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安倍(基)
委員 私は援助の話をしょっちゅう持ち出すので――本当は大蔵
委員会の場合に一時間半くらい時間あるのですよ。その調子でやれば私の意図は完全にわかるのですけれども、十八分では全然わからない。ですから、私はただただ反対しているかのごとく聞こえるのですな。反対すると、おまえだめよ、野党はもちろん賛成、与党も賛成だと言うのです。
そうではないのですよ。今まで余りにも
日本人というのはムードに流されてしまう。ODAはいいことだ、軍事援助は悪いことだ、軍事援助の方を抑えるから片一方をふやすのだという話をいつも皆さんする。今度竹下さんがどこかへ行って援助するとか言っていますけれども、それを受けてえらい新聞社が、これからまた外国並みの〇・三五か〇・四くらいの平均の値まで上げるんだ、そういうことを
サミットで公言するなんて言っていますね。これはゆゆしき問題ですよ。
私どもは、これから税制国会で秋からやるのです。この前、ある地元の問題を話したときに、税を脱税すると縛られる、怒られる、片っ方でどんどん使っているのに対しては何も罰にならない、おかしいじゃないかというお話があったわけですよ。脱税というのは、それは
西欧諸国みんなきついんだよ、じゃ何でどんどん使うことについてもっと目を光らせてくれないのですか、タックスペイヤーの目ですべてを見てくれないかという話があるわけです。
もちろん国際
協力はいいことですよ。最近、たまたま全く私の
意見と似たような話が出てきたのですが、竹村健一さんがちょっと本を出しましたけれども、
日本はもうけ過ぎだからということで、しょっちゅう出せ出せと言われている、もらう方は当たり前になってしまう。ところが、一遍援助したらそれを途中から切るわけにはいかないのですよということですね。途中から減らすわけにはいかないのですよ。補助金以上に対外的な公約になるのです。よほど慎重にやらなければいけない。ただただ量をふやして、じゃ、今度だめになったからやりませんということにならないのですね。
私は、これをいろいろ調べてみますと、GNP比、例えば
日本はまだ〇・三くらいだとか言っていますが、これは
アメリカはもっと低いのですが、
アメリカの中でも軍事援助的なものが四〇%あるのです。イスラエルとか、それからエジプトですね。それでいくと、
アメリカのいわばGNP比というのは、簡単に言えば○・一くらいなんですよ。
しかも、現在
日本はドルが下がって円が上がった。この間、公明党の大久保
書記長が自衛隊の費用について円高メリットが全然
考えられていないと予算
委員会で
質問しましたね。あれは
双方に言い分があると思いますけれども、軍事費になると、そうみんな言うけれども、対外援助が実態的に、この前
お話ししたようにドルベースで二、三年前より五〇%上がっている、しかも、ことし、去年に比べて二、三〇%上がっている。これは受ける方はドルで物を買うわけですから、要するに今まで
一つの病院だったら二つつくれるぐらいの量になるのですよ。消化不良を起こしてしまう。それを一遍どんどん上げてしまいますと、これはまたもとへ戻せない。
今や
日本は世界における一番のODAの援助国になっているわけですね。ですから、個人的に一人当たりからいったら比率が
アメリカの倍くらいになってしまうわけです。これは一遍始めたらもとへ戻れないということ、しかも税制国会というのが目の前にあるということ、今までの中曽根さんの場合にも、従来、外に行ってはどんどん手形を切ってくるのですよ。タックスペイヤーの目で見ていないのですね。
ドイツが非常にいいと言っています。ところが、一人当たりのドイツの国債残高、パーキャピタでやりますと、一人二千ドルくらいです。
日本は五千ドルの国債をあれしているわけですよ。でございますから、対外的に――あと五分ということだから、これはもっと時間をかけてあれしますけれども、今までODAはよかった、これはだれも反対がないという時代ははっきり言って去りつつあるのです。
私はいつも、私の
発言というのは、大抵一年ぐらい前に言うのですけれども、これは必ず実現します。それはいささか自信がありますが、ODAについて今まで与党も野党も反対がない、いいことだ、いいことだと言っていますけれども、実態をみんな知らないわけです。ドルベースで五割増しになっている、二割増し、だれも知りませんよ。
それから、これで見ますと、フランス、イギリスなんか見ますと、旧植民地に対するものがべらぼうな率になっているわけですよ。イギリスでも旧植民地に三割くらい行っているのです。フランスの場合には現在の植民地、海外県だけでも三割、旧領土でやりますと五割近くになるのです。そういうやり方で計算しているのです。
本当にこういった実態を見たときに、ちょっとこれも時間がないが、ただただODAがいいと言っていることはできないのです。私は、税制国会の前に余り妙な将来に対する手形を切ることはやめてほしい。それは海外
協力も大事です。しかし、例えば今や
日米の交渉でこれだけやっているから、じゃサッチャーさんが黙るか、ヤイターが黙るか、これはこれ、これはこれで別の問題になっているのです。
私は
アメリカに長くいました。
アメリカ人というのは、これはおまえの言うことは当たり前だ、こっちはおれの要求は別だ、そういうごり押しをすることもやる人間なんです。だからODA、ODAと言うことについて、あと三分だが、ちょっと
大臣、それは
日本は国際
協力をしている、こういうことを言われて、それは胸を張るということはあり得ますよ。これは国民の税金なんですよ。
日本が黒字がたまっているといっても、国債残高のパーキャピタからいったらドイツの倍以上あるのです。
もしこれを簡単に
サミットで竹下さんが約束したら、私は冒頭において、民社党は非常にいろいろ微妙な
立場なんですが、絶対に税に反対しますよ。最初から審議ストップさせますよ。いかがですか。