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山本正和君 ここは
文教委員会でございますし、
大臣は
文部大臣ですから、やっぱり
教育の問題を
中心に据えて、合意がしやすいと思うのですね。恐らく今
大臣の
お話の中にいろいろあったことの
背景にも、金があればいいのは決まり切っている、だからもっと文部予算をふやさにゃいかぬという、それは一本通っておられると思うんです。それはそのとおりでございますわね。問題は、私がここで言いたいのは、そうは言いながら、実は国の政治の根本をどこに見据えるかというときに、
教育に携わる者が、あるいは
教育に関心を寄せる
国民各界各層が、
教育を受けている者自身が、その
教育の重要性というものを本当にみんなで大事にしなければ国の政治は変わらないと思うんですよ。予算配分も変わらないと思うんですね。
ところが
我が国で、正直言いまして、これは
大学の数、
大学という
言葉でちょっと言い切れないかもしれませんけれ
ども、約一千を超えている、こういうんですね。アメリカが二千、ソ連が八百ぐらいですか、いわゆる
高等教育機関と称するものが。ドイツやイギリスやフランスはうんと少ないんですよ。それで
大学の水準は非常に高いんです。
大学で学ぶ者のうちの、さっき
大臣はちょっと冗談的におっしゃったんだろうと思いますけれ
ども、二割か三割は一生懸命勉強するけれ
どもという
ような
お話がありましたけれ
ども、私はこの数そのもののすばらしさというものはきちっと評価すべきだと思うんです。
大学で学ぶということを保障している国なんですね。千という
高等教育機関を保障しているんです。アメリカでも一遍にこうなったんじゃないんですよ。アメリカも一九六〇年ぐらいまでは
大学の数は少なかった。どんどんどんどんふえたんです。私はそういう中で、どなたがおっしゃったか忘れましたけれ
ども、自然科学の
先生、ちょっと
名前をと忘れしちゃったんですけれ
ども、二十一世紀に
日本が生き残れる、それを一体何を根拠にするかというときには、
日本の
大学だということを言っているんですよ。これだけの数の
大学を持っている国はアメリカと
日本と、そして人口からいえばソ連はそれの半分しかないんです。そういう中で
日本の
大学問題というのは極めて重要だということを言っているわけなんです。
ところが残念なことに、今度は
大学から
大学院に行く
大学院生の数を調べたら、これはもう本当に少ないんです、
日本は。なぜ少ないかといったら、
大学院に行っても保障されないからですよ。例えば社会科学系の
大学院に残った場合、
大学院に残ったら就職口がないんです。ドクター浪人がたくさんおる。
大学の
先生は、自分のところの修士課程へ来る、そこまではいいけれ
ども、博士課程へ来るときには、ちょっと待ってくれ、君、将来大丈夫かという
ようなことを気兼ねしなきゃいけない。そういう問題がやっぱり
大学問題を
議論するときに一番大切な
部分だろうというふうに私は思うんです。これ、やっぱり
臨教審は触れているんです。触れていますよ。ところが、四六
答申でこのことの重要性をきちんと出しているんですよね、既に。
私はここでこういうことを何遍も繰り返し言うのは、実は
教育問題についての
論議は幾らでもできるんです。だれでもできるんです。本当に何にも知らない人でも
教育論議はできるんです。また、それは
教育なんです。また、本当に最高
教育を受けた人も
教育論議はできるんです。
教育というのはそういうものなんです。ですから、その
教育を通じて
日本の国がどうあるべきかということをめぐって、どうやってそこで合意を求めていくかという問題があろうかと思うんです。そして、昔から言う
言葉に、ヨーロッパではよく使われたんです、
大学を見ればその国がわかるというんですよ。じゃ、
日本の東京
大学はどうですか。東京
大学の学生自身が、あういは教官自身がどういうことを言っていますか。先進国の中で東大の水準はどうだろうか。予算面、研究面、百番以内に入るだろうかということを心配しているんですよ、東京
大学が。だから、そういう
大学問題の一番根本に横たわっている問題が四六
答申の中に既に指摘されているんです。
大臣の
お話では、学生が騒いだからこれを何とかしなきゃいけないというのでショック療法をやって、四六
答申というよりもそれの方がもっといろんなインパクトを与えた、こういう
お話です。しかし、じゃ
臨教審で今度どんなインパクトを与えたか。私は
臨教審答申をずっと読んでみた。何を一体与えたんだろうか。私は正直言って今度
文部省が出した
大学審議会設置法案、これはなるほどユニバーシティ・カウンシル、そういう
言葉があります。実はこういう構想は、別に
臨教審が言わぬでも今まで言っているんですよ、
中教審の中でもそういう
議論をしている。これを言ったらおかしいけれ
ども、一番
大臣が嫌いな日教組という
言葉がありますけれ
ども、日教組の中でも
大学審議会というのを言っているんです。同じことを言っているんです。別に改まった話じゃないんです。だから要は、一番根本は何かといえば、
大学というものを本当に世の中が大事にして、学問の自由、
大学の自治を尊重しながら
大学を本当に
日本の国の人たちも大事にしていこうということがなければ、この問題を
論議してもいかぬだろうと思うんです。
だから私は、
法案審議の前に
大臣に特に所見をお伺いしておきたいのは、どんなことがあっても
日本の国の
大学はやっぱり大切にしなきゃいけない。学問の自由、研究の自由、そして
大学の自治、こういうものはどうしても守って、
日本の国の
大学は世界の国に比べて負けませんよということ、そういう決意を持っているということを
大臣からまず御決意のほどを承っておきたいと思います。