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西廣政府委員 先生御指摘のように、先般の予算
委員会で有事来援に関連をいたしましてさまざまな御
質問をいただいたわけであります。御
質問の中には、有事来援研究そのものとの直接関連で聞かれた御
質問もありましたし、また、今先生が
お話しになったWHNSあるいは有事法制ということで御
質問もあったわけでございまして、その都度、私
どもお答えする際に、有事来援研究との関連なりあるいはこれは一般論としてなりということでお断りをしてお答えをしておりますが、その辺必ずしも明確に伝わっていないという点もあろうかと思います。
そこで、私なりに整理をして申し上げますと、まず、今回の衆参の予算
委員会で論議された点で幾つかの点を申し上げますと、まず一つは、有事来援研究とポンカスという事前集積との関係ということであります。このポンカス、特に陸軍部隊のポンカスについては過去数回、ここ数年間に御
質問を受けております。それは、おおむね
日本側からポンカスの申し込みをするのかどうかといったような御
質問が従来何度かあったわけであります。その都度、
政府側としては現在のところポンカスを
日本からアメリカに申し入れるつもりはないということできておったわけであります。今回たまたま瓦
防衛庁長官が訪米された際に有事来援研究をこちらから申し入れて
向こうも同意をしたということで、これがポンカスの申し入れとやや混同されておる向きがあります。この点は非常に違いまして、ポンカスを申し入れるということは、ポンカスという政策をこちらが採用し、アメリカ側にその具体的実施を申し入れるということになりますが、今回
防衛庁長官から米側に申し入れたのは、現在、作戦計画研究というのをやっております。作戦計画研究の中で、米側の来援がどの時点でどの規模で行われるかというものは作戦計画研究の中の非常に重要な部分でありますが、その部分の研究が必ずしも進んでいない、ここについてより促進方、その部分に着目した研究の実施を申し入れたというのが実態であります。したがって、もちろん有事来援をスムーズにする
手段の一つの
手段としてポンカスということもありますけれ
ども、これは幾つかある
手段のうちの一つであるということであると同時に、あくまで今回の申し入れは研究の申し入れであるということで、政策実施の申し入れとは全く違うという点が第一点であります。
第二点は、先生の今の御
質問にもございましたように、これと駐留米軍に対するホスト・ネーション・サポート、これは有事及び平時のものが含まれますが、それとどういう関連にあるかという問題であります。
米側に対する支援の問題につきましては、この有事来援に伴う支援というものも当然何らかのものが出てくると私
ども思っております。と同時に、作戦計画、作戦に伴う
日本側からの支援ということも当然有事には
考えられるわけであります。もろもろのオペレーションに関連をして、
日本側から支援をすることあるいは
日本側が支援を受けることというのが出てまいると思います。これらのことについては、前々からいずれこの問題も研究しなければならないということでガイドラインに別に定めがございまして、例えば作戦計画なりそういう研究をやる、そういう研究の結果、相互に支援をすべき内容というものが出てくるだろう。そういったものがある
程度出そろった
段階で改めて相互支援のための研究、それを取り上げようじゃないかということで、これはガイドラインの中にその旨記されておりますので、現在も作戦計画の一部の研究が終わっておりますけれ
ども、それに関連してどういう支援が相互に必要であるかというようなことが、ファクトファインディングといいますか、事実としてどういうことが必要になってこようかということで書き出してございます。
こういったものが、今後例えば来援研究をやる、その他の研究をやってまいりますと、それぞれの場面で相互の支援関係について必要事項というものは出てまいると思いますので、それらがある
程度出そろった
段階で改めて相互支援のための研究というものをやる必要があるのではないかなというふうに
考えております。それは平時及び有事を通じてのものだというふうに
考えております。
したがって、御
質問のWHNSはガイドラインに基づく一つの研究として将来あり得るものであり、現在やっておる各種の研究、あるいは今度やろうとしておる来援研究に伴ってその種のことも出てくるであろうけれ
ども、これらは問題点として挙げておいて、いずれまとまったというか、ある
程度出そろった
段階で改めて研究項目となるというように御
理解をいただきたいと思います。
最後に、有事法制の問題でございますが、駐留米軍の有事における
行動に伴う法制的な
措置というものについては、当然これは我々としては必要なものであり、重要なものであるというふうに
考えております。しかし、これはあくまで
国内法との問題でございますので、米側と協議をして決める研究をするというよりも、
日本政府内で研究しなければならない事項ではなかろうかというように
考えておりますし、またガイドラインそのものが現行法規そのものを前提として書かれておりまして、
日本の法規そのものをどうするかというようなことはやらないことになっておりますので、これはガイドラインに基づく研究ではない、別途の研究であるという
理解に立っております。
そこで、それでは在
日米軍、これは有事来援したものも平時から駐留しておるものも含めて、彼らが有事
行動するための法制をどうするかという問題につきましては、当然いずれの日にかそれに必要な研究を行い、必要なときにそれが法制化できるような準備をしなければいかぬと思いますが、いずれにしましても、
日本の
防衛のために支援をしてくれる米軍の
行動というのは、
自衛隊が主体になって
防衛活動をするわけでございますから、
自衛隊の
行動と重なり合う部分が非常に多いというふうに私
どもは
考えております。したがって、現在
自衛隊の
行動にかかわる有事法制の研究をいたしておりますので、これをまず完成をさせる、しかる後に今度は米軍にそれをアレンジする場合どうなるかというようなことになろうと思います。そういった順序でやってしかるべきではなかろうかなということで
考えておりますが、いずれにしましても、これは有事来援研究とは直接的にかかわりがないけれ
ども、別途の重要な研究であり、いずれやらなければいけないものだろうというように
考えておる次第でございます。