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1988-05-12 第112回国会 衆議院 科学技術委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十二日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 大坪健一郎君    理事 榎本 和平君 理事 佐藤 敬夫君    理事 粟山  明君 理事 若林 正俊君    理事 貝沼 次郎君       櫻内 義雄君    竹内 黎一君       羽田  孜君    原田昇左右君       山下 元利君    上田 利正君       嶋崎  譲君    野坂 浩賢君       柴田  弘君    春田 重昭君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君  出席政府委員         科学技術庁科学         技術振興局長  吉村 晴光君         科学技術庁研究         開発局長    川崎 雅弘君         科学技術庁原子         力局長     松井  隆君         科学技術庁原子         力安全局長   石塚  貢君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   山田 晋作君         環境庁企画調整         局環境管理課長 中橋 芳弘君         環境庁水質保全         局水質規制課長 平石 尹彦君         厚生省薬務局安         全課長     海老原 格君         厚生省薬務局監         視指導課長   舩橋 光俊君         水産庁研究部漁         場保全課長   菊池 重嘉君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    宇都宮 誠君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     中川 勝弘君         資源エネルギー         庁公益事業部発         電課長     田辺 真一君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全審         査課長     山本 欣市君         運輸省地域交通         局自動車業務課         長       土井 勝二君         運輸省航空局技         術部運航課長  加藤  晋君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       松田 政雄君         建設省道路局地         方道課長    森本 裕士君         自治大臣官房地         域政策課長   深沢日出男君         科学技術委員会         調査室長    西村 和久君     ───────────── 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   中山 太郎君     青木 正久君 同日  辞任         補欠選任   青木 正久君     中山 太郎君 五月十日  辞任         補欠選任   上田 利正君     田邊  誠君   野坂 浩賢君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     野坂 浩賢君   田邊  誠君     上田 利正君 同月十一日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     岩垂寿喜男君 同日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     村山 喜一君 同月十二日  辞任         補欠選任   箕輪  登君     竹内 黎一君   村山 喜一君     嶋崎  譲君   近江巳記夫君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   竹内 黎一君     箕輪  登君   嶋崎  譲君     村山 喜一君   柴田  弘君     近江巳記夫君     ───────────── 本日の会議に付した案件  科学技術振興基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 大坪健一郎

    大坪委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
  3. 嶋崎譲

    嶋崎委員 きょうは、石川県の能登半島の中腹の辺に設置の予定になっておりますいわゆる能登原発関連して、原子力発電所立地の条件、安全性その他について御質問をさしていただきたいと思います。  現在進行中のこの能登原発審査は、今どういう段階にございますか。
  4. 石塚貢

    石塚政府委員 お答え申し上げます。  ただいま能登原発安全審査につきましては、原子力安全委員会の方に行政庁、すなわち審査をいたしました通商産業省の方からダブルチェックのための諮問が出されておりまして、現在安全委員会原子炉安全専門審査会の方で審査を行っているところでございます。
  5. 嶋崎譲

    嶋崎委員 現在基本設計審査科学技術庁安全審査会段階で行っているということでございますが、大体いつごろ完了して、いつごろ原子炉設置許可認可答申可能性がありますか。
  6. 石塚貢

    石塚政府委員 現在審査会審査中の事項でございますので、いつごろこの審査が完了するかということにつきましてここで明確にお答えできる立場にはございませんけれども、一応の見通しといたしましては、この夏ごろあるいはそれ以降ということではなかろうかと思っております。
  7. 嶋崎譲

    嶋崎委員 一般に今年の夏、秋ごろだろうという推測新聞その他の報道もありますが、それでは大体夏から秋にかけてのころ、八月から九月ごろの段階というふうに判断してよろしいですね。
  8. 石塚貢

    石塚政府委員 私ども事務局の者といたしましては、おおよそそのころではなかろうかというふうに推測をいたしております。
  9. 嶋崎譲

    嶋崎委員 この能登原発は、事業者である北陸電力最初計画して発表した時期は随分古いのでございまして、昭和四十二年ごろからでございます。その後十年以上たちまして、大体昭和五十八年の段階に来て、電調審提出する環境影響調査というものの段取りができまして軌道に乗ったという、大変長い歴史を持った設置経過がございます。こういう長い経過を経て、現在電調審から資源エネルギー庁通産省に回って、そして原子力安全委員会の方に回る。その以前の経過などはほとんど出ていないわけでありますから、経過にさかのぼっての細かな議論をする意思はありませんが、大変長い時間をかけて、いよいよ原子炉設置許可認可答申寸前にまで来ているという状況でございます。  そこで最初にお聞きしますが、環境庁来ていますか。環境庁は、これは原発は別ですけれども、昭和五十九年の閣議決定に基づく環境影響評価実施主体は一般的にはどこということになっておりますか。
  10. 中橋芳弘

    中橋説明員 お答えいたします。  閣議決定に基づきますアセスメントを行います主体は、事業者ということになっております。
  11. 嶋崎譲

    嶋崎委員 実施主体事業者ということになっているのは、なぜ事業者主体アセスメントが行われるのか。その趣旨はいかがですか。
  12. 中橋芳弘

    中橋説明員 閣議決定において事業者環境影響評価を行うこととしている理由は、二つほどあろうかと思います。  その一つは、環境汚染のおそれのある事業を行おうとする者は、いわゆるPPPの原則、みずからの責任と費用でもって環境影響について配慮することが適当であろうと考えられることであります。  それから第二点は、事業計画あるいは公害防止措置を直接決定することができる事業者がみずから評価を行うことによりまして、評価結果をこれらの事業計画だとか公害防止措置に反映することが非常に適切に可能になってくるというようなことから、閣議決定においては事業者環境影響評価を行うことにさせているというふうに理解しております。
  13. 嶋崎譲

    嶋崎委員 一言で言えば、汚染者費用負担という問題や、同時にまた受益者費用負担というようなことを含めて、事業者がその実施主体になっているというふうに理解していいのだと思います。  では、この事業者地方自治体役割分担はどうなっておりますか、この閣議決定の「環境影響評価実施について」ということでは。
  14. 中橋芳弘

    中橋説明員 事業者都道府県である場合につきましては、当然都道府県事業者として環境アセスメントを行うということになろうかと思います。それから事業者都道府県が違う場合につきましては、当然事業者が行いますが、それに対しまして例えば環境アセスメントを公告するだとか、あるいは縦覧するだとか、住民に対しての説明会を開くだとかいうようないろいろなことが必要になってまいりますが、そのようなことに対しまして地方公共団体が協力していくということ、そういうシステムをとっているわけでございます。
  15. 嶋崎譲

    嶋崎委員 五十九年八月二十八日の「環境影響評価実施について」という閣議決定の「記」の中に環境影響評価実施要綱というのが載っております。一般的に事業者環境影響評価実施するわけでありますが、これは原則でありまして、その際に準備書に関する周知という手続がありますし、環境影響評価書作成という手続もございます。そういう際にこの事業者は「関係都道府県知事に対し、送付を受けた日から三月間内に、準備書について公害防止及び自然環境保全の見地からの意見関係市町村長意見を聴いたうえで述べるよう求めること。」とか、それから環境影響評価書作成に対しては、この「準備書に関する意見が述べられた後、準備書記載事項について検討を加え、次に掲げる事項を記載した環境影響評価書作成すること。」となっておりまして、その三番目には「関係都道府県知事意見」というのが入っておりますね。  したがいまして、今環境庁に私がお聞きしたのを私流に整理しますと、本来環境影響評価実施するのは、先ほど言ったように事業者主体である。その事業者環境影響調査をやって、一定準備書ができ上がった段階都道府県知事意見を述べ、ある意味では公正なチェック機能を果たす。チェックというと大げさですけれども、公正な判断をした上で対処していくという手続実施要綱に決められていると理解しますが、そう理解してよろしいですね。
  16. 中橋芳弘

    中橋説明員 事業者が行いました環境アセスメント地方公共団体自分たちの目でもって、それについての評価が適切であるかどうかをチェックするというのが一つ役割だと思いますし、その評価書を広く住民に周知徹底させるということに対して協力をするという役割がもう一つあるかというふうに思っております。
  17. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、では通産省省議決定資源エネルギー庁通達ではどういう理解になっておりますか。今の実施主体の問題、それから事業者地方自治体との関係などについてのところは、今まではどういう内容になっておりますか。
  18. 田辺真一

    田辺説明員 通産省環境審査概要でございますが、発電所立地に当たりましては、五十二年七月の省議決定に基づきまして環境審査実施いたしますとともに、この結果を踏まえまして電源開発調整審議会において意見を述べるという格好になっておりますが、具体的には、事業者であります電気事業者から環境影響調査書提出を受けまして、地元住民意見環境審査顧問意見等を踏まえまして審査実施しているところでございます。
  19. 嶋崎譲

    嶋崎委員 資源エネルギー庁昭和五十四年六月二十六日の通達についてもう少し説明を加えてください。環境影響調査実施要領についての点と地方自治体との関連のところについては、どういう通達内容でどう理解したらいいか、御説明願います。
  20. 田辺真一

    田辺説明員 要綱では、発電所の場合、地方公共団体との情報交換各種手続に係る連絡等地方自治体との密接な連携をとっているという格好になっています。
  21. 嶋崎譲

    嶋崎委員 もう少し正確に理解しますとこういうことじゃないですか。  環境影響調査は、電気事業者環境影響調査主体だということは明確に「基本的な方針」の次のところで述べておりますね。そして「環境影響調査実施」のところで、「別表2の要領に従い実施するものとする。」として「発電所計画概要」、「環境現況」というのがありまして、その「環境現況」の中のイ、ロ、ハがあって、ハのところにこういう説明がありますね。「調査電気事業者等自らが行うことを原則とするが、必要とするデータが国、地方公共団体等による調査資料又は統計資料としてある場合には、これらのデータを使用することの妥当性検討のうえ、調査実施主体、時期、方法等を明記して使用するものとする。」こう書いてありますね。このハの前段で言っている事業者が行うことを原則とするということと、それに関連しての地方公共団体調査資料または統計資料の使い方、これとの関連について、こう書いてあるとおりの理解でよろしいですね。
  22. 田辺真一

    田辺説明員 そのとおりでございます。
  23. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、原発を建設しようとする際には、まずもって電調審に向けてやる大事な手続として、環境影響調査というものを実施しなければならぬ。それの実施主体原則として事業体だ。ところで、事業体がいろいろな環境影響調査をやる際に、何もかもやらなくても、極端なことを言いますと、ここに言っている趣旨は、地方公共団体、例えば県当局が今までいろいろな調査が幾つかしてあった。その調査で、だれがどういう時期にどうやったかということを明記すれば、それを資料として使って環境影響調査を補完するというか、そういうことができるというような手続として理解してよろしいのですね。
  24. 田辺真一

    田辺説明員 そのとおりでございます。
  25. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、能登原発の場合には環境影響調査事業者たる北陸電力実施することになりますが、実施しましたか。
  26. 田辺真一

    田辺説明員 事業者であります電気事業者が大部分につきましては実施しておりまして、県のデータを利用したというところもございます。
  27. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういう理解になりますか。そこはちょっと違いませんか。北陸電力環境影響調査をやりたい、特に能登原発立地に面している海面の漁業協同組合その他に対して環境影響調査をやりたいということを幾度か申し出たが、漁協の方からは反対の声などもあり、慎重論などもあってできなかった時期があったと私は理解しますが、まずその事実はいかがですか。どう見ていますか。
  28. 田辺真一

    田辺説明員 先ほど御説明いたしました環境影響調査報告書の中身につきましては、海域の部分につきましては県のデータを有用ということで利用さしていただいた。陸域その他の環境影響調査にかかわるデータにつきましては、みずから実施したということでございます。
  29. 嶋崎譲

    嶋崎委員 地元県議会やそれから地元新聞などでは、昭和五十八年の五月の段階で、県が環境影響評価をやるということを漁協が了承する念書を知事漁業協同組合、特に西海漁業協同組合との間に交わしているという事実は御存じですか。
  30. 田辺真一

    田辺説明員 新聞等で承知しております。
  31. 嶋崎譲

    嶋崎委員 つまり、今回の能登原発に関して北陸電力申請しているこの書類の中の環境影響調査というのは、実際は県が行ったものを北陸電力が買い受けて、そしてこれを書類として提供しているという事実関係になっていると思いますが、いかがですか。
  32. 田辺真一

    田辺説明員 先生のおっしゃるとおり、県の持っているデータ北陸電力事業者が対価を払いまして、そのデータをいただいて利用したということでございます。
  33. 嶋崎譲

    嶋崎委員 県が昭和五十九年から民間のいろいろな海洋の気象の研究をやっている会社とか、海象等調査をやっている民間の企業とか、霧だとか基準点の測量だとか、こういうものを民間に委託して、県が一定環境調査をなさったというのは御存じですね。
  34. 田辺真一

    田辺説明員 県が民間会社に依頼しまして、その地点を調査したことは承知しております。
  35. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ここに時間を余りとるわけにいきませんから簡潔にお聞きしますけれども、委託業務として石川県の企画開発部が当初予算で三億二千四百六十九万ですか、約三億二千四百万前後の予算の計上をいたしまして、この委託料をまず払ってその調査を受け取って、そして昭和六十年の段階で今度は北陸電力がこれを利用できるように県が告示手続をとったということも御存じですか。
  36. 田辺真一

    田辺説明員 承知しております。
  37. 嶋崎譲

    嶋崎委員 県の告示はそこにありますか、公報は。ございませんか。ないですね。私の手元にはある。簡単なもので三条しかありませんが、「県有著作物取扱いに関する要綱を次のように定める。」として、「県有著作物取扱いに関する要綱」というものを告示したのは昭和六十年の六月二十日であります。そして調査が県に届いたのは、その二日ほど前であります六月の十七、八日ごろだったと思います。県が民間に委託して、調査料を払って受け取った。  その数日後に県が、県の固有の事務に基づく県の著作物ですから、これを今後どのように利用するかということに関連する「県有著作物取扱いに関する要綱」というものを告示しまして、その告示の中には、もちろん著作物作成に際して無断で転載を禁止するという項もありますが、第三条の一項に「転載禁止の表示がされている著作物の一部又は全部を県が作成する著作物以外の著作物転載し、又は著作物を使用しようとする者は、あらかじめ、知事申請し、承諾を得なければならない。」というのがあります。それの二項には、「知事は、前項の承認をする場合は、」申請があってこれを使用したいという申し出があった場合に、「その転載又は使用が営利を目的としたものであるとき、又は独占的なものであるときは、承諾を受けた者に、著作物作成するに要した経費等を勘案し、知事が別に定める金額を納付させることができる。」お金を払う手続も決めて、そして転載できる、申し出があればその承諾をできるという告示を発表なさったというこの事実は、僕の言っているとおり御存じですね。
  38. 田辺真一

    田辺説明員 そのようなことについては承知しておりますが、通産省といたしましては、先ほど先生のお話がございましたように、国、地方公共団体等による調査資料または統計資料としてある場合には、その妥当性検討の上、使用するものとするということでございますので、そのことについては問題ないと思っております。
  39. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういう答弁しかないでしょうな。しかし、先ほど資源エネルギー庁通達の最後を僕は長々と読み上げたのは、過去にそういうものがあった場合に、文章を見れば「ある場合」なんですから、もう既に存在しているものなんです。確かに今度の場合は、あることは、存在していることは事実だが、それは原発立地に伴う環境影響評価というものを想定して、資源エネルギー庁連絡をとりながら、その調査項目検討をなさった上でなさっているということも確認できると思います。県の企画開発部がこれをやるに当たって、資源エネルギー庁上部機関とも、関係局とも協議の上と県議会説明していますから、その協議は、上部機関ですから資源エネルギー庁になるわけですが、相談を受けておりましたか。
  40. 田辺真一

    田辺説明員 当時、私いませんでしたが、それは知らないと思います。
  41. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そんなことはないのですよ。県の議会で監査の中で聞かれて、県側上部機関協議の上こういった細目を合意した、こういうふうにみんな議事録にありますけれども、時間がかかりますから省きます。  これに時間をとれませんから申し上げますと、先ほど読み上げた資源エネルギー庁調査要綱ですね、この調査要綱の「環境現況」のハに書いてある「国、地方公共団体等による調査資料又は統計資料としてある場合には、」というこれは、北陸電力が、事業者主体でやるべき環境影響調査が行き詰まっていた。みずから今後はやらぬでしょう。恐らく僕はやらぬと思います。やろうやろうと言っていたのが、もう県が肩がわりという表現はよくないですけれども、県はそういうことは言いませんけれども、僕が言えば肩がわりです。肩がわりして、以降はもう環境影響調査には一言も触れなくなったし、でき上がったものはのどから手が出るほど早く欲しいわけです。したがって、調査が県に届くと同時に直ちにこの告示をしまして、すぐ手続をとって、北陸電力にこれを今度は幾らで売ったかと申しますと、北電が納付した金額は三億四千七百万円です。委託したのは三億二千万で、今度北電から納付したのは三億四千七百万ですから、県はもうけている。表現は悪いですけれども、損はしていない。しかし、非常に手際よくその資料が存在して、そして手際よく北陸電力がそれを利用するような手続がとられた、こう私は理解するのです。こんな例は全国に今までありましたか。
  42. 田辺真一

    田辺説明員 私が承知しておりますのでは、九州電力発電所でそういう例があるやに聞いております。
  43. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それはどんな方法でしたか。
  44. 田辺真一

    田辺説明員 県が実施いたしまして、費用事業者が負担したというふうに聞いております。
  45. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それはそうでしょう。だけれども、正規に協議する公の協議機関が設けられて、そして計画が行われたと聞いておりますが、それはどうなんですか。今度の石川県の場合は北陸電力に直接関係ないわけですね。県が独自に独自の目的でなさったのですからね。長崎の火力の場合は、九州電力長崎県とが県民にも明らかにした上、協議の上その手続がとられて、今のような弁済措置をとられたというふうに私は理解していますが、いかがですか。
  46. 田辺真一

    田辺説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  47. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、今回の能登原発の場合のように、一部は北陸電力の方が調査していても、環境影響調査申請報告は、大半は県の行ったものを添付して提出をするという形、北陸電力関係ない県、事業者じゃなくて地方自治体がやったものを平たく言えば北陸電力に渡して、それが申請書手続の重要な文書となって上がってきているという例は、全国では初めてですね。
  48. 田辺真一

    田辺説明員 そのとおりでございます。
  49. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、自治省にお聞きしますが、公害対策基本法五条に地方自治体役割みたいなものがありますし、先ほど言った昭和五十九年の閣議決定は、自治省官房長はその推進会議のメンバーですから、自治省も密接不可分であります。そうしますと、今までの私の質問で明らかなように、事業者が本来行うべき環境影響調査というものがまず前提にあって、つまり、その事業者が行う環境影響調査汚染者負担原則だとか受益者負担という考え方から見て事業者がみずからやって、それに対して県知事意見を述べるとか、ないしは県が準備書について意見を述べたり縦覧に供したりするような手続をとるという、地方公共団体任務分担というか役割分担という観点から見ますと、今回の能登原発の扱いをどうごらんになっておられますか。
  50. 深沢日出男

    深沢説明員 お答えいたします。  今回の能登原発関係につきましては、先ほど来通産省の方から御答弁申し上げたとおりだと思います。原則事業者調査をするということになっておりますけれども、信頼できる既存のデータ調査書の一部として活用するということは十分考えられるわけでございまして、そういうことで仮に使用したとしても、それが直ちにおかしいとかということにはならないのではないかなというふうには思っておりますが、いずれにしましても、県として判断する場合には、公正中立立場で適切に判断する必要があると考えているところでございます。
  51. 嶋崎譲

    嶋崎委員 しかし、事実上県がなさった環境影響調査というものが北電に渡されて、そして北電がその書類を添付して電調審に上げたわけですから、地方公共団体は公正な立場でコントロールしていくということは、みずからつくったものですからみずから公正だと言わなければならないのであって、本来事業者一定準備書面に対して知事意見を述べるような手続閣議決定、これは一般的な公害防止の規定ですけれども、そういう手続精神から見て、さらにはまた通産省省議決定資源エネルギー庁通達などの精神から見て、私は地方自治体の公正な立場でその事態を評価するという権限を放棄しているのに等しいと理解しますが、そうは理解しませんか。
  52. 深沢日出男

    深沢説明員 各種の調査を県が行う場合にも、当然公正中立立場で適切な判断のもとに調査を行うわけでございまして、それをもとに各事業者データを一部利用するということはあり得ることかと思います。だからといって都道府県知事の判断が公正中立を損なわれることはないというふうに私ども考えております。
  53. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それはへ理屈というもので、公の地方自治体がみずからつくったものを自分が公正に判断するなんということはありっこないです。公正な立場にある者がつくったんですから、最初から公正に決まっている。しかし本来の手続は、実施主体事業者なのであって、そして事業者のつくられたものについて、知事や県が公正な立場から一定チェックをするという今までのこういう大きな国の事業の基本的な精神手続から見て、全国初めてのケースだということは先ほどありましたが、異常な事態であると言わなければならぬと私は思います。今これは裁判で係争中の事件でございます。それは御存じですね。
  54. 田辺真一

    田辺説明員 そういう事実があることは承知しております。
  55. 嶋崎譲

    嶋崎委員 したがって、その著作物北陸電力への渡し方が地方自治法から見ていいのか悪いのかとか、これが固有事務に基づく普通財産なのか特別財産なのかとか、肩がわりなのか肩がわりでないのか、いろいろ今裁判が起きておりますが、我が国は三権分立の国で、立法府が係争中の事件について自治省と論争して見解を求めることは、私は非常識だと思いますから、中身についてはこれ以上触れません。  しかし、ただ申し上げておきたいことは、今までの昭和五十九年の閣議決定、それから通産省省議決定、それから資源エネルギー庁通達、そういう一連の今日までの国が行ってきた、原子力発電所というのは国の事業ですから、だから電調審段階には各閣僚が全部入って、これについて検討するという手続をとるのですから、こういう国の事業であるだけに、そういう際には、本来今までのそういう指針に従って手続はとらるべきだと私は判断をします。したがいまして、石川県の場合に、公正であるべき地方自治体がみずから作成したものを北陸電力に渡して、その大半が許可申請書類として提出されている限りは、地方自治体チェック機能、第三者的な機能をみずから捨てたと言わなければならない。これは一方的ですが私の判断を申し上げて、今後こんなことがないようにしていただきたいと思います。資源エネルギー庁並びに自治省、それぞれ今までの閣議決定省議決定通達などの精神から見て、今度のような方向でいつも処理されていいとはお考えではないでしょうが、慎重に扱わなければならぬという趣旨くらいの判断はお持ちいただけないでしょうか。
  56. 田辺真一

    田辺説明員 先生おっしゃるように県が調査いたしました現況調査でございますので、こういうデータについてはだれが調査しても同じだろうと私思っておりまして、評価、対策等につきましては事業者がまた判断をしているということで、県がつくられた資料をある場合には使うということは有用であるかと承知しております。
  57. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ではもう一つ聞きますが、その同じ時期に県の農林水産部が漁業に関する生産性向上の調査を一方でやっている。それと同時に、今度は県の企画開発部がまた漁業振興という名目をつけて、原子力の将来の環境への影響アセスメントを考えて調査をする。同じ海域に同じ県が、片一方は農林水産部、片一方は企画開発部が同じ時期に調査をしているという事実を御存じですか。
  58. 田辺真一

    田辺説明員 承知しておりません。
  59. 嶋崎譲

    嶋崎委員 知らないのですか。そうでしょう。県の企画開発部は、上の機関と協議してというのですから、恐らく資源エネルギー庁協議しているのでしょうな。農林水産部は、調査するときは、上の方とやるときは農水省とやるわけですよ。だから、役所は別ですから別々にやっているのだが、しかし、ねらいは同じ漁業振興ということで県の農水部もやっている。そして片一方企画開発部もやり始めた。一年ダブっておるのです。昭和五十九年がダブっておるのです。こんな行革の時代に県民の金を使って、同じ漁業振興のために片一方では県の水産部がやり、片一方では県の企画部がやるというようなダブりが起きるなどということは、これまたよそには例はないと思いますが、水産庁来ていますか。こんなのはよその県であったことがありますか。
  60. 菊池重嘉

    ○菊池説明員 こういう事例があったかどうかというのは承知しておりません。
  61. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私の調査では、ありません。ですから、こんなのは恐らく初めてでしょう。農林水産部がもっと広い地域を漁業振興という観点から調査しているのです。この調査は今までの水産庁の水産研究所その他がやっているような形でやっている。非常に広い範囲で、そして漁業振興に適した調査が行われている。今度の企画開発部環境影響調査は狭い範囲で、細目で、これは資源エネルギー庁要綱に基づきますから細かくなるのですが、その細かいもので片一方はまたやっているわけです。  ところで、県の企画開発部が行った環境影響調査目的が二つ書いてある。御存じですね。漁業の振興ということと、それから原発立地に伴う将来の措置と二つの理由でなさっているのです。ところが、前者の方は漁業振興なんですが、これは同じ県内で農林水産部が三年前からやって、五十九年度までの継続事業です。そうしますと、片や同じ漁業振興という観点から調査をやっているときに、ダブって同じ時期に、五十九年にダブりまして片一方の方でまた漁業振興の調査という名目でやっているというのも、これまた異常なんです。これまた全国でこんなのはありません。これだけ行革の時代ですから、そんなむだなことをしてはいけませんね、県民の立場から見て。ですから、そういう異常な事態の中で作成されたものであるということも重要ですが、なぜそこがダブったと思いますか。なぜ昭和五十九年に農林水産部がやっていた漁業調査企画開発部がやった調査がダブったのですか、同じ県内で。一年ずらしてもいいでしょう。なぜダブったと思いますか。資源エネルギー庁、わかりますか。
  62. 田辺真一

    田辺説明員 先ほどそういう事実があったことを承知してないという答弁をいたしております。
  63. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それは、昭和五十八年十月という大変重要な節目があるのです。その昭和五十八年の十月という節目はどんな節目かというと、問題のここの地域に原発立地すると私のところは困るよと一番強く主張しているのは、御承知のように西海漁協です。海区でいいますと三十四海区になるのです。ここはどういうところかと申しますと、大体この西海一帯の漁協は、中型まき網とエビかご漁を中心として年間の水揚げは十六億円ぐらいのところです。そしてその隣の七漁協なんかに比べますと、水揚げ高でいいますと約十倍、登録漁船数でも二倍にも達するぐらいのところなんです。ですから三十四海区にすれば、今後もし原子力発電所ができてその影響がこっちに来ると、そういう一連の漁業に影響が来るということに対する心配も一方であったのですが、この昭和五十八年の十月というのは免許の更新ないし書きかえの年なんです。これは皆さんに聞いたって言わぬでしょうけれども、当時県内の新聞や、みんな明らかにされているのです。この五十八年十月は十年に一回の共同漁業権の免許の見直しの時期なんです。  この認可権は県が持っているのです。わかりますね。それから三年に一回のまき網の免許の更新の時期なんです。これの認可権は県が持っておるのです。わかりますね。したがって、この第三十四区の漁協の人たちは、県からいろいろ北電環境影響調査をやるという提案がそれ以前になされましたけれども、だめですよ、だめですよと言って、北陸電力事業者はあきらめた。そして県との話し合いの結果、県が乗り出してきた。その県に対しても本来は第三十四海区の漁協の皆さんは反対なんです。  ところが、片一方に許認可権というものがちらつくわけです。つまりこの年、ちょうど五十八年十月に十年に一回の共同漁業権の免許の見直し、これは幾つかの漁協が、単協が集まっておりますから、その中のそれぞれ全体を漁業権の見直しをやらなければいかぬのです。そこへ持ってきてもう一つは三年に一遍のですから、言うてみますと十年ごとと三年ごとですから、ある意味では三十年に一回来るような重要な免許の書きかえの時期が五十八年の十月なんです。そのときに県の企画開発部が乗り出して調査に入った。調査計画が決まったということなんです。そして五十九年の当初予算でさっき言った委託料の予算を組んで、そして二年間、六十年までの間に調査してそれをいただいて、いただいてからほんの一週間もせぬうちに渡すという手続をとったという経過があるのです。  これについては定かではありません。定かではありませんが、漁民の人たちは、免許には勝てぬよ、免許で揺すぶられたのではかなわぬよという言葉があるように、そういう時期だ。片や原発環境影響調査を早く電調審に上げなければならぬ、片や漁協の方の反対がある、その時期が五十八年の十月という時期をめぐってあったものですから、西海漁協と県との間に念書が交わされたのです。その念書を読んでいる時間がありませんから省きますが、念書を交わされて、県が行う調査には承諾をするという承諾が行われるに至るのです。そして今回のいわば企画開発部調査が行われた、こういう経過になっているものであります。  こういう意味で、公正であるべき地方自治体が、本来実施主体である民間がやるべきものを、肩がわりという表現は県はとっておりませんから私はかぎ括弧づきで申し上げますが、肩がわりした結果、大変ないい漁場を持っている西海漁協が最後の段階でこの県の調査承諾するのです。それで結果はどうなったかというと、西海漁協の分は補償なし。こっちは補償なしです。そしてその手前の三十三海区については漁業補償というものが明確になったのです。  さて水産庁、三十三区から三十四区のところですね、そこには、一番近い手前のところには福浦の単協があります。ここへの影響、ここはやはり補償問題が問題になっていたところですが、その補償問題の処置はどうなさっておりますか。
  64. 菊池重嘉

    ○菊池説明員 お答えします。  共三十四号の共同漁業権の方につきましては、補償は行われておりません。見舞い金というものが支払われていると聞いております。
  65. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ですから、見舞い金でごまかそうとしていたのじゃいかぬので、調査内容に今から入りますけれども、今後影響が出る可能性を含んでいるだけに、西海漁協が全部外されたという意味は非常に重要な意味を持っている。その境の単協が補償問題について外れちゃったという問題が残っている。それが見舞い金程度で処理されて泣き寝入りされたんでは、これはおもしろくない話だなと私は思うわけであります。したがいまして、その辺の問題に入るために、今度は海洋調査の実態について少しお聞きをいたしましょう。  さて水産庁、水産庁がこの環境影響調査にかんだときは電調審段階と思いますが、そうですね。
  66. 菊池重嘉

    ○菊池説明員 そのとおりでございます。
  67. 嶋崎譲

    嶋崎委員 農水産省は原発建設に伴う漁協権の放棄とか、それから補償などについて、漁協に対しては指導や助言というものを今までしておるんですか、してないんですか。
  68. 菊池重嘉

    ○菊池説明員 当事者間の話し合いで解決するというのが前提でございますので、特にそのようなことは行っておりません。
  69. 嶋崎譲

    嶋崎委員 能登原発は能登半島の日本海側の中央部に建設されるのですが、建設予定地の前面に三十三号海区と三十四号海区というのがあるわけです。今度予定されている放水口というのかな、そこからは恐らく僕のはかったところでは六百五十メーターぐらいではないかなと見ますけれども、そういう距離のところにあるわけです。今それが補償の対象になっていないところですね。その三十四号海区の四つの漁協は、能登原発の建設に伴う漁業権放棄や補償の相手とはなっておらないわけですね。それはどう理解したらよろしいですか。
  70. 菊池重嘉

    ○菊池説明員 温排水の影響等が三十四号には及ばないということから、補償の対象になっておりません。
  71. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうだと思います。そうしますと、その事業主体漁協ですね、つまり漁民の団体と事業主体である電力の話し合いで大体決まるということになるわけでしょう。
  72. 菊池重嘉

    ○菊池説明員 そのとおりでございます。
  73. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、ある意味ではどの範囲を交渉相手とするかは、漁協とその事業体、企業との力関係で決まるということになるんじゃないでしょうか。
  74. 菊池重嘉

    ○菊池説明員 事業者の方は影響が及ぶ範囲の当事者と行うということでございますので、三十四号の方には及ばないので、補償ということでの話し合いは行われていないと聞いております。
  75. 嶋崎譲

    嶋崎委員 つまり、実施主体事業者の場合、事業者環境影響調査をやってみた、海流の流れから見ても温度差を見てもここには行かぬよ、したがってあなたは補償の対象にはなりませんよということは、事業者漁協との間で本来やるべきことですね。ところが今回は、県が西海漁協との間で、環境影響調査をやらしてもらいますよというのを承諾する文書をとったのです。その文書には、将来原発立地するときには改めて話し合いをすると書いてあるのです。将来するかわかりませんが、念書には書いてあるのです。ところが今度のは、事業体漁協との話ではなくて、県当局漁協との間で、環境影響調査をまずやらしてもらいますよ、そしてその結果、影響がないからおまえのところは対象にならない、こういう形で処理されたわけですよ。  ところがこれは北陸電力の側、事業者の側からすると、待てよ、福浦の皆さんに御迷惑がかかることもあろうなというので見舞い金みたいなものが動いているのだ、こう僕は思うのですよ。それは表には出ていませんよ。見舞い金が一方で動いていて補償の対象にはしないという結果は、県の影響調査の結果と符合しているわけです。ですから、そういう意味でこの漁協と県とで環境影響調査についての承諾を交わされた事実は、これは今までの農水産省がおっしゃる事業体漁協との話し合いの中で、事業体が行う環境影響調査の結果、おたくは補償の対象にならないよという形で適用除外されたのとは違うケースだと思いますが、いかがですか。
  76. 菊池重嘉

    ○菊池説明員 結果としまして、県が実質やった結果、または事業者環境影響評価を行った結果、どちらにいたしましても、評価内容が適正であって三十四号の方に影響が及ばないということであれば、結果として同じだと考えております。
  77. 嶋崎譲

    嶋崎委員 まあそういう答弁でしょう。  さあ今度は資源エネルギー庁。防波堤とかその他の海上及び陸上施設の建設による汚染の影響は、三十四海区までその評価書はどう見ておりますか。
  78. 田辺真一

    田辺説明員 及ばないということであります。
  79. 嶋崎譲

    嶋崎委員 燃料、廃棄物運搬には三十四号海区へは入らないと考えているのでしょうか。
  80. 田辺真一

    田辺説明員 三十四号海区を通るかどうかについては、ちょっと承知しておりません。
  81. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私は、放水口から六百メーターぐらいのところですから、そういう場合がたびたびあり得る、しょっちゅうということはないかもしれないが、あり得ると思います。この点は今のところ、防波堤その他の海上及び陸上施設の建設による汚染の影響は三十四区はなし、そして燃料、廃棄物運搬には三十四区へは入らないと考えているのかと言ったら、わからないとおっしゃるのだから、それでいいですよ。私は入る可能性はあるよということを今から申し上げておきます。  さてそこで、あそこの海流は御承知のように対馬暖流が流れているところですから、大体秒速二十センチぐらいで流れているところです。したがって温排水の広がりというのは北上するのです。北上するということははっきりしていますね。わかりますね。そうすると、温排水は放出口から出て、放出後三十四海区にも広がるのではないかと思われますか。
  82. 田辺真一

    田辺説明員 環境審査の結果、影響はないということでございます。
  83. 嶋崎譲

    嶋崎委員 どんな技術的な対応をしたからですか。
  84. 田辺真一

    田辺説明員 塩分濃度の現況調査をいたしまして、その結果を踏まえながら、今回の能登原発におきましては水中放水方式をとっておりますので、水理模型実験によって周辺海水の巻き込み現象等を比較的容易に再現できるということで、当該海域の流況、塩分分布等の特性を考慮しまして実験条件を設定し、予想結果はないということになってございます。
  85. 嶋崎譲

    嶋崎委員 正確に言いますと、あなたの回答を僕が逆に答えて言いますと、こういうことなんですよ。放水口はいまだかつてない十四メーターの深いところからやることになっているのだ。知っているとおりでしょう。だから、十四メーターの深さから放出されるので、温度差一度以上の範囲は百二十メーターであって三十四海区へ広がるとは考えられない、こう正確に答えなければだめなのよ。そういう趣旨で答えるだろうと僕は自分で作文してあるのです。そういうことでしょう。どうですか。
  86. 田辺真一

    田辺説明員 審査報告書によりますと、温排水の表層における一度上昇拡散予測包絡範囲は〇・〇八平方キロとなってございます。先生のと大体同じでございます。
  87. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで今度は、北陸電力が挙げている環境影響調査書には、海面の秒速の流動予測結果は実測結果が示されておりますね。水産庁でもどっちでもいいよ。水産庁の方がわかりいいでしょう、専門家だから。しているのよ。僕はここにみんなデータを持っているんだから。
  88. 田辺真一

    田辺説明員 流動の予測結果は出ております。
  89. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ところが、ここに表をコピーしてあるのですが、温度はこうやって丸になっている。そして海流の方は平常大体北に向かって動きますから、秒速大体平均二十センチあるのですけれども、これは三十センチの場合、三十二センチの場合と、三十センチ台の場合がちゃんと測定されています。それから同時に四十センチの場合もあるし、放水口の近くですと五十センチですから、これは省きましょう。しかしこれで見る限り、この縮尺でいきますと、この放水した速度は明らかに第三十四海区に秒速三十ないし三十六、三十七ぐらいのものが流れるという実験値がここに出ております。そう判断していますか。
  90. 田辺真一

    田辺説明員 自然流と合わせますとそういう格好になってまいります。
  91. 嶋崎譲

    嶋崎委員 これはセンサーでやられているのですから、温度差と一緒にやるのですよ。  ではお聞きしますが、温度については実験の実測結果が示されていないのですが、どうしてですか。
  92. 田辺真一

    田辺説明員 温度の予測結果につきましては、先ほど御説明いたしましたように、包絡ということでいろいろなケースの最大範囲内ということで、先ほど先生が御説明されたようなあの範囲になったということでございます。
  93. 嶋崎譲

    嶋崎委員 僕は通産から女川の場合のデータをもらっています。これは二号機の修正環境影響調査書の場合の水深十メーターのものをもらったのです。これの最初のものを資料要求しておきますよ。最初に第一号機をつくったときの調査時点がありますね。これは水産庁がかつてやったことですからね。それで今度新たに二号機ができましたね。そうすると、今度は一号機と二号機ができますから、最初調査をしたときの時点、二号機が入ったとき、同じ時点で温排水はどういう流動をするかということのデータを僕は欲しいのです、今度のいろいろなものを検討していく場合に。これは出していただけますな。一号機のものを出してくだされば僕の方で解析しますから。出せますね。
  94. 田辺真一

    田辺説明員 先生がおっしゃるのが一号機のモニタリングのデータということでございますと、それは提出されることになってございませんので……。
  95. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それならまあいいや。  さて、時間がないから急ぎますが、今度の北陸電力の場合の水温は、四月、七月、十月、一月をとりまして、〇・五メーター、六メーター、十二メーター、それの平均値が出ていますね。今僕は月をわざわざ春と夏と秋と冬というふうに引っ張ってメモをしてきたのです。それですと〇・五メーターから十二メーターまでの水温の水平分布が行われています。  塩分はどうかというと、春夏秋冬の午前、午後をとった書類が上がっていますが、午前、午後の書類を見ますと、塩分の方は〇・五メーター、二メーター、五メーターまでなんです。それで十メーター以下の場合は記載はないのです。そうですね。水産庁知っていますね。
  96. 田辺真一

    田辺説明員 塩分濃度につきましては、海面下〇・五、二、五メートルということで先生おっしゃるとおりでございますが、さらに水質調査時におきまして、海面下〇・五メートル、五メートル、それから海底上一メートル、ただし水深が二十一メートル以上の深い場合におきましては、二十メートルのところで測定したデータをつけております。
  97. 嶋崎譲

    嶋崎委員 水温の水平分布の方は、二十メーターから二十五メーターの平均をとっているのです。それから同時に深い方は五十メーター、そこもとってあります。塩分の方は五メーターまでで、それ以外の深部についての調査は記載されていないのですから、我々がある物を考えようとするとき、その客観的根拠がないわけです。それは確認できるでしょう。五メーター以下のものはないのでしょう。
  98. 田辺真一

    田辺説明員 ただいま御説明いたしましたとおり、水質調査の項目の方で、海底上一メートルというところについての塩分濃度について記載しておるわけでございます。
  99. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それならそのデータが県民にわかるように、海の方のは秒速二十センチとか三十とか四十五も出してあるのですから、塩分についてもそれ以下で調査したこと、つまり深さ十五メーターのところや何かではなくて――僕は水産庁から聞いているんだよ。地域によってはかなり深いところにも、塩分の調査をしてみたら塩分濃度の差がないという判断をするということになったのよ。もう時間がないから聞きませんけれども、僕はきのう聞いているのだから。そうなっている。だったらその客観的データ資料として挙げていないと、本当に温度一度差である丸印で書いてある百二十メーター部分なのかなあと疑問が残るのです。公表するのですか、資料は。したがって、その今までやった調査、つまり十メーター以下の地点と、それからやったと言われているもののデータをきちんとここへ提出できますか。
  100. 田辺真一

    田辺説明員 環境影響調査書に記載させておりますので、先生にもお届けさせていただきます。
  101. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それで、これはもう水産庁にも聞きませんけれども、きのう専門家の意見をいろいろ聞いてみると、あそこの海域は、特に放水口はかなり海の方、深い遠くに出している。たしか十四メーターで放水するのですから、それを五メーターまでしか塩分をはかっておらぬというのが問題なのよ。本来ならばこの下までやらなければ。僕は十五メーターぐらいまでやらなければならぬと思うが、それは、あっちこっちの地点をとってみたら塩分の濃度差がないなという判断をしたから、しなくても一度で大体この範囲を動くな、一度の範囲内で百二十メーター前後だな、こう判断をされたんだ。それで電調審を通ったんだ、こう僕はあなた方の立場でいったら理解しますよ。理解してあげましょう。  しかし、私は水産庁や皆さんから意見を聞いてわかるにしたって、資料そのものを公開されて、しかもその判断をするためには、どこかの地点をとったのじゃなくて、十四メーターの放出口から出ていくところですから、せめて十五メーターか二十メーターの平均値ぐらいは出しておくのが筋ではないかというふうに思うのです。女川の場合は、放水口が海面下五メーターを頭に置いていても、海面下十メーターについて塩分分布の調査結果が出ておりますし、それから水温についても海面下十メーターまでこのデータは出ております。そういう意味で、今度北陸電力が皆さんに上げたところのデータは、今までのデータの上げ方と平均値のとり方についてはデータ不足であり、もっと科学的なデータを添付すべきだと私は思うのです。ですから、一つの例ですが、女川原発のようなこういうきちんとした表で春夏秋冬とって、一定の深さ、十四メーターないし僕は二十メーターぐらい要るんじゃないかと思うが、出しておくのが親切である。そうすれば、なるほどここは温度差がないのだな、温度差がないのだから下で拡散しても、比重が上下がないから早く浮上して拡散するんだ、だから一度差でこの範囲でよろしいのですよと、こういう理屈が成り立つようになるわけです。  ところが今出されているデータは、海面の秒速は出ていますけれども、肝心の塩分並びに温度差については、十四メーターで放出する今度のデータにしてはデータ不足であるというのが私の判断でありますので、今後ともこの点をさらに原子力委員会その他でもまた、主として原子力委員会は原子炉の技術的なものが中心になりましょうが、全体の最終的な答申をする際には一度検討すべき諸課題だというふうに思いますので、私のところに少なくとも判断ができるように資料提出して、レクチャーをできるようにすることを約束できますね。
  102. 田辺真一

    田辺説明員 先ほど御説明いたしましたように、環境影響調査書の中に海底から一メートル上のところの塩分濃度につきましても記載しておりますので、その分を先生にお届けさせていただきます。
  103. 嶋崎譲

    嶋崎委員 あれは記載しておるだけじゃないんだよ。さっき言うようにとり方から問題があるのです。だから、温度差の表示とそれから海流の流れは同じセンサーでやるのですから、同時に十メーターまでの分はデータはきちんと出るのは当然なんですよ。しかしそれ以外の深いところになると、僕は客観的データは出てないのじゃないかという判断であります。これだけで時間をとっておるわけにいきませんから、それだけにしておきましょう。  一つ例を申し上げますと、北陸の七尾の火力発電所が今問題になっていますね。七尾の火力発電所は実に細かな、二百五十メーター、三百メーターというような升目で、広さ、海面の温排水の海流、温度、実に精緻なものが同じ能登半島で、片方は火力です。火力の場合には事業者のやっているもので相当のデータがありますから、比較してみるとどうもここは穴があいているなと。温排水の広がりはどうも狭く、例えば一度といいますけれども、ノリなんかの場合はどういうことになるかというと、極端なことをいいますと〇・五度になると温排水の広がりはもっと広くなりますね。当然温度差が小さくなれば塩分の関係で平均値で動いていきますから、広がります。〇・一をとればもっと広がりますね。そんなものは直接影響しませんが、少なくとも〇・五ぐらいの温度差が、というのは平均値で出るわけですから、平均値で出ても、熱いやつが時にほーっと通るときは薄いというような形になりますと、定着性のノリというのはだめになるんですよ。  ですから、平均値というのは本来これで生物資源というものを保護できるデータなのかということです。とり方自身にも私は問題があると思うけれども、仮にそれを肯定しても、一度だけということじゃなくて、本当は〇・五ぐらいもやっていいのじゃないのかなと、これは僕は専門家じゃないですから、いずれまた水産研究所や何かの人たちに意見を聞いて勉強させてもらおうと思いますが、いずれにしても今回の申請書類には、温度差の実測値がよその今までのものに比べてみて不十分だな、深さのとり方といい何といい不十分だなというのが私の印象ですから、今後ともそれを詰めて御報告を賜りたいと思います。  さて、急いで今度は安全性に入りましょう。まず、原発立地に際しての安全性という問題の一つに、敷地という問題があることは御承知のとおりであります。原子炉の周辺はどの程度の範囲を確保する必要があると思いますか。
  104. 石塚貢

    石塚政府委員 原子力発電所立地の適否を判断する指針といたしまして、原子力安全委員会ができる前でございますが、原子力委員会がつくりました立地審査指針がございまして、それによりましてそのある範囲が十分確保できるかどうかということについて判断をいたしております。
  105. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういう回答だろうと思っております。  立地指針の中身に入りますが、その前に「原子力発電便覧」、あれは資源エネルギー庁編ですか、あれの古い版からずっと私流に整理してみますと、原子炉というのは五百メーターを超える範囲内に敷地は大体確保されているというふうに私は理解しますが、どうですか、日本のすべての原子力発電所は。
  106. 山本欣市

    ○山本説明員 発電所の原子炉の炉心から敷地の境界までにつきましては、能登の場合については約四百五十メートルでございますけれども、他の原子力発電所と比べまして特段短いというような数字ではないというふうに理解してございます。
  107. 嶋崎譲

    嶋崎委員 北陸電力は、最初は二百三十五万平米のものを前提にしたのですね。最初は大きく出るのでしょう。いろいろ反対があって小さくなっても、あるところまでで落ちつくという判断もあるのかもしれません。それは別としまして、第一次の段階でこれが減り始めまして、最後の段階にいきますとこの敷地というのは、あれは大きい資料だから持ってこなかったのですけれども、百五十四万平米の広さに縮まってしまった。当初の三百三十万が、事業者最初に発表したときは二百三十五万平米だったのですね。それが第一次で減らし、第二次で減らし、変更していって、そして最後の調査報告段階ではたしか百五十四万平米になっているはずですね。そうすると、予定したよりも百七十六万平米縮小したのですよ。そもそも事業者立地計画から見ますと大変な縮小をした代物なんです。  さて、全国的に見まして、原子炉の位置を見ますと、大体五百メーター以下の炉は浜岡と二カ所しかないと僕は思いますが、そうですね。
  108. 山本欣市

    ○山本説明員 私どものデータによりますと、五百メートルを切ってございますのは、いろいろ特殊な事情があるものを除きますと、浜岡と高浜というふうに理解してございます。
  109. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それはどうしてそうなったかわかっていますか、浜岡の場合なんかは。最初からそうだったのですか。最初は違うのです。最初は八百メーターだったのです。それが後に一、二号炉ができてきてだんだん距離が狭くなったという特殊事情、それから山と海岸の地域の特殊事情などがあるのです。ですから、その二つの場合には五百メーター以内になっているのですが、それ以外の場合は大体五百メーター以上なんです。  さてここで、余り時間がありませんから急いで聞きますが、今までの原子力の便覧を見ますと、この敷地については一応の目安というものがあったのではないかな、あるのではないかなという気が僕はするのです。その目安は少なくとも五百メーター以上で八百とか七百というような目安、大体どの原子力発電所の場合もそうですから。今回のように最初から四百二十メーターぐらいの位置になり、その四百二十メーターも炉心から斜めにとるからで、炉心から道路までとりますと三百メーター前後で、そこの道路は後で問題にします大変な道路なんです。ですから、こういうのは非常に珍しいケースであるというふうに私は判断をいたしております。しかも、この炉心から赤住の住宅の町までは大体千メーターぐらいのところです。ですから、そういう意味で敷地という問題は、さっき局長がお答えになりましたように、日本の場合には立地指針に適合しておればいいという判断ですから、敷地の広さというよりも立地指針に基づくところの被曝線量が基準になるという判断に立っているから、少々炉心から近くたって構わない。北陸電力の数字だって、監視区域の外で全身被曝が基準の大体三百分の一ぐらいじゃないかな。それで甲状腺でも二十五レムのものが、後で言いますけれども相当低いものですよ。だから立地指針に適合しているから安全だというので、敷地の問題の意味というのは余り重視しない考え方をとってきておると思うのです。  そこで、ちょっと古いのですけれども、それ以上新しいものがないようですが、昭和三十九年五月二十七日に原子力委員会が出した「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて」という中には、今の局長おっしゃいました立地審査指針として、二の一には非居住地域というのが一つありますね。これは重大事故を頭に置いて非居住地域。そして二の二項には低人口地帯というのが入っておりますね。したがって、この原子炉立地審査指針のときには、ここでは敷地の判断や事故の判断を想定しまして、非居住地域、低人口地帯、こういうものを想定していたわけです。そこで、皆さんの判断でいきますと立地審査――私は多重防御という考え方をとるとすれば、多重防御という中にはやはり敷地というのは重要なファクターだ、こんなふうに思うのです。それは、世界の原発事故の経験から見てあり得ないことだけれども、あってはならないことですけれども、仮想事故のようにほとんどあり得ないだろうと言われるようなことをも想定してでも、その多重防御の判断をすると、非居住地帯や低人口地帯というものを一定程度目安にしなければならぬ性質のものではないかなと思うのです。  それで、これには適用範囲の一番最後の「附記」のところにこういう文言があるのです。「今後ともわが国におけるこの方面の研究の促進をはかり、」これは、放射線の生体効果だとか国民遺伝線量などについてまだ明確でない点もあるということも含めて、「世界のすう勢をも考慮して再検討を行なうこととする。」と書いてあります。これはどういう意味なんですか。この前にこういう一連の指針があって、この再検討の意味を簡潔に答えてください。あと二十分ぐらいしかありませんし、中身がもうちょっとありますから。
  110. 石塚貢

    石塚政府委員 その立地審査指針の中には、ある範囲の判断の目安として、例えば全身の被曝線量が二十五レムでございますとか、甲状腺は子供百五十、大人三百というような放射線障害を引き起こすであろう線量の目安というような数字が出ているわけでございますが、そういったものにつきまして例えば新たな知見が何か出た場合には、そういう数字の見直しが将来あるいは必要ということに至れば、それを再検討していく必要があるであろうというようなことを「附記」で述べているものであるというふうに解釈しております。
  111. 嶋崎譲

    嶋崎委員 今後の訓示規定とでもいうかな、そういうものとして理解しておきましょう。  そこで聞きますが、北陸電力の許可申請書でははっきりしませんが、能登原発については非居住地域はどこを指すのですか。
  112. 山本欣市

    ○山本説明員 申請書におきましては、敷地境界等がございまして、その地点で先ほどの立地審査指針に該当するかどうかということで判断いたしまして、問題ないということを判断いたしてございます。
  113. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、時間がないから結論だけ聞きますが、この設置許可申請書だと非居住区域を評価する重大事故は、ここにありますように小児甲状腺被曝線量二・七レム、基準値が百五十レムですから物すごく低いものですね。それから同時に全身の被曝線量〇・〇〇一九レム、これは基準値で見ますと二十五レムですから、こういう非常に低いものだ。そうしますと、能登原発の場合に、非居住区域というのは監視区域イコール非居住区域と理解してよろしいですか。
  114. 山本欣市

    ○山本説明員 周辺監視区域というのは敷地の内側につくるものでございまして、今回立地審査指針で判断しましたものは敷地等の境界ということでございまして、もう少し広い範囲でございます。
  115. 嶋崎譲

    嶋崎委員 じゃ、どこまでなんですか。
  116. 山本欣市

    ○山本説明員 具体的に敷地等と申しますのは、一つ北陸電力が購入をしております用地、それから西側の海岸線がございますが、北陸電力が購入をしております海岸沿いの北側と南側、その線の延長上が敷地等の境界ということでございます。
  117. 嶋崎譲

    嶋崎委員 もう時間がないですから。  僕はこう思うのですよ。今の安全審査の指針の考え方でいくと、政府側のやっている安全審査の考え方でいくと、建屋の外だったらもう全部物すごい安全なんです。ECCSも作動するし、それからフィルターにしたってファンにしたってまともだし、格納容器だってきちんとしているのだ。したがって、出てくる放射能はもう基準値よりもはるかに低い。この監視区域の点をとったところはみんなそうなるわけです。それから、監視区域からちょっと出た周辺地域のところもそうなっているわけです。とすると、今資源エネルギー庁は非居住区域はもっと広い範囲だと言うけれども、中をとっても外をとってもレムでいけばはるかに基準値より低いのですから、つまり建屋の外はイコール低人口地帯だと言ったって過言ではないというふうに私は逆に言い返さざるを得ない。どうですか。そうでないなら、それ以外に広がったところ、どこまでを非人口といい、どこまでを低人口といい、重大事故の場合はどこまで影響し、そして仮想事故のときにはどこまで影響するということについての一定の目安を持っていなければ、今のあなたの答弁では理屈は成り立ちませんよ。
  118. 山本欣市

    ○山本説明員 原子力の安全性の物の考え方でございますが、まず通常の運転時に対します安全の物の考え方、これは原子炉等規制法で規制をしてございまして、その考え方というのは周辺監視区域というもので設定してございます。これは先生御承知のように、周辺監視区域の外側では〇・五レム以上にはならないというような規制でございまして、そのほかに立地の観点から立地審査指針というものがございます。  能登原子力発電所につきましては、先ほどから申し上げておりますように、原子炉の敷地というのは最短距離で四百五十メートルということでございまして、その内側に周辺監視区域があるわけでございますが、それは通常の運転状態においても安全でございますし、かつ立地環境審査におきましても、それの若干外側でございます敷地等をとりましても十分立地審査指針の範囲といいますか、立地審査指針の規定を満足しておるというようなことで、立地審査指針上は非常に余裕がある原子力発電所であるというふうに理解できるだろうと思います。
  119. 嶋崎譲

    嶋崎委員 時間がないからこれでやりとりしませんが、そうするとこういうことになりはしませんか。現在の敷地に関する指針に基づく皆さんの評価の仕方は、何メートルの範囲を確保すべきだというような絶対的な基準ではなくて、一定のモデル事故のときに放出される放射性物質による被曝線量が基準値よりも圧倒的に小さくて、これによって敷地の安全性評価するという方式をとっていることになるのじゃないですか。いかがですか、局長。
  120. 石塚貢

    石塚政府委員 立地審査指針の内容からいたしますと、どれくらいの距離離れていなければいけないかという判断の仕方といいますのは、その被曝線量をもって判断の目安とするということでございますので、おっしゃるとおりになろうかと思います。
  121. 嶋崎譲

    嶋崎委員 これは意見の違うところです。今の立地指針を考えるときに、さきに挙げました指針がありますね。あれの一定の敷地距離というものを想定していることにかんがみ、評価方式というのを早急に変更すべきだというふうに私は思うのです。つまり今のやり方だったら、極端なことを言えば、もう重大事故も仮想事故も起きませんよ、したがって建屋は安全、そしてECCSも動く、その他もみんなフル回転していくという前提ですから、もう建屋の外でも全部安全だ、監視区域でも安全だということに結果としてなるのです。なってしまうのです。つまり、距離の問題、範囲の問題よりも安全性のとり方、非常に安全なものをつくるのだというところに力点があって、もし事故が起きた場合ということの想定よりも、そっちに力点がかかっている評価の方式になっているという意味で、非人口地帯並びに低人口地帯などを含めて、立地の位置というものを最初から相当慎重に判断すべきであるというのが私の意見です。これはやっておる時間がもう十分しかありませんから、こういう私の意見だけ述べて平行線にしておきましょう。  さてそこで、今度の能登原発の場合には、御承知のように海岸から問題の県道が、海浜の道路が走っています。これを監視区域から除外したのはなぜですか。
  122. 山本欣市

    ○山本説明員 通産省といたしましては、申請者の申請内容につきまして審査をしておるということでございます。原子力発電所の平常運転時におきまして許容被曝線量が年〇・五レムを超えるおそれのある区域を周辺監視区域とされ、業務上立ち入り者以外の立ち入りが制限されておりますが、能登の場合について平常運転時の被曝評価の結果というのは、周辺監視区域境界におきまして、先ほどから述べておりますように法令で定めます値を十分下回っておるということでございまして、敷地の西側の県道はその周辺監視区域の外側を通っているということで、県道上におきます平常運転時の被曝線量は周辺監視区域のそれを下回っているということで、安全審査上問題ないというふうに理解してございます。
  123. 嶋崎譲

    嶋崎委員 では、申請書に上がっておりませんけれども、経過はこうなっていたのです。北陸電力最初に発表したときの道路は変更していたのです。御存じですね。柏崎原発と同じです。柏崎原発は海浜を通らずに原発の外側に道路をつくって、敷地の外を通るようにしたと同じように、北陸電力事業者としての最初の考え方は、原発の外側に道路を変更するという計画になっていたのです。それは時間がありませんから、説明を聞きませんけれども、御存じですね、きのう私は説明したから。そして、そのときの炉心はどこにあったかというと、今の道路のど真ん中にあったのです。道路のど真ん中にあって、道路から敷地監視地域内に資材や何か運搬できるような道路は残すが、こういう外の道路だったのです。だから事業者としては、つまり電力としては、ここはやはり道路を通してはまずいのだという判断で最初は全貌が発表されたのだと思います。  ところが、今日上がってきているものはぐるっと回る道路の変更はやめてしまった。地方道でも相当観光バスは通るわ、トラックは通るわ、大変な道路です。一日平均千台ぐらい、国道並みではありませんけれども、そういうすごい道路が通っている。変更しようと思っていたのに今は変更しないで、もとのままになっているというのが今の申請書に上がってきているこの道路をめぐる周辺の事情なんです。それを皆さん方は、道路の上に四カ所とってありますけれども、レムではかってみたらはるかに基準値より低いからこの道路は安全です、さあ通れということに今なっているわけです。こんな経過があるという意味で、私は時間がありませんから、私の主張で各省たくさん来ていただいておって申しわけない。時間がないのですが、建設省の場合には県道の行政管理の立場から、運輸省は運輸省で許認可権を持つという立場から等々あるのです。  そこで聞きますが、原子炉安全審査内容の中に、社会的条件として交通運輸等というのがあるのは、局長御存じですね。
  124. 石塚貢

    石塚政府委員 申請書記載事項としてそのようなものが決められております。
  125. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、その交通運輸等という項目についての基準はありますか。
  126. 石塚貢

    石塚政府委員 基準というものは特に定められておりません。安全審査段階審査をすることになっております。
  127. 嶋崎譲

    嶋崎委員 したがって、ここに交通運輸等というのがあれば、電調審段階で、当初はこういう計画だったがこうなった、しかし結果はこうだから安全だからこうだということは、建設省自身は直接何も関係ありません。運輸省も直接何も関係ありません。警察庁も直接何も関係ありません、みんな来ていただいているけれども。関係ないけれども、もともと迂回していくはずだった道路が海浜を通るようになって、被曝量で見ると安全だから構わないのだという形でこういう道路を通した経験は全国にありますか。
  128. 山本欣市

    ○山本説明員 他の発電所の中に、道路が敷地内にある例は数件見受けられます。
  129. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういう場合と、今の観光道路のような道路が炉心から三百メーター前後のところにあるようなのはありますか。
  130. 山本欣市

    ○山本説明員 よく調査してございませんので確認したわけではございませんが、能登のような形のものというのは私承知しておりません。
  131. 嶋崎譲

    嶋崎委員 僕は初めてのケースだと思う。よく似た例があったら後で資料提出して、私にレクチャーに来てください。これはレアケースだと思うから、よくやってください。  運輸省来ていますな。運輸省に一つだけ聞いておこう。立地安全審査の中に航空機事故等というのがあります。この航空機事故等について北陸電力資料には、富山から出る飛行機の航空路は炉心のところから一キロくらい離れたところを飛ぶことになっています。私、かつて安保特で質問したり内閣で質問したときに、パイロットの英文の航空地図というものを見ますと、原子炉の横を相当思い切ってみんなよけて飛ぶような地図ができています。これは全部英文です。それに比べてみると、今度の場合には炉心から一キロと北陸電力資料そのものに出ていますが、一キロのところを飛んでいるという事実を挙げている。  それから、御承知のように小松の基地は軍事基地でございまして、これは私は安保特で詰めたときに、ここに石川県の県民はもっと飛行便数をふやしてくれという要望が出ているのです。ところが、ふやせという要望を僕がやったのに対して、いやふやせない、なぜなら軍事優先だというのです。だから午前二本、午後二本で真ん中の時間は全部あげてあるのです。それはスクランブルです。スクランブルはもちろん能登原発の上まで行くとは僕は思いません。あれは最近はびゅんと上がりますと、近い距離ですっと海岸に上がるという大変な性能のいいものですから、すぐ上には行きませんが、年じゅうあの上はスクランブルの可能性を持っている地域なのです。そういうことを見ますと、この建屋そのものが今のような型でいいのかなという問題点があるということをまず指摘しておきますが、運輸省、その点検討しましたか。一言でいいです。これは運輸省じゃないの。航空事業の場合の原発の建屋との関係は運輸省がわかっていなければ、運輸省でなくてあなたでいいです。時間がないですから。あなたのところでどんな検討をしたのですか。
  132. 山本欣市

    ○山本説明員 お答え申し上げます。  能登原子力発電所安全審査におきましては、航空機の問題について検討してございます。  二つの場合を実施してございますが、まずは定期航空路でございます。能登の場合には、小松基地から出発する飛行機の一部が、能登原子力発電所の上が航空路になっておりますので、そこを航空機が飛行するということでございますが、定期航空機につきます安全性検討は、落下確率の計算をいたしてございます。そういうことで計算いたしますと、ほぼ一億年に一回起こるか起こらないかというような非常に低い確率でございますので、航空機の落下につきまして、発電所安全性について考慮する必要性はないというふうに判断をしてございます。  それからもう一つ自衛隊等の航空機、これは民間の航空機もございますけれども、現在まだ原子力発電所が許可をされておりませんので実施をされてございませんが、過去の事例等で申し上げますと、運輸省の航空局長通達によりまして、原子力関係施設付近の上空での低空飛行の許可は行わないこと、それから上空の飛行についてはできるだけ避けることになってございます。能登につきましても将来同様の措置がなされるというふうに考えております。
  133. 嶋崎譲

    嶋崎委員 御承知のように国際原子力機関、IAEAの場合は新たに原子力の安全原則というのが発表されてあちこちで言われていますけれども、その中には発電所へのジェット機の衝突なども含まれるという大変明確な、個別具体的な課題なども提起している世界の経験から見て、そして日本も現にパイロットは全部原発のところをよけるために英文の地図を持って操縦していることなどを判断してみて、この能登の原発と富山空港との関係、小松基地と原発との関係などについての問題点がありはしないかということを指摘だけしておくことにいたしましょう。  それで、もう時間が来ましたが、あとちょっと時間をいただいて、北陸電力申請によりますと、今度の能登原発の格納容器の型はMARKI改良型と書いてありますね。MARKIではないのですね。MARKI改良型と書いてある。MARKIIではないのです。MARKI改良型というのはどういう意味ですか。
  134. 山本欣市

    ○山本説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のように、我が国におきましては昭和五十年度から、日本の国情に合いました我が国独自の技術によりまして、信頼性の高い軽水炉の開発を目指しまして、改良標準化というようなことで検討を進めてまいりましたが、能登で採用されておりますMARKI改良型というのは、この改良標準化計画の成果が反映されたものでございます。
  135. 嶋崎譲

    嶋崎委員 MARKII型については「MARKII型格納容器圧力抑制系に加わる動荷重の評価指針について」というのが出ておりますね。皆さんから資料をもらっていますから、皆さん御承知だと思います。そこで聞きますが、能登原発にはこの指針は適用しないのですか。そして適用したらどうなりますか。
  136. 山本欣市

    ○山本説明員 MARKI型の格納容器の熱水力学的動荷重の評価指針につきましては、能登原子力発電所原子炉設置許可申請後の昭和六十二年十一月五日に、原子力安全委員会によりまして「BWR・MARKI型格納容器圧力抑制系に加わる動荷重の評価指針」ということで定められてございます。我が国の原子力発電所につきましては、MARKI型につきましても実態的な面での動荷重の評価ということは実施をしてきてございまして、能登原子力発電所につきましても、実質的にはこの評価指針を満足した基本設計になってございます。
  137. 嶋崎譲

    嶋崎委員 時間がないですが、なぜMARKIIにあってMARKIにないのかという疑問が私には一つ残ります。  それから今度、MARKIの改良型とおっしゃったのは、きのうあなたの説明だと、今までの酒のかんのとっくりみたいなものが丸くなって、容器に少し膨らみができたということなんです。ところがこのMARKI型というのは、御承知のように冷却材の喪失事故のときにも、これは流体力学の先生方の意見を聞いてみると、下にドーナツ状のウェットウエルがありますね、あそこの中で破断したりなんかしたときに逆に蒸気がぶっと来て、それで水のあれが問題になることがあるのです。これはゼネラル・エレクトリックなんかの場合で、アメリカで問題になっている一つのポイントであります。そういう意味で、MARKI型の改良型というので努力されているのはわかるけれども、MARKII型に示したような指針と同じような意味で実際に運用しているからいいのだというのではなくて、本来改良していくとすれば、六十万以下と百万との何かで限界にしていますね。だから、最初能登原発のような場合についても、実際には申請書には指針の一覧表が載っていますけれども、格納容器に関するものというのは改良型という言葉があるだけで、何もありません。皆さんも御承知のとおりです。ですから、そういう意味で、将来のいろいろな事故を想定してみると、MARKI型の新しい改良型と努力はされているが、それについても安全の指針というようなものをつくる努力をすべきではないかというふうに思いますし、そうでないならば、MARKII型みたいに大きなものをつくらないにしても、その材質だとかいろいろなことを検討しなければいけませんから、新たな検討課題があるということだけを申し上げておきたいと思うのです。  それで、最後に一つだけお聞きしますが、北陸電力から出ているあれによりますと、地震のデータは直下型の地震というのは想定しておりません。御承知のように、日本海の例の秋田で起きた直下型地震、これは青森から岩手一帯にかけて大変な影響が出たことは皆さん御承知のとおり。それから新潟、福井には昭和二十二年から二十三年にかけて直下型の地震が起きております。ですから、そういう意味で、この北陸の地震地帯について北陸電力申請書だと、過去の地震の大きさと位置と地殻の活断層から建設予定地における震動の強さを予測してはいるが、北陸地域における活断層と過去の地震データだけで予測するのでは不十分ではないか。直下型地震ということはあり得ないということはないと思うのです。したがって、その点が不十分であるぞということを申し上げておきたいと思うのです。今後安全審査段階に当たりまして、この地震のデータをどう見るのかということも重要なポイントとして御検討をいただきたいと思います。  最近、日本原子力研究所の佐藤一男先生が今後の設計の範囲の問題について、事故を招く原因について三つ挙げていますね。「設計の範囲を超える事故を招く要因は何ですか」という記者の質問に対して、一番目「人間の過ちが絡む場合」、つまり人間のミスの場合。二番目「二つ以上の原因があって複合した現象になる場合」。北陸電力の出しているこの沸騰水型は、再循環器の一つに故障が起きた場合でありますが、この間のように二つ故障が起きるというのは現に日本に起きているのですから、一つの故障が起きているというだけで、複合的な事故という場合の想定があの北陸電力申請書に入っていません。したがって、この二番目が問題になる。それで三番目「原因が一つであっても、安全装置がいくつも故障していく場合」に起きる。こういう場合を想定して、今後原子力発電所の設計上の問題として検討すべき課題を提起しておられます。  また同時に、御承知のようにIAEAでもスリーマイルやチェルノブイリに起きたような損傷をもたらすというようなことを想定いたしておりますし、我が国はそんなものはないと言いますけれども、こう言っていますね。過酷事故は起こり得るという前提が原則全体を貫く基本思想でなければならないというのが大前提です。したがって、設計上起こり得ないという形でなされていても、今後設計の基準というものをとる際に、こういう警告があるわけですから、基準というものを見直すことも必要なのではないかということを最後に申し上げておきたいと思います。  以上、まだたくさん申し上げたいことがあったのですが、一口で言いますと、能登原発は敷地がめちゃくちゃに狭くなった。なぜか。反対運動があったために、狭くても安全だというものに変えられた。道路がぐるっと回って安全な道路を予定していたのが、物すごい人間が通る道路をそのまま放置した。海岸には保安林があって、その保安林は共有林部分だけは虫食いのように線引きを狭くして、そして監視区域が変な形の線引きが行われていることなどを見ると、つくられた監視区域のつくり方である。そういう意味で敷地の安全性の問題、それから原発の重大事故や仮想事故を含めての安全性について本格的に検討してみる代物であると私は思います。世界にもない、日本にもさっきから言うように幾つか全く例のないことをやってきたし、計画しているものでありますだけに、今原子力安全委員会の方で御検討中ですから、まだ結論も出ないうちに何も意見を申すことはできないということは承知の上で申し上げますが、大いにこの審査を厳密にやっていただいて、こういう原発立地は簡単に申請を許可すべきではないというのが私の判断でございます。  以上述べまして、局長並びに長官の今までの議論の感想を聞かせていただいて、私の質問を終わります。時間を超過しまして大変御無礼いたしました。
  138. 石塚貢

    石塚政府委員 能登原発安全審査につきましては、原子力安全委員会で現在ダブルチェックのための安全審査を行っているところでございますので、厳正な審査が行われますことを私ども事務局といたしましても確保していきたいと思っております。  それから一般論といたしまして、指針類、基準類といいますものは、安全委員会の基準部会において常に検討しているところでございますので、これにつきましても十分慎重な取り扱いということについて、安全委員会審査を進められるものというふうに承知をいたしております。
  139. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 ただいま政府委員から申し上げましたとおり、原子力安全委員会で仰せを待つまでもなく十二分に審査中でございますので、その審査を待って善処してまいりたい、このように考えます。
  140. 嶋崎譲

    嶋崎委員 終わります。ありがとうございました。随分時間をオーバーしまして済みません。
  141. 大坪健一郎

    大坪委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ────◇─────     午後一時四十九分開議
  142. 大坪健一郎

    大坪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春田重昭君。
  143. 春田重昭

    ○春田委員 私は、本日は放射性廃棄物対策の問題とウラン濃縮の問題、この二点に絞って質問したいと思います。限られた時間でございますので、ひとつ答弁者側は簡潔によろしくお願いしたい、こう思っております。  まず、放射性廃棄物の対策の問題ですが、高レベルの放射性廃棄物の処理処分の基本方針が科技庁としてはおありみたいでございます。これからまず御説明いただきたいと思います。
  144. 松井隆

    ○松井政府委員 再処理工場で使用済み燃料から分離されますいわゆる高レベル放射性廃棄物の処理処分の方策でございますけれども、基本的には、一つはまず液体で出ておりますものですから安定な形態にする、そのためにガラスで固めるということを考えてございます。それからさらに、そのガラスで固化したものを大体三十年から五十年ぐらい貯蔵する。さらにその後地下数百メートルより深いところの地層中に処分する、これが大きな基本的な流れでございます。  それで、まずガラス固化でございますけれども、これにつきましてはかなり諸外国においても実用化が進んでおります。また日本でも、もう十余年になりますか、動燃事業団を中心としていろいろと研究してございまして、ガラスで固めるガラス固化プラントといっておりますけれども、それにつきましては昭和六十五年ごろから試運転ができるように、現在着々と準備を進めている段階でございます。それで、その後三十年から五十年くらい貯蔵するということでございまして、最終的には地層処分ということで、現在動燃事業団を中心にいたしまして地層処分をするためのいろいろな研究を行っている。具体的には、まず地層処分をするためには地層の深いところがどういった状況なのかということをよく勉強する必要があるので、そういったたぐいの研究、それからもう一つは、最終的に地層処分する場合にどういった場所が適切かということの全国的な調査、そういうものを実施しております。そういうものを行うことによりまして安全に地層処分ができるもの、私どもこういう考え方で基本的には進めておるというところでございます。
  145. 春田重昭

    ○春田委員 ただいま局長から御説明があったように、廃液をまずガラス固化して、そして一時期貯蔵し、冷却してから最終的には地層処分をする、こういう基本方針であると伺ったわけでございます。  そこで、高レベルの放射性廃棄物は使用済み燃料の再処理によって発生するわけでございます。発生する場所としては、一つは東海村でございます。二番手としては、現在海外委託している英国とフランスから出てまいります。三番目として、将来青森県の六ケ所村で再処理工場が運転開始された段階でここから出てくる、このように三カ所から発生すると思うわけでございますが、それぞれガラス固化体として出てくるのはどれくらいの本数になるのか、この辺をまず御説明いただきたいと思います。
  146. 松井隆

    ○松井政府委員 まず一番簡単なのが、海外に再処理をお願いしております件につきましては、大体一九九〇年代ころから返還されるという話になっているわけでございます。多少実態はおくれるのではないかと思うのでございますけれども、それが約四千本というふうに言われております。  それから動燃の東海の再処理工場、これにつきましては、先ほど申しましたとおり昭和六十五年度ごろからガラス固化プラントを動かそうというふうに考えてございまして、そこの能力は大体毎年百四十本ぐらいできる能力を考えているわけでございます。もちろん六十五年運転当初からすぐ百四十本できるわけではございませんで、順々に性能を上げていくわけでございますから多少時間はかかると思いますけれども、規模としては年百四十本と考えております。  それから六ケ所村の方の民間の再処理工場につきましては、今の考え方では、毎年大体八百本程度のプラントを検討しておる段階でございます。これももちろん、一九九〇年代半ばごろの予定というふうに聞いてございますけれども、運転開始してすぐ八百本ができるわけではございませんで、逐次性能を上げていく、そういう過程かと思いますけれども、規模としてはその程度と考えているというように聞いております。
  147. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、ガラス固化されたものが貯蔵され、そして地層処分されるわけでございますが、この貯蔵する箇所、それから地層処分する箇所、ここはどこをお考えになっておりますか。
  148. 松井隆

    ○松井政府委員 それぞれのガラス固化体の貯蔵する場所、それから処分する場所というお話でございます。  まず貯蔵する場所でございますけれども、動燃の東海再処理工場でできましたガラス固化体につきましては、動燃事業団としては現在北海道の幌延町に貯蔵工学センターをつくろうという計画がございまして、そこでできれば貯蔵したいというように考えている次第でございます。それから六ケ所村にできます再処理工場、そこでできましたガラス固化体につきましては、同じく再処理工場の中で貯蔵する。それからもう一つは、返還されてくる約四千本と言われているガラス固化体でございますけれども、これにつきましても同じく六ケ所村の再処理工場の中に貯蔵する、大体そういう計画になってございます。  それから処分でございますけれども、これにつきましては現在まだ場所は決まっておりません。先ほど申しましたとおり、動燃事業団が中心になりまして地層処分をするためのいろいろな研究開発を進めております。それから調査も進めております。そういったものを踏まえた上で最終的に決める話でございまして、そういう意味では、どこに処分するかという場所については現在未定でございます。  以上でございます。
  149. 春田重昭

    ○春田委員 動燃事業団が計画しております北海道幌延町のいわゆる貯蔵施設、貯蔵工学センターと名づけられておりますが、せんだって科技庁の方に報告がされたと思いますが、科技庁としてはどういう対応を今されているのですか。
  150. 松井隆

    ○松井政府委員 動燃事業団が北海道の幌延町を候補地として考えていろいろと調査を行っているわけでございます。それで先日、四月十五日だと思いますけれども、幌延町の候補予定地をいろいろとボーリングした結果とか、調査した結果を発表しておるわけでございます。  私ども、いずれにしてもこれにつきましては、まず地元理解と協力を得るのが基本というふうに考えている次第でございまして、そのために調査結果をもとにして、動燃事業団が四月十五日から始めておりますけれども、まず地元の方々にその内容を詳しく説明するということをさせておる次第でございます。そういうことによりまして、地元の人の理解の輪を広げるということになって初めて立地が可能になるものというふうに考えておりまして、やはりまずやることは、地元の方に懇切丁寧に説明するということがまず第一かと考えている次第でございます。
  151. 春田重昭

    ○春田委員 地元理解と協力が大前提である、こういうことでございます。それでは幌延町、そして周辺の自治体、北海道、それぞれの幌延町に対する現在の動きといいますか、賛成、反対といいますか、さらにいろいろな団体がございますけれども、農業団体や漁業団体等の幌延町に対する反応、これをどう受け取っておりますか。
  152. 松井隆

    ○松井政府委員 まず北海道の幌延町自体は、この施設につきまして誘致賛成ということになっているわけでございます。もちろん幌延町の町民の中にも、それに対して疑問を持つ方もおるのは承知しておりますけれども、大勢は賛成。それから周りの六つの町村があるわけでございますけれども、その町村の中にはその調査に反対する意見もございます。あるいはその調査を大いに促進してやってほしいという意見もございます。そういう意味では、六つのうち大体半分くらいに割れているというような状況かと思っております。  それから北海道につきましては、北海道議会におきましては大分前にこの議論がなされておりまして、調査促進決議という決定も出ております。一方、北海道知事の方は、本件については非常に慎重な姿勢をとられているという状況でございます。またその他農業者、漁業者につきましてもいろいろな動きがあるということは承知しておりますけれども、例えば漁業組合が反対であるという話も聞いております。漁業組合の方にも、前に私と居合わせたときに私もお話ししました。しかし、反対は反対だけれども、その調査結果、内容については十分聞く耳は持つというお話でございまして、そういったことでございますので、私どもぜひいろいろな調査した結果を説明いたしまして、御理解賜りたいというように考えているわけでございます。
  153. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、現段階では完全に周辺の自治体は分かれている。漁業団体、農業団体等もああいったアメリカやソ連の事故等によって、当初の考えから相当不安といいますか不信といいますか、そういったことで反対の方向が非常に強くなってきている、こういったことも聞いております。まして横路北海道知事が現段階では幌延については賛成しがたいという態度でございますから、かなり難しいのではなかろうかと思っておりますが、要するに科技庁としては、この報告を動燃がされたのは中間報告と見ているのですか、それともいわゆる最終報告と見ているのですか。
  154. 松井隆

    ○松井政府委員 もともとこの調査は、動燃事業団が地元説明する過程で地元の方々からいろいろな疑問とか不安とか提起されまして、やはりそういうものに対しては実際調査をして、具体的にはボーリング等がございますけれども、そういう事実をもとにして御説明することが大事であろうという形でやったものでございます。そういう意味では、今回ボーリング調査をした限りでは、その結果でございますけれども、もちろん今後とももし必要があればしなくてはいけないとも思っておりますし、また現に長期的に調査を要する事項、例えば気象とかそういうものについては、まだ調査を続けているというところでございます。
  155. 春田重昭

    ○春田委員 ガラス固化が始まるのが一九九〇年代ごろ、先ほどのお話では昭和六十五年以降というお話でございますから、まだ時間があるわけでございますけれども、科技庁としては大体いつくらいまでにこの幌延町の貯蔵工学センターについてはめどをつけたい、こういうお考えなのか、その辺を聞かせていただきたいと思います。
  156. 松井隆

    ○松井政府委員 おっしゃるとおり、この貯蔵工学センターで計画しているのはガラス固化したものを貯蔵するというためのもの、それからもう一つは、最終的に地層処分するために必要な研究をやりたいという研究施設と申しますか、大きく言いましてその二つが大きな目的でございまして、そういう意味ではそれぞれ多少時間があるといっても早ければ早い方がいいというふうには考えてございますけれども、先生御指摘のように、今具体的にいつごろまでというものはまだ設定しているわけではございませんで、できるだけ早ければ早い方がいいというふうには考えております。
  157. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、そういった北海道知事理解といいますか、周辺自治体の理解といいますか協力といいますか、またそういった農業団体、漁業団体等の理解なしに拙速はやめていただきたい、こう思っておるわけでございます。  さらに、今局長からおっしゃったように、ここでは貯蔵工学センターとともに、いわゆる地層試験の試験場としてもお考えになっているわけでございますが、この地層試験を行うということは、そのまま将来この地域がいわゆる最終処分地になるのではなかろうか、こういった考え方もあるわけでございますが、この辺はどうお考えですか。
  158. 松井隆

    ○松井政府委員 私ども地元の方に説明申し上げておりますのは、これは大きなねらいは、あくまで先ほど申しましたように一つは貯蔵すること、それからもう一つは最終的な地層処分をするために必要な研究をやる施設である、こういうふうに申しております。  それで具体的に、例えば深地層試験場は将来そのままそこに捨てるのではないか、こういう御心配をする向きもあるように聞いておりますけれども、もともと深地層試験場というのは、地下数百メーターになると思いますけれども、その深さにおける岩盤であるとか水であるとかいったいろいろなものを調査研究する、あるいはさらに、そういうふうな状況でどういうふうに穴を掘ったならば岩盤を傷めないでできるかとか、そういったもろもろの研究をする施設でございまして、もともとここの場所については、放射性廃棄物は使わないということを明言しているわけでございます。  さらに、こういった施設そのものをそのままそういうふうにするということは私ども全く考えてございませんで、どこに埋めるかという最終的な処分地につきましては、先ほど申しましたとおり、そういった研究の成果も踏まえ、かつまた全国各地を広く調査した上で、どういうところが一番適切かということを判断した上でそういう場で決める話でございまして、そういう意味では、ここのところでその施設がなるのかということについては、施設はなりませんというふうに答えてございます。ただ、では幌延町あるいはその近辺でもあるのではないかということにつきましては、全国各地を調べている段階でございまして、どこがなる、どこがならないということをまだ明確に言える段階ではない。つまり、あくまで白紙の段階であるというふうにお答えしているわけでございます。
  159. 春田重昭

    ○春田委員 それでは次に、青森県の六ケ所村でございます。  ここでは先ほど御説明のとおり、いわゆる再処理工場から出てきた、海外からの再処理によって出てきた廃棄物がそれぞれ貯蔵されるわけでございますが、ここはどうなのですか、地元の合意というのは得られているのですか。
  160. 松井隆

    ○松井政府委員 六ケ所村の核燃料サイクル施設につきましては、答えから申しますと地元の同意は得られております。  これはちょっと過去にさかのぼりますと、もともとこの地域につきましては、昭和五十九年になりますか、電気事業連合会から青森県知事、それから六ケ所村の村長さんに立地をしたいので協力要請を正式にしております。その後の経緯を見ますと、まず六ケ所村におきましては原子燃料サイクル施設対策協議会というのをつくりまして、そこでいろいろと講演会を開いたり勉強会をやっております。さらに六ケ所村自身が村内のいろいろな地域でもって地元説明会を開催いたしまして、最終的には六カ所村として議会の全員協議会を開きまして、そこで立地受け入れを了承ということになってございます。そういうものを踏まえて、六ケ所村村長としては正式受諾ということを言っております。一方青森県につきましても、安全性に関する検討ということで、専門家を集めた同じような検討会を開いております。そこでもその答えは大丈夫だという結論でございます。それからさらに、県内の各界各層に事前説明会あるいは第一次意見聴取、第二次意見聴取ということも踏まえまして、青森県としてはさらに県議会としての全員協議会にも諮っておりまして、そういう形で立地受け入れを決定しているわけでございます。  そういう意味では、六ケ所村も青森県も両方とも、そういったしかるべき手続を踏まえて、十分中で議論をした上で承諾ということを決めたというふうに私ども理解しております。かかる意味で、本件についての地元の同意は完全に得られているものというふうに承知しております。
  161. 春田重昭

    ○春田委員 貯蔵できる能力と管理でございますけれども、先ほどの説明でも、貯蔵期間は冷却するために三十年ないし五十年間という話でございました。仮に単純計算で三十年とした場合、毎年再処理工場から出てくるのが八百本でございますから、三十年間で二万四千本、五十年間としたら四万本になるわけですね。さらにそこに海外へ委託した廃棄物が四千本以上加わっていくということで、相当なガラス固化体がここへ集中するわけでございますけれども、そういった二万本から四万本を収納できるだけの余地があるのかどうか。さらに、ここには先ほどから説明があったように再処理工場もできますし、それから低レベルの廃棄物についてはここで陸地処分するようになっておりますし、またウランの濃縮工場もできるということで、今おっしゃったように核燃料サイクル三点セットの一大核拠点となっていくわけでございます。相当いろいろな施設が来るし、土地が必要になってくると思うのですが、それだけの余地は十分あるのかどうか、この辺のところを御説明いただきたいと思います。
  162. 松井隆

    ○松井政府委員 私も具体的にそれぞれの施設におけるレイアウトまで照査したわけではございませんが、いずれにしろまず再処理を行う原燃サービスの方でございますけれども、土地が約三百九十万平米、それから原燃産業、これは低レベル放射性廃棄物の埋設事業、それからウラン濃縮事業を行う会社でございますけれども、これが約三百六十万平米、こういった広大な土地を購入することになってございます。かかる意味では、私どもの理解では、そういった貯蔵にもたえるだけの広さは十分あるであろうというふうに考えているわけでございます。
  163. 春田重昭

    ○春田委員 続いて低レベル放射性廃棄物の処理処分の方針でございますが、これもひとつ簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
  164. 松井隆

    ○松井政府委員 低レベルの放射性廃棄物は原子力発電所等で発生するものでございますけれども、これについての基本的考え方につきましては、まず発生した場合にこれを処理する。例えば焼却をするとかあるいは濃縮をするとか、そういう形にしてセメント等で固化いたしましてドラム缶に詰める、まずこれが処理の大体基本的な考え方でございまして、それを現在各原子力発電所で保管しているわけでございます。  それで最終的には、処分の問題につきましては陸地と海洋と二つの選択肢があるわけでございまして、海洋につきましては、少し前になりますけれども、いろいろな試験的処分の準備は完了いたしましたけれども、関係国の懸念を無視しては日本としても強行しないという考え方のもとに、現在特にその後の動きがございません。陸地処分につきましては、先生御案内のとおり、地層に穴を掘りまして、そういうところで安全に埋設をする、こういう計画で進めておる。そういうことが低レベル放射性廃棄物につきましての処理と処分の基本的な方向ということになっております。
  165. 春田重昭

    ○春田委員 低レベルの場合はドラム缶にセメントで固化されたものを入れる、こういう方針ですね。そこで、現在各原子力発電所によって保管されているドラム缶数、ドラム缶の保管量ですね、どれぐらいなのか、それから毎年どれぐらい発生するのか、将来の見通し量、この三点につきまして数字を挙げて説明していただきたいと思います。
  166. 松井隆

    ○松井政府委員 低レベル放射性廃棄物でございますけれども、現在、これは三月末現在と言った方がよろしいのかと思いますけれども、全国で約六十七万本というふうに見ております。それで、原子力発電所の分が非常に多いわけでございまして、そのうちの約四十四万本は原子力発電所、その他が研究施設とか加工施設とか、そういうところであるわけでございます。一方、現在の貯蔵能力全体で見ますと約百十万本ございますものですから、そういう意味では貯蔵することについては余り問題がないというふうに思います。  それでは毎年一体どのくらい出てくるのかということでございますけれども、非常に大ざっぱな数字でございますけれども、大体年に五万本ぐらいの数字であろうというふうに思っております。  それで、ちょっと古いデータでございますけれども、今後どうなるかということでございますが、一九九〇年には一応九十五万本ぐらい、それから二〇〇〇年には大体百五十五万本ぐらいになるのではないか。これは原子力発電の伸びということと非常に密接に関係するわけでございますけれども、私どもそんなようなことを今大ざっぱな数字としては持っております。
  167. 春田重昭

    ○春田委員 この保管されたものが最終処分地で埋設されるわけですね。この予定地は大体どこなのか、いつごろから開始する予定なのか、それぞれお答えいただきたいと思います。
  168. 松井隆

    ○松井政府委員 原子力発電所でできた低レベル放射性廃棄物につきましては、現在青森県六ケ所村で、具体的に会社を申しますと原燃産業株式会社、そこが低レベル放射性廃棄物の埋設事業を行うという形で今検討を進めておるわけでございます。それで、その事業の開始と申しますか、そういった埋設事業が始まるのは、その会社計画といたしましては昭和六十六年でございますか、そのときには仕事を始めたいという計画を持っております。なお、そのためにはやはり事業許可申請というものが必要でございまして、それにつきましては、ついせんだって原燃産業株式会社から科学技術庁の方に事業許可申請書提出されておるところでございます。
  169. 春田重昭

    ○春田委員 要するに四月二十七日、原燃産業が科技庁の方に事業認可申請をしておるわけですね。これは科技庁と原子力安全委員会ですか、ダブルチェックするわけですね。これはどういう経過になっておりますか。
  170. 石塚貢

    石塚政府委員 四月三十七日に申請が出てまいりましたので、現在行政庁たる科学技術庁におきましてその申請書内容審査を始めたところでございます。この行政庁審査が終わりましたら、直ちに原子力安全委員会並びに原子力委員会の方にダブルチェックをお願いするということになっておりまして、その時点で両委員会が科学技術庁が行いました審査内容をさらにダブルチェックする、その結果問題ないということであれば許可ということになろうかと思います。
  171. 春田重昭

    ○春田委員 そのダブルチェックをされて結論が出る、それは大体いつごろと想定されておるのですか。
  172. 石塚貢

    石塚政府委員 これは、審査が現在行政庁で行われている段階でございますし、その後原子力安全委員会では核燃料安全専門審査会というところで専門家による審査が行われるわけでございますので、私どもといたしましていつまでに終わるかということにつきましては申し上げる立場にはございませんけれども、これまでの経緯等考えますと、やはり一年近くはかかるのじゃないかというふうに考えております。
  173. 春田重昭

    ○春田委員 これは原子力安全委員会が行うことだと思いますが、原発立地の場合に公開ヒアリングを行いますね。今回原燃産業が申請したこの廃棄物処分場につきましては、公開ヒアリングといいますか、地元における公聴会を行う予定なんですか。
  174. 石塚貢

    石塚政府委員 原子力安全委員会といたしましては、これが諮問された時点で公開ヒアリングを行うか否かということにつきまして検討がなされ、結論が出されると思われます。
  175. 春田重昭

    ○春田委員 原子力安全委員会で決めることでございますが、科技庁としては、最近原発反対が相当盛り上がってきておりますので、そういったことも含め、当然地元公開ヒアリングを行うべきである、そういう進言をする必要があるのではなかろうかと私は思いますが、そんなお考えはございませんか。
  176. 石塚貢

    石塚政府委員 公開ヒアリングにつきましては、原子力安全委員会が「公開ヒアリング等の実施方法について」ということについて決定をいたしております。これによりますと、「実用発電用原子炉その他の主要な原子力施設の設置に当たり、」「公開ヒアリング等を実施するものとする。」というふうに決められておりまして、本件施設がその「主要な原子力施設」に該当するか否かという点につきまして、諮問があった時点で原子力安全委員会御自身が御判断されるということかと思います。
  177. 春田重昭

    ○春田委員 それはわかっているのですけれども、先ほど幌延の話をしましたけれども、幌延は今相当強い反対が周辺で起こっているわけですね。六ケ所村におきましては地元の同意があるわけでございますけれども、最近の風向きは随分と厳しい反原発の方向に来ているということを地元の話からも聞いております。そういった関係で、ここは一大核拠点になるわけですから、そういったことも含めて当然地元で公聴会を行うべきである、これを科技庁として、行政庁として進言するのが当然ではないか、私はこう思いますが、重ねてこれは大臣どう思いますか。
  178. 石塚貢

    石塚政府委員 公開ヒアリングの目的地元の御理解を得るということでございますので、この開催につきましては、地元の御意向も十分に踏まえまして、原子力安全委員会で御審議賜るようにいろいろと進めてまいりたいと考えております。
  179. 春田重昭

    ○春田委員 それでは、時間がございませんので最後にお尋ねします。  埋設いたしましてから三段階に分けて管理を行うということをお聞きしているわけでございますが、三段階目におきましては三百年にわたる管理が必要であると言われていますね。三百年というと気の遠くなるような年数でございまして、今からいったら江戸時代にさかのぼってくるわけですね。元禄時代ぐらいになるんじゃなかろうかと思います。そういった三百年にわたる管理、果たして適正な安全な管理ができるか、ちょっと不安な面もあるわけでございますけれども、何かそういった基準といいますか指針といいますかガイドラインといいますか、そんなものはあるのですか。その点は心配ないですか。
  180. 石塚貢

    石塚政府委員 まず、三百年間にわたりまして安全に貯蔵し得るか否かという点につきましても、当然安全審査段階で十分な審議がなされるわけでございます。例えば地下の廃棄物の埋設施設、この中に固体廃棄物が詰められたドラム缶が厚いコンクリートピットに収納された上で、さらにセメントによりまして充てん材が詰められ、地下に埋設されているわけでございますけれども、こういったドラム缶は腐食するおそれがないような構造になっているわけでございますが、その点につきまして十分な安全審査を行う。あるいは、この安全審査はこれから始まるわけでございますけれども、審査に当たりましては、こういった人工バリアの構造が十分なものであるかどうかといった点についていろいろチェックするとともに、時間の経過に伴ってこの人工バリアの機能が当然劣化するわけでございますので、この劣化の仕方というものでございますとか、あるいは、一方では埋設された廃棄物の放射能もだんだん低くなっていくということもございますので、そういった効果、さらには、周辺の土壌等による放射性物質の生活環境への移行の仕方、そういったことも総合的に考え合わせまして、施設周辺の一般公衆の被曝線量、こういったものが三百年の間にきちっと確保されるかどうか、その辺を安全審査段階で厳密にチェックすることになります。  三百年間にわたりましてこういった安全確保がきちっと継続してなされるか否かという点につきましては、事業許可後におきましても、国が事業者に対しまして適切な規制及び指導ということを行うことによりまして、長期間にわたる安全性の確保に国として万全を期していくという方針で行います。
  181. 春田重昭

    ○春田委員 せっかくの機会でございますから大臣みずから御答弁いただきたいと思いますが、二点お尋ねしたいと思います。  広瀬隆現象というのがありまして、先ほどから言っているように婦人、子供を含め、いわゆる立地地点、原発地点の住民だけでなくして、大都市でもそういった反原発ムードが非常に広まってきているわけでございます。これについて大臣の御見解をいただきたいと思います。
  182. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 まず原子力の平和利用、開発利用を進めるに当たりましては、御指摘にもありましたとおり安全の確保に万全を期し、国民の皆様方の御理解と御協力のもとに行うことが大前提であります。また、その方針で進んでおります。したがいまして、我々としては常に原子力に対するいろいろな考え方に謙虚の上にも謙虚に耳を傾けてまいりたいと思います。と同時に、原子力というものが日本の経済なりエネルギーの安定供給に果たしておりますこの大きな役割、また総発電量の三〇%にもなっておるというこの現実を国民の皆様方に正しく理解をしていただきたい、このようなことで、言うところの国民的理解形成、パブリックアクセプタンスというものをぜひこの機会に確立をしたいということで鋭意努力をしているところでございます。  そういうときに、今先生御指摘のとおり、広瀬隆さんの著書などの影響もございまして、最近の原子力に対する反対運動は従来といささか変わってまいりまして、主婦層あるいはまた今お話しのとおり地元でない、立地しておるところでないようなところにも広がってまいりました。これにはいろいろの要因があると思いますけれども、一つには、二年前のソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故と同様の事故が日本でも起こるのではないかというような誤解に基づくものであると我々は思いますし、また食べ物、食品の放射能汚染に対して関心を持っております主婦層等を含んだ形で、今全国的に広がっているとも言われております。私もこのことの事象を極めて謙虚に受けとめておりまして、何とか原子力が果たしておりますこの大きな役割をなお一層御理解いただくために、しかしそれにはひとりよがりではいけませんので、国民の立場に立った懇切丁寧な広報活動を強化することにより、その理解が得られるように努力をしていくことが重要と認識をしております。  四月下旬には、そういう考え方で原子力関係民間企業のトップの方々との会談を持ちまして、原子力広報について国も一生懸命やるけれども、民間もぜひ努力してほしいということを要請したところでございます。また二、三回前の閣議の席上でも私から、これは主管官庁である科学技術庁通産省だけでなしに、内閣全体としてあるいは政府全体として、関係省庁の連絡を密にしながら、政府一丸となって原子力広報に取り組んでいくことが必要だということで各省庁に依頼をし、これからの方法につきまして内閣官房長官のところで取りまとめいただくということになっております。  また、これは国内だけでは解決しませんで、国際的な立場、視野あるいはレベルで情報交換を行いつつ、原子力についてのパブリックアクセプタンスを国際的にも確立しなければいけないということで、OECDの原子力機関NEAあるいはIAEA等の場においても、原子力についての正確な情報の提供とパブリックアクセプタンスの促進に役立つような事業を強化するよう働きかけておるところでございます。
  183. 春田重昭

    ○春田委員 いみじくも今大臣の答弁の中にありました電事連の広報に力を入れるように、こういうことでございますが、青森県のある新聞社に一千六百万円という大金を投じまして、そういった反原発の方々の心を金で、札束でたたこうとしたということで批判されているわけでございますが、こういった行動に対して大臣の率直な御所見をいただきたいと思います。
  184. 松井隆

    ○松井政府委員 その件につきまして私ども詳細は承知しておりませんけれども、何か企画費というような形で出されたというふうに聞いておりまして、私の理解では、いわゆる原発に反対する人たちを札束でひっぱたく、こういうようなことではないというふうに承知しておりますけれども、詳細については私もよく存じておりません。
  185. 春田重昭

    ○春田委員 時間があと五分しかございませんので、ウラン濃縮問題です。  大臣もせんだって岡山の人形峠の操業式においでになったようでございますが、これは従来アメリカ、イギリスがとっておりましたガス拡散法から、我が国としては独自の遠心分離法というのを開発してこれでウラン濃縮をやる、こういうことでございます。さらにこれよりももっと経済的な面としてレーザー法があるわけでございます。このパンフレットによりますと、レーザー法はアメリカやフランスでは一九九〇年代にも予定されているわけでございますが、我が国では現在各方面で研究開発されているみたいでございます。我が国としては十分アメリカ、フランスにお〈れをとらない段階でレーザー法のウラン濃縮ができるかどうか、簡単にひとつ御説明いただきたいと思います。
  186. 松井隆

    ○松井政府委員 先生御指摘のレーザー法でございますけれども、これは実用化した場合には非常に安いコストで濃縮ウランができるのではないかというふうに期待されている技術でございます。これにつきましては日本原子力研究所が比較的古くから、基礎研究でございますけれども、そういった研究をやってまいりました。  現在レーザー法につきましては二つの方法がございまして、いわゆる原子法、もう一つは分子法というものでございまして、アメリカ、フランスにつきましては原子法という方法でやっています。それで原子法につきましては、現在日本原子力研究所が基礎的な部分を受け持つ、もう一つは電力が中心になりまして研究組合をつくりまして、そこで大型工学規模の開発を行うという形で進めております。また一方、これは日本独自と申しますか、アメリカ、フランスが余りやってないことで分子法という方法、これは理化学研究所がやっておりまして、そこでかなりいい成果が出てきております。その成果をもとにして理化学研究所と動燃事業団が一緒になって、そこでそちらの方法をやろう、現在そういう両方の方法で走っております。それで私どもとしては、原子力委員会の場におきまして、昭和六十五年ごろに一回チェック・アンド・レビューをしようという形で進めたいと思っております。そういう意味では、フランス、アメリカの進捗状況を必ずしも正確につかんでおりませんけれども、何とかそういうものに伍して、日本として安い、いい濃縮ウランができるように研究開発に努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  187. 春田重昭

    ○春田委員 時間が来ましたので、このウラン濃縮問題につきましては改めて質問させていただきたいと思いますが、一点だけひとつ簡単に答えていただきたいと思うのです。  パイロットプラントから原型プラント、いよいよ原型プラントが動いたわけでございまして、この後商業プラントになるわけです。この商業プラントは昨年五月一応申請されておりますけれども、大体いつごろをめどに運転が開始されるのか、その辺の見通しだけ聞いて終わりたいと思います。
  188. 松井隆

    ○松井政府委員 商業プラントにつきましては現在原燃産業が計画しているわけでございまして、トータル規模として今とりあえず千五百トンSWUというのを考えてございます。それで、一気にそこまで持っていくのではなくて、逐次ふやしていくわけでございまして、最初のものにつきましては、昭和六十六年に運転開始ということを計画して進めておるというふうに承知しております。
  189. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  190. 大坪健一郎

    大坪委員長 柴田弘君。
  191. 柴田弘

    柴田(弘)委員 私は、きょうは航空宇宙研究施設の諸問題、なかんずく地元のことで恐縮でございますが、スペースプレーンの大型風洞実験施設の愛知県名古屋市への誘致問題につきまして、大臣を初め研究開発局長等にお聞きをしたいと思います。  御承知のように四全総では、名古屋圏が航空宇宙やファインセラミックスなど先導的産業の展開を図る、このように方向づけられております。また名古屋通産局におきましても、一九九〇年から二十一世紀へかけての地域経済の長期的な指針として策定作業に入りました六十三年度東海・北陸地域産業ビジョンでは、航空宇宙産業を名古屋圏の主要産業として位置づける、このような方向づけを行っているわけであります。名古屋圏は三菱重工ですとか川崎重工などの航空機メーカーの生産拠点を抱えておりまして、航空機の生産は全国の七〇%のシェアを確保しております。さらに、聞くところによりますと、富士重工も半田市へ航空機の組み立て工場建設を決定をし、技術集積が一層厚みを増す見通しであるということでございます。ところが、こうした生産基地はありましても、研究開発施設がないのがこの地域の弱み、弱点でございまして、今後とも高度な研究機関の設置が欠かせない状況になっております。  一月十二日、愛知県知事がたしか長官にお願いに行ったと思いますし、二月十九日には同じく鈴木愛知県知事が竹下総理に会いまして、航空宇宙産業は全国の七〇%が集積をしている、立地の条件は整っている、現在東京調布市にある科学技術庁の航空宇宙研究所はスペースプレーンの大型風洞実験をするのには狭いのではないでしょうかと誘致を強く要請をいたしましたときに、竹下総理からは、やはり御自身が陸軍少尉として終戦を迎えられた話を御披露されながら、現在の航空宇宙研が手狭なことはよく知っている、こういうことで愛知県、名古屋市の誘致には積極的な姿勢を示されたと聞いております。また四月二十三日には、名古屋市内で講演会出席のために来名をされました小渕官房長官に対して愛知県知事と西尾市長が、特に全国一の集積を誇る航空宇宙産業を背景に、スペースプレーンなどの開発研究をする航空宇宙研究施設の設置を強く要望したときに、官房長官からは、産業と研究の施設がうまく結びついていた方がいいだろうと前向きな姿勢を示されたそうであります。また、五月八日来名された田村通産大臣にも県知事、名古屋市長がこの誘致を強く陳情したところ、通産大臣も御協力しましょう、こういうことでございました。  そこで長官にお尋ねするのは、長官も竹下内閣の一閣僚でございます。こうした竹下総理を初めとする小渕官房長官あるいは田村通産大臣のこの名古屋誘致への前向きな発言をよく御承知であろうと思いますが、当事者である長官は一体どのようなお考えをお持ちになっているのか。またあわせまして、特に小渕官房長官が言っておりますように、産業と研究の施設がうまく結びついた方がいいだろう、こう言われたこの発言について私も大賛成でございますが、この辺を含めて長官の御見解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  192. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 まず、お話しのとおり、産業生産機能の施設と研究開発の機能なり施設との密接な連携が、産業そのものの発展充実のためにもまた研究開発のなお一層の進展のためにも、お互いに協力し合うことが重要であることは当然のことでございまして、産学官の連携、産業生産機能と研究開発機能の密接な連携ということについては私も大賛成でございます。また、私自身も愛知の方からも伺いましたし、今先生からもるる経過を踏まえまして承りました。御趣旨も十分理解できますし、また、お話しのとおり竹下内閣の一員として、総理あるいは官房長官あるいは通産大臣等もそのようなお考えを持っておることを改めて承知をいたしましたので、そういう竹下内閣の方針のもとで、私の所掌する範囲の中でこれからの施策を進めていくということは当然のことと考えております。
  193. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そこで、スペースプレーンは、言うまでもございませんが、マッハ五以上の超音速で飛びまして、大気圏を脱出して宇宙空間にも出られる極超音速機であり、アメリカではスペースシャトルの後継プロジェクトとして研究を始めているが、日本でも航空宇宙技術研究所や文部省の宇宙科学研究所などが開発研究に着手し、将来はアメリカとの共同研究を期待しているというふうに聞いております。このために、大型風洞実験施設はまだ日本にはないわけでございまして、新設には少なくとも広大な用地と一千億程度の資金が必要であるとも試算をされているようでございます。この辺の事情はどうですか。そしてまた、スペースプレーンの大型風洞実験施設の必要性とそれについて今後の科学技術庁としての取り組み、具体的なスケジュールを含めていつまでに施設を建設をして実験を行われる予定か、これは局長の方からで結構でございますが、御答弁をいただきたいと思います。
  194. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 ただいま先生御指摘のございましたスペースプレーンにつきましては、六十三年度の予算で約八億円を計上いたしまして、基礎研究に本格的に取り組むという体制を現在整えたところでございます。現在のレベルは、まだエンジンの構成概念をどのようなものにするか、いろいろ話題としてはラムジェットであるとかスクラムジェットであるとか、あるいはいわゆる一般的な意味でのエア・ブリージング・エンジンと言われておりますが、そういったようなものについての概念を定めるための勉強をやっておるという状況でございまして、ここ二、三年あるいはここ一両年というようなところで一つの概念が固まってくるだろうというふうな状況でございます。  そうなりますと、いよいよ先生御指摘のような本格的な開発へ向けての研究に取り組むことになるわけで、そのためには、先生の挙げられましたいわゆる極超音速の風洞であるとか、さらに熱を解析していくためのそういう超音速での熱風洞といったようなものであるとか、種々の新しい施設設備が必要になることは当然だと思っております。しかしながら、現在の研究の推捗状況から考えますと、直ちにこれらをセットで全部つくるということはなかなか困難でございまして、風洞一つにいたしましてもなお技術開発要素を擁しておるものでございます。  その点で、本年の一月から私どもの局に専門家を集めまして、どういう施設設備をどんな手順でどういうふうに開発を進めていったらいいかということについて検討を開始しているところでございまして、この検討会は大体年内を一応目標にいたしております。なぜ年内を期待しているかと申しますと、多分こういうものについて調査費的な形でいろいろの予算要求をしていくことが、六十五年度あるいは六十六年度には必要になろうかということも頭に置きまして、そういうスケジュールを組んでおるわけでございますが、いずれにしましても、現在の研究の先ほど申しましたような状況から見ますと、こういうような施設設備のうちの早いものは昭和六十五年から七十年にかけて必要になってくるだろう。あるいは全体としては、一九九〇年代には大体のものがある程度めどがついてこないといけないんじゃないだろうかというのが現時点での大ざっぱな見通しでございます。
  195. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そうすると、今の答弁を要約しますと、局長さんの私的諮問機関である航空宇宙関係試験研究施設検討会、これで一年をめどに整備を期すべき施設の仕様の概要ですとか当該施設の整備の進め方等々、今研究を鋭意進められている、建設をして実験を開始するのは一九九〇年代、昭和六十五年から七十年、こういう話がありましたが、そのような理解でよろしゅうございますね。
  196. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 現時点での見通しとしてはそのとおりでございます。
  197. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そこで、続いて質問してまいりますが、これは大臣に御答弁をいただきたいのです。  県知事は、二十一世紀のスペースプレーンの開発には大型風洞実験が必要だが、それには広大な土地と一千億の費用が要る、こういう研究施設の立地は愛知県が条件的にベストと言明をいたしております。この知事発言についての長官の御見解はどうでしょうか。  また、名古屋市の西尾市長も去る三月四日の名古屋市議会本会議で、航空宇宙の分野でスペースプレーンの開発が重要課題となっており、その研究開発のための新しい風洞実験施設がクローズアップされてくることは承知をしておる、こういうふうに述べまして、スペースプレーンの開発の核となる実験用大型風洞施設を名古屋港臨海部に誘致したいとの考えを公式に表明をいたしました。そして、しからば市内で立地場所を探すとすれば、名古屋港の八号地がその候補地の一つとして挙げられると言明をいたしております。この八号地は今貯木場などがありまして、二十五ヘクタールある県有地であります。名古屋港管理組合の構想では、将来この貯木場を埋め立てました上、隣接の九号地とともに航空宇宙関係研究ゾーンを予定している。しかも、スペースプレーンが難発着できるのは、ある方に言わせれば、今度六十六年からの第六次空港整備計画に位置づけられる予定になっております中部新国際空港のみ、こういうふうに言われております。  以上の諸点等々、産業技術の集積が七〇%というようなこと等考えまして、スペースプレーンの開発のための大型風洞実験の予定地としては、名古屋市の名古屋港臨海部の八号地、九号地が私としては最適の場所であると考えております。有力な候補地の一つとして前向きに御検討をお願いいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしくお願いします。
  198. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 航空宇宙関係施設の立地につきましては、私も就任以来各地に参り、また各地からもおいでいただきまして、全国各方面において多大な関心を持っておられることを十分承知しております。  その中で、先生地元の名古屋圏でございますけれども、名古屋圏は非常に御熱心でございまして、特に名古屋圏につきましては、第四次全国総合開発計画において、航空宇宙を初めとする研究開発機能の集積などを図ることによりまして、産業技術の中枢圏域を形成するということになっております。したがいまして、先生御指摘の点につきましては、今後の我が国の航空宇宙技術の振興のあり方、また今申し述べました四全総に示された方向、あるいはまた各地域の動向など種々の事情を勘案して、長期的視点に立って検討すべき課題であると思料をしておりますけれども、その際に、先生るる御指摘の名古屋圏の持っております立地についてのいろいろな条件等は、当然のことでございますけれども、この検討の中で十分考慮すべきものと認識をしております。
  199. 柴田弘

    柴田(弘)委員 先回、地方行政委員会でこの問題を取り上げました。担当課長から長期的な視点に立って検討する課題である、こういう非常に抽象的な御発言をいただきましたが、今大臣から候補地の一つとして前向きに検討する、こういうふうな理解ある言葉をいただいて、有力なという言葉はなかったわけでございますけれども、いいですか大臣、ここが大事なところでございまして、私も北海道とか岩手県とか北九州、宮崎県あるいは調布の航空宇宙研究所の支所のある宮城県の角田市、いろいろよく知っています。各地からの陳情があることも知っていますが、私がお願いしたいのは、ひとつ有力な候補地の一つとして前向きに御検討いただきたい、こういうことであります。くどいようでございますが、重ねて大臣からの御答弁をいただきたいと思います。
  200. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先生の御熱心な御要望あるいはお気持ち、またその背後にあります愛知県知事なり名古屋市長のお考え方等は、改めて私どもの中でテークノートしてまいりたいと思っております。
  201. 柴田弘

    柴田(弘)委員 今テークノートとおっしゃいましたが、どういうことですか。
  202. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 ちょっと補足をさせていただきますと、検討の対象として考えていくという意味で、テークノートという言葉を使われたのだろうと思っております。
  203. 柴田弘

    柴田(弘)委員 今局長からお話がありましたように、有力な候補地の対象の一つとして前向きに検討していく、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  204. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 かわって答えますが、先ほど大臣の答弁にありましたとおりでございまして、それ以上つけ加えることはないと思っております。
  205. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 これからの検討の中で、先生の御指摘の点あるいはまた愛知県知事の考え方、名古屋市長の考え方等を十分検討の対象として進めてまいりたい、このようにお答えしておきます。
  206. 柴田弘

    柴田(弘)委員 ぜひひとつ頭の中にしっかりと刻み込んで、誘致ができますようにお願いをしておきます。  あと六分少々となりましたので、予算関係の問題で続けて二問、大臣の御所見なり御決意を簡単にお聞きしておきたいと思います。  宇宙開発の問題、これは欧米各国に比べて圧倒的に少ない予算であります。日本が世界の宇宙開発の有力な一翼を担うためには、今後十五年間に約六兆円の資金が必要であると聞いております。しかし、本年度の政府予算では千五百億円でございます。相当なギャップがあるわけであります。世界文明の飛躍はフロンティアの開拓でもたらされてきたと私は思います。そして今のフロンティアは宇宙だと思います。大臣、いかがでしょうか。日本が相応の役割を宇宙開発に果たしていくのは当然だと思います。宇宙開発のための積極的な予算獲得に私どもも微力ながらバックアップをさせていただきます。どうかひとつ頑張っていただきたい。どのような対応をされるかを一点お伺いしておきます。  それからいま一つは、科学技術庁が岐阜県土岐市に建設を構想しております無重量落下実験施設は、宇宙開発の基礎研究とかかわりがあると私は思っております。また、無重量落下実験施設による人工的無重量状態は、六十六年度に予定をされておりますスペースシャトルで行われる第一次材料実験や、一九九〇年代後半から運用予定の宇宙ステーションでの実験の前段階になるものであるとも言われております。これは科学技術庁は六十三年度予算要求したわけですが、だめだったと聞いております。六十四年度もまた予算要求されると思います。大丈夫でしょうか。しっかり頑張っていただきたいわけであります。聞くところによりますと、これはNTTの売却益を活用したいわゆる開発銀行の無利子貸し付け、そういう制度になっているわけでありますが、その点も含めてひとつ予算獲得、今後の宇宙開発にかける大臣の決意、御見解をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  207. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 最初に、御質問の第二番目の点について、やや事務的でございますので、私の方からお答えを申し上げたいと思います。  御案内のように、この無重量落下実験施設といいますのは、宇宙空間での無重力を活用していろいろ実験をやっていくための事前の勉強のためにどうしても必要なものでございます。私どもは昭和六十六年度にいわゆる第一次材料実験ということで、シャトルで本格的に実験を行うわけでございますが、ヨーロッパ、アメリカに比べますと、こういう地上での基礎的な予備実験といいましょうか、そういうようなものの回数が非常に少ない状況にあります。そういう意味で、何らかの形で、こういう本格的な実験に至る前の一種のスクリーニングのための種々のテストといいましょうか、実験をやってみることが大事だということが既に宇宙開発委員会の宇宙ステーション特別部会でも指摘をされております。そのラインに沿って昨年来構想を練ってきているものでございますが、御指摘のように、六十三年度につきましては諸般の事情が相整いませんで、実現はしておりません。しかしながら、現在これもどういう利用計画を持ったらいいかとか、運用主体をどういうふうな形でしたらいいか、あるいは利用者層をどういうところにねらったらいいか、どの程度の施設整備を行えばいいかというようなことについて検討を進めておりまして、これを踏まえまして、実現するかどうかということをここでお約束することは非常に難しいのでございますが、私どもとしては早期に実現するように努力をしたいというふうに思っております。  特に、現在のところ検討会の議論の中では、こういう無重力環境での種々の物理現象等をやっていくための基礎的な実験をやるのには、非常に若い層が広がっていかないとなかなか進展をしないわけでございまして、そういう意味では、大学の卒論実験にでも利用できる程度のコストで実験ができるような施設整備というのが、一つのねらいとして現在浮かんでおるといった状況でございます。
  208. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先生の御発言をそのままおかりしてお答えするようになりますけれども、古来我々人類は、未知なるフロンティアに挑戦をして、これを開拓することによって新しい発展というものを遂げてきたわけでございます。今日宇宙は、大陸や海洋に続いて、人類全体が力を合わせて取り組むべき新しいフロンティアでございます。そしてその探求は、先生もお話がございましたけれども、人類の夢を実現し、人類文明の発展を促すものと認識しております。また、宇宙の開発利用を進めることは、それがとりもなおさず科学技術水準及び国民生活の向上に寄与するわけでございまして、もって経済社会の発展に貢献するということとともに、また国際社会にも貢献するなど、我が国にとりましても大きな意義を有するテーマであり、課題でございます。このような観点から、我が国としては、我が国の宇宙飛行士が搭乗することとなる宇宙ステーション計画への参加を初めとして、各種人工衛星、ロケット等の研究開発を精力的に進めてきているところでございます。  このような宇宙開発の意義、重要性にかんがみ、従来より厳しい財政事情のもとではございますけれども、宇宙開発関係経費の充実を図ってきたところでございます。ちなみに今年度の予算は、前年度比一七%アップでございます。これも先生方の御協力のたまものでございまして、この機会に感謝を申し上げますけれども、さらに先生等のお励ましをちょうだいいたしながら、今後とも宇宙関係開発経費の充実のために全力を尽くしてまいりたい、このように考えます。
  209. 柴田弘

    柴田(弘)委員 どうかひとつ予算獲得の件について、我々も微力ですが協力をさせていただきますので、しっかり頑張っていただきたいと思いますし、重ねてスペースプレーンの名古屋誘致、どうかひとつお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  210. 大坪健一郎

    大坪委員長 矢島恒夫君。
  211. 矢島恒夫

    ○矢島委員 科技庁への質問の前に、地元の問題ですが、去る四月二十五日、埼玉県狭山市の工業団地にありますヂーゼル機器狭山工場からシアン化ナトリウムを含むメッキ液流出事故というのがございました。その問題につきまして関係省庁を呼んでおりますので、そのことから質問させていただきたいと思います。  まず厚生省に聞きますが、毒物及び劇物取締法で定めているシアン化ナトリウムという毒物の致死量ですけれども、おおよそ〇・一グラムと承知しておりますが、それでよろしいでしょうか。
  212. 海老原格

    ○海老原説明員 お答え申し上げます。  動物を使いました実験、特にラットというものを使いました実験によりますと、経口の急性毒性試験で、体重一キログラム当たりに換算いたしましてその実験動物の半数が死ぬ量ということで見てみますと、六・四四ミリグラムでございますので、これは人の体重が五十キロだというふうに仮定をいたしますと大体三百二十ミリグラム、〇・三グラムになります。また、人におきます事故例というのがございまして、これを見てみますと、人の体重一キログラム当たり二・八六ミリグラムでございますので、五十キロの体重だというふうに換算をいたしますと〇・一四三ということで、ほぼ〇・一になるということでございますので、先生がおっしゃられるとおり、おおむねそのあたりの数字であるというふうに考えております。
  213. 矢島恒夫

    ○矢島委員 続いて厚生省にお伺いいたしますが、今般の事故でヂーゼル機器株式会社狭山工場が県民や都民の飲み水を取水する荒川の支流である入間川に垂れ流したシアン化ナトリウムの量はどれほどだったのですか。
  214. 舩橋光俊

    ○舩橋説明員 今回の事件では、シアンを含むメッキ液の河川への排出量は、当初最大五百リットルと報告を受けておりまして、これをその濃度からシアン化ナトリウムに換算いたしますと、約三十五キログラムに相当いたします。なお、その後の報告によりますと、この一部は回収されていたとされておりますので、最終的にはこれを下回る量である可能性もあります。
  215. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうしますと、このヂーゼル機器株式会社がおよそ三十五万人分に及ぶような致死量の毒物を飲み水として取水している国の一級河川に垂れ流したということになるわけです。  環境庁にお伺いいたしますけれども、この流出事故によってどれくらいの被害が魚類その他にあったのか、私、非常に短い質問時間ですので、できるだけ簡潔にお答えいただきたい。
  216. 平石尹彦

    ○平石説明員 御質問のありました漁業被害の点でございますが、環境庁におきまして直接漁業被害の把握をしておるわけではございませんけれども、埼玉県漁業協同組合連合会の調べを埼玉県を通じまして聴取しておるところでは、漁業被害総額は約二千二百五十万円とされております。
  217. 矢島恒夫

    ○矢島委員 二千二百五十万円。魚類の量にしたらどれくらいになるかということも大体想像つきますけれども、いずれにしろ、この毒物が一たん流れ出しましたらいかに甚大な被害になるかということ、まさにこのことを見ても一目瞭然だろうと思うわけです。今回の事故で埼玉県では、二百六十万人の県民が飲んでおりますところの水を給水しておる大久保浄水場の給水を十三時間にわたって停止する、また東京都の朝霞浄水場も取水を停止するというような状態になったわけで、極めて重大な事故であったわけです。幸いにして人命に対する被害はなかったわけですけれども、この入間川河川敷というのは子供たちの遊び場にもなっているわけですから、季節によっては大変な人の命にかかわる事件ということにもなりかねない重大問題だと考えるわけです。  そういうことから、通産省環境庁両方に聞きたいのですけれども、今回の事故をそれぞれどのように受けとめておられるのか、またこの事故の直接の原因というのは何なのか、お答えいただきたいと思います。
  218. 平石尹彦

    ○平石説明員 御説明いたします。  今回の流出事故で大量のシアンの廃液が流出いたしまして、御指摘のとおり、水道の取水停止でありますとか漁業被害というような経済社会に甚大な影響を与えたということでございますので、環境庁としては、本件を極めて深刻に受けとめている次第でございます。  原因といたしましては、県から聴取しておるところによりますれば、今回の流出事故の直接の原因はバルブの誤操作ということになっているようでございますが、事故の際の流出防止、事故が起こった後の流出防止につきまして、施設の面につきましても若干不備な点もあったものと理解をしております。
  219. 中川勝弘

    ○中川説明員 お答え申し上げます。  私どもも、環境庁から申し上げましたとおり、今回のヂーゼル機器のシアン流出事故につきましては、まことに遺憾な事態だと受けとめております。  原因につきましては県が調査中と伺っておりますが、環境庁からお話ございましたように、バルブの誤操作ということに伺っております。
  220. 矢島恒夫

    ○矢島委員 バルブを締め忘れたという人為的な単純ミスということで、工場外に大量のシアンが流出してしまう。まさにヂーゼル機器の施設はずさんきわまりないのではないか。私も現地調査をやってまいりました。会社説明も聞いたわけですけれども、このシアン化ナトリウムを含むメッキ液を入れておく槽、いわゆるメッキ液槽と呼ばれるものの容量が七千リットルである。ところが、このメッキ液を一たん入れておくところの貯留槽というものは四千四百リットルの容量しかない。つまり、不測な事態が起きてバルブを締め忘れれば、七千リットルのものが四千四百リットルの貯留槽に入るわけがない。こういう結果、今日のような事態が起きたわけであります。バルブを締め忘れたことや、あるいは異常な流出が起こっているのではないかというようなことを察知するための警報装置もつけてなかった。こういうような事態を見てきたわけですけれども、まさに極めて重大な手落ちではないか。  そこで通産省環境庁にお伺いするわけですが、こういうヂーゼル機器に対して、不測の事態の中で起こる事故防止のための指導を今までどのようにされてきたのか、お伺いしたいと思います。
  221. 平石尹彦

    ○平石説明員 御説明申し上げます。  この地域におきましては、昭和四十九年にも実はシアンの流出事故がございました。別の会社でございますけれども、その当時埼玉県におきましては、ヂーゼル機器も含めまして県内のシアン取り扱い事業所につきまして総点検を実施しております。なお、ヂーゼル機器につきましては、水質汚濁防止法の施行という観点から、毎年二回程度立入検査をしておるということでございます。ただ、先生御指摘のとおり、不測の事態というものを想定した立入検査というのは非常に難しい点がございますので、ただいま御説明いたしました立入検査というのは、いわばルーチンな状態での水質汚濁防止法の基準適合状況、そういうような点につきましての立入検査と御了解いただきたいと思います。
  222. 中川勝弘

    ○中川説明員 私ども通産省といたしましては、ただいま環境庁から御説明ありましたように、公害防止規制の所管官庁ではございませんけれども、当然のことながら、企業が事業活動を行います際に公害防止に万全を期さなければならぬということで、一般的には事業活動を健全にすべきだということで、指導をしてきております。今回のような不測の事故につきましては、こういう事故が二度と起こらないようにということで、私ども事故防止の周知徹底と、それからこういう事業所を含めまして一斉点検の実施を行う予定にいたしております。
  223. 矢島恒夫

    ○矢島委員 法の遵守を一般的に指導するという形だろうと思うわけですけれども、ヂーゼル機器のこうしたずさんな施設の改善について、やはり政府としても指導的責任というものを持たなければならないと思うわけなんです。その点極めて重大だと思うのです。  そこで環境庁にお伺いいたしますけれども、このヂーゼル機器株式会社昭和四十六年、シアンの処理の問題で埼玉県から改善勧告を受けていると思うのですけれども、これはどういう内容だったのですか。
  224. 平石尹彦

    ○平石説明員 御説明申し上げます。  現行の水質汚濁防止法は、実は四十五年の公害国会の立法でございますので、四十六年一月当時はいわゆる旧水質二法の時代でございます。その当時のことでございますが、埼玉県の定例の立入検査の際、排水基準、これは当時水質基準と法律的には呼ばれておったわけでございますが、水質基準一ppmを超える一・二ppmという数字を検出いたしましたので、行政指導ベースのお話といたしまして、改善するよう勧告をしたという事実がございます。
  225. 矢島恒夫

    ○矢島委員 結局、以前にもこのヂーゼル機器株式会社は基準以上にシアンを垂れ流したことがある、そういうことが四十六年の時点であったというわけだろうと思うのですけれども、こういう企業がまた再び重大な事故を今回起こしたわけなんですね。  通産省にお聞きいたしますけれども、このヂーゼル機器は昭和五十七年に今回の事故につながるところのメッキ液槽の設計変更をしていると思うのです。それ以前は四千七百六十リットルであったメッキ液槽を現在の七千リットルの液槽に変更した、こういうことですけれども、そのときに受け皿になるべき貯留槽の方は設計変更をしていないわけなんですね。つまり、メッキ液槽の方は大きくなったんです。しかし、それの受け皿の方は従前の小さいままになっている。こういうようなことは、不測の事態を想定した設計になっていないということだと思うのです。会社の責任は極めて重大であると同時に、こうした設計変更の改善を監督官庁である通産省が具体的に指摘して指導していなかった、これもまた責任が問われる問題だと思うのです。毒物を扱うこういうヂーゼル機器に対して指導していくのは当然であると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  226. 中川勝弘

    ○中川説明員 ただいま先生御指摘のありましたシアンのメッキ関係の施設につきまして、不備がどの点にあったか、あるいは今回の事故の原因がどこにあったかということにつきましては、まだ埼玉県あるいは埼玉県警が調査中でございます。私どももいろいろ間接的には伺っておりますが、県の方で改善命令を出しておりまして、それにこたえてヂーゼル機器の方でこの施設の改善計画書を現在提出しているところだと聞いておりまして、私どもも今後関係省庁と密接に連携をとりながら、このヂーゼル機器について再発防止のための指導を適切にやっていきたいと考えております。
  227. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほどの答弁にもありましたけれども、昭和四十九年のときの事故、これは別会社の和光純薬という会社ですけれども、この入間川の対岸にあるわけです。そこから同じような状況の中でやはりシアンが大量に入間川に流れ込む。そのときにも事故の再発を防止するためにというのでいろいろやっておりますというお話だったわけですけれども、またまた全く同じような事故が起きているということは、今までの指導そのものが問われる極めて重大な問題ではないかと思うのです。  さてそこで、今回事故を起こしたヂーゼル機器に対して、二度とこのような事故を起こさないための対策を今立てていらっしゃるということでございますけれども、人為的であれあるいは人がかかわらない非人為的なものであれ、こういう有機物質が容器からあふれ出したり、あるいは漏れたりする事故があっても、工場外には絶対に流出することがないよう万全の施設改善が行われることが必要だと思うのです。通産省は監督指導をこの点についてはどのように現在やっていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  228. 宇都宮誠

    ○宇都宮説明員 通産省といたしましては、先生おっしゃいますとおりでございまして、今後同種の事故の再発が絶対にないように、関係機関と密接に連絡をとりながら関係業界を指導してまいりたいと思っております。なお、通産省所管の関係する業界に対しまして、事故防止の周知徹底及びその一斉点検の実施を早急に行うことといたしております。
  229. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ヂーゼル機器狭山工場から改善計画書なるものが県の方に提出されたと聞いておりますが、それは通産省の手にあるのでしょうか。
  230. 中川勝弘

    ○中川説明員 お答え申し上げます。  これは、県の方で改善命令が出されまして、それに対する改善計画の案ということで県に提出されておりまして、私どもの手元にございません。
  231. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうしますと、狭山工場の今回の事故にかかわる改善について、今どのようになっているかは通産省は把握していない、こういうことですか。
  232. 中川勝弘

    ○中川説明員 法律的な権限は今申し上げたとおりでございますが、この事故の重大性にかんがみまして、私どもヂーゼル機器から間接的に話は伺っております。ただ、この改善計画そのものの内容につきましては、ただいま県の方で、あるいは環境庁で御検討でございますので、その結果が出ましたところで、私どもも連携をとりながら必要な指導はあわせて行っていきたいと思います。
  233. 矢島恒夫

    ○矢島委員 環境庁はこの問題について現在どういうふうに検討されているか。
  234. 平石尹彦

    ○平石説明員 御説明申し上げます。  四月の二十七日でございますが、埼玉県は水質汚濁防止法の規定に基づきまして、今回問題になるのは特定施設、電気メッキ施設でございますが、それの使用の停止命令、これは五月三十一日まででございますが、それが一つでございます。二つ目といたしまして、特定施設、これは電気メッキ施設でございますが、この使用及び汚水等の処理の方法の改善につきまして命令を発したわけでございます。現在埼玉県と企業の間でいろいろと連絡を取り合っておるわけでございます。環境庁といたしましては、水質汚濁防止法を所管する庁といたしまして、再発防止のための具体的な改善策につきまして埼玉県と緊密に連絡をとっておりまして、必要な指導を行っている状態でございます。
  235. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひ二度とこのような事故が起こらないための万全の改善策を指導していただきたいと思います。  そして、実は私、先日全国鍍金工業組合の代表の方からいろいろとお話を聞いたわけですけれども、シアン等を取り扱う中小企業の方々は、大変厳しい営業の中で事故防止のためのさまざまな対策を日常行っている。ところが今度のように大手の企業が流出事故を起こしますと、言葉はちょっと不適当かもしれませんが、そのとばっちりを中小企業も大変受けるという話、同時にまた大手企業に対する監督がなまぬるいのではないかという怒りもありました。重大な被害を与えた今回のヂーゼル機器が、県民の納得のいくような誠意を持った損害の補償という面で、通産省としても指導していくということが当然だと思いますけれども、この損害に対する補償問題についてはどういうお考えですか。
  236. 中川勝弘

    ○中川説明員 先ほど申し上げましたように、本件事故の原因究明等につきましては、現在までのところまだ調査中と伺っております。損害賠償の問題につきましても、当事者間で具体的な話し合いが行われたということはまだ私ども聞いておりません。今後損害賠償についてのお話が出てきますときには、当事者間で誠意を持った話し合いが行われるべきものと私ども考えます。
  237. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ぜひそういう方向で今後とも当たっていただきたいと思います。各省庁の皆さん、どうもありがとうございました。  科学技術庁にお伺いいたしたいと思います。  当委員会では、先日近藤学術会議会長と内田帝人理事を招きまして、日米科学技術協力協定の参考人陳述を行ったわけであります。その中で安保条項についても発言がございました。  そこで、学術会議の第百四回の総会で声明が出されているわけですけれども、この声明の中では、科学者憲章の五項目、それから国際協力の五原則、こういうものを確認した上で次のような文章があるわけです。「今回の「日米科学技術協力協定」の改定は「安全保障」、「知的所有権」の問題を包含すると伝えられているが、このことによって科学者の研究・発表の自由、科学者の身分保障などが実質的に制約される恐れがある。したがって、」以下云々と書いてあるわけでございますけれども、この懸念に対して伊藤長官どのようにお考えか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  238. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 まず、大筋まとまったとされているわけでございますけれども、日米間の新たな科学技術協力協定は、従来続けておりました両国間の科学技術分野における協力をさらに拡充強化を図るための新しい枠組みをつくるためのものでございまして、先ほども触れましたけれども、先般大筋合意を見たものでございます。  また、御指摘の日本学術会議の声明についても承知しておりますが、当然のことでございまして、学問の自由、研究の自由は何よりも尊重されるべきものと認識をしております。  また、新しい協定におきましても、情報の取り扱いについては科学技術情報の公開の原則が確認をされておりますし、可能な限り情報の広範な普及が図られることとされているところでございまして、御懸念の向きは、今回の協定では決してそういう点はないものと確信をしております。
  239. 矢島恒夫

    ○矢島委員 懸念する部分がないというふうならばよろしいのですけれども、この安保条項を入れるということについていろいろと日米間の交渉で難航したという新聞報道がございます。つまり、アメリカの安全を保障するため、本来公開して進められるべき科学技術の研究に秘密の網がかぶせられるということを指摘しているわけです。これに対して政府は、安保という言葉が入ったが、現状と何ら変わらないというふうに言っておるわけですけれども、現状と何も変わらないというのならば、何もわざわざこの項目を入れる必要はないわけなんですね。政府の発言というのはまさにごまかしであると思うのです。といいますのは、現にアメリカの国務省は、安保と矛盾しない協力活動に規制される、こういうふうに言っているわけですね。この点については長官、いかがでしょう。
  240. 吉村晴光

    ○吉村政府委員 先生御指摘の安保条項というものは、どういった意味でお使いになっているかということははっきりしないところがあるわけでございますが、交渉の経緯につきましては、いろいろな憶測で書かれておる報道がいろいろあるわけでございます。内容について申し上げる状況ではございませんけれども、先日の大筋合意ということの中身から申し上げますと、日本の制度とアメリカの制度ということの調和を図るために安全保障という言葉は用いられる、しかしながら、従来進めております科学技術情報の公開ということにつきましては、当然のことながら新しい協定は行政取り決めでございまして、新しく国内法令を変えるといったものではございませんので、そういった意味で現状と同じであるというふうに理解をいたしておるわけでございます。  それから、今先生御指摘ございました米国側の説明ぶりということにつきましては、私どもそういった説明があったとは承知をしていないというところでございます。
  241. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間がありませんので、この問題につきましてはさらに別の機会に質問していきたいと思うのですが、もう一つの問題に入ります。  大筋合意された今回の協定の合意事項の骨子というのを見ますと、今回新しく「知的所有権の効率的な保護と適正な配分を取り決める。」こうなっておるわけですが、これは新しく協定に盛り込まれた問題だと思うわけです。そこでお聞きしたいのですが、これによってアメリカの国内での共同研究で得られた成果というものは、その実施権というのはどのように変わってくるのか。
  242. 吉村晴光

    ○吉村政府委員 現在の一般的な国際協力をやります場合のそういった知的所有権の扱いにつきましては、個々の協力プログラムごとに、内容に応じてケース・バイ・ケースに決めておるというのが実情でございます。今度の新しい日米の協定の中におきましては、基本的な考え方として、両者の貢献度に応じて適正に中身を決めましょうということになっておるわけでございまして、そういったことからいいますと、現在私どもが進めております協定の知的所有権の配分の考え方と基本的に考え方が変わるものではないというふうな理解をいたしてございます。
  243. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうしますと、ケース・バイ・ケースということになりますと、アメリカの意向によっては、アメリカにおける国際協力の成果の実施権がアメリカのみの手に入る、つまり日本の科学者の権利を否定するものになるという重大な問題があるのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  244. 吉村晴光

    ○吉村政府委員 ケース・バイ・ケースという点につきましては、現在やっております協力についても全く同じ考え方でございまして、現在の協力につきましても日本の貢献度というものを十分に勘案して、国益を考えてそういった配分を決めるということをやっておるわけでございます。新しい協定になったからといって、一方的に先方の言いなりになるということはあり得ない話でございまして、私どもといたしましては、我々の貢献度というものを十分理解をしていただいて、それにふさわしい所有権の配分関係を決めるように努力をしたいというふうに思っております。
  245. 矢島恒夫

    ○矢島委員 最後に長官にお聞きしたいのですけれども、今答弁がありましたように、日本の科学者の権利が否定されるような事態は起こらないということで、実際に絶対そのようなことがないように、細目を詰める段階でもぜひその点については努力していただきたい。この点ひとつ決意のほどをお伺いしておきたい。
  246. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 お答えいたしましたとおり、御懸念のない方向に今ワーディングで進めておりますけれども、なお先生の御指摘等を踏まえまして、十二分に研究の自由あるいはまた学問の自由が守られるように、そしてまた我が国の研究者のメリットがしっかり守られるように大いに努力してまいりたい、このように考えております。
  247. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  248. 大坪健一郎

    大坪委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十二分散会