○栗林卓司君 やや意見を交えて申し上げますと、実は
マル優問題についでこれが
税制改革の一里塚であり、これが通ればドアを半分あけたことになるなどと新聞に出ておるんですが、なぜそういったことを
中曽根さんは言うのかなと考えておりまして、ずっとこの
大蔵委員会の議論を聞いておりながら、あるいは
政府税調の
抜本答申を何度となく読みながら、なるほどこんなことだったのかなという気がするものですから申し上げてみたいんです。
〔
委員長退席、理事大浜
方栄君着席〕
要するに、これからの税構造の考え方としては、給与所得税それから利子所得、資産性所得ですが、あとはこのほかのキャピタルゲインを含めた資産性所得と消費と、こうしたものの上に税構造が組み立てられないだろうかと、むしろそれが最も近代的な公平で公正な税の構造なんだという思い込みが私はある気がするんですね。ところが、こうしたものが公平で公正な税構造だということは全くコンセンサスはでき上がっておりませんし、しかも利子所得、給与所得あるいは資産性所得、消費と、こういった上にそれぞれに担税力を見つけて税の徴収構造をつくるというのはこれはやや分類所得税の発想でありまして、したがってシャウプ以来の包括所得税とは実になじまない発想であって、果たしてその方向でいくのかいかないのかは、まずそれ自身をとってみても
国民の方々を交えた大議論をきちっとしていかないといけないんではないか。そんな気が深くするものですから、例の一律分離課税にしてもそうなんです。とにかく利子所得についてはもうそこで取ってしまえと、一番楽でいいし、これは公正だし簡素だしと、そういうことについては御議論があるんでしょうが、果たしてそれでいけるかどうかは相当慎重な議論をしてみなければいけない
部分であるまいか、私はこう思っております。この点についてよろしければ後ほど御意見を賜りたいと思います。
私が申し上げたいのは、そこでこの
マル優なんですけれども、なるほど給与所得あるいは消費、資産性所得と見てまいりますと、利子所得について
少額貯蓄は非課税だというのはいかにもこれはバランスを失しておるというのも
一つのお
立場だろうと思います。そうは言いながら、実は今度特別に配慮をされました六十五歳以上の老人の方々につきましては、それはかってのように資本の蓄積という政策目的を今振り回す
必要性は毛頭あるとは思いませんけれども、しかしそれはそれで
社会政策として特段の配慮をしていくべきではないかとおっしゃられました。そして六十五歳以上の老人の方々に対しては
少額貯蓄に対して利子非課税、すなわち
マル優を温存するという形で今回は特別措置を講じることで
修正をなさったわけであります。
そこで、なぜ六十五歳からなんだろうかという議論を蒸し返して申し上げたいんですが、まず六十五歳というのはお年寄りを見ていく
政府のおおむねの
一つの区切りになっているということをさっき局長が言われましたので申し上げてみますと、高年齢者、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法による労働省令の定義は五十五歳であります。厚生年金の老齢年金の支給開始は六十歳であります。老人クラブの入会資格は六十歳からであります。
国民年金の支給開始、これはおっしゃるように六十五歳からでありますが、これはなぜそうなったかといいますと、実は基礎年金導入のための厚生年金のいわば
制度大
改革の結果としてそうなったのでありまして、その結果何が生まれたかといいますと、特別支給老齢厚生年金が六十歳からの支給になって現在も支給されております。一方、老人保健法による医療の対象としては七十歳からであります。老齢福祉年金の受給資格はこれも七十歳からであります。所得税の老人扶養控除の対象はこれも七十歳からであります。したがって、たまたま厚生年金の支給が六十歳からだということをとらえて六十五で区切るんだというのはいささか乱暴な御議論ではございませんか。
そこで、ここで申し上げたいのは、いや六十からの方々というのは言うなれば現役と一緒でありまして、それは六十五歳以上の方々とは同一に論ずるわけにはまいりませんと、先ほど同僚
議員の
質問に局長は
お答えになりました。ところが、なぜ現役と一緒なんですか。そんなことあるわけないではありませんか。では、完全失業率で申し上げます。六十から六十四歳四・九、五十五歳三・三、四十から五十四、一・九、二十五から三十九、二・六、それはなるほど若くなるに従ってやや完全失業率はよくはなっておりますけれども、問題の六十から六十四歳は四・九%ですよ。有効求人倍率を見ても同じ傾向であります。したがって、六十から六十五歳、六十五以上というのはもう
自分で稼ぎ出す力を失った、職場をリタイアした人たちだという
意味でははっきりしているではありませんか。
そうやって見ると、六十五歳以上の御老人に対して
マル優を温存したと同じ
意味で、六十歳以上の御老人に対して
マル優をきちっと残すのが
制度の公平というものではありませんか。その
意味で老人の方々に対する特別措置を六十五歳以上とされたこの
修正案のやり方というのは間違いなく誤りであります。これは
制度の公平な運用のためにもぜひ是正をするべきだと私は思いますが、御見解はいかがですか。