運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-04-20 第112回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十日(水曜日)     午前九時五十分開議  出席委員    委員長 稲葉 誠一君    理事 高橋 辰夫君 理事 中村正三郎君    理事 町村 信孝君 理事 宮里 松正君    理事 和田 一仁君       北村 直人君    佐藤 静雄君       鈴木 宗男君    武部  勤君       近岡理一郎君    中川 昭一君       野中 広務君    鳩山由紀夫君       五十嵐広三君    小谷 輝二君       藤原 房雄君    林  保夫君       児玉 健次君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官     紀 嘉一郎君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政監察         局長      山本 貞雄君         北方対策本部審         議官      鈴木  榮君         北海道開発庁計         画監理官    大串 国弘君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         資源エネルギー         庁公益事業部長 植松  敏君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     大森 敬治君         防衛庁防衛局調         査第二課長   伊藤 康成君         防衛施設庁総務         部業務課長   金枝 照夫君         沖縄開発庁総務         局総務課長   造酒亶十郎君         沖縄開発庁総務         局企画課長   嘉手川 勇君         法務省入国管理         局入国審査課長 大久保 基君         外務省アジア局         北東アジア課長 田中  均君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         外務省欧亜局西         欧第一課長   小川郷太郎君         外務省欧亜局ソ         ヴィエト連邦課         長       茂田  宏君         文部省初等中等         教育局企画官  大澤 幸夫君         厚生省生活衛生         局企画課長   佐野 利昭君         水産庁海洋漁業         部国際課長   中須 勇雄君         運輸省国際運輸・         観光局外航課長 岩村  敬君         建設省道路局高         速国道課長   玉田 博亮君         特別委員会第一         調査室長    諸岡 昭二君     ───────────── 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   瀬長亀次郎君     児玉 健次君 同日  辞任         補欠選任   児玉 健次君     瀬長亀次郎君     ───────────── 四月十二日  沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第八一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 四月十三日  B―52G型核戦略爆撃機嘉手納基地飛来反対に関する陳情書(第四三号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第八一号)  沖縄及び北方問題に関する件      ────◇─────
  2. 稲葉誠一

    稲葉委員長 これより会議を開きます。  内閣提出沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、趣旨説明を聴取いたします。田村通商産業大臣。     ─────────────  沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 田村元

    田村国務大臣 沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  沖縄電力株式会社民営化することは、沖縄復帰以来の課題であり、地元沖縄県民も、県経済中核企業である同社民間会社として創意にあふれた弾力的な経営を行うことを通じ、地域経済活性化するとの観点から、同社民営化を強く要望してきております。  加えて、同社民営化は、行政改革大綱等において、累次にわたりうたわれてきた課題でもありました。しかしながら、これまでは同社経営基盤が脆弱であり、民営形態への移行を行うことは困難でありました。  最近に至り、累積赤字の解消、石油火力依存型の電源構成の改善、内部留保充実等沖縄電力株式会社民営移行するための諸条件が整ってきております。また、地元も早急な民営移行を強く望んでおります。  このため、本法律案を急ぎ取りまとめたものであります。  次に、この法律案要旨を御説明いたします。  第一は、現在沖縄振興開発特別措置法の中に規定されております事業計画定款変更等に関する通産大臣認可等沖縄電力株式会社に関する監督のための規定を削除することであります。  なお、沖縄における電気の安定的かつ適正な供給の確保に特に寄与する設備に対して国及び地方公共団体資金確保等に努めることなど、沖縄電気事業全般への助成について定めた規定は、現在のまま残すこととしております。  第二は、民営企業としての沖縄電力株式会社資金調達を円滑に行えるようにするため、沖縄振興開発金融公庫一般電気事業会社に対する貸付金について一般担保制度を設けることであります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 稲葉誠一

    稲葉委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ────◇─────
  5. 稲葉誠一

    稲葉委員長 次に、沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。
  6. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 高鳥長官におかれましては、三月二十六、二十七日、大変お忙しい中を直接北方領土を視察していただきました。大臣、あの納沙布岬に立たれ、さらに現地で旧島民なり関係者から領土返還の生の強い声をお聞きになりまして、領土返還に取り組む担当大臣としてどんな所感を持ち、また、決意を持ったか、お伺いをしたいと思います。
  7. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま鈴木委員からお話がございましたように、私も過日、院のお許しを得まして北方領土視察に参りました。  当日は、折から大変快晴に恵まれまして、納沙布岬から国後の山々まではるかに望見することができました。そしてまた、歯舞諸島、まことにもうすぐ眼前にあるわけでありますが、その間に不当な境界線が引かれておるということにつきましては、まことに我が父祖伝来の地がソ連に不法に、不当に占拠されておるということに対しまして、言いようのない悲しみと悔しさを感じた次第であります。  粘り強い返還交渉を通じまして、一日も早く我が国の固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉が我が国施政権下に戻りますように頑張らなければいけないと改めて痛感した次第でありますし、また、周辺地域振興のためにもぜひこの諸島が返ってこなければならない、このように痛感させられた次第であります。
  8. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、その際に、地元から総理大臣のいわゆる現地視察をぜひとも実現してもらいたいという陳情があった、そして、大臣は速やかに竹下総理お話をされたというふうに聞いておりますけれども、そのときの総理の感触といいますか現地視察が実現できるのかどうか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  9. 高鳥修

    高鳥国務大臣 総理もいずれはソ連首脳と会談する機会も必ずあるだろう、その際に、やはりぜひ現地を見た上で、また、現地の皆さんの声を聞いた上で、ソ連首脳に対して地元民の強い要望を体してひとつ交渉に当たってもらいたい、そのためにはぜひ一日も早く現地を視察してほしいという御要請がございまして、このことを総理にお伝えすることを私はお約束してきたところでございます。  総理も、北方領土問題については確固たる決意で臨むことをしばしば表明されておりまして、私が現地視察要請を申し上げましたところ、地元皆様方のお気持ちについては十分理解しておりますということでございました。なお、具体的な日程等につきましては、国事多端の折でありますので、いまだまとまっておる状況にはございませんが、今後とも私からも折を見てお話をしたいと思います。また、現地皆様方からもぜひ総理に御要請いただきたい、このように考えております。
  10. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 総理現地視察の件につきましては、四月十六、十七日、宇野外務大臣北方領土に立っていただきました。その際も外務大臣にもよく陳情してあるものですから、どうか横の連携もとりながら、何とか総理現地視察が一日も早からんことを今一度お願いしておくところであります。大臣、どうぞ、お時間ですから。  大臣のいない間に、北方領土隣接地域活性化について、細かい件で恐縮でありますけれども、個々の案件についてお尋ねをしたいと思います。  先般、宇野外務大臣に同行しまして私も北方領土を視察したわけでありますけれども、その際、地元商工会議所あるいは経済界から強く言われましたことは、道路網の整備をしてくれということでありました。その道路網も、特に国土幹線自動車道釧路—根室間を早く基本計画に組み入れていただきたいという要請を受けたわけでありますけれども、ことしは国幹審が開かれるというふうに聞いておりますけれども、この釧路—根室間について建設省は今どんな計画であるのか、お尋ねしたいと思います。
  11. 玉田博亮

    玉田説明員 お答え申し上げます。  道路行政に関しまして先生日ごろから大変御援助いただいておりまして、心から御礼申し上げる次第でございます。  ただいま御指摘のございましたとおり、北海道横断自動車道根室線釧路—根室間でございますが、昨六十二年九月施行の国土開発幹線自動車道建設法の一部改正を行いまして、その予定路線として新たに組み入れた延長が約百三十キロメートルの路線でございます。国幹審開催についてでございますが、ただいま諸準備をしているところでございます。次期国幹審開催につきましては、これら一連の作業を経た上で、時期はまだ未定でございますが、昭和六十三年度中に開催したいというふうに考えておる次第でございます。  さて、根室—釧路間でございますが、この間は昨年国幹道法で新たに予定路線に組み入れたばかりという状況でございまして、基本計画を策定するためにはまずかなり詳細な調査が必要なのでございます。したがいまして、昭和六十三年度から高規格幹線道路調査に私どもとしては着手をしたいというふうに考えておる次第でございます。先生指摘趣旨も踏まえまして、調査推進に当面全力を挙げてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  12. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 これは課長さん、調査というのは大体何年ぐらいかかるのですか。
  13. 玉田博亮

    玉田説明員 これまでの基本計画までに至る調査の期間はかなり長うございます。五年ぐらいかかっているものもあります。しかしながら、新たに国幹道に昨年指定したものにつきましては、調査は早急に進めてまいりたい。現在明確に御答弁申し上げる段階ではございませんが、少なくとも数年で完了いたしたい、そういう意気込みでやりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  14. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 課長さん、ことし、昭和六十三年度中に国幹審が開かれる、これは一つ既定路線ですね。しからば、ことしの国幹審にはこれは間に合わない、あくまでも調査推進だという今の答弁だと思うのですけれども、しからば、次期国幹審、今年度中のも開かれていませんから予見はできないかと思いますけれども、大体今までの例ですと四年サイクルで行われてきたと思うのですが、それが次の国幹審も早められるというようなことにはならないのでしょうか。
  15. 玉田博亮

    玉田説明員 御指摘のとおり、これまで約三、四年の間隔国幹審開催してまいりました。六十三年度中に開催いたしまして、その次をどうするかということでございますが、これにつきましては従前よりも少し間隔を詰めて開催しなければならないであろうというのがただいま建設省が考えているスケジュールでございます。したがいまして、次の国幹審、今年度中、その後昭和何年度ということはまだ申し上げにくいわけでございますが、次の次の国幹審もにらみまして調査について全体の計画を立てて推進をしてまいる。それで、次の次につきましてはできるだけ早く開催をいたしたいという考えでございます。
  16. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 極めて前向きな答弁をいただいてありがたいのでありますけれども課長さん、ことしの国幹審には間に合わない、しかし次の国幹審には十分間に合う。十分間に合うということは基本計画には組み入れられる見通しだと私は解釈しているわけでありますけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。
  17. 玉田博亮

    玉田説明員 この路線重要性にかんがみまして、私どもといたしましてはそのような姿勢で努力をさせてまいりたいというふうに思っております。
  18. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 ありがとうございます。なお、調査推進方を重ねて要望しておくものであります。  次に、北海道開発庁にお尋ねしますけれども、私は昭和六十一年四月二十三日、本委員会質問しました開発道の件があります。東梅—本別海間の道路調査でありますけれども、この点はいかがになっておりますでしょうか。
  19. 大串国弘

    大串政府委員 六十一年の四月の当委員会で、鈴木委員指摘東梅別海線につきまして、内容につきましては我々も承知しておりまして、その後の経過先生に報告がしていないこと、おわびいたします。  これにつきましては北海道庁並び根室市でそれぞれ調査をしております。特に東梅—別海間の地形が非常に複雑なところということで、道庁につきましては、漂砂とか流氷の調査とかそういう調査を長年やっておりまして、ようやく六十二年度でそういう基礎調査を終えたところでございます。それで、基礎調査を終えまして、これからその基礎調査をもとに道路ルートをどうするか、道路構造をどうするかという検討を早急に始めなくてはいかぬだろうということで指導してまいりたいと思っております。  この際、この地域につきましては道立自然公園ということもございますし、それから春国岱といいますか、春国岱のところに春国岱野鳥公園という事業が六十二年度から根室市によって行われております。そういう野鳥公園との調整も図っていかなければいかぬということで、これが至急の課題かと思っております。  この調査につきましては、地元市長さんもきのう参られましたけれども、精力的に調整を図るということで、道庁もそれに手をかすということになっているようでございます。この調整を図るためにも、道路ルートをどうするか、構造をどうするかということを早く詰めなければいかぬということで、その辺も道庁の方に指導をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  20. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 これは計画監理官道路ルートをどうするかなんというのは、もうルートはあの海岸線しかないわけですよ。これははっきりしていますね。地形上からいっても海岸線しかないわけですから、これははっきりしているのですね。たまたまそこに野鳥公園が今やっておられる、推進しているということで、その調整といいますけれども、これは話の整合性としておかしいのは、根室市なんかは以前からこの道路をやってくれということを強く言ってきているのですよ。この野鳥公園根室市がやっているわけです、事業主体は。ですから、そこらの調整というのはついているのじゃないですか。もしついていないでやっているとすれば、これはおかしな話じゃないですか。どうです。
  21. 大串国弘

    大串政府委員 先生御存じのとおり、これは六十一年ですか、市長さん、おかわりになっていますね。野鳥公園につきましてはずっと前から構想がございまして、どうしても野鳥公園をつくるという市民の強い意思もあってできたんじゃないかと思います。それでその際、我々が望むところとすれば、その野鳥公園をつくるときに、道路をつくるとすればこの辺がいいだろうと、そういう道路敷を除地して公園計画を定めればよかったのですが、たまたまそういう手続がなされてなかったということなんですね。  そうすると、野鳥公園の区域内に新たに道路を通すということはなかなか難しい。そうなると海岸寄りルートを決めなければいかぬのじゃないか。海岸寄りルートを決めた場合は護岸もやらなければいかぬ。相当金もかかりますし、工法上も難しい。それならばルートとして風蓮湖の西側というのですか、西側ルートも一応比較してみる必要があるのじゃないか、こういうことも考えているようでございます。そういう事情でございますから御理解いただきたいと思います。
  22. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 僕がなぜこの東梅—本別海間の開発道路を強く要請しているかというと、北方領土返還運動、これはまだまだ時間もかかる。粘り強くやらなくてはいけないと思っているのですね。そしてその環境の中に置かれている根室市というのはやはり大変なんですよ。さすれば、羅臼なんかは魚の宝庫です。その魚を根室加工場に運ぶならば、相当地域活性化になるわけですよ。この道路をつくることによって一時間ぐらい違ってくるのですね。そうしたら、おのずから魚は新鮮だとか、付加価値も高まるだろうし、羅臼がよくなれば根室もよくなるわけですよ。  さらに六十五年から中標津空港がジェット化されます。やはり流動人口を引っ張る、これまた北海道経済活性化一つなんですね。観光産業も、これは大事な目玉事業なんですよ。そのためにもやはり交通アクセス、とりわけこの道路は必要なわけですよ。だから私は六十一年の四月の本委員会でも強くお願いをしているわけなんです。この点、開発庁がイニシアチブをとりながら道、市、そして環境団体にも働きかけて、速やかにその調整を図ってもらいたいと思いますけれども、いかがですか。
  23. 大串国弘

    大串政府委員 六十一年の四月の委員会のときにも鈴木委員からそのような指摘を受けておりまして、我々も先生趣旨に全く賛成でございまして、そういうことで今後積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  24. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 次に、厚生省にお尋ねしますけれども、やはり地元では検疫出張所設置が強く出ているわけですね。入港対象船百隻とか基準がありますから、その基準の絡みもあって一口に出張所を持ってくるといってもなかなか大変だと思うのでありますけれども、この問題も単に基準だとか公務員の定員削減だとかその問題で見られたら身もふたもない話なんですよ。北方領土隣接地域だという特殊事情があるんだ、だから少し配慮してやろうという気がないと、この検疫所設置なんかも到底実現のできることではないわけなんですけれども、この問題について厚生省はどう考えておりますか。
  25. 佐野利昭

    佐野説明員 お答えいたします。  検疫所の問題につきましてはかねてから御要望をいろいろといただいておりまして、大変御不便をおかけいたしておりまして申しわけなく思っておるところでございます。根室検疫所出張所設置しようというお話は十年ほど前からお聞きいたしておるわけでございますけれども、御承知のように定員事情が大変厳しい中で新たな出張所設置するということは大変なことでございまして、どうしても新たに船隻が非常にふえるとか輸入実績がふえるとかあるいは入港実績がふえるというような事情がないとなかなか難しい実態にございます。そういうような実態を踏まえまして、これからの動向を見させていただいてから検討させていただきたい。  また、今検疫所につきまして全体的な見直しをやっております。その見直し過程実績の非常に落ちているところなどは統廃合していかなければならないだろう。そういうような振りかえの問題等も今後あろうかと思いますが、そういうことを含めましてまた検討させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  26. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 この点も特にお願いしたいのは、去年根室港の貿易港を花咲港に振りかえたのですね。これだって基準外の極めて地域を思っての行政サイド配慮なんです。そういうことを現実にやってきておるわけですから、この根室検疫所設置も何とか前向きで取り組んでもらいたいと思いますけれども、いかがですか。
  27. 佐野利昭

    佐野説明員 お言葉を返すようでございますけれども貿易港指定が振りかえられたことは実は検疫港の指定にはちょっとマイナス要素になるわけでございます。そういう観点もございまして、実態といたしましてはなかなか難しい点がございますが、これからの検疫港のあり方を目下検討中でございますので、その過程検討させていただきたいと思います。
  28. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 課長さん、輸入実績だとか入港の隻数がふえないと検討できないといって、何で開港が逆行する話なの。船が入ってこないとできない話ではないの。
  29. 佐野利昭

    佐野説明員 私間違えました。花咲港から根室港にかえたわけでございますね。私、御質問を逆にとりましたものですから、大変失礼いたしました。
  30. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 あなたの間違いはいいけれども、前向きで取り組んでくれるかどうかということを僕は聞いているのだから、それだけ明確に、根室というところは特殊事情なんだから、そのために貿易港なんかも振りかえたという配慮もあるわけだから、厚生省だってやってやれないことはないわけですよ。それを聞いているのです。
  31. 佐野利昭

    佐野説明員 御質問趣旨は十分理解いたしておりまして、努力はいたしたいと思いますが、まず先立つものといたしまして定員関係がございます。実態といたしましても毎年五名の定員削減を食っているというような状況でございますので、そういう点を踏まえまして十分検討させていただきたいと思います。
  32. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 これも時間がかかると思いますけれども、我々も協力しますから厚生省の方も十分頭に入れておいていただきたい、こう思っております。  あと水産庁にお尋ねします。四月二十五日から日ソサケ・マス交渉が再開されるわけですけれども、その見通しと、とにかく国益国益というのは関係漁民生活を守るという観点に立って交渉してもらいたいと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  33. 中須勇雄

    中須説明員 ただいま先生からお話ございましたとおり、本年のサケマス我が国の漁船の操業条件について協議をする日ソ漁業合同委員会第四回会議は二月二十九日から東京で開催していたわけでございますが、三月十四日で一時中断ということになっておりました。おかげさまでただいま御指摘のとおり来週月曜からモスクワにおいて再開をするという運びになったわけでございます。  前回の中断に至るまでの経過を見ましても、ソ連から大変厳しい内容要求も出ております。しかしながら、我が国漁業の権益を守る、漁業者が安定して操業できるということのために、大変限られた時間ではございますが、できる限り早期に漁業者にも何とか満足のいく解決を見出すように最大限努力をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  34. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 何といってもサケマス、特に北洋漁業なんというのはあの根室地域の人あるいは北海道の人が切り開いた漁場なんです。ですから何としても、ソ連要求は僕はいつも理不尽だと思っているのですけれども、とにかく腹を据えて交渉に当たっていただきたい、これは再度お願いしておきます。  日ソサケ・マス交渉にリンクしていつも出る話ですけれども我が国二百海里内での以西船の出漁問題があります。これは日本国内の措置なわけですから、例えばサケマス交渉は延びようとも以西船だけは速やかに出してもらいたいと思うのですけれども、どうですか。
  35. 中須勇雄

    中須説明員 言うまでもなく、交渉事でございますので出漁前に合意を見出すべく最大限の努力をすることがまず第一だろうというふうに考えておりますが、同時に、ただいま先生指摘のとおり、いわゆる以西船につきましてはその操業水域が専ら我が国の二百海里水域内であるという事情がございます。我が国としては、もちろんソ連側とも必要な協力はいたしますが、日本として独自の判断で出漁できる、こういう性格の漁業だろうという立場に立っておりますので、そういう考え方に沿って対処してまいりたいと思っております。
  36. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 課長さん、じゃ以西船については日本独自の判断をさせてもらうという今の水産庁の答えだけれども、そのとおり受け取っていいですね。
  37. 中須勇雄

    中須説明員 我が国の判断で出漁させる、こういう基本方針で臨みたいと思っております。
  38. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 その強い意思でよろしくお願いします。  大臣がお帰りになったものですから、北方領土隣接地域振興等基金についてお尋ねします。  大臣御案内のとおり、この制度は五十八年から五年間で百億という話でありました。ところが、残念ながら五年で目標の約半分しか造成できなかったわけです。それで昨年また議員立法によって五年間を延長したわけでありますけれども、私はこの措置を見たとき、これは私自身の反省といいますか、非力なのかとも考えながらしみじみ思うことは、政治がなかったと思うのです。ことしの予算でも五十六兆七千億ですか、その中でたった十億とか十五億のお金が積めないなんというのは私は政治がなかったと思うのです。  特に、北方領土の日だとか領土返還なくして真の戦後は終わらないとか、非常に高邁ないいことを言っておきながら、わずか十億のお金を積めない、二十億のお金を積めないというのでは、私は政治家がいなかったし政治がなかったことになると思うのです。もう六十三年度の予算も終わってしまいましたから今までのことは言いませんけれども大臣、六十四年の概算は既に始まっていますから、六十四年の概算要求でも私は残りの三十七億五千万を速やかに要求してもらいたいと思いますけれども、その点の決意をお聞きしたいと思います。
  39. 高鳥修

    高鳥国務大臣 北方基金につきましては関係の地元議員の皆様方から大変強い御要望をいただいて、総務庁としてもしりをたたかれながら取り組んでいるところでございます。委員、何か政治がなかったとかみずからの非力をとか言われましたが、大変力強く御推進になってこられたというふうに私は感じております。  金額にすれば十億とおっしゃいますが、実は今の予算の要求の仕組みが、シーリングというものを頭にかぶせられておりまして、片っ方をふやせば片っ方が減らされるというシステムの中でやっておるものでございますから、特別の枠で上積みをというのは話としてはあるわけでありますが、現実問題としては総務庁の総枠の中で抑え込まれてしまう、それが今の厳しい国家財政の現実だと思うわけであります。  しかしながら、この基金に対する非常に強い御要望を私どもも十分承知をしているところでございますので、来年度のことにつきまして残りを全部一遍に積めとおっしゃることは、御熱意はよくわかりますが、非常に至難なわざとは思いますけれども、今年の予算編成時における経緯等を踏まえまして、総務庁といたしましては最善の努力をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  40. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 予算のシーリングはわかります、大臣。シーリングというのは各省庁にかかるのであって、その中での割り振りはその省庁でできるわけです。ですから、総務庁の中でほかの局に、あるいはほかの部にどこかしわ寄せがいくかもしれないけれども、要はやろうと思えばできる仕組みになっているのです。予算というのはそういう仕組みです。だから僕は、もしシーリングという枠があるならば、網があるならば、総務庁の中だけでもこの北方基金だけは配慮しようという姿勢があってもしかるべきだと思うのでありますけれども、それをまた一律補助金は一割カットなんだという姿勢で取り組むというのでは、我々政治家は財政も大変だとか、いや経済情勢はこうだとかいうことはわかりますけれども、一般の地元民、この隣接地域の皆さん方は、何だ、何をやっているのだという声しか我々には返ってこないのです。ですから特にこの基金については特段の配慮を願いたいということを私はいま一度要請するものであります。  今大臣が、今までの経過を考えながら総務庁としては判断をしていきたいと言いますけれども、それは六十四年度の概算要求では、今までと違って上乗せ方向で検討していくというふうにとってよろしいのですか。
  41. 高鳥修

    高鳥国務大臣 委員の御熱意はよくわかるのですが、総務庁が抱えております仕事はいずれも極めて重要な仕事ばかりでございますので、あそこを二十億、三十億削ってここへみんな持ってこいという話は、とても私としてはさよういたしますという御返事はいたしかねるところでございますが、先ほど御答弁申し上げておりますように、今年の予算編成の経緯を十分踏まえまして対処をしてまいりたい、このように考えております。
  42. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 大臣、くれぐれもこの基金はわずか百億の話なのですから、総務庁がどの仕事も大事だというならば私は国家的な課題で順番をつけてもらいたいと思う、何が一番大事かという。僕は大臣の言葉の揚げ足をとるつもりはないけれども北方領土の日を設定しておきながら、歴史的課題だ、国家的課題だという課題がほかの項目で何があるか逆にお尋ねをしたいくらいであります。時間がありませんからこれ以上は言いませんけれども、とにかく私は北方領土の返還なくして日本の戦後は終わらない、この観点に立ってこの基金の造成についてはより一層の御努力をお願いしたいと思います。  大臣、戦後四十三年を数えまして、私は今この領土返還運動も一つの転機というか節目にかかっているな、そんな気もいたします。今の日本の世代構成を見ますと、明治生まれが四・二%、大正生まれが一〇・八%、残り八五%が昭和生まれであります。しかも八五%のうち既に六〇%は戦後生まれであります。戦争を知らない世代であります。私も昭和二十三年でありますから、もちろん戦争を知らない戦後の教育を受けてまいりました。この領土返還運動を私は私なりにやりながら今一番心配しておるのは、この領土返還運動を風化させてはいけない、これが一番の私の心配事であります。風化をさせないために、私はより一層の世論喚起、あるいは国際社会における日本の立場の主張、さらには啓発運動等々をやっていただきたいと思うのでありますけれども、何かこの新しい啓発運動等、総務庁の方では考えておるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  43. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 先生指摘のとおり、日本の人口の半数以上が戦後生まれという状態になっておりまして、この北方領土返還要求運動を継続的に発展させるためには、これらの若い世代に引き継いでいくことが重要だと思います。  総務庁はこういうことで、青少年対象の啓発活動ということに近年力を入れているところでございますが、昭和六十三年度におきましては、北方領土全国青年フォーラムの予算要求をいたしまして、これが予算化されたわけでございます。これは都道府県における青少年の代表を現地根室市に集めまして、北方領土問題の重要性につきまして理解と認識を深めさせ、各地域における返還要求運動の中核となる人材を育成しよう、こういうねらいで始めたものでございます。  このフォーラムの参加者でございますが、これは都道府県議会から推薦された青年と地元の青年とを合わせまして約二百名程度を予定しておりまして、根室市におきまして北方領土問題についての討論会あるいは交流集会、こういうことを行うとともに、自分の目で北方領土を見てもらうということを計画しております。実施時期は八月下旬、それから予算額は約二千二百万円を予定しているところでございます。
  44. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 この青年フォーラムも新しい一つの返還運動の目玉事業だと思いますので、ことしはスタートでありますけれども、この推進をこれからもどしどしやっていっていただきたい、こう思っております。  時間がありませんから、きょう文部省さんには北方領土返還運動の教育関係はどうやっておるか、ちょっとだけお聞きしたいと思うのです。  私は、戦後生まれが多くなり主流を占めているという中にあって、教育の中で北方領土の返還運動をしっかりと植えつけていかなくてはいけないと思うのです。しからば、具体的に文部省では義務教育の中で領土問題にどういった形で取り組んでいるか、そういったものを教えていただきたいと思います。
  45. 大澤幸夫

    ○大澤説明員 御説明を申し上げます。  北方領土に関しましては、文部省といたしましてはこれが我が国の固有の領土であるという基本的な立場に立ちまして、小中学校のいわゆる社会科におきまして、我が国領土を正しく理解をさせるという観点からこれまで指導を行ってきておるところでございます。  具体的に申し上げますと、まず小学校でございますけれども、小学校の社会科の第五学年で国土の所在する位置を取り上げておるわけでございますが、我が国領土を正しく理解をさせるという意味合いから、その際に北方領土の問題についての関心を特に深めるように配慮をいたしておるところでございます。  また、中学校段階におきましては、特に社会科の地理の分野で国土の位置や領域の特色なり変化などを取り上げて、国土の成り立ちについての理解をさせることといたしておりますが、その際に我が国におきます未解決の領土問題でございます北方領土問題を含めまして、我が国が正当にその返還等の主張をしておるという立場に基づきまして、適切に子供たちに理解をさせるということで配慮いたしておるところでございます。
  46. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 最後の質問にしますけれども、とにかく文部省としても教育で青少年に北方領土は固有の領土だ、絶対返させるのだという、僕は徹底した指導をやっていただきたい、これからもお願いします。  大臣、子供の教育はもとよりでありますけれども、子供に教える先生に逆に北方領土の視察をさせるとか、そういうふうに年間何百人か連れていくというようなことも必要だと思うのです。これは大臣の所管外ですけれども、できましたら長官から文部大臣の方にも一つのお願いといいますか要請をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  47. 高鳥修

    高鳥国務大臣 文部省の初任者研修制度の中でおやりになったことがあるというふうに聞いておりますが、私の方からもまた文部大臣の方にもそのように申し上げておきたいと思います。
  48. 鈴木宗男

    鈴木(宗)委員 これは昨年実は船を使いまして一度行っているのですけれども、これをきちっと定着させてほしい。しかも、その数は百人とか二百人の単位じゃなく相当大がかりな数を送っていただきたい、こう思っているのであります。こういった問題も含めて、どうか大臣、この北方領土返還運動により一層の御尽力を賜りますようにお願いをしまして質問を終わります。
  49. 稲葉誠一

    稲葉委員長 中川昭一君。
  50. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 私も引き続きまして北方隣接地域振興、あるいはまた北方領土返還運動につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  こういう特別委員会設置し、また特別法に基づいていろいろな振興制度をやらなければいけない北方領土隣接地域、しかし、その現状はどうかということを考えますと、隣接地域だからということ、また北海道という極めて気候的にも厳しい、また凍結する地域ということで大変現状は厳しいわけでございますが、そういう中で私が最近聞いた資料で一番びっくりしたのは、北海道の各地で若い人たちにアンケートをとりまして、若い人たちがこの地域に引き続き住みたいかというアンケートをとりましたところが、札幌は九〇%の人が住みたい、引き続き自分のふるさとに住みたい。根室になりますと一〇%の人しかこの地域に引き続き住みたいという希望を出していないわけであります。これはいろいろな状況の中で、単に北海道だからということじゃないことは、この札幌の例を見てもわかるわけでありまして、なぜそうなのかということは、やはり先ほど申し上げましたような厳しい状況だと思います。そういう中でのいろいろな諸制度、そして御担当の大臣として先日視察されましたけれども、改めてその御感想というのをお聞きしたいと思います。
  51. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま中川委員からお話しございましたように、私、過日院のお許しを得まして北方領土視察をさせていただきました。かつまた、周辺地域の抱えております問題につきましても詳細に地元関係者から御説明を拝聴してまいったところでございます。  北方領土につきましては、当日折から大変快晴でございまして、国後の山々まで納沙布岬の先端からはるかに望むことができました。かつまた、ちょうど私が参りましたときには、いわゆる境界線として引かれておる付近に我が国の巡視船がおりましたが、やがてソ連の方の監視船が、私が行ったことを聞きつけたかどうかはわかりませんけれども、向こうから出てまいりまして、あの線を一歩でも向こうに出れば我が国の漁船が拿捕されて抑留されるのだ、二年も三年も引っ張られるというような状況にあるというようなことにつきましていろいろと御説明を承りました。我が先祖伝来の地が不法、不当に占拠されておるということにつきまして、言いようのない悲しみと憤りすらも感じてまいったところでございます。かつまた、根室の地というものは、あの諸島というものが我が国領土として本当に機能しているならば、恐らくあの地域の中心的な存在である、そういうことになればもっともっと豊富な水産天然資源等を活用しての地域の中心としての活性化が図られるのではないだろうか。  今委員地域の若者の一〇%しかこの地域に住みたいという意欲を持っていないということを言われましたが、それは恐らくあの歯舞、色丹、国後、択捉が一緒にその地域として機能することができるようになっておればもっともっと根室市そのもの、あるいは周辺地域活性化していくであろうと思われるわけでありまして、そういう意味合いにおきましても、北方領土が占拠されておることの地域における痛手というものは非常に大きいのではないか、このようなことも感じさせていただいた次第であります。  私といたしましては、そうした厳しい現実を承知しつつ北方領土返還に向けて粘り強く対ソ交渉を展開していただくとともに、国内世論の啓発に努めて、我が国固有の領土であるという、それが不法に占拠されているということについての国民世論の十分な認識と高まりを実現していきたい、このように考えているところでございます。
  52. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 そこで、いろいろと御質問したいのですけれども、実はきょうこの問題に非常に関係の深い外務省が外務委員会ということで大臣初めここに来ていただいてないわけであります。大臣ひとつ私の質問の中で納得される部分があれば閣議等でぜひとも外務大臣に御要望をしていただきたいというふうにお願いをするわけでございますが、そういう前提で質問を続けさせていただきます。  なぜこの地域に対しての住みたいけれども厳しいという状況があるかというと、やはり領土問題で仕事がうまくいかない、それぞれ生活している人が仕事がうまくいかないということがいろいろあるんだと思います。その中で、今回この質問をするに当たって地元の大勢の人たちに聞きますと、まず漁業関係の人たちは、自分たちの目の前の海である北方四島周辺水域で魚がとれない。特に六十一年の日ソ交渉の結果、三角水域等含めまして北方四島の水域での漁業ができなくなった。これはどこかほかのところに行っておるのがとれなくなったのであればまだ違うのでしょうけれども、実際自分がとっていた、あるいはまたその地域全体が戦前は固有の領土で自分のお父さんやおじいさんが実際に自分の海として、庭としてとっていたところでとれないということの感情的な悲しみというのは非常に大きいのだと思います。  地元の人たちが北方四島に囲まれた日本の二百海里内と思っておる地域に対して、どうしても漁業を続けたい、再開をしてほしいという要望が私は今回の質問の中で一番強い地元要望というふうに感じておるわけでありますが、それについて水産庁としてはどのようにこの二百海里水域内の漁業の再開という問題についてお考えになっているでしょうか。
  53. 中須勇雄

    中須説明員 ただいま先生指摘のとおり、一九八六年の日ソの漁業交渉におきまして、いわゆる三角水域と言われている水域について禁漁にするという決定がなされたわけでございます。しかし、このいわゆる三角水域が根室地域漁業者にとって極めて重要な漁場だということは論をまたないところでございまして、この三角水域での操業の再開のために今後日ソ漁業委員会の場等においてどういうふうに対処をしていくか。もちろんこれは関係の皆様方といろいろ御相談をしながらこれから検討して決めていかなければならないわけでありますが、少なくとも水産庁といたしましては、この水域の重要性を十二分に踏まえまして最大限の努力をしていく、こういう基本的な姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
  54. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 二百海里交渉ですから例年年末にやるわけでありますけれども、ことしの二百海里交渉において三角水域等の北方漁業の再開というものを日本側からソ連側に強く申し込む、これはぜひともやっていただきたいのです。地元の皆さんからもこれから強い要望が行くと思いますが、その辺ぜひとも御配慮していただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。
  55. 中須勇雄

    中須説明員 ただいまの御質問の御趣旨を踏まえまして、関係の漁業者とも十分相談しながらそういう方向で私どもとしては対処してまいりたいと考えております。
  56. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 ぜひともお願いいたします。  それでは、北方墓参の問題につきましてお伺いをしたいと思います。  北方墓参、これはもう関係者の皆さんから見れば当たり前のことでありまして、自分の先祖が眠るお墓、しかも日本の固有の領土だ、日本政府、日本国民が一致して事実として認めておるお墓に行けないということで、例年政府も大変御苦労をされておるわけであります。六十一年五月の安倍外務大臣の訪ソ、私もお供をしましたけれども、十年ぶりで再開をしたわけでありますが、それ以来二年間続きまして、ことしもこれは当然やらなければいけない。  やるに当たっては、今まで続いております歯舞、色丹は当然のこと、固有の四島全般に関係者のお墓があるということでありますから、これはぜひとも、再開前でも国後島でも墓参が行われておりまして、択捉については一度もやられたことがないわけでありますけれども、我々としてはそこを区別することを認める理由は何らないわけでありますので、ことしも当然のこととして北方四島全域についての墓参というものを、御要望の皆さん全員の御希望をかなえられる形でぜひとも実現をしていただきたいというふうに思います。御答弁をお願いします。
  57. 高鳥修

    高鳥国務大臣 委員ただいまお話しくださいましたように、北方領土墓参は昭和六十一年に交換された墓参に関する口上書に基づきまして、毎年度訪問の場所、日程等ソ連と協議して決定することになっておるところでありますが、昨年並びに一昨年は歯舞群島の水晶島及び色丹島の二島への墓参しか認められていない、そういう結果になっておるところでございます。先般現地に参りました際にも、北方領土全島への墓参をぜひ実現してほしいという強い御希望がございました。総務庁といたしましては、直接交渉いただくのは外務省でございますので、外務省の方に地元の御要望を体しまして文書をもって御連絡、申し入れをいたしておるところであります。  また、先般宇野外務大臣現地に参りまして、現地の御要望をつぶさに承り、閣議にその模様を含めまして方針を明らかにしておられるところでありますが、外務省としても全島に対する墓参が実現できるよう最大限の努力をするということで取り組んでいただいておるところと承知をしております。択捉島、国後島につきましては、過去四回墓参をした実績がございますので、ぜひひとつ認めていただくように要請をしてまいりたい、このように思っております。
  58. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 国内で残念ながら二島返還論とかなんとかという、つい最近もある野党の党首がそれを語ったということが北海道新聞に大々的に報じられておるわけでありますけれども、これはもう政府としても我々としても当然の前提でありますが、四島が日本の固有の領土でありますので、四島差別せずに、これはもう何か五十二カ所お墓があるようですけれども、今まで十一カ所ぐらいしか認められてないということですから、五分の一しか認められていない。これは、行けない人は非常に高齢化しておりますし、死ぬ前に一度でいいから先祖のお墓に行きたいというのは——これを認めているのは、ソ連の言い分としては人道上の立場から認めてやっているのだ、この言い分も極めて不遜だとは思いますけれども、あくまでも基本は人道上の問題、そして日本の固有の領土だということでありますので、ことしもぜひとも墓参を全員の要望にこたえられるような形で実現をしていただきたいというふうに思います。  それから、先ほども質問がありましたが、総理の北方視察あるいはまたこの問題では呼びたい人が実はいっぱいいるわけでありまして、まず総理北方領土を見てもらいたい。それから、ソビエトの外務大臣を日本に来させなければならない。それによってソ連の元首でありますゴルバチョフ書記長を日本に呼んで、首脳会議を日本でやらなければいけないというふうに思うわけであります。担当はもちろん外務省でございますけれども、先ほど申し上げました観点でぜひとも高鳥大臣に御理解をしていただきたいわけであります。  六十一年五月に安倍外務大臣が訪ソされたときには、すぐにも向こうの外務大臣が日本に来るというふうなムードになっておりました。そして、ゴルバチョフ書記長も近々日本に来る可能性が出てきたというようなムードになったわけでございます。しかし、依然として書記長はおろか外務大臣も来ないわけでありますが、やはりこれは、日ソ定期外相会議というのを昔やっておりました。大韓航空機撃墜事件で中断をしたわけでありますけれども、やはりこれはシェワルナゼ外務大臣のことしじゅうの訪日というものが日ソ関係を良好にするために、ひいては領土問題を解決し、平和条約を締結するために不可欠だと私は思いますので、担当大臣として、外務大臣に対してぜひともソ連外務大臣が日本に来るように強くひとつ閣議等で要請していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  59. 高鳥修

    高鳥国務大臣 北方四島一括返還というのは政府として変わらざる方針でございまして、歯舞諸島並びに色丹島、北方四島の一部だけを返してもらってというようなことは全く考えておりません。  そのことにつきましては、これはもう安政元年、一八五五年ですか、日本とロシアとの間に通好条約が締結をされた、その段階において両国が極めて円満なうちに平和裏に国境を確定したという実績がございます。したがいまして、我が国の固有の領土として両国が認め合ったものを返還してもらうことは、ポツダム宣言を受諾して降伏をした日本として当然の権利である、このように考えておるところでございます。  総理北方領土視察につきましては、私帰りましてから直ちに総理地元皆様方の強い御要望、特に恐らく近くソ連首脳と会われることがあるであろう、そういう場合にはみずからの目で見た実感として地元皆様方の気持ちを体してひとつ交渉に臨んでもらいたい、こういうふうに強く訴えておられるということを総理に申し上げまして、総理もそのことについては自分も十分よく理解しておりますというふうに御返答いただいておるところであります。総理が具体的に現地に行かれる日程等につきましては、大変政治日程が込んでおりますので固まっておるわけではありませんが、私といたしましては機会を得てまた総理に御要請を申し上げたいと存じますし、地元委員皆様方からもひとつ強く総理に御要請をしていただけたら、このように考えております。  外務省としては、ひとつソ連外務大臣なりあるいはまたソ連の最高首脳であるゴルバチョフさんなりに来ていただいてお話をしていただくということについては、当然今度はソ連が来る番だということでやっておられると思いますので、なおその趣については宇野外務大臣にお伝えしておきたいと思います。
  60. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 開発庁にお伺いいたします。  北方振興については振興基本計画を立てなければいけないというふうに法律で決められておるわけでありますが、その六十三年度から六十七年度の分の振興計画がまだできてない。できてないというのは、これは基本計画ができてないわけでありますから、どういうふうにしてこれから中期的な振興をするかというもとがないとこれは非常に困るのは当然であるわけでありますが、なぜできないのかということをお答えいただきたいと思います。
  61. 大串国弘

    大串政府委員 先生御承知のとおり、振興計画北方領土特別措置法に基づいて隣接地域振興計画をつくるということになっております。五十八年の八月に五十八年から六十二年までの第一回目の五カ年計画をつくったわけでございます。次の計画は六十三年から六十七年まで五カ年計画を現在策定中でございますが、実はこの作成主体は道庁でございまして、道庁が作成してそれを内閣総理大臣に申請して内閣総理大臣が承認する、こういう手続になっております。実際は道庁の方で現在策定中でございますが、御存じのとおり、第五期北海道総合開発計画の策定が若干おくれまして、それとの関連もございまして振興計画の作成が若干おくれている、このようになっているところでございます。  ただ、六十三年度の隣接地域の予算要求につきましては、六十二年度の要求時に骨子というのをつくりまして、それに基づいて隣接地域の予算要求等もしているところでございまして、事務的にはそのような支障はないというふうに考えております。
  62. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 事務的に支障がないかどうかというのは一概に言えないと思うのですね。と申しますのは、前計画が決められたのは五十八年の八月十九日です。ですから、ことしも八月中にまとめればいいやということに仮になったとすれば、概算要求の締め切りが八月ですから、そうすると六十四年度予算とも基本的に合っているとおっしゃいますけれども、六十四年度予算に間に合わないということになりますと、六十三年、六十四年と結局骨子はあるかもしれませんけれども振興計画ができないままで北海道の隣接地域振興をしょうということになりますと、行政の立場からいえばこれは地元の皆さんに対して極めて無責任だと言わざるを得ないというふうに私は思うのです。  したがいまして、もちろん北海道知事が内閣総理大臣の命を受けてやられたものに基づいてということはわかりますけれども実態はもう六十三年度の予算が執行されておる。そして、六十四年度も厳密に言うと間に合わないということになりますと、五年計画のうちの最初の二年が全然計画に基づかないということになるとこれは極めておかしなことになると思うので、少なくとも六十三年度はもうスタートしましたので、六十四年度の概算要求は既に役所では作業を進めておるわけでありますから、それに平仄が合うようにひとつ早急にやっていただきたいのです。御答弁をお願いします。
  63. 大串国弘

    大串政府委員 現在、北海道庁の方で大体完成しておるところでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、第五期北海道総合開発計画との調整というのが若干残っておるものですから、もちろん六十四年度概算要求を過ぎるということは考えておりません。五月中、六月初めのうちに速やかに提出していただきまして、関係省庁の連携のもとに内閣総理大臣の承認を得るべく努力してまいりたいと考えております。
  64. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 五月中にぜひともこの計画を策定をしていただきたいというふうに思います。  それから、先ほども同僚議員から出ましたけれども東梅—別海間の開発道路、これについては地元の極めて経済的にも大きな問題でございますので、これを質問させていただきたいと思うのでありますが、何といいましてもこれは北方隣接地域についての特別の措置というのが前提であるわけであります。地元環境団体が反対をされておるという話も一部あるようでありますが、しかし、大半の人たちは経済的に極めて意味が大きい、先ほどもある人に電話をしたら、これができれば地域ががらっと変わる、こういう表現を使われておりました。  技術的な問題あるいはまた環境保護団体との調整等あると思いますけれども、しかし、そういう利害を調整しながら地域にとって一番必要なことを選択していくのが政治であり、行政であるというふうに思います。むしろ、地元の皆さん云々というよりは、もちろん地元もこれから今まで以上にきちっとやっていくと思いますけれども北海道の開発あるいはまた隣接地域振興という観点から必要なんだということで、開発庁の方からしりをたたいていただくくらいの御決意があってもいいのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  65. 大串国弘

    大串政府委員 先生指摘のとおりだと思います。  ただ、ここの環境問題につきましては、道立自然公園ということになっておりまして、この公園内にそういう道路を通すということになりますと、環境条例に基づくアセス等もございます。当然、地元北海道並びに根室市等の方でそういう整理はなされないと、私ども地域振興のためにぜひ必要だということで叫んでもなかなか具体的に前に進んでいかない、そういうこともありまして、道並びに根室市の方には、そういう整理につきまして我々も協力するから一生懸命やってくださいというお話はしております。  特に、これは時間短縮、バイパス効果だけの問題じゃなくて、その道路を使いまして観光に使う、沿線にシーフードレストランをつくるとか養殖場を利用してその辺の体験学習をさせるとか、そのためにもその道路は必要だというふうに私らは考えております。そのためには、地元のある程度のコンセンサスも得ませんと、国がどうしても必要だから積極的にやる、黙れという話にはなかなかならぬものですから、地元のコンセンサスづくりに努力をしていただきたいということも、我々も地元の方にお話ししているところでございます。
  66. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 これは、我々政治ベースでもことし一生懸命やっていかなければいけないと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いします。  それでは、振興基金についてお伺いします。  御承知のように、五年で百億という五十八年の目標が、五年を経過してその半分程度しかないということで、引き続き延長したわけでありますけれども、これは別に延長した五年以内に百億を積めばいいという問題ではないわけでありまして、一日も早く百億を積むことは当然のことであることは、大臣も御認識をいただいておると思います。  そこで、まずこれはあくまでも仮に百億円を積んだ場合にでも、これを使うのはこの運用益でもって使うわけですね、要するにいろいろなところで利子が発生して、その利子でもって使うということであります。時間がないので私の方から申し上げますが、五十八年の運用益が三千二百万、五十九年が九千三百万、六十年が一億六千六百万、六十一年が二億五百万、六十二年が二億五千五百万という数字で、これは間違いございませんね。——  これを逆に元本で今度割ってみまして、どのくらいの利率でこの運用益を生み出したのかということを計算してみますと、五十八年が三・二%、これは初年度ですからいろいろな時期のおくれがあったのだと思いますが、平年度ベースで五十九年が四・六五%、六十年が五・五三%、六十一年が五・一二五%、六十二年が四・九八%、割り算するとこういう数字が出てくるわけであります。六十年の五・五三%をピークにして利率がだんだん下がってきておる。これは市中金利が下がり、今公定歩合が史上最低の二・五%という状況だから下がってきているのは当然だと思うのですが、そこで、まず御質問いたしますが、この基金というのはどういう形で運用されているのですか。
  67. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 北方基金の運用益、それから、それがどのように使われているかということでございますが、一番新しいものとしては六十二年度についてわかっておりますのでそれについて御説明いたしますと、先ほど先生指摘のように基金の運用益、約二億五千幾ら……(中川(昭)委員「運用方法です」と呼ぶ)失礼しました、北方基金は地方自治法に定めるところによりまして、確実かつ効率的に運用すべきもの、こういうふうにされておりまして、現在は主として国債、定期預金によって運用されているところでございます。  北方基金は北海道において運用されるところでございますが、総務庁としても基金に寄せられる地元の期待にかんがみまして、法令に基づく最大の運用益が得られるよう北海道と連携しつつ今後とも研究してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  68. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 国債、定期預金で運用されている。もちろん、元本確実であることは当然でありますから、運用の投資先というのはおのずから限られてくると思うのです。しかし、一概に国債、定期預金といったって利率がかなり違うのですね、こういう低い利率の時代でありますから。例えば今の時点での国債の利率というのは十年物で四・六%、ところが一年物の定期は三・七%、約一%違う。三年物定期とかいろいろ大口定期とかありますけれども、運用益が六十二年度でさえ二億五千万ぐらいしかない。それをいろいろなところに振り分けていって、何百万単位の金を北方隣接十万人の人たちに使っていただくという、非常に細かい話ですけれども大事な話でありますので、この辺の運用というものをもう少し考えていただかなければならないのじゃないか。  ことしの六十三年は六十二億五千万でありますから、一%違うと六千二百万違うのですね。六千二百万違うと、例えばことしでいいますと、地域啓発関連事業一千三百万、六十二年の計画この五倍ぐらいのものが一%利率が違ってくるとどんとつぎ込めるかつぎ込めないかという状況であります。したがいまして、財テクと言うとちょっと浮ついた表現になるかもしれませんけれども、この限られたお金をどうやって運用したら、もちろん元本確実で、しかも果実を一円でも多く生むかということをもう少し真剣に検討していただきたいというふうに思うわけであります。大臣、このことについていかがお考えでしょうか。
  69. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 この運用につきましては、先生指摘のとおり、確実性と効率性の両方を踏まえてやっていかなければならない問題だと思います。先ほどお答えいたしましたが、この問題につきましては、北海道と連携しつつ今後とも研究してまいりたい、かように思っている次第でございます。
  70. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 北海道と協議してと言いますけれども、地方自治法上は元本確実なもの、銀行の預金あるいは信託、郵貯、国債と羅列してある範囲内なんですけれども、この範囲内でも大分利率が違うのです。それは何百万円単位で違ってくるわけでありますから、法律に許された範囲の中で一番有利なもの、例えばきょうから出てきます二十年国債なんというのは四・九%です。それと一年物の定期は三・七%ですから、一・二%も差がある。それも当然運用として認められる範囲内のものだと思うのですけれども、やはり地域振興のために、そういう財テク観念というと言い過ぎかもしれませんけれども、私は大事なことではないかと思うのです。ことしじゅうにこの運用益を、ことし六十二億五千万積まれる基金について、許された範囲の中で一番いい利率のものを使って運用するということをぜひともお約束していただきたいと思います。
  71. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいまの基金につきましては、管理運営要領というものを定めておりまして、それには国債、地方債その他確実な有価証券の取得、それから銀行その他確実な金融機関への預金または郵便貯金、三番目といたしまして信託業務を営む銀行への信託というものに限定しておるわけであります。北海道知事にそれをお任せしてやっていただいておるということでありますが、ただいまの御意見につきましてはまた道の方とも相談をさせていただきます。
  72. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 時間が来ましたので最後にいたしますが、そのように金利が下がっていると運用益そのものに苦労されておる、だからぜひとも一番いい方法でやっていただきたい。そして、だからこそ根本は百億を一日も早く積まなければならないという、私はこの金利情勢が大きなインパクトになっておるというふうに思いますので、一日も早い百億造成について大臣の御決意をお伺いして、質問を終わらしていただきたいと思います。
  73. 高鳥修

    高鳥国務大臣 今年の予算編成の際にも、地元関係国会議員の皆様方から大変熱心な御鞭撻をいただいたところでございますが、来年に向かってひとつ一生懸命努力しましょうというお約束を私どもとしてもいたしておるところでございます。そういう予算編成の経緯も踏まえ、かつまた、ただいま御指摘のあったような現状も踏まえまして、総務庁といたしましては最善の努力をしたい、このように考えております。
  74. 稲葉誠一

  75. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 三月の二十六日、二十七日、高鳥総務庁長官北方領土の御視察に行かれたわけでありますが、まずその視察でお感じになられた所感をお伺い申し上げたいと思います。
  76. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員からお話しもございましたように、院の御了解を得まして、私、北方領土を視察させていただいたのでございますが、当日は大変すばらしい快晴に恵まれまして、納沙布岬に立ちまして見ましたら、眼前の水晶島などはもちろんのことといたしまして、国後の山々までもはるかに望見することができました。かつまた、ちょうどいわゆる現在境界線と称せられておるものの付近に我が方の巡視船がずっと航行していてくれまして、この辺が境ですよということを私の目の前で示してくださったわけであります。それから一歩でも入れば日本の漁船は拿捕されるというようなことや、あるいはまたそこに数多くの地域住民の方々がいらっしゃったのが、追われて今は墓参すらもできないというような状況にあるということを目の当たりにいたしまして、言いようのない悔しさといいましょうか、憤りと申しましょうか、そういうふうなものを私自身も痛感させられたところでございます。  そしてまた、あの地域は非常に広大な地域である、その広大な地域をあのような形で奪われておることによって、根室を中心としたあの周辺地域というものは本当に生活の基盤の大部分を奪われているということになるのではないだろうか。そういうことについて地元からも御説明やお訴えも承りまして、まさに北方領土の持つ大きさ、重さというものが地域の皆さんにとってどんなに大きいものかということを痛感させられたところでございます。
  77. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 去年十二月にINFの全廃条約が成立した、あるいはこの五月の末には戦略核の半減交渉が非常に期待される方向である、あるいはこの間はアフガニスタンでのソ連軍の撤退について話がまとまった、全体として米ソが新しいデタントの時代に入ったというふうに、我々は歓迎をいたしたいと思うわけであります。  つい先日、長官の行った後に行かれた宇野外務大臣現地でそれらのことにお触れになられて記者会見をしている。これはそのうちの一つの新聞でありますが、  「国内政策面でも対外政策面でも従来とは異なるダイナミックな政策を展開している」と強調、「ソ連の政策のうち肯定的な面は正当に評価して対応していく」と述べた。一九七九年のソ連のアフガニスタン侵攻以来、厳しい姿勢で貫かれてきた対ソ認識の修正をはっきりさせたもので、北方領土問題にも「ダイナミックな政策を期待する」と語った。 以下そういうような論調で述べているわけであります。見出しも「外相 日ソ対話の拡大表明」「アフガン撤兵評価」「変化見定め認識を修正」各紙とも似たような取り扱いであります。  そこで長官、こういうようないわば新しい国際環境の中で北方領土返還を我々は実現していくことになる。そういう新しい環境の中での領土返還に対する長官の御見解を改めて伺いたい。
  78. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員指摘のように、最近のソ連の政治体制というものはペレストロイカということでございましょうか、いろいろな面で変わってきておるように報道では聞いておるところでございます。ただ、残念ながら北方領土問題に関しては一貫して日ソ間にそのような問題はないという態度に終始しておりまして、非常にかたくなな態度と申しましょうか、そういう態度に具体的な変化は見られません。  対ソ交渉につきましては、これは外務省の所管でございますので私の方からそれ以上のことを申し上げることは差し控えたいと存じますが、アメリカの国会議員がソ連の首脳と会ったところ、何か北方領土問題についても若干の発言があったみたいな報道も報道としては私も見ましたけれども、しかし具体的に当方との接触において今日まで何らかの変化があったというふうに感じられるものはございません。  私どもといたしましては、我が国の固有の領土である四島一括返還を通じまして日ソ間に末長い友好善隣関係を確立する、平和条約を結び友好善隣関係を確立するということを着実に推進していくために粘り強く交渉を続けていかなければならぬ、このように感じているところでございます。  外務大臣北方領土視察から帰られましてから閣議でその模様については直ちに御報告しておられました。今後、また宇野外務大臣にも伺いまして、何とか北方四島返還実現の方途を探ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  79. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 実はつい先日、四月十八日に、私どもの土井委員長が中心で、日本の対ソ政策はいかにあるべきかというようなことのシンポジウム、勉強会をやったわけであります。いろいろその面での専門家、権威者の方々もおそろいになられた。その中で二、三、私は非常に印象深くお聞きしたことがあるのです。一つは、元駐ソ大使の中川融さんであります。こうおっしゃっておられます。ソ連は変わるときには変わるが、変わらないときが長い、だから変わったときに思い切って対応すべきだ、なるほどと思いました。ここが大事だと思うのですね。だから変わったときに思い切って対応しなければいけない。私は、ぜひ政府におかれましてもそこを銘記してほしいと思うのです。  東京外語大学の中嶋嶺雄教授は、ゴルバチョフ・ソ連のペレストロイカは本物だろう、ソ連自体内在的な必然性を持っているものだ、スターリン時代の再評価はシベリア抑留や北方領土問題に及ぶ可能性を感じている、こういう発言をしておりました。あるいは楽観的過ぎるという御意見もあろうと思いますが、確かにそうい点もあろうと思う。  東京大学の五十嵐武士教授は、今回のデタントは七〇年のデタントとは本質的に違うのではないか、しかし、今のような日本の対ソ政策では世界的な本格的なデタントの流れにかかわらず、かえって日ソ関係が緊張を深める懸念があると心配されるというような御発言もある。  私は、領土問題でありますから、今高鳥長官の言われるように粘り強く忍耐強く、時には超長期にわたって頑張り通して返還を実現していかなければならぬという性格のものだとは思うのであります。しかし、だからこそ主張するところはしっかり主張し続けながら、すべてが領土問題の前進を前提として考えるということではなくて、つまり全くの入り口論だけで考えるのではなくて、広範でボリュームのある、両国に十分な利益を共有できるような諸分野での交流を深めながら真の友好関係を成熟させていく、その中で本来の我が国の主張する領土返還も実現をしていく、そういう一体のものではないかというふうに僕は思うのです。出口、入り口ということではなくて、一体のものではないかと僕は思う。そういう面ではぜひこの機会に、さっきの中川元駐ソ大使ではありませんが、ソ連は変わるときには変わるが、変わらないときが長いのだ、だから今変わったときに思い切って積極的に対応すべきだと思うのでありますが、改めて重ねて長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  80. 高鳥修

    高鳥国務大臣 今国務大臣という立場でお答えを申し上げるということなりますと、政府の既定の方針以上のことを申し上げることはいささか差し控えなければならないと思いますが、今委員指摘の点につきましては私もいろいろと感じさせられるところがたくさんございます。  かつて田中総理ソ連に行かれましてブレジネフと交渉いたしましたときにも、一つにはやはり非常に幅広い経済関係の樹立の中で領土問題についても解決をしていこうという意図があったのではないだろうか。そういうことからして、日ソ間におけるいわゆる未解決の問題、それは領土問題以外にはないではないかということの指摘に対して、ブレジネフもダーと言わざるを得なかったというような経緯があったのではないかと想像いたしております。いずれにいたしましても、ソ連のそうした変化というものを見定めながら、外務省当局においても十分対応されるものと考えております。
  81. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 何かもうちょっと言いたいところがあったけれども残したような感じがするのであります。長官、もう少しお話しにならなければ、聞いたところにさっぱりお答えになっておらぬ。強く要望を申し上げておきたいと思います。  北方領土の墓参の問題。これは北方領土だけでなくて、担当する各省は違うようでありますが、サハリンあるいは本土においてそれぞれ墓参の問題がある。これも高鳥長官が先日根室で記者会見の折に、北方領土の墓参の対象地域を広げたい、そのことを外務大臣にも協力を要請したい、こういうお話がございました。私も同感でありますが、どのようなお考えをお持ちになっておられるか。
  82. 高鳥修

    高鳥国務大臣 総務庁といたしましては、北方領土の墓参につきましては従来歯舞群島の水晶島及び色丹島の二島への墓参しか昨年及び一昨年認められておらなかったわけでありますが、北方領土の元居住者の方々が北方領土全域にわたっての墓参を強く望んでおられますので、特に国後島、択捉島への墓参が実現ができるようぜひ交渉してほしい、そういう北海道からの御要望もございましたので、それに基づきまして外務省にソ連との交渉方を既に依頼しておるところでございます。私どもといたしましては、地元皆様方の御要望が実現できますように外務省から最善の努力を払ってもらいたい、このように期待しております。
  83. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 今長官お話しのように、国後は四十五年以降ですか途絶えている。あるいは択捉はまだ墓参に行くことができない。この間色丹に墓参に行った方のお話によりますと、あそこに三つある墓がいずれもソ連の居住地域からもずっと離れているといいますか、ソ連の方々も生活していないところでして、墓石も随分壊れて崩れ落ちて、あるいはそこに行く道なんかもほとんど途絶えている。しかし、墓参に行くというので、ソ連の方々がセメントでその墓石を直してちゃんとくっつけてくれたりあるいは道をつけてくれたり、落ちていた橋をかけてくれたりして便宜を図ってくれたというようなうれしいお話も聞いていたわけであります。しかし、長く行かないとどうしてもそういうことになるわけでありますから、ぜひひとつ、先ほど申しましたように、非常にいろいろな意味で明るい状況が出てきている折からでもありますし、強く要望して全島について墓参ができるように格段の御尽力をいただきたい、こういうぐあいに思います。  そこで墓参の話について、この機会でありますから、サハリン州でもコルサコフ、ドリンスク、あるいは本土でもウラジオやアルチョム、ザピタヤ、こういうようなさまざまなところに墓地があるのですが、まだ行けないところがあるようであります。これは、それぞれ本土、サハリン、北方領土で担当する省庁は違うようでありますが、全体として外務省がこれについての交渉をしていただいているようでありますから、外務省としてこれらについてどのような交渉等をしておられるか、お伺いしたいと思います。——それでは今のことはお見えになりましてからお伺いいたしますので、次の問題に入りたいと思います。  今も同僚議員が御質問になっておられましたが、元北方領土居住者に対する融資制度の改善ということであります。これは本委員会でも幾たびも議論になっているところでありますが、北方地域旧漁業権者に対する特別融資法による融資制度、これは終戦当時北方領土に住んでいる人に限られているわけでありますが、しかしあれから四十年もたっている。当時一万七千人いた居住者が今六千四百人になっておられるわけであります。しかも生存者も高齢化している。ぜひひとつ、この特別な立場というものは子や孫に引き継がれていくわけであるから、融資資格も引き継ぐような対応がされるべきじゃないか。  かつて本委員会で後藤田総務長官も、例えば交通事故で働き手が亡くなった場合に、過去の調査では大体影響が三代に及んでいるというふうなことをおっしゃったり、科学的に検討してみなければいけないというようなお話もあったようなのでありますが、その後そういう検討はなされたのか、あるいは今日におけるお考えはいかがかということをお伺いしたい。
  84. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 先生指摘のとおり、今の融資制度は元北方領土に住んでいた人を対象に行っているものでございまして、この人たちが終戦当時は一万七千人おりましたがだんだん少なくなっている、そういう実情は御指摘のとおりでございます。  そこで、融資の対象を元北方領土に住んでいた人の子や孫までも広げられないかという御要望が旧島民等からあるわけでございますが、一番のネックは、この法律の融資の趣旨からいいまして、元居住者の生活を安定させることがこの趣旨でございまして、これが大きなネックでございます。  それに対しまして、いろいろもう少し実態調査の上で何とか御要望に沿う措置がとれないかどうかということを検討しているわけでございます。そして先生指摘実態調査でございますが、これは北方領土の居住者の団体であります千島連盟を通じまして我々調査をお願いしているところでございまして、元居住者の名簿を整備して、それを手がかりにいたしまして元居住者の数がどれくらいあるか、二世、三世がどれぐらいあるかということを調査しているのでございますが、何しろ既に亡くなった人の二世、三世を調べる手数、把握するのが非常に大変でございまして、まだ完全に把握できていない状態でございます。いずれにしましても、こういうような基礎的な資料を集めた上でさらに検討を進めたいと思うわけでございます。
  85. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 熱心に実態調査をお進めいただいているという状況をお聞きしてちょっと安心をいたしましたけれども我が国のことでありますから、それはお調べになってもわからぬことはないというふうには思いますが、ぜひひとつ早く実態調査を終えて、これに対する本格的な対策を検討してほしい。実態調査するということは、それなりにそれに対する対策を講じようという御意思も含まれてお調べになっているというふうにも感ずるわけでありますが、ぜひそういうことを期待申し上げたいと思います。  それで、なお北方領土隣接地振興基金、これは去年の五月でしたか、本委員会で五年間延長ということを決めたわけでありますが、これも当時も私強く申し上げたのでありますが、先ほども同僚議員からも御希望がありましたが、やはり百億という目標は早期に達成してほしい。何せ今のような低金利時代でありますから、なかなか運用益が思うようにならないということもあるわけで、そのためにはやはり一年でも早くこの目標額を達成して、仮に金利が安くても十分にその運用益がその目的に使われるに足る額になるように強く要望を申し上げたい、こういうぐあいに思います。よろしゅうございますか。
  86. 高鳥修

    高鳥国務大臣 今年度予算の編成の際にも、各地元関係国会議員の皆様方からは非常に強いこの基金の造成についての御要望がございました。総務庁といたしましては、国家財政が非常に厳しい折であり、シーリングがかぶされておるという状況の中で最大限努力をしてまいったところでございますが、特に今年強い御要望があって予算編成でいろいろと私ども努力をし、関係国会議員の皆様方からも御努力をいただいたそうした経緯を踏まえまして、来年度以降ひとつ増額、積み増しのために最善を尽くしたい、このように考えております。
  87. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひひとつお願い申し上げたいというふうに思います。  これも、今日までも議論をしてきたところの問題なんでありますが、サハリン残留韓国・朝鮮人問題で、つい先日も内閣委員会外務大臣初め皆さんの御意見も十分にお伺いをしたところなんでありますが、その折一点、御質問申し上げる時間がなくて残った点がございますので、この機会にお伺い申し上げたいと思うのであります。  ヨーロッパにおけるユダヤ人の出国の状況あるいは中国における韓国人の交流の状況等から見ると、非常に困難な政治的な立場は立場としながら現実的な対応というものがとられて、殊にここ一両年飛躍的にその数がふえているのであります。ソ連からユダヤ人のオーストリア経由で出国している数は、昨年は一万人くらいになるだろう。これはオーストリア経由で、主としてアメリカですが、それぞれ出ているわけですね。あるいは中国における韓国人の一時帰国や、あるいは韓国から中国への親族訪問というものも含めて、これも従前から見ると飛躍的に伸びてきていて、やはり人道上の問題という立場で、それぞれが深い理解を持って困難な政治的な状況というものを越えてそれにこたえているというふうに私は高く評価をいたしたいと思うわけなんです。  どうも、それに比べて、サハリンにおける残留の韓国・朝鮮人問題は、昨年の夏にこれに関する議員懇談会ができて原文兵衛さんが会長になられた。私、事務局長をやっているのでありますが、全体で百七十名の衆参の議員がお入りになられて一生懸命やっていることもあって、去年は五十一人、サハリンから韓国・朝鮮人の方が日本に来て、韓国から親族の方が日本にまたおいでになられて、ここで再会なされた。非常に劇的なことが、私ども拝見していて胸を打たれるような場面が随分あったわけであります。しかし、その程度の数なんですね。  かつて戦争が終わりましたときには日本人は約三十万人樺太にいた。朝鮮半島からは、強制的に連行して向こうの労働に従事させた人が当時四万三千人いたのです。日本人の三十万というのはそっくり帰りました。ところが、四万三千人の朝鮮半島出身者はそのまま残された。それがそのまま今日に至っているわけですね。今、一時帰還の希望者がいっときは七千人くらいの調査の数字が出ておりましたが、最近三千人か四千人というようなことも言われているのでありますが、これらの数に比べると、さっき申しましたように五十一人が、ふえたとはいえこの程度では、ヨーロッパにおけるユダヤ人の状況やあるいは中国における韓国人の状況から比べて格段におくれているというふうに私は残念に思うわけです。ぜひこれについて力を合わせて推進をしていかなければならぬわけなんでありますが、そこで、この際一、二点お伺いをいたしたいのであります。  まず、外務省にお伺いしたいというふうに思うのでありますが、サハリンから日本においでになって韓国に親族を訪問したい、こういう方がおられる場合に、今私が述べましたような歴史的な経過、あるいは国交のないソ連と韓国の間を取り持つべき責任のある我が国という立場から考えて、最大限の便宜を計らい、協力をすべきじゃないかというふうに思うのでありますが、いかがですか。
  88. 田中均

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  まさに五十嵐議員御指摘のとおり、昨年来、議員懇談会をつくっていただきまして、本件問題について非常に関心を持っていただいているということについて、改めて私どもからも感謝の念を表しておきたいと思います。  御指摘の件につきましては、現在までのところソ連が、韓国に直接一時出国をする、あるいは日本を経由して韓国に行くということを明示的に認めていないというのが実態であろうかと思います。他方、御指摘のとおり、韓国へ一時出国する希望がある方についてはそれを実現するというのが最善の方法であるというふうに私ども考えておりまして、要は一体どういう仕組みをつくれば果たしてそれが可能になるかということでございまして、当然ソ連側とも話をしなければいけないというふうに考えておる次第でございます。この点につきましてはまだ十分成案といったものはございませんけれども、議員懇談会ともよく御相談申し上げて最大の努力をしたいというふうに考えております。
  89. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 いろいろ形式からいうと難しいことであろうというふうに思うが、ヨーロッパにおける状況だとかあるいは中国、韓国との状況だとか、そういうことなどにも学びながら前向きで努力していきたい、こういうぐあいに受け取ってよろしいか、いかがですか。
  90. 田中均

    ○田中説明員 今御指摘のとおり、ほかの事例というものも十分研究をいたしまして、私どもも前向きに取り組んでいきたいというふうに解していただいて結構だと思います。
  91. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひ御努力をいただきたいというふうに思います。  それから、法務省おいでいただいているのでありますが、法務省の入国管理局といたしましても、今申し上げたような場合に出入国という観点からの最大限の便宜、協力というものをいただきたいと思うのですが、そのようなお考えがおありになるかどうか。
  92. 大久保基

    ○大久保説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、昭和五十七年の三月八日の衆議院の予算委員会におきまして、当時の坂田法務大臣から御答弁申し上げておりますが、この問題は、これらの方々がサハリンに渡られた歴史的経緯からかんがみまして、人道的な配慮をする考えでございまして、これには現在も変更ございません。したがいまして、現在もこのような要望があります場合には認めておりますし、今後も認める考えでございます。さらに、仮にこれらの方が日本に来られた場合に、期間を延長したいという御要望がある場合には、御要望をよく検討いたしまして、できるだけ便宜を図る考えでございます。
  93. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ありがとうございます。ぜひひとつそういう特段の御配慮をお願い申し上げたいというふうに思います。あるいはよく滞在期間等についてできるだけ長くといいますか、要望どおりというような希望も、声を聞くことが多いのでありますが、その点ではいかがですか。
  94. 大久保基

    ○大久保説明員 これまでのケースを見てみますと、大体六十日ぐらいの滞在を希望されておりますので、いずれのケースにつきましても御要望どおりの滞在期間を認めております。今後もこの方針には変更ございません。
  95. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ありがとうございます。ぜひひとつそのような好意ある配慮を各省ともよろしくお願い申し上げたい、このように思う次第であります。  次に、十五日に発表になったのでありますが、米軍の三沢基地の米第五空軍第四三二戦術戦闘航空団が今月十八日から二十二日までの五日間、北海道上空などでF16戦闘機による低空飛行演習を行うということが発表になった。これについて道は十五日の夜、札幌のアメリカンセンターでこの航空団、ローバー司令官とおっしゃるようでありますが、に対して道民の生活に不安や支障を与えるような低空飛行を行わないよう申し入れたと伝えられているのであります。  聞いてみますと、米軍から道に対しては何の事前通告もない。それどころか、防衛庁自身もこの十五日に初めて発表で知ったということのようなんであります。もともとこの問題というのは、去年の十一月に超低空飛行を北海道全土にわたって米軍機が行ったということで、実は大変な道民の不安や被害というものが発生をした。これは改めて今申し上げませんが、関係者はよく御承知のことであろうと思うのであります。米軍の新軍事戦略である海洋戦略に基づいて北海道周辺を舞台に行われた米空軍と海兵隊の共同作戦演習であったようであります。  そういう十一月の問題があって、このときも北海道知事からは強く申し入れをして、あるいは防衛庁も米軍に対して強い抗議、要望をして、米軍側は申しわけなかった、今後気をつける、こういうことになっているのであります。しかし、それにもかかわらず、今回また事前の何の通告もなしにこういうようなことになってきておる。非常に残念でありまして、これについて防衛庁、なぜ一体、こういう経過の中で、あらかじめ説明をし、了解を得ようという努力が米軍になかったのか、これについてどういう対応を防衛庁はなさっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  96. 岡本行夫

    ○岡本説明員 地位協定の運用の問題でございますから、まず私の方からお答えさせていただきとう存じます。  昨年十一月、三沢基地のF16が北海道で低空演習をいたしまして、家畜等に被害が出ました。大変遺憾なことでございます。私ども、米側に対して強くこのような事故の再発の防止を申し入れたわけでございます。  具体的には、最低安全高度は必ず遵守するよう、そして地域の住民の方々がいらっしゃるようなところは避ける、牧場等家畜の分布状態にも十分配慮するようにということを申し入れまして、米側からは、既に先生からも御指摘ございましたけれども、陳謝の意の表明と、今後十分飛行の安全、そして地域への安全、影響を最小限にとどめるということで返答があったものでございます。  今回の演習につきまして、米側は十五日に発表を行ったようでございますが、米側といたしましては、私どもに対しまして事前通報の義務はございませんで、私どももその発表と同時にそれを知ったような次第でございます。
  97. 金枝照夫

    ○金枝説明員 防衛施設庁といたしましては、昨年十一月の飛行訓練によって被害が発生したことから、十二月に防衛施設庁本庁は在日米軍司令部に対し、札幌防衛施設局は米空軍三沢基地に対しまして、今後の訓練に際して関係住民に被害を与えることのないよう一層配慮することを申し入れております。これに対しまして、在日米軍司令部は遺憾の意を表明し、今後被害を与えないよう配慮する旨回答してきております。  今回、四月十八日から四月二十二日まで訓練を実施するとの情報を得ましたので、防衛施設庁としては四月十五日在日米軍司令部に対しまして、札幌防衛施設局は同じく米空軍三沢基地に対しまして、地上に対する被害を与えないよう最大の配慮をすることについてそれぞれ重ねて申し入れを行ったところでございます。  米側は、訓練に当たっては我が国の航空法を尊重し、最低安全高度を守るとともに、市街地上空などはできる限り避けて飛ぶなど、地域住民に与える影響に一層配慮することを表明しております。  以上でございます。
  98. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 防衛庁も十五日以前には知らなかったのですね。
  99. 金枝照夫

    ○金枝説明員 今回の十八日からやる訓練については承知しておりません。
  100. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひこの機会に改めて外務省、防衛庁に要望しますが、住民にとっては大変なことで、現にそういう経過のあった問題でありますから、十分に事前に自治体側にお話をすべきものだ、そして、自治体側からいろいろ要望があればそういうことも聞いて、万全を期すべきではないかというふうに思うのであります。非常に遺憾に存ずるわけであります。今度はもう既に十八日から始まっておるわけですが、今のところ苦情や被害等についての情報はありませんか。
  101. 金枝照夫

    ○金枝説明員 今回の訓練で十九日までに札幌防衛施設局が入手した苦情につきましては、留萌支庁管内などで乳牛が暴れたなど三件、苦情が寄せられております。
  102. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 だからうまくないのではないですか。外務省も防衛庁もそういう被害の情報が既にあるのであれば、改めてきちっときょうでも再度申し入れて、そういうようなことのないように厳にひとつ米軍側にお話をしてもらいたいというふうに思いますが、いかがですか。
  103. 岡本行夫

    ○岡本説明員 昨年の十一月の訓練の際に起きました馬、豚、ウサギ等に対する被害につきましては、今施設庁の方で鋭意その因果関係、そして、因果関係が証明されたものにつきましては補償の手続を行っているわけでございます。私ども、もちろん補償さえすればいいという考えではございません。そのようなことはあってはならないことでございます。  ただ、現在の段階で米側が行っております演習によりまして、実態的にどこまでの被害がまた家畜に出ているのか、訓練が終わりました時点で、私どもといたしましては調査をいたしまして、そして、なお米側に対して改善の要請をすべきものであればしかるべく処置をしたいと存じます。
  104. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 情けない話ですね。十一月にああいうことがあった、米側も申しわけなかった、これは気をつける、こう言っているわけです。以後こういうことのないようにということは、外務省も防衛庁もそういうぐあいに言っていることは今御報告もあった。しかし、現に十八日から始まったものは三件、各地域でそういう被害というものがあったということであれば、直ちにここで米軍に対して、二十日まであるのですから、こういうことについて留意するように申し入れるのは当たり前ではありませんか。いかがですか。
  105. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先ほど施設庁の方からも御答弁ございましたように、乳牛が暴れた等の苦情があるわけでございます。私どもといたしましては、そのような家畜の被害というのは本来あってはならないものでございますが、他方、もう先生には申し上げるまでもございませんけれども、米軍の訓練と申しますのは、安保条約に基づきまして我が国の安全と平和のために認められておる、そのために必要最小限の訓練を我が国の安全を守るために行っているところでございまして、私どもといたしましては米側に対しては引き続き被害というものを出さないように言い続ける所存でございますけれども、他方、訓練自体が持っておりますそのような重要な意義にもかんがみまして、この時点で中止を申し入れるという考えは有しておらないところでございます。
  106. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 だれが中止を申し入れよと言いました。あなた、ちゃんと聞きなさい。そういうような被害を与えるようなことでは、十一月のときの話とは違うじゃないか、同じ演習をするのでもそういうようなことのないようにしてほしいと言うことが何でできないのですか。できないというのなら、あなた、初めからそう言ってくださいよ。しかし、そうでないわけでしょう、今までは。十一月の問題ではこうだ、出た被害に対応すればいいということですか。そうではないと今もおっしゃっておられたですね。ちゃんとしてくださいよ。今のような姿勢では非常に道民の不安というものはぬぐえないと思いますよ。困ったですね。もう一遍返事できないですか。
  107. 岡本行夫

    ○岡本説明員 米側といたしましては、前回の反省の上に立ちまして、演習というものはやめるわけにはまいらないわけでございますけれども、その影響が最低限になるような形態の仕方で今やっておるわけでございます。私どもといたしましては、逐次そのような苦情、被害の状況を入手いたしまして、それは私どもの判断で、相当な被害が出ているということであれば、もちろんまた私どもが入手しております苦情につきましては、施設庁の方とも相談いたしまして米軍の方へ累次連絡はしていきたいと存じます。  ただ、再三申し上げておりますとおり、その家畜の被害と今回の演習の因果関係等、私どもといたしましては調査を十分行いました上で、最後に、演習が終わりました時点になるとは存じますけれども、米側に申し入れ、なおその次の演習のための改善策を申し入れていく、こういう基本的な考え方でございます。
  108. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 あなたの言うことは非常に矛盾しているじゃないですか。そういうような被害がある情報はつかまえて、そういうことのないようにしていくように言わなければだめだ、こう言ってみたり、さりとてなかなかそういうことはできるものではないのだ。実際に外務省のそういうつらい立場というものは、今の体制の中ではわからぬことはないけれども、しかし、やはりきちっと言うべきことは言って、そして問題が残らないようにしていくのは我が国の外務省の当然の務めではないですか。今の答弁ではうまくないですね。私は納得がいかないですね。委員長、何を言っているのだかわからないですよ。あなたは被害が三つあったということは知っていたのですか。
  109. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私ども施設庁の方からは累次連絡を受けております。
  110. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 連絡を受けて、あなたの今の話によれば、そういう実態を調べて、実態の程度が一体どうなのかということを把握しながら対応したいというのだが、何かやったのですか。
  111. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私ども、基本的には被害の状況というのは、北海道に人を有しておるわけではございませんので、施設局の方で今実態の把握に努めておられるというふうに承知しております。私どもといたしましては、その事実関係が確定するまでは米側に対しては申し入れの措置はとっておりません。
  112. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そういうような態度ですと、本当に演習自身を今後中止してもらわなければいかぬというような大きな道民運動が起こるでしょう。外務省ももう少ししっかりした対応で、本当に被害をなくしていこうという気持ちならばそれなりに取り組んでほしい。これに余り時間をかけておるわけにいきませんから、非常に不満でありますが強く要望して、次の問題に移りたいと思います。  同じ防衛庁の関係で沖縄の問題なんですが、琉球大学やあるいは北大だとか外国の大学なんかも入って、沖縄海域での人工地震を伴う地震調査をしようという計画が進められている。この間、防衛庁がこれに待ったをかけた問題が生じたわけであります。これは詳しいことを少し説明したいのでありますが、もう何か時間が大分たっちゃいましたから省略をいたします。外務省がいろいろ調整をしていたというふうにお伺いをいたしますが、その後この調整はいかがなったのか、どういう結論になったのか、それをお伺いしたいと思います。
  113. 小川郷太郎

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  この調査につきましては、西ドイツ側より調査計画が出されておりましたけれども、この人工地震調査のための爆発物の使用予定位置というものが線として提示されておりました関係で、具体的にその線上のどこかということを確かめる必要もございまして、そうした調整がずっと続けられまして、先週末からの調整によりまして実質的に問題がないということが判明いたしました。それによりまして今週月曜日、十八日に回答いたしまして、調整が整いまして実施できることになりました。  以上でございます。
  114. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 経過をずっと見ますと、いろいろ経過についても少し問題にしたい気持ちもありますけれども、決着がついて調査ができるということになったのは何よりだというふうに思います。それはもちろんドイツ大使館等にも通知して、予定どおり西ドイツ側も参加しながらやるわけですね。
  115. 小川郷太郎

    ○小川説明員 本件は基本的に西ドイツ側の海洋調査ということでございまして、これに日本側の研究者が一緒に参加して行われるものでございます。
  116. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ソ連課長さんがお見えになられたようでありますので、きょうは特にのっぴきならない御予定があったようでありますが、おいでいただいて大変ありがとうございました。  まず、ことしの二月にソ連のサハリン州の執行委員会のクロバトコ議長、これはいわゆる知事でありますが、から北海道横路知事に、サハリンと北海道との間にフェリーの運航開設にかかわる協力要請があったようであります。その要請文、簡単なものでありますが、それによりますと、ソ連の海運省サハリン船舶公団がその検討を始めているということであります。その後、ソ連共産党サハリン州委員会のトレチャコフ第一書記は、新聞記者との会見で、これは日本の新聞記者でありますが、そこでこの構想を稚内—ホルムスクとして考えていること、さらに第二段階では稚内—ワニノ間の航路も検討しているというようなお話をなさっておられるようであります。長年このことについては稚内市長を初め地域の皆さんも熱望していたことでありましただけに、この実現にかける地域あるいは北海道の期待というものは非常に大きいわけでありまして、横路北海道知事も、その談話を見ますと、関係方面とも協議しながら、運航開設の実現に向けて努力していきたい、こういうぐあいに歓迎のコメントを出しているようであります。  私は、これは大変明るいニュースであろうと思います。もちろん、現状直ちには、一体積み荷はどうなんだとか、あるいはそんなに乗客はいるのかとか、主として経済性から見た検討すべき点も確かにあるというふうに思います。しかし一方、最近の状況を見てみますと、例えば北海道からでもこの間、これは六十二年でありますが、サハリンに向けてホクレン等からタマネギが六千トン輸出されたというようなことを初め、殊に野菜、果物等についての向こうの需要というものも非常に大きい。我々も何遍か行って見ているのでありますが、向こうは非常に一生懸命やってはおりますけれども、それは我が国の生鮮食料と比べるとまだ不十分な点があるわけで、それを期待するのは当然だろうというふうに思います。  そういう状況を考えたり、サハリン—北海道の交流で見てみますと、殊に最近はユジノサハリンスクや何かにホテル建設の話も具体的に進んでいたり、あるいはウラジオだとかハバロフスクだとかイルクーツクだとか、これらを通しての観光ルートの協議も一方で進められているというような、さまざまな合弁事業ども含めて新しい展開がなされているようであります。こういう点で考えますと、外務省や運輸省はぜひひとつ前向きに取り組んでほしい、私はこういうぐあいに思うのでありますが、まず外務省の御意見を聞いてまいりたいと思います。
  117. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えをいたします。  サハリンと北海道、特に稚内との定期航路の開設につきましては我々も北海道庁の方から何度か話を聞いておりまして、関係当局の間で協議中でございます、検討しております。それで、先生指摘のとおりサハリンと北海道との間のいろいろな経済交流が今後発展していくということは望ましいことですから、そういうことを促進するということは非常に意義があることだと思うのですけれども、同時にこの問題につきましては関係省庁間でも検討を始めた後、先生が御指摘になった経済性の問題、荷動きがどれくらいあるか、人の往来はどれくらいあるかという、いわゆる経済性の問題に加えましていろいろな問題があるということです。  したがって、今、前向きに検討するというように、結果を予測したような形で私が申し上げるのは若干時期尚早でありまして、したがって本日の段階では鋭意検討していく、それも速やかに検討していくということで御了解を賜りたいと思います。
  118. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 運輸省お見えになっておられますね、いかがですか。
  119. 岩村敬

    ○岩村説明員 ただいま外務省の方から申し上げましたように、本件サハリンと北海道の間のフェリー航路の開設につきましては、経済上の問題、それに今外務省の方からありましたように種々の問題がございまして、関係省庁の間で検討を進めております。我々といたしましてもできるだけ早期に結論を得たいというふうに考えて鋭意検討いたしておる段階でございます。
  120. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 当初、新規の航路の経済性についての不安感というのは当然あろうというふうに思いますが、その航路を設定いたしましても、その頻度については実態に合わせながら組んでいく、あるいはそのことによってまた逆に貨物やお互いの往来というものが深まっていくというようなこともあろうと思うのです。ソ連側の方は、言ってきているのがサハリンの船舶公団のようでありますが、以前は極東の船舶公社が権限を持っていたわけでありますが、今はペレストロイカで権限が分散されまして、それでサハリンの船舶公団の判断でいいのだそうですね。ですから、問題はこっち側ですね。こっち側でひとつぜひ積極的にお願いしたい。  もう私なんかいつも考えるのだけれども、それはシベリアやサハリンの人たちにしたって地球半回りしてヨーロッパ、ロシア側から物を持ってくるということもいかがかと思う。こっちから持っていくのだって、こっちからナホトカに持っていってシベリア鉄道を通ってヨーロッパの方に持っていくというようなことよりは、もう稚内からサハリンは目の前に本当に見えるのですから、ここに航路が設定されるということはいろいろな意味で非常に新しい展望を開いていくものだというふうに思うので、さまざまな困難があることは承知していますが、ぜひひとつ積極的に、前向きに検討してほしいということを再度要請したいのですが、もう一遍どうですか。
  121. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  その意義といいますか、こういう航路が開設されること、ないしは北海道とサハリンとの間に、さっきのタマネギの話ですとか、そういうことも含めていろいろな交流が盛んになるということ自体は非常に意義深いことである、そういうものの一助になるというような観点からも、この話は非常に意義があるということまでは申し上げたいと思います。  ただ、前向きに検討すると言いますと、その結果をある程度肯定的なものということを前提としてしか私申し上げられないと思うのですけれども、そこまでの見通しが、実は我々今検討段階でございまして得られていないのです。したがいまして、鋭意検討し、かつ速やかに検討するということで御了解いただきたいと思います。
  122. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひひとつ善処方を強く要望申し上げたいと思います。  実は墓参の問題を聞きたかったのだけれども時間がなくなったのですが、要するにサハリンでもまだ行っていないところがある、あるいは本土でもそうだ。北方領土につきましては、先ほどまた特に長官にもお願いしたのですが、それぞれについて外務省が総括して交渉しておられるので、その対象地域拡大について全力を挙げてほしいというふうに思うのですが、一言。
  123. 茂田宏

    ○茂田説明員 本年度の墓参に関しましては、四月十三日にソ連側に申し入れました。北方領土墓参に関しては、四島すべての地域について認めてほしいということを申し入れてあります。それから、樺太と本土に関しましても、従来認められていなかった箇所について認めてほしいということを申し入れてあります。  我々は、この問題は非常に人道上の問題であるというふうに観念しておりまして、例えば旧島民の非常に年をとった方が択捉に行ったからその辺の安全保障問題に影響があるというような問題ではありませんから、この点については、ソ連側は人道上の観点から日本側が言っているということを十分踏まえて対処してもらいたいというふうに考えておりまして、今後鋭意折衝していきたいと思っております。
  124. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ぜひひとつ今のお話のように具体的に拡大の成果の上がるようにお願い申し上げたいと思います。  特に墓地の整備と、それから本当は、この間もいろいろ話が出たのですが、場所によりましては、慰霊碑といいますか、そういうようなものも建ててほしい、建てたいというような声も随分あるものですから、これらにつきましてもまた御尽力をいただければありがたいと思います。
  125. 茂田宏

    ○茂田説明員 この墓の残っているところは墓地ということになるのですが、墓地が公共事業等の関係で残っていない場所等について慰霊碑を建てるとかいう点については、先生の今のお話を踏まえて検討させていただきます。
  126. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 さて、もう時間が何ぼもないのでありますが、最後になりましたが、総務庁長官に、例の行政監察の問題であります。  元総務庁長官である玉置和郎さんの「玉置和郎の遺言」という有名な本でありますが、改めて読まさせていただきました。いろいろ勉強になることや感銘するところも多いのであります。あそこで言っているのは、農業改革といいますか農協批判みたいなもの、それから外務省のことなどが中心になって出ていたように思うのであります。農協監察については去年実施なさっておられるわけでありますが、その経過あるいは今後のスケジュール、取りまとめの見込み、こういうことをお伺いしたい。  それから、在外公館及び海外経済協力、これにつきましても、一次、二次と調査をなさっておられるわけでありますが、これらの経過、取りまとめの状況、これからのスケジュール。  それから今年の主要な監察対象でありますが、表をいただいて見ました。畜産に関する監察なんていうのが出てきたりしていて、これは今ちょうどガットの問題絡みで畜産振興事業団等が含まれているようなんですが、これらの監察の目的、調査内容調査時期等について一括してお答えをいただきたいと思います。
  127. 山本貞雄

    ○山本(貞雄)政府委員 まず御指摘の農協監察でございますが、これは農協が農業生産力の増進とそれから農民でございます組合員に対しまする奉仕、こういった目的に即した運営になっているか、こういう観点から、その農協等の業務の実態、それから国、県の指導監督の実態調査したわけでございます。二十六都道府県につきまして、県、市町村あるいは二百数十の農協あるいは連合会、こういった調査を昨年いたしまして、その後本庁で中央段階の調査、あわせましてこれらの調査結果を取りまとめまして、現在農水省との間で事実確認作業をやっております。したがいまして、確定的に現段階で時期を申し上げかねますが、しかし、いずれにいたしましても、この事務的作業が終わり次第、速やかに総務庁といたしまして改善意見を取りまとめまして関係省に勧告をいたしたい、こういうことでございます  それから、経済協力の行政監察でございますが、経済協力を適正、効果的かつ効率的に実施する、これに役立てまするために、御指摘のように、六十二年度におきましては、政府開発援助のうち無償資金と技術協力、この面につきまして監察を行いまして、関係省あるいは実施機関、さらには現地の関係大使館等につきまして現地調査を行いました。この調査内容が相当種類の多い事業でございますし、ほぼ全省庁にまたがっておりまして、これも大体調査結果を取りまとめいたしまして、現在外務省と関係省庁との間でやはり事実確認作業を行っています。これが終わり次第、速やかに総務庁としての改善意見をまとめまして勧告を行いたい、このように考えております。  それから、第二次ということで有償資金協力をちょうどただいまから同じような観点調査を開始したわけでございます。なお在外公館につきましては、第一次は、昨年先ほどの経済協力対象公館につきましてその外交の体制なり業務運営の効率化、合理化、これに役立てるということで、現地の公館を調査いたしたわけでございまして、調査結果は整理をいたしております。さらに第二次といたしまして、この第二次の経済協力の行政監察の対象公館につきまして、今年度調査を行いました。両方取りまとめまして、全体として所要の改善意見を取りまとめて必要な御意見を申し上げたい、こういう段取りで進んでおります。  なお最後に、畜産行政の監察について御指摘でございますが、御指摘のように六十三年度の行政監察調査につきましては、そのうち特に農業関係につきましては内外の価格差の縮小といったことが非常に大きな問題になっておりますので、特に大臣からの御指示がございまして、畜産行政につきまして時期を早めまして本年度の第三・四半期から畜産に関する行政監察を行いたい、こういうことでございまして、この観点も畜産に関しまする、特に牛肉を中心にいたしましてその生産コストなり流通コストの縮減、引き下げを図る、こういう観点から生産性の向上あるいは流通の合理化、さらに価格安定制度の運用、そういった面につきまして牛肉を中心に畜産行政監察を行いたい、このように考えております。  以上でございます。
  128. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 長官、何か行政監察について一言ありますか。
  129. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員から冒頭御指摘がございましたように、玉置元長官の遺言ともいうべきものと私どもは農協監察につきましては受けとめておるところでございまして、その調査につきましては、十分ひとつ遺憾のないようにきちんとやって御報告を申し上げるようにいたしたい、このように考えております。
  130. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 行政相談委員の問題がありましたけれども、時間がございませんので、またいずれ改めてお聞きしたいと思います。どうもありがとうございました。
  131. 稲葉誠一

    稲葉委員長 午後一時十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ────◇─────     午後一時十一分開議
  132. 稲葉誠一

    稲葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤原房雄君。
  133. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 午前中に引き続きまして、北方領土の問題につきまして若干の御質問を申し上げたいと思います。  最初に、高鳥長官現地を視察なさったということを踏まえまして、二、三お伺いをしておきたいと思うのでありますが、長官には三月二十七日ですか、またこの四月十七日には宇野外務大臣現地を視察なさったということで、地元としましては、二十日足らずの間に二大臣がいらっしゃいまして親しく視察なさり、また地元のいろいな要望をお聞きになったということで、大変に今後に大きな期待をしておるところでありますが、大臣現地を視察なさった状況については新聞等でも私どもお伺いしておりますが、ひとつ率直な御感想とまた今後に対する御決意のほどをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  134. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員からお話しございましたように、院のお許しを得まして、三月二十六、二十七の両日にわたりまして北方領土を視察いたしますとともに、地元関係者皆様方にお目にかかりましていろいろと御要望等承ってまいったところでございます。  私が納沙布岬に立ちました日は大変すばらしい快晴に恵まれまして、地元の御案内いただいた皆様方も、このようなお天気に恵まれることはめったにないと言われるほどのすばらしい快晴であり、かつまた眺望もよくききました。そういう中で、本当に目の前に横たわる歯舞諸島、その一衣帯水の間にいわれなき境界線が引かれまして、それから先は択捉までが我が父祖伝来の固有の領土であるにもかかわらず島民が退去を余儀なくされ、そしてまたその地域に入る漁船は拿捕されて二年も三年も拘留をされるというような極めて遺憾な状態にあるということにつきまして、本当にもどかしさといいますか悔しさといいますか、そういうものを痛感させられたところであります。  かつまた、関係地域住民の皆様方から、北方四島がその地域経済を初めといたしましていろいろなことについて非常に大きなウエートを持っておる、それがソ連に占拠をされておるということがいかに地元にとって重大な影響を与えているかということなどにつきましてもいろいろお話をお聞かせいただきまして、私も大いに認識を新たにいたしたところでございます。  広く国民皆様方北方領土の返還についての意義を訴えまして、ぜひひとつ、粘り強いソ連との交渉を通じまして、一日も早く我が国の固有の領土である北方領土が日本の手に返ってまいりますように努力してまいりたい、このように思う次第でございます。
  135. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 報道によりますと、高鳥総務長官は万感胸に迫る思いだという言葉を仰せになったようでありますし、さらにまた、みずからの目で島を見て理解を深め返還への熱意を高めてほしい、こういうことも報じられておりますが、実際そこにお立ちになって、今もお話しございましたけれども、みずからの目で見て理解を深めて返還への熱意を高めてほしいというこの一言の中には、今後の並み並みならぬ御決意のほどがうかがわれると思いますが、どうでしょう。
  136. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま申し上げたところでございますが、物の本で読んだりあるいはまたテレビで見たりいたしておりますのと、本当に目の前に横たわっておる島々、それが非常に血のにじむような父祖伝来の開拓精神によって我が日本国民の領土として認められてきたものであります、それがいわれなく不法に占拠をされておるということについてはまことに残念でありまして、私自身それを見まして、本当に万感胸に迫るものがありましたし、日本国民たるもの必ず同じ感情をお持ちになるというふうに思う次第であります。  いろいろな機会にぜひ日本国民の皆様方から幅広く現地に立ってそうした事態を御認識いただけるように、また私どももいろいろな企画をいたしておりますが、そうしたものを通じまして総務庁としても対処をしてまいりたい、このように考えております。
  137. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 高鳥総務長官は今までも何度か足を運ばれたことがあったのだろうと思いますが、やはり長官としてさらにまた北方領土の北方対策本部長という立場に立って改めてそこに立ったときの御決意のほどが今のお話だろうと思います。今までも同じような決意であったと思いますが、やはりその責任者という立場で立ってみますと、さらにまた意義の深いものがあったのだろうと思います。また感慨深いものがあったろうと思いますし、また今後に対する決意というものも一層お固めになられたのだろうと思いますが、いかがでしょうか。
  138. 高鳥修

    高鳥国務大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、私が責任者としてなすべきことをきちっとひとつやっていこうという決意を新たにしたところでございます。
  139. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 数年前になるのですが、私どもこの特別委員会現地を視察したことがございましたが、ちょうど幾らも違わずに中曽根総理がやはり釧路に飛行機でおおりになられたわけであります。私どもは視察の予定がございますから当然根室へ参りましたが、多忙な総理という立場でありますからあらかじめいろいろな予定をおつくりになって、釧路から帯広の方にいらっしゃった、それで現地にいらっしゃらなかったという、ちょうどそういうことに遭遇したことがございまして、根室へ参りましたとき地元の方々から、一国の総理としてぜひ地元に来ていただきたかった、すぐ目と鼻の先に来ていただいたのにという、非常に悲痛にも似た住民の方々の声がございました。  今回現地に参りまして、総務長官にもまた外務大臣にも、当然総理にぜひというお話があったとも承っておるわけでありますが、今大臣がいみじくも申しましたように、今までもそれなりの認識をお持ちになって、お立場でごらんになっていらっしゃったと思いますが、しかし責任者という立場に立ってそこに立ったときには、また今までとは違った認識の上に立って決意を固めるとともに、また今までより一層この問題に対しての取り組みといいますか、そういう決意が深まったのじゃないかと思います。そういうことから申しますと、地元の方々が、一国の総理でありますから大変多忙であることは当然のことでありますし認識しておるわけであります、いつとかそういう日にちではなくして、ぜひ一国の総理として、この場に立ってこの現状というものをつぶさに見ていただきたい、また総理という立場で深い認識を持ってもらいたいということは、これはもう地元の住民の方々の声としては当然のことだろうと私は思うわけであります。  そういうことで、過日、現地へ参りましたときの陳情の中の最大の項目は、総理にぜひ来ていただきたい、そしてこの現実を見ていただきたいということだろうと思います。竹下総理も今までは、総理でないときにはいらっしゃったことがあったろうと思いますが、やはり長官と同じような立場であったろう思います。認識を深め、そしてまたさらに今後の粘り強い活動のためには、それぞれの立場の方々がそれぞれ力を合わせていくということが大事なことだろうと思いますが、こういうことについて、午前中もちょっといろいろお話があったようでありますが、総理にもお話しいただいたと思いますし、またそれなりのお話し合いは進めていらっしゃると思うのでありますけれども、ぜひひとつこれは地元の最大の課題として深く強くお受けとめをいただきたいことだと思います。実現のために、対策本部長という立場でも、ひとつ地元の方々に対しての最大の課題として実現方をお願い申し上げたい。  これは総理としましては鈴木善幸総理らが一度はいらっしゃったことがございました。それですべてが解決するわけじゃありませんし、また、それが急転直下局面を打開するということではないかもしれませんが、長い長い道のりの中でのことでありますし、旧島民の方々、一万七千からいらっしゃった方々が今一万そこそこという、戦後以来四十数年の月日がたっておる、そういう中で今また非常に大事なときを迎えておると思いますので重ねて申し上げておる次第でありますが、その辺のことについての御認識と、総理に対してのお話をこれからどういうふうに詰めていらっしゃるのか、お話し合いの状況とか、今後のことについての御決意とか、あわせてお伺いしておきたいと思います。
  140. 高鳥修

    高鳥国務大臣 現地におきまして、ぜひひとつ総理から、自身足を運んで北方領土を視察してほしい、特に総理はいずれソ連の最高首脳とも会われる機会があるであろう、そのときにはやはり現地の気持ちもしっかり受けとめていただき、また、みずからの体験として現地を見ていただいてお話しいただけば、おのずから気迫も違ってくるのではないか、そういう期待を込めて、総理に足を運んでいただいて、ぜひひとつソ連の首脳にお会いになる前に現地を見ていただきたいというのが地元皆様方の非常に強い御要望でございました。  私帰りまして、翌日、政府・与党首脳会議がありまして、総理にお目にかかる機会がございましたので、その際、地元のこの御要望を正確にお伝えをしたつもりであります。総理地元のその御要望のお気持ちは自分としても十分よく理解している、このようにお答えがございました。総理北方領土問題については確固たる決意で臨むということをしばしば申しておられますので、いずれ日程等調整がつけば現地に赴かれるものと考えておりますが、今御指摘のように、大変国事多端の折でもございますので、いまだ具体的なスケジュールについて申し上げることができる段階にはございません。  なおまた、いわゆる北方四島から引き揚げられて根室周辺に定着された方々がだんだん少なくなっていっておるという状況についても、地元からよくお話を承ってまいりました。何分にも北方四島というのは、合わせれば千葉県ほどの大きさもあるということでございますから、それだけの地域がそこにあって、日本国民がそれを本当に自分の領土として機能させることができることによってそれだけの人口が維持できたわけでありますから、それが機能しないということになれば、そこで生活をしていくことができないということになってだんだん散ってしまうということになる。非常に残念なことでありますが、それが現実であります。一日も早い北方領土の返還と申しましょうか、ソ連側が退去をされて国境線がきちっと本来の固有の領土と千島との間に引かれる日が来ることを願いつつ粘り強い交渉を進めていかなければならない、このように考えております。
  141. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 これは対策本部長という立場からいたしますと、地元の方々の士気を鼓舞するということや、北方領土の日を設けられて回を重ねてまいりまして、いろいろな配慮をしておることはよく存じております。また基金をつくりまして、地元振興のためにというそういう手だても進めておることは十分存じておりますが、今、北海道全体が産業構造転換といいますか、特に漁業につきましてはアメリカ、ソ連の二百海里水域での漁獲割り当てがだんだん削減をされて苦境に立たされております。  根室は何といいましても漁業で栄えたところでございますし、さらにまた一市四町もそれぞれ酪農を中心としまして農業、漁業を中心にして栄えた土地でもございますから、そういうことの振興策、さらにまた先ほどもいろいろ議論がございましたが、日米共同演習ということで、これは何も根室だけのことではなくて、北海道全体として感情を刺激するようなことが起きますと世論に非常に大きな影響があるのではないか、そういう総合的な、多角的な問題等について総務長官には心を配って地道にこれを積み上げていくということで非常に御苦労いただくわけでございますが、それらのことについてはまた後ほど申し上げたいと思います。  外務省の方がいらっしゃっておるようでございますので、外務省の方に最初にお伺いしておきますが、きょうもお話がございましたが、墓参の問題につきましては五十数カ所のところをまだ十一カ所しか行っていない、それから、かつては国後には行ったこともあるわけでありますが、最近はもう全然門戸が開かれていないということ。これは交渉事ですから、こっちの主張と、受け入れる方と、両方の話がつかなければならぬわけで、外務大臣がお帰りになってからですか、その前ですか、墓参のことについてはソ連交渉なさったようであります。  外交ルートを通じていろいろなお話をすることはこれからもできるのかもしれませんが、直接責任者にお会いしてお話しする機会ということになりますと、国連総会においてのシュワルナゼ外務大臣との接触、さらにまた秋の本年の日ソ定期協議ですか、こういうところは我々にも今までの外交日程や何かを見まして思いつくところでありますが、外交ルートを通じての交渉、さらにまた直接お会いするそういう機会を最大限に生かして、墓参だけじゃございませんけれども、墓参のことについては何としても厚い壁を一歩二歩打ち破るためにやはり直接交渉ということが非常に大事なことになってくるんじゃないかと思います。きょうの午前中からこの墓参のことにつきましていろいろな御意見もございましたし、また総務長官の強い御決意もございますが、外務省としてこれをどのように外交ルートにのせてお進めになろうとしていらっしゃるのか、その辺のいきさつ、また今後の問題処理に対しての方向性といいますか、そういうこともあわせてお伺いしておきたいと思います。
  142. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  先生御承知のとおり、墓参の問題に関しましては、墓参の枠組みといいますか墓参のやり方についての対ソ交渉というのと、実際に墓参をする箇所ないしは墓参の時期等についての折衝と、この二つがございます。  一昨年、シェワルナゼ外務大臣が日本に来られたとき、それから五月に安倍元外務大臣が訪ソした際に、これは外相間で墓参の枠組みについての話をいたしました。その結果、一昨年の七月二日ですけれども、日ソ間でこの墓参の枠組みについては合意ができております。この合意は一昨年で切れるというものではなくて、継続して有効な合意という形になっております。その合意の骨子は、日本人が身分証明書を持って北方墓参を実施することができるというのが骨子になっております。その合意に従いまして毎年どこに墓参をするかということについて日ソ間で折衝しているのが現状であります。  今年度の墓参に関しましては、四月十三日に、先週ですけれども、モスクワの日本大使館を通じましてソ連の外務省にこの問題を申し入れてあります。それで、申し入れている箇所に関しましては、これから対ソ交渉を行うものですから詳細は申し上げるのは差し控えますけれども、北方四島に関して言えば、四島すべてに墓参ができるようにということで申し入れをしてあります。時期は、大体通常お盆という時期が一つの時期になります。したがいまして、九月の国連総会での外相定期協議の前にはこの墓参を実施したいというふうに考えております。しかし、我々の考えでは、その前にもいろいろな高いレベルでこの問題についてのソ連側に対する要請をしていきたいというふうに考えております。
  143. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 とにかくしっかりひとつ頑張ってください。  これはいつも申し上げていることですが、外務省も国際世論を喚起するということで、いろいろパンフレットをつくってやったり配ったり、そのときどきいろいろなことを外務省の乏しい予算の中でお考えになってやっていらっしゃると思います。しかし、これは息の長いことでありますから、それぞれの国々に対して日本の主張というものを理解させるということは非常に大事だろうと思います。せっかく国内では北方領土の日というのがあるわけでありますけれども、諸外国には、これは何の反響もない、何のこともないということではありません。そういうことで外務省に、パンフレット等についてはいつおつくりになって、その後どういうふうに改訂なさって、どういうふうになさっているのか。時折は聞いておるのですけれども、やはりこれは持続的に進めることが大事だろうと思いますし、その点、最近の状況についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
  144. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、北方領土問題についての国際世論啓発というのは非常に重要な事業であるというふうに認識しております。我々としては、この領土問題というのは日ソ二国間の問題である、日ソ二国間の話し合いによって解決すべき問題であるということは考えておりますけれども、日本側の正しい主張については国際的にも理解を深めたいということで、今先生おっしゃったように、パンフレットをつくったり映画をつくったりして海外において広報を行っております。映画に関しましては十六ミリの映画を数本、それからビデオを数十本つくっております。パンフレットに関しましては、英文、仏文、それからスペイン語でパンフレットをつくっております。英文は二万部、フランス語、スペイン語は五千部というようなものをつくっております。  こういう活動のほかに、外務省が助成をしております団体で北方領土復帰期成同盟という団体がございます。この団体から、これは五十六年以降ですけれども、毎年代表団を各国に派遣して北方領土問題についての各国の理解を深めてもらうために働きかけをしているという事実がございます。そのほかに、毎年の国連総会ですけれども、国連総会の場における外相演説におきまして、この北方領土問題を取り上げて日本側の立場を国際的に訴えているという事実がございます。  以上でございます。
  145. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 サケマス漁業交渉はちょっと一時中断しておりましたが、また再開することになります。この漁業交渉のことや、また三角水域での操業の問題、これは一義的には農水省かもしれませんが、外交ルートということからいいますと外務省も大事なところでして、地域振興といいますか、漁業で生活をし生計を立てている方の多い地域であるだけに、全体的にはだんだん海域が狭められているというのが現状ですけれども、そういう中で、地域の特性といいますか、現状をひとつしっかり勘案しまして交渉等に当たっていただきたい。殊に三角水域の操業問題については、民間レベルでのお話し合いですか、なさる、またいろいろな経緯があるようですけれども、外務省もぜひひとつ漁業問題につきましても対ソ交渉については毅然として交渉をしていただきたいと思います。
  146. 茂田宏

    ○茂田説明員 日ソの漁業交渉で今ペンディングになっておるのにサケマス交渉一つございます。これについては四月二十五日からモスクワにおいて再度交渉を行います。ソ連側は、漁獲に関しましては昨年の実績並みというような提案を、ほかの条件を付してですけれども、行っております。ただ、ことしのサケマス交渉では非常に難しい問題が一つ出てきております。それは、ソ連サケマスをアメリカの二百海里内で漁獲していた、そのアメリカ二百海里内でとっている分についてアメリカが混獲許可を出さない、これはアメリカの裁判所の問題ですけれども、そういう問題が出てきておりまして、少し難航をしております。今の先生の御指摘を踏まえて鋭意努力していきたいと思います。  それから、三角水域における漁業の復活に関連してお答えしたいと思います。  三角水域に関しましては、日ソ間にある二百海里協定の枠内でひれ魚等の漁業が以前には行われていました。ところが、これが六十一年度以降、資源の枯渇、乱獲を理由にして全面禁止になったという事情にあります。それで、これは外務大臣根室に出張した際にも述べた点ですけれども、我々といたしましては、この三角水域における漁獲の復活というものは日ソ二百海里協定の枠内で行われるべきである、それが筋であるというように考えております。したがいまして、民間のレベルでこの問題について話をするということは、領土問題との絡み、さらには日ソ二百海里協定との絡みで望ましくないというように考えております。したがって、政府としては明年度の二百海里内漁獲の問題として三角水域の漁獲の問題を取り上げてソ連側と話をしていきたい、こういう考えでおります。
  147. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 二国間の問題でありますから、日ソ間で今後北方領土返還に対しての話し合いを進めるのは当然のことでありますが、国際世論といいますか、諸外国に日本の立場というものを深く理解させるということが大事なことだということで、外務省もいろいろなさっているようであります。国内的には国際シンポジウムを開催することになって、去年は仙台ですか、行われたようであります。担当者といいますか、こういうところに参加していらっしゃる学者の方々のお話を聞きますと、やはり領土問題というのは各国にありまして、専門の先生方も学者もいらっしゃるのでしょうが、日本は招かれることが多くても日本の国で招いてそういうシンポジウムというのはなかなか開かれていない、またそういう予算もなかなかないみたいなことをおっしゃったことを聞いたことがございましたが、ここ数年、そういう予算をつけてそれぞれの地域で年一同程度は実施するようになったようであります。ぜひこれは、経済大国日本という立場からいいましても、世界じゅうの学者の方々を日本に一堂に集める、そういうことが毎年毎年行われるということは、なかなか大変なことだろうと思いますけれども、やはりアクセントをつけて何年に一遍かはそれなりの方々に来ていただくとか、国際世論を喚起するという上からこの国際シンポジウムというものは非常に重要なことだと思います。  そういう点も十分配慮いただきまして、予算等についても毎年同じとか、同じことを毎年繰り返しているというのじゃなくて、やはり節目節目にはきちっとけじめをつけるような、世論喚起、国際世論、国内的にも大きなインパクトを与えるわけでありますが、そういうことを考慮してもらいたい。今度の予算を見ますと前年対比同じような状況になっておりますけれども、やはり何年に一遍かはひとつアクセントをつけるようなそういうシンポジウムであってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  148. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 北方領土問題の解決のためには国内世論の結集とともに、先生が御指摘のように、国際的にも理解を求めていくということ、それが非常に必要でございまして、この点に関しましては先ほど外務省から答弁がありましたように外務省でいろいろ努力をしておるところでございます。  私たち総務庁といたしましても、この国際世論の喚起ということを非常に重要と認識いたしまして、六十年から国際シンポジウムを開催しておるわけでございます。毎年開催のテーマとか場所あるいは会議の様式等いろいろ工夫はしておるのでございますが、先生指摘のように、こういう息長く続ける問題はともかくマンネリ化しやすいということもございます。先生指摘趣旨を踏まえまして、この開催の仕方につきましては今後とも検討させていただきたいと思います。
  149. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 ぜひひとつ御検討いただきたいと思うのですが、長官、これはやはりうちというか日本の国の予算制度が前年対比で見るようになっていますから、総体的な予算の中ではやりくりできるのかもしれませんが、国際シンポジウムというような項目になりますと、あるときはたくさんふえてあるときはまた減るという、予算との絡みからいいますとそこらあたりは相当実情を把握した上で物事を処理いたしませんとなかなか難しいことじゃないかと思います。そういう点、ひとつ十分に御検討なさって、今のお話のように息の長いこれからの運動ということでありますから、平たんな同じようなことがただ繰り返されているというのじゃなくて、ぜひひとつその中に何年に一遍かはやはりアクセントをつけて、大規模といいますか内容的にも、いらっしゃる学者のこと等いろいろ工夫しながらやっていくような、そういう十分な予算づけといいますか、そんなこともひとつ配慮しながら進めていくということで御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  150. 高鳥修

    高鳥国務大臣 私どもの立場からいたしますと一日も早い返還をということでございますので、余り何年も先のことを申し上げるのは適当でないわけでありますが、しかし一つの節目というようなときには、委員の御提案のようなことも考えてもいいのではないかと考えますので今後検討させてまいりたいと存じます。
  151. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 それはもう私から言いたいことなんだけれども、あすあさってにという状況じゃない。そしてまた急転直下解決するようなことでもないので、地道な一つ一つの積み重ねという中から突破口が見出される、また時の大きな変化といいますか、そういう中でまたやっていくような体制といいますか、そういうことで申し上げておるのであります。これは北方対策本部予算を見ますと大体前年対比でなだらかに来ているわけですから、ある年に何かをといいましてもなかなかできないような仕組みになっているので、ひとつそういう点において長官に予算づけなんかについても御配慮いただきたいということを申し上げているわけであります。  時間も余りありませんのでなんですが、大臣地元へ参りましていろいろなお話をお聞きになったことだろうと思います。その中で、戦後四十何年たちましてだんだん意識というものが薄れつつある。  これは函館で開かれました第二十二回道高校郷土研究会、北海道の高校の郷土研究会で高く評価されました、歴史部門で三年連続の最優秀賞に選ばれたと言われる根室高校の意識調査があるわけです。道立根室高校の地理研究部の聞き取り調査によりますと、旧島民と二世の方々の間にだんだん意識のずれが生じておる。これは四十三年にもなりますと考えられることでありますが、実際聞き取り調査をした結果からしまして、時間もありませんから一つ一つ申し上げることはできませんが、北方領土返還ということに対して関心を持っている、大いに関心を持っているという旧島民の方々は九五・八%、これはかつて島にいたわけでありますから郷愁を覚えるのは当然のことだと思います。  しかし一方では、余り関心がないといいますか、こういう方々が二世の中に五八・一%、大体半分強の方々がこういう意識であるという結果が出たわけなんです。特に二世の中でも高校生、こういう方々につきましては四一%の人が関心が薄い、こういうことが意識調査そのほかいろいろな項目で調べられた結果出ております。当然お読みになってお持ちになっていらっしゃることだろうと思います。これは先ほど私も申し上げた、一つの節目とかいうことからしますと、今そういう点では四十三年たちますと非常に大事なときに来ているな、そしてまたここでしっかりいたしませんとならぬなと思うのです。  北方領土の日を設けまして数年たつわけでありますが、これは式典ということで関係の方々がお集まりになってやるわけであります。これはこれなりにまた意味のないことじゃないだろうと思いますが、毎年同じことを繰り返していたのでは、国民世論の喚起ということからしましてまたやっているというだけのことであって、新しい意識にはなかなか役立ちづらいだろうと思います。こういうことからしまして、今後の施策につきましても今までそれぞれの部門で北方対策、いろいろな対策を講じておりますが、地元の関係の方々の意識が強い中でこそいろいろな運動というものが始まるのでありまして、意識がだんだん薄らぐようなことではいかがなものか。こういうことからいたしまして、いろいろな制度についてもこういう意識のずれ等を念頭に置いて検討しなければならない時期に来ているのではないか、このように思うわけであります。  そういう中で、何点かいろいろな問題がありますけれども、元島民の方々に対する融資のあり方につきましても、島民でなければならないということだけで、このままいっていいのかどうか。一万七千の方々が一万になる。そういうことからいたしますと、自分の父、母、また自分の先祖がそこにあったという意識を持たせるという意味からいきましても、やはり二世、三世の方々も融資の対象にするというようなことも何度も当委員会でも述べておりますし、また皆さん方もいろいろ検討なさっていることだろうと思うのでありますが、こんなにだんだん意識のずれが出てくるようなことだと、元島民の方々と二世の方々の間の意識のずれですから、これは一番原点になるわけでありますから、ここがこういうことになりますと、この先どうなるのかというようなこともございます。  単なる精神教育だけでできることじゃない。いろいろな制度というものの中にそういうものを感じさせるものがあってしかるべきだろうと思うのでありますが、この融資のあり方等についてもそろそろ結論を出して、そして二世の方々に対しましてもそれなりに意識を取り戻す。意識だけじゃございません。これは設立の趣旨があるわけでありますけれども、枠を広げるようなこともお考えいただいてはどうか、こう思うのでありますが、いかがでありましょう。
  152. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 先生指摘のように、北方領土に住んでいて帰ってきた方々、終戦当時帰った方、一万七千人いたのでございますが、最近では一万一千人程度に少なくなったということもございます。また、だんだん地元でもほっておけば北方領土問題に対する意識が薄れる、そういう事情もあるかと思います。そういうことで前々から、融資の対象を法律では北方領土に住んでいた人に限られていたのですが、その二世、三世までに広げるようにという御要望が従来からございます。この点につきましてはいろいろ問題がございまして、一番大きな問題といたしましては、この法律の趣旨が現に北方領土に住んでいた方がいわれなく島を追われて帰ってきましたためその生活を支える、そういう意味のものでございます。  しかし、地元の方の御要望も多いし、また北方領土返還運動観点から眺めてみてはどうかというお話もございます。それを進める上で見直したらどうかということもございます。私たちはいろいろ難しい問題はございますが、そういう期待に何らかこたえる道はないかということで、まず実態調査してみようということで、現在北方領土から引き揚げた方々の団体であります千島連盟を通しまして、その実態調査しているところでございます。
  153. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 実態調査するということは、実態調査してそれを現実の中から融資の対象の枠を広げるという可能性もあるというふうに理解してよろしいですか。
  154. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 それは調査の結果によりますが、当然そのような方向にした方がいいという結果を導くような調査の結果が出ましたならば、そのような方向に向かって検討することになるかと思います。
  155. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 大臣、これは大事なことなのです。一番かなめになる旧島民の方々が一万人を割ってだんだん少なくなる、これから年数がたてば当然そうなるわけです。大臣の言うようにあすあさってというわけにいかぬわけでありますから、そうするとそれを受け継いでいる方々、現在生活の基盤は二世、三世に移っているわけですから、お借りしても実際は旧島民の方々が即それでお仕事をするということではない、そういう立場の方も多いように私どもは見受けておるわけであります。もっと実態に即した、またこういう時代の大きな動いている中での現状を踏まえて、現実に即した形でひとつお進めいただきたい、こう思うのですが大臣いかがでしょう。
  156. 高鳥修

    高鳥国務大臣 先ほど委員から御指摘がございましたが、例えば北方領土の日につきましてことしは九段会館で大会を行いましたが、衆議院議長、参議院議長を初めといたしまして、各党代表の皆様方からも大勢御参加をいただきましたし、総理を初めといたしまして政府側もそろいまして、かつまた参加者も例年になく非常に熱意に燃えて御参加をいただいたという感じを受けたということを、前から扱っておる者が私に報告いたしておりました。そのようなことで、国全体としては熱意が衰えたとかなんとかいうことはないと思いますし、関心が薄らいだということもないというふうに思っておりますが、戦後世代がまさに全人口の六〇%を超えたというような今日におきまして、先生指摘されるようなこともあるいは絶無ではないかもしれません。  しかし、私どもはいろいろな機会に粘り強くそうしたPRも幅広く行ってまいりたいと思いますし、先ほど文部省から教育の問題についてちょっとお答えがあったわけでありますが、新任教員の方々から北方領土を見ていただいてその実感を生徒にまたお話しいただくというようなことがこの前あったそうでありまして、これらも大変結構なことではないかというふうにも考えております。ただいまの融資の問題につきましては、審議官からお答え申し上げましたように、実態を調べました上でできるだけ前向きに対処してまいりたい、このように考えております。
  157. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 旧漁業権者の問題についてもちょっと触れたいと思ったのですが、時間もございませんからまた後日にいたしますが、そういういろいろな過去のいきさつがあり、そうしてそれらの方々に対しての措置として今日までもいろいろな施策が組まれてきております。そういうこと等考えますと、確かに設立当時の趣旨はあるのかもしれませんが、現実的な対応ということをぜひひとつお考えいただきたい。  それから大臣の所信表明の中にも、ことしの北方領土の日は大変に盛大だったぞというお話もございました。私もそう思いますが、これが一つの核となってさらにまた新しい波を起こしていきたいと思いますが、大臣の所信表明の中に「全国青年フォーラムの開催等青少年に対する啓発活動の充実強化」云々ということがございますが、これは非常に大事なことでありますし、六十三年度の予算の中で「中学生向け啓発資料の作成・配布の拡充」こういうことをやってきたということでありますが、これはぜひ若い世代の方々にまた新しい認識を深めさせるということが今日でいえば何といっても大事なことだろうと思います。  私は、何も建物を建てたからそれで物事が進むということを言っているのじゃ決してないのです。確かに、あそこに塔があったり北方館があったりいろいろなものがあるのですけれども、最近は修学旅行とかバイクで全道を回られるような方々が絶え間なくいらっしゃる。あそこで、あれが北方領土だと望遠鏡で眺めるのはいいのですが、資料もあそこに並んでおるわけですから、修学旅行なんかで当地に来るような誘導策をある程度望みたいと思います。ただ望遠鏡で眺めるだけじゃなくて、あそこに大きなものでなくても、修学旅行の方々がいろいろ語り合って研修や宿泊のできるような場ができればありがたいことだなという感じがするのです。  根室の町から離れておりますが、根室の町にも会議を開くような大きなものがそうあるわけではございません。当地へ参りましてすぐお帰りになるというのではなくて、そこで高校生や青少年の方々が、いろいろな資料を目の前にして一晩語り合うということが非常に大事ではないか。建物を建てて意識を高揚するという、何も建物だけに執着して言っているわけじゃありませんが、今ある物が非常に機能的でない一面もあるのじゃないか。今までとは変わった発想で物を見ていきませんと、若い人たちに根差した運動というのはできないのじゃないか。  我々のように戦後のいろいろな事情をある程度知っている人たちじゃなくて、全然知らない若い世代の人たちにどう意識を持たせていくかという観点で物を考えていかなければならないのじゃないかというような気がしてならないのであります。全国的ないろいろな運動とともに、地元にいらっしゃった方がただ眺めてお帰りになるのじゃなくて、いろいろ資料もあるのですから、そういう雰囲気の中で討議をする研修センターのような形のものがあってしかるべきじゃないか、こう思うのでありますが、ぜひ若い青少年の人たちに対する啓発運動、これはいろいろ御検討いただかなければならないことだと思いますけれども大臣どうでしょうか。
  158. 高鳥修

    高鳥国務大臣 現地に参りまして市長さんからいろいろ御意見を承りましたが、市長さんの御意見では、何か最近、大分根室にもいろいろな方々がおいでいただくし、また、かなり大きな大会等も持ちたい、ついては、それができるような施設がないので何かそういうものが欲しいというニュアンスのお話がございました。その点については市としてもまだ確定的な方向が固まっていないということもございまして、私としましては、そういう点についてはまた道の方ともよく御相談の上お持ちくだされば総務庁としてどのような御協力ができるか検討してまいりたいということを申し上げておきました。  いずれにいたしましても、地元の御意向も必ずしもまだ固まったものではございませんので、その辺についてはよく地元状況等を伺って、総務庁として対処できるかどうか検討してまいりたいと存じます。
  159. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 最後になりますが、北方領土隣接地域振興ということが一つの大きな課題になっておりまして、根室市は五万を超しておりました人口がここ二十年近くの間に一万ぐらい人口が減ったというような現況でありますが、それは地元に参りましていろいろなお話があったと思います。漁業を初めといたしまして地元にはいろいろな振興策が考えられております。これらの地元での活性化の構想、いろいろなものが打ち立てられているお話もお聞きになったと思いますが、総務庁、ぜひひとつお力添えを賜りたいと思います。  北方領土地域に住む方々が、国の力で、また自分たちの努力で住みやすいところになったということになりませんと、北方領土返還とかをどんなに言われても、そこは生活するのに大変なところだということではなかなか大変なことだと思います。そういうことで、地域産業の振興ということを中心としまして、道路のことからいろいろなものがこれに含まれると思いますけれども、ひとつ大臣に御努力をいただきたい、こういうことを要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  160. 稲葉誠一

    稲葉委員長 林保夫君。
  161. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣初め皆様御苦労さまでございます。時間が限られておりますので、北方領土の返還、私どもは四島ということを言っておるわけですが、その周辺の情勢がどのようになっているか。これは国際情勢の中にありますから刻々変わっていきます。きょうはそれをきっちり聞かせていただきたいということと、これからの運動の展開をどうしたらいいのか。それから、もう一つ最初に申し上げておきますが、運動しろしろと言うだけでは返らぬということです。これは皆さん御存じだと思います。やはり交渉しなければなりませんからね。それをどのようにやっていかれるかという点をきょうは大臣にしっかりとお聞きしたい。このようなことで質問させていただきたいと思います。  大臣、過日は本当に御苦労でございました。わざわざ納沙布沖ですか、その周辺まで御足労いただきまして御視察いただいたと思います。その御感想及び返還に対しまする御決意をまず承りたいと存じます。
  162. 高鳥修

    高鳥国務大臣 先ほど来申し上げているところでございますが、過日、院のお許しを得まして北方領土視察に参りました。  納沙布岬に立ちましたときには大変すばらしい快晴でございまして、目の前に水晶島あるいは遠く国後の山々も望見できるというような状況でありました。そのまさにすぐ目の前に、今不法にもソ連が占拠しておるために境界線が引かれておる、全く理由のない境界線を引かれておるわけでありまして、私どもといたしましては、本来の日本の固有の領土である北方四島をきちっと日本に返してもらうということをやはり一日も早く実現すべきである、このように考えております。  あの境界線をわずかに越えただけで漁船が拿捕されたり、あるいはまた、そこから数多くの島民の方々が追い払われて今根室周辺にかなり多くの方々がいらっしゃるわけでありますが、その根室地域を含めまして、あの島々が奪われておるために、本来ならば、その地域の人たちにはもっともっといろいろな生活の態様があるはずなのにそれができない、そういうことに対するもどかしさといいましょうか悔しさといいましょうか、そういうことを痛切に感じさせられた次第でありまして、確かに国内で幾ら返せ返せと言っておっても、これは外交交渉の問題でありますから実を結ばぬではないかという御指摘もあるかもしれませんけれども、外交交渉をやるにはやはり広い国民世論のバックアップというものがどうしても必要だろう、そのためにこそ総務庁としてはベストを尽くしていかなければならぬということを痛感した次第であります。
  163. 林保夫

    ○林(保)委員 確かに国民が一致しての要望でなければならぬと思うのです。しかし私は、もうこれは国民一致しての要望になっている状況だと思います。しかし、戦後世代がふえてまいりましてまだ十分な理解を得てない、そのために基本的な国民としての願いとどういう態度であるべきか、これをしっかりPRするということも大事だと思いますが、その辺について長官あるいは御担当の皆さん方はどういう対応を考えておられますのか、その辺をまず承りたいと思います。
  164. 高鳥修

    高鳥国務大臣 北方領土問題に関しましては、大体政府の方針というものを広く国民の皆さんに御理解いただいているのではないかというふうに思っております。全千島の返還を要求しろとか樺太南半分を要求しろとかいろいろ言われる向きもありますけれども、政府が決めましたいわゆる安政元年一八五五年に得撫島と択捉島との間に日本とロシアとの間において平和裏に話し合いをして通好条約においてそれぞれの領土を認め合った、そういうことをもととしての固有の領土の返還要求ということについては広く国民の皆様方の合意を得ているところである、このように考えております。  ソ連側に対しましても、そのことについては私どもといたしまして粘り強く外交交渉を通じて訴えてまいりたいと存じますし、ソ連側も、田中元総理の訪ソのときでありますけれども一時は若干ニュアンスの違った回答をした事実もあるわけであります。その後におきましては、日ソ間に領土問題はないというかたくなな態度を続けておりますが、ソ連側もペレストロイカなど国内の体制あるいは対外姿勢にも若干の変化が見られるようでございますので、こうした機会にまた外務省の方から一段の御努力をいただくべきであろう、このように考えております。
  165. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣の御発言を踏まえまして、きょうは総務庁の方の紀審議官が来ていただいておるのでございますか、ひとつPRする場合の基本の、つまり日ソ間はどういう状況なのかという、総務庁なり対策本部はPRする場合にどういう認識をされているのか、それを後で外務省に詳しく実務上の問題としてひとつ御説明いただきたいと思います。  つまり、田中総理が懸案があるというところまで認めさせている、その後が一体どうなっているのか。国民にとっては随分長い間たっていますね。自分たちの立場は言いたくないのですが、民社党・同盟は、私もそうですが、毎年二回ぐらい資金カンパをやります。やったお金でもって同志を納沙布沖まで持っていく。各県ではそれぞれの大会を開いてやっているわけです。周知徹底していないことはないわけです。ところが、同じことを繰り返していて本当にちゃんと政府なりあるいはそのほかの責任を持っているところがやってくれるかという問題が既に出ております。  実は、きょう御質問申し上げるのも、もう手のうちを申し上げますと、昨年九月二日に山下長官に御質問したとほとんど同じ質問になると思います。北方領土が返るまで実は私は毎回やろうと思っているのです。そういった意味で、まずPRされる責任の立場の人は、日ソ間がどうなっているかという認識をひとつはっきり示していただきたい。その後で外務省が実務的にはこうなっていますと、食い違ったっていいのですよ、向こうは実際に折衝して、きょうの情勢を皆さん知らないことはわかっているのですから。パンフレットをつくられる、つくられる中ではどうなっているのだ。皆さんがやってくださればそれに脈があるのだという希望を持たせるような状況でないと意味がないと思いますので、その辺のニュアンスをちょっとちょうだいしたいと思います。
  166. 鈴木榮

    鈴木(榮)政府委員 最近のソ連の外交につきましては、INFの合意とかアフガンからのソ連の撤退とか、外務大臣がおっしゃっていますいわゆるダイナミックな動きがあるということは聞いておりますが、北方領土問題に関するソ連の姿勢というものは、最近の外務大臣の北方視察あるいはうちの大臣の北方視察の後のソ連からの外電を見ますと、依然として厳しい態度は変わっていない、そういう認識でございます。我々としては、北方領土というものはあくまでも歴史的には国際法上も明らかに我が国固有の領土だという認識を広めまして、これを外交を進める支えにしよう、そういう立場で国内の啓発活動を進めているわけでございます。
  167. 林保夫

    ○林(保)委員 厳しいなら厳しいということで、それは皆さんが直接外交折衝をやるわけではないので、これはそれとして評価してよろしいと思いますが、どういう段階にあるかぐらいの認識はやはり持たれた上でやりませんと、せっかくつくったパンフレットあるいは北方領土の日に大勢呼んで結構だ結構だ、来ただけ結構だ、認識が深まったなと思っただけでは目的は達せられませんので、返してもらうということがまさに私どもの目的でございますので、その辺はひとつ御認識いただきたいと思います。  そういった意味で、きょうは外務省のソ連課長さん来ていらっしゃいますか——どういうつばぜり合い、つばぜり合いにもなっていないのかどうかですね。私どもからしますと、米ソ間で軍縮そのほかの情勢ができ上がったら、もう外務大臣じゃなくてゴルバチョフ書記長がちゃんと来てやるという期待を持っていましたね。それが、中曽根さんと平仄が合わなかったのかどうかという問題あるいは国際情勢がそれぞれにおかしかったのかどうかわかりませんけれども、ともかく昨年は来なかった。一体来るのかどうか、それからシェワルナゼ外相とは外務大臣は時に接触はあろうかと思うのですが、なお、それが今年の外交日程でどのようになっているかをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  168. 茂田宏

    ○茂田説明員 林先生質問に三点に分けてお答えしたいと思いますけれども、まず、ただいま現在日ソ関係全体の状況についてどういうものであると我々が見ているかということについて一言申し上げたいと思います。  実務的な関係、経済の関係、貿易の関係それからいろいろな文化交流の関係ですとか実務的な関係についてはいわば順調に進展しているということが言えると思います。ただ、北方領土問題に関しては、ソ連側に国内政策面でも外交政策面でもいろいろな動きがありますけれども、この動きは今なお北方領土問題には反映されていない。ソ連のこの問題についての対日政策については、本質的な意味でのペレストロイカも新しい試行も見られていないという現状であります。そういうことですので、時々北方領土問題があるがゆえに日ソ関係が全体として進展していないということを言われますけれども、これは、事実の問題としましては、北方領土問題以外の関係は進展しているけれども北方領土問題が進展をしていない、そういう意味で取り残されてきている形にあるというように認識しております。我々は、この問題は非常に重要な問題ですから、日ソ双方が今この問題に真剣に取り組む時期に来ているということをソ連側に強く訴えてきております。それが第一点。  第二点ですけれども、平和条約、北方領土問題交渉についての現状ですが、これは、一昨年一月シェワルナゼ外務大臣が来まして、五月に安倍元外相が訪ソしました。そのときに、日ソ間では明快な合意をしております。それは、一九七三年の田中・ブレジネフ共同声明において確定した合意に基づいて、日ソ平和条約の内容となり得べき諸問題を含めて同条約締結に関する交渉を継続するという合意ができております。これは一昨年一月に行われ、五月に行われたわけですけれども、我々の考えでは、問題の重要性にかんがみましてこの交渉は外相レベルまたは首脳レベルで行われるべきであるというふうに考えております。  そこで、次のこの交渉をどう行うかということですけれども、これについても日ソ間では一応の合意があります。その合意というのは、一九八七年中に、去年じゅうですけれども、シェワルナゼ外務大臣の来日を得て外相間定期協議を東京で行う、その際にこの交渉も行うことで合意をしてあります。しかるに、その後ソ連側から、米ソの動きがありましたものですから、米ソ交渉との絡みでシェワルナゼ外務大臣の訪日ということは少し都合が悪いので延ばしてほしい、こういう話がありました。これは、延ばしてほしい理由が米ソINF交渉とかSTART交渉との絡みということですから、我々も米ソ交渉重要性というものを十分に認識して、ソ連側の都合が悪いということについては一応の理解を示したということになっております。  したがって、シェワルナゼ外務大臣の訪日につきましては、本年後半以降ということになりますけれども、我々としてはこういう合意があったことを踏まえてシェワルナゼ外務大臣が早期に来日することを希望していますし、そのための具体的日程の調整というのは外交ルートを通じて今後鋭意やっていきたいというふうに考えております。北方領土問題については、そういう意味で一応向こう側もテーブルには着いてきた、日本側の話は聞くという態度になってきたという実情ですけれども、向こう側は話の内容は解決済みということで、実質内容は非常にかたいというのが現状でございます。
  169. 林保夫

    ○林(保)委員 私も外務省の見解はそのとおりの情勢だろうと思います。しかし、それだけに、北方領土返還運動の総括の最高責任者として私どもが期待申し上げる高鳥長官には、どういう山を設けて、どのように外交をバックアップしながら竹下内閣としてどのような対応をされるかという本年内の腹案でもあれば、秋以降接触の機会があるそうでございますので、お聞かせいただきたいと思うのです。
  170. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま外務省の方から現状についての御報告がございましたが、竹下総理北方領土問題については非常にかたい決意を持って交渉に当たりたいというふうに常々申しておられますので、私ども、その御意向を体しながら、ただいまの御意見も十分踏まえまして今後の活動を進めてまいりたい、このように思います。  では、具体的に今それをどういうスケジュールでどうやるかということについては、ちょっと申し上げるまでにまとまっておりませんので、今後ひとつ十分検討させてまいりたい、このように思います。
  171. 林保夫

    ○林(保)委員 これは最後に承ろうと思っておったのですが、長官、前回も山下長官に、大変失礼かと思い、なおかつ議事録にそういうのが出てはいかぬかということで、委員長にもし不都合があれば議事録を削っていただいて結構ですということを申し上げたのですが、同じ質問をしたいと思います。  交渉する以上は、沖縄のときも同じです。ましてや、北方領土、これは大変なことですね、向こうはかたくなですから。返ってきた後北方領土をどうするか、この辺の腹案がなければこれはやはり交渉にはならぬと私は思うのです。そういう腹案はABCあってもいいし、多ければXYZぐらいあってもいいと思う。その中のどれでいくかというのは、まさに話してよければ国会で話す、提案してよければ国民にも話す、そして、あそこをどういうゾーンにして日ソ間が有効に、日本が占有するのか、占有するのですね、返してもらうのですから。そこらあたりを返還運動をやる場合には当然お考えになっておられるでしょうから、それをお示しいただきたい、こう前回申し上げたら、議事録ございます、時間もありませんからそれを読むのはやめましょう。長官はどのようにお答えになりますか、答えていただきたい。
  172. 高鳥修

    高鳥国務大臣 沖縄の場合には、これは現に日本国民がそこに生活を営んでおったわけでありますし、そしてまた、いわゆる主権についてはいわば潜在主権というような形であったかもしれませんが、施政権はサンフランシスコ条約においてアメリカに渡したという形になっておりましたので、したがって、沖縄はアメリカから施政権を返還してもらうという交渉であったと思うわけであります。  それに対してまして、北方領土の場合には性格が異なりまして、私どもとしては主権も施政権も放棄したつもりではないわけでありまして、いわれなくいわば奪われておる。したがって、返還ということは、私の個人的な感じでありますけれども、長い間使ってきておりますが、返還という言葉が果たして適当なのかどうか。むしろ不法占拠しておるその状態から速やかに退去してもらいたいということの方が本当ではないかという感じであります。  それでは、退去してもらった場合にどういうふうにするかということについては、私は政治家個人としては今いろいろと考えているところがございますが、今この場でそれをこうするとかああするとかいうことを申し上げることは、いささか適切ではないのではないかというふうに考えますので、御容赦いただきたいと思います。
  173. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣のおっしゃられることはよくわかります。不法占拠による退去の問題、政治家としては考えなければならぬ、私なりに持っております。大臣もお持ちなのは当然なんです。しかし、これだけ国民運動としてやっていながら、私の質問に対して大臣が三原則はこうだとか四原則はこうだとかその辺が答えられないようでは、内閣なり、政治責任を持つのは怠慢だと言わざるを得ないと私は思うのです。大ざっぱな話だけで結構です。ぜひ大臣、そこらあたりをしっかりつくられて、そういうものがあれば、余計みんなが運動を一生懸命やろう、こういうことになると思います。  と申しますのも、ちょっと長過ぎますね、これだけ長々とやっておるということは、そこらあたりで逆に運動が白けてしまってはだめなんです。そのためにこそ新しいパターンで運動を進めなければならぬ、こういうことですから、大臣はいかがお考えでしょうか。
  174. 高鳥修

    高鳥国務大臣 何といいましょうか非常に重大かつ微妙な問題でございますので、これは一北方対策本部長がお答えする限界を超えているのではないかというふうに私は感じます。むしろ、総理がお答えをすべきことではないかというふうに思います。総理もいろいろお考えになって交渉に当たられると思いますので、その交渉に当たられるような機会には、私が今考えておりますことなどにつきましても総理にいろいろと申し上げてみたい、このように思います。
  175. 林保夫

    ○林(保)委員 その辺をひとつきっちりやっていただきたい。結局、交渉事というのはその雰囲気だけでは解決しませんから、やはり実務的にやる、それをやっていかなければ何のために大勢が身銭切って北方へ行って返せ返せと言っているのかわけがわからないということになってしまったのでは、できるものができなくなりますので、強く強く御要望申し上げて、またの機会にこの質問はさせていただきたいと思うのです。  つきましては、さっき承ればよかったのですが、今の北方領土周辺の状況でございますが、時間が足りなくなったのですが、昨年に比べてソ連の増強が激しいという話も聞きます。それから、この前御質問申し上げたら、消息不明の飛行機が年間九百くらい来ているのだという御答弁もあったわけですが、それが今どのようになっているのか、四つの島に今何人ぐらいソ連軍がおるのか。  それからもう一つ、この前皆さんに御答弁いただけなかったのですが、もう大分たっておりますのでお調べいただいたと思いますが、あそこへソ連の民間人が何人ぐらい定住化あるいは仮に住まわれているのか。  時間がございませんので、防衛庁から主にその三、四点をお答えいただきたいと思います。
  176. 伊藤康成

    ○伊藤説明員 初めに、私の方から二、三点につきましてお答えさせていただきます。  まず、北方領土周辺、極東ソ連軍というふうに申し上げた方がよろしいかと思いますが、極東ソ連軍の増強ということでございますけれども、私どもはかなり逐一つかんでおるつもりではございますが、整理の都合もございまして、ある時点ある時点ということでは整理をしておりません。したがいまして、昨年申し上げたところとそう変わりはないというふうに今の時点では申し上げさせていただきたいと思います。  念のため極東ソ連軍ということで申し上げさせていただきますと、地上軍では二個師団二万人程度が過去一年ぐらい、一年強でございますが増強されているというような事情がございますし、海軍、空軍につきましては質的な増強、海軍で申しますと新型艦艇が回航されている、あるいは空軍で申しますと新しい型の飛行機がふえておるというようなことが言えると思います。  次に、北方領土におけるソ連軍の配備状況でございますが、これも前回御答弁申し上げましたところと余り差はないというふうに私ども見ておりますが、現在、数で申しますと、陸軍が、地上軍がおおむね一個師団規模、それから空軍は航空部隊でございますが、ミグ23約四十機程度というふうに私ども見ておる次第でございます。人数はということでございますが、一個師団規模と申しますと、北方領土の場合は大体七千から八千程度というふうに見ております。なお、このほかに国境警備隊というものが約三千程度の規模でおるのではないかというふうに見ておるところでございます。  三番目に民間人の数でございますが、これは前回お答えできなかったわけでございますが、私ども必ずしも所掌であるとは思っておらないわけでございますが、いろいろ資料を探してみましたところ、いささか古くて恐縮でございますけれども昭和五十六年の八月二十五日という時点でございますが、ノーボスチ通信社というソ連の通信社でございますが、ここから出した資料によりますと、その前十年間、一九七一年から八〇年と申しますから、昭和四十六年から五十五年ぐらいにかけてだと思いますが、四島、歯舞にはほとんどいないそうでございまして、択捉、国後、色丹合わせまして合計二万人程度、一万九千何がしという数字が出ております。なお、その通信社の記事によりますと、択捉島、国後島ともにその後十年間で三〇%程度ふえておるというような記事があったことを御紹介させていただきたいと思います。それ以上新しいものはちょっと見当たりませんでしたので、御了承いただきたいと思います。
  177. 大森敬治

    ○大森説明員 スクランブルの回数につきまして御説明させていただきます。  前回も御答弁させていただきましたように、大体九百件前後あるわけでございますけれども、六十二年度につきましては八百四十八回でございました。ちなみに六十一年度は八百二十五回でございますので、大体九百件前後の回数で推移しております。
  178. 林保夫

    ○林(保)委員 今承った中で一つ、新型艦艇、新型飛行機、こういうものはどういうものでしょうか。ちょっとお聞きしたいと思います。今まではミンスクとかフルンゼとかノボロシスクとかイワン・ロゴフとか、国民は皆そういうことはわからないわけですよね。名前を聞いただけでも、これは新型船のえらいのが来ておるというような感じになるわけですが、新しいのが来ておるということであれば、どういう種類のものがほぼどの程度か、ひとつ簡単に。
  179. 伊藤康成

    ○伊藤説明員 まず海軍でございますが、主な最近目立ったものとしては、ウダロイ級あるいはソブレメンヌイ級のミサイル駆逐艦といったようなものが参っております。これは極めて最近の昨年十二月に今の二種類の船が回航されてきております。それから空軍、航空部隊でございますが、ミグ31フォックスハウンドあるいはSU25フロッグフット、SU27フランカー、いずれも戦闘機あるいは戦闘爆撃機でございますが、こういったようなものがふえておるという状況でございます。
  180. 林保夫

    ○林(保)委員 それから今度の米ソ合意によってSS20の極東配備、これもやめるということでございますが、現在の配備とやめる時期は大体いつごろというふうに見ておられるか、その辺を。
  181. 伊藤康成

    ○伊藤説明員 現在、SS20は極東方面には百六十二基あるというふうに承知しております。なお、先般のINFの合意によりますと、協定が批准されましてから三年以内に全廃するという約束になっておりますので、そういう時期になるのであろうと思いますけれども、具体的にどこがどうというところまではちょっとわかりかねるわけでございますが、恐らく向こう三年程度の間にはなくなるであろうというふうに見ております。
  182. 林保夫

    ○林(保)委員 それからもう一つ、スクランブルが大体八百四十八回ということでございますが、これはソ連機ばかりじゃございませんでいろいろな国があると思いますが、できればその内訳を。
  183. 大森敬治

    ○大森説明員 御指摘のとおり、スクランブルの内容につきましては必ずしもソ連機だけではございませんけれども、ほとんどがソ連機でございます。また、具体的な内容につきましては国別のものをとっておりませんので、御勘弁をいただきたいと思っております。
  184. 林保夫

    ○林(保)委員 防衛庁さん、ありがとうございました。  大臣、お聞きのように、実は本当を言いますと、ソ連に対して日本の防衛体制はどうかということをお聞きしたいのですが、時間がありませんので省略させていただきたいと思います。きょう初めて私も皆さん方から、二万人規模の民間人が来ているということ、それで既に陸軍一個師団、さらには国境警備隊そのほかを入れますとこれが一万二、三千にはなるのでございましょうね。足し算しますと三万幾ら。それから、私どもに入っている情報でいきますと、全体で五万近くになっておるのじゃないかというのもありましたり、いや民間人の定住は八千だというのがありまして、私もいろいろ聞いてみたのです。それも正確にわからないから、やはりここらあたりは長官あたりがしっかり踏まえられて、なぜ返還を急がなきゃならぬか、交渉を急がなきゃならぬかというのは私はこの点にあると思うのです。  それで、今お答えいただいた方でちょっと一緒に聞きたいのですが、その二万人がどういう種類の仕事の人かというのを情報があったらひとつ教えていただきたいのです。
  185. 伊藤康成

    ○伊藤説明員 持っております資料が大変短いものでございますが、そこに書いてあるところを一、二御紹介いたしますと、択捉島には硫黄が多く、硫黄生産工場の建設計画が進められているというような記述がございます。また国後島につきましては、主な産業は漁業である、また農業も盛んで、食肉、牛乳、野菜などをつくっておるというようなことが書いてあるわけでございますが、それ以上はちょっと私ども資料を持っておりません。
  186. 林保夫

    ○林(保)委員 引き続いて、外務省及び防衛庁あたりは、この辺の情報もしっかりとらえられて、交渉する場合、返ってきたらどういうふうに対応するかということまで考えなければこれは交渉にならぬと私は思っておりますから、しっかりやっていただきたいと思います。それではひとつ外務省さん。
  187. 茂田宏

    ○茂田説明員 お答えいたします。  北方四島周辺のソ連側の居住者ですけれども漁業者が多いというように考えております。国後島には漁業コルホーズ「ロージナ」というところがありまして、これは水掲げ量が二万トンを超えているということです。それから古釜布、ユージノ・クリルスクには漁業のコンビナートがあります。ここでは大変多くの缶詰を生産しているということです。それから択捉島には、これはソ連最大のサケマスの養魚場があるということで、ふ化事業を行っているということでして、そういういろいろなことが行われております。色丹島は、これは魚の加工場がありまして、カニの加工というものが行われております。  それで人口に関しましては、ソ連はサハリン州ということでサハリン全部を含めた人口を出しておりますけれども、この四島周辺ということで分けて統計を出しておりません。したがって正確なところはわからないということです。ただ、ノーボスチが数年前に報道した民間人の数字というのがありまして、これは防衛庁の方からお答えがありましたけれども、我々はその二万近い数字からかなりの数の伸びが民間についてもあるというふうに見ております。国後、択捉は火山帯に属しておるものですから、保養地としての適性があるということでその面の産業も出てきているというふうに思います。ただ人口の中には、季節的に、一定の季節に季節労働者的に入ってきている人数もかなりあるというような状況であるというように認識しております。
  188. 林保夫

    ○林(保)委員 今お話しになりましたから、私もそういう情報を持っていることをお伝えしたいと思います。  大臣、非常に心配しておりますのは、木材、漁業あるいは硫黄とかいろいろあるわけです。それついて、温泉が出るということで大変にぎわいつつあるという情報、そしてまたそれに対して遠隔地ですからなかなか人が行きたがらないのに何か助成金みたいなものがついて、遠隔地手当がついて出しておるというような情報がありましたので、昨年聞かしていただいたということをきょう率直に申し上げたいと思います。  だから余計に、そういうのを踏まえてどういう対応を日本がするのかということでないと、三万、四万といったら内地の小さい都市と同じ規模になっておりますから、ただ単に北方領土の日が盛大であったとかそれ何がどうであったというだけで済まされなくなっているということをお互いに認識し合いまして、それならこうするという手を打ちたいというのが本旨でございますので、どうかひとつ、長官には御苦労でございますし防衛庁それから外務省の皆さんもきょうもいろいろとありがとうございました。時間も大体来たようでございますので最後にひとつ長官の方から、そういう実務的な対応を私どもも一生懸命になってやるということ、交渉するとすれば一日も早い方がいいんだということを御確認いただく意味で大臣の御所見をもう一度ひとつちょうだいしておきたいと存じます。
  189. 高鳥修

    高鳥国務大臣 いろいろと示唆に富む御質疑をいただきましてありがとうございました。ただいま御指摘いただいたことなどを今後十分参考にさせていただきまして私どもとしても対処してまいりたいと存じます。
  190. 林保夫

    ○林(保)委員 それじゃもう一つ、長官のそういう御決意を踏まえましてひとつ御提案もしておきたいのですが、タスクフォースといいますか、みんなでやろうというものをどのような形でつくるか、あるいは表立って促進協議会、外交も防衛もそれから法務関係もある、これはもちろん長官が中心ですね。そういうものもひとつ私のつたない提案だということでお考えいただきまして、交渉の時期にはそういうもので迫力あるものに全体としてする。こういうふうなことも私どもは期待していることを申し上げまして、お返事要りませんけれども質問を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
  191. 稲葉誠一

  192. 児玉健次

    児玉委員 高鳥長官は先日の所信表明で、北方対策本部長として今後とも国民世論の啓発、元居住者に対する援護、隣接地域振興等の施策を推進する、こうお述べになりました。  隣接地域振興ということに関連してですが、北海道では、とりわけ北海道の東部では公共交通機関の果たしている役割が非常に大きいものがあります。いわゆる長大四線と言われているものの一つに標津線というのがございまして、標茶から根室標津に、厚床から中標津に、この標津線が隣接地域で果たしている役割について長官はどのようにお考えになっておられるのか、一言お伺いしたいと思います。
  193. 高鳥修

    高鳥国務大臣 北海道におきます鉄道の果たしております役割というものは、どの地域におきましても非常に大きなウエートを持っておるというふうに私は承知しておりまして、これはただ単に北方領土隣接地域だけの問題ではないというふうに考えます。  ただ、標津線の問題については所管省庁でいろいろとやっておいでになることでありますので、したがって私が今この場でどうこうと申し上げるのは必ずしも適切ではないのではないだろうか、関係者の間で十分納得のいくような対処をしていただきたい、このように考えております。
  194. 児玉健次

    児玉委員 それは承っておきます。  ちょうど高烏長官は北方対策本部長でいらっしゃると同時に、旧国鉄職員の国、特殊法人に対する採用を推進していく上で調整役といいますか推進役といいますか、非常にかなめのお仕事をなさっておるわけですから、北海道の雇用情勢の深刻さ、そのことと関連して二、三お伺いしたいと思います。  御承知のように、不況、合理化等による離職者、今北海道では特に企業から離職したという点でいえば北洋漁業の部門、石炭産業の部門それから国鉄の部門、この三つが中心になっています。国鉄についていえば、現在いまだに職を求めて職を得てない方々が二千三百五十人いらっしゃいます。総務長官に、この旧国鉄職員、すなわち今でいえば清算事業団職員から国、特殊法人に対する採用の内定者、先日伺いましたら国の関係者が千九百七十人、特殊法人等が七十人、これは六十三年四月、一番新しいデータですが、この人たちの、採用内定者を採用者に切りかえていく、その点での総務庁としての御努力を伺いたいと思います。
  195. 高鳥修

    高鳥国務大臣 今雇用情勢というのは、いわゆるサチコ対策などと言われておりますが、産業別、地域別さらに高齢者、これが非常に重要な問題であるということで、日本全体としては雇用情勢はかつてないほど今いい数字が出ておるわけでありますけれども地域的には非常に問題がある。その中でも特に北海道と九州に大きな問題がある。そしてまたかつての国鉄から清算事業団に移られた方々の中でも北海道が残っていらっしゃる方が一番多い。それからまた次いで九州というふうに承知をしております。  ただ、北海道で残っていらっしゃる方の中には、やはり自分は今まで国鉄で人生を送ってきたんだからぜひJRで働きたい、しかもJRの北海道で働きたいという御希望が非常に多い。そのために、例えば東日本旅客鉄道株式会社などはかなりまだ収容力があるけれども、やはりそっちへはどうしても家族の関係や何かで移れないというようなことで残っていらっしゃる方が多いというふうな情勢については承知をしております。  なお、具体的な問題について局長からお答えさせます。
  196. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 先生今数字をお挙げになりましたが、国は、現在までに既に採用が済んでおります者が六千五百七十名おります。まだ残っているのが千九百七十名という数字になります。これは、先生はよく御存じでしょうが、本当は六十一年から六十五年にかけて段階的に採っていくという仕組みになっていたわけです。これは、もちろんのこと、国の場合には欠員がなければ採用できないものですから。ただ、そういう段階でやっていた場合には国家公務員にふさわしい人材が得られないのではないかという点が一つございます。それから清算事業団の職員が身分がはっきりしないまま、不安定なままいくではないかということで、前倒しで、とにかくつばつけというのはちょっと言葉がよくないかもしれませんが、採用内定だけはしてくれと各省にお願いしたわけです。  内定した者について昨年の六月の閣議決定でそれを着実に採用していくようにということで、この数字から見ますと、本来、六十五年分までの内定でございますから各省とも随分ピッチを上げてやっておるわけでございます。これを六十五年までには残りの千九百七十名、特殊法人等についても同じくですが、一〇〇%採用できるように、それもなるべく早く採用していただくように各省にはお願いしているところでございます。
  197. 児玉健次

    児玉委員 今のお話ですが、昭和六十一年十二月四日に法律になった日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法というのがございます。その十四条の三項に「再就職促進基本計画は、移行日から三年内にすべての清算事業団職員の再就職が達成されるような内容のものとして定められなければならない。」こうなっておりまして、「主務大臣は、再就職促進基本計画の案を作成して閣議の決定を求めなければならない。」これはよく御存じだと思います。  そこで、今の局長のお答えですが、北海道でいえば五千五百三名、昭和六十一年の四月一日から六十三年の三月三十一日までに職から離れまして、国鉄を離れまして、そして今は清算事業団に二千三百五十名、先ほど私が言いました国の採用内定者千九百七十人、この中には北海道の方も含まれていますが、もちろん本州その他も含まれています。千九百七十人の採用内定を採用確定にしたら総務庁としては事終われりということなんですか。その点はっきりお答えいただきたい。
  198. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 確かに先生のおっしゃるように地域の問題は残っております。ただ、国としては公的部門の果たすべき責任として、まず国鉄が自助努力をすべきである。その後はやはり公的部門がなるべく採っていこうじゃないかということで、本当は多少問題もございました。試験採用が原則になっているものをこういう枠を与えることはどうかという議論もあったのですが、これは国家的な必要な事業であるということで踏み切って採用するという方に計画を立ててやってきたわけです。  地域差の問題は正直私どもは各省にもお願いしているのは、例えば関東で人が必要な場合には関東だけの国鉄の職員を募集するのではなくて、広域募集をしてほしいとまでお願いしてやっているわけです。ただ、先ほど大臣からもお話がございましたように、北海道の方はやはり北海道でという強いあれがございまして、そういうことになりますと、国がそのために北海道に余計な定員をつけるということはできないわけです。仕事に応じてやはり定員が北海道に割り振られておるわけでございます。  しかもまた、北海道ではその中で例えば高校新卒者で国家公務員を志す者もいるわけです。それを全部道を閉ざすこともできません。その中で精いっぱい実はやってきている、これが今の数字だと思っております。したがって、この数字をまず一〇〇%やることが、昨年六月の基本計画、閣議決定の趣旨に沿ったことになりますので、まずそれをやるべきだというふうに考えております。
  199. 児玉健次

    児玉委員 先ほど長官もお話しになったのですが、確かに北海道の旧国鉄職員には強い地元志向があります。しかし、清算事業団の中での仕事が長くなる中で、この機会に公共輸送機関で自分の務めを果たしたい、こういう動きもあります。これは、今局長お話のあった去年の六月五日の閣議決定ですが、その中で、一々読みませんが、一つは承継法人JRで、いわゆる承継法人の定められた職員数を下回る分については早期に追加採用するよう指導し、または要請する、こうありまして、もう一つは今局長からの言葉なんですが、全く新採用を拒むかどうかというのは私はちょっと今ここでは議論いたしません。しかし、閣議決定の中では「清算事業団職員を優先的に雇い入れるようにしなければならないものとする。」こう明記されています。総務庁長官は主務大臣のお一人でいらっしゃるので、この閣議決定については当然この方向でお進めになると理解していいですね。
  200. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 承継法人の優先雇用の問題は、先生のおっしゃったとおり、まず承継法人が優先的にやるというふうに理解しております。  それから国の措置についての御質問も触れておりましたか。その点ちょっと趣旨がよく理解できなかったものですから、申しわけございません。
  201. 児玉健次

    児玉委員 先ほどの局長のお答えの中で、内定者をとりあえず採用したい、それは私はそのように早くしていただきたいのですが、それで事足れりとせずに、さらに三年間で一人も路頭に迷わせない、この点では総務庁がなさることは私は一定の守備範囲がある、そのことは承知しております。六月の閣議決定の中で「総務庁は、清算事業団職員の各省庁等への円滑な受入れに資するため、調整定員の一部を清算事業団職員の受入れ用に割り当てる措置を講ずるものとする。」というふうにこれも明記されているんですが、その方向で皆さんがこの後どんな努力をなさるのか、それを承っておきたい。
  202. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 この規定は、あるいはちょっと先生に誤解されているのかもしれませんが、要するに欠員がないと採用できないという状況のために、例えば十月でなければ欠員が出ない、しかし十月に欠員が出ることが明らかな場合には、それを四月から採れるようにするためにその半年間の調整定員というのを認めているわけなんです。それを国鉄職員の採用に優先的に使いなさい、そういう趣旨でございまして、これは総務庁としても各省に十分利用していただくように努力しているところでございます。
  203. 児玉健次

    児玉委員 この点での長官の引き続いての御努力要請しまして、次の質問に入りたいと思います。  午前中も若干の論議がありましたが、私たち千島の返還という場合に、北海道及び北海道の周辺、極東の平和が維持され、さらに増進される、これは重要なことだ、こう考えております。一昨日、四月十八日から四月二十二日まで三沢基地のF16による低空訓練が開始された。外務省として訓練の直接の目的、それから参加機数と参加機種、所属基地、これらについて御報告いただきたいと思います。
  204. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私どもが承知しておりますのは、米軍三沢基地第四三二戦術戦闘航空団所属のF16が、御指摘のとおり四月十八日から二十二日までパイロットの練度の維持等のために空対地攻撃の訓練を行うという発表を米軍が行ったという事実でございます。参加の機数等その詳細につきましては、私どもといたしましては、米軍の運用の内容にかかわることでございますので、承知はしておらないところでございます。
  205. 児玉健次

    児玉委員 昨年の十一月十六日から三日間激しい訓練が行われましたが、十一月十六日の午後、私は外務省の北米局に対して、北海道及び東北の一部で起きている事態について外務省はどのように受けとめているのかと伺ったら、外務省の北米局からは、私の記憶ですが、現在米国に事態の説明を求めている、その回答がなければおいでくださっても説明する何物もございません、こういう御回答が電話でありました。その後、アメリカからどんな回答があったのか、それをお聞きします。
  206. 岡本行夫

    ○岡本説明員 昨年の演習についてのお尋ねでございますけれども、やはり米軍の三沢飛行場に配備されております第四三二戦術戦闘航空団所属のF16、今回と同様でございますけれども、これが運用能力の点検、またパイロットの技能維持向上等のために必要とされている訓練を実施したという報告をその後米側から受けております。同時に私どもの方から、昨年十一月の訓練につきまして苦情が住民の方々から寄せられているということを強く米側に申し入れておりましたところ、それに対する陳謝の意、そして今後とも飛行の安全、それから最低安全高度の維持等遵守して今後そのような事態が繰り返されることのないようにしたいという説明をその後あわせて米側から受けておるところでございます。
  207. 児玉健次

    児玉委員 一昨日の午後三時十五分から約三十分くらいですけれども、私は今回の訓練に関連して外務省にお邪魔しまして有馬北米局長にお会いしました。そのとき有馬局長は、今回の訓練について、四月十五日に米軍が訓練の発表をする、その前に特段の連絡は外務省にはなかった、こういうふうに私に言われた。この点で防衛施設庁はどうでしたか、事前の連絡はありましたでしょうか。
  208. 金枝照夫

    ○金枝説明員 防衛施設庁は、今回の訓練の実施について事前に通報は受けておりません。
  209. 児玉健次

    児玉委員 そこで再び外務省にお伺いしたいのですが、先ほど米軍からの回答についてお話しになりましたが、報道によりますと、米空軍三沢基地第四三二戦術戦闘航空団のジョン・G・ローバー司令官、空軍大佐が十二月十七日に三沢基地内において記者会見をなさって、いろいろなことをお述べになった。その中で、訓練の事前通知を行うのかという質問に対して、今回は全く行わず申しわけなかった、これからは地元の三沢防衛施設事務所などを通じ事前に連絡したい、こういうふうに答えております。ところが、今度の訓練について言えば、そのようになされていない。なぜでしょうか。外務省に伺います。
  210. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私どもも、昨年十二月の記者会見におきまして米軍の司令官が、今後可能な範囲で事前通報を行うことにしたいという発言をしたという報道があることは承知しておりますが、正確に何を言ったのかは、申しわけございませんが承知してないところでございます。  いずれにいたしましても、米軍は、このような演習を行うに当たりまして事前の通報義務というものは有しておりません。ただ、米軍の自主的な判断に基づきまして、運用に支障のない場合、今回のように事前に彼らが発表するということはあろうかと存じます。私どもが承知しておりますのも米軍が十五日に事前に行った発表についてでございます。
  211. 児玉健次

    児玉委員 午前中にもお話がありましたが、日米安保条約に基づく訓練の問題、私たちはさらに踏み込んで地位協定との関連で重大な問題があると考えておりますが、それは時間がありませんから別の機会に譲ります。  今外務省がおっしゃった問題なのですが、この後F16の低空訓練について言えば、北海道庁自身は、何らかの形で一方的に発表する前に事前の連絡があると了解していました。それがなかったから、四月十五日付で北海道企画振興部長の名前でジョン・G・ローバー司令官に対して「誠に遺憾なことであり、昨年十二月の記者発表で事前通知する旨の発表がなされていることからも、強く申し入れます。」こういう申し入れをしておりますね。今課長がおっしゃった通知義務について私たちは大いに議論があるのですが、そのこととは別に、去年の十二月の記者会見での約束が果たされていない、これは非常に残念だと思っているのですよ。  それで、F16という飛行機についてですが、ことしの三月三十一日、西ドイツでF16が墜落して起きた事故について御承知でしょうか。御承知であれば御報告をお願いします。
  212. 岡本行夫

    ○岡本説明員 そのような事故があったことについては私ども承知しておりますが、その詳細についてはただいま手元に資料を持ち合わせてございません。
  213. 児玉健次

    児玉委員 アメリカではF16という戦闘機は、パイロットの奥さんたちから未亡人製造機というあだながつけられています。そして三月三十一日に西ドイツで起きた事故について言えば、F16が墜落して民家四戸を破壊し死傷者を生み出しています。こういった飛行機が、アメリカの海洋戦略、地球のどこかで戦火が開かれた場合に、極東において同盟国の協力のもと即刻第二戦線を開く、同盟国というのは言うまでもなく日本です。その中には、アメリカの軍当局の公式文書に出ておりますが、サハリン、千島に対する急襲作戦も含む、先ほど外務省がおっしゃった対地攻撃演習、それから低空を飛んでレーダー網をかいくぐる、そういったことを含めた極めて実戦的な演習だ、こういうふうに受けとめていますが、この点について外務省はどう考えるのですか。
  214. 岡本行夫

    ○岡本説明員 我が国に駐留しております米軍は、三沢基地の航空機も含めまして、当然安保条約第六条に基づいてのものでございます。改めて御説明するまでもなく、安保条約第六条は、我が国の平和と安全、極東における国際の平和と安全のためにという内容でございまして、三沢の米軍のF16もあくまでも安保条約に基づきまして、その行動については地位協定の規定に従って行動している、そういうことでございます。したがいまして、私どもは、安保条約の目的達成のために今回の訓練も行われているというふうに認識しております。
  215. 児玉健次

    児玉委員 最後に長官にお願いして終わりたいのですが、北海道が平和な島であるということが千島の返還のための重要な条件一つだろうと私たちは考えております。今私が取り上げましたF16の訓練について言えば、これは外務省からいただいたのですが、去年訓練が実施された後、ユナイテッド・ステーツ・エアフォース・ニュース・リリースという三沢の軍の報道部のメモの中で「訓練区域は一定しておりません。地元の皆様には何かと御迷惑をお掛けすることをお詫び致します。」長官、こう書いているのです。そういったものが無通告で、訓練区域を一定せずに自由自在に飛び回っている。これは北海道を平和な島にしていくという北海道民の願いに反するものだと思うのです。私はそのことについて直接長官にお尋ねしませんので、北海道を平和な島にし、北海道周辺の平和を維持していく、その点での本部長としてのお考えを承って終わりたいと思います。
  216. 高鳥修

    高鳥国務大臣 北海道全体の問題ということになりますと、これはもう私の守備範囲を超える話でありまして、私は北方対策本部長ではございますが、北海道全体のことにつきましては別に所管大臣がおるわけでございますので、他の領域にわたって私が御答弁を申し上げることは差し控えたいと存じます。  いずれにいたしましても、日本が平和でありますように祈念はいたしておるところでございます。
  217. 児玉健次

    児玉委員 終わります。
  218. 稲葉誠一

    稲葉委員長 次回は、来る五月九日月曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時九分散会