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1988-04-20 第112回国会 衆議院 外務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 糸山英太郎君    理事 甘利  明君 理事 北川 石松君    理事 田中 直紀君 理事 浜野  剛君    理事 高沢 寅男君 理事 神崎 武法君    理事 永末 英一君       天野 公義君    小杉  隆君       椎名 素夫君    塩谷 一夫君       村上誠一郎君    森  美秀君       山口 敏夫君    岡田 利春君       河上 民雄君    伏屋 修治君       正木 良明君    岡崎万寿秀君       松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宇野 宗佑君  出席政府委員         防衛施設庁長官 友藤 一隆君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁建設         部長      田原 敬造君         防衛施設庁労務         部長      山崎 博司君         外務大臣官房審         議官      福田  博君         外務大臣官房審         議官      遠藤 哲也君         外務省アジア局         長       藤田 公郎君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         外務省中南米局         長       坂本重太郎君         外務省欧亜局長         事務代理    兵藤 長雄君         外務省中近東ア         フリカ局長   恩田  宗君         外務省経済局次         長       内田 勝久君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         外務省情報調査         局長      山下新太郎君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   村田 直昭君         防衛庁防衛局運         用課長     大森 敬治君         防衛庁装備局管         理課長     新関 勝郎君         科学技術庁科学         技術振興局国際         課長      宮林 正恭君         外務大臣官房文         化交流部長   田島 高志君         大蔵省主計局主         計官      永田 俊一君         文部省初等中等         教育局小学校課         長       熱海 則夫君         文部省学術国際         局留学生課長  三村 満夫君         通商産業省貿易         局輸出課長   村田 成二君         特許庁総務部工         業所有権制度改         正審議室長   山本 庸幸君         会計検査院事務         総局第二局防衛         検査第一課長  佐藤 恒正君         外務委員会調査         室長      藪  忠綱君     ───────────── 四月十八日  日米原子力協定承認反対に関する請願村山喜一紹介)(第一五五八号)  核兵器の廃絶に関する請願岡崎万寿秀紹介)(第一五五九号)  同(松本善明紹介)(第一五六〇号)  永世中立宣言等に関する請願五十嵐広三紹介)(第一五六一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第七号)  特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第六条及び第七条の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第六号)(参議院送付)  国際情勢に関する件      ────◇─────
  2. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  3. 北川石松

    北川(石)委員 限られた三十分の質疑時間をちょうだいして感謝いたします。  その前に、時間外に一言、委員会として申し上げたいのは、きょうは答弁者を申し出ておいたが、皆来ていますか。――来ていますね、各省。じゃ、いいです。  それと委員長、いま一つは、外務委員会が三年に一回しか外国視察がない、これは大分時勢が変わってきておる。昔のそのままで衆議院が物を決めていったらいかぬ。少なくとも一年に一回は外務委員会として海外の状況を把握しなくちゃいかない、こういう点において委員長よく御理解をしていただいて、強く委員会としての重みと、また発展的にいろんな意味行動をしていただきたい。このことを申し上げておきます。  これは時間外。以上であります。  そこで質問を申し上げますが、私は外交複雑多岐にわたっておることも承知しておりますし、また、時宜に応じて手を打たなくちゃ、対応しなくちゃいかないということも承知しておりますが、中国交通事故というものは、一国と一国との問題であると同時に、青春多感なたくさんの生命を犠牲にしたことは否めないし、またこれに対しては、私は、日本として中国との関係は何よりも大切であっても、毅然たる態度は必要であろうと思います。以上を申しおいておきます。この点は、時間がないので、答弁を必要としません。  次に、国連においていろいろの国連協力ということにおいて、我が国国連の中にだんだんと地位を重んじてきていただいた。しかも国連を通じて、資源もない、いろいろの各国との間に協調していかないといかない。一体、国連に対して外務省はどのようなお考えであるか、ひとつ聞かしていただきたい。  以上です。
  4. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ずっと日本の政策は、国連加盟以来国連重視ということで進んでまいっております。それしかないと思いますですね。やはり世界のいろんな紛争も、本来ならば国連において決定されたということに対してそれぞれが従っていくということが大切じゃないか、私たちはその先頭に立つ、これでございます。
  5. 北川石松

    北川(石)委員 ならば、国連にたくさんのいろんな機構がありますが、その中で発展途上国科学技術を振興さし、そしてこれを啓発、これに協力するという日本の強力な立場で、基金拠出金を出してもいいと決定して執行されたかどうか、またこの金額は何ぼであるか、またこれはいつ日本政府の中で予算化されたか、以上を答弁願いたいと思います。
  6. 遠藤實

    遠藤(實)政府委員 ただいま御指摘科学技術につきましての拠出でございますが、昨年、国連科学技術基金につきまして我が国は三十万ドルの拠出を計上いたしまして、本年の三月四日に拠出をいたしました。  科学技術につきましては、国連機構の中で、例えばESCAPでありますとかFAOでありますとか、いろんな機関でも科学技術についてはやっておりますけれども、この開発のための科学技術基金といいますのは、科学技術融資システムというのが前身としてございましたけれども、これを昨年の一月にUNDPが引き継ぎまして新しく基金として発足をしたわけでございます。これにつきまして、我が国としては途上国科学技術振興ということが非常に重要であるという認識のもとにこの予算を計上し拠出したわけでございます。  現在、この拠出金につきましては南部アフリカ諸国南部アフリカ開発調整会議というのがございますけれども、この諸国科学研究所支援のために使われるということで準備が進められているというふうに承知しております。
  7. 北川石松

    北川(石)委員 先ほど申し上げたように、資源に乏しい日本は私はアフリカその他の国と非常に信頼関係のあるきずなをつないでいかなきゃいかない、それには国連に対して協力せにゃいかない、こういうことを申し上げて、今局長答弁を得たのですが、円建てドル建てという言葉があるが、国連関係予算について、一昨年政調会長のときに、これは計上することを要望した。今回は計上されておらない。  それは大きな含みの中へ入れられたと思うのだが、今言う円建てドル建ての中で国連協力費というものはODAを初め皆アップしておるが、アップしたのか、あるいはダウンしたのか、国連協力費について大蔵省答弁を願いたい。  以上です。
  8. 永田俊一

    永田説明員 お答え申し上げます。  国連に対する拠出金等につきましては、従来からそのときどきの御相談を受けまして予算をつけさしていただいておりますが、ことしの予算でいきますと、六十三年度予算につきましてはドル建てで約一三%のアップということになっております。
  9. 北川石松

    北川(石)委員 大蔵省は今一三%アップドル建て、こう言っている。円建てでどうか。
  10. 永田俊一

    永田説明員 お答えいたします。  円建てではマイナス五%ということになっております。
  11. 北川石松

    北川(石)委員 円高になったがために、円建てドル建ての中での数字とか言葉はいろいろ出てまいりますが、私はやはり大蔵省外務省が必要であるという予算を計上し、これを執行したいというときに、大蔵省がその執行は困るとか、これは困るとかいうクレームをつけることを今後慎重にやってもらわないと困るということを一言申し上げておきたい。  なお、ODAの実績その他について、タイ国エジプト補助金その他を出してきらびやかなものが建造されておると聞いておるが、これについてどう思うか。
  12. 英正道

    英政府委員 御質問のございました建造物タイのアユタヤの歴史資料館並びにエジプト教育文化センターと存じます。きらびやかという言葉が当てはまるかどうかは存じませんけれども、最近、経済協力無償援助におきまして経済社会開発というものに対する支援に加えまして、いわゆるソフトの面で歴史でございますとか芸術でございますとか、情操分野社会教育、そういうことをそれぞれの国が重視する結果、そのための場をぜひ日本に建設してもらいたいという強い要望が、これは大変ふえております。  それで、タイにつきましてはたまたま昨年は日タイ修好百年記念ということもございまして、日タイ関係者の強い意見もございましてこの歴史館が建設されるという運びになったわけでございます。  それから、エジプトセンターにつきましては、今回完成いたしまして十月にこけら落としが行われる。これは日本政府が建設したものでございますけれども、もちろんエジプトの資産になるべきものでございます。実施もエジプト側がどういうふうに運営するかを決めていくわけですが、日本が巨額の無償資金協力で建設してくれたということを大変多としておられまして、先般も大統領が視察されて大変喜んでおられました。こけら落としはぜひ日本にお願いしたいということで歌舞伎の公演ということを今鋭意進めておるところでございます。
  13. 北川石松

    北川(石)委員 時間がないので再答弁とか、それを差し控えたいと思いますが、エジプトのは日本円で六十四億か何かの無償援助をしておられる。なるほど向こうは感謝しておると言うけれども、上層部の感謝だけであって、タイ国にしてもそう、この間NHKで放送されておった。その国の文化を逆なでするようなこと、あるいはその国の国民の感情を逆なでするようなことをしてはならない。  いやしくも日本がいろいろ国連を通じて、あるいはODAその他世界各国の中に、経済大国だという夢に酔ってしまって、ただその夢の中で日本の業者がそれにタッチするということの中で酔いとおごりがあるならば、やはり私は滅んでいったローマ、いろいろなことを今憂慮せざるを得ない、こういう思いをいたします。そういうことで、タイ国エジプト無償援助について一言触れたのでありますが、後ほど外務大臣からこれに対する所見も聞きたいと思いますが、時間がないので、次に移りたいと思います。  ココム違反を昨年言われまして、日本アメリカ欧州各国もこれについて関心を高めたのでありますが、私は一東芝だけが俎上には上ったけれども、それだけではない、こういう思いをいたしますね。最近も一つ出てまいりましたが、この会社が、極東商会とか岩崎通信機、何か言われておりますが、現在の日本では、私は、何といいますかココム違反指摘されるのはこれ以上のことがなされておるんじゃないかという心配をいたします。  そういう点でレーガン・ゴルバチョフ会談、INFの全廃等、非常にデタントに物は運ばれているようだが、翻って日本ソ連関係を見ますと、北方四島は返されておらない。まだ返っておらない。これは昨年の六十二年五月十三日にソビエトが新しい大使を赴任させました。ソロビヨフでしたかね、ソ連大使。この方は日本語をペラペラしゃべるんだよ。それで、五月十九日に会談をしたときに、私はゴルバチョフさんが日本に来てくれるのは歓迎だ、土産を持っていらっしゃい、北方四島、こう言った。返還してくださいと、こう言った。それを返還したら外務省は困りまっせと言うから、何ぬかしておるねんと言うてもうた。  そういういろいろな話の中で言われた言葉が、日本企業ソビエトと自由にいろいろな契約をいたしますよ、あなた、余り偉そうに言うなと言うたから、おれは今政調会長をしておるが、日本国がそんなに簡単に貴国とやるということは断じて許さぬ、こういうことを申し上げたのを今記憶しておるのですが、そういう中で三年ほど前に松下電器産業の山下社長が訪ソされた。向こう首相にお会いになった。  なかなかソ連というのは一国の首相日本の一会社社長は会わない。これが会われたということは那辺にあるかということ、また私が調査した中では、そういういろいろなものを見ながら、十二、三年前でしたかね、石川島播磨がソビエトから五万トン級の浮きドックソビエト船舶輸入公団より受注して、これを輸出してウラジオストクにこれが設置された。これによってソ連の艦隊、太平洋艦隊ですかね、これが増強されたことは否めない。防衛庁、これについてどう考えておるか。
  14. 村田直昭

    村田(直)説明員 今御質問浮きドック石播重工が五十二年、三年ごろでございましたかソビエトに輸出したということはその後承知しておりますけれども、まことにそれについては残念なことであったというふうに思っております。
  15. 北川石松

    北川(石)委員 残念なことであると言うのだが、これはアメリカから強く指摘されたのです。キエフ級のミンスク、ノボロシスクという二隻、巡洋戦艦を持ってくるとか、大変なことだ。防衛庁は非常にアメリカから強い指摘を受けた。ところが、これは通産省が土光さんの意向に屈したのかどうか知らぬが、許可してしまった。こういう外交の中の大事なことが通産省考えの中で行われてきたということならば、日本外交というものは必要ない。それじゃ諸外国信頼を落とすんじゃないか、私はこういう思いをするので指摘した次第であります。  また、ソ連軍事委員会というものは大変いろいろのものを持っておりますね。国防工業省航空工業省機械製作省中型機械製作省通信機器工業省無線工業省電子工業省造船工業省一般機械製作省など九つの省を持っておる。この中でソ連の体系がなされておる。この一番の偉い人が、ザイコフという人がやっておるということを私の調査承知しておる。  こういうソ連軍事委員会のもとにいろんなことをやられておるが、先ほどの松下はいろいろなものを手がけておる。これと首相との対談というものはソ連の産業を活発化さしたことは否めないと思っておるが、こういう点について欧亜局長山下さんが行ったことを御承知かどうか、あるいは防衛庁でもよろしゅうございますが、どうぞ。
  16. 村田成二

    村田(成)説明員 御説明申し上げます。  個々企業あるいは個人の外国への訪問あるいは出張につきまして、当省としましてコメントする立場にはございませんが、ただお尋ねの山下社長ソ連に行かれたのではないかという点につきましては、ここ二、三年の間に行かれたものと承知はいたしております。
  17. 北川石松

    北川(石)委員 また、三井物産の八尋会長が訪ソされてボリソフさんとも会われたということも承知しているかどうか。
  18. 村田成二

    村田(成)説明員 御説明申し上げます。  具体的にどういう方とお会いになったかは存じませんし、くどいようでございますが、先ほど申し上げましたように、個々企業ないしは人間の外国訪問につきましてコメントする立場にはございませんが、ただ、八尋会長がここ二、三年の間に一回ないし複数回、ソ連に行かれたという事実は承知いたしております。
  19. 北川石松

    北川(石)委員 じゃ、ボリソフさんと会ったかどうかは欧亜局長かだれか、外務省知っているはずだが、答弁を。
  20. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 突然の御質問でございまして、私どもその事実を現時点では承知しておりません。
  21. 北川石松

    北川(石)委員 じゃ、後ほど私のところへ報告を願う。  それから、私はなぜこのようなことを申し上げたかというと、過去、これは戦時中にさかのぼりまするが、昭和十三年といえば日本官憲の非常に強いときである。このときに当時の日本三井三菱というものが対外的ないろいろなことをやられた歴史があるのです。それをひとつ私は申し上げたい。  なぜこんなことを言うかといいますと、先ほどソ連大使が、あなたが何ぼ言われてもソ連という国は安易に日本企業と独自に自由契約をいたしますよということを私にうそぶいておる。これは、日本語のわかる大使を派遣されて歓迎しますと私は申し上げていろいろな話をした。いやしくも衆参両議員が二十名余り寄っている中でそういうようなことを平気で言えるということは、日本企業の中に何かの形があると言わざるを得ない。  私はかつては外務政務次官もし、外務委員長もいたしました。その任の中にあったときにこういうことを聞き、いろいろ憂いをいたしておりますので、昭和十三年当時の電報をひとつ引用いたしまして申し上げたいと思います。   イラン阿片は年額六百万円に上る大取引なるうえ、これをおいて他に相当なる商売なきため ということで始まっておる。そうして、イランアヘン日本商事会社が大きな量を持って帰った。  そこで外務省がこれに対して注意を促しても、利益のためにはいかなる仕打ちに出るやもしれぬ、はかりがたいものを感じますということを報告している。こういう中で、信じられない一通というものを、全文じゃない、一部を読み上げますならば、   イラン阿片買いつけに関する件。右十三日午後五時接受。ただちに電話通達したるも両社とも責任者不在なりしをもって、更に書面通達したるが、三菱側は十四日午前九時出頭、十三日夜すでに契約を了せる旨申し出あり。よって、報告の正確を期するため署名ある契約書の一覧をもとめたるところ十四日午後一時に至り、出頭提示したるものはペルシャ語の文書にして何人の署名もなく、右に添付したる英訳文なるものは西洋罫紙朱書きしたるものにて、もとより何人の署名もなし。三菱のいうところによれば署名済み契約書は単に一通にて右は大蔵次官が預かりおり。三菱にはなき趣なり。   三井も十四日午前出頭。本社より三菱契約済みたるに付き、二千箱買いつけ差し支えなき旨の指令ありたる旨を述べ、外務省が調停の名のもとに商談の進行停止を命じ置きながら三菱契約済みたるに付き三井はいまより自由たるべしというが如き取扱は了解し難きにつき、日満(関東州と満洲国)の阿片を輸入せしむるならば、支那三井の市場たるべく、したがって三菱の三千箱中より満洲、大連を通して支那に流入せしめざるよう外務省の監視を希望す。なお、今回は三井外務省停止命令を正直に遵奉しおりたるがために、 以下云々、こう書いてある。そして、  外務省の命を奉じ難きこととなるべしと申しおりたり 以上である。  当時イランアヘンについてこういうことがありました。私はまことにゆゆしきことと思うんですよ。  当時は日本官憲の言うことは商社も皆ごもっともで聞いた。聞きおらなくてはならぬ日本政治体制の中で、なお安易に商社というものは外務省命令も、いかなる命令も無視してこれを強行している。しかもアヘンというものによって悲惨なことが随所その国に起こっていることは事実である。今、日本の警視庁が全力を挙げてこれの対策をやっておる。しかるにかくのごとき状態にある。  私の申し上げたいのは、ココムの問題が、一東芝が出てまいりました。そうして、ココムによって、自民党政調会だ、総務会、またいろいろな委員会その他でこのことに集中はしておっても、その以外の中でいろいろなことが行われておると断ぜざるを得ないような形を感ぜざるを得ない。  私は、こういうことを思うときに、今日とは比較にならないほど政府の権限が強かったときにあえてこういうことを三井三菱がやった。この事実を踏まえるならば、私は自民党議員として、西側自由諸国のメンバーである日本の大企業の首脳がソ連との関係においていささかも疑念のある行動をされないよう願ってやまない一人である。そういう意味においてきょうの質問を申し上げたのでありますが、宇野外務大臣所見を一応聞かしていただきたいと思います。
  22. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 行政府の組織の戦前、戦後を比較いたしますと、今、戦前においてもそこまで行政はしっかりしておったという話でございまして、事実、天皇の官僚という立場を与えられ、なおかつ給料等々そうした問題はすべて勅令においてやられておりましたが、戦後は、国家公務員でございますから、全部国会の審議を受ける。それだけ戦前よりはやや行政府国民に近いところになったのじゃないか、こう思いますね。  しかしながら、今おっしゃるように、企業の面から考えました場合には、やはり戦前も戦後も一応日本資本主義経済の中におりました。しかし昭和十年ごろからはある程度は計画経済下に入っておる。そこで統制もいろいろきいたかもしれませんが、今日ただいまは全く自由主義経済でございますから、したがいまして国家権力はむ無論のこと、政府が統制するということはどこの部面にもないと思うのでございます。  ただ、ココム等におきましては、やはり世界的なお互いの紳士協定としてそれぞれの国が責任を持って、そして貿易等々の面においては管理をする、こういうことが現在許されている一つの道ではなかろうかと私は思います。  したがいまして企業も、たとえ自由主義経済の中にいるとはいえ、そうした国の立場というものをもっと尊重してもらわなければいかぬ。時折利益追求の余り、国の法律もくそもあったものじゃないというふうな企業が多いことが我が国のあるいは特色じゃないだろうか。これは甚だ迷惑千万な話で、したがいまして、まじめに伸びてまいりまして働いておる国民を、一つ企業の失態によって全部信用を喪失するということがあってはならぬ、私はそういう姿勢で、今日も企業に対しましては、政府として許される限りにおいていろいろな問題で協力を頼んでおるという段階であります。
  23. 北川石松

    北川(石)委員 今外務大臣が御答弁になりまして、ある面では非常に熱意を感ずるのでありますが、私はどうも、率直に申し上げるのが政治家だと思いますならば、通産省、農林省を初めとして各省の動きも、外務省は頭の中で考えて、外務省としての強い姿勢でチェックしなければいけないときにチェックでき得ない一つのマンネリズム的な風習ができ上がってきておるおそれがあるということを感ずる。  だから外務委員会局長クラスが、答弁にしたってやってこない。だから冒頭に委員長に、きょうの答弁者はと、こう言っておいた。そういう風習になってきた。外務委員会のこれからの日本における重要性というものを私は指摘したい。  例えば鯨の問題でいろいろ言われるが、この間アメリカの参事官と晩飯を一緒に食って言った。あなたのところ、オレンジや牛肉を言う前にいじめをやめたらどうだ、何ですかと言うから、鯨というのは、日本の徳川幕府以前からの海洋国日本の何百年の歴史のある水産業なんですよ、国民の食卓を潤してきたんですよ、それも食べたらいかぬ、かわいそうだと言うなら、あなたがインドへ行って牛を食ってみい、こんなふうに言ってやったら、向こうは真っ赤になって黙ってきた。そのときに、日本外務省なり総理がレーガンさんや皆さんに、日本歴史をなでるようなことをしなさんなとだれかが言いましたか、参事官、と言いましたら黙ってしまった。  こういうことを私は今思い出しながら、本当に嫌なことを言うていかぬけれども、日本通産省、農林省、いろいろなところを外務省がチェックして厳しくしなくちゃいかぬのを、各省考えの中に、利益を追うために日本というものを忘れてしまって独自の行いをされたならば、これはだれがチェックするのかといえば、外務省しかない、こういう思いがする。また、そういうことが行われていないと通産省は言えるか。どうじゃ、来ているのだったら言うてみい。
  24. 村田成二

    村田(成)説明員 先ほど外務大臣から御答弁がございましたように、私どもも全く外務大臣のおっしゃった基本的な立場に立って行政をとり行っております。
  25. 北川石松

    北川(石)委員 外務大臣立場に立ってとおっしゃっておるから、通産大臣じゃないし局長じゃありませんけれども、やはり通産省の代表と受け取って、これからは外務省日本のために、将来二十一世紀と言うならば、もっともっと日本の政治を確立しなければいかぬときが来ておる、こういうことを思いまして、宇野外務大臣は非常にいろいろの意味において多才な方でありますから、その多才な中に強い信念と骨を持って外務省というものを引っ張っていっていただきたい、私はこのことを願い上げまして、時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  26. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 高沢寅男君。
  27. 高沢寅男

    ○高沢委員 初めに、外務大臣、今のペルシャ湾情勢でちょっとお尋ねをして、お答えをいただきたいと思います。  とうとうアメリカイランの間で交戦状態が起きたわけです。後、今鎮静化している、こう言われますが、しかしまだ将来のことはどう発展するかわからないいろいろな可能性を含んでおります。  そこで、一つは、かつてベトナムで非常に苦労したアメリカがベトナムからようやく足が抜けた。その後それと同じような苦労をしたソ連がアフガンからこれもようやく足が抜けた。そのときにまたアメリカがペルシャ湾で非常に深入りして足が抜けなくなるというふうなことになっては、これはアメリカのためにも大変だなあ、こんな感じを持って実は事態を見ているわけでありますが、我が国政府はこの事態に対して理解するというような見解を表明されておりますが、この状況の見通しなり、あるいはその理解するという意味なり、その辺のところをまずお尋ねしたいと思います。
  28. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今回のペルシャ湾のイラン・イラクの紛争に関しましては、昨年の七月に国連の安保理で決議がなされております。御承知の五九八であります。そうして国連事務総長がその衝に当たっております。その直後にイラクは、五九八決議を受け入れましょう、簡単に言えば撤兵、そうして即時停戦。ところがイランがなかなかこれを受け入れません。私も十二月に、日本国連安保理の議長国でございましたから、したがいましてイラン外務大臣をデクエアルさんは招きまして、受け入れろということを私からもアドバイスしたわけでありますが、そのときは口を濁して帰られました。  そうして、やはり戦犯問題に事はさかのぼってしまう。イラクが戦犯だと言うのだったらいつでも撤兵もしよう、停戦もしよう、しかし、それがはっきりしておらぬじゃないか、こういうことが始まりますから、押し問答の繰り返しであったのでございますが、日本としてやるだけのことはやりました。そしてイランがなかなか聞かないから紛争がなかなかおさまらないというので、もう御承知でございましょうが、いろいろと、第二弾の国連決議ということにしなくちゃならぬねというような話が持ち上がっておったときに、ミサイル紛争が再び始まりました。だから国連としては、まさにそのあらゆる決議を無視された形になってしまったわけであります。     〔委員長退席、浜野委員長代理着席〕  そうした中におきましても、極力私たちは、そうした戦争の悪影響というものに対しまして、直接両国に対して批判を加え、また声明も発し、また特使も送りまして、そして紛争解決の衝に当たっておりましたけれども、今度はまた機雷を敷設した、その機雷でアメリカの艦船に大きな人的損害も与えた。そこでアメリカは調べてみた。そうしたら、間違いなくイラン製の機雷であったことを確認した、いつでも写真発表をしてもいいよ、こういうことだから、これはやはり国連憲章に定めるところの自衛手段であるということでイランの石油基地を攻撃する、このことに対しては友好国が理解を示してほしいということが一応あらかじめ連絡されたわけであります。  もちろんあらかじめと申しましても、同盟国とはいいましても英国のごとく直接艦船をペルシャ湾に派遣している国と、我々のごとくそういう軍事的な協力ができないという国とには若干は差はありました。差はありましたが、一応そうした通告はあったわけでございます。  したがいまして、ずっと私たちもその経緯をいろいろ詳細にわたりまして検討した結果、アメリカがそういう攻撃をせざるを得ないという立場に立ったその事情は理解します、こういうふうに昨日申し上げた。したがいまして、鎮静化することを我々としては期待するというのが現在の日本政府立場であります。
  29. 高沢寅男

    ○高沢委員 今審議されている駐留米軍の労務費協定、これも思い起こせば昨年のペルシャ湾の米軍の行動日本も応分の協力をしろ、あるいは協力金の金を出せというような話からずっと流れてきて結局労務費協定と、こうきたわけです。  今度のこうしたペルシャ湾の事態の中で、これがそのままおさまればいいですが、事態が拡大するような状況のときにアメリカからまた協力金を出せというようなことが日本に対してありはせぬかという心配が実は私はあるわけですが、そういうふうなことは今度はありませんよ、だめですよというふうな立場は、私はこの際はっきり大臣からお聞きをしたい、こう思います。
  30. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 去年のは十月でございましたか、そういうようないろんな国際的な話し合いによりまして、一応我が国といたしましてもペルシャ湾対策という対策をつくり上げたわけでございます。  そして、はっきりと非軍事的協力ならばできるけれどもという意味合いにおきまして、御承知の安全航行システムは日本が持ちましょう、そして、ついてはオマーン国並びにきょうお越しでございますけれども、ジョルダン、この両国に対しましては、いろいろとペルシャ湾の石油輸送等々に関しましても特別の関心のある国でありますから、我が国といたしましても、これは我が国の自主判断に基づいて一応協力をいたしましょうということで借款等なしたわけでございまして、今仰せの今回の特別協定は、そうした中の一連として読んでいただく、その中のなお書きで書いたわけでございますが、あくまでもペルシャ湾そのものではない、こういうふうに言っております。  したがいまして、今回のことはアメリカがやはり自衛手段としてとったことでもあり、そうした意味合いにおきまして、我が国はペルシャ湾の航行に関しましては大変な関心を抱いておりますが、今回これだけ金が要ったんだから金出せということは、ちょっと私は余り筋の通らない話である。したがいまして、アメリカもそういうことは言わないでございましょうし、自衛のためにとる手段について友好国に対してあらかじめ連絡したという立場でございますから、そのような立場も私も十分理解して今回は臨んでおるつもりでございます。
  31. 高沢寅男

    ○高沢委員 今外務大臣の言われた筋の通らないことはだめ、こういう立場をひとつ今後も堅持していただきたい。  今度は問題は別になりますが、日本に来ている外国人の人たちの子供たちの教育、この関連が非常に国際的な関連がありますので、その問題をひとつお尋ねをしたいと思います。  我が国の海外で活動しておる人の子弟、それはその出先の国で、その国の学校で教育をいろいろお世話になっておるわけです。それでは、この日本に来ている外国人の子弟が日本の学校教育の中でどういう恩恵を受けることができるかということになるかと思いますが、同時に私は、このことは日本人が海外で活動していてそしてその子供さんがまた親と一緒に日本に帰ってくる、そのときに十分まだ日本言葉もできないというような状態で帰ってくる日本の子供たち、これもまた日本の小中学校の教育体制の中でよほど考慮してもらう必要がある、こう思います。  その一つの例として、お聞きしたところでは、神戸の神戸小学校というところは、一般の日本人の生徒を受け入れる、同時に日本人で外国から帰国した子弟、十分まだ日本語ができないような子供を含めてその子弟を受け入れる、さらには日本で活動している外国人の子弟も受け入れる、こういう形の教育を神戸小学校でやっているというふうにお聞きをしたわけですが、私はこれは大変国際化時代の日本の教育のあり方として進んだ形ではないか、こう思います。  きょうは文部省見えていると思いますが、この神戸小学校の実情なり、あるいはそういう姿をさらに他の学校へ拡大していく必要があるのではないのか、こういうふうに思いますが、その辺の見解をお尋ねしたいと思います。
  32. 熱海則夫

    ○熱海説明員 お答え申し上げます。  神戸市立の神戸小学校につきましては、現在在学者の数が百九十二名でございまして、そのうち外国人が十七名、それから帰国子女が十名ということで、そのほかに体験入学者を六名ほど入れていろいろ研究をしている。これは文部省が昭和五十五年、五十六年に帰国子女教育研究協力校ということでお願いした経緯がございます。それから、五十八年から六十年度まで帰国子女教育推進地域ということで神戸市を指定しておりまして、そういった面もあってこの学校がこういった外国人・帰国子女を一緒にした教育をいろいろ検討している、こういうことでございます。  いろいろ神戸からのそういった研究報告書などによりますと、こういう受け入れによるメリットとしては、やはり全校児童の国際性を高める上で非常に役立っている、こういうふうな報告がございますが、若干問題点としては、やはり言葉が話せないとか、それから生活習慣が違うというようなことで、先生方がいろいろ御苦労なさっているケースはあると思いますが、しかし、それを超えてなおこういう国際性を高める上で非常に重要な研究だし、今後ともこういったことは進めていきたい、こういうことに考えております。
  33. 高沢寅男

    ○高沢委員 今の評価も非常に積極的な評価が既に出ているということでありますから、これはひとつあえて神戸のみに限らず、そういう外国人の子弟のいるところ等々の地域ではそういう教育を拡大していただきたい、こう思いますが、よろしいですな。  それじゃ今うなずかれたので賛成の意味を表明されたと見て、今度は、それと別に、日本へ来ている外国人の子弟の学校、その例でひとつこういうことをぜひやってほしいというお願いをしたいと思うのです。  いろいろ当然あるのでしょうが、その一つとして在日のフランス人の子弟を教える学校、リセ・フランコ・ジャポネ、こういう在日のフランス人学校、これが九段にあるわけであります。ところが、九段にある学校は、その敷地面積とかあるいは学校の校舎の面積、それに対して学ぶ子供たちがどんどんとふえてきておる、こういう状態のもとに既にパンク状態にある、こういうふうに言われているわけであります。  そのフランス大使館あるいはフランス政府の方から、そういう状況の中で日本外務省に対してあるいは東京都に対して何とかもっと適当な広い敷地をあっせんしてほしい、そこへリセ・フランコ・ジャポネが移転できるようなそういう土地のあっせんをしてほしいということがずっとかねてから出されていると聞いておりますが、それに対するこちら側の対応の仕方は現状ではどうなっているのか、これをお尋ねしたいと思います。
  34. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 お答えいたします。  先生仰せのリセの移転につきましては、このリセを管理いたします在京フランス大使館から外務省協力を求められております。外務省といたしましてもこの重要性は十分理解いたしますので、フランス大使館側の希望に基づきまして関係方面と鋭意検討、努力を行っているところでございます。  具体的に申し上げますと、外務省、在京大使館、東京都、日仏学院の関係者から成ります検討のフォーラムがございまして、そこで鋭意検討を行っております。これまでにもいろいろ具体的な案がなかったわけではございませんけれども、まだ具体的に解決のめどは立っていないというのが現状でございます。
  35. 高沢寅男

    ○高沢委員 今お答えの中で、日仏学院という名前も出ましたけれども、聞くところによると、フランス側としては望む移転先がなかなか見つからない。こういう状況の中で、いわばせっぱ詰まったというのでしょうか、一方、市ケ谷に日仏学院というのがあるのですね。この日仏学院というのは、要するに日本人にフランス語を教える、こういう学校であるわけです。これも日仏協会のもとにあるわけです。  そこで、フランス側は日仏学院のある市ケ谷へリセをまず移して、逆に日仏学院は今のリセの跡地へ移して、要するに入れかえる。この市ケ谷の方がまだ土地が広いわけですね。そこでリセの学校をもっと広くつくる。そして一方、日仏学院は今リセのある九段の狭い場所へ移してこの学校を縮小する。こんな計画をフランス側ではやむを得ず立てているというふうに聞くわけでありますが、そうなってくると、日仏学院という、日本日本人にフランス語を教えてきた、日仏の文化交流や友好に非常に貢献してきた歴史のある学校が、縮小のみならず、下手をすると廃校になってしまうのじゃないか、こういう心配すらある、こう聞いているわけで、また、絶対そうなっちゃいかぬ、こう思うわけであります。  そういたしますと、これはやはり早くフランス側がこれなら十分できるというふうな敷地の提供がどうしても必要じゃないのか、こう思うのでありますが、その辺の、いつごろまでにこうできるというような見通しを果たしてお持ちかどうか、お聞きしたいと思います。
  36. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 先生仰せのような考え方が、これはフランス側の内部の問題でございますけれども、最悪の事態として内々検討されているということは私どもも仄聞をいたしております。  しかしながら、先生仰せのとおり、そういう事態に至る前に、うまい代替地なり解決方法がないものかということで鋭意検討を進めているわけでございまして、私どもとしてもできるだけ早急に具体的な案を見つけたいということで努力中でございます。
  37. 高沢寅男

    ○高沢委員 私、実はこの二月に国会に質問主意書を出しまして、その質問主意書の趣旨というのは、つまり、こういう状態にある在日の外国人の子弟の教育の状態を打開するには、今、港区とか千代田区とか新宿区とか、都心部のところは我が国の人口が非常に減って、子供たちが減って学校の教室があいてくる、学校によっては庭校になる、そういう学校が次々出てくる、こういう状況の中で、それではそういう学校、これを在日のフランス人の学校であるとか在日のドイツ人の学校であるとかいうようなものに貸与する、あるいは提供する、こういうことをしたらどうだという質問主意書を出しました。  それに対して政府のお答えは、とにかく解決のために大いに努力しますというふうなお答えではあったわけですが、今言ったような日本の公立小中学校のあきの出たものを、そうしたリセなり何なりの外国人の学校に提供する、このことについてはいかがですか、お考えは。
  38. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 委員仰せのような考え方があることは私どもも承知しておるのでございますけれども、現在までのところ、私どもが直接話し合っております在京のフランス大使館からはこういう考え方でひとつ頼むという要請は、まだ公式に受けておりません。  したがいまして、もしフランス側からもそういう要求が出てまいりました場合には、私どもといたしましても先生のおっしゃる方向の可能性というものを鋭意検討してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  39. 高沢寅男

    ○高沢委員 何か四月十三日に日仏学院の職員の人、つまりこの職員の中にはフランス人の先生もいるわけですね。そういう人たちが、日本人の人たちとフランス人の先生などが一緒に外務省に行ってその旨を陳情した、あるいは東京都へ行ってそういうことを陳情したというふうにお聞きをするわけでありますが、これは具体化してくると、結局、それじゃ港区の何々学校を、あるいは千代田区の何々学校をと、こう具体的になってくると、それがいいか悪いかは、今度は港区がどう判断するか、あるいは千代田区がどう判断するかということにかかわってきます。  したがって、この問題は外務省と、国内で言えば文部省その他の関係機関、東京都、それに千代田区なり港区なり新宿区という具体的な区、そういうところのレベル全体を網羅した委員会というかあるいは協議会というふうなものをつくって、そして問題解決を促進してもらったらいいのではないか、こんなふうに思いますが、いかがでしょうか。その音頭取りは外務省に大いにやっていただく、こういうことになると思いますが。
  40. 田島高志

    ○田島説明員 お答えいたします。  総評の全国一般労働組合の関係者の方々が外務省に参りまして、先生おっしゃったようなラインで協力の要請がございました。  私ども、お話を伺いまして、先ほど兵藤欧亜局長事務代理がお答えいたしましたように、このリセの問題に関連いたしましてできる限りの努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  41. 高沢寅男

    ○高沢委員 これは時期を失するとせっかくの努力が意味をなさなくなるから、早期に決着がつくようにぜひ御努力願いたい。  次に、また別の問題に移りたいと思います。  私の聞いたところですが、何か四月二十日ころ、つまりきょう二十日ですけれども、OECDの理事会で科学技術研究の国際化と自由な環境による基礎研究の促進を求める、こういう勧告が出されるやに聞いておるわけですが、そういうことが事実あるのかどうか、あるいはそういう勧告が出るとすればその中身はどういうものであるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  42. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 お答えいたします。  昨年の十月に開催されましたOECDの科学技術大臣会合におきまして、科学技術の国際協力のための共通原則により構成される一般的枠組みという一つの概念といいますかコンセプトを作成することについて合意が得られました。その合意に基づいて現在作業が進められているところでございますが、その枠組みの原案のようなものがOECDの事務局へ提出されまして、その原案の文書を四月二十一日に開催されますOECDの理事会でさらに検討するということになっております。  ただ、ここでは採択されるか否かといった問題になる前に、むしろより審議を深めたいということでございまして、最終的にはこの作業の結果は勧告という形でまとめられまして、五月にございますOECDの閣僚理事会に報告されるという手順になっている次第でございます。  中身につきましては、主として科学技術の基礎研究に対しまする各国協力を推進するための基本原則を定めたものでございまして、我が国といたしましては、このような国際協力を積極的に進めていくことが重要であるという視点から、その勧告の取りまとめ作業に積極的に参加しているという現状でございます。
  43. 高沢寅男

    ○高沢委員 今の御説明で、五月のOECD閣僚理事会で、こういうお話、これはたしか外務大臣出席されますね。その際、今の説明では賛否は、当然我が国はこれには賛成、こういう立場になると思いますが、いかがですか。
  44. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 OECDの各委員会におきましては、慣行によりまして特に賛否をとって何票賛成、何票反対ということではございませんで、関係二十四カ国の全会一致が原則になっております。  我が国といたしましても、この枠組みの作成、科学技術協力に関します基本原則の作成というのは大変好ましいことであると考えておりますので、その中で関係国と合意と申しますか一緒に勧告をつくっていく、一言で申しますと賛成するということでございます。
  45. 高沢寅男

    ○高沢委員 私が今このことをお尋ねしたのは、実は、日米科学技術協力協定であるとかあるいは今度の特許の移転の協力協定であるとか、そこら辺にいずれも何か安全保障条項がかぶせられておる、いや、これは今度は秘密特許だというふうなことがかぶせられてくるということと、この基本的な立場とは明らかに矛盾するではありませんかということを言いたいために今お尋ねしたわけであります。その辺、大臣、いかがお考えですか。
  46. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今のOECDの問題の前に、日米間の科学技術協定考え方をちょっと申しておいた方があるいはわかりやすいかもしれません。  もう十分御承知のとおりに、最近では日米間の科学技術協定は非常に役に立っておりますが、その中の一つで、日本から科学技術者が随分とアメリカに行きます。アメリカ科学技術者も相互でございますから受け入れますが、その数は比較にならないほどアメリカに行く科学技術者が多い。そうした場合に、アメリカでせっかく共同して開発した技術というものはどうなるのであろうか。ちょうどこれは大平・カーター会談昭和五十五年に決めた協定ですが、五年の期限を経て六十年、その後に二年ほどずっと自動延長のような形になりましたが、その間にいろいろなことがありました。ココムが出たり、そうしたことでアメリカといたしましても、どうも日本科学技術ただ乗りではないだろうか。だから日本は新しい法律をつくったり、あるいはまた秘密、そうしたことをすることは絶対しません、情報公開の原則を守りますよ、こういうふうに言っておるわけですから、何ら影響はないわけですが、アメリカにおいては、自分の国においては安全保障という言葉がこれにかかってきますよ、そういうようになったわけでございます。だから、これは日米間のバイの問題でございますが、アメリカといたしましてはバイの問題は恐らくマルチにおいても当然出してくるのではなかろうか、かように考えております。
  47. 高沢寅男

    ○高沢委員 これも報道によりますと、日本の公共事業にアメリカ企業が参入する、この問題で日米間のやりとりが随分あって、結局小沢一郎官房副長官が三月に訪米されてこの問題で一定の決着をつけた。そのときに、同時に小沢官房副長官は日米科学技術協力協定の、これも長い間改定の日米間の交渉がありましたね。我々が新聞で拝見しておるところでは、その交渉の非常に難しい争点になったのが安全保障条項をどう入れるのかあるいは第三国への移転の規制をどうするのかというふうなことがあったと聞いていますが、小沢官房副長官はそこで、もうそれでよろしい、こういう一つの決着をアメリカ側とつけられた、こういうふうに聞くわけであります。  実際の取り決めはこれからまた外務省がなさることになると思うのですが、そういうふうに小沢官房副長官がこの問題についてアメリカ側に一つの決着を日本の態度として示すというふうなことは、あらかじめ外務大臣は御承知であったのか。公共事業という交渉で行きながら、この科学技術協力協定のことにまでそういう権限を発揮した、こういう小沢官房副長官にそれだけの権限はあらかじめ付与されていたのかどうか、この辺の関係はいかがか、お尋ねしたいと思います。
  48. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 このことは御承知のとおり三月三十一日がちょうどこの協定の期限いっぱいでございました。時しも公共事業に関しましても十二分に外務省の私たちの意見を聞いていっていただいた次第でございますし、公共事業を最終的に決められるときにもやはり本国にいろいろと照会がございます。そのときに私と総理と十二分に話し合いまして、そうした訓電を発してそれに基づいて決定をしておられます。  三月三十一日というときの日米科学技術協定、これもその時期を迎えておりましたので、したがいましてこれには外務省が当然その総括をしておるわけでございますが、各省のいろいろな御意見もございました。やはりどうしてもこの機会に決めてもらおうというときには、たまたま官房副長官が来ておられるから、これを交渉相手にした方が外交交渉としてやりやすいというふうな判断が現地大使等々におきましてもなされたわけでございます。  したがいまして、こういうふうな問題についてどのように本国は思われるかということの詳細、照会がございまして、最終的には私が決定いたしましてそのことを総理大臣にお伝えいたしまして、それから小沢官房副長官がそうした決定に従ってこの問題を処理した、これが経緯でございます。
  49. 高沢寅男

    ○高沢委員 遠藤議官も手を挙げておられるから、またあなたの立場の御説明を聞きたいと思いますが、同時に、科学技術庁おられますね。科学技術庁はこの件をどういうふうに承知されていたか、またどういうふうにこのことを評価されているか、それもお尋ねしたいと思います。
  50. 宮林正恭

    ○宮林説明員 先生のお尋ねの件につきましては、今宇野外務大臣からお話がありました状況につきましては、科学技術庁も承知をしております。  科学技術庁といたしましては、この科学技術協力協定ができるということは非常に結構な話だというのが基本的なポジションでございまして、それで今回の協定交渉で日本側の基本的な立場が堅持され、それで日米間に新しい科学技術協力の枠組みができるということは非常に好ましい、こういうふうな立場で対応してきております。
  51. 高沢寅男

    ○高沢委員 もう一度科学技術庁にお尋ねしますが、非常に結構なことだというお答えがあったが、この安全保障条項という網がかぶったということは、果たして日本科学技術のために結構なこと、こう言えるのかどうか、またかぶったということが我が国科学技術行政に具体的にどういう影響を及ぼすのかということも説明してください。
  52. 宮林正恭

    ○宮林説明員 今先生のお尋ねの件につきましては、安全保障条項という言葉につきましては、私どもちょっとはっきりと明確に承知をいたしませんけれども、科学技術の情報の取り扱いの問題につきまして、この協定の中で触れられていることは事実でございます。  情報の取り扱いにつきましては、情報を可能な限り広範に普及するということが原則ということになっておりますし、また我が国の現状の法制度を変えるものではないということが確認されているということでございますので、両国の科学技術協力なりあるいは現行の科学技術の進め方というものについては何ら変更を加えるものではない、こういうふうに承知しております。
  53. 高沢寅男

    ○高沢委員 もう一度、あなた頼みますよ。くどいようですが、その情報の取り扱いについて、今度はあれでしょう、安全保障とか等々のあれで、場合によれば一定の制約が加わるのでしょう。これは情報の取り扱いとして公表しない方がいいとか、これは第三国へ出さない方がいいとかいうふうなことがこの改定によって当然出てくるのじゃないですか。  そのときに、我が国は国内法は何も変えません、こう言っても、科学技術庁の行政としてそういうものは一定の制約を加えるということになるのじゃないのかということをお尋ねしたいと思います。
  54. 宮林正恭

    ○宮林説明員 お答えさせていただきます。  私どもが理解しておりますところでは、現行の科学技術の行政の進め方に何ら変更を加えることにならない、したがいまして何ら拘束を加えることにならない、こういうふうに承知しておりますので、私どもはそういう意味では問題がないものと考えております。
  55. 高沢寅男

    ○高沢委員 ちょっとくどいですが、それでは、そういう日米科学技術協力の中で、いろいろ研究成果が出てくる、その成果というものの発表とかあるいは伝達とかというふうなことについては全く制約はない、こういうふうに見ていいですか。
  56. 宮林正恭

    ○宮林説明員 私どもは、この協定ができ上がることに伴いましてそういうふうな制約を受けることはない、そういうふうに存じております。
  57. 高沢寅男

    ○高沢委員 では、遠藤議官、またあなたの立場で説明してください。
  58. 遠藤哲也

    遠藤(哲)政府委員 先生の先ほどのお尋ねにつきましては、宇野大臣の申されたとおりで、私、全くつけ加えるところはございません。  最後の宮林課長からの答弁につきましても、この協定は、これは主としてアメリカの事情から入ったいわゆる情報の取り扱い、いわゆるかぎ括弧「安保条項」と称されているものでございまして、日本に関しましては何ら制約を受けるものではございません。
  59. 高沢寅男

    ○高沢委員 それから、この改定された今度の協力協定は国会承認を求めることになるのですか、いかがでしょうか。
  60. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省)国際約束を国会の承認を求めるかどうかにつきましては、最終的に案文が確定してから本来決めるべきものでございますけれども、この協定に関しましては現在大筋の合意ができております。  それに基づきまして判断いたします限りにおきまして、これは高沢委員よく御承知の、政府が国会承認条約の基準としておりますいわゆる大平三原則に照らしまして、三つの基準のいずれにも該当しないと考えられますので、国会の御承認をお願いすることにはならないと考えられます。
  61. 高沢寅男

    ○高沢委員 しかし、この協定ができて、いよいよ運用されるときになると、また日米間で何か手続細目を決める等々のことが出てくるのではないですか。その手続細目が出てくるときに、これが具体的に日本国民の権利義務というものに触れてくるのではないのか、こう思うのです。  というのは、防衛目的のための特許権の交流のための昭和三十一年の協定、今度はこれを手続細目を決めてそして施行となったわけですが、これはこの後またお尋ねしますが、これも私の見るところでは、やはり国民の権利義務に一定の制約を加えることになると思うのです。条約本体は別段そういうものじゃありません、こう言ってできて、そしてそれを実行するときに、やれそのための手続細目等々になって、そこで今度は国民の権利義務が制約されるということになっていく、どうもこういうやり方が非常に多いのではないのか。  これは、まさに国会の審議権の侵害であるし、国民の権利義務に対する侵害である、こう言わざるを得ないと思うのですが、どうも最近そういう手法が多いのではないのかな、そんな感じがしますが、いかがですか。
  62. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省)仮にそういうことがあったとすれば、それは当然許されないことでございます。しかしながら、我々といたしましてはそういうことは一切しておりません。ある協定ができまして、それの実施のための手続細目をつくるという場合、この手続細目は当然のことながらその協定の範囲内の事項について定めるわけでございまして、協定自体が法律事項を含まず、財政事項を含まず、それから第三のカテゴリーにも該当しないようなときに、それの実施細目という形で例えば法律事項に該当することを決めるということは全く許されるべきことではございませんし、政府といたしましても、したこともございませんし、今後もそういうことは全く考えられないところでございます。
  63. 高沢寅男

    ○高沢委員 それでは、そのことに関連しながら、今度の防衛目的のための特許権の交流のための手続細目、先般我々も資料をいただきましたが、これについてお尋ねしたいと思います。  この手続細目は、技術財産委員会が勧告をした、それを日米が受け入れた、こういうふうに説明されておりますが、この技術財産委員会というのは、どういう構成で、どういう権限を持つものか、それをまずお尋ねします。
  64. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 構成は、日本側は、北米局長防衛庁の装備局長通産省特許庁の総務部長でございます。それから米側は、国務省の次官補代理、国防省の副次官、特許商標庁の長官でございます。ただ、先般三月三十一日にこの会議が開かれまして、手続細目についての両国政府に対する勧告の内容に合意がなされました際には、米側の出席者は、在日米大使館の公使、それからよくMDAOと申しておりますけれども、相互防衛援助事務所の所長、米国の特許商標庁の特別法制課長が代理で出席いたしました。  それから任務でございますけれども、これは一九五六年の協定の第六条に詳細に掲げられておりますが、一つ一つ説明申し上げると時間がかかりますので、簡単に、しかし具体的に申しますと、「協定の内容に関する事項でいずれかの政府委員会に付託することのあるものについて審議し、及び両政府に勧告すること。」また「防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流又は使用に関する問題でいずれかの政府委員会の注意を喚起するものについて両政府に勧告すること。」が任務であるというふうにされております。  ちなみに今回の手続細目につきましては、一九五六年の協定議定書の第五項に、これらの手続に関しまして協定出願の願書に添付すべき証明書の様式及び内容等々について、技術財産委員会協定に基づく任務の一部として、この委員会において合意しなければならないと定められておりまして、これに基づいて行ったわけでございます。
  65. 高沢寅男

    ○高沢委員 今度のこの特許の問題について、手続細目という言葉があるわけですが、私のような素人は余りよくわからなかったのですけれども、どうやらその手続細目というのは、こちらの特許権の交流のための協定の手続細目、これが一つある。  また、それと別にMDA、外務省からいただいた資料の別紙二の中の三枚目ですが、「その実施のための細目取極は、両政府の権限のある当局間で締結される。」これは何かMDAの方の実施の手続細目ということのようで、同じ言葉の手続細目といってもこちらとこちらは違うものだ、こちらの手続細目はこの資料の別紙一でもって既に出されている、こういうことのようですが、そういうことですか。
  66. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 さようでございます。
  67. 高沢寅男

    ○高沢委員 それで、MDAの方の手続細目はどうも公表しないことになっているというふうに聞くわけでありますが、そういうことなのか。公表しないというのであれば、なぜしないのか。この辺をお尋ねします。
  68. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 ここで申しますところの細目取り決めの概要は、事実上すべて御説明できるわけでございます。しかしながら、この取り決め自体を公にするということは、米側との間で公表しないこととしておりまして、また、この種の細目取り決め、すなわちMDAのもとで取り決めをつくって、さらに実施当局間で細目の取り決めがなされましたものは、従来からその概要を説明することによりまして皆様方の御理解を得ることとしているところでございますので、細目取り決めそのものを外に出すということは、米側との関係がございますので、御理解いただきたいと従来から申してきているわけでございます。
  69. 高沢寅男

    ○高沢委員 今言われた米側との関係というのはどういうことか。つまり、アメリカ側が、これは公表をよそう、やめよう、こう言ったから公表をしないということのように受けとめますが、それでは、アメリカ側が公表しないようにしようと言うのはどういう理由なのか、その辺どうでしょうか。
  70. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 実施当局間の取り決め等々を決めておりますもので、必ずしもその取り決めそのものすべてを公に出すことはしないということはございます。  それで、日本側といたしましても、従来から実施取り決めにつきましてはその概要はほとんど、御説明いたしますけれども、テキストそのものは外に出さないということがございまして、我が方もそれはよろしいということを申してきているわけでございます。
  71. 高沢寅男

    ○高沢委員 今のお答えは不満であります。  しかし、先ほどの有馬局長のお話では、それは別に隠すものではない、説明していいですよ、こう言われたのですが、では、MDAの方の細目取り決めも、内容の概要はこういうものだ、その文書そのものでなくても、概要はこういうものだ、そういう御説明ができるのなら、ひとつしてください。
  72. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 まず第一に、特許関連の技術上の知識の供与というのがございまして、これは、合衆国国防省は、日本国政府に対しアメリカ合衆国で秘密に保持されている特許出願の対象たる発明をあらわす一定の防衛分野における技術上の知識を防衛目的のため日本国防衛庁と合衆国国防省との合意により供与する。これは我が方が類似の取り扱いをすると申していることが含まれ得るということなんです。その中に私どもが類似の取り扱いをする可能性のあるものも入っておるということでございます。それを防衛庁と合衆国国防省との合意により供与する。  それから特許関連の技術上の知識の使用でございますが、日本国防衛庁はこの覚書の定めるところに従い、防衛目的のため、特許関連の技術上の知識を使用する権利を有する。  それから秘密保持。これは、日本国防衛庁は覚書に基づいて提供される特許関連の知識に対し、関連する協定及び国内法の規定に基づき秘密保持の措置をとる。  以上でございます。
  73. 高沢寅男

    ○高沢委員 あと本当にわずかしか時間がありませんので、これから幾つかお尋ねして、それについてひとつお答えをお願いしたいと思います。  一つは、今説明されたそういうアメリカの秘密特許、それに対して我が方は類似の措置をとる、こう言われたわけですが、まず特許庁に、このことは将来日本の特許制度に秘密特許ということを導入する、そういう呼び水になりはせぬか、そういうことは絶対ないと言えるかどうか、これをまず一つお答え願いたいと思うのです。  それから、今言われたアメリカから提供される防衛目的に関連する秘密特許、この中身の管理というものは何か防衛庁がやるというふうにお聞きをしましたが、こういうものの管理の特許庁と防衛庁との相互関係は一体どうなるのか、これをお尋ねします。これが第二点。  それから第三点は、この防衛庁が管理する秘密特許、それは防衛秘密保護法との関連はどうなるのか。  そして最後に、こういう協定ができたということでアメリカのメリットは何か、日本のメリットは何か。  四つの問題で大変ですが、もう時間がありませんから、それをそれぞれお答えください。
  74. 山本庸幸

    ○山本説明員 第一点、第二点についてお答えいたします。  まず今回の措置はあくまでも五六年協定という既存の条約に基づく限定的な措置の実施でございまして、これが将来的に一般的秘密特許制度の導入につながるとは考えておりません。  それから第二点といたしまして、例えば議定書の第三項(a)をごらんになっていただきますと、この中で「アメリカ合衆国で秘密に保持されている特許出願の対象であり、かつ、同国政府により日本国政府に提供された発明についての出願人又はその出願人の承継人が、その発明について日本国で特許出願又は実用新案登録出願をしたときは、」とございますが、この後半のくだりにある日本国に対する特許出願または実用新案登録出願につきましては、これは特許庁に対する出願書類でございますので、特許庁が責任を持って管理いたします。
  75. 高沢寅男

    ○高沢委員 第三の方は。
  76. 新関勝郎

    ○新関説明員 資料の管理の問題での防衛庁のあれでございますが、今回アメリカと締結いたしました交換公文につきましては、一定の防衛分野におきます米国の秘密特許資料を日本国政府アメリカ政府から提供を受けるための枠組みを設定することを目的としているわけでございまして、当然のことながら、この交換公文に基づきまして我が国に提供されました秘密特許資料につきましては防衛庁が管理をする。  それから米国の秘密特許出願を保護するための一九五六年協定の手続細目でございますが、これにつきましても、今回発効いたしましたことによりまして、今回締結されました交換公文に基づきまして、アメリカ我が国に提供した秘密特許資料について所要の特許上の手続がとられた、こういう場合には、結果として協定に従いまして我が国における特許上の保護を受けられるということになるわけでございますが、この特許手続における当該資料の管理につきましては、これは基本的には特許制度に関する問題でございますので、防衛庁としてお答えする立場にはないわけでございますが、当然のことながら特許庁で行うもの、こういうふうに考えているところでございます。
  77. 高沢寅男

    ○高沢委員 秘密保護法との関係
  78. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 本来防衛庁でございますけれども、三番と四番をお答えいたします。  協定出願の対象たる発明がMDA協定等に伴う秘密保護法第一条第三項に規定する防衛秘密に該当する場合には同法の適用対象となるものと考えております。なお、具体的にどの発明がこの法律の適用対象となるかは個々の具体的事例に即して判断されることとなるというふうに考えております。  それからメリット・デメリットのことでございますけれども、米側にとりましてのメリットと申しますのは、米側において非公開の措置をとられている特許出願人が日本におきましてもそれを出願することができる。それを出願する許可を米国政府から今後我が国が非公開という米国における手続と類似の手続をとるということでそれが許可されて出願人の権利が出願日の利益を確保するという意味での利益が確保されるということでございます。  他方、我が国にとりましての利益と申しますのは、この結果、協定に従いこういうアメリカで提出されております特許の知識が我が方により積極的にもたらされるだろう、これが我が国にとってのメリットであると思います。すなわち高度の科学技術上の知識が防衛目的のために提供される環境がよりよくなるであろう、これがメリットであると思います。  デメリットと申しますのは、ないと私は思いますけれども、僣越でございますが、もしも先生の御念頭にございますのが、例えばいわゆる準協定出願であるとかあるいは我が国において独自に開発された発明が何らかの制約を受けるかということでございますれば、それぞれについて説明がございますけれども、御懸念になることはないというふうに思う次第でございます。
  79. 高沢寅男

    ○高沢委員 お答えずっといただきましてありがとうございました。最後の有馬局長の答えに関連してもう一つだけ聞かしてください。  つまり、アメリカが秘密特許として日本に申請をしてきた、それと同じ発明特許が我が国から出る、これは類似の扱いを受けるということで要するに非公開。しかし一方では、日本が独自に開発したものは、従来の日本の特許法でこれは公開されてよろしいという、この両者の関係がよくわからぬのですよ。  アメリカの秘密特許と重なるものは、あるものは非公開、あるものは独自ならばよろしい。その独自ということの判断は一体だれがやるのかというところをひとつ説明してください。
  80. 山本庸幸

    ○山本説明員 ただいまの点につきましては、その議定書第三項の(b)の私どもでいわゆる準協定出願と呼んでいるものではないかと考えます。これはやや長いのでございますが、その第一として「協定出願以外の特許出願又は実用新案登録出願で協定出願の出願日の翌日以後に日本国でされたもの」、それから第二に協定出願の対象に係る発明の提供を受けた政府関係職員または政府からその発明の内容を知らされた方が行う出願に限り、さらに協定出願の対象たる発明または考案を公にするものに限るわけでありまして、この三点のいずれのすべてにも該当するものについて私どもは準協定出願と考えております。  したがいまして、これを逆に言いますと、これに該当しないいわば無関係に発明されたようなものにつきましては、これはたとえ内容が協定出願と同じでありましても、公開等の手続を行うということにしております。そしてこの準協定出願かどうかの認定につきましては、特許庁で行います。
  81. 高沢寅男

    ○高沢委員 時間ですから、終わります。
  82. 浜野剛

    ○浜野委員長代理 伏屋修治君。
  83. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最初に、ペルシャ湾情勢についてお尋ねしたいと思います。  去る四月十四日にアメリカのフリゲート艦の触雷に端を発しまして、アメリカイランの海上石油基地を攻撃した、こういうことから、鎮静化しつつあるというものの、またいつ再燃するかわからない非常に危険な状態に置かれておるわけでございますが、我が国にとって中東に依存する原油というものは非常に貴重なものであります。しかもその六割方というものはペルシャ湾を通過しておるわけでございまして、そういうことから日本もこれを深刻に受けとめなければならないと考えるわけでございますが、外務大臣としましては、そういうことにどう対処をしようとされるのか、また我が国の原油の安全航行を確保するためにどういう対応をされようとしておるのか、その二点をお伺いしたいと思います。
  84. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 おっしゃるとおり我が国の石油の大半がペルシャ湾で求められており、ホルムズ海峡を通過いたしております。それだけにこれは国民的な関心を持たなければならない地域である。  そこで、不幸にして今までなかなか紛争が処理できなかったのでありますが、国連を通じまして私たちといたしましても協力する面は協力しましょう、また日本独自のイラン、イラクに対する外交路線によりまして両国に対して速やかに紛争処理、終結をお願いする、そのためには国連のせっかくの五九八決議がある、こうしたことを繰り返し申し上げておるわけでございますが、そうしたことがあったにもかかわりませず、一朝両国がミサイル合戦と申しましょうか、互いが果てしなきミサイル戦争に突入する、そうしたことに対しましても当然日本政府といたしましては両国に対して遺憾の意を表し、そして安全を保ってもらいたい、世界に対する安全をひとつ保障してもらいたいということを繰り返し申し述べてまいりました。  しかるにまた、イランが機雷を敷設するというふうなことでございまして、直接それが米国の被害となったわけでございますから、米国の自衛上の手段としての海上施設爆撃ということになったわけでございますので、これは米国からもあらかじめ通知がございましたから、我が国といたしましては理解を示しておきました。  しかし、これで話が終わるというわけではございませんので、今後我が国のタンカー、現在何隻か入っておると思いますが、そうしたこともございますから、我々といたしましては米国のそうしたことが鎮静化することを希望しながら、まだミサイル合戦をやっているところの両国に対しましても、さらに日本としての意思を伝えたい、かように思っておるところであります。
  85. 伏屋修治

    ○伏屋委員 イ・イ戦争に対しましては、国連のデクエヤル事務総長が調停をなさっておるさなかにこういう問題が起こったわけでございまして、今大臣がお答えになられましたように、国連安保理を通じながら、何としても休戦、戦争をやめるということに御努力をいただきたいと思います。  また、もう一点お尋ねしたいのは、昨年の秋にもやはりこういう触雷によっていろいろペルシャ湾の情勢が非常に悪化したという事態があります。今回もそれを上回る危険な状態にあるわけでございまして、日本に対しましてそのときにも応分の負担というものをアメリカから求められてきた。そういうことから電波航行援助施設の設置など、協力をいたしたところでございますけれども、今後このペルシャ湾の情勢が緊迫化してまいりますと、さらに日本に応分の貢献を求めてくるという事態にならないとも限らない、こう思いますので、その辺の大臣の御所見を伺いたいと思います。     〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 昨年は十月七日でございましたか、ペルシャ湾に関する緊急措置というものをとった次第でございます。そのときにも、英国を初めイタリー、フランス等々は艦船を派遣して直接ペルシャ湾の安全に身を乗り出しておる、にもかかわらず日本はもうほとんどの石油を仰ぎながら何もしないじゃないか。これはもう当然の非難でございますから、そのときには我々といたしましても非軍事的な面での協力をいたしましょうということで御承知の手段をとったわけでございます。なかんずく機雷に対する安全航路確保のためには安全航行システムをとりまして、施設敷設でございますから湾岸六カ国の了解も得ました。  そんなことでございますので、今後どのような事態になるか、はかり知れないものがあるかもしれませんけれども、しかし、今アメリカが自衛のためと言ったそうした手段はあくまでもアメリカの自衛のためであった、こういうふうに私たちは考えておりますから、その行動に対しましては理解を示しますよということでございますが、これが鎮静化しまして、国連中心としての和解策が進むことを望みますから、そしてアフガン等のごとくにいよいよ紛争解決だ、これについては国連としていろいろな協力を求めるよといったときは、また話は当然のことと相なろうと思いますけれども、一国がこうしたから、それに対して日本はこうせいというふうなことは、私といたしましては今日あり得ないであろうというふうに考えておる次第であります。
  87. 伏屋修治

    ○伏屋委員 大臣は国連を通じて積極的な努力をしていきたい、こういう御所見でございますので、さらに御努力をお願いしたいと思います。  次に、大臣は外交方針演説の中で、「世界に開かれ、世界に貢献する日本」、こういう言葉を述べられまして、「積極果敢な外交を展開していく」、こういうふうに決意を述べておられるわけでございますけれども、その宇野外交の具体的な実行はどういうところから手をつけていくのかということをお伺いしたいと思います。
  88. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 一応、我が国外交立場はあくまで西側にあって、アジア・太平洋諸国の一員である、これが一つの基本路線でございます。したがいまして、竹下・レーガン会談も終わり、またアメリカとの間の諸問題もそのときに縮小均衡ではなく拡大均衡でやっていきましょう、そして一つ一つ着実に解決しましょうということで、言うならば牛肉並びにオレンジが現在二国間の問題として残っておりますが、一応そうしたことでOECD等々を通じ、あるいはガットを通じまして先進国との外交はさらに強力に展開していくべきであると考えますが、まず足元のアジアということを忘れてはなりません。  したがいまして、この連休を利用いたしまして中国訪問いたしますが、そのときに、既に、韓国はアジアでございますが最近NICSという分類の中に入ってまいりましたので、同じNICSである香港並びにシンガポールをまず訪問いたしたい。同時に、ASEANのインドネシア、さらにはブルネイ、タイ国、こうしたところも、やがてASEANの拡大外相会議があるとき等に十二分にそうした六カ国を回ってみたい、これがまず私の足場固めでございます。  そうした中において、OECDにおきましては東西の問題に対しまして十二分な理解をさらに深めるような仕事をしておかなければなりません。さらに南米に対しましても、国会が終了いたしました時点において私みずからぜひとも出かけたいものである、かように思っておる次第でございます。  そこで、残るのはソ連でございますが、ソ連に対しましては関係改善は進んでおると私は考えております。しかし、そのためにはやはりゴルバチョフ書記長が来てほしい。我が国の総理は御承知のようにもう行かれたが、ゴルバチョフさん、あなたの番ですよ、日本にお越しになるのは。やはり口で私も日ソ国交親善を叫び、さらにはソ連もそう言っていらっしゃるのだったら、ぜひともまずあなたの方が今度は来てくださいよ、これが一番私たちの主張しなければならない点ではなかろうか。  そのために外相会談、そうしたところでいろいろな問題もまたこなしておく必要があるのではなかろうか、そういうことでございますから、今度は外相会談が東京の番だという認識に立ちまして、ぜひとも早く来てください。ところが、今までは東京で行うということは十分知っております、しかし、米ソ会談がありますから、ちょっとその間時間をかしてくださいというようなお話もございますが、その点は了解いたしますけれども、ことしの前半に外相会談を開くための事務次官レベルの折衝を始めよう、こういうふうに考えておる。これが、今申し上げました私の外交の一応の段取りでございます。  そうした中において、やはり経済摩擦、それが先進国からないように、開かれた日本にしていく。ただし、あくまでも我が国の産業を守ることは忘れてはなりません。このことは我々もしつこく言っておるような次第でございます。  さらに、途上国に対しまして、ことしも国会の御承認を得て、既に予算は七千億のODA承認されたわけでございますから、なお一層充実したODA等々のきめ細かな配慮をなさなければならぬ、そのためにはやはり日本は、じっとしていて帳面だけつけておるという格好ではいけませんので、何かもうちょっと汗をかきたいと思うのです。汗をかくというのは、世界に貢献する中においても、平和に貢献する日本という一つの大きな柱を立てなくてはならぬ。それがアフガンであり、それがカンボジアであり、あるいはガザ、西岸の問題である、こういうことにも私たちは協力できる分野で積極的に出かけていこう、かように思っております。
  89. 伏屋修治

    ○伏屋委員 具体的に積極的に進めていただきたいと思います。  話は変わりますけれども、イギリスの部数四百万部とも言われておるところのいわゆる大衆日刊紙サンの三月三十日付の紙上で、我が国の千葉駐英大使を「トップ・ジャップ」というような見出しで掲載した、こういうことがございます。  この「ジャップ」というのは、イギリス、アメリカの辞典では日本人をさげすんで呼ぶ言葉、こういうふうに定義づけられているわけでございます。このような言葉が、一国を代表する大使に対して使用されたことに対して、外務省はどう対処されたのですか。
  90. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 先生御指摘の記事でございますが、これは記事の内容自体は千葉大使に大変好意的な記事でございまして、記事の中にはきちんとニュー・アンバサダー・カズオ・チバ、ミスター・チバということで呼んでいるわけでございますが、先生御指摘のとおり、ジャップという言葉は、私ども日本人にとりまして大変軽べつ的な響きを持つということは否定できない事実でございますので、私どもはそういう認識に立ちまして、在英大使館に対しまして適切な措置をとるよう指示をいたしまして、在英大使館からこのサン社に抗議をいたしたわけでございます。
  91. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この記事によりますと、在英大使館というものは、悪意はない、だから特別抗議をする必要もない、こういうふうにこの記事にはあるわけですね。  そして、文教大の宮本さんという方がアメリカにおったときにも、このジャップという言葉にかなり悩まされ、言われるたびに抗議をした、こういうことがあるわけでございますけれども、抗議した事実はあるのですか、ないのですか。
  92. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 ただいま申し上げましたとおり、やや具体的に申し上げますと、在英大使館にございます広報センターの所長からサンの論説主幹、これは実は今年一月に外務省の報道関係者招待で招待をいたしまして、つぶさに日本を見ていただいて理解を深めていただいた方でございますが、この方に申し入れ、抗議を行った次第でございます。  それに対しましてこの論説主幹は、自分の理解では英語と米語、アメリカ語との間には略称について若干の差があると自分は思っている。それから見出しは決して侮辱的な意味で使ったわけではない。例えばイギリスにつきましてはブリット、BRITと呼んでいる事実もある。スペースがなかったという事実もあった。しかしながら、日本大使館の申し入れの趣旨は十分わかる。したがって、今後こういう言葉が使われないように自分としても指導してまいりたい、こういう答えを得たわけでございます。
  93. 伏屋修治

    ○伏屋委員 論説主幹がそういうふうにお答えになったかもわかりませんけれども、サンの編集局次長は、これからもこのジャップという言葉は紙面で使うだろう、こういうようにも言われておるわけでございます。  そういうことになれば、日本国、そして日本人というものをべっ視することに通ずるわけでございます。外務省としましては、これに対しまして厳重に抗議した事実もあるようでございますけれども、さらに編集局次長はこれを紙面で使うと言っておるわけですから、もうこういうものを使わないように厳重に抗議する、こういうようにしていただきたいと思いますが、どうですか。
  94. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 先生御指摘の編集局次長の発言等も考慮いたしまして、大使館といたしましてはその上の責任者でございます論説主幹、最高責任者に申し入れを行った次第でございます。その論説主幹から、今後注意してまいりたいという返答を得たわけでございます。
  95. 伏屋修治

    ○伏屋委員 これから使う使わない、使わないようにしなければなりませんけれども、今までも在英の日本人が非常に不快な思いをした、こういうことは事実でございますので、編集局次長の上の編集主幹が使わないと言ったわけでございますけれども、それではちょっと手ぬるい、今まで、過去何遍か使われてきて日本人は不快な思いをしたわけでございますから、もう少しきつく謝罪を求める、そういう意思はありますか。
  96. 兵藤長雄

    ○兵藤政府委員 今回の記事の内容、それから先方の応対ぶりから考えまして、私どもは厳重な抗議をいたしまして、今御紹介いたしましたような先方の返事を得たということで、さしあたり今回の件につきましてはこれで十分か、しかし、先生の御指摘の点は私どもも十分に理解をいたしておりますので、今後とも先生の御指摘の線に沿って十分に対処してまいりたい、かように考えております。
  97. 伏屋修治

    ○伏屋委員 それはそのように厳重に対処していただきたい、このように要望申し上げます。  最近の重要な外交案件であるところの建設市場のアメリカ企業の参入問題あるいは牛肉、オレンジの自由化問題、これに対応する日本姿勢というものはいつも相手方からぎゅうぎゅうと逃げ場もなく、あるいは引き返しもできない状況に追い込まれながら、最終的には向こうの言い分を聞かざるを得ない、こういう非常にワンパターン的な交渉の姿勢であるのではないか、こういうような姿勢がマスコミで報道されるたびに、日米交渉というものに日本の主体性がないのではないか、こういうように国民の目に映っておるのではないかと私は心配するわけでございます。  その中でも、唯一自主的な判断を下したのだな、こういうふうに思われるのは、パナマの新政権の承認問題でございますけれども、これすらもアメリカの方から非常に懸念があるというような意思を表明された途端に、外務省の方もちょっと腰砕けになっておる、こういうふうに見られるわけでございますが、我が国のパナマの新政権承認問題に対する態度について御説明をいただきたいと思います。
  98. 坂本重太郎

    ○坂本(重)政府委員 お答えいたします。  御案内のとおりパナマでは二月二十五日にデルバイジェ前大統領がノリエガ将軍を解任するという事態が起こりましたが、翌二十六日には逆にノリエガ将軍がデルバイジェ前大統領を解任するという事態が発生いたしました。  この問題は、私どもにとりましてもパナマの重要性にかんがみまして慎重に対処すべきであると判断いたしましたので、私どもはパナマに関しましては当初から基本的には内政不干渉であるということで、事態の推移をずっと見守っておった次第でございます。パナマの新政権を承認するような行為は最初から私どもは意図的にとっておりません。  例えば、三月一日に国会の開会式がございまして、若干のラテンアメリカ大使及びヨーロッパの大使もその開会式には出席いたしましたけれども、日本の場合には大使が出席せずに大使館の次席を出席させておりまして、そして我々が新政権を承認したということに解釈されないように配慮してまいった次第でございますので、当初から私どもは同じ態度をとっております。アメリカから言われて、その圧力によって我が国の態度を変えたということはございません。
  99. 伏屋修治

    ○伏屋委員 三月四日の新聞の記事によりますと、今言われたようなことも出ておるわけですけれども、外務省の首脳としては一応、中米のパナマについては新政権がほぼ実効的支配を確立した、またあるいはパナマ憲法上合法的な手続を踏んでおる、こういうことから認めておるというような発言が首脳の中で行われた、こういうふうにあるわけでございますが、それがやはりアメリカの方の意に逆らうといいますか、パナマの政府軍を支持するいわゆるアメリカに、国務省次官補ですか、そういう方に大使館の人が呼ばれましていろいろ言われた、それから態度が非常に腰砕けになってきた、こういうふうにあるわけですけれども、もう一遍そこら辺の御説明をいただきたいと思います。
  100. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 首脳というのは二人おりまして、私もその首脳の一人でありますが、そういう首脳が手続のお話をしたわけですね。決してそうしたことが承認とかそうしたものに至る話ではないのですが、こういう場合はこうだという話をしたわけでございます。  したがいまして、今局長が申しましたとおり、承認したということでもなければ何でもない。その直後に、私はいろいろとパナマ問題をずっと詳細に検討しまして、たとえそういうことであってもこれは大使を出すべきでない、大使が出ることがオーソライズすることになるというケースだから大使を出すべきでない、こういうことでございますから、もう本当にアメリカから言われたからどうのこうのというのでなくて、もう一人の、次官でございますが、次官もこうした場合の手続を話をした。それを私も十分知っておりますから、承認するとかしないとかいう問題ではなくして、この場合には大使はあらゆる公式な行事に出すべきではない、こういうふうなことでそのままの状態が続いておる。  特に我が国との関係は深い面がございますが、何分にも独裁者ノリエガという人は麻薬の仲介人だということでありますから、そういう人が支配をしている国に対して日本ははっきりした態度をとろうや、こういうことでございますので、一部新聞には、それが何か首尾一貫しないとか、いろいろ言われたことがあるかもしれませんが、私といたしましては首尾一貫いたして今日に至っておる、そういうことでございます。
  101. 伏屋修治

    ○伏屋委員 私は、新聞記事の中から私なりに承知をして今質問をいたしたわけでございますので、そういうことでなければ結構だと思いますけれども、やはり首脳は、大臣もその一人だと言われましたけれども、外務省の首脳の方々の一挙手一投足というものが大きく新聞報道され、しかもそれが世界に広がっていく、こういうことになってきますと、日本外交の一貫性というものが問われてくると思うのですね。だから、その辺のところは、やはり大臣を初めとしまして外務省の方々の慎重な対応というものを要望しておきたい、こういうように思います。  次に、我が国の自主外交一つとして、政府がアンゴラと漁業協定を結ぶ方針を決定して、既に交渉に入った、こういうように記事で拝見をいたしたわけでございますが、その交渉経過等についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  102. 恩田宗

    ○恩田政府委員 アンゴラの漁業水域、日本のトロール漁業及びマグロはえ縄漁業にとって非常に重要なところでございます。したがいまして、そこで日本の漁業が安定的に操業できるかどうか、こういうことで、いかなる枠組み、それからいかなる条件であそこでとらせていただけるかということを交渉しよう、そういうことで水産庁、外務省、民間より成る交渉団が四月の中旬に行きまして、先方は基本的には我々の要望を聞いていただきまして、いろいろ情報をいただきまして、どういう条件でどういう枠組みであるかということを話し合ってきました。  具体的な内容はちょっとまだ固まっておりませんが、さらに第二回、引き続き交渉しようということで合意して帰ってきた状況でございます。
  103. 伏屋修治

    ○伏屋委員 詳細については余り御説明がなかったわけでございますが、このアンゴラ政府との関係を強化する、結果的にはアンゴラ反政府ゲリラを支援している南アフリカに対して間接的に圧力をかけることになり、いわゆるアパルトヘイト政策を牽制することにもなると思われるわけでございますけれども、政府はこのアンゴラ外交を対南ア政策の一環と考えておられるわけでございますか。
  104. 恩田宗

    ○恩田政府委員 先ほど御説明申し上げましたとおり、今回の漁業に関する打ち合わせは、専ら日本の遠洋漁業の安定化ということの目的を目指したものでございまして、特に対南ア政策ということを意図したものでもなければ、また、そういうような結果を生ずるということにはならないのではないかというふうに考えております。
  105. 伏屋修治

    ○伏屋委員 これも新聞記事によりますと、外務省というのは以前から対アンゴラ政策を日本の反アパルトヘイトの象徴としてとらえておるというような記事もあるわけでございますが、そのあたりは大臣はどうお考えなんですか。
  106. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 アンゴラと南アフリカとの関係は今おっしゃったとおりのことでございますから、したがいまして、アンゴラはアンゴラとして私たちも対処いたしておりますが、一応南ア周辺の諸国に対しましては、我々といたしましてはやはりアパルトヘイト反対という立場から、それはそれではっきりした立場のいろいろな援助を行っておるというのが現在の日本立場でございます。今回の漁業のことは、今局長が説明したとおりでございます。
  107. 伏屋修治

    ○伏屋委員 御承知のとおりアンゴラは独立以来ソ連との接触の非常に強いところであるわけでございまして、そういう方針で臨んでおらぬというふうに大臣、言われたわけでございますが、そういう漁業協定とかいろいろな形で外交の密度を濃くしていけばいくほどアメリカを刺激していくのではないか、いわゆる反政府ゲリラをアメリカ支援をいたしておるわけでございますから、そういうような米国の感情を刺激していくと、今後日米関係というものに大きな影響が出てくるのではないか、そういうことを憂慮しておるわけでございますが、その辺はどうでしょうか。
  108. 恩田宗

    ○恩田政府委員 今回の漁業協定につきましては、先ほど大臣から御説明いたしましたように漁業の分野でございまして、米国との関係に影響を与えるようなサイズあるいは大きさの問題ではないというふうに考えております。
  109. 伏屋修治

    ○伏屋委員 アンゴラとの漁業協定に限る、こういうような御答弁でございますけれども、先ほども申し上げましたように、やはり今後アンゴラとの接触を深めていけばアメリカの感情を刺激する、しかし、先ほどアパルトヘイトの政策でもないというようなことも言われましたけれども、そのあたりがやはり先ほど私も懸念をいたしておったことですが、パナマの問題にしましてもアメリカが懸念を表明すると日本外交姿勢がどうも腰砕けになりやすい、こういうような面もこの一面にも出てくるということを憂慮して私は質問いたしておるわけでございますので、その辺のところを大臣、もう一度御答弁願いたいと思います。
  110. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 我が国外交日米基軸であるということを考えますと、いろいろなところに気を配ることも必要でございましょうが、やはり我が国国民生活を考え、また産業のことを考えますと、それはそれとしてやはり自主外交、自主独立の姿勢を保たなければならないことは当然でございますので、そうした関連性におきましては、盟邦に対しましてはやはりいろいろな機会に、説明を求められればきちっと説明できるようにしておけばよろしい、こういうふうに思っております。
  111. 伏屋修治

    ○伏屋委員 次は議題を変えまして留学生の問題についてお尋ねをしたいわけでございますが、もう時間も残り三分ぐらいしかございませんので、お尋ねしたことに対してお答えをいただければありがたいと思います。  急激な円高によって留学生が非常に苦しい生活を余儀なくされておる。日本へ来る留学生はまずお湯をくださいということを覚える。ということは、いわゆる即席のインスタントラーメンで一日をしのいでおるというような苦しい生活を余儀なくされておるわけでございまして、そういう留学生の生活の実態に対して、どう把握し、それにどう対処するのか。  最近関係閣僚懇談会というものがつくられたと聞いておるわけでございますが、留学生の問題、国費留学生は除きましても、私費留学生が大半でございまして、その私費留学生が非常に困窮を強いられておる、こういうことから国よりもむしろ地方自治体や民間ボランティアがどうも先行しておる、こういうふうに思うわけでございますが、今の問題についてお答えを願いたいと思います。  また、ODAによる援助というものも政府考えておられるようでございます。国費留学生を除く私費留学生、その学費援助四万円ですか、それを八千人ぐらいに広げようというのが自民党の文教部会の御意見であると聞いております。八千人に広げたところで、まだ残余一万人ばかり見えるわけでございますので、そういう方々に対して具体的にどういう手の打ち方をするのか。あるいは、日本へ来る留学生の中で問題があるのは、学位が取りにくいとかあるいは日本語教育が不十分だ、こういうような問題もございますので、そういう問題に対してどう具体的に対応を考えておられるのか。  あるいは、日本人がアメリカへ留学して一番大きな収穫はやはりホームステイにある。いわゆるホームステイで、家庭の中で向こうの人と交流を図る中で向こう文化も理解できるというような形で日本へ帰ってくる。そういうことがとりもなおさずアメリカを理解しておるということであるわけでございまして、現在の留学生の現状から言えば、かえって日本に不信感を持たせてそれぞれの母国へ帰すような留学生受け入れではないか、こういうふうに考えるわけでございますので、その辺の対応を具体的にお答えいただきたいと思います。
  112. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 詳細は文部省からいろいろとお話があろうかと思いますが、外務省立場として申し上げておきたいと思います。  十万人留学生受け入れ、大きな仕事でございます。今おっしゃったような家の問題から、あるいはまた学位の問題から、あるいは東京に集中し過ぎているといういろいろな問題がございます。  我々といたしましては、十万人の方々には日本が第二のふるさとであるということで帰っていただきたい、十万人が日本を批判して帰ったら何のためにやったかわからぬ、これが一番大切でございますから、かねて文部大臣や総理大臣ともお話ししておりましたが、今回総理の御発想で、関係閣僚会議において今申し上げましたような問題をいろいろとひとつ十二分に議論をしようということになった次第でございます。第一回の会合があすあたり開かれると思いますが、そうした中において私たちも努力をしていきたい、かように思います。
  113. 三村満夫

    ○三村説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、私費留学生につきましては、最近の円高などによりまして経済的にも相当厳しい状況に置かれているものと考えられます。私費留学生対策につきましては、文部省といたしましては従来から財団法人日本国際教育協会を通じまして医療費の八割補助を実施してきたところでございます。昭和六十三年度予算においては、授業料減免措置の拡充ということで、私立大学に通っている私費留学生、対象およそ八千四百人を考えておりますが、三割の授業料減免という予算措置を講じておるところでございます。それから、学部レベルで月額四万円、大学院レベルで六万円という学習奨励費制度というのを現在同じように日本国際教育協会から支給しておるわけでございますが、この対象人数を六十三年度においては倍増いたしまして、五百人ということを措置しております。  また、政府のこのような努力のみならず、先生御指摘のとおり民間の活動が近年非常に活発になってきておりまして、民間の奨学団体を設立する動きが非常に早まっております。現在のところでは六十四の留学生奨学団体がございまして、約一千八百人を対象として、私どもの見るところ大体月額八万円から十万円ぐらいが平均的な相場かと思いますけれども、そのような奨学金を支給している。  あるいは宿舎の問題も大変厳しい状況にあるわけでございまして、国立大学等におきまして留学生宿舎の建設を進めますとともに、企業の社員寮の開放等、積極的に私どもも働きかけまして、このような協力をお願いしておる。  やはり、こういう政府の施策だけでなく、留学生の受け入れというものは日本社会全体として受けとめていくということでありまして、大学等で十分な勉学の成果を上げるとともに、帰国後、その留学生が出身国と我が国とのいわばかけ橋となって活躍できるように、ここは社会全体として取り組む必要がある。そのような観点から、私どもといたしましても、今後とも各方面の協力を得ながら留学生の受け入れ態勢の充実に努力してまいりたい、かように思っております。
  114. 伏屋修治

    ○伏屋委員 終わります。
  115. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 永末英一君。
  116. 永末英一

    ○永末委員 宇野外務大臣は、十七日に北方領土を視察されました。これは外務大臣としては四年八カ月ぶりでございます。現場に臨みまして外務大臣は句を二句おつくりになられたようでございますが、どういうことを感じられましたか。
  117. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 北方四島は本当に冬晴れの日でございまして、国後の羅臼山が見えるし、あるいはまた歯舞諸島も指呼の間に臨むことができるというような状態でございました。なぜこのような不法占拠が国際的にも問題にならないのか、まずそれでございます。そしてやはり、ソ連に対しましてもこのことは強く我が国からも主張しなければならない。  特に、もう四十三年たちましたので、したがいまして島の住民の方々も三世代にわたっての苦痛をなめていらっしゃる。こういうふうに痛感いたしましたから、春ではございましたが残雪なお深く、したがって、「納沙布にきて冬晴や島望む」という一句を物いたしました。
  118. 永末英一

    ○永末委員 北方領土の問題は極めて長い歴史になってしまいました。なかなか我が方の言い分がソ連に通らない。果たして両国間のはっきりとした交渉事の対象になっているかどうかすら時にはソ連側からは否定せられている、こういう状況でございますが、ゴルバチョフ書記長があらわれましてからいろいろな新しい国際的な状況があらわれております。例えば最近ではINFの全廃条約の調印であるとか、あるいはアフガニスタンに対する撤兵の条約の調印であるとか、いろいろなことが行われておるのでございます。  ソ連を研究している人々の中ではゴルバチョフイズムという言葉があるようでございまして、その第一はペレストロイカ、すなわち改革と訳しておりますが、経済と国民の組織を変えていこう。第二がグラスノスチ、公開と訳しておりますけれども、これは客観的に物を見るようにしようではないか、これらをまとめまして、ゴルバチョフ書記長が新しい考え方によって政治をやっていこうとしておると伝えられております。外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
  119. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、それがたとえ国内的ではございましても、グラフノスチも相当浸透しておると言われ、また、ペレストロイカに至りましてはもう国際用語になる、国際的にもそれを期待するというふうな感じでございます。  現に総理とアメリカに行きましたときにも、アメリカ首脳は、今までINF等々について話し合いをしようと言ったが、四代かかった。ブレジネフ、さらにはアンドロポフ、チェルネンコ、そしてやっとゴルバチョフの時代になって話が通ずるようになったよ。だから米国も相当粘り強く交渉したんだということを強調されておりましたが、確かに今永末委員がおっしゃるとおりに、ゴルバチョフ一つの新しい指導者である、ダイナミックな政策を持っておるのではないか、かように私は評価しております。
  120. 永末英一

    ○永末委員 ゴルバチョフ政治になりましてから、国内も今までのかたくなな共産主義的建設ではなくて、新しい要素を入れよう、あるいは市場原理をすら考えている向きも感じられます。  国際的には、グロムイコがミスター・ニエット、何でもニエット、ニエットと言うておった時代に比べると、やはりソ連の国家的利益を尺度にしながら、外国と協調すべきものは協調しようということが行われておると見られる節があります。あなたはこの国際的変化がゴルバチョフのもとに起きておるという判断をされますか。
  121. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 米ソ会談もその一つでありますし、その中に含まれておりましたアフガンという問題に関しましても、ソ連撤兵というのは大変なことだろうと思います。軍部もあるいはいろいろ意見があっただろうし、古き共産党員におきましてはやはり保守派もいただろうと思いますが、そうした方々に対しましても、説得が奏功したんでございましょう、一応引き揚げるということは新しい姿勢だ、かように感じております。
  122. 永末英一

    ○永末委員 今までの時代とは異なって、ソ連の国際的な姿勢に柔軟な姿勢がうかがえる、こういたしますと、このことが日ソ間の最大の外交問題である北方領土問題にも影響があるとあなたは思われますか。
  123. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 影響があってほしい、こういうふうに考えています。  今までの経緯を私もずっと調べましたが、コスイギン首相の当時は、我々が北方四島問題を提案いたしましても、あの人は正直な人で、決して固有の領土であるとは申さなかった、ソ連の固有の領土とは。一つ動かすと全部動かさなくちゃならぬということでございますから、あるいはオーデル・ナイセを初め、第二次世界大戦におきましてはソ連がヨーロッパにおいても相当いろいろなことを行っておりますから、一つ外せば全部外すというようなことをコスイギンが言ったというふうなことがずっと続いてきて、その間の外務大臣はニエット、ニエットと言っておったんじゃなかろうか、こう思いますから、今度はそれを変えるのかという感じもあります。  しかし、なかなか難しい問題ではあるけれども、四代にわたってINFという問題を一つの議題としたというアメリカの努力等々に見習った場合に、やはり私たちは本気になって国民世論というものを盛り上げて粘り強くやっていきたい、かように思っております。
  124. 永末英一

    ○永末委員 このごろのソ連の対外的な姿勢を見て、ソ連は戦後極めて攻勢戦略をとってきておる、時にはその攻勢戦略を実現するために武力を使うことすらいとわなかった。しかし、先ほどから触れておりますINFの調印やアフガニスタンからの撤兵などを見て、ソ連の戦後終始一貫とられてきた攻勢戦略が防御戦略に変わったのではないか、これが新しい考え方と称せられるもののあらわれではないかと見る人があります。この点について外務大臣はどうお考えでしょうか。
  125. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 共産主義そのもの、現在はソビエトは共産主義は一つの理想であって、現在の国家は社会主義形態でございます。しかし、その社会主義によってなかなか飯を食うのは難しいねというふうな感じはひとしく国民が抱いておるのではなかろうか。そうしたときに果てしなき米ソの、特に核についての軍拡競争のむなしさというものが今若干あらわれてまいったんじゃなかろうか、かように思います。  しかしながら、それをもってすべてが解決の方向へ怒濤のごとく動いておるというふうな解釈は成り立ち得ないのであって、やはりまだまだ、対決は薄らいでいくかもしらぬけれども、社会主義と資本主義というものの基本的な対決の上に立っての、ソ連にはソ連の戦略があるであろう、こういうふうに考えております。
  126. 永末英一

    ○永末委員 我々はソ連を社会主義と呼んでおりません。共産主義と呼んでおるのであります。新しい考え方ということを研究している人が、これは外国人でありますが、ソ連日本北方領土に対して、これは千島ではないという新しい考え方に立って日本に返還を考えるかもしれないと言うている人がありますが、あなたはそういう期待が持てるとお考えですか。
  127. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 過般、ある新聞社で日ソのシンポジウムがあって、そこで我が国外交官のOBがたくさん出席されておって、どういうような内容でしたかと私がそのうちの一人に聞きまして、その人はソ連の専門家のOBでございましたが、意外なことがわかりました、出席者の中には、知らしめておらないのか、知っていても知らないふりをしたのか知りませんが、ともかく一九四五年の終戦時、八月二十八日から九月一日、三日とかけて歯舞、色丹にソ連軍が上陸した、そしてそれは日本の固有の領土であるということを知りながら、アメリカがいなかったからそのまま居座ってしまったというような重要な事実についても知らなかったんだ、日本の抗議も知らなかったんだというふうなことを言っておられましたから、やはり風化させてはいけない、こういうふうに私は考えます。  だから、ソ連の中にも現在そういうふうなアウトロー的なことに対しましてはやはり反省を持たれる方もおられるだろうが、そうしたことが果たしてソ連の大きな国論になるであろうかということを思いますと、まず我が国においてそうやってソ連に求める部分は、政府が言っておるのではなくして、やはり国民的にも風化させないという大きな我が国の固有の領土としての主張を繰り返す必要があろうと思います。  幸いなるかな、この間の北方領土返還の民間団体主催の式典に際しましては、日本の政党はもうすべて出ておられましたので、代表がすべて出ておられましたから、そういう態勢において今後もやはり国論の喚起をして、あらゆる場面でソ連に真実を知ってもらうということが必要だろうと考えております。
  128. 永末英一

    ○永末委員 ソ連外国に対する対応、日本に対する対応も、従来の非常にかたくなな姿勢とは異なって、柔軟性を増しておる。ソ連我が国に対しましてシベリア開発の問題等を何遍か持ちかけたことがある、あるいは合弁事業の開設を持ちかけたことがあります。あなたは十七日に根室市内において対ソ関係に関することを話をされたと伝えられておりますが、今の北方領土に対してはあなたは真実を語り続けるということでございますが、対ソ外交に対する我が方の方針に柔軟性を持とうとお考えか、持つならば、どういうことが柔軟性を持つことになるとお考えか、伺いたい。
  129. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今のところ、経済協力面におきまして政府があえて介入してせっかくの経済的な協力関係をとめたり制約したりするようなことはございません。ただ、御承知ココムという問題は、これはやはりそれぞれの参加十六カ国の紳士協定でございますので、そうした問題の是非というものもあるかもしれませんが、これは十六カ国の合意に基づいてなされたそれぞれの国における貿易管理でございますから、これ以外におきましては私は進んでおる、こういうふうに思っておる次第でございます。  したがいまして、そうした面におきましても幾らでも協力はしましょう。しかしながら、時として政経分離というような建前が出てまいりますから、そういうわけにはまいりませんよ。そしてまたもっといろいろと親善を図りたいとおっしゃいますから、これに対しましては当然平和条約というものが一番いいのであって、戦争状態終結ということについては両国の取り決めがあったが、平和条約が結ばれておらぬ、その前提は、やはりあくまで日本の要求は要求として示してほしいものだ、口先ではなくして態度で示してほしいものだ。  そのためには、我が国から四名総理が行かれたが、まだ一遍もあなたのところは来ていらっしゃらないから、まずあなたのところから日本訪問してください。そしてそのためには外相会談もやりましょうということで、今外相会談の方はある程度先方も十二分に了解していますということでございますから、そうしたものを通じて両国の関係を改善するということは、これは私は大切なことであると考えております。
  130. 永末英一

    ○永末委員 INF調印後、またアフガニスタン撤兵後のヨーロッパとソ連との関係の中で、いわゆる軍備管理交渉の進展が予想せられます。それは一つには、短距離ミサイルの問題であるし、一つには、通常兵器の問題である。  さて、目をアジアに転じますと、INFの問題のときにはいわゆるグローバル・ゼロということで、極東に配置されましたソ連のINFも撤去されることになりました。しかしながら、その他の核兵器や通常兵器の点については、ヨーロッパのように二つの陣営に分かれて組んでおる状態ではございませんから、全くそのままになっておる。しかしアメリカは全体的な世界戦略の上におきましては、戦略核兵器であれ今のような通常兵器であれ、いろいろな交渉の面を持っておる。  しかしながら、アジアにおいて、もしアメリカが通常兵力の点について自分の方の財政の都合によってアジアに展開している兵力の負担を我々にいわば肩がわりをしろなんていうようなことになりますと、日本がこの正面における力を増強せざるを得ない、アメリカ関係においてそうなるという事態も考えられる。しかしながら、我々として独自に、ソ連側に対しまして、この東アジアにおける軍事的な緊張をあおるのではなくてこれをやわらかくする、そういう交渉を始める、そういうことが彼らへの新しい考えに立つ一つの展開になりはしないかという考え方がありますが、外務大臣はどうお考えですか。
  131. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在は日本の安全保障というものは日米安保体制下にあるという認識を深めておかなければなりません。では、それがソ連に対する挑発行為なのか、挑戦なのかということに関しましては、我々は決して仮想敵国を持っているものでもなければ、現在の世界に不幸にして東西対立があれば、我々としてはやはり日米安保体制において私たちみずからの国の安全と極東の安全を考えておる、こういうふうになるだろうと私は思うのでございます。  そこで、ではソ連と緊張緩和だ、通常兵力において私たちも削減しましょうというようなことは今のところ言えたものでもないと思います。したがいまして、日米安保体制というものは十分相手国も知っておるわけでございますから、ソ連に対しましても、我が国に対する兵力の増強とかあるいはまた太平洋における近代化艦隊の増強とか、そうしたことに対しましても事あるたびに懸念を表明をいたしつつ、やはり太平洋におけるまたアジアにおける緊張緩和ということは必要でございましょうから、我々の主張は当然申し述べなければならない、かように思います。
  132. 永末英一

    ○永末委員 ヨーロッパはNATOとワルシャワ機構とが対立をし合っておる。その現状のもとにおける双方の兵力展開が非対称的であることを知りつつ、それの相互削減の話が議題に供せられておるわけですね。我が方は日米安保条約によって我が方の安全を守っておることは、我が党はそれでよろしいと考えておる。  しかしながら、世界的に今のような動きがソ連側と自由陣営側とで動いているときに、我々もまたアジアにおきます新しい安定の条件を考え出す余地はないのであろうか。我々だけが、東アジア正面だけが兵力をなお増強していくような形をやったのでは、大きな米ソの枠組みの中で異常な状態になりかねないと思うわけであります。  したがって、先ほどの新しい考え方ということの内容はまだよくわかりませんが、それを見据えて我々が日米安保条約をどうかするとかいうことではなく、日米安保条約のもとにソ連の通常兵力に対する我々との間の何らかの話し合い、それを始める余地があると思うか、思わないか、お答えを願いたい。
  133. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ソ連の通常兵力一つにいたしましても、アジアにおけるところの配備というものが相当な量に達することはお互いに知っているわけでございます。したがいまして、まず中国ソ連関係はかつてどうであったか、現在はどうであるか、いろいろ考えていかなくちゃなりません。NATO諸国はNATO諸国としての団結をしていることは、これは我々から眺めてみましても、地続きであるからああいうふうな体制がとれるのだな。しかし、我が国は島国でございまして、しかも敗戦国でございまして、そういうふうないろいろな悪条件の中から今日経済大国になったわけでございますから、幸いなるかな、そういう面において韓国とも、あるいは中国ともソ連ともアメリカともというふうな考え方が成り立っておるわけであります。  はっきり申し上げまして、日本に同盟国はないのかといえばアメリカあるのみ、他はいろいろな関係においてそれぞれが経済的に結びつき、よき隣人としての関係を持っておるということに対していろいろな考えを及ぼしていただく方もたくさんいらっしゃいます。これでいいのかい、太平洋は太平洋でひとつまとまってみたらどうだ、アジアはアジアでまとまってみたらどうだというふうなお話もございますが、そうした考え方を常に中心に置きながらソ連にも対処していかなければならぬ。  今のところは、そうした面においてソ連の、過剰と申してはあるいは言い過ぎかもしれませんが、それに似たような軍備増強というものに対しましては常に私たちから懸念を表します。といって、じゃ日本がこれだけ減らしますからという段階でもまだないであろう。お互いに今のところは模索をしておるところではなかろうか。しかし、今おっしゃったようなことは十分念頭に置きながらまた新しい面あらば新しい面の考え方も必要であろう、こう考えます。
  134. 永末英一

    ○永末委員 私は、日本ソ連とが見合って、NATO対ワルシャワになっておるとはちっとも考えておりません。我々の方は、ソ連にとっては中国との関係もございましょうし、朝鮮半島におきますにらみ合いの問題もございましょうし、また海洋、海でございますから、海の自由通航性というものは大陸における陸上兵力のにらみ合いとは違うわけでございます。しかし、そうやってソ連とだけ我々はにらみ合っている、そういう状況ではございませんけれども、アジア全体の安定感を醸成し、それを我が国の安全のために使うというならば、そういう状況をこれから事務次官会議があったり、あるいはソ連の外相が訪れたりするときには広く軍事的な面にも眼を向け、そしてソ連も大きく言えば軍事緊張攻勢戦略をどんどん広げていき得るところではないと僕は思うから、それを考慮に入れつつ対処を願いたい。要請しておきます。  質問を終わります。
  135. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 松本善明君。
  136. 松本善明

    松本(善)委員 ペルシャ湾問題ですが、これは今もこの委員会でも議論がされておりますが、アメリカの艦隊がペルシャ湾内のイランの艦艇を撃沈をした、それから石油基地を攻撃をした、この問題については各新聞が一斉に憂慮を表明をしています。  例えば日本経済新聞などはイランとのアメリカの対決自体が世界平和にとってこの上ない脅威だ、こういうふうに論じていますし、それから東京新聞は、五三年のモサデク政権転覆をアメリカ支援をする軍部のクーデターでやられたことだとか、イラン・コントラ事件なんかに触れながら、米国がペルシャ湾での正義を代表する資格はないと見るのはイランだけではないだろうというふうに言っていますし、今度の事件についても外務大臣は、今アメリカの自衛権行使で、アメリカ側の事情を理解するというふうに答弁をされましたけれども、イラン政府は新たな機雷敷設を否定しているので、米国だけで証拠と決めつけないで、国連の場へ持ち出すなり複数国と相談した上でイランへ警告してからでも遅くはないだろうというふうに言ったり、あるいは毎日新聞は、米国の主張するようにイランが新たに敷設したものかどうかはともかく、この時期にペルシャ湾まで戦線を拡大する積極的な意思がイランにあるかという点については疑問符がつく、全部は紹介しませんけれども、それぞれ非常に憂慮を表明し、世界の平和にとって重大な脅威だというふうに論じています。  私はこの憂慮は当然のことであると思いますし、我々はアメリカが中東に大部隊を派遣をしている、大艦隊を集結し、兵力二万に及ぶような大部隊を出しているということ自体が、これは干渉であり、大国の介入であり、これが非常に危険な事態をもたらしているというふうに思っているのですが、外務大臣に聞きたいのは、この問題について先ほども言われましたが、国連の安保理事会の五九八決議では「他の全ての国に対し、極力自制し、紛争の一層の激化及び拡大につながり得るいかなる行為をも差し控え、そうすることによりこの決議の履行を容易にするよう要請する。」というふうにあります。アメリカの今回の行動はこの決議に反しているのではないか、紛争をエスカレートさせるだけだというふうに私は思いますが、この決議のこの条項との関係で、アメリカの今回の行動外務大臣はいかがお考えになりますか。
  137. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 国連決議五九八は即時停戦、撤兵ということでございますが、これに対しましてイラクはオーケー、イランはそう簡単ではない、なぜかならばイラクが戦犯である、元凶である、挑発者であるということを国連が認めるのならばさような手段も講じましょう、こういうふうな話を国連の事務総長の再三のあっせんに対しましても常に申し述べております。国連といたしましては、その問題はまあ後の問題で、ひとつとりあえず紛争をやめたらどうかということを今日まで進言してまいりました。だから、アメリカもその国連決議に参加した重要な国家でございます。  しかしながら、昨年の八月から私が出会った十二月まで既に五カ月たって、イランはまだ一向にそうした紛争解決の熱意がない。なぜあなたはそんなところに拘泥しているんだい。それはもちろん後の賠償金がどうのこうのという問題があるかもしれませんが、要はイランの中におきましても和平派と好戦派と二ついるなという感じをかねて私は思っておるわけでございます。日本といたしましては、アメリカやほかの国とは違いまして両国にそれぞれ外交を持っておるという珍しい国でございますから、我が国立場を利用して頑張ってまいった次第でございます。  そうした中において、イランがなかなか言うことを聞きませんから、国連決議参加国の中では、やむを得ないな、もう一回第二弾の決議をしようかという声も高まっていたときに両国のミサイル紛争、そして機雷敷設、アメリカの攻撃、こういうふうになってきたわけでございますから、したがいまして、このこと自体は甚だ遺憾とする事態であると私たちも認識しております。アメリカが自衛権に基づいてやった、自衛権そのものの法的解釈につきましては資料を集める必要があると私は思っておりますが、事情については理解する、きのうはそういう立場を踏んだわけでございます。  したがいまして、今松本委員指摘されるように、五九八決議違反ではないかというふうに直ちにとることがどうだろうか。こうなりますと、イラ・イラ戦争も犯人はどっちだということで解決しなかったと同じように、今もまた機雷を敷設した方が犯人だったのか、爆撃した方が犯人だったのかというふうな議論になってしまいますと、私はかえって混乱を招くと思っておりますから、現在は、アメリカがああいう措置に出たという事情は我々は理解しますというのが現在の日本政府です。しかし、あくまでも国連を通じて、長引かない、鎮静化するように努力する外交的な配慮も私たちは決して忘れておるわけではございません。
  138. 松本善明

    松本(善)委員 今の話では、イランがなかなか停戦しないからそれでアメリカが自衛権を行使したんだ。客観的に言えば、紛争は一層拡大する、エスカレートする、そういう拡大につながり得る行為ということになることは明白ではないか。  この点について、こういうアメリカの武力行使が紛争を拡大する危険があるとは外務大臣は全然考えませんか。私どもは明白な武力による侵略だと見ております。介入すべきではない、大国は中東から撤兵すべきであると考えますが、アメリカ行動がこういう紛争を拡大することにつながり得るというふうにはいささかも考えないのですか。
  139. 恩田宗

    ○恩田政府委員 先生御指摘の安全保障理事会決議五九八の第五項でございますが、すべての国に対して、自制して、紛争拡大につながり得るいかなる行為も差し控える、こう書いてございますけれども、これは関係国あるいはいかなる国が自衛権に基づく行動をとってはいけないと言っているものではないというふうに私どもは解釈しております。
  140. 松本善明

    松本(善)委員 日本政府はあくまでアメリカ行動を弁護するということがはっきりしましたが、私は大変憂慮いたします。  昨年の八月にはイラン機へのミサイル攻撃があって、十月には石油施設の攻撃があって、今回またこういう事態ですよ。だんだんエスカレートしているのですね。大きな国際紛争、衝突も初めは小さな事件から、それは拡大しないように期待すると言いながら拡大していっているというのが今までの歴史です。こういう問題が起こったら直ちにそれはやめるべきだという国際的な世論を起こすべきですよ。そして大国は中東から撤退すべきだ、私どもは絶対そう思います。  これは軽視すべからざる世界平和への脅威だというふうにあなたは考えませんか。外務大臣に伺います。
  141. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私は、これはやはり関係国皆自制してほしいと思っておるのです。したがって、そういうふうにお話もしてきたわけでございますが、特に今回は、アメリカが自衛権に基づいてやりますよ、じゃ、やめなさい、それは自衛権じゃありませんという立場にいないことは事実で、現に被害が出ておるわけで、その被害は、もうこうしたときにお互いに自制しよう、私たちも自制して早く紛争解決と言っているにもかかわらず、今何がために機雷をそうした意味で敷設したかというようなことに対しましても、アメリカ自体といたしましてもそれを確認して、だから自衛のために、我が国の艦船に損害を与えないためにやったのです。  松本委員は、艦船がいるからそうなるので、引き揚げてしまったらいいじゃないか、こういうふうなお説でございましょうけれども、我々といたしましては、ペルシャ湾にはペルシャ湾の湾岸諸国も他にこれあり、いろいろな面において、今それぞれの国がそれぞれの立場においてイラ・イラ戦争を憂慮しながらも、やはり自分たちの力で解決ができないがどうしたらいいんだというときでございますから、そういう経緯の中においてアメリカも艦隊を出し、あるいは英国も出しというふうなことでございましょうから、何か知りませんけれども、相当それらの国々によって我が国の燃料資源もある程度のことは安全を保たれておるにもかかわらず、日本だけがひとり戦争反対だからそうだというふうなことは、せっかくの御指摘でございますが、今の私の立場からはなかなか言いがたい。  しかし、こうしたことが紛争拡大をしてはいけないから、いやしくも国連というものを中心として、拡大しないように現在我々は努力する、また、イラン、イラクに対しましても、今後も私たちのそのルートを大切にして両国に対して自制を促す、これが日本立場であろう、こう考えております。
  142. 松本善明

    松本(善)委員 湾岸諸国の問題は、民族自決権を尊重するという形でやるべきだと思うのです。大国はやはり軍隊を撤兵すべきですよ。アメリカは撤兵すべきだ。  そして日本としては、当然に、イラン、イラク両国に対して、一日も早く戦争をやめて、交渉によって、話し合いによって解決するという外交努力をすべきである。私は、今の政府の態度は決して紛争を解決するというのじゃなくて、紛争を拡大するという結果になるということを指摘をして、次の問題を質問しようと思います。  これは、ペルシャ湾問題と、それから日本の米軍の駐留経費問題を協定審議のところでは問題にしたいと思いますが、それと同様の問題がフィリピン援助の問題ではないかというふうに私は思うのです。  三月三日に、カールーチ国防長官が上院の予算委員会でサッサー委員質問に答えて、日本の経済援助とフィリピンの基地問題について答弁をしたということもありますし、三月九日には下院の外交委員会でマイケル・デビン氏のフィリピンの軍事情勢とアメリカの援助に関する質問で、カールーチ国防長官が、これはフィリピンに対する追加的な財政上の援助の可能性について日本と協議中だということも答えております。  日本経済新聞の社説でも、この問題は二国間の問題だということで、マングラプス外相との間で、米比両国の間の問題だということを確認したということの報道もありますけれども、アメリカの基地交渉と連動する日本のフィリピンに対する経済協力ということで社説まで出している。言うならば、国際的にこの問題が連動しているということはもう常識になりかけているのです。  私は、そこで伺いたいのは、マングラプス外相が来られて会談をされたと思うのですが、そこでは無償援助の拡大ということもあったというふうに報道をされております。外務省アフリカなんかにはノンプロジェクトの無償供与ということをやっているというようなことも答弁がありましたけれども、ノンプロジェクトの無償援助ということになれば使途は自由ということになるのではなかろうか。これは金に印はついていないということで、基地の貸与料をアメリカに対して増額を要求しているフィリピンがそういう方向へ使うという可能性も決して否定できないのではないか。この無償援助について、フィリピン援助についての日本政府のその点に関する方針をまず伺っておきたいと思います。
  143. 英正道

    英政府委員 現在フィリピンに年間大体百億円の無償援助が出ておりますが、これは若干の食糧援助とか食糧増産援助というものを除きますと、いわゆるプロジェクトタイプの援助でございます。フィリピン側から今年度の援助について要請が今出てくるところでございまして、無償の分野においても日本に相当の援助をしてもらいたい。御案内のように、円借款は相当額が出ておりますが、二百八十億ドルとも九十億ドルともいうフィリピンの債務の累積問題というのを考えますと、やはり返済を伴わない贈与形態の援助が欲しいという気持ちは非常に強いようでございます。  私どもが承知している限り、現在、先方は農業分野について日本無償援助を相当お願いしたいという気持ちを持っているやに感じております。
  144. 松本善明

    松本(善)委員 軍事援助との関係について、基地の問題についてのことを聞いたのだけれども全然答弁がなかったのですが、そのことについての方針を聞きたいのです。  それとの関係でさらに聞いておきたいのは、今フィリピンでは憲法の非核条項の問題が起こっていますね。それについての非核法案ができるかどうかという問題が大きな問題になっている。在比米軍司令官は、スビック米海軍基地司令官ですけれども、テオドロ・レウィンという人で、この憲法の非核条項を厳格に実施するなら米軍の作戦行動は妨げられ、米比両国関係は断絶するだろう。このこと自身内政干渉ではないかというふうに私は思いますけれども、フィリピンが非核ということになる、あるいはアメリカとの関係が断絶をするとか、あるいは悪くなるとかいうようなことと日本の経済援助、これは関係ないかどうか。  それからもう一つ。フィリピンを含めてASEANは非核地帯にするということが言われておりますけれども、その問題についてかつて倉成外務大臣が否定的な発言をして大反発を受けたことがありますけれども、フィリピンを含むASEAN諸国が非核地帯になるということ、これについて外務大臣はどうお考えになっておるか。  日本が本当に非核だと言うなら当然歓迎すべきである、非核地帯が広がることは当然歓迎すべきであるというふうに思いますが、この三点、第一はフィリピン経済援助とアメリカの基地の問題、それから第二は非核法案ができるとか、非核になる場合の日本の経済援助、第三はフィリピンを含むASEANの非核地帯についてどう考えるかという問題ですね。
  145. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この間マングラプス外務大臣と出会ったことを具体的に申し上げた方がかえってわかりやすいと思います。マングラプス外務大臣がお越しの節には盛んに日本が肩がわりを要請されるのじゃなかろうか、こういうような話がございました。私もそういう話が出るかな、出たらこう言おうと思っておりましたが、一切なかったわけです。  だから、私の方からむしろ、そういう問題がしばしば耳に入ってくるが、今、日本は国会開会中で終始私は衆参両院において申し述べておるが、我が国といたしましては、基地の問題はあくまでもフィリピンとアメリカとの話であって、日本がそれを残した方がいいとかあるいは廃止した方がいいとか、そういうことは一切申し上げるべき立場にない、これをまず申し上げておる。  したがいまして、私たちが肩がわりする云々という問題については、もう皆が関心を持っておる問題だが、そうしたことはあり得ません。第一、日本は軍事大国にならないということを誓いながら今日の経済大国ということの理解を深めておるところである、こういうふうにはっきり申し上げまして、マングラプス外務大臣も基地等の問題は私たちの問題でございますとはっきり言われましたので、そうした要請もなければ、私が今申し上げたように、むしろこちらから我が方の立場を申し述べてはっきりさせておきました。  経済援助の問題に関しましては、現在、米が去年の干ばつで相当だめになっておりますから米をどうしても輸入したい、それは結構でしょう、ついてはひとつ円借款ということでいっていただければ検討いたしましょうということを申し上げまして、ついこの間行きましたときに第十四次の借款の合意、調印をしたわけでございますから、それに対しまして今度は十五次並びに十六次、こういうようなお話でございました。  それはまあフィリピンのアキノ政権を支えてあげたいと私たちも思うし、民生の安定と思うけれども、日本にも限度があるので、そう次々おっしゃっても困ります、幸いなるかな過般いろいろなところから、アメリカ日本も豪州もECも、世界銀行的なものができたらいいがという話もあったから、もしそういうようなことなら我々も参加するにやぶさかでない、こういうふうに申しまして、あくまでも、軍事基地の経費を持つとか肩がわりをするとか軍事基地を残すのは必要だとか、そういうような内政干渉めいたことは今日一切ございません。また、アメリカからもそういう問題につきまして我が方に対する要請はございません。  また、非核問題に関しましては、これはアジア局長から答えてもらおうと思っておりまするが、これまたASEANにおける一つの話でございますから、我が国がそれを積極的に評価したりあるいは消極的に評価しなかったりということはいかがなものであろうか、ASEAN自体の問題である、こういうふうに考えております。アジア局長からさらに答弁をせしめます。
  146. 藤田公郎

    ○藤田(公)政府委員 非核地帯の問題、今大臣からの御答弁に特につけ加えることもございませんけれども、累次申し述べておりますように、東南アジア非核地帯構想をどう取り扱うかというのは基本的には域内諸国がみずから決めるべき問題である、コメントする立場にはない、我が国としてはASEANの今後の検討の状況を見守っていきたいということでございまして、非核地帯全般に対します我が国立場は累次四点を申し上げておりますので、特に御要望がございましたら、また繰り返して申し上げます。
  147. 松本善明

    松本(善)委員 答えられていないのは、フィリピンの基地のいかんにかかわらずフィリピンに対する経済援助はなされるのかどうかという点です。
  148. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 全くそうしたこととは別に、やはりフィリピンが今日さらに民生の安定を図りたい、福祉の向上を図りたい、これにはできる限り経済的協力をしてあげなければならぬ、そういう立場でございます。
  149. 松本善明

    松本(善)委員 終わります。
  150. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 午後一時十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ────◇─────     午後一時十七分開議
  151. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。甘利明君。
  152. 甘利明

    ○甘利委員 在日米軍の労務費特別協定の改正に関する質問をさせていただきます。  国家の国民に関する基本的な責務というものがございますけれども、これは言ってみれば、あらゆる脅威から国民の生命財産を守っていくということであろうと思います。こう言いますと、税務署の脅威からおのれの財産を守ってくれるのかなんて言う人がいますけれども、これはあらゆる非合法な脅威から国民の生命財産を守るということが国家の基本的な責務でございまして、国内的に言いますと、警察力で治安を担当する、そして国際的には防衛力をそれぞれ適切に整備をして、あらゆる脅威から国民の生命財産を守るというわけでございます。  世界から軍備がなくなれば――なくなっても平和が維持できればこれにこしたことはないわけでございますけれども、こういった議論は、警察がなくて治安が可能ならこれにこしたことはないというのと同等な議論だと思います。言ってみれば、政治家の我々の希望ではあっても現実にはそうはいかないわけでありまして、この希望と現実を混同して議論をするというのは、責任ある政治家立場ではないと考えるわけでございます。  戦後、我が国は、日米安保体制によりまして我が国自身は最小限の自衛力、防衛力の整備をすることで治安を確保することができたわけでありまして、この我が国の選択が正しかったということは、これまで他国から軍事的な侵略を受けることなく、自由と民主主義体制のもとに繁栄を享受してきたということからも事実であります。つまり、日米安保条約によりまして防衛のかなりの部分を担当していただいた、日本側は必要最小限の自衛力を整備をする、そして残りの余力を経済の振興等に投入してきたわけでありまして、もちろん日本人の勤勉な努力があったからこそという前提はつきますけれども、日米安保体制のもとに今日の繁栄があると言ってもこれは決して過言ではないと私は考えるわけでございます。  そこで外務大臣に伺います。日米安保体制の現状に関する認識、そして今後の運営についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかを伺いたいと思います。
  153. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今甘利委員がおっしゃいましたとおりに、政治の要諦、一には国民の生命財産を守るということであろうと思います。そうした立場から日米安保体制がしかれまして久しいわけでありますが、我が国が今日の繁栄を得ましたこともそうしたことが大きな原因の一つであろう、これも私は正しい認識ではないだろうか、かように考えます。  我が国は、憲法から申し上げましても、その他のあらゆる面において既にして他国の紛争に戦力を用いないいわゆる戦争放棄の国民でございますから、言うならば二十世紀後半においては私たちは世界においても特筆大書すべき国民だと思ってよいと思います。そうした中におきまして、我々はやはり安保体制下においてそうした選択をしたということも正しいことであったと思う次第でございますが、国民の生命財産を守るという点から考えました場合に、あるいはどこからか、東西南北いずれかは知りませんが、急迫不正の侵略があった場合にはこれに対応する、他に手段なければ必要最小限度の防衛力というものはみずから用いなければならない、そのような心構えでやってきたということも今日の繁栄の大きな原因であろうと私は思います。  そうしたことで、外交におきましても西側陣営にいること、アジア・太平洋諸国の一員であること、なかんずく日米基軸は忘れてはならないこと、かように思いますから、その日米基軸の言うならば一つの大きな原動力ともいうべき日米安保体制は今後とも大切にしていきたいものである。そして安保条約そのものは先ほど申し上げましたような場合といえどもやはり円滑に運営されるということが平和を保つゆえんである、一つの抑止力である、こういうふうに考えて尊重していかなければならない、かように思っております。
  154. 甘利明

    ○甘利委員 大臣からも日米安保条約日本の発展に果たしてきた役割は非常に大きいというお話をいただいたわけでございます。防衛論議をしますと、必ず一部で非武装中立論というのが出てくるわけでありますけれども、先ほども申し上げましたとおり、防衛力を持たずに世界の平和が維持できればこれはこれにこしたことはないわけでありますけれども、現実にはこうやって我々が議論をしているこのさなかにあっても世界じゅうではあちこちで紛争が起きているわけでありまして、小競り合いの武力衝突を含めますと十数カ所で恐らくそういう衝突が起きている。  たくさんの死傷者がきょう今現在でも出ているわけでありまして、イラン・イラク戦争は一九八〇年から続いているわけでありますし、国連が間に入ってもこれはいつ終わるか、終結するかわからない状態であります。ベトナム・カンボジア紛争も一九七七年からですから、もう十年間も延々と続いているわけでありまして、西サハラ紛争にあっては一九七三年から今日まで至っているわけであります。これ以外にも世界の各地でいろいろと紛争は起こっているわけでございまして、自衛力を持たずに平和を保っていくということは確かにそれはそれで理想かもしれませんけれども、現実に世界に脅威というものが存在する以上、実態に即していないというふうに私は考えるわけであります。  そして、こういう議論をしてきますと、それじゃ一体全体日本には脅威は存在するのかということを言われる方もありますけれども、現実に我が国固有の領土である北方四島に七八年からソ連が一個師団を配備しております。一個師団といいますと実に一万人以上の兵力でありまして、その一個師団が常時戦闘訓練をしているわけであります。聞くところによりますと、上陸訓練までしているという話もありました。北方領土で上陸訓練をするといえば、もう上陸する先というのは北海道しかありません。これが脅威じゃなくて果たして何が脅威に当たるのかというふうに思うわけであります。  一方、武装したソ連の軍用機がたびたび日本の領空を侵犯しているという事実も確認をされているわけであります。防衛庁、来ていただいていると思いますけれども、ちなみにソ連機の領空侵犯はどの程度把握をされていますか、確認をされていますか。
  155. 大森敬治

    ○大森説明員 お答え申し上げます。  我が国に対する領空侵犯の回数でございますが、防衛庁の記録にありますところでは過去二十回ございます。いずれもソ連機によります領空侵犯でございます。  また、昨年、六十二年を見ますと、八月に礼文島領海上空の侵犯と十二月に沖縄本島の上空を侵犯したという二つのケースがございます。
  156. 甘利明

    ○甘利委員 一回や二回ならちょっと間違えたという話も、それも近代計器を積み込んでの装備でありますから、そういうこともないと思うのでありますけれども、確認されているだけで近年実に二十回ある。ただ間違えてちょっとごめんなさいということにはいかぬと思うのです。これは外務省から抗議は申し込んでいると思うのですけれども、どういう返答をされていますか。
  157. 大森敬治

    ○大森説明員 外務省の方からお答えいただくことかと思いますけれども、防衛庁といたしましては、直ちに外交ルートを通じまして抗議していただくということでお願いしておるのでございますが、防衛庁承知しておる限りにおきますと、回答といいますか返答はまちまちでございまして、場合によれば事実を否定する、回答がないということもございます。  最近の例で申し上げますと、昨年十二月の沖縄のケースにおきましては、ソ連側は直ちに遺憾の意を回答してきておりますし、また、八月の礼文島領海上空のケースにつきましては、陳謝の意を表してきております。そういうふうに防衛庁としては承っております。
  158. 甘利明

    ○甘利委員 本当に領空侵犯があるたびに外交ルートを通じて日本側が抗議をしている。その舌の根も乾かないうちにまた領空侵犯がある。これは承知でやっているのに違いないというふうに理解をせざるを得ないと思うのであります。こうしたもろもろの脅威がある以上、適切な防衛力を整備してこの脅威に対抗していかなければならないのは自明の理だと思うわけでございます。  ところで、日米関係に関しまして日米三分の一経済圏という話がありまして、昔も今も日本アメリカの経済力を足していくと世界の経済力のちょうど三分の一に該当するというわけであります。日米の経済力というのは、昔も三分の一、今も三分の一、あるいは将来も三分の一の状態が続くかもしれないという話でありますけれども、同じ三分の一でありましても、昔と今とでは大違いであります。  昔、昔といっても二、三十年前でありますけれども、昔は日本の経済力、GNPの世界経済に占める比率というのは約三%、三%でもなかなか大したものだと思いますけれども、日本の経済力が三%、アメリカの経済力が三一%、足して三四%で世界経済の三分の一、今は日本の経済力が一二%、アメリカが二一%、足して三三%でやはり三分の一というわけでありまして、昔も今も日米三分の一経済圏というのは変わらないわけでありますけれども、内容が大きく異なってくるわけであります。  昔は日本の経済力はアメリカの十分の一、今はアメリカの二分の一強というわけでありまして、この委員会でもいろいろ議論がありますように、アメリカ側の安保ただ乗り論とかあるいは技術ただ乗り論というのがありますけれども、これは日本側は相変わらず昔の三%意識のままで日米関係を見ているのではないか、もう今は一二%意識を持ってもらわないと困るじゃないか、そういうところから出てきているのではないかと思うわけでございまして、国力に応じてもう少し責任を分担をしていくべきであるという議論が出てくる、これは全くそのとおりであると思うわけでございます。  ところで、軍隊といいますと、軍にとって重要なことは、一つは装備の問題があります。どんなに優秀な兵隊を抱えていても、竹やりに石つぶてではもちろん戦力にはなりませんですし、その一方で、軍人の士気というものも同等に大切なものである。立派な装備を持っていても、それを使用する兵の士気が著しく低下をしていたのではまさに猫に小判でありますから、軍の装備と士気、優秀な装備と軍人の士気高揚が相まって初めて強力な戦力となるわけでありまして、強力な抑止力となるわけでございます。  先般、駐留軍米軍人が、円高で町に出てレストランで満足に食事もとれないというようなお話を大臣からも伺ったわけでございますけれども、米軍も軍人の士気の維持をしていくことに非常な苦労をしているということを聞くわけでございます。米軍軍人の士気の維持というのが我が国の安全保障に関して非常に重要なかかわり合いを持ってくるということは言うまでもないことでございまして、今後在日米支援措置、これをどういうふうに行っていくか、どういう考えで進めていかれるか、これをひとつ大臣に伺いたいと思います。
  159. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 米国の駐留軍が、いざというときは身命を賭して我が国を守る、こういう義務を持って我が国に駐留いたしておりまして、それに対する甘利さんの日米間のいろいろな比較論がなされました。四十三年前の日本と今日の日本とは余りにも大きな懸隔があり、GNPにおきまして両国合わせてまさに地球の三分の一を持っておる。したがいまして、当然世界各国からも、日本はGNPでは三分の一をアメリカと共有しておるが、貿易黒字に関しては一千億ドルの黒字を持つ大だんなである、こういう表現をする人も多々ございます。  そうした中で、我が国を守るという義務を持っている駐留軍は、極端な円高・ドル安によりましていろいろと経済的な負担が募るばかりである、こういうふうに考えてまいりますと、やはり我々といたしましても、当然そうした経済的な負担の募る米国駐留軍に対しましても、日本日本としての考え方も示さなければなりません。それが従来言われてきた思いやりという言葉になるのでございましょう。  思いやりという言葉は、この間もこの外務委員会で議論がありましたが、持てる者の持てない者に対する配慮、こういうふうに考えますと、我が国もちょっと僣越千万な言葉を使っておるな、こういうふうに考えておりますが、今変えますと、またがらっと変わったのかということになりますと大変ですから、一応その言葉の善悪は別といたしまして思いやり、こういうふうに使っておりますが、そうしたことにおきまして今回は我が国の、特に従業員が約二万人いるわけでございますから、そうした方々の雇用の安定ということも念頭に置きながら特別の協定によってそうした手当は、せめて全額は持たしてもらう、こういうふうな考えに移ってきたというのが現在の我が国の自主的な判断である、こういうふうに御理解賜りたいと思います。
  160. 甘利明

    ○甘利委員 我が国にとりましては、日米関係というのは重要な基軸だと思うのです。今までもそうであったし、これからもそうである。それは外交上もそうだし、経済上もそうだし、あるいは防衛上もそうだ。すべてにとって日米関係というのは重要な基軸になっているわけでありますけれども、これから先も安定的にこの基軸がしっかりと位置づけられるかというと、諸般の情勢はなかなか厳しいようでございます。  先般アメリカのアーミテージ国防次官補がその演説の中で、日本はけしからぬとアメリカ人はみんな言うけれども、日本も相当に努力をしているのだ、例えば防衛力の点についても日本はいろいろな制約があるけれども、その中でできる限りの努力はしている。だからアメリカ人が感情的に一から十までみんな日本が悪いと言うのは戒めるべきだと言われたと聞いております。  そういった演説を通じて対日批判論を戒めたわけでありますけれども、同盟国として当然求められている我が国の方の努力、それを怠ってこういった良識ある少数派の立場すらなくしてしまうことにでもなれば、まさに日米関係の基軸が揺らいでしまうことになりはしないか、それは我が国にとっても決して得策ではないというふうに私は考えるわけでございます。  そこで、この改正議定書の中身に入っていくわけでありますけれども、近年急速に円高が進み、在日米軍の経費はドルベースで急激に増加してきており、在日米軍の活動において重要な役割を果たしている日本人従業員の安定的な雇用を維持することが、米側の財政的困難によってますます困難な状況となってきている、こういう事態に対応するためというわけで、今回労務費協定の改正が提案をされてきているのであろうと理解をしておるわけであります。  これは、昨年五月に締結をした特別協定の改正をするということでありますけれども、この外務委員会でもたびたび、この間締結をしたばかりなのに、どうしてやったと思ったらすぐまた変えなくてはならぬのだという議論が大分出ておりました。円高の見通しというのは、総理いわく、神のみぞ知るということでありますから、見通しを立てることはなかなか難しいことであろうとは思いますけれども、そこら辺のところをわかりやすく、どうして改正をする必要が生じたかというのを御説明をしていただきたいと思います。
  161. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 事実関係でございますので、私から説明させていただきますけれども、政府は昨年日米両国を取り巻く経済情勢が変化した、そして在日米軍経費が急激に圧迫されている、その事態にかんがみ労務費特別協定を締結させてほしいと申したわけでございますが、その後の為替面における大幅な変化がさらに生じまして、在日米軍経費、なかんずく円で支払われている在日米軍労務費に係るドルベースの負担が急増したということでございます。  これをより具体的にお話しいたしますと、六十三年度におきましては日本側で特別協定の対象たる手当の半分、限度いっぱいを負担しようとしておりますが、特別協定を検討した際の六十一年十二月の一ドル百六十二円三十銭のレートが維持されていたと仮定いたしますと、在日米軍従業員の労務費の米側負担総額は七百八十五億円でございますけれども、これが約四・八億ドルであったはずであります。しかし、円高が進行いたしましたため、昨年十二月の一ドル百二十八円四十銭を用いると、七百八十五億円と申しましたが、これが約六・一億ドルと試算されます。このような背景がございまして、今般特別協定の改正をお願いしている次第でございます。
  162. 甘利明

    ○甘利委員 この労務費特別協定については政府は暫定的で特例的、時限的、こういった措置であるというふうに説明をされておりますけれども、今回の改正によってもこういった性格に変わりはないのかどうか。  それから、この外務委員会でもたびたび議論が出てきておりましたけれども、日米地位協定との関係はどういうふうに考えておられるのでしょうか。
  163. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 今回、御審議、御承認をお願いいたしております議定書は、現行労務費特別協定の改正でございます。現行労務費特別協定は、昨年も、またことしも御説明申し上げておりますように、地位協定第二十四条につきましては、期間が限定された暫定的かつ特例的措置を定めたものでございまして、地位協定の特則でございます。したがいまして、同条に申します経費負担についての基本原則そのものは変えてはいないということでございます。  それから、本件議定書によります現行労務費特別協定の改正は、この特別協定の性格を変えるものではないと考えております。
  164. 甘利明

    ○甘利委員 この特別協定の改正は安保体制の効果的な運用のために重要である、そうである以上は一刻も早い実現を期すべきであるというふうに私も考えておりますけれども、政府とされては今後どういうような予定で予算上の手当てを行っていかれるのか、その辺のところも伺いたいと思います。
  165. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 政府といたしましては、御承認いただければ、この特別協定の改正によりまして次年度当初から円滑にこの負担を実施できるようにすることが大切であると考えております。
  166. 甘利明

    ○甘利委員 時間がなくなってきておりますのでちょっと予定した質問を飛ばしますけれども、今回の改定は在日米軍の活動において重要な役割を果たしている日本人従業員の安定的な雇用を維持するというふうなことがうたってあるわけでありますけれども、今回の措置を行う場合、これら従業員の雇用問題についてはどんな見通しを持っていらっしゃるのか。今までも野党の先生からもいろいろな御心配やらを含めた御質問が出ておりましたけれども、その辺についてももう一度明らかにしていただきたいと思います。
  167. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 在日米軍の財政的窮状は、今般の改正による新たな枠組みのもとで今後とられる措置によりまして相当程度緩和されることが期待されております。したがいまして、米側も、従業員の雇用の安定についてはできるだけの協力を約束いたしております。在日米軍の財政事情には極めて厳しいものがございまして、当該措置だけで不安定要因が完全に解消されるとは申しがたいと思いますけれども、我が国といたしましても厳しい財政事情の中からこの問題について格段の努力を払っている次第でございまして、今後とも米側において在日米軍従業員の雇用の安定確保のため最大限の努力が払われることを期待しております。  なお、沖縄海兵隊クラブの人員整理、これはたびたび取り上げられてまいりましたけれども、これを回避するよう日米間で鋭意協議を重ねてきたところでございますけれども、先日、米側から撤回する旨通知がありましたことは既に明らかにしたとおりでございます。
  168. 甘利明

    ○甘利委員 実は私の選挙区は神奈川三区でございまして、たびたび出ておりますNLPの問題、厚木飛行場というのは私の選挙区でございます。厚木市と綾瀬市にまたがっているわけでございます。ただ、NLPについて近隣の四市で先般も陳情がありましたけれども、市民の気持ちを正確にお伝えをいたしますと、日米関係日本のこれからの発展についても重要な基軸であるということはほとんどの市民が理解をしていることであります。そして、そのために安全保障条約が重要な役割を果たしているということもよく理解をしている。そして、日ごろのNLPの訓練が戦力の維持に欠かせないということについてもよく理解をしているわけであります。  ただ、いかんせんあの周辺は民家が大分立て込んでおりますし、その騒音たるやかなりもう忍耐の限度、我慢の限度を超えている。また、訓練をする方にとっても、夜間の発着訓練でありますから、そういう状態が確保されなければならないと思うのでありますけれども、周辺は民家が立て込んでおるわけでありまして、明かりがいっぱいついているから余り訓練にもならないのだろう、受ける側もする方もあの場所は都合が悪いのではないかと思っているから、早く代替の基地を探してほしいということでありまして、周辺の市民運動が日米関係を否定したりあるいは日米安保条約を否定していることでは決してないということだけはこの際申し上げておきたいと思うわけでございます。  今まで大変丁寧に御答弁をいただきました。外務大臣におかれましては、今まで述べてこられたようなことを踏まえてぜひ円滑な実施を図られますことを希望申し上げまして、質問を終わります。
  169. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 高沢寅男君。
  170. 高沢寅男

    ○高沢委員 現在アジアでアメリカ軍が基地を置いている国々の中で、日本と同じようにその国がアメリカの軍隊の駐留費用を負担している国は日本以外にあるでしょうか。
  171. 藤田公郎

    ○藤田(公)政府委員 我が国以外のアジア諸国では韓国及びフィリピンに米軍が駐留をいたしておりますが、米軍の経費負担の有無ということにつきましては、我が国にとりましては、第三国同士の間、米国と当該国との間の問題でもございますし、必ずしも正確に把握するという立場にもございませんので、私どもの方からその点について申し上げるのは差し控えたいと存じます。  しかしながら、米軍への基地提供との関連で米国からの援助等を行っている例としては、米比軍事基地協定が一九八三年に改定をされました結果、米国が五年間に九億ドルの援助を供与することになったということは私どもも承知いたしております。
  172. 高沢寅男

    ○高沢委員 今我が国以外にアジアで米軍が駐留しておるのはフィリピンと韓国、こう言われましたが、恐らくフィリピンにせよ韓国にせよ、そちら側から米軍の駐留費を負担しているということはないだろうと思いながらお尋ねしたわけです。その点は、アジア局長ははっきり他国のことだから言わないということですが、それに対して賃貸料を出しているのはフィリピンである、これははっきりしたわけでございますね。  そこで、そのフィリピンでありますが、マングラプス外務大臣が来日されたわけですが、この外務大臣日本へ来られる前に在マニラの朝日新聞の記者と会見されて、こういうことを答えておられるのです。  まず、フィリピンにある米軍の基地は、フィリピンとかあるいは東南アジアの地域の安定のためというよりはアメリカ自身の世界戦略のためのものなんだ、こういう一つの評価。第二には、フィリピンが今直面している脅威というのは国内の右、左の関係であって、フィリピンに対しては国境の外に別に敵はいない、こういう見方。第三には、したがってフィリピンにある米軍基地の兵器はいわば外に向けられたものであって、我々フィリピンの国内における脅威というものに対してはこういう米軍の兵器は何の役にも立たないんだ、こういう評価を述べられたということであります。  この評価をそのまま結論を出してみれば、要するにスビックの基地とかクラークの基地とかいうのは、フィリピンにあるが、何もフィリピンのために役に立ってはいない、こういうような評価になるわけでありますが、大臣とマングラプス外相がお話をされた中でこういうお話はフィリピンの外相から出たでしょうか。
  173. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 基地そのものの問題は、日本においてはいろいろと話題になっておるよということを私の方から申し上げたわけでございまして、そのことは国会においてもしばしば問題になるが、基地の存廃ということはあくまでもアメリカとフィリピン自体の問題であって、我が国がそれに介入する問題ではない、したがって現在もまた未来にわたっても基地に対する肩がわりということについては私たちは毛頭考えておりませんし、このことはアメリカのいろいろな方々にも申し上げたよということは実はこちらから申し上げてきました。  ただ、マングラプス外務大臣は、今高沢委員が御指摘になられました国内問題として、やはり共産ゲリラには多少手をやいているんだ、しかしながらアキノ大統領が、御祖先が中国福建省の方であるのでお墓参りに帰られて、そうしたことも兼ねて鄧小平さんともお目にかかることができた。そのときに中国側の答えは、共産ゲリラは私たちは支援しません、私はアキノ政権を支援します、こう言ってくれたことは宇野さん大変大きなことでした、こういうふうに率直に私に語られたことがございます。このことはアキノ大統領みずからも既に公になさっていることでございますので、私もここで申し上げた次第であります。
  174. 高沢寅男

    ○高沢委員 一九九一年が今の米比の基地協定の期限でありますが、その後フィリピンの米軍基地は存続しない、仮にそうなった場合、このことがアジア情勢にどういう影響を与えるか、あるいは日本の安全にどういう影響を与えるか、我が国政府としては既にその辺の評価をされておるかどうか、いかがでしょうか。
  175. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在フィリピンに基地があるということは、太平洋並びにアジアの安全にとりましても大きな役目を果たしているであろう、かように思っておりますが、まだフィリピン国民自体も大統領自体も、一九九一年の期限切れにどうするかということは今のところ全く白紙だということでございますから、私たちが一言ここで物をしゃべることは何か日本として介入したようなおそれにもなりかねませんので、私は今の問題に対しましてはコメントは差し控えさせていただきたい、かように思います。
  176. 高沢寅男

    ○高沢委員 実は日本・フィリピン友好議員懇話会、これは我が国会にある超党派の会でありますが、自民党では小坂先生が会長をされております。各党から参加しておりますが、私は社会党から副会長という形で参加をいたしておりますが、その日本・フィリピン友好議員懇話会が昨年十一月、ごく短期間でしたが、マニラを訪問したわけです。  そのときにフィリピンのジャーナリストたちとの会見という場がありましたが、在フィリピンの米軍基地の存続かどうかということをあなた方日本の人はどう考えるか、こうい質問が実はあったわけです。小坂会長が代表して答弁されましたが、そのときも、まさにそれはあなた方フィリピンの皆さんがお決めになる問題で、我々がどうこうと申し上げるあれではありませんというふうに答えたわけですが、それはちょうど今の大臣のお答えと一致することになるわけであります。ただしかし、それがなくなったときにアジアの情勢にどういう影響を与えるかということは、公にするしないは別として、評価はしておく必要はあるだろう、こんなふうに考えるわけです。  それで次へ進みますが、アメリカの在フィリピン基地に対する賃貸料が出されてきておる。先ほど藤田局長から五年間で九億ドルという金額の説明がありましたが、こういう金額がまた今度基地の延長に伴って、フィリピンの方は出せと要求しておる。その辺がどうなるかは今後の問題でしょうけれども、もしそういうお金が仮にアメリカから出されたとして、私は基地の賃貸料という形であっても、出たそのお金は当然今のフィリピンの経済危機を乗り切る、あるいはアキノ政権の経済危機を乗り切るためのお金として働いていくということになろうと思うのです。  これは私も、今のフィリピンは約二百八十億ドルの対外債務があるということを聞いておりますが、そういう意味では今のフィリピンもとにかく幾らかでもお金が欲しいという立場だと思います。そうすると、基地の賃貸料としてアメリカから出されたとして、そのお金もフィリピンから見ればまさに経済危機を乗り切るための資金として働いてくるというような関係になるのだろうと思うのですが、そういう性格を見て、一つ次の質問になるわけです。  先般、アメリカのシグール国務次官補が来日されて竹下首相にお会いになった際に、対フィリピンの経済援助をもっと日本は強化してくれということを要請されたというふうに聞いているわけでありますが、こういう要請に対して当時竹下総理がどうお答えになったか、あるいは日本外務省としてこれにどういうふうに対応されたか、このことをまずお尋ねしたいと思います。
  177. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 シグールさんは私もお目にかかりました。そのときに、フィリピンに対する、アキノ政権が非常に安定してきて喜んでいるというふうな見方のお話もございました。それで、私のところに来るアジアの方々のほとんどが、やはりアキノ政権は出発が女性であったし、いろいろ反対勢力もあったが、一生懸命やっておられて最近においては見るべきものがあるねと、日本政府として治安状態なりあるいは経済状態に関する意見の交換は行いました。そのときに、具体的に基地がこうだから何とかせいとか、してほしいとか、そういう話はさすがシグールさんからは一言も出ておらないわけであります。  ひたすらフィリピンの今後の、アキノさんを助けてあげるためにはどうすればいいだろうかというような話の中に、アメリカといたしましては、単に日本だけに強要するのではなく、アメリカもいろいろと頑張っておるけれども、こうした問題については広く西側陣営としてヨーロッパともまた豪州とも話し合っていったらどうだろうか、私はこう思うというような話があったわけでございます。  これが言うならば、よく伝えられておる世銀的性格の援助、私はみずからそういうふうな定義を下したわけでございます。かつて世銀が、インドネシアが財政窮迫のときに乗り出して助けたというふうないろいろなこともございましたから、そうした頭もありますから、まだこれという構想はありませんが、そうやっていろいろな国々が寄って、世銀的使命においてフィリピンの民生安定、また経済発展のために支援してあげるという構想、それならば私たちも十分検討に値する話だね、こういうふうに申し上げたわけでございまして、シグールさんもそういう話し方でお帰りになった。恐らく総理との間におきましても同様の応答がなされた、私はこのように思っております。
  178. 高沢寅男

    ○高沢委員 今のシグールさんの要請は大臣から御説明ありましたが、今度来日されたマングラプス外相からも、これは新聞によりますと、宇野外務大臣との会談の中で第十五次円借款を増額してほしいという話と、あわせて米国などと足並みをそろえた多国間の援助の形で新たな対フィリピンの経済援助をやってほしい、こういうふうな要請があったと言われておりますが、マングラプス外相からもそういうお話があったわけですか。
  179. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 フィリピンは、マングラプスさんはこのように言われました。実は今のところはフィリピンの各省がそれぞれプロジェクトを持っておるわけですから、したがいまして、大使館に対しましては、あらゆる省からこういうプロジェクトをひとつ日本は援助してくれといろいろ来ておるであろう、だから私は外務大臣として、総攬者として、日本には今後の援助をお願いしたいと思います。まだ、その体制なりプロジェクトが一本に固まっておらぬということは大変残念だ、しかしながら、今のところは、まずお米が干ばつで足りなくて買わなくちゃなりません。日本から米を買うとは言わなかったわけですが、その買う資金として何とか手当てをお願いしたい、こういうふうに申しますから、これは円借款でやられたらいいんじゃないですか、それはいつでもプロジェクトをお出しください。それに関しまして、この間十四次が調印が終わりましたので、そういうことでございますから、また十五次並びに十六次に対しましても日本政府の御協力のほどをひとつお願いしたい。そのためには、今申しましたように、外務省としてきちっとしたプロジェクトを決めてきてくださいよ、そういうふうに申し上げたわけです。  そうした会話の中におきまして、日本も今財政再建をやっている最中で、貿易の面では黒字かしらぬけれども、政府としては非常に苦しい中ODAというような予算を組んでおる次第である、したがって、次から次から言われましても、十五次、十六次幾らとは金額は言わなかったわけですが、そうやっておっしゃってもなかなか難しい面があります。ついこの間アメリカのシグールさんは世銀的な話をしていましたよ、そういう話をしたわけです。  それに対しまして、そういうふうな話も我々としては非常にありがたいお話でございますから、ぜひともそうやって多くの方々から助けていただきながらお願いしたい、なおかつ、累積債務も相当になっておるので、これにも頭を痛めていますという話をされた、というのがそのときの会話の内容であります。
  180. 高沢寅男

    ○高沢委員 今の大臣の経過の御説明をお聞きしますと、私は、やはりシグールさんがなされたお話とフィリピンのマングラプス外相が出されたお話というのは、結局事実上、重なり合ってきておるというふうな性格のものじゃないかと思いますが、この辺の大臣の御認識はいかがでしょうか。あらかじめ相談されてきたのかどうかということは別として、内容としては同じ性格のことをそれぞれ言われておる、こういうふうに受け取っていいでしょうか。
  181. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 世銀的な話は、私が、日本としても十五次、十六次と立て続けにおっしゃるということに対してちょっと予防線を張ったというふうな感じの方が、そのときの私としては強かったわけでございます。そうして、マングラプスさんの方も、申し上げましたとおり、十五次すらまだ内容がまとまっておりません、これはまとめてきますから。こちらは何もせぬとただ申し入れているわけじゃございませんということで、金額も何もお話しになっておりません。ただ、金額に関しましては、裏の裏の方からいろいろな話が伝わってきておったんです。そのことはちょっと過大な感じがしました。と申し上げますと、その対象としてはやはり農地改革をやりたい、これが今のアキノ政権として一番大きな課題で、農地改革は必要でしょうねと私どもでも賛成しております。しかしながら、一割の地主が九割の土地を持っておるというお国柄でございますから、これがどのようにスムーズにいくか。  そうしたことで、私たちはその間のつなぎとして御承知のとおり石川商工会議所会頭を筆頭とした大デレゲーションを送りまして、そうして投資を再投資するか、新しい投資があったらしてあげてくださいよ、もう政府も手いっぱいだし、あなた方もひとつ助けてくださいよというようなことで、非常に新しい投資を含めて相当額の話が日本の産業界、経済界とフィリピンとの間には成り立ちました。  そういうことがございましたから、マングラプスさんも余り具体的な話はなさらなかったんです。したがって、私も、そうしたプロジェクトのきちっと決まったことなら、将来いろいろ考えましょう。ついては、やはり日本ではもう背負い切れない問題があるいはあるかもしれぬ。しかしながら、あくまでもプロジェクトというものはきちっとしてもらわなくては困りますよ、そういうふうに申し上げまして、そこで世銀的な性格の云々という話を申したわけでございますから、決してシグールさんの話とオーバーラップするわけでもなく、また相手国のフィリピンの外務大臣もそのことを期待して、そればかりで来ておるというわけでもありません。やはり新聞にはそのように書かれて、そのとおりでありますけれども、そういうわけでもなかった、その間の交渉は。本当の十五次以下のプロジェクトのことではないんです。  そうして、農地改革もやりたいという意欲は満々たるものがありますが、じゃ、どこにどうやって金が要るか、これも調査しなくてはなりません。それで、特にフィリピンに関しまして、御承知のとおりに我々といたしましても従来の経緯もこれありました。しかしながら、今新しい政権ができた以上は、期待に沿うようにしてあげるべきだという基本的な考え方がございますから、日本におきましてはフィリピンに関するパネルというものをこしらえて、先年は大来元外務大臣を団長として行ってもらっていろいろ検討してもらって、詳細にわたってこちらはこちらで考えてあげるところは考えてあげよう、それに基づいた経済協力、こういうふうに限定してやっていきたい、かように思っております。
  182. 高沢寅男

    ○高沢委員 今大変詳細に大臣から御説明がありましたが、かねてからアメリカの議会筋あたりで、フィリピンにある米軍基地の賃貸料は日本に出させればいいじゃないか、こんなような意見が出たりということは報道されている。これは我々としては非常に何といいますか、それこそセンシティブな、そんなことがあったら大変だ、こういうふうな感じを持って、したがって当委員会でもそのことが何度か問題になり、そのたびに大臣からは、そんなことは絶対いたしません、またアメリカもそんなことは要求しておりません、こういう御説明があったわけです。  ただ、私は少し人が悪いかしらぬけれども、我々がフィリピンに出すお金に、これは基地の賃貸料ですよなんて言って紙をつけて出すはずはないのであって、出すお金は経済協力ですとかいうような形で出すことは私は間違いないと思うが、しかし、そういう形で出すお金も、実際上は、フィリピンから見れば、米軍基地賃貸料と同じような、向こうからすれば役に立つ、そういう性格を持つ金として受け取るというふうなことがあるのじゃないのか。  そうすると、名目は確かに基地賃貸料ではありません。しかし、中身、性格、実質としてはその種の金がやはり日本から引き出される、あるいは日本はその種の金をフィリピンへ提供するというふうなことになりはしないかということを私は、少し先回りした心配かもしれませんが、そういう感じを持つわけですが、そういう点はそんなことはない、そういう御答弁が、納得できるものがあればひとついただきたい、こう思うわけです。
  183. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そうした面におきましては、アメリカの国会においてちょいちょいそういう意見が出るものですから、私もアメリカの国会議員に出会うたびに申し上げましたし、この間、高沢委員も御承知の民主党、共和党の代表的な下院の院内総務であるフォーリーさんとマイケルさん、このお二方と他の与野党を込みにした下院の視察団が来られました。この方並びに同盟国に対するいろいろな援助関係委員会がございまして、女性でありますが、うわさによりますと次の次の大統領選には候補になられるかもしれぬという有名なシュローダーさんというお方がおられますが、この方にもお目にかかりました。同じ意見を申し上げたんです、そうしたことは日本としてできませんと。  第二番目には、第一、アジアの人たちは、かつて日本がアジアを戦場にしたということから、経済大国日本は軍事大国になるんじゃないかと常に懸念を持っていらっしゃる、政治家が持っておらなくても民衆は持っていらっしゃる、その民衆の福祉というものに我々は今力を注ぐべきである。したがいまして、私たちはそういう意味においても、憲法上の制約もあれば、またアジアの民衆が我が国を眺めていただく、そうした感触も十二分に日本が知りながら我々といたしましても経済協力をなしておるわけであって、皆さん方が頭に描いているようなことはできませんよということもはっきり申し上げておるわけです。  その答えは非常にはっきりした答えをいただいて、むしろ我々も大いに参考になります、そういうようなことで、基地問題で議論したわけじゃありませんが、やはり予防線というものはきちっと外務大臣として張るべきところは張った方がいいと思いまして、そうした関係をひとつお考え賜れば、私たちが今日どういうふうな姿勢でいるかということも御理解願えるんじゃないかと思います。
  184. 高沢寅男

    ○高沢委員 ここにことしの三月十六日、アーミテージ・アメリカ国防次官補がアメリカの下院の歳出委員会で説明された中身が、新聞報道でありますが、日本が五万五千の駐留米軍将兵に一人当たり四万五千ドル、総額二十五億ドルを援助しているということをこの次官補は明らかにされて、そして、米軍が駐留している国の中では日本は最も気前のいい国である、こういうふうな言葉も述べておられる、これが新聞に報道されておるわけですが、この在日米軍五万五千という数字、あるいは一人当たり四万五千ドルという数字、そして総額二十五億ドル、この数字関係ではこのとおりというふうに受けとめていいんでしょうか、どうでしょう。
  185. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 アメリカの認識も大体そういうふうな数字になっております。
  186. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうすると、非常に気前がいい国日本というアーミテージ次官補の評価の上に立って、しかし、また今我々審議しているのは思いやり予算、労務費を昨年は諸手当の二分の一まで負担、今度は全額負担、こういうふうに重ねてきているわけですが、もうこれほどアーミテージ次官補から褒められるほど駐留米軍に金を出している日本が何でまたその上にこういう上積みをするのかということが、国民の側からすればちょっと理解できない、出し過ぎじゃないのかというような感じも与えるんじゃないかと思います。  これはペルシャ湾の問題とかいろいろな背景なり経過があってここに来ているという政府側の事情、我々は決して賛成じゃありませんが、政府側の事情があることはわかりますが、そういうアーミテージ次官補の米議会における証言との関係で、こういうさらにまた我が方が思いやり予算を上積みするということの必要性といいますか、あるいはそのことを正当化する理由といいますか、というものをもう一度ここでひとつ御説明願いたいと思います。
  187. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 アメリカの場合には議会が一番うるさいという存在でございますが、その議会におきましても与党共和党よりも民主党の方がいささか日本批判が強いということでございますが、その民主党の上院の院内総務、バードさんといいますが、このお方と総理と私とお目にかかりました。そのときにも、日本に常に辛い点数をつけているバードさんではありますが、貿易防衛面と二つの面を考えますと、貿易面ではもっともっと我々議会人も言いたいことが山ほどありますけれども、財政苦しい中であるにもかかわりませず日本防衛努力をしていただいておるということについては、お人よしとかそういう意味じゃなくして、本当に心から評価します。この問題においては、今、日米間に、議会といえども安保ただ乗り論だとかそういうことはまかり通らないと言わんばかりの評価がございました。  また、太平洋司令官にも私も出会い、あるいはまたカールーチさんにも出会ったのですが、褒めているというのじゃなくして感謝しております。今の極端なドル安のアメリカの苦しさの上に立って本当に日本には感謝しております。やはり日米安保体制下において私たちの義務も果たしたいと思いますが、そういう意味でございまして、アメリカから褒められたから喜んでおるというのではないということだけはここで申し上げておきたい、私はかように思う次第でございます。  したがいまして、これは竹下総理が行くときに決めたお土産のようだと言う人たちもおりますが、さにあらずして、もう既に昨年以来考え考え抜きまして、そして最終的な決定は本年の一月になってから決定した次第でございますけれども、やはりあくまでも我々といたしましては、米軍の駐留費がドル安のために非常に負担が重くなっておる、こういう問題を当然我々としては考えてあげなくちゃならぬ、そのためにはどういうような対象がいいのであろうかということを考えたが、やはり駐留軍におられる従業員の職業の安定なりそうしたものを考えることが一番大切なことではなかろうか、そういうふうに思いまして、そして今回の改定ということを我々として考えたというのが事の経緯であり、また一番大切なところではないか、かように思います。
  188. 高沢寅男

    ○高沢委員 今大臣に御説明いただきましたが、昨年来考え考え抜いてここの結論に至った、こう大臣言われたのですが、諸手当の二分の一まで負担の特別協定ができたのは去年の五月でございます。そして、昨年来考え考えてというお言葉をそのままひねって考えると、これができた途端にもう次の、今度は全額負担のそういう検討をされたのかな、そして今度それを出されたのかな、こういうふうな印象を実は受けるわけでありますが、それですと、また余りにひどいじゃないか、二分の一を決めた途端に次はもう全額に直ちに検討に着手したというふうなことに受けとめざるを得ないわけです。  ただ、有馬局長からの御説明の中で、それ以来の円高がありますとか、あるいは駐留軍のところで働く労務者の雇用の安定がありますとか、それなりのいろいろ理由の説明はあるわけでありますが、雇用の安定というふうな大きな柱を立てるとすると、それでは続いて今後は基本給も持ちますというふうな話が一体出てくるのかどうなのかということが実は私は疑問としてあるわけです。  従来この委員会で既にこの特別協定審議が行われる中で、円高ということなら、じゃ円が百円を割るような状態になったらどうなんだとか、逆に今度は円が安くなったらどうなんだとか、いろいろやりとりはありましたが、それはそれとして、これ以上駐留軍の労務費の、進むとすればもう基本給しかないわけですが、そういうことはもうない、こういうふうにここではっきりお答えをいただくことができますか、どうでしょうか。
  189. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この協定は、累次お話しいたしましたとおり一九九二年三月三十一日、それまでであるということでございますから、そうした意味で限定的であり、また暫定的であり、さらにはいろいろ特則だということを申し上げておりますから、私たちは現在次のことは考えておりません。
  190. 高沢寅男

    ○高沢委員 考えておりませんと言われると、もうそれ以上話の接ぎようがありませんが、私はそういうことはなしということをぜひお答えを期待したい気持ちであります。  次へ進みます。アジアの国でいわゆるポンカスの協定アメリカと結んでいる、日本はこれから研究をする、こうなったわけですが、そういう協定を結んでいる国があるのかどうか。私のお聞きしたところでは、昨年の一月にアメリカタイの間でこの装備の備蓄協定が結ばれた、こう聞くわけでありますが、この協定というのは一体どういう性格のものなのか。いわゆる我々の言うポンカスという性格のものなのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  191. 藤田公郎

    ○藤田(公)政府委員 ただいま御質問のポンカスのように、特定の部隊の有事来援を前提として右部隊用の重装備等一式丸ごとあらかじめ集積しておくという意味での協定を米国との間で結んでいる国はアジアにはないと私どもは承知しております。  タイのことを御質問になりましたが、その他御承知のとおり韓国、フィリピンに米軍が駐留しておりまして施設を使用することが認められておりますので、一般に平時ないし有事の際の米軍の運用のために必要な物資が施設内にあらかじめ保管、貯蔵されているということはあるかと存じますけれども、私どもとしては、特に韓国及びフィリピンについてアメリカとの間に取り決めがあるかどうかも含めまして詳細については承知する立場にはございません。  ただいま委員指摘タイの例でございますけれども、累次にわたりまして米国及びタイ側からただいま御指摘のような取り決めを結ぶという報道がなされておりましたが、結局昨年の一月、タイ及び米国の両国間で戦時予備備蓄計画に関する米タイ政府間の合意覚書と称する合意が締結されたというふうに承知しております。  この合意の詳細につきましては、第三国間のことでもございますので、私どもとして承知し得る立場にはございませんけれども、御承知のような環境下にタイが置かれているということもございますので、タイと米国が協力をして単に戦時予備備蓄を行うということを内容とするものだというふうに承知をいたしております。なお、本件合意は備蓄の方法等の大枠を決めたものだということで、その備蓄の対象等の具体的な内容については両国間でさらに話し合うことになっているというふうに私ども承知しております。
  192. 高沢寅男

    ○高沢委員 今の御説明のあったアメリカタイ協定ですが、アジア局長にお尋ねすれば、それはアメリカタイとの関係だから日本外務省として評価を申し上げるあれではない、恐らくこういうお答えになるだろうと思うのでありますが、そこを一歩、アジア局長の肩書を抜いて藤田軍事評論家というような立場になって、私も疑問だからお聞きするのですが、かつてのベトナム戦争のときは確かにタイアメリカ軍のベトナムへ爆撃に出ていくそういう発進の基地として非常に重要な役割を果たしたということはわかります。しかし、それはもう既になしになったわけです。  その後カンボジア問題が起きたということはわかりますが、これも今やカンボジア問題も一九九〇年までにはカンボジアからベトナムが全部撤退するという公約もしておるし、あるいはそれよりさらに早く政治的な解決ができればもっと早く撤退する。その政治解決のためにはシアヌーク殿下とカンボジアのフン・セン首相が話し合うとか、既にそういうことがずっと動いているわけです。  アフガン問題に次いで、我が日本もそういう政治解決ができるためにアジアの国として大いに積極的な貢献をしようということにもなっておる。そういう情勢の中でタイがアジアの戦争の焦点になるとか、そこへ集積しておいた装備にアメリカ軍が駆けつけてきてそれを利用するというふうな軍事情勢がこの近い将来のアジアで一体考えられるのかどうか。この辺のところが僕は非常に疑問なんです。  しかし、去年の一月結んだということになりますと、この辺のところは藤田軍事評論家はいかに評価されるか、もし、よければひとつ評価なども聞かしてもらいたいと思います。
  193. 藤田公郎

    ○藤田(公)政府委員 ただいま委員指摘のとおり、一九七五年以降タイに駐留しておりました米軍は随時撤退をいたしまして、現在は二百名弱の軍事顧問団を残すのみでございますけれども、まさに今御指摘になりましたベトナムによるカンボジア侵攻が一九七八年十二月に起こりまして以降のタイの基本的な防衛政策というものを俯瞰してみますと、ベトナムのカンボジア侵攻によってタイは非常に危機感を強めた。しかしながら、その結果として米軍にもう一回また駐留してもらいたいということは明言もしておりませんし、そういう意図の表明を行っておりませんけれども、他方、米国との軍事協力関係を強化したいということで御承知のSEATOの母体でございますマニラ条約上の義務を米国が履行するようにということを保証してもらいたい、それを米国が明言してもらいたいということをかなり再度にわたって希望いたしておりますし、それから米国とタイとの共同演習をとりましても、八二年以来毎年米タイ両軍でやっております。  これが当初は上陸というようなことでございましたけれども、最近は内陸の演習も行っておりまして、カンボジア問題の政治解決に向かって努力をするということは一方でございますが、他方ではやはり自国の安全保障のために米国との間の軍事面でも関係の緊密化が存在しているということを内外に強く宣明しよう、明らかにしようという政策も非常に明らかだということが申せるかと思います。  余り評論家的なきちんとした説明でなくて申しわけございませんが。
  194. 高沢寅男

    ○高沢委員 どうもありがとうございました。  次へ進みたいと思います。  先週の当委員会で我が党の岩垂委員からいわゆるABC兵器、Aは核兵器、Bは生物兵器、Cは化学兵器、そういう関連のものの施設を米軍の施設としてつくる、その金を我が防衛施設庁が出すということはないだろうな、実はこういう質問がありまして、私は、非常に重要な問題だからこのことをもう一度防衛施設庁長官にお尋ねをしたい。  さらにはまた外務省でも結構でございますが、そういうAとかBとかC、これは我が方としてはアメリカからこういう関連の施設の要求がもし出たとして、これは絶対にノーである、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
  195. 友藤一隆

    友藤政府委員 今お尋ねのABC関係の関連施設、具体的にどういうような概念ということが御質問からははっきりはいたしませんが、一般論として申し上げますと、私ども提供施設の整備、地位協定の二十四条の規定に従いまして提供いたしておるわけでございまして、地位協定の文理上は我が国が提供する施設、区域に特段の限界というものは設けられていないことは申し上げられると思うわけでございます。  現在まで米側からそういったABC関連施設というような名称をつけた整備というようなものについての要望もございませんし、整備したというようなこともないわけでございまして、具体的にどういう施設を米側から要望になるかということについては、そういった施設そのものが出てまいりませんことには私どもとしても検討のしようもない、こういう状況でございます。したがいまして、お尋ねのABC兵器関連施設、こういったものについて将来どうするのかという御質問につきましては、そういった状況にない現在、私どもとしての対応については具体的には差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  ただ、一般論として、提供施設を整備していく上から、私どもが選定の基準と申しますか採択の基準として考えておりますのは、以前から申し上げておりますように、安保条約の目的達成との関係あるいは我が方の財政負担との関係、社会経済的影響等を総合的に勘案をいたしまして、個々施設ごとに我が国が自主的に判断をして措置をする、こういうことで現在まで来ておりまして、主として後方関係施設を現在まで提供いたしておる、こういう実情でございます。
  196. 福田博

    ○福田政府委員 先回の岩垂委員の御質問に対してお答えしました関係上若干申し述べさせていただきますと、具体的な施設、区域の提供については今施設庁長官が申されたとおりでございます。要するに特段の限界があるわけではないわけでございます。  それではABC兵器関連施設というものは全く自由であるのかというお尋ねが重ねてございましたが、これは具体的にどういうことを御質問になっているかよくわかりませんが、一般論として言えば、米軍によるこれらの兵器の我が国への持ち込みというものは考えられないというのが実情であろうと思います。  つまり核兵器ということであれば、これは当然地位協定以前の問題として安保条約の事前協議の対象になるわけでございまして、その際の我が国の態度についてはもう重ね重ね当委員会その他で御説明しているとおりでございます。  生物兵器につきましては一九七二年の条約がございます。禁止条約でございます。日本も米国も加盟国になっております。これによりまして、開発を含め生産、貯蔵、取得あるいは保有、すべてが禁じられておりますので、現実問題としてそういう問題が日米間で起こることはないと考えられます。  第三の化学兵器につきましては、一九二五年の毒ガスの議定書がございます。これは戦時において使用を禁止するというものでございますので、例えば平和時において保有しているということまで禁じておるわけではございません。その限りにおいては検討の対象になり得るわけでございますが、しかし現実問題として米国は自分の国以外における配備については具体的な決定を行っておりませんし、またそういうようなことを行う場合には事前に配備する対象国と十分な協議をするということをかねてから政策として宣明しております。  したがいまして、以上を総合するに、現実問題としてそのような施設を提供するということはないものと考えられます。  他方、先生の御質問にありました関連施設ということでございますが、関連というものがどういうところに入るのか、例えば汚染されたものをきれいにするということであれば、それは何ら問題はないと考えられますが、いずれにしても兵器そのものに直に結びついておる施設ということであれば、今申し上げたことが言えると思います。
  197. 高沢寅男

    ○高沢委員 私の言う関連施設というのは、例えば核そのものは先ほど来説明されている事前協議の対象ということになるわけで、これまた我が方は非核三原則があるわけですから、それは絶対ノーということは初めから明らかですね。  ただ、例えばその核の貯蔵庫とか格納庫とかというような施設、あるいは生物兵器であっても化学兵器であっても、それ自体が非常に危険なものですから、そういうものをもし置いておくとすれば、それを置いておく貯蔵庫や倉庫は非常に厳密な安全性の保証をつけた施設でなければいかぬということになろうかと思います。  私は軍事問題の素人ですけれども、そこら辺は少なくとも防衛施設庁のような立場に立てば、アメリカの要求してきた施設が、これはどうも核を置くためのものかなとか、あるいはこれはどうも生物兵器を入れるためのものじゃないかとか、化学兵器を置くためのものじゃないかとかということは、防衛施設庁の当局なら我々と違って判定がつくと思う。  そういう意味において、仮にそういうものがアメリカから施設をつくってくれというふうなことが出たときに、それはもう原則ノーである、先ほど来一般論と言っておられますが、それは厳密にノーであるということをこの際明らかにしておいて、そしてそれを明らかにした上に立って、確かに今後個々のケースにその都度対応するということにはなろうかと思いますが、この衆議院外務委員会という場において、その種のものは原則的にノーであるということをはっきり防衛施設庁長官なり外務大臣からいただきたい、私はこう思うわけです。
  198. 福田博

    ○福田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、先ほどの答弁はあくまでも一般論として申し上げたわけで、個々の具体的な施設の提供というものはそれぞれ両国間の合意を得て設定されていくわけでございますが、理論的な考え方からすれば、例えば汚染を除去するとか、防御一方のためにやるとかそういうものであれば、それ自体がABC兵器の関連であるからだめであるということにはならないと思います。  他方、ちょっと補足させていただきますと、核兵器についてはかねてから政府が申し述べているとおりでございますし、生物兵器につきましては非常にはっきりと、開発を含めて、貯蔵も含めて、保有も含めてすべて条約できちんと禁止しております。問題は毒ガス、特に致死性のガスの問題であると思いますが、これにつきましては、過去において、昭和四十五年五月八日の当委員会答弁におきまして、当時の愛知外務大臣から、委員質問に対しまして、これについて特に持ち込みたいというような話があったらどうするのかというようなことを質問されて、お答えとして「これは当然拒否をいたします。」ということを述べております。
  199. 高沢寅男

    ○高沢委員 福田審議官の例え話で私ちょっとひっかかります。汚染を除去するならいい、こういうお話がありましたが、アメリカの基地の施設が、例えば放射能で汚染されるというのは一体どうして起きるのでしょうか。ソ連から核攻撃されてその放射能で汚染する、こうなったら戦争で、我々はそのときはパアですね。そうではなくて汚染が起こるというのは、アメリカが核兵器を持ってきて、その放射能が漏れて汚染、これしか汚染の起きるケースはないでしょう。  そうすると、汚染除去ならいいと言われるけれども、その前提には、アメリカの核持ち込みということがあって初めてあり得るので、あなたの例え話は適切でないと私は思いますが、どうですか。
  200. 福田博

    ○福田政府委員 一般論的な御質問に対して一般論的に回答いたしますと、例え話として何か申し上げますと、それについてはこういうことしか考えられないのではないかというような御指摘をどうしても受けるわけでございます。  もちろん、今先生がおっしゃったような事態は理論的に考えられないわけではございません。したがいまして、施設の提供については、本来具体的な個々の案件について考えて協議をして決めていくべき性格のものでございますから、本来お答えすべきものとしては個々の具体的な案件が出てから考えますと言えば実はよろしいのかもしれませんが、せっかくのお尋ねでございますし、一般的な、基本的な考え方としてはかくあるべし、あるいはかくあるであろうということで申し述べたわけでございまして、核兵器による汚染というようなものはどういうものがあり得るか、これは全く仮定の問題として、アメリカが保存しているあるいは貯蔵しているということ以外から何かそういう汚染が起こり得るということは理論的にはないことではないと思うのですね。  そういうことで理論的に申し上げたわけですが、例え話として不適切であれば、もちろん撤回するのにはやぶさかではございません。
  201. 高沢寅男

    ○高沢委員 大臣、こうやっていろいろやりとりしましたが、政治家としての大所高所の大臣の判断として、そういうABC兵器、それに関連の施設というものはもうノーです、我が日本の態度としてはノーである、ひとつこういうお答えをいただきたいと思いますが、どうでしょう。
  202. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いろいろ議論がございましたが、やはり人道上の問題として戦争は好ましくないし、兵器はない方がいいのですが、なかんずく人道上世界各国からそうしたものは用うべからずというふうな規定があるものは当然ノーであってしかるべきだと思います。
  203. 高沢寅男

    ○高沢委員 はい、わかりました。  次へ進みます。  もう時間があとわずかしかありませんので、多少予定したのを飛ばしまして、これは外務省でしょうか防衛施設庁でしょうか、この特別協定審議に当たって事前に資料が欲しいと外務省に言って、いただいた資料があります。  アメリカの八六会計年度において在日米軍経費としてアメリカが負担しているのは三十三億ドルだ、こういう数字がありまして、その三十三億ドルの内訳は、軍人・軍属関係人件費が二十一億ドル、それから運用維持費が八億ドル、軍事建設費が一億ドル、燃料油脂の費用が二億ドル、合わせて三十三億ドル、こういうふうな数字をいただいたのです。  つまり私が特にお聞きをしたいのは、米軍基地の日本人労務者の基本給は今アメリカ側の負担になっているわけです。だから、今の示された数字の中のどこに日本人労務者の基本給部分は、どうもこの軍人・軍属関係人件費、ここじゃないかと思いますが、軍人軍属というとアメリカの軍人軍属、こういう理解になりますので、その辺がどうかなということをお尋ねしたいのですが、どうでしょう。
  204. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 仰せのとおりでございます。すなわち、在日米軍従業員の基本給等は軍属等関係人件費に含まれております。
  205. 高沢寅男

    ○高沢委員 それは、金額でするとこの二十一億ドルのうちのどのくらいでしょうか。
  206. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 実は私どもこれ以上の詳細な資料をもらっておりませんので、わかりません。
  207. 高沢寅男

    ○高沢委員 これ以上の資料をもらってないというのは、アメリカ側からもらってないということですね。  そうすると、八六会計年度で、これは防衛施設庁長官、あなたはおわかりでしょうか、日本人の労務者の福利厚生費や諸手当はこちらから出すという建前として、基本給部分は、アメリカから出るものは日本の円でいえばどのくらい、ドルでいえばどのくらい、この辺は、施設庁長官、おわかりでしょうか。
  208. 山崎博司

    ○山崎政府委員 昭和六十三年度の基本給は五百十二億円と推定されております。
  209. 高沢寅男

    ○高沢委員 はい、わかりました。  もうあとわずかで済みませんが、きょうは会計検査院、見えていますね。検査院にお尋ねしたいのですが、この駐留米軍のために我が方から出している費用の一つ施設関係一つは福利厚生費とか諸手当とか人件費関係、こういう両面にわたって会計検査院が検査をされるその検査のやり方、または検査をして特に何か問題があったかどうか、それをひとつ御説明願います。
  210. 佐藤恒正

    ○佐藤会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問ありましたように、思いやり予算につきましては、大きく分けまして提供施設の整備費と駐留軍労務者の労務費、この二つの経費がございますが、まず提供施設の整備費の検査につきましては、定期的に各防衛施設局等から本院の方へ書類が提出されてまいりますが、この書類につきまして書面検査を行っておりますほか、毎年各防衛施設局等へ本院の職員が赴きまして、実地検査を行っております。その際には、在日米軍の許可を得まして実際に米軍基地内の提供施設の建設現場に立ち入りまして現地での検査を実施しております。検査に当たりましては、他の公共工事の検査と同様、施設の設計、積算及び施工等の面において効率的、経済的な予算執行が行われているか、こういったような観点から検査を実施しておりまして、これまで特別検査の実行につきまして支障が生じたことはございません。  それから、駐留軍等労務者の労務費の検査でございますが、これも先ほど申し上げましたように、在庁いたしまして書面検査を行っておりますほか、給与支払い事務等を担当しております渉外労務管理事務所等に対しまして実地検査を実施しております。検査に当たりましては、米軍との合意のもとで防衛施設庁の定めた支給基準にのっとりまして給与等の支払いが行われているか、日米間の支給分担が特別協定等にのっとり適正に行われているか、こういった観点から検査を実施しておりまして、これも検査実施上特別な支障はございません。  以上でございます。
  211. 高沢寅男

    ○高沢委員 時間ですから、終わります。
  212. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 松本善明君。
  213. 松本善明

    松本(善)委員 この特別協定審議について前回我が党の岡崎委員質問したのに対して、ペルシャ湾問題そのものではないけれども、ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国の貢献に関する方針のなお書きとの関係で、事実上ペルシャ湾とのかかわりで在日米軍経費の軽減の方途について米国と協議をする、その結果がこれであるということの答弁だったと思うのです。  そうしますと、午前中もちょっと話が出ましたけれども、この考え方でいきますと、今回のペルシャ湾事件につきましても、先ほど外務大臣の御答弁では、今回のことで日本に負担を求めてくるのは筋違いだし、そういうことも言ってきていない、こういう話でしたが、今回はそうであっても、何か米軍が行動するたびごとに日本が経済的な協力ということで経済的な負担を求められる、それに対して対処をするという前例にこの特別協定の問題はなるのではありませんか。
  214. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 前例とは考えておりません。去年のものは去年のものでございまして、今回のアメリカの爆撃そのものに対しましては、私たちもその事情はわかる、しかしながらだからもっとお互いにペルシャ湾に対して協力し合おうじゃないか、日本、金を出せ、そういうふうに話はつながってこないし、また、そういうふうな話はあり得ないだろう、こういうふうに私は思っておるわけでございまして、昨年はきちっとした体制のもとに整えたペルシャ湾対策でございますから、あれは第一弾だ、第二弾だ、第三弾だ、そういうことはあり得ない、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  215. 松本善明

    松本(善)委員 大臣、そういうふうに言われますけれども、フィリピンの問題にしても、日本は直接軍事協力ができないからということで、経済協力という形でアメリカの軍事行動についての協力をしていくという懸念が非常に強い。私も、今の答弁でその懸念は解消できないということを申し上げて、具体的に少しお聞きしたいと思うのです。  アメリカ側と日本の在日米軍についての経費でありますが、前回の答弁で、これは会計年度が違いますけれども、六十三年度の分で、日本は二千五百九十五億円、アメリカは一九八八会計年度で三十六億ドル、約五千億という答弁がありましたが、再確認をいたしますが、そのとおりでいいですか。
  216. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 ほぼそのとおりだと存じます。
  217. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、大体現在は一対二の負担、日本側とアメリカとでは一対二、こういうふうに言っていいですね。それも一言だけで、確認です。
  218. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 円ドルのレートが大変急激に動いてまいりましたので、仰せられるとおりの割合になっております。
  219. 松本善明

    松本(善)委員 自民党の安倍幹事長は、一対二を一対一にすべきだ、こういう話がありました。これを一対一ということになりますと、単純計算ですが、現在でアメリカと同じくらいの負担をということになると、約二千五百億くらいの負担増、こういうことになりますね。     〔委員長退席、田中(直)委員長代理着席〕
  220. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 数字の御議論でございますけれども、安倍幹事長が言われたということについて言及されましたので、一言申し上げさせていただきますと、現在御審議をお願いいたしております特別協定の改正は一月八日の政府・与党首脳会議において方針を決定したものでございますけれども、それまでの間にさまざまな御議論が、あるいは御意見があったということで報道されております。しかし、それがいかなる根拠の数字によるものであったかということはつまびらかにできません。(松本(善)委員「聞いていることだけ」と呼ぶ)  その分は、数字だけで申せば今の段階では正しいと思います。
  221. 松本善明

    松本(善)委員 それじゃ、別のことをちょっと伺いますが、外務大臣、今の答弁はよく覚えておいてください。  別のことですが、八八年の米軍のアメリカ側の負担三十六億ドル、約五千億ということでありますが、その内訳をお答えいただきたい。  今までの審議の中では、米軍人の人件費、運用維持費、軍事建設費、軍属などの人件費、燃料油の代金等々、こういう項目でしたが、それぞれについてお答えいただきたい。
  222. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 その三十六億ドルという数字は私ども説明を受けておりますけれども、その内容につきましては承知いたしておりません。
  223. 松本善明

    松本(善)委員 事前に外務省から私説明を聞いたのでは、この内訳について答えるという話だったのですが、どうして答えないのですか。
  224. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 八六年度につきまして私どもは三十三億ドルという数字とその内訳は承知しておりまして、先ほどこれについての言及がございました。しかし、三十六億ドルの内訳については私どもは承知いたしておりません。  八六米会計年度におきます在日米軍経費とされている三十三億ドルの内容は、軍人・軍属関係人件費二十一億ドル、運用維持費八億ドル、軍事建設費一億ドル、燃料油脂費三億ドル、合計約三十三億ドルということでございます。
  225. 松本善明

    松本(善)委員 これは一九八〇年のアメリカの下院歳出委員会で国防総省のピンクニー氏が「我々の目標は、日本が、日本で働く我が国の軍事要員の実際の給与以外、すべてのアメリカの経費を引き受けることだ。」ということを答えました。これは国防総省の東アジア・太平洋局長であります。  これは八〇年以来再々国会でも議論になっているわけでありますが、外務省政府は、これは統一見解でないとか、あるいは地位協定の解釈を誤っているものだとかいうような答弁をしていましたが、それはそれとして別に後から論じますが、仮にこのようになるとしますと、八六年ベースでいくと、あと十二億ドルぐらいを日本がふやせばピンクニーの言うとおりになる、こういうことになりますね。
  226. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 そのような計算をしたことがございませんので、わかりません。
  227. 松本善明

    松本(善)委員 計算すればわかるじゃないですか。今計算してみてください。間違いないでしょう。なぜそんな単純なことを答えないのですか。答えない理由は何ですか。引き算ですよ。
  228. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 引き算とおっしゃいますと、申しわけございませんが……
  229. 松本善明

    松本(善)委員 じゃ、もういいです。単純に計算しても引き算で出てくる話なんですよ。そういうことも国会で素直に答えないというのは、私は本当におかしいと思いますね。何か自分で考えていることだけ勝手に言って議論をしていくというようなことでは、私は国会はいけないと思いますよ。まあいいでしょう。(有馬政府委員委員長」と呼ぶ)まあ後からにやってもらおう、私の言っていることだから。  そこで、外務大臣に聞きたいのですが、私はピンクニーとそれから安倍幹事長の話を出しました。安倍幹事長の言う一対一にするというならば十八億ドルふやさなければならぬ。ピンクニーの言うとおりにいくならば、これは単純計算でいきますと十二億ドルふやせばいい。だから、ピンクニーの言うとおり、もっとそれ以上安倍幹事長の言っているのではふやそうとしている、一対一にする。ピンクニーのことは八年前ですけれども、大変なことだ。アメリカ軍の軍人の給料だけ持って、あとは全部日本に任すというのは本当に重大なことだと私は思う。  それを一生懸命否定するような答弁政府側はしたんだけれども、今になってみると、安倍幹事長の言っていることは、計算上ですけれどもそれ以上なんですね。私はそういうような方向に実際上動いているということも重大だと思うのですが、この数字を、今の私と北米局長とのやりとりをお聞きになって、外務大臣、何と考えます。
  230. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私も八年前のピンクニーという人が何者なのか知りませんし、また、その当時はその当時でアメリカ側はアメリカ側としての考え方を述べたにすぎない。だから、それに対しまして私たちは別に義務づけられることもなく、また拘束されることもない、かように信じております。  ただ、安倍さんの発言に関しましては、これは自民党同士のことでございますが、私も昨年の十月のペルシャ湾の特別措置を講じたときは、幹事長代理として、最高幹部の一人としてそういう席に連なっておったわけですが、いろいろな意見が出ました。我が党は非常に多士済々の方々がいらっしゃいますから、その後もいろいろな意見が飛び出してきました。そうした意見をそれぞれまとめまして、今回このように諸手当一〇〇%というふうな意見が出たわけでございます。したがいましてそのようにひとつお考え賜りたい。  もちろん私も、ことしは外務大臣としての立場からこうした見解を出すに及んだその責任者の一人として、ここで申し述べたとおりの意見を申し述べたのでありまして、したがいまして、幹事長の発言は幹事長の発言、私たちは、そうした発言は一人の人の発言である、いろいろな意見の中の一つである、かように思っておりますので、その八年前の米軍のピンクニーか何か知りませんが、それと比較をしていただきますと、今日やはり専門家の北米局長といえども答弁に当惑するのではないか、こう思います。だから、数字はそういうふうに計算なさればそういうことになるのでございましょうが、私たちはそうしたことは今日ただいま考えておりません、こういうことであります。
  231. 松本善明

    松本(善)委員 ピンクニーのは去年もこの委員会で岡崎委員質問しているのですよ。ピンクニーとかなんとかが何と言ったか知らぬがというのは、外務大臣、ちょっとこの問題についての――向こうは東アジア・太平洋局長ですから向こう一つの責任者ですよ。  この問題は、最初に参議院の内閣委員会で我が党の安武議員質問をいたしまして、防衛庁はこれは統一見解でないとか地位協定の解釈が誤りだ、解釈が誤りだったら、地位協定を実質上変えるようなことを今でもどんどんやっているのですから、地位協定を変えればピンクニーの言うとおりになっていくのですから、地位協定の解釈などというのは問題にならない。このことについて防衛庁の方では、これは外務省の所管だから、間違っているとかなんとかであればアメリカ側に何らかの処置をするだろうという答弁です。外務省はこのピンクニー発言について、発言がされたときから現在までの間に何らかの申し出なり何かしましたか。聞いていることだけ答えてください。
  232. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 昭和五十五年にそのような発言があったのは私どもよく記憶いたしております。しかし、これはまことに突発的な話でございまして、その年に大統領選挙があって次の年にレーガン政権が発足して以来、米国がそのようなことを申したことはございません。通常の外交のやりとり等で当時そのようなことが話題になったかもしれませんけれども、改めて取り上げるという必要を我が方としては当時その発言について考えなかったということでございます。  それから、地位協定の今特則ということでお願いいたしておりますけれども、二十四条の経費の分担についての原則をここで変えるということをお願いしているわけではないということは繰り返し申し述べているとおりでございます。
  233. 松本善明

    松本(善)委員 そんなことはわかっていますよ。地位協定を変えるというのが今ここの議題になっているなんて、だれもそんなことは言っていないのです。政治的に見れば、ピンクニーの言ったとおりにするのは地位協定を変えれば幾らでもできるじゃないか、政治判断で自民党がそうしようと、幹事長が実際に一対一にしようなどと言っているのですから、これはもう地位協定を変えなければならぬわけですが、それはピンクニーの言ったとおりにし得るじゃないかということを言っただけの話です。  問題は、外務省が何もやらなかったということはわかりました。その後、アメリカ国会でピンクニーの発言を否定するような発言がありましたか。
  234. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 あれを繰り返すような話は今まではなかったということでございます。
  235. 松本善明

    松本(善)委員 繰り返すような話はなかったが、否定するようなことはあったのか。私の聞いたことに答えてほしいですね。
  236. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 あれは米国政府の見解ではないということがわかっていたわけでございますから、米国政府としてそれを否定したということはございません。
  237. 松本善明

    松本(善)委員 それでは、ちょっと事務的なことを聞きましょう。  既に資料的には出ているので確認だけれども、昭和五十四年と六十三年との間で在日米軍の駐留経費の施設整備費が、政府からもらっている資料でいえば契約ベースで約三・八倍になりますが、間違いないでしょうか。五十四年二百二十七億円、六十三年八百六十九億円。
  238. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 契約ベースでは、昭和五十四年度約二百二十七億円、それから六十三年度では八百七十億円、約三・八倍、そのとおりでございます。
  239. 松本善明

    松本(善)委員 ここでアメリカの話を持ち出しますが、外務大臣、これをお聞きいただきたい。  八三年三月二十三日にアメリカ下院軍事委員会の軍事施設委員会の公聴会でケビン・マホーネイという人がアメリカの在日の軍事施設について証言をいたしております。日本側の資金提供は、一九七九年、昭和五十四年の一億ドルから今日、今日というのは八三年、昭和五十八年ですが、二億ドルにふえ、そして我々の目標は一九八九年までに年四億ドルにすることである。ちょうどそのようになっているのですよ。  五十八年が五百三億円、今お話があったように三・八倍でしょう。ほぼマホーネイの言ったとおりになっているのですね。アメリカの国会で証言された目標のとおりにこの日本施設整備費は増額されてきている。これは事実であります。外務大臣、何と考えます。
  240. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今の御質問のそうしたデータは私まだ見ておりませんから、松本さんがデータによってそういう御質問をなさったという立場でお答えするのならば、数字的に見てあるいは偶然の一致だったかもしれないね、こう言わざるを得ませんね。
  241. 松本善明

    松本(善)委員 偶然の一致と言われても、実際上はそういうふうになっているわけなんですね。  北米局長、あなたはこの間の委員会で、施設整備費は地位協定上の義務だというふうに答えたのだけれども、そうなりますと、今九七%日本が持っているんだけれども、あと三%も義務だ、これから施設整備費がふえればすべて日本が負担をしなければならない、そういう見解を北米局長日本の国会で述べたということになるのだけれども、そういうつもりですか。
  242. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 日米安保条約の目的を達成するために必要な施設、区域の提供とそれにかかわる経費の負担は、条約的に申しますれば、安保条約第六条、地位協定第二条、そして地位協定第二十四条二項に基づきまして我が方の一般的な義務になっていることは先生よく御承知のとおりでございます。  先般私は、これは義務であるのかそうでないのかということを端的に言うようにと言われまして、これは義務であるとお答え申しました。  なお、御承知のとおり、地位協定第三条によりまして、米国は、提供されております施設、区域の管理の権能の運用の態様の一つとして、一定の範囲内での建設等を行うことが許されております。したがいまして、いわゆる施設、区域につきましては、我が方が二十四条二項に基づいて提供するということでもできますし、また米軍が第三条に基づいてみずから行うということも可能なわけでございます。いずれか一方であるということもあるわけでございます。  それから、施設、区域の提供についてでございますけれども、それは一件、一件につきまして両国間で合意をするということでございます。私は提供が義務だと申し上げましたけれども、その前に一つの段階があるわけでございまして、施設、区域の提供についてはその一つ一つについて我が方の合意にかからしめているということがございます。  したがいまして、それを合意するに当たりましては、従来から政府が申しておりますように、米軍が申し越してきたものはすべて受けるということではなくて、その要求が安保条約の目的の達成との関係あるいは我が方の財政事情との関係あるいは社会経済事情との関係でいかなる意味を持つかといって自主的に決めていくということでございますから、私が先般お答えした趣旨は今申し上げたところで御理解いただけると思います。
  243. 松本善明

    松本(善)委員 全然理解できない。  施設提供が義務だということと施設整備費が義務だということは違うのですよ。国際法上の義務になるかどうかということなんです。だから、日本の国会で義務だと答えたら、アメリカ側では、私がアメリカの国会の議論を紹介するように、日本は義務だと言っている、施設整備費は一〇〇%持たせろ、ふやせば全部義務なんだ、日本はそういう理解なんだと言ってくるのは間違いないですよ。  今まで防衛庁防衛施設庁長官で義務だなんて言ったことは一言もないですよ。今までの政府答弁で義務だと言ったことは一回もない。もう北米局長はいいけれども、外務大臣、これは確認しますか。私は、とんでもないことだと思いますけれども。今まで思いやり予算だとか言ったり、この名づけ親の金丸さんがこれは非義務だと自分の著書でも書いている。それを北米局長は義務だと言っている。確認しますか、外務大臣
  244. 福田博

    ○福田政府委員 ただいま北米局長がお答えいたしましたように、施設の提供に関する経費の負担というものは、条約の六条と地位協定の二条と二十四条二項によって一般的に我が国が負担するということで提供するということになっておりますので、それを義務と申したことは、そのほかに地位協定三条において米軍がその提供された地域の管理権の行使の一環としてみずから工事を行ったりする費用を出すということは矛盾しないと思います。
  245. 松本善明

    松本(善)委員 私はもっと詰めるべきことがありますけれども、極めて危険な方向に行っていると思います。  外務大臣にお聞きしますけれども、本当に憂慮すべき歯どめなき軍拡という方向へ進んでいると思うのですね、在日米軍の費用にしても。  それからアーミテージ国防次官補のことについては先ほど来も議論がありましたが、波はアメリカでの講演、ワシントンの国防大学のシンポジウムで「協力のパターンと太平洋圏の安全保障」ということで講演をして、その中では、日本の戦力について、海上自衛隊が駆逐艦を五十隻以上持っているが、これは第七艦隊の駆逐艦の隻数の二倍以上だ、一九九〇年までに六十隻にふえる、これにはイージス防空システム装備艦二隻が含まれる。それから第七艦隊の持っているP3Cは二十三機だが、日本の自衛隊は百機配備する予定だ、航空自衛隊はF4ファントムを現在百機持ち、一九九〇年までにF15イーグルを約二百機持つ予定だ、一九九〇年代には日本側は百機を超えるF15の配備を開始する予定だ。我々は大陸アメリカ防衛するために持っている戦術航空機の概数は三百機なんだ、アメリカ本土防衛隊と同じ以上の戦闘機を持とうとしている。駆逐艦は三倍持とうとしている。それからP3Cは四倍以上持とうとしている。  そしてさらに、一九九一年から九五年の防衛計画では、日本はOTHレーダーシステム、長距離早期警戒機、空中給油機を取得することによってもっと包括的な能力を手にするだろう、今私が述べた能力全部を手にするのにGNPの二%未満しか必要ないんだ。三%までは要らぬのだと言って、アメリカを説得するという立場なんでしょうけれども、今、日本が持とうとしているのは二%まであれば十分なんだ。  私は、一%枠突破というのを――一%枠そのものも軍拡を進めるためのものだったと思いますけれども、今アメリカ側の考えており、日本の今やろうとしている軍拡もすさまじいものですよ。韓国の韓国日報なんかは天文学的な数字だと言っていますよ。韓国総予算の一・三倍以上だ。アメリカソ連に次ぐ第三位だということは今国会でも何遍も議論されていますけれども、それをもっとすさまじい軍拡に持っていく。そして、先ほどアメリカのピンクニーを紹介しましたように、本当にアメリカ軍人の給与だけをアメリカが持つというようなところまでいこうとしている。こういうことについては歯どめをしっかりかけなければならぬ。  今どこに歯どめがありますか。この軍拡は一体どこに歯どめがかかっているとお考えか、政治家としての外務大臣のお考えを伺いたいと思います。     〔田中(直)委員長代理退席、委員長着席〕
  246. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 我が国防衛はあくまで自主的判断に基づきまして必要最小限度ということを一つの節度としております。今日まではGNP対比一%という一つの歯どめとおぼしきものがあったのですが、GNPそのものが動く、動く対象はどうであろうかというようないろいろな議論も起こっておりました。しかし、その当時の内閣といたしましては、一%というものは用いないが、しかし五十一年の三木内閣の一%を設定した閣議の精神は尊重します、こういうことで現在は既に松本さんも御承知防衛大綱の水準をぜひとも達成しなければならない、そういうことで毎年毎年今申し上げましたようなことを念頭に置いてやっているわけであります。  だから、私もアーミテージがどういうつもりでそういう話をしたか知りませんが、今の国民感情が一%を超えて二%、三%というようなことを許容する大勢にないということは、いかに経済大国であろうともこれはできない相談である、第一国会が許さないのじゃないか、こういうふうに思っております。  したがいまして、外国のいろいろな方々の例を引かれるのは結構でしょうが、私たちといたしましては、あくまでも防衛は自主的に判断すべきものである、こういう精神で、ただいま申し上げましたとおり五十一年度の閣議決定は尊重します。そして、ただいまは防衛大綱に示された水準到達のために自主的努力はいたしますけれども、決してそれは軍拡につながらない。だから、アジア諸国に対しましても、経済大国日本は軍事大国になりませんということも出会う人ごとに言っておる、こうした政府姿勢もぜひとも御理解賜りたいと思う次第であります。
  247. 松本善明

    松本(善)委員 国会が許さないだろうということは、国会に一々予算をかけるからそこが歯どめになっているという意味だろうと思うのです。それは結局歯どめはないということなんですよ。毎回軍事予算を出す、だから歯どめになっているというのは、事実上歯どめがない軍拡計画だと言う以外にないと思うのです。時間がないので、それ以上できませんけれども。  一九七〇年のサイミントン委員会で、サイミントン委員長が「我々はなぜ日本を守るために金を使わなければならぬのだ、我々はなぜこのようなことをしなければならないのか」と言って聞いたところが、ジョンソン国務次官は、「我々は第一義的には日本の直接防衛のためでなく、その周辺地域のために日本にいるのである」というふうに答えたのです。  だから、そういう点でいうと、アメリカ側からは日本防衛が第一義的じゃなくて周辺地域のために日本にいる、そのために軍拡がすさまじくなされ、それからアメリカ軍の駐留経費を持つために日本国民の税金が使われる、それがどんどんふえていく、特別協定をつくってまでふえていく、私は本当に我慢のならぬことです。このサイミントン委員会での議論を御紹介しましたが、外務大臣、いかがお考えですか。外務大臣の見解を伺います。
  248. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 サイミントン委員会報告全体を読みますと、在日米軍の意義というものの全貌があらわれてくると思いますけれども、今御紹介のありましたようなやりとりと申しますのは、当時沖縄返還交渉がまさに始まるというときでございまして、ベトナム戦争が背景にございました。したがいまして、米国の議会の中では沖縄返還、当時沖縄にございました基地の使用をめぐっていろいろな議論があったものですから、今のような説明を議会に対して行ったといったような経緯があったことは私も記憶しておりますけれども、それだけのためであるということでは決してなくて、日本のためにでもあるということはほかのところにきちっと書いてあると私記憶いたしております。
  249. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 アメリカも苦労してそういうふうにいろいろ説明をなさったのかもしれませんが、あくまでも日米安保体制というものがある以上は我々の関心は我が国の安全と平和に寄与する、これがまず第一義でございますから、そうした意味において、それに対応すべき我が国の自衛は自発的に、自主的にできる限りの努力を払っておる、こういうふうに私たち思っておりますから、外人のそうした発言に対しましてあえて一々拘泥はしない、これが私たちの立場であります。
  250. 松本善明

    松本(善)委員 終わります。      ────◇─────
  251. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 次に、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第六条及び第七条の改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。  政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣宇野宗佑君。     ─────────────  特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第六条及び第七条の改正の受諾について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  252. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ただいま議題となりました特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第六条及び第七条の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この改正は、昭和六十二年五月にカナダのレジャイナで開催された同条約の第二回臨時締約国会議において採択されたものであります。  この改正は、同条約の締約国会議を定例化しその権限を拡大すること、財政規則を定め分担金制度を導入すること等について規定しております。  我が国がこの改正を受諾し、条約の実効性を高める努力に参加することは、環境保全の分野における国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  253. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来る二十二日金曜日午後四時三十分理事会、午後五時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十三分散会