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宇都宮徳馬君 これも原則的な問題になるんですけれ
ども、
日本はとにかく現在
考えてみれば、米鬼英鬼なんと言ったこと自身が甚だしく愚かだったわけですね。そういうようなことで戦争をやりまして敗れたわけでありまするけれ
ども、その後非常な経済発展をしています。国民生活も上がっているんですね。いろいろその原因を
考えてみますと、やはり
日本自身があの大戦の苦労で平和主義といいますか、終戦詔勅にもありましたけれ
ども、つまり、とにかく万世のために太平を開くという
考えがあって、そして各国とも平和につき合ってこられ、我々はソ連との
関係それから
中国との
関係、このようなソ連との
関係は鳩山内閣の時代に、それから石橋内閣以来
中国との
関係、この改善にも骨折ってきたわけですね。そのときやっぱり
ソ連脅威論から
中国脅威論なんかに移ってきていましたよ、軍備拡張論者が。しかし、我々は
中国との
関係を改善した。ある時期、この前の岸内閣時代の安保改定のときなんかは、
ソ連脅威論より
中国脅威論の方が強かったです、本当言いますと。それを
中国とも
いろいろ話したりなんかして、もちろん私だけじゃありませんけれ
ども、話したりなんかして、しかし、そういうことになると、
中国でやったことは
日本人も皆知っているんですから、特に軍部なんかよく知っていたわけです。そういうことになると、今度は
中国でやったことを思い出して、
中国と仲よくするのもいいけれ
ども賠償をうんと取られるぞなんという、我々も言われましたよ、実際。しかし、
中国は二千年の友好の歴史を思い出して
日本と仲よくしたい、不愉快なことはあったけれ
どもそれはせいぜい五十年のことにすぎない、だから友好を回復したい、いろんなことがあったけれ
ども賠償は取りませんよという原則で日
中国交正常化ができたわけですね。
それは兵力も必要な場合がありますよ。私らは
自衛隊というものは護身用の短刀だと言っているんです、これは。護身用の短刀である。つまり、大きな刀を持つ戦争というのはできないですよ、実際は。今の大きな刀というと核兵器だからね。実際、これできません。やればこれは世界の破滅ですから。だから、やっぱりあくまでも護身用の短刀、つまりどこへ小さな泥棒が潜んでいるかわからぬから、全く無防備というわけにはいかぬけれ
ども、しかし、それはあくまでも護身用の短刀で、こっちから攻めるようなものじゃいかぬ、こういう
考えを持って、ずっと
自衛隊に対してもだから護身用の短刀としてはこれは認めるし、また、護身用の短刀の使い方はうまい方がいいに決まっているんですね、これは。そういうふうに私は
自衛隊に対して私自身の
一つの哲学を持っているわけです。
しかし、軍事力というものは何といっても自己成長したい。アイゼンハワーという軍人出身のアメリカの大統領が前にいました。これは産車体制、ミリタリー・インダストリアル・コンプレックスという言葉を非常に公然と使った人ですけれ
ども、その人が軍人出身で、産車体制というのはほっとくと無際限に軍備をふやしていくという気になると言った。だから、そこら辺の問題が一番シビリアンコントロールの中心でしょうね。ですから、シビリアンコントロールということは、規律によって軍隊を政治がコントロールする、それと同時にやっぱり軍事と産業との変な因果
関係による結びつき、これをやっぱり非常に
警戒しなければなりませんね。そうしないと、護身用の短刀以上のものを持ちたがって、また売りたがってしようがないのがいます。そういうつもりでひとつシビリアンコントロールをやっていただきたいということを私は希望いたします。大変生意気なようだけれ
ども、しかし、私も八十だからそのくらいのことを言ってもいいかもしらぬね、八十なんだから。
それで、これは今度非常に細かい話になってくるんだけれ
ども、私は自民党の時代長く衆議院議員をやってました。十回当選したんですからね。その選挙区が東京第二区です。東京第二区の中には品川、大田区という都内もあるけれ
ども、島があるんですね。大島とか八丈島とか三宅島とか新島とか、いろいろあるわけです。ですから、私は三宅島には非常に親しい人が多いんですよね。私は、別に自慢するわけじゃないけれ
ども、三宅島では常に自民党代議士で、そして最高点を大体とらせてもらっておった。そのお礼のためにやるわけじゃないけれ
ども、三宅島の現在あそこの八〇%を占める、それで女が、それこそ中年の女が夢中になっている、あそこの飛行機の発着練習をやるところですか、私は専門的なことはよくわからぬけれ
ども、その発着練習をやるところをつくることに非常に反対しているんですね。これはもうだれが扇動するということもない。おばちゃんたちが中心ですよ。九月一日に、これは
防衛施設庁の方もおられますか、ここに。——何か、機動隊を二部隊ほど派遣したことがありますね。九月一日ですか、あれは。あなたの方が頼んだんだろうけれ
ども、機動隊が行って、それで、あの日は、いろいろと聞いてみると、とにかく、最初に機動隊が朝早く四百人ぐらいやってきて、それで何かこう観測用の塔を立てる、その仕事に取りかかった。
それは、おばちゃんを中心にする、もちろん男もいるんだけれ
ども、三、四百人の
人たちに妨げられて立てられなかった。しかしそのときは大変な雨で、機動隊の方が夜っぴてつまり船に乗ってきて、それで緊張もしてるんでしょう、この現場に来て座り込みを前にして、なかなか抵抗が強いもので、そこへ猛烈な雨が降ってきたりなんかして、機動隊の中から倒れる者が、要するに疲労と寒さとか面とかそういうものの影響で倒れる者ができてきた。そして、それに対しちゃ、これはまた純真なんですよ、島の人は。これは気の毒だというわけで、その人を婦
人たちが介抱したり何かして、その中には介抱されて男泣きに泣いた機動隊もいるという話を聞きましたけれ
ども、うそを言う人じゃないから本当だと思いますがね。そういう中に、今度はまた警視庁の機動隊の中にもうんと強いのもいるらしくて、うんと強いのが二百人ぐらいやってきて、最後にはもう何か立てちゃったらしいですがね。相当もめているんですね、あそこの島が。これはもう何というか、本当に普通の島民なんですね。イデオロギーがあったり——政党も多少
関係はしているようだけれ
ども、しかし、普通の島民です。大体八〇%ぐらいが反対なんですからね。農民と漁師ですよ。これが反対している。
この反対はなぜ起こってきているかというと、厚木のあの飛行場、米軍機の練習の飛行場をあそこへ移すという話があって、それゆえに厚木の飛行機の発着
状況なんかをやっぱりちゃんと調べて見に来ているわけですね。私は、本当言いますと、厚木の近所に住んでいるんですよ。それで、朝晩やっぱり相当なこれは轟音ですね。近ごろ潜水艦は消音だなんて言っているけれ
ども、飛行機の方は音をわざわざ高くしているんじゃないかと思うぐらいにえらい音ですよ、厚木飛行場は。大体朝とそれから晩は何時から幾らとか、きょうもさんざん轟音を聞いてやってきたんだけれ
ども、ひどいものです。ですから、いろいろ今までの決定があるでしょうけれ
ども、もう一度住民の要求をよく聞いてやらぬと、これをもう強行することは私は正義じゃないと思うね。やっぱり正義じゃなきゃだめですよ、武装力というものは。常に正義というものを背景にしないと、決して強い軍隊にはならないですよ。ですから、もう一度よく調べられたらいいと思うね。なぜ反対しているのかということを調べられたら私はいいと思います。
アメリカの例えばワインバーガー国防
長官ですか、彼が
日本の政治家、
日本の
政府に対してあれをぜひやれと、こういうことを言っているというようなことを聞きましたが、一体そういうことはあるんですか、アメリカが非常に強く三宅島に特に指向してあそこへつくれと言っていることが。あそこはまた非常に珍しい島ですよ。一度行かれるといいけれ
ども、蛇がいないんだ、あそこは。それで、アカコッコとか何とかハトとか特別な鳥類のいるところで、だから生物学者があそこへああいう飛行場をつくることに反対しているというようなこともありますがね。そういうことはともかくとして、庶民の反対というものは根強いからこれはやっぱりしっかり
考えて、アメリカ人は実情をよく知らぬでしょうから、何もあそこだけにつくる必要ないんだし、私は、アメリカ人が、アメリカの海軍ですね、海軍の航空母艦の飛行機なんでしょうから、海軍がなぜあそこに執着するのかということをひとつどなたかに御
説明願いたいと思いますね。