○松井
政府委員 この新しい日米
原子力協力協定、これはアメリカにおいては、アメリカの議会に昨年の十一月九日に
提出されてございます。それでアメリカの場合には、この
原子力協定につきましては、九十日の会期が過ぎて特にその間異存がなければ成立する、こういう仕組みでありまして、多分ことしの四月のおしまいごろにはその九十日が過ぎる、こういうふうに思っているわけでございます。それで、特に昨年
提出されてからすぐでございますけれ
ども、いろいろと米国の議会の中では議論が沸騰したように承知しております。
その大きな問題は、一つは包括事前同意方式というのをとっているわけでございまして、この新しい協定の包括事前同意方式は、アメリカの
国内法に核不拡散法というのがございますが、その核不拡散法の
要件を満たしていないのではないか、つまり米国の
国内法違反ではないか、こういう議論が一つ大きな意見としてございました。
それからもう一つは、今度はその
プルトニウムを
日本が例えばフランスあるいはイギリスから
輸送してくる場合に、航空
輸送の場合には包括事前同意方式の中に入っているわけでございますけれ
ども、その航空
輸送の安全性の問題についての
懸念というのですか、そういうものがありまして、大きく言いましてその二つが大きな反対ないしは
懸念、そういう動きであったように承知しております。
プルトニウムの航空
輸送の方につきましては、比較的早い動きといたしましては、アラスカ州選出のマコウスキーさんという上院議員でございますけれ
ども、現在アメリカに
プルトニウムの
輸送をするための容器の基準がございまして、これはNUREG〇三六〇と言っておりますけれ
ども、それだけではなくてそれに少し追加して幾つかのテストをやるべきではないか、こういった
趣旨のマコウスキー
法案が出されまして、それが昨年の十二月二十二日でございますが成立しておるわけでございます。したがって、もうマコウスキ’法という格好でできておるわけでございます。
それからもう一つの核不拡散法の
要件を満たしていないのではないかという問題につきましては、まず十二月十七日でございますけれ
ども、上院の外交
委員会におきまして大統領に対しまして、これはアメリカの
国内法の
要件を満たしていないと判断するという書簡を送付しているとか、あるいは下院の外交
委員会の有志もそういった
趣旨の書簡を大統領に送付しているとか、それからさらにことしになりましてからは、上院のバード院内総務とドール院内総務、民主、共和両党の院内総務がこの協定は不承認しようという決議案を出したとか、そういうような動きがございました。そのほか幾つかのそういった同
趣旨の動きもございます。
ただ、それに対しまして行政府としては、その辺をよく
理解してもらうべく、まず一月二十九日にレーガン大統領から、新協定は米国の核不拡散法の
要件を満たしているということの詳細な
説明を出しまして、書簡を発出しております。それから、当時言われたのですけれ
ども、どうも一部
政府部内でもいろいろ意見がある、国防総省は反対ではないか、そういうような意見もあったのでございまして、それに対してカールーチ国防長官も、二月一日になりますけれ
ども、これはサポートする、支持するのだということも出してございます。そういういろいろな動きがございまして、最終的には、三月二十一日でございますけれ
ども、
先ほど申しましたこの協定を承認しないという決議案、その採決が行われました。これは上院でございまして、その協定不承認決議案が賛成三十、反対五十三で否決された。こういうこともございまして、私
どもとしてもかなりの圧倒的票差でもって上院の意向も大体固まったというふうに承知しておりますものですから、このままいけば成立するのではないだろうか、こういうふうに考えて期待しておる次第でございます。