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1987-12-09 第111回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年十二月九日(水曜日)    午前十一時開会     —————————————    委員異動  十二月七日     辞任         補欠選任      稲村 稔夫君     及川 一夫君  十二月九日     辞任         補欠選任      及川 一夫君     稲村 稔夫君      野末 陳平君     秋山  肇君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         河本嘉久蔵君     理 事                 志村 哲良君                 下条進一郎君                 増岡 康治君                 森田 重郎君                 小川 仁一君                 志苫  裕君                 馬場  富君     委 員                 井上  孝君                 石井 一二君                 小野 清子君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 古賀雷四郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 田辺 哲夫君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 水谷  力君                 及川 一夫君                 安恒 良一君                 渡辺 四郎君                 片上 公人君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 内藤  功君                 三治 重信君                 山田  勇君                 秋山  肇君    国務大臣        法 務 大 臣  林田悠紀夫君        大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣  石原慎太郎君        建 設 大 臣  越智 伊平君        自 治 大 臣  梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       中尾 栄一君        国 務 大 臣  奥野 誠亮君    政府委員        内閣法制局長官  味村  治君        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   山田 馨司君        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   百崎  英君        総務庁長官官房        審議官      新野  博君        総務庁行政監察        局長       山本 貞雄君        経済企画庁物価        局長       冨金原俊二君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   荒木  寛君        国土庁計画・調        整局       長沢 哲夫君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁土地局次        長        兼内閣審議官   藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        法務省民事局長  藤井 正雄君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   土居 信良君        大蔵大臣官房審        議官       瀧島 義光君        大蔵省理財局次        長        藤田 弘志君        大蔵省証券局長  藤田 恒郎君        大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君        大蔵省銀行局保        険部長      宮本 英利君        国税庁次長    日向  隆君        農林水産政務次        官        吉川  博君        農林水産省構造        改善局長     鴻巣 健治君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   福本 英三君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省住宅局長  片山 正夫君        自治大臣官房総        務審議官     小林  実君        自治大臣官房審        議官        兼内閣審議官   前川 尚美君        自治省行政局長  木村  仁君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君     —————————————   本日の会議に付した案件土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関  する調査土地対策に関する決議の件 ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七日、稲村稔夫君が委員辞任され、その補欠として及川一夫君が、また、本日、野末陳平君が委員辞任され、その補欠として秋山肇君がそれぞれ選任されました。
  3. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  これより小川君の質疑に入ります。小川君。
  4. 小川仁一

    小川仁一君 第一相銀系列の新たな国土法違反と思われるものが幾つか出てまいりましたので、ひとつ御質問申し上げます。  千葉高洲三丁目に二千六十三平米の一つ区画がございます。この土地は一人の持ち物でしたが、これが二つに分筆されまして、一つは千九百七十八平方メーター一つは八十五平方メーターに分割をされ、登記簿によりますと、千九百七十八平方メーターの方は五十七年の五月に晴和興業が買い、同じ五十七年五月に東京エステートの方が八十五平方メーターを購入いたしております。売り主は同じでございます。分筆して所有者二つにして二千平方メーター以上という制限を逃れた。こういうやり方西新宿やり方と非常に酷似をしております。特に、抵当権二つとも東京エステートであり、さらに六十二年の三月期の東京都に出した営業報告によりますと、東京エステート晴和興業からこの千九百七十八平方メーター、三丁目の二十番の二十五でありますが、これを取得したと報告されているわけであります。  こういったようなやり方について、事実を御存じない面もありますが、私が申し上げたことを前提とすれば、これは国土利用計画法違反になるのではないかと思いますが、国土庁の御見解をお聞きします。
  5. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 国土利用計画法におきましては、二千平米以上の土地届け出をしなければならないというふうに決めておりますけれども、それにつきまして、一筆の土地を分筆して、それぞれの取引は二千平米未満にして取引した場合でも、それは土地が一団の土地と解される場合には個々の取引が二千平米未満であっても届け出が必要であるというふうにされております。したがいまして、先生指摘のような土地取引につきましては国土法違反の疑いがあるというふうに私ども考えております。  御指摘千葉県の高洲町三丁目の事例につきましては、現在事実関係千葉県当局が調査中でありまして、近日中に当事者から事情聴取を行う予定であるというふうに聞いております。
  6. 小川仁一

    小川仁一君 この三丁目の土地というのは二十番の二十五、二十番の三十となっておりますが、同一の四角な区域なんです。このうち隅を三十一というふうに分筆したわけでございます。当然一区画であるべきものをこういう分筆でやるやり方、こういう形の国土法違反、特に二千平米を超えた場合にはいろいろなケースがあると思うんです。ここだけの問題ではないと思うんです。こういう点については国土庁としてきつい指導をなさる方法が必要かと思いますが、いかがでございましょうか。
  7. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 法を定めましても、それをくぐり抜けるためにいろいろな方法が講ぜられる場合がございます。それはやはり脱法行為としてとがめられなければならないことだと思います。  御指摘のような脱法行為が行われているといたしますなら、地方団体に対しまして適切な指導をしていくことが必要だと思いますので、今のお話よく心にとめていきたいと思います。
  8. 小川仁一

    小川仁一君 この千葉高洲町の問題を含めて国土庁のきつい指導をぜひお願いしておきます。  特に、東京エステートという会社は、その実態登記簿等によって調査をいたしましたところ、役員が五人全部第一相互銀行取締役または支店長をやったOBでございます。日常的には代表取締役の西野さんと女の事務員の方しか出ていない。したがって、こういう会社でございますから当然第一相互銀行系列一つグループ、こんなふうに考えられるんです。今までの八王子霊園、あるいは問題になりました最上恒産西新宿問題等に絶えず名前が出てくる会社でございます。この会社について何か国土庁としては、そういう一連土地問題に絡んで名前が出てくるだけに、御調査あるいは何かの認識をしておられましたらお答え願いたいと思います。
  9. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 当該個別会社につきまして特別に私ども調査をしているということではございませんけれども国土利用計画法違反が何回もあるというような場合には次第に厳重な処分をするということで対処している次第でございます。
  10. 小川仁一

    小川仁一君 東京エステートは、西新宿最上恒産、いわゆる国土法違反告発されております。この問題についてもその土地の問題について都から文書注意を受けている、こういうふうに聞いておりますが、この点につきましてはいかがでございましょうか。
  11. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 先生指摘の件は、東京都で昭和六十一年の九月に、無届けてやった事実を確認いたしまして、文書による厳重な注意を行ったというふうに聞いております。
  12. 小川仁一

    小川仁一君 もう一つお聞きしますが、八王子の南浅川町にいわゆる八王子霊園というものがあります。これもマスコミ等で非常に疑惑が書かれている霊園の問題でございますが、ここでも東京エステート地目山林一万七千平米を無届けで手に入れているというふうな情報があるわけであります。これも五千平米を超えておりますから国土法違反する可能性があると思いますが、いかがでございましょうか。
  13. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 八王子霊園事例につきましては、東京都で無届けの事実を認めまして、文書による厳重な注意を行ったというふうに報告を受けております。
  14. 小川仁一

    小川仁一君 そうしますと、この会社は既に都から二回にわたって文書による注意を受けているわけでございます。さらに、私が最初に申し上げましたような千葉市の高洲の問題があるわけであります。行政指導あるいは文書指導を受けながらなおかつこういったようなことをやっているということについてどう考えればいいんでしょうか。  国土庁としては、こういう文書指導を受けているという事実を知っておられるわけですが、今出しました千葉高洲問題はあるいは御存じなかったかもしれませんけれども、類似したようなこういうことがあとございませんか。都から文書行政指導を受けたとか、あるいは国土庁がそれなりに注目したというようなその他の事項はございませんでしょうか。
  15. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 国土利用計画法届け出につきましては、年間、実際の取引が約二百万件ございますけれども、そのうち届け出対象になっておりますのが約一〇%、約二十万件あるわけでございます。その中で、私どもが事後的に土地登記簿等によりまして確認いたしますと、無届けではないかというふうに疑われるケースがかなりでございまして、それにつきまして県の方からいろいろ集計報告を受けているわけでございますけれども、数千件にわたる無届け事案があるわけでございます。その中で悪質なものにつきましては告発という手段も講じておるわけでございますけれども、善意の無届けというようなものにつきましては文書指導というようなことをやっておるわけでございます。したがいまして、累次にわたりまして違反をするとか、悪質な違反をしているというものにつきましては厳重な処分をするように都道府県を指導しているわけでございます。  先ほど御指摘最上恒産案件につきましては、東京都が告発をしている事案であったわけでございます。
  16. 小川仁一

    小川仁一君 八王子霊園なんですが、ここは、私の聞き取りあるいは各新聞社報道等を総合してみますというと、実は東京エステートというのは、この八王子霊園を種にしてといいますか、材料にして生命保険会社から融資を受ける。そして、それが大蔵省特別ヒアリングでもって一遍だめになってくるというと、今度はまたトンネル会社をかえて違った形で融資を受けている。最初は二百億、二回目は八十億ずつ二回、こういうふうな記事がございました。こういう状況で、そのお金が告発をされている最上恒産融資をされている、こういうふうに伝えられております。  こういう実態について、大蔵省の方では御調査なさり、あるいは事実を御存じでございましょうか。
  17. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 本委員会でたびたび御答弁申し上げましたように、大蔵省といたしましては特別ヒアリングをやっております。そういう中で、問題のありそうな案件につきましては詳しく聞いております。  ただ、今委員が御指摘具体的案件につきまして聞いているかどうかという点については、これまでも申し上げましたように、それについて答弁するのは御容赦願いたいと存じます。
  18. 小川仁一

    小川仁一君 これだけ国民の間に、特に東京都民の間に土地暴騰問題が非常に大きな課題になっている、しかもその中ではいろいろ金融機関を通しての問題が指摘をされている、名前の出た金融機関幾つもある、こういう場合に、少なくともこれこれの金融機関には特別な調査をしたとかいうふうな程度公表もできないものでしょうか。
  19. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 特別ヒアリングをいたしました銀行あるいは金庫の数は、現在までに百八ございます。そして、そういう金融機関を選ぶ際には、地価高騰が激しい地域あるいは問題がありそうな金融機関等々の基準で選んでおりますので、東京地区に本店がございます金融機関はすべてヒアリング対象となっているわけでございます。
  20. 小川仁一

    小川仁一君 それでは、特別ヒアリングを行った基準と今言いましたね、その基準だけでも明示できないでしょうか。
  21. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 一つは、先ほど申し上げました地価高騰の著しい地域において営業している金融機関がございます。それから二番目は、新聞その他等で問題になっている場合、あるいはその他の各般の資料がございますが、そういう資料から問題がありそうな金融機関、これにつきましては調査対象としているわけでございます。さらに、最近に至りまして、国土庁監視区域その他が地方にも広がってきておりますので、そういう意味でさらに対象をふやしてきております。  以上の三つの基準で選んでいるわけでございます。
  22. 小川仁一

    小川仁一君 東京エステート最上恒産、いずれも第一相互銀行系列二つグループであります。それで第一相互銀行は、最上恒産グループに対して法定限度額の八倍、五百五十六億円、東京エステートグループに対しては法定限度額の九倍の六百十億円、こういう融資をしている、こう伝えられております。総融資額が二割を超える千百六十億になっているというふうに伝えられておりますが、これは事実でございますか。
  23. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 金融機関不動産関連融資につきましては、有価証券報告書という形で公表されております。その中に、第一相銀も当然公表の中に入っておりますので、今委員がおっしゃいましたように、第一相銀不動産関連融資の比率は高くなっております。
  24. 小川仁一

    小川仁一君 八王子霊園問題についての融資その他についても、マスコミの伝えるところによりますというと、社長みずからが生保関係に交渉した、こんなふうにも伝えられております。あるいはまた、第一相銀融資に関する内規では、五億円以上の融資については常務会の稟議を受ける、こういったような内規もあるやに聞いておるわけであります。ですから、第一相銀経営陣というのは、これら一連融資あるいは法定限度額をはるかに超えるような融資をするということについて、非常に社会的な混乱を招き、地価暴騰を招いた責任の一端があるというふうに感ずるわけでございます。  そこで、この第一相銀経営陣あるいはトップ人たちに対して、監督官庁である大蔵大臣がこれからの銀行経営のあり方について何か御指導をなされると思うわけでございます。今までやったやり方がある程度適当としてこのまま見過ごされるのか、それともこれは銀行経営上やむを得ない程度、わずかな間違いの程度として指導をなされるのか、それともまた、今言ったような幾つかの国土利用計画法違反の具体的事実、あるいは非常に大きな融資額、あるいはトップみずからが他の金融機関との話し合い、こういったような異常に行き過ぎたことをやっておるということに対して、これは指導上非常に大きな問題があるとしてその責任を、追及というと語弊がございますが、責任を求めるような御指導をなさるつもりか。大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ここで具体的な場合をとりましてお答えを申し上げることができませんので、一般論を申し上げるわけでございますが、法令違反がございますれば、もとより法令に従いまして処理をする、これは当然なことでございます。法令違反でございませんでも、いろいろな意味でどうも適正を欠いた融資等々があったという場合には、先ほど申しましたようにヒアリングあるいは検査等々がございまして、それを通じましてその是正を求める、具体的にそういうことをいたしておりますが、これは一般論としてお答えを申し上げます。
  26. 小川仁一

    小川仁一君 一般論はわかります。具体的事実が挙がっているんですから、こういう具体的事実の中でやはり社会的責任というものは問われてしかるべきだと思うが、いかがですか。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 具体的な例に即しまして適当な対応をいたします。
  28. 小川仁一

    小川仁一君 それ以上の御答弁は無理でございますか。  じゃ続いて、地価暴騰の原因である含み資産と言われるものについて質問いたします。  法人の所有する帳簿上の価格取得価格評価されております。他方、実際の資産価格というものが時価で計算されています。この差がいわゆる含み資産と言われておりますが、全く課税対象になっていないわけであります、法人について言えば。固定資産税はまた違います。  大蔵省が、東証一部上場企業含み資産がどれぐらいあるかという私の方からの御質問に、なかなかそれまでは調査が行き届いていない、こういうお話でございましたが、和光経済研究所調査分析によりますと、東証一部上場企業七百九十四社の簿価合計は約七兆七千億円、これを時価評価し直すと百九十五兆円、約二十四・三倍であり、含み資産は百八十七兆円にもなると、こう言われておりますが、この数字は大体間違いございませんか。
  29. 藤田恒郎

    政府委員藤田恒郎君) ただいま委員の方から御指摘がございましたように、私ども有価証券報告書を受理しておりますけれども、その報告書取得価格で書いてございます。大蔵省といたしましては、そういうものを集計し、さらにそれを時価で換算すればどういうふうになるのかという作業はいたしておりませんし、事実またすることもなかなか難しいのではないかと存じます。したがいまして、ただいま御指摘ございましたような和光経済研究所研究成果について、私どもがどういうふうに考えておるかということについて、特にちょっとコメントを申し上げる立場にはございません。
  30. 小川仁一

    小川仁一君 どうも今のお答えは納得できないんですね。個人の場合は全部再評価されて相続税で持っていかれる。法人の場合は再評価されないままに含み資産として残る。中小企業地価高騰プラス面というのでアンケートに答えたのは、会社所有地担保価値が増加して金融機関からの借り入れが容易になる、あるいは会社所有地を売却して債務の返済ができたなどと、プラス面を強調しておられるんです。やっぱり国民相続税とのかかわりの中で、これは再評価法人含み資産簿価を再評価すべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  31. 瀧島義光

    政府委員瀧島義光君) 委員の御指摘は、再評価をして、その再評価益に対し再評価税をかけたらどうかという御趣旨と承りました。  この問題につきましては、その再評価税の水準をどう定めるかという問題が一つございます。戦後行われました再評価税、たしか六%だったと思いますが、その性格からいたしまして余り高い税率を課するわけにはいかない。そういたしますと、確かにその時点である程度の再評価税は入ってまいりますが、今度その土地を売却するとき、そのときには売却価格と再評価後の価格の差額に対しキャピタルゲイン課税が行われるわけでございますから、キャピタルゲイン税が相当安くなってしまうという問題がございます。そのような問題を避けるためには、今度は再評価税税率をかなり高くするということを考えなければいけません。そういたしますと、そういった再評価税というものがないという前提でずっと昔から土地を持って、特に重厚長大産業などがそうですが、広い土地をお持ちになって事業をやっておられる、そういうところに非常に大きな負担がかかってくる。最近思惑的に土地を買った会社については、最近買ったわけですから再評価益余りない。そういうところには余り重くかからないということで、いずれにしましても、大変な問題を内在している課税であると思います。
  32. 小川仁一

    小川仁一君 東京の一等地が坪十円であったり百円であったりするという簿価があるわけであります。これは国民納得しないですよ、どうしたって。ですから当然これは再評価されるべきだ。長い間の仕事の伝統があるとしても、それをこのままの状態でずっと野放しにしておいたんでは、優良の法人は一切土地を売るという状況がありませんから、最後までぬくぬくとこの含み資産を利用できる。こういう状態は許されるべきでないと思いますので、やはりきっちりと土地資産の再評価をし、再評価益に対してはキャピタルゲインとして課税をする、あるいはまだ未実現のものについても土地増価税を創設すべきだと考えます。  これは大臣、ひとつ思い切った考え方をこの土地暴騰高騰の時期にお考えになるのが適当だと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  33. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 非常に問題が多いと率直に考えます。再評価益が実現いたしますならばそれについてのキャピタルゲイン課税があるわけでございますが、実現しないものについてどのように課税をするか、どのような担税力があるかということになってまいりますと、高い税率課税をすることはできない。そうであれば、それは固定資産税あるいは特別保有税のような、保有にかかる税ということに帰着せざるを得ないと思います。
  34. 小川仁一

    小川仁一君 時間がなくなりましたので要望だけ申し上げておきますが、やはり相続税法人土地保有とのかかわりで非常な不公平感が国民の間にございます。このことは大臣もおわかりだと思います。したがいまして、今後ともこの再評価問題については、問題があるからといって逃げることなく本質的な解明をお願いしたい。  また同時に、自治省にお願いしておきますけれども、特別土地保有税、これの六十三年三月までの期限が延長されるように聞いておりますが、この際にも十分今後の土地特別委員会の討議等を聞いて処置をしていただきたい、これだけを要望して私の質問を終わります。
  35. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 次に、渡辺君の質疑に入ります。渡辺君。
  36. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ちょっと大蔵大臣、関連で、今の含み資産問題の税制問題ですが、であればこのままでいいのか、何か改正をするお考えがあるか。今小川委員からの質問がありました。大変な今度の土地高騰の大きな要因にもなっておるわけです。私は福岡ですけれども、福岡だっていわゆる重厚長大型の企業が持っておりました大面積の土地がそのまま今遊んでおるわけです。そこを利用するという方法だってあるわけですけれども、利用するということになればやっぱり税制面から何か検討しなければ、今みたいな含み資産でそのまま放置をしておったらいつまでたっても企業は手放しはしないと思うんです。このままでいいのか、あるいは検討していくのか、そこをひとつ関連としてお聞きしておきたいと思います。
  37. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 戦後、再評価税というものは一遍だけございまして、それはシャウプ勧告の中で取り上げられたのでございます。当時は、昭和二十五年であったかと思いますけれども、御承知のように戦後のインフレがございましたから、いわば戦前の価格とそのときの価格とは今では全く思いも及ばないようなかなり大きな格差がございまして、そこで再評価税を取る、取らないという話になって、六%という先ほどお話がありましたが、結局これは余りこれといういい結果にならなかったという、私はそういう判断をいたしております。  ただいまの場合、再評価含み益というものをどうするかということは、それは譲渡という事実があったときに譲渡益の課税をする、それから持っておるという行為に対しては固定資産税あるいは保有税ということで課税をする、それで私は十分であるというふうに考えています。
  38. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 もうそれ以上の答弁はないと思うんですが、やっぱり個人の立場から見た場合も、相続税等から見れば余りにも法人関係のこの部分については税制上も大きな問題がある。今後の問題としてひとつ残しておきたいと思うんです。  総務省長官が時間がないようですから、私は最初副総理にお聞きをしたかったわけですが、時間がないようですから総務庁長官の方にまずお聞きをしたいと思います。  ここに私持ってまいっておりますが、総務庁が出しました行政監察の宅地開発等指導要綱に対する勧告について長官にお聞きをしていきたいと思うんです。  まず、これは建設省の方から総務庁に対して、東京圏の市街化調整区域内にデベロッパーが抱える土地はたっぷりあるが自治体が開発に消極的なためにそれが宅地化できない、そういう意向を受けて、この指導要綱の勧告を見てみますと、自治体の宅地開発等指導要綱の行き過ぎ是正、それから二つ目に開発許可要件の引き下げ、三つ目が市街化区域について宅地並み課税の完全実施等々を挙げていろいろと自治体に指導をやっておるようです。  この発想というのは、民活シンドロームというふうに言われたその一つのあらわれだ、時代錯誤ではないかというふうに実は私自身言いたいわけです。今まで全国の各自治体があの高成長時代から何で小規模開発、いわゆる千平米以下まで開発するのに独自の条例をつくって、それを五百平米までにするとかあるいは三百平米以上の開発についてはいわゆる届け出を義務づけてきた。これは自治体が全く知らないところで小さな開発がどんどんされていく。想像もつかなかったようなところに実は災害が発生してきたわけです。そういう過去の乱開発を防いでいくために、そういうふうに自治体も実は努力をしてきたわけですが、そういう現状は全く知らないでこの勧告が出されたのではないか。そしてその内容を見てみますと、土地開発による供給をふやすために開発業者の負担を軽くしてと、こういう発想になっておるわけです。ですから、こんなに今土地問題が全国的な問題、国会でも問題になっておる、土地とは何かという土地の定義についての議論が今されておるところです。  いろいろありますが、国民共有の財産だ、そしてやはり開発利益についてお互いに負担をしていこうではないか、そういう国民的なコンセンサスを得るための努力をお互いに今現在しておると思うんです。そういう中で、先ほどから言いますように、この勧告そのものは、宅地開発業者の採算を擁護するといいますか、そういう立場で、いわゆる都市のスプロール化を防ぐ、これは自治権の侵害ではないか。都市計画法の第一条の目的あるいは第二条の基本理念、こういうものを全く侵していく、こういうことにつながると思うんです。  話によれば、これを徹底して指導するために、さきに国が実施をいたしました自治体職員の給与是正に対して行った制裁措置と同様の強硬手段をとるべきだ、そういうお話も実は聞きました。事実そういう関係までやっていくというようなお話があったのかどうか。そこを含めて、ひとつ長官、私は自治体に対する不当な干渉ではないか、行き過ぎではないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
  39. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) ただいま委員指摘の宅開要綱に対する行政監察でありますが、私どもといたしましては自治体に対する不当な行政干渉をするつもりは全くございません。私自身も地方自治体経験者でありますので、地方自治の確立ということについては大いに熱意を燃やしておるところでございまして、したがって、ただいまの宅地開発要綱に対する行き過ぎ是正に関して、自治体に対して制裁を加えるというような、そのようなことについては私自身承知しておりませんし、これはあくまでも建設大臣がやっております指導に対しまして勧告をしたものでありまして、地方自治体に対して直接私どもが物を申しておるものではないということを御理解いただきたいと思います。  なおまた、地方自治体におきましては、乱開発を防止するという意味合いにおきまして、あるいはむしろもう入ってきてもらいたくないんだというようなことで、非常に入りにくい条件を設定されておるところがたくさんあるわけであります。それはそれなりの行政目的を持っておるというふうに思いますけれども、しかしその結果といたしまして、あるいは地価高騰につながったり、あるいはまたその開発された土地を取得する人に非常に過度の負担をかけるとか、あるいは本来ならば公共団体が負担すべき、国または地方自治団体が負担すべきものについて地域住民に過度の負担を求めるというようなことは、いわば一種の税外負担を求めることになりはしないだろうか。そういうことは余り適当なことではないのではないだろうか。そういうふうないろいろな観点におきまして、建設大臣が定めておりますいわゆる要綱の基準に照らして、果たしてどうだろうかということを監察させていただいたということであります。
  40. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それは長官もこれをお読みになって御承知の上の御回答だと思うんですけれども、総務庁が出した勧告ですよ。冒頭言いましたように、建設省からそういう意向を受けて総務庁が出した勧告なんです。  今長官おっしゃいましたけれども、確かに自治体の場合は、開発する場合、水の問題は一体どうなるのか、学校の問題は一体どうするのか、そういうものをすべて見ながら都市計画を立てながら実はやっていくわけです。そういう中で、勝手に開発業者が入り込んでどんどん開発をされた場合には、環境整備に自治体の財政は追われてとても窮屈な状態になってくるのが現状なんです。そういう一つの問題もありますし、環境を守るためにもこれ以上開発させちゃいけないというような立場から、先ほど申し上げましたように、自治体独自で条例をつくって開発規制をやっていったというのが今日までの現況であるわけですから、この勧告そのものは、先ほど申し上げましたように、いわゆる宅地開発業者の利益を擁護するということをたくさん書かれておるわけです。そこらにやはり問題があるんじゃないかというふうに申し上げておるところです。  もう一度、ひとつ長官の御見解を。
  41. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 私どもといたしましては、宅地開発業者の利益を擁護するなどというつもりは全くございません。  行き過ぎの事例等は幾つか私も承知しておりますが、例えば開発面積に占める公共公益施設の割合が五〇%を上回る、一番最高は五二%を公共公益施設に拠出をしろ、それプラス寄附金も出せというようなものもあったり、あるいはまた学校施設用地について、その対象となる児童生徒数に対して、文部省の基準が定める必要以上の用地の提供を求めるとか、いろいろなものがございまして、これらはいわば特定の関係者に税外負担を求めるものと同じことでございますので、そういうことは果たしていかがなものであろうかということを申しておるわけであります。  それは結局、開発業者の利益を守ることではなくて、その開発された用地を取得する人たちの利益といいましょうか、あるいはその地域全体の地価にもこれは影響することであろうというふうに思います。そういう点に配意しつつ監察をした次第であります。
  42. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 勧告の三ページにもありますけれども、前段は省きますが、「宅地開発事業者の採算を悪化させるとともに事業意欲をも減退させ、」、こういう文言もあります。あるいは五ページには、「宅地開発事業者の経営を圧迫し、事業意欲を減退させるばかりでなく、」、こういうふうに、そういう文言が非常にたくさん使われておるわけです。  そうしますと、自治体側から見れば、一体どこを向いて指導しておるのか、宅地開発業者の立場に立っておるんではないか、こういうふうに思われるのは当然と思うんです。ですから、先ほど申し上げましたように、都市計画法の第一条の目的なりあるいは第二条の基本理念、ここから見ても自治体の権限があるわけですから、主体性があるわけですから、そこまで侵害をしておるんじゃないか。もう時間がありませんから答弁は結構です。  次に、大蔵大臣、副総理という立場からお聞きをしてみたいと思うんですけれども、今度の土地高騰問題でたくさんの国民から、あるいはマスコミなり学識経験者の皆さんからも御批判が出ておりますが、いろいろ議論されましたから省略をいたしますが、この間からマスコミの世論調査の結果も出ております。住宅政策あるいは土地政策に不満だというふうに答えた国民が五四%で、東京都の場合は七三%以上の方が不満だという世論調査の結果が出ております。  その中で、問題はこれからですが、今回の土地狂乱を起こしたのは企業だけの責任ではなく、歴代内閣の怠慢や土地政策の後手によるものだと指摘したことが非常に目立ったということが新聞で報道されております。同時に、当時の中曽根内閣の与党の議員の中からもわざわざパンフレットまで出しました。私ここに持ってきておりますけれども、いわゆる中曽根内閣の、中曽根総理のいわゆる土地政策に対する無策であって失政だ、全く反省がない、こういう強い指摘まで与党の先生から指摘をされたパンフまで出されておったわけです。前の建設大臣の天野大臣もここでそういう発言をされました。  私、大変失礼な話ですけれども、副総理御存じだと思うんですけれども、フランクリン・ルーズベルトの有名な話があります。フランクリンは、政治には何事も偶然は起こらない、もしそんなことがあればそれはそうなるよう計画されていたとかけてもよい、こういうフランクリンが言った言葉を、私は当選した後一番最初勉強した本で実は見ました。これから自分は政治家になっていかなきゃいけない、政治とはこうあるべきだという立場からこの言葉を思い出したわけですが、その点から見て私は今度の土地高騰はどうもこの言葉がぴったり当てはまるような気がしてならないわけです。  今まで委員会なんかの審議を聞いてみますと、何か五十八年ごろから高騰が始まってきて、六十年だ、六十一年だ、こう言われておりますけれども、先ほど先輩の小川委員も言いましたけれども土地高騰は五十七年ごろから始まっていったわけです。そして国土庁の方から出されております中にも。国土庁土地政策課長の原さんが出しております「土地問題を検討する」、この中にもやはり、五十七年ごろからそういう兆候が出てきたから四全総の検討に入っていったと。あるいは先ほど小川委員も言いましたし、私もここに持っておりますが、これは東京都の虎ノ門の土地の売買です。一番最初が、四筆をある人から買いまして、これが五十七年の八月二十五日です。そしてわずか九日間で次の企業に売っておるわけです。こういうことが後ずっと転がっていっておるわけです。  そういう関連からと、それから今までありましたように、いわゆる西戸山の公務員宿舎跡地の問題とか、あるいは紀尾井町の司法研修所の跡地の問題、これにこの本で見ますと中曽根総理は相当かかわりを持っておった。当時の建設次官まで直接呼んで容積率の問題とか規制を緩和せよということを指示をされたということまで書かれておるわけです。そういう点から見て、もう今こういうふうに高騰した中ですから、先ほど申し上げましたように、今度の場合は偶然ではなかった、計画されたんじゃないかというふうに私自身どうしても思われてならないわけです。ですからフランクリンの言葉を実は引用したわけです。  そういう中で、竹下内閣として、現在の国民のこの批判に率直に耳を傾けて、二度あることは三度あると、こう言うでしょう。既に二度の土地高騰を起こしたわけです。もう三度目は絶対に政府なり国会の責任を持ってでも起こしてはならない問題なんです。そういう点から見て、私は率直に反省は反省として、そして国民の批判を受けとめて、竹下内閣としては当面する問題と今後の問題についてどういう決意で対応していくのか、副総理の立場からひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このたびの問題が偶然ではないだろうと言われる点は私もさように思います。  我が国の経済が戦後復興期に入りました昭和三十年ごろからのことを振り返ってみますと、土地問題というのは今日までに何度か実は出てまいりまして、国会におかれても政府においてもその都度その都度がなりいろんなことを実はやってまいっております。何もしていないのではございませんで、国会でもいろいろ御議論になって立法がなされたこともございますし、また税制もその都度その都度いろんなことをやってまいりました。そして新全総、三全総を経まして今度四全総でございますが、これらの中でもこの問題にどう対応するかということを実は常にいろいろに議論をされ、提言をされてまいりましたが、考えますと、結局その都度その都度問題が激化するたびに対症療法を行ってまいったと思います。それはそのときは一遍鎮静をするわけでございます。しかし、根本的な問題が、つまり根源が除去されておりませんから、やはりある時間を置いて問題が出てくるのであると思います。  それは、言ってみればやはり終局的には需給だと私は考えておりまして、つまりそういう意味では需要をふやさなきゃならないというのが新全総、三全総、四全総もそうでございますが、それは交通とか通信とかいうことで供給側をふやしていこうという提言をしております。それは我が国の国土のせいもあるかもしれませんが、完全にはもちろんそのとおり実現していないという事実があり、他方で需要の方は、我が国の経済、国民生活がこれだけ発展いたしましたから、それがこれだけの今ある国土の上にきちっと平穏に乗り切るものかどうかということは、やっぱりなかなか問題があると思います。供給は、例えば未利用地でふやすとか、あるいは高度利用であるとかいろんなこと、土地造成もございました、交通、通信機関もあってやってまいりましたが、やっぱり我が国が国際化ということも含めまして国民生活も経済も非常に大きな成長をいたしましたから、それと供給とが、一言で言えばやっぱりバランスが合っていないということがもとに常にあるのだと私は思うのでございます。  ですから、対症療法はやってまいりましたが、その都度問題は片づきますが、何かあると出て、そしてそこへ仮需要が発生いたしますから、今度のようにそれが非常に極端な形で一遍燃え上がる。恐らくこれで一遍また鎮静を、国会においてもいろいろ御議論があり、また立法があり、税制改正があり、いろいろでございますから、これで鎮静を一遍するのだと思いますけれども、やはり基本的には需給というものについてどういうふうにしていくか。それは、例えば東京に一極集中しているのがいかぬということも、これは需給の問題でございますが、そういうところにやっぱり根本に問題が残っておる。そういう意味では、今度のことが偶然ではないとおっしゃるのは、私もそのように考えます。
  44. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 これは国土庁長官にお尋ねした方がいいかもしれませんが、自民党が出しました、正確な日にちは覚えておりませんが、六十二年の十月の、何というやつですか、需要と供給の関係でのいわゆるオフィス床を含めての必要面積。あの資料を見てみますと、例えば五年間の平均をとって——住宅街だって東京都中心の三県の五年間の平均をとっている、そしてこれから後七十五年までは千六百から千九百ヘクタールあればいいんだ、需要を満たすんだと。  ところが、その前国土庁が発表したのが、まあ次元の違いはありますけれども、五千ヘクタール必要だと。自民党が発表した後、国土庁が自民党の数字と全く同じ数字を発表したのは、五十日間おくれて発表したわけですね。それまでは何回も何回も、需要と供給ではどうしても需要に満たないという発表をしてきた。やっぱり国民が一番信頼をするのは、政府の発表する数字なんです。その時点で、いわゆる事務所用地を含めて不足をしておる、こういうことをずっとあおってきたものですから一あおるという言葉が正しいかどうかは別ですけれども、そうすれば私は、不足をしておるというふうに感ずるのは当たり前だと思うんです。  ですから、今副総理である大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、従来からも対症療法的な問題で、今度も幾らかされました、そのことは私は否定しませんし、幾らか鎮静化の役に立ったと思うんです。しかし、これから後の統計的な数字の発表ですね、こんなにコンピューターを含めて情報の収集はできるわけですから、私はあの数字は間違ったというふうに言いたいわけです、五千ヘクタールという数字は。そのことについて長官としてはこれから後の、ひとつ国民に本当に信頼される数字を発表する心構えといいますか、をお聞かせ願いたいと思うんです。
  45. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘いただきましたように、需要だけ示しておりますと、それじゃ足りないという気持ちに結びつくんじゃないかという心配を私も持つわけでございます。そんなこともございまして、需要を言う以上は供給はどうなるかということも明らかにして国民の前に示さなければならないということを言い続けておりまして、先般のような発表になったわけでございます。今後といえどもそういう姿勢で臨みたい。したがって、なおいろんなニュータウン建設計画でありますとか大規模の開発プロジェクトとかいろいろございます。この問題についても、将来五年置きごとぐらいには、そこからどれだけの宅地が生まれてくるんだということを明らかにしょうじゃありませんかということで、鋭意その努力を今払ってもらっているところでございまして、こういう点につきましても、国民の前に明らかにいたしますとなるほど土地はあるんだなということがよくわかっていただけるんじゃないかと思います。よくわかっていただくことが今日の高騰しております地価対策の最大の決め手じゃないだろうか、こう思っているところでございます。
  46. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それじゃ次に、大蔵大臣にお伺いをいたします。  確かに政府の努力もある程度ありました、あるいは国民の批判も強い中で、地価は、下方硬直性といいますかそういう点から見て、下落の反動を、逆に言ったら値下がりの反動を恐れて、これが後、金融業界とかあるいは買い占め企業が採算割れを防ぐための行為に走ることが予想されるのではないかという気がするわけです。私の危惧であればいいわけですけれども、しかしこれは間違いなくそういう状況に走っていくと思うんです。ですから、今日まで行政の手おくれをいろいろ国民の皆さんが指摘をされておりますが、大臣はお考えだと思うんですけれども、そういう採算割れを防ぐための行為に業界なんかが動く前に当然やはり政府としてあるいは大蔵省としてお考えがあるのじゃないかと思うんですけれども、お聞かせ願いたいと思うんです。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このたびの場合金融機関がいろいろこの問題に関係しました関係の仕方についてはまことに残念だと思う点が幾つかございますが、ただ現実に起こりましたことは、金融機関土地だけを担保にとって融資をしているというケースは実は非常に珍しゅうございまして、金融機関というのはふだんお互いが知っているように大変渋いところでございますから、掛け目もかなりきつくやっておりますし、その他の担保をとっておったことも大体の場合ほぼ事実でございます。  したがって現実に起こりましたことは、世間からいろいろ批判もあった、どうも問題になったというときに、ここはもう早く手じまいをした方がいいという動きの方がむしろ目立っておりまして、したがって、そこからいわばかなり急に土地問題、価格が鎮静をしたということではなかったか。何としてもこれ以上下げたくない、ここで頑張ろうというような感じよりは、むしろ私は逆に動いた場合が多かったのではないかと思います。
  48. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 現に東京都心部では二割なり三割なり最高値よりも下がってきたというお話がありますけれども、そうすれば、銀行であれば今大臣がおっしゃったようなことがあるかもしれませんが、買い占め企業の場合は、やはり採算割れを防ぐために走り出すと思うんです。もちろん土地は下げなきゃいけませんよ。しかし、そういう走り出したためにいろいろかなりの圧力だって出てくると思うんです。ですから私は、そういう動きがある前に政治として手を打つべきではないかというふうに実はお伺いをしたわけです。もう一回ひとつそこらをお聞かせ願いたいと思うんです。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 不動産業者の場合のことを私はよく存じませんですが、大変率直な言葉を使えば、はしっこく動いたところは先に手じまいをして後に残った者がばばを引くという、大変品のない言葉でございますけれども、そういうことになって価格がどんどんどんどん落ちてきているということではないかと思います。
  50. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 では、少し税制問題について、私の考え方なりあるいは大臣考え方をお聞きしていきたいと思うんですが、今まで土地投機にかかわった企業については私は、投機のための借入金利子です、これについては費用算入としては認めるべきではないという気がするんですけれども、そこを今まで企業会計の場合は全部費用として算入を認めてきておる。ですから幾ら借りて幾らその金利を払おうとも別に痛くもかゆくもないわけですから、ぜひこれはやっぱり認めるべきではないんじゃないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは税制調査会などにおきましてもいろいろ議論があるように聞いておりますので、ちょっと恐れ入りますが専門家からお答えをさせていただきます。問題があることは存じております。
  52. 瀧島義光

    政府委員瀧島義光君) お答えいたします。  借金をいたしまして土地を買います。土地の値段が上がっていきます。これは潜在的に上がっていくわけで、課税上は実現つまり売却行為が行われるまでは税金はかからないわけです。一方、利子は毎年毎年払って実現している。したがってそれが損金になる。この利益とそれから損金、この間にバランスがとれていない。そこで先生指摘のような問題が出てくるわけでございます。  先ほど、未実現のキャピタルゲインについて課税をすればいいではないかという御質問がございましたが、あの御質問もこの問題と同じ点をついておられるわけでございます。未実現のキャピタルゲインについては、先ほどお答え申しましたようないろいろな問題がございます。そこで、逆に今度は利子の損金算入を否認したらどうかということになってくるわけでございますが、土地を買いましてすぐそれを使わないで持っておられる、それが果たして投機的な思惑で持っておられるのか、あるいは土地を買って後、工場設計その他のためにいろいろな事情から時間がたっているにすぎないのか、それは実は一年二年とたってみないとわからないわけでございます。したがいまして、その過程における利子について損金算入を否認するのが適当かどうか、いろいろやっぱり考えなければいけない問題がある。  そこで、結論といたしましては、難しい問題がある、しかし何かしなければいけないということで、いわゆる土地転がし、買った後二年以内に売られたという場合については重課制度というものを導入したらどうかということで、案をつくりまして、さきの臨時国会でお認めいただいたわけでございます。これについては、まだ施行後日が浅うございますので、数字的に効果はまだ立証できませんけれども、かなり効いてくるのではないかという期待を持っております。
  53. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 確かに、買った土地を何に使うかわからない、企業の中ではあるいはそういうことが幾らか言えるかもしれません。しかし、やっぱり財務調査、税務調査の中でも、何のためにその土地を買ったのかということは当然調べるわけでしょう。そして、利用目的を調べて、いつごろそういうことに着手をするのか。そうすると、そういう目的のない部分についてはもう明らかになってくると思うんです。あるいは、不動産業者の皆さんが買った土地だって利用目的がある部分があるかもしれませんよ。あるいは、転売する用意で買った土地だってはっきりしてくると思うんですね。ですから、この間から言われておりますように、泥棒に追い銭、たくさんもうける部分で借入金の利子まで損益計算に入れてやる、費用計算に入れてやるというのは、どうしても国民の目から見て納得できないことなんですよね。大臣、今後の問題としてひとつ大いに検討していただきたいとお願いをしておきたいと思います。  それからいま一点は、租税法律主義という面に私は反しておるんじゃないかという点からお聞きをしたいわけですけれども、結局現在の地価の公的評価の問題です。  租税法律主義というのは、もう私が言うまでもなく、納税者の方が自分が例えば今度の相続税は幾ら納めるんだと、固定資産税は幾ら納めるんだと、法律でいわば決めなきゃいけないようになっているわけですね。ところが、相続税固定資産税というのは行政サイドで決めで、あとは幾ら納めてくださいという納付通知書を送ってくる。これは憲法に言います租税法律主義に反しておるんじゃないかという気がして私はならないわけです。納税者が自分でわかって、寸分で理解をして納めていただくというのが憲法の建前のいわゆる租税法律主義じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  54. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ちょっとうろ覚えでございますけれども相続税法にも相続財産の評価時価ということが書いてございまして、時価とは何かということになってまいります。そこで、政府としては路線価格等々を定めまして、いわば時価というものの何と申しますか政府側の見解を示しておる。これは念のために、もしその土地をあるいは財産を、まあ土地でございますか、すぐ換金しましても大丈夫なように、いわゆる公示価格の七割とかなんとか、下のところでそれを抑えておるわけでございまして、そこはいわゆる時価というものは何かということについてのめどを示しておる、こういうことだと私は思います。
  55. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 ですから、確かに大臣時価というふうに言われましたけれども、いろいろ、一物三価とか言われておりますように、行政サイドの問題だって、固定資産税にしても相続税にしても、それぞれ省庁が違うということになりますと、例えば時価の何%だとかあるいは評価額の何%だ、固定資産税であれば公示価格の例えば一・四%だ、こう言われてみたって、納税者はわからないわけです。  ですから、私はひとつ問題の提起をしてぜひ御見解をお伺いしたいと思うんですけれども、やはりこれほど土地問題がいろいろ問題になっておりますから、既に台湾なんかが実施しておりますいわゆる土地価格の自主申告制、所得だってこれは申告制度があるわけですから土地にも地価価格の自主申告制を採用したらどうか。そして、例えば申告以上に売れた場合の益金についてはこれは当然課税を行う、全額税金としていただく、こういう制度を採用すれば、建設大臣なり国土庁長官が一番頭を痛めております国土開発にしても、建設省の社会資本整備にしても、非常にスムーズにいくと思うんですよね。こういう制度を採用するお考えはないでしょうか。
  56. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 台湾における制度というのは私もかつて個人的に研究したことがございますけれども、今のお話のように、例えば自分で自分の価格を申告しておきますとそれだけの税金を納めるわけですが、譲渡所得が起こるときには、これはそれだけ譲渡所得がいわば軽くて済む。そのかわり、ふだん安くしておけば譲渡所得をたくさん払わなければならない。そういうところで両方がうまく権衡がとれるというシステムでございますけれども、どうもいろいろ考えてみまして、土地というものについての考え方、台湾における考え方というものと我が国における考え方が違っておって、なかなかどうもうまく採用ができない。殊に我が国の場合には、これをやりますと譲渡所得が非常に高くなるということから、土地が逆に動かなくなるのではないかということを心配する人が多いように存じます。よく研究はまたいたします。
  57. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それじゃ、次の問題に入っていきたいと思うんです。  これは自治大臣にも関係するわけですけれども、まあ大蔵の方でしょうけれども、今、社会資本整備のために例えば建設省とか各自治体で道路用地とかダムの用地とかを国民の皆さんから公共施設として提供していただきますが、これについていわゆる用地代の三千万円までは一律非課税になっておるわけですね。三千万以上は税金がかかるというふうになっております。私はこの最低三千万をもう少し引き上げて、そして全国一律を見直すべきではないかと思うんです。東京都みたいに、例えば坪三千万するときに、一坪以上は全部課税対象になる。田舎の方に行きますと、例えば百坪売っても三千万の値段しか、価格しかない。金額面からいけば確かに三千万ですよ。平等みたいな気がしますけれども土地を提供する方から見た場合には、片一方は百坪までは例えばかからなかった。こっちは百坪提供したら九十九坪は全部課税対象になった。ですから、これこそはもう少し土地価格あるいは基準等から見て全国一律を見直す必要があるんじゃないか。公共用地の土地取得に一つの大きなネックになっておるのも事実なんですね。今申し上げて直ちにということはないと思うんですけれども、ひとつ大蔵大臣の御見解をお聞きしたいと思うんです。
  58. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いわゆる収用法の発動の対象になり得る場合の土地譲渡といったような場合に特例を設けておりますことは御指摘のとおりでございますが、こういう状況になって、公共、公用のために土地を提供したときにさらにそれを優遇すべきかどうかということについて関係省庁にもいろいろ御議論があるようでございますので、もう少しその推移を見たいと思います。  なお、全国でそれを変えるということになりますと、これは相続財産は土地もあるしいろいろなものがございますから、これは評価の問題なのではないかと考えますが、なおこれについては、今の特例が不十分であるという御議論が出てまいりましたら、いろいろにまた検討をさせていただきたいと思っております。
  59. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 それと同じような関連ですが、全国の各自治体、あるいは建設省もあるかもしれませんけれども、例えば近隣公園なんかで、その付近の地主の方たちから土地を提供していただいて都市公園をつくっておる。ところがこれは、世代がかわりますと相続税がかかってくるわけですね。こんなに近傍の土地が上がってきたものですから、今かなりの自治体に、返してもらいたい、相続税が払えないから返してもらいたいという声が出てきつつあるわけです。そうしますと、公園を崩さなきゃいけない。相続税が払えないからひとつ土地を返してもらいたい、こういうお話も出てきておるということを自治体から聞きまして、自治大臣も御承知だと思うんです。  ですから私は、こういう公共施設に自治体に貸し付けしておる、と言ったら悪いんですけれども、提供しておる部分については、これは利用目的が変わらない限りは相続税を取らない、免除する、こういう措置がとれないかどうか。大蔵大臣、どうでしょうか。
  60. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは個々のケースになるのだと思いますけれども、例えば公園に使っておる、その契約が何ときでも破棄できる契約であれば、これはどうも全部課税をさせていただくしかないと思います。しかし、それがそうでなくて、契約上今後の利用が制約されているといったようなことでありますと、その土地評価については、そういう事情のしんしゃくが私はできてしかるべきであろうと思います。
  61. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 最後に国土庁長官にお尋ねしたいわけですが、さっきから言われでおりますように、土地とは何か、いろいろ定義の問題も言われておりますが、一口に言って私は、生活、生存、そして生産の基盤、これが土地だと。そういう中で、国民共同、共有の財産だというお話もしてまいりました。やっぱり今度の土地高騰も、結果はどうかは別ですが、供給が不足をしておる、こういう立場から高騰を招いたという状況がやってきたわけですから、ひとつ私の提言ですが、国鉄用地ですね、私も国鉄特別委員会の中に入っておりましていろいろお話をお聞かせしていただきましたが、今金額で七兆八千億程度の国鉄用地がある。これは資産管理の委員会がはじいた金額です。それを自治体に七兆八千億で譲渡する、もちろん自治体の計画を聞きながらその原価で譲渡をする、そういうお考えに立っていただく。  そして自治大臣、これについてはひとつ、自治体の方もそんなに金は持たないわけですから、特例として交付公債を発行する。そういう特別措置を自治体にも見てあげる。そうすれば、今の国鉄用地に高層ビルを建てたり公園をつくったりすれば私はかなり土地高騰の解消につながってくると思うんです。いかがでしょう。
  62. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 清算事業団法を国会で御審議いただきますときに大議論があったと伺っているわけでございます。結論的には、入札の方法に準じその他運輸省令で定める方式で売却する、こううたわれているようでございます。私は、関係者には、高ければ高いほどいいんだという姿勢は穏当でないように思いますよと、こう申し上げておるわけでございます。その用地を取得したときにも、私は、市町村は相当な御協力をしているんじゃないかなと思います。また、その土地が価値を持つようになったのも、市町村が道路をつくったり、下水道を整備したり、学校を建てたり、いろいろなことをやった結果が価値を持つようになったのだと思います。そういう意味で、清算事業団も公益的な団体だから、高ければ高いほどいいんだという姿勢は適当でないと思いますよと、こう申し上げておるわけであります。しかし、同時に、莫大な債務を抱えているわけでございますので、できる限り国民に迷惑をかけないように債務を減らしていきたいというお気持ちもとうといものだと思っております。  結論的に申し上げますと、今は公用、公共用の目的に利用されるということが明らかである限りは随意契約で地方団体に譲渡していただくことになっているわけでございます。その他の土地につきましても、処分する場合には一応地方団体に聞いていただいているようでございます。したがいまして、公用、公共用に使おうということになってまいりますと、それが明らかである限り随意契約で譲渡していただける、こう思います。そういう意味合いで、私も大体ちょっと似通ったような気持ちを持っておる一人でございまして、できる限り地方団体に譲渡していただきたいなと。地方団体は豊かで住みよい地域社会をつくるのが本来の任務なんだ、土地がなければそれができないじゃないか、土地状況というものはいろいろに変わっていくわけだから、まずは土地を確保しておくことが地方団体にとっては非常に必要なことじゃないかなと、こう思っておるわけでございますので、若干似通ったような感触は持っておる人間でございます。
  63. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 今国土庁長官からお話がありましたとおりでございまして、地方公共団体が土地を購入する際は、公共用の用地の先行取得等、事業債等の対象になっておりますし、特に国鉄の場合にはこの条件を緩和いたしていることは御案内のとおりであります。  ただ、交付公債という話が出ましたけれども、これは平たく言えば割賦で支払いをするという一種の証文でもございますので、その後の財源がどう補てんをされるかというのはそれぞれの地方自治団体の財源の問題もあろうかと思います。その状況を勘案しながらそういうものは行っていきたいと思っております。
  64. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 終わります。
  65. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時十六分開会
  66. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  これより及川君の質疑に入ります。及川君。
  67. 及川一夫

    及川一夫君 及川でございます。  奥野国土庁長官初め閣僚の皆さんには、郵政大臣以外は初めてなものですからよろしくお願いしたいと思います。同時に、奥野先生土地問題の責任者になられまして、これまでは国会の外からお伺いしておったんですが、それとなく頑固な人だなという気持ちもするんですが、しかし、信念に燃えて政治に当たられているというふうに常々思っておるものですから、この土地問題で国民の期待にこたえられるようなきちっとした答えを出していただくようにお願い申し上げたいと思います。同時に、越智建設大臣は、越智先生会社の労使関係問題でちょうちょうはっしとやり合った仲でもございますので、決して知らない仲ではございませんから、今度は国民のためにというその一点に絞りながら仕事をさしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず第一に、大臣の皆さんや委員長にも、また我々自身も考えてみなければならない問題があるのではないかということを指摘しておきたいと思うのであります。  まず最初に御質問したいんですが、長官、「選択」という月刊誌は御存じでございますか。
  68. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) あることは承知しておりますけれども、中身は承知しておりません。
  69. 及川一夫

    及川一夫君 この「選択」という月刊誌は「三万人のための情報誌」というタイトルで大分長い間発行されているものでありますけれども、この中に「社会・文化 情報カプセル」、こういうことでこの土地国会のことについて実は書いているわけであります。中身は、極めて残念なんでありますけれども土地国会が土地国会にならない——十二月一日発行ですから、恐らく十一月の中ごろには原稿が仕上がっていると思うんですね。そういう意味では国会の開会の模様を見ずにばっさりとやられるというような感じがして、同じ国会議員として極めて残念でならないんですが、しかも内容的には、土地国会にならない理由として、金融、不動産業界の皆さんが、土地国会になるということを伺ったときに、ロッキード特別国会における商社社長などの証人喚問というのが頭の中に浮かんだ、こう言われるわけですね。  あんなことになったら大変だ、だからこの際少なくとも喚問などは間違ってでもしないように、こういう意味合いをもって関係議員の間を事前に駆けめぐり、当然ながら金をばらまいたと、こういうふうに書いてあるわけです。そして、締めくくりとして、地価急騰で大企業と代議士がもうけサラリーマンが泣くという構図はやはり変わらないと、こういう結論に実はなっているわけです。  一体どこに証拠があるのだろうかということを当然これは考えなきゃいけませんし、そういう意味ではささやかですがいろいろとやってみたのですけれども、そんなことは我々に簡単にわかることではないわけですね。しかし、少なくとも三万人とか、しかも三万人という限定ですから、かなりの階層のところにこういう記事が回されるということになりますと、国会の権威という問題からいっても、しかも我々はそういう目に全然遭っていないという者から見ると、もらうものをもらわないで悪口だけ言われている、そんなばかげた話があるかという理屈にもなっていく、いい悪いは別ですよ、というふうになると思うんですね。  これは私は非常に困る問題だと、率直に言って思っています。しかも、この国会は、この臨時国会だけではなしに、通常国会まで持ち越されてやっていかなければならない問題がたくさんあるわけですし、法律の改正やらあるいは新たな法律を考えなきゃいかぬじゃないか。こういうこともあるだけに、我々国会議員たる者、腹は立つけれども、これにどうこたえていくかということを真剣に私は考えなきゃいかぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、大変らち外のようですけれども国土庁長官にお考えを少しお聞きしたいというふうに思います。
  70. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今御指摘になりましたように、案外記者の推測だけで書かれた記事じゃないだろうかなと私も思います。と申しますのは、この国会の土地問題に対する取り組み方、これが国民の気持ちをかなり変えてきたと思っております。政府もまた、総理大臣を座長にする土地対策関係閣僚会議を設けて、全力を挙げてこの問題を解決しようとかかっている。この気構えというものが国民の気持ちをかなり変えたと私は思いますし、少なくとも土地転がしでお金をもうけようとするような者は国民の敵だという気持ちが国民の間に私は生まれてきているように思うのでございます。また、関係業者も非常な自粛をされているような感じがいたします。事実、届け出のありました件数に対しまして行政指導をする、大部分はやっぱり値段を下げる、取引をやめる、地価対策に御協力をいただいているわけでございます。  やっぱり国民全体が土地問題に対してどういう気持ちを持ってくださるかということが、土地問題解決の一つの大きな力だと思っているわけでございます。この力のもとにお互いが政策を決め、かつこれを遂行していく、初めて実現できるのじゃないか。国民の支えなくして、幾ら政策を決めましても実現は困難じゃないか、私はこう思うわけでございます。  そういう意味では、今申し上げましたように、次の国会には立法措置等をやらなきゃならぬわけでございますけれども、それができ上がれば実現を見ていくことができる素地が生まれてきている、こう思っているわけでございまして、今の国会の取り組み方に対しましても、私も感謝申し上げている一人でございます。
  71. 及川一夫

    及川一夫君 ぜひこの臨時国会の締めくくりに、この特別委員会としてのけじめをつけることが私はあると思うし、また必要だと思います。そういったものを各与野党間でおまとめになる際に、今出てきた問題について少なくとも意識をされて、国民のこういった疑問、疑惑にこたえる姿勢をぜひ盛り込んでいただくようにお願いをしておきたいというふうに思います。  次に、総務庁長官にお伺いしたいというふうに思うのですが、かなり時間の制約があるようでございまして、本来土地国会ですからこっちの方が優先だと、どことは言いませんけれども、というふうに思うのですけれども残念です。  二つのことについてお伺いしたい。しかし、時間の関係がありますので一つに絞りたいと思うのですが、その一つ土地価格と高齢化社会というタイトルになるのでしょうか、高齢化社会ということが今言われているのですが、この高齢化社会をどうつくっていくかというのは大変大きな課題だと私は思いますね。そのときに、高齢化社会の一つの側面として例えば老人ホームというのがある。老人ホームというのはどちらかというと山の中と言ったら失礼だが、あるいは森の中、しかも環境がいいとか静かだとか、そういうところにお年寄りを豊かになんというようなことを言っておりますけれども、実際問題としてはお年寄りだけが集まるというやり方になっておるわけですね。お年寄りだけが集まって、二つ先の部屋でお亡くなりになった、明日はだれかというような話になるようなことになりますと、もう老人ホーム自体がそれこそ痴呆症とかぼけとか、そういう問題にはね返っていくということが、よく高齢化社会問題で老人の生活のことを考えると論議されるわけであります。  私などから言わせれば、そういったところに老人ホームとか老人の施設を置くというのは決して私は正しいと思っていない。むしろ都市の真ん中にずばり老人ホーム、老人施設というものを建てて、それで男も女も老いも若きもという形で一つの社会をつくることで、本当の高齢化社会を有意義に、しかも人間として人間らしい生活をしていく、そして満足をして、とにかく自分の生命というものをとうとんでいくということが私は必要だと思う。  ところが東京のように、あるいは大都市、都市と言われるところでは大変な地価暴騰であることは、これまでの議員の皆さんが明らかにしております。そういった点で考えますと、一体、高齢化社会ということを総務庁もいろいろと答申を出したり諮問機関にかけたりしてやっているのですが、総務庁長官として、土地の値段が高いということと高齢化社会という観点からいって、いかなるお考えを持っているかお聞かせ願いたいと思います。
  72. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) ただいま及川委員から御指摘がございましたように、お年寄りの方ができるだけ家族の近くにいたい。この前、私テレビでも富士山ろくか何かの介護施設の姿を見たことがございますけれども、お年寄りの方が毎日一定時刻になると服を着がえて財布を持って、そしてバスに乗っていこうという、そういうことを繰り返されるという姿。ともかくうちに帰りたい、家族に会いたい、こういう気持ちが非常に強い。しかし、非常に離れたところでなかなか家族も来てくれない、そういう問題がある。できるだけ、お年寄りの方の介護施設のようなものは、今まで住んでいて、家族のいらっしゃるところに近いところにつくられることが望ましい。それは当然のことだと私は思います。  今のような地価高騰した状態の中ではなかなかそうしたものはつくりがたいわけでありまして、公共用地の活用等を通じまして、ぜひ先生がおっしゃるような施設がそのような形でつくられるように、これからますます高齢人口がふえてまいりますし、寝たきり老人などがふえていくわけでありますので、ぜひ国土庁長官など土地問題担当大臣に御協力申し上げ、また私の方からもお願いしてそうした方向を進めていきたいと思います。
  73. 及川一夫

    及川一夫君 今の長官のお言葉、ぜひとも実現するように運んでいただきたいというふうに思います。  ただ、家族のそばということよりも、高齢者を囲んで世の中社会ができ上がっている、そういうシステムに変えませんと、家族のそばにいることに実はならないのです、家族ということになると小さな単位ですから。そうじゃなしに社会全体が高齢者を中心にしてというそういう発想になりませんと、二五%も高齢者になるという叫びがあるわけですから、その点を十分踏まえてこれからもひとつ事に当たっていただきたいということをお願い申し上げでおきます。  それじゃ、次の問題として総務庁にお伺いしたいのですが、土地臨調委員の選考基準なのですけれども、これはいかなるお考えで選考されているのか、お伺いしたいと思います。
  74. 新野博

    政府委員(新野博君) 臨時行政改革推進審議会の決定によりまして土地対策検討委員会を設けますときに、参与の人選につきましては関係学識経験者を当審議会の参与として会長から依頼する、こういうふうな決定をことしの七月にいたしまして、その決定に沿いまして、土地対策検討委員会の任務、すなわち地価土地対策に関し専門的な調査検討を行うという任務が与えられておりますが、その任務にふさわしい方々を広く各界から総合的な観点に立って人選されたものと承知いたしております。
  75. 及川一夫

    及川一夫君 今の御答弁にあったんですが、会長が人選をされた、したがって選考基準というのはあずかり知らぬ、こうおっしゃられているのだろうというふうに思うんですね。しからば、選考基準はともかくとして、決まった委員について総務庁は肩書とかあるいはその住所とか、そういうものは一切知らないんでしょうか。
  76. 新野博

    政府委員(新野博君) 当然のことながら、御職業それから住所等は承知いたしております。
  77. 及川一夫

    及川一夫君 承知しているものを教えてくれと言ったら教えてくれない。これは住所というのはプライバシーにかかわるのかどうか私はわかりませんけれども、一体どういう意味やということで正直言って腹立たしいのであります。面倒くさいからこっちで調べるということになりますね。そんなものは紳士録を見ればすぐわかる。この点は別に国土庁長官に文句を言ってもしようがないんですけれども、総務庁のみならず、諮問会議等の委員になりますればやはり公の人ということに実はなるわけでして、住所や電話ぐらいのところまではオープンにしたって別に何もだれにもどなられるわけは私はないというふうに思います。  そういった点で苦言を呈しておきますが、そのことよりも、二十二名の選考された方々なんです。  時間の関係もありますから私から言いますけれども、両大臣聞いてほしいんです。この方々が住んでおられるところはどこだと思いますか。そんなことは調べてみなきゃわからぬということになる。私は調べてみました。二十二名のうち十七名までが東京二十三区です。恐らくこういった肩書の方々ですから、全部持ち家それから土地も全部自分のものだと思います。そして神奈川から三名、多摩に一名、千葉に一名ということで、二十二名になっておる。そして構成は、経済界から七名、官界OB、全部次官経験者ですね、これが七名、学者が三名、言論界三名、労働界推薦二名と、こういう形に実はなっているわけです。ほとんどが持ち家で、自分の土地を持っているという方々です。  二十二区ということになりますと、一坪五百万円以下というのはどうも聞いたことがない感じがしますね。ですから、五十坪ぐらい持っておっても二億五千万、こんなお話に実はなるわけでしてね。したがって、こういう方にとってみれば、高くなるのが腹が立てば文句も出るんですけれども、高くなっていも限り文句はないという気持ちになりますと、それこそ一体議論というのはどういうものになっていくのだろう。私も人のことばっかり言っておれませんから、私は船橋に九十二坪の土地と家を持っています。そういう前提に立って考えても、自分の反省を含めてですが、一体どの程度の気持ちでこの土地問題の委員会が論議をしたんだろうかということが私は本当に心配になってくるわけです。  やっぱり土地がない、家もない、しかし何とか土地を買いたい、家をつくりたい、そういう立場の人たちがこの中に何人か入っておったらああいうような答申になるんだろうかどうだろうか、こういう思いがしてならないんです。したがって、今度のあの答申に対しては、マスコミ自体もかなり批判的な意見を解説として出されているわけですね。別に政府・与党をとやかく言うわけではありませんが、自民党の与党の案の方が答申よりももっとしっかりしているじゃないか。例えば国鉄用地処分の問題などについては、「見合わせる」という言葉を答申は使っているが、自由民主党の場合はもう「凍結する」ということをはっきり言っている、こういう問題とか。  問題は、一体なぜそうなるのかという読売新聞などの解説を見てみますと、国鉄の用地問題にかかわった方々、つまり国鉄のJR化の問題での債務問題ですね、こういうことにかかわった方々が何人がおられる。そういう者の立場からいえば、確かに国鉄あるいはJRの債務問題というのは大変な問題ですから、責任も感ずるという意味もあるんでしょう。  とにかく突っ張る。したがって、凍結するということを明確に言っていいものを凍結するとは言わさない。当面「見合わせる」という程度、そういう言葉に終始しているという問題とか、あるいは金融機関、経済界の方々も入っておられるわけでして、こういった方々からいえば、融資の規制という問題などについても、当初の原案には個別審査の徹底とか、悪質な場合には社名を公表するとかというものがあったけれども、答申として出されたときには「大蔵省による特別ヒアリング」「ヒアリングの内容等の充実を図る」、こういう程度の答申になっているというわけです。これは私が言ったんじゃなくて、マスコミ界の方々がそう言われているわけです。恐らくいろんなことがあったと思うんですね。  したがって、土地臨調の委員を選考する場合にもう少し構成というものを考えてもらわないと、それは全部大槻会長の責任だと言うのならぜひ国会に、参考人でも結構ですからおいでいただいて、今後の問題としてあるいは討議の問題として考えてもらいたい、そういったことを申し上げたい気持ちに実はなってくるわけです。ですから、この点をひとつ踏まえまして、総務庁ということになるんでしょうが、それぞれ諮問委員会というのは持っておられるわけですから、ぜひこの点一言総括的に国土庁長官から、いい悪いを含めてお考えを述べていただきたいというふうに思います。
  78. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 審議会をつくりますときにはいろんな角度から人材を求めるものでございまして、形式的には会長が選任されるということになっておりましても、会長自身も各方面からのそういう人選を聞いた上で最終的に判断をされるということだろうと思います。  今の御指摘のメンバーにつきましても、人によっては今のような御意見もあろうかと思うのでございますけれども、私はかなりよく網羅して人材を集めておられる、こう見ておったわけでございます。役所にはいろんな審議会がございます。国土庁にもたくさん審議会があるわけでございまして、形式的にある団体の会長は自動的に委員に選ぶような仕組みもございますし、そうじゃなくて、個別に人材を拾い上げて委員に加わっていただく方もおるわけでございます。大体、委員になる方々は好んで委員になっておられるのではなくて、申しわけないけれども委員になってくれませんかというお願いをして、忙しい時間をそこに割いてくださっているのが私は通例じゃないだろうか、こんな感じがいたします。いずれにいたしましても、委員の選任は重大なことでございますので、いろんな角度から判断をして慎重を期していくことは当然のことだと思っております。
  79. 及川一夫

    及川一夫君 この問題、争ってもしようがないんですが、しかしメンバー自体を見ますと、日本にはああいう人たちだけが人材でほかは人材でないのかなというふうに思えるほど、政府の委員を三つも四つも五つも兼務されている方が非常に多いのであります。そういうものも私は見た上で実は申し上げているわけであります。ですから、ひがんだ言葉で言えば、政府の言うことを聞く、行政当局の言うことを聞く人だけを集めているようなそういう委員会ではないのかなと。私も国会に来る前に政府のそういった委員を委嘱されたことがあります。しかし、ある問題になってきますとぱっとはじかれましてね、いつの間にか。そういう体験も実は持っている。その省庁にとってはどうも都合の悪い人間ということを、表は言わないけれども裏ではぼそぼそ言っている、こういうことが往々にして起きているわけです。  そういう体験も踏まえていますから、これは総理やなんかにも言うべきことかもしれませんけれども、ぜひこれからの問題として間違いのないように対応していただくようにお願い申し上げまして、次に移ります。  次に、建設大臣にお伺いしたいんですが、タイトル的に言えば規制緩和と土地価格の問題です。そして今後どうするかという問題についてお伺いしたいのであります。  まず第一に、建設省が昭和五十五年以来三回にわたって、市街地域規制についての見直し問題ですね、あるいは宅地の問題でもそうなんですが、三回ほど通達を出しているわけであります。局長から知事さんにあてて、あるいは課長から県の担当部長あてにということで出ておるんですが、この見直しは一体どんな目的で何を期待して規制区域の問題などの見直しを提起されたのか、それをまずお伺いしたい。
  80. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 昭和五十五年以来逐次見直しをいたしております。お説のとおりであります。これは、各方面の土地の需給のバランスとかあるいは産業構造の変化等々ありまして、やはりそのときそのときで善処をしてまいりたい、かように思ってやっておる次第であります。例えば調整区域内の二十ヘクタールを五ヘクタールにいたしましたけれども、これは二十ヘクタールということになればなかなかできない。でありますから、優良なところは五ヘクタールにする、こういう見直しをしてその地域地域で需給のバランスがとれていくように、こういうことであります。
  81. 及川一夫

    及川一夫君 そこで、五十五年からそういう通達を出されたんですが、例えば東京都の場合、それを受けて本格的に見直しを始められ実施しようとされたのは、私の記憶によればむしろ六十年からではないか、こういうふうに思うんですが、その点間違いありませんか。
  82. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 御承知のように、土地の見直し、特に開発につきましては従前非常に規制を強くしておったのであります。それをだんだん緩めていきまして、それが地方公共団体で、何といいますか、緩和をするということに頭の切りかえがなかなか難しい。午前中も御質問がございましたけれども、これは水道の問題であるとか学校の問題であるとか、いろいろな問題がございまして、その点もございますけれども、この切りかえが非常におくれておる、こういうことであります。  具体的な問題は政府委員から答弁させます。
  83. 及川一夫

    及川一夫君 よろしいです。  それならば、規制緩和をすることによって果たして住宅の供給というものは十分な形で対応しているのかどうか、あるいは地価は上がっていないのかどうかということになりますと、国土庁長官もおっしゃられているように、供給はまだまだ需要に追いつかない、だから四全総だと、こういうお話でしょう。それから地価の問題は、上がったから要するにこういう委員会を開いているわけでしてね。この規制緩和というものがねらいのように供給も、安定供給できるかどうかということになると、必ずしもそういう答えにはなっていないということ。同時にまた、今鎮静しているというけれども、本当にこれは鎮静するんでしょうか、ずっと。将来絶対に上がらないというそういう保証があるでしょうか、今の法制度のもとで。この点いかがですか、長官。
  84. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今の地価は正常でないと思っております。異常な高騰だと思います。異常に高騰した土地を持っていって、一体それで採算がとれるのか、まだだれかに売ろうとしても買ってくれるのだろうか、そんなところへ融資は受けられるのだろうか、こうなってまいりまして、土地の供給が今後どんどんふえてくるというと、やっぱり私は下がらざるを得ないのじゃないだろうかな、こう思っておるわけでございます。私たちは、高値安定どころしゃない、今少し下がりぎみになっている、もっと下がっていかなければ正常な地価ではない、こういう気持ちで努力をしておるわけであります。
  85. 及川一夫

    及川一夫君 そうしますと、再三我が党の同僚議員からも指摘されているんですけれども土地の値段そのものに対してずばり何らかの規制というものを加えるとか、あるいは開発そのものについて、のべつ幕なし民間活力に任せておくというのは、やはり大きな問題ではないかというふうに思うんです。  しかも、国内の学者の皆さんもいろんなことを研究されて発表しているものもあるんですけれども、例えば海外の例で言えば、イギリスとか西ドイツという場合には計画許可制というものを採用している。日本の場合には線引きをしてそれを見直すという方法をとっている。どちらがどういう結果になっているかというやつをずばり見ていけば、イギリスや西ドイツでは地価に関する限りは、供給も安定している、それから地価も安定している、こう言われている。フランスと日本の場合には逆に供給もうまくいかないし、地価暴騰しているじゃないか、こういうような要するに指摘があるわけですね。  したがって、公的機関がこの土地の問題というものに対して、開発の面でも価格の面でも何らかのやはり基準といいますか、あるいはその手だてといいますか、そういうものをどうしても求めていかなければ、奥野長官がおっしゃられている四全総で仮にやるにしても、あるいは皆さんが言われる遷都の問題が、地方に移ったにしても、移ったところでどんどんどんどん値上げしたのなら何の意味も私はないんだろうと思いますね。したがって、そういうことが私は基本的な問題の解決だというふうに思っているんですが、時間の関係もありますから、ひとつその点について長官の見解をお伺いしたいというふうに思います。
  86. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 我が国でも、民間も行っておりますし、第三セクターも行っておりますし、府県や市町村も行っておりますし、いろんな手法で土地開発が行われていることは御承知だと思います。一例を挙げて申し上げますと、ニュータウンも、多摩ニュータウンもそうですし、港北ニュータウンもそうですし、あるいは千葉ニュータウン、その他いろいろ行われておりますし、それに対しまして鉄道新線をつけるのだ、あるいは単線を複線にする、あるいは複々線にするという努力も続けられております。大きな開発になりますと東京湾臨海部の大規模開発プロジェクトも進行をしておりますし、あるいは汐留の貨物駅跡地を思い切った開発をしようということも計画がどんどん進んでいるわけであります。あるいはみなとみらい21も進んでおります。あるいは東京駅周辺の地域についても思い切った開発をしょうじゃないかということで努力もなされているわけでございます。  これらは一例でございますけれども、今後といえども民間も大いにやってもらわなければならない、第三セクターも大いに努力してもらわなければならない、国の場合には住都公団などがその先兵になっていると思います。府県や市町村にもさらに努力を続けてもらわなければならない。全体をにらみながら促進を図っていって土地の供給をふやしていきたいなと考えているところでございます。
  87. 及川一夫

    及川一夫君 そうおっしゃられても、結果としては、今土地国会が開かれているように、値段の面でも供給の面でもそれこそ社会正義に反するではないか、そういう事態に立ち至っているということに対して、当面の施策にしろ、長期的に見ればなおのこと、今の法制だけでもってこの土地問題や開発問題を考えていくというのはどうしても無理があるではないかということを私は指摘せざるを得ないんです。  我々一人一人の国民の生活から見ましても、これも午前中に出た問題ですが、いずれにしたってこの土地の値という問題では、もうずばり言って固定資産評価額とか路線価格とか公示価格とか、あるいは基準価格とか新造成地、新建築物の評価基準とかいろんなものがあっていろんな額が出てくるわけですよね。それで固定資産なども決められてくるんですけれども、その固定資産だって一体本当にどういうことで決められたのか。決められたものに対して文句のあるやつは来て聞けばわかるということになっていますけれども、聞いてもようわかりませんね。  税制そのものだって、まあ皆さんはわかるのかもしれないけれども、私なんか税制の法律を読んでもよう理解できない。何でこんなに難しい法律になっているんだろう。じゃ税制の話はできないかということになれば、できるんです。できるというのは、我々は日本語で勉強していますから、日本語にないような法律というふうにあえて言わしてもらいますけれども、税理士でなければわからぬような税制の法文とかあるいは土地の法文なんというのは本当に改めていかなければ、個人個人の、国民一人一人が理解し納得するような、あるいはその気持ちに合ったような評価額というのはなかなかもって出てこないんじゃないかという気がしてならないんですよ。  ですから、そういう意味でももう少し公的機関というもの、今はどちらかというと、中曽根内閣のときに民活ということにかなりウエートを置いてぱっと突っ放しましたから、そういう方向で走っていることは間違いない。それが今日の事態になっている。こう考えますと、民活を完全に否定するつもりはありませんけれども土地という問題ではもっともっと公的機関を軸にして開発し、土地の値段を決めていくということでなければならないというふうに思うんですけれども、もう一度ひとつ長官、お考えを変える気持ちはありませんか。
  88. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 国の財政が大変行き詰まっておったけれども民間にはお金があるじゃないか、その民間のお金を使って内需拡大をやっていこうじゃないかということになりますと、民間活力を使っていくということの手法につながっていくんだと思います。それだけではいけない、国や地方団体、公共機関も積極的に乗り出すべきだという御指摘もよくわかるわけでございまして、そういう例として私は先ほど、こういうこともやっておりますと申し上げたわけでございますけれども、今後とも全体をにらみながら努力をしていくべきだと思っております。
  89. 及川一夫

    及川一夫君 時間が短くてなかなか思うようにいきませんけれども、いずれにしても通常国会に向けて論議は継続されるんだろうというふうに思います。もう少し我々もいろんな実態を持ち込んで、国民の期待にぜひこたえられるような一つの結論を出さなければいかぬ。そういう意味では、ぜひとも政府の側も、冒頭に長官は何となく頑固らしいということを申し上げましたけれども、頑固でなしに、誠実、信念といいますか、そういうものに沿った一つ国民のための政治、土地政策をやっていただくようにしていただきたい。同時に、私もそういう意味責任を果たしたいということを申し上げまして、時間が参りましたので終わります。
  90. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 次に、和田君の質疑に入ります。和田君。
  91. 和田教美

    ○和田教美君 まず最初に、土地とは何か、土地はだれのものかという基本的な問題について宮澤副総理と奥野担当大臣とお聞きしたい。  我々は、土地については財産権、私的所有権というものはもちろん認めるべきですけれども、しかし同時に、土地国民共有の財産であるという観点から土地の所有利益より土地の利用利益を優先するという原則に立って的確に私権を制限すべきだというふうに考えておるわけです。  実は、宮澤副総理は当時、昭和五十三年ですから約十年ぐらい前に政策集団である平河会というのを主宰されておったんですが、そのときの新聞の切り抜きがここにあるんですけれども、そこで中期経済運営という問題について提言をされております。その中に「土地政策については、土地は空気や水と同じ「公共財」としての性格を持つものであり、狭い国土の中で、土地を活用するには税制だけに頼るのでなく、土地所有者の私権を思い切って制限することを主張」したと書いてあります。現在、宮澤さんはこの私権制限の問題についてどうお考えなのか。同じように、奥野長官もこの委員会で私権制限の問題について、例えば区画整理だとか地下の利用だとかいう具体的な問題に踏み込んで答弁をされておりますけれども、一体どこまで私権というものは制限すべきかという点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  92. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) かってそういう提言をいたしたことは和田委員の御指摘のとおりでございますが、その中でも申しておりますとおり、一般に土地はと申したわけではございませんでして、現実に非常に土地についての問題が起こっております大都市におきましてと、こういうふうに実は制限をつけて申したつもりでございます。  そういう場合には、憲法二十九条に申しておりますとおり、私有権は正当な代償を払って公共の福祉の用に供することができるというのは別に新しい考え方ではなくて、憲法にもあり土地収用法にもあり、あちこちに本来ある考え方であろう。いわんや大都市において土地問題がこうなりましたときには、私有権はもとより尊重されるべきでございますが、権利の上に眠るということが無限にあることも許されることではない。殊に、私有権の発揚の一部であるところの利用権というものは、これは公共の福祉のために正当な補償のもとに利用されてもいいのではないか、こういうことを、これは特に新しいことを申したつもりではなかったのでございますけれども、一般的に十分認識されていない点もあると思いましたので提言をいたしました。ただいまもそう考えております。
  93. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私の具体の発言についてのお尋ねでございました。  再開発でありますとか区画整理でありますとか、三分の二の多数の賛成が得られれば組合をつくり実行に着手していけるわけでございますけれども、補償の金額等をめぐりまして争いがありますと裁判に訴えられる、あるいは執行停止の処分を受ける。それでも押し切ってやってやれないことはないんでしょうけれども、そういう紛争もあったりして長引くものでございまして、やろうと思ってからでき上がるまでは大体十年以上かかるんだそうでございます。三分の二を超える多数があるならば、本人にいろいろ異論はあるかもしらぬけれども、仕事は進められるようにしても憲法違反にはならないんじゃないか、進めていかなきゃならないような法制の仕組みも考え考えられぬことはないじゃないかという意味合いで、私は、そういう多数の賛成のもとに環境改善を図っていこう、文化的な地域にしていこうということであるならば、個人個人の希望はある程度抑制されても仕方ないんじゃないか。それはそれで別途にいつまでも裁判は裁判として続けていけばいいじゃないか。しかし仕事はどんどん進めていけるんだ、いかなきゃならないんだというような建前にしたいものだなという意味合いでああいう例を申し上げたわけでございました。
  94. 和田教美

    ○和田教美君 今のお答えを聞いておりますと、とにかくお二人ともある程度の私権制限は必要だというお考えだというふうに承ったわけですけれども、それじゃなぜ国土利用計画法に基づく規制区域の指定、許可制の導入ということについて政府はちゅうちょされるのか、それをお聞きしたわけであります。奥野長官は、もう地価の騰貴のピークは終わったし、少し下がっているから監視区域の制度で十分やっていけるんだというふうな趣旨の答弁をされたと思うんですけれども、しかし、地価の急騰がおさまったというのは東京都の都心を中心としたものであって、例えば多摩地区などではまだ僕は騰貴がおさまったというふうに理解しないし、まして周辺地域にはどんどん波及している、さらには地方の都市にもそれは波及しているという状況ですね。  例えば、私は先日公明党の調査団に参加して東京都臨海部副都心計画の開発状況を視察いたしました。ところが、高層の都市型住宅の建設が予定されている有明地区、この周りの民有地三十ヘクタールですね、これの値上がりが非常にひどくて、三グループのデベロッパーの買いあさりによって一年ぐらいの間に坪百万円ぐらいの民有地が一千万円あるいはそれ以上になった、一年間で十倍以上になったというふうな話を聞いたわけです。有明地区なんかは、例えばこれは別に線引きもそんなに難しいことではないと思うし、さらに地方でもリゾート地域の開発というのが進むと途端に地価暴騰するというふうな現象も起こっておるわけですから、ある一定の地域を限ってとにかく規制区域を指定するということが一伝家の宝刀は抜かないんじゃないかというふうな、とにかく一般のデベロッパーに対する警告になるというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
  95. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私は、なるだけ自由な取引は守っていきたい、その自由な取引の中で正常な土地取引状態を回復したい、こう思っておるわけでございまして、それが監視区域を指定して取引については届け出をしてもらうということでございます。その情勢を見ておりますと、届け出してもらう、少し不穏当だなと思うものについては注意を与える。大体聞いてくださっているんです。取引をやめるあるいは価格を下げる。例外的に、本当に例外的でございます、勧告に至るケースもあったようでございます。しかし、勧告に至りますとやっぱりそれで勧告に応じてくださって、なおやるという例はいまだないのでございますから、やっぱりこの監視区域の制度でずっと続けていきたい。  しかし、それでおさまらぬ状態が起こるかもしれません。投機的な取引が繰り返されているというおそれがないとは限りません。その場合には規制区域にして取引は許可制度にしよう。しかし、この自由な取引の中へ権力が入っていくことはなるだけやめた方がいいなというのが私の基本的な考え方でございまして、戦時中の統制のこともよく承知しておるわけでございまして、どうしてもゆがめられるのでございます。そこでいけなければその区域の外でやろうというようなことにもなってまいります。また腐敗も起こってまいります。万やむを得ない場合には私は権力を行使することを否定するものじゃありません。しかし、それは今おっしゃいましたように伝家の宝刀であって、抜かざるを得ないときには抜かなきゃならぬけれども、なるだけなら自由な取引を守りながら正常な状態に持っていきたい。  こういう土地国会をやっていただいていることも国民に非常に私は自省を促したと思うのでございまして、国民の協力を得ながら地価の安定、高いところは引き下げる、こういう努力を払っていくのが本来の努力すべき順序じゃないだろうか、順序を変えて先に権力が入っていくということはどうも適当じゃないんじゃないか、こう考えているだけのことでございます。
  96. 和田教美

    ○和田教美君 私は、今とにかく早くやらなければ、上がっちゃってから規制をしたって意味がないわけですから、その順序がむしろ逆だというふうに考えるわけです。  それにしても、国土庁は規制区域の指定という場合に備えての準備を既にされておるわけです。それで、東京、神奈川、千葉、埼玉などの一都三県にオブザーバーとして参加してもらって、規制区域の検討会議というのをやっておられるというふうに聞いております。そこでいろんなケースについての検討をされているんだろうと思うんですが、私が聞いたところによると、この検討会議で憲法との関係が改めて取り上げられて論議されたと。それで、特に二十九条の財産権との関連もさることながら、十四条の法のもとの平等という問題について多少問題がないかどうか、この規制区域の問題ですね。そういうことで違憲訴訟による仮処分の申請などが多発する可能性がないかといったこともいろいろ取り上げられたという話でございます。  今さら政府がそんな問題点を考えるというのも私はおかしいと思うし、こんなものは全然憲法に違反していないと私は確信するんですけれども内閣法制局長官に、この憲法十四条及び二十九条との関係について、全く規制区域の指定というのは違憲でないということを確言できるかどうか、既に政府として完全にクリアしているのかどうか、その点を改めてお聞きしたいわけでございます。
  97. 味村治

    政府委員(味村治君) 最初にお断りいたしておきますが、国土利用計画法はこれは国会におきまして合憲であるという御判断の上で制定されたものだというふうに考えるわけでございます。したがいまして、国会においてそういうふうに御判断になっているものについて政府として申し上げるというのはいささからゅうちょされるわけでございますが、せっかくのお尋ねでございますので、私の意見をあえて申し上げる次第でございます。  まず、憲法二十九条との関係でございますが、憲法二十九条一項は財産権を保障しておりますが、同条二項の規定によりまして、財産権の内容あるいはその行使につきまして公共の福祉を理由とする制約を課することができるということになっております。憲法二十九条二項の規定のもとでどの程度まで土地所有権に対しまして制約を課することができるかということにつきましては、第一に公共の福祉のために合理的な必要性があるということ、それから第二にその制約の内容がその必要に応じて合理的な範囲内であるということを要するというふうに解される次第であります。  こういった一般論から、国土利用計画法に基づきます規制区域内の土地取引の許可制の合憲について考えますというと、まずその目的は、国土利用計画法第十一条に書いてございますように、土地の投機的取引地価高騰国民生活に及ぼす影響を排除すること等にございまして、規制を加える合理的な理由があるというふうに考えられます。また指定対象区域の要件及びその指定の手続を定めまして、規制を要する状況にある地域を指定することにしておりまして、さらに価格面及び土地利用目的面、その両方の面から目的達成に必要な限度で許可基準を決めるというようなふうにしておりまして、規制の内容も規制の必要性に応じました合理的なものであろうかと、こういうふうに考えます。したがいまして、同法の土地取引に対する規制は憲法二十九条二項の許容する範囲内であろう、このように考えます。  次に、憲法十四条との関係でございますが、憲法十四条一項は、国民に対しまして法のもとの平等を保障した規定でございますが、この規定は、事柄の性質に即応いたしました合理的な根拠に基づきまして差異のある取り扱いをすることまでを禁止しているわけではないというふうに解されます。国土利用計画法の規制区域は、先ほど申し上げましたように、土地の投機的取引及び地価高騰国民生活に及ぼす影響を排除する、そういったような目的のために土地取引の規制等を行う必要のある区域としてその要件が定められているわけでございます。  したがいまして、国土利用計画法の十二条の規制区域の指定要件に合致した区域とそれ以外の区域との間では、土地所有権等の制約の面で差異が生ずるといたしましても、それは規制区域の中にあります土地が、ただいま申し上げました法律の目的を達成いたしますために取引の規制を要する状況にあるという性質上の差異に基づくものでございまして、それは合理的な差異である。したがって、そのような合理的な性質の違いに基づきまして差異のある取り扱いをするということも憲法十四条一項に違反するところではない、このように考えております。
  98. 和田教美

    ○和田教美君 改めて憲法違反でないという政府の解釈が明確になったと思いますが、それでは次のもう一つ私の疑問としているところは、一体適正価格というのは何なんだと。総理は適正安定という言葉も使っておられる。これはどうも答弁を聞いておりますと、事務的に、例えば今言った監視区域について適正であるかどうか、監視区域の中の届け出についてその価格が適正であるかどうかということを調べる一つ基準、あるいは今後規制区域ができた場合に許可するかどうかに当たっての適正な基準、そういう意味の適正価格ということなのか。  その点については、私は東京都の事務当局の人に聞いてみたんですけれども、こう言うんですね。適正価格とは、近傍類地の取引の実例から異常なものを除いて算出したものが適正地価である、こういう解釈を東京都ではとっているわけですね。ところが、例えば総理が大体GNPと比例して適正な水準がどうとかこうとかというような答弁をされたし、それから安倍幹事長が数年前の地価がいいというふうなことを言われたり、奥野さんがやっぱりGNPの伸びぐらいは認めなきゃいかぬというようなことを言われた。そういう意味の適正水準というものもこれまた私は政府の政策努力目標だと思うんですね。そういうものも何か適正地価というふうな議論の中に一緒くたになっているような気がするんですが、いろんな議論が出てこれは国民をかえって惑わすんじゃないかというふうに思うので、その点をもう少し明確にしていただきたいと思います。
  99. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) どういう意味で適正な地価を求めているのかということによって答えが違ってくるんじゃないかなと思います。  今おっしゃっていることを伺っていますと、地価公示法で公示地価を公示いたしております。これは正常な取引の場合の判断の基準になるものだし、補償金を支払う場合の一つのめどになる価格だと法律に定められておるわけでございますから、今、売買に当たって適正な価格ということになりますとこの公示価格一つ基準になるんじゃないか、こう思うわけでございます。この公示価格を求める場合にも、今東京都のお話がございました。これは売買取引から比例的に見つけていく価格だろうと思いますし、あるいは収益から還元して求める価格もございましょうし、原価から割り出していく価格もございます。こういうようなところから、公示価格を決める場合には、高過ぎる場合には収益から還元して地価を求めるべきであるという指導国土庁ではしているようでございます。  そういう問題は別にいたしまして、一体地価の目安はどこにあるかということになってきました場合に、私が先日、昭和十年から昭和五十八年ぐらいの地価の動向を調べてみると、名目GNPの伸びと大体並行しているんです、その後は東京の中心の三区を初めといたしまして大変乱れてきたんですと、こう申し上げたわけでございます。正常な状態であるならば名目GNPの伸びと大同小異に地価も上がってきている、こういうだけのことでございます。  どういう意味合いで適正な地価の議論をするかによって答えは変わってくるんじゃないかと思うわけでございますけれども、今申し上げたような考え方に立っているわけでございます。
  100. 和田教美

    ○和田教美君 とにかく私が言っているのは、余りに閣僚もいろんな発言をして、それで国民に混乱を与えている、ある期待感を与えるというふうなこともあっては困る、だから、閣僚会議も設けられておるんですから、早急にひとつ論議をしていただいて政府としての大体の考え方を国民にはっきりさせるべきではないか、こういうふうに思うんです。  それで私は、いわゆる政策的に当然目標とすべき、どこまで下げるかという目標ですけれども、こういうように思うんです。二月建ての住宅について考える場合に、一般的なサラリーマンが年収の五倍程度で住宅を取得することができる程度価格が私は政策的な目標であるべきだというふうに考えます。これは私だけの考え方ではなくて、経済企画庁の物価局が九月に発表した「首都圏における地価対策」という文書がございますけれども、その中に、四十歳代前半の中堅勤労者、大体年収六百万円程度の場合ですけれども、これが購入可能な住宅価額は三千万円程度である、それで地価は一平方メートル当たり十四、五万程度でなければならないという試算をしておるわけですね。それでこの試算は、合理的な通勤可能範囲を都心から三十から三十五キロメートル圏とするものであって、したがってこの圏内の地価は近年の高騰前の状態、五十八年から五十九年当時ですね、これとほぼ同じ水準まで下げる必要があるというふうに指摘をしているわけですね。  少なくともその程度価格を適正な目標価格とすべきだと思うし、まあ四割なり五割ぐらいは下げるということでなければならないと思うんですけれども、単にいわゆる適正地価論が高値安定の後追いということでは困ると思うんですが、その点はいかがですか。
  101. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 高値安定にしてはならない、そういう気持ちで努力しております。ただ、どこでマイホームを求めるかということになりまして、千代田区や中央区においてもサラリーマンが年収の五倍ないし五・五倍でマイホームを持てるようにしろと、こういうことになってきますと若干問題があるかもしれません。ですから、今通勤距離のこともお話しいただきました。また、そういうことを基本にして住宅政策が行われているものだと思います。国会の論議を踏まえまして私たちも将来、今までも目安を挙げているかもしれませんけれども、さらに検討をしていきたいものだなと思います。
  102. 和田教美

    ○和田教美君 次に、今度の国会には土地関係法案は一件も出てないわけですけれども、通常国会には必要な法案を出すというふうに政府はおっしゃっているわけです。それで、土地税制の関係の法案については後で質問いたしますけれども、建設省とそれから国土庁に、大体通常国会に提出を予定している土地関係の法案、緊急に必要とするもの、どういうものを考えておられるのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
  103. 長沢哲夫

    政府委員(長沢哲夫君) 国土庁の方からお答え申し上げます。  昨今の土地問題に対処するためには、政府は、先般の緊急土地対策要綱に従って国土利用計画法の機動的な運用あるいは金融機関等への指導、住宅宅地対策の促進等を内容といたします措置を着実に実施しているところでございます。しかし、さらに中長期的な土地問題の解決には、四全総において示されたように、東京への一極集中を是正し、多極分散型国土を実現することが土地問題の根本的解決に資すると考えておりまして、そのための方策について現在法案の提案も含めて検討しているところでございます。
  104. 高橋進

    政府委員(高橋進君) 建設省の関係についてお答え申し上げます。  現在のところ、次の通常国会に提出予定の法案、確定してはおりませんけれども、また御質問の土地住宅関係の法案の範囲をどういうふうにとるかということによってもいろいろ考え方がございますが、比較的関係が深いもので現在検討しているものを申し上げますと、一つには大都市地域におきます優良な宅地開発事業を促進するための法案、それから宅地建物取引業法の一部を改正する法律案、民間都市開発の推進に関する特別措置法の一部改正法案、土地区画整理法の一部改正法案、住宅金融公庫法の一部改正の法律案等につきましてその内容の検討を今進めておるところでございます。
  105. 和田教美

    ○和田教美君 時間もありませんので問題を次に進めますが、地価高騰の原因が何であるか、つまり犯人は何だということについては、この特別委員会、衆参両院を通じていろいろ議論をされました。もちろんいろいろあると思いますけれども、政府がやってきたことも、やはり地価高騰をあふるとまでは言わないにしても、それをむしろ支えたような効果を上げたという責任は免れないと思うんです。  例えば、この委員会でも議論になりましたけれども国土庁東京圏のオフィスの床需要というふうなものについて過大な見積もりをしたというふうな問題、しかも最近は非常にまたその見積もりを下げたというふうな定見のなさ、そういうふうな問題もあると思うんですが、それ以外に国公有地の民間払い下げという問題についても、例えば問題になった林野庁の職員宿舎跡地の一般鏡争入札による高値売却というふうな問題、私はかなりこういう問題も土地高騰の引き金になったというふうに思うんですね。  大蔵大臣は国会で、国公有地の払い下げは土地取引全体から見れば極めて比率が低い、だから地価高騰への要因とは考えられないという答弁を再三なさっておるわけですが、私はこれは全くの詭弁だというふうに思うんです。というのは、国民は国公有地の払い下げという公的機関の介入した土地取引については、当然プライス決定のリード役と考える、そういうふうに受け取ると、それが引き金となって土地が上がるというケースは十分あるというふうに思うわけで、その証拠に、土地臨調の答申でも国有地の売却凍結方針を出したのだと思うんですが、その点はいかがですか。
  106. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは件数は少ないということは御答弁しながら、ほとんどその都度、しかし非常に話題になりやすいことでございますし、また現実に話題にもなりましたので、これが土地高騰のやっぱり一つの原因になったと言われることは私は理由のないことではないと、いつもそういうふうに申し上げておりまして、その点は、おっしゃる点が私は事実だと思います。
  107. 和田教美

    ○和田教美君 地価狂騰の原因の一つに、再三金融機関の過剰融資という問題が取り上げられてまいりました。政府の答弁によりますと、三月現在で金融機関全体で土地関連融資の残高は三十九兆円ということでございましたけれども、これはその後どうなっているか、その実情をお聞き。したい。  それから大蔵省は、銀行局長通達などで土地融資について特別ヒアリングをやったり非常に厳密な指導をやっているから、それが効いてきているのだというふうな答弁をされておるんですけれども、私はそう手放しの楽観はできないのではないかというふうに思うんですね。というのは、大銀行などは別として、一般の中小金融機関などは、土地はまだまだ上がるという想定のもとに、担保について掛け目を一〇〇%ないし一二〇%ぐらいにしているところもあったというふうなことも私は聞くわけですね。そうすると、政府はこれから土地を下げると言っているわけですから、下がったら担保価値よりも要するに融資額の方が多くなるとこれは大変だということになりますね。そうすると、いろんな手を使って土地の値段が余り下がらないように何らかの形でてこ入れをする、土地融資という名目でなかったらほかの方法でやるというふうなことが考えられるんではないかと思うんですけれども、その辺についての見解もあわせてお聞きしたいわけでございます。
  108. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず、最近の数字は、全国銀行で三十三兆、その他保険会社等々ございますので、その他の金融機関合わせまして四十二兆と思います。  それから今のお尋ねですけれども、事実に徴しますと、なかなか金融機関は掛け目いっぱい土地をとるというようなことは、本来金融機関というところはそういうことをしないところでございますし、そのほかに担保もとっているというようなこともございました。今度の事実に徴しますと、いろいろ社会的な批判もあった、ヒアリングもあって、早急にこれは撤退をしないとというような気持ちが広く行き渡りましたので、いわば逆の現象と申しますか、早くこれは手じまった方がいいというようなことから、むしろそこから地価の下落が始まって、なるべく今度はまたそれにおくれないようにというような動きになっておるんではないか、私はそう見ておるのでございます。
  109. 和田教美

    ○和田教美君 先ほどの答弁でも、中長期的には土地問題の安定というのは結局需給関係によるんだということを奥野さんもお答えになったわけですが、私もそういう意味では、例えば四全総の考え方で、東京一極集中を排除して地方に多極型の国土をつくるということも必要だし、それから同時に、東京においても新しく土地を探し出すということも私は必要だと思うんですね。供給面というものは、供給対策というものは非常に必要だと思うんです。  それで、土地東京にあるのかどうかということですけれども、私はあると思うんですね。その一つの例が、工業用地もその一つの例じゃないかというふうに思うんですね。例えば首都高速道路の横羽線の羽田空港インターから東神奈川インターまでの約十キロメートルの地帯、これは全部工業専用地域に指定されております。そしてそこには住宅やオフィスビルは建築基準法によって建てられないことになっておりますね。ところが、産業構造の転換によって相当虫食い的に工場が移転して、相当遊休化した工場跡地も出ておるというふうな現状です。  リクルートの代表取締役の江副さんが中央公論に書いておったのを私読んだのですけれども、それによると、首都圏に放置されたままも含めて、工業専用地域は全体として東京二十三区内だけで工業専用地域が千百、これは建設省で調べてもらったんですが、江副さんはそういうものが相当あると、こう言っているんですが、それを数字として調べてみると、政府のあれでは東京二十三区内で千百六十八ヘクタールあるというんですね。それから一都三県で一万七千八百二十四ヘクタールあるというんです。これは相当膨大な専用地域だと思うんですが、その中の約三分の一は実質上遊休化しているというふうに江副さんは指摘しているわけです。ですから、それを早く用途指定を変更して、住宅地域だとかあるいは商業地というものに変えて、そうして有効利用すべきだというふうに言っている。  私は考えるのに、問題は、そうは言っても、これだけ土地が上がちゃったのでは用途変更してもデベロッパーが開発を引き受けないというふうないろいろな問題があると思いますけれども、そこは政府の政策でひとつ中長期的なビジョンとしてこれをどう変えていくか、都市改造計画をつくっていく必要があると思うんで、その辺のところについて奥野長官はどういうお考えか、それから建設大臣はどうお考えか、その点をお聞きしたいと思います。
  110. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私は、これだけ大きな産業構造の変革が続いておるわけでございますから、膨大な工場跡地が都内にもたくさんあるんじゃないかなという判断をしている人間でございます。それをぜひ提供してもらいたい。そのために譲渡所得課税の特例を開きたい。法人にまで開くことについては随分抵抗がございました。今までやっていないということでもございました。しかし何としても私はやりたいんだと。とうとう国土庁と建設省との考え方がまとまって、今関係者に提示しているところでございます。ぜひ党でも御賛成いただき、また政府でも御賛成いただいてこれを成立させたいなと。  こんな異常事態でございますので、今おっしゃいましたような工場跡地もどんどん国民多数の事務所用地や住宅用地に提供してもらいたい、役立ててもらいたい、こう思っておるわけでございます。区域の変更の前にまず出してもらう必要があるんじゃないか、こう思っているところでございます。区域変更しましても貸してくれなきゃどうにもならない。そのために借地借家法を改正しろという課題も出ておるわけでございますから、これまたやっぱり若干時間がかかるわけでございますので、まず工場跡地を提供してもらうことだ。これだけ産業構造の変革が続いておるわけだから、たくさんあって、私は今御指摘のように遊休地になっているんじゃないかと思うんです。ですから、法人の持っている土地につきましても、法人に対しても譲渡所得課税の特例を開きたい、これが私の強い希望でございます。
  111. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 奥野大臣からお答えしたとおりでありますけれども、まず提供してもらう、そして用途変更をする、再開発をしていく、こういう手法でできるだけ産業構造の変化によった工場跡地を利用していく、このことを進めてまいりたいと、かように思います。
  112. 和田教美

    ○和田教美君 土地の供給の問題に関連してもう一つは、国公有地の有効利用ということだと思うんです。どうも私東京都内で見てみますと、各省庁が持っておる行政財産といいますか、その中に相当未利用あるいは遊休の土地があるんじゃないか。どうも有刺鉄線で囲んだような土地が広いなと思って見ると、どこかの役所の持ち物であった、それでペンペン草が生えているというようなところがかなりあるように思うんです。  そこで、私一つの提案なんだけれども、例えば都内にある国家公務員の職員住宅などで大体四階建てぐらいの低層、それが相当古くなってきた、建てかえが必要だという場合には思い切って高層化を図って、その一部分を民風の一般市民が入居できるような良質の賃貸し住宅にする、こういうふうな方向で有効利用を図ったらどうか、こういうふうに思うんです。  それからもう一つ大蔵省にお聞きしたいのは、大蔵省が管轄しているいわゆる国公有地の普通財産と、それから各省庁が管理している行政財産、この数字全部で幾らぐらいあるんだということについて、いろいろ要求してもなかなか出してこられないわけですけれども、一体どのくらいあるのか。それもこの際明らかにしていただきたいと思います。
  113. 藤田弘志

    政府委員藤田弘志君) まず公務員宿舎の問題からお答えいたします。  公務員宿舎の設置につきましては、従来から老朽、狭隘な宿舎を中心に集約、高層化を進めてきておるところでございます。それで、公務員宿舎を高層化しましてその一部を一般の人に賃貸することにつきましては、一つは、公務員宿舎というのは、公務員の職務の能率的な遂行を確保しもって国の事務及び事業の円滑な運営に資することを目的として設置されておるものでございまして、営利を目的とします民間住宅とはその設置目的を異にしております。  これが実質的に違っておりますのは次の点でございまして、公務員宿舎につきましては、国において他の用途に供する等の必要が生じました場合等一定の事由が発生しました場合にはその明け渡しが義務づけられておりまして、借家権が排除されております。それで、一般の方を公務員宿舎に入れますと、借家権が発生いたしまして、国がその敷地が必要になったという場合になかなか立ち退いていただけないという問題が生じまして、当該宿舎の敷地につきまして国の行政上の必要が生じても事実上供し得ない、こういう問題が生じてまいります。こういうことがございますから、公務員宿舎の一部に民間の方が入っていただくというのはちょっと問題かと思います。むしろ宿舎の集約、高層化等を進めまして、その結果生じる余剰地につきまして、公営住宅等を含めまして公的住宅用地の処分に配慮していく、こういうやり方かと思います。  それから行政財産、普通財産の面積でございますが……
  114. 和田教美

    ○和田教美君 東京都の場合です。
  115. 藤田弘志

    政府委員藤田弘志君) 東京都の行政財産全体で四千三十五ヘクタールでございます。それから普通財産全体で二千百五十六ヘクタールでございます。このうち大蔵省一般会計が千九百十四ヘクタールでございます。
  116. 和田教美

    ○和田教美君 そのうち遊休地はどのくらいあるかということですが。
  117. 藤田弘志

    政府委員藤田弘志君) 大蔵省の方の遊休地でございますね。  大蔵省一般会計所属普通財産のうちの未利用地が四十五ヘクタールございますが、このうちの大部分、七割強は国の庁舎用地とか地方公共団体の公園用地等としまして利用計画が既に定まっているか、あるいは将来の公用、公共への需要にそなえ処分を留保されているものでございまして、現在地方公共団体等におきまして利用計画を検討中のもの等でございます。残り三割弱、十一ヘクタールございますが、これにつきまして現在具体的な利用計画は定められておりませんが、地方公共団体等から買い受け要望が出てまいりまして、実際に今白紙状態ですぐ転用できるという数はそんなにはございません。  以上でございます。
  118. 和田教美

    ○和田教美君 今の答弁を聞いていると遊休地はほとんどないということになるわけですけれども実態とは相当違うんではないか。奥野長官、官僚的なそういう発想をどしどし押さえつけてやっていかなければこれは一歩も進まないというふうに思うので、希望をいたしておきます。  そこで、もう一つ国有地に関して具体的な質問をしたいんですけれども、これは公明党の東京都議会議員の桜井という人への相談があった件です。それは、物納財産の土地なんですけれども、国有地ですね、それを国から借りで家を持っている人の話なんです。こういうふうな形で国有地を国から借りるという場合には、建物が老朽化した際に新しく増築、改築しようとするときは増改築承諾料というのを国に払わなきゃならないんですね。ところがこの承諾料を計算する基準となるものが東京都の場合と国と違うんですね。国の場合には、増改築承諾料は国だけが時価修正率なるものを掛けるということになっているんですね。地方自治体と相当な開きができておる、その承諾料に。こういう現実があるわけです。  この人の場合は世田谷区東玉川のAさんという人ですけれども、借りている国有地四十坪の敷地、それに軽量鉄骨の住宅に建てかえようとしたんですね。ところが東京都の算定基準で計算すると七百九十万円にしかならない、その承諾料が。ところが国の基準で計算すると時価修正率が掛けられるために都の倍以上の千七百七十八万三千八百円になるということになった。それでもう建築費よりも承諾料の方が高くなるというので、その人は建てかえをあきらめた。しかし、同じような条件の人で結局泣き泣きその承諾料を払ってそして建築をしたという例もある。これはちょっと常識的にいかにもおかしいんであって、余りにもとにかくしゃくし定規で、承諾料というのは高過ぎるというふうに思うんですけれども、早急にこういう行政は是正すべきだというふうに私思いますが、大蔵省はどうお考えでございますか。
  119. 藤田弘志

    政府委員藤田弘志君) お答えいたします。  国有財産の貸し付けに当たりましては、財政法の規定によりまして、適正な対価によらなければならないことになっております。普通財産の貸し付けというのは、いわばこれは私法上の賃貸借でございまして、適正な対価とは従来から民間の取引水準に応じたものとすることが最も妥当であるという考え方で処理してきております。  一般に増改築承諾料でございますが、これは借地人による増改築が行われますと借地権の存続期間が延長できます反面、地主は建物の朽廃による土地が返還されるという利益を失うこと等から、特に大都市圏の民間取引において慣行として成立しているものでございます。したがいまして、国が借地人から増改築承諾料を徴収する場合には、財政法の趣旨にのっとりまして、民間における増改築承諾料の水準に準じて徴収しているところでございます。  それで、あと個別のお話でございますが、ちょっと個別の具体的な内容についてはお答えを控えさしていただきますが、現在、国は増改築承諾料を計算します場合に公示価格をベースに計算しております。東京都の場合には、詳細には聞いておりませんが、相続税課税標準価格をベースに使われていると思います。一般の民間はこれは完全な時価でございます。民間準拠ということで、国の現在とっておりますやり方がいいのじゃないか、かように考えております。
  120. 和田教美

    ○和田教美君 民間準拠……。
  121. 藤田弘志

    政府委員藤田弘志君) 民間準拠でございます。
  122. 和田教美

    ○和田教美君 なるべく高い方がいいというんですね。
  123. 藤田弘志

    政府委員藤田弘志君) いや、民間に倣うということです。
  124. 和田教美

    ○和田教美君 今のように、とにかく国と都で現実にはもう非常な差がある。これはどう見ても行政として余り褒めたことじゃないと僕は思うので、大蔵大臣どうですか、この点は再検討すべきだと思いますが、約束していただけませんか。
  125. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはお役人にしてみますと、軽量の鉄骨を建てられましたらこれは当分もう返ってこないということでございますね。それですから、国有財産の普通の規則でやったのだと思いますし、これは推量ですが、東京都は比較的財政的にまあまあ豊かでございますから、そういうことについてやや寛大であるのではなかろうかと思いますが、もうちょっとよく調べさせてみます。
  126. 和田教美

    ○和田教美君 ぜひ検討していただきたいと思います。  次に、この間私、当委員会東京都内の土地状況の視察に参加させていただきましたけれども、視察した中央区の佃二丁目の大川端リバーシティ21計画による建築現場を見せていただきました。この地区には、都営住宅とか公団住宅あるいは住宅供給公社の住宅、それに民間のマンション、それぞれが建つということで、既にもう工事が始まっております。それで、すべて賃貸したということで、私は地価高騰という状況から見て賃貸しにしたのはいいことだと思うんですけれども、問題はその家賃です。都営住宅の場合は三DKで月五万五千五百円、これは非常に安いんですが、これは公営住宅法によって安く抑えられているからなんですね。ところが、公団住宅と住宅供給公社の住宅は、その現場の人の計算によると大体十八万円ぐらいになるということです。それから民間のマンションの場合には周辺の価格から見て二十五、六万あるいはそれ以上になる、こういうことでございます。  そこで問題は、都営住宅の場合には入居基準というのがございまして、所得制限があって、四人家族の標準世帯で年収四百二十八万円余りが上限となっておるわけです。ところが、東京では平均的なサラリーマンは年収五、六百万円という人が一番多いということを政府も言っておるわけでございまして、そういう人たちは都営住宅には入れないかといって、それじゃ今の十八万もする公団のマンションに入れるかというと、これまた企画庁の試算によると、通常生活を破壊せずに住居費に振り向けられる割合は大体月収の一七%から二〇%程度だというんです。そうなると、十八万の家賃を払える人というのは月収が八、九十万なければならないという計算になるわけです。そうすると、この計画は結局そういう中間の一般的平均サラリーマンを全く考えずにやったと結果的になるわけですね。そういう問題について、これをやっぱり改めていく必要があると思うんですが、奥野長官はどうお考えですか。
  127. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) できるだけ低い価格で住宅を大量に提供できるようにしていかなきゃならない、こう思います。ただ、何分地価が異常に高騰しているわけでございますので、異常に高騰した土地の上に建物を建てます場合には、なかなか安い価格で住宅を提供することは困難になるのじゃないか、こう思うわけでございます。  いずれにいたしましても、都心で働くサラリーマンもたくさんおられるわけでございますから、余り長い通勤時間をかけないで通えるような地域には、それ相応にサラリーに従って支払えるような価格の住宅を建設していかなきゃならない、そういうことでは努力していくべきだと、こう思います。
  128. 和田教美

    ○和田教美君 政府の答弁を聞いておりますと、総理初め自民党の年来の持論である持ち家推進政策、こういうものに非常に固執されているように思うんですね。しかし、都内においては持ち家推進政策というのは既に破綻をしている。一般の今言ったような例で挙げても、平均的なサラリーマンはとても持ち家を持つということは実際問題としてもう不可能な状態になっておる。そうなると、やっぱり大幅に政策を転換して、そういうところには良質でしかも安い賃貸し公営住宅を大量に供給するということが私は必要ではないかというふうに思うんです。  例えばイギリスの場合に、住宅の大体三割までが公共住宅だと言われております。イタリアの場合には、土地増価税というのを取って、その税収を自治体の財源として、その五〇%以上を公共住宅の建設などの社会資本整備に回しておる、それで非常に安い公共住宅が提供されておるというふうな例もあるわけでございまして、こういう点から政策のやっぱり転換が必要ではないか。全国的には持ち家推進政策もいいかもしれませんけれども東京に関してはそういうことが言えるのではないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
  129. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 住宅政策につきましてはいろいろな考え方があってしかるべきじゃないか、こう思うわけでございます。同時に、東京で一戸建ての住宅、とてもサラリーマンが簡単に求められるものじゃございません。したがいましてまた集合住宅、土地の区分所有権も持ったマンション、いろんな考え方も出てきているわけでございまして、サラリーマンが将来は自分の家を取得できるんだと、こういう希望を持って働いていきますことがその勤労を支える大きな力になっていくのじゃないかなと思うのでございますので、この夢は捨て切れるようなものではないな、やはりその夢も大事に実るように我々政策課題として受けとめていかなきゃいけないんじゃないか、こう思っておるわけであります。  もちろん賃貸住宅もそれ相応につくっていかなきゃなりませんけれども、こういう状態になったからマイホームは東京については捨てると言われますと、いや、とてもそこまでは踏み切れませんなという気持ちが私の率直な気持ちでございます。
  130. 和田教美

    ○和田教美君 運輸大臣、お休みのようだけれども土地供給の大口は何といっても国鉄清算事業団の持っている旧国鉄用地だと思うんです。今はこれは凍結ということになっておるわけですけれども、いつまでも凍結というわけにもいきません。いずれは何らかの処分方法を、例えば汐留だとか国鉄総裁公館だとか、そういう目玉のものについて決めなきゃいかぬと思うんです。  そこで政府として、これをもう一切払い下げなどをせずに政府が持つ、そして例えば土地信託でやっていくとか、あるいはまた地方自治体に奥野さんの言うように優先的に払い下げるとか、あるいは時価で民間に払い下げる、時期を待ってですね、そういういろんなケースがあり得ると思うんですが、基本的に運輸省としてはどういうふうなお考えなんでしょうか。
  131. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) JRが出発いたしまして何となく順調にいっておりますので、国民の方々も御安心いただいているのは結構なんですけれども、ともしますと、事業団を含めまして抱えております膨大な長期債務が忘れられがちでございまして、これを何とか一刻も早く処置いたしませんと、結局最後に国民に大きな負担がかかってまいります。  そのために、あくまでも公正にということで一般公開入札でこれを処分するというのが原則でございますが、御存じのように、地方公共団体で公共の目的に供するというきちっとしたプログラムがあれば随時契約して譲渡するということで、これが原則のラインでございますけれども、いろんな方がいろんなことをおっしゃっていただきますが、いずれにしろ信託も一つ方法かもしれませんけれども、下手をすると逆ざやになったりするおそれがございます。また国民に要らざる負担がかかるということで、運輸省としますれば、もともとの原則どおり、できるだけ速やかにこれを公開入札という形で処置できればと考えておりますが、今のところはつまり凍結ということでございます。
  132. 和田教美

    ○和田教美君 この問題についてはまだまだ議論をしたいんですけれども、時間がなくなってまいりましたので、土地税制の問題に移らしていただきたいと思います。  まず、大蔵省及び自治省は、土地税制について次の通常国会にどういう提案を予定されておりますか。
  133. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まだ最終的に決めておりませんけれども、租税特別措置法等の関連で、例えばいろいろ御議論がございます、ただいま検討いたしております問題といたしましては、主として住んでおります住宅等の用地の買いかえの場合の特例とか、こういったような特例関連のものが措置法にございますが、これについて必要があればある程度の改正をする必要があるのではないか。まだ十分政府部内の意見をまとめておりませんが、例えばそういったようなものでございます。
  134. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 今国税の問題について大蔵大臣から御答弁ございましたが、地方税の問題につきましても、土地に対するいろいろな税制がございますが、その取り扱いについてこれからいろいろ税制調査会等の御意見もお伺いしながら方針を決めてまいることになるわけでございまして、目下のところ、具体案を持っている、詰めるというところまではまいっておりませんけれども、その中で主なものとして私ども問題意識として認識いたしておりますのは、一つは、固定資産税評価がえに伴いまして負担がふえる場合、それをなだらかにふえるように緩和措置を講ずべきだという税制調査会の昨年十月の御答申もございます。そういったものに照らして、その取り扱いをどうするかということが一点ございます。  それからもう一つは、三大都市圏の特定の市の市街化区域において実施をされておりますいわゆるミニ保有税、一般の特別土地保有税に比べて小規模な土地についても、未利用地として保有されているものに対する特例がございます。この適用期限が明年の三月三十一日に到来することになっておりますので、この延長問題も含めて、この税制についてどのように対応するかといったような課題がある。  主な点についてだけ申し上げましたけれども、そういった認識を持っております。
  135. 和田教美

    ○和田教美君 今の大蔵大臣の答弁によると、相続税の改正は次の通常国会には出さぬということですね。これは秋の抜本改正と一体で相続税の改正をやる、今までの御答弁によると、ただしその実施時期はさかのほる、こういうことでございましたね。  しかし私は、この相続税の改正問題というのはこれはもう非常に緊急を要することだと思っているんです。特に、野党四党の緊急共同提言にもありますように、相続税の中でも特に小規模宅地の一定面積については軽減措置を拡充して、基礎控除それから配偶者控除等を引き上げることが必要だという見解をとっておるわけです。なぜかと申しますと、きのうの新聞に出ておりましたけれども、日本租税研究会というものが試算をしたわけですね。そうすると、六十二年基準地価に基づく相続税のモデル計算で、東京都渋谷区の場合には、これは妻と子供二人ですね、この妻の相続税をゼロとした場合にでも二千二百八十三万円の計算になる。東京都練馬区の場合には二百四十四万、大阪市天王子の場合には百一方、それで福岡市中央区の場合にはゼロだと、こういうのですね。  相続税については、もちろん土地東京は値上がりしたんだから当たり前だという見解も成り立つかもしれませんけれども余りにも開きが大きいというふうに思うわけですね。それで結局何千万かの相続税、奥さんはゼロでも。しかし子供がサラリーマンの場合はとても払えないということで、結局奥さんがその住んでいる二百平米ぐらいの土地を売って、そして払わなきゃいかぬというような悲劇もどんどん出てくるだろうと思うんで、これはやっぱりそんな秋までの抜本改正なんてのんびりしたことを言っている時期ではない。特に二百平米以下のそういう小規模の住宅地についてはそういう切実な問題が起こっていると思うんですけれども、その点いかがですか。
  136. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その相続税をいつ御提案するかということは、実は私ども自由民主党の党内あるいは政府部内にもいろいろ意見がございまして、和田委員の言われるように、それは早い方がいいという意見もあるわけでございます。全体としてまだ最終的に決まっておらないわけでございますが、しかし抜本改正との、やはり財源も要ることでございますし、資産、所得、消費というバランスも要るということで、十年ぶりの大改正になりますからということで、抜本改正に譲りますときには、やはり現実の事態は相当急になっておりますから、何かの遡及なり何なりを考えるべきではないかという、そういうふうな議論としてただいま行われておるわけでございます。  そこで、今言われました小規模宅地でございますが、現在営業用あるいは住居用等で二百平方メートル以下のものは御承知のように割引の評価をしておるわけでございます。四割、三割、二割とございます。それもきつくなっているという仰せは、相当高くなっておりますから、そうではあろうと思いますが、実はそのことは抜本改正を今度どういうふうにするかということと御承知のように関連をいたしておりまして、どのくらいの控除をするかということと、一般の控除でございますね、関連をいたしておりますから、それとの関連で考えさせていただくということと思っております。
  137. 和田教美

    ○和田教美君 今、固定資産税評価がえに伴う法律の改正案が今度の通常国会に出るという答弁がございましたけれども、今考えられている案は、いわゆる現行の負担緩和措置をさらにある程度緩めるというそういう案にすぎないわけですね。要するに固定資産税が上がる点においては同じなんですね。ただ上がり方を少し少なくしょう、そして毎年上がっていく、三年間ですね、こういうシステムにすぎないわけですね。  例えば、これも私試算してみたんですけれども東京杉並区の一般住宅地の面積二百平方メートルの場合、評価額が三〇%アップというふうに見まして、負担調整率一・一といたしますと、六十二年には固定資産税と都市計画税の合計で税額は十二万三千五百円だ。ところがこれが六十三年には十三万五千八百五十円になり、六十四年には十四万九千四百三十円、六十五年には十六万五百五十円になる、毎年上がるわけですね。これで要するに減税とは到底言えないわけで、ただ上がり方のカーブを少しなだらかにしたというだけの話であって、この点についても私は、二百平米柱度以下のこのかけがえのない生活の空間である小規模住宅地だとかあるいは零細な商店、工場併用住宅などについては特例的に固定資産税を下げる、あるいは現状で凍結するというふうな勇断が必要ではないかというふうに思うんですけれども、その点は自治大臣はいかがでございますか。
  138. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 固定資産税は、先生御案内のとおり、市町村のいわば基幹的な財源でもございます。そして、住宅政策の上から二百平米以下の土地につきましては四分の一という減免措置を講じていることは御案内のとおりでありますが、既にこの減税額は一兆円を超えております。ですから、全体で見ますと、部分的に大都市で高いという御指摘もあろうかと思いますけれども、全体の固定資産税五兆円のうち土地にかかる固定資産税は今二兆円でございますが、一兆二千億の減税措置が講じられており、地方自治体、市町村財政に及ぼす影響も大きいので、何とかこの面からはもうこれ以上の減免措置はなし得ないものというふうに考えております。
  139. 和田教美

    ○和田教美君 もう時間もなくなりましたから最後の質問ですけれども、この保有課税ですね、日本では固定資産税、これはこういう状況で画一的な課税のあり方というのはもう限界に来ているのじゃないか、そういう仕組みをむしろ改めるべきではないかというふうに思うんです。  日本大学の北野教授という専門家がこういうことを言っております。その仕組みを、サラリーマンのわずかばかりの居住用資産、中小企業者の事業用資産、長期営農農家の農地といった、人々が生きるために必要な生存権的資産とそうでない資産とを区別する、そして生存権的財産については、売買価格ではなく利用する価格、つまり収益に見合った価格、収益還元価格、これを課税標準として税率も低くする。一方、非生存権的財産、つまり一般企業が買い占めた土地だとか投機目的の土地、高級別荘地などについては売買価格課税標準として税率も高くする。そういうふうなことを提案をしているわけですが、大筋の考え方として私は非常に納得のできる考え方ではないかというふうに賛成するわけでございます。  こういうふうに、とにかく区別して考えるということが必要な段階ではないかというふうに思うのですが、一般的な税制の論議として、大蔵大臣どういうふうにお考えか、その点最後にお伺いします。
  140. 前川尚美

    政府委員(前川尚美君) 固定資産税についてのお話でございますので、自治省の方から御答弁をさせていただきたいと存じます。  ただいま固定資産税についても、資産の用途、目的といいますか、学者の先生のお説を引いて御質問いただいたわけでございますけれども、私ども固定資産税、これは確かに固定資産に対する保有課税でございますが、固定資産税につきましては、よく言われておりますように、やはり市町村の基礎的な財源になっているという税としての地位もございます。また、応益課税の原則に立つ税であるという固定資産税一つの性格もございますので、やはりこれは資産の価値に応じて課税をさせていただくということを原則としてこれからも保持していくのが適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、今御指摘ございましたような資産の区分に従って評価の水準を変えたりあるいは税負担の水準を変えるというのは、やはりこれは適当ではないのではないかというふうに考えております。  ただ、固定資産の中でもいわゆる住宅につきましては、先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、二百平米以下の小規模な住宅につきましては、他の宅地に比べまして固定資産の負担水準が四分の一になっているということで、非常に大幅な負担の軽減が行われているという状況もございます。これはやはり、固定資産税というものを維持する見地と、それから住宅政策といいますか、そういう見地を調和させる施策として実施をされている税制であると考えておりますし、この小規模住宅についての負担の水準をこれ以上に切り下げるということは、先ほど大臣の御答弁がございましたように、市町村の財政に与える影響も非常に大きゅうございますので、これはやはり適当ではないのではないかというふうに考えております。
  141. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 次に、近藤君の質疑に入ります。近藤君。
  142. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私は、土地対策の目的というのは、地価鎮静ではなくて、このような暴騰した地価を下げること、暴騰以前に下げることだと思うんです。その点で、奥野長官の発言を注意深く聞いてまいりましたが、きのうきょう、下げたいと言われる。ただ、どの程度に下げるのかについては明確な答弁がございません。そして閉会中の発言では、当面は価格の安定を目指す。となると高値安定なのかなと思うのですが、そこで質問は、暴騰以前の地価に下げることが可能とお考えなのか、それは不可能とお考えか。どうですか。
  143. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 異常な高騰でございますから正常な価格に戻さなきゃならない。高騰しているときは、まず落ちつける、その次に下げるということだろうと思うのでございまして、現在二十三区については幸いに幾らか下がりぎみになってきておるところでございます。反面、地方の方では高騰を続けてきておるわけでございますから、なお今の真剣な努力は続けていかなければならない、こう思っております。
  144. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 下がりぎみだとおっしゃいますけれども、もうめちゃくちゃに上がったやつがほんのちょっと横ばいのカーブになるという程度、ちょっと下目かもしれませんが、せいぜいその程度なんですね。  私は、これから申し上げますけれども、一定の措置を大胆にとれば地価暴騰以前に下がるということを具体的事実をもって指摘をしたいと思うわけであります。  お手元に資料が行っておると思いますが、資料一です。幾つかの事例、例えば新宿区西新宿八丁目百五十二の八、これは北新建設が所有した後、その右にあるようにたくさんの抵当がどんどんついているんです。そこでこの資料で、全部共通しますが、大事な点はその下のところです、坪単価。この坪単価を出すために大分苦労いたしまして、いろいろ調査もしたのですが、五十九年十二月段階、要するに北新建設が所有した直後二千七百二十一万円であったものが、二年後七千三百八十六万、六十二年の二月時点で一億一千二百七十三万、これが第一事例です。  第二事例は、ちょっと長いんですが、これは西新宿八丁目の関東不動産の所有土地、いろんな土地がありますが、二枚目の真ん中よりちょっと下目のところに坪単価が出ております。六十年十月時点で二千二百四十万円だったものが六十二年四月段階で三千六百六十八万。以下同様です。このようにたくさんあるんですが、一つ特徴的な例を示したいと思います。  それは四ページの港区浜松町一丁目百三の三十三番、東海観光が所有した土地です。これはいろいろ複雑な経過はありますが、大事な点は、太陽神戸銀行融資をしております。六十一年五月段階で六千四百八十二万円であったものが、最高時点では、六十二年八月段階で二億二千二百三十三万円。その後下がっておるんです。恐らくこれは銀行局長指導の結果下がったんだと思います。私が問題にしたいのは、地価が上がる、同じ土地でありながらすぐ貸し出す、また上がる、また貸し出す、これがどんどん地価高騰させてきたわけです。こういう状況銀行局長十分御承知だと思うんです。  そこでお伺いしたいのは、ヒアリングをやったとおっしゃいます。ヒアリングについてやったと言うだけで中身の報告が全然ないんですが、個別じゃなかなか答えがたいと思うので、そこでひとつお答えいただきたいのは、調査対象件数、そのうち不適正融資として指摘をした件数、どんな類型があったのか、類型別、そしてこれに対して銀行局がとった態度、そしてその実施状況、効果、これについて簡潔にお答えいただきたいと思います。
  145. 平澤貞昭

    政府委員平澤貞昭君) 特別ヒアリングの概要でございますが、対象金融機関の数は百八となっております。そして、具体的にどういう点についてヒアリングをしているかということと、それから特にどういう点について問題点を指摘しているかということでございますが、そのうち問題点があると認められる事例一つは、例えば融資対象土地取得価格をその金融機関が自分で評価している額、これに比べて著しく高いというにもかかわらず融資に応じているケース、そういうのがございます。それから、融資する際に、融資対象土地の過去の取引歴及び具体的な利用計画、事業計画等を十分に確認しないまま安易に融資しているというようなケースがございます。それからさらに、前に融資している土地がございますが、その土地につきましてしばらく利用されないまま保有しているというのに対してさらに借りかえに応じている。その際特に、なぜ利用されていないか、さらに利用するとしたらどういう計画があるかというようなことを十分確認しないまま融資しているというようなケース等々があるわけでございます。  そして、このようなケース等が確認されました場合には、まずそういう事態を是正させるように金融機関に強く求める。具体的に言いますと、融賢の返済に努めるように、さらに借りかえその他に応じないようにという指導をしているわけでございます。続きまして、今後そういう事態が起こらないように金融機関の内部体制を十分に点検して固めるようにと。例えば、従来支店だけに任せて支店の判断で融資させるというような場合に問題が生じていることが多いわけでございますが、そういう場合を防止するために本店に審査を集中しろというようなことも強く求めているということでございます。
  146. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今答弁のとおり、厳正に指導する、その中身として是正を求めるということは、結局、資金を引き揚げる、これも重要なことだと思うんです。今お示しした表を全部説明すれば一つ一つが私は不適正事例に当たるんだと思いますが、時間の関係で省略いたします。  不適正事例ということがわかった場合には、大臣、その資金を全部引き揚げちゃうんです。引き揚げますと、投機目的で持っておった所有者は持ちこたえられなくなるんです。すると安く売らざるを得ない。確実に地価が下がるんです。その場合に損する者がいるじゃないかというそういうことがあろうかと思いますが、この資料でひとつごらんいただきたいのは、例えば第一の事例、北新建設は二千七百二十一万円で売ってひとつも損じないんです。それから関東不動産にいたしましても、二千二百四十万円で売ってひとつも損をしない。以下同じです。何倍もの利益をもうけ損なっただけにすぎないんです。奥野大臣も先ほど、大体投機でもうけようなんというのはもうそれは国民の敵だと。国民の敵だったら幾らやつけたっていいんです。場合によったら損をさせたって構わぬのです。しかも、損をする例は私の調べた限りでは余り見当たらないのであります。  となりますと、こういう具体的事実を指摘したので、銀行局長はつかんでおると思うんだけれども、こういう事例についてそれこそ大胆にひとつ引き揚げを指導する。現に金融機関におきましても、全銀協の幹部はやはりそういったことが必要だという発言も現にしておるようです。となると、私は今や金融機関の大勢にもなりかかっておると思うんです。ひとつこれは大胆にやっていただく。と同時に、こういう資金の引き揚げと回収、それからもう一つは、ずっと問題になっている許可制度、そしてさらに税制、この三つを、これはいつでもできることです。  大臣、私は先ほど引き下げを可能と考えるかと言いましたが、こういう具体的な事実が明確である以上これはやるべきだと思いますが、銀行からの金を引き揚げることだから、一つ大蔵大臣、そうして全体の問題も共通しますので、一つ国土庁長官、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  147. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) やはり投機でございますから、もうける者もあれば損をする者もあるのがこれは投機というものの本来だと思います。それで、潮が変わりましたら早く引いた方が得でございますから、黙っておりましてもきっと引いていく。早く引き揚げることは、当然そうなっていくと思います。
  148. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 土地転がしで次々に土地価格を引き上げていってもうけをふやしていく、そういうことは国民の活動や生活の共通の地盤であるその基盤、地盤そのものを揺るがすわけでございますので、そういう意味で私は、国民の敵だという空気が国民の間に生まれてきている、こう申し上げたわけでございます。    〔委員長退席、理事下条進一郎君着席〕 そういう意味で、大蔵省融資規制の問題も金融界においてそのとおり受け入れられて真剣な努力が払われているのだと、こう思います。  土地担保の場合でも、六割から七割ぐらいが本来の姿であるのに、一〇〇%あるいは一〇〇%を超えて一二〇%の融資が行われておったという現実の事例もあるわけでございます。それにつきまして、本店は支店に融資の限度を示しておるわけでございますけれども土地に関する融資については、それを一々本店に持ってこさせているわけでございますし、短期融資してきたものも、土地についてはそういう問題になってきたものでございますから融資がとまってしまう。そこで大変な混乱が不動産業界で起こるというようなことも現実にあるわけでございまして、そういう経過がやっぱり私は土地価格の低下につながっていくのじゃないか、こう思っておるわけでございます。あわせて監視区域の指定を通じて厳しく見守っていきたい、こう思っておるところでございます。
  149. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大蔵大臣はそうなっていくだろうという程度の答弁ですが、不適正事例とわかったらもっと積極的に引き揚げを指導するという姿勢が大事で、そのことで価格が下がるんです。  どの程度下がるかと申しますと、第四事例で東海観光のものですと、これは坪当たり一億六千万円のものが大体六千四百万円ぐらいまで私は下がるのじゃないかなと、これは推測ですけれども思いますし、第五事例で見てみますと、六千三百万円のものが少なくとも四千三百万円にこれは下がります。第六事例、これは東洋機工の件ですが、約四千九百万円のものが三千万円台に下がるんですので、ひとつそういう積極的に取り組むという指導をしていただきたいと思いますが、どうですか。
  150. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、よくない貸し出しは早く回収するようにも申しますが、もともと会社の倒産みたいなものでございますから、早く引いた方がこれは得なんで、黙っておりましても引いていくということも事実だと、こう申し上げたんです。
  151. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 じゃ、そういう指導をひとつ期待し、その結果土地が私が指摘したように、要するに高騰以前に下がるようにひとつ政府全体として取り組んでほしいと思います。  次に、国土庁長官に質問いたしますが、ずっと土地の性格について議論がありました。そこで、土地は社会公共のもので単なる私物ではない、これはずっと共通してきた認識ですね。そして土地それ自身が投機の対象になってはならない、これも確認できるでしょう。
  152. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 投機活動は、一般的に言いますと、経済の活性化につながることであって、一概に責めるべきではないと思います。どういう意味で投機という言葉を使うかによって善でもあるし悪でもあるということになっていくんじゃないか。私が強く指摘しておりますのは、次々に転がしながら高値高値をつけていってもうけをむさぼっている、こういう土地を投機対象にしていたずらに利潤をむさぼるようなことは不穏当なことだ、こう申し上げているわけであります。
  153. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、投機対象にもともとできないようなそういう土地法制をつくることが必要だと思うんです。その点については一昨日内藤議員からも指摘がありました。  そういう土地制度にするために、一つは住民参加の、また住民の意思をしっかり受けとめた地区計画、また用途地域を相当厳格に決めて、そいつを厳格に守っていくということ。例えば、これはアメリカの例でありますけれども、ここに一覧表があります。例えば農用地でも三種類、それから住宅ですと合わせて十数種類の用途地域があります。工場地域にしても幾つかある。そういうふうに厳格に決める。何も外国の制度をそのまままねることはないと思うんですが、日本の場合にはかなり緩やかで、しかも住宅用地であっても、そいつを買い取った場合、後は今までとは全く似つかないものが建っても平気でおる、構わない、それがやはり投機の原因になっていますね。だから居住地域でも、ある種の居住地域に決めたらばそこはそれにしか利用できない、他の利用はできない、そいつを厳格に決める、こういうことが私は必要だと思うんです。  それについて、建設大臣いませんが、おとといの答弁ですと、日本流でいきますと。日本流でいきますというのは、今のまま住宅用地を買って従来とは全然違うようなものも建てられるということを是認するものだと思うんですが。——ちょうど建設大臣のところに来ましたので、おとといの日本流でいきますということについての質問なんです。私が今申し上げたことは、用途地域を厳格に決めて他の流用はできないというような一つの体制を厳格につくっていくこと、そのことが大変大事ではないかと思うんですが、ひとつ御見解を賜りたいと思います。
  154. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 質問を全部聞いていないので失礼をいたしました。  私が先般日本流と言いましたのは、西ドイツを引用されての御質問でありました。確かに西ドイツは都市を詳細計画というのでいろいろやっておられるようであります。日本もこのことは五十五年からいい部分は取り入れでやっている、こういうことであります。  ただ御承知のように、日本は東京の特別区だけで八百万以上の人口、お隣の横浜が約三百万、それから大阪、名古屋が二百万以上であります。ドイツにいたしますと、ドイツは百万から、二百万以上ございません。百万単位が三都市あります。そして首都ボンは三十万以下、こういうことであります。でございますから、日本は非常に一極集中になっておる。でございますから、一極集中を、いつ至言っておりますように多極分散をしていく、そういうことであります。  一番今問題になっておりますのは東京の特別区の問題でございます。また横浜との問題、これも交通と大変重複をいたしております。でございますから、とにかく日本は第一番には多極分散をやりますし、そうして都市計画にいたしましてはできるだけ見直しも、むやみに見直しをするということでございませんけれども、産業構造等で変化をしていく、これを見直しをしていく。そして、日本流に大きく素材産業等の後はやはり都市計画の変更をして宅地の供給をしていこう、こういう趣旨のことを申し上げたような次第であります。
  155. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 質問を聞いてもらっていなかったのでやはりちょっとかみ合わなかった答弁ですが、ただ、今言った見直しの中に私は規制の緩和が含まれているんじゃないかと思って心配するわけです。時間の関係で次に進みます。  大事なことの一つの柱は、やはり用途地域、地区計画をきっちり決めてそれを厳格に守っていくということ。もう一つは税制です。例えば商業地域で、道一つ隔ててこちらは商業地域、こちらは住宅地帯、厳格な住宅地区ですね。たしかこちらの場合は坪何百万、こちらは坪せいぜい何十万という差があって、譲渡益に差があるので不公平が生じやしないかという心配もあるんですが、その差は税制で不当な利益を許さぬという立場でしっかり取っていけば、これは私はそんな不公平も生じないということを申し上げておきたいと思うんです。これはまた後で触れます。  そこで、譲渡益課税について入ります。  本年改正の土地税制が決して投機抑制につながっていない。二年以下の法人の場合の重課は、これは一定の効果は私はあると思いますが、それ以外は、例えば長期を従来の十年超から五年超にしてしまった、それから個人については最高税率が七〇から六〇%に大幅に下がったことから、ごく一部の例を除いて全部減税なんです。  これで資料二をごらんいただきたいと思います。それぞれの所有期間十年、五年それから二年超五年以内、そして超短期の二年以内、これを見てみますと、超短期の譲渡益が三千万と五千万の場合にのみこれは増税になります。そういう意味ではその効果はあると思うんです。ところがそれ以外は全部減税なんです。しかも譲渡益が多くなればなるほど減税の額が多くなってくるという、しかも率も多くなってくるという、こういうことなんです。そういう意味では、先ほど奥野国土庁長官が言ったような投機の対象にさせないという面から見ますと、むしろ本末転倒の税制じゃないか、こういう立場では本当の土地対策はできないんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  156. 瀧島義光

    政府委員瀧島義光君) お答えいたします。  委員指摘のように、去る九月の臨時国会で所得税の減税を含む税制改正法案を成立させていただいたわけであります。これは当然のこととして、その所得の内容が譲渡所得から成る場合においても同じように適用されますので、その結果御指摘のような現象が出てくる、これはやむを得ないところかと思います。ただし、その臨時国会で成立さしていただきました法律の中には、今御指摘がありましたように超短期譲渡所得に対する重課制度というものが設けられており、この結果、所得税と住民税を合わせたところで負担を計算してみますと、超短期の場合にはごく限られたケースにおいて減税効果が生じますけれども、大多数のケースについては増税効果が生ずるというようなことになっているわけであります。  また、いろいろな内容から成る税制改正でございましたが、仮需要の抑制ということのほか、やはり供給をふやすという配慮から成る改正案もあるわけでございまして、それが短期、長期の区分、御指摘になりましたとおり今後二年半の間だけ、時限的措置でございますけれども、十年という基準ではなくて五年という基準にして供給促進を図るということにしたわけでございます。これは事理の当然でございますけれども、税金をその間は安くするということによって供給を図るわけでございますから、税負担が安くなるということ、逆に言えば、それだけ投資財としてのうまみが増してある程度需要も多少は誘発するということも考えられるわけでありますけれども、これは時限措置でございますので、そういった仮需要誘発効果というものはその面では余りないのではないかと考えております。
  157. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 税負担を軽くしそして供給をふやしたつもりが、地価が下がらないで逆に上がっちゃったんですね。ここにやっぱり問題があるんですよ。ですから私は、これは土地の所有期間の長短を問わず、やはり基準日における適正価格を超える超過利益、その超過利益は先ほど私が具体的に示したのもこれは一つの例だと思うんですけれども、こういう超過利益について、一定の利益はいいと思うんですが、超過利益については一〇〇%課税を行う。となると、用途地域を厳格にした場合の不公平もこれはなくなるんですが、こういうことを考えるお気持ちはありませんか。
  158. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、基準というものを決めることは非常に困難でございます。
  159. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると、基準が決まればやりますか。
  160. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 基準は決め得ないと思います。
  161. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 基準暴騰以前の地価ですよ。私は具体的に示したし、これは金融機関がしっかりした態度をとれば、引き揚げればもとに戻る、あのまんまの形にいくかどうかは別ですけれども、一番最初地価で売らざるを得なくなってくることがあると思うんです。ですから私は、暴騰以前の地価基準にすると。だから基準は可能なんです。可能ならやりますか。
  162. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それはもう地域によってみんな基準が違うと思います。
  163. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ですから、それはあきらめるんじゃなくて、それは私はいろんな討論やいろんな議論が必要だと思いますよ、各地域基準を決めていくのに。しかし決まるんですよ。やるべきじゃないでしょうか。
  164. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま申し上げたことでもおわかりのように、もう地域によって全く違うわけでございますから基準が無限にできるだろうと思います。
  165. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 水かけ論をしておっても仕方ありませんが、私はそれを追求して、可能ならばやっぱりやるべきだ、こういうことを指摘して、次に進みたいと思います。  もう一つは脱税の問題なんです。特に私は法人に対する譲渡益重課、これが大体脱税の温床になっているんじゃないか、こう思うんです。これはもう数字は私の方で申し上げます。要するに、調査の結果ふえた税額が法人税の重課税です、六十年に六十二億円、六十一年には百十三億円、一・八倍、たまたまわかっただけです。  そこで大蔵省にお聞きしたいのは、この譲渡益の脱税にはどんな手口があるのか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
  166. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 最近におきます法人土地に係る短期の譲渡益課税についての調査上の増産税額は、委員が今おっしゃったとおりであります。その調査において私どもが発見しました手口を五例ほど申し上げますが、第一は、土地取引の中間に赤字法人が介在したように仮装するなどして土地の譲渡益を除外しているもの、第二は、受け取った仲介手数料を無作為に除外するなど仲介手数料を除外するもの、第三は、土地の仕入れ及び売り上げの両方を計上せず土地の売買差益をそっくり除外しているもの、第四は、土地の仕入れの過程にいわゆるダミー法人を介在させるなどして土地の架空仕入れを計上するもの、最後に、架空の領収書を利用するなどして架空の支払い手数料を計上する、こういった手口が主なものであろうかと思います。
  167. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 一定の成果を上げていると思うんですが、しかし脱税はどんどんふえると思うんですが、これに対する国税庁の対応策はどうですか。
  168. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 今申し上げましたように、私どもが見ておりまして、土地を中心とする不動産取引において課税上の問題が種々あらわれてきていると思います。特に都市部において地価高騰を背景にした土地取引の活発化がございまして、それに関連して脱税が行われているということも予想されるところでございまして、委員御承知と思いますが、去る十月十六日に東京、大阪、名古屋、関東信越の各国税局を中心にして全国税局に、土地取引に係る資料、情報の収集及び調査を重点的に実施するためのプロジェクトチームを設置することを指示いたしました。土地取引に関しましては徹底した調査を今後とも行っていく方針であります。    〔理事下条進一郎君退席、委員長着席〕
  169. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私はその調査を期待しております。  ところで、資料三をひとつごらんいただきたいと思うんです。  これは新宿八丁目百七十四番地ほかの土地で、フジタ工業が大体みんなまとめ上げた土地です。これは一昨日も内藤議員が図で示した場所でありまして、いわばもう日本の、わけても新宿土地戦争の一番最大の激戦地であります。今国税庁から脱税の手口の説明がありましたが、私はこの脱税の手口を聞きまして、この登記簿謄本を見てみますと、ここに疑惑が出てきはしないか、こう思うんです。どんな疑惑かと申しますと、フジタ工業からフォレスト企画が五十九年九月十八日に購入し、その後六十年九月十七日に株式会社公保に所有権が移っていますが、それが真正なる登記名義の回復、これは聞きなれない言葉ですし、また異例のことでありまして、私も弁護士生活が大分長かったですが、大体二件ぐらいしか扱っていません。めったに起きる事態じゃないんですね。  この真正なる登記名義の回復があったその後、同日から右に書いてあるような融資が次々にされています。一番右端に書いてある坪単価から見ましても、土地が上がるたびに一流金融機関も含めてどんどん貸し出しています。最終的には坪単価五千五百二十万になっていますが、合計二百二十五億の融資がなされた後、今度はこれはサラ金で有名な武富士がこれまた真正なる登記名義の回復、そして即日共立エステートに売買。この共立エステートというのは武富士が一〇〇%出資をしている会社のまた一〇〇%出資会社、子会社ですね。これを見まして、先ほど赤字会社を介在させるとかいろいろ類型がありました、これについて疑惑は感じなかったのか。これは既に十月の十二日の衆議院物特委員会で我が党の岩佐議員が指摘をしていますが、これは調査されましたか、どうですか。
  170. 日向隆

    政府委員(日向隆君) 今のお話は個別の法人を挙げてのお話でございますので、個別の法人について調査したかどうか御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  171. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そう答えると思って調査してまいりました。調べていないんです。武富士は税務調査を受けていないんですよ。大体が調べないと思って、私、国税庁に成りかわって土地問題特別委員会委員兼大蔵委員として武富士に行った。専務以下重役さん、ずらっと並んで応対してくれました。  調査していないんですが、そのときの説明は、将来の武富士の事業用財産として買ったんだと。もしそれが本当だとしますと確かに脱税問題も起きない、土地投機も起きないと思うんですが、その説明に私は重大な疑惑を幾つか感じたんです。また、即日共立エステートへ移転して何だ、こう言いますと、いや、将来建物を建てるときには戻してもらうんだと。戻してもらうんだったらなぜ移転したんですか——武富士で持っていればいいですね。それから、武富士は直接フジタ工業から買ったと、六十五億で。じゃなぜこのフォレスト企画の登記があるのかと聞きますと、実はフォレスト企画から借金しましてその担保として所有権を移転したんですと。そういう場合もあるんですが、私はこれはうそだと思う。  なぜかといいますと、六十五億ものその土地価格がある。しかも、まさしく世界一の土地戦争の真っただ中ですね。登記簿を見てみますと、例えば仮登記がついているとか、買い戻し特約がついているとか、あるいは譲渡担保になっていればまだ話はわかります。何にもついていないきれいな所有権移転です。もしフォレスト企画が悪い気を起こしてほかに転売しちゃったら、もう今申し上げたとおり、これは三百億ぐらいの時価になりますよ−な一ていますよ、現に。それでパアになっちゃうんです。まず、幾ら借金したかわからぬけれども余り関係のない会社です、そんな会社になぜ所有権を移したのか、これが一つの疑惑。  もう一つは、借金したといいますけれども、フォレスト企画はこの年のちょっと前に設立したばかりで、資本金五百万。しかも会社の目的には金融業はありません。金融業のないものから武富士が金を借りる。しかも、こんな登記を移す。大変な疑惑なんですね。だから最初の説明はうそだ、私はまずこれはおかしいと思います。  それからもう一つ疑問を感ずるのは、先ほどの赤字会社介在云々です。恐らく共立エステートは転売して転売利益を上げるはずです。現に、有価証券報告書には武富士に利益は出ていません。譲渡益が出ていないんで、なぜ利益が出ていないのか聞いてみたらば、全く同じ値段で売ったから要するに金の利益が出ていないんだと言うんですね。それは有価証券取引書で一致していますが、これはおかしいです。これを国税庁の専門的立場から見てみますと、低額譲渡の場合には、安く売った二分の一については、一つの税法上の扱いでやはりこれは寄附金なんでしょう。それは、そんなに安く税務署は認めませんよね。そういう疑問もある。あれこれ見てみますとこれは疑惑だらけなんですね。  となると私は、共立エステートが将来物すごい、何しろ六十五億で買ったものがもう既に三百何十億ですから、譲渡益を出して、しかしその当時は共立エステートは赤字会社になっているんじゃないかなという、こういう疑惑をこれに感ずるんです。ぜひこれは調査すべきだし、今後そういう転売による不当な利益の税をそんなぐあいに免れることは許さぬという態度を私は明確にすべきだと思うんです。  そこで、それは事務的な問題だからひとつ国税庁にお答えいただきたいし、ひとつ大臣には、登記をこんなに悪用して——おかしい登記ですよね。登記を悪用することによって脱税を図るような措置は断じて認めない、こういった態度をこれは明確にできませんか。そういう態度を明確にすることが私は未然に脱税を防いでいく上で大変教育的効果が大きいと思うんですが、それぞれお答えいただきたいと思います。
  172. 日向隆

    政府委員(日向隆君) ただいまの委員の御指摘につきましては、御承知のように、私ども日ごろから課税上有効な資料、情報の収集には全力を挙げているところでございまして、その一つといたしまして私、十分ここで承らせていただきたいと思います。  登記の問題につきましては、登記には権利移転等を公示し、それについて第三者対抗要件を持つという機能があるので、通常の不動産取引においては登記が正確に行われているのが一般的だろう、こう思っております。  税務調査の立場からいえば、すべての場合において登記が正確に行われることが望ましいわけでございますが、今お示しの中間省略登記は、真正なる登記名義の回復を登記原因とする所有権移転登記の場合においても、登記資料を参考に登記名義人から順次真実の取引相手方を尋ねるという方法で、時間がかかりましても真実の売買取引の把握に努めているところでございます。ただ、御指摘もございましたので、土地売買取引資料を初め広範囲な資料、情報の収集に私ども努めまして、今御指摘になりましたようなことについて課税上の問題が最近出てきておりますので、この点を十分念頭において今後実態の把握に努めまして、この面からの課税の充実にも一層努力してまいりたい、かように考えております。
  173. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま申し上げましたように、実際の取引調査いたしまして、それに従って課税をするということでなければならないと思います。
  174. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 法務大臣、せっかく来ておりますので、こういう真正なる登記名義の回復という異例なものが悪用される可能性——しかもまだあるんです。資料三の下の港区芝大門二丁目の土地もこれは、犬も歩けば棒に当たるじゃないけれども、たまたま出てきたんですよ。私が歩いておってぶつかるくらいだから、恐らく最近、しかも土地高騰地域に出てきているということはほかにもたくさんあると思うんですね。  問題は、こんな登記が勝手にどんどんできるという事態。ですから私は、問題があると思うのは法務局の窓口でチェックできないか。例えば、前の登記が無効だからこういう制度が使われたんですが、そのことを公的に証明する書類が必要かというと、必要でないらしい。それから、もとの所有者、フジタ工業の同意なりが必要だというならばまだ不正は防げますが、それも必要でないらしい。それから大体、同じ土地に同じ契約で一度ならず二度までもこんな異例な登記がされる。これは、受付の人は専門家だから必ず不審を抱くんですよ。そこでチェックできないのか。これもどうもできないらしい。一体今後どうするのか。  ひとつ事務的な問題を簡単にお答えいただき、大臣がせっかくおいでなんで、大局的な立場からこういうものの対策をひとつお答えいただきたいと思います。
  175. 藤井正雄

    政府委員(藤井正雄君) 真正なる登記名義の回復は、無効な登記がございます場合に真正な所有者が登記名義を取得する手段として従来大審院以来の判例上認められてきた事柄を登記実務でそれに合わせたものでございますが、今御指摘のような前の所有者の同意書であるとか、そういったものは要求されておりませんし、実質審査権を登記官は持っておりませんので、そのような審査を行いますことはできないように思います。しかし、乱用のきらいがあるように見受けられますので、検討は必要かと思っております。
  176. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 だから、土地の地上げや脱税に利用されないような検討をお願いしたいと思うんです。  法務大臣、聞こうと思ったけれども、次の問題をやらなきゃいかぬものだから、大変申しわけないけれども答弁は結構であります。  それで、私は次に宅地並み課税、先ほど指摘もありましたが、もう余り時間がないんで端的に指摘をしたいと思うんです。  資料四と五をごらんいただきたいと思うんです。私は、大企業の土地保有コストは極めて安いと。王子製紙が安いのはこれは森林が多いから仕方がないとしましても、例えば新日鉄。平方メートル当たりの保有コストは三十二円。そのほか、日本鋼管で九十二円。住友不動産でも五百七十七円なんです。一方、都心部の普通に生活する、先ほど話の出た生存権的な居住、土地保有に対する固定資産税が異常に高いんですね。南青山三丁目で見てみますと、一四五%前回よりアップしていますが、これを平方で見ると大体千七百円。それから新橋六丁目ですと、これは平方で見て六十二年で七千円、坪だと二万一千円ぐらいになりますね。やっぱり庶民が住む、こういうものが異常に高い。  そこで、最後の質問でありますけれども、こういう大企業の異常に安いものについては、やっぱりこれでもうけているんだから、これに対して私は保有税の負担が重くなってもいいと思うんですよ。ところが住むだけで、例えばこの場合ですと居宅で年間四十七万円ですよね。サラリーマンはとてもこんなのは負担できません。となれば、売って出ざるを得ないというのであれば、居住用についてはこれは安くしていくというようなことを十分私は考えるべきじゃないかということをお答えいただきたいと思うんです、自治大臣
  177. 梶山静六

    国務大臣(梶山静六君) 御指摘固定資産税の、特に居住用の小規模、これについては相当な減免措置をいたしているわけであります。
  178. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 反論したいけれども、時間がなくなってしまったので……。
  179. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 次に、山田君の質疑に入ります。山田君。
  180. 山田勇

    山田勇君 けさの新聞各紙に報道されております記事ですが、旧国鉄用地を公共用目的で払い下げを受けた神奈川県茅ケ崎市が契約違反をしてほかに転売をしたとして、旧国鉄の資産を引き継いだ国鉄清算事業団が茅ケ崎市を相手取り、転売地の原状回復と違約金の支払いを求める訴えを横浜地裁に起こしたというものですが、自治省としては、こういうのはどういう見解で見ておられるのか。また、土地を転がして茅ケ崎がもうけたというケースでもないようですが、自治体が安易に契約に違反して転売するのは、たとえ公共用、公用という内容であるにしても、土地問題が各方面で真剣に討議されている現在、ルール違反として厳しく対処しなければならないと思いますが、石原運輸大臣等々に御答弁をいただきたいと思います。
  181. 小林実

    政府委員(小林実君) ただいま御指摘の件は、残念ながら争いとなりまして現在裁判の場で係争中の案件でございまして、自治省といたしましては、今後その推移を注意深く見守ってまいりたいというふうに考えております。  旧国鉄用地の売却に当たりましては、公共用、公用等に供する場合につきましては地方団体への随意契約が可能となっております。こういう形で買い受けを受けました土地につきましては、地方団体におきましてはこのような制度の趣旨を踏まえまして都市開発あるいは町づくり等の施策を進めていただきたいというふうに思っております。
  182. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 膨大な長期債務があるわけでありまして、最後は国民の負担にかかってくるわけでありますから、これをできるだけ早く、そしてまたできるだけ、誤解を受けやすい言葉でありますけれども、高く売って国民の負担を軽減しようというのが清算事業団の眼目であります。しかし、いいところにいい土地もございますので、地方公共団体があくまでも公共の利益、目的のためにこれを使いたいという場合に限って随意時価でお渡しするという方法も講じているわけでありますけれども、今回そのつもりで契約を結び、こういうことになったんですが、結果はそれが転売されまして、私たちから眺めますと明らかに契約違反である。こういうことが積み重なりますと、やはり地方公共団体との信頼関係というものは損なわれますので、まことに好ましくないという気がいたします。今後、事業団を初めとする関係者ができるだけ協議、努力して、こういうことのないようにひとつ事を図っていただきたいと思っております。
  183. 山田勇

    山田勇君 奥野国土庁長官の地元であります奈良市などは、やはり同じ跡地であっても気持ちよくスムーズに駅前再開発等々で公共用にきちっとした形で事業計画を立て、地元の住民も喜んでそういう跡地利用に参加しているというケースもあるんですから、その点は十分自治省並びに運輸省の方も御監督をいただきたいと思います。  そこで宮澤副総理、昨夜小雨がそぼ降る寒風吹きすさぶ中、国会の周辺を取り巻いた勤労者のデモがあったことは御承知だと思いますが、それは土地暴騰を怒る緊急集会と書いた横断幕を先頭にシュプレヒコールで政府の土地対策を糾弾する勤労者の切実な請願デモでありました。今や国民は本当に怒っているんです。幾らまじめに働いてもマイホームは手に入らない、こんな絶望感を東京に住む第一線のサラリーマンに与えていいものでしょうか。  政府は、土地対策に取り組む姿勢として、勤労者の前に悪質金融機関、不動産業界の地上げなどに鉄槌を下す決意を今こそ示さなければならないと思いますが、両大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  184. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 非常に土地価格が急騰いたしました。それに金融もやはり一つの役割を担ったというふうに考えられましたので、特別ヒアリング等々をいたしまして、十分注意もいたし、また改善措置も講じてもらって今日に及んでおります。
  185. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今お話しになりましたことは、私も同感でございます。その気持ちで最善を尽くしていきたいと思います。
  186. 山田勇

    山田勇君 さて、本日はお見えになっておりませんが、これまでのこの委員会における質疑を通しまして竹下総理の答弁を見ていますと、土地問題は地価高騰があって初めて考えることになったと受け取られるのであります。土地問題は、長期的視点に立って国土の均衡ある発展を進めていく必要があると思うのであります。竹下総理は四全総による多極分散型国土の形成を図っていくとの考えをお持ちのようですが、現在の土地問題、地域格差の拡大などに見られるように、従来の全国総合開発計画はうまく機能してきたのかどうか疑問に思わざるを得ません。  そこで宮澤副総理並びに国土庁長官にお伺いしますが、国土の均衡ある発展、その中で今後土地問題解決のためにはどのように取り組んでいかれるのか、その点の御答弁をいただきたいと思います。
  187. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 全国総合開発計画、いわゆる新全総、三全総、このたびの四全総とおのおの承継された構想でございますが、いずれもやはり各地域に交通、通信等々あるいは産業の立地を通じて日本全体のつまり居住にバランスをつくり出そう、ときどきによって名称は違いますが、いわゆる京浜地区、このゾーンに集中しないように、あるいは東京、大阪に集中しない、いろいろ名称は違いましたが、それをやってまいって、それによってできるだけ土地、特に住居地、工場用地も含めますが、の供給の増大を図ろうとしてきたことは私は努力としては確かであったと思いますが、その計画どおりのことが行われなかったこと、並びに我が国全体の国際化であるとか核家族化であるとか、あるいは産業の発展の度合いであるとかが予想を超えたという点もあったように存じます。
  188. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 国土の全域が国民に適切に利用されるようにしていかなきゃならない、それが御指摘の国土の均衡ある発展ということにもなろうかと思います。四回目の全国総合開発計画ではございますけれども、従来どおりに進んでまいりますと、また絵にかいたもちになってしまうんじゃないか、こう思うわけでございます。絵にかいたもちにしてしまわないためにはどういう手法があるのか、そういってとで今苦慮しておる最中でございます。
  189. 山田勇

    山田勇君 さて地価高騰の問題ですが、これは過去に何度か起きております。そのたびに原因を探し対処してきたわけですが、例えば昭和四十年代後半の地価高騰の際にも、昭和四十八年に土地融資規制の通達、土地譲渡差重課税、特別土地保有税などが実施され、さらに四十九年に国土利用計画法が施行されたのですが、その後の地価対策あるいは今回の地価高騰時になぜうまくそういうものが機能しなかったのか、これを両大臣にお尋ねしたいと思います。
  190. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど和田委員にも申し上げまして、長くなりますので簡略に申し上げますが、やはりそのときそのときの対症療法というものはそのときなりに効果を上げておるのでございますけれども、その根源の需給というもののバランスがやはりとれないということで問題がなかなか根絶できないといいますか、根治、全治できないということではないかと思っております。
  191. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 敗戦後四十二年でございます。私は、四十二年前ではございません、昭和二十五年に、アメリカと日本、こじきと百万長者の違いがある、こじきが百万長者のまねをしていってうまくいくはずはないよというような意見をいろいろ言っておったわけでございました。そのころに、東洋経済新報の社長などをされました小汀利得さん、大変な毒舌家で有名でございました。この方が私を大変評価してくださって、あちらこちらで私のことを指摘されておりました。それがまた話題になった時代でございました。  今日、アメリカと日本、在外純資産では日本は世界一、アメリカは純負債では世界一、貿易の黒字では日本は世界一、アメリカは赤字では世界一、大変な違いになっておるわけでございまして、四十二年前に今日の日本を想像した人があるとすれば私は教えてもらいたいなという気がいたします。そのような急伸展というものは、やっぱり後から振り返ってみれば、ああすればよかったな、こうすればよかったなということが出てくる。それが今宮澤大臣指摘されたところじゃないだろうかと思います。  でございますから、責めることはいろいろ責められるでございましょうけれども、後から考えてのことじゃなかっただろうか、やっぱりそのときどきには最善を尽くしてきたのだということはお認めいただきたいものだと申し上げたいわけでございます。
  192. 山田勇

    山田勇君 土地問題が国会で論議されるのは、地価高騰し、大きな社会問題となるときであります。土地問題は、地価高騰だけではなく、土地利用また所有といった総合的な対策を講じることが肝要であると考えます。国土の有効利用という観点からも土地問題を考えなければならないと考えますが、長官の御所見を承りたいと思います。
  193. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) おっしゃるとおりに存じております。
  194. 山田勇

    山田勇君 さて次に、今回の地価高騰に関して政府の認識について若干お尋ねをいたします。  まず、今回の地価の上昇の始まりはどこにあったと認識をされておりますか、長官。
  195. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 東京が世界の金融センターになった、世界各国が日本に事務所を求め出した、外国人の住宅を求め出した、それが私は最初のきっかけじゃないだろうか、こう思っておるものでございます。
  196. 山田勇

    山田勇君 どちらにしても、東京一極集中型の弊害といいましょうか、そういうものが出てきたわけであります。そういう土地に全然関係のない我々であっても、東京地価が大きく高騰した、ある意味である程度そういうものがおさまり始めると、預貯全力といいましょうか、そういう金融政策を踏んまえながらそれが京都へ行った。我々の聞くところではそういうふうに承るわけですね。京都へ行った。京都の四条河原町メーンストリートを地上げ屋が荒らした。そして大阪に入った。しかし、大阪というところは特異な土地柄で、それは二、三そういう地上げ屋に荒らされた部分はありましょうが、ある意味ではそんな大きな地上げ屋が入って、東京資本が入って大阪を荒らしたということは聞きませんし、大阪人独特の勘でそういうものを排除していった。  そうすると行き場がないものですから、今九州の福岡にそういう大きな地上げ屋が入っているというふうに、これは巷間伝えられるところですからわかりませんが、しかし何かそう言われればそういうふうなことがありますね。やっぱり京都なんか、今しにせのまんじゅう屋さんが大きな地上げ屋でつぶされて被害を受けたというように関西の新聞には出ておりますし、行き先行き先でそういうようなことがあるということでございます。  また、昭和五十九年度の国土白書を見ますと、都心部の商業地の地価上昇について、「今後も、商業地の局地的な地価上昇が一般の住宅地へ波及することはないとみられる。」としています。六十年度の白書におきましても若干の指摘にとどまっているわけですが、この点やはり土地問題の把握、その対策について責任を持っている国土庁としては認識が甘かったのではないかというふうに思います。  今回の地価の上昇のプロセスを見ますと、第一に都心三区の商業地域が上昇し、第二にその土地を売った商店の人が郊外の住宅地を買いかえた。しかもその際、現行の買いかえ特例制度は譲渡益をすべて使い切らないと課税されるために、無理をしてというか、言い値といいましょうか、高く買ってしまうことになった。そして第三には、金利安、土地の先高観による思惑買いなどによって僕は土地価格高騰を招いたと思います。結果的に見て、早い段階でその対策が必要であったことは否めない事実であります。今後二度とこのようなことを繰り返さないため、この地価上昇のプロセスの分析を国土庁としては厳正に行っていくべきだと考えておりますが、どうでしょうか。
  197. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私は今も東京を目がけて事務所を求める動きは続いていると思います。外国からの動きもそうでございますし、国内でも経済構造が大きく変わってきておりますので、第一次産業から第二次産業、第二次産業から第三次産業、サービス部門なんかでもどんどんどんどん事業が拡大してきているわけでございまして、それはやっぱり工場用地じゃなくて事務所が要るんです。そういう意味からも東京集中は続いてきているように思うわけでございます。  同時にまた、地方もみんなそんなに需要があって土地の値段が上がっているかというと、私は必ずしもそうは思っていないのであります。東京土地とほかの土地との値段を比較して安過ぎるから、関東勢が買いに来ている、こういうような表現が生まれてきているわけであります。そういう意味で、何としても東京地価をもっと下げなければいけない、それでなければ地方に波及している点を抑え切れない、こういう気持ちも持っているわけでございまして、土地の供給もふやしていかなければなりませんけれども、同時にそういう関連もあるということをよく理解していかなければならないと思っているところであります。
  198. 山田勇

    山田勇君 国土庁長官、事務所が絶対廃らない云々というようなことをよく言われておりますが、これは事務所でも問題があるんですね。社会資本の拡充なんということになりますと事務所ができる、それだけのキャパシティーができるとそれだけの人口がふえる、それが通勤圏にも反映していく、いろいろな問題があると思います。  その中で、東京都中心部のこの地価上昇は昭和五十七年のころから始まったわけですが、政府としても昭和六十一年一月よりおくればせながら土地取引実態調査をし、土地取引の当事者や規模、転売等の状況の把握に努めてきたようですが、その結果、効果といいましょうか、土地高騰を抑えるのにはどのような効き目がありましたか。また、一部業者の土地買いあさりの動きに対して必要に応じて、適正を欠く価格による取引や投機的取引などに頻繁に関与している業者をこれまでどのように指導してきたのか。現在若干土地価格が鎮静化している状況と照らし合わしてどのような見方をしているのか、長官にお尋ねしておきます。
  199. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 先生指摘調査でございますけれども、これは六十一年の一月から東京都の十一区で実施したものが現在まとまっております。これは東京都内十一区の土地取引を網羅的に土地登記簿をもとにして調査したものでございます。その調査結果に基づきまして金融機関、不動産業者の指導に努めておりますし、また、国土利用計画法届け出違反等についてもいろいろ発見に努めているところでございます。
  200. 山田勇

    山田勇君 国土庁土地局の昭和六十二年都道府県地価調査の特徴という資料によりますと、東京圏等で著しく高い変動率を示している一方、地方平均の変動率は前年並みの水準にとどまっており、二極分化傾向がはっきりしているわけですが、また、地域別の全用途平均変動率を見ますと、東京圏がやはり五七・五%と、三大都市圏を除く地方の一・三%と大きくかけ離れておりますが、このような傾向は今後も続くのかどうか、お尋ねしておきます。
  201. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 先生指摘の本年七月一日現在で調査いたしました地価調査の特徴につきましては、先生指摘のとおりでございます。  ごく最近の地価動向について見ますと、国土庁地価の精通者等についていろいろ聴取したところによりますと、東京の都心部、それから区部南西部、そういうところでは地価の上昇はほぼ鎮静化したというふうに見られる状況でございます。また、この鎮静化状況東京都の区部北東部、それから多摩地域、そういうところにも次第に波及しておりまして、地価上昇が鈍化しているという状況でございます。しかしながら、埼玉県とか千葉県等東京の周辺地域では依然として地価上昇が続いておりますし、また、大阪圏とか名古屋圏でも地価上昇が続いております。それからまた、地方におきましても主要都市の商業地、それから一部高級別荘地等においても地価が上昇しており、これらの地域においても地価動向を厳重に監視していく必要があるというふうに考えております。しかし、それ以外の地域におきましては地価は極めて安定的に推移しておりまして、地域によりましては下落を示している地域もあるというふうに認識しておりまして、日本の地価の二極分化傾向というものを非常にはっきりと示している状況でございます。
  202. 山田勇

    山田勇君 後に尋ねようと思ったんですが、私が住んでいる大阪の方はまだ鎮静化に向かっていないということです。  これは質疑通告していませんが、これから「花と緑」という地方自治体の大きなイベントがございます。これは国を挙げての一つのイベントですが、その辺の関係で大阪はまだ地価上昇というようなインパクトを受けているんでしょうかね、万博の。済みません、これは質疑通告していないんで、わかる範囲で結構です。
  203. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 大阪圏におきましても、昨年来大阪市の中心商業地が非常に高騰したわけでございますけれども、それが最近は周辺の高級住宅地等にも地価上昇の波が広がっておりますし、また先生指摘のように、研究学園都市の周辺地域とか、それから関西空港の関連地域とか、花の万博の関連地域とか、そういうところにいろいろ広がる様相を見せているわけでございます。  そこで私どももいろいろ関係の府県と連絡をとっておるわけでございますけれども、御承知のように、十二月一日から大阪市が都心八区を監視区域に指定しましたし、また十二月二十五日から京都府が関西学研都市の地域監視区域に指定する。それからまた、来月の」月五日には兵庫県が芦屋市ほか二市、それから神戸市が中央区ほか二区をそれぞれ指定するというふうに聞いております。また、大阪府におきましても監視区域の指定につきまして検討が進んでおりますし、また、奈良県におきましても検討委員会を設けて監視区域の検討を始めているというふうに聞いております。今後とも監視区域の指定につきましては、関係府県とよく連絡をとりまして、できるだけ前広に検討を進めるようにいたしたいと思っております。
  204. 山田勇

    山田勇君 今監視地域のことが言われたわけですが、規制区域の指定というような状況が、地域を指定しましてやはり高騰している地価を抑制する力というのはありましょうか。
  205. 片桐久雄

    政府委員片桐久雄君) 関西圏につきましても、まず監視区域の指定ということで、これをできるだけ厳格に運用いたしまして地価の抑制に努めたいというふうに考えておりますけれども、今後の成り行きによりましては規制区域の発動ということも検討してまいりたいというふうに思います。
  206. 山田勇

    山田勇君 ウィークシェアリングについてお尋ねをします。  竹下総理はウィークシェアリング、すなわち複合的住宅制度ということを言われておりますが、これは首都圏の勤労者に対する住宅対策として、平日、ウイークデーは都心部でワンルームマンションなどで暮らし、週末は郊外の家に帰るといったパターンのようですが、これは余り感心した制度とは思えません。やはり住宅供給はまず家族が一緒に住むということを前提に進めるべきだと思いますが、国土庁長官、建設大臣いかがですか。
  207. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 職住近接ということが従来から言われておりましたし、結構なことだと思っております。同時にまた、週休二日制、余暇が非常にふえてきた。その余暇をどう使うか、個人個人によっていろいろ考え方が違うと思います。都市の雑踏の中に住むことをむしろ好む人もございますし、閑静な自然を相手に生活することを好む人もございます。やっぱり個人のニーズはそれぞれでございますので、それぞれに合ったように、働く場所と、土曜、日曜を憩う場所と、家族はむしろ静かなところで生活するというのも一つのお考え方じゃないか、こう思っているわけであります。
  208. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 国土庁長官のお答えしたとおりでありますが、豊かなゆとりのある生活を行うためには家族一体ということが大切であることはもちろんであります。しかし今、週休二日制等によりまして余暇を利用して田舎と都市で複合生活をする、こういうニーズも出てきておりますので、融資制度等について配慮をしているところであります。
  209. 山田勇

    山田勇君 職住接近ということでございます。そのために、先日建設省でも法案を審議しました新住宅整備法案などは職もつくれるという、特に大阪、近畿圏ですと、これから空港に対しましての土取りの跡をそういう小規模な、九千世帯、七千、六千というふうな形で、新住宅整備法案などを駆使しますと職住接近のいい環境づくりの住宅政策になるというふうに思っております。  そこでお尋ねをしますが、都心に通勤するサラリーマンの住宅の確保、供給についての問題ですが、確かに現在の状態では一月建ては無理というのは事実でしょう。そこでマンションの供給ということになりますが、経企庁長官にお尋ねをします。中堅のサラリーマンが住宅を取得しようと思うとどれぐらいの額が限度と考えられておりますか。また、経企庁の資料で見ますと、これはちょっと先ほどの質問と重複しますが、四十歳代前半の中堅勤労者の購入可能額は三千万程度となっています。経企庁長官、この辺の御説明をちょっと願えますか。
  210. 中尾栄一

    国務大臣(中尾栄一君) 山田議員にお答えさしていただきたいと思います。  首都圏における地価対策の評価というか試算といいましょうか、これは平均的な勤労者が、先ほど委員指摘のとおり、年収の大体五倍という程度で住宅を取得できるような方向の地価水準を念頭に置いて考えておるわけでございまして、その点から考えまするとちょっと現実とは少々乖離している点がございますので、その点は私どもも大ざっぱに、まあ大ざっぱにというよりもざっくりと切り込んでこの問題は考えていかなきゃならぬ問題ではあるなと、このように考えておる次第でございます。
  211. 山田勇

    山田勇君 また、住宅金融公庫の調査を見ましても、これはマンション購入の平均像を発表していますが、二千二百七十一万円となっております。ところが、私どもで調べたところ、最近の地価高騰により、民間の住宅供給、マンション供給の実情は、例えば郊外型のマンションで見ますと、土地代が上昇すればそれだけマンション価格にはね返るわけですから、とても三千万円のマンションの供給はできなくなります。また、安くて質のよい集合住宅を供給すべき公団住宅も高くなっています。  地価対策の重要な一環として宅地の供給をふやすということは緊急の課題でもありますが、建設省は緊急優良宅地開発促進制度創設の検討を始めたと聞いておりますが、その構想についてわかっている範囲で結構でございますので、お聞かせいただければありがたいと思います。
  212. 福本英三

    政府委員(福本英三君) 先生指摘の新しい制度は、これから政府部内におきまして来年度の予算編成とか税制改定の過程で調整を進めていくものでございますので、構想の詳細については申し上げられる段階ではございません。  しかし、私どもの構想の考え方といたしましては、現在の大都市における土地問題の緊急性にかんがみまして、良好な宅地を大量に供給し得るような方策を検討しているものでございます。その骨子は、首都圏などの大都市におきまして、宅地開発事業のうち良好な宅地を相当量供給し得る優良なプロジェクトにつきまして、税制あるいは金融上の措置等を講じることによりまして事業の促造を図ろうとするものでございます。
  213. 山田勇

    山田勇君 この対象地域、また助成措置などは、今御答弁いただいたわけですが、首都圏では民間宅地業者が所有している五ヘクタール以上の土地は約四千五百ヘクタール、そのうち即効性のある宅地供給適地は二千六百ヘクタールあるとも聞いておりますが、建設省はどうなんですか、その点。
  214. 福本英三

    政府委員(福本英三君) 建設省の調査では、民間宅地開発事業者により首都圏一都四県におきまして既に取得されております五ヘクタール以上の住宅用の販売土地が、計画面積で約四千五百ヘクタール存在することは把握しておるわけでございます。このうち、立地条件等から判断いたしまして、宅地化適地であって今後地方公共団体による開発抑制方針の転換等が図られれば比較的早期に事業着手が可能と考えられるものが、先生指摘のように約二千六百ヘクタールあるわけでございます。
  215. 山田勇

    山田勇君 地価高騰により東京圏での住宅供給は厳しい状況に陥っていますが、都心から比較的離れた三十キロ−五十キロ圏で底つき二月建ての供給を行っていくための方策を今後とも検討すべきだと思いますが、建設大臣、この点いかがでしょうか。
  216. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) ただいま先生のお説のとおりであります。今の三十キロ−五十キロの問題は、交通、道路等を整備いたしまして、一時間圏内というところで年所得の五倍程度で底つきの家が持てるという、こういう目標で、なかなかこれは大変だと思いますけれども努力をしてまいりたい、かように思います。
  217. 山田勇

    山田勇君 運輸大臣にお伺いしますが、今まで論議した中で、やはり当面は家がどんどんどんどん遠くなるといった感じが強いんですが、最近は新幹線による通勤もふえていると聞いております。実際にはどのような状況でしょうか。その際、新幹線通勤者の運賃の割引などを考慮されていますか。また、今後の首都圏交通機関の整備について、住宅問題と関連してどのように大臣はお考えになっておられますか。よろしかったら御答弁をいただきたいと思います。
  218. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。  新幹線の通勤の割引定期の問題につきましては、国鉄時代から既につくっておりますけれども、現在のところは、新幹線の通勤定期につきましては一カ月と三カ月と二つございますけれども、一カ月の定期の割引率を平均で申し上げますと五九%の割引ということでございます。  それでその利用の度合いでございますが、五十九年度が二万六千枚、それから六十年度が三万三千枚、六十一年度が三万六千枚、こんなことで、五十九年度と六十一年度を比較しますと三八%増、こういうような形で順調にその利用が伸びている、そういう状況でございます。したがいまして、JRといたしましては、来年の三月にダイヤ改正を予定しておりますけれども、その際に東京から百キロぐらいのところ、具体的には上野−高崎あるいは上野−宇都宮、そういったようなところに向かう、あるいは向こうから来るその通勤の時間帯、例えば上野着て朝の七時から八時台、それから夕方の上野発で十九時から二十二時台、そういったところの増発を考えております。  それから東海道新幹線につきましては、現在のところまだ輸送力に相当余裕がございますから、特にそのような具体策は今のところは出ておりません。
  219. 山田勇

    山田勇君 ほかのところは出ていないというんですが、大阪で考えますと、京都−大阪の通勤者も多いんですが、まあわりかた車で来るものですから、京阪、阪急しかありません。みんなの声は、新幹線の京都−大阪間がもう少し安ければという声がよく聞かれるんですが、できましたら今後また御検討いただきたいと思います。  続いて、東京湾岸開発に関して国土庁にお尋ねをしておきます。土地問題解決の一つの方策として、東京湾岸の埋立地の利用についていろいろ考えが出されておりますが、東京を今後どうするのか、集中を促すのか、やはり分散させるのか。都心部の再開発を優先させるべきだ、いろいろな意見があるようですが、東京湾岸開発と土地問題の整合性をどのように認識なされておりますか、お答えをいただきたいと思います。  時間の都合上、もう一問申し上げておきます。都市機能の分散、一省一機関地方移転など、過密都市東京の抱える問題は多いんですが、地震対策の面からも都市機能の分散を考えるべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。  それと、もう一問申し上げておきます。遷都問題について、竹下総理は分都というお考えをお持ちのようですが、副総理、内閣としてはどのように取り組んでいくおつもりですか。省庁の一部機関の移転にとどまるのかどうか、お尋ねをいたしておきます。  総務庁にもお伺いをしておきますが、遷都問題は行政改革に逆行するようなことがあってはならないと思いますが、この点、どういう御認識をお持ちですか。  この答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  220. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 東京湾の開発、東京都としては新宿その他七つぐらい副都心をつくりたい、その一つ考えているようでございます。やはり世界の金融センターにふさわしいような町にしていくと同時にこの過密を分散する、両方やっていかなきゃいけないのじゃないか、こう思っているところでございます。  それから二十三区に立地を必要としない政府関係機関、できるだけその外に移転を図るようにしていけばいいんじゃないだろうか。遷都問題は、これは国民全体がじっくり考えなきゃならない重大な課題でございますので、国民考え方が定まる方向を見定めて結論を出すべきじゃないか。それよりも前に、まず二十三区に立地を必要としないような政府関係機関を外に出すように努力すべきじゃないかなと、こう考えているところでございます。
  221. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ただいまお尋ねの防災上の配慮についてお答えを申し上げます。  東京都の臨海部の副都心につきましては、これは防災上の観点を最優先に考えておりまして、むしろこれを拠点といたしまして、都心部の防災上の観点からする再開発にも資したいというふうに考えている次第でございます。
  222. 高鳥修

    国務大臣(高鳥修君) 山田委員指摘のとおり、ただいま四全総で省庁の地方分散ということをうたっておりまして、これはしっかり受けとめていかなければならないけれども、それがまたせっかく進めてきた行政改革を阻害するようなことがあってはならない、当然の御指摘だと思います。そういうことを十分念頭に置きながら、国土庁でせっかく一生懸命御計画でありますので、当庁といたしましても御協力を申し上げてまいりたい、このように思っております。
  223. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 次に、秋山君の質疑に入ります。秋山君。
  224. 秋山肇

    秋山肇君 各委員の方々から大分論議をされてまいりました。私もずっと聞いておりまして、この特別委員会の焦点というのは地価がどうやったら下がるかと。その一つの柱としては、地価の安定をするためには土地の供給があるというふうに認識をしたわけでございます。そこで関係大臣にそれぞれお伺いをいたしたいと思うんですが、私は、地価の安定に対しての供給一本に絞って各大臣からお答えをいただきたいと思います。まず最初に、大蔵大臣は御用がおありになるということで一番最初にお聞きをいたします。  最近相続税の問題というのが大変大きく取り上げられてきて、この委員会でも論議がされておるわけでありますし、新聞も各紙がそれぞれ相続の問題を取り上げているわけであります。おとといの当委員会でも野末議員が相続税に関して質問をし、大臣からも答弁をいただいたわけであります。最近の東京相続税問題というのは、資産家、一部の資産家だけの問題から、都心においては、先日NHKの「おはようジャーナル」でやっておりましたけれども、中央区入船の十五坪の床屋さんが、四代続いた床屋さん、お母さんが亡くなられて相続をするのに五百万の相続税がかかる、とてもお店を続けていくことができないというようなことが話題になってきております。そして、せっかく代々の業を続けていこうという意欲にもかかわらず都心を離れていかなきゃいけないという、そういう状況とか、また、それぞれの住宅五十坪あれば相続税がかかるというような、先日の新聞に出ておりますようなこと等が出ております。  そして供給という面からいきますと、農地が今、後ほど関連でお聞きをいたしますけれども、宅地並み課税問題等、あるいはそれに関連して、これは大蔵大臣の管轄でありますが、農地相続の問題があるわけであります。東京で今まで駐車場や運動場に使われていたところ、これをひっくり返しましてキウイフルーツを植えるとかあるいは畑にかえるということにしますと、農地相続が認められるというのが現実にあるわけであります。先日の野末議員の質問で、来年の相続税も路線価が約六割二十三区では上がるんじゃないかというような想定がされるわけでありますけれども、こういう問題の片方で、路線価が上がっていけばいくほどその公平感がうんと損なわれていく、不公平感が募っていくわけですけれども、この問題等を中心として、大蔵大臣が税制から見て、土地を供給していくということについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  225. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 相続税の財産価格が急上昇しておりますことはそのとおりでございまして、私もその点は大変に関心を持っております。ただ、これは余計なことかもしれませんが、十五坪でございましても実は相当大きな財産でございますから、そのうち一部を処分する、あるいは金融を受けるというようなことは決して不可能ではない。だから問題が済んでいるというのじゃございませんかということも申しておきたいと思います。それで、しかし昭和五十年に今の相続税税率、控除等々を決めたままでございますので、相当大きな改正をしなければならないということはもうそのとおりであると思います。その準備をいたさなければならないと思っております。  先ほども申し上げましたが、供給面で申しますならば、新全総あるいは三全総、四全総で申しますように、交通、通信の整備による宅地の供給の増加、それから都市の再開発とか土地の高度利用等々は全部供給面での増加になると思いますし、需要面で申せば、先ほどからしばしばお話のございます一極集中をどうやって排除するかといったようなことであろう、長期的にそういうことではないかと思っております。
  226. 秋山肇

    秋山肇君 そうしますと、今私が聞いております農地相続についてお答えがなかったんですが、今十五坪でも大臣は金融の道があれば何とか払っていかれるんじゃないかというお答えでありましたけれども、片方、今私が申し上げた農地相続、(資料を手渡す)当然お読みになっていると思いますが念のためにお渡しをしておきますけれども、そういう農業を一生懸命やってきた都市農業の人たちが農地相続をされるのと、そこに新聞にも出ていますように、急に相続税対策のために、駐車場だった、あるいは会社の事務所だったのを壊してユンボでひっくり返して畑にしますとどういうふうになるかといえば、一反歩八十万円か八十四万円で相続ができる。三百坪八十四万円で片方は相続ができる。それが路線価で言えば、世田谷区の私の周りにしても、恐らく、一反歩だったら路線価で三億はするだろう、それが八十万か八十四万円でできるとしたら、やはり公平王皆さんの一般的な関心からしたらちょっと腑に落ちないというふうに思われるのが普通で、それで新聞にそうやって取り上げたんだと思いますので、その点についてお答えをいただきたい。
  227. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 失礼いたしました。農業というものがああいう特殊な性格を持っておりますので、細分化してはそれが有効に継続できないということから、営農についての特例を認めざるを得ない、こういう考えに立っておるわけでございます。そこで、その営農の意思、営農の事実ということは、やはり本来的には相続のときから突然農業を始めるということは大変に自然のことではございまぜんので、それまでに農業という事実があり、そして二十年なら二十年営農の意思がある、そういうことの上に立って特例を認める、そういう事実がその期間になくなりますれば、それはやはり遡及をして処理をさしていただくということであろうと思います。
  228. 秋山肇

    秋山肇君 農業がどういう位置づけかという問題は今大臣がおっしゃられましたけれども、特殊な問題でありますからこれは後ほどずっと関連の大臣からもお答えをいただきたいと思います。  そういう観点でお考えをいただいているということで、大蔵大臣は次の委員会がおありになるということですから、どうぞ。  続いて運輸大臣にお伺いをいたします。  粕谷大臣と石原大臣東京選出の二人の大臣でありますから、特に土地問題というのは東京の問題である、東京の問題を解決しなければ全国に広がっていっている土地の問題というのは解決をしないというふうに私は思っております。先ほど来運輸大臣お答えになっておりますが、国鉄の用地の売却問題等を含めて、また大臣の公的な立場と東京二区選出ということで東京土地問題をどうお考えになるかということも含めて、土地の供給だけに絞ってで結構ですからお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  229. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 御質問が多岐にわたっているようでありますけれども、私ずっと東京に住んでおりまして感じますことは、先般も衆議院の委員会で申し上げましたけれども、物事が確かに集中し過ぎておりまして、その一番の原因はやはり日本の政治、経済の本質的な機構、つまり言ってみると官僚統制国家というそういう本質が行政を通じていろんな物事をがんじがらめに東京に縛りつけておかざるを得ないというふうな体質を持っていると思います。ですから、そこから遷都論などという論も出てくるのでありましょうが、しかし、今それは言うにやすくなかなか行うにかたい問題でございまして、一方、私の住んでおります地域も大変土地高騰して、知らない人にはうらやましがられて甚だ迷惑もしておりますが、ともかく日曜日の東京は非常に閑雅でありますけれども、それ以外の東京はもうまさに高速道路が駐車場と化すような状況でありまして、何といいましょうか、既に梗塞、麻痺しているという感じがいたします。  運輸省としましてはこういうものを少しでも緩和するために、先ほども御質問にありましたけれども、新幹線を使って通勤圏を広げるとか、あるいは新しい通勤線を補充するとか、奥野大臣からも特に御注文がありましたが、ちょっと宙ぶらりんの形になっております筑波学園都市を充実するためにも常磐新線、だけではございませんけれども、その他の都市交通網の再整備というものを緊急に、重大事と考えて努力している次第でございます。そういうものが加速されますれば通勤圏も広がりますし、少し郊外へ、遠くへ出ていけばまだ宅地も獲得できるということになると思います。
  230. 秋山肇

    秋山肇君 今大臣の個人的なお考えだと思いますが、もう一つ重大な問題は先ほども質問の中に出ていた茅ケ崎市との問題があります。東京都と汐留の跡地の問題の詰め、これは国鉄の問題のとき私も申し上げましたけれども、やはり素地で二十七ヘクタールというものを東京都と話を詰めて、一番大きな目玉のところを地方自治体の一番大きな東京都と詰めて方針を立てられるということが、これからほかのところの処分をするのにも大きな参考といいますか、一つの目安になるというふうに思うんですが、その点について大臣のお考えはいかがでしょうか。
  231. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 汐留の跡地に限らず、各大都市、中都市にそれぞれございます目抜きの場所にあります保有地につきましては、既に各自治体と協議機関を設けて協議し、最も有効な目的に使うべく協議している最中でございまして、それできちっとした計画が立ちましたならば、公開入札ということなしに時価地方公共団体に随意契約して譲渡するということを考えております。
  232. 秋山肇

    秋山肇君 もう一つ運輸大臣、念を押しておきたいんですが、国鉄のときにも国鉄の清算事業団の方はあの二十七ヘクタールが全部時価、というのは銀座の値段と同じような値段で売れるのだということを言われるんですが、決してあれはそうじゃなくて、まだ素地ですから、その辺の御認識は当然大臣はお持ちだと思うんですが、今時価でと言われましたけれども、その辺をもう一度くどいようですがお答えいただきたいと思います。
  233. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 御存じのように、大変な長期債務を抱えておるわけでございまして、それを軽減するためにはできるだけ高くというのが清算事業団の基本的な姿勢でありますけれども、それはしかし、やはり事が公共の目的ということになれば、価格の問題なども、その後の有効性ということにかんがみていろいろ折衝の余地はあり得ることと思います。ただ、片っ方ではともかく、繰り返して申しますけれども、膨大な債務を抱え、結局それは国民に回ってくることでありますから、でき得れば時価でとにかくそれを売却して債務の返済に充てたいというのが基本的な姿勢でございます。
  234. 秋山肇

    秋山肇君 きょうは農水大臣がいらっしゃらないので吉川政務次官に御出席をいただいております。ひとつ大臣にかわって、申しわけないんですがお答えをいただきたいと思います。  政府は、水田は皆さん御案内のように減反政策というものをとって、一生懸命やりたいと思っても三割減反であると。これは食管法の関係でありながら、私権の制限という面もあるというふうに思うわけですね。それで、三大都市圏の中で農地が今宅地を供給する一番のもとだということでターゲットにされているわけですけれども、宅地並み課税の猶予制度ということでなくて、農地は農地として農業をやっている人、先ほど農地相続の問題でも大蔵大臣がああいうふうにお答えになりますけれども、農地、農業の意義づけ、位置づけというのはなかなか難しいと思うんですね。ですから、その辺で農水省として、農業は東京に必要である、あるいは三大都市圏の中でどういう形で位置づけをしていくかということのお考えをいただきたいと思います。
  235. 吉川博

    政府委員(吉川博君) お答えをいたします。  市街化区域は都市計画法上おおむね十年以内に市街化を図るべき区域でありますので、市街化区域内農地の転用は昭和四十四年の都市計画法施行以降は許可不要でございまして、届け出のみで足りることとなっております。農業基盤整備事業などその効用が長期に及びます施策は行わないこととしております。東京都の市街化区域内農地について見れば、昭和五十年から六十一年の間に東京都全体では約三分の二に、二十三区では六割以下に減少をしておりますが、市街化の進行の中で細分化を伴いつつ宅地化が進行をいたしております。こうしたことから、市街化区域内農地の宅地化に当たっては、住民の合意を踏まえた町づくり計画のもとに、道路、下水道などの基本的な都市施策の整備を伴って、秩序ある形で計画的に土地利用転換が図られていくことが望ましいと考えております。  今お話にございましたように、農地の位置づけと申しますのは、生産緑地法というのがございまして、第一種は一ヘクタール以上、第二種は〇・二ヘクタールが制限でございます。これは区画整理済みの田んぼでございます。もう一つは、長期営農継続農地といたしまして十年間は農地を続けるという条件のもとで営農を続けていく。緑が大切なことは御承知のとおりでございますので、やっぱり調和をとりつつ宅地化の進行も進めざるを得ない。また反面、今申し上げましたような田んぼとしての必要性もこれは考えていかなければならぬ、かように存じておる次第でございます。
  236. 秋山肇

    秋山肇君 次に、建設大臣にお聞きしますけれども、今農水省の方の答えはああいう答えが出たわけですが、都市計画を進める立場の建設省として、農地、緑と都市計画、町づくりの調和ということについてのお考え、そして今十年間長期営農を続ける問題と含めてですね、それから四十四年に市街化区域になってこれは農転が必要ないということをもう一度、今の長期営農農地については逆線引きといいますか、もとに戻っていくというようなお考えがあるのかどうか、この点についてもあわせて土地の供給を中心としてお答えをいただきたいと思います。
  237. 越智伊平

    国務大臣(越智伊平君) 地価を安定さす、さらに地価を下げていく、このためにはいろいろ施策はございますけれども、やはり供給をふやしていく、このことが大事である、かように思います。そのためには、先ほど来各大臣からお答えいたしましたように、都心部のプロジェクト、また臨海部のプロジェクト、これをできるだけ早く実行していく、さらに工場跡地とかその他再開発、区画整理、こういうものをやっていく、また線引きの見直しをやっていく、この場合に今の農林省の考え方と建設省の考えを整合性を持っていく。でございますから、新しい優良な宅地化ができるところは都市計画区域に入れていきますし、また逆に、長く営農をしょうというところは逆線引きもあり得る、こういうふうに思います。  いずれにいたしましても、建設省としては宅地の供給をできるだけ早く多くしていくように努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  238. 秋山肇

    秋山肇君 ぜひ緑との調和のある都市計画、町づくりをお願いいたしたいと思います。  次に、自治大臣には、お答えをいただこうと思ったんですが、時間がなくなってきましたからちょっと要望だけしておきます。今の農地の問題を含めまして固定資産税、何か整合していないですね。ですから、その辺の旗振りはまだ後ほど最後にまとめとして国土庁長官にお願いしますけれども、自治相がこの間厚生大臣と言い合ったように、しっかりした立場でひとつ踏ん張っていただくということもお願いをしておきます。  最後に奥野国土庁長官にお伺いいたしますが、今各大臣からそれぞれのお答えをいただきました。私が聞いておりますと、一貫性がないと言ったら失礼ですが、各省ばらばらのお考えがあるわけですが、それでは土地問題というのは解決をしないというふうに思いますし、これからまたこういう問題が起こってはならないということでこの委員会も開かれているわけですから、この問題を含めまして国土庁長官にまとめの御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  239. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘いただきましたように、農林省でありますとか建設省でありますとかあるいは自治省でありますとか等々の権限が交錯しておって、なかなか処理がはかどらないという事態は時々あるものでございます。そういうこともございまして、国にあっては土地対策関係閣僚会議、同時に関係省庁の人たちが内政審議室の兼務になっている、急速に連絡をとり合って解決をしようという体制をとっているわけであります。しかし、より根本的にはいろんな権限をできる限り地方団体に移してしまう。地方団体でございますとみんな集まって広域的に処理できるわけでございますので、やっぱり早急な解決を図っていくためには地方分権的手法が必要じゃないだろうか、こう思うわけでございます。今後もそういう考え方のもとに立って努力をしていきたいと思っております。
  240. 秋山肇

    秋山肇君 どうもありがとうございました。
  241. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) これをもって本日の質疑は終わります。  この際、便宜私から自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による土地対策に関する決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     土地対策に関する決議(案)   わが国は、狭隘な国土に世界に比類ない高密度な経済・社会を形成している。従って、土地国民のための限られた貴重な資源であり、土地の公共性の観点からその有効利用を計画的、積極的に実現していく必要がある。  黙るに、最近の大都市を中心とした地価の異常な高騰は、著しい社会的不公正を生み、国民の勤労意欲を損ね、また、国民の居住水準の向上と社会資本の整備等に支障を及ぼし、わが国経済の健全な活動を阻害しており、土地問題の解決は現下の内政上緊急かつ最大の課題となっている。  よって、異常な地価水準を引き下げ、国民生活の安定と健全な経済の発展を図るため、政府は次の事項について適切な施策を積極的に推進すべきである。  一、地価高騰及びその波及を防止するため、監視区域及び規制区域の指定等国土利用計画法の適正かつ機動的な運用を図ること。  二、地価高騰に伴う国民の税負担の急増を軽減するため、固定資産税相続税について必要な措置を検討すること。また、居住用財産の買換特例等土地譲渡所得課税の見直しについて検討すること。  三、不動産関係業界及び金融機関に対する指導の強化を図るとともに、いわゆる悪質な「地上げ屋」等業者に対する取締りの徹底を期すこと。  四、国公有地等の処分については、地価高騰の著しい地域においては、公用、公共用に供する場合等を除き、売却を当分の間見合わせるとともに、土地利用に関する地方公共団体の意向及び地価を顕在化させない処分方法等に十分配慮すること。  五、有効適切な土地利用の実現を図るため、社会資本整備の推進方策について、開発利益の吸収、用地の先行取得等を含めて検討すること。  六、大都市圏における公共賃貸住宅の供給等良好な都市居住環境に恵まれた住宅、宅地供給の促進を図ること。  七、国土の均衡ある発展と土地需給の緩和を図るため、多極分散型国土の形成のための諸施策を強力に推進するとともに、東京一極集中を是正するため政府機関の地方移転等首都機能及び産業機能の積極的な地方分散を促進すること。  八、土地の公共性の観点から、土地保有処分、利用に関する制限及び負担のあり方について、国民的規模でのコンセンサスの形成に努めること。    現下の地価高騰は、二十一世紀社会の到来を間近にひかえ、必要な国土基盤投資の円滑な遂行に重大な障害となっており、中長期的視点からも早急な対応が求められている。    よって、政府は前記事項に十分配意しつつ、立法措置の検討を含め総合的な土地対策を強力に推進すべきである。   右決議する。  以上でございます。  それでは、本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいまの決議に対し、奥野国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。奥野国務大臣
  243. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 本特別委員会は、前国会に引き続き今国会においても御熱心に御討議いただき、この間数々の貴重な御意見を賜り、感謝しております。  また、ただいま御決議のありました土地対策に関する件につきましては、御決議の趣旨に沿いまして、関係省庁とも十分連絡を図りつつ、土地問題の解決のための施策の実施に最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  244. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 河本嘉久蔵

    委員長河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会      —————・—————