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国務大臣(
中曽根康弘君)
田村通産大臣がお答えしましたように、私は
日本の
市場というものはそれほど閉鎖されているとは思いません。
サミット構成国の中を見ましても、最も開放されているのは
アメリカ、イギリスであり、次いでドイツでしょうが、ドイツと
日本はほぼ肩を並べるぐらい開放されていると思うのです。ほかの国から比べれば私は
開放度は強い、そう思っておるんです。ただしかし、
日本がこれだけ強大な
経済力を持っているところを見ますと、やはり
アメリカ、イギリスに負けないくらいの開放性を持てと、そういうことが要求されるので、これは当然な声だろうと思うのです。そういう意味において
アメリカ、イギリスに匹敵するぐらいの開放性を我々としては
制度的にも前進させなければならない。しかし、そのことは我々も今まで
努力してきまして、非常にそれは近づいてきておる。
しかし、例えば金融
関係におきまして
我が国は
我が国独特の
制度がありまして、例えば金利の自由化
一つの問題を考えましても、郵便貯金というものがありまして財投というものもございます。ほかの国にはそういうものは余りございません。そういう点でやはり体質の差というものがある。それは先方から見るというと非常な違和感を持つわけです。あるいはそのほかの
輸入問題につきましても、若干そういうものがなきにしもあらずでしょう。しかし、そういうものは一々今撤廃ないし
改善をしておりまして、ほとんど問題点はないぐらいになっておると思うんです。
もう
一つ、
基準・認証制の問題がございました。これはアクションプログラムを我々が推進することによって非常に
改善されてきておる。しかし、まだ残っているものはないかということで
総務庁長官にお願いしまして、ここにおる大使館あるいは本国の商社等にも、
日本にもし
基準・認証制で不満があったら申し出てくださいと、そういうことで申し出てもらいまして一々チェックしております。また、経団連でも会社自体が調べたそういうクレームをまとめてつくってありますから、それも参考にしたりして、それで今総務庁を中心にしまして監察をやらしておりまして、近くその結果が出るだろうと思うんです。そういうことで
一つ一つやっぱり
努力はしておるのでございます。
一方、
アメリカに対する
日本の輸出品というものを見ますというと、大体輸出品の三分の一は自主規制をやっておるわけです。これはもう鉄鋼から繊維からビデオ、カラー
テレビあるいは自動車、そういうようなわけで三分の一は自主規制している状態でございますね。そういうような情勢で、我々自体もこの貿易のバランスあるいは
アメリカ側の要請というものを受け入れて、そしてやっておるわけであります。こういうような
努力を積み重ねて、そして我々も英米並みの
開放度を
制度的にも持つようにしていきたい、そう考えております。
ただし、やはり
我が国特有の事情を持っておる問題も幾つもございます。例えば農業という問題
一つ考えてみましても、
我が国は輸出国ではない。
輸入国であって、農水産物を百八十二億
ドルも
輸入している。
アメリカからだけでも六十二億
ドルの食糧を
輸入しておる。そういう
輸入国で、輸出して
外国に迷惑をかけておるところではないわけです。そういう特殊性もよく理解してもらう必要もある。そういうことで、我々は今後積極的に
努力してまいりたいと思う次第でございます。