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石原国務大臣 ただいま議題となりました
船員の
雇用の
促進に関する
特別措置法の一部を改正する
法律案の
提案理由につきまして御
説明申し上げます。
船員の
雇用の
促進に関する
特別措置法は、海上
企業をめぐる
経済事情及び国際環境の変化等により離職を余儀なくされる
船員の数が増大していること等の
状況にかんがみ、
船員の
雇用の
促進に関して必要な措置を講ずることにより、
船員の職業及び生活の安定を図るため、
昭和五十二年十二月に
制定されたものであります。
現在、この
法律の附則第二項の規定に基づいて、
事業規模の縮小等に伴い相当数の離職者が発生している一般外航海運業、近海海運業、内航海運業、はしけ運送業、船舶製造・修理業の五業種に係る離職
船員の再就職を
促進するため、
昭和六十三年六月三十日までに離職する者に対し就職
促進給付金の支給に関する特別の措置を講じております。
しかし、これらの業種については、海上荷動き量の低迷とこれに伴う船腹過剰、
日本船の国際競争力の低下等の事情に加え、近年における急激かつ大幅な円高や国内の
産業構造の転換の影響を受けて、引き続き
事業規模の縮小等が見込まれ、これに伴って今後も離職
船員が相当数発生することが予想される
状況にあります。したがいまして、この就職
促進給付金の支給に関する特別の措置の対象となる者の離職日に関する期限を、特定不況業種
関係労働者の
雇用の安定に関する
特別措置法の期限の延長に合わせて、
昭和七十年六月三十日まで延長する必要があります。
以上が、この
法律案を提案する
理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
次に、
船員法の一部を改正する
法律案の
提案理由につきまして御
説明申し上げます。
近年、労働時間の短縮が、国民生活の向上、労働者の福祉の増進の観点のみならず、国際
経済情勢を背景として、
経済構造調整、内需拡大の観点からも重要な
課題となっております。
一方、
船員法の労働時間に関する規定は、航海中、停泊中等の別に応じて細かく定められておりますが、
昭和二十二年の法
制定後四十年余が経過し、その間における技術革新の進展を背景とする船舶の運航形態の変化、船内の就労体制の変化等により、これらの規定と労働の実態との間で乖離を生じている面がございます。
このような
状況を踏まえ、昨年の九月以来
船員中央労働
委員会におきまして
船員法の労働時間及び休日並びに有給休暇に関する規定の見直しについて検討をいただいておりましたが、本年一月同
委員会より答申をいただきましたので、この答申に沿いまして、この
法律案を提案するものであります。
次に、この
法律案の概要について御
説明申し上げます。
第一に、すべての海員について、一日当たりの労働時間を八時間以内とするとともに、一週間当たりの労働時間を、船舶の航行区域、航路等を勘案して船舶の区分に応じ一年以下の範囲内で定める基準労働期間について平均四十時間以内とすることを目標とすることといたしております。ただし、当分の間は、四十八時間以下の範囲内で政令で定め、
船員労働の特殊性、
船員の福祉、
船員の労働時間の動向等の事情を考慮して、
段階的に短縮を図ることとしております。
第二に、船舶所有者が海員に与えるべき休日は、基準労働期間について一週間当たり平均一日以上とすることとしております。
第三に、海員の労働時間及び休日に関する基準を達成するため、船舶所有者は、海員の労働時間が一週間において四十時間を超える場合または海員に一週間において休日を与えることができない場合には、その補償としての休日を、基準労働期間以内に与えなければならないこととしております。
第四に、沿海区域または平水区域を航行区域とする内航船舶に乗り組む
船員の有給休暇の日数を、連続した船舶における勤務一年について十二日から十五日に引き上げることとしております。なお、この引き上げにつきましては、所要の経過措置を設けることとしております。
第五に、有給休暇の付与の基礎となる勤務につきましては、勤務形態の多様化に
対応し、船舶における勤務に加え、これに準ずる一定の勤務につきましてもその対象とすることとしております。
なお、この
法律の施行期日は、周知に必要な期間等を考慮し、
昭和六十四年四月一日としております。
以上が、この
法律案を提案する
理由であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。ありがとうございました。