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1987-12-01 第111回国会 参議院 本会議 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年十二月一日(火曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二号   昭和六十二年十二月一日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第二日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員裁判官訴   追委員及び同予備員辞任の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員   の選挙      —————・—————
  2. 藤田正明

    ○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣演説に関する件(第二日)  去る十一月二十七日の国務大臣演説に対し、これより順次質疑を許します。対馬孝且君。    〔対馬孝且君登壇拍手
  3. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、日本社会党護憲共同を代表し、竹下政権に対し、内政外交の諸課題についての基本方針をただしてまいりたいと思います。  まず、私は、今回のモーリシャスにおける南アフリカ航空遭難事故に対し深く哀悼の意を表するとともに、政府最大限措置を講ずるよう要請したいと存じます。  二十一世紀を前にして、今、我が国はまさに歴史的な転換期に立っています。こういう内外ともに多難な時期に日本丸のかじ取りとしての重責を担われた竹下総理に、多くの国民は、あなたの「誠実な実行」の公約の中身に重大な関心を持って注視しています。総理の座を求めたのである以上、政治姿勢政策の理念を国民の前につまびらかにすることは当然の義務であります。あなたの言葉は言語明瞭・意味不明と言われますが、詭弁ではなく、率直明瞭に答弁されるようあらかじめ要望いたします。  そこで、政治姿勢についてお伺いをします。  まず、中曽根政治継承について伺いますが、中曽根政治の五年間は一体何であったのか既に明らかであります。戦後政治の総決算を唱え、日本列島不沈空母を叫び、アメリカ軍事戦略に迎合し、防衛費の一%枠すら突破させ、福祉教育を切り捨てながら軍拡の道を歩もうとする、その路線を継承するのですか。  また、中曽根政治は、縮小均衡経済政策をとり、一層輸出依存を進め、急速な円高を招き、深刻な事態を招来し、また、最近の首都圏など大都市の地価高騰をもたらしましたが、これを是認するのですか。大統領的総理と称し、審議会を恣意的に利用し、国権の最高機関である国会形骸化を進めましたが、こうした手法を続ける考えですか。それとも、竹下総理は、前総理のあしき手法を否定し、議会制民主主義を守り、少数意見を尊重して国会中心政治を目指しますか。総理、あなたの言う中曽根政治継承とは何なのか。ずばり、タカ派的政治を求めるのか、ハト派的政治を求めるのか、一体どちらなのか、国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。  さて、戦後の我が国政治の原点は平和憲法であり、今日の経済発展平和憲法あればこそなし得たのであります。そして、内閣憲法遵守義務を課せられていることは申すまでもありません。竹下総理は、自民党総裁選に当たって、翻訳憲法自分言葉で書くべきだと述べましたが、憲法を守るのかどうか、政治理念の基本問題として明らかにしていただきたいと存じます。  中曽根総理は、戦後の総理で初めて靖国神社公式参拝を行いました。このことはかっての侵略戦争の悪夢をよみがえらせ、政教分離を規定する憲法に抵触すると同時に、中国を初めアジア諸国との友好善隣に大きな障害となったことは指摘するまでもありません。竹下総理はかつて「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の会長でした。しかし、よもや公式参拝を復活することはないと信じますが、所見を承ります。  政権交代が行われた以上、早期に衆議院解散し、国民の信を問うべきであります。自民党内派閥の合従連衡で政権をたらい回しすることは断じて許されません。  解散問題については、昨年の総選挙は違憲を回避するための緊急避難的措置を講じて行われましたが、定数是正民主政治前提条件です。  あわせて、自民党政治資金小委員会は、企業献金の枠の上限を倍にするなどの案を検討中と伝えられます。まさに逆行ではないでしょうか。金のかかる政治自体が問い直されるべきであります。資金収集力に強い竹下総理だけに、国民金権政治への傾斜を憂慮していますが、政治資金規制と清潔な政治実現について御所見を承ります。  次に、外交・防衛問題について伺います。  外交感覚にさえていると自画自賛した中曽根総理のもとで、ロン・ヤスの間柄にもかかわらず、日米関係は戦後最悪とも言われ、日ソ関係INF全廃に見られるデタントの動きに反比例し、外交官相互追放という事態すら招いています。光華寮に示されるように日中関係も冷え込み、また、アジア近隣諸国我が国への軍事的脅威の認識も高まっています。  竹下総理、二十一世紀を前にして、宇宙船地球号は、共存共栄を図る新たな国際政治の枠組みが求められています。平和憲法を誇り、世界有数経済力を持つ我が国こそそのイニシアチブを発揮すべきであります。そのためには全方位平和外交原則に立ち返ることであります。特に、アジアの一員としての立場を鮮明にし、アジアの平和と繁栄に貢献することこそ国際国家日本の第一歩ではありませんか。総理の御所見伺います。  私は、こうした趣旨から総理対ソ外交を殊のほか注目するものです。ゴルバチョフ政権の対日 関係の重視、アジア太平洋諸国との経済関係活性化を目指している外交政策のペレストロイカに対応し、新たな対ソ外交を展開すべきです。いたずらなイデオロギー外交に立つのではなく、平等互恵の新たな日ソ関係確立こそ極東の平和と友好関係経済協力にとって必要であると考えますが、総理対ソ関係改善への決意方針はいかがでしょうか、お伺いをいたします。  日中国交回復十五年、日中関係強化発展重要性は言うまでもありません。しかし、光華寮問題や日中貿易インバランスなど課題も多くあるのが現実です。特に光華寮問題については、三権分立、司法権の独立を前提としながらも、日中共同宣言日中平和条約中国は一つとの原則に立脚し、憲法九十八条の条約遵守義務に基づいて誠意を持って対処すべきでありますが、明確な答弁を求めます。  現在、ペルシャ湾をめぐる情勢は極めて憂慮すべき状況にあります。イラン、イラクに対し等距離な我が国が安定のためのイニシアチブを発揮すべきであります。いやしくもペルシャ湾への自衛艦巡視船の派遣などは情勢悪化に手をかすだけではなく、憲法上からも絶対に許されません。総理見解を承ります。  さらに、アメリカ財政赤字削減のため、ペルシャ湾安保条約を強引に結びつけ、在日米軍の費用の肩がわりを求めてくるのは必至と言われますが、これは現行の地位協定の違反であり、アメリカの力による世界戦略への一層のコミットにははっきりと反対すべきだと考えますが、総理の確たる答弁を求めます。  さて、中曽根総理の対米偏重、対米軍事優先外交は、当然の帰結として、軍事的にも誤った日米運命共同体路線を推進したのであります。我が国貿易摩擦とリンクした、つまり安保ただ乗り論防衛費をふやすのは誤りだと最近西ドイツ前首相のシュミット氏が強調されておりますが、けだし炯眼と言うべきでありましょう。  竹下総理我が国平和憲法を堅持し、軍事大国への道を歩まぬ決意世界に示すべきです。そのためには、少なくとも政府自民党みずからが歯どめとしてきた一%枠を来年度予算編成で取り戻し、また、専守防衛に沿った防衛計画に策定し直し、国是である非核三原則の堅持を図るべきです。その上に立って、世界に先駆け積極的な軍縮を実施すべきです。総理の確たる答弁を求めます。  次に、経済財政政策土地問題について伺います。  まず、今国会土地国会と言われておりますので、土地対策について伺います。  最近の地価の狂騰は、三原山の噴火のような自然現象ではありません。今日の事態を招いた責任は、天野前建設大臣の、土地高騰中曽根内閣の失敗の発言で明らかです。中曽根内閣の民活・規制緩和路線と、それに基づく国公有地の大規模な民間への払い下げ、金融機関不動産業界土地の投機に起因いたしているのであります。政府泥棒を捕まえてから縄をなうような消極的な対応で、結果は泥棒に迫い銭となったのです。今臨時国会土地国会と言われながら、政府が法案を一本も提出しないのでは、この国会抜本的地価対策を求める国民期待が大きいだけに遺憾のきわみです。さらに問題なのは、国土法第十二条の発動について、奥野国土庁長官伝家宝刀を抜く気はない趣旨発言をしていますが、抜かないのであれば伝家宝刀ではなく、現状追認、さらに値上がりにゴーサインを出したものであるとも言え、まさに言語道断であると言わなければなりません。  我が党は、暴騰地価の値下げの実現を図るのが政治責任だと考えますが、政府やり方土地高値安定策であり、国民大衆のマイホームの夢を奪い去るものであります。国土法第十二条の適用要件緩和国公有地売却要件調整遊休地指定面積引き下げ等法改正を含む緊急対策を行うべきだと考えますが、竹下総理は、社会党を初め四野党の提言に謙虚に耳を傾け、土地国民共有財産としていくための土地基本法の制定に向けて合意を図るべきだと考えますが、土地問題を新政権の最重要課題とする竹下総理の所信と具体的対策国民の前に明確に示すべきであります。  経済政策について伺います。  これまでの通貨安定のための国際協議の場において、アメリカの双子の赤字、とりわけ財政赤字削減が最優先の政策調整課題にもかかわらず、これを主張せず、一方的に我が国円高が容認させられたことは否定できません。特に一昨年のG5以来、当時の竹下蔵相円高容認歓迎論がいかにおもしとなったか、竹下総理に厳しく反省を求めたいと存じます。それにしても、とめどもない円高の推移に政府はどのような歯どめをかけるのか、また、恒常的に安定した市場をつくり出すための短期、中期の施策があるのかどうか、総理答弁を求めます。  不安定な国際経済情勢を背景に、日本経済を取り巻く環境は厳しく、また、国内的には産業経済構造調整が避け得ない現況であります。一九九〇年度には失業率が三・九%に達すると予測されています。本日の円レートは百三十二円台の最高値となり、依然、上昇傾向と見られます。これに対し、竹下内閣中長期経済主要目標並びに政策の概要を御説明願いたいと存じます。また、内需主導の成長には実質四%の成長確保が必要と思いますが、総理答弁を求めます。  内需拡大課題は、国民生活の質の向上を図ることであります。特に、他の先進諸国に比べて著しく立ちおくれている下水道や文化施設などの生活関連社会資本の整備、そしてウサギ小屋と言われる住宅の改善を強力に進める必要があります。こうした内需主導型経済発展には、為替市場の安定と積極財政の展開、そして日本経済の将来展望を示すビジョンが必要です。また、従来型のばらまき的な公共事業やり方では二十一世紀を展望しての内需拡大は不可能であり、国民一人当たりのGNPと生活実感の乖離を埋める斬新なビジョン資金重点配分こそとるべき施策であり、竹下内閣課題だと存じますが、いかがですか。お伺いをいたします。  中曽根内閣は、昭和六十五年度赤字国債脱却を最大の政治課題に掲げましたが、各年度赤字国債削減額は目標の半分の五千億円にとどまりました。最近の税収の伸びやNTT株売却益を理由に、六十五年度脱却をあきらめかけた政府は一転して達成可能を打ち出しましたが、果たして中曽根内閣の実績の三倍以上の一兆六千億円余の削減可能な自然増収があるのでしょうか。六十五 年度達成をあくまで公約されるのですか。総理並びに大蔵大臣のはっきりした答弁を求めます。  次に、税制改革について伺います。  竹下政権は、総理を初め政府・与党の幹部が、さきの第百八国会において野党国民の激しい反対の前に廃案となった大型間接税の導入を性懲りもなく示唆していることは言語道断であります。総理がかわれば何をしてもよい、同種の間接税も許されるというのであれば、まさに選挙民への挑戦であり、民主政治の否定と断ぜざるを得ません。中曽根内閣統一見解であるいわゆる投網論は、竹下総理大蔵大臣として了承されたはずですが、これを変更する意思のないことを明言すべきであります。きのうの衆議院答弁は、あいまいもこで納税者にはわかりません。総理の言語明瞭・意味明瞭の答弁を求めます。あえて統一見解を踏みにじり大型間接税を導入しようとするのであれば、解散・総選挙国民の信を問うべきであります。  次に、産業政策地域経済雇用対策について伺います。  総理が「ふるさと創生論」で歴史と文化に根差す地域経済発展を重視されている点は評価しますが、率直に言って各論が見当たりません。各地域が持つ特色を生かし、個性ある地域発展を目指し、これを中央が援助するとの総理考え方とは逆に、現在の地域経済産業はまさに厳しいの一語に尽き、とりわけ私の出身地北海道では地域経済の衰退は目を覆うばかりであります。長年本州との重要な動脈であった青函連絡船は本年度で廃止されようとしています。特に、九州、北海道等各県の主要な二次産業である石炭鉄鋼造船といった産業構造不況の真っただ中にあり、特に石炭産業は、今年に入り、砂川、真谷地炭鉱の二つが閉山となり、無念でなりません。したがって、第八次石炭政策の見直しがなければ雪崩閉山になることが明らかです。そのためにも、第一に総需要量の枠の増大、第二に貯炭買い上げ枠拡大、第三に六十三年度石炭特別会計増額補正、以上の重点対策について総理並びに通産大臣見解伺います。  北海道や大分県等を初め各地で村興し、町興しのための一村一品運動が盛んであります。例えば我が北海道でも海の幸、山の幸の資源が豊かですが、これに付加価値をつける二・五次産業型の開発のため、各種研究機関並びに情報機関をそれぞれの地域の個性に適して設置、振興させる構想に対し、国が積極的資金援助並びに人的投入等を行うことが真の地域活性化になります。これらの具体策を示していただきたいと存じます。  一方、さきに指摘したとおり、構造不況産業にかわる中長期産業転換振興策が必要です。また、ハイテク産業航空宇宙産業とか国際航空貨物、つまりエアカーゴ基地交通情報ネットワーク産業等をそれぞれの 域の特殊性にタイアップして振興する具体的な計画財政的手当てが何よりも重要です。これがなければ、「ふるさと創生論」は絵にかいたもちに終わります。総理並びに通産大臣の明快な答えを求めます。  厳しい円高不況を契機に、一九八七年度失業率は三%台に乗ろうとして、ます。雇用情勢は着実に悪化の傾向にあります。政策的に強力な内需拡大実施しなければ、民 研究機関の試算でも一九九〇年には三・九%に一するとされています。特に、構造不況産業鉄鋼造船石炭非鉄金属等失業者が九〇年度までには約十万人と言われております。とりわけ中高年者失業が多く、雇用ミスマッチ現象の発生への諸対策は急務であります。六十二年度、労働省は三十万人雇用創出プログラムを打ち出しました。私は、さき構造不況産業雇用対策としてリクルートセンター構想を提起しました。また、我が党は五十万人雇用創出計画構想を打ち出しておりますが、これをも含めて、六十三年度雇用計画中長期方針総理並びに労働大臣答弁を求めます。  次に、農林漁業政策について伺います。  まず、農業問題についてでありますが、総理は「ふるさと創生論」の中で、「目を閉じれば、炭焼きの煙が青空にすうっと吸い込まれる島根県ののどかな山村」と自分ふるさとを語っていますが、しかし、こんな牧歌的なふるさとはますます姿を消し、農村漁村は崩壊の危機に瀕しています。  今、農業は、農産物自由化のあらしの前にさらされています。農業が単なる経済合理性貿易黒字解消視点から論じられてはなりません。一定水準農畜産物の自給が国民生活安定の基礎条件であることは多言を要しません。さらに、米作を中心農業地域経済を支え、治水保水の役割を果たし、金目でははかれない重要な産業であります。食管制度維持しつつ、地域の特性を生かした農業振興有機農法の推進、生産者消費者の提携等々が進められるべきですが、日本農業再建についての総理基本方針伺います。  日本農業再建と両立させる視点を持たない自由化は基本的に誤っており、受け入れることはできません。米の輸入自由化はもとより、今ジュネーブのガット総会で論議されている輸入制限十二品目自由化には断固反対することが、農村に生まれ育ち、ふるさと創生を訴える竹下総理の正しい選択と存じますが、どうですか。先ごろ農田の大会で、十二品目自由化を強行するならば、アメリカからの飼料輸入報復措置をとれといった声も高まっており、混乱に輪をかけかねないことを警告しておきたいと存じます。  総理は、林業の重要性もまた著書で指摘しておられます。  そこで、国有林野事業は、営林署廃止など機構縮小再建を図るのではなく、一般会計による助成、また、地方自治体造林公社への助成無理序外材輸入の制限等抜本的な対策が必要ですが、総理並びに農水大臣見解はいかがですか、伺います。  水産対策について伺います。  さき日韓両国政府間協定がされました。そこで政府は、韓国漁船に対する監視強化を初め両国間の合意が実効を上げるための施策をどのように講じようとしているのか。さらに、日ソ漁業交渉について、十一月二十四から日ソ地元沖合漁当協議が行われておりますが、事前情報では、ソ連の態度は厳しく、今年の実績確保も容易ではかぐ、最悪の場合、昨年の減船のような深刻な事態も生じかねないと憂慮されております。政府対応策について、総理並びに農水大臣答弁を求めます。  最後に、福祉教育問題についてただしたいと存じます。  二十一世紀我が国は六十五歳以上の人口が二〇%を超えます。今日、老後の生活に不安のない 社会保障制度は、経済大国と言われながら整備されておりません。特に中曽根内閣は、社会保険料自己負担を増大させながら福祉切り捨て政策をとってきました。  竹下政権は、社会保障水準向上にいかなる姿勢で臨むのか、高齢化社会中長期の財源、ビジョンをどのように描いているのか、あわせて、政府は不安のない老後生活保障のために、租税と社会保障を合わせた国民負担の限界をどのように考えているか、伺います。  また、来年度予算編成と絡んで国民健康保険改悪政府部内で検討中と伝えられますが、これは当面の財源捻国策であってはなりません。現在の厚生省案は、福祉医療制度の名のもとに、低所得層を分離し、地方自治体から財源導入を図ろうとしており、こうした国の負担回避といった国民健康保険制度改悪構想を撤回し、自治体の意思を尊重して、合意のもとで制度改革を進めることを約束していただきたいのであります。総理答弁を求めます。  教育問題について伺います。  鳴り物入りでスタートした臨時教育審議会は、エリートづくり学校制度複線化につながる六年制中等学校や教職員の自主性をそぐ初任者研修などを答申して幕を閉じましたが、これは、わかる授業・楽しい学校入試地獄解消、重い教育費負担軽減等には何らこたえておりません。まさに国民不在教育改革でした。  総理、あなたが教育改革を進めるならば、中曽根教育臨調継承をやめ、教育の目的を人格の完成に置き、落ちこぼれをつくらない教育、高校の希望者全入制度確立、そして四十人学級の早期完結学校五日制の実施など、競争に駆り立ててきた教育をゆとりある教育に抜本改革すべきであると考えますが、総理見解はいかがでしょうか、伺います。  また、教育国際化は大変重要な課題であり、世界も注目しておりますが、最近、日本に留学したアジア青年が餓死するという悲しい事件に深い憤りを覚えます。中曽根内閣は、留学生十万人計画を打ち上げましたが、公費の留学がわずかの一万人というのも問題ですが、日本語教育、寄宿舎や奨学金問題などなどの条件整備がなくて、どうして多くの青年日本を訪れるでしょうか。一人の青年の死を救えないようでは教育国際化を語る資格はありません。留学生政策を含め、教育国際化をどう推進しますか、総理答弁を求めます。  以上をもって私の質問を終わりますが、総理の言う「誠実な実行」とは、一にうそのない政治、二に清潔な政治、三に安心して暮らせる政治実行する政治だと思います。この国民期待を裏切ることのないよう強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇、拍手
  4. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、御質問に先立ちましての、南ア航空機遭難事件についてのことについて最初お答えをいたします。  本件事故関係者の御家族のお気持ちはいかばかりかと深い同情の念を禁じ得ません。事件発生直後から、官房長官を通じまして外務省に対し最大限措置をとるよう指示をいたしました。政府としても、邦人保護に万全を期するべく、プレトリア総領事館、マダガスカル、イギリス、フランス各大使館より館員を現地に派遣いたしました。既に現地事故対策本部を設置して、現地に赴く御親族に対し可能な限りの御協力、御支援をする体制を整備したところでございます。また、渡航に際しましても、旅券の発給等につきまして万全を図ってまいります。今後ともできる限りの措置について十分配慮していかなければならないと、このように考えております。  さて、中曽根政治継承に対する御意見を交えての御質問でありました。  中曽根総理は、世界の平和の維持国民生活向上のため全力を尽くしてこられたと、このように私は思います。国民生活向上世界平和の維持、これらは基本的にだれしも継承すべき課題であると思います。私は、国会における各党各会派の御理解と御協力を得ながら、国民的合意を求め、これらの政治目標実現に邁進していく、いわば合意中心として物事をなそうという基本的な考え方であります。  タカ派であるかハト派であるかというお尋ねでございますが、第三者の評価される問題であって、みずから自分を位置づけるという性格のものではなかろうと、このように思っております。  憲法問題であります。  憲法基本的原則でございます民主主義平和主義あるいは国際協調主義人権尊重主義、この基本理念を高く評価いたしております。  竹下内閣といたしましては、憲法を改正するという考えはございません。これは私がまだ学生時代、よく戦争裁判を傍聴しましたり、また、本院等における憲法論議を聞いておりました当時、結果として同じものであっても、当時翻訳憲法という言葉が使われておりましただけに、自分の手で書いてみたい、こういう青年らしい考えを持った事実を述べたことはございます。いずれにせよ、政治日程にのせる考えは全くございません。  次が靖国問題であります。  公式参拝実施を願います国民や遺族の感情を尊重する、これも私は政治を行う者としてしかと心得べきことであると思います。他方、国際関係を重視して近隣諸国国民感情にも配慮しなければならないことも当然のことであります。したがって、今後公式参拝実施するかどうか、このことについては諸般の事情を総合的に考慮して慎重に検討し、自主的に決めるべき課題であるというふうに心得ております。  次に、解散、総選挙定数是正政治資金、これらの問題であります。  御意見を交えてのお尋ねでございますが、私は、さき国会において内閣総理大臣に指名され、国政を担うことになりましたが、常に国民皆様方の声に耳を傾けながら、清潔な政治、一人一人が倫理というものを胸に抱いて、そして効率的な行政の確立を図って、その信頼を得ることができるよう今後も努めてまいります。  なお、定数是正の問題は、昭和六十年の国勢調査の確定人口の公表をまって速やかにその検討を行う旨の衆議院会議決議がなされております。この問題、いろいろな議論がございますが、選挙制度の基本にかかわる重要な問題でありますので、やはりまずは各党間で十分な論議を進めていかれることが最も重要ではなかろうかと思います。  政治資金規制の問題については、自由民主党の 小委員会でいろいろな議論がされておることは十分承知しております。これまた事柄の性格上、各党間において十分論議を尽くしていただくことが必要であると考えます。附則八条の問題等も十分心得た上のお答えであります。  次は、外交問題に移りますが、全方位外交アジアへの貢献という問題。  まず、戦後我が国は、自由と民主主義を基本として、自由市場経済によって繁栄を維持してまいりました。我が国としては、かかる価値観を共有する自由民主主義諸国との間に緊密な協力関係維持していくということが、我が国の平和と繁栄を維持し、世界の平和と繁栄に貢献していく上で肝要なことであると考えます。  同時に、我が国は、アジア・太平洋の一国として、近隣諸国との友好協力関係を強化しながら、地域の安定と発展に積極的に貢献していくことも重要であると考えております。  ペレストロイカと対ソ外交の問題であります。  ゴルバチョフ政権のペレストロイカ路線外交面につきましては、それが対外行動の改善につながることを期待するものでありますが、その対日政策については、現在のところ、依然として領土町題等基本的な問題に関しては、変化が残念ながら認められておりません。我が国としては、今後とも、北方領土問題を解決して平和条約を締結するという基本方針、これは堅持すべきものであると思います。日ソ双方の努力によりまして日ソ関係改善していくこと、これを心から希望しておるものであります。  日中関係は、国交正常化以来順調に発展してきておるというのは、お互い共通の認識であると思います。関係の緊密化に伴いましてさまざまな問題が出てくるということ、これもございます。対中関係重視は我が国外交の重要な柱であります。これらの問題が日中関係発展に影響を及ぼさないように、双方で最大限の努力を行う必要があります。  今後とも、基本的には日中共同声明、日中平和友好条約及び日中関係原則に従いまして中国との関係発展に努めてまいる所存であります。  光華寮問題につきましては、現在、司法府の中で審理が係属している問題であります。事情はよく承知しておりますが、三権分立の建前からしても、この審理を見守っていく必要があるということは申すまでもありません。  いずれにせよ、日中友好にかける政府の熱意というものは、ただいま申し上げたとおり、この点を中国側にも折に触れ誠意を持って説明し、その理解を得るべく努力していかなければならないと考えております。  ペルシャ湾の安全航行確保のために、非軍事的手段による貢献を行うとの基本的考えに基づきまして、去る十月七日に政府・与党首脳会議において、安全航行援助施設の設置、湾岸及び周辺国への経済・技術協力の拡充などのペルシャ湾の安全航行確保のための貢献策というものを決定いたしました。さらに、我が国としては、今後とも安全航行確保のために、可能な限りの外交努力を継続していくという基本的考え方に立ちます。  そこで、米国がペルシャ湾を含め国際的な平和と安全の維持のためグローバルな役割を果たしている状況のもとで、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保する見地から、十月七日の政府・与党首脳会議におきまして、適切な対象について、在日米軍経費の軽減方の方途について米国と協議を行う旨を決定したわけであります。政府としては、在日米軍経費の軽減の具体的な方途について今後慎重に検討していくという考え方であります。  次が、対米軍事優先、軍拡路線、こういう御表現でもっての御指摘でありました。  我が国の安全保障に関する考え方を申し述べますならば、我が国は従来から、みずから適切な規模の防衛力を保有するとともに、自由と民主主義という基本的価値観を共有する米国との安全保障体制を堅持することによって我が国の独立と平和を確保することとし、そのため種々の努力を今日まで続けてまいりました。  かかる選択が正しかったことは、戦後の我が国の歴史が示すとおりであって、政府としては今後ともかかる努力を継続していくべきである、このように考えます。  一%問題でございますが、我が国の防衛力整備については、従来から専守防衛に徹することなどの基本方針に従って、大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とします中期防の着実な実施に努力しておるという現状であります。  昭和六十三年度防衛関係費につきましては、今後の予算編成過程において調整されていくものでございますが、いずれにせよ、本年一月の閣議決定に基づいて引き続き節度ある防衛力の整備を進めてまいる所存であります。  非核三原則は、唯一の被爆国である我が国国民世論に支持された重要かつ基本的な国是とも言うべき政策でありまして、歴代政府により堅持されてきたものであります。今後とも堅持していく方針であります。  次に、我が国としての軍縮問題につきまして、我が国は、現下の国際社会の平和と安全が力の均衡により維持されているという冷厳な現実を踏まえまして、この均衡水準をできる限り引き下げるべく軍備管理、軍縮促進の重要性を唱えて今日まで参りました。  他方、我が国の防衛力整備は、憲法及び基本的防衛政策を踏まえて、我が国が平時から保有すべき防衛力を定めた防衛計画の大綱に従って進めているものであります。  我が国は、今後とも軍備管理、軍縮のために努力していきますとともに、大綱に従った節度ある防衛力の整備に努めていくという基本的な考え方であります。  次に、内政問題でございます。  土地に対する取り組み、国土利用計画法の改正や土地基本法の制定についてという具体的な例示でもってのお尋ねであります。  まず、私は、先般の組閣におきまして新たに土地対策担当大臣を設け、また、土地対策関係閣僚会議を設置するなどして、政府としての土地問題への取り組みを強化したところであります。  国土利用計画法については、さきの通常国会において監視区域制度の創設などを内容とする改正が行われました。改正法の積極的な運用によって土地対策をまず進めてまいりたい。  なお、土地については、現在でも公共の福祉の観点から各種法令によって種々の規制が行われておりまして、今後ともこれら法令の適正な運用に よって、すなわち現行法の運用によって土地対策というものを進めてまいります。  いずれにせよ、政府としては、臨時行政改革推進審議会の答申などを踏まえ、国土利用計画法の機動的な運用、金融機関への指導、住宅・宅地開発の促進などを内容とする緊急土地対策要綱を定めたところでございまして、これを着実に実施していく、まずこうした考え方であります。  四野党共同の御提案、私も拝読させていただきました。何分、本院に設けられました土地に関する特別委員会、これが活発な議論をいただいておる今日であります。この設置されたことを評価し、実りある議論が我々が政策実行を行うための環境整備に大いに役立つであろうことを心から期待いたしております。  次が円高問題であります。  おととしの九月のプラザ合意、これは御指摘のとおり私が参加したものであります。ドル高是正が急速に進展し、これがその当時非常に高まっておりました米国内の保護主義を鎮静させる役割を果たしたとも言えるでありましょう。また、これが対外不均衡の是正にも何らかの貢献をしたでありましょう。  為替相場の安定のためには、主要国間で積み重ねてきた合意、これを踏まえまして、政策協調と為替市場における協力を引き続き実施していくということが基本的には重要であります。この関連で、米国で先般の財政赤字削減合意を受けて早急に所要の措置がとられつつあることを期待しております。  また、我が国としても、政策協調の観点から、緊急経済対策実施のための予算、税制改正措置を既に講ずるなど、内需拡大に向けて最大限の努力を払ってきているところでありますが、今後とも引き続き適切な政策運営に努めてまいる所存であります。  また、市場の思惑的な動きに対しましては、各国との市場における協力によって対処していこうと、こういう基本的な考え方であります。  成長率など主要目標の問題についてのお尋ねがございました。  近年、大幅な対外不均衡が続く中で円高が急速に進展するなど、我が国を取り巻く内外諸情勢は大きく変化しております。  このような内外諸情勢の変化に対応して、我が国経済は思い切った構造調整の推進と内需主導成長への転換、そしてこれを定着させることが必要であります。  このために、経済成長率を含め今後の我が国経済の望ましい姿、経済運営のあり方、これにつきましては、八〇年代における展望と指針もいささか古くなりましたので、去る十一月二十日、経済審議会に新しい中長期経済計画策定を諮問申し上げたところでございます。  今回の諮問においては、豊かさを生かした国民生活の充実と国土全体の均衡ある発展実現するとともに、我が国の活力を生かして世界に貢献していくことを重点課題として掲げておるところでございます。  次が、内需主導の問題についての御意見を交えての御質疑であります。  我が国経済にとって構造調整の推進と内需主導成長への転換、そしてこれが定着が必要であることは申し上げたとおりであります。  内需の拡大は、単に量的な拡大にとどまらず、経済成長によって実現した豊かさというものを各般の施策によりまして国民生活の質の画期的向上の中に生かしていく、これが必要であります。  このため、経済の将来展望及び中長期的な経済運営の指針については、先ほど申しましたように、経済審議会に諮って検討をお願いしております。  そこで、公共事業の配分に当たりましては、おのおのの社会資本整備水準、社会経済の動向等を踏まえて適切に対処してきたところでございますが、今後ともきょうのような御意見を念頭に置きながら、効率的な事業執行に努めてまいろうという考え方でございます。  さて、六十五年度赤字公債脱却についての御意見でございます。  六十五年度特例公債脱却の努力目標の達成は容易ならざる課題でございますが、NTT株式売却収入、まさに行政改革の果実とも言うべきものでございましょう。これらの活用等財政運営上の工夫を図りながら、経常経費の節約等、歳出削減の経常部門における努力等を続けるならば、いろいろ言われておりますが、必ずしも目標の達成は望みなきにあらず、このようなところまで来たと考えております。したがって、今後とも引き続きその実現に向かって最大限の努力を払うというのが基本的な考え方でございます。  次に、国民の信を問うべきなどという意見をも含めて御質問がございました。  昭和六十年二月の中曽根総理の御発言は、当時の税制論議の中におきまして、時の内閣考え方国民に明らかにしたものとして重要な意味を持つものであることは十分承知しております。私も当時の大蔵大臣でありました。  ところで、中曽根総理は、「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございますので、これに該当すると考えられるようなものは、中曽根内閣としてはとりたくない」と考えている旨の答弁をなさって、その考え方に基づいて本年二月には、検討を重ねた結果、売上税法案を本院に提出したわけであります。ところが、その売上税法案というものはさまざまな御批判がありまして、結果として審議未了のまま廃案、こういうことになったという冷厳な事実があります。  したがって、このような考え方に基づいてつくった、そして提出した法案が廃案になったという冷厳な事実を踏まえて、私は、竹下内閣として、国民の理解を得られるような税制の確立という観点に立って、間接税の問題につきましても、論議に先立ってあらかじめ予見を与えることなく、国会における各党各会派の意見はもとより、幅広く国民各界各層の意見伺いながら成案を得るべく努力してまいりたいというのが私の基本的考え方でございます。  次は、私の言う「ふるさと創生論」等についての御意見を交えた御質問でありました。  地域の創意と工夫を生かしながら多極分散型国土の形成を目指そうとする点において、私の言っておりますことは、本年六月に策定された四全総と国土づくりの考え方の基本を同じくしております。  四全総は、その目標を効果的に達成するため、地域の創意と工夫を基軸とした地域づくりを基本とし、全国一日交通圏の構築など、そのための基 盤となる交通、情報・通信体系の整備や交流促進のためのソフト面の施策の拡充を内容とする交流ネットワーク構想を推進する、こう基本的になされております。  今後は、この四全総を強力に推進し、東京一極集中を是正して、各地域の知恵と情熱を結集しながらその活性化を図ることによって「ふるさと創生」というものを実現していきたい、このように基本的に考えております。  さて、石炭政策についての御質問でございます。みずからの体験からする貴重な意見がございました。  政府としては、第八次石炭政策のもと、円滑な生産体制の集約化を図るため、本年度から過剰貯炭対策、生産規模の縮小円滑化対策など各般の施策を講じているところでございます。今後とも、集中閉山の回避を基本として、地域経済雇用への影響を緩和しながら、円滑な生産体制の集約化のための施策実施に全力を挙げて取り組んでまいります。今後とも適切なる助言をお願いするところであります。  次の地域開発のための問題でございますが、御指摘のような認識に立って、政府としては、従来から食品加工の試験研究、地域食品の振興ふるさと食品の情報提供などの対策実施してまいりました。  今後とも、産・学・官の連携を強化しながら所要の対策をさらに進めていくつもりであります。  急速な産業構造の変化の中で、構造不況業種等に依存しております地域等において、雇用問題が深刻化しておるという認識はひとしくいたしております。  四全総におきまして、地域の有する特性を有効に活用した地域づくりを進めることを基本としておりまして、不況地域活性化につきましても、人材、技術力等の既集積を有効に活用した先端技術産業の誘致、育成、新産業分野の開拓などを進めるとしたところであります。また、このような地域づくりの基盤となります交通、情報・通信体系の整備を推進していくことはもとよりのことであります。  さらに、地方圏の重点的な整備によりまして、多極分散型国土の構築を促進するために、公共投資の地方圏への適切な配分を確保することとしたい、このように考えます。  雇用計画についてでありますが、最近の雇用失業情勢は、総じて改善の動きが見られますものの、不況業種やその関連地域では依然厳しい状況にございます。北海道もその一つであります。  このため、適切な経済運営と相まちまして、来年度は特定不況業種法の改正を行うなど、業種、地域等の雇用対策を積極的に推進し、また、中長期雇用対策については、産業構造転換の過程での各種の労働力需給の不均衡の改善に向けて最大限の努力をしてまいるつもりであります。  農業、これは国の基であります。その役割は食糧の安定供給ばかりでなく、国土の保全等、極めて重要な意義を持っております。我が国農業をめぐる内外の厳しい状況のもとで、今後農業産業として自立させ、担い手が明るい希望を持って農業に取り組めるようにすることが何よりも必要であります。  このため、二十一世紀へ向けての農政の基本方向に関する昨年十一月の農政審議会の報告を尊重しまして、経営規模の拡大や生産基盤の整備などを積極的に進めて、できる限り農業の生産性向上を図ることによって、農業そのものの本質強化に努めていきたいと考えます。  米につきましては、生産性の向上を図りながら、国会における米の需給安定に関する決議、この趣旨を体して、国内産で自給する方針で対処する基本的考え方であります。  農産物十二品目、この問題につきましては、今週開催されますガット総会において、パネルの報告書案が議題として取り上げられる予定となっておりますが、我が国としては、国内農業の実情、そして国際的な経済関係等を十分踏まえて最善の努力を行ってまいる考え方であります。  次に、森林関係の御質問がございました。  国有林野事業がその使命を十分に発揮するためには、経営の健全化が不可欠であります。  このため、去る七月に改善計画を見直して、今後、これに基づいて最大限の自主的改善努力を尽くしますとともに、所要の財政措置等を講ずることによって経営改善に鋭意努力中でございます。  社会保障中長期ビジョン。  本格的な高齢化社会を控えて社会保障の経費の増大が見込まれますが、このような状況においても揺るぎない制度確立することが肝要であります。  このような観点から、昨年六月、長寿社会対策大綱を策定したところでありまして、今後ともこれに沿って高齢者が安心して働けるような施策の充実に努めてまいる所存であります。  それから国民負担率、租税負担率の御議論がございました。  租税負担と社会保障負担とを合わせたいわゆる国民負担率の水準というものは、国民が必要とする公共支出の水準と裏腹をなすものでございますので、究極的には国民の選択により、公共支出の水準の問題と相関連してその兼ね合いで定まってくるものでございますので、その水準についてあらかじめ固定的にこれを考えるということは、適切ではないではなかろうかと思っております。  なお、臨調答申等におきまして、国民負担率は、今後、高齢化社会の進展により、長期的には現在より上昇することとならざるを得ないが、徹底的な制度改正を行うことによって、ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめるべきであるという考え方が述べられて、やはりここにも定量的なことは表現が控えられております。これは、いわゆる国民サービスと負担との兼ね合いにおいて、結果として出るものであろうというふうに基本的には考えております。  以上でお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手
  5. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 総理がすべてお答えになられましたが、特に私に御指名がございましたのは、昭和六十五年度に特例公債依存体質から脱却できるかどうかという問題についてでございました。  この六十五年度赤字公債依存体質から脱却するという目標、これは達成が容易ならざる課題であることは御指摘のとおりでございますし、いっときはほとんど不可能視されておったように存じます。しかし、その後に、後に申し上げますようないろいろ事情の変化がございまして、私といたしましては、ただいまから昭和六十三年度の予算 編成をいたしますが、それを通じましてこの達成に改めて真剣に努力をいたしたいと考えております。  それは、一つには、先ほどもお触れになられましたが、NTTの売却代金が、先般国会でお認めいただきました新しい制度によりまして社会資本整備勘定に組み込まれまして、これがただいま我が国が内外から求められております内需の拡大社会資本整備に威力を発揮することになって、制度として機能し始めたわけでございます。これによりまして、一般会計公共事業のほぼ二割に当たりますものを追加することができることになりまして、これはかなり一般会計のいわば負担をそういう意味でこの整備勘定が取り上げていくことができますし、内外の要請にもこたえることができる、この点が一つでございます。  それからもう一つの問題は、景気回復に伴うものでございまして、我が国の景気動向がここに参りましてかなり改善しつつあることは一般に認められておるところと思いますが、その観点から税収を見てまいりますと、各種の指標あるいは企業の収益などがかなり好転いたしておりまして、ある程度の自然増収が今年度において期待できるのではないか。したがいまして、来年度におきましては、その基礎の上に歳入見積もりを考えることができるのではないかと思われる点でございます。  ただ、ある程度としか申し上げることができませんのは、先ほどもお話がありましたけれども、十月十九日以来の米国の株式市場の暴落等々から、世界経済、したがいまして我が国経済もかなりの影響を受けつつあるという問題が一つございます。それからもう一つは、税収と申しましてもちょうど年度半ばを過ぎたところでございますので、まだまだ先行きが必ずしもはっきりいたさないという点もございます。それからもう一つは、税外収入がどうも今年度はかなり減ると考えなければならないと思われます等々の事情がございますから、ただいま余り手放しの楽観をいたしておるわけではございません。  しかし、総体的にある程度の自然増収があろうと考えておりますので、そういうことも見ながら、六十三年度予算編成におきましては、何とかこの赤字公債依存体質から六十五年度脱却するための具体的な努力をいたしてみたい、このように考えております。(拍手)    〔国務大臣田村元君登壇、拍手
  6. 田村元

    国務大臣(田村元君) 対馬さんにお答えを申し上げます。  まず、石炭政策についてであります。  御承知のごとく、政府といたしましては、昨年十一月の石炭鉱業審議会の第八次答申を踏まえまして、現在、集中閉山を回避しながら、石炭鉱業の生産体制の円滑な集約化を推進するために全力を尽くしているところでございます。  このため、本年度の国内炭需要につきましては、答申の趣旨に沿いまして、需要業界の最大限協力を得て一千三百八十五万トンの引き取りが行われる見込みでございます。また、これを前提に、石炭企業各社の過剰貯炭につきましては、本年度三百六十万トンの買い上げを実施することといたしております。  また、六十三年度石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計石炭勘定、この予算につきましては、過剰貯炭対策、生産規模縮小円滑化対策を含めまして一千三百六億円を概算要求中でございまして、今後とも雪崩閉山の防止を基本として総合的な施策の推進を図るとともに、これに必要な予算の確保に努めてまいる所存でございます。  それから、産業構造転換に伴う地域経済活性化の御質問でございます。  近年の経済の高度化、ソフト化の進展によりまして、企業内の研究所、情報処理部門などの工場以外の部門、それからソフトウエア業、情報関連サービス業等の産業支援サービス業などの、いわゆる産業の頭脳部分の我が国経済における重要性がますます増大しつつあります。しかしながら、このような産業の頭脳部分は東京圏に著しく集中しておるのが現状でございまして、今後、地方の経済圏が産業構造転換に円滑に適応しながら、その活性化を図っていく上において、この産業の頭脳部分を地方の拠点に集積させることが重要なかぎとなると考えられます。  このような見地から、通産省といたしましては、従来の工場の地方分散を中心とする地域活性化策に加えまして、今後重要性が増大する産業の頭脳部分の地方分散を促進するため、現在、地域における産業高次機能集積促進構想検討しておるところでございます。  次に、産業構造転換に対応する中長期産業政策ビジョンについてお答えをいたしたいと思います。  そのときどきの環境変化に対応した的確な産業政策を展開していくためには、常に各産業についての中長期的な展望を検討し、産業の実態に即した施策のあり方を模索していくことが必要不可欠であることは申すまでもありません。  通商産業省といたしましては、昨年五月、「二十一世紀産業社会の基本構想」、これは産業構造審議会報告でございますが、これを通じて二〇〇〇年に向けての我が国産業が全体として進むべき方向と、そのための施策のあり方を示したところでございます。  しかし、その後為替レート調整が進行いたしまして、構造調整の動きが加速されましたために、既存産業やハイテク関連の新規産業等の業種別実態や地域の実態を踏まえた中期の我が国経済発展の具体的方向、これは各業種別の各論にまで踏み込んだ中期ビジョンでございますが、それを実現させるための施策を明らかにする必要性が一段と増大してまいりました。  このため、当省としましても、産業構造審議会等において産業の将来展望を検討しているところでございまして、今後、これらの作業を通じて中長期的な産業ビジョン施策の方向を明らかにしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣中村太郎君登壇、拍手
  7. 中村太郎

    国務大臣(中村太郎君) 基本的なことにつきましては既に総理からお答えがあったとおりでございますが、せっかくの御指名でございますから、私からも一言御答弁申し上げます。  最近の雇用失業情勢は、総じて改善の動きが見られるものの、不況業種やその関連地域等では依然として厳しい状況が続いておるということは御指摘のとおりであります。  このため、当面する雇用失業情勢への対応に万 全を期すべく総合的な地域雇用対策を積極的に推進するとともに、特定不況業種法の改正を行うなど、業種、地域雇用対策を今後とも積極的に推進していく考えでございます。  また、中長期雇用対策につきましては、産業構造の転換、労働力の高齢化等が進展する諸事情を踏まえまして、産業地域、年齢間等の労働力需給の不均衡の改善に向けて多方面からの検討を進めるなど、この問題につきましては最大限の努力をしてまいる所存でございますので、今後とも御支援のほどをお願いいたしたいと思います。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣佐藤隆君登壇、拍手
  8. 佐藤隆

    国務大臣(佐藤隆君) お答えをいたします。  まず、国有林野関係について順次お答えをいたしてまいります。  全森林面積の約三割を占める国有林野を国民共通の財産として管理経営し、木材の安定供給、公益的機能の高度発揮、農山村地域振興など、極めて重要な使命を果たしているところでございます。  このような使命を十分に果たすために、これまで国有林野事業改善計画を定め経営改善に取り組んできたところでありますが、近年の厳しい財務状況を踏まえ、去る七月、この計画を大幅に見直し、今後これに基づき最大限の自主的改善努力を尽くすとともに、所要の財政措置を講ずることによって経営の健全化に鋭意努力してまいりたいと考えております。  なお、営林署の統廃合につきましては、このような経営改善の一環として避けて通れないものであり、地域の要望等については当然のことながら配慮しつつ実施してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。  次に、造林公社への助成による林業の振興についてであります。  造林公社は、自力による造林が困難な地域における造林を推進する上で重要な役割を果たしており、その健全な育成を図っていくことが肝要であります。  この考え方に立って、造林公社の機能の拡充を図るとともに、昭和六十二年度においても財政措置、金融措置について改善を図り、公社事業の円滑な推進に努めているところであります。  今後とも、地域の森林資源整備のための総合的な推進母体としての役割を担うべく、その育成を図ってまいる所存でございます。  次に、外材の輸入問題でございますけれども、我が国は、木材供給の約三分の二を外材に依存しておりますが、国内の森林が現在育成途上にあることから、なお当分の間、相当量の木材を海外に依存せざるを得ない状況にございます。  このような状況のもとで、木材の需給及び価格は外材輸入の変動による影響を受けやすいことから、外材輸入につきましては、需給の見通しに即した安定輸入についての関係業界に対する指導、また、輸入相手国との間における対話と情報交換、さらに、外材産地国における資源の維持培養のための協力等により、需要に見合った秩序ある輸入が確保されるよう努力いたしておるところでございます。  次に、漁業関係でございますが、日韓間の漁船操業問題につきましては、本年十月末、日韓両国の漁船による操業の安全と秩序を確保するため、自主的に操業規制を実施することについて意見の一致を見るとともに、共同取り締まり的方法の導入等により取り締まりの強化を図ることとしており、この的確な実施により今回の措置の実効を確保してまいる所存でございます。  また、日ソ漁業交渉につきましては、現在開催中の日ソ漁業委員会第四回会議において、日ソ双方の漁船の相手国二百海里水域における漁獲量、操業条件等が協議されております。おっしゃるように十一月二十四日から始まっております。  ソ連側は、我が国漁船に対する規制の強化等を強く主張いたしておりまして、協議の帰趨は予断を許しませんが、我が国漁業者の操業継続を確保するため、今後とも最善の努力を傾注してまいる所存でございます。  以上でございます。(拍手
  9. 藤田正明

    ○議長(藤田正明君) 答弁の補足があります。竹下内閣総理大臣。    〔国務大臣竹下登君登壇、拍手
  10. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいま対馬さんの御質疑に対して答弁漏れをいたしました。まず、最初におわびを申し上げます。  一つは、国保制度の問題であります。  国保制度の長期的安定について、財源問題等を含め御議論がありました。国保制度の長期的な安定のためにその見直しを行うということが必要である、これは認識を等しくするところであろうと思います。  そこで、このため現在、国保問題懇談会におきまして、医療保険制度全体の中における制度のあり方、そして国と地方の役割分担、これらを含めて幅広く基本的な検討が行われておるところでございます。今後とも、御説にもありましたように、地方公共団体の御意見を十分伺いながら対処してまいりたい、このように考えます。  次が教育改革についてでございます。  教育改革の推進は国政の重要課題であるということは、ともに認識いたしておるところであります。  教育につきましては、いろいろの御提言をちょうだいいたしましたが、政府は、臨時教育審議会の答申を最大限これを尊重して、総合的な観点から、所要の改革方策の検討、そうしてこれの立案を進めて、逐次その実現を図る方針でございます。  当面は、先般閣議決定したところの教育改革推進大綱、これに従いまして引き続き教育改革の着実な推進に努力してまいる所存であります。  留学生受け入れ体制につきましては、我が国と諸外国との教育交流、相互理解の促進のために大変役立つ施策であります。  現在、我が国では一万八千人余りの留学生を受け入れておりますが、二十一世紀初頭における十万人受け入れを目標に、日本語教育の充実、宿舎の整備、奨学金の充実など留学生施策充実に努力をいたしております。  今後とも、大学等はもとより、民間団体、地域社会など各方面の協力を得ながら、受け入れ体制の整備に一層配慮していくつもりでございます。  この問題につきましては、私が今月ASEAN会議に参りますに際しましても、各国から留学生諸君からの訪問を受けることになっております。  教育国際化。  この留学生交流を進めるほかに、国際社会にお いて活躍できる日本人の育成のために、外国語教育の一層の拡充改善、また、海外・帰国子女の方の教育の推進、教職員や学生の幅の広い交流等の促進など教育面における国際交流の一層の推進にも努力いたす所存であります。  大変失礼をいたしました。(拍手)     —————————————
  11. 藤田正明

    ○議長(藤田正明君) 坂野重信君。    〔坂野重信君登壇、拍手
  12. 坂野重信

    ○坂野重信君 私は、自由民主党を代表して、竹下総理並びに関係大臣に対して、総理の所信表明演説に関して若干の質問を行います。  質問に先立ち一言申し上げます。  先月二十八日、インド洋のモーリシャス島沖において、南アフリカ航空のジャンボ機の墜落事故により不幸にしてとうとい犠牲となられました多くの乗員乗客並びに御家族、関係者の各位に対し、心よりお見舞い申し上げます。  また、大韓民国航空機も、ラングーン沖で消息を絶ち、タイ国内のジャングルにおいて墜落が確認されております。  どうか、関係各国との協力体制のもと本格的な捜索活動を展開されるとともに、二度とかかる悲惨な事故が発生せぬよう事故原因の徹底的究明と安全対策確立に万遺漏なきを念ずるものであります。  まず、政治姿勢政治目標について総理にお伺いします。  新聞社の最近の世論調査によれば、竹下内閣発足後の自民党支持率は今までの最高に近い五八%、内閣の支持率は四八%で、最近の内閣発足後の調査に比べると上位となっているとのことであります。自民党の支持率の高いのは、このたびの総裁選が整然として行われ、候補者三人のうちだれが選ばれても協力していこうという姿勢が評価されたと信ずるものであります。また、内閣の支持率の高いのは、自民党内閣だからという理由のほかに、竹下総理が庶民的で誠実な人柄であり、国政を託するにふさわしいとの評価の結果だと思います。このような国民期待の中での政権担当の決意をまずお聞きいたしたいと思います。  総理の所信を承ると、衆知と合意を求めながら、大胆な発想と誠実な実行政治の基本姿勢とし、外には世界に貢献する開かれた日本、内にはふるさと創生により、老後の不安のない物と心両面の豊かさを実感できる国民生活、国家社会を創造することを政治の基本目標とされていると理解します。総理の御所見伺いたい。  次は、外交政策について伺いたいと思います。  総理は、所信表明で述べられたように、日本の豊かさと活力を世界に生かし、世界の平和と繁栄に貢献するという姿勢のもとで、諸外国に対して言うべきことははっきり伝え、その責務は誠実に実行するという決意を述べられておりますが、これは全く同感であります。  外交、内政一体の立場で、特に内政に強い竹下総理に対して、対外的に約束したことは必ず実行してくれるであろうと、米国初め諸外国の期待も大きいと思います。特にペルシャ湾紛争や経済問題等流動する世界情勢の中で、西側の重要な一員として、また、アジア・太平洋地域の一国として、これから我が国外交をどう展開していかれるのか、まず基本姿勢を承りたい。  次に、米ソ首脳会談の成果について伺いたいと思います。  長年にわたり続けられてきた米ソの軍備管理交渉がようやく実を結ぶことになりました。去る十一月二十四日、中距離核戦力(INF)全廃条約の全面合意がジュネーブにおいて米国シュルツ国務長官とソ連シェワルナゼ外相との間でなし遂げられたと報道されています。これによってレーガン大統領とゴルバチョフ書記長が十二月にワシントンで会談し、条約の調印がなされることが確実になったことはまことに喜ばしいことであり、中曽根総理を初めとする我が方の主張と努力の成果でもあると思うのであります。  INFは、核兵器全体から見ればわずかな部分にすぎませんが、これを契機として、より広い範囲で軍縮ないし軍備管理が実現されていくことを我が方としてもさらに強く訴えるべきであると思いますが、総理の御所見伺いたい。  次に、日米関係について伺います。  竹下総理は、就任に際し、対米関係を最優先事項とする旨表明されましたし、所信表明でも、日米関係我が国外交の基軸だと述べておられます。そして、できるだけ早く米国を訪問し、レーガン大統領との間で胸襟を開いて意見交換を行いたいと言っておられます。  日米協力関係の推進は、我が国のみならず世界の平和と繁栄にも重要な意味を持っており、相互に一層の努力をすべきであります。しかし、現実には当面幾多の問題が横たわっております。貿易、経済面においては、米国議会を中心とする保護主義的な圧力は依然として強く、包括貿易法案の成り行きは引き続き注視していかなければなりません。安全保障面でも日米協力関係は非常に重要であります。在日米軍経費負担についても可能な限り協力すべきであると思います。竹下総理は、日米関係をどのように進めていかれるのか、まず基本方針伺いたい。  次に、農産物十二品目自由化問題、これは極めて厳しい情勢を迎えております。  日米間の交渉はいまだ成功に至らず、本日十二月一日からのガット総会において、今の情勢では十二品目中十品目輸入自由化を促す対日勧告案が採択されることが避けられないとのことでございますが、政府としていかにこれに対処するのか。また、これら一部農産物の自由化が仮に最終的にやむを得ない事態になった場合、国内農業の受ける打撃に対していかに対応するのか。また、明年三月に期限が切れる牛肉、かんきつの自由化要求にどう対処するのか、総理のお考え伺いたいと思います。  次に、アジア・太平洋の一員として、近隣諸国に対する善隣外交について伺います。  韓国は、近年驚異的な経済成長を果たし、明年はソウル・オリンピックを控えており、現在は十二月十六日の大統領選挙に向けて各候補により活発な選挙戦が展開されております。政府は今後対韓国外交をどう進める方針か、お伺いします。  また、中国との関係は国交正常化以来発展してまいりましたが、特に中国では、先般の第十三回党大会において改革と開放の方針を強く打ち出しています。我が国としても、この中国の近代化の努力に対してきる限り協力すべきだと思いますが、総理の御所見伺いたい。    〔議長退席、副議長着席〕  ASEANは、設立二十周年を記念して、十二 月にマニラで首脳会議を開催することになっており、竹下総理はこの会議に出席されると承っております。私は、総理が初の外遊先としてフィリピンを訪問されることは、我が国アジア重視の姿勢を内外に示すものとしてまことに時宜を得たものと高く評価する次第であります。そこで、この会議に出席されるに当たっての総理の心構えを伺いたい。  さて、我が国の隣国であるソ連との間に真の善隣友好関係確立することは、極東の平和、ひいては世界の平和と安定に資すること大であると信じます。米ソ間の建設的な対話の進展は、日ソ関係にも好影響を与えることが期待されます。しかし、日ソ間には、日本国民の共通の悲願である北方領土問題の解決と平和条約の締結という基本問題があります。竹下内閣対ソ外交方針伺いたいと思います。  また、開発途上国の我が国への経済協力への期待はますます高まっております。特に、累積債務問題の悪化等、経済困難に直面している途上国に対し、経常黒字等より生じた資金を還流させることは一種の我が国の責務とも考えられます。例えば、さきに決定を見た二百億ドル以上の官民の還流措置はどう進めますか。また、円高の進行に伴い、円借款金利を三・一%から欧米並みの二%台に引き上げ、発展途上国の返済負担を軽減する方針と承っています。これらの措置は、総理の唱える世界ふるさと創生につながるものと思いますが、どうでしょうか。  さて、次は経済、財政問題に入ります。  先般の米国ニューヨーク株価暴落は、東京にも波及して大きな影響を受けました。その後、市況は落ちつきを取り戻していますが、この株価暴落の背景は何でしょうか。根本的にはアメリカの財政と貿易の双子の赤字と言われているようですが。そして、それに伴うドルの下落をどう考えますか。宮澤大蔵大臣の御見解伺います。  ところで、先般、竹下総理が就任早々、みずからレーガン大統領あてに親書を送られ、株式や為替を安定させるため、米国の財政赤字削減を強く求められたと聞いておりますが、そうだとすればまことに時宜を得たことであったと思います。そして、米国はこのたび八八、八九会計年度で七百六十億ドルの赤字削減に大統領と議会が合意したと報じられております。これは最近にない快報だと思います。  これに伴い、反面、世界経済に相応のデフレ現象が起こるおそれがあるとされ、日本や西独に対してさらにG7開催等によって内需拡大等の要請が強くなると予想されますが、あわせて大蔵大臣の御所見伺います。  さて、総理我が国としても、ルーブル合意を踏まえた政策協調ということで、アメリカ赤字削減と並行して、我が国の大幅な貿易黒字、六十一年度でも約一千億ドル、対外不均衡の是正を図る必要があると思います。そのような観点から、我が国は極力市場開放と内需拡大産業構造調整をさらに推進する必要があります。そして、その過程の中で、総理御指摘のとおり、国民が我慢せざるを得ないこともありましょう。  内需拡大については、詳細は省略しますが、参議院改革の一環としてできた国民生活に関する調査会において、私ども与野党で閉会中にもかかわらず熱心に勉強しました。そして、本年八月二十六日、幾つかの提言を行い、政府施策の参考に供したことは総理も御承知のことと思いますが、内需拡大実行により住宅投資は高い水準、年間百六十万戸程度で推移しており、公共事業の発注も進み、公的民活事業も相応の進捗を見ており、情報産業その他の民間設備投資も増加し、景気は内需主導によってようやく円高不況を脱出し、回復段階に入っていると思われます。  そして、個人消費も堅調な伸びを示しています。最近の経済指標によれば、輸出入の伸びも逆転し、経常収支の黒字が減少すると見込まれています。まさに、政府の六兆円に上る緊急経済対策が効果を発揮しつつあると言えるのではないでしょうか。皆さん、そうでしょう。  また、物価については、鋼材等一部建材の値上がりが見られましたが、関係者措置によって、楽観はできませんけれども、一応落ちついてきたようであります。また、構造調整も逐次進捗しつつあると思います。そして、円高の進行や株式相場の先行き等不明確な点があるものの、経済成長の見通しはおおむね明るいと思います。総理の御見解伺いたいと思います。  次に、財政再建の方向について総理伺います。  鈴木内閣に始まり、中曽根内閣を通じて進められてきた財政再建は、竹下内閣によって最終段階に入ろうとしております。経済の回復による自然増収、行革の断行によるNTT株の売却により歳入の確保にめどがつく一方、五十八年度以来のマイナスシーリングによって歳出が圧縮され、今や昭和六十五年度赤字国債脱却の財政再建は手の届くところに来たと言えるのではないでしょうか。竹下総理大蔵大臣時代を含め財政当局の努力を多とするものであります。また、関係者もみんな協力してまいりました。しかし、米国を初め世界経済の先行き等を考え、時代のニーズに沿った財政需要に弾力的に対応できるようにするためには、財政再建目標年次及び内容について柔軟に対処すべきなどの考え方もありますが、総理の御見解伺います。  これに関連して大蔵大臣伺いたいのは、昭和六十三年度予算編成方針についてであります。  経常経費についての節減合理化は必要と思います。しかし、内需拡大等内外の経済情勢対応し、あるいは当面の経済的な視点のみならず竹下総理の「ふるさと創生」の立場からの四全総計画に沿った地方振興等による国土全体の活性化国民生活の質的向上を図るため、既定の概算要求についての若干の手直しも必要かと思います。御見解を承ります。  次に、税制改革について伺います。  竹下総理は、就任直後の記者会見及び今回の所信表明においても、税制改革の必要性を述べられ、国民の間にも税制改革についての意識が高まってきていると指摘されています。現行税制に内在するさまざまなひずみは既に明らかであり、さらに、今後の二十一世紀高齢化社会の到来、経済社会の国際化を展望した場合、税制の抜本改革はぜひとも必要であると思いますが、どうでしょうか。  前内閣において抜本改革が提案されましたが、所得税減税とマル優改革の一部にとどまり、国民の理解が得られず、全体として日の目を見るに至りませんでした。しかし、さらに直間比率の是正を含め、所得、消費、資産等の間で均衡がとれた 税体系をつくり上げる必要があると思います。  今後の税制改革を進める上で最も重要なことは、国民のコンセンサスを得ることであります。だれのためになぜ必要であるのか、そしてどのような中身であるかを周知してもらうことが必要であります。御指摘のように、簡素でわかりやすい公平なものでなくてはならないと思います。したがって、前回の売上税などとは視点を新たにして、与野党国民の間で広範な論議を尽くすことが大切だと思います。抜本改革に取り組む姿勢、手順等について、竹下総理の御所見を改めて伺います。  なお、住宅減税やガソリン税等個別の税制改正の方針については、宮澤大蔵大臣伺います。  次に、教育改革文化振興についてであります。  教育改革の必要なことは今さら申すまでもありません。総理御指摘のように、二十一世紀を担う青少年を徳、知、体のバランスと国際性豊かなあすの国民としてたくましく育成していくことが大切であります。臨時教育審議会は、受験競争や教育荒廃を克服すると同時に、創造的で多様な教育を目指した審議を経て答申がなされ、うち大学入試制度や教員の初任者研修制度の試行などは具体化されつつありますが、多くの課題は今後に残され、ポスト臨教審なるものを設置して実行する案が中曽根内閣において打ち出されましたが、竹下内閣としてこれから教育改革に取り組む方針伺いたい。また、総理期待する人間像はいかにあるべきか、ビジョンをお示し願いたいと思います。  なお、具体的問題の一つとして、語学教育の充実があります。  これも国民生活に関する調査会において、本年五月二十五日、国際化に伴う国民生活対応についての中間報告の中で、英語教育の根本的改革が必要だとして、学校における英語教育を会話能力の涵養に重点を置くべきことを提言していますが、これについても、かつて中学の英語教師の経験をお持ちとお聞きしております総理の御所見伺いたいと思います。  なお、総理は、学校教育のみならず生涯教育を重視され、同時に、世界に誇り得る文化経済国家の創造を目指しつつ、自由時間を活用して内外各地でのスポーツや芸術活動と相まって、文化活動の展開、振興を進めることを打ち出されています。これは総理の重視される心の豊かさへの道であり、ロマンと楽しさ、幸せにつながるものと理解します。これについての御所見をあわせてお伺いします。  さて、最後に、問題の土地対策について伺います。  我が国の貿易黒字が、また諸外国に対する債権が、さらには一人当たりのGNPが世界一となっても、真に国民生活実感としてその豊かさを感じられない理由の大きな一つに、我が国の大都会における住宅の事情があり、それを解決するための土地問題があります。申すまでもなく、土地問題は、国民にとって生活の基盤としての貴重な財産であるだけに、狂乱地価により一生働いても住宅を持つことができない絶望的な社会は、まさに憂うべき事態であり、政治はこの不公正な社会現象を除去し住宅に対する夢が持てるよう、この異常高騰地価を速やかに鎮静化させ、有効な土地の利用と供給を図ることが求められております。  総理は、この土地の緊急事態を強く認識され、今こそ政治が勇気を持って取り組むべき課題として受けとめられ、みずから率先、土地関係閣僚会議を主宰し、さらには今期土地国会を召集せられ、これに取り組む姿勢を示されておりますことを高く評価するものであります。  一方、国会においては、土地問題等特別委員会が設置されました。どうかこの際、土地問題について総合的かつ抜本的な対策をぜひとも講ずるべきであります。  東京都心を荒れ狂った地価高騰は若干鎮静化し、かわりに今、周辺地域、さらには地方の主要都市に波及しつつあり、政府はこのような事態の推移をどう把握し、対策を講ずる所存であるのか、まず土地問題に取り組む総理基本方針伺います。  次に、奥野国土庁長官伺います。  今回の地価高騰の原因が、東京の国際化、情報化等に伴うオフィス需給の逼迫に端を発したものであるが、土地が投機の対象となったことも背景にあることは否定できないと思います。そこで、まず当面の緊急対策として、投機的土地取引による地価高騰を防止するには、国土利用計画法による監視区域の指定を行うとともに、さらに実効あらしめるには届け出対象面積の引き下げや、場合によっては規制区域の指定を行うことも必要でありましょう。政府はこの土地取引の規制についてどのような方針で臨むのか、伺っておきたい。  金融機関による土地に対する不正、過剰融資については、大蔵省の特別ヒアリングの実施により、地価鎮静の一助となったことを是といたしますが、地価高騰はさらに地方へ輪を広げつつありますので、さらに実効を期するため、地方の金融機関まで範囲を広げて特別ヒアリングを継続するとともに、融資の審査体制の強化、報告義務、不良金融機関の公表など、指導の強化を図るべきであると思いますが、どうでしょうか。  さらに、奥野国土庁長官及び越智建設大臣伺います。  すなわち、これらの緊急措置と相まって、地価高騰を防止するには、同時に、土地の有効利用や供給を促進しなければ問題の解決にはならないと思います。そのためには、事務所床面積や住宅・宅地の需給見通しを明確化することが必要であります。  私は、党に設置された緊急土地問題協議会の土地有効利用小委員長として問題を検討した結果、 詳細は省略しますが、四全総計画に基づく想定のもとで、東京圏について二十一世紀初頭までの全体的な需給バランスの確保は工夫次第で可能であるとの結論に達しました。すなわち、住宅・宅地等の供給を促進するためには、都心部及び臨海埋立地等の再開発等、良好な都市環境を考慮した土地の高度利用と市街化調整区域の規制緩和、鉄道新線建設による開発適地の面的拡大、市街化区域内農地所有者による賃貸住宅の建設促進等を積極的に進めるべきであります。また、土地区画整理や信託方式等、地価を顕在化させない方式の活用とか、借地借家法の改正、地下利用権等法的措置も必要であると思います。御見解伺います。  さらに、中長期課題として大事なことは、東京都心のオフィスや住宅の需要の抑制、分散を図るため、首都機能や行政機能の分散が必要であります。東京は政治、行政、経済中心であるばかりでなく、国際金融、高度情報通信機能を持つ世界的都市としてその機能を果たしていますが、過密化により居住環境の悪化や異常な地価高騰等の深刻な問題が顕在化しております。国土の均衡ある発展のためには、東京圏への都市機能の一極集中傾向を是正して、多極分散型の国土の形成を図り、幹線交通通信網の整備等による地方の振興が必要であります。  さきに策定された第四次全国総合開発計画のねらいもまさにここにあると考えるわけであります。これがまた総理の「ふるさと創生」につながるものと思うのであります。  また、行政機能の分散に当たって配慮すべきことは、地方行革を推進して、国の権限、機能を地方自治体へ移譲することも必要と思います。これは部分的な首都移転とも言えましょう。以上の点について総理の御所見伺いたいと思います。  一方、この十月一日より短期譲渡所得課税の重課が実施され、地価鎮静に大きく効果を発揮しております。今後とも、土地対策及び住宅供給の見地から税制の改善を図る必要があります。特に、我が党が提案している法人の土地譲渡益課税や居住用財産の買いかえ特例については、租税の回避や制度趣旨に照らし適切な見直しが必要であり、また、地価高騰に伴って、最小限の居住用の土地家屋の固定資産税や関連した相続税の負担については、急激な増大を来すことのないよう適切な税制改善措置が必要と考えます。大蔵大臣は、今後の税制改正の中でどう措置されるお考えでありましょうか。  土地問題の最後に、土地の所有権と利用権について総理伺います。  土地問題を解決し、良好な都市住宅環境を整備するには、公共の福祉優先する観点に立って土地の公的規制を行うことはやむを得ない、土地収用法等ももっと積極的な活用を図るべきだと思います。  今後の課題として、ヨーロッパ等に見られるごとく、土地は公共財であるとの理念のもとに、私有財産権との調和を図りつつ総合的な土地政策検討する必要があると思います。総理の御所見伺います。  以上で私の質問は終わりますが、今や内外ともに問題山積の厳しい節目にあり、日本丸のかじ取り役の竹下総理責任はまさに重かつ大であります。総理が所信表明で述べられたように、国民との対話、合意を求めながら政治を進めていかれることはもちろん大切であります。そして、すぐれた調整力を十分発揮していただきたい。しかし、最高責任者として、みずから判断されることが必要な場合が必ずあると思います。そのときこそ、まさに勇断実行あるべきであります。十年たったら竹下さん、風雪幾星霜、今や総理の座につかれたのです。今度は平和な世界、豊かなふるさと日本を目指して頑張ってください。  以上をもって私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣竹下登君登壇、拍手
  13. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、政策の重点課題について冒頭お尋ねがありました。  世界の平和と国民の幸せが究極的な政治目標であることは論をまちません。具体的には、対外的には「世界に貢献する日本」との姿勢確立し、国際的地位にふさわしい役割を果たすことであります。所信でも申し述べましたように、そのためのコストは進んで負担する覚悟が必要であると考えております。  他方、内政面では、経済発展の成果を国民生活の充実に還元する、すべての人々がそれぞれの地域において豊かで誇りある生活、活動を展開する、そういう基盤をつくることであると思います。土地対策税制改革教育改革、これらは積極的に推進してまいります。  そして、最後に申されましたように、これらの政策実現に当たりましては、まず衆知を集め国民的合意を求めていくという政治姿勢をとりつつも、そして決断すべきときにはみずからの決断、これを行っていくというのが政治家に与えられた使命であると考えております。  さて、次は外交問題でありますが、西側の一員として西側先進民主主義諸国との協調と連帯を図っていくに当たって、まず、我が国外交の基軸である日米友好協力関係の基盤を一層強化するために、できるだけ早期に訪米いたしまして、レーガン大統領との間で胸襟を開いた意見交換を行いますとともに、西欧諸国及びカナダとの間で建設的な協力関係をさらに進めていく所存であります。  我が国外交のもう一つの柱でございますアジア・太平洋地域の一国といたしましての地域的貢献については、韓国、中国、ASEAN諸国、豪州を初めとする近隣諸国との友好協力関係をさらに推進していく所存であります。  このような観点から、今月マニラでのASEAN諸国首脳との会議に出席をいたしまして、AS EAN諸国に対する積極的協力と支援を表明していこう、このように考えております。  次に、軍縮に関する我が国の立場につきましては、軍縮のための国際努力に積極的に参加することが我が国のまず基本的な政策であります。同時に、軍縮はできる限り低いレベルで軍縮を均衡させることによりまして関係国の安全保障を高めるものでなければなりません。また、その合意が検証可能なものでなければならないとの認識の上に立っております。かかる目標に向かって、我が国としては西側の一員として今後とも努力を継続していく方針であります。  このような基本的立場から、我が国としては、米ソ交渉に関しては、INF交渉妥結を好機として、両国に対し、次の重要課題たる戦略核の大幅削減を目指し一層の努力を傾注するよう訴えていきますと同時に、米国の努力を支援していく所存でございます。また、我が国自身としましても、国連、ジュネーブ軍縮会議などを通じ、国際的努力に貢献していく、こういう基本的考え方であります。  日米関係につきましては、私の内閣においても対米関係を重視していく、これは当然のことであります。私は、日米友好協力関係の基盤を一層強固なものとするべく、早期に訪米してレーガン大統領との間に胸襟を開いた意見交換を行います。  良好な日米関係維持拡大して、世界的視野に立つ協力関係を推進していくことこそが、世界の平和と繁栄にも不可欠なことである、このように考えております。  現在、経済、貿易問題などで両国間に種々の問題はございますが、この問題ゆえに基本的に良好な日米関係の根幹が損なわれるようなことがあってはなりません。日米関係重要性を踏まえまして、日米両国の共同作業として諸案件の解決に最大限の努力を行っていこうというのが両国政府の共通の認識である、このような考え方に立っております。  次が在日米軍経費の問題であります。  先ほど対馬議員にもお答えをいたしましたが、十月七日の政府・与党首脳会議におきまして、適切な対象について在日米軍経費の軽減の方途について米国と協議を行う旨が決定されております。政府としては、在日米軍経費の軽減の具体的な方途、これにつきましては今後慎重に検討していく考え方であります。  農産物十二品目問題につきましては、今週開催されますガット総会において、パネルの報告書案が議題として取り上げられる予定となっております。我が国としては、国内農業の実情、国際的な経済関係などを十分に踏まえて最善の努力をまず行っていくべきだ、こういう考え方であります。  牛肉、かんきつの問題。  これは一九八八年度以降の牛肉、かんきつの輸入につきましては、正式の二国間協議をいずれ早い段階で開始するということで合意を見ておるところでございます。  今後とも、牛肉、かんきつをめぐります我が国農業の実情等について、相手国に十分説明をし、その理解を求めなければならない、このように考えます。  今後の対韓外交でございますが、現在韓国では、今月十六日の大統領選挙に向けて選挙戦が繰り広げられておるという状態でございます。  我が国としては、重要な隣国の出来事としてその推移を注視しておりまして、明年の平和的政権移譲、そしてソウル・オリンピックの成功、こういう国民的合意実現することを心から祈っておるところであります。  いずれにせよ、重要な隣国たる韓国とは今後とも各界各層における幅広い交流を通じて、政府として友交協力関係を一層強化していく方針であります。今後とも引き続き努力を続けたいと思います。  次が中国問題でございます。  中国との間におきましては、その関係は良好で安定した方向にある、これを一層維持発展させること、これが我が国の重要な柱の一つであります。  我が国は、中国の近代化建設の努力を支援するために、これまで同国に対しまして経済協力を初め貿易、投資等の面でも協力を行ってきておりまして、特に経済協力につきましては、現在、中国我が国二国間政府開発援助の最大の受取国でもございます。先般も、資金還流措置の一環として、中国に対して一千億円をめどに新規の資金協力を行うということが決定いたしております。  我が国といたしましては、今後とも、中国の近代化努力、これに対して可能な限りの協力をしなければならないと考えております。  我が国は、ASEANがアジア・太平洋地域の安定と発展の上で果たしておる役割を高く評価するという立場にあります。ASEANとの友好協力関係の強化は、我が国外交の重要な柱であります。  来るべきASEAN首脳との会議におきましては、ASEANの期待にこたえて我が国の積極的姿勢を示して、これが二十一世紀に向けて、日本・ASEAN関係の新たな展望を開く機会となるものとの期待を私は持っております。  対ソ外交の問題でございますが、我が国対ソ外交基本方針は、重要な隣国であるソ連との間に、戦後最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結することによって、真の相互理解に基づく安定した関係確立すること、これが何としても基本であります。私も、北方四島一括返還実現のために全力を尽くしてこれからも対応すべき課題だと理解しております。  資金還流の進め方等についての御質問でありました。  我が国としては、開発途上国に対して、我が国の国力に見合った貢献を積極的に行ってまいると いう基本的な考え方であります。  このような観点から、先般我が国が決定いたしました二百億ドル以上の資金還流措置につきましても、その迅速な実現に向けて官民挙げて種々の努力をしております。既に四分の一以上が具体化をいたしました。今後とも、国際開発金融機関との話し合いや二国間ベースでの要請を踏まえながら、円滑な実施に向けて努力を続けていく所存でございます。  また、資金還流のみでなく、いわゆるODAの質の面におきましては、可能な限りの改善を図ることは、ODAの第三次中期目標の中でも表明しているところでございます。円借款金利の引き下げ、これにつきましては、本年一月以降の新規供与決定分より平均〇・六%の引き下げを実施したところでございます。なお、途上国からはさらなる金利引き下げの要求が寄せられておることは事実であります。これに対していかなる対応をするかということは、これは今後の検討課題であるというふうに考えております。  経済の見通してございますが、我が国経済の現状を見ますと、内外金融市場に不安定な動きが見られますものの、個人消費が堅調に推移し、民間投資、公的投資とも増加するなど、国内需要は引き続き増加しておりまして、景気は着実に回復しておる。先ほどいわゆる大型予算そのものの効果であるとの御意見もございましたが、私も同じように認識をいたしております。  政府は、内需を中心とした景気の積極的拡大等を図るために、緊急経済対策の着実な実施を図ってきているところでありますが、今後とも主要国間の協調的な経済政策実施を推進し、円レートの安定化を図りますとともに、物価の安定に留意しつつ、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努める所存であります。  このような状況下、六十二年度については、これまでの円高の進展等により外需がマイナスの寄与を続けますものの、内需は引き続き着実な伸びを続けると見られ、また、緊急経済対策の効果が今後一層本格的にあらわれてくるということからしまして、政府経済見通しで想定しております内需による着実な成長、これは実質三・五%程度が十分可能であろうというふうに思っておるところであります。  財政再建目標の問題でありますが、六十五年度特例公債脱却の努力目標の達成は容易ならざる課題でございますが、行政改革のそれこそ果実とでも申しましょう、NTT株式売り払い収入の活用などによりまして財政運営上の工夫を図りながら、なおいわゆる経常部門の節約等歳出削減の努力を続けていきますならば、計算してみましても、必ずしも目標の達成は望みなきにあらず、こういう状態であろうと思っております。したがって、今後とも引き続きこの実現に向けて努力を払っていくという考え方でございます。  次がいわゆる抜本的な税改正問題でございます。  今後の高齢化社会の到来、経済の一層の国際化を展望いたしますときに、抜本的な税制改革実現は避けて通れない課題であります。先ほどの御意見のとおりであります。経済活性化に配慮しながら、長寿・福祉社会をより一層確実なものとして維持していくためには、所得、消費、資産、この間で均衡がとれた安定的な税体系を構築することが何よりも急務でございます。  このような認識のもとで、政権発足後直ちに税制調査会に対しまして「所得・法人・資産及び消費課税等について」の「望ましい税制のあり方と実現に向けての具体的方策」、こういう新たな諮問を行いました。現在精力的に御審議をいただいておるところであります。  今後、税制の抜本的改革の全体について早急に成案を得て、その速やかな実現を図るべく、それこそ国民の理解が何よりも必要でございますから、国会の各党各会派、そして国民各層の御理解を十分にいただいて、引き続き検討を進めてまいりたい、このように考えております。  教育改革についてお触れになりました。  時代の進展に対応し、創造的で多様な教育実現を目指して教育改革を推進することは国民期待するところであり、また国政の重要課題である、このような問題意識を持っております。  このため、臨教審の答申を受けまして、当面、先般閣議決定いたしました教育改革推進大綱に基づいて、引き続き教育改革の着実な推進を進めてまいる考え方でございます。  また、これからの教育は、二十一世紀に向けて創造的で活力ある社会を築くため、国際社会の中でたくましく活動できる個性的で心豊かな青少年を育成していく、このことが私は何よりも大切なことだと考えております。  英語教育の問題でございますが、国際化の進展に伴いまして、外国語教育について、コミュニケーション能力の育成に一層重点を置くことが必要であります。  この観点から、教育内容の改善を図っていく所存でございます。  また、語学指導等を行うための外国青年招致事業の推進、英語教員の研修、これらは大事なことでございます。  私のことにもお触れいただきましたが、私は、戦時中の学生でございましたので、すぐサブジェクトとかバーブとかオブジェクトとか、いわばグラマー中心の英語を教わってまいりました。私が英語教師であったときにもそのような考え方が基礎にあったのではないかと十分反省をいたしております。  生涯教育等の問題です。  現代は物的な豊かさだけでなく、心の豊かさも強く求められている時代であります。  近年における所得水準の向上、余暇時間の増大、高齢化などを背景とし、国民の生涯にわたる 学習機会への要望、文化やスポーツに対する要望の増大、こうしたさまざまな活動や学習機会の整備等によりまして、国民の一人一人が生涯にわたり学習、文化、スポーツ活動を行って、豊かで充実した人生が送れるような社会、こういうものが私どもの理想として考えられるものであろうと思っております。  そして、土地問題であります。  地価は、都心部等で鎮静化の兆しはございますが、周辺地域や他の主要都市等では上昇しておりまして、土地対策は現下の内政上の最大の課題の一つでございます。  今後、土地取引の適正化、住宅・宅地の供給促進等による当面の地価高騰の抑制、諸機能の地方分散等の土地対策、これは政府まさに一体となって着実に推進していかなければならない課題であると思います。  近年、国際化、情報化等の進展によりまして東京圏への人口や諸機能の一極集中が進みますとともに、地方圏では産業構造の転換などによりまして雇用問題が深刻化するなどの事態が生じておると認識しております。  このような認識に立って策定された四全総、これは地域の創意と工夫を生かしつつ多極分散型国土の形成を目指そうとする点において、私が申しております「ふるさと創生論」と国土づくりの考え方の基本を全く同じくいたしております。  今後は、地価高騰に基本的に対応するためにも、四全総を強力に推進し、人口や諸機能の分散を進めて、まさに国土の均衡ある発展、これを図ってまいらなければならないと考えております。  それから、国、地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重の観点から、住民に身近な事務は住民に身近な地方公共団体において処理できるよう国、地方間の役割分担のあり方について、これは従来からも絶えず指摘されておるところでございますが、幅広く検討を行う必要があります。  今後とも、国、地方の役割分担につきましては、四全総、そうしてまた臨時行革審答申等を踏まえまして、それこそ適切に対処していくべき課題でございます。  土地税制の問題でございますが、この種々の措置が今日まで講じられてきておりますが、御質問の諸問題については、緊急土地対策要綱におきまして、「固定資産税について評価替えに伴う負担調整措置及び相続税について必要な措置を講ずること」、また「居住用財産の買換特例制度について地価高騰の波及を抑制する見地から必要な見直しを行うことなどにつき、税制調査会に諮るなど所要の措置を講ずる。」と、こう書いてあるわけでございます。税制調査会のまさに検討をお待ちしておるということであります。  それから、土地の公的規制でございます。  土地は、生活及び生産を通じます諸活動の共通の基盤となる限られた資源であり、適正かつ合理的な土地利用の実現を図ることが極めて重要であります。  土地につきましては、現行制度においても、公共の福祉の観点から各種法令によって種々の規制が行われているところでありまして、今後とも、これら法令の適正な運用によって、総合的土地対策の推進に一層努めてまいりたいというふうに考えております。  以上で私のお答えを終わります。(拍手)    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手
  14. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 過般の米国における株価の暴落の背景として、財政及び貿易という二つのいわば双子の赤字があって、それに起因するところのインフレの再燃あるいは金利の上昇の懸念があったのではないかと御指摘でございましたが、私もまさにそのとおりであったと思います。  そこで、米国におきまして、十一月の二十日に大統領と議会との間で財政赤字削減に関する合意がなされたわけでございますけれども、その具体的な立法等々がまだなされておりません。早急に所要の措置がとられることを期待いたしたいと思います。  また、米国の貿易赤字は八月分、九月分と一応ここのところ連続して減少をいたしましたけれども、それが恒久的な傾向を示すものであるかどうか、なお即断を許しませんで、願わくは、このプラザ合意以来もう二年余りたちますので、赤字の縮減が定着していくことを期待いたしたいと思います。  そのような米国の経済の、いわば何と申しますか、縮小ということになりますと、当然黒字国がそれに対応して内需の振興を図らなければならないということは、いわゆるG7等々におきましてもつとに合意されておるところでございますので、我が国といたしまして先般緊急経済対策をお願いいたしました。また、その実施に今日まで努めてまいりました。その結果といたしまして、現在の我が国経済について見ますと、国内需要は引き続き増加しておりまして、景気は着実に回復し、今後も堅調に推移するものと考えていいのではないかと思われます。輸出を減らす、そうして輸入をふやすということでございますから、外需関連のマイナスは、これは当然に政策意図としても成長の中に入ってくるわけでございますけれども、そのマイナスを埋めまして内需のプラスがあって経済は安定的な成長を持続するものと考えております。また、そのように政策努力を続けてまいります。  そういう背景でございますので、六十三年度の概算要求におきましても引き続き内需の拡大を図りますために、投資部門のマイナスという基準はこのたびはやめることにいたしました。また、NTT株式の売り払い収入の活用につきましても、先ほど申し上げたとおりでございますが、これによりまして、一般公共事業につきましては、六十 二年度の当初予算に比しまして二〇%という要求枠の大幅な増加を行ったところでございます。これによりまして社会資本整備を図りまして内外の要請にこたえるつもりでございます。  と同時に、先ほど申し上げましたように、米国における株価の暴落が示しますように、先進諸国がこの状況にまだ十分対応いたしておりません、経済不安がございますから。財政政策の運営に当たりましては、経済情勢の変化に対応いたしまして十分機動的に対応してまいる考えでございます。  税制につきまして御指摘がございました。  その一つは住宅取得促進税制でございますが、これは御承知のように今年から五年間、ほぼ二千四百億円というかなり大きな減税規模の措置を講じておりまして、また、住宅着工も、目下のところ、かなり高い水準で推移しておるものと承知いたしております。  そこで、揮発油税あるいは地方道路税の関連では、今年度末で現行暫定税率の適用期限が切れるわけでございます。これらの今後のあり方をどうするかということにつきまして、石油及び自動車にいろいろな税金がかかっておりますので、そういう税負担の水準あるいは道路整備財源等々、そういう広範な関連事項を検討いたしまして決めなければならない問題だと思っておりまして、各方面の御意見を承りながら総合的に検討いたしてまいりたいと思います。  それから、土地問題との関連で、なお税制について御質問がございまして、居住用の財産の買いかえの特例でありますとか、あるいは広く相続税を改めるべきではないか、負担を軽減すべきではないかというような問題が確かにございます。そのような関連の税制の中で、どの部分を抜本改正の一部として御審議を願い、どの部分をそれより早く実現していくかという優先順位につきましては、今後、各方面の御意見を聞きながら早急に決めてまいりたいと思っております。  もう一つ、土地問題の関連で、金融機関のいわゆる特別ヒアリングの問題につきまして、本年七月以降このヒアリングをやってまいりました。一般的なヒアリングでありませんで、地価上昇の著しい地域を定め、また、それに関連あると思われる金融機関につきましてかなり踏み込んで聴取をいたしました。その結果として、金融機関側におきましても、このような土地関連の融資は、その審査あるいは管理の体制を本店に一元化するというようなことを決めておりまして、かなり金融機関の側におきましてもいろいろ自粛の実績が上がっておると思います。なお、今後とも必要に応じまして、この特別ヒアリングの内容等の充実あるいは検査の活用等を図りまして、十分な効果を上げるように努力をいたす所存でございます。(拍手)    〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手
  15. 奥野誠亮

    国務大臣(奥野誠亮君) 地価土地についてお述べいただきましたお考え、私は全く同感でございます。土地高騰あるいは高騰のおそれがある地域につきましては監視区域として指定してもらう、また、監視区域としての指定の準備を急いでもらう、同時にまた、状況によっては届け出の対象面積を引き下げる、こういうことも指導しているわけでございます。  東京都の例を申し上げますと、届け出のあった事案の三割ぐらいが行政対象になっているようでございます。高過ぎるといいますと、結局取引をおやめになる、あるいは価格をお引き下げになるというようでございまして、話がつかないから勧告に至るという事例はまずないようでございまして、勧告も入れられないから公表するという事例は全くないようでございます。(「六件ある」と呼ぶ者あり)今お話がございましたように、六件とおっしゃっておりますが、まずそういう程度だろうと思っておるわけでございます。  しかし、なお投機的な取引が繰り返される、そういうおそれが出ました場合には、規制区域としての指定をする用意をしているわけでございますが、規制区域になりますと、一件一件の取引が許可制度になるわけでございまして、地価の凍結ということにもなっていくわけでございまして、そういう意味の伝家宝刀を抜かざるを得ないような事態はなるたけ避けていきたいなと、こういう思いで努力をしている最中でございます。  同時に、需給の見通しを明らかにすべきだという基本の問題の御指摘がございました。  各省庁連絡をとりました結果、昭和六十一年から昭和七十五年までの都心におきます新規の事務所床の需要、千六百ヘクタールから千九百ヘクタールと見込まれるわけでございまして、これに対しまして、従来の実績あるいは大規模なプロジェクトの推移を勘案いたしまして、土地の供給は千九百ヘクタールを上回るだろうという見通しが得られたわけでございまして、これらをさきに明らかにしたところでございます。  住宅・宅地につきましては、御承知のとおり、昭和六十五年までの第五期住宅建設計画が進行中でございまして、関係者はその実現に向かって努力を続けているわけでございます。  政府としましては、さきに閣議決定されました緊急土地対策要綱に従いまして努力しているわけでございまして、いろんなニュータウンの建設が進んでおります。これらをさらに促進していきたいわけでございますし、何といいましても交通アクセスを整備していく、新線をつくっていくとか、あるいは在来線を複線化する、複々線化するということも急いでもらいたいと考えておるわけでございます。同時に、東京湾臨海部等の大規模開発プロジェクト、これも促進しているところでございます。同時に、新しい住宅・宅地の開発計画、これも急いでもらっているわけでございますし、また借地借家法の見直し等の御指摘もございました。これも鋭意検討を続けていただいておるところでございまして、これら関係機関と連絡を 密にしながら努力してまいりますことによって、土地の供給が予想どおりに得られて需給のバランスが確保されるのではないだろうかなと、こう思っておるわけでございます。  なお、四全総の問題や地方分権的手法をとるべきだという点についての御指摘もございましたが、総理がお答えになりまして、私もそのように考えておりますので、お答えは省略さしていただきます。(拍手)    〔国務大臣越智伊平君登壇、拍手
  16. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 御指摘のように、現下の地価高騰に対処するためには、土地取引の適正化、地方分散等のための措置を講ずるとともに、基本的には、住宅・宅地の供給を促進して土地需給の均衡を確保していくことが肝要であると存じます。  このため、再開発の推進等、都市部における土地の高度利用の促進、線引きの機動的見直し等、近郊部における開発適地の面的拡大、さらには臨海部等の大規模開発プロジェクトの推進等により、住宅・宅地の供給促進を強力に進めてまいる考えであります。  これら都市の高度利用、開発適地の面的拡大等を図るため、必要な都市基盤施設の整備や市街地開発事業推進のための予算の確保に全力を挙げてまいります。  さらに、優良な住宅・宅地供給の促進等のため、所要の法律改正を含め、税、財政、金融上の諸施策の拡充を図ってまいりたいと考えておる次第であります。(拍手
  17. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。      —————・—————
  19. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) この際、お諮りいたします。  吉川博君及び倉田寛之君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、中村太郎君から裁判官訴委員を、また、杉元恒雄君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。  よって、いずれも許可することに決しました。      —————・—————
  21. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) つきましては、この際、  裁判官弾劾裁判所裁判員予備員二名、  裁判官訴委員、同予備員、  検察官適格審査会委員予備委員及び  国土審議会委員各一名の選挙を行います。
  22. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 各種委員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員及び裁判官訴委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に一任することの動議を提出いたします。
  23. 浜本万三

    ○浜本万三君 私は、ただいまの吉村君の動議に賛成いたします。
  24. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 吉村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 瀬谷英行

    ○副議長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に工藤万砂美君及び鈴木貞敏君を、  裁判官訴委員に遠藤要君を、  同予備員に海江田鶴造君を、  検察官適格審査会委員予備委員に下稲葉耕吉君を、  また、国土審議会委員に山崎竜男君を、 それぞれ指名いたします。  なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、工藤万砂美君を第一順位とし、鈴木貞敏君を第二順位といたします。  また、裁判官訴委員予備員の職務を行う順序は、海江田鶴造君を第二順位とし、第二順位の水谷力君を第一順位といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会      —————・—————