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国務大臣(
加藤六月君) 大変難しい問題だと承りました。
まず第一は、農機具
関係、特に兼業
農家が使う農機具
関係、当
委員会においても米、麦における
生産費に占める農機具のウエート問題があります。そういう中で、一番私は問題になるのは、兼業
農家の農機具使用、そのうちの一種兼業と二種兼業の違い、同じ兼業
農家といいましても、一種兼業と二種兼業の違いはあると思います。そしてまた、けさほ
どもお答えしましたが、
地域によって
専業農家の非常に多い地方、あるいは一種兼業
農家が一番ウエートを置いている地方、あるいは二種兼業
農家のウエートが多い地方、これはもう随分あるわけでございます。ある面では本州の大部分はそういう中で混住社会が非常に進展しております。
そこで、まず、さきの第百八通常国会において、本院における最後の通過成立
法案として集落
地域整備法を御
審議していただき、通過させていただいたわけでありますが、私はある面で申し上げますと、あの法が
予算をつけて着実にしていくことによって、兼業問題等の
一つの大きな解決になっていくのではないかと
考えておりますが、農機具そのもの、私も農機具メーカーにいろいろ注文もつけ
希望もしてきたわけでございます。したがいまして、不経済使用という表現をされましたが、不経済使用というか不経済所有という言葉も出たわけでありますが、我が省としましても何とかこれを効率的な使用にしなくてはならないということで、いろいろ系統団体に要請もし、今後リース方式というもの等も来年度から何とか導入していきまして、ここら辺の問題を解決しなくてはならない。
そしてまた、私は兼業問題いつも言うのでありますが、一般
産業における労働時間の短縮が行われ、週休二日制が着実に伸びてくることによって、二種兼業
農家がますますふえるという
一つの矛盾を我々は抱えておる。そういう中で、
経営規模の
拡大あるいは
生産性向上をやるというところにいろいろな苦しみがあるわけでございます。農機具の使用についてはさらに検討しまして、一台の農機具の年間を通じての相当時間の使用ということ、あるいは他
地域へもこれを使わすというもろもろのアイデアが今浮んできておるわけでございまして、これらを進めていかなければならぬと思っております。
それから
農民は補助金の過保護の中でと言われておりますが、私はそうは思っておりません。戦後四十何年たちました。職業選択の自由は保障されており、そして移動の自由も保障されておる我が国においてなぜ
農業後継者が少ないか、あるいはなぜ何百何十万戸という
農家が減ったかということは、これは
農業が過保護ではなしにサラリー
マンにどんどんかわってきておるわけでございまして、その場合は兼業
農家としてサラリーマンになっておる場合もありますが、完全に
農業を廃止して大都市に出てきてサラリーマン化した人もあります。
農業がいいのならそういう職業の移動というものは起こらないはずであります。やはり
農業は厳しい、苦しい、いろいろな問題があるからこそ、そういう戦後における人口の大移動、そして過密過疎問題という問題も発生してきたと、こう
考えておるわけでございます。
この問題につきましてもいろいろな批判等あるいは提言があります。山田
先生もおっしゃいましたように、事実誤認に基づくもの、あるいはもともと
農業たたきをやろうとして言われる批判というのと、逆に
農業を救い、
農業の未来に何とか明るい
希望を持たそうとして批判、提言をしていただく方、私は真摯なまじめな提言には謙虚に耳を傾け、取り入れるべきものは取り入れなくちゃならぬ。しかしまた事実誤認に基づき、あるいはまた感情的に
農業たたきをされる方に対しては敢然として反論もし、また堂々とその過ちを申し上げなくてはならぬ、こう思い、また私自身も率先してそのように続けてきておるつもりでございます。
それから、これはまたよく申し上げておるのですが、世界じゅうどこでも
農業問題についてはそういう苦しみを世界の国々は持っておるということ、それで冒頭御
指摘になりましたが、我が国は過去数年の間に
農業に対する補助金は四〇%近く削減をしました。アメリカは九五六%ふやしております。ECは百九十何%ふやしております。この事実を
日本の有識者の皆さん、国民の皆さんにぜひ認識してもらいたいということをまたある面では私機会あるごとに言っておるのでございます。しかしそうであるにしても内外
価格差があるということはこれは厳粛なる事実でございます。この内外
価格差、これは
生産者
価格において比較検討するのか、消費者
価格において比較検討するのか、いろいろの論理はありますけれ
ども、要は、我々は国民に対してよりおいしいものをより安く
供給していくという
一つの大前提があるわけでございまして、ここら辺の問題は
生産者である
農民の皆さん方にもぜひ御理解をしていただき、かねがね私もちょっと言葉が過ぎたといっておしかりを受けたことがあるんですが、
農民の皆さんも汗を流してください、血を流してくださいというお願いをして、ばかなことを言うなというおしかりをいただいたこともありますけれ
ども、それは
水田農業確立対策における
転作であり、あるいはまたいろいろな問題があるわけでございますが、決して過保護ではないと、私も
考えております。
それから嫁取りの話まで触れられました。先般、私は一日農林水産省で同じ意見が出たので、こうお答えをしておきます。実は私の選挙区のある町にも嫁取りがなくて、外国の人をお嫁さんにしておる世帯が五世帯あります。そこで、それをいろいろ調べましたら、その家庭にはお嬢さんもおったのでありますけれ
ども、お父さん、お母さんは
農業者には嫁はやらぬというので、
農業以外へ自分の娘は嫁にやっておいて、自分の男の子供には嫁がないという、これは若干矛盾しておりませんかと。やっぱり
農業をやっておるお父さん、お母さんがそこら辺を
考えてもらわなければ困るということを申し上げたんです。ところが、ある東京都内の中小企業の社長と会ったときには、
農家は潤って大変いい、我々の会社の従業員は嫁をとる金もない、もう少し
加藤、
農業に厳しくと言って、大都市の中にも、嫁をとる苦しみというのが若いサラリーマンの中にもある面では現実に起こってきておる。こういう現象というのはある面では農村にも大都市の中にもあるのかなという感じを持っておるわけでございます。
最後が、兼業と
専業農家の両方が成り立つという問題でございます。兼業といいましても、先ほど申し上げました一種兼業と二種兼業があります。ここら辺どうかという、しかし何としても足腰の強い
国際競争力のある
日本の
農業を育て、守っていくためには、私たちはやはり
中核農家、意欲ある
農家あるいは
生産性の強い
生産組織、ここら辺を
中心に育て上げていくということが当面焦眉の急ではないか。そしてまた、兼業
農家の間においてもそれぞれの
方法を講じていかなくてはなりませんが、これを
専業農家と兼業
農家がともにと言われますと、率直に言って限られた
予算、限定された政策の中でどういう方式を講ずるかということは、真剣に検討いたしますけれ
ども、
中核農家、意欲ある
農家、そこら辺を
中心に私は行くべきである。そして、ある面では二種兼業
農家的な皆さん方も、レジャーとして、楽しみとして
農業をおやりになっておられる方々、これどうしたらいいのか。我が国は職業選択の自由の国でございますので、ここら辺はそれぞれの本人の自覚にまつ以外ないのか。それから、全体的に見て
農業就業者が非常に高齢化してきております。さりとてそういう中で農地を手離さないといういろいろな理由を当
委員会でも申し上げたことがあるんですが、ここら辺が次々、まあ手離していただけるようになるのか。そのためには、政策的にも進めていきますけれ
ども時の経過というのが大変長くなるのじゃないか、こう思っております。
以上、お答えになったかならなかったかわかりません。大変長くなりましたが、私のお答えとさしていただきます。