○
内閣総理大臣(
竹下登君) まず、
金子さんの御
質問に先立っての御
発言にもありました、去る二十八日未明に起こりました
南ア航空事故についての御報告を申し上げます。
南ア航空事故の
関係者の御
家族に対しましては、深く御同情を申し上げるところであります。
現地における
捜索活動が進展することに、
政府といたしましても万全を期した体制をとりたいと思っております。既に
官房長官を通じまして外務省に指示いたしましたとおり、
政府としては、
邦人保護に万全を期すべく、在
プレトリア総領事館、それから在英、在仏、在マダガスカル各大使館より館員を
現地に派遣いたしまして、
現地事故対策本部を設置して、
現地に赴かれる御親族の方、これらに御
協力、御支援をする体制を整えております。また、渡航に際しましても、
旅券発給等に万全を期してまいるつもりでございます。
さて、
金子さんは、まず最初に私に、
人間愛を基礎に置いた
政治ということを申されました。
人間愛を基調とし、心のこもった
政治を行うべしとの要請、御激励、これに対してはまず心からお礼を申し上げます。
いわゆる
中曽根総理発言及び間接税問題についてのお答えを申し上げます。
このことにつきましては、あらかじめ
国民の信を問うべしとの御意見を交えながらのお尋ねでございますが、まず、
昭和六十年二月の
中曽根総理の御
発言は、当時の
税制論議の中において、時の
内閣の
考え方を
国民に明らかにしたものでありまして、私も当時その
内閣の
大蔵大臣でもありました。重要な
意味を持っておるということは
十分認識をしております。
ところで、
中曽根発言は、「
多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な
消費税を
投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございますので、これに該当すると
考えられるようなものは、
中曽根内閣としてはとりたくないと
考えている」
旨答弁をされております。そのような
考え方に基づきまして、本年二月に法案を提案いたしたわけであります。この法案をめぐりましては、御案内のようにさまざまな御
批判があり、結果として審議未了、廃案となったという厳然たる事実がございます。
このような経緯を踏まえて、私は、
竹下内閣としては、
国民の
理解を得られるような税制の確立という観点に立って、間接税の問題につきましても、論議に先立って予見を与えるようなことはなく、
国会における各党各会派の意見はもとより、幅広く
国民各界各層の御意見を伺いながら、成案を得るべく今後とも
努力を続けてまいりたい、このように
考えております。(
拍手)
次は、外交問題についての御
発言でございます。
まず、
INF全廃条約に対する評価でございます。
来る
米ソ首脳会談におきまして、INF協定が署名され、交渉開始以来米国が主張し、
我が国の念願でございましたINFのグローバルな全廃が合意されることになったことは、私も心から歓迎をいたしております。
本件協定は、既存の
核兵器を初めて削減するものであって、核軍縮の第一歩でありますが、今後、戦略
核兵器の大幅削減のための
米ソ交渉が進展することを心から期待をしております。また、軍備管理・軍縮交渉は、軍備を可能な限り低いレベルで均衡させることによって関係国の安全保障を高めるべきものでございまして、また、その合意につき効果的な検証措置が確保されていることが重要でございます。
我が国といたしましては、かかる交渉のための米国の
努力を西側の一員として引き続き支持していく
考え方は、
所信表明でも申し述べたとおりであります。
次は、
核持ち込み等の問題についてであります。
日米安保条約上いかなる
核兵器の持ち込みも事前協議の
対象になる、これは変わらざる方針であります。事前協議を行うことは安保条約のもとにおける米国の義務であり、
政府としては、
核兵器の持ち込みについての事前協議が行われない以上、米国による
核兵器の持ち込みがないことについては、全く疑いも持ちません。なお、
核兵器の持ち込みについての事前協議が行われる場合には、常にこれを拒否するという
考え方は今日まで一貫して通してきた
考え方であります。
非核三
原則を堅持しながら、安保条約により核を含む米国の抑止力に国の安全保障を依存するということは、これは
基本的な政策であります。日米安保体制の効果的な運用を図るため、
米軍が
我が国において必要な設備、機材等を維持することは、抑止力の維持向上にとって必要なことであるというふうに
考えております。
また、SDI参加中止の御意見もございました。
米国は、軍備管理・軍縮交渉
努力と並行しながら、
非核の防御システムについて研究を行って、究極的には
核兵器を廃絶しようという
基本的理念のもとに、現在
SDI研究計画を推進しておるところであります。これは
我が国の平和国家としての立場に合致するものである、こういう
基本認識に立っております。そのような認識をも踏まえて、昨年九月、
我が国の同計画への参加を円滑なものとするように所要の具体的措置について米国
政府と協議することを決定して、さらに同協議を踏まえて、本年七月、日米
政府間協定を締結したところであります。
政府としては、これを撤回するという
考えは全くございません。
次に、三沢の
F16の問題に御言及がございました。
我が国に
核兵器が持ち込まれることはあり得ず、したがって、ソ連のSS20の
撤去と在日
米軍の装備とを関連づけて論ずるということは、私は当を得ていないと思います。そもそも
米ソ間のINF交渉は、
米ソの地上配備のINFミサイルを
対象として行われてきたものでありまして、ソ連のSS20に対応して論じられるべきは、米国の地上配備のINFミサイルでございます。それ以外の兵器システムと無
原則に結びつけていくというような立場はとらないところでございます。(
拍手)
次に、いわゆる
防衛費の一%問題の御言及がございました。
政府は、六十二年度防衛予算がやむを得ず
GNPの一%をやや上回ることとなったため、慎重な検討の上、本年一月、新たな閣議決定を行いまして、中期防に定める所要経費の枠内において各年度の防衛関係経費を決定するということにいたしました。
昭和五十一年十一月の閣議決定の節度ある防衛力の整備、これを行うというこの精神は引き続いて尊重することは言うをまたないところであります。
さて、次は、駐留
米軍経費の問題でございます。
米国がペルシャ湾を含め国際的な平和と安全の維持のためにグローバルな
役割を果たしている状況のもとで、
我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保する見地から、十月七日の
政府・与党首脳
会議におきまして、適切な
対象について在日
米軍経費の軽減の方途について米国と協議を行う旨を決定いたしました。
政府としては、在日
米軍経費の軽減の具体的な方途、これにつきましては今後慎重に検討していくべき
課題だと存じております。
次は、
アジア問題等の御
質疑でありました。
いわゆる
靖国神社問題についての御意見を交えての御
質疑でございましたが、公式参拝の実施を願う
国民や遺族の感情を尊重するということは、また
政治を行う者の責務である、このことをまず
一つ考えなければなりません。他方、国際関係を重視して
近隣諸国の
国民感情をも適切に配慮しなければならない。したがって、公式参拝というものは、これは
制度化されたものではございませんので、今後これを実施するか否か、この問題はまさに諸般の問題を総合的に考慮して自主的に決定すべきものである、このように
考えております。(
拍手)
次は、
アジア外交の
基本の問題であります。
地理的、歴史的、
文化的に緊密な関係にある
アジア諸国との友好
協力関係の促進は、これは
我が国外交の重要な
課題であります。今後とも、過去の歴史に謙虚に学び、
アジア諸国の多様性と自主性を尊重しながら、その発展のために
協力し、また、交流と対話を一層推し進め、相互
信頼を深めていきたい、このように
基本的には
考えております。
光華寮問題、この
中国側の主張というものは、私どもも
十分認識はいたしております。しかし、本件は、現在法律上の問題として
我が国司法府の中で審理が係属している問題であります。したがって、三権の建前を
考えますならば、もとよりこの審理を見守る必要があります。
いずれにせよ、
政府としては、
日中共同声明、
日中平和友好条約、そして
日本国
政府の立場、また
中国の唯一の合法
政府として承認した中華人民共和国
政府との間で友好
協力関係を発展強化していくとの立場を堅持しておりまして、今後とも
基本的にはその立場を堅持していくという
決意は変わりません。この点につきましては、
中国側に誠意を持って説明し、その
理解を得るべくこれからも
努力をすべきであると
考えます。
朝鮮半島問題についてもお触れになりました。
一九八八年ソウルで開催予定のオリンピック、これの問題につきましては、一九六四年東京オリンピックの当時を思い出しますと、これが
日本国民の精神的にも大きな支えになりました。したがって、
我が国としては、八八年のソウル・オリンピックが、
政治的体制や理念的差異を超越して、
世界のすべての国家の参加のもとに成功裏に開催されることを心から期待するものであります。したがって、その大会の成功のためには可能な限りの
協力を惜しまない、こういう
考え方でありますし、今後とも、朝鮮半島の平和と安定及び
南北対話促進の環境づくりというような点につきましては、関係国と緊密な
協力をしながら可能な限りの貢献をしたい、このように
考えます。
それから、第十八富士山丸問題でございます。
政府としては、本件を日朝間の
最大の懸案の
一つとして重視して、これまであらゆる方途を尽くして、
日本人二人の早期釈放、帰国のため北
朝鮮側に働きかけておりますが、残念ながら釈放、帰国はまだ実現をいたしておりません。
御指摘にもございましたように、
土井委員長が団長となられた訪朝もよく承知しております。そして私は、今の立場ではございませんでしたが、
責任者の方とは絶えず情報交換をしてまいりました。しかし、いまだ実現せずの事実は、私にとっても残念なことでございます。御
家族及び
関係者の心労はいかばかりのものか、まことに心痛にたえません。事柄の性質上、
政府の
努力の詳細を明らかにすることは差し控えさせていただきますが、今後とも、一刻も早く釈放、帰国が実現できるように、御
協力もいただきながら努めていきたい、このように
考えております。
次は、
日ソ関係問題であります。
来月八日から
米ソ首脳会談が開催される運びとなるなどで、
米ソ間に建設的対話の方向が出てきておりますが、かかる東西関係の雰囲気の改善は、東西関係の一局面であります
日ソ関係にもよい影響を与えるものであると期待をいたしております。他方、日ソ間には北方領土問題など
日ソ関係独自の問題があります。
我が国としては、日ソ双方の
努力によって
日ソ関係を改善していくことを希望いたすものであります。
次に、
ASEANの
非核等の御意見がありました。
ASEAN諸国の対外政策は域内諸国がみずから決めるべき問題でありますが、
我が国としても、東南
アジアの平和、安定を重視する立場から、それらの諸国の対外政策を見守っていく
考え方であります。
さらに、
アジア・
太平洋地域についてもお触れになりました。
我が国は、従来から核の究極的廃絶のため種々の
努力を傾注しております。国連でも核廃絶を強く訴えてきております。一般的に、
アジア・
太平洋地域においても真に実効性のある軍備管理・軍縮が実現することは、長期的に適切な目標であると思います。ただし、この地域における国際
政治状況等にかんがみまして、現段階においては、まず国際
政治状況等の改善に尽力することが先決ではなかろうか、このように
考えております。アフガン問題、カンボジア問題等々、それぞれの問題が存在しておるからであります。
対外経済協力のあり方についてお触れになりました。
我が国は、援助の適正かつ効率的、効果的な実施を確保するための種々の措置をとってきておりまして、
我が国の援助は、
基本的には順調に実施され、所期の目的を達成しておると
考えます。引き続き、より一層適正かつ効果的な援助の実施に努めてまいりたい。いろいろ御
質問等がございますので、事前調査の充実でありますとか、アフターケアの問題でありますとか、きめ細かな配慮をいたしておるところであります。
地球の緑を守ることについてのお話がありました。
熱帯林等の地球の緑を守ることは、地球環境を保全する上で重要な問題であります。
我が国は、これまでも二国間
協力や国連環境計画等の活動を通じまして
努力をしてまいりましたが、今後とも、各国と
協力して、一層その
役割を果たしたいと思います。
さらには、国内の
森林資源の問題にも言及がございました。
森林は、木材供給のみならず、まさに国土の保全、水資源の涵養等公益的な機能を有しておることは申すまでもありません。林業の
活性化を通ずる森林の健全な育成、これは国政上の重要な
課題だという認識を持っております。このため、森林・林業をめぐる厳しい状況を克服してその振興を図る観点から、需要の
拡大、林業生産基盤の整備、これらを今後とも積極的に推進してまいりたいと
考えます。
さらに、同じように言及のございましたところのいわゆる都市緑化の問題もお答えいたします。
緑豊かな潤いのある都市環境の整備、これは各省庁からなります緑化推進連絡
会議、ここで推進を図っているところでありますが、この推進
会議をより密にいたしまして、第四次都市公園等整備
約五カ年計画、この計画に基づいて都市公園等の整備、公共施設の緑化、民有地の緑化等、総合的な都市の緑化推進に参加していくつもりでございます。
さて、次は、
日本人の心と
国際社会ということについてのお尋ねでありました。
戦後、
我が国は多くの分野で目覚ましい発展を遂げてまいりましたが、これまでの発展は、所信でも申し上げましたように、どちらかといえば物の豊かさを追い求めてきたものではないかと思います。私としては、そこで申しましたように、この心の豊かさというものを重視して、
日本が
国際社会と調和し、そして
国際社会において
信頼を得られるようにこれからも全力を尽くす所存でございます。
次に、人権条約問題についてお触れになりました。
アジア地域における人権条約については、これまで具体化への動きは必ずしもございませんでした。同地域における条約作成の環境が熟するというのがまず前提ではないか、昨日まで行われました
会議もその
一つではないかと伺わせていただきました。
人種差別撤廃条約につきましては、条約の趣旨にかんがみてできるだけ早期に締結すべく作業中でありますが、本条約に規定する処罰義務と表現の自由など憲法の保障する
基本的人権との調整等、困難な問題があります。これらの点を含めて、現在鋭意検討中ということに尽きると思います。
それから、よくおっしゃいます頂規約
選択議定書の問題でございますが、個人の通報に基づく国際的な検討
制度が有効に機能するかどうか、これは必ずしも疑問なしといたしません。
国会の附帯決議もございます。今後とも締結に向けて検討していく所存であります。
次に、多様な教育のための財政支出の問題についてお触れになりました。
児童生徒の個性を生かす教育の充実を図ることは重要であります。国は、教育における地方自治を尊重しながら、全国的見地から必要な指導等を行ってきております。教育諸条件の整備についても適切に対処すべき問題である。今までの教育が、あるいは自由民主党
政府が悪かったとかよかったとか、あるいは特定の教育団体がよかったとか悪かったとかいうよりも、
国民全体の
課題として取り組むべきものである、このように
考えておるところであります。(
拍手)
さて、
中国残留孤児問題でございます。
この定着、自立は
国民的
課題であります。今後とも、関係各省が一体となって、住宅
対策など各種施策に一層努めてまいります。
それから、
福祉医療の問題で御意見を交えての御
質問でありました。
国保
制度の長期的な安定を確保するため、その見直しを行うことが必要であると認識しております。このため、現在、国保問題懇談会、ここで
福祉医療制度を含め幅広く
基本的な検討が行われております。この検討結果を待って対処するという
考え方でありますが、いずれにせよ、
制度の見直しにおいて被保険者の差別につながるようなことは検討されていない、このように私は
考えております。
それから、年金問題でございます。
本格的な高齢者
社会の到来を控えて、高齢者が安んじて
生活を送れるようにするためには、年金政策とともに高齢者の雇用の場を確保していくことが重要な政策
課題であります。このため、高齢者雇用安定法において
努力義務とされた六十歳定年の定着に向けて企業への指導を強力に実施しますとともに、六十歳定年を基盤とした六十五歳程度までの継続雇用の推進に努めていく、これは六十一年に
抜本改正していただきました法律に基づく
考え方であります。
それから、御婦人の
社会的
役割、これは現在一段と高まっておると思っております。閣僚、政務次官の人事だけをもって論ずるものではなかろうと思います。今後とも女性の活躍を阻害する
原因の排除に努めるとともに、
社会参加のための条件整備に努めてまいりたいと
考えます。
次に、
土地問題等からの
国土利用計画法につきましては、先般の
通常国会におきまして監視区域
制度の創設、それから国等の適正な地価形成についての配慮規定の新設を内容とする改正がなされまして、現在、まずその積極的な活用を図って
地価対策に取り組んでおります。野党四党
共同提案の
国土利用計画法改正案につきましては、内容のあらましは私も承知させていただいておりますが、これこそ特別
委員会等、
国会における取り扱いというものをまずは見守っていくというのが私どもの
姿勢ではなかろうかと
考えております。
それから、
土地税制でございます。
先般決定した緊急
土地対策要綱において、相続税その他国税、地方税の問題について税制調査会に諮るなど所要の措置を講ずることとしております。税制調査会での今後の検討状況を踏まえながら、これに対応していくべきものだと
考えております。
世界経済に対する
日本の貢献の問題でございます。
世界経済には、主要国における対外不均衡、これを背景とする保護主義の動き等、多くの問題が存在しております。これらの問題は、各国がそれぞれの置かれた
経済情勢に応じて政策協調と構造改革を進めることによってのみ
解決可能であると思っております。
いろいろ、株価暴落から
世界不況への御懸念の向きもお話の中にありましたが、一九二九年、三〇年当時と違いますのは、私は、
世界的な情報量の増加とこれに対応して国際協調がとり得る環境にあるということがまず
基本的な違い方であると思います。
我が国としては、自由貿易体制を維持しながら、今後とも
世界に開かれた市場形成をしていきますとともに、やはり
内需主導型に転換していくということが
基本であると
考えておるところであります。今日までもアクションプログラム、
内需拡大、
経済構造調整、いろいろやってまいりましたが、これからも全力を挙げて取り組むべき
課題だと
考えております。
米国の双子の
赤字の問題であります。
この問題は従来とも指摘をしております。私も、当時のG5でございますとか、あるいはG10でございますとか、そういうときには、お互いがそれぞれの国の財政
経済運営につきまして、時には内政干渉というような懸念も持ちながら、忌憚のない意見交換をいたしたことがあります。したがって、今回
財政赤字削減に対して議会と行
政府との間で合意に達した、このことが今後着実にまずは実行されていくことを私は期待をいたしておるものであります。
次の問題は、
内需拡大の
具体策であります。
我が国経済にとりましては、構造調整の推進と
内需主導型成長への転換、定着が必要なことは申すまでもありません。御意見にもあったとおりであります。内需の
拡大は、単に量的な
拡大にとどまってはなりません。
経済成長によって実現した豊かさを、各般の施策によって
国民生活の質的向上の中へどう生かしていくか、このようなことであろうかと思います。
なお、中長期的な
経済運営の指針については、十一月二十日に、長期
経済計画も少し古くなりましたので、
経済審議会に諮問をしたばかりのところでございます。
一人
当たりGNPの大きさと
生活の豊かさ、これは私の所信にも触れさせていただきました。したがって、住宅、
土地問題、労働時間の短縮の問題等に取り組んで、
経済発展の成果を
国民に還元する、真の豊かさを実感できる
社会の創造にお互い衆知を集めてみたいと思います。
次は、農産品十二品目の輸入制限措置等についての御
質問であります。
ガット総会まで残された時間は非常に少なくなっております。しかし、
我が国としては、国内農業の実情、国際的な
経済関係等を十分踏まえて、二国間協議による現実的
解決を目指して
最大限の
努力を傾注しておるところでございます。
それから、
積極型予算を組め、こういう御意見を含めたお尋ねでございます。
我が国は、財政的に見ますと極めて厳しい状況にあります。したがって、
大蔵大臣時代にも申し上げましたが、次の世代に過剰な負担を残さぬよう、やはり一日も早く財政の対応力を回復する、これは
基本的に過ちではないと思っております。六十三年度
予算編成においても、六十五年度までの間に特例公債依存体質を脱却するという、せっかくその可能性が論ぜられるようになった今日、
努力目標達成に向けて行財政改革をさらに進めるとともに、
経済情勢に対してはこれに適切に対応していくという
考え方をとるべきであると思います。
社会資本の整備につきましては、
社会経済の動向などを踏まえバランスのとれた整備をすることが必要でありますが、
生活関連社会資本につきましても、こうした
考え方に基づきまして引き続き着実に実施に移したいと思います。
減税問題についてでございます。
去る九月の税制改正による減税規模は、六十三年度において住民税を含めますと二兆円を超えるものとなります。今後、所得税負担のあり方を含め、税制の
抜本改正につきましては、これは早急に成案を得、その速やかな実施を図るべく、それこそ各方面の御意見を伺いながら引き続き検討していくべき
課題であると思います。
労働時間の短縮、これは
国民生活の質的向上、国際協調の観点から重要な
課題と認識をいたしております。このため、
さきに改正されました労働基準法の円滑な施行等を図って、週休二日制の普及等に努めてまいる所存であります。
財政再建目標の繰り延べ問題についてでございます。
六十五年度特例公債脱却の
努力目標の達成は容易ならざる
課題でございますが、NTT株式売却収入の活用など財政運営上の工夫を図りながら、経常経費の節約など歳出削減の
努力を続けていきますならば、必ずしも目標の達成は望みなきにあらず、このように
考えております。したがって、今後とも引き続きその実現に向けて
最大限の
努力を尽くします。
次は、
政治資金の問題であります。
さきに公表されました
政治資金規正法の改正要綱は、私も承知しておりますが、自由民主党
選挙制度調査会の小
委員会がまとめられた案であります。この問題は、事柄の性質上、各党間において十分協議を尽くしていくことが必要であります。
政治資金規正法改正の際の附則八条等もよく承知いたしております。
衆議院の定数是正の問題でありますが、この問題につきましては、一番大事なことは、いわゆる衆議院本
会議においての決議が存在しておるという事実であります。これこそ
選挙制度の
基本にかかわる問題でありますから、まずは各党間で十分論議していただく、この
考え方が、いろいろ議論をいたしましてもお互いのコンセンサスになるものではなかろうか、このように
考えておるところであります。
情報公開の問題でございます。
これはいわゆる
国民の
信頼を確保するために重要なことであるという認識は、私も否定するものではございません。従来から、白書の発行等のほか、いろいろ文書閲覧窓口を設けるなど積極的に努めております。しかし、その際、プライバシーの保護に十分配慮すべきは当然のことであります。したがって、審議会
議事録の公開等は、設置目的、任務、性格に照らして、それぞれ個別に決定さるべき問題であると私は思います。
スパイ防止法、これは
自民党においてこの種の立法が必要であるとの立場から、現在種々検討を行っているものと承知をいたしております。この種立法については、
国民の
基本的な人権やいわゆる知る権利あるいは知らす義務、こうした大きな問題にかかわることでございますので、
国民の十分な
理解が得られることが望ましいと
考えております。各般の観点から慎重に検討さるべき
課題であると思います。
それから、憲法の遵守についてでございます。
憲法の
基本的
原則であります
民主主義、
平和主義あるいは国際協調主義、人権尊重、この
基本理念は、私は過去も現在もまた未来にわたっても高く評価していくべきであろうと思っております。国の
基本法であります憲法を改正することについては、極めて慎重な配慮が必要であります。
私は、それこそ学生時代に
戦争裁判をたびたび傍聴に参りました。当時の憲法論争も、この
国会で、一傍聴者として参りまして、よく承知させていただいております。しかし、諸
原則がまさに定着した今日、
政府が憲法の規定を遵守することはもとよりでありますが、ただ、憲
法改正について研究してはならぬというものではないと思いますが、今日、私といたしましては、憲
法改正を
政治日程にのせるという
考え方は全く持っておりません。(
拍手)
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