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1987-12-08 第111回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十二年十一月二十七日)( 金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。   委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       麻生 太郎君    石渡 照久君       小川  元君    海部 俊樹君       佐藤 信二君    島村 宜伸君       玉生 孝久君    中川 秀直君       中山 太郎君    額賀福志郎君       福島 譲二君    穂積 良行君       牧野 隆守君    宮下 創平君       粟山  明君    森   清君       山崎  拓君    綿貫 民輔君       緒方 克陽君    上坂  昇君       清水  勇君    城地 豊司君       関山 信之君    水田  稔君       長田 武士君    権藤 恒夫君       森本 晃司君    薮仲 義彦君       米沢  隆君    工藤  晃君       藤原ひろ子君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十二年十二月八日(火曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 青山  丘君       麻生 太郎君    石渡 照久君       海部 俊樹君    佐藤 信二君       島村 宜伸君    中川 秀直君       中山 太郎君    額賀福志郎君       福島 譲二君    穂積 良行君       宮下 創平君    粟山  明君       森   清君    綿貫 民輔君       緒方 克陽君    上坂  昇君       清水  勇君    城地 豊司君       関山 信之君    水田  稔君       長田 武士君    権藤 恒夫君       森本 晃司君    薮仲 義彦君       工藤  晃君    藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         国 務 大 臣         (経済企画庁長 中尾 栄一君         官)  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      横溝 雅夫君         経済企画庁物価         局長      冨金原俊二君         経済企画庁総合         計画局長    星野 進保君         経済企画庁調査         局長      勝村 坦郎君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業省通商         政策局長    村岡 茂生君         通商産業省通商         政策局次長   吉田 文毅君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         資源エネルギー         庁石油部長   内藤 正久君         資源エネルギー         庁石炭部長   鈴木 英夫君         資源エネルギー         庁公益事業部長 植松  敏君         中小企業庁長官 岩崎 八男君  委員外出席者         大蔵大臣官房参         事官      林  正和君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ――――――――――――― 十一月二十七日  官公需についての中小企業者の受注の確保に関  する法律の一部を改正する法律案二見伸明君  外四名提出、第百八回国会衆法第一八号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案二見伸明君外四名提出、第百八回国会衆  法第一九号) 十二月三日  円高差益活用に関する請願椎名素夫君紹  介)(第四〇号) 同月七日  異常円高による産業空洞化防止等に関する請願  (安藤巖紹介)(第二〇〇号)  同(石井郁子紹介)(第二〇一号)  同(岩佐恵美紹介)(第二〇二号)  同(浦井洋紹介)(第二〇三号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二〇四号)  同(金子満広紹介)(第二〇五号)  同(経塚幸夫紹介)(第二〇六号)  同(工藤晃紹介)(第二〇七号)  同(児玉健次紹介)(第二〇八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二〇九号)  同(柴田睦夫紹介)(第二一〇号)  同(瀨長亀次郎紹介)(第二一一号)  同(田中美智子紹介)(第二一二号)  同(辻第一君紹介)(第二一三号)  同(寺前巖紹介)(第二一四号)  同(中路雅弘紹介)(第二一五号)  同(中島武敏紹介)(第二一六号)  同(野間友一紹介)(第二一七号)  同(東中光雄紹介)(第二一八号)  同(不破哲三紹介)(第二一九号)  同(藤田スミ紹介)(第二二〇号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二二一号)  同(正森成二君紹介)(第二二二号)  同(松本善明紹介)(第二二三号)  同(村上弘紹介)(第二二四号)  同(矢島恒夫紹介)(第二二五号)  同(山原健二郎紹介)(第二二六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月七日  中小企業振興対策強化に関する陳情書外二件  (第三七号)  円高差益還元に関する陳情書外六件  (第三八号)  水力発電施設周辺地域交付金交付期間延長  に関する陳情書  (第三九  号)  ココム規制強化反対に関する陳情書外二件  (第四〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  閉会中審査に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  通商産業基本施策に関する事項  中小企業に関する事項  資源エネルギーに関する事項  特許及び工業技術に関する事項  経済計画及び総合調整に関する事項  私的独占禁止及び公正取引に関する事項  鉱業一般公益との調整等に関する事項以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  4. 渡辺秀央

    渡辺委員長 通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。緒方克陽君。
  5. 緒方克陽

    緒方委員 石炭関係鉱害復旧に関する二法が昭和五十七年に延長になりまして既に五年が経過しているわけでありますが、その延長の十年のうちの半分が既に過ぎたわけでございます。そこで、ちょうど中間の五年目に当たりますので、本来であれば、この延長された法律についての中間的な総括といいますかまとめをする時期だと思うわけでありますが、委員会審議の日程がありませんので、きょうは端的にその中の問題点について質問二つに絞ってしたいというふうに思います。  それは、鉱害復旧がなされたが、それが十分に機能が回復されていないという効用回復家屋救済についてでございます。佐賀県の有明海は軟弱地盤が多いわけでありますが、その中に数多くの炭鉱鉱害復旧のところがあるわけでありますが、その八〇%がこの軟弱地盤にあるわけでございます。特に江北町とそれから牛津町というところが多いわけでありますが、この地域復旧家屋につきましてはコンクリートパイル法とかケミカル水滓法が行われたわけでありますが、いわゆる抜け上がり現象ということとか地盤の沈下が起きているわけでございまして、三百八十一戸の復旧家屋のうちどう見ても三十五戸は大変傾斜がひどく、またせっかく復旧しても宅地内に浸水があるということで、もはや受忍限度を超している、そういう状況にあるわけでございますが、この問題について政府としてはどういう対応をとられているのか、まず最初にお尋ねをいたします。
  6. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘軟弱地盤地帯にございます復旧家屋効用回復の問題につきましては、五十六年に石炭鉱業審議会答申基本的な対応ぶりというものがお示しいただいてあるわけでございまして、私どももこれに沿いまして対応していくのが基本であると考えているわけでございます。  具体的に申し上げますと、この問題をめぐりましては、施工上の問題でございますとか地盤のいかんの問題でございますとかあるいは家屋老朽度がどうであったかとか、いろいろな関連する要因があるわけでございまして、いろいろと入りまじっているわけでございます。この辺につきまして十分科学的な見地から調査をいたしまして、一つには復旧方法の選定が適当でなかったと認められること、さらにもう一つ被害程度受忍限度を超えていると認められること、この二つの要件に該当いたしますものにつきましては、当事者間で補修工事実施等につきまして協議をいたしました上、実情に応じまして適切な解決を図っていくというのが基本的な姿勢でございまして、こういう方向で取り組んでまいりたいと考えております。
  7. 緒方克陽

    緒方委員 そこで、いま一つの問題でありますが、全体の問題はまた後ほど述べたいと思いますけれども、同じようにいわゆる生ボタ使用に関する復旧の問題であります。  昭和三十二年から五十一年にかけてこれは全国的に行われたと思いますが、かさ上げ用の用地として生ボタが使用されまして、ボタ山処理とそれから鉱害復旧一石二鳥ということで実施をされたわけでございます。ところが、復旧がされた後、生ボタが持っている特殊な性質から物理的な変化あるいは化学的な変化を起こしまして、いわゆる盤膨れとかいうものが起きまして、コンクリート構造物の亀裂であるとか、さらに家屋傾斜、そしてコンクリートの腐食、悪臭などがたくさん発生じ、窓があかない、床が盛り上がるといった状況が出ていることについては、既に通産省政府としても御承知のとおりでございまして、県内では家屋復旧が北方町だとかあるいは江北町とか小城町とかを中心に六市町で行われているわけでありますが、昭和六十二年以降に手直しをしなければいけない、受忍限度を超えている、そういうふうになるものが実に百四十二戸にも上っているわけであります。当時、政府としてはボタ山対策鉱害復旧一石二鳥ということでやったわけでありますが、結果的には二兎を追う者は一兎をも得ずということになったような結果になっているわけでありますけれども、当時でもいわゆるボタ山というのは燃えたりいろいろあるわけでございますから、炭鉱のことについて承知している政府としては、こういう生ボタを使って盛り土をすれば問題が発生するというふうに見られるべきではなかったかというふうに思うのですけれども、その辺についてはどのように承知をされていたのか、お伺いをしたいと思います。
  8. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 生ボタ鉱害家屋復旧の際に盛り土として使用いたしますことにつきましては、主に昭和四十二年度から五十二年度にかけて行われたわけでございます。これは先生指摘のとおり、当時は炭鉱が相次いで閉山をいたしておりまして、その後にボタ山が残る。このボタ山処理が非常に大きな問題になっておったわけでございます。一方で、鉱害復旧に必要な盛り土材料、この確保も必要であるということから、鉱害復旧ボタ山処理二つの問題を一挙に解決できる方法であるということで、生ボタが使用されるに至ったというふうに承知をしておるわけでございます。  生ボタ復旧工事に使用するに至りました時点では、この鉱害復旧のみならず、河川でありますとか道路等建設工事にもボタが利用されておりまして、ボタ土活用というのが各方面で図られておったというような状況にございました。そういう中で、ボタ土の中に現在のような問題を生ずる特殊な土質のものが存在することにつきましては、当時といたしましては関係者の認識はなかったものというふうに承知をしております。
  9. 緒方克陽

    緒方委員 ところが、実際には炭鉱地帯ではボタ山が燃えるということとかガスが発生するというのは経験している人が多いわけでございまして、これはまさに一石二鳥をねらったその当時の計画をした人たち科学的知識といいますか、あるいは経験といいますか、そういうものが非常に薄かった、問題であったということを示しているだろうというふうに思います。  ところで、三番目の質問でありますが、今もお答えになりましたけれども昭和五十七年のこの鉱害復旧関係の二法の延長に当たりまして、石炭鉱業審議会答申が出されているわけでございます。これは昭和五十六年十二月十七日に出されております。この生ボタとかあるいは軟弱地盤の全体の問題点の部分を読み上げると時間がかかりますので、要点的に申し上げますけれども、このような効用回復家屋については具体的なケースに基づいて調査実施し、因果関係が明らかであり被害程度が高いものについては適切な解決が望まれる、要旨そういう答申が出ているわけでございます。  ところが、この答申が出まして既に六年、そして法の延長がなされて五年になるわけであります。通産省エネ庁にいろいろお聞きをいたしますと、とにかく検討をしているのだ、実際を調べているのだというような話がされているわけでございますが、もう既に五年が過ぎているわけです。片や、復旧をされた人たち効用回復のところでは大変な状態がいまだに続いているということであるわけでありまして、この五年間、私に言わせれば、あるいは被害を受けた住民にすれば、一体何をしているのかという切実な声になるのは当たり前でありまして、一体この五年間どういう作業検討をされてきたのかという率直な国民の声があるわけでありますが、その作業検討の経過について明らかにしていただきたいと思います。
  10. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 生ボタ盛り土物件あるいは軟弱地盤地帯にある物件復旧後再び問題が生じているというようなものにつきまして、その救済につきましては、被害の実態から見ましてこのまま放置できない問題であるということでございますので、五十六年の審議会答申を受けまして石炭鉱害事業団九州支部に設置されました家屋等追加工事委員会というのがございまして、これは学識経験者、九大あるいは佐賀大学先生等にも入っていただきましてやっておるわけでございますが、この家屋等追加工事委員会におきまして六十年の九月以降、救済方法あるいは受忍限度基準等について検討を行ってまいっておるわけでございます。この検討結果に基づきまして、当省といたしましては六十一年十一月以降、鉱害事業団とも連絡を緊密にとりまして、審議会答申趣旨に沿いました解決を図るべく、救済方法あるいは受忍限度基準に加えまして、費用負担の問題も含めた総合的な救済策検討を行っているわけでございます。  ただ、先生指摘のように時間がかかっておるわけでございますけれども、これは復旧工事施工に問題があるのかなかったのか、あるいは地盤軟弱性家屋老朽化等に原因があるのか、あるいは施工当時の技術的知見に照らしまして予見が可能であったかそうではなかったか等の非常に複雑な要因が交錯しておりまして、そういうもののために時間を要しておりますけれども、私どもといたしましては先ほど申し上げました審議会答申趣旨に沿いまして解決を図るべく、引き続き努力を行ってまいりたいと考えております。
  11. 緒方克陽

    緒方委員 法律延長されて既に半分が過ぎているわけでありますが、今のような形でずるずると検討をしておるうちに時間がたってしまってこの延長の十年が切れてしまったということになれば、予算の問題があるわけですね。十年間でならしてやればいいわけですけれども、結局時間がなくなったということで切り捨てられるということになれば大変なわけでございます。したがって、予算確保といいますか、これは単に軟弱地盤とか生ボタ自体ではなくて、炭鉱、旧産炭地復旧全体の問題としての予算確保が重要である。同時に、早目にしないと結果的には救済ができないことになるということでありまして、早急な結論を期待しているわけでございます。したがって、急がなければ結局時間が来てしまう、もうとてもじゃないが大変だ、そういうふうに思うわけでございます。  最後の質問になりますが、この効用回復解決の案について、これから地元などと話し合いをされていくことになっておるようであります。私は急いでやるべきと思いますが、その協議はいつごろから始めるというふうに考えておられるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  12. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 本件につきまして当省といたしましては、現在行っております検討結論が得られ次第、できるだけ早く県なり地元とも協議を開始し、調整を図ってまいりたいと考えておりますが、先ほど申し上げましたようにこの問題には法律的、技術的な問題あるいは費用負担の問題、受忍限度問題等、いろいろ複雑な要因がございまして、私ども時期をいつごろというのはなかなか申し上げにくい点もあるわけでございますけれども、できるだけ早く県なり地元救済案を提示できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  13. 緒方克陽

    緒方委員 時間が来ましたけれども、できるだけ早くということは年内ということでしょうか、年度始めにでも話を始めたいということでしょうか。
  14. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 私どもといたしましては、できれば来年春ごろをめどにいろいろな救済策地元に対しまして提示できるように、最大限の努力をさせていただきたいと考えております。
  15. 緒方克陽

    緒方委員 もう時間があと二分しかありませんけれども、春ごろにというのは非常に長いわけでありまして、役所というのは年末とか年度末というのが一つの区切りと思いますが、年度内というふうに考えていいわけでしょうか。
  16. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 私といたしましては、春ごろと申し上げましたのは、極力年度内にそういう提案ができますように努力をさせていただきたいというふうに考えております。
  17. 緒方克陽

    緒方委員 それでは、年度内に提示をしていただきますように強く申し入れをしておきたいと思います。  時間が参りましたので、私の質問は終わります。ありがとうございました。
  18. 渡辺秀央

  19. 水田稔

    水田委員 まず、私は為替の問題について大臣にお伺いしたいと思うのです。  これはもう大臣も御承知のように、大変御苦労なさったように、一昨年のG5以来の急激な円高では、まさに貿易収支の黒字を為替だけで操作するのはむちゃじゃないか、そういう論議が出るぐらいに大変我が国産業界が対応に苦慮してきたわけでございます。そして、ことしの十月以降はそれがさらに、いわゆるルーブル合意というものがまさに破られて、あの合意はなかったと等しいような形でさらにどんどんドル安円高が進んでおるわけです。きょうあたり百三十二、三円というところですが、このまま行けば、年越せばどうも百二十円まで行くんじゃないかという懸念もされるような状況の中にあるわけです。  本来、所管は大蔵省なり日銀ではありますけれども我が国産業を考えるときに、この状態でどうやって我が国産業を維持していくかということを考えれば、当然通産大臣としても黙っておるわけにはいかない問題ではないかと思うのです。このままの状態が進みますと、今、日本では突出しておる産業というのは五業種と言われておりますが、それが何とか生き残って、あとは全部だめになってしまうかもしれない、そういう状況に突き進んでおるわけでございます。為替の安定というのは、一国だけがいかにやったところでできません。これは各国協調ということが一番大事なことですが、どうも最近これだけの状況が起こりながら協調の気配さえ見えない、そういう状況の中にあるわけでございます。我が国産業責任を持つ通産大臣として、この状況に対して国務大臣として何らかの行動を起こすべきじゃないか、あるいは物申すべきじゃないか、そういうぐあいに思うわけでございますが、この為替安定の問題について通産大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。
  20. 田村元

    田村国務大臣 一昨年来の円高の進展、各企業確かに懸命の経営努力を続けておりますけれども、こう急激に円高になってまいりますと中小企業、とりわけ輸出依存度の高い産地型中小企業下請中小企業の苦しみというものは想像を絶するものがあります。  今おっしゃったように、割合に安定的に推移しておりました為替相場が最近また激しく揺れ動いております。というようなことで、これに対してどのように対応すべきか。もちろん、ルーブル合意等に従って各国協調的な経済政策を推進していくことは何よりも必要であります。我が国としましては、通貨当局による適時適切な介入、それに低金利政策の維持、これはもう当然のことでございます。  同時に、緊急経済対策の着実な実施など内需拡大に努めてまいりましたが、引き続き内需主導型の経済成長の実現による為替相場の安定に努力をしていかなければなりません。やはり内需拡大。今非常に景気底がたさがある。景気の伸びというものが、先般の発表でも七−九期で非常に高い、八・何%なんという数字が出たりしておりますが、これはもちろん日本企業労使双方の必死の努力によって合理化をされ、あるいは間口を広げるということもあります。ありますが、反面、ちょうど高熱を出しておるのに薬を飲んだらそれが効いて平熱になっておるという面があろうと思うのです。でございますから、薬をやめたらまたもとへ戻る。ということは、この例え話を申し上げましたのは、内需拡大策というものは、これは政策継続性がなければ何にもならぬと私は思うのです。でございますから、そういう点で私どもは非常に厳しく財政当局にも対応していこうと思っております。  そして、我が国は、ドイツもそうでございますが、ルーブル合意に非常に忠実に今日まで来たのです。問題はアメリカなのです。このアメリカ財政赤字削減というものが非常に重要でございますが、芸を十一月二十日に行政府と議会との間で二会計年度で合計七百六十億ドルという財政赤字削減について合意が成立したということは、これは一応評価できると思います。けれども、だからといってアメリカの抱えております双子の赤字、特にアメリカ自身責任を持って解決しなければならない問題は財政赤字でありますから、一層の改善に努めてもらうように、今こそ日本ドイツも強く物を申すべきときであると思います。でございますから、もちろん外務省は言いましょう、大蔵省も言いましょうが、私自身も対米の会話があるたびに、我々は守った、あなた方が今度は守る番だということを強く迫りたい、このように思っております。
  21. 水田稔

    水田委員 単に日本アメリカだけではだめで、やはり全体の合意というのが大事です。そのことが今できない状態にあるということで、早くやれる状況をつくってもらいたい。そうしないと、これは日本産業は大変だと思います。  そこで、今も大臣いみじくも言ったのですが、低金利政策というのですが、十月一日から政府中小企業金融三機関の基準貸出金利を〇・五%引き上げておりますね。これはまさに、内需拡大のために中小企業の設備投資等を考えれば、当然今の金利でも、本当は五・二%というのはそんなに安くないのですが、政策的に考えるならばこれを上げるというのはとるべきじゃない。これは、これまでとってきたスタンスを変えていくのじゃないかと思われるような、低金利政策はここでは破られておるわけですから、プライムレートに連動した形でこれはやったわけですね。そうすると、政策的ということになれば、政策的な金利というのは〇%のものもあれば二・七%のものもあるわけですね。これは関連でちょっとお伺いしておきたいのですが、ここらあたり政策の整合性というか、とにかく出てきたもの、出てきたものが行き当たりばったりという印象を私は受けるのです。その点はいかがですか。
  22. 田村元

    田村国務大臣 金利政策というのは非常に難しい問題でございます。通産省が低金利政策を求めるのは、これは当然であります。また金融当局が、また財政当局もそうでございましょうが低金利政策で、現在のようにしかも地価が非常に高騰しておる、いわゆる土地インフレが起こっておるということについてやはりインフレ懸念を持つ、これもまた当然のことだと思います。けれども大方の見方は、識者の見方も今インフレーションの兆候は見られないということでございますから、私どもは依然として低金利政策を強く求めてまいります。第一、日米間、あるいは独米間でもそうでございますが、日米間の金利差というものをある程度保っておきませんと、為替の問題にも悪影響を及ぼしてまいりますし、また内需拡大については、今おっしゃったように低金利政策が当然必要でございます。でございますから、その場の場当たりという印象をあるいはお持ちかもしれませんけれども、私は金利政策というものはそのときどきに対応すべきものであると思います。  ニュアンスの違いは、我々と財政金融当局との間に幾らかの違いはありましょうけれども、私どもは今申し上げたような基本的なスタンスで今後も歩んでいきたい、主張するものは主張していきたい、このように考えております。
  23. 水田稔

    水田委員 次は、電力料金の改定、これはガスも一緒にやるわけでございますが、お伺いしたいと思うのです。  これは二回にわたって、いわゆる一次、二次と暫定の急激な円高による円高差益の還元ということがやられたのですが、十九条による電力料の改定の申請が、七年ぶりですが十月二十三日に通産省提出されておるわけです。この内容は、電力九社平均で第二次暫定の価格に比べて三・九二%、額で四千四百二十一億円の値下げ、こういうことで申請されておるわけです。いろいろな報道がなされておりますが、現在エネ庁での査定が行われて、きのうの報道では今週中というのもあります。十二月中旬くらいには査定が終わって認可されるのではないか、来年の一月一日からの実施ということでございます。この申請のときに、通産大臣は各社の社長に対して今回厳しく査定すると言明された、こういうぐあいに聞いておるわけでございますが、実際に総括原価、もちろんその中には燃料費も入りますから、円ドルの関係あるいは原油価格の問題、そういうものが入るわけでございます。これはどういうぐあいに、厳しく厳しくという声は大きくても実際の内容のチェックのしようが甘いのでは——これだけは厳しい査定でないと、実際にこれは国民全体の生活に関係します。それから、特に産業というのは、考えてみればアルミが撤退した、非鉄金属は今どうにもならぬ、あるいはフェロアロイも電力料で大変だ、そういう状況の中でこれらが生き残れるかどうかということさえかかっておる問題でございますから、厳しいという内容について通産大臣はどういうぐあいなメスを入れようと考えておるのか、まずお伺いしたいと思います。
  24. 田村元

    田村国務大臣 今、事務方にあらゆる角度から数字をはじかせております。おっしゃいましたように、十月二十三日に申請がなされました。それから特別監査、公聴会というようなものの結果などを踏まえつつ、現在厳正に査定中でございます。率直に言いまして、もう今週中には決断しなければならぬと思います。  ただ、今どの程度ということをちょっと私から申し上げる段階でもございませんし、最終的に私の腹が固まっておるわけでもございませんが、ただ思い切った料金下げということをいたしたい。もちろん電力会社、ガス会社等の経営を揺るがしてはいけませんけれども、健全な経営をしていただくということは守りながらも、思い切った料金下げをお願いをいたしたい、このように考えております。
  25. 水田稔

    水田委員 電力料というのは原価主義ということが通されておるわけですが、これまでともすれば、考えてみれば量的な確保ということにウェートを置いておる。ですから電力料が現在、カナダと比べると、これはとても比べられませんが、大変高いわけです。イギリスやフランスに比べても、日本が倍の電力料を払っておる。これは産業基本になる原料として使っておるところもあるわけですし、コストには大変影響のあるもの、そういうものがたまたま今までは円安ということで、そんなことは問題なく、とにかくコストの中で吸収できたわけですね。こういう中で、これからの状況というのはいわゆる経済性といいますか、コストの面というのを厳しく考えるべき時代を電力についても迎えておるのではないだろうか。  もう一つは、電力の需給の状況というのが大きく変わってまいります。従来のようにどんどん伸びる、あるいはエネルギー弾性値もべらぼうに大きいというようなことではない時代になるわけですね。そこで、設備はピーク時を賄うために、全体の電力の設備を賄うだけのものにすれば、ピーク時でないときには余分の設備を投資しておるということになります。これは全部原価に入りますね。ですから、例えばピーク時を賄うのに別途の方法、ガスタービン発電等そういうものでその部分だけを賄うことも考えながら予備率を下げていくとか、そういうことを考えるべきではないだろうか。  特に経営者の姿勢として、地域独占ですから競争原理というのがそこに働いておらぬということがあります。そのために、これだけあらゆる産業が今円高の中で国際競争に生き残るために、コストの点では大変な無理をしておると私は思うんです。これは稼いでおる自動車といえども大変な苦労、無理をしておる。そういうことがなかった産業ではないか。これは今後さらに電力の需給は変わってまいりますが、そういう中で場合によったら過剰設備による大変な苦境に陥るということもなきにしもあらず。単に厳しく言うだけではなくて、将来にわたって電力が安定的に供給される、あるいは企業が生き残れるためには、その設備の問題をこの際の電力料の改定に当たって通産省が厳しく見るべきじゃないか。  例えば事業報酬というのがあります。事業報酬は今まで八%で、今度は七・二%に見ようというようなことで検討されておるようでありますが、同じ公益事業でも私鉄は七%ですね。これは全体の資本費に対して——今まで八%ですから、過剰設備を抱えた大変な設備を持っておっても八%は入るわけですね。ですから、過剰設備を持っておっても当然入るんだという形をとっておるところに安易さがあるのではないだろうか。そういう点では資本費、いわゆる設備の問題から含めて、コスト面での厳しい査定が当然されるべきではないだろうかと思うんですね。ですから、今後の電力の需給、代替エネルギーあるいは新しいエネルギーの電力とのドッキングというようなことなども考えながら、全体的にこの資本費が膨らむことを抑えることは、会社にとっても本当は必要なことなんですね。我が国の電力の需給、産業のこと、国民の生活費を考えても必要なことではないだろうか。  一つ例を申し上げますと、コスト意識がないというか甘さというのは、例えば公益事業でなくて一般の個人が資本を出して稼いだのなら、幾ら退職金をもらってもいいですよ。しかし常識的に、例えば二けたは出してないかもしらぬけれども、二けたに近い億の退職金が払われる。それは事業報酬がちゃんとそれだけ見ておられるということからできるのでしょう。しかしそれは電力料で国民が払っておるわけです。あれだけ苦労しておる企業が、苦労しながらとにかく払っておるわけです。そういうもので賄われておるのです。あるいはまた、ある社長は特定の政党の特定の候補者の後援会長、企業ぐるみで選挙をやっておる。法的にはいずれも問題ないでしょうけれども、公益事業として電力料がこれだけ国民の生活、日本産業に影響を及ぼしておる。そういう中で公益事業の経営者、トップの姿勢としてそれがいいのかどうか、それらが今申し上げました総括原価なり資本費の見方を甘くしておるのではないか。  大臣、厳しくというのは、私はそこをきちっとやってもらいたい。そうでなければいけませんよ。声だけ高いけれども、あけてみたら実際には厳しい査定ではなかったということにならぬようにしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  26. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘のとおり、今日におきましては、エネルギー問題を考えます際には、従来非常に大きな課題でございましたセキュリティーということに加えまして、コストさらには品質といった問題を十分考えなければならないという認識は強く持っているわけでございます。先生指摘の、過大な設備を擁しましてそれが結局原価にはね返ってくるというような事態は、厳に避けるべきものだというぐあいに考えております。  今回の改定作業に先立ちまして、十月一日に電気事業審議会から長期電力需給見通しの見直し作業の結果を御提出いただきました。これに即しまして、各企業とも電気事業法二十九条に基づきまして施設計画の届け出を行っておりまして、可能な限り最新の状況対応した設備のあり方というものを反映するように努めているつもりでございますし、今回の査定に当たりましても、当然そういった面につきましてもさらにきめ細かい配慮をしていくことが必要不可欠かと考えております。  なお、先生指摘のように、最近一段と都市での集積化というようなものが進んでおりまして、特定地域で集中的に電気需要あるいは熱需要といったものが発生するような状況になっております。ガスタービンを初めといたしましてさまざまのエネルギー源、エネルギー機器を活用いたしまして、コジェネレーションと呼ばれておりますが、熱と電気の同時供給を行うというような試みが生まれてまいりました。私どもも、やはり適切な形での競争促進という意味合いもございますし、このコジェネレーションに対しましては前向きに取り組んでいるわけでございます。先般も、一つの建物の中におきましては、建物の所有者がテナントに対しまして電気供給を行うのを容認するという道も開きまして、いわゆる複合エネルギー時代というような声も出てきているわけでございますので、新しい競争が展開をされていくように十分心してまいりたいというぐあいにも考えている次第でございます。  なお、御指摘の退職金の問題につきましては、料金査定に当たりましては退職金は原価には盛り込まないという考え方をとっておりまして、いわば企業努力の範囲内で対応していただくという姿勢をとっております。良識ある対応が図られることが必要であることは申し上げるまでもないのではなかろうかと思っております。  また、電力会社の役員の政治活動につきましても、企業ぐるみというようなことがあってはならないと思いますし、そうしたことのないように常々関係者も心しているものと承知をいたしております。今後ともこうした厳しい姿勢がとられることを心から期待をいたしている次第でございます。
  27. 水田稔

    水田委員 電力会社の収入というのはほとんどが電力料金なんですね。払うのは国民ですから、別のところから出てくるというようなことはないのです。企業努力というのは、査定でやるわけですから、その中でエネ庁はきちっと見ておるわけですね。今見ておるのは国民に公表していないわけですから、エネ庁がチェックする以外にはないわけですね。それから品質の問題、コジェネの問題は、きょうは時間がありませんから改めて論議をしたいと思うのです。  そういう意味で、公益事業でございますから、これの原価構成は、本当ならばいわゆる総括原価の数字を公表すれば一番いいのですね。特定の民間の私企業で全然政府が関係ないところのものは公表しろとは言いませんが、少なくともこれだけ影響のある電力料金については、本当は総括原価についての数字をある程度出して、国民の批判の中で納得のいく電力料金を決めるべきなんです。それをすべきだ、私はこう思います。今すぐはできぬわけですから、それならば、エネ庁はその点を国民にかわって全部見るわけですから、今回の料金改定ではそれをきちっとやってもらいたい、そのことを申し上げておきたいと思います。  そこで、私どもの党でも計算してみました。今申し上げましたように総括原価は全部公表されておりませんから、これまでの実績とかに基づいて、最近の為替レートが原価の価格等を入れてやってみたわけです。この場合では為替レートが百三十七円ですけれども、今はもっと円高になっておりますから違いますが、それでも八・三%は第二次暫定から下げられる。さらに考えるべきことは、九千四百六十九億円の円高差益の保留分があるわけでございますね。これは原価計算に入れるわけにはいきませんが、それらを含みとしていけば、九千億というのは一%に相当するわけですから、厳しい査定をやった上でそこからさらに二%、三%下げた厳しい査定をやっておっても、一年あるいは二年ということであれば賄えるわけでございます。  それから、企業努力というようなことを言われましたけれども、今度の下げは平均では三・九二%ですが、例えば円高差益の少ない北海道や東北が五・六%、五・八%ですから、円高差益の大きなところではこの査定でもまだ余裕があるわけですね。もちろん地域間の格差を縮めようという必要もあってこういう点をやっておるのかもしれませんけれども、そういう点ではまだまだ余力のある電力会社がある、こういうぐあいに見るべきだと思うのです。この点について今までの通産省の見方は、新聞報道だけですからわかりませんが、三・九二に対して五%前後の値下げということでどうも査定を進めておるのではないか。声高々に言うけれども、それは甘いのではないか。そういうことで、若干具体的な数字を申し上げたわけです。  そして冒頭申し上げましたように、年を越せば百三十円から百二十円になる。アメリカの双子の赤字に対する対応がまだまだ極めて不十分ですから、そういう点を考えれば、我が国がいかに内需拡大努力をしてもなおかつ円高になる要素はある。そういうことを含めて見れば、どうもこれまで報道されるところで見る通産大臣の言われる厳しい査定というのは、言葉だけは厳しかったけれども実際はそうでないということになりかねない、そういう懸念があるものですから、具体的な数字を幾つか申し上げて、エネ庁の料金改定についての決意のほどを聞かせていただきたいと思うのです。
  28. 浜岡平一

    浜岡政府委員 ただいま作業中でございますので、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、具体的な数字をこの席で申し上げるわけにいかないわけでございますけれども基本的には大臣から御発言がございましたような気持ちで取り組んでいるわけでございます。  為替レートにつきましても、御指摘のように大きな変動があるわけでございます。私ども、従来は直前三カ月の平均値というものをとってきているわけでございまして、先生指摘の数字はあるいはこの為替レートにつきまして別の数字を御採用になったものではなかろうかと思いますが、為替レート等につきましてもできるだけ最近の事情までを反映できるようにいろいろ考えていきたいと思っておりますし、そのほかの面につきましても十分洗うべきところは洗いまして対応していくつもりでございます。
  29. 水田稔

    水田委員 大臣、今まで申し上げましたように、またもっと細かい数字を挙げればいいのですけれども、時間がありませんから、一つは総括原価にメスを入れる、一つ為替一つは原油価格、そして約九千五百億円の円高差益の留保分を持っておる。大臣が厳しいと言われるなら、そこらを含めた本当に将来の電力事業のあり方ということ、需給の問題を含めてそういうことを見た電力料の改定ということの決断をしていただきたい、そのことを大臣に特に最後に要請しておきたいと思います。  それでは、続きまして石油税の問題についてお伺いしたいと思うのです。石油税というのは従価税ですから、量が横ばいになり価格が下がったわけですから収入が減るのは当たり前のことなのですが、来年度予算でどうするかというのは、これを従量税に変えるという論議、あるいはまた来年は従価税で税率を倍にしてとにかく財源確保をしようとか、そういうことをいろいろ言われておるわけです。税制改革の中に出してくるのだと思うのですが、今の事態の中で石油税をなぜ増税しなければならぬかということが私はわからぬわけです。もちろん、これは国の財政のあり方にも問題があります。とにかく石油から取った分でやりなさい、大蔵省は関係ない、こういう姿勢にも問題があります。これはなぜ今増税されるのですか。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  30. 浜岡平一

    浜岡政府委員 最近のペルシャ湾の情勢等々を見ておりますと、現在のところは小康状態でございますけれども、一触即発というようなことでございまして、石油の備蓄を初めといたしまして、石油開発さらには代替エネルギーの導入といったエネルギー対策につきましては、先を見まして着実に推進していかなければならないと思っているわけでございます。  御指摘のとおり、石油税は国家石油備蓄の推進等を目的にいたしまして五十三年度に創設をしていただきまして、当時は先行きどれぐらい石油の価格が上がっていくものかなかなか見当もつかない状況でございまして、当然対策費も膨らんでまいりますし、それに対してある程度収入がフォローしていけるようにというようなことで従価税体系を採用していただいたわけでございます。結果としまして、過去十年間、初めの五年間はどちらかといいますと収入の方が歳出を上回りまして、ある程度一般会計に留保額ができました。後の五年間は歳入が歳出を下回りまして、留保分を取り崩すということで何とか今日まで来たわけでございますけれども先生指摘のように最近のドルベースの石油価格の下落さらには円高というようなダブルパンチで、非常に激しく石油税収が落ち込んでいるわけでございます。  例えば昭和六十一年度予算案におきましては、石油税収は四千五百億を見込んでいたわけでございますけれども、六十一年度の実績は千六百億程度でございました。六十三年度につきまして私ども、歳出につきましては六十二年度完全に横ばいということを前提にして石油税収がどれくらい見積もれるかということを試算してみたわけでございますけれども、当時は年末のOPEC総会で二ドルくらいの値上げがあるのじゃないかというようなことで、一バレル二十ドル、百四十五円一ドルというようなことで千九百六十億円程度の石油税収というようなものを見込んでおりまして、差額を資金運用部から借り入れというようなことで概算要求を提出いたしておりました。  しかし最近になりますと、この九日からのOPEC総会で十八ドルからの値上げというのは非常に難しい、むしろこれを維持するのが精いっぱいではないかという見方が広がってまいりまして、為替レートは御承知のようなことでございまして一バレル十八ドル、一ドル百三十五円ということで試算してみますと、六十三年度の石油税収はやはり千六百億円くらいしか見込めないというような状況でございまして、このままでは歳出を横ばいにいたしましても二千億になんなんとする歳入不足といいますか原資の不足があるというような状況でございます。  通産省の一般会計の石特繰り入れを除いた規模が三千二百五十億程度でございまして、一般会計でこれを埋めるということは現実的には非常に困難でございますし、振り返ってみますと石油税そのものが石油備蓄対策等を推進するために創設していただいたというようなことでございますので、解決方法は、この石油税の仕組みの見直しをお願いいたしまして、従量税化していただくということが将来への備えではなかろうか。収入は輸入量がほぼ横ばいでございますから横ばいになりますけれども、その中で何とか工夫をしていくということではなかろうかと思っております。税収、税率につきましては、過去経験したことのあるレベルを超えないというのが節度ではなかろうかというような気持ちで対応を図ろうといたしているところでございます。  なお、税制の抜本的な見直しといったものが六十四年度から見込まれているというようなこともございまして、石油税そのものの見直しは六十四年度に送りまして、六十三年度は暫定的に従価税率を引き上げてはどうかというような案も政府部内の一部にございますけれども、私どもは、従価税率をさらに引き上げるというようなことにつきましては、今後の状況変動に対しまして一段と脆弱性が強くなるというようなこともございますので、仕組みを見直すとすれば、やはり従量税化という方向でぜひ御検討をお願いしたいと思っているところでございます。
  31. 水田稔

    水田委員 増税しなきゃならぬという、国民を説得する理由は一つもないのです。なぜならば、この制度ができたときというのは、まさに石油危機という状況の中で、備蓄もほとんどしてない状況の中でやったわけですね。ですから、今長官言われるように、我が国がエネルギーの九〇%以上、九八%までを輸入する。ですから、一つはエネルギー源の多様化、一つは、同じ石油にしても非OPEC国の生産もふえておるわけですね。ですから輸入先を分散していく、そういうことをやれば備蓄の量を減らすことができる。そして、今国家備蓄と民間備蓄で百二十日分の備蓄があるわけです。確かにペルシャ湾は今危険な状態ですが、じゃそれだけの備蓄があって、円高差益を国民に還元するのじゃなくて、あるいは産業に還元するのじゃなくて、どんなことがあっても政府がやろうとしている計画だけは進めるんです、だから税金を上げるんですというのでは、納得する理由にならぬわけですね。  ですから、いろいろなものに使っておるわけですが、大きな額としては石油備蓄に使っておる。これまでの三千万キロリットルを五千万にするとかいうようなことを国は言っておるわけです。ナフサについての備蓄義務は外していく。私はむしろこれからの備蓄については、民間備蓄はそれがコストに皆はね返っておるわけですから、そういう点はナショナルセキュリティーという立場で、エネルギーを確保する国家備蓄、それは一般財源から入れてもいいじゃないか。そういうことを考えずに、とにかく片一方で、取れるところから取って、自分たちの計画を既定どおり進めようという必要はさらに今のところないと思うのですね。だから、緊急性を要する、倍も税金を上げようというあれはないわけです。ですから、計画を後ろ倒しにしたって、エネルギーの供給については今のところは全く心配がないというのが今の状況ではないかと思うのです。  ですから、これから本当にこの税金をどうやっていくかというのは、今直ちに従量税にして上げるとか、あるいは従価税のまま税率を上げるとかいうのじゃなくて、これはやはり石油の依存度が今後一体どうなっていくのか、あるいは備蓄計画をどういうぐあいに緊急に、今までの計画でやらなければいけないのかどうか、それを再検討したらいいと思うのですね。あるいはエネルギーに税金のかかるもの、かからないもの、高いもの安いもの、いろいろあるわけです。大体日本では、石油類に対してはもう山ほどの税金をかけておるわけですね。それがいいのかどうか、エネルギー間のそれぞれの税金のバランスは一体どうなのか、そういうことを総合的に今時間をかけて検討すべきです。入る分で、計画を後ろ倒しにしてやったって全く問題はないと思うのです。そういう点では、今通産省が、エネ庁検討しておるこの石油税の問題については、私は全く理解できないということを申し上げておきたいと思うのです。  それからもう一つは、これは同じエネ庁でやることなんですが、例えば電力料は先ほど言いましたように引き下げをやる。これは例えばの話ですが、倍にやるとしたら、電力業界が使っておる重油の量で計算してみると、約五百億円は経費がふえるわけです。五百億というのは電力料にして〇・五%、片一方では何%か下げるなら片一方で〇・五%上げるというようなことがここで起こるわけでしょう。そこにはそういう矛盾も起こってくる。私は、今石油税のあり方を基本的な立場で考えるのが一番正しい、今足らなくなったから上げるというのは国民に対して説得力のあるものではないということを申し上げておきたいと思うのです。見解を伺いたいと思うのです。
  32. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘の問題につきましては、昨年来いろいろな場で検討をいたしてまいりました。総合エネルギー調査会、石油審議会等の場を活用いたしまして、かなり広範に各方面の御意見を承ってまいったつもりでございます。  この十月に改定をいたしました長期エネルギー需給見通しては、現在石油依存度五七%ぐらいでございます。石油ショックの起きました四十八年度には七八%でございましたから、大変な変化が起きております。今世紀末、昭和七十五年度にはこれが四五%ぐらいまで下がるだろうというぐあいに見込まれているわけでございます。一部には、そこまで下がらない、五〇%ぐらいではないかというような見方もございます。やはり今世紀中はまだ石油基軸時代といった様相が続くと思われるわけでございまして、日本の石油供給の脆弱性というものはやはり今世紀中続くと思われますし、これに対する備えを怠るわけにはまいらないのではないかと思っております。  実は、現在進めております三千万キロリッターの国家備蓄につきましても、現段階では二千四百万キロリッターでございまして、さらに六百万キロリッターの積み上げが必要でございます。また、この入れ物になります国家備蓄基地につきましては、全国十カ所で着手しましたもののうち、完成しましたものは二カ所でございまして、半分ぐらい完成したものが一カ所でございます。残りのものは全部今工事中というような状況でございまして、最近の状況下では、これらの工事を全部大きく繰り延べているというような状況になっているわけでございます。  それから、先生指摘の備蓄の積み上げにつきましては、実はこれは国際的に大変な強い要請でございまして、IEAの場におきましてもあるいは日米のエネルギー・ワーキング・グループというような場におきましても、世界の石油市場の中で、大きなユーザーで最も弱い国は日本であるので、日本が石油備蓄を充実することは国際的な責務であるというような声が国際的な世論になっているのではないかと思っております。現在、石油備蓄の活用につきましては、国際融通でございますとか国際共同放出というような大きな国際的な枠組みというものが構想をされておりまして、現在の日本の石油備蓄、民間備蓄が大宗を占めているわけでございますけれども、これでは十分対応できない、むしろこういう大きな国際的対応は国家備蓄によって対応していくことが強く望まれるというような認識に立ちまして、ただいま先生指摘のような対応を図ろうといたしているわけでございます。  確かに、石油備蓄等の問題はセキュリティーの問題でございますから、絶えず一般会計というような意識もあちこちからあるわけでございますけれども、先ほど申し上げました現実的な制約とか、あるいは石油税ができましたときの経緯等に照らしますと、まことにやむを得ざる選択でございますけれども、どうも現在考えている選択しかないのではないかというぐあいに思っている次第でございまして、ぜひ御理解を賜るようお願い申し上げたいと思うわけでございます。
  33. 水田稔

    水田委員 時間がないから答弁は簡単にしてください。長官が今答えられたことは、私は全くよく知っておるわけです。日本が外国からそういう要請をされておることも、備蓄をしていかなければならぬこともよく知っておるわけですね。ただ、今百二十日分持って、しかも今のエネルギー全体の、危険なところもあるけれども、そういう点を含めて全体で緊急に税金を倍に上げて、そして予算確保して仕事をどんどん進めなければならぬという理由にはならぬじゃないか、国民はそれは理解しませんよ、こう申し上げておるのです。だから、百二十日じゃだめなんです、もうあしたが危ないんですということでなければ、またさっき言ったように、いわゆるこれからの石油の需給の動向、あるいはまたエネルギー間の税金のバランス、あるいは備蓄計画はどういうテンポでやったらいいのかということを検討していいのじゃないか、そういうぐあいに申し上げておるのです。ですから、私が言ったことに対して答弁になっていないわけですよ。百二十日ではあしたが危ないというようなことはないでしょう。そういう点で、時間がありませんから私の一方的な意見だけ申し上げておきますが、今石油税を上げる、そういう必要はまさに全くない、そういうぐあいに申し上げておきたいと思います。  時間がありませんから、あと二つありますので、一つはLPGの問題についてお伺いしておきたいと思うのです。  これは、円高差益がどれだけ還元されたか。大分できてますというような話が経企庁からあったりするのですが、まさに円高差益がほとんど国民、消費者に還元されてない最たるものがこのLPGであることは、エネ庁も一番よく御存じだと思うのです。LPGが輸入価格で一番高かったのは五十八年の六月で、一トンが七万八千五百三十円、一番安かったのが六十一年の十月で一万九千六百六十八円、ことしの九月で二万三千三百五円ですね。ですから、輸入価格というのは四分の一から三分の一。私がそれに類することを例のLPGの備蓄問題のときに申し上げたら、LPGというのは保安に金がかかるのだ、こういう答弁があったわけです。そんな金かけてはいないですよ。まだ保安に金をかけておるのは、中小のガス会社が経営規模からいったら大変な負担をこうむりながらやっておるわけです。実際、小売価格を調べてみますと、ことしの九月で八%しか下がってないのです。これまで通産省は二度にわたって行政指導したというのですね。それで元売、卸は大赤字だと言うので、一体どうなっておるのですか。まさにこれは市場メカの働かない業界になっておる、そういうぐあいに思うのです。  それから、円高差益というものの国民への還元が十分できれば、大変な産業上のマイナスも受けながら、一方ではメリットを生かしながら、これから日本経済というのがやっていけると思うのですね。最近、報道を見ますと、この流通にメスを入れる、指導する、こう言っているのですが、今まで二遍にわたって指導したけれども結果は今申し上げたようなとおりなのです。これほどべらぼうな円高差益が還元されないのを、本当に国民に還元できるような指導ができるのかどうか、どういうぐあいに今度の場合取り組もうとされておるのか、お伺いしたいと思うのです。
  34. 内藤正久

    ○内藤政府委員 今、先生指摘のとおり、LPGの円高差益の還元については過去二度にわたって指導いたしておりますが、とりわけ昨年十二月の指導では一〇%の差益還元を行うべきであるという具体的な数字を示して指導をいたしております。また、それをフォローアップいたしますために、ことしの一月にとりわけ全国の有力な販売店六十五社を選びまして、特に円高差益の還元を徹底するようにお願いをいたしております。それでその結果、先生指摘のとおり、六十二年十月の小売価格を昨年の四月と比較いたしてまいりますと約九%の引き下げでございます。したがいまして、一〇%の指導をしておるのに対して現実は九%であるという意味で、不徹底であると我々も考えております。ただ、先ほど申し上げました、とりわけ六十五社の大手分につきましては一〇・六%の引き下げになっておりまして、我々の指導を十分に遵守していただいている企業もあるというところでございます。  ただ、御高承のとおり、本件は先ほど論議になっておりました電気、ガスの認可料金とは違いまして、競争条件に応じて個別の企業地域の実態を判断して価格を決定していくという実態でございますので、指導にもおのずから限界があるというもどかしさは感じております。ただ、御指摘のとおりの円高差益を十分に消費者に還元していくべきであるという方針は我々も引き続き堅持をいたしておりまして、今後ともその動向を注視いたしますとともに、機会あるごとに従来からの要請の趣旨をさらに徹底して、円高差益が還元されるように指導をしてまいりたいと思っております。  それから、ことしの十月にビジョンを策定いたしておりますけれども、その中でも先生指摘の小売段階におきまして保安投資、人件費等がかさむ、あるいは継続的な取引関係であるというふうなことで、なかなか値下がりが末端までいきにくい、消費者のところまでいきにくいという状況があることは認識をいたしておりまして、それについての構造的な改善についても業界と今後とも話し合ってまいりたいと思っております。
  35. 水田稔

    水田委員 四分の一に仕入れ価格が下がって一〇%の指導をするというのは、まさにエネ庁自身円高差益を還元するという意思が十分ないということを示しておるのじゃないですか。それさえも守られない。  言われるように、エネルギーというのは消費者の選択の自由なんです、炭を使おうが、まきを使おうが、プロパンを使おうが、灯油を使おうが、ガスを使おうが。一方で、値下げ指導したら公取にやられたところがありますね、値下げ幅を協定するというのは。そういうことを平気でやっておるわけですね。そして実際には、消費者がかわろうと思ってもその地域の話し合いでかわれないようになっていますね。そういう仕組みになっておるわけです。あるいは、それは自由ですからそこに新しく団地をつくる者が都市ガスを入れてもらいたいと言っても、それはプロパン協会の同意がなければ通産省は認可してないでしょう。そして実際には、消費者は自由だけれども、それを都市ガスにかえる場合は何万円といういわゆる立ち会い料というのを取ってやっておる。そういうことはエネ庁は全部知っておるわけですね。それでなおかっこの業界が下がらぬというのは、今のような態度では下がるわけがないのですよ。私は、そういう取引の実態を知った上で、それが下げられる流通の状況というのを改めてつくるぐらいの気持ちでやってもらいたい。時間がないから答弁結構です。要望だけしておきます。  最後に、これは経済協力に絡む問題でお伺いしたいのですが、実はマレーシアの問題です。報道によりますと、今年度予算の民間協力型専門家派遣事業で発電所の技術者を四名マレーシアに派遣する、こういう報道があるわけです。マレーシアで今大変な状況が起こっておるのはもう御承知だと思うのです。十月の二十七日から二十八日にかけて、与党の中の反主流派、野党の指導者、学者、弁護士、人権擁護とか環境保護の団体の活動家九十余名を大量逮捕しておるわけです。これは全く裁判なしで逮捕、拘禁できる。あるいは新聞の発行停止をやる。まさに民主主義を否定するような事態が起こっておるわけです。このことを心配して欧州議会では、十一月十九日に満場一致で釈放しろという要請を出すことを決議しておるわけです。  ですから、経済協力援助というのはやればいいというものじゃない。これはフィリピンのマルコス疑惑のときに政府も大きな反省をされたと思うのです。援助することが、単に政府だけじゃなくて国民にとっても日本との関係がよくなる、そういう思いでやるべきものだと思うのです。こういう状況の中に、日本が既定方針だからといってやることは決して好ましいことではないだろうと思うのです。これは実際の事業は協会がやっておるわけですが、通産省としては当然こういった反民主的なことが国内で行われておる状況が解消されるまではこういう援助については保留する、そういう指導をしてしかるべきではないか、こういうぐあいに思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 吉田文毅

    ○吉田政府委員 先生指摘のとおり、マレーシアにおきましては十月の末以来いろいろ困難な状況が出現しております。それらの事態は、マレーシアにおきます国内の治安法に基づく勾留等の案件でございまして、私どもは、マレーシアの国内問題でございまして私どもが直接意見を申し上げる立場にはないというふうに考えております。  マレーシアは、御案内のとおり、我が国の通商政策上重要な、かつ歴史的地理的に見ましても我が国とかかわり合いの深い地域でございまして、これまでも広範な分野で密接な協力関係が築き上げられてまいっておるところでございます。私どもの援助自身は、マレーシアとのこのような全体的な関係に十分意を用いまして、同国の経済社会開発あるいは福祉の向上、民生の安定というようなことを目的として、マレーシア国民のために供与をされるものでございます。私どもは、マレーシアが経済的な困難を克服いたしまして経済的な自立を達成するためには、我が国として積極的に援助を継続すべきであるというふうに考えております。
  37. 水田稔

    水田委員 私が言ったことを全く聞いてない。欧州議会でさえも、こんなことが許されてはならぬという決議をしておるのですよ。経済援助することは我々は否定していないのです。ただし、そういう状態を国内でやりながら経済援助だけ受けるというようなことをやらせてはならぬし、また日本もしてはならぬ。ではマルコス疑惑がわかってマルコス大統領の政権のもとにあの援助を続けるのですか。日本の国民は承知しないですよ。そういう意味で、時間がもう参りましたから、そんな今の答弁のような、あれは全然関係ないという態度をとるべきでないということを申し上げて、質問を終わります。
  38. 甘利明

    甘利委員長代理 次に、薮仲義彦君。
  39. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は最初に、先般第九回目のブラッセルで行われました日本とEC議員会議に出席させていただきましたので、このECとの関係から大臣の御意見を伺わさせていただきたいと思います。  会議ではECと日本側との率直な意見の交換がなされまして、大変有意義な会議でございました。大臣も、その後訪日なさったナルエス副委員長あるいはドクレルク委員とお会いになって、EC側のことについてはもう十分御認識の大臣でございますので、きょうはその確認の意味で何点か質問させていただきたいわけでございますが、私はこの会議に参加しまして、ECがこれから一九九二年を目指して域内統合という大きな事業をやっておるわけでございます。そして、しかもECと日本の関係、それから日本アメリカの関係の中でこれを考えますと、日本アメリカというのは非常に濃密な関係にございますけれども、ECに対してはいかがかなという懸念がございます。  御承知のように、ECは十二カ国、人口も三億二千万、経済の規模でいいますとGDPでは三兆三千億、日本の国の約二・〇五倍の経済圏でもございます。こういうEC市場というものは、日本のこれからの通商政策上非常に重要な立場にあると私は認識を新たにしたわけでございますけれども、こういう意味からして、特に我々に対してドクレルクさんも、日本アメリカ、ECというトライアングルの関係の中で日本とECのリングが非常に弱いのです、これをもっと強化することが重要だと思います、こういうことを盛んに言っておられました。いろいろ意見の違いがございましたけれども、私はやはり世界経済の中で日本が果たさなければならない役割、さらにはECとの関係については非常に重要だなという思いをいたしておりますが、まず冒頭、大臣のECに対する基本的な考えをお聞かせいただきたいと思います。
  40. 田村元

    田村国務大臣 もう私の答弁は、今おっしゃった御質問の言葉で尽きるかと思います。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕  参考までに、ECに対する私の考え方の基本的なことだけ申し上げたいと思います。まず、我々はECとのおつき合いをもつと深め、大きくしなければならぬという点から一つとらまえることができる。もう一つは、日本の貿易体質が余りにもアメリカ偏重に過ぎるということから、アメリカ一極集中から多極分散へということになれば、アジアは申すに及ばず、まあアジアの場合は、御承知のようにニューAIDプラン等で我々は今後積極的に対応しようと思いますけれども、ECだけを論じますと、当然ECとの関係をもう一回考え直さなければならぬということになろうかと思います。おかげさまでEC委員会、ナルエスとか今おっしゃったドクレルクあるいはドイツのバンゲマン、イギリスの前のチャノン、今度はヤングという人になりました。フランスはノワールとか、いろんな人に随分親しくお願いしていろいろとお話を承っておる。  もう一番最初に日本アメリカ、ECという三極の数字を見て愕然としたのです。昨年の八月のことでございました。つまり今から言って昨年の数字、やや昨年はよくなったとはいえども、日米間がおおむね千百億ドル弱、アメリカ・EC間が千三百億ドル強、いわゆる日米は米・EC十二カ国にほぼ匹敵するぐらいの大きさ。ところが日・EC間はわずかに四百四十七億ドルということでございますから、当然これをもう一回見直さなければならぬ。ただ、そのときに、ECという巨大なマーケットをねらいにいくという考え方でECを論じたら大きな間違いだと私は思うのです。日・EC間で拡大均衡を図って真の日・EC間の友好的な貿易発展を、あるいは外交的な発展を目指すということでなければならぬ、このように思っております。その意味で、昨年からことしにかけて私の十回を上回る外遊の半分以上はEC関係でございました。今後もそういう点で通産省として対応していきたい、また業界にもそのように指導していきたいと考えております。
  41. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は大臣の御答弁を聞いて大変国としてよかった、またそうあってほしいと願いつつ、以下何点かお伺いしたいわけでございますけれども、私もその会議へ参加する前は、いわゆる日本の立場中心に物を考えるくせがどうもありました。日本のいわゆるハイテク産業と言われるものは非常に品質がよいのだ、使いやすいのだ、便利なんだ、しかも故障も少ない、使ってくださる相手の国民の方が非常にそれを待っているのだ、喜んで使ってくださるのだ、ですからよいものを安く故障なく相手の国が喜んでくださるものを送るのだから一向に悪くないだろう、こういう基本的な認識を私、持っておったのは事実です。しかし、ECの方々がそれぞれ御自分の立場で物を言われるときに、我々がそうやって相手の国民の方が喜んでくださるからいいだろう、こう言っても、例えばオートバイ産業は壊滅状態ですよとか、あるいはそれによって企業は倒産し失業はふえるのです。しかもEC諸国の高い失業率を言われますと、これは日本が安くてよい物を送ればいいのだろう、こういう考えで物を出しておっても、相手の国にとっては相当な痛みと、ある意味では悲しみに近いような問題があるのだな、そのことを十分認識しなければいけないな。  途中、フランスを経由して行ったわけでございますけれども、じゃ例えば日本とEC間に横たわる今の貿易収支の中でインバランスはどうかと言えば、もう大臣、先刻御承知のように、百六十億ドルは超えて百七十億ドル近くなったわけです。そうすると、向こうはこれは相互主義から言ったら非常に不公平ですよ、こういう言い方をするわけです。向こうが一番要望するのは、いわゆる直接投資であるとか、相互主義によって例えばアルコール等の国内関税をもう少し云々ということもございますが、これは後ほど大蔵省もお見えでしょうからお伺いしますけれども、私が困ったなと思うことは、途中フランスに寄りましたから、これは十二カ国全部でなくてフランスだけを例に挙げますと、日本とフランスの関係で日本がフランスへ輸出しておりますものを上位十品目でいきますと、一番が乗用車、オートバイ、自動データ処理機、カラーテレビ、ラジオ、VTR、複写機、こういうような形でハイテク製品がずらっと上位に挙がってくるわけです。それではフランスから日本の国に入ってくる物は何だろう。順位を挙げてみますと、トップが絵画です。それから原子力発電の原料である濃縮ウラン、三番目にコニャックです。四番目にはハンドバッグです。そして六番目には香水、化粧品、七番目にワイン。  物の交流とはいうものの、今ECから入ってくるこういう品物の付加価値と日本から行くハイテクの付加価値を考えますと、貿易のインバランスなどというのを解消するということは容易じゃないな、ある意味ではインバランスというのは、このまま継続しつついかなければならないのか。しかし、例えば日本が直接投資で向こうへ行った場合に、ローカルコンテント法ということで、部品の調達が四割以下の場合には税金をかけますよ、こういうような形で言ってくると非常に困難な問題が数多くあるなということを私は実感しているわけでございますが、簡単にECと日本の貿易のインバランスを解消するといっても、今申し上げたように、フランスと日本の国の間ですらこのような状態が続いています。  これは大臣承知のように、日米間でも同じような形で、アメリカから来るのは第一次産品がほとんどですから、どうしてもインバランスはもう物理的に拡大していかざるを得ない。ならば、特にECのような、これから非常に——アメリカのような形にしたくない、好ましい関係にしたいという中で、このいわゆるハイテクと向こうどの関係をどうやっていったらいいのだろうか、こういう点で大臣も心を痛めていらっしゃると思うのですけれども、果たしてこのうまい解決方法大臣としてどうお考えになっていらっしゃるか、ちょっと御意見をお聞かせいただきたいのです。
  42. 田村元

    田村国務大臣 率直に言いまして、非常に難しい問題でございます。特に今後、産業構造調整が進んで国際分業という形になっていきますと、日本が担当する分野というのが外国とのインバランスに対してどういう影響を与えるか、やはり難しい問題は多々あると思います。でございますから、直接投資とかそういういろいろな面でこれを補完していかなければならない。ところが、現実問題として日本企業が評判が悪いというのは、なぜ悪いのかといいますと、これはアメリカでもそうでございますけれども一つの例を言えば、部品の現地調達等々、今回〇%という数字をおっしゃいましたが、そういうような問題、つまり日本企業が外国へ進出していくと、これはECだけじゃございませんが、同族意識、グループ意識が非常に強い。向こうの企業になり切れない面がございます。そういうこともあって、まず企業基本的な考え方というものも改めてもらわなければならぬ、というよりもむしろその一語に尽きると言ってもいいくらいのことだと思うのです。  それからもう一つは、今ECとの間で百六、七十億ドルじゃなかろうかと思いますがインバランス、これはこの前に三百二社を呼んで私から輸入促進の要請をいたしました。要請をする前に、六十一年に対して六十二年はどれだけ輸入がふえると思いますかということでアンケート調査をしたところ、八%と出たわけですね。私がお願いしますと言った後で調査をしたら、二〇%と出てきました。実にそれだけで六十億ドルふえたわけです。でございますから、余り悲観的に見ることもないのじゃないか。つまり、ECは日本人のニーズが非常に向いているのですね。  ところが、問題はアメリカなんです、頭が痛いのは。アメリカの物を日本人はなかなか買わないものですから、ECの物はその点では望みなきにしもあらず。詳しいことは吉田次長から場合によってはお答えさせますが、そういうふうに今いろいろな面で、輸入と直接投資ということで通政、貿易の方はそれに集中して検討しておるという姿でございます。
  43. 薮仲義彦

    薮仲委員 今回、自民党の羽田先生が団長で行かれたのですが、団長も非常に苦慮しておられたようでございますけれども、我々も行ってしみじみ感じたのは、そのとき言われたことは、物の交流をスムーズにするためにお互いに議員同士研究しよう。例えば、なぜ直接投資できないのだ、ECは日本の国に直接投資しにくい。あるいは関西空港等の問題をいろいろ投げかけできますけれども、我々はそういう問題は問題としてお互いに研究してみよう、本気になってECのために日本はどうすればいいんだ。また、ECが日本の国に物を持ってくる、あるいは企業が直接投資したいというときに何が一番問題なんだ。我々は関税障壁だとか非関税障壁はもうほとんどバリアはありませんという言い方をしますけれども、向こうはなかなか納得できない。こうなったら粘り強く双方で研究しあるいは話し合ってそのバリアを取り除かないと、今アメリカがあれだけ株が暴落して景気が悪くなっています。もし本当にアメリカが借金を返そうとか国内景気を立て直そうという気になったときに、アメリカは非常に景気が厳しくなっている、そうしますと日本もどうなるのか。そうなったときにECが一番困っているのは、アメリカに輸出する分をECに持ってきては困りますよという言い方をするわけです。日本の国は、ちょうどレーザービームのようにビーっと来ますとこれは困ります。こうなってきますと、アメリカから嫌われ、ECから嫌われますと、貿易で立国しなければならない日本の国はそれ相当の痛みといいますか、どうすればいいのかということを真剣に私は考えざるを得ない。自分の国がもうかっていればいいのだということがもう通らなくなっている。  私は通産大臣にお願いしたいし、またこうあってほしいというのは、ECの国からも、あるいはもちろんアメリカからもそうですけれども日本の貿易のあり方というのはこうしてほしいのだという合意を時間をかけて取りつけておきませんと、もう時間的に相当厳しいのじゃないか。向こうの発言を聞いていますと、相当言いたいことを言いますから全然意見がかみ合いませんけれども日本というのは相当それだけ期待もされていますし、責任も重くなっているという自覚を新たにしたわけです。そういう意味で、何か国と国が形だけじゃなくて、本当に具体的な形でお互いの誤解やあるいは協調できる部分で道を開くように、どうか大臣に積極的に、今までもおやりになっているでしょうけれども、さらに一段とここで御尽力いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  44. 田村元

    田村国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、先ほども申し上げたように拡大均衡、それは今おっしゃったアメリカからのダイバージョンであってはいかぬわけです。だから、なぐり込みをかけるのじゃなくて共存共栄を求めにいく、そしてアメリカ一極集中から多極分散へと移っていく。余談になりますけれども日本アメリカに対する貿易依存度が三八・五%というのは率直に言って高過ぎます。ドイツはわずか一〇%です。ですから、やれココムだ何だといっても、日本の場合ドイツと同じような対応がなかなかできない、そういういら立ちさえ私にはあります。でございますから、今申し上げたように、多極分散型へ持っていくその第一段階はASEANとECだと私は思うのです。  ただ、おっしゃったように、よほど話し合っておかぬとなかなかかみ合わない。例えば日本へ向こうの企業が来る。いいセールスマンがなかなか雇えないのですよ。まず、日本は終身雇用制です。向こうはそうじゃありません。あるいはボーナス、日本ではボーナスといえばもうこれは生活給ですね、当然の権利みたいになっている。向こうでは、よく働いた者にはボーナスをたくさんくれるというようなことで、いろいろな面で違いがございます。これは、逆に日本から向こうへ行っても同じことが言えるわけです。ということもございますから、十分お互いを知り合うということがまず必要なんじゃないでしょうか。  今、薮仲委員がおっしゃったことに対して、私は全く答弁で同じことを申し上げる以外にありませんが、今後も、実際問題として通産省は対ECは非常に勉強しているんですよ。あらゆる角度からノーハウまで勉強しているのです。どうぞ、いろいろとまたお知恵がありましたらお教えを願いとうございます。
  45. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣のこれからの御尽力に期待をして、具体的な問題で、きょう大蔵省お見えだと思いますからちょっとお伺いしておきたいと思います。  大臣は当然、アルコール国内関税についてはガットの勧告を足となさっておられると思います。時間がありませんからきょうは大蔵省にだけずばっと聞きますけれども、向こうが一番問題にしますのは、先ほどフランスの例を挙げましたように、十品目の中の何番目かにコニャックが入り、ワインが入ってくるお国でございますから、それが日本の国で障壁があるということは耐えられないというか、我慢のできないことだと思います。これは当然、国内税法を改めなければならないということは我々も理解はできます。しかし、じゃ日本の税法が間違っていたかといえば、私は間違っていないと思うのです。  級別があるということは、いいお酒には高い税金を払いますよ、これは日本の国の中では合意されている至極当然なことなのですが、国際社会の中で生きていこうとすると、そういう国内の税制ということが理解をしていただけない。そうなってくると、どうしてもこれは級別については考えを変えなければならない。あるいは従量税だけでいいところを従価税がかかっている。ですからワイン等は非常に高くなるんだ、こういう言い方をしておられますし、もう一つは、我々は決してそうは思わないのですけれども、しょうちゅうとの競合の問題で、しょうちゅうの課税について非常な不満の意を表明なさいます。  我々は、やはりこの国内税制というものを改めなければならないなという理解はしておりますが、最近のマスコミの報道ですと、本年度ではなくて本格的な抜本改正の中で、こう言っておりますけれども、やはり私は、抜本改正なら抜本改正でやるにしても、ECの方々を納得させるだけのはっきりしたことはできるだけ早急に向こうへ伝えることが、これからの国際社会の中においてはある程度要求される事柄なのかなと思っております。その点、大蔵省の現時点でお話のできる点をお答えいただきたいと思います。
  46. 林正和

    ○林説明員 先生指摘のように、去る十一月十日、ECとの間で争われておりました本件につきまして、ガットの理事会で勧告が採択されました。ただ、その勧告におきましては、日本の酒税制度これ自身を否定しているものではございませんが、結果として輸入品に対して差別的である、あるいは国内品を保護していることになるということでございまして、従価税制度、それからウイスキー、ブランデーの級別制度、それからしょうちゅうと他の蒸留酒の間の税率格差、これが具体的にガットに反するということでございます。  私ども、この点につきましては、私どもの担税力に応じた負担を求めるという基本的考え方に基づきまして、内外産品を差別なく課税しているということを十分説明してまいったわけですが、他方、ガットの紛争処理手続を尊重するという立場からあえて反対はしなかったわけでございます。  酒税につきましては、従来から言われておりましたEC等の意見も踏まえまして、税制改革の一環としてこの春に改正案を国会にお出しいたしたところでございますが、御案内のとおりの事情で廃案となった経緯がございます。これから引き続き税制のあり方について見直しを進めまして、その中で酒税改正に関する検討も進めてまいりたいと思いますが、その検討に当たりましては、パネルの報告というものを踏まえて行っていきたいと思っております。
  47. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一言だけお伺いしますけれども、ということは、具体的には紋別それから従価税、しょうちゅうの税率をどうするか、この三つについてはきちんとした形で何らかの結論を出すということでよろしいのですか。
  48. 林正和

    ○林説明員 御案内のとおり、お酒というのは国民生活に非常に密接に関連しております。したがいまして、国民の理解を得ることには時間がかかるということはガットの理事会でも大使から言っていただいたところで、これはEC各国も理解していただけるのではないかと思います。いろいろこうした制約はありますが、パネルの採択に反対しなかった以上、できるだけそういう方向で努力をしていきたいということでございます。
  49. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは要望はしておきますけれども日本の酒造メーカーの中には当然しょうちゅう中心のところ、あるいはウイスキーの二級中心のところがあるわけです。国内税率が一挙に取っ払われて特級、一級、二級というものがなくなった場合に、海外から入ってくる優秀な、今までブランドと言われたウイスキーと日本の二級のウイスキーとが勝負にならないのはある意味では当然かなという気もいたしますが、国内のそういう酒造メーカーの方々がこれをどう受けとめて乗り越えていくか、これは重要な課題であろうかと思います。国際社会の中に生きていくためには必要な、また痛みを分かち合わなければならないのかと口では簡単に言えますけれども、その企業にとっては死活の問題でございますから、その点も十分踏まえた時期と検討をお願いしたい、これを要望しておきます。  次の問題に移らせていただきたいのでございますが、先ほども問題になっておりましたけれども、最近の急速な円高でございます。この円高差益の還元ということがよく言われますけれども、これについて経済企画庁としては現在どういう御認識でいらっしゃるか、ちょっとお答えいただきたいのです。
  50. 冨金原俊二

    ○冨金原政府委員 六十年の九月以降、急速な円高が進行いたしまして、その間差益の発生が見られたわけでございますが、具体的に差益の額を正確に計測することはなかなか難しい問題でございます。私どもとしましては、一定の前提を置きまして差益の発生状況、還元状況を計測して見ておるわけでございます。  最近の状況について数字の上で若干御説明をいたしますと、四半期ごとの計測をしているわけでございますけれども、全体といたしまして、最近では一四半期ごとでほぼ三兆円から四兆円ぐらいの発生が見られるという計算が出てまいります。それに対しまして、最近の時点で見ますと、そのかなりの部分、統計の制約上六十二年七−九月までの計測をしておりますが、例えばこの七−九月期だけについて見ますと、その九割方は還元をされてきているのではないかという数字が出てまいります。しかしながら発生当初、具体的に申しますと六十年の十月からしばらくの期間というのは、どうしても還元の状況が少のうございます。したがいまして、累計で見てまいりますと、この計測では六十年の十月以降ほぼ二十五兆円ぐらい発生をしておりますけれども、それに対する差益の還元率は七割弱という状況ではないかというふうに考えております。  それからもう一つの考え方は、これは数字では正確に出てまいりませんけれども産業連関表で分析をして業種ごとに、コスト面で円高あるいは原油安ということがどのくらい各業種でコストを下げていくだろうかという理論計算を一応してみるわけでございますが、それと現実のその業種の価格とのギャップというものを見てまいりますと、やはり最近においてはかなり理論値とその実績値とが近づいてきているという感じが出てまいりました。そういう意味では、最近の時点ではかなり差益の還元は進んできているのではないかという認識をしております。
  51. 薮仲義彦

    薮仲委員 経企庁長官、初めて質問させていただくわけでございまして、経企庁長官のお考えを伺いたいわけでございます。ちょっと計数的なことを申し上げますので、もしもお答えしにくければ政府委員の方で結構でございます。  私ここへ来ましたときに、月例経済報告をいただいたわけでございます。今、円高差益は累積では七割程度還元されておりますよ、期別でいったら九割以上還元されているはずです、こういうお話を承りました。しかし、この指標を見ますと、果たしてそうなのかな。今のお話では、六十年当初のころは円高差益の還元は進んでおらなかったけれどもだんだん進んでおります、こういうお話でした。ところが、それはお話のように物価に影響してこなければならない。  ここに合いただいたものの卸売物価と消費者物価を見てみますと、七−九が出ておるわけですけれども卸売物価は上がっております。これは対前月比で上がっておるわけでございますし、消費者物価もじわじわと、これは確かに国際社会の中で西ドイツ日本は安定している、そういうことは私は百も承知なんです。しかし、今の円高というものを考えたときに、私は消費者物価というのはもっと下がっていいのではないかという気さえしないでもない。しかし、卸売物価も消費者物価もこの七−九の統計ではじわじわ上がってきておるわけです。しかも経企庁の御報告では、八月に景気は底を打ってこれから回復しますよという回復宣言をお出しになられた。それは確かにそうだと思うのです。しかしやはりこの計数を、四半期別の統計の速報をじっと細かく見ていきますと、果たしてそうかなと懸念されることがあります。  今、円高差益、国民個人の消費でございますけれども、国民総生産の中の個人消費は半分以上を支えておるわけですから、この消費性向というのは非常に大事です。ならば前年同期比で見ていきますと、一−三月、四−六、七−九と見ていくと、消費性向は下がっております。四・三、三・八、三・〇、これは御承知だと思うのです。個人消費が下がりぎみだと思うのです。日本景気を何が支えているかというと、民間の住宅です。これは前年同期比で二一・〇、あるいは民間の企業設備が八・五と景気を引っ張っておるわけです。肝心の国民の消費についてどうなのかなという感じを、私は経企庁でお出しになっているこの数字の中から、本当にこれで円高差益が還元されている、物価に反映されているというのだったら、むしろだんだんもっと安定してというよりもある意味ではもっと下がっていいのではないか、円高がこんなに急速に来ているのですから。これは明らかに私は円高差益の還元について不十分ではないかなと思う。  ここに総理府の国民生活に関する世論調査がございます。これの六十九ページにこう書いてあるのです。「円高の影響」として「現在、円高が進んでいるが、全体としてみた場合、生活が円高によって利益を受けたと思うかどうか聞いたところ、「利益を受けた」と答えた者が八・七%であるのに対して、「不利益を受けた」は二五・九%となっており、「どちらともいえない」は五三・七%である。」これは、明らかに円高によって国民生活の周辺では利益を受けたという方が八・七%、これは私、円高差益が今御答弁のあったほど国民生活の周りにあるのかな。後ほど建設資材の高騰のことも言いますけれども、私はある意味では腹立たしいと思うのです。今の粗鋼の生産力あるいは電炉の生産力からいって、上がる必要がないものが急激に七割近く上がってくるあの建設資材の高騰等を考えますと、もう少し国民生活を重点的に考えるべきではなかろうか。  特に、経企庁がお出しになった国民生活白書、これもざっと読ましていただきました。これを読んで一番感じたのは何かというと、今まで日本の国はどちらかというと生産基盤といいますか生産第一主義に偏っておったけれども、これから二十一世紀には「円高活用と豊かな資産の創造」ということで国民生活ヘシフトしてくるような書き方をなさっていらっしゃる。なのに総理府の調査では円高のメリットがないということであっては、私は非常にちぐはぐというか、もっと徹底的に円高差益は還元すべきではないかと思うのでございますけれども、お考えはいかがでございましようか。
  52. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 薮仲委員にお答え申し上げさせていただきたいと思います。  円高差益問題は、ただいま事務局の方から申し上げましたように、数値の上においては大体七割方還元されておる、こういう方向づけはなされておるわけでございます。しかし、この間NHKでございましたかテレビの番組でも私深く承知しておるのでございますが、なかなか還元値が現実感として私どもの皮膚感覚的にぴしゃっと受けつけるものがない。これは、例えば非常に大きな還元がなされているところもないわけではございません。例えば羽毛布団みたいな具体的な例を挙げれば、ある意味においてスーパーマーケット等においても前から見たら格段の差で売っておるというような点がございますが、その点は御指摘のとおりかと思います。それだけに、多少統計値において問題があるとするならば、私自身も感ずるものの一端がございますので、その点十分に精査いたしましてなるべく大還元をしていく方向に全力を注いでいきたいな、このように思っておる次第でございます。
  53. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官の円高差益に取り組まれるその熱意を私は歩といたしますので、国民生活が円高の本当の恩恵といいますか、円高の利益を享受するということは当然でありまして、それに便乗あるいは名をかりて利益を上げようというようなことは、先ほど来申しましたように国際社会の中で日本は今内需を拡大しなければならない、あるいは構造調整をしなければならないという大転換をやっているときに、国の流れに反する、極端な言い方をすると反国民的なといいますか、あってはならないことではないかなと私は一面感じておるわけでございます。  そういう点で、どうか今度のこの総理府のアンケート調査の結果が、なるほど円高差益は還元されて国民生活は潤ってまいりましたという答えが、来年あるいはこの次の世論調査の中で出てくるような結果を私は大臣に大いに期待いたしておりますので、よろしくお願いしたいと思うものでございます。  通産大臣にもちょっとお願いがあるわけでございますが、通産省大臣円高差益をもっと徹底しなさいということで百貨店、スーパーあるいはブランドの動向を調査する、いろいろとセミナー等を行っておやりになるということで御尽力をしていただいているようでございますけれども大臣、これは簡単に言いますと円高差益の還元の中で、例えば我々がロンドンのヒースロー空港あたりへトランジットでおりますね。免税店に行きます。ブランデーをちょっと見るわけです。一万円弱ですね。日本へ持ってきますと、例えば三本以内でおりたときに、日本の小売店へ行きますとそれが三万円以上していますね。一万円ちょっと超えているものを持ってくると六万円以上しています。大蔵省の専門の方に、関税と酒税をどうかけるとどうなるんだ、通常入ってきてもこれは例えば三万ですよ、あとの三万は流通のコストになっております、ブランデーがなぜ六万なんだろうか。あるいは、スイスで売っている時計が日本へ来るとなぜ高くなるんだろうか等々考えてみますと、円高差益以外に流通という過程でもう少し具体的に調査をしていただいて、国民に公開をして、いろいろここでは大臣は個人の輸入の方法等を指導します、こうなっています。これは確かにいいことです。  そうなってまいりますと、本当の意味で通産省がこの円高差益が国民生活に来るように、ここに書かれただけではなくて、具体的に通産省のどなたかをロンドンへあるいはスイスへと派遣して、そこで買って実感としてどうなんだろうかというふうに、なぜそれが上がるんだろうか、一つの品物がなぜこんなに高くなるのかというのを追跡調査をしていただいて、国民の前に明らかにしていただいていいと私は思うのです。総代理店制であるとかいろいろなことを言われますけれども、並行輸入すれば安いわけです。そういうことを国民はだんだん知り尽くしていますから、そういう流通経路も、今経企庁長官円高差益についてさらに一歩踏み込んでいただく、通産大臣には流通経路についてももっと踏み込んでいただいて、国民が納得できるような、なるほどということをしなければ、先ほど来のECあるいはアメリカとのインバランスの解消はなかなかできないのかなという気もいたしますが、その辺の大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  54. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 ただいま先生指摘の点につきましては、実は田村大臣からも私ども強い指示を受けております。マクロに見ますと、先ほどの経済企画庁の御答弁もありましたように、時間は少しずつかかりましたが、円高差益の還元は進んでいると思いますけれども、一部の輸入品、特に御指摘のブランド品等につきましては必ずしもそういう姿になっていないものがあることも事実でございますので、これにつきましては、例えば先生おっしゃったように流通経路というか構造に問題があるのか、例えば多段階だからそうなっているのかとか、あるいはそうではなくて代理店制度のところに問題があるのか、あるいはまた消費者の商品選択の仕方に問題があるのか、輸出国の企業のビヘービアに問題があるのか等々いろいろ考えられるわけでございまして、特にブランド品を中心といたしましてより突っ込んだ調査実施することにいたしております。早急にこれを行いたいと思います。  そのほか、なお従来に引き続きまして大手の百貨店、スーパー等に対しまして、これも昨年は大臣から直接要請をしたわけでございますけれども、今回さらに新たにもう一遍その円高メリットの活用についてのプランの策定を要請しております。
  55. 田村元

    田村国務大臣 私から政府委員の答弁の補足をするのも妙な話ですが、ちょっと申し上げますと、今おっしゃった流通経路なんです。これを徹底的に一遍洗い直してみろということを指示しております。いろいろなものを今ずっと調べておりますけれども、今言ったブランド商品、特にネクタイなんというのは、アメリカ物は割合に安くなっているけれどもヨーロッパ物は安くならない。特にフランスなんかのブランド商品は全然動いていない。そうかと思うと、今度は輸入価格はぐっと下がっているのに、魚屋さんで買うのでぼかっと値段が上がっておるのがタコです。タコなんというのは輸入価格がぐんと下がっておるのですよ。ところが、実際庶民の口に入るときには値段が逆に上がっているのですね。そういういろいろな品目を全部洗い出していますが、これを一遍徹底的に洗い出しまして、時間がかかりますけれども折を見てプライベートに皆さんに見ていただこうと思います。
  56. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかその努力を私は大いに期待しておりますので、よろしくお願いします。  もう時間がなくなって、たくさん聞こうと思ったんですけれどもエネ庁さんにお伺いしたいんですけれども、答弁は簡単で結構です、もう理由、理屈は百もわかっておりますから。  エネルギーの長期見通しの中で、今度改定なさった、このことについて私はちょっと心配だけは指摘しておきたいと思うのですけれども、この中で、五十八年にエネ庁さんが前の長期需給見通しを出されておるわけでございますが、このときと今度の長計の中で非常に気になる点を幾つか指摘しておきます、  まず、五十八年の長期見通しとしては、石油の依存度は七十五年代に四二程度、今度は逆に四五と依存度が上がっているわけです。これはいわゆる民生用が上がったとかなんとかと理屈は書いてありますけれども日本の石油の依存度は九九・七と言われるほど輸入に頼っているわけですから、むしろ依存度を下げなければならない。それをこの四五というのは非常に困ったな。では代替エネルギーはどうかといいますと、古い長計では構成比が六から九%の比率にしてあるのですが、今度は四・五と下がっているわけです。むしろ代替エネルギーの比率が下がってくるということは、供給構造が脆弱になってくる。  我々は、二十一世紀を展望したときに、ナショナルセキュリティーといいますか、安全供給をどうするか、総合エネルギー対策というのは絶対大事だと思うのです。当然そこで、さっきお話のあった石油税という問題が出てくるのは私もわかります。従価税ですから、今一千六百億程度の収入しかない。前は四千億程度あったはずです。それがどんどんなくなってきている。これを従価税でいくか従量税でいくかの問題であろうかと思うのでございます。しかし、国家備蓄という問題があるわけでございますけれども、現在の中東等の情勢を考えてどうかなという懸念を私は個人的に持っております。そうしますと、国家備蓄をあと二十日分積み増しして国際的なレベルの百六十日前後にしようかなという考えも、私は理解はできるわけです。  その上に立ってお話をするわけでございますけれども、代替エネルギーの研究開発というのは非常に重要だと思うのです。これは石油特会から出ていることも承知しておりますが、このように石油依存度が前より上がって代替エネルギーの依存度が逆に下がってくる、これは私は、国民の一人として非常に不安を感じますね。本気に代替エネルギー、総合エネルギー対策というものをエネ庁さんは真剣になって考えているのかな。その上に立って、この国家備蓄の必要性は、現在日本は輸入に九九・七ぐらいは頼っているんだ、だからどうしても国家備蓄は大事なんだ、あるいはまた代替エネルギー開発のためにこれだけはやらなければならないのだ、だから御理解いただけないかと言えば、国民は納得できると思うのです。  今石油を取り巻く税収は約三兆円ほどあるのはわかっておるわけでございますが、そこの中で石油税の占める割合は、ある意味では非常に低いのかなという考えもあるわけでございます。円にして何円というところでございますが、きょうは時間がありませんから後日に譲りますけれども、そういう点についてエネ庁さんがどういうお考えであるのか聞きたいのですけれども、きょうは時間が来ましたからやめておきます。私の指摘として、これは非常に理解できないところだと思っておるところを知っておいていただきたい。  それから、これもエネ庁さんになるのかどうか知りません、本当は通産大臣にお伺いしたいところでございますが、電気料金が原価主義というのは私はわかるのです。しかし、私は先ほども経企庁長官にもお話ししましたように、これからは国民生活の上にシフトしようと国が全体にそういうことを考えているときなんですね。そうしますと、原価主義はわかりますが、今三段階の電灯料金の第一段階のところを、原価を満たしていないから値上げするのを抑えたんです、こういう言い方をなさるのです。これはこれでわかりますよ。でも、今行政が一番考えなければならないのは、もっと大事なのは、家庭生活中心の料金体系というのがあってもいいのかなと私は感ずるわけです。特に、独身の貴族と言っては悪いですけれども、独身の方が一カ月使える電力量と一人きりのお年寄りの使える電力量というのは、生活のベースにおいてはそう変わらないかもしれません。一人きりのお年寄りとか老人御夫婦が年金で生活なさるとか、そういう方にはある意味では政策的に料金体系を変えても国民は納得すると私は思うのです。企業はそれなりに今内部留保も一兆円近くあるわけですし、企業の配当もちょっと下げた程度であって、電力、ガスの事業者も体質はお年寄りよりはまだまだ強いなと私は思うのですよ。そういう意味で、政策的に多少配慮しても、国民は絶対エネ庁長官に何だとは言わぬと思うのです。  しかも、この算定の基準になっております円レートは百四十七円ですね。現在は百三十円台に推移しているわけです。これは御承知のように、一円円高で電力の場合は約八十億、あるいは一ドルの原油の異動で約六百億ドルから六百五十億ドルの差益、差損どちらか出るわけでございますが、それほど変動するから一兆円規模の内部留保は大事だ、これはわかります。でも、一兆円あればこれから数年間は現在の改定でいけるのかなという感じもするわけです。そういうことも含んで、やはりお年をとられた方とか家庭生活にそういう査定をしても、原価主義に偏ることが正しいとは私は決して思わない。原価主義そのものの理論はわかります。でも政治というのは、法律に書いてあることをそのとおりやることに決して国民は拍手喝采はしないと思うのです。その条文の中にやはり血の通った部分があって、国民を思っておりますよ、あるいは国民生活が大事ですよという姿勢を、この料金の査定をなさるときにも私はきちんと出していただきたい。もう結論はほんの一言で結構です。もう一分間くらいでやってください。時間がないんだ。やるかやらないかだけで結構。
  57. 植松敏

    ○植松政府委員 御指摘の点でございますけれども、今先生指摘のとおり、電気事業法第十九条に基づきまして厳正な査定をしておるわけでございますが、電気料金の設定の原則は原価主義と公平の原則でやれということが法律で規定をされております。したがいまして、その中で厳しい、厳正な査定をしてまいりたいと思っております。
  58. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは通産大臣にお願いしておきます。私は政治家でございますから、大臣も政治家として、行政マンは法律に忠実でいいと思うのです。しかし政治家は、法律をどう読むかは大臣の政治力に私は大いに期待して、国民が期待する料金の査定を改めてここでお願いをしておきたいと思います。  最後に、これはやはり通産大臣にお願いだけしておきますけれども、やはり私はこれから、先ほど来申し上げておりますように、国際的にも国内的にも今やらなければならないのは、もちろん国際的には大幅な貿易のインバランスの解消ということでございますけれども、構造調整、内需振興ということが、今大臣が最も心を砕いていらっしゃることだと思うのです。特に、内需振興といっても、その先導的役割はやはり公共投資が引っ張っているのは、先ほどの数値が如実に示していると思うのでございます。  そこで私は、きょうはもっと詳しくやろうと思ったのでございますけれども、建設資材の高騰については、私は非常に困ったことだと思っているわけです。これは大臣も厳しい指導をしてくださっていると聞き及んでおるわけでございますが、例えば小形棒鋼で言いますと、六十一年の十月、昨年でございますが三万六千円、これが現在では六万一千円、六九%の値上がりでございます。H鋼も一年前に五万四千円が七万三千円、三五%の値上げでございます。日本の国の粗鋼生産能力は一億五千二百万トン、あるいは丸棒の電炉の生産能力も二千八百万トン、この生産能力は十分持っているわけでございまして、需要と生産、供給力を見ますと何らそこに値上げする必要はない。しかも、鉄鉱石だって円高で安いわけでございます。それなのにこういうふうに値上げをするということについては、私はもう少し厳しい指導をしていただきたい。生産量から在庫、流通の経路、状況、そういう点で、ここ数年間はまた公共事業というのが浮揚していかなければならない。そのときにこうやって建設資材等が上がりますと、せっかく内需を拡大していることに水を差すことになりますので、大臣の御努力を最後にお願いして質問を終わりたいと思うのでございます。一言よろしくお願いします。
  59. 田村元

    田村国務大臣 公共事業がああいう大きな補正でもてはやされている。そこで、確かに建設資材が一時高騰いたしました。不思議とセメントなどはそうでもありませんでしたが、特に小形棒鋼とかH形鋼等については、結局民間住宅建設などによる実需だと思いますが、そこへもってきて八月はメーカーが減産するのですね。そういうことがあってちょうど相乗作用を起こした。しかし、十月下旬からずっと十一月にかけましては大体安定しておると思います。それから小形棒鋼でございますけれども、くず鉄を放出してもらったり高炉メーカー等にいろいろなことをお願いしました。それで、十月末から原料でございます鉄くずの価格上昇が確かにございました。再び上昇を見せましたが、十一月の上旬以降はやや安定しておる。  そこで、私は担当局長には厳しく、そういう一種のつけ込みというか、あるいは実際の実需で在庫がなくなっているという面もあるでしょうけれども、いずれにしてもそういうことに対して厳しい監視の目を向けて常にモニターをやりなさい、そして厳しく行政指導をしなさい、こういうことを申しております。その都度、的確に対応したいと考えております。
  60. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  61. 渡辺秀央

    渡辺委員長 青山丘君。
  62. 青山丘

    青山委員 大変限られた時間でもありますし、あるいは前の質問者とやえる点もあるかもしれませんが、私から、当面する幾つかの課題でもありますので、通産大臣を中心に少し質問をさせていただきたいと思います。  御承知のように、プラザ合意以降大変な円高で、我が国産業界が塗炭の苦しみに遭ってきたことは御承知のとおり。何とか生きていかなければいけないということから、いろいろな取り組みをして合理化も進め、体質を強めて必死でここまでやってきました。政府の方もいろいろな施策を打っていただきまして、事業転換、地域対策、融資、いろいろな形で手を打っていただいて、少し力をつけてきた。そして、五月以降は比較的為替の相場も安定しておりましたので、幾らか見通しが立つのかなと感じておりましたら、御承知のように十月の十九日、二十日のあの株価の大暴落でさらにまた円高が進んできた。  今回の円高の背景は、御承知のようにアメリカの双子の赤字、これに対する解決策が見出せない、このアメリカ経済政策に対する不信感がその根底にあるということですから、したがって、なおさら一体どこまでいくのかという大変な不安感が今あります。為替については本当に、経済企画庁長官もそうなんですが、基本的にこの円の見通しは一体どうなっていくのかということを、長い戦略の中でこれは考えていかなければならない重大な段階に来ているのではないかと思います。そういう経済環境ですから、当面する問題だけ、私少し通産大臣を中心にお尋ねいたしたいと思います。  最初に三点。一つは、今回の新しい円高といいますか、十月以降の急激な円高で、一時は百三十一円台にまで上がってきたということですが、これが現下の産業界に対してどんな影響を与えているのか。また、地域経済に対して、特にその地域を支えている中小企業にどんな影響を与えていくと分析しておられるのかどうか、これが第一点。それから、相当な合理化をして、スリム化をして必死にここまでやってきて、一定の為替水準ならやっていけるというような力に来ているのではないかと、夏以降は幾らか見通しを私は感じておったのでありますが、しかし今日までのこの合理化は必死であった、限界に近い。なおしかし大臣は、合理化をするゆとりがまだあると考えておられるのかどうか。そして、こうした事態がまた新しく出てまいりまして、一体政府としては具体的にどのような政策を考えていこうとしておられるのか。この三点について、ひとつまずお尋ねいたしたいと思います。
  63. 田村元

    田村国務大臣 こんなに早く円高が進んでいくとはだれしも考えなかったと思います。私も、ここまで年内に来るということは考えてもいなかった。まさにみんながあれよあれよと言う間に突っ込んでいったという感じであります。率直に言いまして、今の日本経済というのは奇妙な形で、円高によって経済の二面性というものが浮き彫りにされておるわけでありますが、輸出型中小企業、とりわけ輸出型産地あるいは企業城下町、こういうところの景況というものは非常に深刻なものがあります。  まず、これ以上の合理化ができると思うか、これ以上の合理化ができるようなことならこんなに苦労はしないというのが実際だと思います。大変なことだと思うのです。  そこで、我々はどういう対応をしてきたか、そしてまたしようとしておるか。この為替相場の変動につきましては、国内景気回復局面にあることは事実でありますが、全体としてやはり一昨年秋のプラザ合意以降の急激な円高局面のような深刻な影響は今のところはまだ出ていないとは思いますけれども、今後の動向いかんでは非常に厳しいもの——あのときはスタートから始まりましたから、だからみんなびっくりしまして、また事実、合理化も進んでいなかった。今はある程度しっかりと腰を据えておりますから、余り目立たないかもしれませんが、動向いかんでは非常に厳しいものになるだろうということで、私どもも細心の注意を払っております。  このために、政府としましては、ここに企画庁長官もおられますが、六兆円を上回る財政措置を伴う緊急経済対策、これをやはり着実に実施する、これは効果があったと思います。七−九月の伸び率が単発ではありましても八%台に乗った、そして恐らく今のまま推移すれば、本年は当初目標の三・五%は上回ると思います。  そういうことでございますが、なおこれをしっかりと実施していくということと、それから先ほどもちょっと申し上げたように、内需拡大策というのは日本景気を単によくするだけではない、外需を内需に振りかえるという大きな目的がある。と同時に、アメリカという巨大なマンモス赤字国家が地殻変動を起こしても、日本経済は持ちこたえるぞという力をつけていくという意味もございます。でございますから、やはりこの内需拡大策継続性を必要とする、単発ではいけない、このように私は思っております。高目の成長を今後も続けていかなきゃならぬということだと思うのです。産業構造転換円滑化臨時措置法というのですか、ああいう法律などに基づく各種の事業転換対策や地域活性化対策や雇用対策などを講じてきておりますし、今後も力強く講じていきたいと思っております。  それから、私ども、今度はぜひこれは御協力を願いたいのでありますが、地域の活性化、特に頭脳部分を、いわゆるソフト部分を地方へ拡散して地方の活性化を図りたいと思っております。技術開発の推進とか内需型新規産業の育成とかそういうもの、あるいは外需型の産業を内需型に転換させるとかいろいろな問題、そういうことを今後も持続的に進めていきたいというふうに考えております。
  64. 青山丘

    青山委員 こういう段階ですから、官公需の問題あるいは中小企業に対していろいろな情報を与えていただく、相談に応じてもらえるようなシステムをつくり上げていく、いろいろな施策を一遍ぜひひとつ考えでいただかなければならないのではないかと思います。  大臣が今おっしゃったように、私も今の段階では内需拡大は非常に必要で、産業構造が外需中心からやはりどうしても内需中心に行かないと、いつまでたっても貿易収支の黒字は減らない。これだけの円高なら相当日本経済をたたきのめせるかと、恐らくいささかアメリカもヨーロッパも期待しておったのではないかと思うが、しかし去年一年間でも八百五十七億ドルの黒字、ことしも八百億ドルを超えるのではないかと言われていますね。基本的な解決には結局円高だけではならなかった。そうなると、内需拡大がどうしても必要になってくるし、これが同時にまた、しかし日本の国内のいろいろな政治的な課題を解決することにもなってくる。そういうことは、大臣おっしゃったように私は全く同感です。ただ、そういう段階で今の百三十二円ぐらいの為替の水準というのは、将来はそれに対応できる経済体質に強めていくというのは、これは私は日本経済の潜在的な活力から見ればいささか期待はしていますが、現下の情勢ではなかなか困難な情勢だと思うのですね。  そういうときに、新聞の報道で見ますと、特に円高対策に関係する中小企業政策融資の金利引き上げが伝えられておるわけですが、もしこれが本当であるということになれば、これは大変なことだ。せっかくこれから内需が拡大しようというときに、これは大蔵省の意向もわからないわけじゃありませんけれども通産省として、通産大臣としてひとつこのあたりの御見解はいかがか、中小企業庁長官も一言どうでしょう。
  65. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 今御指摘のいわゆる新転換法に基づく特定業種あるいは新地域法に基づく特定地域に対する特利融資、これはことしの五月、六月と二度、創設以来さらに引き下げております。その後、民間の長期プライムレートは〇・八%、財投金利も〇・六%上がっておりますけれども、ずっと据え置いて現在に至っている、こういう状況でございますが、今後の経済運営を考えます場合に、先ほど大臣申し上げましたとおり、低金利政策といいますか、金利水準のできるだけ低位の推移、これがぜひ必要だと思います。そういう中で、この特利部分というものがどういう位置づけになるか。全体の金融状況あるいはもちろん中小企業の景況、そういうものをよく考えながら今後とも財政当局と十分な相談をしてこれの運営を図ってまいりたい、そのように考えております。
  66. 青山丘

    青山委員 時間もないが、急いで質問したいと思います。  円高対策も含めまして、来年度中小企業政策の重点項目について少し御説明いただきたいのでありますが、今回大臣は再任されましたが、通産大臣として大きな成果が最初の一年間にあったという評価は総理大臣も認めておられますし、実は率直に言って、私どももかつて質問の中でも申し上げたことがありますが、よく頑張ってこられた。ただ、大臣が就任のときに、私は中小企業大臣の意気込みでやっていくんだ、なかなか立派な意気込みだと思っております。そういう意味では、今中小企業のいろいろな団体からいろいろな話を聞きますと、それはそれは悩み尽きない、やるせない思いを持っているのですね。来年度予算の重点政策として、これこそ中小企業大臣政策だよとおっしゃっていただくような所信をひとつこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  67. 田村元

    田村国務大臣 率直に言って、通産大臣というのは多分に中小企業大臣の色彩が強いわけです、私はそう申し上げましたが、だれしも同じことだと思います。  実は、私は前任期非常に心残りであったことは、余りにも通商問題で煩わされ過ぎて、内政問題に対して私なりに一〇〇%の投球をする時間を物理的に与えられなかったということは、本当に今もって残念に思っております。しかし、やるべきことはやりました。やりましたが、国際的なトラブルに巻き込まれた。今度の新しい任期は、私は内政問題としっかり取り組もう、従来も取り組んできたわけですけれども、層一層取り組もうというふうに決意を新たにいたしております。  そうなりますと、当然中小企業対策になります。特に、先ほども申し上げましたように輸出依存型の生産部門、それの中小企業、とりわけ下請企業というのは非常な苦しみでございますから、これを何とか今後てこを入れていかなければならない。具体的に申しますと、まず異業種中小企業の経営資源の融合化を通じた新事業の開発でございますが、これを促進する。これは法律を必要とするかもしれません。法律を必要といたしますから、これもぜひお願いをいたしとうございます。そのようにして総合的な施策を講ずることにいたしております。今、政府部内においてすり合わせをいたしております。また、円高等内外の厳しい経済環境に直面する中小企業が円滑な構造転換を図れるよう積極的に支援するために、新転換法を核とする事業転換対策、それから特定地域法を核とする地域中小企業対策、下請中小企業対策などの総合的な構造転換対策を講じてまいりましたし、今後もいよいよこれの推進を図りたい、このように考えております。さらに、中小企業大学校の整備などで人材を育成しなければいかぬと思いますので、これの強化。それから情報化への対応、技術力の向上の推進、それから金融の円滑化、信用補完制度の改革など中小企業の経営基盤の充実を図る、中小企業の経営基盤充実ということに大きな重点を置きたい。それから小規模企業対策、また中小小売商業対策などの一層の推進。  非常に粗っぽい話ですが、大まかに申し上げてそういうような面で中小企業対策を進めていきたいなと考えております。
  68. 青山丘

    青山委員 中小企業対策予算というのは、二千億程度がずっと続いてきていますが、そういう意味では私はこの予算の規模についてもひとつしっかり取り組んでいただかなければならぬのではないかと思います。  また、今大臣がおっしゃられたように、内政にどうしても力を注げなかった、国際問題があったためにということですが、国際問題を解決するために、特に日米関係改善のために大臣がよく取り組んでこられたという評価を実は私はしております。来年また、総理大臣訪米の前に通産大臣が訪米されるという話も聞いてはおりますが、今後日米関係をどのように対応していこうと考えておられるのかが第一点。  それから、半導体制裁措置は過去二回にわたって部分解除がなされてきております。しかし私は、全面解除への取り組みをひとつしていただかなければ、この不条理な制裁措置というのは受け入れるわけにはいかない。したがって、全面解除への取り組みをぜひひとつしっかりとやっていただきたい、これが第二点。  それから、やはりさきの国会でも大変問題になりましたが、東芝制裁措置が含まれたこの包括貿易法案の行方について大変不安な思いをいたしております。なるほど大きな組織の中の関連の一つ企業であったかもしれませんが、一つ企業をやり玉に上げてグループ全体を締め上げるというような、こういう不条理な制裁措置のやり方というのは、私は国際的にも絶対通用しない、これを日本は絶対許してはいけない、許さないためのあらゆる手段を講じて取り組んでいただきたい。その決意について、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  69. 田村元

    田村国務大臣 日米関係というのは、いよいよ正念場に来たように思います。基本的には友好的に関係を改善していくと同時に、反面、言うべきことはきちっと言うという強さといいますか、経済大国である日本のたくましさと厳しさというものも示すべきだ、このように私は思います。  半導体でございますけれども、これはおかげで第三国ダンピングの方は解決をいたしましたが、問題はアクセスの問題でございます。この市場アクセス、我々がとっております統計と米側がとっております統計と若干食い違いがあるので、向こうはなかなか評価しないと頑張っておりますが、いずれにいたしましても、なるべく近い将来ヤイター代表に会って話をしたいと思いますが、インドネシアで会議がございますから、ヤイター氏が私が訪米のときにおるかどうかの問題はちょっと心配なのですけれども、これも全力を挙げたいと思います。  それから、これはこれからの為替レートにも大きく影響する問題ですが、アメリカ財政赤字の削減については、確かに七百六十億ドルというものを二年間で議会と政府合意したというのは評価していいと思いますけれども、しかしさらなる催促をすべきであろうと私は思うのです。かつて、ジム・ベーカーやボルドリッジやヤイターが私に内需の拡大を非常に強く迫った。我々の組んだ補正予算の中身まで一つずつ私に物を申した。これは政策協調ですから、必ずしも内政干渉とは言えないでしょうけれども、今度はこちらの番だ、こちらが厳しく物を申さなければならない。例えば増税をどういうふうにするんだ。日本と違うところは、妙なことで、これは見習わなければならないのかどうか知りませんが、不思議な国で、野党が増税をせいと言って、そして大統領と与党がちょっと待ってくれ。ちょっと日本と全然逆なんで私も戸惑いがありますけれども、その中身はどういうことであるかというようなことも強く言わなければならぬと思います。  それから、ガーン法案を中心とする包括貿易法案、大体おっしゃるとおりでありまして、ココム違反というものは国内法で取り締まるものであって、はっきり言って外国から制裁を食らう筋のものじゃありません。これはまさにアメリカの横暴と言わざるを得ない。アメリカの議会の考え方というものは、私はあえてこういう公の場で申しますが、いささか議会人としての我々の常識とは異なっておると言わざるを得ない。全部が全部じゃありません、その中の構成メンバーの何人かはということでしょう。けれども、いずれにしてもこういう包括貿易法案等が阻止できますようにあらゆる努力をしなければなりませんが、ただアメリカの行政府は、大統領以下こういう保護主義法案に対して非常に厳しい反対をしておりますから、我々もそれを心のよりどころとして今後も大いにお願いをしようというふうに思っております。
  70. 青山丘

    青山委員 もう時間もなくなりましたので、最後に数点一挙に質問させていただきます。細かいところは次の機会にまた質問させていただきますので、総括的に三点か四点。  先ほど来の質疑の中にもありましたが、電気、ガス料金の改定については相当関心が持たれておりますが、大臣として一体いつごろ認可をされる予定、見通しを立てておられるのか、これが一点。それから、引き下げ率、改定率をどれぐらいを考えておられるのか、これが第二点。次が、先ほども出ておりました石油税の問題でありますが、諸般の背景の中で税収の大幅な減が見通されております。石油税の取り扱いをエネルギー政策全体の中でどういう取り組みをしようと考えておられるのか。  それから、最後に経企庁長官に、やはりまた同じような質問になるかもしれませんが、円高差益の還元は石油、電力、ガス、相当な取り組みがなされて差益の還元がなされてきたと一定の評価を私はしております。また、その他輸入物資についても一部のものについては値下がりがされております。しかし、市民生活の実感の中には、円高差益の還元というのはまだ十分なされておらない、こういう声をよく聞きます。私は、今の流通経路も含めて抜本的に還元策をよほどしっかり取り組んでいただかないと、政治に対する信頼感が今問われております。その辺の決意についてもひとつぜひお聞かせいただきたいと思います。
  71. 田村元

    田村国務大臣 電力等の料金改定につきましては、もうぼつぼつ決断をしなければならない時期が来ておることは事実でございます。ただ、いつ私が決断するか、その金額をどういうふうにするかまでは、自分自身の頭の中で詰まっておりません。事務方がつくりましたデータを一つ一つ精査して、その上で判断をいたしたい、このように考えております。  それから石特会計でございますけれども、これの財源問題につきましては、やはり通産省としては石油税の改定によって対応する必要があると考えております。ただ、六十三年度予算編成に向けて財政当局との間にも詰めをしなければなりませんし、財政当局も主計局と主税局とでは考え方も違うようでありますし、まだ十分に詰まっておるという段階までは行っておりません。いずれにしても、必要であろうとは思っております。
  72. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 青山委員にお答え申し上げたいと思います。  円高差益の還元はどうも全体としては不十分じゃないのか、また、その対処方針をどう考えておるのかという率直な御質問かと思いますけれども円高差益等の還元につきましては、御案内のとおり昨年来累次にわたる対策等において、二度にわたり電力、ガス料金の引き下げ、あるいはまた畜産物の安定価格帯の引き下げ、あるいはまた国際航空運賃の方向別格差の是正等々実施をいたしました。これらの還元策を通じまして、円高差益還元がかなり浸透してきているものと考えておるわけでございます。  また、最近における食料品及び製品輸入の動向を見ますると、これまた着実には伸びておるのでございまして、これらが物価の安定、国民生活の向上に寄与していることは論をまたないとは思うのでございますが、そこで先ほどの数値にございます七割方の還元というものがなされておるのじゃないかという見通しなのでございます。また、考え方として私どもも確信しているわけでございますが、今後とも為替レートの動向などを踏まえまして、公共料金について差益の的確な反映を図るとともに、消費者への情報提供あるいはまた輸入の促進等を通じまして円高差益の還元に全力を投球していきたい、このように考えておる次第でございます。
  73. 青山丘

    青山委員 時間が来ましたので質問をやめますが、庶民の、特に家庭の主婦の率直な感想を聞きますと、うんと極端な言い方をすれば、うどんにしてもパンにしても、二百四十五円が百三十二円になってもいいじゃないか。かなり極端な暴論かもしれませんよ。しかし、率直な主婦の感想というのはそういう感じなんですね。高級品だけが、下がっていない場合もあるし下がっている場合もありますが、市民生活の中に、家庭生活の中にまだまだ差益の還元が浸透しておらないという声をよく聞きます。それをひとつぜひ率直に受けとめていただきたいと思います。  質問を終わります。
  74. 渡辺秀央

  75. 工藤晃

    工藤(晃)委員 中小企業庁が十一月二日「円高の輸出型産地中小企業への影響について」という報告を発表しまして、それで見ますと、一九八四年末と比べて、八七年九月までですが、組合員企業数が一三%減った、従業員数が一三・五%減った。実数を伺いますと、二千二百十四企業、二万九千二百二十七人が減ったということです。また、同じ調査の中にありますが、ことしの九月までの廃業が七百九十企業で、七−九月の休業が千五百八十八企業、休廃業合わせると二千三百七十八企業で、倒産九十六企業に比べると二十五倍にもなっているという実態であります。一方、転業の状況はどうかというと六十四企業という数でありますが、中小企業庁長官、この調査結果をどうごらんになっているかということがあります。  それから、もう時間が余りない質問ですから続けて言いますが、しかも円高が御存じのような進行を続けている。まさに破壊的な円高になっているわけですが、こういうときに、ただ転業すれば何とかなる、生き延びられるという状況、もちろん部分的には転業される方もあるでしょうし、それはそれで助けなければなりませんけれども、しかしそんな状態でないということがこの調査結果から出てきているのではないだろうか。だとすると、今問題になっているのは、先ほど大臣中小企業対策をいろいろ続けるということを言われましたが、法律でいうと新事業転換法の中にある第三章、緊急経営安定対策ですね。実はあの法律の附則第二条によりますと「第三章の規定は、昭和六十三年三月三十一日限り、その効力を失う。」ということになっております。しかし、この緊急経営安定対策というのは、円高被害を受けている中小企業にとっては大変必要な対策であり、税、財政、金融上の支持策をとると定められていること、あるいは別途実施されてきた円高特別貸し付けが廃止されていくとなると、実は自治体も国のこういう施策と連動した形でいろいろとってきておりましたから、それにも影響を及ぼすということでありますので、廃止ということはありますが、この第三章は改めてこういう事態の中で続ける方向で検討する、このことをはっきりさせるべきではないかと思います。企業庁長官大臣の答弁をいただきたいと思います。
  76. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 先ほどの調査結果は、先生指摘のとおりの結果になっております。輸出産地の生産水準は、その減少テンポは非常に緩やかにはなりましたものの、依然前年同期比で減少を続けておるという状況にありますし、そういう中で、倒産という形の破局こそ比較的数少のうございますけれども、廃業とか休業というような形で姿を消していっている企業がこの二年間で約一五%あったということは事実であります。片や、輸出から内需への転換も若干進んでおりまして、約一割ぐらい輸出比率が減少しているというような形で、結果的にではございますけれども、内需転換の努力も若干実ってきつつあるというふうに考えております。そういう中で、今後とも私ども中小企業の、特にそういった集中して影響を受けているところについての中長期的な対策は一層強化していくというふうに考えております。  御指摘のいわゆる新転換法におきます三章関係、これは創設当時、一昨年になりますか、九月以降の急速かつ大幅な円高というものに対する緊急経営安定対策として位置づけられておりまして、御指摘のとおり二年間を経て来年三月末をもってこの部分は失効することになっております。この間、この条項に基づく諸対策は非常に大きな効果があったと私どもは考えております。急激なショックの緩和として非常に大きな効果があった、そのように考えておりますが、これを三月末をもってどうするかということについては、今後の円レート、これがまだ非常に不安定でございますし、あるいは景況の動向を慎重に見きわめながら最終的な判断をしたいと考えております。
  77. 工藤晃

    工藤(晃)委員 では、この後はちょっと大臣から伺いたいと思うのですが、今のお話だと、失効する問題については今後の動向を見て検討するということだと理解します。しかし、実際今の円高を見ますと、ちょうどG5の直前の八月から見ると、二百三十七円だったですから百三十円といえば八〇%を超えるような円高になって、後どうなるかわからない、非常に深刻である。しかもさっき言ったように、転業で成功した例というのは非常に少ないというのが実態であります。  さてそういうときに、先ほどもヤイター氏の名前が出ましたけれども、新聞報道などによりますと、例えば八月三十一日ハワイでの日米貿易委員会アメリカの方から、円高不況の中小企業対策は実質的な輸出補助になっているのではないかとか、あるいはヤイター米通商代表がアメリカのITC、国際貿易委員会に、日本政府による国内産業向け円高対策助成金支出がどういう役割を果たしているか調査を要請したとかありますが、これはもちろん完全に誤解に基づくものだと私は思います。しかしその後、アメリカ政府の方からそのような趣旨に基づく何らかの要請が日本に来ているのかどうか、来れば当然これに対してははねつけるべきであると思いますが、その点大臣いかがお考えでしょうか。
  78. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 この問題についてアメリカが関心を持っていることは事実でございますし、ITCが実態調査をするというのも事実でございまして、つい先日、その調査員が参りました。私どもも会いまして、本制度の趣旨がそういった輸出の促進あるいはそういうものに対する補助金、そういうねらいあるいは効果を持っているものではないことをるる説明し、理解を求めたところでございます。
  79. 工藤晃

    工藤(晃)委員 先ほど来大臣中小企業大臣であるとか、それから今度の竹下内閣発足のときの記者会見でも、中小企業の下請や経営を守るため万全の策をとるということを言われましたが、このことを含めてその決意を述べていただきたいと思います。
  80. 田村元

    田村国務大臣 実は今、長官に速やかに上げてこいよ、こう言ったところですが、その調査員が来たという話はまだ私のところに上がっておりません。みっともない話ですが、今ここで質疑応答の過程を聞いておって僕は知ったようなことなんですが、いずれにいたしましても不当な外圧に対して屈するつもりはございません。
  81. 工藤晃

    工藤(晃)委員 不当な外圧に屈するつもりはないということを伺いました。  それで、今の状況を一口に言って、十月十九日のニューヨークの株の大暴落以後の状況アメリカがどういう方向をとっているかというのは、日本経済にとって大変深刻な、また重要な問題だと思いますが、先般の赤字削減のいろいろな計画を見ましても、その後のアメリカ政府当局がとっているいろいろな態度を見ましても、明らかに双子の赤字を根本的になくすという上での熱意がまず薄い。しかも、当面ドルを守るという熱意もこれまた薄い。しかし、ともかく赤字削減をこのくらいやるから後は日本の番だと言わんばかりに、きょうもある新聞が伝えておりましたが、まずG7にするか、あるいはまた対日通商報復で臨むかというようなことが伝えられるほど、自分の方がやるべきことをやらないで後は日本に圧力をかけていこう、こういう事態になっていることははっきり認めなければならないし、そこで日本政府としての毅然とした態度が求められているときだと思います。  このことに対してが一つと、それからそれにあわせて、日本の場合、ドルの全面安といっても西ドイツ日本で大きく違うのではないか。西ドイツの場合対米輸出が一〇%、日本だと四〇%ぐらいある。西ドイツが一番取引の深い関係にあるヨーロッパ諸国はEMS、つまりヨーロッパ通貨制度によってある一定の安定が保たれている。ところが日本の場合、ドルとの関係がそうであるだけでなしに、一番近いアジアNICSやあるいはオーストラリアやカナダなどの通貨というのは、台湾が少し上がっているということはありますけれども、ほとんどドルとリンクしているような状態になるから、日米間で円高が八〇%となるとこれらの国家の通貨に対してもやはり八〇%みたいになるというので、西ドイツ日本の場合はまるっきり違う。それだけに、この円レートをリーズナブルな、合理的な線へ持っていく日本政府の決意をあらわすということが非常に重要な時期になってきているのではないか。その問題についても大臣のお考え、決意を聞きたい、こういうふうに思うわけです。  よく知られておりますが、OECDが購買力平価、これは国内総生産のデフレーターを使ったもので見て大体一ドル二百二十円という線を出しております。労働省が消費者物価のデフレーターで二百三十円というのを出したのも御存じだと思います。最近幾つかの新聞に載ったものを見ましても、スタンフォード大学のロナルド・I・マッキノン教授によると、これは貿易財の購買力平価でいくとやはり一ドル二百五円ではないか。それからハリス銀行のエコノミスト、ロバート・ジュネッキーによると、購買力平価で百七十円から二百円ではないかと言って、内外の調査機関ともいずれもまず二百円という線でなければならないということを言っている。そういうときに、百三十円とか、あるいは後どう行くかわからないという状態はまことに見逃すわけにいかない。では具体的にどうするかという前に、しかしこういうレートというのは不当である、日本の国民経済、国民生活の上からこのくらいのレートにするのが当然であるということはどうしても表明しなければならないときだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  82. 田村元

    田村国務大臣 まずアメリカの双子の赤字ですが、やはり貿易赤字というのは日本アメリカとの共同責任による解決を見出していかなければならぬと思います。けれども財政赤字というのは完全にアメリカ責任でやってもらわなければならぬわけであります。こういう場で私が具体的な批判をすることは御遠慮申し上げますけれども、それはアメリカであろうとソ連であろうとどこであろうと、余り内政に関してとかく言うことは御遠慮申し上げますけれども、しかし財政赤字解決してくれないと、またあるいは解決する意欲というものが諸外国に十分に認識されるような、肌で感じるような姿になってくれないと、そう簡単には為替レートの問題も片づかないところがあるなということだけは言えると思います。これはもうおっしゃるとおりです。  それから、今の購買力平価のお話でございますけれども、購買力平価が今現在でどれぐらいになっておりますか、昨年あたりで二百二、三十円ぐらい、二百二十三円か四円かだったと思います。たしかG5の以前、プラザ合意の以前はアメリカが一に対して日本が〇・九だったと思います。それが逆になる。これは、余りにも急激な為替レートの変更ですから購買力平価がついでいけなかったというのはわからぬでもありませんけれども、それにしても購買力平価と為替レートとの間の差があり過ぎる。やはりもっと整合性を保っていいのではないか。  私が今度再任のときに会見でも申し上げましたのはそのことでありまして、生活実感を豊かにする。つまり平たく言えば購買力平価と為替レート、これを近づけるという努力をする、それと同時に地価である、こういうことを申しました。地価は私の権限でどうこうというものでありませんけれども、明らかに土地は部分的インフレーションと言ってもいいが産業的インフレーションと言ってもいいでしょう、それも相当きついインフレーションと言ってもいいでしょう。しかし、それ以外は非常に安定しておる。安定しておるけれども、購買力平価との間に差がある。ただし、これはお互いに古い試算をもとにしての議論でございますから、現在直近の統計がどうなっておるか、それはちょっと私にもわかりませんけれども、まだ差があるであろうことだけは間違いないと思います。  ですからそういう点で、円高メリットの還元を初めとしていろいろな対策を講じなきゃならない。国民に生活実感の豊かさ、少なくとも豊かさとまでいかなくても首をひねるような不満を残してはいけない、そのための努力を懸命にしたい。これは私の就任のときのあいさつでございますが、今また答弁にも同じ言葉を使わせていただきます。
  83. 工藤晃

    工藤(晃)委員 日米の貿易関係は相互であることは確かですが、これほどドルが安くなって、最近少し輸出が伸び出したという話もちょくちょく聞きますけれども、この間貿易の赤字が改善しなかったというのは、やはりアメリカ産業のあり方とか多国籍企業のあり方があるわけですから、そのまま受け取れません。  それからまた、きょう時間があれば、労働省の方でも労働大臣の私的諮問機関で、海外への進出によって雇用情勢に大変注視すべき状況が出てきたという問題もありましたので、この点も伺いたいと思いましたが、これはまた別の機会にいたしまして、電力料金、ガス料金の問題に移りたいと思います。  先ほど来の答弁を聞いておりましたから、その点は重ならないようにしておきたいと思いますが、私は前から言っているのですが、いつも総括原価というのを問題にしてはじくわけですが、総括原価で非常に問題のある一つは当然燃料費になってくるわけです。燃料費の場合、原油が幾らでそれからLNGが幾らでとかプロパンが幾らでというのに加えて、為替レートが幾らかということになりますが、実はこれまで二度の暫定料金で、これは通産大臣談話資料によると、二度の暫定料金の還元措置で合わせて二兆六千二百八十四億円返したということになってはいるのです。これは数字としてそういうことが発表されております。しかし、もし八五年十月以来ことしの十二月までの円高差益、原油値下がり益、これはドル表示ですが、これを合わせて計算すると、どう計算してみても三兆四千億くらいになって、先ほど言いました二兆六千幾らという還元ではまだ七千七百億円くらいが国民に返されていなかったという結論が出されるわけであります。仮にこれを来年一年そのまま返すとするならば、これは八六年の九社の電灯・電力の収入に比べると六・八%くらいになりますから、これだけでも最近伝えられている値下げ幅よりも上回るのではないか。この円高差益の国民への還元というのは、電気料金の性格からして公共性の非常に強い公益企業の料金でありますから、完全に返すという方針をここで固める必要があるのではないか。  あわせてもう一点伺いますけれども、伝えられている申請の百四十七円というレートは、これはどう見ても余りにも認めるわけにはいかない、そういう算定基準になるのではないか。その二点について伺いたいと思います。
  84. 植松敏

    ○植松政府委員 今、先生から詳しい数字の御指摘がございましたけれども、電気料金につきましては六十一年度、六十二年度と二年にわたりまして、それぞれ為替レートあるいは原油の値段の低下を見まして差益を予測し、それぞれ還元を図ってまいりましたところでございます。今回、六十二年の第二次暫定料金がこの年末で終わりますので、六十三年一月以降どうするかということで検討したわけでございますが、この際、すべての電力、ガス事業の原価全体をしっかり見まして、その上で長期的な恒久料金にした方がいいであろうということで踏み切ったわけでございます。そういうところから、既に値下げの申請が出ておりますけれども、この中には燃料費の低下分、さらに固定費の変化分、電気事業、ガス事業におきますいわゆる総括原価、トータルの原価を予測いたしまして、それに基づいて申請が出てきているわけでございまして、これを今現在査定をいたしておるわけでございます。  もう一つ指摘の、百四十七円で為替レートを申請をしてきておりますけれども為替レートにつきましても、現在御指摘のとおりさらに円高が進んでおるわけでございますが、為替レートの先行きをどう見るかということにつきましては、御高承のとおり非常に難しい予測になるわけでございますが、現実に為替レートも円高に進んでおるという実態もわきまえまして、厳正な査定をしてまいりたいと思っております。
  85. 工藤晃

    工藤(晃)委員 このほか、査定するとき、これまで非常にはっきりしないままきているのは、減価償却費をめぐる問題があるのです。  減価償却費をめぐる問題というのは、定率法か定額法でおのずから決まる問題だというけれども、実は私の従来からの批判というのは、電気事業の設備投資というのは、明らかに設備投資のための設備投資みたいにして膨れ上がらした部分がかなりあるのではないか。したがって、設備投資を大きくしてしまうと、原価償却費がここで太っていって、これがまた原価を上げるという関係になりまして、ちょっとこれまでの実績を見ますと、七五年から七九年の設備投資に比べて、これを一〇〇として八〇年から八四年の設備投資が五年間に大体一四七になって、それから八五年、八六年、各一年で見ますけれども大体一五〇になるという膨れ上がりであります。一方、原価償却費の方は一〇〇から二三〇、三一九と三倍以上にもこの間上がっていってしまって、しかも自己資金の中の内部留保は、原価償却費以外これが一〇〇から二一九、二二五というぐあいにして上がってきておるわけなので、実はこれが設備投資は幾らやってもいいんだということになりますと、結局総括原価を上げていくのではないか、この点をどう抑える気なんだ、その点を伺いたいと思います。
  86. 植松敏

    ○植松政府委員 設備投資につきましては、当然原価償却費あるいは金利負担等に効いてくるわけでございまして、今御指摘の点を踏まえて私どもといたしましては、それが総括原価の非常に重要な部分を占めるわけでございますから、厳しい査定をしようと思っておるわけでございます。  設備投資の中身は、当然のことながら非常に不安定なエネルギー情勢の中で電源の多様化を図っていかなければならない。電気は、御承知のとおり貯蔵も非常に難しい、貯蔵ができないわけでございます。しかし、一方で安定供給を図らなければならない、こういう状況でございます。一方でコストを下げるということも重要でございますので、安定供給を図りながらしかもコストを下げるという二つの要請にこたえるべく、設備投資につきましても私ども厳重にチェックをしながら指導をしておるわけでございます。また、料金の査定におきましても、原価償却費等につきましては十分厳正な査定をしてまいりたいと思っております。
  87. 工藤晃

    工藤(晃)委員 最後一問だけ、これは大臣に答弁していただきたいんですが、今度の申請を見ますと、家庭用電灯と大口電力と比較しますと、家庭用の電灯の方が八四%高いということになります。これは、八六年度の実績が七一%の格差だったのを開いていくような傾向にあるというので、非常にこれは問題だと思っております。ですから、この問題を一つ問題にしなければならないということと加えて、電力料金の中に福祉料金制度をぜひ加えるべきである。これは私鉄もJRも、例えば障害者に対しましてはそういう福祉料金制度をとっております。したがいまして、この電気料金におきましても、この公共性、国民生活とのかかわり、福祉とのかかわりということから、ぜひ障害者あるいはいろいろ困っておられる方に対する福祉料金制度をとるべきだと提言します。これについて答弁を求めます。
  88. 植松敏

    ○植松政府委員 まず、電灯料金と電力料金の下げ率に差があるということでございますが、確かに差があるわけでございますが、従来、四十九年の改定あるいは五十五年の改定の例を申しますと、四十九年、第一次オイルショックの後でございますが、五六・八%の値上げをいたしましたときに、電灯の料金は二八・六%の上昇、それに対しまして電力の方は七四%の値上げになっております。また、五十五年の第二次オイルショック後の料金改定におきましては、これも約五〇%の値上げでございましたけれども、当時電灯は四二・七%、電力の方は五三・七%の値上げになっております。  まず、電気料金で電灯がなぜ相対的に高いかということにつきましては、もう既に御案内かと思いますけれども、家庭用の電灯料金につきましては、発電所から需要家に至ります経路、いわば輸送経路が非常に長いということがございます。また、送電ロスも大きい、さらに検針とか集金とか、ロット当たりのコストが非常にかさむということで高くなるわけでございます。また、今回の値下げ率が低いということにつきましては、さきに申しましたように、燃料代が非常に高くなりますと、余計電力量を使いますいわゆる産業用電力の方が値上がりするということでございまして、今回の場合には燃料代が下がっております。そういうことで、ちょうどその反対の傾向が出ておるということで御理解をいただければと存じます。  それから、福祉料金につきましては、これももう既に御案内のとおりでございますけれども、電気事業法十九条で、電気の料金というのは原価主義と公平の原則に基づいて設定をしなければなりません。したがいまして、特定需要家について政策的な見地から割安な料金を設定することはできないようになっておるわけでございまして、せっかくの御指摘でございますけれども、今回の改定に際しましても、いわゆる福祉料金の導入をするということは適切ではないと考えております。      ————◇—————
  89. 渡辺秀央

    渡辺委員長 この際、御報告申し上げます。  本委員会に付託されました請願は二十八件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において慎重に検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することとなりましたので、御了承願います。  なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、中小企業振興対策強化に関する陳情書外二件外三件でありますので、念のため御報告申し上げます。      ————◇—————
  90. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  第百八回国会、二見伸明君外四名提出官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の一部を改正する法律案  及び  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案  並びに  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  特許及び工業技術に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件  鉱業一般公益との調整等に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 渡辺秀央

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会