の合意が重要であると言っても、事態は全く進まないわけですね。それをいかに動かすようにするかというのが大臣の責任であるし、同時にまた政権党の総裁である竹下首相の責任でもあると思うのです。定数というのは民主政治の基本であるし、税制改革も必要でありましょうけれども、政治の順序としてはまず先にこの問題に取り組むのが順序だと思うのです。民主政治の基礎を固めてからでないと本当意味の国政の大方針も審議できないし、本当意味での民主主義が成立していないと、機能していないとこれができないわけであります。  そういった意味で、一層の御努力を願いたいと思いますが、まず、衆議院議員の定数というか各選挙区に対する定数の配分、この原則について自治省としてはどう考えますか。
  202. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 先ほど大臣からもお答え申し上げたとおりでございまして、まさに定数の抜本是正ということが課題となっているわけで、これこそまさに国会の構成にかかわる基本事項でございますので、単に事務的にどうこうというものでもないというふうに私ども認識しておりまして、やはり各党で十分御論議をいただきたいと考えておるところでございます。
  203. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、政治資金規正法についてですが、与党である自由民主党の中で現在の規正法を改正するという検討がされておるというふうに聞いておりますが、大臣は、現行法についてどういう問題点があり、どうすることが望ましいとお考えですか。
  204. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 政治資金規正法については、御案内のとおり、過去成立を見てから数回改正があったわけでありますが、それなりの時代背景があって政治資金規正法の改正が行われたわけでありますが、五年後の見直し条項も実はあるわけでございます。  そして、今の時代的背景というと、いわゆるパーティーの規制がなくてよろしいかどうかという問題が一義的に現実の問題としてはあろうかと思います。そういうことでございますので、自由民主党においては選挙制度調査会の政治資金小委員会で幾つかの検討がなされ、目下自民党の中で最終的な判断が求められている時期であろうというふうに聞いております。  ただ、私は、政治資金の問題、必ずしも量的に多いか少ないかによって善悪が決まるのではなくて、やはり政治活動を行っていく上に、国民に身近な政治を啓蒙宣伝していくには多少の政治的な金がかかることは当然でございます。むしろその調達と支出のあり方が問題でございまして、この問題に関しては、いやしくも人のそしりを受けることのないようなそれぞれの個人のモラルと各党間のモラルの展開があってしかるべきだ、こういうふうに私は認識をいたしております。
  205. 新村勝雄

    ○新村委員 政治資金のあるべき姿としては、一つは、資金の公開性が必要だ、資金の透明度が必要だということが言われていますね。もう一つは、総額の規制。野方図な金額、額的に幾らでもいいというものではなくて、適当な額に規制をすべきだ、これは献金をする方も受ける方も。同時に、献金の任意性、献金が強請にわたってはいけない、あるいは地位利用にわたってはいけない、あるいはまた地位利用によって業界等に強制的にパーティー券等を売りつけてはいけない、こういうことが言われておるわけであります。  資金の公開性ということについて、政治資金規正法の現行法は必ずしも透明度一〇〇%ではないわけでありまして、寄附をする方も百万円以下は名前は出さなくてもいいとか、あるいは総額についても、後援会の数をたくさんつくればたくさんもらえるというようなこともありまして、これは規制がない。それから、任意性という点についても疑問がある。特に地位利用によって、例えば与党の皆さん方は各官庁を通じて業界にパーティー券を流して金をお集めになる、こういうことも言われておるわけであります。さらに、大物政治家になれば一夜にして数十億のパーティー収入がある、こういうことも言われておるわけであります。こういうことが今、巷間の政治不信を助長する大きな要因になっているというふうに指摘をされておるわけであります。  こういった点からすると、現在の政治資金規正法、特に今大臣が言われたパーティー等についても、野方図な開催はどういうものであろうかという気がするわけでありますけれども、そういう点について大臣はいかがお考えですか。
  206. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 表から見まして、パーティーが数多く行われているのではないかという一つ指摘がございますけれども、それぞれのパーティーには恐らくそれぞれの目的なり要因があろうかと思います。ですから、純粋に、例えば後援会の方々あるいは知り合いの方々が集まって、ひとつ励ましてやろう、そうやって会費を取る、その会がその資金をどう処分するか、この問題に関してかかわり知らなければ政治団体としてはいかんともしがたいものである。それから、現実に政治団体が届け出をしてパーティーを行えば、それは政治資金の中にちゃんと報告が行われるわけでございますから、その報告に関しては、限界が、大きく行われるかどうかという問題はあったとしても、一つの形式上の整い方はあるわけでございますから、これをもって文句を言われない筋合いのものではないかなという感じもいたします。  ただ、私どもが想像し懸念をするのは、一般の政治資金団体によらざる任意団体がパーティーを催して、それが政治資金に使われている、そういう場合に届け出がなくていいものかどうか、こういうものに対する一つの盲点があるのではないかという気がいたしまして、自民党としても検討を重ねておるところではないかという気がいたします。
  207. 新村勝雄

    ○新村委員 そうすると、パーティーの運用について、もう少し政治資金規正法の中にこれを組み込んで、現在のような、野方図と言うと失礼かもしれませんけれども、野方図に近い運営は規制をすることが望ましいと思いますけれども、大臣はどうお考えですか。
  208. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私がここで規制をすることが望ましいと言いますと、一つの集会の自由なり結社の自由なり、ありとあらゆる自由を規制するということになりますから、むしろ、政治家個人があるいは各党間がそういう申し合わせをすることによってある意味で政治家自身を規制する、そういうことができることが望ましいわけでございます。我々がこれをある意味で規制をいたすと言うと、ほかのいろいろな会合をやっていることを規制をしないというわけには、恐らく公平、平等の観点からいってできなくなる可能性がある。そういう場合に、その救済措置をどうするかという問題が一つ起きようかと思います。私たちが、純粋に思う気持ちはわかるわけでございますが、これによって被害を受ける方々があるとすれば、これは本来自由であるべき集会でございますから、この救済は当然前提にして考えなければなりませんから、まずもって私たちが、どこが限界かという政治家それぞれのモラルというか政治倫理と申しますか、そういう中で各党間においてこれが詰められることがまずもって望ましい。どうしてもだめならば、あるいは各党間の合意によって政党の行うものあるいは各政治家が行うものを前提として規制を行うことができるとするならば、それも一つ方法であろうかと考えております。
  209. 新村勝雄

    ○新村委員 規制といっても規制万能ではなくて、ある程度の規制はするけれども、やはり資金の透明度を増すということではないかと思うのですね。政治にはこれは金がかかることはやむを得ないわけで、ある程度はかかるわけでありますから、その政治資金の透明度を一〇〇%にするということが一つの問題だと思います。  それからもう一つの問題でありますが、政治に金がかかる、これは、政治に金がかかるのは選挙だけではなくて、日常の活動にも金がかかるわけでありますけれども、特に選挙のときに金がかかるわけでありますが、その選挙制度を変えて、現在の公選法を変えて公営部分をもっとふやしていく、公営部分をもっと拡大していくということが必要ではないかと思うのです。今の法定費用ではなかなか選挙はできないと思いますけれども、少なくとも法定費用の大部分は公営でやる、そのかわり選挙法に違反した者については重い罰を科するとかそういうことにして、選挙の公営を拡大することが必要だと思いますけれども、大臣はいかがですか。
  210. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 選挙に金のかからないことは理想でございますから、追求してまいらなければなりません。そして、公営の分野におきましても、例えば新聞広告あるいは無料はがき、ビラ、ポスター等の作成等、広範にわたって選挙の公営が着々進んでいることは御案内のとおりであります。参議院においても、比例代表その他の制度を導入すること等によってこの問題の一つの一歩前進を図っているわけでございます。今後ともそういうものを着実に進めることによって、選挙に金のかからないような、そして、むしろ選挙民に広範な意味で候補者を知る機会を十二分に与えて、政治に対する国民の関心がもっともっと高まり、近まることを期待をしてまいりたいと考えております。
  211. 新村勝雄

    ○新村委員 公営部分が拡大されているとおっしゃいますけれども、現行法では極めて一部だと思いますね。それは、テレビ放映であるとかあるいは宣伝車の費用であるとか、選挙はがきとか、極めて限られた部分であります。  そこで、標準的な選挙区の法定費用、これに対して公営部分がどのぐらいであるかということはおわかりですか。
  212. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 標準的と申しますか、平均的な選挙区におきます選挙の法定費用は大体千五百万円程度であろうかというふうに見ております。それから、選挙公営の経費としてどの程度予算化されておるかということでございますが、候補者一人当たり千百万ぐらいになっておるのではないかというふうに見ております。
  213. 新村勝雄

    ○新村委員 それは選挙費用でしょう。いわゆる選挙費として計上される額じゃないですか。候補者が選挙運動のために費やす費用、必要な費用、その費用の何%か。
  214. 浅野大三郎

    ○浅野(大)政府委員 私ども選挙費用と申し上げます場合は、公職選挙法で選挙運動ということが決められておるわけでございますから、そういう意味選挙運動のために必要な経費ということでございます。そのほかにあるいはいろいろな政治活動というものがあるかもしれませんが、そこのいわば政治活動に要する費用というのは、私どもちょっとつかみようもございませんし、統計も持っておりません。
  215. 新村勝雄

    ○新村委員 千五百万というのは、各一人一人の候補者が公示期間中に使ってもいい費用ですね。ところが、今おっしゃった一千数百万というのは、末端の、末端のというか選挙事務に必要な経費、市町村の開票事務あるいは公営掲示板の費用、そういうものまで一切含んだものでしょう。恐らくそうですよ。そうだとすると、私の聞いているのは違うのであって、候補者が選挙運動をする費用、その費用のうち公営部分は幾らあるかということでありますけれども、時間が来ましたので、これは改めてまた後で伺います。あるいはまた、後で文書で提出を願っても結構です。  終わります。
  216. 野中英二

    野中委員長 草川昭三君。
  217. 草川昭三

    ○草川委員 草川であります。  まず最初に救急医療の問題と、それから後で交通対策について御質問します。  過日、日本の高知県の高校生が中国で大変な痛ましい事故に遭ったことは、鮮明なニュースとして我々も受けとめているわけであります。この上海の列車事故において重傷を負われた子供さんは、二人ほどでございますが東京に運ばれております。一人は日本医大に、もう一人は東京大学に入院をされているわけでありますが、この事故に当たって日本から救急の専門医の先生が中国へ行かれたわけでありまして、これは報道を通じて私ども非常に感銘を受けておるわけであります。私もかねてから救急医療の諸問題については質問主意書あるいは交通安全特別委員会等でも取り上げてきたわけでありますが、きょうは少し東京における具体的な例を挙げて質問をしたいと思うわけです。  まず、文部省お見えになっておられますのでお伺いをいたしたいと思うのですが、過日の中国へ行かれた東京大学の救急の専門医の先生、これは当然文部省が予算を出されたというのでしょうか、東京大学の医学部の方が費用を負担をなされて行かれたのか、あるいはまた、外務省の何らかの予算で行かれたのか、ああいう場合はどういうところがら予算が出て訪問をされておるのか、お伺いしたいと思うのです。
  218. 押田克己

    ○押田説明員 お答え申し上げます。  先ほどの御質問の上海事件におきます東大講師等の派遣でございますけれども、外務省の依頼によりまして行かれているようでございまして、その旅費等につきましては外務省の予算をもって措置されていると承知しております。
  219. 草川昭三

    ○草川委員 また、具体的な東大の救急医療を私はあのニュースを見て、大変御苦労なされたわけでありますから、今日東京大学の中における救急医療のあり方がどうかということでいろいろとお話も聞いたわけでございますので、問題提起をするわけでありますが、その前に、東京における第三次救急の搬送状況を自治省に聞きたいわけです。  東京都内に救命救急センターと救急医療センターは、救命救急センターが十カ所、救急医療センターが三カ所、こういうように聞いておりますが、病院別にこの一年間、例えば昭和六十二年、第三次救急の搬送実績を自治省にお伺いをしたいと思います。
  220. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 東京都における重篤な救急患者を収容し得る能力を持つ医療機関としての救命救急センターあるいは救急医療センター、御指摘のとおり全部合わせまして十三カ所でございますが、この十三カ所の高次医療機関へ救急患者を搬送した実績は、昭和六十二年中では六千四十七人でございます。なお、病院別につきまして、私の方では把握いたしておりませんので御容赦を賜りたいと存じます。
  221. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、私どもが調べた第三次救急の搬送実績を、各病院別に調べてまいりました数字を今から読み上げますが、日本医科大学附属病院が千九十人、国立東京第二病院が四百二十三人、東邦大学附属大森病院が四百七十三、都立広尾病院が三百四十九、帝京大学附属病院が九百十三、都立墨東病院が五百五十四、杏林大学附属病院が四百七十、武蔵野赤十字病院が百七十一、東京医大八王子医療センターが百八十三、日本医大多摩永山病院が三百五。それから救急医療センターの駿河台日大病院が四百六十、東京女子医大病院四百五十九、青梅市立総合病院百九十七、こういう分け方になっておるわけであります。これは、多少統計のとり方によって食い違う点があるかもわかりませんけれども、私どもの調べた範囲内ではまず間違いがないだろうと思っております。  この中で特徴的なのは、日本医大が千九十件で大変実績があるわけです。国立第二病院はその半分にも満たない四百二十三、都立広尾病院に至っては日本医大の三分の一にも達しない三百四十九件であります。都内二十三区以外の三多摩地区等は、距離的にもいろいろ問題がありますのであれでございますが、二十三区内ではもう少し平均的な第三次救急の受け入れがあってもいいのではないだろうか。これでは消防庁の搬送業務をなすってみえる救急隊員の方も相当御苦労してみえるのではないかと思うのです。救急隊員の方は二十四時間勤務で、ベルが鳴れば大体事故現場までには非常に速く行きます。私どもが調べた範囲内でも三分から五分で現場に到着する。しかし、そこから搬送先の病院をまず選ぶのにかなり時間がかかるようでございまして、隊員の方々の御苦労もそこで出てくるわけでありまして、これらの問題を真剣に考えていかなければいかぬのではないかと思うわけです。この受け入れの現状は六十二年に限ったことではありません。六十一年の場合でも、日本医大は九百十七件、これに対して国立第二は二百三十五、広尾の場合も非常に数が少ないわけです。  そこで、厚生省もきょう来ておみえになりますので質問しますが、救命救急センターというのは予算面もついて全国的に相当力を入れてみえるわけですが、患者受け入れ数が少ない事例があるように、現在の体制は十分機能していないところも部分的にあります。厚生省として、今後このようなことを踏まえて救急医療対策にどのような取り組みをなされるのか、お伺いしたいと思います。
  222. 松村明仁

    ○松村説明員 救命救急センターにつきましては、おおむね人口百万人に一カ所という基準によりましてその設置を推進しているところでございますが、この結果現在までに相当数の整備が進んでいるところでございます。現に存在いたします救命救急センターの事業量等に、地域の必要度に応じまして程度の差があるということは考えられるところでございますが、しかしながら、その地域におきます救命救急センターの本来期待されております機能がもし十分に発揮されていないものがあるとすれば、厚生省といたしましてはその機能が十分発揮されますよう必要に応じましてフォローをいたしますとともに、今後とも救急医療体制の質的充実のために鋭意検討を重ねてまいりたいと考えております。
  223. 草川昭三

    ○草川委員 各病院の院長先生にも私どもはお話をしておりますが、受けたい、受けたいけれども看護婦さんとの話し合いがあるとか、あるいは病院には組合等の関係もあるわけですし、定員が非常に少ないために非常に苦労をしておるというような実情もございます。一々個別なことを申し上げませんけれども、ひとつ救命救急の本来の原点に返って差のないようにしていただきたいと思うわけであります。また、消防庁の方も遠慮なく、問題点があるならば我々の方にも言っていただいて、円滑な搬送業務ができることを期待したいと思うわけです。  そこで、消防庁に改めてまた聞くわけですが、東京における救急隊の搬送要請というのですか、病院に対するいわゆる指令室と各医療機関を結ぶホットラインというものがどうなっておるのか、あるいは都内のセンターとの間ですべてうまく結ばれておるのか、現状をお伺いしたいと思います。
  224. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 東京消防庁におきましては、これは昭和六十一年三月二十日現在でございますが、先ほどお示しのございました都内十三カ所の救命救急センター、これはすべて直通電話いわゆるホットラインを設置いたしまして、東京消防庁と各医療機関との間の迅速な連絡通報体制の確保に努めておるところでございます。  東京消防庁におきましては、私も東京消防庁の状況を視察いたしましたけれども、指令センターを設けておりまして、見ておりますと、ひっきりなしにかかってまいりますそれに対しまして、専門医も一人そばに、指令センターにおりまして極めて迅速に行っておるようでございます。東京都内だけでも三十二万を超える搬送件数でございますので、東京消防庁も日本で一番人口の多い、また救急患者も多いところを持っておりまして大変だと思いますけれども、指令センターそれから先ほど申し上げました特に重篤な患者を扱うところはホットラインということで、あとう限りの迅速な対応をいたしておる、このように承知いたしております。
  225. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、この十三カ所以外に都内で第三次救急の患者を受け入れている病院で、東大の附属病院と東京医大の附属病院があると私は承知をしておりますが、それはどのようにお考えになっておられるのか。そのとおりかどうか。そして東大と東京医大の附属病院にもホットラインはあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  226. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 ただいま御指摘の十三カ所以外の重篤な救急患者を搬送しておる医療機関は、お示しの東京大学附属病院、東京医科大学附属病院、さらにそのほか東京慈恵会医科大学附属病院、慶応大学附属病院、日赤医療センターがございます。ただ、これらの機関につきましては、先ほどの十三カ所のようないわゆる専用電話、ホットラインが敷設してはございません。
  227. 草川昭三

    ○草川委員 そこで東京大学を所管する文部省にお伺いしたいわけですが、たまたま私も病院を訪れました。それは、中国までわざわざ行っていただいた熱心な救急の先生がお見えになると聞いたものですから、私、行ったわけですが、そこへはホットラインがないわけです。電話なんですね。しかも夜間の電話ということになりますと、東京大学は夜間の電話というのは通じないわけですから病院の電話ということになります、一般の電話であります。しかし実績は、自治省の東京消防庁の搬送というのは東京大学を非常に高く評価をしておるわけです。これは事件について、グレードの問題は申し上げませんけれども、高名な重大事件というのは非常にたくさん東京大学附属病院に搬入されているわけでありますし、大変熱心なお仕事をやっておみえになるそこにホットラインがないというのは、私はどう考えても理解ができなかったわけでありまして、あえてこの場で、せめて熱心な第三次救急医療をやっておみえになりまして、しかも重篤な救急患者を受け入れられてみえるかかるセンターの整備は第四次交通安全基本計画の中にも明確にうたわれているわけでありますから、緊急時に必要なホットラインをこの十三以外にも設置するような努力をすべきではないだろうかと思うのですが、これは文部省になるのかどうかわかりませんが、お答え願いたいと思います。
  228. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 お示しのように、重篤な救急医療患者を収容し得るような設備、能力を持っておりますところの高次医療機関につきましては、救命救急センターとしての指定の有無にかかわらず消防機関との間にホットラインの設置を進めることが望ましいものと考えております。ただ、そのためには受け入れ医療機関側の収容体制の整備等の問題もございます。御指摘のような東京大学の附属病院、いわゆる重篤な非常に難しい容体の患者が恐らく頻繁に搬送されてくるものと思いますので、そういう点では私どもの方も消防の立場としてもホットライン設置が本当は望ましいと思っておりますが、そういった受け入れ態勢の問題等もございますので、この点は私どもの方も東京消防庁と意見もよく聞きまして、都内の救急医療体制の整備につきまして指導いたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  229. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ消防庁の方からもそのような働きかけを要望したいと思います。  そこで、文部省にお伺いしますが、今いろいろとお話がありましたように東大の医学部に、熱心な救急部という部で受け入れをやっていただいておるわけでありますが、東大医学部には救急医学講座というものがないと聞いておるのです。その理由は何か。また、救急の診療科というものがなぜ東大にはないのか、お伺いをしたいと思うのです。
  230. 押田克己

    ○押田説明員 救急医学につきましては医学教育上重要となってきておりまして、昨年九月に文部省が取りまとめました医学教育の改善に関する調査研究協力者会議の最終まとめにおきましても、今後要請が高まる分野の一つといたしまして緊急の疾病や障害の発生に対処するための救急医学の教育を位置づけております。これに対しまして各大学における適切な対応が期待されているところでございます。  しかしながら、国立大学に救急医学講座を設置することにつきましては、各大学の救急医学に対します取り組み方や地域の医療事情等について十分な検討が必要であると考えております。現下の厳しい行財政事情もございますので、大学側の要求を待って検討することといたしたいと思っております。
  231. 草川昭三

    ○草川委員 大体文部省は第四次交通安全基本計画を読んでいないと思うのですね。私ども一般の国民として、あの上海事故で高校生の方々が大変な事故を起こした。そのときに東大の先生が行った。さすがは東大だと私は思いましたよ。さすが東大の医学部は日本の医学界全体をリードする学校であり、よくぞ、こう思ってちょっとお話を聞いたら、とんでもない、非認知の状況で御苦労なすってみえる。消防庁の方々にお伺いをしたら、東大の医学部というのは実に受け入れ態勢がいいのだ。重篤というお言葉がございましたが、難しい災害の患者はすべて東大に入れるのだ、事実受け入れをしていただいているのだ。評価は高い。評価は高いけれども、今申し上げたように救急診料科というのがない。だから、診療の保険点数はどういう形でなすっておみえになるのかわかりませんけれども、これまた問題があるわけですよ。私は、大学からの声を待つ、そんなのはなかなか下からは上がってこないと思うのですよ。今の大学の講座制というのはそんな簡単なものじゃないことはあなたも十分知ってみえると思うのです。大阪大学には救急講座があるのですね。大阪大学にはあってなぜ東大に救急講座がないのか。全国の医学界の中心的な大学に講座がないというのは、今申し上げたように第四次交通安全基本計画というものを文部省が全然読んでない。東大の医学部の教授が読んでいないから、学部長がそういうことを読んでいないから私が指摘をするようなことになると思うのです。東大の救急部について文部省はどのような評価をなすっておみえになるのか、お答えを願いたいと思います。
  232. 押田克己

    ○押田説明員 東大の救急部につきましては、先生指摘のとおり大変よくやっていると文部省でも考えております。それで、大学の方からその整備等につきまして御要求があれば適切に対処いたしたいと考えております。
  233. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ今の文部省の答弁というのを私どもも非常に尊重して、今後の推移を見守っていきたいと思います。  そこで、残る時間が余りなくなってまいりましたけれども、今度は警察庁の方にお伺いをします。また、大臣からは国家公安委員長としての御答弁をお願いしたいわけです。  まず、第四次交通安全基本計画というのは六十一年から六十五年という計画で立てられたわけで、交通事故死を年間八千人以下に抑えたい、こういう目標設定がございました。しかし、六十二年の実績を見ましても死者の合計数というのは九千三百四十七人、残念ながら相当大幅に上回っておるわけでありますが、大臣、どのような所見を持っておられるのか。今後の交通事故防止のための取り組みの見解をまずお伺いしたいと思います。
  234. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 御案内のとおり、警察の総力を挙げて交通事故、特に死者の数を減らすことに数年来奮闘をいたしております。しかし、実績は残念ながら毎年九千人を上回り、今回の春の交通安全期間においてもこれまた二百四十数名という死者を出しているわけであります。  この原因を冷静に考えてみますと、大きく分けて二つの問題があろうかと思います。一つは、ハードの面で確かに自動車あるいは二輪車いわゆる交通機関の車両の増加数と、道路の幅員、延長それと駐車場いわゆる交通施設のバランスが崩れて、車の利用台数の方がはるかに多くなっているという現実。それからもう一つは、ソフトの面ではいわば運転者のマナーの問題といいますか交通道徳の問題に欠ける点、こういうものが両々相まってこの数の増加を来しているわけであります。  ですから、一般社会でいいますと利便性、能率性、こういうものが追求をされるわけでございますけれども、警察といえどもこれを全く目をつむって安全という観点からのみ交通の指導や取り締まりを行うわけにはまいりません。社会的な要請があるわけでございますからどうしても経済性や効率性、能率性、そういうものに十分な配慮を払いながら、なおかつその仕組みの中で安全性を考えてそのバランスをとっているのが現実だと思います。ですからこれ以上飽和が続くならば、人の命は地球よりも重いというのですから、ある程度社会的な経済性その他を失っても、交通規制というと言葉は悪いのですが、安全対策の諸施策をも講じなければこれ以上の減少を求めることができないのではないかという大変ジレンマを感ずる状態でもあるわけであります。さは言うものの、しかし社会の要請、交通事故の場合は加害者であり被害者であるという場合が多うございます。そういう両面を見てまいりますと、ただ単に安全性だけ追求すればよい、だから車をとめればそれでいいということにはならないかと思います。そういうことを考えながら、さいの河原の石積みと思われるかもしれませんが、懸命な努力を払ってこの交通事故、特に死者の減少のために全力を挙げてこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
  235. 草川昭三

    ○草川委員 大臣の力強い見解、それは大変結構なことでございますが、もう少し私が今から申し上げたいのは、こういう計画を立てる場合に、例えば八千人という目標数値を決めたそのときの根拠というのは一体何だったのだろうか、こう思うわけです。あるいは今も八千人という目標を立てておるけれども、余り数字の問題ではなくて、もし問題があるならば見直す、そういう目標数値は見直してもいいのではないかということが言いたいわけであります。  それはなぜかといいますと、たしか百二国会だと思いますけれども、交通安全特別委員会において、当時の警察庁の交通局長の太田さんは、当時シートベルトの着装問題が出たころでございますけれども、シートベルトの装着率が九〇%になった場合には、昭和六十五年には多分死者数は二千人は減るだろうという答弁をしてみえるわけです。それから原付のヘルメットの着用率も一〇〇%になった場合には、死者は六十五年では三百人程度は減るだろう、これは三菱総研へ委託調査をした結果を発表してみえるわけです。  双方で二千三百人の死者減少ということを言っておみえになりましたので、私どもも大変期待を持ちましたし、現実にシートベルトは、私どもも運転しますが、大体これはもうなれてきました。最初は多少抵抗があったのですが、今はヘルメットでもシートベルトでもほとんどの方々が装着するわけですから、一〇〇%と言ってもいい。だったら、一体あのシートベルトとヘルメットの着装というものは今どういうような効果があるのか。あの局長の答弁というのは、今から考えてみるとどういう位置づけだったのかという気がするわけであります。そこらあたりを含めてお答えを願いたい、こう思います。
  236. 内田文夫

    ○内田(文)政府委員 第四次交通安全基本計画で八千人という目標を定めたわけでありますが、これは四十五年がピークの死者が四十六年以降減少しまして、昭和五十四年に八千五百人を少し切るまでに減少したわけでございまして、その後増勢してずっと九千人台を超えているわけであります。しかし、こうした推移を踏まえながら、従来からの諸施策を一層に推進をしていく。それとシートベルト、ヘルメットの着用の徹底による死者数の減少の効果を見込むということで、そうした中で可能と思われる範囲で、できる限り低い数字を目標として立てようということで、八千人という目標を立てたと聞いているところであるわけであります。  そこで、先生おっしゃいますように、現在大変死者がふえてきておる。それではシートベルト、ヘルメットの効果はどうだったのか、こういうことでございますけれども、六十一年の十一月から一般道路におきましても自動車の前席のシートベルトが義務化されたわけでございまして、それから昨年の十月末までの一年間の数字を見てみますと、死者数で、自動車に乗っている者で百九十人、約六・三%減少をいたしておるわけでございます。原付のヘルメットにつきましては、これは六十一年七月から義務化されまして、それから六十二年六月までの一年間を見てみますと、その前の同じ期間に比べまして一六・九%、百六十九人が減っている、こういうことであります。  以上のことから見て、先生が言われるように、シートベルト二千人という数字から見ると大変少ない数字かもしれませんけれども、シートベルト、ヘルメットの義務化ということの効果というものはあったのではないか、こう思っておるわけであります。
  237. 草川昭三

    ○草川委員 私実は昭和五十八年の一月に質問主意書を出しています。それは新しい交通事態に対応する問題という提起をしておるわけですが、その中で、今大臣の方からも御答弁があったわけですが、これからは交通需要の多様化によって新しい施策が必要ではないか、それはハードとソフトの面で、両面で必要だ。  もう一つは交通安全教育の充実ということを基本的に考えなければだめだ。  第三番目に、規制、取り締まりの重点をやめてもらいたい。この規制、取り締まりの重点から、いわゆる我々一般国民の自覚を高める、そして国民の共感と納得を得るところの交通安全施策の展開をやってもらいたい。  特に二輪車の保有台数がふえまして二輪車事故が多いわけですが、これも千九百万台に二輪車は達成しておりますから、車を五とすると二輪車が二、これは世界にも例のない混合交通の形態になっておる。だから、どうしても分離交通の実現をやらなければいかぬと思うのです。広い道路だと例の二段階停車で二輪車を前に出すとか、それは非常にいいことを当局は指導しておると思うのですが、問題は、車の前に二輪車が出るような、誘導する、ガイドラインというのですか分離帯というのも必要なんですが、それが残念ながら今は道路事情によってないわけであります。あるいは右折をする場合にも、交差点で左の方からセンター寄りに出てくるところ、ここへ来るまでに事故が起きるという問題もあるわけでありますから、全国で二輪車の専用レーン、あるいはそういうレーンが現在五百五十キロメーターぐらいしかない、こういうことを私は聞いておるのでございますが、もう少し思い切った道路改善によるところの分離交通をぜひやっていただきたいものだと思うわけであります。これも後ほどまとめて答弁をしていただきたいと思います。  そこで、今私は交通安全教育の充実と体系化ということが必要だということを言いましたが、実は自動車教習所における初心者の運転教育の実情が一体どうなっておるのかということは過去にも申し上げたわけですが、これは非常に問題が残っております。  この中にも、政府の役所の方々でも運転免許証を取りに行かれて、非常に愉快に楽しく免許証を取ったという方は皆無だと思うのです。大体自動車教習所へ行くと頭へきて、けんかをやってほかの教習所へ変わったとか、一つや二つ例外ないくらいに不満をみんな持っているのです。  私も過去の経験を言うとたくさんあるのですが、そういうことは別といたしまして、先生方といろいろお話を聞いてみると、実技が下手かうまいかは別な話です。公安委員会へ行って実技以外のテストを受けるわけでありますけれども、そのテストが非常に難しい。しかも常識的に理解ができないような質問が多いわけです。もちろんマークシートですから、もう目をつぶってぽんと書いてしまうような例もある。こういうわけでありますけれども、中にはひっかけ質問があるわけですよ。何を聞こうとするのか。自動二輪で前輪のぶれと後ろ輪のぶれを出してどちらの場合が危険かなんという設問がありまして、これはこの前私申し上げたことがあるのですが、そんなのは前も後ろもぶれというのは両方悪いわけですよ。だから常識的に言って考えられぬような設問が出て、どちらがマルだったかペケだったかというようなことも多いということを申し上げた経験があるわけですが、依然としてひっかけ質問があるやに聞いておるわけであります。  きょうは本当は、そのひっかけ質問の十問くらいの例を持ってまいりまして警察庁当局の幹部の方々に一問ずつ聞いてみようと思っていたのですが、それはいかがなものかというお話がございましたので私も遠慮を申し上げるわけですが、要するにそういうことは、これは全く国民の声ですから、私のこの発言を今教習所あるいは試験場で受けている生徒さんが聞いたら拍手喝采だと自分でも思うぐらいの気持ちがあるわけであります。  そこらあたりをもう一度、本当にどこに問題があるのか、どのような初心者教育をすれば交通安全につながっていくのかということをお伺いしたいと思うのですが、どうでしょうか。
  238. 内田文夫

    ○内田(文)政府委員 自動車教習所におきます初心者教育というのは初めて運転をする人を受け入れる施設でありまして、ここで運転の知識や技能はもとより、社会人としての交通マナーを身につけさせるということが大変重要なところでありまして、そういう観点から、単なる知識、技術を教えるというだけではなくて、本当に安全マナーを身につけるという教育に力を入れていくよう指導しているところでございます。  先生今お話ありましたテストの問題でございますけれども、テストは各県それぞれたくさんつくって持っておるわけでございまして、そういった批判をかつても聞いたことがございまして、そういった意味警察庁もそういうことのないようにモデル的な問題をつくって各県に配り、もちろん各県それに準じた問題をある程度つくっているわけです。そういうことで私ども全部はまだ見ておりませんけれども、そういうのは少なくなっているのではないか、こう思っております。  例えば現に警視庁ですと、毎回、毎月試験をやったそれぞれの問題が例えば百人中七十人以上の者が正解ができないとか、あるいは極端に百人全員が正解をしてしまう、これはやっぱりどこかおかしいんじゃないかということで、そういう問題を逐次直していって平均的に九十点がとれる、そういうような問題に毎回見直しをやっているというふうに聞いておりますし、そういった意味で逐次よくなってきているんだと思います。一部にそういうものが残っているとすれば、今後我々ますます指導を強めていきたい、こう思っております。
  239. 草川昭三

    ○草川委員 今答弁があったように、なぜ平均点が上がってきたのかといいますと、公安委員会の方で、県下にたくさん自動県教習所があるわけですが、そこの受験者数の合格率を定期的に発表するわけですよ。自動車学校の校長先生というのは大体県警のOBが多いでしょう。そうすると、Aという学校とBという学校の合格率の差があるとあれですから、校長先生先生に、とにかくテストをクリアするように一生懸命やれという指導をするわけです。だから先生は、どういう事故があるのか、狭い道路から出たときに広い道路の事故だとか、あるいは右折の場合、左折の場合だとかいろいろな事故を紹介をしながら本当は安全教育をしたいと言っているのですよ。ところがそういう教育を幾らしておったって、そんな事柄はテストに関係ないわけですから、テストのための学科教育をしなければいけないという悩みが第一線の自動車教習所の教官にはあるのですよ。だから私はぜひ警察庁の方からモデルケースをたくさん出して、本当に生徒に何が必要なのかという安全教育をしてもらいたい。受験のための、ただクリアをするための競争なんか絶対避けてもらいたいということを特に強く申し上げておきたいと思うわけであります。  時間が大分たってしまいましたので、あともう二、三分しかございませんので、もう一回、細かいことを申し上げますけれども警察庁の長官はことしの年頭方針の中で、「交通警察の施策およびその進め方は、従来にもまして国民の理解と共感に支えられたものでなければならない。」こう言ってみえる。そのとおりだと思うのです。国民の共感がなければいけないと言っておるわけです。そこで最後の方で「交通警察の運営に広く国民の要望、意見等を反映させるよう努める」という大変立派な方針が述べられております。これはぜひ私、交通安全のためにも警察のかかわり方、これを第一線の警察官にも伝えていただきたいと思うわけです。一口で言うならばいわゆる警察の支配の交通行政ではなくて、国民が自主的、自律によって参加する安全教育なり交通行政にしないと八千人の目標は打ち破られないのではないかと思うのです。  しかし、問題点というのは、以前から多くの運転者から批判を浴びているものに何があるかというと、ネズミ取りという言葉がありますけれども、隠れてスピード違反をやる、こういう速度違反の取り締まりはみんな抵抗を感ずるわけです、何回か言われておりますけれども。公開取り締まりという看板だけは張ってありますけれども、一キロか二キロ行ったら途端にぽっとお巡りさんが出てくるというようなことは、それは公開取り締まりだといったって、それはかえって反発を受けるわけでありますから、悪ければ本当に事前に注意をする。私は、切符を切ることが一種の点数制だとは言いませんけれども、そういう風潮があるということはやはり国民の支持を得ないのではないかと思います。  それから、遅過ぎる速度規制というのが随分あります。四十キロ制限、ここはもう五十キロでもいいと思うのですけれども四十キロ制限というのが随分ありますが、かえって問題があるのではないかと思います。  それから、東京都内でもございますけれども、アンダーパスですね、交差点の下をくぐる道路、ここでは二輪車の通行規制が行われておりますが、私は二輪車というのを異端視する行政というのはだめだと思うのです。特に若い人たちが二輪車に乗りたい、メカに本当に興味があるならばどんどんその機会を与えて、そのかわり教育をする。そしてスピードが必ずしも肝心ではない、立派な運転マナーをそこで覚える、テクニックを教えることが大切ではないかと思うのです。  さらに最近、犯罪で重いか軽いかという言い方にいささか問題があるかもわかりませんけれども、非常に軽微な交通違反の事案で逮捕行為が行われておる。つい最近聞いた話でありますけれども、タクシーがどうしてもトイレがしたいのでトイレを道路上でした、戻った。そこで検挙というのですか、何だと、こういうことになった。いや、今ちょっとおりただけだ。何だ文句を言うのかという形で逮捕されたというような例もあるわけであります。そういう交通違反事案における非常に感情的なやり方というのは第一線の警察官としてはぜひ避けていただく、そして本当に指導する、何が問題なのか、どこが悪かったのか、これでは大変だよというようなことをやっていただきたいと思うわけであります。  るる述べましたけれども、いわゆる長官の精神というものが末端に浸透するように国家公安委員長の立場にある大臣からもぜひ指導をしていただきたいことを要望したいと思うのでございますが、最後に大臣からの見解を賜って私の質問を終わりたい、こう思います。
  240. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 大変示唆に富んだ御発言をちょうだいをいたしまして、ありがとうございます。  警察活動の基盤となるものはまさに国民の警察に対する理解と協力でございます。特に交通警察活動は「運転免許の取得から更新あるいは交通指導、取り締まり等、現場において大変国民との接触が多いわけでございますから、その理解を得、協力を得ることが交通事故の撲滅につながる最大の道であるということを信じ、努力をしていかなければならないという感じがいたします。  今交通教育、幼稚園からあるいは今御指摘いただいた指定教習所の教育の内容、特に交通安全を中心とした改善すべきもの、それから警察の直接の所管ではございませんが、ハード面でのいわば基幹道路等の整備、こういうものを行っていかなければならないという気がいたします。  それから、先生御説でございますけれども、確かに過度にわたる取り締まりは反感を呼び、決していい結果が出ないことは承知をいたしておりますが、これを野放しにすることはいかがなものかという感じがいたします。私は、私個人のいわば感じでございますが、性はそれほど人間というものは善でもないと思います。さりとて性は悪ではなおないという気がいたします。人間やはり帰するところ性は惰なるもの、やはり厳しさがなければ人間は惰につながる、そういうことがございますので、過度の取り締まりもいかがなものかと思いますし、野放しというのもこれまた人間の惰なるものに火をつけるわけでございますから、適度な分野が必要であろうかというふうに感ずるわけであります。
  241. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  242. 野中英二

    野中委員長 大矢卓史君。     〔委員長退席、谷津委員長代理着席〕
  243. 大矢卓史

    ○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。  まず、料飲税についていろいろとお尋ねをいたしたいと思います。  料飲税の免税点等の歴史を見ますと、私の父も以前地方行政委員長をやらせていただいておったときに、各関係の方の陳情等非常な御苦労の末にいろいろな免税点のかさ上げ等が行われてこられた経過がございます。現在までの経過につきまして、まず御説明を願いたいと思います。
  244. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 料飲税の免税点とか、あるいはまた基礎控除額というのもございますが、これらの制度は零細負担を排除するとか大衆負担の軽減を図るという趣旨で設けられ、あるいは同時に税制の簡素化ということに資するためのものでございます。最近は、免税点にありましては昭和五十八年一月一日、基礎控除額は五十九年一月一日に引き上げられているところでございます。  その歴史といいますか、推移は非常な経緯をたどっておりまして、例えば旅館の免税点というようなことですと、三十二年当時は八百円というところから出発しまして、三十六年に一千円、だんだん引き上げられまして、先ほど申し上げました五十七年五千円、こうなっております。飲食店の免税点は、同じく三十年当時二百円でございましたが、だんだんこの引き上げも行われましてただいま二千五百円、こういうような経緯になってございます。
  245. 大矢卓史

    ○大矢委員 免税点がございますけれども、ここで言います旅館というのはホテル等も含まれておりますが、これが現在、五十七年から免税点が五千円、飲食店が二千五百円でございますか、そして、それ以外にチケット食堂というのがございまして、チケットを買って食事をするところが五十二年から千円ということでございますけれども、それでよろしいですか。
  246. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 ただいま御指摘のようにチケット食堂というのもございます。チケット食堂については一千円ということになってございます。
  247. 大矢卓史

    ○大矢委員 それで、ホテル等はこの金額をオーバーすることについておのおの基礎控除が設けられておりまして、当初五百円から八百円、千円、千五百円、二千円、そして五十八年には二千五百円ということになっております。  そこで、現在東京のビジネスホテルに泊まりますときに五千円以下で果たして泊まれるであろうか。もし五千円をオーバーいたしておりますときには、控除額が二千五百円でございますから、それから上のものにつきましては全部一〇%かかってくる。そして、チケット制の食堂があるということで、現在千円ということでございますけれども、これまた私も先ほど衆議院の食堂で食事をしてまいりました。チケットを買って食事をしてまいりましたら、すき焼きが千二百円ということでございますがこれには該当しないで、本来ですとそれに一〇%かかるわけでありますけれども、私は幸か不幸か一〇%払ってこなかった。このような現在の免税点なり、こういう基礎控除というものが果たして現実的であるのかどうか、非常に経験豊かな大臣から、御経験上、お尋ねをいたしたいと思います。
  248. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 ちょっと数字の方の御答弁を申し上げなければなりませんので、私の方からまず申し上げたいと思います。  ただいま御指摘のような免税点あるいは基礎控除はございます。チケット制食堂について申し上げますと、現在の一千円ということで、免税割合が大体九一・五%ということになっております。また、飲食店の方は二千五百円でございますが、これによって九三・一%は免税ということになっている、こういう状況でございます。  なお、旅館とか宿泊でございますが、それで五千円というのはいかがかというお話でございました。例えば大都会、東京のようなところでございますと、ビジネスホテルなどでも委員指摘のように五千円をオーバーすると免税点でございますから、全体について一〇%課税、こうなります。しかし、これまた全国的なベースでごらんいただきますと、免税割合はこちらの方は若干低うございますが、それでも五五・六%、六十一年の数字でございますが、その程度が免税割合となっている、こういう事実関係をまずお答え申し上げたいと思います。
  249. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 率直に申しまして、なるたけ税金はかからない方が結構でございますし、行政サービスは厚いほどいいわけでございますから、この兼ね合いの問題であろうかと考えております。
  250. 大矢卓史

    ○大矢委員 この免税点を獲得されるための各業界での非常な努力、それがどんどん積み重なって今日に至りましたけれども、なお、今数字を挙げられまして大変多くの方々がそういう免税点の恩恵に浴しておるということでございますが、現実にそういうふうになりますと、チケット制の食堂というのは一体どういう食堂のことを言うのか。チケットを現実に売っている百貨店の食堂とか言いますけれども、衆議院でもそういう扱いでやっておりますが、あそこは入れないのですか。
  251. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 チケット制食堂は、ただいま委員が典型的に御指摘になりましたように、デパートなどによくありますチケット制の食堂でございます。私ども、そういうチケットで一品幾らと決めている販売方式というものによりまして判定する、こういうことでございます。
  252. 大矢卓史

    ○大矢委員 現実にこれは法律は一本でございますけれども、現場の徴収の段階になりますと、大臣も御承知のように、この当時からキャバレー等は陳情がなかったわけであります。それはなぜかと申しますると、現金収入で税金が幾らということが明示されて、それがその場で徴収になるわけであります。そういう業界というのは、それが徴収になりましても一〇〇%納めなくても済んでおるような状態。そして一般的に小さなお店でございましても、これはお客さんから料飲税だということで取れない。そういうところも、やはりそういうキャバレーと同じように、大きなところと同じように法律法律であるわけです。そして、その中間にありますところは、お客さんから適当にもらったもの、もらわないものということで、それはそれで納得の上で納税をされる。その三つの方法の中で、やはり法律一つでありますから、そこを現場でもって毎月毎月申告するときに非常な苦労があるし、また取る方も、現状を見ながら取っていかなければならぬということで、これまた非常に苦労があると思います。これら、法律が一本であり、法律の解釈からいたしますると、一〇%すべて取らなければならぬということですけれども、その現場の苦労、納める者の苦労、それらの中で、やはり現実的な対応をしていくことが望ましいと思われますけれども、大臣、御所見いかがでございますか。
  253. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 御指摘ありましたように、例えばキャバレーのような場合ですと、ただいま委員指摘のような免税点制度というのがそもそもございません。その免税点は、家庭で食事をすることの延長線上にあるようなもの、それから休む、睡眠をとるという場合もそういった考え方で免税点あるいは基礎控除制度をとっております。しかし、キャバレーのような場合は、そもそもそういう免税点制度というものはない。  それから第二点目で、この問題は徴収にいろいろ非常に努力がいるし、問題といいますか、苦労があるではないか。それは、課税側であります県もそうでありますけれども、同時に、納税する方もそうではないかという御指摘は、そのとおりでございます。この税金は、あくまで公給領収証をお客さんが受け取っていただく、あるいは公給領収証にかわるものとして、県が定める、認める、そういう領収証を受けとっていただくということによって円滑にいく仕組みでございますので、そこが一つのポイントであろう、こう思っております。  なお、そうした問題もあるので、今度の、いろいろ検討されております新しいタイプの間接税といいますか、そういった問題の総体の中では現在税制調査会におきましてもいろいろ御議論がされている、こういう状況でございます。     〔谷津委員長代理退席、委員長着席〕
  254. 大矢卓史

    ○大矢委員 私申し上げるのは、そういう、同じ税金でもうかる人があれば、自分の利益の中から払わなければならぬ人がある、そこそこに払っておる人があるという三つの段階。これを一つ法律で運用するときに、やはりそこの運用があってしかるべきじゃないかということを大臣にお尋ねいたしたのであります。  そこで、今局長からお話しのように、今税制上の問題がある。しからば、この前の消費税、売上税のときには、前国会のときにはこのままの形でこれは除外だということでありますけれども、これから進んでいきます、まだ結論も何も出ておりませんけれども、今後新しい消費税が出てまいりましたときに、実力大臣として、今の料飲税をどういう形でなくしていくのか、このまま存続するのか、また免税点、それらをいろいろ手直ししながらやっていくのか、これらの御所見があればお承りしたいと思います。
  255. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 先ほどの、いわば料飲税の問題でございますが、大臣として答えるならば、やはり画一に法律に一本で盛り込まれておるわけでございますから、それぞれ消費者から徴収をしていただく、それ以外に答えようがございません。ただ、三つの類型があることは私も十分承知をいたしているわけであります。  それから、今後のいわば税制改正との絡みでございますが、政府税調あるいは党税調でこれからそれぞれ専門的な方々によって検討されることでございましょうから、その推移を見定めながらそれに対応してまいりたいと考えております。
  256. 大矢卓史

    ○大矢委員 ただ単に自治大臣ということだけでなくて、国務大臣として、また自民党の中で非常に力のあられる大臣でございますので、その点、私どももじっくり、今後の大臣の活動に期待をいたしていきたいと思います。  そこで、地方公営企業研究会報告というのがございまして、六十三年三月二十八日、地方公営企業研究会というところから自治省の財政局長あてに報告書が出ているようであります。審議会でございますとか、閣議決定であるとか、大臣の私的諮問機関とかいろいろございますけれども、このような研究会、私もこれに目を通しましたが、局長の私的諮問機関のような法律に基づいてやっておらないこういう研究会、これは各省にあるわけでありますけれども、どういう位置づけになるのですか。
  257. 柿本善也

    ○柿本政府委員 お答えいたします。  諮問機関として正規に審議会等が常設ないしは臨時的に行われる場合もございますが、どちらかというと短い期間で、しかも運用面その他はそれほど大きくない制度改正等を審議していただくために予算上ある程度の予算をいただきましてやる場合には、私的と称して、一定の学識経験者にお願いしてその結論をいただく、こういうものを我々、私的な諮問機関というような形でお願いいたしていることがございます。お尋ねの研究会もその一つでございます。
  258. 大矢卓史

    ○大矢委員 この議論は後にいたしまして、せっかくこういう提言がなされたわけであります。しかし、こういう、審議会にいたしましても、私どもも地方議会を通じていろいろと携わってまいりましたけれども、大体こういう方向で行こうというところへ落ちつくようでありますから、既に自治省の中でこれを受けて早急に、この後どうあるべきかということの方針があってしかるべきだと思いますけれども、大阪市におきましても一つ考え方を出しておるようであります。市バス車庫の利用方法でございますとかいろいろとやっておるようでございますけれども、これらにつきましても、こういうものを踏まえての決定でございます。すぐにでもそういうものに対応できるような体制をとっていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  259. 柿本善也

    ○柿本政府委員 お尋ねの大阪市の交通事業がバスの車庫とかそういうものを有効利用したい、こういうことでございます。詳細は承知いたしておらないのでございますが、考え方としては、今お尋ねにございましたように、交通事業というのは現在大変苦しい経営状況にございますので、その健全化の一つの方策として、持っております資産をできるだけ有効利用をしたいということでございます。  自治省の対応でございますが、先ほどの研究会からそれなりの幾つかの提言をいただいております。それは、すべて直ちに実施できるというのではなくて、物事によりましてある程度早急に結論を出せるものと、かなり技術的に詰めましてなお法改正等を必要とする事項もございます。お尋ねの資産の有効活用あるいは附帯事業をどうするかということは若干の法令改正が必要だと思いますが、研究会で御提言いただいた中では一番早急に結論を出して、そういう大阪市等の要望にこたえていきたい事項ではないかと考えておりますので、そういう必要な事項をできるだけ早く整理いたしまして、現実の要望に対応できるように対処してまいりたいと考えております。
  260. 大矢卓史

    ○大矢委員 余り時間がございませんが、警察の関係も少しお聞きをいたしたいと思います。  拾得物を返したときの謝礼ということがあると思うのですが、これはどういうふうになっておりますか。
  261. 漆間英治

    ○漆間政府委員 拾得者が届け出まして一定の期間を経過いたしますと、権利として、その遺失者に対しまして五%から二〇%の間で謝礼を請求するというシステムになってございます。
  262. 大矢卓史

    ○大矢委員 金銭に換算のできないようなものもあると思いますけれども、そのときに、もしその落とした人間が自分の落としたことにすぐにでも気がついてもらいにいく。やはり今おっしゃるようなことも踏まえて、本人が自覚をして五%から二〇%の間ですかそれをするということは当然だと思いますけれども、その後の処理につきましてはそれこそ各署でまちまちのようであります。というのは、やはり交通の問題、また、拾っていただいた相手方が共働きでいらっしゃらないとかいろいろなことがあって、それに対する謝礼の受け渡しの領収証をいただけないとかいろいろなことがございます。そこで、せっかくすぐに落とし主がわかって、それをもらいに行ったところ、それがもらえないというような事例もあるようでありますので、先ほどから言われておりますように、そこいらはもっと警察が市民に密着した警察としてそれらの人々を信頼してやっていただくという御指導を願いたいと思いますし、また先ほどから言われております警察行政、これはすべての市民の支持がなければいけないと私は思います。  そこで、交通問題がいろいろと言われておりますけれども、大阪の阿倍野の交差点で非常に人気のある手信号をやられる警察官がおられたわけであります。ただ、その方が非常にお上手かといいますと、確かに見ておりましてもほれぼれするような手信号でございました。しかし、いろいろなニュースを見ておりましても、手信号のコンクール等で大変立派な方もいらっしゃるわけであります。ただ、そのお巡りさんが非常に人気があったのは、大変オーバーなアクションで非常に親しまれたと同時に、もし運転者が交通ルールに違反した場合にはすぐに駆け寄って非常な注意をいたします。しかし、そのお巡りさんは最後まで一遍も切符を切らなかった。手信号そのものが人気があったということよりも、注意はするけれども切符を切らなかったということが、結果的にプロの運転者さんも含めて非常に人気があったのを私はこの目で見ております。そういう警官が市民に親しまれるということです。大臣も交通問題にはこれからも前向きでというお話でございました。私どもも協力をして、本当に事故の絶滅のために尽くしてまいる、そういうことを時間がございませんので申し添えまして、質問を終わらせてもらいます。
  263. 野中英二

    野中委員長 野間友一君。
  264. 野間友一

    ○野間委員 昭和六十二年末の我が国での運転免許保有者の数は五千五百七十二万人、国民皆免許時代を迎えたというふうに言われております。  きょうは私、時間の関係がありますので、いろいろな点をただしたいと思いますが、ドライバーが大変関心を持っております免許更新時の警察行政、これと密接な関係にある交通安全協会について、国家公安委員長の梶山さんと警察の皆さんにお伺いをしてまいりたいと思います。  まず、新聞の投書であります。ことしの二月五日付の朝日、「運転免許」というタイトルでの「語りあうページ」があります。これを見ますと、広島市の三十四歳の主婦、「更新手数料二千四百円に、〝交通安全協会会費千円〟が、いや応なく当然のようにお願いされるのです。この三年間で協会から郵送されてきた書類といえば、一カ月前に届いた「免許更新の通知はがき」のみです。このはがきによると「入会していただく方は会費千円」とあるので、今回は遠慮させて頂こうと思いました。」云々で、「受付では入会の有無を問われず、事務的に抑揚のない「会費をお願いしております」の一言で次から次へと処理していました。申し出ることが出来ない雰囲気があり、結局、言えずじまいでした。これではお願いではなく、半ば強制的としか思えません。」これが投書であります。  さらに、これに関連して、同じ朝日の大阪版ですが、二月二十日付「運転免許」についての「手紙」というところに同じようなことが出ておりまして、今読み上げましたのは、全く同感でペンをとった。自分も諸費用と一緒に窓口で請求されたということから書き出しまして、いろいろ高圧的なやり方に対する不満が述べられております。  さらに、兵庫県の無職の三十歳の方、これも「投稿者の主婦の方がおっしゃるように、半ば強制的に会費を集めています。窓口に「加入するもしないも自由」と張り紙をしておくべきでしょう。」こういうことですね。  これはいずれも匿名ですよ。新聞の投書というのは名前が大体書いてあるのが多いのですけれども、ここに恐れおののくこういう主婦の感情あるいは男の人もそうですが、この恐れが出ておると思うのですね。  ところで、この問題については、六十年四月十一日の衆議院の大蔵内閣地行文教社労農水運輸建設連合審査、ここでも随分論議になりまして、ここで当時の警察庁の交通局長をやっておられた太田さんがこの問題について言われております。「前々から問題が非常にございまして、窓口においてはっきり分けるということは現在行政指導いたしております。したがいまして、警察に納めるべき正規の手数料、それからいわゆる安協に対して会費という形で納めていただく任意の形のもの、これをはっきり窓口を分けて現在指導いたしておるところでございます」、こういうことを交通局長は答えておるわけなのですね。  私はこれできちっと全国的にもこういうことが行き届いておるのかどうかと思ったところが、今申し上げた投書でも、広島とか神戸とかいろいろなところでこういう批判が出ておるということからしても大変な問題だと思うのですね。今申し上げたように免許を取得する数が大変多いわけですから、みんなこれに関心を持っておりますし、こういうことについては非常に憤りを持っておるわけですね。  これについて警察庁はどういう見解を持っておられるか、お聞きしたいと思うのです。
  265. 内田文夫

    ○内田(文)政府委員 安全協会は、民間団体といたしまして地域におきます各種の交通安全活動の推進に努めているわけでありまして、具体的には交通安全運動等におきます交通安全意識の普及啓発活動や、これらの運動等におきまして使用しますポスターだとかリーフレットの作製など、あるいは会員の優良運転者の表彰だとか更新時期の通知等を行っている団体でございまして、安全協会が徴収しております会費というのは、これらの活動に賛同して会員になろうとする運転者あるいは事業所等からいただいているということでございます。  会費の納入につきまして、先生言われるように窓口で誤解を招くあれがある。確かに前からそういうことはありまして、警察庁といたしましては各都道府県警察を通じまして各都道府県の交通安全協会を指導しているわけです。窓口をきっちり分けるということと、それから各窓口に、ここは安協だ安協の会費というのはこういう性格なもので、御協力くださいというなら御協力ください、こういうことであれをするようにということの指導をいたしてきておるわけでございまして……
  266. 野間友一

    ○野間委員 もういいです。指導されておるらしいのですが、これは改まってないから今の投書も出したわけです。委員長のお許しを得て、一枚のはがきの裏表のコピーをちょっと配りたいと思います。
  267. 野中英二

    野中委員長 どうぞ。
  268. 野間友一

    ○野間委員 交通局長それから公安委員長、ぜひ見てください、簡単なはがきですから。これは和歌山の「運転免許証更新のお知らせ」と題するはがきの裏表でありまして、交通安全協会和歌山西支部が出したものですが、この裏のところを見ていただきたいと思うのです。「3更新手続にご用意いただくもの 運転免許証 写真一枚 更新手数料二千四百円・運転者会費九百円」こう並べて書いてあります。だから、みんなこれを持って交通センターに行くわけです。そして、これを持ってこいと書いてありますから九百円そのまま取られるわけです。今免許の更新というのは二千四百円だと私は承知しておりますが、いかがですか。
  269. 内田文夫

    ○内田(文)政府委員 更新手数料は二千四百円でございます。このはがきは恐らく運転免許の更新のお知らせということで和歌山県の安全協会が会員だけに出しているものだと思います。今私も見まして、確かに書いてある位置がちょっと問題があるというか誤解を招くおそれがあると思いますが、恐らく和歌山県の安全協会としては会員に対して出すという安易な気持ちから、また九百円ですよ、こういう感じで書いたのだと思うのです。全運転免許所有者に出しているわけじゃないと思います。
  270. 野間友一

    ○野間委員 そこの認識が問題なんです。それが問題になっていろいろ国会でも論議されたわけですよ。これも、九百円持ってこいということは、更新のときにさらに九百円払って会員になるわけでしょう。交通安全協会というのは任意団体でしょう。そうであるとするならば、これは全く免許の更新とは関係ないわけですよ。だから、もしお入りいただく場合とか親切に書くのが当然なんですよ。これを見ますと、御用意いただくものの中にちゃんと九百円入っておるわけです。こういう書き方ではみんながこれは当然払わなければならぬものと受けとめるのは当たり前です。違いますか。だからこそこういう新聞の投書がたくさん出ておるわけです。現にこれをもらった人は払っておるのですよ。公安委員長、こういう書き方はいかがですか。
  271. 内田文夫

    ○内田(文)政府委員 確かにこれを並べて書くということは私どもも県を指導して改めさせるようにしたいと思います。ただ、言いましたように、書く方は別に悪意があったわけではなくて、会員に対して書いているわけです。だから会員に、皆さんまた会費を納めてくださいよというような気安い気持ちで書いたのだと思います。
  272. 野間友一

    ○野間委員 私は入るなとは言ってないわけですよ。これは任意の団体ですから加入するかどうか自由だから、その旨をきちっと書けということを言っておるのです。  同時に、受付で安全協会の加入用紙と更新の申請の用紙がセットになって同じところでやっておるわけですよ。窓口を分ける指導をしたとあなたも言ったけれども、実際にはそうなっていないわけです。  ついでに言いますと、写真もそうなのです。所定のサイズの写真を持って行ったのですが、それはだめだ、ここで撮るからといって撮られたわけです。いや、写真を持ってこいと書いてあるじゃないか、こう言ったら、万が一センターの免許証のところでうまく写らない場合にその補充として持ってこいと言っただけだ。だから二重に撮られたわけです。そこでも、持ってこいと言いながら。これは和歌山の新宮の警察署です。  だから、あなたは言うけれども、あちこちでこういうのはいっぱいあるわけです。こういうのをきちっと徹底指導させて、今書類については改めるように指導すると言いましたけれども、やはり任意の団体ですから、しかも五千万人以上が免許を持っていますから、公安委員長、こういう小さなことですけれども、数は多いし、物すごく大きな問題なんです。警察が国民の信頼を得るためにはこういう点をきちっとやるということが当然大事だと思うのです。  時間がまいりましたので、この点についていろいろなことを言いましたけれども、公安委員長にひとつ御所見と決意をいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  273. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 野間委員の御指摘、わからないわけでもございません。言われますればこれから厳重に注意をいたしますと言いますけれども、それではこれを一列、列を変えて書けばいいのかどうなのかという疑問もありますし、考えてみますと三年間に九百円……(野間委員「それは別です」と呼ぶ)別ですが、たとえ一銭といえども、こう言うのでしょうけれども、しかし、運転者の会費というか、私も免許更新をしてお仲間さんだから改めてまた行きましょう、そして九百円のものを一人一人が納付に行ったり取りに行くという手間暇を考えてみますれば、ちょうど三年に一度免許の更新の機会これあり、こういう丁寧なお手紙もちょうだいしてのあれでありますから、それは三百円が莫大な金だとか、たとえ一銭といえども……(野間委員「九百円です」と呼ぶ)一年間三百円です。これは同窓会の会費でも今、月千円は取られますからね。(野間委員「これは任意ですよ」と呼ぶ)それは任意でございますよ。任意でございますから、これはしゃにむに持ってこなければ免許証を出しませんとは書いてないのですから、野間委員は弁護士ですからそのことは細かいかもしれませんが、この辺のところは全部、世の中をコンクリートで固めなければ生きていけないという社会ではございませんので、それがおおらかな交通安全につながる道ではないかと思いますので、私も厳重に注意をいたしますけれども、こうやらないでいただければもっといいと思います。
  274. 野間友一

    ○野間委員 もうこれで終わりたいと思っておったのですけれども、今大臣が言われたので一言だけ追加しますが、私がそういう細かい点を言っておるだけじゃなくて、これは全体の問題で、いろいろな投書がありますし、これを契機に私もあちこちでいろいろ聞いたわけです。みんな頭にきておるのです。九百円払うと言うわけですよ、しかしそれはあくまでも自由加入だから、その点をきちっとせい、場所もきちっとせいと。だから、今の大臣の答弁の中で前半の厳重にきちっと指導する、それだけ私は受けまして、あとは受けることができませんけれども、これで終わりたいと思います。  以上です。
  275. 野中英二

    野中委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時八分散会