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宇野国務大臣 冒頭に引用されました文章、ブレジンスキーさんとかあるいはまたキッシンジャーとか、そういうアメリカの著名な方の
政府に対する報告書の内容だ、こういうふうに私もお聞きしておったわけでございますが、そこには
日本が経済大国になるか軍事大国になるか、どちらをとるのだろうかというふうなことが書いてあります。
私
たちといたしましては、これは大変な参考事項ではございますが、一応
政府でない、民間のお話でございますから、それはそれなりの関心度で眺めさせていただいております。衆議院の
予算委員会におきましても、今の
経済力でいくと軍事大国に間もなくなるよというふうな感じで、しかも倍増というふうな
数字がその中に出ておったりしておりまして、それだと軍事費が、昔の池田所得倍増論じゃないけれ
ども、こういうスピードで伸びなくちゃいかぬねというような話も、
予算委員会においては
質疑応答でございました。
私は、そういう面におきまして、アメリカのそういう専門家の
方々が
日本を見ておられることに対しまして、竹下総理もASEANに御出席のときに、はっきりと
日本は軍事大国にはなりません、経済大国と言われておりますが、軍事大国にはなりません、このことをしばしば宣言をしていただいたわけでございます。このことは当時フィリピンの新聞のトップを飾るというふうなことで、いかに、かつて太平洋戦争の言うならば主役であった
日本というものに対して、アジアのみならず世界がどういうふうな思いで見ておるかということを常に心しなければ、それこそ
日本は孤立無援の
立場に追い込まれていってしまう、かように思いますから、私
たちといたしましては防衛に関しましては節度ある防衛をしたい。
そこで岩垂さんの御提案のごとく太平洋においても立派な、そういうような環境づくりをしたらどうか、もっと太平洋全部としてのというようなお気持ちだろうと思いますが、私
たちももちろん太平洋の一員でございますし、また、西側でございますから、常に経済大国と言われるからにはその
経済力を平和に利用したい、むしろ平和に貢献したい、こういう気持ちでございます。
だから、現在といたしましては、新しい構想をここで持つのではなく、今、
日米安保体制下にある、そうしたことが一応極東のみならず、安定感というものをそれぞれ与えておるのじゃないだろうか。そこで
日本がやはりそういう枠内で専守防衛の国である、シビリアンコントロールのきいた国である、そして非核三
原則の国である、憲法も私
たちには戦力を与えておらない、こういうふうな幾つもの制約の中で我々は平和を望んでおる。常にそのことを申し上げることが必要ではなかろうか。
だから、私
たちといたしましては、一応そういう意味で太平洋諸国とのお互いの共栄を図っていきたい、かように思っておる次第でございます。