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石塚政府委員 まず、御
指摘の今回の政令で埋設事業の対象となる低レベルの
放射性廃棄物の範囲の上限値というものが決められたわけでございます。この昨年、六十二年三月の政令改正はいろいろな手続を踏んだわけでございまして、まず
原子力安全委員会の
放射性廃棄物安全規制専門部会の報告というものを踏まえまして、さらにそれを
放射線審議会で審議をいただく、その審議の結果を踏まえまして、原子力
委員会さらには
原子力安全委員会の意見の聴取といったものを経まして、この政令が定められたものでございます。
その
内容でございますが、原子炉等規制法第五十一条の二第一項第一号、これで政令で定める廃棄物の埋設事業の許可
申請を行うことができる
放射性廃棄物の上限の濃度値というものを決めたわけでございまして、まず廃棄物の種類といたしましては、原子炉
施設から発生し、さらにそれが
容器に固型化された放射性固体廃棄物というものを対象にいたしまして、さらにその放射性物質の種類ごとに上限の濃度値を決めたものでございます。その濃度値といたしましては、炭素14が一キュリー毎トン、コバルト60につきましては三百キュリー毎トン、ニッケル63につきましては三十キュリー毎トン、ストロンチウム90につきましては二キュリー毎トン、セシウム137につきましては三十キュリー毎トン、さらに、アルファ線を放出する放射性物質につきましては〇・〇三キュリー毎トンという数字を定めてございます。
それから、この濃度値を定めました根拠についてお尋ねでございますけれ
ども、まず濃度上限値というものの性格を最初にちょっと御説明させていただきます。
この濃度はあくまで原子炉等規制法に規定いたします埋設事業、そういったものの許可
申請を行うことができるその範囲の上限値であるということを今申し上げました。したがいましてその性格といたしましては、まず第一に、
我が国において埋設の方法によって最終的に
処分を行うための上限となるというのがその性格の第一であります。第二といたしましては、放射能濃度がこの値を超えるものにつきましては許可
申請の対象にならない。つまり埋設が許されないということになります。
それから、放射能濃度が政令で定められた上限値を超えなければ、しからばどういうものであってもそれ以内であればどんどんどんな場所にでも埋設ができるのかといいますと、それは決してそうではないということでございまして、個々の
処分場で実際に埋設
処分をすることができる放射能濃度の上限値につきましては、これを限度として別途許可を行う際の安全審査におきまして、
計画された
処分量、あるいは
処分の方法、あるいは具体的な
処分の場所の自然
条件、さらには管理期間などを考慮して審査されるということでございますので、この上限値をもって、それ以内であればすべて埋設がどこにでも許可されるという性格のものではございません。
それから、この上限値の設定方法についてもお尋ねでございますが、具体的には、現在
我が国におきまして
計画されている原子炉
施設から発生いたしました
容器に固型化した
放射性廃棄物、そういったものを浅地中に設けられたコンクリートピットというものを想定いたしまして、その中に充てん材とともに収納する、そういう
処分方法を想定してございます。第二といたしましては、被曝線量の計算に当たって必要な
処分による人の被曝の経路といたしましては、これは
IAEAにおいて規制除外濃度というものを導き出しました、そのときの被曝経路といったものを参考に使用いたしております。それから第三に、自然
条件等
我が国の特殊性をも考慮して、
処分された
放射性廃棄物に起因する個人の被曝によるリスクが無視できるほど小さい、そういうレベルとして、国際的にも認められている
年間百マイクロシーベルト、すなわち十ミリレムでございますが、さらにその十分の一でございます
年間十マイクロシーベルト、一ミリレム以下となるような放射能濃度をまず算出いたしまして、この濃度に三百
年間の管理期間の経過といったものの減衰効果を考慮いたしまして、この濃度を決めたものでございます。