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1988-05-09 第112回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月九日(月曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 稲葉 誠一君    理事 高橋 辰夫君 理事 中村正三郎君    理事 町村 信孝君 理事 宮里 松正君    理事 上原 康助君 理事 玉城 栄一君    理事 和田 一仁君       阿部 文男君    北村 直人君       佐藤 静雄君    鈴木 宗男君       田中 直紀君    武部  勤君       近岡理一郎君    中川 昭一君       鳩山由紀夫君    早川  勝君       前島 秀行君    藤原 房雄君       森田 景一君    林  保夫君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      粕谷  茂君  出席政府委員         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         沖縄開発庁総務         局長      勝又 博明君         沖縄開発庁振興         局長      塚越 則男君         通商産業政務次         官       浦野 烋興君         通商産業大臣官         房総務審議官  山本 幸助君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         工業技術院総務         部長      山本 貞一君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         資源エネルギー         庁公益事業部長 植松  敏君  委員外出席者         警察庁刑事局国         際刑事課長   兼元 俊徳君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         大蔵大臣官房参         事官      沖津 武晴君         特別委員会第一         調査室長    諸岡 昭二君     ───────────── 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   鈴木 宗男君     田中 直紀君   五十嵐広三君     早川  勝君   小谷 輝二君     森田 景一君   瀬長亀次郎君     藤原ひろ子君 同日  辞任         補欠選任   田中 直紀君     鈴木 宗男君   早川  勝君     五十嵐広三君   森田 景一君     小谷 輝二君   藤原ひろ子君     瀬長亀次郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第八一号)      ────◇─────
  2. 稲葉誠一

    稲葉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮里松正君。
  3. 宮里松正

    宮里委員 私は、本日の議題となっております沖縄電力民営化問題について、通産省大蔵省及び沖縄開発庁に対し質問をいたします。質問事項はさきに口頭で通告したとおりであります。時間の都合もありますので、できるだけ簡潔に、かつ明確に御答弁を願いたいと思います。  沖縄電力民営化は、沖縄県における復帰後の電気事業の最終的なあり方の問題として、復帰のときから予定されていたことであります。そして、そのことは復帰直後から、時には行政改革の面からそれとの関連において議論がされたこともありましたが、全体的には主として沖縄県における電気事業あり方の問題として何度も検討が重ねられてまいりました。しかし、沖縄電力民営化をめぐるその後の客観情勢は当初予想していたことよりもはるかに厳しく、なかなかそのための条件整備ができずに今日まで延び延びとなってまいりました。  特に復帰直後に相次いで起こった石油危機問題は、会社の設立直後で、しかも県民の要求にこたえて離島各地を含む沖縄県の全域にわたって早急に電力安定供給体制を確立しなければならなかった沖縄電力にとっては、その影響も極めて深刻なものがありました。沖縄電力は、これらの多くの困難を克服しながらこれまで民営化のための条件整備し、このたび復帰のときから予定されていた独立民営化実現することになったわけであります。  政府がこのたび沖縄電力独立民営化の方針を決定した背景には、確かに最近の石油価格の安定や円高による経営コストの低減など客観情勢にも大きな変化がありました。しかし、それと同時に、復帰直後から沖縄電力独立民営化構想を胸に抱いて、それに向かってこれまでたゆまぬ努力を続けてきた沖縄電力役職員一同を初め、それを温かく見守りながらこれを実現するために尽力してこられた通産省大蔵省及び沖縄開発庁の御当局の方々の大変な御苦労があったことも忘れてはなりません。  私は、復帰の際に旧琉球電力公社資産及び権利義務を承継して現在の沖縄電力を創設したときから、琉球政府の副主席または沖縄県の副知事の立場でこれに関与し、その間の事情やその後の経過をよく承知しているつもりであります。したがって、私はこのたびの沖縄電力独立民営化実現を心から歓迎し、そのためにこれまで長い間苦労しながら努力を重ねてこられた沖縄電力役職員皆さんを初め、これを指導し支えてこられた通産省大蔵省及び沖縄開発庁当局皆さんに深く敬意を表する次第であります。  この沖縄電力民営化問題を直接所管され、その条件整備のために長い間苦労してこられた通産省皆さんはこれで肩の荷をおろされてほっとしているのではないでしょうか。そこで、この際、沖縄電力民営化法案審議の冒頭に当たって、大任を果たされた資源エネルギー庁長官の今の率直な気持ちを伺っておきたいと思います。
  4. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘のとおり、沖縄電力民営化をいたしまして、いわば地域経済発展の中核として創造性をフルに発揮した存在になっていただきたいということは、地元の強い御悲願でもございましたし、また私どもにとりましても多年の念願でございました。御指摘のように紆余曲折があったわけでございますけれども、ようやく条件が整いまして、こうして法律案提出をさせていただくことに至りまして、まことに感慨無量でございます。  私自身のことで恐縮でございますけれども、通産省沖縄復帰対策室ができましたときの室長補佐を務めておりまして、沖縄電力体制あり方につきまして議論に参加をさせていただいたというような個人的経験もあるものでございますから、こうして本日御審議をいただきますことにつきましてはかなりの感慨なしとしないわけでございます。ぜひ沖縄電力民営化実現をいたしまして、先ほど申し上げましたような方向沖縄電力が新しい歩みを始められることを念じてやまない、こういうような心境でいる次第でございます。
  5. 宮里松正

    宮里委員 次に、民営化経緯条件整備の点についてお尋ねをいたしたいと思います。  沖縄電力のこのたびの独立民営化は、沖縄県における電気事業の最終的なあり方として沖縄県側が復帰のときから一定の条件のもとに国に要請してきたところであります。したがって、沖縄県や沖縄電力当局者はもとより、沖縄県民各界各層大方これを待望してきたと言ってよいでありましょう。しかし、だからといってこの独立民営化実現した後の沖縄電力の将来に全く不安がないわけではありません。そのことは、沖縄電力がこれまで歩んできた道のりを考え、その上でこれから自力で歩んでいかなければならない沖縄電力の道筋を思えばおのずとして明らかであります。  そこで、沖縄電力のこのたびの独立民営化はそのために必要な条件整備を十分講じた上で決定したかどうか、またこの独立民営化実現した後の沖縄電力経営や機能には全く不安がないと言ってよいかどうか、この二つの事柄についてこの際政府の見解をただしておきたいと思います。  復帰の際にはアメリカ合衆国政府から琉球電力公社資産権利義務を承継して現在の沖縄電力を創設したのでありますが、その際、沖縄側には、当時の琉球政府の中にも県民の間にも、琉球電力公社県民生活の安定と産業振興を図るために支出されたガリオア資金で創設されたものであるから同公社資産は本来県民に帰属すべきものである、したがって、同公社資産沖縄県が無償で引き継ぎ、復帰後は沖縄県がそれを活用してみずから電力供給事業を行うべきであるという意見がありました。御承知のとおりだと思います。  しかし、この琉球電力公社資産は、復帰の際にアメリカ合衆国政府からドルで四千五百万四千八百七十ドル、日本円にして百三十七億二千六百四十八万円という高額の対価を要求された割には、その基本をなしていた発電施設送電施設老朽化が著しく、しかも日本の法律制度、特に公害防止関係法規制基準には全く適合するようになっておりませんでした。したがって、復帰後は莫大な資金を投じてこれらの基本施設改善措置を講じなければならなかったわけであります。  また、この琉球電力公社県民生活の安定と産業振興のために創設されたはずでありますが、実際にはアメリカ民政府軍事優先政策のもとに米軍基地とこれに関連した沖縄本島の中南部を中心電力供給され、採算のとれない沖縄本島北部山間地離島僻地には直接電力供給しておりませんでした。したがって、復帰後は直ちにこれらの山間地離島僻地に対する新たな電力供給体制を整えなければならなかったわけであります。  また、この琉球電力公社は、アメリカ民政府施政権者としての絶大な権力をバックにして布令で創設したものでありますから、その発電所変電所送電施設等用地確保にも無理なところがあり、復帰後はこのことに関する不満も噴出するおそれがありました。しかも、そのころは先進国を初め世界じゅうが工業化政策に傾斜しつつある時期でありましたから、電力供給事業に欠くことのできない石油についても、価格の長期的な安定を望むことは無理なように思われました。  そこで沖縄県は、琉球電力公社の創設の経緯を考えると、心情としては耐えがたいものがありましたが、これらの諸般の事情を考慮した上で、同公社資産を引き継いでみずから電力供給事業を行うという当初の構想を断念し、これを国にお願いすることにしたわけであります。そのとき沖縄県は、国が琉球電力公社資産を百三十七億二千六百四十八万円という高額の対価を支払って承継することには素直に同意する気になれませんでしたが、そのことはともかくとして、復帰後当分の間は国で沖縄県における電気事業を管理運営していただき、沖縄県の全域にわたって早急に電力の適正かつ安定的な供給体制を確立し、同事業経営を軌道に乗せた上でこれを本来の形の民営に移管してほしい旨要請をいたしました。こうして創設されたのが現在の沖縄電力であります。  それ以来政府は、沖縄県の要請の趣旨に沿って順次施設改善や新たな電源の開発を進め、現在では沖縄県の全域にわたってほぼ電力の適正かつ安定的な供給体制を確立していただきました。そのことは、沖縄電力琉球電力公社から引き継いだ牧港の四基の旧発電所を初め北谷や金武の発電所などがすべて取り壊され、これらの旧発電所にかわって牧港石川に立派な発電所が建設されていることでも明らかであります。  そこで、資源エネルギー庁にお願いいたしたいのでありますが、沖縄電力が発足してから今日までの間に設備投資にどれだけの資金を投入し、それでどれだけの施設を建設してきたかということであります。沖縄電力は近い将来さらに約一千億円の資金を投じて新たに発電所を建設する計画を持っているとも聞いておりますが、そのことを含めて、沖縄電力の現在の施設整備状況はもうこれで民営化実現しても電力の適正かつ安定的な供給体制支障を来すことはないと判断してよいかどうか、あわせて御答弁を願いたいと思います。
  6. 植松敏

    植松政府委員 ただいま御指摘の点でございますけれども、詳細な数字、累計で今持ち合わせておりませんけれども、復帰以来沖縄電力は各年百億円から二百億円にわたります設備投資を続けてまいりまして今日に至ったわけでございます。  その過程で、今御指摘いただきましたように、現在有人離島四十一、無人離島十七、そのうち有人離島につきましても来年の夏に最後の離島電気がともるというところまでまいりまして、山間僻地あるいは離島まで含めまして供給体制整備をしてまいりました。またこれからも、六十三年度、六十四年度とさらに設備投資がふえてまいります。幸いにして最近経営内容もよくなりまして、供給信頼度を一層向上させる、民営移行を契機にしてさらにサービスの向上を図るという観点から、一層の供給の安定のために努力をするという会社計画と聞いております。
  7. 宮里松正

    宮里委員 沖縄電力施設整備がほぼ整い、もはやここで独立民営化実現しても電力供給体制支障を来すことはないというふうに伺っておいてよいと思いますが、そうだとすれば、しからば独立民営化後の経営についてはどうでありましょうか。その点に不安材料が残っていないかどうかということであります。  沖縄電力は最近経営が安定をして、一昨年には過去の莫大な累積債務を解消して、その上、昨年度も多額の黒字を計上いたしました。その結果、昨年は資本金を二分の一に減資をいたしまして、これを社内に準備金として留保することができました。しかし考えてみるとこれは、石油価格が予想以上に低値で安定をし、その上、円高によって電力生産コストが大幅に低減した結果でもあるわけであります。  最近の新聞報道によりますと、OPECは、先日の総会においても各国の意見調整ができずに、予定されていた生産調整カルテル価格の維持に失敗したようであります。しかし、事柄国際情勢変化に対することでありまして、いつどのような形でまた変化が起こらないとも限らないわけであります。一方、専門家の中には、一九九〇年になると石油価格が間違いなく上昇するだろう、こういう意見もあるやに聞いております。仮に石油価格が前のオイルショックのときのように異常に高騰するようなことにでもなりますと、沖縄電力は再び赤字に転落することも考えられるわけであります。しかも沖縄電力採算のとりにくい多くの離島を抱えているわけであります。この点は決してゆるがせにできない、あるいは油断のできない事柄であります。  そこで、資源エネルギー庁は、今後の石油価格動向沖縄電力独立民営化後の経営について現段階でどのような見通しを持っておられるか、この際伺っておきたいと思います。
  8. 浜岡平一

    浜岡政府委員 昭和六十年度におきましては、沖縄電力石油依存度は一〇〇%でございました。その後、御承知のとおり石川石炭火力が稼働を始めまして、六十二年度におきましては石油依存度が五八%まで下がってまいりました。そうはいいましても、裏返して申し上げますと石油依存度が依然として高いということも事実でございまして、御指摘のように今後の石油価格動向沖縄電力の将来に対しまして大きな影響を持っていることは事実でございます。  当面の状況はただいま先生指摘のとおりでございまして、OPEC諸国、いささかたがが緩んでいるといいますか、どうしても目先の財政収入を追いまして増産に走りがちであるというような状況でございます。四月の終わりに非OPECとの間の協調というような一種の目標を織り込みまして閣僚協議会合も開かれたわけでございますけれども、結局合意を得るに至っておりません。したがいまして、今のところ引き続き石油価格は軟調に推移をいたしております。六月にOPEC総会が予定をされておりまして、その場でどういう方向が打ち出されていくかでございますけれども、大方見方といたしましては、抜本的に状況が変わるということは当面ないのではないか、やや弱含みというような情勢がしばらく続くのではないかと見られているわけでございます。  問題は、先生指摘の九〇年代でございます。九〇年代に入ってまいりますと、発展途上国中心石油需要が着実にふえていくだろうということが一方で見込まれておりますし、非OPECアメリカでございますとかメキシコあるいは北海の生産力が次第に頭打ちになってくるということが見込まれておりますので、徐々に需給はタイトになる、OPEC市場支配力も次第に回復をされていくだろうというぐあいに見込まれてはいるわけでございます。しかし、それが現実の段階に入ってまいりますのは、大方見方といたしましては九〇年代の半ばくらいというようなことではないかと思われるわけでございまして、まだある程度の時間的余裕があると申し上げてもいいかと思います。  先ほど公益部長が御説明申し上げましたように、今後とも沖縄電力におきましては、引き続き合理化努力、前向きの設備投資を続けるという姿勢をとり続けておられると承知いたしております。特に、今度は沖縄電力自身石炭火力を建設しようというような計画も持っておられるようでございまして、その一部は九〇年代前半にも動き出そうかと思われるわけでございまして、一段と石油依存度は下がってくるということが見込まれます。  また、石油情勢も、ただいま申し上げましたように、先行きは緊張感が必要でございますけれども、第一次ショックとか第二次ショックのときのような激しい変化が急激に起きてくるとは見込まれていないわけでございますので、その辺の時間的な間隔をにらみながら努力を続けていけば、経営基盤安定度は一段と上がっていくのではないかと私ども期待いたしている次第でございます。
  9. 宮里松正

    宮里委員 これは先に通告した質問事項にはないのでありますが、先日通産省からわざわざ職員に来てもらって民営化問題についていろいろな意見交換をいたしました。たまたまそれが今月の二日でございました。話し合いをしている最中に電力がとまってしまいまして大騒ぎをいたしました。その前の日までは雨が続いておりまして気温が例年よりも下がっておりましたが、二日になりまして急に天気が晴れて気温が上がった、そのために恐らく需給のバランスが崩れたのじゃないかといったことも考えられるのであります。  そこで、沖縄電力も目下その原因調査中ということで公式な発表をしていないわけでありますが、もしその原因がわかっておられたら、この際、説明を願っておきたい、簡単で結構ですから。
  10. 植松敏

    植松政府委員 停電事故につきましては、現在詳細を調査中でございますが、現場におりました者からの報告によりますと、現況から見て恐らく牧港火力発電所起動用変圧器一号機に避雷器ブッシングというのがついているのでございますが、その避雷器が損傷いたしまして、その結果、ブッシングまで破損をするというような形から発生いたしまして、さらにそれが系統運用の方にまで響いたということで、直接の原因起動用変圧器一号機の故障であろう。後、大変広範な停電になったわけでございますが、その辺の原因等につきましては、目下詳細調査中でございます。
  11. 宮里松正

    宮里委員 民営化話し合いの最中にそういうことが起こりますといささか複雑な気持ちがするわけでありまして、民営化実現がもう目前に迫っておって、通産省の手を離れるのも間近でございますけれども、その間にでもちゃんとした指導体制をとられて、ひとつ今後そのようなことがないようにしていただきたいと思います。  さて、政府は、沖縄電力のこのたびの独立民営化実現するために、これまでいろいろの面からその条件整備をしてこられました。離島を含めて沖縄県の全域にわたって電力の適正かつ安定的な供給体制を確立するために、発電送電、配電の施設整備にも力を入れてきました。先ほど公益事業部長から説明があったとおりであります。  昨年は資本金を二分の一に減資をいたしました。それを将来への経営の安定に役立てるために準備基金として支払いに留保もされました。経営基盤をさらに強化していくために、復帰のときに講じられた税制面金融上の優遇措置を今後とも継続する措置も講じられました。これは法案の中に盛られているところであります。  このたびは、新たに沖縄振興開発金融公庫から融資を受ける場合には、従来のようにその都度個別に具体的な担保権を設定するという方法によらずに、法律上の一般担保権を創設するという措置も講じられました。石油に対する依存度を緩和するために、先ほど長官からお話がございましたように、石川電発による石炭火力発電所も建設されました。  そこで、資源エネルギー庁にお伺いをいたしますが、沖縄電力が発足してから今日までの間に、復帰のときに講じられた税制上の優遇措置金融上の優遇措置によって、沖縄電力はどの程度の利益、恩恵を受けてきたかということであります。  これと関連をいたしまして、最近たしかことしの四月三十日だと思いますが、財投金利が五%から四・八%に引き下げられました。それに伴って沖縄振興開発金融公庫資金運用部から預託される預託金利も〇・二%下がったはずであります。ところが、沖縄公庫沖縄電力に貸し出す場合の金利引き下げにつきましては、まだ正式に決定した旨の通知がないようであります。沖縄電力は現在たしか四・八%の金利沖縄公庫から融資を受けておるはずでありますから、これから〇・二%引き下げられ、四・六%になりますと、独立民営化を迎える沖縄電力にとってはそれこそ大変な励ましになるわけであります。  それで、このことは沖縄開発庁長官並びに沖縄開発庁勝又局長あたりにぜひとも御尽力を願いたいと思うのでありますが、その点いかがでございましょうか。まず通産省の方からお答えを願いたいと思います。
  12. 植松敏

    植松政府委員 今御質問の点でございますけれども、税制面金融面、いろいろな形で助成をいたしております。これの総額、復帰以後六十一年度まで累計いたしまして試算いたしますと、約二百六十四億円に相なります。それから、別に石炭火力、これは電発補助金を出しまして電発から沖縄電力卸売をするわけでございますが、その卸売料金が安くなりますようにということで、電発石川石炭火力建設用補助金を出しております。これがトータルで二百八十六億円という額になりまして、その他もろもろのものも含めますと、六百億円近い財政面からの助成が行われておるかと思います。
  13. 宮里松正

    宮里委員 ありがとうございました。
  14. 勝又博明

    勝又政府委員 先般の財投金利の〇・二%引き下げに伴います沖縄金融公庫沖縄電力に対する特別融資制度に係る金利引き下げは、他の金利との絡みもございましてまだ実現はいたしておりませんが、沖縄開発庁といたしましては、今後とも沖縄電力に対する特別融資制度による低利融資制度というものを維持すべく努力してまいりたい、かように考えております。
  15. 宮里松正

    宮里委員 沖縄電力は、これでいよいよ独立民営化をいたしまして、これから自力で歩んでいかなければなりません。金利の〇・二%というのは大変なものであります。ぜひひとつその実現に御尽力を願いたいと思います。  次に、沖縄電力独立民営化後の課題についてお尋ねをいたしたいと思います。  沖縄電力は、御承知のように沖縄県の県域だけに電力供給する企業であります。しかも、これは沖縄県の県民生活安定向上地域振興発展密接不可分関係にあります。沖縄県民生活向上し、沖縄県の経済振興発展すれば、これに伴ってそれだけ電力需要が増大して、沖縄電力充実発展をしていく、こういう関係にあるわけであります。したがって、独立民営化後の沖縄電力企業として健全な形で発展していくためには、沖縄県の振興開発計画を引き続き強力に推進して、電力需要の増大を図ることが何よりも大切なことであると思います。  幸い、沖縄県は最近観光やリゾート産業が盛んになってまいりました。年間約二百三十万人の観光客が沖縄県を訪れるようになりました。沖縄県では、さらにこの観光入域者の数を年間三百五十万人程度にふやすべく、目下離島地域の活用などを含めていろいろな施策を練っているところであります。たしかことしの七月からはTDA改めジャパン・エアシステムも東京—那覇の間に就航すると聞いております。来年の夏ごろには、あるいは東京と宮古間にも直行便が飛ぶ予定になっているはずであります。これはあくまでも予定でありますが、しかし、かなり確実な予定でございまして、地元の強い要請もありますので、これはいずれ来年の夏あたりからは実現するだろうと私どももひそかに期待をしているところであります。  宮古、八重山の離島の方々は、この機会に宮古、八重山地域の本格的なリゾート計画を推進いたしまして地域の活性化と振興を図っていこうと、今非常な熱意に燃えているところであります。そして、県及びそれらの離島皆さんの今の構想計画というものが着実に進められ、宮古、八重山地域のリゾート計画が本格化してまいりました。沖縄電力にとってもこれは大変に喜ばしいことであります。沖縄電力離島地域だけで年々莫大な赤字を抱えてまいりました。当初のころは、恐らくこれは未来永劫解消することがないだろう、離島は絶えず沖縄電力にとって採算のとれないお荷物になっていくだろう、こういうことも言われてまいりましたが、こうして離島の振興計画が本格的に進められてまいりますと、沖縄電力にとってもこれは大変に喜ばしいことになるわけであります。  そしてまた、沖縄県が計画しております観光入域者三百五十万人程度ということになってまいりますと、これは沖縄本島だけでは本来賄いにくいものもあるわけでありまして、その面からも離島の活用が緊急な課題になるわけであります。沖縄電力の将来の経営を健全な形で安定させるためにも、沖縄のそういったもろもろの振興開発計画の強力な推進が不可欠になっていくと私は考えるわけであります。  そこで、今沖縄振興開発計画は第二次の後期に入っております。あと四年でこれはもう終了するわけであります。そしてこれまで少なくとも順調に推移いたしました。復帰十六年の間に沖縄各地が見違えるように発展してまいりました。これは何人も否定できない事実であります。そしてこの際、沖縄電力の将来の経営を安定させるためにも、沖縄復帰後の振興をさらに完成させるためにも、このような、とりわけリゾート計画等の推進は目下急務であると考えます。  昨年の通常国会では総合保養地域整備法も制定されました。国土法関係でもその種の計画が出てまいりました。これらを活用いたしましてこれからこの振興計画を強力に推進しなければならないと思いますが、この点は本来ならば開発庁の振興局長にお答えを願うところでありますが、所管違いではございますけれども、沖縄電力との関係におきまして、まず資源エネルギー庁長官の御所見を伺えれば幸いであります。
  16. 浜岡平一

    浜岡政府委員 復帰後の沖縄経済の発展の方向につきましてはいろいろな可能性が論じられてきたわけでございますけれども、御指摘のように、リゾートといいますか観光開発といいますか、そういった面が軌道に乗ってきておりますことは大変喜ばしいことではないかと考えております。  過去の推移を振り返ってみましても、電力需要がむしろ九電力の平均値を上回って伸びているというような事情もこうした点が影響しているのではないかというぐあいに考えている次第でございます。国民の価値観も一段と多様化してきておりますし、また生活時間の余裕というものも求められている時代でございますので、リゾート開発、ゆとりのある生活というものは今後とも日本全土で追求せられる方向でございますし、沖縄の特性に照らしますと、こういった方向は一段と活発になっていくだろうと私どもも考えております。  今後の沖縄電力需要予測を見ましても、やはり九電力を上回っているというような状況のようでございまして、こういった流れを考えてみますと、新しい発展に電力供給体制というものがうまく追随していくことが切に望まれるのではないかというぐあいに思っております。いわゆる特殊法人というような性格でございますと、やはり何かとしゃくし定規に物を考えがちでございまして、民営化という状況実現いたしまして、地域経済に密着した創造性というものが発揮されてまいりまして、こうした流れにうまくマッチしていくことが切望されているのではないかというような思いをいたしている次第でございます。
  17. 宮里松正

    宮里委員 最後に一言だけお尋ねをしておきたいと思います。  先ほど来指摘いたしましたように、沖縄電力県民生活の安定や地域経済振興発展密接不可分関係にあるわけでありますから、沖縄電力はそのことを経営理念にしてこれから経営していかなければならないと思います。したがって、独立民営化後にも、単に投機の目的だけで株式を取得するようなものは排除されるべきであろうというふうに私は思います。もとより、沖縄電力県民生活地域経済の発展に欠かすことのできない公益事業でありますから、全国的に活動している本土側の主要な金融機関を含めて、経営の安定を図るための株主を確保することも必要であります。いわゆる安定株主の確保もどうしても必要なことであります。しかし、それ以外に、単に投機を目的とするような株主を県外から招き入れることは全く必要がないと私は考えます。  そのような見地から、今沖縄側からは、このたびの独立民営化実現した後に、政府政府の持ち株を処分する際には、沖縄電力の新しい株主が県民主軸の構成になるように特段の配慮と措置をしてほしいという要請がございます。通産省開発庁あるいは大蔵省にまだ正式なそのような文書での要請は届いていないようでありますが、そのような声があることは恐らく御承知のことと思います。その点、通産省としては直接の所管ではございませんが、これまで沖縄電力を育てそして今独立民営化の準備をしておられる、将来ともそれを行政機関として監督していく立場からお答えを願えれば幸いだと思います。
  18. 植松敏

    植松政府委員 私どもも、民営移行に当たりまして政府の株式が放出されますときに県民主軸でということについては、強く地元から要請を受けております。こういった地元の要請がございますけれども、一方で政府の保有株でございます、国有財産でございます。したがいまして、国有財産中央審議会においてこれから、この民営移行の第一歩でございますこの法案が成立した後、株式の処分方法について検討されることになろうかと思いますが、このような地元の要望も十分勘案しながら、国有財産は公正に売却しなければならないという原則もございますので、その原則のもとでどのような売却方法が適当か、大蔵省その他、関係省庁とも十分相談してまいりたいと思っております。
  19. 宮里松正

    宮里委員 今の点を沖縄開発庁はどのようにお考えでありますか。長官がおられれば長官にお答え願うところでありますが、総務局長、お答えを願いたい。
  20. 勝又博明

    勝又政府委員 沖縄開発庁といたしましても、沖縄電力の株式の処分に当たりましてできるだけ地元に多くの株式を売却してほしいという要望があることは、十分承知しております。  この株式の売却方法につきましては、ただいま通産省から御説明があったところでございますが、私どもといたしましては、売却方法の検討に当たりましては、地元の要望をできるだけ勘案しながら検討が進められることを期待しております。
  21. 宮里松正

    宮里委員 今の点、大蔵省の方でも、現時点で答えられる範囲で結構でございますから、お答えを願いたいと思います。
  22. 沖津武晴

    ○沖津説明員 お答え申し上げます。  沖縄電力の株式の売却方法については、本件法案が成立した後に、大蔵大臣の諮問機関でございます国有財産中央審議会で御審議いただくこととなろうと思います。その際、ただいまのような地元の御要望等は御紹介いたしまして御議論願うということになろうかと存じます。基本的な考え方といたしましては、国有財産の公平な売却という原則のもとで、沖縄電力という公益性の高い会社を完全民営化するという今回の制度改正の趣旨を踏まえて適切に対処してまいりたいと思っております。
  23. 宮里松正

    宮里委員 時間がなくなってまいりましたので、最後に一言御要望申し上げておきます。  独立民営化後、政府政府の持ち株を処分するに当たりましては、今の、株主を県民主軸にしてほしいということ、同時にまた今の金余り現象の中で投機下にそれをさらす、高値でそれを処分するようなことをせずに適正価格でそれを処分してもらいたいというのが次の問題です。さらには、そうして生まれてまいります株の売買差益につきましても、地元の産業振興等適切に使っていけるように御配慮願いたい、こういう要望もあるわけであります。  時間がございませんので、地元からその要望があるということを御紹介申し上げ、かつまた、本来電力の株並びにその処分による利益というのは復帰の最後の締めくくりをする事柄でもありますので、それら地元の要望をよく踏まえられた上で特別の御配慮、措置を講じていただくように私の方から特に御要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  24. 稲葉誠一

    稲葉委員長 上原康助君。
  25. 上原康助

    ○上原委員 最初に法案について一、二点だけお尋ねをして、後ほど通産大臣、開発庁長官がおいでになったときにまたお尋ねさせていただきます。  先ほども指摘があったのですが、まず、過般の沖縄電力停電事故についてお尋ねをしたいと思います。  沖縄本島の全契約件数の七〇%に相当する、いまだかつてない大規模の停電が去る二日に約四時間、ちょうど私も那覇の事務所におりましたのですが、たしか六時五十五分ごろじゃなかったですかね。一番大事な、いつも大事なのですが、七時前だったと思うのですね。これは本島全域停電パニックに突然陥ったもので、県民生活に多大の混乱をもたらした、沖縄における最大級の停電事故だったと思うのです。くしくも、きょう民営移行法案審議をしょうという直前にそういうことが起きたというのは、少なからず県民にあるいは県内企業に、何かを暗示しているのじゃないかという見方さえあるわけですが、そういう状況に追いやった。  問題は、いまだに原因がはっきりしないということがちょっと気になるのですね。停電の理由なぜ原因究明にこれだけ時間がかかっておるのか。この点はいま少し明確にしていただかないと、県民の不安にこたえていないということになってもいけないと思いますので、改めてお尋ねしたいと思います。
  26. 植松敏

    植松政府委員 お答えいたします。  今御指摘のとおり、五月二日午後六時五十五分牧港火力発電所変圧器の故障に端を発しまして大規模な停電、かつ全体が復旧するまでに三時間四十五分という長時間を要したということで、多大の迷惑をかけた事故であったわけでございます。  原因は、系統運用段階まで全部調べてみませんと、なぜ広範囲に起こったか、さらに復旧にどうしてこれだけの時間がかかったか、二つの面を究明するには相当の時間がかかろうかと思います。私どもも実は本日、本省からも担当官を派遣いたしまして、詳細の原因究明に当たることにしておりますが、とりあえず沖縄電力株式会社当局に対しましては、事情聴取と同時に原因究明を徹底的にして、二度とこういうことのないようにということで注意を与えておるわけでございます。  とりあえずそれらの状況を踏まえて推測いたしますと、先ほども申しましたけれども、牧港火力発電所の第五号機及び六号機の起動用変圧器用の避雷器が損壊いたしまして、これが同起動用変圧器ブッシングの損壊に波及し、本停電事故が生じたというところまではわかっておるのでございますが、あとの中頭幹線を中心といたしまして大規模な送電系統全体に大きくわたった、その辺の事情、それから次に、復旧にこれだけの時間をどうして要したのか、その辺はこれから詳細を調べまして、二度とこういった大規模な停電が起こらないようにということで徹底をしてまいりたいと思います。とりあえず電力会社の方でも設備の総点検をいたし、再発防止に万全を期する旨、私どもの方にも報告が来ております。
  27. 上原康助

    ○上原委員 釈然としないわけですが、素人的に考えてみまして、五月一日は豪雨でしたね。非常な雨続きで、施設老朽化とまではいかないでしょうが、いろいろな気象条件とのかかわりが私は多分あったのじゃないかという感じもしないわけではないのですね。今までああいうことがなかった。ですから、そこいらはよく原因を究明して、抜本的対策を講じていただかなければいかぬということと、確かに四時間も停電をしますと、交通面の混雑だけでなくしていろいろな面で県民に大変な不安を与えております。もしあれが日中であるとすると、特に病院関係や、まあ自家発電はあるにしたってそれを始動するまでには若干の時間をかけなければいかぬということがあるし、日中のいろいろな活動期であったとするならば、もっと人災もあるいは起きなかったとも言えないと思うのですね。したがって、そういう面で、このことについては徹底解明をしてもらいたい。  同時に、私はこれは不可抗力な事故だったと思いますが、いろいろ地元市なり県民の意向も、なぜ復旧に四時間もかかったかという面で批判的な声もかなりございます。しかし反面、考えてみて、別に私は沖縄電力の肩を持つつもりは毛頭ないのですが、あれだけの大規模な停電に対して四時間前後で回復できるまでの機動性があるということは評価していいんじゃないかという感じも逆に持ちました。そういった点、不可抗力のものなのか、また、そういった大規模な事故に対して今の沖縄電力は、十分に人的にも、いろいろな機器的、そういう面の対応措置ができるような体制なのかどうか、その面はどう見ておられるのか、そこをもう少し説明しておいてください。
  28. 植松敏

    植松政府委員 今回の停電事故原因につきましては、不可抗力であったかどうかも含めまして原因を徹底的に究明したいと思っておりますが、沖縄電力のそういったものに対する技術水準と申しますか、これは過去の統計を見ましても、例えば十年前のと比べまして、一需要家当たりの事故による停電回数、こういったものを調べますと、五十一年度には一需要家当たり一年間に五・五回の停電が起こっておりますが、最近では、六十一年度二回と激減をいたしております。  また、一需要家当たりの事故停電停電時間を見ますと、沖縄は御承知のとおり大変な台風常襲地帯でもございますので、自然災害による事故が多うございますが、一応それを除きまして通常の事故停電で申しますと、五十一年度は一需要家当たりの事故停電時間が百九十四分という数字が出ております、約三時間。これに対しまして六十一年度の実績を見ますと、六十三分、約一時間、三分の一に減っております。回数も減っておりますし、また停電時間が短いということは、つまり割合短時間で復旧をなし得るということになってきておるということで、技術力も大いに向上しているという証左ではないかと思います。  ただ、例えば九電力と比べまして十分かどうかという点になりますと、まだまだ改善すべき点が多かろうかと思います。例えば配電の自動化等をいたしまして、事故が起こりましてもどこに事故があるのか、それを切り離してほかの部分については送電を続けることができる、そういった短期間に事故処理をし、影響の起こる範囲を非常に限定的にする、さらに事故の復旧を急ぐとか、こういった点についてはまだまだこれからも向上すべき点が多かろうかと思いますが、現在の水準はかなりいいところまで来ておるというふうに理解しております。
  29. 上原康助

    ○上原委員 今お答えがありましたように、台風常襲地帯であるということと、例年、台風のときには地域的に停電を余儀なくされているのですね。これももちろんそういうことのないことが望むところであり、またそうしてもらいたいわけですが、特に離島県であるということ、本土なら、陸続きなら、本土九電の場合は、どこかで故障が起きても隣県からあるいは送電をやりながら復旧対策というものができる、災害対策ができるわけだ。沖縄はそういう体制にないですね。  したがって、そういった陣容の問題、設備の問題、機動性の面については、もっと沖縄電力とも政府全体でこの件は、今度の突然の大規模停電というものを一つの教訓としてやるべきだと思うのですが、これは政務次官でもいいし、エネルギー庁長官でも、どちらかもう少し明確にお答えください。
  30. 浜岡平一

    浜岡政府委員 停電の問題を含めまして、いわゆる広い意味での安全性の問題は、今回の会社の性格の変更のいかんを問わず電気事業法の体系によって律せられるべきものでございまして、会社の形態が変わろうと変わるまいと基本的には同じ考え方が適用されるべきものだと思っております。  そういう意味で、ただいま御指摘のような状況を解消し、改善をしていくということは基本的には不変の課題でございまして、私どもといたしましても、沖縄電力自身努力基本でございますけれども、必要な指導等につきましては遺憾なきを期してまいりたいと考えております。
  31. 上原康助

    ○上原委員 いつまでに事故の結論を出すのですか、原因究明できるのですか。
  32. 植松敏

    植松政府委員 これは電気事業法に基づきまして事故報告規則というのがございます。原則として一カ月以内に詳細の調査結果を報告してもらうようになっておりますし、先ほど申しましたように、資源エネルギー庁の方からも担当官を派遣して原因の把握、究明に努めておりますので、できるだけ早く実態を把握したいと思っております。
  33. 上原康助

    ○上原委員 国会で法案審議されている間は緊張感があるかもしらぬが、それが通ってしまうとまたこういうことも、まさかそんなお気持ちは通産にも沖縄電力にもないと思うが、この点は県民の率直な感情ですから、特に御留意を願いたいと要望しておきます、  電力問題は後でいろいろお尋ねしますが、次に、どうしても聞いておかなければいかぬ点がありますから、基地問題について二、三点だけ確かめておきます。  私は四月中旬から月末までちょっと留守にしておったのですが、四月中旬からこの五月の約二週間にかけて基地被害というか基地の事故というのが多発しているのですね。本当に毎日何が起きるかわからぬ。この連休もうちに帰っておったら、昼夜を問わず爆音が激しいですね。最近はますます激化している。四月十八日、キャンプ瑞慶覧から地すべりで民家が被害を受けた。私も現場をちょっとのぞいてみたのですが、大変な状況だった。四月十九日は米軍の油流出で比謝川が汚染、四月二十三日はキャンプ・フォスターから発射された金属ナットで民間乗用車が狙撃された。四月二十六日は米軍ヘリが読谷の古堅小学校の校舎すれすれに飛行して爆音で朝礼さえも、校長先生のお話も聞けない状態、授業もできない。五月一日は再びキャンプ瑞慶覧から地すべり。もう数えれば切りがないですね。  特にキャンプ瑞慶覧の地すべり事故は明らかに人災ですね。こういうことに対して施設庁も外務省も一体どう対処しているのか。もう少し人命尊重ということを皆さん考えてもいいのじゃないですか。アメリカだけの人権を守って、沖縄県民の、地域住民の人権はどうでもいいということにはならぬと思う、パラシュート降下訓練にしたって。どういう対策を立てて、米側にどういうような措置を講ずるように言っているのか、ぜひ明らかにしてください。
  34. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 お答え申し上げます。  まず、キャンプ瑞慶覧におきます地すべり事故の事実関係を最初に若干申し上げますが、四月十八日の午後五時ごろ、キャンプ瑞慶覧内の米軍発注による将校クラブ増築工事の現場付近の傾斜面で盛り土が約五十メートルほど地すべりしまして、その施設の下の境界の外にありました民間人の住宅一軒に対して被害を与えたものでございます。石積みの崩壊とかコンクリート床の一部持ち上がりとか家屋ひさしの一部に被害を与えております。  その後、米軍それから県、北谷町、北中城村の地方公共団体といろいろ協議をいたしまして応急措置を講じておりましたところ、五月一日に至りましてまれに見る豪雨がありまして、再び地すべりによりまして被害を拡大いたしました。先ほど申しました前日の家屋の裏の大きな石が移動しましたり、家屋全体が傾いて無数の亀裂が入っております。そのほか一軒につきましては石積みが崩れて家屋の一部に被害が生じております。その他三軒にも石積みあるいは植栽等の破損の事故が生じております。合計、日本人が住んでおります家屋が一軒、それから米国人が住んでおります家屋が四軒ございます。一番大きい被害は米国人の居住のものでございます。  これらにつきまして、防衛施設局としましては、被害の拡大を防ぐということが大切でございますので、応急措置について米軍、それから地元地方公共団体等とも調整をいたしまして、土砂の撤去とか土どめのためのHくいの打ち込みとか排水路の設置などの応急対策を現在講じておるところでございまして、一昨日からH形鋼を地盤の基盤に至るまで打ち込む作業を現在も続けておるところでございます。引き続き原因調査の結果に基づきまして、被害の拡大の防止、それから再発の防止のための最善の措置を講じてまいりたいと考えております。
  35. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 読谷飛行場におきますパラシュート降下訓練の問題でございますけれども、御指摘のように四月二十六日、米陸軍が読谷飛行場においてパラシュート降下訓練を実施しました際に、トリイ通信施設のヘリコプター発着所を使用しまして訓練要員の移送を行いました。トリイ通信施設にはヘリコプターの発着所が二カ所ございまして、通常は小学校から離れた発着所を使用していたものでございますけれども、この日は小学校に隣接した発着所を使用いたしまして、また古堅小学校の近くを往復したということで朝礼に支障を来したということは御指摘のとおりでございます。  米軍に対しましては、日ごろ安全の確保、それから騒音の軽減ということについて十分な配慮をするように申し入れているところでございますけれども、今回の問題は小学校の朝礼に支障を及ぼしたということで配慮に欠けておったと言わざるを得ません。したがいまして、那覇防衛施設局から現地米軍に対して重ねて慎重な配慮を求めたところでございます。これに対しまして、米軍としましては、今後このような問題が起こらないよう配慮するという意向を表明しているところでございます。
  36. 上原康助

    ○上原委員 いつもそういうことですね、今後起こらないよう配慮する。また起こっているじゃないですか。大体、小学校の近くにヘリパッドなんかつくるということ自体が無神経ですよ。そんなこと日本のどこにありますか。こんなのはやめさせなさい。  それと、キャンプ瑞慶覧の地すべりは米軍独自の発注による被害ですね。これは確認しておきましょう。
  37. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 工事の現場は、キャンプ内の将校クラブの増築工事をやっております現場の下側に土を盛り土をしたというところから起こった地すべりでございます。現在、ボーリング等も行いまして原因を究明中でございますので、確定的なことは申し上げられる段階ではございませんけれども、キャンプの中のそういう米軍の発注による工事現場の近辺で起こったということでございます。
  38. 上原康助

    ○上原委員 米軍の発注によるものであるなら米軍自体にちゃんと始末させなさいよ。
  39. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 ただいま米軍が民間の業者に発注いたしまして、大型の機械を入れまして応急措置を講じておるところでございます。  なお、現在、事故原因等については詳細調査中でございますけれども、もし米軍の管理瑕疵にこの地すべりが起因するということになるとすれば、これは民特法、それから地位協定十八条五項に基づきまして補償を行うということになろうかと思います。この問題については誠意を持って当たりたいと思っております。
  40. 上原康助

    ○上原委員 すぐ後被害を受ければ地位協定に基づいて補償云々ということじゃないのです。皆さんがしりぬぐいだけするから次から次へ起きる。向こうはこれから梅雨どきに入ったら大変な地すべりになるかもしれませんよ、応急措置を早目にやらぬと。それを徹底させてもらいたい。  次、もう一つは金属ナット投てき事件ですが、これはある意味じゃ明白に殺人未遂事件ですね。いまだ犯人も検挙されていないというわけなんだ。四月二十三日午後から深夜にかけて数件発生している。被害に遭った一台の観光バスには遠足帰りの一歳から三歳の保育児が乗っておった。窓ガラスに金属ナットが直撃した。車内の子供たちは唱歌を歌っておったのだが、みんな急にやめてしまって、大変なショックを受けた。万一運転手でも当たっておったら一体どうなるの。この原因は何ですか。どうなっていますか、事後調査は。
  41. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 お答えします。  事案の概要をまず申し上げます。四月二十三日午後二時四十五分から午後十時五十分ごろの間にキャンプ・フォスターの基地沿いの、通称瑞慶覧交差点と申しておりますが、県道百三十号、国道三百三十号線において一定の間隔はありますが六件発生しております。バス二台、タクシー二台、乗用車二台、それぞれ鉄製のナットが基地内からと思われますが、何者かによって投げられたかあるいは発射されたことによりまして車両六台がそれぞれ被害を受けております。それと参考ですが、ことしの四月一日と十六日にも同じ現場付近でバスとタクシーがそれぞれ窓ガラスを破損する事件が起きておりますが、これはナットによるものかどうかわかっておりませんので、一応別の事件ではないかと今のところ考えております。  それで問題のナットでございますが、これは鉄で、直径十三ミリ、厚さ五ミリ、通称アメリカナットと呼んでおりまして、沖縄の県内では普通使われていないものですし、それから先ほど申し上げましたけれども、発生場所がどうも米軍の基地周辺、中から投げられたのではないか、それからその後米軍の海兵隊の捜査当局と合同で宜野湾署の方で捜査をしておりますが、基地のフェンスの付近にも同様のナットが発見されておりますので、現在基地の外と中あわせて所要の捜査を行っております。
  42. 上原康助

    ○上原委員 今の御答弁からも推測というか聞いて皆さんもそう受けとめると思うのだが、米軍基地から何者かが投げていることは間違いないですね。そう確認していいですね、基地内からの何というか投げたものだ。
  43. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 お答えします。  現在そういう疑いで宜野湾署と米軍の犯罪捜査部とで共同の捜査をしております。
  44. 上原康助

    ○上原委員 これは本当に悪質きわまる事件ですね。ちょっと常識では考えられないんじゃないですか、こういうことをやって。しかも公道ですよ。百三十号というのは県道ですよ。国道五十八号からこっちの国道の両交差点を結んだところ。かつて私はそこのそばで働いておったからその地域はよくわかる。  外務省、だれか来ていますか。——一体こういうものをあなた方、アメリカは少しは礼儀もわかるのでしょう、まさか不良少年だけ沖縄に連れてきているのじゃないだろうが、不良米軍だけ、軍人だけを。こういうことに対してどういう対策をやっているの。あいた口がふさがらぬよ、本当に。
  45. 岡本行夫

    ○岡本説明員 本件につきましての事実関係は先ほど警察庁から御答弁のとおりでございます。  私どもも事故の原因を一刻も早く究明することが先決だと存じております。仮にこれが米軍関係者によるものだといたしますと、これは極めて深刻な事例として私どもも受けとめざるを得ない。原因の究明をまちまして私どもとしては米側に対し直ちに再発防止策はもちろんのこと、今後このような事案の二度と起こらないように米側の中の規律の強化等についても申し入れる所存でございます。  米側も本件を非常に深刻に受けとめております。私ども承知いたしますところ、これまで米軍は中の新聞あるいはテレビ等を通じまして本件に関する情報収集に鋭意努力しております。仮に米軍関係者の中から犯人が出た場合には厳罰に処し、もちろん基地から強制退去させるということを米軍の中で通告しております。また、当該地域に関するパトロールも強化されたと承知しております。  いずれにいたしましても、本件のような事故があってはならない、言語道断のことであることは申すまでもないことでございまして、私ども今後とも米軍と協力しつつ所要の対策を講じていくつもりでございます。
  46. 上原康助

    ○上原委員 これは幾ら皆さん安保を認めろあるいは軍事演習もやむを得ないという立場をとる人にしたって、こんなのは許せませんよ、こういうやり方は。沖縄人をばかにしているか戦場意識なのか。しかもこういうことがもう日常茶飯事に起きている。だから私は、こういうことに対してもっと県当局なりいろいろな面からしっかりした対策をやれという声が出ないのが不思議なんです。僕が大声を出さないと動かぬのじゃないですかね、皆さん方は。十日くらい沖縄を留守にしている間にみんなこういう事件が起きている。今安保課長御答弁あったように、これはあるまじき行為、人間としてやってはいかぬよ、これは子供であろうが大人であろうがだれだろうが軍人だろうが、軍人なら余計だ。ですから警察当局も警察庁も防衛施設庁も外務省も改めて決意をここで言ってください、早目にこれを究明してどういう対策を講ずるか。
  47. 兼元俊徳

    ○兼元説明員 お答えします。  瑞慶覧の方では事件発生と同時に二十名の捜査員を投入しまして米軍の捜査部と共同して事件の解明、それから予防措置を講じております。改めて申すまでもないことですが、通行中の車両にこういう重いものを投げるということは大変危険であることは言うまでもございません。我々の方も沖縄県警を大いに督促して一日も早い解決を目指したいと思います。
  48. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 この種の事件、事故が起こってはならないという点につきましては防衛施設庁としても全く同感でございます。  本件につきましてはまだ犯人は特定されている段階ではございませんけれども、私どもといたしましては事件、事故を未然に防止するという見地から、四月二十六日に那覇防衛施設局が現地米軍に対して事件の概要を説明いたしましてその対応をただしたところ、米側としましては基地周辺での本件事故が発生していることを非常に重視しまして、実情を調査することと、それから隊員、家族に対しても十分注意を喚起するという約束をしております。その結果が、先ほど外務省からも答弁ありましたように現地米軍の対応になったものと承知しております。今後なお私ども、この問題についてフォローしたいと思っております。
  49. 岡本行夫

    ○岡本説明員 本件についての私どもの認識は先ほど御説明申し上げたとおりでございます。私どもといたしましては、警察庁、防衛施設庁と協議をしながら、また、幸い米軍自身が本件につきまして非常に深刻な受けとめ方をして犯人の捜索、もしそれが米軍の関係者であるならばその捕縛に今最大限の努力を払っておるところでございます。原因究明の一刻も早い結果を待ちまして、私どもといたしましても強い措置を米軍に申し入れるつもりでございます。
  50. 上原康助

    ○上原委員 これは日米友好の面からも許されません。アメリカ人だって、良識ある人は恐らく恥ずかしいと思っているはずよ。再発防止といってまた起きるかもしらぬし、ぜひひとつ徹底した解明をやってもらいたいと思いますね。十三日に外務大臣に対する外務委員会があるようだけれども、それまでにはっきりした答えを準備しておってください。きょうは基地問題はこの程度にとどめておきますから、帰って早く調べてください、皆さん。  次に、電力問題で、先ほどもあったのですが、あと五分あるから事務当局に聞いておきますが、資源エネ庁それから沖縄開発庁大蔵省民営移行県民主軸でやってもらいたい、県民主軸の経営ができるように、この県民主軸ということについて皆さんどういう理解をしているのか、それぞれまず。
  51. 植松敏

    植松政府委員 定義を正確にするというのは大変難しゅうございますけれども、私どもの理解といたしましては、沖縄電力需要家も沖縄県民皆さんでありますし、また先ほども御指摘がございましたような経緯をもって特殊法人ができ上がったというようなことから、沖縄県民ができるだけ多くの株式を保有するということで、結局、株主としても株主総会において県民の意向が反映できるような形の株主構成になることが望ましいという点から出てきておるのではないかというふうに理解しております。
  52. 勝又博明

    勝又政府委員 県民主軸という言葉は沖縄県が国に対して要請した中で出てきた言葉かと思うわけでございますが、県の考え方といたしましては、県民主軸というのは沖縄電力の株式の相当部分を沖縄県民が保有する状態をいうものと考えております。
  53. 沖津武晴

    ○沖津説明員 沖縄の地元の御要望につきましては、関係省庁である通産省あるいは直接地元の方から十分伺っているところでございます。その概要は今まで通産省あたりから申し上げられているとおり、株式の相当数を県民で保有されたい、こういう御要望であると承っております。
  54. 上原康助

    ○上原委員 私の前段の持ち時間ですから、今は一応三名とも合格点だ。だから、これは法案が通過して実際に民営化されても、そういう方向にやらぬと皆さん、これは食言になりますよ。その点は後でまた大臣にもっと詳しく聞きますから。
  55. 稲葉誠一

    稲葉委員長 玉城栄一君。
  56. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄電力民営移行ということは長年沖縄県民の一つの要望であったわけでありますし、私どももこの委員会では、沖縄電力民営移行の問題につきまして何回も政府の方に要望もしてきたわけであります。私は、沖縄電力民営移行するという大きな目的の一つは、電気の安定供給あるいは適正な料金の水準確保、適正料金というのは本土並みということにもなると思うのですが、それをするために今まで政府とされてはいろいろな条件整備をされてきた。政府も当然ですし、また沖縄電力さんとしても大変いろいろな御努力をされて、いよいよきょうは沖縄電力民営に移行しようという法案審議となっておるわけであります。政府を初め沖縄電力あるいは関係者の皆さんの御労苦に心から敬意を表する次第であります。  そこで、県民生活に重大な影響を持つ電気の安定供給あるいは適正料金の水準確保、それが民営移行したからといって急に完壁に達成されるとは私も思わないわけでありますが、いずれにしてもこの議論をするためには、長官、一つは基本的な認識をお互いに確認し合った上でないと議論ができないと私は思う。  それは、御存じのとおり、沖縄電力というのは、沖縄復帰前のアメリカガリオア資金によって琉球電力公社ができた、それを日本政府が引き継いだ、一つの特殊な経緯を持っておりますね。同時にまた、沖縄県という地域が特殊な地域性を持っておりますね。二十七年間米軍の占領下に置かれていたという特殊なケースですね。それで昭和四十七年に復帰しまして十六年になる。しかしなおかつ、さっきもいろいろお話がありましたとおり、巨大な米軍基地を抱えている特殊性もある。県民所得もなおかつ四十七位という状況にもある。なかなか最下位から脱し切れない。あるいは失業率も全国平均の二倍、そういう特殊性等があるわけですね。  ですから、沖縄電力が民間に移行したからといって、これは後で大臣が来たら申し上げたいのですが、例えばNTTのような全国べースの問題ではないわけですね。だから、沖縄電力が今回この法律によって民間に移行される、これは沖縄の特殊性という基本認識をお互いに考えた上でないと議論がどうもかみ合わなくなってくるのではないか、株の処分の問題等も含めて。長官、いかがでしようか。
  57. 浜岡平一

    浜岡政府委員 さまざまの特別の事情というものが沖縄電力を取り巻いておりますことは御指摘のとおりかと思います。そういう意味で沖縄電力の位置づけも、従来は沖縄振興開発法の中で行われていたというようなこともあろうかと思うわけでございます。さまざまの助成措置あるいは経営努力等によりまして、今回、いわゆる特殊法人としての性格を払拭することが何とか可能になりつつあるという状況ではございます。  今後、そういうことになりますと、いわば一般の電力会社と同様に電気事業法のもとで公益法人として活動してまいるわけでございますけれども、公益法人体制といいましても、日本の場合には御高承のとおり、一般的には九電力体制と言われるような体制をとっておりまして、一つの会社にはしていないわけでございます。これは、公益事業であると同時に、やはり地域地域の特性、特質というものと密接に電気事業関係しているということを勘案して形づくられてきた体制ではないかというぐあいに思うわけでございまして、特殊法人の性格を払拭いたしました後の沖縄電力といえども公益法人であり、かつ、いわゆる九電力体制に準ずる体制の中で動いていくわけでございますので、やはり地域の特性といったものにしっかり根をおろしていく必要性というものは今後ともあるのではないかというぐあいに考えております。
  58. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはどこの地域でも特性というのはあるわけですから、当然九電力それぞれの地域特性は持ちながら、ただ私が申し上げておりますのは、やはり沖縄の場合は他県とちょっと違ったいろいろな特殊性を抱えておる。そういうことで政府もこの法律については従来どおり税制優遇措置であるとか、あるいは担保、これは担保は一般的ですけれども、特に優遇特別措置についてやっておられるわけですから、今長官もおっしゃっておられたように地域特性は認めつつ、公益法人としての建前は十分わかった上で、やはり沖縄の特殊性というものをどう配慮していくかというのが、さっき私が申し上げておりますいわゆる安定供給の問題も含めてそうなのですが、特にこの料金体制の問題もまだまだ工夫しなければならない問題が今後出てくるだろう、私はこのように思うわけであります。  それで一つは、先ほどもありました大きな停電の問題なんですが、さっき通産省もおっしゃいましたように短時間で沖縄電力の方々が必死になって復旧されたというその力量については評価する、あるいは技術水準についてもかなりいいところまできているという客観的な評価もなされておられるわけで、私も全くそのとおりだと思うわけでありますが、復帰後最大の大停電だ、こう言われておるわけですから、これは実際に県民生活を直撃したことは事実でありますので、こういうことが二度とあっては大変だなということで、これは私に限らず全部がそういう認識なんです。ですから、もう二度とああいう事故が起きないようにするにはどうすればいいか。私は、あえて苦言を申しますと、この沖電が民営に移行するために沖縄電力の赤字解消とか資本金を二分の一に減資するとかさまざまな御努力をしてこられた。一方政府としても、技術的な面、そういう面についてももっと反省すべき点はなかったろうかという感じもするわけであります。  そこで、これは事業部長さんで結構ですが、沖縄電力さんがこれから民営移行後、短期的にも中期的にも長期的にも設備投資計画を発表しておられますね。まずその概要と、その中にたしか自動配電システムですか、これも入れるんだとさっき御説明ありましたけれども、これから民営移行後中長期的に沖縄電力さんがいろいろ設備投資をしょうとする概要について一応御説明をいただきたいと思うのです。
  59. 植松敏

    植松政府委員 沖縄電力設備投資計画を見ますと、これは施設計画に基づきまして毎年年度当初に出されるものでございますけれども、電源開発の分野よりも送電、変電、配電関係設備投資のウエートがはるかに多くなっております。例えば六十二年度で申しますと、これは推定実績でございますけれども、沖縄電力が百四十二億円の設備投資をいたしておりますが、そのうち送電関係が十八億円強、変電関係二十四億円、配電関係が三十億円弱、その他を入れまして流通関係七十六億円の設備投資をいたしておりまして、電源関係離島の内電関係十億円程度ということで、今回の事故も発電所におきますものでございますけれども、送電系統まで含めて事故を拡大したという経過がございます。  また、通常台風常襲地帯でもございます。台風による事故というのは大半が送電系統で起こっておりまして、やはり送電系統の施設の充実ということが災害による停電も含めまして停電の回数を減らすポイントかと思います。そういう点では沖縄電力が累積赤字を解消いたしまして最近若干収支内容がよくなっておることもございまして、供給の安定性と申しますか、供給信頼度向上のための設備投資にもかなり充実した設備投資ができるような状況になってきておりまして、六十三年度以降もそういう形で送電系統にかなりの設備投資をする計画になっております。
  60. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、これは沖縄電力さんの新聞発表にもありましたけれども、また沖縄のマスコミにも一部そういうことがありまして、今度の事故でいわゆる電柱だとか電線、これを地下に埋設する計画も沖電さん自体にもある。それは私もこれはいいことだな、またおっしゃるように台風常襲地帯ですからぜひそうすべきだと私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  61. 植松敏

    植松政府委員 今おっしゃるとおりでございます。実はほかの九電力と比べまして、送電線及び配電線の地下の埋設状況というのを調べてみますと、これは若干離島がございますもので海底ケーブルの分も入っているのでございますけれども、海底も含めまして送電線の地下埋設比率というのは九電力沖縄電力がかなり上回っておるという状況でございます。ただし、いわゆる配電線、低圧の部分でございますが、これはまだ九電力には及ばないという状況でございます。  実は、この地下埋設というのは、それ自体台風等の影響というのを防ぎますし、それから都市美観のためにも大変いいわけでございますが、架空線に比べますとコストが非常に高くなります。四倍から十倍ぐらいかかると一般的に言われております。それから、埋設いたしますと、埋設の場合に道路を掘り起こさなければならないということで迷惑がかかるということと、もし故障が起こりますとまた掘り起こさなければならない。したがって、故障だけでなく、例えば設備の増強をしなければいけないというときにもやはり掘り起こさなければいけない。  都市につきましてはかなり成熟した分野、つまり需要も今後それほどふえないというようなところで、むしろ過密対策のためにも埋設した方が都市美観も含めて便利であるというようなところを中心に現在各電力会社とも地下埋設をいたしておるという状況でございまして、配電線につきますとそういった問題を考慮しなければならない。ただ、送電線につきましては台風影響等も考えますとむしろ埋設をしていく方がいいという場合もかなりあろうかと思います。現実に沖縄電力の場合には海底ケーブルまで含めますと地下埋設の送電線の埋設比率は九電力をかなり上回っているという状況でございます。
  62. 玉城栄一

    ○玉城委員 いろいろ御専門の立場からできるところ、できないところ、あろうかと思いますが、配電の電柱、非常に細かい話なんですが、沖縄も自動車、そういう鉄軌道がありませんから、道路の端っこから相当真ん中の方に電柱が立っているところがあるわけです。ですから、そういうところも考えますと、交通の便も含めて、あるいは美観も含めて、あるいは台風という防災面も含めて、ぜひこの際御検討して推進していただきたいと思います。  それからもう一つ、いわゆる適正料金の水準確保という問題なんですが、これは皆さんの方からいただいたいろいろな資料をざっとさっき九電力と比べてみましても、やはり北海道が一番高いのです。沖縄を入れて十電力になるわけですが、北海道が一番高いのです。そして二番目に高いのが沖縄である。それで全部トータルした数字、これは電灯から業務用、小口、大口その他全部含めてトータルですが、北海道が一番高くて、沖縄よりは一キロワット当たり二十七銭高いのです。あとはみんな沖縄よりは低いですよ。  東北が沖縄よりはキロワット当たり二円三十七銭低いし、東京が三円二十四銭低いし、中部が四円七十一銭低いし、北陸が六円三銭低いし、関西が一円八十六銭低いし、中国が二十二銭低いし、四国が二円八十三銭低いし、九州が二円低いということですから、まだまだ適正料金水準確保という問題は、これからもエネルギー庁とされても、そのためにはいわゆる民間の経営努力を導入をしてこういう二つの命題を何とか実現していこうという趣旨による、また、そういう要望が地元にもあって民営移行ということになっているわけですから、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思うのですけれども、何か一言ありますか。
  63. 浜岡平一

    浜岡政府委員 大変重要な点でございます。  先生指摘になりました数字はそのとおりでございますが、一言だけつけ加えさせていただければと思いますのは、ただいま先生引用されました数字は各電力会社需要構成比に従いました加重平均値でございます。沖縄電力の場合には、一般的に料金水準が低水準になっております大口電力のウエートが低いものですから、加重平均をいたしますとおっしゃったような数字になるわけでございます。ところが、沖縄電力の場合には、構成比で比べてみますと、電灯あるいは業務用の電力というもののウエートは九電力よりはるかに高いわけでございます。いわば需要の構成が小口化しているというぐあいに言いかえてもいいのかもしれないと思います。  この需要口数でいいますと、大宗を占めております電灯あるいは業務用につきましては実は沖縄電力は九電力平均より安いわけでございます。電灯につきましては、十社を並べてみますと三番目に安いというようなレベルでございます。加重平均による、ある意味で数字のいたずらということかもしれませんが、大口電力のウエートが低いものですから、それで、加重平均をしますとそういう数字になるわけでございます。  ただ、大口電力がウエートが低いあるいは大口電力が高いというのは、産業振興による雇用増加というような別の要請もあるわけでございますから、それでいいんだと申し上げるつもりはないわけでございますけれども、内容を分析をいたしますとそういう点もあるという点は御勘案いただければありがたいのではないかと思っております。
  64. 玉城栄一

    ○玉城委員 皆さんからいただいたこれに、電灯に関する分についても八番目と書いてあるのです。北海道が十番目でキロワット三十円五銭、沖縄が八番目で二十七円五十七銭、これは時間がありませんので……。  それで私は、これはちょっと確認をしておきたいのですが、沖縄県というのは離島県ですから、たくさん離島を抱えてそれだけ電力コストが高くなるわけです。ところが、電気料金というのはプール制になっていますから電気の恩恵をひとしく受ける。その分赤字を抱えて、その補てんのために沖縄電力が苦労していらっしゃることも十分承知しているわけですが、民間に移行されまして、ある程度合理化とか利潤追求とかそういう形になりまして、これはまたその県下一律のプール制というものが崩れないということおっしゃっておいていただかないと困るのですが、いかがでしょうか。
  65. 植松敏

    植松政府委員 今御指摘の数字は私ども持っておりますのとちょっと違います。ことしの一月から料金改定をいたしまして、各社とも値下げ改定を行っております。値下げ改定をした後の数字で見ますと先ほど長官が申し上げたような数字になるわけでございます。実は一月の改定のときに、前の五十五年当時、あるいは沖縄電力でいいますと五十六年でございます、その当時の規程料金に比べますと沖縄電力は約二〇%の値下げになっております。九電力平均しますと一八%弱の値下げでありますのに対して、沖縄電力の方がむしろ値下げ幅が大きくなっております。その点が一点でございます。  それから御指摘の点、民営移行したら電気料金が上がっていいのかということになりますと、それはもちろん困るわけでございまして、民営移行条件整備ができたところで民営移行いたしますが、これから民営移行により経営が弾力化される、政府のいろいろな規制を受けずに弾力的な経営ができ、そのためにむしろ経営の効率化が図られる、従業員も経営者も一生懸命やる、また県民の一層の理解、協力も得られるというような形になれば、全体としてコストダウンが図られることによりまして料金にも一層の安定化、適正化が図り得るということを私どもは実は期待をいたしておるわけでございます。
  66. 玉城栄一

    ○玉城委員 今私がお伺いしているのは、全県下プール制だけれどもそれは崩れないでしょうねということです。
  67. 植松敏

    植松政府委員 一つ答弁漏れして恐縮でございます。  民間の九電力の場合もそうでございますけれども、各電力会社ごとに供給区域では同じ料金を適用するようにいたしております。これは、特殊法人であるとか民営であるとか変わりはございません。したがいまして、民営化いたしましても電気事業法が適用されますが、供給区域では同一料金が適用されるということになります。
  68. 玉城栄一

    ○玉城委員 もう一つここで確認しておきたいのは、沖縄電力に約千五百名の社員の方々がいらっしゃいますね。これは民間移行して、いろいろな情勢によってまた合理化とかなんとかで人員整理だとか、そういうことはないと思うのですが、その点いかがですか。
  69. 植松敏

    植松政府委員 端的に申し上げますならば、まさに企業経営方針につきましては私ども政府がどうこうということではございませんで、沖縄電力経営者がお決めになることでございます。また、いろいろ労使関係のことは労使関係で決められるわけでございますけれども、一般論で申しますと、特殊法人の場合を含めまして、電力会社はできるだけ経営の合理化、効率化を行いまして、少しでもコストを下げ、安い料金でユーザーに供給するということが使命でございます、これが公益事業でございますから。  そういう意味で、今後も経営の合理化、効率化というのは図っていかなければならないと思いますけれども、従来も、沖縄電力の場合、特に五配電の統合をしてまいった関係もございまして、若干人員が多いのではないかという議論がございました中で、例えば退職者がございました場合にそれをすぐに補充しないで補充率を少し下げるとかいうような形で、実質的に人員が少しずつ減ってきているということで生産性を上げているというような形をやっておりますが、今後も恐らくそういった退職人員の補充の抑制とかそういう緩い形で、いわゆる人員整理という形でなくて、いろいろな形はあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、この辺は電力会社が労使関係も含めまして判断していくべき問題であろうと思います。  さらにつけ加えて申し上げますならば、沖縄電力需要は昨年来かなりふえておりますし、将来も需要の増加が見込まれておりますので、民営化すると同時に、またサービスの向上もしていかなければいけないという点から考えますと、やはり必要な人員というのは擁するわけでございますから、むしろ適正人員を維持しながら、計画的な要員計画の中で経営の効率化を図っていく、あるいはサービスの向上を図っていくということが行われるのではないかと思っております。
  70. 玉城栄一

    ○玉城委員 さっきも冒頭申し上げましたとおり、沖縄電力は特殊な地域を抱えながら、特殊な問題も抱えながら、経営側もそれから従業員の方々も運命共同体となって電力の持つ公益性、その使命を感じて必死になってやっていらっしゃるわけですから、今度民間に移行したからといってこれが現状から後退するようなことがあっては、民営化という問題もまた問われてくるわけです。むしろ会社も前進するし、サービスも前進するし、また料金の問題、これは適正料金の問題ですからこれから技術的に私もまた勉強させていただきたいわけです。  また、今植松さんがおっしゃったように、沖縄の場合電力需要が、私見まして四十七年から六十二年までずっと毎年毎年ふえていっておりますし、二十一世紀というとあと十二、三年しかありませんからさらにふえるでしょうし、これは大臣が来たときにお伺いしたいのですが、第三次振計を推進、実現させる、それを動かす電力がしっかりしてもらわないと困るわけです。そういう意味でも非常に重要ですから、少なくとも現状から後退はさせないということをお願いして、あと二分ぐらいありますからもう一つ、例の県民主軸です。  大蔵省にお伺いしたいのですが、建前論はもうレクのときから何回も聞いているわけですよ。これは大臣にお聞きした方がいいと思うのですが、これも一つの方法ですが、例えば沖縄電力の社員の皆さんに何割、あるいは県に何割、あるいは企業に何割、沖縄県民に何割、そういうこともこれから考えていくんですか、どうでしょうか。
  71. 沖津武晴

    ○沖津説明員 沖縄電力の株式の処分につきまして、県民主軸という言葉も含めまして地元からいろいろな御要望があることはつとに承っておるところでございます。またこういうことと同時に、言うまでもなく沖縄電力、国有財産でございますから、その処分に当たっては公正公平にこれを行わなければいかぬという要請があることはもちろんでございますので、こういう諸点を踏まえまして具体的にどのような売却方法がいいのか、大蔵大臣の諮問機関でありますところの国有財産中央審議会で十分御審議いただきたいというふうに考えておるようなことでございます。
  72. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは公正公平ですよ。しかし特殊性という立場から私はちょっと、また後で大臣に申し上げますけれども、どういう配分にするかは別にしましても、あくまでもこれは沖縄の側にちゃんと、先ほどの沖縄電力設備投資の問題も含めて政府は今やるべきことがたくさんあるわけですからね。そういうことで、あとでまたよろしくお願いします。きょうは大臣とお役人さんと別々なもので非常にやりにくいですね。以上です。
  73. 稲葉誠一

    稲葉委員長 和田一仁君。
  74. 和田一仁

    ○和田委員 きょうは長年の懸案でありました沖縄電力民営化に関する法案審議されておるわけでございまして、大変大事な法案であるにもかかわらず非常に限られた時間での質問になりますので端的にまずお尋ねをしていきたいと思います。  ここに至るまでの関係各位の大変な御努力によって民営化条件が整ってきたということに対しまして私も本当に喜ばしいことと感じておる一人でございます。ただ、民営化をされることによりまして電力事業という公益事業が一番大事にしなければならない低廉、良質の電力を安定供給していくというこのことにいささかでも不安があってはならない、こう思うわけでございまして、こういう観点からこれから民営化に向かって何点かそういう点についての質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  先ほど来質問の中でるる申し述べられておることでございますけれども、とにかく沖縄という限られた県の中での供給事業、その沖縄が非常に特殊な、ほかの九電力と比べて違った環境にある、経営上にもほかの会社とは非常に違う経営上の困難な要因がたくさんある、こういう中で先ほど申し上げましたような安定供給、低廉、良質な商品を安定供給していくということに対して政府としては、民営化したらばもうこれで十分、後は任せておけばいいのだというお立場でおられるのか、いや、やはりそういう特殊事情を考えながらさらに配慮すべき点はこういう点がある、従来のような助成もこういう点はしなければならぬというような基本的な点についてどのようにお考えかをまずお聞かせいただきたいと思います。
  75. 浜岡平一

    浜岡政府委員 基本的には民営化という方向に沿いまして企業自身の自己努力というものが一段と発揮されていくということを期待いたしたいと思っているわけでございます。ただ御指摘のような地域的な特別の事情もあるわけでございまして、沖縄振興開発特別措置法の存続をしております間は現在の助成措置等を引き続き適用していくという考え方がとられておりますことはこの法案の内容に盛り込まれているとおりでございます。  なお、さらにつけ加えさせていただきますと、先ほど来申し上げておりますように、沖縄電力の場合には石油依存度が高いという点にはやはり私どもとしても特に注意をしていかなければならないのではないかというぐあいに思っております。この点につきましては、電源開発促進対策特別会計法等によりまして電源多様化政策といったものも推進をいたしているわけでございまして、電源多様化政策といったものは沖縄電力石油依存度の高いという状況に照らして考えてみますと、これはかなり積極的に、ある意味では傾斜的に適用していくというような姿勢も今後必要なのではないかというぐあいに考えております。
  76. 和田一仁

    ○和田委員 助成措置はこれからもやっていくというお答えでございました。さらに電源多様化政策についても努力する、こういうことでございました。これはぜひそういう方向もこれから大いに力を入れていただきたい。非常に困難な条件下の企業でございますが、同時に沖縄というところは、太陽はさんさんと降るし、また離島を抱えて台風は来る、風はある、また島の周りには波が押し寄せてくる、こういういわゆる電源多用化の要素はほかの内陸のところとは違った意味の要素もあろうと思いますので、そういう意味ではぜひひとつこの電源多用化のいろいろな開発実施についても政府としてはこの沖電を中心に大いに助成開発のために力を入れていただきたい、これをひとつお願いをいたしておきます。  それと同時に、石油依存度が高い。これを下げるために当面は石炭火力しかないと思うわけですが、この石炭火力についてどういうふうに助成をしていかれる御予定か、この辺についてまずお聞きしたいと思います。
  77. 植松敏

    植松政府委員 電源の多用化の問題につきましては、今ちょっと先生御示唆をいただきました。沖縄にはいろいろな特性もあるし、可能性を秘めているではないかという御示唆かと思います。将来、非常に将来の問題でございますけれども、いろいろな技術研究開発をやっていかなければならない。特に離島をたくさん抱えておる沖縄の実態にかんがみますと、しかも太陽熱が非常に豊富にあるというところから太陽光発電のシステムでございますとかあるいは離島向きの燃料電池による発電システムですとか、こういったものはまだ研究開発段階でございますけれども、現に沖縄にもパイロットプラントをつくりまして運転研究を進めてみようということで既に実施を始めております。技術が確立したところで実用に供されるということでございますが、そういう努力もいたしております。  また、当面の問題といたしましては、御指摘のとおり石炭火力の建設、これがさらに石油依存度を減らし、安定供給のために資するということになろうかと思いますけれども、現在沖縄電力計画をいたしております次期石炭火力発電計画はそれぞれ現在施設計画を見ますと、六十八年度あるいは七十二年度に運転開始をするべく計画が立てられておりまして、実際に着工になりますのはまだ先の話でございます。電調審にかけられまして電源開発基本計画に組み込まれますとそこからいよいよ着工ということになるわけでございますが、その段階でどういうような資金計画にするかという問題がございます。  例えば既にあります電発石川石炭火力につきましても三〇%の補助をいたしておりますが、石炭の火力発電所の建設費補助金というのを使いまして石川石炭火力についてはやった経緯がございますけれども、今度沖縄電力が実施いたしますものにつきましても、今の計画でいきますと六十五年度ごろいよいよそういった問題が検討されるのではないかと思っております。計画が固まった段階で、そのときの沖縄電力経営状況でございますとか財政事情あるいはエネルギー情勢等を勘案して具体的な取り扱いが検討されることになろうかと思いますので、現段階でどういう形ということはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  78. 和田一仁

    ○和田委員 ぜひそういう意味では、この石川石炭火力がこれから石油依存度を下げていくためにも当初の予定のように稼働できるようにひとつ助成を考えていただきたいなと思います。また、同時に、いろいろな沖縄公庫からの低利融資優遇措置があるわけですけれども、これについても、今まで大変な赤字であった中で黒字に転換してきた一つの大きな理由の中にも私はそういう優遇措置が効果があったと思うので、これから一層金利引き下げとか枠とか、こういう点については配慮していただきたい、このように思います。またこの点については後ほど大臣にもお尋ねしたいと思うわけです。  もう一つは、先ほど来お話がありましたように離島が多い。したがって、ケーブルで送電をするあるいは離島発電をする、こういうようないろいろなケースがあるのですが、ケーブルについては従来これを沖振の方で架設しておるわけですが、やはりサンゴ礁というような非常に特殊な海底のケーブルなだけに損傷、劣化も早いように聞いておるわけですけれども、そういう点について将来、先ほどは来年ぐらいにはもう全部有人離島は点灯だというお話もあったようですが、こういったものの保守管理について、それで全部済めば後は電力の方でやるんだと言えばそれっきりですが、この保守管理について助成のお気持ちがあるかどうか、これもひとつお聞かせいただきたい。
  79. 勝又博明

    勝又政府委員 先生指摘離島電気供給事業でございますが、六十四年度をもって完了する見込みでございます。この保守管理につきまして国として助成すべきではないかというお話でございますが、一たん国の補助金等によって建設された施設沖縄電力に移管されておりますので、直ちにその保守管理について国が助成というわけにまいりませんが、離島を抱える沖縄電力の特殊性にかんがみまして、電力の安定的かつ適正な供給が今後とも維持できるよう、関係する通産省とも十分協議してまいりたい、かように思っております。
  80. 和田一仁

    ○和田委員 とにかく時間がありませんので、先へ行かしてもらいます。  先ほど来、今回のこの民営化について県民主軸の声が非常に強く地元の方にあるというお話を承ってまいりました。株の処分についても、県民主軸というのはどういう姿勢かというお尋ねもあって、それぞれのお答えがありました。そういう中で、もう時間がないので一つだけ確認しておきたいのですけれども、ぜひこの県民主軸ということは大事にしていただかなければなりませんけれども、昨年の八月の下旬ごろに資源エネルギー庁長官に対する要望書が地元の方から出ておるようでございまして、そういうもので、かつて五つの配電会社沖縄電力にまとまるときに、配当会社としての株の配分等についていろいろあったわけですけれども、今回この民営化についても同じように五配電会社の株主に対してこれを優先的に割り当ててほしいというような要望が出ているかに聞いておるのですが、そういった事実があるのでしょうか。どうでしょう。
  81. 植松敏

    植松政府委員 お答えいたします。  私どもの方にそういった要請が来ております。考え方でございますけれども、県民主軸という地元の要請について私どもも心情的に十分よく理解できる問題であると考えておりますが、五配電の株主に特に優先的に割り当てるべきかどうかというところになりますと、これはいろいろ御議論があるのではなかろうかと推察いたしております。  と申しますのは、沖縄電力は特殊法人として四十七年に発足したわけでございますけれども、それ以来、民営化の第一のハードルである五配電の統合をいたしまして発送配変電一元化した上で民営化しようということであったかと思います。その過程で、実に五十一年の春に五配電の統合がなされたわけでございますけれども、そのときの経過を見ますと、もともと発足のときに五配電を統合して琉球電力公社を引き継ごうというような動きがあったことも考慮してだろうと思いますが、初めはいろいろ曲折はございました。最終的に申しますと、沖縄電力が五配電の株式を買い取るという形で五配電の統合が行われたわけでございますけれども、その際、買い取り資金を調達するために沖縄電力が転換社債を発行しております。  これを通常の社債という形をとらずに転換社債にいたしましたのは、五配電の株主を配慮してのことであるというふうに私ども承っております。つまり五配電の株主が優先的にまず転換社債の割り当てを受け、もし希望すればその転換社債の転換権を発動して沖縄電力の株主になれる、かつ、五配電の資産の評価につきましては、それぞれ公正な評価委員会をつくりまして適正に評価した上で五配電の株主の株式を買い取ることをしたというふうに私ども承っておるわけでございまして、一応そこについてはそれなりの処理がその段階で済んだと考える方が妥当ではないかというふうに考えておりまして、御要請として御要望は承っておりますけれども、それをそのまま考慮するのがいいのかどうかということにつきましては、私見ではございますが若干疑問が残るということ。  いずれにいたしましても、株式の売却につきましては、先ほど来申し上げておりますように国有財産中央審議会の議を経て、どのような形で売却するか、売却方式は今後検討されることでございますので今後の課題であろうかと思いますが、とりあえず今の先生の御質問の点につきまして、私の若干私見も入るかもしれませんが、そういった経緯があったということだけをちょっと申し添えさせていただきたいと思います。
  82. 和田一仁

    ○和田委員 時間がもう過ぎてしまいました。また次回の中で質問させていただきます。
  83. 稲葉誠一

  84. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 今回、一九九二年三月末まで延長されております沖縄振興開発特別措置法、この重要な柱であります第五章「電気事業振興のための特別措置」の沖縄電力株式会社にかかわる条項を削除して沖縄電力民営化がなされようとしているわけでございます。  沖振法は、その第一条で、沖縄復帰に伴い、沖縄の特殊事情にかんがみ、特別の措置を講ずることにより、沖縄の振興開発を図り、住民の生活、職業の安定、福祉の向上に資することを目的とする、これが明記されているわけです。  今回削除されますこの現行沖振法の第三十一条では、沖縄電力の目的を「沖縄における電気の安定的かつ適正な供給を確保するため、」というふうにしております。この意味するところは何かと考えますと、一般電気事業者について定めた電気事業法第一条に、「電気事業の運営を適正かつ合理的にならしめることによって、」云々、この目的とは明らかに違う特別の意味を持っていると私自身は思うのですけれども、まずこの点についていかがお考えでしょうか、御答弁願います。
  85. 植松敏

    植松政府委員 今御指摘の点でございますが、今回の民営移行に当たりまして沖縄振興開発特別措置法の改正案を提案しているわけでございますけれども、現行の二十九条及び三十条は存続をする、残すことにいたしておりまして、特殊法人に関する監督規定、根拠規定を廃止するという形にいたしております。  もともと現行の沖振法は、沖縄の振興において基幹産業である電気事業の果たす役割が大きいことにかんがみまして、第五章として「電気事業振興のための特別措置」という章を設けまして、電気事業助成に関する規定を沖縄電力株式会社に係る規定に加えまして置いてあるわけでございます。今申しましたように、今回は二十九条及び三十条はそのまま残すことにし、さらに一般担保制度を設けるための規定を設けたわけでございます。  御指摘の現行の三十一条は、特殊会社としての沖縄電力の設立目的を定めた規定でございます。沖縄電力は、現在特殊会社であるために沖振法三十一条以下の規定に基づく国の監督を受けるわけでございますが、一方では、電気料金の設定等につきましては電気事業法の規制を受けるという形になっております。今回の民営化は、そのうち沖縄電力が特殊会社として国から監督を受けることがなくなる、その部分は電気事業法の規制のみを受けることになるわけでございますが、沖縄における電気の安定的かつ適正な供給という面につきましては、今申しました二十九条、三十条等の規定は残すことにして、政府としてその安定的かつ適正な供給を確保するという姿勢には変わりはございません。  したがいまして、現行法の三十一条は沖縄における電気の安定的かつ適正な供給の確保の責務を創設的に定めた規定ではなく、先ほど来議論されております、沖縄電力が四十七年に本土復帰と同時に特殊法人として成立したその経緯をも勘案して、二十九条、三十条の規定の精神を踏まえて、それを確認的に目的として規定をされているというふうに理解をいたしております。
  86. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 いろいろおっしゃっていただきましたが、今の御答弁では県民の心を動かすものではないと私は大変残念に思うわけです。沖振法を定めて、その重要な柱として、電気事業振興、特殊法人としての沖縄電力が規定をされた意味を、部長さん、あなたは理解されていないのじゃないかなと思うのです。  ここに、沖振法が制定をされました当時立法担当者らによってまとめられた「沖縄振興開発特別措置法の解説」、こういう解説書をコピーしてきたのですけれども、ここでは、「安定的かつ適正な供給」と明記されている意味について、沖縄の特殊事情下での安定的供給の重要性を解説しました後に、「適正な供給」とは料金等の供給条件が適正であることを意味するとして、料金等の適正さを電気事業法においては原価主義の原則によって確保しようとしているが、沖縄電力株式会社に対しては、かかる電気事業法から見た適正な料金というにとどまらず、より広く沖縄における産業の振興、県民の福祉という立場からも適正と判断される料金による供給の確保が目標として与えられている、このようにはっきり述べているわけです。電気事業法が九電力等の電気事業者について定めた目的とは全然水準が違うと思うのです。  そこで、沖縄電力が沖振法に基づく特殊法人としてスタートしましてから今日まで電気料金の改定がどのような推移で行われてきたかをお尋ねしたいと思うのですが、特徴的にお答えいただきたいのは、一九七六年の値上げ前の時期それから前回、八〇年、八一年値上げ後の期間、そしてことしの一月から改定実施されている現在、このように大きく三つの時期について沖縄電力の電灯、電力合わせた電気料金の平均単価が九電力と比べてどのように推移してきているのか、このことについて簡潔に述べていただきたいと思います。
  87. 植松敏

    植松政府委員 お答えいたします。  四十七年に特殊法人沖縄電力が発足いたしましてからの料金の推移でございますけれども、復帰直後九月に料金改定がなされまして、電灯、電力平均総合単価でございますが、キロワットアワー当たり四円八十銭。当時の九電力平均がキロワットアワー当たり約七円でございまして、これよりも安い状況でございました。  その後第一次石油危機に直面いたしまして、四十九年六月、九電力会社の方は平均で約五七%の値上げになりました。これに対して沖縄電力は十一月に約八五%の値上げを行いました。しかしこの過程でも、沖縄電力の方がキロワットアワー当たり総合単価で言いますと九円三十八銭、九社平均が十一円八銭ということで、一五%程度の割安になっておりました。  その後五十一年の八月に九電力の方は平均二三%の値上げを行いました。沖縄電力は八月に二八%の値上げをいたしまして、この段階で九電力の平均十四円九銭に対しまして沖縄電力が十五円三十五銭と九%弱割高になったということでございます。  その後第二次石油危機を経まして、沖縄電力は五十五年二月、さらに十月と、それぞれ四二%、一九%の値上げ改定を行いまして、キロワットアワー当たり二十七円二十銭。一方、九電力の方は五十五年の春に約五〇%の値上げをし、さらに五十六年の秋に北海道電力の一八%の値上げがございまして、その結果、九社平均で二十二円三十四銭ということで、二割方沖縄電力の方が総合単価で見ますと高くなっております。  その後六十一年、六十二年に暫定引き下げがございますが、本年一月、本格的な料金改定の結果九電力の方は約一八%の引き下げで十九円七十二銭、沖縄電力の方は約二〇%の引き下げにより二十二円三十五銭となりました。なお一三%くらいの割高でございますが、先ほど来申し上げておりますように、需要構成の差がございまして、九電力の各社の料金表をそのまま沖縄に当てはめて、沖縄のユーザーに当てはめますと、先ほども申しましたように平均してみますと十の電力会社の中で四番目、電灯で申しますと三番目くらいになるということでございます。
  88. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 沖縄電力石油火力に一〇〇%依存して石油危機の影響をもろに受けたという特殊性はあったにせよ、スタート時点から一九七六年までは今の御説明にもありましたとおり、九電力に比べて一八%以上安かったものが、八〇年以降、逆に二一・八%も高くなっている。今回の料金改定によってもなお一三・三%高くなっているわけです。このことはさまざまな特別措置を定め、本土水準以下の料金による電気供給を求めた沖振法の趣旨に反する事態がずっと続けられてきた、こういうふうに言わざるを得ないわけです。  そこで続いて、沖縄駐留米軍の電力使用の実態をお聞きしたいわけです。  沖縄における大口電力の最大の使用者は米軍です。その大半は特別高圧電力供給をされております。この点の確認とあわせて、米軍施設内の住宅は一般の日本人家庭と同様に一軒一軒沖縄電力と契約をしてメーターをちゃんとつけて、そして料金を支払っているのかどうか。時間がありませんので、要領よくお答えいただきたい。お答えの後、後半の質問に譲りたいと思います。簡潔にお答えください。
  89. 植松敏

    植松政府委員 沖縄における米軍の施設への電気供給の契約の種別につきましては、むしろ御指摘と若干違っておろうかと思いますが、大半は業務用の電力であるというふうに聞いております。  それから個別の家庭用の電灯需要であろうかと思いますが、米軍の場合、米軍関係の住宅の多くが米軍基地内に設けられておる場合が多いようでございまして、沖縄電力供給規程に基づきまして、一つの需要場所として取り扱われる一構内をなすものごとに、需給契約が結ばれる例が多いと聞いております。この点は九電力供給規程も同じでございますけれども、一構内それぞれ電気需給契約を結びます場合には、一需要場所につき一契約というのが原則になっておりまして、一需給場所ということにつきまして、一構内をなしているものについては一構内をもってそれぞれ需給地点にするということに原則はなっております。この一構内の中に複数の住宅が含まれる場合が米軍施設の中の住宅については多いので、それらをまとめて一本で契約するという形になっているのではなかろうかと思います。  いずれにいたしましても、沖縄電力と米軍との契約もそれぞれ電気事業法に基づきまして認可を受けました供給規程に従って契約されているものと承知しております。
  90. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 終わります。
  91. 稲葉誠一

    稲葉委員長 上原康助君。
  92. 上原康助

    ○上原委員 先ほども沖振法の一部改正、いわゆる沖縄電力民営化をするための法律改正について若干お尋ねしたわけですが、本来ですと通産大臣がずっと御出席であれば議論もしゃすいのですが、なかなかそうもいかなかったので、開発庁長官もまたおいでいただきましたので、改めてお尋ねします。  苦言ではないのですが、これは沖縄復帰処理の残された一番大きな課題だと私たち思っておりますので、本来ですと月曜日の午後から審議をして、こうさっさと議了するような中身でないと思ったりしたのですが、しかし国会は一寸先はやみで、会期末また何が起こるかわからぬし、そういうことでこういう審議日程になっているということを特に通産の方は御理解いただいて、我々もいろいろこの法案を何とかよい方向で処理をしたいということでここまで理事懇なり理事会、また本委員会で誠意を持って対処してまいっておりますので、それなりに通産大臣初め開発庁長官の御答弁を煩わしたいと思います。  そこで最初に、いよいよ民営化に踏み切るわけですが、まず通産大臣、開発庁長官の、この沖縄電力民営化に持っていく、移行後の運営というか経営あり方、また民営化して本当に県民の期待にこたえられると思っていらっしゃるのかどうか、そういう面の所信からただしておきたいと思います。
  93. 田村元

    ○田村国務大臣 民営化をいたしますのは、沖縄電力の累積赤字の解消や電源開発石川石炭火力の運転開始による石油依存度の低下、それから減資による財務体質の強化等、民営化のための条件が整ったと考えられたものですから、これを実施しようということにしたわけであります。  民営化後の沖縄電力による電気供給につきましては、まず沖縄電力自身努力が必要であるということはこれは申すに及びませんが、同時に、政府としても、沖縄における電力供給の安定のために最善を尽くしていく所存であります。  私は、あえて率直に申し上げて、沖縄県の過去、現在、そして将来を考えるとき、私は沖縄の国土復帰のときの党の広報委員長というのをいたしておりまして、当時沖縄にずっと、一カ月以上生活をいたしましたが、沖縄県民の抱いておるいろいろな感情もありましょうが、特に沖縄県が今までなめてきた苦労というものを考えるときに、我々は誠意を持って沖縄県民に報いなければならぬ、このように思います。これはどの内閣、どの省、どの政党というものではない、私は日本国民がそういう気持ち沖縄県民に接するべきであり、報いるべきである、こういうふうに考えておりますから、沖縄電力民営化の暁におきましても、そういう考え方を基本に置いていろいろと運営をしていきたいというふうに考えております。
  94. 粕谷茂

    ○粕谷国務大臣 ただいま沖電の民営化についての経緯につきましては通産大臣からお答えがありましたので、その部分を省略させていただきまして、二、三私どもの考え方を申し上げさせていただきます。  沖電の民営移行は、本土の九電力と同様に今回民間会社になるのでありますが、沖縄県民生活及び産業の振興にとって極めて重要であります民営移行後の電力事情はどうなんだろうか、こういうことでございますけれども、活力の発揮と経営努力を私どもは強く期待をいたしておりまして、沖縄における電気の安定的かつ適正な供給につきましては、電気事業を所管をいたします通産省の格段の御指導、御配慮を引き続いてお願いしたい、こういうふうに強く思っております。  実は、ただいまも控室で待機をしておりますときに、通産大臣からいろいろな点で沖縄の振興対策についての御私見を聞かせていただきまして、沖縄のことについて大変にお心を砕いていただいているお気持ちをお聞かせをいただきました。そういう通産大臣がおりますのですから、万々万が一にも私どもの期待を裏切るようなことは絶対にない、実はこんなふうに確信させていただいております。どうかひとつ、先生におかれましても、我々と一緒になって沖縄のためにいろいろな点で御鞭撻を賜りますよう、この機会にお願いをさせていただきます。
  95. 上原康助

    ○上原委員 両大臣とも、それぞれ沖縄に対して御理解のある方々ですので、心情論としては今の誠意ある御答弁を認めます。ただ、間々それが実際の政策として反映されてない向きもありますので、これから具体的にお尋ねをさせていただきたいと思います。  今もお述べになったのですが、沖縄振興開発特別措置法とこの電気事業関係なんですが、今も御答弁ありましたように、沖縄電力は、現在国の特殊法人として沖振法に一章を設けて規定されているわけです。これはなぜ沖振法に書かれたかといえば、沖縄における電気事業の健全な発展を図ることが全体的な沖縄振興開発の一環であるという趣旨に基づくものだったと思うのです。そのために電気事業の振興の特別措置として講じられてきたことは御案内のとおりです。この位置づけは、今開発庁長官、通産大臣がおっしゃったように、民営後も基本的には堅持をされるということです。しかし、三十一条は一応削除をされる、二十九条、三十条は一応残るわけですね。  それで、沖振法が将来改正になる、あるいはああいうところの第三次振計というものは私たちは必要だと思うので、そういう時点においては、当然沖縄電力に対するその他の特別措置については沖振法の中で保障されるべきだと思うのですが、この点が今明確にされていないので、そこをひとつはっきりさせていただきたいと思います。
  96. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘のとおり、沖縄における電気の安定的かつ適正な供給を確保するという観点から、現行沖振法におきましては税制上あるいは金融上の優遇措置を定めますと同時に、沖縄電力株式会社という特殊法人を設けるという規定を設けたものと理解をいたしているわけでございます。  三十一条の「沖縄における電気の安定的かつ適正な供給を確保するため、」という規定の趣旨は、やはり特殊法人という特別の形態をなぜ設けるのかという点を説明するために設けられた条項であろうかと存ずるわけでございますけれども、先ほど来るる御説明申し上げておりますような経緯をたどりまして、本来の沖縄県民の願望でございました民営化ということが可能になり、かつ、その民営化のもとにおきましても安定的かつ適正な供給を行うことができるというめどがついてまいりましたものですから、この三十一条以下の特殊法人に関する規定は削除するということであると理解いたしております。  しかし、「安定的かつ適正な供給を確保するため、」という基本的な目標はもちろん生きているわけでございますから、助成措置はこの法律がある限り存続していくという考え方をとっております。また同時に、先ほど来申し上げておりますように、この法律に必ずしもよらない措置になるわけでございますけれども、企業自身経営努力を今後とも大いに奨励していくことはもちろんでございます。  また、先ほどちょっと申し上げましたように、石油依存度が高いという課題は、長い目で見ますと、やはり根気よく解決をしていくべき問題でございまして、私どもが別途展開をいたしております電源多様化政策といったものは、この沖縄電力に対しましても特別の配慮を持って適用していくことによりまして、さらに事態の改善を図っていくというような姿勢を持っていきたいと考えております。
  97. 上原康助

    ○上原委員 開発庁、今の件、いいですか。
  98. 勝又博明

    勝又政府委員 先生の御質問の趣旨は、将来において沖振法が延長される場合には、現在各種の法律によって講じられている助成措置を沖振法に取り込むべきではないか、こういう御質問の趣旨かと思います。  現在、先生御案内のように、沖縄電力に対する助成措置につきましては、例えば発電石油の関税の免除措置につきましては復帰特措法、事業税や固定資産税の軽減措置は地方税法に規定されている、それぞれの措置が講ぜられているわけでございまして、これはそれぞれの法体系において規定するのが適当だということからこのような形になっておるわけでございます。これらをすべて将来において沖振法の中に取り込むというのはなかなか困難ではなかろうかという気がいたしております。  いずれにいたしましても、現行の沖振法の期限後の問題につきましては、現時点で何とも申し上げられないわけでございますが、先生指摘の点も含めまして、その時点において電気事業を所管する通産省とも十分連絡をとり合ってみたい、かように考えております。
  99. 上原康助

    ○上原委員 今の点は、通産大臣、非常に大事な点なんですよね。例えば発電石油の関税の免税、時間の都合がありますから、大体年間五億円のメリットを得ていますね。  二番目に、法人の事業税の特例、年間二億円、固定資産税の特例約二億円、登録免許税の軽減措置若干、若干は幾らかわかったら答弁してください。沖縄振興開発金融公庫の低利融資、年間約十億円、これはこの法律でも一応保証されることになろうかと思うのですが、ただ、将来は気になりますね、金利とかいろいろな面で低利の融資。以上の特別措置で年間約二十億のメリットというか助成措置があるわけで、これが取っ払われると、やはりいろいろな影響を受けることは間違いないですよ。  ですから、このことについてはぜひひとつ、未来永劫にとは言いませんが自助努力をやるなり、いろいろな経過はあると思うのですが、それ相当の期間にわたってこういうことについては政府全体としてというか、特にこの所管である通産省において御考慮をいただかないといかない非常に大事な点だと思うので、ぜひひとつ御所見を聞かせてください。
  100. 田村元

    ○田村国務大臣 今御指摘のとおりでありますが、ちょっと具体的に数字を言います。  六十二年度実績見込みで言います。登録免許税の軽減、所有権の保存登記千分の六を千分の二に軽減するなど、これは昭和六十三年度までのことですが、四百万円。さっき若干とおっしゃった四百万円ですね。それから、事業税の軽減、これは税率一・五%を一・三%に軽減するものですが、これが昭和六十六年度までです。これが六十二年度で一・四億円。それから、固定資産税の軽減、これは課税標準を三分の二に軽減する、昭和六十六年度までです。二億二千万円。ここいらを合わせますと三億六千万円。  それから、石油関税の免税、これは原油一キロリッターについて六百三十円の免除があるわけですが、六十六年度までというのが二億二千万円。それから、沖縄電力沖縄振興開発金融公庫からの借入金、資金借り入れについての支払い利息の軽減、これが十億七千万円ということで、合わせて十六億五千万円というものが六十二年度実績見込みでございますが、このような現在行われておる助成措置を直ちに廃止するというようなことはございません。
  101. 上原康助

    ○上原委員 私も、これは直ちに廃止できない、六十六年までは続くのはわかるのですよ。その先も考えておかなければいかない問題ですよとお尋ねしているのです。
  102. 田村元

    ○田村国務大臣 私が今ここで随分何年も先のことを具体的に明言するということはちょっといかがなものであろうか。その点は具体的にははばかりますけれども、率直に言いまして、沖縄県という一つの県のために衆議院にも参議院にも特別委員会すら設けられておるというほどの沖縄重視ということから考えて御推断を願いたいと思います。
  103. 上原康助

    ○上原委員 一応実力大臣のお言葉として聞いておきましょう。  次に、若干前後して恐縮ですが、沖電の民営移行の最大の課題は、先ほども県民を主軸とした株主構成の確保が大事であるということで、事務当局は私のお尋ねに対して大体合格答弁をなさったと私は理解をしているのですが、これは後退させないようにしてくださいね。  なぜ我々がそれを主張するかというと、一つは、沖縄電力沖縄経済に果たす大きな役割なのです。役割が大きい。例えば、雇用面では、直接、間接を含めると優に一万数千名、約二万名近く、関連事業を含めて、そういう資料等が出ております。それと、設備投資では、過去五年間平均で年間百二十三億円強。六十三年度は何と二百四十六億円強。六十四年度は二百五十億円強のような事業計画、投資計画を持っているようです。この両面からの県経済への波及効果というのは県下最大であって、名実ともにこれは沖縄のリーディングカンパニーなのです。また、この沖縄電力沖縄に存在することによって、さっきありましたように、沖縄公庫から低利融資を受けておる、金融面からも大きな支援がなされている。こういうことは沖縄経済に、これがもし失われるとかあるいはいろいろ支障を来すとなると、非常に大きな影響を与えるというのが一つの理由ですね。  二点目は、沖縄電力沖縄県だけを供給区域とする電力会社であるということなんです、離島県ですから。電力の消費者はもちろん沖縄県民であり、沖縄企業である、米軍も使っているけれども。沖電は県民の共有財産と私は言ってきたのですが、沖電はまさに沖縄県民沖縄企業とともに歩んできた電気事業なんですね。ですから、県民と苦楽をともに味わってきた電力会社と言っていいわけですよ。敗戦直後から今日に至るまで、いろいろな経緯は省きますが、また、第一次、第二次の石油ショックによる料金値上げに伴い、多大な犠牲を私たちは一時的に強いられた。その結果、今日の沖縄電力経営状況改善されてきているということは忘れてはならないと私は思うのですね。  もちろん、それは政府のいろいろな御援助もあったことはわかります。それを是としながら、さらに、昨今の円高・ドル安、原油安により経営状況改善をされ、その結果、差益の還元も行われるようにまで安定というか経営がなされた。こういうふうに、沖縄電力というのは沖縄という地域に密着した電力会社であるということを考えますと、民営後も沖縄県民沖縄企業とともに歩んでいかなければならない。これは、いや応なしにそういう責務があるわけですからね。これが第二点目ですね。県民主軸であるべきだということ。  第三の理由として、沖縄電力はその前身である琉球電力公社を継承しているということ。これは私はたびたび指摘をしてまいりましたが、琉球電力公社は言うまでもなくガリオア資金で建設されたものですね。ガリオア資金の性格は、申し上げるまでもなく、純然たる無償援助であって、米国は沖縄に返済義務を負わさなかった、この点ははっきりしています。  ですから、以上三点を吟味検討していくならば、結論としてというか、その帰結として当然県民主軸にならざるを得ないと私は思うのです。幸い、両大臣ともそういう方向でこの法案もいろいろ調整というか成案をなさったと聞いておりますし、四月十三日の地元紙では、田村通産大臣は、私は県民本位論者だから、こういう御発言もなさっておるわけですね。今私が指摘をしました三点の理由、県民主軸ということについて両大臣はどのように御認識し、また、御理解をいただいているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  104. 田村元

    ○田村国務大臣 私はかねてから沖縄電力民営化の問題につきましては、当然沖縄県民主軸の体制で民営化されて運営されるべきであるということを言い続けてまいりました。  例えば、株式の取得の問題にいたしましても、もちろん国有財産というものの払い下げにはそれなりのルールがありますから、それは尊重しなければならぬかもしれませんけれども、それにしましても、やはり株式保有者、つまり株主はその大宗は沖縄県民でなければならぬというのが私の持論であります。また、電力料金でもそうであります。電力料金でも、他の電力会社、九電力に比べて割高であってはならぬということを強く指示して、そして関係省庁にいろいろと当たらせた、また沖縄電力ともその話し合いをさせたということでございますから、その点は上原さんとほぼ同じ考えではなかろうかというふうに、さっきからのお話を聞いておりますと思います。  仮に私が通産大臣をやめた後でも、この点は言責という言葉の責任がありますから、これは十分に監視していきたいと思っておりますが、ここで明確に通商産業大臣としての発言を速記録に残しておきたいと思います。
  105. 粕谷茂

    ○粕谷国務大臣 通産大臣の御答弁に尽きるかと思いますが、上原先生承知のとおり、国有財産の処分というようなことにつきましては中央審議会で審議をされます。したがって、適正な処分が行われるだろうと私たちは期待をいたしておるわけでございますが、御懸念の点は、私ども仄聞をしておりますけれども、やはり財テクのような形で、今黒字になった沖電株に思惑が集中しやしないだろうかということの御示唆も含んで、果たして理想どおり県民気持ちが反映できるかどうかという点にあったのではなかろうかなと拝察をさせていただいております。そういうようなことにならないように、私たちも私たちでお力添えのできる範囲においては全力を挙げていきたいというふうに思っております。
  106. 上原康助

    ○上原委員 県民主軸ということは、定義づけは人によっていろいろ違う向きもあろうかと思うのですが、要するに民営以降のこの経営の主体は、株の問題も含めて沖縄県民に任せてくれということなんですね。しかし私は、これまでもいろいろ議論をしてきた経緯から、もちろん建前というか手続上は、国有財産ですから、その処分に当たっては一定のルール、手続を踏まなければいかぬということは否定できない、厳然たるものですから。そのことは建前としてはわかるわけで、だからそれはあるにしても、大蔵省を含めて、沖縄県民の心情なり要望なりは理解をしているものと理解をしたいわけですが、両大臣がそこまでおっしゃったことですから、ぜひひとつ事務当局もその点は十分踏まえてこれからのいろいろな準備を進めていただきたいと思います。  もう一点は、県民主軸の株の配分構成というか、そういう売却にしてもらいたいということと、この売却の方法です。沖縄電力の千四百七十三万株の売却方法はいろいろ関係省庁で検討されて、おっしゃるように国有財産中央審議会の決定を見ると思うのですが、今もありましたように、財テクとか株投機、そういうもので思惑が絡むと非常にいろいろな難しさ、複雑さが出てくると思うのですね。一括売却の可能性が強いという見方もあるのですが、このあたりはどういうふうにお考えなのかというのが一つ。  それともう一点は、この株式の売却益については、これまた沖縄県に還元をしてもらいたいという強い要望があるわけですね。この売却益は特に沖縄の今後の産業誘致というか振興に充ててもらうべきではないのか。これも私は理にかなっていると思うのです。ですから、こういうことが沖縄県側から要望が出されたときはそれにおこたえするお考えなのかどうか、これは二点目ですね。  もう一点は、大事なことだと思うのですが、NTTの株売却の場合もそうですが、株の割り当てというか、そういう面が出たわけです。最近の経営あるいは事業というのは、経営参加ということが職員団体なり労働組合の方から要望が大変強いわけですね。また現にそういう方向に今産業構造は発展というか転換しつつあると思います。この沖縄電力の場合も、従業員持ち株をぜひ実現できるように配慮してもらいたいと関係者から要望が出されていると思うのですが、この三点について、どういうお考えで進めていかれようとするのか、お答えを願いたいと存じます。
  107. 沖津武晴

    ○沖津説明員 やや技術的な点も含めての御質問でございますので、私からお答えさせていただきます。  最前から申し上げておりますように、沖縄電力の株式の売却に当たりましては、言うまでもなく国有財産の処分でございますので、その公正、公平な売却という枠内、原則のもとで、国有財産中央審議会でよく御審議いただきたいと考えております。その際、地元のかねての御要望というものも御紹介するような機会ももちろんあろうかと思っております。  さて、一括してこれを売却するつもりかというお尋ねでございますが、完全民営化という趣旨を踏まえまして、私どもこれをできるだけ円滑に運びたいと思っているわけでございますが、果たしてこれを一括やった方がいいかどうか、その具体的なやり方については今後また国有財産中央審議会で具体的に御審議いただきたいと考えております。
  108. 田村元

    ○田村国務大臣 細かいことは政府委員から答弁いたさせますが、この株式売却益は地元沖縄振興のために使用すべきと思うが、通産省はどう思うかという御質問だと思います。  この政府保有の沖電の株式は、国有財産でございますから先ほど申し上げましたように公正な価格で処分されることになる、これは当然のことでございます。その売却収入は国庫に納入される、これも当然のことでございます。しかしながら、沖縄振興全体の問題は当然予算編成を通じて決められるものでございますが、現在の段階で私から具体的に申し上げることははばかられますけれども、率直に言いまして心情的配慮は当然あり得るものと私はお答えをしておきたいと思います。
  109. 沖津武晴

    ○沖津説明員 あわせて持ち株会の件についてお返事させていただきます。  これについてもやや技術的な問題でもございますので、そういう御要望がございますようであれば、公正な処分という枠内でどのような位置づけが可能か国有財産中央審議会で十分御審議願いたいと考えております。
  110. 上原康助

    ○上原委員 言葉を返すつもりはございませんが、公正、公平ということは、今私が指摘をしていることを入れることが公正、公平なんですからね。大蔵省さん、ひとつぜひ御理解をいただきたいと思います。  あと本土並み料金水準ということを聞きたいのですが、その前に時間がなくなっても困りますので、これは先ほどの質問を聞いてある程度理解できる面もあるので次にお尋ねしますが、もう一点大事なことは離島電力事情ということなんです。  昭和四十七年度から六十一年度、六十二年度が出ておれば六十二年度もお聞かせいただきたいのですが、離島全体の累積赤字は幾らになっておりますか、お聞かせください。
  111. 植松敏

    植松政府委員 ちょっと累積、合計はしておりませんが、かつ離島の原価と収入というのを全体を出します場合に、離島における発電の直接経費と本店あるいは営業店等々離島関係もございますものですから、その一般管理経費をどう割り振るかという非常に難しい問題がございます。とりあえず直接経費だけではじいてみますと、それと離島卸売との関係でございますが、最近数年間、大体各年度二十億円ぐらいの持ち出し。六十二年度は、石油の値段が下がったこと等々もございまして、十億円台になっております。ちょっと累計をまだ計算しておりませんので……。
  112. 上原康助

    ○上原委員 累計を後で資料として出してもらいたいのですが、私がいろいろ調べたのでは、六十一年度までたしか二百五十四億三千万円。なぜ離島の累積赤字について聞くかと言えば、沖縄電力の収支に離島分は非常に大きな影響があるわけですね。これは指摘をするまでもないと思うのです。例えば昭和五十一年度で見ると、沖電全体でたしか二十七億五千百万円のうち十五億四千八百万円は離島分ですね。五十四年度が四十三億五千二百万円のうち二十四億三千八百万円、これは五六%に相当する。五十一年度は五六・三%。五十五年度は二十一億三千六百万円のうち二十一億五千万円、丸々離島の投資に振り向けている。こういう状況になっている。  さらに一キロワット時の販売原価で見ると、六十一年度の数字でありますが、たしか久米島の方が四十一円五十八銭、渡嘉敷が七十三円六十八銭、渡名喜が百三十二円六十二銭、粟国が百六円四十三銭、北大東百十八円二十三銭、波照間百四円二十七銭となっておるのですね。沖縄本島は二十円九十五銭で、沖縄本島離島を今度合計すると二十一円七十八銭になるようですね。そうしますと、結論的に言うと、本島の電力消費により離島電力供給を賄っているのが現実なのですね。これだけ離島影響性、インパクトというのは強い、大きい。この実態は民営化後も変わらないわけですよ、電力供給をするという面では。  ですから、今県民なり離島皆さんが大変心配をしているのは、現在は特殊法人だからいろいろ、ある場合は国の方でそれ相応の助成措置ができるわけだが、民営化された場合にはどうなるであろうか、果たして現在のような経営状態あるいは電気料金でやっていけるのかどうかということを非常に心配をしているわけで、この点はどう持続、改善をしていかれようとお考えなのか、ぜひ御見解を聞きたいと思うのです。  さらに、離島発電設備はたしか八万八千七百三十キロワットですか、沖縄全体で約百二十万キロワット、離島電力はそのうちの七・四%なのですね。ちなみに、本土全体の離島の割合は〇・三%、沖縄の場合は七・四%を占めている。だから、九電力よりもいかに沖電力というものが離島対策という面で投資をし、いろいろな面で運営で過重というかより余計な負担を強いられているかということがこれで明らかだと思うのですね。こういう点についてはどういうふうに改善をしていかれるのか。  私の提案として、本土にもいろいろ離島があるわけだから、離島電力の安定供給、廉価な電力料金という面では沖縄電力を含めて九電力でプールしてみたらどうか、何か特別の資金調達をやって。一つの電力会社、特に離島を多く持つところだけが過重な負担をするということでなくて、全体的なプールをして離島電力料金は安定的なものをやる、これも一つの考え方だと私は思うのですが、今私が指摘したことについて、私は六十一年度をとってありますので数字的にそう狂いはないと思うのですが、それを含めてひとつお答えください。
  113. 植松敏

    植松政府委員 今御指摘いただきました数字それぞれについて私どもちょっとチェック、今手元にございませんので照合できないのでございますが、先ほど申し上げましたように、恐らく相当離島は持ち出しになっておりますので、そういう意味で離島の比率が高いということは大変沖縄電力にとってコストアップの原因になっております。ただ、各電力会社それぞれとりましても、もう先生御案内のとおり、例えば九電力全体では〇・何%と申しましても、九州電力が二%近い離島比率を持っているとかあるいは逆に北海道の方は、離島はございませんけれども、一言で広大、過疎、積雪寒冷地と申しますように、雪害が多い、それから逆に人口過疎、需要過疎のために送電系統に非常にコストがかかるというような問題があるとか、あるいは山岳地帯を抱える地域もございまして、電力会社それぞれがメリット、デメリットを持っております。  沖縄電力の場合は、離島が多いということが大変なデメリットでございますけれども、一方では、需要密度の点で申しますと、九電力よりもはるかに需要密度が高いために送配電コストが比較的安くて済むというメリットもございます。そのトータルが結局、各電力会社の料金表をそれぞれ当てはめてみたらどうだろうかということでやってみますと、先ほど申しましたように沖縄電力の場合に現在の料金水準で十電力の中で四番目に入るというようなことにもなるというのがその理由でございまして、一概にデメリットだけで議論するのはどうかと思いますが、いずれにしましても、確かに離島が圧倒的に多くてそのためにコスト高になっているということは事実でございます。  従来いろいろな金融面税制面措置が講ぜられてまいりましたが、このときの一つの理由がやはり離島を抱えておってそのためにコスト高になっておるということが税制金融面での援助措置の一つの重要な根拠になっていることも事実でございまして、沖振法の第二次沖振計画におきましても、その辺を考慮してそれぞれ税制金融措置が講ぜられ、また今度民営移行に当たりましても引き続き当面この措置を継続するということになっているのもその点でございます。  離島をプールするという御議論につきましては、一つのアイデアでございますけれども、各電力会社それぞれ皆いろいろな立地条件、問題点も抱えておりまして、一つやりますとほかもやれという議論になります。やはり電力会社はもともと民営でやる方がいいだろう、規制は最小限度にする、ただし公益事業として必要な支援なり指導はしてまいるということでやっておりますので、その辺で御配慮いただければと思っております。
  114. 上原康助

    ○上原委員 あなたの答弁はだんだん理屈っぽくなるから困るのだよ。そう聞いているのではない。離島電力事情の問題と、こういうふうに数字的になっているが民営移行された場合もその不安を持っておられるからそういう不安の解消はできますか、現在の安定供給はできますかと聞いているのだ。これは通産大臣が全部お答えになった方がいい、どうぞ。
  115. 浜岡平一

    浜岡政府委員 先ほど来申し上げておりますように、一供給区域同一料金という考え方は今後とも沖縄電力の場合にも適用されていくべきものでございます。したがいまして、問題になりますのは総コストであろうかと考えております。これも先ほど来申し上げておることでございますが、石油依存度が高いというところが、現在におきましてもまた今後に向けましても大きな課題でございまして、こういつた面への配慮を行いまして全体としてのコストが下がっていく、それによりまして、沖縄電力全体としてプールをいたしましたときに離島の負担分というものが薄められていくわけでございますので、こういった面での配慮といったものは、可能な限り電源多様化政策の運用等の面で加えてまいりたいと考えております。
  116. 上原康助

    ○上原委員 これは両大臣の方からも一言ずつお答えいただいておきたいのですが、離島振興というのは大変重要な課題なんですね、沖縄振興開発という面では。沖縄本島離島の格差も大きいわけですよ。現に離島の不安というのはありますよ。離島皆さんに不安のないような電気事業電力の確保を推進なさいますね、民営移行後も。
  117. 田村元

    ○田村国務大臣 民営化してもそのために条件が劣悪になるということは考えておりません。私も幾たびか事務方に念を押してあります。先ほど長官が申したとおりでございますが、例えば今のプールの問題は、今度は逆にプールということになれば、それぞれの企業は皆民営化で独立会社ですから、そこらの問題もありましょうけれども、それはそれとして、今申しましたようなことでありますが、電力料金というものは、元来、沖縄電力なら沖縄電力の、これは個々の電力料金の場合ですが、沖縄電力の管轄は全部同料金ということでございます。  問題は収入の問題でしょうけれども、それもいろいろな面で守られておりますから、先行きも私は安心していいんだなということを事務方にくどく念を押して、私自身が決裁しておるということであります。例の、沖縄でも本当に今昔の感にたえませんが、水納島だけになったそうですね。これももうすぐに何年かで電力が送られるようでございますけれども、我々はそういう点で全力を挙げてまいって、万遺憾なきを期したいと考えております。
  118. 上原康助

    ○上原委員 時間が迫りましたが、要するに離島対策、それともう一つは、本土並み料金水準の確保ということが民営化の大前提ですから、これは数字をとればいろいろあるわけだ、電灯は幾らとか電力は幾らとか、そういう議論も必要ではありますが、本土並み料金水準の確保というこの内容はどう理解をしているかということが一つ。  もう一つは、確かに沖縄電力電発石川火力から電気を買っているのですね。これも本当は沖縄電力にみんな上げたらいいんだ。そこで、この石炭も石油同様に輸入であり、円高・ドル安の影響は大きいと思うのですが、こういった面が果たして沖縄電力の卸単価等に十分反映されているのかどうか、これが二点目。  もう一つは、石川火力の建設費は、当初はたしか千二百億だったが、実際には九百八十億で済んだようですね。そうしますと、これもさっきどなたかの質問にちょこっとありましたが、三〇%は国庫補助で賄っているはずなんだ。この部分も沖縄への卸値に当然反映されてしかるべきだと思うのですが、ここいらのことがどうなっているのか、ぜひひとつ明らかにしてもらいたいし、また今後検討してもらいたい。特に本土並み料金水準の確保というのは、民営化の前提の絶対条件であるということを強く申し上げておきたいと思います。  以上三点、よろしくお願いします。
  119. 田村元

    ○田村国務大臣 私は、基本的な料金問題についてお答えして、細かいことは政府委員答弁いたさせます。  民営化後の沖縄電力にとって、本土並みの料金水準の維持は極めて重要なことで、問題はそこに集約されているといってもいいかもしれない、そういうものであると自分は認識をしております。民営化に先立ちまして、政府は、累積赤字の解消、それから累積赤字の原因となった石油依存型電源構成の改善の促進、また減資によりまして負担配当の軽減と減資分で約七十四億円が浮いてまいりましたから、資本準備金への繰り入れ等々、財務体質を随分改善してまいりました。でございますので、従来から講じてきました税制金融上の助成措置につきましては、民営化後も当面継続することにしておりますので、本土並み料金水準が確保されますよう、通産省としても強く指導してまいる所存でございます。
  120. 浜岡平一

    浜岡政府委員 基本的にはただいま大臣からお答えがあったとおりかと存じます。ただ、若干技術的な点になるわけでございますが、先ほど来るる申し上げておりますように、需要構成の違いというのがございます。御高承のとおり、電灯の料金は相対的に高くて大口電力の料金は相対的に低いわけでございます。大口電力の構成比が小そうございますと、全体の加重平均をいたしますとどうしても高くなってきてしまう、これはいわば算術の上の問題でございます。現在の沖縄電力につきましても、それぞれの九電力の構成比、それから沖縄電力の構成比をとりますと、九電力は十九円七十二銭でございまして、沖縄は二十二円三十五銭というようなことになりますが、そういう構成比等も踏まえまして、それから電源構成比等も踏まえて、実質的に大きなギャップがないというところを目指していくべきものかと考えております。  なお、電源開発からの供給につきましては、地点別原価主義というのをとっておりまして、石川火力の個別の原価というものを勘案して供給が行われるようになっているわけでございます。  なお、御指摘補助金を交付されました部分につきましては、当然コストから削除いたしておりますので、その分は料金に反映されていると御理解いただいていいかと思います。
  121. 上原康助

    ○上原委員 もう時間が参りましたから終えますが、冒頭申し上げましたように、もっと詳しく議論をすべき問題点もあるわけです。しかし、きょうだけ審議したわけじゃないし、これまで長い経過がありますから、本委員会あるいはほかの委員会でもこの民営化に向けて提起された問題等々を十分御参酌の上、進めていただきたいと思います。この点は特に両大臣に強く要望して、質問を終わります。
  122. 稲葉誠一

    稲葉委員長 玉城栄一君。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどから大臣のお答えを承っておりまして、私なりにいろいろ考えるものがあったわけでありますが、ちょうど沖縄県が本土復帰するとき、昭和四十七年、当時の佐藤総理大臣が沖縄においでになって、沖縄の本土復帰がされない限り日本の戦後は終わらないというお話をされていたことをちょっと思い出したので、ある意味では、先ほど大臣のこの沖電の民営移行の問題についてるる心情的な立場から話しておられることを聞きながらそのことを思い出しておったわけですね。  御存じのとおり四十七年に沖縄が本土復帰しまして十六年になりますが、いろいろ国体とか大きなイベントがありましたけれども、この沖縄電力が今回完全に民間に移管されていくことは復帰後の沖縄にとって非常に重要な問題、今後においてもこれから二十一世紀に向かってどういう形の沖縄ができ上がっていくかという、やはりいろいろなものを推進、実現していく、その根っこの電力会社がしっかりしておらないと、これはまたいろいろな計画があっても達成できないわけでありますから、非常に大臣のお話を印象的に伺っておりました。  問題は、今この沖電の民営移行について非常に関心のある問題は、これからどういう形で、もちろんこれは二つの命題があります、いわゆる安定供給、先ほども大臣がおっしゃった適正本土並み料金の水準の確保、これを当然進める、実現していく。またこの沖電の形がどういうものになるのかということ、それは県民主軸ということですが、そういうことについて私は先ほど大臣のお話を伺いながら、冒頭政府委員の方にもちょっと申し上げましたけれども、沖縄の持つ特殊性、もちろん沖電の持つ経過、特殊性、また現実の沖縄の置かれている特殊性を踏まえて、あくまでも、株の売却の方法にしましても例のNTT方式というのは全然当てはまらない、本質的に問題が違う、NTTの場合は全国ベースの問題ですから、沖縄の場合は電力供給にしても県域ですから、いろいろな意味で事情が違うわけです。  また、ガリオア資金云々と先ほどありましたとおり、そういう意味で特殊性という立場からこれがちゃんとできるように両大臣の御努力をされてきた御苦労には敬意を表するわけでありますが、今後もたとえ民営移行になったとしても政府としての責任は当然負わされている、こういうふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
  124. 田村元

    ○田村国務大臣 特殊法人が私法人にかわるわけですから、それは当然異なるものになろうと思いますけれども、そういう形式的な問題あるいは内容についてはとにかくとして、今おっしゃったように従来の沖縄電力に対する配慮というものは今後も続いていくというふうにお考えいただいてよいと思います。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、総論と申しますか各論と申しますか、もうちょっと知りたい部分は、例えば千四百七十三万株、現在政府が保有している株、これを、民営にするのですから、当然放出するわけですね。建前は、これから国有財産中央審議会、そこで決めるんだということですが、そこをもっと知りたいわけです。大臣も、相当部分は沖縄側が当然持つべきである。沖縄側というのは沖縄県もあれば県民もあれば地方公共団体もあれば沖電の社員、関連会社もあるでしょう、企業がいろいろあるでしょう。だからそこをどういう率でまたこれを配分といいますか売却するか。問題は、これは一株額面五百円ですね、これはどの値段でされるのか、適正料金はどういう形で決めるのか、その辺いかがでしょう。
  126. 田村元

    ○田村国務大臣 それを審議会が決めようというわけです。今私が主観で物を言ったら、それこそ大変なことになって、通産大臣辞任にまでなりますから、最近特に大臣の言葉は慎まなければならぬ季節になっておりますので、それは慎んでおきますが、ただ、どのような内容になるかということについて私は触れるわけにはいきませんが、少なくとも過半数の株式を沖縄によこせ、あるいは六割をよこせというような御要望というものは相当常日ごろ承っております。
  127. 玉城栄一

    ○玉城委員 過半数、六割という数字ですが、私は根本的にこれは全部沖縄側に持たせる方がいいと思うのです。それはまたこれからいろいろ御検討されると思うのですが、そのうち私、さっきも政府委員の方に申し上げたのですけれども、千四百七十三万株ですから、例えば沖縄の人口、これは例えばですよ、そういう意見を言う人もあるわけですが、百二十万県民ですから、百二十万県民が何株か持ったにしても、千四百七十三万株のそんなに数じゃないだろう、そういう意見もあるわけですね、いわゆる県民、一般県民ですよ。いかがでしょうか。
  128. 田村元

    ○田村国務大臣 これは私に具体的にお尋ねいただいてもちょっと困りますが、ただ、株主といいますのは安定株主というのがありますね。それから個人株主あるいは個人でなくても不安定株主がありますね。沖縄電力の株を沖縄県民が買った、値段が上がった、しめた、売ってしまえというので証券市場へ出されたら、日本じゅうのどこのだれが買うかわからなくなるわけですね。ですから、今おっしゃった意味は安定株主を指していらっしゃるのだろうと思いますが、沖縄県民全体が安定株主になるかどうか、それは私にはわかりませんが、今から何万株をどう、あるいは一人当たりにどう、これはちょっと私からお答えすべき筋のものでもありませんが、第一これは答えられるものはちょっとないんじゃないかと思うのですよ。今後の問題として審議会でこれも御審議をいただくことになろうかと思います。
  129. 玉城栄一

    ○玉城委員 政府委員の方で結構ですが、さっき大蔵省、一括売却というような話ですけれども、これは適正価格はどういうふうに決めますか。
  130. 沖津武晴

    ○沖津説明員 国有財産の処分に当たりましては財政法九条でこれを適正な対価をもって処分しなければいけないことが決まっているわけでございますが、これが例えば市場で価格がついて上場されているような株式の場合は大変簡単に価格というものは出るわけでございますが、そうでない場合はどのようにして適正価格を算定するか、なかなか難しい問題でございます。そういう点も含めましてどういう価格をどういう手続で算出すべきかについてまさに国有財産中央審議会で御審議願うことになろう、このように考えているところでございます。
  131. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、今までそういう例もないわけですから、いろいろどうした方がいいかと考えていらっしゃる最中でしょうが、これは額面一株五百円でしょう。それを県民に割り振りする分は額面でやったらいいですよ。そういう意見もありますから、それもひとつ聞いておいてください。  それで大臣、政府保有株式を売却した益を、さっき心情的にもちゃんと沖縄に配慮すべきであるというお話をしておられるわけですが、全く心情的でなくて、そうしていただきたいわけです。これは先ほど私、政府委員の方にもいろいろ申し上げたのですが、停電事故もあるし、沖縄は台風常襲地帯ですから、やはり自然の強烈な台風によって電線が切られたり電柱が曲がったりということで、ちょくちょくどうしても避けられない事故があるわけですね。ですから、そういう電線だとか電柱を地中に埋設して、例えば水道とかNTTの電話線とか、向こうと話し合いをして共同溝をつくってやったらいいじゃないかという意見もあるわけですね。全体的には沖縄振興開発のために使うべきですが、そういうものにも当然使うべきだということですが、やはり沖電の株という政府の保有していた株を出すということですから、そういう電力関係するものに、使うものはそれ以外にもいろいろたくさんあるわけですが、やはり通産大臣として所管大臣とされて、そうすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  132. 田村元

    ○田村国務大臣 それは必要なものは必要に使うんじゃないでしょうか。  それから、先ほどの売却した売却益というものを全部沖縄に使えというお話ですが、それでございますと特別の基金か何かをつくってということになりましょうが、やはり国有財産でございますから当然国庫に入る。そしてそれは予算編成の過程において使われる、使われるというか使い道が決められるわけでございますから、そこで十分の配慮をしてもらうということしかちょっと私今答弁ができないと思うのです。特定財源としてというふうに縛りをかけてしまうならこれは話は別でございますけれども、今そういう話も出ておりませんし、ただ、十分の配慮はあってしかるべきものという私のこの答弁は、沖縄県民に対する私の最大限の敬意と好意を込めたはなむけの言葉というふうにお受けとめいただいて結構というふうに私としてはお答えをしておきたいと思います。
  133. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどから申し上げておりますように大臣のお気持ちもよくわかりますし、御自身で言責という言葉もおっしゃったわけですから、決してリップサービスでないということはよくわかっているわけです。確かに建前は国有財産ですからいろいろ手続はあると思います。  これはちょっとケースが違うのですが、またこういうケースもあるのですよ。といいますのは、大臣も御存じのとおり戦時中に旧日本軍が沖縄でたくさんの飛行場をつくりまして、十八カ所ぐらいですが、復帰後はこれは国有財産台帳に全部載せてしまったわけです。ですから我々がこれを問題にしたのは、確かにその当時旧軍が買収した証拠があるのか、所有権を移転したという証拠があるのかということを大蔵省といろいろやり合いまして、いや、証拠はありませんが状況から移転したものと思う。しかし、大事な所有権の移転というのはそういう推測でやっては困るということでいろいろやってきました。一部解決したのは、沖縄の宮古島に飛行場がありまして、下地町と上野村、大体十五万九千坪ですね、これを農用地として現在使っている農家の方に、旧地主ですね、もちろん国有財産ですから借料を払って。それを法に基づいて払い下げしたわけです。払い下げしたときの価格は何と坪当たり百円ですよ。当時、やはりこの特殊な事情にかんがみてということで払い下げた。これは八重山の石垣島も同じようなケースがあります。  もう一つは沖縄本島の読谷、まだこれは解決していませんが、しかし国会で総理も含めて関係大臣が何回もお答えしていることは、地元にちゃんとした利用計画があるならば、沖縄振興開発のために役立つ利用計画であるならば幾らでも国はちゃんと払い下げますよ、当然そういう事情も考慮します。具体的に言うといわゆる価格の問題もそうですね。  ですから、いろいろなケースがありますので、建前は確かに一たん国有財産となった以上はそういう手続を踏まなくちゃなりません。しかしこの沖電の場合にしましても、ガリオア資金とかいろいろな、沖縄の人は大体これはもう沖縄のものだったという認識があるわけで、この認識を変えることはなかなか難しいわけです。ですから、大臣もさっきおっしゃった十カ月もおってよくわかっているというようなことですから、やはりその特殊性というものをぜひ考慮していただいて、沖縄県民に全部と私は申し上げたい、それはいろいろあるでしょうけれども。そして相応の価格でちゃんと譲っていただきたい、そしてそれは沖縄振興のために活用していただきたい、こういうことですがいかがでしょうか。
  134. 田村元

    ○田村国務大臣 沖縄のためにということで苦労してこの案件も詰めが行われたものだと思います。今ここで具体的にさあどうじゃどうじゃといってきりきり詰められましてもちょっと答弁もできませんが、何といっても国会の速記録に残る場でございますから、しかも審議会がこれから審議をしようというときでございますから、そこいらの微妙な私の立場も御勘案を願いたいのでありますが、政府はとにかく沖縄に対してはできるだけのことをしたいという気持ちでおることだけはこれは間違いのない事実。沖縄の財産というものは全部政府が現物出資したものだという理屈はあるかもしれません。あるかもしれませんけれども、だからといって沖縄県民にそういう言葉を投げつけていいものだろうか。よその地域においては当たり前のことでも沖縄に対してはばからなければならぬ言葉だってあるのじゃなかろうかと僕は思います。  でございますから、いろいろとまた御要望もございましたら役所の方へもお話しをいただきたい、あるいは御要望の趣を要望の形でどうぞ速記録にお残しをいただきたい、またその都度その都度のお話ということにいたしたいと思います。ちょっとここで審議会がある前に、おまえ審議会あったっていいじゃないか、しゃべれ、それじゃ今度は政府がやれ労働問題だ何だという審議会がある前にばんばか物を言い出したらこれまたえらいことで、審議会無視のそしりも受ける。やはり審議会がある以上はこれは大切にしなければならない。でございますから、審議会の経過を十分見守りたい、こういうことでございます。
  135. 玉城栄一

    ○玉城委員 よくわかっておりますが、この問題はこれ以上、何か大臣を苦しめているみたいで恐縮しているわけです。  そこで、また先ほどの質疑の中に、いわゆる税制のいろいろな特別措置がありますね、それを延長する。それでその切れた後はどうするかというと、それは衆参の特別委員会がある、もう一つ加えれば沖縄開発庁という役所もある、そこから御推断願いたいというお言葉でございましたが、私は今度は粕谷大臣にお願いしたいのですけれども、第三次振計という問題に入ってくるわけです。  実はこれはうちの矢野委員長がついこの間沖縄に見えまして、各地域でも、第三次沖縄振興開発計画が必要だ。いわゆる沖縄の本土復帰の目的、格差是正、いわゆる自立達成は二次振計でできない、これはもう客観的に言えると思うのですね。ですから二次振計後期が終わってから三次振計なんてそんなことじゃなくて、今からやると決めて、そしてその中で失業問題とか、さっき申し上げたように県民所得はまだまだ低いわけですね。それから沖縄基地を抱えてまだそのまま、そういういろいろな問題は、やはり今から決めて、そしてもちろん今までもそうだったでしょうからあるいは公聴会なりなんなり幅広く聞くような形でやった方がいい。それは総理にも自分は強く申し上げると各地域でうちの委員長が言っていましたので、粕谷大臣どうですか。
  136. 粕谷茂

    ○粕谷国務大臣 先生十分御事情を御推察の上の御発言であろうと思いますが、今のところ第二次振計が後期に入っておりまして、まだ四年の歳月を残しているわけでございます。むしろ第二次振計の総まとめをやらなければならないということもあります。御指摘の向きのことも私たちは十分承知をいたしておりますが、とにかく全力を挙げてこの第二次振計の目標を達成する、こういうことに今は進んでいきたいということでおりますので、この時点で第三次振計の話を私が申し上げるのはちょっと時期尚早のような感もあります。今そういう心組みで当庁はやっております。
  137. 玉城栄一

    ○玉城委員 それはそのとおり三次振計をやるということは決まっているわけじゃないですから確かにそういうお答えしかできないのでしょうけれども、せめて開発庁自体は、まだ、本当に申し上げるまでもなく実態がそういう実態ですから、そういう作業についてはどんどん、これは準備ですから、やるやらぬはまた閣議で決めるわけですが、いろいろな準備作業は当然進めさせておいていいのじゃないですか。どうなんでしょうか。
  138. 勝又博明

    勝又政府委員 第三次振計の必要性の有無についてもただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、いずれにしても、いずれの時期か第三次振計の必要性があるのかないのかを判断する時期が来るわけでございますので、それに向けての準備というものはその時期が来れば進めていかなければならぬもの、かように考えております。
  139. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、なぜここでこの問題を持ち出したかと申しますと、沖縄電力が民間に移行されまして、第一次振計の四十七年から五十六年までの十年間の沖縄電力需要の伸び、それから五十六年から六十二年まで、これは当初から二倍ぐらいになっているわけです。いろいろな面で四十七年と十六年後の現時点では電力需要がそれだけ二倍に伸びているということは当然推測できるわけですから、さらに三次振計となりますと、沖縄電力さんも発表している長期的な、年に二・八とか二・三とか電力需要は伸びていくという想定のもとにいろいろな計画をしているわけです。ですから、沖縄電力が民間に移行する、したがって第三次振計というものは失業の問題や今までこれといった地場産業が育っていない、いろいろな問題も含めてこれは両輪のごとき問題だと私は思うわけです。そういう意味では、三次振計を今はどうのこうのというのはちょっと遅いのではないか、どうですか。
  140. 粕谷茂

    ○粕谷国務大臣 おっしゃる向きのことは私も理解できないわけではないのですけれども、私の立場として、個人的な見解のような形で物を申し上げる立場に今ありませんから、時代が非常に急激に変わってきている、そういうときに失業率も高いし県民の所得も低いしといったようなことを考えたならば準備段階に入ったらどうだというような御意見は、大変貴重な御意見だと思って承らさせていただいてはおりますが、今それだからといって、三次についての準備を進めたらどうだということについて、承りました、イエス、こういうわけにもいかないものですから、その辺で私の答えとさせていただいたわけです。
  141. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、外務省の方いらっしゃっていますか。——では、今度はまた開発庁の方にお願いします。  この間、先月の二十七、二十八、二十九日あたりですが、沖縄で集中豪雨がありまして、宮古島では死者まで出ているわけです。私は現場の写真も持ってきましたけれども、ごらんになりますか。一カ所の小さい方の写真は、これは宮古島の城辺町という農村地域ですが、そこで事故が起きた。どういうところで事故が起きたのだろうと思って行きましたら、ここは排水路で、集中豪雨ですから水浸しになっているわけです。そんなところに排水路があるとはわからないわけですね、軽貨物に乗っている人は。そこにそのまま突っ込んで亡くなっていたという事件です。  私はそこがどういう場所なのかということをいろいろ調べましたら、ここはまた町有地でもなければ字有地でもなければ個人有地でもない。ではそれはどこの土地になるのだろうといえば、恐らくそういう土地は国有地にしかならぬじゃないか。私もそう思うのですけれども、こういうところはきちっと整備していただいて、その周辺ではいろいろなハウス栽培をされておりまして、そういう集中豪雨もあってメロンからスイカから全部もうだめになるわけですから、こういうところもぜひ国、県あるいは地元の町と相談していただいて、事故のないように、また農作物が被害に遭わないような策をぜひ講じていただきたい。これは要望を申し上げているのですが、いかがでしょうか。
  142. 塚越則男

    ○塚越政府委員 お答え申し上げます。  沖縄先生おっしゃいますように台風の常襲地帯でございまして、風雨とか波浪の自然災害をこうむりやすいような場所にございます。また、土地の条件につきましても大変崩れやすいという特性を持っているというようなことで、私ども従来から河川改修ですとかダム、砂防事業等治山治水事業、海岸保全事業といったようなことに力を注いできたわけでございます。また公共事業、公共施設整備につきましても、関係の各省庁でそれぞれ予想される降雨量などを基準にいたしまして一応公共施設整備水準というものをつくっておりまして、それに従って県や市町村と連絡をとりながら計画的に整備を進めてきているというのが現在の状況でございます。  今後とも県、市町村との連絡を一層密にいたしまして、県民の方々が安全に生活できるようにということで、安全な国土の基盤づくりということで努力をしてまいりたいと思っております。御指摘の場所につきましては、確かにおっしゃるように農業基盤をやっているところの間にございまして、これからいろいろ事情を聞いてみたいというふうに考えております。  以上でございます。
  143. 粕谷茂

    ○粕谷国務大臣 新聞で拝見しただけでなくて、大変細部にわたっての貴重な写真の資料を御持参いただいて、つぶさに拝見させていただきましてありがとうございました。  今局長が申し上げましたとおり、何といっても安全確保ということが至上命題だと思います。今後こういうような悲惨なことが起きないように県並びに市町村などと綿密な連携をとりながら対処していきたい、こう思っております。
  144. 玉城栄一

    ○玉城委員 私、五十三分までですから、あと一問を通産大臣にお伺いしたいのですが、いらっしゃらないようです。じゃ、どなたか、コロンビア計画というのがあるでしょう。おたくでもいいですが、後でまた間に合ったら大臣に……。  通産省では、スペインとかオーストラリアなどの外国で長期休暇や退職後の余暇を過ごそうといういわゆるシルバーコロンビア計画を研究していると聞いているわけですが、すばらしい着想でありますけれども、海外だけでなくて国内の方にもぜひ通産省としても目を向けていただいて、これから高齢化社会ですから、その条件に国内では沖縄が非常に適していると思っております。これは単なる主観ではなく客観的にもそう言えます。まず一つは、気候が温暖である。美しい海に囲まれるなど豊かな自然に恵まれている。あるいは国内主要都市から主として航空路によるアクセスが容易である。日本でも有数の長寿県であり老後の生活には適している。  こういうことで、沖縄での国内版シルバーコロンビア計画を具体化すれば、沖縄にとっても短期の観光客とは異なる定住型の新しい需要が開拓できる、地元雇用の増大など地域振興に大いに役立つ、また、沖縄にやってくる他府県の住民にとっては寒い冬は避け健康な生活ができる、年寄りもゆったりとした豊かな生活ができるなどメリットがある。通産省としては国内版シルバーコロンビア計画への応用についても検討しているということであるが、国内版を具体化する際にはぜひともこの沖縄での実現を私は要望しておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  145. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 お尋ねのシルバーコロンビア計画、これは現在では海外滞在型余暇プランと言っておりますけれども、これはそもそも申し上げますと、国際化時代に日本人の余暇の過ごし方というのは従来と違ったタイプのものもいろいろ出てくるであろうというところに着眼いたしまして勉強を始めたものでございまして、実はまだ勉強段階でありまして、たまたま明日その研究会の最終会合が予定されております。  しかし、これは言葉の遊びではございませんけれども、この勉強をしていましたらば、コロンブスの卵じゃないのですけれども、よく考えてみれば国内でもここで志したようなことはあり得るではないかということは、ある意味では当然だったかもしれませんけれども、そういう議論が出てまいりましたし、国内のいろいろな方がそういう御関心をお持ちになりました。そこで、この研究会でも、そういうことも踏まえまして国内の応用がきくように勉強しようではないかということ、具体的に申しますと、海外である程度まとまった時間を過ごそうというニーズがどういう層にどういうふうにあって、どういう問題点があるのかということは国内にもそのまま応用できるわけでございますので、そういう意識を持って勉強をやってまいりました。  沖縄は、先生指摘のようないろいろな特性から考えまして、私どもとしても国内でこういうことを考える場合には有望な候補地の一つだと思っておりますので、御指摘の点もよくきょう頭にとどめまして、今後このレポートを受けてさらに先を考えていくわけでございますけれども、よく今日のお話を承ってこれから勉強を続けてまいりたいと思います。
  146. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣はまだですか、大臣から一度このお話聞きたいけれども。  それではおたくにもう一回言っておきますが、この法案沖縄電力が民間に移行しますね。沖電側の発表によりますと、これからの沖縄における電力需要、さっきもちょっと申し上げましたが、年間大体二・三とか二・八くらいで電力需要が伸びていくという想定があるわけです。その想定は、なぜそのように需要が伸びるかといいますと、やはり人口の増加の問題と、いろいろありますが、もう一つは、長期滞在型のそういう方々を想定しての電力需要の増も見込んでいるわけですね。  大臣、恐縮ですが、大臣の方で検討していらっしゃるシルバーコロンビア計画、いわゆる退職後とか高齢の方が外国に行って長期的に滞在していくというお話ですが、何かあした正式には発表されるようなお話聞きましたが、相談するというのですか。沖縄は長寿県ですね。大臣も二カ月いらっしゃったということですが、非常に温暖だし、人の性格もいいし、病気の人も非常に少ない、これは厚生省の発表でもあります。そういう意味で、これから高齢化に備えて、今でもそうです、東北あたりからたくさんのお年寄りの方々がツアーを組んで来てます。ですから、今後国内版シルバーコロンビア、これは言葉はちょっと批判もありましたが、もっと国内の方にも力を入れて、国内であれば沖縄は適したところの一つであると私は思うのですが、大臣いかがでしょう。
  147. 田村元

    ○田村国務大臣 今、発表と聞いたのでびっくりしたのですが、報告書が取りまとめられたということの発表でございます。  おっしゃるとおりなんですよ。まずシルバーコロンビアという、このごろ何かしら各省庁ともやたらに言葉が横文字が多うございまして、私なんかもわかったような顔して内緒でそっと辞書を引くことがあるのですが、全くこの点はほどほどにということがいいんではなかろうかと思います。  それはさておきまして、沖縄のみならず国内各地からその声があるのです、率直に言って。何もわざわざ年をとって外国まで行かなくても国内にすばらしい保養地はたくさんあるじゃないか、こういう声は強いのです。そういうふうに考えますと、やはり沖縄なんというのはすべてにおいて一番条件が整っているということは言えるのでしょう。報告書の中にも恐らく沖縄の方にお読みいただける、一見に値する内容があるかもしれませんが、私は、外も結構、しかし内もまたまんざらでもないということでこの問題と取り組んでいきたいというふうに考えております。
  148. 玉城栄一

    ○玉城委員 終わります。
  149. 稲葉誠一

    稲葉委員長 和田一仁君。
  150. 和田一仁

    ○和田委員 両大臣がおいでの中で質問を続けさせていただきますので、前段の質問と若干重複するところもあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  電力事業は国家の基幹産業であるということは、これはもう申すまでもございません。私は、電力というものは国民の血液のようなものだ、こう思っております。国民生活向上に不可欠であり、同時に産業の振興にも非常に大きな関連がある非常に大事な産業である、こう思います。それだけに、これは国民に栄養を運んでいく血液と同じでございますから、一刻も中断されることがあってはならない、絶えず安定給供がなければならない、これはもう当然なことだと思います。そして、そのことによって産業の振興も図っていかなければならない。エネルギーコストとしてやはり低廉であること、良質であること、これが電力事業に求められる一番基本の問題である、こう思います。  そういう中で、今まで沖縄電力が特殊法人として政府の援助や助成を受けながらとにかく赤字を克服して、やっと黒字になった。したがって、いろいろな条件がここで整備されたので、内地における、本土におけるほかの電力会社と同じようにこれを民営に移そう、こういう大事な法案でございます。非常に関係各位の御努力が実ったものと敬意を表するわけでございますが、同時に、先ほど来質問がたくさんありましたように、沖縄電力の持つ特殊性というものも私どもは痛切に感じておりまして、沖縄というこの県内に限られて供給をしていく基幹産業である、そしてそれが沖縄にとって最大の産業になるんだ、こういうことでございます。  この沖縄の特殊なものの一つとして、本土における、内地における電力というものはお互いに有無相通ずる、相互の供給が可能でございます。やりくりができる。これは全部一本の送電でつながっておるわけですね。しかし沖縄だけはこれができないという、内地とは比べものにならない極めて特異な存在になっている、こういうことがまず前提にあろうと思うのですね。  そういうことを考えますと、先ほど言った国民の血液と同じような非常に大事な基幹産業を民営に移したときに、全く内地と同じような安定供給、そして低廉、良質な電力供給できるかどうか、これは非常に大事だと思います。県民にとりましても、この沖縄電力は本当に沖縄県民のものであるという感じを持っておられるような気が私はいたします。であるとすれば、この民営化について、基本的には、何としても安定供給、良質、低廉である電力をこれからも継続できるようなそういう条件整備がなったというふうに大臣はお考えになっているか、いやいやまだもう少し助成は続けなければならぬ、したがってこの法案にはそういうことも含まれているんだというお考えで助成にまだまだお力を入れていただけるかどうか、この辺からお伺いしたいと思います。
  151. 田村元

    ○田村国務大臣 率直に言いまして、沖縄電力はぜい肉も取り、健康な体質になったと思います。でございますから、それなりに他の電力会社と同じ条件下で生き抜くことは可能であろうと思いますけれども、しかしそれはそのようになったばかりでございます。でございますから、やはり当面従来の手厚い措置というものは継続していかなければならない、またすべきであると思っております。そして、恐らく今後当分の間は、沖縄電力は健全な経営という状態が続くと思いますけれども、将来を考えますと、為替レートがどうなるのか、あるいは原油がどうなるのか、石炭のコストがどうなるのか、いろいろな問題がございましょう。  第一、経済事情がどうなるのか、今のようなこんなすばらしい安定した、内需は拡大するけれども物価は上がらないという、こういうすばらしい経済事情下に我々はずっと長くおられるのかどうか、いろいろな問題があると思います。でございますから、先ほど申し上げたように一応当面、従来の措置を継続しながら、今後のいろいろな、今申し上げたような推移を見守るということになろうかと思います。  ただ沖縄の場合は、離島関係もいろいろございますけれども、率直に言いまして、電力供給事情あるいは需要事情という点からいいますと北海道よりまだいいのですね。北海道の方が劣悪なんですよ。例えば大口需要という点からいいますと沖縄は九番目で北海道が十番目なんです。そういうようなこともございます。でございますから、北海道にも十分に思いをいたしながら、沖縄はまた沖縄の対策を講じる、こういうことになるのではないでしょうか。そして、他の八電力に並ぶような姿に持っていくことが必要ではなかろうかと思っております。
  152. 和田一仁

    ○和田委員 そういう特殊性は沖縄だけでない、北海道も同じように苦しい中でやっているのだというお話でございました。そういうことであるならば、沖縄電力に対すると同じように、通産大臣として、日本の基幹産業である電力が、平均して安定供給、良質、低廉という電力を国民が使えるように、そういうようにどうぞひとつ北海道の方もあわせて御配慮をいただきたいと私は思うわけでございます。もちろんこの沖電の民営化について、民営化したらそれが崩れるというようなことがあってはならないという思いからお聞きをいたしたわけでございます。そういう意味では、沖電が将来自社開発をしながら電源の多様化を図ろうというような計画に対しても、どうぞひとつ積極的な援助政策をお願いしたいと思います。  時間が非常に少ないので、助成の問題と株の問題、あるいは新しい会社を活力ある会社にしていただきたいという三点について、私、これから御質問したいと思っております。  まず助成については、今大臣のお話がございましたが、やはり沖縄公庫融資の割り当てについては、従来と同様あるいはそれ以上に低利でそしてまた投資に対する枠の拡大も御考慮をいただきたいと思っておりますが、その点については長官いかがでしょうか。
  153. 勝又博明

    勝又政府委員 このたびの沖縄電力民営化に当たりまして、現在沖縄公庫が行っております特別融資につきまして当面継続してほしい旨の沖縄県知事等からの要請が出ていることは十分承知しているわけでございます。沖縄開発庁といたしましては、今後関係機関とも十分協議をしながら、民営化後の沖縄電力への沖縄公庫特別融資制度の維持につきまして努力してまいりたいと考えております。
  154. 和田一仁

    ○和田委員 長官、ありますか。
  155. 浜岡平一

    浜岡政府委員 電力産業は申し上げるまでもなく大変大きな施設産業でございますので、設備資金の調達というのは大変大きな課題でございます。沖縄振興開発金融公庫からの特別融資が今までも大きな存在意義を持っておりましたし、今後とも大きな存在意義を持つと考えております。現在の沖振法の後がどうなりますか、これは今後の課題でございますし、またいろいろな角度からの検討が行われるのであろうというぐあいに思っておりますけれども、私どもといたしましてはこの公庫からの融資というものの存在意義は大変大きいと考えております。
  156. 和田一仁

    ○和田委員 株の売却のことでございますけれども、民営化の方法としてこれが非常に沖縄の人にとっても関心が高いと思います。先ほど申し上げましたようにこの沖縄は、この間も停電があったようでございますけれども、もし電源に何かあったときにでもほかから供給を受けるわけにいかない、それでいて県民の血液と同じものだということを思いますと、民営化されたならば、沖縄電力沖縄県民沖縄の中の資本で、沖縄の力でこれを発展維持させていきたいという思いは強いと思うのですね。  そういう意味を考えますと、株売却に当たって、非常に財テクブームのようなときに、安定株主をきちっとつくるということが非常に大事だと思います。本土の方の資本が財テクのような格好で入ってくるということは、ほかから供給の受けられない沖縄県民にとっては余り好ましいことではないと当然考えると思うのです。したがって、株の放出についてはやはり県民主軸という格好で考えてほしい、これは当然であろうと思うのです。先ほど大臣は、六割とおっしゃったか、五割以上とおっしゃったか、そのくらいのことは当然というお話でございましたが、私も沖縄の人からいろいろお話を聞くと、そういう意味ではなるほどもっともっと沖縄の中で安定株主をつくってもらいたい、こういう思いが強いことはよくわかる気がいたします。  そこで、この電力は今の格好から経営、従業員がそのまま移行していくわけですが、その中で、いわゆる従業員の持ち株会、こういうものが希望された場合には、そういうものこそ安定株主の最たるものだ。自分らが電力事業に働いて、これはもう責任を持って沖縄県民に安定供給をしていくんだという、その人たちが株を持つということが安定株主の最たるものだと私は思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  157. 田村元

    ○田村国務大臣 先ほど五割以上とか六割とかと申しましたのは、そういう御要望がございます、そういうことを伺っておりますということを申し上げたわけでございます。誤解のないように願いたいと思います。  それから、安定株主を持つことは沖縄電力のみならずどんな会社でも必要でございます。おっしゃるとおり持ち株会というものは確かに安定株主の最たるものでございますし、それはまた、労働者といいますか、従業員の財テクにも大いに役立つものでございます。もちろん、民営化された後、民間企業の労使の問題でございますから、私から断定的に申し上げることは御遠慮申し上げますけれども、私個人の意見として申し上げるならば、いろいろな会社がやっておりますこと、非常に結構なことというふうに思います。
  158. 和田一仁

    ○和田委員 この株の出し方については先ほど来、一括であるのか、時価はどれぐらいであればいいのか、大変難しい問題がたくさん論議されたと思います。そういう中でやはりどうしても考えていただかなければいけないのは、もちろん国有財産ですからこれは公平公正に放出していただく。公平公正という中に、今言ったように安定株主をつくるという形で県民主軸ということが考慮されて初めて公平公正な財産の処分の仕方だ、私はこう思うわけでございますが、そういう中で、だからといって従来の経過の中で、特別の人たちをさらに優先するというような配慮は逆におかしいのではないか、こう思うわけでございまして、その点については、先ほど、かつての五配電会社から何とか優先的な株の配分をという要望が出ているという話を聞きまして、そういう要望も出ている、しかしそれに対しては、かつて沖縄電力ができたときの転換社債でそのことはもう決着がついているんだという御答弁があったので、私もそのとおりなら結構だと思いますが、大臣はその点はいかがでしょう。
  159. 植松敏

    植松政府委員 先ほど御答弁いたしたとおりでございますけれども、ただ現在、株式の処分方法等はこれからの検討課題でございますので、その点仮定の議論になって恐縮なんでございますが、あえてその問題についてどういうふうに考えるかとおっしゃられれば、先ほど申し上げましたように、一応決着がついているのではないかというふうに考えております。
  160. 和田一仁

    ○和田委員 それから、先ほど来くどく申し上げますように、県民にとりましてはかけがえのない電力供給会社になるわけでございますから、この会社民営化されて、今よりもっと活性化された会社になるということが望ましいと私は思うのです。そういう意味において、今ある労使関係あるいは企業合理化、そういうものが会社の中に大きな動揺を与えることのないように指導していただきたい、こう思っております。  そして、今までは特殊法人としてなかなかやれなかった関連企業関連会社関連事業、こういうものも今度は活発にやれるようになると私は理解しております。そういう点についても、経営の合理化、効率化、そして収益が上がるというような、なるべく自前でやっていける道を早くつくるという意味においても、通産の指導があってしかるべきだ、こう思っておりますが、大臣、いかがでございますか。
  161. 田村元

    ○田村国務大臣 おっしゃるとおりでございます。民営化というものは、当然民営化によって経営の合理化等が図られましょうし、そしてそれが波及効果を生んでいく、いわゆる付加価値をどんどん生んでいくということになります。JRがそれの典型的な例でございます。でございますから、そういう点で民営化によって一層企業としての活性化が生じてきますように、そして労使関係がうまくいきますように、心からお祈りもしますし、通産省としてはいろいろな面で御協力をしていきたいと思います。
  162. 和田一仁

    ○和田委員 時間が参りました。沖縄はまだまだ若年労働者の失業率が高いと私は聞いております。どうぞこの県内最大の企業になる沖縄電力が、民営化によって新しい雇用の創出につながるような、そういう民営化をぜひ御指導いただきながら、沖縄発展のために御尽力を賜りたい。御要望申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
  163. 稲葉誠一

  164. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 昭和四十六年十一月十日、沖縄振興開発特別措置法委員会に提案をされましたときに、当時の山中国務大臣の提案理由説明は「われわれ日本国民及び政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。」と述べられました。私は、今回の法改正に当たりまして、先月末に沖縄調査に行ってまいりました。そして、平和祈念資料館で二十万余のとうとい人命を奪い去られた残酷な地上戦のありさまを見、また、その後の苦渋に満ちた米軍占領下時代の苦労を聞き、改めてこの提案理由にある言葉の重大性に身が引き締まる思いをいたしてまいりました。  しかも、沖縄では、こうした法律などによる特別の支援策にもかかわらず、今日なお一人当たりの県民所得が全国最下位です。東京と二倍強の差、完全失業率も七・六三ということで、全国の中で最悪の状態です。勤労者一世帯当たりの月額実収入は全国平均の四分の三というように、本土との格差が大変大きいわけですね。こうした状況を見ますと、先ほどの提案理由にあります言葉の持つ重大性を私たち日本国民が改めて深くかみしめ、その立場で沖縄県の本土との格差是正になお一層努力することが強く求められているというふうに思います。  私の持ち時間、大変少ないので、失礼ではございますが、沖縄開発庁長官から一言決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  165. 粕谷茂

    ○粕谷国務大臣 沖縄復帰いたしましてから、もう既に十六年になんなんとしております。この間、御承知のとおり二兆四千億を超える国費の投入をしてきたわけでございます。そのことによって本土と沖縄の格差の是正は、あらゆる面で、徐々にではありましたけれども是正されてまいりました。しかしまた、先生指摘のように生活環境、国民の平均所得と比べて沖縄が非常に低い。それからまた、失業率の問題とかいろいろな点で、まだ沖縄が抱えている悩みがたくさんあります。  そういう点を解消するために、当庁としても、今御指摘のありました山中大臣が提案理由の説明で申し上げました「県民への償いの心」、この精神は依然として生きていると私は思っておりますから、この心を忘れずに全力を挙げて沖縄のために取り組んでいきたい、こう思っております。
  166. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 それでは私、前半の質問に引き続きまして、沖縄駐留米軍住宅、施設への電力供給電気料金の問題でお尋ねをしていきたいと思います。  本土でも沖縄でも、一般家庭のほとんどは従量電灯契約を一軒一軒行いまして電気料を支払っているわけですね。通産省さんからいただきました資料によりますと、沖電の従量電灯単価というのは一キロワットアワー当たり二十四円九十一銭です。同じく業務用電力は二十三円四十七銭、大口電力は十三円八十七銭です。ところが、米軍施設内の住宅は、先ほどの部長さんの答弁にもありましたように、ほとんど米軍施設が業務用電力として一括契約し、供給されてきているということですね。したがいまして、米軍の住宅は一軒一軒がこの基本料金を払っておりませんので、米軍住宅向け業務用の電力の単価というのは、実際には約十七円になるわけですね。  それで、沖電さんも私に約束をされました資料を何だかんだと理由をおっしゃってお出しになりませんし、通産省さんも出されないので、手元にいただいた資料の範囲で試算をしてみたわけです。電気使用量の実績は沖縄電力発行の「統計要覧」をもとにいたしました。昭和六十一年度の実績の数字、電気料金は今紹介をいたしました単価を使って計算をしたわけですが、沖縄県一般家庭一軒当たりの従量電灯使用量は一カ月平均二百五十二キロワットアワー、電気料金は一カ月平均六千三百円ということになります。一方、米軍の住宅は、実際にはもっとたくさん電気を使っていると思いますけれども、沖縄の一般家庭と使用量が同じだということで計算をいたしますと、一カ月一軒当たりの電気料金は四千三百円になるわけです。そうしますと、県民一般家庭の電気料金は、米軍住宅と比べまして一カ月に二千円も高く、一・五倍になっているわけです。  防衛施設庁からお聞きしたところでは、沖縄駐留米軍の住宅は、日本が提供した思いやり移設整備によるものだけで四千二百八十七戸あるわけです。ですから、この戸数だけで米軍住宅では一般家庭に比べて年間一億円強も電気料金が安くなっているのです。そのほか、米軍施設が使います大口電力では、電気料金は全体の使用比率に比べて約半分ということで、年間二十六億円も安くなっているわけです。これは、京都弁ですけれども、物すごい、私はこう表現せざるを得ないわけです。大口優遇の電気料金体系によりまして、米軍に対して年間二十六億円、住宅分を合わせれば二十七億円も恩恵を与えているわけです。  最大の電気使用者であります県民には高い料金を押しつけて、県民全世帯の消費支出に占める光熱水道費の割合が全国で最高だ、全国平均に比べて二三%も高い、こういう状態に現実にありながら、米軍の住宅や米軍施設にはこんなに超低料金で電気供給するということは、産業振興県民生活と福祉の向上を図り、本土との格差是正を目標とする沖振法の立法趣旨、目的に大きく反するものではないかと思うのです。今回の法改正で沖縄電力民営化されますと、県民負担の増大による不公平がさらに拡大されるのではないか、先ほどから不公平はやらない、言責だと大臣も繰り返しおっしゃっていただいているわけですけれども、先ほどいろいろ指摘しました中から考えますと大変不安が残るわけです。そういう点で明快な御答弁をお願いいたします。
  167. 植松敏

    植松政府委員 今御質問の点につきましてお答えする場合、若干前提と申しますか電気料金の設定原則をお話ししなければならないかと思います。  既に御案内かと思いますけれども、電気料金は原価主義でやっております。原価が安ければ電気料金は少なくなりますし、原価が高い場合には高くなる。電灯と大口の電力との差というのは、電灯の場合には、非常に小口でございますと同時に、高電圧から低電圧まで変電所等を通じて順次下げていって、流通コストが非常に高くなる、それから検針ですとか料金の徴収等にコストがかかるので、そのために高くなる。それに対して産業用の方は、大口で高電圧でございますものですから相対的に安くなるという事実がまずございます。  次に、米軍の施設内にあります米軍の住宅の電気は業務用が適用されておるという話でございますが、先ほど申し上げましたように、一構内に幾つかの住宅があります場合に、全体で一つの会計主体が契約の相手になります場合には、供給規程は九電力いずれも同じでございますけれども、一括契約になります。かつ、電灯か業務用かというのは、電灯が全体で五十キロワット以上の契約電力の場合、つまり大口でございますが、あるいは電灯と電力とを併用するような場合に業務用電力が割り当てられます。相対的に個別の家庭よりもコストが安いわけで、そういう意味で安くなるわけでございます。米軍施設における基地内の住宅の多くがこういった一構内に入っておりまして一括契約されており、契約電力が五十キロワット以上の大口になりますから相対的にコストが安くなるというので、そういうのが適用されているのではなかろうかと思います。  規程の解釈につきましても、それぞれ供給規程について、米軍の施設であるから、米国人であるから、あるいは日本人であるからという差別はされておりません。供給規程上は、それぞれコストを反映した契約種別の規程が定められておりまして、規程の運用につきましても、それぞれの実態に合わせて公平に運用されておるわけでございますが、需要の実態が今申し上げましたような実態にあるためにそういった一括契約になっておったりするのではないかと思います。
  168. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 その実態がおかしいということを私は言っているわけで、その実態には全然触れないで、契約のあり方が一括契約だ、一構内にある、それは沖縄電力で聞いてきたわけです。だからおかしいと思って今質問をしているわけです。こういう実態は不公平ですよ、そういう上に立って公平の何のと言ったってどうするのですかという質問をしているのに、そこには答えられなくて、いや公平です、差別しておりません、これでは全然答弁にならないと思うのですね。また、そういう点をはっきりするために資料を出してください、こう言ったことに対してきちんと出していただくこともして同じ論議の線に立ち、しかも私どもは、いただいた資料で精いっぱいやってもこうですよということを示しているのですから、いやもっとこういう資料がある、そういう点で同じように計算すればこうなるという答弁をいただかなければ、全然答弁になっていないというふうに思い、私は大変不満が残る。これで論議をしていると時間がなくなりますので、次の問題に移りたいと思うのです。  一九八一年度から八六年度までの六年間に国から沖縄電力に対して行われた各種の税制軽減措置、利子補給等助成額の総額は幾らかといいますと百五十四億三千百万円です。これに対しまして、沖縄電力が同じ時期に支払いました法人税額は百八十六億三千五百九十三万円であるわけですね。そうしますと、沖縄県民に対して九電力よりも二一・八%も高い料金を押しつけた結果、このように助成額よりも吸い上げた額の方が多くなっているわけですね。そして昨年行われた政府出資株式の二分の一の無償減資もあわせ、県民、国民の負担で民営化への環境づくりがずっと進められてきたわけです。  これは最初にも紹介いたしましたが、「沖縄における電気の安定的かつ適正な供給を確保するため、」「電気事業振興のための特別措置」これを定めた沖振法に反することがやられてきたものと言わざるを得ません。しかも、離島を多く抱え、毎年毎年激しい台風にも襲われるし、地域的、構造的にも大変な不利な状況を持っている。発電設備、資本金資産、どれをとりましても本土九電力に大きく劣る規模がこの沖縄電力です。これらを考えますと、果たして本土並みの電気料金水準は実現できるのか、県民への負担がこれまで以上に高くなるだけではないのか、民営化への不安は尽きないわけでございます。実際、こういう疑問に対して、沖縄電力の幹部の方にも会いました。県の商工労働部長さんにもお会いしてきました。ところが、この点何ら明確なお答えはいただけなかったわけですね。  そこで、大臣、今回の改正は沖振法の提案理由や目的に反して、法律を空洞化させ、格差是正に逆行せざるを得ないのではないかというふうに思うのです。沖縄電力はもともとアメリカ政府のガリオア援助によってつくられたもので、この援助の帰結としてその所有権が沖縄住民に帰属するということはアメリカ政府自身が認めたという歴史的な経緯もあるわけです。また、沖縄の本土復帰に伴いまして現在の特殊法人となったのには県民の闘いがあったという歴史的経過と大きなバックがあるわけですね。したがって、本来政府沖縄県民に無償譲渡しても当然だ、無償譲渡がしかるべきだと思うのです。それを沖縄の一部資本、本土大企業に売り渡して、これらの利潤追求の手段に変える今回の法改正は県民の利益に反するものです。  私は、大臣のお考えを最後にお尋ねするのと同時に、この法案に対して強い反対の態度を表明したいというふうに思います。時間がありませんので、大臣からの御答弁をよろしくお願いします。
  169. 田村元

    ○田村国務大臣 私の答弁漏れがありましたらエネ庁長官から答弁をいたさせますが、基本的に申しまして山中長官のときの提案理由に反しておりません。それに沿っておると私は考えております。  それからもう一つは、電力料金でございますけれども、現在既に本土並みの電力料金ということになっておりますが、これは今後も続けるために助成措置を当分の間続けるつもりでございます。  それから、先ほどおっしゃった税金の方が助成より多いじゃないかというお話でございますが、何か勘違いしていらっしゃるのではないでしょうか。もう一回言うてください。
  170. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 法人税が百八十六億三千五百万円、助成は百五十四億三千百万円。五十六年度から六十一年度までですね。これは、県が我が党の県会議員に答弁を出したものです。
  171. 田村元

    ○田村国務大臣 それは明細をお持ちですか。明細でお聞かせ願えますか。
  172. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 これの内訳ですか。
  173. 田村元

    ○田村国務大臣 ええ。——私から申しましょう。  五十六年度から六十一年度の六年間、おっしゃったとおりにとりましょう。  政府沖縄電力に対して講じました助成額は、税制金融上の助成額で約百三十八億円、電源開発石川石炭火力建設補助が約二百五十三億円、海底ケーブル工事補助金が約二億円、合計して概算三百九十三億円でございます。それから、沖縄電力が支払った法人税の総額は、おっしゃったとおり約百八十六億円でございますから、半分以内じゃないでしょうか。
  174. 藤原ひろ子

    藤原(ひ)委員 今の点につきましては、それじゃ県の報告が間違いであるのか、どういう内訳にしているのか、こちらも明快にいたしまして、時間がありませんので、また後ほどお尋ねをしたいと思いますし、決着をつけたいと思います。
  175. 稲葉誠一

    稲葉委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  176. 稲葉誠一

    稲葉委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  177. 稲葉誠一

    稲葉委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  178. 稲葉誠一

    稲葉委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、宮里松正君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。宮里松正君。
  179. 宮里松正

    宮里委員 ただいま議題となりました沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   沖縄電力株式会社民営化に当たっては、沖縄県における電力の安定的かつ適正な供給を図るため、政府は次の点に配慮すべきである。  一 沖縄産業振興県民生活向上の観点からみて、適正な料金水準が確保できるよう現行の優遇措置について民営化後も当分の間継続するよう努めること。  二 政府保有株の売却に当たっては、同社は沖縄地域だけを対象とし、県経済に重要な役割を果たす公益事業であることに十分配慮すべきである。  右決議する。 以上であります。  附帯決議の趣旨は、案文によって十分御理解いただけることと存じますので、この際、詳しい説明は省略いたします。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  以上であります。
  180. 稲葉誠一

    稲葉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  181. 稲葉誠一

    稲葉委員長 起立多数。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通商産業大臣
  182. 田村元

    ○田村国務大臣 沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果可決いただき、ありがとうございました。  ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、十分その趣旨を尊重して努力する所存でございます。どうもありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  183. 稲葉誠一

    稲葉委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 稲葉誠一

    稲葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  185. 稲葉誠一

    稲葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十九分散会