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1987-09-03 第109回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年九月三日(木曜日)    午前十時五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         名尾 良孝君     理 事                 板垣  正君                 岩本 政光君                 大城 眞順君                 久保田真苗君     委 員                 大島 友治君                 小島 静馬君                 古賀雷四郎君                 永野 茂門君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 小野  明君                 野田  哲君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 吉川 春子君                 柳澤 錬造君                 宇都宮徳馬君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君    政府委員        警察庁警備局長  新田  勇君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   古川 武温君        防衛庁参事官   児玉 良雄君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        依田 智治君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       長谷川 宏君        防衛庁人事局長  松本 宗和君        防衛庁経理局長  日吉  章君        防衛庁装備局長  山本 雅司君        防衛施設庁長官  友藤 一隆君        防衛施設庁総務        部長       弘法堂 忠君        防衛施設庁施設        部長       鈴木  杲君        防衛施設庁労務        部長       山崎 博司君        外務省北米局長  藤井 宏昭君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君    説明員        環境庁大気保全        局交通公害対策        室長       濱中 裕徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆  議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(第  百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送  付)     —————————————
  2. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、三宅島の機動隊導入工事に強行着手されたということを非常に遺憾に思っております。きょうはこの問題から逐次やりたいんですけれども官房長官の御都合がございますので、少し順序があちこちになるんですがお許しいただきまして、官房長官にまずこの三宅島の状態について。長官は、島民理解を得ようという村当局理解話し合いでやってきたんだというような言葉を記者会見等発表しておられるんですけれども、今日のこの事態をどういうふうにお考えか、伺わせていただきたいんです。
  4. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 私どもの方から、その前に事実関係等について若干御説明を申し上げたいと思います。  御案内のとおり、私どもでは艦載機着陸訓練場をぜひ確保したいということでかねてから候補地を選定いたしておりました。諸般の諸条件を勘案いたしますと、三宅島が一番条件としては恵まれている、最適の場所であるということで、まず予備調査実施をいたしたいということで、三宅島の阿古地区の三地点におきまして気象観測柱を立てましての気象調査を計画をいたしておりまして、関係土地所有者の御承諾をいただき、あるいは環境庁等所要手続をいたしました上で、観測柱設置工事実施いたしておったところでございます。二地点につきましては既に工事を完了いたしておりましたが、下鏡地区につきましては反対派住民の方が私どもで借り上げました管理地座り込みをされる等の事態が生じましたために、私どもとしてはできるだけ平穏に事を運びたいということで工事を七月末まで実は見合わせて、その間いろいろ話し合い等も行ってきておりました。さらに七月末におきましては、東京都の仲介によりまして、八月末まで観光シーズン中は工事を見合わせ平穏に工事が行えるように三宅村当局とも話し合いを続けようということで工事を中止して話し合い努力を継続をいたしてまいったわけでございますけれども三宅村の理解を得るに至らなかったのでございます。  したがいまして、私どもとしましては、やはり気象調査等をぜひやりたいということで、これはまあ本格工事飛行場建設そのものではございません、私どもとしては本格建設については御理解をいただいて実施をするという基本的方針には変わりはございませんが、やはり前提としてどのような形で飛行場が可能なのかと、こういった点も十分事務的に調査をする必要がございますし、そういったケスジュールの問題もございまして、できるだけ早くやりたいということで九月一日朝から工事を再開をしようとしたわけでございますが、反対派住民によりまして道路交通等実力阻止をされ、さらには私どもの借り上げております管理地が占拠されるというような妨害状況がございましたために、警備お願いした警察の方で整理をされ、夕方に工事を開始し、夜半に終了したというところでございます。ただ、その過程におきまして地元住民との間で混乱を生じましたことは、私どもとしてもまことに残念に存じておるところでございます。  以上でございます。
  5. 久保田真苗

    久保田真苗君 きょうは、実は私国家公安委員長外務大臣出席お願いしたんですが、非常に会期が迫っているにもかかわらず御出席願えないので、大変遺憾だと思っているんです。官房長官には、直接の御責任ではないのかもわかりませんけれども、しばしばこの問題について公式に御発表をなさっていらっしゃいます。そして、官房長官は最近も村当局との話し合いを尊重した政府対応島民理解を得たいというようなことを 言っていらっしゃる。村当局との話し合いを尊重したというのはどういう意味なのか、私にはこの結果を見てさっぱりわからないんですが、そのことにつきまして官房長官の御見解をお伺いしたいと思うんです。お願いいたします。
  6. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 官房長官談話をしばしばと、こういうお話でございますが、私はスポークスマンでございますから、そういう意味合いで私が発表しておるということで、私の担任じゃありません。そういうことでございますが、せっかくのお尋ねでございますから国務大臣という立場でお答えを申し上げます。  これは、私もスポークスマンとして発表をしておりますとおり、こういう問題はもともとやはり地元民なり、あるいは行政当局なりと政府の間で十分な話し合いをして、そして平和裏にこの種の事業が遂行せられるということが望ましいわけでございます。そういった基本考え方に立って、久保田さん御案内だと思いますが、随分長い間この問題については双方の間で話し合いをし、そして今回のような場合にも、やはりあの島が八月いっぱいはたしか観光シーズンに該当するので待ってもらいたいといったような話が先方からあり、施設庁の方もそれならばくい打ちを延期しようといったようなことで、八月いっぱいはお待ちをしておった。しかし、なかなか話がいつまでもまとまらぬといったようなことで九月の一日に実行に着手をした。その過程で先ほど御答弁があったような経緯の事件が起きたということは、これは大変残念なことであることはもう言うまでもありません。  しかしながら、基本政府考え方は、あくまでも話し合いで解決をしたい、この私どもの願望は依然として持ち続けて今後とも努力をしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
  7. 久保田真苗

    久保田真苗君 三宅島の話はもう一度詳しく伺いまして、そこで防衛庁長官からもお伺いしたいと思います。  さて次に、ちょっと間に入ることになるんですが、GNP一%枠を撤廃した閣議決定昭和六十二年一月二十四日に行われまして、このときに「今後の防衛力整備について」という内閣官房長官談話という形でここにかなり長い文章が出ておりますね。そして、私がお伺いしたいのは、今回の防衛法等を考える上におきまして、私はやはりここのところの第一項に出ております「我が国は、平和憲法の下、専守防衛に徹し、他国脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、」と、そういう文言がございます。そういうことを引き続き堅持していく所存でありますと、こういう談話発表されております。  そこでお伺いしたいのは、こういった「他国脅威を与えるような軍事大国」の意味なんです。私なりに考えますと、ここには解釈が二つぐらい存在できるんじゃないか、あるいは三つも四つもあるのではないかという気がいたしますけれども、まず一つ解釈として、軍事大国というものはすべて他国脅威となるんだから、日本軍事大国というものにはそういう意味でならないのだという解釈ができます。もう一つ解釈は、軍事大国には他国脅威を与える軍事大国他国脅威を与えない軍事大国とがある、日本他国脅威を与える軍事大国にはならないんだけども、あるいはなるにしても他国脅威を与えない軍事大国、それならいいんだという、そういう幅の解釈が私は出てきやしないかというおそれを感じているんです。それで、この閣議決定に伴う官房長官談話の内容は一体どっちの意味なのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  8. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今お読みになりました第一項目の官房長官談話のこれは、従来から防衛力整備に当たっての日本政府としてとっておる基本方針を改めてここに掲記したということでございますが、御質問のような御心配があるのであれば、軍事力というのは本来自己膨張する、そうなればやはり他国脅威を与える私はおそれのあるものであると、これは基本的な性格としては否定し得ないと思いますね。  だから、日本の場合は、憲法九条から出てきて、国の自衛権、これはもう否定のできないことでございます、いかなる憲法といえども。そういった意味での自衛権基本として、必要最小限の武力というものを備えるということは憲法九条に認められているところではないのかと、こういう意味合いから今の自衛隊というものは発足をしておるわけでございますから、当然のことながら、国の自衛のための必要最小限軍事力を整備するのであると、こういう意味合いでできておるだけに、決してそれは他国脅威を与えるような軍事大国というようなものを目指しているものではない、また御心配になっていらっしゃるような軍事大国になっても脅威さえ与えなきゃいいんじゃないかといったような意味合いではない、あくまでも軍事大国にはなりませんと、こう簡単にひとつ御理解を願いたいと思います。分不相応な長い刀を腰に差すのではないんだ、平たく言えば、そういう意味に御理解をひとつしていただきたい、こう思います。
  9. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、今の日本状況なんですけれども必要最小限軍事力をという表現で言われました。今の必要な最小限軍事力、この問題について本当はここで続けたいんですが、私、官房長官がまだいらっしゃるうちにもう一回三宅島に戻りたいんです。  それは、警察庁いらっしゃっていますか。——今度の一番びっくりしたことは、機動隊導入されて、しかもここで負傷者が出た、そして警察へ連行された人が出た、そして逮捕者が出た、そういう状況なんです。それで、私ぜひ伺いたいのは、その実態がどうだったかということなんです。機動隊員は一体何人で、負傷者は何人で、逮捕者は何人で、その後どうなったかということをまずお伺いしたいんです。どういう状況のもとで、どういう理由で逮捕されているのか、それを伺いたいですね。
  10. 新田勇

    政府委員新田勇君) 三宅島の警備実施状況について概況を申し上げたいと存じます。  警察庁では、防衛施設庁とかねてから意見を交換し、状況についていろいろ話を聴取していたところでございますが、八月末に至りまして、近く三宅島での工事を再開する、再開するに当たっては、集団での実力による阻止行動も予想される、不測事態もあるというようなことから、警察における警備をしてほしいという旨の警備要請を受けたわけでございます。  そういうことから、九月一日でございますが、前の晩から反対派方々約五百名が観測柱設置予定地付近に集結し、管理地などに座り込むなどというようなことであったわけでございまして、六時十六分に施設庁工事関係者の人々が到着いたしましたが、工事に着工できる情勢にはなかったわけでございます。そこで、六時十六分から、第一回目の施設庁からの反対派方々に対する言ってみると警告を行いました。六時五十三分から、第二回目の警告を行っております。しかし、反対派方々はこれに応じないというようなことから、八時二十四分、警察の方からも違法な座り込みはやめるようにというような警告を行い、八時半に第一回目の排除活動を行ったわけでございますが、反対派方々抵抗もあって排除できなかったということから、一たん撤収をいたしております。態勢を立て直して、九時五十三分に二度目の排除活動を行ったわけでございますが、ここでも抵抗が強く、中断した方が不測事態を起こさないということで一度やめております。  それから、十時十分に、公道上でスクラムを組んでいる反対派排除活動というものにかかったわけでございますが、ここで村長から、代表を集めて説得するので排除活動を中止してほしいという申し入れがありましたので、その申し入れを受けまして一たん中断いたしております。しかし、説得がなかなか効を奏しないというようなことから、十一時三十分、また座り込みの引き抜きを行ったわけでございますが、反対派方々は立ち上がるというようなこと、あるいは部隊に突き当たるというようなことで混乱が予想されたものです から、またここでも部隊を撤収いたしております。それから、十二時三十三分に今度は管理地内の反対派の一部を排除するということが成功いたしまして、そこで施設庁職員がくい打ち工事を行っております。十二時三十六分でございますが。しかし、勢いを盛り返した反対派はくいを引き抜くということでの抵抗をいたしましたので、ここでまた工事の中断もし、部隊も後方に下げて監視を行ったわけでございます。これだけの人員では排除活動がうまくできそうもないということで、本土の方から部隊の増強を図る一方、署長は村長と再三にわたって接触し、島民説得するよう依頼し、説得を行ったようでございますが、どうしても説得に応じるような様子がなかったということで、説得警告一つの限界であるというようなことから、十七時三十八分、警告いたしまして排除活動を行い、ここでは増強された部隊もありまして排除に成功したわけでございます。  この最終段階での排除活動の際に、そこに立ち入ろうとする作業員作業員というのは施設庁のサイドの作業員四名に対して暴行を働くというようなことがあったので四名、それから活動中の警察官に対し体当たりをする足げりをするという暴行を加えた者四名、これを公務執行妨害逮捕をいたしました。合計八名の者を逮捕いたしたわけでございますが、これらの逮捕された者も人定が明らかになり、それからさしあたって必要な証拠関係も収集できましたので、その晩の、というかその翌朝、二日にかかるわけでございますが、夜中の零時二十二分から一時四十七分までの間に釈放をしたということでございまして、この事案としては引き続き捜査中でございます。  そういうようなことになっておるわけでございます。
  11. 久保田真苗

    久保田真苗君 釈放したけど捜査中ということですね。そういうことですね。——釈放したけど捜査中というのはどういうことなんですか。
  12. 新田勇

    政府委員新田勇君) まだ送致をしてないわけでございまして、その後証拠が固まれば検察庁送致いたしますが、そういうことで、とりあえず人定がわかりそめ現場の状況のさしあたっての証拠を収集いたしたということに終わっておるところでございます。
  13. 久保田真苗

    久保田真苗君 暴行と言われるけれども島民の方はどういうものを持っていたんですか。例えば、何といいますか、武器に使えるとかそういうようなものを持っていたわけですか。
  14. 新田勇

    政府委員新田勇君) 武器を持って抵抗をしたという報告は受けておりません。体当たりを食わしたあるいは足げりをしたというようなふうに聞いております。
  15. 久保田真苗

    久保田真苗君 機動隊の方はどうなんですか。どういう装備をしておられたわけですか。
  16. 新田勇

    政府委員新田勇君) 機動隊は、当初制服対応いたしておりました。けん銃警棒、ああいったものを取り外しました制服対応いたしておりましたが、活動に不便ということから途中で出動服に変えておりますが、だからといって警棒けん銃、そういったものを携帯しての排除活動ではございません。
  17. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、排除をするあるいは逮捕をする、そういうときにどういう——素手でやった、こういうことですか。
  18. 新田勇

    政府委員新田勇君) そうでございます。けがしないように手袋をはめるというようなことはいたしますけれども武器のたぐいを用いているものではございません。
  19. 久保田真苗

    久保田真苗君 負傷者が出たというのはどういうわけなんでしょうか。
  20. 新田勇

    政府委員新田勇君) きのうの夕方までの状況でございまして、けさまたどういうことになっているかわかりませんが、反対派の方では女性の方が一人、前胸部打撲による全治五日間の負傷というのを警察側で把握しております。そのほかに救護された方がいますが、この方は日射病で倒れた女性だというふうに聞いております。  なお、警察の方は、前の晩から船で運び睡眠不足もある、あるいは大変暑い状態だったということで、約二十名の者が倒れて手当てを受けている、こういう状況でございます。
  21. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、警察の方は実害としてはあれですか、日射病、そういうものであって、それ以上の傷はないわけですね。
  22. 新田勇

    政府委員新田勇君) 体当たりを受けているわけでございますから多少の打撲とかいうようなことはございますけれども機動隊員はそういうことを一々申告いたしませんのでちょっとわかりかねますが、言ってみると被害は大変軽微であったというふうに考えているわけでございます。
  23. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、暴行とかそういうので逮捕、そしてこれからも取り調べるというのはちょっとやり過ぎじゃないんですか。
  24. 新田勇

    政府委員新田勇君) 違法行為があったわけでございますし、我が方の対応も朝の六時から夕方までかけて慎重に対応したつもりでございますので、やり過ぎということではない、違法行為がある以上、所要措置を講じなければならない、その措置を講じたものというふうに確信しているところでございます。
  25. 久保田真苗

    久保田真苗君 しかし、逮捕ということになりますと、これはやっぱり島民にとっては非常にショック、私どもにとっても大変なショックなんですよ。それだけ、逮捕というようなことをするだけのことをしたのかどうか、私は非常に疑問に思っているんですね。でございますから、その負傷状況、あるいは逮捕の事実、そういったものをぜひ御報告いただきたいんですね、何をしたからどうなったのかということを。それはできますね。
  26. 新田勇

    政府委員新田勇君) 司法手続にのっとってきちんと処分をしなければならないのは私どものまた義務でございますので、どういう状況逮捕をし、どういう状況送致したかというようなことは検察庁の方へきちっと報告することとなるわけでございます。
  27. 久保田真苗

    久保田真苗君 これはもう一応済んでいる件ですから、その処置がどうなったかということは国会報告していただけますね、こてで。
  28. 新田勇

    政府委員新田勇君) 送致をいたすわけでございますので、送致された後、検察庁の御処分もあるというようなことで、にわかに公開すべきものではなかろうかと存じますが、概要について先生のところへ御報告に行くようなことはできようかと存じます。
  29. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは施設庁の方が常々島民理解を得たいと、そういうふれ込みでこれまでいらしたんですよ。そして、話し合いをしたとおっしゃるけれども、要するに観光シーズンは休戦だというようなお話し合いをなすったのかもしれないけれども、何ら本質的な話し合いをしているということではないんじゃないんですか。
  30. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 話し合いにつきましては、この観測柱を建てます前、七月以前から、私どもとしては村当局に対しましてはいろいろ接触を試み、あるいは私どもも伺いましてお願いを申し上げ、再三再四にわたり話し合いをいたしてきておりまして、決していいかげんにやっておるということではございません。いずれにいたしましても、もし本格的な飛行場を建設するというような決定をいたします際には、当然のことながら、十分な御理解をいただかなければいけないわけでございますが、その前提となりますいろんな調査等につきましても、できるだけ私どもとしては御理解をいただきながらやりたいという基本的な方針には変わりはないわけでございます。ただ、この基本調査、こういった事前の調査につきましては、やはり当該地域が適地であるかどうかというような点を詳細に調査をした上で、地域住民の方にいろいろな疑問点についてお答えする上にも必要なことでございますので、そういった観点から、できるだけ御理解はいただく必要があったわけでございますけれども、なかなか私どもの申し上げることについて聞いていただけないというような状況も再三再四続きましたので、工事着手をさせていただいたわけでございます。  着手に際しましても、できるだけ穏便に、平穏 に私どもとしては実施をいたしたいということで、七月、二本を建設いたしまして、一本座り込み等妨害によりまして建設できなかったのでございますが、相当期間をかけまして私どもとしてはお待ち申し上げ、あるいはお話申し上げて、何とか、こういった調査でございますので、事務的に建てさせていただきたいということを再三再四お願いを続けてきて今日に至ったものでございまして、十分私どもとしてはその辺の手段は尽くしてきたつもりでございます。
  31. 久保田真苗

    久保田真苗君 ここへ来て、こういう事態になりましたから、特に機動隊導入逮捕といったような事態になったわけですから、これで国への不信感というのは一段と決定的となったんじゃないかと、私はそう思うんです。今後、こういうことで力でもって押しまくっていくという、そういうことではとてもしようがないんじゃないかと思うんです。  それで、官房長官もう御退席になりますので、国務大臣としてまたいろいろな総合調整をなさるお立場から、私はもう絶対に警察力特に機動隊導入なんということは、こういう素朴な島民抵抗に対して行使しないということをぜひ進めていただきたいし、やっぱり島民に対して政治への不信感といったようなものが起こらないように、特に基地問題というのは、私はますますこれから非常に国民との間に摩擦の起こってくる問題だと思っておりますので、そういう一つのルールのようなものですね、できるだけ話し合って、そういう機動力で決着をつけるというようなことはぜひ避けていただくと、そういうことで官房長官にも御尽力いただきたいことをお願いしまして、官房長官への御質問はこれで終わります。ぜひよろしくお願いいたします。
  32. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 両事務当局からお答えしましたように、政府としましては、お互いの話し合いの中でできる限り穏便に解決するように今日まで努力もしてきておりますし、今後もその努力は重ねていきたいと、かように考えるわけでございます。  そしてまた、昨日の事案については、警察当局の今の答弁をわきで聞いておりまして、随分我慢強くやっておるなというのが私の率直な感じでございます。ただ、久保田さんのお立場で見れば、機動隊の出動そのものが好ましいことではない、今後そういうことのないようにしろと、こういうことでございますが、これはやはりケース・バイ・ケースということで処理をせざるを得ないと、こう思います。しかし、相なるべくんばそういった事態にならないように何とかひとつ島民の方の御理解も得て、そして穏便にこういう事業が遂行できるように、心から私も切望いたしておるような次第でございます。
  33. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁長官、大変お待たせしたんですが、今回のことは、やっぱり私、島民が特定のイデオロギーに踊らされてということではないと思うんですね。そういうことじゃなくて、三宅島は富士箱根国立公園の区域に指定されていますし、ここは特別のバードアイランドだというようなことがあって、島民のみならず私どもも、特にそういうところが少ない東京都民も、野鳥の豊富なこういうすぐれた景観のある島というものを非常に大事に思っているわけなんです。そこへNLP訓練基地というものができますと、こういうものが非常に損なわれるということになりますね。島民が非常に美しい平穏な郷土を守ろうというのは、私は当然だと思うんです。何も特定のイデオロギーに踊らされるというような状態ではないと思うんですね。あの方たちのやっている運動の仕方あるいは物事の決め方、こういうものを見ましても外部からのいろいろな影響をむしろ避けている。そういうことはやっていないんですよね。長官はその辺の御認識どうでしょうか。この前の御発言を取り消されるおつもりはありませんか。
  34. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 環境の問題、いろいろお尋ねになりましたですけれども、私どもここを適地としていろいろ検討させていただいた中に、当然環境の問題もあるわけでございます。ここが鳥獣保護区になっておるとか、あるいは国立公園、あるいは海中公園等のいろいろな計画、こういったものも十分承知をいたしておるわけでございますが、御案内のとおり、私ども考えておりますのは、海岸側のごく一部に着陸帯を建設いたしまして海の方に周回コースをとる、こういうような形での建設ができないかということで検討いたしておるわけでございまして、野鳥等の生息、生態に及ぼす影響はできるだけ小さくなるように、それほど大きなものにならないような形でそういった建設ができないか。あるいは開発等につきましても、かなりの部分が溶岩流等が流出しておる植生を失った土地等が相当ございますので、そういった実態も考慮しながら、できるだけそういった環境保全にも留意をして、特に開発をした部分にはできる限り緑化も図る、こういうようなことも考慮いたしておりますし、環境を汚染しないように海岸側には手をつけないように計画を立てられないか、こういったような点も検討をいたしていきたいということで、今回いろいろ気象等の調査を事前に実施いたしたいというふうに考えておるところでございます。  そのほか騒音等の影響、こういったものにつきましても、こういった立地を工夫すれば住宅地域にはほとんど影響を生じない。一部、当然滑走路の周辺においては騒音区域が出てくるわけでございますが、そういったところには防音措置等も十分実施をしていく。こういうことで騒音の影響も最小限に抑えて、しかもこういった着陸帯ができますれば民航ジェット機の飛行場としての供用も可能になってまいるということでもございますので、種々の島の発展にお役に立てるのではないか、こういう点もいろいろと検討をして計画を練って今日調査お願いしておるという実態でございますので、国の安全保障上やはりこういった着陸訓練場はどうしても必要でございますし、人口稠密のところで、条件の悪い状況下で実施をしていくということが全体的には必ずしも好ましいことではございません。やはりできるだけ環境条件のよいところで私どもとしてはしっかりした訓練をやっていただいて練度も上げていただき、我が国の防衛上も遺憾のないようにしていきたいという必要性もございますので、何とかそこら辺は御理解をいただきたいということで現在まで来ておるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  35. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁長官にお伺いしたんですが、御返事をお願いいたします。つまり、そういう特定イデオロギーでやっているとかそういうことではないということは、それはわかっていただかなきゃならないと私思いますんですね。
  36. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 参議院の予算委員会であったと思いますけれども、私は特定のイデオロギーを持った勢力、それがいろいろと陰に陽に島民の人たちに働きかけている、これは事実だと思っています。そういう意味合いであの発言を取り消すつもりはございません。  ただ、私がこの問題について非常に遺憾に思いますことは、あの観測鉄柱を立てることについて反対だというので、三宅村長や議会の議長さんたちに言いましたよ。私も会いましたわ。会って話をしていくと、もう島は反対なんです、反対なんだから来ないでください、だめなんです、これの一点張りなんですよ。だから、私はあなた方の気持ちもよくわかる、しかしながうこれは国の安全保障という観点からこちらはお願いしたいんだと、しかもそれはただ単にそれだけを言うんじゃなくて、私どもの方にもいろいろ考えがあって、その考えの中には島の将来にとってお役に立てることもあるんだ、だからそれを聞いてくれと言うたら、それは聞く必要ない、私の方は反対と言っているんだから反対なんだと。おかしいんじゃないかと。私は、防衛施設庁というか防衛庁に、十分住民方々に我々の考えを聞く機会を与えてもらいたい。例えば反対だと言う方に対しては一人一人こういうことでございますと、そこまで念入りにやらせてくれないか、その上で反対だという 場合と、今のように正面から入ることは御免だ、私の方が言っているんだから反対なんだ、それじゃ話にならぬじゃないですか、こういうことを言ったんですよ。それに対しましては、村長も議長も何に直言わないで帰ったんです。私は非常にきついこと直言いますけれども、本質的なものについてはお互いに話し合ってやらにゃならぬという気持ちについては変わらないんです。そういう経過の中でこれが進んできておるということをぜひ御理解をいただきたい。
  37. 久保田真苗

    久保田真苗君 さっき言われましたほんの一部に飛行場だから、だから鳥には邪魔にならないんだとおっしゃるけれども、それは非常に認識が違うと思うんですね。なぜかといいますと、物すごい騒音の公害というのは、今現にこちらにある基地の状況、そこで起こっているいろいろな訴訟、そういうものをごらんになればよくわかることだと思うんですね、島民の人たちがもう来るなというようなそういう態度をしているということの裏には、防衛施設庁が何が何でもそれはもうやるんだ、やるしかないという態度で初めからやっていらっしゃる。これについて何かほかに考えがあるのか、そういうことは何も考えていらっしゃらない。つまり、ここに来るか来ないか、それでもって島の運命は決まる、そういうことだと思うんです。  私は長官に、ぜひ話し合いたいとそう言っておいでになる長官なんですから、もう施設庁から機動隊を依頼するとかそういうことはぜひやめていただきたいんです。その点はどうなんでしょう。
  38. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 先ほども御答弁いたしましたように、私どもとしては、基本的にはこういった防衛施設というものは国の安全保障の必要上設けられておるものでございますし、そういった点を十分御理解いただいて御負担をいただくという、基本的なそういった形でございますので、十分お話をし御理解を賜るように努力をいたしておるところでございまして、三宅だけに限りませんで全国至るところの防衛施設についてそういった手順を踏み話し合いをし御理解をいただいて、今日防衛施設の維持運営を願っておるわけでございます。したがいまして、三宅島におきましても私どもとしては基本的にはそういうことでお願いをし話し合いをしていただいて、できる限り手段を尽くして地元の方あるいは地域の公共団体の理解を得てこういった事業は進めていく必要があるということは十分承知をいたしておりまして、先ほども申し上げましたように、建設そのものについては今後も引き続いて御理解を賜るように話し合いを続けてまいりたいというふうに考えております。  ただ、今回実施をいたしました予備調査のための気象観測柱の建設は、そういった話し合いの際にも必要となりますいろいろな諸データを収集いたすための事務的なものを私どもの借り上げました土地で実施をしたいということでございますので、その辺につきましては十分御理解を賜りたいと思うのでございますが、基本的には、先生おっしゃるとおり、話し合いを私どもとしてはできるだけ粘り強くやって御理解を賜るようにしていきたいというふうに考えております。
  39. 久保田真苗

    久保田真苗君 前回の委員会で、大城委員から沖縄の非常に迫力のある実態をお聞きいたしました。基地というものはどうしてもああいうものなんですね。そうじゃないでしょうか。それは、騒音だとか野鳥がいなくなってしまうとかいうことのほかに、いろいろな米軍とのいざこざがある。事故がある。暴行がある。そういう事態になるというそのことを余りにも余りにも国民が明白に知っているために、これはもう私は島民の気持ちが本当によくわかるんです。長官、これから先にもいろいろと工事の計画がおありかと思うんですけれども、私はこの後に続いてくる工事につきまして再び今回のような機動隊を伴う強行、こういうことはもう絶対にやめていただきたい。島民とよく話し合って、そして時間をかけて進めていただきたいと思うんです。長官、どうお考えでしょうか。
  40. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 話し合いをするということは、話し合いをしたいんです、これは。ところが、今までのところは聞く耳を持たないという事態なんです。それで弱っているんです。東京都の方でも都知事が、都議会においていろいろ質問があったときに、まず三宅島の島民はやはり国の説明を聞くべきだと、こういうふうに言っているというふうに聞いております。ですから、よく我々の意見を聞いていただく、そういう場をぜひつくっていただきたい。もう初めから嫌だ嫌だとそういうことのないように、ぜひ私はむしろ社会党にもその点をお願いしたい。あなた方も聞く耳を持ちなさいよと、そういう態度でいっていただきたいと思います。そういうことからおのずから事態は解決するのではないか、こう思います。
  41. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも、予算上の措置がありまして、予算上の措置ということであると何が何でも実行していらっしゃる。各地でそれがわかっているわけですよ。そういう予算上の措置だから、だから今回も強行した。次も強行しますと。この秋にボーリング調査というのが差し迫ってますよね。そういう状況にあるんです。私は、そういう島民理解が結局得られないままにあるという状況の中で、そういうものを強行していただくというようなことは非常に困ると思う。それは慎重にやっていただかなきゃならない。ぜひ強行するというようなことはお避けいただいて、そして慎重に考えていただきたいと思うんです。いかがでしょうか。
  42. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今回気象調査のための観測柱を立てました場所も、実は私どもが借り上げて国立公園の所管の環境庁の許可もいただいて建設を実施いたしたということでございまして、決して強制的に立てるとかいうような性格のものでは本来ございません。事務的にそういった気象データの収集をするということでございますし、収集が終わればこれは将来にはなくなるようなものでございますので、そういった調査の性格というものをひとつ御理解を賜りたいわけでございます。たびたび申し上げますが、大臣からも先ほどお話ございましたが、やはり基本的には建設そのものについては、今申し上げましたように、時間をかけて十分御納得をいただくということで御理解をいただくように、私どもとしては今後も努力をしていきたいというふうに考えております。
  43. 久保田真苗

    久保田真苗君 大臣、これからの仕事をそういうわけで急がない、慎重にやるという、そういうことでよろしいですか。強行しないと。
  44. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) そういうことのないようにお互いに努力をいたしたい、こう思っています。
  45. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、これとも関連があるんです。  横須賀がアメリカの航空母艦に母港を提供している、そのことのためにいろいろなことが起こっているわけですね。現在、厚木基地、NLP訓練基地で大変悩まされ訴訟も行われているということなんですが、それが突然またまたここで九月五日から九月三十日の間十七日間、アメリカの方の軍の一方的通告で延長されてきたんですね。この状況を見ますと、この真夏の六十八日間に合計四十一日、つまり土日を除いて連日という状況なんです。こういう状態、これはもう本当にひど過ぎるなと私は思うんです。そこへまた十七日追加という一方的な通告なんですけれども、これは外務省にお伺いするんでしょうかね。NLPはアメリカ軍の側の一方的な通告でいつでも幾日でもやれるのかということなんです。この点どうでしょうか。
  46. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。  ただいまのお答えの前に一点申し述べたい点でございますけれども久保田先生横須賀の母港化のために云々ということをおっしゃいましたけれども、いわゆる母港化なるものは海外居住計画ということがございまして、家族が居住しているということでございまして、いずれにしましても空母機動部隊が安保条約に基づきます我が国に対する米軍の活動の主力であるということは、現実問 題として存在することであろうと思います。そうである以上は、空母であります以上当然のことでございますけれども、艦載機の特に夜間訓練というものは練度を維持する上で必須のことでございまして、どこかの飛行場でやらざるを得ないということでございます。それで、現在厚木にかわる適切な艦載機着陸の訓練場というものが非常に深刻な問題になっておるわけでございまして、現在のところは厚木でやっておるわけでございますけれども、これにつきましても米軍はいろいろ施設庁を通じまして我が方に連絡をよこしまして、現実問題といたしまして地元の皆様にできるだけ御迷惑をかけないようにという趣旨で努力はしておるわけでございます。
  47. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり、アメリカ側から一方的な通告があれば、それに対して日本側は何か対応ができるのか、それとも——何ができるんでしょうか。何にもできないんですか。
  48. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 防衛施設庁といたしましては、米側からNLPの事前の通知があった場合に、例えば土曜日、日曜日は避けるようにとか、あるいは日本の祝日あるいはお盆、そういう期間は避けるというような事前の非公式な折衝は行っておりまして、米側もそのような実情は理解してくれるということでございます、
  49. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、やはり防衛施設庁のこれは仕事になるわけですね、こういうことについてアメリカ側と話し合うのは。これは施設庁の仕事になるわけですね。
  50. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 地位協定上の権利義務といたしまして、アメリカが、施設を我々が提供している以上、その施設の使用については権利があるということでございますけれども、ただいま御答弁がございましたように、事実上の問題といたしまして、できるだけ周辺の住民に御迷惑をかけないようにアメリカから事前のいろいろな相談があり、それについて事実上いろいろな意見を言っております。それは施設庁が主としていたしまして、外務省もそれに協力しているという、両者協力の態勢で行っております。
  51. 久保田真苗

    久保田真苗君 この間、横田基地の控訴審の判決が出ましたですね。それによりますと、住民の受けている騒音の被害というものは受忍限度を超えるものであるという判示があるわけですよ。私は、これは環境庁にもちょっとあらかじめ伺っておきたいんですけれども、環境庁は、昭和五十九年四月に「航空機騒音に係る環境基準の達成状況等について」という報告を出されているんです。そのポイントですね、その中身をちょっと説明していただきたいんですが。
  52. 濱中裕徳

    説明員(濱中裕徳君) 先生御指摘の調査でございますが、環境庁といたしましては、昭和五十八年十二月に航空機騒音に係る環境基準の達成期限が到来いたしましたために、その達成状況調査したところでございます。この調査におきましては、自衛隊等が管理する飛行場十八及び公共用飛行場十五について調査したわけでございますが、この結果、自衛隊等が管理する飛行場につきましては、調査した飛行場すべてが環境基準未達成、達成していないという状況でございました。  なお、公共用飛行場につきましては、調査した十五の飛行場のうち十三の飛行場が未達成であったわけでございます。
  53. 久保田真苗

    久保田真苗君 横田基地の場合、いわゆるうるささ指数というんですが、何ですかWECPNLと書くんですが、横田基地の場合九十Wを超す地域があるし、厚木基地の場合、NLPで最高百二十ホンという記録もあるんですね。こういう九十Wとか百二十ホンというのはどういう騒音なのか教えてください。
  54. 濱中裕徳

    説明員(濱中裕徳君) ただいま先生おっしゃいました騒音レベルとその感覚との関係ということでございますが、これはいろいろな例がございますけれども、例えば地下鉄の車内では約八十ホンに相当するというようなことが言われております。また、電車が通るときのガードの下、こういったところでは約百ホン、あるいは自動車のクラクション、これが自動車の前方二メートル程度で約百十ホン、あるいはリベット打ちという工事がございますが、こういったところでも約百十ホンというようなぐあいであるというふうにされております。  私ども航空機騒音の評価単位として用いております先生御指摘のWECPNL、これにつきましては航空機騒音のピーク値というものと航空機の機数から計算されるものでございまして、先生御指摘の九十を超すというWのレベルが感覚的にどの程度の騒音かということは単純には申し上げられないわけでございますが、例えば航空機が百機飛んでいるというような仮定を置きますと、そのときの騒音は先ほど申しました約百ホン、電車が通るときのガード下の騒音のレベル、こういう程度で、一機一機の航空機の騒音がその程度でございますればWの値は約九十ぐらいに相当するというふうに考えられるわけでございます。また、航空機の機数が十機程度の場合でございますと、一機当たりの騒音が約百十ホン程度という場合であればWの値は約九十程度というふうになるものというふうに考えております。
  55. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういうリベット音とかガード下とか地下鉄内とかいうものに匹敵し、あるいはそれを上回るというような場合もあるわけでして、これは何とか抜本的な手が打てないものだろうかということを私よく思うんですけれども防衛庁の方ではどういう解決法を考えでいられるか、そこのところを伺わせていただきたいし、この間判決の出ています横田基地周辺での騒音被害、それについての実態をどういうふうに把握していらっしゃるか、お聞かせください。
  56. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) まず、横田の騒音の実態でございます。騒音の実態を口頭で御答弁することはなかなか難しいことなんでございますけれども、先ほど環境庁の方からも御答弁がありましたうるささの指数、これは環境基準からはWECPNL七十五というのが一つの指標になっているわけでございます。米軍、自衛隊飛行場につきましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、この法律に基づきましてこの七十五W以上の地域は住宅防音工事実施するという区域になっているわけでございます。横田飛行場について申し上げますと、横田飛行場の滑走路は南北に走っているわけでございますけれども、滑走路の先端から北側に約十三キロ、それから南側に約十キロ、細長い区域がこの七十五Wの範囲内に入るということでございまして、その中にあります住宅は約三万八千戸ということでございます。  それから、音に対する対策でございます。一つは、横田飛行場及び厚木飛行場では、米軍の航空機の飛行活動について、日米合同委員会で騒音規制についての取り決めがございます。この概要を申し上げますと、横田飛行場におきましては、夜間訓練飛行は最小限にとどめ、毎夜できるだけ早い時間に終了させる。アフターバーナーの使用については、運用上やむを得ない場合を除き、安全高度に達し次第使用を停止する。飛行方法の規制については、飛行場周辺においては速度はマッハ一以下にする。それから飛行高度としまして、離着陸する場合を除き、飛行場上空を飛行する際は、ジェット機につきましては最低高度二千フィート、これは約六百十メートルでございます、これを維持すること。これは海抜の高度でございます。それからジェットエンジンの試運転は、運用上必要とされる場合を除きまして土曜、日曜は禁止、月曜から金曜日は午後六時から午前七時までは禁止する。おおよそこのような取り決めがございます。  また厚木飛行場につきましても、まず飛行活動は、運用上必要と認められる場合を除き、午後十時から午前六時の間は禁止される。訓練飛行は、日曜日は最小限にとどめる。アフターバーナーの使用については、騒音度を必要最小限にとどめる。それから飛行方法として、離着陸を除き人口稠密地域の上空を低空では飛行しない。艦載機による訓練は、場周経絡にあっては一回の飛行を二機に制限する。それからジェットエンジンは、運用上必要とされる場合を除き、午後六時から午前 八時までの間試運転させない。このような取り決めがなされているわけでございます。  それから、先ほどちょっと申し上げましたが、航空機騒音に対する対策としまして、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づきまして、種々の対策を講じているということでございます。
  57. 久保田真苗

    久保田真苗君 若干の規制はしていらっしゃるんだけれども、この間の判決にありましたように、結局受忍限度を超えるという騒音に対してこれを解決するすべがどうもないんですね。慰謝料は国に支払いが命じられて、国はどうなさるのか知りませんけれども、慰謝料を払ったとか、あるいはそれは米軍が侵害行為者なんだから国にその規制を求めるのは適当じゃないとかという判決をいただいても、それによって我慢のできる限度を超えた騒音というものが何一つ解決するわけじゃないんですよね。それから基地とそうでないところの限度を違えたりするけれども、全くナンセンスだと思うんですね。そんなことは受ける人の苦痛から見れば、それが米軍機でやられようが自衛隊機でやられようが民間機でやられようが、何ら変わるところはないわけです。  そういたしますと、私はこれはこれまでも米軍との交渉というようなことをお願いしてきておりますけれども、何も目立った改善というのはないんです。それで、私、前に防衛庁がお取り上げになったことがある一つ考え方、その考え方がどうなったのかお伺いしたいんです。  私どもは、もちろん、こういう夜間訓練、それからNLPというようなすさまじい爆音を出すものをこういった都心に近い人家の密集した地域でやるのはもうやめてもらいたい、そのことを思います。基地もこういう非常に人口の密集したところでは無理じゃないか、そのことを主張したい。取り払ってもらいたい、そのことを主張いたしますけれども、しかし、今現に侵害されている人権、判決の言葉によりますと、人格権としての平穏な生活権が日夜妨害されているという状態に対して何かしなきゃいけないんじゃないかと思うんです。私が防衛庁から伺いましたところで、前にこういうことがあったんだそうですよ。それは浮体施設をつくるということなんです。これは俗に言えば洋上空港というんですかね、浮体施設をつくることについて防衛庁とそれからもしかして外務省も米政府と話し合った経緯があるということなんですね。その経緯について、これはどうしてどうなったのか、それを教えていただきたいんです。
  58. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 今先生御指摘の経緯については私つまびらかにいたしませんけれども、浮体飛行場の問題は、実はこれ夜間着陸訓練が厚木飛行場で始まりましたことに関連しまして、地元大和市から浮体空港を考えてくれとの御要請がございました。それに基づいて防衛施設庁ではこの問題について技術的な資料を収集するということを行った事実はございます。
  59. 久保田真苗

    久保田真苗君 資料を収集なさっただけじゃなくって、これについては谷川防衛庁長官とぞれからワインバーガー長官が話し合われて合意に達したというふうに聞いているんですが、この点はどうなんでしょうか。
  60. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) NLPの厚木の代替施設として浮体飛行場も含めまして種々の考え方について日本側と米側といろんなチャンネル、あらゆるレベルで米側の意向をただしたり意見を聞いたりと、こういうことを非公式にやったことは事実でございます。私が知っておりますのは、米側におきましては、これは非公式でございますけれども、浮体飛行場は受け入れられないと、もし公式に提案されても拒否せざるを得ないというふうな意向表明があったと承知しております。
  61. 久保田真苗

    久保田真苗君 それは、大和市長からのさっきおっしゃった提案があって、その後三年もたってから本当に木で鼻をくくったようなお返事を、極めて短いものをされたというふうに聞きますがね。この谷川前長官とワインバーガー長官とが会われてこの話をして合意をしたということは、それじゃどうなんですか、そういう経緯はあったんですか、なかったんですか。あったんですよね、それは。
  62. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 先生御指摘のような経緯があったとは承知しておりません。
  63. 久保田真苗

    久保田真苗君 あなたが承知していらっしゃらなくても、そういうことがあったんじゃないか。私はちゃんと責任ある、どういう経緯でこれが今のような状態で結局三宅島に回っていっているのか、そのことをお伺いしたいんですね。そのときに浮体施設でよかったんじゃないか、そこのところを私、本当に責任を持って答えていただきたいんです。むしろそれは防衛庁の方が三宅島にしたかったんじゃないか、私はそう思っております。しかし、それについてはもう一度その過去の米政府との話し合いの経緯というものを私聞かせていただきたいんですよ。今多分御返事が無理だと思うので、これはもう一回聞かせていただくということでよろしいですね。
  64. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今施設部長から御答弁いたしましたように、この浮体滑走路の問題につきましては、私ども三宅島に選定をいたします前にいろんな要素を含めまして、陸上既設飛行場、あるいは新設の飛行場、浮体構造等三つの選択肢にわたりまして、詳細に検討したわけでございます。今お尋ねの浮体飛行場につきましては、先ほど来お話がございましたが、米側には非公式にいろいろ問い合わせたりしたわけでございますが、希望をしないということはもうこれは私どもも前々任の長官等からそういった事実を聞いております。  それから技術的にも、こういった二千メートル以上の長い浮体構造体を海に浮かべて、特に外海等に浮かべて運用しておるという実態がございません。技術的には、これはやはり十分に解明をしていかなければいけない問題でございます。それから場所も、これも四方は海とはいえ、漁業の問題あるいは航路の問題等種々ございまして、なかなか難しい問題がございます。二千メートル以上のこういった浮体滑走路を海上に浮かべて運用するということになりました場合には、そういった運用例もございませんことから、設置する場所等の問題も大変難しい問題になるわけでございます。それから、建造費、維持管理費等、類似のもっとずっと小規模な海上に浮かんでおるもの等を勘案して推定いたしますと、これも相当高額になってまいるという問題がございます。それから、訓練期間がこういった艦載機の離着陸訓練場の場合は非常に年間限られておりますので、それ以外の場合の管理をどうするか。NLPに関連しましてはそういった管理上の問題もございまして、私どもとしては検討の過程において、これは実現は困難であるということで検討対象からその段階で外したわけでございまして、その辺は御理解を賜りたいと思います。
  65. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、これは今あちこちが三つどもえになって抱えている問題を解決する一つの非常にいい方法だと思うんです。世界にためしがないわけですか。洋上空港あるいはこういった浮体施設で離着陸の訓練などやっているという実例は全くないわけですか。
  66. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 現在、世界で固定翼機、ヘリコプターではなくて固定翼の飛行機でございますが、これを運用する浮体飛行場は世界じゅうにないと承知しております。
  67. 久保田真苗

    久保田真苗君 しかしこの当時、大和市長がこれを提起されたときにはかなり実証性をもって提起されているはずなんです。確かにお金はかかります。お金はかかりますけれども、島に設置したってお金はかかるんです。そして、今度概算要求にどうもお出しになるらしいんですけれども、横須賀と清水、そしてこれからは全国の各地に多目的の大人工島をおつくりになるというんでしょう。そしてその金額は四、五千億円という金額ですよ。それは概算の段階であって実現するのかどうかは知りませんが、そういうものを幾つも幾つもつくっていく技術力が日本にはあるんだし、そこへ持っていけるお金もあるんですね。そうなり ますと、私はやっぱりそういった商売でもうかるというものはどんどん発達するけれども、この基地周辺の人が耳をふさいで暮らしている、そういう人権なんかは商売にならないんだからやらないんだという、その姿勢にまず疑問があると思うんです。ただ、これは問題にならないんだというふうに却下すべきものじゃないと思うんです。この前谷川元長官がアメリカと話し合われたように、もっと今の段階では技術の問題を詰めて、私はぜひ訪米の際に長官にもこのお話を提起していただきたいと思いますけれども、どうなんでしょうか。
  68. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今、いろいろ開発等の絡みで海上に都市構造体のようなものを建設するというアイデアが出ておることは、私ども新聞紙上等で拝見をしておるわけでございますが、これと飛行場の場合は条件が大分違うわけでございまして、技術的に海底の状況等、あるいは外海にこれを置かなくちゃいけない、要するに人口隠密の場所から若干離れた沖合で、浅いところで建設する場合はある程度可能な構造体もあろうかと思いますが、私どもの場合、騒音等の状況から、そういった人口の密集しているすぐわきでこういうものをつくる、比較的海の浅いところでつくるというような状況はなかなか困難でございます。こういった技術的な問題は当時もいろいろ検討されまして、現在、今回の解決策としては具体的には困難であるという結論を持っておるものでございまして、御理解を賜りたいと思います。
  69. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、防衛施設庁三宅島にNLPの飛行場を設ける、つまり艦載機の離着陸訓練ですよね、それ以上にここを基地化するということを考えていらっしゃるんじゃないか、そう思うんです。長官、それはどうなんでしょう。本当にそういうことを考えていらっしゃるということと違うんですか。
  70. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今あなたのおっしゃるようなことは、私も防衛庁長官二回目ですが、考えたんですよ、これ。陸地にそういうものをつくることによっていろいろ皆さんに御迷惑をかける。それだったら、浮体工事というものができるならいいじゃないか、これはもうどなたでもそう考えるんです。ところが、いろいろ検討してみますと、なかなかそれがいかない。いろいろの理由で困難だと。それから、アメリカへ行きましても、アメリカもそうなんですね。早くNLPの飛行場が欲しいわけですよ、向こうとしても。ですから、これは技術的に可能であってやれるんだというなら、向こうの方から何をひょろひょろしているんですか、これでやってくださいという話があってしかるべきなんですけれども、アメリカから一切ないんです、これ。むしろ非公式の話では、そういう浮体工事は好まない、こういうことなんですね。ですから、私からしますと、別に三宅を何か基地化してえらいことをしようなんていう、そんな気持ちは一切ないんです。御案内のとおり、私はざっくばらんですから、そんなことないんです。ただ、国会で、衆議院でもこの意見が大分出ました。きょうも出ました。ですから、今度ワインバーガー長官に会ったときには、国会ではそういうことをしきりに言うけれども、それだけあなたに伝えておくと、これだけは言うつもりでございます。
  71. 久保田真苗

    久保田真苗君 もともと艦載機なんです。せめて夜間だけでも人家の密集地を飛ばないようにしていただくには、何かそういう一定の譲歩をまず施設庁にしていただかなきゃならないし、米軍がそれで嫌とおっしゃるんなら、交渉していただかなきゃならない。このことを強く希望しまして、ぜひ御訪米の際にはこのお話を出していただきたいと希望しておきます。  それから、私、この防衛二法というのは、自衛隊を増員する、予備自衛官を増員しその給与を上げるという、それだけの問題だと思ってないんです。一連の一つ日本の軍事政策といいますか、あるいはアメリカの世界戦略といいますか、そういうものの中でどういうふうにこれがこんなに急がれているかということを考えなきゃならないと思うんです。と申しますのは、今まで出してきたペースよりもっと速いペースで何とかふやそうということをやっていらっしゃる。  そのためにもひとつ、大変この話を持ち出すことは遺憾なんですけれども、私、今度の防衛白書の配付につきましてぜひお願いしておきたいことがあるんです。それは、国会審議というものはやはり重要なものです。特に防衛についての論議が足りない足りないといろいろ言われるわけですよ。そういう中にありまして、この防衛白書のような非常に社会的な注目をよくも悪くも集めるというものについては、私はここの内閣委員に対して与野党の区別なく、マスコミに配付されると同時期に私どもに渡していただきたいんです。そうじゃございませんから、今度はもう本当に私どもは大変ですよ。それはこの二法を考える上でこれはやっぱり前提となることなんですから、ぜひ私はまず、防衛白書のたぐいの重要な公文書については与野党の区別なく内閣委員に、マスコミにお渡しになる程度の早い時期に渡していただきたい、このことをお願いしたいんですね。いかがでしょうか。
  72. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 白書の編集の方の責任を持っております官房長の方からお答えさせていただきたいと思います。  従来この白書、各省庁も同じだと思いますが、防衛庁の発行する白書というのは、いわゆる法律で必ず提出、発行を義務づけられているものではございませんで、国民に御理解いただくということでそれぞれの所掌に基づいて事実上発行するものでございますが、慣例といたしまして、閣議に配付し説明の上、了承された後に公表するというのが原則でございます。それから、防衛白書の場合には、その中にいろいろ国防に関する基本的な問題等に関する説明もあるというようなことで、その閣議の前に安全保障会議の議員懇談会を開催していただいて、それに説明するという手続をとっておるわけでございまして、この点については、今後ともそういう国防の重要な問題につきましてはその手続を経た後に配付さしていただくというのが基本ではないかというように考えておるわけでございます。  なお、御指摘のマスコミ等に事前に配付しておるということでございますが、これにつきましては、これはマスコミの持つ重要な使命というか、迅速にかつ正確に国民にお知らせいただくという面から、それぞれいろんな、白書だけでなく、個々の施策等につきまして、これは防衛庁だけでございません、政府全体の問題につきまして、事前にその信頼関係においてレクというか御説明するということが日本におけるならわしてございまして、そういう面に従ったわけでございます。そんなことで、ひとつ基本的にはルールというものを守らせていただくようにお願いする次第でございます。
  73. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁長官、私ちょっとこれでは前へ進めませんよ。何がマスコミの役割が国民的に重要で正確に報道する必要があるですか。それじゃ国会の論議の方は国民的に重要じゃなくて、正確な論議がなされないでよろしいんですか。どうなんでしょう、そこのところをお答えください。
  74. 依田智治

    政府委員(依田智治君) この安全保障会議議員懇談会、その前に実は与党の方の政務調査会の部会というものにも御説明をするというのが従前の慣例でございまして、今回についても前日の朝八時からその手続をとったわけでございます。その後に、実は閣議前でございますが、主要なる政党の政策審議担当者等には事前に配付させていただいておるというのが実態でございます。そんなことで、一般原則的には、こういう正式の文書でございますので、閣議了解の王公表するという原則を守らせていただくのが、やはり適当ではないかというように考えておるわけでございます。
  75. 久保田真苗

    久保田真苗君 ますます聞き捨てならないんですよね。一体、あなたのお話を聞いていますと、国会というものはほかの他のすべての機関より一番後にあるようなお話なんですよ。これ一体どう いうことなんですか。私これじゃとてもじゃないけど、今から大事なことを防衛庁長官とやりたいと思っていましたけど、長官、これは何とかしていただかなかったら、私、前へ進めません、これじゃ。どうなんですか。
  76. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) こういう、防衛白書に限らず政府の出す白書というのは、今まで一定のルールというかしきたり、そういうものがあって出していると、これはもう御承知のとおりだと思うんです。今御要望として、与野党を問わずこういうものについては早く出してもらいたい、こういう御要望でございますので、従来のいろいろのいきさつ等を勘案して、それにどうこたえられるかよう検討してみたい、こう考えております。
  77. 久保田真苗

    久保田真苗君 おかしいですよ。マスコミには確かに慣例としてお出しになる、一定の条件のもとに。それがどうして国会議員にできないんですか。マスコミは確かに社説をお書きになったり解説をお書きになったり、必要ですよ、そういうことが。閣議決定になって新聞発表ですぐ出る、それは必要ですよ。でも、私たちの審議はその直後にあるわけですよ。それなのに、私ども防衛白書というものを、これだけ重大な中身ですからね、これやらないわけにいかないんですね、とても。そうなりますと、それじゃ新聞の解説を見たり新聞の社説を見たり、それでもってやれとあなたはおっしゃるんですか。そういうことになっちゃいますよね。マスコミの機能が重要なことは認めます。でも、国会の審議はそれに劣らず重要でございますよ。私は今のお返事では、御希望として承る、後で考えるというようなお話じゃ、とても引っ込めません。
  78. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これはまた大変あれですね、何といいますか、今までの慣行とか今までのあれがあるから、それですから、今までこうだったと、今後のことにつきましては、今御意見があったので、それらと照らしてみてよく検討して、御希望に沿うようにするのにはどうしたらいいかと、こういうことを言っているのでありまして、これ直ちにここでマスコミと同じように出せとか、おれたちだけ出せとかいうことについて私が答えられるわけがない、今までの経緯からして。ただ、御意思はよくわかったから、そういうものと勘案をして、御希望に沿うようにするためには何ができるかと、こういうことを言っているんです。これ以上のことは私の方もお答えできませんわ、これ。
  79. 久保田真苗

    久保田真苗君 大臣、私はかの委員会のことなんか言いたくありませんけれども、ほかの委員会ではそういうことをやっていますよ。それはそうじゃなかったらどうして委員会の論議ができるんですか、すぐに。そうでしょう。皆さんがお考えになっていることは、そうなるのならもう国会会期中はこういうものを出さないということをお考えになるんだろうと思うけれども、私はそんなことは何も解決になると思わないんですね。私は今回、これが遅いから審議日をおくらすという話まで出したんですよ。でも、会期も迫っていることだし、そこのところは我慢してやっているんだけど、今のようなお返事が出てくるんじゃ、これは非常にアンフェアな論議をやらされていると私は思わざるを得ないんですよ。審議にはちゃんと応じてやっているんです。だから、そちらも少なくともそのくらいの時期には出すように考える、出すようにします、そういうお返事がいただけないんじゃちょっと進めません、残念ですが。
  80. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 大臣から今お答えをしましたように、今後の問題につきましては先生の要望も踏まえて検討させていただくつもりでございますが、現在の扱いとしましては、私の方も各省等の扱いを全部調べてみました。中には一部の委員会等の理事の先生方に事前に配付しておるところもありますが、一切公表前には出さないというところもあります。私どもとしては、やっぱり議会の重要性というものを踏まえまして、閣議終了後全議員に対してまず真っ先に配付させていただくという措置をとり、それから順次有識者その他そういうような形で、まだ配付を終わっていないところもあるわけでございますが、そんなようなことで現在のところでもそういう面は十分配慮しながら、ただ、しかし、政府の仕組みというものも踏まえましてやっておるつもりでございますが、今後につきましてはいろいろ誠意をもって検討させていただくというようにお答えさせていただきたいと思います。
  81. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今、国会を軽視しているように政府委員の答弁を受けとられたようでございますけれども、私から申し上げますが、私は国会を軽視するなどという気持ちは毛頭ございません、防衛庁としても。そういう意味合いで、私がただいま申し上げましたような意味合いてよく検討をしておこたえをいたしたい、こう思います。
  82. 久保田真苗

    久保田真苗君 くどいようですけれども、私ね、非常に何というか横着になっていると思うんですよ。こんなことは前にはなかったことです。それが近ごろ平気で与野党区別して、差別してですよ、与党には早く配り野党には遅く配る。しかも、もうここまで来たから私も申し上げますけれども、私は何日も前から、この防衛二法が始まることを予想していましたから、要求していたんですよ。そして、その前日も要求した。なぜかというと、それは自民党の方が皆さん読んでいらっしゃるからです。読んでいらっしゃるから要求した。そうしたら、それでもまだぐずぐずおっしゃったんです。だけど、与党の方は読んでいると指摘したら、びっくりして持ってきました。どうしてこんなめちゃくちゃなことが行われるのか。私は本当に抗議しないではいられないんですよ。そして、御要望だから検討する、そういうような恩恵的な立場になぜ国会が立たなきゃいけないのか。これじゃ国会の論議というものはできないんですよ。そして、防衛についての論議が少ない、そういう立場に私たちを追い込んで、それで勝った勝ったと思っていらっしゃるんだったら、これは大間違いですよ。私は、もう今後こういうことが二度とあったらば、これはもう本当に政治問題にしていただかなきゃならない。長官の御答弁をお願いします。
  83. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は事実を知りませんけれども、今おっしゃったとおり、与党の方はみんな読んでる、野党の方には来ていない、そういう状態は甚だよくないと思います。そういうことのないようにいたします。
  84. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、そこのところは確とお約束しまして、私どもの方も、こういうことがあった場合には本当にこれは問題にさせていただく。もう絶対にそういうことないようにしていただくことをぜひ約束していただいて、しかと約束していただいて——お約束いただけるんですね。
  85. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今申しましたとおり、議員間で不公平の起こらないように、それはもう当然のことでございます。
  86. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、こういういろんな前提があるものですから、私もう一回取り上げさせていただきたいのは、この「軍事力の意義」のところなんですね。もう他の委員からも出た問題ですからくどくは申し上げません。でも、防衛庁長官は、この白書に出ております「軍事力の意義」これは、冒頭に書かれている、それは「力によって相手に対する要求を充足させ、」「強力な軍事力を背景として相手を威圧することなどにより政治的な影響力に転化」する、こういう軍事力の意義づけを長官としてはどうお考えになりますか、御見解を伺いたいのです。
  87. 瀬木博基

    政府委員(瀬木博基君) 白書のことでございますので、まず私からお答えさせていただきます。  先生御指摘のとおり、ことしの白書におきましては「世界の軍事情勢」の冒頭に「軍事力の意義」というものを書いたわけでございます。これは、国際政治の中でいろいろな要素があるわけでございますが、この防衛白書という性格から、軍事力というものが国際政治の中で一定の役割を果たしている、これは厳然たる事実でございます。この点をまず国民の皆様に認識していただきたい と思うことから書いたわけでございます。  他方、その「軍事力の意義」ということにつきまして私どもが強調したかったのは、軍事力というのは往々にして武力が行使されているというところに着眼され、どういうふうな兵器がどういうところで役に立っているかということにえてして議論がいきがちでございますが、軍事力というのはそういうものだけではない。軍事力が直接行使されていないような所また時、そういうところにおいても軍事力というものが政治的な一定の役割を果たしている、そういうことをわかっていただきたいと思ったわけでございます。すなわち、先生も一つは引用をされましたけれども、場合によっては軍事力というものが相手に対して——持っておる者の軍事力が相手に対して威圧的な意味を持つこともある。他方、これに対して相手方のそういう威圧といいますか、心理的な圧迫に対抗するものであることもある、これが世界の現実であるということ、こういうところをむしろ強調したかったわけでございます。
  88. 久保田真苗

    久保田真苗君 この言葉はどこから引用なさったのか。それとも防衛庁が自分で考えたことなのか。お答えください。
  89. 瀬木博基

    政府委員(瀬木博基君) 私の存じている限りでは、特に直接にどこからも引用したということではございません。
  90. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり、防衛庁の方で考え出した現在の軍事力の意義づけというふうに承ってよろしいわけですね。
  91. 瀬木博基

    政府委員(瀬木博基君) これは、現在ということに限らず、軍事力というものが歴史的においても世界的においても果たしてきた役割であると存じております。
  92. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、防衛庁長官、この軍事力の意義づけを、これを背景にして日本防衛政策を進めていると考えてよろしいわけですか。
  93. 瀬木博基

    政府委員(瀬木博基君) 私が先ほど申し上げましたが、この軍事力の意義づけというのは、国際政治において軍事力がどういう役割を果たしているかということを理解する上で申したわけでございまして、あくまでもそういう観点から記述したものでございます。
  94. 久保田真苗

    久保田真苗君 長官に申し上げたいんですね。この「軍事力の意義」を読んでますと一つの言葉を思い出すんですよ。それはこういう言葉なんですね。カルタゴ艦隊なくしてカルタゴの経済活動なく、カルタゴ軍なくしてカルタゴの貿易なし、隆々たる強力な国家の軍事力にその前後を守られない限り経済活動の繁栄はあり得ない、こういう言葉なんです。長官はこの言葉をお聞きになったことがあるか、そしてどういう感じを持たれるか、お聞かせください。
  95. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私はその言葉を聞いたことございません、余り勉強しておりませんので。  この軍事力につきましては、今政府委員が言うたとおり、世界の軍事情勢とか極東の軍事情勢とか、そういうふうに軍事情勢とか軍事力というのは使われるわけですよ。世界の防衛情勢なんというんじゃないんですから。だから、一般的な意味合い軍事力とか軍事情勢ということが言われるので、そこで軍事力とは何だと、軍事力の持つ意味はどうだということを一般的なこととして言っているのであって、そのことがすぐに日本軍事力をそれじゃ持っているのか、日本軍事力は一体どうなんだというものには私はいかないと思うんですよ。要するに一般論として軍事力も言っている、私もこれずっと読んでみたけれども、そういうふうに私はとっておる。ですから、読み方によって違うかなという感じがする。私はそう思っておる。
  96. 久保田真苗

    久保田真苗君 今の言葉は、これはヒットラーの言葉なんですよ。ヒットラーの演説の中に出てきまして、第一次大戦後にドイツが敗戦から立ち直る、そのために国家社会主義の正当性を訴える、つまりナチの正当性を訴えた。その中でヒットラーが財界人などに対して大演説を行った中の言葉なんですけれども、いかにこの軍事力の意義づけとこれとがぴったり同じかということなんですね。  こういう防衛白書のつくり方をしていますと、またこういう軍事力の意義づけというものが、一般論でそれは現実なんだとおっしゃるけれども軍事力がそのように使われていくこと自体に非常に問題があるのであって、そのような軍事力の使われ方をするということに対して、日本は当然平和憲法を持ち、そして平和憲法に従って、さっきも言われましたような考え方でやっているわけです。その日本防衛白書は、これをこういうふうに一般論だからと平気で言いっ放して、どこの国だってこういう考えで相手に力で自分の要求を押しつけるんだ、軍事力を転化させて政治力にするんだ——そういうことをやっているのを批判するのが日本立場じゃないんでしょうか。長官は、こういうことについて、これが防衛白書の冒頭へ出てくるというようなことについて、私は絶対にこれはふさわしくないと思うんです。こういう場合もあるけれども、しかし日本はそういう使い方は絶対にしないんだとそこで断言しないで、こんなものを野方図に防衛白書の冒頭に出されて、これを国民の皆さんに読んでいただきたいと三万部から配布するわけでしょう。こういうことは、本当に長官平和憲法に基づいてやっていこうということでしたら、ぜひもうやめていただきたいんです、こういう記述は。こういう言い方でなく、もっと日本立場から言える言い方があるはずですよ。ぜひ御検討いただいて、こんなものが毎年毎年出るようなことにならないようにしていただきたい。お願いいたします。御感想でもどうぞ。
  97. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これ、やはりその立場立場の人たちでいろいろの考え方が出てくると思います。ですから、そういう御意見につきましては十分頭にしまっておきたい、留意したいと思います。  ただ問題は、防衛白書全体を読んでもらうとわかるように、我が国は憲法の枠の中で自衛のための必要最小限度ということは随所に出ているわけでございます。ですから、防衛白書全体として極めて好戦的な意図を持ってやったというようなことはさらさらございませんので、この点については御理解を賜りたいと思います。
  98. 久保田真苗

    久保田真苗君 大臣がおなかに持っていらしても、この次防衛庁長官におなりになるのか他の大臣におなりになるのかわかりませんですね。ですから、これは一応始末つけていただきたいんです、私は。こういうものが毎年毎年載って、どこの国の軍事力の機能と役割がというような、これは一般的なものであるにしましても、その一般的なものが当然なんだからというような書き方では大変困るわけで、どうぞお帰りになったらひとつよく御検討になって、これが我が日本防衛白書としてふさわしい出だしであるのかどうか、ひとつよく御検討ください。お願いします。  それから、関連して、最小限度の防衛力という問題について伺いたいんですね。  それで、まず伺います。我が国の憲法上の制約下で保持を許されろ自衛力は、自衛のための必要最小限のものでなければならない、こういうものがこれまで少なくとも政府がとってきた態度なんですけれども、それについて変更があるんでしょうか、ないんでしょうか。この点についてどうお思いでしょうか。
  99. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 我が国が憲法上保持できる防衛力というものはあくまで自衛の範囲であるということは、これはもう確固たる問題でありまして、これについては全く変更はございません。現在我が国が整備しようとしている防衛力というものは、必要最小限度のものの中のさらに内枠である、平時においても最小限持っていなくちゃならない基盤的なものであるというように私どもは考えております。
  100. 久保田真苗

    久保田真苗君 長官も我が国自衛のための最小限度のものでなければならないという、それがこれまで日本政府のとってきた態度だし、今も変わりがないということについて、イエスというお答 えですか。
  101. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 当然のことでございます。
  102. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、次に伺いたいのは、今の防衛白書の中でそれは二部二章二節というところなんです。「防衛計画の大綱」の3というのがあるんですね。そこで、「わが国が保有すべき防衛力」、そういうタイトルのもとでこういうふうになっているんですよ。「「大綱」は、わが国が平時から保有すべき必要最小限防衛力の水準等の枠組みについて、」、そういうふうになっている。それは、ただし、六十一年版の防衛白書なんですね。ことしの防衛白書からは、この「最小限」という言葉、「最小限の」というのをわざわざ削ってあるんですね。削った意味というのはどういうことなんでしょうか。これ、「最小限防衛力」という「最小限」が邪魔になったということなんでしょうか。
  103. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは政府部内の協議の段階の話なので、余り表ざたにする問題でないと思いますが、まさに先生の御質問にあったように、必要最小限のあるいは最小限度のという言葉を使いますと憲法で定める最小限度、それに当たるということになりますので、大綱で定めでおる防衛力というのは、先ほど私が申し上げましたように、それよりさらに内枠の平時から持つべき最小のものということで、言葉が似通っていると大綱であるのが憲法で定める必要最小限度の防衛力のてっぺんであるというように、それが量的なりあるいは質的にあらわし得るような形になると誤解を生むので、その言葉を避けたというように聞いております。
  104. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも、今その従来からの態度に変わりはないということであれば、ここの文言から最小限度を落とす必要はなかったはずなんですよね。だから、そこのところに私は今回の防衛白書が最小限度の防衛力という従来からの政府方針をどうも踏み出しているということを全体的に感じるし、この文言にそれが非常に象徴的にあらわれていると思うんですね。ですから、もし防衛庁長官がさっき言われましたように、自衛のための最小限度必要なものでなければならないという基本方針に何ら変わりはないということでおありになるならば、こういう文句は非常に大事な文句だから次の防衛白書で復活させていただきたいし、こういうものを前のものからどんどん削っていくというようなことは、私どもも発見するのには大分これ精力が要るわけですから、きちんとしていただきたいんですね。政府方針に変わりがないのに、なぜこういう公文書の中で作文の中でこれを曲げていくのか、それはそういうことがないようにお願いしたいんです。長官、いかがでしょうか。
  105. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 繰り返すようになりますが、ここに書かれておりますのは、昨年の白書を読んでみますと「わが国が平時から保有すべき必要最小限の」というふうに書いてあるわけです。これは決して憲法で言う自衛のための必要最小限度のとは違うわけでございます。平時から保有すべきものでありますから。その際に必要最小限度のという言葉が憲法憲法学者がよく使っております自衛のための必要最小限度のということと混同しやすいので、その部分を省いた方がしかるべきだろうということであります。
  106. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、今いろいろおっしゃったけれども、私もここのところはもう一回取り上げたいと思います。本当にこれはわずかな文言をつっついて恐縮なようなんですけれども、それは本当にはっきりさせなきゃいけないことだと思うんです。  それで、長官に重ねて伺いますけれども、大綱とその別表に示されている防衛の構想それから態勢、主要装備ですね、こういったものの具体的な規模というのは必要最小限度のものであると、そういうふうに考えてよろしいわけなんでしょうか。
  107. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 繰り返すようになりますが、我が国が整備しようとしている防衛力というものは、当然のことながら、憲法で定める自衛のための必要最小限度の内枠のものであるというふうに考えております。
  108. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 午後一時五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  109. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  110. 久保田真苗

    久保田真苗君 私はここでもう一つぜひ口をつけておかなきゃならない問題があるんです。さっきの大綱の問題は非常に問題になる事柄を提起しておられると思いますので、この後時間の限りやらせていただきます。  もう一つは、先日野田委員からも出しました横須賀、佐世保に常駐している核兵器事故爆発物処理第一グループ分遣隊ということなんです。外務省に伺います。外務省はこれについて、そういった分遣隊が横須賀、佐世保に常駐しているという事実は前から知っていましたか。
  111. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  112. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 速記を起こして。
  113. 久保田真苗

    久保田真苗君 まず、外務省に伺います。  それは、先般野田委員からも質問しました、横須賀と佐世保に常駐しているという状態の核兵器事故等爆発物処理第一グループ分遣隊というものの存在なんですね。これは、外務省はその存在は前から知っていたわけですか。
  114. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) アメリカから至急の電話がかかりまして、委員会におくれまして申しわけございません。走ってまいりましたので、ちょっと息が切れておりまして明瞭でないかもしれませんので、恐れ入ります。  ただいまの御質問にお答えいたします。  この分遣隊第一グループというものにつきましては、この公文書というものが新聞に出まして、その後外務省としては米側に照会いたしましてその存在というものを知ったわけでございます。それは、外務省といたしまして、いかなる部隊がどこに存在するかということにつきまして正式に必ずしも承知してない、承知する立場にないということでございますので、そういうことでございました。
  115. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁の方はいかがですか。この事実を知っていたとか、あるいはその相手と話したとか訪問したとか、そういう事実はありますか。
  116. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私どもとしましては、在日米軍の各基地等における所在部隊の名称なりあるいは内容というものを知る立場にないわけであります。たまたま訓練等で日米の共同訓練をするような部隊等については承知する場合もありますけれども、一般的なその種の知識は持ち合わせないわけでございます。
  117. 久保田真苗

    久保田真苗君 何か歯切れ悪いんですけれども、接触があったことがあるという意味ですね。
  118. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 共同訓練等でおつき合いをしている例えば飛行隊、そういったものについては存じておりますが、今先生の御質問のような部隊については、私ども全く接触ございませんので、存在を承知しておりません。
  119. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、外務省についでに伺いますけれども、この地域司令官それから現場責任者を指定するということになっているんですね。そういう事柄について駐日アメリカ大使を通じてその当事国とは話をするんだというふうな指示がありますけれども、アメリカ大使からそういうお話が過去に外務省に来たというその事実はあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  120. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) そのような事実は全く ございません。  ただいまの御質問でちょっと一言言わせていただきますと、先ほどの御質問は爆発物処理の第一グループ分遣隊についての御質問でございましたが、ただいまの御質問は、責任者を、地域調整官というものを任命するということに関しての御質問がと思います。これは先般野田委員の御質問に対しましてお答えいたしましたとおり、前者の爆発物処理第一分遣隊というものは一九八二年の七月に太平洋艦隊司令官の指令で出ておりまして、後者につきましては一九八四年の五月八日、二年後でございますけれども、に太平洋軍司令官から出ておりまして、これは全く二つは別の事柄でございます。その両者の間に関係はございませんということでございます。
  121. 久保田真苗

    久保田真苗君 両者の間に関係があってもなくても、ともかく私が伺っているのは、そういう責任者を指定するということ、それから核事故の場合に対応するようなプランを調整するという事柄に関連して、何というか、基地の受け入れ国と話し合うのはアメリカの代表部を通じてだというふうな記述があるけれども、それについてのお話はあったわけですか、なかったわけですか。
  122. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) これは先ほども御答弁申しましたとおり、そういう話は一切ございません。
  123. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、そうしますと、ここのこの文書にある以外の知識は持っていらっしゃらないと、こういうことになりますか。
  124. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) この文書、二つ文書ございますけれども、この二つの文書以外の知識は持っておりませんが、第一グループ分遣隊の方につきましては、アメリカ側に照会いたしましたので、若干の知識を持ち合わせております。
  125. 久保田真苗

    久保田真苗君 じゃ、その知識を披露してください。
  126. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 横須賀及び佐世保にある分遣隊の人数について若干知識を得たわけで。ざいます。
  127. 久保田真苗

    久保田真苗君 何人ということですか。
  128. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 横須賀にある分遣隊は士官が一人、下士官、兵が四人、佐世保にある分遣隊につきましては、士官がおらずに二人の下士官より成っている、こういうことでございます。
  129. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、八二年七月三十日付の太平洋艦隊司令官の文書で見ますと、この第一分遣隊の任務は、こういうことをするというのは、ここの二ページ目の(5)に出ていると思いますが、これがその該当する分遣隊の業務というふうに見ていいわけですね。
  130. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) そうでございます。
  131. 久保田真苗

    久保田真苗君 これで見ますと、この分遣隊のしなければならない業務というものは実にいろいろありますね。もちろん核兵器事故、それがございます。そして、そのほかに化学兵器、細菌兵器といったようなものまでその業務の対象に含まれているというふうに見られるわけです。それは間違いありませんか。
  132. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) これは累次国会で御答弁申し上げておりますけれども、EODと申しますのは、今御指摘のように、爆発物全般、これは核兵器、それから化学兵器を含んでおります。ただ、EOD、これにつきまして先日野田委員の御質問に対してお答え申し上げましたように、この記述の中で申しておりますように、この爆発物処理ということの定義といたしまして、不発弾、それから機能が損傷あるいは能力の低下に伴って有害となっている爆発物、これを処理するということが主たる任務であるということでございます。
  133. 久保田真苗

    久保田真苗君 それが主たる任務とこう言われるんですがね、例えば緊急核事故の調査隊を支援するとか、そういうものをやっているんじゃないんですか。
  134. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 先ほど申し上げましたように、理論的に核兵器に関する事故も含まれておりますけれども、まさにこの文書、今御指摘になった八二年の文書でございますけれども、その中に定義というのがあるわけでございます。この定義のところの4には、EODの定義というのがございまして、そこの冒頭に書いておりますのは、不発弾の処理ということをまず言っておるわけでございます。これが日常一番多いこの業務であるということかと思います。
  135. 久保田真苗

    久保田真苗君 もう一つ伺いますが、日常的に能力の落ちたそういうものを主として扱うんだと、こういうあれなんですよね。もう一つ伺います。同じ手紙の、これはページが出てないんですけれども、後ろから数えて四枚目の真ん申込の5というところを見ていただくと、これが第一グループですね。COMEODGRUのワンと書いてある、これが第一分遣隊のことだと思いますけれども、それはもう一つの分遣隊と比べて常駐して、ショアですから海岸なのかもしれないけれども、陸上の活動をする人ということになると思うんですが、どうでしょうか。
  136. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) この点の正確な意味を米側に照会しているわけではございませんので、正確な意味かどうか、この文書について一々日本政府といたしまして権威ある解釈はできませんけれども、EODについては、御存じのとおり、EOD第一分遣隊というのは海軍の呼称でございまして、第一というのはアジア・太平洋地域を指しているようでございます。それから第二というのがその他の地域のようでございますが、いずれにしましても、EODということ自体はアメリカ軍全部にあるわけでございます。これは爆発物処理ということでございまして、我が国にはEOD第一分遣隊という海軍以外に、その他空軍等のEOD、これは軍隊の属性で当然でございますけれども、爆発物が置かれているところ、弾薬庫のそばであるとかあるいは富士の演習場にはEODがあるわけでございます。したがいまして、EOD分遣隊ワンすなわち海軍の分遣隊、これは日本には先ほど申しました横須賀と佐世保にあるわけでございますが、それ以外のEODと協力するという趣旨であろうかと思います。
  137. 久保田真苗

    久保田真苗君 ともかくもう一つのが船の上で作業するのに比して、これはおかでやることは確かだと思うんですね。しかも、爆発物が程度が落ちたものなのかもしれないけれども、そういうものも、ケミカルも、バイオロジカルも、ニュークリアも扱う、こういうことになってますね。しかも、それを貯蔵蓄積してあるものも扱うんじゃなかろうかという感じがいたしますね、EODの分遣隊は。それは三ページ目の6のdというところを見ていただくとそういうふうになっているんですね。これは読み方の問題を随分詰めなきゃいけないんだろうと思うんですけれども、そうなりますと、やっぱり核兵器、化学兵器、生物兵器、そういったものを処理するところがこの日本に、横須賀、佐世保のみならず、ほかにもあるのかもしれない。少なくとも横須賀、佐世保に関してはこの任務を帯びているんだ、そういうことになる。ですから、外務省はさっきいろいろ詳しくは知らないというようなことだけれども、これを見ると核兵器の寄港持ち入み、その場合少なくともおかの上で処理する人がいるということに私はなってしまうんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
  138. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 話を承っておりますと、何かそういう大変なことが行われているような感じでございますけれども、先ほど申しましたように、このEODというものは定義の上でも明確でございまして、まず不発弾の処理ということをこれもう少し長く言っておりますけれども、不発弾の処理に関しましていろいろやっておりますが、それをやることということでピリオド・ファーストセンテンスでございます。この同じ文書の中に書いてあることでございます。さらにその後、私が申し上げましたこの損傷を受けたりした弾薬が危険になった場合の処理というようなことを言っておるわけでございまして、不発弾等、これは通常の爆弾というものが当然爆発物処理係でございます。先ほど申しました人数等から見ましても、そういうものであるというふうに御認識いただきたいと思います。  ただ、理論的にはもちろんアメリカのEODの中に核兵器、それから生物化学兵器が入っておるということ、これは前から御答弁申し上げているとおりでございますが、日本におきましては核の持ち込みがない以上、そのような機能が日本の中で必要であるということはないというふうに確信しておる次第でございます。
  139. 久保田真苗

    久保田真苗君 わからないとおっしゃりながらばかに今のお返事は確信があるんですよね。人数からいってもそんな大層なことじゃないんだと、不発弾処理なんだと。だけれども、この手引から見れば、ほかの地域に、つまり諸外国にあるものも基本的には同じ形なんですよ。その程度の人数で特別のそういうトレーニングを受けている人、そしてその人たちは単独で働くのではないかもしれない、そういうことなんですよ。基本的には主になる人が一人であと三人で、そのほか何人かがいる場合もあるという状態だと思うんですよ。これは極めてノーマルなこの種の事故処理の基本型だと思いますよ。それがどうしてそういう大層なものを扱うものじゃないなんて外務省は確信を持っておっしゃれるんですか、事前協議がないからですか。
  140. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 前々からこれはもう何度もお答えしているとおりでございますが、我が国に核が持ち込まれる際には事前協議が当然あるということでございます。  さらに、この文書をよくお読みいただけばわかりますように、これは爆発物処理、EODについての周知徹底、その手続を周知徹底させるためのものでございまして、ここの文章から一部の新聞ではこれが核のためである、核事故をここに含めるためであるということを、これはこの間野田委員の御質問のときに申し上げましたが、私どもは誤訳であると思いますけれども、この一部でございますが、というふうに取り上げられていることがございますけれども、これはよくお読みいただけばおわかりになりますように、このEOD、海軍におきましてはその第一分遣隊というものの手続を明記している文書でございまして、これは初めからアメリカで公になっている文書、秘密の文書ではないわけでございます。この第一分遣隊の行いますことは、軍隊の属性で当然でございますけれども、爆発物を扱うわけでございますので、その爆発物の処理ということでございまして、それに理論的に核兵器が入っておるということもこれはそのとおりでございますけれども、だからといってこの日本にあります分遣隊がそういう役割を現に行っているということとは全く別の問題でございます。
  141. 久保田真苗

    久保田真苗君 理論的にそういうことを行う分遣隊なんですよね。それが現に日本に存在しているということなんです。しかも、これはおかの上での活動をする人たちなんです。そして、扱うものは通常のものではないと見られるわけです。それは非常に特殊な兵器であるというふうに見られるわけですね。このことの中身を外務省がよく御存じなかったからといったって、それは多分御存じなくて当たり前かもしれない。だけれども、周知徹底のための文書だとおっしゃる。周知徹底するという乙とは、その先にその命令を受けて何らかの仕事をしなきゃいけない人がいるわけですよ。それから次の、こちらの八四年の五月八日付の手紙、これは完全に核兵器の安全についてというルールブックですよ。これは指示書なんです。そして、同じような方たちがやはりその責任に当たっているわけですね。  こういうことから見ますと、もし日本に核兵器も化学兵器も細菌兵器も、そういうものを何も持ち込んでなくて、そういう事故処理をする必要がないということであるならば、わざわざこういういろいろなレベルのオフィサーを指定していくことはないと考えるのが通常なんじゃありませんか。いるけれどもそういうことはしないんだというふうに、どうしてあなたがそんなことをおっしゃれるんですか。
  142. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) この文書について、外務省は知らないと申し上げたわけでございませんで、この文書の一々について有権的解釈をする立場にないということを申し上げたわけでございます。  それから、この八二年の方の文書につきましてでございますけれども、先ほどから申している、繰り返して恐縮でございますけれども、このような分遣隊なり、いわゆるEODが必要であるということはこれは明白でございまして、爆発物の処理でございます。不発弾等の処理でございますので、軍隊である以上爆発物を持っておるわけでございますので、その処理は当然でございます。その処理に当たりまして、分遣隊なりその他のEODが日本にあるということは明白でございます。で、それについての周知の徹底ということでございます。  それから、八四年の方の文書でございます。先ほどから申し上げておりますとおり、八二年の文書と八四年の文書というのは出しているところも違いますし、時間的にも全く離れておりまして、この二つに関連があるわけではございません。報道ではあたかも関連があるようにとらえておりますけれども、全く別の出所による別の時点における文書でございまして、片方が片方を引用しているとかそういうことではございませんが、この八四年の文書の方について申し上げますれば、野田委員の御質問にるる大臣や私からお答え申し上げましたとおり、この文書の趣旨は、核事故というものの重大性にかんがみて太平洋軍指揮下の全将兵に対してそれに対する十分な用意を命じるという趣旨でございます。その意味におきまして、太平洋軍司令官の隷下の司令官に対しましてその指示を与えているものでございます。  したがいまして、我が国におきましては核兵器がない以上、我が国におきます核事故の処理ということではないと思いますけれども、核事故というものが国境を越えて影響を及ぼすという性質にかんがみますれば、さらにその後方対策等々もあろうかと思いますけれども、かんがみますれば、我が国に駐留する米軍につきましても同様な指示を出しているということは、その本来の趣旨、すなわち全将兵に対してその手続等を周知徹底せしめることによって、核事故という重大な事態に備えておく、念のために備えておくという趣旨からも当然ではないかというふうに考えるわけでございます。
  143. 久保田真苗

    久保田真苗君 外務省は事前協議がなければ核持ち込みはないんだというお立場をとっていらっしゃるから、そういうことであくまでそれでおっしゃるんでしょうけれども、これは私たちばかりじゃないんです。この公文書を調べたアメリカの会社も、核兵器の日本持ち込み、トランジットか寄港かわからないけれども、それを示唆するものだという見解をとっているわけです。そうなりますと、私はそうではあっても、これについてもう少ししかるべき——ただ人数が少ないからとか、日本にいるのはそういうことはやっていないんだとかという根拠のない単純なお答えでなく、もうちょっと聞けるところまでは聞いて答えていただきたいと思うんです。そういうことを私はお願いしておきたいんですよ。
  144. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、委員の御質問では常にこの二つの文書、八二年の文書、EODの第一分遣隊と、それから八四年の文書につきまして地域調整官任命と関連づけていらっしゃるようでございますけれども、この点について文書を精査いたしましても、この関連というものは出所も違いますし、似ているようでございますけれども、太平洋軍と太平洋艦隊司令官では全く違うところでございます。この二つの間に関連があるわけではございません。  それから、先ほどのEODにつきましては、先ほど申し述べましたように、爆発物処理、不発弾の処理、老朽弾の処理等は軍隊の当然の属性でございまして、これがない軍隊というのは考えられないわけでございます。したがいまして、そういうものが特に爆発物が多量にあるところにいるということ自体、これをもちまして核兵器云々とい うことを考えるのはいささか考え過ぎではないかというふうに存じます。
  145. 久保田真苗

    久保田真苗君 ともかく、そういう任務を帯びた人がいるということはお認めになるわけでしょう。それはお認めになるわけですよね。
  146. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 爆発物処理部隊がいるということはあらゆる軍隊に当然でございますので、それは認める認めないの前の問題であるかと思います。
  147. 久保田真苗

    久保田真苗君 いろいろおっしゃるけれども、ともかくこれは非常に特殊な分遣隊なんですよ、その仕事の内容が。そういう任務を帯びているんですよ。そういう任務を帯びていて、化学兵器だの細菌だの、それからこういうものなどがこの日本を通過したり寄港したり、持ち込まれたりするんじゃたまったものじゃないわけですわね。私は、ともかくこういう文書が出たときがきっかけだと思うから、こういう国会で、自分たちはとんちんかんと思うような質問が出ているけれども、よく聞かせてもらいたいということで、ともかく存在も御存じなかったくらいなんですから、安心がならないんです。もうちょっと職務に精出していただきたいと、こう思います。
  148. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 久保田委員に対して、まことに申しわけございませんけれども、その特殊な任務を帯びているということを断定なさっていらっしゃるわけでございますが、この文章を精査いたしまして、特殊な任務を帯びているということではなくて、この文書の中に、何度も申し上げて恐縮でございますけれども、定義があるわけでございます、EODとは何かと。EODは不発弾の処理であるとまず言っておりまして、その後言っておるわけでございますが、これは当然の任務を、軍隊の一部として当然に負わなければいけない任務でございまして、この文書を幾ら精査いたしましても、この日本に存在いたします部隊が特別の任務を帯びているということは、この文書で一切出てこないというふうに我々は考えます。
  149. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、この分遣隊は核兵器の事故処理はしないところだと断言なさいますか。そういうものだというふうにここに書かれているんですか。そういうものを扱うということになってないんですか。
  150. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 前々から御答弁申しておりますように、核兵器の処理ということも理論的、一般的には可能であると思います。
  151. 久保田真苗

    久保田真苗君 可能であるんじゃなくて、これはすべき任務なんですよ。日本の陸上にそういうものがあるかないかということはここからは出てきません。だけれども、それは任務なんですよ。しかも、重要な任務なんです。そういうことは認めていただかなくちゃ困るし、理論的に可能だけれども実際にはしてないんだと、人数が少ないからそういうことじゃないんだというような御答弁じゃ、私は納得できないんですよ。
  152. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) EODの定義から明瞭でございますが、何度もお答えして恐縮でございますけれども、EODは爆発物の処理でございまして、この爆発物の処理は、ここにありますように、不発弾の処理等でございます。で、その中に理論的には核兵器も入っておるということは、前々から申し述べているとおりでございます。そういうEODの分遣隊が日本にいるということによりまして、特殊な任務をそれが負っているというふうにこれを表現するということは、実態とは異なるのではないかというふうに思うわけで。ざいます。
  153. 久保田真苗

    久保田真苗君 問題は、やっているかやってないかの問題なんですよ。陸上でこういうものを扱うようなことでは大変困るというか、とんでもないことなんで、問題はやっているかやってないかということなんですよね。そういう任務を帯びて、そういう指示書もあるということなんですよ。だから、それをやってないとあなたが断言なさるのはおかしいと思いますよ。
  154. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) これはどうも繰り返して恐縮でございますけれども、この分遣隊はほかのEODと同じでございまして、要するに不発弾の処理等を目的とするものでございます。それが核兵器の理論的には任務を帯びているからといいまして、当然のことでございますけれども日本におります米軍が弾薬を持っている以上、EODはどうしても必要でございます、その一つの属性でございますので。そのための部隊がいるというふうに存じている次第でございます。
  155. 久保田真苗

    久保田真苗君 次に、五月八日の方になるんですけれどもね、そうしますと、このことについてさっき混同しているとおっしゃったんだけれども、このことについてはやはり外務省の方でこれも御存じなかったと言われましたか。
  156. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) この文書については存じておりませんでした。
  157. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、やはりこちらの方も責任者の指示というものがあるんだけれども日本に関連しての責任者というのはどういうところなんですか。
  158. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) この文書によりますと、日本に関連しては在日米軍司令官が調整官になるということでございます。
  159. 久保田真苗

    久保田真苗君 その先はどうなっているんですか。
  160. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 御質問の趣旨がちょっとよくわかりませんが、その先と申しますとどういうことでございましょうか。
  161. 久保田真苗

    久保田真苗君 その調整官一人だけなのか、それともその先に核の安全を期するオフィサーが任命されているのかということなんです。
  162. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) この文書によりますと、そのようなオフィサーを任命するというふうになっております。
  163. 久保田真苗

    久保田真苗君 それはだれなんですか。
  164. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) この文書には書いておりません。
  165. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは現場のオフィサーを任命するということですね。
  166. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) そのようなオフィサーと、それからここに書いてありますのは、長い手続がいろいろ書いてございますけれども、基地内におきましてはその基地の司令官、それから基地外で起きましたときにはその最寄りの基地あるいは船舶、一番最寄りにいた船舶の指揮官が担当者になって、先ほどの調整官といろいろ対策を行うと、こういうことが書いてございます。
  167. 久保田真苗

    久保田真苗君 要するに、核安全保証のプログラムのオフィサーがいるというふうに理解ができるわけですね、その調整官のもとに。
  168. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) そういうことになるかと思います。
  169. 久保田真苗

    久保田真苗君 その人はどういう任務があるわけですか。
  170. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) その人は地域調整官のもとでただいまの各種の事態に迅速に対応するという任務だと思います。
  171. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、実際にどういうことがあるんですか。核に対するいろんなプランをすると、それはどういう内容のものをやれというふうになってますか。
  172. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) その点は、核の事故が起きますときに際しましていろいろなプログラムをつくるというふうなことでございまして、先ほど申しました基地内、基地外で起きた場合はこうこうという責任者を定めるというのがこの文章の趣旨でございます。
  173. 久保田真苗

    久保田真苗君 基地内外で起こるというのはどういうことを指すんですか。
  174. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) どういうこととはどういうことか、ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが。
  175. 久保田真苗

    久保田真苗君 結局、核の安全ですよね。基地内外で起こるというのはどういう状態を想定しているんですか。それは核兵器が爆発したとか、事故があったとか、あるいは核攻撃を受けたとか、そのどちらになるんですか。
  176. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) これは事故だと思います。核攻撃ということではないと思います。
  177. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、局長の御見解だと日本の場合はこれもこういうオフィサーは本当は必要ないんですよね。
  178. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) これも先般来申し上げておりますように、日本には核兵器は存在しないわけでございますから、したがって、このような調整官というものは日本については本来必要ない面がございますけれども、他方、核兵器の事故と申しますのはその及ぼす範囲が国境外、それから日本の、先ほどちょっと触れましたけれども、基地外という場合に最寄りの船舶が、その艦船の司令官がその第一義的な担当に当たるということから明らかでございますように、公海等におきまして何らかの事故が起きたような場合にそれが影響を与えるということから見まして、それなりの意味があるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  179. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも、基地内外なんですよね。基地内外に任務を帯びているわけなんでしてね、この地域調整官が在日米軍の司令官なんでしょう、これ。そういうことを考えますと、これはもっとずっとほかのところへ行く場合だってそれはあるかもしれませんけれども基本的には任務は日本における基地内外という意味合いだと思うんですね。ただ、必要はないけれども念のためということもあるかもしれません、それは。あるかもしれません。だけれども、そうじゃないかもしれない。そういうことを私は言っているんですよ。そして、事前協議がないからと安心しているけれども、こういうふうな任務を帯びた方は日本にいろんな格好でいらっしゃるということを言っているわけですよ。そうしたら、私はもう少し国民が、この非核の国なんですから、安心するような御説明——アメリカだって喜んでなさると思うんです、こういうわけでこういうものが出ているということを。それを一片の、木で鼻をくくったような、事前協議がない以上はということでは、どうも外交というものは成り立たないんじゃないか。国民の利益を守り、国民の不安を解消するというのは国際友好とともに外交の大きな使命だと私は思うんですね。さっきからもう終了したと言われていますので、これは本当は外務省に伺うよりは防衛庁に伺った方がいいのかもしれない。少しでも接触がおありになるんですから。私、またこの次にこれを伺わせていただきたいと思うんです。  それからもう一つ、さっきの西廣局長の言われました大綱の、言われたのは結局大綱の言っている最低限度、それよりは最低限度というものははみ出して広がっていくものだと、そういう御答弁だったと思うんですね。これはやっぱり私はちょっと、防衛白書自体が少なくとも大綱の見直しや別表の修正は行わないと今のところはそういうふうに言っていらっしゃるときにそういう御発言が出てきて、しかも二カ所にわたって最低限度のというものを外していらっしゃるということは、やっぱりこれなし崩し主義だと思うんですね。そういうことをぜひこの次に、いずれもっとしっかりとやりとりをさせていただきたいと思うんです。  それから最後に、防衛庁長官お願いしたい件は、さっき私は例の洋上空港についてぜひ出していただきたいと、出しますよと言ってくだすったんだけれども、訪米の際にですね、もう一つつけ足していただきたいことがあります。それは、なぜ私たちがこういうことを希望するかというと、この人口過密な日本で非常に人々がそれに悩んでいて、そしてそれに対する注文がたくさんあって、そしてしかも裁判の判示でも耐える限度を超えると言われているような、そういう騒音公害が出ているということをぜひ伝えていただきたいということなんです。どうぞよろしくお願いいたします。
  180. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣も長時間にわたって御苦労さんでございます。私は、きょうは少し時間をいただきまして、質問をさせていただきたいと思っております。  私は、大臣が参議院にいらっしゃる時分からよくお世話になっておりまして、大臣の人柄並びに今までのいろんなことにつきましては、私も私の党の先輩からもお伺いをいたしております。それで、ざっくばらんで非常に立派な方だということもお伺いいたしております。ところが、先般から同僚議員からも指摘がございましたが、大臣ちょっと変わったんと違うかと、いわゆるハト派からタカ派に変わったんじゃないかというようなお話がございました。これは大臣が変わったのかあるいは周りの環境が変わったのかちょっとわかりませんけれども、私が思いますに、少なくとも中曽根さんが総理大臣に就任をされまして、ことしの十一月で満五年になるわけです。この五年間のいろんな防衛論争を私どもずっと見ておりますと、日本の財政状態というのは非常に厳しいこの五年間でございました。特に財政再建ということもありましたしまたゼロシーリングという問題もありまして、国民はもう本当に大変な中にこの五年間を過ごしてきたわけです。そういうふうな中にありまして、やはり私ども防衛力あるいは防衛庁のあり方ということについては大変関心を持っておりますし、それなりに日本防衛自衛隊というものは必要であるという認識のもとに議論もしてきたわけであります。  そういう点からいきますと、この五年間の防衛費の増額というのはやはり突出突出と、大臣も一%枠枠ばかりで中身の論争がないと随分おっしゃいましたけれども、大臣の立場からいえばそうかもしれませんが、我々の立場からいえば、これはもうこの五年間確かにいわゆる枠を突破して防衛費がちょっとふえ過ぎたなという感触がどうしても強いわけです。そこら辺にばちっと歯どめをかけるのは少なくとも我々か大臣の立場、やっぱり大臣がやっていただく以外ございませんので、私たちは大臣を責める以外ないわけでありますが、そういうふうに考えてみますと、非常に私はこれ大事な問題でありますし、そういうふうな意味で私ども立場もそれなりにわかっていただきたいなということをまず初めに申し上げたいわけでございますが、大臣いかがでしょう。
  181. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 峯山さんを初めといたしまして、昔から大変御鞭撻をいただいている皆さんがいるわけであります。おまえハトからタカに変わったんじゃないかと。しかし、正直言いまして、三つ子の魂百まででございまして、変わるものじゃないんですね。私は俗に言うリベラリストでしてね、自分の体で常識を持って、良識を持ってこれはこうだなと思うことは率直に言うわけです。ただ、生来持って生まれた性分で、あいまいを言い方じゃなくて聞き方によると非常に断定的になるわけですね。そこでハトからタカになったんじゃないかというような印象があるのかなと思っておりますけれども、私自体は絶えずほどほどとはどこだと、ほどほどというものを考えてやっているつもりでございます。ですから、防衛論争につきましても多少総理大臣と私と表現、ニュアンスの点について違う場合があります。私の場合は大きな意味で言うと抑制的であると信じております。
  182. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣おっしゃるとおりでございまして、持って生まれた性分というのはそう簡単に変わるものじゃないと私は思います。そういう点からいうと、もともとタカ派だったんと違うかということもこれはあるわけでございまして、大臣今おっしゃいましたように、我々の大先輩でございました前の河野謙三議長さんが、私ども若げの至りで食いかかっていきますとやはりほどほどというのを随分おっしゃいました。私どももそれを教えていただきまして、そこら辺のところほどほどというのをぜひ防衛予算の中にも、よそは辛抱しているんだから、伸び率にしたって何にしたって過去のいろんないきさつ、過去において防衛費はふやしてなかったんだから、今ふやさなきゃしゃあないというんじゃなしに、ほかの省庁も辛抱してんのやから辛抱してる間は我が防衛庁も辛抱しよう、それで日本の経済全体が伸びてきたらそのときに今までの不足の分をもうちょっとやろうやないか、こういうふうに言うのが普通と違うかなと僕は思うんですよね。ところが、最近の防衛 費の伸び率やいろんなことを見ておりますと非常に勇ましいんですな。こういう点は私大変心配するところなんですけれども、大臣もう一回そこら辺のところを踏まえましていかがでしょうか。
  183. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) これも立場によって違いますけれども、私は防衛庁長官として感ずることは、やはり防衛力の整備というものは継続的、計画的にやっていかなきゃならない。そういう意味合いからいたしますと、御案内のとおり、中期防を確実に行っていくと。そうでないとこれはいかぬのじゃないかと。ですから、国の財政事情その他との関係はございますけれども、そういう意味合いで皆さん方から見ると突出かもしれませんけれども、この計画大綱を最小限やるためにはこの程度はいただきたい、そういうことでお願いをしているわけでございます。
  184. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣の立場としてはやっぱりそう言わなしゃあないのやろうね。  それで大臣、実は少し幾つかの問題に入りたいと思うんですけれども、まず「日本防衛」、白書の問題ですけれども、これは先ほどから白書に関する議論がございました。実は私も振り返ってみますと、防衛白書を初めて出すか出さないかという議論があったのを今でも覚えております。この内閣委員会でありまして、今の中曽根総理大臣が防衛庁長官のときです。昭和四十五年ごろだったんじゃないかなと思うんですね。あのときに各省庁の白書があるのに対して防衛庁がないということで、日本の国民の皆さん方に日本防衛力というのはどういうふうなものか知らしめるためにも、やっぱりこういう白書のようなものをつくったらどうだという議論が出てまいりまして、初めて四十五年のその前の年ぐらいだったと思うんですが、議論になりまして出すようになったのを今でも覚えております。  そしてその後、これから先が私の言いたいことなんですけれども、四十五年からずっと出ないんですよ、白書が。そして、昭和五十一年に第二回が出るんです。そして、五十一年からはずっと毎年今出ているわけですね。その五十一年のときの防衛庁長官、どなただと思います。——坂田さんなんですよ。あの人もハト派と相当言われましたね。やっぱり総理大臣が三木さんだったからかもしれませんが、あの人の時代にこれからは全部出そう、それで日本防衛力のあり方をちゃんとしようということで、この「日本防衛」が出されるようになった、したがって、五十一年、五十二年当時の白書というのは今の白書と随分内容が違う。  私はことしの白書を見て、いよいよ白書がひとり歩きをし始めたなと。我々が国会で議論したこと、議論してないこと、これから防衛庁がやろうとしていることを白書の中に書き始めた。これは先ほど同僚議員の方からも御指摘がありましたように、防衛力の整備のいろんな中身の重要な部分が、いわゆる昔書いた文を改め出した、そういうふうな雰囲気が随分あるわけです。そういうふうな意味では、私は長官ね、長官が本当にハト派で本当に日本の平和を愛し、といってもそれは戦争やる人はみんな平和のためにと言ってやるんですから、そんなことはどうでもいいんですけれども、本質的にやっぱり日本の将来を考えるならば、一%枠というのをつくったのも坂田さんですしね、本当は。あるいは日本防衛を考える会をスタートさせたのも坂田さんでした。そういう点を考えてみますと、やっぱりいい意味での日本の歴史に残るような大臣でないといかぬなと私は思うんですよ。ところが、大臣ちょっとやっぱり感じ悪いですな、残念なことに。一%枠をたたきつぶしておる。言葉は悪いけれども、そういうような余りいい感じが残ってないんですね。それはやっぱり本当に大臣の今までのいろんなあれから惜しいと私は思うんです。  そういうような意味で、先ほど大臣は白書を与野党の議員を問わず配るとおっしゃいましたが、それは私非常にいいことだと思うんですよ。ただ、その配るという意味も、大臣はちょっと勘違いしていらっしゃるところがあるんじゃないかと僕は思うんですよ。勘違いでなきゃいいけれども。私たちが言っているのは、要するに閣議にかける前に、国防会議にかける前に、うちの理事会で話が出たんですけれども、要するに自民党のそれぞれの三部会の皆さん方に配って説明をしているわけですよ。それを持ってきて読んでいる可能性が強いわけですから、大臣がお配りするというのはどこら辺のところかわかりませんけれども、ぜひそういう点は我々にもできるだけ早くこういうような資料を配っていただいて、そして論争ができるようにしていただきたいし、また私が申し上げたいのは、そういうふうな意味でぜひともこれからの——これから私いろいろ議論しようと思っておりますが、議論の中身もそういうことを踏まえてぜひ御答弁いただきたい、そのことを初めにお願いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  185. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) いわゆる何といいますか、先ほど申しましたとおり、国会議員の皆さん方には一方の方は見ている、一方の方は見てない、そういう状態はよろしくない、だからそういうことのないようにいたしたい、こう考えております。  それから、坂田さんのお話がございました。坂田さんはハト派だと、私の方はハトからタカにというような、そういう話もございましたけれども、ことわざではございませんが、私はハトとかタカということに余り意味はないんです、リベラリストだということですから。それから、坂田さんを私尊敬していましてね。あの人は防衛計画の大綱というものはこれは大事にして、見直してはいけないと言ったんです。この点については私同じなんですよ。一%の問題については、防衛計画の大綱をやっていく段階で超えることはあり得ると、だからこれには私はこだわっていませんというのが坂田さんの私に対する忠言でございまして、そういう意味合いでは名実ともに峯山さんも尊敬していただいています坂田さんの教えを私は破っていない、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、御忠告をよく頭の中に置きまして、誠心誠意日本防衛を国の安全平和のためにやってみたい、こう考えております。
  186. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは本題に入りたいと思います。  まず第一に、ことしの予算委員会で私は大臣といろいろと防衛問題について論争をいたしました。そこで、大臣がよくおっしゃる、きょうも先ほどから何回かおっしゃっておりますが、大綱の水準を達成するということですね、これ、大臣の答弁を一生懸命読ませていただきました。予算委員会で大臣がぱっと答えるのは、なかなか言葉だけではわかりにくいんですよね。ちょっと鈍いものですから、なかなかその場ではわかりにくい。したがいまして、後で大臣のおっしゃったことを一生懸命理解をするために読ませていただいているわけでありますが、もう非常にわかりにくいんです。そこで、大綱の水準を達成するということはどういうことなのか。これは政府委員の方からでも結構です。詳細にわかりやすく一遍説明していただけませんか。
  187. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 大綱の水準というのは、詳細にということでございますので少しお時間を拝借して申し上げたいと思いますが、大綱は、先生はもう十分御承知だと思いますけれども、平時から基盤的に、日本のお国柄として平時から少なくともこのくらい持っていなくちゃいけない防衛力というものを定めたものだと私どもは考えております。そして、その考え方は、基本的にはまず日本防衛のために必要な機能というもので、ある機能、つまり、ある攻められ方をしたときの守り方については十分だけれども、ある攻められ方をしたら全くお手上げであるということのないように、各種の機能について欠落のないものにしなくちゃいけないだろうということが一つ考えられておるわけであります。もう一つは、その配備、部隊の配備であるとかあるいは態勢におきまして、平時少なくとも例えば東京は見張っているけれどもどこか離れたところは監視してなく ていいというようなむらがなくて、日本全国についてまんべんなく監視なりできる態勢にしておかなくちゃいけない。あるいは、そういったところに例えば国籍不明機のようなものが侵入してきた場合に、ここでは何とか対応できるけれどもこの地域では全く対応できない、そういったことがないように、むらなくそれぞれの防空能力にしろあるいは陸上防衛能力にしろ配備をされたものである必要があるということで、いわばまず防衛力の量につきましてはそういった形で機能的に欠落がない、あるいは常時監視ができる、領空侵犯即応態勢がきちっととれるといった平時態勢をもとに、まず兵力といいますか防衛力の重なり配置を考えてみたわけであります。  そこで、一つ防衛力というのが生まれてまいります。一例として例えば防空ということで考えますと、平時日本全国を警戒監視するためにはやはり二十数個のレーダーサイトというものがあって、そこで初めて切れ目なく日本全域が監視をされる状況になっておる。しかも、そういった監視下に北海道から沖縄まで七カ所に戦闘機の警戒待機をさせることによりまして、少なくとも中高度以上の高さで入ってくる国籍不明機に対しては日本の領土内に侵入されないうちに会敵できるといいますか、そこで侵入を防止できる態勢がとれる、そのためにはどうしても全国で七カ所でやらなくちゃいけないということで、御承知のように現在千歳から始まりまして沖縄まで七カ所に航空部隊が配備をしてあるわけであります。そうして、それらの航空機がいつ来ても飛び立てるように五分待機に二機置いておく、さらに三十分待機で何機置いておくという形で待機をさせ、かつそれらの航空部隊を維持するために常々新陳代謝していく隊員を養成していかなくちゃいけません。そういったものをやるためには十三個の飛行隊が要るということで、戦闘機が何概要るという形で積み上げてみたわけであります。  同じような格好で海上自衛隊について言えば、対潜能力として我が国周辺数百海里の哨戒を少なくとも一日一回できるためには何機のP3Cが要るかとか、そういった形で積み上げてみまして、それらの総合された防衛力をもっていわゆる限定的小規模事態というもの、これは周辺の軍事力等を勘案してこの程度のものが小規模限定として来れるということを前提としてシミュレーションをいたしまして、そこで能力の検証をしてみたわけであります。例えば防空について言えば、相手方が小規模限定という規模で例えば北部中心に侵攻してきた場合、あるいは日本全体に対して全面的なそのかわり薄い攻撃をかけてきた場合、そういったケースによって相手方が航空攻撃をしかけてくる、その際に我が方が防空活動をいたしまして、そうしてもろもろの戦闘シミュレーションをやった結果、ほぼ引き分けに終わるといいますか、お互いに痛み分けといいますか、二度目に来るときは向こうも力が弱っておればこちらも力が弱っておるという状況が五分の状況というふうに考えているわけです。  そのくらいでいけるものであれば、これを撃墜率に直しますと三〇%ぐらいの撃墜率が得られる状況であれば、私どもは防空力としてはほぼそこそこの水準であろうというふうに考えておるわけですが、大綱におきましてはそういった検証をして我々が求めておる例えば撃墜率、それが仮に一〇〇%でなくてもこれが八〇なり七五ということであればそれは合格にしようじゃないか。ただ二〇%、三〇%ということではいかにも日本防衛力としてそこは空白になっている、あるいは余りにも手薄過ぎるということで、小規模限定侵略に対するもろもろの防衛機能の検証を行って現在の防衛力、防衛計画の大綱の別表なり態勢というものをつくり上げたわけでございます。したがいまして、私どもとしてはこの防衛計画の大綱水準というのは平時の警戒監視から始まりまして、有事いわゆる小規模限定侵略に対してはまず独力で対応できる能力を持ったものであるということを前提にして、積み上げたものであるというふうに考えております。
  188. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはそうでしょうね。専門家がおっしゃっておるんですから、それはそれで合うとるんでしょう。だけどね、今防衛局長説明されたようなことを聞いてもわかりませんね、全然。これ、もうちょっとわかるように言ってくれませんか。要するに、確かに今おっしゃるような意味、機能については欠落のないもの、配備についてはそれこそ東京はちゃんとしたけれどもよそは落ちていたということがないように、全国むらなく。わかるんですよ、全部。防空についても陸上防衛能力についても、そのことはわかるんです。そのとおりだろうと思うんです。  だから、そういうふうなことを私は言っているんじゃなしに、実際問題としてこれから大綱水準を達成するということはもう少し具体的に言えばどういうことなのか、これをもうちょっとわかりやすく言いますと、私がわかりやすく言うのはおかしいわけですけれども、要するに我々としては例えば大綱水準というのは実際に大綱の別表というのがありますね、実際、具体的に。この別表に書かれたこういうようなものがきちっと入ってしまえば水準達成なのか、あるいはそれだけじゃなしに新たにこういうことをせないかんということなのか。今おっしゃっているようなことなんというのはこれは全部わかるわけですよ。そのとおりだろうと思うんですよ、私は。ただ、そういうようなことが完璧にできるものなのかということなんですよ、要するに。  何でかいうと、我々が今ここで財政的な問題や機数の問題やいろんなことを何遍も何遍も質問すると、その答弁は必ず大綱水準達成のためにというのがついてくるわけです。その大綱の水準を達成するために、大臣は何回もおっしゃいましたが、大綱水準を達成するためにはこの一%の枠は突破せざるを得ないんですと何遍もおっしゃった。だから、その大綱水準というのは、もう少しわかりやすく、なるほどそういうことなのかと納得できるような説明がないと困るわけですよ。日本全国まんべんなくどこからどこを攻められてもいいように、東京は攻められてもいいけれどもどこはあいてたと、東京は守ったけれどもあそこはあいてたなんて、そんなあいているところがいっぱいあっちゃ困ります。それはそのとおりです。そのことに私は反論を加えようとは全く思いませんが、具体的にもうちょっとどういうことなのか、わかりやすく御説明いただきたいと思うんですがね。
  189. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御疑問の点が必ずしも十分つかめているかどうかわかりませんが、一つの言い方をさせていただきますと、大綱というのは、御承知のように、従来、通常兵器による局地戦以下の事態に最も有効に対抗できる防衛力を持つんだという、三次防、四次防までの考え方があったと思います。ところが、通常兵器による局地戦以下の事態といっても、かなりレベルの高いものまで考えざるを得ないということになると、現在の防衛力、当時の防衛力からすれば非常にその間に格差があるということでありまして、そういったものを現段階で直ちにねらう必要があるのだろうか、ねらっていることについていろいろ問題が起きるのではないだろうかということで、最終的に出てまいったのが限定的小規模事態ということであります。  限定的小規模事態は、今までたびたび御説明しておりますので余り詳しくは申し上げませんが、限定的というのはまず質において核を使わない、つまり通常兵器限定戦である、さらに時間的にも地域的にも限られた侵攻であるというようなふうに御説明申し上げております。したがって、要するに、現在の我が国周辺におけるそれぞれの国の軍備の態勢というものがありますが、そういった全体の態勢というものを大きく変更することなく、例えば日本を攻めるためによそから持ってくるとか、あるいは端的に申せば、第三国と第三国が対峙しておるところの兵力を抜いてきて日本の方に回してくるといったようなことではなく、現態勢のまま日本に対して攻撃をしかけてくることが可能な兵力というものが見積もられるわけであ りまして、それに対して少なくとも独力で相当な対処ができるものということを大綱はねらっておるわけであります。  ところで、その小規模限定侵路をしてくる力というものは、これは、これまた国会等で何度も申し上げておりますが、時が経るに従いましてやはり変化をしてくるものであることは事実であります。これは現状では私どもは逐次その重なり質なりが上がってきている、つまり日本に対する攻撃の力というものが大きくなってきているというように認識をしておりますが、これはまた時代が変わってくれば減ることもあるかもしれません。そういったことで、小規模侵攻事態というものが時代によって変わるものであることはまた事実であり、そういう点で防衛力が相対的なものであるということは、前々から申し上げているところであります。したがって、我々は、例えば今回のような中期防衛力整備計画をつくる、あるいはかつては中業というものをつくっておりましたが、そういう五年ごとの計画をつくるに際して、そのときの周辺の軍事力というものを十分に精査をいたしまして、この時点で日本に向かい得る兵力としてはどの程度のものが来る可能性があるであろうかということをまず詰めてみて、それに対して現在持っている防衛力はいかがなものであろうかということと比較をするわけであります。  そうしましたときに、それぞれの機能、それぞれの能力において不足するものがあれば、これは五カ年の間に整備をするべきであろう、あるいはこれはもう十分であるからそのまま置いておけばいい、あるいは減らしてもいいというものも出る場合もあろうかと思いますが、そういった形で五年ごとに小規模限定侵攻というものの想定をしながら、それとみずから持っている防衛力というものを比較して防衛力の整備というものを決定していくというのが我々のやり方であります。その際、御承知のように、大綱では別表なり自衛隊の態勢というものがございます。それはまさに大綱をつくった当時の考え方でありますけれども、我々としては、この別表の規模なりそういったものはその当時の想定された限定小規模侵略に対応し得る態勢としてこれでいけるということでつくったものでありますが、と同時に、例えば隊員の数の問題にしろいろいろの問題は、国内的ないろんな例えば航空機の数にしろ持ち得る機種の数その他から考えて、我々が持ち得る防衛力のかなりかたい枠組みの一つであるというふうに考えております。したがって、この別表の枠組みの中で質的な近代化を図る、あるいはいろんな面の合理化を図るということで、いかにして相対的に現状では増大しつつある小規模限定侵略、そういったものに対抗し得る防衛力をつくっていくかというのが、工夫を要する点であろうというふうに考えておる次第であります。
  190. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 局長、そうすると、今局長おっしゃることはよくわかるわけですよ。例えば先ほどからの平時の場合の機能と配備の問題、有事の際の小規模限定的な侵略に対していわゆる独力で対応できる兵力を備える。そういうふうな意味で、そのいわゆる有事の際の限定的小規模な侵略に対してどのくらいの兵力があれば対応できるか、結局それを見積もってということですね。ということは、どこが侵略してくるかわかりませんが、これは相手のあることですから絶えず変動しておるわけですよね。ということは、逆に言えば、この大綱の水準というのはいつまでたってもこれは達成不可能と至言えるわけですよ。今の科学技術の進歩でだあっと進んでいるわけですから、相手もどんどん対応してよくなるわけですから、よほど地震か何か大災害でもあって、少なくとも我が国に対して脅威になっているような国が壊滅的打撃を受けるとかのことが起きない限り、これはもう絶えず進歩しているわけですから、大変なことでしょう。違いますか。そういうふうな考え方は当たりませんか。
  191. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) おっしゃるとおり、防衛力というものはあくまで相対的な面がございますので、例えば道路をつくる、鉄道をつくるというように、一たんできましたら若干の補修をしていくということで維持ができるというものとは違って、ある水準を維持するということは非常に大変なことだというふうに考えております。
  192. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣に聞く前にもう一つ局長に聞いておきましょう。  これは予算委員会の答弁の中で大臣がこうおっしゃっておるんです。今みたいな議論がさんざんあったあげく、大臣はこうおっしゃっているんです。「大綱水準というのは、先ほど申したとおり、別表との関係、限定かつ小規模の侵略態勢との対応、そういうものが中心になって大綱水準ができておる」というふうなことをおっしゃって、その今の答弁の前に、「大まかに言いますと、別表を達成するということであります。ただし、それは防衛局長も言ったように、いろいろと技術の進歩の問題等ございますので、国際情勢その他ございますので、これは質の高いものでなきゃならないということであります。」というのがあって今の後の答弁になるわけでありますが、要するに、大綱のこの別表を達成するということであれば我々非常にわかりやすいわけですよ。ああこれか、これを達成するということならこれはそれなりにいつかはできるなとわかるわけですが、いつできるともわからない見果てぬ夢を追い回して、そのためにいわゆる一%枠を突破さしたり撤廃したりということについては、私は納得できないんですよ。大臣が大綱水準を達成する達成するといつもおっしゃっていますけれども、それはもう今の防衛局長の答弁を聞いておりましても、これは相手のあることですし、兵器の進歩や何やかんや見ておりますと、大綱水準を達成するなんということはとてもじゃないけれどもできないと私は思うんですよ。これはできますか。大臣、どうです。
  193. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 私は、今申されたように考えていますよ。大ざっぱに言って、別表達成ということです。ただし、その別表というのも弾力的なものであるというのはもちろんあるわけです、大ざっぱに言って。そして、軍事技術の進歩あるいは諸外国の状況、いろいろありますから、相対的なんですね。ですから、言うなればその大綱水準というものが固定しているとは思わない。もうこれで大綱水準を達成したとは思わない。それそのものが流動をしておる、それは当然のことだろうと思うんです。それをもって見果てぬ夢という表現もあるでしょうけれども、一応大ざっぱに言って大綱水準にこの段階では、まあこの程度で大綱水準じゃないか、あるいは足らないじゃないか、あるいはこれは大綱水準よりもオーバーしているんじゃないか、そういう判断があるのではないかと思います。これでおしまいというような意味のものは私はないと思います。
  194. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、大臣が今おっしゃるように、これでおしまいというものはないということであれば、要するにそんないつ達成するかわからないようなものを達成するために一%枠を突破するというのは、どうもおかしいと私は思うんですよね。これは大臣、大臣は張り切って立とうとしておられますがね、これはもうどう考えたって、例えば、私はこの間もちょっと申し上げましたが、大綱水準の達成というだけなら、五十二年の防衛白書の中では、質的には別にして量的には既に大綱水準はもう達成したと言ってもいいというような意味の記述もあるわけですよ、事実。質はまだいろいろ向上ありますから、それは局長がおっしゃるように、質のことをぎゃんぎゃん言い出しますと、質はいっぱいありますね、それは。  例えば対潜哨戒機にしましても、P2Vというのがあって、それがP2J、そういうようなものからP3Cに変わると、能力はぱあっと上がる。能力は上がるし全体のカバー範囲も広くなりますが、機数はがくっとダウンするわけですから。今の要撃戦闘機にいたしましても一緒です。104の時代から、御存じのとおり、F4になってF15になっているわけですよ。それがごろごろ変わっていきますと、量的にはそれはがくっと減る時代もあるわけですよ。しかしながら、能力の点からいきますと相当向上しているはずなんですよね。どこ ろが、昭和五十二年当時、少なくとも白書の中でも規模的にはほぼこの水準を達成しておるというふうな意味のことを書いてあるわけです、現実に。それが、五十二年当時あったものが今それじゃ何でないのか。もう本当に何回も答弁聞いておりますと、この一%突破のときの話なんか聞いておりますと、水準にはもう全く達していないんだというふうな意味の発言があるわけです。  これはそれなりに私は意味がわからぬわけじゃないんですよ。相対的に、脅威となっている国の皆さん方の防衛力やその装備の問題から比較していけば、それはそういうことは言えるかもしれない。しかしながら、そういうことをどんどんどんどんやっていきますと、それこそ果てしない軍拡競争になるわけですよ。大綱水準の達成というのは結局ある意味ではこれは満足度ですね。防衛庁長官がどこら辺で満足するかということですわ。ここら辺の装備である程度我慢できると、ある程度のことができると。例えば先ほどのこの有事の際の限定的小規模の侵略に対してこの程度はいけるぞというのは、私はそれはF4とF15とだんだんいいものに変わっていって、能力もだんだんいいものになれば、それはそれにこしたことはありませんよ、しかしながら、それをちゃんとするために、今日本全体の財政状態から見て、それを一%枠を撤廃してまでやることはあるかと。ちょっとやっぱり行き過ぎじゃないかと。  それと同時に、先ほど局長の答弁で私ちょっと気に入らぬところがあるわけですが、この別表というのは、大臣が先ほど答弁ありましたように、別表というのは少なくとも、私どもは今まで内閣委員会で何回も議論いたしましたが、この別表の数を達成したらほほ大綱水準を達成するんだなと私どもも思っておりました、ところが、ことしの白書は今度は、私が白書がひとり歩きし出したと言いましたのは、いわゆるこの別表の修正が何ぼでも可能だという意味のことをわざわざ項目を設けて記載をしているということです。これは、要するに、この間からの予算委員会やいろんなところの議論を踏まえて私は書き出したんだと思うんですが、それじゃそういうふうな装備やそういうようなものが自由に、まあ自由にとは言いません。去年の白書の中でもそれを変更するときには国防会議や安全保障委員会の承認を受けて変更することになっていますから、それはわかっています。それはわかっていますが、それを受けてやるにしたって、それは問題ですよ。少なくとも大綱水準の達成というのはこの別表の枠をきちっと達成することで、もう既にそこら辺のところは十分達成しておると、こう私は思っていたわけですが、実際はそこら辺のところがほんまにどうもはっきりしない。  そういうふうな意味で、大臣、これはやっぱり私どもわかりやすい方法でいきますと、やはりこの別表のこの数量を少なくとも達成をすると、そこら辺のところをわかりやすく言っていただかないと、例えば先ほど局長がいろいろ説明になりました、こういうふうな例えば有事の際のこの抗堪能力のそれに対応する可能な兵力を見積もるとおっしゃいましたが、そういうことを見積もっていろいろやるということになりますと、やっぱりそのときそのときによって随分私違ってくると思うんですよ。そういうふうなものであろうと私は思うんですけれども、それならそれで大綱水準の達成ということについてはそう軽々しく言えるものじゃないと、逆にそうなってきますね。したがって、私はね、もう一回整理して申し上げますが、この大綱水準の達成をするということはどういうことなのか、これをもう一回わかりやすく、我々が目標としてこういうことなんだなと、しかも現在日本防衛力というのはどこら辺の水準にあるのか、どういう点をあと追加しなければならないのか、そういう点も含めて、局長、わかりやすくもう一回お願いします。
  195. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今大変多くの御質問がありましたので十分お答えできるかどうかわかりませんが、まず大綱策定当時、五十一年当時でございますが、量的に私どもはほぼかなりのところまで来ておると、しかし質的な問題がいろいろあるというふうに申し上げました。例えば二、三の例で申し上げますと、陸上自衛隊十八万、十三個師団体制というものは既にでき上がっておった。大綱も同じような体制でいきたいということで現在もまだ動いておりません。  一方、海上自衛隊で言いますと、当時ティピカルなものについて言えば固定翼対潜機というものは百二十六機を海上自衛隊が持っておったわけでありますが、一方、質的な問題としては、当時の周辺諸国の潜水艦というものがいわゆる電池式の在来型潜水艦から逐次原潜に変わりつつあった。それが非常に顕著になりつつありました。したがって、従来のように、相手が浮上した際レーダーで発見をし、これを攻撃するということが困難な状況になりつつありました。したがって、これを水中捜索可能な航空機に変えなくちゃいけないということで、我々はP3Cと同程度のものを念頭に置いて、それで何機要るだろうかということで、百機という数字を定めたわけであります。したがって、百二十六機という当時持っておった航空機より少ない数、百機に質的転換を図りつつ量は減らすという形で大綱の別表というものを定めたわけであります。  同様に、戦闘機につきましても、当時は、要撃戦闘機、支援戦闘機合わせまして百五十九機という数の戦闘機を持っておりました。しかし、その中で、御承知のように、86Fといったようなもう古くなりつつある飛行機もあった。一方、諸外国では二世代が出現し、三世代の航空機が出現しつつあった。したがって当時、次期戦闘機ということで検討いたしておりまして、F15クラスのものを考えておりました。そういったものを含めて大綱としては四百三十機にしたい、四百六十機ほど持っておったものを、若干減った数字でございますが四百三十機で大綱水準というものを定めたいということでお決めいただいたわけであります。  そして、その後そういった近代化を進めてきたわけでありますが、近代化しますことによって、まさに先生御指摘のように、非常に高い飛行機になる。したがって、私どもの予定したような更新が不可能になりまして、現状では、例えば固定翼対潜機は六十一年度末の姿では八十四機まで落ち込んでおる。つまり、現状では質的には逐次改善されつつありますが、量的に大綱確定当時百二十六機持っておったものが八十四機まで落ち込んでおる。戦闘機について言いましても、四百五十九機持っておったものが現在では二百九十六機まで落ち込んでおるということで、質的には改善は緒についておりますけれども、量的にがたっと落ちてしまっておる状況にある。そういうことを十分御理解いただきたいと思いますので、私どもは決して大綱策定当時の数的にはほぼ達成されたという考え方が変わっておるわけじゃございませんで、それよりもかなり控え目な形で大綱の別表をつくったつもりでございますが、質的改善を行う際に十分な量の確保までできないで、一時的に現在落ち込んでおる状況にあるということもまた御理解いただきたいと思うわけであります。  最後に申し上げたいのは、大綱水準、先ほど申し上げたように、相対的な面があることは否めないわけでありますが、ただ私が申し上げたいのは、限定的小規模侵略事態というものは、我が国に対して起こり得る事態としてはいわば最も小さいような事態であります。したがって、それにすら十分な自力対抗能力がないということでは、何とも防衛の任に当たる者としては心もとないというものでありまして、これについては、やはりその水準というものはぜひ早期に達成させていただきたい。もちろん、我が国に実際に侵攻が行われるということになれば、決して小規模侵攻事態以上のものが絶対起きないということではございませんで、そういったものも十分起こり得る可能性はある。しかし、それらについては日米安保体制というものと相まって何とか対抗するということでありますが、少なくとも我が国自体で対応し得るものとして、小規模限定事態といったような低レベルのものについては、自力で対応できるもの がぜひ必要であろうというように考えておる次第であります。
  196. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 局長、小規模限定的侵略ですね、これは現在の体制では対応できないとおっしゃいましたが、ずっとできないんですか、五十二年当時から。どの程度できないのか。最近できなくなったのか。五十二年当時は少なくとも航空機等相当量あった、質は別にして。その当時はどの程度対応できて、現在はどの程度できなくなったのか。あるいは先ほどの局長の話の中のいわゆる配備の問題でいきますと、穴が随分あいているのかどうか、そういう点を含めてお聞きします。
  197. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今お尋ねの件は、まさに我が国の防衛能力そのものを示すことになりますので、細部の数値的なことは御勘弁いただきたいわけでありますが、全体的な状況だけ申し上げますと、まず陸上自衛隊が主として担当いたします着上陸侵攻対処能力は、これは我々としては、仮に着上陸侵攻が行われるとすれば、やはり我が方の海空防衛力というものが十分に働きにくい地域で起こり得ると考えておりますが、その陸上に上がられてからの防衛能力ということになりますと、各国の師団等の火力が非常にここ十年間に上がっております。それに対して陸上自衛隊の火力等は余り上がっていないということで、大綱策定時よりかなり状況が悪くなっている。例えば、ある地域上陸後それほど攻め込まれない、要地で何とか一カ月ぐらい持久できたと考えられたものが、こちらの方が一部の要域だけを確保しなくちゃならない、相手方が大部分を制圧してしまうという状況に、もし陸だけで比べればなりかねないというところまで、少し相対的には低下をしておるというふうに私は考えております。  なお、海上防衛力、例えば対潜能力という点について申しますと、現状では大綱策定時とほぼイコールではないかというように考えております。ただ、これはこの五カ年計画が完全に達成され、それができ上がる時期には、私どもが当初の所望の大綱自体が目標としておりましたものに非常に近づいてくるというように考えております。その目標が達成し得るものと考えております。ただ、問題点としては、先ろから国会等で御議論いただいております洋上における空からの攻撃、そういったものについての脅威が増大しておりますが、それについての手だては全く行われていないというのが現状であります。  それから、航空自衛隊について申し上げますと、航空自衛隊については逐次整備が進んでおりまして、要撃能力については大綱策定時の要撃能力より若干上回った格好になっております。そして、かつこの五カ年計画が達成できますれば、大綱の目標水準というものがほぼ達成できるというように考えております。ただ、支援戦闘能力につきましては、現在の支援戦闘機そのものの数が非常に少ない。そして、能力的にも練習機を改造したものでやや落ちておるということで、その種着上陸等を図ってまいります艦艇等に対する阻止力については予定よりもかなり下回ったものになっておるというのが実情であります。
  198. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今の話を詳細に聞いておりますと、支援戦闘機の問題は後ほどお伺いするとしまして、航空自衛隊も要撃能力はそう落ちてないと。海についてもそんなに落ちてない感じのお話でしたね。そうすると、着上陸侵攻のいわゆる陸上自衛隊の問題が相当落ちておる、そういうお話でした。しかしながら、全体としては、やはり着上陸して、それは一カ月もやろうなんていうことになったら——そんなことを本当に考えておるんですかね、しかし。そんなことになったら、これはもう全然あきませんわね。そういうことになってもらったら困るわけですけれども、この狭い日本の国で、あの第二次大戦ですら、それは沖縄でああいう戦争になりましたけれども、そこに至るまでのこれが大事なのであって、そういうふうな意味では、私はこの着上陸侵攻、そこに至るまでのいわゆる未然にそういうことを防ぐ能力というのは、これは大綱策定当時より相当能力がふえているんじゃありませんか。
  199. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 二点についてお答えしたいと思います。  まず、着上陸侵攻を除いた能力、私は絶対的能力については、大綱策定時既に持っておった相対的能力と同程度の相対的能力に近いものを持っておるということでございますから、絶対的な防空力なりあるいは対潜能力というものは上がったというふうに考えております。しかし、大綱策定時に目標とした水準には達していないということを申し上げておるわけでございます。  それから、着上陸侵攻については、私ども考え方は、着上陸侵攻が例えば本土に直接すぐ行われるとかそういったことは非常にしにくい。それは我が方の航空阻止力もございますし、海上部隊もありますから、そういったことは困難だろうと思います。しかし、一部地域につきましては我が方の航空部隊というものがほとんど活動し得ない、あるいは彼我の勢力というものが段違いに違っておって、航空部隊というものが活動できない地域というものがございます。そういう地域は、当然のことながら、水上艦艇等も活動できない。要するに、陸上部隊にその部分は依存せざるを得ないという、非常に限定された地域でありますが、そういうものがございます。  そこで、そういったところは相手が上がろうと思えばある意味ではいつでも上がれる態勢にある。そうして、上がられてしまったら、先ほど申したように、かつてよりもかなりこちらの相対的能力が落ちておるということは事実でございます。したがって我々としては、それじゃ陸上部隊を十三個師団を三十個師団にしてとか、そういったことではとても量で対抗することは不可能でございますので、陸上自衛隊そのものが水際までで阻止し得る何らかの手段を持つとか、そういった形で上がられないようにする。ほかの地域で言えば海空部隊に依存しているような水際までの防御というものを陸上自衛隊が担当するということも考えないと、陸上自衛隊を幾らふやしても対抗できないということになりますので、そういった点については、やはり質的な向上あるいは装備体系の変更等に基づいて、何らかの対応をしなくちゃいけないのではないかと考えておる次第であります。
  200. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大綱策定当時に目標とした能力、この能力という問題は数と実際の能力と二つあると思うんですけれども、数の面は別表の数ですね。能力というのはどういう——これが動いてきているわけですか。
  201. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 能力をあらわす様式はいろいろあると思います。例えば防空力について言えば、最終的には私どもはシミュレーションで彼我の被害率が一になるように、要するに我が方が百機やられれば相手方も百機やられるというのが一番端的を言い方でありますが、そういう五分五分の被害を受ける状況を念頭にしておるわけであります。もっと単純を言い方で撃墜率、相手が百機なら百機攻撃をしかけてきたというときの撃墜率としてほぼねらっておりますのは、三〇%近いものがあれば防空としてはまずまずの成果を上げ、相手としても引き続きどんどん二度三度としかけてくる気にならない数字の一つの限界点というのが三〇%程度の撃墜率だと思いますが、その程度の撃墜率を確保し得る能力というようにお考えいただいたらいいと思います。  一方、海上交通の保護等でありますれば、我が方の対潜部隊が海峡あるいは港湾等、あるいは船舶の護衛なり哨戒といったもろもろの対潜作戦を通じまして、相手の潜水艦をどの程度撃沈できるかというのが目安になっております。それによって、通常四〇%も撃沈すれば相手の方はもう二度目は出てこないというぐらいの被害と考えられますが、そういった高いものは無理にしても、やはり三〇%以上の撃沈率というものが相手の一行動サイクル、通常潜水艦の場合は二カ月ぐらいでありますけれども、その間にその程度の撃沈率というものはこちらが獲得できなければ、とても対潜能力としては十分でないというように考えており、そういった撃沈率等で換算をいたしております。
  202. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではもう一点、白書の問題で、今の大綱のところについてこれはお伺いしておきたいのでありますが、今回の白書の中で、大臣は先ほど頭を振っておられましたけれども、別表の内容の修正の問題のところですね。これはわざわざ二項目を設けてある。去年まではそんな設けてないんですよね。これはどういうことなんですか。
  203. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ちょっと私、白書の編集等やっておりませんので十分お答えできるかどうかわかりませんが、もともと白書というのは、過去一年間に国会等で御議論になったこと、あるいは政府としていろんな施策をした、そういったことを御紹介するのが中心になっておると思います。で、御承知のように別表なり大綱の改正問題というのは一昨年来かなり御議論になって、昨年の白書にも国会の議論の経過等が盛り込まれたのではないかと思っております。そしてまた、今年度の白書につきましても、同様の議論がこの一年間いろいろございましたのでいろんなところに出てきたのではないかと思いますが、余り方々で大綱問題ということを取り上げるというのもいかがなものかということと、ことしはたまたま大綱ができて十年たっておる時期であるというようなことで、大綱について恐らく特集的にまとめられたものではないかというように理解をいたしております。
  204. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、局長じゃなくて専門の局長、別表というのは私たちはそう簡単に修正できるものであるなんて思ってないんです。去年の白書の中にも、修正する場合は国防会議なり安全保障会議の承認を経て、それで閣議でちゃんとして決めるとある。それだけ大事なものですよね。それがこの白書の中では、別表等の内容の修正というのは、これは二通りの修正の仕方を書いておりますが、それなりにできるように書いてあるわけですよね。  これは担当の局長いらっしゃらなかったら、お見えになるまでちょっともう一つ西廣さんに、その中の、「将来、科学技術等の進歩に伴い装備体系等が変わるようなことがあれば、」という、装備体系が変わる——装備がどんどん更新されていいものになっていくというのはわかるんです。例えばF4からF15になって装備がだんだんよくなっていくという意味はわかるんですが、装備体系が変わるというのはこれはどういう意味なんですか。
  205. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 装備体系の変わり方にも大小さまざまあるいは性格的にもさまざまあろうと思いますが、大変典型的な例で申し上げますと、仮に防空というものの装備体系を考えますと、現在の防空装備体系というのは広い地域といいますか、全般防空についてはまずレーダーサイトが敵を発見すると、そしてその情報を受けて戦闘機が飛び立って、レーダーサイトの誘導によって要撃をするということで、おおむね全般をカバーをすると。そして、特に重要な地域、政経中枢であるとか交通の要衝であるとか、そういった地域については、さらにそれにミサイルの網をかぶせるというのが一つ装備体系になっておると思います。仮に今後ミサイル、精密誘導兵器というようなものがどんどん発達をしていくということで、航空機にかわり得るような敵味方の識別なりあるいはより長い行動半径を持ち得るというようなことになれば、全般的に有人機というものがなくなっていって、誘導弾部隊というものが非常にふえていくというようなことが、非常に極端な例かもしれませんけれども、あり得るのではないかというように考えております。
  206. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 したがって、その次の、今の問題はそれで結構ですが、内容の修正ですね、別表の。これは専門の担当の方はどなたですか。これはどういうことなのか。これはそんな簡単に陸海空の枠をぽんと外してそれで一本にしたり、そういうふうな変更が簡単にできるのかどうか。
  207. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今の件は若干私どもの方も関係あると思いますので私からお答えいたしますが、例えば私は別表というものの改正については、先ほど申し上げたような装備体系の大きな変化というものに伴って変わる場合もあろうと思いますが、場合によっては防衛力の質なり量、そういったものが全く変化しなくても変わり得る場合もあるという例で申し上げたいと思いますが、例えば現在対空誘導弾部隊というのは、低空域といいますか、ホーク部隊は陸上自衛隊が管理し運用いたしております。一方、ナイキあるいはペトリオットという部隊は航空自衛隊が管理し運用いたしております。しかし、これはあくまで現在の体制でございまして、仮に陸上自衛隊がもう少し防空全般について任務を負ってもいいのではないか、それがより合理的な姿であるということになって、部隊そのものはふやす必要はない、あるいは装備も変える必要はない、しかし、陸上自衛隊と航空自衛隊の間の任務の境を少し変更したらどうだという場合が起きたとしますと、その場合には、当然のことながら、大綱別表あるいは本文の陸海空自衛隊の態勢というところに書いてある文章は変えざるを得ないということになろうと思います。つまり、防衛力というものが質的、量的に全く変動がない場合でも、別表なり本文の陸海空の自衛隊の態勢というものの文章を変えなくちゃいけない、修正しなくちゃいけないという事態もあろうということで、御説明になったかどうか若干疑問がございますけれども、御説明にかえさせていただきたいと思います。
  208. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、私たちは少なくともこれは大臣、大綱の別表というものは非常に大事に考えてきたと思うんです。少なくとも大綱水準の達成という問題については、いろんな国会の論争やいろんな大臣の御答弁もございますように、大まかに言いますと、やっぱり別表の達成ということが水準の達成ということですという御答弁がありますように、そういうような意味で非常に大事に考えてきているわけです。今でもそうですが。  それが、要するにそういうような意味で変更できるということになると、我々の目標がころっと変わっちゃうわけですよ。それではやっぱり困るわけでありまして、そういうふうに変更する場合でも変更のルールというのはある程度きちっとしておかないと困るわけです。しかも、白書の中で、私たちは、こういうような変更ができるなんというのを見て、去年の白書の中では確かに注書きの、いわゆる意味はこういうことですというふうな書き方しかしてなかったわけです。ところが、ことしの白書は明らかに別表の中身の修正が二通りできるということで、きちっと項目を挙げて書いておられるわけですね。そうすると、私たちとしては別表の持つ重みというもの、その修正のあり方というもの、これはどうなんだと、しかも大綱達成という問題、こういうような問題と絡め合わせて非常に大事に考えているわけです。  そこで、これは大臣に、この問題についての最後になりますが、これはやっぱり手続はどういうふうにするかということや、それからこの大綱のいわゆる水準達成という場合には、大まかに言えばやっぱり別表というものを厳守するんだ、この目標はこのとおりなんだというふうな、もちろん大まかに言ってですよ、そういうふうな方向でいいのかどうか、あわせて御答弁をいただきたいと思います、
  209. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 手続等の問題もございますので、私の方から先にお答え申し上げたいと思います。  まず、大綱、別表の変更等の話でございますが、一昨年来いろいろ御議論ありました。しかし、私ども終始お答え申し上げているように、我々としては現状で全くそういったもの、別表を含めて修正の意図はございません。  なお、現在、防衛力整備につきましては五カ年計画というものができておりまして、それ以外に政府として決められた防衛力整備計画というものはないわけでございます。その間を通じて別表の修正を必要とする防衛力整備はないわけでございます。ただ、やや学術的な論争に近いような話でございますが、大綱の性格がどうであるか、理論 的にどうであるかという御論議が今までたびたびございました。ある意味では私どもそういったことにお答えはいたしておりましたけれども、もうその種学術論争みたいなものは打ち切りにしたいということで、今回も大綱十年ということで整理をさせていただいたわけでありますけれども、今後私どもとしては現在の五カ年計画期間中その種のことを全く考えておりませんので、そういった点はないというように考えております。  また、手続でございますが、当然のことながら、大綱の別表等をいじるということは、その前に、防衛力整備で何をどうしてもしなくちゃいけないかということが十分論議をされることになると思います。それは、当然のことながら、防衛庁なり関係省庁で論議をされ、それが安全保障会議の場で論議をされ、かつ閣議で御決定いただくということになります。それに、そのどうしてもしなくちゃいけない防衛力整備というものと大綱なり大綱別表というものが、その段階で十分にらみ合わされましてどうしても必要であるということになれば、安全保障会議、閣議の議を経て修正の手続がとられるというふうに考えております。
  210. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今政府委員から述べたところで大体尽きていると思いますけれども、今までの国会防衛計画の大綱とは何ぞや、別表とは何ぞや、これがもう修正は絶対にできないのかできるのか、そういう論争になりますと、いやこれをぎっちり変えるとか変えないとかいうことは言えませんと、これは非常に細かい議論がありましたね。そういう細かい議論を防衛白書の今までの性格から書いたというふうに私は認識しております。  そこで、現実問題では、今政府委員からも言いましたが、私自体も、この大綱の水準あるいは別表、これは大綱と別表とは一体である、そういう意味合いでこれは重く扱わなきゃならぬ。ただし、先ほどから言っているように、質的な変化等いろいろございますから、それはそれなりに応じていかなきゃならぬ、こういうことでございます。
  211. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 先生、先ほど今の政府委員出席の問題をめぐって調整がございまして、ちょっと別室に席を外しておりまして失礼をいたしました。  私の方は、これは大綱、別表等の専門家じゃございませんが、この白書を編集した責任者でございますので、そういう意味でちょっとここへことし詳しく書いた経過を申し上げます。  去年の白書で御承知のように、ほんのちょっとこう書いてあった点につきまして、その後、新聞論調を初め国会等でも大きくこの問題取り上げられまして、非常に議論を呼んだわけでございます。そういうことで、私どもとしては、この部分については、ことしの場合には、この前の委員会でも申し上げましたように、やはり大綱ができて十年、しかも昨年来委員会等で非常にこの点については御関心が高い、そうすれば、この点についての基本的な議論を踏まえながら基本的な考えを整理してわかりやすく載せるということが編集上国民の理解を得るためにも極めて重要なことではないか、そういうことでここに詳しく編集させていただいたというのが経過でございます。
  212. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあ詳しく国会の論争を踏まえてとおっしゃっておりますが、やっぱり別表の修正というのは非常に大事だと、本当に、先ほど大臣からも答弁がございましたが、慎重にやらないといけないし、また手続等も大変だ、原則的にはそう簡単に修正するようなものじゃない、そういうふうに私は思っております。  そこで、質疑を変えまして中期防の問題についてお伺いをしたいと思います。  まず初めに、この例の防衛改革委員会の洋上防空体制研究会というのがありますね。ここで例の洋上防空の問題について今いろいろと検討していらっしゃるそうですが、もう結論は出たんですか。    〔委員長退席、理事岩本政光君着席〕
  213. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) この洋上防空体制研究会と申しますのは、すぐに何か新しい行政的な措置をとるというためのものではございませんで、御承知のように、昨今、洋上における空からの脅威というものが非常に高まりつつあるという状況対応するために、どういう問題点が生じているか、対応策としてはどういったことがあり得るかということを部内で勉強しようという会でございます。ただ、若干年度の仕事あるいは五カ年計画の遂行と関係があるといたせば、洋上防空と関連いたしまして二つの問題がございます。  一つは、従来から整備を続けておりますDDG、つまり対空ミサイル搭載護衛艦、この艦艇に積む対空ミサイルについてより近代化を図らなくちゃいけないのではないかという着意で、五カ年計画におきましてそれなりの経費が枠組みとして計上されております。さらに、閣議決定の本文でも洋上防空ということに着意をしながら、この艦艇搭載のミサイルの近代化についてよく研究をし、しかるべき措置をとりなさいと書いてございますので、その点については、洋上防空という観点も含めて、ミサイルそのものをいかにすべきかということについて勉強をいたしております。  もう一点、OTHレーダーについてその有用性を研究し、その研究の成果次第によってはしかるべき措置をとるということが同じく中期計画で決められておるわけでございますが、このOTHレーダーも洋上防空のためだけのものではございませんけれども、洋上防空と極めて深いかかわりも持っておるものでございますので、そういった点からも、OTHレーダーの有用性等に関連して、洋上防空的な視野からも検討は続けております。その二点につきましては、この五カ年期間中に措置すべきもろもろの整備と関連のあるものという認識で検討いたしております。  なお、先般、新聞等に洋上防空研究が一つの段落がついて中間報告がなされたというように書かれておりますが、これは、この研究会そのもの、実は座長を私がいたしております。我が研究会で、正規のメンバーに各幕の部長等が入ってやっておるわけでございますが、実質的に私ども毎日そういう研究はできませんので、さらに係の担当者クラスに仕事を落としていろいろ勉強させております。そういったものがいわゆる座長である私が開く研究会で一回勉強会を行ったという意味で、特に研究会として何かをまとめたということはございません。
  214. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはまず、いろいろとお伺いしたいことがたくさんあるわけですけれども、    〔理事岩本政光君退席、委員長着席〕 この防衛改革委員会の中に洋上防空体制研究会というのがありますね。そういうことですか。
  215. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 防衛改革委員会全般のことになりますと官房長がと思いますが、私からお答え申し上げますが、防衛改革委員会というのが早い時期に防衛庁の中にできております。これは、当初のねらいとしては、一般の行政官庁がもろもろの面で効率化、合理化を図っていくというのと同じような視点から、防衛庁、自衛隊の内部のもろもろの仕事なり組織というものを見直して、より効率化、合理化ができないかということでそもそも発足したものであります。  一般の行政機構に近い中央の企画部門であるとかあるいは現場の修理、整備その他の部門、そういったものであればそういった視野だけでよろしゅうございますけれども、何と申しましても自衛隊の場合は陸海空という実動部隊を持っております。実動部隊について単に合理化という観点、省力化というような観点だけから見てまいりますと、防衛力そのものを大きく損なってしまうということもありますので、そういった実動部隊に関連して何らかいろいろな問題が起きてくるかもしれない。そのうち、そういったものについては、合理化委員会の中に別の部会といいますか研究会を設けて、あらかじめ少し勉強した方がいいんじゃないかということで、先ほど申し上げたような洋上防空の関係と陸上防衛態勢という関係の二つの研究会というものが発足いたしまして、勉強しておるというのが実情であります。
  216. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 えらく詳しく説明しておられますけど、要するに防衛改革委員会とか洋上防空体制研究会というのは、これは法的根拠はどういう根拠で何に基づいてできた何ですか、これ。
  217. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは、部内の各組織がございますが、それを横断的な顔ぶれで行う非公式な勉強会ということでありまして、次官通達で設けております。
  218. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 昭和六十三年度業務計画作成に際しての長官指示というのがありますね。長官指示というのは、これは何ですか。——結構です。長官指示というのは、訓令の第十二条に基づいて、防衛庁長官の命令ですわな、これ。となっていますわ。そうでしょう。自衛隊のちゃんとした訓令に基づくいわゆる長官の命令ですわ、これ。長官の命令というのは、少なくともシビリアンコントロールの非常に大事な点にあるわけですよ。そうでしょう。私の言っているのは合うてますやろ、
  219. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) はい。
  220. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題について、実は参議院の決算委員会でうちの議員が質問しているんですよ。そうでしょう。そうしましたら、今のOTHレーダーの問題とか対空ミサイルの問題というのが長官指示でこれ第二項目と第五項目で出ておる。ところが、それに対して、研究会での検討成果を踏まえて今後検討する。本当いえば、大臣、これ逆なんですよね。大臣、何で私こんなことを言うかというと、部内の研究会ですわ、言うたら。言うたら法的根拠に基づかない、次官通達ですからそれなりにそれは意味はありましょうけれども、そこで研究した成果に基づいて大臣が大臣の命令をする、こうやったらいいんですよ。意味わかるんです。ところが、大臣の命令を引き受けて今度は部内の研究会で検討するというのは、これはちょっと逆な感じがするわけですよ。それはそういう意味でおっしゃったんじゃないかもしれません。逆に、それならそれで、大臣からもこういう指示がありましたので早速部内の研究会で研究を進めさしていただきます、これなら答弁わかるんです。ちょっと違うようなニュアンスの答弁なんですよね。だから、私は、そこら辺のところはそれなりに防衛庁の中もきちっと整備して進めていただきたいと思うし、僕は、今のこの二つの問題については、これは別表の枠からはみ出しておるんじゃないかという感じもするわけです。この二点について御答弁をいただきたい。
  221. 依田智治

    政府委員(依田智治君) まず私の方から。  この防衛改革委員会というのは、これは中期防の中で、「防衛力の整備、運用の両面にわたる効率化、合理化の徹底を図る。」という、特に重視するという項目の中にこういう規定がございまして、これは閣議における決定でございますが、そういう閣議決定という重みを踏まえまして、私どもとしても、当初この直後の六十年十月に業務・運営自主監査委員会というものをつくり、その後六十一年に発展的解消をして、防衛改革委員会というものにしたわけでございます。その下部の中に、洋上防空体制研究会とか陸上防衛態勢研究会とか、それから業務監査の検討会等があるわけでございまして、しかもこの中期防は、御承知のように、この中期防の頭で、これは防衛計画大綱の基本的枠組みのもとでこれに定める防衛力整備を行うということが明記されておるわけでございまして、私どもはそういう一連の防衛計画大綱、中期防、それで防衛改革委員会、こういう流れの中で大綱の枠の中で実施しておるという構成になっているわけでございます。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうも、この問題は私はこれから非常に大事な問題であると思いますし、枠の中であるか外であるか、それはそういう議論はいろいろありましょう。けれども、私たちはどうもはみ出しておる、そういう感じが否めないわけです。  そこで、これは防衛局長さんだと思いますが、中期防でこの間の国会からちょっと局長の発言がいろいろ変わってきているというふうに感じているところが一つあるんです。それは、六十年の何月だったですかね、中期防が発表された当時、この中期防整備計画の中にもちゃんとあるわけですが、この洋上防空という問題ですね、これはもともと私たちはシーレーンの一部だと、こういうふうに考えておったわけです。ところが、最近は洋上防空というのはいわゆる防空機能の一部である、こういうふうに変わってきたんじゃありませんか、どうですか。
  223. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 実は、洋上防空という言葉が使われ出してそう長くはないと思いますが、いわゆる防衛機能なりあるいは諸外国で使っております軍事的な言葉の中に、洋上防空という言葉は私はないんじゃないかというふうに思っております。つまり、私どもが洋上防空と言いますときは、まさに普通の言葉の、洋上における防空という程度の意味で使っておりまして、これを我が国が持っております防衛力の中の各種の防衛機能としてとらえる場合には、それは防空機能の一部であるというようにお答えしております。一方、洋上におけるその防空、いわゆる洋上防空がここ数年かなりいろんな形で国会等でも御質問があるようになり、また我々自身この問題に非常に関心を持ちました理由の最大のものは、やはり従来から申し上げておるシーレーン防衛、海上交通の保護に関連して、洋上にあります船舶の防空をどうするかという点に最も深刻な影響を与えるものとしてこの問題が浮かび上がってきておるということは事実でございますので、要はこの問題が大きく取り上げられたその経過なりと、それから洋上防空というものが防衛機能の中のどういう機能に属するかという、若干別の問題を私申し上げたつもりであります。そういう意味で、変わったというふうには必ずしも思っておりませんが、そういう誤解をお与えしたとすれば大変申しわけないと思っております。
  224. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは非常に大事な問題でありまして、少なくとも、これは大臣にも聞いていただきたいんですが、この洋上防空という問題は、今局長は洋上防空という言葉は新しい言葉であると、最近とおっしゃってますね、それはそのとおりだと思うんです。しかしながら、中期防の中では今「計画実施による能力」というところで、これはその前にずっといろいろあるんですが、中身の説明を省くために申し上げますと、そこのところに大体三点についてきちっとまとめて書いています。  そこのところだけを指摘いたしますが、いわゆる防空という場合には一番初めに「本土防空能力」ということで、これは従来の航空自衛隊が持っている本土防空体制というものを明確にうたっていると思うんですね。それとその次にイのところで「海上交通の安全確保能力」いわゆるシーレーン防衛ですね、我々が日ごろから言ってきた問題です。これが前段でいわゆる「周辺数百海里、航路帯を設ける場合千海里程度の海域で、相当程度の能力が発揮できるのではないかと考えています。」ということで、「ただし」というところから「近年、洋上遠く進出できる新型爆撃機が出現したことや、対艦ミサイルの性能が進歩してきたことなどのため、洋上における防空能力については、一層の向上が必要ではないかと考えています。」というように、その次が「着上陸侵攻対処能力」ですから、この洋上防空という問題は少なくともいわゆる中期防が初め出された当時にはこのシーレーン防衛の中に書かれていたのが事実だと私は思うんです。そのほかのところにありませんから。  ところが、この局長の答弁をこう、昔じゃないですね、最近の答弁をずっと会議録いっぱい見ますと、洋上防空というのは、いわゆる防空機能の中の一部であるようにまず理解をいたしておりますと、こういう答弁がいっぱい出てくるわけです。一つじゃありません。ということは、ことしのこれは五月の初め、もうちょっと前もあるかもしれませんが、こういうふうに見てまいりますと、これは要するに、これはいろいろな意味がありますから私質問しているわけでありますが、こういうふうになったのは一体いつ、どこで、だれが決めたのかという問題があるんです。これはどういうことですか。
  225. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 洋上防空という言葉自身が法律用語じゃございませんので、この定義をだれが決めたとか、そういうことではございません。それは先ほど申し上げたように、洋上における防空という程度の意味から出たと思います。  先ほど来申し上げているように、私はこの問題が非常に意識され始めたあるいは問題視され始めだというのは、海上交通の安全確保つまり洋上における船舶の防空というものが非常に経空脅威というものがふえてきて重要だと、大変な問題だという認識から出発していることについては、全く異論はないわけであります。しかし、このそういった経空脅威の増大ということ、つまり洋上における我が方の防空の現在持っている防空機能では対応できない洋上における問題というものが出てきたゆえん、例えば爆撃機がふえてきた、あるいは足が早くなってきた、さらにはそれらに搭載をしておるミサイルの長射程化、精度の向上といったものの影響ということを考えますと、船舶に対する影響度が最も大であるということは一つ言えますけれども、と同時に、そういった兵器体系あるいは軍事技術の進歩というものがいわゆる全般防空、先生の言われた本土防空の例えばレーダーサイトに対する攻撃といった面で対応される傾向も十分考えられ、そういった面にも大きな影響を与えるということはまた事実でありますので、私どもとしては、やはりこれはこの経空脅威の変化、増大というものの及ぼす影響というものは、決して船舶に対するものだけというようには限っていないというように思っております。
  226. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、これはだれがそういうことを決めたのか、こう言っているわけですよ。これは何でかいうと、もう局長は十分わかっているわけですよね。要するに防空という場合、私たちはいわゆる本土の周辺空域、もっと言いますと防空識別圏、二十幾つかのレーダーサイトできちっとカバーしているこの本土のその範囲の中でのいわゆる防空だったわけです。ところが、洋上防空というふうにこれが本土防空のそっちの方に入ってしまうと、識別圏そのものも変えなきゃならない事態が起きる可能性がある。そういうふうな意味では、私はこれは大変なことだと。少なくとも私たち中期防で皆さん方が説明したこの中に入っている説明とは随分違うと私は思うんですけれども、そこら辺のところを一体これはだれと相談してこういうふうに決められたのか。  これは局長、私何でこんなことを言うかというと、洋上防空体制研究会というのが次官通達でできたらしいんですけれども、それが相当な権威を持って結局そこでいろんなことが決まっていく。そこで研究したことが日本の航空自衛隊の本土防空の範囲もぐっと広げてしまう。そのことによって、今度は装備やそんなものがぐっと拡大される。これは非常に心配なことでありますし、我が党もやっぱり本土のいわゆる上空、何というか、はみ出したいわゆる防空ということは余り考えてないわけです。そういうふうな意味では、非常に心配事態になりつつある。そういうことを踏まえて、どういうことなのか御説明いただきたい。
  227. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) やや御質問の趣旨がわかってきたよ工な気がしますが、洋上防空ということで私どもは新たな何か体制なり一つの機能というものを創設して、必要性を創設してどうこうするということまで、それを含めて言っているわけじゃございませんで、先ほど来申し上げているように、もろもろの装備というものが変わってきた、軍事技術が進んできた、そういったことによる客観的な事実認識としてどういう問題が起きつつあるかということを現在は言っておるわけでございます。例えば本土防空について、先生が今言われたように、従来レーダーサイト等の覆域から見てそれなりの防空識別圏というものがあったではないか、それすら洋上防空ということで必然的に変わってしまうのではないかというような御質問でございましたが、私は、洋上防空という言葉が出てきた、あるいはそういったものがひとり歩きを始めたから、識別圏等もおのずからそれに影響を受けて変わってくるというような性格のものではないというように考えております。  もちろん、先ほど来申し上げておるように、周辺諸国の軍備の動向というものが変わり、軍事技術が変わったことによって、攻撃のパターンというものも変わってくるということは十分予想されるところであります。特に我が国の本土防空というのは、先ほどの御説明でも申し上げましたが、レーダーサイトがまず発見をし、味方機を誘導していくということで、レーダーサイトに基盤を置いた防空体制であります。そこで、それに対して従来通常弾頭のミサイル兵器では余り効果がないとされておった陸上に対する攻撃というものが、レーダーサイトのようなピンポイントを攻撃できるということになりますと、我が方の防空態勢の最も重要部分といいますか、基盤をなしておるレーダーサイトというものの脆弱性というものが急激に浮上してくるという問題があるわけであります。それに対して、それじゃ従来以上に識別圏のさらに外まで行って相手の母機を攻撃するかということになりますと、そういったことは事実問題として不可能だと思います。要はいかにしてレーダーサイト等の抗堪性を増すのか、あるいはレーダーサイトにほとんどすべてを依存しておるような防空態勢でいいのかといったようなことがこれからの研究課題になっていくと思いますが、いずれにしましても、私ども洋上防空だから洋上防空だからということでいつの間にか何か新しい防衛力というものが創設されるというふうには考えておりませんので、その点は御理解を賜りたいと思っております。
  228. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではちょっと今の逆の質問をします。  従来は、洋上防空という場合は海上自衛隊の航空機の行動空域が洋上防空、そういうふうな説明だったわけですね、従来は。そこで、航空自衛隊もこの洋上防空に参加すると、今のいろんな答弁や今の会議録の中身を見ますとね。これはそういうことなんですか。
  229. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 従来の洋上にあります船舶に対する航空脅威というのは、相手方の航空機そのものがそういう洋上まで出てくるチャンスそのものは低うございましたけれども、いずれにしましても、それらの航空機が船舶の直上まで来て爆撃等をするということで、船舶そのものの持っておる対空火器その他で守り得る攻撃でしか相手はとれないだろうという考え方に大体基づいて、こちらの方の対空装備もなされておったわけであります。一方、先ほど来申し上げているように、かなり長射程の、二百キロ、三百キロというような長射程のミサイルが爆撃機に搭載され、それが艦艇攻撃が十分可能な状況まで精度が上がってきておるという状況になりますと、艦艇そのものに積んでおる対空装備、ミサイルなり火砲ではその母機に対抗することができなくなってまいりました。したがって、その母機がいる位置において何とか相手を撃破する方法を考えなくちゃいけない。としますと、それは海上自衛隊がある船を守るためにそういう広い前方まで出たところまでやるのか、それよりももともと広い空域というものの防空を担当している航空自衛隊に担当させた方がより合理的かというようなことは、今後勉強すべき問題であろうというふうに考えております。
  230. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は非常に重要な問題でありますし、もう一回この次の委員会のときに質問さしていただきたいと思います。  時間来ましたから、もう一点だけお伺いしておきたいと思います。  これは一日の当委員会での西廣局長の答弁なんですが、防衛装備基本的に国産であるべきだとは思っていないと。私このとき聞いておりませんでしたから正確であるかどうかはわかりませんが、新聞報道によりますと、防衛装備基本的に国産であるべきだとは思っていないというふうな意味の答弁をしていらっしゃいますが、この点はどうですか。
  231. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 必ずしもその言葉は、私はあるいはそう言ったかもしれませんけれど も、私の真意はあらわしておりませんで、私が申し上げたいのは、防衛装備というものが絶対国産であらねばならないという考え方は私はとっておりませんということであります。
  232. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは局長、絶対なんというのは、そんなものはあるわけないんですから、これは相対的なものですから。それは絶対なんというのはありませんが、基本的に、これは大綱の中にも装備というのは「適切な国産化」というような問題をうたっているわけですね。白書の中にもそのことをうたっておるわけですよ。最近のはうたっていませんね、これは。最近の白書はうたっておりませんが、昔の白書には、例えば先ほどの五十二年ですよね、五十一、二年ごろの白書にはその適切な国産化に配慮するとともにというように国産化の問題を非常にあちこちにうたっていますよ。ですから、そういうふうな意味では私は国産化というのは非常な大事な問題だと思うんですね。ですから、僕は全部国産化でなくちゃいかぬとは思っていないわけです。しかし、本質的にはやっぱり国産化というのは非常に大事なんだと、その認識の上に立っての答弁でないと……。新聞の報道を見ておりますと、基本的に国産であるべきだとは思っていないということは、それじゃ外国のを買えということかと。今論争があるから非常にこれは関連のあることでありますが、この点をもう一回はっきりしていただきたい。
  233. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 絶対にというのはちょっと言い過ぎかもしれません。私は、一般的に防衛装備というものは国産できるものであればした方がいいという御意見が一方にあると思いますが、私は必ずしも国産できるものはできるだけした方がいいというようには考えていない。これは個人的な意見かもしれませんが、そのように考えております。やはり適切な国産が必要である、国産してしかるべきものはすべきであるし、国産する必要がない、あるいはすべきでないものもあろうかというふうに考えております。いずれにしましても、防衛力というものは、我が国は武器について輸出できるわけではございませんので、少量多種生産をするということはどうしても高くつくということもございます。いろいろな面を考えて、日米安保というものを基軸として考えている我が国としては、やはり国産するしないというのは何をするかしないかについて十分な検討を加えて、適切なものは国産すべきであるというように考えております。
  234. 吉川春子

    ○吉川春子君 まず最初に、三宅島の米空母艦載機夜間離着陸訓練、NLP基地建設の問題についてお伺いいたします。  防衛庁、防衛施設庁は、一日に二百七十人の機動隊をいきなり三宅島に送り込んで、力ずくで観測柱を建てました。その際、お年寄りとか婦人とか、そういう人まで力ずくでねじ伏せました。そのときに、七十歳のおじいさんはあごを一発なぐられて倒れ、一時気を失って担架で運ばれました。こういうようなやり方に対して、住民の怒りは一層高まっております。政府防衛庁、防衛施設庁は何を言っても信頼できないんだと、そういう怒りに変わっています。島の自然を守りたい、自分たちの平穏な生活を守っていきたい、こういう島民の当たり前の主張に対してどうして耳を傾けないのでしょうか。幸福追求の権利ということだって憲法で保障されているではありませんか。防衛庁は、今回のようなやり方で強行的にこの基地を建設しようとしているのか、そこが本音であるのかどうか、まず最初に私は質問したいと思います。
  235. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 三宅島の艦載機着陸訓練場の建設問題についてでございますが、御案内のとおり、私ども日米安保体制のもとで安全保障、我が国の安全保障を確保しておるという実態がございまして、これの効果的運用という点に着目しますと、艦載機パイロットの練度維持というものは大変重要でございます。現在、これにつきましては厚木において訓練を実施をいたしておるわけでございますが、御案内のとおり、大変人口稠密のところでございますし、条件も極めてよくないということもございます。そういった点を踏まえまして、もっと効果的に安全に訓練のできるところはないかということで、かねてから私ども艦載機の訓練場適地を検討いたしておりまして、いろいろ検討いたしました結果、現在お尋ねの三宅島が立地条件としては非常に適切であるということがございまして、いろいろ地元及び地元の自治体にもお願いをいたしておるところでございますが、なかなか御理解がいただけないという実情はそのとおりでございます。  ただ、私どもといたしましてはこの施設の重要性にかんがみまして、何とか御理解をいただくようにということで、現在まで種々村長さん等にお話もいたしてまいりました。それで、こういった計画をやっていきます上でどうしても周辺の状況等を踏まえまして、候補地の周辺の気象状況、こういったものを観測をしてまいるのが必要になっておりますので、とりあえずそれをやらせていただきたい。これは私どもで借り上げました土地の中で環境庁と所要手続を行いました上で、事務的に調査を行うという性格のものでございます。本来的な飛行場の設置というような問題につきましては、先ほども申し上げましたように、地元の皆様方の御理解をできるだけいただいてやっていくという基本的な立場には変わりございませんが、そういった地元の皆様の御疑念とか御質問等にもいろいろお答えしてまいります上からも、候補地状況等について調査をいたしていく必要もございますし、どういうような形で滑走路が可能なのかと、こういったことも調査をしていく必要がございますので、私どもとしては今般の調査工事お願いをしておったところでございます。  それで、長くなりますが、七月十五日に気象観測柱三本の建設を着手いたしましたが、うち一本は予定地に住民反対派の方が座り込みをされまして工事実施できませんでしたので、私どもとしてはできるだけ平穏に事を運ぶという基本方針に基づきまして、工事をしばらく見合わせておったのでございます。さらに、七月末になりまして、東京都の仲介によりまして、ちょうど観光シーズンに入りましたこともございまして、八月末までの観光シーズン中は工事を見合わせ、平穏に工事が行えるように村当局ともお話し合いを続けるということで、今日までお話し合いを持ってまいったわけでございますが、残念ながら話し合い平行線に終わりまして、御理解がいただけませんでした。私どもとしては、工事を事務的にやはり進めていく必要もございますので、休止期間の終了いたしました九月一日朝から工事を再開をさせていただいたわけでございます。  当日、反対派住民の方によりまして道路交通が実力阻止されましたり、さらには当庁の建設予定の管理地が占拠されるというような妨害行為等もございましたために、警備お願いしておりました警察の方で整理をされまして、九月一日夕方から士事を開始し、同日夜半終了したというところでございます。ただ、その過程におきまして、今お話がありましたような地元住民との間の混乱というようなものもございましたことは、まことに残念に存じておる次第でございます。
  236. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣にお伺いしたいと思います。  私、テレビで見ておりまして、お年寄り、特に女の方が圧倒的に多かった。そういうところへあの大量の機動隊が踏み込んで排除するということはいかがなものかと思いますし、また大変この三宅島というのは自然の宝庫で野鳥がいると。そしてまた、火山や地震の観測に重要な場所であると。そしてまた観光地である。そういうところにこの艦載機が夜間日常的に訓練する飛行場できれば、観光も成り立たなくなるし、そうしますと島の人たちの生活も成り立たなくなる。これはイデオロギーを超えて、自分の暮らしを守っていきたいと、今住んでいるところにやっぱりきちんと住みたいし、そのためには平穏な平和な環境を守りたいというのは、島民の当然の要求じゃないかと思うんです。そして、ここまできますと島民の反対の意思というのははっきりしたと思うんですね、今までの経過を見ても。それでもなおかつ島 民の暮らしを踏みにじるような、そういう基地を建設したいという、そこはもう私は許せないと思うし、民主主義の政治のもとであったらそういうことをやっちゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、その点大臣としてはお考えはいかがですか。
  237. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今、環境等の問題が出ましたので、先に私から御説明をいたします。  確かに野鳥等も生息をいたしておりますし、地震観測あるいは噴火予知等の施設等もあることは、私ども承知をいたしております。こういったいろいろ提起をされております諸点について、私どもとしてはそれなりの解決案があるのではないかというようなことで、できるだけこういった環境の保全あるいは測定等に支障を及ぼさないようなやり方というようなものも十分検討していけるのではないかということで、計画を立てたいというふうに考えておるわけでございます。こういった着陸訓練場は我が国を守ります上からやはり大変重要な施設でございますし、それと島民方々の生活を両立いたしますような形での計画、こういったものについて島民の皆さんあるいは村当局とよくお話し合いをさせていただきたいということで、現在まで努力をいたしてきておるわけでございますが、残念ながら、なかなか私どものお話というものについては聞いていただけないという状況が現在まで続いております。そういうことから、こういった問題点について今後私どもとしても十分お話をしてまいりたいというふうに考えております。
  238. 吉川春子

    ○吉川春子君 大臣に答弁をお願いしております。
  239. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) 今政府委員が言ったとおり、あなたの方はもう島は決定的にだめになっちゃう、そういう言い方だが、こちらの方はそんなことはございません、その理由を聞いてください、こう言っているんですよ。ですから、まず話を聞いてもらいたい。午前中の委員会で私が申したとおり、都知事も質問に対して、まず島民が話を聞く、そういうことが必要じゃないかというふうに言っていると聞いておりますよ。常識だと思います。
  240. 吉川春子

    ○吉川春子君 あの小さな島にあれだけの滑走路を設けて米軍が夜間離発着訓練をやるということになれば、観光地としてもう成り立たなくなるし、私たちがそういうところに行くときには、やはりのんびりしたい、自然の中に浸りたいと思って行くのに、あの厚木と同じようなああいう騒音の中に憩いの場を求めて行く人はいなくなる。そうすると、島民の生活が破壊されるということは明らかで、これは島民の方が、村の方が繰り返し繰り返し言っていることなんですね。それに耳を傾けないのは、私は政府の方じゃないかと思うんです。午前中もずっとその論戦の中で久保田先生もおやりになりましたけれども、その中でも、島民が耳を傾けないんだ、こういうふうに繰り返し答弁していらっしゃるけれども、そういう島民の願いに政府が耳を傾けなくて、そればかりじゃなくて、今度こういう強行突破をやろうとした。本当に許せないと思うし、私は本当にこの件については特に怒りを禁じ得ないわけです。三宅島では、今後防犯協会、交通安全協会に対しても非協力を打ち出しています。そしてまた、三宅島民は今回の防衛庁のやり方にますます怒りを燃やしているわけなんですね。一層団結を固めているわけなんです。こういう島民の態度に対して、やはり全国から支援の電話もかかってくるそうです。やっぱりそういう自分の平穏な生活を守りたい、それは最低限の国民の要求じゃないかというふうに思うわけです。  一部の人が反対しているとかというんじゃなくて、もう島を挙げて反対している。そして、それには十分理由がある。そういう理由に政府の方こそ耳を傾けて、そしてこの建設をやめるべきだと、私はそのことを強く要求したいと思います。
  241. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 今、観光との関係で騒音の問題を御提起になったわけでございます。私どもはその辺も十分いろいろ考えたわけでございまして、こういった厚木における騒音状況、これは厚木基地が人口欄密など真ん中で非常に低高度で訓練をするということに発しております。したがいまして、三宅島の場合は周りが海でございます、しかも真ん中に山がございまして、こういった地形を背景といたしまして、海岸側の一部に滑走路を設置し、しかも低高度で周回をいたします。回経路というものを海側にとるというような形で適切に滑走路等を設置いたしますれば、騒音の影響を最小限度にとどめられるということがございまして、そういう点で高じゅう騒音だらけになるとか、あるいは観光客が来なくなるというようなことには私どもとしてはならないのではないかと。  いずれにいたしましても、そういった点も踏まえまして、現地の調査を私どもとしてはやはり十分いたしまして、御疑問の点にも十分お答えをしていきたいというのが、ただいまやっておりますこういった事前の予備調査の目的でもございますので、その辺は御理解を賜りたいと思うのでございます。
  242. 吉川春子

    ○吉川春子君 あの島の広さから考えて、端っこの方へつくるからうるさくないとかということは言えないし、第一、厚木基地でもかなり離れたところでも相当な騒音があるということが報告されております。  ともかく、安保条約がある、そのためにこういう基地をつくらなきゃならない、そのために島の人たちが大変な苦しみを味わなければならない、そういうことは本当に許されないと。そういう点でこの基地建設は撤回すべきだということを私は強く要求いたします。そして、その次の質問に入りたいと思います。  ちょっと資料を配ってください。    〔資料配付〕
  243. 吉川春子

    ○吉川春子君 思いやり予算のことでお伺いいたします。米軍の三沢基地の病院建設計画について質問いたします。  来年度防衛庁概算要求の思いやり予算の中に三沢米軍基地の病院計画が含まれているそうですけれども、その内容について説明していただきたいと思います。
  244. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 昭和六十三年度概算要求に三沢飛行場の病院の基本設計に係る経費を計上しております。これは、現在の病院の建物が昭和二十三年及び昭和三十二年に建設された木造の建物でありまして、老朽化が著しいということから、米側からも要望があったものでございます。これは、昭和六十三年度におきましては基本設計ということでございまして、この建物の規模、構造というものについては今後検討していくということになっておりますので、まだ詳細についてお答えできる段階にはなっておりません。
  245. 吉川春子

    ○吉川春子君 来年度の概算要求の中では設計調査費が含まれている、こういうことですね。
  246. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 基本設計に係る経費ということでございます。
  247. 吉川春子

    ○吉川春子君 私の聞いたのと違うとすれば、どこが違うんですか。
  248. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 昭和六十二年度、今年度は、事務的な調査を行うことにしております。その結果に基づきまして、昭和六十三年度に基本設計を行う計画であるということでございます。
  249. 吉川春子

    ○吉川春子君 この三沢の米軍病院の計画は、既に八五年九月、米議会上院歳出委員会が日本の米軍基地を視察してまとめた報告書、太平洋における米軍事建設計画というのに載っております。その報告では、この計画が思いやり予算によって早く建設されるべきだと繰り返し強調しています。アメリカ政府があるいは米軍がどのような病院をつくってくれと日本に言っているんですか。
  250. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 先ほども御答弁申し上げましたように、この計画については今後検討していくということでございまして、まだその規模、構造等についても詳細は決まっておりません。
  251. 吉川春子

    ○吉川春子君 どういう病院か決まっていなくても、概算要求をするんですか。アメリカから中身について何も言ってこないのに予算の概算要求を するんですか。
  252. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) この種の建設工事実施いたします場合には、まず調査をいたします。これは予定地につきましてどのようなものが設置可能かという調査をいたします。これを昭和六十二年度に実施する予定であるということでございます。その間、米側の希望等を聴取いたしまして、基本的な構造、規模というものを決めまして、それに基づきまして基本設計というものをするわけでございます。昭和六十三年度におきましては、この基本設計の予算をお願いしているわけでございまして、これからそういう基本的なことを決めていこうという段階だということでございます。
  253. 吉川春子

    ○吉川春子君 基本設計が完成するのはいつなんですか。
  254. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 昭和六十三年度の計画でございますから、今これがいつということを正確に申し上げることは難しゅうございますけれども昭和六十三年度末、昭和六十四年の三月までに実施をするということになろうかと思います。
  255. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、米側が防衛庁に言ってきているのは、病院が老朽化しているからこれを新しくするんだ、そういうことだけなんですか。
  256. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 私どもが米側から聴取をしておりますところでは、先ほど申し上げましたように、既存の病院建物が老朽化しているということ、また病院の規模そのものが米側の必要な基準を満たしていないという、この二つの点を聞いております。
  257. 吉川春子

    ○吉川春子君 この病院の計画は、日本の思いやり予算と、それからアメリカの軍事予算とを合わせて行われるというふうに聞いていますが、その点は間違いないですか。
  258. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 今御指摘のようなことは考えておりません、提供施設整備の予算で建物、工作物をつくって提供するということでございます。
  259. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、アメリカが古くなった病院を建てかえなきゃならない、その建てかえる病院の予算はすべて日本がいわゆる思いやり予算で持つ、こういうことですか。
  260. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 提供施設整備の予算で日本側が提供するものは施設、区域として、地位協定の二条によりまして提供する建物、工作物という範疇に含むものでございます。したがいまして、その中を米側がどのように運用するかということは、また別の問題かと思います。
  261. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、日本がその建物の枠というか、上物をつくりますね、その中に米軍が何らかの別の施設を独自につくるということはあり得るわけですね。
  262. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 一般論としまして、建物の中に備えます備品、つまり動産のたぐい、これは当然のことながら米側が独自に措置するものでございます。あるいはまた、日本側で提供しました建物に米側が何か付加的な工事をするかどうか、これは理論的にはそういうこともあり得るかと存じます。
  263. 吉川春子

    ○吉川春子君 理論的にはそういうこともあり得るわけですね。  それで、今お配りしました資料はアメリカの議会の議事録を共産党で一部翻訳したものなんです。この分厚い議事録の九百九十九ページと千ページに載っているものを拡大コピーして翻訳したものを皆さんあるいは大臣にお渡ししてあります。  八八年度の軍事建設計画の予算書が現在アメリカの議会で審議されています。これは日本国会図書館に入っている米軍事建設計画なんですけれども、今私が質問しております三沢の米軍病院のことが載っています。防衛庁は当然このことを御存じだと思いますけれども、どういう計画になっているのか、御説明願いたいと思います。
  264. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 実は、この資料、きょう初めて拝見したわけでございます。米側が独自にどのような計画を立てているかということを事前に知り得る立場にございませんでした。
  265. 吉川春子

    ○吉川春子君 この資料は確かに今お渡ししたわけですから、今ごらんになったと思いますよ。しかし、これは国会図書館にあって、一般の国民が既に十分目を通し得る、そういう状態に置かれているわけですよね。そういうものについて今まで知らなかった、そういうことはやっぱり許されないと思うのです。はっきりと真実を答えていただきたいと思います。
  266. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 米軍が三沢飛行場におきまして総合医療施設の建設を希望しているということは承知していたわけでございます。
  267. 吉川春子

    ○吉川春子君 総合医療施設というと、それは病院なんですか。
  268. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 病院でございます。
  269. 吉川春子

    ○吉川春子君 どういう病院なのかということは、当然、簡単にではあっても説明を受けていたわけでしょうね。
  270. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 先ほど来御答弁しておりますように、六十三年度において基本設計を実施するということでございまして、この病院の建物の構造、規模というものはこれから決めていくというものでございます。
  271. 吉川春子

    ○吉川春子君 設計にもう入っていて、この資料を見てもわかりますけれども、この二枚目をめくっていただきますと、一番最後に12、「補助データ」というところがありますが、設計の開始が八六年四月、設計完了が八七年十二月、ことしの十二月というふうになっております。だから、その設計開始以前にアメリカからこういう病院をつくりたい、そういう説明があったんですか。
  272. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 今御指摘の八六年四月あるいは八七年十二月という時期については、私ども何も承知しておりません。いずれにいたしましても、日本側でこの病院施設を建設する前提としまして、基本的な設定の予算を昭和六十三年度でお願いしているということでございまして、この日付は私どもの計画とはまた別のものであろうかと思います。
  273. 吉川春子

    ○吉川春子君 では、あなたが米軍が三沢基地に医療施設をつくるというのを知ったのはいつなんですか。
  274. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 昭和六十三年度の予算要求を検討する段階において、正確には記憶しておりませんけれども、ことしの四月ごろ、米側の方でこういう希望があるということは聞いておりました。
  275. 吉川春子

    ○吉川春子君 ことしの四月ごろですか。間違いないですか。もっと前に発表しているでしょう。
  276. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 失礼いたしました。  この事案につきましては、事務的な調査をやっておるということを先ほど申し上げました。この話が最初に米側から出されましたのは昭和六十年でございます。
  277. 吉川春子

    ○吉川春子君 六十年。
  278. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) はい。
  279. 吉川春子

    ○吉川春子君 昭和六十年にこういうものをつくりたいということで米側から要求があって、そしてとにかく概算要求に盛り込んだわけですけれども、概算要求に盛り込む場合、細かいことはとにかくとして、大体どういう病院なのか、こういうことはアメリカから資料なり説明なりを受けなければ、それは日本のお金を出してアメリカに提供してあげるわけですから、余りにも無責任というものじゃないですか。だから、あなたが聞いている範囲で、どういう病院だという説明があったのか言っていただきたいと思います。
  280. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 大規模な病院施設をいわゆる提供施設整備で建設した事例というのは余りないわけでございます。私が申し上げましたのは、昭和六十一年度において事務的な調査を行うと、それは六十年から米側の希望を聴取してこのような要望があるということを知ったからであるということでございます。その調査の結果によりまして、病院の設置場所とかそういうことが、三沢飛行場の中でそういう場所があるかとか関連の問題を調査いたしまして、それでは基本的に病院の設計に着手しようということで、昭和六十三年度予算でお願いするということでございます。先 ほど来申し上げておりますように、まだこの構造、規模等について具体的なことは承知しておりません。
  281. 吉川春子

    ○吉川春子君 大規模な病院が建てられると、例がないんだと今おっしゃったでしょう。大規模な病院だという説明が米軍からあったわけでしょう。  今お配りしました資料には大変重要なことが書かれています。その一つは、一枚目の11、「必要条件」というところに「(プロジェクト)」がありますが、「この要求は米国がJFIP」、これは思いやり予算のことなんですが、思いやり予算「による、現在の標準以下の施設にかわる新しい総合医療施設の建設をおこなえるようにする関連予算で、」云々と、こういうふうに書いてあります。そして、その上の10の「提案の建設の説明」の中に、「軍事建設関連予算が必要な理由は、このプロジェクトのなかで日本政府が資金を出さない部分がいくつかあるからである。」、こういうふうに書いているわけですね。つまり、思いやり予算だけじゃなくて、日本政府が思いやり予算を出さない部分については米軍の負担になる。両方の思いやり予算と米軍の負担と合わせて建設されるということがここには書いてあります。  それから、次に重要なことは、この病院が化学戦、つまり化学兵器による戦争、さらには細菌戦、細菌兵器による戦争用の医療施設であるということが明確に書かれています。その下ですけれども、この翻訳した方ですが、「この関連予算要求は、化学戦争/細菌戦争(CW/BW)、受動的な低地用防護設備むけであり、施設のすべての通信設備と施設運用教範をふくむ。」と、こういうふうに書かれています。こういう病院の中身、病院の性格というのはこういう病院だということがアメリカの公的な文書に書かれています。書かれているということはお認めになりますね。
  282. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 今いただいた資料の中にそのような記述があるということは、そのとおりでございます。
  283. 吉川春子

    ○吉川春子君 もうちょっとはっきりおっしゃってください。済みません。
  284. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 今いただいた、配付されました資料の中にそのような記述があることは確認しております。
  285. 吉川春子

    ○吉川春子君 これ、アメリカの議会の議事録ですから。  そうしますと、こういう病院がまさに三沢に建てられようとしてしている、これは重大なことじゃありませんか。
  286. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 先ほど御答弁しましたように、米側の要望は、現在の既存の病院施設が老朽化していること、また米側の基準を満たさない状況にあるということで、新しい施設を要望しているということでございます。
  287. 吉川春子

    ○吉川春子君 これはアメリカの議会の公式な議事録であるということが一つですね。それから、既に一般の国民の目にも触れるような状態に置かれているというわけですよ。だから、その担当部署である防衛庁が知らないなんて、そんなうそが国会で通りますか。うそと言って悪ければ、こういうものが既にあるんだから、それを知らないというんじゃ怠慢じゃないですか。
  288. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) この配付されました資料につきまして知らなかったことは事実でございます。ただ、米側が三沢飛行場におきまして病院施設を日本側の経費負担で建設してほしいという要望があることは、以前から承知しておったわけでございます。
  289. 吉川春子

    ○吉川春子君 ですから、病院の建設そのものも問題ですけれども、その中身が問題なんですよね。  そうしますと、あなたは、これはアメリカの議会の議事録とお認めにならないんですか。私たちのコピーしたものは、それを議事録とお認めにならないわけですか。
  290. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 先ほど申し上げましたように、ただいま配付されましたこの資料につきまして、私どもとしてとやかく申し上げているわけではございません。この資料の中に御指摘のような記述があるということもそのとおりでございます。
  291. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、アメリカの議会の議事録の中にそういう記述があるということをお認めになるんだったらば、じゃ大変な記述があるじゃないですか。どうしますか。
  292. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 提供施設整備で病院の施設を提供する場合、これは昭和六十三年度は、先ほどから御答弁申し上げておりますように、基本設計に係る経費をお願いしているわけで、具体的な建設ということになるとまだ先の話になるわけでございますけれども日本政府は地位協定に基づきまして、建物、工作物を建設して提供するということになるわけでございます。
  293. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃこれお渡ししますので、その記述が真実かどうかちょっと今見てください。そしてここに書いてあることを確認してください。コピーじゃ信用できなければ。しおりが挟んでありますからすぐ開くはずです。
  294. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 私どもの提供いたしておりますのは施設でございます。施設の運用そのものは米側が実施をしておるということでございます。これはもう基本的にはそういう形になっておるわけでございまして、その辺は御理解をいただけると思うわけでございます。ただ、今御説明のありましたいろんな施設があるではないかと、予定がそういうものがあるではないかという御質問でございますが、これは軍の病院でございますし、軍としての一般的な米側の規格というようなものもあるわけでございますので、そういった規格に従って米側がいろいろ計画を立てておるということについては、特にそれが日本側にとって具体的に公益に反するとか、そういうようなことでない限り、私どもとしては安保条約の遂行上当然のことであるというふうに考えております。
  295. 吉川春子

    ○吉川春子君 それは確かに米議会の議事録だったということはおわかりになりましたか。その中に細菌とか化学兵器の戦争に向けての施設だと、それから「爆風」ということもありますね。「主施設」、資料の上から丸で囲った五つ目ぐらいのところに「主施設」というのがありますけれども、そこの最初に「爆風」とあるんですよ。「細菌戦/化学戦防護施設」「爆風」と、これ恐らく核ではないかというふうにも思われますけれども、こういう記述がアメリカの公式な議会の議事録にあるということはお認めになりますね。
  296. 鈴木杲

    政府委員(鈴木杲君) 今拝借しました記述の中に御指摘のような記述があるということは確認できます。ただ、「爆風」というのが何を示すのかということはつまびらかではございません。
  297. 吉川春子

    ○吉川春子君 施設庁長官の今の御答弁はその米軍の一般的な病院の、何というんですか、中身に従って米軍がいろいろ計画を立てていると、だからいろんなものも含まれてもいいような御発言でしたけれども、これは例えば細菌戦とか化学戦とかそういうものに関する病院だと、言ってみれば野戦病院だと。そういうような場合でもそれはアメリカが勝手に計画しているんだからということでお認めになるんですか。
  298. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) これはこういう病院の施設が仮に存在するからといって、ここで細菌戦争を始めるとか、そういうことを意味することではございませんで、一般的な施設、どういうふうにこれは運用されるのか、これは米側の方のことでございますのでその辺私どもつまびらかにするところではございませんけれども、いずれにしろ安保条約の範囲内でこういった施設の運用というものもおやりになるということでございますので、その辺は御懸念に及ばないものと考えております。
  299. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうですか。そうしますと化学戦争とか細菌戦争があるんだと、あり得るんだということをお認めになるんですね。
  300. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) これはあり得るとかあり得ないとかいう問題ではございませんで、米側のこういった病院についての一般的な規格というものもあると思いますし、こういった運用そのも のは当然のことながら安保条約の諸規定に基づいて運用されるわけでございますので、公益上我が国に支障を来すような結果にはならないというふうに私ども承知をいたしております。
  301. 吉川春子

    ○吉川春子君 とんでもない御答弁ですね。だって、細菌戦とか化学戦、そういうものが日本の公益に反しないのだと、それは安保の枠内なんだと、こういうことはもう絶対に許されないと思うんです。  ここでずっとお聞きいただいていた長官にお伺いしたいんですが、化学兵器とか細菌兵器がどんなに悲惨なものであるかということは、私たちは幾つかの歴史的な事件として体験しております。ドイツ、ヒトラーのガス室で大量のユダヤ人を殺害したという問題とか、あるいはドイツと言わなくても、日本でも七三一部隊、石井部隊が細菌研究をやって、研究と言っていいんでしょうか、「悪魔の飽食」という本に書かれていますけれども、そういうこともやってきた。そして一番近い例ではベトナム戦争を私は思い出します。ここに中村梧郎さんという方の「母は枯葉剤を浴びた」と、こういう本がありますけれども、アメリカはベトナムの農業をだめにするために十年間にわたって枯れ葉剤をまき続けてきたわけです。そのために農業ももちろんだめになり自然も破壊されて、戦争が終わってから何年たっても奇形児がたくさん生まれて、私たちはベトちゃんやドクちゃんの痛ましい姿を日本でも見たわけです。こういうような化学戦、細菌戦、こういうものを認めるような今の答弁というのは私は絶対納得できないし、大臣のお立場からこういう細菌戦とか化学戦を認めるのかどうか、御意見を伺いたいと思います。
  302. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) 何か私の答弁が使用を認めるかのごとき御発言でございますが、私はそういうことを申し上げているのではなくて、治療施設としてそういうものが存在するということは仮にありましたとしても、それは軍の病院でございますので、一定の規格でそういうものが存在するということは、我が国が安保条約を遂行する上で、特に治療施設として存在するということは支障がないのではないかということでございます。
  303. 吉川春子

    ○吉川春子君 だから、問題なんですよ。私は、とにかく一般論でいいですから、大臣のお考えを伺いたいのです。細菌戦、化学戦、こういうものはもうやっぱり絶対にやっちゃいけないし、日本の法律にもありますでしょう。その点はどうですか。
  304. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 細菌戦、化学戦の話がいろいろ出てまいりましたけれども、現実にソ連が例えば化学戦部隊というものを大増強しているという事実関係ははっきりしておるわけであります。我々としては、例えば自衛隊の場合は細菌戦、化学戦というものは禁じられておるからそういうことはなされないだろうということで、そういう対応策はとっておりませんけれども、アメリカがソ連のそういった状況を見て、自分たちの外地に配備をしておる部隊あるいは病院等について、それらに対してどういう防護措置をとるかということはアメリカ自身の問題でありまして、アメリカが例えば三沢の病院で細菌戦なり化学戦の研究をするわけじゃございませんので、そういう対抗手段をとることについて私どもとしてとやかく言うべき筋合いのものではないというように考えております。
  305. 吉川春子

    ○吉川春子君 ソ連がやるからアメリカもやる、アメリカがやるから日本はその基地を提供すると、そういうような答弁は私はもう絶対に認められません。アメリカの国防総省がことしの一月五日発表しました米空軍三沢基地につくられるという化学兵器戦防護施設、これは新聞でかなり報道されましたけれども、同施設は三沢基地に生物化学兵器の攻撃から基地施設、兵員を防備する洗浄と空気浄化装置、または同基地から出撃するF16が生物化学兵器で汚染された空域を飛行し、帰還した際の洗浄、浄化装置がつくられようとしているんです。今回の病院計画とあわせてみても、三沢の米軍基地はアメリカの生物化学戦の最前線の重要な基地になろうとしているんですね。こういうことになれば日本がいつ戦争に巻き込まれるかもわからなくなると、こういう大変重要な問題ですし、第一、生物化学兵器、そういうものをきっぱりと否定なさらない。これはどういうことなんですか、防衛庁。
  306. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほども申し上げたように、私どもはその種の兵器を持つべきでないということで、自衛隊自身御承知のように全くそういうものは持つわけじゃございませんが、現にアメリカがソ連のそういう化学戦をやる能力等が上がったことに対してみずからを守るために防護しようという措置、例えばそれぞれの司令部なり施設の規格をそういったものを守り得るものにしたいと思うことについて、あなたはよその国がたとえその種攻撃方法を持っておっても守らなくてもいいじゃないかというようなことを私の方から言う立場にないということを先ほどから申し上げているわけであります。
  307. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、そういう細菌、化学戦、あるいは核かもしれないけれども、そういうものから汚染された兵士やあるいは飛行機、そういうものを洗浄する装置や病院をつくる、それに日本の税金を出してやる、思いやり予算という名前で、そういうことを認めようと言うんですか。
  308. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) これは現実に患者が発生するとかそういうようなことばかりでございませんで、軍の病院でございますから、やはりそういうための仮に施設が必要だとしましても、それは抑止力として機能するという面もございます。その辺、全体的な判断は、アメリカ側の方で日本防衛上そういった抑止力をここに置いておくという意味合いからも、理解できるのではないかと思うのでございます。
  309. 吉川春子

    ○吉川春子君 私、大臣の御答弁を伺いたいんですけれども、こういう生物化学兵器を認めるのか、そしてそういう病院が日本につくられるということを日本政府は容認できるのか、その点いかがですか。
  310. 栗原祐幸

    国務大臣(栗原祐幸君) こういう化学兵器なんか使うべきでないと、それは我々の立場ですよ。ただし、今言ったように、化学兵器を使うような国もあるわけです。それにアメリカがどうするかということについては、先ほど来政府委員が述べたように、アメリカがそういうことに対応している。何に対応するというか、病院の中の一つの施設としていろいろ考えるということまで、こちらの方でけしかるけしからぬということは言うべきじゃないと思います。
  311. 吉川春子

    ○吉川春子君 生物化学兵器を使うような国があるとおっしゃいました。アメリカですよ。アメリカはもう既にベトナム戦争であれだけ大量に使ったでしょう。そういうことをまたアメリカはやるかもしれない。三沢の米軍のそういう病院をアメリカの基地の中につくろうとしている。その基地の中につくられるこういう野戦病院に類するような病院に対して思いやり予算で日本の税金を出してあげる、こういうことは本当に屈辱的じゃないですか。私は安保の姿もここにあると思うけれども、本当に日本の国民の安全というか、そういうものを犠牲にして大変危険な状態に持っていこうとする、こういうことが今なかなか聞いてもはっきり最初はお答えいただけませんでしたけれども、ひそかに着実に行われようとしている。私はもうこういうことは絶対に許されないと、とんでもないということを指摘して質問を終わりたいと思います。
  312. 名尾良孝

    委員長名尾良孝君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時三十三分散会      —————・—————