運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-03-25 第112回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十五日(金曜日)     午前九時五十五分開議  出席委員    委員長 糸山英太郎君    理事 甘利  明君 理事 北川 石松君    理事 田中 直紀君 理事 中山 利生君    理事 浜野  剛君 理事 神崎 武法君    理事 永末 英一君       天野 公義君    有馬 元治君       石井  一君    大石 正光君       小杉  隆君    坂本三十次君       椎名 素夫君    鈴木 恒夫君       村上誠一郎君    山口 敏夫君       石橋 政嗣君    岩垂寿喜男君       河上 民雄君    辻  一彦君       伏屋 修治君    正木 良明君       岡崎万寿秀君    松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宇野 宗佑君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      福田  博君         外務大臣官房領         事移住部長   黒河内久美君         外務省アジア局         長       藤田 公郎君         外務省欧亜局長 長谷川和年君         外務省経済局次         長       内田 勝久君         外務省経済協力         局長      英  正道君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    法眼 健作君         林野庁指導部計         画課長     杉原 昌樹君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      阿部巳喜雄君         外務委員会調査         室長      藪  忠綱君     ───────────── 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   水野  清君     鈴木 恒夫君   森  美秀君     有馬 元治君   岡田 利春君     辻  一彦君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     森  美秀君   鈴木 恒夫君     水野  清君   辻  一彦君     岡田 利春君     ───────────── 三月二十四日  ジュネーヴ条約追加議定書の加入に関する請願(川俣健二郎紹介)(第一一〇三号)  同(坂上富男紹介)(第一一〇四号)  同(稲葉誠一紹介)(第一一五八号)  同(渡部行雄紹介)(第一一五九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件(条約第二号)  千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件(条約第三号)  オゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層破壊する物質に関するモントリオール議定書締結について承認を求めるの件(条約第四号)      ────◇─────
  2. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 これより会議を開きます。  日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件、千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件及びオゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層破壊する物質に関するモントリオール議定書締結について承認を求めるの件の三件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  3. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうは熱帯木材機関論議に入るのですが、その冒頭にきのう起こりました中国列車事故について一言だけお尋ねしたいと思います。  既に報道されていることでありますが、きのう中国上海郊外列車事故が起こり、日本高知学芸高校の百九十三人の修学旅行を含む乗客に死傷者が出ております。高校生の楽しい修学旅行の夢が破れたということは大変残念でありますし、また父兄学校関係者の御心配も大変大きい、そういう意味で非常に残念なことであったと思います。  まず死亡された高校生並びにその御遺族に心からお悔やみを申し上げたい。と同時に、多数の負傷者が出ておりますので、御本人並びに御家族皆さんにも心からお見舞いを申し上げたいと思います。  そこで、既に外務当局外交機関を通してキャッチされておると思いますが、この事故の現況につきまして御報告をお願いいたしたい。
  4. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 まず、その先に五分ばかりおくれましたことに対しておわびを申し上げます。閣議が非常に盛りだくさんであったこと、閣議終了後総理と私と官房長官運輸大臣並びに文部大臣、本当に慌ただしく今御質疑賜りましたことに関していろいろと打ち合わせをして、そしてここへ走ってまいりました。時間どおり入れると思っておりましたが、こういう重大な、不幸な事故でございますから、マスコミの方々からいろいろと御質問をちょうだいいたしまして当委員会におくれましたことに対し、心からおわびを申し上げる次第でございます。  昨日午後三時二十分、現地時間二時二十分ごろでございますが、上海市の西北部で、高知県の高知学芸高校修学旅行団の一行百九十三名が列車事故に遭遇し、これまで判明した限りでも十数名の前途有望な人々が犠牲になっております。そしてまた十数名の人々が負傷されております。救出中国側全力を挙げておられる次第でございますが、運輸大臣の話によりますと、ちょうど衝突したところがなかなか大変な破壊ぶりで、そこへ救出に入れないという状況らしいということも聞いておるというようなことでございまして、外務省といたしましては、もちろん、外務省内と、そして上海領事館緊急対策本部を設けました。なおかつ北京の大使館にも直接指令を発しまして万全を期させておる次第でございます。  まず、とりあえず家族方々中国にお行きにならなければなりませんから、そうした航空機の準備等々もある程度確保できたということでございます。文部省も既に現地職員を派遣いたしております。さらに政府として何をなすべきかということは、現在、官房長官のところで検討していただいておるような状態でございます。  こうした夢多き青年たちが不幸な事故に遭われましたことに対し、私からも衷心より哀悼の意を表する次第でございます。
  5. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは、きょうは深くは入りませんが、もう一点だけお尋ねしたいのです。  亡くなられた方は確認されておりますが、負傷者もわかっておるようでありますが、なお未確認もあり、これらの確認と、それから父兄家族への情報の速やかなる伝達、こういうこともお願いをし、また入院されておるわけですから、治療に万全を期す、さらに現地に恐らく今大臣お話しのとおり直行されると思いますから、これらのことについて事後の対策に万全を期すと同時に、またこれからの問題につきましても心配のないようにひとつお願いをいたしたい。強く要望しておきますが、それについて大臣の所見をもう一言お願いしたいと思います。
  6. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ただいまの御要望に対しまして全力を挙げる所存でございます。
  7. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、本論の方のITTO国際熱帯木材機関誘致本部設置の問題についてしばらく質疑を行いたいと思います。  まず、私はITTO誘致のねらいが何であったかということについてお尋ねをいたしたい。  今回この熱帯木材機関横浜誘致するに際して、日本インドネシア、オランダ、ブラジル等八カ国から強い誘致運動があったと聞いております。また世界環境団体も、熱帯木材最大輸入国であり熱帯雨林の消失に非常に大きな責任がある日本ITTO誘致することについて、かなり不信を持っておったということも聞いておりますが、こういう中で横浜にこのITTO誘致を強く主張した理由は何であったか、このことをお尋ねしたいと思います。
  8. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 先生指摘のとおり、熱帯木材につきましては我が国最大輸入国でございます。このようなことに加えまして、我が国世界的にもすぐれた林業技術を有しております。そういう立場におきまして我が国ITTO国際熱帯木材機関活動に積極的に貢献し得る立場にあると考えておりますし、また熱帯木材輸入大国といたしましてそういう貢献を果たしていくことが日本の責務でもあるという立場から、その本部日本誘致するということにした次第でございます。  また、現在日本におきましては、国連大学を別といたしますとグローバルな国際機関本部がございませんで、このような国際機関の本邦への設置は、国際社会におきまする我が国役割向上地位向上にふさわしいものであるという観点も踏まえまして、本部誘致が望ましいと判断した次第でございます。我が国といたしましては、このITTO本部横浜設置されましたことに伴いまして、ホスト国として今後とも一層積極的な協力をしていきたいと考えている次第でございます。
  9. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ねらいは幾つかあったと思いますが、私は一番大事な問題は、やはり我が国が戦後日本経済復興という中で住宅等々の建設に多量の木材を要した、さらに高度経済成長時代には非常にたくさんの木材を外国から入れたわけですね。  私も、ちょっと前ですが、高度経済成長時代国会派遣インドネシアのスマトラにも行きました。そして熱帯雨林の皆伐状況等々も見たのですが、例えばインドネシアでは、上流の方の熱帯雨林を切ったために、切った木材をどんどん川で運んで河口に積み上げている、ところが、片方では日本経済成長石油ショックでとまっている、そういう中で契約がキャンセルされて木材は港に積み上げ、そして上流の方では大洪水が出て積み上げた木材がみんな洪水で流れてしまったというように、皆伐の跡は洪水等々によるいろいろな影響が出ている、そういう状況をじかに見てまいりました。  そういう点から考えると、日本の戦後の木材需要住宅建設、それから高度成長期においては多数の熱帯雨林木材を輸入した。確かにこれは正規の貿易ルートで輸入したのではあるが、結果としてはインドネシアフィリピン、マレー等々の熱帯雨林の跡が非常に荒れている、そういうことに対する我が国としての反省というか自覚というか、こういうものがもっと大きな流れになって、それを埋め合わせるために、熱帯雨林再生のために国際機関誘致していかなくてはならないという気構えが今の御答弁からは余りうかがえないのですが、大臣からそれらについてのお考えをひとつお伺いしたい。
  10. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先ほどの政府委員答弁は極めて今日までの事務的なお話にとどまっておりますが、今辻委員が申されましたように、我が国は戦後復興のために多くの木材を必要とした。ただ、アフターケアというものを考えてみると、だれがすべきかいろいろ問題はあったでしょうが、顧みて今日の日本経済的地位から考えました場合に、そうしたことも、遠い昔のことであったにせよ、やはり我々としても当然責任を果たすべきであるという気持ちを表示することは大切なことである。おっしゃるとおりでございます。  したがいまして、そういう気持ちの上におきましても、国際機関というものが一つでも多く我が国に来ていただいて国際的な責任を果たすことも大切なことではなかろうか、それが世界に貢献する日本世界に開かれた日本と私たちが主張している具体的なあかしである、こういうことで横浜誘致したという経緯もございますので、その点は私からもつけ加えて申し上げておきます。
  11. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今の気持ちが大きく流れておるとすれば、国際的にいろいろ批判を受けたにしても具体的な行動でそれにこたえることができるのではないか、また、こたえなくてはならないと私は思います。  そこで、熱帯雨林が非常に荒廃していると言われますし、事実そうなんですが、原因はいろいろあるわけですけれども、この問題をもう少し深く考えてみると幾つかの原因がある。我が国役割ということも出てくると思いますが、まず熱帯雨林が今日のように毎年毎年消失しておる状況、それからそれがどういうような原因によるか、こういうことについてお尋ねいたしたいと思います。
  12. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 お答えいたします。  政府といたしましても熱帯雨林世界的に相当の規模で減少しているという事実を極めて重要な問題であると認識しております。聞くところによりますと、毎年本州の面積の約半分の熱帯雨林が地球上から消失しているということでありまして、私ども、この問題は国際的な環境問題の中でも最も重要な問題の一つであると認識しております。  日本といたしましても、これに対しまして二国間あるいは多国間の協力を今後一層強化していかなければいけないと強く認識している次第でございます。
  13. 辻一彦

    ○辻(一)委員 熱帯雨林荒廃については、現地の側からすれば焼き畑の問題あるいは過放牧の問題、それから薪炭材に使う、こういう問題がありますね。そういう状況の中で、一般的には、パーセントからいえばかなり焼き畑薪炭材ということが多いんですが、薪炭材に使っているサバンナ林状況と、日本ラワン材等を中心にして非常に大きな高木といいますか、大木、樹齢で言うと千年とか非常に長くたっているそういうものを伐採して輸入しているのとは状況が非常に違うと思うのですが、そこいらの認識はどういうようにされておるのか。
  14. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 熱帯雨林の減少の原因につきましてはいろいろ研究が進められておりますけれども、最も大きな理由焼き畑移動耕作によるものであるということが国際的な機関研究からも明らかになっていると考えている次第でございます。  ただ、そのほかにも先生指摘のとおり、サバンナと申しますか、過放牧あるいは薪炭材採取、そういうことも大きな原因、あるいは木材の伐採も一つ原因であるということも事実であろうかと考えている次第でございます。
  15. 辻一彦

    ○辻(一)委員 きょうは時間がかなり圧縮されたので質問もはしょるようになって恐縮ですが、まず私はこの熱帯雨林再生荒廃を回復するには、一つはやはり我が国がさっきのとおりかなり自覚責任を感じて、植林再生等努力をするということが非常に大事であると思いますね。  もう一つは、やはり焼き畑をやらなければいけないような現地住民皆さんの事情もまたある。だから、そういうところには焼き畑をしなくてもいいような、言うならば順番に林を焼き払って、そして穀物をつくって放牧をして、それでまた地力が衰えれば移動していくというやり方、そういうことによって暮らしを立てざるを得ないような状況もあろうと思いますから、これらを解決することをしないと、熱帯雨林荒廃ということはそういう意味ではなかなか防がれぬじゃないかという感じがします。  それから、薪炭材ならばやはりかわるべきエネルギー源といいますか、燃料用植林をしてそういう薪炭材採取するようにするのか、あるいはかわる燃料をいろいろと考えていくのか、こういうことまで考えないと熱帯雨林荒廃は防ぎ切れないというように思います。  と同時に、我が国自体がもっとやらなくてはならないことは——焼き畑にしても、大木、高い木を切って、そしてこれを引きずっていく、もう周辺はみんな荒らされてしまう、土は表土の大事なところはみんなめくられてしまう、こういう中で大木が搬送される、その跡を今度は焼き畑をやって、そして作物をつくっていく、こういう形の焼き畑も進められている。その原因は、また日本が千年から二千年と言われる大きな木を切って、日本が切るわけじゃなくして現地の方で切るわけですが、そういう結果として生まれている。これを考えると、やはり我が国再生にもっともっと力を入れなくてはいけない。  新聞報道等もちょっと見ますと、焼き畑の跡はもうれんがのように土が固まって、とにかく五十センチほどはもう鉄棒で掘ってもなかなか穴があかない。だからそれを掘るのに大変な時間がかかる。そういうふうに一遍荒廃した跡は大変な状況なんですが、これに対して具体的にどういう対策でこたえようとしておるのか、これをひとつお尋ねしたい。
  16. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 焼き畑移動耕作でありますとか過放牧、それから薪炭材採取といった問題が途上国地域におきます住民生活に密着している問題であるということは全く先生の御指摘のとおりでございます。  したがいまして、この熱帯雨林破壊あるいは環境保全の問題を考えるに当たりましては、当然のことながら途上国地域住民に対する配慮と申しますか、農業の分野で申しましたら、定着農業はどのようにして可能になるのであろうかとか、あるいは先生指摘のとおり薪炭によらない代替エネルギー開発が可能であるかどうか、そういった観点からの途上国協力ということが極めて重要な問題になってまいります。私ども政府といたしましては、そういう住民生活向上という観点からもこの熱帯雨林の問題に取り組んでいかなければならないと考えている次第でございます。
  17. 辻一彦

    ○辻(一)委員 日本が本格的に熱帯雨林再生に力を入れるということになれば、今度の国際的な負担金初年度日本の場合は二百万ドル、何年間で五百万ドルというんですが、あれだけ荒れた熱帯雨林再生するのに我が国が二百万ドルや五百万ドルを出して、それで済む問題ではないんじゃないか。  これは日本も国際的に貢献するということを内閣の方針としておる以上、財政的な面でもひとつ十分考えて、本格的な熱帯雨林再生に向けて努力をいただきたい。大臣からひとつこの点についてのお考えをお尋ねしたいと思います。
  18. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 先生指摘のとおり、ITTOに対しまする我が国拠出、六十二年度で二百万ドル、六十三年度には二百二十万ドルということで現在国会で審議をお願いしているという状況でございます。二百万ドルあるいは二百二十万ドルで私どもも決して十分だとは考えておりませんが、熱帯木材機関自身まだ生まれまして二年ほどでございます。今後、私ども政府としての考え方は、この二百万ドルというのはITTO加盟国の中でも最大拠出をしているわけでございますが、まず第一には、この拠出が呼び水になって世界各国がこの機関により多くの拠出をしてもらえるように期待したい、そのように働きかけていきたいこと、第二は、我が国自身といたしましてもこの拠出を拡大いたしまして、一日も早くこの機関活動を軌道に乗せていきたいというように考えております。  まだ現時点では、やっと立ち上がってこれから大きく活動を開始したいという段階でございまして、その中には、先生指摘のとおり当然熱帯雨林再生あるいは森林資源保全といった問題が大きな課題になってくる、一つの事業の中核になってくるというように考えている次第でございます。
  19. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今の問題について、事務当局はいいのですが、大臣から本格的に力を入れるについての決意をひとつ伺いたい。
  20. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先ほどの高校列車事故でちょっと次官が来ておりまして、今いろいろ打ち合わせをしておりまして失礼いたしました。  ただいまの問題でございますけれども、いよいよITTO活動を開始する、そうした中におきまして、やはり生産と消費のバランスをとるべく設けられた国際機関でございますから、そうした焼き畑農業というものに対しましても一つ政策を打ち出すということが必要ではなかろうか。もちろんその政策自体はそれぞれの国が持っていただかなければならないことではございましょうが、そのまま放置しておきますとやはり大変なことになろう、こう考えてまいりました場合には、これもITTO一つの大きな仕事ではなかろうか。  そうしたものが順次決まるにつれまして、では、本部まで誘致して意気込みを見せた日本として何をなすべきかという問題、当然出てまいると思います。今のところ拠出金は一番高いですよと言っている段階でございますが、やはり何らかのいろいろな方法を講じまして、守っていかなければならぬものは守っていく、それが日本立場ではなかろうか、かように存ずる次第であります。
  21. 辻一彦

    ○辻(一)委員 林野庁にちょっとお尋ねしますが、見えていますね。  ひとつ今のような決意に基づいて、これからぜひ本格的に取り組んでもらいたいのですが、熱帯雨林再生に具体的な技術面林野庁にはいろいろ分担をしてもらっておりますが、再生への研究、あるいは植林造林対策等はどういうように今進めておるのか、これからやろうとしているのか、時間は余りありませんが、要点で結構ですから、お尋ねしたい。
  22. 杉原昌樹

    杉原説明員 お答えいたします。  ただいまの議論のように、林野庁としましても、我々の職員を含めまして、現地技術開発プロジェクトを組んで二年ないし三年の長期にわたって各国との間の技術協力プロジェクトを実施しております。特に熱帯雨林そのものについての試験研究というようなことに関しましては、我が国も必ずしも砂漠その他の問題で進んでいるとは言えないわけでございます。例えばフランス等におきましては政府機関として熱帯林業技術センターを持つというようなこともございます。またFAOなりにおきましても、我々の拠出した資金を使いまして熱帯雨林再生技術協力プロジェクトを組むというようなことをやっておりますが、先ほど申し上げました私どもの持っております国立林業試験場研究員も、年間にしますと相当数が二月ないし半年、一年という単位で各国試験場協力をし合って熱帯雨林再生に関する技術協力を行つているところでございますし、我々もこれからさらにこういうプロジェクトを通じまして日本技術向上させていく必要がある、こういうふうに考えております。
  23. 辻一彦

    ○辻(一)委員 荒れた焼き畑の跡をどう再生するかについて、日本の今まで蓄積した造林とか植林技術を生かして新しい開拓を図る必要があるだろうと思うのですが、その用意はあるかどうか、いかがですか。
  24. 杉原昌樹

    杉原説明員 御承知のように、私どもが現実に造林をやっております現地というのは、かつての火入れなり過放牧によって、お話しのように土質も相当に、日本で想像できないような地域での技術開発でございます。単に日本森林土壌のようなところでの造林ということであれば大変簡単でございますが、雨季と乾季のはっきりした地域で、数十年というかもっと長いタームだと思いますが、完全に草地化したところ、または半乾燥地帯のところで造林を行っておりますので、これまで成功した例、失敗した例、それぞれございますが、例えば先ほどお話しございましたインドネシアにおきます造林につきましては、本年をもって終了するわけでございますが、インドネシア政府から大変な評価を受けているというふうに自負をいたしているところでございます。
  25. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いい評価があれば大変結構ですが、ぜひそれを強化して努力をいただきたいと思います。私もこの夏ぐらいにはインドネシアフィリピン、マレーシア、タイの熱帯雨林をもう一度少し詳しく見に参りたい、その上でまたこの問題は多少時間をとって論議をいたしたい、こう思っております。  あと一つ国際天然ゴム協定について二、三点お尋ねしたいと思います。  我が国は、世界で二番目の天然ゴム輸入国でありますから、第一次産品天然ゴムについては極めて関心もあるわけであります。建前として、一次産品価格変動が非常に大きい、そういう意味でこれを安定させるためにこういう商品協定ができておるのですが、一九八〇年に最初の国際天然ゴム協定が発効してから今日まで協定の機能が随分と低下したと言われております。今まで現行協定が有効に動いておったと考えておるかどうか、この点いかがでしょうか。
  26. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 お答えいたします。  千九百七十九年の国際天然ゴム協定のもとでは二度にわたって価格下方改定が行われておりますが、その幅が生産国側からの主張によりまして小さ目に抑えられておりました。そういうことで、必ずしも価格帯を天然ゴムの国際市況に照らして機動的に調整し得なかった面があることは否定できないことかと思っております。  ただ、協定の有効期間全体を通じて見ますれば、天然ゴム価格は変動を繰り返しながらも協定の定める価格の範囲内におさまっておりまして、政府といたしましては、一九七九年協定はおおむね所期の機能を発揮して、天然ゴム価格の安定のために貢献したものという認識を持っている次第でございます。
  27. 辻一彦

    ○辻(一)委員 すず協定の破綻といいますか、それがうまくいかなかった点を考えると、それほど順調であったかどうかについては懸念がありますが、それでは、新協定の中で基準価格が決められるわけですが、そういう価格帯が現実の市況と乖離しないようにある程度調整される必要があると思うのですけれども、そこらの価格調整のメカニズムが、なかなか大変でありますが、新しい協定によって十分生かされるのかどうか、そういう見通しがあるかどうか、この点いかがですか。
  28. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 お答えいたします。  今般の新協定のもとでの基準価格は、交渉の過程で基本的に旧協定の基準価格をそのまま踏襲したのですが、まず第一点として、この基準価格、一キログラム当たり二百一・六六マレーシア・シンガポール・セントになっておりますが、これが適当な基準価格であるかどうかにつきましては、新協定の発効後できる限り早期に市況の動向も踏まえて見直しをしていくことにしている次第でございます。  また、そういう形で今後基準価格の見直しが行われるわけでございますけれども、その基準価格の見直しのメカニズムにつきましては、新協定のもとでメカニズムを強化したと申しますか、具体的には自動的な価格帯調整の方式を採用している次第でございます。より具体的に申しますと、十五カ月ごとに基準価格の定期的な検討を行います。また、緩衝在庫の純変動量が十万トンに達するごとにも検討を行うということにしている次第でございます。  以上でございます。
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 お尋ねしたい点はまだ二、三ありますが、ちょっと後がつかえてきましたので、国際ゴム協定についてはここでとどめたいと思います。  最後に外相にお尋ねしたいのです。  近く日中閣僚会議が開かれると思うのですが、最近の日中問題をどういうように認識をされておるかということと、それから日中閣僚会議がいつごろ開かれるか、これについてちょっとお尋ねをいたしたい。
  30. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 閣僚会議は五月の初旬あたりを予定いたしております。こうしたことは両国が同時に発表しようということになりますので、今のところはそのあたりを私たちとしましては予定をいたしておるということでございます。  なおかつ、本年は日中平和友好条約締結十周年でございますから、私といたしましては、過般も今国会、両院において表明をいたした次第でありますが、その条約の中には永久によい関係を保とうということがうたわれておりますから、したがいまして、この条約は十年目に両国の協議により、あるいは一国から通知すればと、いろいろなことが書いてございますけれども、我々としては当然永久に続けていくべき条約である、こういう姿勢で臨んでいきたいと思う次第でございます。  なおかつ、現在は本当によい関係にあるのではないか、かように存じております。だから、いろいろな問題に関しまして協議いたすわけでございますが、外相会議におきます議題等に関しましては、それぞれまず事務局同士でどういうものを議題にしようかとただいまいろいろと準備をしていてくれる段階でございますので、いずれ決まりました暁には申し上げてよいと思いますが、私たちといたしましては、今申し上げました条約並びに四原則、さらには共同声明等々の線を踏まえまして、やはり本当に我が国といたしまして御協力できる面で大いに協力をしたい、かように存ずる次第であります。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私も三十一日に中国、北京へ行きますので、中国外交部ともいろいろ接触する機会があると思うのですが、今のどに刺さったとげ、光華寮問題、これがいい関係の中に刺さった一つのとげになると思うのですが、これについて今どう考えていらっしゃるか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  32. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 その前に、今辻委員から申されましたのは日中閣僚会議、これの方はまだ未定でございます。今私が申し上げましたのは外相会議ということでございますから、ちょっとその点、補足をいたしておきたいと思います。  光華寮問題はただいま我が国におきまして係争中であるということは中国も十分御承知であろうと推測しております。そしてまた、我が国には三権分立というものがあって容易に我々から口出しすべき問題ではない、難しい問題だということに関しましても理解を示していただいておるのではなかろうか、かように存じております。したがいまして、大きく申し上げるのならば、日本一つ中国ということを常に念頭に置いておるということはいろいろな機会に申し上げておる次第であります。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最後にもう一問お尋ねしますが、閣僚会議は先のことでしょうが、日中外相会議が早い時期に大体開かれそうでありますが、そのときの課題といいますかテーマは重点的に幾つかあろうと思いますが、どういう点を考えていらっしゃるか、ちょっとお尋ねいたしたい。
  34. 藤田公郎

    ○藤田(公)政府委員 外相会議は、そのときどきで両国間で二国間関係及び国際情勢につきましてそれぞれ関心を持っております点を議論いたしますので、毎回これを議論しようと決まったものがあるわけではございません。  現在の状況で推察いたしますに、恐らくは二国間では、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、二国間の平和友好条約十周年の記念すべき年であるということを踏まえての政治関係全般についての大臣レベルでの意見交換、経済問題等が当然取り上げられると思いますし、国際情勢では相互に関心を持っておりますアジアないしその他の国際情勢について幅広い意見交換が行われるものと推察いたしております。
  35. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間が来ましたが、今の問題に関連してもう一つだけ伺っておきたいのです。  日中二十一世紀委員会はどうするかということが当面迫ってきておるのですが、中国の方は継続していってもいいのじゃないか、こういうような考えのように感じますが、これについてどう考えていらっしゃるか、最後にお尋ねしたい。
  36. 藤田公郎

    ○藤田(公)政府委員 御承知のとおり当初五年間という期限で発足をいたしまして、その五年目があと一年ちょっとで来るという状況にございます。中国側は座長がおかわりになったりという状況でございますので、今後これをどういうふうにしていくかということにつきましては、本来この二十一世紀委員会というのは五年間ということで出発はいたしましたけれども、対象といたしております問題がまさに二十一世紀ということで極めて中長期的な広い問題でございますので、その点をも踏まえまして、当初の五年が終わった段階でどういうふうにするのかというのは今後両国間で話し合って決めていくべき問題ではないか、両国間と申しますか双方の委員の間で話し合われて決まっていくべき問題ではないかというふうに存じております。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。
  38. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 神崎武法君。
  39. 神崎武法

    ○神崎委員 初めに修学旅行列車事故について一言お尋ねをいたします。  中国修学旅行中に列車事故が発生しまして多数の負傷者が出ましたことにつきまして、この痛ましい大惨事に対し、まず御遺族の方々に心から哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  政府といたしましても、現状の把握、この負傷者の救助活動等に全力で取り組んでいただきたいと思います。あわせて高校生の海外修学旅行が昭和六十二年度は百四十校に及ぶなど、今後ますます増加するものと思われますし、国際化ということを考えますと、これは望ましいことだろうと私自身は考えておりますが、安全の確保という観点から事前に正確な情報の提供等十分な検討が今後必要になってくるだろうと思いますけれども大臣のこの点についての所見をお尋ねいたしたいと思います。
  40. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 痛ましい事故でございまして、私からも哀悼の意を表したいと存じております。  先ほどは社会党の辻委員にお答え申し上げましたが、その後、今急遽総理を中心にいろいろ善後策を講じられました結果、外務政務次官を現地に直ちに派遣をする。もろもろのことが次から次へあるでございましょう、恐らく家族方々、さらに遺族となられた方々もいらっしゃいましょうし、そうした混乱を避け、中国側に対しましても、いろいろと苦労なさっておるわけでございますから、そうしたことに対する気持ちも表明をしなくちゃなりませんので、今そうした措置をとったばかりでございます。  今申されましたとおりに、海外修学旅行というのは、今日国際化におきまして一番大切なことではなかろうかと私も思います。個々に行かれる方があるかもしれませんが、できるのならばそうした集団によって行かれて、そしてお互いに広く世界を見てもらうということは一番よいことではないかと思いますので、不幸な事故が起こりましたが、しかしやはり海外旅行というものは大切なものである。特にお隣には韓国も、中国も、あるいは東南アジアも立派な国々があるわけでございますから、ぜひともそうしたところとの交流は深めていただきたい、かように思う次第であります。
  41. 神崎武法

    ○神崎委員 次に、オゾン層保護条約、議定書からお尋ねをいたしたいと思います。  まず、成層圏のオゾン層は生物に有害な太陽の紫外線を地表に直接下さない役目を果たしているということでございます。このオゾン層破壊し、そのため紫外線をそのまま通過させて人体や自然生態系に多大な影響を与える、これがフロン、ハロンであるということでございますが、現在地球はこの状態に進行中であるということが多くの学者等から指摘がされているわけでございます。  特に、フロンの生産量は全世界で百数十万トンでありますけれども我が国はその一割強を生産しているところでございます。このフロンあるいはハロンが大気中に放出され続けますと地球上では生物が生存できなくなる、こういう警告を発する学者や研究者もいるわけでございますが、我が国としても真剣にこの問題に取り組まなければならないと考えるわけでございます。地球の環境保全という立場からこの問題についての大臣の認識をお尋ねいたしたい。
  42. 法眼健作

    ○法眼説明員 まさに先生指摘のとおり、フロンが増加いたしますと人間の健康、地球の生物、生命に大変な影響があるということがもう既に言われておりまして、そして我が国は今先生指摘のようにフロンの一割以上を生産している国でございます。いろいろなデータがございますが、オゾンが一%減りますと有害な紫外線の量が二%ふえて、結果として皮膚がんの増加率がかなりふえるというデータもございます。  そういったようなことから私どもはこれに真剣に取り組まなければならないと考えておりまして、そのためにウィーン条約、それからモントリオール議定書に加入することになったわけでございます。国際社会での日本責任ということからも地球的環境保全のために、この画期的な条約及び議定書の締結に関しまして日本としても極力一生懸命やっていきたい、このように考えております。
  43. 神崎武法

    ○神崎委員 フロンの規制は世界が協調して同時に進めなければ意味がないと思われますけれども、現在五年計画でフロンの増産を推進しているソ連は特別扱いで各国より四年おくれて凍結というふうに聞いておりますし、また中国やNICS諸国も加盟をいたしておらない。EC諸国もあくまで共同体として全体の消費量の凍結、削減を実施し、個々の国には特別な規制は適用しないということも聞いているわけでございますが、このような状況で果たして効果的な規制ができるのかどうか、その点いかがでしょう。
  44. 法眼健作

    ○法眼説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生申されましたとおり、議定書におきましては、計画経済によっている国、それから開発途上国といった国がそれぞれ一定の条件のもとに例外的な扱いを受けていることは事実でございます。一方、オゾンのような地球的な環境問題につきましてはできる限り多くの国が協力して参加する必要がある、こういう認識に基づきましていろいろな国が抱える事情を勘案いたしまして、議定書の普遍性を確保してできるだけ多くの国に参加してもらうということが方針としてあったわけでございます。  例えば先生が言われましたソ連の特例でございますが、ソ連は五カ年計画でもって既に国内の経済計画でフロンの生産がその中に組み込まれているもので、これをどうしても猶予してくれないかということがソ連から強く主張されまして、これは五カ年でございますが、その後はずっとモントリオール議定書に従うということで特例として認めたわけでございます。  それからECでございますが、これは国でなく統合体としてこれに参加しているわけでございますが、ECは一九九二年を目途に市場の統合を達成するということになっておるものでございますから、その点を勘案してECは統合体としてこれに参加するということを認めたわけでございます。  それから、中国やNICSは入っておりませんが、これらの国につきましては、極力入るように既に一生懸命働きかけているところでございまして、今後とも努力していただきたいというふうに考えております。
  45. 神崎武法

    ○神崎委員 条約四条及び議定書の五条、十条によりますと、開発途上国に対する条項が幾つかあるわけでございますが、具体的に開発途上国に対してどのような配慮をすることになるのか。また、開発途上国であります締約国は規制物質の消費量の算定値が国民一人当たり〇・三キログラム未満であるものは、基礎的な国内需要を満たすために規制措置の実施時期を十年おくらせることができるというふうにしているわけでございますけれども、この〇・三キログラム及び十年ということを決めた根拠についてお尋ねしたい。
  46. 法眼健作

    ○法眼説明員 お答え申し上げます。  まさに先生指摘のとおりの数値、それから四条等の規定があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、できるだけ多く広い範囲の国に参加してもらうという必要があるものでございますから、開発途上国に関しましてはそのような規定になっておるわけでございます。  その根拠でございますが、一人当たりの消費量が〇・三キログラムというふうにしておりますのは、世界の人口を例えば五十億人といたしまして、それから今現在の生産量は六十年の数字では百六万トンとなっておりますが、そういたしますと一人当たりの平均が約〇・二キログラムということになるわけでございます。そして、今ほとんどの開発途上国生産しておらないものでございますから、今そういう生産の段取りになっている国もございまして、当初これの議定書が審議されましたときには〇・五キログラムという点を一つの水準というふうに求めていたことから、それよりかなり下回る〇・三キログラムぐらいの生産ならば構わないのであろう。  それからまた、その規制をおくらせる期間を十年とすれば、十年の余裕があれば国内の基礎的な需要を満たすための措置を講ずるために十分な時間ではないか、このように判断されましてそのような規定になった次第でございます。
  47. 神崎武法

    ○神崎委員 今回の協定は、規制、凍結を第一義といたしておりまして、そのためにフロン、ハロンの生産規制で指摘されておりますことは、規制が既得権を生むのではないか、こういう懸念でございます。また、規制によって一定量の生産が許容されまして、かえって代替物質開発をおくらせることになるのではないか、こういう懸念があるわけでございます。その点を払拭するためにも代替物質開発というものを大いに振興しなければいけないと思うわけでございますが、その点はいかがでしょうか。また、代替物質開発の対応、方策というのはどういうことになっているのか。特に代替物質といたしましてフロン123とフロン134aの二種が有力であろうと言われておりますけれども、これらについての研究開発の実情はどうか。さらにハロンにつきまして、ハロン一三〇一はフロン11、フロン12の破壊係数の十倍である。これらについての代替物質開発状況について、あわせてフロンとハロンについてお尋ねをしたい。
  48. 阿部巳喜雄

    ○阿部説明員 先生指摘のとおり、この議定書を円滑に進めるためには代替品の開発というのが特に重要だというふうに認識しております。このため、今国会で御審議をお願いしております特定物質の規制等によるオゾン層保護に関する法律案においてもフロン等の代替品の開発及び利用の促進のための国の努力義務規定を設けているところでございます。  御指摘のフロン123、134aの研究開発状況でございますが、123及び134aにつきましては、規制対象物質でありますフロンの代替品として極めて有望でございます。その観点から各メーカーにおいて鋭意その開発に努めているというふうに聞いております。  また、我が国企業を含む世界の化学メーカー十三社の共同によりましてフロン123及び134の毒性試験を行うという計画が進んでいるというふうにも聞いております。  また、ハロンの一三〇一の代替物質研究開発状況でございますが、これにつきましては、ハロン一三〇一は非常に安全性のすぐれた消火剤でございまして、非常に幅広く使われておりますが、これにかわるような代替品というのは現在のところ見つかっていないというふうに聞いております。
  49. 神崎武法

    ○神崎委員 本条約議定書につきましては、一日も早い効力の発生を願っておるわけでございますけれども、効力発生の日は六十四年一月一日の予定というふうにされているわけでございます。この予定で規制値も進められておりますけれども、そのためには各国がこの締結に同一歩調をとることが必要だと思いますけれども、この効力発生の日が当初の予定どおりにいくというふうに見通しについて考えておられるのか、また、我が国としても早期に効力発生をさせるためにどのような努力をされるのか、あわせてお尋ねをしたい。
  50. 法眼健作

    ○法眼説明員 お答え申し上げます。  この議定書が予定どおり明年一月一日に発効するためには、まずウィーン条約が発効していることが一つの条件でございまして、それからまた、昭和六十一年におけるフロンの世界の推定消費量の三分の二を占めている国がこの議定書を締結することが必要でございます。  そして具体的には、世界の消費国として一番大きいのはアメリカでございまして、これが約三五%の消費をしております。ECが四〇%、我が国が一〇%、ソ連、東欧が約一〇%、その他五%という感じでございますが、一つには、これはアメリカが大変熱心でございまして、もう既にこれは上院が承認済みでございます。それからECはことしの九月十五日までに十二カ国すべての加盟国締結するという方針で準備中の由でございまして、この二つの国で七五%をいくわけでございまして、三分の二をクリアする次第でございます。我が国国会で御審議願いまして、できるだけ早くこれに加盟し締結するということでぜひお願いしたく、また、私どもも一生懸命やっていきたい、このように考えております。
  51. 神崎武法

    ○神崎委員 次に、天然ゴム協定につきまして一問だけお尋ねをいたします。  天然ゴムのスモールホールダー、いわゆる小農園主の割合は、マレーシアでは栽培面積の七五%、インドネシアでは八〇%、タイでは九〇%に達していると言われているのであります。  ところで、一九八五年の東京の会合で、生産国でありますマレーシア・ゴム研究開発局長官が講演の中で、この協定によります緩衝在庫方式を導入したことにより価格は安定したが低く抑えられている、こういうことを述べているわけでございます。また、今回の協定の交渉経過を見ますと、主要な争点といたしまして、生産国側価格帯の大幅な引き上げを主張し、消費国側がこれに強く反対をするという点など、いろいろ対立点があったように思えるわけでございます。商品協定開発途上国の輸出収入の増加に寄与するものとして位置づけられておるとするならば、新協定価格帯設定に当たっては生産国側の主張も十分考慮されているとは思うのでありますけれども、これらの点についてお尋ねをしたい。
  52. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。  旧協定のもとにおきましても生産国は緩衝在庫の方式を大変評価していたわけでございますけれども、この緩衝在庫方式と同じ方式を新協定においても基本的に適用していくということについては、これはもとより基本的に生産国側の期待しているところでもあったわけでございます。実際には一九七九年協定の有効期間中に緩衝在庫が果たした機能のほとんどは買い操作による価格の下支えでございまして、価格が低く抑えられていたという指摘は必ずしも当たらないのではないかと考えている次第でございます。  また、ただいま申し上げましたとおり、緩衝在庫方式を継承する新しい協定の成立を主張いたしましたのは、マレーシアですとかインドネシア、タイ等の生産国であったことも事実でございます。他方、先生指摘のとおり交渉の過程におきましては生産国サイドが価格帯の水準をできるだけ高く設定することを望んだことも事実でございます。ただ、市場の実勢を反映しない非現実的な価格帯ということでは緩衝在庫そのものが機能をしなくなるおそれが多うございますし、そういう立場を消費国側がとったわけでございますが、この点につきましては、最終的には生産国もよく理解いたしまして、その結果、新協定価格帯は旧協定の終了時の価格帯をそのまま引き継ぐということになりました。  ただ、今後の推移につきましては、協定の発効後できるだけ早く市場動向を見ましてその基準価格が正しいかどうか、適当であるかどうかということを再検討したいということで生産国側、消費国側の合意ができたということでございます。  以上でございます。
  53. 神崎武法

    ○神崎委員 次に、日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定についてお尋ねをいたします。  カーター政権時代に公表されました米国政府の報告書「西暦二〇〇〇年の地球」によりますと、森林が毎年二千万ヘクタールずつ失われているのに対し、造林面積は百十万ヘクタールにすぎない。失われているほとんどが熱帯雨林でありまして、西暦二〇〇〇年には熱帯雨林の約四〇%が姿を消す、こういう予測が載っているわけでございます。さらに英国の国際環境開発研究所の調査によりますと、東南アジアの熱帯雨林破壊の七五%が木材伐採のためであるということが指摘されているわけでございます。  ところが、林野庁は本協定本部誘致の際に、熱帯雨林破壊の主要原因焼き畑農業であるとして我が国木材伐採の点について触れていなかったというふうに承知しておりますけれども、この熱帯雨林についての破壊の問題、原因を含めてどのような御認識をお持ちになっておられるのか。
  54. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 世界の熱帯林が相当程度の規模で減少しつつあるということは事実でございます。かつまた、世界の環境問題として大変重要な問題であるというように認識しております。  他方、熱帯林減少の主な原因につきましては、FAO及びUNEPの調査報告ではむしろ焼き畑移動耕作でありますとか、過放牧でありますとか、あるいは移住ということにされておりまして、東南アジアにおける熱帯林減少の主要原因木材の伐採であると断定することは困難なのではないかと考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、熱帯雨林保全は重要であるという認識に基づきまして、これまでも我が国といたしましては二国間及び多国間の協力を行ってきているところでございまして、今後ともその協力を一層活発化、積極化していきたいと考えている次第でございます。
  55. 神崎武法

    ○神崎委員 昭和六十二年二月の国連環境特別委員会の報告書によりますと、全熱帯林の二〇%は保護されなければならないのに実際に保護されているのは五%以下であるとして、森林伐採権の見直し、あるいは先進国は原木のみを輸入するという政策を改め、加工木材の輸入制限政策の変更などを行うべきである、いわゆる開発保全をあわせて行うことを求めておりますし、持続的開発という考え方等、さまざまな提言があるわけでございますけれども、これについての今後の対処方針はいかが。
  56. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 熱帯林の破壊の問題が世界の現下の環境問題の最大の問題であるということから、各国政府系あるいは民間の機関からさまざまな報告が出されていることは事実でございます。これらは非常に貴重な意見だと思いますので、政府といたしましても一つ一つ慎重に検討して、政府としてどのような政策あるいはどのような措置がとり得るか、考えていかなければいけないと考えている次第でございます。
  57. 神崎武法

    ○神崎委員 最後に、合板業界のガット提訴要請についてお尋ねをいたします。  インドネシア合板の輸入量が前年比で二・六六倍も伸びまして、日本メーカーに大きな打撃を与えているということが言われているわけでございます。我が国への合板輸入量は、昭和六十二年で百四十八万立方メートル、そのうちインドネシアが全体の九二・六%を占めており、日本市場に占めるシェアは一五%を超え、価格主導権をインドネシア産合板に奪われつつあり、我が国のメーカーの警戒感が強いということでございます。そのため、我が国の合板メーカーがインドネシアをガット違反で提訴するよう林野庁に要請したというふうに言われております。これに対してインドネシア側は反発をしておるようでございますが、この提訴問題について今後どのように対処するのか、どのように判断をしておられるのか。
  58. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 先生指摘のとおり、日本の合板工業組合連合会は、インドネシア合板の対日輸出量の急増を問題といたしまして、インドネシア合板協会が実施しております輸出促進努力の一部の中にガットとの関連で不公正な疑いがあるといたしまして、林野庁に対してガットに基づく手続の開始を陳情してきたということを聞いている次第でございます。  他方、三月一日付の日経新聞によりますと、インドネシア合板協会は、日本の動きは合理性を欠く植民地主義的な発想だとして強く反発しまして、日本向けの輸出を拡大することはあっても減らすことは考えていないと表明したということを聞いている次第でございます。  政府といたしましては、このような日本インドネシアの双方関係者間の動きにつきましては、まず第一に今後とも事実関係を十分調査しなければいけないと思っておりますが、今後いかなる措置がとり得るのか。一つには、東南アジア諸国等から求められております我が国の市場開放あるいは市場アクセスの改善といった観点、あるいは他方我が国の合板業者、合板協会の抱えている問題点といったものを念頭に置きまして検討をしていかなければいけない問題である、このように認識している次第でございます。
  59. 神崎武法

    ○神崎委員 では、以上で終わります。
  60. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 永末英一君。
  61. 永末英一

    ○永末委員 先年のソ連のチェルノブイリの原子力発電所の事故が極めて広い地域、国境を越えて影響を及ぼしたということにかんがみまして、主権国家の中でやっていること、あるいは主権国家としてのその国におる者の経済行為、いろいろなものが他国に影響を及ぼす、これは重要な問題であり、言うならば外交という問題の中にもその問題が入ってきておると思いす。  ヨーロッパの我々の仲間であります社会主義インターナショナルの加盟政党は、ヨーロッパにおきます環境保全ということを非常に重要な問題であるとして取り上げております。すなわち、各国の工業化が進むにつれまして、今までの森林に覆われたところがなくなる、生態系が変わる、酸性雨が発生する、これらの問題は一国のみでは解決し得ない問題であり、国際的な連携をとり、あるいは協定を結ばなければならない、こういう問題だとして解決に熱心であります。  我が国の場合は、四面海に囲まれておりますために、直接にそのようなことが目には入らない、あるいはまた耳に入らないのでございますが、今回横浜熱帯木材機関本部設置せられる。我が国横浜になぜ熱帯木材機関本部設置せられるのか。各国も要望し、我が国も同意をしたからそういう結果になり、本委員会にその承認が求められておるのでありますが、その一番大きな理由をお聞かせ願いたい。     〔委員長退席、浜野委員長代理着席〕
  62. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。  我が国横浜本部誘致いたしました最大理由は、第一に、我が国世界最大木材輸入国であること、第二に、我が国としても今後の世界のと申しますか、熱帯雨林の抱える諸問題について貢献し得る大きな技術を有していること、第三に、このような熱帯雨林に係る環境問題というものは、我が国としても、世界の抱える極めて大きな問題として重要な問題であるという認識を持っていることということだと考えている次第でございます。
  63. 永末英一

    ○永末委員 熱帯は我々の国の地球上における位置から非常に離れたところでございますが、そこからの我が国世界第一の熱帯樹木の輸入国になっておる。そのために、もしその森林伐採の度合いが進みますと、環境に大きな変化を与える。現在、熱帯雨林と称するものは、何もその地域のみならず、北半球におきます穀倉地帯にも大きな影響を持っているわけであって、熱帯雨林が果たしている生態系的役割、すなわち水の供給に関する循環、これに大きな役割を果たしていることは天下周知の事実であります。  さて、そこから我々が世界第一の輸入国になっておる、こういうことで横浜本部設置せられるというのでありますけれども、それならば、我が国がこの熱帯雨林に対する政府としての政策をお持ちなのかどうか、これを伺いたい。
  64. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 我が国といたしましては、従来から熱帯雨林の持続的な利用と保全というものが図られなければならないという認識から、熱帯雨林の産出国と申しますか、熱帯雨林国との間での二国間の技術協力、経済協力あるいは国際機関を通ずる協力を通じて熱帯雨林の利用、保全のための協力努力をしているし、今後とも一層その努力を積極化していかなければいけないという認識に立っている次第でございます。
  65. 永末英一

    ○永末委員 生産国である国と二国間の協力によって利用、保全に努めておる事例を挙げてください。
  66. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。  林業、特に森林保全の分野におきまする二国間協力の実績といたしましては、技術協力、JICAベースで研修員の受け入れ、専門家派遣等、六十一年の実績しかここにはございませんですが、研修員の受け入れ百五十名、専門家派遣百六十三名。次に、プロジェクト方式の技術協力、六十一年度におきましては九カ国十一件、あるいは単独機材供与、開発調査、無償資金協力等々の協力を行っている次第でございます。
  67. 永末英一

    ○永末委員 あなたの言うておるのは、要するに木を切るための相談をやったり研修をしたりしておるのでしょう。保全のために何をやっておるのですか。
  68. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 ただいま私の手元にございます資料では、今般の熱帯木材機関が開始しましたプロジェクトの中に、インドネシア熱帯雨林研究、タイの造林研究・訓練、ブルネイの林業協力といったプロジェクトを開始している次第でございます。
  69. 永末英一

    ○永末委員 熱帯雨林がつくられるまでには非常に長い年月を要しておる。切ってしまってなくなってしまうと、再び切る前の状態に復するには相当な年数、何十年か何百年かかるわけです。そうであるならば、その樹木を伐採するときに、どうやってその地域に対して新しい森林を造成するかということが慎重に行われなくてはならぬわけです。  私もパプアニューギニアを初め二、三の地域を見ましたが、やっているところもございますけれども、乱暴に切っておるところもある。そして、その輸入国日本だということを聞きますと、日本政府というのは一体何をしておるのかということを、現場に立って広大な地域木材のない状態に変わっておるのを見たときには考えさせられました。どれぐらい金を使っておるのですか、協力しておるのに。
  70. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 最初に一つ訂正を申し上げなければなりません。  先ほど申し上げましたプロジェクトは、ITTOプロジェクトではございませんで、これは我が国が別途協力しているプロジェクトでございます。ITTOの関連におきましては、例えばマレーシアにおける天然林の関係、ガボンのオクメの生物学的特質等についての研究を行っている次第でございます。  これら一つ一つプロジェクトにつきましての一応の経費概算額は持ち合わせておるのですが、全体として、現在、熱帯林の保全関連のプロジェクトに幾ら使っているかという御質問でございますが、ただいま手元に数字を持ち合わせておりません。大変申しわけございません。
  71. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣本部が来て、それは我々が熱帯樹木に対して世界最大輸入国になっており、責任を果たし貢献をするんだと大きなことを言っておいて、何ぼ金を使っているのか知らぬ、これはどういうことですか。
  72. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これから新しい機構によりまして、我が国もいろいろとそうした場で国際的な協調を求めていきたいと思います。  今日までは、多国間あるいは二国間の話、さらには向こうのプロジェクト、供与の問題、いろいろなことがありましたでしょうから、したがいまして、今の政府委員答弁のようなことになったのではないかと思いますが、いやしくも本部誘致いたしまして、日本といたしましての言うなれば決意を示したわけでございますから、そうした御指摘の点に関しましては、今後やはり責任を持たなきゃならぬ、かように考えております。
  73. 永末英一

    ○永末委員 この熱帯雨林保全というのは、人類が地球の歴史に対して果たすべき重要な仕事なんですね。ところが、我が国はそれらのところに対して森林の伐採等を行う、あるいはほかの開発プロジェクト、ダムをつくるとかなんとかで、結果的にそこの木を切るというようなときに、それが生態系、環境に一体どういう影響を及ぼすかという環境アセスメントを正確に、厳密にやっておる傾向はないわけであって、これはアメリカであれあるいはEC諸国、あるいは世界銀行がこれらのプロジェクトに金を貸しますけれども、非常に厳重にやっておる。我が国はそれがルーズである。例えば過般、タイのナム・チョアン・ダム・プロジェクトに対して、森林破壊が甚だしいというので世界銀行の融資はやめられた。ところが、そのやめられたプロジェクトに対して、我が国はJICAを初め民間資金団体がこれを継続しようとしておる、こういう事例があるわけだな。一体、日本は何を考えておるのだ、こういうことを世界が見ておる。その日本本部が来るわけですな。これをちょっと説明してください。
  74. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 我が国がJICAあるいは海外経済協力基金を通じて行っております技術協力あるいは資金協力につきましては、先生よく御承知のとおり、相手国からの要請に基づきまして、その要請に基づいてやっておるわけでございますが、要請を受けたからといって、ただうのみにして協力をすればいいということは毛頭ございませんで、政府といたしましても、プロジェクトの実施に当たりましては、単にその技術的あるいは資金的なフィージビリティーのみならず、環境あるいはその地域社会に及ぼす影響等々総合的な判断を下しまして、プロジェクトが適当なプロジェクトであるかどうかを判断して、そのようにして進めていかなければいけないという気持ちは強く持っている次第でございます。  タイのプロジェクトにつきましては、先生指摘の点についてはよく検討をしてみたいと考えている次第でございます。
  75. 永末英一

    ○永末委員 過般の予算委員会で、我が国の経済協力のあり方が、非常に経過が短いためにそのプリンシプルあるいは哲学というものがないということを指摘いたしました。もともと経済協力を受けておった敗戦後の我が国が経済協力をするようになり、今やODAでは世界第一の金額の拠出国になっておる。したがって、今やどういう姿勢で我々が経済協力を行うかということは、まさに世界が注目しているポイントだと私は思います。  しかし、経済協力そのものは、相手方のプロジェクトがあって、それに見合うという形で我が国が実施してきたことも歴史的事実であります。それは承知しておるが、まさにこの問題、つまり熱帯雨林保全するということは、この恩恵をこうむっている国にとっては特に重要な国際的義務である。であるならば、これに対するきちんとした方針があり、その方針に基づいて判断をしていくべきであるのにかかわらず、例えば私が指摘いたしましたこのタイ国の問題などは、いまだに昔ながらのやり方でやっておる。  プロジェクトがあったから考える、それだけではございませんがと言っておるが、なぜ世界銀行がやめたものをやるんですか。世界銀行側はどう思うんですか。日本ておかしい国だな、こう思うじゃありませんか。それは、我が国の方にこれらの問題に対する姿勢がはっきりしておらぬからではないですか。いかがです。
  76. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今御指摘、私も初めて聞きまして、確かにおっしゃるとおりでございますから、早急に私自身といたしましても調査いたしたいと思います。そして、よろしき対処をしたいと思います。また、その結果に関しましては永末委員に御連絡も申し上げたい、かように思います。  要は、そういうことがあってはなりませんので、今後のODAの問題を初め、あるいはまた技術協力、経済協力の面におきましても、もう少しく日本も大胆にやらなくちゃならない問題がたくさんございましょうが、やはり世界から物笑いになるようなことであってはならない、かように思いますので、十分注意いたします。
  77. 永末英一

    ○永末委員 ただいま取り上げましたのは、我々のいわゆる経済協力、海外援助の問題ですが、輸入政策もはっきりしておらぬのですね。輸入は、ともかく企業がやっておる話でありますから、どんどん入ってきておる。しかし、熱帯雨林保全あるいは環境保全という目から見れば、やはり一番大きな熱帯樹木の需要国となっておる我が国としてはやはり輸入政策というものがあってしかるべきだと思います。  輸入の中には公式の統計にあらわれているものもあるし、公式の統計にあらわれていないものもあると聞いておる。したがって、これは輸入に対してどういう姿勢で見るか。いや、商社等企業が勝手にやっているのだから政府は関係ないという姿勢で見ておるのか。環境保全、熱帯樹林の保全ということは別の角度からする日本政府の大きな地球あるいは人類に対する責任問題でございますから、輸入政策に対して我関せずえんであるのか、それとも輸入に対して何らかの政府の関心を寄せ、あるいはこれに対して注文をつけるところがあると考え政策をおとりになるか、伺いたい。
  78. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 我が国の輸出入貿易政策一般に関しましては、もとより我が国の態度が世界の経済あるいは社会全体の体制の中で円滑、かつ、それに対してマイナスのインパクトを与えないような行動をとるということが最も大事であると私ども考えております。これは、経済の分野において世界経済に調和のとれた運営を日本経済としてやっていかなければいけないということもその一端になると思われますが、単に経済の分野だけではなく、環境も含めた世界の文化とか文明とかいったものの中で、日本活動世界の社会、文化の維持あるいは発展にマイナスにならないような形で運営されていかなければいけない。先生指摘の輸入につきましても、そういう一般的なと申しますか大きな原則のもとで果たされていかなければいけない、このように認識をしている次第でございます。
  79. 永末英一

    ○永末委員 私は輸入を制限せよとか、そんなことを言っているのじゃないのです。最近フィリピン日本木材を輸出しておる。そのフィリピンが輸出しておるという数量と、実際に日本に入っている数量とが違うのであります。したがって、日本政府に対して、その差は一体どうなっているんだ、調べてくれということを言ってきたところ、日本政府は拒否をしたと伝えられております。  そうしますと、日本政府は、今答弁があったように、フィリピンの樹木が熱帯樹林としての大きな環境保全役割を果たしておるということには関心がなくて、おれは知らぬのだ、こういう態度をとっておると見られる。そんな国に木材機関本部を置くということになると、日本政府が疑われますよ。いかがですか。     〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。  木材の輸出入につきましては、先生指摘のとおり国家が直接それに干渉する云々ということではございませんけれども、例えば東南アジアからの木材の輸出、当方の輸入といいますと関係国からの輸出でございますが、輸出国側におきまして最近いろいろ規制ができておりまして、むしろ輸出国側の貿易の慣行とか、それをサポートというか支援する規制といった面でも一つ立場が出てきている、このように考える次第でございまして、我が国といたしましては、そういう面で関係国の政府といろいろ協議をして、その過程で熱帯雨林保全あるいは再利用の確保といった問題を考えていかなければいけない、あるいは相手国と話し合っていかなければいけない、このように考えておる次第でございます。
  81. 永末英一

    ○永末委員 あなたの答弁と最近フィリピンに対してやったことと違いますよね。そんなものは返答せぬと言っておるわけだから。外務大臣、先ほど経済協力の問題についてより腰をおろした考え方をおまとめいただく、結構です。この際、経済協力だけではなくて、今のように輸入貿易問題にも問題があるわけであります。全体として我が国がどのような熱帯樹林に対する考え方を持っておるか、日本政府の意向をひとつまとめてください。  そうしないと、本部を持っている我が国が一体どのような姿勢か、だれもわかりませんから、それは日本政府としてなすべきことだと思いますから、強く要請いたします。お答え願いたい。
  82. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 本部を持った以上は責任を果たさなくてはなりませんが、先ほど来の御指摘はまことに私は適切なものだと考えております。したがいまして、そうした準備も早速着手するようにしたい、かように思います。
  83. 永末英一

    ○永末委員 質問を終わります。
  84. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 岡崎万寿秀君。
  85. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 国際熱帯木材機関本部横浜誘致する、大変激烈な競争があったと聞いております。本部横浜誘致されたということは、それだけ日本の果たす責任が重くなったということだと思います。先ほど宇野外相もそれについて決意のほどを述べられました。国際的にも熱帯雨林問題に関する日本の態度についてはさまざまな期待や批判があるわけでございます。  ここに「国際資源」一九八六年十月号でございますが、持ってまいりました。ここには本部横浜誘致決定の特集をされていますけれども、それに関連して次のように書かれています。「わが国に対する期待とともに、風当たりもまた強いものがある。森林保全、未利用樹開発、市場情報などのプロジェクトに要する資金は大きく、その相当部分を日本が出してほしいとの希望はとくに生産国からは強い。同時にかつて東南アジアでの乱伐の責任日本にある以上、熱帯雨林に対する政策日本は転換すべしとの批判、注文が欧米のみならず東南アジアの環境団体からも生まれてきている。」このような日本への期待と、特に熱帯雨林破壊に対する日本責任に対する非難とが寄せられていますが、こういうことを含めて、本部誘致された政府としてどういう御見解か、どういう対応をなさるか、最初に外相の見解を聞きたいと思います。
  86. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 我が国住宅等々は木造が多いという日本人独特の生活環境から、木材問題に関しましてはいろいろな問題が派生しておることは事実でございます。そうした中におきまして、外材と国内材との調和も図っていかなければなりませんが、今回のものは熱帯雨林に対する破壊を防がなくてはいけない、したがって、生産国と消費国が協力しましょう、そのための木材機関である、こういう認識のもとに立ちますと、戦後焼け野原になりました日本、その歴史を考えた場合に、いろいろと熱帯雨林に負うところが大きかったとまず考えなくてはなりません。  したがいまして、そうした意味合いから申し上げましても、世界環境のためにも我が国が貢献をしなければならない面は多々ある、そうした気持ち拠出金も一番に大きなものを出しておりますが、そのような意味国際機関誘致というものがなされたわけであります。だから、誘致した以上はやはりそれにこたえるだけの諸準備もし、またその政策も推進していかなければならない、かように考えております。
  87. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 誘致した以上は責任を持ってやらなくてはいけないということでございますが、これは熱帯雨林破壊に対する責任もあわせてやってもらわなくてはいけないと思うのです。  昨年の九月、当委員会でも問題になったものでございますけれども、マレーシアのサラワク州、ここで現地住民が、木材伐採を中止して森林を返してほしい、こういうことで伐採道路封鎖を二カ月やって、これについて各国保護団体からも支持が集まっているという報道等もなされ、論議もされました。これは日系合弁企業の、伊藤忠商事が三〇%出資していますリンバン・トレイディング社などの八社がこの伐採をやっているわけなのです。日本政府や企業に、破壊的な木材伐採、輸入は中止してほしいという要望が強かったわけです。これについて政府はどういう対応をなさいましたか。
  88. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 先生指摘の件は、マレーシア・サラワク州リンバン省で本邦企業が現地の合弁企業を通じて伐採、製材等の事業を行ったことに関連しての件かと思われるのでありますが、伐採地区は州の所有地でございまして、合弁企業に対して伐採権を与えられていた次第でございます。あわせて本邦企業及び本邦企業とともにつくられました合弁企業は、地域開発あるいは公共性等を考慮して、先方地元政府からの要望を受け入れて道路、橋梁建設等、所要の資金をJICAの融資を受けましてそのような活動を行っているというように理解しております。
  89. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 ともかく東南アジア諸国の住民の非難が非常に強い問題なのです。  同じことに関連しまして、イブリン・ホンさんという方が第三世界ネットワークとペナン消費者協会及びマレーシア地球の友を代表して「技術と人間」の去年の九月号に投稿されています。  「熱帯林伐採阻止——日本人にできること」、ちょっと紹介しますと、「この闘争の核心にあるのは、世界で最も古く、最も豊かな森林の経営と利用の問題です。ボルネオのジャングルには世界中のどこよりも多様な動植物種が存在し、多くの科学的現象も解明されぬまま残されています。また自然生態系の世界的なバランスに重要な役割を果たしています。」「主な輸入国である日本はこのサラワクの恐るべき森林破壊に対して責任があるのです。」「日本国会もまた、第三世界において、環境上、衛生上の災害をもたらすような援助ができないような制度を導入すべきです。」このように訴えられているわけなのです。  世界から非難が起こらないようにするということで本部誘致をした以上はさらに留意しなければいけないし、また改善しなければいけないと思いますが、大臣、こういう問題のある地域、また現地住民からいろいろな批判が起こっているような地域、すべて調査してみる必要があるのじゃないかというふうに思います。また、こういうところに進出している企業に対して指導を強化するということも必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  90. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 先ほどからの繰り返しになりますけれども熱帯雨林等の保全、地球の緑を守るということは地球環境の保全の上で大変重要な問題であると認識しておりまして、私どももJICAを通じ、あるいはその他のルートを通じまして二国間協力、あるいは国連環境機関等の活動を通じてこの問題についての調査を最近特に積極的に行っている次第でございまして、今後とも調査の活動につきましてはできる限り努力をしていきたいと思っている次第でございます。
  91. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 あわせて企業に対する指導強化はどうですか。
  92. 内田勝久

    内田(勝)政府委員 企業の活動に対しましては、我が国の経済の体制から見まして基本的には企業と先方の企業、あるいは先方が政府関連企業の場合もございますけれども、企業間の活動であると思います。ただし、私どもといたしましては、企業が行っております南方地域からの熱帯林の輸入という行為を通じてそれがどういう影響を地球環境あるいは熱帯雨林の問題に及ぼしているかということを十分勘案してもらいたいとも思いますし、さらに加えて関係の企業が熱帯雨林の環境問題に対して十分な理解を持つように期待かつ希望している次第でございます。
  93. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 希望と同時にしっかりした指導をやってほしいと思うわけです。  もう一つ、これに関連する「わたしの言い分」という記事を私、持ってまいりました。朝日新聞のおととしの十月五日付です。これはアメリカに結成された環境保護団体の「地球の友」国際代表ジョナサン・ホリマンさんの寄稿でございますが、ここでも日本政府に対して強い希望を述べられているわけです。  「日本の企業や政府には何を要求しますか。」こういう質問に対して、「木材伐採や輸入をしてきた商社や木材、製紙業界は、これまでに破壊した熱帯林を放置してカナダやシベリアに目をつけているが、無責任過ぎる。伐採したあとは、せめて植林すべきだ」、「日本政府に対しては、熱帯雨林、とりわけ原生林からの原木輸入はただちに禁止せよといいたい。熱帯材(二次林)は原木としてでなく、合板やベニヤ板など加工品として輸入して、生産国の収入になるようにし、損耗も少なくすべきだ」、こういう意見を述べられているわけなんです。  先ほど熱帯雨林に対する政策は何だというような質問がありまして、利用と保全というふうにおっしゃいまして、どうも保全の方がすっきりしなかった。私は、こういう意見などを聞きますと、本部誘致したからには責任を持ってこういう問題についてもやっていかなくちゃいけないのじゃないか。つまり単なる伐採だけじゃなくて、直ちに再生の問題、これは企業に対しても責任を負わせなくちゃいけないと思います。また植林等に対して日本はもっと援助することも考えなくちゃいけないというふうに思うのです。そして原木をそのまま輸入するのじゃなくて、加工し、輸出国にももっと金が残るようなことも考えなくちゃいけないと思います。本部日本に持ってきたからにはその責任を果たさなければいけないと思いますが、これまでのそういう熱帯雨林政策を転換すべきというか見直すべきときに来ていると思いますが、いかがでしょうか。大臣決意のほどをお伺いします。
  94. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そうした面に関しましては、私ももっと関心を持って臨まなければならない、かように考えております。もう既に輸出国におきましては原木よりも合板の方がいい、そういう近代化を進め工業化を進めている国もあるわけでございまして、そうした面に関しましては、先ほど来申し上げておりますような経済協力等々によりまして我が国もそうした国々に感謝の意を込めてやっている面もあるわけでございますが、やはりそうしたことも含めての保全ということは忘れてはならないことだと思いますから、本部ができました以上はなお一層努力をしなくちゃいかぬ、これは御指摘のとおりではなかろうか、こう思っております。
  95. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 指摘のとおりだとおっしゃいますので、これまでの熱帯雨林政策について十分責任を持って見直すべき点は見直して、大いに改善し、国際的な非難が起こらないようにしていくという決意だというふうに受けとめてよろしゅうございますね。——うなずいていらっしゃいますから、そのことを確認して天然ゴム協定の方に入っていきたいと思います。  まず、時間の都合ではしょりまして、第九章では第一次産品のための共通基金との関係が述べられています。商品協定を貫く共通基金の問題は積極的に取り組むべきだと思いますが、この発効の見通しはどうなっているのですか。
  96. 法眼健作

    ○法眼説明員 お答え申し上げます。  一次産品の共通基金の発効の要件でございますが、批准国が九十カ国以上、それから直接拠出資本達成率六六・六七%、つまり三分の二等の要件があるわけでございますが、現在の状況では批准国の数は九十九になっておりまして、直接資本拠出総額が今六六%でございます。つまり、〇・六七%足りない状況でございます。したがいまして、あとわずかの国がこれに参加して、その持っている率が〇・六七%を満たしますと発効するという非常に発効に近い状況になっていると理解しております。
  97. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 〇・六七%ですから、早く発効されるようにしなくてはいけないのですが、アメリカが入っていませんね。アメリカは第一次産品貿易に占める比重は非常に大きいのですが、入っていない。南北問題を解決する上で重要な第一次産品の安定のためにも共通基金というのは非常に重要な意義を持っていますので、積極的に参加するように働きかける必要があるのではないかと私は思います。これは日本国政府として関係が深いわけでございますから、そういう努力をなさいますか。
  98. 法眼健作

    ○法眼説明員 お答え申し上げます。  アメリカは一次産品のための共通基金に参加しないということに既に決定していると私ども理解しております。私ども、過去におきましてアメリカに対しましてこの協定への参加を働きかけたわけでございますが、既にアメリカ側は同協定に参加しないというふうに決定しておるということでございまして、私ども、この段階で、もう既に過去において働きかけているわけでございますが、そういった点を踏まえてもアメリカがそのような決定をしているという事実が一つあるわけでございまして、また働きかけることによるその効果ということについては甚だ疑問とせざるを得ない、このような状況にあると思われます。
  99. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 一番関係の深いアメリカが参加しないというのはまことに解せないことなのですね。世界の繁栄のためのパートナーシップとおっしゃいますので、その面でも日本政府がアメリカに対して再交渉されることを要望しておきます。  時間が来ましたので、終わります。
  100. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 ただいま議題となっております三件中、日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件及び千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件の両件に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  101. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。  まず、日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  102. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  103. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  105. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十六分散会