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嶋崎委員 時間がないですが、なぜMARKIIにあってMARKIにないのかという疑問が私には
一つ残ります。
それから今度、MARKIの改良型とおっしゃったのは、きのうあなたの
説明だと、今までの酒のかんのとっくりみたいなものが丸くなって、容器に少し膨らみができたということなんです。ところがこのMARKI型というのは、御承知のように冷却材の喪失事故のときにも、これは流体力学の
先生方の
意見を聞いてみると、下にドーナツ状のウェットウエルがありますね、あそこの中で破断したりなんかしたときに逆に蒸気がぶっと来て、それで水のあれが問題になることがあるのです。これはゼネラル・エレクトリックなんかの場合で、アメリカで問題になっている
一つのポイントであります。そういう意味で、MARKI型の改良型というので努力されているのはわかるけれども、MARKII型に示したような指針と同じような意味で実際に運用しているからいいのだというのではなくて、本来改良していくとすれば、六十万以下と百万との何かで限界にしていますね。だから、
最初に
能登原発のような場合についても、実際には
申請書には指針の一覧表が載っていますけれども、格納容器に関するものというのは改良型という言葉があるだけで、何もありません。皆さんも御承知のとおりです。ですから、そういう意味で、将来のいろいろな事故を想定してみると、MARKI型の新しい改良型と努力はされているが、それについても安全の指針というようなものをつくる努力をすべきではないかというふうに思いますし、そうでないならば、MARKII型みたいに大きなものをつくらないにしても、その材質だとかいろいろなことを
検討しなければいけませんから、新たな
検討課題があるということだけを申し上げておきたいと思うのです。
それで、最後に
一つだけお聞きしますが、
北陸電力から出ているあれによりますと、地震の
データは直下型の地震というのは想定しておりません。御承知のように、日本海の例の秋田で起きた直下型地震、これは青森から岩手一帯にかけて大変な影響が出たことは皆さん御承知のとおり。それから新潟、福井には
昭和二十二年から二十三年にかけて直下型の地震が起きております。ですから、そういう意味で、この北陸の地震地帯について
北陸電力の
申請書だと、過去の地震の大きさと位置と地殻の活断層から建設予定地における震動の強さを予測してはいるが、北陸地域における活断層と過去の地震
データだけで予測するのでは不十分ではないか。直下型地震ということはあり得ないということはないと思うのです。したがって、その点が不十分であるぞということを申し上げておきたいと思うのです。今後
安全審査の
段階に当たりまして、この地震の
データをどう見るのかということも重要なポイントとして御
検討をいただきたいと思います。
最近、日本原子力
研究所の佐藤一男
先生が今後の設計の範囲の問題について、事故を招く原因について三つ挙げていますね。「設計の範囲を超える事故を招く要因は何ですか」という記者の
質問に対して、一番目「人間の過ちが絡む場合」、つまり人間のミスの場合。二番目「二つ以上の原因があって複合した現象になる場合」。
北陸電力の出しているこの沸騰水型は、再循環器の
一つに故障が起きた場合でありますが、この間のように二つ故障が起きるというのは現に日本に起きているのですから、
一つの故障が起きているというだけで、複合的な事故という場合の想定があの
北陸電力の
申請書に入っていません。したがって、この二番目が問題になる。それで三番目「原因が
一つであっても、安全装置がいくつも故障していく場合」に起きる。こういう場合を想定して、今後
原子力発電所の設計上の問題として
検討すべき課題を提起しておられます。
また同時に、御承知のようにIAEAでもスリーマイルやチェルノブイリに起きたような損傷をもたらすというようなことを想定いたしておりますし、我が国はそんなものはないと言いますけれども、こう言っていますね。過酷事故は起こり得るという前提が
原則全体を貫く基本思想でなければならないというのが大前提です。したがって、設計上起こり得ないという形でなされていても、今後設計の基準というものをとる際に、こういう警告があるわけですから、基準というものを見直すことも必要なのではないかということを最後に申し上げておきたいと思います。
以上、まだたくさん申し上げたいことがあったのですが、一口で言いますと、
能登原発は敷地がめちゃくちゃに狭くなった。なぜか。反対運動があったために、狭くても安全だというものに変えられた。道路がぐるっと回って安全な道路を予定していたのが、物すごい人間が通る道路をそのまま放置した。海岸には保安林があって、その保安林は共有林
部分だけは虫食いのように線引きを狭くして、そして監視区域が変な形の線引きが行われていることなどを見ると、つくられた監視区域のつくり方である。そういう意味で敷地の
安全性の問題、それから
原発の重大事故や仮想事故を含めての
安全性について本格的に
検討してみる代物であると私は思います。世界にもない、日本にもさっきから言うように幾つか全く例のないことをやってきたし、
計画しているものでありますだけに、今
原子力安全委員会の方で御
検討中ですから、まだ結論も出ないうちに何も
意見を申すことはできないということは承知の上で申し上げますが、大いにこの
審査を厳密にやっていただいて、こういう
原発の
立地は簡単に
申請を許可すべきではないというのが私の判断でございます。
以上述べまして、局長並びに長官の今までの議論の感想を聞かせていただいて、私の
質問を終わります。時間を超過しまして大変御無礼いたしました。