○
大塚委員 大蔵大臣の御
答弁の中で仮
需要というお
言葉がありました。私は、まさにこの
需要が仮
需要であった、そのために
土地の
値段が上がったという御
指摘を申し上げたわけであります。
国土庁長官並びに
建設大臣のお
言葉を聞いて、私はどうしてもまたもう少し申し上げなければならぬことがあります。実は、行革審の
皆さんの
お話や、あるいは
各界各層の
土地問題に対する御
発言を聞いておりますと、
東京は
国際化が進んで
東京に大きな
金融市場が生まれて大変旺盛な
需要があるんだということがしばしば語られるわけであります。実際に、それでは
金融市場というのはどういう
実態なのか、本当にそんなものがあるんですかと私はどこへ行っても申し上げるのでありますが、大変に残念なことに、
実態を調べればそんな旺盛な
外国企業の進出の
需要はないんだということなんであります。ここが一番問題なんであります。
大変に恐縮ですけれども、きょうは国鉄清算
事業団の
理事長もおいでになっているのですが、国有地の処分についていろいろな問題がありました。時間がありませんから、私は簡単に言いますと、そういう旺盛な
需要があるから国有地も
民間に払い下げるんだという発想は非常に残念なことであります。元来、国有地というのは
国民の
土地でありますから、
公共事業等に使うというんなら別として、
民間の利益を生むような
事業のために
土地を払い下げるというのは、原則論として私は大きな誤りである。その辺のことがひとり歩きして、過大な
ビル需要があるんだという幻想に包まれて地上げ屋が横行してこういうふうになってきた。あちこちで金余りだということをおっしゃるけれども、金余りで
土地が上がったというなら
東京だけではおかしいわけであります。
東京だけ金が余るわけがない。大阪も北九州も上がってなければおかしいわけであります。やはり
土地の上がった根本的な理由は、その仮需なんです。
御
参考までに、これは自民党の民活の会もできて、民活、民活といって、何か民活が最大の課題のようになってきたこの五年間でありますが、実はその民活の
委員会で赤坂のアークヒルズを
ごらんになったことがある。率直に申しまして私も
委員でありますが、そこに同行された方々の
お話も承りました。あのアークヒルズの
ビルはホテルと
事務所棟が大きく建っておりますから、一見そちらだけに目が向いているのでありますが、これは
建設省が長年、私も地元の議員として
東京都の都議会の議員もやりましたから、これからの
都市の再
開発はこうあるべきだというのであの
周辺の住民に呼びかけまして約二万坪、みんなで共同で参加をした再
開発をやろうということでスタートをしたプロジェクトです。そのときに、私は関連の組合の
皆さんやあの主として森
ビルの
皆さんにも、
ビルを建てて貸す仕事はこれは利益につながることだ、住んでいた人を追い出してそんなことをやるのは間違いだ、住んでいる人が従前よりふえるようなことにその企業が協力をするという再
開発ならば私も応援をしようということで始まったわけです。あそこには、約二万坪で木造ですから前に千人程度住んでおった。あの大きなホテルと
ビルの裏側に約五百五十戸の
住宅を義務づけまして、これは再
開発法のもとでやったわけです。その中に大蔵貧の宿舎がありました。元来、私は公務員の
皆さんがいわゆる官庁の移転をするというようなことは、これは長期的なマターですから、やはり今公務員の
皆さんが一生懸命働いていただくためには、二時間も三時間もかかって通ってくるようなことでは能率が落ちるわけですから、公務員宿舎もどけてしまうのは余り賛成ではなかったけれども、それでも
夜間人口がふえるならばというので、大蔵省にお願いをして再
開発組合にいわゆる公共的な
施設をつくるという前提で払い下げていただいて、そして約五百五十戸の
住宅をつくったというのがあのアークヒルズです。そこへ民活の
委員会の
皆さんが見に行ったときに、組合側の説明で大変に
ビル需要が旺盛だという話をしたやに伺った。そのときに、外国の企業が大部分入るのだなどという話が今度はどんどんひとり歩きしました。ですから、これからは
国際化が進んで
ビル需要が旺盛にあるのだという話に広がっていってしまった。
長官も
大臣も
国際化という
お話をされるから、私は実は次の
ページに外資系の企業の立地件数の
推移というものを用意をしてあるのです。つまりこれを見ていただければ、極めて旺盛であったのは
昭和五十年であります。このころ、世界の
金融機関がかなり
東京に進出をしてきておりまして、
金融市場らしきものができ上がりつつあったわけでありまして、その後はそんなに旺盛なものではありません。横ばいであります。しかも一番下の表に、この真ん中の表は時間がありませんから省略いたしますが、一番下の表にアークヒルズの
事務所の床の分布を書いておいたのですが、外資系の企業は大半というのは間違いで五〇・七%であります。そして、それがあたかも外国から入ってきたような印象を与えますが、
実態はどうかというと、丸の内や虎ノ門やその辺のところから移ってきた人が大部分でありまして、外から来たのはわずか四%であります。そういう
国際化という
言葉がまた仮需を生んで、
ビルが足りないのだ、足りないのだという話につながってきている。そこが私は
土地問題の一番恐ろしいところだと思うのです。
ですから、
総理の御
発言やまさに
国土庁の
数字は、さっき
大臣のお答えではともかく多少の多い量であったとおっしゃるけれども、多少というのは二割か三割でありまして、倍というのは、これは
数字としては全く奇想天外な
数字であるわけです。
民間企業というのは大変敏感です。
土地は資本ですから、
土地を買って寝かせたらそれは
事業の量も制約されてきますし、それから第一に
民間企業というのは利益を上げるわけですから、損をするようなところになかなか投資はしない。つまり、そういう仮需と
総理の御
発言等が相乗作用になりまして
土地に買いが入ったわけでありまして、昨年私はそんな論文を書いて
需要はないということを言い続けてきました。業界の
皆さんは敏感ですから、なるほどそう言われてみればないのだなということでありまして、今この
委員会で
土地問題をやっておりますが、これは
国土庁も
数字を持っていると思いますけれども、この一月から七月までの
数字をもとにしたこの十月に発表した
基準地価は、何と
都心は実際にもう横ばいから下がりかけておるではないですか。それ以上に旺盛な
需要があるなら下がるはずはないわけです。なぜ下がってきたかというと仮需であおられたからでありまして、もう既にそれは終わった。
そして買いかえの制度がありますから、
東京都知事がこれを心配して
国土利用計画法の監視区域を広げたり
努力をしましたから、まあ私はその
国土利用計画法の中身というのは時間がないのでまだ話ができませんが、これは言うなれば精神規定でありまして、スピード違反をしそうな自動車の走っていく
道路によくお巡りさんが人形で立っております。そんなものでありまして、取引を指導するということによって多少の影響はあったと思いますが、結局は手続が面倒くさいから、六週間かかりますから、ですからみんな最も将来値上がりしそうな
地方の
都市に今度は行ったわけです。鎌倉だ、静岡だ、別府だとかいうところへ行って、今のうちに安いところをぱっと買って、将来駅前ならば必ず上がるというようなところに買いかえて、税金を払うよりは買いかえた方がいいということです。ですから、これは一巡すれば
土地問題というのはだんだん私は下がっていくと思うのでありますが、ともかくそういう
一つの
現象を申し上げれば大体はおわかりいただけるだろう。
国際化なんというそんなものは全く虚構であって、むしろ最近では大使館ですら、もう
土地が上がって賃料が借りているところが上がってやっていけないからというので共同で討とうなんというふうになってきた。これはまことに残念なことです。したがって、これからはどうやったらそういう問題に対処できるかというのを残りの時間で申し上げてみたいと思うのです。どうも
質問していて
意見ばか立言って申しわけないのですが、ぜひお許しをいただきたい。
東京という
都市はどんなふうな状況かというのをちょっと
皆さんに知っていただきたい。
皆さんが最近自動車に乗って町をお歩きになると、もう五十日(ごとおび)というのは身動きができないような渋滞ですね。
道路の状況はどうかというのをちょっとお
手元に私は用意したのです。それが次の
ページにあります
都市計画道路の
整備状況、これは
地方の
都市も含めまして
道路の
整備につきましてはあらかじめ計画がありまして、
都市計画道路の
指定をしております。その完成率は大変に首都
東京としては恥ずかしい完成率でありますが、
国際化が進んだなんて言っている反面、完成率は色を塗ったところの四四・九%というのが
道路の
整備率であります。まだ半分しか着手しておりません。これは五十四年当時の
数字ですから大変恐縮なんでありますが、今はもう
土地が上がっておりますからもっと上なんですが、その当時でこの
事業を概算でやると幾らかというのが五兆四千億です。私はさっと
数字をはじきましたが、大体今十五兆円ぐらいは軽くかかるだろうと思います。
そういう
数字でありますが、
東京都の
道路予算というのはどういうことか、次の
ページを
ごらんいただきたいと思います。これは知事には随分
道路予算を組めと言っているのですが、御
承知のように国庫補助のある
道路もありますから、いわゆる
公共事業の
道路は上の欄、都が単独で予算を組んでいるものが下の欄になっておりまして、四十八年からずっと年間の
道路整備費が書いてあります。仮に六十二年度は
内需拡大でさらにこの上に補正予算を二百八十億つけておりますから、トータルしますと約二千百八十億であります。しかし、さっきの十五兆円のこの
道路の
事業を一年に二千億程度でやっていったら、全部
整備するのに七十五年かかるわけです。七十五年たつと、
大臣も私もこの世におりません。そんな
道路の
整備状況ですが、先ほど来申し上げておるように、いわゆる
事務所とか箱をつくる話だけはどんどん前へ進んでいくわけです。そこが大変に問題でありまして、このことは首都
東京にとって大変残念なことであります。
そして、いわゆる住民パワーというものがこの
道路をつくるのに大変な邪魔をしておりますし、特に、こんなに予算を組んでいながら実は少ないというのはもう
一つの理由があります。美濃部さんが十二年間
東京都の知事をおやりになった。そのときに美濃部さんは、
道路をつくると公害がふえるから
道路はつくらない方がいいという、「橋の哲学」と一緒にそんなことをおっしゃって、随分私は都議会でやり合いましたが、国からせっかくもらった
道路の予算を返してしまった。そのことがまた
道路の
整備に大変おくれをとっておるわけです。ですから鈴木知事は、本音を言いますと、もしも国がそういう
ビルを建てろというような
お話をなさるなら、
道路予算をしっかりつけてくれないととてもそんなものに対応できないということを申しておるのでありまして、この十二年間の美濃部さんの
道路予算がいかに減ったかということは、東
時代には国の
道路予算の一五・四%を
東京都の
道路は補助金をもらっておりました。それが今はわずか三・八%ということでありまして、一度戻ってしまった
道路予算は戻ってこない。しかし、
東京の
ビルや建築だけはどんどんやろうと、国から
臨海部の
開発とかそういうことだけはやれやれとおっしゃる。実に困っておることでございます。
そういう前提を踏まえていただきまして、これから私は、いわゆる
土地の高騰問題の対策について、いわゆる緊急にやるべきものと長期的にやるものと分けてちょっと申し上げてみたい。
一つは、緊急対策というのは、やはりさっきから申し上げておるように、将来の
需要と
供給について正確な
数字を
政府は
国民に示す責任がある。さっきから申し上げておるように、仮需によってあおられるということは非常に危険でありますから、それを正確に伝えることが必要だ。先ほど来申し上げましたように、つまり
東京都が従来の
規制市街地を再
開発をしながら
住宅と
事務所施設も多極多心で
供給をしていけば二十三区内は十分対応ができますということを言っておるのですから、それ以上に、例えば
臨海部にどんどん
ビルを建てるとかそんなことはする必要がない。それ以上に、
委員長の地元ではMM21といって、横浜にもそういう
業務施設地とともに横浜の
地域の振興のためにプロジェクトをお持ちになっている。それから、千葉県には幕張というところにプロジェクトがある。埼玉県には大宮にユーアンドアイという計画がある。それぞれ機能を
分散して足りない公共
施設を補っていこうという発想で多極多心型の
都市構造にしようと言っているわけですから、それをわざわざ
臨海部にみんな集めてしまってやるというのは私は間違いだと思う。今申し上げたように、
マンハッタンは百四十万の
人口がいる。
都心三区は何と四十数万しかいない。もう今や
学校が成り立たないというので、地元の港区とか
千代田区、
中央区の
学校は廃校をしよう。そうすると、その残った
土地をまた何かにしようという話がもう起きておるわけです。まことにゆゆしいことでありまして、
東京集中から
分散という方向をはっきり明示して、
需給は大丈夫だということと同時に
分散をするということじゃないだろうか。
私は、大体、
地方自治体に任せた
都市計画の仕事に、余り上から
地域のことにまで触れてこうしろああしろと言うのは間違いだと思う。上意下達ではなくて、こういう問題は下意上達でいかなければいかぬ。それは、率直に申しますけれども、今二十三区の区議会には、これは法定ではありませんが、都計審というのがあります。
東京都には
東京都
都市計画地方審議会というのがありまして、
容積率を定めるのも
道路の
事業をやるのも、そういうものすべてはそういう審議会を通さなければいかぬ。
東京都議会は今自民党が過半数を持っておりますから責任があるわけですが、野党の
皆さんもおられるけれども、二十三区の
地方議会は、自民党が過半数を持っているのは残念ながら五つか六つしかありません。この問題はそういう与野党のイデオロギーの対立てはないのですから、やはり
地方議会の
皆さんの理解を求めるというところから始めなければどんな計画をしてもできない。例えば汐留の国鉄清算
事業団の
土地の分譲に当たっても、ともかく
地方議会の同意がなければ、そこに
道路をつくったり、
容積率を変えて有効な
土地利用をしようといったってできないのです、実際に。
ですから、こういう問題はやはり下意上達でやるように、そういう方々の理解を求めるようなところで地道にやるということだと思うのです。大言壮語をして大向こうをうならすような
発言は、私は必要ないと思う。
都市計画に関してはよりそうである。竹下
総理はかつて
建設大臣も経験をされておりますし、この十数日でありますけれども、御就任以来、
土地問題に対する御
発言については
国土庁長官の御
発言が主力になっておりまして、
総理は余り御
発言になっていない。そういう慎重な態度こそは、やはりさすがは
建設大臣をやった
総理だなと私は思っておりますが、ともかくそういう姿勢でこれから多くの方々の
意見を聞いていく必要がある。
ですから、
土地問題というのはやはり
需給と
効用だということを重ねて申し上げますが、
国土利用計画法というのは言うなれば主力ではないのです。何か
規制地域をやろうなんということもいろいろ
お話が出ているようでありますが、しかしこれも憲法論からしたら、
売買を許可制にして不許可を与えた場合の法廷闘争にはなかなかたえられない、自由主義経済の枠組みで
日本は動いているのですから。しかも、
規制地域を
指定するといっても線引きはどうするのですか。
千代田区の
土地は許可制で文京区の
土地は許可をしなくても売れるといったら、これはやはり不公平になってくる。そういう問題も考えると、大体、その
国土利用計画法を立法した当時のことは私は知りませんが、それ自体が法制局はどういう考えてやったかが問題であります。
それは、監視区域は指導でありますから、これはそれなりに効果を上げておる。つまり警察官の人形と同じである。やはり実際は
需給なんです。きょうもいろいろ新聞に
土地の問題が出ていましたけれども、
金融のあり方についていろいろありました。しかしそういうものは、法律があるからといってなくなるものだけではない。それは厳罰をするのは大事だけれども、それだけではできない。やはり
需要と
供給というその大原則をきちっとしなければできないのだということであります。したがって私は、今緊急にやるべきことは、そのような正しい
需要等をもう一度策定をして、これはぜひやっていただきたい。後ほどお答えをいただきたいと思います。
それから、国公有地の処分は、先ほど
冒頭申し上げたように、これは
国民のものであり
公共事業優先ということでありますから、その辺は
国土庁長官と清算
事業団の
理事長等もいろいろ
お話があるようでありますけれども、国鉄の赤字を何とかしなきゃならぬということも大事でありますけれども、これもやはり
地方自治体の
意見を十分入れた処分の仕方をしなければいけませんし、ただ入札で高く売れればいいと、国鉄が鉄道でもって赤字をつくったのを、
国土利用計画法では
民間は百平米から取引をするのを届けをしなさいといって
規制をしているのに、国の
土地だけは青天井で売りますというのは、これはもう絶対
国民は納得しませんから、これ自体も、
国土利用計画法に国公有地も含めるような精神は絶対に必要だと私は思うのです。それでもやはり十分やっていけるのです。その点はぜひ要望をいたしておきます。
それから、中長期的な対策です。つまり、先ほど来申し上げた中でアークヒルズの
お話をしました。
日本列島三十七万平方キロしかありません。そこに、終戦後は六千数百万、今一億三千万です。
土地は輸入もできなければふやすこともできないのでありますから、
土地の有効
利用こそしなきゃいかぬ。しかし残念ながら、
日本人の
国民性の中には、木造
中心主義の
時代が長かったですから、なかなかこれを活用する道がない、協力することが非常に難しい。それは
大臣、明治生まれの方に、例えば六本木の一番いいところに超高層のマンションをつくるから二十九階にお住みなさい、こう言ったら、いや君、やはり私は土に近いところの方がいい、こうおっしゃるに違いない。ところが、一時間半も電車に乗ってもまれて、本当にうちに帰って数時間寝でまた出てくるようなサラリーマンに、どうですか、六本木の二十九階にお住みになりませんかと言ったら、これは適正な価格でですが、そうしたら小躍りして喜びますよ。私は、
都市の哲学を変えなければいかぬ、意識を変えなければいかぬ。
それは、実を言いますと、ちょっとこの
資料でもう一枚つくっておきましたが、
都市計画公園というのはどのぐらいか、これも知っていただきたいのです。
東京の
都市計画公園、いわゆる計画公園と供用公園とあります。簡単に言うと、計画公園というのはまだ未
整備、供用公園というのは日比谷公園のようなのを言うのです。これは環状七号線の中で一人当たりの
面積はどのくらいかというと、わずか一・七五平米であります。一・七五平米というのは畳一畳です。計画公園で六平米です。こんな緑や公園が少なくて、よくこれだけ過密な
人口が集中しているものだというふうに私は驚くのですが、しかしそれじゃ外国はどうかというと、この右に小さい
資料がありますが、例えばロンドンは三十・四平米とかパリも十二平米とかニューヨークは十九平米、それは緑が豊富です。ニューヨークへ行けばセントラルパークがある。ロンドンへ行けばハイドパークがある。
東京の日比谷公園は、大きそうに見えますが全く小さい。全体でいったら本当にこの程度しかないです。
しかし、なぜ今日まで
東京はそれでも窒息しなかったかといいますと、さっき申し上げたように、一軒の家に一間の庭というのが長いのです。その集団が
東京だったのです。それをだんだん鉄筋化して、中高層化してアパートメントにしてきたのですから、将来の展望としては、これは公園を
整備するといっても物すごい金がかかりますからできませんから、今までは個人個人の庭が公園の
役割をしておったけれども、これからはそれをどうするかという問題が一方にあるわけです。
そこで、宅地並み課税がいろいろ論議されたけれども、私どもがそういうものをすぐやってはいけないと言うのは理由がある。宅地並み課税をしている
地域、二十三区にあって桑の木三本で農家だけ税金免れているのはけしからぬとおっしゃるけれども、しかしマクロで
東京全体で考えれば、桑の木三本であってもそれが足りない緑の補完をしているのだということに発想を変えれば、それは八十億という固定資産税は大きいかもしれぬけれども、公園を全部つくろうといったら大変なコストがかかるわけですから、私は宅地並み課税というのはそんなに簡単にやらない方がいい、こういうことを実は申し上げているわけです。
そういう発想とともに、哲学を変えようということは、既成市街地の再
開発、これをやりよくするということが今やはり中長期的にやる最大の課題です。不動産会社あるいはデベロッパーは、ところがそういうことをやりなさいと言うと、時間がかかったり難しかったり利益率が悪かったりしますから、喜んでやりたがらないんです、はっきり言いますと。そんなことをするよりも、あいている
土地を手に入れた方がすぐもうかってやりいいですからね。宅地並み課税だってそういうことですよ。ああいう
土地が手に入ればすぐ建てられる、そういう発想ですから宅地並み課税をしろとか国有地を払い下げろとかいう話になるのでありまして、仮にそれじゃない下げてその
事業が進んだとしても、長い将来でいったらいつまでも国有地が無尽蔵にあるわけじゃありませんし、宅地並み課税をする農地だってそんなにあるわけじゃない。
ですから、今我々は後世の人類のために何をやるか、後世の
日本人のために何をやるかといえば、既成市街地の再
開発をやって、まさに職住接近をやって、若い勤労者がもう
土地が高くなって家も持てないというものを転換していくためには何をやるかといったら、
東京の既成市街地で使ってない
容積率は六〇%もあるわけですから、これを集約化して高層化して、安い
住宅の
供給ができるような方向に変えていくべきだ。その担い手はだれかといえば、
民間の
住宅産業もありましょう、
住宅・
都市整備公団もありましょう。
住宅・
都市整備公団は、
住宅公団という団体が合体して
都市整備という
言葉を入れました。なぜ
都市整備を入れたかといえば、心の中にはそういう再
開発の担い手になれということを考えて、渡辺
建設大臣の当時に改組をしたわけであります。もしも先ほど来
お話をしているような旺盛な
ビル需要が
都市の将来に大事だというなら、これが本当に正当ならば国の機関がそういう
供給をやればいいわけでありますし、その辺の方向が随分誤ってきたように私は思うのです。
その上、公営
住宅の
実態を
皆さん御存じかどうか知りませんが、大変にいいところに公営
住宅が建っています。その
資料も実はお
手元につけてあるのでございますが、ともかく「都営
住宅の
規模状況」をこの一番上に掲げておきました。家賃が最高で五万三千七百円、最低で六千八百円。実際に笑えない話でありますが、
都心の公営
住宅は高くても五万三千円ですが、その近所の駐車場の費用は一月で約七万ぐらいします。これで一番高いのは五万三千円です。そして空間があって、低層で
土地をむだに使っています。
建設省も、これは建でかえようといってやっておられるようですが、いつまでも公営
住宅の
供給が
住宅政策の柱だなんて言っているのはもう
時代おくれでありまして、そういうことをするならば、もっと
民間に
住宅を
供給してもらえるような
都市整備やそういう
政策の誘導をやるべきではないだろうか、こういうふうに思うわけでございます。
時間があと五分ということになりました。つい私だけがしゃべってまことに恐縮なんですが、言いたいことだけは全部言っておかないと
大変心配でございまして、固定資産税、相続税、これは坪一億だの何千万という
地域の方々にとってはとても負担ができるものではありません。そのためにまた
土地を売って出ていかなければならないということになれば、さっきの
夜間人口はもうゼロになってしまう。少なくとも、その
土地を使って貸して利益を上げる固定資産税と、営々としてそこに生活をして住んでいるだけの固定資産税の負担とでは全く
意味が違うわけであります。しかも、代々続いていく相続の
土地も、三代だったらもうなくなると言っておりますが、もう既に二代でなくなるだろうというぐらいに
土地は上がっているわけでありまして、これらの問題もぜひ見直していただかなければなりません。
最後に、
土地信託制度というのをお考えになって、国有地でも
土地信託制度ができるような改正を解散前の国会でお決めになりました。これはまた機会を得ましたら
お話をさせていただきたいと思いますが、
土地信託制度というのは、
土地を預かってそれを有効
利用して、将来返しますということで
銀行が預かる制度です。しかし、借地権は発生しないけれども借家権が発生しますから、返すときには大変に負担を残したまま返すわけですから、返ってくるぞということでは一見格好がよく見えますけれども、決して将来トラブルなしとはしません。しかも国がそういうことをやりますと、将来二十年後に国に
土地が返ってくるときには、
ビルに人が入ったまま返ってくるのですから、結局は国が不動産業をやることになりますから、これはやるべきではないということを私はしばしば申し上げております。
ともかく時間がなくなってしまったので御
答弁をいただく時間がありませんが、最後に、一連の私の
お話を聞いていただいた上で、長官を初め両
大臣に、どんな決意でお臨みをいただけるのだろうか、本当に深刻な問題でございますので、私の
発言を踏まえてお答えをいただきたいと思います。