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1988-03-31 第112回国会 衆議院 科学技術委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十一日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 大坪健一郎君    理事 榎本 和平君 理事 佐藤 敬夫君    理事 粟山  明君 理事 若林 正俊君    理事 上坂  昇君 理事 貝沼 次郎君       唐沢俊二郎君    櫻内 義雄君       竹内 黎一君    中山 太郎君       原田昇左右君    山下 元利君       上田 利正君    小澤 克介君       野坂 浩賢君    村山 喜一君       近江巳記夫君    春田 重昭君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      伊藤宗一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     見学 信敬君         科学技術庁長官         官房会計課長  武田  昭君         科学技術庁科学         技術政策局長  加藤 昭六君         科学技術庁科学         技術振興局長  吉村 晴光君         科学技術庁研究         開発局長    川崎 雅弘君         科学技術庁原子         力局長     松井  隆君         科学技術庁原子         力安全局長   石塚  貢君         科学技術庁原子         力安全局次長  緒方謙二郎君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    内田 秀雄君         外務大臣官房外         務参事官    法眼 健作君         外務省国際連合         局原子力課長  中島  明君         厚生省保健医療         局国立病院課長 大澤 一郎君         農林水産技術会         議事務局研究開         発課長     稲垣 春郎君         資源エネルギー         庁長官官房総務         課海洋開発室長 林 由紀夫君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全審         査課長     山本 欣市君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     三角 逸郎君         科学技術委員会         調査室長    西村 和久君     ───────────── 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   上田 利正君     井上  泉君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     上田 利正君 同月三十一日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     小澤 克介君 同日  辞任         補欠選任   小澤 克介君     村山 喜一君     ───────────── 三月二十四日  放射線被曝線量基準緩和反対等に関する請願(土井たか子紹介)(第一〇九一号)  同外一件(土井たか子紹介)(第一一〇二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  科学技術振興基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 大坪健一郎

    大坪委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 先回に続いてきょうも質問させていただきますが、アメリカ昭和二十九年三月一日から始めた水爆実験により、太平洋ビキニ環礁近くの海で操業中の漁民の皆さんが死の灰をかぶったということは、忘れてはならない事実であったわけであります。  この遠洋漁業の船員の追跡アンケート高知県の土佐清水市が、行政機関としては全国で初めて行ったということは既に御承知のことだと思うわけであります。ビキニ水爆実験で被災した漁船員らのその後は、第五福竜丸を除いてほとんど知られておりません。行政からも忘れ去られてきたと思うわけであります。その追跡調査で、二百八十七人の土佐清水市の出身者が当時実験場所周辺操業していたわけであります。このうち既に四十二人が死亡しております。百五十人は今も市内に住んでおるわけでありますが、キノコ雲を私は見ましたと言った人が八人おりましたし、全体の五四%の皆さんが、とった魚はそのときに捨てた、そして三〇%の皆さん方は体が今でも不調である、こういうことをアンケートに答えておるわけであります。  科学技術庁あるいは厚生省の方もおいでだろうと思いますが、この事実は御承知であろうかどうか、また、全体の半数皆さん健康診断も受けていなかったというふうに我々は伝え聞いておりますが、この事実は御確認でございましょうか、まず伺っておきたいと思います。
  4. 松井隆

    松井政府委員 私ども昭和二十九年三月一日のビキニ水爆実験による被害につきまして、例の第五福竜丸につきましてはいろいろと追跡調査した事実はございます。それをちょっと簡単に説明させていただいてよろしゅうございましょうか。  それによりますと、確かにもう三十三年が経過しておりまして、そういう意味では被災者も各地に四散しておる。そのときに私どもの知っているデータでは、第五福竜丸に関して申し上げますと、全被災者が二十三名おります。そのうち十七名が現在生存なさっておるというふうに聞いております。それで第五福竜丸被災者の方につきましては、放射線医学総合研究所でほぼ毎年定期的に追跡調査と申しますか、健診を行っているわけでございます。具体的には、放射線医学総合研究所におきまして、一時的に入院していただくという格好で健康チェックを行う、あるいは焼津市の市立病院にお入りいただきまして、放射線医学総合研究所の職員が出向きまして、そこで血液学的の検査とか、あるいは甲状腺の機能検査、あるいは胸部のエックス線撮影、心電図、肝機能検査等精密検査を行っているというふうに聞いております。それで第五福竜丸の生存なさっている方について申し上げますと、その生存された方の一部に放射線によるものと考えられる皮膚痕跡はあるそうでございますけれども皮膚痕跡悪性化の兆候はない。そういう意味では日常生活を通常どおり営んでおるというふうに聞いております。  そういうふうなことで、私ども調査の結果では、生存者につきましては、皆さん健康で普通の生活を営まれているというふうに聞いておりまして、もちろん私ども今後もこういった方の追跡調査、それは定期的にやっていきたいというふうに考えております。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 局長からお話しをいただいた第五福竜丸、お亡くなりになった久保山愛吉さん、私たちもその点についてはよく承知をしておったのですが、私が今質疑をしておりますのは、第五福竜丸以外の漁船員皆さん、しかも高知県の土佐清水から二百八十七人もいた。しかも四十二人は既に死亡して、約半数皆さん健康診断さえ受けていないということは、我々は非常に重要と受けとめなければならぬだろうというふうに考えるわけです。今局長お話の中身というのは、大体第五福竜丸に限っていらっしゃる。そうではなしに、そういう話があれば、今非常に重要な科学技術の問題、いわゆるプルトニウム等議論しておるさなかでありますから、それには十分に対応する必要があるのではないだろうか。高知県の土佐清水市等と御連絡をなすったことはないのか。新聞には既に発表されておるし、またそれに対応する措置が必要であろう、こういうふうに思うわけであります。その上で厚生省等連絡をとって処置すべきものは処置しなければならぬ、こういうふうに思うわけでありますが、いかがでございますか。
  6. 松井隆

    松井政府委員 御指摘の点につきましては、厚生省とも少し相談させていただきまして、前向きに対処いたしたいというふうに考えております。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 長官がこの間所信の表明をなさいました中で、五ページに、「原子力発電の円滑な推進を図るためには、自主的な核燃料サイクル確立が不可欠であり、ウラン濃縮使用済み燃料の再処理放射性廃棄物処理処分等について所要の技術開発等を強力に進めるとともに」云々、こういうふうに述べられたわけであります。この今述べた内容については、具体的にこれから進められるという意味は、青森県の六ケ所村に三点セット設置をするということや北海道の幌延、こういうところがこれの具体的な推進、こういう意味でございましょうか。
  8. 松井隆

    松井政府委員 おっしゃるとおり、核燃料サイクル確立ということは重要な事項でございまして、一つ核燃料サイクル確立するための研究開発がございます。これは主として動燃、動力炉開発事業団中心にして行っております。それからさらに日本原子力研究所等が行っておりまして、そういった施策も重要でございますし、それからさらに、それを具体的に商業的に実現するという計画が現在青森六ケ所村で進んでおります。低レベル廃棄物処分の問題、あるいはウラン濃縮の問題、あるいは再処理の問題、こういうこともございますし、そういった施策全体を総合的に推進してまいりたいという趣旨で言ったと理解しております。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 この構想内容工場で再処理する能力というものはどの程度のものでございましょうか。
  10. 松井隆

    松井政府委員 現在原燃サービス株式会社計画しております青森県における再処理工場につきましては、年間約八百トン規模の工場ということを想定しております。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 アメリカ原子力規制委員会といいますか、NRCと呼んでいますね、ここのランドー・ゼック委員長がことしの一月十一日、上院政府活動委員長のジョン・グレン上院議員に送った書簡の中で、この再処理工場年間の再処理能力が八百トンであるということになると、行方不明といいますか、通常毎年二百ないし三百キロもの行方不明のプルトニウムが出る、それが問題だというふうに言われておるわけであります。この再処理工場に対して十分な保障措置というのはなかなか技術開発が難しいというふうな書簡が送られておりますが、この事実は御認識でありましょうか。また、そういう行方不明ということになると、どこに行ったのかわからぬという極めて危険なものというふうに考えざるを得ないわけですけれども、そのような点についてはどういうふうに措置をし、お考えになっておるのか、伺っておきたい。
  12. 石塚貢

    石塚政府委員 米国NRCゼック委員長の御発言というものは私ども承知をいたしておりますが、今回の新日米原子力協力協定におきまして、青森県の下北に建設される大型の再処理施設、これを運転することにつきましては、これは包括的に合意するという枠組みに組み込まれております。これは我が国政府国際原子力機関IAEAでございますが、その間で結ばれます保障措置というもの、それは日米両国があらかじめ合意をいたしました保障措置というものでございますが、そういったものの手法に沿って、当該施設保障措置適用のための取り決めが一方では結ばれるということがこの包括同意前提条件となっておるわけでございまして、IAEAの厳しい保障措置目標値、そういったものを満足させることが第一の基本でございます。  そこで下北に建設されます大型処理施設は、既存の施設に比べまして、その作業の安全の観点から大幅に操業自動化が図られる、あるいは遠隔化システムが採用されるということでございまして、これに対応いたしました保障措置というものが必要になってくるわけでございますが、これに十分対応できるようにこれまでさまざまな研究開発を実施してきております。基本的なハード面開発はもう既に終了をいたしておるわけでございますが、例えば工程の中を流れます核物質の量、そういったものを計量するための新しい技術といたしましてNRTA、これはニア・リアル・タイム・アカウンタンシーと言っておりますが、ほぼリアルタイムでその工程内の核物質の量を把握できるというようなコンピューターを使用いたしましたシステム、そういったものが現在開発されつつあるわけでございます。  そこで私どもといたしましては、我が国が行います査察、将来の査察はもちろんのことでございますが、IAEAがこの大型処理施設に対して行う査察にも、こういった方式を導入していくという計画になっております。そして、今後こういった新しい技術を具体的に適用するに当たりましては、これは国際的な合意というものが必要でございまして、このため我が国といたしましては、実際の査察を行うこととなりますIAEAに対しまして、この大型処理施設適用すべき保障措置手法といったものについて、総合的な検討を行うということで現在貢献をしております。特別拠出金といったものもIAEAに支出いたしまして、我が国からもそのために専門家を派遣しているという現状でございます。この検討は、IAEAの場におきまして、日、米、英、仏、西独、そういった西側の主要国中心にいたしまして早急に検討を進めようということでございますが、米政府本件に関しまして、近く専門家IAEAに派遣する予定であるというふうに聞いております。  今回のゼック委員長の御発言でございますが、今回の日米交渉に当たりましては、NRCはこの点についての情報をやや把握していなかったのではないかというふうに考えられるわけでございますけれども、こういった国際的なコンセンサスづくりの場を通じまして、NRC懸念といったものも解消されるものと思われます。  なお、先ほど先生指摘ゼック委員長がおっしゃいました不明量、その量がどういう計算でそういう量になったのか、私どもはよくそれは承知いたしておりません。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 この書簡の中には、二百ないし三百キロがパイプに詰まるという表現が述べられておるわけです。それが行方不明ということになると、コンピューターで全部把握しておっても、そういうことで詰まっておる。例えばこれから議論になります盗難といいますか、盗まれておっても、これは行方不明で処理するというようなことになれば極めて重大ですが、そういうものは完全に把握できるのかどうか、その辺を確たる御答弁をいただきたいし、今お話があったIAEA安全基準については、この間の私の質問でガイドラインを示されておるが、日本の場合はそれ以上のものだ、心配することはない、こういうふうにお答えになったわけでありますから、それについては質疑をしておりませんが、もう一度それについては再確認意味で、IAEA安全基準ガイドライン以上のことを日本の場合は十分対応しておる、こういうふうに考えていいかどうか。
  14. 石塚貢

    石塚政府委員 不明量の件でございますが、これは言葉では不明量と言っておりますので、それがあたかもどこかへなくなってしまったというような印象で受け取られがちでございますが、そういったものは決してどこかに紛失したという趣旨ではございませんで、工程内のどこかにたまっておるようなものが十分に計量できない。そういった計量できないという部分をMUFというような言い方で呼んでおるわけでございまして、これは決してその物質量がどこかへなくなった、そういう趣旨言葉ではございません。  それからもう一点、安全のためのガイドラインでございますが、これは保障措置のためのガイドラインというふうにもし理解いたしますとするならば、私どもといたしましては、IAEAとの取り決めによって現在日本で実施されております保障措置実効性というものは、十分に実効性のあるものであるということはIAEAからも認められておりますし、今回の日米協定交渉におきましても、アメリカ側からはそういった評価を受けているというところでございます。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 八百トンの処理能力はあるし、それができるということになると、そのできた八百トンのウランなりプルトニウムというのは何に使うわけですか。それほど必要なものでありますかどうかということですね。今の日本電力事情等から考えて、この間も話が出たように、二・七を二・三に電気の需要を審議会では下げたという状況の中で、そんな八百トンものものが必要なのかどうか。どこに使うのか。
  16. 松井隆

    松井政府委員 プルトニウム使用済み燃料から取り出して、それをまた有効使用というのが私ども政策考えておるわけでございまして、そのプルトニウムの利用はどこに使うのかという御指摘でございますけれども、いずれにしろ私どもとしては、取り出したプルトニウムを最終的には高速増殖炉で燃やすというのが一番よろしかろうというふうに思っております。しかしその過程におきまして、当然、現在新型転換炉という炉がございます。これもプルトニウムを使う炉でございます。それから高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」とか、その次の開発計画もございますが、そういうものにも使う必要がある。それからさらにもう一つは、軽水炉でプルトニウムを使うというプルサーマル計画というものがございます。そういったもので使っていこうというふうに考えておる次第でございます。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 この六ケ所村に設置をするという構想がありますが、これはいわゆる原子力基本法に言っております民主、自主、公開というのが原則だということになっておるわけです。これは地域住民理解を得なければ設置はしないということになっておると思うのですが、そういうふうに考えてよろしいのですか。
  18. 松井隆

    松井政府委員 私ども理解しているところでは、このいわゆる核燃料サイクル三点セット六ケ所村への設置につきましては、長い間の時間をかけまして県当局それから村当局の御理解も十分得られて、それでこの計画がスタートしているというふうに承知しております。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 今度の日米原子力協定に当たって、今までの個別同意方式から包括的同意方式というものに切りかえる。今の協定というのは二〇〇三年まで、今度新しく協定ができれば、十一月にやったのが承認されれば約三十年間ということになっておるわけですね。  この中でプルトニウム航空輸送について、去年の十二月、アメリカにおきましては、外国から外国米国の領空を通るプルトニウム航空輸送については、二点について安全性確認されなければならないという法律修正をしておるわけですね。一つ輸送容器の実際の落下試験を行う、もう一つ貨物航空機の実際の墜落試験を行う、こういう二点が修正条項として成立をしておるわけですね。この日米原子力協定に基づいて日本が受け入れるということになりますと、このとおりのことをやはりやる必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  20. 松井隆

    松井政府委員 先生指摘のとおり、昨年の十二月に、これはマコウスキーさんという方の提案でございますけれどもプルトニウム外国から外国アメリカの上を通って輸送する場合には、こういった条件をつけなさいという法案が成立したのは事実でございます。それで、その場合には、あくまで外国のもので、かつまたアメリカの上を飛ぶということが前提なわけでございまして、私どもそうなった場合には当然そういうものの適用を受けなくちゃいけないというふうには考えてございます。  ただ、先生のところに多少追加させていただきますと、マコウスキーさんの件は、現在はNU REG〇三六〇という中に幾つかの基準がございまして、それに追加しているわけでございますけれども、新たに追加されたのが、一つは実スケール輸送物の最高巡航高度からの落下試験でございまして、もう一つは実スケール輸送物を搭載した貨物機墜落試験ということでございます。ただし、これにつきましては条件がございまして、ただしNRCが独立の科学団体との協議の後、容器開発過程で行った試験時に容器にかかった応力が最悪の事故時にかかるであろう応力を超えると決定すれば、省略できるということがございまして、それにつきましてはまた科学技術的にいろいろと議論のあるところかな、そう思っております。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは翻って、この協定についてNRCなり国防総省は当初反対をしておるというふうに私たちは伝え聞いております。それでレーガン大統領国防総省に向けて、意見があれば述べよということをやったという経緯があるというふうに承知をしております。特に当初、アラスカの上空を通るのではないのか、それでアラスカカウパーという知事協定アメリカ連邦議会への提出差しめ処分申請をしたというような経緯もあるわけであります。したがって、この危険度という意味カウパーという知事申請をした。あるいは今お話しになったマコウスキー上院議員もああいう修正条項を出してきたということでありますが、このとおり間違いなくて、アラスカ州としては反対ということなのか、あるいは国防総省は、いわゆる核拡散防止という意味アメリカがすべてを握っておかなければならぬ、むしろアメリカ日本がこんな開きがあるのが包括協定によって同じようになってくるじゃないか、そういう意味反対しておるのか、その反対の理由をお話しをいただきたいと思いますね。
  22. 松井隆

    松井政府委員 この協定が昨年の九月に米議会に提出されましてから、米議会ではさまざまな議論があるということは承知しております。大きく分けまして二つございまして、一つ包括同意方式をとっておる。これは三十年間にわたるわけでございますから、包括同意方式をとるということ自体がアメリカ国内法であります米国核拡散法、それの条件を満たしていないのではないだろうかというそういう疑問視する動き、これが一つの大きな流れでございました。それからもう一つ包括同意の対象となっているプルトニウム航空輸送の問題でございまして、その安全性が確保されるのかなという点についての懸念、その二つが主な動きであるというふうに承知してございます。  それで御案内のとおり、二番目の方のことにつきましては、確かにアラスカ知事からのそういう訴訟も提起されていることは承知しております。それから具体的には、マコウスキー議員がそういった形で新たに輸送容器安全確保のために新たな条件をつけたマコウスキー法案が成立したということがあるわけでございます。このマコウスキー法案は十二月二十二日に成立しているわけでございます。  それから米国の核不拡散法の要件を満たしているかどうかという問題でございますけれども、これはまず、提出されたのは昨年の十二月十七日でございますけれども上院外交委員会大統領に対して、その根拠というのはアメリカの核不拡散法を満たしてない、国内法を満たしてない、そういう判断をする書簡を送付したり、下院もやはり外交委員会の有志が同様の書簡を送付しているというようなこともございました。それからさらに、クランストン上院議員とか十数名の上院議員が、これは国内法を満たしてないから、したがってもう一回再提出しなさいというような法律案を上程したとか、あるいはさらに、これは認めないという決議案を出した、そういう動きもございました。  一方、それに対しまして私ども交渉したアメリカ政府の方でございますけれども、まず一月二十九日になりますけれどもレーガン大統領から本件につきまして核不拡散法米国国内法を満たしているというようなかなり詳細なペーパー、書簡を発出してございます。したがって、アメリカ政府としてはこれは国内法を満たしている、こういう判断を示しております。それから、確かに先生のおっしゃるとおり、国防総省反対なのではないか、こういうようなうわさがあったのは承知しておりますけれども、これも二月一日でございますけれどもカールッチ国防長官の方から、国防総省本件協定に賛成であるという旨の書簡も出ているわけでございます。  それで、そういったいろいろな動きがあった結果、実は今月になりましてから上院で、先ほど申しましたように本協定を不承認とすべきであるという決議案が出ておりましたから、それについての採決をしたわけでございます。その結果が、不承認とすべきという決議案についてイエスという人が三十名、ノーが五十三名という形で、一応私ども理解としては、上院のかなりの大方の意思があらわれたというふうに考えているわけでございます。  それがかいつまんで申しました米国議会での審議の大きなところでございます。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 三十対五十三というのはこの日米原子力協定の賛否ですか、それともマコウスキー氏等が出された修正案がそういう格好でやられたというのとは違いますか。その辺をどっちかはっきりしておいてください。
  24. 松井隆

    松井政府委員 先ほど申しました三十対五十三というのは、この新しい日米原子力協定を米上院としては否認すべきであるという決議案について採決した結果、賛成が三十、反対が五十三でございます。マコウスキーの提案につきましては既に十二月に成立しておりまして、それについての審議ではございません。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 そうしますと、アメリカのワシントンに民間の核管理研究所というのがあります。NCIと呼んでおるそうですが、そこが推定でまとめたところによりますと、フランスの再処理工場日本の使用済み核燃料から抽出するプルトニウムの量は、一九九〇年代初めから今世紀末までに推定四十八トンだ、これをボーイング747ジャンボ機で輸送すると年間約二十三回、約二週間に一回の割合で、一回当たり二百五十キロもの大量の輸送になるのではなかろうか、こういうふうに我々は聞いておるわけですが、このとおり推定ができるものかどうか、伺っておきたい。
  26. 松井隆

    松井政府委員 現在日本が英仏に再処理を委託しておるわけでございまして、それから出てくるプルトニウムがどのくらいかという一つの御質問だと思います。  これは先生御案内のとおり、要するに使用済み燃料の燃焼度にも関係するわけでございます。そういうことで多少変わり得るというふうには考えておりますけれども、総量で申しますと、私どもの大体の計算では、総量約二十五トン核分裂プルトニウム量というふうに見込んでおるわけでございます。それで、それを日本に持って帰る場合には、今の先生の御指摘の回数とかございましたけれども、これにつきましては、私どもとしてはどういうふうに計画を立ててやっていくかということはこれから作成する段階でございますから、年間に何ぼどういうふうに運ぶというところまでは、ちょっとまだ決めておらないというところでございます。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 そういう年間に何回運ぶ、一回はどの程度かというようなことについては、それは計画を立てて、アメリカと打ち合わせをして、それらについては国会等では審議の対象になるわけですか。一般質問等では十分やりますが、そういう計画については御発表をいただけますか。そしてそれはいつごろやられるか。
  28. 松井隆

    松井政府委員 プルトニウムを英仏から輸送する時期につきましてはまだ数年先というふうに考えておりまして、具体的にそのときにどういう措置をとるかということにつきましてはこれから検討する事項でございまして、先生指摘の国会で御検討するかどうか、こういうことにつきましても、私どもまだそこまで詳しく検討しておりませんものですから、ちょっと答弁は控えさせていただきたいというふうに思っております。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 まだ検討してみなければわからぬということですが、プルトニウムというのは非常に危険なものであるということは、先ほどアメリカ上空通過の問題等で異常なほどの注目を浴びておるということでありますから、民主、自主、公開の原則に基づいて、それらの計画については科学技術庁長官としては御発表いただけますか。長官、いかがですか。あなたに聞いています。
  30. 松井隆

    松井政府委員 私ども恐らくそれにつきまして今後検討すべき事項が幾つかあろうかと思います。おっしゃるとおり、プルトニウムを輸送する場合に、そういうことについて非常に関心が高いという面で、発表すべきだという御議論もわからぬわけではございませんけれども、一方、これは核物質の防護という視点もございまして、そういった視点と両方の視点から、これをどういうふうに処置すべきかという問題かというふうに今私は考えているわけでございますけれども、いずれにしろ、ちょっとこの辺につきましてはもう少し検討しなくちゃいけない問題と思っております。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 輸送の時間とかルートというようなものについては秘密にされておるというふうに我々は承知をしておるわけです。時間はそういう防護の意味で必要だと思いますが、ルート等はだれでもわかるわけですから、そういう点については御発表になるわけですか。そうしなければ、地域の住民その他については非常に神経をとがらせておるということは、今のアラスカ等の問題を見ても明らかなんですから、何でも秘密というわけにはならぬじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  32. 松井隆

    松井政府委員 まず輸送のルートのお話がございましたけれども、これはやはり一番気をつけなくちゃいけない問題は核ジャックという問題がございまして、そのルートについては、英仏から飛んでくるわけでありますから、その辺のルートをどういうふうに明示するかということは、これはもちろん私ども一存で決められる話ではなくて、私どもと関係省庁とも相談しなくちゃいけませんし、さらに関係する政府、例えば英仏の政府とも相談しなくちゃいけないという問題がございますものですから、そういう意味では、今の段階で先生に御指摘されましても、ちょっとまだお答えできないという段階だと思っております。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 初めに返って、今この輸送問題についてはこういうふうに言われましたね。貨物航空機の実際の墜落試験を行うが、ただし、最悪の事故条件よりも厳しい試験を行えば実際の墜落の試験は不要である、こういうふうにお答えになりました。まあそのとおりであるわけですが、アメリカがこのとおりのことをやるわけですから、我が国でもこの程度のことはやっておかなければ、アメリカでやるんだからそれでいいということにはならぬじゃなかろうかというふうに思うのですが、日本ではやる意思があるのかないのか。例えばアメリカ領土を通過しない場合ですね。通過をする場合はキャスクPAT3といいますか、ああいう容器墜落試験なり落下試験というものをやるのですが、ソ連の方を回って海を通って、外国の領土を通らないで無着陸なら無着陸で日本に到着をする場合、そういう場合については、実験内容、いわゆる容器があるいはレベルダウンする場合も考えられるということになれば極めて重要でありますから、我が国でもそういうものについては落下試験等を明確にしていかなければ、国民としてはプルトニウムの恐ろしさというものが十分わかっておりますから、それらの措置をする必要がある、アメリカと同じ水準でやるべきだ、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  34. 石塚貢

    石塚政府委員 我が国輸送容器安全基準の現状について申し上げますと、IAEAがつくりました安全基準を採用いたしまして日本基準がつくられております。ただ、これは陸海空共通の基準として設けられておりまして、プルトニウム航空輸送するために特別の基準というものは現在まだないわけでございます。したがいまして、原子力安全委員会といたしましては、将来のプルトニウム航空輸送といったものも現実の問題として出てくるという事態を踏まえまして、将来プルトニウム航空輸送についての輸送の方法あるいは輸送容器はいかにあるべきか、今先生指摘アメリカ並みのテストが必要かどうかということももちろん検討の対象に含めまして、現在審議中でございます。いずれその結論を得た上で、所管官庁がそれを基準として体系に組み込んでいくということになろうかと思います。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 検討中ということでありますが、アメリカで重大な関心を持たれ、日本の国民も非常に神経をとがらせておるわけでありますから、それについてはアメリカ基準以上のものを日本の国民は要求をするであろう、こういうふうに思うわけです。それについては善処すべきだと思います。検討中、審議中ということでありましょうけれども、善処するという方向で御検討をしてもらうべきだと思いますが、いかがなものかということが一点。  二点目は、今度アメリカ大統領は、空輸機がアラスカを通過または立ち寄りする場合は環境影響調査をする旨表明したわけですね。日本政府は、例えば今は白紙の状態だと言われておりますけれども、受け入れ空港決定の前にそういう環境影響調査をして住民のレビューを受けるべきであろう、こういうふうに思うわけですが、そういうふうに善処されるかどうか、承っておきたい。
  36. 石塚貢

    石塚政府委員 ただいまの輸送容器安全基準の件につきまして、最初に御答弁申し上げます。  現在、原子力安全委員会の放射性物質安全輸送専門部会、先ほど申し上げましたとおりこの部会でその道の専門家が大勢集まって、本件について真剣に今検討されておるところでございます。アメリカ基準あるいはその他国際機関でも検討が始まろうとしておりますので、そういった動向も踏まえまして、我が国としてどこまで必要かといったことにつきましては、慎重の上にも慎重に御審議がなされるものというふうに私ども理解をいたしております。
  37. 松井隆

    松井政府委員 先ほどの第一問の方に関連いたしますけれども、現在私ども動力炉・核燃料開発事業団が輸送容器開発を進めているわけでございます。その輸送容器開発の中身は、もちろん現在日本にまだ基準がないわけでございまして、世界で一番厳しいと言われるアメリカNU REG〇三六〇、それに合致するように今輸送容器開発を進めているわけでございます。この場合には、御案内のとおり幾つかの非常に過酷なテストがございまして、まず、飛行機が落ちたことを想定して、衝突といいますか、これは一秒間に百二十九メートルという非常に速いスピードでぶつける、さらにそのぶつけたものを圧縮するとか、飛行機事故を想定していろいろな想定をして、最後にファイアというのですか、火災になるということも想定して、それでも中が健全性が保たれるというような仕組みでテストしてございます。これは一昨年と昨年やりまして、昨年のデータではかなりいいデータが出ておるようでございまして、私ども少なくともNUREG〇三六〇に合致する輸送容器開発の見通しというものはかなり自信を持っているわけでございます。  ただ、御案内のとおりあのマコウスキー法案が成立しましたものですから、それに新たにどういうものが追加されるかという点もあろうかと思いますけれども、私どもとしては、なるべくそういったインターナショナルに最もシビアな条件でも通用するような輸送容器開発ということは、まずしなくてはいけないだろうと思っています。  それから御指摘のもう一点の、アメリカ国内法に基づきまして環境影響評価と申しますか、エンバイロンメンタル・インパクト・ステートメント、それを出せという話があるという御指摘がございましたけれども、これにつきましては、一応まず経緯を申し上げますと、国家環境政策法、NEPAと申しますけれども、それに基づいてやることにつきましては一応DOEも検討してございまして、NEPAで言っておりますのは、人間環境の質に顕著な影響を与えるであろう法律の提案とかあるいはその他主要な連邦のアクション、そういうものについてしなさいというふうに規定されているわけでございます。それでDOEといたしましては、そういったNEPAに基づいて検討した結果、現在の判断は、このプルトニウムの輸送に関しては、人間環境の質に重大な影響を及ぼす重要な連邦措置とはならないという決定をまずしてございます。もちろんマコウスキーさんのそういった提案もございますものですから、今後どういう形でその問題を連邦政府と議会との間でするかということは、私ども今後の話で承知いたしておりませんけれども、そういった動きがまずあるわけでございます。  それから、そういうことにつきまして私どもといたしましては、あくまでやはり航空機事故があった場合にプルトニウムの収納健全性と申しますか、そういうものが維持され、それで環境の安全を保護するということがまず輸送の大前提だというふうに考えてございまして、先ほど申しましたように、そういった趣旨で動燃事業団も輸送容器開発をしているというのが現状でございます。  それで、プルトニウムの輸送に当たりましては、もちろん国内の基準は当然として、その関係する国の法令ないしは基準に合致しなくてはいけないわけでございますから、そういう形でやりたいと思っています。それで、具体的にやはり日本の場合にもそういった考え方で、安全委員会が決められる基準に従って、そういうものをしかるべく安全をちゃんと審査するということになると思いまして、そういうことによりまして環境の安全が十分担保されることをチェックするということになると考えております。
  38. 野坂浩賢

    野坂委員 今までも環境影響調査というものはやってきたし、これからも十分に検討して対処したいということでありますが、日本政府は、これは長官にお尋ねをしますから聞いておっていただきたいのですが、プルトニウムの輸送を受け入れをする場合、局長さんはこの間まだ白紙だと佐藤さんの質問にもお答えになっておった。我々が推測をすると、今東海村で処理をしておって、どこが一番近いかというと成田ですね。あるいは将来のことを考え青森の三沢ということが考えられる。こういうことになる可能性があるのではなかろうかと思うわけですけれども、その選定に当たっては自治体、知事とか県議会、市町村の執行部とか議会を含めた住民と協議の上で、その同意を得ることが前提条件でなければならぬ、こういうふうに思いますが、長官はいかがですか。
  39. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 プルトニウム航空輸送を実施する場合には、実態上、あらかじめ国内着陸空港の管理者、関係省庁あるいは都道府県等とは協議を行うことになるものと考えております。また、地元の地方自治体との関係につきましては、核物質防護の観点等をも含め、今後関係省庁とも検討してまいりたい、このように考えております。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 空港管理責任者と話をする、関係省庁と話をするというところまではわかりました。それはいいのですが、私が一番言っておるのは、関係自治体、住民と協議をして、その同意を得るということが前提でなければ、原子力基本法の自主、民主、公開ということにはならぬじゃないのか。それらのことをやって同意を得る。常にトラブルがあるということについては多くの問題を残す。したがって同意を得ることが必要ではないのか、そのことが理解される道ではないのかということを私は指摘をしておるわけであります。長官は各省庁と協議の上ということですけれども、関係住民の意向というものは無視をするのか、あるいは、無視をしないで十分同意を得るということが前提でなければいけないというふうに私は思うわけですが、さらにお聞きをしたいと思います。
  41. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 関係地方自治体とも良好な関係を得ながら、実施できるように大いに努力をしてまいりたいと思います。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 良好な関係を得ながらというのは、同意をしてもらうということですね。確認をしておきます。
  43. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 同意を求めるように全力を尽くしたいと思います。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたので、もうあと一、二問、これは別の問題でありますが、科学技術庁の白書に、がん等の疾病の克服、長期的な食糧問題への対応ということを明らかにしておられますので、一点だけ質問します。  厚生省でも文部省でも科学技術庁でもやる、地震とがんだけが残っておる。がんは早期に発見をし、治癒できるじゃなかろうかということですけれども科学技術庁としてはどの程度がん等の疾病の克服に努力をされておるのかということが一つと、厚生省がいらっしゃれば、厚生省はこのがん、疾病の解決を図るために共同で、しかもプロジェクトで、厚生省中心で文部省や科学技術庁がそれを取り巻くのか、縦系列で別々にやらないで、このがん、疾病の治癒、早期発見の問題等を早急にやって、原子力の話ばかりではなしに、こういうことにやはりもっと積極的に取り組んでもらいたいということが一点であります。  二点目は、長期的な食糧問題への対応という中身です。今は食糧の不足時代が終わって、主要食糧等といいますか、米等は余って減反という時代でありますが、この対応という意味ですね。この技術開発ということになれば増産ということになると思いますが、今の情勢と絡めてどういうふうにお考えになっておるのかということを、せっかくおいでいただいておると思いますので質疑をして、私の質問を終わりたい、こういうふうに思います。
  45. 大澤一郎

    ○大澤説明員 第一点のがんの治療についてお答えいたします。  厚生省におきましては、国立がんセンター等を中心としまして、がんに関する診断、治療、調査研究等を進めているところでございます。がんの治療は着実にその効果を上げておりますが、特に近年の目覚ましい科学技術の進歩により、例えば国立がんセンターにおきましては、診断法としてCTあるいはCR等を利用した放射線診断、内視鏡検査、超音波検査等を駆使いたしまして、診断精度の向上を図っております。また治療法についても、各種の治療法等を集約的に行うことによりまして、従来難治性と言われておりました肝臓がん等についても治療効果を上げるようになっているところでございます。  なお、昭和五十九年度から、がんの本態解明を目指すということで、対がん十カ年総合戦略事業を実施しているところでございますが、これは厚生省中心になりまして、科学技術庁、文部省等と協力をして行っている事業でございます。この中で新しいがん遺伝子の発見だとかあるいは診断機器の開発などの成果が上がっておりまして、治療への応用が期待されているところでございます。
  46. 松井隆

    松井政府委員 がん対策、がん研究に関する科技庁分についてお答えいたしたいと思います。  先ほどありました五十八年に決めました対がん十カ年総合戦略、そういうものの中で、科技庁といたしましてその一部を分担してやっている次第でございまして、まず理化学研究所であるとかあるいは放射線医学総合研究所等において、先端技術を用いたがんの本態解明ないしはがんの診断、治療、そういう研究も進めておりますし、もう一つ、科技庁が持っております科学技術振興調整費というものがありまして、これは科学技術会議の方針に従って使うものでございますけれども、そういったものを活用いたしまして、がん研究に必要な共通基盤技術開発、そういうものが中心だと思いますけれども、そういうものを実施してきておるわけでございます。  そのうち特に私どもの所管で言いますと、放射線医学総合研究所につきましては、あるいは先生御案内かもしれませんけれども、治療効果が高いということで世界にも非常にユニークな重粒子線がん治療装置、そういうものも建設を始めるということで進めておりまして、もう既にこれにつきましては来年度から建屋の建設に着手するとか、そういったことを着実に進めたいというふうに考えています。いずれにしろ、先生指摘のとおり、がんの研究は非常に重要なものでございますから、関係省庁とも密接な連携を保ちながら、科技庁としてはできることを大いにやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  47. 稲垣春郎

    ○稲垣説明員 お答え申し上げます。  米の低コスト化のために収量の大幅増を実現する、そういう意味で超多収米の開発ということにつきましては、従来から農林水産省といたしまして主要な研究課題として位置づけております。そのために長期的な視点に立ちまして段階的な目標を定めまして、現在も鋭意試験研究を進めているところであります。  これまでに第一期の成果といたしまして、従来よりは一割増収が見込まれます温暖地向けの品種といたしましては、アケノホシというものを昭和五十九年に、そしてホシユタカという品種を昭和六十二年に、それから東北、北陸向けの品種といたしましては、アキチカラという品種を昭和六十一年に育成して世に出しているところであります。また、第二期目の目標といたしております、従来より三割増の収量を達成する有望な系統が現在育成されつつございます。この超多収米につきましては、今後とも引き続きましてインド型稲との交雑でありますとかあるいはハイブリッドの利用、バイオテクノロジーの活用などによりまして、さらに開発研究を進めてまいる所存でございます。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたからこれでやめますが、最後に、厚生省なりあるいは科学技術庁、文部省等でがん研究を進められておるわけですけれども、我々素人から見て、縦ではなしにプロジェクトでやっておるということでありますから、それなりに効果が期待できる。大体いつごろになれば肝臓がんや肺がんは治ることができるだろうか。がんになればだめよと、こういうふうな認識が非常にあるわけですから、まあ推定として、科学者の皆さんでありますからそれについて言及をしてもらいたい。  米については、一〇%の問題はわかりました。三〇%増収の米の種類というのは、いつごろに開発をされて実用化するかということだけを御答弁いただいて、終わりたいと思います。
  49. 大澤一郎

    ○大澤説明員 ただいま先生指摘のいわゆる難治性のがんにつきまして、今後関係省庁と共同をしまして、対がん十カ年総合戦略の一環ということでもございますので、できるだけ早く効果的な治療方法が開発できるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  50. 稲垣春郎

    ○稲垣説明員 先ほど第二期と申し上げましたが、これは私たちの研究年次では昭和六十三年度を考えております。その第二期の終わりまでには三割増収の品種をつくりたい、それからできるだけ早く皆さんの手に渡るように努力をしたいと考えております。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 終わります。
  52. 大坪健一郎

  53. 小澤克介

    小澤(克)委員 一昨年原子炉等規制法の改正が行われまして、その際に放射性廃棄物についての埋設の事業あるいは管理の事業という事業が認められることになったわけでございますが、肝心のどういった廃棄物について埋設の事業の対象となるのかという、最も重要な部分が政令に委任されているという法律であったわけでございます。そのことに対して私どもは大変強い批判をこの改正案審議当時も持っておりましたし、現在も持っておるわけですけれども、それはともかくといたしまして、そういう次第で、この政令がどのように定まったのか重大な関心を持っているわけでございますので、この辺についてきょうは少し細かくお尋ねをしたいと思うわけです。  まず第一に、炉等規制法五十一条の二に言う埋設の事業の対象となる放射性廃棄物については、現在政令でどう定められており、それはまたどういう根拠でそういう定めになったのかをお尋ねしたいと思います。
  54. 石塚貢

    石塚政府委員 まず、御指摘の今回の政令で埋設事業の対象となる低レベルの放射性廃棄物の範囲の上限値というものが決められたわけでございます。この昨年、六十二年三月の政令改正はいろいろな手続を踏んだわけでございまして、まず原子力安全委員会の放射性廃棄物安全規制専門部会の報告というものを踏まえまして、さらにそれを放射線審議会で審議をいただく、その審議の結果を踏まえまして、原子力委員会さらには原子力安全委員会の意見の聴取といったものを経まして、この政令が定められたものでございます。  その内容でございますが、原子炉等規制法第五十一条の二第一項第一号、これで政令で定める廃棄物の埋設事業の許可申請を行うことができる放射性廃棄物の上限の濃度値というものを決めたわけでございまして、まず廃棄物の種類といたしましては、原子炉施設から発生し、さらにそれが容器に固型化された放射性固体廃棄物というものを対象にいたしまして、さらにその放射性物質の種類ごとに上限の濃度値を決めたものでございます。その濃度値といたしましては、炭素14が一キュリー毎トン、コバルト60につきましては三百キュリー毎トン、ニッケル63につきましては三十キュリー毎トン、ストロンチウム90につきましては二キュリー毎トン、セシウム137につきましては三十キュリー毎トン、さらに、アルファ線を放出する放射性物質につきましては〇・〇三キュリー毎トンという数字を定めてございます。  それから、この濃度値を定めました根拠についてお尋ねでございますけれども、まず濃度上限値というものの性格を最初にちょっと御説明させていただきます。  この濃度はあくまで原子炉等規制法に規定いたします埋設事業、そういったものの許可申請を行うことができるその範囲の上限値であるということを今申し上げました。したがいましてその性格といたしましては、まず第一に、我が国において埋設の方法によって最終的に処分を行うための上限となるというのがその性格の第一であります。第二といたしましては、放射能濃度がこの値を超えるものにつきましては許可申請の対象にならない。つまり埋設が許されないということになります。  それから、放射能濃度が政令で定められた上限値を超えなければ、しからばどういうものであってもそれ以内であればどんどんどんな場所にでも埋設ができるのかといいますと、それは決してそうではないということでございまして、個々の処分場で実際に埋設処分をすることができる放射能濃度の上限値につきましては、これを限度として別途許可を行う際の安全審査におきまして、計画された処分量、あるいは処分の方法、あるいは具体的な処分の場所の自然条件、さらには管理期間などを考慮して審査されるということでございますので、この上限値をもって、それ以内であればすべて埋設がどこにでも許可されるという性格のものではございません。  それから、この上限値の設定方法についてもお尋ねでございますが、具体的には、現在我が国におきまして計画されている原子炉施設から発生いたしました容器に固型化した放射性廃棄物、そういったものを浅地中に設けられたコンクリートピットというものを想定いたしまして、その中に充てん材とともに収納する、そういう処分方法を想定してございます。第二といたしましては、被曝線量の計算に当たって必要な処分による人の被曝の経路といたしましては、これはIAEAにおいて規制除外濃度というものを導き出しました、そのときの被曝経路といったものを参考に使用いたしております。それから第三に、自然条件我が国の特殊性をも考慮して、処分された放射性廃棄物に起因する個人の被曝によるリスクが無視できるほど小さい、そういうレベルとして、国際的にも認められている年間百マイクロシーベルト、すなわち十ミリレムでございますが、さらにその十分の一でございます年間十マイクロシーベルト、一ミリレム以下となるような放射能濃度をまず算出いたしまして、この濃度に三百年間の管理期間の経過といったものの減衰効果を考慮いたしまして、この濃度を決めたものでございます。
  55. 小澤克介

    小澤(克)委員 今のお答えの中で、本政令で定めた趣旨の性格づけの三番目のところですね、これは大変重要なところだろうと思います。すなわち、本政令は埋設事業のおよそ対象となり得る範囲を定めただけのことであって、具体的な埋設事業の許可については全く個別に審査をするのだ、この政令の範囲内ならばオーケーということにはならぬということでございますので、非常に重要なことだろうと思いますので、しかと今承ったところでございます。  そこで、今算出根拠について三点ばかりのお話があったわけですけれども、その中で非常に奇異に感じたのは、まあ三百年たてばいろいろ放射能が半減期等の関係で減衰をするわけでございますけれども、三百年後を想定し、その際における埋設地、処分地跡の利用者等の公衆が年間一ミリレムでしたかの被曝以下になることを前提に、そこから逆算していって現在埋設といいますか、我々埋め捨てと言っているのですけれども、埋設する廃棄物の放射線濃度等を規定したということなんですけれども、先ほど奇異に感じたというのは、三百年後における公衆あるいはその土地の利用者等の被曝の経路についてはIAEAのシナリオを適用した、こういうお話でございます。しかし三百年後にその土地がどういう利用形態になっているかというのは、これは全くわからないことですね。非常に不確定だと思うのですよ。そのときに、この被曝のシナリオだけはIAEAのこれを利用するなんということが果たして合理性があるのでしょうか。
  56. 石塚貢

    石塚政府委員 IAEAの被曝経路を採用したことにつきましては、これは本当にそういった処分場所といいますか、そういうパラメーターを考えるに当たって一つのモデルを設定したということでございまして、許可申請を受け付ける際の許可申請を行ってもいいという限度を定めたことでございます。実際の濃度値というのは、それぞれの処分場所によって、いろいろな被曝経路について改めて安全審査において詳しく検討していくということでございますから、すべての日本処分場所について、いつもIAEAの被曝経路がそのまま利用されるという趣旨ではございません。  それから、三百年後に果たしてそのような同じ被曝経路でいいのかという御指摘につきましては、先生承知のとおり、この埋設事業の管理といいますのは四段階に分けて行われる。第一段階、第二段階、第三段階ということで、その被曝についての影響がだんだんなくなってくる。その段階に応じて管理の状況も簡素化していくということでございまして、一段階から二段階、二段階から三段階に移る際には、改めて保安規定の改正といいますか、変更の認可という手続が必要になりますけれども、その際には改めてそういった段階に移っていいかどうかということにつきまして、安全審査の内容まで立ち返りまして確認をしていくという手段がとられるわけでございます。三百年後に管理を外すという場合につきましても、もちろんその状況で社会環境あるいは自然環境がどのように変化したか、従来の被曝経路の評価でいいのかどうかということは、改めてその時点で検討いたしまして保安規定の変更の認可をしていく、そういう手続をとることといたしております。
  57. 小澤克介

    小澤(克)委員 そんなことをお尋ねしているのじゃなくて、先ほどあなたはみずからおっしゃったように、本政令は個別具体的な認可とは別であって、およそこの埋設事業の対象となり得るものを定めたのだ。ですから、今のお話はピントが外れているのですよ。具体的な問題じゃなくて、この定め方が合理性があるかどうかということを聞いているわけですからね。  それで、被曝経路についてはIAEAのシナリオを用いた。いただいた資料で見ますと、例えば「処分場跡地において建設された住居に居住する人の被ばく」として、このシナリオでは、「処分場跡地において建設された住居に居住する人が、埋設された放射性廃棄物からの放射線を受け被ばくする。また、居住者が住居の周囲で農産物を栽培し、埋設された廃棄物中の放射性物質を吸収した農産物を食べることによって被ばくする。」こういうシナリオになっているのです。これはこれでそれなりに考えられたシナリオだろうと思いますけれども、問題は、三百年後にこういう牧歌的な――牧歌的かどうかともかくとして、この土地の利用方法がなされているなどということは全く保証できないでしょう。地下鉄があるかもしれませんよ。高層ビルが建っていて、地下の部分が非常に発達しているかもしれません。三百年後ですからね。そう思いませんか。今から三百年前というと江戸時代です。江戸時代に、例えば例を挙げれば、札幌に地下鉄が走ったり、地下室を伴う高層ビルがあったりなどということを当時の日本人はだれも想像できないでしょう。ですから、このIAEAのシナリオを現時点で採用するのなら、それはまあ一つ考え方でしょうけれども、三百年後の公衆の被曝の被曝経路を想定するに当たって、このシナリオを利用したというのは私は全く科学的合理性がないと思いますよ。そういうことをお尋ねしているのです。
  58. 石塚貢

    石塚政府委員 先生指摘のとおり、その被曝経路というものを三百年後の被曝経路として考えたということであれば、明らかにおかしいと私も思います。ただ、先ほどからも申し上げましたとおり、それぞれの段階の次の段階に移る際に再評価をするということでございまして、三百年後において事業を廃止し、管理をしなくなるというような時点に参りました場合には、改めてそのときに最も適切な被曝経路といいますか、従来の安全評価の内容を再チェックする。それは当然社会環境、自然環境、そういったものの変化に応じた再チェックをするということでございます。三百年後の被爆経路とかいろいろなパラメーターを今決めてしまうというのは、私どももそれは非常に難しいというふうに考えておりますので、それは三百年後の再検討の段階に譲っておるわけでございます。
  59. 小澤克介

    小澤(克)委員 いやしかし、そう書いてないですよ。この政令の根拠になりました原子力安全委員会の放射性廃棄物安全規制専門部会の昭和六十一年十二月十九日の中間報告によると、「なお、将来の人間の社会生活等に関するいわゆる社会的パラメータについては、埋設処分の管理期間が長期にわたるためその期間中に多少変動することも考えられるが、本上限値の設定に当たっては、現時点で最も妥当と考えられるパラメータで評価するのが適切である。」と書いてあるじゃないですか。将来三百年後と考えた上でこれをやったと書いてあるじゃないですか。そして、三百年後に一ミリレム被曝するということから逆算していって、現時点で埋めるものの濃度を出した、先ほどそうおっしゃったじゃないですか。三百年後に改めてどうするかなんということを、そんなことを今言われたってどうしようもないですよ。だって、三百年後にはもう完全に管理を外されるのですよ。それを前提としてこの数値を決めたわけでしょう。全然答弁になっていないですよ。
  60. 石塚貢

    石塚政府委員 政令で定めました濃度上限値といいますのは、これはあくまで許可申請を行うことができる範囲の上限を示したものでございまして、個々の処分場につきましては全く別の上限値というものが申請されてくるということになります。そしてまた個々の処分場につきましては、その処分場に通した被曝経路あるいはその被曝経路ごとのパラメーターが採用されるということでございます。報告書にもございますとおり、三百年後につきましてはいろいろなものが変化するということも考慮されます。考慮された上で、現時点で考えられる最も適切なパラメーターを使ってこの上限値が決められるということでございまして、三百年後につきましては、その変化に応じた再確認というものがなされるというのが、全体のこの埋設事業の規制の体系というふうになっておるわけでございます。
  61. 小澤克介

    小澤(克)委員 先ほど私が指摘したのは、特定の処分場についての部分ではなくて、政令で定める上限値の設定についてのこの報告書の部分を言っているのです。だから、特定の問題とまぜて答えるのは間違いですよ。それから、三百年後に見直しますなんて、今私が聞いてあなたが答えたって、何の意味もないでしょう、三百年後に我々はどうせ生きてはいないわけですから。そんなものは話にならぬですよ。それで、IAEAのシナリオを三百年後の日本適用して、そこから逆算したというこの方法自体が、全くナンセンスで不合理であるということをまず指摘しておきたいと思うのです。  余り時間がございませんから次に移ります。それで、三百年後にその土地を利用する者が年間一ミリレムの被曝を受ける。そこまでは許容できる。その三百年後における廃棄物の放射線の強さを算出し、そこから逆算して三百年間にどれだけ減衰するかということを見て現在の数値を決めた、こういう御答弁のようだったわけでございます。その際に、シナリオはIAEAのシナリオを使ったということですが、三百年後の話ですけれども年間一ミリレムの被曝を受けるのに対応するところの放射線源の強さの算出についてはどうやったのでしょうか。IAEAの算式があるようですけれども、それをそのまま使用されたのでしょうか。
  62. 石塚貢

    石塚政府委員 計算式はIAEAのものと同じでございますが、個々のパラメーターにつきましては日本の実情に即したものを採用いたしております。
  63. 小澤克介

    小澤(克)委員 私、この計算式というのを拝見したのですけれども、非常に難しいのです。ここで変数といいますか、パラメーターと今おっしゃったからパラメーターというのでしょうか、その数値が全部で十項目ぐらいあるのですね。崩壊定数であるとか作業等屋外時間であるとか、十項目ぐらいのファクターがあるわけです。これですと、この数値をどういう数値を入れるかということによって、もうほとんど無限の結果が出てくるだろうと思うのですよ。これが果たして本当に科学的、合理的な推定ということになり得るのかどうか。十項目について適当な数字をちょっと入れかえるだけで、結果はどうにでも変わってくる。これが果たして妥当性があるのかどうかということを率直に思うわけです。  それはともかくといたしまして、この数式は使ったけれども、パラメーターの値は必ずしもIAEAのを使わないで我が国独自の数字を入れた。これがまたわからない。これはどういうことから独自の数字を入れたのでしょうか。
  64. 石塚貢

    石塚政府委員 まず、IAEA考えましたモデルと日本のモデル、被曝経路は一緒でございますが、仮定しておるモデルは違うわけでございますし、それからまた仮定しておる放射性廃棄物の形状も違うわけでございます。IAEA放射性廃棄物の形状といたしましては、雑固体といいますか、処理しない状態でそのまま焼却するというようなものも含まれておるわけでございます。それに対しまして日本の廃棄物は、一応ドラム缶に固化した固化体というものだけを対象にしておるということがございます。また埋め方につきましても、IAEAの方は、一メーターの深さに置いてその上に一メーターの土を覆うというだけの非常に簡単なものでございますが、日本の場合は、三メーターの穴を掘ってそこに埋めるというような違いもございます。そういったことで、パラメーターにつきましては、そういったモデルの違いによる差異というものは当然出てくるというふうに理解をいたしております。
  65. 小澤克介

    小澤(克)委員 埋めた瞬間からの被曝について考えるのであれば、それはその埋め方による違いというのを勘案するのはそれなりの合理性があろうかと思いますけれども、三百年先の話ですよ。三百年先にドラム缶に詰めて埋めたとか、コンクリートのピットに詰めて埋めたとかそんなことが、三百年間ドラム缶やコンクリートのピットが健全性を保つなんということは考えられないじゃないですか。要するに、シナリオについては先ほど言いましたようにIAEAのをぽんと採用して、そして数式もIAEAを採用して、個々具体的な数値については都合のいいといいますか、三百年後であるにもかかわらずそういった埋め方によって変えるのだ。全く説得性がないと思いませんか。
  66. 石塚貢

    石塚政府委員 この濃度の上限値でございますが、これは何度も繰り返して申し上げておりますとおり、一般論といいますか、すべての人がここまでの範囲であれば許可申請ができる、そういう性格に着目をしてこの上限値の検討がなされたということでございまして、三百年後の評価につきまして、個々の処分場においてはそれぞれの社会環境あるいは自然環境等を考慮いたしまして、そのときにはもうそういった固化体としての形状は保たれていないというふうに考えるのがあるいはいいのかもしれませんけれども、その場合の例えば掘り起こしといったような被曝経路も考慮の上で、実際の個々の安全審査はなされる。この上限値を決めました際の作業は、この範囲であれば申請は受け付ける、しかし、だからといってそれをすべて埋めていいというものではない、そういう性格に着目いたしまして、一つのモデルを設定してそういった計算をしたということでございますので、三百年後の実態というものを正確にあらわしていないという御指摘はそのとおりかもしれませんけれども、その点については個々の処分場が決まりました段階での個々の申請に基づいて、きちっと安全審査がなされるというふうに私ども理解をいたしております。
  67. 小澤克介

    小澤(克)委員 個別のものではなくて一般的な規制だということは最初からそうお答えだし、それを前提にさっきから聞いているじゃないですか。それを前提にこの数字を出しているわけでしょう。その数字の出し万について私伺っているんですよ。  具体的に伺いますけれども、このパラメーターの具体的数字ですが、例えば放射能濃度希釈係数、これはIAEAでは〇・四として算出しているようですが、日本ではこれを〇・六としていると聞いております。これは何でですか。
  68. 石塚貢

    石塚政府委員 申しわけございませんが、大変細かいデータでございますので、今資料をちょっと探しておりますので、後刻答弁をさせていただきます。
  69. 小澤克介

    小澤(克)委員 それじゃそれを保留しまして、次に、このIAEAの数式ではQvというふうに表現されているようですが、農作物の年間摂取量、これをIAEAの方は一人年間平均二百六十キログラム、これだけ農作物を食べる。そのうち敷地内でとれたものが半分と考えて百三十キログラム、こういうふうに計算しているのですが、日本のあなた方のやったのでは、これをたった二十キログラムで計算している。これはどういう根拠があるのでしょうか。
  70. 石塚貢

    石塚政府委員 それは埋設する深さによる違いでございまして、IAEAの場合は一メートルの深さに埋める。したがいまして、その上に栽培された野菜類、葉菜類は、一メーターの深さでございますから、そういった農作物にも影響が出てくるということで、そういったものを摂取するということを考慮しておるわけでございます。  日本の場合は三メーターの下にこれを埋設するということになりますと、その影響を受ける植物、野菜、果物、そういったものにつきましてはかなり限定されてまいるということでございます。具体的に申し上げますと、三メーター下に埋めたものから影響を受けるものは主として果物である。ですから日本の場合は、農作物からの摂取を考える場合には果物の摂取量を考えればよい、そういう仮定で、これはそういう数値になってございます。
  71. 小澤克介

    小澤(克)委員 私はそういうのは全く合理性がないと思います。果物ならば木の根が深いから、三メートル下であっても放射性物質を吸収するだろう、そしてその果物を食うだろう、果物だから野菜に比べれば非常に少ない、こういうことなんでしょうけれども、三百年後に日本人がどれだけ果物を食うかなんて、大体どんな果物をそのころ食べているか全然わからないですよ。それから、木は根が深いということになりますと、その木によって吸収された放射性物質が葉っぱなどに蓄積されて、それが落葉性の場合落ちて地表を覆う、それらを肥料に野菜をつくる、その野菜を人間が食うなんということは幾らでも考えられることですよ。それから、昆虫でアリの種類の中には、二メートルや三メートル穴を掘って巣をつくるなんて幾らでもいると聞いています。これは全く非現実的だと思いますよ。そう思いませんか。
  72. 石塚貢

    石塚政府委員 果物の摂取量、そういったものは日本の果物の需要、現在の統計資料に基づいて算出したものでございますが、三百年後日本の食生活がどうなっているか、そういったことにつきましては、先ほどからも何度も申し上げておりますとおり、その段階で改めて評価をし直す、そして管理を外していいかどうかを検討し直すわけでございますので、今三百年後についてそういうきちっとした評価ができないというのは御指摘のとおりでございますが、後の段階でそれは確認をしていくということでございます。
  73. 小澤克介

    小澤(克)委員 いや、それはいいですけれどもIAEAの数字に比べてこのQv、農作物の年間摂取量について国際的な数値と違った数字を使ったのはなぜかと聞いているのですよ。その根拠を聞いているのです。  もう一つ指摘しますと、農作物への核種移行係数、これについてもIAEAの数字とあなた方がやったのでは十分の一の開きがあるのですよ。これは何を根拠にこんな数字を使っているのかということです。
  74. 石塚貢

    石塚政府委員 パラメーターの細かい差といいますか違いにつきましては、一度データを整理いたしまして、改めて先生に御説明申し上げる機会を得たいと思っておりますが、一般的に申し上げまして、やはりIAEAが採用したモデルと日本考えているモデルの違い、それから日本の自然環境の違い、そういったものから、例えば地下水の分配係数でございますとかいろんなパラメーターが、それぞれの国情といいますか、そういったものに応じて違っているということも事実かと思いますので、そういったそれぞれの採用するパラメーターについては最適のものを採用した結果、IAEAのものとはそういった差が出てきている、一般論としてはそのように申し上げることができるかと思いますが、個々の差につきましては、また改めて御説明する機会をいただきたいと思います。
  75. 小澤克介

    小澤(克)委員 質問通告で、この政令の根拠について聞きます、しかもその根拠になった先ほど指摘した中間報告について聞きますと言っておいたわけですから。先ほどから聞いているのは、この中間報告の範囲を出たところはありませんよ。お答えの準備がないというのは納得できぬですよ。その細かい数字はこれに書いてありませんけれども、これの射程内で質問しているわけですから、この根拠についてそれじゃだめですよ。要するに、三百年後であるにもかかわらず、シナリオについてはIAEAのシナリオをそのまま採用した。数式についてもIAEAの数式をそのまま採用した。しかしその式に代入といいますか、挿入する個々の数値については必ずしもIAEAと同じではない。かなり緩めた数字を使っている。これは全くいいところ取りをしただけなんです。つじつま合わせをしただけなんですよ。一般的抽象的な数値である、個々具体的なものではないというのは繰り返しおっしゃっておりますからわかりますけれども、それにしてももう少し何か科学的合理性のあるものじゃないと、これではだめです。  時間があと五分になりますから、もう一つだけ政令について聞きますけれども、そのようなIAEAの一部を使いながら出した数値をさらに一けた緩めてこの政令の数値を出している、こう書いてあるのです。これはまた何でですか。
  76. 石塚貢

    石塚政府委員 被曝線量あるいはその濃度といったものを計算する際には、平均値を用いておるわけでございます。しかし、実際に埋設場に運び込まれてきます廃棄物は、具体的にはドラム缶でございますけれども、かなりのばらつきの幅があるというのが実態でございますので、そういう意味で、そのばらつきを考慮して、申請できる範囲内といたしましては、その上の方を一応とっておく必要があるということで一けた上げておるわけでございます。したがいまして、これは実際の廃棄物の分布といいますか、濃度の分布についての幅を考慮して、その一けた上の方を許可申請できる範囲内として定めております。
  77. 小澤克介

    小澤(克)委員 これは全くまやかしですよ。平均してしまえば、個々には突出したものがあってもいいんだ、そんなこと成り立たないですよ。広い処分地の中に一カ所非常に放射能の高いものをぽんと入れて、その面積全体で割れば、それは平均は少なくなりますけれども、三百年後にまさにそのポイントに家を建てて住む人だっているわけですから、今のような考え方というのは全く科学的合理性がないはずです。そういうことを指摘しておきます。  それで、もう時間がありませんので、今回は埋め捨てにする対象の放射性濃度について政令で定めたわけですが、次の作業として、このような埋設事業の対象にすらする必要のない、無拘束限界値などという言葉が使われているようですが、そのようなものを定める作業、当然そういうことを意識しておられるのじゃないかと思うのですけれども、その無拘束限界値の設定作業に当たっても、今回のようなこういう手法をとられるわけでしょうか。
  78. 石塚貢

    石塚政府委員 下限値、いわゆる管理を必要としない濃度というものをあらかじめ決めておくということは、それ以下のものであるということが確認されれば、改めて厳しい安全審査を経ないで処分することができる。そういう事務の能率化といいますか、煩雑さを避けるという趣旨で、それでは一体どれくらいの濃度以下であればそういう管理をしない状態で一般の廃棄物と同様の扱いで捨てられるか、その濃度というものをあらかじめ決めておくということは非常に合理的であり、妥当な考え方であるということで、現在その濃度をどういう値にするかということを原子力安全委員会の方で検討を進めておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この限度値以下であるならば改めて埋設事業の許可申請を必要としない、したがって厳しい安全審査も必要としないという性格のものでございますので、慎重の上にも慎重に本件につきましては検討しなければいけないというふうに考えておるわけでございます。ただ、その濃度の設定の仕方につきましては、特定の処分場を想定するわけではございませんので、日本の一般の産業廃棄物がどういう状態で捨てられているか、そういったことも参考としながら、これは原子炉等規制法の中でも、現在事業所外廃棄といった道が開かれてございます。現在その規定によりまして処分できますのは海洋処分と保管廃棄のみでございますが、将来はそういった事業所外廃棄の基準を満たすものであれば、その基準を満たして捨てることができるというような観点から適切なモデルを設定し、かつ公衆に与える被曝線量といたしましては、やはり一ミリレムといったものがその目安となるというふうに考えられております。
  79. 小澤克介

    小澤(克)委員 時間が来ましたのでこれでやめますけれども、先ほどからお話を聞いていても、この政令の根拠の数字が全く合理的なものとして説得的に聞けないわけです。こういう手法IAEAのいいところだけをぽっととって、都合の悪いところは日本独自の数字を使うなどというようなやり方で、今後この無拘束限界値について、こういう手法で定めるというようなことがあっては絶対ならぬということを指摘しておきたいと思いますし、それからもう一つ、近く原燃産業が下北について事業許可申請をするのではないかというようなことも聞いております。その際にはこの一般的規定ではなくて、先ほどから繰り返しておられるとおり個別具体的に審査をするということでございますので、こんな合理性のないやり方がなされることがあってはならぬということを厳重に警告をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  80. 大坪健一郎

    大坪委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十五分休憩      ────◇─────     午後一時五十五分開議
  81. 大坪健一郎

    大坪委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官の所信表明の中にも、利根川博士等のお話もされまして、基礎的研究の強化ということにつきまして大変力説されておられるところでございます。我が国は今日大変な経済大国となったわけでございますけれども、ともすれば欧米先進国の基礎的な研究というものをおかりして、その中でいろいろと我が国の知恵といいますか、応用といいますか、それを非常に生かしてきたという面があろうかと思うのでございます。今日これだけの経済大国になりましても、日本に対する見方というものは、何か人の基礎的な研究というものを借り物にして利用だけしておる、そういう見方が非常に強いのではないかと思うわけでございます。長官もこの基礎研究の充実ということにつきましては非常に力説されておられるわけでございますが、この基礎研究ということにつきましての所感をひとつお伺いしたいと思います。
  83. 加藤昭六

    ○加藤政府委員 先生指摘のように、第二次大戦後、我が国は欧米先進国の技術を積極的に導入して現在に至ったわけでございます。現時点でその科学技術の大きさを研究投資の水準で見ますと、もう既にアメリカ、ヨーロッパの先進国とほぼ同様な水準になっているという状況でございます。科学技術の全体の水準、応用開発研究のレベルにおいては、一部はむしろアメリカを凌駕しているという状況でございまして、大部分においてはヨーロッパを超えているということではございますが、御指摘のように、しかし基礎的な研究におきましてはまだまだ、例えばノーベル賞の受賞の数を見ても日本はまだ五件という状況でございまして、これから基礎研究の充実に努めていかなきゃならないという段階ではないかと思っています。  もとより基礎研究につきましては、単なる経済の大きさばかりでなくて、文化とか社会全体の水準のレベルアップ、成熟が伴って初めてその充実が図られるものというふうに認識しておりますが、これから先生指摘のような方向に沿って鋭意努力を進めてまいりたいと考えておりまして、特に科学技術政策大綱におきましても、三本柱の一つに基礎研究の強化充実を掲げているところでございます。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 そのように力点を基礎研究という点に置いていらっしゃることは非常に結構だと思います。しかし実績というのを見てきますと、主要先進国の一九八〇年から一九八五年の研究開発予算、この実質伸び率を見てまいりますと、フランスが一七・五%、米国が一〇・五%、西ドイツが九・五%、このように伸ばしておるわけでございますが、我が国はこの五年間においてわずか〇・一%の増しかないわけでございます。そうしますと、今答弁がございましたように力を入れているとおっしゃっても、先進国の力の入れ方というものとはこれだけの大きな差があると思うのです。これにつきまして大臣はどういうお考えでございますか。
  85. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 昨今の財政の厳しさの中では大いに努力をしておるつもりでもありますし、また財政当局も科学技術政策の重要性をよく認識していただいて、それなりの対応をしていただいているものと評価をさせていただいておりますけれども、数字上は今お話しのとおりでございまして、まだまだ我々も頑張らなければいかぬし、また財政当局の御奮発もいただきたいなというふうには考えておりますが、今のところは精いっぱいやらせていただいているというふうに考えております。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 えらい素直に今後頑張りますというお話がございましたけれども、これだけ五年間で大きな差があるわけでございますので、さらにひとつ馬力をかけて基礎研究の充実について力を入れていただきたいと思います。  科学技術白書等を見ますと、我が国の研究費総額は八・一兆円、米国の二十五・九兆円に次いで二位になっておるわけでございますけれども、問題は、政府負担割合が非常に小さいと思うのです。米国の場合は四六・八%、西ドイツが三九・六%、フランスに至っては五三・五%。これに対して我が国は一九・四%、二〇%に満たないということなんですね。政府が民間にだけすがっておるという姿勢ではいけないと思うのですね。やはり政府みずからが力を入れる。この点に対してはいかがですか。
  87. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 その点も全く同感でありまして、全体としての研究開発費は、今もお触れでございましたけれども米国に次いで第二番ということでございまして、このことについては胸を張ることができますが、政府負担分が少ないということは、まだまだ我々の大きな努力目標として、政府負担分のシェアを高めるように努力したい、このように考えております。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、主要国におきます分野別の研究費の比率を見ますと、我が国は基礎研究が一二・九%、応用研究が二五・〇%、開発が六二・二%、これで合計一〇〇%ということになるわけでございます。米国は、これは軍事研究も入るわけでございますが、基礎研究が六・七%、西ドイツが二〇・五%、フランスが二〇・九%、基礎研究というものがこのように差があるわけでございます。そういう点で、先ほどから長官のそうした前向きの答弁があるわけでございますから、その姿勢でいいと思いますけれども、今私が数値を挙げて申し上げましたように、基礎研究に対してはこのように差があるわけでございますので、さらに力を入れていただきたい。強く要望いたします。いかがでございますか。
  89. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 先生を初め委員会の皆様方のさらなる御支援を賜りまして、大きな努力目標を掲げてさらに努力をしてまいりたいと思います。この上ともの御支援をお願い申し上げたいと思います。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、日米科学技術協力協定の問題についてお伺いしたいと思います。  非常に難航しておるようでございますけれども、どうもいろいろ御答弁等を聞いておりましても、何か濃霧に包まれておるような感がするわけであります。アメリカとの関係ということで非常に言いにくい点もあろうかと思いますけれども、できるだけそういう姿勢を明らかにしていただかなくてはいけないんじゃないか、このように思うわけでございます。  そこで、まず一つお伺いしたいと思いますのは、現在どういう交渉の段階になっておるかということにつきまして、ひとつお伺いしたいと思います。
  91. 法眼健作

    ○法眼説明員 日米科学技術協力協定交渉でございますが、ちょうど今し方、本件協定について大筋合意に達した模様でございます。ワシントンで、外務、科学技術、通産、文部等の関係者の代表団が先週から行っておりまして、ずっと交渉をしてまいりました。そしてワシントン時間三十日十九時三十分、夕方の七時半に、今度の交渉について大体次のようなことで大筋で合意したということが、現地で小沢官房副長官から記者に対し説明されたという報告が入っております。それで、その内容について簡単に御報告申し上げます。  交渉団双方の間で新協定内容について大筋で合意が見られた。まだ字句の詰めとかそういった事務的な詰めが残っておることもあり、署名までは詳細については申し上げられないが、大筋合意の具体的な内容については次のようなことでございますといって説明されました。そしてその間、その事務的な詰め、ワーディング、言葉、字句上ですね、そういった詰めが残っておるので、現行の協定は三カ月間延長されることになりました。つまり、三月三十一日で切れるわけでございますが、それをなお三カ月間延長して、その間に原則合意が見られた大筋について字句その他事務的な協定上の詰め、そういうことをするということでございます。  内容でございますが、日米間の科学技術協力を拡充するための基本的枠組みをつくるということが第一点でございます。そして第二点といたしましては、協力活動を拡充させ、また両国間の研究者、情報の交流を拡大するということでございます。それから第三点といたしまして、知的所有権の効果的、適正な配分を取り決めるということでございます。そして第四点として、情報公開の原則の確認。そして第五点といたしまして、協定の適切な運営メカニズムの取り決め、これを決めていくということ。それからもう一つの点として情報保護の関係がございます。これにつきましては、まず科学技術情報の公開の原則について確認をいたしました。  それから、安全保障という字句は用いられているようでございますが、我が国の現状を何ら変えるものではない。つまり、日本には科学技術情報の公開について安全保障の観点からの一般的原則はございませんで、原則はそれには一般的な規制はないわけでございますけれども、今度の合意も、このような我が国における一般的規制はないという状況を新協定では何ら変えるものではないということが確保されております。  そして、これからまさにこういった大枠の合意に基づいて、事務的にさらに案文を整理してこしらえていくわけでございまして、先ほど申し上げましたように、三カ月間現在の協定を延長して、その間に新協定をきちんとしたものにする、こういうことになったという報告が先ほど参りました。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 政府の御努力は多とするわけでございます。三カ月延長になり、その間に事務的に詰める、これは大まかな合意には今お聞きしたところ達しておるわけでございますが、やはり心配な点は知的所有権、配分をどうするかということでございます。これは属地主義という、実際アメリカはこれを非常に強力に押してきておる、こう私は見ます。したがって今後の詰めの段階において、これはゆゆしき問題でございますし、この点を十分配慮していただきたいと思います。  それから、安全保障の字句はあるというただいまの報告でございますが、この点も非常に私ども懸念をいたしておるところでございます。実際上の我が国における一般的な規制はないということでございますが、やはりこれも非常に問題であろうかと思います。研究者の特に日本受け入れ等を今後拡大していくかと思いますが、それは結構だと思います。特に、今申し上げました所有権の問題、安全保障の問題、これにつきましては非常に心配な点が多いわけでございます。特に科学技術協力協定というものは、いずれにいたしましても双方合意に達し、きちっとまとめるということは、やはり日米間にとって非常に大事なことです。シンボル的な協定ではないかと思いますが、かといって協定を急ぐ余り、今申し上げたこの二点につきまして、これが本当に安心なもので、クリアしてもらわなければ、変な妥協をしてもらっては困ると思うのです。その点ほぼ合意に達したということでございますが、知的所有権の問題、安全保障の問題についてさらに報告が入っておるかどうか、お伺いしたいと思います。
  93. 法眼健作

    ○法眼説明員 ただいまの第一点の知的所有権の問題でございますが、先ほど私申し上げました知的所有権につきましては、これの効果的、適正な配分を取り決めるということでございまして、私どもといたしましてはこれがケース・バイ・ケース、つまり日米の間でどっちの程度が大きいか、貢献度の大きさ、こういったような点を十分勘案してその配分を決めるというふうに今度の協定では取り決められているのではないかというふうに考えておりまして、その意味から、先生が今御指摘になられました知的所有権、これが一方的に決められてしまうということではなく、ケース・バイ・ケースで適正な配分を取り決めるということが確保されたと理解しております。  それから第二点目の安全保障条項でございますが、これは先ほど申し上げましたとおり、安全保障という表現は用いられているわけでございますが、その表現はそこに用いられてはおっても、我が国の立場、つまり公開の原則とかそういう我が国の現状、これはアメリカ側も十分認識いたしまして、その上でそういった文字が用いられているわけでございます。  私ちょうど出がけに夕刊の早版があったのでございますが、その中でも「知的所有権 貢献に応じ配分」、それから安保条項の言葉は入ったけれども安保義務は負わずというような見出しもついておりまして、それぞれ私ども非常に気にしております二点、その点は先生の御指摘と私ども同様の気持ちでおります。精いっぱい頑張りまして、何とか日本側の主張、立場、これが確保された大枠ができたと考えておりまして、先生先ほど申されましたとおり、事務的なワーディング、字句上の詰めにおいてもこれをきちっとした形で貫きたいと考えております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 知的所有権の配分の点ですけれども、従来アメリカは属地主義ということを強力に主張しているわけですね。そうしますと、例えばアメリカで研究をする、実際はそこにおったスタッフはよしんば九割が日本人の研究者であったとした場合でも、アメリカという土地でこれは研究したんだ、どういうように向こうは出てくるか、やはりそういう詳細なあらゆる想定できるケースということを考えて詰めておかないと、ここは今後話し合いによってやります、抽象論でいくならば、これは必ずアメリカの属地主義ということで我が国に大きな弊害をもたらすことは間違いない、このように思います。  またこの安保条項、これも心配ないと言いますけれども、実際これできちっとうたわれるわけでございますから、結局文字のひとり歩きといいますか、これは必ず問題を後に残してくる。ですから、これもそういう心配がないのかどうかということの再度の固めをきちっとやる必要がある、このように思います。したがいまして、今申し上げた第一の知的所有権の問題につきましては、いろんなケースを想定したものをきちっとするかどうか、また安保条項についても、重ねてのそういう心配な点がない何らかの補足の文言も入れ、きちっとするのかどうか、これについてもう一度お伺いしたいと思います。
  95. 法眼健作

    ○法眼説明員 知的所有権の点でございますが、これは若干過去の経緯を申し上げますと、大まかに申し上げまして三つの場合が想定されると思います。  まず第一は、例えばある発明が行われた場合に、大まかに申しまして、研究者が派遣されている場合には派遣国が派遣国における申請権を得るのか、それから受け入れ国は受け入れ国における申請権を得るのか、それから第三国における申請権はどうなるのか、こんなような場合に整理されると思いますが、こういうような点につきまして、現地から来ております先ほど申し上げました報告は、効果的、適正な配分を取り決めるということでございまして、この点につきましては、先生のただいま申された点、私どもも十分認識をしておりまして、なお十分念頭に置きワーディング等の詰めを行いたいと思います。  それから安全保障の問題でございますが、この点につきましても、私ども交渉姿勢は一貫して情報公開の原則ということ、これを主張してまいりまして、そして現地から来ております報告は、このような現状を新協定下では変えるものではないということでございます。この点は副長官も現地でそのようにプレスに対して申されておりまして、今先生の御指摘の、事務的な詰めのときにはなお抜かりなくしっかりやれとおっしゃる点、私どもも十分踏まえて対処させていただきたいと思います。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはただ言葉だけではだめだと思いますね。ですからやはり補足の条文の何かをつけるとか、きちっとしたフォローをやってもらいたい、このように思いますが、いかがですか。
  97. 法眼健作

    ○法眼説明員 どれをどういうふうにつけるかとか、そういった点につきましてはまだ現地から正式な報告も来ておりませんし、それからどういった形でそういった点をするかという具体的な面につきましては、今この席で、この段階で、何せ現地からの報告も限られたものしかございませんので、私といたしましては的確にどれをどういうふうにつけるとか、どれをどういうふうにするということを申し上げる立場にはございませんが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、我が国の現状を何ら変えるものではないという点に立脚いたしまして、できる限りしっかりと今後の詰めをしたいと考えております。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣お聞きのとおり、大臣も懸念されておる問題は同様かと思いますが、この点につきましてはひとつきちっと、あと三カ月の作業があるわけでございますし、押さえるべき点は十分押さえて、ひとつそういう片手落ちのないように特に要望したいと思います。御返事いただきたいと思います。
  99. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 御指摘の点、また従来我々が貫いてまいりました日本基本的立場というものはしっかりと維持、確保するように、これからのワーディングの問題等でしっかりと詰めてまいりたい、そしてその御要望に沿いたいと思っております。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に日米原子力協定の問題でございますが、米国議会の審議が非常に難航しておるようでございます。まずこの米国議会の状況、今後どういうように展開していくのか、見通し等ありましたらお伺いしたいと思います。
  101. 松井隆

    松井政府委員 新しい日米原子力協力協定、これは昨年の十一月九日にアメリカ政府米国議会に提出したわけでございます。それで、向こうでは九十日の会期が必要なわけでございまして、その議会の承認手続が今進行しているという段階でございます。  それで、米国議会においていろいろな意見がございまして、それを大別して申し上げますと、一つは、今度の新しい原子力協定におきましては包括事前同意方式、そういうのをとってございます。そのやり方がアメリカ国内法であります核不拡散法の要件を満たしていないのではないかと疑問視する向き、そういった意味からのいろいろな疑問点、反対が出ております。それからもう一点は、プルトニウム航空輸送でございます。プルトニウムの輸送に関しましては、航空輸送の場合にはその包括同意という対象になってございます。もし海で輸送するならば個別同意という形になってございます。そのプルトニウム航空輸送、それの安全性が確保されるのかということについて懸念を表明する向き、これは主としてアラスカ州選出の議員等から出されている問題でございます。そういった大きな二つ動きがあるというふうに承知しております。  それで、まずプルトニウムの輸送の方の問題でございますけれども、これにつきましてはマコウスキーという共和党のアラスカ州選出の議員の方からいろいろと話があるわけでございまして、この方の提案によりまして、プルトニウム航空輸送容器安全性確認のために、現在アメリカの政府、これは具体的にはNRCがつくっている安全規制基準NUREG〇三六〇というものでございますが、その基準にさらに追加して、最高巡航高度から容器落下試験してみたらどうかとか、それからもう一つは、飛行機に実際にプルトニウム輸送容器を積んで、クラッシュテストと言っておりますけれども、そういうものをやったらどうかというような幾つかの提案がございまして、そういった内容の提案が十二月二十二日に成立してございます。  それからもう一点の、最初の方に申しました米国国内の核不拡散法の要件を満たしているかどうかという問題につきましては、まず米議会動きと申しますと、昨年の十二月十七日でございますけれども上院外交委員会大統領に対しまして、新協定米国の核不拡散法の要件を満たしていないというふうに判断する、そういう書簡を送付しております。また十二月二十一日には、下院の外交委員会の有志の人が同様の書簡大統領に送付しているというふうに承知しております。それからさらに、ことしになりましてから、上院でございますけれども、バード院内総務、ドール院内総務、この両名が、新協定はそういった意味合いから問題がある、新協定を不承認という決議案、そういう決議案も提出されております。それから、二月になりましてまた新しい違った動き、同じような動きでございますけれども、やはり上院の一部の方から、これはアメリカ国内の核不拡散法を満たしていない、したがって再提出をしなさいということを義務づける法案、そういうものも上院に出されておる。また一方、下院でも一部の方から同趣旨法律案も出されておる。こういうような動きがかなりございました。  これに対しまして、一月の二十九日でございますけれどもアメリカ行政府が、レーガン大統領がかなり詳細なペーパーを出しまして、新協定米国国内法である核不拡散法、この要件を満たしているということを再確認するというような趣旨書簡も出してございます。また上院では一方、そういった反対動きに対しまして、エバンスさんという上院議員でございますけれども、八名くらいの上院議員がすべての上院議員に対しまして、この協定を支持するという書簡を発出しているというようなこともございます。また下院でも同じような書簡が出ているというようなことがございます。  そういうような状況でずっと来てまいったわけでございますけれども、そういう中で、米国行政府はいろいろと議会の方に御説明したんだと思います。三月の二十一日になりますけれども、先ほど申しました、この協定国内法を満たしてないから不承認とすべきであるという決議案が出ておりますけれども、その決議案について採決がされたわけでございます。その採決の結果は、協定不承認決議案に賛成する者が三十、反対する者が五十三で、この協定不承認決議案が否決されました。そういうことで、今までいろんな動きはございましたけれども、やはりこの協定を不承認とするということについては五十三名の人が反対ということに票を投じたわけでございまして、そういう意味では、米国議会での審議が大分この協定を支持するという方向で進んでいるものというふうに承知しております。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 大体の状況はわかりました。特に安全性という点で、我が国としましては特に原子力アレルギーといいますか、これが非常に強いわけでございますし、米国内におきましてもそういうような心配点がある。また日本国民の中にも、角度を変えたそういういろんな心配点というものが指摘されるわけでございます。  特にプルトニウム輸送につきましては我々も非常に心配しておるわけでございますが、現在動燃事業団とアメリカのバッテル・コロンバス研究所が共同でPAT3、これの輸送容器をやっておるわけでございますけれども、これは二トンの容器の中にプルトニウム六、七キログラムということでございまして、そうなってきますと、ボーイング747くらいのジャンボ機で一便で大体二百から二百五十キロぐらい、だから大体月二便くらいの頻繁さでやらなければできないだろう、こういうような報告も出ているわけですね。ところが、この容器自体も大丈夫なんですか。科学技術庁はどういう報告を受けていますか。
  103. 松井隆

    松井政府委員 プルトニウム航空輸送する場合の輸送容器開発でございます。先ほど先生の御指摘のとおり、昭和五十九年から動燃事業団が輸送容器開発をしているわけでございます。それで、輸送容器開発と申しましても一体どういう条件開発するかということがございまして、これにつきましては、先ほどちょっと申しましたアメリカの規制委員会がつくっておりますNU REG〇三六〇、こういった条件、これは非常に厳しい条件でございますけれども、その条件を満足するような形でどういうふうにつくったらそういうふうになるかという開発を進めているわけでございます。  具体的に申し上げますと、これはかなり過酷なテストでございまして、飛行機が落ちたということを想定してやるわけでございまして、まずその輸送容器が毎秒百二十九メートル以上のスピードで落下しても大丈夫という形でテストをしているわけでございます。さらにその落下して大丈夫だったものが、いろんな飛行機の中で内容物がぶつかったりしたというようなことを想定いたしまして幾つかのテストをやりまして、さらに最後に、それを今度は火災ということを想定して燃やすわけでございます。そういったようなテストをして開発しているわけでございます。それで、開発につきましては、一昨年度と昨年度、そういったテストをする施設日本にないものでございますから、アメリカのサンディアにサンディア国立研究所というのがございますけれども、そこで二回にわたり試験を行ってございます。それで、二回目の試験ではかなり有用な知見、データも得られまして、そういうことをもちまして今動燃事業団は、輸送容器開発の見通しが得られたという自信を深めているところでございます。  なお、この輸送容器につきましては、先ほど説明いたしましたマコウスキーが新たな条件をつけているという問題もございます。その辺がこれからどういうふうになるかという問題もございますけれども、そういった条件も満たすような形で輸送容器開発を進めているということをやっている次第でございます。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう一つは空輸の飛行経路の問題ですけれども、これはアメリカ、カナダが非常に反対していますね。そうしますと、イギリス、フランスでその処理を終えて、どういう飛行コースを想定されているのですか。
  105. 松井隆

    松井政府委員 現在、どういうコースをとるかということについてまだ具体的に検討が進められている段階ではございません。ただ、先生御案内のとおり、一つはまず、例の今度の新協定によりますと、その附属書五というところに幾つかの条件が書いてございます。つまり、平たく申しますと北極経由ないしは社会的動乱のないところというようなところを通るわけでございまして、その場合にも、アメリカの最近の議会の動向から見ますと、ノンストップの可能性ということも考えているわけでございます。そういった可能性も含めてこれから検討していく問題でございまして、まだ具体的にどのコースをどう通るというところまでいっておりません。御案内のとおり、これは実際輸送するときには、当然輸送計画をつくらなければいけないわけでございます。輸送計画をつくるについては、当然関係する国の協力あるいは援助も得ながらやるわけでございますから、そこまでいくにはまだもう少し時間がかかるわけでございまして、もうしばらく時間は猶予いただきたいというふうに思っております。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 その辺は万全の上にも万全を期して、容器の問題あるいはまた飛行ルートの問題、そういう点は政府において慎重に今後対策をとっていただきたい、このように思うわけでございます。  それで原発の問題でございますけれども、最近トラブルが非常に続発をしておる、このように思うわけでございます。私も一月、福井県の方に視察に行ってきたわけでございますけれども、高浜原発一号炉、これは脱落した部品が絡まったということで原子炉が手動停止をした、こういうようなこと。いろいろ見てまいりますと、昨年の七月ですか、高浜原発一号機、同様の事件が大飯原発一号機、それから美浜原発三号機、大飯二号機、こういう問題が一つは出ておる。あるいはまた日本原電の敦賀発電所二号機、これは作業員のミスでそういう事故もあった。こういう事故の続発について政府はどのように受けとめておりますか。
  107. 三角逸郎

    ○三角説明員 御説明申し上げます。  今先生から御指摘のように、例えば旧年中におきますところの高浜における故障、トラブル、それから年が明けましたところの人為ミスによるところの敦賀におけるトラブル等、このところ故障、トラブル等が若干発生してございます。ただ、きょうは三月三十一日ということで年度末でございますが、通年を通しますれば本年度、実は通産省の方に電気事業法もしくは原子炉等規制法に基づきまして電気事業者から報告があるわけでございますけれども、そのような故障等の件数は前年度と同水準の十九件といったようなことになってございます。そういう意味で、全体を通年して見ますとそれほど数としてはふえてない。むしろ旧年中における新しい原子力発電所の運転開始等々に伴いまして、一基当たりの基数に対しますところのトラブル率と申しますか、それについてはこのところ大分落ちついておるということでございます。  それから、もちろん安全には万全を期す必要がございますが、諸外国等との比較で申しますれば、これは一つの目安でございますので、これがすべてというわけではございませんが、一年当たり一炉でもって自動的に安全保護回路が働いてとまるといったような自動停止回数等々の比較が一つの参考ということになろうかと思うのですが、そういう参考値を見てみますと、日本の場合は大体一炉年当たり〇・三回とか四回ということで、国際的に見ますれば、日本の場合には原子力発電所というのは極めて良好なパフォーマンスを有しているのではなかろうかと思います。  ただ、先生指摘のように、最近そういうことで原子力発電所のトラブル等が目立つということでございます。我々としては、原子力発電所の運転に当たってございますところの電気事業者が、安全をいやしくも軽んずるといったような風潮があるとは考えてございませんけれども、いずれにしましても、今御説明申し上げましたような安全実績といったようなことに甘んずることなく、安全の確保を大前提といたしまして、今後とも電気事業者を大いに監督指導していきたいと考えております。具体的には、そのような安全意識の高揚といったことも各地で指摘されておるわけでございますが、我々の方で去年に創設いたしました例えば原子力発電の安全月間といったような催し物もございますし、そういうところを充実しながら、安全意識の高揚といったようなことを含めてきちっとした対策、きちっとした指導をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 原発につきましては国民の八割が不安を持っておる。特に、これはチェルノブイリの大事故の後の調査でございますけれども、ほとんどの国民がやはり不安を持っておるということ、これは事実であります。したがいまして、他国と比較をして数値を今言われたわけでございますが、そんな数値は何の問題でもないと私は思う。その数値はゼロにならなければいかぬわけです。そういう数値自体は人為的なミスということが非常に多いわけですね。ですから、これは安全を期して徹底した指導を政府はしなければいけない、こう思います。  それで、先ほど私が指摘したいわゆる定期検査を早く何とかということで、仕切り板のために七・八キロのものをつけているわけでございますけれども、私も現地に行ってそれを見てきましたが、その辺のところは基本設計の政府の審査というか、それの除外、電力会社に任された中でのことである。しかし、大変な高圧の蒸気が舞う中で、そういうボルトなりなんなりが大きな引き金になって、またどういう大事故に発展をするかわからない。そういうことを考えますと、電力会社の裁量に任せていいのかどうか。あらゆる細かい、細部に至るまで、政府は事前の審査なりそういうことをしなければいけないんじゃないか、私は非常にそのことを感じたわけでございます。この点いかがでございますか。
  109. 山本欣市

    ○山本説明員 お答え申し上げます。  原子力発電所の安全確保につきましては、官民が協力をして実施をしてまいらなければならないということでございます。当省といたしましては、今先生指摘の大飯、高浜の金具取りつけにつきましては許認可の対象外ということでございまして、基本的には電気事業者の自主保安管理体制ということを尊重していく必要性があるというふうに考えてございますけれども、今回トラブルが起こったというようなことにかんがみまして、安全確保を一層充実させる観点から、品質保証活動を含めました電気事業者の自主保安管理体制につきまして、より一層厳格な指導監督をしてまいりたいというふうに考えてございます。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは強くそういう政府の関与といいますか、一度大事故があればおしまいですよ、これは。小さなことと思うことが大事に来ることは間違いないのです。その点を特に強く要求いたしておきます。今、今後そういうようにフォローするということでございましたから、今後の政府の態度というものを見守っていきたい、このように思っております。  それから定期検査、これは非常に力を入れてやっておられるわけでございますが、最近稼働率もいいということで、現行十三カ月で定期検査に入るわけですが、これを十五カ月に延長を検討するというようなことを耳にしておるわけでございます。そういう状態で十五カ月に延長していいんですか。今こういうような事故もいろいろ出ておるわけでしょう。定期検査とかいろんな中でそれを未然に防止をしてきておる。また指摘をしてきておる。今やこれだけ安全性がやかましく言われておる中で、なぜ延長するのですか。延長する理由を聞かせてください。
  111. 三角逸郎

    ○三角説明員 御説明申し上げます。  今先生から定期検査の期間の延長について御指摘があったわけでございますが、今の我々の立場といたしましては、原子力発電所の定期検査といいますのは、電気事業法に基づきまして、これは四十七条になりますが、定期検査の終了から実は十二カ月プラスとマイナス一カ月の範囲内で次の定検をやるということになってございまして、ほぼ現在は一年に一回の割合で行われておるということでございます。  御指摘の十三カ月を十五カ月ということがあったわけでございますが、現状は、定期検査そのものが安全の確保に持っておるところの意義、意味合いに徴しまして、我々としては定期検査そのものの日数について技術的に今勉強をしておるということでございまして、それを決めたとか、これからそうするようになっておるといったようなことではございませんが、原子力発電所のいわゆる高度な運用といったようなことも含めて、安全を大前提といったようなことを常に念頭に置きながら、定期検査そのものを簡略化するとか合理化するといったようなことじゃございませんで、前提をあくまでも安全確保ということに置きながら技術的に研究をしておる、こういう段階でございます。  以上でございます。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 念を押しますが、あくまでも研究ですな。いずれにしても、これだけ安全性がやかましく言われておる中で、政府が果たす定期検査というものは極めて重い意味があるわけです。ですから、余り国民を心配させないようにひとつやっていただきたい、このように思います。特に、私が指摘したように人為的なミスというものが非常に多いわけですね。これについては、厳重に通達すると言えばそれまでのことですけれども、政府の態度はどうですか。
  113. 三角逸郎

    ○三角説明員 御説明申し上げます。  最近人為ミスが多いといったようなことが原因としまして挙げられているという御指摘でございます。人為ミスと一言で報道等でございますけれども、その定義だとか範囲はなかなか難しゅうございます。必ずしも明確ではございませんが、仮に運転操作だとか定期検査の作業中の誤りだとか、ないしは不適切といったようなことが原因で起こったといったようなことを考えますと、毎年数件がこういうことであるという話になろうかと思います。  今回の敦賀等のトラブル等に関しましても、具体的には施錠の管理だとか、あわせてヒューマンファクターに関する認識を新たにするといったようなことで、いわゆる人が絡んだ、人の不適切さ、もしくは運転操作上のちょっとした誤りといったようなことが、結果として、これは安全に自動保護回路が働いてとまるわけでございますけれども、それでもやはり原子力発電所に対する信頼といったようなことについて問題を惹起するわけでございまして、我々としても、今後ともいわゆる人為ミスについてのトラブル防止ということで電気事業者を積極的に指導してまいりたいと思います。ちなみに、ヒューマンファクターと人為ミスとは若干違いますけれども、いわゆる設計面、それからいわゆる人、両々相まって安全な運転ができるわけでございまして、そういう観点で我が方といたしましても、ヒューマンファクターに関する研究といったようなこともこれから力を入れてやっていきたいというふうなことでございます。  以上でございます。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 大分時間も迫ってきましたので、はしょってあと何点か聞いていきたいと思いますが、四国電力の伊方発電所、非常に住民の反対運動があったわけですけれども、この出力調整をなぜこんなに強力にしなければいけなかったのか、その問題なんですよ。なぜもっとみんなの理解を得るような、また時間的な点でも納得できるような説明をしないで強行したのか。なぜこういう強行をやったのですか。
  115. 松井隆

    松井政府委員 先生御案内のとおり、原子力発電は現在、常時フルに運転するといういわゆるベース電源として運用されておるわけでございます。しかし、今後原子力発電が基軸エネルギーとして着実に推進され、総発電電力量に占める原子力の割合が高くなるということになりますと、季節とかあるいは時間帯によって、水力、火力等による発電量を極力抑えても発電量が電力の需要量を上回る、そういうことが想定されますものですから、そういうものをテストしておくことが必要だというふうに理解しております。  それで、御指摘の今回の試験でございますけれども、まずこの試験安全性につきましては、二月十日に発表された原子力安全委員長の談話にもあるとおり問題ないというふうに理解してございますけれども本件について、確かに地元の方々から理解を得るべく電気事業者がいろいろとやったと思いますが、今後とも我々としては、原子力の開発利用を進めていくという立場から申し上げますと、安全の確保に万全を期すということと、住民の立場に立った懇切丁寧なPRと申しますか広報と申しますか、そういうものをやって国民の理解を得ていくということが必要かなというふうに考えておる次第でございます。
  116. 近江巳記夫

    ○近江委員 出力調整というのは、チェルノブイリのときも稼働しながらやっているわけですね。この実用炉でそういう中で出力試験をやる、これは心配な点が非常に多い、このように私は見るわけです。こういうことを頻繁にやるということは安全性において非常に大きな疑問がある。ですから、九電力がそういう電力の運用といいますか、お互いがカバーするという方向に立てば、原発のそういう出力調整ということは少し早い。やはりこれだけ安全性という点について危惧しているわけでございますから、もっと九電力のお互いのそういうバックアップというか、広域体制で今後考えていくべきだ、このように私は思います。ですから、これは一遍九電力会社に政府の方からよく指導するようにしてもらいたい、こう思います。これは強く要望しておきます。長官、よろしいですか。ちょっと返事を下さい。
  117. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 実際の原発をやっております九電力側とも十分調整を図ってまいりたいと思います。先ほど原子力局長からも答弁をしましたとおり、地元の住民に対して無用の不安を与えるということは、原子力行政を進める上においても決して好ましいことではございませんので、九電力側にも、そういう地元との常に良好な関係が持てるような、そういうPRの努力とか広報の努力というものを私の方からもぜひ進めるように行政指導してまいりたいと思っております。
  118. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が質問したのとちょっと観点が違うんですよ。出力調整ということは、ピークのときまたは下のときにいわゆる調整をしよう。ところがその調整ということは、安全性という点においてまだまだ解明されてない問題が非常にたくさんあるわけですね。それは心配が非常に多い。したがって、電力のそういうお互いの融通といいますか、九電力間で調整をしてカバーし合っていくならば、原発の出力調整にまで至らなくてもできるのではないか。それをもう一度よく考えなさい、それをよく指導しなさいということを私は申し上げている。どうですか。
  119. 松井隆

    松井政府委員 九電力で全部の電気をうまく融通し合えば、確かにおっしゃるとおりな結果になろうかと思っております。その辺はまた通産省とも十分相談する必要がございますものですから、私ども少し中で検討させていただきたいと思います。
  120. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、そういう方向でお願いします。  次に、地震の問題を聞きたいと思います。御承知のように、この三月十八日未明、東京都心部を震源とする東京直下型地震が発生しました。皆さんも本当にびっくりした人が多いと思いますが、この直下型地震の問題についてお伺いしたいと思うのです。  我が国ではどの程度のマグニチュードの地震であると予知できるのか。この直下型地震の予知は非常に困難があろうかと思うのでございますが、東京ガス等の計測による震度は気象庁が発表する震度よりも大きいわけですけれども、これは一体どうなっておるのか。計測器による震度測定についてかなり開発研究が進められておるわけですけれども、実用化はいつごろになるのか、この点についてお伺いしたいと思います。御承知のように科学技術庁は地震予知推進本部を持っておるわけでございますから、一番中核の官庁なのです。ですから、今申し上げた点についてまずお伺いしたいと思います。
  121. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の方から御指摘のあった地震予知の見通しでございます。現在我々の方は種々の研究開発計画を推し進めているわけでございますが、特に測地学審議会の地震予知計画、あるいは内閣総理大臣が決定いたしました防災に関する研究開発基本計画にのっとってやっておるわけでございます。  第一の御質問でございます予知がある程度できそうだと言われるものについて、まだ学問的に正確には申し上げられませんが、マグニチュード八程度以上のものについては、ある程度の観測密度を高めることによって可能になってくるだろうということで、東海地震といいましょうか地区について、特に重点監視地域を設けて計測密度を高めているという状況にございます。それでは、この間起こりましたようなマグニチュード七クラス以下ということになりますが、これについては研究がまだ非常に浅うございます。しかしながら、事の重要性にかんがみまして、内陸のいわゆる直下型につながりますマグニチュード七級の地震予知につきましては、六十二年度から振興調整費を活用いたしまして約二億五千万円、関係機関と共同で研究するための緒についた段階というふうになっております。  それから、現在発表されておりますいわゆる体感震度というものの計測化といいましょうか、科学的な計測数値化という点については種々検討しておるわけでございます。特に気象庁の内部でも種々検討されているというふうに伺っておりますが、まだ決定的ないい計測器というものについて、開発が順調に進んでいない状況にあるというふうに伺っております。片や、意外に体感震度というのが被害の実情という観点からいうと妥当なといいましょうか、わかりやすい、被害程度を想定するにいい目安になっているというような意見も一部にはございますので、そういう意味で、機械的な計測によって震度を決めるという段階にはまだ至ってないというふうに承知をいたしております。
  122. 近江巳記夫

    ○近江委員 運輸省は六十二年度何ぼでした。今年度は何ぼなのですか。それから科学技術庁は、この直下型地震に対する研究費は幾らつけていますか。昨年度と今年度について、科学技術庁と運輸省両方に聞きます。
  123. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 まず科学技術庁でございます。  平野部の直下型地震に関する予知手法ということでの研究については、科学技術庁国立防災科学技術センターに六十二年度に一千八百万円を計上いたしております。六十三年度については、地震発生機構に関する研究という少し範囲を広げました枠の中で一億二千九百万円:::(近江委員「この直下型地震についてはどうですか」と呼ぶ)その中に含まれております。総合化したテーマで整備をしております。それから、特に関連するものといたしましては、首都圏の南部における微細な地震を調べるための深層観測井というのを岩槻等三カ所に設けまして、これにやはり一億八千万円程度を投じておりまして、これも今後観測を継続することによって、直下型地震に対する何らかの示唆を与えてくれるものというふうに考えております。  それから、先ほど申し上げましたマグニチュード七クラスの内陸型の地震予知については、六十二年度から振興調整費で、第一期をほぼ三年程度と考えておりますが、二億五千万円を計上して現在取り組んでいるところでございます。
  124. 近江巳記夫

    ○近江委員 直下型地震というのは、過去の歴史を調べましても一番被害が大きいわけです。したがいまして、今は特に科学技術庁の予算などは広げた中の予算をおっしゃったわけですけれども、それでは本当に直下型地震ということでどれだけ予算をかけてやるのか。これなども非常に際どい答弁ですよ。広げたから辛うじて予算をつけています、そこまで私言いませんけれども、いずれにしても政府としては真剣な取り組み体制をして、そういう不安のないように万全の対策を講じてもらいたい、これを申し上げておきます。  時間がありませんから、あと二点だけお聞きします。  一つは海洋開発の問題ですけれども、国連海洋法会議が一九八二年四月三十日に国連海洋法条約を採択して一応のルールをつくりまして、我が国としては十二月十八日にハワイ南東の深海底、ほぼ北海道の面積に相当する広さ七万五千平方キロの鉱区を国連海洋法条約準備委員会に登録したわけでございます。そこで、鉱区登録後の政府の取り組みについてお伺いしたいと思います。  なお、この海洋開発につきましては、関係省庁が科学技術庁ほか十三省庁と非常に多岐にまたがっておるわけです。したがいまして、私どもはもう既に党として海洋開発基本法案あるいは海洋開発委員会設置法案等を提出しておるわけでございますが、政府の立ちおくれがひどいと思います。したがって、今後どういう基本的な考えに立っておられるのか、この二点についてお伺いします。
  125. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 私の方からは二番目におっしゃいました点に関してお答えを申し上げたいと存じます。  御案内のように、海洋開発に関係いたします省庁は現在十一省庁に上っておりまして、総理府にございます海洋開発審議会という審議機関で種々政策等の審議を行いました上で、それぞれが分担をして実施しております。しかしながら、先生指摘のように、全体としての総合調整が円滑に動いてないではないかという御批判もございまして、特に昭和五十五年六月に内閣に官房副長官を議長といたします海洋開発関係省庁連絡会議を設けまして、ここで年度ごとのそれぞれの各省庁の海洋開発計画を総合的に調整するということを現在進めておるわけでございます。  それから、既に公明党の方から海洋開発基本法が先般の国会で上程されておりまして、現在も継続審議になっているやに私ども承知いたしております。今後こういう海洋開発をどのような法体系のもとで進めるかということについては、現在海洋法条約そのものについても米国の動向がいま一つ定かでないことなどもございますし、国内的にも事は港湾から水産業にまで広がる種々の複雑な既存の仕組みがあるということも十分考えながら、なお少し勉強をさせていただきたいと考えておる次第で、残念ながら、現在こうするという方針を申し上げるわけにはまいらない状況でございます。
  126. 林由紀夫

    ○林説明員 マンガン団塊の鉱区登録につきましては、先生指摘のように、昨年の十二月十八日に国連海洋法条約準備委員会におきまして、我が国及びフランスとソ連の鉱区の登録が決定されたところでございます。したがいまして、我が国としましては、今後は将来の商業生産開始に向けまして、当面取得しました鉱区において、鉱量の評価を中心として詳細な探査活動を継続してまいりたいと思っております。それからさらに、既に昭和五十六年度からいわゆる大型プロジェクト制度にのっとりまして、マンガン団塊の採鉱システム開発を現在行っております。したがいまして、今後もこのマンガン団塊の採鉱システム技術開発の一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間が来ましたので終わりたいと思いますが、あと一つだけ、STOL機の飛鳥の問題でございますが、最後に大臣にお伺いしたいと思います。  この成果を生かした第二実験機等、次世代に向けた技術開発等考えておられるのかどうか。石原運輸大臣は非常に積極的にSTOL機を開発してもらいたいというような表明もしておるわけでございますが、長官はこのSTOL機についてどういうお考えをお持ちなのか、構想をお持ちであればそれをお聞きして、私の質問を終わります。
  128. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 今お話が出ましたように、石原運輸大臣から熱心に開発のことについて意見具申をちょうだいしておりまして、そのことを事務当局にも正確に指示し、伝えておりますけれども、そのことにつきまして政府委員の方から説明させていただきます。
  129. 川崎雅弘

    ○川崎(雅)政府委員 御案内のように、STOL機飛鳥は、実験機としてC1という国内で開発した輸送機の胴体を借用してテストをしておるものでございまして、五十二年度から開発に着手いたしまして、おかげさまで離着陸も所期の性能を上げることが確実になってまいりました。私どもとしてはさらに六十三年度も実験飛行を重ねまして、将来の実用化に備えての設計基準に必要となるような種々のデータを蓄積し、それをデータベースとして次の発展につなげるような努力をしていきたいと思っております。  今の中で実用化の問題については、現在いろいろなところでいろいろの御議論がされているわけですが、具体的にどういう方向で実用化が図られるというところまではまだまとまってはおりません。しかし私どもとしては、そういう実用化の方向が出てくれば、この飛鳥から得られました種々のデータをそのままフィードすることによって、その実用化へ向けての計画を加速することが可能になるだろうと考えております。
  130. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。ありがとうございました。
  131. 大坪健一郎

    大坪委員長 矢島恒夫君。
  132. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、前回当委員会で伊方原発の出力調整試験について質問したわけですが、時間がなくなりまして途中で終わっておりますので、まずそのことで内田委員長にお聞きしたいのです。  委員長、あなたは二月十日に「四国電力(株)伊方発電所二号炉の出力調整運転試験について」という談話を発表されていらっしゃいます。その二番のところに、「念には念を入れる観点から」ということで、「日常的に行う計画があれば」「安全性確認していく所存である。」こういうように述べられているわけですが、このことは、例えば季節的な需要によって、正月など十日前後の出力調整、または出力調整試験の回数に関係なく日常的な出力調整運転に相当するということでチェックする、こういうことでございますか。
  133. 内田秀雄

    ○内田説明員 出力調整運転と申しますのは、一日をサイクルとして出力を調整運転することであると理解しておりますが、日常的と申しますのは電力供給の必要性に応じて随時調整運転をすることである、こう思っておる次第でございます。
  134. 矢島恒夫

    ○矢島委員 その談話の中で、「通商産業省から説明を受け」こういう文字が入っているわけですけれども、通産省のこれこれこういうことで安全だという説明を受けたからといって、ああそれでは安全だとこういう談話を発表されたのでは困るわけでして、やはり安全委員会委員長としてこの問題に対処していただかなきゃるわけなんですが、通産省からの説明を受けて何をチェックするということでございましょうか。
  135. 内田秀雄

    ○内田説明員 通産省から運転計画の中に出力調整運転をどのように取り入れるか、どういう出力調整の仕方をするかという説明を受けまして、それが審査しました基本設計並びに基本的設計方針の範囲内に入っているかどうかということを念には念を入れて審査することでございます。
  136. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この問題は非常に国民も重大な関心を持っていることでもあり、同時に日経新聞の二月の十九日の報道などによりますと、「出力調整運転の本格化時期をめぐっても、電力業界と原子力安全委員会の見通しは食い違っており、これが混乱の一因にもなった。東京電力や関西電力では、数年先には年に十日前後は出力調整をするようになると想定している。」この委員会でもこの問題についての質問に対して、当面そういうことは出力調整運転ということではないんだという答弁を行っているわけですけれども、非常に認識のずれが電力会社と行政当局との間にはあるんじゃないか。このことは極めて重大だということを指摘したいと思うのです。同時に、許認可の範囲であっても、この出力調整については安全委員会としてチェックするということを確認してよろしいですか。
  137. 内田秀雄

    ○内田説明員 新聞に報道されていますという先生お話内容については私よく存じませんが、要するに安全委員会としましては、通産省から運転計画の中の出力調整の仕方並びに出力調整運転の内容について説明を受けて、初めてそれが審査の立場でどういうように基本設計とのかかわり合いがあるかということを審議することでありまして、通産省からの説明がございませんと、今直ちにどういうものであるかということはちょっと私は申し上げることはできないのでございます。
  138. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いずれにしろ、これだけの国民の重大な関心事ですから、安全の面については十分安全委員会としてチェックしていくということを要求するわけです。  そこで長官にお聞きしたいのですけれども、この出力調整試験中にポンプや弁に故障が起きたとき、どのように安全を確保するかの安全研究というのは、我が国ではこれからの研究課題になっていると思いますけれども、そういうことですね。
  139. 石塚貢

    石塚政府委員 出力調整運転をやっている最中に何かトラブルが起きたときの対応策という御指摘でございますが、この出力調整運転、出力を下げて運転している状況でございまして、その間に起きますトラブルがどういう現象を呈するか、これは安全審査の段階でいろいろな事故を想定いたしまして安全評価を行っておるわけでございますが、そういったもので全部フォローアップされておるというふうに私ども理解をいたしておりますから、そのために、出力調整運転を行っている最中に起きる事故というものを特に取り出して、何か研究しなければいけないというファクターがあるという御指摘であるとすれば、ちょっと理解に苦しむわけであります。
  140. 矢島恒夫

    ○矢島委員 出力調整運転中に起きた例えばポンプの故障、弁の故障、こういう問題等については包括的なほかの安全点検の中の一部であるから、とりわけその出力調整運転中の事故ということでの研究はされてない、こういうことでございますね。私、指摘したいのは、原子炉開発の手順といいますか、この出力調整運転というものをいきなり営業炉でやるのではなくて、実験炉できちんとやっていく、そういう手順を踏まれるのが当然ではないか。ですから、今私が指摘したような試験中の事故等について、日本での試験研究というものを実験炉できちんとやっていくということを指摘したいわけなんです。  その次に、これは三月十日の読売の報道ですけれども、「三月八日午後三時四十二分、照射試験用の核燃料を製造しているプルトニウム燃料第一開発室で、警報機が突然鳴り始めた。」こういう報道がされております。職員二百九十九名が屋外へ脱出する、緊急避難するという騒ぎがあったと報道しているわけですけれども、このことは知っていらっしゃいますか。
  141. 松井隆

    松井政府委員 結論を言えば承知しております。  昭和六十三年、ことしの三月八日でございますけれども、動燃事業団東海事業所のプルトニウム燃料第一開発室、そこで臨界警報装置が誤作動いたしまして、関係作業員が一時避難したということでございます。
  142. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ところで、そのことが東海村に連絡されたのは翌日九日の十時ごろと聞いております。しかし、その十時ごろの連絡のときに動燃は、八日の午後十一時に村当局連絡したことにしてくれと言ったと聞いているのですが、この事実関係はどのように把握していらっしゃいますか。
  143. 松井隆

    松井政府委員 ただいま先生お話にあります事実につきまして、私は承知しておりません。
  144. 矢島恒夫

    ○矢島委員 このことは極めて重大な問題が含まれていると思うのです。事実関係をぜひ解明すると同時に、こういう事故は、実際に八日の十一時ごろに村当局連絡したというのが表の報道になっているわけですが、起きたら直ちに関係機関に通報連絡すべきだと思うのですが、いかがですか。
  145. 松井隆

    松井政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私ども承知していることは今のお話ではなくて、確かに通報、県への連絡はその事実が起きてから七時間ぐらいたってからやったという話は聞いております。
  146. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いずれにしろ、そういう諸関係機関に対する連絡をきちんとやってもらうということが必要かと思います。  動燃はどうも公開ということでいろいろと問題があるようなのですが、今月の二十六日に我が党の福井の県会議員と住民の代表が福井県と動燃の福井県事務所に申し入れを行いました。その申し入れの内容は、動燃のATR「ふげん」での実験についてであります。ここに昭和五十九年の動燃が福井県に提出した運転計画書がありますけれども、この備考欄のところに「期間中適切な時期に」いわゆる「主蒸気隔離弁全閉試験を実施する。」こう書いてあるわけです。この実験は六十年の一月十七日から十八日に行われた。そしてそのとき、将来の日負荷追従運転のためのデータをとる試験分析が行われたと聞いておりますが、このことは事実ですか。
  147. 松井隆

    松井政府委員 「ふげん」につきましては、御案内のとおり、定期的に主蒸気隔離弁のテストをするということが内部の保安規定等で義務づけられておりまして、主蒸気隔離弁が全部締まるかどうかというテストをするためには、やはりどうしても出力を約五〇%下げなくてはいけないということでございまして、そういったことはやっていることは事実だというふうに私は承知しております。
  148. 矢島恒夫

    ○矢島委員 ここに一九八六年十月の日本原子力学会誌がありますが、その中でも「ATRの負荷追従運転」という項目がありまして、主蒸気隔離弁の全閉試験のときに出力調整についてのいわゆる「日負荷追従運転モードを模擬した制御特性の評価を行なっている。」こういうのがありますから、行っていることは事実なんですけれども、私がお聞きしたいのは、このことを県が知ったのは六十二年の三月だと聞いているわけなんです。こういうようなことは事前に県にきちんと報告されるべきものだと思うのですが、この点はいかがですか。
  149. 松井隆

    松井政府委員 御案内のとおり、こういった施設の場合に地元との安全協定というものがあるわけでございまして、動燃事業団もこの「ふげん」につきまして県当局と安全協定が結ばれているわけでございます。  それで、この中身で申し上げますと、ここでは実証試験ということについては連絡になってございますけれども、これは実証試験に該当しないということで、連絡は不要というふうに判断したというふうに聞いております。確かにこのデータ取得については言及しなかったというようでございますけれども、これはもともと通常運転時に測定するデータを記録するものということで、これは実証試験に該当しないということで、連絡は不要と判断したというふうに聞いてございます。
  150. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いずれにいたしましても、報告不要の部分だというお話ですが、伊藤長官も伊方の問題のときに、よく地元の理解を求めるような対策が必要なんだということを言われたわけですし、ぜひこういう問題についても、公開の原則ということをきちんと守って住民に知らせていくということが非常に重要だという点を指摘し、今後こういう問題についてもきちんと対処していただきたいということを要求したいと思います。  時間の関係がありますので、次の質問にいきます。外務省が来ていらっしゃると思いますが、日米の新原子力協定の問題です。  包括事前同意方式を具体的に取り決めたわけですが、その実施取極第三条に、いわゆるこの制度を停止する条件が示されております。その三条の二項のところに、いわゆる「国家安全保障に対する」という文言がありまして、米国の国家安全保障にかかわるという理由でいつでもこの事前同意を停止することが可能である、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  151. 中島明

    ○中島説明員 御指摘のとおり、新しい日米原子力協定の実施取極の第三条におきましては、「いずれの一方の当事国政府も、他方の当事国政府による核兵器の不拡散に関する条約に対する重大な違反若しくは同条約からの脱退又は機関との保障措置協定、この実施取極若しくは協力協定に対する重大な違反のような例外的事件に起因する核拡散の危険又は自国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大を防止するため、」この実施取極の「第一条において与える同意の全部又は一部を停止することができる。」そのように規定されております。現実問題といたしまして、このような第三条に書かれている事例が具体的に起きるということにつきましては、私どもはそんなに起きるものではないというふうに想定をいたしております。  今の御質問は、それではアメリカの方が日本との相談なくこれを一方的に停止することができるかどうかというそこの御質問でございますが、それにつきましては、この第三条にもございますように、かかる第三条の権利を一方の当事国が発動するに当たりましては、お互いに事前に協議をするという制度も設けられておりますし、現実問題といたしまして、この発動をする際には、それに見合った客観的な事実に裏づけられた正当な理由がある場合に行われるものである、そのように考えておりまして、停止が行われる場合には、そのような客観的な事実に裏づけられた理由があることについて、日米両方の当事国の政府に共通の認識があるというのが通常の状態ではないかと思っております。
  152. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いろいろと言われましたけれども、要するに、この第三条の二項から考えられることは、アメリカの国家安全保障にかかわるということの理由で停止することができる。その話し合いそのほかは別としまして、そういうことができるという条項だというようになっております。  また、もう一つ外務省にお聞きいたしますけれども合意された議事録というのがありますが、その7の項目のところです。「実施取極第三条2に関し、」という書き出しで始まりまして、最後の方に「ただし、それらの行為又は事件により」、以下ずっとありまして、「当事国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大をもたらす場合は、この限りでない。」と、「この限りでない。」とあるわけですが、このことは、日本の責任範囲外でも、アメリカの国家安全保障にかかわることと判断されれば包括同意というのが停止される、こういうことでしょうか。
  153. 中島明

    ○中島説明員 合意議事録の第七項にございます「当事国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大をもたらす場合」と申しますのは、先ほど申し上げました実施取極の第三条の冒頭の規定にございます同実施取極「第一条において与える同意の全部又は一部を停止することができる。」場合のうちで、自国の国家安全保障に対する脅威の著しい増大、そういう場合がございますが、その場合を引き写したものであるというふうに考えて差し支えないと思います。このような場合につきまして第三条では、例えば「核兵器の不拡散に関する条約に対する重大な違反」その他幾つかのごく例外的な事件を例示いたしておりまして、自国の国家安全に対する脅威の著しい増大というような場合は、今申し上げたような事例というものが考えられるのではないかと思っております。
  154. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本の責任範囲外でもそういうふうなことだということでよろしいですね。
  155. 中島明

    ○中島説明員 合意議事録の第七項におきましては、この実施取極の第三条2に関連いたしまして、第三国の政府の行為というものは、この実施取極の第一条において与えられる同意を停止する根拠として援用されないことが確認されるというふうに書いてございます。したがいまして、ほとんどの場合においては、日本に関係のない第三国の政府の行為というものが実施取極第三条との関係におきまして援用されることはあり得ないということであろうと思います。
  156. 矢島恒夫

    ○矢島委員 我が国原子力基本法は、言うまでもなく原子力の研究、開発、利用というものは平和目的に限る、こう基本方針を明らかにしております。いわゆる原子力平和利用三原則というものをうたっているということは伊藤長官も御承知のとおりでございます。ところで、この協定では、日本核燃料サイクル全体についてアメリカの国家安全保障という軍事的協力関係を前提にしているものだ、こう言わざるを得ないわけです。長官、これではこの原子力基本法を形骸化していくものではないかと思うのですが、長官の御所見を承りたいと思います。
  157. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 今先生も既にお述べのとおり、原子力行政につきましては、原子力基本法に基づきまして平和の目的に限り、また、これまた段々御論議がございました安全確保を大前提に、民主、自主、公開の原則のもとに今までもその開発、利用を推進してまいりました。この我が国基本的立場は当然新日米原子力協定の実施に当たっても変わることはないわけでございまして、このような原子力基本法の精神を堅持してまいりたいと存じております。
  158. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この日米原子力協定内容そのものの中で、国家安全保障ということが相当重点的に入ってきているわけですから、そういう点については非常に重要な問題としてとらえなければならないと思うのです。  そこで、これは長官にお聞きしたいのですが、協定本文の第一条のところで「秘密資料」という項目、これは(i)のところですけれども米国の国家安全保障の観点からの資料であって、日本には当然こういう資料はないわけだと思うのですが、それでよろしいですね。
  159. 松井隆

    松井政府委員 先ほど大臣からお答えしましたとおり、日本の原子力の研究、開発、利用につきましては、原子力基本法にのっとりまして平和の目的に限って行っているわけでございまして、したがって、その範囲の仕事しかやってないものでございますから、それ以外のものについてはあり得ないというふうに理解しております。
  160. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうしますと、日本では原子力の軍事研究は行わないことの保証として、一切の情報の完全な公開と国民への周知ということが原子力基本法にあるわけですから、当然今日情報はすべて公開されていると言っていいですね。
  161. 松井隆

    松井政府委員 基本法に確かに公開の原則が書いてございますけれども、普通二点からの制限があるというふうに理解しております。一つは、その成果であって、いわゆる商業機密と申しますか、そういったものに属するものはその例外になり得るであろう。それからもう一点は、やはり核の不拡散、核を拡散してはいけないという観点から、それなりの措置をとらなければいけない問題がございます。大きく言いまして、主にその二点からの制限はあり得るというふうに考えております。
  162. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そこで、また本文第一条の(j)のところですけれども、「機微な原子力技術」という項目がございます。つまり「機微な原子力技術」ということで秘密になるわけですけれども、このことは原子力基本法との関係で言えば重大な問題だと思いますが、いかがですか。
  163. 松井隆

    松井政府委員 この新日米原子力協定で規定される「機微な原子力技術」、これは内容を規定してございますけれども、こういったものはこの協定では交換されないということでございまして、つまりこの協定の対象外でございます。同じく「秘密資料」についても対象外という規定の仕方をしてございます。
  164. 矢島恒夫

    ○矢島委員 「機微な原子力技術」ということで濃縮、再処理あるいは重水生産施設技術移転の禁止が加えられたわけです。一方、または両方の当事国政府の指定するものならばすべてそれらの条項に当てはまるとされている。このことはまさに原子力基本法を形骸化するものである、こう言わざるを得ないのですが、このことについて長官、どのようにお考えでしょうか。
  165. 松井隆

    松井政府委員 先ほども申しましたとおり、本協定の対象では機微な技術は入らない。つまり機微な技術に関しては、本協定技術の情報の流通、そういうことはあり得ない、ないというふうに規定しておるわけでございます。したがって、それと基本法との関係でございますけれども基本法につきましては、私ども先ほど申しましたような条件があるにしても、あくまでもその成果の公開という精神を貫いてやっている次第でございます。
  166. 矢島恒夫

    ○矢島委員 やはり基本法の第二条が制定された歴史的な経過を見ましても、我が国が被爆国であるということから当然の対応であったにしても、この自主、民主、公開という問題は非常に重要な問題ですし、この「機微な原子力技術」ということでの公開の原則に抵触するようなことがあっては大変だということを指摘しておきたいと思うのです。  時間がありませんので、この協定の本文の第七条になりますけれども核物質防護対策というのが出てまいります。この防護水準はIAEAのRev・一を最低限度としているわけですけれども、これよりも高い水準がさらに要求されるということは考えられませんか。
  167. 中島明

    ○中島説明員 先生指摘協定第七条におきましては、協定適用を受ける核物質に関しまして、適切な防護の措置が最小限附属書Bというところに掲げられているところと同様の水準において維持されるということが規定されておりますが、これにつきましては協定合意議事録におきまして、米国我が国において適用されている防護措置がこの附属書Bに定めるところの水準以上である、それについては満足している、したがいまして、水準そのものは適切であるということを確認しております。
  168. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そう言われますけれども、さらに拡大される可能性も残してあり、またその可能性も十分にあるのではないかと思うのです。  お聞きしたいのは、核物質を厳重に管理するということはもとより当然でありますが、問題なのは、この核物質防護に名をかりた人間管理にかかわる問題だと思うのです。附属書Bの「防護の水準」の第一群のレベルのところで、信頼性の確認された者に出入りが限定される、こうあるわけですが、この「信頼性の確認された者」ということはだれがどのような基準に基づいて認定するのか、その辺をお聞きしたいのです。
  169. 中島明

    ○中島説明員 附属書Bにおきまして、第一群に属する核物質の使用に関しまして、その防護区域を設定する際に、その中に出入りする人間についての「信頼性の確認」ということが先生指摘のとおり書いてあるわけでございます。この附属書Bの中には、今申し上げましたような一般的な形で信頼性を確認せよという形の要請が求められておりまして、それに加えてさらに具体的にいかなる形、どのような方式確認をするかというところまでは、具体的に詳しく分け入って規定はしていないわけでございます。なお、我が国におけるこういった関係者の信頼性の確認につきましては、それぞれの関係者の所属する組織、機関において行っているというふうに承知しております。
  170. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間でございますので、最後に長官に。  今答弁をいただいたわけですが、そういうことで問題になるのが原子力施設で働く人たち基本的人権の問題で、いやしくも人権を侵害するようなことがあってはならないし、同時に研究者の研究の自由というもの、これも保障されていかなければならない。そのことは確認してよろしいですね。
  171. 伊藤宗一郎

    ○伊藤国務大臣 基本的人権はあくまでも守らなければなりませんし、また研究の自由、学問の自由もこれまたあくまでも守るべきものだと思います。
  172. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  173. 大坪健一郎

    大坪委員長 次回は、来る四月七日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十三分散会