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峯山昭範君 私は、公明党・
国民会議を代表して、ただいま
議題となりました
昭和六十年
度決算外二件について、
中曽根総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
具体的な
質問に先立ち、
総理に
見解を求めるものであります。
先ほど、
東京高裁は、
ロッキード裁判丸紅ルート控訴審で
田中元
首相初め五被告の
控訴を棄却し、一
審判決を全面的に認める
判決を下しました。
ロッキード事件が明るみに出てから十一年が経過し、
政府・
自民党はこの
事件を意識的に風化させ
ようとしております。しかし、私は、
首相の犯罪の
政治的、
道義的責任はあくまでも明確にされるべきであると思います。
総理は、本日の
判決をどの
ように受けとめられるか。また、この
ような
事件の
再発を防ぐために
政治資金規正法の
強化を急ぐべきだと思うが、どうでしょうか。さらに、直ちに
政治倫理審査会で
審査を進めるべきであると思いますが、どうですか。
総理の所信をお伺いいたします。
いよいよことしの秋には、
中曽根内閣は終えんを迎えることになりますが、これまでの
中曽根政治を振り返って、その総
決算をしてみたいと思います。
まず、
行政改革についてであります。
昭和五十六年以来、第二臨調、旧行革審は増税なき
財政再建を旗印に掲げ、
政府はその答申を
予算のマイナスシーリング、補助金の一律カットなどの方法で超緊縮
予算をつくることに利用しましたが、肝心の
行政改革の基本的な問題である国と民間、国と自治体との責任分担の見直しはなおざりにされ、六十
年度においても補助金の一割カットをし、地方自治体への単なる
ツケ回しがなされただけでありました。
中曽根総理は、行政経費の削減と
予算の
効率化、補助金の削減、電電、専売、国鉄の民営化、医療や年金の改革等々と誇らしげに言われますが、
国民が期待しているのは、むだを省き、
国民の負担を軽くする
行政改革であります。
今日、自助勢力とか応分の負担と言って、医療にしても年金にしても、
国民の負担はずっしりと重く、
行政改革が進んで弱者の一人一人まで負担が軽くなってよかったと言えることがどこにありましょうか。御
答弁をいただきたいのであります。
また、
中曽根総理は、
審議会や大臣の私的諮問機関を多用し、行
政府はおろか、立法府の形骸化を図ってきたのは紛れもない事実であります。例えば平和問題研究会、閣僚の靖国神社参拝問題に関する懇談会等の私的諮問機関の意見に沿って、
防衛費の一%枠の撤廃や
総理の公式参拝を行った事実を見れば、
中曽根政治は行政をゆがめ、立法府を形骸化してきたと言わざるを得ませんが、いかがですか、お伺いします。
次に、
防衛費の問題であります。
五十八
年度以来の厳しいマイナスシーリングの中で、
中曽根内閣は
防衛費だけを常に枠外として大幅に突出させ、ついに六十二
年度には
防衛費の一%枠という歯どめを撤廃し、総額明示方式に変更したのであります。一%枠の厳守は、
我が国が
軍事大国にならないという重要なあかしであり、
国民への
約束でもあります。六十二
年度予算における
防衛費の一%枠突破
状況を見ても、初めに一%突破ありきであって、
政府にこれを厳守する熱意がなかったことはまことに残念であります。また、
防衛費の後
年度負担が、六十二
年度は二兆六千億円を超えておりますが、今後の
防衛費をますます
肥大化させるものであります。これら
防衛費増大に対する
国民の危惧に対してどの
ように説明されますか、お伺いいたします。
次に、六十
年度の
経済運営についてお伺いします。
六十
年度は、それまで世界
経済の枠組みを形づくっていた高いドル、高い原油、高金利という三つの大きな条件に基本的な変化が起こった年であります。
その中で、
政府の
経済運営を振り返りますと、六十年九月のG5の合意を受けて
政府がとった
内需拡大に関する対策は、民間活力の活用に頼ることばかりで、
財政の出動を怠ったため
内需拡大は一向に進まず、一方、急激な円高にもかかわらず国際収支の不均衡は拡大し、経常収支の黒字幅は、六十二年三月にはついに一千億ドルを突破するに至り、貿易摩擦の解消に苦慮しているのは御承知のとおりであります。
国内では、急激な円高が輸出産業に厳しい打撃を及ぼし、
企業は賃金カットや
雇用削減などでコストの抑制を図り、その結果、可処分所得の減少により
国民生活は圧迫を受け、消費の拡大にまでは至らなかったのであります。
一方、低金利時代になり、
企業は金余り
資金を設備投資に向けるのではなく、財テクに走り、その結果は地価の高騰となり、庶民のささやかなマイホームの夢は、退職金や預貯金をつぎ込んでもますます絶望的になったのであります。これらは、
政府の
経済運営の失敗によるものでありますが、この点をどの
ように反省しておられるのか、
総理、
大蔵大臣の率直なお考えをお伺いしたいのであります。
次に、
財政再建についてお伺いします。
今日まで
中曽根内閣は、
昭和六十五
年度赤字
体質脱却ということを
目標として掲げてまいりましたが、これはだれが見ても不可能であります。
中曽根総理は、NTTの株の
売却が予想を上回って収入が見込まれることを挙げ、本院
決算委員会では、
目標年次の
財政再建も望みなきにしもあらずといった開き直った態度をとっていることは極めて問題であります。しかも、柳の下のドジョウの
ように、JRの株も日航の株も期待できるなどとの
答弁は、語るに落ちるという形容そのものであります。日本
政府がまるで持ち株会社ではありませんか。これでは、民間会社が余剰
資金を設備投資に振り向けずに財テクに走ったとしても、
総理はこれをとがめることができますか。
政府が持っている株の株価に頼る
ようなものではなく、確たる
財政再建の見通しについて伺いたい。
さらに、
政府を含めた一億総財テクを容認する
ような
発言には強く反省を求めるものであります。
総理の御
所見をお伺いしたい。この点についての
大蔵大臣の御
所見もあわせて伺っておきたいと思います。
次に、
中曽根内閣の地価対策放置の
姿勢についてただしたいと思います。
最近の地価の動向は、六十一年四月以降急激な騰貴を始め、ことしの四月には、東京圏の商業地で四八・二%、住宅地で二一・五%という
田中内閣当時の狂乱物価の時代に逆戻りした、異常かつ驚異的な値上がりになってしまったのであります。
この原因の
一つは、
中曽根内閣の行った国公有地の
売却であります。国土庁の発表する毎年四月の地価の公示価格を見ると、既に五十九年に東京圏の商業地で対前年を上回る上昇率が認められたにもかかわらず、何ら適切な
措置をとらなかったばかりか、供給の極端に少ない
状況下で、地価の高い地域の土地の
売却を競争入札で行えば、地価の上昇に拍車をかけることになるのは当然のことであります。
庶民の一戸建てが無理ならマンションでもというささやかな希望をも完全に打ち砕いたあげく、今になって新行革審に地価対策等を諮問したことは、まさに手おくれであり、責任逃れの
中曽根政治と言わざるを得ませんが、どうお考えですか。
本院
決算委員会でも、先日、建設大臣が、今日の地価の高騰は
中曽根内閣の失敗であったときっぱりと断言いたしておりますが、この点について
中曽根総理はいかがお考えですか。
また、建設大臣は、国公有地の高値
売却と今日の地価高騰の因果関係を認めた上での本院
決算委員会の
発言と思いますが、いかがですか。
次に、中小
企業対策並びに
雇用問題について
お尋ねします。
六十年秋以降の
円高不況で、
製造業を中心に大きな影響を受けましたが、輸出環境が厳しくなったことに伴う受注減の荒波をもろに受けたのは、小規模な下請
企業であります。その結果、円高による倒産が六十年十一月以来千二百十一件とついに一千件を突破しておりますが、この倒産は、従業員四人以下の零細
企業がその約二割を占めております。
今日、景気は底を打ったとはいえ、零細中小
企業は
企業努力だけでは到底切り抜けがたい
状況でありますが、これをどう受けとめておられるのか。また
雇用は、五月には完全失業率が三・二%、完全失業者数百九十一万人と過去最悪の事態になっております。今日の
雇用情勢は、従来の不況のときとは事態が異なると思うのでありますが、この
雇用失業情勢に歯どめをかけることができるのかどうか、中高年層に多くの失業者を抱える大量の失業時代に具体的にどう対処していくのか、
総理並びに
労働大臣の御
見解をお伺いして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣中曽根康弘君
登壇、
拍手〕