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1987-11-12 第110回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年十一月十二日(木曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 井上  裕君                 石井 道子君                 大島 友治君                 杉山 令肇君                 菅野 久光君                 峯山 昭範君     委 員                 井上  孝君                 板垣  正君                 河本嘉久蔵君                 沓掛 哲男君                 斎藤栄三郎君                 鈴木 省吾君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 松尾 官平君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 佐藤 三吾君                 山本 正和君                 片上 公人君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君    国務大臣        厚 生 大 臣  藤本 孝雄君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  堀内 俊夫君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        環境庁水質保全        局長       渡辺  武君        外務省国際連合        局社会協力課長  金子 義和君        大蔵省関税局輸        入課長      川  信雄君        文部大臣官房文        教施設部指導課        長        木村  直君        文部省教育助成        局施設助成課長  遠山 耕平君        文部省高等教育        局技術教育課長  小林 敬治君        厚生大臣官房総        務審議官     黒木 武弘君        厚生大臣官房審        議官       川崎 幸雄君        厚生省健康政策        局長       仲村 英一君        厚生省保健医療        局長       北川 定謙君        厚生省保健医療        局老人保健部長  岸本 正裕君        厚生省生活衛生        局長       古川 武温君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  森下 忠幸君        厚生省薬務局長  坂本 龍彦君        厚生省社会局長  小林 功典君        厚生省保険局長  下村  健君        厚生省年金局長  水田  努君        通商産業省貿易        局輸入課長    鳥居原正敏君        建設大臣官房審        議官       伊藤 茂史君        建設省住宅局建        築物防災対策室        長        遠藤二三男君        自治省財政局調        整室長      嶋津  昭君        会計検査院事務        総局第二局長   志田 和也君        会計検査院事務        総局第四局長   吉田 知徳君        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        環境衛生金融公        庫理事長     山下 眞臣君        社団法人日本乾        電池工業会専務        理事       佐藤 真也君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○昭和六十年度一般会計歳入歳出決算昭和六十  年度特別会計歳入歳出決算昭和六十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和六十年度政府  関係機関決算書(第百八回国会内閣提出)(継  続案件) ○昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、藤本厚生大臣及び堀内環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。藤本厚生大臣
  3. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 厚生大臣藤本孝雄でございます。  国民生活と健康に直接かかわる重要な厚生行政を担当することとなり、責任の重大さを痛感いたしております。社会保障制度国民生活の基盤であり、制度効率化、運営の適正化に努めるとともに、将来にわたってこれを揺るぎないものとすることが重要であります。私は、医療年金を初め社会保障制度高齢化社会にふさわしい公平で安定したものにするよう全力を挙げて取り組む所存でございますので、委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手
  4. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 次に、堀内環境庁長官
  5. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) このたび環境庁長官を拝命いたしました堀内俊夫でございます。  環境行政は公害を防止し、かけがえのない自然環境保全を図り、さらに快適で潤いのある環境を創出するという極めて重要な使命を有しております。私は、かかる責務を深く認識し、今後積極的に環境行政を推進してまいりたいと考えております。委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を心よりお願いいたします。(拍手)     ―――――――――――――
  6. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十年度決算外二件の審査のため、本日の委員会参考人として社団法人日本乾電池工業会専務理事佐藤真也君出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  8. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 昭和六十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、厚生省環境庁及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  9. 穐山篤

    委員長穐山篤君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  11. 穐山篤

    委員長穐山篤君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 菅野久光

    菅野久光君 藤本厚生大臣、御就任おめでとうございます。竹下内閣が発足してから実質審議国会で行うのはきょうこの決算委員会が初めてだと思います。閣僚の中で最初に答弁なさるのは厚生大臣だ、そういうことできょうの質疑についてよろしくお願いを申し上げたいと思います。  けさNHKテレビでのインタビュー、私も見たり聞いたりしておりましたけれども、我が国は世界に例のないスピード長寿社会を迎えつつあります。この長寿社会が抱えるさまざまな問題にどう対応していくかということは、今日の我々にとっても最大の課題だというふうに思います。  高齢化社会では増加が避けられない年金あるいは老人医療費の財源をどのように安定的に確保して、制度を安定して運営していくのか。保険とかあるいは医療、福祉の分野で、寝たきり老人の介護の問題を初め多くの課題がありますが、こうした課題にどのように取り組んでいかれるのか。厚生行政国民生活の隅々にまで細かい配慮が求められている、いわば国民にとって一番直接的な問題を抱えている行政だというふうに思います。国の厚生行政責任者としての大臣の抱負と決意を、まず最初にお伺いをいたしたいと思います。
  13. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 今お話しのように、厚生行政というものは、予算を見ましてもその七割近くが医療であるとか年金でございまして、国民生活や健康に直接かかわる問題を担当しておるわけでございまして、極めて責任の重大さを痛感いたしております。今日国の大きな課題の一つと申しても過言ではございませんが、特に厚生行政を一口で言えば世界に例のない、欧米に比べまして二倍から三倍のスピード高齢化社会に進行しているわけでございまして、この高齢化社会にいかにうまく軟着陸させるかということが一言で言えば厚生行政である、大きな点であるというふうに理解をいたしております。  けさテレビお話もございましたので、テレビでも申し上げたわけでございますけれども高齢化社会という言葉のイメージが、ややもすればお年寄りが多くなる、それによって費用がたくさんかかる。また、その負担を働いている若い人たちが十分できるかどうかという、そういう問題が取り上げられてきまして、お金にまつわる話になりますと何か暗い感じがするわけでございまして、私は高齢化社会というのはそういう暗い社会ではなくて、むしろ人生経験豊富で健康なお年寄りが多くなる社会というのは、家庭にとっても社会にとっても国にとってもこれはすばらしいことでございまして、明るい面をこれから大いに強調していきたいというふうに考えておりますし、健康なお年寄りが生きがいを持って生き生きと生活できるように、組織であるとか施設であるとか、そういう問題についてもこれから充実していきたいと思っておりますし、また寝たきりのお年寄りの方については、今まで以上に十分に手当てをしていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、これから高齢化社会を迎えるわけでございますから、社会保障制度の充実というものが一番大きな柱になると思っておるわけでございまして、厚生行政に活力と明るさを導入するために全力を挙げて取り組んでまいり保たい、かように考えております。
  14. 菅野久光

    菅野久光君 本当に大変なお仕事ですけれども、ひとつ国民の多くの期待にこたえて頑張っていただきたい、このように要請を申し上げたいと思います。  次に、私ども内閣がかわりますと新大臣はどんな方か、どのようなお考えを持っているかというようなことを新聞記事などを通じながら見るわけでありますが、やはり私はこの機会にどうしても喫煙関係についてお尋ねをしなきゃならないというふうに思って、これからお伺いをいたしたいと思うんです。  大臣は、記者会見喫煙の害のことについて、一日たばこ七、八本程度ならプラスマイナスプラス本数がふえれば相対的にマイナスになるのではというようなことを言われて、たばこは七、八本程度なら問題はないのではないかという趣旨の発言をされたということで、これは抗議などもあって翌日訂正をされたということでありますが、訂正なさったとはいえ、国の厚生行政責任者であります厚生大臣発言として、今喫煙の問題がいろいろ論じられているそういう中で、非常に私は遺憾だというふうに思っております。喫煙がんとの因果関係はもう今や常識となっておりますし、妊婦喫煙による胎児への悪影響たばこを吸わない周囲人々への危険性、これは受動喫煙という用語ができてきているわけですね。こんなことなどもデータでもはっきり示されております。  大臣はかつてヘビースモーカーであったけれども、現在は禁煙派だというふうにもお聞きしておりますが、この新聞報道によれば、訂正言葉で、「不確かな伝聞による発言撤回し、今後はたばこが健康に及ぼす影響を正確に伝えたい」と述べられたようでありますけれども喫煙に対する大臣真意をひとつお聞かせいただきたい、このように思います。
  15. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 私は三十八歳まで実はたばこを吸っておりまして、三十二歳で国会に出てきましてから大体一日七、八十本、大変なヘビースモーカーであったわけでございます。三十八歳のときに一念発起をいたしまして、たばこをやめました。一年ぐらいは大変苦しい時期がございまして、正直申し上げまして、やめたことを後悔したこともございましたけれども、今は極めて健康、たばこをやめたということが自分の健康に非常にプラスであるということを実感として感じております。約二十年たつわけでございまして、このたび厚生大臣になりまして、記者会見でいろいろたばこの話が出まして、率直に今お話しのようなことを申し上げたわけでございますけれども真意は、私は自分たばこをやめてみて、自分の健康に非常によかったと思っておるということを申し上げたのが真意でございまして、ただ、誤り伝えられたということは私の不徳のいたすところでございましたので、翌日撤回をいたしました。  また、たばこ白書も、内容をよく聞きましたところ、一本でも確かに害があるとはっきり書いてあるわけでございまして、厚生行政責任者である私が、その本数は別といたしまして、健康にプラスマイナスプラスという発言をいたしましたことは極めて遺憾なことでございまして、はっきり撤回をいたしました。たばこは健康には害があるということを大いにPRをする立場で今後努力をしたいと思っております。
  16. 菅野久光

    菅野久光君 何か急にたばこを吸われた方がいらっしゃると思いますが、先ほども申し上げましたが、受動喫煙というようなこともあるようでありますので、大臣が率直に発言について訂正をされ陳謝をされたわけでありますが、十月に今お話がありましたたばこ白書を発表したときに、日本たばこ社長は、「がん心臓病などの成人病は、年齢や遺伝、体質、食生活、職業、環境など多くの要因が絡み発病するので、報告書のように疫学のみで因果関係を確定するのは困難」などと述べて、「人類にとって、酒とたばこは二大風習。害だけでなく、メリットもあるのではないか。たばこを吸っても、肺がんにならない人もたくさんいる」というふうに発言しましたが、先日の厚生大臣発言は何かこれと同じような感じ国民は受け取ったというふうに思うんです。一方、斎藤厚生大臣は、きっぱりと禁煙を宣言されたという  ふうに聞いております。  今日これだけ喫煙の害が国民関心を呼び、個人タクシーでの禁煙の動き、それから地下鉄駅での終日禁煙となった駅の出現、レストラン、喫茶店などでの禁煙席の設置などの世の中の流れに逆らうようなこうした発言は、本当に大変遺憾なことだというふうに思いますが、日本たばこ社長の場合は、たばこを売るという企業の側の責任者という立場もあったというふうには思いますが、国民の命と健康を守る国の責任者である厚生大臣でありますから、その重みといい、国民の受ける印象、そういったようなことなどもありますから、今後は発言はひとつ慎重であることを特に望みたいというふうに思います。  そこで、たばこ白書なんですが、これは喫煙と健康問題を総合的にとらえたもので、との報告は、喫煙の害について国が初めて警告したものだと言ってもいいと思います。この中でいろいろ喫煙の害についても述べられていますが、重要なのは、喫煙周囲人々に及ぼす影響、被喫煙者が他人のたばこの害を受ける受動喫煙ということで、たばこ点火部分から立ち上がる副流煙という、置いたときにこう上がってくる副流煙有害成分が多いということ、さらに影響を受けるのが子供や妊産婦が多いという点からも、喫煙対策として禁煙ゾーン喫煙場所を決める、いわゆる分煙を一層進めることは考えていかなければならない問題であるというふうに思います。  七日に発表されました母子衛生研究会の調査でも、妊婦の健康への配慮に欠けるとして、おしゅうとさんの喫煙に注意を喚起しております。たばこ嗜好品だから禁煙の強制などすべきではないという意見もありますけれども受動喫煙への十分な配慮は必要だというふうに思うんですが、このことについての大臣の御見解をひとつ伺いたいと思います。
  17. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 菅野先生お話につきましては私は同感でございまして、やはり喫煙と健康の関係について十分に国民皆さん方にも御理解をいただきまして、吸わない人のために十分配慮をするということはぜひお願いしたいと思いますし、また分煙対策につきましては大いにそういう面での指導はしていかなければならないというふうに考えております。
  18. 菅野久光

    菅野久光君 第六回喫煙健康世界会議、これが十一月九日から四日間ということですからきょうが最終日になるわけですが、これは東京で開かれている。アジアで初めてなんですね。きょうは終わってから何かアメリカ大使館にたばこのCMの自粛を申し入れるというような行動などもあるやに聞いておりますが、来年から四月七日を世界禁煙デーというようなことをこの中で決めていく、WHO、世界保健機関として何かこの日にちを設定するというようなことなども聞いておるわけです。こうした中で、たばこについてのコマーシャルとかあるいは印刷、販売などについても自粛あるいは規制、こういったようなことを国がやっていくというような方向で何かきょうの最終日に決まるような話もちらっと聞いているんですが、それは伝聞ですから正確ではありませんが、しかし、これはやはり成功させなければならないというふうに思いますが、このことが決められたらどのように取り組まれるか、その取り組み決意、その取り組み方によって今回の発言についての大臣真意というものを国民が本当に理解するのではないかというふうに思いますので、その点についての大臣お話を承りたいと思います。
  19. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) まあ名誉回復するチャンスをお与えいただいているわけでございますから、実情はよく調査をいたしまして、その実情につきましては重大な関心も持っておりますし、今後積極的にそういう問題につきましては対処していきたいと考えております。
  20. 菅野久光

    菅野久光君 次は、国民健康保険の問題に入りたいと思いますが、その前にけさ新聞を見ますと、「病・医院ヤミ金融四十八億円大阪で業者4人逮捕診療報酬担保に仲介」、こんな記事が出ておりまして、「病院報酬受け取りの権利を資産提供者に譲渡させ、返済期間中、連合会や基金から報酬が直接、」病院経営者じゃなくて、「資金提供者に払い込まれるようにしていた。」というんですね。これは病院経営コンサルタント業者経営難病院医院に対してもぐり融資をあっせん、多額の手数料を受け取っていたことがわかって四人が逮捕されたというような記事なんですが、この記事が出て、あるいは記事が出る前に既に厚生省として把握されておられたかと思いますけれども、この点については厚生省としてどのような所見を持っておられるのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  21. 仲村英一

    説明員仲村英一君) けさ新聞報道されておりますように、医療コンサルタントと名のる会社でございますが、貸金業規制等に関する法律に違反いたしまして、病院資金を貸しつけておったということで、四人の方が逮捕されたということの報道でございます。  病院経営につきましては、患者さん、地域医療支障のないような形で健全に経営されるべきだということで考えておりますが、こういうようなことによりまして、資金を不法に借りまして、医療機関管理経営債権者など部外者に移されるということは患者の迷惑にもかかわることでございますので、私どもといたしましては、今後とも医業の経営に関して、患者さん、地域医療の確保に迷惑にならないよう、あるいは支障を生ずることのないように都道府県を通じまして経営指導にさらに力を入れてまいりたいと考えております。
  22. 菅野久光

    菅野久光君 これは経営支障がないようにということだけではなくて、このようなことが、いわばその診療報酬水増したとか、何かそういうことにかかわっていくのではないかというふうに思うんですよ。そんな心配はないというふうに考えていいのかどうか、その辺はいかがでしょう。
  23. 仲村英一

    説明員仲村英一君) 診療報酬不正請求その他につきましては、保険局の方で適正に審査をして支払いをしておるということで私ども考えておりますが、医療機関経営が不振になることによってそういうことが起きるとすれば極めて遺憾なことでございますので、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、健全な経営医療機関がしていただくような形での指導をさらに徹底してまいりたいということで御答弁申し上げたわけでございます。
  24. 菅野久光

    菅野久光君 ですからその診療報酬水増し、いわゆる不正請求ということに発展をしないのかと、そういう心配はないのかということを私は質問しておるんですよ。ですから、そのことについてはいかがでしょうか。
  25. 仲村英一

    説明員仲村英一君) 医寮機関経営が不振になって、その結果診療報酬不正請求につながるという形では私ども考えにくいというふうに思っております。
  26. 菅野久光

    菅野久光君 常識的に、私はあるとは言わないんですけれども心配はないかということを言っているんですよ。心配がないと言い切れますか。
  27. 下村健

    説明員下村健君) 恐らくただいま健政局長が申しましたように、経営上の問題がいろいろあったんだというふうに思っております。保険局といたしましては不正請求とか、そういう経営不振ということに関連して不正請求というふうな事態はあってはならないことでございますので、この件につきましては十分実情を調べまして厳正な対処をいたしたいと思います。先生の御懸念もごもっともだと思いますので、十分に調査の上で対応を考えてまいりたいと思います。
  28. 菅野久光

    菅野久光君 今のような答弁なら私も納得できるんですよ。調査をしたその結果について報告していただけますか。
  29. 下村健

    説明員下村健君) 調査の上で御報告いたしたいと思います。
  30. 菅野久光

    菅野久光君 それじゃその点についてはひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、国民健康保険事業の問題でありますが、国民健康保険事業の六十年度の決算、これを見ますと、市町村が運営している国保事業は、全国三千二百七十市町村のうち四百四十六市町村赤字で、これは五十九年度の四百二より四十四も多くなっております。赤字額は九百三十二億円で、これも五十九年度の四百九十八億円より四百三十四億円も多くなっております。赤字市町村数でもそれから金額についても過去最悪決算になっております。  市町村分国保事業全体として見ますと、六十年度の歳入は四兆八千六百四十六億円、歳出は四兆七千九百八十七億円、差し引き六百五十九億円の黒字で、これから医療費支払いのおくれなどの清算分を引いた実質収支は五百九十六億円の黒字でありますが、これも五十九年度の実質収支千三十億円の黒字から見ますと黒字額は半減しております。このように国保事業が六十年度で非常に厳しい最悪事態になったのは、これはどういうことが原因であったのか、それをまずお尋ねをいたします。
  31. 下村健

    説明員下村健君) 六十年度の国保収支状況の数字は、ただいまお話があったとおりでございます。  私どもといたしましては、六十年度に限らず、最近の状況を見てみますと大変国保財政状況は厳しいわけでございますが、その基本的な要因といたしましては、やはり高齢化の進行に伴う老人医療費等の負担が増大しているというのが最大の原因であるというふうに認識いたしております。
  32. 菅野久光

    菅野久光君 今まではこの質問をいたしますと、何か医療費の伸びに応じた保険料を徴収していないとか、あるいは保険料の収納率が悪いというようなことが答弁として出ましたし、新聞などにもそのように書いてありますが、この点についてはどうなんでしょうか。
  33. 下村健

    説明員下村健君) ちょっとあるいは言葉が足りなかったかもしれませんが、医療費をそれぞれの制度別で伸び率を見てみますと、健康保険組合等の保険医療費が比較的低いのに対しまして、国民健康保険それから老人保健というふうに順次伸び率が高くなっております。老人の医療費の伸びが一番高いという状況でございます。したがって、高齢者を大勢抱える国民健康保険が非常に重い負担を抱える。逆にそれを保険料の面から申しますと、所得の伸びを上回って高い医療費の伸びがあるという状況でございますので、保険料がなかなかそれに見合っただけの徴収ができないという状況が起こってまいります。  そういう意味で、もちろん徴収率等の問題もございますが、いろいろ細かく申していくとそういう問題に絡んでくるわけでございますが、基本的な状況としては、やはり高齢化の進展ということが一番厳しい条件としてある、こう考えております。
  34. 菅野久光

    菅野久光君 六十歳以上の方が国保の場合には大体四分の一、二五%以上になっているんですね。今の局長の答弁は、やはりそういう状況を踏まえて、ここが一番主たる原因だということでありますから、私もまたそのように思っております。  六十年度で赤字市町村が大幅に増加したのは、政府が五十九年度の退職者医療の見込み違いをしたことの影響が非常に大きいというふうに思います。政府が五十九年十月から発足した退職者医療制度の加入者を過大に見込んで国保への国庫補助を削減したために、市町村国保財政はそのしわ寄せを受けて、五十九年度は赤字保険者が急増して、五十八年度の百二十四から三倍以上の四百二になったということであります。  それで、政府は、六十年度は補正予算で千三百六十七億二千五百万円を国保特別交付金として計上し、市町村国保赤字についての対策をとったわけでありますが、市町村の方は、六十年度決算を見ますと保険料収入は一一・六%の増、つまり五十九年度に比べて被保険者数はそう変わっていないから、これは保険料を大幅に引き上げた、市町村の一般会計からの繰入金を五十九年度より三八・六%も増加して対応したのに、それでも赤字が過去最高になったんですね。つまり五十九年度の政府の退職者医療の見込み違いは、六十年度で国保の被保険者には保険料の大幅アップ、自治体には一般会計からの多額の補てんという負担を強いることになってきたわけです。この点についての政府の反省はありますか。
  35. 下村健

    説明員下村健君) 退職者医療影響につきまして、私どもの当初の予想が実態と大きく食い違う結果になったことにつきましては大変遺憾に存じております。  ただいまの問題につきましては、退職者医療影響による差額というのは五十九年度が約七百億、六十年度が千四百億、合計いたしまして二千億余り、こういう格好になっているわけでございます。それで、ただいまお話に出ましたように、六十年度に入りまして約千四百億近く、千三百五十億ばかりの予算措置をいたしましたので、六十年度の退職者医療による六十年度中の悪化というのは比較的少なかったというふうに私どもは考えたわけでございます。  したがって、六十年度の財政悪化ということについての直接の原因はやはり老人の方が大きいんではないか、こんなふうに見ているわけでございますが、もちろん、そういうふうな状態で国保財政を維持するために一般会計からの繰り入れがふえたとか、その他の問題が生じていることも事実でございます。
  36. 菅野久光

    菅野久光君 この点については国保特別交付金、こういうことで計上しているわけですね。六十二年度は、当初予算にはこの特別交付金は計上されておりませんね。六十二年度にはこの交付金の必要はなくなったのか、事態によっては補正で見るということなのか、その点もひとつお聞かせいただきたいと思います。
  37. 下村健

    説明員下村健君) どれだけその影響額を見込むかという点につきましては、実は地方団体との間で多少政府側と見解を異にしている点がございますが、私どもといたしましては、国保財政の状況を見ながら退職者医療影響等につきましては誠意を持って対応するということを申し上げているわけでございます。今後も、間もなく六十一年度決算等も出てまいると思いますが、それらの状況も踏まえながら厚生省としては最大限の努力をしてまいるという方針でございます。
  38. 菅野久光

    菅野久光君 最悪事態では補正ででもやらねばならぬ、そういう事態になったときはですね、そのようにお考えだというふうに受けとめてよろしゆうございますか。
  39. 下村健

    説明員下村健君) まだ具体的な問題になっておりませんので、そこまで具体的にお答えすることはちょっとできかねる状況でございますが、そのようなことも念頭に置いて対処を考えるということでございます。
  40. 菅野久光

    菅野久光君 赤字保険者の状況を地域別に見ますと、近畿六県で百一で全体の二二・六%、それから北海道が八十八で一九・七%と、六十年度のこの二つの地域で赤字保険者数の四二・四%を占めることになっておりますね。北海道の場合、この赤字保険者は五十九年度より二十七もふえております。そのうち累積赤字のある保険者が四十七あります。このように赤字保険者が地域的に偏在していることの原因はどういうところにあるというふうにお考えでしょうか。
  41. 下村健

    説明員下村健君) 赤字保険者が集中している地域は、やはり医療費が高いというふうに見ております。したがいまして、そういう地域的に医療費が高い原因等について対策を考えなければならないというふうに私どもとしては思っているわけでございます。
  42. 菅野久光

    菅野久光君 北海道の場合を見てみますと、これは小さい市町村では保険料の引き上げあるいは自治体の一般会計からの繰り入れで対応しても、どうしても赤字になっているというのが現状であるというふうに思います。この点についてはいかがでしょう。ただ単に医療費が高いということだけで片づけられる問題なのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  43. 下村健

    説明員下村健君) 北海道の場合は札幌を中心にいたしまして大変医療費が高い地域がある、これは主として老人の入院等に関連して医療費が高いというふうに見ているわけでございます。  札幌市は国保経営の面で、かなり保険料の面でも努力しておられますが、それでもなお追いつかないというふうな状況がございます。それからまた、北海道の赤字保険者を見ますと、炭鉱でありますとか、非常に住民が極端に低所得でありますとか、あるいは高齢層に偏っているということで、地域保険としての構成から見ると非常に経営条件が困難だというふうな地域もございます。  したがって、医療費だけでは難しいんではないかというお尋ねでございますが、それぞれの保険者の状況に即しまして低所得者に対する対策、あるいは医療費の高いことについての対策、あるいはそれの負担方法といったものを検討してまいらなければなるまいというふうに思っております。
  44. 菅野久光

    菅野久光君 国保保険料は、それぞれの保険者の医療費の総枠によって変わりますから、加入者に医療費が多くかかる高齢者が多く、また、加入者数の少ない市町村保険料の負担が大きくなる、こういうことになりますね。また、保険料の賦課の方式も四万式とかあるいは三万式、二万式と、保険者によってそれぞれ賦課方式が違うので、保険者の規模が小さくて一世帯当たりの医療費が大きいところは保険料が高くなる。加入者にとっては同じ収入であっても、住んでいる市町村によって保険料が違ってくるわけです。保険料の上限は、六十年度の場合は三十五万円、六十一年度は三十七万円、六十二年度は三十九万円、こういうことになっておりますが、これは地方税法の中で決まっておるわけです。それぞれの市町村の限度額については、これも市町村ごとに決めるわけですから、保険財政の苦しい小規模の市町村では限度いっぱいになるところが多いわけです。  例えば北海道の場合を見てみますと、保険料の限度額は六十年度で、これは上限が三十五万円というときで、札幌が三十三万円、旭川二十七万円、室蘭二十七万円などで、三十三市があるうちで保険料が上限の三十五万円までいっているのは四市だけで、二十九市は限度以下です。一方、町村の方は、百八十町村のうち百三十七が限度の三十五万円で、それ以下は四十三町村しかない。しかも、この限度額いっぱいの保険料納付者が加入者の二五%以上もある町村があるのが実情です。この点からも、人口の少ない町村の住民には国保保険料の負担は大変厳しいものになっている。殊に年金生活者などではとても負担し切れないというのが強く声として出されております。こうした実態を厚生省としてどのように認識しておられるのか、伺いたいと思います。
  45. 下村健

    説明員下村健君) 全体的な状況として申しますと、国保の場合は先ほど来申しておりますように、高齢者が多くて非常に医療費の上昇率が高いというふうなことで、保険料の負担が近年相当急激に上昇してきているというのが実情でございます。  したがって、原因は医療費の問題のほかに今の所得の問題でありますとか、あるいは小規模の市町村の場合どう考えるかといった問題とかいろいろあるわけでございますが、それらについてそれぞれの対応策を考えていこうということで、やはり現状から申しますと、今の保険料の上げ幅を多少緩和するような方策を考えていかなければならないというふうに思っております。
  46. 菅野久光

    菅野久光君 あとの問題もいろいろありますから、この問題についていろいろ申し上げたいことがあるわけですけれども、いずれにしろ現在の国民健康保険国保の問題というのは、もう一般の被保険者にとってはこの保険料の負担がぎりぎりの限界に来ているというような状況である、それが実際の被保険者の声だということを十分ひとつ踏まえてこれからの対応策を考えていただきたいと思いますが、十月二十八日に国保制度の抜本的見直し案として、国保制度課題と改革の基本的考え方をまとめて国保問題懇談会に提出しましたが、この案の基本的な考え方、あるいは内容、見直しのねらい、そういうのがどういうところにあるのか、簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
  47. 下村健

    説明員下村健君) 大きく申し上げると、第一は、一つは低所得者の問題でございます。国保の場合は発足以来、保険料の軽減措置というふうな形で、保険制度としては多少特殊な形で発足をしているわけでございますが、それらの低所得者を国保の収支計算の上から外して、別個の福祉対策として低所得者のための医療制度国保の中につくってはどうか。これによって大幅な保険料の緩和ができると、引き下げができるというふうに思っているわけでございます。  それから第二は、今の医療費の地域差という点に関連するわけでございますが、医療費の地域差については、従来は受益という観点から、それだけ医療を多く利用しておられるわけですから、保険料負担がそれに見合って高くなることはやむを得ないという考え方が基本になっていたわけでございますが、これをもう少し保険料以外の地域的な受益という観点から、地方団体の負担も導入してその点を考えてはどうだろうかと、これが第二の点でございます。  それから第三は、小規模の保険者が多いということで、現在国保連合会を中心にいたしまして共同事業が行われておりますけれども、共同事業の内容を拡充強化するということで、その小規模保険者の安定策を考えてはどうだろうか。  これにあわせまして、将来の一元化という観点から給付改善という問題がございます。先ほど来出ているような実情からいたしますと、急速な給付改善ということはなかなか難しい面がございますが、そういう将来展望の問題も踏まえながらこれもどう考えるか。それらをあわせた改革案を今回提案いたしたということでございます。
  48. 菅野久光

    菅野久光君 今お話のようなことが柱で懇談会の合意を得なければならないということに、これからなるんだろうというふうに思いますが、このことについて合意が得られる見通しですね、それはどうなのか。何か新聞で見ますと、大蔵省は賛成、自治省は猛反対というようなことなどもあるようです。  また、この見直し案によって、国保の被保険者の保険料の負担軽減ですね、これはどのぐらいされるような見込みがあるのか。  また、六十三年度予算にはこの案を実施するように要求しているのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  49. 下村健

    説明員下村健君) いろいろな組み合わせによって、保険料負担軽減額なんかは違ってくるわけでございますが、福祉医療制度の効果ということで考えますと、保険料負担軽減が約千五百億、これはただし六十二年度の数字で計算をいたしておりますので、実際はもう少し大きくなるかというふうに思っております。  懇談会の今後の問題でございますが、地方団体は、確かに地方団体の負担という面について特に強い反対をしておられるわけでございますが、地方財政にしわが寄らないように適切な財源措置を厚生省としてもお願いしていきたいということで、十分な議論を尽くして、いい結論を得たいと思っているわけでございます。厚生省の現在の国保の現状に対する認識あるいは解決の方向としては、私どもとしては御理解が得られるのではないかというふうに考えております。
  50. 菅野久光

    菅野久光君 端的に、国保の被保険者の保険料の負担が今までよりも軽減されるような方向でいくということなのかどうか。  それから、先ほど言いましたが、六十三年度予算にこの案を実施するために要求しているのかどうか。その点についていかがですか。
  51. 下村健

    説明員下村健君) 保険料負担の緩和ということは、何らかの形で結論の中に織り込めるように考えてまいりたい、こう思っております。  それから、予算との関係につきましては、概算要求の上では従来どおりの形で要求をいたしているわけでございます。これからおっしゃるように懇談会での議論を尽くしまして、その結論が得られれば六十二年度予算に織り込みたい、改めて要求内容を改めるというふうな手続をとることになろうかと思います。
  52. 菅野久光

    菅野久光君 できるだけ被保険者の保険料の負担が軽減される、そういう方向で取り組みをしてもらうように特段の要望をしておきたいと思います。国保関係についてはまだお聞きしたいことはいろいろあるんですけれども、この程度で次に移ります。  次は、手話通訳の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  私は、テレビ番組あるいは政見放送への手話通訳導入問題について、これまでもたびたびこの委員会で質問をしてまいりました。六十年の十二月九日、六十一年の一月二十二日、同じく三月五日、そうして前回の十月二十七日に質問をしたのでございます。  三月の段階では、NHKが政見放送に手話通訳を取り入れられないのは、政見放送の内容は抽象性や思想性が高いので、こうした複雑なものは手話よりトータルコミュニケーションが一番よい。二つ目として、限られた小さい画面で、手話だけでは候補者の政見伝達に公平、適正を期しがたい。三つ目に、自治省の意見は、選挙のときの短期間に一定基準以上の通訳者をそろえることが技術的に難しい、政見放送は非常に短時日で制作しなければならないので、手話画面挿入などの制作作業を付加することが難しいなどが主な理由でありました。  厚生省のこれまでの手話についての取り組みは、昭和五十七年から手話通訳認定基準等策定検討委員会において、手話通訳のあり方等について調査検討を数次にわたって続けてきました。六十二年五月には、手話通訳の認定基準のあり方について中間報告を得たわけですね。そして、六十二年度中に本答申を得るので、それを見て対策をとるということでありました。  前回の委員会における厚生省の答弁では、手話については日常生活は五千語ぐらいあれば十分であるが、ニュース等については目下検討中であり、五千語で足りるかどうかはまだ言えないということでありました。  一方、NHKの方は、ニュースや政見放送に手話が導入できないのは内容が正確に伝えにくいからだということで、政見放送に取り入れることについての検討のめどはいつまでとは期限は考えていないとのことでありました。しかし、当日出席された川原NHK会長は、手話の標準化が進んでおり、自治省とも選挙管理委員会とも相談して、手話の導入についてできるだけ早く実現できる方法はないか、力を入れて研究を進めたいと、一歩前進した答弁をされております。  厚生省によりますと、手話奉仕員として登録されている手話通訳者は現在二万八千人おりますが、そのうち非常に高度のレベルの通訳ができる人が三百人いるということでありました。  そこでお尋ねいたしますが、来年の三月に本報告が出て、それから手話通訳者の養成機関をつくり養成を始めるというのでは余りにも時間がかかり過ぎるのではないかと思います。養成には基礎科目などに百五十時間、実習に二百数十時間が必要であるということで、二年ということを考えているようでありますが、本報告が出て、来年度すぐに養成機関を開校しても、手話通訳者が資格を得て実際に通訳ができるようになるまでに二年以上はかかる。それに私は、二年後の参議院の通常選挙までにこれでは手話通訳の導入は難しくなるのではないかというふうに思うんです。既に高度の技術を持っている人がいるのですから、最終答申を待たずに認定作業の準備を始めて、答申が出たらすぐにこうした既に高度の技術を持っている人の資格の認定を行って、手話通訳者としての資格を与えて、一日も早くテレビの政見放送に手話を取り入れるべきであるというふうに思いますが、厚生省は耳の不自由な人たちのために積極的に手話通訳者の認定作業を進めるようにはなさいませんか、お考えを承りたいと思います。
  53. 小林功典

    説明員小林功典君) 先生お話にもございましたように、五十七年以来いろいろと検討していただいているわけでございまして、六十二年の五月に中間報告が出たわけでありますが、これはいわば骨格だけの内容でございまして、さらにその細部を詰めなきゃならないということで、今年度末までには最終報告をまとめていただくと、こういうことになっているわけでございます。先生お話しのとおりでございます。  したがいまして、細部が詰まりませんと制度化というのは難しゅうございますから、どうしてもやはり年度末までに出てくるであろう報告書の内容を見てそれで対処しなきゃいけないと、こういうことはそのとおりでございますが、ただ、今おっしゃったような、従来いろいろな形で養成していた方々をいわば経過措置としてどう見るかという問題が一つはあろうかと思います。そこら辺も踏まえまして検討してまいりたいと、このように思っています。いずれにしろ手話通訳制度、重要性は非常に認識しておりますし、早期にこれをやらなきゃいかぬという必要性も認めておりますので、前向きに対処をしたいと、このように考えております。
  54. 菅野久光

    菅野久光君 手話通訳の問題については、もう国際障害者年が始まったそのときからずっと来ているわけですね。今もお話ししましたが、本答申が出て、それから養成機関をつくるという形になるのではないか。既にいろいろな形で養成されているところはありますが、国として制度化していくというのはそういうことになるのではないかというふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、とにかく時間がかかるんですね。こんなことでは政見放送に手話導入をすることが何年先になるかわからない、そういうふうに思うんです。その間、四十万人もの耳の不自由な人たちが政治にきちっとした形で参加することが大きく阻害される。一日も早く認定作業の準備を始めて、テレビ政見放送等への手話導入の実現を図っていただきたいというふうに思うんです。  そこで、養成機関をつくるということになれば、本答申が今年度末に出るわけですね。それから養成機関をつくるということになれば、いつつくる形になるんですか。つくるということになればですよ、その時期のめど。
  55. 小林功典

    説明員小林功典君) 今までのスケジュールからいいますと、今年度末までに最終報告が出て、それを踏まえて制度化するのが六十三年度ということになるわけでございますから、その養成機関の期間の長さにもよりますけれども、六十三年ないし六十四年というふうなのが一番常識的な形であろうと思います。
  56. 菅野久光

    菅野久光君 養成機関の問題で、今年度末に本答申が出て、それからすぐ養成機関という形にはならないんでしょう。準備期間というのがいろいろあるわけでしょう。
  57. 小林功典

    説明員小林功典君) この制度化ということをどういう形でやるかという問題が一つございます。私ども、まだ固まっていませんけれども、今頭にありますのは、技能審査制度というものを、ほかにもございますが、技能審査制度を使ったらどうかなという気持ちでおります。そうしますと、その制度ができませんと養成機関はスタートできないわけで、これは当然でありますが、その制度をつくるのが六十三年度に入ってからになるのではないかと、そういうことでございます。
  58. 菅野久光

    菅野久光君 手話通訳の認定試験というのは、国の方はまだ何もやっていないわけですね。しかし、それぞれの、東京都だとかあるいは全日本聾唖連盟、こういうところでは手話通訳についての認定試験というものを既にやっているわけですね。そうですね。それで、幾つぐらいの都道府県でやっているか、私はちょっとわからないわけですけれども、この試験で資格を得た人がそれぞれのところの、派遣協会のようなところがあって、いわゆるそこに登録をして、そこから必要なときに派遣されるという仕組みになっているわけですね。ですから、これを国の制度として認定をするというような作業ですね、今まではそれぞればらばらでやっているわけですから、それを国として一元化していくといいますか、国の制度としてやっていく、それはいつの時期を考えているのかということをお伺いしたいと思います。
  59. 小林功典

    説明員小林功典君) 少し整理して申しますと、今までも厚生省というか、国が社会参加促進事業というものをやっておりまして、これはメニュー事業でございますが、これは実際に県に補助金を流してそこでやっているわけです。これはもう全都道府県が実施をしております。これは手話奉仕員の養成事業という形でやっているわけでございます。それからもう一つありますのは、全日本聾唖連盟に対しまして、手話通訳の指導者、リーダーの養成事業を委託をしております。そういう格好で、手話奉仕員の養成事業は都道府県、それから手話通訳のリーダーの養成は全日本聾唖連盟という形で、まあ少しタイプは違いますけれども、そういう格好で手話通訳の普及発展を今までもやってきたわけです。  問題は、そういう過去の実績はそれとして、今度は公の国の制度として、新しい制度として手話通訳制度をつくったらどうかと、これが今の課題でございまして、それは先ほど申しましたように、年度末までに出た最終報告を踏まえて来年度にも公のその新しい制度、これをつくりたいということでございます。その際に、今申しましたような過去にやってきたいろいろな養成事業、これを新しい制度にどういうふうにフィットさせるかという問題が一つあろうかと思いますが、それはまだ細部は詰まっておりませんので、今の段階ではちょっとお話ししにくいと、こういうことでございます。
  60. 菅野久光

    菅野久光君 私は前回の委員会で、いろいろ手話通訳等にかかわるあるいは耳の不自由な方々にかかわる施策の問題について、厚生省は一生懸命やっていると、ある程度のところまで進んできているということで、ほかの方から見ればですよ、そういうふうに評価をしてきたんですよ。手話通訳認定基準等策定検討委員会どもつくって、こういう中間報告も出されたりして進んできているんですが、それでも私に言わせれば、あるいは耳の不自由な方々からすれば、少し時間がかかり過ぎるのではないかというふうに思わざるを得ないんです。それは、いろいろ努力されていることは私もわかります。けれども、とにかく一日一日、毎日毎日生活をしているんです。そういう中で、一日も早く手話通訳士制度といいますか、そういうものをつくってもらいたい。それは、手話通訳士の人が生活が安定しないがために耳の不自由な方々がどんな状況で、社会生活をしているかということを考えてみたときに、もう一日も本当に早くしてあげなければならないという思いに駆られるのは、これは私だけではないというふうに思うんです。この手話通訳士制度というものがきちっとなっていないために、身分的に確立されていないために、この人たちは手話通訳だけで生活をしていくということができないんです。しかも、今いろいろな形で認定試験を受けておられますが、その認定試験もお聞きしますと三日かかるというんですね。三日かかるので、三日間自分が今どこかで仕事をしていても仕事を休まなければならないわけです。それから、もちろんこれは旅費は出ないわけです。  それから、もう一つ大事なことは、そうやって自分で苦労して資格を取っても活用できない、いわゆるそれを自分の仕事として使っていけない。だから、非常に高度な手話通訳のできる人たちが三百人と言っておりますが、私は手話通訳士制度というものがきちっとなって認定試験をやれば、もっともっと私はふえると思うんです。試験を受ける実力があっても、受けてもいわばそれを職業としてやるような今状況にないわけですね、制度的に。だから受けない人たちがたくさんいるということだというふうに思うんです。その点はどのような御認識でしょうか。
  61. 小林功典

    説明員小林功典君) 確かに公の制度といいますか、確立した一つの制度がございませんから、もしそれができればさらに多数の方が資格を取られる、あるいは手話通訳者がふえるということはそのとおりだと思います。ただ、これは私の感じでございますけれども、手話通訳で生活を維持するというところまでいけるかどうか。全体で聾唖者の数が、ことしの二月の調査によりますと三十五万四千人でございます。したがって、これだけで生活を保つという意味での手話通訳制度はどうであろうかなと、これは私の私見でございます。私の方は、むしろそういうことよりも、それにもまして一定のレベル以上の知識というか、技術があれば公でそこに認定をする、そういう一定のレベルの向上といいますか、その認定行為というのを主眼として制度をつくりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  62. 菅野久光

    菅野久光君 局長ね、局長がそういう認識じゃ私は困ると思うんです。例えば職業安定所、あそこに手話通訳者というのはどういう形で置かれていますか。
  63. 小林功典

    説明員小林功典君) 職安の現場の話は、ちょっと私存じません。
  64. 菅野久光

    菅野久光君 耳の不自由な方々も社会参加ができるように、それが国際障害者年の「参加と平等」ということでしょう。  私は札幌の職安で調べたら、一週間に一日だけ、たしか二時間だと思います、手話通訳者がその職業安定所に来てやるのは。だから私は、そういう役所の関係それから病院関係、そういうところにほかの仕事とあわせて手話通訳をやれる人を必ず採用しておかなければならないというような、そういう制度社会的に確立するということが私は必要じゃないかと思うんですよ。  三十五万四千人の耳の不自由な方々のためだけで生活をしていくことができないなどという、そういう考え方は全く基本的に私は間違っていると思うんです。私が言っているのはそういうことじゃないんです。「参加と平等」という国際障害者年の精神、それをしっかり私は踏まえて対応していかないから、こういう実際に仕事を始めてもなかなか進んでいかない。一体いつになったらはっきりするんだと、そのことがこの中間報告の中にも私ははっきりと出ていると思うんです。実際に手話でいろいろかかわっている方々のこの中間報告に対する問題について、錯綜する課題とか疑問、危惧、不安、そういうことの中にこれを制度化していくということを、この中に出ているのは資格だとか養成の問題が主体になって出ているわけですね。しかし、一番私は基本になるのはやはり身分の問題だと思うんですね、この養成にかかわる。  今手話をやる人がどんどんふえて、日常的にそういう方々がいろいろなところにいて、耳の不自由な方々に対してボランティア的な仕事をする、それはそれで私は大事なことだと思うんです。と同時に、それぞれの大事な機関に、公共的な機関に、耳の不自由な方々がいつでも参加されるような、そういう状況というのをこれは政治がつくり出していかなかったら、だれがつくり出していくんでしょうか。そういう中で私は高度な手話通訳士というものが生まれてくる素地といいますか、そういうものが出てくるんじゃないかというふうに私は思うんですが、この私の考え方を局長はどのように受けとめておられますか。
  65. 小林功典

    説明員小林功典君) 若干誤解されたんじゃないかという心配がございますが、あくまで私も手話通訳制度、必要性、重要性、これは認識しているからこそ、なるべく早く制度化したいというふうに申し上げているわけでございます。  現に今検討を進めていただいていますのは、全野連に委託をして、聾唖者の団体にやっていただいているわけでございまして、その結果が今年度中に出るということですから、それが出ました段階でなるべく早く着手したいと、こう思っているわけでございます。それはそういうことでございます。  そこで、先ほどもちょっと触れましたように、今我々が考えていますのは、標準手話というものを正確かつ迅速に通訳できる方のレベルを公で認定をして、そこでその能力を公に評価というか保証するということを主眼に考えておりまして、現在の段階では、その手話通訳者の配置を法律で例えば義務づけるとかいうところまではまだ考えていないわけでございます。その手話通訳者の設置という面について見ますと、現在でも手話通訳者設置のための補助事業を先ほど申しましたようにやっておりますので、そっちの方向で今後ともその内容を充実していくという方向で進めてまいりたいと思っております。
  66. 菅野久光

    菅野久光君 その手話通訳をできる人をいわゆる必要なところに配置をする、配置をしなければならない。これはもう法律でやっぱり決めなくちゃいけないわけですよ。それはどこが考えるんですか。
  67. 小林功典

    説明員小林功典君) 私の方としましては、その設置問題につきましては、現在やっております手話通訳設置のための補助事業、現にありますから、それの内容を充実することによって対処していきたいと思うわけでございます。
  68. 菅野久光

    菅野久光君 実際に手話通訳をやっていられる方々、ボランティア的にあるいは都道府県で派遣をしてやっておられる方々も非常に給与といいますか、報酬が低いんですね。三年なり五年なり、耳の不自由な方々と手話通訳者との間で一番大事なことはお互いの信頼関係なんですね。その信頼関係ができたころにその人が結婚しなきゃならぬ。そうしたらとてもそのことだけでは生活していけないということで、後ろ髪を引かれるような思いでその仕事を去らなければならない。そのことによって、また新しい人が来たとしても、耳の不自由な方々との信頼関係を得るまでにはまた時間がかかるわけですよ。そんなことなどを含めて何とか身分的に安定できるような、そういうことをしっかりやってもらいたいという希望が非常に強くあるわけです。そのことについては、この中間報告には全然書かれていないわけです。書かれていないんです。だから、そのことについて非常に何というんですか、不満というんですか、なぜそこのところもきちっとやってもらえないんだという、そういう気持ちが非常に強くあるということ、それに一体どうこたえていくのか、そんなことがこれから非常に大事になってくるんではないかというふうに思うんですよ。  それから、養成機関の問題ですけれども、ここでやっぱり先生を確保したり、あるいはその養成機関をどういうふうに、単独の学校にするのかあるいはどこかに付設するのか、その辺のこともあろうと思うんですが、これは全国幾つかのところに、例えば大学に講座を設けるなんというようなことが考えられないのかどうか、その辺はいかがですか。
  69. 小林功典

    説明員小林功典君) その辺がこれから最終報告に向けて詰めるべき事項だろうと思うんです。具体的に養成をどういう形でやるかというような話を含めて、そこがまだ詰まっていないわけでございまして、そういうことを細部を詰めてまとめていただくということだと思いますので、ここではこれがいい、あれがいいというのを申し上げるのは差し控えたいと思いますが、今検討を委託して着実にやっていただいておりますので、それを待ちたいと思います。先生のおっしゃるような問題点は確かにあると思います。
  70. 菅野久光

    菅野久光君 今のような大学の講座として設けるなんというようなことがいろいろ検討の中で出てきたときに、それは文部省としては快く受けるということになりますね。
  71. 小林敬治

    説明員小林敬治君) 現在でも例えば大学その他の高等教育機関におきまして、教員養成課程にそうした授業が置かれたり、それから福祉系の大学等にそういう手話の関係の授業が置かれたりしております。そして、単位が与えられる場合あるいは特別講座のような形の場合等があるわけでございますが、私どもできるだけ手話通訳ができる人をふやすという観点から申し上げますと、あるいは今後公開講座のような形で学生さんあるいは付近のボランティアの方たちを対象にしたそうした展開を考えていってもよろしいんではないかなというふうに考えております。
  72. 菅野久光

    菅野久光君 役所というのは縦割り行政で、ともするとその辺の連携がうまくいかない部分があるんですが、ぜひ今のような話もありますから、その辺を踏まえてひとつやっていただきたいと思います。  一九九一年世界ろうあ者会議が東京で持たれることになったことは御存じですね、いかがですか。
  73. 小林功典

    説明員小林功典君) ことしの七月にラインラントで行われました第十回の世界ろうあ者会議で日本が立候補して当選をしたというニュースは得ております。
  74. 菅野久光

    菅野久光君 もうあとわずかな期間しかないわけで、それまでに日本がこの聾唖者の方々の参加と平等、これにどれだけきちっとやったか、いわば国際障害者年の最終年になりますね。そういう意味では非常に注目される大会ですし、また世界の各国の聾唖者の方々が期待をしている東京大会ではないかと、東京会議ではないかというふうに思うんですが、これを何としても成功させるためには、それまでに日本の手話通訳士を含めたものをきちっとやっていくということが大事なんです。  先ほどから私、質問でやりとりをしておりまして、大臣お聞きだというふうに思いますが、ひとつ最後にこの問題についての大臣としての決意をぜひお聞かせいただきたいと、このように思います。
  75. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 手話通訳者の制度化の問題につきましては、先ほど来から局長が答弁したような考え方でおりますけれども、だんだん御意見を承っておりました際に、私も同感の点もあるわけでございますので、私自身さらに勉強いたしまして、スピード化等を含めて考えてまいりたいと思っております。
  76. 菅野久光

    菅野久光君 きょう傍聴席に耳の不自由な方々も来ております。ただいまの大臣の答弁もよく聞いておるわけですから、事務当局の方もぜひ期待にこたえるようにひとつ最大の努力をしていただきたい。このことを申し上げて、この問題については終わりたいと思います。  次に、アスベストの問題についてお尋ねをいたします。  ことしの五月に文部省が都道府県教育委員会を動員して、このアスベストが吹きつけられているような、その内装仕上げをした校舎などの調査をしましたが、その結果はどうであったのか、お知らせいただきたいと思います。
  77. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) お答え申し上げます。  ことしの五月、公立学校につきまして、吹きつけ工事のアスベストの使用状況について各都道府県を通じて調査をしたわけでございますが、全国、小、中、高、特殊学校全部で四万三百校あるわけでございますが、そのうち吹きつけアスベストを使用している学校が全部で千三百三十七校、率にしまして三・三%と、こういう結果になっております。
  78. 菅野久光

    菅野久光君 このときは学校だけで、教育関係施設ということでの、例えば教員住宅なんかについては調査をしたということはありますか。
  79. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) ことしの五月調査をしましたのは学校の教室、それから屋内運動境、寄宿舎についてでございまして、教員宿舎については調査をしておりません。
  80. 菅野久光

    菅野久光君 これは川越で、教員住宅のこのアスベストの問題で問題になっていたことは御存じだと思うんですが、教育関係のこういう施設をやるわけですから、どうして教員住宅を入れなかったのか、それには何か特別なお考えはありますか。
  81. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 特に深い理由があるわけではございませんで、私どもとすれば、児童生徒が勉強する居住環境と申しますか、そういうところを全体として把握したいということで、教室、屋内運動場、寄宿舎について調査をしたものでございます。
  82. 菅野久光

    菅野久光君 教員ということは全然頭にないわけですか。学校だけが何というのですか、教育関係施設ということでは私はないと思うんですね。しかも、ことしの四月ですか、五月ごろから教員住宅、特に新聞で取り上げられているのは川越の問題ですけれども、教員住宅の問題が、このアスベストの問題でいろいろあったわけでしょう。そういうことが全国的にどうだったかということを特に助成局として調べる必要はないと、そういうことだったのか。私はちょっとそれじゃ片手落ちじゃないかなというふうに思います。どうせ調べるのだったら、そこまでやっぱり調べてあげるのが親切じゃないでしょうか。調べてないというのですから、私はどんな状況か、それは聞くわけにはいきませんけれども、調べなかったのは、私はやっぱり手落ちだったというふうに指摘せざるを得ません。  状態が特にひどい学校に対して、文部省が撤去とか改修が望ましい、こういう姿勢を打ち出して来年度から工事費補助を拡大するようでありますけれども、今年度分についてはどのような状況でしょうか。
  83. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 本年度につきましては既に申請がありまして、私どもの方で交付決定をしておりますのが小学校二十校、中学校九校でございます。そのほかまだ冬休み等でやりたいというような学校につきましては、私どもは予算を留保してございますので、その予算で優先的に採択をしていきたいと、このように考えております。
  84. 菅野久光

    菅野久光君 それでは、これからも撤去とか改修、そういったようなことで工事費補助が出た場合には、出たやつはすべて文部省としてはそれに対応していける、そういう状況にあるというふうに受けとめていいですか。
  85. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) この補助制度につきましては要件がございまして、工事費でございまして、これが一件二千万円以上と、こういう要件がございます。それから建築後十五年以上経過した建物について補助対象にすると、こういう要件がございますので、本年度については、その要件に該当するものについては優先的に採択をしていきたいと、このように考えております。ただ、アスベストについてだけ撤去、改修するという工事ですと、必ずしも二千万円という要件を充足しないものがかなりあるようでございますので、来年度の概算要求においては、その二千万円を四百万円以上ということで緩和をして補助対象にしたいというぐあいに考えておりますし、それから建築後十五年以上という要件についてはこれを撤廃したいと、このように考えて予算要求をしているところでございます。
  86. 菅野久光

    菅野久光君 その四百万円以上ということに下げるということで、ほとんどのところは全部網をかぶせてやることができるというふうに判断されておりますか。
  87. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 大体私どもの試算したあれでは、四百万円ですと特別教室、音楽室が一つ、それからそれの準備室等が一つで大体四百万円ぐらいになるというぐあいに試算しておりますので、特別教室が一つ以上あるようなところは大体該当するというぐあいに考えております。
  88. 菅野久光

    菅野久光君 来年度からということですけれども、それはどうして今年度、今からにならないんですか。
  89. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 先ほど申し上げましたように、補助制度として先ほど申し上げましたような要件がございますので、私どもとすれば、やはりそれは制度改善ということになるわけでございますので、それは新しい予算ということで、制度改善を六十三年度予算について要求しているところでございます。
  90. 菅野久光

    菅野久光君 それは年度途中でも必要な場合に制度を改善するということはできませんか。
  91. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 大変非常に困難なことであるというぐあいに、考えております。
  92. 菅野久光

    菅野久光君 困難でも何でも人間がやることですよ。アスベストがこれだけ健康に大変な問題があると。しかも、そこで毎日毎日、休みの日は別にして、子供や先生たちの教育活動が行われているわけですよ。非常に制度改善が困難だ、あるいは予算がないということで、健康に問題があるようなものを次年度までということ、それが私はやっぱり政治の仕組みというのが非常に何というんでしょうか、生きたものになっていない、そういうことではないかというふうに思うんですよ。まあ、それはあなたに言ってもしょうがないのかもしれないですけれども。  これは厚生大臣、今私は言っているのですけれども、年度の途中であっても、必要なことであれば、特に命にかかわりのあることでしょう、このアスベスト公害というやつは。そういうときには年度の途中であっても制度改善というものをやはりして、実態に合うような、国民の要求に合うようなそういう政治というものをしていかないと、それは生きた政治ということにならないのじゃないかというふうに思うんです。たまたま今、アスベストの問題ですけれども、そのほかの問題だっていろいろ出てくると思うんですね。もう四月に決めたから、それは次年度でなかったらできないんだという、そういうかたくなな考え方では、これは生きた政治というものは望めないのではないかというふうに思うんですが、アスベストということに限らず私が今申し上げたようなことについて大臣どのようにお考えですか。
  93. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 厚生省所管の問題につきましては、私はそのようにできるだけいたしたいと考えております。
  94. 菅野久光

    菅野久光君 ぜひ生きた政治をですね、国民の要求にこたえるような、そういう政治をしてもらいたいというふうに思います。  次に、公共施設だとかあるいは公営住宅、あるいは公的な住宅、これらの問題についてはどのようなことになっておりますでしょうか。これは建設省、来ていますか。
  95. 遠藤二三男

    説明員遠藤二三男君) 先生お尋ねの、公共施設及び公営住宅等については現在調査を進めているところでございます。
  96. 菅野久光

    菅野久光君 いつごろまでに調査は終わりますか。
  97. 遠藤二三男

    説明員遠藤二三男君) 公営住宅等については管理者の数が市町村、都道府県と相当膨大な数でございまして、早急に結論を明らかにしてくれとお願いしているところでございますが、いつまでということははっきり申し上げられませんけれども、一応私どもとしては本年末までには何とか実態を明らかにしたい、こういうふうに急いでいるところでございます。
  98. 菅野久光

    菅野久光君 数もたくさんあるから大変なんでしょうが、でも随分時間がかかるものですね。もう春からずっとこの問題、いろいろ問題になっておりまして、それでまだ状況が全体的に把握できないということは非常に私は対応が遅いなあというふうな印象をこれはもうぬぐえない。できるだけ早くこの問題についての対応をしてもらいたいということを建設省の方にも要望しておきたいと思います。  そこで、現在石綿を扱う工場には、これは労働省の局長通達で、空気一cc中繊維二本以下という基準があります。ビルの解体工事でもこの基準を用いることが昨年九月に労働省から通達されておりますが、住宅やオフィスビルなどのいわゆる居住環境基準は、このアスベストの問題についてはどのようになっておりますか。これは厚生省の方にお伺いしたいと思います。
  99. 古川武温

    説明員(古川武温君) 労働省のサイドの基準というものは委員御案内のようにできております。そしてその基準というのは、アスベスト一般でなく、アスベストにも発がん性の強いもの弱いものがありますから、そういうふうにきめ細かく定められておるわけでございます。  一般の建築物の空気環境といいますか、そこにおけるアスベストの基準というものはどういうふうにあらねばならないか、こういうふうなことで基準はないのかという御質問でございますが、現在のところつくっておりません。
  100. 菅野久光

    菅野久光君 現在のところつくっておりませんと胸を張って言われたんで非常に残念だというふうに思いますが、厚生省の方で、今年度予算で幾つかのビルの空気を測定したいというようなことをおっしゃっていたようですけれども、この点についてはどうでしょうか。
  101. 古川武温

    説明員(古川武温君) 本年八月のことでございますが、建築物内における健康に影響を及ぼす粉じんの実態とその抑制に関する研究班の経費を措置することができましたので、この研究班によってアスベストの問題を中心に研究調査をしてまいりたい、こう考えております。
  102. 菅野久光

    菅野久光君 基準はないと言われましたけれども、労働省でもやっているんですから、厚生省も一般的にやらなきゃならないことではないかというふうに思いますので、そこのところはひとつ研究して早急に結論を出してもらいたいと思います。  環境庁の方にちょっとお伺いしますが、環境庁も石綿の蓄積データを生かし、関係省庁に協力したいという旨を言われておりますが、この点についてはどんな状況になっておりますか。
  103. 長谷川慧重

    説明員長谷川慧重君) アスベストの問題につきましては、先生からただいまいろいろお話があったわけでございますけれども、各省庁におきましてそれぞれの立場からいろいろな取り組みが行われておるところでございます。私どもといたしましては、環境庁のやっておる仕事もあるわけでございますけれども、各省庁間におきまして緊密な連絡を図るということが必要であるという観点から、連絡会議を開きまして情報交換を行っておるところでございます。今後ともできる限り関係各省庁間におきまして緊密な連携のもとに、それぞれ適切な対策がとられるように努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  104. 菅野久光

    菅野久光君 先日、東京都内の水道水から石綿を初検出したことが報道されましたけれども、都では六十五年度までに順次撤去する方針のようですが、厚生省として水道水の石綿汚染についてどのように把握しておられるのか。また、全国的に石綿管を使った水道の状況、それをどのように把握されておるのか。把握しているとすればどのような対策を立てようとされておるのか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  105. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 石綿を飲み込む、経口摂取をいたした場合に健康にどんな影響があるかということにつきましては、これは国際的にも因果関係がまだはっきりしておりません。つまり、一般的には吸入による影響に比べまして、飲み込んだ場合の影響は極めて少ないというふうにされております。  現在アスベスト、石綿に関しまして水道の水質基準を決めた国はございませんけれども、米国でいろいろな研究がされております。それは、石綿の繊維を長さを二通りに分けまして、十ミクロン、つまり百分の一ミリより長い繊維のものを動物に食べさせた場合、それからそれよりも短いものを食べさせた場合、いろいろ比較いたしまして、その結果、十ミクロンより長い繊維を食べさせた場合には動物実験で一応疑わしいというふうな結果が出ておりますので、これは米国政府の毒性調査計画の一環として行ったものでございますが、その結果に基づきまして一つの試算をいたしまして、一リットル当たり七百十万本の繊維というものを一つの水質目標値ということで定めたらいかがかということを米国の環保で今提案しております。そういう状態でありますから基準はまだございません。  今回公表されました東京の昭和女子大学の先生それから東京都衛生局のデータによりますと、この十ミクロン、つまり百分の一ミリを超えました長い繊維は水道水の中には出ておりません。ということで、私どもは水道水の中ではこの問題は今のところ問題となるレベルではないと考えております。  しかしながら、この問題につきましては、当省といたしましては十分関心を持っておるわけでございまして、現在内外のこういった知見の集積に努めておるわけでございまして、まず問題になりますのは、分析の方法が難しい。つまり電子顕微鏡を必要といたしますけれども、そのほかにエックス線回折装置というものが必要でございまして、この両方を備えた試験機関が日本にまだわずかしかございませんものですから、こういった非常に高度な機械を使い、高級な技術を使う分析の方法以外に、もう少し簡便な方法はないかということで今研究をさしておりまして、こういった成果を踏まえて調査をいたしたいと思っております。  それから石綿セメント管は昭和三十年代に非常にたくさん使われました。安いということで使われましたが、また一方で強度が弱いということで、一定の年数に達したものにつきましては、その破損あるいは漏水を防止する観点から取りかえをしております。これは別にアスベストの問題ということでなく、破損による問題を防ごうということでございまして、そういったものにつきましては、簡易水道などにつきましては補助金も出しまして更生をさしております。
  106. 菅野久光

    菅野久光君 石綿の問題がいろいろ出ますと、先ほどからいろいろなところに御質問申し上げましたけれども厚生省、建設省、文部省、環境庁ですか、こういうところ、あるいは労働省なんかも基準の関係でいけば関係があるのかもしれませんが、こういったような問題が起きたときにどこが責任官庁になるのか、その点はどうなんでしょうか。私が今こう言ってもなかなか答えられないのでお互いに顔を見合わせていたのではないかというふうに思いますが、縦割り行政なんですけれども、何かこういう特定の問題が出たときには、責任官庁をやっぱりきちっと決めてそれぞれ連絡をとるといいますか、あるいは集中的にこの問題について対応するとか、そういうことが私は必要ではないか、行政の場合。そのことを実は申し上げたかったんで、ぜひこんなことはひとつ今後の問題として考えておいていただきたいというふうに思います。  時間が大分たってしまいまして、実は輸入食品の放射能汚染の問題について御質問する予定でおりましたが、ちょっとだけお聞きします。  けさの朝日新聞に、「食品の放射能汚染 難航EC間の許容基準統、」ということで大分緩和派と引き締め派でいろいろやっているようでありますが、日本は食品一キログラム当たり三百七十ベクレルという暫定基準をそのまままたやっていくということでありますが、私が心配なのは、同じ基準で乳幼児もそれから妊産婦も若い人もお年寄りも、どこまで分けられるかは別にして、同じ基準でということがちょっと私は心配なんですけれども、その辺についてはどうなんでしょうか。
  107. 古川武温

    説明員(古川武温君) 国によっては、委員御指摘のように乳幼児については低い基準を設定しているところがございます。  我が国においては、乳幼児を含めた食事摂取の特性から、それを含めましてただいま申し上げました乳幼児のレベルと同じレベルに設定されているわけでございまして、一般食品全体で三百七十ベクレルと、こういうふうにしております。
  108. 菅野久光

    菅野久光君 体重だとかそれからいろいろなそういうものに対する耐久力だとか、そういうことを考えでいけば、乳幼児もそれから普通の大人の人たちも同じ基準というのは、何かどう考えてみても私は合理的ではない、科学的ではないと、そういうふうに思わざるを得ません。そのことについてはぜひひとつ検討してもらいたいということだけ、この関係については申し上げておきたいというふうに思います。  厚生省関係は以上で終わらさせていただきたいと思います。建設省の関係も結構でございます。  長い間お待たせをいたしましたが、環境庁関係についてお伺いをいたしたいと思います。  大臣、本当に御就任おめでとうございます。まず、環境問題の具体的な問題に入る前に、環境庁長官は今度就任されて、きょう最初国会での答弁をされるということでありますから、環境問題に取り組む基本的な姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。  今日、世界で我が国の置かれている状態はいろいろな面で厳しいものがあります。長年かかって先進工業国になり、かなりの分野において世界のトップを走っているわけであります。そういう意味から、貿易あるいは国内開発、自然環境などの分野において、これまでとは違った姿勢が求められていると言ってもいいのではないかというふうに思います。  そこで、これまでの環境庁から脱皮をして、建設省、通産省、農水省などといった事業官庁の言いなりではなくて、もっとイニシアチブを環境庁がとって、世界を初め我が国の環境保護に立ち向かっていかなければならない、調整官庁ではなくて責任官庁と、そういうことをぜひ大臣にやっていただきたいというふうに思いながら、大臣の見解あるいは所信をお伺いしたいと思います。
  109. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 環境行政ということになりますと、公害をまず防止しなけりゃならぬ、また自然環境保全をする、この二つの大きな問題が環境行政の基本になっているように思います。  ただいま菅野委員から御指摘がございましたように、具体的に考えてみますと、まず大都市においては交通公害と言われているのがございます。大気汚染あるいは騒音というような公害がございます。それから、湖、沼とか内海というところの水質の大変な汚濁状態というような問題がございます。私たちはこの問題を積極的に、今菅野委員がおっしゃったように、各省が皆担当しておるわけですけれども、これらの問題は、防止するという立場は、これは私らの方の立場でございますから、十分調整をとって、本来の人間の生命の問題にかかわる問題だという立場で、ちゃんとけじめをつけていきたいと思います。  さらに、我々ハイテク産業の非常に恩沢を受けておるわけでございますが、その反面、これはもう想像もつかないような問題点が、まだ我々気づいてないようなことも含めて起きると思いますので、これらの防止、未然防止ということはもとより、これらの対策については慎重の上にも慎重であるべきだと考えておるわけであります。  さらに、最後に、地球規模の大きな環境問題がございます。これらについても、これは我が国は非常に先進工業国でありますから、それだけに地球規模の汚染の原因者になっておるというような点もございますから、国際間の事情も十分考えて対応をしていきたい。御指摘のように、私どもは人間の生命と直面しておる重要な庁でございますので、常にそういう立場で頑張っていきたいと、こういうふうに考える次第であります。
  110. 菅野久光

    菅野久光君 大臣の力強い決意をお聞きして、大変力強く思っております。ひとつ頑張っていただきたいというふうに、同じ参議院という立場で心から御期待を申し上げておきたいというふうに思います。  それでは、野生動植物の保護を内容としたワシントン条約の問題についてお伺いをいたします。  御承知のように、日本は野生動植物の保護に関しては大変な後進国であるというふうに今まで言われてまいりました。世界の先進国日本がこのことについては全く後進国だということで非難も浴びておったわけであります。  それはどういう点かというと、まずワシントン条約が発効したのが一九七五年であったにもかかわらず、日本が条約を批准したのは五年後の一九八〇年です。世界でも六十番目ということで、野生動植物保護後進国という汚名を世界からちょうだいをしておったわけであります。条約批准後も、このための国内法がないために簡単な不正手段によって国内に入るともう野放し状態というありさまで、一九八四年にマレーシアのクアラルンプールで開かれたワシントン条約アジア・オセアニアセミナーでは、条約の履行を求める対日非難決議が採択されるという、全く我が国にとっては屈辱的な非難を受けたのでございます。キンクロライオンタマリンのブラジル本国への返還はその最も象徴的な事件でありましたし、諸外国から日本は野生生物の密輸大国とまで言われてきたわけです。  こうした中で、政府はもちろん、各界の努力によってさきの通常国会で国内法がやっとのことで成立をいたしました。この国内法もさることながら、大事なことは、政令によって規制対象となる動植物の範囲がどのような内容になるかということでありました。その国内法の規制対象が先月末に明らかになりましたが、長官になる前にこれは発表されたわけでありますが、この内容についてどんな感想をお持ちなのか、これで世界から言われている野生動植物保護後進国、密輸大国という非難を返上できると胸を張って言うことができるとお思いでしょうか。まずお伺いをいたしたいと思います。
  111. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 大臣が御答弁申し上げる前に、ちょっと実情だけ端的に申し上げたいと思います。  今回の国内法で決めました種類につきまして、二つ大きく問題があろうかと思います。  一つは、条約そのもので我が国が留保という形で、鯨類、トカゲの皮類を留保しているという問題がございます。これは今回の国内法でも決めなかったわけでございます。これは非常に大きな深刻な問題でございますが、条約そのものの問題として私ども国内法では裏打ちができなかったわけでございます。  もう一つは、実はワシントン条約はいろいろな希少動物を二種類というか、三種類に分けておりまして、第一、第二、第三とあるわけでございますが、第一についてもほぼ重点的に私ども政令で決めたんでございますが、附属書Ⅱと言われているレベルのものをもう少し取り込めないかということを言われております。留保につきましても、御案内のように、ことしからアオウミガメとサバクトカゲを撤回する、あるいは二年先にはジャコウジカを撤回すると。かなり関係省庁のお力もありまして前向きに取り込んでいるつもりでございます。  それからまた、第二の意味で附属書Ⅰに絞った点、これは後ほど大臣の御答弁があろうかと思いますが、私どもとしては法律の実効を上げるためにはまず限定的なところから始めて、もちろん絶対にこれは不変のものとはしたくないんでございますが、まずしっかりと法律の実効を上げたいというのが本音でございます。  それから、せっかくの機会でございますので一つだけ言わしていただきたいんですが、これは雨漏りをふさぐのに屋根に当たるのが条約でございます。国内法といいますのは実は天井でございます。何か今度の政令で狭くしたために、屋根まで雨漏りしているんではないかというような御理解があっては困るんでございますが、条約の施行の水際では、これは実は通産省を中心にことしの夏から非常に厳しいことをやっておりますので、そういった二重構造でこの問題に対応しているというのが実情でございますことだけまず説明さしていただきたいと思います。
  112. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 私の言うところをもう政府委員から答えておるのでございますが、非常に難しい問題でありますけれども、これは国際的な要請もあるんですから、そういう意味からいうと、関係各省庁ともよく相談して実現できるような方向に進めていくべきだと考えております。  また、ただいまの、これは一括しての話でございましたけれども、国内法の問題は、法律というものを一たびつくるとやはり守るということが一番大事なことでございますので、間口広くして実際問題守れないようなことまで今規制するということはかえって問題であろうと思うんで、まず今の国内的な事情から守れるところからきちっと法律にしていく。そしてだんだんと国民皆さん方、またこの仕事にも当たっておられる産業界の皆さん方の御理解も得て、だんだんと国際的に通用するようにしていきたいと考えております。
  113. 菅野久光

    菅野久光君 何かちょっと胸を張って言えるような内容ではないというふうに残念ながら私は思わざるを得ないわけですが、具体的な問題について若干お伺いをいたします。  この野生生物保護国内法がことしの五月に国会で成立した際に、衆参両院で数項目にわたる附帯決議が出されておりますけれども、今回の政令決定においてこれらの附帯決議はどの程度生かされているのか、それをお伺いいたします。
  114. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) ただいまの点は、先ほど私が申し上げました条約の附属書Ⅰというレベルのものを中心に今回政令で決めたわけでございますが、確かに衆参両院にわたるこの国内法の御審議の際に、附属書Ⅱと呼ばれているグループについても適正な評価をした上で、できるだけ取り組むように努力すべきであるということをはっきりとこれは御指摘を受けております。私ども、もちろん国会での審議に即しましてある原案を持ったりして検討したのでございますが、実は二つの面から今回は附属書Ⅰが中心になっております。  一つの面は、これはやはり国会でのそういう御指摘はごもっともなのでございますが、あくまで今申しました水際での手続の扱いから言いますと、附属書Ⅰの動植物と附属書Ⅱの動植物は違っております。もし附属書Ⅱのものにつきましても正面から政令で取り上げますと、許可の手続の対象にするためには、今までの輸入手続のほかに新たなチェックを必要とするという事務的な問題がございます。もちろんそれだけではございませんで、これは法律論もございましたのですが、そんなことから真っ正面からは取り上げ切れなかったということ。  それからもう一つは、実はことしの七月のカナダでの全世界の締約国会議で、二十二にわたる動植物が新たに附属書Ⅰに取り込まれております。これは我々も想像しないでもなかったんですが、この二十二にもわたるものが取り込まれるということは、実は法案審議の段階では必ずしも察知できなかった点もございます。例えば、非常に具体的な意味で問題になりましたヤシオウムなどは附属書Ⅱから附属書Ⅰに格上げになりました。これは当然のこととして私ども国内法で取り上げております。そんな国際的な動向も考えますと、もう少し今言った新しいチェックの方法も含めて政府部内で検討した上で、附属書Ⅱのものを取り込むことのやり方についてもう少し研究してみる必要があるんじゃないかということから、今回取り上げていないわけでございます。  ただ、全く附属書Ⅱを取り上げなかったかといいますと、必ずしもそうではございませんで、国によっては附属書Ⅰ、国によっては附属書Ⅱというような扱いの動物とか植物がございます。こういう場合は必ず附属書Ⅱも今回の政令で定めまして登録手続の対象にするという方法をとっております。そんな意味で、冒頭に先生から御指摘がありましたように、何かこの問題での我が国の姿勢を疑われることのないよう、私どもは、もちろん中身を十分広げていくと同時に、また先ほどもちょっと申し上げましたように、何か国内法でルーズになるといかにも水際でルーズになるという印象を内外に与えませんように、今後とも国会での御審議の御趣旨も踏まえて、内外ともにやはり啓発を図ってまいりたいと思っております。
  115. 菅野久光

    菅野久光君 局長いろいろ言われますけれども、今回決定された政令によって規制対象となる希少野生動植物の数は四百八十六品目、種に換算して六百三十種であるということでありますが、これはワシントン条約で国際商取引が禁止されている附属書Ⅰの五百七品目、六百六十六種より少ないということはどういうことなのか。  ことし五月の国会答弁では、附属書Ⅰが中心となってすべての原産国が輸出を禁止しているものを加えてとか、「原産国のすべてが輸出を禁止しておるというようなものにつきましては、これは附属書Ⅰと同視すべきものであるという考え方のもとにプラスをいたしたい」ということを言われているわけです。ところが、そういう国会答弁から今回の出されたものは大幅に後退をして縮小をしたわけですね。一体これはどういうわけか。法案を通すときだけ何とか言い逃れをするためにこのような答弁をするということになるのか。ひとつ、その点については、国会答弁と中身が違うということで、これは国会としてのやっぱり権威の問題もあるわけですよ。その点でどうなのか。時間が余りありませんから、簡潔にひとつ答えてください。
  116. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 附属書Ⅰの中で三十六種目ばかり外れておりますことは、先ほどの留保の問題とその他の理由で外したものでございます。附属書Ⅱの点はもう御指摘のとおりでございまして、前局長が両院にわたりまして答弁し、その方向で努力をしたわけでございますが、先ほど言いましたような実情から今回は政令化いたさなかった。ただ、これは不動のものとするんではなくて、必要に応じて見直しをするということを政府部内で続けたいと思っております。
  117. 菅野久光

    菅野久光君 何か伝えられているところによりますと、原産国が輸出を禁止している種は、オーストラリアのヘイワインコ、ブラジルのハチドリなど二十六種もあるのに、規制の対象から外した理由を、環境庁は実施に自信がないということのようでありますが、そんなことは国会の審議の段階でわかっていたはずだというふうに思うんですね。国内法を提案する際に、ある程度は政令について予定はできていたのではないか、そのように思うんです。少なくとも各省庁との折衝の段階で問題点は整理をされていたはずだから、あれだけはっきりと国会で答弁をしたのだというふうに思うんですね。それが今回のようなことになったのは余りにも不手際ではないのかと思わざるを得ません。  それで、山内局長も、これも出したときの言葉で、「施行後も運用面を見直し、規制対象を増やしていきたい」というふうに言ってますね。運用面を見直すとは具体的にどのようなことを考えているのか。規制対象をふやしていきたいということは、さらにこの政令を改正するということだというふうに受けとめていいですね。
  118. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) お話のとおりでございます。法の実効状態を見ながら見直して、必要でありかつまたその実効を保つことができれば政令に追加することも考えたいという意味でございます。
  119. 菅野久光

    菅野久光君 できるだけ早くきちっとやって、世界の非難を浴びないようにしていくことが、私は、世界における先進国日本の役割だし、今までの汚名をこの際ぜひ払拭するためにも、できるだけ早い機会にそのことをやってもらいたいというふうに思うんです。  今、条約上留保している品目についてちょっとお伺いをいたしますが、国内関係業者の保護ということなどを目的として一九八〇年の条約批准の際に十四品目を留保したのでありますけれども、諸外国に比べると、スイスに次いで留保品目が多いことでは各国から非難を浴びたわけですね。アオウミガメとサバクオオトカゲについては先月留保を撤回しました。規制対象とするという決定を政府としてしたようであります。このほかにもジャコウジカについては二年後に留保を外すと言われておりますが、これは間違いのないことなのかどうか、その点をまずお伺いいたします。
  120. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 間違いございません。代替品の研究その他を考えまして、関係省庁においても二年以内には何とか撤回するようにかなり具体的な検討を進めております。
  121. 菅野久光

    菅野久光君 留保撤回間近ということになりますと、心配なのは、駆け込み輸入というワシントン条約上好ましくない事態が起こるのではないか。また、そういうような傾向が見えるわけであります。それは、五十六年に三百四十三キロ、五十七年は三百六十一キロ、五十八年は三百八十七キロ、五十九年は三百四キロであったものが、六十年には四百三十七キロ、ジャコウジカの輸入がそれだけ急増しているわけであります。また昨年もかなりの駆け込み輸入があったのではないかというふうに思いますが、昨年の最終的な輸入量は幾らであったのか。また、この駆け込み輸入を防止するために、厚生省ではことしの五月に事前報告制を導入して、これによって輸出国政府の輸出許可書の添付を求めることにしたので、実質的に輸入は不可能になったと言われておりますけれども、この制度を導入してからその効果はどうであったのか。数字の問題はわからなければそれは後から私の方に教えてもらえれば結構ですが、よろしくお願いいたします。
  122. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) もし通産省おいでになっておれば、これは所管は通産省でございますので、数量の点につきましては後ほど通産省にも聞きまして御報告したいと思いますが、確かに懸念はされるところがあると思います。  ただ、私も非常に不勉強のままで答弁して恐縮なんでございますが、若干、在庫品をさばくというような面もありますものですから、そのあたりは、輸入手続は手続でどういうふうにチェックすることができるか、これ主務官庁、薬の面では厚生省にも関係しますので、よく相談をして、誤解のないように対応したいと思います。
  123. 鳥居原正敏

    説明員鳥居原正敏君) ジャコウジカにつきましては、先ほど局長は通産省と申し上げましたけれども、これは厚生省の所管でございまして、それそのものにつきましては厚生省の方で御答弁があろうかと思いますが、留保品目全般につきましては、留保を撤回する環境の整備ということがまず重要かと思いますので、我々通産省といたしましても、管理当局として留保撤回ができるだけ早くできるような環境整備を今後ともやっていきたいというふうに思っております。
  124. 菅野久光

    菅野久光君 水際で何とかというようなお話もありましたが、条約上の管理当局であります通産省にちょっとお伺いをいたします。  ことしに入って一月には、通産省はワシントン条約事務局からの通達を読み間違えて、税関の問い合わせに対して、パラグアイはワニ革の輸出を禁止していないと答えて、禁止されているパラグアイ原産のワニ革が大量に日本に輸入されていたことが明らかになって、通産省のずさんな対応が問題になったことがありました。そこで通産省は、五月から輸出国や原産国に対する輸出国許可書や原産国証明書の事前確認など輸入貿易管理令を改正して、水際規制を行ったということであります。  ところが、その後、衣類の中に隠してアロワナを密輸入して販売した業者が逮捕をされており、また十月には、バングラデシュから二種類のトカゲが大量に輸入されたという条約の抜け穴をねらった事件がありました。これは輸出を禁示しているバングラデシュ政府に原産国の輸出証明書を確認すれば防げるものでありました。  このようないろいろな事件を見ますと、極めて不十分な今回の政令では、水際規制を逃れれば国内での取引は国内法で規制できないのですから、余計水際をしっかりやってもらわなければならないわけでありますが、この点について、通産省と税関の方から決意をまずお伺いいたしたいと思います。
  125. 鳥居原正敏

    説明員鳥居原正敏君) ワシントン条約の水際規制につきましては、御承知のように条約批准以来一歩一歩その充実、強化を行っておりまして、例えば二年前には原産地証明主義であったものを輸出許可書主義に変えたり、あるいは最近時点では、御紹介ありました輸出禁止国からの輸入物につきましては、これは確実にそれを確認するための事前確認制度を導入したりいたしておるわけでございます。今後につきましても、こういったきめ細かい規制をしていかなきゃなりませんので、事態の推移といいますか、経済社会の情勢の変化に対応いたしまして、関係省庁ともよく連絡をとりながらその充実、強化に努力をいたしたいというふうに思います。
  126. 川信雄

    説明員(川信雄君) ワシントン条約対象物資の水際規制につきましては、輸入貿易管理令に基づいて税関で輸出許可書等の真偽の確認等を行うとともに、また必要な場合には、管理当局であります通産省への問い合わせも行うというふうな体制をとっているところでございます。  なお、税関独自の体制といたしましては、六十年五月一日からワシントン条約対象貨物に係る輸入通関監所を三十五監所に限定するという措置をとるとともに、限定監所にはワシントン条約の専担者を配置するとともに、ワシントン条約に該当するおそれのある貨物についての重点的な審査、検査も行っているところでございます。  その結果、ワシントン条約関係にかかります輸入を差しとめた件数でございますけれども、これは五十七年から五十九年までは年平均百件から二百件程度でございましたけれども、このような措置をとりましたこともありまして、六十年度には六百七十一件、六十一年には七百七十七件と大幅に増加しているところでございます。今後ともワシントン条約の重要性にかんがみまして税関職員の研修の充実、強化あるいはまたワシントン条約に該当する貨物であるかどうかについての専門家による識別ネットワークの充実等を行いまして、ワシントン条約に関します水際でのチェック体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
  127. 菅野久光

    菅野久光君 最後に一言。  野生動植物の問題についてぜひ十分な啓蒙運動、PR活動というものが必要だというふうに思いますので、ぜひこの点について堀内長官のときにしっかりそれをやって、日本の汚名を返上するように特段のひとつ御努力をお願いをいたしたいと思います。  酸性雨の問題も通告をいたしましたが、時間が参りましたので、以上で私の質問を終わります。大変どうもありがとうございました。
  128. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) ただいま御指摘のとおりでございます。私も心を新たにして国民の方々に本当にわかっていただけるように、そうしてそれを背景にしっかりやっていきたいと思います。どうぞよろしく御指導お願いいたします。
  129. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ―――――・―――――    午後一時開会
  130. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十年度決算外二件を議題とし、厚生省環境庁及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  131. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 私は、食品行政の二、三について質問いたしたいと思います。  まず最近、機能食品というような新しい言葉といいますか、そういう概念が出てきたようですね。今までは、食べ物を食べれば栄養になる、栄養の効能といいますか全般の効能、さらに何が食べ物だから嗜好性なんかをあれする第二次機能とかいう、その他に今度第三の機能として、最近は高齢化社会でいろいろな新しい病気が出たり、あるいは体の不調を訴える人がある、そういうことの効果について何か第三次機能と言っているようですけれども、まずその概念なり、それからそれに該当する具体的な食べ物、食品があるのかどうか、ちょっと御説明を賜りたいと思います。
  132. 古川武温

    説明員(古川武温君) 議員御案内のように、食品についての健康志向というものがますます高まっております。そうした中で、文部省の研究班の方が、このような研究班を設けております。「食品機能の系統的解析と展開」、こういうふうな研究班を設けまして五十九年から六十一年まで研究を続けまして、いわゆる先生おっしゃいました機能性食品についての一つの考え方というものを報告書にまとめているところでございます。  それによりますと、二十一世紀、高齢化社会を迎えましてますます国民の健康志向というものが高くなるだろう、そうした中で健康食品の販売も行われているわけでございますが、さらに、そうした食品の機能の中で生体の免疫調節ですとか、あるいは老化抑制というところまで言ってよろしいんでしょうか、そうした食品には隠されたいろいろな機能があるということが研究上わかってきている。もしこういうふうなものが、手軽に毎日とられます食品としてこれをとることができるならば高齢化社会にとって大きな福音だと、こういうふうなことでございます。  そして、具体的にどういうふうな食品があるかというお話でございますが、これはいろいろ研究段階でございますので非常に難しい名前が出てくるわけでございます。幾つかの機能を学者は分類しておりますが、一つは体調調節リズムの調節ということでございましょうか、まあそういうふうなところで難しい名前を挙げますけれども、アウラプテンとかオピオイドペプチドなどの物質の名前が挙げられております。それから生体防御の方ではオリゴ糖とかタウリンとか、こういふうな名前も挙がっております。そういうふうなものがそれぞれの食品から濃厚に抽出されたり、あるいはそれをいろいろな形でより強いものにできるならばこれが食品として利用できるのではないか、こう考えております。
  133. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そうしますと、今までもそういうものにある程度効果をあらわしていたんじゃないかと思う健康食品という名前のあれがありますね、俗に言う健康食品。何年か前からブームのようになって、各デパートなんかでも健康食品売り場なんというコーナーをつくっておりますが、それとの関係はどういうことになりましょうね。
  134. 古川武温

    説明員(古川武温君) 健康食品につきましては、四十年ころからそれぞれの製造業者が健康あるいは美容にいいというふうなことでそうした商品を販売しているわけでございますが、より多く売ろうというふうなことになりますと、やはりそれらの商品が持っている効果をより強くうたい出したいというふうなことで、薬事法との絡みもいろいろできておりますので、五十九年でしたか、健康食品について行政上の指導も必要だろうということで、新たに所掌事務を当時の環境衛生局、今の生活衛生局に所掌させることにしたわけでございます。そして、その後これは訓令してございますが、健康食品対策室というものを設けてこれに対処しております。健康食品というものはこういうものであるという定義でなく、まあ健康にいいというふうなことで、医薬品に該当しないで食品として提供されるものを健康食品と、こう考えて、これに対する対策をとっております。
  135. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 余り学がないんで細かいあれになるとちょっと理解しにくいところがあるんですけれどもね。  そうすると、先ほど申し上げました生体防御に対する機能であるとかあるいは疾病の予防機能であるとかあるいは疾病の回復とか体調リズムの調節とか老化抑制ということまであるわけですね、そういうこと考えられるんですね。そういうものに対応する、それに効果をあらわす食品ということになると、これは新しくそういうものを合成するとか加工するとかするんですか。それとも今自然にあるものは、これはその今の機能性食品ですよと、こう指定するのか、それはどういうことになりましょうね。
  136. 古川武温

    説明員(古川武温君) ただいま健康食品は二千種以上の商品がございますが、そのうち六百弱を健康食品協会で認定してございますが、その認定されている健康食品の中には、機能性食品といいますか、その機能を強く持っているものもございます。ただ、それは健康食品として健康にいい、美容にいいというふうなことで一般的な販売をしているわけです。  機能性食品というのはそうしたことをもう一歩進めまして、これは免疫の増強にいいとか、こういうふうな成分をさらに明確にしていくわけでございますので、やはり健康食品が、今健康食品を中心とした自主規制で行っておりますが、もう少ししっかりとした枠組みの中でこれを扱っていかなければならない、こうしたものではないかと思っております。
  137. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そうすると、健康食品よりは一歩、通俗な言葉で言うと高度か何かの食品だというふうに理解していいんですか。その場合に健康食品という、こういう枠があるとすると、そのうちのこちらの方は、一部やはり健康食品でも機能食品のダブルゾーンにでもなりますか、そのほかにまたさらに高度なものと、こういうふうに考えていいのかな。
  138. 古川武温

    説明員(古川武温君) 端的に申し上げればそのとおりでございますが、今健康食品として売られているものの中に、さらにそれを、その目的のためによいものにした場合機能性食品になりましょうし、今全く健康食品としては売られていないが、ただいま申し上げましたような学者の研究によってそうしたものが新たに出てくるものもあろうかと思います。
  139. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そうして、それは高度の技術をもってかなり老化を防ぐなんというまでの機能を持った食品が出てきますと、ずっと今度は薬に近くなりませんか。薬事法との関係はどうなりますか。
  140. 古川武温

    説明員(古川武温君) 機能性の機能に着目して製品自身をさらに純粋に抽出して、その機能、それからその用法、用量を明確にしていきますと、これははっきり薬事法によります薬品ということになります。  ここで、機能性食品というものを二十一世紀の社会に求められているのは、食品として毎日手軽に食べられるもの、こうしたものが欲しいというふうなことで機能性食品という位置づけ、これがそういう概念ができないかというふうなことで今研究されているところでございまして、その辺は将来そうしたものが許されるというふうなことになりましても、それが薬でない、食品として売られるものでなければ一つの混乱を起こすんではないか、そういうことでこれは慎重に対処してまいりたいと思っております。
  141. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そういう機能性食品に対する取り組みを、何か来年は厚生省で予算要求を若干しているようですけれども、今後どういった取り組みをする予定ですか。
  142. 古川武温

    説明員(古川武温君) 六十三年度の予算で機能性食品についての予算を一本要求してございます。それはただいま委員からるるお話がございましたような難しい問題もまた含んでおるわけでございますから、これは行政面からどういうふうにそれを考えたらいいかという面がございますし、また機能というものを余り強く主張するために消費者の方が間違ってそれを食べるというふうなことがあってもいけませんから、その辺をどういうふうに啓蒙していったらよろしいのか、あるいはそういうことを含めましてこの商品についてはどこまで表示をしていったらいいのか、今までどおりの健康食品の範囲内の表示では機能性食品に期待されているものが不十分でございましょう。そういうふうなことでその辺の枠組みを研究、検討してまいりたいと、こういうふうな予算でございます。
  143. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 抽象的なことばかりでもなかなかあれですから、具体的にそれじゃお伺いしますがね。  私はハトムギというものの健康食品の推進者の一人なんです。大分水田転作にいいというので、私は全国駆けめぐりまして、国会の中にもハトムギ研究議員連盟というものをつくって、私が会長なんです。つくる方はもう安定してきたのです。そして今度は、健康食品として御理解をいただこうというので今いろいろ勉強しておるんですがね。  この間、私そのつくる方で行ったんですが、広島の農業試験場に行きましたら、たまたまそこに薬学博士の方がおいでになっておりまして、私が行くというのを聞いたものですから、広島の福山なんです。福山の薬科大学の教授の方がおいでになりまして、そして私にるるハトムギの薬学的研究の結果の御紹介があったんです。お名前を申し上げてもいいんですが、福山大学薬学部教授八木さんという方なんです。そして、この方がマウスにがんの細胞だかウイルスだか知らぬが植えつけた。そこへハトムギからとったエキスを注射したところが、がんが進まなかったと。これはいいもんですから先生ひとつ大いに奨励してくださいと。私、農業試験場に行ったのに、わざわざ私が行くというのを聞いて同じ福山の所在の薬科大学だったものですから、その方が来られまして、私にるる説明をしました。ああそういう効能があるんですかと私感心したんですがね。  その数年前にも国立予防衛生研究所、厚生省のどなたか技官がやはり癌学会で同じような発表をしていましたね。そうなりますと、これはもう一般に我々は新陳代謝がよくなるとか、あるいはまたいぼがとれるとかというような効能はふだんから、前に漢方薬なんかのあれで聞いておりましたが、そういうがんにまで効くあれだということなら、これは大変な効能があるもんだなというふうに感心したんですけれどもね。  まず、あのハトムギというものは、厚生省としては健康食品として理解していますか、どうですか。
  144. 古川武温

    説明員(古川武温君) ハトムギにつきましては、健康食品協会の健康食品ということになっておりません。ただハトムギの中の胚芽油、これについては健康食品協会の健康食品という品目の中に一つございます。
  145. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 それじゃ、その何とか協会というのは、ハトムギというものはもう今までも伝承的に大変これは健康によろしいということはわかっているわけです。どうして健康食品と認定しないのですか。
  146. 古川武温

    説明員(古川武温君) 健康食品協会の健康食品についての承認というものは申請主義でございます。健康食品協会にこれを健康食品として承認してほしいというふうなことで、その協会に書類をそろえて御提出いただければ御検討いただけるものだと、こういうふうなものでございます。
  147. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そうすると、申請すれば認めるということですか、わかりました。  それでは今度、先ほど申し上げましたように、おたくの方の予防衛生研究所の技官も癌学会で発表したり、それから今の福山薬科大学の教授の八木先生なんかもそういう発表をしているのは、これはがんに効きますよなんて宣伝したら薬事法違反になりますか。
  148. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) がんに効くという表示をするためには、医薬品としての承認許可が必要になりますので、そういう手続を経ないで、そういう効能をうたって販売した場合には薬事法の違反ということになるわけでございます。
  149. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 販売すれば薬事法違反ね。私が宣伝して歩いたらどうだ。
  150. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) 業として製造販売をすれば薬事法に違反するわけでございますが、個人のお話というだけでは直ちに違反ということにはならないと思います。
  151. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 どうも健康食品の取り締まりなんかについて業務局はなかなかやかましいことを言うんだ、大変な文書なんか出して。これは当然だ、変な物が出ればこれ困りますから当然なことでしょうけれども、なかなかそういう役所の仕事の境界といいますか、そういう点で仕事熱心なものだからみんな、余計な取り締まりなんかして迷惑することもあるんですね。そういうことをあれすると、これからだんだんそういった付加価値をつけることによってハトムギの生産というものはふえるものですから、私はそういう効能というものをどんどん吹聴していきたいと思う。現にいいんですよ。私を見てごらんなさい。私の生年月日を調べて私の顔を見ればいかに……私は御飯のかわりにほとんどハトムギの食べ物を食べているのですけれどもね、これ見ても本当にいい実例です。これからもそれだからそういう宣伝をしようと思っていますけれどもね、余りやかましいことを言わないようにあれしていただきます。  それでこのごろ機能食品に便乗してといいますか、ハトムギのいろいろなエキスを粉にしたり丸薬みたいにして売ろうとする。その場合にどの程度の効能というものを書いたらいいんですか、あるいはまたどれ以上はいけないということになるのですか、業務局の方。
  152. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) 薬事法上は医薬品と申しますものは疾病の診断、治療に用いられることを目的としている物、あるいは人間の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物と、こういうように定義をされておるわけでございます。したがいまして具体的な疾病名あるいは身体の機能、構造等について、それを服用すれば効果があるというような表現になりますと、これはやはり薬事法上の医薬品としての扱いを受けるという形になるわけでございます。現にハトムギにつきましても、食品として使用されているものもありますし、またそういった効能効果を標榜して、医薬品としての承認を受けまして製造販売されているものもあるわけでございます。  したがいまして、具体的にはいろいろな要素を考慮して判断するということになりますが、一口で申しますと、先ほど申しましたように、特定の疾病の治療なりあるいは身体の構造、機能に直接影響を与えると、こういう表示をして販売すれば医薬品に該当するということになるわけでございます。
  153. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そういうことですと、医薬品として薬事法の適用を受けると言いますけれども、健康食品ではどうですか。どの程度、薬効とは言えないんだろうが、食効、食べ物の効能を宣伝しても法律に違反するようなことはないんですか。健康食品の方はどうですか。
  154. 古川武温

    説明員(古川武温君) 健康食品の側からの表示、どこまで宣伝できるかということでございますが、これは薬事法サイドからの規制がかかってくるわけです。そこで、健康食品について宣伝といいますか、書ける範囲というのは、健康にいいとか美容にいいとか、一般的な効能でございます。これががんに効くとか、こういうふうなことを明示いたしますと薬事法の違反になりまして、健康食品の枠を出てしまうわけであります。
  155. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そうすると、具体的に書かないで健康にいいという程度なんですな。糖尿病にいいとかあるいはまた動脈硬化にいいなんて言ったらいけないんですか、どうですか。
  156. 古川武温

    説明員(古川武温君) それはいけません。
  157. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 わかりました。  そこで、ハトムギに入ったついでに申し上げますが、ハトムギの中にも二種類ありまして、国産は安全なんです。ところが、東南アジアから入ってくるのは、御承知でしょうけれども、アフラトキシンという発がん物質の一番強いカビのあれがあると言われているんですね。それは企画庁の検査と、それから東京都の衛生局の検査がございましたね。それ、厚生省で御存じですか。
  158. 古川武温

    説明員(古川武温君) 東京都の検査を承知しております。  そういうふうなことで、ハトムギの輸入に際しましては、アフラトキシンの有無を全ロット調べることになっております。
  159. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 これはタイあたりから入ってくるんですよね。そういうところの輸入の港か何かで、そういった検査とか何かはどうやっていますか。
  160. 古川武温

    説明員(古川武温君) 輸入に際しましては、国内二十ございます検疫所で検査をしておるわけでございますが、検疫所でアフラトキシンの有無を検査しております。
  161. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 厳重にやってくださいね。  それと、今度、健康食品を健康食品協会ですか、それに申請する場合に、同じハトムギの製品といっても、現状が国内産と外国産というのは非常にこれは、もう外国産は一番強い発がん物質を含んでいるわけですから、最も危険なんですね。そうすると、それは表示の場合、検査の場合、原産地というものを書くようになっていますか。
  162. 古川武温

    説明員(古川武温君) 厚生省サイドの表示には、原産地の記載を義務づけておりません。
  163. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 これはちょっと私は国民の健康上重大な問題だと思いますよ。もう時間がありませんからここで議論しませんけれども、これから十分ひとつ検査の基準とか何かをマニュアルをつくるときに検討してください、お願いしておきます。  この話ばかりしていますと時間がなくなりますから、別の問題に移ります。  加工食品の栄養成分表示制度というのがございますね。これは厚生省と農水省と同じようなことをやっているんですな。去年の十一月の十四日でしたか、我が党の食品部会で、同じことをやるのはおかしいんじゃないかということで、両省の担当の方に来ていただいて説明を聞いた。全く同じような内容のことですが、そのとき行管からも来ていただいて、行管で何か調整したらどうだ、こういう話まで出たんですが、両省間でやりますからということであれしたんです。依然そのままやっているんですか、これは。
  164. 北川定謙

    説明員(北川定謙君) 先生御存じのように、加工食品の栄養表示問題については、厚生省国民の健康確保、特に最近成人病が食品との関係で非常に関連が深いということで、食品の成分をなるべく表示するという行政指導をやっておるわけでございますが、一方、農水省も食品の等級という立場から似たようなことをおやりになっておる。重複といっても、それぞれまだまだ指導の徹底が十分でございませんので、必ずしもすべての食品にそういうことが徹底をしておる、あるいは両方で競合しておるというような状態にはございませんので、現在両省で十分に連携を図りながら、厚生省の基本的な物の考え方のもとにこの問題が円滑に進むようにということで話し合いを進めておるところでございます。
  165. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 なかなか、答弁はきれいごとを言っていますけれども、実際はそうでないんですね。両省なんか、仕事熱心だ、皆さんね。いずれも役人は仕事熱心だからあれなんだ。しかしおれのところはここだ、おれのところと。厚生省のこれはマークをもらうんでしょう。そうすると、農水省はどうするんだか、これはやっぱりそんなマークなんかあるんじゃないかと思いますが、そうすると、それをもらおうとする企業なり何なりは、厚生省の方のマークをもらった方がいいのか、農水省の方のマークをもらった方がいいのか非常に迷うんです。皆さんは内容が違うと言うけれども、そんなに違ってないんです、現実は。そうすると、非常に迷惑するのはそういった国民なりあれなんですね。  今、両省でだんだん協議するなんて言っても余り協議したことは聞いておりませんし、役人は縄張りあれだからそうきれいごとを言ってもやらぬでしょう、恐らく。そうすると、今度、さっき質問した機能食品というのを農水省も予算要求しているんだから、やろうとしているんですよ。そうすると、この加工食品の栄養表示と同じような両省間のいろいろな問題が出て、そして現実に今度は国民なり業者が何かつくろうとするときに、どっちにいった方がいいんだろうなんということで心配するんですね。  あなたに答弁してもらわなくたっていい。こういう問題は、やはり大臣ひとつ十分、局内にもいろいろあるようだ、各局で仕事の分野のあれが。省間になりますと、これは局長さんや皆さんではできないから、どうぞ大臣そこをひとつ今後農水省とそういう問題、十分協議される御意思があるかどうか伺って私の質問を終わります。
  166. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) だんだんお話を承っておりまして非常に勉強いたしました。何分機能性食品という概念がまだ新しいわけでもございますし、私もこれから十分に勉強いたしまして、先ほどの加工食品の栄養成分表示の競合の問題と農林水産省との競合の問題につきましては、十分に勉強してみたいというふうに考えております。
  167. 石井道子

    ○石井道子君 藤本厚生大臣また堀内環境庁長官の御就任おめでとうございます。御就任早々の委員会出席でございまして、本当に御苦労さまでございます。先ほど厚生大臣の方から今後の厚生行政に対します取り組み姿勢についてのごあいさつがございまして、御抱負も伺わせていただいたところでございます。今後の御活躍をお祈りを申し上げる次第でございます。  厚生行政は大変範囲が広いものですから、きょうは時間の関係でその何項目かの具体的な問題につきましてお伺いをしたいと思うわけでございます。  厚生行政の中で、これから高齢化社会を迎えまして最も重要な問題は財政の問題でございまして、常に財政事情が厳しい中で、毎年一兆円前後の当然増が生み出されますこの予算の枠を、どのようにつくり上げていくかということが大変大きな悩みでございます。そういう関係で、かつて前に社会保障特別会計の考え方とかがございましたし、またせんだっては税制改革によりまして売上税によってその社会保障予算の財源を確保しようというような考え方もありましたけれども、廃案になったわけでございまして、最近このような状況の中で、前の斎藤厚生大臣が福祉目的税の問題につきまして割合積極的な発言を残されているわけでございます。藤本厚生大臣は、この福祉目的税の問題につきましてどのようなお考えでございましょうか、お伺いをしたいと思います。
  168. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 高齢化に伴いまして社会保障経費の増大、これは御意見のとおりでございまして、いろいろ前提がございますけれども国民所得に対比いたしますと十年間で五、六%これから伸びていくというような傾向でもあるわけでございまして、この増大する経費をいかに安定的に確保していくかということは最も大事な問題でございます。昭和五十四年の衆議院の決議でも、国民福祉の充実向上のために安定的な財源を確保していくということは、全会一致で御決議いただいておるわけでございまして、この増大する経費を、私どもといたしましては直間比率の見直しなどを含めた税制改革の中で解決する必要があるということを従来から申し上げているわけでございます。  それから先の御主張は、それから先の間接税の内容についての御意見でございまして、福祉目的税という税も一つの選択肢であるということは我々十分に承知をいたしておりますけれども、これから税制改革の議論が始まっていく中でいろいろと御意見が出てくるわけでございますので、我々としては福祉目的税という一つの考え方を念頭に置きながらその議論の中で対処、対応をしていきたいと、かように考えております。
  169. 石井道子

    ○石井道子君 次に、厚生行政の中で最も重要なことの中に医療行政がございます。医療保険制度の問題はここのところずうっとその制度改正が続けられてまいりまして、五十七年の老健法の成立から始まりまして、健保法の改正、医療法の改正、さらに老健法の見直し、そんなようなことで続けられてまいったわけでございますけれども医療保険制度制度間の格差を是正するための財政調整をまず行っているわけでございます。  そういう中で、せんだっても老健法の改正で加入者案分率の引き上げがありましたり、あるいは高額、高度医療が次々と生まれてまいりますから、その関係もあるかとも思いますけれども、健保組合の方の財政が大変厳しくなっていると伺っております。そして六十二年度には千四百六十億円の赤字であるということで、六十三年には二千百四億円の赤字を見込んでいるというようなことを聞いているわけでございまして、まあ先ほども午前中国民保険制度の改革の問題も出てまいりましたけれども、これからの医療保険制度を、いろいろな制度がありますけれども、それを一元化し一本化するという考え方も前々から出ているわけでございますが、そのことについてのお考えをお伺いをしたいと思います。
  170. 下村健

    説明員下村健君) 医療保険制度をこれからの高齢化社会の中で国民が安心して頼れるというふうなものにしていくために給付と負担の公平化を図る、これを一元化と言っているわけでございますが、そういうことが必要だと考えているわけでございます。そういう観点からいたしますと、これまでもそういう方角に向けて、老人保健制度の改革でありますとかあるいは退職者医療制度の創設でありますとか、段階を追って一元化に向かって逐次改革を進めてきているというふうに御理解をいただきたいわけでございます。  最終的に、それでは一元化が一体どういう形になるのかということが一つの議論になっているわけでございますが、その点については、現在の段階ではまだ最終の一元化の形というものについては関係者にもいろいろ意見もありまして、これはなお社会保険審議会等における審議等も踏まえまして、さらに議論を重ねてまいることになるのではないか、こんなふうに思っております。当面、私どもとしては国保の改革を初めとして、老人保健制度につきましても六十五年に次の段階の措置も予定されているというふうな事情もありますので、段階を追って制度改革に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  171. 石井道子

    ○石井道子君 次に、要介護老人の問題も大変重要な問題ではないかと思います。このことも寝たきり老人とかいろいろと老人対策としてはきめ細かな施策が続けられて検討されてきているわけでございますが、最近は痴呆性老人の問題が非常に深刻な社会問題でありますし、緊急な対策が必要でございます。そのような痴呆性老人対策といたしましての受け入れの施設の問題、またそれを介護するマンパワーの問題、そのようなことについての対策についてお伺いをしたいと思います。
  172. 北川定謙

    説明員(北川定謙君) 先生御指摘いただいたように、これから長寿社会を迎えて痴呆性老人の問題というのはだんだん深刻な問題になるわけでございます。こういう状況を踏まえまして厚生省では省内に痴呆性老人対策推進本部を設けまして、この八月に調査研究の推進、それから発生予防対策の充実、それから在宅保健福祉対策の確立、それから施設対策の推進、マンパワーの確保などを柱とする報告を取りまとめておるところでございます。  その中で、施設対策といたしましては、痴呆性老人の症状あるいは身体状況に応じた医療介護を提供する施設の確保が必要であるということで、特別養護老人ホームあるいは老人保健施設の整備をするほか、さらに、特に精神症状や問題行動が著しい痴呆性老人の受け入れができる施設として、痴呆性老人の専門治療病棟を整備するというようなことが考えられて、六十三年度予算要求を行っておるところでございます。  また、先生御指摘のように、これらの施設やあるいは家庭において痴呆性老人の医療を担当しあるいは介護に当たるマンパワーにつきましては、それぞれ老人に対する特別な知識が必要になるということから、医師あるいは保健婦等の専門職に対する研修を充実する、あるいは社会福祉士、介護福祉士の養成や、さらにはボランティアの育成を図るというようなことを通して対応を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  173. 石井道子

    ○石井道子君 老人対策につきましては、いろいろな部局などで非常にきめ細かく取り組まれているわけで、また新しい施策も次から次へと生まれているわけでございますけれども医療と福祉と保健、そのような問題につきましては総合的な対策が求められているのではないかと思います。ハードの面、ソフトの面、それぞれの各省庁部局との整合性を持った対策をとることによって、やはり現場ができるだけわかりやすい、そういう対応ができるような配慮をする必要があるのではないかというふうに思うわけでございまして、今後行政組織のあり方についてどのように見直されるお考えがありますか、お伺いをしたいと思います。
  174. 岸本正裕

    説明員(岸本正裕君) 高齢化社会の進展に伴いまして、高齢者のニードというものは先生今御指摘になりましたように保健、医療、福祉、それぞれのいわば縦割りの専門分化から、横断的にむしろいろいろな施策を体系化し、連携をとり、整合性を持った施策に変えていく、こういう必要性が強く生じてきているわけでございます。  私どもは、このような高齢者に対しまして、保健とか医療、福祉施策をいわば総合的に推進する体制を整備していく必要があるということを痛感をいたしております。このために、来年度の組織改正におきまして、高齢者に対する保健、医療、福祉施策を総合的に担当する老人保健福祉部、これは仮称でございますけれども、そういうものの設置を要求をいたしておるところでございまして、ぜひともこの実現を図っていきたいというふうに考えております。
  175. 石井道子

    ○石井道子君 次に、医薬分業の問題についてお伺いをしたいと思います。  せんだって総理府が行いました、ことし六月でございますけれども、「保健医療サービスに関する世論調査」ということの中に、医薬分業に関する調査結果が示されております。この結果の中で、医薬分業の定着を肯定する者が約三五・五%、それから否定する者が三九・八%、まだわからないと関心のない方が二四・七%というような数字が出ているわけでございます。  また一方、医薬分業を経験をした人について、このことを聞いてアンケートをとりますと、「医者と薬剤師がチェックし合ってより安全な薬が期待できる」のでよいとする者が三〇・五%、「薬について薬剤師から十分説明してもらえる」とする者二六・七%、「薬の専門家である薬剤師が調剤をした方が安心である」とする者二〇・七%、待ち時間が少ないのでよいとする者二〇・二%、「医者が診断・治療に専念できる」という者が一九・三%というような数字が示されているわけでございます。医薬分業のメリットをかなり理解していることが示されているのではないかと思うのでございますが、この調査結果につきまして、厚生省はどのようにお感じでございましょうか。  また、厚生省は医薬分業の推進につきましてはかなりいろいろと御努力をいただいていると思うわけでございますけれども、特に昭和六十年度から医薬分業のモデル地区事業につきまして事業を行っていらっしゃいます。この事業も二年間余りを経過したところでございますけれども、今どのような状況でございますか、あわせてお伺いをしたいと思うわけでございます。
  176. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) 最初に世論調査についてでございますが、今御指摘ございましたように、総理府の行いました世論調査によりますと、医薬分業定着を肯定する人が三五・五%、それに対して否定的な考えの人が三九・八%、不明というのが二四・七%、こうなっているわけでございます。単にこの数字だけで見ますと、まだ分業定着を肯定する人というのはそれほど多数というところまでいかないように見えるわけでございますが、しかしその一方において、分業の経験のある人あるいは分業のメリットに理解を示した人についてまた意見を聞いてみますと、そういった人の中では「医薬分業が定着するとよい」というお考えの人が相当多いわけでございます。したがいまして分業の経験あるいは分業のメリットの理解というものが、分業の定着を肯定するということについて非常に大きな影響を与えているのではないかというように考えられるわけでございます。  そこで、今後医薬分業の推進に当たりましては、やはり医療機関の協力、薬局の受け入れ態勢の整備のほかに、この調査結果でも示されておりますように、国民に対しまして啓蒙活動によって医薬分業のメリットの理解を促進するとか、あるいは医薬分業の経験の機会をふやすということが極めて重要であろうと考えておるわけでございます。  その次に、厚生省が医薬分業の推進に対しましていろいろと従来から取り組んでおるわけでございますが、昭和四十九年の診療報酬の中における処方せん料の改定以降分業は進んでまいっております。昭和六十一年度におきましては全国で一億一千二百万枚を超える処方せんが発行されたわけでありますが、全体としてはまだ決して十分とは言えない状況にございます。  そこで、私どもは医薬分業の推進のために、医薬分業の啓発のための事業の推進等その他の基盤整備に努めておるわけでございまして、特にその中でも昭和六十年度からは三カ年計画で医薬分業推進モデル地区事業というものを重要な施策として進めておるわけでございます。現在まだこの期間完全に終了しておりませんが、全国八カ所のモデル地区におきまして医師会、歯科医師会、薬剤師会合同の連絡会を設けまして、関係者の理解と協力を得ながらその地域の実情に応じた事業展開を実施してまいりました。  そこで、具体的には各種の実態調査あるいはPR、勉強会、情報交換等を行っておるわけでございますが、こういった事業によりまして幾つかの地域では処方せんの発行枚数が相当大幅に伸びているという実績もございますし、またこの事業を契機として医師会、歯科医師会、薬剤師会の連携あるいは啓発活動が強化されて、医薬分業のための基盤整備が整いつつある、こういう状況も見られるわけでございます。現在最終的なまとめの段階に入っておりますので、私どもとしてはここで得た成果をさらに他の地域の推進に役立てるために分業推進マニュアルといったようなものも作成をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  177. 石井道子

    ○石井道子君 最近、国立病院の方からも院外処方せんを発行する傾向が出てまいりまして、約一〇%以上ということに目標を置いていらっしゃると伺っております。これはどのような意味があるかということを考えますと、大きな病院におきましては三時間の待ち時間三分の診療というようなことで、その辺の弊害を除去できるというようなこともありますし、また病院の中の薬剤師が適切な服薬指導を十分行って患者サービスに努められるというような点、また薬剤師の薬剤業務として情報活動とかあるいは薬歴管理とか注射薬の混合など、調製などの高度な薬剤業務を行えるという点に、私はある程度利点があるのではないかと思うわけでございます。  また、厚生省の研究班によります結果をちょっと聞いたところによりますと、院外処方せん発行が病院経営に及ぼす影響について調査をなさったところ、メリットのある診療科目は小児科、整形外科、精神科、耳鼻科、眼科、皮膚科、泌尿器科、歯科、そのようなところだそうでございますが、また、医薬品の購入費の節約に大変役立っている、そんなような報告が出ていると聞いております。最近は私立医科大学でも随分院外処方せんを外来については発行いたしまして、全面的に踏み切っている大学病院ども出てまいっておるわけでございまして、これからの医薬分業のモデル地区事業のタイプとして、大きな病院との提携の中で地域を拡大した広域的なモデル地区事業を進めることによって、さらにその問題を解決できるのではないかというふうに思うわけでございまして、これからのモデル地区事業のタイプとして、三年が終わりました後にはさらに新しいタイプとして考えるべきではないかというふうに思うわけでございます。また、医療法の改正によりまして、薬剤師の医薬品情報に対する仕事でありますとか、あるいは薬歴管理などに対します仕事というふうなこともさらに必要性が高まっているわけでございますので、その点を踏まえた医薬分業の推進に対しましての必要な新しい対策をどのように取り組んでいかれますか、お伺いをしたいと思うわけでございます。
  178. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) 私どももただいま御指摘のございましたような事柄につきましては、十分意識をしながら対策を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。特に、昭和六十年度から三カ年計画で実施いたしております医薬分業推進モデル地区事業につきましては、その成果を踏まえましてさらにこれを拡大していくための方策について現在検討を進めている段階でございます。  こういった事業を中心にいたしまして、従来からもやっておりますような引き続き医薬分業の啓蒙、普及、あるいは最近において設置を進めております薬事情報センター、こういったようなものの整備も図っていく、こういう内容で総合的に今後推進のための事業を一層進めていきたいと考えておる次第でございます。
  179. 石井道子

    ○石井道子君 それから、先ほどの総理府の調査の中で、投薬されたお薬をどの程度服用しているかというような調査がありまして、その中で、指示どおり服用しているとする者が五三・四%、そして指示どおり服用しない人が四三・四%もあるという数字が出ておりまして、これは重大なことではないかと思います。ただし、その中身といたしまして、医薬分業を行っている地域につきましてはその服用している率が高いという数字が出ておりまして、やはりきめ細かな服薬指導ども大変必要になってくるのではないかと思うわけでございます。  それから大臣にお伺いしたいのでございますけれども、医薬分業の問題につきましては世界各国でほとんど行っております。それで、先進国でも行ってないのは日本と韓国だけだそうでございまして、このような状況をどのように考えられますでしょうか。  そして、この医薬分業というのは今業務局が主体となりまして進めておりますけれども、この問題は厚生省の中の保健医療局とか保険局とか健政局とか、そのようなお立場の中での連携の中でやはり考えていかないと実効を上げることができないというふうな気もいたしまして、その辺の点につきまして今後厚生省として各省庁の連携の中でこの医薬分業事業をどのような形で積極的に推進されますかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。
  180. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 医薬分業につきましては国民医療の質的な向上を図ろうとするものでございまして、段々御答弁申し上げておりますように、我々は積極的にこれに対応していこうというふうに考えております。今後ともひとつ、専門家でいらっしゃる石井先生でございますから、御指導、御鞭撻お願いいたしたいと思います。
  181. 石井道子

    ○石井道子君 次に、老人保健施設の問題についてお伺いをいたします。  先ごろ老人保健法の改正の中に盛り込まれた老人保健施設の基準につきまして老人保健審議会から答申が出されました。その中で、この施設は要介護老人に対して医療ケアと生活サービスを一体的に提供すると明記されているわけでございますが、施設についての基準がいろいろと示されておりまして介護とか生活サービスについては非常に配慮されておりますけれども医療ケアの確保ということもうたわれているわけでございます。そして、この施設病院とかあるいは老人ホームに併設をしてもよいということで、この施設を共用する場合には「サービスの質が低下することがあってはならない。」とされているわけでございまして、この運用の方法でかなりいろいろと問題が出てくるのではないかと思うわけでございます。もちろんこの施設が薬づけとか検査づけとかそういうものをある程度排除することを目的としているということも理解をしているのでございますけれども、やはり老人というのは慢性疾患をほとんど持っておりますし、きめ細かい服薬指導とか薬歴管理も必要になってくるのではないかと思います。医薬品を責任を持って専門的に管理することは大変重要な意味を持っていると思うのでございますけれども、実際にモデル施設で運営をしております医師にちょっと聞いたところ、ほとんどの入所者がリューマチとか高血圧とか骨折でありますとか、糖尿病とか精神障害とか、いろいろな病気を持っているということを報告されたことがございます。そして、入所者百人に対して一人の医師ではとても専門的な対応ができないというふうなこともお答えになっていることを聞いたことがございます。  この中で、薬剤師は「病院併設以外の大規模施設にあっては、配置が必要である。」というふうに示されております。しかし、この大規模施設というのはどのような規模を指すものでしょうか。また、人員の基準につきましては省令で定めるとございますけれども、その中に含まれるものでしょうか、その点をお伺いしたいと思うわけでございます。  また、もう一つには、薬剤師は施設実情に応じて配置するとございます。これもやはり、病院併設でない場合とかあるいは規模が小さい場合とか、そのような老健施設におきましては非常勤の薬剤師を置くことが考えられると思いますし、あるいはまた、地域の保険薬局の施設を共用したりあるいは薬剤師も兼務するとか、そんなようなケースも考えられるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。協力病院とか協力歯科医院を確保するということと同じように、地域の薬局とか薬剤師を活用することを運用指針に示すべきではないかと思いますが、その点の御意見をお伺いしたいと思うわけでございます。
  182. 岸本正裕

    説明員(岸本正裕君) 幾つかの御質問があるわけでございますけれども、まず第一点の人員の基準について省令で決めるかどうかということでございますけれども、私ども老人保健審議会におきまして御審議をいただき御答申をいただいた線に沿って人員の基準を省令で決めていきたいというふうに考えております。  それから、薬剤師を配置する必要があるとする大規模な施設というのはどの程度の規模を言うのかという御質問がございましたが、老人保健審議会の中でいろいろと御議論いただいたわけでございますけれども、その中での御議論ではおおむね三百床程度以上のものが想定されるというようなところで合意があったように思っておりまして、私どももそのように考えていきたいというふうに考えているわけでございます。  そのほか、薬の管理をきちんとすべきではないかという御趣旨の御質問でございますけれども、老人保健施設におきましてもやはり入院治療の必要はないけれども、何らかの慢性的な疾患を持っている老人が多いわけでございますから、この方々に対しまして薬剤を給付する場合に、衛生的な環境のもとで薬剤が適正に管理され、また調剤をされるということが必要であろうと思います。その旨はきちんと決めていきたいと思っているわけでございます。ただ、個々にどうするかというような具体的な問題につきましては、この老人保健施設においては医師が常時勤務をしているというようなことを考慮に入れまして、施設実情に応じて適切に配慮していただくことが適当だというのが御答申の趣旨でございます。私どもといたしましてもこのような趣旨に沿っていくわけでございますけれども施設の規模とか入所者の症状それから態様等によりましては、先生今御指摘になりましたように、非常勤で配置をするというようなことが望ましい場合があろうかと思います。私どもも、そういうこともあろうということで考えていきたいと思いますが、その際に、今の先生の御指摘の中では地域の保険薬局の協力を得るというようなことはどうかというお話がございましたけれども、この薬剤師を非常勤で置くような場合にどのような置き方がよいかは、これはやはり地域のいろいろな事情がございましょうから、施設の事情に合った、マッチしたような形で進められるべきだと思いますし、先生の今の御提案にありましたようなことも一つの方法ではないかというふうに考えております。
  183. 石井道子

    ○石井道子君 この施設につきましては、医薬品を適切に管理する施設についての明示がございません。それでもし万が一問題が起きたりすると困ると思いますので、この適正な薬剤管理施設の確保という点についての具体的な裏づけを何らかの形で示されますように御要望をさせていただきたいと思います。  もう時間になりましたので終わりにいたしたいと思いますけれども、あとの国民健康保険制度の改革につきましては、先ほど菅野委員からも出されましたので省かせていただきます。ただし、国保改革の必要性はかなり高まっていると思いますし、この改革を行う場合には関係各省庁とのコンセンサスを十分に得ながら取り組まれるように御要望をいたします。それからまた、健康食品対策につきましても省かせていただきます。ありがとうございました。
  184. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 両大臣、御就任早々御苦労さまでございます。  まず冒頭、先ほど午前中に同僚議員から質問がございました件につきまして、私ここにおりましてそのやりとりをお聞きしておりましたが、看過できないようなお答えが下村保険局長からございましたので、ちょっとこれは参考のためにお聞きしたいと思うわけでございます。  けさほどのニュースにございましたように、いわゆる無登録の金融業者が実は百二十五の医療機関に融資をしたということで、やみ金融でございますが、摘発されたわけでございます。それに絡みまして先ほど来の同僚議員の御質問に答えて、その実態を、診療報酬に関しまして不正があるかないかという懸念について調査をするというお答えがあったやに承ったわけでございますが、私はむしろ医業経営というものと診療報酬、いわゆる社会保険診療というものとは全く別個の問題であると思うわけでございます。厚生省も御存じのように、医業経営の近代化・安定化に関する懇談会が既に答申を出しておりまして、医業の特殊性では、医業が一般企業のように利潤追求を優先すれば、医療の荒廃を招く危険性があるものの、医療施設の整備、医療従事者の充実に向けられるための適切な利益は必要と指摘しております。この点については資金不足が大きな課題となっているというふうに指摘しておるわけでございます。私は、やはりこの放漫経営とか資金不足とか、そういう状況の中でこういう事態が生まれたと思うわけでございます。むしろ請求漏れがあったりしますと非常にこのようなことが起こりかねないんで、そういうものをまさに疑いをかけてさらに調べるというのは、サラ金から金を借りているやつはみんな泥棒だといって警察に調べさせるような考えではないかと。むしろ私は、これは全く別のことで、そういうものを調査いたしますという答弁についてはどうも納得がいかない。その点についてもう一度保険局長さんのニュアンスなりお答えなりをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  185. 下村健

    説明員下村健君) 今お話がございましたように、新聞報道等からいたしますと、放漫経営とかそういったことが発端ではないかというふうに私も思います。  けさほどの御質問は、新聞から見ますと、暴力団等も入りまして恐らくはかなり融資条件も厳しかったのではないか、あるいは取り立ても厳しかったのではないかというふうな感じがするわけでございます。そういうことだと請求面で問題はないだろうかという御心配をされて、調べてはどうかと、こういう御質問だと思います。私としましては、別にそういう診療報酬ということだけではなしに、やはりこの種の事件については、事件の内容によりましてどの程度調べるかというのはそのときどきによってでございますが、やはり医療機関でのいろいろな事件については保険局としては関心を持って、どういう事件の本質なのか、保険関係があるような問題が含まれているだろうかどうだろうということは一応調べるわけでございます。特にお話しのような疑問があってはなりませんので、これは恐らく病院の名前がわかれば、請求は大体保険サイドに来ているわけですから、毎月どういう請求がなされているかというのを見ればおよその見当はつくだろうと思います。したがいまして、そういう疑問があるかないかというおよその見当は割合わかるんではないかと。ただ、これは警察がまだ捜査中でございますので、恐らくいろいろな資料や何かは、医療機関側のものはもう全部押さえられていると思います。したがって、ちょっと時間がかかるかもわかりませんが、病院の名前がわかれば一応そういう妙な金融がなされた時点で請求について変化があったかどうかというふうな辺の見当はつくのではないか、このように思って、調べます、こう答えたわけでございます。
  186. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 今のお答えというのは、まあいわゆるカルテなり、私も審査委員をやっておりましたから、それにはその病院の内容等については審査委員の評価を書く欄がございます、そういう意味で、その程度のお調べということならいいけれども、それをさらに監査をやるとかどうこうというような方向でないということは、そういうふうに理解してよろしいですね。
  187. 下村健

    説明員下村健君) 今のわかっている事実だけで監査とかいうふうなことはちょっと言えないと思います。ただ、仮に調べて、そんなこともなかなかないとは思いますが、急に請求額が上がってきたとか、請求内容がどうも変なんじゃないかというふうなことがあれば監査に及ぶというふうなこともあるかもしれませんが、それは今の時点で直ちに監査というふうな問題ではございません。
  188. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 これは保険に対する対応の問題でございますので、私はこれはふだん、毎日、きょうもやっているわけですね。ずっとやっている過程の中でやっていることですから、殊さら何かがあったらすぐやるという、こういうことにはすぐやるけれども、ほかの早くやってくれということに対してはなかなかおやりにならないということでは困るので、やはり日ごろきちっとやっている中でこれは御判定いただきたいと思うわけでございます。  それでは、もう時間もございませんので次に移りますが、先ほど来石井委員からいろいろ問題が、私のお聞きすることがもう聞かれておりますので、重複を避けまして大臣にちょっと御所感をお伺いしたいと思います。  大臣の御就任の記者会見で、この高齢化社会に対する福祉問題については相当強い御決意で臨まれるという抱負をお聞きしたわけでございますけれども、御承知のように日本は、男性は七十五・二歳、それから女性は八十・九歳という六十一年度の平均寿命が出ております。将来の日本の状況を見ますると今後さらにこの寿命が延びるであろうという中で社会保障給付費の対国民所得比というものを諸外国と比べてみますると、昭和六十年度で日本は一四%でございます。その他は一九八三年でございますが、アメリカは一七・九%、イギリスが二五・八%、西ドイツが三一%、フランスは、これは一九八〇年でございますが、もう既に三三・三%、スウェーデンに至っては四三・三%でございます。  このように、社会保障給付費が今後どんどん伸びていくということを考えますときに、日本はそれは外国と環境はいろいろ違います。また国民性も違います。そういうことを考えた中で、スウェーデンみたいに果たしてあそこまで社会保障が行き届いたのがいいのか。私はスウェーデンにも行ってまいりましたけれども、非常にお年寄りがひとりで、孤独で過ごしていらっしゃる。これは社会保障が非常に行き届いておるということが一因かと思いますが、しかし、核家族化が進んでくると、日本としてはやはりこの辺のことを将来念頭に置いて、ビジョンを持ってやった方がいいんじゃないかというような、そういう構想につきまして今からもう着手しないと、何か起きてからでは遅いわけでございます。その辺で大臣は、今後どういうふうに推移し、どういうことを将来考えて、これから厚生省としてそれに対して対処していこうというような、御抱負なり御所感がございましたらちょっとお伺いしたいと思います。
  189. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) お話のように極めて高齢化社会が急速に、欧米の二、三倍のスピードで来るわけでございまして、国民が負担をしております租税負担率、社会保険料、これは現状におきましては確かに日本は低いわけでございますけれども、これは老人人口が少ないということが原因でございまして、これから急速に負担はふえていく、こういうことになるわけでございます。  そこで、個人的な見解でございますけれども、一体どの程度まで負担が可能であるかということも十分に念頭に置きながら、これから高齢化社会対策の一つの大きな負担の限度、限界というものを考えていかなければならぬというふうに思っております。  いずれにいたしましても、社会保障制度というものは人間が考え出しました知恵でございますから、これを充実していくということはこれは大切なことでございますので、厚生省といたしましては、高齢化社会に向けて社会保障制度の充実については全力を挙げていかなきゃならぬというふうに考えております。
  190. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 先ほどやはり石井委員から社会福祉目的税と財源の問題等につきまして話がございました。その中で大臣の御答弁をお聞きしますると、税制全般の中で、税制調査会等いろいろございます。その中でそういうものを考えていきたいというお話がございましたけれども、私は、むしろ厚生省がこれは積極的にこれに取り組んでもらわないと、大蔵省は恐らくなかなかこれは乗ってこないと思うんです。関係省庁である大蔵省がなかなかうんと言わないものは、やはり厚生省がリードしていくというようなひとつ強い御決意で臨んでもらいたいと思うんですが、これは要望だけしておいて、大臣、今ここで御答弁なかなか大変でございますので、ひとつその辺の御決意をして対応をしていただきたいと思うわけでございます。  それから、今大臣がお答えになりました将来のそういう非常に高齢化社会の中で、財源というものが厳しいということはわかっておるわけでございますが、今、日本の医療費の国庫負担でございますが、昭和五十九年が四兆三千億でございます。六十年度はこれも四兆三千億ですね。それから六十一年度が四兆四千億でございます。それで大体GNP比を見ますると、大体一・四から一・三%。それが六十二年度は大体四兆四千億程度だと思いますけれども、これは一・二二%。むしろ国庫負担を、医療費の負担を減らしていこうという、そういうような政策と申しますか、方向にあるように私どもはどうも見られてしようがない。私は、もっと国庫負担をする、積極的にもう少しこれはゆとりがあるんではないかと、国庫負担の。どんどん削減してもっと減らしていこうというのはどうも逆行しているんじゃないかと思うわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
  191. 下村健

    説明員下村健君) 五十九年以降の経過をたどってまいりますと、五十九年度には退職者医療制度に伴う国保の国庫負担の変更等もございました。それから、さらに最近数年間は政府管掌健康保険に対する国庫負担の繰り入れの特例措置を講じているというふうな事情もありまして、特に政府管掌健康保険の国庫負担繰り入れの措置ということで、予算額の上から見ますと国庫負担が抑えられているんではないかという印象を受けられるかと思うんでありますが、実質的な医療水準を維持するために必要な医療費の額、それに伴う国庫負担というものは確保してきているつもりでございます。非常に医療費、あるいはそれに伴う国庫負担、膨大な額になっておりまして負担面もなかなか大きな問題になっておりますので、今後とも医療費あるいは国庫負担の適正なあり方というものについては絶えず検討していく努力が必要だというふうに考えておりますが、必要な医療費並びに国庫負担は、それに見合った措置を講じていくというのが厚生省の基本的な考え方でございます。
  192. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 そういう方向で、これは必要最小限という考え方もありましょうし、必要最大限のものは出しましょうという考えもあるかと思うんです。私はやはり、文化国家、福祉国家ということをうたうならば、むしろ最大限ひとつ出そうという姿勢が必要かと思います。その辺のところは、ひとつ今後厚生省の方でもそういうような姿勢でやっていただきたいと思うわけでございます。  それから、いろいろ福祉問題がございますけれども、先般厚生省国民医療総合対策本部の中間報告をお出しになったわけでございます。その中で老人対策の一つとして在宅ケアというものを重視したわけでございます。しかし、これは非常に施策としては私はこの在宅ケアについては賛成でございますけれども、実態として、在宅ケアをするには、させる、むしろ喜んでそれに国民が参加できるという状況をつくってあげなきゃいけないわけです。それは、やはり社会的入院というものが今非常にあるということは事実でございます。しかし受け皿がないわけです。家庭へ帰りますとやはりそこのお嫁さんが見るわけでございます。そのお嫁さんに対してこれは何ら税法上の特典も何もないというのが現実でございまして、昭和五十三年でございますか、民法第九百四条の二で、被相続人の療養看護その他の方法により特別の寄与をした者に対する控除という法律が、民法でこれは五十三年にたしか改正されてできたと思うのでございますが、しかし配偶者に対して何もないわけですね。その長男なり次男なりがもし親を見たときには、その方にはあるわけです。しかしその人は大体外へ出ちゃう。残っている嫁さんが面倒見るわけです。  そういうことで、厚生省としましても、将来そういうようなことに対してひとつ考えてみようというような姿勢があるかないかお聞きしたいと思います。
  193. 黒木武弘

    説明員(黒木武弘君) お尋ねの民法上の寄与分の制度でございますけれども、これは五十五年当時、既に先生今御指摘になったように、嫁に寄与分がいかないということで大変議論になったわけでございます。むしろこの問題は法務省からお答えした方が適当かと思いますけれども、承知している限りでお答えしますと、相当年月をかけてその寄与分を受ける者の範囲につきまして、御指摘のようなこの嫁まで広げるかどうか議論になったわけでございます。法制審議会で相当時間をかけ、当時の国会におきましても、五十五年当時でございますけれども、寄与分を相続人以外に認めるかどうかということで議論があったわけでございます。  結論から申しますと、相続人以外、嫁は相続人になっておりませんので、以外の人に寄与分を認めるということはやはり相続の性質上困難である、つまり補償的な請求権を相続の中に持ち込むというような法制的な意見、それから寄与分を受けるにふさわしい者がいるかどうか、相続人以外の第三者に広げることは確定するまでに相当時間がかかるというようなこともございまして、やはり法制上困難だ、立法技術上も困難だということで見送りになった問題だと承知をいたしておるところでございます。  なお、厚生省といたしましては、老親扶養の促進あるいは寝たきり老人等の在宅ケアは非常に大切でございますので、そういった重要な課題に御指摘のように取り組んでおるわけでございます。老親扶養の問題は何ら税制上恩典がないということでございますが、既に厚生省として、所得税法上同居老親等扶養控除ということで、現行七万円でございますけれども、これを十七万円に引き上げる要望もお出しいたしておるところでございますし、それから在宅ケアにつきましては、家庭奉仕員の派遣とかデイサービス、ショートステイ等の要介護老人に対する在宅サービスの整備にこれからも努めたいということで、老親扶養の促進といった問題については積極的に、そういった立場から厚生省は取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  194. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 それでは、法務省もせっかく来ているんですけれども、ちょっと時間の都合で割愛させていただきます。  いずれにいたしましても、これは重大な問題でございますので前向きに。これはまた次の機会にこの問題を取り上げてやっていきたいと思います。できるだけ実態に沿って、そういう在宅ケアができやすいという社会環境をつくるようにひとつ努力をお願いしたいわけでございます。  それからB型肝炎に今度は入ります。  御承知のように、B型肝炎でございますけれども、これは三重大学の医師が二人続けて劇症肝炎にかかって亡くなったということで脚光を浴びまして、マスコミの中で取り上げられたことは皆さん御承知のとおりでございます。  そこで、B型肝炎ワクチンでございます。これはHBs抗原陽性の方については免疫グロブリンというものを打って効果を上げるということはもう行われておりますけれども、このHBs抗原プラス、HBe抗原プラスという方がおりまして、その方の血を浴びたり、傷にそれをつけたりした場合にはこれはもう可及的速やかにB型肝炎ワクチンを打たなきゃならない。しかし現在、私がきのうの時点でユーザーとして問屋さんに電話を入れたら、初回の方の分はB型ワクチンがございませんと、問屋さんの方に電話をかけまするとそういう答えが返ってくる。そしてメーカーに電話をしますと、私が連絡したところはミドリ十字と第一製薬、それからもう一つ藤沢薬品でございますが、そのうちの二つは、在庫はございませんということでした。一つは、あるけれども、二回、三回目の人の分だから初回の人には上げられません。きょうの時点でそういうことが起きたら対応できないわけですね。それが現状でございます。  厚生省の方でもいろいろお調べになったかと思いますけれども、現状の把握はできていると思いますが、実態は、とにかく私が患者さんを目の前に置いてこれは危険だから打とうと思っても入らないわけです。そして二つ目の疑問は、これが薬価基準に六千二百二十一円で登載されたわけです。非常に高い。これは大体三回打たないと効果が出てこないというわけでございます。  今、そういう事態厚生省の方は認識されておりましたか、またこういうことが起きているということをいつから御存じだったか、この二つをちょっとお聞きしたいと思います。
  195. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) 私からはB型肝炎ワクチンの需給の問題についてお答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、ことしの七月に三重大学医学部の附属病院でB型肝炎の発生が報道されて以来、B型肝炎ワクチンの需要が通常の十数倍に増加をいたしました。非常に急激な増加でございます。従来相当の在庫がございましたが、こういう事態が生じましたので、メーカー側では直ちにワクチンの増産に取りかかったわけでございます。私どももその増産についても指導をいたしました。しかし、ワクチンができ上がるまでにはある程度の期間を要するために、その後、相当数の需要を賄うために在庫が相当数減少してまいりました。現在、先ほども御指摘ございましたように、確かに在庫が大分減少してまいりまして、場合によっては注文に直ちに応じ切れなかったというケースはあるやに私どもも聞いておるわけでございます。しかしながら、少なくとも緊急の場合にそういうものが手に入らないということだけは何としても避けなければならないわけでございますので、私どもとしては、事故当時に緊急に迅速に対応できるように、メーカーあるいは販売元の責任者に対しまして、できるだけ医療機関から緊急時の要請があった場合には必要に応じてワクチンを供給する、また自分の手元にない場合には他の店なりあるいは他の会社なり連絡をとって、どこかにそういうものが数量的にはあるわけでございますから、そしてそれを供給できるように十分ネットワークを整備するようにと、こういう指導をいたしておるわけでございます。  また、先の見通してございますが、今月の十六日になりますと、新たに検定を終了いたしましたB型肝炎ワクチンが相当数出荷されるわけでございまして、以後順次相当数増産体制に入りましたワクチンが出荷されてまいりますので、今後の需要には十分対応できるものと考えておりますが、いずれにいたしましても製造元、販売元等が十分に情報交換を行い、また私どももそういった状況を把握して、今後安定供給に遺憾のないようにしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  196. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 今のお答えは大変総論的なことで、私はもっと具体的に、それじゃ各都道府県の衛生部に連絡しましょう、そして医師会なりなんなりを通じてここへ電話をかければすぐ入りますよ、こういう体制をつくってもらわないと、あなたのおっしゃるようなことではなかなか下は動いていかない。私が、じゃ、あした電話をかけて、あるか、欲しいぞと言ったときに入ってくるような、なければ、じゃここへ電話してください、ここならばありますよというような方策を、至急お役所的なことじゃなくて具体的な指導を、立ていただきたいと思います。それはどうでしょうか。
  197. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) ただいま御指摘のございましたように、実際に必要とする場合に必要な量が供給できるような体制につきまして、私どもも早速これを実施してまいりたいと考えております。
  198. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 ぜひお願いいたします。  それから、一つ問題がございますのは、この価格でございます。これは岐阜県立病院の名誉院長の高橋善弥太という先生がいろいろ新聞にもそれから医事新報にも書かれておるんですが、昨年上海でシンポジウムがありましたときに、西独の学者が、一人分一ドルでできるんだということを書いております、外国では。すると、日本が六千二百二十一円で、一ドルというのは今百三十四円か百三十五円、四十六倍ですね、日本のワクチンが一人前。すごい差があるわけです。  これは恐らく製造の方法、バイオテクノロジーのいわゆる遺伝子工学の技術が日本はおくれているからということが一因だと思いますが、こういうときにはすぐ輸入するなりなんなり、そういう方策も一つあるんじゃないか。ただ、輸入したものが非常に精度の悪いものだとかなんとかということもあるかと思いますので、これはやはり外国でつくっているものを輸入してきちっと日本で検定をして、そしてこれは安全というものだったら、早速対応してやるとか。価格の問題でもちょっと私疑問があるんですが、この辺はいかがでございますか。
  199. 坂本龍彦

    説明員(坂本龍彦君) 私どもの承知しておる限りにおきましては、日本でのB型ワクチンの価格、薬価基準で六千二百二十一円というほかに、最近ちょっと調査をいたしました結果、米国におきましては大体五千四百円程度、さらにシンガポールにおきましても八千五百円あるいは六千八百円というようなものがあるというところはつかんでおります。  しかし、ただいま御指摘ありましたような価格の低いものについて、ちょっと私どもも詳細を承知しておりませんで、その品質、内容等が日本における基準から見てどのようなものであろうかと。これにつきましては情報が現在のところございませんので、ちょっとこの価格についてのそういう日本のものが本当に高いかどうか、その点のお答えは正確にはいたしかねるわけでございますが、こういった価格問題については、今後ともまた資料も十分集めまして研究をさせていただきたいと存じます。
  200. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 それでは十分御調査願って、なるべく安いものを早急に需要を満たすようにひとつ努力をしていただきたいと思います。  それから、国立病院それから自治体病院等はこれは国なり自治体の責任医療従事者にこれを打つということでございます。しかし、民間の医療機関については事業主である自分たちで対応してやれということだと思うわけでございますけれども、予防接種法というのがございます。その中には、緊急な場合には都道府県知事等に厚生大臣が特に命令をしてそれを打たせるというような法律もございます。しかもその範囲を決めてと書いてあるわけですね。ハイリスクの人たちに対しては、やはりある程度多発した場合にはこれに対する予防措置を講ずるようなことも将来考えていただきたい。と同時に、安いものであればこれはもう自分たちの方でもできるわけでございますけれども、何せ今だと二万円ぐらい一人がかるんです、三回打つわけですから。この辺のところも考えて、トータル的に見てひとつ十分な対応をしていただきたいことを要望いたします。  それでは次に移らせていただきたいと思います。  看護婦問題でございます。実は国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律施行令ができたわけでございます。それを読みますと、この国立病院で、移譲それから譲渡するところで養成所なり看護学校を持っているところがあります。それを移譲するときに、看護学校の建っている敷地は土地に換算してやるときにそれを換算しない、その建っているところは。それで病院とかその附属施設の建っているところについてはそれの六倍の面積をあげましょう、こうなっております。これは極端に言いますと、看護学校は要らないよ、病院だけもらうよといったときに、今全国で看護婦不足というのは非常に深刻でございます。時間がございませんから、私はデータを持っておりますけれども、我々の調査したところでは大体五〇%ぐらいの病院が不足しております。そういう状況の中で、看護学校だけを要らないといったときに非常に困るわけです。私はもう二百床ぐらいの病院自分のところで看護婦さんを養成してそして自分のところは賄いなさいというぐらいにしないと、ほかで養成したやつをみんな引っこ抜いていくわけです、そこへ。これではたまったものじゃないということでございますので、国立病院の移譲に伴う看護学校の養成に関しては責任持って現状よりは減らさないと、学校の状況ですね、そういうことが言えるかどうか、ひとつお答え願いたい。
  201. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) 国立病院・療養所の再編成に当たりましての看護学校の取り扱いの御質問でございますけれども、再編成は御承知のように一つは統合という形態がございますけれども、統合の場合にはそれに附置されております看護学校は新病院に付設するというのがこれは当然の形であろうと思いますし、また別の方に移譲する場合につきましては看護学校についても引き続きこれを引き取っていただく、あるいはその相手方が看護学校については引き継いでいただけない場合につきましては、例えば近隣の国立病院・療養所に附置するといったような形で国立として継続をしてまいる、こういうふうに考えております。
  202. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 ぜひそれは減らさないで、もし自治体がやらないというときは国が責任を持って、看護学校だけは存続してやっていただきたいと思うわけでございます。  それからもう一つ。看護制度検討会というのがございます。そこで検討された内容が報告されております。そのときに、その准看護婦学校の問題でございますが、現在制度があるわけです。確かにレベルを上げるということについては私は賛成でございます。しかし、現在ある制度の中で新しい学校をつくるといって今非常に申請が方々で出ている。しかし、これはなかなか許可しないわけです。許可しないのを県の段階で聞きますと、どうも厚生省指導があって許可できないんだという回答があるわけです。その辺のところは本当かどうか。私は、開設許可は県知事の段階にあると思うんですが、しかし指導厚生省がすると。厚生省がそのような方針であるかどうか、お伺いしたいと思います。
  203. 仲村英一

    説明員仲村英一君) 御指摘のように、六十二年の四月に看護制度検討会で報告をいただきました。その中で、ただいまお尋ねの准看護婦制度につきましては非常に議論があったようでございます。  簡単に言いますと、両論併記のような形で報告がなされております。したがって、その中でも例えば二十一世紀を目途に看護職者に占める看護婦の比率を高めるための計画を策定して、順次准看護婦学校、養成所を看護学校等へ移行するようにいろいろ考えろというふうな御指摘もあったわけでございますが、現在私ども、准看護婦制度というのは現に存在しておるわけでございまして、御指摘のような新しい通知を出すとかそういうことをやっておるわけではございませんので、准看護婦養成所につきまして、その地域で十分な必要がある、あるいはその他の条件が整うということであれば、当然のことながら新設を許可しても差し支えないというふうに考えておるわけでございますが、大きな方向といたしましては先ほどのようなこともあるということを私どもとしても念頭に置いておるわけでございます。しかし、具体的にそのようなことで認めないというふうな指導をしているわけではございません。
  204. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 それなら結構でございます。そのような方向でひとつお願いいたします。  それから、養成所等に対する国庫の補助でございます。  これは、非常に医療費の中から医師会立なんか持ち出して、そして准看護婦なり看護婦を養成している、これが現状でございます。私ちょっとお聞きしたところ、看護婦さんのいろいろな計画があって、今第三次計画に入っている、そして地域医療計画がある程度そろったところでそれを見て対応していくというお話を実は伺ったんですが、既に地域医療計画を見なくてももう不足しているということはわかっている。そういう状況の中で、やはり補助に対する前向きの施策がなされてない。我々としては、養成をしている方にとりましては増額並びに早期のそういう交付を望むわけでございます。これはもう要望は当然でございます。そういうことに対して厚生省はどうお考えか、お伺いしたいと思います。
  205. 仲村英一

    説明員仲村英一君) 御指摘のように、看護婦の養成計画でございますが、現在第三次養成計画を策定しようということで考えております。ただ、医療法の改正をさせていただきましたり、先ほどもちょっとお話が出ておりました老人保健施設が新しい形で生まれてまいりましたり、お尋ねの在宅看護の問題等いろいろ条件も変わってまいりますので、恐らく先生もおっしゃっているような形での不足に加えまして、こういう新しい要因もあるわけでございます。そういう要因も全部組み込みまして、できるだけ早い時期に私どもとしても計画を策定し、その計画にのっとって看護婦が不足のないような養成計画を立てたいということで現在作業を進めたいということを考えておる段階でございます。
  206. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 それでは看護婦問題は切り上げまして、診療報酬保険給付分の源泉徴収に関する問題でございます。  これは、既に社会保険については一〇%源泉徴収されておるわけでございます。昨今新聞で見ますると、国保についても一〇%の源泉徴収をする方向をどうも打ち出しているように思うわけでございますが、私は今非常に病院経営というのは資金不足で困っている。何が不足がといったら運転資金がない。これは、御存じのように大体三カ月おくれて診療報酬が払い込まれるわけです。その三カ月の利子は約四百億でございます。この四百億はびた一文もらっておるわけじゃないわけですね。この運転資金が三カ月おくれて入ってくる。しかもそこから一〇%全部頭からカットされる。これは大変なことなんですね。しかもみなし法人というやつがある。そうすると、給与所得で源泉徴収されて、そしてまた総枠でもって源泉されて、しかも三カ月おくれて入ってくる。これは踏んだりけったりでございまして、最初から見込み払いでその月にどんと払ってくれるというんならこれは話は別でございますが、どんな企業を見てもそれはない。しかも統制経済の中で行われていることです。捕捉率は一〇〇%。私、大蔵省のある課長補佐さんが来まして、どうしてだと言ったら、国保でそうやってそれで脱税する人がいるからなんて、まだそんなばかな認識でいる。これはもう一〇〇%振り込まれてくる。これはもう税務署が全部知っていますし、全部キャッチされている。しかし、まだ大蔵省の中でそういうことを言う人がいる。私はこれは認識不足も甚だしいと思うわけですね。  厚生省としては、これに対してはどういうつもりかということだけ伺って、時間がございませんので、大蔵省の方へお聞きしますと、恐らく大蔵省はこれに対して反対だというお話でございましょうからそれはわかっておりますけれども、やはりこういう実情を、医業経営、先ほど下村保険局長、私が冒頭言ったように、そういう非常に苦しい状況だということがありますので、ひとつそれをお答え願いたいと思います。
  207. 仲村英一

    説明員仲村英一君) 国民健康保険連合会で新たに源泉徴収義務を付加して、基金でやっておりますように所得税の源泉徴収を行うという話が出ておるようでございますが、専門団体の御意見もございますが、新たに源泉徴収を行いますと今おっしゃいましたような施設資金ぐりの悪化の問題を招くおそれがあるのではないかというふうなことも言われておりますし、一方その事務をやっていただきます国保連合会の方がいろいろな事業をおやりになっておりまして、現時点で源泉徴収業務を行う余力があるかどうかというふうな問題もあるようでございまして、私どもとしては、そのような理由から厚生省としては適当ではないと考えておりますが、税制改正全体との関係もあるのではないかと思いますので、その推移等を慎重に見きわめながら対処してまいりたい、このように考えております。
  208. 宮崎秀樹

    ○宮崎秀樹君 ぜひそのような方向でお願いいたします。  終わります。
  209. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 質問さしていただきます。  両大臣、御就任おめでとうございます。お見受けするところ、大変お侵しそうなお顔をしていらっしゃいますので、これから女性の言い分も十分に聞いていただけると思って期待をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  私は、先ほど来から話がございました国保の問題について引き続き質問さしていただきますが、既にいろいろと論議が出ておりますので重ならない形でまずお伺いをするわけですが、お話でもありましたとおり、そして皆様周知のところでございますけれども国保財政の今日の財政の逼迫している状況というもの、これは大変なものでございまして、それについて種々先ほど来高齢者の加入割合が非常に多いからとかいうようなお話もございましたけれども、種々な条件が重なって私はこういう状況があるのだろうというふうに思います。その中にはいわゆる低所得者と申しましょうか、という方々の層も非常に厚いということでこうした状況があるのではなかろうかという論もございます。  そこで政府は、国保財政の体質強化を図るために、五十八年には老人保健制度で、あるいはまた五十九年には退職者医療制度で人口高齢化による財政圧迫をある程度緩和しようというようなことで策を講じられたことは先ほど来お話が出ておりました。さらには本年一月からは、医療費の拠出金の国保の拠出割合を幾らか軽減するというような措置さえとっておられるわけでございます。  そこでお伺いするわけですが、こうした赤字財政というような状況の中で、しかし国民保険というようなものを下敷きに持っている厚生行政の中で、この国保をどのように大臣まずお考えになっていらっしゃいますか、お伺いいたします。
  210. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ただいま御指摘になられましたいろいろな事柄につきましては全くそのとおりでございまして、国民保険のもとで三十六年から国民の寿命というものは非常に延びてきたわけで、これはやはりこの医療保険制度というものが大きな役割を占めておるわけでございますから、この医療保険制度というのはこれからも基盤を強化して安定さしていかなければならない、これはもう当たり前のことでございます。  国保は全体の四割が加入をしております保険制度でございまして、今御指摘のように、内容は相当改善されておりますけれども、なお運用上につきましてはいろいろ問題があるわけでございますので、今後その改善が急務であるというふうに認識をいたしております。
  211. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 厚生省は十月の二十八日に国民健康保険制度についての改革案をまとめられて、国保問題懇談会にこれを御提示なさいました。この国保問題懇談会は、厚生省が財政基盤の弱い国民健康保険制度を見直すために、学識経験者とか国保関係者などをメンバーとして設置をされているものでございますけれども、まあ言ってみればこの国保問題懇談会というのは、今抱えている財政の状況とか、あるいはまた先ほど来からお話が出ておりますところのいわゆる医療費の適正化の問題とか、あるいは地域間格差の問題というようなものが一応論議の中身になるのであろうというふうに私は理解をいたしております。  先般、六十二年度ですか、予算編成のたびごとにこれが出てくるわけではありますけれども国保医療費の地方自治体への肩がわり問題ですね、これが都度都度に出てきて、六十二年度予算編成のときにも大きな問題になり、大蔵省が持ち出したけれども、結局全国知事会や自治省が猛反対をしてお流れになったという経過があるわけですね。今回この国保問題懇談会というのは一体何をするところなのかなというふうに、私は先ほど自分の推測では申しましたが、確認をさせていただきますとともに、厚生、大蔵、自治、三省合意によって設置されるものであるのかどうなのか、これも確認をさせていただきたいのです。  それからもう一つは、二十八日に厚生省がこの改革案をまとめられた、その次の二十九日は自治省の事務次官が反対の意思表明をなさっております、新聞で読みました。三十日には自治大臣厚生大臣に対して反対の意向を伝えだということも、これ読んだわけですね。私、先ほど来国民健康保険の論議を聞いておりますと、やはり同僚委員の中からも各関係省庁のコンセンサスを整えてということが一つあるわけでございますが、この国保の安易な地方への負担転嫁を容認できるかできないかというような問題も、今後これから自治省にも伺っていくわけですが、まず厚生省見解として、今度はただ単なる転嫁だけではなくて一部制度改正も伴っておるから、自治省はこれをのめるというふうにお考えなのかどうなのか、その点も含んで、まずこの懇談会の仕事の中身から教えてください。
  212. 下村健

    説明員下村健君) 昨年の予算編成に際しまして大蔵省側から都道府県負担の導入という問題が出まして、結局関係者で合意することができませんで、その際厚生大臣、大蔵大臣、自治大臣、三大臣の間で国保問題を検討する場をつくろうという話になったわけでございます。そういう経緯で三大臣合意のもとで厚生大臣の私的諮問機関のような形で国保問題懇談会ができた。  その趣旨は、国民健康保険についてその安定した運営が確保されるように、医療保険制度全体の中における制度のあり方について、国と地方の役割分担等を含めまして幅広く基本的な検討を行うということになっているわけでございます。  したがって、その構成も学識経験者の方々のほかに地方団体の代表等にも入っていただきまして検討を進めてきた、こういう経緯になっております。
  213. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それでは自治省の方にお伺いしましょう、今厚生省は答えませんでしたものですから。自治省の方にお伺いいたしますけれども、今回のこの厚生省案に対して省内ではどんな話し合いができているのでしょうか。
  214. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 御指摘の厚生省の改革案につきましては、今懇談会におけるたたき台として厚生省が提案されたものでございますので、恐らくこれから懇談会におきまして種々な方向から議論がなされるというふうに考えております。  私どもの基本的な立場といたしましては、国保経営の安定化に向けての制度の改革をすべきだということでございますので、国庫負担を地方が肩がわりをするというような趣旨では制度改革には結びつかないというふうに考えておりますので、そういう方向でこれからいろいろと厚生省と御議論をしていきたいと考えております。
  215. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 先ほど午前中も同僚委員の中から出ておりましたように、地方団体、つまりこの国保を運営している団体が市町村三千二百七十団体のうち赤字になっているところが六十年度決算で四百四十六団体ですね。四十四増加しているという数字が出ておりますから、自治省としても非常に深刻な立場でこういう事態を受けとめておられるというふうに私は思うのでございます。  今回のこの国保改革案を見ますと、三つの柱があろうかというふうに思います。その中でまず、これ具体的に一つずつ伺ってまいるわけですが、福祉医療制度の創設、それから地域差調整システムの導入、そうしてそれがうまくいくならば給付水準を八割程度に改善しようと、こういうことなんだろうと思うのですね。その三つの柱が一番大きな骨格じゃなかろうかというふうに私は思いますけれども、これ、まずシステムの説明から伺いましょうかね。厚生省さん、福祉医療制度というのはどういう改革案ですか。
  216. 下村健

    説明員下村健君) 現在の国民健康保険制度では、発足当時からでございますが、保険料の軽減制度というものがございまして、住民税の基礎控除額以下の所得の方についてはその保険料を六割軽減する、四割保険料を払う、こういうことでございます。それに家族一人当たり、現状ですと大体二十万ぐらいでございますが、二十万余りの金額を家族一人ずつについて足していきまして、その額以下の所得の方については保険料を四割軽減する、六割保険料を払う、こういう形の制度でやっているわけでございます。その軽減した分を国庫負担で保険料分相当については穴埋めをするという形で、保険としてはやや変則の格好でございますが、今日まで国民健康保険はやってきたと。ただ、その後の経緯を見ますと、六割保険料を軽減するという階層が非常にふえてきております。それが一つと、それから全体としての医療費の水準が皆保険当時に比べると非常に高くなってきている、逆に言えば医療費と所得の関係からいうと医療費の水準が非常にレベルが上がってきているということになろうかと思います。したがって、その低所得層のところだけを見ますと、低所得層の、保険料を軽減されております階層の医療費の一五、六%分が保険料で負担されているという格好ではないかと思います。いずれにしましてもその差が非常に大きくて、保険制度ということで考えますと、それだけ一般の保険料を負担されている方の負担が大きくなってきている、これが実情ではないか。したがいまして、現在は毎年かかる医療費から国庫負担を控除いたしまして、その残りの額を全体が保険料で負担をするという仕掛けになっているわけでございますが、国保の収支計算の上から保険料軽減階層というものを一応外した形にして、普通の形の保険料を負担する階層だけで国保の収支バランスを計算する、そういう形で保険料を決定するという仕掛けにしてはどうか。ただし、低所得層につきましても、これはやはり皆保険という形でのメリットもいろいろありますので国民健康保険制度の中に残しまして、保険証等は大体従来どおりの形でやる。保険料の方は一般の保険料との見合いで決定することになりますので、幾らか福祉医療対象者の保険料も下がってまいると思いますが、これにあわせて給付面でも低所得層の実態に即した給付改善を若干行ってはどうかということで実質八割程度の給付水準にいたしたい、こんなことで考えているわけでございます。
  217. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 医療というのは、だれでも必要なときに同じ医療が受けられるというのが大原則だと思うんです。そういたしますと、皆保険というようなベースを持ちながら、私はこの福祉医療というもの、今の説明ですと、国保の中に別枠をつくると今言われましたね。外側につくるんじゃなくて中側で別枠として扱うというなにのようでしたけれども医療の場に差別が出てこないのかという非常に単純な発想ですけれども、やっぱり言葉としても、福祉医療という言葉そのもの自体の響きもあって、私はこれ大変気になりまして、医療補助、それから次のボーダーラインの人が福祉医療というような段階になるのかというふうなことを考えますと、何かこの医療の場に差別が出てくるのではないかという印象と、それから皆さん方のやっぱり危惧があるものですからこういうことをお伺いいたしておるわけでございますけれども、そういうことは一切ないわけでございますね。
  218. 下村健

    説明員下村健君) 現在の我が国の制度のもとでまいりますと、医療そのものについては、生活保護でありましても、あるいはいろいろな保険でありましても全く差はないわけでございます。ただし、その費用の負担関係、あるいは医療機関に参りましたときの一部負担の仕方というふうな面で差があるということでございますが、医療の中身については全く差がございません。また、今回の福祉医療の対象者につきましては、今御指摘がありましたような意見もありまして、被保険者層等に差をつけるべきではないというのが今のところ懇談会で出ている議論でございまして、制度の具体的な立て方についてはこれからさらに詰めていくことになるわけでございますが、私どもとしてもそれはそういう趣旨に沿って制度をやっていくということは可能であろうというふうに考えております。
  219. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから地域差調整システムの導入に関するこれも考え方でございますけれども医療費が増大していくということの中でいわゆる基準医療費というのを設けますね。それを超過した分については、これを私たちは大変嫌な言葉ですけれども足切りだというような、こういう考え方になるんですが、国庫負担二分の一なさるそうですね、そしてあと残りを市町村とそれから今度は都道府県にという、こういう考え方だと思うんですが、まず、この基準医療費というものの考え方、それの基本の考え方がまず一番基本で問題になりますね、それをどう押さえるのかというのをまず一つ確認することと、そして、それから超過した分については二分の一、四分の一、四分の一になる、こういうことなんですが、この基準医療費という基本的な考え方はどこから出てきたんですか。
  220. 下村健

    説明員下村健君) 国民健康保険の場合には、前から実は保険料の面でも医療費の面でも基準のようなものがつくれないかという議論があったわけでございますが、なかなかそれは実際問題として医療の場合に標準的なものを決めるというのは難しゅうございます。したがって今回の考え方も、基準という言葉を使っておりますが、全国の平均値をもとにして計算をしよう。年齢階層ごとに医療費というのは差がございますので、まあ例えばゼロ歳から五歳、五歳から十歳というふうに、五歳刻みぐらいの全国平均の医療費をもとにいたしまして、各市町村の人口構成に応じてそれの平均値を掛けますとその市町村の基準医療費が出てくる、こういう格好になります。  従来ですと、例えば国庫負担をやります場合に、結果としての医療費の額をそのまま用いて財政調整のようなことをやってきたわけですけれども、この場合には年齢差によります医療費の高いということについては格別の考慮がなされない、年齢構成が高くても低くても結果としての医療費の水準だけを問題にして国庫負担の配分を行うというふうな方式を現在とっているわけでございます。したがって、それでは不合理であろうということで、基準医療費という考え方を使って、そこまでは従来どおりの方式で国の負担によりまして財政調整等の措置を講じてまいる。それ以上のところをどうするか、ここがいろいろ議論が出るところでございますが、従来の考え方として、一つには医療費が高い地域はそれだけ医療の利用の程度が高い、利益を受けているということで受益者負担というふうな考えをとりまして、保険料がそれに見合って相当高くなってもいい、こういう考え方で来たわけでございます。それを、やはり地域的な受益というふうな面もあるんじゃないか、あるいはそういった面につきましては各都道府県における医療行政でありますとかあるいは市町村におきますヘルス関係の事業のやり方でありますとかあるいはその他の福祉施策、医療に関連しても福祉的な医療というふうなものが地方単独でやられているというふうな実情もございます。それらをあわせ考えまして、地域的な受益という観点もあわせて地方負担ということで考えてはどうだろうかというふうに考えたわけでございます。
  221. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 自治省にお伺いいたしますけれども、自治省では今の地域差調整システムの導入について、今、これからたたき台になるので土俵にはのるというお話でございましたけれども、全国知事会とか県議会議長会とか市長会あるいは町村会等々からみんな厚生省改革案に対して反対の意思表明の申し入れがあることは既に御存じのことと思いますけれども、この辺のところ、自治省はどのように考えておられますか。
  222. 嶋津昭

    説明員(嶋津昭君) 御指摘のように、医療費に地域差があることを保険としてどう対処できるかという問題につきましては、保険者である市町村の意見なり、あるいは今都道府県負担の導入という話をされてましたので、負担をする都道府県のお考え方を聞くことがまず基本的に大事なことだろうと考えております。そういう点から、今知事会なりあるいは市長会、町村会等で議論されるところをお聞きいたしますと、今言ったような形で医療費に対する抑制の手段というものが地方団体としては非常に乏しい。したがって、そういうものについての高いところについて直接にそれを地域で負担する、都道府県、市町村で負担するということはやや合理的じゃないんじゃないかという御意見が強いようでございます。
  223. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 さっきも申しましたように、毎年予算編成時になるとこの国保の問題というのは必ず出てくるんですね。ここに、その時期に改革案が提出されましたものですから、きょうは各委員の方々皆これに重大な関心を持って質問の課題にしていらっしゃるわけでございますので、私どもといたしましてもこれは非常に大事な課題なんです。だから、これは厚生省の方に特にお願いしなければなりませんけれども、予算編成のスケジュール上、六十三年に取り入れるに当たってというようなことでこのことを短兵急に地方自治体にただ転嫁すればいい、従来から話が出ていた都道府県段階もやっぱりこの負担を背負うべきであるというようなことを、簡単に私は結論づけていっていただいてはいけないのではないかというふうに大変思っておる者の一人なんです。これは意見として申し上げておきますので、今後これが欠きにたたかれていくことを望みますし、国会の場においてこういう議論が出たこともその場においてぜひお伝えいただきたい、こういうふうに思っております。  しかし、一方で国民保険、そしてまた先ほどからお話がずっと出ておりますように、我が国の医療費の増大というのはこれは大変なものでございます。その実情もよく私どももわかっております。長寿社会に向けていわゆる医療保障というものがどういうふうにあるべきかということは、これから非常に私どもにとっても大事な課題なんです。だから、ただ単にこれをたたくというつもりはございません。しかし、慎重に私はあらゆる層の意見を聞いて、さっきのコンセンサスという言葉が出ましたけれども、あらゆる層の意見を聞いて、私は仮にも痛み分けみたいな形で落ちにしていくべきではないというふうに思いますので、これは意見として申し上げておきます。  そして、この長寿社会医療保障ということで、今回六十三年度の概算要求の中で厚生省は痴呆性老人対策費を非常に力を入れて取っておられますので、この老人対策の中の痴呆性老人対策について、先ほど来もお話が出ておりましたが、私の方でちょっと伺わしていただきます。  この痴呆性老人対策推進本部ですか、ここが非常に、活発にいろいろと調査等をしてくださっておるようでございますけれども、痴呆性老人についての考え方、昭和九十年には百八十五万人になるというような推計もお出しになっていらした。私は健在であるといっても、八十五歳ごろになると何もわからなくなっていたというような事態も起こりかねないという自分自身の問題でもあるわけでございますので、痴呆性老人対策について今回新しい二つの項目を新事業として予算の中に盛り込んでおられますが、この御説明を伺いたいと思います。
  224. 北川定謙

    説明員(北川定謙君) 先生御指摘のように、高齢化社会が進むにつれまして老人の痴呆問題というのはどうしてもこれから増大する問題になるわけでございます。従来から、痴呆性老人を抱えた家族、その周辺の関係者は非常に大変な苦労をするわけでございます。一方最近、医学あるいは生物科学の進歩がどんどん進むことによって、こういう痴呆ということについての医学的な研究もだんだん進んでおるわけでございます。そういうものを今後さらに総合的に対策を組むことによって、将来に向けて万全を期したいというのがこの推進本部の基本的な考え方であるわけでございます。  柱としては四本主な柱があるわけでございますが、一つは調査研究というものをさらに推進をするということ。それから第二は、介護をしている家族への支援ということ。それから第三は、痴呆性老人の専門治療病棟を初めとする施設対策を図るということ。特にこの第三の柱でございますけれども、これは非常に異常行動が激しくなるとか、あるいは精神異常が起こってくるとか、そういうことも間々あるわけでございますので、そういう点については十分に専門的な治療体系をもって臨む。そして、緩解をしてある程度家庭生活社会生活ができるような状態に戻った場合には、なるべく家庭なり社会に帰してあげる、そういうシステムをきちんとつくっていくと。それから第四は、こういう痴呆という問題についての十分な知識を持った専門家を育成するということでございまして、特にその中心になる医師、保健婦、看護婦等については十分そういう研修なり教育なりを図っていくという四つの柱を立てておるところでございます。
  225. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そこで、この痴呆性老人対策についても社会的いわゆる養護というんでしょうか介護というんでしょうか、それから家庭における介護という形があろうかと思いますが、私はきょうこの家庭介護の問題だけについて伺ってみたいんですが、この予算の中で見ますと、そういう介護人に関する、先ほど来お話も出ておりましたが、介護人に関する何というんでしょうか、一つのフォローする事業というのが、強いて言えばデイサービスの事業ですね、これで幾分かフォローができるという感じがありますけれども、「家庭奉仕員講習会推進事業の実施について」というので、六十二年の六月二十六日、児童家庭局長社会局長名で出ている書面を読みましたけれども、この家庭奉仕員というのはつまりヘルパーでしょうか、この家庭奉仕員というのはあくまでも都道府県あるいは市町村にその養成をゆだねてあるだけであって、私ここに今持ってきたのは、これは秋田県横手市の介護サービス及びその養成のプログラム、それからこれは東京町田市の福祉サービス公社の概要、これは八王子市というふうに、各県がみんなまちまちに、別々にこの通達を受けてつくっているわけですわ。今回、この通達の中では、市町村と、ほかに都道府県にもその任を負わせる形でこれが書きかえられておるわけですね。各県、一県について二百万の予算をおつけになったということでしょうか。主婦が社会参加をしていくときに、こうしたボランティアのような形で老人のお方の介護というようなボランティアをしていらっしゃる方がたくさんあります。ただ、それが非常に報酬がある方もあれば、それからこれまで、介護人になるまでのマスターしてきた技量といいますか技術といいますか、カリキュラムといいますか、そういうものが非常にまちまちであったりして、全部これが違うんですね。今回、今まで四十五時間でしたか、それが三百六十時間になりましたでしょう。三百六十時間そのいわゆる授業を受けて、それで家庭奉仕員としての資格を取るということなんです。その家庭奉仕員の資格も市町村がまず、八王子市なら八王子市がそういう一つのシステムをつくって、赤十字なりあるいはまたどこかのそういう医療機関と提携して、そして講習をやるから、出てくる名前は市長名でその資格が取得済みですというのがおりてくるわけです。そうすると、引っ越しして次の地域に行って介護人としてお手伝いしようと思うときには、その正式資格が通用しないんですって。それで、やっぱり国が一括してこういう家庭奉仕員のようなものをもっと制度化していってほしいという要望が、こういうところにかかわっている人たちから非常に声として大きく出てきております。  それからこのたび民生委員制度創設七十周年記念事業として、大変立派な「在宅痴呆性老人の介護者実態調査報告書」が出ましてこれも読ませていただきました。ここにも、こういう現場で実態をつかんでいる人たちの要望というものが物すごく出ていますね。しかし、現実は余りにも格差がある。この家庭奉仕員について厚生省の見解を求めます。
  226. 小林功典

    説明員小林功典君) 家庭奉仕員につきましては、家庭奉仕員派遣事業という事業を国の補助金で地方にやっていただいておるわけです。派遣事業そのものは助成をして国の事業としてやっていただいておるわけです。  そこで、今先生お話の中にありました講習会でございますが、六十一年度、つまり前年度まではこれは市町村が独自でやって国からの助成はなかったわけでございます、去年までは。それが本年から、そういうことではいけないんで、そのヘルパー、家庭奉仕員の資質の向上を図らなければならないと、特に寝たきり老人等がふえてまいりますし、介護の技術も非常に難しくなってまいりますし、やはり資質の向上を図らなければならないということで、新規予算として新たに家庭奉仕員講習会推進事業というのを予算に計上したわけであります。したがいまして、去年までとことしからは全くそういう意味では違うわけでありまして、従来は国の助成がないものですから、お話がありましたように、市町村が独自の判断でやっておった。七十時間の講習が大部分でございます。それが今度国の事業として設けられましたのは三百六十時間でございます。したがいまして、ことしから始まった制度でありますので、これが定着してまいりますと資質はかなり向上していくであろうというふうに思います。  なお、その資質の向上のもう一つの手だてとしまして、実はさきの通常国会、五月でございますが、法案を成立させていただきました社会福祉士及び介護福祉士法という法律がございます。その介護福祉士の方でありますが、これは家庭奉仕員の方すべてが受けられるかどうかそれはわかりませんけれども、その中のかなり高度な技術を必要とする方はその介護福祉士という公の制度の方に移行していただくというか、その資格を取っていただくという意味でも、また新たにそういう資質向上の対策が一つ生まれたということでございます。
  227. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 社会福祉士とか介護福祉士とかいう、そういう偉い国家試験を通ったそういう人もまた必要なのね。だけどそうじゃなく、ちょこちょこっと走っていって見てあげるという、こういう身近にいる介護人というか家庭奉仕員というかヘルパーさんというか、そういう方たちもまた必要なんですね。難しい国家試験を受けなければこういう資格を取れないというのでは、これまた非常に遠い話になりますので、やっぱり私はこれは事業主体として地方自治体がやるのには賛成です。だけど、それを全く地方自治体任せだというのはいかなるものかなと。それで、ことしから都道府県段階に二百万、一県当たり二百万ずつがついたと、こういうことでしょう。  私はね、横浜市の例をちょっと調べてみたら、この横浜市ではこういうヘルパーさんに対して身分証明書を発行して、そして衣服の貸与、それから定期健診、自分自身のですよ。ヘルパーという仕事は重労働ですから自分自身の定期健診、それから労災、それから対物などの保険の加入、あるいは基礎テスト資料とかいろいろなものを配付して自分自身でも資質を磨いてくださいと、こういうようなところまでやっている、できることの市もあるわけ。またそれもできない市もあるわけ。だから、地方自治体だけに任せておくと、こういう資質が違ってきてしまうこともまた確かですね。だけど、これは今後、いわゆる在宅介護というのは残念ながらふえていくであろうということを私ども予想いたします。また、それを望む老人の方もあると思うんですね。そうすると、どうしてもこの辺のものをもっと真剣に取り組んでいただきたいというふうに思いまして、身分保障等も含めて、これ意見ですので申し上げておきます。  特に、女性がみんなこれにかかわっているんです、この制度に。そしていろいろな意見を持っております。ですから、その一つ一つの意見を聞いてやっていただきたいと思いますし、それがこれに非常によく出ておりまして、これは立派な事業だと思いました。大したものでございます。私もこれで大変勉強さしていただきましたので、ぜひこの介護人の問題についても真剣に取り組んでいっていただきたいことを要望いたしておきます。  次に、時間がございませんので、乾電池の問題についてお伺いいたします。  これは、私が五十九年の十月十七日にやはり決算厚生省お尋ねをした問題でございますが、その後六十年七月に、厚生省は、水銀を含むマンガン、アルカリ、水銀乾電池等も含めて、乾電池というものは一般的処理をしても何ら差し支えはないという、いわば安全宣言なるものを出されたんでございます。したがいまして、それ以降、地方自治体がいわゆる一般ごみの処理を責任を持ってやっていかなければならない立場上、これは危険物だ、処理困難物だという認定をした地方自治体は、独自に回収をして、これを独自に処理をしているというルートをとっておりましたところも、どうも大分その安全宣言によってやめた市もあるやに聞いております。  そこで、厚生省にまず一番最初にお伺いしたいのは、今地方自治体として乾電池の別回収をしているところはどのぐらいあって、その処理費は一体どのぐらいかかっているのかをお尋ねいたします。
  228. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 昭和六十二年の六月現在でございますが、使用済み乾電池を別に分けて集めております市町村の数は全国で二千百八十一市町村でございます。  費用がどのくらいかというのは、これちょっと突然のお尋ねであれでございますけれども、これを集めまして、今は北海道のイトムカで処理しておりますが、そこでの実績から逆算いたしますと、約四千トンの乾電池が持ち込まれて処理されたということでございます。持ち込みまして処理をするときに費用をお払いする。それから持ち込むまでの運搬費用をお払いするということでございまして、そのあらましの費用を計算いたしますと、まず処理費用が四千トンで三億円、それから運搬費が四千トンで一億円、合計いたしますと四億円でございます。これを単純に今の二千百八十一市町村で割りますと、一市町村当たり二十万円というこの程度の負担かと思います。
  229. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 そんな計算の仕方あるかしらね。一つの自治体が乾電池の処理費というのをちゃんと一般会計に計上しているんだから、それを見てくればいいんだからね。そんなことじゃないんですよ。  先般、テレビでやっていたのをみんな見たと思いますけれども、倉敷市が五十九年四月から分別回収を開始したというの。そして今回六十二年十月をもってドラム缶百八十九本たまったというの。持っているわけですね。  それで、それを野村興産イトムカ鉱業所に処理に出すについてかかる費用は、倉敷市で輸送費がトン当たり三万三千六百八十三円、それから処理費がトン当たり七万四千六百九十円、こういうふうに倉敷市が教えてよこした。広島市の分もありますよ、こんなことを言うたってしようがないからね、要するにかかるわけよ。私たち通常常識では、大体トン当たりの処理費が七万から七万五千円はかかるというふうに認識しているわけ。それだけかけて処理しているんですね。  さっきの地方自治体の件数でいきますと、減ってますね。従来、分別収集していた地方自治体の数からいきますと、減っているわけ。これは完全に厚生省の安全宣言が物を言ってるなというふうに思ってさっき数字聞いてましたけれどもね。  これは非常に出口のない問題で、地方自治体では本当に困っているんですよ。自治省さん隣にいるから聞いてみてください。地方自治体は住民が不安がるもんだから、それを一般ごみと一緒に処理できないんです。だから、仕方がないので市民の協力を得て分別回収して、それを抱えているとたまってしまうわけです、そんなに。そうすると、最終的には処理をしなければならない。  それで、先般六十年七月に出した厚生省のあの安全宣言について、一緒に出てきた適正処理専門委員会報告書によれば、全国六カ所に処理センターをつくるということも出ておるんだけれども、その処理センターも依然としてできていないんですね。そして先ほど言った野村興産イトムカに一つしかないわけでしょう。  そうすると、例えば倉敷、広島からそこまで輸送する輸送費を考えたら、地方自治体は膨大な処理費をかけてこれをやっているわけ、処理をしているわけです。私、それをよしとして黙っている厚生省のお立場は非常にけしからぬというふうに思うんでございますよ。  それで、時間がないので言いたいことをみんな言ってしまいますけれども、先般、これは五十九年一月、厚生省と通産省は共同で業界に対して五項目の要請を行っておりますと、この要請方はどんなふうに実現していますかということを一つ伺いたい。  それからもう一つは、一きょうは済みません、日本乾電池工業会から佐藤さんおいでいただいて大変恐縮に存じます。お忙しいところありがとうございました。  まず、この五項目について、どんなふうなことが進捗しているか教えてください。
  230. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 一つは、乾電池の中の水銀の含有量を減らしてほしいということを要請してます。それから、使用済みのアルカリ乾電池などの、さっき先生おっしゃいました広域的な回収処理の実施、それから水銀等の排出に対するモニタリングの強化。  以上でございます。
  231. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 五項目なんです、五項目。  水銀電池の新しい用途への使用の抑制、それから使用済み乾電池の回収強化、アルカリ、マンガン電池の水銀減量の研究、それから水銀を使用しない乾電池等の代替製品の研究、それから使用済みアルカリあるいはマンガン電池の埋立地等による土壌への汚染の影響を調べておくという、こういう五項目なんですね。これは業界も受けて話し合いができているはずでございますが、参考人いかがでしょうか。
  232. 佐藤真也

    参考人佐藤也君) まず水銀電池の使用について、新たな用途の開拓を行わないということはそのまま厳守しておりますので、国内での流通量はふえておりません。  それから、水銀電池の回収強化という問題がございますが、これにつきましては、消費者、それから販売店等の関係業界、団体に対して協力要請をしましたり、新聞、雑誌、ポスター等を使いまして広告をしまして協力を要請しておるというふうなことをやっております。これは昨年は一三%という回収率でございました。  なお、これに関連しますことは後に述べます。  次に、アルカリ乾電池の水銀減量につきましては、当初三年後に三分の一にするというお約束をいたしたわけでございますが、本年の九月をもちまして六分の一達成というふうに当初よりもさらに半分に減らすということをやりまして、この十月から生産に入っております。  それから、水銀を使用しない乾電池の開発でございますけれども、これはリチウム電池が既に開発されまして、いろいろな方面に使われております。  それから、水銀電池の大半の用途は補聴器用でございますが、この補聴器用としましてほとんど水銀を含まない空気ボタン電池を六十一年から製品化しまして、現在普及活動に努めておるというところでございます。  それから最後に、乾電池類を土壌に埋めましたときの汚染についての研究でございますが、これはその道の権威であります福岡大学の水理衛生研究室の花嶋教授にお願いいたしまして、約四トンずつの槽を八基つくりまして、六十年八月から標準ごみとした中に電池を埋めて、現在も実験中でございます。  以上でございます。
  233. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 昨日、十一月十一日は乾電池の日ですね。私、どうして十一月十一日が乾電池の日かと思って一生懸命考えてみたら、プラスマイナスプラスマイナスと書くと十一月十一日なのだそうで、昨日は乾電池の日なんですね。それで、乾電池工業会はいろいろとイベントをやっていただいたわけでございますけれども、私に言わせますと、佐藤さん、さっき言ったように新たな用途開発はしない、水銀電池の新しい用途への使用の抑制だということが一つ冒頭に出てくるでしょう。だけど、きのうやったイベントの中には新規用途開発のいわゆる電池器具発明コンクールをやっているじゃない。発明コンクールをやっている。これは、発明コンクールをやって、新たに乾電池の利用方を一生懸命啓発する事業ですよ。どこに抑制事業の根がありますか。何にもないじゃないですか。私はこれ、「おもしろ電池器具発明コンクールも開催」という記事を読んで目を疑いました。というのは、乾電池は少くともできるだけ水銀含有量を六分の一に逓減化していくということと、乾電池を使う器具の用途をできるだけ抑制していくというのが一番最初の二つのうたい文句だった。だから、新規用途開発のための電池器具発明コンクールじゃないんですか、お伺いします。
  234. 佐藤真也

    参考人佐藤也君) 私ども新規用途の開発を抑制するというのは水銀電池についてでございます。  それで、ただいま先生の方からお話ありましたが、電池の種類は大別して七種類ございます。そういうことで、皆さん方に電池をよく理解していただいて、上手に使っていただこうということでございまして、おもしろ発明コンクールというのは水銀電池を使ってということでございませんで、これらは主として普通のマンガン乾電池あるいはアルカリ乾電池あるいはリチウム電池、そういうものが対象になるものでございます。したがいまして、私どもは約束どおりのことを行っているということでございます。
  235. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 それから、参考人にもう一つお尋ねいたしますけれども、今七種類電池があるとおっしゃいましたが、その中で一番回収しやすい乾電池がボタン乾電池ですね。このボタン乾電池の回収について一生懸命、極力その回収率を高めていくということが当初からのこれお約束事でしたね。さっき一三%と言われましたですね。これは下がっていますね。従来、一五%で非常に低いというのが、昨年、環境特別委員会あたりで討議されているときには大体一五%と厚生省は答えていましたから、一三に下がったということになるわけですね。  そこで、これ昨日、全国消団連大会でも出ておりますけれども、このボタン乾電池の回収実態について調べたのが発表になっていますね、主婦同盟から。それを見ておわかりのように、つまりあのときの厚生省の安全宣言が相当影響しているんです。店頭にボタン乾電池、これは時計屋さん、それからカメラ屋さん、あるいはその手のものを扱っている百貨店等がみんなやるわけですね。店頭にまず回収の箱を置く、それからPRのためのポスターを出す、こういうことが約束事でございましたね。だけど、そういうのがないところが多いわけですね。箱も置いてないところがあるわけですね。  それから、回収をしても、今までは回収をしたボタン乾電池、あれは量によっては非常に商売になります。だから、今まで回収に来ていたわけですね、カメラ屋やそれから時計屋さんに。それが、あの安全宣言以降、集めに来ないというんです。その実態が出てきていますでしょう、数字として。そして、どうするかというと、時計屋さんもカメラ屋さんも結局それを不燃物の中に捨てているわけよ。店頭では回収をしているけれども、不燃物の中に基本的には入れて捨ててしまっているというわけ。これじゃ回収したって何にもならないわけじゃないですか。  私はボタン乾電池の問題については物すごく問題があると思ったの。これだけは回収できると思った。そして、これだけは回収率を上げていかれると思ったんです。ところが、これがその状況だから、筒形乾電池に至ってはいかにや、こういう感じになるわけです。これは全国三千何カ所の小売店を調べたものです。その中で東京都の品川区だけ、店の名前は言いませんけれども、たまたま百店を品川区がやったものの中でも、正直に分別収集するごみの中に捨てておりますというのが二十二件、正直に言っている。それから、無回答は四十ぐらいあるんですよ。時々集めに来るのに渡していますというのが幾つかある程度なんです。このボタン電池の回収のことについていかがお考えですか。
  236. 佐藤真也

    参考人佐藤也君) 非常に主婦同盟さんで克明にお調べいただいたんですが、このボタン電池の中でカメラ屋、特に時計店は、これは酸化銀電池が主体でございます。国内流通しておりますボタン電池の約五七%は銀電池でございます。それで、銀が高騰しましたときには百以上の業者が群がって集めていたわけでございますが、昨年、一昨年来、銀の市況が非常に落ちまして、もはや銀は貴金属ではないというふうなことが言われたぐらいでございまして、業者が激減して集めなくなったというふうなところでございます。  私どもは水銀電池を集めるということを当初お約束したのでございますが、このボタン型の電池は、昔は水銀電池がほとんどでございましたが、今は四種類ぐらいございますので、これを水銀電池だけ集めてくださいというんじゃ非常に不親切なことになり、また効率が上がらないということから、思い切ってボタン電池を回収というふうに打ち出したわけでございます。  今、先生の申されたのは、主として銀電池のことが大きな対象になっておろうと思います。それで、主婦同盟さんの集められた資料の回収率、かなり我々のよりも高こうございますけれども、これは銀電池の回収分が入っていますのでぐっと高くなっておるというところでございます。  それで、私どもとしまして、安全宣言の問題もあり、識別の難しい問題もあり、それから金属市況の問題もございますので、水銀電池を空気ボタン電池に切りかえる、あるいはでき得るならばリチウム電池を使っていただくというふうなことで補聴器メーカー等集まりまして何遍か協議を重ねまして、まず、補聴器の水銀電池にかわるものは空気亜鉛電池である、これがクライアントの方がなかなかなじみがないものですから、積極的に普及させていこうと、これが二〇%普及すればほぼ二〇%回収したのと同じだと、五〇%になれば五〇%回収したのと同じようになる、そういう意思で今、進めているところでございます。
  237. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 消費者は中へ銀が入っているか、水銀が入っているかわかりませんから、ボタン乾電池回収というと、みんな一生懸命集めるわけね。だけれども、それで筒型乾電池にもアマルガム化した中で水銀が入っていると、そして筒型乾電池も集めて業界に送って返した。そうしたら、業界が送り返してきた。こういう運動を拒否するメーカーもあるんですよ、受け取ったのはたった一メーカーだけです。ボランティア的に、乾電池は危険だと思い始めたらひたすらそう思って、その危険だと思う乾電池を集めて宅急便で会社へ送ってあげているというのよ。そういう奇特な婦人団体もあるんですよ。ところが、それを配達証明つきで送り返してくるという、これは私はいただけませんね、本当に。指導してあげてください。通産省にもお願いいたします。  それから、最後になります。先般、五十九年の十月十七日、私が環境庁に質問をさせていただきましたときに、いわゆる終末処分地の中で、五十二年度、一般廃棄物処理法が一部改正になって遮水シートを使わなければいけなくなった形で改正されました。そのときに改正以前のものと改正後のものと一体最終処分地はどのくらいの割合であるかということを質問いたしましたところ、いわゆる改正以前のものが千三百カ所あるというふうに聞いたんです。そこでその千三百カ所の周辺の土壌について水銀汚染等あるかないかの調査をしてくださいと、このように申し上げましたところ、当時の佐竹局長がこれを受けてくださって、乾電池問題一歩前進と新聞がでかでかと書いたんですね。ところが、これ調査なさってないみたいな感じなんですね。  ちょっとそれをお伺いするのと、あとこれは厚生、環境そして通産あわせて、その土壌汚染ないしは水質汚濁、大気汚染、こういうものが影響を受けていないかいるかというところのモニタリングはずっと続けていくという合意はできているはずなんです。ですから、それについて各大臣からひとつ御見解を伺い、私の質問を終わります。
  238. 渡辺武

    説明員(渡辺武君) お答えいたします。  先生おっしゃるとおり、五十九年の当委員会におきまして御質問いただきましたときに、御指摘のように、五十二年の改正以前の処理場について調べてみるという御下問がございまして、五十九年度に規模は小そうございますけれども調査をいたしました。  いたしました結果、当然遮水工の、法改正後のものもございますけれども、法改正前のものも含めまして調査をしたわけでございますけれども、結果といたしましては、処理場から下流方向にあります地下水あるいは河川水といった水につきまして、総水銀あるいは有機水銀いずれも検出はされておりません。  それから、今あわせておっしゃいました土壌につきましても、周辺の土壌を調べたわけでございますけれども、総水銀で最高で〇・三ミリグラムパーキログラム、要するに土地一キロの中に〇・三ミリグラムの総水銀が検出された、これは最高値でございます。有機水銀は検出されておりません。  この最高値〇・三ミリグラム検出されたということにつきましての評価でございますけれども、私たち市街地の土壌汚染につきましていろいろな対策を講じておりまして、その対策につきましての暫定の指針を示して、各都道府県あるいは市町村の御協力を得ておるところでございますが、その基準が土地一キログラム当たり三ミリグラムというオーダーでございます。先ほど申しましたのが〇・三ミリグラムでございますので、その基準値の大体十分の一という程度でございますので、特に環境上問題となるような数値ではないというように判断をいたしておる次第でございます。  以上でございます。
  239. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 両大臣から。
  240. 渡辺武

    説明員(渡辺武君) 第二の点、御答弁おくれまして申しわけございませんでした。  いずれにいたしましても、このような最終処分地が環境との接点でございますので、私たちといたしましては、まず水につきまして、公共用水域につきましてずっとモニタリングを継続いたしております。公共用水域そのものにつきましては、ここのところずっと毎年調べておりますけれども、水銀は検出されておらないということでありまして、水環境そのものは水銀には汚染されておらない状態が続いております。今後ともそのようなモニタリングは、当然のことでございますが、続けてまいることにいたしております。  以上でございます。
  241. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 先生、前からこの問題について大変御心配をいただいておりますことに敬意を表したいと思います。  けさ、朝日新聞の一面を見ましたらペーパー乾電池、先生一番御関心深いわけでございますから、出口がようやく見つかったなという思いで実は読んでおったところでございます。ただいまも局長申しておりますように、今後とも各種の対策の実施状況を十分注視しながら、モニタリングで環境保全に万全を期していくつもりでございます。
  242. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 私どもも廃棄物の処理、処分に伴います水銀等の環境影響につきまして、六十年から研究を続けておりますが、これを六十四年まで続行いたしまして、環境上こういったものによる問題が起きないように注意してまいりたいと存じております。
  243. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 本日の委員会では、時の焦点として国民健康保険のいわゆる改革案について各委員論議が集中をしていますが、私も若干質問いたします。  これは昨年末国保に対する地方負担導入問題が出てきて、当然のことに地方関係団体が反対して結論が出ず、国保問題懇談会が設置をされて以来、検討が行われてきているわけでありますけれども、今検討されている改革の柱は四点あろうと思います。  その第一に福祉医療制度の創設、第二に地域調整施設システムの導入、第三に給付の改善、第四、老人保健拠出金に対する国庫負担率の変更というこの四つかと思いますが、まずその一つ、福祉医療制度の問題について聞きます。  この国保加入者本人に関して、保険給付は一般と区別し制限をするのかどうか、また保険証は区別をするのかどうか。これは、安易に制限、区別をするということは重大な差別になるので、してはならないことだと思うんですが、まずこの点尋ねます。
  244. 下村健

    説明員下村健君) 今回の改革案では、低所得者の医療については、保険制度の形をとりつつも福祉的な観点に立って行うということでございます。具体的にどういう制度の仕組みにするかというのは今後の議論もあるわけでございますが、お尋ねの被保険者証の取り扱いについては、給付内容等の関連ございますが、差別的な扱いにならないよう事務処理方式を考えてまいりたいと考えているわけでございます。
  245. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 保険料は安くするんですか。
  246. 下村健

    説明員下村健君) 保険料は一般の保険料との均衡を考慮して定めるという、大体現在の方式を踏襲することになろうというふうに考えているわけでございますが、福祉医療制度の創設によりまして、一般の保険料は従来の増加傾向を相当緩和することができるのではないかというふうに考えております。したがって、一般の保険料軽減の結果、福祉医療対象者につきましてもその保険料負担が軽減されることになると考えております。
  247. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 保険料は一般の人たちと変わらない、大体同じだと。そうすると、この福祉医療制度という名称を使いながら、一体そのどこが改善をされるのか。収入が低いので国保料の軽減を現に適用されている人たちを対象とする制度をつくるというわけですね。ところが、一体どこが改善をされるのか。  高額医療費は、これはどうなんですか。三万円以下にしようということですか。
  248. 下村健

    説明員下村健君) まだ私どもとしてはたたき台として基本的な考え方を提案いたしたところでありますので、具体的な内容はこれからさらにいろいろ御意見を承りながら検討してまいるわけでございますが、高額療養費の自己負担限度額を特別に引き下げるというふうなことは、一つの有力な案として考えております。  それから保険料は、ただいま申しましたように、一般の保険料がまず医療費の総額に応じて決まってまいるわけでございますが、それを六割、四割というふうに軽減するわけでございます。それで、今回の福祉医療制度の創設によりまして一般の保険料が軽減されることになるわけですから、その六割相当額、四割相当額というふうな福祉医療対象者の保険料も当然にある程度軽減されることになるというふうに考えているわけでございます。
  249. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、現行の保険料の仕組みは変わらないということですね。明言を避けておられますけれども、高額療養費、これが多少下がるかどうか、そこの検討中だということでありますけれども、そもそもこの高額療養費というのは、これは適用者は非常に少数だ、厚生省に聞いても、大体約一・九%だ、百人に二人あるかないかだというふうに聞くわけでありますけれども、その部分について少し下がるかどうかと、こういうことで、これではとてもこの国民的合意が成り立つものではないと思うんです。  だから先日も、十一月九日の目に、全国知事会や市長会を初めとして、地方六団体がこぞって決議を上げている。その決議文を一部引用しますと、「福祉医療制度の創設は、低所得者自身の負担と給付にかかる改善がほとんどみられず、単に低所得者層を分離し、地方に負担を押しつけるものに過ぎず、福祉という名に値しない。」というふうに決議で述べておるわけでありますけれども、結果としてそういうことになるんじゃないですか。
  250. 下村健

    説明員下村健君) 現在の国民健康保険の実効給付率は、七割給付にプラス高額療養費約八%で七八%ということになっております。それをどの程度改善するかということですが、今回私どもが出した考え方の上では、高額療養費というのが有力な考え方ということで御説明申し上げているわけでございますが、試算としてはそれを約八〇%ということで計算をいたしているわけでございます。具体的にどういう改善をすべきか、さらに八〇%で足りないという御意見になるかどうかは、地方団体の御意見もよく伺いながら決めてまいりたいと思います。
  251. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私はそのことを言っているのじゃなくて、国民健康保険の全対象者の中で高額療養費適用を受けるというのはごくわずかだ、きのうの厚生省の説明だって大体約一・九%だと、こういうふうに言っているんですから、そこに改善の方向を少し検討しようかという程度にすぎないじゃないか。福祉医療制度という制度を新しいものをわざわざつくるというのだけれども、そんなものは看板に偽りありということになるんじゃないかということで言っているわけです。  第二の問題、地域差調整システム、この問題についても、同じく十一月九日の地方六団体の決議でこういうふうに言っていますね。「地域差調整システムの導入は、医療費の適正化に関して、なんら有効な手段、権限を与えられていない地方団体に、国の負担を転嫁するものであり、医療保険行政に対する厚生省責任を放棄するものに外ならない。」と、相当強いトーンで言わざるを得ないほどそういう地方自治団体からの反発、批判が起こっている。これはけだし当然のことだと思うんです。  今日の医療制度というのは、特に医療費についてはその根本を政府が決めているわけです。医療過疎ほど医療費は安い、あるいは医療費の高い、こういうことについて地方公共団体に責任はない。その責任のないものに負担を求めるというのは、これは確かに地方への単なる負担転嫁だというふうに言わざるを得ないと思うわけであります。  それで、実際の姿を見たときに、午前中同僚委員からもありましたけれども、例えば北海道であれば二百十二市町村のうち百九十市町村、九割からこの全国平均より医療費が高い。広島県八十六市町村中五十六市町村。京都市の場合も恐らく新たな自治体に負担増が押しつけられるというふうに確実になるでしょうと、京都市の当局者はこの間私のところへ話しに参りました。  こういった点で実際に見れば、地方自治体にとって非常に酷な制度になるということはもう明白であります。厚生大臣大臣の地元県香川県についても四十三市町村のうち十六市町村がこういう負担が押しつけられるということになること御存じでしょうか。
  252. 下村健

    説明員下村健君) 今回の制度で仮に厚生省案のような考え方でやっていくということになった場合には、それに対応して当然、地方財政上でどのような措置を講ずるか、これは厚生省の問題ではございませんが、私どもとしては関係省に要請をいたしまして、地方財政にしわを寄せるというふうなことが私どもの本旨ではありませんので、国民健康保険を安定させる、それに伴って地方にもぜひ一役を買っていただこうと、高齢化社会を控えて、私どもとしては関係者が総力を合わせて国問題を解決いたしたいということで取り組んでいるわけでございます。  したがって、一般会計面で見ますと地方負担がふえるんではないかと、またそれについて地方団体のいろいろ反対論も当然あるわけでございますが、そういう地方財政面での措置あるいは最終的な国庫負担の措置あわせまして、地方財政にしわ寄せをしないように私どもとしては国保財政の安定ということを主眼として考えてまいりたい、こう考えているわけです。
  253. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 あなたはそのように地方自治体側に何らかの手当てがされるだろうというふうにおっしゃっても、そのことについて今その保証ありということで明言はできないわけでしょう。だから、いずれにしても今度の改革案は結局は国庫負担を削減をして地方負担が新たに導入をされるという以外の何物でもないということで、この地方六団体の反対理由の最大の点がこの点にある。  少し具体的な数字から見ていきますと、国保の給付率を八割にするんだとか給付改善をやるんだとか、中曽根行革のもとでずっとやられてきたこの経緯、それを継承してまいりますということを第一のモットーにしておる竹下体制のもとで給付が改善をされるということを信用するのはそれはよっぽどのお人よし、そういう状況のもとで厚生省が何通りかの案を示していますけれども、説明を聞いて、その中での一番厚生省としてはこれを本命の案でいきたいというふうに言っています。その案をもとにして数字を割り出してみますと、国庫負担は二千二百億円減らすということですね。そのかわり都道府県負担千五百五十億、同様に市町村負担千五百五十億円をふやす。合計三千百億円自治体負担がふえる。そして保険料の方はといえば、これは全国総額でマイナス八百五十億円、こういうことになるわけです。  こうなると、これは個々には保険料の引き下げができるというような、そういうようなものではおよそない。だから、明らかに国庫負担を減らして地方へそれを転嫁するものだというふうに言わざるを得ないというのがこの数字から見ても明白になってくると思うんです。しかも、今回のこの地方負担導入というのは、まだ初歩的といいますか、第一段階ですというので、今までの臨調の答申など、あそこから読み取れる問題は医療保険の一元化、こういうことで、この国保の今度切り離す本体そのものにも地方負担を導入をしていこうと、こういうようなことを打ち出しているというその点から見ても、今回のこの福祉医療制度の名のもとに行われる地方負担の導入、こういうものは断じて承知ができないということで地方自治体からの大きな批判と反発が起こっておると思うんです。  そこで、こういうことを軽々にやるべきじゃないというふうに大臣思われませんか。
  254. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) このたびの改革によりまして、先ほど来お話がございます地方財政へのしわ寄せ、この御心配はごもっともだと思うわけでございますが、我々といたしましては、改革に伴う地方財政への影響、つまりしわ寄せは行わない、誠意を持って対処したいというふうに考えております。誠実な実行がモットーの内閣でございますので、どうぞひとつ御支援いただきたいと思います。
  255. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それなら、もう一遍確かめておきますけれども、結果として地方財政にしわ寄せが、国庫負担を減らすその逆に地方自治体に負担の転嫁、しわ寄せがいくというような形でこの問題を強引に進めるということは大臣としては考えていませんというふうに確認していいんですね。
  256. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 誠意を持って対応いたしたいと思います。
  257. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 表現が違うけれども、強引に進めませんという意味だと理解をしておきます。  そこで、そう言ってもなかなか信用ができないのが、国保問題懇談会というのを設置していろいろ相談を始めておるというんですけれども、そこの構成メンバーです。全部で十二人の委員がいますけれども、そのうち地方負担導入に反対だと考えられる人は五人であります。その他の人は全部厚生省や大蔵省のOB、また両省に関係の深い学者ということで、もう最初から結論ありきというか、そういう国保問題懇談会の構成になっている。特に問題なのは、座長役を務めている宮崎勇という方であります。  もう名前をよく御存じの方もあろうと思いますが、現在は大和証券経済研究所の理事長、経企庁のOBでありますけれども、この方が厚生省の準PR誌である「週間社会保障」六月二十二日号の中で、この問題についていろいろ問いに答えるような形で記事が出ておるわけです。そこで国保問題懇談会の審議に臨む座長としての姿勢について語っておるんですけれども、審議のまとめ役として臨む姿勢としては、「制度の見直しということは、誰かが既得権益を譲らなければならない。それは新しい負担ということかも知れない。その調整、説得も難しいが、それ以上にどう説得するかの基準づくりが難しいと思う」ということで、もう初めからどこかに犠牲がいくというその前提があって、それをどういうふうに説明するか、そこがいろいろ知恵の絞り方だという、こういう書き方で、さっき大臣が言われたような決して地方自治体側に犠牲を転嫁するという形で強引に事を進めるというようなことはいたしませんというあの答弁のニュアンスとは、かなり違ったニュアンスの座長発言になっているわけです。  この宮崎さん自身がここにおるわけじゃないから、あえてこのことについてのコメントは求めません。しかし、こういうことでありますから、非常に行く末については危険があるということを強調しておきたいと思うんであります。  そこで、次の問題はアスベスト対策でありますけれども、建築物におけるアスベスト使用の有害性が大きく指摘をされ、その改修工事及び廃棄物処理を安全に行うための指針を環境庁厚生省は十月の二十六日、地方自治体側に通達をいたしましたけれども、果たしてどれだけ徹底をしているのかということについて疑問があるわけであります。学校の関係では既に東京都、愛知県など改修工事が一部始まっていますが、例えばアスベストのファイバーが飛散をしないようにカーテンをかけて工事をやっているんだけれども、暑いからというのでわざわざ風穴をあけてやっているということで、何のためのカーテンかというふうに言わざるを得ない、そういう例があるんですね。ですから、そういう工事がずさんなためにかえってアスベスト汚染が広がるということになれば非常に重大だと思うんです。  そこで文部省、学校における改修工事並びに廃棄物処理が安全に行われるように文部省としての指導方針を至急に確立すること、そして工事関係者にアスベストに関する知識と法令などの徹底を至急に図ってもらう必要があるというふうに思いますが、どうですか。
  258. 木村直

    説明員(木村直君) アスベストの撤去等の指導方針につきましては、さっき先生からの話もありましたように、関係省庁で専門的な立場からいろいろ検討をされているわけです。これまでも撤去や廃棄物処理に関しては、その留意事項についてそれぞれの省庁から関係機関に対して既に通知されているわけですけれども、文部省としましても、これらの通知が遵守されて適正な工事が行われますように、先日各教育委員会に対しまして通知を出してその徹底を図っているところでございます。
  259. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いつ出したんですか。
  260. 木村直

    説明員(木村直君) 十一日付ですから、きのうでございます。  今後とも関係省庁とよく協議しながら、工事が間違いがないように進んでいくように指導してまいりたいと思っております。
  261. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 遅まきながら、きのう通知を出したということでありますけれども、本当にそのことが安全に正確にやられていくように徹底を図ってもらいたいと思います。  そこで、先日文部省は全国の国立学校などにおける吹きつけアスベストの実態調査の結果を公表しました。来年度からその改修促進のために予算執行の条件を緩和して国庫補助を出すという方向で検討しているわけでありますけれども、これも同僚委員からありましたけれども、子供の健康上にかかわる問題として来年を待たず改修が急がれる。恐らく冬休みなどの時期に改修工事を行うところがかなり予想されるわけでありますけれども、人勧に基づく給与改定など第二次補正予算が組まれる、このことも問題になっておるわけでありますから、そういう場合に本年度のアスベスト改修に対する国の補助措置、これを積極的に文部省として検討してもらいたいと思うが、どうですか。
  262. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) お答え申し上げます。  アスベストの改修工事でございますが、現行制度は午前中に御説明したとおりでございまして、一校の工事費が二千万円以上、それから経過年数が十五年以上、こういう条件があるわけでございまして、来年度の概算要求ではこれを緩和するということで要求しているわけでございますが、その基本となる考え方といたしまして、現在の地方交付税におきまして学校の校舎等の改修費、これは投資的な経費でございます。これが小学校で一校六百三十九万円、中学校で五百三十三万円、これだけ交付税措置がされているわけでございます。したがいまして、一般的な校舎の改修については交付税措置でなされているというぐあいに考えております。したがいまして、文部省としましては、大規模改修は二千万円というかなり大きな改修について補助対象にするというのが基本でございます。  ただ、先生御指摘のように、アスベストの撤去改修については児童生徒の健康にかかわることでございますので、これについては特別に来年度さらに要件を緩和して補助対象を広げていく、こういう考え方でございます。それで、既に七月の補正予算におきまして公立学校施設につきましても追加の補正が組まれまして、全部で三百六十三億円くらい組まれているわけでございまして、私どもとすれば本年度はこの予算において優先的に採択をしていきたい、このように考えております。
  263. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 しかし、念のため確かめますが、臨時国会における補正予算措置では依然として二千万円以上というこの枠があるんでしょう、条件が。
  264. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) それは、六十二年度の制度が一校二千万円以上、それから十五年経過という枠がございますので、本年度の事業についてはその枠を外すということはできないというぐあいに考えております。
  265. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 補正予算では、新規事業、要するに小規模の改修の予算計上をするということについては難しいという話もあるんですけれども、例えば臨時国会の予算でアメリカから専用機をわざわざごっつい金出して二機も買うというこれはまさに新規事業ですわね。だから、そういう論法は通らない。それから、先ほど菅野委員の質問に対して厚生大臣は、事厚生省の事業については、緊急を要するものは年度内の見直しもそれはあり得ないわけじゃないというふうにおっしゃったんだから、最終的に大蔵省がどういう態度をとるかというところの問題はありますけれども、ひとつこの問題について何とかならないものかということについて、厚生大臣もああいうふうにおっしゃっておるということも文部大臣に伝えてもらって、省内でよく相談をしてもらいたい。とにかく文部省内でよく相談、検討をしてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  266. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 検討はさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、交付税措置等の関係もございますし、大変難しいものと考えます。
  267. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 余り初めから白旗を上げないでよく研究、検討をしてください。  それからもう一つ、私学の問題です。これについては補助制度がないんですね。さっき六十三年度から四百万円以上云々というが、結局、私学振興財団からの融資によるということになるのでありますが、これでは返済がもちろん必要だし、利率は五・三%ということで、これは今の時世で非常に高金利であります。しかし現状は、日本の教育というのは多数の私学に依存して公教育が成り立っている。こういう状況に照らして、アスベスト対策に限ってでも私学に対する何かの援助措置、そういうものが検討できないか。例えばせめてこの利子補給分ぐらいはひとつ国で何か援助しようかとか、こういう点についてこれもひとつ検討を始めてほしい。どうでしょう。
  268. 泊龍雄

    説明員(泊龍雄君) お答えいたします。  先生ただいまおっしゃいましたように、私立学校の校舎等の施設の整備に要する経費につきましては、原則として設置者の学校法人がみずから整備をするという建前になっておるわけでございます。それで、御案内のとおりこうした校地、校舎等の施設の整備に要する経費につきましては私学振興財団の融資事業をもって援助をしているというのが現在の仕組みになっております。  それで、これらについて何かいい手だてはないかということでございますが、現在の私学振興財団の融資の条件というのは、利率あるいは期間等を総合的に勘案いたしますと十分優遇した事業になっているのだろうと思います。こういったケースに基づく融資の申し込み等がございます場合には優先的に対応するという形を考えてまいりたいと思いますが、それ以外の方法等についてはなかなか難しい問題もございますので検討をさしていただきたい、こういうふうに思います。
  269. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いろいろ考えておるといったって、とにかく五・三%の利率というのは、これは今の時期に高いですよ。ということで、難しいけれども検討するというお答えですからあれだけれども、とにかく何らかの私学に対する援助措置がアスベスト対策に限ってでもできないかということで検討してください。  次に、厚生省に聞きます。  国公私立を問わず、厚生省指導下に病院、保育所などがある。こういう病院、保育所などにおいてもアスベストを使用していることが十分予想されます。ひとつ至急に実態調査をやることと改修促進のための援助措置、これを厚生省としても検討してもらいたいと思うんですが、大臣代表してお答えいただきたい。
  270. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 先ほどの御質問にもお答えいたしましたけれども厚生省監督下の施設、保育所、老人ホーム、病院などにつきまして、アスベストにつきまして性早急に実態を把握いたしまして、改修の必要性のあるものにつきましてはことしじゅうに対応していきたいと考えております。
  271. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次、建設省。  建設省についても対応が現状は消極的だと言わざるを得ないんですね。先ほど来言っています安全な工事のやり方、廃棄物処理処分についての方針について、現在は日本石綿製品工業会がつくったマニュアルを自治体に紹介をしているというこの程度で、国として前面に出た指導がない。至急に国としてのそういう指導方針の確立をしてもらいたいということ。それから、住宅金融公庫の貸付対象に現在もアスベスト建材が含まれているんですね。これだけアスベストをめぐって問題が指摘をされているときに、それはどうかというふうに思わざるを得ないので、これも今ここですぐ結論を求めるわけじゃないけれども、それでいいのかということのひとつ見直しの検討を始めてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  272. 伊藤茂史

    説明員(伊藤茂史君) 先生御指摘のように、天井等に吹きつけられましたアスベストの劣化による周囲への粉じんの飛散等、建築物におきますアスベストが問題になっていることは十分承知いたしております。とりあえず業界サイドでつくりました取り扱いのガイドラインがございますので、これを先ほど先生申されましたように関係者にできるだけ配って、参考にするようにと、あるいは行政の根拠にするようにとも、こういうことでやっておりますが、建設省としましても建築材料としてのアスベストの取り扱いに関する必要な技術、つまり粉じんが出ているかどうかの診断でありますとかその対応措置でございますが、そういう技術に関して建築研究所とともに検討を進めてきております。既に入っておりまして、できるだけ早くその成果を出したい、その成果を踏まえまして対応措置を考えてまいりたいと思っております。  先ほど先生申されました金融公庫の問題でございますが、吹きつけの方はもう既に現在行われておりませんので、これは問題ないわけでございますが、むしろそれ以後のいろいろなアスベストを使った建材の劣化によってどうなるかというようなことが一番問題だろうと思います。これにつきましては、先ほど申しました建築研究所との勉強の成果を踏まえて当然に対応してまいるということで考えております。早急に検討してまいりたいと思っております。
  273. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、環境庁長官お尋ねをいたしますが、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約の批准問題であります。  この条約は、御承知のように一九七二年第十七回ユネスコ総会で採択をされたものでありまして、この条約の目的、全人類のための世界的な文化並びに自然の遺産を各国が協力して保護をしていこう、こういう趣旨でありますけれども、この条約は既に九十四カ国が批准をしています。中でも、サミット七カ国の中で残念ながら批准してないのは日本だけだというちょっと不名誉な姿になってきているかと思います。一九七二年からもう十五年たとうとしておりますけれども、なぜそんなに事が進まないのかいささか理解ができないということで、これを批准しますと、加盟すると基金を積んで、経済的におくれておる国に対しての相互援助をやっていくという基金の支出が必要になるというんですが、日本の場合ですと年三千万円程度。そうすると、この経済大国を誇る日本でそれぐらいの支出、拠出金がネックになるとも思えないわけであります。そうした点で、文化遺産及び自然遺産の保護のこの基本趣旨に照らしまして、これを早急に日本としても批准するというのが、国際国家日本、こう言うならばその方向じゃないか。こうした点で、もちろん環境庁だけで結論が出せる問題じゃない。外務省、文部省、環境庁の三省庁の協議で結論が出るということかと思いますけれども、またそういうことでいろいろ協議が行われておるということですが、その中で環境庁としてはこの条約の基本趣旨に照らしてかねてから賛意を表明をされておるということでありますので、ひとつできるだけ早くこれが批准できるように三省庁協議検討のひとつ促進方を大臣に特にお願いをしたいということですが、どうでしょうか。
  274. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) 佐藤先生、もう非常に詳しくて、何もかも御存じの上でおっしゃっているような感じでございまして、私もこの条約の趣旨は、おっしゃるように賛成でございます、望ましいものと思っております。ただ御承知のように、もうおっしゃっていますけれども、国内法ございます。文化財保護行政というのを日本はやっておるわけなんです。もう一つは、今おっしゃるように財政負担の問題、まあ大したことないとおっしゃるけれども、ございます。この二つ、別の省であるわけでございますので、我々としては関係省庁とこれはできるだけ早く結論が出るように検討を進めたいと思います。
  275. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ぜひひとつ御努力を願います。  あとちょっと残っていますから、私もたばこのことで一つ。  同僚議員からもありましたように、第六回喫煙健康世界会議が開かれておりますけれども、その中でも、国際的に見ても日本の対応というのは余り芳しくないわけです。それで、厚生省たばこ白書の中でも、WHOが厳しく広告の規制や禁止、表示の徹底、こういうことについて何回か勧告をしておるということも記述をされております。この広告の規制問題で言えば、一九八二年の段階で国内での広告を禁止しているのが十五カ国、厳しい規制十二カ国、ところが我が国は極めて自由で、テレビコマーシャルなどは全く自由にやっておるというような姿だと思います。ですから、一つは、公共施設や輸送機関、鉄道などにおける禁煙スペースの拡大をする、こういうことは行政指導でやれるものですので、ひとつ厚生大臣、閣議などの場で関係省庁大臣にそれぞれの検討を要請してもらうということが一つと、それから、さっき言いました過剰なというか、国際的に見ておくれた日本のたばこについての過剰なコマーシャル、こういうものについてはもっと規制をするという、この点での御努力をお願いしたいと思います。
  276. 北川定謙

    説明員(北川定謙君) 先生御指摘のように、たばこの健康影響問題、世界各国で大変深刻にいろいろな議論が展開されておるわけでございますが、たばこの問題というのは人間の生活と非常に長い関係があるわけでございまして、各国の国情に応じていろいろと対応をしてきておるというのが現状ではないかと思うわけでございます。我が国においても将来に向けてたばこの健康影響というものがだんだん大きくなるということを、私ども健康を預かる役所として、この問題については国民に正しい認識をまず持っていただく、こういう観点からこの十月に「喫煙と健康問題に関する報告書」というものを発表をさせていただいたわけでございます。これを一つの契機として、国民的にたばこの健康問題について十分理解を深めていただく、これは今先生御指摘の広告の問題あるいは喫煙場所の問題等も含めて今後議論を展開してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  277. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) 分煙対策につきましては力を入れてまいりたいと思います。コマーシャル問題につきましては、実態をよく把握した上で関係省庁とよく連絡してまいりたいと思っております。
  278. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 藤本厚生大臣及び堀内環境庁長官、いろいろ難問が山積しているときにそれぞれ大臣及び長官になられて、お役目御苦労に存じます。  まず最初環境庁の問題を取り上げます。  これは既にきょう午前中、菅野委員から質問がありました。私の問題と全く同じで、経済先進国と言われている日本が多くの環境行政の点についておくれていると私思います。特にワシントン条約、絶滅に瀕した野生動物の保護に関する条約の点について発展途上国というふうに言われるということは日本のために非常に不名誉であり、それを少しでも改善していく、そういう角度から環境行政をバックアップする意味で質問したいと思います。  先般国内法が制定されましたし、また政令も先般制定されました。それなりの前進であると思いますけれども、国内法の採決のときに参議院の環境委員会でも附帯決議をやっております。その附帯決議の点からまだまだ足りないのではないかと思う点を先ほど菅野委員から質問をされましたので、できるだけ重複を避けまして質問したいと思います。  附帯決議の方では、ワシントン条約附属書Ⅰに掲げる種のみでなしに、同条約の効果的実施に役立つようその範囲を定めることを求めておりますし、また条約の留保品目の削減に努めるように求めております。ところが国内法では、条約上留保したタイマイ以下十二品目ですかが除外されている。これは、条約上留保した以上、国内法で譲渡を規制することはできない、そういう理由だと思うのでありますけれども、その十二品目を留保した理由はどこにありますか、それをお聞きしたいと思います。
  279. 金子義和

    説明員(金子義和君) お答えいたします。  御指摘の十二品目のうち、御承知のとおり鯨類が六品目ございます。鯨につきましては、国際捕鯨委員会、いわゆるIWCの科学小委員会によっても、これら鯨六品目は絶滅のおそれがないというふうにされておるものでございまして、そういうその整合性の観点から日本は留保を付しているものでございます。  それから、ウミガメ等五品目の爬虫類につきましては、それらを専ら原料として輸入し、加工、販売している業界等、これが極めて零細な業界の者が多い、また当面これらの原料にかわるものがないのだということで、輸入が途絶えると大きな打撃をこうむることになる。したがいまして、このような社会的に大きな問題を回避する必要があるということから留保を付しております。  なお、もう一つのジャコウジカにつきましては、従来から使用量の削減等を進めているということでございます。代替品の研究開発が鋭意行われてきておりまして、ある程度の代替品の使用についての見通しがついてきたというところでございます。したがいまして、近く二年後ということをめどに留保を撤回するという方向で検討しておるということでございます。
  280. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 鯨類はちょっと問題がありますから除きます。それから、ジャコウジカは代替品の開発が進んでいるので二年後に留保を解除する、それも評価いたしますが、それ以外のヒメウミガメであるとかオオトカゲ、これは言われたように確かに零細企業なんかがありますし、急に留保を解除して全部輸入禁止にしてしまえば、それは確かに打撃は受けると思いますけれども、しかし国際的に禁止している品目でありますから、やはりできるだけ早く何か代替品でも見出して、あるいは適当な保護をするというふうな方向で、これも一日も早く留保を解除するようにすべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。
  281. 金子義和

    説明員(金子義和君) 先生御指摘のとおりでございまして、関係省庁におきましても、それぞれ留保している種類の特性に応じて、例えば人工増殖の可能性とか、そういうもののいろいろ調査研究に対する助成を行うとかいうことをいろいろやっておりまして、例えばワニの生息調査等もやっておるわけでございますが、そういったものを含めて代替品の開発等、留保解除が可能となるように鋭意努力しているところでございます。
  282. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 関係省庁と連絡して一日も早く解除できるように努力していただきたいと思います。  それから、留保品目でないもので国内法の規制から漏れているものがあるわけですけれども、例えば条約附属書のⅡに書いてあるもの、つまりすべての原産国で輸出禁止ないし厳しい輸出規制をしているアルゼンチンのタテガミオオカミとかオーストラリアのヘイワインコ、そういったふうなものがあるそうですが、これはつまり税関の水際規制をくぐり抜けてしまうと、後は国内では、知らない人から買ったのだと言ってしまえば、関税法違反で摘発するということは困難だろうと思う。あるいは政令別表第一に掲げてあるクマの類の加工品、敷物ですね、トカゲの加工品なんかもそうですけれども、これも規制の対象から外れているんです。こういうものを外した理由はどこにありますか。
  283. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) まず附属書Ⅱに掲げられております動植物の点でございますが、これは先ほど御説明いたしましたように、確かに法案の審議の段階で、両院におきまして何か原産国がこぞって厳しい輸出規制をしているようなものが取り上げられないかということで検討はいたしたのでございますが、やはり条約上の附属書ⅠであるかⅡであるかは、具体的に申しましても水際規制での手続が違っております。国内法では実は原則禁止、一定の条件の場合は許可をするということで、許可の対象にするためには従来の輸入手続のほかに新しいチェックを加えませんと許可に持ち込めないということもございまして、何かその辺の工夫はないかということは確かに関係省庁と相談したのでございますが、今日までのところ適切な結論が得られなくて、もう少しこれは政府部内で検討したいということで持ち越しになっておるわけでございます。  先生が今御指摘になりましたヘイワインコ、タテガミオオカミ、これは非常に幾つかある中でも貴重なものと言われておりまして、実は、合法的なといいますか、手続をとった輸入の実績はこの一、二年ございません。むしろ全原産国からの厳しい規制をとっているけれども、保護のレベルは低くてもいいものもまざっておりますものですから、これはたしか附帯決議におきましても、適正な評価をした上で附属書Ⅱを取り込むべきだという御指摘のあったことは、その点もあろうかと思いますので、繰り返すようでございますが、もう少し私どもの部内での検討をさせていただきまして、また法律の実施状況を見ながら、見直すべきときには見直すという態度で臨ましていただきたいと思っておるのが第一点でございます。  それから、毛皮敷物の件でございますが、これは率直に申しまして政府部内でいろいろな検討をいたしました。御存じと思いますが、今回の国内法の適用になりますと、売り買いのたびに登録票をつけなければいけない。場合によっては許可を取らなきゃいかぬわけでございます。敷物で、例えば一頭分の敷物を二つに分けた場合にもう一遍登録を取り直すということで、非常に実際の実務に乗るかという点の心配はございます。  それから、むしろそれよりも先に、デパートに行きますと山と積んである敷物、これが禁制品かどうかは、大変な手数をかければチェックすることも可能かと思うのでございますが、私も一、二デパートの売り場なんかを歩いてみたのでございますが、なかなかこれがどういうもののも皮であるかは識別しにくい点がございます。そんなことから全くこういう剥製類を野放しにしていたんじゃございませんで、剥製として珍重がられるものの姿、こういうものは今回の政令でもばっしり規定しているわけでございます。  そんなことから、この辺は見直すというよりも、むしろ法律の実行体制を考えますと、例えば魚の卵の話とか植物の種子の話と似たような点で、なかなか国内行政責任を持った態度がとれない点から政令に規定し得なかったということでございます。実情実情でございますが、御指摘のようにこういうことがあるために内外に誤解を与えることがないように我々も何らかの工夫も加え、また場合によっては見直しの検討もしたいというのが実情でございます。
  284. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 敷物でも二つに何か切ってあったらなかなかこれは区別がつかないと思いますけれども、頭や手足のついているものなんかは、これは簡単に見分けられると思うのであります。  いずれにしましても、やはりこれは国民の啓発と申しますか、そういった輸入禁止にされているあるいは国際条約で保護を必要とされているようなものを持っているということが何か名誉であるというか、自分の金持ちであるということを表示する、そしてまた、それをほかの人がうらやましがる、そういうふうな雰囲気があれば、これはいかに条約をつくっても、あるいは国内法をつくってもなかなか抑えることは難しいんじゃないかと思います。やはり、むしろそういうものを持っていることは恥ずかしいのだというふうな国民の世論の啓発が必要じゃないか。そういう意味で、こういったふうな規制を厳重にすることは当然ですけれども、同時に国民の世論を啓発する、そういう運動をやっていただきたいということを希望しておきます。大臣、ひとつこの問題について後進国と言われないように大いに頑張っていただきたいと思いますけれども大臣のお考えいかがですか。
  285. 堀内俊夫

    国務大臣堀内俊夫君) おっしゃるとおりでございます。ワニ革のハンドバッグがはんらんしたり、トカゲのものが持たれておって、制約すれば制約するだけ貴重品になってきて珍しいものになる。そういうものを持っている者が非常に金持ちだというような雰囲気があったのではざる法になってしまいます。だから、今先生が御指摘のように、国民のこういうことに対する考え方というものがやはり一番大事じゃないか。もう今は日本は世界国家の一員にならなきゃならぬというときに、こういうおくれた考えがまだ珍重される状態では非常に困ると思います。  ただ、現状からいって、法律で規制していくというものが守られなければ何にもならぬようになってしまうからこのような決め方になったという、現状を踏まえての決め方になったということを私も理解できるんですけれども、しかしそれであってはいけないわけなんで、これから法律の実施状況の中で見直すべきものは見直していく、これはやっぱりどんどんやっていくべきだと、こういうふうに考えておりますので、皆さん方もよろしく御指導お願いいたしたいと思います。
  286. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 それでは、次は厚生省の方に移ります。  今度の六十一年度の厚生白書を読ませていただきまして、現状分析でありますとか、それからどういう点に問題があって今までどういうふうに解決してきたか、そのことはよく書かれていると思うのであります。若干専門用語なんかが書かれていて普通の人はわかるかなという点はありますけれども、全体としては、そういう点はよく書かれていると思うんですけれども、今後の問題として、高齢化社会を迎えて社会保障関係の負担かだんだんふえていかざるを得ない。これにどう取り組んでいくか。  私、ある雑誌で厚生省の分析をしている論文を読んでおりましたら、今の厚生省局長さんたちは、一九五〇年-六〇年代、日本に福祉国家をつくるんだ、欧米に劣らない福祉国家をつくるんだという意気込みで厚生省に入ってこられたそうで、その努力が実りまして、確かに日本も大体の水準におきましてはヨーロッパ先進国並みになったと言える。その点は評価いたしますけれども、しかし同時にその成功したことが多くの問題を生み出した。こんなに急速に高齢化社会になるだろうとは、私自身福祉国家を唱えてきたんですけれども、予想しませんでした。厚生省人たちも予想しなかったんではないかと思いますが、そういう高齢化社会を急激に迎えたということからくる係国民負担の増大の問題があります。  現在の福祉を維持していくためにはやはり負担を高めていかなくてはいけないだろう。しかし、そのためには、一方においては合理化といいますか、負担及び給付における各制度間の公平化を図っていかなくてはいけないと同時に、今後これを統合なり一本化していく場合にどういうところに問題があるのか、それを具体的に示して、そしてこういう選択肢があるのだ、こういう選択肢をとればこういうメリットとデメリットがある、こういう選択肢をとればこういうメリットとデメリットがあるという点をこの厚生白書に書くべきじゃないかと私は思うんですけれども、これからはどうするかという問題になってくると非常に抽象的、何を考えているのかよくわからない。厚生白書というのが国民理解を得るためのものであるとしますならば、やはりそういう今申しましたような問題も書くべきじゃないか。その点からそういう論議を呼び起こすその一つの資料としてきょう若干質問したいというふうに考えております。  それで、まず最初年金でございますが、この白書の中で、「七十年を目途とする公的年金制度全体の一元化に向けて、給付と負担の両面において年金制度間の調整を進めていくこととしている。」、非常に抽象的なんです。それで、具体的な問題としてお伺いしたいと思いますが、国民年金とそれから被用者年金、地域年金国民年金の方と、それから共済年金及び厚生年金を含めて、被用者年金の方の違いは、先般の制度改正で基礎年金というのは共通になりましたけれども、いわゆる国民年金の方には、二階建て部分といいますか、報酬比例部分がないわけで、この国民年金の方にも公的年金としての報酬比例部分をつくったらどうか、そういう意見が出ております。しかし、また他方においては、そういった報酬比例部分に当たるようなものはむしろ民間の年金保険に任せておいた方がいいのではないか、そういう意見も出ていると思うんですけれども厚生省の現在のお考えとしてはどういうふうにその点お考えですか。
  287. 水田努

    説明員(水田努君) 先生御指摘のとおり、いわゆる一階部分に相当します基礎年金につきましては、自営業者であれ被用者であれ、全国民一律に加入ということになっておるわけでございますが、その上にサラリーマングループはいわゆる二階建て部分を持っているわけでございますが、今先生御指摘のとおり、自営業者のグループについては二階建てに相当する部分がないということでございまして、やはり被用者グループとの均衡からいって、自営業者のグループについても公的な形で二階建て部分を構築すべきではないかなと、私どもこのように考えているわけでございまして、その場合に公的な形で構築する場合のやり方が二つあろうかと思います。  一つは、サラリーマングループと同じく所得比例の二階建てをつくるというやり方があるわけでございますが、御案内のとおり、自営業者の場合は業態が多種多様でございまして、その基礎になる所得を的確に公平につかめるかと、こういう問題等もございますので、私どもはむしろ現実的には現在法律上はございますが動いておりません国民年金基金を本当に加入しやすいものに改善していく、そういう方向で現在検討をいたしているところでございます。また、それ以外に私的年金は私的年金として自営業者の方が自分の設計される老後の生活に見合って加入されることは、これはもう非常に結構ではないかと、このように思っておる次第でございます。
  288. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 今おっしゃったようなことをこの白書にもちゃんと書いて、こういうメリット、デメリットがあるのだということを書かれると、国民関心を集める上においても非常にいいのではないかというふうに感ずるわけです。  それから、国民年金と被用者年金の厚生年金の比較は厚生白書によく書いてあるんですけれども、同じ被用者年金である厚生年金と共済年金の比較、それになりますとほとんど触れていない。ちょっとは触れてありますけれども、詳しくは触れていないわけです。やはり国民関心を持っているのは、年金についても官民の格差があるのではないかということに国民関心を持っているわけです。中には誤解してそういうことを言っている人もあるわけですから、その点からも共済年金と厚生年金、給付と負担の面でどこがどういうふうに違うのだということを書くべきじゃないかと思うんですが、これは書いてないので、それを補う意味で私の方から質問いたします。  共済年金では職域年金があるわけです。それに相当する厚生年金の三階部分といいますか、企業年金、これにも企業年金と適格退職年金とあるようですけれども、この三階部分に加入して、それで受給している人は厚生年金加入被用者の何%ぐらいに相当するか、実情をまずお聞かせ願いたいと思います。
  289. 水田努

    説明員(水田努君) 厚生年金基金制度は四十一年からスタートしたわけでございまして、現在既に二十年を経過しておりまして、加入者の割合は被保険者全体の約二七%に相当する者が加入をいたしておる現状でございます。
  290. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 厚生年金と共済年金でこれは比較がなかなか難しいのは確かに事実ですけれども、ごく大ざっぱに言って給付と負担の面でどの程度の違いがあるのか、あるいはないのか、それをちょっと簡単にお答え願いたいと思います。
  291. 水田努

    説明員(水田努君) まず掛金の面で申し上げますと、厚生年金の男子の場合の保険料は一二・四%でございます。共済組合も、日本鉄道共済組合、昔の国鉄共済でございますが、これは最も高くて一六・九九%、それから最も低いものは私学共済でございまして一〇・二%、こういうふうにそれぞれの歴史、沿革によって保険料負担に違いが生じております。  また、年金額につきましても、現実に支給されているものについてはかなりの格差がございます。厚生年金は、現在支給されておりますのは月額で申しまして十二万円程度でございますが、先ほど保険料率の最も高い国鉄共済は十七万五千円近くでございます。それから、共済組合で最も高いのは地方公務員等共済組合で、月額で約十八万四千円程度、こういう開きがございます。
  292. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 そういう比較をやはりこの厚生白書に書くべきじゃないかと思うんですけれども、共済年金の方はつまり担当官庁が違う、監督官庁が違うという意味で書かれないのではないかと思うんですけれども、それが原因でございますか。私はやはりこれは書くべきだと思うんです。
  293. 水田努

    説明員(水田努君) 今先生が御指摘された面が全くないと言えばうそになろうかと思いますが、厚生年金国民年金で公的年金の九割を占めているわけでございますので、やはり残り一割の共済についてもこれからできるだけ書くようにして、国民の皆さんに公的年金の全体像がつかめるように私ども今後やはり工夫努力をしてまいらなきゃならぬ、このように思っております。
  294. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 人数からいうと九対一ですけれども、やはり国民が一番関心を持っているのは、先ほど言いましたように官民の格差があるのじゃないか、これは昔からの因縁があるものですからそういうふうに考えるのも無理ないと私は思います。しかしそれは、だんだん話を聞いてみると、誤解に基づいている部分もあるわけで、そういった誤解を解く意味においても、やはりそういうことははっきり対比して書くべきではないか。  そこで、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども厚生大臣は同時に年金担当大臣でありますね。ところが、例えばこの白書の書き方を見てもわかりますように、共済年金の方についてはほとんど触れないというふうなことになるのは、共済年金というのは結局大蔵省が持っている国家公務員の年金、これがもとになって、あと私学共済、農林共済、地公共済、大体右へ倣えしているわけで、やはりこういう担当官庁がそれぞれ大蔵省なり文部省なり農水省なり分かれていることが、そういった各省間で遠慮のし合いというんですか、本当の年金行政が一元化する上において障害になっているのではないか。私は、これはやはり実際に金を払う実施の担当者は別としましても、この一元化を図っていく場合にどういうふうな方式でやっていくかというふうなことは、これはやはり厚生省でやるなりあるいは年金省というふうなものをつくってやるなり、そういうふうに一元化すべきではないかと思うんですけれども大臣いかがでしょう。
  295. 藤本孝雄

    国務大臣藤本孝雄君) ただいまの御意見、将来の問題といたしましては非常に私も傾聴すべき御意見だと思います。ただ、今の時点におきまして一気にそういうすべての公的年金の所管を一元化をして厚生大臣が担当するということにはなかなか現実の問題としては難しいというようなことから、年金問題担当大臣として厚生大臣が現在あるわけでございまして、公的年金制度に関する関係閣僚懇談会、これを主宰して、その場でいろいろな問題について調整を行っておるところでございまして、現状におきましてはそういう場において解決をしてまいるのが現実的だと思いますけれども、将来の問題としては、公的年金の一元化ということを考えますと、行政におきましても一元化をしていくという先生の御意見はまことに傾聴に値する御意見だと考えます。
  296. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 私も今の日本の官僚制度のもとで直ちにそれが実現できるとは考えておりませんけれども、その方向だけは見失わないようにしていくことがいいのではないかと思いますし、また厚生白書の書き方なんかでも、来年度あたりから今申しましたような点について工夫をしていただきたいというふうに考えております。  それから、医療保障の問題についてはもう既に同僚議員から取り上げられました国民健康保険の改組の問題ですけれども、福祉医療制度をつくるとか地域差調整システムを設ける。それによって、結局このポイントの一つは、地方自治体、特に今まで関係がなかった都道府県に国庫で負担したものを引き受けさせる。その財源は考慮するにしましても、地方自治体に引き受けさせるという点にあるだろうと思うんです。その点について都道府県知事の会合なんかでは反対の決議なんかなされているようであります。私は必ずしもそれが全部悪いとは思いませんけれども、もし地方にそれを負担させるについては、やはり合理的な根拠がなくてはいけない。それをやはり国民に訴えて、こういう理由であるから地方自治体に負担させるのだということを言わなくちゃいけないだろうと思うんですけれども、どういう根拠で地方自治体、特に都道府県にそれを負担させるのか、その根拠はどういうところにありますか。
  297. 下村健

    説明員下村健君) まず福祉医療の問題でございますが、福祉医療については従来の保険という社会保険ではありますが、そういう社会保険原理に基づいて、かかった医療費を加入者が分担する、国庫負担部分を差し引いた残りを分担するというのが費用負担の原則になっているわけですけれども、現状から見ますと、なかなか低所得者についてその原則だけで割り切っていくというのが難しくなってきているのではないか。したがって、低所得者については応分の負担はしていただきますが、公費主体の制度に切りかえてはどうだろうかということがあるわけでございます。そういうことで考えますと、一般の社会福祉制度と同様に地域的な負担というものが導入されてしかるべきではないか、このように考えたということでございます。  それから、医療費の地域差という問題については、これは年齢による医療費の差という部分については地方団体が責任を負い切れない分野でありますので、年齢差に基づく問題についてはこれまでも老人医療あるいは退職者医療というふうな形で調整組織をつくったわけでございますが、さらに残っている地域差の中で年齢差分は国の負担で調整をしよう。さらにそれを差し引いた残りの地域差については、これは比較的地域的な色彩が強いものということで、地域的な受益というふうなことも考えて、地方負担でやってはどうかというふうに考えたということでございます。  また、現実問題として福祉的な観点から、これは現在の制度では地方財政計画なんかにも組み込まれていないんですけれども、かなり一般会計からの負担が行われている。住民福祉というふうなことで説明されている場合が多いわけでございますが、負担をされているという実態もございます。それらをどう考えるかという問題もあろうかと思っているわけでございます。  年金医療と両方社会保険でございますが、両方比べてみると、やはり医療の場合はどうしても地域性というふうなものが残ってくる。需給関係とかあるいは医療の供給体制の問題とか考えていきますと、どうしても地域的な問題というものが医療の場合には影響してくるというふうな気がするわけでございます。大きく言いますと、そういうふうな医療問題の特質を考えますと、これからの高齢化社会に向かう上で医療保障というものを考えてみますと、やはり地域も一緒になってこの問題に取り組んでほしいというのが私どもの気持ちでございます。
  298. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 地域差調整の問題で、年齢、これは別にしなきゃいけないですけれども病院なんかが行き届いているところは医療費も多い、それてそれぞれの地域に負担させるという考え方だろうと思うんです、受益者負担という考え方は。しかし、例えば北海道みたいなところはかなり寒い。そういうふうなことで、やはり病気の発病率なんかも多いのじゃないかというふうに考えられるわけで、病人が多ければ当然医者も多くなる、そうすると医療費も多くなるわけで、そういった多くの要因を考慮しないで単なる年齢差だけの面を国が負担するというのではちょっとみんなの納得を得られないのじゃないかというふうに考えるんですけれども、どうでしょう。
  299. 下村健

    説明員下村健君) 確かに、医療費の地域差に何が影響を及ぼしてくるかということになると、いろいろな要因があると思うわけでございますが、なかなか一〇〇%解明するというのは難しい面がございます。そんなことで、一応基準医療費ということで考えたわけでございますが、平均値ということでやってみてはどうかということになっておりますが、そのような事情もありますので、一定幅のアローアンスのようなものをつけてはどうかということも試算の上では示しているわけでございます。  それから、北海道あたりの状況を見ますと、いろいろな原因がほかにもあろうかと思いますが、季節的な要因で入院の患者が動いているということはないようでございます。したがって、余り季節的な問題ということは直接にはどうも影響してないようだ、こんなふうに思っております。むしろ、現状から見ますと、北海道の医療費が高い最大の要因は、入院日数が非常に長いというところが影響しているというふうに考えております。
  300. 関嘉彦

    ○関嘉彦君 その問題はまだいろいろ聞きたいんですけれども、時間がなくなりました。あと一分しかないんですけれども、ちょっとお許しいただきたいと思います。これ一つだけぜひ聞いておきたいことがあるんです。  現在、病院あるいは診療所などは、医療法の規定によりまして管理者は医者でなくてはならないということになっているわけですね。歯科医が中心になっている場合には歯科医でなくてはならない。私は、一般的には確かにそのとおりだろうと思うんです。しかし、単に体だけではなしに、体と心の双方の治療といいますか、人間らしい生き方を保つことが医療の目的であるといたしますならば、果たして医師のみに病院ないし診療所の管理者を限ることが適当であるかどうか。  これは私、実際に話を聞いたんですけれども、ある宗教団体、社会福祉法人が経営している病院の例なんです。例えば末期患者の治療の場合でも、その設立者の方からすれば、できるだけ患者の精神的な安定を図り、そして人間らしい死に方――人間らしい生き方ということは同時に人間らしい死に方だと思うんですけれども、そういうのを迎えさせてやりたいというふうに考えているんですけれども、医師の方では医学的な研究心からむしろ臓器の治療に中心を置いて必ずしも設立者の目的どおりにはなってない、かえって患者の精神的な安定を乱すというふうな治療も行われている。  そういうふうな問題がありますし、また医者が必ずしも看護婦なんかの人事管理がうまいとは限らないので、そういう点から、これは無制限にやるということは私は非常に危険だと思うんですけれども、一定の条件を備えた場合には都道府県知事の許可を得るなりなんなりして医者以外の人にも管理者ができるように、何かアメリカあたりではそうなっているそうでありますけれども、そういうふうなことを考えるべきではないかと思うんですけれども厚生省はどういうふうなお考えですか。そのことを聞いて質問を終わります。
  301. 仲村英一

    説明員仲村英一君) その場所で医療が常態的に行われている場合の管理は、やはり私どもとしては医師でなくてはいけないというふうに考えております。  今お話しの、例えばホスピス等で医療施設に位置づけられておらない場合には、もちろん医師でない方がおられる場合があるでしょうが、外国の制度と私ども日本の場合とでは非常に違うわけでございますし、がんの告知の問題でございますとか患者さんの残されたクォリティー・オブ・ライフの問題あるいは終末医療をどう考えるかというふうなこと、いろいろの問題がそういう問題と関連してきておるわけでございまして、私ども今、末期医療のあり方につきましての検討会を設けておりまして、そこでそのような問題も全部含めまして御検討いただく予定にしております。その中で出てくることであろうと私どもは考えておりますが、原則的には、医療の行われる場所の管理はやはり医師でなくてはいけないというのが私どもとしては原則として考えるべきではないかというふうに現在のところは考えております。
  302. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 他に御発言もないようですので、厚生省環境庁及び環境衛生金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明十三日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会      ―――――・―――――