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1988-03-02 第112回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 関谷 勝嗣君    理事 小里 貞利君 理事 柿澤 弘治君    理事 亀井 静香君 理事 亀井 善之君    理事 二階 俊博君 理事 吉原 米治君    理事 長田 武士君 理事 河村  勝君       魚住 汎英君    鹿野 道彦君       北川 正恭君    鴻池 祥肇君       田中 直紀君    津島 雄二君       平林 鴻三君    増岡 博之君       山村新治郎君    若林 正俊君       小林 恒人君    左近 正男君       新盛 辰雄君    戸田 菊雄君       浅井 美幸君    西中  清君       中路 雅弘君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石原慎太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  久間 章生君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      塩田 澄夫君         運輸省国際運輸・         観光局長    中村  徹君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      清水 達夫君         運輸省海上技術         安全局長    間野  忠君         運輸省海上技術         安全局船員部長 野尻  豊君         運輸省航空局長 林  淳司君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   山田 晋作君         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       神谷 拓雄君         大蔵省主計局共         済課長     山口 公生君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      前田喜代治君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団共済         事務局長)   長野 倬士君         運輸委員会調査         室長      荒尾  正君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政基本施策)      ────◇─────
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、陸運に関する件について、日本国有鉄道清算事業団理事前田喜代治君及び共済事務局長長野倬士君参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 関谷勝嗣

    関谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 関谷勝嗣

    関谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新盛辰雄君。
  5. 新盛辰雄

    新盛委員 冒頭に、運輸大臣に就任された石原慎太郎こと、まあ作家でしょうが、しかし、最近の時代認識の比喩というか、あるいはあなたの持っておられる資質がそうさせているのか、問題発言ということで世間注目を浴びているようであります。  大臣就任以来、昨年の十二月十九日、僕が大臣のうちに小網代漁網ヨットの邪魔だから取り除いてやるとヨット仲間を前に宣言をして、さらに、あれは漁民のわがままと行政の無責任、法律違反だから命を張っても取り除いてみせる、こう息巻いておられました。またことしの一月二十一日、宮崎リニアモーターカー実験場豚小屋鶏小屋の間を走っており、日本技術を国際的に見せる場にふさわしくないと言って地元の反発を受けて、これまた取り消されたという。もともと大臣は、五十二年の環境庁長官時代も、ネクタイ意味のないものだとか、あるいは野立て看板は感覚的暴力といったようなことを言われて業界を怒らせたり、また公害対策基本法で、経済との調和条項削除に関して、あれは魔女狩り的だとやらかされ、そして国会で取り消すという一面がありました。  こういう放言がこれまであなたには何かそれぞれについて回るわけですが、中にはいいこともおっしゃるのです。あの石垣島空港建設に当たっては、世界注目を浴びているサンゴ礁のああいう場所を破壊してはならない、あれはおれがとめてみせると言われて……(石原国務大臣「そんなこと言ってないよ」と呼ぶ)黙りなさいよ。運輸省皆さんは非常に困っているという話が伝わっている、これはいいか悪いかは別にしまして。  以上のようなことで、これは大臣がお持ちになる哲学なのか、そしてまた、こうした行政頂点に立つ運輸大臣という職は、これからのこの種問題の発言に慎重でなければならないはずでありますが、あなたのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 石原慎太郎

    石原国務大臣 機会を与えていただきまして、ありがとうございました。申し上げたいことがたくさんございます。  私は、常に自分哲学にのっとって物を言っておるつもりでございますが、ただ、委員が御質問の中に引かれた文句というものは、どうも余り世間が評価していない週刊誌のたぐいでありますとか、時には非常に報道の公正を欠く一部の新聞の引用であるとかがございまして、そういうものに立脚して物を判断されるとお互いに迷惑でありますので、幸い質問をいただきましたから、詳しく時間をかけて答弁させていただきます。  ネクタイに関しましては、大分昔のことでございますけれども、私は、これは哲学と言うにはほど遠いことでございますが、男と女の平均寿命を比べて、どうも女の方が長生きし男が早死にするのはいろいろわけがありそうでありますけれども、ある有名な社会党のシンパの女性評論家が、私は男のネクタイを見ていると本当に気の毒だ、多分あれをしているから男の人は若死にするのだろうし、私はああいうことがあるから男になりたくないと言っておりまして、まことに感覚的に妥当な表現だなと思って、私もできればネクタイをせずに国会に登院したいのですけれども、どういうわけか、いろいろ慣習がございましてやむなく首を締めておりますが、できるだけ緩いネクタイをするように心がけております。  それから、公害基本法のあの条項削除はテレビで申しましたとおりでございまして、私はこれを取り消した覚えはございません。これは、あのときややヒステリックな公害現象がございまして、ここで話しますと長くなりますけれども、佐藤さんも、高度成長というその余勢を駆って、この条項削除しても差し支えあるまいという形であれを削除されましたが、あそこで大分理論闘争皆さんいたしましたけれども、私も所信があって言ったことでありまして、むしろあれが構えられてあった方が、公害基本法は健全に運用されるのではないかと思っております。  それから、昨年の豚小屋発言も、私は確かに、前回にはNHKにも映っておりましたけれども、養豚場養鶏場の間を通っていて、しかも、そこで世界一の高度の技術開発されているのは実に日本的な風景だと言いました。それから、ドイツを視察して帰ってまいりまして、余りにも実験場印象が格差があるのでショックも受けましたし、ちょっと時差ぼけもありましたので、つい、日本実験線はああいう小屋の間を走っているという発言をいたしました。ただ、これは誓って申しますけれども、私も、私の発言を逐一活字で起こしてみましたが、ゆえに宮崎がふさわしくないとはどこにも言っておりません。  ただ、それを印象としてとられるような発言でございましたことは認めますし、遺憾でございますけれども、大事なことは、明らかにドイツを抜いている世界一の日本技術、しかも、再来年には直線平地では実用に供することのできる技術が、アメリカが目をつけましたのに、カナダの調査団が来まして、どういうわけか西ドイツに軍配を上げました。これは、耐震構造あるいはスピード加速、それから浮上するクリアランスが向こうは一センチ、こっちは十センチ、それから加速に要するスピードが、日本は二キロで四百キロに達しますし、ドイツは八キロ走らぬと四百キロに達しない。その他この他ありまして、はるかに日本の方がすぐれておりますし、第一、技術的にも理論的にも進んだ超電導を活用しておりまして、ドイツはこれをあきらめましたが、ドイツがあきらめた理由を日本は三つとも完全にクリアいたしました。  そういう世界一の技術が、どうも聞いてみますと、実験場印象だけで判断されて、日本の方が実験がおくれているからドイツの方が早かろうということでドイツが採択されたというのは、非常に無念でありまして、これは与党、野党を超えて日本人全体が夢と思っているリニアを、できるだけ早く国際的な商品価値を持たせるためにも、宮崎で視察をいただくよりもどこか違うところですぐ実用に供して、数百万の人を運ぶことの方がショールームとしてはふさわしかろう。ただ、これから先、トンネルその他長距離に使用するための実験は、宮崎なりまた場所を選んでトンネルも掘りしなくてはいけませんから、そのために二億近い予算をつけましたけれども、そういう本意で申しました。  ただ、言葉が足らずに、新聞にもふさわしくないという締めくくられ方をしましたけれども、私はどこでもふさわしくないということは言っておりません。ですから、これは宮崎の方に非常に御迷惑をかけましたけれども、この間知事さん以下、本意を説明して御了解をいただきました。私も糟糠の妻は堂より下すべからずという人の道ぐらい心得ているつもりでございますので、宮崎云々するとは別に、速やかに、民間のお金を使ってでも、四、五十キロの、人がたくさん乗るリニア実用線をつくりたいということを私は申したわけでございます。  それから何でしたかな、もう一つは。(新盛委員「小網代、あなたのヨットハーバー」と呼ぶ)これは、週刊誌には暴言云々と書いておりますけれども、言ってみると、お金を払い、政府の督励に乗って、余暇を楽しめということで海へ出ていっている多くのヨットマンモーターボートマンの悲痛な叫びであります。現に人命にかかわる事故が次々に起こっております。昨年の暮れも、六人の人を乗せたモーターボートが小網代の沖でひっくり返りまして、あの冬のあらしの中を三人が泳いで助かりましたが、そういう事件が頻発しております。  確かに、漁民レジャーボートよりも先に海を使ってある意味仕事をし、既得権があるかもしれませんが、といって、海は漁民のためだけではなくて、国民のために開かれたものであり、そこで運輸省行政の眼目にものっとって新しいウオーターフロントをつくり、レジャー開発し、そして内需拡大でとにかく日本人の新しいライフスタイルをつくろうということを前川リポートも言っておるわけでありまして、それで海へ出ていって、海へ出ていくのは結構だけれども、そこで勝手に死ねみたいな行政では、これはもう片手落ちと言わざるを得ない。現に事故が頻発しております。  これは死者が出てからでは遅いので、私は、以前から再三、最低限海障害物に明かりをつけるように申しましたが、ほかの県はどういうわけか条例でそれを徹底しているのでありますけれども、海上レジャーのメッカであります神奈川県がそれを怠っているというのは、私はいかにも不本意で、これはひとつこの運輸委員会なりあるいは交通安全委員会で御検討いただきまして、時代に沿った、要するに海のルールというものをつくってもらいませんと、一般の市民は海へ出ていってこれからばたばた死にますよ、これは本当に。  そういう現状をひとつ委員皆さんにも御理解いただきたいし、また海上保安庁にも御理解いただきたいということで、モーターボート協会あるいはヨット協会の選ばれた委員海上保安庁の方々とこういう問題の解決のために合議をする、そういう会合を発足いたしまして、必ず近いうちによき結果が得られて、漁民プレジャーボート人たちが海で共存共栄することができるようになると確信しておりますし、また、そのための存分の御尽力を賜りますようお願いする次第でございます。
  7. 新盛辰雄

    新盛委員 石垣島見解はどうですか。
  8. 石原慎太郎

    石原国務大臣 運輸省のスタンスとしては、要するに、とにかく要請がありましたので、周囲の状況を見て、二千五百メートルあそこへつくるという形でクリアランスその他を確認して、設置許可をいたしました。ただ、こういう大事なプロジェクトが、設置許可がおりてからアセスメントにかかるというのも縦割り行政の非常におかしなところで、私に言わせると、そういうものを一緒に合致させて最後に設置許可がおりることがふさわしいと思うのです。現に、運輸省運輸省マターだけをクリアして設置許可をおろしましたけれども、今度はいろいろ声が上がって、世界に比類のない自然の資源が云々ということでアセスメントが今進んでいるわけでございまして、これは環境庁なりの専門家技術を駆使してこれを測定されるわけでありまして、運輸省としてはその結果を待つというのが現況であります。  ただ、またここに個人の見解を加えますと、それが運輸大臣ということで喧伝されがちでありますが、これはもう自明のことでありますから、自然に人間が手を加えて生態系が変わらないということは絶対ございません。しかし、私も環境庁のときに認可したことが幾つかございますが、動物とか鳥と違って、その場合には一種のトレードオフで、多少生態系は変わるけれども、しかし、人間の便宜のためにもこれぐらいの開発は必要だろうということで取捨選択するわけであります。サンゴ礁の場合には、ある人がやじで北海道にもサンゴ礁があると言われたけれども、私はそういうことは余りつまびらかにいたしませんが、どこそこにもあるというものでもないようですし、ましてクストー協会という、私が一番尊敬し、権威のある、その専門家協会が、あそこをつぶさに調べて所見を発表しているわけでありまして、サンゴというのはできるのに数千年かかりますけれども、絶滅するのに二年で済みますから、特に水中の開発というものは、生態系にいい影響を与えたという例は今までないわけです。  しかし、それをどこまでで食いとめて、どこまで譲歩して飛行場を建設するかということは、これはもうトレードオフの問題でありまして、そのイニシアチブはやはり県がとるべきで、決して逃げるわけじゃありませんけれども、第三種空港ですし、県が観光経済というものを兼ね合わせてあの問題を判断する、そのために環境庁アセスメントをするということで、私たちは期して今その結果を待っているわけでございます。
  9. 新盛辰雄

    新盛委員 後段の石垣島はちょっとおかしくなっちゃったね。あなた運輸大臣ですから、そんな言い方をされて、これはトーンが下がったんじゃなくて逆に悪くなっちゃったじゃないですか。それは環境の問題、地元の県がどうこうという話じゃないと思うのです、政策の問題ですからね。もう時間がないですからこれはおきますが、別途委員会もありましょうから、詳細にまたやります。  それと、今弁明がありましたけれども、いやこれは暴言ではない。私は、こうだああだと言って、言いわけをしておられるような向きがあるのですよ。それは小網代の問題だって、漁民は昔から定置網を置いてやったのですね。それを戦後、あなた方がヨットハーバーをつくり、一つ海洋レジャーを拡大していった。これは「太陽の季節」のあなたが、ある意味では日本をこんなに明るくしたのかもしれません。しかし、事は漁民生活権にかかわることなんですね。それで、夜間は定置網にいわゆる漁業灯というのを立てるのです。だからそれにぶち当たらないようにする。そういうのをするんだが、小網代の前に出ている定置網は、位置としては非常に危険ではありますね。  だけれども、そういうことに対して、話し合いをする必要があるのに冒頭から、おれが運輸大臣だから取り除いてやる、行政も大体怠慢だよ、こういう言い方地元をやはり刺激するのですよ。豚小屋鶏小屋の話も、これは弁明して宮崎県知事は了解したとあなたは言うけれども、新聞記者会見であなたがおっしゃったことにみんな危惧を持っていた。書いてあるものは新聞で過大に報道されたなんて、そんないいかげんなことを言ってもらったら困るのです。  今までの弁明も、いろいろと書いてあるから、これから先あなたが運輸行政をどう預かっていくかということの姿勢として、ああでもないこうでもないと、作家的発想感覚によってくるのかもしれませんが、しかし、行政頂点に立つ者は、やはり慎重に発言をしてほしい。過去について反省すべきところは反省するんだ、これからはそんなことのないように。まあ発言は自由ですから、あなたの石垣島発言みたいに、これは運輸省だって少しじたばたしたという経緯もありますけれども、そういう面で積極的に我々が理解する、環境を守る、そういうような面での開発行政という関係の問題は、積極性があればそれはまたそれとして価値あるものだと私は思うのです。そのことはおいて、だから反省と、これから先の話をしてください。
  10. 石原慎太郎

    石原国務大臣 みずから省みて反省をせざるを得ないところは私は反省いたします。しかし、例えば暴言云々の問題も、それならば委員どこでその問題をとらえられたのですか。週刊誌に書いてあるんでしょう。(新盛委員週刊誌は別だよ」と呼ぶ)いやいや、週刊誌なら週刊誌に、私は、正確に自分発言をしたことを持ってきてほしい。持ってこれないわけですよ。みんな聞き語りでしょう。しかも、キャッチフレーズと書いている内容が違う。私は、あれは突然言い出したことじゃない。運輸大臣になって言ったことじゃない。一国民として、市民として、ユーザーとしてこの十年、十五年さんざん陳情してきたのに、何ら現況が変わらない。人が死につつあるのです。  ほかの話をしましょうか。前から私、忠告していましたけれども、スキューバダイビングといって一番はやっているスポーツでは、年間二十人、三十人、人が死んでいるのですよ。管轄がわからない。文部省へ持っていったら、わかりませんと言う。私は、海上事故を扱うのは保安庁だということは確認しましたので、保安庁に持ちかけて、保安庁がやっと今動き出して、この数十人の人が一つスポーツで死ぬという海難を防止するためにやっと施策を講じ出しました。  この漁網の問題だって、私たちはもちろん後から来た人間です。漁民が海を利用してたつきを立てているということをよく知っております。しかし同時に、そこを通る、航行する権利というのは、国民としてプレジャーボートを持っているわけでありますから、便不便じゃなしに、この生命の安危にかかわる問題を条例なり法律が放置しておいて、国民に対して海で遊びなさい、お金を使いなさい、これからレジャー時代だと言ったって、そんなもの通用しませんよ。私は今初めて言っているんじゃない。これは暴言でも何でもありませんよ。虐げられている国民の本当に悲痛な叫びですよ。それを御理解いただきたい、そういうことでございます。
  11. 新盛辰雄

    新盛委員 やはりあなたはそういう立論でしょうけれども、私どもの方はそうも理解もできないのです。それは一面わかりますよ、これからの問題ですから。それで、レジャー生活という問題は、これからの議論としてまたおいておきましょう。あなたはそうおっしゃるけれども、漁民はそれで飯を食って生きているのですから、金を持って遊んでやっている人たちとそれは違うですよ。そのことはまた議論しましょう。  リニアモーターカーが出ましたから、もうそちらへ先に入ります。あなたはリニアモーターカーに非常に関心がおありのようですが、確かに今の技術その他、私も技術屋ですから、最初リニアモーターカー線区をつくるときに立ち会った経緯があります。だから、これは技術陣とすれば最高の能力を費やしてやっているのです。だから、これから早く実験線に乗っけたいという欲望があります。総合交通政策のとらえ方として一体どうするかという問題がある。  そこで、現在問題になっておる新幹線、八月中に結論を出すとおっしゃる。もう過去のことは言いません。八月中に結論を出すためには、いろいろなあれをやっているのですね。あるいは財源はどうだとか、あるいは優先順位はどうだとか、そういうことで今、ある意味では五線区のうちの三線区に絞られて、北陸あるいは青森、鹿児島、こういうところで綱引きが始まった。それで、いろいろと難儀をしている。結局、これが順位が決められなければ大蔵省が喜ぶだけだ、銭を出さないで済むんだから。あるいは財源方式公共事業方式だとか地方自治体負担だとか、あるいは別途の方策はないものかという、あるいはJRの経営形態はこれから一体どうなるかという、そういう問題もありますが、このリニアモーターカーがこれから先浮上して優先だと、今こうして熱望している希望の灯を絶やさせてはならないという新幹線待望地域皆さん、どっちを主にしますか。どっちをあなたは主体に置きたいか。運輸大臣ですから、これは八月中に結論を出す、あなたもその一員になっているのですから。どちらをやるのですか。  もちろん、リニアモーターカー一億八千万金がついた、さあこれからやるんだ、こういう話ですが、これは私は、今すぐ十年、二十年の間に、そんなに技術が優秀だとは思いませんよ。まだまだ分岐点の問題とか、速力を五百キロから二百、百に落とすときの段階的な問題とか、技術的に大変問題があるのです。新幹線は今現に通っているのです。どっちを先に優先的に総合交通の一環としてやるべきかということ、それを明確にしてください。
  12. 石原慎太郎

    石原国務大臣 これは技術発展段階に沿って考えるべきことだと思います。そういう意味では、現在のリニアは、先ほど申し上げましたように、平地直線のところでは要するにすぐに実用に供することができますが、しかし、長距離トンネルがある、かなり急な勾配があるというところでは、これからさらに時間をかけて、お金をかけて実験をしませんと、百キロ単位の路線を通すには、今委員が御指摘のような実験も済んでおりませんし、実用には供し得ないと思います。  同時にまた、整備新幹線でありますけれども、整備新幹線を含めて、さらに新幹線構想というのを運輸省持っているわけでありますけれども、どういう路線にどういう順位がつくかわかりませんが、これが何年か経過していよいよ着工というときに、あるいはその時点リニアトンネル実験も終えて長距離実用できる可能性を持っているかもしれません。そのときには工費その他所要時間を含めて、私は、車のついた新幹線を走らせるかわりに、ある路線に関してはリニアが走るということになるかもしらない、ならないかもしらない。これはやはり技術完成度時点で、しかも、そのときにどの新幹線開発されるかということにかかわってくる問題だと思います。  それからもう一つ、私は決して漁民とかと対立しようと思っているわけじゃない。できれば共存共栄したいわけです。例えば、農地が要するに開発されて住宅地になる。横ではお百姓さんが作物をつくっていらっしゃる。そこで非常に過激な農薬を使われて、それが散布されたものが民家まで飛んでくる、住宅地に飛んでくるというときに、やはりそれは自粛してもらわなくてはいけない。つまり人間の健康、生命にかかわる問題は仕事の利益を超えてやはり最優先されるべきであるということを私申しておるわけでございまして、先ほどちょっと声が大きくなりましたが、むしろ私の方が委員に陳情したつもりだったのですので、大きくなりまして、よろしくお願いいたします。
  13. 新盛辰雄

    新盛委員 話をそんなにすりかえぬでもいいから、それはまたいずれ議論をいたします。  今おっしゃいましたように、大臣もう一言でいいんだ。リニアモーターカーをあなた今度つくりたいと言った千歳ー札幌間、これは前、技術陣の諸君も言っているし、恐らくそういう寒いところでの実験区をつくりたいという気持ちは持っておられること、聞いていますよ。私はそれでもいいと思う。しかし、やれ東京ー甲府間だ、金丸さんが何かリニアモーターカー建設委員会理事長とか委員長とか会長とかよくわかりませんが、そんなのをやっているからそうなっている。あるいは東京ー大阪間だ。あなたが発表されたのは、いや千歳ー札幌間だとかあるいは甲府ー東京間だ、こういうような話をしておられるものだから、リニアの方が何か優先して、新幹線の方がどこか消えちゃっている。これはあなた、この八月までに結論を出すのですから、大臣として一体この決着をつけられるかという確信を私は聞いておきたいのですよ。  これは、これから整備新幹線建設促進検討委員会、その下に財源問題等専門検討委員会あるいは着工優先順位専門検討委員会、こんなのがあっていろいろな議論をしていくのでしょうが、それは即断することはできないだろうというけれども、運輸大臣として総合交通政策ということをいつも言っておられる以上は、高速化されていくこれからの交通行政ということに対して、リニアなのか、現実今進んでいる新幹線なのか。財政的な問題もありますから、それは今おっしゃった回答でよくわかりますけれども、私どもはやはり今現実課題になっている問題から先にまず始末をつけてという気持ちです。それで、技術が進展をしてリニアの方が優秀だとしたら、これはまた当然その時期に議論すればいいじゃありませんか。どうですか、もう一言で言ってください。
  14. 石原慎太郎

    石原国務大臣 まず前段階として、ことしの八月までに検討委員会で着工の順位をとにかくつけるという努力を最大限にしてまいります。その時点でいずれかの線に第一次着工という結論が出ましたならば、現在のリニア技術発展段階からすれば、当然そこで施工されます新幹線は従来の車輪のついた新幹線にならざるを得ない、なるべきだと思っております。
  15. 新盛辰雄

    新盛委員 次に入ります。  国鉄関係ですが、これは今JRとなって一年近くなります。国鉄改革当時の最重要事項は、一つは長期債務償還です。二つは雇用の促進、そして三つは年金、これに分かれるわけですが、後ほど各委員の方からまたこの辺の具体的な問題で御質問があると聞いておりますから概括的に、この長期債務償還のために三十三兆四千四百億返さなければなりませんが、もちろん三十年間時間をかけてやるわけですけれども、土地を売却をしていくわけですね。清算事業団で八千百八十ヘクタールのうち売却可能用地として三千四百ヘクタール、この処分は現在何%進んでいるか。今日の土地の高騰で大変問題がありまして、足踏み状態ですが、地方公共団体その他いろいろと切望している向きもある。  それに関連をして、売却に対する取り扱いで、国鉄改革法等施行法第三十二条の条文解釈について、どうも現地とJRと国鉄清算事業団、そして地方公共団体あるいは地域の自治体、こうしたところとの解釈で随分と問題が出てきているわけですね。だから売却が促進されていない、こう聞いているのですが、御回答をいただきたいのです。
  16. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まず最初の先生御質問の、国鉄清算事業団が売却予定地として持っております三千三百五十ヘクタールのうちの、現在まで何%の売却実績があるかという点でございますが、そこは明快に何%というのは出ておりませんが、一月末現在の土地売却実績が今まとまっているのがございます。それで、件数にいたしまして四十二件、面積が四万五千平米、金額にいたしまして一月末で二十七億という金額でございますが、六十二年度の売却予定は、清算事業団の予算の中におきましては三千億程度を見込んでおりました。これにつきましては先生御高承のとおり、最近の緊急土地対策要綱に従いまして土地の価格の著しく高騰している地域などを中心に、当面鎮静化するまで見合わせるということをしてございますが、そういうこともございまして、六十二年度の見込みが今の三千億程度の約半額ぐらいのところになるのではないかと思っております。  それから、第二点の施行法の三十二条の規定でございますけれども、この三十二条の規定は先生もう御高承のとおり、国鉄改革の法律関係をいろいろ議論していただいておりました国会で私ども提案したわけでございますけれども、これは六十二年四月一日を期して国鉄から新事業体に移るその時点で、国鉄の所有している用地を、承継法人がその事業に必要な限度の土地を承継法人に渡し、残りはできるだけ国民負担の軽減に努める、そういう目的で清算事業団が引き継ぎまして売却するということで考えていた、そのときの、仕分けをするわけでございますが、そのときに予想されなかったような事態が六十二年四月一日以降に生じた場合に、五年間に限りまして、承継法人が事業には供しないという事態が生じたような場合には、それはまた清算事業団が買い戻しをする。そして、その土地を長期債務の償還とかそういったことに充てる、こういう趣旨で考えた規定でございます。
  17. 新盛辰雄

    新盛委員 それはわかっているのですよ。問題は、五年間以内に土地不用だ、いわゆる国鉄清算事業団がJRへ簿価で提供して、そしてその簿価の提供のまま扱ったけれども、もうどうしてもここのところは土地不用だ、その不用になった土地を勝手に処分ができないよ、これはすぐまた清算事業団の方に譲渡をしなさい、その譲渡額はやはり簿価ですよ。それはそういうふうになっている。だけれども現実、例えば、新宿の東口の問題で小田急との競合で何か開発しようとやったら、それは運輸省はだめだ、こう抑えたとか、これは新聞報道ですよ。住田東日本鉄道旅客株式会社の社長までが、どうもおれたちはどうにもできない、おれたちに任してくれ。ところが、法律は「五年以内」となっているのですよ。  ところが、五年以内だったら不用の土地をまた清算事業団がこれを扱って売るわけですが、今度厄介なのは資産処分審議会というのがあるわけです。一ヘクタール以上は全部この資産処分審議会を通さなきゃいけないのですよ。そうでしょう。だから、ぐるぐる回って一向に売れない。それは土地が高騰している、緊急措置でどうこうと言うけれども、売りやすくしなきゃ、いつ借金を返せるのですか。こんなふうな体制だから、どうも収入の方がといったって、これはいろいろな財源的な問題にもかかわってくるわけでしょう。何のためにJRにしたのですか。そういうところに欠陥がありはしないか。  地元の関係も含めて、例えばローカル線を撤去しますね、廃線にします。私の鹿児島県では山野線、小里代議士がおられるところですが、あそこなんか、線路を撤去して、あるいはまくら木を撤去して駅舎をきれいにして道路にするにしても、第三セクターにする場合は転換促進関連事業交付金で二億円となるそうですが、一キロ当たり三千万円です。その三千万円でやるのでしょう。それはそれでいいのです。それでも地方自治体は足が出るというのでもうバンザイしている。そうすると、ああいう撤去をどういうふうにするかとか、あるいは早く整地して売るとか、そういうことに対するあれが一つも遅々として進まない、不満が出てくるわけですよ。だから、この辺の作業がどうもたくさん絡み合っているものですからできない。それと三十年以上かかるのじゃないですか、この償還は。それこそ背負って背負い切れないと後でまた国の方で何とかしてくださいという話になってくるのじゃないですか。それはどうなんです。
  18. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 国鉄の長期債務の処理につきましては、ことしの一月に償還の基本方針というのを閣議決定いたしました。それで、今清算事業団は国鉄の長期債務を約二十五兆以上の金額を引き継いでいるわけでございますけれども、そのうち今の土地売却を含めまして清算事業団が持っている私ども自主財源と言っておりますが、その自主財源の土地の部分で見ますと一応の現在の計算で七兆七千億ということでございますので、全部の二十五兆を自主財源というようなことだけで賄うということはできないわけでございます。それで、現在までの計算でございますと、いろいろな自主財源を使い、それから新幹線保有機構からの貸付料の一部を回していただくというようなことまで含めまして約十四兆ぐらいの金額がまだ国民負担として残る計算になっておりまして、これにつきましては、先ほど申し上げました閣議決定の中で本格的な財源措置をとっていくということを考えておりまして、最終的には国において処理するということでございますが、その本格的財源措置をとるのは、今の土地売却の見通しがおおよそつき、それから一方、清算事業団は雇用対策をやっておりますが、その辺の見通しがおおよそつくという段階でその問題につきましては本格的な財源措置を決めてまいる、このように今の段階では閣議決定いたしております。
  19. 新盛辰雄

    新盛委員 非常に不十分ですから、この問題はまた後刻私どもの方から提起したいと思います。  次の雇用の問題ですが、時間がどんどんたちますので、一問一答的に簡単にお答えいただきたいと思うのです。  今の国鉄清算事業団の中にいらっしゃいます方の再就職あっせん、雇用対策促進のためにいろいろな手だてがされているらしいのですが、これまで六十三年二月一日現在で北海道二千五百六十八名、本州五百八十六名、四国三十六名、九州千五百六十九名、この分が消化をされたけれども、まだ残りは相当な数がいるわけですが、向こう三カ年間のうちに消化することに約束づけられているわけです。杉浦前総裁じゃありませんけれども、一人も路頭に迷わせるようなことはいたしませんと言明がございました。と同時に、地域的にも、あるいは組合がありますから組合的にも本人の意に反するそうした強制とかということはやらないという附帯決議もありますね。  そういうような面ではこれから先の運営の中でどうするかということなんですが、いまだに清算事業団におられる方々は自学自習ということで、朝出てきて晩まで何にも仕事をしないで一室に閉じ込められているという状況が散見されます。もちろん中には、もうここらあたりでうどん屋になったり、やれ本屋になったり、現職の方々がやっておられるJRのようなあの仕事よりもまたほかに新天地を求めたいという人たちも中には出てきているのですね。経営者側の方にしてみればそれを待っていたのかもしれません。しかしこの方々も、今度はおれも自動車、トラック運転手になりたいとかそういう場合に少しでも訓練をしたい、いわゆる学校に行きたい。これはその時間を与えるようになっているのですよ。ところが、現実はそうなっていないと聞いています。運輸省としてどういう指導をしておられるのか、これをお聞かせいただきたい。  そしてさらに、人権問題とされている組合もございます。国労の皆さんは全国キャラバン隊をひっ提げてやってきておられる。そういう方々の状況というものをどういうふうに調査され、そしてこれからの雇用促進という面でお考えになっているのか。これは実は差別という話で最近変な怪文書が回ってきました。これはここで発表する内容のものではありませんが、やはり差別的に何かやっているのじゃないかということも危惧するのですよ。これは新聞社あたりは、なにしたら大変ですよ。だから、そういうことは良識を持ってされるべき筋であって、これは一人も路頭に迷わさないということになっていますから、運輸省としてそういう再就職組に時間を与えて訓練させるなり習熟させる、そういうようなことについてぜひひとつ的確な指導をお願いしておきたい。どうですか。
  20. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 旧国鉄職員の再就職の問題につきましては、これは国鉄時代から政府が一丸となって、今先生御指摘のように一人も路頭に迷わさないという考え方で各方面にいろいろお願いし、全力を尽くしてやってきたところでございます。  それで、二月一日現在で清算事業団に移られた方の中でまだ再就職の未定の方は今五千二百人程度の人数になってございます。ただいま先生御指摘のそういう方々の職業訓練とかいったようなことについて、どのように行われているかという御指摘だと思いますが、この点につきましては、いろいろな部外の公共訓練施設だとか専修学校みたいなところを使いまして、現在までのところいろいろな講義を受講していただいておりますが、受講待機中の方々も含めまして延べで約七千四百人ぐらいの方々のいろいろな訓練が行われております。今後とも個人個人の御希望を清算事業団の方でじっくりと聞いていただいて、できるだけ御希望に沿った線での教育訓練、そういったことを徹底していただくように清算事業団に指導したいと思っております。  なお、組合というような関係での差別的なことはもちろんあってはならないことでございますし、現にそういうようなことはないというふうに清算事業団の方からも伺っております。
  21. 新盛辰雄

    新盛委員 年金問題ですが、これは非常に大変なことでございまして、六十一年四月で組合員数二十七万六千人、受給者が四十四万三千人、一人当たり一・六人、この成熟度であります。そしてその当時、財政調整ということで公務員やNTTあるいはたばこなどからも加勢をいただきながら、またみずからも自助努力によって一〇%程度の年金のスライドすべきものをやめた。そしてさらに政府が三千五百億不足の分を補ってようやく六十四年度までは何とかなっている。しかし、六十五年以降毎年三千億ずつ不足をするのですが、これを一体どういうふうに処理されるのか。  これは今から年金問題懇談会だとか、十二名の有識者でつくっておられる、いわゆる学識経験者で何とか議論をしておるということでございます。これは、財源の問題は大蔵省管轄なんですけれども、運輸大臣としても、この機構改革をした後のことですからこれを路頭に迷わせない、年金の資格を失わしめないように、財源は三つの方法がある。土地売却の利益を何とかしてほしいというのもあれば、また今までのとおり公務員その他から加勢をもらう、あるいは受給者の年金をカットする、いろいろな議論がありますよ。しかし、既得権を奪するようなことはやめなさいよ。あくまでも六十五年以降は心配しないでよろしい、年金受給者にそういうようなお答えをいただきたいのです。運輸大臣としてどういう努力をされるか、見解をお聞かせいただきたい。
  22. 石原慎太郎

    石原国務大臣 あちこちいろいろ案もおありのようですけれども、いずれにしろ受給者にこれから先不安を与えないことが大切であると思っております。そういう認識のもとに、六十年十一月の政府統一見解の趣旨を踏まえて、日本鉄道共済年金問題に関する閣僚懇談会において鋭意検討を行っておるところでございますが、また、六十五年度以降の対策の検討に当たっては閣僚懇談会に大来佐武郎氏を座長とします鉄道共済年金問題懇談会を設けたばかりのところでございます。いずれにしろ努力をいたしまして、受給者に不安をおかけしないような渾身努力をするつもりでございます。
  23. 新盛辰雄

    新盛委員 それはぜひひとつよろしくお願いします。  次に、海運の問題について触れさせていただきます。これだって二時間ぐらいかかるのでしたけれども、もう時間が過ぎてしまいましたので要点だけ申し上げて、また後ほど各委員からも質問があるかと思いますので、それはそれとしてお願いします。  海運白書でもそうですが、各業界の決算発表を昨年十一月のものを見ますと、海運大手六社の中間決算、北米航路が非常に大変なんです。円高による状況と船員問題など難問を抱えておりますから、もう既に四社が経常損失を出しているという厳しい現実。そういう中で、大臣の所信表明の中にもございましたが、産業構造の転換の中に海運業という産業、あなたのおっしゃったのは「構造転換を円滑に進めるため、その環境整備の一環として海運・造船不況対策を進める」、こうおっしゃっておりますから、今不況業種がたくさんございますが、そういう産業構造の転換の中に海運産業というのを位置づけられるのかどうなのか。  そしてひいては日本海運は今後存続すべきである、いわゆる大きな柱ですね。日本商船隊は最近の状況では便宜置籍船にとってかわろう、六社の皆さんがおっしゃっております。外国人船員が日本の船に乗っかる新たな船舶の登録制度、こういうもので混乗を前提にして、日本の船員は東南アジアその他の方々の経費と比べれば六倍などという話が出ておりまして、それを混乗させることによって少しでもと。生き延びるためにどうするのか。日本の船で日本の船員を、そういう面で近代化船という話が出てきているわけですよ。それをも我慢してやるのだが、結果的には日本海運というのは将来どうなるのか、一体どうするのか、そのことについてポイントだけをひとつお答えいただきたいと思うのです。
  24. 石原慎太郎

    石原国務大臣 いろいろな事情、特に円高の問題が決定的に響きまして、日本海運がまさにピンチにあることは、もう明らかでございますが、しかし、海運というものは日本に限らず、海にかかわりある国家にとってそれはもう基幹的な産業でありまして、地球の過半が海で覆われている限り海運がなくなるわけはございませんし、また日本にとって海運意味がなくなるということも全くあり得ないと思います。そういう視点にのっとりまして、日本の本当に代表的な産業でありました海運、今本当に惨めな状況にございますけれども、八方手を尽くして、とにかくこれを残す、日本のために支えていくということを渾身努力したいと思います。ただ、何といっても運賃の格差がございまして、この問題非常に難しいのですが、どういう形でか、ともかくこれも最低限確保していくといいましょうか、船員の雇用を壊滅的な状態にしないような努力をしていくつもりでございます。  詳しい方策につきましては、政府委員の方からお答えさせます。
  25. 新盛辰雄

    新盛委員 いや、時間がないですからね。この問題、おっしゃったことを根幹にすれば、日本の商船隊を守っていくんだという大臣の決意はわかりました。  日本商船隊は、日本船九百五十七隻、三千百万総トン、外国用船が現在千二百九十二隻の二千五百万総トン、これは六十一年の半ばの調べですが、最近の位置はもっと下がったと思うのです。もっと少なくなっている。これをお知らせをいただきたい。  それから、外航船員数は、昭和五十年で五万五千人だった。それが六十年には三万になって約半減をしているのですね。これも最近の数値を、ただ数値だけでいいですから、お知らせをいただきたい。  それと、第四十三次の計画造船でも、七百億という財投をもってやったのですが、わずか一隻しか建造されなかった。ことしは、六十三年度予算で四百二十億、金利が五・二%なんですが、これで新造船が何隻できる予定にしておられるのか。これらの金利などを下げるとか、何かいい方法がなければ、せっかくつくった予算でも、財投でも船が一隻もできない。去年で一隻、ことしはどうだろう、こういう不安がありますから、これをお聞かせをいただきたい。  さらに続いて申しわけない。雇用の問題で、便宜置籍船に、これはもう現在相当数乗っているわけですが、現在約千五百隻程度あるのですね。こういうことに対して要員的に、今確かに就職奨励金などでも十二万円を失業中の人には十八万円に、雇用船員、外国の船に乗る人は毎月三万円、企業に払うような仕組みに今度新しくなっておりますけれども、将来展望として、こういう面の雇用と賃金の関係で一体どういうふうになっていくのか、それもお知らせをいただきたい。
  26. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 お答え申し上げます。  まず日本の商船隊の隻数でございますが、昭和六十二年の七月一日現在で、二千総トン以上の外航船舶につきましては、日本籍船が八百十六隻、二千八百二十万総トンでございます。対前年比で八・九%の減になってございます。それから外国用船は千二百六十六隻、二千六百三十一万総トン、前年ベースで六・七%の増ということになってございます。このうち便宜置籍船がどの程度かというのは必ずしも明確ではございませんけれども、大体一千隻ぐらいではないかというふうに考えております。  それから六十二年度の計画造船、四十三次船でございますが、御指摘のとおり、ただいま現在一隻しか出てきておりません。六十三年度につきましては、八十万総トンを目標といたしておるわけでございますが、御指摘のとおり、近代化船を整備するということについての建造意欲が非常に欠けておるというのは事実でございます。これはもちろん、非常な海運不況下で建造意欲そのものがないということもございますし、現在の近代化船が国際競争力に欠けておるという面からこのような形での建造、整備についての意欲が余りない、こういうことだと思います。融資比率の問題がございますけれども、現在、融資比率は最優遇の金利になっておりますし、また融資比率の問題だけで建造意欲が新たに出てくるという見通しにもないように思いますので、やはり総合的に考えて、この計画造船によって日本商船隊をどのように整備していったらいいのか、非常に困難な問題だと思っておりますが、私どもも取り組んでまいらなければならない課題だと存じておるところでございます。
  27. 新盛辰雄

    新盛委員 時間が来ましたので終わりますが、せっかくきょうは、私は日本国有鉄道清算事業団の前田理事と共済担当の長野共済事務局長を呼んでおりますから、前田さんの方に一言だけ。清算事業団での不当な差別扱いをしないということについては、これは従来からもそう附帯決議でなされておりますから、現地の指導を含めて十分その配慮をなされているとは思いますが、これから先の決意をお聞かせいただきたい。  それから共済の方は、こういう状況ですから、共済事務局としては具体的に今後一体どういうふうに、受給者がどんどんふえていくわけですから、それについてあるべき姿としてはどう考えているか、考え方をお聞かせいただいて、終わりたいと存じます。
  28. 前田喜代治

    ○前田参考人 当然のことでございますが、そういった差別扱いということは一切ございませんし、またそういうことが現にありませんので特に指導するということもないわけであります。
  29. 長野倬士

    長野参考人 救済策につきましては、私どもはお願いする立場でございまして、先ほど大臣から御説明ございました有識者懇談会等の結論の方向に従ってお助けいただきたいというふうに思っております。私どもとしましては、単なるびほう策ではない、恒久的に安心できるような対策をお示しいただけたらありがたいというふうに思っておる次第でございます。
  30. 新盛辰雄

    新盛委員 終わります。
  31. 関谷勝嗣

    関谷委員長 戸田菊雄君。
  32. 戸田菊雄

    ○戸田委員 私は、主として大臣の所信表明を中心に質問してまいりたいと思いますが、きょうは大臣が御都合があって、後段十九分ばかり私の質疑の時間の中でいなくなるそうでありますから、大臣に関係のあるものをまず順序を変更して質問してまいりたいと思います。  第一点は、大臣の所信表明にも、国鉄改革を初めとする行政改革の推進と定着、こういうことを言われていますね。JR等の問題については後刻、恐らく年度明けに収支計算報告等がやられてくると思いますから、その際に時間をかけて質問してまいりたいと思いますが、ただ一点だけ、今新盛委員もちょっと触れられました年金問題について大臣見解を伺っておきたいと思います。その前に、大蔵省から参っておりますので、実は大蔵委員会ないし国鉄対策委員会等々を通じまして国鉄の年金問題については六十四年度までは政府責任でもって決着をつけましたが、問題は六十五年度以降、制度を含めてどういうことで保障体制をとっていくか、それは六十三年度中に政府の対処方針を出しなさい、こういう確認になっているわけですね。ですから、それらについて今どのような作業を進められているか、ちょっと大蔵省の共済課長の方から。
  33. 山口公生

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、六十四年度までは何とか処置のめどを立てまして支給を確保する手だてができたわけでございますが、御指摘のように六十五年度以降となりますと三千億を上回る赤字というようなことが予想されるわけでございます。それは単に五、六年先までの話ではなくて、ずっとこういう状況が続くという非常に心配をしている状況でございます。したがいまして、この問題につきましては非常に緊急を要する課題であるという認識を私どもも持っておりまして、それで現在はいわゆる大蔵、それから運輸、年金担当、内閣官房の各大臣のお集まりでございます閣僚懇談会で鋭意検討するという形で進めていただいておりますが、さらにそこに何せ三千億という巨大な赤字でございますので、やはり非常に国民的な広いコンセンサスがなければなかなか簡単に処置し得るものではないという趣旨から、有識者の方々、かなり広い各界の方々にお集まりいただきまして今御議論を賜っているところでございます。  それで、それほどの時間的余裕がないということも先生のおっしゃるとおりでございますので、できますれば本年の秋ごろまでには何かの具体案を示していただけないだろうかなというふうに私ども事務方としては思っているわけでございます。それで、先生の御指摘のように受給者の方々に不安を与えないように私どもとしてもできるだけの努力をしていく所存でございます。
  34. 戸田菊雄

    ○戸田委員 課長、政府の長期展望の年金対応策は七十年度までに一元化する、こういう方針だと思いますね。それで、国鉄年金等については、五十八年ですけれども大蔵委員会において、かつて公共企業体の年金、これを国家公務員等年金法に改正しまして、そしてそれに組み入れて、類似のNTTやたばこ産業、各組合員から一定の補てん策を受けまして、ですから掛金については統一性をとったわけでありますが、給付とか積立金の管理等についてはまだ制度上もばらばらですね。その上に立って七共済の基礎年金導入ということでその際に基礎年金を導入して、標準年齢方式をとって、地域加算をやって、三段階方式で改定をやったわけですね。しかし、これも内容は給付の一元化であって、制度上はそれぞれ七共済ばらばらです。だから内部的にはそういった制度上の問題をまず整理をしていく必要があるんではないだろうか、こう考えているのです。  それと含めて、六十五年度以降一元化をして、統一体制をとって七十年度までに仕上げる、こういうことですから、そういう中で国鉄年金を制度上あるいは給付金の保障、そういった財源調達の問題、これをどうするかということが問題だろうと思うのですね。ですから、そういうものを六十三年度に出しなさいよ、こう言っているわけです。政府も宮澤大蔵大臣が、それは検討いたしましょうということになっているのですね。だからその検討の作業の具体的な中身、有識者云々と言っていますが、それは内部的な政府の体制の中で処理をされていかなければいけない問題だと私は思うのです。そういうものが具体的に作業は進んでいるのですか、どうなんですか。
  35. 山口公生

    ○山口説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、公的年金制度にはもう一つの大きな課題がございます。それは公的年金の一元化という課題でございます。これは閣議決定によりますと、七十年には完了するというふうになっておりますので、私ども各制度を所管しております省庁、これは大蔵省だけではございませんが、各省庁は七十年の完了に向けて何をなすべきかということについて非常に問題意識を持ちまして、実は昨年の九月には公的年金を所管している各大臣の皆様方にお集まりいただいて、公的年金を七十年に一元化を完了するということを再確認していただきました。さらに、実は大きな制度改正というのは大体五年ごとにやっておるということもございますし、今度六十四年の次期の財政再計算という、ちょっと専門的な言葉になりますが、そういう時期に当たるわけでございます。そこで、その一元化のうち地ならしできるものは地ならしをしようじゃないか、そういうことが検討できないかということを御議論いただいたわけでございます。  それを受けまして事務レベルでも検討作業を実は始めたわけでございまして、先生のおっしゃるような問題意識を私どもも持っておりまして、そこで、では国鉄共済との絡みはどうかということでございますが、先ほどお話がございましたように給付の方の一元化というのは大分進んだ、私どもそう思っております。ただ、負担の方の一元化は、このまま各制度が分立したままで、それぞれの成熟度等を背景にそのままいきますとばらばらになってしまうという認識は先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもの七十年の一元化に向けて地ならしをしたいという気持ちの中には、そういった負担が余りばらばらになっていくのは困る、例えば国鉄を見た場合、このままいくとべらぼうな掛金になってしまうという問題意識があるわけでございまして、そういったものを念頭に置きながらこの一元化の議論も進めていかなければいけないという認識でおります。  したがいまして、公的年金の一元化という問題は各制度、国鉄だけの問題ではない議論ではございますが、国鉄共済年金もその制度の一つではございますから、やはりそうしたことも頭に置いて議論していく、また事務的にもかなり詰めなければいけない難しい問題がございます。各制度非常にばらばらな面がまだ残っております。そういったことを鋭意詰めてまいりたい、かように考えております。
  36. 戸田菊雄

    ○戸田委員 いずれにしてもきょうは時間がそう大してありませんから、しかるべき時期にしかるべき場所で、じっくりと本問題については討論してまいりたいと思っています。  いずれにいたしましても、六十五年以降三千億の欠損金が出る、こういうことでありますから、これは政府の一体の責任の中で、そういう状況で保障していくような制度を含めた改革が必要だ。そういうところで、今共済課長もおっしゃられたように関係閣僚懇談会、これは当然主管の運輸大臣が入っておるわけです。厚生大臣もおりましょう、大蔵大臣もおりましょう、官房長官もおりましょう、等々あるわけですから、ここで早いところその対応を、六十五年以降の問題について打ち出しをしていただけるように、十分ひとつ御努力をお願いしたいと思うのです。大臣見解を一言だけ。
  37. 石原慎太郎

    石原国務大臣 既に私が就任いたしましてからも一回関係閣僚懇談会を持ちましたが、いずれにしろこれは関係省庁と協議しながら、マルチな形で、ともかく受給者に御迷惑をかけないだけではなくて不安を持たせないという最善の努力をしていくつもりでございます。
  38. 戸田菊雄

    ○戸田委員 順序を変えまして、総合交通政策と基本法制定等について、制度上の問題について若干質問をしてまいりたいと思うのです。  交通の現状を見ますと、都市交通はまさに混雑、渋滞ですね。この解消が急がれなければいけないと思っているのですが、逆に過疎地域、こういったところは、バスその他国民の足を守る交通機関というものがない。そういうちぐはぐな状況が生まれているわけですね。ですから、こういった問題に対処して、これも早期に確立をしなければならない問題だ。  それからもう一つは、事故が非常に多いですね。大臣も所信表明の中で、交通政策の基本的要諦は安全だ、こういうことを言われているのですが、毎年これは主張されていますけれども、年々ふえていますね。これは運輸経済年次報告の六十二年度版ですけれども、資料は全部いただいておりますので、警察庁から来ておられると思いますが、こちらの方で確認をしたいと思います。  五十七年以降の死傷者数は、五十七年六十三万五千二百六十五人、うち死者が九千七十三人、五十八年六十六万四千三百四十二人、死者が九千五百二十人、五十九年六十五万三千五百八十三人、死者が九千二百六十二人、六十年六十九万六百七人、死者が九千二百六十一人、六十一年七十二万一千六百四十七人、死者が九千三百十七人。年次を追ってずっとふえていますね。このままいきますと七十万台、十年間たったらこれは七百万超しますからね。かつての大東亜戦争の三百万をはるかに超えてしまう。まさに交通戦争ですね。  この事故防止対策を抜本的にやりませんと大変なことになると思うのです。殊に交通障害者、これは植物人間なんかも相当おりますよ交通遺児、「こんな本だいきらい」という本を、大臣読んだことあるかもしれませんが、子供さんの痛烈な、悲惨な叫びですね、等々考えますと、これは早期にこの問題の改善策を図っていかないと大変なことになるんじゃないだろうか。  そこで、警察庁等でも安全面に対していろいろな指導その他をやっておられるのですけれども、この防止策はどうでしょう。交通渋滞解消、交通事故防止の妙案はありましょうか。
  39. 山田晋作

    ○山田説明員 交通事故防止対策と交通渋滞防止対策についてお尋ねがございました。  交通事故につきましては、先ほど数字を挙げられたそのとおりでございます。年々増加しておりまして、昨年からことしにかけてさらに増加しておりますが、いずれにしましても、年間九千人を超えるのが六年間連続しておるわけでございます。ただ、交通事故を防止するというのは、抜本的対策はこれまたございませんので、関係機関、団体がそれぞれ協力して連携をとりながらやっていくというのが基本でございます。  私ども政府の一員でございますが、政府におきましても、昭和六十一年三月の中央交通安全対策会議において第四次の交通安全基本計画を決めまして、これに基づいて関係省庁がそれぞれ連携をとりながら交通事故防止対策を進めております。これは中央だけではなくて、都道府県の段階、都道府県警察の段階、それから警察庁の段階でも同じようなことをいたしておるわけでございます。ただ、警察といたしましては、人命尊重ということを基本理念として総合的な交通安全対策を積極的に進めるということでございますが、当面、特に死亡事故のふえております若者の二輪車乗車中の事故、それからお年寄りの歩行中の事故、これが大変増加をしてまいっておりますので、そちらの方に事故防止の重点を志向いたしまして努力しておるということでございます。交通安全教育とか街頭活動、それからシートベルトの着用、こういったものも全部ひっくるめましていろいろと努力しておる、こういうことでございます。  それからもう一点、交通渋滞防止対策でございますが、ただいまお話がございましたように、都市部におきましては交通量の激増によりまして、自動車交通量とこれを支える道路交通容量、すなわち道路スペースでございますけれども、これのアンバランスが生じまして、交通渋滞は大変深刻なものになってございます。警察といたしましても、こういった問題は大変重要な問題として受けとめておるわけでございます。そういったことから、昭和六十一年度から始まっております第四次交通安全施設等整備事業五カ年計画におきましても、都市交通機能の確保ということに重点を置きまして、大きな柱としていろいろと対策を講じておるわけでございます。いずれにしましても、抜本的な施策、解決策というものはございませんので、少しでも緩和してまいるということでございます。  私どもといたしましては、交通渋滞緩和対策といたしまして、一つは、走っている車の対策でございますけれども、できるだけ道路スペースを有効に使うという見地から、信号機の機能を高度化させる。具体的に申し上げますと、交通量とか交通流とかによりまして青と赤の時間が自動的に調整されるといった信号機の感応化というふうなことも進めております。さらに、交通管制センターというものを設置いたしまして、単なる交差点だけではなくて、路線一つの線として、また地域を面として、交通全体を管理していく、できるだけその地域全体としてうまく道路スペースを使っていくというふうな見地から施策を進めておるわけでございます。そのほか、交通規制の面からは、例えば交差点におきましては右折車両は大変交通渋滞の原因になります。右折レーンをつくるとかあるいは右折専用の信号機をつけるというふうなこともやってございます。また都市の駅周辺、団地あたりではバスレーンのようなものも設置いたしまして、できるだけ交通渋滞緩和を図るというふうなこともしてございます。  それから、とまっている車でございます。走っている車があれば必ずとまる車もあるわけでございますが、都市における違法駐車が大変大きな問題になってございます。そこで駐車対策を進めるということ、それから道路使用の面も、道路に非常に障害を与えるというふうな面がございますので、そういった面にも大変力を入れておるわけでございます。昨年四月、道路交通法を改正いただきましたので、それに基づいて、駐車対策といたしましては、都心部あたりにはパーキングメーターのようなものを設置いたしまして、必要最小限度のやむを得ない駐車需要に応ずるというふうなこと、それから道路使用許可の面につきましても、できるだけ時間帯とか場所とかいうものを十分考えて道路使用許可を行うというふうなことにもいろいろと配意しているわけでございます。  なお、こういった施策を推進するに当たりましては、交差点改良とかいったような問題がございますので、道路管理者の皆さん方にもいろいろと御協力いただきとうございますので、十分連携をとりながらやっておる次第でございます。  なお、こういった施策を進めるに当たりましては、やはり駐車問題一つにしましても道路使用許可の問題にしましても、国民各層の御理解、御協力をいただきませんと、とても進みませんので、そういった面にも十分配意しながら推進しておる、こういうことでございます。
  40. 戸田菊雄

    ○戸田委員 大臣行政の対応が非常にばらばらだと私は思うのです。例えば一つの道路を見ますと、あるものは建設省、あるものは運輸省、港湾にいきますと、これは運輸省のものもあり農林水産省所轄のものもあり建設省所管のもの等々、今おっしゃられたように事故防止その他の安全指導部面ということになると大体警察庁、公安委員会等々、公害関係になってくるとこれは環境庁、こうなるわけですね。そういった非常に非効率な行政対応が今の実態じゃないか。だから、これを何かもう少し、運輸省なら運輸省の核を中心にして一つの総合政策、こういうものを緊急に成立させて、対応はそこへ行けば話が決まるということになれば一番いいのだろうと思うのですが、行政改革をするのならその辺をむしろ検討すべきだと思うのですが、大臣どうでしょう。
  41. 石原慎太郎

    石原国務大臣 先ほどちょっと申しましたけれども、やはり人命にかかわることでございますから、行政の中でも最優先されなければいけないことだと思いますけれども、委員が御指摘のように、どうもちょっと行政がばらばらなところがあります。  古い話になりますが、私、十年ほど前政審にいましたとき、トラックの過載の取り締まりをやろうということになりまして、やって三カ月たったら、警察庁が努力して効果が上がったのですけれども、物価に響いてくるとほかの役所から反対が上がったり、妙案はないかということで、県ごとに間引きして、検査する県としない県をつくったらどうだなんという珍案まで出てきまして、何と案がまとまらないものかと慨嘆をしたのを覚えております。これは御指摘のように、そういうものがどんどんふえてくるということになりますと、やはり相当急いだ、思い切った対処をしなければならないと思いますが、運輸省が中心になるのか総務庁が中心になるのか、いろいろ考え方もあるでしょうけれども、これはやはり政府としても積極的に考えるべき課題の一つだと心得ます。何かいい案が出ますような努力をひとつしてみるつもりでございます。
  42. 戸田菊雄

    ○戸田委員 都市交通の混雑ないし渋滞の解消、今警察庁の方から話がありました。いろいろと努力はされているのですけれども、例えばE電、地下鉄、殊に私は青山宿舎ですから千代田線ですけれども、朝八時ごろ会議がある。大体七時以降九時ごろまで、乗ってみますと三倍、もうぎゅう詰めですね。ですから、ある労働研究所センターで疲労度調査というものをやったのです。二時間コースですと、そのまま病院へ行って疲労度の検査をやりましたら、大体半日稼働、四時間稼働ぐらい疲れる、こういうことです。ですから、そういう問題の混雑緩和を急がなければいけないと思うのです。これでいいということはない。犯罪、そういったものも発生しますし、いろいろあります。ですから、快適なんというにはほど遠いですね。そういう意味からいっても、この問題の解消策も急がなければいけないと思うのです。  そこで、常磐線等複々線、通勤専用線、高崎から一線を今やっておると思うのですが、そういう緩和政策もいろいろやっておられるようです。あるいは各私鉄に対しても一定の国の助成、二分の一程度やって、いろいろと建設その他やっているようですけれども、こういったものをやはり促進して、緩和策を早期にやるべきだと思うのです。具体的にそういう複々線緩和政策をとり得る体制というか作業というもの、そういうものはありましょうか。
  43. 熊代健

    熊代政府委員 先生おっしゃいますように路面交通の混雑もさることながら、大都市圏におきます鉄道の混雑状態というのは、四十年代に比べますと一部よくなった部分もございますが、おっしゃるように、特に東京圏の北東部等におきましてはむしろ激化しているという状況でございます。通勤通学時の混雑緩和を図りますためには、一つは、これは従前からなかなか効果が上がらない面もあるのですが、時差通勤というようなこともお願いするということをやってきておりますが、抜本的には輸送力の増強を図らなきゃいかぬ。  そういうことで、運輸省といたしましても、東京圏につきましては全体として考えなきゃいかぬ。例えば千代田線等につきましては、まず常磐線の輸送力の増強というようなものが緩和につながるということもございますし、そういう観点から、六十年の七月に運政審に鉄道網を中心とした整備基本方策といったものをお出しいただきまして、それに向かって、先生御指摘のように、私鉄につきましてはP線方式による線増工事ですとか、そういったことをやっておりますし、それから、JRにつきましてもCD線方式による京葉線の工事ですとか、そういったことを着々と進めておる次第でございまして、そのほかに、一昨年私鉄が複々線化等の大規模の工事を行いやすいように特定都市鉄道整備積立金制度というようなこともつくっていただいております。それらを含めまして六十年に出されました鉄道網の整備というものを我々として全力を挙げてやっていきたい。  特に、北東部につきましては常磐新線という問題もございます。これらにつきましても具体化を関係の一都三県等と、あるいはJRを含めまして検討を進めて、二十世紀中にあのラインがそれなりに完成に向けて着実に進められるようにということで進めておるところでございます。
  44. 戸田菊雄

    ○戸田委員 大臣が別な委員会に行かなくちゃならないようですから一点だけ、昨年の予算要求の際に大臣に書面でもって総合交通政策、基本法制定等々真剣に検討してくださいということで要請しておったのです。時間がありませんから詳しくこちらの内容を申し上げるわけにいかないのですが、これは国土庁も参っておりまするから後からやりますが、そういった総合交通政策、基本法制定等々、これに対してどういう見解を持っておりましょうか。
  45. 石原慎太郎

    石原国務大臣 大変大事な御提言でございますが、一応運輸省が管轄しております交通網に関しましては運輸政策審議会の答申が少し前でございますけれども出ておりまして、これはまた非常に今日的な意味を持っていて、私は大変貴重な答申だと思います。それから、新幹線に関しては整備法もございまして、この二つを基盤に据えれば運輸省の交通体系というものは粗相なくできると思いますが、ちょっと残念なことに、縄張り争いをするわけじゃありませんけれども、道路は建設省が抱えているわけでありまして、要するに、交通道路網と例えば新幹線を含めた鉄道網とかいうものとのすり合わせが必ずしも完璧に行われているとはちょっと言いがたいと私は思います。  ですから、新幹線の検討の閣僚会議ですか、党の役員も来ておりましたけれども、非常に最悪な形になれば整備新幹線も走る、在来線も走る、横に高速道路が走って、その上を飛行機が飛んでいくみたいなことになると、これは果たして成熟を示すのかむだになるのかわからぬところもありますし、にわかに今、そういう法律をつくらなくとも事は済むと思いますが、しかし、やはり建設省などの構想とかなり積極的なすり合わせをしませんと、ややもすると幹線機関がばらばらになるというおそれがなきにしもあらずということで、これは銘記して、そういうむだがないような努力をこれからもしていくつもりでございます。
  46. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それで、順序が行ったり来たりしましたけれども、改めて今の問題について、これは二月の二十二日ですが、「道路、鉄道、空港効率的に「高速交通整備」策定へ 国土庁」、こういうことなんですね。「国土庁は二十一日までに、昭和七十五年(西暦二〇〇〇年)を目標とする道路、鉄道、空港を組み合わせた全国の総合交通体系整備計画「高速交通施設整備基本方針」を新たに策定する方針を固めた。」こういうことなんですが、これは今までの一全総、二全総、三全総、今度四全総ですが、これを見ましても、まさに超長期、交通政策については三十年先。ところが、今度はこれを早期に策定しようというのですが、この内容と今の作業の進みぐあい、国土庁どうでしょうかね。
  47. 神谷拓雄

    ○神谷説明員 お答え申し上げます。  新聞報道の件でございますけれども、今私どもの方で多極分散型国土形成促進法というような法律を検討しておることは事実でございます。これは我が国の土地問題に基本的に対処しまして、四全総が目標としておりますところの東京への一極集中の是正、それからそれと多極分散型国土の形成を強力に推進していくというようなことでいろいろな条項を盛り込んでおるわけでございます。  その中で交通体系の整備というのがこの多極分散型国土を形成する上で非常に大事なものだというふうに認識しております。その中でもとりわけ高速交通施設といいますか、そういうものを整備することは、国土の基盤となるものでございますので、重点的に進める必要があるというふうに認識しております。この点につきまして、現在幅広い視点からどういうぐあいに盛り込んでいったらいいのかというようなことにつきましては関係省庁と調整中でございますので、内容につきましてはちょっとまだ詰まっていないということで御理解いただきたいというふうに思っております。
  48. 戸田菊雄

    ○戸田委員 今までそれぞれ総合開発政策というものをやってきましたけれども、えてしてしり切れトンボになっているのですね。例えば一全総、これは拠点の開発方式、新産都市、こういうことでいった。だけれども、これも途中でしり切れトンボになった。二全総、これはいわゆる大プロジェクト事業ですね。道路と新幹線、こういうものに主点を置いてやった。これはまあまあ順調に拡大その他やってきたでしょうね。今度三全総は定住圏構想だ。三百有余の指定、そういうものをやっていますが、これもやはり余りぱっとしない。そして今度は多極分散型、こういうことでしょう。殊に交通ネットワークは地域交通として一日圏交通体制に全部持っていこう、こういうことですね。だから、どうしたってこういった総合交通政策なりそういうものがなければ交通整備なんというのはできっこないですね。殊に高速性、国民のニーズとしてそういう状況にあっているわけですから、これはやはり明確に設定をして総合交通政策というものをやって、そして本当に国民生活の質的向上、地域活性化等々に持っていかなければだめだと思うのですね。  どうもいろいろ検討しますと、最近、東京都の都庁が今度新宿に移転をされる。何かあの跡に国際金融センターとそれからもう一つは情報センター、そういうものをつくる、こういう関係ですね。東京湾道路を今設置しようとしておる。やはり東京中心の開発構想です。それから、前の建設大臣なんか言っておるんだけれども、常磐線の空間を使って、あそこは二千八百メートルあるから、空間に約十棟ぐらいの大ビルが建てられる、そこへマンションを建ててやったらいいじゃないか、こういうことも言われていますね。どうも地域交通整備ないしは多極分散といって、中核都市を地方に配置をしていくという構想とは大方、何か違うような印象を私は受けるのですが、そういう点はどういうふうに感じておりますか。
  49. 神谷拓雄

    ○神谷説明員 幹線的な交通施設を整備していくということは、むしろ一極集中を促進する方であるという、そういうことでございますか。
  50. 戸田菊雄

    ○戸田委員 四全総自体が多極分散と言っているけれども、結果的には東京一点集中にいくのではないかということを僕は言っているのです。そういう心配はないのですか。
  51. 神谷拓雄

    ○神谷説明員 そういう心配はないということで、私どもとしては自信を持って四全総を策定したということでございます。
  52. 戸田菊雄

    ○戸田委員 地方からの猛烈な反対があったから作文上入れたというだけではないのでしょうね。それはぴしりそういうことでやってもらいたい。結構です。  それで、政務次官おられますが、今大臣も若干前向きの、総合交通政策等については検討しましょうというようなニュアンスの答弁でしたけれども、これはやはり国土庁が今設定しようというような交通体系整備、これは主として高速性のものについて、こう限定しているようですが、私はさっき言ったように、都市交通、地域交通、全体を含めまして、そういう総合交通政策というもの、そしてその基本をなす基本法というもの、ドイツ方式のように。それで、かつて国鉄なんかは赤字、赤字とやられましたけれども、ああいうものは国庫負担のそういうものを含めてちゃんとつくってあるのですよ。それから私鉄、民鉄に対する助成態様もぴしっとしているのです。だから、そういうものを明確にこれからつくっていかなければいけないんじゃないかと思うのですが、政務次官どうですか。
  53. 久間章生

    ○久間政府委員 五十六年の答申が出まして、それを受けてこれから先の交通体系のあり方等については進めているわけでございますけれども、また一方、四全総においても各省庁が連携をとりながらあのような計画を盛り込んでいるわけでございます。したがいまして、今すぐここでそういう基本法の制定ということを申しましても、これまで運輸省も各省庁とそういう形の中で連携をとりながらやってきている点もございまして、直ちにそういうことには結びついていかないんじゃないかという危惧がございまして、ここでそういう方向でやりますということをなかなか答弁しにくいわけでございますけれども、先生の言っておられるお気持ちというのは私どもも痛いほどよくわかるわけでございます。  そういう意味では、各省庁がばらばらで交通政策をやっておったのでは国民が困るのではないかという趣旨からの御意見と思いますので、肝に銘じながらやっていきたいとは思っております。しかし、現時点で言わせてもらいますならば、そういう形で現在進行中でございますので、法律を制定するというのは直ちには難しいということを申し上げたいと思います。
  54. 戸田菊雄

    ○戸田委員 私たちも具体的にそういった法制化の問題で今検討をいたしておるわけですが、しかるべき時期に来ましたらひとつ御要請申し上げたいと思うのです。  それから地域交通についてもそういう角度から地域整備法というもの、これは三年ほど前に、一度やったのですけれども、廃案にされましたが、そういったところの問題についてもいろいろと要請をしてまいりたいと思いますので、この点はひとつ十分御検討いただきたいと思うのです。  そこで問題は、時間もありませんがタクシー問題ですね。これは御存じのように「新交通毎日」という、二月二十六日でありますけれども、ここに「六十一・六十二年度事故発生件数および死傷者数対比表」というものがございまして、これでまいりますと、事故件数としてはやはり毎年ふえているのですね。六十一年の合計が千二百三十件、そのうち死亡が一人おります。重傷が十四名、中傷が二十五名、軽傷が百三十八名、合計百七十八名。これが六十一年度。六十二年が事故件数が百十八件、そして死亡が五名、それで重傷が二十五名、中傷が九名、軽傷が百十六名、合計百五十五名で、若干、前年度よりも少しは減ったようですけれども、しかし、これはやはり労働条件その他の問題も大分あると私は思うのです。  私が参議院におったとき、四十六年度ですが、東京のタクシー料金引き上げの際に運輸省にお願いをしまして、値上げ分の六割は人件費その他給与面の改善に使いなさい、四割は経営全体の中で使っていくというようなことで、おおむねその線を運輸省も当時了承しました。そして賃金の形態について、今東京都内あたりをずっと聞いてみますと、オール歩合給ですよ。稼ぎ高によって賃金が決まっていくというやり方ですね。だから、そういうことでは非常に所得の面の安定性というものがないですね。だから、当時私は、固定給に六割置きなさい、あとの四割はさしあたって歩合給でもって、稼ぎ高によってプラスをして、そして余剰があればアルファをつけていく等々の問題で賃金体系というものを整備をしたらどうですかということで、運輸省の指導を要請した。  ところが、今は全部、オール歩合給、水揚げによって全部賃金が決まっていく。東京あたりは一昼夜交代で働いていますからね。そうしますと月に十三回、大体七十万平均だと、こう言うのですね。それに対するのはどんぶり勘定で支給されている。じゃあ病気をしたとき、休んだとき、年度末手当、年末手当、何を基準にしてこれをやるんだ。何もないですね。これもどんぶり勘定。だから、こういう非近代的な労務体制というのはないだろうと思うのですね。  ですから、結局渋滞の込んでいるときは余り走れない。走れる時期になったら、とにかく一日平均おおむね三百キロ走らなければだめだというのですね。だから、物すごいスピードで走っていくわけです、等々これはやむを得ないですね。そうすると、今言うような事故体制というものに追い込まれる、こういう状況ですね。こういうものに対しても抜本的なメスを加えなければならない状況じゃないかと思うのですが、これは政務次官、どういう見解を持っておられますかね。
  55. 久間章生

    ○久間政府委員 過労運転が事故につながりやすいということは、もうおっしゃるとおりでございまして、そういう意味では運輸省は、かねてから運送事業者に対します監査あるいは管理者に対する研修等を通じまして、そういうことのないように指導してきたわけでございます。  しかしながら、具体的に賃金の支払いの方法ということになりますと、そこまで立ち入ることがなかなか徹底することができないわけでございます。ただ、今私のところに、先日事故を起こしましたタクシーの運転手といいますか、追突された方でございますけれども、そういう問題等についても上がってきておりまして、いろいろと実態はどうなっているのか調べてもらっている点がございます。今後ともこれは労働省等関係省庁と連絡をとりながら、事故がないように努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  56. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それで、船員関係については明確に、労働時間短縮の法的規制の見直しその他、所信表明で言っておられますけれども、それらを含めて交通政策全般について、対応の業者に対して一つの指導をやるべきだというふうに考える。適正な労働条件でないといけない。トラックもそうですよ。例えば九州から東京まで真っすぐ来る。帰りを含めて四日。一人ですからね、昼夜兼行でやってくるわけですから、そういうことになると、やはり朝方になってくると眠気が差してくる。だから、小学校の子供さん方が登校時にずっと並んでいるところへときどきぶっ込む、そういう事態というものが多い。それは当然だと思うのですね。休憩時間その他設定されていないですから、まことに過酷な条件ですね。こういった問題についても私は適切な指導をやるべきだと思うのですが、政務次官どうですか。
  57. 久間章生

    ○久間政府委員 高速道路等における待避所といいますか、そういう場合の休憩所、そういうのも今積極的につくっていっておるわけでございます。基本的には、トラック等につきましても過労にならないように指導するのが私どもの立場かもしれませんけれども、先ほど先生がおっしゃられました時間の問題あるいは給与の問題、これはなかなか運輸省として限度もあるわけでございまして、やはり関係省庁と連携を図りながら、適正な労働時間によって運行が図られるように今後とも努めてまいりたいと思っております。
  58. 戸田菊雄

    ○戸田委員 時間もそろそろ参りましたから詳しく聞いておるわけにまいりませんが、いずれにしても現下の交通政策というものは総合性、統一性、こういった整合性に欠けておるのですね。だから、これを統一的に、一元化方式の中で、どういうものにでも直ちに対処できるというようなものをやはりつくってもらいたいと思いますので、そういった点を要望して、総合交通政策と基本法制定については終わりたいと思います。  あと見解だけ聞いておきたいと思うのですが、資料は大体全部もらってわかりました。わかりましたから、一言、政務次官の方にお願いしたいのは、磁気浮上、これは新盛委員も触れましたので、これはやめましょう。コミューターの現状と見通しはどういうふうに考えておられましょうか。  それから、もう一つ整備新幹線。資料をいただきました。昨年の与党・政府の統一見解六項目、これでやるわけでしょうけれども、やはりどうしても財源調達が一番問題だと思うのですね。これを明確に出して、しかし、これはあくまでも責任は政府であること。今までの調査費その他の出費を見ますと、結局、財投と利用債ですね。それは政府が全部責任を持ってやるならいいですよ。これがあたかもリース方式でもってJR関係に負担させるということになれば、かつての国鉄の二の舞になりますからね。それは確認としてJRに影響を与えないということになっておるのですから、等々の問題を早く結論を出して、これは運輸省政府サイドにおいてもやはり検討すべきだと思いますが、こういう面についての整備新幹線等の取り扱いについてどういう方向がいいのか、この見解があったらひとつお聞かせ願いたい。
  59. 久間章生

    ○久間政府委員 まず最初のコミューターの現状でございますけれども、コミューターの現状は、私の地元の長崎でやっておるみたいに、離島間を中心とする、しかも地方公共団体がかなり出費を自主的にやっておる、そういう形で運航されておるのが現状でございます。それで今後、コミューター空港あるいはコミューター航空がもっともっと各地域で行われていくのには、採算性の問題が一番大きい問題になるわけでございまして、どういうような負担になっていくか、この辺が解明されませんとなかなか汎用をしないんじゃないか、そういうような心配をいたしております。  それから新幹線でございますけれども、私ども運輸省としても、とにかく都市間の高速輸送というのは非常に望ましいことでございますし、またそれがいわゆるJR各社の、あるいはまたJRに限りませんけれども、新幹線を運営する各社のいろいろな利益のといいますか、収支の改善につながっていくことになれば非常にいいわけでございますが、せっかく新設されましたJR各社がこの新幹線によって経営が悪化するようなことになっては一番困るというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、そのためには財源問題が一番大切なわけでございますから、今政府・与党において、この問題等をひっくるめまして、新幹線の整備のあり方について結論を出してもらうべく鋭意努力をしておるところでございます。
  60. 戸田菊雄

    ○戸田委員 最後に、日航が民営化したわけでありますけれども、まさに市場競争体制に入った。大体港湾関係において港湾法の一部改正とか、後で出てくるようでありますけれども、いずれにしても、空港整備五カ年計画あるいは道路整備五カ年計画等々あるわけですね。ところが、港湾の造船関係についてはそういうものがないのですね。造船はかつて七万有余おったわけですが、最近、円高その他不況でもって大変な倒産その他に見舞われまして、もう半数の合理化ですね。今三万有余しかいない。大変な失業状態に入っている。政府も、失業対策としておおむね六十三年度一万九千六百人を対象にして雇用創出を生もうということでやっておるようでありますけれども、そういうものに対して運輸省の特定の政策というものはないのですね。きのう港湾法の一部改正を聞きましたけれども、ちゃちなものですね、三十五億見当で、これから審議されるわけでありますが。これはどうですか、私は、思い切って港湾整備五カ年計画等をやって、そして水際線対策をとったりあるいは船上レストランをやったり、係留船その他のものをやったり、いろいろあると思うのですが、そういう意思はございませんか。
  61. 久間章生

    ○久間政府委員 港湾法の一部改正といいますか、そういう五カ年計画とか年次計画は公共事業等についてはございますけれども、何せ造船業というものは私企業でございます。それを具体的に、こういうものをつくったらいい、こういうものを今後五カ年でやっていくべきだということを基本的に法律で指定していくようなことにはならないのじゃないかという気がいたします。しかしながら、これから先いろいろな考えが、どうすれば造船関係を活性化することができるか、そういういろいろな議論の中でいろいろなアイデアが出てきて、それを行政に反映させていくということは必要なわけでございまして、私どもも努力してまいりたいと思いますけれども、それを五カ年計画とか十カ年計画とか、いわゆる道路とか空港とかあるいは港湾とかという公共事業と並べて実施するというわけにはまいらないのではないかと思います。
  62. 戸田菊雄

    ○戸田委員 大臣も殊に造船関係の雇用創出については努力する、こういうことを言っておりますから、その点ひとつぜひ御検討をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  63. 関谷勝嗣

    関谷委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ────◇─────     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕