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1988-05-13 第112回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十三日(金曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 稲葉 誠一君    理事 高橋 辰夫君 理事 町村 信孝君    理事 宮里 松正君 理事 上原 康助君    理事 玉城 栄一君 理事 和田 一仁君       北村 直人君    佐藤 静雄君       鈴木 宗男君    武部  勤君       近岡理一郎君    中川 昭一君       野中 広務君    鳩山由紀夫君       五十嵐広三君    小谷 輝二君       藤原 房雄君    林  保夫君       松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宇野 宗佑君  出席政府委員         北方対策本部審         議官      鈴木  榮君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁労務         部長      山崎 博司君         外務大臣官房領         事移住部長   黒河内久美君         外務省アジア局         長       藤田 公郎君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         外務省情報調査         局長      山下新太郎君  委員外出席者         沖縄開発庁総務         局企画課長   嘉手川 勇君         外務省欧亜局ソ         ヴィエト連邦課         長       茂田  宏君         文部省社会教育         局学習情報課長 沖吉 和祐君         郵政省郵務局総         務課切手文通室         長       石本 宏之君         郵政省郵務局業         務運行課長   渡邊 芳美君         特別委員会第一         調査室長    諸岡 昭二君     ───────────── 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   瀬長亀次郎君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     瀬長亀次郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ────◇─────
  2. 稲葉誠一

    稲葉委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部勤君。
  3. 武部勤

    武部委員 宇野外務大臣にまず感謝を申し上げたいと思いますが、先月の十六、十七、十八、三日間、北方領土現地視察をいただきました。まれに見る快晴に恵まれまして、我々もお供させていただきましたが、大臣が「かの島の風にも泳げ鯉のぼり」とおつくりになりましたこの句にもありますように、本当に我々も一緒に、あの北方領土も一日も早く祖国に復帰して、あの島の上に大きな鯉のぼりを掲げたい、こういう思いを感じた次第でございます。お忙しいところをおいでいただいたことに対しまして、地元民の一人といたしまして心から感謝を申し上げる次第でございます。  そこで、まず第一点の御質問ですが、現地視察していただいた印象、感想、そして北方領土祖国復帰に対するお考えはいかがかということについてお話を賜りたいと思います。
  4. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この間は北方四島視察に参りまして、地元先生方には格段のお世話になったことを改めて御礼を申し上げます。  北方四島の一括返還に関しましては、もうこれは国会においては超党派の問題であります。また、民族の悲願でございます。何がゆえにソ連は今なお不法占拠をしておるか、このことを私たちは事あるたびに主張してまいらねばなりません。そうしたことで、私もソビエトの要路の方々に出会いましたときには常にまず真っ先にこのことを主張しておるような次第でございますが、安倍元外務大臣が行かれましてから久しき歳月がたっておりましたので、やはり外務大臣みずからが自分視察によって国民主張を表現しなくちゃならぬ、かように思って参ったような次第でございます。  非常に快晴に恵まれまして、我々の領土である北方四島が指呼の間に、あるいはまた遠く雲間に残雪を輝かせたというふうな印象はまことに深いものがある次第でございます。地元方々の悲痛なる声を私は承りました。もしそれ私にして、自分ふるさとが本当にあのような隔離されて目と鼻の先にあるのならばどうしたものだろうかという感じすらも受けておりましたが、単に自分ふるさとと比較するのではなく、これは日本人全部のふるさとの問題である、こういうふうに受けとめなければならぬ、私は強くそういう印象を抱いたものでございます。今後もこの問題は外務大臣といたしましてもまず第一に主張いたしてまいりたい、かように考えております。
  5. 武部勤

    武部委員 ありがとうございました。  そこで、少々具体的なお話を伺いたいと思います。  北方領土返還実現させるためにも私どもは日ソ首脳会議を一日も早く実現していただきたい、そして、この問題を真正面から交渉のテーマとして議題にのせていただきたい、かように期待をしている次第でございます。そこで、日ソ外相会議日本で行うべくシェバルナゼソ連外相訪日を希望しているというお話現地記者会見大臣お話しされました。その後、その見通し等についてどのようになっておられるか、何か新しいお話があればお聞かせいただきたいと思います。
  6. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今度はシェワルナゼ外相日本に来てもらう番であります。番というのはおかしな表現でございますけれども、やはり外交上には、モスクワへ行き、東京へ行き、そうしたようなことがございますから、その意味東京で私と会談をしていただく順番が来たということでございます。既に何人もソ連次官も来ておられます。こうした方々にその話をしておりますと、次は東京だということはシェワルナゼ外相は十二分に御承知になっておりますという話だけでございます。  この間、いろいろと与野党の方々モスクワへ行かれましたお話も伝わっておりますが、その外相会談実現する、その外相会談一つ出発点として今度は首脳会談に移したい、かように思っていますから、まず外相会談を具体化するために、近く事務レベル会議を行うことになっております。我が方からは栗山審議官、またソ連側からはロガチョフ次官と一応メンバーもお互いに大体了解を得まして、そして近く行われるということになっております。  以上であります。
  7. 武部勤

    武部委員 ぜひ早期に実現されますことを熱望したいと思います。  次に、大臣現地で切々たる生の声を数多くお聞きになった、こう思うわけでございますが、その中で、本年度の北方墓参についてソ連側とどのような交渉を行っているか、その内容と見通しについてお話をいただければありがたいと思います。事務当局でも結構です。
  8. 茂田宏

    茂田説明員 お答えいたします。  大臣先ほど言及されました事務レベル協議の方ですけれども、これはモスクワで六月二十三日、二十四日の両日開かれることになっております。  北方墓参に関してですけれども、ソ連側外交ルートを通じて四月十三日に申し入れをしております。現在はソ連側の回答を待っている状況です。外務省としましては、旧島民方々北方地域にある御先祖のお墓にお参りしたいという希望を有しているということを踏まえまして、人道上の問題としてソ連側が好意的にこの問題に対処するように求めてきております。墓参の箇所に関しましては、北方領土関連に関していいますと、四島すべてに墓参実現できるように申し入れてあるという状況です。今後とも鋭意話し合っていきたいと思います。
  9. 武部勤

    武部委員 もう高齢化が進みまして、ふるさとの島に墓参だけでもという願いを持っている旧島民が数多くおりますので、ぜひ四島墓参実現ができますように御努力お願いしたいと思います。  次に、日ソサケ・マス交渉が四月三十日に、大幅な漁獲量の削減という残念な形でありましたが妥結を見たわけであります。しかし、根室では船が出れるということで、久しぶりに明るいニュースとして沸き上がった、こう聞いているわけでありますけれども、今後北方四島周辺、また三角水域における操業の再開、これは現地漁民が久しく熱望していることでございまして、さらにあわせて、日ソ共同事業による操業も何としても実現をしてほしいという願いにぜひ外務大臣の御努力お願いしたい、かように存ずるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  10. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 日ソ漁業交渉はことしもまたいろいろと問題多かりし年であったのでございますが、ようやく合意にこぎつけまして、昨年より三日早く五月二十五日出港というふうな段取りになりました。今後もますます精力的にこの交渉は続けていかなければならない、かように思っております。ソビエトの方はややもすれば期限を切りたいという話もございますが、今回はそういう話もつなぐということに相なっております。  なおかつ三角水域の問題は、この間私が参りましたときにお話し申し上げたように、ぜひとも我が方の漁業者願いがかなえられるように鋭意ソ連交渉いたしたい、かように存じているところであります。
  11. 武部勤

    武部委員 サケマス交渉も、大臣を初め政府関係者の大変な御努力の成果と、このように敬意を表したいと思いますが、三角水域等操業についても何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、大臣現地に参りまして、北方領土返還運動についてこれからの課題は若い世代にいかに引き継ぐかということだというお話をされておりました。そこで私は、提言といいますか、私の持論を含めてお話をしたいと思うのであります。  大臣大変感激をされました根室昭和ハッピー子ども会紙芝居、この中には、海中公園をつくって流氷を海の中から見てはどうだろう、そういう訴えもあったと思うのであります。御案内のとおり、根室北洋漁業打撃等を受けまして大変疲弊しておりまして、現地ではこの打開策として、少しでも大勢皆さん方根室に来てもらう、そういう観光開発といいますか、そういうことにも意欲を持っている次第でありますし、このことと関連しまして、やはり百聞は一見にしかず、あの島を見て初めて北方領土返還運動気持ちが一層高まってくる、こう思う次第でありまして、それは先ほど大臣お話しのとおりであります。  私は、あの納沙布岬に大勢の、特に若い人々が来てくれる、こういうことを期待しているわけでありまして、そのためには、国際青年キャンプ村とかそういったものを建設したり、あるいはまた青年サミットをあそこで開催するとか、そういうアイディアを駆使していただきたいと思うわけであります。そのことについても現地大臣に、あの塔の上から、広々としたあの台地、ひとつここを使って考えてみてくださいというお話をさせていただいたわけでございますが、この件につきましては、私さきに山下総務長官に対しましてもお訴えをさせていただいたわけでございます。当時の山下大臣も、前向きに検討したい、こうお話しされておりました。きょうは外務大臣にもこのことについてのお考えをお聞かせ願いたいと思いますし、その前に総務庁の方で、山下大臣の答弁を受けて今どのような検討をしておられるか、そのことについてもお話しいただきたい、あわせて大臣お話も伺いたい、かように思います。
  12. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 お答えいたします。  戦後生まれの日本人国民の過半数を占めてきた、こういう状況で、次代を担う青少年北方領土問題に対する正しい理解、認識を深めること、これは非常に大切な問題だということで、近年私たち青少年対象とする北方領土問題に対する啓蒙というものに力を入れております。例えば青少年対象といたしまして、北方領土問題の解説資料副読本と呼んでおりますが、これを作成して配布したり、県民会議を中心にしましてブロック単位青少年啓発事業を行ったりしておりますが、六十三年度からは、全国の青少年対象としたフォーラムを根室市で開催する、こういうことを計画しております。このように、今後とも青少年に対する啓発に力を入れていきたいと思います。  それからまた、先生御指摘のように、やはり北方領土をこの目で見る、そして厳しい現実を見るということが大切だということで、我々といたしましても北方領土を目で見る運動というものを続けておるわけでございます。先生の御趣旨、まさに私たちと同じような考え方だと思います。  御質問国際青年キャンプ村につきましては、これを国の施設として設置することは非常に難しい、このように承知しているわけでございますが、現在北海道が策定しております第二期北方領土隣接地域振興計画におきまして、隣接地域観光レクリエーション関係につきましてもいろいろ配慮しているものと、こういうふうに聞いております。総務庁といたしましても、振興計画に沿って適切な施策が進められるよう努力してまいりたい、このように考えております。
  13. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 総務庁の方のお話はありましたが、私も同様な気持ちでおることを申し上げます。なおかつ、歴史というものは風化するおそれがありますから、風化させないように努力をしなくちゃいかぬ。そのためにはやはり青少年に語り伝えていく。私はこの間、根室の小学生が、中学生ですか、紙芝居をやってくれまして、本当に涙をこらえながら見たという心境でございました。したがいまして、広く国民方々にもさらに北方領土重要性というものをお話しすることが必要ではないだろうか。  私は次のように言うのですが、日本の地図を見た場合、もし千葉県の房総半島がなかったらどう思う、あれだけの大きさだよと言うと、皆非常にわかりやすい。島というと何か小さいものを想像してしまいますが、我が国も島でございますから、そういうふうに島というものの存在、また大きさというものは常に私たち国民方々にわかってもらい、なかんずく青少年にも十分理解してもらう、そのことも怠ってはならぬ、私はかように存じております。
  14. 武部勤

    武部委員 以上で質問を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  15. 稲葉誠一

  16. 北村直人

    北村委員 宇野外務大臣に私からも感謝を申し上げる次第でございます。先月十六、十七日の北方視察、本当にありがとうございます。特に中標津酪農畜産地帯、あるいはでん粉、そして根室管内水産基地等、つぶさに肌で感じていただいたこと、そしてまた温かい将来にわたる御指導をいただいたことに、私も心から感謝を申し上げる次第でございます。  私も二、三外務大臣にお尋ねをしたいと思います。  まず一つは、これは新聞報道でございますが、野党の委員長あるいは書記長さん方がモスクワに行かれまして、ゴルバチョフ書記長あるいはシェワルナゼ外相会談をしたときに、「書記長日ソ関係の改善に強い意欲を示したが、北方領土問題では「日ソ関係が凍結されている点を理解すべきだ。ある意味で我々は時を失っている」と厳しい態度を終始貫いた。」この北方領土の壁というのは非常に厚いものがあると思います。その中で、先ほど武部議員から質問がございましたけれども、シェワルナゼ外相訪日という問題も出たようでございますが、もし来られたときに今までと同じような趣旨主張大臣外相にするのか、それとも一歩突っ込んで何か違った打開策を持ってシェワルナゼ外相に対処していくのか、そこら辺の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ゴルバチョフ政権になってからはペレストロイカであるとかあるいはまたグラスノスチというふうな新しい政策が非常にもてはやされております。これは国の内外においてさようであると言ってもいいと思います。その一つ証左として、やはり我々といたしましても大いに北方四島に関しましてはペレストロイカを期待しているんだ、こういうふうに、先方のロガチョフあるいはアダミシンという二人の外務次官に出会いましたが、二人とも、そうした問題に関しましては我々の方から強く要請をしておる。  また、御承知賜っておると思いますが、米ソ間のINFというあの交渉のとき、第二次が始まるわけでございますが、地域紛争、二国間問題等々も取り上げておりますが、二国間問題の中に、アメリカ側から日ソ間の四島問題があるよということもいろいろと問題にしてくれている、そういうような国際的な環境、また日ソ間同士環境を、今私といたしましても極力整えて外務大臣をお待ちしたいと思っておるようなところでございます。もちろん今日までの主張は繰り返し申し上げなければなりませんが、新しいいろいろな要素も組み入れていろいろと私なりの発言をしていきたい、かように思っております。
  18. 北村直人

    北村委員 ありがとうございます。あの北方四島を抱えている地区の方々には、特に水産関係では非常に打撃が大きいわけでございます。また、五月十六日からだと思いますけれども、貝殻島の昆布、ウニの交渉もあるわけでございます。今回もまた三十七億という協力費を払ってのサケマスの出漁でございます。そういうところをぜひ少しでも安くしていただけるような、そんなお話をぜひシェワルナゼ外相に直接大臣からお話をしていただければ大変ありがたいと思うわけでございます。  さらにもう一つ、糸山外務委員長モスクワに行かれたときに、シェワルナゼ外相とのお話の中で、もし北方領土を返したら書記長もあるいは外相も首が飛んでしまうというようなお話があった、これもまた新聞報道でございますが。ということは、ソビエト国民人方は、日本のこれだけの盛り上がりというものは全く理解をしていないのではないか。ですから、国民人方が反対すれば我々二人の首が飛んでしまうというようなことが、本音が出てしまうのではないかと思います。今まで日本のこれだけの盛り上がりについて、外務省として、あるいは大臣としてソビエト国民に向かってどのような対応をしてきたのか、あるいはこれからソビエト国民方々日本の高まりというものはこれだけあるのだということを啓蒙していくようなお考えがあるかどうかをお尋ねしたいと思います。
  19. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この間、糸山委員長が連休を利用されまして米ソへ行かれまして、日本外務委員長でございますから当然相当な人に会ってもらわなければならぬ、私たちといたしましても十分手配はさせていただきました。その結果、外相とお目にかかられて、今のような本音を言われたということが新聞に載っております。私はまだ直接聞いておりませんが、しばしばそういうことは起こり得るわけでございます。  かつてコスイギンさんの時代だと思いますが、「一つ動けば全部動く」という有名なせりふ等々もございまして、何が一つで何が全部かわかりませんが、恐らく第二次世界大戦中のいろいろな問題が含まれておると思うのであります。その一つ北方四島ではなかろうかと私たち考えております。したがいまして、我が国民にPRをするのも当然でございますが、できるならばソ連人たちにもそういう問題があるのかということを知ってもらうことが大切だと思うのでございますが、残念ながらそこら辺になりますとなかなか難しい。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、グラスノスチというのは情報公開ということでございます。ペレストロイカ世直しということでございますから、日本に対してはそうした世直しもしてもらわなくちゃいけないし、ましてやグラスノスチであるから、大いにソ連に国内においても情報公開ということを我々としても主張しなければならぬ、かように思っております。  一つの経緯といたしまして、ちょうど天皇陛下の御誕生日でございますが、モスクワにおきまして、我が国武藤大使の、日ソ間には北方四島の問題ありということが初めて放映されたわけであります。今までは何のかんの言いながら脚本を訂正されたり、改ざんされたり、そんなことがありまして抗議ばかりをしておったのでございますが、ことしはそうしたことが珍しく行われた。これはグラスノスチ一つ証左かなと思って、こういうよい面を大いにやりながらひとつお互い考えようと言わなければならない、かように私たち考えておる次第であります。
  20. 北村直人

    北村委員 与えられた時間も短いものですから、最後は、これは要望ということでお聞きをしていただいて、もしそれに対して大臣からお言葉がいただければ実は大変ありがたいと思います。  外務省には特に直接御関係がございませんけれども、北方に関するいろいろな予算措置がとられております。特に総務庁がこれは窓口でございますが、例えば北方対策本部予算の中で、先ほど大臣からお話があったとおり青少年に対するいろいろな啓蒙運動の中で、副続本というのが中学生対象として都道府県一つの学校に五十冊しか行っていない。ただ五十冊では果たして本当に啓蒙運動が若い世代に受け継いでいかれるかどうか。こういう予算のことは総務庁関係でございます。さらにはまた、北方基金関係も、五年間で百億という取り決めをしていただきながら半分しかつかなかった。ですから、ぜひ六十四年度の予算に向けて、これは総務庁の管轄でありますけれども、概算要求なりあるいは十二月の大蔵大臣との折衝のときには、外務大臣、これは外務省として、国の一番大事な北方返還のことでございますから、ぜひ外務大臣一緒大蔵大臣のところに行って、北方に関する予算関係については、これは外務省も体を張ってやるから、ひとつ満度以上のものをつけてやってくれというふうな御助言をぜひことしはお願いをしたいということが一つ要望でございます。  さらにもう一つ。ことしは大臣北方視察女満別飛行場におりていただきました。確かに、こちらから見ると道東にいろいろな飛行場がありまして、釧路にも、あるいは帯広にも女満別にも中標津にも飛行場があります。しかし、北方四島を抱えている隣接地帯人方からすれば、根室飛行場というのは中標津飛行場だという住民感情的なものがございまして、今回の外務大臣北方視察については、何としても本当は中標津飛行場におりていただきたかった。これは、北方を見るために根室飛行場におりていただいたというふうな感情があるわけでございます。ことしは時間的になかったのですが、ぜひこれからの北方視察のときには、千歳経由中標津、今、中標津飛行場滑走路を長くしていただいて直行便東京から中標津まで飛ばさせてもらおうという運動をしておりますし、また滑走路を延ばしております。そんな意味で、北方を見るときには根室管内にある飛行場をぜひ使っていただきたい。そしてまたほかの大臣が行かれるときにも、ぜひ外務大臣から、中標津飛行場におりろよ、それでないと住民感情が少し悪くなるぞというふうなお話をしていただければ大変ありがたいと思います。  またもう一つ。ぜひ竹下総理にも大臣から、鈴木総理以来まだだれも行っていないわけでございますので、竹下総理にぜひ根室の地に立っていただいて北方を見ていただく、あるいは北方隣接地帯の経済のことをつぶさに見ていただけるように、閣議で大きな声でそしてまた力強い御要望をしていただきますように心からお願いと御要望を申し上げ、このことについてもし大臣からお言葉がいただけるようでございましたら、お言葉をいただきながら私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  21. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 北方四島は内閣挙げてやらなければならない問題だと考えております。したがいまして、副読本また基金等の問題は単に総務庁だけの問題ではない、かように心得ておりますから、私も、微力でございますがともどもに手をとり合って、ぜひともなお一層満足し得る予算に近づけたい、かように考えておる次第でございます。  また中標津、この間非常に失礼申し上げました、東京からジェットで飛んでいったものでございますから、そういうような理由がありました。次回は必ずそうした意味根室に着くということを考えていきたい、かように考えます。  なおかつ、実は総理大臣にも申し上げてあります。重要な問題はそれぞれ閣議報告をするわけでございますが、北方四島視察の後はその視察報告を私といたしまして閣議で行っておきました。そうしたときに、地元方々が総理の視察をこいねがっていらっしゃるという旨もつけ加えておいた次第でございます。
  22. 北村直人

    北村委員 ありがとうございます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉委員長 上原康助君。
  24. 上原康助

    ○上原委員 私は、最初に少しばかり対ソ外交についてお尋ねをしておきたいと思います。  せんだっても外務大臣に、最近のソ連状況変化に対応する対ソ外交の姿勢をいろいろ考慮してもらったらというお尋ねをしましたが、余りかわりばえのしない御答弁でした。  実は私も、先月十八日から約十日間ソ連の平和委員会との交流でソ連を訪問する機会がございました。三年前にも行っておりますので、ゴルバチョフ政権になって、特にペレストロイカグラスノスチの国内改革、情報公開というか民主化という面が打ち出されてから相当変化があるのではないのか。確かにゴルバチョフ書記長御自身がおっしゃっておるように、党首脳というか党幹部でもいろいろペレストロイカをめぐっての難しさはあるようですが、ソ連の特に中堅幹部というか国民レベルにおいてかなりの変化が出ているというのが私の実感でした。今まではどういう団体の方と会っても、大体まずアメリカ帝国主義をぶつ放してからいろいろ意見交換に入るのですが、そういう感情というのは余り表に出さない。もちろん党関係であるとかいろいろなハードの面ではそういった一言二言が出るところもあったのですが、一般論でいいまして、相当この対日感情あるいは対米感情、対欧感情において、もっと積極的に国民外交を展開してソ連の当面している対内外政策を遂行していきたいという意欲というか、そういう雰囲気というものがかなり出ている。  そこで、いずれまた五十嵐先生やほかの方々から相当いろいろな御意見を交えての御指摘、御質問があると思うのですが、私はやはり北方領土の問題にしましても、これは基本は基本として、これまでの政府なり我が国国民的なコンセンサスの上でやっていかれることはいいと思うのですけれども、少なくともそういった情勢変化に日本が今どう対応していくかという、あるいはそういうものを的確にキャッチしながら対ソ外交を進めていくかというのは非常に大事な点だと思うのです。ですから、もっと国民レベルの領土返還の問題なりあるいは信頼関係をどうつくり上げていくか、これも外交の非常に重要なポイントと私は思いますので、こういう点はどうお考えなのか。  さらには、シェワルナゼ外相訪日が十一月とも十二月とも伝えられているわけですが、場合によっては日本側の取り組みいかん。この月末にある両首脳のサミットも恐らく成功するでしょう。INF条約も米議会で承認されるのは間違いないと思いますので、そういった情勢をとらえて、外相の来日を含めてもう少し日本側の今日的次元に立った対ソ外交、こうしたいというものを明確にするのもきっとよい方向に展開をしていくと理解をしますので、改めて外相の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 対ソ外交に関しましては、しばしばあらゆる委員会において上原さんにもお答えいたしておりますから御了解賜っておると思いますが、やはりかたくななようですから、北方四島問題というのは重大な問題でありまして、これなくして平和条約はあり得ない、もっとよい関係になるためには平和条約が必要だ、これはもう我々の不動の主張でございます。ただ、それだけを言っているのじゃなくして、それと並行して現在は経済、文化、あらゆる面において交流を活発化させておることは、向こうにお行きになられましても御承知賜っているところではないだろうかと思うのでございます。  したがいまして、ソ連もいろいろ考えをお持ちでしょう。また、ゴルバチョフ書記長ペレストロイカ等本当に思い切ったことをどんどん進めておる。特にアフガンの撤退のごときは本当に相当な、国内においてもいろいろと反対もあったかもしれませんが、それを押し切ってやっておるというふうなダイナミックな政治手法であるということを私たちは評価しておりますから、そうした意味合いにおきまして、常に外交はダイナミックでなくてはならぬ、こういう気持ちで我々も接していきたい、かように考えております。改善すべき点はたくさんあるわけです。したがいまして、私もしばしば日本駐在の大使ともお目にかかっていますが、いろいろな機会にいろいろな話をして極力関係改善を図っておるというのがただいまの日ソ間の姿でございます。
  26. 上原康助

    ○上原委員 それともう一点大事な点は、こういう表現をしていますね。ソ連の指導者の皆さんが、従来はソ連の極東地域というのは軍事的に利用されてきた、これをどう平和利用していくかということがこれからの課題だと言っているのですね。ですから、極東地域に対する立ち入りとかそういうものももっと大いに門戸を開くように努力をしているところだ。これはウラジオストク演説なんか見るとそういう流れがあるわけですが、そういう面でもかなり本気で考えている節があると思うのです。  そこで、きょうはほかにもいろいろありますので余り立ち入りませんが、土井委員長一行にも表明しておられるように、ソ連の国土の立入禁止地域を従来の半分くらいに減らしたい。ですから、墓参の問題等は我が方がもっと積極的に働きかければ従来できなかった面が実現する可能性が大いにあるのじゃないかという気がするわけで、この点は当面の課題ですから、ぜひ日本側からも積極的に働きかけていただきたい、これが一つですね。  いま一つ大変私が関心を持ち注目しているのは、中ソ関係というのが相当従来の壁を取り払いつつあるのじゃないのか。いうところの三つの壁の二つまでは完全にクリアした。あと一つカンボジア問題も、アフガン撤退が進んで、米ソ首脳会談が成功して、秋以降にはこれもクリアする可能性があるというような見方もあるわけです。したがって、中ソ関係が正常化というか相当友好が回復されるとなると日本外交としてもそういう面にももっとスポットを当てていかなければいかぬ問題があるのじゃないかと思うのです。前段は事務当局でもいいですが、後段の方は大臣の所見を聞かせてください。
  27. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 前段は事務当局に任せまして後段のお話をいたしますと、中ソの間は決して悪くない、私はこう考えております。しかしながら、三つのトラブルと申しましょうか、アフガンそれからカンボジア並びに国境紛争、こういう問題がまだ残っている。アフガンはまあまあだねという感じ方でありました。同時に、やはり一九五〇年代のような最もよきリレーションのとき、時代には戻らぬよ、こういう感想も実は相当な方々から私自身も承りまして、我々は両国が仲よくしていただく方がアジアの安定、平和のために結構だ、こういう思いをもって耳を傾けておったような次第でございます。  なお、カンボジア問題、これに関しましてもやはり日本の立場をはっきり申し上げておきました。ということは、何といたしましても民族自決でカンボジアに再び平和が戻ってくるように。そのためにシアヌークさんがその中心となるであろう。そのシアヌークさんは八月に我が国に来ていただけるようにもう既に約束済みである、そのためにはベトナム軍が撤退すべきである、こういうことに関しましては中国も同じような意見を持っておられたことをこの際申し上げておきます。ただ、ベトナム軍の撤退に関してソ連はどうだろうというふうな一抹の疑念もまた残しておられるということも事実だったと私は思います。
  28. 茂田宏

    茂田説明員 先生の前段の質問に対しお答えいたします。  ソ連ペレストロイカの結果としまして、極東について軍事的利用を少し抑えて平和的な利用に持っていくということ、それから極東地域についてもっと開放した地域をふやしていく、こういう方向は非常に歓迎できる方向だと思います。我々の方もソ連側の開放地区についての動きに関しましては大変な注目を持ってフォローしておりまして、サハリン等に開放措置の適用が場合によってはあるのではないかというふうに見ております。それはサハリン墓参に関してはもちろん肯定的な影響を与えるわけですから、そういう点を踏まえて今後折衝していきたいと考えております。
  29. 上原康助

    ○上原委員 それはどういう角度から中国やソ連側の言い分を受けとめるかということによっても異なると思いますが、少なくとも従来のようなかたくなな対ソ外交ではいかないと私は思うので、その点はまたこれから機会を見ていろいろ具体的な問題点を挙げてお尋ねをし、日ソの友好親善が促進されることを心から期待をし、そのために外務省も一体となって御努力を賜りたいと思います。  次に、これはお尋ねするまでもないと思うのですが、我が国の特に中国あるいは韓国との関係、アジアとの関係において大事な点でありますので、せっかく外務大臣御出席の場ですから、大変聞きにくいと言えば変なんですが、それほど意外性のあることなので、外相の率直な御見解を聞かせていただきたいわけです。  問題の奥野国土庁長官の発言ですね。連休を利用してせっかく外相が中国へ行かれて、しかもことしは日中平和友好条約が締結されて十周年だ。そういう記念すべきときにこういう問題が起きて、しかも一たん鎮静化したものがさらにエスカレートしたことについては、私たちも余りにも理解しがたいし、このことの及ぼす影響というのは大きいのではないかと思うのですね。今後この問題をどう決着をつけて、対中国、対韓国あるいはアジア近隣諸国との友好信頼関係を確立をしていかれようとするのか。せんだっての中国の反応を含めて、ひとつ外相の御見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  30. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 日中関係というものはやはりアジアの安定にとりまして大切な関係である、まずこのことを常に念頭に置いておかなければならぬと私は思います。そしてまた、かつては不幸な時代もあったということも私たちは忘れてはならない、かように思います。  それに関しましては、既に韓国につきましては日韓基本条約、中国につきましては日中平和条約、そのときの共同宣言にやはり深く反省するという言葉は両国間においてなされておるわけであります。特に中国に対しましては、戦争を通じ国民に多大の迷惑をかけたことに対し、日本は深く反省すると書かれております。こういう共同宣言を私たちもともどもにしながら、なおかつ四原則、そうしたことで十周年を迎えるわけでございますから、日中にとりましても非常におめでたい年である。しかもこのことは永久に続く方が、アジアの安定のためにも両国国民のためにも必要なことである。こういうことでございますから、そうしたときに、中国の新聞におきましてもいろいろ批判されることは極めて遺憾だ、私はこう申し上げているわけです。  はっきり申し上げまして、奥野氏の発言の中にも、いろいろあったでございましょうが、私も詳細調べてみますると、日中の関係は大切にしなくちゃいかぬ、また中国が遺憾だと言っておられる点については私もそう思うと、いろいろと中国を理解した面も発言をなさっておるわけでありますが、そうしたことが幾つかの部分において消されるようなことになってしまっておる。それが、中国におきましても韓国におきましても、要人の発言となってあらわれておる。  したがいまして、今日は私も外務大臣という職責上、銭其シン外務大臣からは直接伺ったわけですから、このことは奥野大臣にお伝えしましょうということで、今週火曜日の閣議の後に若干時間を割きまして、奥野さんに十二分に伝えてあります。したがいまして、今そういう心境におられるのではないだろうかと私は思います。このことは今議運で扱っていらっしゃるということでございますから、議会の問題となっておることに我々としてくちばしを入れることは避けなければなりません。したがいまして、今後議運がどういうふうになさるかということを私たちも待っておるというのが今の段階であります。
  31. 上原康助

    ○上原委員 私もこれ以上はお尋ねするというか、指摘しませんが、いろいろあるので、今外務大臣がおっしゃった認識からすれば、これはまあどう考えてもというか、どういう角度から見ても、日中あるいは日韓、対アジア諸国という面から逸脱した発言、言動であるということは間違いないので、特に国会問題になっていますから控えますが、やはりこれは日本の一内閣の外交姿勢という面からこういうことが繰り返されたんじゃ、信頼関係の問題に発展すると思うので、その点は外務大臣というお立場でも特に御留意を求めておきたいと思います。  次に、沖縄が復帰をして、あさってでちょうど満十六年になります。そういう意味で、せんだっての本委員会あるいは四月十五日でしたかの外務委員会でも、基地問題を含めていろいろお尋ねしたのですが、大変率直な私の感じを言わしていただけば、従来と当たりさわりのないお考え、御見解のようで残念なんですが、改めて基地問題を含めて聞かしていただきたいと思うのです。  私は、きょうは安保条約を認める認めないということ、安保の必要性ということだけでなくして、そのことも大事で、私たちとしては認めない立場を変えるわけにはまいりませんが、現に起きているこれだけの基地強化あるいは基地被害というものを、じゃそのままにしておっていいのかということを問題にしたいのですよ、正直申し上げて。これの解決方法はないのかどうかということ、私はもう少しあると思うのです、政府がその気になっていただければ。  せんだっても申し上げたのですが、最近の事例だけでも、四月十八日、キャンプ瑞慶覧からの地すべりで民家が被害を受けるとか、四月十九日には米軍の油流出であるとか、二十三日にはキャンプ・フォスターから発射された金属ナットの民間乗用車あるいはバス等への被害、二十六日、米軍ヘリが読谷古堅小学校すれすれの飛行をして、朝礼をしているそのことまで妨害をする。あるいは五月一日には再びキャンプ瑞慶覧からの地すべりが起きている。それだけじゃないのですね。その後においても、アクロバット飛行であるとかいろいろなことが次から次と起きているわけですね。  最近は、また特に私たちがぜひ早目に返還をして開放してもらって、跡地利用を具体的に進めようという旧読谷補助飛行場でのいわゆる滑走路損害査定訓練というものまで実際にやっているわけですね。滑走路が敵に爆破されて破壊された場合に、どれだけの損害があってこれをどう修復していけるか、そういう新たな訓練まで繰り返しているわけですね。  これだけの新たな訓練とか、次から次と出ている問題に対して、政府は、外務省も防衛庁も防衛施設庁も安保条約上基地が必要である、米軍の演習はやむを得ないと言うだけで済ませる問題かどうかという、むしろ人道の面、生活環境という面から、もう少しは何とかならないのかというのが多くの県民の率直な気持ちなんですよね。なぜこう野方図に認めるのかということ、余りにも行き過ぎが多いのじゃないのか、この点、率直にどうお考えですか。
  32. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 私どもといたしましては、沖縄にございます米軍施設、区域に対する沖縄の県民の方々の御理解と支持が得られなければせっかくの抑止力の維持の体制に万全を期しがたいということは重々に承知いたしております。  そして、最初に先生が取り上げられました一連の事柄につきましては、私どもよく承知いたしておりまして、一つ一つについて、例えばナットの投てき事件が最も最近のことの一つでございますけれども、米軍と話し合いを行い、米軍としてもそのような事件は大変に深刻に受け取っておりまして、今瑞慶覧の交差点で米側が調査を行っております。もしもこれが本当に米側によって行われたものであるならば、厳罰をもって対処するというようなことを申しております。  何分沖縄におります米軍の規模は大きいものですから、本土に比べまして沖縄方々が大きな負担を負っておられるということは私ども政府として重々認識いたしております。その認識に基づいて、できるだけの努力をしているということについては御理解いただきたいと思います。
  33. 上原康助

    ○上原委員 御理解いただきたいと思いますということではいかないというのです。御理解いただけないのです。これは次から次へ起きているのだ。  そこで、ちょっと具体的に聞きますが、例のハリアー基地建設ですね。これは国頭村の安波に建設しようということだったのだが、いろいろいきさつがあって結論はまだ出ていないというか、国頭村はあきらめたと見ているわけですが、これは建設を見合わすわけですね。これはどういうことなのか、これが一つ。  もう一つは、昨年の三月にキャンプ・ハンセンに暫定配備をされた海兵隊の改良ホークミサイル、これは恩納通信施設に本拠地を構えるというような話があったわけですが、この恩納通信施設は御承知のように十五回安保協で無条件返還が合意されているところですね。これはいまだに返還されていない。このホークミサイル部隊のその後の配置あるいは取り扱いは、現段階において一体どうなっているのか、また将来どうするのか。  もう一つ三点目に、B52の作戦行動とのかかわりで、嘉手納空軍基地内にあると言われているジャイアント・トーク・ステーションというのが一説によると昨年三月以来活動が停止をされている。また、ある報道によると横田に集約されたという見方もあるようですが、これは現にどうなっておるのか。  四点目に、東村にある慶佐次のロランC基地も一九九四年ごろまでに米軍はその使用を中止というか、しなくなるという動きもあるようです。なくなるのは結構なんだが、こういう変化というか、日本側とはどういう話し合いで進められてきたのかという点についてひとつ説明をいただきたいと思います。
  34. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 ハリアー基地の建設につきましては、国頭村にございますところで長年米軍も努力してまいったわけでございますが、ことしの一月ごろから態度を変えまして、代替の場所を考えたいということで今考えているようでございます。その過程で、例えば西銘知事が米側に対しまして、ハリアー基地を従来予定されておりました安波ダムの周辺につくるのはやめてくれというようなことがあって中止されて、代替のところを探しているということのようでございます。  それからホーク、ミサイルのことでございますが、これは一個大隊が沖縄に駐留するということで、去年の三月にその司令部が、そしてこの七月までに一個発射中隊がキャンプ・ハンセンに参りましたが、その先どこに行くかというようなことはいまだ決定されていないというふうに承知しております。  それから、嘉手納にありましたジャイアント・トーク・ステーションでございますけれども、これについては米側に照会いたしましたところ、去年の三月以降その機能は停止しているという説明を受けております。その理由につきましては、米軍の運用にかかわることであるので明らかにすることは御容赦願いたいということでございました。  それから、ロランCの施設の見直しということは報道等で承知いたしております。しかし、米側から我が国施設、区域内に設置されておりますロランCの運用の見直しがなされるというような正式な通報には接しておりません。ただ、これの持ちます意味合いがいろいろございますので、必要に応じ今後は米側に照会してまいりたいと思います。  それから最後は、岩国、三沢、フィリピンのことでございましたか。これにつきましては、移駐があったと申しますより岩国の飛行場から、たまたま岩国の飛行場の改修工事のために五月四日から約五カ月の予定で、攻撃機型のスカイホークと申しますか、これが十九機、それからスカイホーク型の偵察機六機が移駐させてもらうということで参っております。これは岩国の改修が終わりましたら当然のことながら岩国に戻るというふうに了解いたしております。  それから三沢につきましては、三沢の滑走路の改修工事ということで、五月二十五日から六月中旬までの予定でF16一個中隊が移駐するという説明を受けておりますが、その後の姿につきましては岩国の場合と同様でございます。  それからフィリピンのクラークから、基地の滑走路改修という同じ理由で三月二十四日から四月二十五日まで、F4ファントム十七機とF5タイガー十一機が移駐しておりましたが、これは既に帰投済みでございます。
  35. 上原康助

    ○上原委員 後段の方はまだ聞いてもないのに長々と……。  そこでハリアーはまだあきらめていないということですが、これはあきらめなさいよ、こんなものは要らない。こういうことを皆さんは余り簡単にお考えになると問題は相当こじれていきますよ、事態を見てもおわかりのように。  もう一つ。そうしますと、このミサイル大隊の本拠地というか駐屯地として、恩納通信施設跡の利用計画というのはないと見ていいですね、今の説明では。
  36. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 まだ何も決めていないということであると承知いたしております。
  37. 上原康助

    ○上原委員 これも先ほど私が述べましたように、十五回安保協で恩納通信施設は無条件返還で合意されたところなんです。だから、そんなところに新しく部隊配置をするのはもってのほかだ。これも特に御留意をしておいていただきたいと思います。  後段にあった嘉手納基地へのフィリピンなり岩国、三沢等々からの、滑走路の修復であろうが何であろうが、ただでさえあれだけ爆音をまき散らしておきながら、そういう集中使用というものももう一遍検討してもらいたい。だから、沖縄だけに持ってこぬで、日本全国に分散させなさいよ。大臣のところの滋賀県にも持っていってくださいよ。本当にたまったものじゃないですよ。読谷のこういった新たに滑走路破壊想定訓練というのか査定訓練というのか、こういうものも冗談じゃないです。こういった現在起きているいろいろのことについて、私は、外務省として実態を一遍ごらんになる必要があると思うのですよ、外務大臣。私がせんだって指摘をした十四回、十五回、十六回の日米安保協の返還計画が今日の時点においてもなぜ具体的に進んでいないのか。これは安保協で最高責任者は、日本政府は恐らく外務大臣でしょう、それは違いますか。施設庁長官じゃないですよね、安保協はたしか。  外務大臣なんだよ。そうだとすると、十四、十五、十六回、あるいは私がこの間から指摘しているいろいろの基地被害、基地の実態を外務大臣がその目でごらんになって、本当に返還の計画が進まない障害は何なのか、やったその上で、事務当局なり政府全体として新たな計画をお立てになるなり見直しをするなりということが必要じゃないかと思うので、この際、国会終了後、宇野外務大臣がぜひ沖縄に行かれて、私が今指摘をしたこと等も含めて、西銘知事なり、基地問題で苦労している関係市町村長とじかに懇談をする機会ぐらい持って、その上で、これからの沖縄基地の問題について政府としてどれだけ軽減できるのか、あるいは私たちが絶えず国会で言う問題が解決できる方策があるのかどうかやっていただきたい。これは要望と提案を含めてですが、ぜひお考えを聞かしていただきたいと思います。
  38. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この間、アメリカへ行く前に西銘さんが来られまして、私も、沖縄の知事さんはほかの知事さんよりもまた特別のいろいろな仕事をしてもらっておるという関係で、時間を割きましてお目にかかりました。そして、いろいろなお話も承っております。そうしたことから、今上原さんも非常に沖縄県のことに関しましては、毎回熱意あふるる御質疑をなさっておるということも私よく承知しておりますから、私のスケジュールも今いっぱいでございますけれども、そうした中から極力見出せるように心がけていきたい、かように考えております。
  39. 上原康助

    ○上原委員 これは通り一遍のことでなくして、外交日程は国会が閉会になってもいろいろおありと思うのですが、ぜひひとつ実現をしてもらって、本当にじかにごらんになれば、百聞は一見にしかずですよ。私たちが言っているのがオーバーに言っているのか実際にそうなのかは、どうぞ外務大臣の肌で感じていただきたいと思うので、改めてひとつこれだけは約束してください。
  40. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私の在任中にはそういうふうな機会を設けたい、こういうふうに考えます。
  41. 上原康助

    ○上原委員 その中でまたいろいろと具体的に改善できる方策がまだあると私は思いますので、ぜひひとつ実現するように強く御要望を申し上げておきます。  次に、これもまた今さらのような感じがするわけですが、在日米軍で働いている日本人従業員に対し、うそ発見器を使用するということが表に出て、大変重大視をしているわけです。一体今ごろ、これはまさに前近代的ですね。どういう米側の感覚なのか疑わざるを得ませんが、その事実関係をまず簡潔に明らかにしてください。
  42. 山崎博司

    ○山崎政府委員 お答え申し上げます。  今回の措置は、昨年の九月に海軍省から通達されました秘密保全についての取り扱いの措置の一環として行われておるものでございます。その背景でございますけれども、これは三年ほど前にウォーカー事件といういわゆる艦船造修関係の情報が漏れたといったような事実等、幾つかの秘密漏えいの案件がございまして、それを踏まえて、いわゆる秘密保全に対する見直しをいたしました。その結果を踏まえての措置でございます。その結果、これは日本だけではございませんけれども、現地雇用の従業員について秘密の取り扱いをする資格を認定するために、あらかじめ、機密漏えい等の事案が起こった際、本人の同意を得た上で調査を実施することもあり得べしということについての了解を求める同意書を提出させている、こういうことでございます。
  43. 上原康助

    ○上原委員 そんなことで納得できる内容ではないじゃないですか。三年前に秘密漏えい、そういうのがあったといって、これは日本であったんですか、どこであったんですか。
  44. 山崎博司

    ○山崎政府委員 ただいまのウォーカー事件というのは、米本国での事案でございました。
  45. 上原康助

    ○上原委員 米本国での事件であれば米本国で対処すればいいんじゃないですか。これはかつて沖縄が復帰をする前に、私も相当嫌な思いをさせられた経験を持っているんですが、いわゆる就職申込書に一々身上調査をして書き込ますのです。我我、その拒否闘争をやって、とうとううやむやになりましたが、まさにこれは人権じゅうりんですよ。この日米で書いてあるものの内容を見てください。まさに基地で働いている従業員をスパイ扱いじゃないですか。私はスパイ活動はしていませんという誓約をしなさいという内容なんですよ。こんなばかげたことを今ごろやるということは、まさに強迫的労務管理です。そこまではアメリカにへりくだる必要はないんじゃないですか。もっと自信を持たしたらどうですか。  もし職務上知り得たことで機密を漏らすとか秘密を漏らしたという事例があれば、それはそれなりに調査をしたり手続の方法はちゃんとあるんじゃないですか。日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法というのがちゃんとある。そういう範囲でオリエンテーションすればできる問題なんだよ。一々該当従業員に、これは自由意思に基づくものだとかいっても、スパイ器にかけられて、日本国憲法にはそういった人権侵害はできぬはずなんだよ。どういう面から考えてもこれは行き過ぎ。こうなると、これは外務大臣の決断だね。冗談じゃないよ。
  46. 山崎博司

    ○山崎政府委員 今の御指摘でございますけれども、確かに軍隊という組織の特性から、その組織の秘密を守るということは死活的な重大事でございます。と同時に、今御指摘のございましたように従業員の基本的な人権を守るということ、これまた大変重要なことでございます。その両者の折衷をどう図るかということでございますけれども、私どもの判断としては、まず今申し上げたように、このポリグラフの調査というのはあくまでもそういった具体的な機密漏えいの事実があったときに本人の同意を得た上で実施する、しかもその調査の際の質問事項についてもプライバシーにわたらないように十分留意もいたします、こういうふうになっております。確かにそういう運用が適切なものでなければ人権侵害のおそれがあるということも私どもは決して認めないわけではございません。だからこそそういうことのないように十分米側にも申し入れておる、こういうことでございます。
  47. 上原康助

    ○上原委員 そういう前提があってもこれはだめですね。ちょっと今大事なことをあなたはおっしゃっていますが、その前に、対象人員はどのくらいですか。
  48. 山崎博司

    ○山崎政府委員 これは今の制度の前ということで御理解いただきたいと思いますけれども、現在米海軍関係でそういった秘密の業務に従事している者、そういう適格性を認められている者は約五百名、五百の職場があるということでございます。
  49. 上原康助

    ○上原委員 五百人の内訳を基地別に言ってください。
  50. 山崎博司

    ○山崎政府委員 まず、一番大きなのは横須賀にございます艦船修理廠関係が三百三十名程度ということでございます。もちろんそれ以外も、五百名と三百三十名の差がございますが、これも当然のことながらそういった海軍の部隊が展開する施設に適宜いる。ただしこれは、若干説明を補足することになりますけれども、今回の通達で恐らく洗い直しが行われると思います。というのは、この通達そのものは、本来そういった秘密にかかわる業務は現地雇用の従業員にさせないというのが大原則でございますが、その上でやむを得ない事情がある場合に限って認める、やらせるということでございます。
  51. 上原康助

    ○上原委員 三百三十名が横須賀関係としますと、あと百七十人はどこですか。
  52. 山崎博司

    ○山崎政府委員 具体的な各基地の数については私ども承知いたしておりません。
  53. 上原康助

    ○上原委員 報道では明らかにされているんじゃないですか、佐世保とか三沢とか沖縄とか。それははっきりさせなさい。
  54. 山崎博司

    ○山崎政府委員 確かにそのような新聞報道があることは承知いたしておりますけれども、そのようなことを米海軍の責任当局が発表したという事実はございません。
  55. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、今のところこれは米海軍を対象にしたものですね。私はこれは容認するというか、そういう前提で聞いていませんよ。空軍とか陸軍にも、米国政府の方針としてなされているとすればこれは波及する危険性十分ありと思うのですが、そのあたりはいかがですか。
  56. 山崎博司

    ○山崎政府委員 三軍の秘密の取り扱いの仕方については必ずしも同一ではございませんで、私どもが承知しておりますのは、海軍の場合は先ほど申し上げたように艦船の修理を中心にした相当の秘密を取り扱う職場があるということでございますが、陸軍関係についてはそういう関係のものはございません。ただ情報関係を扱うセクションについて似たような職場はございます。それから空軍関係でございますが、空軍関係については原則としてそのような秘密に従事する従業員はございませんけれども、ただ、特定の秘密施設に立ち入る際の立ち入りの手続という形で行われております。と同時に、今お尋ねの事前同意書をとるとかとらないとかいう問題については、陸軍、空軍についてはそのような考え方は承知しておりません。そのような計画は現在のところはございません。
  57. 上原康助

    ○上原委員 いずれにしても今ごろこういうことをやるというのは人道上絶対許せない。また何もそこまでやらぬでも、もしそういう事実があれば実際の手続をとればいいのじゃないですか、さっき指摘をした日米相互防衛援助協定でやられているものや、あるいは労務基本契約にもあるわけでしょう。  外務大臣、こういうことはやはり人道上の問題、人権の問題です。うそ発見器にかけられて仕事をさせるなんというのは、これはあなた方が言う日米信頼関係からも問題です。これをこのままほっておくと大問題になりますよ。あなた、こんなことが許されてたまるものですか。もう一遍日米間でよく検討してもらいたい。再検討しますね。ひど過ぎる。
  58. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 先生のおっしゃっておられることの御趣旨は私どもわかりますけれども、施設庁の労務部長から繰り返し申し上げましたように、一方において軍の中における機密の保持というものをいかように達成していかなければならないかという要件があって、他方において当然のことながら労務者の方々の人権の擁護ということがございます。今行われておりますのは、繰り返しませんけれども、将来に向かっての可能性の許諾書というものに署名をさせるということであって、しかしそれにも幾つかの前提があるように承知いたしております。  それに署名しない人たちについては機密を取り扱わない場所に移す。しかし機密を取り扱わない場所に移すその場所についても、その労務者の方にとって合理的なところにするように努力する等等ございますが、将来にわたりまして先ほど私が申しました二つの要件をどのように調和していくかということについて政府としては深い関心を寄せ続けていく所存でございます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 時間ですから、そうしますとこれだけは今の段階で確認できますね。そういう職場というか職種に働いている、いわゆる秘密事項取扱限定職場にあるからそれを対象にすぐうそ発見器にかけるということじゃない、もし秘密漏えいか何かあった場合にかけられてもいいという許諾書なのか、その点を明確にしてください。
  60. 山崎博司

    ○山崎政府委員 足りない説明があれば補足いたしますけれども、あくまでもこれは具体的な秘密漏えいの事実があったときに、しかも捜査の必要上最小限度の人員に限ってやるということでございまして、そういう資格を与えるときにポリグラフにかける、こういうものでは決してございません。
  61. 上原康助

    ○上原委員 それにしてもこれは一種の脅迫ですよ。その精神的負担とか、しかもそれに署名しなければあなたは配転されることもあり得ると言っている。生活上の問題、かつて米軍が沖縄でやったのと全く同じことなんだ。そういうのは絶対にやめさせなさい。またこれは今ごろそう簡単にできる問題じゃないです、前近代的な労務管理というものは。日米協定を新たに結んで日本側が相当予算的にも負担をしている中でこんな勝手気ままなことまでさせてたまるものですか。その点はぜひよく話し合って解決するよう求めて、時間ですから終わります。
  62. 稲葉誠一

    稲葉委員長 玉城栄一君。
  63. 玉城栄一

    ○玉城委員 今ある意味で最大の政治問題、ある意味ではまた深刻な外交問題になっております例の奥野国務大臣の発言の問題、いわゆる奥野発言の問題について外務大臣のお考えをお伺いしたいわけですが、せっかく外務大臣が中国へ行かれまして、この問題が鎮静化されてその成果が上がると思っているやさきに、さらに奥野大臣は発言を続けて、より問題を複雑にし、深刻化しておるわけですね。そういう意味で、宇野外務大臣のせっかくの御苦労に対して後ろ足で砂をぶっかけるような、そんな感じもするわけであります。特に、盧溝橋事件は偶発的なものであるという、一私人なら別としましても、少なくとも国権の最高機関の場でそういうことを発言される、さらに問題を複雑にしていく。中国側は御存じのとおり、これは歴史をゆがめるものであると、そういう怒り、そのことも理解できるわけであります。  それで、大臣の御所見を伺う前に外務当局にお伺いしたいわけですが、盧溝橋事件というのは東京裁判ではどういうふうに記述されているのか。少なくともやはり東京裁判というのは日本政府は一応受け入れているわけですから、その辺をちょっと御説明いただきたいのですが。
  64. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員外務省) 極東裁判の判決の速記録の中に盧溝橋事件に関する記述がございます。これは非常に長いものなのでもちろん全部を御紹介することはできませんけれども、その事実関係が述べてございます。どちらが先に発砲したかというようなことは、この点は必ずしも書いてはないわけでございます。しかしながら、いわゆる盧溝橋事件が起こりました翌日に日本の指揮する正規の部隊が中国軍を攻撃したという記述がございます。このようなところが極東軍事裁判所の盧溝橋事件に対する認識であろうと考えております。
  65. 玉城栄一

    ○玉城委員 私もその部分を持っておりますけれども、東京裁判の盧溝橋事件について、陸軍の扇動によるものであると、今おっしゃるような内容のことが書かれているわけですが、奥野大臣が個人的な歴史観を述べられるのは、それは個人としてはいろいろある場合もあるでしょうけれども、少なくともやはり閣僚という公の政府を代表する責任のある方が、こういうライシャワー論文の一部を引用して、これは偶発的であるというようなことは、閣僚として国際的な感覚が余りにもなさ過ぎる。そういう意味で、外務大臣とされて、いわゆる対中国という国際的な立場から、今申し上げた盧溝橋事件は偶発的であるという奥野発言についてはどういう受けとめ方をしていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  66. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 日中関係考えるときにやはり、十年目に当たりますが、日中平和友好条約並びに共同宣言、四原則、この三つを我々は尊重して今日まできておるわけでございます。そしてお互いが発展を遂げておる、その友好も深まっておる、これが現状である。では、その共同宣言にどのようなことが書かれておるかということが、常に私たちは頭に置いておかなくちゃなりません。日中の共同宣言におきましては、戦争を通じて中国の国民に迷惑をかけた、この点を深く反省すると明らかにされておるわけであります。したがいまして、そうしたことは特に政府といたしましては尊重していかなければならぬというのが私の立場です。  同時に、韓国に対しましてもやはり基本条約のときに、過去の歴史については反省するとはっきり書いておるわけであります。これも尊重していかなければなりません。しかし、そうしたことがいろいろな報道によりまして近隣諸国に御迷惑をおかけした、それが近隣諸国の新聞報道されたということは遺憾な話である、私は当初よりこう申し上げております。  そこで、最近の一つの話題として、今申されました盧溝橋をどう考えるかというお話でございますが、私はライシャワーの本も実は読んでおりません。また、奥野さんの発言も別といたしまして、一点一点についてどうのこうのというのじゃなくして、いわゆる日中戦争そのもの、これを大きくつかまえての我々は常に反省ということが必要ではなかろうか、かように思っております。したがいまして、盧溝橋につきましても、奥野さんも僕にははっきり撤回するんだと言ってくれましたから、それならよきチャンスに撤回されたらどうですかということは御進言申し上げてありますから、そういう気持ちだと思います。  しかしながら、はっきり申し上げて、奥野発言を別にして、じゃ外務大臣としてどういうふうに考えるかというお話ですが、盧溝橋は偶発だったということは、そこに日本軍がいたから偶発であって、いたこと自体はどうだったんだろうかということを考えなくちゃなりません。その当時、いわゆる列強という国々も中国大陸にはいたかもしれませんが、しかし戦争がずっと自来長引いたのは日中間においてだけである、こう考えました場合に、したがいまして日中共同宣言の精神を私たちは再びそうした面におきましても尊重していかなければならぬ、こういうふうに私は考える次第であります。
  67. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間もございませんけれども、ここまで例えば日中、日韓、いろいろ外交問題として深刻に、複雑に発展した後に、じゃ撤回しますとか取り消しましょうとかあるいは陳謝しますとかでは、私はこの問題の解消にはならない。そういうことをされれば、宇野外務大臣とされてこの問題は外交的問題として解消されるというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうかですね。
  68. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在は官房長官がそうしたいろいろな声を脳裏に入れながら議運と折衝なさっておる。したがいまして、舞台は国会に移っておる、こういうふうに考えますので、私といたしましてはその後のことは予断できませんから、したがいまして、今日までの私は全力を挙げて波静かならんことを祈ってまいりましたが、今後もやはり波静かならんことを祈って努力をするというのが外務大臣の立場である、こう御理解を賜りたいと思います。
  69. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣も大変言外に、あるいは外交問題は波静かにというようなことでおっしゃっておられますが、これはきちっとしないと、最初から大臣が一連のことをおっしゃっておりますように、問題の解消にはならないと私は思います。  次は、問題を変えまして、私も沖縄の選出でありますから、この間大臣もおっしゃいましたように、沖縄の西銘知事が、沖縄の抱える米軍基地の全面的な見直しとか、国防総省に四項目にわたる要請書も出してきているわけです。今度は御存じのように二回目ですね。六十年六月と、今回も四月二十七日から五月一日でしょうかね、アメリカ側も好意的に、好意的にといいますか、できるもの、できないもの、それはこれから十分検討してまた文書でも回答したい、こういうことですが、これはやはり普通のルールからいきますと、一県の知事が日本政府を飛び越しまして外国の政府に直訴といいますか、こういう姿は、私は正常というよりは異常というように考えられるわけですね。  それほどやはり沖縄は巨大な米軍基地を抱えて、大臣もお読みになったかもしれませんが、西銘知事が書かれた国防総省に対する要請書の中には苦渋に満ちた、いろいろな現状も踏まえながら、県民の立場も踏まえながら、日米関係も踏まえながら、いろいろな具体的な要請がなされているわけです。ですから、大臣とされて、この西銘知事が訪米されてこういう訴えをされたことについてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いいたします。
  70. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先ほども上原さんに申し上げましたが、訪米前にやはり私のところに来られまして、そしてもちろんそうした問題で行ってきますというお話がございました。ただ、私はどういうふうな内容であったかということはまだ正式に承っておりませんから、十二分に承るチャンスがあればよい、かように考えております。     〔委員長退席、高橋(辰)委員長代理着席〕  しかし、いずれにいたしましても、他の都道府県の知事さんとは異なりまして、基地という大きな日米安保体制下における問題に関して沖縄が密度の高い面においていろいろと県民の御協力を仰いでおる、もちろん苦渋も伴っておるであろう、そうしたことを率直に米当局に申されたということである。これはもう当然行かれる前から私たちといたしましても認識しておるところでございます。いずれ改めまして、具体的な問題あらば、私もまた知事の御意見を聞くことにやぶさかではございません。
  71. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは、沖縄の場合は日本の四十七都道府県の一県のいわゆるローカル的な問題という認識だけではいかない。例えば逗子の米軍住宅の建設反対運動の問題あるいは三宅島の米軍のいわゆる夜間離発着の訓練場の反対の問題がありますね。あるいは最近は、アメリカが海外に基地を置いておる、例えばフィリピンとかスペインとかポルトガルとかギリシャとかトルコとかノルウェーとか、いろいろありますね、そういうところでもやはり従来の米軍基地を歓迎という雰囲気ではなくなってきています。ですから、一時期はアメリカさんは世界の警察軍であるというようなことで各国においても受け入れに非常に積極的でありましたけれども、アメリカ自身が財政問題もこれありまして、そういう意味ではやはり客観的に従来のような基地の維持ということは非常に困難な状況にあるのではないかという感じがするわけです。  それで、これは北米局長さんで結構ですが、アメリカ自体が、当面はそういうことは言いませんけれども、これから徐々に海外にある米軍基地をできるだけ撤収していこうという方向に来ていると私は認識しているわけですが、いかがでしょうか。
  72. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 私どもはそのような傾向にあるとは思っておりません。
  73. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはそのような傾向にあるとはおっしゃれないでしょうが、例えば在韓米軍の撤退という問題ですが、これはもう段階的にそういうことが具体的に検討されている。例えばレーガン政権後、次期大統領が誕生した後においては在韓米軍が段階的に徐々に撤収していくこともあり得るということも当然外務省としては検討されておかなければいけないのではないでしょうか。
  74. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 我が国が米国の対韓政策を予断することはできませんけれども、現政権はもちろんのこと、今私どもがここで予見し得る限りにおきましては、米国が在韓米軍の維持を含めた現在の基本的な対韓政策を変えるということはないという判断でございます。
  75. 玉城栄一

    ○玉城委員 在韓米軍が徐々にしろどういう形にしろ撤収していくということについては、賛成ですか、反対ですか、いかがですか。
  76. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 これはまさに米韓間で判断し決めていく問題でございますので、我が国としてとやかく申すことは適切ではないと思います。
  77. 玉城栄一

    ○玉城委員 我が国から米軍が整理縮小して撤収していくということは、我が国の安全保障上どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  78. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 現下の情勢においてはそのようなことはあり得ないと思いますので、そのあり得ないことについて推測するのは難しいことだと思います。
  79. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、有馬さん、先ほど私が大臣にお伺いしたように、西銘知事が沖縄の巨大な基地について整理縮小してくれということをアメリカに盛んに訴え、また米側はできるもの、できないもの含めて検討しようということですが、しかし、今あなたのそんなことは現在あり得ないということは、安全保障上沖縄の米軍基地がこれ以上縮小されていくことはあり得ないという判断ということですか。
  80. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 在日米軍の沖縄にございます米軍の施設、区域の整理統合を、より具体的に申せば、十四、十五、十六回の日米安全保障協議委員会で合意されておりますあの整理統合を、まだ何分四六%しか実施されていないわけですから、できるだけ努力する。それに加えて西銘知事が幾つかの御要望を米側政府に提出された、米政府はそれの一つ一つについて文書で回答しようということまで申しておりますが、そのことと在日米軍の施設、区域の整理統合を図っていくということと在日米軍の機能規模を維持するということは相反する要件ではないというのが私どもの判断でございます。
  81. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、最初に申し上げましたように、西銘知事の要請書にも、沖縄県というのは我が国の面積の〇・六%しかない、そこに在日米軍基地の二九%、米軍の専用施設においては七五・一%、人口密度においてもアメリカや本土と比べてこれは異常な状態である。したがって沖縄の県民は、沖縄が本土復帰しまして十六年になるけれども、いまだ米軍の占領状態が続いているという不満を持っている、それを解消するには現在の米軍基地を整理縮小してもらいたい、こういうことが書かれているのです。ですから、沖縄だけに過度に基地を集中して置いておくということは、西銘知事も、分散してくれないか、海外、本土を含めて役割分担を考えてくれないかということを言っていますが、いかがでしょうか。
  82. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 かねて申し上げておりますが、沖縄の基地の密度が非常に高い、そして我が国の安保体制の言うならばそうした面において大変県民の方々には御協力を願っておる、これに対して外務省はもちろんのこと政府全体が非常に感謝を申し上げておる、しかしそうした中においてもやはり必要な土地もこれあり、そんなことで先般も協議会で一つの案ができ上がって、残念にしてまだ四六%程度である、これはもう少しく進めていきたいと思います。  玉城委員も御承知でございましょうが、第一番目には移転先がなかなか見つからなかったという一つの話もございましたし、また地主の方々のお考え方もあったというような面も聞いております。したがいまして、我々といたしましては一件一件着実に計画されたものは実施に移して、そしてそれが実現していくようにまずこれを徹底してやろうじゃないかということを私からも常に事務当局に言っておるところでございます。
  83. 玉城栄一

    ○玉城委員 有馬さん、例えばフィリピンのクラーク空軍基地それから何と言いましたか海軍の基地、この基地は日本の安全保障上どういうふうな位置づけになっていますか。
  84. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 我が国の平和と安全はみずからの防衛力及び日米安保体制のもとで維持されてきておりますが、その関連で極東ひいては国際社会の平和と安定が保たれていることが必要であることは当然だと私ども考えております。  在比米軍基地の問題は、フィリピンはもとより、アジア・太平洋地域の安全保障上重要な問題であると考えております。
  85. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題でもう一点だけ。もちろん、我が国の安全保障も含めて在比米軍基地というものは非常に重要である。今度十八回ですか、日米安保事務レベル協議がハワイでありましたね。そこで、アキノ大統領は、一九九一年まで在比米軍基地貸与、それまでは尊重するが、ただし使用料いわゆる貸与料は上げたい。しかし、アメリカの議会はそれはできない。その話が十八回日米安保事務レベル協議でアメリカから出ている。その上がった分ですか、日本政府が持ってくれないか。これはおっしゃったように、安全保障上重要な意味を持つのであれば、日本政府としては持たざるを得ないということですか。
  86. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 そのような話は先般の日米安保事務レベル協議ではございませんでしたし、今先生が御指摘になりましたような考え方というものはございません。
  87. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは時間がございませんので、これ以上議論しません。  私は、今度はソフトな問題で、大臣直接のあれじゃありませんが、さっき西銘知事がアメリカに要請したものの中には、沖縄は観光産業が非常に重要である、したがってリゾート開発できそうなところの中にある米軍への提供施設、区域については早目に返してもらいたいという要請もあるわけですが、この話はいいです。  文部省、沖縄の観光振興に非常に役に立つ映画をある映画会社がつくりまして、これは沖縄の青い海、青い空、サンゴ礁とか熱帯魚とか、ふんだんに沖縄の自然の特徴を入れたものです。これは沖縄の慶良間諸島の中に座間味村というのがあります。その座間味村の中に阿嘉島という島があるのです。二百人ぐらい生活している島ですが、その阿嘉島に犬がおりまして、これは名前はシロというのですね。三キロぐらい海を隔ててある座間味島にマリリンという雌の犬がいるわけです。そのシロ、雄犬と三キロの海を隔てたマリリンという雌犬との恋物語、これは去年非常に話題を呼びまして、イギリスのBBC放送、日本マスコミも大きく取り上げたわけですよ。この映画の話をしますと、今人間に失われている非常に大事な、純愛といいますかそういう部分を、動物の純愛物語、ロマンス、感動的なものがあります。これは私の知り合いの家庭裁判所の調停員の方が、以前の離婚問題の調停のときに幾ら言っても聞かない、動物に教えられる部分があるじゃないかということで、この映画はぜひ、私、文部省選定か何かにしていただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  88. 沖吉和祐

    沖吉説明員 御説明します。  すぐれた映画、教育的価値があるかどうか、あるものについては社会教育とか学校教育で大いに利用していただこうということで、文部省選定という制度がございます。これは制作者の方々に御申請いただきまして、文部大臣の諮問機関である社会教育審議会に図りまして、これは適当であるという御判断をいただきましたら、私どもの方としては文部省選定ということにいたしております。  その際には、見る子供たちの心身の発達段階に応じたものであるかどうか、内容が正しいものであるか、豊かな情操を養うものであるかとか、そういったいろいろな要件がございますけれども、そういった面で専門的立場から御判断いただきまして、ぜひとも選定ということになりましたら、私どもの方もそういった手続をしたいと思っております。なお、選定されたものにつきましては、月報という形で各教育委員会、視聴覚ライブラリーの方にも十分御紹介するようにしたいと思っております。
  89. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは一映画会社でつくったものでありますが、私は、あれだけ基地を抱えていわゆる観光振興に役立つという立場、それから今人間社会で失われている非常に大事な部分、そういうことから、これは私自身個人的にぜひ沖縄の人に見せてあげたいという感じがするわけです。  それで、郵政省が「かもめーる」という暑中見舞いはがきの宣伝にこれを載せていらっしゃるという話を伺いましたが、その理由と内容を簡単に説明していただきたいのです。
  90. 石本宏之

    ○石本説明員 ただいま先生からもお話がございましたように、この映画は海を渡る沖縄県座間味村の犬のロマンスとして非常に全国的な話題を呼んだ物語でございまして、この夏かなりの観客動員が期待されると承っておるところでございます。  一方、私ども郵政省といたしましても、この夏暑中見舞いはがき、くじをつけた暑中見舞いはがき、愛称「かもめーる」と称しておりますが、これを三年目の商品といたしまして年賀はがきに次ぐ大きな目玉商品として現在販売促進に力を入れているという状況にございまして、宣伝活動等に創意工夫を凝らしておるという状況にあるわけでございます。  そういった中におきまして、この暑中見舞いはがき「かもめーる」の宣伝に当たりまして映画「マリリンに逢いたい」とタイアップすることにいたしました理由としましては、大きく分けまして三つほど考えたわけでございますが、一つは、この映画そのものが夏をイメージいたしました沖縄を舞台といたしておりまして、沖縄特有のエメラルド・グリーンと申しますか、すばらしい海と夏の太陽ということが背景にございまして、「かもめーる」のさわやかな商品のイメージということともぴったりして、盛り上がるのじゃないかということがございます。  それからまた、この映画の主役は、先ほどお話がございましたように二匹の犬でございまして、動物を主役といたします映画は広く一般の皆さんからも親しまれ、受け入れられるものであろうということ。三点目といたしましては、この映画は非常に家族向けと思われますので、この「かもめーる」の購買層とも一致するというようなことからタイアップさせていただいたということでございまして、この夏の「かもめーる」の発売を機に、テレビスポット、ポスター、チラシ等を配布しまして、この二匹の犬をキャラクターとしました宣伝媒体そして映画の宣伝もいたしてまいりたいというのが私どもの考えておる内容でございます。
  91. 玉城栄一

    ○玉城委員 かねがね宇野大臣は大変な文化人であるというお話も承り、実力政治家としては珍しいぐらい文化を大事にしていらっしゃる。私も外務委員会にしばらくいたときに、安倍幹事長が外務大臣をしておられたころ、第二次大戦の沖縄の戦争の記録、一フィートという記録映画がありまして、それを国会で上映させていただいたという経過もあるわけですが、今「マリリンに逢いたい」これはシロという犬とマリリンという犬、最近こういう動物同士の映画、忠犬ハチ公とか「子猫物語」とか、そういうのが非常に人気があるわけですが、大臣、いかがですか、機会があったらこの映画をごらんになりますか、一言おっしゃっていただければ……。     〔高橋(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今、玉城委員からも紹介があり、パンフレットも眺めまして、政府委員も大いに感動しているらしゅうございますから、私といたしましてもぜひとも拝見の機会を得たいと思っております。
  93. 玉城栄一

    ○玉城委員 それじゃ、本会議が二時からあるというのですが、あと三分か四分ありますので郵政省に伺いたいのです。  沖縄は離島県です。例えば、具体的に言いますと石垣島から多良間島、隣の島ですが、そこに速達を配達するルートは石垣島から宮古島、離れたところからまた逆に多良間島に、そのために三日、四日と速達がおくれる。例えば那覇から伊良部島とか那覇から鹿児島の与論島とか、これも船とか、速達にしては珍しい、ルートが遠回りして時間もおくれるということで、とりあえず石垣から多良間島、わざわざ宮古島から行って、逆流する、そういうことのないように何か検討できないのでしょうか。
  94. 渡邊芳美

    ○渡邊説明員 先生おっしゃられるとおり、現在石垣―多良間間の郵便につきましては、宮古を経由して石垣―宮古、宮古―多良間間の飛行機を利用して一日一往復輸送しております。石垣―多良間間の飛行機はなぜ利用しなかったかと申しますと、南西航空が昨年の二月まで火曜日と土曜日が運休ということになっておりまして、私ども郵便を運ぶ場合に、ある日は運べる、ある日は運べないということになりますと非常に不安定でございますので、そんな関係から安定した輸送が必要だということで、運休が火曜日、土曜日にあったものですから、実は先ほど先生がおっしゃられたような経由をしていたわけでございます。  しかし、私どもが今検討しておりますと、その後毎日就航しているようになっておりまして、ただ、なったからといっても、私どもまたすぐに運休されては困るものですから、運休があるかどうかということをちょっと見てまいりまして、南西航空にも問い合わせをしたところ、現在運休しないで毎日ずっと運航するようにしたいということでございますので、私どももできるだけ早くこの石垣―多良間間を飛行機でもって運送するようにしてまいりたいということで、ただいま検討中でございます。
  95. 玉城栄一

    ○玉城委員 あと一分ありますから、開発庁ちょっと。あなたは座っていていいです。要望だけ聞いておいてください。  さっきの「マリリンに逢いたい」は舞台が座間味村になっていますが、ここは琉球コミューター航空というのが島に私立の非公共の飛行場滑走路を八百メートルつくってありますね。この会社では飛行場を運営管理するというのはこれはもう大変なことで、かねがねぜひこれは第三種空港、県なり国が管理するなりしてもらいたい、そういう要望があるわけです。それで、沖縄県は八百万の調査費用を六十三年度予算でつけて、そういう方向で調査しよう、こういうことですから、ぜひこれも、この映画がなにしますと、シロを見たいとかそういう青い海を見たいとかダイビングする若い方が非常にたくさん今来ていますでしょう、だからこの空港もちゃんと応援していただきたいと要望して質問を終わります。
  96. 稲葉誠一

    稲葉委員長 和田一仁君。
  97. 和田一仁

    ○和田委員 宇野大臣、連日連夜大変御苦労さまでございます。  今国会で大変大きな問題になっております奥野大臣の発言について、冒頭ちょっと大臣の御見解を承りたいと思います。  私ども日本が中国や韓国、こういった隣国とそれぞれ友好善隣の関係をどうしても大事にしていくということは非常に大事なことで、これは国の外交の基本にあるべきだと思います。同時に、今までの日本外交の基盤として、さっき大臣もいろいろおっしゃっておられました基本姿勢の中には、日中間の共同宣言とこの精神が尊重されていなければならない、こういう御見解でございましたが、そういうことに関連いたしまして奥野大臣の発言が大変大きな影響を与えておるわけでございまして、私どももぜひ政府にあって善処していただかないといかぬな、こう思っておるわけでございますけれども、この閣僚の発言が今関係国に与えている影響というものを大臣どのようにおとらえになっているか、それに対してどうしたら最善の方法か、どういう対処が一番いい方法か、それをお聞かせいただきたいと思います。
  98. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 中国では銭其シン外務大臣が私に直接、言いたくはないけれども甚だ遺憾なことです、特に鄧小平さんの名前を挙げたことに対しましては礼儀を欠くことだと存じますと、極めて穏やかにおっしゃったわけです。特に李鵬総理は、一切そうした名前は挙げずに、お互いの理想というものを語られました。それは、中国にも現在、あの戦争によって切られた、殺された、撃たれた、撃ったというような悲しい思い出を持っておる人がいっぱいいる、しかしながら私たちはそういう思い出、悲しみを乗り越えて新しい平和のために努力をしたい、日本も恐らく原子爆弾というものを思い出されたら最も悲しい思い出でしょう、だからそういう悲しい思い出というものを乗り越えるのが平和だと私は思う、だから責任ある人が余り悲しい思い出を思い出さすことのないようにという話はやはり日中間の本当の気持ちではないだろうか、私はそういうふうに受けとめております。  したがいまして、そういう線から考えますと、奥野さんが近隣諸国にいろいろな話題を投げかけられた、それが近隣諸国の新聞で批判され、また糾弾されたことは遺憾だ、私はこういうふうに言っておるわけでございますが、今日ただいまは議運にそうしたことが移りまして、そこでいろいろと論議もなされておるというふうなことを承ります。したがいまして、政府からそれ以上のことは、こうなったらああなる、こうなったらああなるだろうということも申し上げられないという現状でございますが、私はやはり外務大臣といたしまして、内外ともに波が静かになることをこいねがいながら最大の努力をするというのが私の務めである、こう考えております。
  99. 和田一仁

    ○和田委員 総理大臣外務大臣がそういう意味で国会において遺憾の意を表され、修復の努力をされておるわけです。にもかかわらず、また新たな発言もあって大変困惑されておると思うのですが、そうすると今の大臣の御見解では、この段階においてはとにかく国会マターとして国会のあり方を見詰める以外にない、こういうことでございますね。私は、そうでなく、内閣自体としての対処のあり方が別途あるではないかな、こんなふうに思ってお尋ねをいたしましたが、ちょうどその真っ最中、議運もやっておる最中でございますので、それなりに受けとめさせていただきたいと思います。  きょうは沖縄北方問題の特別委員会大臣のおいでをいただきましたので、そっちの方の関係大臣の御見解をいろいろ伺いたいと思います。  日本外務大臣としては大変久しぶりに先月宇野大臣北方視察をされました。親しく北方領土視察してこられたわけでございまして、感想等も新聞に出て、上手な俳句も出ておったようなわけでございますけれども、この北方領土問題を我が国ソ連との間の基本的な問題としてとらえておられると思いますが、この北方問題について最近の日ソ間の中で新たな展開があったというようにお感じになっておられますか、それとも従来といささかも変わりないという御認識でしょうか、どうでしょうか。
  100. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 極端な変わりはないというのが私の認識でございます。しかし、いささかなりとも我々としてやはりソ連みずからがこの問題にもっと関心を持ってほしいという気持ちの上から申しますと、先般我が国大使がモスクワにおきまして、日ソ間に北方領土問題ありということを正式にテレビで表明することができた、これは一つの変化であると評価してもいいのではないか、かように思います。
  101. 和田一仁

    ○和田委員 私どもも何とかこの問題は一日も早く解決してもらわないといけないと思っております。きょうは実は、国会末になりましたけれども、私ども一緒に政治活動やらいろいろの労働運動をやっておりました同盟が、この北方領土返還問題に対して毎年毎年非常に熱心に継続して国民への返還運動のキャンペーン運動をやってまいりました。そして、街頭に出て署名活動をしながら返還運動の促進を図ってまいりました。昨年も何万という署名を添えた請願を出しました。この請願を何とか採択していただきたいと努力をしたわけでございますけれども、残念ながら採択になりませんでした。国際司法裁判所に提訴してほしいという国会決議をしてほしい、こういう請願でございました。私は何としてもこれは採択してもらいたいという努力をしてまいったのですが、残念ながらならなかった経緯があるわけですね。  その理由は、国際司法裁判所に提訴しても向こうが応訴してこないだろうし、余り意味がないという外務省の見解が大きく背後にあった、こういうふうに私は考えておるわけでございますが、大臣、いかがでございましょうか、こういう方法も国際世論を喚起するという意味では大変大事なことだと思うのですね。我々は不法に占拠されている固有の領土を返してくれ、こういうことを主張しているのであって、これは国際正義に訴えなければいけない。国際正義に訴えて、国際世論を背景にしていくことがやはり非常に大事だと思って、同盟とこの問題については毎年毎年やってきたのですが、それが実現しなかった、こういう経緯があるので、大臣の御見解をひとつ承りたいと思います。
  102. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 和田さんを初め同盟が北方四島に対しまして大変な御努力をしていただいておりますことに対し、私も閣僚の一員といたしまして衷心より御礼を申し上げます。  また、今主張されました国際司法裁判所提訴の問題は、私は一つの大きな課題ではなかろうか、こういうふうに思っております。今までの観念からいきますならば、恐らく国際司法裁判所の強制管轄権の受諾をソ連がいまだいたしておらない、そうした宣言を行っておらない、だからこれに応じる義務を負うておらない、そんなことがやってもむだであるということになるかもしれませんが、国会自身の御判断によりましてそうしたことがまた国会として取り上げられるということは決して意義のないことではない、私はかように考えます。
  103. 和田一仁

    ○和田委員 国際司法裁判所に提訴するということ自体については意義のあることだ、これは国会の考えである、こういうことでございますね。わかりました。  この間、竹下総理がヨーロッパをお回りになられまして、英国でサッチャー首相とお会いになったりいたしました。そのときに総理のスピーチがございました。この要旨を拝見いたしておりますと、今までの日本外交のあり方からいま一つ踏み出してきているなという感じがいたします。その中で、特に平和維持に非常に積極的な貢献をしたい、そういう意欲が見えておるわけでございますが、この平和維持積極貢献、これは今までやってないわけではないと思うのですね。日本は経済大国として金は出すが、そういう意味での平和貢献はやっているかもしれないけれども、なかなか人は出さないという国際的な批判に対して、そうではないんだという意味での積極貢献をしたい、こういう意図に思うわけでございますけれども、その点について、大臣、具体的にはどういうことを考えておられるかをお知らせいただきたいと思います。
  104. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 日本といたしましては、世界に貢献する日本でなくてはならない。今日までそれは経済面あるいは特にODAの面におきまして相当実績を上げてきたのではないかと思います。しかし、そうしたことだけではなくして、やはり平和に貢献する日本ということも非常に大切だ、そこを今回は総理としてもロンドンのスピーチで強調された、こういうふうに私たちも伺っております。  外務省といたしましては、世界に幾つもの紛争がありますが、これを遠いところの話だからといって看過するわけにはまいりません。日本として貢献し得る方途あらばいつでも御支援申し上げましょう、また大いに関心を有しております、こういう姿勢が大切でございまして、事実、幸いなるかな、アフガンにおいてはソ連軍の撤兵ということも始まっております。これが本当に来年の一月か二月までに完了するといったとき、果たしてその後はどうなるのだろうかという問題もございますし、それを監視する国連の機関としてやはり相当額が要るでございましょうが、それも持ちましょう。そういうことは結構なことでありますけれども、やはり一汗流さなくちゃいけないというのが私たち考え方でございますから、したがいまして、そうした監視団の中にはぜひとも文民、この派遣ならば異議はなかろう、こういうふうなことを考えまして、一名ではございますが、既に国連に対しまして一応こうしたならばいかがであろうかということだけは内報してあります。  さらに、カンボジア問題がございますが、これに関しましてはシアヌーク殿下しかいないというのがアジアの一致した意見であります。中国におきましても、はっきり私は意見交換しましたが、シアヌークさんしかいないねということは中国もはっきり認めておられました。だから八月に来ていただくようになっております。  さらには、イラン・イラクはもう従来から懸命の努力をいたしておりますが、まだ不幸にして戦火おさまらず。しかしながら、国連等々の場を通じまして私たちは我が方の主張を強く申し述べる所存でございます。  なおかつ、昨日発表したのでございますが、いわゆる中東問題として西岸、ガザの問題、これも一つの大きな紛争問題でございましょうが、私は日本が世界の平和に貢献するという立場から、この辺のそれぞれの国々も訪問いたしたい。こうして総理も私も具体的にひとつ汗をかきたいというのが今日の外交方針であります。
  105. 和田一仁

    ○和田委員 たくさんのことをお聞きしたいのですが、時間が少ないのでどうも思うようにいきません。  今大臣お話で、アフガン等については、監視団についてはもう既に外務省から一名派遣されたというお話でございました。これはこの前御質問したときに私はそういうお話を聞きましたが、こういういわゆる国連の枠内の監視団、いわゆるPKO、平和維持活動についてはよろしいようですが、国連枠外の平和維持活動、こういうものにも派遣の御用意があるのかどうか、これもお聞きしておきたいと思います。
  106. 遠藤實

    ○遠藤(實)政府委員 国連枠外の平和維持軍といいますか平和維持のための機能ができましたときには、それがどういう形で、かつ日本が派遣する場合にどういう身分を持った者がどういうふうな受け入れ態勢のもとに行くかというところが技術的にはっきりいたしませんと今確定的なお答えはいたしかねるわけでございますけれども、平和維持の機能の中で、非常に広く解釈いたしまして、選挙の問題であるとか、そういったものについてお役に立てることであれば、あるいはそういった機能に対する派遣ということは考え得るかと思います。
  107. 和田一仁

    ○和田委員 時間どおりやめてくれということでございましたので、もう時間がございませんが、そうすると今の御答弁だと、枠内はもちろんいいのですが、枠外の場合もケース・バイ・ケースで、選挙等の中身にもよる、組織にもよる。そういうもので多国籍のそういう監視団とか平和維持活動があればそれは別途考慮する、こういうふうに理解してよろしいのですね。
  108. 遠藤實

    ○遠藤(實)政府委員 その検討の余地が十分あると思っております。
  109. 和田一仁

    ○和田委員 一つだけ。アフガンへの監視団に一人派遣される、こういうことで派遣されたのかもしれませんが、これについてこの前も私申し上げました。軍事部門とそれから政治部門とあるというのならば、政治部門に外務省から人をお出しになった、そういう大事な場合に、両部門に、軍事部門にもぜひひとつ派遣をして監視をきちっとしていけるような、そういう体制をおとりいただきたい。これには専門部門である防衛庁の人を派遣すべきであると思うのですが、その点についてもう一回大臣の御所見を伺って終わります。
  110. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 せっかくのお話でございますが、やはり自衛隊法上、私たちはそうしたことはできないという立場で、したがいまして、文民だけということでございます。御理解願います。
  111. 和田一仁

    ○和田委員 文民で結構なのです。文民で行く方途があるわけですから、それでぜひそういう専門部門には専門家を文民として派遣していただく。それがより平和活動への貢献になる、我が国のためにもなる、こう考えております。もう一言お答えいただいて終わります。
  112. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 恐らく大使館に派遣されているアタッシュの防衛庁の人たちは文民という考え方、だからどうかというふうなあるいは御示唆かもわかりませんが、このことに関しましてもやはり慎重に取り扱わなければならない。もとが防衛庁だということになれば、私たちといたしましてもやはり慎重でなければならぬ、かように考えております。
  113. 和田一仁

    ○和田委員 終わります。
  114. 稲葉誠一

  115. 松本善明

    松本(善)委員 沖縄の基地問題について若干伺います。  嘉手納の飛行場では、岩国基地から五月に入って滑走路の補修工事を理由に米軍機二十七機と要員三百人が五カ月間の長期にわたって移駐してくるということでありますし、五月二十八日からは三沢基地から三週間の日程でF16戦闘機が移駐するということであります。私も去年一週間にわたって沖縄の基地を見てきたのですけれども、この沖縄の騒音問題というのは、本土では本当に想像のつかないようなすごいものですね。小学校では授業もできないし、試験もできないというふうなことも起こるという事態であります。こういう部隊が移駐してきてやるということになりますと、騒音も一層大きくなりますし、住民の反対も激しくなってきております。  今国会の予算委員会で有馬北米局長ですが、騒音の問題は沖縄において大変深刻になってきているという答弁もされました。この部隊の移駐との関係で予想される騒音問題、一体どのように米側と話をして対策をとっているのか、お聞きしたいと思います。
  116. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 今の二つのケースは嘉手納の場合でございますけれども、嘉手納におきましては、向こう側が自主的に一連の騒音規制をとるという約束をいたしておりまして、今時間がございませんので詳細は申し上げませんけれども、それに沿っての規律を守って行うということを申してきております。
  117. 松本善明

    松本(善)委員 大臣、ちょっとお聞きいただきたいのですが、厚木の基地とか横田の基地の場合は日米の協定に基づいて騒音の規制がなされているわけです。ところが嘉手納については、今局長が答弁しましたように、いわゆる三者協というのの紳士協定で米側の自主的な規制ということになっている。やはり日本国民の間でそのような差別があってはならないというふうに私は思うのですね。はっきりとアメリカ側交渉をして、そして協定で義務づけられてアメリカ側も騒音を規制をするというふうにすべきではないかと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  118. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私も、こうしたことは初めて耳にいたしましたときに、なぜだろうというふうな感じがいたしました。しかし、その後、飛行機等等大変な大発展を遂げておるし、そこら辺どうなるのだろうなという感じも私は持っておりますから、一応事実関係というものに関しまして、それぞれ考えてみたいと思います。
  119. 松本善明

    松本(善)委員 というと、協定を結ぶということも考える、こういうお話ですか。
  120. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 まずその先にやはり私自身として、現状というものを確認し、また経緯というものも一応十二分に検討してみたいと思います。
  121. 松本善明

    松本(善)委員 局長に聞きましょう。  なぜ嘉手納だけは協定がないのですか。
  122. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 それは嘉手納だけではございませんで、確かに昭和三十八年に厚木について、三十九年に横田について合同委員会で騒音についての取り決めがございますけれども、その後は本土の三沢も岩国も、それから普天間も、態様は若干違います、例えば向こう側の司令官が書簡を送付越してきたというようなことはございますけれども、それぞれにおいて米側は、それぞれの施設、区域の空港の運用上の要件を勘案しつつも、できるだけの措置はとると言って、幾つかの具体的なことを遵守するということを申しております。したがって、合同委員会の取り決めというものは必要ではないという判断になっているわけでございます。
  123. 松本善明

    松本(善)委員 嘉手納だけというのはちょっと言い過ぎですけれども、しかし、厚木や横田と比べて嘉手納の方が騒音が少ないなんということは到底言えないですね。私は一番すごいのじゃないかと思います。そこのところで協定を結ばないという理由は、結んではいけないという理由があるのかどうか。どうしても結ばないということならば、返還のときに何か秘密協定でもあって決めないということにでもなっているのじゃないかと私は疑うくらいですよ。どうしても結ぶことはできないのかどうか。そういう何かの障害があるのか。今大臣は、前提として事実を調べようと、それで場合によっては結ぶということの意思も示唆されたと私は思っているのですけれども、どうしてもここは日米協定を結ぶというわけにいかないという事情があるなら、その事情を明らかにしてほしい。
  124. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 まず第一に、嘉手納の騒音が深刻でないと言ったわけではございません。  それから第二に、嘉手納、普天間につきまして、沖縄返還の際に何らかの約束があったのか、公になっていない約束があったのかということでございますが、そのようなことはございません。  重要なことは、いかにして騒音の問題を解決していくかということでございまして、その目的を達成していくために果たして合同委員会の合意が必要であるかと言えば、その必要はなくて、彼らの自主的努力にゆだねることで足りるということでございます。
  125. 松本善明

    松本(善)委員 私の聞いているのは、そういう今の判断ではなくて、どうしても結ぶことはできないのだという障害があるのか、そういうものがないならない、ないけれども今はこれで足りると考えているなら考えていると、そういうふうに答えてください。
  126. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 そのとおりでございます。
  127. 松本善明

    松本(善)委員 ああそう、じゃ障害はないのですね。  障害がないという答弁でございます。大臣、事実をお調べになって、また、先ほど御答弁になったように、沖縄に行ってみようということの意思もおありのようでございます。それを見た上で、この協定を結んで騒音禍をなくすというための御努力願いたいと思いますが、その点についての御決意を伺いたいと思います。
  128. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いろいろと合同委員会の経緯もございましょうし、私、これだけを聴取したということもまだありませんので、技術的な問題がどうなっておるか、いろいろと検討してみたいという段階でございます。
  129. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 念のため申し添えさせていただきますが、私が、仰せのとおりでございます、障害はございませんと申しましたのは、日本側がそういうようなことを考えることに一切障害はないのかもしれないけれども、他方、米側がこれに合意しなければならないという義務はないということは申し添えさせていただきます。
  130. 松本善明

    松本(善)委員 結局、障害はないけれども米側が応じないということで、交渉の問題なんですね。ですから米側に応じさせるようにやはり協定をやるべきだと私は思います。それは米側が応じないからといってあきらめるというわけにはやはり沖縄の県民としてはできないと思いますので、強く外務大臣要望をしておきます。  もう一つは、読谷の飛行場関係のことをちょっと伺いたいのですが、これも毎週水曜日に滑走路損壊査定修復訓練がなされていますし、毎週火曜日にパラシュートの降下訓練が実施される。これが急速に強まってきているのですね。この読谷の飛行場の使用条件が公表されていないのですけれども、どういう使用条件なんですか。今言いました滑走路損壊査定修復訓練とかパラシュート降下訓練などができるようになっているのかどうか、これを明らかにしてほしいと思います。
  131. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 使用目的の中に訓練が入っております。したがいまして、さまざまな態様の訓練をすることを米側は許されております。
  132. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると何をやってもいいということですか、訓練は、どんな訓練でも。
  133. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 これは当然のことながら周辺の住民方々の安全等を配慮しながら行わなければならないということはございます。
  134. 松本善明

    松本(善)委員 この決めたいわゆる五・一五メモという内容は発表されていないのですね、使用条件について。  大臣に伺いたいのですが、この日米間の取り決めでその内容が国民生活に非常に密接に関連のある場合は公表するということを、この委員会でも北村議官だったと思いますが答弁をしているのです。こういう県民の生活にも非常に重大な影響のある問題が起こってきておりますので、このいわゆる五・一五メモというアメリカとの関係で使用条件がどうなっているか、これをやはり公表するというふうにすべきではないか。県民に対してもこれを公表するということが、じゃどこに問題があるのかということが明らかになりますので、それを公表するということについて外務大臣任期中に解決をしていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  135. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 合同委員会の文書につきましてはこれは全部は出さないということが米側との間に了解されておりまして、これは何度も国会で御説明申し上げているとおりでございます。  他方、これも申し上げているとおりでございますが、国民の生活と関連がある使用条件等の部分は取りまとめて外に出すということで、御指摘の沖縄返還がなされましたときに、それまでの間米軍の敷地であった施設、区域を提供する合意書が五・一五メモとなっておりますが、それの今の生活に関連する部分は、昭和五十三年五月だったと思いますけれども取りまとめて、公にいたしております、本土のものも幾つかその際公にいたしましたけれども。
  136. 松本善明

    松本(善)委員 それにもかかわらず、この基地の周辺の住民にとっては基地の使用が生活に耐えがたいものがありますので、やはり公表しろという要求が非常に強いわけですよ。それは公表するということに何の支障があるのか。基地の使用について公表するというふうに努力をすべきではないのか。今まで公表しないということになっているということだけではやはり不十分だろうと思う。基地の使用が激しくなってきて県民の被害が激しくなれば、今までそうであってもこれは公表するという交渉をして、そういうふうにするというのが当たり前じゃないかと思うのですが、これは公表できないという事情が、どうしても公表できないという事情があるのですか。
  137. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 これは全部は出さないという米側の約束がございまして、ただ繰り返して申し上げますけれども、国民の生活にかかわる部分は外に出しております。官報その他の方途で出しております。
  138. 松本善明

    松本(善)委員 読谷については公表しないということになっているのじゃありませんか。
  139. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 これは使用目的につきましては空港ということと訓練ということで公にしておりまして、使用条件は確かに外へ出ておりませんけれども、その条件というものは国民の生活に直接かかわるということはないということでございます。  それから、先生先ほどパラシュートと滑走路の破壊の推定の訓練のお話をされましたけれども、特に後者を実施するに当たりましては、御承知のとおり普通のときはそこを歩いていけるようになっておるわけでございますが、米側のこれを実施するに当たりましては周辺を歩けるようにするとか、あるいは安全については万全を期しているのだということを申し越しております。
  140. 松本善明

    松本(善)委員 やはり実情をよく知らぬのですね。訓練といっても防毒マスクをして、ちょっと新聞報道だけでもこういう異様な格好ですよ。通れる通れると言ったってそれはとてもじゃないけれども恐ろしい感じになるのですよ。だから、そういうことがあるから県民がそういうことを要望しているわけです。大臣は改めてこういう実情について調べて対処されるよう要求しておきます。  もう一つ、この読谷との関係で申し上げますが、滑走路修復訓練は極東全体の訓練計画であり、今後韓国、フィリピン、グアムなどの米軍も訓練に使用するということを海兵隊の将校が言っているということが報道されております。これが事実かどうか。もしそうだとすれば、それはどういう資格で韓国、フィリピン、グアムなどにいる米軍がやってきて訓練をするのか。  それから、さらに読谷の補助飛行場は第十六回の安保協議会で移設返還が合意されているわけです。こういうような訓練がずっと続けられていくということになりますと、これはなし崩しにあいまいになってしまうのじゃないかという心配が起こっております。この点について、移設返還問題はどうなっているのかという問題について伺いたいと思います。
  141. 有馬龍夫

    ○有馬政府委員 先生仰せのとおり、昭和五十一年の第十六回日米安保事務レベル協議で読谷の滑走路の東側一部返還が合意されまして、それは五十二年、五十三年にわたって実施されております。当時存在していたものの約三分の一くらいの大きさであったと思っておりますけれども、その後五十五年になりましてパラシュート降下の訓練のために何か代替地がないだろうかということで合同委員会の下に研究会というパネルができたりいたしておりますが、それが実行されておりませんが、引き続き今の読谷飛行場につきましては、訓練のためにあるいはそこに存在しておりますところの通信施設の電波緩衝地帯としてとかいろいろございまして、返還考えるということは現実的ではないのではないかということが私どもの判断でございます。  それから、最初に仰せられました共同訓練のことでございますが、私どもはそこでどのような共同訓練が行われているか、今後行われるかということは具体的に承知いたしておりませんけれども、訓練が行われるということ自体は安保条約上許されることだと思っております。
  142. 松本善明

    松本(善)委員 終わります。
  143. 稲葉誠一

    稲葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十九分散会