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政府委員(
西廣整輝君) 大綱の水準というのは、詳細にということでございますので少しお時間を拝借して申し上げたいと思いますが、大綱は、先生はもう十分御承知だと思いますけれ
ども、平時から基盤的に、
日本のお国柄として平時から少なくともこのくらい持っていなくちゃいけない
防衛力というものを定めたものだと私
どもは考えております。そして、その
考え方は、
基本的にはまず
日本の
防衛のために必要な機能というもので、ある機能、つまり、ある攻められ方をしたときの守り方については十分だけれ
ども、ある攻められ方をしたら全くお手上げであるということのないように、各種の機能について欠落のないものにしなくちゃいけないだろうということが
一つ考えられておるわけであります。もう
一つは、その配備、
部隊の配備であるとかあるいは態勢におきまして、平時少なくとも例えば東京は見張っているけれ
どもどこか離れたところは監視してなく
ていいというようなむらがなくて、
日本全国についてまんべんなく監視なりできる態勢にしておかなくちゃいけない。あるいは、そういったところに例えば国籍不明機のようなものが侵入してきた場合に、ここでは何とか
対応できるけれ
どもこの
地域では全く
対応できない、そういったことがないように、むらなくそれぞれの防空能力にしろあるいは陸上
防衛能力にしろ配備をされたものである必要があるということで、いわばまず
防衛力の量につきましてはそういった形で機能的に欠落がない、あるいは常時監視ができる、領空侵犯即応態勢がきちっととれるといった平時態勢をもとに、まず兵力といいますか
防衛力の重なり配置を考えてみたわけであります。
そこで、
一つの
防衛力というのが生まれてまいります。一例として例えば防空ということで考えますと、平時
日本全国を警戒監視するためにはやはり二十数個のレーダーサイトというものがあって、そこで初めて切れ目なく
日本全域が監視をされる
状況になっておる。しかも、そういった監視下に北海道から沖縄まで七カ所に戦闘機の警戒待機をさせることによりまして、少なくとも中高度以上の高さで入ってくる国籍不明機に対しては
日本の領土内に侵入されないうちに会敵できるといいますか、そこで侵入を防止できる態勢がとれる、そのためにはどうしても全国で七カ所でやらなくちゃいけないということで、御承知のように現在千歳から始まりまして沖縄まで七カ所に航空
部隊が配備をしてあるわけであります。そうして、それらの航空機がいつ来ても飛び立てるように五分待機に二機置いておく、さらに三十分待機で何機置いておくという形で待機をさせ、かつそれらの航空
部隊を維持するために常々新陳代謝していく隊員を養成していかなくちゃいけません。そういったものをやるためには十三個の飛行隊が要るということで、戦闘機が何概要るという形で積み上げてみたわけであります。
同じような格好で海上
自衛隊について言えば、対潜能力として我が国周辺数百海里の哨戒を少なくとも一日一回できるためには何機のP3Cが要るかとか、そういった形で積み上げてみまして、それらの総合された
防衛力をもっていわゆる限定的小規模
事態というもの、これは周辺の
軍事力等を勘案してこの程度のものが小規模限定として来れるということを
前提としてシミュレーションをいたしまして、そこで能力の検証をしてみたわけであります。例えば防空について言えば、相手方が小規模限定という規模で例えば北部中心に侵攻してきた場合、あるいは
日本全体に対して全面的なそのかわり薄い攻撃をかけてきた場合、そういったケースによって相手方が航空攻撃をしかけてくる、その際に我が方が防空
活動をいたしまして、そうしてもろもろの戦闘シミュレーションをやった結果、ほぼ引き分けに終わるといいますか、お互いに痛み分けといいますか、二度目に来るときは向こうも力が弱っておればこちらも力が弱っておるという
状況が五分の
状況というふうに考えているわけです。
そのくらいでいけるものであれば、これを撃墜率に直しますと三〇%ぐらいの撃墜率が得られる
状況であれば、私
どもは防空力としてはほぼそこそこの水準であろうというふうに考えておるわけですが、大綱におきましてはそういった検証をして我々が求めておる例えば撃墜率、それが仮に一〇〇%でなくてもこれが八〇なり七五ということであればそれは合格にしようじゃないか。ただ二〇%、三〇%ということではいかにも
日本の
防衛力としてそこは空白になっている、あるいは余りにも手薄過ぎるということで、小規模限定侵略に対するもろもろの
防衛機能の検証を行って現在の
防衛力、
防衛計画の大綱の別表なり態勢というものをつくり上げたわけでございます。したがいまして、私
どもとしてはこの
防衛計画の大綱水準というのは平時の警戒監視から始まりまして、有事いわゆる小規模限定侵略に対してはまず独力で
対応できる能力を持ったものであるということを
前提にして、積み上げたものであるというふうに考えております。